石炭対策特別委員会 第14号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/06/11
会議録
○委員長(松井誠君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。 まず、住友歌志内鉱のガス突出事故による災害の状況について派遣委員から報告を聴取いたします。川上君。
○川上為治君 派遣委員の報告を行ないます。 派遣委員は阿具根前委員長、藤原理事、大矢委員と私の四名で、先月二十一日羽田を出発し、札幌において札幌鉱山保安監督局より災害の概況を、北海道労働基準局より医療活動及び労災補償等について説明を聴取し、翌二十二日に現地の歌志内炭鉱におもむき、会社側、労働組合側、職員組合側より災害の実情と保安対策についての説明を聴取し、また歌志内市当局より歌志内炭鉱の生産再開についての陳情を受けてまいりました。 では、災害の概況について申し上げます。歌志内炭鉱は住友石炭株式会社赤平砿業所に属し、鉱山労働者約千三百名、生産量は月産約四万二千トンの甲種炭鉱で、原料炭が全体の六五%を占めております。稼行区域は登川区域、一斜坑区域、文珠区域の三区域に大別され、災害の発生したのは、このうち登川区域であって、すべてが原料炭を産出しているそうであります。 災害が発生したのは五月十六日午前一時五十分ごろと推定され、発生個所は、マイナス四百二十五レベル登川八番東坑道引っ立てで、坑口より約二千七百メートルの個所であります。この坑道は登川八番東払いの片盤坑道として、払いより約百メートル先行掘進中でありましたが、この坑道はガス突出のおそれのある区域であるため、警戒個所としてガス抜きボーリング、ゆるめボーリング、誘導ハッパ等の災害防止の措置をとりながら掘進作業をしていたとのことであります。災害当日は、三番方として二百三十人が配番され、登川区域には六十一名が入坑していたのであります。災害は、十六日午前一時五十分ごろ坑内係員よりガス突出らしい事態が発生したとの連絡があり、偵察の結果、登川区域にガス突出が発生したことが判明して午前二時二十分ごろ救援隊を招集する一方、退避命令を出し、三時三十分ごろから入坑救出に当たったとのことでありますが、入坑者六十一名のうち四十三名は自力脱出し、十七日八時四十分までに十七名を遺体として収容する結果となったのであります。 なお、登川八番払いに入っていて逃げおくれた者八名のうち一名だけは救急バルブに入っていて難を逃れたということであります。救出された一名は炭鉱病院で診断の結果、特に異常が認められなかったため帰宅し、自力で坑外に脱出した四十三名も採血、診断を受け、異常を訴えた五名を一たん病院に収容したが、同日それぞれ帰宅したのであります。その後、帰宅者のうちから頭痛、目まい等で治療を行なうものも出たが、二十一日現在では入院者五名、通院者九名とのことでありました。なお、CO中毒患者の発生のおそれはないとのことであります。 死亡者に対する遺族補償については請求次第支払っており、前払い一時金にして最高約九十五万円余、最低五十六万円余となっているとのことでありました。弔慰金は一人当たり百三十万円プラスアルファ、退職金は十五名分千四百三十万円との説明がありました。 災害後の状況は、坑道引っ立てより手前着火点まで百メートルは坑道が突出炭で一ぱいに埋まり、それより東八番立て入れ坑道も相当の突出炭の流出を見、ハッパ地点より約百三十メートルまで及び、八番払いは四十メートルまで達しているとのことであり、突出炭は二千立方メートルと推定されており、突出炭の取り明けには五月一ぱい要するだろうとのことであります。なお突出ガスの及んだ範囲は入排気側とも広範囲の区域にわたっているものと考えられております。このようなガス突出の災害は、世界でも一、二の大規模なものであったのであります。 災害の原因についてでありますが、原因はガス突出の防止のため行なう誘導ハッパによって予想外の大規模なガス突出を見たものと考えられていますが、それではなぜこのような大規模な突出を見たのかについては、断層その他地層の関係など、今後災害個所の取り明けを待って究明したいとのことでありました。 以上が今回の災害の概況でありますが、元来、歌志内炭鉱はガス突出の危険の多いところであり、会社側の説明によっても、過去三十五年間に、小規模とはいえ八百回近いガス突出が記録されているのであります。それだけに以前からガス突出防止対策の研究は進められており、四十年以降は通産省の委託によって試験炭鉱として現場試験も実施しておりまして、本年五月十三日には保安優良炭鉱として表彰を受けたほどの炭鉱であります。 特に登川区域はガス突出の危険が多い地域だけに、八番坑道の掘進においてもガス抜きボーリング、ゆるめボーリング、誘導ハッパ等の防止対策を実施していたとのことであります。それにもかかわらず、今回のような大規模なガス突出を見、多数の犠牲者を出したことについては考えさせられるものがあると思われました。それはガス突出の科者的研究がいまだ結論を得ていない段階で、過去の経験を基準としてその規模を予測することのおそろしさであります。過去の経験にとらわれることなく、十分な対策をとることが人命尊重の上からも必要であると痛感したのであります。この点に関しては、会社側も労働者側も深く反省しており、今後の強化対策としてハッパに際しての人員の退避の強化、着火個所の再検討、ガス抜き及び歪解放、並びに断層探りのボーリングの強化等、防止対策をはかるつもりであるとの意見が述べられておりました。 特に現在、ばく大な国の予算を投じて炭鉱を立て直そうとしているとき、人命を失うような災害を起こすことは重大であり、保安優良鉱として、かつ試験炭鉱においてすら、このような事故を避け得られなかったとすれば、炭鉱における保安体制の整備は根本的に再検討されねばならないのであります。通産省も生産再開を認めるに際しては、再度この種炭鉱災害によって人命を損ずることのないよう万全の対策を立てて、労働者の不安をなくした上で再開されるよう特に留意していただきたいのであります。 最後に、組合からの要望として、ガス突出に対する根本的な究明と対策の確立、ガス突出その他保安対策のための資金の確保、遺族対策等についての万全な措置等の陳情がありましたことを申し上げて、私の報告を終わります。
○委員長(松井誠君) ただいまの派遣委員の報告に関連して、住友歌志内鉱の災害のその後の状況について、橋本鉱山保安局長から報告を聴取いたします。橋本鉱山保安局長。
○政府委員(橋本徳男君) 歌志内炭鉱の予想外の事故につきましては、われわれ監督的立場にある者といたしまして、十分その責任を痛感しておる次第でございます。 その後の歌志内炭鉱状況につきまして簡単に御説明させていただきますが、災害の起きました場所の取り明けば、われわれ自身といたしましても、二次災害を防止するために慎重な取り明け作業をやってほしいという要望をいたしまして、また現実問題といたしまして、その被害が非常に甚大であり、かつまたガスの滞留がかなり認められるというふうな状況から、取り明けばきわめてテンポをおくらしてやっておりまして、当初の予定としましては、六月上旬には取り明け可能と思われておりましたが、今日まだ取り明けば完了してございません。それで現在までのところ、この百メートル埋まりました坑道でございますが、このうちの七十六メートル程度が取り明けをされており、あと二十三、四メートルが現在まで残され、その後その取り明けを進めておるといったような状況でございまして、大体取り明け完了の見通しは六月の二十日前後というふうなことになるのではなかろうかというふうに感じております。 それからこの歌志内炭鉱の災害につきまして、その後の措置でございますが、第一点は、歌志内炭鉱のこの災害発生と同時に――歌志内には三つの地域がございまして、この災害の起きました地域、いわゆる登川地域以外にも一斜坑、文珠地区という両地区がございますが、こういった三地区を含めまして、災害のあるなしにかかわらず、やはり災害という問題をさらに会社として十分に考慮をしてもらう意味におきまして、全山休止を命じまして一斉総点検をし、かつまた災害の起きない場所につきましては、従来のガス突出対策をより強化するような方策が出てきた場合に再開を許可するというふうな条件をつけまして、その後現地におきまして、一斜坑並びに文珠といった災害の起きない地域につきましてのガス突出対策が非常に強力な形で出てまいりまして、いろいろ監督局で精査いたしましたところ、現段階としてはこれで大体防止は可能であろうというふうなことから、五月の二十八日に至りまして生産の再開を両地区について許可したわけでございます。それと同時に、こういう予想外の災害が発生いたしましたので、北海道の周辺地区二十一鉱山に対しましてこの実態を伝え、従来からとられておるいわゆるガス突出対策並びにガス全般の対策というものをさらに強化されることを通達をいたしまして、そのうちで特に問題のある九鉱山につきましては、改善計画書をさらに提出せしめるといったような措置をとりまして、これが五月末に監督局へ出てまいりまして、現在その強化策の検討を監督局のほうで実施しておるという状況でございます。それ以外の鉱山につきましても、自発的にガスに対する対策を強化するような措置が会社側でとられており、これを追跡検査をしておるというふうな状況でございます。 さらに九州におきましても、やはりこういったガスについて特に考慮を払わなければならない七鉱山につきまして、これは特に監督局長のところへ七鉱山の所長を招致いたしまして、従来とられておるガス対策というふうなものをここで議論をし、かつまた、予想しない大規模な災害というふうな歌志内の実態を説明し、各鉱山がとられておるいろいろな保安対策を特にガスの面について強化するように指示をした次第でございます。 それから今回の事故が従来のいわゆる技術経験からいきますれば、それをかなり上回るような事故ではございますが、やはり事故を起こしたということに対する社会的責任というものは免れないというふうなことから、その直接的な責任の問題は別といたしまして、会社側に対して社会的な責任を要請しておりましたところ、会社のほうも自発的にこの歌志内炭鉱の鉱長を解任するというふうな考え方を出してまいりましたので、今回の場合におきましては、いわゆる長期にわたる生産の停止と、そういった鉱長の解任といったことが、いわゆる他の鉱山に対する一つの示唆ともいたしまして、十分この意味があるというふうな判断をいたしまして、それをわれわれも了承したわけでございます。 