外務委員会 第9号
- 発言数
- 183 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/04/24
会議録
○委員長(山本利壽君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。 一昨二十二日河田賢治君が委員を辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。また、昨二十三日野坂参三君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。 —————————————
○委員長(山本利壽君) 国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○大和与一君 ほんとうは参議院の質疑は、往復でなく片道の時間を割り当てるのですが、きょうは諸般の情勢で、大臣の御都合も一考えて合わせてあります。ですから、大臣の御答弁がじょうずでないと困るので、あまり長いとみずから首を絞めることになりますから、その点御注意を願います。 第一に、この法律は、歯どめは一体幾つぐらいあるか。たとえば、アメリカが一番たくさん出す、またたくさんもらう、あるいは、アメリカが自分でいま経済的にドルが不安で困っている、そうすると、これを何か種にして自分のほうに少し流用するというか、そういうおそれとかいろいろな心配があると思うのですが、これはもう公正に全体が利益を均てんするのだと、こういう歯どめが幾つかあると思うのですが、その歯どめについてひとつお話し願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) これはまず冒頭に申し上げますが、いまアメリカというお話がありましたが、アメリカの国際収支を救済しようという趣旨でできたものじゃないのです。これはもう五、六年前から長い間検討しておりまして、もう戦後の国際情勢が非常に経済的に発展しておる、ついては流動性が不足してくる、そこで世界各国、また世界全体に対して流動性を供給しよう、こういうことであります。これが、しかし、やり方によりましては、あるいは世界情勢に対してインフレを起こすとか、いろいろ危険があります。また、世界の各国が不公平になるおそれもなしとしない、そういうので、お話しのようにいろいろな歯どめがありますが、その歯どめの数々をごく簡潔に政府委員のほうから説明いたさせます。
○政府委員(村井七郎君) いまの歯どめといたしましては、まず全体の精神からいたしまして、国際通貨基金の目的が達成されるように、及び、世界がこれによってインフレになったりデフレになったりしないようにという大原則がございまして、そのほかに、最初の創出の場合の具体的な基準といたしまして三つあげております。一つは、世界が流動性が不足であるという共同的な判断が可能になったとき、これが第一。第二は、主要国の国際収支がよりよい均衡に向かっているとき、これが第二。第三は、各国の国際収支の調整過程の可能性が見えておるときというふうに相なっております。
○大和与一君 次には、これの裏づけですね、金ではない。そうかといって金でないかというと、全くないでも一ない。しかし、それじゃ兌換してくれと言ったら、それはできない、こういうことになっておるわけですが、それの裏づけについてちょっと。
○国務大臣(福田赳夫君) これはIMFに参加しておりますほとんど大多数の国が協定をいたしまして創出するところの新流動性でありまして、これが信認の基礎はこれらの諸国の協力的精神にあると、こういうふうに御理解願いたいのであります。つまり、国際協調体制、これがこの新しい流動性の裏づけになっておる、こういうことであります。いわば国際的管理の流動性である。まあ、国内で管理通貨、管理通貨といわれますが、それと相似た性格を持っておる、かように御理解願いたいと思います。
○大和与一君 そうしますと、金の二重価格制度ではない、また、アメリカはそれじゃ金をやめるという方向ははっきりしていますか、それが一つ。そうでないとしますと、一体、これはもう第三通貨制度の創造の試みというか、そういうふうなところまで芽ばえがあるのか、いや、とりあえずの緊急措置だけだ、こういうふうなのか、その辺をお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一に、この価値が何だと、こう言いますと、ただいま背景は国際的協力、国際的信頼感、こういうことにあるわけでございますが、その価値の尺度はこれは金によってこれをはかる、こういうことになっておりまして、そういう意味において金との結びつきがあるわけであります。 それから第二の問題点である、アメリカは金を放棄するかというと、アメリカは金を放棄いたさないと思います。いまアメリカは百億ドルの金を持っておりまして、この維持には非常な努力を尽くしていくであろうという、つまり、この新しい流動性は第三の通貨——まあ通貨と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども——第三の世界貿易の決済手段、金がありドルがあり、そこへ新しい決済手段が出てきて、この三つが今度は中心になって世界貿易を動かしていくと、それにさらに、まあ少し近年衰えてきておりますけれども、ポンドというものも存在しておる、こういう状態であります。
○大和与一君 そうしますと、やっぱりいままではアメリカが力を持っておりましたけれども、やや一人占め、一人ぶるまいをするおそれがあるから、今度は国際協調で、そうしてアメリカのその役判りをもう少し漸減して、そしてそれが将来全体的に国際通貨管理的な、そういう何か一つの試みを打ち出そうとしている、こういうことになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) アメリカの力というお話ですが、政治的力ですね、これを減殺しようというふうな意図はおそらくこれにはない。これはまた別個の問題だろうと思います。これは要するに、アメリカがどうだとか、あるいはイギリスがどうだ、フランスがどうだ、そういうことでなくって、世界全体の決済手段が戦後の異常な世界経済の発展に対して全体的に不足しておると、そういう判断に立ちまして、新しい決済手段を金、ドルのほかに加える、こういうことから出ておると思います。
○大和与一君 そうしますと、日本の立場から言って絶対損はしない、むしろプラスであるということがあったら、ちょっと幾つか要点的に。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本といたしますと、とにかく日本は貿易日本でありまして、世界貿易が伸びないと困るわけです。そのために有効な働きをしようという試みでありますから、非常にわが国には有益である、わが国の国益に関すると、そういうふうに考えております。それから、これはわが国ばかりではありませんけれども、わが国として考えまして、わが国の経済運営上有利だと思いますのは、これによって新しい流動性ができると、その日本の取り分というかクォータですね、それだけ日本の国際収支の天井が高くなるわけなんです。昨年のいまごろ十九億ドルの外貨保有高であったわけです。それで、まあその後一年間で三十二億ドルにふえてきたわけでありまするが、これが逆に減ったと、それだけ減ったというようなことになると、それはもう日本はえらいところに追い込まれたわけでありまして、まあ、非常にきびしい緊縮政策、デフレ政策をとり、総需要を抑制するという政策をとらなければならなかったはずでございますが、まあ、幸いにしてふえたんだからようございますがね。減らないとも限らない。そのときに備えとなるものは国際流動性の天井の高さ、これがまあささえになってくると、こういうふうに思います。日本の国内景気の調整政策上、非常にこれは有効に働くであろうということをまあ考えるわけであります。たいへん私どもはけっこうなことだと思います。
○大和与一君 そうすると、あれですか。着想はいいとすれば、まあ本来中立性が原則だと、しかし、やっぱり一つの試みだから、覚醒剤的な内容といいますか、いまのところは、出発はそういうことになりますか。もっと確かなものですか。覚醒剤的な一つの試みですからね。まだまだ出発しておるわけじゃない。それだけ世界経済的にこれをやれば間違いなくよくなって、そうしてこれはずっと大きく伸びていってと、こういうふうに……これはいろいろ要素もあるから、これはない場合もあるだろうと思うのですが。
○国務大臣(福田赳夫君) これは五、六年前から諸外国の専門家によって検討されたわけなんです。その結果、まあ、いろいろな提案があったんです。ことにフランスのごときは、この考え方どうだというので、非常にまあ疑問を投げかけるというか、反対に近い態度を表明してきたわけでありますけれども、まあしかし、圧倒的多数の国は、これ以外に名案はないということで、この案が採用されることになったのですが、しかし、これがこの措置だけで万能とは考えられませんから、これからも世界経済が発展していく、それに応じて諸外国とも協力して新しい知恵を出すべきであり、また、出すであろうというふうに考えますが、この制度自身といたしますと、今日考えられる最高の制度であり、これをみんなして育て上げていこうじゃないかというその気分になっておりますのが現在の状況でございます。
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
○大和与一君 ちょっと、現行のIMFの体制は、いわゆるまあ金為替本位制度を採用して、本来一国の通貨にすぎない米ドルを、あたかも金と同じように国際決済手段にしてきたところに根本的な問題があったと思われる。だから、その従来の制度そのものを温存して若干これを補強したものにすぎないと考えられるが、はたしてこれによって制度そのものの欠陥がなくなったと言えるか。たとえばSDRを発動した場合に、これを最初に最も多量に使用するのはアメリカだと思われる。かりにSDRができても米ドルが依然として不安の場合——極端に言えば米ドルの切り下げというような実態に至った場合は、SDRはどこかに吹っ飛んでいってしまって、根本問題は解決しないのじゃないか。この点について政府のお考えをお聞きしたいのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 米ドルが不安であるというような状態下においてはこれは発動はされないと、先ほど申し上げましたように、そういう歯どめがあるのです。で、機軸国、特にアメリカの国際収支が安定する見通しであるという前提が関係各国によって確認されない限り、これは発動ということはないのであります。で、いま、これを最初にまた多量に使うのはアメリカであろうというような話でありますが、そういうことじゃなかろうと思うのです。つまり、アメリカの国際収支が安定したと、安定する見通しであるという前提のもとにおいてこれが発動されるのですから、これはアメリカ以外の、国際収支の状況の窮迫しておる国にこれがまず影響が生ずることになるかと思います。
○大和与一君 世界の人口で、社会主義あるいは社会主義的な国が人口の半分以上ありますね。そういう国がほとんどこれは関係していないわけですね。これはやはり将来そういうことを考えないと、そこには全然社会主義の国が関係をしない仕組みになっておって、割当額の極端に少ない発展途上諸国にほとんど恩恵を与えない、こういうふうに考えられますが、そういうことはありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、まず第一に社会主義国の問題でありますが、IMF体制ですね、これを中心にして考えるほかないということからSDRという考え方になってきておるわけなんですが、社会主義国ではユーゴスラビアがただひとりIMF体制に入っておるのです。そういうので、このIMF体制と関係の深い国際連合に入っておるソビエト・ロシアもまだIMFには入ってきておらない。これは、IMFに入りますとこういうことになるのです。参加した国々が、その国の経済事情をほんとうにさらけ出し合いましてお互いに助け合う。それから、「査察」という文字は使いませんけれども、IMFが各国の状態を診断をする。こういう事情が社会主義国の参加を妨げておるのではあるまいかというような感じがしますか、ともかくソビエト・ロシアが入っておらぬ。それから、国際連合に入っていない中共とか北鮮とか北ベトナムなんというような国々は入ってないのであります。これはソビエト・ロシアが入らないような状態ですからしようがないと思うのですが、だんだんこれを私はほんとうに名実ともに世界的なものにしていかなければならぬ、していくべきだ、そういうふうに考えております。
○大和与一君 特に発展途上国が関心を持っておるのは、SDRよりも、いわゆる補償融資というもののほうではないかと思うのですが、IMFにおけるこの制度の現況あるいは今後の発展の見通しを伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) この制度ができますと、発展途上国ですね、これはIMFへの参加にあたりクォータが少ないものですから、したがって、SDRの引出権の配賦——クォータも少なくなるという仕組みになっておるのであります。ですから、その面だけで見るというと、後進国にはやや薄いというような感じがしますが、しかし、後進国はかりに外貨の引出権を与えられても、それだけじゃ動かない。これを動かすためには、どうしても発展した国、つまり先進国から援助を得なければならぬわけでありまするが、このSDRの制度によって、発展した国、先進国の援助能力というものはそれだけ増大を迂られる、こういうことに相なりますので、したがって、後進国に対する影響はかなり大きいものがあるであろうと、こういうふうにも考えております。
○大和与一君 もう一つ大事なのは、割当額の問題だと思います。わが国の場合に、この割当額が実情——実勢というか——に合わないと思われるのだけれども、政府はこれを是正する方針であるのか。また、その可能性はどうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) それはですね。SDR——引出権というものの割当は、IMFのクォータによるということになっておる。ところが、IMFにおけるわが国のクォータは非常に少ないのであります。一九六二年の各国の国勢のデータに従いましてきめられております。その後わが国は偉大な発展を遂げており、今日になりますと、なかなか巨大な経済国にもなっておるのであります。今日の財力によって見まするというと、かなりの大幅な改定があってしかるべきだと、こういうふうに考えておりますので、これからIMFクォータの改定についても交渉をしたいと、こういうふうに考えまして、いまその個別の地ならしをしておるという段階であります。IMFクォータが必らず私は改定されると思います。そうしてわが国に有利になると思いますが、そうすると、IMFに対するわが国の態度も相当有利になってくる、こういうことを考えております。
○大和与一君 まだ質問する材料があるのですが、ほかの方がありますから、あと事務当局に聞きますが、一応これで終わります。
