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61回国会参議院1969/06/17

建設委員会 第20号

発言数
120
登壇者
19
会派数
4
開催日
1969/06/17

会議録

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  地価公示法案を議題といたします。  本日は本法案審査のため、皆さま方のお手元に名簿を配付してございます五人の方々を参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多忙中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。本案につきましては、地価対策問題として国民生活と密接な関係があることなどから、各方面に広く関心を持たれておりますので、当委員会におきましても、この機会に本案に深い関係をお持ちになっておられる参考人の方々から、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお伺いし、審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。  重ねて申し上げますが、発言はお互いに自由でありますから、遠慮なくどんどんやっていただく、御意見を言っていただく、これをお願いをしておきます。  これより御意見をお伺いいたしたいと存じますが、議事の都合上、御発言をいただく時間を大体お一人十五分以内、こういう心づもりにいたしております。なお参考人の方々の御意見の開陳のあとで、委員の方々から御質問がありますので、お答えをいただきたいと存じます。順序としましてはアイウエオ順にいたしましたので、御了承をいただきたいと思います。  まず、江戸参考人にお願いいたします。

江戸英雄三井不動産株式会社社長

○参考人(江戸英雄君) 私はまず簡単に結論から申し上げますが、私はこの地価公示法案は、日本の現在の非常に重要な問題でございます地価安定に対する対策の一環といたしまして、非常にけっこうな案だと思います。この一般土地の取引価格に対する指標なり、また公共用地取得の補償価格適正化、こういう二つの観点から、この制度はたいへんけっこうな制度でございまして、私は賛成をいたします。ただこれにつきまして二、三点、私の考え方なり、またお願いを申し上げたいと思うのであります。  第一点でございますが、この公共用地取得価格の規準ないし土地収用委員会の裁決の補償金算定の規準として地価形成の適正化を誘導する、こういう目的でございます。これはもちろんけっこうでございますが、これに関連いたしまして、こうして地価が公示されます以上は、この公共用地買収につきまして、これを守っていただきたい、これをなるべく動かさずにこれをお守り願いたい、こういうことでございます。  これを私どもの実例を申し上げますと、とかくお役所——公社、公団で公共用地を買収いたします場合に、仕事を急ぐあまり、高い値を出す、こういうことでございます。私どもは二十五、六万坪の団地を買収しようと思いまして、地区所有者に大体の了承を得ましてお話し合いをいたしておりまする間に、その地区、たまたま東名高速道路のバイパスが通るということになりまして、その買収価格にわれわれが適正と思われ、また地区住民の方の御了承を得ております値段の倍を出す、こういうことで、全くこれは仕事が難航した、こういう事実がございます。こういうことは至るところにあるわけでございます。これが価格が一たん公示されました以上は、ぜひこれを規準として、これをあまり動かさないでいただきたい。もちろん、いろんな具体的土地の事情は違いますから、違いますが、とにかくおおよそのこれを目安としてあまり動かさない、こういうことをお願いしたいと思うのであります。それから一たんこうして一応の目安ができました以上は、公共事業を促進すること、これは御承知のように、一番土地を買うことがむずかしゅうございまして、これも私どもの例から申し上げますと、放射七号線が私のそばを通るのでございますが、約五、六百メーターのところをまるまる四年かかっております。はなはだもって迷惑したわけであります。これは土地買収が難航したわけでございますが、この目安ができました以上は、公共用地の買収をどしどしやってもらいたい。それで思い切って土地収用法も発動していただきたい、こういうふうに思のでございます。先般、土地収用法の改正をしていただきまして、ごね得を排除するような御改正になったわけでございますが、そういうことでございまして、値段の目安がきまりました以上は、思い切って強権発動をしていただきたいというふうに思うのであります。アメリカあたりの例を伺いますと、これは公共事業につきまして公聴会などを開いて、民主的に事業を決定するという基本もございましょうが、土地収用法を発動しますと、国の場合、連邦政府の場合は二、三週間で片がつく、州とか市の場合は二、三カ月で話がつく、しかも発動いたしました以上は、結論はもう抜きにして、仕事だけどんどんやってしまう、こういうふうに伺っているわけでございます。この公共事業というのは、とかくおくれて、われわれ一般大衆に非常に迷惑をかけているわけでございますが、ぜひひとつこれは値段の目安をきめた以上は、できるだけ事業を促進していただきたい、こういう点をお願いしたいと思っております。  それからこの公示価格が一般の土地の取引価格の目安とする、こういうことを目安とするということでございますが、これは一応の目安にはもちろんなると思いますが、やはり根本問題は、どうしても経済の一般原則から見まして、土地の需給のアンバランスというものが根本にあります以上は、いかにこういう制度をきめましても、これが地価全体に根本的な影響を与えるとは思われないのであります。やはり必要なことは根本的に需給のアンバランスに対する根本策をとる必要がありはしないか、そう思うのであります。すなわち供給を思い切って増すということ、住宅地もニュータウンもどんどんつくる、供給も思い切って増す、それに対して政府も思い切って助成する。それからもう一つは、ただいま都市再開発法案が上程されておりますそうでございますが、再開発法によりまして、既成市街地を立体不燃化して、これによって住宅の供給をうんと増す、こういう二点、これを早く急いでやる、その後者につきまして、私は後者に非常に大きな意味があると思うのでありますが、従来の平面構造の大都市、これを立体化しまして、これによって住宅地の供給をうんと増す、これが非常に必要ではないか、そういう意味合いにおきまして、都市再開発法、それから並びに建築基準法でございますが、両方の二つの法律をぜひとも通していただきたい、そうして都市の高層がしやすいようにしてやる。建築基準法で特定の住宅地を除きまして、高さの制限を撤廃されているのでございますが、建築基準法をお通し願う、また再開発法をお通し願って、再開発法につきましては、実際の措置として高度敷の設定、この高度敷をなるべく広くする、そういうことによりまして日本の大きな都市をできるだけ高度化して、道路を広くし、空地を多くする、もっと緑を多くする、公害を少くする、そういうような方向に早く進めていってもらいたい、こういうことをこの法案に関連いたしましてお願いを申し上げたいと思うのであります。  それから、私不動産協会、これは日本のトップクラスの不動産会社約百社ほどの協会の理事長をいたしております。そこで、今度お呼び出しを受けたにつきまして、委員会のほうの意向を聞いてみたわけでございますが、その中から二、三具体的な意見がございますので、御参考までに申し上げたいと思います。  一平方キロ当たり一地点の公示地ということになっているが、これは少な過ぎるのではないか、これをもっと増したらどうか、こういう意見がございます。  それから公示価格につきましては、もと地に加工して、宅造いたしましたその値段が非常に高くなるわけでございますが、それによらずにもと地価格によるべきではないか、こういう意見がございます。  それから不動産価格というものはこれは隣地一つでも変わるし、その土地の事情によって非常に違うんだ。表、裏だけでも違うし、非常に違うんだから、公示価格の評価の理由と、あるいはその諸条件を詳細に提示してもらいたい。評価の諸条件を詳細に提示してもらいたい、こういうことでございます。  それから、これは意見と申しますか、公示価格が最低価格に見られるというようなことが起こりはしないか、これを心配するという意向もございます。民間取引におきまして公示がされますと、最低はこれだけという、必ずそれを上回る要求をされるのじゃないか。それが値段になりはしないか。これが先ほど申し上げました基礎条件、要するに需給のアンバランスというものがあります以上、どうしても売り手市場でございますから、その根本に対して根本的な対策を立てなければならぬと思うのでありますが、まあ業界、実際家の意見として、公示された値段が最低価格になりはしないかということが心配される、こういうふうな意見でございました。  以上、簡単でございますが、私は結論的にはもう大賛成でございます。ただし若干の私どもといたしましては希望がございます。それを申し上げたわけでございます。どうも失礼いたしました。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) ありがとうございました。  次に、櫛田参考人にお願いします。

櫛田光男日本不動産研究所理事長

○参考人(櫛田光男君) 櫛田でございます。  このたびの地価公示制度に関する法律の結論から申しますと、どうぞ成立させていただきたい。私は日本不動産研究所の理事長でございますが、不動産鑑定評価とか、そういう問題につきましても長年にわたりましていろいろ関係いたしております。  御承知のように、今日の地価の状況は、ある意味ではきわめて混乱状態にあると思いますが、先ほど江戸参考人からも申し上げましたとおり、基本的には非常に需給がアンバランスである。要するに都市集中の激しさ、産業の集中の激しさ等から、全国的に土地の新しい用途変更とでも申しましょうか、その利用が急激にこの十年来起こっていることが原因の一つではありますが、御承知のように、この地価公示制度につきましては、いまから六年前でございますか、不動産鑑定評価制度に関する法律がございました際に、衆議院のほうでも地価公示制度を同時に採用するように早くやったらどうだろうという御決議がございましたが、その鑑定評価制度を宅地制度審議会でしたか、つくりましたときに私もその委員の一人でありましたが、やはり答申の中に、地価公示制度というものを創設することを同時に考えたらどうか、ということを提言したわけでございます。  土地の値段というものは、たいへんむずかしいものであります。したがって、それが普通の商品の値段、特に商品取引所のようなところで有価証券の値段がオープン、自由なマーケットできまるようなぐあいにはまいりません。やはりその値打ちというものは、その時、その事情に応じて正常なものがあるはずでございます。それを的確に見つけるのには、どうしても鑑定評価制度というものの確立に待たなければならないということで、土地等の不動産の適正価格の形成に資するために評価制度ができたわけでありますが、この不動産の鑑定評価の歴史は、日本ではすでに七十年以上の歴史を持っております。また技術的な水準というものも相当高度でありまして、先進国に対して私は遜色はないと存じております。のみならず鑑定評価制度自体の確立、その他の運営につきまして、英米その他の国も非常な関心を示しております。  先般私はシドニーで行なわれました汎太平洋不動産鑑定会議、これは太平洋圏内諸国が集まりまして、約八百人の会合があったわけでありますが、四月にそれに参りまして、日本の事情をいろいろお話ししたわけでありますが、そのとき感じましたことも、日本の努力、そのレベル等について非常に尊敬の念を持って迎えられた。これは確信を持って言えると思うのでありますが、ただ、いまから五年前に不動産鑑定評価基準をつくりまして、それに基づきまして鑑定評価制度の推進につとめてまいりましたが、おかげさまで各方面の信頼を得まして、だんだんとその御期待にそむかないところまで逐次きておるというように感じておるのでありますが、この五年間の経験で私が感じておりますことは、不動産鑑定士等が鑑定評価を御依頼の方々のお求めに応じていたすわけでありますが、正常価格というものをぴたりと出すわけでありますけれども、法律並びに日本不動産鑑定協会の倫理綱領によりまして、不動産鑑定士等は、鑑定評価にあたりまして、知り得た秘密を依頼者以外には公表してはならないという義務を課せられております。ですから、せっかくこの土地の値段はある時点、何年何月何日においてはこのようなものであるぞということを申し上げましても、当事者にだけそれがわかる。もちろんこれは御依頼者の財産の内容に関する問題でございますから、当然その秘密を漏洩するようなことがあってはなりませんし、その意味で秘密を厳守する義務が課せられているわけであります。鑑定士等が一存で自由にそれを公表するなんということは、とても許さるべからざることでありますが、そのような地価の混乱状態等を考えますと、何かオーソリティを持った、つまり鑑定士等が特定の時点における特定の地点についての鑑定をしました正常価格というものを公表される。権威を持った一つのルートを通して公表されるようなことがあれば、私は一つの地価の混乱に対して非常によい目安を一般の方々にお知らせすることができるわけであります。その効果が非常に大きいだろう。そういうわけで、今度の法律が生まれることになったわけでありまして、これは住宅宅地審議会の答申でありますが、地価公示制度に関する制度というものをぜひおつくり願いたいということを申し上げたわけでありまして、私はこの制度が地価対策の万能薬であるとはもちろん思いません。けれども、土地の値段というのが土地の利用というものによっていろいろ変わってくるわけでありますが、同時に土地のお値段のいかんによって土地の利用の形も、何と申しますか、影響を受ける。土地の利用と土地の値段との間には相互に密接な関係があって、ある意味では土地の値段というものが土地の利用、選択の一つの目安になるという効果、これが非常にあるわけでありますので、これを軽視することはできません。そのような機能をフルに働かせるためには、ここら辺がよい値段である、これを目安として取引なり、その他土地に関する、たとえば課税の問題であるとか、あるいは公共用地の取得でありますとか、大体それを目安にしてなさったらどうであろうかという一つの目安を立てるというためには、非常な前進であると私は感じます。そのような意味で、ぜひこの法案を成立さしていただきたいと思います。  それにつきましても、土地の値段というものの確かなところをぴたりと当てるということは、非常に専門的な技術、高度の知識、高度の経験というものを必要といたします。幸いに、鑑定評価制度というものが五、六年前に確立されて、すでに相当の経験を持った鑑定士がおるのでありますから、それらの能力をフルにこの制度によって活用していただきたい。それによって、鑑定士等が持っておる社会的、公共的な責任をより以上果たしやすいように前進さしていただきたいとお願いいするわけです。  それからその制度の中においていろいろ御質問があって、いろいろな意見があろうかと存じますが、一平方キロについて一地点では少な過ぎるじゃないかというお話が、いま江戸さんからありました。あるいは少ないかもしれませんが、私はこう思います。一平方キロに一地点というのは一つの目安であります。大体、標準地の選定については、これは不動産鑑定委員会あたりでおきめになることであろうと存じますけれども、私は、大体の目安であって、要するに、ある同じような働きを持った一つのエリアというものがあるわけです。一平方キロより大きい場合もありましょうし、あるいはそれより狭い場合もありましょう。その適宜に応じて御選択されるだろうと思いますので、全体として平均してみるとそんなものになろうかという、一応の目安じゃなかろうかと存ずるわけであります。  それからもう一つ、この点ははっきりと御認識願いたいと思うのですが、標準地はどこまでも標準地であります。それから土地の値段というものは、ある時点、つまりきょうと一年後とではまた違いますし、一年前とは違います。世の中が変われば、まわりの状況が変わる。それから、人間の顔が、同じ人間でありましても一人ずつ変わるところがあるように、土地もやはりそれぞれ顔を持っております。それから、標準地はありふれた点を選ぶわけでありますけれども、それがすべての土地にその値段、そのエリアすべてにその値段というわけではありません。まあ、標準的なところでありますから、それより落ちるところもあればそれより高いところもあるはずであります。ですから、具体的な、ぴたりとした値段はやはり鑑定士の判断にゆだねざるを得ないであろうということ、最終的なところは。しかしその場合においても標準的にはここら辺の公示価格というものが一つの目安になることは間違いありません。それは一般の社会の方々はもちろん、不動産鑑定士あるいは官庁の方々、公社、公団の方々といえどもそれを無視することはできないし、またそれによらざるを得ない値段であることはもちろんであります。それらのところを十分に御理解いただきまして、この制度が発足いたしまして、来年度から具体的に実現されまして、各方面の御理解と御協力によって、私ども鑑定に携わる者も全力をあげてその目的達成のために尽くしたいと思いますが、世の中のためになろうことを確信いたします。そのことを申し添えまして一応私の意見を終わらしていただきます。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) ありがとうございました。  次に、篠塚参考人にお願いいたします。

篠塚昭次早稲田大学教授

○参考人(篠塚昭次君) この地価公示法案につきましては、法律上いろいろな問題点がございますので、私の立場から、大体財産権につきましてどういう法律上の影響力を持つかという観点からお話をしたいと思います。ただ、憲法の基本的な判例や学説のこの問題に関する方向につきましては、去る四月十日のこの委員会で私が都市再開発法案につきまして申し上げましたことが、ほぼそのまま妥当いたしますので、その点と重複する点は省略いたしまして、別の観点からお話を申し上げたいと思います。  この地価の公示法案ができますと、不動産鑑定士によって標準地の価格というものが公示されます。この場合のこの公示されました価格が地価の抑制に対してどういう経済的な効果を持つかという点につきましては、私あまり厳密に現在予測することが困難ですけれども、本米この法案の制定の趣旨を勘案してみますと、必ずしも直接厳密に地価の抑制を志向していない法案ではないかという気持ちもいたしますので、地価抑制効果というものは、ほとんど期待できないであろうというふうに考えられる。  ところで、問題はこの地価公示法案が成立いたしますと、それに基づいて公示される地価というものが、はたして実際の不動産取引におきまして最低の価格として理解されるか、それともそれは最高の価格として理解されるか、実はこの点がなかなか予測困難なところでありますけれども、かりにこの鑑定額が最低価格だとされる場合には、財産権の価値を減少させる危険というものはあまりありませんので、法律上直接問題が出てくるのは、あとで申し上げますが、比校内狭い領域ということになると思います。これに反しまして、この地価公示法案に基づいて公示される地価というものが最高額であるというような形で実際の不動産取引において作用、機能をし始めるということになりますと、そこでさまざまな問題というものが出てくると思います。たとえば先ほどもお話がございましたが、いわゆるごね符というのがよく公共用地の取得等で問題とされておりますが、もし最高価格としてこの公示価格が作用する。収用する事業主体等がその価格以上では土地を買わないということになってきますと、面から見ますと、いわゆるごね得というものがそこで防止することをできると考えられる可能性がありますけれども、しかし、このごね得といわれるものも、そう単純に通俗的な角度で非難さるべき要素だけを持っているかというと、必ずしもそうは言えない面があるように思うわけです。なぜそういうふうに問題が出てくると考えられるかと申し上げますと、結局財産権というものの中に、本来市場性を強く持っているもの、同じ土地の中でも商品価値が非常に高くてもともと商品性の強い、そういう土地と、これに反してそのような商品性をほとんど持たない、たとえば田畑のようなところで耕作農民がそこで田畑を耕やして生活をしているというような土地につきましては、本来これを商品的な角度から鑑定評価するということは困難な場合が少なくないのではないか。この法案の第一条を見ますと「一般の土地の取引価格に対して指標を与え、」そしてその前に「その正常な価格」というふうになっておりますが、この「正常な価格」というのは、どうもこの法案全体を通読して得ました印象の限りにおきましては、商品的な価値を把握する、それを的確に把握して公示するのだというような印象が出てくるわけです。そういたしますと、本来商品的な指向性を持っている土地については、確かにそのように鑑定というものが取引価格として通用することは望ましいということは異論がありませんけれども、これに反してもともと一生百姓で先祖代々過ごしてきて、自分も百姓で終わりたい、こういう本来誠実な農民等にとりましては、自分の田畑が商品的な角度から評価されるということについては、ときに耐えがたい苦痛を与えることがないとは言えない。したがって、そのような形で出てくる被買収者の不満というものを、ただ単純にごね得というような角度から批判するのは、やや官僚的な取り扱いではないかという疑問を持つわけです。往々にしてごね得ということばは、新聞その他世論を通じまして、いかにも反道義的、ずるい、土地を高く売りつけるような悪い行為である、こういう印象だけを与えて——事実そういう者もあるかもしれません、おそらくあると思うのですけれども、しかし、やはり自分の生存あるいは家族、子孫の生存というものがかかっている土地について、その土地の所有者がその公示価格にほんとうに不満であるならば、それに反発をしてくるのは当然であろうと思います。その場合に、そのような土地に関する主観的なさまざまの諸要求というものをくみ上げて、土地の公示価格——鑑定額というものをはたして確定させることができるか。数年前にできました不動産鑑定——土地鑑定の評価基準というものがございまして、その中ではそのような利用関係に関する考慮をすることも、要素として含まれているようですけれども、実際の不動産鑑定士の方々が評価を行なう場合に、はたしてどこまで土地の持つそのような実質的要素というものを的確に把握できるかということは、不動産鑑定士の方々に対しましてはたいへん失礼な言い方になるかと思いますが、私はかなりあぶないというような気がいたします。こういうわけで、この土地価格の公示につきまして、財産権が、いわゆる市民的な商品価値を持つ財産については、公示鑑定額等について妥当性というものは、ある程度客観的に保障される可能性があると思うのですけれども、その評価さるべき財産権というものが田畑というようなものになってきますと、単純な商品交換に関する鑑定の経験や知識からだけでは困難であろう。不動産鑑定士にどのような方々が具体的になっておられるか厳密には存じませんけれども、かなり不動産取引の事業というものに長年の経験を持っている方々が加っているに違いない。これらの方々は、とかく職業的な経験から土地の商品的な測面を強調し過ぎるという点を、私は危惧を捨て切れないという気がいたしますので、鑑定基準について、そのような実質的な指導というものが、行政当局によって将来継続的に努力されることが必要ではないかというように思います。これが第一点。  それから話がややこまかくなりますけれども、財産権に対する影響としてそのほかに出てまいりますのは、特に最近は金融機関が、土地の信用というものをバックといたしまして、御承知のように多額の資本を土地の買収等に投下し始めておりますが、そのときに一番大きな役割りを持つのは担保物の評価であるというふうに考えられる。この場合にもしこの公示された地価というものが最低の価格を示すものであるということになりますと、これはあまり問題はないと思いますが、逆に最高額として一般に受け取られてしまうということになりますと、その金融機関あるいは債権者が評価した土地価格が低下することがあり得るわけで、そうしますと担保力の低下、信用の低下、ときには無担保状態が出てくるというような角度から、かなり金融機関の実際の取引に動揺を与える危険がないとは言えない。ただ、この点につきましては、御承知のように、従来の金融機関や通常の不動産の売買価格が、目一ぱいに担保評価するということは行なわれていない。ほとんどは二分の一あるいはもっと低い価格にその不動産を評価して担保として把握しておりますので、実際の混乱はそれほど多くはないというふうに考えられるわけです。ところで、ただこれが最高額というふうに評価されますと、今後の問題といたしましては、これから金融機関等が土地を担保にするその場合の評価としては、さらに低下した評価が行なわれる可能性がないとは言えない。日本ではあまりたくさんの担保資源というものがなくて、担保資源の主力は御承知のように土地に集中しておりますので、この土地の評価が変動するということは、日本のさまざまの信用体系に深刻な影響を与えてくるであろうというふうに考えられる。それだけにその鑑定評価はかなり厳密にかつ高度の水準の鑑定士によって行なわれる必要があるのではないかというふうに考えられます。もっとも金融機関が不利益を受ける反面においては、担保物の担保物件の設定者における債務者の側には逆にある程度有利に作用する場合もないとは言えない。ただこれは法律の解釈上ややこまかい問題となりますので、ここではお話し申し上げることを省略いたしたいと存じます。  次にもう一つ、この鑑定評価が地価というものに影響を与える。これはかなり大きな影響を与えるものと思われますのは、地代、家賃の水準がずれてくるのではないかというふうに考えられる。従来の判例によりますと、地代の評価のしかたといたしましては、元地代——現在の元地代かける地価の上昇率というのが、日本ではほぼ多数の判例の一致した傾向ですけれども、この地価の上昇率というのが、今度のこの鑑定評価されますところの公示額によりまして上がってくる場合、これが上がりますと、やはりかなり公権的な形で、行政機関によって認定されました額ということになりますので、一斉に地代、家賃の値上げの問題が起こってくるだろう。この場合には地主さん、家主さんの側で、それを主張する正当な理由というものが、公権的に裏づけられるというような形で、地代、家賃に対するはね返りというものが予想される。逆に鑑定額が現在の地代、家賃の基礎といたしましたものより低いということになりますと、地代、家賃の値下げの問題が出てくるでしょうけれども、これは実際にはあまり問題とならないと考えてみますと、この鑑定評価された地価というものによって、地代、家賃をめぐるかなり深刻な全国的な紛争というものが出てくる可能性がある。この点でも、土地というものが、単純に商品としての角度からのみ、つまりいわゆる常識的なことばで言われるところの取引価格というものだけを基準として評価することの危険性というものが感じられてくるということになります。  このようなわけで、この地価公示法案につきましては、さまざまな難問をかかえているというふうに思われますが、その中心は、やはり鑑定評価をする基準をいかに把握するか、これは地価公示法案そのものの中ではあまりウエートを持たず、実際は、先ほど申し上げました土地の鑑定評価に関する基準というものによって実際には行なわれているということになると思います。しかし、御存じのように、最近のヨーロッパ諸国の立法の動向というものは、土地を商品的な角度から把握することではなくて、その実質的な利用関係を強化するという形で立法が行なわれております。ヨーロッパでは、日本と同じように、いわゆるマイホーム主義で持ち家政策が強力に進められておりますけれども、その基礎は、所有権を与えるということよりは、実質的な居住や営業関係を安定させる、こういう利用面の強化ということが立法を動かしている原理であるというふうに理解されております。四月十七日の新聞を見ますと、佐藤総理大臣も当委員会において、土地の私権を制限する方向で立法を進めたい、これが政府の方針であるというような発言をされたということを読んだ記憶があります。それからまた、ある建設大臣は、あるいは総理大臣であったかもしれませんが、土地は商品でない、こういうことを繰り返し新聞記者に発表したことがあったと思うのです。そういう角度から考えてみますと、単に土地を商品的な角度から把握し、評価して、それを公示するということが、土地政策の上にはたしてどういう影響を与えてくるかということは、必ずしも単純には予測できない問題を含んでいないだろうか。これは実質的には鑑定評価の基準というものをチェックする以外に方法はないかもしれませんけれども、しかし、実際には不動産鑑定士がそこまで土地政策、土地立法の動向を把握して鑑定評価をなし得るかどうかは、若干の疑問が最後まで残るというふうに思われます。  この法案の二条を拝見いたしますと、土地鑑定委員会というものが構成されまして、それが不動産鑑定士の評価した評価額というものを調整する、こういうふうに書いてあります。私は、この調整ということの意味が実はなかなかよくわからなかったのでありますけれども、これはいろいろに考えることができると思う。不動産鑑定士の権威というものを高める上からは、この調整によって評価額を変更するということは、不動産鑑定士の方々にとっては耐えがたい苦痛になるかもしれない。しかし、たとえばノーベル賞をもらうような外科医である、その手術の結果が間違っているかどうかということは、医学にしろうとの裁判官によって法廷でさばかれることがあるわけで、不動産鑑定士がいかに全力を尽くして投球した結果であっても、やはりその結果が土地政策、あるいは土地立法全体の原則によって調整される余地というものを残す必要があるだろう。その意味で、この調整というのは、単に行政機関の最終的な判断権を留保する、そういう組織法上の形式的な原則として理解すべきものではなくて、実はこの調整ということの中で、土地の商品的な価値以外の側面についての評価というものをここへ投入していく手がかりとする必要があるのではないかと、そしてその手がかりをここで保障するということになりますと、土地鑑定委員会の人的な構成の中に、単純な土地問題に関する専門家であるとか、不動産鑑定士であるとかいう人たちとは別個に、たとえば田畑を実際に汗水流して耕している農民の代表であるとか、あるいは借地借家人の代表というものを土地鑑定委員会の中に実質的に参与せしめることによって、調整というものの内部から実質的に客観的にかつ立法の歴史的な動向に合致する妥当な結論というものをここで保障することが可能ではないか、その意味でその調整ということをさらに実質的に生かす方策というものを考えていただきたいというふうに考えております。  大体いま申し上げましたのが大ざっぱな私の感想でありますけれども、地価公示法案そのものは、土地政策を進める上で確かにこれは必要な立法であるというふうに考えられます。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) ありがとうございました。  次に、前沢参考人にお願いいたします。