それから登川のこういった災害につきましては、非常に従来からの経験を上回りますだけに、これの再開をさせる場合におきましては、相当科学的な根拠を持った形でなければ、災害の防止はもちろんのこと、労働者自体の不安も除かれないというふうなことから、さっそく東京におきましては保安技術協議会の技術部会を招致いたしまして、いろいろ専門的な分野からの意見を聞きましたが、さらにガス突出委員会というふうなものを設置いたしまして、これには東大、京大、早稲田、それから北大の先生も交えまして、ガス突出の特別委員会をつくり、先週末から今週初めにかけまして、現地へおもむいてもらい、今後こういったいわゆる予想外のガス突出に対して、いかに保安対策をとるべきかというふうなことを、どちらかといいますれば、ケース的あるいはモデルとしてこれを科学的に出してもらい、それを各類似の危険性を持った鉱山に対して、それが今後の対策の基準である、したがってそれを基準としてその山々の事情を加えてガス突出対策をやっていただくというふうなことで、先週の終わりから今週にかけまして委員派遣をしてございまして、大体その結論がおそらく今月の十五日から二十日の間に先生方の間で出るだろうと思うのです。出ますれば、もう一度現地においてそれを実施をいたしまして、再開に際してとるべき一つの方策のめどを専門的分野から立てていただくというふうな実は対策を講じておる次第でございます。 なお再開につきましては、そういった慎重な配慮を払うと同時に、類似鉱山につきましても、二度とこういった予想をこえた災害が発生しないようにというふうなことで万全の措置をとってまいりたいという気持ちでございます。
○委員長(松井誠君) 続いて、さる五月二十八日北炭夕張鉱で発生した落盤事故について、政府側から報告を聴取いたします。橋本鉱山保安局長。
○政府委員(橋本徳男君) 相次ぐ災害で、まことに申しわけないと思っておる次第でございますが、お配りいたしました夕張炭鉱の落盤災害につきまして御報告申し上げます。 これは北炭の夕張炭鉱の第二坑というところで、五月の二十八日の零時四十五分ごろに落盤災害が起きまして、残念ながら死亡者四名、重傷一名という災害が起きたわけでございます。 災害の概況につきましては、これは第二坑の払いの場所において起きたわけでございまして、払いの長さは百五十六メートル、傾斜が二十度、山たけ一・八メートルというふうな状況で前進式の長壁払いでございます。この長壁払いは五月の二十二日から採炭を開始しておりまして、一日平均約四百トン程度の出炭をしておった。その払いは災害のときまでに七メートル進行をしております。この作業の形態といたしましては、一、二番方で採炭をやり、三番方は整理方ということで山固めとかあるいは鉄柱の回収、炭壁注水というふうなことをやる形をとっておりますが、災害のときもこういう方式で作業をしておったわけでございます。それで二十七日の三番方としてこの払いに係員一名、鉱員十七名、計十八名が配番となりまして、山固め鉄柱回収、炭壁注水といったような作業を行なっておりますときに、突然天盤――直天部分でございますが、崩落いたしまして、係員一名と鉱員四名が埋められたわけでございます。そのうち二名が救出されましたが、一名は救出されましてからあとで死亡いたしまして、三十日の午前十時三十五分までに残りの三名の遺体を収容されたという状況になっております。 その後の状況につきましては、監督局並びに警察両者によりまして実地検証が行なわれておりまして、現実の取り明けばきょうくらいから始まるというふうに聞いております。したがいまして、それを精査いたしませんと、原因がどの辺にあったかということは明確にはわかりませんが、しかし、いずれにいたしましても、災害の原因というものは直接天盤が何らかの要因で移動して、そして鉄柱カッペを押し倒したというふうに推定されます。そしてこういうふうな何らかの要因で移動をしておった天盤というものが事前にキャッチできなかったかどうか、なぜそれがキャッチできる体制がとられていなかったか、またこれに対して十分な対策がとられておったかどうかということにつきましては、今後新しく検討しなければならない問題ではございますが、いずれにいたしましても、こういった落盤というものは、これはもう地下産業にいたしましては当然過ぎる程度の事故でございまして、こういう程度のことは当然もう対策としてとられておらなければならないというものでございますが、いずれにいたしましても、原因その他につきましては、本日からの取り明けによりまして明確化さしていきたい。しかし、とりあえずまあこういったことにつきましての社会的責任というものを会社側に求め、鉱長代理に当たる人、これが直接のここの組織上の責任者でございますので、その人の解任というふうなことを会社のほうでも考えておるようでございますので、今回の場合は、司法的な責任はさらに今後進めるとしまして、そういった社会的責任のもとに再度こういったことが起きないような措置を会社側に対しまして厳重に申し渡し、今後原因の究明に当たっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○委員長(松井誠君) ただいまの住友歌志内鉱の災害に関する派遣委員及び政府委員の報告、並びに北炭夕張鉱における落盤事故に関する政府委員の報告に関して質疑のある方は順次御発言を願います。
○大矢正君 先般の茂尻炭鉱のガス爆発事故に引き続いて歌志内炭鉱のガス突出、また夕張炭鉱の崩落等、連続して炭鉱災害が発生いたしておりますことは、貴重な人命を失うばかりではなく、せっかく政府並びに国会においても新石炭対策を実施しているさなかのことでもあり、その効果を減殺するという立場からもきわめて遺憾なできごとであると言わなければならぬと思います。そこで、まず具体的に事故がなぜ起こったのか、なぜ未然に事故を防止できなかったのかということについてお尋ねをいたしたいと思います。 その第一は、歌志内炭鉱におけるガス突出の際に、いま少し避難の方法、退避の方法について配慮が行なわれておりますれば、たとえ想像を絶するあのようなガス突出においても人員はそこなわないで済んだのではないかという感じがするわけであります。特に指摘されなければならないのは、あの際、排気側のロング面におきまして、かなりの犠牲者が出たということは、誘導ハッパをかける際における配慮としては欠けるものがあったのではないかという感じがいたします。おそらくこれは過去の経験に基づいて、誘導ハッパをかけましてもこの程度の距離を保てばだいじょうぶだという判断があったものと思われます。しかしながら、世界的にガス突出の経緯を見ましても、また特に登川坑というものがガスが非常に多い深部であるというような自然条件の変化を考えてまいりますると、当然のことながら、最悪の事態を予想しての退避ということを考えなければならなかったのではないかというように実は考えるわけであります。そこで、もちろん退避をさせるその退避の距離、避難の距離というものは、保安担当の係員なり会社側に一切の責任のあることは申すまでもないところでありますが、過去においてこういう実績、こういう経験があるからということを認めた上で、退避の距離がこの程度でよいという判断を監督官としても与えておったのではないかという感じがいたします。さすれば、私は繰り返しますが、経営者の責任は当然のことではあるが、監督行政においても考慮しなければならない問題点があったのではないかと思うのでありますが、この点についてのお答えを願いたいと思います。
○政府委員(橋本徳男君) ただいま先生から御指摘ありました点につきましては、確かに御指摘の点は十分われわも感じておる次第でございます。御承知のように今回の災害というものが、非常に従来の規模を確かに上回ったというふうなことによりまして、従来のいわゆる知識と経験からいたしますれば、技術的に考えてこの程度で大体よかろうというふうに考えられた。で、従来のガス突出の経験から見ますれば、着炭まぎわにおけるガス突出というものが非常に大きな事故を起こしておりますが、どちらかと言えば坑道掘進の際にはガスがかなり去勢されておる、かつまた相当量のガスを、ボーリング等によるガスの去勢を行なっておるという場合には、まず従来の技術経験からいきますれば考えられなかった。しかし、そこにはやはり先生御指摘のように、特にこういう誘導ハッパの際においては、過去においてもいろいろな諸条件の変化はあるといたしましても、人災は生じないが、相当大規模なものがやはり出ておったというふうなことは、当然にこういった作業に際しては考えなければならない問題であろうと思うのでございます。この点につきまして、技術的にこまかくきめていきますれば、いろいろ問題はあると思うのでございます。しかし監督といたしましても、基本的にはやはり会社として従来の技術経験の立場に立った一つの考え方に対して、やはりそれを打ち砕くだけの理論と根拠がないといわゆる不当介入ということも免れないというふうな、若干ちゅうちょした気持ちが働いておったと私は思うのでございます。かといって、監督上の改めるべき必要はないというのではなくて、大いに今後監督の面としましても改めなければならないというふうな気持ちを実は持っておるわけでございます。これは単なる気持ちだけではなくて、要するにこの二月以来引き続いて重大災害が起きている次第でございまして、こういったいわゆる重大災害がそれぞれあるいはガス突出とかガス爆発、それから落盤といったように、直接の要因としては異なった形で発生はしておりますが、しかしそこには何らか共通的ないわゆる基本的な問題があるのではなかろうかというふうなことについて現在検討を進めておりまして、これはその問題が共通的な問題ということが浮かび上がってまいりますれば、われわれ監督の面におきましても、そういった基本的、共通的な問題の解明と同時に、それに沿ったような監督的体制へ将来持っていきたいというふうなことで、そういう方面の検討を実はいま進めておる次第でございます。確かにおっしゃいますように監督といたしましても、法律上はともかくも、行政面といたしましては十分な責任をわれわれは感じておる次第でございます。
