建設委員会 第15号
- 発言数
- 215 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1969/05/15
会議録
○委員長(岡三郎君) それではただいまから建設委員会を開会いたします。参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。公営住宅法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に東京都住宅局管理部長松丸清君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(岡三郎君) 前回に引き続き、公営住宅法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○二宮文造君 公営住宅法の一部を改正する法律案につきましては、当委員会でわが党の宮崎委員が大筋について質疑を展開いたしました。その後やや若干の問題を残して中断されたようなかっこうになっておりますので、私はそのあとを受けまして個々の問題についてお伺いしたいわけであります。 まず、用地費を含めた補助金の融資制度への切りかえについてお伺いしたいわけでありますけれども、結局、今度はこの法によりますと、補助は打ち切る、それを融資に切りかえていく。しかし、その場合に、国が土地と建物について、融資単価をきめるわけでありまして、この単価が非常に実勢単価より低い。結局、その差額分は自治体の持ち出しとなるという計算が一様に成り立つわけであります。政府のほうは、一応、四十五年から実額融資をする、このような方針のようでありますが、実際にかかった費用を、そっくり融資をするという、要するに清算融資、このほうが大事ではないかとわれわれは思うのですが、この点はどうでしょう。
○政府委員(大津留温君) 清算融資という考え方もございますが、ただいま予定しておりますやり方は、あらかじめ事業主体から事業計画を聞きまして、およそどういうところに、どういう建設をする予定かということを聞きまして、それに地価の変動の情勢を考慮いたしまして、翌年度の予算をきめるということでございますので、その実際の価格に合うような融資の方法をとることができるだろうというふうに考えておるわけでございます。
○二宮文造君 その場合に、ある新聞によりますと、首都圏の各都県、そこでは融資で借金をつくるよりも、もらいっぱなしの補助のほうが得だ、このような声が強い。どうせ融資をするなら充当率が高い、完全な実額融資で、思い切った長期低利にしてもらいたい。こういう要望が強いとある新聞は解説付で報道をしております。国のほうの考え方と、それを受ける地方のほうの考え方では、実施面でも大きな支障を来たすことになるのではないか。結局、私どもが考えますのは、この改正というのは、国の責任を地方公共団体に転嫁する、こういうそしりを免れないのじゃないか、こうわれわれは思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
○政府委員(大津留温君) この制度の改正は、昨年からいろいろ検討いたしました段階におきまして、事業主体である地方公共団体の意見もいろいろ聞きました。地方公共団体の意見といたしましては、補助単価が実額に近づけてもらえるなら、それが一番よろしい。しかしながらこれがなかなか実際問題として困難だという状況でございますので、そういうことならば、実勢に沿った融資をしてもらえるならば、しかも、それが低利な融資をしてもらえるなら、それが次善の策としてやむを得ない。したがって問題ははたして、実勢に沿った融資額を確保できるかどうかという点に、この制度が事業主体に歓迎されるかどうかということにかかっておるわけでございますが、まあ幸いに本年度の予算におきまして計上されました融資の額、融資の基本額といたしましては、用地費三百三十六億を基礎にいたしまして、二百八十六億を融資するということが予算上きまりましたので、これならば従来の著しい超過負担を大体解消することができるだろうということで、事業主体も喜んでおるとわれわれは考えております。
○二宮文造君 事業主体のほうは喜んでいるというお話でありますけれども、衆議院の建設委員会の席上で大臣とのやりとりがあったわけですが、その場合に、いま私が申し上げたようなこととほぼ同様の趣旨の質疑が展開されております。要するに、用地費の補助を打ち切って、融資制度に切りかえるということは、地方自治体の財政を圧迫することになる。したがってその結果として公営住宅の家賃の高騰を招くことにならぬか、こういう質問に対して、大臣は、将来は地方自治体の財政は好転するから、そういう面の心配はない、負担にはならない、こういうふうな答弁をされておりますけれども、この辺を少し、もっと明確に、どういうわけでそういう答弁が出てきたか、明確にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(大津留温君) 家賃の面につきましては、御承知の家賃収入補助というのを新たに行ないますので、従来の補助制度に比べまして、融資に切りかえたからといいまして、家賃面では変更がございません。 地方財政の負担の状況でございますが、この超過負担に悩まされておりました事業主体としましては、本年度程度の融資が今後ずっといくといたしますと、当面十年間は建設に当たっての資金の持ち出しが少なくて済む。で、先生ご指摘のように、返済金がだんだん累増していきますから、十一年目以降はそのほうが多くなるという計算になります。しかし一面、地方財政も年々力をつけてまいっておりますので、十年後、十五年後の返済金がふえましても、それほどの、何といいますか、痛手とは言にないのじゃなかろうか。それよりもここ当面、十年間の持ち出しが少なくて済むというほうが、地方財政上はこれは好まれると、われわれは信じておるわけでございます。
○二宮文造君 いまの答弁、ちょっと私、答弁の趣旨がよくわからぬわけですが、結局地方自治体の財政全般から考えてみますと、従来のやり方では超過負担がある。もうそれが累増してくる。結局公営住宅の建設に支障を来たしてくる。これは従来非難のあったところです。その非難にこたえて、そうしてこういう方式でやっていけば、かえってその公営住宅の建設が促進されるのじゃないか、こういう意向をくまれての今回の改正だろうと思うのですが、しかしそうなってくると、結局地方自治体の家賃収入の補助があると、こうおっしゃいますけれども、地方自治体全体とすればやっぱり財政に響いてくる影響は非常に大きい。その結果としては家賃の高騰に影響せざるを得ないのじゃないか、こういうことなんですがね。いま言われますのは、従来の方式のほうがかえって地方財政を圧迫することになるんで、このほうが、こういうやり方のほうが地方財政としてはプラスになる。そのときにあなたのおっしゃるのは、地方財政が黒字になるからということを、強含みになるからということを答弁の中身にされて、問題のこの補助の切りかえ、それが従来の超過負担を解消することになるからという答弁はされぬわけですが、この点はどうでしょうか。私の聞き違えかもわからぬ……。
○政府委員(大津留温君) 現行の制度と新しい制度との比較をいたしました場合に、さしあたり、この超過負担が新しい融資によりますと少なくて済む、あるいは少なくて済むということによるプラスがございます。しかし、ずっと地方財政の借金でございますから、それをトータルをいたしますと、新しい制度のほうが借金の額としてはかさむわけでございます。しかし、これが当面十年間は地方の持ち出しといいますか、負担が少なくて済む、十年以降にその負担がかかってくる、こういう形になります。したがいまして、地方公共団体といたしましては、当面、非常に苦しんでおりますこの持ち出しが少なくて済む。また将来に——そのかわり借金が残りますが、これはだんだん地方財政も力がついてまいっておりますので、十年後、二十年後には相当な力がございますから、そのときの借金よりも当面の持ち出しのほうが苦しい、まあこういうわけでございます。
○二宮文造君 大体わかりました。いまの地方財政が強含みになるというのは表の話しであって、物価の値上がりといういわゆる金の値打ちが十年後じゃだいぶ下がってきますからね。いまの借金は、十年後の借金よりは——十年後の借金は相当に支払いが楽になるというようなことも計算されているような答弁のように思いますから、次に進みますが、例の高額所得者の明け渡しの請求の問題であります。民間の借家でありますと家賃を払っておればこれは入居をずっとしておられるわけです。で、今度の場合には所得の水準をきめてそれ以上の者は出てもらいたい、こういうふうな提案の趣旨のようでありますけれども、これがはたして人権問題に関連しないだろうか、こういう議論がかなり出ております。また、もとはと言えぱ、その絶対量が足りないのだから、こういうこそくな手段はとらないで、公営住宅をもっと大量に建設をすればいいんではないか、こういう裏の議論もまた当然ここで出てまいります。で、ここでなぜ明け渡し請求の規定を設けたか。これはもう月並みな質問になるかもわかりませんけれども、まずどうしてこういう規定を設けたかという政府のその趣旨、真意というものをここでもう一ぺん明確に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(坪川信三君) 非常に重要な問題でございますが、累次にわたる御質問に対しましても、それぞれ私からもお答えいたしましたごとく、いま御指摘になりましたような絶対量の点でのお話につきましては、ごもっともな御意見だと思います。鋭意努力はいたしておりますが、その絶対量に到達し得ない現状についてまことに申しわけもなく、また苦慮もいたし、鋭意その達成に努力をいたしておるのでございますが、公営住宅の目標は、いまさら私から申し上げるまでもなく、低所得者に低廉な家賃で供給するというのが本公営住宅の目標であり、使命であることを考えるときに、それにまだお入りできない低所得者、低層の階級がまだ非常に数多くあることを思うとき、どうしてもこれらの方々に一戸でもひとつ多く入っていただきたいと、こういうような気持ちのほうが優先いたしますので、これらの方々を対象といたしまして明け渡しのお願いを、請求をいたすという手段を講じましたが、御案内のごとき人権面の上においての問題点のあることも想像されますけれども、それらに対するところの基本的人権につきましての配慮につきましては、御承知のとおりにその家庭の事情、あるいはその間におけるところの家族等の事情、あるいは行き先に対するところの配意、あらゆる角度から十分人間的尊重を踏まえまして、善処をいたすという手段を講じておることも御理解いただいておると思うのでございますが、そうした基本的な考えをもって本法案の制定をお願いいたしておるような次第であります。
○委員長(岡三郎君) この際二宮委員にちょっと申し上げます。御要請の大蔵省から斉藤総括課長、法務省から新谷民事局長、それから厚生省から福田庶務課長が来ておりますので、御了承願います。
○二宮文造君 いまの答弁ございましたけれども、ちょっとこれを確認しておきたいのですが、いわゆる高額所得者としてこれに該当する世帯は何世帯ぐらいにつかんでいらっしゃいますか。私のほうでは公営住宅が百四万戸とつかんできたのですが、それでその中で計算すると、該当するのが四千六百世帯ぐらいだと、こう言われているのですが、その点確認しておきたい。
○政府委員(大津留温君) ことしの二月に調査いたしましたところでは、入居者のうち収入が二百万円をこす世帯の方々がおっしゃるように四千六百世帯ある、こういうことでございます。
○二宮文造君 百四万戸というほうには間違いございませんですね。
○政府委員(大津留温君) そうです。
○二宮文造君 そうしますと、問題は百四万戸に対する四千六百世帯、しかも、この方々はすでに入居されているわけですね。パーセントにしますと非常に微々たる数字になるわけです。したがって、将来の問題としては、また何かと規定の改正も考えられるわけでありますけれども、現在百四万戸に対する四千六百世帯、これらの方々についてはいわゆる何がしかの方法を講じて継続居住を認める、こういう提案もされてよろしかったのではないか、こう私思うのですが、その場合は当然割り増し家賃ということは議題になりましょうけれども、そういうことを講じてもこの四千六百世帯については、もうすでに既得権益もあるのだから、その既得権益を認めて継続居住の道を開いていく、こういう考え方ができないものでしょうか。
○政府委員(大津留温君) すでにお入りになっておる方々はそういう明け渡しということを予定せずに入っておられるわけでございますから、こういう制度を開きましても、にわかに適用ということではいろいろ生活上の影響もございますから、そういう点を考慮いたしまして、一つにはこの制度が発足いたしましても、二年間はそういう明け渡しの請求はいたしませんということと、この明け渡しの基準を一般の原則よりも相当高いところにきめて、よほどまあ高額の方にまげてお願いしますという趣旨で二百万何がしのところに線を引いたわけでございます。これからお入りになる方々につきましては、ただいまの考えでは年収百六十万円程度のところで基準を設けたい。すでにお入りになっておる方々は先生御指摘のような事情を考えまして、それよりだいぶん高いところに基準を設けたと、こういうわけでございます。
○二宮文造君 この高額所得者の基準ですね。これは現在はいまお話しのような基準を大体線を引いておりますけれども、将来の物価の変動、これによってその基礎数字というのは毎年あるいは年を限って調整をしていく、こういうお考えですか。その点、どうでしょう。
○政府委員(大津留温君) 御指摘のように、現在のまあ物価等を基礎にして考えましたのが先ほど申しましたような数字でございまして、これが将来物価の変動等によりまして変わってまいりますれば、当然そういう資料に基づきまして、毎年検討を加え、適時改定を行なうという考えでおります。
○二宮文造君 ここで法務省のほうにお伺いしたいのですが、こういう法の改正で、たとえば将来必ずいまの居住者からは明け渡しの請求があった場合には、それに対抗する手段としてそれを拒否するかあるいはそういうふうな訴訟に持ち込まれるという場合も考慮されるわけでありますけれども、法務省としてそういう場合に受けて立って勝訴に持ち込む見通しがありますか。この点、どうでしょう。
○政府委員(新谷正夫君) 高額所得者の場合の明け渡しの請求でございますが、これは先ほど建設省からお話のございましたように、公営住宅法というものが低額の所得者に対して安い家賃で住宅を多く供給することによって国民生活の安定をはかるというところにねらいがあるわけでございます。したがいまして一定の基準以上に達した方、特に高額の収入を得られるようになった方々につきましては、その入居の基準等に照らしましてもこの公営住宅法の恩恵と申しますか、そういった利益を受けるには、まだまだほかに優先的に考慮されるという人があるはずである。いわば多くの住宅に困っておられる方々のために明け渡し請求というのが考えられたわけでございまして、これはいわば公共の福祉というふうな観点からやむを得ない措置であろうというふうに考えるわけでございます。 訴訟になりました場合にどうかということでございますけれども、事柄がこういった特殊の性質のものでございまして、法律によってこういうふうに規定されますれば、もちろん訴訟になりましても明け渡し請求は維持される、このように考えます。
○二宮文造君 いまの後段のところもう一ぺん……。
○委員長(岡三郎君) ちょっと新谷さんに申し上げますが、もう少し大きい声を出してください。
○政府委員(新谷正夫君) 訴訟になりました場合に、この法律の趣旨が先ほど申し上げたような趣旨でございますので、この法律の規定に従って訴訟が起きたという場合に、その法律の趣旨のとおりに判断されるべき筋合いのものであろうと——これは裁判でありますので、裁判所がどう判断されるかということは、私のほうから何とも申し上げられませんけれども、少なくともこの法律の規定が合理的なものであるといたしますならば、これは裁判所もこれを有利に考慮に入れていただけると、このように考えておる次第でございます。
○二宮文造君 その問題、ちょっとあとに置いておきまして、いま私、ここで手にしておりますのは、昭和四十一年十月の東京都住宅局の「臨時管理部だより」「収入超過問題特集号」というこれは東京都発行のパンフレットです。ここにこういう回答が出ております。「収入額が高いと、「都営住宅から追い出される(明渡請求される)」と心配している方がありますがほんとうですか。」それの「答」えとして、「そのようなことは絶対にありません。(理由)なぜ、このようにはっきり言えるかと申しますと、収入が高い人に対して明渡請求をしてもよいという法律も条例もありません。いいかえれば、東京都にはそのような人を追いだす権利が全くないのです。ですからご心配は無用です。」。いまから三年前に、こういういわばパンフレットを出して、当時疑心暗鬼にとらわれておりましたこれら該当の方々の心配に東京都は答えているわけです。もちろん、こういう私の質疑に対して、だからこの法の改正が提案されるのだ、これが根拠になってそして今度は法律ができるからそれに準拠して出てもらうのだ、こういう答弁になると思うのです。これはもう答弁は帰着するところ、私わかりますけれども、少なくとも地方団体がその権威にかけて現在までの居住者が持っているそういう心配を一たんは打ち破っているわけです。それを法の改正ということをダンビラに使って、そして高額所得者に対して出てもらう、こういうやり方は地方団体の権威にも関するのではないか、こう私は思うのです。なるほどわかります、低額所得者を対象にしての公営住宅だから、その方の収入が高くなると出ていただくのが当然だ、当然だという前に努力はしてもらうけれども、強制はしない、それだけの幅というものは今回の改正にも残しておいていいのではないか。こう私はこの東京都の三年前の、二年半前の都民に対する周知徹底と今回の法改正の趣旨とが食い違っているために、私はあえてこの問題をもう一ぺんお伺いするわけですが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(大津留温君) 先生が私のお答えすべきことを申されたようなことでございますが、こういうことはおっしゃるように法律で強制的にということよりも、入居者の方々がそういう低額者の方のことを御考慮いただきまして、自発的に明け渡しをしていただくということができますならば、これはきわめて好ましいことでございます。現在の制度におきましてもそういう趣旨のことをうたっておるわけでございますが、なかなかこの収入超過者の方、全国で約二十万ばかりございますけれども、自発的な明け渡しということをなかなか期待ができないという実態でございます。そこで、その中で特に勤労者の世帯の中でもわずか何%というくらいの特に高額の方につきましては、ひとつぜひお願いしたいということにしたわけで、収入超過の方はまだたくさんおられますけれども、これらの方々につきましては、御事情が許すならば出るように御努力をお願いしたいということになっておるわけでございます。
○二宮文造君 ちょっと私、その答弁ではいまの質問に対して的を得た答弁をいただいたとは思えないのです。私が申し上げるのは、少なくとも東京都がこういう問題が起こり始めた四十一年の段階で、もう一ぺん聞いてくださいよ、「そのようなことは絶対ありません。」、これはゴジック活字でよくわかるように書いてあるわけです。もうお目にごらんになっていると思いますが、その人たちに対して今度の法の改正いわゆる根拠を与えて出ていただこう、こういうわけでしょう。だけれども、そのほかにも収入超過の方はたくさんいらっしゃる、その方は今回は触れていない、こういうふうな逃げ道でしょうけれども、かつては「そのようなことは絶対にありません。」ということがここにあった。そうしていま収入超過の人も、いまお話にあります二十万世帯もあるこれらの人々もやがてまた何らかの改正、いわゆる公営住宅というのは低額所得者に対する住宅の供給がねらいだという筋論からいきますと、それらの人たちにもやがてまた法の改正ということが提起されないとも限らない。そうしますと現在の居住者に不安、動揺を与えることこの上ない。そこで先ほどの論理に返りますけれども、百四万戸の中の四千六百世帯ですから、これらの人々については自発的に努力はしてもらう、明け渡し請求はしないというふうな明確なお立場をとったほうが、これから後の入居者についてはここで一線を画してもよろしいと思いますが、そうしてその場合には明確な制限規定というのをつくってもよろしいと思います。それはこれからです。しかし既得権益というものは家とか、土地とかということについては、われわれもまた脳の中に切り込むような土地あるいは家の明け渡し請求というもの、あるいは居住権をめぐっての従来の考え方というものは非常に複雑怪奇です。その禍中に巻き込まれる必要もないんじゃないか。多ければ問題だ、百四万戸の中の四千六百世帯だ。しかしここで法律を改正すると大阪城の外堀を埋めたようなことになって、やがて内堀、やがて落城というようなことも想像されるわけですから、くどいようですけれども、この点をもっと入居者が理解できるような趣旨の答弁を私はいただきたいわけです。
○政府委員(大津留温君) 御指摘のように住宅というものは生活の本拠でございますから、居住権といいますか、居住を最大限に尊重する必要があるということは、私どもといたしましても考えたわけでございます。したがいまして明け渡しをしていただく方々に対しましても、その行く先の住宅のお世話等につきましてはできるだけのことをするというたてまえにしておるわけでございますが、この公営住宅を今後とも大量に建設を進めていかなければならない、御指摘のとおりでございます。そういたしました場合に、財政的にも限りのある中でこれに相当な資金を投入していくという際に、公営住宅が低額所得者のためのものということで補助金を出して建設いたしましても、その入居されました方々が相当な高額になられても依然として安い家賃でお入りになっておられるということでは、公営住宅を今後思い切って伸ばすということにやはり一つの支障になるんじゃなかろうかというふうに、私どもとしては率直に申しまして感ずるのでございます。したがいまして公営住宅のあり方といいますが、姿勢も正せるものは正しまして、それで今後の供給も思い切ってふやしてまいりたいというところが真意でございます。反面、先生御指摘のように先ほどもお答えいたしましたが、生活の本拠でございますから、そうむやみに出ていけというようなことを申すべき筋合でないということも重々考えております。したがいまして、すでにお入りになっておる方々に対しましては、先ほど来申し上げている程度の基準でありますならば、それらの方々も新たな住宅にお入りいただいても、その住居費の負担等についてもそれほどの負担にならないだろうというところで、この基準を考えておるような次第でございますし、また先ほど大臣が申しましたように御家庭のいろいろな事情を十分にしんしやくいたしまして、特別の事情がある方については、そういう明け渡しを猶予するということもやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○二宮文造君 まあ、これは政府がお出しになった、直接お出しになった資料じゃないものですから、あえてこの資料の責任というものはあまり重く受け取っていらっしゃらないようですが、東京都は直接の責任者である。その東京都がこう言っております。「収入が高い人に対して明渡し請求をしてもよいという法律も」、それから今度は条例もないとなっております。しかも条例という字体を変えてゴシックにしております。ところで私考えられることは、法は改正される。ところが東京都はこのパンフレットの責任を直接感じられて東京都が条例を変えない限りは、せっかく法は改正されても通用はできないと思うのです。直接条例がありませんから。こういう場合に国の方針と都の方針が食い違ったときには、国はどういう指導をされますか。
○政府委員(大津留温君) 条例は公営住宅法を施行いたしますのに必要なことを定めるものでございまして、法律がありますのに条例でこれと異った規定をするということは許されないわけでございます。したがいまして、ここにパンフレットに「法律も条例も」といいましたのは、おそらくそういう根拠が何らないということを強調いたしたものと理解いたしますが、法律がそう改正されました暁きにおきましては、条例でそれと異った規定をするということは許されないと考えております。
○二宮文造君 そうしますと、こういうパンフレットを出した東京都がいわゆる入居者に対してどういうふうに弁明をすればよろしいのですか。法が変わったからしかたがありませんという、そういう天下りの周知徹底で運用してしまうのでしょうか。
○政府委員(大津留温君) 都が管理主体といたしまして入居者の方々に対して直接接触しておりますので、その間にいろいろ御苦労もあろうと思います。立場上法律が変わったからそうやらざるを得ないということで非常に苦労されると思いますが、しかし先ほど来大臣も申しましたような趣旨でこの公営住宅というものが建てられているわけでございますから、将来さらに公営住宅を拡充していくためにも、ほんとうに国民の中で数%という程度の高い所得の方々はひとつまげて席を譲っていただきたいということを十分PRいたしまして御理解もいただき、かつ円滑に実施していただくということにお願いしたいと思っております。また、そのために先ほども申し上げましたこの法律が実施されましても二年間は明け渡しをいたしません、そういういろいろな準備もいろいろ心の準備もございましょうから、そういう猶予期間を置きまして、さらに行く先につきましてはできるだけの御希望も聞きまして、できるだけの配慮をするという取り扱いにしているわけでございます。
○二宮文造君 この入居者の収入の計算ですが、夫婦ともかせぎの場合も、主婦が働きに出るということは、それ相当に家族構成の中で相当の理由があって奥さんが働きに出る、このような場合が想像されるわけですが、この奥さんの収入というものを収入計算の中でどう取り扱っていますか、除外すべきではないかという意見も相当強いわけですが。
○政府委員(大津留温君) 同居親族をどの程度まで合算するか、あるいはどの程度まで控除するか、一つの問題点でございます。私どもの考え方といたしましては、やはり配偶者はいつまでもこれは一緒に生活される方でございますから、配偶者の所得はこれは合算すべきであろう。しかし、子供、むすこさん娘さんその他の同居親族の方々については、将来世帯分離も十分考えられますから、これは相当額を控除してしかるべきであろうという考えでおるわけでございます。そこで、この配偶者の所得を合算する方法でございますが、公営住宅法で申します所得というのは、御承知のように給与所得ならばその収入の中から税法でいいます給与所得控除の相当額を差っ引いたものを所得と申しておりますので、奥さんの収入を合算する場合にも給与所得控除に相当するものは除いて残りを合算する、こういうことになるわけでございます。
○委員長(岡三郎君) ちょっと、いまの答弁は、妻の場合は全額加算ということですか。
○政府委員(大津留温君) その収入の中から税法でいう給与所得控除に相当する額を除いたものを全部合算する。
○二宮文造君 先ほどから私は、従来の入居者について既得権益を大幅に認めるべきではないか。ただし公営住宅の趣旨もあるから割り増し家賃というのはそれは考えられる場合もあるけれども、明け渡し請求をすることはよろしくない、こういう趣旨でずっとやってきたわけでありますが、あくまでも法の趣旨というものを生かしての答弁、それにこだわっての答弁がずっときたわけです。それはそれで整理の都合上そうなるんでしょうけれども、要するにそこには政府の住宅政策についての見通しかなかった。だから、東京都が二年前にやったことと食い違ったような方式をとらなきゃならない、こういう結果に相なったと思うのです。確かに法の趣旨を強調される面もわからないじゃないですけれども、しかし一部の入居者には、われわれも確かに公営住宅を高額所得者が占拠する、継続居住していくということには内心矛盾も感じていると思うのです。しかし、法の趣旨を政府のほうでは強く主張される。私は従来高級公務員の方が非常に低廉な家賃、使用料でわりにデラックスな官舎を使用されている。このことについて世上とやかくの話も今日まで出てきたわけでありますけれども、高額所得者は公営住宅から出てもらおう、こういう姿勢を示す建設省としては、今度はみずからの姿勢を正していくというふうな考え方も、私は当然住宅政策を押し進めていく立場上、みずからの姿勢も正すと、こういうことも必要ではないかと思うのですが、この点について、もう私具体的なあれは持っておりますけれども、ちょっとこれは物議をかもす面もありますので、こまかい問題はしませんが、どうですか、これは官房長にお伺いしたいのですが。
