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61回国会参議院1969/07/15

商工委員会 第19号

発言数
183
登壇者
9
会派数
4
開催日
1969/07/15

会議録

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について報告いたします。  七月十四日、瓜生清君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 前回に引き続き特許法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いままで質問された点と若干重複する点もあろうかと思いますが、法律改正の具体的な内容に入る前に、若干ひとつお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、どうもこの特許法が提案されて以来、その質否をめぐっていろいろな二とが私どものほうに申し出られておりますが、どうもおかしいと思われる点が若干ありますので、まずお尋ねをしますが、まずこの改正案を出しました特許庁内部で、いまはやりの内ゲバみたいなかっこうが相次いで起きているんですけれども、労使関係で職員団体が政府関係の出す法律案に反対をするといったことは珍しくありませんけれども、特許庁は、部課長までを含めた懇談会というようなものまでが、この特許法改正について、反対をし、野党側の私たちにその意志を通してもらいたいというような要請がたびたびありますけれども、言うならば、この政府側に立つべき立場の者まで含めて、そういう意思表明がされるということはどうも解せないのですね。ですから、それについて、むしろ管理者層でありますから、反対があれば賛成もあってしかるべきなのですけれども、賛成の意見というものをあまり耳にしない。そういうようなこと、あるいはまた答申を出された審議会のメンバーの弁理士会等も反対をし、あるいは発明協会等の代表者も入っておられるそうでありますが、その会員の大半を占めている東京支部もこれは反対である。衆議院の公聴会における参考人の発言を読んでみますと、発明協会の本部なんというものは、特許庁の、言うならば御用団体であるというようなことまできめつけるような発言がある、そういうことで、特許法というものが改正される——よしんば、かりに提案どおりに改正されたとしても、うまい運用というものがはたしてできるのかどうかということについて、私非常に疑問に思うのですけれども、その特許庁内外のそういう動きについて、大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、まず最初にお尋ねをしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、今度の改正法案につきまして内外、とりわけ特許庁内で多くの賛成できない方々がおられるということは私も承知いたしております。そしてその理由とするところは私としても理解できます。というのは、このような特許事務がふくそうしてまいりましても、政府がこれに対しまして要員の確保、予算の充実、施設の整備と言う点において十分の適応措置を講じまして迅速に処理ができますることが、いわばオーソドックスの解決のしかたでございまして、多くの方々はそういうことを希望しておられるのであります。私どももそれが正当な解決の方法だということは万々承知いたしておるわけでございます。四年にも余る未処理の期間があるというようなことが正当な方法において二年内外のところまでかりに短縮できますならば、そういう方法によって解決することが正当な解決方法であると私も思います。問題は、そういう要員の確保等の適応措置が政府ではたしてどこまでとれるかというところに問題の所在があると私は思うのでございます。特許庁当局並びに通産当局も、今日まで要員の確保について、また予算の充実につきまして、また施設の整備につきましても一応可能な限りの努力はしてまいったのでございます。これが思うように充足ができなかったのは、単にわれわれの予算獲得意欲が乏しいとか能力が乏しいとかいうだけにとどまらぬで、行政組織の一環として特許庁にどれだけの要員を確保するのが正当かという行政組織全体からの判断が一つございます。それからまた、有能な技術者を採用することの客観的な制約もございます。可能な限り努力をいたしましたけれども、十分の充足ができないというところから、そういうことを今後も大いに努力はいたしますけれども、あわせて制度の改正ということでもって適応能力を充足していかないと時代の要請に合わない始末になってまいりますので、われわれは次善の策として制度の改正を考えざるを得なかったのでございます。問題の分かれるところは、そういう制度の改正で解決ができるかできないか、どこまでできるかという判断、評価の分かれるところでございまして、その人たちの考え方と私どもの考え方が平行線であるとかいうようなものでは決してないと承知いたしておるのでございます。したがって、今後この線に沿いまして十分の努力を私どもはやりまして、皆さまの御期待にこたえるように努力せにゃなりませんが、同時に、こういう困難な状況に政府が置かれておるという場合に、制度の改正に踏み切らざるを得なかった事情につきまして、鋭意御理解を進めてまいりまして、もし許されてこの改正案が成立いたしました暁には、その執行に皆さんが気持ちよく応じていただけるような説得、理解を進めるように、私といたしましてもベストを尽くしてまいらなければならないと考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 法律改正を出された政府側の意図というものは、私なりに理解できますけれども、たとえば人をふやすとか、ふやさないとかというような問題というのは、間々労使関係の大きな問題ではあります。しかしそれはいずれまた触れてみたいと思いますが、急に二百人ふやせ三百人ふやせといったって、これは定員法その他の関係はあるにしても、よしんばそれが許されたにしても、応募者あるいはまた試験合格者、不合格そういう問題等もあって、おのずから限界がある。そういう点は、こういう特許庁の頭のいい労使が集まっておるのですから、十分に理解をされ得るのじゃないかと思うのです。ところが特許庁側は、制度改正が現在の問題を解決する焦眉の急の問題である、しかし反対する側は、そうじゃなくて、人間をふやせばこんなものは解決する、そこで平行線をたどっておりますね。なぜそういう何かわかり切っているような障害も理解に到達できないほどいまの特許庁の内部の空気というものはおかしなものになっているか、これは私ちょっと疑問があるわけです。そうしていま大臣もお答えになりましたが、かりにこの法律が通ったとして、政府側は、いろいろな反対はあっても円満に遂行でき得る自信があるということもお話しになっておりますけれども、それが陰険な労使関係ということになってしまえば、それはまたおかしなことになってくるわけですから、いわゆる権力側に立つ政府が、とにかく法律が通ったというのでがむしゃらに押しまくるのではなしに、あくまでも実際にその仕事をしているそういう審査官等の職員と十分に話し合って、くだらないトラブルを起こさないで法律が円満に運用されていくという、そういうことがはたして可能なのかどうか、そういう点もいささか心配でありますので、お聞きをしたいのですが、その点はいかがなものでしょうか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 労使の間の理解の糸が切れてしまうということになってしまいますと、もうこれは特許庁ばかりでございませんで、どの組織もやっていけないわけでございまして、そういうことに立ち至らないように最善の努力をいたしたいということは、先ほど申し上げたとおりでございます。どんなことがあってもそういう事態を招来しちゃならない、これは私に対する至上命令であると思います。権力的立場なんというようなおごった気持ちは毛頭ございませんで、あらゆる手を尽くしまして、十分の理解を得るようにやりまして、竹田委員の御心配になるような事態を招来することのないように最善を尽くしていく決意でございますし、また、われわれが努力をいたしまするならば、円満に事態を解決することは不可能と私は考えておりません。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 この問題については、ほかにも質問があろうかと思いますので、きょうちょっと人事院においでをいただいておりますから、最後までおつき合いをしていただくのもこれまたあれでありますから、最初にお尋ねします。この間、川上委員からも御質問がありましたし、小柳委員からも御質問の中にありましたが、その中で、通産大臣と人事院との間に、たとえば俸給表の別立てだとか、いろんなことについて長い間いろいろ話し合いがあっているけれども、いまだに結論が出ない、そういうお答えがございましたが、科学技術の進展に伴って技術者の確保、これはもうほかのほうの職員の確保もなかなかたいへんですけれども、とりわけ技術者の確保というものはだんだんむずかしくなってくると思うんですがね。そういう中で、この間も答弁がありましたが、いま二万、三万程度の初任給で新たに大学出の上級試験を通った者ということになると、なかなかいうべくしてむずかしいと思うんです。ですから、これは特許庁ばかりではございませんが、特許庁に重点をしぼってみるんですが、技術者の給与なり、そういうものについて、人事院はどういうふうにお考えになっているのか。それは研究職であるとか技術職というものは、いまの俸給体系でいきますと、行政職のものを適用されるのが一番いいんですけれども、しかし、それは最初はいいけれどもあとが悪い。これは公労協関係の組合もそういうのがありますけれども、やはり公務員の俸給体系の立て方、とりわけ技術者の問題について、もう少し人事院は抜本的に考えるべき時期にきているんじゃありませんか。いつまでも法科万能のような形のいまの行政職を中心とする俸給体系の立て方というものは、これはやはり私は問題がある気がするんですけれども、これはどうお考えですか。

渡辺哲利人事院事務総局給与局次長

○説明員(渡辺哲利君) お答え申し上げます。確かに現在の科学技術時代に即しまして、科学技術者の待遇につきましては非常に注意を払う必要があるわけでございますが、私どもといたしましては科学技術者のそれぞれの職種に応じまして、たとえば研究にタッチする科学技術者につきましては研究職俸給表というのを別立てにつくっております。ただ特許庁の審判官、審査官と、その他航空管制官でございますとか、麻薬取締官でございますとか、いろいろ類似の職種がございますけれども、そういう方々につきましては、それを個々に取り出して俸給表をつくるということになりますと、何十というようなたくさんな俸給表をつくらなければならないというようなこともございまして、確かに現在行政(一)を適用しております。行政組織の局長、部長、課長、課長補佐というような段階とやや違った段階をとっていることは事実でございますけれども、一応私どもといたしましてはそういう類似の職種をまとめまして便宜行政(一)を適用しておりますけれども、ただそこに科学技術者であるという特性を十分考慮しまして、たとえば特許庁の審査官の場合には八%の調整額をつけている。また等級別定数の上で昇格の場合でも、他の法科その他の人たちの昇格と特段に差別ができないように、いろいろと等級別定数上の配慮を加えている次第でございます。確かに今後科学技術者の獲得等につきましていろいろ問題はあるわけでございますけれども、現在は試験を通りました者について、特定の専攻学科のものにつきましては初任給調整手当等をふやしているというようなことで鋭意努力を重ねているわけでございますが、なお今後とも科学技術者の処遇につきましては、民間の実態等も十分考慮いたしまして、いろいろ検討を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 その検討されるのはいいんですけれども、こういう質問をしますと、そういうことで最後はお答えになるわけです。実際問題として、この科学技術者の確保が困難だということ、たとえば医者なんていうものも、たとえば一般の行政官よりは別に病院長なら病院長は、地方の一番えらい者よりは医者のほうが給料が高いという医療職、そういうような失態もあるわけです。ですから特にこれは人事院ばかりじゃありませんけれども、大臣もお考えになっていらっしゃると思うんですけれども、たとえば特許庁というのは、幾ら上級職で、同じ大学を出て同時に上級職受けても、いわゆる何といいますか、一般の事務屋とか技術屋とか——絶対技術屋の上級職試験では特許庁の長官にはなれっこないんですね、いままでの実例からいうと。実際は、聞くところによると部長、それも限定されている。これは渡り歩きませんから。そればかりに専念しているから、応用動作がきかないから登用ができないのだといえば、これは別かもしれない。そういうことになろうかと思いますが、工業技術院だとかあるいはまたそれに類するようなところでも、特許庁の長官にでも最終的にはなれるんだというようなかっこう、これは必ず事務官でなきゃなれないんだというようなかっこうの中においては、やっぱり問題は解決しないんじゃないか、そういうようなものを総合的に考えながら、待遇の面、昇任昇格なんというものもやっぱり配慮すべきでないのか。これはこういう法律の審議をされて、最終段階には常に言われておることだと思うんですが、いまもって解決をしておらない。それもやはり私は冒頭にお尋ねしましたけれども、特許庁の内部に何かあまりさわやかでない空気がはびこる原因にもなっているんじゃないか。えてして技術屋の職場というのはそういう空気がありますから、これは人事院としてもあるいは大臣としても、そういう面についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 人事院からお答えございましたが、特別の俸給表をわれわれのほうはお願いをしておるんでございますけれども、人事院のほうでいま調整額というようなことでの配慮を今日までいただいておるわけでございますが、私はきのうも実は電気試験所に行って現場を見て、幹部の諸君とも懇談をしてきたんでございますけれども、ちょうど官民の間の給与のバランスというようなものが、国家公務員法で一応の目安になってきめられているわけでございますけれども、事務職の場合はそんなに大きな格差というものは見られませんけれども、技術職とか研究職になりますと非常に格差がついているわけでございます。それを人事院が行政技術として、給与行政技術としてどのように吸収していただけるか、そこを人事院にこれから先のいろいろ御検討いただかなきゃいかぬと思うのでございます。というのは、竹田委員の御指摘のように、技術の問題、技術閉発の問題、技術能力の開発の問題、こういったことは非常に重大な問題になってまいりまして、いわば通産行政の生命はそこにあるように私自身もしみじみ最近感じるのでございまして、そういう意味で、それに照応したような給与体系というものを、ひとつ人事院側へも今後執拗にお願いいたしまして御検討願わぬければいかぬと思っております。  それから第二の点で、特許庁長官に技術官を登用するというようなことを考えてはどうかと、私はそこはこだわる必要は全然ないと思います。いろいろ役所で、慣行といたしまして、長官は技官であるとかあるいは事務官であるとかというような一種の慣行らしきものができてきたわけでございますけれども、今日のような、技術国策を新たな視野で取り上げなければいかぬ段階になりまして、そういうようなものにこだわっておる必要は一つもないと思うわけでございまして、適任者を得ますれば技官を登用すること少しも差しつかえないと私は考えております。