前沢保利東京都財務局主幹

○参考人(前沢保利君) 前沢でございます。  私は、二十数年東京都につとめておりまして、土地関係の職務を担当いたしておりますが、本日ここで述べます意見は、あくまで私個人のものでございますので、御了承いただきたいと思います。  まず第一点といたしまして、この法案が一般の地価対策に対してどのような役割りを占めるだろうかという点について、私の所見を述べさせていただきます。   〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕  まず、この法案の効果を考えますと、直接的な地価抑制策、地価高騰防止策ではないということであります。むしろこれは土地を流通過程の上で、率直に申しますと土地を商品としてとらえた場合の価格秩序の確立、このような情報を一般国民に与えまして、なるべくそのほうに誘導しようという心理的効果をねらった、こういうふうに受け取れるわけであります。むろん、この誘導効果が軌道に乗ることを希望いたしますけれども、しかしはっきりした予測は私にもできません。と申しますと、何かこの法案のねらいがだいぶぼけるような感じもいたしますけれども、私は別な理由でこの法案を支持したい。それは、地価対策は今日わが国の最大の政策の一つではないかと思うのであります。地価に関する正確な情報というのは、実は私長いことやっておりますけれども、これはと思えるようなデータというものはないといいますか、きわめて少ないのであります。いろいろ上昇率とかいうものも発表されておりますけれども、この法律でいうような的確な意味での分析をした上での把握というようなことは、いままでなされてなかったというのが現状でございます。これはきわめて組織的に継続的に、大規模に行なわなければ、実証的に統計的にこれを示すことはできないと思うのでありますが、今日までなかなかそのような組織がなかったというようなことも一つの原因であります。地価対策は、やはりその現状というものを正確に把握するということから始まるのではないか。ですから、この法案は、そういう意味で本格的な地価対策のスタートに当たるのではないか。たとえて申しますと、開発利益の徴収というようなことがよく言われますけれども、しからば開発利益というのは、一体どういう事業に対してどの程度発生するのだろうか、これが実証的に統計的にとらえられていないわけです。それから東京の地価と申しましても、中心区とか周辺区とかあるいは三多摩とかあるいは商、住、工業地とかで変動は局地的にかなりの差があるのであります。そうしていろいろな事業によって受ける影響も、事業の種類なり規模なりによって、またその地域なりによって違うわけであります。これはたとえば、開発利益の測定でいえば、ある事業をやった結果上がった地価、これはすべて開発利益でないわけであります。その中から一般的、経済的理由によって上がった価格を引かなければならないわけでありますが、これはどうして測定できるか、これはやはり同じような地域の二つの地点を選んで、一方に投資が行なわれて他方は投資が行なわれない、その両者を正確に比較することによって得られるわけであります。   〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕  それから空間地税、いろいろ諸税の問題もございますけれども、これらも的確にその地価を把握することから始まらなければ、その後における徴税その他で不公平が起こって、いろいろ問題が起こる原因になる。  それからもう一つ、これが実は鑑定評価制度の充実の一つの基盤を与えるというふうに考えております。個人の鑑定士もいろいろなデータがあればあるほど、より的確な鑑定ができるわけでございます、この法案がねらう結果。そういうものはいまも鑑定士の非常にほしいデータでございます。個人の鑑定士が幾らがんばっても、定期的にこれらの調査をするわけにもいかない。そういう意味で、今回、この法案がそこをねらい、かつ、これが国民の土地売買に対して指針を与えるならば、非常に幸いではないかというふうに考えております。  それから第二点は、この法案と公共事業との関係でございますが、公共事業といえども相手の財産を取らす場合に、憲法でいう正当な補償を当然しなければなりません。したがって、この法案の公示価格がそれに合致する正常価格を、つまり地価の実勢を示す正常価格を公示価格とする。したがって、公共用地はこの公示価格を規準とした価格ということですから、やはりその地点の正常価格ということになろうかと思います。したがって、そういうことであるならば、基本的にこの価格によって買収するということについては、異議がございません。とかく、公共用地の取得が地価高騰の先導役であるというふうにしばしば非難されますけれども、この汚名はそそがなければならないと考えております。  ただ、一つ一まつの不安な点は、先ほど江戸先生がおっしゃったことと逆の場合であります。一般の取引がこの法案で示す公示価格以上で行なわれるような風潮が発生いたしますと、公共用地の取得にかかったためにばかをみると、こういう印象を被補償者に与えます。この点をわれわれ一番おそれるわけでございまして、そういたしますと、非常に公共用地の取得が困難になる。ですからしばらくこの法案の推移を見守りたいと思いますけれども、何らか、そういうような事態が発生しました場合にはこれを補完するような措置、これは当然考えられると思いますので、そのような手を打たなければならないではないか、こういうふうに考えております。  それから最後に、国民に対して標準地とはどういうものなのか、それから公示価格というものはどういうものか、これを十分PRしていただきたいと思うのであります。これを誤解されて受け取られますと、かえって逆用するというか、悪用されて思わざる結果が出ないとも限りませんので、十分のPRをお願いしたい。  それから私どもが公共事業を行ないます場合、公共用地の取得を行ないます場合、この公示価格を基準とせよということでございますので、いまの法律できめられておる公示内容、さらに、私どもは当然公務員でございますから秘密を守りますが、そのいかなる経緯をもって地価がきめられたか、もう少し詳しい情報がほしいように思いますので、この点は行政的に御配慮お願いしたいと思うのでございます。  以上でございす。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) ありがとうございました。  次に、三沢参考人にお願いいたします。

三沢勝不動産鑑定士

○参考人(三沢勝君) 私三沢でございます。いろいろ考えてまいりましたけれども、ただいままで述べられたところと重複する点が多いので、恐縮でございますが、簡単に意見を申し上げさしていただきたいと思います。  この法案は、外国でもちょっと例のないような法案でございまして、これが適正に運用されるならば、地価の安定に相当の効果があるように考えまして、私は基本的に賛成でございます。  と申しますのは、いままでもたびたび申されましたように、土地の価格というものは、非常に複雑なもので、そのときどきの事情でいろいろ特殊な場合がございます。そういう特殊な事情に基づいた特殊な価格が公示されるならば、一般化して標準化するということが往々にしてございます。そういう特殊価格の一般化、標準化を防ぐという意味でも、相当の効果が期待できるのじゃないかと思っております。正常価格がだんだんと浸透する上においてもこの制度は意義があるのではないかというように考えております。  それから第二点は、これもたびたびいままでの意見にありましたが、公共用地の取得価格がとかく高くなりがちだ、これは公共事業を円滑に進行するという面から考えてやむを得ない点があることもよくわかりますが、ただ、それが地価高騰の原因の一つになっていることもまたこれは争えないのじゃないかというように考えております。したがって、今後公共用地の取得がこの基準が十分に守られますならば、そういう意味からの地価の高騰が相当抑制されるのじゃないかというように考えるわけでございまして、この制度が非常にうまくいくかどうかは、一つにかかってこの公共用地の取得にその規準が守られるかどうかということにかかっておる、というふうに考えても言い過ぎではないというふうに考えます。ただ最近の、最近といいますか日本における土地の高騰は、根本的にはやはり需給のアンバランスということにございますし、この制度自体はその需給のアンバランスには直接関与することがないので、したがってその効果には限度があるということも認識しなくちゃならぬというふうに考えております。  それからわれわれ不動産鑑定士といたしまして、この正常価格の鑑定評価に当たるわけでございますが、この制度がうまく運用されるには、やはり正常価格の評定が非常に肝心になってまいりまして、そういう意味で、私どもとしても今後素質の向上、努力の向上に十分勉強しなくちゃならぬというふうに考えております。まあ鑑定士の試験がございますけれども、試験が通って資格が取れたといっても、必ずしもすぐ一人前になれるわけでもないと思います。御承知のように、この点はお医者さんでも弁護士さんでも同じじゃないかと思いますが、そういうわけでございますので、鑑定士の素質の向上には試験に受かったあとでも、大いにそういったような努力をしなくちゃならぬというふうに考えております。それと同時に、試験そのものがまたルーズになっては肝心の元も子もなくなりますので、そういう点もひとつ御配慮いただかなくちゃならぬかと思っております。いまの試験制度がルーズというわけではございません。厳重に守っていただければ、しあわせと考えております。  簡単でございますが、以上でございます。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) ありがとうございました。  以上で参考人の方方の御意見を拝聴いたしました。質疑のある方は御発言を願います。

田中一日本社会党

○田中一君 江戸さん並びに篠塚先生のお話しの中にありましたが、これは、最低価格であるか最高価格であるかというこれは認定よりも実態論ですね。それをどう受け取るか、最低価格に受け取るか最高価格に受け取るかというところに、いろいろな問題が起こるわけなんです。そこで江戸さんに伺いたいのは、最低価格では困るのだというような陳述の印象を受けたのですが、困るというのはどういう点ですか。それをひとつ伺いたい。

江戸英雄三井不動産株式会社社長

○参考人(江戸英雄君) 最低価格では困るとはっきり申し上げたわけじゃございませんが、実際の取引の場合に、やはりたとえばこの表示された値段、これは一般の土地の持ち主といたしましては、売買に際して、やはり少なくもこのくらいの値段はほしいということを必ず言うと思うのです。公共用地の取得の場合、一応の標準、一応の目安になりまして、それが一応最高ということになるんじゃないかと思うのでありますが、公共用地の場合は千二百万という大幅な免税がございますが、一般の場合についてはそういうふうなこともございませんし、今度の土地税制でもっていわゆる時限的に大幅な減税をする、分離比例課税というような御裁量がございますけれども、やはり一般民間としては、もっと高く売りたいということに私はなるしかないんじゃないか。最低価格は困るとは申し上げませんが、実際問題としては最低価格よりもっと商いものを要求しはしないか、そういう意味で申し上げたわけであります。

田中一日本社会党

○田中一君 それでは皆さんにちょっと質問をしておきますが、櫛田さん、この法律にもあるように、また鑑定士法にもあるように、依頼者の秘密を守ることが規定されております。そこで、あなたのほうでは鑑定士には倫理規定があるのだと、こう言っておりますが、国が標準地点に対するところの評価を自由にする、これは建設省、建設大臣が行なうわけですが、それで公示をする。依頼者じゃないのだからかまわないのだ、依頼者じゃないから人の財産の評価を公示してもかまわないのだということになるだろうと思います。したがって、鑑定士法並びにこの法律でも、鑑定士は依頼者の秘密を守るという義務はありますが、国がだれでもかれでもかまわず、どんな人間でもその財産を評価して公示するということになると、あなたは土地鑑定問題の研究家であられるならば、そこにひっかかるものはありませんか、たとえば善良な市民が自分の持っている宅地を国が権力でこれを評価をする、また評価を国がさせるわけですけれども、鑑定士そのものが多数、二名以上の多数の人が評価をして、それが結論として公示されるということになると、現在あなた方が倫理規定として守っているところの他人の秘密というものが公にされるということになると、鑑定士としてのひっかかるものがあるんじゃないかということを伺っておきたいと思うのですかね。——それからずっと言っちゃいます。  しかし、それも結局こういう公示されるという形をとったほうが多くの人に目安になるんじゃなかろうか——目安なんという抽象というよりも、この表現の内容、目安という内容は複雑多岐です。受け取り方によっていろいろの凶器にもなれば、あるいは自分を養う薬にもなるかもしれません。しかし、こういうあいまいなことだけでは困ると思うのです。しかし、これが地価対策の万能ではないというのはどなたもおっしゃっているから、この点については言いませんが、その点が一つと、土地鑑定委員会なんというものよりも、結局不動産鑑定士の一切の決定をまかせたらどうか、こういう最後の御発言があったようですが、この二点を伺います。  ずっと皆さんに伺っちゃいます。  それから篠塚先生に私どもが非常に不安に思った問題を詳しく解明を願って非常にうれしく思うのですが、それだけにお話がありました問題点を、法律学者として、民法学者としての結論的なものをお示し願うともっとよかったと思うのです。またそれがほしいわけなんです。先ほど申し上げましたように、自分の財産がいつの間にかどっかでもって評価されて公示されるということなども、これは前回も私が政府に質問しておった問題ですけれども、担保力の問題もありますし、それからいろいろな問題があります。高くても安くても困るんだという問題があろうと思います。やっぱり正常な価格を求めるために、その評価鑑定委員会はどれを認めるか。ただ単に集まった資料を二で割って一にするのだとか、三で割って一にするのだということじゃなかろうと思うのです。行政権の介入というものが非常に強く入るのじゃなかろうかと思います。こういう点をいまの財産権の問題の上の結論的なあなたの考えをお示し願いたいと思うのです。それから櫛田さんのは、逆に一体今日の鑑定士というものは正常な価格というものをつかめるかどうか疑問があるとおっしゃった。それも確かに人間ですから、そういう見方があると思います。お二人の方にそういう鑑定士に対する鑑定士の価値、鑑定士の効果といいますか、こういうものをめぐっての御意見の対立は当然だと思う。しかし、それだけでは困る。制度上の問題で、土地鑑定委員会には一般市民等も入れたらいいではないかということ、これは非常に私は賛成です。その意味でこの鑑定士に対する評価というものがどういうところに結論づけていくのか、これもちょっとお二人から伺っておきたいと思うのです。  それから地代、家賃の算定の基準は公営住宅を見る場合に明らかになっておる。しかもどんどん家賃は上がっていくのです。固定資産の標準価格が上がれば自由に上がっていくということになっておるのです、法律では。こういう点に非常に疑問があります。こういう点についてのお話を願いたいと思うのです。  それから三沢さん、この鑑定士の鑑定地点の手数料というものは六千円予算を組んでいるそうです。六千円というもので一体十分なのですか。鑑定士は一体どういう業務を行なうのか。一人でぽっと行って見ておるわけじゃないでしょう。鑑定士はどういう労働をしておるか、頭脳労働と肉体労働をしておるか。お一人だけでしているのか、助手がいるのか。いわゆるどのくらいの出費がかかるものか、お示しを願いたいと思うのです。  それから東京都のほうでは、正常な価格というものに対する、公共用地を取得しようという場合、事業が先行するためにどうしても、あなた方が長い間の経験で知っている価格よりもこの公示価格というものが低い場合には抵抗が強い。これはあなた方の長い間の経験でそれをおっしゃっておると思いますが、一方公共事業はどんどん進めろということを、い江戸さんですか、言っておりましたけれども、一面これはもう公示価格が最低という線をとらまえようとしているならば、これはあなたの経験からいうと非常に不安心で仕事が進まない、こういう気持ちを持たれると思います。また、江戸さんですか、言われた例の新幹線なりあるいは高速道路ができるために非常に高い公共用地取得の価格が示されるということになると、これまた問題が残る。で、全体を通じて伺うのは、私が非常に心配して、いままで審議の過程でも心配しておったものの中の問題点が、それぞれの立場から言われているのですけれども、これは法律でありますから、ひとつ一番重点的には篠塚先生の結論的な御意見を伺っておきたい。で、皆さんからそれぞれ御答弁いただきたいと思います。

