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61回国会衆議院1969/02/27

予算委員会第一分科会 第4号

発言数
360
登壇者
37
会派数
4
開催日
1969/02/27

会議録

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算中文部省所管予算を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。畑和君。

畑和日本社会党

○畑分科員 私は、本日は、東京あるいはその他、大阪、名古屋等、そうした人口が非常に急増しておる、特にそういったところの近郊の市町村の人口急増地帯の市町村において、義務教育施設費に対する特別の措置を何とか講じてもらいたいという要望がきわめて強いものがありまして、私の県も、東京のすぐ隣の埼玉でございますので、特にそうした顕著な傾向のある市町村が多いのであります。その顕著な一つの例といたしまして、私がこれからあげますのは、北足立郡の新座町という人口六万ばかりの町でありまして、このことを中心として——ただこの町に関する関係だけではないのでありまして、これを一つのモデルケースとして、文部当局あるいは自治省、それからさらに大蔵省等に質問をして、ぜひ特別の措置を講ずるようにしてもらいたいということが私の質問の中心点でございます。  埼玉県におきましては、特にこの新座町というのはひどいのでありますが、そのほかに入間郡に福岡町というのがございます。あるいはそのすぐそばの富士見町、こういったようなところも、やはりこの新座町と同じような傾向でありまして、東京にすぐ近接をいたしておる。そうして急に最近になりまして人口が急増してまいりました。わりあいに地域の広いところでございまして、いままでは比較的あいておった土地が、だんだんと人口がふえてまいりまして非常に困っておる状態であります。そのことについて何とか特別の措置をということで、たぶんそちらにも、新座町の町議会の議長名で総理大臣、大蔵大臣、文部大臣、自治省の財政課長、文部省の管理局長、その他埼玉県当局、こういったところに同文の地方自治法の規定によった意見書が提出されておるのでありますけれども、それはお読みになっておられますかどうか、まず承りたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 管理局長から御答弁申し上げます。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 拝見いたしております。

畑和日本社会党

○畑分科員 ほかの自治省や大蔵省関係は読んでおりますか。

山本成美自治省財政局地方債課長

○山本説明員 この席から御答弁さしていただきます。読んでおります。

藤井直樹大蔵省主計局主計官

○藤井説明員 まだ受け取っておりません。

畑和日本社会党

○畑分科員 いまの答弁によると、文部省あるいは自治省は受け取って読んでおる。大蔵省のほうは受け取ってない、こういう話であります。おそらく、ここの新座町に限らず、全国的には同じような傾向のところがたくさんあると思います。したがって、こうした同じような種類の意見書等が当局のほうへ出ておると思うのでありますが、これに対して何とか処置を考えられたかどうか、その点について、まず文部省、それから自治省、おのおのに承りたい。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 過密の問題は、先生御指摘のように、たいへん重要な問題でございまして、前々から過密関係の市町村から要望を受け取っておりまして、そこで、四十四年度の予算要求におきましては、過密問題を特に文部省の重点事項として取り上げて予算要求をしたというふうな状況でございます。

畑和日本社会党

○畑分科員 どのくらい要求していますか。それで幾らとっているか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 公立文教施設全体といたしまして約四百六十億余り要求いたしておりますが、その中で、過密の関係だけということになりますと、ちょっと数字が手元にございません。

畑和日本社会党

○畑分科員 四百六十億は何ですって……。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 公立文教施設の国庫負担全体でございます。  それから、その中で特に小学校関係、中学校関係の校舎等につきましては、過密対策という金額がかなりの分を占めております。

畑和日本社会党

○畑分科員 これをいますぐでは間に合わないというような様子ですけれども、ひとつ数字的に少し抜いて調べてもらいたい。このうち幾らが一体そういった過密対策なのか、その数字を把握していないのは少しどうかと思うのです。いかがでございますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 あとで数字を管理局長から説明いたさせますが、ことし、過密対策といたしまして、社会増地域における学校用地対策の一つといたしまして、昭和四十四年度予算で新たに社会増地域における小中学校新設校の整地費として三億円を計上いたしております。これは全く新たな予算措置だと心得ております。

畑和日本社会党

○畑分科員 学校の校地の整地費として全体で三億円というわけで、まあ、しかし、いままでなかったのをあらためて四十四年度から三億円の校地の整地ということの名目で予算化された。まあ、一歩進んでいるわけですが、しかし、これくらいの金額ではいたし方がないと思うのです。結局、用地の取得については、御承知のように、全額市町村持ちということになっておるわけでありまして、したがって、その大本を動かすわけにはいかぬものだから、こうしたわずかな費用であるけれども、校地の整地費として予算化されたのだと思うのです。しかし、そういう配慮がありますといたしますならば、この金額をもっともっとふやしてもらいたいのであります。しかも、新座町の例をとってみますると、きのう、私、町当局に照会して聞いてみました。先ほど申し上げました陳情書も私の手元に来ておりますので、それを見てつくづくとわれわれの責任を痛感させられて、そうして実は、きょう、いい機会だと思いまして、私、文教関係では完全にしろうとでありまして、よくわからないのでありますけれども、その責任を感じまして、きょうの機会を許していただきまして質問するわけでありますけれども、どんどん農地、山林その他が高くなりまして、現在ではもう校地を取得するのに、奥のほうで坪当たり八万円、公道に面するところでは九万円というような値段がいたすのでありまして、相当広い校地を必要とする関係で実は非常に用地の取得に困っておる。金に困っておる。結局、起債のワクを認めてもらって、そのワクの範囲内でやるわけでありますけれども、話を聞きますと、その起債のワクまでがやはり何かの関係で最高限度がきめられておるそうです。新座町の場合によりますと、何か三億円以上は起債できないという絶対額か何かのきまりがあるそうであります。だから、幾らでも借りられるというわけでもない。幾ら自分の借金であっても、結局、幾らでも借りるわけにいかぬ。そうした起債のワクの最高がきまっておる、こういうことでありまして、しかも、この町は、ついこの間二万か三万のところでありましたが、ほんとうに三、四年のうちにもう六万になりまして、一年間に一万以上人口がふえる。しかも、今度はさらに公団の団地が一カ所ふえるということでありまして、昭和四十四年度には小学校を三つ建てなければならぬというような状態にあるわけでありまして、これは別に町の責任だけではないわけでありまして、大きな立場で言いますならば、社会増でありますから、結局、国家の責任だというふうに思うのであります。そういう点で、規則その他がいままであるのでありましょうけれども、したがって、その規則を何とかして、こういった人口急増地帯に対して特別の措置を何とかしてもらいたいというのが、これらの市町村の切なる願いなんでありまして、われわれも、そうしたところにおる関係で、そうした責任を感じておるわけであります。この点につきましては、何か特別措置はどうしてもできないのですか。いまの三億円というのは、特別措置の一つだと思いますが、もっと、こんな程度ではなくて、たとえば起債のワクを、いま言ったそういった最高限というのをはずすとか、あるいはまた、起債の金利ですね、いま縁故債でやりますると七分五厘だそうです。ところが、国のほうの関係のだと六分五厘だということで、その差額の利子補給というようなやり方はできないか。それからまた、もう一つ、切実に希望していたのは、とにかくどんどん校地が必要なんで、また土地がどんどん高くなる。そういう関係から、早く先行取得をして用地を確保しなければならぬという問題があります。そうなりますと、三年先ぐらいの分まで起債の認可がもらえるということであるとすれば非常に助かる、こういうことを言っておるのです。一年一年だと、それだけもうどんどん校地が高くなってしまう、こういう関係で、何とかそういった先の分までの起債が認められないものか、こういうことを言っていますが、この辺いかがでありましょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 起債の問題、確かにこの社会増地域、過密都市におきまする社会増、そのことにつきまして、私、文部省といたしましても、重点施策の一つとして考えてまいっておるわけでございますが、起債のワクにつきましても、全体のワクにつきましては、昭和四十二年度から始めておりますが、昭和四十三年度二十億でございましたものを、昭和四十四年度では五十億円に増額することにいたしておるわけでございます。それで、各市町村等におけるワクの問題については、おそらく自治省から御答弁をいただいたほうがいいんじゃないかと考えております。  それから、校舎建築の問題につきましても、従来から、実は、やはり補助率を上げなければいけないということを考えまして、本年度におきましても、三分の二に引き上げるように大蔵省と折衝いたしたわけでございますけれども、これはついに財政事情からできなくなったわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたような意味合いにおいて、起債の増額をはかるとともに、同時に、新たにことしは、三億円ではございますけれども、一つの芽が出たわけでございまして、これを少しずつふやしていくということによって、先生の御質問あるいは全国の過密地帯における急増対策の一つに考えたいと思いますし、また、来年度におきましても、補助率等については十分考えていきたい、かように考えておる次第でございます。

畑和日本社会党

○畑分科員 文部省としては、この建築費の補助率も、いままで三分の一であったのを三分の二にしようということで、今度の予算査定で尽力をした。しかし、大蔵省のほうの関係で、従来のように三分の一の据え置きになった、こういうことでありますが、その点どうですか、大蔵省の方出てきておられますね。その辺ひとつ答弁していただきたい。

藤井直樹大蔵省主計局主計官

○藤井説明員 お答え申し上げます。  社会増地域におきます市町村その他の、いま地方財政上、人口の増加に伴って非常に困難を来たしているという実情はよくわかるのでございますけれども、各市町村によりましてその実態が非常に違うわけでございます。あるところば非常に人間がふえる、あるところはそれほどでもない。その程度がかなり違っていると思います。それからもう一つは、それによりまして、地方財政の面でもその困り方が非常に差がございまして、非常に区々であるわけでございます。そういうものに対して補助率の引き上げというような一律六措置をとるということは、財政面から見ても非常に適当でない。むしろやはりそういうものに対してはきめこまかな面で、起債とか、それから交付税の配分とか、そういうような点で考慮していったほうがいいんじゃないか、そういうふうに考えておるわけでございます。現実に現在交付税の面でも、これは自治省のほうからお話があると思いますけれども、事業費の補正とか人口急増補正とかというようなことをやっておりますし、用地の面でも今度起債がだいぶふえておるというふうに措置もされておるわけでございます。