○大矢正君 先般来ガス突出についての対策、避難の方法その他について私なりに調べてみましたところによりますると、ある会社の保安係に対する教本の中に、それはこれでありますが、明確に書かれておる。それはガス突出のおそれのあるところにおける誘導ハッパの際は、最小限度五百メートル待避、できれば千メートルくらい退避することが好ましい。もし大きな突出が起こる可能性が察知される際には、全員出坑させるか、もしくは番方交代の際に、入坑者がいないところで誘導ハッパをかけるのが保安対策の最良の方法であると、こう書かれている。保安係に対する教育をするこの本においてそう書かれているのに、過去の経験だけで判断をして、それが実行されないということはまことに遺憾なことであります。これは監督行政だけを責め立ててみてもしようがない話でありまして、経営者みずから、保安統括者みずから、そういう最悪の事態を予想しての事故対策を考慮していないことから起因するのでありますから、私はそのことを強く指摘いたしたいとは思います。だがしかし、一方保安監督行政の面においても、やはりそういう事故防止のための正しい方向が示されている限りにおいては、単に生産面あるいは現象面だけにとらわれるのではなくて、先を見越した、予測をした事故想定の上に立っての監督行政というものがぜひ必要なんじゃないか。まあ私はこまかい現場における監督行政の一つ一つは存じてはおりませんが、どうも監督行政というものをこの際大きく質的にも転換させて、やはり現象面にとらわれるのではなくて、いまこの地域にはガスがない、あるいは崩落の危険がない、あるいは自然発火の危険がないというその現象だけにとらわれるのではなくて、それを発展させて、将来どういうことが想定をされるか、その上に立っての監督行政というものが今日も必要ではないだろうかという感じがいたすのでありますが、局長としてどのように考えておられるか、お答えを願いたいと思います。
○政府委員(橋本徳男君) いま非常にわれわれの問題としなければならない点を指摘されまして、確かに先生のおっしゃるとおりでございます。この連続する災害につきまして、まだわれわれ自身最終的結論には達しておりませんけれども、要するに共通的な原因というふうに把握しようとしている問題といたしましては、現在の保安の体制というふうなものが、一つ一つの技術はそれはそれなりに進歩はしているといたしましても、その作業環境を取り巻くいわゆる地層なりガスの状況なりというものが、いかなる状態であるかというふうなことを的確に把握してないというところに大きな一つのポイントがあるのではないか、しかもその把握のしかたにおいて、あくまでも従来の経験、技術的な経験をもとにした把握に立脚しておって、いま先生のおっしゃいましたように、いろいろの深部への移行条件の悪化というふうなものをそこに加味しての作業環境、いわゆる自然条件の把握というふうなものが必ずしも現段階において十分ではないのではないかというふうなことを私は強く感じております。それと同時に、またそういった把握をいたしまして、いろいろな作業を進める過程におきまして出ましたささいないわゆる変化、自然条件の変化といったようなものが将来これがどういうふうな事故につながるか、またそのおそれがあるかというふうなことについての判断のしかた、いわゆる評価のしかたについて、これもやはり過去の経験を中心にして、そこにはより条件悪化しているといったようなものがどうも加味されてないおそれがあるのではないか、そういったことのために、その作業環境に最も的確な対策というものがとられていない。また監督的な立場におきましても、どちらかと言いますれば、いわゆるどういう行為をすることがここで監督上必要であるか、山に対して要請すべきかというふうなことよりは、むしろどちらかと言いますれば、与えられたいろんな形を的確に実施しているのかというふうなところに従来監督の主力を置いてきたと思うのでございます。従来のようにいわゆる自然条件がかなりよい状態の場合には、従来の監督という形がそれでよかったかと思うのでございますが、おっしゃいますように、非常に深部へ移行し、条件変化が非常に激しいというときには、それに予想されるいろんな要素というものを全部加味された形において作業が行なわれるかどうか、かつまた、ささいな状況の変化というものをそういった条件の悪化に応じてかなり将来にわたってその問題がどう発展するかということについて、よりいままでの経験以上の要素を加えてそれを判断する、そしてそれに必要な対策をとっていくというふうなところにいかなければ、おっしゃいますとおり、今後ますますいわゆる条件悪化の中においての作業をする場合に、災害の防止は困難であろうというふうに感じておりまして、これはまことに御指摘されて非常に恐縮なんでございますが、従来の保安全体の体制並びに監督の体制としましても、ますますこういった深部移行に伴いまして、新しい一つの課題を投げかけられたという感じがしておりまして、せっかくそういった面への体制を整備してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○大矢正君 夕張における落盤事故の際も同様なことが言えると思うのでありますが、過去においてこの程度の対策をしておけば事故は起こらないという過去の経験にだけたよって坑内保安を維持しようとするところにこの重大災害が起こる原因があると思います。最近の事故のほとんどはもう過去の経験だけにたよって何ら保安対策に進歩がないところに私は起因していると思います。ですから、夕張炭鉱の際における崩落事故におきましても、水平のところに鉄柱を立て、カッペを突っかって天盤を支えるというのでありますれば、今日の鉄柱なりカッペというものの負担するその量から見ましても心配はないということは言えるかもしれませんが、傾斜面のロングの中における鉄柱やカッペの天盤の支えというものは必ずしも強くないという面があります。したがって、事故防止のためにはよほどの手法あるいは打柱その他の配慮がなされないと、本来的の機能を鉄柱なりカッペが果たせないという事実はもう過去においてもあるわけでありますから、したがって、いま天盤が落ちてこないから作業してもよいという判断ではなしに、これをこのまま作業を続けたらどうなるかという配慮が常に保安対策上なされなければならないのじゃないか、監督行政もまたそうあらねばならないのではないかということを私は一貫して申し上げておるわけであります。特に夕張のように始発部における天盤の圧というものはこれは普通の進行中の払いと違うということはすべてが知っていることでありますから、特に始発部の二、三十メートルというものについては、特段の天盤に対する支えをせにゃいかぬということはもう常識であります。その常識が結局のところは過去の経験にたよって進歩がないために事故が起こるということでありますから、その面における監督行政の十分な配慮を願いたいと思います。 同時に、今後の保安対策についてでありますが、幾ら保安の統括責任者なり、また保安に直接責任を負うべき役職の者が号令をかけてみたところで、坑内の保安というものは維持されるものじゃない、やはり現場の個々の保安係員、あるいはそれと同様な立場にある者が慎重な配慮をしない限り坑内事故というものは防ぐことができないと私は思います。社長なり保安統括者なりが幾らその保安に力を入れろと言ってみたって、とうてい保安は確保されるものではない。もちろん、だからといってそういう人たちの責任が免れると私は申し上げているわけじゃありませんけれども、実際に現場で仕事に携わる者にもっと人命を尊重し、保安確保の意欲がわいてこない限り事故防止はできないと思います。そういう意味においては私は精神的な教育もさることながら、実際的な教育の面において今後積極的に監督官庁としての鉱山保安局が果たさなければならない役割りがあるのではないかと思いまするし、また私企業に介入をする際における限度というものはおのずからあるとは思いますが、行政を通して社内におけるそういう規律なり、それから認識のしかたなりというものに対する指導助言というものは私は積極的に果たしていくべきではないのか、そういうような方法がとられない限りこの種の事故を未然に防止し、炭鉱から災害をなくするということは不可能だろうと、このように考えるわけであります。現場で働く労働者というものはガスがあるかないかということは自分自身はわからないし、あらゆる危険、あらゆる不安というものがありましても、みずから察知するその手段方法がないんであって、保安係員なり主任なり係長という職階を通して保安担当者に一切をゆだねておるわけでありまするから、そういう人たちが真剣に保安問題と取り組んで人命をそこなわないような対策を樹立するような呼びかけを私はぜひ展開をしてもらいたい。同時に、またそういう責任ある者の立場が社会的にも道義的にも責任を負わなきゃならぬという体制も私はぜひ必要だ、そういうことをやらないで、まあ事故が起きたんだからしかたがないわ、炭鉱に事故はつきものだというような判断を第一線における係員なり保安担当者が頭の中に持つ限りは炭鉱災害をなくすることはできないと思うので、そういう面に対する基本、政府の対策を私はこの際示してもらいたいということを最後にお願いをいたしたいと思うのであります。