渡辺哲利人事院事務総局給与局次長

○説明員(渡辺哲利君) 人事院といたしましては、各省がどういう人を幹部にあげるかということにつきましては、これは一応各省の人事政策の問題というふうに考えておりまして、ただそれが適任であるかどうかということだけを、これは私ども給与局の所管ではございませんけれども、任用局のほうでそれが適任であるかどうかということの審査をいたしまして承認をするという形を現在とっているわけでございます。私どもとしては、いまお話のございましたように、やはり特定の官職に技術官をつけないということはまことにまずいことでございまして、いずれにいたしましても、事務であろうと技術であろうと、適任な者はどんどん高い地位にのぼっていくということが望ましいことであろうというふうに思っております。その意味で、ただいま大臣からのお話を伺いますと、そういうふうなお考えもございますようで、私どもといたしましては、各省が、なるべく技術者の待遇につきましてそういうふうな方針を打ち出されますように希望いたしたいというふうに考えておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これは、人事院にはそのことだけお尋ねしておきますが、やはり早急に、大臣のいまお答えもありましたし、大臣としても強く人事院には要望されている点でもありますから、配慮していただいて、結論を出していただくように希望いたします。  次に、この特許制度そのものというのが、特に日本の場合、先進の諸国とはかなり異なっている。国民全般が、いまの給与の問題でも若干そういう要素があるわけですけれども、技術サービス、そういうものについてあまり重要視していないという傾向がある。そういう意味で、特許制度の近代化というようなものをはかるための何らかの施策というものも考えてみる必要があるのじゃないか、そしてこの特許制度の近代化あるいは合理化というものを推進をしていく必要があるのじゃないか、そんなような気がいたしますが、そのために、いろいろな発明、特許の団体がありますけれども、こんなものを総合的な機関としてその任務に当たらせるとか、あるいはまた、工業所有権学会というようなものをつくって、そういう方向に進めていったらどうか、こんなことを、近代化の一方法として、特許制度の合理化の一方法としてお考えになったらどうか、そんなことを思うのですけれども、どうなんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 一年一年特許に対する関心というものは、御承知のように高まりつつあります。特許といいますのは、御承知のようにやはり技術開発からでございまして、ただ権利をとるだけでございませんで、技術開発の当初から、特許文献を調査いたしまして、そうしてほかの人が権利をとっていないものに開発を進めていく。で、開発は、御承知のように時間と金がべらぼうにかかる仕事でございます。大体一割あるいは二割の成功率でございます。そういった意味で、特許という問題は、開発のスタートから非常に大事だ。これはもう一年一年、企業の考え方も御承知のように進んでおる。特に国際的な資本自由化の場合には、まずこれからだという認識は、私は一日一日高まりつつあると思います。したがって、そういった民間の高まりが、やはり特許に対する評価につながってくる。ただ私、それぞれの団体を一挙に統合するということが、そういった新たなる角度から見て必要かどうかという点については、いささか所見を異にいたします。といいますのは、御承知のように、特許関係の団体というものは、まずいわゆる大企業を中心の日本特許協会、これはいわば大企業中心、それから発明協会といいますのはこれは御承知のように全国の発明者を網羅しているもの、あるいは弁理士会は、これは御承知のように、弁理士、特許代理人の集合でございます。それからAIPPI日本部会、これは御承知のように国際的な団体につながった下部機構でございます。あるいは、今回いろいろ御批判をいただいております特許制度擁護連盟、これはそういった特殊な——と言っては語弊がありますが、特殊な方々の団体の連合体、私はやはりそれぞれの団体にはそれぞれのカラー、特色がございまして、直ちにそれを一本にしたから私は強力になるというふうには感じておりません。ただ、先ほど申しましたように、非常に特許に関心がございまして、そういった意味の点をとらえまして、あるいは、御承知のように特許といいますのは特許手続だけじゃないわけです、いわば開発体制といかに合っていくかというところに一番特許の問題がある。そういった点の焦点を合わして、将来のたとえば資料整備をどうやっていくか——これはすべての企業に対する関心事であると同時に、特許庁に対する関心事でございます。そういった将来の特許政策、外国に対してどうしていくか、あるいは資料整備をどうしていくか、そういった、従来にない至要な問題がございます。そういった点は、やはり企業に直結した最高スタッフという感じで、将来は、経団連を中心といいますか、そういった、ほんとうに国際的に競争できるような体制がやはり私は必要だろうと思います。そういう趣旨でございまして、いま竹田先生おっしゃったように、従来の一体の総合をやるということ上りは、むしろ新たなる使命を持った強力な団体の出現というほうを私は希望しております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 次に、日本は出願件数においては世界最高だとこういわれておりますけれども、そこで、出願をして実際に登録されるというものはどれくらいなんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 年度でそれぞれございますが、特許はほぼ四割、実用新案は五割というふうに、これは先ほど言いましたように大ざっぱな数字ですが、一応そういうふうになっております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これはあとの質問に関係ありますから聞いておきますが、その四割ないし五割の中で、実際に実施に移されるものというのはどれぐらいありますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) これはいろいろな統計がございますが、ほぼということで御理解願えれば、特許になったものの五%ないし一割、大体一割以内五%程度というふうにお考えいただきたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そうすると、この出願のかなりの数というものは、これむだな出願であると、こういうことになるわけですね。そうすると、その点についてやっぱりかなり検討をしてみなければならぬ点があると思うんですけれども、そのことについて特許庁はどういうふうにお考えになっておりますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) まず実施化率がなぜ低いかといいますと、これは日本だけの現象ではないと思います。まず発明の性質から由来しておると思います。発明といいますのは、きわめて早期な段階でございます。たとえば化学の例で申し上げますと、いわば実験室の段階で発明は完成するわけでございます。ところが実験室ではいわゆるビーカーの段階でございますから、それはあしたからでも生産の役には立たないわけでございますけれども、それをその後マスプロにのっけるためには、いろんな条件がございます。あるいはコストがどうなるか、あるいは所期された品質が保持できるか、そういったいわば特許発明以降になるわけです。これをいわゆる開発と言っておりますが、これに時間と金がかかるわけでございます。それを生産段階にのっけましてマーケットに出すわけでございます。そうして商業的成功を博する、こういう段階でございますので、非常に、実施化率そのものがよくないわけなんです。それは、先ほど言いましたように、何も日本だけの現象ではございません。特許発明が持つ一つのいわば宿命がそこにあらわれておると思います。  で、今度の請求制度といいますのは、やはりそういった発明の特質から見て必要なものだけを審査していく、こういうのがやはり発明の特色からきておる一つの理由かと考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これはまあ改正の内容についてお尋ねするときにさらに詳細にお聞きしますが、その出願の四〇%、このうち五%の実施、そこでかなりのむだな出願があるということですけれども、いまのままでいけば、審査請求制度をとっても、そういうむだと思われるようなものがかなり請求をされるということになれば、この改正の趣旨と思われる二つの柱というようなものを設けても設けなくても同じような結果になるのではないかと私は思うんですけれども、むしろ特許なり実用新案なりの審査基準というものをかなり引き上げて、国際的に通用するような技術だけ登録をする、そういうふうにすれば、出願というものがやたらにふえるというようなことはなくなるのではないか、そういう説もありますね。そういう審査基準の引き上げというようなことについて、聞くところによると特許庁も三十八年以降そういうことを作成をして逆用しているというふうに聞いておりますけれども、いかがですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 先ほど申し上げ忘れまして恐縮でございます。先生おっしゃいました審査基準の問題でございますが、現在業種別審査基準というものをつくっておりますが、やはりそれがいまお話しになった一つのきわめて有力な対策と思います。ただその場合に、できるだけ引き上げるという方向は、われわれとしても考えております。といいますのは、審査基準が低いということは、いわば公衆に対する制約でございますので、できるだけやはり審査基準というものは高く持っていきたい。ただその際、国際的審査基準といいますが、なかなかその点は私はむずかしい問題だと思います。といいますのは、アメリカの場合でも、あるものは日本より低いのだという実際の人の感じもありまして、できるだけ国際的に通用するというものでないと、これは価値がない。ますます今後価値がないということでございますが、ただ国際水準と一口に申されましても、なかなか実はこれははっきりしないのでございます。できるだけわれわれといたしましても、ほんとうに特許にふさわしいという意味の水準を上げて、産業別にそれを見れば、出願人が一応見当つくという程度にまで審査基準を高めていきたい、かように考えます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで、審査基準を引き上げる、このいま長官のお答えありましたけれども、それと並行して基準を引き上げると同時に、それを審査する審査宮の基準もまた向上させなければならぬと思うのです。この間もお答えがありまして、私のそれを聞いていることに誤解がなければあれですが、必ずしも特許庁側が考えているほど、何といいますか、応募者の適格者というものが集まらないのだと、ふやせふやせと言われても、そういうのが現状だということになってまいりますと、先ほど人事院や大臣にもお尋ねしましたけれども、ますますこの科学技術が発達をしてまいりますと、その傾向というのは強まっても弱まることがないだろうと思うのです。そうすると、この特許行政に当たるべきそういう者を養成をする機関というようなものを、この際、特許庁自体でも考えてみる必要があるのではないか。あるいはまた国立大学等に、工業所有権の専門の学科というものを設けて、その中から優秀な人材を求める、こういうようなことも私は考えていいのではないかと思うのですよ、その点はいかがでございますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 全くお説のとおりに考えております。現在は内部でいわば研修所がございまして実施いたしております。あるいは審査官補のコース研修、あるいは審査官、審判官それぞれのコース研修、あるいは事務系職員に対します必要な研修あるいは特殊技術に対する研修等を実施しております。しかし私自身といたしましても、きわめて不十分だと認識いたしております。といいますのは、先ほどお話ございましたように、やはり技術革新は一年一年急激になってまいります。それに対応いたしまして、やはり審査官の実際の技術の素養というものが現在のままで十分だとは思いません。具体的には実は現在の研修予算を新たにいま内部で二千万程度は確保いたしまして、そういった実際の技術を、習得できるようなやり方、仕組みを考えていきたいと思います。まあ特許庁の中に新しく機構をつくるということは必要ないと思います。むしろこれは専門分野ごとにいろいろ差はございますが、たとえば一つの例で申しますと、大学自体には、知識が、やはり出願を審査する場合には役に立たない分野もございます。そういった場合には、きわめて早期に、かなり長期間国立大学ないしその他で研修を、実際の技術を習得さす。あるいは実際の工場について、いまも現在二週間程度のことはやっておりすすが、もっと長期な派遣研修、そういう措置をとることによりまして審査官の素質を向上し、審査官が自信を持ってやれるようなやはり一つの場を与えていきたい。したがって、現在で私は十分だとは思いません。飛躍的な拡大をはかってまいりたい、かように思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで、いまお話がありました、内部の研修所の問題ですが、長官はいま二千万程度の予算の差し繰りをして云々とこう言っていますが、特許庁の予算を見ますと、内部の研修所予算というのが、昨年が四百五十万ですね、ことしが七百八十万、私はこんなもので一体どんなことをやっているのか、それといま二週間程度ということを言われておりましたけれども、第三十一回国会で法律ができたときも、両院の附帯決議で予算の問題について言われておるわけですけれども、私はその附帯決議というものがまともに取り上げられて、特許庁の歳入歳出と見合いながら考えておられれば、いま長官が御発言になった二千万円というようなかっこうにおける審査官の研修強化あるいは研究、こういうことに対して、もう少し対策が練られ、その成果というのはすでに十年たっているわけですから、かなりのものが実績としてあらわれてこなければいけなかったんではないかと思うんですけれども、その点、この国会の附帯決議というものに対してあまり重要視してなかったのじゃないか。第一、いままで四百五十万や八百万ぐらいの金で、一体どんなことをやってきたんですか。それと、その三十四年の国会においての附帯決議、特許料、登録料及び手数料の値上げに伴う増収分は、あげて人員の増加、審査事務の促進のための経費に充当するように、こういうことについて、これをどういうふうに生かしてこられたのか、ひとつ説明をしていただきたい。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 附帯決議の趣旨は、この前の委員会で申し上げたと思いますが、もちろん百点とは思いませんが、人員、機構、予算その他の面につきましては、私は私なりに充実してまいった。ただし、先ほど言いましたように、十分だとは思っておりませんが、たとえば予算で見ましても、三十四年度を一〇〇といたしまして、特許庁予算は五倍、五・一五になっております。その間の一般会計は約二・二倍、通産省予算で言いますと三・四、そういう意味では不十分だとは思いますけれども、やはり他と比べてみますれば、私自身としては伸びてまいったと思います。で、人間はこの前申しましたように、大体全体はふえていないわけですが、われわれといたしましても、やはり三十四年を一〇〇といたしまして一八〇でございますから、二倍近く。そういった意味で、やはり附帯決議の趣旨はある程度は実現いたしたのではないかと思っております。  研修につきまして、先ほどちょっと私二千万と申しますのは、いまわれわれ内部で来年度の概算要求を作業中でございますが、その場合には、先ほどいいました趣旨を織り込みまして二千万程度の要求をいたしましてその実現をはかってまいりたいと思います。で、現在は、先ほど言いましたように、予算額は先生おっしゃった数字でございますが、それは主として先ほど研修所の中で研修するというのと、それから実際の工場に行きまして、そうして技術を修得するということでございます、現在は。ただ、新しい場合には、先ほど言ったように、かなり長期間の研修を計画いたしまして、実際の審査官の資質が向上になるような実効ある研修をする、そのために所要経費として二千万の要求を考えておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 大臣、特許庁の歳入歳出は、かなりのまあ黒字がずっと続いているわけですね。ですから、それを来年度二千万新たに研修強化のためにと言っていますけれども、大体この種のものというのは、これは国鉄にしてもどこにしても、かなりの職員研修には金をかけているんですね、特に技術の問題について。それが四百万、五百万の目くされ金のようなことでいままで逃げてきたということに私は問題があるのじゃないかと思う。ですから、二千万といわず、特に三億円からの黒字があるように予算書を見ますと見えますが、こういうものを大幅にそういうことに投入をして、研修所に詰め込んで一週間や二週間勉強さしたから急に向上するというものじゃなくて、審査官というのは常に研究していなくちゃいかぬわけですね。だから、そういうようなことに対して審査官独自が研究のできるというような体制、これはもう人間が決定的に足りないわけですから、そういう余裕が審査官自体に起きてこないかもしれませんけれども、そういうようなこともやはり抜本的に考えてみる必要がある。まあいままでのやつは死んだ子の年を数えるようなものですからしようがありませんけれども、そういうことも私は政府自体が怠った。ですから、急に七百万、八百万を八千万にするというのは、金の使いようがないかもしれませんけれども、だから二千万と、こう言うのでしょうけれども、こういう点についてはどういうふうにお考えになるんですか。金を無理して余す必要はないわけですね、特許庁の歳入歳出は。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 基本的には特許庁の歳入歳出はバランスをさせなきゃならぬ、黒字を出さなければいかぬとか、財政的な配慮を加えるべきではないと思っております。必要な歳出はどんどん要求をいたしまして、かりにそれが赤字を記録することになりましても差しつかえないものと思います。手数料の水準の問題は、特許庁の財政という角度からでなくて、制度がそれを軸にして運営される適正な水準を求めていくべきでございまして、歳入にこだわるという考えは私にはございません。  それからいまの仰せの再教育の問題でございますが、人手がどうしても足らなくなってきておるわけでございますから、そしてその充足が必ずしも容易じゃないという今日でございまするから、せっかくお働きいただいている方々の資質を、質的な向上をはかってまいるという意味で、御指摘のように、再教育研修制度の充実拡大ということは、われわれが一番力点をおかなきゃならぬ施策の一つだと考えます。仰せのような方向で努力をいたします。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 先ほどの質問でも、出願と実際に登録をされるもの、それから実施に移されるもの、その結果、かなりむだな出願がある。それで、その出願の実際の手続といいますか、そういうものをやっているのは弁理士ですね、ほとんどが。ですから、弁理士の段階でかなり調整でき得るものも私はあるような気が、これはしろうとですから、そうはいかないんだと言われればそれまでかもしれないのですが、私はそのような気がするのです。やはり三十四年の法改正のときにそういう面も考慮されたのだと思いますが、現行の弁理士法の改正ということについても、三十四年の国会ですが、附帯決議の中にありますね。そこで審査促進あるいは審査基準の問題等々から考えて、この弁理士法の改正というものについてどういうふうにいまお考えになっていらっしゃるのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 三十四年の国会の附帯決議以来、三十五年に一部改正をいたしまして、もちろんこれは抜本的な改正ではございませんが、弁理士の登録事務を、従来特許庁でやっておりましたのを弁理士会に移すということでございます。抜本的な改正の場合に一番問題になりますのは、弁理士の業務範囲、特に弁護士との関係でございます。現在は、特許庁の審決不服で東京高等裁判所に出訴いたす場合には、これは通常は裁判所に対する手続でございますが、現在、弁理士がなれることになっております。それからさらに特許侵害訴訟につきまして弁理士がなれるかどうか、いわば業務範囲、そういたしますと、従来のような資格で十分かどうか、必要な資格のためにはどんな試験をやったらいいか、いわば、全部業務範囲といいますか、権限にからんでおります。この場合につきまして、実は各界と調整をはかっておるわけでございます。主として業務範囲等の問題につきまして、基本的な調整が現在の段階でついておりません。そうしますと、あとの、どういう資格あるいは試験をどうするかという問題がやはり先決問題である。その業務というものとの関係でございますので各界の調整がついておりませんので、いまだ成案を得ていない状況でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 その点、審査を促進する上において調整がつかないという点で影響を受けていくという面はあまりないのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 弁理士の資格が現在以上に高められるということが、いま先生のおっしゃったような一つの、たとえば依頼人から依頼があった場合における判断能力が高まるという点、そういった意味では、できるだけ現在の資格要件を上げていく、あるいは必要ならば司法修習等に似たような研修制度をやっていくということがやはり望ましいと私は思います。したがって、そういったものを含めて各界と調整をいたしまして、そこらあたりのことをやっていくことが、将来工業所有権の向上という面からも望ましいことだと私は考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 いまの弁理士試験の選考対象の資格になるというものはどんな人なんですか。それと、また弁理士試験の内容を私ちょっと聞いてみると、この技術に一番関係があるにもかかわらず技術に関係をする試験科目というのですか、そういうものがはずされておるように聞いておりますけれども、資格要件、選考要件と、それから試験科目、これはどういうことになっていますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 試験制度は、御承知のように、いわゆる選考的なものとそれからいわゆる試験という二つでございますが、特に後者について御説明いたしますと、筆記試験の場合は必須科目——これは必ずいわばそれを取らないとだめだという必須科目は、工業所有権法でございます。特許、実用新案、意匠、商標、これに条約が必須科目。それから選択科目が四十一科目ございます。そうして任意に三科目を選択さすわけでございますが、その四十一科目は、全部申し上げますと、憲法、行政法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法、国際私法、経済学、商品学、材料力学、構造力学、機構学、熱及び熱機関、水力学、船体構造、航空機理論及び構造、精密工学、建築構造、鉄筋コンクリート工学、測量学、綿糸紡績学、織物構造学、鉱山機械学、採鉱学、電気理論、電気機器、電子工学、送電及び配電、無機化学、有機化学、製造工業化学、物理化学、冶金学、製造冶金学、光学——光の学、薬化学——薬の化学、薬品製造学、農業機械学、土壌学、水産製造学、こういった必須科目と選択科目に合格した者から口述試験を行ないまして、そうしていわば全部パスしたら合格という制度でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そうすると、その技術の問題ですね、あるいはこの訴訟問題というものを扱う科目というのは全部選択科目の中に入っているのですね。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) さようでございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そういうのはあれじゃないですか、今度の改正法でも、もし通るとすれば、かなり民事訴訟なんというものはふえると思われるのですけれども、そんなものは必須科目の中に当然に入れてしかるべきじゃないか。あんまりめんどうだから選択をしなければ、そんなものは全然わからない弁理士というものが誕生することになって、民事訴訟なんというものはだんだんふえるにかかわらず、わからない弁理士がおったのじゃ私は非常に話にならないような気がするのです。そういう面も私は改善をしていく必要がある、こういうものは必須科目の中に当然に入れる必要があるのじゃないか、そう思いますが、どうですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 私もそういった必要はあるかと思います。といいますのは、現在でも、先ほど言いましたように、特許庁審決の不服訴訟で高等裁判所に出訴いたした場合には、これは手続は民事訴訟の手続が主体になるわけでございます。ただその点は民事訴訟のことだけ取り上げれば私はそうだと思いますが、先ほど言いましたように、全体の業務範囲をどこまで定めていくか、そういった問題と相関関係でもございます。まあそういった基本的な問題の調整の上に、いま申し上げた試験科目等もあわせて考えていく必要があるという意味で先ほどから申し上げております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 弁理士はあれですね、司法試験のように司法研修所に入って実習が必須要件になっているのと違いますね。そうすると、学科試験だけ受かれば資格が得られる。これは極端な例ですけれども、このごろはほうちょうさばきも満足でないけれども、調理師の試験、学科試験だけ受かれば資格を持っていたりする、トラ刈りでも、学科試験通れば、そんな床屋でも床屋の資格を持っているというのがありますが、それと比較するのはちょっと失礼かもしれませんけれどね、私はやはり弁護士だとか司法官というようなかっこうで、実習というものもあわせて弁理士の資格要件にしていくというふうなことも、先ほどまあ最初から質問していることと関連して、私は必要な気がするんですけれども、これはどうですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 私も、長期的な目で見ますと、いま竹田先生おっしゃるような、実際のやはり研修制度をあわせて、そうして資格の向上をはかっていくということが望ましい姿だと思います。で、現在はいわゆる試験だけでございますので、それを補う意味で実際の実務の研修を、これは弁理士会が主体になりましてそういった不十分な点を補っておるわけでございますが、ただ全体の制度から見ますと、望ましい姿は、やはり司法修習制度に似たような制度を確立するということが、やはり将来の方向では私も望ましい姿だと考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 現行制度というのはいつからのですか。それで、最も大きな変革、変更をやったというのはいつごろなんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 制度自身はやはり大正十年の制度が骨子になっております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これはね、これだけの大事な仕事をやる人をですね、大正十年というと五十年前の制度ですね。五十年たった今日、なおその制度が根本的に改正をされておらないというのは、これはやはり問題だと思うんですね。ですから、まあ先ほど長官もお答えになりましたけれども、望ましいというんじゃなく、もうすでに今日、これだけの滞貨問題等々というのが、きのうきょう降ってわいたような問題ではないわけですから、当然に手をつけておいてしかるべきだ。それが、これは弁理士会の反対があるかどうかわかりませんけれども、全然手をつけられておらないというのも、私はこれはやはり法律改正以前の問題として、あえて質問せざるを得なかったところなんですけれども、これは早急というよりは、これはどうしてもやらなければならない制度改正じゃないか、そういうふうに思いますけれどもね。  大臣、この五十年も前の制度というものは、いまの時代に大体即応していないのですね。こういう古さを生かしておいて新しい時代に即応させるというところに私は無理を来たしているというふうな気がするのですけれども、いかがでしょうか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 制度が法律的に安定を持つということは一面大事でございますけれども、仰せのように、客観情勢は、このような激動期を経験して、まだ将来振幅が非常に激しい激動期にあるときに、いまのままでいいかという御質問に対しまして、一般的に申して、そういうものであっていいと断言するだけの勇気は私にございません。したがって、これ、どういう経緯でこうなっておったのか、弁護士制度なんかとの関連がどうなのか、いろいろ問題があるようでございますが、十分検討させていただきたいと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 長官、この制度をいまの時代に少なくとも適合するように改正をしなければならぬということは、先ほど御答弁ありましたけれども、そのための最大のネックになっているというのは何なんですか、それができないというのは。