畑和日本社会党

○畑分科員 いろいろ市町村によって事情も違うということで、この三分の一の校舎の建築費の補助を三分の二に引き上げるということは妥当でない、したがって、そのほかの点で交付税をあんばいしたりなんかで補うというような大蔵省の答弁ですけれども、しかし、それが一体うまくいっていますか。いっていない証拠はここにあるんじゃないですか。どうでしょう。自治省、その点ばどうでしょうか。自治省はそういう点をあんばいしているのだろうと思うが。

山本成美自治省財政局地方債課長

○山本説明員 自治省の関連につきまして幾つか御指摘になったわけでございますが、まず私ども考えておりますことは、財政事情は確かに市町村によって非常にまちまちでございます。ただ、この際はっきりしておかなければいけない前提といたしまして、補助金の配分等につきまして、まず実態に合った配分がなされるべきである。この点がまず私どもの主張といたしましては前提になると思います。  それからその次に、起債についての御質問でございますが、私どもとしては、とにかく実態に合ったように土地の取得についてまずフォローしていこうということで、昭和四十二年度におきましては、総計約百七十七億円の起債によります土地の取得を認めたわけでございます。この中に政府資金は十億入ってございますけれども、これが四十三年度には政府資金は二十億、地方債計画の中で組んでおります。実績の見込みは、まだいま作業中でございますから、四十二年度の百七十七億というものがどういうふうになりますか、これはわかりませんが、相当ふえる、二百億をこす数字になることは確実でございます。  それから四十四年度でございますが、地方債計画といたしましては、土地の取得の政府資金を五十億——さっきお話もございましたが、五十億に増額いたしまして、むろん五十億では足りませんので、ワク外での民間縁故資金による融資も合わせまして、なるべく御指摘のような東京都近辺の埼玉、千葉といったような人口急増で困っておられる市町村に重点的に配分をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それからワクの問題がございましたのですが、ワクの制限につきましては、私、三億がどうしてワクというふうになりましたのか、ちょっと記憶がございませんのですが、むろん借金でございますから、私どもとしてはなるべく少なくて、一般財源で金を出していくほうが正しいと思っておりますが、三億円をそういう観点からあるいは適当な数字だということできめられたのじゃないかと思いますが、なお、ここで一般財源の措置といたしまして、交付税で人口急増補正をやっております。この金額が昭和四十三年度におきまして約三百四十三億の措置が全国的になされたわけでございますので、相当な一般財源の強化と相なっております。四十四年度はいま作業中でございますから、三百四十三億が四十四年度でどういうような数字になりますかまだわかりませんが、おそらく相当額な増強になると思っております。  以上、簡単でございますが、お答えにいたしたいと存じます。

畑和日本社会党

○畑分科員 これは私、しろうとでわからぬのですが、こういった起債の大ワクあるいは建築費の補助の金額のワク、そういったものは、これは県のほうと文部省のほうで話をして、埼玉県なら埼玉県に幾ら起債のワクをやる、あるいは校舎の補助の三分の一はどのくらいやるというようなことを児と話し合って、そうして県がさらに市町村と話し合って配分をきめる、こういう形になるのですか、それとも直接なのですか、その辺はどうでしょうか。私もわからぬので聞くのですが……。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 建物の場合につきましては、県のほうで取りまとめをいただきまして、つまり、県と市町村と御相談をいただきまして、それを文部省に持ってきていただくわけでございますけれども、それの中身を文部省のほうで審査いたしまして、またこれを県を通じまして市町村のほうにお知らせする、そういう形になっております。

畑和日本社会党

○畑分科員 それから起債のほうはどうです。

山本成美自治省財政局地方債課長

○山本説明員 起債につきましては、所管が都道府県におきましては地方課長がやっておりますので、総務部長が教育委員会と相談をしまして、自治省のほうへ内容を出してまいる、かようなかっこうになっております。

畑和日本社会党

○畑分科員 そうしますと、建築費の関係についても、一応県が取りまとめて仲介役をするような形になるわけですね。そうすると、結局形の上では直接だということになるわけです。こういった市町村が全国的に非常に多いと思うのです。程度の差はあるでしょうけれども、文部省、自治省で握っておられる全国の人口急増市町村、これは大体どのくらいを一応数えておりますか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 先生がお話しになっておられますような、たいへん困窮しておるというふうなところは、私どもの計算では大体百三十六ぐらいじゃないかというふうに考えています。

畑和日本社会党

○畑分科員 大体そういうところは、市町村の総予算に氏べて教育費の総額が大体どのくらいになっておるでしょうか。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 これはまちまちでございまして、一がいには言えないわけでございますけれども、先ほど先生御指摘になりました福岡町というところでは、これは予算の七割ぐらいがこのために充てられるというふうなお話も承っておるわけでございます。

畑和日本社会党

○畑分科員 確かにそのとおりでありまして、福岡のごときは一番ひどかったと思う。それからまた、新座町の場合なんかも四十四年度は、実はきのう照会してみましたら、ちょうど予算査定中であるのだけれども、てんで町の総予算に比べて教育施設の数字が多くなっちゃって、六・七〇%くらいになって予算の組みようがなくて弱っているんだ、こういうような話をしておりました。従来は四十年度が四一%、四十一年度は三〇%ですが、四十二年度は三五%、四十三年度が三四%余だ。ところが今度は五〇%をこえて六〇%以上になる、こういうことで福岡町のいままでの例とちょっと似たような傾向になっております。まだ土地の余地が非常に広いところでありますので、東京のすぐ隣ですからどんどん人口がふえてまいる。しかも、東京都が例の越境入学を禁止した措置をとっておりますので、どうしても移ってきた子弟は全部ここへ収容しなくてはならぬ、こういうことで、先ほども御紹介申し上げましたように、もうことしは小学校を三つ建てなければならぬ、こういうような状況になっている。  したがって、時間もだいぶ過ぎましたので、以上で締めくくりたいと思いますけれども、こうした人口稠密地帯の問題は、このまま看過するわけにはまいりません。市町村の責任だけにほっておくことはできないのでありまして、どうしても特別にひとつさらに力を入れて、こうした市町村の人口急増地帯の教育施設の助成のために、一段とひとつ努力をしてもらいたいということをつけ加えまして、私の質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 私は、中央教育審議会のあり方というものについてお尋ねしたいと思います。現在どういうことが議論されておるか、そういうことじゃないのです。中教審の性格そのものをお尋ねしてまいりたいと思います。  中央教育審議会の事務局はどこにありますか。それから、事務局長はだれでありますか。事務局の人員は何名でありますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 西田審議官から御答弁申し上げます。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 お答えいたします。  中央教育審議会に関する事務は、文部省の組織令によりまして、大臣官房の企画室が扱うことになっております。企画室は、現在全体の人員が九名でございます。私は官房長の命を受けまして、企画室の行ないます中央教育審議会の事務を含めましてそれを総括整理することの特命を受けておりますので、それに関する事務を総括的に整理いたしております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 大臣が、事務局の機構がどういうふうになっているかというのをあまり御存じないということは、いかに中教審の事務局というのが隠れておるかということだと思うのです。九名の企画室の人員が、官房長の命を受けて作業しておる。こういうことになりますと、中教審のあり方というものの性格がはっきりいたしてまいるわけであります。  それではお尋ねしますが、社会保障制度審議会の事務局はどこにありますか、権限外でしょうけれども。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私の答えることじゃないのじゃないかと思うのです。

安嶋彌文部大臣官房長

○安嶋政府委員 社会保障制度審議会の事務局でございますが、これはたしか総理府にあったかと記憶いたしております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 社会保障制度審議会の事務局は総理府にあります。そして独立の事務局がありますね。文部大臣、いかがでありますか。

安嶋彌文部大臣官房長

○安嶋政府委員 仰せのとおり独立の事務局がございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 それでは文部大臣にお尋ねをいたしますが、憲法二十五条の生存権と憲法二十六条の教育権とは基本的人権として差別がありますか、どうでありますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 別々のものだと思っておりますが……。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 別々のものであることはあたりまえであります。生存権と教育基本権は別々のものでありますが、基本的人権として、憲法の国民の権利として定められておる。特に基本的人権というものは、戦前の憲法と違う非常に大きな問題ですね。それはもう国家権力も憲法を左右することができないとまでいわれてきておる。教育権が基本的人権であるということについては、お認めになられますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 そうだと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 御確認になられましたが、それでは憲法二十五条の生存権を受けとめる制度審議会——憲法二十五条を受けてこれを制度とし法律としていく立法過程における社会保障制度審議会というものと、同じ基本的人権であります教育権を受けてまいります中央教育審議会というものの性格の違いを、文部大臣はどのようにお考えになられますか。

