沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/05/14
会議録
○委員長(山本茂一郎君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。去る五月十二日松井誠君が委員を辞任され、その補欠として前川旦君が選任されました。 —————————————
○委員長(山本茂一郎君) 北方領土問題対策協会法案を議題といたします。 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○川村清一君 前回に引き続いて質疑を行ないますが、この法案が成立いたしますと、この法律運用の主務官庁が総理府と農林省ということになるわけでございます。そこで、総理大臣と農林大臣の行政上の責任分担がどういうことになるのか、これを一応御説明をしていただきたいと思います。
○国務大臣(床次徳二君) この協会におきましては、二つにおもな仕事が分かれておりますが、旧北方の漁業権者等に対するところの援護業務というのが従来北方協会の主たる業務になっておりましたが、この関係につきましては、漁業権者等に対する援助等の問題でありますので農林大臣と共管をいたしておりますが、しかし、もう一つ、本来の仕事でありますところの北方領土問題に関しましては、これは総理府において所管をいたしておるのでありまして、したがって総理大臣が主務大臣という形になっております。したがって、ただいま申し上げましたように、二つの大きな目的を中心としておるのでありまして、しかも、従来行なってまいりましたところの北方協会というものの仕事をそのまま今後におきましても存続させるというたてまえをきわめて明瞭に今度の法律においても出しておることにつきましては、これはかなり特色的なものだと考えております。
○川村清一君 それでは、本法案の第二十九条に、「この法律において主務大臣は、内閣総理大臣及び農林大臣とする。ただし、政令で定める事項についての主務大臣は、内閣総理大臣とする」、こういうふうに規定されておりますが、この「政令で定める事項」ということにつきましては、具体的にどのようなことを考えられておるのか御説明を願います。
○政府委員(加藤泰守君) ただいま長官からお話しのございましたように、第十九条の業務のところで申し上げますと、第四号が従来北方協会でやってまいりました貸し付け業務でございます。したがいまして、この業務にからんで出てくるものは共管ということになりますが、その政令できめる場合におきまして、もう少し一号から四号まで、それから五号との関係において具体的にきめたい、こういうことでございまするので、政令できめることは、一号、二号、三号の業務につきましては、主としてこれは主務大臣の問題は総理大臣ということになるわけでございますのでそういうふうにし、四号につきましては農林大臣と共管ということにいたしたいと思いますが、ただ、一号から三号までの問題につきまして、完全に農林大臣の所管事項はないのかという点については、具体的にもう少し詰めてみないとはっきりしない点があるように思いますので、その部分につきましては、政令の段階で詰めていきたいというふうに考えております。ただ、基本的なことを申し上げますれば、一号から三号までは総理府の所管事項ということが言えるのではないか。そして四号につきましては農林大臣と総理大臣の共管関係になるというふうに一応考えていいと思います。
○川村清一君 私のお聞きしたいのは、そのこともそうですけれども、その内容ですね。これは業務のほうの十九条の五号に、「第一号から第三号までに掲げる業務に附帯する業務を行なうこと」と、こういうふうに書かれておるわけでございまして、ただいまの御説明によりますれば、「第一号から三号までに掲げる業務に附帯する業務」、すなわち五号は政令で定める事項だといったような御説明のように私受け取ったわけでありますが、そこで、その政令で定める内容ですね。たくさんあると思いますが、それを全部とは言いませんけれども、具体的にこれこれのようなことであるのだという御説明をいただかなければ、何のことやら私にはわからないわけですから、具体的な説明をお願いしたいわけです。
○政府委員(加藤泰守君) ちょっと説明が不足していたようでございますが、私申し上げましたのは、五号の関係だけと、こういうことではございません。具体的に法文を書くといたしました場合に、一号から四号までの規定の中で、どういう事項が農林大臣と共管になるのかということを法律で具体的に書いてまいりますと非常に煩瑣になりますので、そういう意味におきまして、政令でその煩瑣な規定を書いていこう、こういうことでございます。したがいまして、基本的には一号から三号までは総理大臣、五号は総理大臣の関係の附帯事業ということになりますが、四号につきましては共管というふうに一応割り切っていけるのではないかというふうに考えております。
○川村清一君 ですから、それがわからないわけですよ。それじゃ問題が二つあるわけです。 第十九条の第五号にある「第一号から第三号までに掲げる業務に附帯する業務」というのは、内容的にはどういうようなことになるのか。いいですか。業務の一号から四号までは内容がわかるわけですよ。私ども法文の内容を読んで、内容はわかるわけですよ。ところが、五号については「附帯する業務」というのは、具体的に言えばどういうことをさしているのか私にはわからないわけですよ。 それから、二十九条の、政令で定めるものは、これは法律が制定されてから政令が出るわけでございますけれども、こういう法律をつくった以上は、どういうことを政令で定めているのか内容はわかっているのでしょう。それを、こういう事柄については政令で定めるのだという具体的なことを私は聞いているのです。あなたはただ一般論、抽象的な話で、私にはちっともわからないわけです。ですから、こういうようなことを政令で定めたいのだ。それから、十九条で「附帯する業務」と言うのは、たとえばこういうことなんだというふうに御説明をいただかなければ、私には全然わからないわけです。それをお聞きしている。
○政府委員(加藤泰守君) ちょっと私の説明がまずいので申しわけございませんが、一号から三号までは原則的には総理大臣、こういうふうに言えると思います。四号につきましては共管ということでございます。
○川村清一君 そんなことを聞いているのではないですよ。
○政府委員(加藤泰守君) ただ、それに附帯する事業というのは、たとえば啓蒙宣伝におきましては、一応機関紙(誌)の発行とかあるいはパンフレット等の刊行を考えておりますが、そういうような啓蒙宣伝に伴いまして、もし具体的な必要な事項がその啓蒙宣伝にからんで出てまいりますれば五号で読もう、こういうことでございまして、いま現在、政令で五号に関してこういうものをやるんだということを具体的に考えておりません。
○川村清一君 二十九条はどうです。二十九条も考えてないのですか。
○政府委員(加藤泰守君) 具体的な例といたしましては、千島会館の運営が一つの援護措置として必要な援護を行なうことの——千島会館を建設するということが援護措置の具体的な例として現在すでに千島連盟を通じましてそういう建設を行なっておりますが、そしてその建設された千島会館の運営等が附帯業務になると思います。その点につきましては、この点が本来の内閣総理大臣の業務というふうに考えられるわけでございます。
○川村清一君 まあ、一般論になりまして恐縮でございますけれども、やはり法律を提案されまして国会で審議する場合には、こういうような法文に書かれたことを逐条審議して聞いたときには、私どもその内容を確かめたいからお聞きしているので、もっと質問者によくわかるように御答弁をいただかなければ、これはうまくないと思うのです。と申しますのは、長官に私申し上げますが、前回も申し上げましたように、総理府の特連局の内部機構が、行政機構が、まず北方問題なんていうのはつけ足しなんですよ、実際のところ。これは沖縄ばかりやっておる。これはいいですよ。いいですけれども、それじゃ北方問題は特連局の機構の中でどこがやっているかというと、この間お尋ねしたら、監理渡航課というところでやっている。監理渡航課というのは何が本来的な仕事かというと、それは沖縄の渡航業務、それから沖縄のいろいろな問題の監理業務になっている。そういうところで北方の問題をやっている。まことにつけ足しのようなこういう行政をやっているわけです。したがって、あなたのほうでせっかくこういう法案を御提案されましても、この大きく書いてある事項については御説明ができましても、こういうような「政令で定める」と言うから、「政令で定める」というのはどういうことを定めることを大体予想されておられますかと、こう尋ねるのは当然なんでしょう。そういうものがなければこんな文章入れる必要ないわけでしょう。ところが、こうやって聞いてもちっとも具体的な御答弁ができないということは、ぼくは、要するに、特連局の行政機構そのものが北方問題についてきわめてつけ足しのような扱いをやっておるところに基因するものと私は解釈するのです。こういうことではいかぬですよ。法案を出して法案の説明が満足にできないような、そんなことで国会で審議できないでしょう。いいですか。これはまたいつかの機会に、この法案が成立してからでもお聞きしますが、それでは前に進みます。 そこで、法制局の方いらっしゃっておりますか。
○政府委員(田中康民君) はい。
○川村清一君 法制局の方にはなはだ恐縮なんですがお聞きしたいのです、これは。私、法律に対してはずぶのしろうとでございますから、法律の専門家からひとつ御説明をいただきたいということでお尋ねするわけですが、この立法技術上の問題についてお尋ねしたいわけであります。この法案をずっと読んでみますと、法案の附則の第十一条でございますね、附則第十一条で北方地域旧漁業権者等に関する特別措置法を改正することになっておるわけです。そこで、この改正点をずっと検討していきますと、一部改正どころか、この法律そのものがもうずたずたに切られてしまう、法律の態様をなさないように変容されてしまうわけですね。この法律はもともと第一条「目的」に明らかなように、北方協会を設立して、そうして北方地域旧漁業権者等その他の者に対して必要な資金を低利で融通することを目的にして制定された法律なんですね。ところが、ただいま提案されているこの法案が制定されますと、その北方協会とその業務はすべてこの北方領土問題対策協会というものに承継されることになるわけです。このことは私は理解されるわけですが、そこで立法技術上の問題なんですけれども、どうもよく理解ができないわけなんです。で、本法案の附則によって旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律をこういうふうに実際的にはなくなるように、もう形がすっかり変わってしまうわけですから、だとするならば、この法律によって現在ある法律を改正するのではなくして、ここに単独立法があるわけですから、なぜ一体この単独立法を、現在ある法律をこれを改正するという、そういう方法をとらないものか、この点がちょっとわからない。あるいは、この新しい協会ができますというと、十月一日以降は北方協会というものは吸収合併されてしまってこの北方協会は解散されてしまう。北方協会が解散され消滅してしまえば、その母法である旧漁業権者等に対する特別措置法という法律はいわゆる存在の目的を失ったわけですから、もうなくなってもいいのではないか、廃止してもいいのではないかというような気もするわけです。そこで、こういう新しい法律をつくることによって現在ある法律を一部改正するということで、もうずたずたに切ってしまって実質的になくしてしまうような、こういうような方法をとることが、もちろんこれは違法ではないと思うのですが、私にはどうもこれは適当な方法でないように考えられるのですが、この点はまことに法律はしろうとでございますから、ただ常識論で言っているのですから、専門家として、法制局のほうの御見解を伺うというよりも、ひとつ教えていただきたい。こういうことは一体適当なんですか、こういう方法は。
○政府委員(田中康民君) ただいまのお尋ねでございますが、私たちもいま先生が仰せられましたように、立法技術上の方法としてはいろいろあるかと思います。ただいま仰せられましたようなふうに、いままでの北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律を改正いたしましてこの北方領土問題対策協会法の中に全部吸収してしまうということも考えられますし、それから今度はそれと逆に、北方領土問題対策協会法というものをひとつ制定いたしまして、その中に北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の内容を全部吸収してしまう。つまり一つの法律でやる方式と、それからそうでなくて、やはり北方領土問題対策協会法というものをつくりますが、それ以外に、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律というものも残しておく。この二つが私は大きく分けてあると思います。その場合に、まず一つにすることにつきましては、私はいずれもすっきりする形でございますので、それも今回の場合には適当だと思いますが、ただ、従来北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律というのがございまして、旧漁業権者等に対しては一種の政府からの補償的措置がこれでとられておるというようなこと、しかも、その事業は今後もなお続くんだということからいたしまして、やはりそういういきさつを考えてみるならば、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律はあくまで残しておいたほうがいいんではないかというふうに考えるわけでございます。そこで、全部を一体とするやり方はこの場合とらないほうがいいという判断になりまして、二本立てにするということにまずなったわけでございます。その二本立てにする場合に、しからば、いままでの北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律を全く直すような形であるから、これも全面的に改正した別の法律を出すべきではないかというような御議論もあろうかと思います。しかしながら、今回のこの附則で改正いたしております北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の改正は、確かに法人の根拠規定と申しますか、旧北方協会に関しまする規定を全部削除いたしまして、それ以外に、北方協会が行ないます事業に関する規定はそのまま残しておる。あの北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律は、一つは北方協会を設立してというのが柱であり、かつ、その北方協会に特別の事業を行なわせるという柱、この二つあると思います。そのうちの法人格と申しますか、法人に関する規定は今回北方領土問題対策協会のほうに統合されましたけれども、その事業に関する法律につきましては、依然として重要な柱として北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律に残しておいたほうが適当であるという判断が、すでに先ほど申し上げましたようにあるものでございますから、その一つの柱だけを残した。その一つの柱を残すことによってその法律はずたずたになったというお話でございますけれども、私たちといたしましては、形の上では確かにいままで五十条に近は法文がありましたが、数としては非常に減るわけでございますが、しかし、実質的には柱がそのまま一つの柱として残っておるということでございまして、私個人といたしましては、今回の改正が今度のような事態に応ずる適切な改正方法ではないかと、こういうぐあいに考えるわけでございます。