○政府委員(志村清一君) 高額所得者に対します明け渡し請求の制度は、公営住宅の低額所得者に対して低家賃で賃貸する住宅であるという性格に基づくものと考えております。これに対しまして、公務員宿舎は、公務員の職務の能率的遂行を確保するということを目的としたものでございまして、いわば公務員の身分を有することを前提とした使用でございます。したがいまして、やめた場合とか、あるいは転任した場合というようなときにはすみやかに明け渡さなければならないことになっておりまして、もし期限までに明け渡しをいたしませんと、三倍というふうないわば損害賠償金的なものを払わねばならないというふうなことになっておりますので、公営住宅とはだいぶ性格の違うものかと考えます。しかし、この所管は大蔵省が所管しておるわけでございますが、最近家賃等につきましても、若干の手直しをいたしまして値上げ等を行なっておるような状況でございます。
○二宮文造君 私は何も公営住宅と関連してお話を進めているわけではないのです。百四万世帯の中で四千六百世帯、この高額の所得者が、給料が多くなったから、収入が多くなったから公営住宅に居住する資格を失っていく。こういう法の改正ですね、そういう法の改正を提案する政府の側においても、いわゆる高級公務員が宿舎で優遇を受けている。法を提起するほうはみずからの姿勢をあまり頭に置かないで、国民のほうの居住者に対しては既得権益を認めないというようなやり方、こういう行政の姿勢のあり方で国民が納得するかどうかという問題で、私は問題持ち出したわけです。たとえば四LDKですか、八〇・〇六平米の官舎で渋谷の元代々木町にあります官舎の月額の使用料が六千八百二十円、それから新宿戸塚町にあります三LDK六二・七四平米の月額の使用料が四千二百七十円、その指定職の俸給は月額十九万五千二百三十二円、こういうふうな、一方では公務員がその業務を遂行する上に必要だからというので住宅の供給を受けて、その受けた月額の使用料が四千二百七十円。一方いま問題になっておりますのは、年の収入が二百万幾らとこう限定をして、それらの人は出てくれと。一方では高級公務員はこういうように優遇されておる。その姿勢を残したまま、それには何らの反省も手心も加えないまま、ごく微々たる百四万世帯のうちの四千六百世帯に対しては出てもらう。こういう提案で国民全般がどういう考え方を持つだろうか、こういう心配で問題を提起したわけです。ですから、私はこだわります。やはり既得権益というものは認めてよろしいのではないか。政府のほうでこれは認めますとこう言ってくれれば、いやなこういうような問題を出さなくてもいいわけですけれども、みずからの姿勢を正さないで、そして一方では立ちのきを要求する、明け渡しを要求するということは、国民に対する理解は非常にむずかしいのではないか、こう私は思うのですが、大蔵省の斉藤さんも見えておるようですが、この高級公務員——公務員宿舎は別として、高級公務員のこういう低廉の月額使用料という計算の根拠を伺いたい。
○説明員(斉藤整督君) 公務員宿舎の使用につきましては、宿舎法でその算定の要素がきめられておるわけでございまして、その要素は標準的な建設費用の償却額、それと修繕費、地代及び火災保険料に相当する金額を基礎といたしまして、それに宿舎の特殊性が持っておりますいろんな条件、たとえば退職すれば出なければならぬというような、そういった居住の条件を加味しましてきめるということになっておりまして、ただいま申しましたような要素を積み上げまして計算しているわけでございます。
○二宮文造君 しり切れになりますけれども、そういう問題を提起してなお若干の明け渡しの請求についての猶予もあるようでありますし、またその間に政府のほうでも考慮をしなければならない時点も必ずや出る。また明け渡しに対する訴訟の提起ということも考慮される。したがって問題は法を改正しただけでこの問題は解決できるとは私は思いません。将来に必ず問題を巻き起こしてきて、さらに政府のほうでも考慮をしていただかなければならぬ時点が必ず来るように思いますので、問題を次に移します。 これは直接いま問題になっている分ではありませんけれども、公営住宅に一種それから二種、これは明確にそうきめられておりますが、一種、二種以外の公営住宅にはどういう住宅がありますか。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅法に申します公営住宅は一種、二種しかございません。しかし府県なり市町村がみずから経営する住宅というのも市営住宅、県営住宅という意味で公営住宅と申しますならば、そういう府県なり市が国の補助を受けることなく単独で費用を出しまして建設、経営している住宅が全国で約二万戸ほどございます。
○二宮文造君 それは通称公営住宅法で言う住宅とは違いますけれども、三種住宅というような通称呼び方をしておりますか。
○政府委員(大津留温君) 特にそういう名称では呼んでおりませんけれども、まあきわめて何といいますか、俗な言い方でそういう言い方もできようかと思います。
○二宮文造君 その場合にですね、それは確かに引き揚げ者住宅とかそれからまた福祉住宅とかそういう趣旨の名称で呼ばれているようでありますが、東京の文京区にあります清和寮という、これはたしか男子の独身寮だと、こう聞いておりますけれども、清掃が行き届きませんで非衛生な面が非常にありまして、住居者も住んでいる立場上やむを得ないというふうなことで泣き寝入りのような状態になっておりますけれども、こういう公営住宅法にあらざる地方団体が独自につくっていく、こういう趣旨の住宅について、建設省は居住者の居住環境というものを考えて、何らかの行政指導をしていかなきゃならぬと思うのですが、既設のものないしはこれから建設されるもの、そういうものを含めてこういうやや生活環境の非常に苦しい気の毒な状態にある人の住宅について、これは厚生省の関係にもなってこようと思いますけれども、どういう指導をされるのか、この点総括的にお伺いしたいのですが、具体的には文京区の清和寮というものを検討していただけば、私のこう申し上げた趣旨がわかっていただけると思います。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅法に言う公営住宅以外につきましては、実は建設省が指導しあるいは監督するという立場に実はないわけでございますけれども、しかしまあ実際の問題といたしまして、東京都のそういった住宅は都の住宅局が管理しておるということで、いろいろ相談にあずかるということはございます。そういう際におきましては、そういう単独の住宅の設置の趣旨なり経緯なりによりますけれども、公営住宅法にいう公営住宅に準じて扱うべき面につきましては、それに準ずる扱いをするように指導はしておるわけでございます。
○二宮文造君 ちょっとお断わりしておきたいんですが、まだ三点ほど残っておりますので、時間の件をきびしく自分で考えながら、三点明らかにさせていただきたいと思います。 その一つは、公営住宅の管理の問題でありますけれども、まずその管理の中で家賃の延滞料の徴収ですが、公営住宅の家賃を滞納した場合に延滞料を取っておりますけれども、これは公営住宅法第十三条の二の「家賃等の徴収猶予」の規定に照らして延滞料を取るということはこれは違法ではないか。こう私は思うのですが、その点どうでしょう。
○政府委員(大津留温君) 御指摘のように公営住宅の家賃につきましては、第十三条の二によりまして入居者が病気になったとかあるいは職を失ったとかいうような事情によりまして、この条例によって家賃の減免を行なうようにしております。しかしこの家賃を滞納される方の中にはそういうケースの場合も多かろうと思いますけれども、中には必ずしもそういう場合だけでなく、支払い能力があると認められるにもかかわらず滞納されるというケースも絶無ではございません。そういう場合におきましては延滞料を微収するということも条例でそういうことをはっきり規定しておりますならばできるわけでございます。
○二宮文造君 実際問題として、公営住宅法によるとそういう生活の実情を考慮して延滞料は徴収しない。こういうふうな話ですね。 それから地方自治法のほうではそういうことは全然考慮しないで延滞料を取るようになっておりますね。地方自治法の二百三十一条の三の一、「分担金、使用料、加入金、手数料及び過料その他の普通地方公共団体の歳入を納期限までに納付しない者があるときは」督促をする。これに当然延滞料がつくわけです。この地方自治法の規定と公営住宅法の延滞料を取らないという規定とこれは競合しているようなかっこうになっておりますけれども、行政指導としてはどちらを考慮されますか。
○政府委員(大津留温君) 先ほどお答え申し上げましたように、病気であるとか失業したとかいうような特別の事情がある者につきましては、延滞料はもちろん家賃そのものについても軽減あるいは免除ということができるわけでございますが、それに該当しないケースにつきましては延滞料を取るということもあり得るわけでございます。
○二宮文造君 そういう答弁でありますけれども、いわゆる長期療養者とかこういう手続を理解している居住者はその特典を受けておりますけれども、十ぱ一からげになっている面も強いわけであります。したがってこの点は個々のケースについてもう少しこまかな指導をしていただくということを私のほうで要望しておきます。 それから今度は管理の問題でありますけれども、東京都の住宅使用条例の第二十二条によりまして住宅管理人は知事が都職員のうちから命ずる。都職員を優先入居させておる実情がございます。これらの管理人の方は、いまはほとんど用もないし、それぞれの公営住宅の当該の場所には自治会がありますし、家賃も直接納入方式になっておりますし、それから共益部門については自治会がそれを運営管理をしておりますし、どうもこれは都職員を管理人として優先させておるということは、住宅環境、ただでさえ絶対量が少ないところに、やはり何か釈然としないものがある。公団住宅ではその当該の場所に管理事務所を置いて、その責任者が通勤してきているわけですね。公営住宅の場合には管理人を置いて、それぞれの職員が入居をしておる、こういうことは、将来改めるべきではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅につきましても、本来ならば公団の場合のように、管理事務所を置き、専任の管理人を置いて、その職務に当たらせるというのが適当であろうと思いますけれども、実際問題はなかなか経費の関係でそこまで行き届きませんで、便法として職員をそこに居住させて、管理人としての職務を行なわしているというのが実情であります。管理人としての職務は家賃は直納方式をとっておるケースが多うございますけれども、なおやはり団地におきましては、いろいろな修繕の問題とか、増築とか、同居の許可をするとか、何とかいろいろ問題がございます。したがって、なお管理人を置く必要がございますけれども、ただ御指摘のように、事業主体の職員だからといって、そのために優先的に入れるということは、公営住宅の規定から申しまして、これは適切でないと思いますので、これは改めさせるように指導いたしたいと思います。
○二宮文造君 それでは最後に、公営住宅の払い下げの件について二、三点お伺いしたいのですが、私も四国の高松に住んでおります。相当に古い年月を経た市営住宅がございます。従来、そういう市営住宅の居住者にもう五、六年も前になりますか、市のほうから払い下げの交渉が居住者に対して内々ずっと進められてきたわけであります。入居者も大体そのつもりで今日まで、二、三年前まできたわけでありますが、二、三年前からがらっとこの方式が変わりまして、これは払い下げはしないのだ、それは地方団体の考え方ではなくて、国の方針が公営住宅の払い下げはしないのだというので、入居者は非常に失望したまま今日まで経緯しております。なるほどいわゆる公営住宅も今後どんどんつくっていかなければならぬ。土地の入手が非常に至難になってきて、金の問題でむずかしくなってきたので、そういうふうに方針が変更になったと私は理解できるのでありますが、今後、そういう公営住宅の居住者に対する払い下げは絶対にやらない方針なのかどうか、この点明確にしていただきたい。
○政府委員(大津留温君) ただいま二宮委員がお触れになりましたように、特に都市におきましては、土地事情がだんだん困難になってまいっておりますので、従来公営住宅を建てましたのは、大体町のいい場所に建っております。そういうのをそのまま払い下げたのではまことにもったいないといいますか、もう少しやはり建てかえて、高層の公営住宅を建てて、有効に活用すべきだというふうに考えております。したがいまして、東京都のような大都市はもちろん、地方都市におきましても、その都市の枢要な場所に団地があります場合には、これはもう建てかえを積極的に進めたい方針でおります。しかしながら反面、そのいなかの町村においてまで、払い下げは絶対しない、建てかえをするのだというふうに言う必要もございませんので、いなかの町村におきまして、あちこちにばらばら建っておるような公営住宅につきましては、入居者も希望され、また価格も適当であるという場合には払い下げることも行なっております。
○二宮文造君 じゃ確認しますが、いなかの町村という答弁でありますから、市は該当しないわけですね。市の場合も該当することがあり得るのですか。
○政府委員(大津留温君) 市も該当する場合もございます。また市だから、町村だからという区分よりも、その立地しております場所が、その市におきまして非常にいい場所である。町におきましても非常に枢要な場所であるという場合には、これを建てかえるなり、あるいはその他都市計画的に積極的に有効活用をはかるというように考えております。
○二宮文造君 そういう場合に、どういう場合に該当するとか、こういう場合には、あるいは逆に該当しないとか、そういうふうな行政指導の明らかになった内容はありますか。ケースバイケースで、これはよろしい、これはいけないというふうに選択をされていくのか。あるいは一定のものをつくっておいて、そうしてその当該の市町村がその明文によって申請ができ、伺いができるようになっているのか、あるいはケースバイケースなのか、この点はっきりしていただきたい。
○政府委員(大津留温君) 先般、この席で建設大臣が申されましたように、基本的な方針といいますか、考え方を示しまして、具体的なケースにつきましては個々に相談しながらやっております。その基本的な方針と申しますのは、先ほども申しましたが、大都市地域におきましては、大体原則として払い下げは行なわない。地方都市におきましては、その立地の場所が市街地の枢要の場所である場合には払い下げをしない。郊外の離れた場所、あるいはばらばらに建っているというような場合は、これは払い下げるということがあります。町村におきましては、さらにその場所がよほど町の中心部というような場合は払い下げませんけれども、それ以外は比較的払い下げを行なうという基本的な考えでおります。
○二宮文造君 事務当局としてはその考えでよろしいと思うのですがね。地方は困っているのです。といいますのは、相当年月がたちまして、住宅がもういわゆるこわれているのですね。ですから居住者は払い下げてもらいたい。住んでいなければ払い下げてもらえないから、そこでがんばっているのです。地方団体としては、これはとにかく、住宅はもう修繕してもどうせ建てかえをするか、あるいは払い下げをするか、いずれにしても、廃棄処分にするのだという考えですから。居住者は払い下げてもらいたい、一方はいまの建物には手を入れない、管理者のほうは。それで結局居住者は不自由を忍びながらにらみ合っているという状態を私は現に高松にも見ておりますし、こういうケースが全国各地にあると思うのです。したがって、個々の場合にお話し合いでというやり方ではなくして、具体的にいままでそういう申請あるいは伺いが出ているわけなんですね。それに対して明確な指導の方針というものを、個々の場合に当てはめて、建設省のほうから方針をお出しになって、これは払い下げをする、これはしないという明確な線を積極的に示してやることが、結果として、居住者が非常に不便をしておる現在の状況を打開する得策ではないかと、こう思いますので、受け身の立場じゃなくて、積極的にこの問題については取っ組んでいただきたい、こうお願いしておきます。 具体的にここに一件ありますけれども、相模原市のすすきの町にあります東京都公営引き揚げ者住宅、これは、この当該の住宅は、戦後の混乱期に東京都が建設したものでありますけれども、土地は国有地、家賃は東京都、住民税は神奈川、そうして、そのような状態で、十八年間、変則な運営が行なわれてきているわけです。これはもう御承知のとおり。東京都は三十九年に個々には払い下げはしない、こういう方針を決定しておりますけれども、一括して神奈川県に譲渡したい、こういうので交渉をやっているようであります。ところが、家賃が六百円ないし八百円という非常に低額なために、受け入れる神奈川のほうもちょっとお荷物になるということで、交渉が進捗をしない。住民の方は土地や建物の払い下げの要求をしておる。こういう実情、三者すくみの状態になっておりますけれども、大蔵省あるいは建設省、さらには、これは何か、指導の面は厚生省がなさっているわけですか。その住宅の趣旨がそういう対象の方がそういう方ですから、それぞれ建設、大蔵、厚生と、この担当の方からこの問題を具体的にどう解決をつける方針なのか、お伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(大津留温君) ただいま御指摘の相模原市のすすきの町にございます向陽引き揚げ者住宅は、これはきわめて特異なケースでございまして、いま御指摘のように、これは東京都が建てて管理しておりますけれども、場所は神奈川県に建っておる。しかも、これは引き揚げ者住宅というこで厚生省が所管しておりまして、これはいわゆる公営住宅法にいう公営住宅でございません。そういうような関係で、なかなか複雑でございますが、国有地でもございますし、こういう大都市圏の住宅地になるべき地域でございますから、これは、私どもといたしましては、将来、関係者協議いたしまして、中高層の住宅に建てかえをすべきじゃなかろうかというふうに考えておるわけですが、関係者ともよく相談いたしまして、住民の方々の御意向も伺いまして、善処したいと思います。
○説明員(斉藤整督君) ただいまの財産は、御指摘がございましたように、土地は、国有地ではございますが、東京都にそれを貸しておりまして、東京都がその上に建物を建てておるわけでございます。したがいまして、東京都がこの財産を今後住宅政策の立場からどうするかという方針をお立てになることが望ましいのではないか。で、それとその他の関係者の意向を十分尊重して処理すべきものと考えております。
○説明員(福田勉君) ただいまお尋ねの向陽引き揚げ者住宅でございますが、これは先生おっしゃいましたように、昭和二十七年に東京都に国有財産の無償譲渡が行なわれておりまして以後、移築されまして現在の施設に至っているわけでございます。引き揚げ者住宅につきましては、昭和二十一年以来厚生省で建設をいたしまして、その建物自体は陸軍の造兵廠の宿舎を無償譲渡を受けましたので、厚生省の補助にかかる建設ではございませんが、引き揚げ者住宅として指導はいたしております。引き揚げ者住宅といたしましては、先生御指摘のとおり、相当まあ年月がたっておりますし、あるいは引き揚げ者を収容するという目的を達したものも多いわけでございます。従来、住民の要望によりまして、管理者である地方公共団体が住宅政策上からも適当と認めました場合は、払い下げ、あるいは譲渡するということも相当行なっております。この向陽住宅につきましては、お話しのように、現在東京都と相模原市の間におきまして交渉が持たれております。この経過を見まして処理したいと思っておりますが、払い下げということが地方公共団体で適当と認められた場合は、厚生省といたしましては同意いたしたいと思っております。なお、関係者とよく協議いたしまして善処いたしたいと思います。
○二宮文造君 この問題は、結局その居住者が非常に老朽な建物の中で困っているという実情の中から問題の解決のしかたを考えていただかなければならないと思うのです。役所の立場から、いわゆる守備範囲の問題からこの問題を考慮するのではなくて、現実に住んでいる方の立場からどう問題を処理していくかという時点に立って、早急に御解決をお願いしたいわけであります。 最後に大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、提案の趣旨、これはいままで問題になるところは、私どもも、まあ全般とは言えませんけれども、政府の考えを伺ってきたわけであります。特に私が強く感じますことは、高額所得者とその既得権益の問題、これをさらに運用の面にあたってトラブルのないように明確に、また居住者の方がいま該当している人、さらに将来該当するかもしれない人、そういう方々も含めて運用の問題には相当に心配が出てくると私は予想いたします。したがいまして、この問題についてどういうふうに運営されていく、またトラブルを起こさないように指導していくか、大臣のお考えを承りたいと同時に、さらにこの内容を修正といいますか、そういうことをいまこの場所で持ち出して、はたして適当かどうか、わかりませんけれども、これは再考される必要があるのではないか、こう私は大臣のお考えを最後にお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどから適切なる示唆に富んだ御質問の内容につきましても、私も深く傾聴をいたしておる次第でございます。したがいまして、これらの運営に関連しましては各委員から御指摘、あるいはいろいろと御叱正いただきました点等も十分念頭に置きまして、適切なる法の運営を行なうと、すなわち人間生活の至上のしあわせは、住生活のしあわせであろうと考えるのであります。この住生活に対する不安、あるいはその他に対する矛盾というようなことに対する国民への政治に対する期待というものを薄らぐような、あるいは失望感を与えるというようなことが、私は最も政治の上において深く省みなければならぬと考えております。したがいまして、先ほどから御叱正、御質問のありました点も十分胸に含め、また各党各委員の諸先生がそれぞれの立場から適切なるいわゆる御要望、あるいは附帯決議、あるいはその他に対する問題も出てくることも想像いたした場合には、それらの点を十分配慮いたしまして、やはり庶民大衆の人生といいますか、長い生涯の生活の上に立って一番重要なウエートを占める住生活に対しましては十分配慮をいたしてまいりたい。かかる指導をいたすことが責任者の私の当然のつとめであろうと考えております。
○高山恒雄君 前回に引き続いて御質問申し上げたいと思いますが、この間田中委員からもだいぶん詳細に御質問がなされましたので、ダブる点が多少あるかもしれませんけれども、新規入居者の百六十二万四千円という者と現在住居されておる方の二百十二万ですか、これの考え方の基礎ですね。委員長も前回ここらがはっきりしてないじゃないかという指摘もあったんですが、私もそう思うんです。これはどういう算定で出されておるのか。現在のような日本の物価高に対して、賃金の上昇はこれはもとよりであります。したがって、年々つまり上昇の一途をたどっておるわけですね。この算定がよほど妥当にならないと、せっかくの政府のこの案というものがむしろ逆効果になって、二宮委員の御質問もいろいろ傾聴的な意見も述べられたように、非常に複雑化するんじゃないかと、こういうような考え方を私も持つわけです。したがって、この基本的な考え方を一ぺん詳しく御説明を願いたい。
○政府委員(大津留温君) 高額所得者の明け渡しの基準をどういうところに求めたか、非常に大事なポイントでございます。これからお入りになる方々に対しまして将来明け渡しを要求するその基準といたしましては、一つはおよそ勤労世帯の全体の中でこの程度以上はやはり相当高額の所得者と見なされるのではなかろうかという、全体の中でのいわば相対的にこのぐらいが高額所得者と見なして世間一般で納得されるであろうという線を求めました。それは具体的に申しますと、勤労世帯の中で上のほうから一〇%以内に入ったような方はそう見なしてもいいんじゃなかろうかという考えが一つございます。 それから一つは、そういう方々に立ちのきを請求いたしまして他の住宅にあっせんし、あるいは自分の持ち家をお建てになる融資をあっせんするといたしました場合に、それらのたとえば公団の賃貸住宅だとかあるいは公社の賃貸住宅だとかあるいは公団の分譲住宅の割賦金、そういうものの支払いが負担として過重にならない、そのぐらいの支払いは普通の状態においては可能であろうという線を求めたわけでございます。そういうことから、現在ただいまの勤労者のそういう所得の分布状況からいたしますと、大体年収百六十万というのは九・五%程度でございます。しかし、これはただいまの状態における基準でございますから、御指摘のように、物価が変動すると、あるいは所得の水準が変わるということで、将来いつまでもこういう基準でいくというわけではございませんで、先ほど二宮委員の御質問にお答えいたしましたように、毎年これはいろいろな資料に基づいてその適否を検討いたしまして、改定すべしということならば遅滞なく改定すると、こういう考えでおります。
○高山恒雄君 そういう大ざっぱな基準では、私はちょっと納得いかないのですがね。やっぱり低所得者を中心としてお入りになるのですからね。大体私は年齢層をそこにちょっと拾ってみたのです。そうしますと、日本の結婚年齢の平均が、男子が大体二十七歳から二十八歳ですね。女子が二十三歳です。それを国家公務員の例から申し上げますと、これは三万二千二百二十六円です、二十八歳の方の収入が。そうすると、どうしても公営住宅に入らなくても十分に生活ができぬという状態だと思うのですね。一般はなお入れません。そうすると、何回か申し込んで公営住宅に入ってみたいと思うのですね。それから生活が始まるわけですが、この人事院の調査によりますと、大体三十九歳から四十歳のこの一カ月の生計費が大体六万円ですね。五万九千二百七十円、そうすると、この年齢層になられるのは、大体三十九歳から四十歳です。もうそのころには、子供二人ないし多い人で三人おるでしょう。そうしますと、それでもやっぱりその公営住宅に入っておっても食えないわけですね。だから奥さんが今日のようなパートタイマーに行って、一日に百五十円、いま百七十円ぐらいでしょう、最高のパートタイマー。そうすると、奥さんも働かなくちゃいかぬ。そういう調子でどんどん年功をひろっていくに従って。そうすると、これを考えてみますと、これはいま取っておられる百六十万という場合ですね。ようよう子供を学校に出して、これから勉強させるのだという年齢層になったときに出ていかなくちゃならぬという悲劇が起こるわけですね。こういう点の内容的なものをどうお調べになったのか。今日のこの社会情勢から見て生活という問題を基本に置いて算定をされたものが適切な数字なのか、その数字の出し方ですね。何を具体的にとられたということで、むろん生活費も基準にならなければならぬ、ここをお聞きしたい。
○政府委員(大津留温君) いま御指摘のように、中学を出、あるいは高校を卒業し、あるいは大学を卒業しまして就職をして、そして世帯を持つ。それからさらに年々所得が上がってまいりまして、まあ家族もふえまして、そして定年までおつとめになる。そこで大体中学卒、高校卒、大学卒、その高校卒だからどうというわけにも一がいに言えませんけれども、各事業によって違いますけれども、まあ通常中学を卒業し、高校を卒業しまして、年の昇給といいますか、年々の給料のアップが、大体平均して三・何%といわれておりますが、かりに四%といたしましても、普通定年までに百六十万までに達するという方は、これはやはりわずかな方でございます。で、まあ大学卒等で平均以上に昇進が早いという方でございますと、二十年かそこらで百六十万に達する方も出てまいりますけれども、したがいまして、先ほど申しましたように、勤労世帯の中で一〇%の中にお入りになる所得者というものは、これはまあ平均の方はそこまでなかなかいかない、平均よりも相当上回った方に見られるわけでございますから、そういう方々が百六十万というものを、しかも継続して二年、そういう基準を上回った所得を将来お持ちになった場合に、低所得者のために席をあけていただくということは、これは全体から見ましてそう無理のない線ではなかろうかというふうに考えておるわけでございますし、それから、先ほど二宮委員にお答え申し上げましたが、すでにお入りになっておられる方はさらにそういうことを予定せずに入っておられるわけでございますから、基準も相当高いところに、これは全勤労世帯のみでいえば三%前後になろうかと思うのですが、その辺に基準を置く、こういうわけでございますので、これに該当される方はそう多くいるものではないというふうに考えております。