○羽生三七君 私も簡単にします。 先日、当外務委員会で参考人として日銀の吉野さん、それから国学院大学の村野教援を呼んでこの問題についていろいろ意見を聞いたわけです。そのときにも私はちょっと触れたのですが、先ほども大蔵大臣から大和委員にお答えがあって、SDRというものは、金とドル、それに対する補完的な役割りを果たすものであると、こういうふうに言われましたが、昨年でしたか、一昨年でしたか、予算委員会で当時の宮澤経済企画庁長官は「人類の英知は金に負けるものではない」ということで一つの理想論をぶっていました。そこで、しばしばこれは過渡的なものだと言うのです。国際通貨体制の補完的なもの、過渡的なものということを言われるわけですね。そうすると、望ましき姿を描いて、こういうものが将来の国際通貨体制のあり方だというものがあって、それに到達するまでのプロセスがSDRであるというのか、そういう望ましき将来の通貨体制というものは何を描いておるのか、何もなしに、ただ、いま国際通貨体制にいろいろ混乱が起こっているので、それを当面を糊塗するための補完的制度としてのSDRであるのか、ここが非常に問題だと思うのです。その点は蔵相はどういうふうにお考えになっているか、まずこの点をひとつお聞かせ願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) これは私は、SDRが臨時的、過渡的なものであるか、あるいはこれ自体が恒久的な性格を持っているものであるかというと、これはSDRの制度の今後の運用にかかっている、こういうふうに考えているのです。この実績が非常によろしいというようなことであると、これはこの考え方が、つまり国際決済手段の管理体制、管理的性格がどんどん伸ばされていく状態になってくるだろう。まあ、各国の国内通貨におきましてもだんだん世の中の進化とともに変わっていく、こう思っておりますが、国際決済手段におきましてもそういう傾向を持つと、そういうふうに思いますが、しかし、これはSDRというのは初めての試みであるものでありますから、動かしてみないと、どういうメリットとデメリットがありますか、この辺が非常につかみにくいところではないかと実は思っているのです。しかし、いまこれを立案し、この協定に署名いたしました関係諸国は、何とかしてこれを伸ばしたい、こういう考え方を持っております。これにかわって、いま今日の段階で別なピクチュアを描いているかというと、描いておりません。しかし私は、この制度の推移いかんによりましてはまた別のピクチュアを描くような事態が来ないとも限らない、こういうふうに思っている。そういうことでしょう。
○羽生三七君 そうだろうと思います。何かもう第三の通貨としてもこれが決定的なものになってこれで万事解決するというようなことは、これは一種の、何というか、過度の信頼になる、そういう立場に立ってでしょうが、それは時間の関係でそれ以上申しません。 それから、いまもちょっと大和委員がIMF出資の関係を触れられてましたが、SDRの特別引出権でいくと、日本は六千八百万ドルですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは額はきまっていないのです。率だけがきまっております。発行する総量に対してその率がきまっている、こういうことです。
○羽生三七君 その率でいった場合、まあ幸いに、先ほど大臣から御説明のあったように、日本の外貨事情は好転して三十二億ドルになった。しかし、日本のいまのような経済事情の中で、どの程度の特別引出権が得られるのか知りません。額にすればどのくらいになるか知りませんが、一体それで、たとえば国際収支が悪化したときにそれをカバーできるほどのものになるんですか、額として。
○国務大臣(福田赳夫君) これはSDRを幾ら創出するか、その創出する量をこれから各国間で相談がされるわけでありますが、その量にもよります。一〇〇というものが創出されるというと、三・四%というのが現在のクォータであります。ところが、わが国がいまそのクォータの拡大を計画をいたしておりまして、まずIMFのクォータから変えていかなければならない。いまだんだんと手を打ちつつあるわけです。必ずそれはできると、こういうふうに思いますが、そこで去年のいまごろを言うと、外貨保有高は十九億ドルですね。ところが、一年間に十三億ドルふえた、こういうのですが、しかし、国際環境のいかんによっては逆に十三億ドル減るときがないとも限らない。そのとき一体どうするかというと、IMFからの引出権を使う、あるいは各国から借金をするというのでありますが、少ない額ではあるけれども、しかし、SDRというものも引き出してこれに加えていくということになりますると、国内的にそういう国際収支の窮迫の際には、どうしても引き締め政策を行なってそして総需要の抑制をはからなければならぬわけでございますけれども、その度合いというものがかなりSDRによって緩和される、こういう結果になりまして、そして国内経済政策を運営する上において裨益するところが多大であろう、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 私、この点は専門的知識がないからよくわからないですから、全くしろうとの質問をするのです。 それで、日本の外貨事情がどの程度になったときに引出権が発動されるのか、いま率を言われましたが、金額にすれば一体どの程度のものか、ちょっと具体的に聞きたいのです、率ではさっぱりわからないから。
○国務大臣(福田赳夫君) 百億ドルといたしますると三億四千万ドルであります。
○羽生三七君 百億ドルというと、何が百億ドルですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 全体のSDRの創出量が百億ドルやりましょうということになりますると、それの三・四%でありますから三億四千万ドル、こういうことになるわけであります。まあしかし、一挙に百億ドルというわけにはとてもいきませんから……。
○羽生三七君 たとえばSDRの日本に対する特別引出権を要求するとか求めるというようなときは、どういう事態のときですか。たとえて言えば、日本の現状から考えてみて、国際収支との関連でどういう程度を予測しておるか。
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の国際収支が、国内的ないろいろな事情によりまして、あるいは日本の国際環境によりまして、恒常的な赤字状態になった。その赤字状態が続く状態になった。つまり、一年分の赤字を出したら、それが一年でとまらないで、これが長い間のものに続くだろうという際、あるいは日本がたいへんな外貨のどうにもこうにもならぬというような緊急な事態でありますとか、そういうときであります。そういう事態であるかどうかというのは、おそらくそういうことを判定する機構がこのSDRの運営のオーガニゼーションの一部としてできると思いますが、そういう諸国の間の相談によってその判定をいたします。
○羽生三七君 先日予算委員会で蔵相が私に答えられた、一〇%の成長率を今後五年ぐらい維持すると言われた強気の立場から言うと、SDRの発動を求められるような事態はないということになるのじゃないですか。それと関連してずいぶんいろいろな矛盾が起こってくるのですよ。これをいろいろ自分なりの考えをノートしてきましたが、これを申し上げておるととても時間がないので多くを申し上げません。 そこで、先ほど大和委員にも答えておりましたが、新しい比率の確保、そういうのを日本は要請するのかどうか、すれば一体いつやるのか、それはどうですか、その辺は。
○国務大臣(福田赳夫君) これは五年ごとにIMFクォータを改定するということになっておるのです。そこで、次は七〇年——来年がその次の時期になっておるわけです。それで、来年はこれを要請したいというふうに考えておりますが、まあ表立った座敷で要請をする、これだけじゃこれはなかなか実現できません。そこで、いろいろと下工作ですね、これが十分でなければならぬというので、下工作にはすでに入っております。
○羽生三七君 もう時間がないのですぐやめますが、きょうどこかの新聞に、きょうで円が一ドル三百六十円とレートきめてちょうど二十年になるのです。二十年——「成年式」という見出しでどこかの新聞に出ておりましたが、そこで、そういうことに関連をして、最近の日本の外貨事情が三十二億、それが三十五億になり、あるいは四十億ドル台に乗るかもしれません。先日来の蔵相の強気な発言から言えば、そういうことになるかもしれない。そういうときには円の切り上げというようなことを要求されることはありませんか。これは私はそういうことがあり得るような感じがするのですが、圧力が加わってくると。
○国務大臣(福田赳夫君) ほかの国に要請されてどうのこうのということはありませんけれども、円の価値というものはいま非常に安定をしておる、こういうふうに見ておるわけであります。それから、外貨もたいへんいい調子でふえてきた。しかし私は、外貨の保有高というものはその多きをもってとうとしとしないという考え方でありまして、全体の国際バランスが中身がいいということが一番大事なことで、その中身のいいことの上に立って外貨が蓄積されておる、これがほんとうの蓄積なんですがね。いまわが国の外貨事情がいいかというと、そういう意味におきましては必ずしもいいとは言えないのです。去年の十三億ドルの内容を分析してみましても、かなり短期資本の流入というものがあるわけです。たとえば株式が去年四十三年度中に実に五億五千万ドルも買われておる。これは外貨の保有に響いてきておるわけではありませんが、決してこれはいい状態ではない、こういうふうに考えまして、そうして、そういう短期外資なんかにつきましては、最近だんだんとそれが整理されて、そうしてそのアク抜きがされていくという状態が自然に行なわれるということが好ましい、こういうふうに考えております。 円シフトという問題がありますが、これなんかにつきましてもそうですね。円シフトをはばむというふうな考え方はとっていないのです。最近、ですから、円シフトはかなり大量に起きておるのです。そういうことから、これからの外貨事情、外貨保有高というものは必ずしも私はそうふえていきそうにない。しかし、一面において、わが国の国際総バランス、この内容というものはかなり充実されつつある、そういうように御了解願ったらよかろうと思います。
○羽生三七君 もう一問だけ。それは外貨事情も外貨の内容、質にもよると思いますね。だから私は、日本がそれは表面上三十何億ドル持っておっても、内容を分析して見て、必ずしもそれほど健全なものかどうか、私はこれは疑問を持っておりますが、それはともかくとして、とかくの批評があるから聞いておるのですが、円のレートは、外国から要請があるなしのいかんにかかわらず、日本自身はこのままで当分続ける、そう理解していいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ええ。
○森元治郎君 まとめて伺います。 一つは、これが不成立の場合——当然協定発効にはなるだろうと思うが、この改正ができなかった場合は一体どういう影響が予想されるのか、これが一つ。 第二点は、この制度に一番期待を寄せ、一番先に利用したいと思う国はどういう国が考えられるのか。 第三点は、通貨といっても、結局は政治の動きによって決定をされるので、通貨というものと政治との関係、そういう大きな大臣の抱負を伺えば私の質問は終わり。だから、丁寧にひとつ、総理大臣候補らしいから、該博なところを見せてもらいたい。
○国務大臣(福田赳夫君) いまわが国は、国際社会における世界の平和、世界の繁栄、そういうものに関連いたしまして発言権というものは非常に高くなっておると思うのです。戦前のわが日本の国際社会における発言権というものと比べてみますと、これはもう比べものにならないくらい高くなっておる。ことにアジア諸国の中における日本の地位、これは非常なものでありますし、同時に、アジアを背景として世界に対しての発言、これも非常に高くなっておると、こういうふうに思います。それは、一つは、わが国が経済が発展した。しかも、経済は発展したが、いま経済侵略的な日本の立場、そういうようなことをとっておるとは見られない。純粋に経済的な発展を遂げ、また、その発展を基礎にして諸外国に対して協力の態勢をとっておる、こういうようなことがそうさせておるという点。つまり、後進国に対してかなりの主導権を持つようになってきておるという点。それから第二は、わが国が先進十カ国の一員ということで、世界経済の運営、これに責任を持つという立場にまでなってきておるという点であります。そういうことを考えまするときに、わが国がかりに、先進十カ国においておぜん立てをし、しかも、そのおぜん立ての上に立ってIMFという舞台でIMF加盟のほとんど全体の国が調印、署名をしておるそういうSDRの法案に対して、わが国の国会がこれを承認しなかった、したがって、これが成立に至らなかったというようなことに相なってきますると、私は、日本の国際社会における地位というものに大きなこれは支障を来たす。わが国が国際社会において発言しようといたしましても、発言もなかなか重みというものを持たないような状態になってくるのではないか。これは異常なというくらいの変化をわが国の地位にもたらすであろうということを憂える次第でございます。 第二の、この制度ができたならばどの国が先にこれを利用するかというような見通しについてということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、原則はきまっておるわけですね。国際収支の状況が非常に悪いという国、これに対してSDRの発動を認めるわけでございますが、さあ、どこの国というと、私ども日本の国のほうで、その国の国際収支の状況を判定をするような形になりますので、ちょっと言いにくいのでありますのでごかんべんを願いたい、こういうふうに考えます。 それから、第三の政治との関係、国際政治との関係いかん、そういうことでございますが、要するに、いま経済的側面で国際政治の話題となっておりますのは二つあるのです。 一つは、先進諸国が発展途上の国々を援助する、そういうことによって世界の繁栄を実現しようじゃないかという点が一点あります。 それから第二は、世界経済が戦前に比べると非常な発展をしておる。その発展に対して世界の流動性が乏しいという状態になっておる。また、なっておらないというふうに考える国もありますが、その国におきましても将来はそういうふうになるであろうという判定をいたしております。そこで新しい流動性体制というものを考えようじゃないか、この二つの点にあるわけでありまするが、要するに、その二つの点を通じて世界全体の経済をさらにさらに伸ばしていこう、こういうことなんです。先進国だけが幾ら伸びましても、後進国の開発ということができなければ、世界経済の前途には一つの壁が来る、こういう考え方、これが支配的な空気になってきているわけであります。そういう空気の中からSDRという制度が誕生した、かように御了承願って差しつかえないのじゃないかと思います。
○森元治郎君 補足して伺いますが、なるほど、終戦後二十四年たって、世界的に経済が予想以上の大きな発展をしていることはありますが、同時に、アメリカが、戦争と引き続き、マーシャル・プランをはじめとする世界的にいろいろな手を広げて、さすがのドルも全世界をカバーし得なくなったというような情勢、そしてまたベトナム戦争であれだけの金か毎年つぎ込んでいる。そして今度のSDRをつくる一つの原因は、やはりアメリカというものの存在は大きな関係があるわけだと思うので、アメリカの国際政治におけるかじとりも通貨の上に非常に大きく響くから、このIMFの場で、あるいは十カ国大蔵大臣会議の場では言えないかもしらぬが、別の大きな政治の段階でアメリカの政治も考えてもらうということを発言しなくちゃいけないのじゃないかと思うのです。朝鮮に出兵するとか、そういう小さいことじゃなく、高い見地から、アメリカの国際政治における自重、こういうものを、大蔵大臣じゃなくて、総理大臣——国を代表した方々が同時にこれも一緒に別なあらゆる場を利用して考えていくことが大事だろうと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりだと思います。ですから、諸外国とも一致して、SDRという問題もありますが、同時に、アメリカの国際収支に対する節度、これが重大だということを申し上げておるわけなんであります。この間シドニーで開かれましたアジア開発銀行の総会なんかに行きましても、アメリカの国際収支ということが非常に問題になりますが、なぜそれでは国際収支が悪くなるのだと、こういう根源を突きとめれば、森さんがいまおっしゃるような政治的問題とも大きくからんでいるわけであります。そういう点は私はアメリカが節度を持って経済、政治一体という考え方で対処しなければならない、こう考えております。
