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61回国会参議院1969/06/26

社会労働委員会 第27号

発言数
185
登壇者
14
会派数
3
開催日
1969/06/26

会議録

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨二十五日、藤原道子君、上田哲君及び中村英男君が委員を辞任され、その補欠として成瀬幡治君、阿具根登君及び田中一君が選任されました。     —————————————

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) 次に、職業訓練法案を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方の発言を求めます。

田中一日本社会党

○田中一君 この職業訓練法は、制定当時、ちょうど私は質疑を行なったために、自分としても、その後十一年を経て、今日どのように施行され、そうしてその結果——わが国の経済も相当高度成長をしておるが、また一面、社会現象としていろんなひずみが出ている。そういう中で今日の青年の心、少年の心、行動、これらを背景として現時点においてどのような形の訓練がこの十年間に施行されてきたかという点を中卒の人たちあるいは高卒の人たち、あるいは転職の人たちを含めて、それぞれの学習した、技術を覚えたところの人たちの現状というものをひとつ説明願いたい。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 田中先先御指摘のごとく、職業訓練法が施行になりまして十一年間たっておりまして、この間それなりに職業訓練及び技能検定の拡充には役立ってまいったと思っております。その間の職業訓練の人員は、一般職業訓練所におきましては、年間延べ八万人。総合職業訓練所におきましては、年間延べ四万四千人。それから身体障害者職業訓練所におきましては、年間千六百八十人という規模で職業訓練が行なわれております。おおむね中卒の就職者に対する比率で申しますと、一二%程度の者が職業訓練の対象と相なっておるわけでございます。諸外国の訓練の規模に比べますると、たとえばイギリスでは、新卒の二二%は訓練を受けている。ドイツの男だけでとりまして、八〇%が受けているという規模に比べますと、まだ著しく規模において劣るものがございます。それを欧米並みの規模に持ってまいりたいという、規模の問題が一つございます。  それから訓練の内容につきまして、身障訓練所、一般職業訓練所及び総合職業訓練所合計約四百ございますが、現在のところ、この職業訓練の施設内容等につきまして、さらに改善をする余地がある。また、今後は単能工よりは多能工に重点を置く必要があるという点におきまして改善の余地がある。さらにまた、情報産業あるいは原子力とかその他新しい産業が続々と興っております。この技術革新に対応いたしましては、職種の内容の改善というような点も多々問題があるものと考えております。  要するところ、十年間一応の成果を得ましたものの、この十年を一つのエポックといたしまして、さらに大きく飛躍すべき段階に今日到達しておるというのが、私どもの認識でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 今回のこの抜本的な改正といわれるこの提出法律案は、なるほど十年の経験を経て一つの形を整えたというように私ども理解しておりますが、たくさんの職種の中から全部にわたっての質問はできませんから、とりあえず建設関係の労働者のあり方について、これを中心としてこれから質問いたしますから、御了承ください。  最初に、最近の三年ぐらいの実態でいいわけですが、中学の卒業生、これは、あなたのほうでほんとうに完全に把握しているのは、公共職業訓練所だと思うのです。公共職業訓練所に入所を志望した少年は、いまのお話しで一二%と言うけれども、これはどのくらい実態はあるのか。過去三年ぐらいでいい、説明していただきたい。中卒、高卒、これをひとつ説明してほしい。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 過去三年の数は、いまちょっと数字をさがしますので、後ほど正確に申し上げますが、昭和四十三年度の数字で申し上げますと、公共職業訓練所、すなわち一般職業訓練所並びに総合職業訓練所におきまして、建設関連職種は約四万六千人、これは公共職業訓練の総定員の四五%に及んでおります。そのうち、高卒者の比率は、公共職業訓練所全体で一〇%強に相なっておりますが、建設関係におきましては、高卒関係が入る比率がややこれより低いものと推定いたしております。

田中一日本社会党

○田中一君 労働省は、昨年の十一月でしたか十月でしたか、これらの少年たち——訓練を受けた後に社会人として巣立った少年たちの追跡調査をしたはずですね。これはどういう職種をやったか。それからその結果をひとつ知らしていただきたい。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 公共職業訓練修了者の就業実態調査を昨年十一月、御指摘のごとく、いたしております。この最終集計はまだできておりませんので、中間集計でございますが、アンケート調査で、回収率は約半分ぐらいの回収でございます。  で、調査結果はどうなったかというお尋ねでございますが、中間集計ではございますが、これ全部申し上げますと、たいへん長くなるわけでございますが、かいつまんで申し上げますと、ほとんどの者は就業しており、かつ九割前後の者が雇用労働者として就業しておる。ただし、転職訓練の場合は、自営業になっている者も一割弱ぐらいはおります。その過半数の者は、訓練所で受けた訓練は役に立っているということを申しておりますし、また、転職率あるいは定着率を比べますると、訓練を受けていない一般労働者についての転職率に比べまして、訓練終了者で転職した者の比率は、一般の場合よりもかなり低いということが出ております。それから訓練の期間につきましては、いまの期間でいいという者と、もっと長いほうがいいという者もございますが、もっと短くしたほうがいいという者はほとんどおらないような状態でございます。それから就職先は中小企業が圧倒的に多いというようなことが出ております。  さらに具体的なことは、御質問によってお答えいたします。

田中一日本社会党

○田中一君 これは、あなたが五〇%程度の回収率だと言っているけれども、あとの残っている五〇%は、おそらく離職をしあるいは転職をしておるということだと思うのです。したがって、これはあと何年たって、何カ月たって全部を回収しようといっても回収されないものなのです。だから、いまのような報告が労働省から発表されることは非常に危険なわけです。おそらく五〇%以上の離職者、転職者があるというような見方を持つのが正しいのじゃないかと思うのです。むろん労働省のほらでは、回収したところのものによって資料をつくらなければならぬけれども、この点は得てしておのれの管掌しているものを誇大に吹聴するきらいが多々あります。したがって、この点は、残りの未回収の五〇%に対して、もう一歩進んだ調査を行ならべきだと思うのです。そして、この実態というものを完全に把握しないと、たいへんな間違いを国民に与えるわけです。その点は、十分今後ともこの追跡調査を行なうかどらかの問題について、ひとつ決意を述べていただきたいと思います。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、これはアンケート調査でございまして、回収率が養成訓練の場合でも五四%でございまして、回収率良好とは申せないわけでございますが、おそらく回収できないもののほらに転職した者等が多いだろうと思います。したがいまして、このアンケート調査の回収したものについての集計というものは、比較的よいほらの層の答えである、悪いほうの層は答えが出てきてないというおそれが十分あると存じます。今回はアンケートでございますので、どうしてもそういう結果になりがちでございます。個人個人の追跡調査までいたしますと、非常に手数もかかりますし、困難な事情でございますが、今後はさらに正確なる調査結果を得るようにいろいろ努力をしたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 実は、これはあなたも御承知のように、私も昨年からこの問題と取っ組みまして、建設労働者の不足という問題が叫ばれておりますし、まあ一応地域を分けて三職種くらいのものの実態を追跡調査してみたわけなんですけれども、どらも建設労働者がいま定着しているということは、まだ暗中模索時代で、一応各労働組合等が中心になって、当面三千五百円なり、三千七百円という協定賃金を持っているために、実態を知らずして幻惑されているという形が多い。これが二十五、六になると、一応自分で全体のまとめができて、疑問を持つというようなことになりますと、そこで初めてこの職業でいくかいかないかという問題を考える段階がくる。おおむねは、いまの少年たちは非常にドライです。非常にはっきりものを割り切ります。自分の当面の賃金よりも、自分の将来というものをすぐに考えて、そろばんを置いて、そして非常に早く行動するのが私どもの知っている少年たちでありますが、はたして、今回のこうした抜本的改正といわれているこの法律の改正を行なって、どういう将来への展望といいますか、技能を修得しようという少年たち、青年たちがほんとうにこの職業訓練法によってそれぞれ社会人として生活し得る条件というものが備わりつつあるのかどらか。そらしてまた、今回の法律の改正だけで、これでそれが完成されると思っているのか、その点をひとつ原労働大臣から真剣にこれに対する考え方を説明していただきたいと思うのです。これは私どもが考えておりますように、実際に今日の日本の経済の成長という面と、それから工業水準が伸びているということ、そういった中で、非常に大きく中間的な——レジャーと申しますか、非常に浮動したところの少年群が都会に集中してきているという実情も、これは見のがせない事実なんです。したがって、こうした形の、抜本的な改正といわれているところのこの法案が、はたしてこれができた場合にその目的が達せられるかどらかという点について、ひとつビジョンをお示し願いたいと思います。いいかげんなことじゃ困るんです。いままで十一年の経験があるのです。その中からもう少し好ましい将来の展望というものをお示し願いたいと思うのですが、これは大臣からひとつ願いたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 田中先生の御質問、たいへん重要なことでございまして、またなかなかむずかしいようでございますが、私どももこのたびの職業訓練法改正、この法律だけによってすべて勤労青少年の問題が解決されるとも思っておりませんが、その勤労青少年の問題の一環として、この職業訓練法の改正案を出したわけでございます。  そのほかに、私どもの考えておりますことは、いま御指摘もありましたように、高卒、中卒の勤労青少年が一年もすると二割ぐらい転職する、二年で四割もするというような傾向でございますので、いろいろ調べてみますと、やはり勤労青少年は余暇、ひまがある。このひまを健全娯楽で過ごそうといってもそういうものもない。それでテレビを見たり、ラジオを聞いたりして、ぼんやり畳の上に寝ころんで過ごすという人が多い。こういうことであると、どうしても地方から出て来たり、工場へつとめた青少年が、だんだんくにへ帰ったり、転職を希望したりしてうまくいきません。そこで、私ども労働省といたしましても、そういう余暇を健全娯楽で過ごすように、また指導もいたしたいと思いまして、いま全国に勤労青少年ホームというのをつくっております。勤労青少年ホームというものを三百ぐらいつくって、またことしから年々らんとふやすつもりでございますが、ここへ来て余暇を勤労青少年が——これは男女でございますが、女性のほらはいけ花をやるとか、お茶をやるとか、男性のほらもいろいろグループ活動をやる。そこには館長さんというかなりしっかりした人もおって、悩みの訴えの相談も受ける。それからお互いに友だちもできる。東京や、都会の工場へ来て、友だちがなくてさびしがる者もございますが、ここへ行くと友だちができるし、余暇を楽しみながらお互いに励まし合っていけるというようなために勤労青少年ホームをもっとふやしたい。  また、さらに昨年から東京中野の駅前には、こういう全国の勤労青少年のためのセンターをつくりたい。これは二十階建てのかなり思い切ったもので、八十億ぐらいかけて、ここに勤労青少年のセンターをつくり、ここではいろんなグループ活動、研究、宿泊、遊び等々、いろんなことができるようになっております。また、全国的な会合も開きたい。こういうことで、中野に勤労青少年センターをつくって、いまやっております。  それからもう一つ、私は、就任以来、どうも勤労青少年の人事管理がうまくいっていない。それでいままでのような学歴偏重、ホワイトカラー偏重を打破して、そしてもう少しブルーカラーを尊重すべし。そして能力に応じて、その実力に応じて、これを課長、部長、工場長、重役にもせよということを叫んでまいりました。中央雇用対策協議会、これは企業家の会合でございますが、そこにおいてもこれを力説いたしましたら、賛成である。現に若干の会社でも工場でもやっておりますが、これを全面的にいくように推進しようと賛意を表しておられました。こういう気風を私どもは根強く、一回だけじゃだめですから、毎年毎年やって、勤労青少年のいわゆる低い天井をはずして、青天井人事管理方式をやっていこうじゃないかということを毎年毎年繰り返してやっていきたい。いま調べてみますと、婦人少年局というのもございますが、予算も少ないし、思うように活動ができませんので、できたら勤労青少年の基本法というようなものをつくってはどうか、あるいは勤労婦人基本法、こういうことを一ぺん研究してみるように、私のほらから省内に指示をいたしております。できましたら勤労青少年の日、これを制定いたしたいと思っておりますが、いま直ちに法律制定はむずかしいので、いま勤労感謝の日はございますが、勤労青少年のそういう日を制定して、みずからは勤労意欲を燃やし、勤労の意義も知るし、世間一般の人もそういう勤労青少年に深く感謝する、そういう行事を全国的に一日休んでやるようにいたしたい、こら思って、これもいま労働省内に研究の指示を与えております。もし、法律にしてちょっとむずかしくなります場合には、労働省内で指定して、さしあたり、それまでそういう勤労青少年の日を休むように指示をいたしてその行事をとり行ないたい等々、あの手この手いろいろ大いにやろうと思っておりますが、この方面のエキスパートである田中先生にも何かと御声援、御鞭撻をいただきたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 原さん、あまり冗談を言わないでください。  そこで、なるほどこの中のある一つのすき間をそうした施設で埋めようという考えであろうけれども、たとえば電気とか、鉄鋼とかその他の大単産とか、大きな企業は別です。ただ、建設労働者という者が今日置かれておる地位というものは日雇い的立場に置かれておる。したがって、この少年たちにとっては、将来この職業で自分が一生安定した生活ができるか、結婚ができるかというようなことが眼目なんです。この法律ができても結局つくりっぱなしです。この少年たちの追跡調査をやっていこうということを私は参議院選挙が済んだ後に手がけた。そうすると、労働省は、若干公共職業訓練所の卒業生に対する調査をしているということで、熱意がないのです。先みつ放しなんです。ホトトギスです。これはいま大臣が言われているようなことだけでは解決できない。わが国の労働行政が各職種に対して事こまかく、たとえば大工という職種は大工として、木を扱う木工大工として、建築大工として少年たちが置かれている現在の位置というものはどらであるか。五年後にはどうなるか十年後にはどうなるか。そして三十年、三十五年たっていわゆる労働を休止するというときに、その人たちはわれわれのこの地域社会において何の役目を果たし、何の報いが得られるかという点をこまかく行政府の中で分析をし、そうして賃金の問題なり、労働条件なり、あらゆる点を実際にわれわれ社会にそれを具現するだけの努力がなければだめなんです。十年たって何も前進してない。ただ、抽象的な足どめをさせようと思うような施設だけでほんとうにこの少年たちが職業訓練で身につけた一つの技能というものをこれを生かし切って、社会人として、民族への奉仕者として育てあげることができるかというと、できないです。これでは、いま原さんの言っているようなことだって、そんなことはもうおかしいくらいです。きょう大臣は江東のああした家内労働者のところを回って、テレビに写っていたらしいけれども、実際に都会のちまたにうごめいている少年たちというものは何を考えているのかということまで分析し、将来を考えるのが労働省の役目だと思うのです。この日本の生産というものは、労働省の考え方、労働省の施策、労働省の分析、これによって上がるか下がるかの問題が解決されるのです。そういう意味から見て、この法律があまりにも形を整えて、そうして他に依存をするという考え方に終始しておって、ほんとうに労働行政とか、あるいは労働者の味方になって働く者のしあわせなり、それからくるところの生産、それがまた社会への還元というもの、これらが考慮されておらないというところに形式的なものが残っていると思うのです。今日の全国の中学卒業生のうち、四十三年でいいから、四十三年で公共職業訓練所に入所した少年が何%になるか、むろんそれ以外には上級の学校に行く者もおるでしょうが、どのくらいになっておりますか。それをひとつ先に説明してください。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 全国の中学卒業生のうち、職業訓練を受ける者の比率は、先ほど申し上げましたように、一二%でございます。そのうち、公共に何人で、事業内に何人あるかということは、ちょっと計算しておりませんので、後ほど必要でございますれば、計算して申し上げます。

田中一日本社会党

○田中一君 この一二%というのは、どういうところから推定されたものですか、実際に。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 中学出の職業訓練生の計画及び実績を毎年出しておるわけでございます。その養成訓練を受ける中卒者の実績に、文部省調査によります中学卒業の就職者を分母として割ったものでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 一二%という職業訓練所を志望する少年がいるとすると、これは四十三年度じゃまだわからぬかもしれぬけれども、三年くらい前の卒業生というものを考えてみた場合に、一番近いところの卒業生ですね。先ほど五0%程度のところでもって比較的定着度が高いのだというお話がありましたけれども、これらの実態というものは、職種はどんなものが一番多いのですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 中卒の職種というのは、すなわち訓練生の職種とほとんど一致するわけでございます。訓練の職種は、約四五%ぐらいが建設関係で、残りが製造業並びにその他の産業、その他の産業——三次産業関係はごくわずかでございます。製造業の中では機械工、仕上げ工というような職種が圧倒的な大きい比率を持っております。さらに詳細なことは、必要があれば、職種別に申し上げます。

田中一日本社会党

○田中一君 そこで、いま、公共職業訓練所の大体はそこを中心に訓練状態というものはわかっておりましょうが、事業内訓練ですね、事業内訓練はどのくらいの率になっておりますか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 事業内訓練の実施状況は、単独訓練、これは比較的規模の大きいところでやっております、単独訓練を行なっております事業所の数は、昭和四十三年度で四百六十四カ所、訓練生総数は二万四千人でございます。それに対しまして共同訓練、これは中小企業でございます。共同訓練をやっております団体の数は七百二団体、この共同訓練に参加しております事業所の数は、非常に多うございまして、五万三千三百二十二事業所でございまして、訓練生総数は六万人でございます。したがいまして、合わせて八万四千人が昭和四十三年度におきまして事業内訓練の対象と相なっております。