○高山恒雄君 どうもそれじゃ核心に触れておらぬ。さっき、あなた三%ぐらい見たんだとおっしゃるけれどもね。これ総理府の調査ですよ。飲食費が一〇・二%、居住費が二五・二%、光熱費が九・七、被服費が四二二%、雑費が一二・八%、平均して一二%の世帯費がかさんできておるわけですわ。だから現在の二百万円のかりに人にしても、この実際の生計費から考えてみると、むろん楽な生活ではないと私は思います。さっき私が申し上げましたように、四十歳前後の方の生計費が約六万円要るとしますならば、四十歳ではまだ中学以下です。これからは大学ですよ。私立大学にいけば十六万要るでしょう。したがって、そういう年齢層の方がそれに達したから出ていかなければならぬという基本線を引かれているわけです。ここに無理があるのじゃないかということを私は申し上げている。だから、そういうものを算定されて出された数字は、もっとこまかいものをつかんでやっていくべきじゃないか、それでないと問題が起こると思う、これが一つある、これも調査によるのですが、人事院の調査ですが、人事院はこういう調査をしているんですよ。基本給と時間外手当というものを分けまして、五百人以上のところで三九・一歳ですが、これで基本給が六万八千五百三十三円です。ところが時間外の労働をやって、そこに六千円の付加をしている。ところがこの人は何かというと係長クラスですよ、課長クラスでどういう状態かと申しますと、基本給が七万二百五十一円です。この人はやっぱり時間外は働いておりませんから、したがって、課長クラスになると時間外かりにやったとしても、なかなかつけられないでしょう。そういうことで出ていないと思うのですが、この人は実際の収入は、したがって、先ほど私がるる申しました三九・一歳の方で時間外を含めて七万四千五百六十一円になるのに、課長さんは逆に七万一千六百五十九円になるんです。減るんですよ、課長さんは、そうすると、かりにこの人が大学を出てでもいいのですが、先ほど平均結婚年齢からいって、子供さんを育てて、四十歳になって、そうして中学校に通うとか、あるいは高校一年に長男がいった、そういう年齢層の方ですわ。そうして、この人が十万円に達するころには大学ですね。直ちに給料で押えた場合、一体家庭の出費というものはどういうふうになるかという実態をもっと具体的にお考えになる必要があるんじゃないかと私は思うんですよ。先ほど、最初申し上げましたように、非常に物価が騰貴していく、むろんそれにちなんで給料も上げなければいかぬ。あなたは一年ごしか、二年ごしにスライド的なものを考えるのだということを言っておられますけれども、現実に算出方法に無理があるんじゃないか。一体、これは生計費を申し上げますと、どれくらいの生計費かと申しますと、これは東京都を中心とした給与ですが、これで生計費が大体四人家族で八万円要るんです。三人家族で六万七千五百八十円です。これから考えますと、二年間の余裕を置いたとか、十万円を五%こえたとかというような考え方の大ざっぱな計算をしても、私はほんとに低所得者で入ったのだけれども、それだけの収入で、既得権を侵して一線を画して出すということには、もっと数字的な根拠の算出がなされるべきじゃないか、この点を私としては指摘したいのです。大臣もこういう点をどうお考えになるか、これは全くのこの法律の基本的なものです。一応ひとつお考えを願いたい。
○政府委員(大津留温君) 御指摘の点は、非常に大事な点でございまして、私どもといたしましてもいろいろの点から検討を加えました。人事院の、民間給与の実態という調べによりますと、これは昨年の四月の調査でございますが、年間百六十万をこえる収入を得ておられる方は、やはり会社の支店長あるいは部長、次長クラスでございます。四十六歳というところで部の次長という方が百六十万をこえておる。まあ普通課長さん方は平均しますとそれを下回っております。課長さん方の古手の方はオーバーする方も出てくるかと思いますけれども、これは平均的な話でございます。また、工場長とかあるいは技術部長、研究所長という方々は、上回っております。係長とか主任とか課長、課長代理、こういう方々はそれに達しておりません。それから、大学教授とかあるいは医師、こういう方は上回っております。そういうようなことで、先ほども申し上げましたが、勤労世帯の収入の中で相対的に大体どのくらいの方々をそういう高級所得者としてそういう扱いをするのが世間的に妥当であろうか、ということを最も注意して線を求めたわけでございます。先ほど来申し上げますように、大体まあ一割以内の方々というのはこれはやはり高額所得者、そういう方々がこの公営住宅にいつまでもおられるというのは、いかにも公平を欠くではないかというわけでございまして、もちろん今日非常に物価の変動も激しゅうございます。また、所得の上昇も相当著しいものがございますから、その辺の基準が、適時適切に改定をいたしませんと、一〇%というものがいつの間にか二〇%、三〇%ということにならぬとも限りませんから、その点は私どもとしましても十分注意をいたしまして、毎年そういった物価の変動の状況、所得水準の状況のデータを住宅宅地審議会にお出しいたしまして、そこで検討していただきまして、これは改定すべきだということになれば、遅滞なく改定する。その辺の扱いをむしろ怠らないことが大事なことではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○高山恒雄君 あなたの基準をとられた見方ですが、やっぱり人事院がとっております工場長とか部長クラスとか支店長とか、そんなものを基準にとってはいけませんよ、低所得者から入ってきた人ですからね。低所得者が入ってきて、そんなもの、工場長になったり部長になったりする人は、全部官舎があるとかどっかに宿がえしますよ。そんなに長くおりはしませんよ。私が申し上げているのは、一般の低所得者としてお入りになった方が、かりに二十八歳でお入りになったとしますならば、十年たっても三十八歳だと。その人の収入を見ると、先ほども申しましたように、人事院の調査で約六万円だと、これは一般でですよ。これは官公庁は、それはもっと安いですよ。これはなんでしょう、官公庁の方も入ってもいいんでしょう、だれという制限はないんですから。私は、官公庁のほうの給与から見て、比較して申し上げているのであって、そういう方が四十歳になられたときの生計費から申しますと、先ほど申しました生計費が一ぱいだと。それで今度は、先ほど申しましたように奥さんが今日は働かざるを得ない情勢にある。かりにパートタイマーで時間給百五十円の給料にしても、奥さんが大体三十万円年収があります。一体奥さんのこの収入というものは、将来を考えて子供の教育とかいろいろな備えとするのでしょう、そういうことになりますわね。そうしますと百六十万円にかりに達する人がおったら、私が申しますようにこのいまの政府の案でいきますと、働いても損だという、この象を出ていかなくちゃならぬという危険性がある。一般の人で最高時間外手当をもらっている人が約七千六百二十二円です。こんなに働くよりも、こんな手当をもらうよりも、もう時間外手当がつくことによって、自分は年収百六十万円以上になっちゃう、家内の収入と。そうすると出ていかなくちゃならぬ、そういう危険性が多分にあるのですよね。だからそうじゃなくて、あくまでも生計費で考えて見て、現行しからば十万円を取る人、奥さんの収入も入るのですから、九万円でもいいのですが、七万円を取る人が、奥さんが三万円とったら十万円になりますわね、そうでしょう。そうすると奥さんが働くために結局十万円になってここを出ていかなければならない。出ていけばいま御承知のように公団のアパート借りたって最低一万六千円ですよ、高いのは二万三千円です。だから働かないほうがましだという結論が出てくるのですよ。そういう基準のとり方ですね。基準のとり方と同時に、私はあまりにも生計費を無視したその考え方で、大ざっぱに見てある、これが一つ。そうしてその低所得者として入居して何歳ぐらいになって初めてその収入があって、何年間はそれで働いて、別に家を求める期間は居住してもいいじゃないかということが結論的に言える。それが二年じゃ短い、あるいは五年とか七年とか、そうしてそこで自分が会社へおつとめになっておれば、その退職金を含めて住居を求めていくということになるならば理想的だと私は思うのですよ。あくまでも、先ほど法制、関係の方がおっしゃったように、この法案は低所得者を目標としておるのでありますから、それはあまり異論のないところです。けれども、やり方によっては、いま言ったように二年で打ち切りとおっしゃるが、その二年間働いたらかえって損だ、そこの給与で押えるところに問題があるわけだね。だからそれは五年なり八年なり、そうして相当の余裕もできた、そこで自分は会社を定年になる、それを含めて第二の自分の故郷をつくることができる。こういう高度な私は政策があってしかるべきだと思うのですよ。ただ二年だとか一年だとかの区切り方、生計費を考えない、世間から見ると高所得者という見方を、百六十万円に置いた、二百万円に置いたというその大ざっぱな考え方でこれを制することは非常に危険だ。私も先ほど二宮委員がおっしゃったように、いろいろな問題が起こらぬとも限らぬというふうに考えるわけです。
○政府委員(大津留温君) まあ入居者の生計を御考慮いただきましていろいろ御心配いただくお気持ちは、私どもも全く同じ気持ちで検討を加えたわけでございます。かりに高校卒の方が卒業して直ちに就職なさった、その初任給、年間三十四万二千円と見たわけであります。そういたしまして、五十五歳の定年までずっと働かれましてもいまの百六十万には達しない。平均の場合です。普通の人よりも早い方は別として、平均した昇進をなさって五十五歳の定年までおつとめになっても百六十万までは達しないということでございます。中学卒の方もそうでございますし、大学卒の方が二十一歳で就職されまして初任給が年収四十四万九千円といたしまして、平均で進みまして五十五歳でやっと百六十万になる。したがいまして、かりに五十五歳の定年でやめられるという方の場合に、これは二年間百六十万をこす状況が続いて初めて明け渡しの請求ということになりますから、普通に大学を出て平均の速度でいっておられる方も、五十五歳の定年でおやめになる場合は明け渡しの基準には達しない。そういう平均を上回って昇進をされる方で、先ほど申しましたような会社のやはり次長というようなところ以上に進まれるという方がこれに該当する。したがって、そういう状況を全体的に見ますと、勤労所得者の中で一〇%以内に入るような方々を対象に考えておる、こういうわけでございます。したがいまして、大多数の方は、これに該当しない。また大多数の方が通常の速度で昇進して明け渡しに該当するというようなことだとしますと、これは制度としてどうかということに相なると思いますので、大多数の方は該当しない。やはり特別というか、平均以上の方が該当することになるというところに線を求めたわけでございます。しかし先ほども申しましたように、この基準というのは、年々物価の変動その他で変わってまいりますから、そのホローというか、絶えず注意をしてこれを検討し、必要なら遅滞なく改定するということがきわめて重要なことであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
○高山恒雄君 少数の人だからいいというわけにはいかぬですよ、そういう考え方自体。少数であってもその住居をやはり出ていかなければならないので、人間尊重の意味から、これは大臣の先ほどの御答弁の中にもあったように、全く私もそのとおりだと思うのです。大臣のおっしゃるとおり、もし一人であってもやはり尊重するという立場に立たなければいかぬと思う。 そこで、そのときの生計費、現在の生計費をあなた調査されたのがありますか、あればひとつ発表してください。現在の生計費というのは一体どのくらい四人の標準家族で要るのか、あるいは五人おった場合にはどのくらい要るのか、そういうものをやられたのか、やられないのか、なければやったとか、やらないでけっこうです。
○政府委員(大津留温君) 生計費という形での調査は特にいたしておりません。
○高山恒雄君 それはやはり現状の物価に対する生計費を出して、そうしてかりに五十歳の人がおったとします。その人がもうほとんど月収十万近くになっておる。そして、生計費を出して何ぼ預金ができるか、年収八十万取って年に二十万なら二十万の貯金ができると、五年間たって百万だ。こういう一つのやはり相当のものを説明がなければならぬのじゃないかと私は思うのですよ。それがやはりなければ、先ほどおっしゃるようにばく然と立てられた百六十万で、ほんとうに少数の方であってあまり大衆に影響はないのだと、そういう考え方自体が私は間違いではないかと思うのです、人間尊重の意味から考えてですね。それをやはりやるべきじゃないかと私は思うのですね。そこで、つまりその方が五十五歳になるまでに何らかのたくわえができるのだ、それで二年間の余裕期間で、その二年が妥当であるか妥当でないかのまた検討をして、そうして退職されてどういう事態になるか、そういうふうにもつと数字的なものでひとつ説明を願わないと、あまりにもばく然としておるわけですね。こういう点をやらないで私はその百六十万の線はわずかの該当者であるから、世間から見てもたいした問題じゃない、法の精神自体が低所得者を対象にしておる問題であるからここらでいいのだと、こういうことにしか聞こえないのですね、私らが聞いておると。それでは私はいかぬと思う。その点ひとつどうなんですか。
○政府委員(大津留温君) 先生の御観点と多少違った観点からの分析ということになろうかと思いますけれども、住居費の負担力ということから申しまして、かりに公団の中層の賃貸住宅にお入りいただいた、これが十六坪の場合に一万五千二百四十八円でございます。これはいまの年収に比べますと二%の負担率ということになります。また高層のやはり十六・五坪の賃貸住宅にお入りになったとして一万九千三百九十七円の家賃、これが家賃の負担率といたしまして一四%になります。それから分譲住宅をお買いになる場合の一時金をどの程度用意ができておるだろうか、また割賦金をどのくらい負担できるだろうかという計算をいたしましたが、四百万未満の十八坪くらいの分譲住宅を買うといたしまして一時金を二百万円、それから残りを十年なり十五年の年賦で買うといたしまして、通常わが国の勤労世帯の預金でございますが、ほぼ年収に見合う貯金が平均してあるということでございますので、これをいま一時金を払い、また割賦を払われるというその負担からいいましても、これはそう無理なく負担できるのじゃなかろうかというふうに見たわけでございます。
○高山恒雄君 それ、何ぼくらいありますか、額。
○政府委員(大津留温君) 公団の分譲住宅の場合でございますが、三DKで譲渡価格三百五十万、先ほど四百万という例を申しましたが、この三百五十万の例で申しますと一時金を二百万払われますと月々の割賦金が月に一万六千五百十円になります。それから、住宅供給公社の分譲住宅、これも3DKの場合ですが、譲渡価額が三百八十万円でございます。これのうち百八十万程度を一時金として負担されるとしますと、これには公庫の融資がつきますので、三十五年の割賦ということで毎月平均して一万円の償還ということになります。これは負担の割合からいたしまして、七%の負担率です。
○高山恒雄君 大体わかりました。そこでもう一つ聞きます。大体具体的に出しておるのですね。それを先に言っていただかなければいかんのだ。大体二百万円というのはどのくらいの収入のところからたくわえた金だと思っているのですか。 〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕 何年、何カ年間にそれだけのたくわえができるのだろうと予想しておるのですか。子供は大学まで出したという過程を、そういう過程を踏んでいただいて、そして十万所得で何年間あったらこの二百万円くらいの貯蓄ができるのだ、こういう見方をされたのか。いや、そうじゃない、八万円の時代から一万円も貯蓄はできるだろう。こういう見方をされたのか。これはほんとうに二百万円でかりにそれ定年としますか。一万六千円の月賦はまだ払わなくちゃならぬのですよ。生活できないですよ。実際問題として、年をとると定年になると、第二の産業へいくわけでしょう。そうして前の十万円の収入は皆さん半減してしまう。六〇%ですよ。そこらのポイントのとらえ方が一体その百六十万円で二年間の期間を置いて出すことがいいか悪いかという結論になろうと思う。そこらをどう見られるか。
○政府委員(大津留温君) この二年間とかあるいは何年間でそういう用意をされるということではないわけで、わが国の勤労世帯の貯蓄性向というものを見ますと、通常年収に見合った貯蓄があるというのが調査として出ております。したがいまして、その百六十万なら百六十万になられた段階におきまして、その程度の通常の場合、貯蓄をお持ちになっている。こういうふうにみなして計算してみたわけでございます。
○春日正一君 関連。いまの高山委員のお話を聞いておって、いまの結論の趣旨からちょっとさかのぼるわけですけれども、いまの説明聞いていますと、百六十万という計算はあなたの説明では、いわゆるそこの借りている本人だけの計算でいっていますね。 〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕 大学卒業して初任給が幾らでそれをずっと上がっていくと五十五歳定年になって百六十万になる。高校卒ではそこまでは一生かかったっていぬかとかという計算をして、だから百六十万ということはめったにあり得ないことだとか、そんなに御心配及びませんというような説明に感じるのですよ。ところが、実際には先ほどの質問にもあるように生計費非常に高いし、それから、いまの世の中ですから、いろいろの病気、その他の準備のための貯蓄もしなければならないというようなために、大体給料の低い人たちが非常にたくさん共かせぎをやっているでしょう。ほとんど共かせぎをやっている、そういう状態ですね。そうすると、この共かせぎの奥さんの収入がやはりそれではそっくりそのまま加算されるわけですから、百六十万になるというのはずっと前のほうにそれが出てきてしまう。しかも、その奥さんの共かせぎというのはやはり子供の数がふえるとか、年をとってくるとかというような関係でいつまで続くかということについては、やはりかなり不安定な要素が含まれておる。そういうこまかいところまであなた方が計算されて百六十万が妥当だとおきめになったのかどうなのか。
○政府委員(大津留温君) 先ほども申し上げましたが、配偶者の所得を合算いたしますけれども、給与所得の場合におきましては給与所得控除額を差し引いた残りを合算いたします。したがいまして、年収三十万円の方は、合算額は十三、四万円になると、そういうことでございますから、百六十万という基準は、世帯主が一人で収入がある場合で、家族が四人世帯という場合が百六十万ということでございますから、家族が多いとか、あるいはいまの夫婦共かせぎという場合には、その基準がずっと上がってくるわけになります。その上がりぐあいもいま申しましたように、配偶者の場合は、給与所得控除を除いたものが合算されるということでございますから、これは御承知のように三十万、四十万という比較的少ない所得でございますと、給与所得控除というのが半分以上控除することになりますから、実際は三分の一程度が合算になるということでございます。
○高山恒雄君 先ほども質問したように、大体皆さんでお当たりになったのは、やはり部分的な、たとえば貯蓄の面においても全国平均をとって、それは特殊な方ですよ、二百万円というのは。そういう特殊なものが載っておるわけだ。ところが私は一番問題にしたいのは、先ほど生計費を出されましたかと言ったら、出していないとおっしゃいますが、やっぱり生計費が問題の中心にならなくちゃいかんと思うのですよ。なぜかならば、かりに十万円の所得があっても、大学に二人出してごらんなさい、たいへんなんですよ。それは例外とおっしゃるならば例外な人もあるかもしれんけれども、二人出すというのは、あるいは一人卒業してというようなこともあるかもしれませんけれども、その例外が多いでしょう。最近大学の入学者多いのですから、昔ならばそう言い得たでしょうけれども、いまはそう言えない、そういうことは。そうすると十万円の収入で二年間くればあなた出なさいということを言って、一体妥当かどうかということですね。生計費も計算しないで、これは東京都だけの、先ほどのは、これはもう去年の生計費ですわ、かりにこの法案が通ってことし変えられるはずはないですね。そうすると、現実の生計費も立てないで、そうして、それを二年間で出てもらうという催促を法律に基づいてする以外にないじゃありませんか、法律がきまれば。その法をきめて、いや二年たっても皆特殊になるようなことならば、法律つくらんほうがいいでしょう。先ほど二宮委員のおっしゃったように、もっと自然に出ていくというような方法はないでもないですわね。私はやっぱり生計費を立てて、十万円所得の方の一体現在の出費というものがどの程度になるのか、子供二人あって、高等学校と大学に出て、どのくらいの出費が要るのか。それも公立と私立じゃ違いましょうけれども、公立の学生の人数というのはわずかです。やはり東京中心にするならば、早稲田に行ったって、明治に行ったって、そりゃ上智に行ったって、中央に行ったって、いろいろあるでしょう。これはもうほとんど家庭の出費でしょう。そういう生計費に要るのを立てて、百六十万が妥当じゃとおっしゃるならば、これはなるほどという考えもしないじゃありませんけれども、そうして、しかも、私はその二年間の期限がいいか悪いか、これももっと研究をする必要があると思うのですね、二年間の期間を。
○政府委員(大津留温君) 先生御承知のように、現にお入りになっておる方につきましては、二年間請求はしない、二年後にやるわけでございますが、その際にもいまの百六十万円という基準ではなく、まあ二百幾万という相当な高いところに線を引くわけでございますから、これからお入りいただく方は、そういうことを前提としてお入りいただくということになりますので、公営住宅の低家賃で生活される間に、将来に備えて貯蓄をしていただくというようなことも、これはお考えいただけるかと思います。したがいまして、将来の、これからそういうことを前提としてお入りいただく方の基準といたしましては百六十万、現在のベースで申しますと百六十万程度は適当ではなかろうかと思いますし、いままでそういうことを予定せずにお入りになっておって生活されてきた方、特にいま二宮委員も御指摘のように、そういうことはないというふうに思って生活しておられた方でございますから、この基準はやはり百六十万ということでは実情に沿わぬじゃないかということで、二百数十万とか二百十数万という線を考えまして、そうしますと、これはよほどの高額ということにもなりますので、該当者もそれだけに数が少なくなります。また、私どもといたしましては、そういう方々に対する住居の確保ということも大事なことでございますから、公団なり公庫なり、私どもでお世話できるものにつきましては、優先的に確保してお入りいただく。その場合の家賃なり分譲代金等、御負担願うことがはたして通常の場合無理なくお願いできるかということでいろいろ検討いたしまして、先ほど申し上げましたような数字で、これなら無理とは言えないじゃなかろうかという結論に達したわけでございます。なるほどいまお入りになっておる方を二年後に百六十万という基準で明け渡しを請求するということにしますならば、これは、相当、実情から申しまして、やっぱり問題点があろうかと思います。まあ先生の御心配の点のようなことをいろいろ検討いたしました結果、現にお入りになっている方につきましては、そういう配慮をしたつもりでございますので……。
○高山恒雄君 私はやっぱり、しつこく申し上げますが、生計費は大学二人の方を対象にして、最高の場合のを出すべきだ——これは希望しておきます。当然、出すべきだ。 それから、次にお聞きしたいんですが、前回もこれはちょっと質問したのですけれども、答弁もはっきりしてないんですが、三十四年にこの法の改正をやる前に、各地域において、先ほど二宮委員もおっしゃっておったように、大体払い下げをするということは、地域にかなり普及しておったのではないですか、この場合。そうして、突然払い下げしないということをきめてしまって、そうして、まだその法案ができたのを知らない人がたくさんおる。けれども、いずれはこの払い下げもしてくれるだろう、こう思って、土地も求めないできた人がたくさんおるわけです。あんたがおっしゃるように、一世帯当たりのつまり貯蓄を見ても二百万円はあると見ておられるでしょう。だから、これは二百万はなくとも、百万やあるいは百万未満の七、八十万の金はあったかもしれません。その現在住居しておる土地を払い下げしないということであれば、当然これは安いときに求めたでしょう。それを払い下げてくれるのだということで、安いときに求めないできた人なんですね。それをいま払い下げしないのだ、こういう家庭もあるわけですね。たくさんの陳情が来ておりますよ、私たちにも。それでこういう人たちはいかにその法が改正になろうとも、現在のしからば土地の値上がりで一体住居を求めることができるかというと、これはできないですわね。そうすると、先ほどあんたがおっしゃったように、二百万円ぐらいの金を出して、そうして一時払いにして、あとは月に一万五千円ですか、一万六千円何ぼというものを月賦で支払いしてやらんならぬということになるでしょう。かりにその人が五十四、五歳だということになったら、五十五歳の定年以後は人間の生活は生活が落ちるのです。一体これは求めていかれるかどうかですよ。私はやはり既得権を持っている人にはそこまでの考慮を払うべきだと、こう思うのですよ。それでなければ、もししからば、法がそうであっても、その人たちが政府は一応払い下げするというその宣伝をしたではないか、したがって土地を買わないで今日まできた。土地の値上がりに伴う政府は賠償金を出せと、どういう団体行動が起こった場合には、一体どうするのですか。ないとは限らぬでしょう。ないと断言できますか。これは私はやはり非常にこの法案をつくった後の問題として起こるべき問題だと、政府はそんなことはないのだ、そういうことは起こらないと、こういう確信を持ってやっておられるのか、お聞きしたいのです。
○政府委員(大津留温君) 先生御指摘のとおり、公営住宅法制定の当初におきましては、払い下げということを相当積極的に考えておったと思われます。しかし、だんだん二十七、八年ごろから御承知のような土地の事情になりまして、これをむやみに払い下げすべきでないという方針になりまして、実は昭和二十八年にそういう趣旨の通達を出しまして、建設大臣といたしましては、特に将来これを建てかえをするに適当な場所等については払い下げはしない方針である。したがって、事業主体におきましてもそういう方針を了承の上、この払い下げ問題を扱ってもらいたいということを出しております。で、三十四年の法改正の際にそういう方針を法律上さらに明らかにしたという経緯があるわけでございます。そういうことで、確かにその以前にお入りになった方は、そういう期待を抱かれたかと思いますけれども、今日のような宅地の情勢でございますから、それはもう今日においては御了承をいただいているものと私どもは考えておりますが、先ほども二宮委員にお答えいたしましたように、まあいなかといいますか、地方あるいは地方都市の郊外というようなところにおきましては、将来にわたって建てかえをするという計画もないところにつきましては、それを払い下げるということもあり得るわけですが、今回の法改正で建てかえの規定も整備いたします際に、各事業主体をして将来にわたる建てかえ計画を立てさせまして、その建てかえ計画に乗っているところはもう払い下げをしない。建てかえに適しない場所がございます。また、都市計画を進める上からいってもこれを公有地として保有しておく必要は必ずしもないという場所につきましては、払い下げということもございますけれども、そういう意味で、将来にわたりこれを保有して建てかえるかどうかという計画を早く立てまして、その方針を居住者の方にお示しして、そういう無用の期待といいますか、ことのないようにいたしたいと思いますが、過去のそういう政府の考え方が変わったという経緯があって、入居者の方に期待をいだかせたという点は確かにあったかと思いますけれども、すでに十年前の法改正のときに法律上そういう方針も明らかになっておりますし、今日においては特に問題はないじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○高山恒雄君 大臣に最後に質問して終わりたいと思いますが、この種の問題は、私が先ほど申しましたように、問題が問題だけあって、みんなダブった御意見になったと思いますけれども、やっぱり二百万円以上の収入の方は二年後に出てもらうという、既得権を持つ人の立場からすれば、このよほどの基本的な根拠のある計算のもとに生計費も見、かつまたそういう収入のある方の年齢層の検討をするとか、年齢層も検討していないと思うのですね、私は。だから社会情勢に即応したやっぱり二年間という年限がいいのか悪いのか、それから生計費の実態というものも調査もしていないようですが、そういう面を十分考慮して、私はこの問題は政府としてはもっと根拠の説明のできる私は裏づけ資料をつくるべきだ。それでいかなければ二年を五年にするとか、あるいは七年にするとかいうことも、既得権を持っている人にあると思うのです。そういう余裕期間を与える方法が運営上でもやるとおっしゃっておりますけれども、やっぱり、そういうめんどうを見て、初めて法に基づいてその行政措置としてはやれることではないかとこう思うのです。その親切味が足りないと思うのですが、大臣、この取り扱いはどうお考えになりますか。