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) まあ一番基本的な問題は、先ほど申しました弁理士の業務範囲、これは特に弁護士との関係においてどういった業務調整をやっていくかというところがやはり一番の私問題点だろうと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そういう点をこの特許に関する審議会にかけることが妥当なのかどうか私わかりませんけれども、そういうところで検討をさせて、早急に一つの結論を得て法改正に進むというようなことは、お考えになっていらっしゃるのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 当然、工業所有権制度審議会は特許法等の改正だけではございませんで、工業所有権に関する全般的な事項を審議するという機関でございます。で、そういったことを含めて先ほど申し上げました基本的な問題を中心にいたしまして、もちろんそれは将来の資格向上の具体策に関係してまいりますが、そういったことで審議いたしまして、成案を得次第制度化していきたい、かように思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 ちょっとことばじりのようですけれども、成案を得て制度改正と言いますけれども、それは審議会で検討なさっているのですか、現に。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 現在、これは審議会といいますのはいろいろ問題点はございますが、今回はとりあえずいまの事態で急ぐ問題ということで、今度の法案の骨子でございます。その他残された問題はたくさんございます。そういった問題は今後引き続いて検討するということでございます。その際の事項、かように考えます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それは、私がまあ審議会の方々の座談会等を拝見しましても、そういう記事を拝見しましても、そういう弁理士制度の改正なんというもの等についてあまり言及をされておらないように思うのですね。いまさしむきの答申が出ましたが、これからは実用新案の問題、あるいはノーハウの問題、物質特許の問題等々が審議会のおもな審議の対象になっているというように思うのですけれどもね。この弁理士という利害関係がある人が入っていますから、自分の資格制限というようなことが大幅に取り上げられることになりますと、反対が出てくることは理の当然なんですね。しかし、それをやっぱり乗り越えていかないことにはならぬだろうし、私はこの特許制度の一つのいまの最大のガンというものを解決をするためにも、この点は早急に俎上にのせて解決をしていくことがどうしても必要であるにもかかわらず、利害関係もあって、むしろらち外に置かれている。そういうふうに——邪推であればいいですけれども——思っているんですけれども、これは大胆に政府は提起していいのではないか。提起をすべきだと、私はそう思うのです。これはまあ大臣の、ひとつ審議会にこの問題を提起をするという決意があるかないかにかかっていると思うのですけれども、まあ急な質問で御検討がないかもしれませんけれども、その点はどうですか。私が承知している限り、審議会でこれを俎上にのせるなんという日程はないと思うのですよ。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 審議会に提起する方向でとくと考えてみます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それじゃひとつ御検討いただきたいと思います。  それから、国内特許は弁理士あるいは弁護士に限られていますけれども、外国に対する手続というのは、これは野放しになっているのだそうですね。その点について弁理士会からも専業に改正をするような要望が出ているということを承っておりますけれども、これについての特許庁の御見解はどうですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) ちょっと私質問の趣旨がわからないのでございますが、弁理士をつけなきゃならぬという制度は、日本にございません。本人が出願してもよろしゅうございます。あるいは代理人に代理さして出願することも自由でございます。そういう意味でちょっと……。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 特許に関する手続の代理、鑑定手続書類の作成といいますか、専業とするものは弁理士と弁護士でなければならないと、国内の特許は。外国政府に対するものは、そういうあれがないんだそうですね。そのことです。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 弁理士の代理業務は特許庁に対する手続、こうなっておりまして、特許庁とは日本特許庁でございます。そういった意味で、業として代理業をやる場合には、日本特許庁に対しては弁理士でなければならない。したがって、外国の場合は日本特許庁じゃございませんので、それは業としてやっても、いまの弁理士法では、非弁理士という形でできるという問題かと思いますが、そういう意味でしたら承知しております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それで、その点弁理士会から、国内と同じようにすべきじゃないかという改正意見が出ているということを聞いていますけれども、その点はどうかと聞いているのです。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) その御希望を私も聞いておりまして、外国に対するだけじゃなくて、要するに、やはり弁理士にまぎらわしい行為というものが現在ある。それをいまの業務範囲それ自身で全部解決できるか、あるいはそのあたりのことを明確にすべきかどうかという点、そういう意味でしたら、もちろん当然業務範囲の中の検討事項と考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 次に、法律改正の前提条件についてお尋ねをしておきたいと思いますが、審議会の会長である兼子先生は、今回の改正はとにかく焦眉の急に備えるためにさしあたって必要だということにしぼって、早期公開制度と審査請求制度の二本の柱を立てて、あとはこれに関連する問題だけを限定的に取り上げたものだということをおっしゃっておりますが、大臣が六月の十七日衆議院でお答えになったのは、これは受け取り方によってどうにでもとれると思いますが、「抜本的な改正」、そういうふうにおっしゃっておりますが、この兼子会長のお話と大臣答弁とはどういうふうに——同じように見ていいですか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 衆議院におきまして抜本改正かどうかという評価を尋ねられたのでございます。私は抜本的な改正と申し上げた趣旨は、つまり早期公開制度、それから審査請求制度と従来のプラクティスを大幅に変えるわけでございますから、そういう意味で私の感覚ではそういう感じを率直に申し上げたわけでございます。しかし、これよりほかにいろいろ問題があり、そしてとりあえず焦眉の急を要する課題として審議会から御答申いただいたわけでございますから、その御答申いただいた内容がどういうものかという評価の問題でございまして、審議会の見解と私の見解の間には差異はないと考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 なぜ私がこれをお尋ねしたかというのは、参考人の見解もまちまちなんです。確かに大臣抜本的とおっしゃっております。ところが参考人の中には、抜本改正であるというふうに述べられた方もおりますし、それから手続に関する一部改正であると言われている方もおります。そうすると、認識がまちまちなんですけれども、提案をされている政府側としてはどういうふうに言われることがすかっとしているか、ぼくがどういうふうに受け取ったらいいのか、それを、長官でけっこうですから。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 大臣は政治的感覚でたしかそういう前書きがあったと思いますが、私、たしか佐野進先生の御質問だったと思いますが、抜本的をどう解釈するかと、実はそこらあたりの感触にかかると思います。私、抜本的とは考えていないという理由は、第一、大臣は政治的感覚でございますが、私の答弁で抜本という意味は、かりにこの制度改正だけですべての問題を解決するという意味の抜本的ではない。これはかねがね申し上げましたように、制度改正だけではいまの問題は解決いたしません。やはり人員の拡充その他先ほどからいろいろ議論がございましたそういったすべてのものを含めたものでいまの問題を解決する必要がございます。その意味では、制度改正ですべての問題を解決するということではありませんから、必ずしも抜本的だとは申し上げられません。それから抜本的といった場合に、今度の改正自身は、やはり審査主義を維持するというたてまえからきている。基本的にはいまの処理能力と出願状況を比べまして、やはり基本的には審査主義を維持していくんだ、そういった意味では基本的には変更を加えておるつもりはございません。したがって、そういう意味の制度改正だけで問題を解決できるわけではございません。あるいは審査主義を別な角度、たとえば簡易審査にするわけではございません。そういう意味では特許法あるいは特許権自身の本質その他につきましても、いささかの変更を加えてない。そういう意味では私は抜本的ではない。問題は、早期公開という新たな制度が加わった。で、その点の評価というのが一つの考え方と思いますが、これは早期公開制度といいますのは、現行法の出願公告制度とはもちろん違いますが、やはり特許制度は発明を保護すると同時に技術を公開するという使命を持っているわけでございます。そういった意味の、現段階におきましては、やはりそういった出願公告と同じ趣旨を貫いていく、ただ、処理能力その他の関係で公開制度をとっていくという問題ございます。そういったそのことの評価によってあれかと思いますが、先ほど申し上げた理由で、きわめて事務的なお答えかと思いますが、そういった特許法の基本自身を変えるという意味の抜本的ではない。まあ佐野委員に対する私の答弁の詳細なる見解はさように考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 大臣と長官のこの抜本的の考え方が違うので、どっちに理解していいのかあれですが、筋からいけば大臣答弁に……。こういうふうにぼくは理解していいでしょうか。滞貨が累増している、これを処理をしていくというのは緊急の課題であると、そこで、早期公開というのと審査請求制度という二本立ての制度がオランダやあるいは西ドイツ等の外国で採用され、若干その実績があがってきたので、これによって制度的に審査の促進ができるという一応のめど、目安、こういうものも立ったから、日本でもこれを取り入れて今回の改正案を出したんだと、そういうふうに受け取っていいですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 参考にいたしましたのはそういうことでございますが、むしろ日本のほうが、現在並びに将来から見ると、あるいは西独、オランダ以上にそういった必要性を本来感じるべき状態ではないか。たまたまオランダの場合五年間の実績がございますし、西独の場合はまだ昨年十月から施行でございまして実績は乏しいわけでございますが、むしろ窮状からいえば、日本は世界一苦しい立場にある状態かと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 日本の苦しい立場があったけれども、なかなか容易に出せなかったと、出しおくれたと、そういうことなんですけれども、しかし外国のほうが先手を打ったわけですね。そうすると、先ほど私もちょっと触れましたけれども、審議会でこれから検討を加えようとするものを含めて、抜本改正というものは、まあ抜本改正か、抜本的なのか、全面的なのか、これは考え方によってあれですけれども、そういう法律改正というものは早晩やはり提案をされるものだと、そういうふうに受け取ってよろしいですね。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) もっと具体的に申し上げますと、いわゆる特許の国際協力協定PCTの批准の時期、これはいろいろいまの動きから見まして予測も含めますと、大体五年後を考えております。五年後にはやはりPCT体制に即応する改正、本委員会でも問題になると思いますが、いわゆる多項制、これは条文としては一条でございますが、きわめて影響するところは大でございます。そういったものを含めて、五年後PCT批准の時期には、やはりもし日本が加入するといたしますと、必要な改正をせざるを得ないと、そういう予定になっております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこでお尋ねをしますが、昭和三十四年の法制定の際に、政府は、年々人員、機構の拡充をはかっていくならば遠からず滞貨は一掃されるのだと、そういうことをおっしゃっておったのですが、十年たった今日というものは、一掃されるどころか、全く累増の一途をたどっていると、これが現実ですね。十年前の見通しがまるきり狂ったわけですけれども、その理由は一体どこにあるのかということを分析をされたことがございますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 先ほど言いましたように、人員は約九割上がっております。やはり出願の急増、量的な急増、大体十年間とりますと倍でございます。出願の急増と、それからやはり質的な出願の向上、たとえば御承知のように出願のページ数自身も激増しております。それから中身自身が非常に高度化しています。それと、調査すべき資料の増加ということによる一人当たりの処理能力の低下、したがいまして、もちろんわれわれとしては、そういった出願の増加あるいは一人当たりの低下というものが、増員をもってしてやはり追いつかなかったというのが現在の滞貨の原因と考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 これは十年前にすでにかなりの滞貨があったからこういう御答弁があったと思うのですけれどもね、その十年の間の急激な科学技術の発展あるいはまた発明に対する奨励の結果かもわかりませんけれども、そういうものが出てきた。そうすると、いまのところ、いろいろな手を打ったけれどもなかなか即効的な結果があらわれない、したがって対症療法をいま現状どうすればいいのだということに、さしむきの問題解決点というものは、そこにかかっていると思う。そこで二つの制度というものを出さざるを得なくなった、そういうふうにも受け取られますが、それはどうですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 基本的には、先般の補足説明で申し上げた点でございますが、要するに、技術革新のスピードというものに合わすような体制、もちろんこれに対しては飛躍的な人員増加をやれば、それは論理的には私は不可能ではないと思います。ただ、そういった人員増加その他の面につきましても、全体の定員もさることながら、やはり実際の人員等を考えますと、どうしても一つの限度というものを予想せざるを得ない。しからばその前提に立って、制度自身も変えていかざるを得ない、こういう考え方になると思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そうすると、この滞貨累増の原因というものを科学的に調査をしたら、できないということらしいのですけれども、この十年間運用がまずかったというよりは、制度そのものが出願状況に応じ得ないようなものであったのかですね、それはどうなんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 制度そのものは御承知のように現在の出願を全部審査する制度でございます。そういったすべてのものを審査するだけに必要な人員を全部投入すれば、これは先ほど言いましたように不可能なことではございません、論理的には。ただ繰り返して恐縮でございますが、やはり実際の一つの前提があるとすれば、その上に基づいた一つの新たなる制度を樹立する。ですから、審査請求制度の場合には全部審査をする必要はない。先ほど申しましたように、出願がすべて経済効果を持つわけじゃないわけですから、そういった場合には出願の協力を求めて、必要なものだけにしぼっていただきたいという制度を考えていかざるを得ないということになるんじゃないかと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 もう一つお尋ねしますが、これは審議会でも検討されることですが、前にも特許庁から出された例の実用新案の問題ですね。この実用新案をはずすということが審査促進の一つだということも言われていますが、それにいろいろな問題があって、一応御破算になっていますが、一面この実用新案が曲がり角にきている。だから、審議会でもこれについて検討を加えている段階だ、このことについて特許庁は基本的にどうお考えになっているのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 実用新案の場合に基本的にどう考えるか、これはもちろん審議会で審議しております。したがいまして、私自身、お前どうかと申されても断定的なことを申し上げられないのが残念でございますが、議論の問題点を御紹介いたしますと、現在の実用新案は、対象は考案と称しております。特許は発明でございます。発明と考案といいますのは質的な差はない、程度の差だというのがいまの実用新案でございます。それで、この実用新案を廃止して、そうして現在登録されているものの一部を特許法で吸収する、一部を意匠法で吸収するということになるかと思います。これもサンプリング調査で恐縮でございますが、大体現在登録されているものを一〇〇といたしますと二割五分は特許で保護される。そうすると、意匠法で二割ぐらいが保護されるということでございます。そうすると、残りの五五%というものは現在登録されておるけれど、これは登録しないということになるわけでございます。そういったことの場合に、五五%は技術進歩に対してむしろ害があるということでないと、実用新案の廃止ということにはならない。廃止したら全部特許にいったということでは、これは廃止の意味がないわけです。やはり五割以上のものはむしろカットすべきであるということでないといかない。その際、特にこれは比較的実用新案の場合は中小企業者——比較的でございます、絶対数はもちろん大企業が多うございますが——比較的に中小企業者の出願される場合が多うございます。そうすると、そういった現在保護されるものを保護しないということは妥当かどうかという一つの、特に中小企業者側からの強い抵抗といいますか、御批判がございます。それに対しては、やはり五割五分というものは産業技術の発達を阻害するというあたりの強力な主張というものはなかなか例証できないという問題でございます。  それから一方、審査促進になるかどうかという点でございます。もちろん私はなると思いますが、しかし大きな期待がかけられるかというと、先ほど言いましたように、発明と考案というのは程度の差でございます。そうすると実用新案制度を廃止すれば特許出願になってくるといっても、これは質の差はございませんから、だから特許出願になだれ込むということになれば、そう廃止したって大きな期待が持たれるかどうか、そういった審査面に対する大きな期待が持てない反面に、先ほど申し上げました中小企業者の相当強い御批判をどこまで説得できるかという点の問題を実は残しておるわけでございます。今回はそういう意味の各界の調整がつかないでおったわけでございますが、まあ将来の問題といたしましては、先ほどPCT関係で申しました多項制の採用を契機に、実用新案的なものが多数項の中で吸収できる、全部ではございませんがそういった事実もございます。そういった新たなる多項制を機会に、もちろんもう一回この問題を論議いたしまして、ある程度各界の協力を得て、提案できれば多項の問題と同時に提案したいという考えが目下の私の心境でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで、滞貨の原因の一つは、審査官の定員と実在員の開きがいろいろ言われておりますね。いただいた資料でも、いま定員と実在員の間で百五十名くらいの差がありますね。これは政府側の説明にもそれなりの理屈があるわけですが、反対する側にもそれなりの理屈があるわけです。私は単純に考えて、この差百五十人というものが審査官の定員どおりにあるとすれば、一人が二百件処理をしているとしても年に三万件ですか、百五十人ですから十年間で二千万件処理をされたという勘定になるわけですけれども、これを定員の、何て言うのですか、定員貸しで、事務官になっているわけですね。そうするとこの事務官と審査官との能力のバランスというものも、これはやっぱりあるのじゃないか。これはうそかまことかわかりませんけれども、受け付けてから審査官のところまで行くのには四十日ぐらいかかるという説もありますが、そういうことも言われておりますが、そういうような問題の解決も、これは内部問題ですけれども当然にはからなければならないんですけれども、その点はどうなんですか。それと人員増と、審査官だけに力点が置かれて、それに付随する事務段階の増員ということが並行して行なわなければならない。それができないから定員貸しということでは、実際審査官をふやしてもあまり効果を期待できない結果になるのじゃないかと思いますが、これはいろいろ説明を受けたんですけれども、私はどうも理解できないんですけれども、もう一度わかりやすくひとつ説明してください。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) これは衆議院でも御説明いたしましたが、現在審査官の定員が七百九十名でございますが、実際の審査の事務に従事いたしますのは六百五十四名。そういたしますと、百三十六名が表面上は審査官でございますが実際は事務系統の仕事をしている、こういう意味でございます。なぜそうなったかといいますと、これはわれわれから言いますと、出願がふえるということは、審査官をふやすと同時に、一般の事務も同時にふやしていただきたい。ところが実際の予算定員の場合に、審査官重点主義という形で傾斜的に審査官をふやしていただいております。で、その点はできるだけわれわれバランスをとってふやしていただきたいのでございますが、従来の仕上がりというものが審査官に傾斜をかけておりましたので、やむを得ずやはり特許庁全体の事務を勘案いたしまして、審査官の定員を借りて事務をやっておる、それが長年そういう状況にございます。これははなはだわれわれとしても残念であります。しからばどうすればいいか。これはわれわれといたしましては、政府全体が非常に苦しい中でも、やはり所要な人員充足、同時に審査官と事務系がバランスとれるような人員増というものを将来考えていただきたい。で、解決策は、やはり全体的な定員をふやしていただくということで、逐次従来の変則状態を正常に返すということが、これは政府全体としても従来いろいろいきさつございますが、私としてはそういった正常に返していただきたいと強く要望しておる次第でございます。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 ちょっとその点のあれですね、この出願の伸びの見通しその他も含めましてもう少し御質問したいのですけれども、時間の関係があって、これはちょっと保留をさしてもらいますが、法制局もおいでになっておりますので、時間がある限り御質問しますが、この早期公開制度についてちょっとお尋ねしますが、この制度というものを持ち出しましたそもそもの理由というものは一体どこにあり、その利点というものは何なのか、これをまず最初にお尋ねします。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 早期公開制度を持ち出しました理由は、補足説明で申しましたように、技術革新というものの結果、早く特許文献を見なければ企業の開発あるいは投資という面に支障があるということでございます。で、現在は一応審査をいたしまして、そうして出願公告の段階で第三者はその中身が見れるわけでございます。ところが、先ほどから申し上げましたように、審査が長期化するということは出願公告が長期化するということでございます。現在早い部門ももちろんございますが、平均すれば三年以上かかっておるのが今後やはり長期化をしていく。それでは第三者の利益から見て適当でないというのが早期公開制度の趣旨であると同時に長所であると考えております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 この早期公開制度というものが憲法違反であるという説が衆議院でもありましたけれども、承れば西欧でもそういうような論議があったように聞いておりますけれども、オランダやドイツの場合、違憲論争というものが実際問題として戦わされたのかどうか、ちょっと御説明いただきたいのです。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) オランダの場合ちょっとあれでございますが、西ドイツの場合は、草案には補償金請求制度というのはなかったわけであります。それでいろいろ国会論議の過程を通じまして、やはり補償金請求権というものを与えることによりまして憲法問題は解消する、こういういきさつと聞いております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 日本の毎議会の場合はどうでした。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 審議会でいろいろその点ございましたですが、やはり補償金請求権を与えるということによりまして憲法問題はないというような見解で統一されております。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 そこで、特許庁から、私が事前に質問をしましたことについて文書でちょっと回答していただきましたけれども、その中でもおっしゃっているのですが、衆議院の論争がまだ会議録が来ておりませんので、どういうふうにやられたのか十分に承知していませんが、補償金請求制度というものを持ち出すことによってこの違憲論争に答えている、そういうふうに私は思うのですけれども、その根拠と、いま長官がお答えになりました、ドイツが最初補償金請求制度というものが改正案の中に出ていませんでしたのが、違憲論争が出てきた、そしてこの補償金請求制度というものに、言うなら修正されたわけですね。そういうことになったいきさつ、これをひとつ説明してください。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 結論は、西ドイツの場合は先ほど申し上げましたとおりでございますが、西ドイツの場合、国会で憲法第何条の関係だということは、残念ながらいま私承知しておりません。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 それで、先ほどもお話しました特許庁の、私の質問に文書で書いた、補償金請求権による保護を考えると憲法違反になることはないと思う、こういうことなんですけれども、あまり自信がないような回答なんですけれども、これは法制局もお見えになっていますから、自信をもってひとつ私が理解できるようなお答えをしていただきたいのですが。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) 非常にお答えしにくい問題なんで、実は補償金請求権は与えることが合理的であるという判断に立って政府案を出しておるわけですから、補償金請求権がない場合はどうなるかという御質問に答えるというのは、非常にむずかしいのですけれども、一応理論的な問題としてお答えしたいと思います。  まず理解のしかたとして、補償金請求権の性格をどう理解するかという問題があると思います。普通、今回の法律の改正によって、国が、特許庁が早期公開ということをいたすわけです。その早期公開に対して直接国の行為によって出願者の何か権利が侵害された、それに対して補償をするんだというような発想で補償金請求権というものを考える考え方があると思いますが、私は、そういう考え方はこの法律案の構成の上ではとられていない、国の早期公開行為自体は、それ自体として補償をする必要はないという考え方、ところがもう一方、そういう国の早期公開行為という原因、国がそういう原因を与えたことによって出願者が、といいますか、発明者が持っておる発明の権利と申しますか、これはいろいろ言い方があると思いますけれども、そういうものを第三者が模倣して、利用して、そして実際に経済的利益を受けられるわけであります。しかも今回の法律ではそういうことを適法な行為として構成しているわけです。これが模倣自体、実施自体が違法であれば、損害賠償の請求が民法によってできるはずであります。ところが適法な行為で、しかもその適法行為によって他人の持っている権利を利用して自分が利益を受ける、これは裏からいえば発明者の権利が実施者によって何らかの意味でへこまされているわけで、そういう状態を国が法律でこしらえながら術者の調整をしない、これはやはり憲法が、何といいますか、そういう財産権と申しますか、経済的な権利というものを社会全体の実質的な公正といいますか、公平というか、そういう観点から保障している立場、そういうものと反することになる。そういう意味でおそらく補償金請求権というものを認めた。それで補償金請求権を認めることによって憲法違反のおそれはないという答弁が出てきたと思います。