○国務大臣(床次徳二君) 先ほどお尋ねの沖縄問題と北方問題との総理府におけるところの事務の取り扱いの分量等につきましては、仰せのごとく、過去におきましては確かに北方問題に対しましてはウエートが少なかったし、分量的にも少なかったと思います。これは北方問題が、元来政府自体が取っ組んでおりましたところの情勢と申しますか、また世論の状況等におきましても、大きく差があったのでありまして、今日におきましては、このおくれを取り戻すと申しまするか、領土問題に対する北方の重要性というものに対しまして、あらためて世論を喚起し、また、政府といたしましても努力いたしたい、かような結果になったのでありまして、過去の事実に反省を加えまして十分今後とも努力をいたしたいと思う。今後ひとつこの新設いたしまする協会と政府の仕事というものを十分に考え合わせまして、北方問題の解決に努力いたしたいと思います。しかし、ただ、北方問題自体について、政府自体がみずから手を出していいものと、あるいは適当でないものとございますので、この点は協会というものの特質を十分に考えまして、協会の活動にまちたい、まつのが相当多いのではないかというふうに考えております。もとより、外交問題におけるところの北方問題の解決というものは同時に並行して進んでいくのであります。お含みおきをいただきたいと思います。 それから、なお、先ほど政令に対するお尋ねでありまするが、実は政令の内容におきましては、立法当初におきまして当然政令の内容において何を書くべきかということが予定されておるわけでありまして、先ほど政府委員からちょっと御説明いたします際においてことばを濁したのでありますが、その内容は、たとえばこの十九条の第一号の「北方領土問題その他北方地域に関する諸問題」、いろいろあるのでありまするが、安全操業のごとき問題があるのでありまして、この問題につきましては、国の施策の啓蒙を行なわせるとすれば、これは当然一号に入るのではないかと思うのでありますが、この点まだ安全操業というものが十分にここに具体的に表示すべきかどうかということ等につきましても議論がありましたので、「諸問題」という形に扱っておるのでありまするが、しかし、安全操業のごとき問題につきましては、これを行ないます際におきましては農林省と共管するということが適当であるというふうに考えておったものであります。立法の際におきましてこの点を具体的に書きません経過がありましたので、実は政令の中にそういうことを予想しておるという事情でございますので、御了解をいただきたいと思います。
○川村清一君 ただいま法制局のほうから御説明をいただいてまあわかったんですが、われわれは常識論で言って、どうも釈然としないんですが、専門的な立場から言えば、こうすることが適当なんだという御意見ですから、それにとやかく言う筋合いはないと思いますが、ただ一つ御要望しておきたいのは、これはこれを提案された総理府のほうのお仕事だと思うんですが、十一条で北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部をもう全然体をなさないように削ってしまうわけですから、そうしますと、これは第何条から第何条まで削る、第何条は削る、第何条は削るとありますから、それは前の法律と比べてみると、もうわからないわけです。どれが一体残るのかわからないわけです。とすれば、これを削ってしまったあとに残ったのはこれだけなんだと、そうして、もとの法律はこういう形の法文になっているんだということを出していただくのが親切な方法ではないか。もちろん、これはありますよ、いただいたこれにありますけれども、こういうようなやつでなくて——これは三つか四つ削ったんならわかるんですよ、まるっきり削ってしまうんですから、まるっきり削ってしまったら、どれが残ったのかわからない。残ったのはこれだけだと、第何条と第何条は削ってこれだけ残りましたというものをここに出していただくのが親切ではないかと思いますので、これは意見だけ申し述べておきます。
○国務大臣(床次徳二君) ただいま法制局から御答弁申し上げましたように、本来の北方協会の事業というものをさわらずにそのまま存続させるということを主眼に実は法律のたてまえを扱ったのであります。関係者等におきましても不安を感じないようにいたしたいというつもりで書いた結果、かような立法的な取り扱いになったわけであります。 なお、仰せのごとく、この附則等におきまして法律を整理いたしました結果、現在の形はどうなっておるかということは確かにわかりにくいのでありまして、私もあらためてここに書き直してもらったのを持っておるような次第でありまして、これをあとでもってお配りいたします。
○川村清一君 それじゃ質問を続けたいと思うんですが、附則第十一条に、「第三条北方領土問題対策協会は、北方領土問題対策協会法」とあって、「が交付を受けた十億円をもって、引き続き、次条各号に掲げる業務」を行なうと、こうあるわけですが、結局、これは第四条から第九条まで削除して、第四条の第一項の「政府は、協会に対し、その業務の遂行に必要な資金の財源に充てるための基金として、十億円を国債をもって交付する」という第四条の第一項だけが新しい法律に今度生きてくるわけですね。そうすると、四条から九条までみんな削除してしまうと、北方協会のほうの法律の第四条の二項、三項、四項は消えてしまうわけです。消えてしまうというと、十億という交付国債だけはわかるけれども、この十億という国債がどういう性格のものか、これがわからなくなってしまうのであります。これはどこでそれは規定しているわけですか。
○政府委員(加藤泰守君) もとの法律の第四条は、北方協会に対して政府が十億円を交付するという規定でございます。したがいまして、この条文そのものを生かすわけにはまいりません。と申しますのは、今度の新しい協会が引き継ぐということになります関係で、この条文にかわるべきものとして三条を置いたわけでございますが、その三条に規定しております十億円の国債の性格といいますか、その関係は、実は二十六ページの附則の十二条でございますが、「前条の規定による改正前の北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律第四条第二項の規定により発行された国債については、同条同項から第四項までの規定は、当該国債が償還されるまでの間は、なおその効力を有する」、この規定で生きているわけでございます。
○川村清一君 だから、そのことを私が申し上げている。第四条の第一項は生きているわけです。そこで第一項は、さっき言ったように、「政府は、協会に対し、その業務の遂行に必要な資金の財源に充てるための基金として、十億円を国債をもつて交付する」とあってその「十億円の国債」は生きているのですよ。だから、これは附則の第三条でうたわれている。ところが、第四条から第九条まで削除してしまうんだから、第一項だけは生きたけれども、二項、三項、四項は消えてしまうでしょう。そうすると、第三項にある「前項の規定により発行する国債の償還期限は、十年とし、その利率は、年六分とする」といったようなことは、どこでこれを説明するのですか。
○政府委員(加藤泰守君) いま私お読みいたしました附則の第十二条でございますが、そこでもとの法律の第四条の第二項から第四項までの規定、すなわち第三項にある「国債の償還期限は、十年とし、その利率は、年六分とする」という規定は、「国債が償還されるまでの間は、なおその効力を有する」という規定を附則の第十二条に置いております。ずっと、第十一条がこの法律の改正規定でございますが、そのあとのほうにあります。
○川村清一君 それじゃ、私のミスです。これは法文があっちこっち行ってしまって十二条が見えなかった。それじゃ、いまの質問はわかりました。 それじゃ、北方協会に交付した国債十億円というものは、これは昭和三十六年にこの法律ができまして国債十億を交付いたしました。この十億の国債の性格、それから何を根拠にして十億を出されたのか、これをひとつ昭和三十六年の時点に戻って御説明を願いたい。
○政府委員(加藤泰守君) この現在の北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律ができる段階におきまして十億円の国債を政府から交付する、こういうことになったわけでありますが、その国債を交付したものを基金として協会は運用していく、そういうことでございまして、国債そのものは普通の交付国債でございますが、その根拠になりました交付された十億円というものの性格といいますか、その算定された基礎といいますか、そういうようなものにつきましては、当時の考えといたしましては、漁業権の補償がその地域には行なわれていなかったということ、それから、この地域から引き揚げられた方々は、海外から引き揚げられた方ということではなくて、わが本土の一部に居住することができなくて引き揚げられたわけでございますので、その方々について何らかの対策を講じなければならないというようなことを勘案いたしまして、総合的に勘案した結果として十億円がきめられたものと承知しております。
○川村清一君 その当時、北方地域におりました旧漁業権者から、昭和二十四、五年ごろ本土に漁業を営んでおった漁業者に対しましては漁業法の改正に伴って旧漁業権を補償したわけです。そこで旧島民の方々が、ぜひわれわれにも漁業権を補償してくれという強い要請があったはずなんですが、それと十億との関係ですが、要請があったことは十分おわかりだと思うのですが、一体どのくらいの要請があってそういう十億になったのか。十億と旧漁業権補償との関係をもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
○政府委員(森沢基吉君) 先ほど加藤参事官からお答えになりましたとおりでありますが、もう少し詳しく申し上げますと、いま川村先生御指摘のように、旧漁業法にかわりまして昭和二十四年に新しい漁業法が公布になりまして、本土においては旧漁業法によります漁業権が消滅いたしまして新漁業法による新しい漁業権が免許されました。そのときに旧漁業権の消滅に対して漁業補償がなされたという経過がございます。北方地域におきましては、ソ連の占領によりましてわが国の施政権が及ばないという特殊な事情もありまして、旧法による漁業権の補償を法的に行なうことができません事情がありましたが、ただ、関係者のいろいろ置かれておりますいろいろ苦しい事情、また、漁業者以外の方々のいろいろの困難等を考慮されまして、政策的に十億円の国債が交付されて北方協会ができ上がったことは御承知のとおりでありますが、その十億円の算定の基礎の中には、当時の考え方といたしましては、法的には漁業権の補償を行なうことができませんでしたけれども、かりにその時点におきまして漁業権の補償を行なうとしたならば、どのくらいの金額になるのかということを算出をいたしました。漁業権と申しましても、旧法によりまして専用漁業権、特別漁業権、定置漁業権、入漁権等いろいろ種類がございますが、基準年次の漁獲量あるいは魚種の単価等からはじきまして、一応七億五千万程度、これがそれに見合うものである。したがって、法的には漁業補償を行なうことができませんけれども、国債の算定の基準として七億五千万程度というものを一応の基礎といたしましたという事実があるのであります。それ以外の二億五千万につきましては、先ほどお話のございました一般の引き揚げ者対策、北方問題の調査研究、あるいは啓蒙宣伝費等の事業の財源として加えまして十億というものがきまったというふうな経過でございます。
○川村清一君 ただいま水産庁の御説明によりますと、当時の漁権業、これを当時の漁獲量その他に見合って換算するというと七億五千万程度に相当したというような御説明がございますが、私の持っている資料によりますと、歯舞群島、色丹、国後、択捉地先海面において、当時専用漁業権が九件、定置漁業権が千三百七十件、特別漁業権が七十七件免許されておりますが、これが七億五千万とはいささか低過ぎるのではないかという感じがするわけですが、それじゃ、もっとこれの内訳、専用漁業権九件については幾らで、定置漁業権千三百七十件では幾ら、特別漁業権七十七件では幾ら、そういうような資料ございますか。
○政府委員(森沢基吉君) 七億五千万の内訳をもう少し詳しく伝えろということでございますので、これはいろいろ要求、それから大蔵省といろいろ御相談した経過、そういうものがございますが、いま申し上げました七億五千万の中に、いわゆる主として専用漁業権、一部入漁権がございますが、——に基づくものが約五億八千万程度算定の基準としては入っているというふうに考えております。
○川村清一君 そうしますと、現在は、水産庁としましては、この十億でもって旧漁業権は実質的には補償したというお考えですか。
○政府委員(森沢基吉君) 先ほども申し上げましたとおり、旧法による漁業権が消滅して新法を施行する場合に、全国で百八十億程度の漁業補償を政府が行ないましたが、この地域につきましては、非常に残念でございますけれども、施政権がございませんでしたので、旧法による補償を行なうことができないということでございますので、水産庁といたしましては、北方地域の旧漁業権者に対して漁業補償をこれから新たに考えるということは、これはできません。ただ、漁業権補償についてはそうでございますけれども、将来、安全操業の問題あるいは幸いにして本土復帰等の場合等につきましては、いろいろ漁業の操業上あるいは漁業振興対策上にはできるだけ前向きな措置を考えたい、そういうように現在検討をいたしております。
○川村清一君 いや、私のお尋ねするのは、当時、行政権が及ばない地域である、したがって漁業権の補償はできない、こういう御見解で漁業権を補償していないわけです、本土はみなしましたけれども。そこで先ほどの御説明によれば、十億の交付国債の中に、いわゆる当時の漁業権補償というものを見積もれば大体七億五千万である。七億五千万というものを見積もって十億の国債交付をしたのであるから、名目上は漁業権補償ということではないけれども、十億の国債交付をしたことによって実質的には旧漁業権はこれで補償したことになるのだということは、今後漁業権補償ということはもうこれは考えておらない、こういうことになるのかどうか、それを明確にお答えいただきたいということであります。
○政府委員(森沢基吉君) 重ねて申し上げますが、先ほど申し上げました理由によりまして、この地域の旧漁業権者に対する漁業補償ということは、水産庁として行なう考えはございません。