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどからの高山委員の適切な御質疑につきまして、私もよく拝聴いたしておったわけでございます。問題点になりました二点につきまして、しかもこの客観的な経済状況下にありましての物価の高騰、あるいはそれらに対するところの関連いたしますところの諸般の経済生活の中にあって賃金等の変動あるいは暴騰、高騰というようなあらゆる問題を踏まえまして適時適切なる客観的な判断をいたしまして、これらの措置を指導するということは、当然な措置と考えておるような次第であります。 また後段に申されました点につきましても、やはり一定の方針は打ち立てており、法的措置も講じてまいっておりますけれども、その客観的な状況下にあってこれが住民に対する適切なる判断であるということができ得ました場合には、それを踏まえまして、やはり払い下げという問題につきましても十分理解と話し合いの場を持ちながら、その方針はやはりある場合には私は対処すべきであると、こういうような気持ちを持っております。御承知のとおりにそうした判断からくる払い下げも、年間三、四千戸に及んでおる現実も私は踏まえております。私も三十二年の間における浅い経験から、地方の自治体の責任者といたしまして、それらの住民の客観的な不幸な事態に取り組みまして建設省に対しまして要請をいたし、またそれぞれの措置を講じた経験等も持っておりますので、私といたしましては一切のしゃくし定木において両断するというような方針でなくして、十分客観的な諸条件とその生活内容を、また立地条件等も判断いたしまして、そうして私はやはりこまかい配慮のもとにおける愛情のある払い下げ方針も私は並行して打ち立ててまいりたい、こういうような考えでおりますので御理解を願いたいと思います。
○委員長(岡三郎君) 大臣、午前中の質疑に関連して、いま言われた払い下げ問題ですね。これは私はやはり国の土地政策の失敗を住民に押しつけているという形にとられるということは根拠があると思うのですね。公営住宅に非常に大ぜいの中から当選して、やれうれしや、国なり県なりに感謝した、やがてそれは払い下げてくれると、払い下げてくれるものの余裕があるわけじゃないから、じゃあしばらく待っている、その間にどんどんウナギ登りに土地が上がっちゃって、三十年代になったら勤労者には手が届かぬ、その間に三十四年ということが一つの打ち切りになって、これを限度として将来の見通しとして、土建業者その他土地を買いあさっている、こういうふうな背景の中において払い下げがむずかしくなったということは、これは確かに現状を踏まえてみても、この居住者の心情というものをやっぱりしっかり把握しておかなければいかぬと思う。したがって、そういう人に対しては、もう払い下げができない条件になったでしょう。だから積極的に建てかえてできるだけ安い家賃の快適なところにこれはお住まいしていただくと、地方の市町村でまだ問題がそれほどでないところは、ある意味においては払い下げを約束する。そうしてそれにかわるべき土地は代替用地としてそのところでねばらないで、先行投資して、市町村にどんどんある程度起債を出すようにする、あるいは土地基金なりで先行投資をしていくと、いまは払い下げというのは時価主義ですから、それほど安くないんですよ。だからそういう面についてはやっぱりいろんな生活根拠があるから、どこへも行きたくないという人もかなりいると思う。だからそういう点で私は地方の市町村で、先行投資すれば、それほど融資困難でないというところは、払い下げてもらいたいという人は、そんなに安くはございませんよ、しかしいろんな条件があるから、これは払い下げてもらいたいという意思があるならば払い下げましょうと、しかしこれは土地鑑定人によってこういう価格になりますよと、そういうふうにして、従来のように、ただばく然と時価相場よりも半額とか三分の一とかべらぼうに安いから、そういうことをまだ考えている人がかなりいるのではないか、いまは時価主義に変更されてきております。そうなるとその価格においては先行投資すればある程度地域周辺においては土地は求められますよと、別のところには。そういうところは先ほど質問の中にあったように、明確に国としてひとつ地方を指導して、ケースバイケースもけっこうだけれども、積極的にある程度問題を解決する、そういう場合において、建てかえするということのほうが地域の人がいいというならば、県に向かって、相当年月たってある程度老朽化したものは積極的に建てかえて、そのいい住まいへできるだけ低家賃で入ってもらうようにするということの即応のしかたがない限り、何か政府自体のほうでやることをやっていないで、片一方にだけ所得が多くなったから出ていけというふうな印象が強いのじゃないか。その点でひとつそういう公営住宅に対する払い下げの問題とか、建てかえの問題については、もうちょっと明確に住民が不安を持たぬようにそれで解決できるものは解決して、その代替として払い下げた場合においては土地の先行投資をして価格を高くしろというような形で、もうちょっと前向きにひとつ勇断を持ってやってもらいたいと思うんです。何か自分たちのほうだけ守っている形では、私はやはり全体的に納得できぬじゃないか。そういう意味においては住宅に当たった人がいまは不幸の目を見ているのじゃないか。土地を買おうとしても、高山さんが言ったように、高くなっている。そして高額だから出ていけ、そんなばかなことがあるかということが、私は感情問題として一般的にそういうものに関係のない評論家は政府の言っていることももっともな点があると言うけれども、しかし実際に入っている者は自分の自己主張するだけでなくって、やはりそういう経過に対しては政府として十分これを了として、これに対する即応対策というものを明確にする必要があるんじゃないか、これが一点です。 それからもう一点は、先ほど毎年検討を加えて適宜改定していくと言っておっても、その五十年の国民総所得とか六十年の国民総所得とかバラ色の話がずいぶん出ておりますな。一体この所得と住宅の明け渡しの問題、いろんな問題についても将来わからぬ、なかなかむずかしい問題が一ぱいある。だからいま言ったように毎年検討を加えていくと言っても、定期昇給だけでなくて、ことしは一〇%こえるだろうと言っているのです、公務員の給与。いまの物価情勢でいうとすぐにとまるというふうに考えているものは、政府もないわけです、残念ながら。とめてもらいたいのですよ、とめてもらえるならば。百六十万でもあるいは五百五十万でもいいと言うかもしれない、物価のいわゆる上昇というものを——だけれども、そんなこと言ったって夢物語りだから、じゃ実際問題としてそういうふうなインフレーション的な傾向の中において収入というものをどう考えてもらえるだろうかというときに、毎年検討を加えてこの明け渡し基準額というものを毎年改定すると、こうはっきり言ってもらわなければ、住んでいる人間は安心しないと思うんですよ。二年間据え置いてやるからいいんだというのじゃなくて、毎年とにかく物価が人事院の勧告のように五%以上上がった場合においては改定しますというふうにどこかに寄りどころをつくって明言しておいてもらわぬと、のどもとを過ぎれば暑さを忘れちゃって、この法律が通って一人歩きする段階において、われわれがいつまでもこれを監視しているわけにいかぬから、そこら辺のところを午後の答弁において、検討を加えておいて、毎年やってもらいたい。それができなければ二年ごとにとにかく改定するというふうな歯どめを置いた答えがなければ、私は審議会にはかってということについては、片方のほうにおいては、大臣聞いている、家賃の改定については地方にまかせるとか、こういうふうに言っておりますがね、その点については明確にこういうふうに検討を加えてこういうふうな時期に改定します——しかし物価がとまった場合についてはこれは別ですよ。だからその場合、それぞれ人事院勧告のように賃金上昇が、公的に示された人事院なりなんなり五%なら五%上昇するような形になったら直ちに改定を加えます、そこらはひとつ検討してください。そうぜんとすると、ことしのように一〇%やるというと、私はあとで資料にほしいのですがね、二百万円の層が四千六百人というと、百九十五万、百九十万、百八十五万、百八十万の層がどういうふうな分布状態になっているのか、これをはっきりしてくれなければ、私はこれどうしても結論を下せないのですよ。つまりこれが通って、いまのところ四千六百人だけれども、すぐ人事院勧告でことしの年度末春闘で、民間上がっちゃった。するとこの収入を調査した時期は二月だというからそこから一〇%以上は現実に上がっているし、公務員はやがて年末に上がる、一〇%ですよ。そうするというと二百万円の収入限度に近い居住者は、一体どの程度になっておるか、その調査がわかったら、じゃこういうふうに検討して限度額をやはりきめて、不安がないようにしますというふうにやってもらえるのかどうか。要するに問題は先ほど来言われているように、これについて、これに達しない人がいまのインフレーションの中で、おれたちもすぐ追い出されるのではないかという相関的な要するに不安感というものがあるのじゃないか。だからこの不安の解消の問題について適宜に措置をとると言っておるけれども、もう少し具体的に御答弁ができないものか。 それからもう一点は、高くなったら出ていけというのだから、定年退職したりなんかして、病気になったりして、収入が減っちゃった、出ていった者が。またそういうふうに収入が減った者が公営住宅へ安い家賃のところに帰ってこられるということを明言してもらいたい。高くなったから出ろといえば出るけれども、子供が結婚し、奥さんは病気で共がせきできない、自分も定年退職して収入が減った、そういうときには公団で一万六千円とか二万円とか払ったけれども、これでは生活できないという人については、よろしい、じゃ六千円なり七千円のところにお入りください、あなたがそういうふうにしてきたのだからということについて、そういう検討について、出ていくということから条件が変わった人については、もう一ぺん帰ってもらって、生活の安定をわれわれは見てやる、こういうことについて、ひとついますぐでなくてけっこうですが、午後の冒頭において御答弁いただきたいと思う。気のついた点だけ……。
○国務大臣(坪川信三君) いま委員長みずからこれの関連いたします憂慮すべき諸般の問題点につきまして、三点にわたりて御指摘とまた御意見を御開陳いただきましたことを、われわれも非常に貴重な資料として踏まえてまいりたいと考えております。 さしあたり責任者の私として考えなければならない当然の問題につきまして、お答えをいたしておきたいと思いますが、やはり住宅に優先するのは土地問題である。土地問題に対する問題があらゆる住宅政策の優先する課題であることを考えますときに、われわれといたしましては、いわゆる土地の先行取得という問題点あるいはその他について、十分われわれは全力を注いで、それぞれの立場で低廉な地価によるところの土地の取得をはかりたい、こう考えておる次第でありますとともに、本年度の予算におきましても公営住宅に対しますいわゆる中高層建築によるところの公営住宅の建設を推進いたしまして、そして土地の高度利用によるところの公営住宅の建築をはかって、これらの問題点の解決の一助にいたしてまいりたいこと、また御審議を願い、議決をいただきました都市再開発法によるところの土地と建物が、いわゆる横の流れでなくして縦への流れをもって受け入れ体制の整備を住宅に力を入れてまいるというような方針、これら総合的な方針のもとにおいて、御指摘の第一点の問題には処したいと、こう考えております。 第二点につきましては、やはり不安感を与える、また住宅に対する生涯の未来像をやはり庶民大衆に持たせるということが政治の、住宅政策の非常に重要な問題でございますので、かかる不安のなきよう、やはりそれぞれいわゆる先ほどから抽象的な適時適切ということばを使ってまいっておりますけれども、激動する物価あるいは賃金あるいは経済状況のこうした諸般の発展の状況下を考えますときに、われわれといたしましては十分それらの点を注視いたしまして、そして一年に一度あるいは二年に一度というような、ここですぐさまそのリミットに対しての表明はでき得ませんけれども、私は責任を持ってこれらに対する即応的なる処断を、やはりそれぞれの法的また政令的な上において措置を講ずべきである、こういうような方針で私は指導をしてまいりたいと、こう考えておるような次第であります。 御質問の第三点においても、私はもっともな御意見であろうと考えますので、これらの点につきましては、十分私は責任持ってこれらの各位に対する一つの不安感を除去いたしながら、しかもこれらに対する御指摘のありました点を実行に具現するような配慮を、今後も十分責任持って努力いたしてまいりたいということを、さしあたってお答え申し上げまして御理解願いたいと思います。
○委員長(岡三郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。 午後一時休憩 —————・————— 午後二時十五分開会
○委員長(岡三郎君) ただいまから建設委員会を再開いたします。 午前に引き続き、公営住宅法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑に入る前に、まず政府から発言を求められておりますので、これを許します。大津留住宅局長。
○政府委員(大津留温君) お尋ねの第一点でございますが、事業主体ごとに将来にわたる建てかえ計画を立てさせまして、この建てかえ計画のあるもの、また将来の都市計画に必要と思われるものを明確にいたしまして、それ以外のものにつきましては入居者の希望によって払い下げを行なうことができることを明らかにいたします。払い下げを行ないました分につきましては、それにかわる土地を求めまして公営住宅の建設を促進するように指導いたします。大都市におきましては御承知のような土地事情でございますから、これはまず払い下げは行なわないというのが原則と相なろうと思いますが、それ以外のものの地方都市及び町村におきましては、ただいま申しましたような方針で指導いたす考えでございます。 第二の明け渡し基準の改定の問題でございますが、毎年その適否を検討いたしまして、少なくとも二年ごとに改定を行なうという考えでございます。 第三の、明け渡しをして他に移った後におきまして収入が激減いたしまして、たとえば公団住宅の家賃の負担に耐えないというような状況になりました場合におきましては、公営住宅に優先的に入居せしめるよう措置する考えでございます。
○委員長(岡三郎君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○田中一君 私は、いま局長が発言した、午前中の委員長の質問に対する答弁について、若干関連して質問します。 先ほど二宮委員あるいは高山委員等の質問に対して非常にあいまいな答弁をしておる。そんなことはないはずです。はっきり答弁してください。一応の払い下げ基準というものを持っているはずであります。それがいまここで発表したのでは混乱があるからその基準を言えないというつもりであろうけれども、今日の日本のわが国の政治には秘密はございません。したがって対国民のもの、国民が主人公であります。国民の要求にこたえてどうしようかという問題は、行政庁が優先するものじゃないのであります。先日、どういう基準で払い下げをするかと言ったら、一応の基準を持っておりますと言って、私の手元にはその案がきております。二宮君や高山君の質問に答えてなぜそれを率直に言わないのか、非常にあいまいであります。ことに、いま委員長の質問に対する答弁の中にも、私が危惧するのは、たとえば二百戸の団地、これは払い下げに該当するものであろうと思う。その中で全部の方々が、大多数の方々が買うといって買う場合にはよろしいけれども、くしの歯の欠けたように六軒目にぽつん、どこにぽつんというのでは、これはとうてい、今後の都市問題とかあるいは住宅問題の解決にはならないわけなんです。また終戦直後に建てられた公営住宅の敷地というものについては、多くは市街地のよい価値の高い場所に今日まで放置されております。だからこれらが当然地価が高くなるわけです。最近の食糧状態からきて、比較的田畑を団地化することが促進されておるから、その後の問題はよろしいけれども、戦後の荒廃した市街地の公園であろうと何であろうと、あき地にどんどんどんどん建っていったわけなんです。だから当然これは基準を明らかにしてもらわなければならぬと思うのです。ここでひとつ大津留局長から、いま考えられておる払い下げの基準というものを読み上げてもらいたいと思います。決して秘密じゃありません。
○政府委員(大津留温君) 払い下げの基準といたしましては、別にこれは秘密というわけでもございません。といって、別に公表する必要もないかと思いますが、建設省の持っております払い下げの基準といたしましては、地域によってその考え方を異にしております。大都市地域の既成市街地及び近い将来に市街化することが予想される区域にあります公営住宅は、原則として払い下げをしない。 それから人口三十万程度以上の市及びその周辺の市町村、また人口十万程度以上の市におきまして、既成市街地及び近い将来に市街化することが予想される区域に立地をいたしております公営住宅は、次に述べます場合以外の場合は、譲渡しない。その譲渡をできる場合といたしまして、敷地の面積が小さい、あるいは著しく不整形である。また地盤が不良のため基礎工事費が著しく増大するおそれがある、その他の事由によりまして、建てかえに著しく困難であるという事情のあるものは払い下げすることができますが、それ以外は払い下げをしない。 それからちょっと落としましたが、人口十万程度以上の市並びに新産工特等計画的に開発を計画している市町村、大都市及びただいま申しました地方都市以外の地域におきます公営住宅につきましては、その市町村の枢要な区域にあって、建てかえを行なうのにきわめて適切であるという場合以外は、払い下げをすることができるということでございます。その払い下げをすることができる場合でございましても、耐用年限の二分の一以上を経過していること。ただし、災害公営住宅で被災者の所有地あるいは民有地を借りて建てているという場合は、四分の一を経過していること。 それからその団地の全戸の入居者が譲り受けを希望しており、かつその対価を支払う能力があること。それから譲渡価格が適正であること。特に敷地の価額につきましては不動産鑑定士の評価によるものとする。借地に建設された公営住宅につきましては、その賃貸借の事情等も考慮いたしまして、建てかえに特に適しておる場合を除いてこれは所有者の同意を得て譲渡することができる。 それから、公営住宅の敷地を将来都市計画施設の用地として保有する必要がない等、この敷地を払い下げても都市計画上支障がないというものであること。 以上でございます。
○田中一君 先ほどの質問に答えてなぜそれを、そういうことを説明しておかないのか。これ非常にふしぎに思うわけです。 そこで本論に戻りますが、公営住宅ができ上がる以前から、住宅供給という国の仕事の上に相当見方を違え、それから手段を異なっているような施策に置かれてきております。これは戦時中から持たれたものでは、いわゆる住宅組合法、この法律によるところの施策が、そのまま終戦後も踏襲されてあったはずであります。これは東京都にもこれがあるはずだから、東京都に一ぺんひとつ伺って、東京都にあったところの住宅組合は、現在までどういう形でもって運営されてきているか、どういう戸数があるのか、資金はどうなっているか。その資金の結果がどういうことにまた運営されているか、それに関連するものをひとつ説明してほしいと思います。
○参考人(松丸清君) 所管がちょっと違いまするので、ただいまの御質問にお答えできるかどうかわかりませんが、現況を御説明申し上げます。 住宅組合は当初設立組合が約五百七十ございました。これは戦前でございます。そういたしまして、建設戸数が約六千戸ほどでございます。現在の組合数は三十八組合でございまして、なおこの活動状況につきましては、昭和二十九年度公庫の融資が停止されましたので、公庫以外の融資を受けられることがきわめて困難であるため、この組合の新設は行なわれておりません。現在はほとんど活動をしていないという現状でございます。 次に貸し家組合の関係でございまするが、当初設立数は六十二組合ほどございました。現在は約五十三組合でございます。そういたしまして、この貸し家組合の活動でございまするが、これはほとんど活動をしていないというのが現況でございまして、ただ登記上未解散として名目上存続して一おるというのが現状であります。
○田中一君 住宅局長に聞きますが、いま東京都は住宅組合、これは三十八組合ある、また、貸し家組合も、現在、五十三組合が存続していると言う。全国でどのくらいあります。そうして、その活動ぶりはどうなっているか。それに対して、都道府県は、これに対するところの指導なり、あるいは育成なり、どう行なっているか。また、主務大臣である建設大臣は、これらに対しては、どのような援助を与えているか、行政指導を行なっているか、伺います。
○政府委員(大津留温君) 住宅組合で現在存続しております数は、全国で四百五十八でございます。これは四十三年四月現在の調査でございます。住宅組合は、御承知のように、戦前の住宅対策の手段といたしまして、職域ごと、あるいは地域ごとに、個人が組合をつくりまして、その組合の相互信用のもとに、その組合に国の資金を貸し付けるということによりまして、組合員の持ち家の建設を促進したという政策でございます。戦前にすでにあったわけでございますが、戦後におきましては、住宅金融公庫の融資をいたします場合に、この組合を活用しようとしたのでございましたが、実は、御承知のように、住宅金融公庫は、そういう持ち家を建てたい方に直接融資をいたしますので、組合をつくらないでも融資ができますし、また、この住宅組合というのがいわばその職域ごとの組合、つまり会社の給与住宅をつくるための一つの便法に使われておったという経緯がございます。公庫法を改正いたしまして、産労資金の貸し付けということをいたしましたので、したがって、そういう意味の住宅組合の必要性も薄くなったということで、今日におきましては、過去におきます借入金の返済のために組合がなお存続しておるという状況でございまして、積極的な活動はいたしておりません。また、現在のところ、これを特にどうこう利用して施策をしようという計画は、いまのところ、持ち合わせておらないのが現状でございます。
○田中一君 貸し家組合は……。
○政府委員(大津留温君) 貸し家組合は、これは戦争中に貸し家経営者が組合をつくりまして、主として建設資材の配給を受けるための機関というようなことでつくられた制度でございます。現在、昨年の調査で全国に六十八組合が存続しておりますが、実際に何らかの活動を行なっておりますのは、わずか六組合でございまして、他は全くの名目だけということでございます。これも今日におきましては、こういうかつての存在の理由といいますか、が失われまして、積極的な活用をはかっていないという状況でございます。
○田中一君 いま政府が行なっておる住宅供給の事業というもの、これが資金関係なり、あるいは直接自分が建設するなり、どういう立法があるか、ひとつ全部並べてください。これは決して建設省所管のものならば知っているけれども、以外のものは知らないということにならないわけです、少なくとも日本の一番大きな住宅問題を担当しておる建設大臣でありますから。したがって、全部それを並べてみてください。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅法、住宅地区改良法、住宅金融公庫法、日本住宅公団法、国家公務員宿舎法、それから雇用促進事業団法というのが労働省所管でございます。年金福祉事業団法、地代家賃統制令、まあ住宅組合法、貸家組合法というのもございます。それから罷災都市借地借家臨時処理法というのがございます。産業労働者住宅資金融通法、北海道防寒住宅建設等促進法、住宅融資保険法、地方住宅供給公社法、それから住宅建設計画法、日本勤労者住宅協会法、その程度です。
○田中一君 まだ落ちているのがあります。 そこで建設大臣に伺いますが、われわれは二十何年来住宅問題だけは建設大臣が全部を主管して、そうして統一した施策を行なうべきだということを長い間指摘してきているのです。労働省もやる、通産省もやっております。こういう場合に国民に対する住宅供給という面をいろいろなケースでもって混乱させているのです。しかし、午前中にも委員長が質問した中だと記憶しているけれども、一ぺん立ちのきを命ぜられた者が該当すればもう一ぺん入居できるのだ、これは当然であります。そんなことは問題ありません、当然であります。しかし、このように住宅政策そのものが混乱して、その一つ一つの特異性というものが発見できないのです。なぜならば、全部国民が対象です。国家公務員にしても地方公務員にしても、これは国民なんです。働く者なんです。したがって、そのケースごとに異なった施策もあるということは間違いだと、であるから、背景にある、思想的にも当然均等でなくちゃならぬという条件が一つ一つ違っているのです。しいて言うならば、力関係とそれから各役所のなわ張りでそれぞれかちとっているという現状なんであります。今回の公営住宅法、これはもうストレートに国民に向かって提供しようというものなんです。先ほど二宮君も言っているように、立法的にもそういう混乱がある、条件が違う。たとえばかつて厚生省が厚生年金の還元融資で住宅供給やろうといって法律を出す。そうすると同じ対象に向かって同じような形で産業労働者融資というものを建設省が立案して、同じ国会でそれを競争するように通してくれい、あるいは別々に可決したような例もあるんです。内容は一つも変わってない、ただ原資が変わるというだけです。建設省の場合には住宅金融公庫法によるところの原資を使っている、厚生省は年金なり保険なりの金を原資として使っている、還元融資しているということがあるんですよ。地方公共団体もこれにはもう音を上げております。そうして融資の貸し付け条件が違う。ある時代には利率が違う。全く混乱の極が今日の住宅政策なんです。あなたは熱意を持ってこれを全部一まとめにして、基本的な国民にストレートに貸すんだという、提供するんだという政策を考えようと思いませんか。国家公務員も地方公務員もすべて働く者なんです。労働者に対するところの住宅供給にすぎないんです。そういう意味でひとつ、あなたまだ任期がありますから、その間にひとつ構想だけでもまとめて、ああ坪川建設大臣はりっぱだったというような意欲を起こしたらどうでありましょうか。この点について、まず率直に大臣の見解を短いことばでいいですからおっしゃってください。
○国務大臣(坪川信三君) いまの田中委員が御指摘になりました点は、非常に重要な問題点であろうと思うのであります。要は、国民の生活の重要な問題である住宅政策に対して国家が一元的な立場でこれを処理するということが、非常に重要な問題であろうと思います。ほんとうに真剣に考えますとするならば、私はやはり田中委員の御意見と全く同感でございまして、いわゆる住宅省なるものを設置するということが最も好ましい最終の姿であろうと、かかる上に立って住宅政策の一元化を法的にもおのおの講ぜなければならぬということも、おのずからそれが解明されるのではないかと、こう考えておるのでございます。ただ私の考えとしては、そうしたことにおいては同感であり、またいたしたいという意欲については何ら劣るものではございませんけれども、それぞれのその立法措置におきまして、行政措置においての歴史的背景というものがおのずからやはりあるということもいなめない事実であるということを思うと、それに対するところの解決点というものが直ちに解決し得るものもございましょうけれども、なかなか解決でき得ない問題点も伏在しているということも、私は想像いたすのでございます。しかし、いまの段階においては、私はぜひとも田中委員のそうした方向に政府といたしましてもやはり努力いたすべきであるということを目標に置きながら、いまの時点においてはやむを得ない事態ではございますけれども、関係省庁と十分連絡をとりまして、指導的な立場に立ってこれらの隘路の打開に建設省が取り組むということが、万やむを得ない現時点における措置でもあろうかという立場も御理解をいただきたいと思いますが、目標及び所見につきましては、全く同じ考えをともにする一員でございます。