田中一日本社会党

○田中一君 建設労働者の実態というものは、これはあなたも御存じのとおり、日雇いなんです、すべてが。そうして、今日ブームと言われている建設産業の中においても、大企業に直傭されるわけでもなければ、また下請に直傭されるわけでもない。全くの一日一日を、雨天には仕事ができない場所が多いのですから、晴天の日を選んで仕事に行っているのが事実なんです。十年たって、それらの建設労働者の実態というものがちょっとでも上昇しておるかというと、上昇しておらないのですよ。同じような状態で日雇い的環境に置かれております。一番の問題は、職業訓練所を出る、出たら、職業あっせんをする機関があるからそこでやればいいのだというのじゃなくして、必ず実際にそこに雇用関係というものが新しく生まれなければならぬと思うのです。技術を習得した者が就職する場合には、日雇い的環境ではなくて、雇用関係が明らかに結ばれるということ、いままでの経験で、そのほうにいかなければならぬと思うのです。ましてや、賃金の問題にしても野放しです。そういうところに、私の調べた範囲では非常に離職の人たちが多いということです。十年たってようやく追跡調査をするなんということでは、これは実態をつかめるものではないのです。こういう法律が出る前に、少なくとも今日まで三十万なり五十万なりの卒業生に対してやらなければ、これは民間や、われわれの手ではとてもできるものではありません。国が、十年という経験を生かすためにも、そこまでの追跡調査をすべきだと思うのです。したがって、この点については、この法律が通るのか通らないのかわかりませんけれども、通った暁にはそれらの調査を完全に行なうかどらか、会社に対して。これはむろん公共のみならず、企業内も、それから共同も含めて、ことに法十二条の労働組合等が行なうものも含めて、それらの調査をするかしないか。しなければ魅力を感じないわけですよ。また、法律の改正とか新しい施策が生まれてこないのです。それは金が一千万かかるか千五百万かかるか、これは微々たるものです。その実態というものを調査をしないで、作文でどら制度を変えようとも、これは決して職業訓練というこの機関が国民の中に溶け込んでおらないということになる。四十五年度の予算に相当数の金を計上してこの調査をするかしないか、ひとつ原労働大臣の決意をお示しください。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 四十五年度の予算の要求の原案は目下事務当局において調製中でございまして、私どもといたしましては、従来、検定合格者の調査というのはわりかたやりやすいわけでございます。職業訓練修了者の調査というのは非常に技術的にやりにくい点が多々ございますので、御指摘のとおり、従来、十分な調査ができておらない。これは職業訓練行政の一つの欠陥であると考えております。四十五年度予算におきましては、職業訓練修了者に関するもっと進んだ調査ができますような調査予算案を要求するつもりでおります。これが省議で通りますかどうですか、今後の問題でありますけれども、私どもとしてはぜひやりたいと思っております。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) こういう職業訓練を受けた方の追跡調査の御意見でございます。まことに同感でございます。やはりそれがないから新しい方針も立たぬし、新施策もやりにくいと思いますので、これはひとつ追跡調査の案を労働省できめまして、大蔵省へ私自身も折衝をいたします。

田中一日本社会党

○田中一君 時間がだいぶ制限されることになっておるから、これをひとつ伺っておきたいのですがね。  この法律は、御承知のように、われわれが中心となって政府原案を修正いたしました。それが例の十二条の問題です。これはまあ労働省にすれば、まるで力ずくでこれを修正したのだと言われるかもしれぬけれども、とにかくこれは生きているのです。ところが一ぺんもこれを、今日十年たっても一度もこれに対するところの政策を行なっておらぬということです。これは原労働大臣にいまこれを追及してもしようがないが歴代の大臣がそれを行なわない。同時に歴代の職業訓練局長がそっぽを向いておる。これは重大な問題です。現在事業内訓練として行なっておるところは相当ございます。それも建設労働者を育てるための訓練を行なっているところがたくさんございます。これは大体労働組合が中心にやっておりますけれども、労働組合の訓練所だと何ら国からの援助をしてくれない。事業内訓練ならば、地方によっては、都道府県なり市町村でもって援助をしてくれているものもあります。これは一体どういうことなんですか。これは局長に追及しても、私は過去は知りませんと逃げるかもしれないけれども、法律に明文化している問題を取り上げないということはありようはずがないのです。ことしでも、予算の使い残しがあるはずです。したがって、これらの訓練所に対しても、公共に準ずるものとして——公共とちっとも変わらないのですよ。準ずるものとして、大幅な援助をするつもりでおるかどらか、この問題をひとつ出しておきます。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 従来、職業訓練に関する国の援助といたしましては、公共職業訓練、これは都道府県の行なう職業訓練に対する援助が一つであります。もう一つは、事業内の職業訓練に対する援助でございます。事業内の職業訓練につきましては、中小企業の、しかも共同して行なう職業訓練に限るというふうに、非常に狭くしぼってまいったわけであります。したがいまして、事業内の共同職業訓練以外のものにつきましては、たとえば市町村——市立あるいは町立の訓練所もわずかでございますが、ございます。労働組合の行なうものもございますが、これは中小企業用の共同訓練ではないという理由で、補助金がいっておらなかったわけであります。しかしながら、こういうところの実態は、数は少のうございますが、実態を見ますると、現実には中小企業の労働者をここで訓練しておるわけでございます。したがいまして、これを形だけで割り切ってきたという従来の態度は、必ずしも正しくないのじゃないか。今回職業訓練法人という制度を新たに設けた趣旨もそこにあるわけでございまして、今後は実態に着目いたしまして、大企業の事業内訓練には今後ともそう金をやることはないと思いますけれども、現実に中小企業の労働者のためにやる訓練でありますならば、形式上の中小企業共同職業訓練でないものにつきましても、同等の助成措置を講ずるように努力いたすつもりでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 これは四十四年度から実施ができますか、本年度から。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 四十四年度におきましては、予算の立て方が先ほど申し上げましたような立て方になっておりますので、四十四年度からすでに実施いたしますことははなはだ困難でございます。四十五年度から予算の立て方自体を変えてまいりたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 労働大臣、いいことはやればいいのです。何も予算の立て方といったところが、見方なんですよ。これはどこがチェックするか、大蔵省がチェックするでしょうけれども、見方の問題です、認識の問題なんです。認識というよりも、立て方の問題です。ことしは、完全に労働組合が持っている職業訓練所というのは岡山県だけです。ほかはみなやむを得ず労働官僚の圧力によって、自分たちが一切を負担して、そうして事業内訓練という形でもって建設労働者を教育をしているのです。これはむろん中小企業には違いないのです、零細なものです。ことしはできるはずでしょう、できないことはないと思います。したがって、四十四年度から実行してください。労働大臣ひとつ、あなたはっきりそのことを言っていただきたい。実行することができないことはない、できます。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) たいへん事務的なことを申し上げなければなりませんので、恐縮でございますが私から申し上げます。  現在の予算の科目の立て方は、事業内職業訓練費補助金として、そして認定職業訓練を実施する共同職業訓練に対し事業内訓練の一部を補助するということに予算上きまっておりまして、事業内の共同というワクがはまった予算に相なっておるわけでございます。したがいまして、形式上労働組合というのは、事業内とか、共同とかいうのからはずれておるわけでございますので、したがいまして、御趣旨は私まことにごもっともと思いますが、従来の予算の科目の立て方に欠点がございますので、この科目の立て方そのものを来年は職業訓練法人とか、それから中小企業のための養成訓練とかいうような一般的な書き方に改めた上で、御指摘のようなところにも認定するように検討いたしたいと考えているわけでございまして、事務的にはそういうことでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 これは局長、できないことはないのです。実際労働省がいままでの自分たちの認識の誤りを反省して、ことしからやろうという気持ちになれば、これはもう新しく道路をつくるのだけれども、ことしは予算がないからつくれないということは、これはあり得るかもしれないが、現に実際に長い間十年間も運営をしている。対象があるにもかかわらず、それはできないということはないです。それは労働大臣が、よしやろうと言えば、できるのです。政治は活字や、数字で動くのじゃないのです。実際にどうするかという問題なんです。予備費もございます。やろうと思えばできるのです。労働大臣答弁してください。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 御趣旨の点はよくわかりました。でございますから、四十五年度、来年度からは、この職業訓練法の全面改正を国会で通過さして成立さしていただきましたならば、いま局長が答弁いたしましたような線に沿うて、実態に着目して、国のほうで援助ができるようにいたしたいという方針でございます。  それで、あなたはことしからやりたいというのですが、いまも申したように、もう予算は通ってしまって、この予算の構成が、ちょっと局長の意見では、どうもこのままではちょっとぐあいが悪いというのですが、とにかくそういう非常に熱心な御希望がございますから、一ぺん省内に、できるかできぬか検討さしてみます。

田中一日本社会党

○田中一君 いま、やむを得ず各地域社会に建設労働者の供給をするために訓練しているという事業内訓練、これはあなたがよく知っているとおりです。これが相当の数があることは御承知のとおり。これがことごとく労働組合内訓練という本来の姿に立ち返ります。その場合に、同等の強力な援助をするということが確約できますね。これは大臣から聞きたいのです。大臣はひとつ局長に、おまえどうだと聞いてください。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 四十四年度は、さいぜん申し上げたように検討させます。いろいろいま話のように、やりますというようなことには、ちょっと支障があるようでございますが、来年度から、この法律案が通ったときでございますが、通りましたら、全面改正の法律に従いまして、中小企業の労働者の職業訓練、これは労働組合であろうと何であろうと、やはり中小企業の労働者を訓練する場合には国の援助をやる、こういう方針でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 いまぼつぼつ予算の編成をしている時期だと思うのですが、どのくらいのものを計上するつもりですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) いまから要求する額の予定額を申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますが、四十四年度におきましては、一億二千九百万の予算要求をしておったわけでございます。しかしながら、これでも、この額は非常に少ない額だと思います。自分で申すのはおかしゅうございますが、しかし、これでも前の年に比べますと、補助単価を倍増しましたが、この立て方でいきますと、非常にこれをさらに伸ばすのはむずかしいんじゃないか。そこで、従来のような立て方以外の思い切った奨励制度というものを別途くふうをして、大幅に予算を獲得する方法を考えたいということで、目下非常に頭をしぼっている最中でございますので、いいアイデアが出ますと、従来に数倍する金額になるかと思いますが、ちょっといま幾らになるかということを申し上げかねます。

田中一日本社会党

○田中一君 現在、建設各職種の当面する不足数というのはどれくらいになっているか。これは労働省から出していただくのと、建設省から、両方から出していただきたい。おそらく数字は違うんじゃないかと思うのですが、それぞれの立場から出していただきたい。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 労働省のほうから申し上げます。  私どものほうで、建設関係の労働者の不足は、技能労働者実態調査における建設労働関係の数字で申し上げますと、全産業では百八十四万人の技能労働者が足りない。不足率は一九・五%でございますが、そのうち、建設関係の技能労働者の不足数は三十三万二千人、不足率は二九・九%。製造業関係に比べますと、建設業関係の技能労働者の不足は非常に深刻であるという認識でございます。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) ただいま労働省から御説明がありましたことと、全く同じ認識に立っております。

田中一日本社会党

○田中一君 建設省は、労働省の出した数字をそのまま信用しているんだということですね。独自の調査をしているんですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 独自の調査はしておりませんので、すべてこの種のものは労働省の数字をたよりにいたしております。

田中一日本社会党

○田中一君 そうすると、この三十三万二千人の推定される不足というものに対して、これはいわゆる実際企業内訓練、事業内訓練というものは行なわれておらないわけなんです。たとえば大手の建設業者にしてもやっておりません。公共なり、共同ですらないと思うのです。したがって、現在のこれらの職業訓練を行なっている団体ですね、これはどういう性格のものとあなた方は見ているか。先ほど中小企業ということを言っておるけれども、実態は労働組合がやっておるんです。これらをひとつ示していただきたい。公共職業訓練所、総合職業訓練所、これでどのくらいの者を訓練するか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 公共訓練所、すなわち、一般職業訓練所及び総合職業訓練所におきましては、昭和四十三年度の建設関係職種の訓練生総数は四万六千人でございます。それから事業内訓練につきましては、昭和四十二年度の数字しかございませんが、単独訓練は四十二事業所で、非常に少のうございますが、訓練生総数は二千二百八十一名。それから共同訓練は非常に多うございます。事業所数で申しますと、二万七千百七十四事業所で共同訓練を行なっております。訓練生総数は三万三千百八。合計しまして、事業内訓練生は、昭和四十二年度三万五千三百八十九名と相なっております。これと公共の四万六千とを合わした数が建設関係の訓練生総数に相なります。

田中一日本社会党

○田中一君 そうすると、先ほど答弁があったように、現在各地域の労働組合等が行なっている事業内訓練は組合訓練になります。なった場合に、現在の段階でどのような建設労働者の不足を充足するための積極的な姿勢をもって行なうか、この法律が通った暁でかまいませんから、ひとつ伺っておきます。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) ただいまのところ、市立の訓練所三、町立の訓練所一、労働組合立が一、これが公共及び事業内以外の訓練所の総数でございまして、この訓練生数は、全部合わして七百五十三名でございます。労働組合が共同訓練の名のもとに実質は労働組合がやっておるのが四、五カ所あるように私どもは考えております。これを全部公に認知いたしまして活発に訓練をしていただきましても、それによって建設業の労働者不足が一ぺんに解消するという筋合いではございません。非常に苦しい状態でございますので、あらゆる方策をもって職業訓練をいたしたいということでございますので、第一に考えられますことは、訓練生一人当たりの訓練費補助でございます。それから、そのほかには訓練融資の問題、あるいは市町村立の共同訓練施設に対する補助金の問題等がございますが、そのほかに、先ほど申し上げましたように、全く新しい構想による助成措置というものも何らか考えたいと思っておる次第でございます。

田中一日本社会党

○田中一君 近時の傾向として、昨年、四十三年度には、わが国の木材の消費額、これに対する輸入が四三%にのぼっておるということを統計で承知しております。おそらく四十四年度、ことしは五〇%近くなるのじゃなかろうかというふうに伝えられております。それで従来の伝統的な日本の住宅というものは木造で行なっております。しかし、これは衰えるものではございません。日本の位置するところの気象、風土の特徴というものは、鉄筋コンクリートだけでは快的な住生活が営めないのは事実であります。そこでそれらの木材資源等の枯渇からくるわれわれの住という問題が相当変貌するということは間違いない、その傾向にあります。そうなると、それらの変わりつつあるところの対象というものに対して、労働省はどういう形の訓練を行なおうとするのか。また、そうした近代化と申しますか、これに対処するために、建設省は、いままでどのように職業訓練というこの事業に対して関心を持ち、そうした現在の社会におけるところの建築、いわゆる建設という全般的な問題から職業訓練の面に助言あるいは注文を出しておるか、出しておったか、また、将来どうしようとするか。また、職種としても変わってまいりますから、これらに対して対処する方途をひとつ示していただきたいと思います。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 訓練職種及び訓練内容をいわゆる技術革新に的確に即応させるということは、非常にむずかしいのでございますが、最も重要な任務の一つであると心得ております。住宅様式の変化ということも、やはりある意味で、技術革新の一種であろうと存じます。それに対しましては、ブロック積み工、あるいは配管、板金工といったような関係の、建築大工以外の建設関係職種も養成するということが一つと、それからもう一つは建築大工であっても、従来のかんな、のこぎりだけではなくて、いろいろな新建材に即応できるように、すなわち多能工的な建築大工にしていくという訓練内容と、双方があると存じまして、非常に微力でございますが、この両方につきまして努力をしておるわけでございます。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 最近の住宅を含めまして、建築の趨勢を見ますと、だんだん木造の割合が減って、非木造の建築がふえております。したがいまして、今後におきまして、やはり非木造建築は依然として増加するという傾向にございますので、これに対応するように、建設技能者の訓練も当然こういう体制に即応するように変えていかなければならぬと考えております。したがいまして、この点に関しましても、労働省と密接な協力をいたしまして、その方向に、需要に耐えるように訓練を強化してまいりたいと考えております。

田中一日本社会党

○田中一君 従来、労働省に対して建設省は、三十三万といわれているこの不足労働者を教育するために何か申し入れをしたことはありますか。また、いま言われているような建築様式の近代化というような面から見て、協力を申し出たことがありますか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 建設省におかれましては、労働力全般についてもたいへん御心配になっておられるように承知しておりますが、職業訓練及び技能検定につきましても非常に強い関心をお持ちでありまして、検定職種の基準の改正といったようなものについては、それぞれ専門家委員会というようなものをつくっておりますが、建設関係職種のそういった委員会には、建設省の担当の専門家を派遣していただきまして、私どもと一緒に作業していただいております。

田中一日本社会党

○田中一君 この職業訓練法を制定する当時、これは強く建設省に要求しておいたのです。これは全く労働者を需要するほうの側から、かくかくの技能の訓練をしてくれという要求がなくちゃならないものです。これは調べてみますと、私の手元に、ちょうどこれは三十四年六月ですか、労働省の事務次官から、検定についてどうしたらいいかということの問い合わせに対して答弁している答弁書の写しがありますけれども、実際にこうして答弁している。この問題について、十一年間というものはどのくらいの関心を持ってこれを見守ってきたか。おそらく労働省から要求するからそれに答えておるということであって、建設省自身がそれこそ訓練の協定と申しますか、そういうものに対するところの助言なりあるいは提言というものが行なわれてないと思うのです。その点局長はどう受けとめておりますか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) ただいま申し上げましたように、私どものほうの審議会の下部機構には建設省も入っていただいておりまして、私どもといたしましては、建設省から常に建設的な御意見をちょうだいしておるというふうに感じております。