○矢追秀彦君 先ほど大蔵大臣は、このSDRにつきまして、過渡的なものになるかあるいは恒久的なものになるかは今後の運用にかかっていると、そういう意味のことを言われましたが、このSDRを最善の通貨体制とお考えになっておりますか。それとも、やむを得ないというふうにお考えになっているか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、SDRだけ一つで動くとはまあ考えておりません。やはり金、ドルですね、従来のものを補完するという意味においてSDRが作用してくると、こういうふうな見方をしているのですが、そういう意味において、SDRの登場によりまして、世界の流動性というものは金、ドル、SDR、こういうふうになろうと思います。やむを得ないという考えは持っておりません。これは非常にいいものである。ぜひともこれを進めていきたい。できるならばこれに大きな作用をさせたい。まあ、各国国内におきましても管理通貨ということの体制がだんだんと動きつつあるわけでございますが、国際社会においても、そういう各国の信義と信頼、この上に立つ体制というものが打ち立てられてしかるべきものだと、かように考えております。
○矢追秀彦君 IMFの専務理事のシュバイツァー氏が、IMFの総会におきましても、やはり金というものは非常に現在でも国際金融の基礎であり、SDRはあくまでも金及び外貨を補足するものであると、このように言っておるわけですけれども、この発言をどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まさにそのとおりだと思います。まあ、金、ドルというものがいままで基本でありますが、それを補完すると、こういう性格を持っておると思います。
○矢追秀彦君 そうしますと、やはり金、ドルというものが今後も基調になっていくということになりますと、やはり現在の金というものに対していろいろ検討しなければならぬ面があるのではないか。特に現在金が非常に上ってきておりますけれども、こういった場合、やはり金価格の引き上げという問題も出てくるのじゃないかと思うのですが、この金価格の引き上げという問題はどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま金の価格は一オンス三十五ドルということ、がまあ公定されておるわけであります。ところが、実際の価格を見ますと、これが四十ドルになったり四十ドルをこえたりするような状態で、これは市中相場です。でございますので、その間乖離を生じておりますが、これがそういうふうに開きっぱなしであるかというと、必ずしもそうではないので、ときにまあ金相場がずっと下がって三十五ドルに近接すると、場合によってはこれを割ることなしとしないような動きを示してきているわけなのです。いま国際経済がどちらかと言えば戦後最も不安定な時期にある。そういう時期でありますから、その一オンス三十五ドルという金の相場、価値が変更されるということは、私は国際社会における通貨混乱をさらに助長すると、こういうふうに考えておりますので、金の一オンス三十五ドル、この体制はあくまでもこれを堅持していくということが世界のためによろしいし、またわが国のためにもよろしいと、そういうふうに考えております。
○矢追秀彦君 SDRは、さっき大臣も言われたように、その金の補足には確かに役立ちますが、金価格は堅持すると、こういうふうにいま言われましたけれども、もう一つの方向としては、自由為替レート制ですね、これもやはり一つの方向として考えられるのじゃないかと思うのですけれども、その点についてはどう考えられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) この自由為替——戦前のような、実力で為替レートがきまるというような仕組み、これは戦後そういう状態が固定為替レートということになってきたわけでありますが、戦後この固定為替レート下における国際通貨体制の実験を通じまして、固定為替レート制が一番いいというふうに私ども月本国政府は考えておるわけであります。これに対して為替屈伸制でありますとか、あるいはそれにかえてボーダー・タックスを取るということを考えたらどうかという考え方もありますが、あるいは自由為替制を考えたらどうかという、いろいろな説がありますけれども、私は、固定為替制が一番よろしい、これを推進すべきである、かように考えております。
○矢追秀彦君 時間がありませんので飛ばしますけれども、このSDRのわが国における効果を、先ほどもお話がありましたけれども、どのように期待されておるか。特にどういう方向に使われるか。日本が黒字の場合赤字の場合と、いろいろケースがあると思いますが、その点について。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、日本の国がちょうど今日のような経済情勢である限りにおいては、直接、日本がSDRを使うというチャンスはありません。しかしながら、このSDRというものを日本が使わなくとも、他の国際収支窮迫国において使用すると、こういうことになります。したがって、非常な経済混乱におちいるべかりし国がこれによって救われるというケースもたくさん出てくるわけであります。そのようなことを通じて世界経済が伸びる。そこで貿易国日本、こういう立場からすると、そういう間接的な利益があるわけなんであります。そこで、いまは好調でありますけれども、かりに日本の国が赤字国に転落したと、こういう際には、これを使いましてそして国際収支の天井を高くする、こういうことになりますと国内政策が非常にやりよくなるのです。つまり、戦後一、二年は不況、次いで二、三年好況、また一、二年の不況、二、三年の好況、また一、二年の不況と、そういうふうに好況、不況の連続をしておりますけれども、不況はなぜ起こるかというと、国際収支が悪くなる。そこで引き締め政策をとるから不況になる。これは戦後の一貫した歴史でございます。そういうときに、国際収支が悪くなる度合いが、このSDRという制度があれば、かなり変わってくる。そういう面において景気循環に非常にいい傾向を持っておる。
○矢追秀彦君 このクォータも問題でありますけれども、IMFに対する出資割当は、一九五九年の第一回ではインドが六億ドル、日本が五億ドル。第二回はインドが七億五千万ドル、日本が七億二千五百万ドルと、インドよりも低いわけです。それからカナダよりもやはり低いわけです。カナダが七億四千万ドル。経済的には日本のほうがこの二つの国より成長していると思いますけれども、どうして低いのですか。これはかなり高く主張されるつもりですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは六一年のときにいまのクォータがきまったのです。それが変動なしに今日に至っておりますが、これはたまたま五年、五年でやりますので、そこで来年にその五年目が来るのです。その来年を機といたしましてわが国は変更を要請したい、こういうことを考え、いま事前にいろんな手を打ちつつある、そういう最中であります。日本の国の国力に相応したクォータにしたい。この十年間に非常に日本の国の経済力というものは発展いたしまして、各国とのバランスが違ってきておりますから、私はかなりの変更を期待し得る、かように考えております。
○矢追秀彦君 大体どのくらいのクォータを目ざしておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) どれくらいになりますか、これは経済のボリュームだけじゃなくていろんな資料が基調になってきますので、いまこれを申し上げることができませんが……。
○矢追秀彦君 くどいようですけれども、西ドイツぐらいはお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっとまだ見当がつきにくいのでございますが……。
○矢追秀彦君 時間がありませんので、最後に一つだけお伺いしますが、先ほど外貨準備のことで、何も多いだけがいいのではないと言われましたけれども、やはり今後資本自由化の促進もありますし、また、わが国としても国際金融の協力をしていかなくちゃならない、そういうような要請が参ります。また、特恵供与の拡大という問題も出てきます。そういった今後の国際金融の上から、また国内の経済の上から考えて、わが国の外貨準備高というものはどれくらいが妥当とお考えになっておりますか。 それからもう一つ、その外貨の使い道をどのようにお考えになっておられるか、その点をお伺いして質問を終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) 外貨はどのくらいがいいかということにつきまして、私はまだどの辺がというはっきりしたあれを持ちませんけれども、しかし、いまの三十二億ドル、これで満足すべきかというと、それでは多少少なきに失するのではないか。しかし、第一に私が気をつけなきゃならぬことは量よりも質だというので、質の改善の問題をいま一生懸命やっているのです。ですから、国際収支のバランスからいいますと、あるいは四月なんかもっとずっとまたふえる数字が出るかもしれませんけれども、しかし、そう実際にはなりません。円シフトというので逃げる外貨もかなり出てきますのですが、これを阻止いたしません。そういう過程を通じまして日本の国際総バランスの内容というものはかなりよくなりつつあるわけでありますが、そういう自然な推移、また自然の推移の中にも内容をよくするという配意をしながら外貨保有高というものがもう少し伸びるという形のほうがいいと思っておりますが、それはこれから国際貿易がどうなるかというようなことからきめられていく問題かと思います。 それから、それをどういうふうに使うかというお話でございまするけれども、外貨保有高は、御承知のように三億六千万ドルばかり金を保有しているわけです。それからIMFのゴールド・トランシェという形で保有しているものもあります。その他は証券という形で保有しておるものが大部分でございますが、ドル表示証券、これが圧倒的に多いわけであります。その他ドイツでありますとか、ポンドでありますとか、あるいはスイスでありますとか、いろんなところがあります。その保有形態につきましては、急にはまいりませんけれども、多様化という方向で考えていきたい、そういうふうに考えております。
○委員長(山本利壽君) 引き続きまして、愛知外務大臣御出席でございますので、質疑のある方は、順次お願いします。
○大和与一君 政府に少しお尋ねします。いま国際金利戦争というふうなことがいわれているのですが、米国は六%、英国の八%に続いて、去る十七日には西独も一公定歩合を三%から四%に引き上げるなど、国際金利戦争がますますたけなわになったと言えると思うのです。しかも、世界的高金利傾向の中で特に注目すべき点は、長期金利が短期金利を上回るという全く新しい事態が出現した。たとえば英国の場合、公定歩合は超危機レートの八%だが、これに対して長期金利は国債利回りの八・七%、社債一〇%の高水準となっておる。つまり、これまでの引き締めでは目先不安だが長期安定ということで短期金利のほうが上回っていたが、今度は国際通貨不安が反映して長期悲観論が行き渡っているのではないか。そこでお聞きしたいのは、米国ではいま、借金をしてでもいまのうちに設備投資をしておかぬと損をするというインフレ心理が広まっているといわれておる。一方、ニクソン政権は懸命に景気抑制策を打ち出しているといわれるが、米国景気の今後の見通しはどうか。また、これに対するわが国の対応策は十分に検討されておるか。また、特に国際通貨制度と関連して、米国が構造的な国際収支赤字基調を改善してドル不安に終止符を打つという見通しがあるか。先日も参考人をお呼びしてお聞きをしたその意見の中でも、いかにSDR制度というものを発動しても、基軸通貨国か節度ある国際収支改善策をとらない限り、国際通貨制度の根本的な不安は解消しない、こういうふうに強調されておったと思いますが、これに対する政府の見解をお尋ねしたい。
○政府委員(鶴見清彦君) ただいまの大和先生の御質問は、アメリカの国際収支改善の見通しという点であろうかと存じまするが、これは先般も大蔵委員会等で福田大蔵大臣からも御答弁になっておられると思いまするが、現在、御承知のとおり、昨年は、一昨年の総合収支約三十六億ドルの赤であったものが、総合収支では一億六千万ドルの黒字になった。ただ問題は、貿易収支で大体四、五十億ドルの黒字を出しておったものが、一昨年は若干減りましたけれども一三十六億ドルの黒字であったものが、昨年わずか一億ドルの黒字、そこに一番問題かあろうかと思います。したがいまして、いわゆる総合収支では昨年黒字でありましたけれども、それがはたしてことし、来年と続いていくのかどうかという問題でございまして、そういう点の一番の根本的な対策といたしましては、結局アメリカのインフレ的な状況をどうやって押えていくかということで、現在はニクソン政権におきましても、財政的措置、あるいは金融的措置、あるいは支出の削減というような措置によりまして、懸命に国内的な措置をとりつつあります。まだ必ずしも十分な効果があらわれておりませんけれども、それがだんだんに浸透してまいりますると、ことしは昨年のような資本収支面での非常なプラスというものかそれほど期待できないかと思いまするので、ことしの段階で昨年のような総合収支での黒というところまではなかなかむずかしいかと存じまするけれども、いまのような努力を続けてまいりますれば、国際収支は実質的な改善の方向に向かっていくのではないだろうかというふうに見ておる次第でございます。
○大和与一君 ロンドン・タイムスによると、今回の西独の公定歩合引き上げによって、九月の西独の総選挙後にマルク切り上げの可能性もあると伝えられておる。これについて政府はどのような見通しを持っておりますか。また、マルクの切り上げは、国際通貨制度の安定にとって望ましいことなのか望ましくないことなのか。これについてお答えを願いたい。
○政府委員(鶴見清彦君) ただいま御指摘のありましたマルク切り上げの問題は、先生も御案内のとおり、昨年の十一月にマルク切り上げの問題が起こりまして、そのためにいろいろとごたごたが起こりましたが、結局、マルクは切り上げないかわりに、実質的に同じような内容を持つ国境税の調整措置というものによりまして、輸入に対しましては四%落とす、輸出に対しましては四%かける、平均的に申しまして。そうすることによってドイツの外貨収入があまりにふえ過ぎないようにというような措置をとったわけであります。それが現在も引き続いて行なわれておりまして、来年の三月末まで続くわけでございます。ところが、また最近そういう問題が出ておりまするけれども、ことしの九月あるいは十月に予想されます総選挙後に、はたしてまたそういう問題が起こるかどうか、現在の段階では必ずしも明らかではございませんけれども、そういう段階になりますれば、また当然何らか十カ国の蔵相会議なり、あるいはOECDの第三作業部会なり、またはいわゆるEECの蔵相会議自身におきまして、そういう問題が検討されることになるんではあるまいかと考えております。あと、マクル切り上げが一体適当であるかどうかということは、大蔵当局からお願いしたいと思います。
○政府委員(村井七郎君) いまのお話しのマルク引き上げでございますが、従来の国際収支の状況から判定いたしますと、確かに貿易の黒字幅というものがふえておると、これは一体基礎的な不均衡ではあるまいかということが切り上げ論の中心議論であったわけでございますが、それを、いまお話しのように、一応国境税の調整ということで糊塗いたしましたけれども、これは時限立法で来年の三月には切れる制度でございますので、あと続けるか、あるいは何らかの代替措置をとるか、あるいは全然とらないかという三通りの場合が想定されるわけでございますが、切り上げが好ましいかどうかということにつきましては、私たち日本の政府当局といたしましては、公言することはやはり差し控えるべきではないかというふうに考えております。ただ、この問題自体は、ドイツだけの問題にとどまりませず、各国の国際収支あるいは各国の通貨の強さ、通貨間の平価の調整といいますか、各通貨間のバランスの問題もございますので、一国だけで単独に決定するということは、従来と異なりまして、非常にむずかしくなりつつあるということだけは申し上げておいたほうがいいかと思います。
○大和与一君 国際金利戦争の展開と相まって、特にわが国の国際収支と関連して注目されるのはユーロダラーの去就だろうと思うんです。最近のユーロダラーの動きについて説明していただきたいと思うんです。と同時に、わが国の外貨準備の質の点に関して、はたして現状のままでいいのか、あるいは何らか強化の必要があるのか、基本的な方針は政府としてきちんとあるのか。