○田中一君 率直に言ったらどうですか。私はこの問題を来週の火曜日の閣議で強く主張すると言ったらどうですか。これはあなたは相当力のある大臣だと思っている。それを表明してごらんなさい、ここで皆さんの前で、当委員会でそれに対して努力をする、総理にも話し、大蔵大臣に話して、その方向にいく、こう言ったらどうですか。
○国務大臣(坪川信三君) この問題につきましては、さっきも申しましたとおり真摯に取り組んで前向きの姿勢でひとつ取り組み、検討をいたしたい、こう考えております。
○田中一君 そんなことじゃないのです。あなたが閣議でその方向に向かっていこうではないかということを強く主張してください。反対する者はだれか、賛成する者はだれか、すぐわかるわけです。閣議で言うことは、あなたは総理大臣でないから、皆さんの了解をとらなければならぬから、そう発言しろと言っているのです。発言してやるという自信を持って言えませんか。成果があるかないかの問題は別です。あなたの意欲的なものがほしいのです。もう一ぺんどうですか。
○国務大臣(坪川信三君) 意欲的な点については、全く同一でございます。しかし、それが安易なことで言うのではございませんけれども、言うことはやすしでございますけれども、それを最終目標に持って運ぶのには、なかなかの検討と準備が必要でございますから、私は発言することにおいて何らやぶさかではございませんけれども、最終目標の達成に対して私は真摯に前向きに取り組むということの表明で、御了解いただきたいと思います。
○田中一君 こういう問題は、いままで二十年間どうにもならずに来たわけです。公営住宅法が二十五年にできて以来。すぐにできるとは思いませんが、ちっともその方向にいかない。住宅問題がまるで各役所の力関係で自由にされている。だから今度のような問題が起きて、一番弱い、一般大衆に向かって過酷な法律をつくろうということになるわけなんです。 そこで午前中からしばしば各委員から指摘されているところの立ちのきを命ぜられる高額所得者という対象に対する結論的なぼくは質問をしたいと思う。いままでの審議の中に事業所得者、個人営業をやっている人を対象とするものが一つも論議されなかったように聞いております。一体たとえば適切かどうかわからぬけれども、町でささやかな洋品店を営んでおるところの主人公が公営住宅に入っておる人もあります。この場合にその所得というものをどういうぐあいに算定をしようとするのか、一番得な方法をひとつ細見さん教えてください。というのは、なるほど事業に対する所得というもの、あるいは五万円なら五万円という事業所得、けれども自分が当然十五万円ぐらい月給を取ってもいいのだけれども、それじゃかなわないから、中小企業の諸君はたいてい低い所得にして取っております。これは細見さん、よく知っているはずです。むろん事業の上に、商売の上に支出できる経費というものとして、あるいは温泉に一週間ぐらい行く費用だって適当な同業組合で何とかというなら、事業支出として認める。一週間でなく、三日や四日なら認めるでしょう。そういう場合にどうでも落とせるのです。これがいまの中小企業の実態であろうと思います。しかし、利益があるといっても、これは自分の扱ってる洋品の中には、なるほど仕入れ原価、これはわかっている。しかし、その中に金利も含まれるのもわかっている。最後にはこれはローズ物として売れなくなるかもしれない。こういう品物も含まれておる。だから自分の企業の安全を考えると、事業所得、もうかったという金はしまっておきます。自分が使わない。そして品物が売れなくなった、ローズ物になった、日にやけて売り物にならぬというものは、原価を割って売ってるのが中小企業のあり方です。こういう人たちの所得によるところの一つの限界を示す場合には、どういうぐあいにほんとうの実態というものを把握しようとするのか。これ、細見さん、あなたこれなら一番うまくいきますよ、これなら得するからやりなさいということ教えてください。これは、あなたよく知ってるはずですから。また最近は建築の労働者も、せんだっての新聞を見ますと大工さんが三千七百円を要求してます。二十五日稼働とすると、やっぱり十万円、月十万円程度になるわけなんです。天気が続けば三十日するときもあるかもしれません。平均すれば二十二、三日であります。こういう日雇い的な賃金をもらってる諸君をどう押えるか。実態は御承知のように協定賃金三千七百円といってるんだから三千七百円もらったものと考えている。実際は違うかもわかりませんよ、そいつは。そういう働く人たちの収入というものをどう押えるかということです。この法律では、今度の改正の法律では、どこまでも源泉課税を受けてるという一般サラリーマンを対象にして追い出そうというお考えなんです。中小企業の重役だってサラリーマンです。つかまえる根拠は何かというと、やはり総合所得というものからくるととろの、主として源泉課税を行なってる労働者を追い出そうということに尽きるわけなんであります。まだ職種によっちゃいろんな問題がございます。まあパチンコを専業とする人はないでしょうから、これはまあ別としましても、少なくとも所得というものの実態をわれわれは考える場合には、一番まじめで税の取りはずれのない労働者が一番早くつかまるわけですから、これを対象にして立ちのきを命ずるなんというような考え方だということに断定してもいいくらいなんです。そういうことであっちゃならない。それらの所得者をどうとらまえることができるか。またどううまく逃げて公営住宅の立ちのきを迫られずにすむか。これはひとつ専門の細見審議官から、全国民にこれ抜け道を教えてやってください、どうか。
○政府委員(細見卓君) 抜け道というようなものは、職掌柄知りませんので、それはお答えできませんが、事業所得がどういうふうに計算されるかということでございますと、先ほど来先生がおっしゃっておりましたように、収入金額から仕入れでありますとか、その仕入れに要した金利でありますとか、というような直接なものがまず引かれまして、店舗をかまえておる場合でありますと、そういう場合の物の償却費というふうなものももちろん経費になる。それから先ほど若干異例な例をあげられておりましたが、通常な組合費というようなもので、業界全体の、あるいは商店街全体の発展に使うというような、ごく合理的な、常識的な金額、これはやはり経費になりまして、そういうものを差し引いたところが給与所得者などで申しまする、いわば課税になる所得であります。それから、家族の構成とかというようなものによって、それぞれ控除があるわけでありますが、ただこの場合、事業所得者であるということによりまして、サラリーマンとかなり違った要素が出てまいりますのは、いわゆる専従の問題があるわけです。家族、息子さんだとか、あるいはお嬢さんなんかが、かなり大きくなっておられて、一人前の仕事をしておられる方につきましては、これらの方に支払われます経費は、青色申告であれば全額、白色申告であれば一定の金額の制限がございますが、いずれにしましてもそういう方に現実に支払っておられるものは、事業の経費として引かれる。ただし、受け取られたほうの息子さんなり、お嬢さんのほうでは、やはり自分の所得として、給与所得として御申告を願わなければならぬ、金額が課税所得の免税点を上回わりますときには、申告をしていただかなければならぬわけでありますが、いずれにしましても、その場合でも御承知のように、申告所得者は金額が大きくなるに従って高い税率で課税される、いわゆる累進税率になっておりますから、いわば所得がそういう形で、三人なり四人なりに、同じ二百万円であっても分けられるという点がございます。その点から考えますれば、同じ二百万円がその世帯に入ってきたとした場合に、勤労世帯に比べて相対的に有利ではないかというような話がありまして、これは衆議院の予算委員会やあるいは大蔵委員会でたびたび議題に出たように、夫婦分割して、いわゆるスプリットと英語で言っておりますが、要するに分割して、一定の主人が働らいてきた収入金額を、妻もともにその収入を取得するのに働らいたものとして、つまり二人の所得だとして、二分して、二分二乗方式で課税をしてほしいという議論があります。これもやはりそうすることによりまして、百万円の税金の二倍は、二百万円の税金よりは安いわけでありますから、そういう形で安く負担の軽減を考えてはどうかというような議論があったわけです。そういう点で、確かに事業所得者の場合においては、有利な面もございますが、その反面給与所得でございますと、先般の改正によりまして、給与所得控除というようなものがかなり大幅に認められておりますので、同じ二百万円の粗収入といいますか、現金で二百万円入ってきたといたしましても、税金のほうではそれから給与所得控除が引かれたものが税金の元になるというわけで、そういう点が勤労所得者のほうがそれだけ見れば有利でございます。ただ往々巷間事業所得者のほうが税金が有利だというような話が出ましたものの多くは、いわば大きな会社で社用ということがよく言われますが、それに似たような形で事業の経費と、個人の私生活とがなかなか分割しにくいというようなところについて、給与所得者よりは金がいわば灰色のところに使う、所得の処分と本来言うべきものか、あるいは所得を得るための経費であったか、微妙なところがある、その辺がいろいろうま味があるというような議論も往々あるわけであります。しかし、これらの点につきましても、税金の、税制の理想といたしましては、そういういわばうまさがあるから、そちらのほうに勤労所得者も持っていくというのではなくて、毎年皆さんできるだけ公平な立場で税金を申告していただいて、その結果相当の歳入が上がり、歳出をまかなって余裕が出ると、あるいは自然増収が出るというようなときに、皆さんに公平に減税ができるというのが、やはり税制として望ましい姿でございますので、そういう意味で事業所得であるとか、給与所得であるから、どっちが税が軽いというようなものでなくて、もちろんその税制の立て方につきましては、そのときどきの社会感情やあるいは国民感情を反映いたしまして、給与所得控除の大きさというようなものに差がありまして、それが給与所得者と事業所得者との負担の関係を調整するいわば調整弁のような形をしていることは事実でございますが、そういうものを前提とすれば、私どもとしては公平な税が行なわれており、ぜひ皆さんにも公平にやっていただきたいと、こう申すのがやはり役人の立場でございますから、これ以上どうすればうまく税が抜けるというようなことは私は存じておりませんので、あしからず御了承願います。
○田中一君 これは、住宅局は、この法律をあなた方の考えでそのままやった場合にはどう事業所得者をつかまえようとするのか。ただし、国家公務員、これは年金制があるし、その他いろいろな将来への特典がある。民間の私企業の労働者は、これは何にもそんなものはない、一時金くらいだろう。いい会社もあるけれども、多くは何にも保障がないわけだ、考後の保障というものは。離職後の保障がないわけだ。したがって、そういう場合には事業所得者をどういうつかまえ方をしようとするのか、伺っておきます。
○政府委員(大津留温君) 収入につきましては、入居者から報告をいただくことになっております。入居者がその所得について申告をしていただくわけですが、私どもとしては、給与所得の方も事業所得の方も、正確に報告をちょうだいすることを期待しておるわけでございますが、もし報告がないというような場合、あるいは報告がありましても疑問があるというような場合には、その居住地の市町村役場に行きまして給与台帳、所得台帳を閲覧いたしまして調べる。また、つとめ人におきましては、そのつとめ先の事業所に照会して調べるというようなことで正確を期したいと、こういうふうに考えます。
○田中一君 これは細見君に伺いますが、いまの民法では、家族関係というものは、これはもう独立したところの個人でありますね。だから、あるいは息子さんが同居の場合には、ここに累進されて立ちのかなければならぬというものをきめております、政令できめようとしている形で。これは息子さんが、かりに同居している息子さんが月に七万円ずつもらっている。そうすると、七万円を一定の控除したものとおとうさんとの収入を合算して、それが所得だという分け方をしようとしている。ところが、息子さんは、冗談じゃない、私はここでもって六畳一間借りているのだから、自分はそれに対して公営住宅の家賃に見合うその分担分の家賃を母にやっています、私の収入は私の収入です、こういうことも言えるわけです。その場合に、一体それを不当に合算して査定をするということが正しいものかどうか、これは一方的にですよ、所得税によってきめるのですから、そうだというきめ方でありますから。何にもおやじには金をやっていません、収入なんかあるのじゃありません、自分は自分でやっているんだということを言った場合には、それは家族関係というものはどうなるんです。民事局長に伺いますが、おれは公営住宅の部屋を一つ自分で借りている、四畳半借りていて三千円なら三千円払っているけれども、別の会計でやっている。同居はいかんといったって、子供は生まれてから同居しているのだから、その同居を認めないということは言えない。分離しているからお前は出て行けということが言えるかどうか。息子さんと合算したところが、かりに二百十二万円くらいこえている場合、その場合に、出て行けという——おれのほうは合算して考える、だから出て行けということが実際、法律的に言えるかどうか。家族主義、家族制度というものはないわけですから、個人個人の場合です。またこんなのがあります。奥さんが管理人している、おやじはどこかへつとめている、夫婦の中でもってはっきりと世帯を分けている。私の働いたやつは私の収入です、共同生活的なものがあるわけです。同居じゃなくて共同生活、おのおの独立したところの事業税を払い、所得税も払っていて、いまの税法ではこれは総合課税になるのでしたね、たしかこれは夫婦の場合は。しかし完全に独立したところの事業を営んでいる場合、建設省はあるいは公共団体は、おれは本省の指示があるから合算して考えているのだといっても、はたして同居だから立ちのけということを命ずることができるかどうか。これはひとつ大蔵省と法務省と両省から答弁してください。
○政府委員(細見卓君) 私のほうが簡単な制度論のようでございますから、私から先に便宜お答え申し上げます。いまお話がございました夫婦で合算をしなければならないというのは、いま多くの場合御主人が働いておられると想定いたしまして、奥さんのほうに資産所得がある場合に、それが両方合わせて三百万円をこすときには、合算してほしい、むすこさんを含めて。家族に要するに資産所得があるときは合算してほしいということになっております。ただ勤労所得の場合は、奥さんと御主人が別々に共かせぎで働いておられるときは、多くの場合扶養家族も、それぞれ奥さんのほうに一人とか、あるいはだんなさんのほうに一人というような形で分けて別々の申告になっておるわけであります。
○政府委員(新谷正夫君) 家庭生活におきまして、その家庭の構成員がそれぞれ収入を得ておって、家賃を別々に払うとか、あるいは食費をそれぞれ別に負担するとか、いろいろの形態があると思います。しかし民法の面では、特にその面についての規制はございません。同居の家族が、どういう負担割合で生活をするかということは、これはそれぞれの家庭の内部の事情でございまして、これに一任されているわけでございます。したがいまして申し合わせがあれば、その申し合わせに従いましょうし、また家庭の慣習というようなものがございますればそれに従うことになろうかと思います。いまの公営住宅の利用者の収入の計算問題におきましては、これは公営住宅法という別の法律の立法政策の問題でございます。税の問題も、これはやはり税制の政策の問題になろうかと思うのでございまして、民法からそれを割り出すということはちょっと困難ではあるまいかと、このように考えます。
○田中一君 そうすると同居になると退去を命ぜられる、これはもう公営住宅法にあるのです、同居人を家賃をとって置いちゃいけない、退去を命ぜられる。しかし生まれたときからずっとそこにいて青年になって、社会人になって収入があって、それで両親と話し合って、ひとつおそれのほうも負担しようという場合に、退去を命ぜられますか。公営住宅という面から基本的な居住の権利というものが、これも非常に長い間、かりに二十五年なら二十五年というものをそれは続けてきているという現実の面から見て、これを公営住宅法という法律が、退去を命ずることができますか。これはいま言うとおり居住という人権の問題ですよ、むろんいろいろな意味の形式は変わります、収入も変わるし、社会におけるところの地位も変わります。またいままでは未青年者が社会人となって、相当な収入を得るという場合に、しかしおとうさんやおかあさんと一緒に住みたいけれども、それはおれはその分だけ負担しようじゃないか、負担すると同居人だからそれはお前はいかぬ、公営住宅法にそう規定しているわけです。その場合に、それは不当じゃありませんか、人間の権利として。
○政府委員(新谷正夫君) 同居者がその住宅を使用して住まいに使うことができるかできないかという問題でございますが、一般の場合には、家族でございますれば、家族は一体としてその借り主の同居者として貸し主との間の契約によって住宅を使用することになるわけです。新しく入り込んできた場合にどうなるかという場合、あるいは生まれた場合にどうなるか、いろいろの形態がございますけれども、要するに、新しくその住宅を使用する者が貸し主との関係において許されるか許されないかということに帰着するのではないかと思います。いままで別居しておった者が新しく入り込んでくるというようなことになると、これはやはり貸し主の承諾を得なければ契約違反になるのではないか。ただ、家族の一員として従来同居しておった者が、子供が生まれたためにその構成員がふえていく、こういう場合に、やはりそれは従来の家族の一員として当然社会通念上も考えてよろしいのではないか。これは従来の家族構成員の中に一人加わった形でその住宅を使用する、これは当然でございます。それぞれの事情あるいはその賃貸借契約の趣旨、そういうものを考えて個別的にやはり検討してみる必要があろうかと思います。
○田中一君 いま戸籍上の正式な妻にならないでも俗にいう内縁の妻でも妻としての権利は認められている面がたくさんありますね。戸籍上は妻を二人持つことはできないわけです。けれども内縁の妻なら二人でも三人でも持てるということになるわけですね。妻と客観的に第三者が言うにすぎないので、本人同士は妻ではない。また、表面では妻ではないと言いながら実際は妻的な関係にあるかもわからない。同居というものは、あるいは家族というもの、家族構成というものは何かということですよ。内縁の妻でも同居していれば妻だと社会的な認め方をされれば、妻としての待遇を受けるということはたくさんあります。厳密に財産相続とか何とかいう場合にはいろいろ問題もあろうかと思いますけれども、交通事故で同棲者がなくなったという場合には補償をもらえるような道が開かれている。そういう社会通念から見て、特定のだれか女性を同居させる、これは同居人なんです。こういうような場合にはやはりそれは公営住宅法という法律が違反だといってこれを退去を命ずることができるかどうかです。結局あなたの言いたいのは、社会通念でそれを認めればいいんだということでしょう、いまの男女関係あるいは家族というものの構成はですね。おいがいなかから遊学に来たから、それを一人家族構成の一員として迎える。おそらくこれは法律の面から見れば違法です。公営住宅法から見たら違法です。しかし、家族という定義は何か、他人だっていいんです。たとえばお手伝いさんを使う、それは家族の一員にすぎません。したがって社会通念から見るところの現実というもの、あるいは慣習というもの、こうした問題を容認する場合も容認されない場合もあるということになると、即それが税収という問題から立ちのけとか立ちのかないでいいとかいう問題が起きてくるんですね。私は実態に即しておやりなさいということを先ほどからしばしば言っているんです。たとえば三百万の収入があろうともその同居のおいを学費から何から全部見ているという人もおるかもわからない。あすのしあわせを夢見て、公営住宅に入って家賃が安いからその分だけ貯金しようとして営々として老後を楽しもうとする人もおるから、ただ一律に実態というものを知らないで一つの線を引いて、これからいけないのだ追い出すのだ、おまえさんの収入を会社へ行ってさがし、税務署に行なっても台帳を見てそれを調べてくるぞということだけで四千何百人かの少数の市民をそのうちから放逐するなんということは悪法とは思いませんか。あなたはやはり法律を扱っている人間だから、どうもそうとらざるを得ないのもやむを得ません。しかし社会通念というものは法律を越えるものもある。人間社会、われわれの社会生活の中には法律を越えても許されるものがあるはずだ。実態というものをつかまえないで、ただ観念的に目をつむってこの線から上はいけません、こういうことでそのしあわせを国民が享受できない、これは非常に危険があります。すべての法律は国民に豊かな生活をさせ、将来に対して夢を持たせるためにあるのです、いまの法律は。刑法その他の問題は罰することによって再びその間違いをさせないというところにあるのです。それがその居住者の生活の実態を何にも知らないでただ線を引いていいのだというような立法の行き方は悪法です。われわれは、社会人として共同社会に住んでおる。月に十五万、二十万の収入のある人は、これは公営住宅に恋々として入っておらぬでしょう。自分でやはり自分の社会的地位に、自分の労働の対価の収入に見合ったうちを求めるでしょう。しかし、老人夫婦をかかえている十五万や二十万の所得の人たちはそんなことはしようたってできない人もいるんです、それには若干の除外例はあるとしても。他人のめんどうを見ることは非常に美風です。自分たちの両親兄弟のみならず、非常に困っておる者に対してめんどうを見ようという風習は、美しい社会をつくるんです。かりにその人が、自分は安いうちに入ってもそういうよいことをしているという人があったらどうしますか。社会のために自分の収入をつぎ込んでめんどうを見ている人もいる。あるいはよい行為をして、ささやかながらの寄付をして社会に尽くしているという人もいる。その収入が、つかまえられる収入ですよ、主として勤労者です。これだけをつかまえて、あとの事業所得、数々の職種があります。それらはつかまえきれない。いま、細見君は、ずいぶんこう、はっとするようないいことも言われましたよ、そういう人もいるのです。それはつかまらない。私は民事局長に言っているんですよ。こういう法律できめたからやむを得ないじゃありませんかと君は言いたいのでしょうけれども、まだ、法律通してないのです。これからきめます。あなたが味方になる必要はない。ただやはり、少なくとも法務省につとめている人たちは、縛るだけが能じゃないのです。よい法律をつくり、よい社会環境をつくる、よい地域社会の共同体をつくり上げるというのがねらいなわけなんです。一体あなたは、おそらく法は政府できめたのだからきめたものは優先します、先行しますというようなことを言うだろうと思うのですが、どうお考えになるのですか。公平ではないということですね。税からくるだけの問題で納税証明書だけの問題でそうした割り切りをするのか。公平でないということが言えると思うのですが、どうお考えになりますか。
○政府委員(新谷正夫君) 収入の基準をどうつかまえていくかということになろうかと思うのでございますけれども、これはまあ法務省の所管ではございませんので、私から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、収入の総額をどうつかまえていくかというひとつのテクニックの問題でもあろうかと思うのでございます。建設省は建設省なりに、また徴税官庁の大蔵省は大蔵省なりにそれぞれのお考えがあろうかと思うのです。私どものほうは特段いまの収入の合算方法がいいとも悪いとも、これは政策の問題でございます。法律論として私からは申し上げるのはちょっといかがかとこのように考えられますので、まあこれ以上のお答えはちょっと私からは申し上げるのは差し控えさしていただきます。
○田中一君 われわれは法律をこうして、国民が直接自分の生活に密着する数々の法律を熱心に審議し、討論し、そうして提案するあなたと一緒になって考えているわけなんです。今度の法律の中にも大事な問題は全部政令にまかしているのです。私はここにわれわれの声をよくお聞きなさいと言うのです。だれか一人、自民党からこの問題について質問してほしいと思うのです。住宅問題なんというのは政党政派の問題じゃないんです。大臣も局長も含めた国民のものなんです。その立場から考えなければいけないんです。私はいまの中心になっているところのこれから入居しようという希望する者が百六十二万円をこえるとその資格はないんですよというきめ方に反対します。百六十二万円の根拠というものはあいまいだからです。先ほど午前中の委員会でもずいぶんきびしくそうした収入というものが、はたして高額所得者と言えるかということになるとこれは問題があります。高額とか、低額とか言いますけれども、今日の一番の標準賃金、せめて食える賃金というものはどんなものかということは、けさほどもいろいろ質問がありました。私ははっきりここで希望よりもはっきりと主張しますが、新しい入居者は二百万円を限度として二百万以上の者は入居する資格はないときめる。けさ、岡委員長も言っているように、二年間にどれくらい上がるかもわかりません。二百万円はあなた方はその根本的に法律の組み立てというものを反対すれば困るでしょう。といって、あなた方のほうは、与党のほうは強いのですから通すでしょう。したがって、これを新しく入居しようというものは二百万円、退去しなければならぬものは二百五十万、この限度ぐらいで政令に委任しましょう。それ以外にないです。最近の法律はことごとく政令、省令、地域的には条例にまかしているという立法措置はいけないです。ひとつこの二点について建設大臣、答弁してください。
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどからるるお述べになっておられますお気持ち、またそれに対応するお考え方、決して私は否定申し上げるものではございません。しかし、建設省といたしましては気の毒な低所得者に対する低廉なる住宅を提供するというきびしい重大な公営住宅の最終目標を考えるときに、そうした方々の立場も十分考えなけりゃならぬことは当然ではございますけれども、やはり待ちわびておられますお気の毒な大衆に対し、一戸でも多くの公営住宅を提供いたしたいという気持ちをもって本法案の制定をいたしましたことは、私は累次にわたって、私の心境と私の目標を申し上げた次第でございますので、その点でどうかひとつ御理解を賜わりたいと、こう考えておるのであります。それぞれの基準につきましては、先ほど局長から、また私が午前の委員会における最後に表明申しました決意でひとつ御理解をいただきたいと考えます。
○田中一君 そうすると政令にまかされたワクというのは、先ほどからあなた方資料として出しているほうの政令の案が、むしろこれは相当緩和されるという理解をしてよろしゅうございますか。あなた方に委任するわけですから、相当緩和されると、新しい入居者も、現在入っている高額と称するところの所得者も相当緩和されるという理解をしてよろしゅうございますか。
○政府委員(大津留温君) 現在の物価の水準その他給与水準等を前提といたしますならばお手元にごらんいただいておるような基準でまいりたい。しかし、御指摘のようにきわめて物価その他流動的でございますので、委員長に対してお答えいたしましたように、絶えず新しいデータに基づいて検討を重ねまして、その改定を怠ることのないようにつとめたいと考えております。したがいまして、その基準を一たんきめましても、少なくとも二年に一度は改定をいたす。その間におきましても、絶えず検討を重ねて改定すべき必要があるときは遅滞なく改定すると、そういう考えでおります。
○田中一君 私はこの法律の、成立するかしないか、もちろんその前に、前の時点で言っているわけなんです。いま提案されているところの新入居者が百六十二万円、今日住んでいる人たちは二百十二万七千八百円か、この額より相当伸びたところで、初年度の、今回の法律によるところの政令は変える、緩和するように変えるというように理解していいですか。二年後ということならば、これは承服できないのです。目の前にいるのですから、対象となる人間が。
○政府委員(大津留温君) 二年たたなければ変えないという意味ではございません。二年たたなくても、新しいデータに基づきまして、検討を重ねまして、改定をすべき必要を認めました際には遅滞なく改める、どういう考えでございます。