田中一日本社会党

○田中一君 じゃ、具体的に建設省から将来の建設関係労働者を育成するための職業訓練に対して、これはただ助言だけではだめなんです。提言だけでもだめなんです。もっと積極的に、過去十年間どういうことをしてきたか、ひとつ建設省から説明を聞きたいと思います。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 従来、労働省で行なっておられます職業訓練におきましては、建設関係の必要な職種について十一職種の訓練を実施していただいておりますし、また、これに対する検定職種としては、十職種実施をいただいておるわけであります。私どもは、先ほど来申し上げておりますように、最近の非木造の住宅ばかりでなく、非木造建築の割合が次第にふえておるということ、それから住宅に関しましては、最近の人手不足のために、いわゆるプレハブと言われます工場生産住宅の建設を促進いたしたいと考えております。したがいまして、職種として、現在も弱い、将来もはなはだ不足が予想されますたとえば鉄筋工でありますとか、あるいはブロック工でありますとか、そういう職種の職業訓練については、特に今後強化してほしいということを再三にわたって労働省に申し入れ、また労働省当局も全く同意見だということで、そういった今後の重要職種の訓練に重点を置いて訓練するようにやっていただいておるわけでございます。

田中一日本社会党

○田中一君 これは局長にもう一つ伺っておきたいのでありますが、この十一年間、指導員の待遇、指導員の地位、それから指導員の選び方、これらは最初から見ると、法制定時代から見ると、相当変わってきておると思いますが、現在どのように行なっておりますか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 指導員の選び方は、訓練大学校で指導員を養成するのが対象でございまますが、これは人数はまだ少のうございます。それから指導員試験を受けてそれに合格した者というものが、これが非常に数が多うございます。そのほかに、過渡的な形として、長い実務経験を経ておる者について短期の講習をもって指導員資格を認定する、こういうものがございます。これにつきましては、過渡的な形でございますので、これをやめるつもりはございませんけれども、従来どおりでよろしいか、今回法律改正を機会にもう一ぺん検討いたしたい。何よりもやっぱり訓練大学校を拡充するのが一番いいんじゃないかということで、そのほうに努力をいたしております。  それから指導員の待遇につきましては、これは公務員一般の待遇と関連するわけでございますけれども、総訓の指導員につきましては、一般の職員に比べまして七%だけ指導員としての調整手当をつけておるということで、若干の待遇をいたしております。また、府県に対する補助金も、昭和四十一年でございましたか、一度に補助単価を相当、四〇%ほど引き上げるということもいたしておりまして、私どもなりに指導員の待遇改善には努力はいたしておりますが、これはこれだけ待遇すればよろしいということではない。特に民間工場の技術屋に比べてすぐれた待遇であるかと申されますと、実は若干お恥ずかしい点もありますので、さらに今後一そう努力をいたそうと思っております。

田中一日本社会党

○田中一君 おおむね指導員の年齢層は幾つぐらいになりますか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) ちょっと資料をさがしておりますので、しばらくお待ちください。

田中一日本社会党

○田中一君 長期継続して指導に当たっている指導員というのは、何年間ぐらいの人が一番長くて、最近でも労働大学を出た人たちが相当入ってきておるものと思いますけれども、その実態をひとつ説明してください。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 指導員の構成を申し上げますと、二十歳から二十九歳までの者が二一%、三十歳から三十九歳までの者が三九・八%、この層が一番多うございます。それから四十歳から四十九歳までの者が二七・六先、それから五十歳以上が一一・五%という構成でございまして、まず中年層が多うございます。  それから経験年数から申しますと、指導員になってから四年以下の者が四二%、五年ないし九年が三三%ということで、十年未満の者が大半を占めております。十年から十四年までの者が一一・六%、十五年から十九年までの者が一二・九%、二十年以上が一・四%、これがまあ訓練が発足して十年でございますので、わりかた経験年数は浅くなっております。

田中一日本社会党

○田中一君 かつて建設省が所管している建築士という資格の技術者がいるわけです。これは一級建築士、二級建築士という分け方をしておりますが、これに対して、建築士法ができて直ちに、選考でこの資格を付与したことが一回ございます。それから第二回目には経過措置でやったわけであります。第二回目は、引き揚げ者、海外の引き揚げ者が全部引き揚げ終了——大体終了した時点で、選考によって一級建築士、二級建築士の資格を与えたことがあるのです。そこで最後に一番近い例が、たしか三十三年だと思いますが、ちょうどこの法制定後だと思いますが、やはり経験豊かな技能者に対して資格を与えたことがある。そこで、むろん一つの職種のうちの新しく開発される技能もあり、また技術的な前進もしている。そうすると、指導員としての資格というよりも、実力を持っておっても、なかなか一級技能士、二級技能士の資格をとるといっても、なかなかいままでの長い伝統的な技能者のあり方から見て、受けられない場合がある。いわゆる資格に合格しない場合がある。これは今日まで長い間技能指導員として立っている人たちに対して、そういった経過措置によってこれを与えるという方法は考えられませんか。これは決して実害がないわけなんです、実害というものはない。今度の法律の改正でいろいろまた資格を与えておられる。今度の場合も、一級技能士、二級技能士のほかに、技能士補という段階も一つ定めることにしている。そこで学校の先生がそれらの技能の資格がないということはおかしな話なんです。少なくとも、今日まで大きく日本のこれら不足の技術に対して、技能に対して貢献したという人たちに対して、実力はあると、したがって、これに一級技能士の資格を与える機会というものを与えるべきであるというように私は考えますけれども、政府はどう考えますか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 長い間実務の経験を積まれまして、腕はたしかだけれども検定に受からないという方、受かりにくいという方は、大体において学科が苦手であるという方が多いわけであります。学科につきましては、実は指導員の方については、先ほど申し上げましたような、長い実務経験と講習とでもって指導員になれる資格を認めておる。指導員になりました場合には、一級または二級の技能検定の場合の学科免除という制度があるわけであります。したがいまして、この学科免除制度というものを適切に運用することによりまして、実力はあるけれども、メートル法の算数は苦手であるというような方でも技能士になれる道は開かれておると存ずるわけでございます。その運用につきましては、さらに検討いたしたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 それは、その運用についてはというのじゃなくして、積極的にあなたのほうで、経験が豊かだと、十分だと、そうして実害もない、そうしてまた——これは昔からまじめな職人というものは、もう文字に弱いわけです。それから特殊なもの以外には、ほんとうに仕事をするだけの技術は持っておるけれども、経営まではわからぬ人がわりあいに多いわけなんです。だからそういう運用について検討するというのじゃなくて、積極的に本年度はそれを検討し、そうして実行してみたいというくらいの答弁を実はほしいわけなんです。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 学科免除制度の運用につきまして、従来かなりの程度救っておるつもりでございますけれども、先生のお話がございましたので、さらに現在の制度では救われない気の毒な、しかも実行のある方がおられたらば、それも拾い上げることができますように、さらに検討したいというつもりで検討と申し上げたわけであります。それによってどの程度の範囲までが拾えるかというところまでは、ちょっといまのところ検討段階でございますので、確定的には申し上げかねるわけであります。

田中一日本社会党

○田中一君 四十四年度には、それを実行することはできませんか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 四十四年度につきましては、すでに御承知のごとく、検定を開始しておるわけでございますので、途中で基準を変えることはちょっとむずかしいかと思います。やはりこういう特例措置というものは、法律が改正になったその経過措置というところに引っかけたほうがやりやすいのじゃなかろうかと考えますので、本年度直ちにというのは、ちょっとむずかしいのじゃないかと思いますが、これはもう少し検討さしていただきたいと思います。

田中一日本社会党

○田中一君 法律を修正してもいいじゃないですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 法律修正は国会の御権限でございますけれども、まあどの程度ということは、かなり精細に見なければいけませんので、法律だけでもって、経験二十年やった者は無条件にというふうにもいきませんので、ちょっと直ちに法律修正で資格を与えるということは簡単にいかない問題じゃないか、技術的に非常に問題があるのじゃないかという感じを私ども持っております。

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) 速記をつけて。

田中一日本社会党

○田中一君 そこで、将来ともに、この法律が通過した暁には、それらの点も考慮してほしいんです、むろん条件も。しいて言うならば、当然この職業訓練所を卒業した人間はこうするんだ、ああするんだ、賃金は最低こうだということまでもうたうことによって、訓練所に志望する者が多くなるわけなんです。先ほども言っているように、盛り場行ってごらんなさい。若い少年たちが、それこそ生活というか、あすの希望を失ったうつろな目をしてよからぬ職業についておる人がたくさんあります。集団就職で上京したところの、都会へ来たところの少年たちがたどる道は一つなんです。一ぺん離職した少年たちが必ずどこへ行くかということはきまっているコースです。だから、それにはやはり裏付けとしてのものがなくちゃならない。それは安定した就労の条件と賃金の問題です。いま建設労働者は、それぞれの地域の労働組合等が集まって協定賃金を持っている。私は協定賃金なんかやめろと言うんです。最低賃金はこれであるといううたい方をしなきゃならぬと言うんです。同じように、職業訓練所を出た少年たちが十一年たっていまだに、出たばかりの少年も十年の経験豊かな職人も、協定賃金ということは、賃金同じなわけなんです。これじゃだれもなり手がありません。十五年、二十年、長い間その技術を持った中年の職人が、やはり協定賃金という形でもって支払わられていると将来の希望を失うわけです。だから、いまの少年たちが転職を望むのです。これは三十になったって嫁ももらえない。なるほど、当面三千円なり三千五百円になって、賃金はよいように見えるけれども、二十五になっても三千五百円というようなことになれば、希望を失うのは当然であります。やむを得ず、日本の会計法に示されているところの請け負いという形の仕事を受けるようになる、仕事をするようになってくる。これは契約というのを請け負いでやるわけです。そしてそれに、まあしいて言えば、請け負いという形だから材木屋から何%かの手数料とか、返し金なんかをもらったり、歩金をもらったりして親方の体面を維持しているという非常に不合理な希望のない状態に置かれなきゃならないんです。だから、もはやなり手がなくなってきます。かってたくさんあったところの地方の季節労働者も最近はぐんと減ってきているのは、これは労働省も御承知とおりです。それも老人ばかりです。いままで何々組におって、手間もらっておったというようなのは来てない、これではいまの少年はきてがおりませんよ。また、職業訓練所で一つの技能を身につけても、他の職種——大企業にある職種ならいざしらず、現在の労働者だけではあらゆる面において、労働者としての権威と申しますか、条件を勝ち取れないというのが実情でありまして、どうかこの法が制定された後において、しっかりとそうした裏付けのある方針を打ち出していただきたいと思うんです。でなければ、もうなり手はございません。そういう点について、この法律ができたからといって、よい技能者が大量に生まれるというものじゃなくして、裏付けになるところの生活の問題、労働条件なり賃金の問題が解決されなきゃだめであります。労働大臣から、これに対する裏付けのことばとして、将来への訓練生のあり方に対して伺いたい。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) お説は私も全く同感でございます。この訓練法の全面改正をいたすのも、労働者諸君が就職の安定を得られたり、あるいは労働条件を好転さすというためにやっているわけであります。それでなければ、決して万全ではございませんので、だんだん労働条件の改善、あるいは賃金の上昇等に前向きで労働省も指導し、機会あるごとにそういう助言もし、指導もしてやっていきたいと、これはわれわれの役目でありますから、大いに積極的に前向きにやっていきたいと思っております。