竹田現照日本社会党

○竹田現照君 どうも私は理解しませんけれども、その補償金請求という権利概念を持ち出して憲法違反でないという、今度この法律が通ればそういうことになるんでしょうけれども、ところが補償金請求については、後ほどまた詳しくお尋ねしますけれども、私が理解する限り、そうは言っても、補償金請求制度なるものは、何ら実効を伴わない制度であるように、実際問題として私は思うのです。そうすると、実効の伴わない制度を、いわゆる権利概念だけを持ち出して憲法違反でないんだということには、私はもうどうも十分に理解できないですね。いまの御答弁も何かそういうものをやれば憲法違反でないんだ云々というようなお答えですけれども、もう少しその点、たとえば、ドイツの場合はあれですね、公開と同時に権利が発生するんですね。日本の場合は公告のときまでだめですから、その間は発明者、出願人というものは何も保護されてないんですね。そしてそれは私法上の問題としてこれを何か争うことになっているんです、その補償金請求権は。そうすると、今度の滞貨というものは、発明者あるいは出願人の責任によって生じたものではないんですね、言うなれば行政府の怠慢と言っちゃこれはちょっと悪いけれども、施政の欠陥のもたらした結果がこういう改正をせざるを得なくなったということになると、その責任を何か出願人に負わせるようなかっこうになる。そして実効の伴わない補償金請求制度というものを持ち出して……。これではどうも発明の権利その他というものが十分に保護されてない、というより、全然保護されない結果になるのじゃないか。そういうふうに私は思うのですけれども、これはどちらでもいいですから、その点、お答えをいただきたいのです。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) まず実効性がないという論議の中に二つございます。一つは、先ほどドイツ法は公開であり、第三者が実施をすれば直ちに補償金請求ができる。ただし裁判所は、その権利が、特許性に対して確信が持てない場合には中止をして、特許庁の処分が終わるまで待つという改正になっております。オランダの場合は、登録された後。日本は出願公告ですから、ちょうどまん中でございます。これが第一点。これにつきましては、衆議院段階でも論議がございました。原案の考え方は、なぜドイツ法をとらなかったか、理由といたしましては二つございます。一つは、大体先ほど言いましたように、出願が特許になりますのは約四割でございます。そうしますと、六割は特許性がないという場合でございますので、それと日本の国情は、これはいろいろ審議会でも論議になった場合に、比校的ドイツと比べて権利乱用、特許性がないのに請求権ということをやると、むしろいわば権利の乱用というものが社会的な特色、と申し上げては恐縮でございますが、そういう実態があるということをまず考えなければいかぬ。それが第一。  第二は、日本の裁判所と特許庁の権限分配は、特許性があるかどうかということは、あげて特許庁の判断をとる。現在でございましても、特許権の侵害訴訟がございまして専決問題としてその特許が無効かどうかということを争った場合には、特許庁の審判、無効審判の請求をして、そうして無効になるかどうかを特許庁できめる、こういう制度をとっております。外国の場合ですと、そういった場合には裁判所が独自で特許性を判断できるという体制がございます。そういった日本の制度的な特色ということを考えまして、やはり一応特許性があるかどうかは、一応のめどがついた出願公告である、それからということにしたわけであります  ただし、その点につきましては、何らかの対策を考えなければいかぬということで、われわれ一応考えておりますのは、そういった模倣の事実があった場合には、出願人または第三者の請求によりまして審査を開始するわけであります。通常の場合より優先して早い時期にイエスかノーかをきめていきたい。いわゆる緊急審査制度というものをまず導入して、その間の不便を解消したいということが第一点。第二は、はたして権利はあっても取るかどうかという問題でございます。この点につきましては、要するに、これは一般の特許訴訟と非常に似てくる面もございますが、やはり出願人のほうで権利を行使するという場合には、それだけいろいろな準備と努力をするということが当然必要になると思います。権利者が自分自身の権利を守るというためにどの程度の措置があるか。一応相手方に金幾らを払へというわけでございますが、もちろん当事者で話がつけばこれはそのままでございますが、いわゆる訴訟をする場合には、やはり相手方の実情というものを絶えず調査をいたしませんと——いわゆる証拠をそろえるということが必要になってくるわけでございます。それは一般の出願公告後とそう大差がない。相手方が訴訟でかりに帳簿がないと言った場合にも、相手方の実績等を想定いたしまして、そうして相手方に帳簿がないといった場合には、裁判所は権利者の主張を正当と認めるという措置はございます。そういった権利行使の法律的な措置といいますのは、これは一応あるわけでございます。したがって、そういう措置を必要により講ずることによりまして権利の実効をあげていくと、ただ、これは衆議院段階で問題になりましたですが、小発明者の場合はなかなか訴訟をやるといいましても非常にむずかしい面もある。これは何も今回の補償金請求権だけではございませんが、そういった点も考慮いたしまして、われわれといたしましては、事実上権利者と第三者が協議いたしまして解決していくことができるよう、いわゆるあっせん機関という、訴訟にかわる一つの制度を考えまして、そういったいわゆる無資力者に対する事実上の救済をはかっていきたい、そういった法律措置と緊急審査並びにあっせん機関ということによりましてこの制度の実効をあげてまいりたい、かように考えておる次第であります。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 速記を起こして。  ここで暫時休憩をし、再開は午後一時半といたします。    午後零時三十三分休憩      —————・—————    午後一時四十八分開会

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 あまり私時間がございませんので簡単にいたしますが、特にさきに各委員から質問されたことで重複するかと思いますが、その点よろしくお願いをしたいと思います。  特に最近出願が非常にふえている、こういう問題で特に政府としては、こういう出願がふえることは望ましいことであるのか、あるいはまた処理上困ることであるのか、どういうことなんでしょうか、まず第一に。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 二つの面があると思います。一つは、やはり技術開発が進んでいけば出願というものは増加いたします。そういった意味では出願の増加ということはある意味において私歓迎すべきことかと思います。と同時に、やはり量的拡大だけではなくって、質的な向上、これをやはり同時にはかっていく必要がある。これは少なくとも企業の側でございますが、そういった意味で、ただ出願さえすればいいという問題ではございません。御承知のように発明といいますのはきわめて早期なもので、これを実際の技術に生かし、それにふさわしい体制をとっていくということになれば、おのずから質的な向上をはかる必要があるし、またはからなければ企業としてはむだでございます。そういった面で、一面歓迎すると同時に、一面やはり質の向上のために企業としては努力していただきたい、こういう二面があるかと私は思います。