○田中一君 この法律、公布した日から実施するとなっておりますね。だから現時点で、いまあなた方が出している資料に基づく居住者の収入とかあるいは同居家族の収入とかをこのままの形でもって推し進めていこうという考えなんですか。現在提出されている資料というものを別の角度からもっと実態に即して検討する、それがもっと、出ていく人間の額が伸びるか、あるいはもっと縮めるか——合算しないなら縮まるわけですね。また新規に申し込む人たちもその家族構成というものが明らかになれば、見方は違うわけですからね、そうすれば当然百六十二万収入というものは低下するわけですからね。低下するわけですから、そういう場合には見方を変えて初年度の政令できめる、政府に委任されている問題は考慮するということを言うのですか、それともこのまま推し進めようというのですか。
○政府委員(大津留温君) 入居者の生活の実態に即するという考え方、これはもう全く先生のおっしゃるとおりでございまして、現在お手元にごらんいただいております案も、これはまあ最終的にそうきめたというものでももちろんございません。いろいろの御意見も十分拝聴したわけでございますから、データの分析につきましても、先ほど来御指摘がございましたような生計費の分析とかというようなことをいたしまして、さらに実情に沿ったものに最終的には持っていきたいというふうに考えております。
○田中一君 あなた方のいままでの考えでこれやると、サラリーマンなんです。一番生産活動を行なっているサラリーマンだけひっかかるのですよ。一番大事な労働力がひっかかるのですよ。おとうさんが百万円の収入があるとすぐ加算されちゃう。子供が働いていればすぐだめになっちゃう、入居することができなくなる、そんなこっちゃいかぬのですよ。不公平ですよ。もう低収入者、働けない人にはそれぞれの施策の住宅を考えなければいけないのです。ことに午前中にも議論があったように労働を解放されて、せいぜい六十なり六十五までほんとうに日本民族の繁栄のために労働したところの諸君には、公営住宅ぐらいは別の形で無料で住宅を差し上げますというぐらいな施策をとるような方向でものを考えていいのです。実際に考えてみても、あなた方は国民の予算をほかにばかり使うから数が足りないのです。当然できないのです。別の面に使ったからできないのですよ。この間自衛隊の飛行機が三機一ぺんにつぶれちゃったね、墜落したね。考えてみてくれ。私は防衛庁の役人じゃございませんと言うかしらぬがね、もっと国民に大きな目を向きながらやりたまえよ。いまのような形の政令の内容では承服できませんと言っているのですよ。どうするか、答弁しなさい。
○政府委員(大津留温君) 非常に大事な問題でございますので、十分研究いたしまして御趣旨の線に沿うように、さらに進めていきたいと思います。
○田中一君 ちょっとぼく汗をかいてどなっておるけれども、そうすると、ぼくがいろいろ注文つけて質問していることの線に沿うようになるべく努力します、こういうわけだな。これ以上やるとまた困るから、その辺でひとつその点は了解しておきます。 そこで第二の問題、家賃算定の基準というやつが、どうもこれがぼくにも納得できないのですよ。坪川建設大臣は口を開けば公平とか、ごもっともとか言うけれども、もう少しまともに、単純に、局長連中の言うことなんか単純に聞くのじゃなくて——あなた自身、福井市長で庶民の生活知っているのじゃないですか。まともに見ているでしょう。悪いところがあったら直しましょう、こういう、これは二十年たいした変わりもないでこの基準でやっているのです。たとえば損害保険料、これは民間の保険にはかけないで、何とかいったな、やはりあなた方の先輩が首になるとそこへいって何年間、高給をはんでいるという保険団体がありましたよ。何といったかな——公営住宅共済会というのがある。これは相当な金を持っています。たいへんな金を持っている。理事長あたりは——理事長か会長かしらぬけれども、何十万という給料取っているでしょう。まずこの料率を下げなさい。住宅局長、よそ見ちゃだめじゃないか、この料率を下げなさい。損害保険料下げること、これは半分ぐらいにしなさい。坪川さん、いいですか、これはうんと支払い準備金持っているところなんです。何か弁明しないと公営住宅共済会の現在の報告書、決算書を持っていらっしゃい、こう言います。積み立て金が幾らあるかどうか、それがきたらこの問題討議しますから、これをさっそくとってもらいたい。公営住宅共済会の決算、そうして現在支払い基金がどのくらいあるかということ、そうして役員等がどのくらい給料をもらっているかということ、歴代その理事長にはだれがなっていたか。みな建設省をやめた職員がなっているはずですから、これを一ぺん出してください。それを見てからひとつこの問題やりますが、この料率を半分ぐらいにしなさい。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅共済会の掛け金でございますが、これは極力安くしようというので、民間の火災保険に比べましたら、その約半額になっておるわけでございますが、御指摘のように、なお下げる余地があるかどうか、前向きに検討いたしまして、余地があると認められますならば、それは即刻引き下げるようにいたします。
○田中一君 次に修繕費、どうも最近の傾向、これは私も耳にしているのですが、もう二、三年たったら建てかえるという場所の修繕はしていないのです。これは何ですね、民事局長、借家権というのは、これはその建物が減損すれば、消滅すればこれはなくなるのですね。
○政府委員(新谷正夫君) そのとおりでございます。
○田中一君 だから早くだめになってくれればいいと思って修繕なんかしないのですよ。修繕料、これはいろいろな公営住宅の居住者の団体があるから、この団体に、これはたいへんだから一ぺん調べてごらんなさい、どのくらい。東京都どうです。東京都はこの修繕費が百分の一・二になっている。これは実際に東京都はわりあいに善政をしいているかもわからないけれども、東京都の例でもってどのくらい一戸当たり百分の一・二以上に支出しているか、どういうようにしているかしていないか、それをちょっと聞いておきます。
○参考人(松丸清君) 一戸当たりまでは出しておりませんが、政令にきめられております額を毎年度予算に計上いたしております。昭和四十四年度におきましては予算戸数にいたしまして十六万八千戸、これに要しまする修繕費、それが十五億余りでございます。さらには環境整備、これは御案内のように割り増し家賃によりますところの特定財源、これが約賦課使用料で三億二千万に対しまして四億、これを組んでおります。合わせまして大体これが二十億程度の経費を投入いたしまして、環境整備ないし修繕費にこれは充てているということになっております。
○田中一君 これも中高層の住宅がたくさんできるでしょう。そうするとあまり当面修繕がないのだからこれも安くしなさい、これも大津留君。
○政府委員(大津留温君) 修繕費は住宅の高層によって率を変えておりますが、東京都のごときは、最近はもっぱら中層住宅でございますから、中層住宅は御指摘のように一・二%でございます。そこで修繕費の執行状況を見てみますと、大体家賃の収入に対しまして四十三年度の実績です、東京都は一六・八%、神奈川県は二五・七%、愛知県はこれは一〇%、大阪府は一一・四%、大阪市は二〇・二%、まあ、ほかございますが、事業主体によって必ずしも同一ではございませんけれども、家賃の収入に対しまして一五%ないし二〇%程度計上して実施しておるところが多いように見受けられます。御指摘のように現実に古い住宅もだんだん多くなってまいりますので、この修繕の実施がなかなか十分できていないということは、御指摘のとおりでございます。私どもも遺憾に思うわけでございますが、何ぶん家賃並びにそれに含まれました修繕費に充当する経費が、できるだけ低家賃ということで押えました関係で、非常に低額になっております。それをこえまして大体修繕を実施はしておるわけでございますけれども、なかなかそういうことで十分にはいきかねておる。まあ今後とも建てかえるからもういいのだということでなく、やはり住宅として効用を十分発揮できますように、できるだけ修繕につとめてまいりたい、そういう指導をしてまいりたいと思います。
○田中一君 これはこの間も触れたかと思うけれども、とにかくもう東京都は東京都公営住宅家賃条例というものをつくって全体の見込み数がわかるのだから、木造建築はこれは別ですよ、少なくとも中耐以上のものはそういう家賃をきめていく。それこそ二年に一ぺんずつあるいは三年に一ぺんずつ改定するのもやむを得ません、実情に即して。三年前に早く入って生活の上から得したという人は知りませんが、三年後に入ったもののほうが家賃の負担が高くなるというのがこの方式なんです。これはもうおやめなさい。そうしてどの事業主体でもおのおのが持つところの政策の面から家賃をきめていく。しかし一定水準これ以下は、これ以上じゃ困りますよということですね。ことに悪いのは地代相当額の、今度地代相当額は借金だから全部自分のものになりますね。この六%というものは、年六分というのはこれは利子として取られるわけですね。今度は補助額がないのだから、全部これはこの額は高額になるわけでしょう。家賃の補助はあるけれどもたいしたものじゃない、こんなものは。そこでこれはもう公営住宅の家賃なんというものは、これは政策の問題だよ。全部こんなもの一応の基準は示しながら自由にまかしたらどうですか。いま修繕費の問題についても管理事務費のことについても、それぞれの立場でそれぞれの政策家賃を取っているわけです。ただ用地費だけが固定資産税の評価がえでもって上がっていく傾向にある。これはきめたものが全然上がらないというふうに考えていいのか。この地代相当額というものは、これは固定資産の評価がえが行なわれても、これは不動だ、それによってだんだん上がっていくのだという解釈をしているのが、それはとまっているのか、どっちですか。
○政府委員(大津留温君) これは地代だけをどうするということではなく、家賃の全体が非常に他の公営住宅に比べまして著しく不均衡になった場合の是正の、改定の場合の限度を定めているわけですが、その限度を定めております場合に、この地代に相当する分はどういう計算の方法をいたすかと申しますと、現実に取得造成した費用と固定資産税の評価額を比べまして、もうずいぶん昔に買ったというので非常に安いという場合に固定資産税の評価もだんだん上がってきておりますから、それが高くなった場合には、それによるということにしております。ただ私どもの認識といたしまして、まだ固定資産税の評価額が実際の地価に比べては相当の開きがあるという認識を持っているわけですが、しかしだんだん評価が適正といいますか、時価に近づいてまいりますと、固定資産評価をそのまま使うということが不適当になってこようかと思います。現在は一応固定資産評価によるということでございますが、行政指導で三十八年の評価によるということで実施しておるような次第であります。
○田中一君 そうすると、これは税制が変わっても、評価が変わっても三十八年度のものでストップさせていくということ、今後とも。もう一ぺんはっきりしてください。
○政府委員(大津留温君) さしあたりましては、そういう三十八年の評価によって行なわせております。これからまたいろいろ変わってまいりました段階においては、よく研究したいと思います。
○田中一君 私はもうくどくど言うけれども、何とかして一応の基準を示して、借家法による家賃なんだから、事業主体というものが家主なんだから、たな子にもらう金でも政策家賃である以上、もうこれはまかす。そうしてさっき言ったように何年たった住宅でも一応の価値判断、評価判断によって一律の家賃にする、こういう方法をひとつ検討してください。もう住宅問題は、これは国が命令して、あるいはこまかいところまで指導する必要ないです、百万戸にもなったのですから。どうかひとつその方向で検討してください。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅制度自体についてもいろいろ検討すべき問題がございますが、その中におきましても、とりわけ家賃をいかにきめるか、入居者の負担能力との見合いにおきましてこれをいかにきめるかということが、一番むずかしい問題でございます。これは建設大臣から住宅宅地審議会にも諮問されまして、そういうことを含めましていろいろ基本的な問題を検討していただいておりますが、たいへん貴重な御意見を承りましたわけで、その線に沿いましていろいろ研究を進めてまいりたいと思います。
○田中一君 それから、さっきもちょっと触れている入居の条件ですね。私は、金でなくて、収入なんていうよりも困窮者から順番に入れるという方法を十年ぐらい前から主張しているのですが、二十点ぐらいの点数をやって一番必要な困窮度あるいは必要度が高いという者から順番に入れる。抽せんをやめるのです、抽せんはやめちゃっていい。非常にむずかしいのは、住宅金融公庫が融資をするというと、いまは減ってきましたが、相当たくさんな仮定の申し込み人があるわけです。いわゆる仮需要ですね。住宅公団がいい場所でいいものを安くというと何十倍とある。ところがほんとうの需要といえばそうじゃないのです。みんな仮需要なんです。あっちにもこっちにもみんな申し込んでおいて一枚でも当選したらとろうという行き方なんですね。仮需要、それで申し込みが多いからといって、このくらいたくさん申し込みがあるのだからそれでもって予算を少しでも増そうということもあるかもわかりません。実際問題としては、そうした仮定されている需要というものが多いのですよ。だから、もう公営住宅入居の人たちは、自分のそれぞれの書類でもって全部申し込んでいく。そして点数でどんどん入居させていく。たとえばやたらに汽車や電車に乗って通うということじゃなくして、やっぱり徒歩で三十分くらい歩けば自分の職場へ通えるのだということも優先入居の条件です、その地域の公営住宅に対しては。そして職業がなくて、失業者はこれは別でありましても、働かない人たちになんかやる必要はないんですよ。抽せんという形でもってやるから、ほんとうのほしいという人にいかないことが多いのです。よくありますよ、地域のダニみたいな人が。そんな人に抽せんなんてやる必要はないのですよ。そういう点はもう一ぺんこの入居の条件というものを検討して、ほんとうに必要な困っている人から順次、今度できるどこそこにあなたはいくのですよということを、こっちから、事業主体から通知するくらいの方法をとったらどうかと思う。その点何かひとつ検討してください。
○政府委員(大津留温君) ごもっともな御意見だと思います。現在の公営住宅法におきましても、入居者の選定といたしまして、住宅に困窮する実情を調査して公正な方法で選考して決定しろ、ということが書いてございます。何も抽せんが公平ととも限らない場合がございますから、おっしゃるように状況を調査いたしまして、いわゆる登録して順次入居させるということも一つの方法かとも思います。ただ、東京都のように住宅に困窮する低所得者が非常に多数おられまして、なかなかその調査だけでもたいへんだというところもございます。したがいまして、東京都の場合は、抽せんに当選された方々についてまたさらに詳細に困窮状況を調べて最終決定をするということにしておるような状況でございます。そういう選考の方法につきましても、さらに十分研究させていただきたいと思います。
○田中一君 きのう戸山ハイツを見に行ったのです。そうすると、あそこは一種と二種がある。一種と二種の違いは、でき上がっているものはひとつも変わっておらぬ。ただ違うのは、二種は十二坪なんです。一種が十三坪。これで一種と二種が違う。坪川建設大臣、おかしなもんでしょう。法律に一種と二種があるからといって一坪違う。家賃も一万円と九千五百円の二色、おかしなもんじゃありませんか。ただ、現在の法律に一種、二種とあり、補助率が違うのだということにすぎない。一種も二種もやめちゃって十三坪でやったらどうですか。補助率は二種の補助率でやればいいのです。少なくともこんなばかばかしい、法律があるから、法律に乗っかってそういう区別をしているのだということにすぎないのですよ。同じ形、同じ環境、その中で一種が十三坪、家賃が一万円、二種が十二坪、それで九千五百円、こんなばかばかしいことをしないで、十三坪で二種の補助率を出せばいいじゃないですか、そうすべきだと思う。法律のあるために区別している。そうして同じ環境の家に子供たちが、この間も話したのですが、やあいおまえのところは二種だ、おれのところは一種だ、おれのところは五百円家賃が高いんだということがないとも限らないのですよ、子供たちが言うのは。両親がそんなことを言うと、子供たちの教育上も非常に障害になるのです。階級的差別をつけるべきものじゃないのです。特別な地域ならそれはあり得ます。同じ戸山ケ原に、あそこにりっぱなそれこそ公園住宅地をつくるのに、一坪違いで、一種と二種でもって家賃が五百円違いなんというばかばかしいことはございません。いまでもおそくないですよ、これから始まるのですから。これは坪川さん、今度は是正してください、ばかばかしいです。
○国務大臣(坪川信三君) いま田中委員が御指摘になりました一種、二種の問題については、つい先日の当委員会においても私はこの一種、二種の差別の解消といいますかなくする方向で検討を命じておるということを御答弁申し上げたとおりでございまして、私はぜひとも公営住宅のこの差別的な分け方については、私自身も非常な強い不満といいますか、これらの施策に対する大きな私は不満を持っておりますので、目下鋭意これに対して、解消の意味をもって検討を加えるようにということを事務当局にも指示いたし、また住宅審議会にも諮問をいたしておるというような状況でございますので、ぜひとも私は、田中委員の御意見と同感な気持ちをもって取り組んでまいりたいと、こう考えております。
○田中一君 そこでね、東京都。東京都は、大臣がああ言っているのだから、これは間に合うから、戸山ハイツを一つにしてしまいなさい、建設大臣がそう言っているのだから、こう言っているわけだから、どうです。
○国務大臣(坪川信三君) 私が建設行政の責任者でございますので、私が責任を持って努力をするということを言明いたしましたので、どうか部下に対しまして最後までの要求は、どうかひとつ私が負いますから、御安心になって御期待を願いたいと、こう思っております。
○田中一君 そのくらいのみえを切るのがほんとうなんだけれどもね。局長に、東京都、いいか、これは帰ったら話しなさい。
○委員長(岡三郎君) 参考人は、いいよ、大臣が答えているのだから。
○田中一君 この間も戸山ハイツが問題になったわけですが、沢田君から問題が出たけれども、自動車の置き場というものは、住宅に不可欠な施設になってきているのでね。これをひとつ考えるということを——ただ問題は、戸山ハイツの家賃にはね返っちゃ困るのです、戸山ハイツというよりも公営住宅にはね返っちゃ困る。はね返らない方法でこの問題を真剣に検討してください。
○政府委員(大津留温君) 先般御視察をいただきましていろいろ貴重な御意見をいただきました。さっそく帰りまして、御指摘になりました問題点につきましては、東京都と鋭意研究をいたしておるわけでございますが、御指摘の車庫を、駐車場を設置する件、それから現在の計画がさらに高層化をはかる余地があるかどうかというようなことも、いま東京都と検討を進めておるような状況でございます。
○田中一君 じゃもうぼくはこの辺でやめますが、ひとつどうか、「住宅問題の鬼になった坪川さん」というあだ名をあげますから、そのつもりでひとつ大いにがんばってください。
○国務大臣(坪川信三君) 私も最後に申し上げたいと思いますが、鬼になった気持ちというより、ほんとうに私はこの問題には厳粛に真剣に取り組んで、田中委員の御期待に沿うよう最善の努力をいたしたい。また各委員から表明されました点についても、十分配慮をいたしたいと、こう出与えておることをお約束申し上げたいと思います。
○沢田政治君 私がいまの申し込みでは一番最後の質問のようでございますが、与党の議員は別として、野党の議員は、多い方は二度の質問をしているわけでございまして、委員長の希望としては、なるべく重複をしないようにというような御希望があるようでございますが、しかし、この案を見ましても、今度の改正の内容を要約すると三点が問題なわけであります。したがって、全然重複しないということになると、これは質問のしようがございません。したがって、意識的に重複しないように、あるいはまた重複した場合でも視点を変えてお伺いいたしたい、このように考えるわけであります。 午前中の審議の場合でも、たとえば明け渡し基準額ですね、現に入居しておられる方が二百十二万円ですか、それがいいか悪いか、何十万円以内かというこまかい議論になったわけでありますが、私はそういう技術的な幾らの額がいいかということよりも、むしろ公営住宅法の第一条の目的からいくならば、こういう制度を設けること自体が大きな私は住宅政策としての回れ右前へ進め政策であるというように、こういうふうに感ぜざるを得ないわけです。第一条を私は読む必要ありませんが、公共団体が協力をして、住宅に困窮をしている者、あるいは低所得者に対して低家賃の賃貸住宅を提供する、そうしてそのあとに国民生活を安定させるということです。国民生活、特に低所得者と書いてありますよ。国民生活を安定させると同時に、社会福祉を増進させる、こういう高邁な一つの立法目的が明確になっているわけです。私はこの点が非常に重要だと思うのでありますが、ところが今回のように、若干暮らしがよくなったから出ていけという規定は、非常にこの目的に相反するものだと私は考えざるを得ないわけであります。したがって、こういうような一つの改悪をするならば、これはまさに公営住宅法ではない、低所得者一時収容法だと思うのですよ、回転方式ですよ、永久に住めないわけですから。したがってやはり私は部分的な改正ではなく、抜本的に住宅政策を変改した、こういうようにとらざるを得ないわけですが、いかがですか。
○国務大臣(坪川信三君) 沢田委員のお考えはお考えとして、私はやはり理解もいたしますが、私どもが考えております低所得者に対して一戸なりとも多く提供いたしまして、生活の安住を与えたいという気持ちも御理解はいただけるのじゃないかと、こう思うような次第でございます。やはり社会の正義、公平、均衡という姿が、お互いともどもに政治の目標としては私は持っておられるのは、お互い一緒だと思います。そういう立場に立っておりますと、私は大衆の気の毒な多くの方々の問題にやはり真剣に取っ組んで解決をいたしながら、絶対量の問題に取り組んでまいりたい、これが本案の法律改正のねらいであります。これだけはひとつ御理解を仰ぎたいと、こう考えております。
○沢田政治君 大臣の住の幸福なくて人の幸福があり得ないというフランスの例まで引いて、非常にヒューマニズムの表現を中にただよわせたしわけでありますが、私はやはり住というものは何といいますか、ただ住めればいいということは、これは常識的にわかっていると思うのですが、やはり人間の性格形成にも重要な影響を来たすと思うのであります。生まれた土地、大臣は、福井県生まれかどうかわかりませんが、非常にヒューマニィスティックのようなところは福井県生まれかもしれません、またそういう住環境といいますか、生活環境がよかったのかもしれませんが、そういうふうに入れればどこでもいいのだ、こういうことではないと思うのです。住居というものは安定することが大事だと思うのであります。そういう意味からいくと、どうも私は一時回転方式と申しますか、仮住居方式といいますか、こういうことでは、私はどうも納得できないと思うのです。しかし、これは議論でございまして、幾ら議論しても議論では解決しない問題だと思いますから、私はこれ以上言いませんが、しかし百歩譲ったとしても、しからばこの法律で明け渡し努力義務じゃなくて明け渡し義務ですね、これを明確にしたからとて、これが履行されるかどうかということを私は心配しているのです。先ほどまあ田中委員がうまく抜け道がないかという質問をしておりましたが、あると思うのですよ。これは私の理解ではおそらくこの法律は守られないであろう。法律の功罪を論ずるならば、罪があるけれども功は一つもないと思うのです。功があったならばこういう利点があるのだ、こういう点を具体点におっしゃっていただきたいと思いますが、それと同時にたとえば子供の収入を合算すると継続して二年間ですね、二百万円になる、出なくちゃならぬ、明け渡し請求をされる、こういう場合には子供をどこかに移したほうがいいじゃないですか。いまの法律ではどこに子供を移そうが、友だちの下宿先に住民登録しようが自由ですね。それをとめろ、不正だ、おかしい、脱法だ、こういう法律はないわけですね。これはまあ公職選挙法と関連して問題になっておりますが、この公職選挙法の問題はここの問題ではありませんが、どうもしようがないわけですね。そうしてのがれる方法もあるわけです。そういう方法をしなくともまだ例があると思うのです。かりにぼくの妻なら妻が生け花なりお茶をやれる。相当の名取りだ、まあ著名かどうかわかりませんが非常に出げいこを持っておる。そうしてまあ月収六、七万の謝礼金をもらう、報酬ではない謝礼金をね、こういう場合の収入の把握のしかたはないわけですね。と同時に、先ほど勤労者と自家営業といいますか、自主営業といいますか、これとの差別の問題も議論されましたが、特に同族会社の場合は今年で二百十何万円になるから、今年この給料を受け取ったということでなく、これを何かの名目で留保しておいて、一年間おいて次の年と、こういう方法もできるわけですね、賃金の支払い方等は。ありとあらゆる私はこれに引っかからない方法は幾らでも発見できると思うのです。どだい税務署でさえも公平に収入を把握できないでしょう。九、六、四とか言われているでしょう。ましてや建設省どうしてこれを把握するかということです。どうして公平を期するかということです。どうして脱法を防ぐことができるかということです。私は不可能だと思うのです。いま私が若干の例をあげましたが、この例を防ぐ方法を教えてください。私は守られない法律、しかも守られない法律であっても、単なる訓示規定ならこれはけっこうですよ。幾らか効果があっても弊害がないということでありますが、しかしながら、守られなくて不信感と不安をまく、相互不信をまくと、こういうことになったならば、功罪のほうの功じゃない罪ですね。そうなると思うのですよ。ざる法もいいところですよね。しかも相当の不安感を入居者には持たせる。こういうまあ罪のほうが残るわけでありますから、どうしてこれを公平を保つことができますか。具体的にケース別にこうして公平を期しますと、こういう答弁をしてください。
○政府委員(大津留温君) この制度におきまして、おっしゃるように収入の把握が非常に重要なポイントになってまいります。この収入の把握ということは、非常にまあ入居者の御協力が得られないといたしますならば、非常におっしゃるようにむずかしい問題であろうかと思います。私どもといたしましては、まずは入居者の方々にその正当な報告を期待しておるわけでございますけれども、もし期待ができないという場合におきましては、居住の市町村役場におきまして課税の台帳を閲覧してそれで調べる。あるいはつとめ先の事業所に照会して調べるということにしておるわけでございますが、その税務当局なり市町村におきましても把握できない収入につきましては、これは私どもとしては収入の把握ができないということに相なろうかと思います。先ほど田中委員から家賃制度のいろいろ抜本的な検討のお話がございましたが、やはり一つの考え方といたしましては、その各人の収入にある程度応じて家賃を負担していただくという考え方が一つの有力な考え方であろうかと思いますけれども、その際におきましても、やはりこの収入の把握というのが一つの実際上の問題点に相なろうと思います。これはお互いにやはり自分だけは得しようということではなく、正確に報告をいただいて、その上で公正な扱いをするという気持ちになって御協力をいただくことが何よりでございまして、それに私どもとしては大いに期待しているという状況でございます。
○沢田政治君 いま答弁されましたように入居者の善意に期待する、この期待にこたえられなければ法律の実効があがらない。そういう答弁しかできないと思うのですよ。防ぐ方法ないですよ、これは。しかもですね、そういうように実効があがらない善意に期待しなければ法律が執行できないような法律を、しかも非常に不安感を招くような法律をここに出してくるというこの感覚というか、ものの考え方ですね、これにはどうも納得できないと思うのです。これは最後まで貫徹させるわけにはまいりません。と同時にもう一つお聞きしたいのは、いまの公営住宅法の家賃、これは一体経済家賃なのか社会政策的な家賃なのか、政治的、財政的な家賃なのか、無理して分離する必要ありませんが、しかし家賃体系を論ずる場合に、あるときは適当に解釈し、あるときは適当に解釈すると議論の歯車が合わんわけであります。したがって、まあ家賃の方針があると思いますが、大体経済家賃が社会政策的な家賃かということになるし、ひねくり回して考えますと財政的な都合、政治的な判断を含めたつまり財政的、政治的家賃、こういうものに分離されると思うのです。したがってこれはいずれですか。家賃の性格を知る意味で将来のやはり皆さんに御質問したり国政を審議する際に非常に重要なポイントだと思うのです。この点は動かさないでほしいと思うのです。あるとき経済家賃と主張し、不利になるとこれは政治的な政策的な家賃だと言うし、これではたまらんわけです。議論します歯車が合わんわけであります。これはいずれでしょうか。