○政府委員(村井七郎君) 最近のユーロダラーの動きは、御承知のように、アメリカの金利引き締め、高金利という事態が相次いで起こりまして、結局、量的規制も実際は行なわれておるということでございます。したがいまして、アメリカにおきます定期預金なり、あるいはいわゆるCDと言うんでございますか、譲渡可能の預貯金というものが非常に解約されると、なかなか銀行の資金手当が薄くなってくるという事態を反映いたしまして、ユーロダラー、これは御承知のように二百数十億ドルあるといわれておりますけれども、そういったものがやはりアメリカに還流してくるという事態が非常に最近顕著に起こっておることは、これは結局、各国の高金利、ことにアメリカの金融引き締めがかなりなものである、非常にインフレ抑圧的な決意の姿勢がはっきりしておるという事態から起こっておるんで、そのこと自体は、決意自体は私は非常に評価されてしかるべきであると思いますが、他面、非常に高金利が世界的に波及いたしますこと自体は何とか必要最小限度にとどめるべきであるという半面を持っておる問題ではないかというふうに思っております。 それから第二の、わが国の外貨準備の構成あるいはその質的な改善の問題でございますが、先ほど来大蔵大臣もここで答弁されましたように、多きをもってとうとしとせずと、しかしながら、あまりにもわが国の経済力、ことに輸入規模に比べまして外貨準備のレベルが低いということも事実でございますので、まずやはり現在程度の水準というものは維持していくと、しかし、これをどんどん目的を持って、数字を持ってそれを追っかけていろいろの経済政策をやっていくということ自体は、これはやや本末転倒の考え方ではないかというふうに思っております。 それから第二段といたしまして、今後そういう国際収支の好況を反映いたしまして外貨準備その他の情勢がよくなってくるというときには、まずやはり短期の債務というようなものは返していくということ、それから、やはり日本の経済力の体質強化といいますか、いい海外投資等はやはりやっていくということ、それからさらには、やはり戦後私たちはあまりにもなれておりますけれども、為替管理というようなものは私たちの実力に応じて自由化していく、これが私たちは本筋ではないか。ただ、あまりに急ぎ過ぎることはまた元に戻る。自由化して元に戻るということは避けなければいけない問題でございますので、そのテンポなり進み方はやはり十分慎重にやっていくべきである、こういうふうに考えております。
○森元治郎君 関連。詳しく知らないんだが、ユーロダラーというものはきわめて投機的で、国際的にうろちょろするきわめて不愉快な存在に思っておるんだが、このいわゆるユーロダラーというものの功と罪について説明してください。
○政府委員(村井七郎君) 私もしろうと考えを申し上げるわけでございますが、もちろんユーロダラーが発生いたしました約十年ぐらい前でございますか、これはちょうどたまたまある銀行——これはロシアの銀行でございますが、ロンドンに持っておりましたドル資金をあまりに遊ばしておくのはもったいないということで、非常に利潤追求のための運用をしだした、これが起こりではないかというふうに私たち承知いたしておりますが、それから、当分の間そういう意味の非常に余裕資金であるということ、したがって、非常に利潤を追求するという面がかなり強かったのではないか。つまり、余裕がある金でございますから、次々と利潤を目がけて追っていくということが可能であった時代があったわけでございますが、その次に、アメリカの国際収支の体質というものが海外投資をヨーロッパに対して盛んにやるということがやはり続いてまいりまして、そういった企業活動に伴います資金というものがやはりヨーロッパに出るということが非常に顕著になってまいりますと同時に、その量も非常にふえてきた。いまや二百六十億ドルとか、人によるともう三百億ドルに達しておると言う人もあるようでございますが、そういうふうに非常に量的にも定着してきたという事態になっておると思います。したがって、功罪の点でございますが、私たちは、まあ七、八年前あるいは五、六年ぐらい前までは、ユーロダラーというものは非常に危険な安定性のないも一のであって、いわゆる短期資金の中でも、ホットマネー的な性格を多分に持っておるということでございましたが、やはりこういうふうに量的にも定着してくるということがございますと、もはやそういう性格から次第に脱却しつつある一つの安定したプール資金というものになりつつあるというふうに考えております。現に日本といたしましても、たとえばあの長期の外債を出しますときにユーロダラーを目がけて外債を出すということが行なわれますし、また、その条件も非常にとっぴな条件でなくて、たまにはアメリカの国内よりも有利、アメリカがああいういろいろな国際収支の措置をとっております関係上、 ユーロダラーは決して不利でないというような条件で供給される場合もあるわけでございまして、次第にそういった意味では安定した資金源になってきておるというふうに私たちは考えております。また、最近それがアメリカに還流いたしたりしておりまして、多少入り繰りはございます。入り繰りはございますが、もはや害悪視、ホットマネー視できない存在ではないかというふうに考えております。
○森元治郎君 だれがそうさせているんですか。
○政府委員(村井七郎君) このユーロが非常に定着しつつあるという事態は、根本的にはアメリカ企業の進出、ことにヨーロッパに対する進出、これ従来アメリカの直接投資は三十数億ドルのペースでもって毎年行なわれておりましたが、その七、八割はヨーロッパに対して行なわれておったわけでございますが、非常にそれが、何といいますか、加速度的に資金需要を持つということ、つまり資金需要を持つということは、一つは資金の調達を本国から仰ぐ、つまりドルをヨーロッパに引っぱってくるという事態から起こったわけでございますので、やはりアメリカの直接投資、海外活動というものが減らない限りは、そういう事態というものは減少しないと、ユーロダラーというものは減少しないんではないか、大局的に見まして。多少のその金利差による入り繰り——先ほど言いました米国への還流ということが一時的にはありましても、これが米国が海外から引き揚げてくるということがない限り、やはりそういう趨勢というものはあるんではないかというふうに考えております。
○羽生三七君 ちょっと関連。 先ほどの大和委員の質問に対する答弁の中で、大蔵大臣も言っておられたし、いま局長さんも言っておられたが、外貨保有がたくさんになることは必ずしもとうといものではないと。それでやはり数字を追っかけていくだけでなしに、ときには短期外債を、短期ものを償還したり、あるいは対外援助に使ったりということをしながら為替管理の自由化も目ざしていくと、こういうお話だった。これは非常に私、重要な問題だと思うんで、これ長年やってきたわけですね、為替管理を。それで、まあすぐとはおっしゃっていない、あなたもね。これは非常に重要なことだからすぐやるわけではないがというような意味のことも言っておられたけれども、しかし、方向としては、近いうちにそういう方向へ行くか、あるいは短期ものをみなどんどん返済するとか、あるいは海外投資はどんどんやるとかということがない限り、自動的にたまってくるんですよ。いまの政府の、福田蔵相のような強気で、一〇%五年間絶対間違いなし、もう万々歳のようなあの景気見通しをしている限り、自動的に三十二億ドル、三十五億ドル、四十億ドルと、こうなってきますね。ですから、そうなるとね、外貨をためることだけが目的じゃないと言われれば、結局、もう為替の自由化等をある時期にやらなければ、幾らためないと言ったってたまっていっちまうんですよ。その辺をどういう時期を判断されておるのか。
○政府委員(村井七郎君) 羽生先生の言われたとおりでございまして、結局私たちは——私個人の考えかもしれませんが——外貨準備は一定水準は必要でありますけれども、それ以上は追っかけないで、つまり目標として設定いたしませんで、羽生先生の言われますように、結果としてそれが自然にふえていく、これが非常に望ましいと思いますが、かりにそれがふえるテンポが、結果的であれ、かなり早いというようなことになりますと、これは黒字国の節度と申しますか、非常にやっぱり国際面からも問題がある。ことに国際的に主要先進国等が為替の管理をわりあいゆるめておると、日本は、かりに相対的にではございますが、為替管理をきつくしておると、そしてどんどんたまっていくというような事態で、ございますと、この私たちの考えでは、やはりそこで債務の返済その他のことを終わったあとに、やはり為替管理の自由化というものを考えて、その増加のテンポというものがあまりふえないというようなテンポを見合わせながら為替管理というものを考えていくと、緩和を考えていくということが必要ではないかというふうに思っております。したがって、その時期がいつかということでございますが、まあ四十四年度の国際収支の見通し自体がまだ非常に不安定な要素、ことに年度後半におきまして不安定な要素を含んでおりますので、にわかにいつという時期をここで申し上げることはなかなかむずかしいと思いますが、その推移を見ながらこういうものはやはり適当に正しい目標に進んでいくということが必要ではないかというふうに考えております。
○大和与一君 午後も引き続きSDRの質問をいたしますが、午前中ちょっと最後に、局長が衆議院の外務委員会で、たとえば二十億ドルであったら六千八百万ドルくらい、こうおっしゃっておるのですね。また大蔵大臣は、さっきは百億だったら何とかと言っておるのですね。その辺がですね、まるっきりやみくもですからね。大体一番初め出発するときはどれくらいという大まかな目安があって日本はこれくらいと、こういうようなお話でないと、たとえばIMFの割当が来年度変われば別ですけれども、いまのLMFの日本の出資額についてレートはどうだろう、それに対してあなたは二十億だったらこうだと、大蔵大臣は百億ドルということは、あまりこれ大きくすると、アメリカが何か・悪いことばで言うと、うまいことごまかされたと、自分のほうに転用しないか、流用しないか、こういう心配も起こると思うのですが、その辺あなたのおっしゃったことは正確なんですかね、そこら辺を聞きたいのです。
○政府委員(村井七郎君) まあ、両方とも間違っていないと思いますのは、大臣が先ほど言われました百億ドル、これのほうがより基本的にあるいは御答弁するのに正しいお答え方であったのではないかと思いますのは、御承知のように、このSDRの発動は五年間を一つの基本期間といたしまして考えております。大臣も先ほど百億ドルと言われましたのは、まさにその五年間を言っておられまして、最後につけ加えておられましたように、これは一年の数字ではないというふうに言っておられました。私は、二十億ドルと申し上げた確かに記憶はございますが、それはまさに一年間の話をいたしたわけでございますが、まあ、これも在来申し上げておりますように、公の席で議論されたことはございませんので、全くの試算の域を出でない。百億にしろ二十億にしろ、試算の域を出でないと、これからの議論の問題であるというふうに御了承願いたいと思います。
○矢追秀彦君 先ほど大蔵大臣にある程度お聞きしましたので、外務大臣にちょっとお伺いしますけれども、このSDRの問題について、結局、まあアメリカの動き方といいますか、その動きは非常にやはり大きな影響を及ぼしてくると思うのですが、今度の夏に行なわれる日米経済合同委員会ですか、このときにはまあいろいろな問題が議題になると思いますけれども、おもな議題と、それから特にアメリカのドル防衛策、それと日本との関係、そういうことについてはどういう態度で臨まれるか、その点をお伺いいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) 日米貿易経済閣僚委員会というのは、大体まあ七月下旬から八月にかけて日本で行なわれるということはまあほぼ確実だろうと思いますけれども、まだ日時等がきまっておりませんし、したがって、まだ議題の整理というようなことに入っておりませんものですから、こういう問題、こういう問題というふうに具体的にまだ申し上げる段階になっておりません。それから同時に、参りますメンバーもまだ実は終局的に確定しておりませんから、それらによりましても議題の選び方などが変わってくることも予想されますので、確たることはまだ申し上げられませんか、従来の例から申しましても、広範囲に経済問題については自由な討議というものが行なわれることは当然に予想されるところでございますから、それらの中に、場合によりましては、ただいまおあげになりましたような問題も話題になることはあり得ることであると考えております。ただ私の想像を交えて申しますと、特に通商関係の問題がおもな問題点になるのではなかろうか、まあさようにも考えておるわけであります。
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(山本利壽君) 速記始めて。
○矢追秀彦君 その通商関係のことでありますけれども、やはり輸入制限の問題等がかなり出てくると思います。なぜこういうことをお聞きするかといいますと、やはりSDRの今後の管理、運用につきましては、どうしてもやはり米ドルが安定しないと今後の支障を来たすと考えられますので、その点については、やはりSDRが創設されるという点について、アメリカとしてもかなりドル防衛については力を入れるのじゃないか。そうしますと、やはり日本との貿易関係もいままでとは違った局面が出てくるのじゃないか。そういった面で、特にニクソン大統領でありますので、よけいそういった点が強くなるんじゃないか。そういう態度で出てきた場合、こちらとしての臨まれる態度についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまのお尋ねの点はいろいろな問題に関連しておると思いますけれども、私はこのSDRというものが考えられた経過、それから十カ国蔵相会議をはじめ、非常に熱心な前向きの私は討議が経過において行なわれたと思いますけれども、その大きな一つのねらいは、世界的に通商貿易というものが非常に拡大してきた。それに対して必要な通貨手段とでも申しましょうか、それがなかなか追いついていかないということが一つの大きな障害に今後なるであろうということから考えられた。同時に、ある国が世界貿易の自由化ということに逆行するような輸入制限措置その他をとられることが今後広がってはならないということもあわせてその中に入っていると私は理解いたしております。したがって、大局から見て、ドルの価値維持のためにアメリカが大いに努力をされることはけっこうでございます、また、そうしてもらわなければならないと思いますけれども、その手段、方法というものが、保護貿易的な措置や手段にたよるということがあまり激しくなるということは避けなければなりませんし、御承知のように、たとえば繊維の問題等につきましての現在の日本政府の態度、あるいは官民合わせて、この繊維の対米輸出について日本側で自主規制その他を望む声もアメリカ側から強いわけでございますが、こういうことにはならないように全力をあげていきたい。しかし同時に、日本としても、他国に比較いたしまして、輸入制限品目などは依然として相当多いわけでございますから、それを国益の面から見て、前向きにこれを将来におきまして漸次はずしていって自由化の方向に向かうように、あるいは資本自由化につきましても、できるだけ前向きにやるという姿勢並びに政策は、日本側におきましても当然必要なことではなかろうか、まあ原則的の考え方でございますが、このように考えております。
○矢追秀彦君 このSDR発動につきまして、やはりクォータの関係からいいましても、米国がかなり割合が多いわけですし、やはりアメリカの発言力というのは非常に強くなるであろう。したがって、一部には、こういった割当の取りきめ等についても政治的な力によって動かされる可能性が強いのではないか、こういう向きもあるわけですけれども、そういった場合に対してわが国のとるべき態度はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは国際政治に関連するところも多い問題ではございますが、同時に、ある国が、その政治的な背景や意図によって、こういうふうな世界的な、まあ相当な英知を集めて、そして意欲を持って考えられた制度でありますだけに、ある国の思うような政治的な観点から運営されるようなことがないようにしなければならない。それについては、現在の出資額はともかくといたしまして、日本といたしましても相当な地位を持っているわけでありますから、十分そういう点につきましては配慮していくべきではなかろうか、かように考えております。