櫛田光男日本不動産研究所理事長

○参考人(櫛田光男君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたのは、時間の関係等もございまして、少し簡単に失したかと実は思うのでございますが、秘密の問題でありますが、鑑定制度に関する法律にもありますとおり、鑑定士は鑑定評価にあたって知り得た秘密を、正当な事由がなくして他に漏らしてはならないということがございます。正当な理由は何かということになりますが、私はこのようにこの問題考えております。鑑定士というのには責任がございますが、鑑定士の責務は、大きく分けまして、一つは依頼者に対しまして、その依頼に応じまして、正常な価格を鑑定評価するという依頼者に対する責務、ところが、その鑑定評価いたしました結果は、依頼者はもちろん御自分の取引なりそのほかに御活用なさるわけでありますが、それが一つの価格形成でありますから、社会的な影響を当然に持ちます。したがって、鑑定士はその鑑定評価の結果につきまして、それが社会的にどのような影響を持つであろうかということについて、やはり社会的、公共的な責任というものを持っていると思います。それからさらに鑑定士は、つまり同業とでも申しますか、鑑定士のチャンピオンの一人でありますから、自分の行動がこの鑑定評価制度というものの充実、進歩というものにどれだけ貢献するかということを常に考えて、自分の技能を高め、経験を深め、知識を充実させて、常によりよい鑑定評価をすることにつとめなければならぬという責任を持っております。で、私が申しましたのは、二番目の社会的な責任というものをどのようにして果たすか。いままでは、簡単に申しますと、依頼者に対して鑑定評価をする、その結果が依頼者を通じて社会的な影響を及ぼすという過程において、社会的責任を果たそうということなんでありますが、過去五年間のいろいろな経験によりまして、もし鑑定評価した結果が、依頼者の御理解を得て一般にお知らせすることができるようなことがあれば、ずいぶんお役に立つことがあるんじゃなかろうかということを、個人的でありますが痛感しております。そこで今度の制度が、正当な事由というものの中に、社会公共的な地価の混乱についてある誘導的な秩序化をはかるための、ある誘導的な効果を持たせるという大きな目的が片方にあれば、そのようなことを政府という道を通して、公の道を通して公表されるということはよいことではないか、全体のためになるのじゃないか。  そこでもう一つ申し上げたいことは、この値段が最高価格であるのか、最低価格であるのかというお話でありますが、正常価格というのは、最高価格でもなければ最低価格でもないのです。簡単に俗なことばで言うと、仲値とでも申しますか、そのもののそのときにおける経済的な効用を反映するずばりの価格です。ですから、別な意味で申しますと、売り手はその値段で売って損をしないお値段ですし、買い手であるならその値段で買って高過ぎるといって損をする値段ではないし、売り手はまたその値段で売って低過ぎるといって損をする値段でもない。全体がまるくおさまるような正常な価格ですから、その正常価格というものは、ある意味で言いますと、こういうことが言えると思います。だれでもが自分の持っているもののそのときにおける正しい適正な値段はこれだということを知り得るチャンス、またその値段を知りたいだろうと思うのですが、ですから、正常価格である限りそれを、——しかも鑑定士の恣意的な考えによらずに、皆さんのおきめいただくこの法律のもとにおいて、正当な適正な経路を通じ公表されるということは、御本人にとっても私は非常に侵害にはならぬと思うのですね。個人的に自分のところの値段は何百万円すると思ったのがありましょうし、またよその人はこれは何十万円だという人もありましょうが、適正な値段はこういうものだということをはっきり知るということについて、私は決して著しい損害とかそういうものを与えないだろうと思います。ただ、鑑定士個人が、その恣意によってそれを第三者あるいは社会に漏らすということは、これはいけないのです。一つの合法的な制度のもとで、しかも限られた時点において、限られた地点についてなされる限りにおいて、これは先ほど申しました秘密漏洩ということについて何か矛盾を感じないのかというのですが、私はそのような意味で、むしろ世の中のためになるのじゃないかと、そのような意味でけっこうなことだと、免責されるというぐあいに感じております。  それから鑑定士にみんなまかせろ、委員会などは要らないということを申したわけではございません。しかし、正常価格というものを鑑定評価する専門家というのは、今日のところ鑑定士でございます。ですから、鑑定委員会が鑑定士を御活用いただいて、その結果を十分にそしゃくしていただいて公表され、公示される。けっこうなことであります。ただ、もう一つ申し上げたのは、鑑定士を活用してもらいたいと申し上げたことは、標準地というのは限られております。したがって、その一つの地域内においても、その標準地の値段はまあ大体このようなものが、先ほども申しました仲値とでも申しますか、標準的な値段でありますというのであって、やはりそのところからある程度離れた、地形も地勢もその他条件が個別的にはそれぞれ違うものがありますし、また、時点を異にしますと変わってまいります。でありますから、標準地以外のところを標準地を基準にしていろいろ考えますけれども、目安になりますが、具体的にではいかほどのものであるかという正確なその正常価格を出すということになれば、やはり鑑定士の評価活動というものにお待ちになったほうが正確である。そのような意味で標準地以外の鑑定評価という問題についても、できる限り鑑定士を活用するという方向に向かわれることが望ましいし、また現に鑑定制度がこの五年の経験によりまして、非常に社会的にも御信頼を得てまいりまして、御依頼の件数が鑑定士全体として昨年じゅうにおきましても五万件をこえる鑑定評価をいたしておりますが、鑑定業界全体といたしまして、そのようなぐあいでありますので、そのようなことを申し上げたので、自主的には鑑定士が土台をつくりますが、鑑定委員会が要らないということを申し上げたのではなかったのであります。  それから、あと三沢君に御質問になった点、六千円問題がありますが、関連がありますから、私からもちょっと申し上げてみたいと思います。いま鑑定協会では、鑑定評価をいたしますときに、鑑定評価の基準にもいろいろ書いてありますとおり、ある特定の地点を評価いたします場合、その価格の土台になりますものは、個別的な要因もありますが、その近隣の状況からまわりの状況、その地域のぐあい、結局は経済がどう伸びるか、人口がどのように動くかといった一般的な社会要因、あるいは経済要因、その他一般的なあらゆるものを含んで一つがそこにしぼり出されるわけでありますが、したがって常時勉強を続けなければなりませんと同時に、相当の時間と人手もかかります。一人だけではできぬ場合があります。そのような、簡単なものは一人だけでできる場合もありますが、そのような見地からいたしまして、鑑定評価についての報酬規定を鑑定協会はきめておりますが、その場合一件について最低三万円ときめております。それからあと非常に手間がかかるとか、あるいは大きなものであるとか、鑑定評価額にある程度スライドさせましてきめております。大体私は現状において三万円というところは、必要最小限度の経費を償うものであろうと思っております。もちろん最小限の経費を償い、若干の、これは生活をしておる諸君でありますからプラスアルファ、この六千円というのは、私どもの鑑定業界からすればやはりもっと高めていただきたいのです。それから政府の予算の関係もありましょうし、それから同時に政府でも、いままで過去四年間、東京あるいは大阪、あるいは名古屋周辺について、地価調査の予備調査をいたしております。実行いたして、私どもその御依頼に御協力を申し上げたのでありますが、毎年何がしかずつ高くなってきております。できれば協会できめた程度まで上げていただくことが望ましいのですが、財政上の都合その他がございまして、同時に鑑定士のほうも、先ほど申し上げました一つの社会的貯任、公共的責任というものを感じますので、できるだけ高くしていただきたい。現状においては公共的な意味のサービスをしているという状況なんであります。そのことを三沢さんに対する御質問にちょっと関連したことでございますが、私に関係がありますのでちょっと申し上げたわけでございます。  それからさらに正常価格を出すについて、先ほど申しましたあらゆる要因を分析すると申しますか、私ども現場でやっておりますと大体二百ぐらいのデータがありますね。それをこなすわけです。それ以上あるときもない場合もありますが、それを三方式、復成式評価法、市場資料比較法、及び収益還元法の三方式を原則として使いまして、できたものをさらに高度の見地から総合調整するわけです。それで一つのものをしぼり出すわけです。ちょうど山の高さに上がるのに、いろんな道から道を突き詰めまして最後のものをしぼり出す。ですからその方式なりまた考え方、やり方等についてはまことに専門的でありますし、またその修練を重ねた人たちが現在鑑定士になっておりますので、そうですね、正常価格が、鑑定士がはたしてつかめるのかどうかあやしいというふうなことは、まあ御懸念はないだろうと私は存じておりますが、この上とも努力をして、つかむことに精進いたしますけれども、その点はどうぞ御懸念のないように、十分に御信頼いただきたいと重ねてお願い申し上げます。

田中一日本社会党

○田中一君 大体、人の財産をだれかが評価するなんということは、されるほうの側は、うれしい人もいるだろう。いるかもしれません。しかし何といっても人さまが何々銀行に何千万金を持っているということと同じことなんですよ、財産というやつは……。これはまあ検察庁には捜査権というのがあるらしいんですがね。なるほど法律では依頼者、国なら国ですね、国が秘密を守ればいいんです。しかし、された個人は、まるで刑事のような行為でもって自分の所有している宅地のまわりをうろうろされてやられたんじゃたまったものじゃありません。だからあなたの伝うで、ただ単に依頼者に対して、あなたの言っているのは依頼者に対するところの秘密を守る義務であり倫理規定があるのであって、該当する地点の所有者に対しては、あなたは良心の痛みを感じませんかと伺たんです。これも、これらの事業が、正当な価値というものが発見されて、これが社会的に認められて、そうして不動産鑑定士というものの価値が法的にもはっきり評価されるということになるならば、これは将来の社会はいざ知らず、今日、一体不動産鑑定士に何の権限と何を持っておるか。何も持っていないじゃありませんか。たとえば裁判所はあるいは国は、その評価に対してはこれを櫛田鑑定士、かどうか知らぬが、不動産鑑定士の言ったことだからこれはそのままうのみにしましょうということになれば別です。しかしそれにしても、依頼者に、国という依頼者に対する秘密を守る義務がある。しかし大体、法律によって公示されるんです。公開公表されるんでしょう。なるほど名前を出さなければ……。地点を言わなくちゃ何にも効果ありません。これはおそらく何万件という地点をこれから、ことしは少ないでしょう、東京、大阪、名古屋にすぎないそうでありますけれども、ほかの土地も全部やらなければならぬ、地域の状況によっては変わってくるわけですから、価値が。環境によって変わるわけですから。しょっちゅうその地点というものをにらんで、まるで刑事か何かじゃあるまいし、うろうろされたんじゃたまったものじゃありませんと言っている。そういう意味で、たとえば該当する地点の住民に対して、あなたが依頼者に対する秘密を守るというこの倫理規定はけっこうですけれども、痛みを感じませんかと伺ったんであって、これはそんなもの感じないよ、依頼者に対して守ればいいんだからというなら、それはもう論外です。何とかして不動産鑑定士というものの社会的価値というか、社会的評価というものが高められる時点、そうして不動産鑑定、俗に言われておる不動産鑑定法という法律も、そこまで高められた権限が与えられるということになると、これまた別であります。一面、篠塚先生言われておるように、建設省に持たれる土地鑑定委員会ですね、これよりもあなたがたのほうが私は信用します。こんな政府の中へお手盛りでかってに、なるほど国会の承認を得てその委員はきまりますけれども、そんなものは自分の都合のいいようなことと、われわれはいままでの政治行政に対しての不信感を持っていますから、そう感ぜざるを得ないのです。だから私が伺ったのは、あなたにいやなことかもしらぬけれども、倫理感というか、こいつをどうお考えになるかと伺ったわけで、しかし御答弁していただけないのだったらけっこうです。そういう意味でありました。

篠塚昭次早稲田大学教授

○参考人(篠塚昭次君) 田中先生からいろいろな部分につきまして御質問をいただきましたが、その大体全部にわたって私の意見を申し上げたいと思います。結局、問題は、この評価額というものが最低価格として動くか最高価格として動くかということが、最後にはいろいろのきめ手になる。その予測がなかなかつきにくいところに議論が紛糾してくるもとがあると思うのですが、やや通俗的な意見ですが、ことしの三月ごろに読売新聞でこういう記事を読んだことがある。それは東京都が、三鷹でしたか清瀬のほうに公営住宅を建設したい。そこで地主さんと買収契約がほとんど成立しておった。ところが、確定的に契約書ができるその直前、新聞ではたしか前の日とか前の晩とか書いてありましたが、民間の業者が入ってきてそれを横取りしてしまったという記事なんです。この真偽のほどは私も確認しておりませんのでわかりませんが、おそらくその新聞記事のとおりではないかという前提でお話をしてみますと、民間不動産業者にとりましては、これの最高価格として採用することがおそらく望ましいだろう。そうなりますと、公共機関はその価格以上では買い取ることができなくなって、あとわずかでも上積みすれば民間業社に横取りされちゃう。つまりこの法律は公共団体が土地を取得する場合に自縄自縛の作用を果たせないだろうかという懸念を若干持つわけであります。ですから民間——別にこれは三井不動産そのものとか東急不動産そのものに対する個人的な批判ということではありませんで、誤解のないように聞いていただきたいと思いますが、制度運用そのものといたしまして、九条ではこれを規準としなければならないということになっておりますから、公共機関が土地を取得することは、それを民間の業者が望ましいと思っている場合以外は、すべてほんのわずかな上積みによって横取りされちゃうんだという心配が一つあります。おそらく田中先生の御質問もそういう点にからんでいるかと思いますが、その点の立法上の配慮が行なわれていない。  十条ではそれを収用裁決の場合に、さらに幅を持たせた規定が出ておりますが、幅を持たせて、公共機関のほうが今度は不動産業者と競争して公共機関が今度は上積みしたいと言ったときは十条で裁決に持っていかなければならないという点で、当事者としては公共機関を交渉相手として選ぶのに困難を感ずるのではないかという点ですね。したがって、公共機関が土地を取得するやり方としては、その一方にはその是正措置を何か考慮さるべきではないかというふうに考えられます。  それから不動産鑑定士がこれを調査して公表することがその被調査者、被対象者の人格あるいはプライバシーというものを侵害するおそれがないだろうか、これは実はあると思うんです。西ドイツでも御存じのように地価の制度、鑑定評価の制度がありますけれども、ドイツ人はなかなかその点憲法上の解釈がうるさくて、結局公示ということが一般的にはできない。結局所有者が依頼してきたときだけその依頼に応じて鑑定をして、そしてその台帳を備える。ですから、これは依頼者が自分で調べてくれ——これは依頼者は行政機関ではありませんで個人の土地所有者、これが求めてきたときにその求めに応ずる限度でのみしか調査できないというふうになっております。そこで、日本の場合にはたしてこれはどうかと申し上げますと、私は結論としては田中先生の意見には反対なんです。それはどういう理由かと申しますと、この土地が幾らであるかということはごく大ざっぱな腰だめではありますけれども、実際の不動産取引業者のところへ聞きに行けば大体の数字は示されるだろう。したがって、問題は国家の権力でそれを確認するという点が、個人に苦痛を与えるかもしれないということは私もわかりますけれども、結局地価を安定させるほんのわずかな効果——これは全体の地価総合対策をヨーロッパ的な水準から考えてみますと、腰だめの数字で申し上げますと、わずか一%か二%高く見ても三%の力しか持たない立法だろうというふうに解釈いたしますが、しかしそれにもかかわらず地価が現在非常に見通しが困難になっている。こういう状態のもとではある程度こういう制度は考慮さるべき必要があるだろう。ただ田中先生のような御心配を立法の上で配慮する必要は確かにある面もあるので、その点はこういうふうに私としては解釈しておったのです。それは個人のプライバシー等を侵害することは、これはたとえこの法律が認められても民法、刑法の原則は認められないのですから、その限度では個人の名誉、プライバシーというものは侵しがたい憲法上の権利、民法、刑法の諸権利として存在している。ですから、それとの調和を考えますと公示額は一つの結論だけであって、いかなる理由でそういう計算に到達したかという鑑定評価の結論、この中には、さまざまなプライバシーに関するファクターが介入してくると思いますので、これは公表してはならない。ただ、紛争になって裁判所でそのような事情を公開することを求められたときに、これは場合によっては法廷を公開しないで、そういう形の審議をすることも可能ですから、そういうときはそういう形でやるべきではないか。したがって御心配のような懸念は確かにある。西ドイツでもそのようなお考えのもとに、依頼のない場合に、つまり所有者が依頼してこないときには調査できないというふうになっております。しかし、日本でそれと同じようにやれるかどうかはまあ若干私は疑問で、むしろ地価は公示すべきではないだろうか。ただしプライバシーを侵害するおそれのある事項は公表できない。のみならず、こまかい計算要旨は裁判その他の公権的な審議機関の前でしか公表できないのだ、こういうふうに考えております。  それから、直接私に対します質問といたしまして、民法上どういう問題が出てくるかということで、先ほど担保制度や地代、家賃の問題を申し上げましたが、この公示されました地価が、最高価格として評価されてしまいますと、それを下回ってくる土地が出てくるに違いない。そのときには結局それを担保にとった金融機関、信用機関というものも担保源を失うことになるし、債務者としてもそのためにさらに担保のつぎ増しをしなければならない。あるいは保証人を追加して立てなければならないということで、いろいろと信用関係に乱れが出てくる。この点は私、実はあんまり厳密には数字はわかりませんが、場合によるとかなり深刻になるということだけを申し上げておきます。  それから地代、家賃の点につきましては、これのほうが実は社会的な影響が直接出てくるので心配されるのですが、御存じのように、現在借地法、借家法でそれぞれ地代、家賃の値上げの原則がきまっております。またそのほかに、御存じのように昭和二十五年七月十日までに建築に着手した三十坪以下の住宅につきましては、地代家賃の統制令があります。問題はこの法律が通りましたときに地代家賃がどういう基準で値上げされていくか。借地法のたとえば十二条を見ますと、比隣の価格、比隣の比は比較の比で、隣は隣近所の隣です。比隣の価格でもって上がっていくというふうになっております。その点はこの法案の中にある近傍類似の価格というのとおそらく同じ意味に把握されていいだろう。ただ地代、家賃の問題につきましては、判例がかなり長い間時間をかけまして伝統的な原則というものを、ほとんど確固としたものを確立しておるわけですが、それにどういう影響を与えるか。これはやはり影響があるのです。どういう点で影響が出てくるかと申しますと、従来地価が上がりましても、たとえば地価上昇率を掛けるというふうに私先ほど申し上げましたが、判例では確かにそうなっておりますが、裁判所はそこから差し引きをするわけです。なんで裁判所がそういうものを差し引くかと言いますと、地価の上昇率は法律家にとってあまりにも異常だという常識がしみ込んでいるということが一つと、それから鑑定士の方にはたいへん失礼な表現になりますが、鑑定士を必ずしも信頼していない。なぜかと申しますと、裁判所で鑑定士を二人以上求めまして鑑定させる。鑑定額にかなりの開きが出てくるわけです。一人は四万と評価し、一人は八万というふうに評価することがある。裁判所はそのまん中をとって六万円というふうにすることもあるかもしれない。こういうわけで、鑑定額が厳密に合致するということは必ずしも期待できない。むしろ厳密に合致するほうが奇異な感じを与えはしないか。先日、検察庁ですか東京都でしたか、不動産鑑定士の方二人に依頼して、それぞれの鑑定士が相互に連絡しないで同じ土地についての鑑定額というものを報告した。そのごく簡単なぺらぺらの記録というものをのぞいたことがあるのですけれども、大部分の鑑定士が百円単位まで一致しているというふうに、やや不自然な印象を持つわけなんです。たとえば東京の荻窪のほうで、平方メートル当たりでしたか、坪当たりでしたか、おそらく平方メートル当たりだと思いますけれども、三万六千二百円、二人ともそういう数字を出してきている。はたしてそこまで合致することが可能かどうか。私は、土地の価格というものはそこまで厳密には把握はできないだろう。そういうふうに合致している例がたくさんありまして、これはごく勘ぐりますと話し合いをしているんじゃないか。鑑定士同士でお互いに相談している。これはお互いに自信がないことを示すものであって、私としてはむしろそれがきわめて人間的な鑑定のしかただろう。そこでむしろその点を尊重して、鑑定士三名ぐらいで一つのチームをつくって、お互いに相互に補充し、協力しながら一つの地点を調査する。そうすれば特定の所有者との不純な接触ということも避けることができるかもしれないし、お互いに自信のなかったものについての補充もできる。この点がどういうふうに変わるかは詳しく存じませんけれども、そういうような形で不動産鑑定の公正、客観性というものを完補していくべきものではないだろうかというふうに考えております。あまり正確なお答えにはなっていないと思いますが、以上でございます。

前沢保利東京都財務局主幹

○参考人(前沢保利君) 先ほど公共用地を取得します場合に、公示価格が一般に最低価格として受け取られ、それ以上の高い取引があれば、公共事業はやりにくくなるのではないか、そういうふうな御質問だと思うのでございますが、補償という観点から申しますと篠塚先生が申し上げましたように、最高でも最低でもない。ほんとうの経済のそのときどきの、その場所の経済の実勢をあらわす価格である。これで補償されるならば正当な補償であると言えると思うのであります。ただ篠塚先生がおっしゃったように、たとえば田畑のような場合、これを商品としてとらえた価格、これでは当然生活再建ができないことが多いわけでございます。補償の場合に、精神的な面の補償はしませんけれども、そのよって生活を立てている現在の機能を原則的に回復するための補償は土地価格以外の補償で、これは通常生ずる損失と申しておりますが、それで補償いたしております。なお相当の財産増にならなければ機能回復ができないというような場合には、融資措置とか、あるいはできるならば代替地、可能ならば代替地を世話する、こういうようなことで総合的に相手方の損失を補償する。ですからそうしませんと、何か客観的な基準で土地価格というものをとらえませんと、いわゆる比較といいますか、それができないわけです。ですから補償ではその辺を分離して考えておるわけです。  そこで、本論に戻りまして、最低でも最高でもない価格、これも同様に民間が取引が行なわれるように誘導されれば、これは非常にいいのでありますが、受け取った国民のほうが常に最低として受け取って、実際の取引はそれ以上であることが多い。こういうことが多くなりますと、これは公共事業としては確かにやりにくくなるので、その場合、税制で補うか、あるいはそれは企業者としての立場で何らか考えるとか、そのような処置をしなければ、やはり一人、二人の反対なら別ですが、その地域全体がそういう反対される場合、これはやはり一応、われわれは再考しなければいけない、そういうふうに考えております。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) ほかに御質疑ございませんか。

春日正一日本共産党

○春日正一君 江戸さんにお伺いしたいのですけれども、あなたの言われたように、公示制度で土地の値上がりを規制するということを期待するわけにはいかぬ。先ほど需給関係がどうということを言われたのですが、あなたのほうは土地を供給する仕事をしておられる。その立場から見て、需給関係を緩和するときはどうすればいいかというようなお考えがあったら、ひとつ聞かしてもらいたい。  もう一つは、不動産協会のほうの意見として、公示価格をやる場合に、造成地に対する価格の公示というのではなくて、もっぱらもと地というか、そういうものに対して公示してほしいというような意見があるように言われたように思うのですが、そこのところの理由ですね、なぜ造成地に対しては困るのか、聞かしてください。