○川村清一君 これはきわめて重大な問題でございまして、当時——昭和三十六年にこの法律ができまして北方協会が設立され国債十億が交付されたこの時点において、北海道においては、この地域の方々は、大体旧漁業権をその当時の金に直すと九十億ということであるということで、九十億ということを主張して国のほうに働きかけた。ところが、旧漁業権は補償ができないということで、十億という国債が交付されて北方協会が設立されて今日に至っておるわけであります。ところが、現時点において、これは委員の皆さま御承知のように、先般の委員会で、現地から参考人がおいでになっていろいろ供述されたその中で旧漁業権補償というものを強く要望されておる。で、私は特にどのくらいの金額ということを尋ねたら、それはいろいろ試算中である。私の聞いておるところでは、現在において換算すれぱ百六十億に当たるだろうと言われておる。ところが水産庁は、これは旧漁業権の補償をする考えはない、できないということを御答弁になった。これはもう重大でございますから、これはまた質問をあとに残します。 そこで私はこの法案審議にあたりまして、参議院外務委員会調査室から参考資料をいただいております。その参考資料の中の三ページに、「政府は、「漁業権はたしかに物権であるが、免許という形で行政的に創設された権利であるため、ソ連軍の占領によってわが国の施政権が及ばなくなった以上、旧漁業権は一応消滅したものと考える」」——これは昭和三十五年四月五日、参議院外務委員会における法務省並びに内閣法制局答弁である。法務省と内閣法制局がこういう答弁をされておる。これは資料に書いてある。 そこで、法務省と内閣法制局にお尋ねしますが、いわゆる施政権が及ばなくなったということは私も承知して「おりますが、それで旧漁業権は一応消滅したということは、これだけの文章では私なかなか理解できませんので、どういうわけでこれは旧漁業権が消滅してしまったものか。これは法律的にこういうことになるのかどうか。それから、沖縄とか奄美大島とか小笠原とか、そういうところとも対比して、私が納得いくようにひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(田中康民君) これは御承知のとおり、昭和二十一年の一月二十九日の覚書によりまして行政権の分離というのが行なわれまして、わが国の施政権は当該島興には及ばなくなったという事態がございました。で、わが国の施政権がなくなりましたために、その地域に地域的に効力を持っておりました法律なり命令というものは、その限りで効力がやはりそれでストップになってしまったというふうに実は考えるわけでございます。ところが、漁業法はどうだということになりますが、漁業法というものは、ある部分につきましては、特に漁業権に関する規定につきましては、その地域が領土であるということを前提としてつくっておると考えられますので、その地域についての施政権がなくなりました以上は、その部分に関する効力も一応その限りでストップになってしまったものと私たちは考えるわけでございます。ところで、その漁業法に基づいて主務大臣が免許をするという形において成立いたします漁業権というものでございますので、一般のこれは物権というふうに取り扱われてはおりますけれども、その成立が行政行為によって与えられるものであるという事実に着目いたしますと、その地域にかかるわが国の施政権がなくなった以上、しかも漁業法に関するその部分の効力が失われてしまったものと考えられる以上は、漁業権に関する根拠が失われましたので、漁業権はその時点において効力が消滅したものと、こういうようにわれわれは考えております。そのために漁業権が消滅いたしました関係で、昭和二十四年、五年にわたります漁業制度改革によって、内地につきましては旧漁業権に関する補償が行なわれましたが、当該島興につきましては行なわれなかった。これは沖縄につきましても小笠原につきましても同じような法理が働いたものと、かように考えておるわけでございます。
○政府委員(新谷正夫君) ただいま法制局からお答えになりましたとおりに考えております。
○川村清一君 それじゃ水産庁にお尋ねしますが、現在、日本の漁業法というものはこの北方海域に適用されますか、されませんか。
○政府委員(森沢基吉君) 現在の施行中の漁業法——新法でごさいます——これは、 いま先生おっしゃいました海域には及んでおります。
○川村清一君 現在の漁業法が適用されておる。それで、旧漁業法と旧漁業権というものは、先ほども御説明のように、昭和二十四年に新しい漁業法ができた。そこで、旧漁業法に基づくところの漁業権というものをこれを補償して、そうして新しい漁業権を免許したと。で、新しい漁業法がこの海域で適用されておる。それで旧漁業法だけが消滅してしまって、それは補償できない、これはどういうわけです。
○政府委員(森沢基吉君) 先ほど来申し上げておりますのは、旧法による漁業権が消滅した、したがって旧漁業法による漁業権者に対する補償はできませんと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○川村清一君 沖縄、小笠原等はどうですか。
○政府委員(森沢基吉君) 先ほどお答えになりましたとおりでございまして、沖縄、小笠原につきましては北方領土の問題とやや事情が異なっております。北方領土につきましては日本の施政権が及びませんけれども、この地域につきましては潜在主権がありまして、施政権も向こうの施政権下にあるということで、漁業法の旧法によります補償ができないことは全く同じでございます。
○川村清一君 総務長官にお尋ねしますが、北方領土——国後、択捉、歯舞、色丹、これは政府はわが国の固有の領土であるとはっきりもう言明されておる。そうして今度は、客観的にも国際的にもこの主張をはっきりするために、建設省国土地理院発行の日本地図の上にこの四島ははっきり日本領土として明記する。そして、地理院が毎年しかるべき面積調べに、わが国土の面積の中にこの四島がちゃんと入る。そしてこの面積によって、北海道並びにそれを持つ市町村に対し普通地方交付税を交付する、この交付税の積算の基礎にすると、こういうことをはっきりと国会で、予算委員会で自治大臣が言明されておる、総務長官も御承知のとおり。おかしいじゃないですか。これで矛盾しませんか。潜在主権が沖縄、小笠原にあったと。しかし、固有の領土だ、日本領土であるということで、対外的にも地図の上にはっきり示して、面積調べの上にはっきり出て、日本の国土の面積の中に入って、そうして地方交付税の交付の対象になる。この地域には施政権が及ばないから、したがって旧漁業法に基づく漁業権は補償できないと、昭和二十四、五年ごろの見解ならば一応わかるとしても、現時点においてなおこういうことを言っておることは、一体、矛盾しておりませんか。どうですか。
○国務大臣(床次徳二君) ただいまのお尋ねの点が北方問題の非常にむずかしさでありまして、領土そのものに対しましては、固有の領土であり、当然わが国が施政権を持っておるべきでありまするが、実際問題におきまして行政権を行使することができないという実情になっておるのであります。したがって、この点につきましてはソ連の不法占拠であるという考え方でありまして、返還を求めておるわけでありまするが、しかし、行政的には、漁業権はもちろん、一般の地方行政等におきましても行使ができない状態であります。しかし、交付税等その他の問題におきましては、これは北海道におきましてはやはりこの問題に関しまして相当経費がかかりますので、この点を交付税の対象としよう。また、日本の固有の領土として主張しておりますので、日本の領土の中に算入しておるというわけであります。ただ、このことが行政権が行使できてるということではない。御理解をいただきたいと思います。
○川村清一君 行政権が行使されておらないことは百も承知二百も合点でよく知っております。そういうことなら、何も北方領土だなんて言って、わが国固有の領土、わが国の領土であるが、わが国の行政権が及ばないというところ。それならば、日本の領土だと言って、地図の上に載せて、そして交付税を交付するなんておかしいじゃないですか。これは国内法の運用の中でそういう考え方でやっているのでしょう。対外的にもこれはわが国の領土であるということを説得する一つの大きな足がかりといいますか、説得させるところの一つの要素としてそういうことをやるわけでしょう。だとすれば、現時点において、もとそこにおった方々のその旧漁業権というものを補償してやるのは当然でしょう。沖縄と小笠原とは違うと言う。どこが違うかと言ったら、サンフランシスコ平和条約の第二条と第三条の違いだ。沖縄のほうは第三条、千島のほうは第二条、この違いだけである。そして、そうなれば、第二条がそれほど違う違うと言うなら、第二条にはっきり「放棄する」と書いてあるのです。放棄したものをわが国の領土だと言っていま主張しているわけでしょう。しかしながら、あそこで放棄したのは、ウルップ島以北シムシュ島までの北千島は放棄したのだが、南千島は放棄しないというのが政府の見解でしょう。それを主張されているのでしょう。だとすれば、放棄していないのだから、その時点からわが国の領土でしょう。わが国の領土であったならば——施政権は及ばないというのは、それは力関係で及ばないかもしれないけれども、そこにおる人に補償するのはあたりまえな話じゃないですか。それはおかしいですか、私の言うことが。
○政府委員(田中康民君) ただいま先生がおっしゃいましたのは、政治論として私どももまことにそのとおりだと思います。ただ法律論、全くの法律論から申し上げますと、昭和二十一年の一月二十九日に行政権が分離されてわが国の施政権がそこでストップになったという事態におきまして、漁業権は消滅しておるわけでございます。漁業権という権利が消滅いたしますると、これはもはや生き返らないものでございます。そこで、漁業権というものについて、旧漁業権を補償するという法律上の問題はもはや起こってこないわけです。これはいかなる事態になっても起こってこない。ただ、ありますのは、今後、そういう旧漁業権者に対する現在の地位とかそういうものを考えました場合に、政府としていかなる対策を講ずるか、そういう立法政策として私はあるものと考えます。
○川村清一君 これはあなたは法律の専門家ですから、法律論、法律論ということでおっしゃる。それは当然です。私は法律論はしろうとだから、あなたに言われるとわからないけれども、どう言われても私には了解できないのです。なぜかなれば、終戦後あそこに行政権が及ばなくなったと。そこでですね、行政施政権が及ばなくなったからして、旧漁業法というものはそこで消滅してしまった、漁業権というものは消滅してしまったのだと、この考え方でもって現在までずっと来ているなら私はわかるのですよ。ところが、政府の考え方はそうでなくなったのですよ。国後、択捉はわが国の領土であると言う。わが国の領土であるということを言っているのです。それなら、施政権が及ばなくなったと、いわゆるわが国であるけれども、領土であるけれども、施政権は及ばないということは、一体潜在主権があるということと違うのかね。だから、法律的にはサンフランシスコ条約第二条と第三条によって、第三条のほうは、潜在主権はある、施政権は及ばないけれども潜在主権はある。第二条のほうは、放棄してしまったのだからこれは潜在主権もない。その見解でずっと今日まで来ているならこれは話はわかるのですよ。ところが、国後と択捉はこれは放棄していないのだという見解なんですよ。それじゃあ、施政権はいまはないのだ、ないということはソ連の占拠によって施政権が及ばないけれども、わが国の施政権はあるということなんです。潜在主権はあるということなんです。潜在主権がないならば何で一体わが国の領土だということを主張するのです。潜在主権はあるということです。あるとすれば、法律的にサンフランシスコ平和条約の第二条と第三条によって違いはあるけれども、実体的には沖縄と同じです。どうなんですか。
○政府委員(田中康民君) 私が申し上げましたのは、領土権の問題とは全く関係なく、権利はすでに消滅したという一点であります。これは全くの法律論であります。権利がすでに消滅した以上は生き返らない。そういう原則でもはや権利そのものに対する補償はないということであります。ですから、それ以外の、あすこの領土権を主張する現在におきまして、そういうところにおきまして旧漁業権者におきます地位に着目して特別の考慮を払うことは、これは政府としてのまた義務であろうと考えます。
○川村清一君 それじゃ沖縄や小笠原は漁業権は消滅しなかったのですか。
○政府委員(田中康民君) 漁業権は消滅いたしました。ただ、沖縄につきましては、わが国の旧漁業権に相当するものを、新しく琉球において琉球の法律という形式でございますから、その点はわかりませんが、それによって認めたということは水産庁から聞いております。
○川村清一君 とても納得いきませんから、これは単に法律論じゃないのだよ。政治論なんだよ。これは総務長官でわからなかったら総理大臣に来てもらわなければわからない。
○国務大臣(床次徳二君) ただいまおことばがありましたが、北方領土に関しましてはウルップ以北、いわゆる北千島は放棄しております。したがって、日本の施政権はないというように考えております。しかし、今日問題となっております四つの島、これは固有の領土であります。したがって、当然わが国の行政権も及ぶべきでありますが、とにかく不法にソ連から占有されておりますので、及ばなければならないはずの行政権が及ばないというのが現実の姿であります。まことに不自然な姿であります。筋は立ちませんけれども、現実にさような状態である。だから、完全に施政権を行使できますように返してもらいたいという交渉をしているわけでございます。したがって、そういう区域に対する人たちの過去の権利あるいは現状におけるところの姿をどう扱うかということが私は政治問題だと思います。したがって、今回の漁業権の問題におきましては、漁業権の補償という形とは違っておりますけれども、そういう特殊な地位にかんがみまして、十億円の国債を出しまして援護等の措置に当たろうということであります。全く特殊な状態に対する特殊な措置である、いわば政治的な措置であるというふうに考えていただくべきものだと思っております。
○川村清一君 これはやはり調査室からいただいた資料ですけれども、この十億円については、政府は見舞い金の形で十億円の国債を出して北方協会をしてその利子の貸し付けを行なわしめることになったのであるということを説明されておるわけです。それから、見舞い金の形、これといわゆる旧漁業権者への補償との関連、それから、いまの総務長官の非常に政治的なそういう御答弁、その中でもって、いわゆる旧漁業権は消滅したから旧漁業権の補償はできないのだ、しかし、それにかわるものとしてすることが政治的な一つのあれであるとおっしゃるならば、十億円というもの、これはけっこうなんですが、一体これで、この水産庁の言われるように、旧漁業権というものは形を変えて十億円というものの中で完全に消化された、こういう御見解でございますか。
○国務大臣(床次徳二君) 漁業権の積算がはたしてどうであったかということにつきましては、私存じておりませんが、しかし、その当時におきましては、ただいま申し上げましたような考慮から十億円というものが算出された。その基礎につきましては先ほど水産庁自体が申したところでありまして、なお、見舞い金ということばを使っておりますのは、私が申し上げましたような事情にかんがみまして、あえて補償とはむろん言えないと思います。したがって、見舞い金という形で名前が使われておったと思うのでありまして、その意味におきまして私はきわめて——いまおことばがごさいました——政治的配慮とでも申しますか、そういう特殊なものである。これをはっきりと定義づけるということは、ほかに例がない特別な扱いであると私は考えております。
○川村清一君 まあ、私一人で時間使うわけにいかぬので、もうそろそろやめますけれども、私自身は正しいことを言っていると思うのですよ。これはわからない。あなた方は役人頭と法律論から一歩も出ないのだよ。法律論になってくると、こっちはしろうとだからやられてしまうのだからしかたがないのだが、これは筋は私のほうが通っていると思う。もう少し検討してください。 実際問題を一、二お聞きしますが、このいただいた資料によりますと、要するに、協会が今度はこの種の問題でもう事業は昭和四十四年度は一億三千万の貸し付けを行なう、こういうことでございます。そこで一億三千万は私は知っているのですが、こういうことなんです。十億を出しまして、これが六分の利子なんですよ。そこで六千万の利子が出る。その六千万の利子運用でその協会の業務運営をやるわけです。ところが、その六千万のうち人件費並びに管理費で大体三千万近く使ってしまうわけです。そうすると貸し付ける金は三千万しかない。三千万ぐらいの金を回したってしようがないから、そこで、この十億を何とか早期に償還してくれるように政府のほうに要望したけれども、十年間のこれは期限つきの金——国債ですから出てこないのですよ。そこで北方協会ではどうしたかというと、その十億の国債のうち一億を北海道信用漁業協同組合連合会にこれを買い上げてもらって、ただし、これは昭和四十五年に買い戻すという約束で買い上げてもらって、そうして一億とこの三千万をプラスして一億三千万というものを運用しているわけです、御承知のとおり。ところが、この一億というものは、昭和四十五年ですから来年返さなければならないですよ。それを返してしまうというと、今度は三千万しかないわけですよ。この辺をどうするのかという問題が一つ出てくる。 それから、時間がないからかためていいますが、長官、この辺は疑問に思いませんか。せっかく鳴りもの入りで法律をつくって、これは十月一日発足ですから六カ月間の予算ですが、これが総額でもって千八百六十三円万、このうち人件費六人分その他の管理費を入れて千百六十九万三千円取られる。そうすると事業費に回るのが六百九十三万七千円。これはこの間局長の御答弁があった。そうでしたね。これはきょういただいたのはちょっと数字違いますが、六百九十三万七千円。そこで私が聞きたいのは、長官いいですか、いままではいいのだ。今度、北方協会も新しくできる協会に合併してしまう。業務が一項、二項、三項、四項、五項附帯業務とありますね。一項、二項、三項は総理府所管であの協会をおもにやり、それから四項のいわゆる金融等の仕事は従来どおり北方協会、これは農林大臣がおもに所管してやるということになる。同じ協会で事業やるのに、片方の人件費は千百六十九万円というものは国から出す。片方の旧北方協会のほうの人件費は、これは六千万の利子運用の中から半分の約三千万使ってしまう。いままではこういうものなかったから、それで文句はつけなかったけれども、今度は、同じものがやるのに片方のほうは人件費はまるまる国だし、片方のほうの人件費はその国債の利子の中から出てくる。これは矛盾していませんか。いま言ったように、六千万のうち三千万使ってしまって、実際の貸し付けてある金は三千万しかないですよ。どうですか。ですから、私の言うことは、当然この北方協会、この金融の仕事をするところの人件費も国が持ちなさいと、それから、来年は一億も漁信連に対してこれは買い戻してやってしまうのだから、原資が足りないから、国が一億か二億の早期買い上げをしなさいと、こういうことなんですよ。できますか。