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) 速記をつけて。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 今度の法改正によって、そのねらいは、何といっても、技能労働者の不足、その不足をどう解決していくか。こういったことが大きく見られているわけでありますけれども、それを解決する前に、やはり今後の大きな問題として人口問題がある。その人口問題について、御承知のように、だんだんと出生率が下降線をたどっていくような傾向にある。そういう中で今後の人口問題、これを解決していかなければやはり労働力という問題も解決できないのじゃないか。こういう観点からこの十年先、二十年先の労働力に対してどのようないま方策を持っているのかどうか、こういう点についてまず最初にお尋ねしておきたいと思うのです。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) 今後の労働力の推移につきましてまず御説明を申し上げたいと思います。  労働力のもとになります先生御指摘の人口につきましては、わが国の人口は、昭和四十年におきまして九千八百二十七万でございますが、四十五年にはこれが一億三百三十八万、五十年には一億八百六十四万、五十五年には一億一千三百二十七万、六十年以降は大体そういう数字で横ばいになっていく、こういうようなことでございます。  それから、それに伴いまして今後の労働力人口の問題でございますけれども、たとえば昭和四十年−四十五年の五年間は、戦後の出生ブームの影響を受けまして、三十五年−四十年の平均に対しまして一0%程度の伸びでございますが、四十五年以降はこれは非常に急速に落ちまして、たとえば、四十五年−五十年間には三・五%になる、五十年−五十五年には二・二%になる、五十五年−六十年には二%を割って一・七%になる、こういうような推計が行なわれております。そういうような数字は、よく言われておりますが、わが国は労働力の過剰時代から労働力の不足時代に入った、こういうような表現であらわされているところだと思うのでございますが、御承知のように、人間が生まれまして労働力人口になるためには十五年、あるいは高等学校を出るとすれば、十八年かかるわけでございまして、それは絶対的にそういう出生率によって労働力人口が左右されてきます。しかも、一方、経済が従来どおり成長するとするならば、労働力の需要が年々それだけふえていくわけでございまして、この間どう対処するかということは、結局、労働力不足対策というものをどう考えるか、こういう問題になるわけでございますが、根本的には、わが国の場合におきまして、必ずしも労働力、要するに労働者が十分その能力を発揮していないんではないだろうか、こういうような問題があるのではなかろうかと思います。これは御承知のように、わが国の国民総生産は、いまやドイツを追い抜きまして、自由諸国の中では二位になったと言われておりますが、その国民総生産をつくり出した就業人口はやはりドイツとか、フランスの二倍でございますから、つまりドイツ、フランスの労働者が一人でするところを日本の場合は二人でしておる。まあ、この問題にはいろいろ就業構造の問題あるいは産業構造の問題がからむわけでございますが、ごく大まかに言いまして、そういうような点も指摘できるわけでございます。したがいまして、そういう意味で、わが国の場合は、いわゆる西欧諸国において言われておりますような労働力不足かというと、そうでもないんではなかろうか。したがいまして、そういう意味で、労働者が十分その能力を発揮できるような態勢をつくっていくということによって、当面の労働力不足対策——こまかい施策はいろいろございますが、基本的にはそういう考え方で対処していかなければならないというように考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 まあ、現在の問題とすれば、国民総生産は世界第二位である、こういうようなことで、非常に生産が高まっておる。これはわかるんです。私がいま聞いておるのは、将来、十年先、二十年先。いまあなたがおっしゃったように、昭和五十年ごろになればこういう状態になるんだと、こういう話があった。そういったことであって、これから先の将来の問題。そのときに、いまあなたがおっしゃったように、諸外国では一人でやっているものを日本の場合には二人でそれをやっている。そういったところに現在の労働者の能力というものが、発揮されていないんではないか、こういうような話をしておった。しかし、長い将来の見通しというものは、これはやはり現在の時点で、だんだん人口というものが、労働人口というものが低下してくるということが一応考えられる。したがって、この時点で、そういうこそく的な考え方でなくて、もっと大きな立場からこの人口問題をまずどういうふうに解決していくか。そして、その人口に合わせて、労働人口に合わせて労働という問題をどう解決していくか、労働力という問題をどう解決していくか、そういう点を私はお尋ねしているわけなんですね。その辺のところをもう少し明確にひとつ答えてもらいたい。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) 私申し上げましたのは、どうも人口問題の所管は厚生省でございますので、現在の出生率、死亡率の趨勢というものを将来に伸ばしてみた場合に日本の人口はこうなる、それに伴って生産年齢人口なり、労働力人口はどうなる、こういうことを申し上げたわけでございます。そういう意味でどうも人口政策という大きな問題は、ちょっと所管が違いますので申し上げなかったわけでございますので、お含みおきいただきたいと思います。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 ほんとうはその関係者が来てなくちゃならぬ、ここにね。来てないからそういうことになるんで、同時に厚生省との関係ですね。そういった関係もやはりつけていかなければならぬ。そして今後そういう人口問題から労働力というものはどうしていくかという、こういったものをやはりお互いに連係をとって、話し合いの中で一つの方策というものを打ち立てていかなければならぬと思うのですね。そういった点にがっちり取り組んでいただきたい。こう思うんですね。当面の問題をどうするこうする、それはいろいろな方策はあると思います。そういった問題だけじゃ済まぬ、将来の問題は。したがってそういう意味で、大きな立場からひとつ厚生省と十分連携をとって、そういった結論を出していくという方向を出してもらいたい。そのようにお願いをしておきます。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 御説の長期展望に立って労働力問題を考えるべきである、ごもっともでございます。これは私はテレビでも方々で申しておるんですが、労働力は見通しから言いますと、もう十年待たず五年先、だんだん不足を来たすことはもう明らかとなってまいりました。これを補うのは、やはり私は日本の経済が伸び、生産も増強されますから、どうしても人口をもっとふやすような対策をやることが私は必要であると考えております。そこで人口増強の方策をこれから政府もやるし、そういう啓蒙宣伝をやることが大事であると思いまして、実は数カ月前の閣議におきましても厚生大臣が取り上げまして、これからの問題は人口をもっとふやすことである、それについて、厚生省としてはいろいろやりたいんであるが、各省においても御協力を願いたいという発言がありまして、私も、その場合において、労働省といたしましては、労働力の不足という点を考えて、すみやかに人口増強の方策を立てるべきものである、厚生大臣の意見に賛成であると言いまして、閣議はみなそれを了承しました。ただ、いまからふやすと言っても実際に間に合うのは、やはり一人前になるのは二十年先になりますから、それを早いとこやらなくては間に合わぬ。そのときになっていよいよ足らぬと言ってあわてふためいてもとても間に合いませんから、御説のとおり、いまからやることがきわめて大事な問題だと、こう思っております。できたら閣議においてももう少し再確認をいたしたいと、こう思っております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 まあ心強く思う次第ですがね。全く人間投資というのは当然時間が相当かかるわけです。これは当然なことです。いまからその方策を立っていかなければ当然間に合わぬ。こういうことが言えるわけで、ひとつもう一歩積極的にやっていただきたい。こういうふうに考えるわけです。  まあ現在に戻りますけれども、最近の技能労働者の不足というものは非常に大きいものがあるわけです。これがやはり日本の経済発展に大きな障害となっていくのじゃないか。こういうふうに考えられます。そこで現状についてひとついろいろとお話をいただきたい。こう思います。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 技能労働者の不足は、先刻も申し上げましたけれども、昨年六月の調査では、百八十四万人が全国で不足しておる、不足率は一九・五%に達しておる。その不足の状況を大産業別に見ますと、製造業で百三十二万人、建設業で三十三万人、運輸通信業で十三万人、こういうような状況に相なっております。また、これを規模別に見ますと、非常に規模別の格差が大きゅうございまして、千人以上の規模の大工場では不足率が四・四%である。それに対しまして、五人ないし二十九人の小規模事業所におきましては三三・九%の不足であるということで、中小企業、規模の小さいほど不足が深刻であるということに相なっております。それからまた、技能の程度別には熟練工ほど不足であるというような結果になっております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 きまりきったような質問になるかもしれませんけれども、百八十四万人の、当面の問題として、技能労働者が足りない、それには当然これをどう解消していくかという方策を持たなければならない。そういう面で、これを解消するための方策、これはどういうようなことを考えられておるのか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 実は、この百八十四万人の技能労働者というものの不足を全く解消するということは至難のわざである、労働力不足が全体として進行するであろうという状態のもとにおきましては、そう考えざるを得ないわけでございます。しかし、今日の特に中小企業について深刻な不足というものを大幅に緩和いたしたいと考えておりますが、そのためには、まず第一に、御審議いただいております法案にございますように、職業訓練の基本計画並びに年次別の計画及び府県別の計画といったようなものをつくりまして、計画的に職業訓練をいたしまして、技能労働者の養成、再訓練ということをすることが必要であろう。将来の目標といたしましては、ただいま新卒の一二%しか訓練を受けておりませんが、これが全部訓練を受けることを目的といたしまして、少なくとも半数ぐらいは訓練を受けるというヨーロッパ並みの水準に持っていくように、年次計画をもって努力いたしたいと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 順序に聞いていきたいと思いますけれども、西欧の先進諸国では、昔から学校教育と並んで職業訓練、そういう制度が社会的に確立されている、こういうことなんですが、日本の場合には、そういったものに見合わせてどういう実情、現状にあるのか、こういうことですね。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 外国で一番職業訓練の発達しておりますのはドイツ、スイス等でございますが、これらの国の訓練の実情を見ますと、中世以来の徒弟制度というものが大体温存されつつ近代化されてきて、そして義務教育を出たものは、昔なら徒弟に入る、現在ならば養成工課程に入るというのが原則であるという社会体制ができておるように考えております。そういう歴史的事情を持たないで、私ども日本におきましても、徒弟制度はございましたけれども、これは手工業的な一部の分野に限られておりますし、製造業は、政府の指導奨励のもとに急速に発展したという事情もございまして、そのような歴史的な背景を持たずに、いきなり職業訓練制度を新たに導入したわけでございますので、これを一般化いたしますことは非常に困難でございます。しかしながら、訓練法制定以来、十一年にして一二%という、不十分ながら、相当の数に到達いたしました。今後これは外国がやや自然的にできたのに対しまして、日本では人為的にその普及度を高めていかなければならない、これは非常にむずかしい仕事であると存じますけれども、日本に課せられた至上命令の一つであると考えて努力いたしたいと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 そこで結局今後努力していくということなんですが、この日本の職業訓練の水準を先進国並みに引き上げるという、そのための方策というものが立てられていかなければならぬ、こういうことだと思います。そこで、そういう面での方策については、ある程度具体的にどういうことを考えられておるか、その点についてひとつ。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) これはいろいろあの手この手を一生懸命考えなければいけないわけでございますが、訓練生の数をそれだけ拡充するということにつきましては、公共訓練のみではとてもそれだけの施設をつくるのは間に合わないわけでございまして、事業内職業訓練というものを拡充しなければならない。そこでほんとうを言えば、事業主に義務を課して、新卒を雇う場合には必ず職業訓練をしなければいけないと言いたいところでございますが、いきなりこの義務を課するのは、現状とあまりにもかけ離れておりますので、事業主に対する奨励策という形で、補助金その他でこれを講ずる。他面、事業主にまかせっぱなしでもいけませんので、これに対して公共訓練施設というもので指導、助言あるいは補助をするという体制をつくることが非常に大切であろうと存じます。さらに、公共訓練施設からは指導員の派遣とか、教材の提供等の援助もいたしたい。また、従来のような補助金一本やりのやり方のほかに、たとえばいま御審議いただいております法案にございますように、職業訓練法人というようなものをつくりまして、共同職業訓練といったようなものがやりやすいような体制をつくるということも必要であろうかと存じます。もちろん公共職業訓練施設をできるだけ充実するということも、これと並行してきわめて大切なことでございますし、また、施設の充実と並びまして、技能検定を充実し、技能尊重の機運というものを先般来PRいたしております。これをさらに国民的に盛り上げる方策を講じたいと考えておる次第でございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 そこで、現在の職業訓練の計画、この実施状況というものは必ずしも十分ではない。これははっきりしております。たとえばいま局長が言われた公共の職業訓練、これのいわゆる充実、それからそれだけでは十分でないので、事業内職業訓練所の充実ということをいま言われておりますけれども、ここ十年間ですか、十一年間ですか、この目標に対してどのくらいまでいっているかというと、公共の場合には九五%大体いっている。事業内職業訓練の場合には大体五〇%弱ですか、その程度までしかいってないと、そういう差が出てきているわけです。公共の場合九五%程度いっているわけですが、なぜこれがその辺のところに持ってこられないのか、なぜこういう差がついておるのか、その辺の事情がやはり明らかでないとまずいのじゃないかと、こう思うのですが、その点はどういうことですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、事業内職業訓練は、目標に対しまして四八・六%の達成率、五〇%弱でございます。これについての理由というものは、いろいろ非常にたくさんあると思いますが、基本的には外国のような、新卒をとったら養成工として養成するというような慣行とか、基盤というものが欠けておったという点が第一。それから第二には、そういう組織的な訓練をしなくても、従来は優秀な労働力が豊富にあったから、それを使っていれば自然に何とかまかなえたということもあったかと存ずるわけでございます。この事情が急速に変わりつつございます。それから第三には、中小企業においては養成訓練をする経済的負担がやや大き過ぎて、これにたえかねるというようなこともあるかと存じます。それから第四には、中卒の数が予想以上にどんどん減っていったというようなこと、これも計画にそごを来たした理由であろうかと存ずるわけでございます。そのほかたくさんあると思いますが、もう一つには、事業内訓練の認定の基準という私どものつくりました基準が、必ずしも実情に即しないで、家際に訓練をやっておるが、それがわれわれの認定にひっかからなかった、われわれの認定の基準がやや実情に即しない点があるということもあったのではないかというふうにも考えておるわけでございます。さらにまた、学卒者のほうでも訓練というものを当然受けるべきものであるという考えよりは、めんどうくさいのか、なるべく避けようということもあったのではないか。主として事業主側の事情でございますが、政府並びに国民全般の責任という問題も多々ある、非常にたくさんの原因が重複してこういう結果になったものと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 ある程度わからないわけではないけれども、公共の場合と事業所内の場合では、半分くらいしか事業所内の場合にはないんですね。これはやはり財政的な問題、そういう問題もからみ合って、いま局長はその点には触れなかったが、財政的な問題が私は相当大きくその割合を占めているのではないかというふうに考えておるんですが、その点はどうですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、中小企業につきましては、特に財政的な問題が大きいと存じます。これは私見になって恐縮でございますが、ほんとうならば、職業訓練というのは全部がやるべきで、やらないところから罰金をとってこれをやるところに回すぐらいのことをやりたいと思っておりますが、現在では、そうすると罰金が多過ぎてとてもそうまいりませんから補助金をやっておるという状態で、あらゆる企業が訓練をしておればその負担が特に過重であるとか何とかいう問題はないと思いますが、一部しかやっておりませんために、やっておる篤志な事業主の負担が過重になっておるので、この負担を軽減するような財政措置というものも今後相当必要であると考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 先ほどから人口問題から入りまして、そうして今後のいわゆる労働力の確保、また特に技能労働者の確保、こういった問題を特に取り上げてきたわけですが、ここにきてその養成に当たって目標に到達しない、こういう現状にある。そこで、いま局長からお話があったように、財政的な問題ですね、特に中小企業の場合には財政的な問題が大きな問題ではないか。もちろん公共の場合には九十数%までいっておる、こういうことなんで、事業所内の場合にもやはりその線までいけないわけはない。中卒が少ないとか何とかいうことは、これは状態は同じである、公共の場合でも事業所内の場合でも。これに財政的な措置がとられれば相当なところまで事業内職業訓練所のほうも成果をあげていくのではないか、こう考えられるわけです。そういう意味で今後財政という問題になってくると必ず大蔵省に関係があると思うんですが、その点について、大蔵省のほうは今後どういうふうにこういった問題について考えておるのか、その点についてひとつお伺いしたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 事業内職業訓練の振興につきましては、特に、四十四年度予算におきまして重点的に配慮したところでございます。御承知のように、予算額も四十三年度が一億四千三百万でございますが、四十四年度は全部合わせまして二億九千九百万というふうに倍以上にふやしておるところでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 それでもって今後の労働力不足、また技能労働者の不足を十分まかなえるのだ、いわゆるそういう考えのもとにそれだけの予算が確保された、前年からみれば倍にふえているのだという、ただそういう計算的な問題でなくて、実情に合わせて大蔵省がこの問題に取り組んでおるかどうか、その点ですね、実情に合っているかどうか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 事業内職業訓練の実情等勘案いたしまして人員もふやしておりますし、事業費の補助の単価も相当大幅に増額した、こういうことでございます。今後とも労働省とも十分相談いたしまして、充実につきまして検討いたしてまいりたい、かように考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 私はその辺のところが大事じゃないかと思うんですよ。いわゆる実情に即したものの考え方、計算上でこうだと、前年と比べればこれくらいふえているんだというような計算上の問題ではこれは解決できる問題ではない。あくまでも実情というものを十分に把握をして、大蔵省のほうとしても、これだけの予算が要求されてきておる、だから前年よりこれくらいふやしておけばいいんだという、そういう簡単なものの考え方ではなくて、金の面はもちろんだけれども、そういう労働力不足という実情というものをよく把握した上で、やはり実のある予算というものを考えていかなければならないんじゃないか、こういうふうに考えているわけで、そういう意味でいまお尋ねしたわけです。  それでは先に進みますけれども、先ほどちょっと話があったかと思いますが、今度この法案の十九条を見ますと「第十五条、第十六条及び前条に定めるもののほか、労働省令で定めるところにより、労働大臣の認可を受けて、都道府県は高等職業訓練校又は身体障害者職業訓練校を、市町村は専修職業訓練校又は高等職業訓練校を設置することができる。」、こういうようにありますが、このねらいといいますか、これについてひとつお答え願います。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) ねらいは二通りあると申し上げてよろしいんじゃないかと存じます。一つは現状を肯定するということでございます。現に市町村が訓練所をつくっておるところもございます。それから都道府県で総合訓練所以上のりっぱな訓練所をつくろうとしておるところもあり、また身体障害者訓練をしたいというところもある。それを現在の法律では、そういうのをつくってはいかぬみたいな書き方になっておる。訓練施設というのは幾らあってもよろしいんでありますから、それをつくりたいと言ったらどんどんつくれるようにワクを広げるべきであるというのが一つのねらいでございます。  それからもう一つのねらいは、職業訓練といたしましては、専修訓練校よりは高等訓練校のほうがより程度の高い望ましいものであります。そういうものは、特に負担能力の高い都道府県におきましては積極的に今後つくってもらいたい。高等訓練校あたりは現につくりたいという府県もございますが、私どもといたしましても、総訓だけにまかせず、自分たちのほうでもできるところはつくってもらいたいという奨励的な意味もある、高等訓練校を設置の中に入れましたのは、そういう奨励的な意味も含めてのものと御了解いただきたいと思います。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 いま局長が言われたような意味はもちろんあるでしょう。まあ都道府県あるいは市町村に対して、そういう立場で訓練所をつくることができるようにこの法律によってなるわけですね。これは、本来ならば、国がこの労働力不足ということに対して、その制度、設備、まあ施設というか、そういう問題が含まれておると思うんですが、こういう問題は国がやらなければならぬ。それを何となく今度の法改正で市町村あるいは都道府県にもそれができるというような行き方をとるということは、国は何かこの問題についてほおかぶりをして、市町村行政あるいはまた都道府県行政にこれをゆだねてしまうんじゃないか、こういうような心配がなきにしもあらず、その辺のところはどうですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練を拡充いたしますには事業主、地方公共団体並びに国、それぞれができる限りの努力をするということが必要でございます。こういう規定が入ったことによりまして国が手を抜くということは絶対にあるべきことではない。先日、雇用促進事業団におきまして、現在の総合訓練所の所長会議がございましたので、私もそこであいさつをしまして、総合訓練所並みのものが今後府県でできるかもしれないけれども、それによって総訓の使命というものは少しも軽くなるものじゃない。むしろ重くなるのだ、ますます重大になるのだという話をしてまいったわけであります。しかしながら、同時に、府県は府県なりに、そこでできる限りの努力はしていただきたい。これは決して肩がわりということではないのでありますが、国が一律にやるのでは、目の届かないあるいは余力があるのに補助金がつかないからやらないという事態があってはもったいない話でございます。できるところはどんどんやっていただけるような体制を整えるという趣旨でございまして、国が肩がわりをしようというつもりは毛頭ございません。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 そこで、この十九条に関連をいたしまして一つ一つ聞いてみたいと思うのですけれども、まず、この十九条には身体障害者の職業訓練校、これも含まれておるわけです。当然身体障害者の職業的更生の促進、またその能力を有効に発揮させる、そういう意味でこの職業訓練所というものを充実強化をはかっていかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。この辺についての考え方、現在の国の身体障害者の職業訓練所の数を見ますと、全国に十一カ所ということになっております。これをもっともっとやはりいま申し上げたような意味で拡充強化していかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。この辺についてどういう考え方を持っているか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 身体障害者が社会復帰をし、社会にみずから貢献し、みずから障害者自身も幸福な生活を営むことができるためには、職業訓練をして技能を身につけて職につくことが一番正しい方法であると確信をいたしております。したがいまして、身体障害者の訓練施設というのは量、質ともにさらに拡充すべきものと考えております。ここ数年間におきましても、身体障害者職業訓練所の数はかなりふやしております。私どもといたしましては、身体障害者の訓練所というのは数たくさんつくればそれでいいというものではございませんで、施設としても特殊な施設を要しますし、特に指導員は特殊な能力を持ち、かつ特別な情熱を持った人でなければ身障の訓練所の指導員はつとまらないということがございますので、あまり分散して数をたくさんつくるということよりは、やはりブロック——ブロックといっても大きなブロック、小さなブロックたくさんありますが、小さなブロックごとにいい指導員を入れた、いい施設をつくっていくというところに当面の重点を置く。遠くの人はもちろん通えませんので、これには必ず十分な寄宿舎施設をつくるという形において当面身障訓練所の拡充をしていきたいと考えておるわけでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 局長、いまあなたが言ったようなことは、それは基準として当然のことですよ。いい施設、いい指導員、これは当然のことですよ。それをお粗末なものをつくってお粗末な指導員でいい、こんなばかな考え方はないのであって、これは基本的なものの考え方であって、あなたに言われなくてもそんなことはわかっている。問題は現在の身体障害者、この数に見合った十一カ所という国の施設は、現在の身体障害者の数に見合ったものであるかどうか、そういったことが問題点だろうと思うのですね。その点はどうですか。これで十分というふうに考えられるのですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 十分だとはもちろん思っておりません。先ほど申し上げ方が悪くておしかりを受けましたが、その点はおわび申し上げます。一般の職業訓練所の競争率は一・七倍、身障の訓練所の競争率は一・一倍でございまして、一般に比べれば、需要と供給がかなりマッチしていると申せると思いますが、これは表面の見解でございまして、身体障害者は訓練所に来るとか、職安に登録することすらもあきらめてうちに引っ込んでいる方が非常に多いのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、訓練行政に限らず、身体障害者に対する心の行き届いた行政が浸透いたしますならば、私どもは、身障訓練の志望者というものはもっともっとふえてくるというふうに予想いたしておりますので、したがいまして、いま一・一倍であるから数は大体いいところであるなどとは毛頭思っておりません。まだまだ量、質ともに拡充しなければならないものと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 その国の計画、何年までにどのくらいまで持っていけばいいんだという、そういう計画を立てられておりますか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 実はたいへん申しわけないことでございます。一つには、計画全体は、この法律が通りました上におきまして、中央労働基準審議会の意見を聞き、かつ都道府県の知事の意見を聞いて基本計画をつくるということになっております。正式には、その基本計画までは新法に基づく正式の何年計画ということは申し上げられないわけでございます。それは別といたしましても、身体障害者に対する労働省の行政というのは職業安定局、職業訓練局、それから労働基準局、それぞれで行なっておりましたからかなりばらばらでございまして、十分行き届いたものを従来やっておらなかったというふうに反省をいたしておりまして、目下総合的な身体障害者対策を早急に樹立すべく部内で鋭意検討中でございます。何年でどのくらいの施設というようなことも、その検討が終わりました暁で申し上げるようにさせていただきたいと思います。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 それでは、この問題はそれ以上突っ込んでみてもしようがないと思います。  そこで第十九条が設けられたということは、これは身体障害者に対してもそういう施設をつくり、また現在の労働力不足、特に技能労働者の不足、こういったものを解決するために一歩いままでよりも進んだ方法として、こういった十九条が設けられたと思うのですね、その点どうですか、そういう考え方ではないのでしょうか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 全く御指摘のとおりでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 そうしますと、いろいろ職種によって違うだろうと思うのですけれども、一つの訓練所の施設をつくるのに、どのくらいの金がかかるのですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) ただいままでの県立の職業訓練所につきましては、建物だけで七百六十万円、機械が七百四十万円、はしたがつきますので、合計で一職種当たり千五百万円という計算でございます。訓練所一軒建てます場合には、少なくとも二職種以上でございますので、少なくとも一カ所当たり三千万円という計算で従来はいたしております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 そこでひっくるめていままでは国が施設をつくって、そして県にまかしておった、こういう形ですね。ところが、この法律によると、県立もできる、また市町村でもつくろうと思えばつくれるのだ。先ほど言いましたように、技能労働者の労働力の確保、そういう意味からこういったものはつくられるわけですけれども、当然法律はつくった、その実態は進まないということではならないと思う。当然これが強力に進められていってこそ初めて問題も解消できるのだということだ。それについては、やはりいまあなたがおっしゃったように、一つの施設をつくるのに三千万、こういうことなんです。その三千万に対して、いわゆる県立でやる場合あるいは市町村立でやる場合、こういう場合に、国の補助というものはどのくらい出るか、どのくらい考えているか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) ただいまのところは、市町村に対しましては、やっている数も非常に少のうございますが、市町村立に対しましては補助金を出しておりません。県立にだけ補助金を出しておりますが、この補助対象額三千万の計算に対して二分の一を国庫負担としております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 二分の一、それが低いか高いか、これはまた検討の余地があろうと思うのです。そこで、たとえば施設、建物、これが七百五十万と言っている。ところが基準単価といいますか、その建物の基準単価は、現在の一般の単価ですね、そういうものと比べてどうですか。安いか高いか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 基準補助対応額の単価は、鉄筋コンクリートの場合に一平米当たり二万四千円、すなわち一坪当たりですと七万円余りに相なるわけでございまして、高いか安いかとおっしゃられましても、私、どうもあまり自信ございませんが、大体官庁営繕の普通の単価であろうかと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 それは安いにきまっているんですよね。問題は、その辺にあると思うのです。私がなぜこんなことを言うかといいますと、こういう制度をつくるという十九条の法律の精神、それは、何といっても、これからの労働力を確保していく、こういうことでつくられているわけなんです。ですから、これが充実してこなければ、こんなものをつくっても何にもならぬというわけです。それには県立においても、あるいはまた市町村立のものが許されるという場合に、そういったいわゆる財政的な問題が大きくからまってくると思う。これがつっかかったら絶対に——法律としては、なるほど納得できる。納得できるけれども、現実においてはなかなかこれは進まない。それでは、事、国が考えている方向にはとうてい進むわけがないということになる。それを心配するわけであります。  そこで、いま市町村に対しては全然何にも考えていない、こういうわけなんですが、それは当然考えていくべきだと思う。わずかな財政規模でもって、三千万だ、四千万だ、これはいまあなたがおっしゃったように、建物とあるいは機械と、こういうようなものに対しての国の補助はあるけれども、これをつくるには相当な土地が要るのですよ。土地の価格というのはこれはたいへんなものだ。そういうものを引っくるめて考えていった場合に、ほんとうに市町村の財政でそういったものを積極的に、こういう職業訓練所の建設ということに対して真剣に取り組んでいけるかどうか。前向きの姿勢で取り組めるかどうかということが一番の大きな問題ではないか、こう思うのです。いままでの例からいっても、たとえば保育所の問題にしたって、これは地元では要望は強いけれども、何とかつくってはやりたいけれども、そういう財政的な問題でもってつっかかってしまう。ここに隘路があるわけです。この職業訓練所の場合も同じことが言えるのじゃないか、こう思うわけですね。そういった法律をつくる精神はよくわかる。それに伴う財政措置に対する国の裏づけ、こういうものを、この辺でやはり明らかにしていくべきだ。ただアドバルーンを上げるだけでなくて、内容はこういうものだということを、私は明らかにすべきであると思うのですが、その点はどうですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 坪当たり単価につきましては、四十三年度に比べますると、四十四年度は、これでも一割弱くらい単価が上がっております。大蔵省の方がお見えのところで申しわけありませんけれども、若干申し上げにくい面もございますが、一般に官庁営繕の単価というものは、それほどゆったりしたものではないように思っておりますが、今後とも大蔵省に強力にお願いいたしまして、単価及びトータルの質、量ともに改善されますように、でき得る限りの努力をいたしたいと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 努力でおしまいになったのではちょっとさびしいのですが、その点について、これは職業訓練をやるということは、そこに非常な意義があるわけです。この保育所の問題にしても、そのほかの施設の問題にしても国が補助する、こういう問題があるわけです。それはいま申し上げたように、非常に基準単価が安い。そこにもってきて、土地に対しては何も考えられない、こういうことで相当つっかかっているわけです。これは、言うならば前例があるわけですね。そういった問題を大蔵省はどう考えているか。十九条の問題は重要な問題だと思う。ですから、いままでの考え方で大蔵省がこれに取り組んでいれば、そうして金が出ないとするならば、この問題は進んでいかない。その辺のところをどういうように大蔵省は考えているか。金の問題、その辺についてひとつ大蔵省の確信というか、決意というか、そういったものをひとつ披瀝しておいてもらいたい。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) ただいま御指摘の施設費の単価につきましては、労働省から御説明申し上げましたように、本年度の予算におきましても増額いたしておりますが、なお、御指摘もございましたので、実情をさらに調べまして、今後とも検討いたしてまいりたい、かように考えております。  なお、もう一つの用地費の問題でございますけれども、これは御承知のように、地方公共団体の永久資産の取得に対するものでございますし、補助単価につきましても、地域差が非常に著しい、あるいはまた同一地域でも場所の選択いかんによりまして単価に大きな差があるというようなことから考えまして、一定の補助単価を設けることには元来無理がございます。そういう意味合いから申しまして、私どもといたしましては、用地費の補助というのは、元来補助金制度にはなじまないと考えておりまして、ほかの補助金制度におきましても、用地の取得につきましては補助対象としていない、こういうことに相なっております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 確かに、そういったことで、一応は理屈は成り立つわけですけれども、いま私が特に聞いておきたいことは、そういう建物にしても、当然国が補助する立場にある。そういう補助に対しまして、現在の一般のいわゆるそういう単価と国で定めている基準単価、そういうものがいまの時代に合致しているかどうか、こういうことを言っているのですね。当然そういった問題が今後大きな影響を与えてくるわけですよ。大蔵省としては、その辺を解決しなければ、この問題は法律ができても進まないのだと、こう私は申し上げているのです。その辺、大蔵省としては、今後の実情とあわして、あるいはまた、いままでの経過からいって、どのように考えているか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 補助単価を実情に合ったものにすべきであるという御指摘は、まことにそのとおりでございまして、今後とも、先ほど申し上げましたように、労働省とも相談いたしまして、十分検討いたしてまいりたい、かように考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 今度の法律で、この建物に対する補助はどれだけだというようにはっきりうたってありますか、これだけ補助するという……。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 補助金条項につきましては、二、三年前の閣議決定で、単純なる補助金条項は今後新しく制定する法律では入れない、既存の法律でも機会あるごとに単純なる補助金条項は落としていくという方針がきまっておりますので、したがいまして、今度の法律におきましては、国の経費負担の条項のみであります。補助金条項は一切落としておるわけでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 やはりこういうものは、法律でもってはっきりしておいたほうがいいんじゃないか、こう思うんですがね。大臣どうでしょうか、その辺は。いままで法律ではっきりうたってあっても、なかなかそれが実行されなかったり、そういう場合があるわけです。それが省令だとか、政令だとかいうものでこれがきめられますと、非常に柔軟性があって、二分の一まで補助しなくてもいいような——いいというか、そこまでいかない場合も起きてくるんじゃないか、こういう心配があるわけです。ですから、やっぱりこの問題については、はっきりとここまでは補助をするんだというものをこの法律にもうたっておくべきである、こういうふうに私は思うんです。その辺のいわゆる考え方についてですね、ひとつ明らかにしてもらいたい。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) 特定の施設なり、事業に対しまして一定の補助金を、一つの種類の補助金を与えればそれで済む場合には、先生おっしゃるとおりの実際的効果があるかと存じます。職業訓練の場合におきましては、先ほど来も申し上げておりますように、いろいろな種類のいろんな形の補助金をどんどん新しく考えていきたいと私どもは考えております。ところが、これこれの補助金を出すということを法律に書きました場合に、従来の経験では、それに書いてある以外の新しい補助金というものは、法律にこう書いてあるからだめだといって、けられるきらいが多分にある。職業訓練の場合に、新しく次々と開拓していく分野においては、補助金条項を法定することによりまして、新しい分野の開拓の支障になるというマイナスもあるんじゃないかというふうに考えまして、私どもは補助金条項は一切入れないという方針を了承したわけでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 それでは、またちょっと戻りますが、身体障害者につきましては、これは厚生省と、それから労働省にまたがる、こういうような問題が多いわけですね。そこで、身体障害者については、福祉関係として厚生省にまかしてしまう、労働省はむしろ一般の労働者に対する職業訓練といいますか、そういうふうにはっきり分けたほうがやりやすいんじゃないか。また、効果もあがるんじゃないかというような感じがするんですが、その点についてはどうですか。

