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61回国会衆議院1969/02/28

予算委員会第一分科会 第5号

発言数
71
登壇者
14
会派数
3
開催日
1969/02/28

会議録

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  本日臼井主査は所用のため見えませんので、私が指名により主査の職務を行ないます。  昭和四十四年度一般会計予算中裁判所所管を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川崎秀二君。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 選挙違反事件というものが非常に審理に時間がかかるということは有名な話でありまして、最近で一番こっけいなのは、三回前くらいの選挙違反の最終判決というものが決定して公民権を失うというようなことがあるけれども一、すでに時代おくれで、その間代議士は二回も当選しておる、こういうばかばかしいことは世界にはないのではないかというふうに私は思うのですけれども、最近の選挙違反事件の審理のスピード化というような点について統計があれはお示しをいただきたいし、代議士の任期はまず二年半と見ていいわけですから、衆議院議員の選挙違反は最高裁までいくにしても、二年半以内に上げてもらいたい、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。

岸盛一最高裁判所事務総長

○岸最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘がございましたとおり、選挙違反事件について非常に審理が長引いておるということは、遺憾ながらそのとおりでございます。それにつきまして裁判所は古くからいろいろ対策を考えて講じてまいりましたが、何しろ裁判所だけで解決できる問題ではなくて、両当事者を交えて、いかにしてむだなくその審理を進めるかという点について具体的にいろいろ講じた例もございます。そういうことをあわせて所管の刑事局長から詳しく御説明いたしたいと思います。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 いわゆる百日事件でございますが、まことに御指摘のとおり、とかく遅延しがちであるというのは事実でございます。そこで、ただいま総長からも申し上げましたとおり、従前からもこの促進方につきましては、これは裁判所だけではどうにもなりませんので、検察官及び弁護士の方の協力を得まして、促進方をはかるということについて努力してまいったわけでございます。昭和四十二年のことでございますが、従前からもそういう努力をしておったわけでございますが、さらに訴訟の促進の具体化ということにつきまして具体的方策を提示いたしまして、検察庁及び弁護士会方面の協力を得て促進をはかるということを一つ提案いたしたわけでございます。具体的な事柄としては、期日はなるべくまとめて連続して開廷しよう。きめた期日はなるべく変更しないでいく。百日事件の被告人と、そうでない被告人とは分離して起訴するようにする。訴因を簡明にする。弁護人のほうも、期日を入れるについて、また訴訟を進行させるについてはできるだけ協力する。その他の証拠を厳選するというようないろいろな施策、具体的な方策、これにつきまして検察庁、弁護士会及び裁判所が協議をいたしまして、完全に意見の一致を見たわけでございます。自来、この線に沿いまして事件の促進方をはかったわけでございまするが、この点かなりの効果を実はあげたわけでございます。  昭和四十二年一月以降の選挙関係の事件の審理の状況を見てまいりますと、百日以内で終わりましたものが五十件、百口をこえたものは八十件ございますが、平均の審理日数は百五十四・一日ということで、これはまだ全部百日以内ではないのでございますが、従前の傾向と比較いたしますると、非常にスピードアップされたという事実がございます。これは三者法曹が協力してこういう線に沿って訴訟促進をはかったということにおきまして一つの大きな実績になっているわけでございますので、私どもはなお今後もこのような具体的な方策というものをさらにできればもっと具体化して、そして促進をはかりたい、かように思っている次第でございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 第一問に対するお答えはそれでけっこうであります。けれども私少しスピードを上げて申し上げますから。それは地裁ですね。それから不服で高裁に控訴する、あるいはさらに最高裁と進むと、これが二年ないし三年かかる。そのために、さっき私があげた一番極端な事例も出てくるわけです。そしていよいよ公民権停止だというころになると、日本は恩赦というのが好きだから、したがって何かにひっかけて恩赦が行なわれれば、その間の代議士の議席はそのまま保持しているという、まるで法律があっても実際には実行されないということになるわけなんで、そういう点のスピードアップはどうですか。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 百日事件、百日以内で処理しろという法の趣旨はまさに仰せのとおりでございますが、もちろんこれは各審級におきましてその要請があるわけでございます。ただ、控訴審及び上告審ということになりますると、訴訟の構造は異なりまするが、また異なるために、控訴趣意書の提出の準備期間とかあるいは答弁書の差し出しの準備期間というものがそれぞれきまっているわけでございます。控訴審で申しますると二十一日間はそのために確保しなければならないとか、上告審の場合でございますと上告趣意書提出のため最小限度二十八日は確保しなければならない。さらに答弁書の提出の期間というようなものが出てくるわけでございまするが、趣旨はまことに、百日で処理するようにという法の趣旨は、各審級において当然に当てはまるわけでございまするので、もちろん先ほど申し上げましたような方策というのは、第一審を中心にしたものでございますが、第一審においてその、審理の実をあげる、短期間内に充実した裁判を行なうということは、ひいて上訴審というものにも反映していくということにも相なるわけでございまして、そのための第一審というものが非常に大事でございまするので、まず第一審をしっかりスピードアップする、しかも中身を充実して行なうということをまずいたしますれば、それに応じまして上訴審のほうもいけるというふうに考えるわけでございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 とにかく世論もきびしいことでございますから、ぜひ上訴審の場合においても百日事件ということでスピードアップをしてもらいたいと思うのです。これは、きのうも田中前法務大臣とも個人的にいろいろなお話をしたのですが、諸外国ではもう選挙違反というものに対する刑事事件は非常に少ないのです。西欧諸国ですね。それとの比較はどうですか。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 諸外国との比較は、実はそこまで検討していないのでございますが、私の知識で承知しておりまするのは、英国においても、かつては非常に腐敗もあり、苦労したという過程を経まして、現在のように、この種の事件は非常に少ないということになっていると聞くのでございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 選挙違反事件の問題は私はその程度にしまして、ほかの刑事事件についても非常に処理がおそいということについては問題化してきておる。これは、遅延の理由が裁判所側にあるものと双当事者の場合もあるし、いろいろ指摘される個所はあると思うのですが、われわれが手元に持っておる西独における控訴及び上告の処理というものを具体的に見てみると、各高裁における審理期間というものが、日本と比較して非常にスピードが早くて、六カ月以内に判決をしておるものが五〇何%もある。日本の場合は、六カ月以内に処理したものは全判決数の二〇%にすぎない。ここにある資料によると、これはみな高裁の名前ですが、ドイツですから、高裁の名前でありますが、カールスルーエという高裁、非常な早さで処理をしておる。シュツットガルト、あるいはフランクフルト、ザールブリュッケン、コブレンツ、これらの平均が六カ月以内で処理したものがいずれも五〇%近い数字を示しておって、一年以内ではほとんどのものが終結をしておる。わが国ではどうかというと、全高裁の通常事件につき受理から終局までの期間を申しますと、全体が三千九百五十四件のうち、十五日以内で十七件、一カ月以内で十七件、二カ月以内で六十一件、三カ月以内で百七十件、六カ月以内で五百三十一件、この統計が幾つになるか、出てないのですけれども、目の子算で六カ月以内が七百件ぐらいに対して、一年以内が一千十二件、二年以内が一千二百六十一件というのですから、二年と一年の判決を加えると、すでに二千二百件。ですから、非常な差があるわけです。こういうことは一体どういうところから来ておるのか。日本側の事由ですな。これをあげて、これを解決する方法はどういう具体的な方法をとるかということを教えてもらいたいと思う。教えてもらうよりも、私が指摘してもいいと思うけれども、いまあなたのほうで準備をされておるものはどういうものか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま川崎委員から御指摘のございました諸外国の比較の点につきましては、私どもも常々関心をもちまして向こうの統計を集めるようにつとめておるわけでございまするが、ただ、御承知のとおり、いろいろこちらと向こうとでは制度の違う点が多々あるわけでございます。  一つはいま御指摘のドイツにおきましても、連邦制でございまして、高等裁判所といえども一応ラントの裁判所になっておるわけでございますし、また、私どもとかなり接触のございますアメリカの裁判所も、同じように連邦制でございまして、むしろ私どもの裁判所と比較すべきものは州の裁判所でございますが、州の裁判所の統計は非常に不備である。