向井長年民主社会党

○向井長年君 一面歓迎であって、一面質の向上、こういう二面を持っておる、こういうことなんでありますが、こういう改正案を出さなければならぬという理由は、ここに補足説明の中に書いてありますけれども、やっぱり一つには技術革新に伴っての出願が多くなってきているということであります。あわせて一方においては処理能力が不十分である、こういう点が二点重要な問題になっておるかと思います。これを若干カバーするために、この二つの基本を持ったこの骨子の法案がただいま出てきたと思いますが、この二つの面を是正するために、何らかのもっと違った法はないですか。ということは、処理能力の問題から言うならば、やはりそういう人員の不足であるとか技術の研修の不足であるとか、いろいろこれは要素があるかと思います。しかしながら、処理能力の中で、ほかのもっと違う法が立てられないか、これは一つの問題であると思います。  たとえば大臣、民間会社では、最近みずから学校を持っております。自分たちの事業の技術部面を担当する学校を、文部省に認定してもらって民間では持っておる。そういう形で、自分たちの事業の推進のために技術者の養成をやっておる。たとえばこの特許あるいはこれに対する審査にいたしましても、処理能力がないというらならば、予算の問題が一つありましょう。あるいは一方においては人員が、希望しないという面もある。給与の問題も含むでしょう。そういう中から、みずから特許の審査官養成の学校を持ったらどうでしょう。同時に、それに対する予算化をし、やはり優遇するという、こういう状態の中で、やはり審査官の養成というものに力を入れなければ、これから技術革新に伴うような出願がだんだんふえてくる。これの整理は少々の九十人、百人くらいの増員では、これはなかなかやれない。あるいは来る人も少ない、こういう結果になるのじゃないですか。こういう点について、もっと根本的な、ただ、いまあるところの審査請求の問題とか、あるいは一年半の公開の問題、これを、言うところのただ部分的な緩和だけじゃなくて、やはり根本的な処理能力というものを増す必要があるのじゃないか。この点について何らか研究されたことはあるのかないのか。もちろん研修員の養成ということはありますけれども。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) ただいまおっしゃいましたことは、制度改正いかんにかかわらない実は重大な問題でございます。いわば審査官の質の向上のために実際の技術をできるだけ長期間習得さして、それが審査官の自信にもなりますし、処理も円滑になるという点でございまして、具体的にはやはり従来その面であるいは欠けた面があると思います。今後といたしましては、思い切った長期間技術の習得のための一つのし組みを考えていきたい。具体的に申しますと、大体学校を卒業いたしましてすぐ役に立たない分野がございます。たとえば最近問題の半導体等におきましては、学校ではなかなか教えてくれない。そういう場合には、たとえばでございますが、電気試験所で一年間技術の習得をしてもらい、そういった素養に基づいて審査をやっていく。それから学校の技術知識が、数年間役立つ分野がございます。そういった場合には、数年後には民間の会社その他あるいは国立その他で、適当なものに長期間技術の習得を受ける、そういった技術分野ごとに一つのやり方が変わると思いますが、従来一部やっております、せいぜい一週間か、あるいは長くても二週間程度でございますが、そういったことをさらに百尺竿頭一歩を進めて、ほんとうに審査官が自信が持てるような期間だけ技術の習得をさすという制度を確立して、そういった先生の御期待といいますか、われわれもやらなければいかぬ、そういうふうに邁進いたしたい、かように考えます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 いま私が言っているのはそういう意味じゃなくて、審査官養成専門の学校をつくれ、つくったらどうかということなんですよ。これは大臣、予算が必要ですよ。したがって、高等学校を卒業して、短大になるかあるいは大学になるか知りませんが、技術専門のあらゆる部面の学校をつくる、そういう学校を特許庁——それを習得した場合、卒業した場合においては必ず特許庁へ入る、そういう養成の学校をつくったらどうか、そういう意味なんですよ。これからどんどん技術革新で出願もふえるし重要な段階になってくるから、ただ一般の学校を出たやつを採用していくとか、あるいはまた採用したらそれを研修するとか、そういうものじゃなくて、もう根本的にそれの養成学校をつくったらどうか、そういう組織が必要になってくるのじゃないですか。もうただ一般の大学を出た、専門学校を出たそういう人たちを公務員として採用する、それに研修を行なう。若干の給料の増額を、研修給与ですかを出す、これだけでは事実上十分まかなうところの何があるのですか、人が来ますか、その点どうでしょう。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 現在は大学卒業者が国家公務員試験を受けましてそれから採用いたしますと、本委員会で申し上げましたように、大体一つの限度がございます。具体的に申しますと、過去五年間七十名ないし九十名採用しています。大体それが一つの限度と思います。  それならば全然別途な組織をつくったらどうかということになると思いますが、現在は、先ほど言いましたように卒業して採用後のことでございますが、特許庁独特のいわゆる専門学校でございますが、これは政府で——特許庁が特に必要を感ずるところですが、同時に、これは国家公務員法で上級職を受ける人が逐次減っております、これは卒業者は多うございますが……。そういった意味で政府全体として技術者採用の問題でどうするかということになると思いまして、特許庁だけでそういうことをやること自身がどういう効果があるかという点につきましては、ちょっと私自身何とも申し上げられませんですが、政府全体としてあるいは考慮すべき事項じゃないか、いまのところそういうふうに感じております。

向井長年民主社会党

○向井長年君 長官からは、はいそうしましょうとかそういう答弁はできないかと思うのですが、これは大平通産大臣にお伺いするのですが、結局、これは三十四年に特許法の改正のとき、私はこの問題で若干養ったことを覚えているんですが、とにかく出願はどんどんくる、質的な問題もあり、量的な問題もありますけれども、ますます世界でも優秀というか、とにかく出願が多いんだと。それから処理能力から考えれば、なかなか簡単にできない。こういう状態の中でやはりコンピューター時代というか、技術革新の中でこういうものの発明等を大いに推進することは、これは歓迎すべきことだと思うんですよね。ところがそういうことをやるにしても、その能力が欠けておると。したがってどっちかいらならば、今日出されておる法案というものは、これは現状においての苦肉の策だと思うんですよ、私から言うならば。本来こういうことじゃなくて、本来であれば出願やられたやつを審査をやる。そして直ちにこれは認可する、あるいはこれは却下する、これをきめるのが本来でしょう。それが事実上できないと、この規模ではできないんだということから年々増員の問題も考えられておると思いますけれども、しかし増員も七十名、九十名である、これではとうてい追っつかない。こういう中からこういう形で若干でも緩和しようという、あるいは一部保護しようという法案になってきておると思うんです。これは根本的にやはり検討しなきゃならぬ段階が来ていると思うんですよ。先ほど私はたとえばというかっこうで言ったことは、やはりそういう形で来る人がいないということは、何か欠陥があると思うんですよね、希望しないということは。あまり出世ができないとかあるいは給与が低いとか、あるいはあまりおもしろくない仕事であるとか地味な仕事であるとか、こういういろんな要素があるかもしらぬけれども、やはり国として必要である以上は、たとえばそういう技術学校というふうなものを、科学学校というか、そういうものを設置して今後養成する必要があると、これは国自体が考えなければならぬことですが、それが一つ。あるいは一つには委託といいますか、審査委託、こういうものは公的機関の中に託するという方法もあると思うんですよ。これは現在もやられているかと思いますけれども、電気試験所とか研究所、こういうところに委託をして推進をはかるということもあると思うんですよ。そういう点について現在それがどう考えておられるか。特に大臣として先ほど言ったような構想をどう今後見ていくか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) 昔は向井委員も御承知のように、陸海軍にそういう経理学校、機関学校あるいは海兵学校、士官学校、そういう独特の養成機関がありました。現在防衛関係ではそういうものが残っておりますけれども、当時ありました逓信官吏練習所であるとか鉄道講習所であるとか、それから教員の養成所、そういったものが戦後の学制改革によりまして一掃されまして、非常に教員制度がデモクラティックになりまして、職業選択の自由をできるだけ広げるということであったと思いますが、御指摘のように現在では給源を各大学に求めて、一定の試験を受けて合格した人をお願いするという手はずをとっております。ところが、そういう状況ではたくさん内定いたしましても、実際はおいていただく方はその半数程度しか来てくれないということで、本来非常に好ましいことではございませんけれども、あなたが言われるような専門の養成機関を設置しなければならない職域が、これは特許庁ばかりではなく、あるいは税務の関係、その他いろいろ話を聞いてみますと切実な状況にあるようでございます。で、いま長官がお答えになりましたように、現在のような仕組みで限界が来た場合にどうするかというようなことにつきましては、重大なことでございますので、そういう制度の問題として十分検討してみたいと思いましたが、にわかにこうするという結論もいま申し上げるだけの用意がございませんけれども、御指摘の問題につきましては引き続き検討をさしていただきたいと思います。  委託の問題につきましては長官から説明します。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) まず、現在審査の委託と申しましても、最終的には審査官が判断するわけでございますが、外部を使っております。各試験所——電気試験所等の試験所あるいは電電公社等を使っております。まあその実績を見ますと、大体三十五年からそういう制度にいたしまして、現在まで件数でいいますと三百七十六件ございます。非常に効果をあげておるとは言えません。いろいろ理由はございますが、御承知のように現在までは、出願公告までは秘密でございますので委託その他を選択する場合に非常に困難でございます。あるいは向こうの受け入れ態勢その他の不備もあるでしょうし、そういった点で現在までそういい成績とは思っておりません。ただ、今後の問題といたしまして、改正法の百九十四条の二項に、「特許庁長官又は審査官は、関係行政機関又は学校その他の団体に対して審査に必要な調査を依頼することができる。」と、新しい制度でございますと一年半たちますと公開されます、公開されますと秘密性がなくなりますので、従来と違った角度の利用というものを当然はかっていかなければならないし、はかるための制度措置ができつつあるわけでございます。いろいろこの使い方といいますのは業種、内容によって違います。受け入れ態勢その他によって違うと思いますが、いろいろくふうをこらしましてやはりその新しい条文が実際の審査の役に立つような運用のしかたを少し思い切ってやっていきたい、こう考えております。

向井長年民主社会党

○向井長年君 まあ大臣検討されているようですが、検討していただきたいと思いますが、その中で職業の自由とか憲法上のそういうことを言われますけれども、いまの情勢ながめましたときに、いろいろな大学はたくさんございますが、事実上まあ大学を出ても就職難というか、こういう事態がいま到来しておる、特に学校卒業後技術者として審査官として、公務員としてこれを採用するというそういう形の認定された学校になりますならば、これは相当やはり志願者が来ますよ、優秀な諸君が私は来ると思います。同時に、税務関係とかいろいろな政府全般としてそういうことがあるのだという話ですけれども、そういうものじゃなくて、やはりいま防衛庁には防衛大学がありますね、それとは、一緒とは言えませんけれども、やはり専門的にこれは技術革新に伴っての専門のあらゆる技術審査というものをやはり養成していかなければならぬと思います。その中で、ただ大学の中から志願者だけ集めるのだということになりますと、先ほど言うようになかなか来にくい。そこで、優遇して、そういう形でその学校を新設し、そしてそれを採用していく、こういうことになりますと、これは相当応募者も多いし、優秀な質のいい人たちが集まってくる、こういう根本的の解決をやらなければ、ただ一年に七十人なり百人程度採用していても追っつかぬで、こういう結果になるのじゃないかと思いますので、ひとつまず十分御検討をいただきたいと思います。  そこで、この法案の要点は二点ですね、大きく分ければ二点あると思います。この一点の、出願公開の問題ですが、これは一年六カ月経過すれば公開する、こういうことで重複を避けようと、こういう一つの精神があらわれておるのですが、私は、ここで疑問になるのは、場合によれば公開したためにかえってこの中でトラブルを起こす結果になるのじゃないか、こういう感じが一つするわけです。なぜならば、一つの発明なりあるいは実用新案をやると、これを改良をして改良開発をやるということが過去にもあったと思うのですがね。だから、よく似たようなやつで違うやつをやるというふうに、そういう一つの弊害ですね、こういう問題は起きないかどうかということ。そういう点、確かに公開して重複を避ける、むだをなくしていくと、これは方針としては、一つはわかるわけです。いいことです。しかし一方においては、そういう弊害も出てくるのじゃなかろうか。若干の改良をして、それじゃないぞという形で自分たちがそれを実用化していこうという、こういう動きはないのかどうか、その心配はありませんか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 公開いたしますと、積極的には、その公開されたものを基礎にいたしまして新しい技術開発が出てくるという積極面と、いま先生の御心配のように、ほんとうは技術的には大差はないかもしれませんが、目先を変えてくると、それは私は絶無じゃないと思います。ただそういった、それは明らかに同一発明の場合と、改良した——改良といっても実は同一発明と差はないということは、これは起こり得ると思います。そういう場合に、かりに出願すれば、それは特許性がないということになる場合、それを第三者が実施いたしますと、新しい補償金制度というものに応じましてそれはカバ一していきたいというのがこの制度のねらいでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 その補償金というのはだれが出すんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 補償金の場合は、具体的には、第三者が実施いたしますと、出願人がそれに対して補償金の請求ができると、こういう仕組みでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 請求しても出さぬということになれば、これはやはり訴訟をやらなければいかぬのでしょう。法廷へ持ち出さなきゃいかぬのでしょう。じゃ法廷で、言ってみれば特許庁のほうでこれはいわゆる特許権侵害だという結論を出す。これは効力を持ちますか、これで法的な効力を持ちますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 侵害かどうかは、これは特許庁で判断するということでございますが、これは公開並びに一般の特許権の侵害訴訟とその点は同じでございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 それだから、やはり最終的には争い、訴訟になって、法廷へ持ち出してやらねばならぬと、こういう結果になるわけですよね。そういう実例が過去においてあるでしょう。私が知っている範囲でもだいぶありますよ。それがなかなか弁護士が立ってやっておりますから解決がつかないと、こういうことで、示談でやった場合もあると思いますが、そういうかっこうを可能にするのじゃないですか、これで。いままでやっぱりそういう問題は表にあらわれなかったけれども、場合によれば改良開発という状態がこの中から出てくるおそれが非常に強くなるのじゃないか、こういう弊害を一つ頭に置かなければいかぬと思いますが、その点どうでしょう。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) あるいは程度の差かと思いますが、現在出願公告いたしますと同じ状態が予想されます。そうして今度公開いたしますと、もちろんそういったことは予想されるわけです。そういった意味で保護措置というものが公開の場合も講じられています。ただ問題は、おそらく出願公告の場合のほうの措置とは差があります。出願公告の場合ですと、これは大体特許権が発生したと似た効果が、損害賠償並びに差しとめ請求、もちろんそういった権利はありますけれども、あとは特許にならない場合には無過失損害賠償責任をかぶりますけれども、大体出願公告の場合には一応審査をしておりますので、ほぼ特許権と同じ効力を持つ。公開の場合にはこれは審査しないので、その意味の差はございますが、そういう意味の似た現象というものはもちろん起こり得ると思います。ただ、そういったことに対して衆議院段階でも申し上げましたのですが、最後的にはもちろん訴訟にいかざるを得ませんが、その前段階で、できるだけ当事者の話し合いを進めるような形で、いわゆるあっせん機関というものをつくりまして、そういった保護に側面から役立っていきたいということで考えておる次第でございます。

向井長年民主社会党

○向井長年君 この法案の内容、いろいろございますが、科学振興ですね、出願公開ということは役立つかと思うんですよ。しかし最近この法案に対して中小企業関係が相当これに疑義を持っておるわけですね。中小企業関係が疑義を持つということは、不利になるという立場をこれは持っておるのですが、不利にならないという、ひとつ長官としてはっきりしたことは言えますか。こういう理由で不利がないという理由がありますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 有利、不利といいますのは、制度自身がそれぞれ持っておる特性かと思います。先ほど中小企業と申し上げましたけれども、これもたびたび申し上げたわけですが、あまり中小企業、大企業というものを特許の面で対立的に考えるという点、いささか事情を異にしておると思います。といいますのは、中小企業といいましても、これは独特の技術分野を開発しておるという中小企業がもちろんございます。そうして国際的にももちろん出願しておる、そういった中小企業の方々も相当ある。その場合には、やはり早く技術内容を知って、そうして自分で他がやらない開発をやっていくという意味では私は中小企業者にもメリットがある。したがって、もちろんその反面には、先ほど言いましたように、公開されると第三者の目にさらすわけですから、したがって同じ中小企業といいましてもメリットもあり得る、また現にそういう主張をされる方もあるわけでございます。そういった意味ではやはりメリットがある。それからもう一つは、これはこの前の衆議院の公述にもございましたのですが、現在ですと出願公告しないと何らの保護がないわけです。現在は大体三年平均でございますが、三年以上かかっておるわけです、出願公告の間。特にその間は何にもできない。ところがいまのように技術革新の激しい時代でございますと、それまで待って商品をつくるということにはならない。そうすると、実際に開発をしていく、商品ができる、試作品ができる、それの販売の準備体制に入る、こういうことになると公知、公知になれば現在は何の保護もないという面もございます。それと同時に、これは公開制度と請求制度というものはからみ合った問題でございまして、現在より審査が早くなるということは、これは中小企業といいますか、発明者全体の利益になるわけでございます。そういった利益の反面に、先ほど先生御指摘のいわば問題も私自身承知しております。全部を含めて、やはりいまの状況では、何が収支計算合わして得かという面から見れば、私は総合的にプラスになる、そういうふうに考えます。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。   午後二時二十二分休憩      —————・—————   午後二時五十三分開会