○政府委員(橋本徳男君) 第一点の夕張問題でございます。確かにおっしゃいますようにこの夕張におきましては、昨年の九月におきましても非常に大きな落盤事故を起こしまして、八名をなくしているといったような事故がございます。で、私この事故が起きまして、そういう過失におけるとうとい経験がいかに今回の場合に生かされており、かつまた生かされていないかといったようなことをいろいろ検討した次第でございます。それをして見ますれば、それは技術的には必ずしも同じ地層であるわけではございませんので、こまかく技術的に突っ込んでまいりますれば、それはそれなりのいろいろ対策をやっておるということは言えるだろうと思うのでございますが、ただ一点やはり先生もおっしゃいましたように、やはりそこに保安としてさらに配慮を払うべき点というものは私は十分存在する。たとえば今回の場合におきましても、前回におけるいろんな教訓を確かにとってはおりましても、おっしゃいますように、鉄柱一つをとりましても、さらに強力なる体制をとられなかった。これは技術的にいろいろ問題はあるとしましても、しかしその周辺にはすでに断層というものを控えている、その断層があった場合の評価をどうしてやったかということになりますれば、おっしゃいますように、保安全体の対策としてやはり配慮が欠けている点があったのであろうということはわれわれもそういう感じもしておりますし、またそういった面につきましての監督上の問題もわれわれとしても痛感しておる次第でございまして、そういう面におきましては、先ほどのような形において、むしろ過去の経験、技術的な知識というものに、異常な条件の悪化あるいはしさいな条件の変化をいかに織り込むべきかという、そこがうまく的確に行なわれますれば、この保安についても相当な効果が期待されるという感じを持っておりまして、そういったものの考え方を即刻にまとめて、それを行政面に反映さしていき、かつまた企業の保安面にも反映さしていきたいというふうに感じております。 それから第二点の、確かにこういった災害について刑事的責任というものは、もちろんわれわれは保安答申の線に沿いまして、できるだけ他山の石ともなり、かつまた社会的な謝罪という意味においても刑事的な責任をいろいろ求めてございますが、確かに第一線におりまする係員、こういった人たちがほんとうにどこまでその会社のいろんな計画が浸透し、かつまた係員自体から上部へのいわゆるいろんな問題点の疎通のはかられているかということにつきましても、おっしゃいますとおり、これはおそらく現状においては十分ではなかろうという感じがしております。したがいまして、こういった点につきましては、実は保安協議会におきましても先般こういう問題を取り上げまして、そしてこれについていかなる対策を立てるべきかというふうなことをいろいろ検討したわけでございますが、なかなか画一的な対策というものは困難であるということから、九州、北海道、そういった若干の炭鉱について調査団を組んで、それを具体的にどういう形においての指示が行なわれ、それがどういう教育を通じて下に浸透し、どういうふうな形においてそれが具体的に細部に反映されておるかといったようなことをサンプル的に若干の鉱山についてそれをやって、そこから出てくるいろんな問題点というものを抽出し、それを解決する方法として大きく、いわゆる保安意識の高揚と教育の浸透という形において取り上げていこうというふうな考え方を実は保安協議会で出しまして、できるだけ早い時期にそういった対策を講じて、要するに一線に働く人たちの教育はもちろん、全体といたしましてのいわゆる保安の意識といいますか、保安意識の高揚につとめていきたいというふうなことを考えております。 それからもう一つ、私蛇足ではございますが、最近のこういったいろんな事故の中に一つ感ぜられるのは、これは特に炭鉱その他につきまして十分今後考えてもらいたいと思っておる問題でございますが、坑内において非常に近代的なものの考え方と前近代的なものの考え方、どうも二つが混在しておる。したがいまして、いわゆる科学的にそれを的確につかんで作業すべきにもかかわらず、それがややもすれば、いわゆる前近代的な考え方の上に立った考え方が自然にその炭鉱内に浸透しておる点もございまして、十分科学的な掘り下げが行なわれてないという点がありゃしないか。こういったようなものも、もうすでに条件は変わり、過去においていろいろ自分の力を過信してやっておる作業形態というものは、もうこういった条件の悪い炭鉱内においては通用しないんではないか。ここにはやはり科学的な方法によってのみ解決していかなければならない。そういった点が従業員の中にも、あるいは技術者の中にも、大なり小なりまだ炭鉱においては混在しておる。こういった意識を払拭いたしまして、できるだけ科学的な方法によりそれを解決していきたい。したがいまして、先生も先ほどおっしゃいましたように、確かに教本におきましては、ガスの誘導ハッパの際におきまして五百メートルを離すとか、あるいは場合によれば千メートルといったような考え方を打ち出されております。それがどちらかといいますれば、その過去の技術、経験だけから判断して、十分にそういうより高度の予防措置がとられてなかったというふうなためにああいう事故になったわけでございますので、今回はそういった点から、できるだけ科学的にその実態の把握と、その予防対策として客観的、科学的な方法によって解決していきたいというふうな考慮から、先ほどのように先生方の組織をつくって、そういう問題を解決していきたいというふうに考えておる次第でございまして、先生の言われました、いわゆるこういった事故についての経営者としての社会的責任体制をさらに政府といたしましては十分にそれを追及すると同時に、やはり政府みずからも私は今回のこの打ち続く災害につきましては反省し、監督のあり方というものについても再検討を十分やっていきたいというように考えておる次第でございます。
○阿具根登君 関連。歌志内のガス突出につきまして、先ほどの報告の中にもちょっと触れておられたのですが、一点だけお伺いします。相当時日も過経いたしましたので、突出現場の取り明けば済んでおると思うのです。済んでないならばどういう理由で済んでないのか。私ども現地に行きましたときには、大体見通しとして五月中には取り明けば終わるのだと、こういう報告を聞いておったわけです。二千数百トンの炭が吹き出しておるということでございますから、そう簡単にはいかぬと思うのだけれども、しかし、取り明けがまだ済んでおらないというならば、一体どこに理由があるのか。取り明けが済んでおるというなら、あるいはもう大部分は終わっておるとするならば、一体どこからガスは突出したのだということがわかっておるはず。それから断層面はどのようになっておったか。これが一番疑惑のもとでございますので、こういう点についてひとつ詳細にお聞かせ願いたい。
○政府委員(橋本徳男君) ここの取り明けばもう相当な期間はたっておるわけでございますが、まだ済んでいないのでございます。実はこのわずか百メートルの間ではございますが、現段階で取り明けが済んでいるのは七十六メートルということで、深部二十三メートルはまだ取り明けば完了してございません。おそらくこの取り明けの完了は今月の二十日前後までかかるのではなかろうか。ではなぜそんなにおくれておるかという点でございますが、この百メートルの中におきましては、もちろん倒ワクが著しいというばかりでなく、実はガスが滞留しておりまして、非常に作業に危険性を含んでおるというふうなことから、一日の取り明け量が二メートルないし三メートルということで、相当の労働者並びに係員がつきっきりでこれに当たっておりますが、従来は三交代で取り明けをやっておりましたけれども、そのサイクルを多くいたしまして、さらに取り明けを行なうといったような方法によって、いわゆるガスの存在からする慎重にも慎重を重ねた取り明けをやっておるというふうな状況でございまして、残念ながらまだ現段階におきましては、十分なそういった内容がわからないのでございます。しかし、ある程度こういった取り明けもできておりますので、先生方に現実にそれを視察をしてもらい、将来の対策準備だけは立てておくというふうなことで進めておるわけでございます。
○阿具根登君 まだ取り明けが済んでおらないから原因がわからないと、こうなると、取り明けが済んで原因がはっきりしてからの問題になるわけでございますが、局長もかねがね言われておりますように、原因を追及するのあまり取り明けを急いで災害が誘発するようなことがあったらば、これはたいへんでございますので、そういうことがないように十分注意の上に注意をして取り明けを進めてもらいたい。さらに原因が明らかになったならば、この委員会に詳細御報告を願いたい。かように思います。その節に質問をいたしたいと思います。
○政府委員(橋本徳男君) おっしゃいますとおり十分に二次災害が発生しないような形において取り明けを行ない、取り明け完了後十分な調査をいたしまして、状況その他原因等につきましては報告さしていただきます。
○須藤五郎君 私もきょうは今度の災害問題とそれから炭住問題について少し質問いたしたいと思うのですが、今度の歌志内の災害は防ぐことのできなかった問題か、どうしたらああいうことをなしに済ますことができたというふうに保安局長は考えていらっしゃいますか。
○政府委員(橋本徳男君) すべての災害が絶対防止できないというものではないと思うのでございます。今度の歌志内の災害は、確かに予想を上回った災害ではあったかと思いますが、先ほど言いましたように、どちらかといいますれば、やはりその坑道、災害の発生しました場所の周辺を取り巻く自然条件というものがさらに的確になるいわゆる把握がなされなければならなかったはずである。で、それが取り明けてみないと、断層がどの辺にきているかわかりませんが、すでにほかの部分において断層の発見は行なわれている。その断層というものが、どういう形においてその行き先に断層が伏在しているかというような、そういうところについて従来の経験以上にいろいろな安全率を見込んだものの考え方というものがとられているならば、あるいはこういった大きな災害につながらなかったのじゃなかろうかというような実は感じもいたしているわけでございます。それがどちらかといいますれば、従来の経験的なやり方に終始しておって、そこに地層条件が非常に褶曲化されている、かつまた非常な変化をきたしている。これらの織り込み方というところにやや問題があるとすればあるのじゃないかということが第一点と、それから先ほど大矢先生御指摘になりましたように、退避その他の点については、どちらかといえば従来の技術、経験からくる、その技術におぼれたといえばおぼれた、よりいろいろな諸要素を考えて、より安全な体制でやるべきであるというところで、そこにおいて確かに配慮が十分でなかったということは私も確かにそうであろうと、こういうふうに思います。しかし全体として見れば、いま御説明いたしましたように、自然条件のさらに的確なる把握、それからその作業を進めていく先々の状況、またその作業過程においていろいろ出ました状況の変化というものの評価、こういったものをいかに今後はそれを安全率を見込んで評価をし、かつまたどういう方法でやっていくかということを、これを究明することによってこういった問題の防止も可能ではなかろうかというように考えております。