江戸英雄三井不動産株式会社社長

○参考人(江戸英雄君) ただいま需給関係の緩和をどうしたらいいかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、先ほどちょっと触れましたのでございますが、これは素朴な考え方でございますが、やっぱり、何としても供給を増すということと、需要を調整する、そういうような二点だと思います。ただ御承知のように、非常に事業圧力が強い。したがいまして、この対策は思い切ったことをやらなければならないから、それで第一に土地の供給一住宅地の供給、住宅地の供給を増すというような関係からしますと、需要の最も多い大都市内外におきまして、団地の造成とかあるいはニュータウンをつくるとかということは官民ともにやる。それに対して政府が思い切った助成をする。一番民間で待望するところは金融でございます。税制もむろんございますが、これが一つ。  それからもう一つ、これも先ほど申し上げましたが、大都市既成市街地の中でもって建物を不燃化立体化して、そこに住宅地帯の供給を増す。土地を効率的に使って住宅を多く供給する。これによって宅地に対する需要を調整する、こういう点、このあとの点はただいま御審議になっていらっしゃると思いますが、都市再開発法の領分になるわけでございます。その中で都市を高度化する、既成市街地を高度化する、そうして不燃化していく、そこに住宅を供給する。もちろん、災害を防ぐということも一つの目的ではございます。私はその土地をこうすれば効率的に利用し、住宅地帯をたくさん供給する、それによって住宅地そのものに対する需要を緩和する。しかも、これは思い切ってやらなければいかぬ。ただ日本では御承知のようにべらべらぼうに土地の値上がりがございますから、こういう民間の手でやるということが、非常にそろばん上むずかしい。アメリカでは再開発の建設部門は全部民間にやらしているようでございますが、それにつきましては、政府が非常に大きな助成をしている。数字的に申し上げますと、ことしは七億五千万ドル、これは再開発地を市がさら地にして、民間にそろばんに合うような値で売り渡します。その場合当然、差損が出ます。かりに坪当たり四百万で買って、それを百万で民間に売り渡すと、約三百万の差損が出る。そのうちの三分の二は国が出します。三分の一は市、あるいは州によっては州と市が半分ずつ持つ。そこでこの三分の一のほうはその再開発によって上がった固定資産税の増収でもってカバーする、こういうことをやっておるわけであります。もちろんアメリカのほうは再開発の根拠が日本とだいぶ違いますから、そんな大きな助成は期待できないといたしましても、土地の値が非常に高いですから相当思い切った政府が手を打ちませんと、再開発によって住宅を多く供給するということは、特に民間の手によって供給されるということは非常にむずかしいんではないか。私は公社、公団あるいは官辺筋だけでもって再開発をやって住宅を供給するということはとてもできないと思うんです。どうしても民間を思い切って加勢をする。思い切って加勢をするについて思い切った助成をする。これは私個人の意見でございますが、そうした場合に、利潤を制限してもいいんじゃないか、こう思っております。これは業界こぞって反対しておりますが、私は民間としては大きな仕事をやって、利益の絶対額を多くすればいいんですから、政府が大きな助成をする以上は利潤を制限してもいいんじゃないか、そういうことによってとにかく既成市街地を立体化し、住宅を多く供給すると、これによって土地に対する需要を調整する、こういう手を打つべきじゃないかと、こう思っておるわけであります。これは先ほど申し上げましたことを少々詳しく申し上げたわけであります。  それから不動産業界のメンバーの一社からの希望でございますが、公示価格がもと地価格、これはかりに坪千円で買ったところに造成いたしますと、大体三割ないし四割は道路とか公園とか学校用地とかになります。ですから六五%ないし六〇%ぐらいきり売れません。そこに道路をつくったり公共施設をだいぶやります。これは先般宅地開発税というようなことが答申になりましたが、実際問題としまして非常に民間不動産業者が大きな公共施設を精巧にやらなければいけないと、こういうことで非常に売り値は高くなるわけでございます。千円で買ったところは少なくともおそらく一万円くらいないしは一万円にも二万円にも売り値が上がる。特に大きな団地をつくるについて大きければ大きいほど、土地の値が上がってくる。まあもと地に加工するわけでございますが、坪当たり千円の土地でもそれが一万円、二万円、三万円と、そういうふうな場合に、これは公団の大規模開発の場合の例でございますが、この公示する価格はそれによって影響されないもと地の値段であってほしい、要するに材料地でございます。そういうある社の希望でございます。それを申し上げたわけであります。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 三沢さんにお願いしたいんですが、いま江戸さんがおっしゃいました需給のアンバランスの点だと思うんですが、先ほどのお話によりますと、需給のアンバランスがあるから、効果の点においては全面的には考えられないというような御発言があったようでございますが、そのことにつきましていまの江戸さんの御意見、不動産鑑定士としての立場でどういうふうにお考えになっておられますか、伺っておきたいと思います。

三沢勝不動産鑑定士

○参考人(三沢勝君) これは、まあ大都市の地価の高騰というのは、皆さん御存じのように、戦後の人口の都市集中、企業の都市集中でございますが、これは日本だけじゃなくて、世界先進国共通じゃないかと思います。ただし、日本の場合は、土地が非常に外国、アメリカとか何とか先進国と違って限定されておる。そのために外国に比べて非常に高くなっておる。ことに最近の住宅地の需要が上がっているのは、経済の高度成長を反映して、土地に対する購買力、住宅に対する購買力、有効需要が非常にふえておるというのが原因で、そういう点では価格制度に直接には関係してこない。そういう点では限度があるというふうに考えておるわけでございます。そういう面では、供給をふやすのは、江戸さんのおっしゃったように宅地の供給をふやすのですけれども、そういう意味でニュータウンとか何とかということが必要になってきますし、そうかといってまああまり平面的に無限に広がっても、これは通勤に非常に困難を来たします。また交通機関その他でそのほうにも非常に影響がある。したがって、都市の再開発、旧来の住宅の高層化ということが必要になってくると思いますが、根本は日本の土地が狭いということ、これはいかんともしがたい宿命じゃないかと、そういうふうに私たちば考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 利潤のお話が江戸さんからお話しがありました。その点についてはどうでございましょうか。利潤の立場でお話がありましたね、江戸さんから。その点につきましては。

三沢勝不動産鑑定士

○参考人(三沢勝君) それはまあ国から補助がございますので、その限度内で利潤制限するというのは、社会正義、公正の立場からけっこうなことだと思いますが。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) 以上で参考人に対する質疑を終わります。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は御多忙のところ、長時間貴重な御意見をお述べいただきまして、ほんとうにありがとうございました。つつしんで御礼申し上げます。  午前中の質疑は、この程度で終わりまして、一時間後再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) それでは建設委員会を再開いたします。  午前に引き続き、地価公示法案を議題とし質疑を行ないます。質疑のある力は御発言願います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 この法律案の目的としておるところは、第一条に出ているわけですが、この法律案で一般の土地の取引価格に対して指標を与えることができる、こういう証明、確信というものを、どういうところからそういうことかできるというふうに判断されるのか、それをひとつ簡潔に御説明ください。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) お答え申し上げます。  公示価格は、不動産の鑑定評価に関する専門職業家でございます不動産鑑定士または不動産鑑定士の二人以上の鑑定評価を求めまして、その評価結果を中立的な合議性の機関でございます土地鑑定委員会が審査し調整をいたしまして鑑定する、という慎重な手続を経て決定をされることになっておりますので、十分に客観的かつ公正なものとして国民の信頼にこたえることができると確信をいたしておる次第でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 鑑定士によって正常な価格というものは出る自信はおありだと思うのです。それが一般の土地の取引の価格に対して指標を与えることができると確信できる理由はどこですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 御案内のように、不動産鑑定士制度は、制度としては比較的新しい、昭和三十九年以来のものでございますが、午前中に参考人からも陳述がございましたように、日本の不動産鑑定の歴史は比較的古く、七十年来の歴史を持っているわけでございます。こうして積み上げた知識、経験を持った人をさらに国家試験によってふるいまして、りっぱな専門職業家として国家が認定したわけでございます。それにこれも午前中も参考人の陳述がございましたが、わが国の鑑定評価基準は三十八年に宅地審議会から答申を得たものをもとにただいま採用されておりますが、それも欧米諸国に比べても、決して劣らないりっぱな基準だとされております。その鑑定評価基準を駆使いたしまして鑑定士が鑑定評価に当たるわけでございますから、これは当然に国民の信頼にこたえ得るというふうに確信をいたしておる次第でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 私は鑑定士によって土地の正常な価格が鑑定できるということについて、それほど疑問を持っているわけじゃないのですが、ただ、それが一般の土地の取引の価格の指標になるのには、そこにやっぱり条件がなければできないと思うのですね。それがいままでこの委員会でも問題になったのは、固定資産税の評価額、相続税の評価額、こういうものの基準を同じにするということがあることによって、その一つはやはり一般の土地評価というもの、取引に非常に大きなウエートを持つであろうというようなことになると思うのでありますがね。そういうことも一つの条件だけれども、これもこの前の質問を通じてわかったことは、結局そういう方向を指向しているのは建設省であって、必ずしも自治省、大蔵省はそれをそのまま考えているわけではないということも言われたわけですね。だから、この点について物価安定推進会議の中間報告などには、明確にこういうことが、「バラバラに行なわれている固定資産税、相続税、国有財産の払下げ価格等の評価を一元的にこの委員会に行なわせること、および公共用地を統一的に取得する土地委員会にまで発展させることを検討すべきである。」ということが出ておるのですね。これも一つの正常な価格として鑑定したものが、一般の土地の取引の価評に指標を与えるという非常に重要な条件になってくると思うのですがね。そういうことを私は聞いているわけなんです。建設省の話は少しお聞きをしたわけですが、この中で特に指摘しているのは、固定資産税とか相続税、あるいは国有財産の払い下げ価格等の評価を「一元的にこの委員会に行なわせる」、だから大蔵省や自治省が別々に基準とか通達とか出しているけれども、もっと権威のある委員会をつくって、そこで一元的に評価をしたらどうかということが、物価安定推進会議の中間報告に出ているわけですね。だから、権威のある委員会をこしらえて、その委員会で正当、妥当なつまり評価をして、それを各省で使っていくという措置をすることが物価の対策になるし、地価の規制にもなる、こう言っているのですね。この点について建設省の考え方はわかりましたけれども、自治省と大蔵省、こういう具体的な提案、提言がなされているわけですね、「統一的に取得する土地委員会にまで発展させることを検討すべきである。」、ばらばらに行なわれているものを統一するように、というようなことを明確に言っているのですが、この方針は一体間違っていると思っているのか、この点は正しいと考えているのか。その点をひとつ大蔵省と自治省のほうからお聞かせください。

安井誠大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(安井誠君) 実は私税制第一課のほうでございまして、所得税、法人税の関係。直接、相続税の関係を担当いたしておりませんけれども、いま先生のお話承っておりまして、私ども内部で議論いたしておりますのも、この地価公示制度というものが、現段階ではまだ地価公示の対象となる数、層も少のうございますし、相続税の評価というものは、どこに相続税の対象となる財産が起こり得るかわからないわけでございまして、全国的に評価をしなければならない。こういう問題もございまして、いま直ちにということはむずかしいことでございますけれども、将来の方向としては、そういうような方向へいくことが行政的にも望ましいことであろう、また現に私ども相続税の評価を固定資産税の評価と統一をするようにということで、三十九年ごろから努力もしてきておりますし、方向としてはそちらに向かうべきことであろうというふうに考えております。

山本成美自治省財政局地方債課長

○説明員(山本成美君) たいへん恐縮でございますが、私、地方債課長でございまして、いまおっつけ固定資産税課長参ると思いますので、その際に御答弁申し上げたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 自治省のほうは何と言うか知りませんが、大蔵省の答弁は、この前の答弁とやや違うんですがね。まあいまのようなことなら私たちも理解できますがね。現状、直ちにそれを使うことはできない。特に、大臣もひとつこの前もお聞きのように、私のほうは一万数千もやっていますよ、千かそこらやっているような、しかも市街化区域だけにやっているような、こういうものを標準にはできませんよ、というようなざっくばらんなものの言い方ですね。だから問題は、地価公示制度が一般のいわゆる土地の取引の価格の指標を与えるためには、もっと予算をしっかりして地点を広くしていく、たくさんにしていくということが一つは条件になっていることは、明らかにほかの省の言っていることだと思うんですがね。この点にやはり今後の努力点があると私は思うんですが、とにかくせっかくいろんな提言がなされ、しかもその提言を、またこの物価安定推進会議が自分の提言をどのくらい実行したかというようなことで、またそれに対する提言があるわけなんですがね。そういう面から考えてみても、いま直ちにやるわけにはいかぬ。私はこの前の自治省あたりの、大蔵省のほうでもそうだけれども、相続税だから、固定資産税だから、直ちに地価公示制度の価格を標準にするのはやや違うような言い方をされているけれども、価格を標準にして税率でもって緩和していけばいいと思うんですがね。税率が、もし非常に固定資産税の評価がえが、こういう評価が地価公示制度と同じになったらば、その税率をそのままかければ非常な負担になってくるから税率を調整すればいいのであって、統一した価格を、評価をきめるということは正しいし、それからもっと言うならこの提言のように、そのための特別の権威ある委員会をつくってそこでやったらどうかという、これらも正しいと思うのですがね。まあ特に固定資産税の評価のやり方なんかについては、私はいま提案されている公示制度のほうが数等進んでいると思うんです。これはこの前も話が出てきているように、固定資産評価を、一人補助員を置いて、議会の同意を得てこれはまあ選任をしていることになっている。別に鑑定士という資格を持っているわけじゃない。ただ、そういうことに熟練している者を選ぶ。しかも、それは固定資産評価基準によってきめている。異議が出てきたらならば中央固定資産評価審議会の意見を聞いてこの固定資産評価の基準をつくっていくというようなことで、提案されているような土地鑑定士を含めた科学的なもので出していこうという点については、よほど離れているように思うんですね。もしこの土地鑑定委員会というものがしっかりできて、しかも標準地点がたくさん選ばれてくれば、これでやって、統一をしていくということは至当だと思うんですが、前回、ちょっと私は関連で質問をいたしましたらば、非常に各省ばらばらな言い方である。この提言にも非常に違ったような発言をなされておるので、あらためて私は質問をしたわけですけれども、とにかくこういう条件を一つまずつくるということが、いわゆる一般の土地の取引の価格に指標を与えるという一つの証拠になるわけですね。これが十分できてないということは言えると思うのですよ。この点について、大臣に再度、ひとつ各省間の間で努力をされて、そういう方向で持っていくという点についての決意を、再度はっきりしてください。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) 松永先生の、先ほどから御指摘になり、またその運営について遺憾なきを期する意味においての非常な御憂慮をいただいている点、私も深く拝聴いたしており、ごもっともな御意見だと思うのでございます。いま大蔵省の課長も申しました答弁等を考えて、私もいま尋ねて、またその内容についての心持ちも聞いたのでございますが、先回の委員会で大蔵当局が答弁いたしました気持ちと何ら本質的には変わるものを私は感じておりませんけれども、こうした重要な政府また関係協議会等が建設的な提言をいたした場合に対するそれらを踏まえての配慮、またそれに対する政治の進み方ということは、非常に私は重要な一つの使命、また責任感を持っておるわけでございますので、これらの点を踏まえながら、各省庁間におけるところの連絡調整を十分ひとつ密にいたしながら、こうした点についての統一的な目標と、統一的なるところの事務的な作業によって、こうした重要な課題に取り組むという御意見は、私もごもっともと思いますので、その点を十分われわれは配慮いたしながら、いわゆる鑑定の標準地の設定あるいはそれを増大していく場合における今後の税との関連性等も十分考えながら、い衣御指摘になった点の御憂慮を配慮いたしながら推し進めてまいりたい、こう私は責任を持って努力いたしたい覚悟でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 特に私は都市計画税などは、開発利益というものをいま直接税としてこれを取り上げることは非常に困難な状態もある。しかし、都市計画税は都市計画を行なおうとするところに対するその財源としての税なわけです。こういうものこそ市街化区域のところできめられた公示価格などを一番先に取り入れてこなきゃできない筋合いのものだと思うのですよ。この都市計画税は、固定資産税をもとにして税率をかけているわけですね。いまのような考え方で、いつまでも固定資産税の考え方を進めていくならば、都市計画税というのはいつまでたっても直らぬわけだと思うのですがね。いま開発利益を税としていろいろ考えていく場合に、新しい税をつくるよりもまず最初に、都市計画税の中に、都市計画の財源として現に都市計画を実施する地域というのは、都市化される地域なんだから、こういうところにこそ市街化で地域の標準地をきめる公示制度などをもとにして、これでかけていくというようなことなんかは、一番合理的なものの考え方だと私は思うのです。この点については建設省と自治省のほうの考え方も、ひとつお聞かせください。

山本成美自治省財政局地方債課長

○説明員(山本成美君) 先ほども申し上げましたが、固定資産税課長、部屋を出ているんですが、まだ到着をいたしませんので、おっつけ参りましたら御答弁申し上げます。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 都市計画税は、同じ市町村税といたしまして、固定資産税とともに市町村が徴収する税でございます。したがいまして、この評価は固定資産の評価額を使うということになっております。したがいまして、都市計画税の評価額を固定資産税の評価額と離れて、それだけを公示価格とリンクするということは、税制としても適当でないと思いますので、したがいまして、なるべく早く固定資産税、都市計画税ともに公示価格とリンクできるような態勢を整えることが先決問題であろうというふうに考えます。   〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 建設省が自治省あたりと協議する際に、都市計画税などについて公示制度の評価でそろえてやっていくべきだというような論拠のもとに、相続税の問題について検討させるというような方向で努力をしていくべきものだと私は考えるわけです。これもまだ現実にはできていない。それからまたもう一つの点で、市街化調整地域についての評価は、全然予定してないわけですね。あるいはその市街化区域を指定してない。場所についてもまだしてない。だからこれもそういうところをしておくことによって、要するにこの公示制度の価格が結局守られていくという、的確にそれが一般の土地の取引価格のあれになるということになれると思うのですね。この点については将来の問題ですけれども、どう考えていますか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 御説のとおり、私どももできれば地価公示制度は全国的に広く実施をすべきが理想だと思います。しかしながら不動産鑑定士——実際に地価の調査に当たっていただく不動産鑑定士の動員力の関係、また予算の関係もございまして、十分御趣旨に沿うことができない、非常に遺憾でございまするが、何せこの地価公示制度は現在の都市並びにその近郊の高騰する地価を安定させるということにねらいがございますので、この際は地価高騰の著しい市街化区域、これは大体全国の人口十万以上の都市には、あまねく指定をいたしておりますので、まずこれらの市街化区域を押えまして、そこで地価公示を実施すれば、いま現下最大の問題でございます高騰する地価の抑制という点では、相当効果があろうということで、市街化区域について実施をするということにいたしている次第でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 あなたの御説明だと、市街化区域が一番重要だからそうやった、それなら市街化区域のところだけでも、せめていま言うとおり固定資産税とか、そういうものとの統一がはかれれば、まだそこに理屈はわかるのですがね。またこの価格が非常に重要視され、一つの基準とするのには一般的に行なわれてなければまずいという言い方も、逆に言えば固定資産税をきめている自治省のほうから言うと、特定の地域で少数だからだめだ、標準にはならぬ、こう言っているわけです。ではそういう市街化区域だけですというなら、市街化区域が一番大事ですというなら、市街化区域だけでもそれじゃそれを守らしていくというものが同時に並行すれば、あなたのいま言った理屈も成り立つわけです。それも事実上できない、市街化区域の中の標準地の数も少ない、しかも市街化区域以外の調整区域に対しては、まだそういう実行もできない。公共事業、そういうところも行なわれる。ここにもいわゆる一般の土地の取引価格の指標になる一つの何と言いますか、穴がある。またもう一つの点は、それじゃ譲渡取得でこの地価公示制度以上の取得をした、それで売ったという場合には、地価公示の価格の上積みされている上のものだけにはそれを高い税率を課していくというやり方をとっていけば、そうすると、これは譲渡の価格の一つの基準になることも事実です。市街化区域の中で譲渡したものについて、その公示価格よりも高いもので譲渡をした場合には譲渡所得税を高い分にだけ課税をしていくというやり方も一つあるわけですね。  それから、またこれは社会党あたりは新しい都市計画の提案のときに、市街化区域内の取引については、土地基金制度というものに基づいてやれ。それによっていわゆる譲渡の経路を、公の機関を通して譲渡をするというやり方をせよと、もし土地基金制度に基づいてそういう公共の団体を通さなければ、いわゆる市街化区域では土地を譲渡することができないということになると、それ以上で譲渡したものについてはその上の税金をかけるということもできる。だから譲渡所得の税の場合の一つの基準にすることができれば、これは確かに一般地価の一つの指標になることは事実だし、これも実はできていないわけですね。  で、一番初めの御説明のように、ただ、正常な価格というものについて表示できるし、あらわすことができるという、ただそれだけのことができるだけのことでしょう。  公共用地については、その次にいきますけれども、一般の土地の取引の一つの指標になるというのは、単に正常な価格を示すだけであって、それで実は取引ができるのかというと、それを取引をさせる条件にもなっていなければ、それ以上に取引した場合、売買が行なわれた場合に税をかけるというわけじゃないし、それからまた、それはほかのいわゆる税の共通の基準でもないし、それからまたこれは市街化区域、調整区域、ほかの地域には実施をされないのだという。確かにこれが一般土地の取引の価格の指標になるというものは、私は残念ながらないと思うんだけれども、正常な価格を示せば、それが土地の取引のいわゆる基準になると、そう考えておられるのですか。こういうものがまだ十分できないけれども、こうやっていって、それによって一般の取引の価格に対する指標を与えたいと思っているのか、これでもっていいと考えておられるのか、これで効果があると考えているのか。その点をひとつ聞かしてもらいたいと思います。  もとへ戻って、あなたが前に説明されているのは、正常な価格を土地鑑定士によって表示できるから、それで一般の土地の取引の指標になると、こう言ったけれども、それだけじゃ指標にならないじゃないか。税の基準にするとか、あるいは非常にたくさんの地域にそれが行なわれるとか、それ以上に譲渡した場合には、それ以上の譲渡した価格についてだけ特別な税を課するとかという、そういうことをやらなければ、結果的には効果がないじゃないかと私は思うのです。この考え方は間違いなんですか、できないのですか、不可能なんですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) ただいまのお話を拝聴いたしまして、非常に同感のところが多いわけでございますが、今回の制度は、なるほど公共用地については公示価格に準拠してやりますので、公共団体や公団、公社等が行ないます場合の土地の買収補償価格については相当統一がとれると思いますが、それから民間の売買の場合でございまするが、なるほど法律では、指標、目安といたしまして、法的な拘束力を与えておりませんけれども、今回の新都市計画法の施行によりまして、今後宅地の開発は市街化区域の中でなければ行なわれなくなります。しかもおそらく開発は公団とか、あるいは民間ともに相当大規模な形で行なわれることになるだろうと思いますし、また区画整理事業という形で事業が相当行なわれることになろうと思います。いずれにいたしましても相当大規模な開発が行なわれます場合には、たとえば民間でございますと、午前中の江戸参考人の陳述にもありましたように、土地の買い手という立場に立つわけでありますが、民間のデベロッパーが、公示制度がスタートいたしました暁には、国もそれによってやってもらいたいし、われわれもこれによるということをはっきり意思を表明されたわけでございます。私どもは、この地価の高騰に悩んでおりますのは、国ばかりではなく、民間のデベロッパーの方々も同じ悩みで悩んでおるわけでございます。こういう信頼感における公示制度というものが発足いたしますれば、国と同じように公示価格というものを守っていただける。また良心的な業者はそれを守ろう、こう言っておるわけでありますから、私はやはりこの公示制度の効果は、相当地価の沈静、抑制に役立つというように考えております。  それから税制の問題は私からお答えいたす筋合いではございません。大蔵省また自治省から御答弁があろうかと思いますので、両者のほうにお願いしたいと思います。