○政府委員(大津留温君) なかなかこれだというふうに割り切りができないものがあるかと思います。私どもの考え方としましては、やはり低家賃政策ということから社会政策的な家賃という要素が強いと思います。そういう配慮のもとに建設費用なり修繕費、管理費という実際掛かりでもって経費をもとにして算出するというやり方をとっておるわけでございます。その建設費なり地代を算定する場合に補助金があります分は差し引いて計算するということによりまして、政策的に引き下げているということになっておるわけでございます。
○沢田政治君 この前の田中委員の質問に対して、七十年もたったらこれは減価償却みな終わってしまっているし、家賃を取らなくてもいいんじゃないかという論旨の質問を田中委員がしたと思うのです。その場合あなたは、いや家賃は貸しておる対価ですよと、こういうことをとっさにそういう表現方法をとって言われましたが、やはり十二条を見ましても、非常に経済家賃的な色彩が強いと思うのです、私はすなおに見て。地代とか管理料とか利子とかそういうものを含むんだから、これはやはり解釈のしようはあるかもわかりませんが、政策的な要素を加味したとしても、これは分離すると、やはり経済家賃的な色彩は濃厚だと思うのです。そうなると、いまの公住法の家賃体系が経済家賃であるとすると、私は割り賃というのは非常に不合理になるわけですよ。同じ家に住んでおって、しかも自分の収入によって家賃が違う、対価が違う、こういうばかなことはないです、経済主義を考えるならば。同じ品物を大津留局長と私が買いに行って、あなたには高く売ります、見ておる前で、衆人環視の中であなたには安く売ります、あなたには高く売ります、こういうことはあり得ないでしょう、常識的に。そうなるならば、私はやはり割り賃というのは、いまの家賃体系が若干政策的な要素があったとしても経済家賃であるならば、割り賃というものは議論の筋道からいってもどうしても合わぬわけですよ。そこで不利になって、いや、これは社会政策的な家賃だとこういうことであるならば、そういう議論にまた変更してくるならば、社会政策でありますから低い者には多く、高い者には少なく国は施すんだから、そうなったならば割り賃を取ると同時に低収入者の家賃を下げなさいよ。そうなると、これはやはり社会政策的な家賃ということで納得できると思うんですよ。そのつど非常にたくみに自分の都合のいいように家賃体系というものを、今後の定義をぐるぐる変えるような状態ではいかぬと思うんですよ。そういう態度で将来いろいろな法案を、また公住法の改正をしてきた場合に非常に紛糾すると思うんですよ。私どももその場合に一言言いたいですよ。どちらですか、どちらかにこの点を明確にしなさい。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅の性格にかんがみまして、一応家賃の計算のしかたは法律に規定があるわけですが、実際は特別低家賃と申しまして、第二種の入居階層の中でも、さらに一段と収入の低い方々に対しましては軽減した家賃で入っていただいておるということもやっております。また減免の規定がございまして、いろいろ病気その他の事情によりまして収入がなくなったとか、あるいは出費が非常に多いという方には減免の方法も講じております。いま御指摘の家賃の算定の考え方でございますが、確かに償却費あるいは修繕費あるいは地代相当額というように、構成要素としましては、経済家賃の中に含まれる構成要素を取り上げて計算するようになっております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、公営住宅ということで国から補助しておる分につきましては、これはまるまる計算に入れないということによって家賃を引き下げることにしておるわけでございます。そうやって一応限度家賃というか、計算上一応の限度が出るわけでございますが、それをさらに事業主体によりましては、その住民の負担能力等を考慮いたしまして、さらにこれを引き下げるというようなことをやっておるわけでございます。そういうような実態でございまして、なかなかこれを一口に経済的家賃であるとか政策的家賃であるとか言いにくい面もございますけれども、実態はさようなことでございます。
○沢田政治君 大臣にお伺いしたいわけですが、悪意をもって見るわけではなく、すなおに私どもも公営住宅の問題内容を把握しておるつもりです。午前中も二宮委員が率直な感じで、率直な表現だったと思いますが、大阪城を徳川幕府が攻略したと同じように外堀を埋め、内堀を埋め、そして次は本丸を攻略すると、こういうように次々に本質を変えていっている、こういうような御指摘がありましたが、私もそういう感を全くいなめないわけです。たとえば昭和三十四年の明け渡し努力義務ですね、この改正する際のそれぞれの委員の発言内容なり答弁内容を三、四回読んでみました。やはりその当時から、明け渡し請求義務であっても相当各委員があるいは参考人が、公述人が、将来はこれは外堀じゃないか、将来は明け渡し努力義務じゃなく、明け渡し義務にされるのじゃないかというようにそれぞれの委員はもちろんですね、参考人もその点にやはり問題点が集中したようです。ところがこの答弁を見てみますと、決してそういうことはありません、精神規定で、ほんとうに自分でうちを持っていただいた人が、もう私も能力がついたんだなという自覚を喚起させる一つのだいだい色の、赤信号じゃない、だいだい色の一つの勧告のようなものだ。だから絶対に将来明け渡させるとかそういう前提につながるものではないという答弁を、折りに触れときに触れ答弁をしておるわけです。長い時間かかってこれで答弁をしておるわけです。はたせるかな、その三十四年当時のそういう心配をした委員の発言、参考人の発言というのは、今日になって的中してきておるわけです。そうなると、一体公営住宅というものは安心して国民が住める住宅かどうかという、住宅に対する本質的な疑問というものが出てくると思うのですね。それと同時に私がわからぬのは、明け渡し義務ですね、努力義務じゃない、明け渡し義務をつけておりながら、さらに割り賃を取る、同じことに対して二重刑罰を処するようなものだと思うのですよ。明け渡し義務というものと割り賃と、これはやはり因果関係があると思うのですよ。今度は極刑ですよ、極刑。禁錮刑にしておいて、ブザーを鳴らして禁錮刑にしておいて、そうして同じ性質のもので今度はだんだんに体刑に処すると同じ傾向だと思うのですね。この付近の論理のつながり方、あとのほうは局長に答弁していただきますが、先のほうは大臣に答弁していただきたいと思うのです。 それで、たとえば二十六年にこの法ができたのでありますが、低所得者というのは、昭和二十六年ごろはみんな低所得者ですよ、国民がね。低所得者というのは特殊な階層を指して言ったんじゃないと思うのです。多くの国民が住宅に困窮しておった。多くの国民が必要なカロリーをとれるかとれないかという境いであったわけですね、その当時は。だから特殊な階層に読みかえるべきじゃないのですよ、これは。国民を住まわせる住宅というようにすなおにとるべきだと思うのですね。同時に当時の住宅困窮者というのは国の責任ですよ、正直に言って。外地から引き揚げてきた人とかあるいは東京都内に住んでおっても戦災で焼かれた人、こういう方々だと思うのです。今度新しくどんどん都市に流入してくる人口も、正直に言えばやはり国の産業政策ですね、格差がつくのだから。工業が都市周辺にどんどん造築されるのだから、人口が移動するのは当然です、これは政策上そうなってくるわけですね。そうなると、やはり私はいまのものを何というか手直しして、竹に木をつぐというのか、新しい皮袋に古い酒をつぐというのか、何かちぐはぐになってくると思うのですね。しかも新国土総合開発計画によると、七割も八割も都市に集中する。低所得者も何もないのですよ。国民の七、八割が東京周辺あるいは名古屋、大阪、北九州というようにずっと工業地帯に集まってくるでしょう。だからいまのものをどんなにいじくり回しても、どうにもならぬと思うのです。抜本的に私はやはり住宅政策というものを考える時期にきたのじゃないかと思うのです。百四万戸くらいのものから一%か二%のものを締め出して、そして何というか、多くの、東京で五十万世帯といいますか、住宅困窮者が。こういう者の怨嗟、不満、こういうものを解消させようとしても、抜本的な住宅政策にはならぬと思うのです。私は、そういう意図を持ってやったものではないと思うのだが、何か庶民の不満、そういうものを法律の改正によってそちらに目をそらすような、非常な高度な政策的なものがあるのじゃないか。こういうように疑われてしようがない、ほんとうにそう考えているわけじゃないのですが、そういう節もあるわけです。私はよくわかりませんが、心理学者が人間の心理の変化を、ある場合は羨望する、次には嫉妬する、次には憎悪する、こういうことを言いあらわしておりますが、そのとおりかどうかわかりませんが、東京都内におる五十万の住宅困窮者の羨望、嫉妬、憎悪を一%か二%の者を締め出すことによって、これは解消しようと、こういう方向にとれてしようがないわけですね。だから非常に間口が広くなりましたが、大臣抜本的に住宅政策を考える時期に来たのではありませんか。いまの公営住宅はいまの使命でいくならば、このままでやっておいて、もう少し法律が必要であったならば、七〇%、八〇%集まってくる低所得者であるかどうか、これは国民ですよ、そういうものを収容するための抜本的な住宅政策を別の立法でやるかどうかは別として、やはりやらなくちゃならぬと思うのです。したがって、やはりいまの公営住宅法は、そういう、かわるべき総合的な住宅政策ができた場合には、すみやかにやはり明け渡し制限とか、義務というものを取り払うべきだと思うのです。いまここで約束せいといってもできないと思いますが、私の言ったことを含めて抜本的に考える気があるのかどうか、その点をお伺いしたいと思う。
○国務大臣(坪川信三君) 沢田委員が非常に真摯に、しかも素朴に、決してひがんだお気持ちでなくて、内堀を埋め、また外堀を埋めて、こうした犠牲をしわ寄せするのじゃないかという御指摘、その発想、そのお気持ちはよくわかります。しかし、われわれといたしましても、決して、そうした気持ちでしわ寄せを大衆に求めておるという気持ちでなくて、やむにやまれないといいますか、何とかして一戸でも差し上げたいという素朴な気持ちといいますか、真摯な気持ちでこの法案の改正をお願いいたしておるということだけは、ぜひひとつ御信頼をいただきたい。しかし、最終的にいま結論としてお述べになりましたごとく、要は住宅政策の貧困であるということは、私は、決して否定しはいたしません。われわれといたしましては、少なくとも四十六年度から迎える新たなる住宅新第二次五カ年計画に対し、また六十年度までに果たさなければならない二千九百万戸、あるいは予想される三千万という、重要なこの住宅対策については、やはり責任者であるところの政府が、十分総合的な計画的な方針のもとにおいて、この住宅対策に取り組むべきであり、当然の責任である。しかし、その住宅政策の中にあって、基礎に踏まえなければならぬ問題は、やはり低所得者を十分優先に考えていくと、これが私のただいまとっておる方針でございますので、言いのがれのようにお聞きになるかもわかりませんが、万やむを得ない措置として、内堀も掘り、外堀も掘りながらわれわれはこの政策を推し進めてまいる。しかも誤解されるようなおそれのある内堀を埋め、外堀を埋めるというような点についての誤解のないような問題点は、逐次先ほどから局長も私も申しましたような態度で、いわゆるその条件、あるいはそのすべての含める問題点には、私はなるべく早くそれらを解消する、解決するような新たなるいろいろ別な意味における改正に全努力を捧げてまいりたい、こういうような方針でありますので、御理解いただきたいと思います。
○政府委員(大津留温君) 明け渡し義務が設けられたのに、なお割り増し賃料を取るのはおかしいじゃないかという御指摘でございますが、入居基準をこえましてある程度上がったところで、超過基準というのを設けております。それをこえて所得が伸びられた方には、家賃の二割とかあるいは三割とか、あるいは四割という段階で割り増しをちょうだいしておるわけでございます。先ほど家賃の性格について申し上げましたときに触れましたように、国の補助分は家賃がそれだけ安くなっておりますので、超過基準をこえられたような方は、もう国の補助の恩恵には御辞退といいますか、遠慮していただいてしかるべきじゃなかろうかという発想に基づくものでございます。しかしかりに四割増しといたしましても、なおいわゆる経済家賃に比べましたならば相当安いわけでございますので、これがさらに所得が伸びまして、国民のわずかなパーセンテージという程度に高くなり、またほかの住宅にお入りになっても、その負担に十分耐えられるであろうというところにいかれた方につきましては、ぜひひとつ低所得者のために席を譲っていただきたい、こういう趣旨でございますので、この二つの制度が両立いたしましても、特に矛盾というようなことはないものと私考えておるわけでございます。 —————————————
○委員長(岡三郎君) この際、委員の異動について報告いたします。 本日宮崎正義君が委員を辞任され、その補欠として阿部憲一君が選任されました。 —————————————
○松本英一君 関連して。ただいまの大臣の答弁の中に、新五カ年住宅計画、昭和六十年までの長期展望に立った答弁がございました。私はこの前新聞社の名前は言っておりませんが、三月二十日の「公営住宅しぶる自治体」——これは朝日新聞の記事であります。このことについて質問をいたしました際に、大津留局長は、「一口に申しまして、新聞の報道は事実に全く反しておる」という御答弁をなさいました。このことにつきまして、新聞社のほうへ何か申し入れられたことがありますか。大津留局長御答弁願います。
○政府委員(大津留温君) この記事が出ました新聞社の記者が参りましたので、これは事実に反するということを指摘いたしまして、注意を促したわけでございますが、新聞記者のほうとしましては、自分のほうで調べたデータに基づく数字だというようなことを言っておりました。それ以上、別に訂正を求めるというようなことはいたしておりません。
○松本英一君 その朝日新聞の記者の方の所属は政治部ですか、社会部ですか、経済部ですか。大津留局長がお会いになった記者の人は。
○政府委員(大津留温君) ちょっとそこははっきり覚えておりません。
○松本英一君 これは政治部ではございません。これは各府県から上がってきておりますので、内政部でございます。内政部としては非常に怒っておりまして、もう近いうちに来ると思いますけれども、大体そういう事実に反する記事がある場合は、必ず申し入れがあるはずであるということを言っておりました。内政部としておそらく抗議に来られると思います。その点保留しておりましたので、関連して質問したわけですが、もう一点は大臣にお答え願いますが、先ほど確約していただきました田中委員の質問の中にありましたように、一坪の差で一種、二種、五百円の家賃で一種、二種と、いうならば、五百円で差別をされ、一坪で差別されるということも言えるわけです。いまお話しにありましたような子供さんたちの問題を含めまして、建築をする場合のこの工事費は、戸山ハイツで一種が百四十二万七百五十円、二種が百三十一万四千七百十一円です。この差額は十万六千三十九円になります。これを木造の家賃算定の基礎になっております償却の二十年で割りますと、約十三円になります。これが七十年償却になると何用というわずかの金で差別が醸成され、助長されることを考えるとき、青少年の問題を含めて大きな社会問題でございますので、これは早急に大臣の英断をもってこの一種、二種の差別を廃止していただくように、強く要望いたしたいと思います。
○国務大臣(坪川信三君) 松木委員の御指摘になりました後段の問題につきましては、先ほど田中委員に申し上げましたとおりの決意で進んでまいりたいと、こう考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
○沢田政治君 先ほど明け渡し義務ですね、政策的な立場から納得できないと、こういうことでいろいろ質問したわけでありまするが、今度は法律的な観点からちょっとお伺いしてみたいと思うのです。やはりいろいろ権利はあるわけでありまするが、居住する権利というのは数ある権利の中でも非常にウエートの大きな権利だと思うのですね。そういうことで、たとえば昭和二十六年でも、七年でもけっこうですが、公営住宅に入居された方はいつの日か法律が変わって居住権を失うと、こういうことを予期した人は一人もいないと思うのであります。こわれるか、焼けるか、そうしない限りには永住できる。こういう期待を持って入った人は大方じゃない、全員だと思うのであります。ところが、今度の法律改正によって基準を超過した場合には明け渡し義務がある。出ていかなくちゃならぬという法改正になるわけであります。そうなると、もうすでに居住するという権利、特定の事情のない限り焼けるか、こわれるかしない限りには住めるのだという期待権と同時に、やはり居住権というものはそこに確立したと思うのですね。その権利を本人の意思によらないで、今度は法改正によってその権利を否定されるということは、法律の不遡及の原則からいっても私は非常に問題があるのではないか。こういうように考えるわけであります。これは刑法の場合でもそうであります。五年前にある行為が無罪、何も問題にならなかったものが今度の刑法改正によってそれが有罪になる。それを五年前にさかのぼられたのではこれはたいへんであります。すでに居住権は、権利は入ったとき、何というか、確定しておるわけであります。それを新法を持ってきて、二十年前に居住権が確定したものを、それを剥奪するという点は、これはいかがでしょうか。民事局長、これは法律不遡及の原則からいっても、私は非常に裁判の問題になる可能性があると思うので、全然法律的に問題ないんですか。これは、全然懸念に及びませんという確信ある御答弁できるかどうか。その点を、あなたの主観でもけっこうだから、まあ主観ということはないだろうけれども、思いつきでもけっこうだから、ひとつ述べてください。
○政府委員(新谷正夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、公営住宅法が低額の所得者のための社会政策的な法律でございまして、そもそもこの住宅を利用する資格といたしまして、一定の入居基準が定められています。きわめて低い所得者のために、安い家賃でこの住宅を提供するというのが、この基本的な考え方になっておるのでございます。したがいまして、その基準をこえ、ある一定の基準に達しますれば、その居住者がみずから進んでその住宅を明け渡すように努力しなければならないと、こういうことも、この法律の一つの非常なかなめとして規定されておるわけでございます。先ほど外堀、内堀の議論がございましたけれども、そもそもある一定の資格者に限って、この住宅を利用できるというのがこの法律の精神でございます。したがいまして、そのときそのときの情勢に応じまして公の福祉のために、立法的にこう解決したほうがいいという理由が十分ございますれば、その趣旨に従って立法することはいささかも妨げないことであろうと思うのでございます。確かに居住権という問題は国民の生活にとりまして非常に大切なことでございます。したがいまして、これをみだりに侵すことはできませんけれども、今回提案されておりますような趣旨で、この明け渡し義務を認めるということは、当該の方にはあるいはお気の毒な面も一部出てまいろうかと思いますけれども、それはそれなりの手当てがしてございますし、また他面たくさん残されております未入居者の救済のためには、どうしても現在の財政上、その他の事情から申しまして、こういう措置が必要であるということになりますれば、これは決して非難すべき事柄ではあるまいと、このように私は考えておるのでございます。
○沢田政治君 非難とか、批判じゃなく、法律的にどうなるものか。たとえば今度この法律が施行されて以降、入ってくる人はそういう契約で、ある一定の段階になったならば出なくちゃならんぞと、こういうことを自他ともに認めて入ってくるわけです。これは問題ないのですね。そうなんだから、そういう約束、契約で入るのだから。ところが、以前の人はそういう契約じゃないから、そういう契約はないわけです。ただ、入れますということで、入居基準にかなって入れたのでしょう。そういう条件もないんです。一体契約条件というのは、たとえばこの公住法による賃貸契約も、やはり民法上、私法上の借家法の適用範囲に入るということになると、一方的に契約は変更できるものでしょうか、これは。どうでしょうか。
○政府委員(新谷正夫君) 契約ができました場合は、それを一方的に、恣意的に変更することはもちろんできません。契約の変更は、当事者の契約によって、合意によって変更することになるわけでございます。ただその場合には、一定の合理的な理由によって契約を、一種の解除でございます、明け渡しの請求と言っておりますが、これは実質は契約の解除でございます。解除の事由を認めたということになるのでございます。この公営住宅法に限りませず、一般の契約の場合にも、一定の合理的な事由があれば、それを解除することができるという法律がもしできたといたしますれば、既存の契約についても、これを適用しても差しつかえないわけでございます。ただ、すべての契約について、その解除事由というものが発生するとか、あるいは解除権が行使されるというものではございません。法律の予定しました要件に合致する場合には、そうした解除権が発動する。こういうことになるのでございまして、この点は、法律的に考えてみましても、ちっとも不合理な点はない、このように私は考えております。
○沢田政治君 この議論をはなばなしくしようとは思いませんが、かりに百歩を譲ってあなたの議論を聞いておると、ある政策目的のために、これは、客観的に認めなければならない事由があれば、まあ法律をもってある程度規制することもあるでしょう。しかし、先ほどから、私、住宅局長に聞いておるのは、いまの家賃体系というものは一体どうなんだ、どういう性格のものなんだ、経済家賃か社会政策的な家賃か、そこを聞いたわけですよ。こういうことに関連するから聞いたわけです。まあ家賃の構成要素は、いろいろな要素はあるけれども、構成要素というものを見てみると、要素は、経済家賃の要素というものは構成要素の中に多い。経済家賃ということになると、どれだけの経費がかかったか、地代は幾ら、管理費は幾ら、こういうことでしょう。一般の民間——まあ安い高いの問題は起こったとしても、大体、一般の民間の賃貸契約とそう変わらぬわけですね、実態が。しかしその反面において、全く採算等も完全に度外視して、社会政策として、ある人はだだで入れる。まあ社会主義国家でやっているように、収入の何%と、こういう前提がもう完全に社会政策としてやられるものであるならば、それ相当の法律的な妥当性があると思うのですよ。ところが、やっぱり、ぼくは、家主が民間であるか地方公共団体であるかによって、そう違わないわけですよ。家賃のたて方を見ても、若干の相違はありますが、減免規定はあったとしても、ほとんど一般の人はそうあまり変わりないと思うのですね。そういう場合に、一方的にやって契約を解除するということは、私は相当問題が出てきそうだと思うのでありますよ。その点、あなたは正しいとか正しくないとか、議論をされておりますけれども、これはやっぱり裁判所で判断をするのであって、これ以上あなたがそういう判断をしたら悪いとは言いませんが、問題が起こりそうな可能性はあるでしょう。その点だけお聞きしておきたいと思う。
○政府委員(新谷正夫君) これは公営住宅法について問題が起きるか起きないかということは、軽々しく、私から申し上げる筋合いではございません。すべての法律について、その運用の問題が起きれば、必ず紛争は起きるのであります。そういう意味において、公営住宅法について紛争が絶無であるというようなことは申し上げませんが、この法律を改正することによって特段にどうということを考える必要はあるまい、このように考えておる次第でございます。
○沢田政治君 ちょっと具体的なことを質問したいんですが、前から議場外でも、私、建設省の方に若干要望しておいたこともありますが、公営住宅に現に入居しておるものであって、東京から大阪へ転勤される方がある。大阪から東京、あるいは東京から神奈川、神奈川から東京というようにに、公営住宅に入居しておるものであって、転勤される方があるわけです。これは、まあ公営住宅でなくても転勤はあるわけでありますが、その場合に、一たん出ちゃうと公営住宅の入居権がなくなるわけですから、しかも、それが永久に大阪に転勤ならいいけれども、大体転勤は二年ないし三年でしょう。そういうことによって家族と別れて東京から行っておる方もあるし、大阪の方が東京へ家族と別れて来ておる方も相当多いわけです。近県の神奈川、千葉というのは非常に例が多いわけであります。こういう場合、該当する入居者はなんとか住宅を交換できぬものか、いずれも公営住宅の入居権を持って、現に入居しておる者の交換はできぬものかと、こういう要望が非常に強いわけです。いま現在でも、全部とは言えないが、同じ自治体であるならばそういう交換をやっておるところもあるやに私は聞いております。ところが県が違ったりなんかすると、これはできぬと、こういうことで実現を見ておりません。いたずらにエネルギーを消耗するだけですね。と同時に、大臣もしばしば言っておるわけでありますが、職住近接、こういう面からいっても、同じ国の金を出してやっておるわけですから、特定の県の特定の住民を擁護しようということじゃないから、国民対象なんだから、その点はそういう融通のきくような行政を、私は法律改正をしなくとも、政令の改正でできるような気もするわけですよね。したがって、もしそういうことができたならば、実現してほしいものであるし、と同時に、役所でそういうケースがあると思っておるのかどうか、そういうこと耳にしておりますか。と同時に、あるとすればどれくらいあるものか、念のためにお知らせ願いたいと思います。
○国務大臣(坪川信三君) 沢田委員御指摘になりましたこうした現象というものの矛盾、あるいはそれらに対するところの愛情のある措置、あるいは要望にこたえるところの行政措置というような問題、非常に私は適切な御指摘になった点であろうと思うのであります。しかし、さて実際の上において、これらの問題点を解消するということにおきましては、現実の上においては、なかなか容易なことでないという現実もひとつ御理解はいただけるのじゃないかと、こう思いますが、しかし、われわれといたしましては、こうした不幸はやはりなるべく解消していきたいという気持ちについては全く一緒でございます。したがって、十分これらの問題点の解決をどういうような方法で講ずるかというようなことについて事務当局にも十分検討を加えるようにということを前からも申しておりますが、いまも局長とも話し合っておるのでございますが、十分ひとつこれは検討配慮をいたしてまいりたいと、こう考えております。