○須藤五郎君 会社側は、どうも今度のガス突出は不可抗力だったというふうに言いのがれようとしているように私も承っているのですが、いまの局長のお答えでも決して不可抗力ではないと、注意をしてやれば防ぐことができたものだと、こういうふうな見解を局長も述べられたが、私も全くそのとおりだと思うのですが、それではあの場合どういうことを具体的にやったら、経験主義でなしに、具体的にどういうことをやったらあの災害はなくして済んだものかという点ですね、専門家の保安局長から具体的な答えをひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(橋本徳男君) 具体的な点につきましては、取り明けを完了いたしまして、そしてどういう形でガス突出が行なわれており、かつまた断層がどういうところに接近しておったかというふうな点を十分調べてからひとつお話しさせていただきたいと思うのでございます。ただ、まあ先ほど申しましたように、従来の経験からいきますれば、ああいう形で行なわれておっても大きな事故は従来の経験としては起きなかった。しかし条件がさらに悪化しておる点をほんとうに十分加味しなかったというか、非常にそういう技術がどちらかといえば発達しておるために、過去の経験をもとにしてのいわゆる対策ということにややおぼれておったということは私言えるのじゃないか。ただあの場合にどういうことをさらにやっておればよかったかという点については、これはおそらく従来の技術経験では、そういうことまでしなくてもいいというふうな点が相当付加されてくるであろう、その付加されておることが科学的に可能であるかどうかというところまで検討をいたしまして、それが将来におけるいわゆるこういった作業場においていろいろな作業開始の前提条件として、十分保安上考えるべき要素であるというふうなところへ持っていきたい。それで具体的な点につきましては、ひとつ取り明け完了後十分検討いたしてみないと、軽々に私申し上げても、かえってあやまるかと思うのでございます。
○須藤五郎君 そうすると、まああと始末をして、それからでないとはっきりしたことは言えないということなんですが、ああいう状態はいわゆる今度の災害以前にも私はやはり防ぐことができたのではなかろうかと、こういう感じがするのですね。それでないと、災害のあと始末をしてからでないとはっきりした理由が言えないというのでは、それでは会社側の言うとおり、あの災害前には、要するに不可抗力であったという理屈も出てまいりますので、私は災害前にも局長の立場でものを考えたならば、ああしたらよかった、こうしたらよかったということが、いまやはり局長の頭の中にはおよそあるのではなかろうかと思うのです。そうなければ私はこれからの災害を防いでいくというそういうことにはならないと思う。災害が起こって、あとから追っかけていくというようなことになったのでは災害を防ぐことにならないのじゃないかと、こういうふうに思うのです。私は専門家でないですから、人から聞いておるわけですが、あの山はもうガスが一ぱいあるということは前々からわかっておったのであるから、いわゆる先進ボーリングということですか、それをやって、ガスがあるかないかということを確かめた後ハッパをかけるというような方法をとっていけば、今度の災害は防止することができたのだ、なくて済んだのだ、それをやってなかったところに問題があるのだということを私は聞いておるわけなんですが、実際あの山であのときに先進ボーリングをやったのですか、どうなんですか。
○政府委員(橋本徳男君) 先進ボーリングにつきましては、あの山にもやっておるわけでございます。それからさらにガス抜きボーリングも二十九本やっておるわけでございます。ただまあガスが多いところでございまして、しかもそこで誘導ハッパをかけるというようなことになりますれば、当然これは何らかのガスの突出というものは――人為的にガス突出を起こさせるわけでごさいますので、当然その危険地域は出てくるわけでございます。したがいまして、そういったいわゆる科学的にほんとうにいかなる方法で将来対策を立てるべきかということが出るまでの間は、とりあえず近隣の山並びに九州においても同じような山については、ガス突出はこれは防止はなかなか速急に困難である。しかし人災は起こさないというふうなことで、退避のしかた等につきまして、それからさらにガス抜きの強化というふうなことで、とりあえずはそういうことを各山に指示をし、そういう方向で指導をしていきまして、いわゆるガス突出についての今回の事故を一つのケースにいたしましたいわゆるモデル的なものが科学的にはじき出され、かつまた取り明けた結果、どういったことがさらに将来検討されるべきかというふうなことを科学的に詰めました上で、さらに追加していろいろなガス突出対策というふうなものを各山に基本的な方向として指示していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○須藤五郎君 先進ボーリングをやったということですが、その先進ボーリングをやった結果は一体どうだったんですか。ああいう災害がないという結論が先進ボーリングの結果出て、そうしてハッパをかけたというふうなことなんですか。その先進ボーリングの結果に対して会社側はどういう認識を持ったのか。
○政府委員(橋本徳男君) 先進ボーリングの結果、いわゆる断層にまだ当時は突き当たってないのであります。ただしかし、先進ボーリングというものもこの会社では二本やっておりますが、はたしてそのやり方自体が適切であったかどうか。またその先進ボーリングを二本やりまして、最初の一本は途中で岩盤に当たりまして十メートルちょっとしか進んでおりません。それからもう一本先進ボーリングをやりまして、これが二十四、五メートル進んではおりますが、はたしてそれだけでよかったのかどうなのか。それからまた先進ボーリングをあまり多くやりますれば、誘導ハッパ自体をかけるときに非常に危険性を伴うというふうな技術的な問題もございますので、そういった点は技術的に相当解明をしてみないと、最終的に将来の対策としてはなかなか出しにくいだろうと考えておるわけでございます。したがいまして、それまでしかし待っておるわけにはいきませんので、とりあえずとしましては、先ほど言ったように待避の問題に重点を置き、ガス抜きを強化してやるというふうな形において指導していく、そうしてそういう基本的な問題は、取り明けをいたしまして科学的に詰めていきたいというふうに考えております。
○須藤五郎君 こういうことは言えるのでないでしょうか。一応先進ボーリングをやった、しかしそれが十分にやられていなかった、確実にやられていなかった。それで先進ボーリングをやったが、従来の経験主義におちいってしまって、この程度でよかろうというようなことでやられたんであって、やはりわれわれあとから考えれば、確実に十分にやられていなかったということは言えるのではなかろうかと、私はそういうふうに考えるのですが、それに対して局長はどのような考えを持っていらっしゃるか。 それからこういうことが一つ言われているのですね。歌志内鉱では出炭増強を急ぐあまりに坑道掘進が切り羽の進行に比べて立ちおくれておった、そのために必要な保安対策が手抜きになっておった、作業を急がせておった、こういうことが言われておるのですが、そういうことはなかったんですか。
○政府委員(橋本徳男君) 先進ボーリングのやり方が十分ではなかったのか、先進ボーリングをやった結果の判断の上に誤りがあったのかという点につきましては、もうしばらく検討さしていただきたいと思うのでございます。いずれにいたしましても、やはりこれはいろいろな問題点が私は出てくるだろうというふうに考えております。 それから確かにこの登川といいますか、歌志内炭鉱といいますのは、坑内の骨格坑道というものが心ずしも十分であったとは言い切れません。したがいまして、この炭鉱保安上最も基本的な問題は、やはり坑内の骨格坑道といいますか、坑内の坑道というものを相当先行した形においてやはりやらしておくということが基本的に必要でございます。しかし、その坑道の先進化という問題は、これはなかなか時間も要する問題でございまして、今度の再建整備法に基づきまして年次計画を立てて、それで坑道を整備さしていくというふうな形を実はとっておりまして、この炭鉱につきましても確かに坑道掘進のおくれといいますか、これはやはり避けられぬ、現事態においては確かにおくれておるということは言えると思うのでございます。ただ、これをどの程度まで先行させるかというふうな問題につきましては、それぞれ山の事情によってもいろいろ違います。また山によっては非常に先行しやすい、たとえば九州におけるような場合と北海道のような場合とでは、坑道の先行ということの問題につきましても、九州の場合には比較的に坑道を先行しやすいという地層条件がございますが、北海道の場合にはなかなかそれがむずかしいようなものもございます。そういった場合に、技術的な解決をどうしていくかというふうなことも、これはあわせて検討しなくちゃならぬ問題だろうと思います。しかし全体として見ますれば、歌志内炭鉱において坑道のおくれがややあるということはこれは否定できません。したがって、われわれもガス突出対策よりもう少しベーシックな問題として、年次計画におきましてその坑道掘進を促進するというふうに計画を改めさせるような考えでいま会社側と当たっております。