○矢追秀彦君 先ほど大蔵大臣にもお伺いしたと同じ質問になりますが、いまのIMFに対する出資の割当は一九六一年のデータをもとにしておる、したがって、いま日本の経済は伸びておるので、この次はもっと多くの主張をするというふうに大蔵大臣答弁されましたけれども、外務大臣としてはどのように考えていますか。ただし、大蔵大臣の場合、大体の目安としてどの辺かとお伺いしたのですが、確答は得られなかったのです。その点も含めてお願いしておきます。
○国務大臣(愛知揆一君) もちろん、私も大蔵大臣の考え方とその点については全く同じでございまして、実力相応に国際的にきめられる基準もあるわけでございます。そういうところにも照らして実力相応に出資なら出資をきめるということが適当な態度であろう、かように考えますが、将来と申しましても、相当の先を見込んで今日幾らを欲するということは、これは今日においてはなかなか的確に予想をつけて申せるものではなかろうと、かように考えておるのでございます。
○矢追秀彦君 具体的に申し上げますと、アメリカそれからイギリス、それからカナダ、西ドイツ、それからインドよりもこの前は少ないわけでありますけれども、大体、外務大臣はどの辺のランクをお考えになりますか。アメリカが二四・三、イギリスが一一・五、それから日本が三・四、インドが三・五ですね。そういうふうになっております。それからドイツが五・七、カナダでも三・五になっております。
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほども私、質疑応答をこの席で伺っておりましたけれども、いまの段階で的確にどのくらいのランキング、どのくらいの額ということを申し上げますのはちょっと早計ではないだろうかと考えるわけでございます。これはたとえは大きな試算というようなもので、一国限りで一つの目標をつけます場合の問題で、これとは性質も違います点もございますから、あまり早計に申し上げることは差し控えたほうがよろしいかと考えるわけでございます。
○矢追秀彦君 金の問題またこの国際通貨の問題をめぐりましてEEC諸国とアメリカが、特にフランスとの間にいろいろな対立があるわけですけれども、このSDRが創設されるにあたって、やはりその調整というものが必要になってくると思います。日本としての態度は、あくまでもアメリカ・サイドとしていかれるのか。やはりこういったEECとの調整にも一役買われるのか。その点はどうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 国によりましては、たとえばフランスのように、いろいろ伝えられてはおるけれども、公式にははっきりした不参加というような態度を表明しておるわけでもございませんか、私どもとしては、できるだけ多くの国がこの趣旨に賛成をして参加するということが望ましい、しかし、それにはまず諸般の状況から真剣に検討いたしまして日本がそこに参加するということかやはり一つの大きな流れ——流れといいますか、これをつくることに有力な要素になるのじゃないか、こういうふうに考え進んでしかるべきじゃないかと思います。
○矢追秀彦君 もう一言。このSDRの創設されるにあたりまして、いまの協定の改正を効果あらしめるためには、やはりアメリカがベトナム戦争をやめていかなくちゃならないのじゃないか、このように思うのですが、これについて、アメリカに対してこういった立場から、もちろんアジアの平和ということも大事でありますけれども、こういった立場からもベトナム戦争を終結させるように要求されるお考えがあるかどうか、それをお伺いして質問を終わります。
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、先ほど大蔵大臣も触れてお答えをいたしておったように承知いたしましたけれども、やはりアメリカが正常な姿でドルの価値維持あるいは国際収支の均衡ということをはかるということが財政金融政策の基本ではないか。一体どうしてこういうふうな状態になっているかといえば、やはりそこへベトナム戦争の問題も関連してくるというような趣旨を言われておりましたが、そのとおりだと思います。そこで、ベトナム戦争につきましては、いまさら申し上げるまでもございませんが、パリの拡大平和会議におきまして何とかひとつ実りのある成果があがって、そしていわゆるポスト・ベトナムに向かって平和的な再建策が講ぜられるようにということが、ひとり私のみならず、世界的な願望ではないかと思います。そういう関係にこの問題もあるというふうな御指示だと思いますが、その点については私も同感であります。
○渡辺武君 SDRの創出の問題につきまして、いままでの政府側の答弁をずっと拝聴してまいりますと、現在国際流動性の不足が生じてきておる、したがって国際流動性の総量をふやすためにSDRの発動をやる必要があるのだ、したがってまたドルやポンドの不安とは無関係のものであるし、日本について言えば国際収支の天井を上げるという利点があるのだというような点に大体一致しているのじゃないかというように考えられます。ところで、一九六三年の十月の十ヵ国蔵相会議での合意事項の中には、次のような点があるのであります。つまり、現在国際流動性の供給に不足はないか、将来の不測の事態に備えて何らかの対策を検討するという事項があるわけですね。そしてこの事項は一九六七年八月にロンドンで開かれた十カ国蔵相会議でも再確認されておるという事実があるわけです。そうしますと、一九六七年八月には依然として現在国際流動性の供給に不足はない。で、将来不測の事態に備えて云々ということで、国際流動性の不足というのは将来のことというふうに考えられているわけですけれども、ここ数日来の政府の答弁では、現在国際流動性の不足があらわれているというふうになっているわけですが、一九六七年八月と現在とではこの点でどういう基本的な変化があらわれたか、国際流動性の不足と言っておられる点はどういう点にあらわれておるのか、それをまずお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、ただいまもお尋ねがこざいましたように、経過的な経過もあるようでございますし、大蔵省のほうから、特にその面にずっと関与しております村井局長からまずお答えすることが適当かと思います。
○政府委員(村井七郎君) 十カ国蔵相会議の当初におきまして、流動性が不足しているかどうかということは、確かに一つの議論のポイントであったわけでございますが、そのころは不足してないという議論が支配的になりまして、したがって、こういうSDRのようなものをつくるのは、将来流動性が不足したときに備えてやるのだ、いわゆる対処案ということになったわけでございます。ところで、なぜそういうことが当時言われたかといいますと、まあ世界通貨のドルでございますが、アメリカの国際収支、たとえば先生も御指摘になりました一九六三年のアメリカの流動性ベースの赤字は、二十六億七千万の赤字でございます。それから公的決済——外準に非常に近いものでございますが、これが二十億ドルの赤字、つまり六三年、それから六四年もかなりの赤字でございます。六四年、六五年というように赤字が流動性ベースにおきましても公的決済ベースにおきましてもずっと続いてきたわけでございます。逆に申しますと、流動性の供給というものが米ドルを通じてこの期間行なわれておった。したがって、世界的に流動性の不足はなかったということは一応言えるかと思います。ところで、六六年になってまいりますと、流動性では赤字でございましたけれども、公的決済じりでは二億六千六百万ドルという黒字を出したわけでございます。六七年におきましては、また公的決済でマイナスにもなりましたし、流動性でもマイナスになったわけでございますが、六八年——昨年におきましては、またもや流動性におきましても上億六千万ドルの黒字、公的決済におきましても十六億一千七百万ドルという黒字を出してきたわけでございます。その中身は、もちろん、従来からも議論がございましたように、貿易収支がそれほどよくないにかかわらず、資本流入がかなりあったということもございまして、とにかく表面的な国際収支はいい。しかし、流動性の観点から申しますと、やはり六七年——一昨年あたりとさま変わりいたしまして、流動性の供給の収縮ということが明らかに行なわれておったと言わざるを得ないわけでございます。現に、去年の一年間におきまして、世界の流動性はおそらく減っておったのではないか——実質的な意味でございますが、減っておったのではないかというふうに言われておりますが、ドルだけをとってみますと、最近の数字では、昨年の流動性のドルは八億ドル世界的に減少しておるという数字がございます。そういったことを考えてみますと、従来の対処方針案というものが、いよいよ六八年の姿、あるいは六九年になりまして、これからの新政権のインフレ抑圧、国際収支改善の姿というものが非常に身近な、間近なものになってくるわけでございまして、そういった意味におきまして、対処案が非常に、何と申しますか、そう遠い将来のものではないという意味になってきたと了解しております。
○渡辺武君 いまアメリカの国際収支の点について言われましたけれども、しかし、世界のいわゆる総準備、これは一九六六年と六七年を比べてみますと、六七年は明らかにふえているわけですね。それから六八年の一月——六月、これは年率にして若干減っているという形になっておりますけれども、しかし六八年三月までの一年間には増加しておるという傾向になっておりまして、アメリカの国際収支が一億数千万ドルの黒字になったというだけで国際流動性が量的に不足したというようなことは言えないのじゃないですか。
○政府委員(村井七郎君) だから私は申し上げておるわけでございますが、ドルというものが全部の世界通貨あるいは流動性を供給しておるわけではございませんが、その中の何と申しましても主要部分がドルでございますし、先生のおっしゃるとおり、六八年三月までの一年間、確かに世界の総準備は十九億ドル——約二十億ドルでございますが、増加しておるわけでございますが、しかし、これは御承知のように、スワップと申しますか、ドルと。ボンド、あるいはドルとほかの通貨とスワップいたしまして、二十五億ドル程度が供給されておるということでございますので、かりに二十五億ドルというものを頭に置きますと、どうも世界の準備というものが実質的に——私も先ほど実質的にと申し上げたわけでございますが、減少しておると言わざるを得ない。ポンドとかそのほかの通貨は確かに増加しておりますが、これはスワップの結果、使われない通貨、使われない準備として保有されたわけでございまして、実質的な意味におきます流動性というものはやはりスワップによります二十五億ドルというものを引いて考えたほうが適当ではないかというふうに考えております。
○渡辺武君 時間がないので、答弁はもう少し単刀直入にやっていただきたいと思うんです。それで、その問題についてもう少し申し上げたいんだが、ちょっと時間の都合で次に移らざるを得ないんですが、この提案されているIMF協定ですね、これによりますと、SDRはこれは各国に配分されても国によって使える国と使えない国があるわけですね。大体使える国は国際収支の赤字国それから国際収支の黒字国はこれは配分されても黒字である限りは使うことができないということになっているわけですね。そうして赤字国ですが、このSDRを使ってどうするかといえば、このSDRを使って黒字国から交換可能な通貨を引き出してこれを使うということになっているわけでしょう。そうしますと、SDRが国際流動性の総量をふやすということにはならぬじゃないですか。国際収支の赤字国にとっては、これはもう自分のところでもって使うことのできない外貨を、これをSDRを使って引き出すことができるんだけれども、しかしこちらでプラスになったことが国際収支黒字国ではマイナスになっておりますね。したがって、総量の増減という意味ではプラス・マイナス・ゼロじゃないですか。
○政府委員(村井七郎君) 結論的に、端的に申し上げますと、百億ドルのSDRが創出されますと、間違いなく百億ドル国際流動性は増加しているというふうに申し上げていいと思います。
○渡辺武君 それじゃ答弁になりませんよ。つまり、百億ドルのSDRが出されても、使える国と使えない国がある。使える国が使った場合には、国際収支黒字国から同じ量の交換可能な通貨を引き出して使っているにすぎない、これじゃプラス・マイナス・ゼロじゃないですか。
○政府委員(村井七郎君) それじゃ申し上げますが、かりにある国が国際収支が赤字であった、その国が一億ドル黒字国にSDRを持っていった、黒字国はその一億ドル相当分のSDRを見返りに交換可能通貨をその赤字国に提供する、これがSDRの仕組みであるわけでございますが、先生のおっしゃいますのは、確かに赤字国は流動性を一億ドル増したと、これはいいわけでございますね。そういたしますと、黒字国の一億ドル、これは外貨準備が一億ドルふえておるわけでございます。使えるか使えないかということは、これは国際収支、外貨準備の状況によりまして、金もございますし、外貨もございますが、国際収支の状況がいい、外貨準備がふえておるというときには、これは使う必要がない、使わないからふえておるわけでございますが、これがかりに黒字国が将来赤字になったときには、これはSDRが使えるという意味におきまして、その一億ドルは明らかにこの黒字国の場合におきましても外貨準備の増加ということになっているわけでございますから、その時点において使えるとか使えないとかいう問題とは一応無関係に、私の申し上げますのは、流動性の創出ということが行なわれますと、明らかにそれだけは流動性の供給になっておることは疑いをいれないのではないかというふうに考えます。
○渡辺武君 あなたの言われておることは矛盾していますよ。国際収支の赤字国がSDRを発動して国際収支の黒字国から外貨を引き出したと、これが変化した内容ですよ。その場合国際収支赤字国にプラスになっなものは国際収支黒字国でもってマイナスになっておる。もしかりに国際収支黒字国が今度は赤字国になった場合SDRを使ったって、やはり同じことです。国際収支黒字国から外貨を引き出して使っておるから、プラス・マイナス・ゼロですよ。つまり、あなたの言わんとするところは、この国際流動性の総量がふえるということじゃなくて、国際収支赤字国にとってSDRというのは流動性を増加させるということにすぎない。そこで申し上げますけれども、この世界最大の国際収支赤字国というのはどこか。しかも、一時的に黒字になったのじゃなくして、恒常的な赤字国。これは協定で、この国際収支に問題がある国と、もっぱら国際収支上の必要に応ずるためにSDRを使うことができるとなっている。そのもっぱら国際収支上の必要に応ずるためという必要を感じている国は、まさしくイギリス及びアメリカだというふうに言わざるを得ない。したがって、あなた方が言っているように、このSDRというのは国際流動性の総量をふやすものではなくて、ほかならないアメリカとイギリスにとって国際流動性をふやすだけだ。つまり、ほうっておけばドルやポンドが流出するのを、SDRを使って、そのかわりに他国の通貨を引き出して使うというものにほかならないのじゃないですか。あなたの答弁はそのことを物語っていると思いますが、どうですか。
○政府委員(村井七郎君) そうではございませんで、私は実は一番最初に申し上げた——渡辺先生あるいは御不在であったかと思いますが、このSDRの制度のときに大前提があるわけでございます。これは十分御承知の上での御質問だと思いますが、つまり主要国の国際収支がよりよき均衡を達成するということが前提となってないとこの発動が行なわれないと、これはもう協定に明記されてあるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、六三年とか六四年、六五年という程度の、ああいうアメリカの国際収支の赤字でありますと、これはもう主要国であるところのアメリカの国際収支は明らかに均衡ではないと、これはもうだれが見たって常識的にそう言わざるを得ないと思いますが、かりに今後アメリカならアメリカが、この国際収支改善の努力によりまして、昨年のわずかながらの黒字というもの、これをある程度定着させていくというようなことが判定されましたときに、初めてこの発動が行なわれるというわけでございますから、これがアメリカの赤字を救うものだとか、赤字にすぐ使われるとかいうことは、ちょっと私たちはなかなかそう飛躍的に思いにくいわけでございます。