安嶋彌文部大臣官房長

○安嶋政府委員 いずれも所管大臣の諮問機関という基本的な性格を持っていると考えますが、御承知のとおり社会保障制度は、各省にまたがる非常に広範な制度に関する問題でございます。御承知のとおり、厚生省、労働省、それから公務員の共済組合につきましては大蔵省、自治省との関連がございまして、そういう意味におきまして政府全体で問題を処理していく、そういう観点から総理府に審議会が設置せられ、総理府に独立の事務局があるというふうに考えます。  これに対しまして、中央教育審議会は、もちろん政府全体の行政との関連はございますけれども、主として教育、学術、文化に関する問題を取り扱う審議会でございまして、その事務は文部省の所掌ということに文部省設置法できめられておるわけでございますから、したがいまして、文部省にその審議会が設置され、その審議会の庶務は文部省の大臣官房企画室で処理する、こういう形になっているものと了解いたします。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 教育権が基本的人権であるということについては、先ほどお認めになられました。中央教育審議会の今日の法制的なあり方というものは、いま官房長の御答弁になられたとおりだと思います。しかし、そのことが、憲法二十六条の教育権というものを受けとめていく形として、はたしてふさわしいかどうかということになりますと、これは問題が出てくるわけであります。  それでは次にお尋ねをいたしますが、中央教育審議会委員は、その任命のしかた、つまり委員の任命の基準並びに委員を任命する権限、そういうものはどうなっておりますか、大臣にお尋ねしたいと思います。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 中央教育審議会は、教育、学術、文化に関する基本的な重要施策を審議いたしますので、各界のそれらに関する識見の広く深い方々につきまして内閣の承認を得て文部大臣が任命する、かようになっております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 中央教育審議会が、文部省というか文教、教育、学術にとっては非常に大事な機関である。文部省にたくさんある審議会の中では最も大事な機関だと思うのです。ところが、その権限なりその任命のしかたなりについて大臣自身がお答えにならないということは、事務局が答えておるのですね。これは私は中央教育審議会というもののあり方についての文部省のかまえ、文部大臣のかまえというものがどういうものかということを端的にあらわしておる、こういうふうに私は思わざるを得ないのであります。それでは、教育刷新審議会から中央教育審議会に移りますときに、中央教育審議会委員の選任のしかた、あり方というものについて、第三十五回の総会は建議をいたしております。これを受けとめて中央教育審議会というのが発足をしておるはずであります。この教育刷新審議会は、中央教育審議会委員の選任は次の方法によれということをいっておる。しかもこの任務としては、民主的教育の完全な実施と広く国民文化の向上をはかるためというふうに性格も明確にしておりますし、委員の任命にいたしましても、教育刷新審議会あるいは大学設置審議会、日本学術会議、社会教育審議会、そういうふうな団体のほか全国教育委員会委員連絡協議会、そうして委員候補の選出にあたっては、教育、学術、文化の分野、政治、社会、産業、経済の分野、こういうふうに、それぞれ委員選任の方法というものを、教育刷新審議会は中央教育審議会に移行するにあたって定めておるわけであります。その選任の方法が今日の中央教育審議会においても、委員選任の基準として行なわれておるかどうか。これは文部大臣みずから答えてもらいたいと思うのです。事務局じゃだめです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 正確を期しまして、審議官からお答えいたさせます。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 お答えいたします。  教育刷新審議会が、総会におきまして、中央教育審議会の趣旨、組織、あるいは委員の選任等について建議をされたことがございます。しかしながら、現在の中央教育審議会は、文部省設置法におきまして、法律的に、ただいまお答えいたしましたような「教育、学術又は文化に関し広く且つ高い識見を有する者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する二十人以内の委員で組織する。」かように法律で定められまして、そのような観点から、各界の有識者を網羅するような運用は、文部大臣がその選考について十分責任をもってやるという形に定められましたので、現在までそのような方法で行なっておるわけであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 文部大臣が行なっておるんでなくて事務局が行なっているということは、いままでの質疑の過程で明らかではないですか。では憲法の二十六条の教育権というもの、すべて国民は教育を受ける権利を有する、このことが中央教育審議会の中でどのように生かされておりますか。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 お尋ねの件につきまして、憲法でいわれます教育権というおことばをお使いになりましたが、国民はすべて法律の定めるところにより能力に応じて教育を受ける権利を有するということを引用されたかと思いますが、そのことを直接中央教育審議会がどういう形で生かされておるかというお尋ねに対しましては、お尋ねのポイントが私つかめませんので、明確に御答弁申し上げかねるわけであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 文部大臣が各界からと言われました。しかし、現在の中央教育審議会委員のメンバーを見ますと、これは各界になっていないのですね。あなたも、また総理大臣も、この予算の総括質問の際に、年齢のことに関連をして少し首をひねったような答弁をされましたね、問題があるんだということを言われているんだ。あなたも総理大臣も、中央教育審議会については言っておる。  ではお尋ねしますが、この中央教育審議会の中で文部省に関係をしていたことのある中央教育審議会委員はだれだれですか。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 現在、中央教育審議会の正委員は十七名いらっしゃいます。文部省に関係していたというお尋ねが、文部省の本省における官職にあった者というお尋ねでございますならば、現在その十七名の中ではお二人でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 それからまた国立教育会館館長も現在はそうですね。それから国立教育研究所の所長もそうですね。それから森戸さんは大臣をされましたね。河原さんもこれは文部省の役人をしたのですね。そうすると、四人じゃないですか。私がひょっと見ただけでもわかるのは四人でしょう。間違いありませんか。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 失礼いたしました。文部本省という形に限定いたしました場合には、大臣をやられました森戸先生、事務次官をやられました河原先生と、もう一人田中義男先生がいらっしゃいます。その他、平塚先生、高坂先生等は、教育会館あるいは研究所として文部省の所轄機関のほうの関係者でございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 そうしますと、あとは大学の学長とか、そして藤井さん、特にこういう財界あるいは、評論家、こういう方になっておるわけですね。そういたしますと、今日、戦前の勅令主義の教育から戦後の新しい憲法二十六条に基づいた教育というものを発展させる中において、中央教育審議会の占める比重というのはたいへん大事だと思います。その中で、各界を網羅しておるというけれども、各界は決して網羅してないのです。ではこの中に親の代表——幼児教育から高等教育まで入れますと親はたいへんな数です。親の代表、それから現場の教師の代表、それから今日の勤労階級の中の非常に多くの部分を占めております労働者の代表、そういうものはどのような形で出ておりますか。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 先ほど申し上げました法律の委員任命の趣旨にかんがみまして、中央教育審議会は議審事項が教育、学術、文化と、その全体にわたりまして広くかつ深い識見を有する方という方でございますので、国民各界の中にそれぞれのお立場もあり御意見もございましょうが、それらを踏まえた上で、できるだけ広い、深い立場から、それらを御検討いただくという方をお願いしているわけでございまして、必ずしも不特定の親の代表あるいは勤労界の代表というものを現在まではぜひお願いしなければならぬという考え方ばとっていないわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 社会保障制度審議会、これは各界の代表を、この審議会設置法で委員の任命の基準といいますか方向というものを出して、そしてこれは総理大臣が任命をして委嘱しておるわけですね。この中には、国会議員、関係各省の官吏、学識経験者、あるいは使用者、被用者、医師、歯科医師、薬剤師云々という関係、そういうふうに労使の関係もここには入っておるわけですね。そして社会保障制度審議会というのが憲法二十五条の生存権を受けての制度審議会になっておるわけでありますけれども、広く各界が入っておる。ところがいま中央教育審議会の委員は文部省設置法に基づいておるという。だから、文部省の言い分は、いまの法律からいえばそういう言い分になると思いますけれども、ではそのことが、憲法の二十五条と二十六条を考えてみた場合にもふさわしいか、こういうことを感ずるわけです。しかも事務局は、先ほど答弁がありましたように、文部省の中の審議官が事務局長、そして企画室に事務局。行政府の長の審議会が、教育の内容あるいは学問の自由、そうした内容にまでわたることを諮問をし、審議させて文部大臣の権限を拡大をしていく、結果的にはそういうことになるわけですね。いまの方向というのはそれを進めておるわけです。そこで社会保障制度審議会と中央教育審議会を見ました場合に、中央教育審議会には諮問に応じて建議権があるだけですね。ところが社会保障制度審議会は勧告権を持っておる。しかもみずから調査をするという権限を持っておる。世界人権宣言の二十六条を引用するまでもない。今日、基本的人権としての教育権というものを、日本の文部省が戦前の勅令主義の精神というものをそのままあらわしてやっていくやり方というものを考えますとき、私は今日の中央教育審議会のあり方というものにたいへん疑問を持つし、これは性格も改めなければいけない、こういうふうに思うわけです。たとえば二十五日、あなたが自民党の役員諸君といろいろ打ち合わせをした。その中に何と言っていますか。中教審にできるだけ早く結論を出すよう要請をする、そして長期の問題はともかくとして当面の臨時措置を云々、こう言っておる、中教審というものの考え方が隠れみのにすぎないということを明らかに物語っておると思うのです。そこで、勧告権を持っておる、またみずから調査する権限を持っておる社会保障制度審議会と、中央教育審議会というものとの違いというものは、あなたも十分わかると思います。実は本日は官房長官の出席も要求しておりました。ところが、どうにも都合がつかないというので出てこられなかったわけです。そこで、あなた並びに事務局はいまの文部省設置法の範囲内の答弁をするでしょうから、この制度を変えなければならないという問題については、なかなかあなた自身からは回答は出てこない、こう思います。しかし私は、いまの中教審がいろいろと作業を進めていく、あるいはそれに対して与党のほうから圧力をかけていくというやり方が、社会保障制度審議会と中央教育審議会というものを並べてみますときに、明らかに違うということを本日は指摘をしておきたいと思います。そういたしましたならば、事務局が文部省にあって、文部大臣の諮問に応じて建議をいたしてまいります中教審というものが、教育の中立性を保障していくということについて保証がありますか、どうでありますか、これは文部大臣。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 先ほどからのお尋ねでございますけれども、社会保障制度審議会は社会保障制度審議会、やはり中央教育審議会は中央教育審議会、しかもそれは憲法に発しておるというわけでございまして、しかも何か党が圧力を加えたという、そういうようなことはございません。これは独自に中教審においては御審議を願っておるわけでございます。ただ今日、大学紛争というものが御案内のとおりの状況にございまして、国会でもいろいろ御議論があるわけです。これに対して、御承知のように第二十四特別委員会においてせっかく検討をいたされておるわけであります。文部大臣といたしましては、この課題にすみやかに御答弁を願いたいというようなことをやるようなことは場合によってはあり得る、あってもいいんじゃないかと私は思っております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 それでは新聞に報道されております中教審の結論を出すように要請をするというふうなことは絶対になかったとあなたは断言をいたしますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 ここでいろいろお考えになることはけっこうでございますけれども、私は、私の文部大臣といたしましての諮問機関に対して責任を持っておるわけであります。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 私は文部大臣が中教審にということではない。党があなたを呼んで、あなたも参加をして大学のあり方について話し合いをした。その際に、中教審の結論を急ぐようにというふうなことがそれぞれ報道されておるわけです。だからそれだけに中教審の中立的な性格はないということを私は言いたいのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 党でいろいろ御議論になることはあるわけでございます。私は中教審の今日の審議状況について聞かれましたが、そのことについてお話を申し上げました。圧力を加えられておるとはちっとも思っておりません。また中立性が侵されておるとも思っておりません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 それでは中教審というものをほんとうに国民のものにする、 つまり文部大臣の、行政府の長の諮問機関というものではなくて、社会保障制度審議会のような各省にまたがる、そして一行政府の大臣の諮問機関というものでない性格のものに、つまり国民のものにしていくというためには機構も改めなければならないと思います。いかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 文部大臣といたしましては、幼稚園あるいは小学校から大学までの教育について、国民に対して責任を持っておるわけでございます。したがいまして、その国民のためにどういうことを諮問したらいいかというようなことで、重要な問題については中央教育審議会の御審議をわずらわしておるわけでございまして、国民のために中教審があるということは川崎委員と私の考えに食い違いはないと私ば信じております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 先ほど教育権というか、憲法二十六条が戦前の憲法と違う教育を非常に大きく基本的人権として保障し、それに対する国の責任というものを定めてきたわけですね。そうしますと、その憲法二十六条を生存権と同じ基本的人権として考えますときに、私は今日の中央教育審議会が文部大臣のもとにあるということは、特に今日の大学の管理制度その他が議論されております実情を考えますならば、好ましいあるべき姿ではない。だから一行政府の長のもとにある審議会というものを中立の立場に置くべきだ。そうでなければほんとうに中立は守られない。しかも先ほど来申し上げておりますように、事務局は文部省の中にある、そして事務局長的な役割りをしておるのが文部省の審議官である。このことは私は見過ごすわけにまいらない、こういうふうに思います。今日、中教審の作業については国民は非常に大きな関心を持って見ております。ところが残念ながら、いま中教審の性格そのものについて十分なメスが加えられておらないということは、私は教育というものが国民の百年の大計の基本であるということを考えますときには、たいへん大事な問題である、こういうふうに思いますので、あえてきょうは問題を提起しておるわけであります。ですからほんとうに教育というものを国民のものにしていくためには、今日の文部大臣のもとにある中教審というもの、しかも文部省設置法に基づく各種審議会というのがたくさんございます。中教審が一応その一番中核的な位置づけになっておりますけれども、法制上いうならば、文部省にあります各種審議会と中教審との間に差別がありますか。上下の関係がございますか。あるいはそこをどうしても通らなければならないという必要的な付議、そういう制度になっておりますか。文部大臣、いかがでありますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 どうもお尋ねの趣旨が私には理解ができないわけなんですけれども、文部省に中央教育審議会があるからどうだこうだというような御議論なんですけれども、それと中立性の問題は別の問題だと思う。また私は憲法に定められたことに違反しておるとかなんとかいうような、おことばはございませんけれども、私はそのすなおな形において中央教育審議会というものは、それなりにりっぱに国民のために役割りを果たしておると考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 それでは、私は具体的に尋ねましたが、中央教育審議会というのは必要的な付議ということになっておりますか。そういう権限になっておりますか。