○須藤五郎君 これは私の意見になるわけですが、この保安の問題は、人と設備、私はこの二つの面から見ていかなければならぬ問題だと思うのですね。どちらに欠陥が生じても必ず災害が起こる、こういうことが私は言えると思うのです。で、人の面で申しますならば、去年の七月三十日の北炭平和鉱の火災の問題があげられると思うのです。あの北炭の坑内火災で三十一人の犠牲者があのとき出たわけですが、このとき、近藤さんという札幌の鉱山保安監督局長がこういうふうなことを言っておりますね。ある程度の危険は当然だといった坑内特有の習慣が大きい災いをした、判断がよければ死傷者を一人も出さずに済んだかもしれない、こういうふうにあのとき近藤局長が言っていらっしゃる。これは先ほど大矢さんもおっしゃった点だと私は思うのですが、これはやはり人の問題ですね。こういうものの考え方、炭鉱は災害がつきものだというものの考え方がある、そこにやはり災害の起こってくる一つの原因がある、こういうふうに思うのです。 それから設備の点で申しますならば、去年の九月三日に八人が生き埋めになったところの北炭夕張の落盤事故、その一カ月前にも落盤があったわけですね。原因として、重圧に弱い旧式の鉄柱があのとき使われておったと思うのです。それで断属にぶつかって長期間切り羽の進行がとまった。切り羽がとまれば、その間に天盤上層部の条件が悪化するのはこれは常識だ、そのための補強工作が不十分だった、こういうことがあのとき言われたと思うのです。 こういうように人の問題、設備の問題がやはり保安に一番大きな問題を来たすところの二つの要素だと私は考えるのです。でありますから、これから保安について考えていかれる場合、この二点をやはり中心にして保安局長としては私はやっていただかなければならぬと思うのです。今度中央鉱山保安協議会から答申というものが出まして、私もこの答申を拝見しました。まだこの答申の一々については質問いたしておりませんけれども、これまでの答申よりは私は一歩前進したものだと思っておるのですが、今日閉山問題を前にして、この答申の精神がどれほど各個々の山々において守られておるかどうかという点をひとつ私はお尋ねしたい。 それからことしの四月七日の大平通産大臣の石炭業界首脳との会見における発言要旨を私は拝見しますると、その中で、大臣は保安というものが実に重大だということを述べられると同時に、通商産業省としても保安の確保の重要性の見地から、今回の石炭鉱業再建策において、再建整備計画の一環として新たに長期保安計画の提出を求めた上で、長期にわたる保安確保の見きわめなしには再建交付金を交付しないこととする、こういうように強い決意を述べられておるわけです。そこで私は伺いたいのですが、この新たに長期保安計画の提出を求めた上でとなっておりますが、これは各鉱山からこの長期計画というものが出ておるのかどうかという点が一点です。 それからこの閉山が問題になってから、北海道だけでも三つの災害が起こりましたね。こういうことで保安確保の見きわめなしには再建交付金を交付しないというようになっているのですが、この点はどういうように処置をされておるのか、また処置をされるのかという点を私は伺っておきたいと思うのです。
○政府委員(橋本徳男君) 保安答申の問題でございますが、保安答申で特にわれわれがあの中で力を入れておりますことは、やはり保安の確保をするための大前提といたしまして、石炭業界全体が安定しなければならないということが第一点。それからもう一つは、経営者がその保安というものをほんとうに自覚し、経営者の保安に取り組む姿勢を確立させなければならないという、この二つに非常にわれわれは眼目を置いておるわけでございます。こういった点につきましては、特に後段の点につきまして、いわゆる経営者の態度というものは私は正直に申しまして、最近におきましては、保安というものについてはかなり配慮がされつつあるということは事実だと思うのでございます。これはもちろん過去においていろいろと考え方があったと思いますけれども、人命尊重というようなものに対する再認識ができたばかりではなく、それ以上に要するに災害を起こすことによりまして操業の停止とか、いろいろな形においての経済的負担は非常に膨大なものになってまいりました。たとえば歌志内炭鉱あたりにとりましても二億以上のとにかく損失ということは、歌志内の生産が年間売り上げ二十億くらいでございますから、たいへんとにかく経済的損失というようなサイドもありまして、最近においてはかなりそういう保安についての取り組み方というものは前向きになりつつあるものと私は感じております。しかし現在で十分だという気持ちはまだ持っておりませんので、さらにこういった点については強い態度で、われわれとしてもその方面に向けるような努力をしていきたいというように考えております。 それから次に、再建整備法に基づきまして再建整備計画を取りまして、それが保安上十分確保される長期的見通しのない場合には交付金を停止する。これは現実に各再建整備鉱山から長期計画が実は出ておりまして、いまこれを事務的に検討しておりまして、たとえば九州の山につきましては、特に名前はあれしますが、再建整備計画の中にも保安上から見て非常に問題があるということで差し返したところが三、四ございます。そうして新たに保安計画自体が十分にその中に的確に織り込まれなければ認められないということで突き返しております。それから北海道の山につきましても、大体そういった検討が現在終えまして、問題点を整理し、不十分な鉱山につきましては条件をつけるなり、あるいは整備計画を出し直してもらうなりというようなことで現在処置したいということで、九州につきましては、すでにそういう処置をとっており、北海道につきましては、いま問題点を整理をしておるというふうな段階でございます。
○須藤五郎君 そうすると何ですか、北海道で今度三つ山が続いて事故を起こしておりますが、ああいう山に対しては再建交付金はどういうふうな処置をなさるのか。起こってしまったものはしようがないので、これからちゃんとした計画さえ出せば再建交付金を出すというのか、閉山が問題になっているときに、ああいう事故をどんどん起こすような山には再建交付金はやらないぞというのか、そこらの点をはっきりしておかないと、要するに閉山問題が起こると災害が従来もどんどん起こった。そのことは以前に私指摘したことがありますが、今回を見ておってもやはり同じことが私は言えるように思うのですね。だから、やはりその点をはっきりと態度を示していかないと何じゃないですか、閉山を前にすると保安という問題がお留守になってしまうということになって、だんだんとこれから後も私は起こる可能性があると思いますので、そこらははっきりとした態度を示しておく必要があるし、そうして保安計画を一日も早く出させて、そうして確実だということをはっきりと政府の責任においてこれを確認していくということ、これがやはり私は必要だと思うのです。それで私はいまもしも長期保安計画というものが提出されておるならば、国会にもそれを出してもらいたい。私たちもやはり国民の代表として保安に対しては責任を感じているわけなんで、災害を追及するだけが国会議員の立場じゃないと私は思うのです。やはりわれわれもどうしたら保安が守れるかという立場に立って、災害の起こらないように未然に防ぐように、私たちは積極的に考えていかなければならぬ立場にあると思いますので、そういう計画がもし出たならば国会にも報告してもらいたい、こういうことなんです。私はこれはいまお答えがなかなかむずかしかろうと思いますが、答えられるならば答えておいていただきたい。
○政府委員(橋本徳男君) すでに起きましたこの三つの山につきましては、考え方を整理したいと思うのでございます。たとえば保安統括者の解任をするとか、あるいは相当長期間にわたって操業停止をして十分なる保安対策をとらせるとか、あるいは保安技術管理者を解任するとかいうふうな形の、いわゆる保安答申の線に沿った対策は、その災害に対しましてわれわれとして十分やっているわけでございますが、その点につきまして、それなるがゆえに直ちに再建資金を渡さないということまでは私は考えていないのでございまして、ところが、再建整備計画の中に出てくる計画自体において問題があるとしますれば、これは先ほどのように突き返した鉱山もございますので、これは突き返す。突き返して、再建整備計画の中でそういう新たに保安対策をやることによって、山全体としてとても経営が成り立たぬというような場合には、これは閉山せざるを得ないのじゃないかと思いますが、われわれとしては保安の立場から、不十分な形においていわゆる保安計画の承認というふうな形はとらないというつもりでおります。 それから保安計画の提出の問題でございますが、一社一社ということになりますればいろいろ問題があるかと思うので、こういった問題につきまして、一応われわれのほうで問題点が整理され、そうしてまたそれに基づいて山との交渉を現在やっておりまして、山で出し直すところは出し直し、あるいは計画を改正させるべき点は計画を改正させておる。したがいまして、そういったような問題がわれわれのほうとしまして、これならばだいじょうぶだというふうな状態になりますれば、一括してひとつそういったようなものを総括的にお話をすることは可能であるというふうに感じております。
○須藤五郎君 この問題はまた大平さんも御出席のときにはっきり確かめたらいい点だと思いますので、これでおきます。 先日私は佐賀県の杵島郡江北町というところから、町長、町議会議長連名の陳情書を受け取りました。この内容は多岐にわたっておりまして、「飲料水の確保について」、「閉山に伴う離職者の住宅対策について」、「灌漑排水対策について」、それから「市町村税等の滞納について」、「企業誘致の促進について」、というこの五項目にわたっての陳情でありますが、私はこれをつぶさに検討しましたが、この陳情の内容はすべて私はもっともな陳情だと思い、そしてこの陳情の趣旨をひとつ政府としても生かしていっていただきたいと思っておるわけですが、特に町会議員からこういう陳情が参ったわけです。それは炭鉱住宅の問題なんです。読んでみますと、「杵島炭鉱の企業ぐるみの閉山は江北町住民、わけても炭住社宅居住者に大きな痛手を与えています。閉山に伴う社宅の処分方法等はその著しいあらわれであります。即ち本年七月三十日以降引続き社宅に居住する人は、会社が指定する数少い社宅を指定する値段で買収せねば居住できないことになっています。現在本炭住社宅には約八十家族の生活保護者及約五十家族の準要保護者が生活していますが、町内の住宅事情と本人達の生活環境からして殆どの家族は引き続き炭住社宅に居住せざるを得ない状態にあります。もっと端的に申し上げるならば、現炭住社宅に居住する以外に生きる道はないと云う現状であります。このような家族に対し前記の社宅処分方式が通用せられるならば本人達の死活問題であることは勿論、重大な社会問題となるのは必至であります。従ってかかる事態を防止し、本人たちが炭住社宅に引続き居住し、更生の道を辿り得るよう特別の御配慮を戴くよう陳情致します。」と、五月二十日付でこういう陳情書が届きまして、また町会議員が東京までやって参りました。