連邦の裁判所の統計はかなり出ておりますが、これはこちらとはたてまえが違うというようなこともございます。  それから、いま御指摘のございました控訴審の構造等になりますと、こちらの控訴審の構造と、アメリカなりドイツの控訴審の構造との違いもあるわけでございます。そういう意味で、なまに統計の比較というものはむずかしいわけでございます。  同時にまた、いまドイツの、たぶん刑事関係かと思いますが、控訴審の統計をお示しいただいたわけでございますが、実際ドイツには、連邦でまとまった統計というものが非常に乏しいようでございます。そういう関係で、数字的に申し上げますことが必ずしも正確にまいらない面があるわけでございますが、ドイツのいまの例でお話ございましたけれども、日本でも一、刑事の場合には高等裁判所でやはり八割程度のものが六カ月以内に片づいておるわけでございます。  いま二割云々というお話のございましたのは、高裁の民事におきましては確かに二七%ということでございます。しかしながらドイツにおきましても、やや統計は古いのでございますが、一九五九年に連邦でまとめました表では、やはり六カ月以内のものは六割前後ということでございますが、そういうことで、必ずしも民事と刑事と同じでもないわけでございます。  それからなお、アメリカの例をとって考えてみますと、地方裁判所ではアメリカでも民事は約一年近くかかっておる。刑事では二、三カ月であり、アレーンメントのものを除いて申しますと、やはり半年くらいかかる。この数字は日本とそう違わないわけでございます。ただ高等裁判所の関係では、いま御指摘がございましたように、特に民事の関係でアメリカなりドイツより若干のおくれがあるわけでございまして、そういう点で私どもも高裁の充実に力を入れて、いま御審議いただいております予算におきましても、高裁の増強ということにいろいろ御配慮をいただいておる、こういうことになるわけでございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 いま質問の際に、選挙違反事件から説き起こした関係で、民事と刑事の問題をごっちゃにしたような印象を受けましたが、まさにそれは答弁のほうが正確であります。しかしながら、民事の場合において、とにかく民事訴訟が長くかかり過ぎておるということも非常に指摘をされておるところでございますから、それは連邦と日本における高裁の立場あるいは州との関係、これも指摘のとおりであるが、とにかく高裁においてはそういう数字が出ておるわけであります。私はこの際特に注意を喚起しておきたいと思うのですが、いま日本は経済上大国とまでいわれて、相当経済のスタティスティックスが進んできておる。にもかかわらず、法律その他についての統計というのは、外国のはわからぬということはないのであって、わかるようななにをしてください。実はそういうことも、一ぺんあなたのほうから、まとめた白書みたいなものが出てほしいということを私は思っておるわけです。われわれが持っておる資料は、あなた方の持っておる資料と同じで、それ以上出ないということが問題であると思うのです。昨日も、私は会計検査院の質問の際に、近ごろ各役所は相当大型の電子計算機を整備しておるにもかかわらず、司法あるいは会計検査院というようなところは、経済上の統計ほどこまかいものが要らないということの理由もあるかもしれぬけれども、なかなかそういうものの整備がおくれておって、私は非常に残念だと思うのです。高裁とか、そういうものには電子計算機などもだんだん整備されておると思うが、最高裁はいまどういう状態にありますか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまお話しの点も、まことに川崎分科員の御指摘のとおりでございます。私どもとしても、全く同じような立場で従来進めて、まいっておるわけでございます。そうして、統計の点でございますが、実は先ほど申し上げましたように、外国の統計は実は私どものほうで必ずしも十分把握いたしておりませんのは、一つには、彼ら自身が必ずしも一そう詳細な統計をつくっていないわけでございます。そういう点では、実は一木のほうが、司法統計に関しまする限り、はるかに進んでおるわけでございます。明治以来きわめて詳細な統計ができておりますし、また現在も、いま御指摘のございましたコンピューターを一昨年の一月から導入いたしまして、これは沖ユニバック一〇〇四III型というものでございまして、そう大型のものではございませんが、これによりまして、全国の事件のすべてにつきましてカードをつくりまして、これを最高裁に集めまして統計表をつくる作業をやっておりまして、かなり統計のスピードアップということに寄与しておるわけでございます。ただどうも、ドイツ人、アメリカ人はかなりそういう統計的なぼうに詳しいはずであると考えられるにかかわらず、向こう自体が詳細の統計を必ずしも持っていない。それで私どもが外国へ参りました際に要求いたしましても、直ちにわれわれが提供するような形で提供していただけないわけでございます。しかしながら、将来はむしろもっと積極的に、こちらのほうから先方のいろいろな材料によってコン。ピューター等も利用して、そういうことについての情報を得るということも当然研究問題であろうと考えておりますが、現在の段階はそういうことで、いわば統計に関してはむしろこちらのほうが進んでおるというような自負をさえ持っておるわけでございます。  コンピューターの関係では、単に統計ばかりでなしに、今後さらにこれを拡充するという計画で、これまた、いま御審議いただいております予算におきまして、若干の調査研究費を計上していただいておりますので、この方面に向かってさらに邁進いたしたい、かように考えておるわけでございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 さらに関心のある問題を二、三質問いたします。  これは通告もしておらなかったのですが、しゃべっている間にお考えを願いたいと思います。  例の平沢事件ですが、あれはもう法務省のほうの判断によるわけですけれども、最高裁としては、従来最終判決があってその刑が執行されないことの事例としては一番最たるものではないか。あれは、最終判決があったのはいつで、そして、こういう事案というものは他に類例があるでしょうか、ないでしょうか。常識的に考えても、最終判決があって死刑が確定してから十年以上ではないか、これは法の権威にもかなり関係する問題であるし、最後は法務大臣の判こがもらえないというところなんでしょうけれども、このままならついに老齢のため獄死をするという事態も予想されるわけであります。昭和の最も大混乱の時期に起こった事件として、国民全般は、やはり最高裁で判決があったけれども、確実な証拠はないのだというような意味で疑いのまま終わるようなことも予想されるので、そういう点で最高裁としてはどう考えられておるか。これは事務総長以上の問題かもしれませんけれども、事務的にでもいいです、お答えをいただければけっこうだと思う。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 御承知のごとく、この事件は、確定いたしました後に非常に多数回再審の申し立てがございました。申し立て、か棄却されましても、さらに別の新しい事実が判明したというようなことでさらに再審の申し立てをしてくるということで、十数回再審の申し立てか繰り返されておるわけでございます。  裁判所といたしましては、従前再審の申し立てが棄却されましても、また新たな証拠が発見されたということで再審の申し立てがございますれば、これはやはり裁判をしなければならないということに相なるわけでございます。それがはたして新たな証拠に当たるかどうか、再審開始の事由に当たるかということの審査をせざるを得ない、こういうことになるわけでございまして、それがこれまでに十数回繰り返されておる、そして現在に至っておる、こういう状況なわけでございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 今度の予算の関係について見れば、最高裁の一番最近の大きな営繕は、最高裁の本庁舎の三宅坂における建設ですね。先日設計の当選が発表になって、いよいよつくるわけですが、新聞紙上では、どうも最高裁にふさわしくない、軍艦みたいな建物、だというような批評もあるわけです。しかし、これは相当厳密な審査をし、最後には審査員一同、か満場一致で同意したというのでありますから、最高裁らしく公正に行なわれたと私は思うのです。ただ、あの敷地の決定については、実は隣の国立劇場建設に関連して、それの国会議員の間に促進委員会というのがありまして、委員長牧野良三氏、事務的には私が国立劇場建設の必要を認めて最も推進したものであります。ところが、当時、田中最高裁長官と佐藤大蔵大臣、現在の総理大臣との間の話し合いによって、三宅坂の地面がきまった。一般には三宅坂寄りのほうに国立劇場、そうして奥のほうに最高裁のほうがいいという、これは世論的なものもあったわけですが、しかし長官に当時会ってみると、えらい持論を言われたわけです。それは、アメリカでもイギリスでも一先進諸国においては、政府と国会と最高裁判所というのは、建物が一直線に並んでいなければならぬ、並んでおる。したがって、総理大臣官邸、国会、三宅坂の近似点における最高裁の建物というのは一直線に並ぶので、川崎さん譲ってくれ、こういう話でありました。私は非常に感銘するところもあって、根拠もあることですから、それはよかろうということで妥協したいわれがあります。したがって、なるべくりっぱなものが建ってもらいたいというのがわれわれの念願であって、しかも、終戦後あらゆる建物が整備されたのに、天皇陛下には皇居は一番あとでいいと言っておられて、これもまた完成したので、最高裁が一番あとだというのははなはだつつましいので、この際非常に敬意を表しておきたいと思うのです。しかし、きのうあたり、あるピルの上から見ると、あの敷地は、あるいは隣になりますか、いまえらいレンタカーの置き場になったり、あるいは最高裁の地面そのものも相当国立劇場の車か何か知らぬけれども、ビルの窓から見ると千台近く並んでおるわけです。あれはよその駐車も請け負っておると思うのですが、そういう点で、今度建てた場合に、そういう関係はすっかり顧慮されておるものかどうか、ひとつ伺っておきたい。