○沢田政治君 次に、払い下げといいますか分譲といいますか、この点について私は抽象的なことじゃなく、具体的なことをお聞きしたいわけであります。まあ制度的に払い下げをどんどんしていくべきだとか、すべきだとかいう固まった前提で私はお聞きするのではありません。特に行政の責任という観点から一つのケースを申し上げて、これをどう処置するのか、こういう観点からお聞きしたいと思うのであります。たとえばいままで——最近じゃない。公営住宅が発足当時ですね、施行当時、設立当時、いろいろなケースが東京都内でも、あるいは大阪でもあるやに聞いておるわけであります。その当時は地方公共団体の財政力も十分じゃなかったという事情もあわせ考えると、むべなるかなと思うのであります。たとえば地主から土地を買う場合、あるいは権利金を出して借りる場合、財政が潤沢でないので、いろいろなケースで買収したり、また借りたり、こういうケースが非常に随所にあるようであります。たとえば私がこれから申し上げるケースは、板橋区の板橋町十一丁目第三住宅、こういうところの団地のようであります。四十何戸あるようでありますが、やはりこのケースもいま申し上げましたように、都の財政というものも、戦災直後のことであるし、非常に余裕がないと、こういうことで、地主から土地を借りる場合、なかなか値段で折り合いがつかぬと、そういうことで、このケースは三〇%になっておりますが、三〇%だけ地主に対して入居の選択権を与えると、こういうケースで土地を借りたわけですね、住宅をつくるために。ところが地主が三〇%の選択権をもらったって選択権だけじゃどうにもならぬ。それを権利にかえなくちゃ、これは金額的な解決にならぬわけですから、どういう約束があったにせよ、なかったにせよ、地主としては三〇%の入居選択権を、やはりこの権利を金にかえようというのは、心情として私は当然だと思うんですね。そういうことで、このケースの場合には板橋駅ですか、あそこ。駅前の不動産屋に広告を出して、公営住宅入居権五万ないし十万という広告を出して、その広告で入った人もあるわけであります。当時の板橋付近の、あの付近のおそらく昭和二十五、六年のころの一坪当たりの土地を買うことになったとしても、まあ二千四、五百円でしょうかね、この辺だと、思うんです。現在は三十万円するそうです。当時の金にして五万、十万の金を出したのだから居住する権利を買ったのじゃないのですよ。これはうちを買ったと同じなんですよ。やはり払い下げが将来あるとかないとか、役所が約束したとかしないとかいう議論があったわけでありますが、うちを買ったつもりで本人は買ったわけです。そうでしょう。坪二千幾らのところですよ。それに五万円出すのだから、三十坪や四十坪のところにね、もううち買うのに居住権も地上権も永久に買ったつもりで、買う人は買った。ということは、当然その数字の中から見てもわかるわけですね、いまの物価と比較して。こういう人を建てかえのとき等どうするかというわけですね。これは期待権とかなんかじゃないのですよね。全部の六大都市における公営住宅を払い下げるべきだとかべきでないとかいうことは私は差し控えます。しかし、明らかにこれは行政上の責任ですよ、処置しなければなりません。そんなことは聞く耳持たぬということでは、これはたいへんなことになると思うわけであります。したがって、これはこまかいといいますか、こまかいというのですか、処理のしかたによっちゃこまかいし、問題の処理のしかたによってはこれは大きな政治問題です。したがって、東京都のことですから東京都と、局長のほうから御答弁願いたいと思うんです。もっと別のケースも私はたくさん持っております。だけれども、そのケースだけあげてここで議論しても、ここで一時間話してもこれは話がつきませんから、一つのひな型としてこういうものをどういうふうに処理するのか、という点をお聞きしたいと思うんです。
○参考人(松丸清君) ただいまお話ございましたように、戦後民有借地、現在でも約四十六万九千平米ほどございます。いろいろ民有借地の問題につきましては、今後非常に大きな問題として東京都自体といたしましてもこれに対しまして現在検討されております。そこで、お話しの板橋の双葉町住宅、この関係でございまするが、三十六棟五十三戸ございます。戦後応急木造住宅ないしは公営住宅を建設いたしました際に、地主に対しまして三割を一応特別提供をいたしましてその入居方を、当時でも同じでございまするが、一応入居資格のある方々を御推薦願うということでございます。そこで、都は当時は推薦要綱というものをそれぞれ地主の方に申し上げまして、これを厳守していただく、その中に、権利金、謝礼金、その他名目のいかんによらず金品その他の利益を受けることはできないという定めを明確にいたしまして、地主さんに三割という特割りをいたしておったわけでございまするが、先般も私どものほうの局長のところへ陳情者が参りましていろいろそういうお話がございましたが、都といたしましては居住者と地主との関係でございまして、まあ先ほど申し上げました要綱でそういうような権利金、謝礼金を取ってはならないということを命じておりまするので、私どものほうは、その陳情者に対しまして十分説明を尽くし、お帰りを願ったということでございます。
○政府委員(大津留温君) 公営住宅法施行前のことでございまして、まあいろいろな事情によって御指摘のような、ちょっと今日から考えれば特異なやり方をやったケースでございます。まあ入居者の方々の御主張のお気持ちもわからぬではございませんが、また一方、都の立場としても、いま参考人が申されたような事情もあるかとも思います。私のほうといたしましては、事情を十分調べまして何かいい方法がございますかどうか、十分話し合ってみたいと思います。その上でまたお話し申し上げたいと思います。
○沢田政治君 松丸参考人の話を聞くと、なるほどと思われるが、答弁としてはそれで通るのですよ、しかし問題解決にはならぬのですよ。たとえば地主に対して権利金とか敷金とか、そういうものを、入居する権利を金にかえたり何かしちゃいかぬと、こういう一項をとっておる、こういったとしても三〇%の入居権を与えざるを得ない理由ですね、 〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 折り合いがつかないから三〇%の入居権を与えているのでしょう、どういう約束しようが地主が入居権だけ与えられたって、これは何にも利益にならぬのですよ。だからその入居権というものでやはり何かの足しにする、足りない分の足しにするということは明らかじゃないですか。入居権を与えること自体は認める、認めないといったって、同じですわね。形式的には認めることはできないけれども、実質的にはやむを得ないと、そういうことと同じでしょう。そういう状況のもとにおいて、そういう契約をしたということは、これは当然だと思うのですよ。だからやはり何というか権利を買う人も、将来これは自分のうちになるだろうと思って、うちを買う値段で、その当時、うちを買う値段相当額だと思う。それで買ったのだから、あなたが言われるように地主に対してはそういうことをすべきでないと言ったから、わがほう責任ございません、お気の毒だけれどもお引き取り願いますということでは、ぼくは済まされぬと思うのですよ。だから、私はこれ以上、どういう措置をとるとか、どういう補償をするとか、これ以上、たたみかけて聞きませんけれども、当該当事者の、これは建設省も責任を持って、行政指導の一環として納得のいくような補償なり解決方法をすべきだと思うのです。そうするつもりがあるのかどうか、ここで約束してください。
○政府委員(大津留温君) 先ほどもお答えいたしましたように、私の方も加わりまして、都と関係者と十分話し合いをいたしまして、状況を調べた上で何かいい方法があるか相談いたしまして、解決いたしたいと、またその上で、先生のところにその経緯を逐一御連絡申し上げたいと思います。
○沢田政治君 資料をちょっと要求したいと思いますが、これは委員長が要求したのじゃなかったかと思いますが、たとえば二百十二万ですか、その明け渡し基準額になるということ、入居者で、そういうものはこれはいつの数字ですか。それがいつの数字を基礎にとったのか、と同時に、二百万円のものは全体の何%あって、世帯数にして何世帯あるのか、百九十万、百八十万というように、これは将来たいへんな問題ですから、毎年物価の上昇やら、そういう社会的な変動の事情を考えて、定期的に改定する、一年に一回チェックします、二年に一回改定します、こういう歯切れのいい答弁をしておるわけですが、われわれはやはり国政調査をする際に、十分にこれは参考に資したいと思いますので、その点に対する資料出せますか。 〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 出せるというような答弁、まだいただいておりませんので……。
○政府委員(大津留温君) 調べたものございますから、いまお答えします。ちょっとお待ちください。——これはことしの二月の調査でございますが、百五十万から百六十万までの間の方が五千百世帯ございます。百六十万から百七十万までの間の方が三千六百世帯、百七十万から百八十万までの方が二千七百世帯、百八十万から百九十万までの方が二千世帯、百九十万から二百万までの方が千五百世帯でございます。
○沢田政治君 先ほどの板橋区の例に関連するわけですが、あの件はあの答弁で私はけっこうだと思うんです。そこで、先ほども申し上げましたように、六大都市において払い下げすべきである、すべきでないという原則について私は触れない。この場合もそういう前提に立って私申し上げるわけですが、過去においてこれは衆議院でもそういうことがあったような答弁、ないような答弁、あるいはあったかもわからぬというような答弁をしているわけですが、いずれにしても当時の入居者ですね、二十四年前の入居者に対して、「将来あなたの持ち家になるんだ、大事に使いなさい、おめでとう」とこういうことを言っていることは事実です。これは東京の例ばかりじゃない、全国的ですよ。こういうことは私どももそういうことを無数に知っています。そういうことで現に払い下げてきたんですから、言ったとしてもその答弁が悪かったというのではないのです。地方公務員が言ったことがいいとか悪いとかということじゃないのです。そういう前提にして途中で変わったんだから、ここでだからと言ったことがいいとか悪いとかということじゃないのです。間違った制度がわからぬと言ったとか、大臣が答弁したとかしないとか。現実にどう処理するかということはいいんですよ。いまの社会情勢に適応してやるんだから、それが悪いとは言いません。だけども、一般のその当時の住民の人方がそうでなければ、先住者であるんだから、まだ地価が上がるんだから、もっと別の方法を講ずる方法があった、もう少し早くわかればよかったというわけですね。だから、どうもその当時約束しなかったとかしたとかぼかしてもらっちゃ困る。しないならしないでいいけれども、不本意ながらこれはがまんせざるを得ないかもわかりませんけれども、そういう事実があったならあったとはっきり明確にしなければ踏んだりけったりですね。事実においては損しているし、精神的には踏みにじられているし、納得できぬと、こういうふうに激高しているわけですよ。憤慨しているわけですよ。だから、私は今後これをどう処置せよという前提はつけません。そういう事実があったならあったということを、やっぱりすなおにこの委員会ではっきりすべきだと思うのですよ。そのためにどうこうと言っているのじゃない、それは当事者同士で解決しなさいよ。言ったことは言ったということをここにはっきり明確にすべきだと思う。東京都の松丸さんと大津留さん、その点はっきりしてください。
○参考人(松丸清君) 払い下げの問題でございまするが、東京都におきましては、古い関係を調べてまいりますると、三十八年ごろまで一部払い下げをいたしておったような事実はございます。そこでそのときに先ほどお話がございましたように、大事にすれば将来払い下げの対象になるというようなことも言ったようなふうにも聞き取り、さらにそういう文書も出ておったような団地も二、三ございます。そこで私どもといたしましては、現在の用地難の関係もございますし、かたがたそういう書類を出したことにつきましては、すなおにひとつこれは社会情勢の変化によって払い下げはいたしませんという形のもとに、個別的に御理解をいただくようにそれぞれ折衝を進めてまいってきておるのが現況でございます。
○政府委員(大津留温君) 各地の事業主体におきましても、昭和二十年代におきましては、おそらくそういうようなことを言っておっただろうと思います。はっきりした証拠があるというようなことではございませんけれども、おそらくそういうことを申しただろうと私は思っております。いつの時期にどういう形で言ったか、いつまでそういうことを言っておったというその辺は、はっきりいたしませんけれども、私もそういうことがあったであろうという、否定はいたしません、おそらくそういうことはあったのだろうと思います。
○沢田政治君 だからあったかわからぬ、なかったかわからぬというのじゃいかぬわけです。善意に解釈して、そういうことはあっただろうということを否定しませんということは、あっただろうということを是認したことになる、裏を返せば。そうじゃない、あったということをはっきりさしてくださいよ。やっぱり個人であろうが行政であろうが、やっぱり事情変更というものはあるのです。あったとすれば、そういうことがあったということを明確にして謝罪すべきですよ。恥しいことじゃないのですよ、これは。その当時の東京都の吏員でも、どこの吏員でもけっこうですから、払い下げをしたのですから、やった行為はそれだけであります。「おめでとう、あなたの家になりますよ、大事に使ってください。」悪くない、私やっておっても言ったですよ。それを悪いと言うのではなく、古い事実があった。事実こうなっているのじゃないか。
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
○政府委員(大津留温君) あったと思います。
○委員長(岡三郎君) 他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認め、これにて質疑はを終局いたしました。 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○沢田政治君 私は日本社会党を代表して本法律案に対し、反対の討論を行なうものであります。 戦後二十数年、わが国の住宅難は一向に解決されないのみか、最近において、ますます深刻の度を加えております。その最大の原因は、言うまでもなく、政府の高度経済成長政策に基づく大都市への人口集中であり、それに伴う地価の高騰であります。 しかも政府は、これらに対して何らの手も打たず、地価は上がるにまかせ、住宅建設の大半は国民の自力に待つという消極的な態度で、今日に至ったのであります。 昭和四十一年度に始まった住宅建設五カ年計画も終局に近づき、政府のいう一世帯一住宅が夢にすぎなかったことが明らかになるにつれ、住宅に対する期待を裏切られた国民の不満は、いまや、爆発寸前にあります。 このような情勢に対し、政府は、従前の態度を反省するどころか、地価の値上がりを理由に、みずからの責任を回避し、国民の目をごまかそうとしております。そのあらわれが、今回の公営住宅法の改正案であります。 すなわち、本法律案にみられるごとく、用地費の補助単価を低く押えておきながら、実情に合わなくなったからとの理由で、補助を地方債に切りかえ、国の責任を地方公共団体に転嫁しようとしていることが一点、また、一部の入居者を高額所得者というレッテルを張って追い出すことによって、あたかも大衆のための住宅政策を推し進めているかのごとき印象を与えようとしていることが二点、さらに、古い入居者に対しては将来払い下げすることを約束しておきながら、情勢の変化という理由と、都市再開発の美名に隠れて、これを一方的に破ろうとしていることが三点、そのいずれをとりましても、本来なすべき努力を怠って、その場しのぎのつくろいで済まそうとしていることが明らかであります。 今後、ますます都市化が進展し、住宅不足が一段と深刻になろうとしているとき、従来のようななまぬるい対策と、このような近視眼的な対処のしかたでは、将来にわたって、とうてい住宅不足を解消することはできないのであります。 そこで、わが党は、住宅予算を飛躍的に増額して住宅建設計画における公営住宅の比率を高めること、公営住宅の救貧的な性格を改めて、国の産業政策によって都市に移動してきた勤労者に、十分いき渡るようなワクを広げること、第一種、第二種の区別を廃止して、国の補助率を引き上げること、公営住宅の家賃は入居者の収入の一定割合以下とし、割り増し賃料や敷金の徴収を廃止することなど、真に、国民が健康で文化的な住生活を送れるよう、具体的な提案を行なっているのであります。 かかる観点から、私は、この公営住宅法の改正案が時代の要請に逆行するものであると認めて反対するとともに、この際、政府は、一大決意をもって住宅政策全般について再検討し、大きな転換をはかるべきことを強く主張して、反対討論を終わります。
○山内一郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、公営住宅法の一部を改正する法律案に対し賛成の討論を行なうものであります。 公営住宅法が昭和二十六年に制定されて以来、この法律にに基づいて公営住宅の供給が国の重要施策として強力に推進され、現在その数は百万戸を上回り、戦後における住宅難解決のため大いに貢献してきたことは、御承知のとおりであります。 しかしながら、わが国経済の高度成長に伴い、国民所得の飛躍的な増加、生活水準の著しい向上をもたらすとともに、反面、都市への人口の過度の集中、地価の高騰等、新たな問題を引き起こしております。公営住宅制度についても、この時代の変遷に即応して問題を生じた点を改正することは当然と思われます。かかる見地から改正のおもな点について意見を申し述べます。 第一に、用地費の補助を融資に改める点につきましては、現在の補助単価が実情に即さず地方公共団体の超過負担が多額にのぼり、その財政を圧迫し建設を著しく阻害している状況を改善するため、実額に沿った融資制度に切りかえ、当面地方公共団体の財政負担を軽減し、公営住宅建設の促進をはかることは現実に即した適切な措置と考えます。 第二に、一定の基準を越える高額所得者に対し、公営住宅のあけ渡しを求めることができることとした点につきましては、公営住宅法第一条の目的に照らしても当然の措置と言わざるを得ません。真に住宅に困窮している低額所得者が多数公営住宅への入届を希望している現状を見ますと、これらの人々との公平を保つためにも必要な措置と考えます。 第三に、建てかえに関する規定の整備につきましては、戦後間もなく建設された公営住宅は木造が多く、二十年余を経た今日、その老朽化は激しく、放置すればスラム化することは必至であります。都市再開発の観点から土地の高度利用をはかり、計画的に高層の近代的な公営住宅に建てかえることは、時代の要請であります。 以上の見地から、この法律案は適正に運用されますならば、公営住宅の建設が大幅に促進され、かつ管理の適正化がはかられ、また住宅が近代化され、快適な住生活を願う国民の期待に沿うものであり、本法案に賛成するものであります。
○二宮文造君 私は公明党を代表いたしまして、公営住宅法の一部を改正する法律案について反対の討議を行なうものであります。 戦後二十四年を迎えた今日、国民総生産が世界で第二位になったにもかかわらず、わが国の住宅事情は依然として逼迫しております。特に都市部においては地価の高騰とも相まって住宅難は一そうの激しさを増し、その要する住居費は、国民生活を大きく圧迫するに至っております。 その間、政府の住宅建設五カ年計画は大半を民間の住宅建設に依存してまいったのであります。さらに政府は、この民間の努力におんぶした計画を達成するために、住宅難にあえぐ、国民を持ち家政策であおり、真に国の援助を必要とする低額所得者のための住宅供給をおざなりにしてきたのであります。 このことは公共住宅の家賃に顕著にあらわれております。すなわち、低家賃であるべきはずの公営住宅は第一種住宅の場合、月収二万四千円から四万円の入居資格に対し、都営住宅に例をとれば、その家賃は八千円から一万円と高額になっており、さらに公団住宅の家賃が三万円に迫ろうというに至っては、これはもう決して庶民のための住宅とは言えないのであります。 この際、政府は公営住宅法の目的である低額所得者に対しては、低家賃で住宅を供給するという本来の姿に立ち返るべきであります。 このような観点から今回の改正案の内容を検討してみましたときに、主たる改正点が、いずれもわが国の住宅政策の貧困から出発しているということを忘れてはならないと思うものであります。 まず第一に、用地費補助の地方債への切りかえについてであります。公営住宅法の本来の性格から考えるならば、当然国の補助率をもっとふやすのが本筋であり、用地費補助の地方債への切りかえはこれに逆行し、国の責任を地方公共団体に転嫁しようとするものであります。地方公共団体は、ここ数年は資金調達が楽になると見込まれるものの、あくまでも借金政策であり、年を追うごとに借金が雪だるま式にふえ、結果として公営住宅の管理運営を阻害する要因となることは、必至であります。 第二に高額所得者に対する明け渡し義務の設定についてであります。公営住宅総数百四五尺のうち、明け渡し対象数は従来の所得計算でいっても、わずかに四千六百戸であり、子供の収入分を含めないことになると、ほんの一握りとなるわけであります。これらを強権をもって執行したとしても、住宅難の根本的解消になるとは考えられないのであります。 また、公述人の意見にもありましたように、移転から生ずる子供に与える精神的影響等も重視すべきであります。したがって、この種居住権を侵害する規定を設ける前に、政府の住宅政策の失敗を謙虚に反省することが必要であり、人権尊重の立場にかえって検討すべきであります。 第三に、既存の公営住宅の建てかえについてであります。これは当然のことであり、直ちに着手すべきでありますが、従来の原価主義家賃体系においては、建てかえ後の新住宅に入居した場合、一挙に家賃が上がることは明らかであります。したがって、急激な家賃の値上げを避け、一定期間これを軽減する措置を制度化し、建てかえがスムーズに促進されるようにすべきであります。 最後に、昭和四十六年度を初年度とする第二次住宅建設五カ年計画の策定にあたっては、従来の民間依存の方向を改め、建設比率を公六民四以上にすべきであるということを主張いたしまして、私の反対討論といたします。
○春日正一君 私は日本共産党を代表して、公営住宅法の一部改正案に反対の討論を行ないます。佐藤内閣は、一世帯一住宅の実現を公約し、住宅建設五カ年計画の終わる昭和四十五年度末には、わが国の住宅難が解決されるかのように言ってきました。しかし、今日、住宅難は解決するどころか、ますます深刻になっています。このことは公営住宅に対する応募率の増加にもあらわれています。たとえば、東京都では、四十年度分で四十一・七倍、四十一年度分は四十三二倍、四十二年度分は五十三・八倍と公営住宅への入居希望者が激増しています。このように住宅難の深刻化した原因は、歴代の自民党政府が、独占資本の繁栄を中心とした高度成長政策によって、資本と労働力の都市への集中を促進しながら、都市に吸収された勤労者に必要な住宅を保障せず、民間自力建設と称して、持ち家中心の住宅政策を進めてきたからであります。それにもかかわらず、佐藤内閣は、資本と労働力を一そう急速に都市に集中する政策を強め、住宅難の要因を拡大しながら、公営住宅を中心とする低家賃住宅の大量建設という勤労者の要求を押え、自力建設の名のもとに、分譲、建て売り住宅の促進など、持ち家中心の住宅政策を強めています。これは、大資本の住宅産業への進出を助け、彼らに大きな利潤を保証するものであります。今回の公営住宅法の一部改正は、佐藤内閣のこのような住宅政策の一環をなすものであって、勤労者を苦しめ、住宅難を一そう激化させるものであります。 まずこの改正案は、公営住宅の用地費に対する国庫補助を打ち切り、地方債に切りかえることにしています。これは、公営住宅建設に対する国の負担を地方自治体と入居者に肩がわりさせるものであり、また、用地費の補助を補助制度からはずすことによって、超過負担の批判の対象外に置き、国の責任をまぬがれようとするものにほかなりません。従来、公営住宅に対する国庫補助金の支出の抑制は、地方自治体の超過負担の最も大きな原因となり、地方財政を圧迫して、公営住宅の建設を停滞させる要因の一つとなってきました。また、入居者に割り増し家賃、収入調査の強要、その他負担と規制を強めるテコとなってきました。今回の用地費補助の打ち切りと、起債への切りかえは、元利払いの増大など、将来にわたって地方財政を大きく圧迫することは明らかです。また、当面の建設資金についても、政府債の比重いかんによっては、一そう資金難を増大させ、公営住宅の建設をますます困難にするものです。わが党は、このような改悪に反対するとともに、用地費の急激な高騰に見合う補助単価の引き上げ、補助対象の拡大など国庫補助金の大幅な増額を主張するものであります。 第二に、この改正案は、公営住宅の入居者に対して明け渡しを義務づけています。政府はその理由として、高額所得者は、住宅に困っている低所得者に譲るべきであるとしています。しかし、政府の高額所得者とは、配偶者の所得の全部と、それ以外の同居親族の一部を合算して、新入居者年数百六十万円、既入居者二百十万円以上とするものであり、これを年収十六カ月分として月収に換算すれば、新入居世帯で税込み手取り十万円、既入居世帯でも十三万円強となり、決して高額とはなりません。ましてこの基準は、物価の値上がりに応じて引き上げる保証もなく、そのまま据え置かれる可能性もあります。このような改悪は、入居者の権利を制限するだけでなく、高額所得者を口実に、公営住宅入居者を次々に追い出し、公営住宅をごく一部の低所得者だけに恩着せがましく住まわせる施設にかえようとするものです。わが党は、勤労者に不利な入居制限を撤廃し、入居者の居住権を守ることを主張します。 第三に、改正案は、地方公共団体の建てかえ計画を入居者の合意にかかわりなく、一方的に強行できる制度とするものであります。この改正案は、建設大臣の建えかえ計画の認可をもって建てかえ事業を施行することができるとし、入居者に対しては、一片の通知と上からの説明会を開くとしているにすぎません。これは、家賃の値上げ、生活様式の変化など建てかえによって生活に大きな影響を受ける入居者の意思を無視するものであります。わが党は、建てかえ事業の施行に対する是否はもちろんのこと、その計画内容についても入居者と十分協議し、その合意を建てかえ施行の必要条件とすることを主張します。また、建てかえに伴なう家賃の値上げについても、入居者の生活実態に応じて一定の限度内にとどめ、工事中の損失についても、これを完全に補償することを制度化すべきであると考えます。 以上の理由によって、わが党は、この公営住宅法の一部改正案に反対するものであります。佐藤内閣の民間自力建設、持ち家中心の住宅政策では住宅難の解決はできず、今日住宅難は深刻さを増しています。したがって、この状態を早急に解決するためには、国と地方自治体の負担で、安くて住みよい公営住宅を大量に建設することが必要であります。わが党は、少くとも年に百万戸の公営住宅を建設し、一切の入居制限をなくし、希望するすべての勤労者を入居させることを主張し、その実現のために努力するものであります。 以上によってわが党の討論を終わります。
○委員長(岡三郎君) 他に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。 公営住宅法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡三郎君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○大森久司君 私はただいま可決されました公営住宅法の一部を改正する法律案に対して、附帯決議案を提出いたします。 まず案文を朗読いたします。 以上でございます。御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(岡三郎君) ただいまお述べくださいました大森久司君提出の附帯決議案を議題といたします。 別に質疑もないようでございますので、これより本案の採決をいたします。 大森久司君提出の附帯決議案に賛成の諸君の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(岡三郎君) 全会一致と認めます。よって、大森久司君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、坪川建設大臣から発言を求められておりまするので、これを許します。
○国務大臣(坪川信三君) 一言ごあいさつを申し上げさせていただきたいと思います。 本法案を本委員会に付託、御審議をお願いいたしまして以来、連日にわたりまして真摯なる御討議をいただき、ただいま議決をいただきましたことを深く感銘いたしておる次第であります。 御審議中に賜わりましたる数々の御叱正、御高見、十分われわれといたしましては、ごそんたくを申し上げることは当然でありますとともに、ただいま各党それぞれの立場において討論をいただきました討論内容につきましても、十分傾聴いたしつつ、その御意見についてはさらに十分ごそんたく申し上げますとともに、最後に全会一致をもって決議をいただきました附帯決議の内容につきましても、その運営、その適切な措置に万全を期しまして、各位の御期待に沿うべく心に誓う次第であります。 ここに御審議を終わるに際しまして、委員長はじめ委員各位のありがたき御好意と御協力に対し、深甚なる敬意と謝意を表しまして、お礼にかえます。ありがとうございました。
○委員長(岡三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十四分散会 —————・—————