そうすると、この炭鉱は今度の閉山で要するに炭住から全部おっぽり出すと、こういうことなんです。とにかく七月限りで、七月三十日までにみんな出て行ってもらいたいと、そういう態度をとってきたというのは、従来はこの炭住の処分権が合理化事業団にあったわけですね。ところが、今度はこの合理化事業団に処分権がいくんではなく、いわゆる銀行をはじめ金融業者に処分権が移ってしまったために、非常に過酷に追い出しがなされておる、こういうことが訴えとしてきておるわけなんですね。そうすると、住むところがない、働きに行こうと思っても住むところがないというこういう悪条件が生まれてまいりますので、いま閉山された杵島炭鉱の労働者は非常な困難な立場に置かれておる、こういうことです。 もう少し具体的に申しますならば、七月三十日までに転出するという答えを出しておる労働者は三三%、それからしないという答えを出している、しないということはできないということなんですが、それが三四・三%、どうするかわかりませんという答えを出しているのが三二・七%、合計六七%の人が出られないという答えを出しておるというわけです。そうすると、もしも会社側の言うように、金融業者の言うようにすると、この六七%の人たちは行きどころもない。どうしてもそこにいなきゃならぬ。そうすると、いやな問題が起こってきて混乱を来たす、こういうことになるわけなんです。それで、そういう状態を政府当局としてはどうするかと、通産省はどういうふうに考えられるかということなんですね。会社は全部買い取るものは置いてもいい、こう言うのだそうです。それもある地区に限って、この地区は買い取るなら買い取ってもいい、しかしこの地区は全部おっぽり出して、その家をこわしてしまって新しいものを建てる、金融業者が新しく住宅を建てて、そうして高い入居料で貸す、こういう形をとろうとしているらしいんです。これがそこに住んでいる労働者の立場からの問題ですが、これを江北町の町会の立場で申し上げますならば、江北町において炭鉱住宅は三百十八棟、千百三十五戸となっております。杵島炭鉱の離職者の年齢別構成を分析しますと、累次にわたる合理化により、他の各山より高年齢層によって占められ、再就職の危ぶまれる世帯も多数見受けられます。かかる現況の中に、会社は閉山により、すみやかなる資産の処理を必要とし、一定期間後は希望分譲と解体処分の意向と見受けられます。町ではこの問題解決を迫られ、再三の陳情を受けておりますが、窮迫せる町財政ではいかんともいたしがたき問題でありますので、残留者の生活安定のため格別の措置を取り計らいくださるようお願いいたします。というのが地方自治体の江北町当局からの陳情です。どちらから見ましても、非常に困難な状態がこの閉山に伴なって住宅問題として今日起こってきているということは事実だと思うんです。労働者にこの退職金なんかで家を買うたらいいだろうと、こういうことらしいんですが、家を買うだけの私は退職金はもらってないんじゃないかと思うんです。社会党に対して回答出しているのでは、退職金一〇〇%払うということを通産省は答えておりますけれども、しかし、聞くところによると一〇〇%はもらっていない。やはり七五%しかもらっていないというふうなことも言われておりますし、労働者は決して炭住を買い取るほどの資力は私はないと思うんです。そうしたら、一体どうしてこの離職者は生活をしていくのか。住むに家なく働くに職はない。職はあっても住む家がない。こういう問題が起こってきておる。これを一体どうするか、建設省としてはこの住宅問題をどういうふうに処置をしていこうとお考えになっておるか。一つの解決方法はあると思うんです。これは建設省が炭鉱から買い取るなり何かして公共住宅にして、従来の安い料金でこれまで住んでおった炭鉱離職者にその家を貸していくという方法もあると思うんです。また、この江北町のような町に安く払い下げて、地方自治体の公共住宅として、そうしてそこに住む人たちに家を貸していくという方法もあると思うんですが、建設省は一体どういうふうにこの処置をしていこうと考えておるか、通産省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お返事していただきたいと思うのです。
○政府委員(長橋尚君) 先般杵島炭鉱が特別閉山交付金の申請をいたしたわけでございます。そして現在会社として整理の段階に入ったわけでございます。で、社宅あるいは社宅の土地等も金融機関からの借り入れ金の担保に入っているわけでございまして、そういう面からいたしますと、会社といたしましては、できるだけ早く資産処分をいたしまして、そして債務処理の計画を立てていくという段階に入っているわけでございます。また一方炭鉱のあと地については、できるだけこれを地元の振興に役立つように活用してほしいというふうな要請もあるわけでございまして、そういう中で、会社の解散によって労使の話し合いがつきまして、退職した方々に対しましては、まずできるだけこの際ひとつ新しい生活設計を早くお立ていただいて、そしてまあできるだけいい職場に再就職されるというのが最も期待されるところでございます。そういう意味合いにおきまして、会社といたしましては、七月末を一つの区切りにして、それまでにできるだけ新しい生活設計を立てていただく。そうしてどうしても地元にとどまろう、そしてまた地元で職場があるという方々に対しましては、冒頭に申し上げました資産処理の要請とのかね合いといたしまして、適当な値段でこれを買い取っていただく。しかもその場合に、できるだけあと地を有効に地元振興のために活用していく、こういうような要請もございますので、一定区域にひとつ分譲をしようというふうな提案がなされているものと承知いたしております。しかもこういう提案はそれ自体合理的なものである、かように考えるわけでございますが、七月末になりまして、どうしても残らざるを得ない方々がまあどの程度出ますか。そういった場合にできるだけ混乱のないように処置されることが望ましいわけでございまして、御指摘の点につきましては、私どもといたしましては、つとにその会社の責任者に対しまして、こういった事態に十分適切に対処するように注意を喚起いたしている次第でございます。
○委員長(松井誠君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(松井誠君) 速記を始めてください。
○政府委員(長橋尚君) 特別閉山交付金申請会社の今次退職者につきましては、先般委員会でお答え申し上げてございますように、退職金規程に基づきます自己都合分の一〇〇%、それから会社都合部分といたしましては、一定の基準に基づきまして算出されましたものの一〇〇%支払っておりますわけでございます。ただまあだいぶ過去に退職された方で、未払い退職金になっているというふうな分につきましては、国として交付金の対象にいたしますのは七五%と、かような次第でございます。 それから先ほど須藤委員の御質問の中で、炭住については過去において事業団が処理をしていたというふうな御指摘がございましたが、そういう事実はございません。閉山交付金に関しましては、炭住その他合理化事業団も含めまして金融機関の担保に入っている、かような次第でございます。 それから一般的に閉山地域におきまして、閉山炭鉱の社宅が一部廃屋同様な形で残り、それがスラム化していくというふうな問題につきましては、建設省ともかねがね十分に御連絡をとり、建設省の不良住宅地区改良事業というふうな面で御協力をいただいているわけでございまして、今後ともそういった一般的な問題の処理につきましては、十分に建設省と連絡をとってまいりたいとかように考えます。
○須藤五郎君 この建設省関係の責任ある答弁をする人が、きょうはきてなくて答弁することができないといいますから、この問題は、それじゃ後日あらためて建設省に責任者に出てきてもらって答弁をしてもらう、そういうことにいたしましょう。 私はこの際通産省にもよく考えてもらいたいことは、いわゆるこの炭住の中には生活保護者もおり、準保護者もおるというようなこういう状態の中で、金融業者から追い立てを食って、一体どこに行って住むところがあるかという問題なんですよ。こういう生活上の問題を、おれたちはもう知らんぞということでほうり出してしまっては、私は政府として責任をとらぬということになると思いますので、こういう問題について、より一そう政府は責任を持って解決に当たるように私はしてもらいたい。これは通産省に対しましても、建設省に対しましても同じことが言えると思います。これで私はきょうは質問やめます。
○委員長(松井誠君) ちょっと速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(松井誠君) 速記を始めて。
○原田立君 私は高校生の転校の問題でたいへん炭鉱離職者の方々が苦慮している問題、この点を取り上げてやりたいのですが、よろしいですか……。あとで委員長にお話ししたいと思うのですけれども、保安問題にまとめるからということで、私質問を先ほどとめたわけなんだけれども、そういう点をもう少し委員会審議をはっきりさしてもらうことをお願いしたい。
○委員長(松井誠君) 実は私調査報告に対する質疑と、それ以外の質疑とを分けるつもりでおりましたけれども、いまうっかりして……。いまの原田君の質問は石炭労働者子弟の教育問題に関する件についての質疑ということでありますから、そういうことで運営いたします。
○原田立君 いまも多少申し上げたのですけれども、また、かねがね当委員会で要望等申し上げてまいりましたが、炭鉱離職者の子弟、特に義務教育でない高校生、そのお子さんたちが実際親とともに転居しなければならない。転居するとなると、学校をそのままやめていかなければならない、そういうことでたいへん今後の子供の教育のことで悩んでいるというのが実情であります。きょうは文部省の方も来ていただいて、そういう子弟の高校問題ですね、どういうふうな基本的態度でおいでになるのか、それをお伺いしたい。 そのお伺いする前に、きょうは石炭局長が来ていないから部長にお伺いするのですが、昭和四十四年ですね、ことしになってからどのくらいの閉廃山炭鉱があったのか、今日までですね。それからまたどのくらいの人員移動等があったのか、もしつかんでいたらばまずそれを教えてもらいたい。