西田亀久夫文部大臣官房審議官

○西田説明員 中央教育審議会の任務は、文部大臣の諮問に応じて調査、審議し、及びそれらの事項に関して建議できるということでございまして、特にその場合に必要諮問事項ということは、法令上はきめられておりません。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 そうでしょう、そうなっているのですよ。そうして文部省にたくさん審議会があるけれども、その審議会の間で、中央教育審議会がそれの中核だという位置づけなんかになっていないのですよ、制度上は。そのことは、ひとつ文部大臣も中教審が、これだけ大きく問題を取り上げているときなんだから——中教審というものの教育制度刷新審議会からのずっと経過もあるわけだし、そういう点は、あなたも忙しいでしょうけれども、一ぺん基本的なことを静かに考えておくということを、私は要求しておきたいと思うのです。そうして、先ほど言いましたように、社会保障制度審議会の場合には、あなたは制度は違うというけれども、これはひとつよく比較をしておいてほしい。これは勧告権を持っているのです、みずからの調査権を持っているのです、たいへんな違いがある。だから基本的人権としての教育そのことを考えますならば、今日の中央教育審議会というものは、もともと審議会というのが、戦後、行政の横暴というものをチェックするための機関として、国民の行政への参加ということが任務で始まったわけです。しかし今日、私は審議会がはたしてその役割りを果たしておるかという点については疑問を持ちます。むしろ行政府の隠れみの、民主主義というものの隠れみのになるものだ。私たちは、文部省なり、文部省そのものの性格あるいは任務、そういうものからしますならば、教育の行政府としては、文部省ではなくて、中央教育委員会、そうしたものにすべきだという考え方を持っております。しかしその中で、今日の中央教育審議会というものをゆるがせにできないので、問題をひとつ取り上げてきておるわけです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 川崎さんの御意見は御意見として、私は承っておきたいと思います。また制度の問題について、たとえば社会保障制度審議会との問題について、比較検討するというようなことも、これから検討してまいりたいと思います。  しかしながら、私は今日いろいろの問題を、大学紛争等を考えてみましても、確かに日本の社会において制度や法律というものがいろいろつくられました。しかし問題は、その運用じゃないかというふうに私は思うのでございます。むしろ中央教育審議会の場合におきましても、その運用について、もう少し柔軟な姿勢をとるべきではないかというようなことについても、私はこれから前向きにやりたいというふうには考えておるわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)分科員 終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 最初、大学受験生の立場に立って、二つ質問をいたしたいと思います。  一つは、本日の新聞報道等によっても、いわゆる京都大学においては入試阻止をねらう三派の諸君が大学本部を封鎖をした、こういうことが報ぜられております。  そこで、私は従来から機動隊の三派の諸君に対する行き過ぎについては、常にきびしく国会において批判をしてきたものでありまするけれども、少なくとも三派の諸君が未成年者であるところの受験生諸君に対し、迷惑をかけるというようなことは許せない、こういうように私は考える。  そこで文部大臣にお尋ねをいたしたいのは、文部省として、現在三派の学生が入試阻止を紛争の一つの闘争目標としてはかっているような大学が、一体幾つあるのか。そうして文部省としては、入学試験が混乱したり、一時的に中止をするようなことについての対応策についてはどのように考えているか、またさらに、そのような妨害の結果、入学試験が混乱をしたり、一時的に中止をしたというふうな場合についての対策はどうか。これは受験生の諸君及びその父兄としては、きわめて関心のあることだと思いますので、大臣の御所見を承りたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 今日、入学試験を前にいたしまして、たとえば京都大学のごときは、ゆうべまた暴力行動が行なわれた——暴徒というようなエスカレートをしておる。そうしてまた、学生諸君が傷ついておる。そしてその結果としまして、入学試験自体について非常に志願者の人も、またその親の人も、また国民の数々の方々も御心配になっておるということに対して、私も責任を感じておるものでございます。ことに十二月の二十九日、三十日におきまして、東大の入試を中止する、あるいはまた教育大学の体育学部を除く学部の入学試験を中止する。東大の場合は結論といたしましては、一月二十日にきまったわけでございますが、その三千九百何名の志願者の方々に対してまことに申しわけないと思っておりますし、また同時に十二月の段階において、その他の国立大学の七十四の大学に何とかして増員をお願いし、この人たちを受けとめてほしいという努力を今日までも続けてきておるわけでございますが、御指摘のとおりに、特に三派系の学生が一つの政治的な目的を持って、この入試をじゃまするという挙にあちこちで出ておるということは、まことに遺憾であり、またゆゆしい事態だというふうに思います。私、文部大臣といたしまして、国民に対して責任を持っておる者といたしまして、これは万難を排して入試は実施しなければならないというふうな決意を持っており、またそれぞれの紛争校に対しまして指導助言を続けておるところでございますが、いかなる事態に対しましても臨機応変に処置がとれるようにしたいと思っております。しかし、御案内のような状況でございまして、どういうような不測な状態が起こるかもしれないということにつきましては、やはりいわば非常事態みたいな状況でございまするから、いままでどおりのやり方だけではいけないのではないかというようなことで、またあまりいろいろ具体的なことをここで申し上げることは、かえって激化させることにもなりますので、その点をも十分配慮し、注意しながら考えてまいりたいと思っております。  お尋ねの紛争校数等につきまして、大学局長から御答弁申しますことをお許しをいただきたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 ちょっとその御答弁の前に時間がないようですので、次のような質問だけをいたしておきます。受験生の立場に立って次のようなことをお尋ねいたします。  万一、きわめて不幸なできごとであるけれども、入学試験が混乱をして、一部の受験生が受験の機会を失うというふうなことがあった場合、これは大学当局と十分に相談をして、教育の機会均等という立場から、それらについてのでき得る限りの是正措置は講ずる、そのことも含めて配慮しておられる、こういう趣旨だと思いますが、念のためにお尋ねをしておきます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 そのとおりでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 次に、同じく大学受験生の立場に立ってひとつ次のようなことをお尋ねしておきたいと思います。  一部の私立大学という表現を使います。一部の私立大学においては、たとえば裏口入学であるとかあるいはコネによる入学だとか、ことに合格点に足らない点数については、一点一万円と換算をして、足らない分だけのお金を持って来たら入れてあげようとかいうふうなことが行なわれておる。そういうようなことについては、受験生の中ではかなりささやかれている。ところが、この点について文部当局が、それらの一部の私立大学のそのような不明朗な、不公正な入学の事実があるのかどうか、これらについて徹底的に御調査になったということを私は聞かないのです。こういうような問題について受験生がほんとうに安心をして、試験を受けられる、また、自分の実力どおりためしてもらえるという立場から、ひとつこれらの問題について実態の調査、いわゆる金による入学などといふうなことは教育の目的に反すると私は思うのです。これらの点について、一部の私立大学に対して、そういう事実があるならば、私は、厳重な規制の措置を講じていただきたい。この点はいかがでしょう。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 過去におきましてそういうふうなことが聞かれておりましたけれども、最近そういう事態はだんだん改善されておるように聞いておりますが、なおそういう事態があるということは、これは否定できないのじゃないかと思います。文部省と私立大学の関係でございますけれども、文部省は私立大学に報告を求めるようなことはございますが、具体的に入学金その他寄付金等につきまして個々の大学について指導するということはいたしておりません。しかしながら、これは臨時私学調査会におきましても、父兄や一般の方々に誤解を招くような寄付金とか、そういうものの徴収は、厳に戒めるべきであるというふうな御答申もございますので、これにつきましては、今後ともそういう指導をしてまいりたいというふうに考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 次の質問に移ります。  私は端的に言って、現在の日本の社会の中では、三派の学生諸君と大企業が一番法律を守らないのでないかというふうな考え方を持っている。大臣のお手元に新聞記事をお届けいたしましたが、ごらんをいただきたい。要するに、大学紛争の根底にあるものは、現在の体制のいろんな矛盾とか不合理に対する学生諸君の怒りというものが一つの原因をなしていると私は思うのです。  そこで問題になるのは、ここに報道されておりますのは和歌山大学と滋賀大学の二人の卒業生の採用内定取り消しに関することであります。企業に採用内定されておる学生が、ただ単にその大学で大学紛争が起こったということ、あるいはたまたまその学生が企業の気に入らないようなゼミナールをとっていたというふうなことがあとでわかったからというふうな理由で採用を取り消すなどというふうなことは、教育的観点から見て、私ははなはだおもしろくない。そのようなことが大学紛争を激化させる一つの原因にもなっていると思う。この点について、ひとつ大臣の御見解を承りたい。  なお、この問題は、私は、人権問題であると同時に、労働法の問題であろうかとも考えます。したがいまして、大臣の御答弁をいただく前に、ひとつ法務省の人権擁護局長さんのほうからは——まさにこのような採用内定がされて、そうして取り消しをされるというふうなことは、私は、その人間の一生の進路を誤る人権上の侵害の問題であろうと思われます。これらの問題について、人権擁護局としては調査される意思があるかどうか、ひとつお答えをいただきたい。  同時に労働省からは、すでにこのような問題については、東京地方裁判所の判決等も出ております。労働省としてのお立場をお述べいただきたい。その各省の御答弁をいただいたあと、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。