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 この法案が提出されましたとき、私もこの法案をずっと拝見したわけですが、拝見していると、いろいろな面でいろいろな問題を含んでいる法案だということに気づいたわけなんですが、衆議院審議の過程におきましても、いろんな問題が出され、私はおそらくこれは衆議院で大きな修正を受けるか、それとも衆議院段階でもう特許庁あきらめて法案を引っ込めてしまうんだろうと、実は期待をしとったわけなんですが、えらい急に参議院のほうへ回ってきて、私は実は意外に思っているわけなんです。そこで、やはりこの審議は、私は参議院においては慎重に審議をして、こういういろんな問題のある法案でありますから、十分に審議をするということを前提としてやっていただきたい。まあ委員長にもお願いしますし、理事の先生たちにもその点をよくお願いをしておきたいと思うわけです。  そこで、まず一つ質問いたしますが、私はもののできてくるのには、それぞれある過程を経てできてくると思うんです。発明というものも、やはりばかっとあらわれたものではなく、やはり一つの発明ができ上がるまでは、いろいろな過程を経てそれがくるものだと思うんですが、その一つのものを発明するその過程を、どういう過程を経て一つの発明というものが実現するのかという点を、まず最初伺っておきたいと思います。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 須藤先生の御質問に正確に答えられるかどうかわかりませんが、確かにおっしゃいますように、発明は飛躍の面はございますが、過去の技術を土台にしてその上に開花するものでございます。で、もちろん、発明者といいますか、は、絶えず先人の努力のあとを調査いたします。そうして先人が失敗し、成功したあとを振り返って、そして新たなる発明活動をやっていく。で、そういう場合に、やはり過去のいろんな経験というものが非常に大きな影響を与える、個人的な経験もそうでございます。だから、昔から発明は天才のひらめきということばで言っていますが、それはあくまで本人の努力の集積、先人の努力の集積を踏まえて、そうしてひらめきとは言いますけれども、そういった努力のあとを踏み台にしてやっていくのだと、そういうふうに考えております。どらも御質問に対して正確な答えかどうか知りませんが、一応そういうように考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そういう経過を経て、前あったものをよく検討し、研究して、それの足らざるところを補う。また、それから新しいものを生み出すと、まあ私は発明にも幾つかの過程があると思うんですよ。しかし、発明で最も重要な点といえば、それは何でしょうか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 発明といいますのは、御承知のようにこれはクリエーション——創造でございます。人間が他の動物と異なるのは、その創造能力、これが他のものと異なる、そういう創造できるそういう能力、そういうことから発明が由来する。それはほかの創造物とその点は私は大差ないと考えます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私はこう考えるのですが、発明で最も重要な点は何かと言えば、発明は、従来なかった新しいアイデア、模倣ではない、独創的なもの、これが私は発明の最も重要な点だと思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 創造と申し上げましたのはそういう意味を言っておるつもりでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 非常に抽象的なことを申し上げるようですが、その最も重要な創造的なアイデア、これは何によって生まれるのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 人間の脳の中における創造的な機能から生まれるものと考えます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私は、それは一つのインスピレーションと申しますか、頭の中に一つのひらめきがくる。そこから私は生まれるんだと、こういうふうに思うのですよ。一つの例をとりますならば、私のくにの先輩御木本幸吉さんが養殖真珠というものをつくった。それは御木本さんに一つのインスピレーションがあったのだと思うのです。それは真珠のできるのが、真珠貝の中に石ころが入ると真珠はその痛さをなくすために粘液を出して石ころの周辺をつつむ。そういう活動を真珠はすると、これで真珠貝が生まれる。要するに、真珠のできるのは真珠の中に石ころが入るから、だからこれができるんだと、そういうことが御木本幸吉さんに浮かんだわけですね。それではこれを人工的に真珠の中にこちらからその貝でつくったまるい玉を入れて、そしてそれをまかしたら真珠ができるんじゃないかと、こういうふうに考えられたと、そういうふうに私は思うのですが、これが私は発明家の最も重要な点であり、そして発明の経過のまずもとをなすところのものだと、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) おっしゃるとおりだと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうすると、特許を受けるために出願する権利は、発明のどの段階において生ずるのかということを私伺いたい。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) これは、私いろいろな段階があると思います。あるいは発明の中では、御承知のように基本的な発明もございます。あるいは技術が非常に成熟して、そうしていわば技術的な実施化が容易であると、私は出願の内容によっていろいろあると思いますが、一般的に申せば発明というものはかなり早い段階で出てくるわけでございます。それで、けさほども申し上げたかと思いますが、たとえば化学の製造方法等いわば実験室の段階、ビーカーの段階で一応の発明は完成するわけでございます。そういった意味では出願される発明といいますのは、技術的には一般的には早期の段階で出願されるのが普通でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 ここに法制局の方が見えているから、私は参考までに伺っておきたいのですが、著作権というものとそれから特許権というものですね、これはどう違うのか。どこが同じなのか。これを参考までに伺っておきます。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) 非常に広い意味では、ただいま言われた人間の創造的活動というものの所産という点においては同じだろうと思います。それは実態が同じであるという意味であります。ただ、法律、制度の上では結局著作権の対象というのは、文書であるとかあるいは演述であるとかあるいは図画とかというような一定の著作物である、そういう頭脳的な所産の表現形式、そういうものを著作権の対象としているのだろうと思います。で、これに対して特許権の対象は発明という観念そのものである、表現形式自体は実は問題になっていない、そういう意味において両者の違いがあり得るのじゃないかと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 非常に抽象的な議論を最初はするようになりますが、私はまあ専門が音楽家なので音楽に例をとって申しますならば、われわれの大先輩のベートーベンの話を引用するならば、ベートーベンが一つのシンフォニーをつくろうと思ったときには、彼は森や川のほとりを散歩をするのですね。それは一つのインスピレーションを得るために散歩をしたわけです。散歩をしている間に一つのインスピレーションが頭にぱっと輝く、それをうちへ帰って五線譜にして書きとどめる、それを集約してそうして一つの曲が生まれるわけなんですが、先ほど特許権の特許を受ける権利を、発明のどの段階でと私はお尋ねしたのは、そうすると音楽でやるならば、このベートーベンならベートーベンが森を歩いておって頭にひらめきがきてそれを書きとどめた、その段階で、最も初期に、やはりそのときから、特許のアイデアが頭に浮かんだときから特許権の出願の権利が生ずるとおっしゃったわけなんですが、そうすると、音樂にたとえるならば、べートーベンが森を歩いておって自分の頭に一つの音楽的なひらめきが生じたと、その段階から特許権の出願の権利というものは生ずるのか、そういうふうに理解してよいのか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 著作権——いま音楽の場合で、それはやはり著作物としては私は完成していないと思います。おおむねそれはいわばアイデアでございまして、やはりこれはちょっと私著作権の専門家でございませんが特許と引き直しで考えますと、やはり一つの音楽としてはまだ未完成である。先ほど例で申し上げましたように、早期といいましても発明は構成しておるわけでございます。たとえば実験室の段階でA物質とB物質とを化合して温度はどのくらいで触媒を使えばものができる、そういう意味ではやはりアイデアしいいましても発明自身の構成要素というものは出立しておる、したがって、おそらく著作権と比べれば、やはりいまのベートーベンが森の中のアイデアというよりは、もっと発明自身は完成しておる。ただ、あとの開発といいますのは、御承知のように、たとえばマスプロするためにはどうしたらいいか、あるいはその場合の温度条件というのは実験室の段階では広うございまして、実際の生産段階になれば一番いいベストポイントというのは一つでございます。その場合にはどういう純度の触媒を使ったらいいかどうかという、そういうマスプロに至る段階で、いわゆる開発のために時間と金がかかるという意味でございまして、やはり単なるアイデアじゃなく、やはり技術的な構成要素というものはすべて完備してなければ発明としてまだ未完成だということだと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうすると、あなたがさっきおっしゃったのは訂正をなすったわけでしょうか。——私がまず尋ねたのは、特許を出願する権利の発生というものはどこから、と言ったら、もうそのアイデアの初期からある、とおっしゃったから、私は音楽に例をとって言ったんですが、べートーベンの第五シンフォニー、「運命」というあのシンフォニーで最も重要なテーマというものは、これはわずか数小節なんですね。それがアイデアです。それが特許のぼくはひらめきのアイデアと同じものだと理解するんですよ。そうすると、そのひらめきのときに特許出願の権利が生じたとおっしゃるならば、やはり私が申しましたような、音楽に例をとればベートーベンのそれと同じことだと。この数小節の音楽がベートーベンの頭にひらめいた、それがずうっと発展していって一つのシンフォニーが成り立つわけですが、いま言った発明に対する一つのひらめきが、それがだんだんと完成して広がっていって一つのものができ上がると。それをひらめきのときに特許出願の権利が生じてるとおっしゃるから私は申し上げた、そういうことなんです。それで私は、特許権と著作権とはどう違うんですかという質問をしたわけなんですよ。  どうですか、局長ね、ベートーベンのあの第五シンフォニーのテーマ音楽——ここで音楽言うとどうかと思うけど、あの「タタタターン」というやつですね、あれがベートーベンの第五シンフォニーの中心的なものなんですね。あれができなければ音楽というものはできない。あれができたから、あれがずうっとふえんされていって、大きく拡大されていってりっぱな名曲ができるというものですね。特許でも、御木本さんが、真珠の中に石ころが入ったと、これを真珠が痛いから、だからそれを一生懸命で粘液を出してこれを巻くんだと、そこに御木本さんのひらめきがあったわけです。だから、おそらくその瞬間に特許権が私は生じたと——あなたはそう言ったんでしょう、さっき。それは間違いないですね。——そうすると、これはベートーベンの場合もやはり著作権というものは、音楽に対する著作権はそこから生ずるんじゃないかと。これは特許権とちょっと話が違うんですから、正確に言っているからね。私はちょっとその点を聞きたい。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) むずかしい御質問なんですが、私いま特許庁長官の御説明を聞いており、また、かねて私の考えておりましたことを申し上げますが、いま長官が申し上げたのは、いわゆるひらめきという段階からもう少し先に進んでいないとどうも発明と言えない、したがって、特許権なり特許を受ける権利が出てきているというそこまでいくには、もう少し進んだ段階であるというようなことを言ったのだろうと思うのです。それはなぜかと申し上げますと、単なるひらめきだけでは、やはり現在の特許制度の上では、具体的にいいますと、そういうひらめきを願書に書いて出願してもおそらく相手にされない。もう少し、まあこのほうは特許庁長官が専門ですが、必要な明細書なり図面というものを添付して、それによってもう少し具体化された形でなければ、おそらく特許法としては相手にしない。そういうような意味で、単なるひらめきというのは、一つのクリエーションではあっても、特許法でいう発明にはまだ成熟していない、そういう意味のことを申し上げたのだと思います。私もそういうふうに理解をしております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 ところが、著作権で人のを盗用するとか模倣するというのは、音楽で言ったら四小節ですよ。四小節が同じだったらそれは盗用になるのですよ。そうすると四小節というのはひらめきなんです。このひらめきからすでに著作権というものは生ずるのが当然だと、私はそういうふうに思うのですよ。だから特許の最初のひらめきと音楽のひらめきとは同じものであって、そして特許権がそのひらめきによって生ずるごとく、音楽も最初のテーマですね、主題、このテーマによって私は著作権が生ずるべきだと、こういうふうに私は理解しておるのですよね。それでないとおかしいことになる。音楽のほうじゃ四小節模倣したらそれは著作権侵害になるのですから、だからそれは同じものだと私は理解するのですね。それでこれはほかの人の意見ですけれど、光石士郎さんが「特許法詳説」という本を書いていらっしゃいますが、そこに、特許権と著作権とはどう違うかという点でこういうふうに述べていらっしゃいますね、特許権も無体財産権の範疇に属する、著作権が無体財産権であり、かつ支配権である点については特許権と同一であるというふうに光石さんは書いているのですね。私もそのとおりだと思うのですね。  そこで、次の質問にまいりますが、この出願から公開まで一年六カ月となっておりますね。この間、発明の秘密が漏れるという心配はないのかということですね、どうですか。その発明にとって最も重要なひらめきですね、アイデアというものは、この間に、もしも一年六カ月で発表されてしまうなら、それがすっかり外に出ちまうわけですね。私たち作曲する場合には、自分たちがつくったこの四小節の音楽の主題というものは、実に大切にするわけですよ。これが外にぱっと何でも披露されてしまったら、その音楽、それを土台にしてほかの人が一つの音楽をつくってしまうわけですよ。だから私たちは音楽をつくる場合、その主題というものを最も重大視するわけですね。主題ができたら大体音楽の半分はできたと言っていい。あとは時間をかけて音楽的な技術を加えればそれが一つのものになっていくのです。だから私たちも作曲する場合には、この主題をつくるためにずいぶん苦労するのですよ、短い主題をつくるためにね。だからおそらく特許者といえども、発明者も、私たちと同じようにその点大いに苦労してこの発明のそのぴ一んとくるところ、アイデア、それを最も大切になさるのだろうと思うのですが、そのアイデアのときに出願の権利が生ずる。そうしたらそれが一年六ヵ月でそれが外にばっと発表されてしまったら、音楽家がせっかくつくったその音楽のテーマですね、主題、それを一曲として完成しない前にばっと発表されてしまうと同じ状態になりゃしないか。そうしたらこれはもう全然何もなくなってしまう、私たち音楽家としては。発明家といえどもそういうことが起こるのじゃないか、こういうふうに私は公表の問題について懸念を持つのです。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 出願から一年六カ月、公開いたしますと、先生のおっしゃる点はございます。ただし、やはり著作権制度と特許制度の非常に異なる点は、著作権の場合は無方式で成立いたします。そして客観的にそれが例証できればいいわけでございまして、強制的公開それ自身というものは著作権の本質から出てまいりません。ところが特許制度といいますのは、発明者を保護すると同時に、それを一定の手続によって公表するというのが全体の体系でございます。なぜなら、著作権の場合は、極端に言いますと一回限り——一回限りといいますと、まあそれだけではございませんが、そういった特色があると思います。発明、技術の場合ですと、先ほどから言いましたように、技術というのは積み上げでございます。もちろん著作権でも積み上げでないとは言いませが、先人の積み上げというものがベースになる。したがって、対象期間は特許権の場合は出願後十五年、著作権の場合は本人の生存期間はもちろん、死後三十七年、今度改正案は長うございます。なぜかと申しますと、それは長期に保護いたしましてもむしろ弊害は少ない。特許の場合ですと、やはり積み上げでございますので、長期にそれを保護するということは、逆に技術の積み上げを阻害するという意味では、非常に大きな私は差があると思います。したがって、もちろん特許の場合ですと、やはりできるだけ早く現在の出願公告でも、一応審査して出願公告するわけです。公開するわけです。そういう、特許法においてはあくまである時期においてやっぱり公開して、そして第三者の技術振興に役立つという面はあります。やはり質的に私は著作権の対象と特許法の発明の対象の差からきておるのじゃないか、そういう意味に考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 少し勘違いしてますがね。もう少し著作権をよく勉強してきてくれたらそんなこと言うまいと思うんですがね。私の言うのは、発明の特許権が生ずる前に一年半で公表してしまうということが、その人の財産権を侵害することとなり、その人の、いわゆる音楽家としては最も大切なテーマにも当たる発明のヒントですね、それを公表するということは、これはおかしいと。私たちが何で音楽を大切にしているかといえば、そのヒントが人に盗まれることをおそれるわけですよね。だから、それをちゃんとしたときに私たちはそれを公表して、それで著作権という権利を私たちは獲得するんですよ。獲得してから発表するわけですよ。発表すると同時に著作権という権利が私たちにできる。人格権も財産権もできるわけですよ。だから、この特許法において発明の公告が、特許権がその人にはっきりしてから、それから公表するなら私は差しつかえないと思うんですよ。それでも何年間か特許権というものはあるでしょう。人が模倣できない。あるでしょう。だから、それはいいんですよ。私たちのほうも死後五十年あります。しかし、発表してからはその音楽にヒントを得て、またほかの作曲家が新しいものをつくっていく。それはもう大昔から、ベートーベンのシンフォニーに刺激された人が、そうしてまた別のシンフォニーを書く。そういうことはこれまでもずっと繰り返されてきた、だから一つの特許が成立して、そしてそれが財産権として何年間か保障されている。その間にいろいろな人がそれを研究して、もう一つそれを発展さしていくという形でいくならばいいけれども、特許権も何もできない前に、著作権も何もできない前に、ものをぱっと——発表してしまうのと公表するというのは私は同じだと言いたいのです。それは財産権の侵害ではないか、どうですか、法制局のほう。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) 御指摘の点は、著作権についてはまさにそのとおりだろうと思います。確かに公表権と申しますかそういうものは著作者にあり、同時にそれを他人がかってに複製したり上演したりすることは禁止されるのです。現在の特許法では、いつも申し上げておるところでございますが、要するに技術の公開とそれから発明者に対する保護ということの二つの面をそれぞれどこでつり合いをとっていくかということを絶えず考えておるわけです。現行の特許法でも出願公告の段階では特許権はないわけでございます。公告がされて公表がされるわけですけれども、まだ特許権としては認めてもらえない。そして一定の手続を経た後初めて特許権として認められるわけです。今度の早期公開制度というのは、出願公告よりももっと早く出願後一年半で公開をするわけでございますから、公開の時期が確かに早まったという意味においては、従来先生の言われる発明者の持っておる自分の発明に対する支配権というものが、早く、何といいますか、違った状態に置かれるわけです。しかし、特許法自体の中には、すでに公開というのと特許権というものは必ずしも時期的に結びついていないということ、その点は著作権とはそもそも制度の立て方が初めから違っているというふうに私どもは理解いたしております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 衆議院段階で、私衆議院の会議録をつぶさには読んでないのですが、この憲法二十九条の財産権の保障に関しては、法制局としてはこれは確かに問題があると、二十九条の二項に関しては出願人の財産権、特許を受ける権利が公共の福祉に適合するかどうかは検討する必要はあるけれども、確かに問題があるというふうに法制局のほうでおっしゃったように私は伺っているわけです。会議録私は読んでないのでそこを確認はできませんけれども、そういうふうに私は聞いておるのです。そうすると、いまあなたのおっしゃった意見と、この衆議院で言った法制局の意見とは多少違うのですか。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) 衆議院の委員会で御答弁したのは私でございますから、まさにその間の事情を承知しておりますけれども、私が申し上げましたのは、憲法の二十九条二項で「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と書いてある。早期公開制度というものは、特許を受ける権利の内容自体について変更を加えたものにほかならない。しかしながら、その内容の定め方自体が公共の福祉に適合するものであれば憲法違反にはならない、しかしながら、公共の福祉に適合するかどうかというのは、ただ口で適合すると言うだけではいけないのであって、それを実証しなければいけない、たしかそういうふうに言ったと思います。その実証といいますか、それを具体的に説明することは、行政当局でない私が申し上げることはちょっとできませんと、それは特許庁のほうで繰り返していろいろ御説明申し上げていることに譲ると、そういう意味のことを申し上げました。公共の福祉ということを、ただ口で公共の福祉に適合すると言うだけではいけませんという意味のことを申し上げたと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 憲法二十九条の二項の財産権の保障に対しては確かに問題があるということをおっしゃらなかったですか。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) 問題があるということを申し上げたのではなくて、二十九条二項の問題として考える必要があるということは確かに申し上げました。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 これは私議事録を調べてからまたあらためてお尋ねすることにしましょう。  そこで、特許庁は衆議院段階で模倣、盗用は違法でないというふうな御答弁をしていらっしゃるのですが、そういうふうにあなたはお考えになっているのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 特許法全体を通じまして、発明を保護することに変わりはございません。ただ、どの程度発明を保護するかということは、それぞれの段階で異なる。たとえば、それぞれといいますのは、審査主議をとっておる場合には、どういう審査の段階でどの程度保護するかという差はございます。で、極端に言いますと、無審査主義でございますと、無審査のままで特許権を発生させてもよろしゅうございます。ただし、その特許が侵害訴訟になった場合には、裁判所下むしろ権利者が逆に特許性を証明しなければいかぬという制度もとり得るわけでございます。ただ、われわれはいわゆる審査主義をとっているわけでございます。審査の過程において、これは発明者を保護すると同時に、第三者の利益調整をどこで考えていくか、したがって今度の公開制度をとりましても、その段階では審査をしていないわけであります。特許でいえば、六割近くは特許性のないものが存在するわけであります。そういった場合に、全く審査をしたあとの特許権と同じような保護をとることが妥当かどうか、こういう判断をするわけであります。そして違法行為か適法行為かということは、これはむしろ法制局の御専門でございますが、要するに絶対支配権というような構成をとれば、それを第三者が侵害すれば違法性が出てくる、それはやはり一応審査をしたあとでないとそういった排他権というものは適当じゃなのじゃないか、むしろ公開時期にはそういったところまで行っていない段階だから、一応損害賠償はとれない。そういう意味で違法という構成はしていない。で、その段階では、むしろ違法というものに対する適法行為という構成をとると、それは適当な対価を支払えば使えるという意味の適法ということで、それがいいとか悪いとかということではございませんので、審査の段階それぞれに応じてそれが必要であり、かつ第三者との関係で適正な保護という意味で申し上げたつもりでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 著作権も特許権も、同じように、その発明者、創作者あるいはそれの生活を守るためにあるのですよ。しかし、特許権も音楽の創作も、やはり特許権から受ける経済的な利益ですね、財産権、それはその発明者にあるけれども、その発明したものはいわゆる公衆の利益になるものなんです。