安井誠大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(安井誠君) 松永先生からいまお話がございました譲渡所得に課税いたします場合、公示価格を基準にして、それをこえたものについて高い税金をかけるということを考えたらどうかという御意見でございます。実は昨年七月に税制調査会の土地税制の答申をいただいたのでありますが、税制調査会で御議論いただきましたときにも、実はその議論が出たのであります。税制調査会の答申の中にも、将来全国的な地価公示制度というものが確立されまして、それが公共用地の取得の規準にもなり、あるいは保有課税の評価規準ということにも採用されるような時期がきた場合には、譲渡所得、特に個人の譲渡所得の課税にあたりまして、公示価格を基準にいたしまして、公示価格以下であれば税金を安くする。公示価格をこえたものについては超過利益であるということで税を高くかけるということも検討課題として検討していったらどうか、ということの答申もいただいておるわけでございます。したがいまして、将来この地価公示制度の進み方とあわせまして、私どもも検討課題の一つとして十分検討してまいりたいというふうに考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 私はむしろ建設省のほうからそういう説明を聞きたいわけなんですがね。で、正常な価格に鑑定して公示をしてみたところで、きょうの参考人からもお話が出ておりましたが、需要供給のバランスがとれないということになれば、なかなか民間の取引が正常になるということはできないわけだから、それを正常に、正しく公示したものを守らせるためには、何か一方にそういうことをさせなければ、守らなければならないものをつくっておかなければならない。そこでいまお話が出ているように、これだけではなかなか一般取引の指標にはなりませんが、こういう点を将来やっていけばそうなると思いますというようなものを建設省としても的確にもう把握をしていただいたらどうかということなんです。たとえば前から言っている固定資産税とか相続税とか、都市計画税というものが公示制度と同じような基準になれば非常にいいけれども、それはいまできなかった。しかし将来できれば、それが一つの法則になる。あるいは市街化区域の地点が非常に少ないから、これをもっと広くしたい、あるいは調整区域にも及ぼして予算をふやして、地点を多くすれば、これはそうなる。あるいはこれ以上譲渡したものについて課税を高くしていけば、これが一般の取引の指標になれる。これだけでは不十分ですが、これとこういうことをやっていけばいいわけだけれども、いまはできないし、努力したけれども、この点は努力したけれども、各省間の意思が統一できなくてできなかった。こういうことなら、まあこの程度でまとまったけれども、今後これがこういう方法を講じて順次、一般土地取引価格に対して指標を与えるということの目的が達成できるだろうと思うわけですよ。   〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕 私たちは、これだけ読んでみて、どう考えてもただ正常な価格を土地鑑定士によって委員会で表示をされても、それが民間の取引の基準にはならない。どこか大きな団地ができたからといって、民間のデベロッパーがそういう価格にしたいと思ったって、そういうふうに売らない限りはできないし、それを守らなければ、そのような条件を他につくるということが必要だということを私は言っているわけですよ。だから、むしろ積極的に建設省のほうで、これを中心にした正常価格の取引が行なわれるように、ひとつ強く努力をしてもらいたいということを言っているわけです。そこでその次にいきます。  その次に、いまのお話にも、いやしかし公共の事業についてはこれはうまくできています、やっております、こういうお話であるとすれば、はたしてそれも一体確実なのだろうかどうだろうかという点について、やや私たちも実は疑問を持っているわけですが、まずその点の一つとして、「正常な価格」というのには一体期待便益抜きの価格、あるいは期待便益含みの価格、つまり、いわゆる開発利益の乗っかった価格なのか、それともそういうものは全然ない価格なのか、その点はどっちなんですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) この法律で申します「正常な価格」とは、第二条の二項にございますように、「土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格」でございます。したがいまして、これは現実の収益還元価格だけではなくて、やはり周辺の開発状況との関連におきまして、現実に実現が確実視される開発利益というものは当然取引価格に反映されるわけでございます。しかしながら、同じく開発利益と申し上げましても、いわゆる将来ここは開けるであろうというようなばく然たる期待開発価値もございますし、また現実に来年度から道路が広がるということが、計画も事業も確定しておるという場合における開発利益とは質的に違うわけでございます。私どもは、実現の未確定な将来要素を盛り込んだ期待価値というものは、当然この正常価格からは排除さるべきものと考えておりますが、いかなる期待開発価値もこの正常価格から排除されるとは考えておりません。この辺に、同じ期待開発価値と申しましても、その具体性の程度によりまして、正常価格に反映されるものと反映されないものと二つに分かれるのじゃないかというふうに考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 二つに分かれるということはわかりますが、どっちかといえば開発利益も加算をされるし、それから第二条で「自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格」とは当然、ここでは将来何ができる、それだからこの地域は非常にいい地域になるということになれば、その期待利益というものも必ずそれに反映をしていくということは、これは普通の取引の場合にそれが反映されるのはあたりまえのことです。だから、非常に不健全な期待利益は入らないとしても、普通の意味における期待利益、ここがよくなるだろうという期待利益は入るし、そこに駅ができ、あるいは道路ができれば相当開発利益というのはその中に含まれてくるわけですね。そうすると、さっき参考人の人と少し話をしたが、「正常な価格」というのは常にいわゆる開発利益の乗っかった価格になっているわけですね。だからこの価格は、いわゆる地価抑制という意味の、そういう目的を持っている価格、そういう正常な価格ではないというような判断をわれわれはするわけです。だから常に開発利益をどこかに吸収をするほかに、努力をしないと、この「正常な価格」といいながらも、いつもその期待利益というものに乗っかった価格が、毎年毎年上がっていかなければならぬということになってくる。だから逆にいわゆるこれがかえって地価を上げるのじゃないかというような言い方をすることにもなると思うのです。ですから「正常な価格」といってみたところが、そのまま開発利益が乗っかった価格であるというお話があった。そこで、その次に、この価格の規準になる、要するに、土地収用のできる事業についてこれはやるわけですけれども、これは何省にわたるのですか。幾つの省があるのですか。つまり第九条の中の「土地収用法その他によって土地を収用することができる事業を行なう者」は、これに当たってくるわけですが、これは何省にまたがるのですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) この「土地を収用することができる事業」は、土地収用法の第三条に列挙してございます。これには一号から三十四号までございますが、道路とか河川、砂防等、建設省の事業も相当多いわけでございますが、そのほかに、たとえば国有鉄道なり鉄道建設公団あるいは飛行場といったような運輸省の施設もございます。またたとえば電気事業法による電気工作物、電発株式会社の設置する施設、ガス、水道等、これは通産省所管ないしは厚生省所管の施設も入るわけでございまして、相当幅広く各省にまたがっております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 私の聞いているのは、幾つの省になるだろうかということを聞いているのです。それはその次の質問として、こんなにたくさんの省にわたっているところについて、これが確実に守られるかどうだろうかということなんです。守られない場合には、一体どういうあれがあるのですか。守らせるための一体方法というものはどうあるのですか。要するに、さっきから御説明のあるように、一般の取引の指標にあまり効果ないかもしれぬけれども、公共事業の関係のものに効果あるのだということを強調されるわけですね。そこで、それじゃ公共事業に関係する、特に土地収用法によって土地を収用できる事業についてこれは規準になるのだというけれども、それは幾つの省になるか。私も見ているのです。ずいぶんたくさんの省にわたっているわけです。その各省が第九条に基づいて「公示価格を規準としなければならない。」と、こう言っているけれども、確かにそれが守られるという保障はどこにあるのですか。たとえば、もっとほかのことばで言えば、守っていなければ何か措置ができる、あるいはその買った価格の調査をしたり、報告する義務があるのか、そういう機関は持っているのかどうなのか。建設省は一体これからどういうふうにしてそれをやろうとするのか、そういうことを具体的に聞いているのです。ただこの第九条で「公示価格を規準としなければならない。」と規定してみたところが、これが各省にまたがって行なわれるこの事業に必ず行なわれるという保障は、どこで一体できるのかということを聞いているのです。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 当然この法律は一般の土地取引をされる国民の方々のみならず、主として土地の買い手の立場に立つ公共事業の施行者も同様に守らなければならないわけでございます。法律上は公共事業の施行者は主として国あるいは地方公共団体、公団、事業団等でございますので、罰則の規定は法律にはないわけでございますが、およそ国の機関が国民の守るべき法律をさらに厳重に守るべきことは、これはまあ法律に書く必要もない自明のことでございます。ただ実際問題としては、そういう事態が絶無かと申しますと、それはあり得ないことではないと思います。その場合の監督なり、あるいは是正の方法が法律に出てないじゃないかというお話でございますが、もしこの第九条に違反して事業主体がかってに値をつける、そんなことは万々ないと思いますが、かりにあった場合には、これらの事業はほとんどすべてが内部に検査機構を持っておりますし、また外部には会計検査院という役所もございまして、そういった九条違反のようなことをやりますれば、これは厳重にチェックをされるような仕組みになっております。また、従来この公共用地の取得価格がばらばらであるということで御批判を招いておりましたので、数年前から、公共事業を実施いたします各省、これは電力会社等の民間会社も入っておりますが、用地対策連絡会議というのを全国的にブロックと中央に持っております。この会議を通じまして常に情報を交換し合い、また、基準の評価の方法の統一等について常に調整をはかっておりますので、これらの連絡機関を通じましても、今後この法律の趣旨を一そう周知徹底させまして、御心配のような事態が出ないように厳重に指導していきたいというふうに考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 これは従来一体どんなにアンバランスがあったのかという、そういう調査の資料も十分にない、不備だということを私たち聞いているわけです。また出してみなさいということになれば別ですが、従来の資料、調査資料は不十分である。で、今後、おそらくこれができたからといって守られる保障というのは私はそう十分だとは言えない。少なくも建設省自身がこういうふうなものを報告を受けるとか、あるいは調査するとかという、そういうようなことも積極的に何かやっていかないと、事実問題として、こういう法律がつくられても、大体「規準としなければならない」と書いてありますね。規準ということばなんだから、これはなかなか、実際のところ、厳守されるのには相当な行政的な努力が必要だと思う。だから、そういう資料を建設省自身が集める。そのために特に必要な連絡の会議を開くとか、あるいは会計検査院の積極的なそういう面の調査を求めるとかということも私は必要だと。こういうことについてもっとやはりくふうをすべきだと思う。しかし、私は具体的な提案があるんですよ。たとえばこうすれば守られるじゃないか。つまり、公共事業、いま言う土地を収用することができる事業を行なう第九条のものについては、土地鑑定士の鑑定によらなきゃできないということを入れさえすれば、土地鑑定士は第二条に基づいて、標準地の価格を基準にしてきめなきゃいかぬという法律的義務がある。第二条で縛っているわけだ。だから、この公共事業というものは、土地を収用できるような事業については、土地鑑定士によってその評価を行なえということがここへ一言入っていれば、これで第二条で、この公示制度の標準地の価格を基準にしなきゃできぬと、法律的義務がそこへ重なっているわけだから、それでもってつまり拘束をしていけば、第二条がすっかり、収用することができる事業については、全部法律的な義務がひっかかってくると思うんですがね、なぜこういうことをやらなかったんですか。話に聞いてみると、大きな公共事業はみんな土地鑑定士に鑑定してもらってやっていますと、こういうお話なら、土地収用することのできるような事業については、土地鑑定士が鑑定した評価によれと、そうすれば土地鑑定士は、とにかく市街化区域について出てきている標準地の価格、義務的にこれを基準にしなければいかぬということをきめてあるのだから、これで拘束もできるし、統一もできるのじゃないか、そのことをなぜやらなかったのか。こういうことはぐあい悪いんですか、何か私の言っていることは誤りなんでしょうか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 少しも誤りでございません。非常にごりっぱな御提案だと思います。ただ、公示価格を規準として公共用地の取得価格を統一いたすわけでございますが、まあ現実には、おもなる公共事業は、ほとんどすべてといっていいほど、実際には鑑定士を使っております。しかし、御案内のように、不動産鑑定士は、現在、有資格者が千八百名でございまして、先ほど午前中の参考人の陳述にもありましたように、年間約五万の案件を処理しております。しかし、公共用地の取得にあたって不動産鑑定士の鑑定を義務づけるといたしますと、現在、年間全国で約二十万カ所の公共事業を実施いたしております。ですから、これに鑑定士を動員するということになりますと、ほとんど民間の依頼には応じ切れないということになるばかりか、公共事業の全体をとてもカバーするだけの陣容がないわけでございます。まあかたがた、事業主体そのものにおきましても、長い間土地の買収事務を経験しておりますし、中には相当不動産鑑定士の資格を持った職員を用地職員として使っている事業主体も多いわけでございます。したがいまして、現状におきましては、そういった不動産鑑定士の利用を義務づけるということが、鑑定士自体の数からいって無理があると、並びに相当こういう大規模な事業を行ないます事業主体には、練達した職員が配置されておりまして、実際の仕事にはそう支障がないという二つの観点から、法律では義務づけをいたさなかったのであります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 まあ一つの弁明としてはわかりますがね。少なくも閣僚協議会なんかでも決定している地価公示制度の確立の問題ですからね。しかも、法律的に——あなたは鑑定士でやっていますというお話だけれども、しかし、不動産鑑定士というのが別に大きな事業でやっているときに、必ずしもこれを基準にしなければできないという法律的な義務はないのでしょう、そういう義務はこの法律からは出てこない。ただ、鑑定士が正常な価格を鑑定するであろうという期待はあるわけだけれども、まあいずれにしても数が足らぬから十分にできない点もあると、あるいはまた、逆に言えば役所の中に比較的にそういうものになれた者もあるという話だが、それならさっきから逆に引っくり返してそこまでできないなら、せめて公共事業についての価格については、建設省自身が各省にまたがって把握をすると、そういう中でこの規準が的確に守られるようにしていくという努力を、別個にやっぱり行政的にやっていくということがなければ、いままでだってばらばらだと、こう言っておる。それで十分な資料がない。出してくれと言えば、私は困ると思うのですよ。そんな、各省がどういうふうないわゆる土地取得をやってきたかというようなことについて資料を出せと言っても、資料も整っていない、出せても資料はばらばらであって、とてもじゃないが標準的なものは示すことができないと思う。われわれはせっかくこういうふうなものをつくってきているのだから、せめて公共事業というお話が盛んに強調されるので、それならそれで、それだけでもどうしてもやらなきゃできないようなぐあいに、ひとつ法律で規制したらいいだろうということを強調しているわけなんです。まあ答弁はまことに不満ですが、大臣、ひとつこの点については、特にいま言ったような行政措置等をして、これが確実に守られていくようなぐあいに、また今後いろんな委員会等でこれを実施された結果の資料を出してよこせというようなことは当然出てくると思うんですが、こういう資料を的確にそろえるということは、要するにそういうことについてのしっかりした把握を建設省としてしておく必要があると私は思うのです。  それからさっきお話がありましたけれども、十一条などでは非常にむずかしいことを言っているわけですね。比較を行なって、その結果に基づいていろいろと均衡を保たせるという、こういうことは相当やはり専門、私はそういう第十一条のようなことをやるのにも鑑定士でなければやれぬのじゃないか。ただ役所の中の熟練した人というばく然たることばの中で見ていくということはできるものだろうかどうだろうか、ということを考えるんですが、これは十分第十一条のようなことはできるだけの能力はあるんですか。こういうこともあるから、むしろ公共事業には積極的に鑑定士によって評価させるということを規定しておけば、こういう点についても非常に公正なものが出てくるのではなかろうかということを思うんですが、第十一条なんかを実施するのには、十分ないわゆる地方公共団体、各省庁とも機構を持っておられるんですか。この点はいかがですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 十一条にはいろいろ鑑定評価に関しまして専門的なことが書いてございます。実際に十一条を各事業主体がうまく運用できるかという問題でございますが、少なくとも私どものほうのように大規模な事業を明治以来続けてやっておる役所では、私はまあ全然心配はない。ただ、市町村等がたまに何か事業をやるので、まれに用地を買収するというような場合に、はたしてこの十一条が的確に運用できるかどうかの点については、必ずしも十分ではない点があろうかと思いますが、そういった場合には、やはり私どもはそういう専門的な能力がない事業主体につきましては、なるたけ不動産鑑定士を依頼いたしまして準拠作業を専門的にやっていただく、というふうに指導いたすべきだと考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 第十条などでも、土地収用法の規定によるような場合の措置が条文に出ているわけですけれども、こういうような方法でやる場合には非常に時間的に長い時間がかかる、そこで結果的には第九条のところに出ている公示価格を規準としなければならないという、規準というものを非常に大幅に解釈をして、そうして急速に実施をしなければできないような公共事業については、必ずしもこの規準というのが正しく守られていかないというような心配はないものだろうか。一般の公共事業の事業認定から裁決まで長いのでいうと二百八十三日かかる、短いので五十六日、平均百四十六日かかっている。こうなってくると、あくまで公示価格に基づいてやっていこうということになってきて、いわゆる土地収用に引っかかってくると、事実上平均しても百四十六日の日がかかってしまう。そこでとてもじゃないが、この十条のところまで持っていけないから、第九条でひとつ早目にやっていこうというためには、結果的にこの規準というものを非常に大幅に活用して、そしてルーズにこれが行なわれて、公共事業を促進しようということを考える結果になりはしないか。その結果はいわゆる規準とした価格が非常に各省まちまちであって、実際にはそれが法律的に正しく守られていかないという結果になってしまう。こういう点については、少しも心配はないのですか、この点はどうでしょうか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 私もその心配は絶無とは言えないと思います。しかし、そういった各事業主体ごとのばらばらな事業、動機から公共事業が非常に同一の地域の価格がまちまちに買収されておったというのが、過去の事実でございますから、それを何とか正したいということで、この際この法律案を提案いたすわけでございますから、いやしくも公示価格が実施されました地域における今後の用地買収につきましては、そういった事業主体ごとにいろいろな事情はありましょうけれども、その事情によってこの条件を緩和したり縮めたりしておったのでは、まさにこの法律の目的とするところが達せられないわけでございます。したがいまして、今後はそういう事業主体の個別な事情いかんにかかわらず、やはり九条は守っていただく。これに対する例外的な運用ということはさせないということで、強く官側の事業主体に強調いたしますとともに、各省にも協力を求めたい、かように考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そういうことを実施させる行政的な責任の省はどこですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) これは各省各庁それぞれ設置法に基づいて権限が定められておりますので、他省の所管事業について、建設省がこれを強制するということはできませんけれども、しかし、地価の高騰でだんだんと公共事業がやりにくく、かつ、効率が悪くなっていくということを悩んでおるのは、各省共通でございます。したがいまして、この用地問題を何とか合理的にきめておきたいという気持ちは各省一致しておりますので、私どもの考え方に現在でもこの法律案の制定にあたりまして、各省の協力を求めたわけでございますが、その際にも、各省はせっかくこの法律ができたらこの法律を守っていこうじゃないか、そのためにもせっかく用地対策連絡会議という場があるわけでございますから、この場を大いに活用して、今後一そう各省の連絡調整を密にしていこうというような申し合わせをいたした次第でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 建設大臣にお聞きいたします。この法律を的確に守っていくということに責任を持っていく省は、建設省だと思います。そういう見識を持ってこの法律が実施をされていくようなことについて建設省は責任を持っている、そういう気持ちをひとつ明確にしておいていただきたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) 松永委員の先ほどから御指摘になりましたまことに貴重なまた適切な御意見、私も私なりに拝聴いたし、ことに先ほど御指摘になりましたこれを行政運営の場に立ってのその成果、その反応、その資料の収集等十分われわれといたしましてはこれらの点を正確に把握いたしながら、しかもその効果というものの反応がどうあらわれておるかというやはりきびしい反省も踏まえまして、これらの御指摘になっておる点を十分留意いたして行政指導を私はいたしてまいり、また御要望になったそれらの準備も十分いたすよう指導もいたしてまいりたいと、こう考えておりますとともに、後段、ただいま申されました点は、私の責任において、また建設省の責任において、十分その処理監督の責任を持って配慮いたす覚悟であることを、表明申し上げておきたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 参考人から午前中聞いた中でもあったわけですけれども、一地点が一万八千円で、一地点について三名の鑑定士を予定しておるので、一名当たり六千円だと、それで一件の基本料金というのが一万五千円、それにプラスアルファをしてさっきのお話では三万円ということを言われたわけです。で、普通公共事業の場合には、大体基本料金が一万五千円でやっているというのが従来の例だったと思うのです。さっきのお話では三万円というお話が出たわけですね。しかし、一万五千円というような考え方も公共事業でそれでやっているという、そういうお話も聞いている。それにしても六千円では事実上できないじゃないかと。で、この法律をいろいろ審議をしたり、いろいろ質問している中でわれわれが痛切に感ずるのは、やはり標準地点が少ないというような点、それと、それから鑑定士鑑定士といって、鑑定士の正常な価格は非常に信用ができると、こう言ってその中心になっている鑑定士のいわゆる料金というのが全くいままでとは、基本料金一万五千円、不動産鑑定士なんか協会の理事長は三万円だと、こう言っておる。それにしても六千円でできるのかどうか、この点についてはやはり予算的にどうしてもこれをふやしていかなければ、事実上せっかく法律をつくっても、これが実効をあげることができないと私は思う。この点について大臣はやはり前からいろいろ各省の話も聞き、あるいはまたこの鑑定士の料金などについて考えてみても、どうしてもこれを改めて、将来拡充していくという、そういう考え方を持たなければ、これは実効をあげることはできないと思うんですが、この点について大臣から再度お答えを願います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) この点につきましては、過般の委員会におきましても、他の委員各位からも御指摘になりました重要な御指摘になった点で、私も私なりにこの問題については苦慮もいたしておるような次第でございます。この法案をば御制定賜わりました暁におきまして、この運営の面において実質的な事実をよく慎重にその推移を見守りまして、いま御議論のありました点などに改むべき点、また拡充すべき点等必ず出てくるものと、私は期待もいたしております。その時点に立って十分配慮をいたしたいと、こう考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 少し最後に聞きたいんですが、第三としては第一条の中に「もって適正な地価の形成に寄与することを目的とする。」と、「適正な地価の形成」にはたしてこのとおり地価公示法案がなるだろうかどうだろうかということについては、参考人の人たちの意見もなかなか一つのものではあると、あるいは中には地価の三%だか四%程度の効果しかないだろうというようなことを言われた方がある。事実私たちもさっき話をしたように、公示価格そのものが開発利益なり、期待利益を含んだ価格を常に出しているわけなんで、これによって抑制できるというようなことをすぐ考えることはなかなか容易じゃない。そこで少なくもこれを適正なる地価の形成に寄与するというためには、これ以外の施策というものがこれに積み重ならないと、実は適正なる地価の形成はできないじゃないかということを、これはだれもが考えておられることだと思うのですね。そういうふうになってくると、話が出ているように、宅地の計画的な大量供給ということは、まず需給のアンバランスという面から言うと考えられる。それについては、たとえば物価問題懇談会とか、そういうようなところでも具体的に提案があったわけですね。こういうようなことについては、一体積極的な施策というのはあるのかどうかというような点をひとつ聞かせていただきたいと思うのです。  それから今度の税の面で言うと、譲渡所得については一応課税を——今度は土地税制をやったわけですけれども、現に土地を保有しておる者に対する保有税というものについてはほとんど手をつけなかった、この点については一体どういうふうな考え方を持っておるのか。それから土地税制というものができたわけですけれども、これについての効果というものをどういうふうに考えておるのか、これは具体的に時間が長くなるから申し上げませんが、一割地価が上がれば今度の土地税制をやってみても、結果的には何も効果はないから持っておったほうがかえっていいということにもなる。したがって、早く手放しをして譲渡所得の税を軽減してもらうよりは保有しておったほうがいい、という結果になってくるので、今度の土地税制というものの効果というのは、必ずしも非常に期待できるとばかりは言えない。  この問題、少し時間をはしょるので一緒に質問いたしますけれども、宅地開発税というのを自治省はつくったわけですね、これは結果的に地価にはね返ってくるのではないかというような点で、地価対策の面から言うと非常に心配になる一つの税だというので、この宅地開発税については税率は各市町村で条例できめていろいろ地方でもって自主的にできるような面が多いけれども、結果的に宅地開発税というのは地価にはね返ってくる心配があるのではないかという意味で、これについて非常に問題があるように思うのだが、これについては自治省、建設省はどういうような考え方を持っているか。それからまた大都市の一定地域において工場とか事務所を新設し、増設した場合には賦課金を課するほうがいいということは、これは土地問題の懇談会の提言でもあるし、地価対策閣僚協議会でもそういうことを言っているわけですね。ところが、これが具体的にちっとも出てこないのだが、これは一体閣僚協議会でもきめたりしたこの問題については、どういう一体処理をするつもりなのか、その点だけをお聞きして、もう一つの点で終わりたいと思いますが、いままとめていった問題について、各省のほうからひとつ考え方を述べていただきたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) 基本的な問題についての建設省の態度、また方針についてお答え申し上げたいと思うのでございます。  土地問題ということは、ほんとうに重要な問題でございまして、この公示価格制度の御制定を賜わりましても、これにすべてを依存いたすような気持ちはみじんもございません。またこれによって万能、即効薬とも考えておりませんけれども、ある程度地価を抑制いたし、また、投機的な取引の抑制をいたすことを大きく期待もいたしておるわけでございますが、何と申しましても、やはり政府はこの問題に関連する総合的な計画的なる施策を勇断をもって行なうということが優先する重要な課題であり、リーダーシップを建設省がとることも当然でございますので、私はそうした観点から鋭意ひとつ指揮、努力をいたすことを表明申し上げておきますとともに、御制定をいただきました開発法の運営、また新都市計画法の運営、また建築基準法の御制定を賜わり得ます場合の運営、これなどを十分ひとつ相互関連性を持たせながら運営を適切にいたしてまいりたいと思いますとともに、また租税特別措置法等に関連する重要な土地税制に関連いたしましていわゆる宅地開発税の持つ使命、またこれに関連するそれぞれの運営上、また法適用上からくるところの問題点等も、私は十分解明すべきところは多々あることも感じておるよらな次第であります。いわゆる賦課金の問題等、これも私はやはり積極的にひとつ考究、検討をいま進めるよう事務当局に推進を指示しておるような次第でございますが、やはり通産当局等との関係もございますので、これらの関係とも十分やはり折衝を、話し合いを進め、フランスなどで行なっておるようなああした点なども、貴重な資料としていま検討を加えておるような次第でございます。また、その他一般に関連することに、空閑地税あるいは未利用地税というような問題も、予算委員会で福田大蔵大臣も非常に重要な課題として前向きでひとつ検討を加えたいというような答弁もいたされておるし、私もこれに対してはやはり一つの期待を持っておりますので、前向きで検討を加え、技術上のそうした作業、また技術上の問題点等も十分ひとつ考えてまいりたいと、こういうような気持ちを持っておりますので、未利用地の活用、あるいは国、公有地の活用等、高度なる土地利用の促進をはかりながら、これらの総合的な、計画的な点を御制定をいただきました暁においても、私は鋭意配慮いたしながら押し進めてまいりたい決意であることを表明し、事務的な重要な解明点等については、それぞれ政府委員から答弁させたいと思います。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 税の問題がだいぶお話に出たようでございますが、今回の土地税制の改正によりまして、個人の保有土地に関しまして、長期保有土地については分離軽課、短期保有土地については分離軽課、さらに法人、個人を通じまして事業用資産あるいは居住用資産の買いかえ制度の改善が行なわれたわけでございます。これらの税制によりまして、われわれが税制に期待しております土地の有効利用の促進、あるいは開発利益の社会還元、あるいは投機の抑制等こういった各種の政策目標、目的があるわけでございますが、これらの相当部分が達成をされる。もちろん、これで私どもは十分とは考えておりません。税制調査会の答申の中で残された問題点、ただいま大臣からお話がございました空閑地税の問題あるいは固定資産税、都市計画税等の保有課税の課税の改善の問題、さらには未利用地税、空閑地税の創設等、今後地価の安定に非常に有力な武器となると考えております土地税制に対して、私どもはさらに大蔵、自治両省の税制当局に御相談いたしまして、さらに一そう土地税制の強化、改善をはかっていくようにしていきたいと考えております。