○委員長(山本利壽君) 速記をちょっとやめて。 〔速記中止〕
○委員長(山本利壽君) 速記をつけて。
○渡辺武君 アメリカの国際収支が黒字になっておると、昨年のは確かにそうだと思うのです。しかし、その黒字の内容を調べてみれば、先ほどこれは外務大臣も言っておられたと思うのですけれども、私これは根本的に、本質的にこの黒字の方向をたどっておるというふうにはとうてい考えられないのです。つまり、アメリカの国際収支赤字の従来の最大の要因であった、アメリカ政府の軍事支出、経済支出ですね、これは昨年もおととしに比べてふえておる。おそらくことしももっとふえるでしょう。総額を言えば、純流出額七十四億ドル、ばく大なものですよ。以前はこれは貿易収支の黒字でこのばらまいたドルを吸収することができた。ところが、昨年はこの貿易収支の黒字はどのくらいになったのか、わずかに一億三百万ドルですか、全くこれは激減しているという状態です。したがって、これは当然アメリカの国際収支の構造からいえば大幅な赤字にならざるを得ない。それをどこでカバーしているかといえば、先ほどあなたも言っておられたように、アメリカが金利の操作をやって、外部に流れているユーロダラーの還流をはかっている。もう一つは、日本にも話があったと思うのですけれども、中期債その他を、これを政府間ベースでもって他国に持たせて、そうしてそれで外貨の吸収をやっておる。非常に政治的なものです。アメリカはフランスその他EEC諸国から突き上げられて、そしてもう基軸通貨国が節度を持たなければSDRの発行は困るということを言われているから、必死になって努力していま一時的に国際収支の黒字を生み出してきておるけれども、しかし、SDRが発動された段階では、アメリカがこのSDRを使って——従来ドルの流出が行なわれている、その状況を、SDRを使って国際収支黒字国からの通貨を引き出して、そうしてそれでカバーするという、これは当然のことです。ですから、アメリカの国際収支が黒字になったから、このSDRの発動というのがアメリカの国際収支の赤字をカバーするものではないという議論は、私は成り立たないと思うのです。この協定をよく読んでみれば、アメリカは国際収支に問題がなくても金が急速に流出するようなときにはSDRを使ってこれを食いとめることができる、こういうこともはっきりと読んでとれる。また、このSDRは金との兌換ができないことになっている。したがって、SDRを使って、そうしてこの国際収支の決済をやりさえすれば、従来ドルならば金の兌換を要求してアメリカの国内から金の流出をとどめることができないような状態を、金と兌換することのできないSDRを使うことによって食いとめることができる。これはアメリカのドル危機の激化を押えようというための手段だと考えざるを得ないのです。
○政府委員(村井七郎君) 私一言だけ申し上げたいと思いますが、私たちは別にアメリカの国際収支を弁護する立場にはないわけでございますが、ただ中期債とかそういったものが非常に従来の思想——旧政権、ジョンソン政権の時代には非常に旺盛な思想で、一種のまあウィンドウ・ドレッシングと申しますか、そういうことであったと思いますが、今度の四月に発表されました国際収支改善対策を見ましても、そういう国際収支の波打ちぎわで継ぎはぎの措置をやるのではなくて、もう少し国内の総需要抑制、それを財政面、金融面から抑制していくと、総需要対策というものとまともに取り組んでいく、これが国際収支の基本的な改善対策であるというふうにうたっております。まあこれがうまくいくかどうか、ひとの国のことですからわかりませんが、かりにうまくいったとする、またそういう判定を私たちができる機会というものは確かに与えられておるわけでございまして、その率が各国合わせて八五%にならないとこのボタンは指せないということでございます。で、従来のウィンドウ・、ドレッシングがどうであったこうであったという議論の前に、この協定がうまくつくられておりますので、いろいろな前提条件、先ほど来大和理事からも御質問がございましたように、いろいろな制約があってのことでございますから、SDRがうまくいくかいかないかということは大問題でございますので、慎重に私は運営されていくのではないかというふうに考えております。一国の赤字を救済するとかしないとかいう問題は非常に末の問題ではないかという感じがいたしております。
○委員長(山本利壽君) 午前の会議は一応この程度とし、午後二時三十分に再開いたします。それまで暫時休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 —————・————— 午後二時三十五分開会
○委員長(山本利壽君) これより外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○大和与一君 南アフリカ共和国がIMFから最近六千六百万ドルの外貨を引き出したですね。これは国際金融界に相当な影響を与える。南アとしては金の公定価格が上がるほうがいい、それでアメリカは困るというので、おもな国か南アから金を買わぬように、こういうことをやって一応おさまっているのじゃないかと思うのですが、しかし、法律の抜け穴というのか、南アがそれをまた借りちゃ返して、こういうことを何べんもできるかもしれない。これは一体どういうふうにおさまるものか、これはどういうふうな国際金融経済に影響を与えるか、こういうことを聞きたいのです。
○政府委員(村井七郎君) 南アが六千六百万ドルの外貨をIMFから引き出すという申請があったことは事実でごさますし、それをおそらく読めるということになると思います。これは南アのいわゆるIMFに対する債権、ことにはっきりした債権といいますか、自動的に引き出し得る債権というものが約六千六百万ドルというものがあるわけでございまして、それは当然の引出権利ということになるわけですが、お尋ねの点は、それを金で返済していくということに相なるわけでございますが、IMFの精神からいきますと、金で返していくということ自体は、これは二つの場合に分けて考え得ると思いますが、一つはやはりIMFの判断、私たち任意的な買い戻しというふうに言っておりますが、IMFの判断である場合、それからもう一つは義務的にやる場合というふうにあるわけでございますが、いずれの場合にいたしましても、いまの状況からして、IMFを通じてそういう金の返済を行なってくると、しかも引き出しの対価がそういう正当な自動性のある債権の場合は、それを認めるという方向で処理されるものと考えております。
○大和与一君 協定第二十五条第三項によれば、SDRの使用は、国際収支上の必要のほかに、金、外貨準備などの準備ポジションの推移に照らして使用されることとなっておる。この推移ということは一体具体的に何を意味するのかお伺いいたします。
○政府委員(村井七郎君) それは全く推移でございまして、この中に金、外貨準備、IMFに対する債権という三つの構成要素があるわけでございますが、今後これがどうなっていくかということは、その前段階に「国際収支上の必要」という文句がありますが、またはそういうものの「推移」というふうになっておりますが、この「国際収支上の必要」というものを考えてまいりますときに、やはり外貨準備全体の推移を考えていくべきだと、こういう趣旨でございまして、いろいろな場合があり得ると、たとえば国際収支がいいのに外貨準備全体が減っていくという場合もございましょうし、そうでない逆の場合もある。したがって、国際収支上のそのバランスのしりだけを見ておったんでは、なかなかほんとうの姿というものはつかみにくい。したがって、国際収支上のバランスと同時に、またはそういう全体の外貨準備の推移というものを見ていくべきである、かような意味だと思っております。
○大和与一君 協定第二十五条の第三項によれば、SDR使用の必要性の要件は、単に期待されるにすぎず、IMFは事前にはSDRを参加国がどう使おうとチェックできないこととなっている。もちろん事後のチェックはあり得るであろうが、この点は、SDRか国によってかってに使われることを十分に規制できず、悪影響を及ぼすのではないでしょうか。
○政府委員(村井七郎君) SDRを使います場合のいろんな要件というものは、けさほど以来ここで御議論がございましたような、まああまり制約をつけ過ぎると、通貨としての自由転々流通性というものを喪失するわけでございますが、かといって、何らの制限を付さないということになりますと、非常にこれがインフレあるいはデフレの作用を及ぼすということになって、かえって弊害が出てくるという面がございますので、きわめて大まかな大憲章的な制約というものを付しまして、その中でなるべく自由にSDRが使用される、こういう仕組みになっておるかと思いますので、ここにございます「推移」あるいは「期待される」というような文句もそういった意味合いで御解釈していただければいいんじゃないかと思っています。
○大和与一君 最後ですが、協定第十九条の(a)では、加盟国の通貨準備の定義が変更されることになったが、これは何を意味するのか、いかなる実益があるのか、お尋ねします。
○政府委員(村井七郎君) 御指摘のように、十九条の(a)は、もとは「公的純保有額」ということでございますが、今回は「公的保有額」ということに相なっております。これは考えてみますと、近ごろは、外貨準備というものを考えますときに、国の債務というものは引かない。たとえば、日本の場合で申しますと、外貨準備がございますが、一面かなりの金額の債務を負っております。これを日本の場合引きますと、おそらく異なったものに相なると思いますが、いまの外貨準備の考え方といいますのは、そういう債務を引かないで、私たちはグロスで見ると言っております。グロスで見る、それが外貨準備の見方である。これは日本だけではございませんで、非常に国際的に一般化しつつある見方でございますので、それと平仄を合わせまして、これが「純」という文句をなくしたゆえんのまず第一の意味ではないかというふうに考えております。
○大和与一君 終わります。
○森元治郎君 ちょっとひとつ、午前中大蔵大臣にお伺いしたら、この制度を一番先に利用したい国はどこだろうと伺ったところ、差し控えるような御答弁があったんですかね。時間がないから第二段の質問をしなかったのだが、今月の初めころだったと思うけれども、アメリカとしては、ニクソン大統領は、早くこの条約ができること、そうして早く発動をしてもらいたい。九月のころの年次総会では四十億ドルを期待しているのだ。これに対して、イギリスを除くヨーロッパ諸国は、それは多過ぎる、十億ドルないし二十億ドルなんというようなことが報道されて、大蔵大臣は大臣という立場で、アメリカでしようというようなことは言えないことはわかるが、実際はアメリカであることはだれもわかっているので、これについて日本は、この早期発動と金額、これについてどんな考えを持っておられるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(村井七郎君) これは大蔵大臣の従来からの御答弁を補足するだけの意味でございますが、SDRが発動されますときは、アメリカの国際収支が何らかの意味で改善に向かっているということが確保される必要があるわけでございますか、これは今後だれが最初に使うかという点につきましては、まあ個人の想像の域を出ないと言えばそれまででございますが、そういった意味で個人的な私の想像を許さしていただきますならば、私はやはり、国際収支的に弱い国、開発途上といったような国がまず最初に使うのじゃないか。主要国、ことにアメリカというような国は、その改善の徴候があるということが担保されたあとでございますので、どうもそういう感じが私はいたしております。 それから、国際収支対策として今月当初発表になりましたものの中に、早期発動云々というニクソンのことばがあったわけでございますが、これはアメリカのためというには、私はそういう意味ではなかなか考えにくいわけでございます。論理的にもどうもそうなかなかならないというふうに考えておりまして、むしろやはりSDRの創設というものの必要性が、アメリカの国際収支の改善というものと相並んで、国際収支が改善してまいりますと、いよいよ流動性の不足ということが現実の問題になってくる。したがって、アメリカはいま国際収支の改善に万全の努力をしているから、もうわりあいそういう国際流動性の供給の必要性、つまり流動性の不足事態というものが早く来るのじゃないかという論理的なつながりでものを言っているというふうに考えざるを得ないわけでございます。 ところで、第三の点でございますが、しからばどの程度の発動量を考えているか、また好ましいかというような点につきましては、これは従来全然発動量というものの議論は行なわれておりません。行なわれておりませんが、ただまあ一応の試算として、たとえば五年間に百億ドルというようなことは試算として言われておる。公の場ではこざいませんが、個人的な感想というものがどこかから述べられているというかっこうで世上に伝わっているということは事実であると思います。ただそのときに、私たちの勘は、どちらかというと、最初の発動の場合には、これはSDRの史上空前、画期的な制度の第一歩でございますので、その効果、ことに心理的な効果として、SDRが出てよかった、これで国際流動性が一応解決の第一歩を踏み出したというような必理的効果を与える必要性から申しますと、どちらかというと、最初のすべり出しは多少多い目に発動されるほうがいいのじゃないかという感じはしておりますが、これも私個人の感じの域を出ませんので、これは今後国際間で十分協議をしてきめていく問題であることは言うまでもございません。
○森元治郎君 初年度で四十億ドル、五年間合計百二十億ドルとかという試算が出ているわけだね。大蔵大臣も言っておりますが、問題は、この運営がなかなかむずかしい、肝要なところだと言っているが、そういうことの判定は、蔵相会議で大きい線をきめて、IMFの総務部会か総務会みたいなところでやるんですか。だれがやるんですか。
○政府委員(村井七郎君) 大体さようでございます。しかも、その原則はこの協定にうたわれておるわけでございまして、非常に運用の慎重性というものを高く、また明確に規定してございます。そしてまた、結局このSDR自体は、これは外務大臣から従来たびたび御答弁されておられますが、万能ではないので、結局は各国の経済運営の節度というものが根本にございませんとうまくいかないということは、だれでもそういうふうに考えた次第でございますので、そういった意味で、このSDRの今後の運営といいますのは、総務会あるいは十カ国蔵相会議等の場を通じて、その議論を通じて運営していくということに相なると思います。