○国務大臣(床次徳二君) 非常に、北方協会が今後仕事が同じように続けられるかどうかということの御不安だと思うのでありまするが、そういうことのないように運営してまいりたいと思います。したがって、従来から十億を中心として運営してまいりました北方協会自体は、これは別勘定でもって一般の思想宣伝等の問題には流用しないようにいたしまして、そうして従来の仕事を存続させるようになっております。 なお、人件費につきまして、国が持たないのはおかしいじゃないかというお話でありまするが、元来の十億円自体も国から出してありますので、したがって、やはり国から出た人件費でもって北方協会が行なってきているというふうに考えられると思っております。なお、将来におきまして北方協会が貸し付け業務等につきまして資金繰りの関係上増減することがあると思うので、それを御懸念になっていると思うのでありまするが、私どもは、できるだけ北方協会が従来からやってまいりました業務が同じような形でもって存続できて一般関係者に不安を与えないように今後とも努力してまいりたいと。この点は今後の経営のあり方であります。私どもはさような点に配慮してまいりたいと思っております。
○川村清一君 十億の交付公債は三十六年に出て十年間。そうすると昭和四十七年に全額償還される——現金化されちゃう。その後どうしますかという問題が一つあります。それから、いま言ったように、十億の利子運用。六千万円くらいじゃ足りないです。もっとふやすお考えがないのかどうか、もっとはっきり端的に言っていただきたい。 それから、人件費は当然国が持つべきであるというこのぼくの主張に対して、何かわかったようなわからないような御答弁ですが、それはあらためてこの協会と同じような処置をするというのかしないのか、この点をはっきり、そのことだけ端的にひとつ御答弁いただきたい。
○国務大臣(床次徳二君) 十億円の国債につきましては、償還の時期に検討いたしたいと思っております。今日におきましてこれをどうするということを申し上げることは、今日はまだできません。未定であります。 それから、経費につきまして、北方協会が従来やってまいりました経費に食い込んでこれを侵すというようなことは考えておりません。 なお、事業自体につきまして非常に不安を感ぜられることのないように、原資の運用その他の際におきましては、十分予算上検討いたしたいと思います。
○委員長(山本茂一郎君) 川村君、時間がちょっと。
○川村清一君 わかりました。 もう一点、それじゃ一人で時間を使って恐縮でございますから、これは一括して全部やってしまいます。 水産庁にお尋ねいたしたい。それは安全操業に関連してですけれども、ずいぶんいままで、私、数字あげませんけれども、御承知だと思います。拿捕抑留された漁船員に対する援護処置です。これは前回の委員会でも御質問があってそれに対する御答弁を聞きましたが、はっきりしていない。それは李ラインの侵犯によって韓国に拿捕抑留された乗組員と、北方海域におってソ連に拿捕抑留された乗組員との援護処置は非常な差がある。これは納得いかないわけです。同じなのはどういう点かというと、見舞い金。これは一人一万円。それから死亡見舞い金七万五千円。これは韓国と北方は同じですけれども、北方のほうになくて韓国のほうにあるのは、差し入れ品の購入費補助、これが年三回に分けて、一回三万二千円ずつ。それから医療費補助。通院の場合は一カ月二千円以内。入院の場合は一カ月一万二千円以内。それから帰還の場合の経費。たとえば上陸地の宿泊費とか帰郷の鉄道運賃であるとか、荷物の発送費であるとか、帰郷の雑費であるとか、車中の食糧費であるとか、こういうものは韓国の場合には支給している。ところが、北方のほうには支給しておらない。こういう差をつけることは納得いかないわけであります。なぜこういうことが同じ取り扱いをしないのか、その点を明確に御答弁願いたいことが一点。 それから、これは法務省のほうにお聞きしますが、これも前回御質問がありまして御答弁いただいたのですが、これはどういうことかというと、北方領土に本籍地を移転したい、こういう問題と、北方地域に残してきた財産、この財産——不動産登記の問題です。これも法務省のほうの見解は、何かもう施政権が及ばないといったようなことによってこれは行なわれないようでありますけれども、ここもどうもわからないわけです。それから、法務省はこういうことも申されている。引き揚げ者の本籍はほとんど都道府県に現在移っている。これも了解されます。それから、住民の住んでいるところに本籍地があることが便利である、引き揚げ者の本籍が昔の島にないといっても別段それは不便、実害がないではないかといったようなことも述べられている。これも理解できることはできるわけでありますけれども、しかしながら、北方地域はわが国の領土であるということを政府がはっきり主張している。だとすれば、わが国の領土であるならば、本人がそこに本籍を移したいという希望、意思があるならば、それは本籍を移すことができるというのがこれはやはり戸籍法のたてまえではないか。あくまでもこれは属人主義のたてまえから言って、本人がそこへ本籍を移したいと言うならば、移せるのではないかと思うのですが、これはどうしてできないのか。これを明確にひとつお答えいただきたい。 同じように、これは残置財産、いわゆる不動産登記の問題、これもどうしてできないのか。これはやらなければもう当時の方々がなくなる。むすこの代から孫の代にもうなろうとしている。はっきり財産登記しておかないと、本人のきわめて不利益なことが出てくると思うわけでありますから、そういうことが強く要望されている。これもできないということはどういうわけなのかということをお答えいただきたい。 それから最後に総理府長官にお願いしたいことは、これは先ほど長官の話の中にもあったのですが、どうも各省庁の行政措置がまちまちである。一貫していない。統一されておらない。自治省あたりは非常に進んだ考え方を持っている。総理府あたりも相当進んだ考え方を持っている。ところが、さっきのように、法務省や水産庁あたりは非常にかたくなな頭で、法律から一歩も出ていない。法律の解釈がぼくは違うのではないかと思うのですが、ぼくは法律解釈などは自信がないのですけれども、もう少し弾力的な頭をもって解釈すればぼくはできることではないか。それを、かたくなにできないできないと言ってがんばっている。そういうことは国のやっぱり方針とぼくは違うのじゃないかと思うのですね。この辺どうなのか。せっかく総理府総務長官はもっと各省の意思を統一されて、きちっとした考え方でもってこの北方領土の問題を解決していただきたい。 かためていろいろ御質問しましたが、以上お答えをいただいて私の質問を終わります。
○政府委員(森沢基吉君) 韓国の拿捕されました抑留の見舞い金とソ連の見舞い金の相違がありますこと、いま川村先生御指摘のとおりであります。いずれも閣議決定に基づくものでございますが、端的に申し上げますれば、いま先生が御指摘になりましたような差があって、韓国に厚くソ連の拿捕に薄い。もちろん、ソ連の見舞い金は、ソ連だけではなくて、いまはございませんが、当時中国大陸並びにソ連に拿捕された漁民の救済ということで、閣議できまったものでございます。これは端的に申し上げるならば、当時の抑留をしております韓国の内部の抑留事情というものが極度に悪かったということがその理由の主たるものでございます。若干分解をしてお答え申し上げますと、御指摘の、差し入れの購入費に対する経費とか、医療給付について韓国の場合はあったがソ連はないではないか、こういうことでございますが、これは韓国の抑留所におきます食糧の事情、衛生状態というものが非常に悪うございまして、ソ連も決してよかったとは申し上げませんが、特に極度に悪うございまして、抑留中の栄養失調等によりまして健康を害する抑留者の方が非常に多うございました。それで留守家族から差し入れを必要とするというふうな事態がございましたので、特に差し入れ関係の経費についても考慮をいたしました。そういう事情がございます。また、帰還後の医療給付につきましても、ソ連の場合はございませんが、同じような理由で、抑留事情の極度に悪かったということから、特別の措置をとりました経過がございます。また、帰還後死亡なさいました方々に対する特別交付金についても同じような理由でございます。それから、帰郷の費用等につきましては、韓国の場合等におきましては、昭和三十二年に両国政府の間に覚書がございまして、集団的に韓国から抑留された漁船を送還をするというふうな背景のもとに送還を行ないました経過がございますので、上陸地点から郷里へお帰りになる経費、これはおもに西日本でございますが、かなり広範囲なところでもございますので、帰郷費用を韓国の場合特に考慮したというのがこれを設けました理由でございます。
○政府委員(新谷正夫君) 戸籍関係についてまずお答え申し上げますが、前にもお答えいたしておりますので、若干重複するかと思いますが、お許しいただきたいと思います。 戸籍につきましては、沖縄と比較するのが一番御理解が早いのではないかと思うのでございますが、沖縄におきましては、連合軍が占領いたしまして、その後、昭和二十一年の一月二十九日、行政分離の覚書が出ました。その後平和条約ということになるわけでございますが、その間一貫いたしまして、連合軍側としましては、従前の日本の戸籍法の適用を肯定しておったわけでございます。したがいまして、沖縄に従来本籍を持っておった人は、そのまま沖縄に本籍を持つ、市町村も従前の市町村がしばらくは続いていたわけでございます。そういう体制にあったのでございますけれども、沖縄に本籍を有する人たち十数万人の方が日本の本土に居住しておられた。行政分離によって沖縄と本土の間の交通も遮斯されまして、戸籍の届け出もできないというふうな事態になりましたために、昭和二十三年のポツダム政令というものによって、沖縄に本籍を持っておる人たちのために、日本政府で戸籍事務を取り扱ってよろしい、こういうことになったわけであります。その限りにおきましては、いわば現地の施政権の一部が日本政府に移された、こういうふうに見てもよろしいかと思うのであります。そういう経緯がございますので、沖縄に本籍がある人たちの戸籍事務を向こうの市町村にかわって日本の内地の特別の事務所でやってよろしい。こういうことになったわけであります。ところが、北方領土におきましては、ソ連軍に占領されまして以来、米軍あるいは連合軍のとったような措置が、北方領土地域については行なわれておりません。現在も、政府の見解といたしましては、北方領土地域はいずれの市町村にも属しない地域というような、特別の地域と考えられておるわけでございます。したがいまして、そこには市町村というものもなければ、また、当然市町村の理事者あるいは市町村事務をとる機関というものもないわけでございます。戸籍法によりますと、御承知のように、本籍というものは市町村の区域内に本籍を置くと同時に、当該の市町村長が戸籍事務を管掌する、こういうことになっております。沖縄の場合には直接日本の法律が施行されていたのではございませんけれども、間接的に従前の法律によって、従来の戸籍事務が扱い得る体制にあったのが、日本側の特別の機関によって戸籍事務をとり得るということになったわけでございますけれども、北方領土についてはそういうことが考えられません、法律的には。そういう問題がございますので、北方地域に現在本籍を設けるということはできないということが一つでございます。それと、終戦後大部分の方は本土に引き揚げられまして、こちらに本拠を置いて生活しておられます。また、転籍の手続もとっておられるのでありまして、沖縄の場合とは事情がだいぶん違うわけでございます。もちろん、現在釧路の法務局の根室支局、そこに関係の戸籍簿とあるいは副本、さらに除籍簿等も全部保管してございます。したがいまして、関係の方々にはできるだけの御便宜ははかってまいっておるので、ただいま申し上げましたような事情によりまして、北方地域の戸籍事務というものは取り扱うことができない状況に置かれておるのでございます。 それから、財産権の関係でございますが、これは登記の関係を中心にしてお尋ねであったと思うわけでございますが、登記事務といいますのは、ただ簿冊の上で記入だけすればよろしいという仕事ではございません。相続におきましても現在の相続法の関係で、共同相続さらにその遺産の分割という問題も起きてまいりますと、実地の分割、合併というような措置も必要となってまいるわけでございます。登記所といたしましては、実地の調査、測量、検分等をいたしまして、表示の登記というものを行なうという仕組みになっております。ところが、北方領土地域には、そういった行政権が事実上及び得ない状況でございますので、登記事務はこれは事実上行ない得ないというのが現状でございます。とは申しましても、相続の関係で非常にお困りの方もおありだと思いまして、前にもお答えいたしましたときには、その点について何か一つくふうをこらしてみましょうというふうにお答えいたしたわけでございます。現在私ども考えておりますのは、相続の登記はできませんけれども、特別に帳簿を設けまして、相続の申告がございました場合には、その関係の事項を一応記録にとどめておきまして、施政権が復帰した暁に直ちに適正な登記簿に再現できるような措置を講ずる、こういうことにいたしておる次第でございます。
○川村清一君 総務長官の答弁の前にちょっと。 長官ね、いまの法務省の御見解ですね、法律的にはまことにそのとおりだと思うのです。ですから、財産登記なんかも、ただ帳簿の問題だけではない。実際にそこをやっぱり知らなければできないという、これは法律的には当然そうだと思う。ところが、国土地理院の面積調べだってそうなんですよ。実際にはからなければそれは出されないですよ。それで今日までおくれてきたわけです。ところが、今回、いままで出ているあれでもって、択促島の面積はどれだけ、国後島の面積はどれだけ、歯舞群島の面積はどれだけ、色丹島の面積はどれだけ、総体面積はこれだけだということで国土の面積の中に入れて、そうして普通地方交付税の積算の基礎にすると、こういうことになるので、だから、法務省の見解はぼくは正しいと思うのです。ところが、一方国土地理院では、そういうこともこれは法律的にはできないのですよ。できないことをいまやろうとしている。ですから、もっと各省も意見を総合して、統一したもので前進する形で見解を統一してもらいたい。そうして行政を強力に施行してもらいたいというのがぼくの言い方なんです。それを踏んまえてひとつ長官御答弁願いたい。