安井誠大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(安井誠君) 土地税制につきましては、今回租税特別措置法が改正されまして施行になっているわけでございますが、基本的には、個人につきましては四十五年分の譲渡所得から適用になることになっております。しかし二つございまして、一つは、短期の譲渡所得について重課をいたしますという点につきましては本年分から、ことし以降新たに取得されました土地につきましては、何年持っておられようと短期の譲渡所得として最低四割——国税で四割、地方税を合わせますと五二%になろうかと思いますが、税をかけるということになっておりますので、私どもまだ正確な情報を得ておりませんけれども、仄聞いたしておりますのでは、新たな土地を投機の対象として得ていこうという動きは静まってきておるのではないかというふうには聞いております。  二番目には、長期の保有課税につきまして四十五年から適用する、長期の保有の土地の譲渡所得につきまして軽減をする措置でございますが、四十五年から、これも四十五年、四十六年が一〇%、その後御指摘のように五%ずつ上げていくという税でございます。これも四十五年から適用することも選択的に認めることにしたわけでございます。これによってどれだけ土地の供給の促進ができるようになったかということも、まだ私ども正確な調査はいたしておりませんが、御指摘のように、もし五%この三年間、四十四年から三年間で五%以上の値上がりがございますと、効果がないのではないかという御指摘もごもっともだと思います。ただ、私どもといたしましては、税制が土地対策に占める地位というものはあくまでもやはり補助的なものである、もしこれを一〇%の土地の値上がりが予想されるからといって、税制を一〇%ずつ以上引き上げてまいりますと、四年か五年たった後にはえらい高い税率にならざるを得ないということもございまして、要するに供給の促進を妨げている要因を除くということからむしろ手を打ってきたわけでございまして、この辺の効果は私どもどの程度になりますか、税制といたしましては分離税率、しかも制限税率という相当思い切った措置をとったわけでございますが、今後のほかの対策とあわせてこれの効果が出てくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そのほか事業用資産の買いかえに関しまして相当思い切って制限をいたすようにいたしましたので、こちらの面からいたします新たな土地の需要の増加、特に仮需要の増加を押えることができるのではないか、このように考えているわけでございます。

山下稔自治省税務局固定資産税課長

○説明員(山下稔君) 土地対策の見地から保有課税の適正化をはかるべきであるという御指摘でございましたが、まさに同趣旨のことが税制調査会の昨年七月における答申におきましても述べられておりまして、土地の供給及び有効利用を促進するために保有課税について適正化をはかるべきである、というふうに答申を受けております。土地の供給及び有効利用を促進するためには、譲渡所得課税の適正化とあわせて保有税課の適正化が必要であることは御指摘のとおりでございまして、現在の保用課税でございます固定資産税につきまして、四十五年度におきます評価を適正に行なう、なお評価がえに伴う税負担の激変を避けるため適切な助成措置を講ずべきであるという税制調査会の答申の方向に沿いまして、来年度の評価の適正化をはかりますように目下努力中でございます。  第二点の御指摘のございました宅地開発税の創設が地価にはね返えるのではないかという点でございますが、今回創設いたしました宅地開発税は、大都市及びその付近の市町村において、最近宅地開発に伴いまして必要となります身近な施設、たとえば小規模な道路とか排水溝とか、そういったものの費用を実際上負担金として開発者から求めているというのが実情でございますので、各市町村が任意にそのような話し合いで負担金を求めるというようなことよりも、制度としてはっきりした形を与えたほうがよいのではないかということで宅地開発税を創設いたしましたものでございまして、そういう意味では、現在あります負担金の明確化をほかるというのが本旨でございまして、これによりまして地価にはね返るというような状態にはならないのではないかと考えるわけでございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 大臣、この地価対策についての四十三年十一月二十六日の閣議了承、ここに、土地利用促進のための空閑地税の創設について検討すると、それからまた地方中枢都市及び新都市を育成整備することにより大都市機能の分散をはかるほか、大都市の一定地域における工場、事務所等の新増設についてその抑制措置の強化を検討するということが出ておりますね。こんなにはっきり出ているわけですよ。このことについてやはり推進する責任がある。ただ検討する検討するといってみてもしようがない、こういうことを具体化してもらいたい。で、いろいろお話ありましたが、譲渡益を取るというだけでは、土地税制としては完備したものではない。できるだけ譲渡益を減少して土地供給を促進していこうということはいままでやったわけだけれども、問題は土地を保有する者に対する税、あるいは未利用を是正する税というものが適正になっていない。これが適正になっていかなければ効果をおさめないので、ここらについてやはりこの税体系として整備をされていくということが必要だと私は思うんです。特に大臣に、少なくも閣議で決定して了解したものについて、しかも具体的にはっきりと提起されているものについては実現をしていくような責任を持ってもらいたいと、こういうことを強調したいわけなんです。  もう一つだけ質問いたしますが、ちょっと話の出てきておりました土地開発基金についてどういう配分をしていくのかということです。土地開発基金として九百億を予定して、地方交付税の中からこの前の話のように出資するのが六百億、四十四年度の先行取得債から持ち入れが百億、それから建設省の土地開発基金を七十億、地方公共団体が持ち出し二百億を合わせて基金九百億と、これを十万以上の都市について都道府県指定都市等についてこれを土地開発資金としてやると、土地取得特別会計を設定してこの中でいろいろと地方が実施をしていくということ、これについて具体的にこれはどういうふうな配分をしていくのかということを、ひとつお聞かせをいただきたい。  それからもう一つは建設省のほうに、例の都市計画の土地資金というのは一体どうなったのか。これと一体土地開発基金とはどういう関連になっていくのか、この点をひとつお聞かせをいただきたい。

山下稔自治省税務局固定資産税課長

○説明員(山下稔君) 先般の当委員会におきまして御質問がございまして、簡単ながら御説明申し上げた点でございますが、ただいまの土地基金についての交付税の配分の問題でございます。これは配分の基準が地方交付税法の中に書いてございますように、測定単位は人口になっておりますので、人口を単位といたしまして配分をいたす考えでございます。なお、それではどういう団体に配分が行なわれるかという点でございますが、お話にもございましたように、まず都道府県はこれは無条件に財政需要額の中に積算いたします。それから次に市町村でございますが、市町村につきましてはまず人口が十万人以上の市町村、これはただいま推算いたしますとほぼ百三十五ございますが、百三十五の十万人以上の市町村についてまず交付されることに相なります。それから十万人未満ではございましても、たとえば産業構成、それからまた昼間人口と夜間人口の差でございますとか、あるいは核になります都市からの距離でございますとか、そういったようなものを計算の基礎にいたしまして、必要なと申しますか、土地需要の非常に大きな団体を計算いたしますと、大体二百五十八程度ございます。合わせまして三百九十三の市町村がただいまの段階ではおよそ対象になるものと、かように考えて作業を進めておる次第でございます。  それから、お述べになりました中に若干……

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 あなた、いま言っているのは六百億ですね。

山下稔自治省税務局固定資産税課長

○説明員(山下稔君) はい、六百億についてでございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そうすると、あとの百億とか、七十億、二百億、土地開発基金九百億と言っておるけれども、これは総まとめとして九百億というのを関連づけて配分をしていくのか。交付税は交付税、先行取得債のほうの持ち入れ百億といっているのは、これとは関連なしに建設省の開発資金もこの中に入れて九百億ということで配分をきめていくのか、そういう点を聞いておるわけです。

山下稔自治省税務局固定資産税課長

○説明員(山下稔君) ただいま申し上げましたのは六百億の地方交付税の財政需要額を基礎にした配分の問題でございます。これ以外にいま先生のお述べになりました地方債の中に先行取得債がございます。この先行取得債が今年度二百億のワクを取ってございますので、その二百億をさらに必要な、主として基金を設けない、設けるための財政需要額を交付税上見てもらえないような団体を主として対象にする。それからさらに都市開発資金、これは建設省の所管でございますが、これがたしか七十億の総経費であったと存じますが、かようなものを総動員いたしまして土地の取得に当たりたい、かようなかっこうになるわけでございます。私どものほうからは、いま申し上げましたように六百億の交付税と二百億の土地の先行取得債、これについて申し上げる次第でございます。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) 都市計画法の八十四条にございます土地基金は、御承知のように都道府県または指定都市に土地基金を設けるということになっておりまして、いま自治省のほうから説明ございました土地開発基金、これが、都道府県及び指定市において設けられます土地開発基金が、この新都市開発法の八十四条の土地基金の性格を持つということをはっきり通達にも書いてございます。私どもといたしましては、一般的に申しますと土地開発基金でございますが、都道府県指定市に置かれるものはこの八十四条に基づきます土地基金である、こういうふうに了解しております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 ちょっと話は理解しにくいのですが、土地開発基金というのはこれより別個にことしはできているのかどうか。われわれの理解では土地開発基金は、要するに法律をつくったけれども、現実にはこれが実現する資金が国としてない。結局いま話の出た交付税のほうから取り出した六百億と、いまお話があった先行取得債の中の、われわれのほらで聞いているのは二百億の中の百億、それから土地開発基金の七十億と、地方公共団体の持ち込んできた二百億で土地取得特別会計をこしらえて、そうして土地の取得等に当たっていく。都市計画法に定めている土地基金というのは、現実的には国が低利の金を持ち出してどうこうということは、事実上ことしはできなかったということになっている。都市開発資金というのは工場とかいろいろなものの取得でこれはもう前からあったものであって、特別に都市計画ができたからできたという筋合いではない。したがって新都市計画がつくられたときに修正をしてつくった土地基金というのはまだ発足をしていないという、こういう判断をわれわれはしているわけです、予算的には。いまの御説明だと、いや土地開発基金というのはこの土地基金にすりかわっているのだ、だからもう実行ができているのだと、いま局長の説明のように聞いたのですが、そうすると、これから土地開発基金という性格で都市計画をやっていくのか、その点をひとつ明確にしてもらいたい。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) あるいは自治省のほうから御説明していただいたほうがいいかと思うのですが、建設省の立場を申し上げたいと思います。  これは基金ということでございますので、普通のたとえば都市開発資金のように国からの借り入れ金を原資といたしまして、そうして一定の時期に返さなければならないというものにはなかなかなじまない性格のものでございます、地方自治法の基金というのは。したがいまして私どもといたしましては土地基金という名前のものを設置したかったわけでございますが、必ずしも都道府県、指定都市だけが土地基金が要るわけじゃございません。実際問題といたしますと、ここに書いてありますのは、各種の都市計画施設用地の先行取得が入っているわけでございます。そのためにやはり一般の市においてもこういった性格のものが必要だということで自治省のほうは大きく取り上げられまして土地開発基金というものを交付税財源で設けたわけでございます。したがいましてそのように都道府県、指定都市において行なわれます、設けられます土地開発基金は新しい都市計画法の土地基金と同じような働きをする、こういうふうに考えているわけでございまして、自治省の通達でも名前にはあまりこだわっていないような表現もございます。私どもといたしましては八十四条の土地基金は、土地開発基金によって実現されているのだというふうに了解をいたしているわけでございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そうすると私は少し虫がよ過ぎるのじゃないかと思うのです。その土地開発基金のところには、あれですか、条文のいま明確なあれはないが、国の資金の融資をするという義務とかそういうことについての規定がある、と、その土地開発基金の中で建設省は一体何をやったのか。都市開発資金というのは前からあるものである、そのほかのものはみんな自治省の関係の資金である。別に何も建設省が国の予算の中で努力をして都市計画の実施をするためのいろいろな必要な基金をつくるための一体資金のワクを積極的にとって、そうしてそれをこの中に一緒に配分したというなら、それなら土地開発基金が土地基金にかわるということは言えるけれども、そういうことは何もやらないでおいて、これはそういう性格のものですというようなことは、これは都市計画法の中の土地基金は発足していないと判断するのが正しいじゃないですか。同じ性格のものであるとしても、これは何も、自治省でやったものであって、都市計画法にいう土地基金ではない。あるいは土地開発基金というのはそれに類似した性格を持っているから、これを建設省は引き上げて、土地基金というのは別個につくる資金にするというならそれはわかるけれども、これがかわったものですということは私はわからない。だからやはり都市計画をつくって修正をされた土地基金については、その基金制度を発足させるとか、発足をさせないで土地開発基金に肩がわりしていくものだというならば、建設省として具体的にその資金についてこの中へ繰り入れをするだけの予算的な努力をしてふやしてやらなければ、それにかわるものだという言い方はできない。これはどうなんでしょう。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) 基金というものの性格は、先ほど申し上げましたような性格でございますので、私どもといたしましては、都市開発基金というものによりまして、特に今度の新しい都市計画法におきまして計画制限をいたしますような区域につきまして、その買い取り請求なり、先買いに応ずるというような資金について、都市開発資金の形で私どもは地方公共団体に対しまして援助をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。土地基金そのものにつきましては、これは交付税財源でございますので、建設省のほうでやったものじゃないじゃないかという御指摘は当然であります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 何条でしたか……。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) 八十四条でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そうすると都市計画法でいう土地の買い取りですか「土地の買取りを行なうため、地方自治法第二百四十一条の基金として、土地基金を設けることができる。」それから「国は、前項の規定による土地基金の財源を確保するため、都道府県又は指定都市に対し、必要な資金の融通又はあっせんその他の援助に努めるものとする。」と、こういっている。この土地基金制度というものは、この条文どおり発足をして土地開発基金になっておりますというのが、建設省側の答弁ですか。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) 私どもといたしましては、「必要な資金の融通又はあっせんその他の援助に努めるものとする。」というふうに二項で書いてございます。広い意味におきまして国がそれだけの努力をしておるという意味で、八十四条による土地基金のこの制度が——制度と申しますか、条文が実現されているというふうに考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そうすると、そういう点については自治省との間に話し合いをして、この第八十四条の土地基金が土地開発基金というふうな内容になっているんだということは了解をされて実施をしているんですか、その点。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) 自治省のほうとは十分打ち合わせをいたしまして、了解されているわけでございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そうすると、われわれ少し不満ですね、これは。もっと土地基金というものは充実したものをつくってもらわなきゃ困る。しかもこれは修正するような中で土地基金制度というものをつくって、この市街化の地域の先買いとかあるいは買い取りとかいうものについては、その土地基金制度を通じてやっていくということによって、要するに必要以上の開発利益を得たような価格で売ることができないようにしていこうじゃないか。しかし結果的には土地基金制度というものがつくられなかったけれども、土地基金というものをつくって、そして先買いとかそういうことをできるようにしていこうということをやったわけですね。だから、建設省自体の中で、これは自治省なんかにそういうことをやるというより、建設省自身の中で相当第二項の財源を確保するために必要な資金の融通またはあっせんその他の援助というものを単に交付税を別ワクにしておいて六百億とめおいて、そしてそれにやるんだというようなことではないと思うのです。しかもことし地方交付税の中から六百億をとめおいてそういうやり方をするということについては、地方交付税の精神から少しおかしいじゃないかという質問も出た。これは事実そうなんです。毎年何も地方交付税の中で何百億を土地開発基金としてとめおくことはできないと思うのですね。だから、もっと土地開発基金という制度をほんとうにやっていくためには、もっと国が、建設省自身がこの条文に基づく努力をしていく必要がある。この程度のことで発足いたしましたなんというようなことでは、都市計画の中の土地基金の修正をされて加えられた趣旨に非常に違っていると私は思う。私たちの把握は、これは少し私の聞いたことで、呼んで事情を聞いてみたが、土地開発基金については予算的に結局まだ発足できない、こういうかっこうに別になっているという認識じゃなくて、自治省はそういうことをやっているけれども、建設省としてはもう少し予算的なことについては今後努力をしていかなきゃいかぬというふうに把握している。これは少し私は修正されてできた条文については、それを完全に実施をする努力が不足していると思うんです。当然新しい都市計画法ができてきて、それで市街化区域に都市計画が実施をされてくれば、自然今度規制に基づいて土地の先買いとか、土地建物の先買いというようなこともしてこなきゃいけない。その資金というものは、単にことしは交付税に少し余裕があったから六百億を別個のワクの中で土地開発基金としてつくったという程度のことでは、とてもこれも法律の実施に耐えるものではないと思う。今後一体局長はどういうかっこうで土地基金をつくっていくか、この法律を充実していくつもりなのか。やはり土地開発基金という、いま設けられたそのものを中心にして考えていくのか、その中で建設省が努力していくのか、都市計画法の中にある土地基金をどう一体具体化していくのか、このかっこうでいいと考えておるのか、別個に方法があるのか、これを充実しようとするならば充実する方法としてどういう方法があるのか、この点をひとつお聞かせを願いたい。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) 松永員委の御指摘ごもっともだと思います。それぞれ建設省といたしましては、その充実に鋭意ひとつ努力と配意をいたしたいと、こう考えております。その方法につきましては、いま局長から答弁させます。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) 今後の問題でございますので、確定的なことではございませんが、方向といたしましては、私ども特に関心を持っておりますのは、先生御指摘の都市計画制限に伴う土地の買い取りあるいは先買いでございますので、これにつきましては現在のように大都市周辺に限られた地域にのみ行なわれておりますような都市開発基金の制度では足りません。これを一般化して、都道府県及び指定都市につきまして、場合によりましては一般の都市につきましても、そういうような資金が充実できるような形でこの財源の確保をはかっていきたい、こういうふうに考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そうすると建設省としては、土地開発基金というのを拡充していくことによって土地基金というものも充実していきたいというふうに考えておられるのですか。  それからもう一つお聞きをしたいのは、土地開発基金と、こう言ったときには、いまここにあげている都市開発資金の七十億というものを一緒に考えておるのか。これは全然別個のもので、土地開発基金というのは交付税から出ている六百億だけなのか。いろいろな新聞なんかの報道では、全部一緒にして書いてあるんですよ。それで九百億土地開発基金があるというような書き方をしているわけです。そうすると、われわれが都市開発資金の建設省の資金がみんなこっちに入って、それでそれが計画的に地方のいわゆる土地の取得特別会計というようなものの中に組み入れをされていくのかという考え方を持ったわけですね。だからわれわれの認識が間違っていて、土地開発基金というのは地方交付税からの出資の六百億である。こういうことなのか。その辺を聞かしていただくと一緒に、建設省のほうからは、お話しのように土地基金制度というものを充実していかなきゃいかぬ。そのためには、いまある都市開発資金の七十億を拡大していくというやり方なのか、それとも、それとは別に土地基金のこういう考え方で充実をしていこうというのか、その点を聞かせてもらいたい。もし地方交付税の六百億が土地開発基金だと、こう言うならこれは何も建設省がやったんじゃないのであって、自治省のほうでいわゆる土地の取得とかそういうために六百億を土地開発基金でやったわけなんで、別に都市計画法と直接の関係あるわけじゃ私はないと思う。いや国のことだから同じことだと、こういう話なら、その間、建設省で土地基金と土地開発基金というのとどういうふうに今後ミックスをして拡大をしていくつもりなのか、その辺の基本的な考え方をひとつ伺わせていただきたいと思う。