上田明信法務省人権擁護局長

○上田(明)政府委員 お答えいたします。  企業の行なっております学生の採用内定も契約の一種と考えられますから、その契約の内容またはその趣旨によっては、一方的に有効にその取り消し解除をなし得るかどうか疑問の場合もあると思うのであります。取り消し解除の効力に疑問がある場合には、現在の法制下におきましては、結局は裁判所の判断にゆだねるということになるのであります。しかし、われわれといたしましては、一たん採用を内定した以上、その取り消し解除ば当該学生の将来に大きな影響を与えるものでありますから、できる限り慎重であらねばならないと考えております。この問題につきましては、なお十分検討してみたいと思っております。

保科真一労働省職業安定局業務指導課長

○保科説明員 先生御指摘のように、採用内定の取り消しというのが安易に行なわれるのは決して好ましいことではないと考えております。本年度の状況につきまして、東京、大阪、京都の主要な大学の状況を調べてみたのでございますが、幸い採用内定の取り消しの事例はごく少ないのでございますが、遺憾ながら若干ございます。かような事例に対しましては、大学、文部省等教育関係機関と十分連絡をとりまして必要な指導を加えたいというふうに考えております。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 採用の内定が取り消された事情というものには、いろいろの双方の原因もあると思うのです。産業界の景気の動向をはじめといたしまして、会社、本人、双方の事情の変更あるいは内定のしかた自体、これはやはりいろいろ複雑な事情がからみ合っておる。これは普通の場合だと思います。  普通の場合がそうで、特殊の場合はあるいは何かがあるかと思いますが、最近新聞等で報道されておりますような二、三の事例も承知しておりますが、しかも、これはある程度大学とも問い合わせをいたしたわけでございますが、その取り消しということが大学紛争がその原因となっているとは聞いておりません。また学生がたとえばマルクス理論のゼミを受けていたという理由で正式に企業側から採用内定を取り消したという事例も聞いておりません。ただ、企業の経営者が企業の将来の発展のためにどのような人材を採用する必要があるかを真剣に考えるのは当然でございまして、そのような判断から企業がみずからの責任において、たとえば卒業のできないような者の採用内定の取り消しを行なったり、あるいは卒業の有無に関係なく真に実力のある人材を採用したりすることも、当然これはまたあり得ることだと考えるわけでございます。しかし、なお文部省といたしましては、大学卒業予定者の採用に際しましては、職業選択の機会均等の本旨にのっとりまして、本人の資質、能力に関係のない、設置者別、昼夜間別、中央と地方の大学、または性別等の形式的な理由により不利益な扱いをすることなく公平に行なうよう、かねてから経済関係団体及び各企業主に要望してまいっておりますし、今後もこの趣旨に従いまして慎重に行なわれるようにお願いをしたいと考えておるような次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 きょうの問題は、私は非常にしぼってお尋ねをしたのです。企業が人を雇うときの雇用の自由の原則というものがあるということを前提として採用の内定をした。そこで、その学生はもうほかのところは受けない。企業との約束で受けちゃいかぬということになっている。しかも、その学生について何ら理由も示さずに、都合によって採用は取り消した。じゃ、その企業が経営難かといえば、経営難では何もないというふうなことが教育的な観点から許されるか。昨年問題になったいわゆる三派系の学生諸君は雇わないとか雇うとかいうことについての大臣の所見を承っているのじゃないのです。採用内定があった。しかも、何ら特段の理由がない。しかも、理由を示さないというふうな、そのような採用取り消しというふうなことは、大学当局がおこるのはあたりまえだろうし、文部省としてもそのような問題について何らかの見解を示されることが、安心して学生が大学で学べるという意味においても私は大事なことではないか、こういう観点でお尋ねをしたのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その事例が真実である場合、その場合理由なくそれを取り消すというようなことは望ましくないことでございまして、まことに遺憾なことであるというふうに私は思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 次に、同じく今度は、小中学校の受験というふうな、義務教育に受験ということもおかしいのですが、この問題についてお尋ねをいたします。  私がお尋ねをいたしたいのは、国立大学の付属小中学校の選抜に関する問題です。御承知のとおり、福岡県においてたいへんな教育界の不祥事が起こりました。なお、和歌山県においても、一昨々年から今日なおその不祥事のあと始末の捜査が続いておるという状態であります。そこで、最初に私は法務省の刑事課長さんに簡単にいわゆる和歌山県での事件の概要、これはごく簡単でけっこうです。それと、法務省の立場から見られた事件の背景と原因、これについてお答えをいただきたい。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 お尋ねの事件は収賄者十数名、それから贈賄者約十名程度の事件でございまして、入学試験をめぐって相当額の金品を受け取りあるいは贈ったという事件でございます。  それからお尋ねの事件はただいま捜査中でございまして、詳しい報告を受けておりませんが、御指摘のように、福岡あるいは奈良で同様な事件がございました。その報告から見ますところで原因と背景を申し上げますと、収賄者のほうにとりましては、国家公務員としての自覚の欠除あるいは綱紀の弛緩といいますか、それがあろうかと思います。それから、贈賄者の父兄のほうからの原因等につきましては、いわゆる名門校に対するあこがれあるいは子供に対する過度な愛情のあらわれかと存ずるものでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 文部大臣にお尋ねをいたします。  いわゆるできごとのおおむねの事実は法務省から御答弁いただいたとおりであります。そこで、文部省のお立場から、一体こういうふうな贈収賄などという不祥事が起こった教育的な観点からの背景と原因をどのようにお考えになるか。特に、最近教育ママなどというようなことがいわれておりまするけれども、そういうことにひとつ関連をしてお答えをいただきたい。  次に、私は、国立大学の付属小中学校というのは実験校なんですから、いわゆる優秀児選抜などという方法によって、そうして、学力テストをして特定の児童生徒を集めるというふうなやり方が、はたして今後の小中学校生徒教育全体のために正しいのかどうかについて疑問があります。昭和四十三年度の「付属学校入学志願者選抜方法一覧」について文部省から資料をいただきましたけれども、はなはだやり方が種々雑多であります。ひとつ私は、実験学校ということであるならば、非常に知恵おくれをしておるところのふしあわせな子供さんだとか、からだの不自由な子供さん、こういう子供さんのための特殊学校をつくるべきではなかろうか。そうでないとするならば、すべての受験生について、生徒児童について、完全な抽せんのみで決定することがむしろ正しいのではないか。要するに、テストをして不適格者を除いて抽せんで決定するとか、テストだけによって入学者をきめるというふうなやり方は、付属小中学校のあり方として好ましくないのではないか。かりに優秀児だけを集めるというようなことであれば、好ましいかどうかは別として、私立大学の付属小中学校、幾らでもそういう学校はあるんだから、ということであります。ひとつ今後こういうふうな不祥事が起こらないためにも、また今後の全体としての小中学校教育に携わる学芸学部、教育学部の学生諸君が実習して、そうして優秀な教師になるためにも、ひとつ選抜方法についての正しい対策をひとつこの機会にお示しをいただきたい。ことに、和歌山県においてこのような不祥事ができたことについては、和歌山県の教育界あげて、この問題については取り組んでいるわけですので、明確な御見解を承りたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 福岡、和歌山のこの不祥事件はまことに遺憾なことだと思います。こういうことが今後絶対に起こらないように指導をいたしてまいりたいと思うわけでございますが、それにつきましての国立大学の付属小中学校のあり方、あるいはその選抜のやり方等についての御意見、私も非常に同感するところが多いわけなんで、そもそも付属学校というものは、そういう、何といいますか、実験学校という意味でなければならない。ところが、実態はどうもそうじゃないんじゃないかというようなことも耳にいたしております。また、そのことが、あるいはこういうような不祥事を起こした原因の一つかとも考えられるわけでございまして、やはり私は特殊教育の面であるとか、あるいはまた、普通の教育でございましても実験的な意味におけるやり方というものが付属小中学校においては行なわれなければならないんじゃないか。それがどうも何か特別の優秀な人を越境させてでもやるというような風潮があるといたしますれば、これはまことに是正されなければならないことだと考えておるわけでございますが、いま私のところで教育職員養成審議会において検討いたしておることは御案内のとおりでございます。とりあえず昭和四十四年度の付属学校の入学者選抜につきまして、留意点をまとめまして、文部省ではこの方針に従いまして、昨年九月、入学者選抜につきましては、教育研究及び教員養成の実験、実習校としての使命に適合するように行なわれるべきであり、特別の実験計画に基づく場合を除くほか、優秀児選抜を趣旨とするものでないこと、選抜の実施について公正を期することをあらためて強調し、その注意を喚起いたしておる次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 あと質問を二つ続けていたします。  一つは、いわゆるアマチュアスポーツのあり方について文部省の見解を伺いたいわけです。  