岩野徹最高裁判所事務総局経理局長

○岩野最高裁判所長官代理者 パレスハイツ南側の国有地約九千坪でございまして、そのほか民有地が二千五百坪ございまして、その民有地二千五百坪につきましては、最高裁判所庁舎新営審議会におきまして、早急に買収をすべきであるという御意見が出まして、それに基づきまして、昭和四十二年度、四十三年度で大半の民有地を買収してしまいました。ただいま一部係争中の土地を除きましては全部国有地になっております。御指摘の自動車が目につきますことは、周囲を通られました方のどなたの目にもつくところでございますが、実は買収いたしました土地につきましても、おっしゃるとおり、レンタカー等が置いてあるかもしれないと思います。しかし、これはすでに買収いたしました土地をさらに有料で、その買収した被買収者に対して一時使用を許しているわけでございます。これは使用料を徴収いたしております。いよいよ工事開始の際には、全部立ちのいてもらうという確約をいたしましてやっております。それから、国有地に関しましては、関係諸官庁の車、その他関係諸官庁と約束の上で駐車をされておる車、あるいは工事の材料の置き場というようなものに使用されておりますもので、いよいよ工事着工の際にはこれも全部撤去してもらうことになっているものでございまして、工事には差しつかえない状況でございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 最後の質問を二ついたします。  最高裁というものの建物を十分法の権威の維持あるいは高揚というものに積極的に使っていただきたいと思うのです。あの中がどういうふうになるか、私どもは知らないわけです。新聞の三面記事の下のほうに書いてあるのでは、さっぱり内容がわからぬわけですけれども、いろいろな会議室だとか、あるいはむろん第一の法廷とかいうようなものができると思うのですけれども、やはり国民の法律知識の向上のために使い得るような場所というものを、相当大きなものができるわけですから、この機会にぜひつくってもらいたいと思うのです。  元来、ローマでもギリシャでも昔は最高裁判所的なものは民論の興起というものと非常に関係がある。民衆の意思の興起、いまの国会的なものとも関係があったわけであります。そのころは元老院という名前で呼ばれておって、多くの民衆の不満を吸収し、同時に重大犯罪はこれをさばくという役割りをやっておった。だんだん時代が進んで、三権分立という今日の時代になったわけですが、古来の起源からいえば、今日の最高裁というものは、日本に枢密院あるいは元老院というものはなくて、そして民衆の世論を結集するのは国会であるということは憲法のたてまえでも当然であるし、選挙も行なわれておるわけです。しかし、法律の権威を向上するということのためには、最高裁というものの建物を何らか利用して、そうして法秩序の維持、法律の権威の高揚というものをはかるような集会であるとか、あるいは研究会であるとかいうようなものに、ぜひそれがなってもらいたいというふうに私は念願するものであります。そういうくふうが行なわれておるかどうかということが質問の一つの点であります。  もう一つの点は、終戦後、一番建物が荒廃しておったのは全国の裁判所関係であった。これは各議員の毎回の指摘、あるいは内閣の閣議等における閣僚の発言などもありまして、近来、裁判所の営繕施設は非常に整ったと思うのですが、いまなお老廃しておるところもあると思うので、どの程度に回復しておるものかということも、この際御回答いただきまして、私の質問とする次第であります。