○国務大臣(床次徳二君) 今日まで北方問題に対する国のあり方と申しますか、これは十分徹底しておらなかったと思います。さような意味におきまして、今後この解決のために一そう努力いたしたいというので、昨年以来、国といたしましても方針を、さらに決意を新たにいたしまして、さらに各省のとっております処置等におきましてもなかなか統一性を欠いておったと思うのです。したがって、北方問題各省連絡会議をこしらえまして、そうして新たに北方領土問題解決に対して、それぞれ各省の立場に立ちましても歩調を合わせましてこれを推進いたすように着手いたした次第であります。今後ともこのふぞろいと申しますか、いろいろ十分でなかった点もあるかと思いまするが、今後歩調を合わせまして努力いたしたいと思います。 なお、地図の問題につきましては、仰せのごとく、実測いたしますのが、現在のたてまえでございますが、しかし、これが実測できない状態であります。さりとて、これをわが国の固有の領土と主張しながら面積に入れないということはまことに不合理でございます。過去に実測いたしました古いものを基礎にいたしまして積算いたしまして、新しい面積、ほかのほうは新しく実測いたしましたものと一緒にいたしまして日本の領土の面積というふうにいたしておるわけでありまして、これまた今日実測ができません関係上、やむを得ない措置と考えておるのであります。なお、法務省等の取り扱い等におきましても、現実においてやむを得ない立場に立ちまして、先ほどお答え申し上げましたような結論に立っておりますが、しかし、要は、基本的な固有領土の返還という立場に立ちまして、今後とも政府全体の施策を統一いたしまして、遺憾のないように処置いたしたいと存じます。
○渋谷邦彦君 初めに、本論とちょっとはずれますが、外協大臣にお尋ねをしたいと思います。 日本国内において諜報活動が行なわれて、それに関係する者がたまたま外交官であるという場合の政府としての措置はどのようなおはからいをされるのか、まず、それを最初に伺いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 成規の手続によって日本国におります外国の外交官は外交官の特権を持っておりますから、常識的に申せば、そういう外交官特権を持っておる者に対しては司法上の取り調べ、捜索というようなことはできにくい状況にある、これは一般的の常識であると思います。
○渋谷邦彦君 スパイ活動にもいろいろあるんでしょうが、なかんずく、軍事あるいは今回のような産業スパイ、日本の国にとって、考えてみると、産業スパイというのは日本の国益の上からもきわめて不利益をもたらす。いまの御答弁でございますと、外交官特権を持っている者については、これはもう、極端に申せば、大っぴらにやっても、これは日本の官憲の手の遠く及ばないところである、単に事情聴取に終わってしまう、このように理解してよろしいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 条約局長からお答えいたします。
○政府委員(佐藤正二君) 外交官の特権に関しましては、御承知のとおり、ウイーンでできました外交関係に関する条約もございまして、それに日本も入っておりますわけでございます。それから、まあ一般的な国際法、伝統的な国際法といたしましても、外交官の一身上の、外交官その人に対する不可侵権と申しますか、特権を持っておるわけでございます。したがって、今回のいわゆる産業スパイの問題は、あれは外交特権を持っていない人間だと私理解しておりますが、もしあれが外交特権を持っておるといたしますれば、刑事裁判権から原則的に免除されているわけでございます。したがって、この免除を外交官自体が自発的に放棄しない限りは、いわゆる裁判所に呼んでこれを取り調べ、あるいは罰するというようなことはできなくなるわけでございます。ただ、これは自発的に放棄するということも観念的には考えられるわけでございますし、それから、それ以外に、非常に事案が、今回の問題とは別個に考えまして、事案が非常に日本のためにおもしろくないというような場合に、その外交官の本国に対してこれの召還を要求するというようなことは、これは外交の通常のやり方としては行なわれているところだと承知しております。
○渋谷邦彦君 もう一点。 今後こういうことの起きないことがわれわれとしては非常に望ましいことでありますが、外務大臣としては事実の判明するまではおそらく言明を避けられるであろうと思いますが、条約局長のお話でございますと、本国政府に折衝の手続をとった上で強制送還というようなことは十分考えられるような趣のお話のように聞いておりますが、やはり今回の場合もそのような強硬手段をとられるおつもりがございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 私、ただいま参りましたので、ただいままでの御質疑の内容を承知いたしませんから、あるいはとんちんかんなお答えをするかもしれませんが、この、某国の外国人が日本におってそれが某国との間に何か通謀した事件があるということを前提にしてのお尋ねかと思いますけれども、まず第一に、事実関係をまだ捜査当局から十分に聞いておりません。それから、いままで新聞等で承知しておるところでは、正式の手続による外交官特権を持っておる者では、一方は、なさそうであります。したがって、このほうについては、日本の国内における窃盗その他の容疑があります場合は、これは当然日本の司法権の発動で取り調べも検挙も捜索もできるわけで、そういうことで進んでおると思いますが、その相手方になったほうの状況については、いま申しましたようにつまびらかでございませんので、これは具体的な事案でございますから、内容がもう少し捜査当局から明細にわかりましてから、それによって判断し処置しなければならないと思っております。その場合におきましても、これは、ですから、一つの原則論、観念論でありますけれども、本国に外交チャンネルを通して折衝をして、そして先方の出方もどういうことであるか見なければなりますまいし、それらを勘考した上で、いかなる具体的措置を要請するかということは、その後にきめるべきことであって、いきなり頭から強制送還という措置に出るということは、通常の場合におきましてもこれは適当でない、あらかじめきめてかかって措置すべきものではない、こういうふうにいまのところは考えております。
○渋谷邦彦君 それでは本論に入ります。 昨年十二月の末に外務大臣はトロヤノフスキー大使と会見をなさったとき、やはり北方領土問題について相当真剣に折衝されたやに伺っております。けれども、残念ながらやはり回答はいままでと何ら変わりない、一歩も出ない、こういうふうに記憶をしております。やはり先般来の御答弁を伺っておりましても、今後ねばり強く、何らかのチャンスを見つけて強力な外交折衝の展開を通じてこの領土返還の具体的な効果をあげてまいりたいという御意向のようでございましたけれども、今年秋に予定されておりますグロムイコ外相の訪日に対しまして、再びこの領土問題が爼上にのぼることは必定であろう、こう思います。沖縄問題については、秋の佐藤訪米に関連しまして、相当いま強力にあらゆる角度から日本の立場というものを主張するための資料が集められているようでありますけれども、グロムイコ外相とのそうした会見が実現した暁に、この北方領土問題についての懸案の解決にあたっての青写真というものはもうすでにでき上がっているでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 日ソ間の状況におきまして、ことしはソ連側の外務大臣が日本に来る番になっておる、と申し上げと、非常に俗な言い方でございますけれども、日ソ間のかねがねの約束といいますか、話し合いによって、ことしは東京において日ソ間の諸懸案の話し合いをすることになっております。したがって、ソ連側としても原則的にそれに異議はないのであって、ただ現在、何月の何日ごろということにはまだ確定をいたしておりません。しかし、こちらとしてはもちろん迎える用意をいつでもいたしておるわけであります。来れば、いろいろの案件もございますけれども、わがほうとしては領土問題が最大の問題でございますから、もちろんこれに対して話し合いを進める十分の準備をいたしておるわけであります。しかし、そこで、いまお尋ねのように、グロムイコ外相が来て会談をやって、その結果想定される青写真というものが結論的に描かれているかというお尋ねに対しては、残念ながら、まだそこまでは行っておりません。それから、ついででございますけれども、ソ連側は、一方、日本に対しては、なるべく最近の機会に日本の総理大臣の訪ソを期待しておるわけでございますが、これはしかしまだペンディングして、行くとも行かないともきめておりません。やはり、こういった領土問題というような非常に大きな問題が目前にございますから、東京においてはまずグロムイコ氏を迎えて談判したいと思っておりますし、また、しかし同時に、先般も新聞にもちょっと報道されておりましたが、インド大統領の国葬がありましたときに、政府としては長谷川農林大臣を政府代表として国葬に参加させました。その際ブレジネフとも接触の機会がございましたが、そのときにもこの領土問題を提起しており、あらゆる機会を利用してこの領土問題については必ず日本側として強い要請、期待というものを表明をいたしておるようなわけであります。
○渋谷邦彦君 いまのお話ですと、たいへん悲観的なそういう展望の上に立った御所信のようでございます。なるほど、歴史的に見た場合でも、領土返還については少なくとも百年以上かかる。これが過去の例であったように覚えておりますが、今回の場合もそういうあらゆる困難な要素というものがございまして、相当長期間にわたるんじゃないか。ただし、アルサス・ローレンの例等もございますので、やはり忍耐強い交渉というものが前提になるであろうし、いまのお話ですと、ソ連としても佐藤さんの訪ソを期待している。言うなれば、単純な考え方かもしれませんけれども、きっかけをつくるには一つのチャンスじゃないか。むしろ、こういう機会に、佐藤さん自身が乗り込まれて、やはりトップレベルの会談というものを強力に一方においては推し進める。効果があるかどうかはそれは未知数にいたしましても、それがやはりわが国外交の前進的な役割りを果たす一環ではないか、このように感ずるわけでありますが、その点についてはせっかくいま外務大臣からそうしたお話がございますので、何とか北方領土返還という悲願を達成する意味においても、あらゆるチャンスをやはり生かしていく、やはり不可能を可能にしていくという、そうした今後の接触というものが非常に大事ではないか、こう思うわけであります。で、加えてカイロ宣言といい、ポツダム宣言といい、あるいはヤルタ協定といい、これは当時のいわゆる連合国のイニシアチブをとった国々が中心となってつくられた宣言であり協定である。これは国際法上見て、はたしてどれだけの効力を有するものか、先般の当委員会においての、たしか欧亜局長の御回答だったと思いますが、ソ連なんかにおいては条約を結んでも一方的に放棄をしている、こういうお話があったわけであります。実際、信義にもとるようなそうしたことがいままでもしばしば行なわれていることは申すまでもないことなんでありますけれども、もしもそうしたことがかりに許されるとするならば、その当時の連合国の国々が集まるというようなことも考えられましょうし、また、単独にいままでもアメリカに対し、イギリスに対し日本の立場というものを十分理解してもらうためにも、側面的な返還への道を開く、そういう外交折衝というものは考えられないのかどうか、これについてお願いしたいと思うのでございます。
○国務大臣(愛知揆一君) この「側面的」ということにもいろいろの方法があり得ると思いますが、とにかく政府としては、この国会にあたりまして、開会のときの総理の所信演説等にも、北方領土の問題は明確に政府の意向として内外に宣明しているわけでありますから、これは適当な方法であるというようなお考えが国民各層の中から浮かび上がれば、そういうことを取り上げるのに決してやぶさかではございません。先般も当委員会でもお話がございましたが、実はソ連のこの外交政策というものも非常に微妙でもあるし、また流動的である面もあるようにも想像されますし、とにかく、この機会に決意を新たにして、ほかのたとえば安全操業の問題等については、先般も政府の意図を申し上げましたが、着々準備を進めてまいりたいと思っておりますが、それにしても、その交渉にいたしましても、北方領土の返還ということが基本的にわがほうの絶対的要請であるというそのワクの中でやろうとしているということも、これはいわば側面的にもいろいろやっているということにもなろうと思います。いま申しましたように、あらゆる方向に向かって推進をしなければならないと考えております。
○渋谷邦彦君 従来からの懸案事項を大まかに分けると、四つぐらいに集約できると思うのでありますが、しかし、その問題すらも、たとえば抑留船員を早く帰してもらいたいという問題、あるいは全面返還という問題等々、いろいろとあるわけでありますが、いままでしばしば考えられ、判断の裏づけとされてきた一つの考え方をもう一ぺんこれは再確認という意味でお伺いしておきたいのでありますが、北方領土を返還しない限りにおいては日ソ平和条約を結ぶべきじゃない、あるいは日ソ親善友好というような立場に立って、いわゆるスマイル外交を通じてやはり根気強く外交折衝の上で返還というそのチャンスをねらうべきじゃないか等々の、そういう考え方が、いまなおやはり支配的ではないかと、こう思うんでありますが、政府としては今後のそうした返還については一つの貫かれた基本的な考えというのが当然おありになると思いますので、この際あらためて、政府としてはこういう方向で断固として進むということをお聞かせいただきたいと、こう思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 領土問題がわがほうの所期するような成果をあげ得ざる限り、日ソ間には平和条約の締結というようなことは考えない、これは基本方針でございます。その基本方針のもとに現在あらゆる機会をとらえてねばり強く主張の貫徹につとめていると、これはしばしば申し上げたとおり、政府の既定方針でありますし、それから、向こうの態度は態度として、こちらとしては、もう実に、いままでも、またこれから、ただいまでも執拗にこの主張はあらゆる機会に繰り返していることは、先ほども一、二の例を申し上げたとおりでございます。
○渋谷邦彦君 これも外務省の管轄になるんだろうと思いますが、現在まだ六十数名の抑留船員がいるということを聞いておりますが、まあ、いつもこうした問題で不愉快な思いをするわけです。で、最近はむしろ日本海域にポンプ船を持って来まして、大量の魚をとっておるという事実もございます。ただ、わが国としては遠くからそれをながめてぼんやりしているだけであると、まことに歯ぎしりする思いでありますけれども、せめてこの抑留船員については、なぜ一体抑留しなければならないのか、われわれ国民感情としてはとうてい理解に苦しむところでありますけれども、ならば、事実は事実としても、早急にやはり釈放の手続をとると、こういったことは当然いままでも繰り返し繰り返し話題になってまいったわけであります。現在なおかつそうしたような人たちがいる場合、一体いつごろをめどとして抑留船員の釈放を願っておるのか、また話し合いをしておられるのか、これを外務省からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) この点ももう繰り返し繰り返し機会あるごとに要求をいたしております。即時釈放の要求であります。それから、現在抑留されている気の毒な同胞が何人いるかということでございますけれども、ただいま、遺憾ながら、いまおあげになりました数字よりも若干現在の数字は上回っております。その実数をあらためてソ連側に釈明を求めるとともに、即時釈放を強くただいまも要請中でございます。
○渋谷邦彦君 次に、総務長官にお伺いをいたしますが、先ほど来からいろいろ論議がございましたけれども、私は主として引き揚げてこられた方々の援護対策ということについて若干伺いたいと思うんですけれども、先般も参考人の方が見えられまして、るるこの窮状を訴えられたわけであります。結論は、政府のもっとあたたかい施策をほしいと、そういうことでございました。そこでまず、いま新しくいただいた資料から申し上げてみたいと思うんでありますが、「啓もう宣伝」、なるほど今度の新しくできる協会の内容としてこういうことが盛られているわけであります。業務としてこういうことをやる「啓もう宣伝」と、まことにけっこうだと思います。ただ、第三番目の「援護」がまことに少ないですね。この予算措置が四十六万五千円と。しかし、その内容というのは多岐にわたっておるようでございますね。簡易水産加工、漁船幹部要員養成等々でございますが、はたしてこれで実際にできるのかどうなのか、まずこの点からお伺いしていきたいと思います。