○政府委員(長橋尚君) 本年二月十五日以降一般閉山交付金の申請をいたしました炭鉱数は現在までに二十七炭鉱ございます。出炭量にいたしまして二百万トンを上回る量になっております。それ以外に特別閉山交付金を申請いたしました企業が三企業、炭鉱数にいたしまして七炭鉱でございますが、そのうち一部の炭鉱は、まあ九州地区でございますが、引き続き規模を縮小して操業をするということになっております。人員の移動につきましては、目下つまびらかにした資料を持ち合わせておりませんので、いずれ調査いたしまして御報告したいと思います。
○原田立君 二月十五日以降二十七炭鉱、また三企業で七炭鉱あるというような、数の上ではだいぶ多くなってきたんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。これに関しておそらくその労働者の方々の移動もたいへんあったのではないか、こういうふうに考えられます。つまびらかな数がわからないということですから、それはもうやむを得ないとして、またそれがわかったらば教えてもらいたい。 それで文部省のほうにお伺いするのですが、こういう転居していく、人たちの子弟の中に、まあ小中学校ならば義務教育ですから当然これは問題ありませんけれども、高校の場合には義務教育でないから移転についてたいへん苦慮しているということは、これはもう先刻御承知だと思うのです。それに対して実情をどういうふうに把握なされ、今後どんなふうなお考えでいるのか、お伺いしたい。
○説明員(望月哲太郎君) この問題につきましては、できるだけ炭鉱離職者等の子弟の高等学校への転学というものについて特段の配慮をするようにということで、昭和三十八年に初等中等教育局長の名前で各都道府県の教育委員会あてに特段の便宜供与を要請をいたしまして、その後各都道府県においてもこの通達の趣旨に沿ってできるだけの配慮をしてきているところでございます。そこで今回もまたいろいろと、先ほど通産省のほうからもお話のございましたように、閉山をいたします炭鉱の数もかなりの数にのぼっておりますので、文部省といたしましても、先ほど申し上げました通達の趣旨によって特段の配慮をするように、各都道府県に対しまして十分要請をいたしたいと思っておるところでございます。ただ、原田先生もおっしゃいましたように、高等学校の場合は、定員であるとかあるいは教育課程の関係等から、義務教育である小中学校と全く同様というわけにいかない面もございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ各県あるいは各学校の関係者の理解ある協力によりまして、炭鉱離職者の子弟の転入学というものが円滑にいくように最大の努力をしてまいりたいと、このように思っております。
○原田立君 通達はもうだいぶ前に出されたと承知しております。そういうふうにだいぶ前に通達が出されているにかかわらず、なおこの問題がまだ残っているのですね。まだ転校できないと言って悩んで相談に来る子弟が多いのです。ですから、特段の配慮をするというまあその趣旨は、姿勢はけっこうなんですけれども、実が実らない配慮じゃ何にもならない。で、お伺いしますけれども、そういう配慮をして、ちゃんと入れた、転校を認めるようになったのは具体的に何件ぐらいあったのですか。それは何かお持ちですか。
○説明員(望月哲太郎君) 前回の通達を出しました結果、少なくとも私どもの承知している範囲では、前回はかなり学校としても配慮をいたしまして、相当数の生徒を迎え入れたと承知しているわけでございますけれども、申しわけない話でございますけれども、その前回のときにどういうふうな移動があり、その受け入ればどう行なわれたかという具体的な数字については、実は文部省といたしまして承知しておりませんので、その点につきましては、私どもちょっと数字的な資料をあげて御説明することができませんので、お許しいただきたいと思います。
○原田立君 その特段の配慮ということなんですが、その配慮をするにあたって、たとえば現在の学校の校長先生の証明書あるいは紹介状等を持ち、あるいはまたその県の教育委員会のほうからの添え状等があるというような、そういうふうなことをするようなことが特別な配慮という中に入っているのですか。
○説明員(望月哲太郎君) 前回の通達のところで申し上げますと、こういうふうなことになっておりまして、法令上及び当該高等学校の教育遂行上特別の支障のない範囲においてできる限り当該生徒の転学について便宜を与えるように考慮をしてほしい、ということを三十八年の通達ではお願いをしているわけでございまして、できるだけ定員等についても若干の配慮をというふうな気持ちもこの文面には含めて前回は通知をしたと私承知をしておるわけでございます。
○原田立君 特別に支障があったらば受け入れられないということになるだろうと思うのだけれども、これは炭鉱の労務者の子弟ばかりでなしに、高校の転入学問題は一般的な面で言っても、大きな課題であるわけなんですね。その中で特に炭鉱関係の転職していかなければならない気の毒な家庭、その子弟のそういう勉強していこうという意欲をそぐようなことがあってはならない、こういうような意味でお聞きしているのですけれども、先ほどから申し上げているように、こういう通達が出ているにかかわらず、まだまだそういう転校ができないでたいへん悩んでいるのが実は多いわけです。いままでもあまり効果があがってないように実は見受けるわけです。これを今回また特にもう一歩推し進めることを実は考えてもらいたいと、先般この当委員会で植木政務次官にはそのことは強く要望しておいた点なんです。あなたのほうにもそのことがすでに伝わっているのではないかと思うのですけれども、そういうような一連の申し込み、申し入れ等があったのかなかったのか、あるいはまたそういうことに対して、今回の石炭政策の大きな変換によってまた閉山、廃山していくのがどんどん出てくるわけです。そういう新しい事態に対処して、何かきちっとした処置が講じられるのかどうか、その点はどうですか。
○説明員(望月哲太郎君) 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、前回の通達の趣旨を一そう徹底するということについては、私どもも十分この点を考えてまいろうと思っております。ただ先ほども申し上げましたように、小中学校と全く同じにというところまではなかなかそう簡単にやはり高等学校の場合いき切れないという面もございますので、できるだけ私どもも結果としては転入学が円滑に行なわれるように、できるだけの関係者の理解ある協力を得るということについて努力してまいりたいと思っております。
○原田立君 そういうその姿勢はけっこうだということをさっきから言っているわけです。それで小中学校と同一にできない、それは当然でしょう。そうなると、次善の策として、何とか転校できるようにしてやることが必要だと思うのです。ただそういう精神論ではなしに、具体的にどういうふうなことをやられるのか、その点はどうでしょう。それで先ほど通産省のほうからも申し入れをしたはずだということを申し上げたんだけれども、それは行っていますか、おたくのほうに。
○説明員(望月哲太郎君) 通産省のほうからいろいろ事務的に、口頭その他で御連絡をいただいたことはございます。
○原田立君 次善の策というのはどういうふうにやられるのですか。
○説明員(望月哲太郎君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げました趣旨で考えて、あとやはり具体的にはそれぞれのやはり学校間あるいは教育委員会間のやはり話し合いなり連絡というものを十分とっていただくということを、それぞれの教育委員会等を通しまして学校にも十分徹底するようにするということが第一義的には必要なことではないかと思います。
○原田立君 私立の高校から公立に行くとか、これはまあたいへん無理じゃないかと思うのですよ。ところが、同じ公立から公立の学校に移るような場合、そういうような場合にはもっと対応策が講じられるのじゃないか、こういうふうに思うのですよ。そういうふうな、もう少し具体的な面で御答弁願いたいと思うのだけれども。
○説明員(望月哲太郎君) その具体的なことでございますけれども、先ほど先生がおっしゃいましたように、教育委員会と教育委員会との話し合い、それから学校長相互の連絡によってそういう生徒については特別に配慮をしてもらうような方向で文部省としてもそれぞれの県の教育委員会あるいは学校の関係者にお願いするということが、やはり方法としては私どもはいま現実に考えられる方法ではないかと思っております。
○原田立君 じゃ、あなたに聞いてもらちがあかないので、きょうはほんとうは局長さんに来てもらって御答弁願おうと思っておったのですが、何をお忙しくて来られないということですから、きょうはこの問題はこのままにして終わらしていただいて、この点は次回に局長にも出席してもらって、そうしてはっきりとした今後の見通しをもう少し具体的な面で御答弁願いたい、こう思うのです。たとえば公立の学校から向こうの公立の学校に移る、こちらの学校の校長の証明書あるいは成績証明書、あるいはまた県なら県の教育委員会からの添え状等があれば、全国にほんの米粒がぱらぱらとまかれたくらいの移動なんですから、これはもう十分受け入れられるのじゃないか、こう私は思うのです。大量に一つの学校に四十人、五十人も行くというようなことは当然あり得ようがない。特に炭鉱関係の人たちは気の毒なんです。そういう子弟の教育をなおざりにすると、それこそ非行化、不良化になっていって、ますます苦しみの上塗りをしていくようなことにもなるのじゃないかと思うので、もっとあたたかいさばきというものがあってしかるべきじゃないかと思うのです。 意見だけ申し上げて、どうかひとつそれを局長等にお話をしてもらって、今回新しい石炭政策等も出たときでもあるのですから、こういう機会を逃がさないようにして、ひとつきちんとしたさらに対策を講じてもらいたい、強力にお願いしたいと思います。
○委員長(松井誠君) ほかに御質問なければ、本日の調査はこの程度にとどめます。 次回は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十八分散会