岩野徹最高裁判所事務総局経理局長

○岩野最高裁判所長官代理者 二点ございまして、まず、最高裁判所の庁舎の実際の構想と申しますか、それについての御質問がございましたが、もちろん御指摘の大法廷、小法廷、会議室あるいは講堂その他、裁判所運営に必要な庁舎は設計に十分織り込まれております。ただ、御指摘の、も一ちろん法律関係に限っての国民一般の集会、研究会等の施設を織り込んでおるか、そういう場所を織り込んでおるかという御質問に対しては、それは、そこまでは考えていなかったわけでございます。ただ国民に親しまれ、国民が裁判所の存在を知るというためには、今度の新営いたします最高裁判所の庁舎につきましては、諸外国に例がございますように、できるだけ多くの国民が自由に見学できるホール及び大法廷、こういうものはある時間をきめまして国民に全部開放するという裁判所がございますが、できれば人手その他が問に合います限りは、なるべく多くの国民にそれを見てもらいたい、そのように考えている状況でございます。できあがりました上は、鋭意それを実行に移したいと考えておるわけでございます。  それから第二点の、全国の営繕関係の御指摘でございます。これも戦後二十年たちまして、概略、形式的には七割程度の整備を終わりました。これの残る三割をさらに現在の規模で整備いたしますと、それの伸び分が全体としての四割分に相当します。したがって実質的には六割の整備が終わったと私ども考えております。  なお、御指摘の甲号支部、乙号支部、本庁で申し上げますと大津地方裁判所庁舎、浦和地方裁判所庁舎、この庁舎が木造でございまして、あとはほとんど不燃庁舎に変わっておる状況になってまいっております。この残りの分を現代の建築による改築をいたしますには、現在の予算規模で進めまして十年余りの年月を要するかと思います。もちろんその間に最高裁判所庁舎の建設が入ってまいりますが、これによって下級裁判所の庁舎の整備がおくれないようにということは、十分われわれも努力いたしますし、またお力添えも願いたいことでもございますが、ようやく目鼻がついたといいますか、そういった状況でございます。  なお、ただいまやっております計画は、約五年前にわれわれが立てました裁判所庁舎の十年計画の半分を終わった状況でございます。その当時立てました十年計画と申しますのは、昭和二十二年までの木造庁舎、これを全部改築する。それから昭和二十二年、二十三、四年と、そのころでも応急に建てました建物がございまして、これは当然整備するという考えで、あと五年程度で一応戦前の建物及び戦後の応急バラックというものが整備、改築できるという計画で進んでまいっている状況でございます。多少のおくれはあるようでございますが、ほぼ計画どおりに進ましてもらっておる状況でございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 けっこうです。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 先輩川崎委員のほうからも御質問がありましたが、訴訟促進のための裁判所職員の充実に関する問題について、裁判所の見解を承りたいと思います。  昨年の十二月十九日に和歌山弁護士会で、月山桂、鈴木俊男、岩橋健、三会員が、裁判所職員の充実に関する調査というのをいたしました。これは最高裁判所へも御送付申し上げたいと思いますが、それによりますと、民事事件の関係では、昭和三十七年度民事通常事件において未済件数が四百三件、それが昭和四十三年九月末においては五百三十七件、刑事事件につきましては昭和三十七年に百九十六件であったものが、昭和四十三年九月においては未済事件が五百三十五件ということになっております。これは特に訴訟遅延が地方の県、中都市の裁判所に集中しているのではないか。われわれは、その総括的な意見といたしまして、裁判官の数及び書記官などの数が非常に不足している。特に単独審理をなし得る裁判官の数は、絶対的に不足している。その結果、未済事件が逐年激増しているのであるというところの結論を出しました。これらの問題について、訴訟その他裁判事務の適正迅速を促進するための措置、特に和歌山地方裁判所などの地方の裁判所における遅延というのは、私は非常に裁判官等の配置等において他の裁判所に比べて不公平があるのではないか、こういうようなことを感じます。これらの点について最初に答えていただきたいと思います。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま中谷委員のお話のございました点、私どもも常に非常に関心を持って検討しておる事項でございます。裁判所の裁判官なり職員の負担を調整するということは、まず第一義務的には全体の数をふやすということでございまして、これはいま御審議いただいております予算におきましても一、裁判官その他を含めまして百六十二名増員という形になっておるわけでございます。中谷委員つとに御承知のとおり、現在内閣においては公務員の定員抑制措置ということを非常に強力に打ち出しておられる、そういう状況下におきまして、とにかく百六十人という増員を計上していただいておるということは、これは内閣におかれて裁判所の実情に非常に御理解なり御認識をいただいておるあらわれであろうと思います。私どもこれで十分とは考えておりませんけれども、一般的な現在の環境のもとにおいては、内閣の御好意を非常に考えておるわけでございまして、また国会におかれても非常にバックアップしていただいておるあらわれであろうと感謝しておる次第でございます。  そこで、具体的にこれをどう各地に配分するかということが非常にむずかしい問題でございます。裁判事務というものは、一応数字であらわれてくるわけでございます。件数というものに出てくるわけでございます。そういたしますと、まず基本的には新受件数というものを中心にして定員を配分するというのが、やはり基本的な考えにならざるを得ないわけでございます。ただその際に、これにつけ加えまして定員配分の要素として考慮いたしますことは、一つは事件の質ということでございます。件数が同じであればいかにも同じような印象を与えはいたしますけれども、しかし大都会の、たとえば東京の事件と、それから比較的小さな支部等の事件では、これはわれわれが実務家として実感をもってわかりますところで、質的に差があるわけでございます。その点が一点と、それからもう一点は、いま御指摘のございました未済事件というものを、どの程度定員に考慮に入れていくかということでございます。そこで、先年来かなり増員をしていただいておりました分は、大体においていまお話のございました東京なり大阪なり——これは中谷委員もよく御承知の大阪の実情というものも相当なものでございますので、そういうところに中心を置いて定員を配ってまいっておりまして、御指摘の和歌山については、実は新受件数が横ばいでございますために、定員も横ばいになっておるわけでございます。なおだんだんお尋ねがございますれば申し上げたいと思いますが、定員としては横ばいになっておるわけでございますが、その中身がまたなかなかむずかしいわけでございまして、そういうところがいま御指摘のような問題にもあらわれておるのではないかというふうに考えるわけでございます。一応お答えといたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 念のために私のほうから申し上げておきます。  昭和三十七年度の新しく受理した件数が五百四十五件で、当時の未済事件が百九十六件、昭和四十三年九月末の新しく受理した事件が五百三十三件で、未済件数が五百三十五件、横ばいでございますね。ただ、単独審理をなし得る裁判官が昭和三十七年から昭和三十八年までは十人、昭和三十九年から四十一年までは八人、それが昭和四十二年になりましてから七人ということになってしまっているわけなんです。これではもう明らかに裁判官の不足。だから私は、これはどこかへこういうことがしわ寄せをされているのだと思う。裁判官、書記官その他の職員の非常な労働過重の問題が出ております。こういうような問題についてはひとつ全国公平になるように、せっかく和歌山弁護士会の会員が努力いたしましてこのような調査をいたしましたので、十分に御検討いただくということをお約束をいただきたい。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 和歌山の弁護士会の御調査の結果は、私どものほうにまだ正式にはいただいておりませんけれども、先ほど来お読み上げいただきました数字は、大体においてほぼ正確なものというふうに考えております。  そこで、単独裁判をなし得る裁判官が若干異動があるということも、御指摘のとおりのようでございます。しかしながら、この点も御理解をいただきたいのは、先ほど来御強調になっておりますように、単独裁判をなし得る裁判官の増加が非常に必要であるというお話で、全くそのとおりでございますけれども、それの最も大きな給源は何と申しましても修習生、判事補とくるコースでございます。そういたしますと、これはどういたしましても修習生の採用の年次というものと関係いたしてまいりまして、つまり本年多くとりましても、それは五年後でなければあらわれないという関係にもなるわけでございます。幸いにして本年も判事の増員を認めていただいておりますので、この分は相当な程度増強になるわけでございますけれども、未特権判事補から判事補になります年齢層のところが、たまたま司法修習生の比較的少なく判事になりました時期に際会いたしておりますので、いわゆる特権判事補の増強という面ではなかなか困難な面もあるわけでございます。同時にまた具体的な人事といたしましては、同じ人をどういうふうに置くか、つまり何年間そこに置くか、置く間にはまた特権もついてくる、そういういろいろな要素がからむわけでございまして、これは人事当局の常に非常に苦労しておるところでございますが、御指摘もございましたし、こういう席でお話がございましたことでございますので、十分慎重に検討いたしまして考えてまいりたい、かように考えるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 次に、こういうふうなことばがあることを私も最近になって知りました。いわゆる二人庁の問題でございます。調べてみますと、尾鷲の簡易裁判所がそうらしい。和歌山でいうと、本宮の簡易裁判所も二人庁だ。そうして庶務課長が会同で出席をする、一人の職員が休むということになると、裁判所とは法律的に全く無縁な課長の奥さんが宿直をしたり事務の手伝いをする、これは全く異常なことでございますね。一体二人庁なんというものは幾らぐらい全国であるのでしょうか。これは全く私、好ましいことだと思いません。これに対する対策は一体いかがでしょうか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま中谷委員から二人庁のお話が出たわけでございますが、実は私どもとしては、二人庁というものは考えていないわけでございます。一番小さな庁を三人庁と考えておるわけでございます。ただ、定員の配賦は、書記官、事務官等のところまでは中央で末端まで統一していたしますけれども、その下のほうの職員につきましては、ある程度地方裁判所当局におまかせしている面もあるわけでございます。またそういたしませんと、時々刻々円滑にまいらない面もあるわけでございます。ただ、その場合でも、私どもとしては最小限三人は配置してほしいということで、これはそう配置できますように地裁のほうに配置いたしておるわけでございます。  そこで、しかしながら現実に二人の庁があるじゃないかという御指摘でございますし、またまさにそのとおりでございます。ただその点で尾鷲の場合と本宮の場合はあるいは若干違うかもしれないと思います。尾鷲のほうは、これはきわめて一時的現象と考えております。実は尾鷲には三人おりまして、また所長も三人置くつもりでおられるわけでございます。ただ、たまたま昨年の八月にそこにおります職員が他に異動することが人事上非常に必要になりまして、異動いたしましたあとを補充する予定であったわけでございます。ただ、どうせ補充するならば、これは事務官でございますから、しっかりした資格のある、試験を通りましたりっぱな職員を採用したい、こういうふうに考えましたところが、そうなりますと自然やはり四月一日の新卒で採用するほうがいいじゃないかということで、若干その期間が半年ばかり延びましたことは、非常に申しわけないことでございますけれども、すでに採用予定者も内定いたしまして、四月からは三人になるということでございます。ただ、ここは訴訟事件はきわめてわずかでございますが、略式等の関係が若干、ございましたので、いろいろな方策は講ずべきであったろうと思います。  それから本宮は、これは実はきわめて事件が少ないわけでございます。訴訟は一件もございません。それから略式が一年に五十件ぐらいでございます。と申しますことは、一カ月に四件ということでございます。ここへ三人配置いたしますことは、所長としてもなかなかたいへんであろう。しかし私どもはやはりいろいろな関係でできる限り三人とお願いいたしておりますけれども、そういう関係になっておるわけでございます。  それから全国で何庁ぐらいかという点は、私どもとしては基本的に三人とは考えておりませんので、尾鷲のようなものはきわめて一時的なものと考えておりますので、そう多くないというふうに考えておりますし、それはすみやかに解消してほしいものというふうに考えており、いまお話しもございましたので、早急にまたそういうふうな手配をいたしたい、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 次に、総長にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  いわゆる学園紛争に関連をいたしまして、たとえば安田講堂の事件というふうな言い方をいたしますが、五百九人起訴されているそうでございます。これは東京地方裁判所の刑事被告人の数の割合からいってもたいへんな数だと思うのです。  そこで、問題を二つ出したいと思います。一つは、このような大量の学生が起訴されたことによって、他の事件に及ぼす影響をどのように阻止するか、その点が一つ。  二つ目は、言うてみればこれは公安事件でございます。メーデー事件については、裁判所も非常に熱心な審理であったと私は第三者として感じておりまするけれども、いまなお言い渡しがなくてすでに十六年、現在調べてみますると、死亡によって公訴棄却の判決を受けた人もかなりいるようであります。そういうことを考えてみますると、これら学生の大量起訴、五百九人の人たち——学生の暴力は許せないということは当然でありまするけれども、二十を過ぎたばかりの人が今後十年あるいは十五年被告人の座におるということは、これまたいかがなものであろうか、第三者といいますか、おとなとしてそういうことを私は感じます。これらの問題の訴訟促進ということについてどのような特別な措置あるいは配慮を最高裁判所としておやりになるか、この点です。  もう一点追加をしてお尋ねをいたします。訴訟促進のためという観点から、いわゆる学生諸君が裁判所に対して申し立てをしている統一裁判——統一裁判という内容は必ずしも明確でありませんけれども、御理解いただけると思います。そういう統一裁判というものが訴訟促進にプラスかどうか、同時に真実発見という観点からは一体どうなんだろうか。裁判所の審理に関することでありまするから、直接担当される裁判官の訴訟指揮に関することであろうと思います。御審理に関することであろうと思いますけれども、最高裁判所として訴訟促進、いわゆる真実発見という観点からこれらの問題についてどのようにお考えになるか。  質問を続けます。もう一点あります。それからなお荒れる法廷ということが予想されます。これらの問題についての措置というものは一体いかがあるべきだろうか。特に私はこの機会に申し上げておきたいと思いますが、浦辺裁判長さんでありましたか、看守がずいぶんだくさんついてきたということについて、看守に対して退廷の措置をおとりになった、というふうなことは、私は訴訟指揮として非常に適切であったと思いますし、むしろ裁判所のそれぞれの裁判官におまかせすることではありましょうけれども、法廷秩序に関する法律等を発動することが直ちに法廷が荒れないことになるとは私は思いません。そういうふうな気持ちで、ひとつ四点お尋ねをいたしたいと思います。