○国務大臣(床次徳二君) 旧北方の引き揚げ者等に対する援護の問題でございますが、一般引き揚げ者同様な援護措置をいたしておりますが、特に北方の関係者として掲げましたものは、この3にありますものは従来南方同胞援護会において行なっておりましたもので、この二行目にありまするが、千島会館の運営、これは国におきまして経費を出しましてこの会館を建設いたしまして、そうしてここを中心といたしまして各種の援護事業を展開いたしておるわけであります。なお、このほかに旧北方協会、今度新しくこの団体に吸収することになりまするが、十億円の国債によりましてこれを運用いたしましてそうして援護業務をいたしておるわけで、さようなことを通じまして努力をいたしておる次第であります。
○渋谷邦彦君 言われたことはわかるんですけれどもね、たとえばいま私ずっと中身をあげたわけです。具体的にこれはどういうことをおやりになるのかですね。どう考えてみてもこの予算じゃできそうもないというまず実感がわくんですよ。それじゃ何もつくった意味がないんじゃないか、有名無実になるんじゃないかと、それを心配したからいま申し上げているわけです。
○国務大臣(床次徳二君) 南方同胞援護会におきましては、すでにだいぶ前につくりまして今日まで運営いたしておりますので、具体的な事項につきましてはさらに御説明をいたしますが、比較的金額の少ないのはそういう形で少なくなっております。 なお、北方協会の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、大体四十四年度におきましては貸し付け計画一億三千万円というものでもって援護に役立たしておるような次第であります。できるだけ今後の運営におきましても援護に対しましては遺憾のないようにつとめたいと思っております。具体的の問題につきましては、局長から御説明申し上げます。 —————————————
○委員長(山本茂一郎君) この際、委員の異動につきまして御報告申し上げます。 ただいま前川旦君が委員を辞任され、その補欠として松井誠君が選任されました。 —————————————
○渋谷邦彦君 いまの一億三千万の件もそれはよく理解しております。ただ南方援護会の引き継ぎであるからこのくらいの予算でまあまあやっていけるというような、そういうお話のようでございますけれども、いま伺っておりますことは、この実際の業務というのはどういうふうに行なわれているのか、ずいぶんございますね、そのあとにも。「郷土民芸品の製作等」と。その「生業研修」、そういうものの実施をやるんだと。はたしてできるのかどうかということですね。これをいま私がお尋ねしているわけなんです。もしできなければどういう措置をとられるのか。
○政府委員(山野幸吉君) これは実は会場は千島会館を利用しまして、例の返還同盟のほうへ委託しまして、千島連盟に委託しまして、そこが中心になります。たとえば研修やるときには、その千島連盟が講師を呼びますれば、その講師の謝礼金とか、そういうようなものを中心に予算を組んでおるわけでございます。この事業を計画します場合には、この引き揚げ者の皆さんの御意見を十分聞きまして、千島連盟なり南方同胞援護会、特連局等でよく相談しまして事業計画をつくっておるわけでございます。 なお、ここにございますのは半年分の予算でございまして、さらにいま御指摘の不十分な点があれば、地元の意見等も十分聞きまして、明年度さらに検討して充実をはかってまいりたいと、かように考えます。
○渋谷邦彦君 どうも納得がしかねる御答弁じゃないかと私は思うんです。四十六万五千円という予算が半年分であれば、一カ月は大体八万足らずですね。それに、いまおっしゃられたように、講師を招聘したときの謝礼であるとか、交通費であるとか、相当やはりかかるのではないかという感じもいたしますし、こまかい、こうした郷土民芸品を製作させる場合にしても、その原材料であるとか、そういうようなものがかかるのではあるまいかというふうになりますと、はたしてこれでできるのかどうか。私、なぜそのことをくどいように申し上げているかといえば、先般も参考人から、こうした問題について非常に不安な点があるという、そういう訴えがございましたので、そうした今後の運営面においてやはり効果のあがるような、そういうことを期待したいがゆえに、その点を申し上げておるわけでございまして、何も意地悪してどうこう言うのじゃないのです。おっしゃられていることがさっぱりわからないから、何度も何度もいま聞いているわけです。
○政府委員(山野幸吉君) まあ、こういう地元の引き揚げ者の研修会とか講習会とか、そういうものはずっとのべつにやっているわけじゃございませんで、たとえば一月にはこういうことをやろうとか、三月にはこういうことをやろうとか、集中的にやるわけでございます。したがいまして、私どもこの予算で十分かどうかと、こうお聞きになりますと、なお、あるいは足らぬところも事実はあるかと思います。しかし、従来の実績等を考えまして、地元の要請等を見まして、一応半年分としてこれを計上したわけでございまして、もし実績等をさらに検討しまして不足分があれば、国の予算で、地元に迷惑をかけないで措置をしていきたいと、かように考えております。
○渋谷邦彦君 最初からそうおっしゃっていただけばよろしいんですよ。 次に、ちょっと脈絡のない話になってたいへん恐縮なんですが、これはたしか総理府が援助されてつくった、特連局でつくった資料ですね、先般いただきましたけれども。しかも、これは昭和三十四年の資料です。非常に古い資料をこの間も参考人の方からいただいたわけですけれども、これによりますと、引き揚げてこられてから給付金というものを出しておられますね。ここに書いてある。ところが、実際に法律に暗い人、手続を怠った人、そういう人たちがおったために、この給付を受けるべき資格を持っておりながら給付を受けられなかった人が約七、八百人にのぼるようなふうにここに出ておりますけれども、その後、そうした人たちについては全部平等に漏れなく支給がされているんでしょうか。 〔委員長退席、理事源田実君着席〕
○政府委員(山野幸吉君) この第四表にございます引き揚げ者給付金でございますが、これは御案内のとおり、厚生省で事務を取り扱ったのでございまして、その支給の結果をここへ出してございますが、たとえば申請手続がなされなかった場合等、いろいろあげてございますけれども、なお、申請の意思のないものとか、表示のないものとかございまして、この分につきまして、最終の数字はまだ私ども持っておりませんが、厚生省にはあると思いますが、実はいま御指摘のような内容に対して私ども答えるだけの準備はできておりません。
○渋谷邦彦君 厚生省にあるという、いみじくもやはりセクト的なそういう不安定な問題がいま出たんじゃないか。実際は総理府でこれを掌握をなさって、たとえ厚生省のいままでの取り扱いであっても、これをきちんとなさるべきがほんとうではなかろうか。そういうところにも一種の危倶を抱くわけでありますけれども、今後そうした点についても万全の責任を持ってひとつ掌握をしていただきたいものである、こう申し上げておきたい。 それから申し上げたいことは、引き揚げてこられた方々の今後のいろいろな問題があるだろうと思うのです、新しくできる協会を基盤にいたしましてですね。ところで、帰ってこられた方の分布状態を見ると、北海道、青森、富山、あとは非常に数が少のうございまして、それでも全区域にわたっているこうした人たちの掌握、また指導、啓蒙等々は一体どういう機関を通じておやりになるのか。
○国務大臣(床次徳二君) 旧北方から引き揚げられた方々に対する掌握は、千島連盟が大体連絡機関になりましてやっております。しかし、それぞれ地元に帰りました場合には、市町村を経由して県段階に入ってまいります。しかし、幸いにいたしまして、大部分が北海道にありますので、北海道の関係におきましては比較的地元では把握をよくいたしておると思います。先ほどお尋ねになりました給付金等におきまして、手続が徹底していなかったのじゃないかという御指摘でありますが、この点につきましてはよく連絡をとりまして、特に北方のものが手続が非常におくれているということのないように努力いたしたいと思います。 〔理事源田実君退席、委員長着席〕
○渋谷邦彦君 その点は重々ひとつ長官お願いしておきたいと思うのです。いまこうしてようやく北方領土の問題が重大関心事になってきたやさきでありますので、万遺漏なきを期していただきたいと思います。 引き揚げてこられた方々のいわゆる就業の実態を表によって拝見いたしますと、非常に多いのは日雇いということになっておりますですね。漁業に従事している人はきわめてまれである。引き揚げる前には約八〇%が漁業に従事していた。その他商業、あるいは旅館業、飲食業、大まかに分けてそういうような状況のようでございまして、しかし、引き揚げてこられた方々は漁業も思うようにならないようなことで、あるいは農業に転業された方もあるようですし、あるいは帰島を夢みて、じっとしんぼう強く待ち望んでいる、そういう人たちが非常に多いのじゃないか。ですから、日雇いでも多少のしんぼうはしながら現在やっておる。これじゃ非常にかわいそうだと思いますですね。石炭産業がいよいよ急傾斜のようにだめになったとき、雇用促進事業団がこれを救済している。そうして、それぞれの人に向く職業を与えている。そういういろいろ考えられる方法があると思うのですね。むしろ、その援護というものは、政府のあたたかい手がどう差し伸べられるかどうか、政府の恩恵がどう行き渡ったかどうか、これできまるような感じがするのですね。そこで、職業訓練というものを含めまして、いままで具体的にどういう一体施策をとられてきたのか、どうなのか。今後見通しのつかないようなこういう問題をかかえて、やはり何といっても生活というものの基本になりますので、今後その人たちが十分に立ち行くように、そのような配慮がこれからも払われていこうとされるのか、単にその事業資金を融資するということだけでは、やはり合点がいかない面もあろうかと思います。やはり中にはサラリーマンを希望する人もございましょうし、あるいはその他のいろいろな自分の希望する職種を選びたいという、そういう人たちも大ぜいいるのではないかという見地に立ちまして、一体そうした人たちの希望というものがどのように受け入れられ、そうしてまた、政府としてはどのような配慮をいままでに払われたか、今後どうされるのか、こうした点についてお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(床次徳二君) 一般的な問題といたしましては、すでに厚生省その他でもってやっているのと同様に行なっておりますが、特に北方につきましては、先ほど申し上げましたように、北方協会また南方同胞援護会というものが、一般のもの以上に、特に北方のもと島にいたという立場に立って処置をいたしておるわけでございます。現在におきまして、これらの方々に対する援護におきまして遺憾な点がありますれば、今後、新しくできましたところの協会等におきましても十分努力をいたしますと同時に、やはり単に協会だけでもって処置するばかりでなしに、一般の職業関係その他の施設等を十分に活用いたしまして努力いたしたいと思っております。
○渋谷邦彦君 最後に要望といたしまして、先般の参考人等の意見、希望というものは総務長官も重々に御存じだろうと私は思います。また、途中からだったと思いますが、お聞きにもなっていらっしゃると思います。どうか、その人たち、該当者の方々が危倶を抱くようなそういうような施策の行なわれないように万々注意をされて、せっかくつくられるこの北方協会の本来の精神にのっとった十分な効果をあげていただくように努力をしていただきたい。このことを申し上げて、私の時間が参ったようでございますから、質問を終わります。
○春日正一君 今度の法案は、引き揚げてきている人たちの援護の問題と、それから領土の返還の問題と、二つの内容を含んでおりますので、両方お聞きしたいのですけれども、まあ、外務大臣に、ちょっとお急ぎのようですから、領土の問題のほうから私は順序を変えてお聞きいたします。 この北方領土の問題では、私ども共産党も、あの千島列島というものは、南千島、北千島を問わず、全体として日本の領土である。戦争で取ったものでもなければ侵略で取ったものでもないと、だから当然日本の領土であるべきものである。したがって、サンフランシスコ条約で放棄させられたということは、やはり戦後処理において不公正な扱いがあったというふうに思っております。だから、これは返らねばならぬと、この点では政府の考えとも一致すると思うのですけれども、ただ問題は、それをどういう論拠に基づいてどう取り戻すかということになると、これは道理に即して現実的に解決していくという道をやはりわれわれ追及しなきゃならない。そういう意味で、一番先に、政府としてソ連に対してどういう国際法上の立場、こういうものからこの返還を要求しておられるのか、また、ソ連はそれに対してどう答えておるのか、その点からお聞きしたいのですが。
○国務大臣(愛知揆一君) この問題につきましては、特に最近になりましてからと言うと語弊があるかもしれませんけれども、政府が国後、択捉、歯舞、色丹、この四島についての主権の回復といいますか、返還を求めているということに対しまして、国内的にそれでは狭過ぎるではないかというような御議論があがっておりますことは、私はもうほんとうに率直に申しますが、これはむしろ喜ばしいことであるというぐらいに考えております。ただいまもお触れになりましたが、政府としては、実は率直に言えば、南樺太にいたしましても、決してこれは戦力、武力によって奪取したものであるとは考えておりませんことは、従来からも、あるいはサンフランシスコ会議当時においても、背景として主張していたことでございます。しかし同時に、やはり日本が独立を回復したそのサンフランシスコ条約の条文のできた背景、あるいはその当時の論議、その会議における各種の発言というようなものによって考えてみますれば、国後、択捉については——まあ歯舞、色丹は当然過ぎるくらい当然でごさいましょうが——国後、択捉については、もうサンフランシスコ条約のときに考えても、あるいはその前のいろいろの沿革や条約その他の点から言っても、これについてはもういわば十二分の根拠が主張し得る、こういう立場から、そのころから、それからこの前も御答弁いたしましたように、昭和三十一年当時におきましてあらためてこうした論議が起きましたときにも、政府の態度は明確にされておるわけでございますが、いま申しましたような点から申しまして、国後、択捉はもう絶対的に日本のものである、したがって、南千島あるいは北千島とかいうようなことばも混淆を生ずるから使うまいということにして、ますます政府としても根拠づけというものを明確にいたしてまいった。こういうことは、従来もソ連側に対するわれわれの返還主張の根拠として援用してまいったところでございますし、また、最近において特に「おかげさまで高揚してまいりました北方領土返還に対するいろいろの角度からの日本の国内のものの見方、世論というものをさらに強い背景にして交渉に臨みたい。率直な私の気持ちを申し上げますと、以上のとおりでございます。
○春日正一君 ソ連と交渉して、ソ連のほうはどういう返事をしておるのか、
○国務大臣(愛知揆一君) これが、この前も私申し上げましたように、ソ連としては、私どもとしては理解ができないような態度で、この問題は解決済みである——何が解決済みであるかわかりませんけれども——そういうことで、もうこの話には入らないと、入らないでくれという態度でございますから、十分に先方としての論拠としてあげておるところは捕捉することが困難である、こういうことが言えると思いますが、なお、当時交渉に関係した経過等について、御必要でございますれば、欧亜局長からも御答弁いたさせたいと思います。