石黒拓爾労働省職業訓練局長

○政府委員(石黒拓爾君) そのような考え方も、理論上は成立するかと存じますが、現実の職業訓練及び職業紹介という仕事は、かなり専門的な知識と熟練を要するものでございます。身体障害者の分だけの訓練及び紹介を厚生省におまかせしましても、これは労働省のような全国的なネットワークもございませんので、なかなかうまくいかないんじゃないか。やはり私どもが従来足りない点を大いに反省いたしまして、私どもみずからの手で身体障害者に対して十分なる訓練と紹介及びアフターケアをすべきであると考えます。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 関連して。ただいま伺っておりますと、労働力の不足というものに、たいへん国としてもお困りのようなんです。私は労働力の不足というものが国に対し、国民に対し、どんな幸いをもたらし、どんな被害を与えるのかということに疑問があるんですがね。労働力が豊富であるということと労働力が不足であるということ、どちらが国にとってしあわせなのか、国民にとってしあわせなのか、疑問があるのです。ひとつ具体的に、これはどちらでもけっこうですが、労働力が不足するために、ことに中小企業では三三・九%不足するという労働力の不足のために、産業は、国は、国民はどんな被害をこうむるのかということを検討してずっと並べてほしい。いますぐに答えていただかなくてもいいが、私、常々考えているのです。お答えになっても、議論になることでありますから、よく検討して、次の委員会で伺いたいと思います。どなたでもけっこうです。そういうことの所管はどなたですか、職業安定局ですか、職業訓練局ですか、またそのほかに担当する局があるのですか。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) この次までに調査して御報告申し上げます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 いま十九条を私は特に問題にしたわけでありますが、当面の問題、いわゆる技能労働者の確保、こういう問題からこの十九条というものはつくられた。特に、十九条にうたわれているこれを進めていくには、何といっても、財政的な措置が最も重要な問題であるというふうに考え、そこでいまのような質問をしたわけです。これをひとつ強力に、せっかく都道府県が、また市町村が、この訓練所を独自の立場でつくれる、そういう権限といいますか、それを与えられたわけでありますから、これがスムーズに進められていく、それだけのあと押しを国が十分にやっていかなければならない。それでなければ、先ほどから言っているように、十九条をつくっても何にもならない。結局一番最初に言ったように、それが強力に進められなかったら、国が結局自分がやるべきことを都道府県、市町村に転嫁してしまったということになる。そういうことがないように、特にこの法で問題になるのは財政的な措置だと考えられますので、大蔵省にもその点労働省の意見を十分述べて、そうして実情に合った、いい方向にこれを進め、そうして成果をあげていかれるように強く要望いたして終わりたいと思います。

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) 特に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  なお、午前の質疑はこの程度にし、午後二時から再開をいたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      —————・—————    午後二時三十一分開会   〔理事大橋和孝君 委員長席に着く〕

大橋和孝日本社会党

○理事(大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、田中一君が委員を辞任され、その補欠として中村英男君が選任されました。     —————————————