岸盛一最高裁判所事務総長

○岸最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問の諸事項は、これは現在の裁判所として非常に大事な問題であります。東京地方裁判所に東大事件で五百九名起訴されておる、いわゆる大量起訴がございます。これに対してどういう対策といいますか方策が考えられるかということでございますが、まず第一に、東大事件を受理しました裁判所がどのような方針を立てるかということが先決問題でありまして、その裁判所の立てた方針についてできる限り司法行政面でわれわれが支援をする、そういうことになろうと思います。たとえば、現在の東京地方裁判所刑事部の裁判官の数ではとうていこの場を切り抜けることができない、何名くらいほしい、増員しなければならぬということになりますと、もう絶対数においては限られておりますけれども、何とかしてそれに必要な裁判官以下補助職員を応援として送る、そういうようなことも考えられますし、またその他いろいろな事務の能率の面で物的施設の要求がありますれば、やはりそれについても十分の支援を送りたい、かように考えます。   〔橋本(龍)主査代理退席、畑主査代理着席〕  それからメーデー事件を例に引かれました。私どもとしても、遺憾ながらあれはあまりにも長過ぎた。今回の事件、また今後予想されます大量起訴事件において、あのメーデー事件の二の舞いは絶対に避けなければならぬ、そういう考えでおりまして、これは第一の問題とも関連することになるわけでございます。  それから第三点の荒れる法廷でございましたか、これは荒れる法廷ということばは今日急に起きた問題ではございません。もう十数年前のある時期にも起きました。釈迦に説法のきらいがございますが、裁判所は民主政治の支柱であるといわれております。国会が制定した法律が実現されなければ民主政治というものは成り立っていかない、その法を実現するところは裁判所であり、特にその法廷である。その法廷というものについては特に秩序が保たれなければならない。法廷を支配するものは英知と理性でなければならない。しかるに往々にして暴力が法廷に入り込むという事態が最近起きております。こういう事態に処しては、裁判所はやはり国民から負託された民主政治の基礎としての裁判所の機能を果たすために、厳然たる態度で臨まなければならないと思います。と申しましても、ただいたずらに刺激を与えて、そしてこの法廷を混乱化するというのではなくて、従来、御承知のとおり裁判官は寛容と忍耐をもってなるべく説得して、そして手続を進めて実質的な審理に入るという心がまえでやってまいりました。これも非常に大事な心がまえと思います。ところが、ときによりましては、その限界を越える事例もあります。そういう場合にはやはり断固、許された力をもってそういう妨害を排除していかなければならない、かように考えるわけであります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 お答えがあったのかもしれませんが、いわゆる統一裁判というものについて……。

岸盛一最高裁判所事務総長

○岸最高裁判所長官代理者 統一裁判がよろしいかどうかということでございますが、これは私どもとしては、具体的なあの事件についてどうしろということはここでは申し上げかねます。やはりいま東京地裁においては、どのようにしてあの事件をむだなく円滑に進めようかと、弁護士団と検察官を交えて裁判官が協議いたしておりますので、この際どちらがいいとか悪いとかということは、ここでは差し控えたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 具体的な事件のことでございますので、私もその点を心得た上でお尋ねをいたしますが、法務省の刑事局長さんと最高裁の刑事局長さんにお尋ねをいたしたいと思います。  要するに、総長の御答弁の中に特に強調されたのは、メーデー事件の二の舞いを繰り返すようなことがあってはならない。十六年はあまりにも長過ぎるということだっただろうと私は思います。そういたしますと、最高裁として訴訟の促進、要するに二十の青年であったとして十六年たてば三十六になるわけでございます。そういうふうな事態を避けるために、最高裁としてとるべき措置について総長からお答えがありましたけれども、いま一度最高裁の刑事局長からお答えをいただきたい。  なお、法務省の刑事局長さんにお尋ねをいたしたいのは次のことです。私は機動隊の行き過ぎを抑制しなければならないという立場で、ここ一年半ずっと機動隊の警察権力の不当な行使について各委員会で発言をしてまいりました。そういうふうな中で最近気がついたことは、いわゆる検察庁の学生に対する処分の方針というものが最近変わったんだろうか。起訴率が非常に高くなったような気がしますが、もしそうだとすると一体その理由は何か、これが一点。特に新宿騒乱事件——騒擾罪というのはたいへんな事件だと思いますけれども、この事件については百人も起訴されたということは聞いておりません。五十人起訴されたとも聞いておりません。証拠の問題もあったと思いますが、そういうようなことについて、起訴率がうんと高くなってきたということを一体どう理解したらいいのかということ。  なお、訴訟の促進というのは、裁判所を中心として検察官、弁護人の協力のもとに行なわれるべきことでありますけれども、大量起訴の学生に対する検察庁としての訴訟促進のために特にお考えになっていることがあったならば、この機会にお答えをいただきたいと思います。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 裁判所のほうからまずお答えをいたします。  先ほど東大事件のお話が出ておりましたが、これは係属しておりまする具体的な事件でございますので、その事件の処理ということではなくて、一般的な問題としてお答えさしていただきたいと思います。   〔畑主査代理退席、橋本(龍)主査代理着席〕  現在の刑事訴訟法が施行されまして二十年たちました。われわれはすでに二十年の経験を持っておるわけでございますが、この二十年の間に、裁判が長期化する原因はどういうことかということが、ある程度統計的にも出てきているということでございますので、それをまず申し上げますと、一審について申しますれば、長期化の原因としては、証人調べに日時を要したということが一つあげられるわけでございます。これは被告人が多数であるとか訴因が多数であるとかということとも関連はいたしまするが、現象的にこういうことがあるわけでございます。これは御承知のごとく、被告人には証人審問権がございますから、捜査過程において作成された供述調書というものが当然には証拠能力を持たないわけであります。御承知のとおり、同意がなければそれを証拠とすることはできないという関係で、証人を呼ばなければならない。そして反対尋問の機会を与えなければならない。被告が多数であればまた再度呼ばなければならないということもあるわけでございます。そういうことで、被告人が多数であればその証拠調べについても日時を要するということにもなるわけでございます。  それから長期化の原因としては、訴因が多数であるということがあげられます。さらには計算関係が複雑である。これは租税事件なんかについていえます。あと、証拠の閲覧、謄写等に時間を要する、こういうようなことが過去のわれわれの経験において体験してきていることでございます。  それから、先ほどもお答えをいたしましたのですが、百日裁判事件において具体的な方策を立てました。その際にも、訴因を簡明にする、あるいは百日事件の被告とそうでない被告とを分離して調べるというような具体的な一つの方策が打ち出されてそれが実施されておるというようなことでございまするので、このような二十年のわれわれの経験というものがすでにございまするので、今後の問題としては、このような長期化の原因をいかにして解消するかということに向かって、われわれは進みたい、かように思っております。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 最初は起訴率でございますが、学生の暴力事件、羽田事件以降の処理で、最初は大体九%程度の起訴率、それから去年の夏ごろになりましてやや上がりまして一六%くらいになりまして、それから秋から十一月ごろにかけての新宿事件を中心として、あるいは防衛庁あるいは国会なんかの事件のときの平均が、やや上がってまいりまして大体三二、三%程度ということになりまして、それから東大事件になりましてから七〇%近い起訴率を見ておりますので、徐々に起訴率が上がってきたということはやはりいえると思います。それから平均いたしますと、ただいまの統計では大体四六%くらいの起訴率を学生事件について示しております。  ただ、そういう平均で申し上げましても、私どもの処理の真意とは必ずしも合わないわけでございます。と申しますのは、やはり事件ごとにかなり顕著な相違を示しております。たとえば羽田事件とか市街で行なわれた事件につきましては、証拠の関係もありましょうし、また処理の方針もありましょうけれども、概して非常に低いわけでございます。それから日大事件なんかでは二五%、それから防衛庁侵入事件なんかにつきましては三五%程度の起訴率を見ております。それから東大事件なんかについては先ほど言ったとおりでございますので、個々の事件ごとにやはり起訴率をもう一回別な観点から検討し直すということも必要ではないかと思っております。  処理方針でございますが、一般的な処理方針といたしましては、やはり十八歳から二十二歳くらいまでの少年をも含めた若い者の犯罪であるというふうなこと。またいろいろな客観条件も考え合わせまして、かなり当初におきましては、比較的寛大というか、むしろ更生を待つというふうな態度をとってきたわけでございますけれども、事件ごとによりましては非常に放置を許さないような事件も出てまいりましたので、その事件の悪性の大きさに応じまして順次起訴率が上がってきたということがいえるのではないかと思います。  それから迅速処理の点でございますが、法務省あるいは検察庁といたしましてもメーデー事件その他の長期に延びた事件の反省を教訓といたしまして、今回におきましては大量起訴はいたしておりますけれども、きわめて訴因の簡明、明確化と申しますか、というふうなところに重点を置き、なおまた裁判所に協力いたしまして立会体制なんかについてもかなりたくさんの検事を専門に動員するというようなことによりまして、過去の教訓を無にしないように裁判所に協力いたしまして、何とかして簡明な迅速処理ができるようにということを考えております。  なお四十一年だったと思いますが、四十一年春の早稲田田の事件が、十数名起訴された事件で、そう大量起訴ではございませんけれども、この種の事件も過去においてはかなり訴訟が延引いたしておりましたけれども、これはすでに五十六回か七回の公判を重ねまして、すでに三年を経過しておりますけれども、報告によりますと、来月の七日ごろには一審の判決がある、こういうふうなことになってきておりまするので、この種事件につきましても最近はかなり訴訟の迅速化が見られる、こういうふうに考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 最後に、もう質問をまとめていたします。次のような質問なんです。裁判所にお尋ねしてもおそらくまだ統計が出ていないと思うのですが、学生が、学園紛争で逮捕された人ですね、これらの人の中で、機動隊の暴行によってけがをしたということで勾留執行停止の申し立てをしたのが一体何件くらいあるかというふうな資料は出ておらないと思います。もし出ておるようでしたら御答弁いただきたいと思います。出ておらなければ答弁はけっこうです。  ただ、この機会に警察庁の警備局の方にお尋ねをいたします。次のようなことをお尋ねしたい。  勾留されるときに、裁判官が、学生がけがをしておるというふうなことでかなり勾留の問題についていろいろな点で配慮されるわけですけれども、入試阻止をめぐって、さらにまた学園紛争が、非常にふしあわせですが続きます。そういう中ですでにわれわれが指摘をしましたのは、厚生省の毒物指定を受けるべきではないか。そういうふうなガス銃などというものを使うことは人権侵害ではないか、こういうことをわれわれ指摘をいたしました。いわゆる入試阻止については警察力を発動して、機動隊を導入してでも入試をやるのだ。この点についての質問はきょうはいたしません。ただ、その際にあれだけ国会において問題になり、現に私自身も本日診断書を持ってまいりましたけれども、何人かがびらん、腐乱したというふうな診断書を私は持っておりますけれども、ガス銃は相変わらずお使いになりますか。使わないということは断言できませんかという質問をいたしておきたいと思います。なおこの問題に関連をいたしまして、法務省の人権擁護局長さんについては、博多事件等についてのいわゆる人権侵犯の申し立てがすでに出ております。これらについての進行状況は一体どうなっておるか。ことにガス銃について国会で論議をされましたが、人権擁護局としてもこれを無視し放置するわけにはいかないだろうと思いますが、この点について御調査いただけるかどうか、お答えをいただきたい。  そしていま一つの質問は、質問のあれが違うのですが、いよいよ石も黙っておれないということで各地方裁判所に対していわゆるサラリーマン源税の訴訟というのが起こります。これはぜひともわれわれは提訴いたしたいと思っている。お年寄りのサラリーマン、若い青年サラリーマン、オフィスガール、技術職の人、事務職の人、あらゆる人についてそういうふうなサラリーマン減税の訴訟を起こしたいと思っている。裁判所としてはこれらの問題について鑑定等も要する問題だろうと思いまするが、ひとつ十分にそれらの訴訟、その訴訟がすみやかに進行していただけるように最高裁として御配慮をいただきたい。この点をひとつお答えをいただきたい。  同時に、大蔵省の方においでをいただきましたが、大蔵省のほうにお答えをいただきたいことは、訴訟で国が敗訴すれば当然サラリーマン減税の措置は講じなければなりませんね。しかし同時に、訴訟というのはかなり長くかかりますが、そういう訴訟の中における、まじめに提案されたところの、提起されたところのいろんな論点というものは、サラリーマン減税の今後の措置に十分利用さるべきであると私は考えます。この点についてお答えいただきたい。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 中谷君。十分以上経過しております。簡単に願います。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 お尋ねの順序が、あとになりましたのですが、便宜サラリーマン減税の訴訟の扱いについて私どもの考えを申し上げます。  いろいろとむずかしい問題が訴訟になりますと起こってまいるようでございますが、そういう訴訟が起こってまいりました節は、できるだけそれの円滑な審理の促進に資するように、私どもも会同等を通じまして訴訟事件の適正な処理ということについては意を用いていきたい意向でございます。