○委員長(山本利壽君) これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○大和与一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件につき、反対の意思を表明するものであります。 反対の基本的な理由は、現行IMF体制がアメリカのドル支配のもとに置かれ、いまや深刻な危機に直面しているにもかかわらず、今回の特別引出権創設を中心とした改正が、国際通貨危機の本質をおおい隠し、ドル支配のIMF体制の矛盾から目をそらして、かえってドル支配強化を意図したものにほかならないからであります。 以下具体的に申し上げますと、第一にIMF体制のもとでのドル散布政策の破綻をつくろおうとするものであります。IMF体制、いわゆるブレトン・ウッズ体制は、IMF協定第四条において、アメリカのドルを金と同列ないしは金より高い地位に置くことによって、国際通貨の面からドル支配を約束したものであります。すなわち、第二次大戦以降一貫して、アメリカは、圧倒的な生産力を背景に、一つにはマーシャル・プランをはじめとする巨額の対外経済援助を行ない、二つには、東西緊張の激化とともに、みずから世界の警察官として君臨し、海外に無数の軍事基地と多数の軍隊を置き、対外軍事支出を増加させ、さらに三つには、貿易と資本の自由化を推し進めて、アメリカ資本に有利な海外投資を促進するというふうに、経済援助、軍事援助及び資本進出という三つの面からドルを海外にばらまいてしまったのであります。その結果、アメリカはみずからの相対的な地位を低下させ、国際収支の慢性的な赤字と巨額の金流出を招いたのであります。アメリカのドル不信が抜きさしならぬところにまで追い詰められ、国際通貨危機の矛盾に直面したのであります。今回のSDR創設は、政府の説明においても、また制度上から見ても、国際通貨危機対策ではないとされているが、その真のねらいは、アメリカの国際収支対策であり、当面の国際通貨危機対策を強く意識したものであることは、審議の過程において明らかにされたところであります。明らかに、アメリカの世界戦略の一環としてとらえなければならないのであります。 特に日本は、安保体調のもとで日米運命共同体に置かれており、政治的、軍事的のみならず、経済的にもドルに大きく依存しており、対米従属をしいられているのが現状であります。日本の外貨準備が最近好調になっているが、相変わらず金準備は三億、ドル台を続けており、アメリカに気がねして金保有をふやすことができなかったのもそのためであります。 第二に、アメリカのインフレ政策の破綻であります。アメリカの財政の赤字は、一つには国内の景気刺激、不況対策として、二つには軍事経済の肥大化によって慢性化し、特に朝鮮戦争の始まった一九五〇年から防衛費の増大が著しく、ベトナム戦争の本格介入によって一そう拡大し、財政インフレが進行してきたのであります。その結果、一オンス三十五ドルのIMF平価は実質的に半減し、ドルの減価によって実体を失なっています。この面からも、ドルの切り下げないし金価格の引き上げは避けられない情勢にあります。SDRの創設がこうした事態に対して無力であることは、経済法則上から見て明らかなはずであります。 第三に、SDRが世界貿易の拡大と低開発国にとってプラスになるとされているが、これはあくまでも社会主義圏を除いた話であります。対社会主義圏とは金で貿易の決済をするしかないのであります。また、低開発国にとって利益となるという議論は、先進国、特にアメリカの利益に立って行なわれる議論であり、決して被援助国の利益に立ったものではないのであります。その証拠に、対外援助にバイ・アメリカン、シップ・アメリカンなどの制約がつけられたり、何らかのひもつき援助が最近大幅に増大していることを見れば、明らかであります。 今回の改正がドルのアメリカと金選好の強い西ヨーロッパの間の妥協の産物として成立したわけでありますが、これは決して制度そのものの成功を約束するものではない。逆に「恐怖の均衡」といわれるような資本主義国家間の矛盾の勃発による混乱を避けたいという共通の利害があったためであります。アメリカがインフレ抑制に乗り出したことにより、世界的に異常な高金利時代を迎えている。これが逆にまた大きな混乱や国際通貨危機を激化させかねない危険な状態を招いております。いわば前門のトラ後門のオオカミといったところであります。 日本としては、SDRによる国際通貨制度の改革が決して事態の解決にならないし、また日米安保体制の中で対米従属、ドル依存を一そうしいられていくことになりかねないことを心配するものであります。現にニクソンは、中期債購入、兵器購入、防衛責任の負担などを打ち出しており、東南アジア経済援助も大幅に増大されつつあります。日本は、ドル依存を抜け出し、経済自立を確保するためには、金保有を高め・ドル切り下げに備えるとともに、日中関係を一日も一早く正常化し、日中貿易の拡大につとめるべきであると考えるのであります。同時に、アメリカに対しては、このようなこそくな改正によって事態を回避する安易な道を選ばず、アメリカが世界戦略の破綻を直視して、ドル不信の回復の努力を払うことを要求していくべきであると考えます。 以上をもちまして、反対討論を終わります。
○委員長(山本利壽君) これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。 国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本利壽君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(山本利壽君) 次に、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件及び国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件 以上二案件を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。愛知外務大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 コーヒーを主たる輸出品目とする発展途上国にとって、その価格の安定は、これらの国の経済発展のためにきわめて重要であります。この協定は、コーヒーの需給を調整し、もって価格の安定をはかることを目的とするものでありまして、輸出割り当ての設定、生産規制、多角化基金の強化、非加盟国からの輸入制限、消費の増大のための検討等について規定しております。 わが国が千九百六十二年の協定に引き続いてこの協定に参加することは、発展途上国の経済発展に協力せんとするわが国の積極的態度を示すものとして有意義であり、また、この協定によりコーヒーの価格が適正な水準に安定することは、コーヒーの消費が漸増しているわが国としても望ましいことと考えられます。 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。 次に、国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 全世界の航海を一そう安全かつ容易にするためには、世界の海運国の水路官庁間の協調、水路業務に関する情報、資料の交換及び水路図誌の国際的統一等の国際協力がきわめて重要であります。この目的を有する国際機関といたしましては、一九二一年以来国際水路局が存在しておりますが、その設立基本文書たる国際水路局規約は、同局の内部規則にすぎないため、現状に適合しなくなり、かつ業務遂行上若干の不便の点がありました。この条約は、国際水路局を改組して国際水路機関を設立し、同局規約の不備を補い、新たに同機関の法人格、特権及び免除等について規定しております。 世界の主要海運国の一つであるわが国としては、この条約の当事国となることにより、わが国船舶の安全かつ容易な航海が確保でき、他方わが国周辺海域での外国船舶の航海安全も確保され、さらに同機関においてわが国の意見を主張することにより世界の水路業務の発展に寄与することができ、国際協力の観点からも有意義なことと考えられます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(山本利壽君) 以上をもって説明は終了いたしました。 二案件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。 —————————————
○委員長(山本利壽君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○大和与一君 最近の米軍の日本国内への配置の重要な変更、これについていろんな質疑応答がかわされて、われわれも迷うわけであります。日本語の悪い傾向かもしれませんが、それで、少しきょうはこまかくお尋ねしたいと思うんです。この寄港とか母港とか根拠ということの前に、やはりこの条約、事前協議の内容は配置ということですね、これが一番前提になると思うんです。その配置の中で、空のほうは、佐藤条約局長が、B52の日本上空通過はどうだと言ったら、二月の衆議院の予算委員会で、核を持っている場合は当然協議はあるべきものと思う、こういう答えをしています。空のほうは、核があれば空であってもこれは必ず事前協議をせにゃいかぬ。ポラリス潜水艦の場合ですね、これはもうどんな場合であっても、寄港などを求められた場合は、必ずこれは対象になると言っています。そうすると、このポラリス潜水艦が無害航行をする場合があるのか。その場合は、無害航行というのは、必ず国旗を立てて浮んでいかなければならぬでしょう、水の中に入ってはいかぬ。その辺のことはどうなっていますか。無、害航行というのはありますか。ポラリス。それは核を持っているんですよ。あなた方のほうで持っていると言うんだから、これは。
○政府委員(東郷文彦君) いまの、かりにB52が核を搭載して日本の領空を通過する、あるいはポラリス潜水艦が核を搭載して日本の領海を通航するということがありました場合には、それは配置の問題ではなくして、いわゆる核の持ち込みという観点から事前協議の対象になるということでございます。
○大和与一君 そうすると、それはあれですか、装備の変更ということですか、無条件で。
○政府委員(東郷文彦君) 装備における重要な変更に入るわけでございます。
○大和与一君 そうしますと、寄港というのは休養と補給と言っておりますが、ちょっとこの内容をもう少し詳しく言ってもらいたいんです。寄港、こういう場合、こういう場合に限ると、これは寄港であると、まあこういうふうに言ってください。
○政府委員(東郷文彦君) 寄港と申しますのは、特に目的がどうということよりは、まあ文字どおり日本の港に入ることでございます。それが今度の日本の施設の使い方として配置ということでない場合が通常でございますが、そういう場合には、これがいわゆる寄港、目的が休養の場合もあり、補給の場合もございますが、あるいは修理する場合もございますが、普通の出入りをさして寄港と言うわけでございます。
○大和与一君 たとえば、その寄港をしても、軍需品の補給というようなことは、これはあり得ると思うんです。そういうような場合にはどうですか。寄港をして軍需品の積みおろしをしたと、補給をしたと、こういう場合は対象になりませんか。
○政府委員(東郷文彦君) 御指摘のような場合は、寄港ということでございます。
○大和与一君 軍需品の補給でもですね、軍需品の補給であっても、寄港であって、対象にならぬと言うんですか。
○政府委員(東郷文彦君) そのとおりでございます。
○大和与一君 それはおかしいんじゃないですか。軍需品を、軍事目的を兼ねて来た場合には、それは対象にならぬですか。
○政府委員(東郷文彦君) 軍艦のことでございますから、広い意味ですべてそういうことは軍事上の目的、補給でありましても、軍需品でありましても、軍需品の補給にしろ何にしろ、これはいわゆるオペレーションの中の一つに入ると思いますが、そういう場合、これはすべて寄港という範畴に属するということであります。
○大和与一君 それじゃ母港というのは何ですか。母港になったら対象になるというんですね。総理が言われたですね。母港というのはどういうことですか。
○政府委員(東郷文彦君) 母港という観念を私から御説明申し上げるのはあまり適当かどうかわかりませんが、たとえば第七艦隊に属する艦艇でもアメリカ西海岸に一年のうち半年はおる。そこでは、いわゆるオーバーホールと申しますか、その間そこに半年ぐらいおりまして、家族もそこにおるというようなことで、第七艦隊に属する艦艇の大部分は西海岸にいわゆる母港というものを持っておる。それから常に半年なら半年極東水域に回ってくる。回ってくれば、そこで第七艦隊の指揮下に入る、こういう動き方をしております。いわば母港と申せば、軍事的には、海軍のことばとしてはいろいろ定義もあろうかと思いますが、常識的に申せば、いま申したような意味で、いわゆる本拠地としている港、こういうふうに考えております。
○大和与一君 そうすると、母港ということと根拠地ということと本拠ということは全く同じですか。
○政府委員(東郷文彦君) いま私の申しました意味では、同じとお考えくだすってけっこうでございます。
○大和与一君 同じであるならば、それは事前協議の対象になると総理おっしゃっているんですから、そのとおりですね。
○政府委員(東郷文彦君) 日本の施設、区域をかりにそういう形で使う場合には、これはそういう母港としての使い方をするということが事前協議の対象となるわけでございます。
○大和与一君 総理の言われるのは、寄港は全然関係ない、しかし母港だったらこれは対象になると、こうおっしゃっているんで、母港と根拠地と本拠、これはちょっとことばが違うのですけれども、これはあなたもおっしゃったように間違いないですね。これは事前協議の対象になる、そういうふうにして使った場合は。いいですね。
○政府委員(東郷文彦君) いまの根拠地あるいは本拠といいまして、いろいろな使い方があると思いますので、たとえば第七艦隊の旗艦が一年のうち一月、二月横須賀におることがあるというのを、第七艦隊の旗艦は横須賀を根拠地としていると、こういうふうに俗にはあるいは言う場合もあるかもしれませんけれども、これは先ほど申し上げたような意味の母港ということではないわけでございます。なお、事前協議に関しましては、いまのような使い方につきましては、一隻、二隻の問題ではなくして、少なくとも一機動部隊単位くらいの艦船の母港になる、母港として施設、区域を使用するということになるわけです。
○大和与一君 聞かないことを言わないでください、迷うから。それで、逆に言いますと、根拠地ということは、司令部があるところだ、こういうふうに政府は言っているのです。根拠地、本拠、母港ということ、それをちょっと説明してください。
○政府委員(東郷文彦君) いまの司令部ということばはどういう意味でございますか、指揮系統の上からそういう問題があるかと思いますが、たとえばいまの第七艦隊の場合を申せば、第七艦隊の司令部というのは実は船の上にあるわけであります。したがいまして、横須賀の司令部というのは、艦隊の司令部というよりは、ちょっとよけいなことになって恐縮でございますが、横須賀にいわば張りつけになっている在日米海軍というものがあって、その司令部でございます。したがいまして、かりにこれを母港という使い方をすると、その場合のむろん母港の司令部としての港の司令部はございますが、これは必ずしも艦隊の司令部ということと一致するわけでございません、いま申し上げますように、物理的には第七艦隊の機動部隊の司令部は船の上にあるわけでございます。ですから、母港になったとしても、艦隊の司令部が必ずしもその土地にあるということではないわけです。
○大和与一君 おかの場合は簡単にわかりますね。空の場合に第八軍の司令部は府中にある。その指揮下には、三沢もあるし、横田もあるし、鹿屋もあるし、那覇もあるし、韓国の蔚山というところもある。空軍ですら、そういう一つ考え方があるでしょう。その司令部に所属する形、その中で何が起こったって、司令部がやっているので、日本だけが関係ないということはいかぬでしょう、蔚山に大きな基地があるから。そうすると、艦隊の場合の司令部というのは旗艦ですよ、司令官のおるところですよ。そうすると、その船が日本の港に入ってきたら、ちゃんと司令部があるじゃないですか。そうすると、事前協議の対象になるじゃないですか。これはもう幾らあなた船が海の中を通っているといっても、それは逃げられない。司令官の乗っているやつが司令部ですね。その旗艦が日本に入ってくる。エンタープライズだって機動部隊、三木さんが言っておったけれども、例のタスク・フォース、こんなものじゃなくたって、ちゃんと二・三隻持ってきたら機動部隊ですよ。必要に応じて、その事態に応じて幾らでも使えるのだから、これは機動部隊ですよ。その機動部隊の旗艦が入ってきたら、司令部はちゃんと動いて入ってくるのだから、当然どんなことをしたって対象になるじゃありませんか。司令部という解釈をもっと明確にしてもらわなければいかぬ、軍事的に。
○政府委員(東郷文彦君) いまのようなお話の場合には、司令部を有する旗艦が寄港したということでございまして、それが寄港したので横須賀が母港になったとか、あるいは機動部隊が配置されたということにはならないわけでございます。