大橋和孝日本社会党

○理事(大橋和孝君) 労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方の発言を求めます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 労働災害の補償につきまして、二、三質問申し上げたいと思いますが、最近の重大災害で、たとえば、久留米のゴム工場の爆発事故、あるいは橋げたの基礎工事の水没事故、あるいは北海道における炭鉱の爆発事故、ビルの窓の清掃中のゴンドラ墜落事故、こういう事故で数十名の人がなくなっておりますが、これらの死亡者の平均補償額は幾らになっておるか。最低幾ら、最高幾らぐらいになっておるか。その点まずお尋ねいたします。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 新四ツ木橋の被災者に対します遺族年金の一人平均の補償額は、年間三十一万になっております。それから、北炭夕張につきましては平均三十万、住友歌志内につきましては二十六万、雄別茂尻礦につきましては二十四万、日米ゴムにつきましては十二万。いま手元に平均だけしか持ってきておりませんので、一応こういうことでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 年金額で平均をいま言われたので、大体二十五、六万が平均だと、こうとれると思うんです。そうしますと、最近の自動車の事故で、賠償責任保険では、死亡が三百万、九月には五百万に改定される、こういうことなんですが、いまの労災保険がこれでいいのかどうか。あまりにも差が開き過ぎてきておりはしないか。どういうお考えなのか、ひとつ聞かしていただきたい。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 先生御承知のように、自賠保険は一時金で支給されておるわけでございます。自賠保険の場合は民法上の損害賠償でございますので、故意、過失というのが前提になるわけでございます。労災保険の場合は無過失責任でございますので、そういう責任は問いません。したがって、また補償の姿も、四十年改正によりまして、そのなくなられました方の稼得能力、その損失につきまして必要な期間ずっと見ていくと、こういう補償のたてまえになっておるわけでございます。自賠保険のほうは、いま申しました性格上、精神的な損害を含めまして、全損害をはかりまして一時金として支給すると、こういうたてまえになっておりますので、その性格が違いますので、比較がなかなかむずかしいということになっております。ただ、私ども、年金を現在の平均的にとりまして計算いたしますと、たとえば残されました奥さまの余命年数等計算いたしまして、平均給付基礎日額に換算いたしまして計算いたしますと、年金として終生もらわれます額を一時金として計算いたしますと、約五百万近くになりますので、そういう一時金でもらわれます方と、年金でもらわれます方と非常に比較はむずかしゅうございますけれども、そういう計算をいたしますと、約五百万近くになる。こういうことになります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 そういう考え方で労働省の責任のある立場におられるということは、私はまことに驚いたです。おそれ入ったです。年金がこれから数十年続いていく、その結論を持ってきて一時金と計算をされる。さらにまた、それを言うなら、年金の前に、一時金の四百日分はなぜ言わないのか。四百日分で計算してみなさい。一日一万円だって四百万円でしょう。あなた方は人間の生命というものを、法でこの場合はしかたがない、この場合はしかたがないと、そういうふうな冷たい考え方で処しておるからこういうことになってくるわけです。私は、少なくとも、これは労災保険はいまの場合非常に少ない、何とかしなければならぬのだというお答えが出るかと思って、質問をすらすらとやって、三十分ぐらいでやめるつもりだった。そういうお考えなら基本的な問題もここで論争しなければならぬ。人間の生命の問題を考える場合に、たとえば、会社で死んだ、工場で死んだ、通行中に死んだ、その家族の問題、与える損害の問題等から考えて、どうしてそこに差別をつけていかなければならぬか。そういう問題。それから年金ならなぜ同額でいいのか。あなたは年金は同額でいいというなら、物価その他も一切二十年も三十年も上がらないのだと、こういうふうにお考えなんですか。利子は計算してないんですか。そういうような考えで法律案の説明をされたんじゃたまったもんじゃない。四百日でいいかどうか。年金が計算すれば四百万か五百万になると、いまから何十年生きるのを計算されているのか。その点ひとつお聞きしましょう。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 実は、いまたてまえの違いを申し上げたわけでございまして、労災保険の考え方は、そのなくなられた方の損失を補てんするという考え方に立っておりますので、その補償の姿はその残されました方々、その方々の終身について補償していく。こういうたてまえが労災補償の一番徹底した姿ではなかろうか。そういうふうに申し上げるのが本意でございます。たまたま金額を比較した点は一つの仮説に立ってお答えいたしたわけであります。四百日につきましても、現在制度がございますけれども、これは日本だけの異例の制度でございまして、つまり労災補償というのは扶養利益のある方に対して、そのなくなることによって損失を受けたということについて給付するものでございます。したがってそれについては年金を本則といたしております。ただ扶養利益、全然扶養されていなかった方に対していろいろな前からの事情がございまして、日本的な特殊事情がございまして制度として残しておるという趣旨でございます。したがって扶養をされた方については年金で処理をする、扶養利益のなかった方については四百日分で現在制度を日本的な制度として残しておる。こういうわけでございます。ただいろいろと遺族補償の問題については問題点がございますので、これについては、労働省といたしましても、基本的に考えてまいりたいという態度は持っております。現状の説明を申し上げまして多少誤解を受けたと思います。けれども、私ども、今後こういう遺族補償について基本的に検討しなければならぬという態度は持っております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 大臣に御答弁願いましょう。最近の裁判所の判例でも、ホフマン方式で賠償金を計算されると、一千万円以上の判決が出されておるわけです。それから自動車の所有者が任意保険に加入している場合も一千万円以上受けているわけです。そういう時代なんです。それを課長の考え方では、年金が平均二十六万、月二万です。月二万でいいのかどうか。一方では、裁判所の一千万円以上の判決が出てきておるわけです。四百日分でいつまでもこれでいいのかどうか。大臣のお考えをひとつお聞きいたします。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 御承知のごとく、これは一時金でなくて、こういう年金制度にいたしておりますので、見たところ、一見非常に何となしに少ないような印象も受けるし、事実、またいまおっしゃったように、一千万円の裁判所の判決が出たりしていることもよく存じております。できることならば、もう少し金額を上げてみたい、そう思って、いま労災保険審議会にそういう答申を求めて、その答申待ちで、十二月にはその答申が出ることになっておりますので、その答申が出ましたときにおいては、それを踏まえてもう少し額をふやすこと等も考えてみたい。  それから、この間新聞にもちょっと出ましたが、交通災害の遺児にも、財団法人ができまして、これが育英資金を設定することになりました。私もこれに若干お手伝いさしてもらいましたのですが、そういう交通災害でなくなった方の遺児の育英資金制度がもう確立して、財団法人も出発いたしましたが、それにかんがみまして、労災でなくなられた方の遺児に対して、高等学校及び大学で、能力もあるし学校へいきたい、しかも資金がない、こういう方々に対して育英資金の貸しつけ等を別に考えて、いま先生のおっしゃったように、はなはだ乏しい、保険金が少ないのでございますが、そういう点もまた加味して援護の手を伸べていきたい。いませっかく事務当局にその検討を命じてやらしておる。できたら、来年度予算のときに考慮して、こういうこともいろいろあわせてやりたい、こう思っておる次第であります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 わかりました。それでは、その労災審議会に諮問されておる労働省の考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。ただ、漫然とこれでいいのか、悪いのかという答申なのか、こういう差ができてきておる今日の労災法はどう変えねばならぬのか、こういう基本的な考え方があって諮問されておると思います。  さらに、労災審議会は大体いつ開かれておるのか、何カ月に一回開かれておるのか。そしてあとで問題が出てまいりますが、労災審議会に逃げ込んで、労働省としては労災審議会の結論待ち、こういうような状態であるのではないか、そういう点ひとつ御説明願います。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 労災保険制度の改正につきましては、実は、労災保険審議会は前々から一つの慣行がございまして、労使、公益三者でできるだけ最初に煮詰めて、ある程度の結論が出ましたならばそれを建議して、それを受けて諮問するというようないままでの慣行がございます。そういうような形で一昨年から始めておりますけれども、ことしの一月から本格的な審議に入りまして、最低一カ月二回、多いときは三回現在までやってきております。大体現在の状況といたしましては、労使それぞれから意見が出されましたものが相当煮詰まってまいりまして、第一読会を終えたような状況でございます。近く第二読会に入りまして、いまの委員さん方のお気持ちといたしましては、十月ぐらいをめどにして審議会の意向を固めたいというふうな考えでございます。私どもといたしましては、従来の労災保険審議会のそういう慣行を基本にいたしまして、出ました結論につきましては、慎重に、十分に尊重いたしまして法案化につとめたい、こういうふうに考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 それでは、今回提出されておる厚生年金の障害年金ですね、遺族年金の最低補償額が六万円から九万六千円になる。これと労災保険との関係を説明してください。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 現在国会に提案されておるわけでございますけれども、相当大幅な厚生年金の引き上げが行なわれるわけでございますので、この法律が成立しますと、労災保険の遺族及び障害の給付につきまして、特に賃金の低い方については厚生年金の遺族年金あるいは障害年金が上回るというような例が、数は少のうございますけれども出てくるということが予想されます。そういうわけで、実はこの問題は、労災保険の最低基礎日額の最低額でございますが、これとの関連になってまいりますので、実はこれは私どものほうの労働省令できめるようになっておりますので、この厚生年金の成立後におきましてこれと矛盾がないように措置をしたいというふうに考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 そうしますと、省令だから、法律じゃないから労働省でかってにできる。十一月にこれが実施されるわけですね。そうすると厚生年金の障害年金の三級と労災保険の七級とが大体同じことになるわけですね。それが現在六万円、労災保険入れて七万八千円、そうでしょう。それが今度は九万六千円になる。九万六千円になれば、労災保険は一銭ももらわぬ、ゼロになるわけです。そうでしょう。そうすると、厚生年金は九万六千円を出すけれども、労災保険では一銭も出さぬでいい、こういうことになるわけですね。労働者を監督されておる労働省のこれがゼロであって、厚生省のほうがうんと先に進んでいる、これは一体どういうことなのか。しかも十一月ですよ、これは。十一月に実施されるのですよ。これを省令で幾らにしますか。十一月からこれと合わせてどうしますか。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) この問題につきましては、先ほど申し上げました審議会でも御提案ございますので、これについては、先行先議をいたしまして結論をいただいて措置をしたいと思っております。最低基礎日額の問題については御議論いただいておりますので、これを厚年とあわせまして大幅に引き上げたいという私ども気持ちを持っておりますので、その点を十分お話ししながら審議会の場で具体的な金額をいただきたいと、こういうふうに考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 労働大臣、お聞きのとおりなんです。六万円の場合は労災保険で一万八千円出すわけです。七万八千円です。今度九万六千円になって十一月から実施するということになっておるわけです。厚生省じゃその法案が出ておるのです。それを労働省ではまだ審議会の意見待ちですか。労働省の職務は一体何なんです。厚生省ですら、これをちゃんと出しているのです。当然その金額出ておらなければできぬじゃないですか。こういうことを審議会待ちなんておかしいのじゃないですか。厚生省ではすでに金額まで出されて十一月から実施する、もう法案出されておる。それを法案でなくて、省令でかえられるやつを何で審議会待ちで待たなければいかぬのでしょうか。大臣でできるでしょうが、審議会に聞かなくても。こんな問題まで審議会に一つ一つお聞きして、そうして審議会にお願いします、お願いしますでは、どこに労働省の権威がありますか。省令だったら聞く必要ないでしょう。大臣のほうでやったらいいでしょう、いかがなんです。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) たいへんおしかりをこうむりましたのですが、まだ厚生年金の法律案も通っておりませんし——通るかもしれませんが、私のほうといたしましても、審議会、審議会と申しますが、審議会の審議にかけることになっておりますので、そういうふうにかけますけれども、御期待のように急いでやります。でありますから、この秋にはその結論を出して、御期待に沿うような処置を急いでやる所存でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 これ以上言っても、案も持たぬのですから、しかたないですが、労働省というのはあまりにもずさんだと思うのです。厚生省がこれだけの金額を出したら、それに見合う金額は当然労働省にあるべきはずなんです。審議会に諮問するのもいいでしょう。しかし、労働省としては、いまのバランスをくずさないで、考えても、どのくらいは当然必要だ、それでこのバランスでいいですか、どうですかといってかけるのならわかるのです。いままでバランスがとれてきておった、とれてきてなくても一応そうやってきておったやつが、一方がぐんと上がったら当然上げなければならぬということがわかっていながら、その金額も握っておらない。私はこれではあまりにも消極的で、厚生省から笑われやしませんか。厚生省のほうはぴしゃっと出してしまっている。十一月一日から実施する。それができないのは国会の責任になるかもしれません。しかし、労働省はあまりにも消極的だ。あまりにもこの種の問題に前向きじゃない。原労働大臣の話をけさも私はテレビで聞きましたが、ああいう実態を見てきて、前向きにやる、前向きにやるとおっしゃるから、私はもうちょっと前向きでやってもらおうと思ったら、言うことは前向きで、実施は何もされておらない。こういうわかり切ったことでもまだ金額を握っておらない。私は非常に失望したのですがね。ひとつ前向きの姿を見せていただきたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 御承知のように、そのバランスのとれるような方向で審議会にはかっております。それはきめることになるようにすみやかにやります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 先ほど課長のほうから外国の補償にはこういう制度はないのだということですが、外国の補償は、日本と比較して一体どうなっておるのか。外国の労災補償ですね、全部でなくてけっこうですから教えてください。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) まず条約について申し上げますけれども、実は昭和四十年で年金改正を出しましたときの基準は、ILO一〇二号条約を批准いたしました遺族年金の給付率は、一〇二号条約では、妻及び子供二人、すなわち標準世帯と申しておりますが、四〇%というふうになっております。これにつきましては、現行の日本の労災保険と水準を一にしております。その後できましたILO一二一号条約につきましては、先ほどの四〇%が五〇%というふうになっております。それから先進諸国と言われます西ドイツ、フランス、デンマークあるいはスイス等について申し上げますと、遺族の数によって違いますが、妻一人の場合は日本と同じように三〇%、あと子女加算がついてまいりまして、西ドイツの場合は最高八〇%、それからスイスの場合は六〇%、デンマークは五〇%、日本は三〇から五〇、こういうことになっております。先進諸国から比べますと、低いということが言えるかと思います。ILO条約につきましては、最近できました条約については若干低めになっておる、こういうことでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 そうしますと、率においても先進諸国から見れば日本は相当落ちている。さらに賃金そのものが格段の差があるわけなんですね。だから日本の労災補償というものは非常に少ないんだ、こう言えると思うんですね。だから問題は賃金にあるのか率にあるのか、その点何ですか、率を変えるというお考えはおありになるかどうか、御説明願います。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 何度も労災審議会の意見待ちということを申し上げまして、おしかりを受けると思いますけれども、最終的にはそこの御意見をいただきたいと思います。ただ、私どもの考え方としては、少なくとも国際水準でございますILO条約というものを常に頭に置いて検討したい、こういうことを申し上げたいと思います。したがって、率において低いということが一点と、それからまた、特に日本は賃金の格差が規模によってございますので、特に中小零細企業等において、補償の額というものが大企業に比べて低くなっている。これは損失補償の原理からそうなると思いますけれども、そういった一因からくる面もあるというふうに考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 この種の問題を質問しますと、全部審議会に逃げ込まれてしまう。その審議会の三者構成の中で、労働省はその主役をつとめられているはずなんです。そこに労働省の意見が入らずに、こういう問題も一切が審議会待ち、これでは労働省の自主性はどこにあるんだろうか、こういうふうに考えるわけですけれども、しかし、それは審議会待ちなら審議会待ちでまあやむを得ないでしょう。しかし、審議会というのは、労働大臣の諮問機関でしょう。労働大臣がかくかく考えておるがどうだろうかということをお聞きになるのが私は審議会だと思うのです。ただ、ばく然とどうあればいいかというような世論調査みたいなことで審議会をお持ちになっておるんじゃない、私はこう思うんです。もっと確固たる労働省の考え方を披瀝して、審議会で検討してもらって出してもらったらいかがか、そうしなければ進まない、こういうふうに考えるわけです。  それから現行の労災年金の受給資格のない人ですね。これの数字を申し上げますと、私の調査では脊損患者が全国で十八名、けい肺患者が十七名、合計三十五名です。もちろん入院費用は福祉事業団で持ってもらっております。これはまだ入院外の人もいるかもしれませんが、わずか三十五名の方々を法で守る意思があるかどうか。いわゆる脊損患者、腰の骨が折れてどうにもならない方、けい肺で全然仕事ができない、自分で治療もできない、そういう方がわずか三十五名、これが今日の法からはずされているわけです。これに対して今日の法の中にこれを入れる考えがあるかどうか、その問題をお聞きします。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) ただいま御指摘の三十五名の方につきましては、実はこの年金あるいは長期傷病補償給付と申しますか、こういうものの制度が新たに昭和三十五年にできたわけでございます。それ以前に打ち切り補償で処理をされたわけでございまして、法律的にはそこにどうしても制度に乗ってこないということになったのでございます。しかしそういうことでは非常にお気の毒でございますので、現在、保険施設によって、その方々が引き続き療養ができますように、本来ならば打ち切り補償というのは、それで災害補償が終わったという趣旨でございますけれども、療養費を全額持ってもらえる、特に脊損患者につきましては栄養その他をとらなければなりませんので、そういう栄養食を加算するというようなことで、保護に欠けないように考えてまいったわけでございますが、なお、最近のいろいろな情勢から、この補償をさらに徹底してほしいという御要望もいろいろ聞いておりますので、これについては法律制度的には非常に技術的にむずかしゅうございますが、そういった保険施設の面で十分検討いたしたいというふうに考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 よく承知いたしております。この三十五名の皆さんが、今日の年金以前の一時金で打ち切られて、そして法の適用を受けられないんだということは百も承知して質問を申し上げておるんです。だからいま言われたように、たとえば脊損患者は一日四十円を加給してあるわけなんです。だから今日の状態から、四十円でいいかどうか、栄養剤が四十円で何が買えるか。ばく大にといっても、それはできないでしょう。しかし今日の四十円が、栄養剤を買う、またそれ以上の食物をとるというようなことにどれだけ役に立つだろうか。さらに、脊損患者にそれぐらい出しておられるんだから、せめてもけい肺患者にもそれを適用されたらどうか、あと十八名なんです、金額にしたら微々たるものです。そういうあたたかい気持ちはございませんか。法でいえば救われぬことは知っております。しかし、もう十五、六年前に打ち切られた人たち、そして入院しておったら、おそらくこういう姿になってくると思うんです。それを、お前たちの法律のときは違ったんだ、いまの法律は違うんだということじゃ、あまり冷たくないか、それもわずかです。だから、そういう点に何かあたたかい思いやりをやっていただくわけにはいかないか、こういうことなんですがね。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 四十円の件につきましては、脊損患者特有の褥瘡ができたり何かして、そこから栄養が出ていくというようなことで、特別に扱われたというふうに私は聞いておりますけれども、いまお話しのように、こういう非常に重い病気でそういう療養に専念されるためには、もう少し何らかの手を打たなければならぬということにつきましては、全く同感でございますので、そういう点について私ども今後真剣に取り組んでいきたいと思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 お願いいたします。飛び飛びになりますが、時間を急いでおりますので、お許しを願います。  先ほどILO条約の一二一号の問題が出ましたが、通勤途上の交通事故は、ILOでは、これは職場と見なすと、こうなっておるはずです。日本ではどうなっておるのか、通勤途上の交通事故は労災で見るようになっておるか、なっておらないか、お伺いいたします。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) 労災補償のたてまえは、先生御承知のように、使用者の支配下にある場合において起こりました災害について補償を行なうと、こういうふうになっております。したがいまして、通勤途上につきましては、たとえば会社が専用の輸送機関を持っておりまして、これに乗って通勤をするようにというふうな指示がある、あるいはそういう慣行になっておりました場合には、使用者の支配下に入っておるということで、業務上ということで処理をいたしております。ただ、一般的な公共の輸送機関に乗ってまいりました場合には、使用者の支配下に入っておるというようなたてまえと違ってまいりますので、現行の取り扱いは、通勤途上を業務災害といたしておりません。いま申し上げましたように、これは労災補償制度の基本に触れる問題でございまして、現在は、一般的な通勤は業務上ではない、こういう処理をいたしております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 会社の指定する乗り物に乗った、その途中で事故にあった場合は、これは労災の適用がある、これは当然でございますが、ILOの一二一号の第七条ですか、これでは、通勤途上は業務上に含めるということにはっきりなっておると思うのです。私は、ILOできまったから、各国が全部それに右にならっておると言っておるわけではない。しかしILOでこれを認めておる。そうすると、日本が特定の会社の車以外であったならば認めないというのはおかしいではないか、これはいかがでしょうか。こういう問題は、おそらく審議会におはかりになって、ILOではこうなっておりますが、これはいかがでしょうかとお聞きになっておると思ったところが、これは違うという今度は逆な返事なんです。どうも私とあなたの感覚のズレかしらぬが、これならば、労働省が答えられるというやつは答えないで、審議会に逃げなさる、こういうやつは当然審議会に逃げなさると思ったら、だめだとおっしゃる。どうもおかしいね、どうなんですか。