後藤信義警察庁警備局参事官

○後藤説明員 ガス銃の使用についての御質問でございましたが、これは、ガス銃と申しますのはもう先生先刻御承知のとおりと思いますが、ガス弾つまり催涙ガスを発射する器具にすぎないと申しますか、そういうものでございます。したがいまして、問題は催涙ガスを使うかどうかということになろうと思います。  そこで、私どもといたしましてはできるだけ人体に被害を与えないで、しかも相手の暴力的な行為を制圧するに便利なそういう資器材がございますならば、これをぜひ使いたいと思っておるわけでございますが、ただいまの段階では、私どものほうで使っております催涙ガス、これ以外に適当な装備資器材というものは見当たらないわけでございます。これは外国のほうにもいろいろ照会をしたりあるいは調査をいたしておりますけれども、一番これが被害を与えないで、しかも制圧するに適すると、こういうことで使っておるわけでございます。いま、申し上げるまでもなく、これを使うにあたりましては十分なる配慮をいたしまして、内部的にも規律をいたしておりまして、そうやたらに使うというものではございません。しかしながら、何ぶん遠くのほうから石をほうるあるいは火炎びんを投げる、劇薬を投げるというような状態でございますので、近づいていけばこれはあるいはある程度制圧できるという場合でも、その近づくまでの間に警察官が負傷する。それを避けるためにはどうしてもガスを使うということにならざるを得ない、こういうようなことがございます。  そこで、それでは今後絶対に使うのか使わないのかというお尋ねでございましたが、ガスはそう軽々に使うべきものでないことは私どもも十分承知をいたしておりますけれども、絶対に使わない、あるいは入試阻止をめぐる紛争については絶対に使わない、とこういうようなことをいまから申し上げるというわけにはまいらぬと思います。やはりこれを使わなくては処置できない、またこれを使うことが最も適切であるという場合もあろうと思いますので、そういう場合には今後とも十分に注意をしながら使っていく、とこういう方針でございます。

上田明信法務省人権擁護局長

○上田(明)政府委員 お答えいたします。  佐世保事件につきましては、その被害状況につきまして医師など約三十名について調査いたしました。大体いま記憶しておりますのは、軽傷七百名ぐらいあるというふうな調査の段階でございますが、なお重傷者が出たか出ないかという問題について調査の端緒も大体つかんでおりますので、なおさらに検討してみたいと思いますので、現在の段階ではまだ結論は出しておりません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 ガス銃についての調査があるかどうか。

上田明信法務省人権擁護局長

○上田(明)政府委員 ガス銃についての調査でございますか。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 はい。

上田明信法務省人権擁護局長

○上田(明)政府委員 いま佐世保の事件に関連いたしましてガス銃にも当然調査をするということになろうかと思います。

植松守雄国税庁直税部所得税課長

○植松説明員 いわゆるサラリーマン減税の問題でございますが、サラリーマンの税負担が不当に重いということで訴訟が起きておりますが、それが現在二つございます。一つは、例の大島訴訟それから総評の源泉徴収が違憲という訴訟でございます。これらの訴訟自体につきましては、われわれ国側として反論いたしておるところでございます。その中に、たとえば必要経費の問題であるとか、あるいは源泉徴収が違憲であるとかいうことについてはわれわれ承認するわけにはいかない。その訴訟自体はいろいろ争っております。ただし、そのサラリーマンの税負担が重いということにつきましては、いま世論がこれを非常に重要視いたしまして非常に熱っぽい議論が展開されておるということは御承知のとおりでございます。そこで政府も今回、来年度の平年度千八百億という所得税の減税案を提案いたしております。これは直接サラリーマンに関係するものといたしましては給与所得控除の引き上げとかということでございますが、そのほかに各種控除の引き上げ、税率の緩和、いずれも実質的にサラリーマンの減税に寄与するものでございます。もっぱら、結局その内容がどうかということになるだろうと思います。もちろんその問題は単に裁判の問題だけではなくて、国会でもあるいは各種の場で論議されることと思いますから、その中で税制上理屈のあることはもちろん実現される方向に持っていくべきだろうと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 どうも失礼しました。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 玉置一徳君。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 いま中谷委員からも質問がございました裁判の遅延の問題ですが、前のメーデー事件が十六年にわたりましていまだに一審の判決も出ていないという実例から考えましても、まず裁判には、一つは、こういうように裁判が長くなってまいりますと、刑事の裁判それ自体が利害関係者の人権を侵害するおそれすらある。御案内のとおり一番重い罪でも時効は十五年であるというような点から考えましても、刑事訴訟法第一条に申します「刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」という点から考えても、あまりにもこれは長期にわたっておるのじゃないか。起訴された者のその間の人権ということも考えなければいかぬ。そこでこのことがまた今回の大量起訴と考え合わせまして、いまいろいろと御苦心になっておいでになると思いますけれども、このままやるとまた前の事例を繰り返すことになるのじゃないかということを国民一般は危惧いたしております。そこで、法廷のいろいろなかけ引きもございましょうけれども、先ほどお答えがございましたけれども、大量起訴、しかもこれは、私は、ますますそれに通じたことが起こるのじゃないかという懸念が相当ございます現在、この大量の起訴された者につきましては、この機会に、ほんとうに前の二の舞いを踏まないように、裁判所、法務省のほう、それから弁護士、いろいろ法曹界で特別な立法なり、何らかの措置をされない限り、同じことが続いていく。次に起訴すべきような事犯ができましても、大量起訴に踏み切ることが、前々のものがずっと続いてまいりますと、事実上不可能になるのじゃないか、こういうように考えるわけですが、この際、刑事訴訟法がいままでは十数人を対象として法廷その他を準備されておる現状にかんがみましても、何か特別立法をそろそろ考えなければやっていけないような現状にあるのじゃないかと思いますが、これについての、裁判所並びに法務省の見解をお伺いしたいと思います。