山本成美自治省財政局地方債課長

○説明員(山本成美君) ただいまお話になられましたことにつきまして、自治省の側から総括的にお話申し上げ、なお、あと都市局長のほうからお話をいただきたいと思っております。  まず話の経過といたしまして、私どもがこの土地基金、都市計画法にございます八十四条の土地基金と、それから私のほうが六百億の交付税で財政事情を見ました土地開発基金との関係については、これは建設省とずいぶん慎重に相談をしてまいったものでございます。御承知のように八十四条の土地基金といいますものは、これは設置し得る団体、それから買い取りの対象になります土地の種類等につきましては、ある程度制約がございます、範囲が狭い。極端に申し上げて範囲が狭いという感じが私どもいたすわけでございます。全国の市町村なり都道府県を見ておりますというと、必ずしも都市計画の区域に限りませんし、農村の地域で選果場をつくりたいといったようなところについても、相当期待価格が高くなっていくといったような農村的な地域もございます。そうなってまいりますと、市町村にしろ都道府県にしろ、土地問題はどうしても出てまいります。私どもとしては、土地基金というものを主眼にしながらも、なおそれよりもすそ野の広い基金制度というものをつくるべきじゃないかというのが、私どもの基礎的な考え方でございました。それに加えて八十四条にも書いてありますように、いずれにしてもこれは地方自治法上の基金の制度を取り込むということになりますので、自治省と建設省はその点においては全く一致いたしたわけでございます。  最後に、この原資をどういうふうにしてつくり出すか、お金をどうやってつくり出すかということに次になったわけでございますが、むろん建設省では中央土地基金の構想といったようなものも経過の中ではございました。しかしながら、私どもとしてはまた別にこの基金をつくるためのお金を起債でやったらどうかというふうなことも考えました。しかしよく考えてみますというと、一円の一般財源からの基金への繰り出し金も持たずに、借金をして基金をつくるということではこれはどうも制度としておかしい、それはあくまでも付随的にやるべきじゃないかというふうな考え方が次に出てまいりました。まず、ここでふんばりは一般財源としての交付税で措置をすべきじゃないか、かような考え方でさしずめ六百億というものを財政需要額で見よう、かような結果になったわけでございます。したがいまして、建設省と私ども自治省のほうではなお今後起債をもって、すでに一般財源を交付税で見ておりますから、さらにこれを拡充するために、起債で土地開発基金の原資をさらに上積みしていく方法も、むろん将来の問題として出てまいります。それから一歩離れまして、およそ土地問題をどうやって解決していくかということになりますというと、お話にございましたような都市開発資金、これは一種の地方団体から見ますと起債でございます。国の特別会計から地方へ出る原資でございますから、借り入れる地方団体から見れば、これはあくまでも地方債の制度の中に入ってくるものでございますから、これも自己資金と必ずしも言えないような性格の面もございます。あれこれ考えまして、いろんな制度を活用しながらいかなきゃならないかと思いますけれども、さしずめ自治省としては、くどいようになりますけれども、四十四年度はまず一般財源をもって基金をつくる。そのお金を交付税でふんばりをきかせる意味で初年度まず六百億やろう、かようなことでつくり上げた次第でございます。したがいまして、八十四条に書いてあります土地基金の機能をあわせて私どもが地方団体につくってはどうかと言っております。土地開発基金は両方の機能を持っておるというふうに私どもは考えておる次第でございます。

竹内藤男建設省都市局長

○政府委員(竹内藤男君) 建設省といたしましては、先ほど申し上げましたように都市開発資金の、これは私のほうにございます都市開発資金特別会計のお金をふやして、これを地方公共団体のほうに流すことによって、土地の先行取得なりあるいは買い取り請求に応ずる資金が充実できるようにしたい、こういうふうに考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 わかりました。そうすると、むしろ建設省と自治省の間で土地基金というものをそう広く考えるために土地開発基金という考え方でやっていくと、その中に広い意味のそういう構想から言えば先行取得さえも、都市開発資金も、あるいは地方公共団体の持ち出し二百億というのですが、そういうものも含めて、広い意味の土地開発基金として土地の取得とかそういう面についてこの資金を使ってやっていこうと、こういう考え方であります。そういうお話なら、むしろそういうふうであれば別に何も土地開発基金を別個にどうしてもやらなきゃいかぬということじゃないと思う。私の理解も不十分だったからそういうことになったと思うのですが、そういうことであればこの土地開発基金が拡大をしていくように建設省としては都市開発資金、こういう面についてのワクを広げていくという中で考えていきたいと、こういうことですね。——わかりました。いずれにしてもわれわれは新しい計画を実施する、いよいよ実施される段階になってきたので、資金的な面が非常に必要になってくるだろうと思うし、その点について明確な、しかも相当なワクをきちっと拡大をしていく努力をしていく必要があると、こういう考え方でいま私質問をしたわけです。またそういうことが地価の抑制等にも働く、影響があるだろう、こういうような意味でこうした基金の問題等について充実をしていってほしい、こういうつもりで御質問したわけです。少し理解が十分でありませんので、いまの点は御説明でよくわかりましたので、ぜひそういう点でひとつ努力をしていただきたい、こう思います。  たいへん時間とりましたが、われわれがこの地価公示法案について特に感じていることは、正常な地価を公示する手段、方法としては、この考え方はほかの地価の出し方よりも一歩充実をしたものだという考え方を感じているわけです。しかしそれだけに、そうして私どもこの価格というものが実際に実効をあげていくというためには、まだこの法律の不備な点が特にあるのじゃないか。特にその中で建設省の予算的なもの、充実というものが非常に必要だということを痛感をした。そういうことがなければ事実上効果をおさめることはできないであろう、そういう点を強く考えているので、この実施にあたって、こうした面の努力というものを特に要望をして質問を終わります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 時間を節約する意味でまとめて聞きますから、それぞれ該当する方から簡潔に答えてほしいと思います。  第一に、ことしから個人に対する土地税制を相当大幅に変えて、長期に持ってきた土地の譲渡差益に対する課税を年度によって変えていくというような手法をとられたようですけれども、この中身は私知っております。だけれども、こういうものをつくったねらいですね、どういう効果をねらったか、そこを答えてほしいと思います。  それから第二番目は、この固定資産税について近郊の農地、特に市街化区域内の宅地としての条件があるものについては、宅地並みの評価をして課税するというふうに聞いているのですけれども、これは従前に比べてどのくらい重くなるのかということですね、その点聞かしてほしいと思います。まず最初にそれだけ聞かしてもらいましょう、その二つだけ。

安井誠大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(安井誠君) 個人の長期の保有土地に対します譲渡所得課税方式を分離比例税率に変えました根拠は何かという御質問でございますが、税制調査会のほうで御議論いただきました際には、主として大都市周辺の長期保有土地、主として農地だろうと思いますが、これが今後の宅地供給の主体をなすものである。したがいまして、こういう土地の早期供給の促進といいますか、土地の供給の促進をはかるという意味でこの分離比例税率を、しかも年次的に段階を設けまして導入した、ということが主たるねらいかと存じます。ただそれとあわせまして、もう一つ税負担の明確化ということもねらったわけでございまして、分離比例税率にいたしましたことによりまして、ほかの所得がたとえば農業所得あるいはたまたまつとめに出ておられた場合の給与所得といった所得が幾らあるかということにかかわりなく、土地を売りました場合には税金が幾らになるかということが非常に簡明になるということも、一つのねらいだったわけでございます。

山下稔自治省税務局固定資産税課長

○説明員(山下稔君) 市街地の農地について、宅地との評価の均衡をはかることによってどのくらい重くなるかという御質問でございますが、この問題につきましては、税制調査会の同趣旨の答申を受けまして目下検討いたしているのでございますが、具体的にどの範囲の農地をそのように取り扱うべきであるか、という技術的な認定基準について非常に問題がございまして、まだ結論を得ておりません。したがいまして、これをやった場合にどのくらい重くなるかという数字的なものも、まだ持ち合わせていない段階でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 自治省のお答えはそういうことですけれども、結局宅地並みの評価で課税するということは、農地としてはもう持っておるなと、早く宅地にしてしまえという趣旨があるわけでしょう。

山下稔自治省税務局固定資産税課長

○説明員(山下稔君) 固定資産税の性格が、財産を所有していることによって担税力を見出して課税をするという趣旨でございますので、財産の価格に応じた税負担をするという考え方は、当然あり得るであろうと思われるのでありまして、そういう趣旨で税制調査会におきまして一つの方向として検討するようにという答申をいただきましたために検討いたしているわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そこで農林省の方にお伺いしますが、土地税制から見ても、土地を早く手放させるという趣旨が入っている、早く売ったほうが得だという趣旨が入っている。それから固定資産税の面で見ても、そういう趣旨になっているということになりますと、とにかく近郊農民に早く土地を転用させるという施策が、ずっといま集中的に進められているというふうに思うわけですが、そこでひとつ農林省として、こういう状態の中で近郊における農業というものをどういうふうに考えておいでになるのか、これからどうしていこうとするのか。たとえば近郊農業というものはもうなくなってしまっていいものと、この開発計画の説明を聞きましたら、近郊農業といっても、全国の交通が非常に便利になるから、だから、近郊農業というような考えは将来必要なくなるだろう、というような説明もありましたけれども、だけれども、農林省として近郊農業についてどう考えておいでになるのか。特にこの場合ですね、南関東のある都市で都心から一時間ぐらいのところですけれども、これの農業会議所が住民について、農業を紡げるのか、売ったほうがいいのか、転用がいいのかという調査をしたものを私見たのですけれども、それによると、農耕の希望農家が千九百二戸、六七%、転用希望農家が九百三十三戸、三三%ということで、圧倒的多数が農業の継続を希望しておる。こういう場合ですね、農林省として、一体これらの農業はどうするつもりなのか。その点、当然こういう施策が税制のほうからも、あるいはいろいろな面から農地転用ということがずっと進められてきている中で、農林省としてその問題についてどういうふうに考えて、どうしていこうとしておられるか、その点をお聞きしておきたいのです。

中沢三郎農林省農政局参事官

○説明員(中沢三郎君) お答え申し上げます。  近郊農業をどうするかという御質問でございますが、近郊ということばの理解のしかたといたしまして、先生の御質問の中にも私二様にとれるところがあるのじゃないかと感じたわけであります。一つは、いわゆる新都市計画法の施行によって線を引かれる市街化区域内の農業、それからもう少し市街化区域よりも広い範囲です。調整区域の中にいわゆる近郊的な農業というような二つのとり方ができるだろうと思うのでありますが、まず、その市街化区域の中の農業ということに関しましては、すでに市街化区域が御案内のような趣旨で設定された地域でございますから、その中に含まれる農地がいつまでも続く農地だというふうに考えるわけにはいかないだろう。ただ、農林省としてはこれは建設省と十分御相談申し上げておるわけでございますが、市街化区域の線を引く場合に、集団的な優良農地というものを市街化区域に含めないで、今後ずっと農業地帯として形成していきたいという考え方で市街化区域と調整区域の区分をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。そうかといいましても、市街化区域内のそういったような含まれない、いわゆる優良でないという意味ではございませんが、市街化区域にも農地が現実に残るわけであります。また、その地域が一挙に市街化するわけではございませんので、そういう市街化区域内の農地について今後経過的にといいますか、農業を継続していきたいという方々に対しましては、やはり長期的な公示というようなことは別といたしまして、従来と変わらない、つまり、の地域の農業を希望する方々が継続するに必要な施策というものはやっていく必要があると考えておるわけであります。  それからもう少し広く市街化調整区域の農業ということになりますと、これは二つに区分して考えることができるわけでありますが、一つにはいま国会で御審議をわずらわしておりますところの農業振興地域の整備に関する法律がございます。これは市街化区域につきましては、地域は指定しない考え方をとっておりますので、市街化調整区域の中で農業振興地域というものが指定される。したがって調整区域の中で振興地域に指定されない地域が出てまいります。この地域につきましては、いわば地元の方々が将来も農業地域として維持形成していくというようなふうに考えない場合には、先ほど申し上げましたような市街化区域内におけるような農業と同じような観点からの施策が必要ではないかと思うわけであります。そこで、区分的に申し上げますと、そういうような区分を頭に描きながらこれに応じました農業施策を行なうというふうに考えておるわけでございますが、特に後半御質問がございました南関東のある市でございますか、ある町でございますか、そこの農業委員会に関する調査結果でございますが、六七%の方が農業を希望、三三%の方が転用を希望するという方々の、この数字そのものに直接お答えするわけにはいかないだろうと思いますけれども、その農業地域における都市化進行状況とかあるいはまた第一、市街化区域に入るのか入らないのか、また希望される農地がどのような状況にあるのかということを考えますと、やはり土地の有効な利用という観点から、まあ都市的な利用がいいのか、あるいは農業的な利用がいいのかということを、やはりその地域の方々の、あるいは農業地域以外の方々の意向も含めて、きめられていく性質のものではないかというふうに考えるわけでございます。ただ、もしこの地域が先ほど申し上げましたように非常に優良な農地団地を形成しておるならば、しかもその方々が、もし農業振興地域の整備に関する法律が国会の御承認を得まして通って、その法律に基づく地域の指定を受けるというふうなことでございますならば、三三%の方が転用を希望するといっても、それは農業振興地域として紬持していきたいというふうに考えるわけでございまして、あるいはまたその土地の状態なり、地元の方々の意向によりまして、そうでもないということでありますならば、それぞれの実態に応じた調整をした上で、土地の有効利用の観点なり、あるいは地域の方々の要望の調整の上に立った施策をやっていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そこで、まあ市街化区域内で農業をやっておって、当然これは転用しなきゃならぬというような条件にある、しかし本人としては百姓でやっていきたいというような人も相当いると思うんですね、さっきの調査なんか見ると。で、そういう人たちに対して、ほかのところへかえ地を見つけてそちらに移ってもらうとかというような方向は考えてはないんですか。

中沢三郎農林省農政局参事官

○説明員(中沢三郎君) お答え申し上げます。  新都市計画法の施行に関連いたしまして、いま御質問がありましたような趣旨に、いまそういう事態に対応するために、農林省といたしましても本年度一千五百万円の予算を組みまして、そのいわゆる市街化区域と調整区域の線引きが行なわれるような地域の方々ですね、全体の意向調査を実は農業委員会においてやっておるわけでございます。そういう調査を全般にしておきまして、そういういわゆる線引きが行なわれまして、その結果そこに都市化が進展するということになりますと、そういう意向をもとにしまして、いま先生御質問ございましたような、よそに出ても農業を希望される方々に対しましては、やはり調整区域転出をあっせん申し上げる、あるいはまたそれに対する農地の取得資金のほうのごめんどうを見るというふうな考え方に立ちまして、そういう事前の調査を実施している段階でございますので、御希望があればそういうふうに取り進めていきたいと、こういうふうに考えるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そこで、次にこれ大蔵省のほうになると思うのですけれども、まあ国有地で、特に首都圏、近畿圏、中部圏というようなところの通勤可能範囲での住宅に適した国有地というものが、これはどのくらいあるのか、それからまたこれを活用するという方向は地価対策閣僚会議でも打ち出しておるのですけれども、現実にそれらの土地をどういうふうに活用しようというような計画、具体的な計画があるのかどうか、その点聞かせていただきたいと思うのです。

市川広太郎大蔵省理財局国有財産第二課長

○説明員(市川広太郎君) 首都圏と近畿圏と中部圏の中に国有地がどのくらいあるか、その中で住宅用地として利用できる面積はどのくらいあるかという御質問かと思いますが、大蔵省所管の一般会計所属の普通財産についてだけ申し上げますと、地目が宅地の土地でございますが、そのような土地は四十三年三月末現在で首都圏で八千二百七十一万平米、近畿圏で六百三十六万平米、中部圏で二百七十三万平米、合計いたしまして九千百八十万平米ございます。そのうち国、地方公共団体その他に対しまして活用といいますか、使用承認、貸し付け等いたしておりますものがかなりございますので、そういうものを引きましたものが未利用土地ということになりまして、その未利用は全体の一割弱、こまかく申し上げますと、首都圏で七百四十三万平米、近畿圏で百九万平米、中部圏で四十四万平米、合計八百九十六万平米ございます。そのような未利用地のうち、住宅適地として利用できる土地はどのくらいだろうかということでございますが、一〇数%に結論的にはなろうかと思いますが、具体的には、利用計画が確定済みのものでございます、住宅公団とか地方公共団体その他の住宅用地といたしまして利用計画の確定済みのものが、八件で十七万平米、それから利用計画の確定というところまでは至っておりませんけれども、国、地方公共団体、住宅公団等の経営いたします公営住宅等の用地として利用されることが検討中のものでございますが、そういうものは首都圏で百十一件、九十万平米、近畿圏で二十一件、十六万平米、中部圏で十四件、三万平米、合計いたしまして百四十六件の百九万平米となっております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それから、この国有財産特殊整理資金特別会計法というものが本国会で成立したのですけれども、これには移転または返還後の米軍の基地、あるいは自衛隊用地等で宅地の使用に適するようなところもその中に入ってしまっているのですね。たとえば、ことしの予算の中では王子野戦病院というようなものが返還が予定されて、この特別会計の中に入っている。あそこなんかは東京のまん中で非常にいい場所ですね。ところがこういうことになって、米軍基地が返還されてもみなその特別会計に入れて、そこで独立採算で経理されるということになれば、これはそういう国有地の適当のものを宅地に供給するという政府の方向には、これは逆行してくるものじゃないかと思うのですけれどもね。その点はどういうことになっているのですか。特にこの点では建設大臣からもお聞きしたいと思うのです。