日本体育協会では最近アマチュア規程を緩和する方向に向かって理事会等を開いておるわけでありますが、このことについてひとつ文部省の立場からの見解を承りたいと思います。特に私は、アマチュア規程が改正されるというふうなことが新聞に報道されるやいなや、たとえば全日本スケートの会においては、テレビや洗たく機などというふうな商品を入賞者に副賞として渡すというふうなことをやって、さらに世論の批判を受けてそれを取り消したというような、きわめてぶざまなことが行なわれた。まあ競争団体と申しましても、アマチュア規程の改正について、今後のあり方について、ラグビー界であるとか、あるいは陸上競技界などについては従来の厳格なアマチュア規程を守っていこうというふうな考え方もあるようでありますが、少なくとも私はこの点にしぼってお答えをいただきたい。いろいろな国際交流その他の資格の問題等あるでしょう。そういうような点について緩和さるべき点はあるかもしれませんけれども、いわゆるアマチュアスポーツにおいて豪華な、プロ野球の選手がもらうような賞品や賞金をもらうというふうなことは、少なくとも私はやめていただきたい。そういうふうな規程の改正というふうなものは、私は断じてあってはならないと思うわけです。この点を含めてひとつお答えをいただきたいと思います。  質問を続けます。次の質問は次のようなことです。  児童生徒の身体の発育の状態や交通事情などの社会的条件の変化に即応して、従来のいわゆる次官通牒といわれておったその基準を検討する時期にきていると私も思いますが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。いわゆる児童生徒の対外運動競技についての次官通牒というものを拝見いたしましたが、これについても現在御検討中であるということを聞いております。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 体協の現在のアマチュア規程は、日本が初めてオリンピックに参加いたしましたときにその基礎ができたもので、明治四十四年につくられたものというふうに聞いております。その後、時代に対応して、現在の規程は昭和三十二年に改定を経たものが用いられておりますが、その規程の組み立て方が、プレーヤーに関します部分と、それから指導者、役員に関しますものと、競技団体に関するものと三つを含めておりまして、この三つを含めて処理をしていきますことに技術的な困難を感じておるから、アマ規程というものを一度廃止をして、プレーヤーを中心に、あるべき姿を再検討したいというふうに聞いております。この問題は現在体育協会自体の諮問委員会、アマチュア委員会で検討されておることでございまして、私どもその動向を注意して見守っておるところでございますが、文部省といたしましては、国民のスポーツを市民生活の中に伸ばしていくということを第一に考えておりますので、このスポーツを基本的にアマチュアの精神を発揚するという方向で考えてみたいものと思っております。  各競技団体ごとの賞品のあり方等につきましては、結局体育関係者の自主的な自制自戒ということが、このスポーツを国民のものにするために必要なものだというふうに考えておるところでございます。  学徒の対外競技の問題につきましては、現在保健体育審議会におきまして検討をいたしておりまして、これは体育関係者にも関係がございますけれども、学校教育のあり方自体にも関係いたしますので、近く関係者に意見を聞きながら、必要な手直しを進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 坂田さん、連日御苦労さまですが、あなたにどうしても大事なポイントを三つ四つ押えて御答弁を願わなければならない質問がございます。  大体、文部行政というものは、他の行政と違って政治色を濃厚にすることをできるだけ避けなければならない部門だと思います。私自身の願いであるならば、文部大臣はいずれの党の出身者であろうと、文部大臣になった瞬間に党籍を離脱して中立の立場に立った文部行政をやるという、そういう形を私は実は好ましいものだと思っておるのです。そういうような気持ちでおる私の頭から見ると、今日の大学紛争事件がここまで追い込まれたことは、歴代の文部行政の担当者たちに、どこかに片寄った文部行政の意識的指導があったのではないか。天野さんまでば大体中立だったと思いますが、それ以後の、大達さん以後の、中立確保法をお出しになったりして以来の文部行政の右寄りということが、今日の弊害を招く原因になったような印象もなきにしもあらずです。ちょうどいま閣僚の中に、坂田先生と御一緒で前の文部行政を経験された方々があります。有田防衛庁長官、愛知外務大臣、それから荒木国家公安委員長、いずれもA、トリA、三人の前文部大臣がいま閣僚におられて、その意味からいいますと文部閣僚経験者と坂田先生を含めて四人という、まさに文部行政経験者の花ざかりの内閣である。  ここで、大学紛争事件も佐藤内閣になってこういう状態になったという意味からいうならば、佐藤内閣の責任において——いままでの内閣ではこれほど激しいことはなかったのですから、結局、佐藤内閣でここまで追い込まれた。歴代の内閣が受けることのできなかった現象が起こっておるということは、佐藤内閣のどこかに大学紛争に拍車をかけるような理由がひそんではいないか。あるいは諸外国の傾向もそうだと言っておりますけれども、外国では革命的な要素を持つ大学紛争事件というのは、フランスでちょっとあった程度で、もう大体改革主義者の紛争ですね。その意味では、日本の大学紛争は革命主義者の紛争であるという点に特色があると思うのです。ここで、若くして知性を有せられる坂田さんによってこの紛争処理を一手に引き受けて、佐藤内閣の名誉挽回のためにも、国民のためにも、ひとつ大急ぎで対策を立てていただきたい。  そこで、かつて吉田内閣時代に大学管理法案というものが用意された。私も当時この法案をながめて——いまで見るとこれはたいした法案じゃない、そうきびしいような要素を持っておらない。いま思うとそう大きな不安を感じないが、当時は案外反動立法だと私は考えました。しかしこの機会には、ある程度、大学管理について、大学管理法という性格のものでなくして、大学の自治をすかっと守り抜くために、これを妨害する諸要素を排除する管理制度というものは、私はある程度必要であると思うのでございますけれども、それに対して大学管理法案はお出しにならぬということでございますが、これにかわる何か特別の目的のための法律案というものを御用意されているのではないか、されようとしておるかどうか、お答え願いたいのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、今日大学の紛争のいろいろの原因、これは広く深くあるいは世界的なものでもあるかと思いますが、日本の場合はまた日本独特の紛争だと私は考えておるわけでございます。ことに一番大きい原因は、何と申しましても、一部の政治主張を持った内外の学生集団が、その政治主張を貫くために、暴力でもって、そしてむしろ大学を根城として、拠点としてやっておるところにあるかと思います。ところが、受田さん御指摘のとおりに、これに対して大学当局自身が、学問の自由というものを守るという意味あるいは大学自治を守るという意味は、国家権力からの介入ということからこれを守るのだ——確かに過去においてそういう事例があったことを、私は承知いたしておるわけでございますが、現在の段階では、国家権力から学問の自由というものが侵されるということよりも、むしろいま前段に申し上げましたような政治主張を持った暴力集団の、学内、学外の学生によって、まさにこの学問の自由が侵されつつある、あるいは大学の自治が侵されつつあるというところが、一番の紛争の原因かと思うのでございまして、最近になりますと、東大のほうは一応小康を保ちつつあるわけでございますが、この紛争が京都とかあるいは大阪とかいうふうに、だんだん西のほうへ移動した。これも考えてみますると、三派の人たちが西のほうへ移動したということによって、むしろ紛争がエスカレートしておる、こういう現実認識を持ちます場合に、やはりそこに紛争の大きい原因があるということは認めざるを得ないのじゃないかと私は思うわけでございます。この点については、もし大学の管理者といたしましては、どうしても自分の力でこれを排除できない場合は、結局学問の自由、大学の自治というものが侵されっぱなしになるわけでございますから、き然として、場合によっては警察力を導入してでも、今日侵されんとしておる学問の自由と大学の自治を守らなければならないのじゃないか。また一般学生及びほんとうに研究をしようとしておりまするところの教授の研究の自由を守るべき責任というものが、大学管理者にき然としてなければならないのじゃないかというふうに私は思います。  でございますけれども、われわれといたしましては、まず第一義的には、この大学の自治というものをやはり尊重をいたしますたてまえから、管理者にまずそれを期待いたしますが、それがどうしてもできないというような場合は、私どもといたしましても、あるいは各党の御了解を得て、そして共通する部分だけでも——暴力排除ということについては、各党においてもそう御異論のないところじゃないかと私は思います。そのことだけをまず排除いたしますると、いままでの指導助言ということでもって、大学みずからがまた、いろいろな国民のための大学というものを築き上げていくことができるのじゃないかというような気持ちを持っておるわけでございまして、あるいは端的なお答えにはなりませんかもしれませんけれども、そういうような決意を持っておるということだけで、ひとつ御了承をいただきたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 お答えによると、まだ立法措置としての提案の意図が明確になっていないようです。私ここで指摘したいのは、大学の自治を擁護するための、あるいは運営の公正を期するための、何らかの特別の法規をお出しになる用意があるかないかをいまお尋ねしたわけです。それは結局ないという了解でよいのか。それともう一つは、いまや大学制度を改革する要請に迫られております。