岸盛一最高裁判所事務総長

○岸最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問、先ほど中谷委員の御質問同様に、今日、裁判所にとってまことに切実な問題であると存じます。当面、全国的に学生事件があって、千名余り起訴されておりまして、その大半が東京の地方裁判所に起訴されておりますが、東京地方裁判所におきましては、裁判官と弁護団と検察官との間で、どのようにしてむだなく手続を進めるか、そういうことを十分協議しまして、そうして、あらかじめ期日を計画的に立てて、そうして手続を進行してまいりまして、これまで、羽田事件など相当数の事件が判決になっております。今度また新しく起訴された事件、また今後予想されるような事件につきましても、そのような態勢がとられることと思います。  そこで、ただいま立法問題として考えてはどうかということでございますが、これは重大な問題でございますので、近く最高裁判所におきまして、現在の刑事訴訟法、二十年たちましたけれども、新刑事訴訟法と呼んでおりますが、新刑事訴訟法の二十年運用の実績にかんがみて、立法上及び運営上考慮すべき事項について、全国の裁判所の裁判官の意見を求め、協議することになっております。そういう席で、いろいろな、現にそういう事件に遭遇して、経験して苦労した裁判官からの貴重な意見が出ることと存じます。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 メーデー事件なんかの長い審理の経過を法務省といたしましても、いろいろな面から検討いたしまして、検察官として、迅速処理のためにどういうふうな起訴手続、それから裁判審理についての裁判所に対する協力の方法、あるいはまた別な、弁護士会に対する協力の方法とかというようなことについて、かなり詳しい検討をいたしております。今回は前のメーデー事件なんかとは犯罪の態様も違いますけれども、それにいたしましても、きわめて大量の起訴であるという点においては共通の点を含みますので、過去の経験を十二分に生かして、全面的に裁判所に協力いたしまして、何とかして迅速な審理を、現行法のもとにおいてもやり遂げることに、万全の措置をはかりたい、こういう考え方でございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 私は、特別立法をつくれという意味で申し上げておるのじゃございませんけれども、いままでの裁判の経過からかんがみまして、またこういう事犯が起こるというふうなこともなきにしもあらずというような点から考えて、裁判の審理をなるべくすみやかにしないことには、一般のさばかれる者からすれば、ほんとうに人権の侵害になるから、これを急速にやろうと思えば、応援弁護士の問題とか、いろいろあり得ると思いますけれども、統一審理をするというような場所もほんとうはないというような現状からかんがみまして、そういう議論がいま起こりつつあるというので、検討を要すべき問題である、こういうような趣旨で申し上げたわけでありますが、なるべく審理が公正に、迅速にできまして、そのさばかれる人々の人権をそこなわないようにやっていた、だき、しかも法の威信というものをひとつ確保していただきたい、こういう意味で申し上げたわけであります。善処を要望いたしておきます。  次に、法廷の秩序維持の問題でありますが、これも山中谷さんが若干お触れになりましたけれども、いわゆる早大事件ですか、あるいは東大の問題につきましても同じでございますが、公判審理が傍聴人らの不穏な行動によってしばしば妨害され、まるきり聞えないときすらある。あるいは異例の訓示が行なわれたときもあったというようなことで、裁判秩序と申しますか、維持するということは、わずかの廷吏ではなかなか困難な場合があり得る。しかも退廷を命ずるというようなことは、そうしばしば行ない得るものではないというような点にかんがみまして、過去の実例にかんがみまして、今後法廷の秩序維持のためにどのような対策をお持ちになっておるか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 法廷の秩序を維持するための基本的な態度と申しますか、それにつきましては、先ほど総長からも申し述べたわけでございますが、裁判所は訴訟を進めなければならない立場にございますが、その審理を中断して秩序を回復しなければならない事態がしばしば起きるということは、はなはだ遺憾なことであるわけでございます。裁判は公平に行なわなければならないわけでございますが、また、そのためにこそ法廷の秩序というものも保たれていかなければならないというふうに考えるのです。ただ、その秩序の維持のしかたといたしまして、制裁を科するということもございますし、それから制裁までいかないで、身体を拘束するということで済む場合もございます。さらには、先ほどお話もございましたように、退廷命令でその法廷の秩序を回復させる、さらに審理に戻る、こういうようないろいろなその事態に応じました対処のしかたがあるわけでございます。しかし、基本的には先ほど申し上げましたように、公平ということが大事であるからこそ秩序も大事だということでございますので、そういうときに、必要な限りは、裁判官としても断固として秩序を維持しなければならない、こういう基本的態度であるわけであります。さて、その場合に、退廷命令を発しても、それが十分に行なわれないということに相なりますと、これは重大なことでございます。そこで、法廷の秩序維持のために必要なる措置、まあ人的なもの、物的なものもあろうかと思いますけれども、そういうものは従前もその手当てをしておるわけでございますが、なお今後もその点については十分に裁判所をバックアップできるように措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 次に、大学問題について若干お伺いしたいと思います。  大学の紛争は、御存じのとおり、あるいは学生会館の運営の自主性、あるいは学生寮の自主運営、授業料の値上げ、また特殊な場合としては、大学の経理の不明朗というようなことで起こったわけでありますけれども、そして全国的にこのくらいの数になりますと、一貫して流れておる客観的な与件は、その原因がいかにあれ、この程度まで一般的に行なわれてまいりました流れというものを見ますと、全学共闘の方々と、いわゆる代々木派と申しますか、これの抗争というものだけは客観的にずっと流れておるのじゃないか。一般学生が、明治から行なわれております学部自治と申しますか、教授の自治と申しますか、こういうものでもう現在あきたらないことは事実であります。そういった一般学生の要望というものがこれと一緒にからまってきておる、こう見られるわけです。  そこで、東大事件の場合に、本日の分科会にふさわしい問題だけを取り上げてお伺いしてみたいと思うのです。東大の自治の問題は、文部のほうでございますから除きまして、あそこにございます器物の損壊を受けたものは、すべてこれ国有財産であります。したがって、国有財産の善良なる管理者の注意義務というものは当然あるべきだと思います。すべて国民の血税から成り立っておるのだという点を考えまして、一部学生によりまして不法に占拠され、長期にわたって、これが学校の教育目的に利用することを阻止されておる。非常に甚大な損害をこうむったわけでありますが、この物的損害は一体どのくらいにのぼっておるのか、調査された実態を、文部省からお答えいただきたいと思います。

安養寺重夫文部大臣官房会計課長

○安養寺政府委員 お答えいたします。  損害の総額は約四億五千七百万円、施設がそのうち二億四千万円ばかりになってございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 損害が四億数千万円でございますが、そのうちには、国宝に準ずべき貴重な文献、なかなかこれから収集しにくいぐらいの文献も多数にあると思うのです。そこで、東大のそういった国有財産の直接の管理者はだれであるか、文部省からお答えいただきたい。

安養寺重夫文部大臣官房会計課長

○安養寺政府委員 お答えいたします。  国立大学全般を通じまして、当該国有財産の管守者というものは学長でございます。すなわち文部省におきまして財産の管守の方法、職務の分掌、取り扱い等を定めまして、文部大臣の権限を一切委任いたしておるわけでございます。  なお、物品等につきましては、これまた本部事務局がございまして、その中の経理部長に権限を委任いたしております。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 しからば、東大当局の管理責任者は、その管理上どのような措置をこの六カ月間とってきたのか、公務員たる管理責任者は、厳に営造物がそこなわれないようにつとめなければならないし、もしもかりに破壊者がございますと、これを告訴告発する手続をとるべき義務が、刑事訴訟法の二百三十九条によりあると思いますけれども、その点、東大当局はきょうまでどうやってきたのか、文部当局はどうしてきたか、法務当局はどうされてきたか、この点につきまして、説明をいただきたいと思います。