公衆の利益にならぬ、人間の社会の利益にならぬ発明なんというのは、これはおよそぼくはナンセンスだと思いますね。やっぱり発明者は、そういうものをつくりたい、人類の利益になるものをつくりたいというのが、これが発明者の念願なんです。音楽家もそうなんです。芸術家も、自分のつくったものが人類の利益に何にもならぬと、プラスに何にもならぬ、マイナスになるものだったら、こんな芸術家は下の下で、こんなものは話にならぬ。やはりそれだけの愛情をもって私たちはものをつくっているわけなんです。それは発明家も一緒だ。だから、つくったものによって社会が利益され、それで国民がみな喜ぶ、人類が喜ぶということならば、それはけっこうな話です。ところが、それではその発明家の利益、生活、財産権、それから著作権者の財産権が、あんたの言うように模倣されたり盗用されても問題ではないというふうに片づけられていいかどうかですよ。そこは違いますよ。法制局ね、われわれの作曲が模倣されたり何かしても問題でないようなことばでね、違法でないようなことばで片づけていいのですか。そうでないでしょう。現にこの間フランス文学の盗用をした、何とか豊子という女流作家、あれでもう葬られてしまったじゃないですか。そうでしょう。われわれの、文芸界ではね、音楽界でも何でも、きびしいのですよ。盗用とか模倣するとかいうことはきびしい。それはその人の財産権を守るためですよ。人格権を守るためです。そうしたら同じことが言えるのじゃないのですか。特許権、模倣や盗用は問題ではない、違法ではないというような、それは言い過ぎじゃないですか。長官どう思いますか。こっちの法制局にまず聞きましょう。私は、だから著作権というものと特許権というものを並べて議論しているのです。大臣にも聞きたい、これは。大臣、そういうことはいいのですか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(大平正芳君) きわめて常識的に、私は須藤さんの言われる意とするところはわかるのです。つまり、原権を持った、発明をした人を保護する、著作権者を保護するということに撤すべきではないか。そのとおりだと思うのですが、現に特許の場合におきまして、この間の長官の補足説明でも触れておりますけれども、最近のように非常に技術のライフサイクルとでも申しますか、非常に寿命が短くなってきたと、それから、いろいろ、技術時代がまいりまして、たくさんの人の同時にたくさんいろいろな重複した研究、投資が行なわれておるというような事態を考えてみますと、今日のようにそれが四年も五年も眠ったままの姿でおることは、公益的な見地から困るじゃないかという問題をわれわれはかかえておるわけでございます。で、非常に電子計算機でもかりに発達いたしまして、出願をされたもの、いままでの技術を全部計算機に覚え込ましておきまして、新しい出願が出たら瞬間的にすぐ新規性が発見されるような仕組みで、そこで権利を、権利者を保護する道が講じられたら格別でございますけれども、このように四年も五年もせっかくの技術が寝てしまっておるという状態は黙過できないというなことから、われわれは憲法の二十九条の二項、つまり公益的な見地から特許権の内容というものはこういうものだというようにきめさしていただいていいのじゃないかというような考え方で、いま長官が申しましたのは、段階に応じまして法律的な保護をどの程度どういうやり方で保護していくかということをきめてあるわけでございます。あなたの言われる場合、あなたの考え方を完全に生かそうと思えば、いろいろな条件が要るわけでございますけれども、そういう条件がいま満たされていない、客観状況でございますから、その間にあって、公益的な見地から特許法、特許権というものにこういうプロセスに応じてどういう保護を与えるかということをきめておるのがわれわれの法律だと思うのでございます。したがって、公開して、公告までの間、盗用、模倣があるじゃないかというそういう場合も想定いたしまして、その間にまだ完全に権利化されていない状態でそれを模倣、盗用いたしましても、それは違法とはきめ切れないと、しかし発明者に対してある種の財産的な利益状況をそこなうことになるから、それに対して補償金請求権という制度を設けましてそれを救済していこうという仕組みをとっておるわけでございまして、発明者の権利をないがしろにしておるわけでは決してないのでございまして、最小限度公益的な見地から権利の内容並びにその保護の程度というものを法律で定義にきめておこうと、そしていまの時代の要請に合ったようにしようということでございまして、ほかに他意はないのであります。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 法制局長、盗用、模倣が違法でないということが、これは法律家の立場で、法制局の立場でこれは是認できるのですか、どうなんですか。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) その前提で先ほどお尋ねになった著作権の問題でございますが、これは著作権については御指摘のとおりだろうと思います。私も著作権の専門家でございませんけれども、著作者というものは、自分の著作物を公表するかどうかの完全な自由を持っているのだと思います。その意に反して、もし公表される——先生の言われる盗用、模倣されるということがあれば、それを法律的に保護しようということが当然出てくる。ところが、著作権についてはそのとおりでございますけれども、特許権の場合には、初めから特許出願をした以上は、その発明が公開され、ある法律的な手続を経れば、他人がそれを使うといいますか、そういうことは特許制度の基礎といいますか、本質にそもそもあるわけでございます。ですから、私は、特許の出願をしない限りはあるいは著作権の場合と論理が非常に似ていると思いますけれども、いやしくも特許法の上に乗っかって出願をしてくれば、将来それは公開されて他人がそれを利用するということは、むしろ制度の上に含まれているということを実は申し上げたわけでございます。ただし、先ほど来申上げているように、出願をしてからずっと最後の段階に至るまでのいろいろな権利の成熟の度合いがあるわけでございますね。ですから、完全にりっぱな特許権になってから他人が模倣したら、それは人格権の問題になると思います。出願公告の問題でも、いまの特許法の問題では損害賠償請求という形で認めております。ところが今度の法律改正は、早期公開の段階では、これはいま長官が申し上げましたけれども、審査の進め方ともにらみ合わせて、公開はするけれども、違法行為だという法律的な構成をしていないということなんです。模倣、盗用ということばをかりに特許庁長官が使われたとすれば、私は模倣はともかくとして、盗用というのはちょっといまの法律構成——今度の改正案の法律構成からいうと、ことばとしては少し行き過ぎではないかと思います。盗用という形にはしていないはずでございます。ですから、ことばとして若干不適当ではないかと思います。しかし、ひるがえってそれじゃそういう公開の段階で損害賠償の請求といいますか、違法行為というようか構成を法律上とって悪いかというと、それはないと思います。これはやはりそういう構成をとることも立法政策として十分考えられると。しかし、今度の改正案のように、適法行為として構成することも一つのやり方じゃないかということで、理論として損害賠償の形で違法行為というふうに法律を構成して絶対悪いとは、ちょっと私も思わないわけでございます。しかし、いろいろな理由から、それを適法行為という形で構成したと、こういうふうに理解をいたします。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 公益という名によって個人の財産権といいますか、それをこの法律は私はあまり簡単に踏みにじっていると思うのですよ。それは公益ということは、私先ほども申しましたように、芸術家でも発明家でもみんな考えているのです。公益でなければ発明もしないし、またわれわれ芸術家も制作しませんよ。だから、これは同じようにとうとばなければならないのです。全部公益の立場に立って私もやっているのですよ。それがまだ特許権のできる前に盗用、模倣されるということね、私たちの著作権のできる前にそれが漏れてしまって他に模倣、盗用される。これは著作権に触れるわけです。だから私はそういう面においては著作権も特許権も同じように扱うべきものであって、なんじゃないですか、特許庁長官が衆議院において、模倣盗用は違法ではありませんというようなことばを使ったならば、これは当然ぼくは取り消すべきものだと思うのですよ。もしも、その法律の説明なり法律の中に、こういうものがあった場合は、いわゆる補償制度というものがあるのだと書いてあるのですよ。おかしいじゃないですか。法律の中にそんなの、局長、あるんだ。あなた、見たかな、今度の。あるでしょう。おかしいじゃないですか。あなたいまおかしいと言った。もし法体系の中にそんなことば使ってあるとしたらおかしいと、あなた言ったでしょう。おかしいじゃないか。局長も長官もそういう説明しているし、法律の説明の中にもあるのですよ。その場合には補償制度というものがあるから、それで処置するんだという。しかし、ぼくはそんなことで済まされるべき性質のものじゃないと思うのですよ。だって芸術家は決してそんなことで納得しませんよ。自分のものが盗用、模倣されて、自分たちに被害がかけられた場合に、そんな補償金さえ出したらいいという、そんなばかなことを言うやつはありませんよ。ぼくは発明家だって同じだと思うのですよ。それでお医者さんはやはり大平さんだと思うのだが、この個人の利益なり芸術家の利益、発明家の個人の利益、財産権というものよりも、やはり産業の立場に立って、あなたやはり発言してると思うのだ、大臣は。しかし芸術家といえども、発明家といえども、公益に反するようなことはしないし、公益になってもらおうとしてやってるんだから、それはあなたもぼくの言うことはよくわかったとおっしゃるから、その点はわかっていらっしゃるのだろうと思う。大平さんね、ところがそれを大きく評価することによって、個人の財産権とか人格権とか、それを侵すことはいけないじゃないか。それが今度の法律ではそういうことになってくるのだと、私は言うのです。ところがその責任者たる長官が、模倣、盗用は違法ではありませんなどと国会で答弁するに至っては、私はこれは問題だと思うのですがね。取り消しますか。どうですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 違法適用といいますのは、きわめて厳格な法律用語でございます。もちろん先ほど言いましたように、盗用ということばは違法性のことだけだという第四部長のお話でございます。その点ですと、私も常識的に申した点は訂正いたしますが、全体の構成から見て、いまの法制は、やはり法律の厳格な意味で申します違法適用というものは、取り消すつもりはございません。といいますのは、先ほどから言いましたように、著作権と、対象は創作物という意味で同じなんですが、非常に違いますのは、やはり著作権の場合には無方式で発生してくるわけです。特許の場合には、出願をして一定の手続を経て権利として完成している。そこはやはり私は質的に差があると思います。したがって、先ほどから申し上げましたように、それぞれの審査の段階でどの程度保護するということが、発明者の利益と第三者の利益を調整していくかというこういう観点でございますので、それは著作権とは異なったものだと思います。そういう意味で、やはり違法行為として損害賠償請求あるいは差しとめ請求の対象になるのは、あくまで一応審査が済んだ段階、具体的にいいますと出願公告以降でございます。その段階前は、むしろそういった同じような構成をするということは、かえって弊害があるという意味の法律改正というものが、私はむしろ適正だと考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 いまの局長たちの発言は、非常に重大な内容を含んでいる発言でありますから、私はこの発言に対します論議は、この会議録をよく調べて、そうしてあらためて、私は次の機会にしようと思うのです。私ももう少しこの法案の内容をよく検討しないといけないと思いますので、私はこれからもう少し検討してそしてやりたいと思いますから保留しておきますが、いまあなたの話を聞いているならば、発明者は出願に対して非常な不安を持ちますよ。現にこの法律が提案されてから方々の発明家から私たちのところにたくさん反対の請願がくるわけですよ。賛成の請願もきています。賛成の請願のきているのはやはり大平さんが支持していらっしゃるような——手を振られたから、それじゃそのことは触れぬでもいいですけれども、しかし大企業家、これはできるだけ早く発表せよということを言ってくるのですよ。しかし何も発明者の不利益を招くような盗用や模倣が起こるようなそういう段階でこれをあわてて発表する必要がないんじゃないですか。これは公益の名による個人の利益の侵害、ぼくはそうしか理解ができないのですよ。だからもう少しちゃんとした特許権ができてから、公告が済んでから発表するということが、私は従来のとおりやるのが妥当ではないかと思うのですよ。それが何かあわてて、一年半たったらみんな公開——それから公告されるまでには二年半という年月がかかるのですよ。だからその間に盗用いろいろなものができてきますよ。そういう個人の財産の侵害、それから不利を与えるようなそういうことをする必要はないと私は思うのですよね。何も発明家でもほんとうに公益になることと思って考えているのですから、その発明家に対して礼を守って、発明家の立場を守るというのが私は法律ではなかろうかと思うのですが、この法律にはそういうひらめきがないと私は思うのです。それははなはだ遺憾だと思うのですがね。それじゃ何の利益のためにこの法律をそんなにあわてて出されるのですかと、こういうことになってくると、まあそれ以上は大平さんに言うのもお気の毒ですから私は言わないでおきますけれども、そのねらいははっきり日本のやはり大企業の利益とかいろいろな問題があるんじゃないですか。また逆に言えば、外国人が日本に対して特許を要求してきていると、そういう場合がある。それを早く発表することによって外国人の技術内容を日本の人たちが早く知りたいと、こういうこともあるかもわかりませんが、それはまあいろいろあるだろうと思うけれども、やはり外国人の発明家にしろ、日本人の発明家にしろ、やはりその個人の利益の侵害になるということは、これはぼくは隠すことのできない点じゃないかと思います。私は長官が盗用、模倣は違法でないというこのことばは、まだ私は承認できません。だからもっと長官、次の機会に論議しましょう。大平さん、何かお急ぎのようですから、ここでどうぞお引き取り願っていいです。また今度来てください。  さっき私は出願から公開までの一年六ヵ月の間にこの発明の秘密が漏れることはないかという質問に対しまして、そういうこともあるだろうというふうに長官お答えになったと思うのですが、どうなんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 出願から一年六ヵ月の間はもちろんこれは秘密でございます。一年六ヵ月たってから公開するわけでございますから、その前は当然秘密でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうすると、この出願から一年六ヵ月というものは印刷にもせずそのまま特許庁の倉庫にしまい込まれておるのですか、どうなんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 通常の場合は一年六ヵ月たつまではそのままでございます。ただし、たとえば出願と同時に請求してきた、そして分野によりますと、審査に着手して一年半の間に公告決定あるいは拒絶査定というものはもちろんございますが、そういうものは数から言いますれば少のうございますから、原則としてはそのままで書類を保管しておくという形になると思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 先ほど私は補償金請求権の問題でちょっと触れましたのですが、長官、いまのお話によりますと、出願してから一年六ヵ月、その間にも審査請求があればやる、そうすればその審査請求のあったものに関しては印刷もする、どこかで印刷して活字にするということなんですか、その出願書を土台にして審査をするのですか、たくさんの印刷はしないのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) かりに審査の速い部門がございまして出願と同時に請求があったといった場合には二つございまして、公告決定をやる場合と、あるいは拒絶査定をやる場合と二つございます。公告決定をやれば現行法と同じように出願公告、これは公開でなく出願公告という形になるという制度でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 それじゃ出願して審査請求があれば、直ちに審査にかかるわけなんですか。それじゃ出願した人が全部が審査請求を直ちに出願と同時にそれを出されたら、特許庁ではどういうふうに取り扱われるのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 先ほどきわめて例外と申し上げましたのは、大体普通のものはいままでのかりに請求制度をとりましても、相当の未処理案件をかかえているわけでございます。したがいましていまのような事例が出てきますのは、かりにその部門がきわめて審査が速いという部門、現在でも出願から一年半までの期間で公告決定をしておる部門もございますが、そういうきわめて限られた部門にそういうことが生じてくるという意味でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私は発明家ならば一日も早く特許権を取りたいというのが、これが気持ちじゃないかと思うのですよ。それが特許庁の都合によって、それがいま七十万件かたまっちゃっているんでしょう。それは発明家の気持じゃないと思うのですね。発明家はみんな出したら一日も早く特許権をもらいたいと、こう言うわけですね。だから発明家は全部すぐ審査してくれと、その請求がきても今日の段階じゃそれはできないのでしょう。それが現状じゃないのですか。あなたの言うように特殊の人が来たらどうのこうのというようなものじゃないのじゃないんですか。実際にできないというのが今日の現状じゃないんですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) いま申し上げましたのは、原則的にはそういった速いスピードの審査というのは現実問題として困難だと思います。ただきわめて、先ほどから言いましたように、ある狭い部門におきましては、現在でも一年半以内に出願公告をしておる事例もございます。それはあくまで例外である、こういう意味でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 その例外な部門、きわめて特殊な部門というのはどういう部門、どういう手続によるとそういう特殊な扱いが受けられるのですか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 特殊な扱いということじゃございませんので、御承知のように、審査官はそれぞれ専門分野を持っております。したがって、あしたからほかの専門分野にかわるということは困難でございます。そういった意味におきまして、たとえば、これは全部悉皆調査したわけじゃありませんが、出願公告が一年六カ月で公告された実例という意味で、おもちゃが四件ばかしある。あるいは開閉器の分野におきまして四件、そういった、つまり出願と処理能力が早い審査ができる部門というのは現在でもございます。将来もそういった部門もあり得るという意味でございます。だから、出願にはどういったことをすればそうだということじゃございませんので、やはり処理能力その他の関係という意味でそういう実例が出てくるという意味なんです。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 それなら、出願がきて、ある部門は処理能力があるからそういうのは早く片づくというなら、すべての部門の処理能力をもっと十分にするように審査官をうんと増員して、そして滞貨のないようにどんどん処理していったらどうですか。そしたら、こんな変な、人権侵害のような財産権侵害のような非難を受けるようなこんな法律つくらなくてもいいじゃないですか。なぜそれをしない。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) たびたび本委員会で問題になった点でございますが、全体として申し上げれば、やはり審査官の充員というものに私は限度があるということを申し上げておるわけでございます。と申しますのは、たとえば採用ベースで申しましても大体五ヵ年間平均で七十名ないし九十名ということで、やはり一つの限度というものがあるという意味で申し上げておるわけでございます。ただ、先ほど言いました部門は、たまたまと言っちゃ失礼でございますが、そういう分野もあり得るけど、全体は、人員充足その他の限度というものがあるならば、全部がそういった事態になるということはとうてい実際上考えられないという前提に立っておるわけでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 そうすると、政府当局としては出願の出たものは早く審査をしたいと、しかしおもに審査官が集まらない、そのために、審査が渋滞してくるのだと、しかし審査官をふやすということはそんなに不可能なんですか。私はそう不可能じゃないと思うのですがね、どうでしょうか。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 先ほど言いましたように、同じ効果を発揮しようと思いますと、いまの七十名ないし九十名では不十分でございます。それで、御承知のように、大体、審査官に採用いたしますものは国家公務員の上級職試験を通ってまいるわけでございます。そして理工科系卒業生は、これは文部省の調査によりますとふえておりますが、実際に公務員になる人はむしろ減ってくる傾向にございます。そういった前提と、それからわれわれのほうは技術者なら何でもいいというわけじゃございません。やはり出願が多い部門は電気、機械、化学、そういった多い部門の技術者を充足いたしませんと実際の出願に合わない。そういう部門はまたこれは大体充足率が低うございます。そういった諸般の情勢を考えて、出願に見合っただけの審査官の充足というものはやはり一つの壁がある、かように申しておるわけでございます。もちろん、われわれも制度改正やったからといって人員の充足ということは当然必要であるし、また努力しなければならぬと思っておりますが、それを出願に合うだけということになりますと、やはり実際上一つの限界があるというふうに考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 それじゃその審査官の希望者があれば、適任者があれば今後どんどんふやして審査が早く運ぶようにやっていこうという意見なのか、それとももう消極的にこの法律通したらこれで一ぺんにばあっと片、ついてしまうから、検査官かんかふやさぬでもいい、むしろ審査官減らしたほうがいい、こういうような逆の方向を考えていらっしゃるのか。適任者があるならばふやすのですか、どんどんと。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) もちろんその面におきましてもわれわれは積極的に考えておるつもりでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 積極的ということは増員というふうに理解していいですね。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) もちろん最大のものは増員でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 もう一つ。逆に減員などということは絶対考えていない、こういうふうに理解していいですね。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) さようでございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 増員するためにはどういう条件が必要でしょうか。朝の委員会で竹田さんが人事院の問題を取り上げてやられておったと思うのですが、私少し席をはずしたためにその内容を詳しく知ることができなかったのですが、おそらく人事院の問題だったら給与の問題なども問題にされたのだろうと思うのですが、いま優秀な人を呼ぼうと思えば、やはり給与——生活の問題がまずあがってくると思うのですよ。だから、そういう特殊な技能を持った優秀な人は、やはりもう少し高給をもって迎えるという方向にいかないと、国の産業上非常な大きなプラスをもたらすような発明、それすらも思うようにはかどっていかないというような、こういうマイナスの面が出てくるのですから、そういう面から考えたら、私はやはり給与をもら少し出して、そうして増員をして、そうしてどんどんとものが運ぶように、こういうような積極的な姿勢がぼくは長官に対しては望ましいことじゃないかと思うのですが、どうですか、長官。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 待遇の問題につきましては、三十五年度からいわば調整額というもので前進しておるつもりでございます。御承知のように、審査官、審判官が八%、審査官補が四%でございます。で、これはやはり三十四年度における当委員会の御理解によりまして三十五年度から実施しております。われわれはさらにこれを拡充いたしたい強い希望を持って人事院と交渉してまいっておる次第でございます。さらには、けさほど議論ございました特別給与制度というものをできるだけ早い機会に樹立していただきたい。といいますのは、やはり審査、審判官の職制から見まして、審査長にならなければ、あるいは部長にならなければ俸給が上がらぬという意味の職域とは様相を異にしておるわけでございます。そういった長年の専門家が安住して仕事ができるという意味では、やはり特別な給与制度を設けていただきたい、そういう強い希望を持ってさらに増員に積極的に努力したい、かように考えておる次第であります。