それに対して、大学制度の改革というものが、たとえば大学院大学を含めた大学制度の改革と、大学の自治運営に関する特別立法と、両方を同時に立法化しようとされるのか、あるいは大学制度の改革、学制の改革が先であって、管理運営の関係法規がおくれるとかいうような形のものか、先後する立場を前提とした御答弁を願いたいのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 やはり新しい大学というものにつきましては、長期的に考えなければいけないのではないか。しかもいろいろ問題がございまするので、各党においても御検討をいただく、またいただいておりますし、また各大学においても考えておると思うのでございます。また、現在私どもの文部省におきましても、中教審において、第二十四特別委員会において、ただいま御指摘の、たとえば一般教育をどうするとかあるいはまた、学生参加の限界をどういうふうに考えるか、あるいは全学的意思というものをどういうふうにきめるか、これは管理運営にもかかわる問題でございます。あるいは学生の地位の問題、そしてまた当面続発いたしておりまする紛争処理について、四つの項目に分けて、ただいま真剣に審議をなされておるわけでございます。その一つの答申あるいは草案というものが考えられておるようでございますが、やはり長期的な問題については、もう一つそれを包むものがなければいけないので、それは相当時日を要するのじゃないかというふうに思いますが、当面の学生の地位というような問題、それにかかわる管理運営の問題等については、近く答申が出るというふうにわれわれは期待をいたしておりますし、また紛争処理の問題についても諮問をいたしておるわけでございまして、この点については、現在の法規で、紛争の処理について、国民のための大学としてはたして迅速果敢にこたえられるかどうか、あるいは入学試験一つ取り上げましても、ただ学問の自由あるいは大学の自治ということで第一義的に大学が責任があると申しましても、それだけにまかせておいていいのかどうなのかというような不安が、国民の側にもあるわけでございまして、この点にはやはり対処しなければいけない。ですから私は、長期的なものと、そしてまた当面われわれとして国民のために果たさなければならないものと二つを考え、そしてまた、短期的な問題につきましては、これを立法をすべきかあるいはどうするかというようなことについては、慎重にまた迅速に考えていきたいと思ますし、またその際におきましても、文部省は文部省の考えがございますけれども、やはり立法ということになりますると、これが国会で成立しませんとだめでございますから、その辺のこともよく皆さま方と御相談を申しながらまいりたいというふうに、私は考えております。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 現に国立大学で学生参加を事実上認めるような方式をとったところも出ておる。そういうようにばらばらになっておるわけです。このばらばらになっておるものをそのままにしておけば、各大学で、大学の自治という美名のもとに、かってな、バラエティーに富んだ方式が現実に固められていきます。そういうものを文部省は拱手傍観をしてよろしいのか、ある時点になると、そういう、現に学生参加の方式で非常に大幅な学生参加を認めたようなところは、やがてそれを他との均衡を保つ線にまで引き戻させる措置をとるのか、そういうことをちょっと御答弁願っておきたいのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 たとえば東大の確認書が問題になりまして、まあこの方式がまたいろいろの形において各大学で考えられ、あるいはまた実際にいろいろの参加の形というものも起こっておるわけでございまして、この点についてわれわれも実は心配をいたしておりますし、これをどうするかということについては真剣に検討をいたしておりますが、もし逸脱のところがあるならば、これはやはりわれわれの指導助言という形において、ぜひともこれをととめるように——とどめるといいますか、既成の指導助言でどうしてもできない場合には、何らかの措置を考えなければいかぬのじゃないかというふうに思っております。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 総長の候補者にアンケートを求めて、それで判断するというような方式さえも現に行なわれておる。こういう形になると、もう先生の権威は喪失して、一方的な方向へ誘導されるような大学、自治という美名のもとに、ゆがめられてくると私は思うのです。そういうことについて文部省が、中教審の答申を待つまでもなく、何らかの方策を用意しておかないと、現実にそれが固められていったならば、非常に形の変わった偏向的な結論が出てしまって、あとから是正できなくなると私は思うのです。この機会に、もっと積極的に、中教審の答申を待つまでもなく、文部省の大所高所からの指導助言方式というものを強烈に発揮されるべきじゃないか。お答え願いたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 まず北大の問題等の事実の調査、ああいうアンケートをほんとうにやられたのかどうなのか、もし伝えられるようなことがあったら、これはやはり大きな問題であると私は思いますし、ある程度人事権に介入することにもなりますし、あるいはまた、一面におきましては、学者の、いわゆる憲法で保障しておりまする研究の自由というものにも触れかねないという問題もあるかと思うのでございまして、この点につきましては、われわれといたしましてはきびしく調査をいたし、また指導助言をすべきだと考えておる次第であります。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 私がお尋ねしているのは——中教審の答申を待っておったら時間がかかるのです。それまでに、もう文部省がすかったとしたものが何かないのかということをお尋ねしておるのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 中教審を待つまでもなく、やるべきことはやらなければいかぬのじゃないかというふうに思います。ですけれども、そのやるものは何かということは、いまここで具体的には申し上げられない、こういうことでございます。  ただし、いままで申し上げておりますように、何か暴力を排除するというようなことについて、ひとつ各党でもお考えをいただきたいし、われわれも考えたい、こういうことでございます。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 病膏肓に入って救うべからざる状態になるまで拱手傍観しておるようなにおいがふんぷんとしておるわけで、文部省は、やはり文教行政の行政機関としての使命を果たさなければならない、現にある法律の規定で、幾らでもやれる道がある。そこで指導を誤らないように、それが片寄った形で指導がされないようにしながら、坂田さんあなたの力で幾らでもやれると思う。少しなまぬるい。中教審にとかく重荷を持ちかけて、その答申待ちというにおいは、私どうも納得できません。この点、もっと大所高所からの現実の問題に対処した——やがて病が膏肓に入って救うべからざるときに施すことじゃなくして、現時点で救う道を、あなたは直ちにお手を打っていただきたいと思います。  ここで、もう一つ大学の問題で、国立と私立の関係があるわけなんです。大体、私立は経済的な事情で経営に困っておるというところであるから、どうも授業料値上げ阻止とか、あるいはそこで運営する経費の不純があるとかいうところに焦点がしぼられておる。国立の場合は、国民の税金でやっておるという点で特色があるわけなんです。  私、資料要求して、学校数と生徒数のごく最近のをお出しいただいたところによると、四年制大学で、百二十七万のうちで国立が二十九万であり、公立が約五万であり、私立が九十三万となっておる。また短期は別にして、これでひとつ比較してみますると、この学生数に対して育英資金はどれだけ出しておるかというのを調べてみますると、学生の数が国立の数に比較して三倍以上もある私立に対して、日本育英会から出しておる育英資金の金額を見ますると、貸与人員において国立が六万八千、私立が七万、これはほとんどとんとんである。また貸与額におきましては、国立が四十一億で私立が三十八億である、こういう数字が出ておるわけです。これを見ますると、私立のほうが少ない。学生の数が三倍あって、育英資金の貸し付け人員と額は同じであるというのはどうしたことか。私立を非常に冷酷に扱っておる。また私立に対しては、今度増額した措置を含めて八十五億しか出されておらぬ。国立には三千億の国費がまかなわれておる。私学振興の出資の問題を言うておられるが、今度の予算を見ると三百四十億、これは貸すのであって、渡し切りではないのです。これは計算外。少なくとも研究費とかその他理科教育振興とかいう渡し切りの金からいうたら、今度の予算案を見ても八十五億しかない。日本の大学教育を国立の三倍も負担しておる、この大事な教育部門を担当しておる私学をいかにもお粗末にして、国立重点主義にしておる。これは私は非常に理解に苦しむわけです。大事な国家の教育というこの使命を与えておきながら、国家は憲法八十九条の規定で金をよう出さぬとか、そういうことではなく、教員の研究費などというものは大幅に出してよろしいし、また医系の学校などは国家の健康保持のための大事な機関ですから、大半を国家が、医系の学校には私学といえども、これを国の費用で設備をしてあげるとか、こういう形をとるべきだと思う。あまりにも私学に対して冷酷であるこの理由を、育英資金の例と、そして補助金その他のあまりにも少額な、国立の三十分の一にも足らない、国立の三倍という大規模の私立大学に差を与えておる理由を、そしてこの打開策を御答弁願いたいのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 受田さんの御意見、まことにもっともな点が非常に多いと私は思うのであります。私自身も、今日私立大学に学ぶ数は百万をこえるにもかかわらず、国立は三十万、そして学生一人当たりの経費というものはもう段違いである、御指摘のとおりでございます。ところがこの百五十万の学生たちが世の中に貢献する度合いというものは非常に大きいものであるし、また過去におきまして私立大学の学生の果たしました役割り、そしてまた研究の成果の社会的還元の貢献度、これもきわめて高い。それをどうも少し国立中心主義できたということは、この段階で考え直さなければならないのではないか。