桑原敬一労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(桑原敬一君) これは現行制度の取り扱いを申し上げたわけでございますが、審議会にはこの問題点は提起いたしておりますし、また審議会でも非常に熱心に御審議いただいております。ただ、この条約の読み方でございますけれども、労働災害の中には、通勤途上の災害というものもその定義の中に入れるべきである、こういうような趣旨でございます。その場合に、通勤途上災害というのは、その国々によってその定義をきめてよろしいと、こういうふうになっております。したがって、たとえば日本みたいな通勤途上の扱いでも、ILO条約のいわゆる通勤途上を業務上災害の中に入れているか、いないかという意味合いにおきまして、狭いのでございますけれども、入っておるという理解ができます。しかし問題は、そういう文理的なものではございませんで、現在の交通戦争のさなかで、この通勤途上災害の問題を労災保険法上で取り扱うか、あるいはもう少し視野の広い形で取り扱うかというふうな緊急な問題として、私ども十分理解いたしておりますし、また、審議会の場におきましても、この問題については非常に真剣に御議論をいただいておるようなわけであります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 最後に、じん肺の問題について一、二点質問いたしますが、労災審議会は月に二回ないし三回やられておる。まことにけっこうだと思う。じん肺審議会は一体、一年に何回やっておられるのか。私の聞いたところでは、非常に少ないように思うのですが、どういうことかお聞きをいたします。

伊集院兼和労働省労働基準局労働衛生課長

○説明員(伊集院兼和君) 総会につきましては、本年に入りましてから二回でございます。一月末並びに四月の中旬に開催されております。なお、五月中にじん肺審議会の小委員会が二回開催されております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 私も、あまりじん肺審議会が開かれておらないので、四月には傍聴に行きましたが、それ以来開かれておらないのです。一年に一回か二回ぐらい開くような審議会で、一体どうなるだろうか、こう思うのですがね。最近もうじん肺という病気は、今日公害があれだけ問題になっておりますから、私はだんだん減ってきているものと思っておった。ところが、私の資料では、だんだんじん肺患者がふえてきておる。逆行になってきております。これもまた正確な資料を握ってというわけではないのですけれども、大体、大企業がこういう責任を逃がれるために、じん肺の多いところは下請業者、請負業者にまかしてやっている、こういう傾向にあるやに私は聞いておるわけなんです。実態はそういうことなのかどうか、あわせて御答弁を願います。

伊集院兼和労働省労働基準局労働衛生課長

○説明員(伊集院兼和君) 先生御来会いただきましたが、四月に開催されました。その後、五月に引き続いて小委員会が二回開かれたことは、先ほど御報告申し上げたとおりでございます。今月中旬に開催が予定されておりましたが、会長その他委員の先生の御都合もございまして、来月早々に延期されました。来月に小委員会並びに総会が開かれることになっております。  次に、じん肺の予防並びにその数字でございますが、先生ただいま御指摘いただきましたじん肺の発生いたしますおそれのある粉じん作業につきましては、すでに御承知のように、じん肺検診を実施いたしております。そのじん肺検診の数は、粉じん作業の従事労働者数の増加に伴いまして、年々増加をいたしておりまして、その発生率につきましては、じん肺の有所見者数は大体一0%足らずございます。わずかに減少しているという傾向も見られますが、年次を追いました場合に、必ずしも減少の楽観は許さないという現状にあることは、御指摘のとおりであると認識いたしております。  なお、下請関係のことでございますが、企業係列上下請関係にありまするものが、確かに一つの職場で作業をいたしておるという場合がございます。じん肺のじん肺検診実施の義務は事業主に課せられております関係で、下請業者は下請業者の事業主にそれが課せられておるという関係で下請業者に所属いたしまする労働者については、たとえ粉じん職場に——親工場の粉じん職場に働いておりまする場合も、法律的な義務は下請業者にあるという形でございます。ただ、じん肺検診を実施いたしまする際には、親工場がそういったことをめんどうみてやるのが現実的には妥当だと存じまするので、極力その方向で指導をいたしておるような次第でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 じん肺問題で、伊集院課長さんに私がここで質疑を行なうなら、時間が何ぼあっても足りませんから、一、二点だけピックアップして伺いますが、合併症の場合、結核がなおった時点において、これがけい肺の一症度、二症度、あるいは三症度になるか、そうした場合に、この人は、二年以上たって会社もやめて、年金も打ち切られる。そういう形になった方を雇ってくれるところもない。まことにみじめな姿になるのですが、そういう点についてどう考えておられるか。  さらにけい肺で衰弱しておったがために、余病を併発して最近なくなられる方が非常に多い。そしてこれが皆さんのほうにも陳情あるいは抗議で来ておると思うのです。それに対しては、まことに冷たい法の見方がなされておるのじゃないかと思うのですね。これは私、極端な例を申しますと、ガンになった、ガンで死んだ、お医者の方はガンで死んだのだから労災の適用はありません、こうなるわけなんです。そうすると、それが正しいのだとして一切この適用は受けられない。しかし、今日医学でいわれるのは、ガンの早期治療、早期発見はこれは必須条件で、必ずなおる、手術すれば必ずなおる、こう言っておられるが、早期発見しても、手術しようにも、じん肺で衰弱してしまっておるからだは手術に耐え切らない。だから何ごともなし得ずして死ぬのを待つばかり、こういうことになるわけです。これは極端な例で、私も研究してもらうようにお願いはしてあったんですが、その他いろいろの病気になっても、まずからだが衰弱してきておる、そのために治療が思うとおりにいかない、そして死んでいくけれども、病名はじん肺じゃない、こういう例が非常に多いようですが、これに対してどうお考えになっておるか。  もう一つ、四症度の場合は、年金で何とか治療をしておりますが、これにもまたいろいろ意見がございますが、四症度、三症度、二症度、一症度という場合に、もう少し考え方はありはしないか。三症度は粉じんの職場には行けない。職場は転勤させられる。転勤するときの転勤料はもらう。しかし、賃金は下がる。これではあまりひどいではないか。この三点にしぼってお答えをいただいてきょうの質問をやめたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。