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

八木一郎自由民主党

○委員長(八木一郎君) 速記を始めて。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 長官が私の質問に対して積極的に、増員も考える、給与の点も考える、決して減員などというような消極的なことは考えてないんだと、こういうことですから、ますます増員を積極的に考えられて、そしてこの滞貨がスムーズに処理できるような体制を築かれることを私は希望しておきます。   〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕  そこで、補償金請求権の問題ですが、模倣、盗用された場合、憲法二十九条によって保障されている財産権を侵すものではないかという私の質問に対しまして、まあはっきりは答えていらっしゃいませんが、公開の代償として補償金請求権を与えておると、こういうように衆議院のほうで長官はお答えになっていらっしゃるんですが、そこで私は、補償金の性格というものは、請求権を与えておるというんですが、その補償金というものはどういう根拠から、基準から算定をしていくのか、どういう法的な根拠によって補償金という問題がやられていくのか、計算されていくのか、その点がここでは明らかにされていないんですね。その点を少し明らかにしていただきたいんですよ。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 大体補償金の額は、現行の百二条にも、「その特許発明の実施に対し通常受けるべき金銭の額に相当する額」とございますが、これは具体的には、発明の性質、たとえばそれが基本発明か、あるいは応用発明か、あるいは実施の結果得られる利益がどうなるのか、あるいはどのぐらい生産されるのか等々、いろいろな要素がこの中に含まれております。したがって、そういったものの考え方というものをやはり具体的にわれわれとしては行政的な指導目標としてはっきりしていきたい、こう思っております。ただ、法文といたしましては、これは御承知のように簡単なことでございます。といいますのは、先ほど言いましたように、いろいろ発明その他いろんな条件をすべて網羅するということは不可能でございますから、まあそういった点は運用基準として公表いたしまして参考に供したいと、かように考えております。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 もう一つお尋ねしておかなきゃならぬことは、憲法十七条に、公務員の不法行為による損害賠償という項目があると思うんですがね。「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」これが一つですね。それから民法の七百九条不法行為の条項に「故意又ハ過失二四リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之二四リテ生シタル損害ヲ賠償スル責二任ス」と、こういうふうな二つの条項があると思うのですが、今度のこの法律によりまして、その盗用とか模倣という問題が起こってきて、それで一人の人に損害をかける、そして補償制度があるとおっしゃるのだが、補償請求権があるとおっしゃるが、そこでその人の権利が侵害された場合、十分に補償されないというようなそういう問題が起こったとき、これは国家公務員として責任はどこにあるかといえば、やっぱり長官にあるんだと私は思うのですが、その責任は、大体この民法の七百九条それから憲法十七条によるこの責任というものは、だれが負うことになるのですか。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) 前段の問題については私からお答えいたしたいと思いますが、今度の法律の改正で、まあかりにこれが成立をいたしますと、一年六カ月たてば特許庁長官は公開をしなければならないわけです。ですから、法律上の義務として当然公開をしなければならない、その限りにおいては、憲法十七条の不法行為の問題は初めから起こる可能性はないと、こういうことになっております。むろんその公開をすること自体について、先ほど来それが適法か違法かという議論がございますけれど、いまここで法律が成立したことをかりに前提としてお認め願えれば、それはもう不法行為になるはずがない、法律的にはそういうお答えをせざるを得ないと思います。

荒玉義人特許庁長官

○政府委員(荒玉義人君) 法制局第四部長とその点全く同じであります。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 だから私はこの法律自体が、こういう法律を出してくること自体が憲法違反だということを私は言いたいのですよ。憲法は何といったってあらゆる法律の上にあるべき性質のものでしょう。その憲法の精神に反するような法律なんです、これは。だからこの法律ができれば、その法律どおりに長官がやるのだから長官の責任はないと、こうあなたはおっしゃるのだろうと思うけれどね、しかし憲法に反するじゃないですか。憲法に反しないのですか。そこですよ、私の言いたいのは。憲法に反しないとは法制局言えないのじゃないですか。それを言えたら、法制局の値打ちなくなるよ。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) 早期公開制度が憲法に違反をするということが問題になっているわけです。違反をするという立場からの議論としては、憲法の二十九条第一項で、「財産権は、これを侵してはならない。」と書いてある、ところが早期公開によって公開してしまう、だから二十九条一項違反になると、こういう御議論だろうと思う。そこで、二十九条の規定というものをもう少し考えてみますと、第一項で「財産権は、これを侵してはならない。」と書いてございますが、これは財産権というものが、いわゆる絶対不可侵というようなそういう十八世紀なり十九世紀の諸国の憲法にありましたような考え方ではなくて、二十世紀の憲法、日本国憲法もその一つでございますが、二十九条一項で侵すことという対象になる財産権の内容は、二十九条の二、項で、「公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と書いてある。したがいまして、公共の福祉に適合するように法律で定められた結果、形式的に財産権が侵害されるといいますか、へこまされるような状態になっても、それは二十九条一項の違反にはならない、これが憲法のどの学者でもそう言っていることでございます。ただ問題は、先ほど来申し上げているように、早期公開制度が公共の福祉に適合するという主張と適合しないという主張とが対立している。私どもとしては、先ほど来御説明申し上げているように、これが公共の福祉に適合しているという御説明をまあ申し上げているわけであります。したがって、そういう意味では憲法違反ではない、こういう意味で申し上げているのであります。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 あなたそんな答弁すると、また議論があと戻りになるのですがね。発明家といえども、芸術家といえども、公共の福祉考えない人間は一人もないのですよ。公共の福祉の立場に立ってものを発明し、ものを創作しているのですよ。しかし、公共の福祉の名によって個人の財産権を侵すようなことをしてはいかぬじゃないですか。私はあれは公共の福祉とは考えられないんですよ。あれは公共の福祉の名によるある一階級の利益ですよ。国民の利益になることは何も芸術家でも発明家でも、だれでも問題にしてないです。それは大いに利益になってほしいんです。しかし、利益になるからといって自分の財産権まで放棄し、自分の生活まで犠牲にする必要はないと思うんです。自分の発明したものを犠牲にする必要はない、これが芸術家の気持ち、発明家の気持ちなんです。その気持ちを大切にしてこそ私は公共の福祉の立場に立ったものの考え方だと思うんですよ。あなた方の公共というのは、どうも発明家や芸術家をほったらかして、発明家、芸術家不在の公共福祉になっちゃうから、だからおかしいんじゃないですか。ぼくはそこを書いたいんですよ。それから財産権は侵してはならないというのは、これは当然ですよ。あなた財産権を否定するようなことを言っている政党どこにもないでしょう、いま。そんなことを認めている政党はないですよ。そんなことをだれも言ってないですよ。だから、財産権はやはり守らなきゃいかぬですよ、それに反するようなことは……。これはさっき私は解決したと思うから話を進めていって、今度はこれが個人にこういう補償請求権はあるけれども、それの補償請求権がりっぱに行使されなかった場合ですよ、補償請求をした人に満足を与えるようなことにならない、その人にとっては非常に不利な解決がされたときは、その責任は、この憲法の十七条、また民法の七百九条、これに照らしても責任をとる人がなくちゃならぬ。それは国家公務員がとらなきゃならない、こういうことを私は言っているんですよ。だからそのときには一体だれが責任をとるのか、長官かだれかと。通産大臣か長官かですね、だれが一体その責任の衝に立つのかということを私は質問しているんですよ。

角田礼次郎内閣法制局第四部長

○政府委員(角田礼次郎君) おことばを返すようですが、私は二十九条一項の財産権を否定するというような立場で申し上げたわけではございません。本来の財産権の内容には、現在の憲法の考え方には、社会公共の利益に合致するように、そういう見地からの制約というものを内在していると、これが憲法学者がみな言っている説である、こういうことを申し上げたんです。財産権を基本的に否定をするというようなことは、おそらくどの政党も言っておられないと思いますし、また私もそういう意味で申し上げたわけではございません。  それからその次の問題でございますが、これは結局公共の福祉に適合すると思って立法をして、かりにこの法律が成立をしたあとに出願公開をされた人が、この六十五条の二の規定が憲法違反である、しかも二十九条違反であるということで裁判所へ訴えた場合には、まあもっと具体的にいえば、国家賠償法による賠償の請求ということで訴えるということは、これは自由でございますから、憲法十七条に基づいての国家賠償法でそういう訴えが出てくることは考えられると思います。しかし、そのときの結局裁判所の判断がどうなるかということであろうかと思いますが、ただ、少しよけいなことでございますけれども、先ほど申し上げたように、法律で特許庁長官は公開をしなければならないということが書いてございまして、いやしくも法律が成立をいたしましたならば、執行機関である特許庁長官としては、自分かってに判断してこれは憲法違反のおそれがあるから自分はこの法律に従わないということは許されないと思います。そこで当然特許庁長官は公開をしてしまう。ですから結局それを争うのは個人が裁判所へ訴えていくほかない、こういうことになろうと思います。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私はこの質問をゆうべ書いてきたんですがね、これでいまのところ二十枚あるんですよ。まだこれで私の質問しようと思っている内容の半分程度なんですね。それでいま二十枚のうち四枚やったらもう時間が二時間経過した。私は一応いまのところで一区切りになりますから、きょうはこれで質問を終わりますから、この次に十分にまた時間をいただきたい。まだまだ問題がたくさんあるわけですね。それほどまあこれ問題の多い法案ですから、大いにひとつ審議して、みんなが納得をするまでひとつやろうじゃないですか。きょうはこれで私は一応打ち切ります。

剱木亨弘自由民主党

○理事(剱木亨弘君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会

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