上国料巽大蔵省理財局国有財産第一課長

○説明員(上国料巽君) ただいま御指摘になりました特別会計の対象としておりまする事業は、立地条件等から考えまして、その土地に所在するということが適当でない、もっとほかのほうに転用したほうが効果的であるというような施設をば移設いたしまして、その不用になった土地を処分する。それから、立体化あるいは集約化したほうがいいと思われるような庁舎等を集約立体化いたしまして、不用になりました土地を処分するというようなことを事業といたしておるのでございますが、したがいまして、その移設費、あるいは立体集約化に要します費用を捻出するというねらいもございますので、原則として有償でもって処分するということをたてまえといたしておるわけでございます。しかしながら、御指摘になりましたような住宅とかいったようなものに提供いたしますために、まあ住宅でございますると、現在の国有財産特別措置法によりまする場合には五割減額と、これは地方公共団体が賃貸住宅に提供するために譲渡を受ける場合でございますが、五割減額という措置をとっておりますけれども、そういうような制度をとることによりまして、特別会計の資金繰り上どうしても都合が悪いというようなものにつきましては、この特別会計の対象とはいたしませず、従来どおり一般会計においてその処分をするというようなことになりまするので、御心配のようなことはないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そうすると、王子の野戦病院なんかは、住宅とかそういう対象から初めからはずされているというふうに受け取っていいんですか。

上国料巽大蔵省理財局国有財産第一課長

○説明員(上国料巽君) いま御指摘になりました王子の野戦病院のあと地につきましての利用計画というものは、まだ決定いたしてないわけでございまするが、これは現在のこの特別会計の対象にいたしておりまする関係上、有償処分ということにはなるわけでございますけれども、そこがはたして減額の対象になる方向に利用するのか、まあその辺につきましてはまだ決定いたしてないわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 大臣からその問題ちょっと一言。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) いま大蔵省の政府委員が述べましたような事情がございますけれども、建設省といたしましては、特別な事情のない限りは住宅宅地あるいは公営用地等にぜひ取得いたしたいと、こういうような方針でおります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 各省の方、もう済みましたから……  それで、地価公示法にまた入るわけですけれども、この値段、まあ公示価格というものがきめられる場合、実勢価格と離れたものじゃないということは、ずっと質問ではっきりしたんですけれども、やはり実際きめる場合には実際に動いている値段よりもきめた時点でも低くなるという傾向をこれは当然持つ性質のものだと思いますね。で、建設省がお出しになりました資料ですね。あれを見ますと、一々資料の数字をここに読み上げませんけれども、建設省の調査した価格と、いわゆる市場価格というものとでは坪当たりにして一万円か二万円か、こう安いところがきまっているというふうになっていますね。全国的にもそういう傾向を本来持つものでしょう、その点どうですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 確かに先日御提出いたしました資料では、私どもが調べた価格と世上いわれているいわゆる世評価格との間には若干の値段の開きがございます。しかしながら、この公示価格はこの第四条の手法を用いまして専門家である鑑定士が鑑定評価するわけでありますから、これこそまさに本来の意味の適正な地価を示す価格であろうと思います。先ほどお触れになりました世評価格、これはいわゆる近在の不動産業者等が言っておりますいわゆる呼び値、つけ値、そういった種類の科学的にはあまり根拠のないものでございます。また個々の不動産の価格というのは特殊な動機や事情があって、たとえばどうしてもこの手がほしいという場合には、どうしても買い急ぎ価格として正常な価格よりも値段は高くなるわけでございますが、そういったものでございますので、まあ私どもがこの公示制度を発足させようというのも、そういう非常に特殊な例が一般化してそれが地価をつり上げているという現象を、何とか排除したいということで、この公示価格制度をとったわけでありますから、まさにそういう世評価格を若干公示価格が下回るということで、初めてこの地価安定の効果が期待できるのではないか。これが世評価格を全く引き継ぐならば公示価格制度を実施いたしましてもあまり意味がないものになりますから、それで私はいいものだろうと思っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 まあそういうことだろうと思うのですが、そこで問題になってくるのですけれども、もう一つの問題は、時間的にズレがうんと出てくるという問題ですね。私もこれ比較して調べてみたのですが、この建設省の地価調査、四十二年十月一日現在、これで出された地価調査の価格と、それから四十三年十二月十五日ですから、一年二カ月ぐらい過ぎたあとの住宅新報ですね、これは一般にあっせん業者だの何だのが価格の資料として非常によく使っているあの住宅新報の値段、それからその後私が四月ごろ聞いた、そのほうの仕事をしている人たちの間で言われている値段というものを比較してみますと、そうすると全部そろっているので、小金井あたりでは、地価調査では二万七千という数字が出ているけれども、住宅新報では三万から四万五千と、それから現在では五万から五万五千というような形で、一年半ぐらいの間にほとんど倍近く上がってしまっているというような数字がたくさんありますけれども、私時間の関係で一つだけ例として出しておきますけれども、こういう時間的なズレがありますね。特に一月一日現在のものを調査して四月に公示するというから、公示したときにはすでにズレが相当出てきているはずだ。それが一年間公示されて値段出ている間に、いま言ったような勢いでぐっと取引価格が上がっていくというようなことになりますと、そうすると実際に出されてきた公示価格というものがどういう働きをするのかということですよ。そういう場合にはどういう働きになるんですか。ずっと時価が上がっていけば、四月一日に公示をされた、公示をされたけれども、これは一月一日現在の調査なんだから、四月一日現在ではこれほどの調整が要るというような形で扱われていくものなんですか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) この公示価格は法律にございますように、一定の基準日における通常の価格でございます。したがって公示の要件のところにも、価格判定の基準日を公示するということになっております。したがいまして一月一日現在で調査いたしました価格を四月一日現在で公示するわけでございますから、そこに三カ月間期間のズレがある。したがってその周辺の地価が持続的に高騰の傾向を示しておれば、当然にその間時点修正という作業が行なわれるわけでございます。これは必ずしも値段が上がる場合ばかりでなく、名古屋の中心のように値段が下がる場合もございますけれども、当然に基準日から過ぎた時点の価格の鑑定をする場合には、時点修正という作業が伴うことになるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そういうことで一定の基準日の価格を公示すると。それはそのときの一般の世間相場といわれているものよりは若干低い目のものが公示されるというわけですけれども、そうすると最初に戻りますけれども、この法律では、この基準価格が法律的な一つの拘束力を持って作用するのは、公共用地の取得ということにこれは限定されてきますね、公共用地の取得ということに。そうすると、その場合にやはり低い目にきめられたものを基準にするということになるわけですけれども、そうするとやはり公共用地の取得という面で、先ほど参考人もいろいろ言いましたけれども、みんな公共用地の取得という点ではこれは生きると、しかし一般的な取引では、基準価格はこれだけだと言っても、いやその値段では売れぬと言えば、もうそれ以上強制することはできないのだ。ほしい人はどうしたってよけい金を出さなければいかぬということになるのだから、これは一般的な影響を期待するというだけで、実際にどれほど効果があるかということは疑わしいというのが、参考人にほとんど共通した意見だったと思うのです。そうすると、結局この法律のねらいというものは、公共用地の取得、特に私はさっき聞いて非常に興味があると思ったのですけれども、江戸参考人が、公共用地を安く買ってくれ、そうすればわれわれが土地を買うときにも安くなる、高く買われたのではわれわれは高くて困るのだということを先ほど証言しているのですけれども、そういう意味で結局大きな土地を取得する、公共用地と同時に、大きな用地を取得する宅地業者の人たちが安く買えるということに、実際的な効果というものはしぼられてくる。あとの一般的な取引における土地価格の抑制というようなものにはあまり大きな期待は持てない、ということになるのじゃないですか、これは。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 土地がほしい、家がほしいという人はいずれもいまの高い地価に悩まされているわけでございます。これはあに公共事業の施行者や大口の民間デベロッパーに限らないわけでございます。したがいまして、むろん公共用地の場合は完全に法律の規準によって行なわれることになりますし、また大手の業界においてはこの法律の精神に沿ってやろうということに姿勢が一致したわけでございますけれども、しかし同じ地価の高騰に悩む需要者は、この法律ができ、しかも公示価格が適正な時価であるということを十分に周知徹底させれば、そういった高いものを無理無理つかむというような現象は、私は非常に少なくなるだろうと思います。これは絶無になるとは思いませんけれども、やはり、消費者といいますか、土地の、宅地の需要者が十分にこの法律の趣旨を理解して協力をするように期待できるのじゃないか。大手の民間宅地業者だけではなくて、これが国民全般に運用されることが期待されるとわれわれは確信をしているわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 その点でやはり、まあ政府の、あなた方の言っていることも本来はそういうことだろうと思うし、国民一般の期待しているところもそうだろうと思うのですけれども、地価の問題を問題にして、土地を安くという意味は、最終消費者ですね、つまり実際そこに土地を買って住む人たち、この人が安く土地をほしいということだと思うのですよ、世間一般の世論ということになれば。ところが、実際にはそういうことになっていない。そうしてそれでは出せるだけ出しているかというと、これだけは十分出せるからこの値段でいいかというと、そうではなくして、一般の消費者が買う場合には相当無理をして買っているのですね。相当無理をしてもどうしても住宅がほしいということで、自分の一生を借金にかけるような形でさえ買っている。そうして高いものを買っているのですね。だから、そういう意味からいえば、公示価格があるからそれで売り手のほうが安く売るということならそれで済むけれども、この価格で売るのはいやだと言ったときに、それでは高いから私は買わぬと言っておりるわけでないからいままで高いものを買ってきたし、それで値が上がってきたわけだから、そうすると、そういう意味で言えば公示価格ができたから、それで地主があきらめてこの価格で売るというものでもないだろうし、あるいはこの価格で売らぬから買わぬというものでもないだろうし、そういう関係から見て、私はいまの公示価格が最終消費者の手に入るときの値段というものを抑制するというような傾向にはならぬ。私は時間の都合で、ささっと一人でしゃべってしまいますけれども、こういうことだと思うのですよ。いままで地価の値上がりの原因というものについては、ここでも説明されたように、需給関係が非常に逼迫しておるという問題が一つあるし、同時にこういう条件の中で土地投機が行なわれて、さらに値上がりを促進していくというような要因になるというようなことについて、ずっと説明もされてきておるのですけれども、やはりそういう問題について、政府がどれだけ正確に把握して原因をつかんでおられるのかという点では、私はいつも疑問を持っておるのです。たとえば現在供給の不足がどれだけあるのか、どれだけ供給すればいいのかというような問題、それから土地投機というのは一体だれがどのくらいどういう方法でやっておるのかというような問題、それから売り惜しみ、それは一体どの程度あるものなのか、どうなのか、そういうような問題、こういう問題は十分調べられた上で、地価対策というようなものが出されてきているものなのかどうか。そこら辺に非常に疑問を持っておるのですけれども、その辺どうですか、お調べになって、資料みたいなものはおありでしょうか。

川島博建設省計画局長

○政府委員(川島博君) 必ずしも十分な資料がないことはきわめて遺憾でございます。しかし、最初に御指摘のありました住宅不足につきましては、過般閣議決定を見ました新全国総合開発計画におきましても、昭和四十年から六十年までの二十年間における必要な住宅建設戸数は、三千万戸に達する。そのうち千六百五十万戸が新規の宅地需要を伴う住宅需要である。これに要する必要な宅地面積は、概算二十五万ヘクタールである、こういうことがうたわれております。私どもは現在の住宅五カ年計画でも六百七十万戸の建設を予定しておるわけでございますが、これに必要な宅地面積は約五万三千ヘクタールということになっております。昭和三十六年から四十年までに開発された土地は約三万ヘクタールでございますが、四十一年、二年ころの開発面積等から推定いたしまして、五万三千ヘクタールという五カ年計画の目標面積は、十分達成されるであろうというふうに考えております。次期の五カ年では、おそらく六万ヘクタールほどの土地が必要になろうと思いますが、これについても第二次住宅建設五カ年計画の策定とあわせまして宅地供給計画を確定いたしたい、かように考えております。  それから確かにこの土地の投機とか売り惜しみという実態は、正確に全国的に把握したものはございません。サンプル的にある地区についてやったことはございますけれども、全国的なものはございません。したがいまして、これらの実態を計量的に把握する資料は、残念ながらございませんけれども、しかしながら、これらのことが全国的に大都市地域を中心に広く行なわれ、それが行なわれていくということは、現実の需給のアンバランス、それに伴う庶民の悩みということを、結果的には現実の事実が証明しておることであります。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) いま春日委員が御指摘になりました後段のいわゆる一般大衆の地価に対して取り組んでいる苦悩といいますか、実態といいますか、そうした点は、私はやはり行政責任の建設省といたしましては、私はあらゆる立場からやはり十分検討といいますか、それらの実態というものに対する心の持ち方というような点からも、私はやはり十分踏まえていく、それに真剣に取り組んでいく姿が私は必要であろうと、こういうふうな気持ちを持っておりますので、今後私はそうした気持ちを持って指導もいたしまいりたい、ということをつけ加えて表明申し上げておきたいと思います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それで農地が宅地になる場合、土地を手放す農民と土地を買ってうちをつくる最終消費者、これとの間に直接の取引という場合もありますけれども、特に最近ではその間にいわゆる開発業者とかなんとか、そういうものが入って農地を手に入れて大量に造成して売り出すというようなものも非常に多くなっているのですね。特に私はこの近辺のことが一番手近いから近辺のことを調べたり見たりしているのですけれども、神奈川県から向こうにかけて非常に大規模な宅地造成の計画がずっとやられている。そういう場合に、農民から買った値段が非常に安くて、そして売り出す値段がうんと高いという傾向が非常に強いわけですわ。これが極端な例で言いますと、たとえば神奈川県の場合、ある不動産会社が坪二百円ぐらいで買った。ところが、それを売り出したときには四万から五万で売り出した。そんな約束じゃなかったじゃないかということで、農民があっせんした市役所へ文句言って行ったら、あとから何とか名目つけて千円ぐらいの金を出した。売った値段はもっと高かった。そういうような事実も幾つかあるし、そうでなくても農民が安く売っちまったあとでうんと高く売るのを見てだまされたという感じが強いわけです。だから、そういう意味で言えば、特に地価を押えるという場合、そしていま大規模なそういう宅造地として供給されるというようなことが一般的になっているという状態のもとでは、この宅造業者の不当な利益といいますか、そういうものを押えるというところに重点がいきませんと、結局いろいろな地価対策で農民に安く売るということだけはさせるけれども、安く手に入れて加工して売る人に対しては何にも規制がないということでは、この効果はないんじゃないか。その点で先ほど私、櫛田参考人にも質問したんですけれども、なぜもと地、それの値段だけ公示をつけておいて、造成した値段には公示をつけぬでほしいという不動産協会の要望だというような根拠がどこにあるかということを聞いてみたんですけれども、あれ全然根拠ないですよ。結局それじゃまるきり野放しになってしまう、そういうことなんですね。私も例はたくさん調べて持ってきていますけれども、一つだけ一般的に言える例を読みますと、こうなっているんですね。ある不動産会社の分譲価格の数字と構成というのを五年間見ますと、三十六年には管理費が二・六%、用地費が二五%、造成費が二〇%。だから最終原価が四八・二%です。そして売り上げ利益が五一・八%。ところが、四十一年度で見ますと、管理費が一・二%と減っているし、用地費が一五・一%、うんと下がっている。それから造成費が二五・六%、これは若干上がっている。でも最終管理費は四一・九%ですわ、最終原価は下がっている。売り上げ利益は五八・一%というように、ぐっとこの五年間でも上がっている。それでもってもうけている。ところが、この間のめじろ台団地の話じゃないけれども、需要が多かったといって半年後に倍にして売ったというようなことがやられておる。これは明らかに暴利でしょう。幾ら商売であろうと、お得意さんがどんどんついていれば幾らに上げてもいいという問題じゃないでしょう。こういうものを押えるということがやられてない。またこの法律でやられないということになれば、非常にへんぱなことになるんじゃないか。私一番問題にするのは、一つはその点ですわ。非常にへんぱなことになる。農民からは安く出させるということは、ほとんど強制するようにいろいろな税制その他でずっと押えてきて、出させたものを、これは公共用地としてそのまま使うならまだいいですよ、そこに営利というものは入らぬから。だけれども、不動産業者その他が入って、営利として、いま言ったような大きな、最終原価よりもはるかに多い五八・一%というような利益を上げるということになれば、これは非常な暴利ですよ。こういうものを取り締まるということがこれでできなければどうにもならぬのじゃないのか。そういう問題が一つある。  それからついでに言ってしまいます。もう一つはそういう意味でも、つくって売り出すものは高いものを売り出しているし、同時に非常に膨大な土地を所有しているし、この土地保有の面積というのは年々ふえていっていますよ。特に最近政府が高速道路だの新幹線だのいろいろ計画を立てている。ああいうものとの関連で、千何百万坪というような大きなけたの土地の買いあさりというものがやられているということが伝えられている。そういうところで、大きな不動産業者が大きな資本を持って出ていっているということを考えてみますと、やはりこれは明らかに一種の投機だと思うのですよ。土地投機ということが言える。投機というのは、だれかが買っておいて、使わずにそのまま転売する。これも一つの投機だけれども、同時にある一定の値上がりを見越して安く買い占めておいて、その条件が整ったときに高く売ろうというのも投機だと思うんです。それで大きな利益を得る。そういうような膨大な土地がある。そういうものをはっきり調べて、私はある程度調べておりますけれども、あまり時間がないから出しませんけれども、調べて、そうして不当な、めじろ台団地みたいな明白に倍にも値上げしたというようなものに対しては規制を加えるというようなことをするし、同時にそうやってかかえておる大きな土地を、やはり相手も資本家なんだからただ取るというわけにはいかぬけれども、適正な利益を加えて国で買い上げて、公共住宅をつくるとか、そういう施設をつくるというようなことに使うというような形で、国がもっと積極的に土地の利用ということで主導性をとって、そして国民に安い住宅を供給するというようなことをやらなきゃならぬだろうと思う。こういう面が一つある。  もう一つは、需給関係の逼迫という問題ですけれども、やはりこれは政府の施策にも原因があると思うんですよ。私この間NHKの五月二十五日の「にっぽん診断」というテレビを見ておってちょっと意外に思ったんです。あのときには五十家族全部もう土地を自分で持って、これからもう住宅をつくって入れますという人たちを集めて、それでいろいろ聞いているんですわ。ところがその人たちに対して、もしあなた方が適当な貸し家があれば無理して家を買わなくてもいいと思う人はありますかといってボタンを押させたら、二五%が、適当な貸し家があれば無理に家を持たなくてもいいという回答を出している。しかもこれは家を買って入るということになっている人たちですよ。そういう人たちが、二五%はそんな無理をして家を買わなくたって、適当な貸し家がありさえすればそれでいいと言っている人が多いということを考えてみれば、政府がもっと公共住宅、公団なり公営なりたくさん建てて提供するというような形で持ち家主義というようなものを、何でもいいみたいにしてあおるんじゃなくて、持てる人、持ちたい人は持たせてもいいけれども、やはり貸し家でもけっこうだ、安定した貸し家ということだったら、公共住宅をたくさんつくって、そしてあまり高くない家賃で入れる、しかもこれが安定していて、しょっちゅう追い出されるとかなんとかの心配がないというようなものがもっとたくさんできれば、当然宅地を買おう、土地を買おうというような個人的な衝動というものはなくなってくる。だからそういう意味で言えば、政府の持ち家政策というものも、もっと検討し直して、私がいま言っているように、公共住宅をもっとつくらなければいかぬし、そういう意味で需給関係の逼迫を緩和していくという方向と同時に、供給の面で先ほど言ったように、不当なそういう投機のために買っているような土地を、政府が適正な価格で買い上げてこれを生かしていく。あるいは先ほどの話に出た国有地あるいは公有地というようなもので生かせるものを急速に生かしていくというような形で、需要供給の面でもっと政府が積極的な態度をとるべきじゃないのか。そうしないでおいて、需給の逼迫は現在のままだ。一般的にインフレ傾向があって物価が上がっていくというような状態の中であれば、土地を持っているほうだってそうでしょう、土地を持っていれば値が上がっておるのだから安心だけれども、金にかえちまえば毎年五%なり六%なり減価していく状態では気楽に売る気になりませんよ、それは。ですから、そういう全体の経済の動向から見ても、こういうふうな形で公共事業のときだけは取り上げる。しかし、一般の取引にはただ指標になるだけで強制力を持ちませんということになれば、これはむしろ、有害な結果になるのじゃないか、私はそんなふうな気がする。そこら辺で大臣の大筋の意見を聞かしておいてもらいたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(坪川信三君) 春日委員が貴重な意見をまじえながら現実の指摘をされました諸般の問題点等、先ほどから十分お聞きいたしておる次第でございますが、先ほども私が申し上げましたとおり、いまの土地に対するところの地価問題、また、これに対する需要供給の不幸な現実等を考えますときに、やはり現実を正確に把握いたしながら正しい政治の姿勢を持ってこれを指導していく、という十分なる配慮が私はいろいろの面に必要であるということは、全く同感でございます。いずれにいたしましてもこれらの不幸を除去いたします上においては、先ほど松永委員にもお答え申し上げましたとおり、総合的な施策をやはりあらゆる面に打ち出しまして強く地価、土地問題に対する取り組みをさらに積極的にいたしてまいりたい決意であることを表明申し上げておきたいと思います。

大和与一日本社会党

○委員長(大和与一君) 本問題に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。散会いたします。    午後四時二十一分散会      —————・—————

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