○羽生三七君 ちょっと、そこで、いまの局長の答弁、それから一昨日の外相の答弁、昨日の総理の答弁、これ似たようなところもあったり、だいぶ違うところがあったりするので、ずっと総まとめにしてわかりやすく外相から答えていただけませんか。たとえば本拠であるとか、寄港であるとか、母港であるとか、そういう一つ一つの解釈も大事ですが、たとえば第七艦隊が日本に何にもないときに寄る、それも問題ですが、それはきょうは別にしておきます。たとえば、今度のような事件のときに、日本海水域に来たという、そういう場合には、ある一定期間、たとえ一回でも三回でも日本の港を根拠、一応のよりどころにして動く場合には、当然何らかの協議の対象になるという解釈をしなければ、これは全然事前協議条項というものは意味のないものになる、どう考えてもそうですよ。この場合もだめ、あの場合もだめでは、一体何のためにこういうものを設けたかさっぱりわからない。だから、局長、外相、総理、それぞれニュアンスがみんな違うので、まとめてひっくるめてひとつ明確に答弁していただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 私からあえてまとめて申し上げるまでもないと思いますけれども、事前協議の対象として・配置の変更ということが一つございますね。その中で寄港という問題がある。これは、一機動部隊が、全体としてその艦隊が根拠地として活動をある一つの港でやるという場合には、寄港にならないと思いますけれども、その機動部隊の中の艦艇が、その中には旗艦も私は含むと思いますが、艦艇が補給その他の目的で寄港する、長い期間にわたって根拠地としてやる場合でない場合におきましては、これは単純な寄港で、事前協議の対象となる配置の変更とは見ない、こういうふうに私は解すべきものと考えます。
○羽生三七君 その長い期間と言いますが、私の言っておるのは、ある種の問題が日本周辺に起こって、その期間、たとえば三週間とか、一ヵ月とか、あるいは半年、一年という場合もあるんですね。期間の問題じゃないと思うんですね。問題の性質の重要性に応じてこれは判定すべきで、期間が短いからどうの、長いからどうの、そんな性質のものではないと思います。そういうことで判断をすべきものではないと思います。日本周辺に起こった事件の性格に応じて、当然米艦隊の行動そのものが律せられなければならない。そんな期間の問題では私はないと思います。そう解釈すべきが当然ではないでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 環境がどういう状態であるかということではなくて、安保条約の体系からいっております事前協議というものについての配置の変更ということを基準にしてこれは適用解釈すべきものである、こういうふうに存ずるわけでございますから、先ほど申したとおりに処置すべきものであると考えます。 それからなお、事実問題として、昨日申し上げましたように、第七十一機動部隊というものが編成され、そうしてこれが日本海水域で活躍をしているということは事実でございますけれども、その編成の中に入っておる艦艇が今後日本の港にはたして寄港するか、あるいはしないか、そういうことも現実のいまの時点としてはこれは不明な問題でございますから、これは先ほど申しましたように、七十一機動部隊というもの全体がある日本の港を根拠地として、そうしてそこで長期にわたって将来活動するということをもしアメリカが欲するならば、アメリカとしては事前協議にかけてこざるを得ない、こういうふうに解釈してよろしいのではないかと存じます。
○大和与一君 大臣、どらむすこが夜遊びに行って、そうして帰ってきた場合に、親が心配して。ポケットの中をさがして、変なものがあったら注意しなければいかぬわけでしょう。それと同じようなことになるわけですよ。これは迷うからいいとしましょう。それで、いまあなたがおっしゃったことは、いまの日本海の情勢は別ということばを使われました。別であるという場合には、これは平時の場合ですね。平時の場合でもということになれば、これは環境は関係ない。そうすると、そのときに、長期、短期、一時ということはどういうことですか。それだったら、非常の場合でない、緊迫した場合でない場合だったら、長期というのは大体何年くらいだ、短期というのはこれくらいだ、一時というのはこれくらいだ、これは明快に答えられなかったから、何も補足がついていないんだから、それをお尋ねいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) 別ということは、こういう意味でございます。両国間のとりきめ、了解でございますから、一つの基準というものがある。その基準というものは前からも御説明しておりますし、昨日も御説明したような基準でございますから、これはまず寄港と認むべきもの、それから配置の変更と認むべきかどうかということが基準になるし、その基準としての配置の変更ということは、一機動部隊全部がひっくるめて一つの港に俗なことばでいえば根拠地を置いて、そうしてそこでまとまって行動するということが、この艦隊の場合には配置の変更として律すべきものであると、こういうふうに了解されておるわけでございます。したがって、こういった基準というものは、環境というようなことと考え方は別に、この基準によって律すべきものであると、こういうふうに考えるべきものであると思います。
○大和与一君 それでは、いまおっしゃった魂のない仏さんの話はわかったですよ。だけれども、その形よりも、何の目的でということのほうが大事じゃないですか。そのことがあなた方日本政府としての尺度にならなければならぬと思う。それを全然聞かぬでおいて、ただ形だけで——それはわかりますよ。だけれども、その目的というものをはっきりよく聞いて、そうしてあなた方が納得した場合に、そういうことはあり得ると思う。これが一つ。 それから、さっきの一時的というのは何時間か、何日間か、長期というのは何十日か、短期というのは何日か、これは一つ一つはっきりしてくださいよ。一つ一つ問い詰めていかないと、ウナギみたいに逃げ歩いてどうしようもない。
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一は目的でございますけれども、たとえば今度の場合は、目的というものが、公海上において認められておるところの哨戒といいますか、偵察飛行の、自衛のためという目的で出動したものと認められておるわけです。それはそれで私は考えるといいますか、それを認めておるわけです。そして、そういうものの行動が、これが戦闘に関係してくるのか、あるいは核に関係してくるのか、あるいは事前協議の対象になる配置の変更ということに関連してくるかということが、私は一定の基準に基づいて律すべきものである。その基準というものは、先ほど来申し上げておるとおりです。 それから、配置の変更になるのかならないのかということについては、一機動部隊以上のものが、一定の日本の港を根拠にして、そうして根拠にしてということは、その全体のタスク・フォースというものが集結して、そして長期に作戦行動か何か行動をやるという場合を意味しておるものと私は理解いたしておるわけですから、その限りにおきましては、一カ月がいいのか、あるいは六カ月では長過ぎるかという、時間をもってこれは律すべきも一のではない、こういうふうに私は考えております。
○大和与一君 それで、タス・クフォースですね、それは五つのグループで一つだと、こういうのでしょう。そういうことを一体どこでだれと文書を交換してきめたのですか。それだけが機動部隊であって、それ以外には機動部隊と言わないのですか、この交換公文の中の。それ以外に機動部隊というのは全然ないのか。これは三木さんが言ったのだけれども、五つのタスク・グループがあって、それが初めてタスク・フォースだと、それ以外には何ら話の中に入っていないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは前々から資料としてもお配りしてございますし、従来から一貫した政府の見解でございますが、そのこまかい点についてはアメリカ局長から説明いたさせます。
○政府委員(東郷文彦君) この交換公文に関します了解は、ただいま大臣からお話しのとおりでございますが、たまたま問題になります第七艦隊に関して申し上げますとすれば、攻撃機動部隊と申しますのは、いま先生おっしゃったように、機動群が五つある。で、それぞれ機動群というのは、航空母艦を中心として、これに随伴する駆逐艦なり、巡洋艦なり、こういうものから成り立つ。その五つを含んだものをもって第七艦隊の攻撃機動部隊、この第七艦隊に関してはそういうことになっております。なお、現に第七十一機動部隊が編成されましたように、事態に応じて編成をしてそういう機動部隊をつくるということは、これは軍の作戦上の問題として随時そういうことは行なわれると思います。
○大和与一君 その第七艦隊のことだけ聞いているのじゃないのですよ。この一つの一群であっても、航空母艦と駆逐艦、あるいは飛行機——ジェットを五十か百積んであると、これは恐るべき戦力ですよ。それを、そういう一群であってもたいへんなものなのに、それをいかなる場合にも事前協議の対象にしないというのは、一体どこで断言できるのか、それがわからない。たいへんな戦力ですよ、一群だけでも。それが五つ以上なければ事前協議の対象にならない、そんなことはおかしいじゃないか。それは一群だけでも、一つの機動部隊、特殊任務でもって出てきた、これは何を持っているかわかりませんよ。だから、そういうものがいるのだから、きちんと確かめてやらなければいかぬというのが私の言い分だけれども、しかし、いまの局長さんのお話では、一群だけでも一十二分に内容によっては対象になるのだというふうにおっしゃったって差しつかえないと思うが、言わないということはどういうことだ、そんなことでは通らない。
○国務大臣(愛知揆一君) 言わないとかなんとかいうのじゃございませんで、従来からの安保条約交換公文第六条によるところの実施といいますか、事前の協議のやり方について両方が合意しておることが、いま説明申し上げたとおりでございますので、その合意に基づいて処理をするというのが政府の見解、まあそれは、こういう場合はどうだ、こういう場合はどういうふうに考えるかというような、その取りきめについて御意見がおありのことはわかりますけれども、現実に政府としての見解はこうである、これで処理することで目的を達する、こういうふうな見解であると、こういうことを繰り返し申し上げておるわけです。
○大和与一君 時間がないから最後にしますがね、やむを得ず、残念だけれども。そうすると、その合意ということは、明確な文書にはなっていないでも、少なくともメモランダムか、そんなものはあり得ることだと思うのですよ。そうしなければ、あなた方は頭いいけれども、間違うことはあるから、やはり書いておかなければならぬ。そういうものがあるならば、いまでなくてもいいけれども、羅列をして教えてもらいたい、これが第一。 それだったら、事前協議が、私たちはやっぱりそういうことだから間違ったことが起こり得るという心配をしておるわけです。そうすると、事前協議をどうしてこれは文書にしなかったのか。ただマッカーサーと藤山さんと話しただけだ、こういうものが一番大きな間違いを起こす心配の穴だから、そいつをいまからでいいから、はっきりとこれはやはり文書をかわす、協議をもう少し明確にする、そうして要点だけでもいいからきちんとお互いに記録しておく、こういうことをやっておけば、悪い分は直せばいいんだから、みなやってもらえばいいんだから、そこが大事なので、それをどうしていままでしらばっくれて口約束だけでこんな大事なことをやってきたかということがおかしい。それはあなたはかわったのだから、いまからでもいいですから、そのことをもう一ぺん確認し合って文書その他記録にとどめる、こういうことはいまからでもできると思いますし、ぜひそれはやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その第一のお尋ねの点は、従来からしばしば申し上げておりますように、これは口頭の了解、したがって文書において調印をしたというようなものではございません。しかし、その内容をプリントいたしまして、両院の御審議の御参考にも配付しているわけでございますから、この権威といいますか、この重さというものは、それによって御承知いただけるかと思います。 それからいま一つは、この交換公文、両院の御承認を得た交換公文の中に、重要な装備の変更、重要な配置の変更ということが、非常に重い取りきめがされております。さらに、日本側の欲せざるようなものについては事前協議をしても断わるのだという趣旨の岸・ハーター共同声明もございます。安保条約をはじめ、こういう一連の国会承認の交換公文、あるいはそれの運用についての取りきめ、あるいはそれをカバーする共同声明ということで私は十分だと、これは現内閣といたしましてはこれで十分であるという見解に立っておりますので、第二の御質問につきましては、御意見は御意見といたして承っておきますけれども、それ以上のことをいま考える立場におりませんということを申し上げておきます。
○大和与一君 もう一つは、外務省の情報文化局編集「日米安保条約早わかり」というたいへんりっぱな本があるのですが、ここにこういうことが書いてありますが、間違いないか。「事前協議といっても、米側からの申入れを待つだけで、日本側からなんらの提案もできないのだから有名無実ではないかとの誤解が一部にあるようですが、これは誤りです。もともと事前協議というものは、米側が自らとる行動について日本政府とあらかじめ相談するという義務を定めたものですから、たてまえとして協議を申しでる責任が米側にあるのは当然ですが、日本側としても、そのような問題について、米側に対して協議を申入れることは当然できるわけです。」こういうふうに書いてありますが、それはそのとおりですか。
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。この点もしばしば従来から御質疑があった点でございますけれども、条約論から申せば、第六条で日本が基地を提供しておりますから、その基地を利用する側は、本来なら自由に来れるわけですが、それをいわゆる事前協議で押えたというところに、この制度の私は妙味があると思います。したがって、こちら側からこうした問題に対してこちらがイニシアチブをとって向こうに相談をしかけるということは当然できることである。純粋の条約論から言えば、これはむしろ第四条を根拠にするほうが条約論としては私は正しいと思いますけれども、それはともかくといたしまして、実際の運用上におきましては、随時協議ということが同時にこの安保条約の中にあるということは一つの重要な点であると思います。それからなお、第四条については二つの場合が規定してある。ことに前段の安保条約の運用について随時協議という点などは、相当広範囲にこれは援用できる規定である。それから、先般来申し上げておりますように、今度の事件が起こりましてからも、ひんぴんとして連絡を受け、ひんぴんとしてこちらも意見を言っておりますのは、これは現にそういったような協議、相談が行なわれていることである。第四条がもしなかりせば、こういったようなこちらの意見は、権威をもって向こうに通ずることはなかったかもしれない、こういうことを先般来申し上げているわけでございまして、この四条と六条とを総合的に、あるいは安保条約全体の体系というものを総合的にごらんいただければ、私はこれで御懸念になりますような点は十分カバーしていける、これが私どもの見解でございます。
○大和与一君 もう一つ。米側が事前に協議することなく行動した場合には、日本側は米側に釈明を求めることができると、こういうふうに政府はあのとき答弁をして、それで、佐藤さんかもしらぬけれども、条約の対等性、平等性を強調したつもりだけれども、こういうことがあるのだ。これは事後承諾と同じじゃないか。これはどういうふうに……。
○国務大臣(愛知揆一君) これはいまもるる申し上げましたようなことからも御想像いただけると思いますけれども、そういったことは私はないと思うのです。事前協議にかけるべき事項ですね、これに対して事前協議をかけてこないということは、私は絶対にそういうことはないと思いますが、両国政府が合意しておるところの事前協議の対象について、先方が事前協議にかけてこないということが万々一にでもあれば、これは条約上からも、条約の義務違反である、こういうふうに律すべきものである、かように考えております。
○委員長(山本利壽君) 本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十五分散会 —————・—————