○政府委員(有田圭輔君) ただいま大臣から申し上げましたように、この最近におきますソ連側の態度というのは、一貫して、すでにこの領土問題というのは一連の国際協定で協議済みの問題である、したがって、日本側がこの問題を提起していろいろあれこれ言うことは非常に日ソ関係に陰を及ぼすものであるという姿勢をとっておりまして、その議論の根本になる問題にはなかなか触れたがらないわけでございます。しかしながら、皆さんすでに御承知のように、日ソ共同宣言というものができましたわけでありますが、その共同宣言におきまして、この歯舞、色丹については平和条約の締結後に日本に引き渡すということをこれは約束しておりますから、これにつきましては、ソ連側も日本の領土であるということを認めたかっこうになっております。 しかし、それ以外につきまして解決ができないために、まあいわば今日においても平和条約ができておらない。この平和条約交渉の前後におきましてソ連側に用いられた議論というのはいろいろございます。あるいはカイロ宣言を引用し、あるいはヤルタ協定を引用し、あるいはポツダム宣言を引用し、あるいは連合軍の一般命令第一号というものを引用し、あるいは平和条約二条まで援用しておるのでございます。これらは、そのあるものについては有利な面だけを述べて、たとえばサンフランシスコ条約については、ソ連はその理由を申し述べても、それの参加国でないわけであります。したがって、その条約によって日本側が南樺太及び千島を放棄すると言ったことは、ソ連はそのことに加わらなかったのでございますから、これを主張できないにもかかわらず、これをもソ連側の根拠の中に一つ引用しているというような状態でございます。しかし、基本的にはソ連側の考え方は、察するに、ヤルタ協定というもので連合国側がソ連側に引き渡すということを約束した、したがって、もうそれは当然ソ連がもらったものであるというような考え方からこのような主張を展開してきておるものというふうに考えております。
○春日正一君 そうすると、政府ベースの交渉では、いまのところ取りつく島がない。向こうは、解決済みだからその問題を討議すること自体好ましくないというような態度で、問題に深く立ち入っていく取っかかりもないというようなふうに理解していいわけですか。 そこで問題は、またいまの説明を聞いてみてもあれですけれども、一番問題になるのは、まあそれはヤルタ協定があった、それでそういう申し合わせがされた。それからポツダム宣言できめられた四つの島その他附近の指定する小さな島ということできめられている。それの中に、当然ヤルタ協定というようなものも連合国の側とすれば含みにあったのだろうし、だから問題は、一番最終決定はサンフランシスコ条約で日本の政府が、千島列島の権利、権原、そういうようなものは放棄するとはっきり約束して、判こを押してしまった。その点について、いまの話では、ソ連が条約に入っていない。それで、条約に入っていないからどうこうという問題で、南方同胞援護会、これの出した資料、私いろいろ読んで勉強してみたのですが、やはりこういうものを見ても、確かに、どこに対して放棄するということはきめていない。「放棄する」と言うから、それは連合国の間でどこに帰属すべきかということはきめるべき問題であろうけれども、しかし、日本としてはもう放棄してしまったのだから、千島に関する限りは発言権はない、どう処理されようとそれはしようがない、というのが大体これなんかに出ている解釈としては一貫しているわけですね。事実、放棄してしまっている。そして、そのことは、条約批准当時の条約局長、西村条約局長の発言を見ても、「領土主権の放棄を承諾いたしました以上は、日本に関する限りは問題は解決しているわけでございます、」こういうふうに言っておるし、それから、そういう点を見ても、やはり日本としては条約上そうしてしまったのだから、取っかかりがつかめぬ。ソ連が、もう解決済みだと言って、それがまたおまえに渡す約束になっていないと言うのは、ほかの国からは文句が出る余地はあるでしょう。最終的にどこに対して放棄するということは言っていないのだから、日本に関する限りは放棄してしまったのだから、これを返してくれというような論拠はなくなってしまう。その点、非常にやはり大きな禍根になっていると思うのですね。あのとき、「放棄します」と言って、承認して判こを押してしまったということ。そうすると、やはりその時点に立って交渉をしていく道をどう開くかということを考えていくという立場をとらなければ、おまえのほうはそれに判こを押さなかったから、取る権利はないから日本に返とせ言っても、それでは筋が通らなくなる。そこらの辺ですね、どう考えておいでになるのか。
○政府委員(有田圭輔君) ただいま簡単に申し上げるために、要するにどういうことが根拠になっておるかということで、もっぱらソ連側に立ちましていろいろな項目を申し述べただけでございますので、多少ことばが足りなかったかと存じますが、要するに、わがほうの現在の対ソ交渉の立場は、御承知のように、歯舞、色丹、これは共同宣言に出ておるわけでございますが、それに加えまして国後、択捉が、これがいかなる観点から見ても日本の固有の領土であるということで、これは三島と一群島というものを強力にソ連側に対して返還を要求する。その点につきましては、すでに日本側の政府の立場といたしましては、これはサンフランシスコ平和条約で放棄していないものである、こういう立場に立ってソ連側に対応しておるものでございます。もちろん、ソ連側の立場は、一連の国際条約によって解決済みであるというような立場から、なかなかこの問題に入りたがりませんが、しかし、わがほうの立場からは、機会を見まして十分にわがほうの論拠等を説明して先方の反省を促しておるということを御報告申し上げます。
○春日正一君 その点ひとつ聞きますが、条約の批准のときの国会での説明というものの重さですね、こういうことで条約をしてきました、それで国会が承認するかしないかということで論議したものを、ずっとあとになって解釈を変えてきてしまうというようなことが妥当なことかどうか、その辺ですね。
○国務大臣(愛知揆一君) これも再々、一方において政府としては一貫して御説明しておりますが、サンフランシスコ条約締結、調印のときに、当時の吉田全権が国後、択捉ということに対して、条約論的な留保ではないかもしれませんけれども、十分留保いたしております。それから、それに対して当時の主たる条約参加国のアメリカ代表、イギリス代表がこれを支持した発言をしておる。このことがやはりこの条約が成立をしたときの背景としては一番有力な私は根拠ではないかと思います。したがいまして、いまおあげになりました一つの答弁というようなことが、率直に言って多少もやもやした点もあろうかと思いますけれども、その条約締結の本舞台からの沿革、背景、それから記録等から申しまして、政府が特に昭和三十一年当時から堅持しておりますこの解釈というものは、私は十分にソ連に対する交渉の根拠として援用できるものと、かように考えます。これが政府の態度でございます。
○春日正一君 しかし、サンフランシスコ条約のときでも、たとえば五一年の九月五日というから、条約調印される直前です。この会議でのダレスの演説でも、「第二条(C)に記載された千島列島という地理的名称は歯舞諸島を含むかどうかについて若干の質問がありました。歯舞を含まないというのが合衆国の見解であります」と、はっきりそう言って、歯舞を含まないというふうに限定しておる。そうすると、あとは含まれるということになってしまうし、それから、そういうものを受けて、当然西村条約局長も、「この条約にある千島列島の範囲については北千島と南千島の両者を含むと考えておる」と、こう言っておるのです。だから、これはもうはっきりそういうことになっておる。それをずっとあとになって、もう一つ言えば、鳩山さんが向こうへ行って平和条約を結ぶときに、歯舞、色丹は条約を結んだから返す、こういうふうに取りきめてきておるというように歴史的に積み上げられてきた。そういうものを見ても、やはり南と北と分けて、南のほうは固有の領土だというようなことは、ちょっと論に合わないし、そういうことを言おうとするから、南は固有の領土なんだけれども、それじゃ北のほうは侵略して取った領土なのか、引き渡してしまっていいのかという矛盾が出てくるわけです。南は固有の領土だから返してくれということだけに限定してしまうと、北は要らぬということになってしまう。そうした矛盾が出てきてしまうわけです。その矛盾というものは、いま言ったように、条約上約束してきたけれども、くつがえそうとして、あとから、国後、択捉は昔から日本人だけしか住んでいなかったという論拠を持ち出そうとするから、北のほうは要らぬ、切り離すという妙な矛盾になってしまう。そういうことになると思うのです。やはりそういう積み上げてきた現実を踏んまえた上で、あらためて具体的に、本来北まで含めて千島は日本のものなんだから返せという論拠を打ち出していくような態度をとっていかなければ、南だけは特別なんだと、北はじゃあどうなんだということになってきてしよう。だから、やはり、これを否定しようという論は、私はずっとこれを読んで調べてみたけれども、非常に苦しいですね。条約上ずっと積み上げられてきて、しかも国会でもそういう趣旨の説明までしておって、それで批准されていったということを見ると、それをただ南千島はこれは日本人が初めから行って開拓したところなんだからこれだけは別なんだということをあとから持ち出すという論拠は、非常に矛盾に満ちているし、力のないものになるんじゃないか。だから、その点はどうなんですか、あくまでその論で押すんですか。
○委員長(山本茂一郎君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(山本茂一郎君) 速記を起こして。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの点は、政府の考え方はこういう考え方でございます。先ほど申しましたように、サンフランシスコ会議のときの経緯、ただいま春日委員からもその一部にお触れになりましたけれども、そういう点をさらにその後明確にいたしたいと考えて、当時政府としてはアメリカ当局に正式に照会をいたしまして、その回答を受け取っておるわけでございます。そういう点から、政府の統一見解というものをその後明確にしておりますけれども、これが私が本日も申し上げているところでございまして、国後、択捉については、サンフランシスコ会議の状況、その主要参加国の意見に徴しましても十分の根拠がある。こういう立場に立って、そしてこれを交渉の根拠にいたしておるわけでございます。 それから、鳩山総理のときの共同宣言の問題にもお触れになりましたけれども、これは歯舞、色丹についてはこの帰属は正式な平和条約のときに返還をする、自余の点についてはいわば継続的に相談をするということが残されているわけでございます。こうした経緯に徴しまして、先ほど申しましたように、いろいろの観点から、むしろ新しくもっと広い範囲に及んで根拠を主張すべきであるという御議論もありますこと、これも私はごもっともな点があると思いますけれども、しかし、こうしたサンフランシスコ会議以降の状況、それから政府のとってまいりました態度、それから、明らかにしてまいりました諸点から申せば、今日ソ連に対してその胸を開かせて交渉の中に入ってこさせるのには、これが十分な根拠であるし、これは十分に納得せしめなければならない根拠であると、こういう立場に立って——現になかなか向こうは、先ほど来申しておりますように、出てまいりませんけれども、どうしても出てきてもらって——出てきてというのは話の場に出てきて、この日本の見解をぜひ承知してもらいたい、こういう立場でやってまいろうと、こういうことに思っておるわけでございます。
○春日正一君 時間が非常にないようですから、えらいはしょった質問になるかもしれませんけれども、まあ、ソ連がそうやって解決済みだと言って固執している一番の根拠というか、事由になっているのは、あの日ソ交渉の当時の話とか、ソ連の声明、そういうものを見ても、それから私どもも十年前ですから五九年にソ連に行って、私も一緒に行って向こうの政治家と会ってこの問題で話したときにも、やはり向こうの言うのは、千島というものは資源的、経済的に見てたいして意味があるものじゃないと、しかし、軍事的に見て、この日米安保条約というものがあって、あすこにソ連に対する基地がつくられると、このことが一番おそろしいんだと、だからその条件がなくならなければ返すというわけにはなかなかいかないというような答弁であったし、それから、安保改定のときでも、やはり鳩山さんが行って条約を結んできて歯舞、色丹は平和条約結べば返すと言ったのだけれども、あの安保改定のときにあらためて声明か何か出して、こういう安保条約を改定して一そう軍事的な内容の強くなるようなそういうものを改定した以上、平和条約を結んだといっても約束どおり歯舞、色丹を返せないような新しい事態が発生したものというふうに考えるというふうなことを声明していますね。そうすると、結局一番のガンは、軍事的な脅威、向こうの言っているのは。だから、そういうものがあって渡さぬと、それがなくなれば経済的には渡してもいいものだというふうに言っているということになりますというと、やはりそこをどう扱うかという問題ですね。その点で非常にあれですけれども、このあれにも収録してある高野雄一氏の要約ですね。つまり、この問題に接近する方法としては、あくまでもアメリカのベースに立って、そうしてソ連に圧力を加えて、ソ連の側の条件が変化するまでそれを押していくか、それとも日本が米ソの間に立ってこの緊張を緩和するような努力をしながら返還の条件をつくっていくか、どっちか一つしかないというふうに言っているのですけれども、いまの政府の安保堅持といい、あの佐藤総理の去年の共同声明なんか見ても、むしろ、その軍事的な対決の姿勢というか、向こうに脅威を与えるような姿勢を強めていくというような方向をとっている。そうすると、これではなかなか相手の胸がほぐれてこない。イエスというような返事が出てこないというような状況になるのではないか。そうすると、向こうがそう言うまで力押しで押していったら、大体かなり先のほうまで考えていかなければ、さしあたって、歯舞、色丹すら返ってくるような見込みもない。しかも、条約上の道理としても、そういってずっとそういうことが積み上げられてきているということを考えたら、やはり私は鳩山共同宣言に従って平和条約を結ぶ、そうして歯舞、色丹を返させる、そして同時に日米安保条約をなくすという方向でこの全体が返るような努力を続けていくということが、現にあそこで苦労しておる引き揚げ者の人たちや、根室の市長もこの間来ておりましたけれども、ああいう現地の人たちの要望にも沿うし、同時に、実際的に話し合いで平和的にということになれば、そういう道を行くよりほかないのだというふうに考えるけれども、どうなんですか、その辺ですね。
○国務大臣(愛知揆一君) 春日委員のこの御意見というものは一つの御意見であろうかと私も思います。しかし、政府の立場といたしましては、やはりみずからの立場を安全強固にしておくことが、諸事万端、談判、話し合いをいたします上にも、そのほうがかえって有利であると、これはまあほかのいろいろの世界の歴史あるいは現に現在の状況等を見て、いろいろの例をつぶさに検討してまいりましても、私はいま政府のとっておる態度、立場というものが最も現実的であり、最も可能性があり、また、何よりも大切なことは、日本の国益に合致する方向である、こういうふうに考えるわけでございまして、御意見の点とすれ違うところがあろうかと思いますけれども、御高見は御高見として承っておきたいと存じます。
○委員長(山本茂一郎君) 外務大臣、それでは三時五十分になりましたので、退席をしていただいてけっこうでございます。
○春日正一君 北方地域の旧漁業権者に対する漁業その他の事業や生活資金の援助についてですね、この協会の事業の問題ですけれども、この資料を見ますと四十二年度の貸し付け状況、これを見ますと、事業資金が百七件で五千五百六十五万円、それから生活資金が百七十六件、三千二百三十四万八千円ということになっているのですけれども、平均すると非常に少額なんですね。平均すると事業資金で五十二万円、生活資金で十八万円ということになっているわけですけれども、これは一体この内容といいますか、大ざっぱに言って、この事業資金、生活資金というものはどういう内容のものとして融資がされておるのか。