伊集院兼和労働省労働基準局労働衛生課長

○説明員(伊集院兼和君) 先生御指摘の第一問は、管理区分四に該当して療養中の場合、幸いにして結核合併症が好転をしたために、管理区分三に変更される場合ということだと思います。じん肺法は、健康管理法でございます関係で、ただいま御指摘のとおりのことになるわけでございます。ただし、そのことは、先生の三番目の御指摘の問題とも関連があるかと存じますが、じん肺法が制定されました当時には、けい肺法の法施行の過程の中で、かつてじん肺が不治の病であるというふうに言われておりましたのが、幸いに部分的には治療効果がある。ことに、御指摘のように、本来のじん肺についてはなかなか治癒は期せられがたいけれども、合併症については、合併結核については、治癒の可能性があるということで、四から三への転換ということも一応予定されたわけでございます。しかしながら、実際問題といたしまして、その後の運営におきましては、確かに幸いにして部分的にそういうことがあり得たわけでございますが、同時に、具体的な作業能力の判定等については、なかなかむずかしいことがございます。したがいまして、管理四から管理三に変更されます場合につきましては、非常に慎重にケースごとにこれを取り扱うことによりまして、そのケースごとの処理に当たっているというのが実情でございます。したがいまして、その実数はただいま手元に持っておりませんが、非常に例外的な数だと御報告申し上げることができると存じます。  なお、第二点につきましては、管理四として、じん肺の療養中における死亡の場合に、必ずしもじん肺による死亡として取り扱われない場合があるではないかという御指摘だと存じます。御承知のように、死亡に際しましては直接の死因、間接の死因等がございます。じん肺によりまして療養中の者でも、直接、間接、必ずしもじん肺によって死亡するとは限らないわけでございまするので、死亡の直接、間接要因が、いわゆる死亡原因がじん肺と無関係だという場合には、御指摘のように、じん肺による死亡としての業務上の取り扱いということができないというのが確かに法律上のたてまえでございまして、そのように実施されなければならないわけでございます。また反面、ただいまガンのことについて特に御指摘がございましたが、じん肺の中にはいろいろな種類のじん肺がございます。中には石綿によります石綿肺がございます。石綿肺につきましては、これが肺臓ガンに転化する可能性というものも、学問上も論議がなされておるような次第でございます。その意味では全く無関係だとはいえないという観点で処理をいたしております。またじん肺によりまする肺の機能障害、心臓の機能に及ぼす影響から、心臓マヒが起こったという観点で、いわゆる肺性心の診断のもとに、この種の死亡について、業務上の取り扱いをいたしておるというのも多数ございます。これを要するに、今日じん肺で療養をしておられる方の大部分の方の中で、不幸にして死亡された方の大部分は、今日業務上の死亡として取り扱われておるわけでございますが、何ぶん死亡の際に、最初に触れましたように、直接間接ともに関係がないのだという診断をいただいておる場合には、最初の原則に戻らざるを得ないというのが実情でございます。なお、これらにつきましては、先ほどのじん肺審議会でも御検討をいただきまして、今後運用上、特に具体的な一そうの配慮を引き続き行なうことという御要望をいただいておる次第でございます。  なお、三番目の問題は、管理一、二、三という中で、特に管理二、管理三、その中でも特に管理三はじん肺の所見が軽微といいがたい程度にある。そのために、粉じん作業からの配置転換を勧告すべき対象でございます。しかしながらじん肺の治療については、特段に今日の治療技術の効果がないという観点から、治療の対象になっておりません。したがいまして療養補償の対象にもなっていないということでございます。しかしながら、御指摘のとおり、配置転換を必要とする程度に障害があるわけでございまするから、労働能力等につきましても、ケースによっては多少の相違はあるにしても、相当の労働能力障害ということも当然に考えられるわけでございます。その観点で従来から配置転換手当等の支給はございますが、それ以上に何らか保障の手段はないものかということがじん肺審議会でも審議をされて御審議いただいておるところでございまして、先ほど小委員会が昨月引き続き開催されましたのも主としてこの問題でございまして、この問題は、実はじん肺審議会は、じん肺健康管理についての審議をされるところでございますが、それと関連をして審議をされました。先ほど御質疑のございました労災補償審議会のほうに、このことについて具体的な御要望を申し上げたらどうだということで、近く重ねてじん肺審議会が開催され、ここで労災審議会のほうに御要望を申し上げるという結論を御答申いただくのじゃないか、かように存じております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 最後に大臣がお見えですから御要望を申し上げておきたいと思うのですが、短時間で労災の問題を一応質問申し上げて終わるわけですが、私が質問申し上げた真意は十分おつかみいただいたと思うのです。特に人命の問題につきまして、何か職場で命を失うことが一番生命の価値は安いのだと、職場で死ぬのだったら途中で自動車にひかれて死んだほうがよかったのだというようなことが言われるような今日でございますので、格段と前向きのひとつ施策をお願い申し上げたい。  さらに、ただいまのじん肺の問題は、すでに法律が出て久しい。もうこれは何にも心配はないのだというようなことがささやかれておるのですけれども、事実は逆で、ますますじん肺患者もふえておるし、その陰で非常に泣いておる。伊集院課長さんが言われるように、審議会の中でもその問題が審議されておると思います。どうぞ大臣のひとつ決断力で労災法がいまよりも数段明るい法律になっていくように、みんなに力を与えるようにひとつ御努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) 御説のごとく、労災保険金を上げる方向につきましては賛成でございますので、ぜひそういう方向に向かって、前向きに積極的にやっていきたいと思っております。またじん肺とか脊損患者等についてもこれを救済すべく検討いたしたいと思います。   〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それでは、私は畑鉄工所の不当労働行為の問題に対して、この前ちょっと調査をお願いいたしておきました。  この会社は、資本金は五千万円くらいで、取引先は武田製薬とか田辺製薬、あるいは第一製薬、藤沢、三共、あるいは大日本製薬、あるいは大日本インキ、あるいは藤化成、三洋電気、こういうような形で相当大メーカーに対しての取引先を持ち、また従業員も百五名くらいの中小メーカーの企業ではあると思いますけれども、相当利益をあげておるところの会社であると思っておりますが、御調査の結果はどうですか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○説明員(大塚達一君) 畑鉄工所に関しましては、ただいま先生おっしゃいましたように、薬の関係の機械製造というように承っております。企業の業績内容につきましては、正確なところは把握いたしておりませんが、いまの現状のもとでは、はっきり先生のおっしゃった傾向があるのではないかということは考えられます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 非常にまあ内容的にもいいので、今度の春闘では賃金を一万四千四百八十四円請求した。これは一律八千円、プラスアルファーということで要求したようでありますけれども、それの回答が五千十八円ですか何かのような回答が出て、そしてまあいろいろ団交が繰り返されたようでありますが、非常に今度の春闘を全体的に見るならば、春闘の交渉の中で、団交の中でうまく話が進んでおる、そしてまたかなりのベースアップを認められておったという中で、ここではその問題に対して考慮するとかいう配慮が非常に少なくて、非常に一方的に何か処理されて、しかもストライキを組んで始めたら、すぐもう、話によりますと、四月の十日ごろには松木組とかいう会社の幹部でピケをはって強引に締め出しをした。そしてまた続いて四月の二十九日にはロックアウトをして、しかもその組合の組合員が、これは全金属に属する組合なんでありますが、その組合員のおるところは、小さな部屋に区切って、便所もなければ水道もない。基本人権を踏みにじるような状態でもって、軟禁状態にする。しかも外側ではデモをし、威圧的な態度をしてその組合に圧力をかける。このようなことで今度は第二組合というようなものをこしらえて、人数は何名でしたか、十七、八名のように聞いておりますが、御用的なものにして、その者に対しては賃金を相当支払ってやる。いろいろ団交を申し入れてもなかなか開かない。しかも、そうしたことをやって、また下請けの、何といいますか、会社の従業員もつれてきて就労をさせる。そして非常に組合に対しては団交もしないし、あるいはまたそういうふうな基本的な人権も満たされないような、圧力を加えて、どちらかと言えば、社長の言うままにならない組合はつぶしてしまうための一つの労働攻勢である。いわば不当労働行為であるというので、この問題が端を発したやに聞いておるんでありますが、御調査の結果どうなっておりますか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○説明員(大塚達一君) 私どものほうで府を通じまして調べましたところによりますと、当該会社につきましては、今度の春闘の賃上げにつきまして、組合側は一万四千四百八十四円の要求をいたし、会社は、先生おっしゃいましたように、五千十八円いう第一次回答が三月二十九日に出ておりますが、その後組合側がこれを不満として要求をいたしたわけでございますが、会社といたしましては、四月ごろ、ほかの会社の回答が出そろうのを待って回答したいというようなことで、回答を保留し、団交も延ばすことを申し入れたようでございます。これに対しまして、組合側は、三月の末になお団交の再開を申し入れて、会社に対する争議行為に出たわけでございますが、結局その後四月七日からはストライキに、リレーストと言っておりますが、全部を七班に分けて逐次一時間ごとにストライキに入るというような形のリレーストというようなものに突入するというような状態でおったわけでございます。一方団交のほうは、会社は十日過ぎと言っておったわけでございますが、十五日以後、十五日、十八日というふうにもたれたわけでございますけれども、内容的にはあまりその後進展している模様はなかったようでございまして、その後四月二十三日にさらに団交をするという約束をした。労使で確認した後、四月二十二日に会社側が組合側に対しまして、会社側の意見といいますか、意見を付して団交を拒否した。一種の拒否声明みたいなものを出したわけでございます。その拒否声明の内容といたしましては、一応会社側があげておりますのは、団交中に外で安保反対等のシュプレヒコールをしないこと、あるいは四月十日の出荷の際にこんな会社はぶっこわせというような発言があるが、以後このような発言をしないこと、あるいは団交の席上、聞くにたえない発言があるが、そういう発言はしないこととか、あるいは団交の人数をしぼるとか幾つかの点をあげまして、これらの点が改められなければ団交には応じられないという趣旨の声明を、会社側が四月二十二日にいたしておりまして、即日組合は京都の地労委に対しまして団交促進のあっせん方を申請しております。その後ほぼそれと時を同じうして組合が分裂いたしまして約十五名が第一組合を——私どものほうで調べたところでは、従業員百五名のうち五十九名が第一組合ということになっておりますが、十五名が第  一組合を脱退して第二組合を結成する。さらにちょっとあとになりますが、組合が分裂した、その後地労委のあっせんのほうは二十四、五日と行なわれたわけでありますが、結局不調に終わって、組合はさらに四月二十六日に地労委に対して団交を即時再開し、支配介入行為の排除ということで地労委に不当労働行為の申し立てをしております。その後先ほど申し上げました、四月二十三日に脱退した組合脱退者が二十九日に新しい労働組合を結成して、いわゆる第二組合を結成して賃上げ要求をするという形で、いわゆる組合が二つできたわけであります。その後それに対して会社側はまあ団交要求を受けたのが二十九日でございますが、同日、会社側が旧労働組合に対しまして  ロックアウトの通告をいたしまして、いわゆる組合側のシャットアウトということをやったわけであります。これに対しまして、四月の三十日に組合側が京都地裁に就労妨害排除と団交再開促進ということで仮処分申請を地裁に対して行ないました。地裁は五月一日に団交のすみやかな再開を命令いたしております。ただ、この際、就労の妨害排除につきましては、就労請求権の問題として申請を却下いたしております。これは日付は五月十九日の仮処分命令でございます。また、地労委といたしましては四月三十日に労使双方に——これは不当労働行為申請を二十六日に受けておりますが、三十日に団交を再開するように会長が担当の審査委員といたしまして勧告いたしておりますが、団交は現在までまだ再開されるに至っておりません。なお、地労委の審査は五月二十二日、三十日、六月五日、十九日に行なわれております。次回は六月二十八日に審査が行なわれるということになっている、かように承っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それじゃ、ちょっと伺いますが、大体今度の春闘の中で一体どれだけの企業で賃上げが出されたか、その中でまだ未解決のところはどのくらいあるか、それからロックアウトしたようなところは、あるいはまた従業員以外の、何といいますか、暴力団のような人を、人夫を介入さして今度の春闘でやったところがどれくらいあるか、これをひとつちょっとお調べ願いましたか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○説明員(大塚達一君) 本年度春闘の解決状況でございますが、現在までに労働省で把握いたしておりますところでは、大手百五十社、これについて調べましたところ、ほとんど解決いたしております。そしてその解決額平均は約六千七百円というのがその数字でございますが、中小のほうは、なお現在まだ全体として把握いたしておりませんので、どの程度済み、どの程度の額が出ているかということを的確にここで申し上げる資料は持っておりません。ただ、印象といたしましては、中小といえども大とそう大きな違いはない。中には高いものもある。しかし、中小の性格上、その業績の悪いところではどうしても大企業並みというわけにはいかない。そういう意味ではいろいろその間にまあ高、低かなりでこぼこがあるのではないかというような印象は持っておりますが、正確な数字は持っておりません。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 暴力団なんか入れたところがあるか。ロックアウトなんかやったところあるかですね。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○説明員(大塚達一君) それから労使関係に暴力団等が介入いたしましてあるいはロックアウトが行なわれるというような、非常にいわば深刻な様相を呈した争議行為があるかということでございますが、いままでのところ、ことしの春闘ではそれほど深刻な問題になったところを多く聞いておりません。全然ないかと言われればないことはないと思いますけれども、そんなに、従来、たとえば年によりましてはかなり深刻な争議になった例もございますけれども、ことしは、そういう年に比べてそう深刻な年ということではございませんし、したがいましてそういう例を多くは聞いておりません。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大体労働者の争議権は、これは憲法の二十八条、労働組合法で保障されているわけでありますけれども、経営者のほうの争議権はあまり認められていないと、こう思うわけですね。まあ、しいて言うならば労調法第七条ですか、これによりまして経営者のロックアウトというのがあるわけでございますけれども、しかし、ここの場合のように、先制的にあるいはまた攻撃的にロックアウトをやるということはこれは違法であるとされているわけなんです。不当労働行為を伴うところのロックアウトというのは、これは違法だと思うのでありますが、この労働者の争議権と経営者の争議権というような問題については、政府はどう考えているのですか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○説明員(大塚達一君) 御承知のように、労働組合法におきましては、あるいは労働組合法、労調法を通じまして、先ほど先生おっしゃいましたように、現行法制上、労働組合につきましては団交権あるいは団結権、さらには争議権が認められ、それらの団体行動につきまして、刑事上あるいは民事上の免責規定が設けられている。これは、従来の労働組合運動の過去の歴史に照らしまして、逐次そういうものが認められてきたという経過からいたしまして、そういう形になっておるわけでございますが、いまおっしゃいましたロックアウトの問題につきましては、これとは全然別の問題になるわけであります。使用者の場合には、一方で労働組合側が労働争議権ということで民事上の免責を受けつつその労務の提供というものを契約上義務づけられているものを拒否するということが認められる、それとのいわば均衡上の問題といたしまして、その労働者に認められた争議権との均衡の範囲内で、使用者はこれに対して労務の提供受領を拒否し、そうしてその反対給付の給付義務を免除される——免れることができるのだということが、従来からロックアウトを合法化する学説として唱えられており、かつ裁判所等でもこれは支持されておるわけであります。そうしてその場合のロックアウトの要件としては、先生のおっしゃいましたように、そのロックアウトは受動的であり、したがいまして、防衛的なものに限られるというような従来から考え方がなされておりますし、またその範囲内では使用者もそういう意味での均衡上の権利を持っているというふうに考えられており、かつ従来労働省といたしましても、そういう考え方で指導してまいっております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 全くそうだと思うのであります。だからして、先ほどからの話——報告やら私のほうの調査を総合してみまして、この畑鉄工の行なっているロックアウトを、私は非常に不当なものではないかと考えているわけであります。それにつきまして、もう少し、一、二点、ずっとあなたのほうで調査してもらいましたから、質問をさしてもらいたいと思うのでありますが、先ほど話したように、四月十日に、松木組という、運送店らしいのでありますが、これを動員してピケ破りをやったり、あるいはまた松木組の中にはかつて暴力団であったという人がおる。その組の性格からいって、いままでそういうところと非常につながりを深く持っておられたということであります。同時に、また二十九日のロックアウトには、その松木組が二、三十名集まって、会社の幹部あるいはまた弁護士団を連れたりして、組合の事務所の中に泊まっているところの二人の組合員を軟禁をして、バリケードをつくってしまった。それがいま、先ほど私が申し上げたような狭い部屋で、便所も炊事場もないというような状態になっている。しかも、一方では団交を拒否している。  それを、いま報告にありましたように、労働委員会の中からもあるいはまた地裁からも、団交をしなさいと言われているのに、いまだにもって開かれない。これはもう明らかに私は不当労働行為ではないかと、こういうふうに思うわけであります。  これに対しまして、特に仮処分申請の中においても、あるいはまた労働委員会の中においても、そういうことになっているわけでありますが、ちょうど私は前に東発で、四十三年の五月でしたか、質問をして、ここに関東軍とかなんとかいった暴力団を入れて、そのころ中曽根大臣が総長をやっておられる拓大の学生なんかが入って、これに対して非常にあれをする。そういうようなことに介入さしてやるのは、私は、やはり学生の何といいますか信頼を失って、学生の中でまたいろいろな問題が起こってくるのではないかということを申し上げたのです。  今度の場合でも、こういうふうな非常に現在不当労働行為をどんどんやっていく、ことに暴力団を中に入れてやっていくということがこれから中小企業の中で、自分の思うようにならないような組合をつくった場合には不当弾圧をして、そうして暴力団を入れたりなんかしてやっていくというこういうようなことがちょいちょい起こり出したならば、私はこれはまた非常に不信行為が出てくるのであって、また労働法なりいろいろな法規に従っての、何といいますか、認められた範囲内の労働争議なり、あるいはまた団交なりが行なわれるということが、まあ、エスカレートしまして、そうしてまた変なものになってくるのではないか。前にもやはり学生なんかを入れてそういうことをやっちゃいけないのだということを、私、申し上げたつもりですが、それと同じように、こういうようなことがエスカレートしていくということは、私は、非常におそろしい将来の状態ではないか、こういうふうに思うわけであります。というのは、やはり中小企業においては、かなり多くの倒産しているものもあるわけでありますね。あるいはまたこのごろ人手不足で中高年齢層を雇わなければならぬという、そういうような非常にしわ寄せされた中小企業の実態の中で、そういうことになった場合に、非常に経営者側としても、やむにやまれないような状態でもってそういうところに追い込まれていく点もあろうと思うのですが、そういうことがまた波及して、今度は中小企業メーカーに働いている労働者にしわ寄せされて、しかも暴力団をつれてきて、そうして相当大ぜいが集まって、そうして弁護士を十人も前に並べて堂々とやってきて、わずか二名しかいないのを軟禁してそうしてつるし上げていくという、むしろ逆のようなことをやって、弱い者いじめをする。そうすると、もう中小企業で働いている労働者というのはみじめな状態に追いやられてしまう、こういうこともあり得ると思うのです。こういう点については、私はほんとうにゆるがせにして、黙視しておいては、これはたいへんな問題ではないだろうか。あちらこちらに全金傘下の中小企業メーカーの組合で労働争議が起こっている。私もいままでこの社会労働委員会でもちょいちょい質問さしていただいているわけですが、そういうことを振り返ってみると、今度のこの問題は、非常に大きな一つのできごとではありますけれども、ぼくは将来に対して大きく波及するものがあると思うわけです。特に、私が京都で聞いておりますのは、いままで東京方面では、東発にもあったように、あそこでも暴力団を入れたり、ロックアウトしたりして労働者に対して相当いどみかかったような態度があったわけでありますが、最近は関東方面でそういうようなものは少なくなって、関西方面にむしろ波及しているのではないかというふうに言われているくらいでありまして、いまこの問題に対しても、私はやはりいろんなことが起こってきそうな、ほかにも波及しそうな感じがあるものですから、こういうものに対して私は一ぺん労働省としてはどういうかまえでやってもらえるか。もうここらできちっとした態度を出してもらわないと、ほかの方面に波及して、中小企業に働いている労働者がもっともっとみじめなことになる、こういうようなことがあっては非常にたいへんなことだ。そういう観点からひとつ考え方を聞いておきたいと思う。これはひとつ、大臣もこの問題についてどうお考えになるのか、ひとつ聞かしていただきたい。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) この前からいろいろ畑鉄工所の争議のことをお伺いいたしましたが、本件の争議はかなりこじれて長期化いたしておりますし、労使双方ともこういうときでございますから、いたずらに感情にとらわれることなく冷静に話し合いを行なってすみやかに解決することがきわめて大事だと思っております。こういう観点に立って、労働省といたしましても、これから本件解決のために必要な助言、助力、協力をいたしてみたいと思っております。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○説明員(大塚達一君) 先生の御指摘の事例につきましては、実はその細部の行為につきまして私どものほうで詳しくは持っておりません。したがいまして、おっしゃったような松木組が従業員を監禁、軟禁したとか、そういう点についての詳しい調査を、実は事実を把握しておりませんので、その点に関してはよくわからないのでございますが、ただおっしゃいましたような趣旨の暴力行為あるいはその暴力行為を中に介在したような中小企業の非常にむずかしいこじれた争議というようなものが、かつては東京のほうにはかなりあって、それが最近では関西にまたはびこり出しておるのではないかというような先生の御印象のようでございますが、まあ確かに中小企業等ではその企業の性格なり、あるいは経営者の性格なり、いろいろまた企業の業績等を反映いたしまして、ときにそういう問題になることが多いわけでございます。また、労働問題についての処理能力あるいは処理経験等も非常に乏しい関係上、問題をこじらせる。かつて非常に景気の悪かった時代に、中小企業に労働組合が新しく組織化されておりました段階では非常に問題を起こしたということは御承知のとおりでございます。それが何といいますか、いま関西で同じような問題がはびこっておるのではないかという御懸念のようでございますが、私どもの率直な感じを申し上げさしていただければ、こういう種類の暴力行為あるいはそれが介在するようないろいろなむずかしい争議というようなものは、全国的に見ますと、全体の量としては決してそう多いものとは考えておりません。ただその時、場所を問わず、そういう問題はときどき出てまいります。したがいまして、こういう問題を地方労働委員会等で積極的に解決していくということが必要かと思います。と同時に、これは常に労働問題についての労使の理解特に使用者側の理解を深める。労働者側の労働運動に対する考え方というものを十分にしていただくということのために、われわれ労政局の活動といたしましての労働教育あるいは啓蒙宣伝というようなことの重要性というものを特に強く感ずるわけでございます。おっしゃるように、全国的にこれが波及するというような問題につきましては、私どもといたしましては、このような手段を講じて極力防いでいくと同時に、不幸にしてそういう問題が出た場合に、労働委員会等を通じて積極的にこれが解決をはかり、是正につとめていくということに私どもは努力をしたい、かように考えておる次第でございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それから次の質問なんですが、不当差別の問題です。先ほどお話ししたように、ロックアウトを通告以来、全金の組合の人たちには、再三にわたって就労したいと会社側に組合員が言っておるのになかなか実は会ってくれない、団交もしない。ところが第二組合の人たちに対しては、あるいはまた別法人の下請会社の人たちに対しては、これを入れて、そうして賃金を払いながら仕事をやらしておる。この全金に属しておるところの組合の人たちが働かしてくれといったら、働かすためには、その全金の組合を脱退してこい、こう言う。これも明らかに不当労働行為です。それからまた一方ではこういうふうなことをしながら、特にこうした労働委員会やらあるいはまたそういうところに提訴した者に対しての引き延ばしを考えているわけです。こういうようなことも実は非常に不当労働行為というか、それに属するものだろうと思います。同時に、また下請の関係の人をこんなところに入れるということはこれも不当労働行為であって、トラブルのもとになる。これは職安法でも二十条に規定されて、争議中には人を紹介してはいけないとか、あるいはまたいろいろ労働協約できめられているもので制限がなされているわけですけれども、法的に職安法第二十条あるいは第三条あたりで規定されていると私は思うわけです。こういうようなことから考えてみると、いままで組合として認められている全金に属する組合員に対しては、非常に差別行為をしているわけですね。これはまた不当労働行為の一つではないかと思うわけです。その点についてのひとつどうだということに対しても、わりあいこういうものは労働争議の中で労働委員会なんかでやるべきだといえばそうかもしれませんが、これはやはり力をもってそういうことをやられたことに対しては、相当カバーする労働省としては何らかの指導をこの際しなければならない。ことに組合破壊をねらって会社がやっている行為というものは、ある者に託してあるから知らないのだということでは、これらの労働者を守ることは全然できないということになる。この会社のやっていることに対して、非常な大きな間違いではないかと考えます。  それからまた、労働組合法の第七条第三号に違反するところの支配介入をしている。それからもう不当労働行為というのは次から次に一ぱいなされていると思うのです。ことに会社の支配介入によってユニオンショップの協定があってもむちゃくちゃにされているので、従業員で脱退した非組合員などには、また第二組合に対してはいろいろな便宜を与えて、相当多額の金も払っている。こういうようなこともいろいろ言われている。また、下請会社が使っているところの者を、これは文書でちゃんと協定が結ばれておるにかかわらず、どんどん使用しておる、こういうようなことで、会社はかなり事業としては収益を上げながら、そして組合を破壊するための活動に対して堂々とこまを進めていくというやり方でありますから、これはもう非常に私は許せないような事態だと思うんです。それからまた先ほど申し上げましたように、こういう畑鉄工におるところのいまの従業員の状況も、決して中小企業メーカーであるという意味では待遇もよくないわけですね。こういうところでこういうようなことがどんどん行なわれておる一方には、その会社はかなり収益を上げておる。そしてしかも政府から、あるいはまた地裁から、あるいはまた労働委員会から団交せいというのに社長は逃げてしまって、一回も団交しないままもう二カ月、三カ月続いておる、こういうような状態では、もう取りつく島もないのだ。最近特に日本脳炎の予防注射をしているようですが、その組合の者だけは予防注射をさせない、あとの者には予防注射をしてやっておる、こういうような差別待遇をしているわけですね、いろいろずっと調べていけばいくほどいろいろ何と申しますか、労働者に対する不当労働行為はどんどんエスカレートしていっている。そういうような状態でありますので、私はここで労働省にお願いしたいのは、こういうような状態であるのを一体だれが歯どめをしてくれるか、それから弱い者はどんどんと弱い状態でほおっておかれるのか。しかし、いま労働の法規的から、規則から言うならば労働委員会が入ってそれを仲裁していくのが当然だと、それに対して組合は提訴していくんだと、こういうようなことでありますけれども、いまの状態でずっとあなたのほうも調べられたからわかっていると思いますが、会社側のやり方はもう明らかに自分の言うことを聞かないところの組合はつぶしてしまおう、つぶすためには長く争議を引き延ばして一方には金を払うけれども一方には金を払わない。労働組合の人たちは、もう働かしてくれと要求しても、それを何かかんかと言って働かせない、それがロックアウトしておるような形に持っていくけれども、実際この組合はもうロックアウト宣言されているときにはストライキ行為をやめている、そして働かせてくれと言っているのに働かせない。これは赤子の手をねじるような形ですね。そして一方では、そうした力のある運送会社なんかを連れてきては示威行動をする、こういうようなことをされるのでは、そこに働いている者は一体すがるところがない。地裁へ行っても、おまえ団交せいと言われているのに団交してくれない。一体これはどこへ頼んだらいいのかと、私のところに来て何とかしてくれませんかというのがその会社の連中の率直な気持ちなのですね。私はこれはひとついまの状態ではほっておいてはいけない、こういうつもりできょうは質問をさしてもらったわけでありますからして、どうかひとつ足らないところはあなたのところで調査をしてもらって、こういう弱い労働者を助けるのは私は労働省だと思うのです。いろいろな法規があったり何かして、進める上においてはいろいろな問題があるかもしれませんが、そういうような労働者をほっておいてこの労働力の不足するとき、あるいはまた、きそって労働者に対して企業は企業のワクの中でどういうふうにして労働者を優遇しようかと考えているときに、一方小さなところでか弱い者を、人数が少ないからといって締め上げて、そして言うなりになるところの第二組合に来ない限りそういう者を締め出してしまおうという、こういう動きはあちらこちらに、先ほど話したように波及しかかっているわけです。中小企業が困っているときには、こういうことができたら一番楽ですからね。そういうことになってしまうということになったら、これはたいへんな問題である。この二葉のうちにこれをつんでもらう、私はこれをやってもらいたい、こういうふうに思うわけです。大臣、ひとつ重大な問題でありますからして、ひとつ各係の人、きょうはもう労政局長も何かぐあいが悪くて来られぬそうですから、私はそれできょうは課長に事情を説明してもらったけれども、大臣のほうでも、私は、簡単な問題で取り上げてはいないのですよ。今後そういうような傾向にある。だからして、ひとつ各部門に対して督励をしてもらってこういう働く者がまじめに働けば働いていけるような職場をつくってもらうような、それを守ってもらうような方向でひとつ指導監督、こういうことをしてもらいたいと思うのですが、これは今後の労働者を守る意味においては非常に重大なことだと思いますので、特にそういうことで大臣の決意を聞いて私は質問を終わりたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(原健三郎君) いろいろ畑鉄工所の争議の実情よくわかりました。まことに遺憾なことであります。御注意もございましたが、私のほうから事務当局に命じまして督励して、そしてこの紛争の解決のために必要な助言、助力、協力などを進めていくようにいたしたいと思っております。

吉田忠三郎日本社会党

○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五分散会

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