安養寺重夫文部大臣官房会計課長

○安養寺政府委員 お答えいたします。  ずいぶん昔の話になるわけでございますが、入学試験の妨害が昨年ございまして、その後文部省におきましては、東大当局を含め、全国の経理部課長会議を開きまして、いろいろ具体的に、今後の予想される災害に対する防遏の方法と申しますか、防御の方法を指示したわけでございます。文書においても、その後指示をいたしております。東大におきましても、いろいろ御指摘のような問題が起こりましたので、再三、学長、学部長その他それぞれの責任機関におきまして、具体的に申しますと、学生の説得であるとか、あるいはその他、事務局の職員を督励して警備の体制をとるとか、物品の亡失、棄損に対する予防措置を講じてまいったわけでございます。  文部省におきましては、先ほど御説明いたしましたように、大学の管理の責任が学長にはございますけれども、文部大臣として、常に東大に対しまして、その管理の責任を十全に遂行するように、いろいろ具体的な指示をそのつどいたしておったわけでございます。不幸にして本年の当初、機動隊導入というような結果を見たわけでございまして、さっそくに告訴を学長名でいたしておるわけでございます。  なお、物的損傷等につきましても、現在、民事的な手続をとるべく、いろいろ個々の物件について検討をいたしておる次第でございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 東大当局の告訴告発は別といたしましても——おいでになりませんから……。文部省は、ただ一片の訓辞をしただけで終わっておるのか、六カ月間占拠されておったにかかわらず、この程度の破壊が、それはその半分か三分の一かは知りませんけれども、行なわれておるというような想定はついておるにかかわらず、全部を集めて訓辞しておるというようなことだけで、国民の血税である国有財産の有効な管理者としての責任を、文部大臣は持っておるのかどうかということを聞きたいのです。

安養寺重夫文部大臣官房会計課長

○安養寺政府委員 お話の筋、まことにごもっともでございます。くどくて恐縮でございますが、個々の大学の財産の管守の責任は、あげて学長にあるわけでございまして、文部大臣としましては、その管理者が、法令に基づいて十全の職務の遂行をされることを督励いたしておるという立場でございます。大学の施設が不法に占拠されておるというような状態はあるべきではございません。すみやかに管理者としてはこれを排除し、学園の正常な秩序維持ということにつとめるべきではございますけれども、大学は他面教育研究の場所であるというような問題ともあわせまして、物的秩序の管理維持ということとあわせて、これらの要素も考えなければならぬというように、多少めんどうな問題がございまして、文部大臣としても、両々あわせて大学といろいろと相談をし、督励をいたしてまいったというような実情でございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 別に今日、東大だけではないのです。全国で三十幾つの大学がこうした紛争に巻き込まれて——私は財産の破壊だけでないと思う。教育目的に利用でき得ないような形でもって、六カ月間もあるいは一年間も放置されておるのを、いまのような答えだけでは、私は国民の側から見れば納得がいきにくい。それで、文部省はどうしているのかということを聞いているのですが、文部省はまるっきり——このごろ十一の大学の学長が不在であります。おやめになって、そのあとができていない。あなたのおっしゃっている一番直接の管理責任者はそのくらいの数もおいでにならぬようなところで、直接の管理者に督励をするのが私のほうの業務でございますというようなことでは、私は、これは国会としては認めにくいのではないかという感じがいたします。そこで文部省、全くそういう意味では、このごろ文部省がなくなって不在であると言わざるを得ないと私は思うのです。  そこでかりに文部省がそうしてぼさっとしておっても、警察や治安当局もしくは法務省は、現に国有財産が無法な形で破壊されておることをお互いに現認しながら、文部省がものを言わない限り黙っておっていいのかどうか、このことについて、治安当局の見解をただしたいと思います。

後藤信義警察庁警備局参事官

○後藤説明員 私どもは、東大に限りませんが、一般の大学、特に国立、公立につきましては、そうだと思いますが、いま先生のおっしゃったような問題があるわけでございます。そこで、できるだけこの被害申告をしてもらうということで、せっかく努力をいたしたのでございますけれども、いかんせん、大学側、つまり被害者である当事者のほうが、被害申告をすることすらちゅうちょしておる。ましていわんや、それに対する捜査については、全くこれを拒否するというような態度であったわけでございます。そういたしますと、被害者のほうがまず被害申告があって、これに基づいて捜査をするというたてまえをとらざるを得ませんので、私どもとしましては、非常にいま先生がおっしゃいましたように残念な事態でございますし、遺憾でありますから、何とかして早くこういう違法なる状態を解消したいと思いましたわけでございますけれども、乱暴する学生が中に立てこもっておる、あるいは器物を損壊しておるという状態を知りながらも、これに対して適切なる手を打つことができなかった、とうとう本年の一月十八日に手入れをするまでそういう事態が続いた、こういうことでございます。もっとも、その中間におきまして、昨年の六月十七日、要請がありまして、安田講堂につきましては、一度学生を排除いたしましたが、これすらも七月二日に再度侵入され、そのまま大学側が放置しておる、こういう状態であったわけでございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 先ほどお断わりいたしましたように、私は、学園の自治の問題は別個の考えを持っておりますので、それを切り離しまして、ただいまは国有財産の管理という点から、質問をいたしておるわけでありますが、文部省もただ督励をするだけだ、六カ月、一カ年、それがどのような阻止、教育目的に利用されないような阻止をされておっても、治安当局は、その大学の管理者から要請がない限り、いかに大学が破壊されようとも、そのことは放置しておる、見て見ぬふりをしておる、こういう答えですか。もう一度治安当局の……。

後藤信義警察庁警備局参事官

○後藤説明員 これは、つまり犯罪の成立ということにも関連すると思うわけでございますが、国有財産上のたてまえからいたしますと、私ども非常におかしいことであり、当然その管理責任者である大学当局が、そういう被害があった場合には、私物ではございませんから、当然その被害の申告をすべきであると思うのでございますけれども、これらを管理しております管理責任者のほうから何らの意思表示がない、端的に申しますと、一一〇番がかかってきてもよろしいわけでございますけれども、そういう形がとられないということでございますので、やむを得ず、これを傍観せざるを得なかった、こういうことでございます。もっとも、何べんかにわたりまして、こういう状態は放置すべきでない、したがって、これに対する被害の申告をし、捜査について十分協力を求めるという意思表示は、私どものほうから大学当局にはいたしておるわけでございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 もう一つ、じゃ聞いておきましょう。  大学の中で、それぞれ武装して、何らかのこん棒その他を持ちながら、学生同士が大乱闘をして、非常に身体、生命にも危険を予想されるという事態でも、これは入っていかないということを言明されるかどうか。

後藤信義警察庁警備局参事官

○後藤説明員 いまお尋ねの件は、先ほどの件と全く別問題と私ども考えます。したがいまして、さような事態がありますならば、大学側の要請があろうがあるまいが、またこれを拒否しようがしまいが、これは現行犯でございますから、直ちに立ち入って、所要の措置をとるという方針でございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 話が余談になりまして恐縮だったのですが、そこで、もう一度文部当局に説明を求めたいと思います。  先ほど申しましたように、大学の総長が不在の場合は、だれが管理者か、説明をいただきたいのです。

安養寺重夫文部大臣官房会計課長

○安養寺政府委員 お答えいたします。  俗に代行と申しておりますが、文部大臣から学長事務取扱の発令が、ございまして、当該本人がその職務を執行いたすわけでございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 学長事務取扱——これは文教で聞かなければいかぬですな。文教の問題になりますから、きょうは分科会が違いますから、国有財産の管理ということだけに限ってお伺いしたわけでありますので、脱線をしてはいけませんので、この程度で終わります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 これにて昭和四十四年度一般会計予算中、裁判所所管に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 以上をもちまして、本分科会における質疑は全部終了いたしました。     —————————————

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 この際、おはかりいたします。  昭和四十四年度一般会計予算中、皇室費、国会、裁判所、内閣、防衛庁及び経済企画庁を除く総理府、法務省及び文部省所管並びに他の分科会の所管以外の事項、昭和四十四年度特別会計予算中、文部省所管並びに他の分科会の所管以外の事項、昭和四十四年度政府関係機関予算中、他の分科会の所管以外の事項に対する討論、採決は、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が無事に終了することができましたことをここに深く感謝いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会

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