○政府委員(山野幸吉君) この事業資金、生活資金は、御指摘のようにきわめて額としては低い額でございまして、この資料にもございますように、事業資金につきましては一件あたり百万円が限度でございます。生活資金につきましては、更生資金が十五万円、生活資金が五万円、修学資金が四万八千円、二万四千円、住宅資金は三十万とか五十万、きわめて零細な資金でございまして、したがいまして、その使途につきましても、きわめて小さな補修事業とか、転貸住宅資金とか、あるいはごくわずかな資金が多いわけでございます。事業資金につきましても、御指摘のように一件あたりがきわめて小さくて、平均貸し付け額が漁業資金が五十五万円、農林資金が二十九万円、商工資金が五十九万三千円でありまして、貸し付けの実績から言うとそうなっておりまして、必ずしも大きい事業資金ではございません。むしろ、こういう大きい資金は、場合によりますと、普通の制度資金とかその他の現行の制度で救われるわけでございまして、したがいまして、むしろそれを補完する意味で、非常に生活基盤の薄い引き揚げの皆さん方に、小さな、手の行き届かないような事業を補完してやろうということが中心になっておるわけでございます。
○春日正一君 このほかに法人資金が七百万ですか、市町村資金四件千五百万、こうなっておりますけれども、これはどういう中身のものですか。
○政府委員(山野幸吉君) 法人はこれは一般の、たとえば漁業に対します貸付金、漁業の共同組合あるいは株式会社そういうふうなものでございます。それから市町村資金は、これは資金が始まりましてからたしか三年くらいあとから初めて現地の要望で実現いたしましたが、市町村にこの資金を貸しまして引き揚げ者の住宅をつくらせまして、それを引き揚げ住民に貸す、こういう事業でございます。
○春日正一君 それで貸し付けの件数を見ましても、四十二年度では二百八十九件で六年間の平均でも約三百件くらい、そのくらいの件数ですね。そうしますと、対象者は約一万六千名、そのくらいあるわけですから、非常に貸し出しのワクが狭いというか何というか、行き渡っていないような感じがするのですけれども、これはやはり資金が十分でないということから来るのですか。
○政府委員(山野幸吉君) 昭和四十二年度の借り入れの申し込みと貸し付けの決定状況が出ておりますが、それによりますと、借り入れ申し込みの件数は三百八十件、総額で一億三千九百七十八万四千円でございます。それに対しまして貸し付け決定した額は二百八十九件、額としまして一億九百九十九万八千円でございます。御指摘のように確かにここに九十件ばかり申し込んで落ちた人がおるし、それから金額としまして約三千万の違いがございます。これは昭和四十二年の実情でございますので、その後いわゆる一億三千万に改定いたしたわけでございます。それでもおそらく申し込みと貸し付けの実情はこれは若干差があるに違いないと思いますが、私どもはよく内容を見まして、申し込みをしたのに貸し付け決定が不当に低い率だというようにならないように、先ほどから御答弁を申し上げておりますように、よく実情に沿った運営に持っていきたいと、努力したいと、こういうぐあいに考えております。
○委員長(山本茂一郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(山本茂一郎君) 速記を起こして。
○春日正一君 それで、いま言った答弁でも、申し込みが三百何十件かあって二百八十九と、失格といいますか、そういう人がかなり出ておるし、それからこの資料を見ますと、やはり勤労者の世帯これが非常に多くて、年五十万円未満の世帯数というのが全部ひっくるめて二千二百九十三世帯、それでこれは約七〇%ぐらいに当たるんじゃないんですか、全部の世帯で。だから、そのくらいな人たちが年所得五十万以下というのですから、幾ら北海道でも非常に苦しい状態があると思うのですよ。ところが、この間の参考人の陳述や意見でも、担保がないから借りられない、そういう条件がなくて借りたくても借りられない人が非常に多いということを言っておりましたけれども、こういう点について、もう少しこまかい配慮も必要なんじゃないか。たとえば、この間もここでそういう要望意見が出されましたけれども、交付公債ですね、それに対してそれを担保にして貸し出すようにしてくれれば助かるのだがというようなことを参考人も申しておりましたけれども、こういうことに対して政府として考慮できないものかどうか。——一度に聞いてしまいます、時間ありませんから。それが一つ。 それからもう一つの問題は、担保がなくてもやはり少額の金を貸せるというような制度は、このごろ地方自治体で、方々でやっております事業資金——東京都なんか八十万までですか、京都府なんか百万まで。商人とかそういう人たちに無担保、無保証で貸すというような制度も設けて、一般のものは、そういう人たちでもいまそういう制度が必要になるような状況が出ている状態ですから、特に千島から引き揚げて来た、あるいは漁業をやっておったのが、その仕事場を失ったという条件にあるような人たちに対して、やはり一定の額までは実情を調べて無担保でも貸せるというような制度の道というものは開けないものだろうかという点が一つ。 それからもう一点。これ三点ですからよく聞いてください。それで勤労者が非常に多いし、それから日雇いなんかしている人も非常に多いと言われましたけれども、現地の方から聞いてみますと、たとえば生活が苦しくて生活保護でも受けたいのだ、あるいは失対事業で働きたいのだというような状況の人も、これのワクがやっぱりきめられておるためにそれが受けられないというようなものもあるというようなふうに聞かされておるのですけれども、こういうような場合でも、そういう人たちに関しては当然生活保護を受ける資格のあるというか、そういう条件にある人なら受けさせるとか、あるいは失対事業というようなもののワク——仕事をつくってゃって、広げて働かせるというような形で、勤労者として働いて生活する人たちに対する援護というようなことも、これは協会の事業としてはちょっと適当でないと思いますけれども、政府の政策として、そういうような面で、引き揚げてきてあそこで勤労者として働いておる人たちの生活のめんどうというそういう面についてもっと配慮できないものだろうか、この点、三点お聞きします。
○国務大臣(床次徳二君) ただいまいろいろ御意見がありましたが、北海道におきましては、この引き揚げ者の方々に対しましては、一般のほかに特に北方協会並びに南方同胞援護会のこの仕事が加わっておるわけでありまして、一般の融資その他援護の運用方法等十分考えて私どもやってまいりたい。特に北海道の引き揚げの方々が悪いという状態にありますならば、これは十分に検討すべき問題だと思っております。さような意味においてお考えおきいただきたいと思います。 なお、担保の問題につきましては、少額のときにはもちろん生活資金に対しまして保証人なしでも取り扱っておりますし、なお、今日検討しておりますのは引き揚げ者交付金に対するところの担保貸し付けの問題等も道を開きたいと思って検討いたしておる次第であります。 なお、生活保護あるいは失対等の取り扱い等につきましては、もとより地元公共団体におきましては、これはむしろ優先的に考うべきことだと、こういうことに対しまして、手の回らないところがありますならば、協会等と連絡をとりまして遺憾なきを期したいと思って、今後とも、協会自体も特にできました以上はやはり仕事を充実してまいるようにさせたいと考えております。
○委員長(山本茂一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本茂一郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本茂一郎君) 御異議ないものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 北方領土問題対策協会法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本茂一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○河口陽一君 私は、ただいま可決すべきものと決定されました北方領土問題対策協会法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の四派の共同提案として附帯決議を提出いたします。 趣旨説明は省略をさせていただき、案文を朗読いたします。 北方領土問題対策協会法案 附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当り、次の事項に関し、特段の措置を講ずべきである。 一、北方領土問題対策協会の業務運営に対しては、充分な予算措置を講ずること。とくに北方領土問題の啓もう宣伝等に要する経費は、全額国が負担するとともに、その他関係地方公共団体等の協力を要する諸事項については、その経費の負担に関し、特別の配慮をすること。 二、北方地域の諸問題に関し、国内行政措置として実施可能なものについては、法令を統一整備して積極的にこれを進め、もつて関係住民の不安をできるだけ解消するように努めること。 三、北方協会が従来行なっていた北方地域旧漁業権者等に対する生業安定のための諸事業は、北方領土問題対策協会発足後においても、さらに拡充強化されるよう配慮すること。 右決議する。 以上であります。何とぞ御賛成くださるようお願いをいたします。
○委員長(山本茂一郎君) 河口君から提出されました附帯決議案を議題といたします。 河口君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山本茂一郎君) 全会一致と認めます。よって、河口君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し床次総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。 床次総務長官。
○国務大臣(床次徳二君) ただいま御決議になりましたところの附帯決議につきましては、十分に御趣旨を尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。
○委員長(山本茂一郎君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本茂一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(山本茂一郎君) 次に、沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○春日正一君 沖縄への米の移出というのですか、それの問題ですけれども、総務長官、この間沖縄においでになってそういう発表をされてきたのですけれども、現在、話はどこまで進んでいますか。
○国務大臣(床次徳二君) 本土の米を沖縄に供与するという問題でございますが、過般高等弁務官にも、会いました際におきましてその趣旨を説明いたしまして了解を求めたのであります。なお、琉球政府の主席にもその趣旨を申しました。 趣旨におきましては、本土におきます米を沖縄に供与いたしまして、そして沖縄ではその売却代金を積み立てておきまして、そしてこれを必要のある農業の、基幹産業たる農業等の改善に充てるという考え方であります。もちろん、消費者に対しましては現地の消費者価格において販売し、その差額につきましては日本政府がいずれは負担するという考え方でありまして、趣旨におきましては、本土政府といたしましても、この方針をきめて、その方針のもとに琉球政府とも話したのですが、地元といたしましても非常に歓迎しておりまして、できるだけすみやかにこれを実現いたしたく要望いたしております。しかし、これは現地におきましては、御承知のごとく九万トン消費しておりまするが、そのうちの地元産が一万トンで、八万トンはアメリカ並びにオーストラリアから輸入しておりまして、現在、契約は来年二月まで契約しておるような状態にありますので、その経緯も考えておりまして、地元といたしましてもできるだけ多額の米を本土から供与を仰ぎたいという要望をしておるのであります。いままでの取引の関係を考慮いたしまして、私どもも努力いたしたいと思っている次第であります。ただ、今日残されておりますのは、国内の立法手続をどうするかという点、今日、大蔵省と農林省、総理府と、三者におきまして検討中でありまして、ただいま申し上げました趣旨によりまして、これをすみやかに必要といたしますものなら法律案にいたしまして御審議を願いまして、そうして来たるべき時期にはこれが手続ができますようにいたしたいと思っている次第でございます。
○春日正一君 それで、数量の問題ですけれども、新聞なんかではちょうど四万トンくらいのようなことを言われたというようなふうに言われておるんですけれども、まあ、長官も先ほど言われたように、現地としてはこの間屋良さんが見えたときに言っていましたけれども、六万トンないし、できれば八万トン、沖縄で要る米をほとんどまかなう程度出してほしいというような希望を持っているわけですけれども、その希望には、どうですか、十分こたえられないわけですか。
○国務大臣(床次徳二君) 本土政府といたしましては、希望数量の多ければ多い数量に対して応じ得る余裕を持っておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、従来からの商慣習もありますので、いままで買っておりましたものを全額そのまま切りかえることができるかどうかということにつきましては、まだ検討の余地があるし、また、現在取り扱っておりまする業者間のいきさつもありますので、この点を十分検討しまして、屋良主席といたしましてもできるだけ多額のほうがそれだけ資金がたくさん活用できますので、それを希望しておりまして、地元の要望等を十分しんしゃくいたしまして、私どもも努力いたしたいと思います。
○春日正一君 それで米を売ったその金を積み立てるという問題ですけれども、あるいは私ども新聞なんかで見ていますのでは、大体政府の方針としては製糖ですね。それから畜産というようなところに使わせるというような方針をとっておいでになる。それに対して琉球政府の側では、そのお金を第一次産業——パインとか漁業とか、そういうものを含めて第一次産業を主として琉球政府の計画で使わせてほしいというような希望を持っているようですけれども、この点はどうなんですか。
○国務大臣(床次徳二君) 第一次産業の開発に使うということにつきましては、どちらも異議がないようであります。ただ、具体的のものにつきましては、よく打ち合わせまして進めてまいりたいと思っております。
○春日正一君 そうすると、それは砂糖と畜産だけにもうきめてワクをはめちまっているというわけではないんですね。相談してまだ広げる余地はあるということですね。 それから、もう一つ、ついでですからお聞きしますけれども、韓国へ送った米ですね、あれがえらい虫食いが出て、向こうから抗議が出て、賠償を要求したとかということが起こっておるようですけれども、沖縄に送る米にそういうことがあるとこれは非常にまずい結果になる。そういう点では政府として十分考えて、内地でわれわれが食べていると同じような米をやはり向こうに送るということにしませんと、またそこに政府に対する不信感というものも生まれてくるというおそれもあるんですけれども、その点はどうですか、十分保証できますか。
○国務大臣(床次徳二君) この点は農林省のほうからお答えすべきものでありますが、政府といたしましては、韓国と沖縄とは全然取り扱いが違ってしかるべきだと、本来のあり方自体も私は別個に沖縄の立場から考えて供与いたしたいと思っております。もちろん、品物そのものにつきましては、十分遺憾のないようにいたしたいと思っております。
○春日正一君 では終わります。
○委員長(山本茂一郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十五分散会