むしろやはり国公私立を問わず、この百五十万というものが高等教育に学ぶというこのことが、今日の日本の経済成長のささえになっておるのじゃないかというふうに私は思うわけなんで、その点まさに同感でございます。ただ急激にはまいりませんで、やはり——しかしながら今度のたとえは研究費にいたしましても、わずかに量は三十三億にいたしましたけれども、私は大蔵大臣との折衝におきまして、去年は三十億であった、それが二十三億ぐらいしか使っておらないからというようなお話がございましたから、それはむしろ光熱費とか水道費とかいうような私立大学として一番必要な経費、わずかな経費でございますけれども、こういう経費に見ていただくか見ていただかぬかによって、この利用度というものが落ちるか高まるかということであって、この点をもし質的に改善していただくならば、あるいはこの三十三億でも足りないようなことになってくる。そういう意味合いにおいて、文部大臣としての責任からいってお認めいただきたいということで、光熱、水道の関係、つまり質的なものの考え方を漸次やっているわけですが、しかし抜本的には、これはやはり考えていかなければならぬ。  それから育英資金の問題は、いまのたてまえも、これまた御承知のように、経済的な貧困の状況、それからまた能力の点におきまして、この点については国公私立を問わず、同じ一つの公平の原理でやっておるわけなんです。しかしこれだけでいいかどうかというような点については、今後やはり検討していかなければいけないのではないかというふうに思います。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 答弁は簡単でけっこうです、時間が進行しますので。  育英資金においても、学生の数が国立の三倍ある私学に、育英資金の対象人員は同じであり、金額は同じであるという、つまり三分の一しか、私立大学に学ぶ者は国家の育英資金の恩典に浴しておらぬ。国立に学ぶ者は秀才であるから育英資金を出すというのか、あるいは国立に行く者は貧乏人が多いから、私立は金持ちであるからというふうな考え方なのか。私はそう思わない。国立に学ぼうと私立に学ぼうと、育英資金は同じ比率で出すべきである。三分の一という私立へのこの冷厳なる措置は許されない。私学といえども国立といえども、育英資金の対象になる人員は公平でなければいかぬ。私立に学ぶ者は金持ちであるというようなことは私はあり得ぬと思う。私学に学ぶ者の中にむしろ貧しい者が多いと、私思っておるのです。夜学に行く学生などというものは、まさに勤労学生としてほんとうに熱心な、貧困の中から立ち上がっている人だ。こういうところで、育英資金の割り振りが、教育学部があるという理屈でなくして、もっと私学に三倍出してちょうどバランスがとれる。この点、国立から思い切って育英資金を削って、私学へこれを回してバランスをとる決意があるかないか、お答え願いたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いまの育英会の制度はそういう形でなくて——国立の人数が三十万だ、公立か幾らだ、それから私立が百何万だ、こういう形でやれというのが先生のお考えだと思うのでございますが、今日の育英会の制度はそうではなくて、国公私立を問わず、同じ経済的貧困の度合い、そしてまた同じ公平な能力度ということで切っておりますから、結果といたしまして、ほぼ同数というようなことに実ばなっておるわけでございますが、しかしこれでいいかという問題については、やはり私は問題点の一つかと実は考えておるということを申し上げたわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 私、いま大臣がおっしゃったのと違うのです。つまり育英会は、大体東京大学に幾ら、どこの大学に幾ら、大体において数がある。その中で推薦されたものから選抜されておるわけです。だから学生数に応じて、各大学へ公平に人員数に応じた育英資金の割り振りをするような方策のほうが公平であると私は申し上げておる。日本育英会の指導を、そういう方向へ持っていかれるべきである。貧困の度などということは、これはみんな各大学で家庭調査など、これはなかなかわかりやしないですよ。そういう点において、ひとつもっと私学に学ぶ者に希望を与えなければいけない。そういった補助金なども思い切って出して、七十とか八十でなくして、千億くらい思い切った措置をとらないと、現に短大などの中には、申請をしたけれども経営が困難になって、つぶれかけている大学がある。現につぶれたのがあるじゃないか。これは事務当局でけっこうだが、私学でつぶれかかっておるとか、つぶれたのがあるかないか。そして大学を乱設しておる。申請さえすれば、これが設置基準に合えばというので、寺小屋のようなところまでも、やがてできるという運営のもとに何とかしておるじゃないか。そういう大学の乱造傾向はないか。国立も今度一学部の増置とそれから二学部の創設、十二学部の新設、六学科の拡充強化、こういう計画を進めている。現にある私立大学をりっぱに育てることを忘れて、国立大学だけを強化するという方式は、大学という大事な教育を預かっている私学にたいへん申しわけない。あとに続く大学を乱造させて、そして現にある私立大学を粗末にするというようなことにもなる危険があるのだが、私お答え願いたいのは、私立大学の中で経営困難でまさに倒れんとしているとかあるいは倒れた、こういうこともあわせて、私学振興の重要性をただしてみたいのです。答弁を簡単にしてください。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 私学で破産宣告を受けておりますのは、福岡電波大学がございます。それから経営困難なものの基準でございますが、私学振興会からの貸し付け金が焦げついておるもの、これが二、三校あると聞いております。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 これはますます今後強化される危険があるわけです。だから私学振興に思い切った措置をされないと、ここに学ぶ学生たちの母校が廃止される、廃校になるという運命のものが、今後数年間に相当出てくる危険がある。生徒が減ってくるという現象、私立高等学校においても同様です。人間は減っておる。地方の私立高校は経営難で行き詰まっておる。こういうものに、文部省は、国立、公立だけに力を入れて、大学から高校に至るまでの私学を粗末にしないように、根本的に、大臣、あなたは非常に熱心な答弁をされたが、それをひとつお答え願いたい。  最後に、これは時間も迫っておるので、一つだけお尋ねしまするから、厚生省の医務局長と御一緒に御答弁願いたい。日本の国民健康を増進するためのお医者さんを養成するために、文部省は国立、公立、私立を通じて、医師養成機関の大学を認めております。そこの学生数と、昭和四十三年に入学した実数と、そして厚生省が企図されている医師の適正数、それとはどういう関係で交渉がされているのか。現に無医村がたくさんあり、都市中心主義に医師が固まっておる。無医村を解消するという意味であるならば、ある期間国費をもって医師養成をして、そして卒業後数年間は無医村に勤務するとかいう制度も創設するなどして、この無医村解消に貢献する使命もあると思うのでございまするが、医師の充足の適正数はどこにあるのか、またそれに伴う大学は医系学生を今後大いにふやす傾向を持っておるのか。無医村解消に対する、私が指摘したような方策をどう考えておるのか、一緒に御答弁願いたいのです。これで私の質問を終わりますから……。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私学振興に対するまことに意欲的な受田さんの御提案、私も非常に心強く思っておるわけでございまして、私もできるだけひとつがんばってみたいと考えておる次第でございます。  それから、医学生の問題については、担当局長からお答えを申し上げたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 医師の適正数のお尋ねでございますが、これを正確に算出いたしますことはなかなか困難でございます。ただ日本におきまして、ヨーロッパ諸国等の人口対比をいたしますと、ただいま人口十万対百十一というのが日本の状況でございますが、これはオランダとかスエーデン、あるいはイギリス等に比べまして、そう遜色のある数字ではございません。したがいまして、過去におきましては、ほぼこの辺でいいんではないかという意見があったことは事実でございますが御承知のとおり医療需要というものが日本で非常に急速に伸びてまいりました。特に社会保障、社会保険の発達ということで患者数の増大が非常に多いわけでございますが、私どもは、やはり総体的にそういう意味におきましては不足だという認識に立ちまして、文部省にお願いをいたしまして、医学部定数の増加ということを三十六年以来特にお願いをしてまいりました。ただいま約四千近い入学定数までふえてまいったわけでございます。三十二年当時の約四割増というように増加になっておるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 私の質問に答えていない部分があります。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 受田君に申し上げますが、時間が来ておりますから……。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 時間が来ておるから、それだけ答弁していただきい。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 現在医学部の数は、国立二十四、公立九、私立十三、計四十六でありまして、四十三年度入学定員は三千九百八十名でございます。四十三年度の入学実数につきましては、正確な数字を持ち合わせておりませんが、定員以上に入っておると思います。四十四年度におきまして、さらに国立で六十名増員の予定であります。四十五年度におきましては、さらに一大学八十名増員の予定がございます。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 私がいまお尋ねしておるのに答えていらっしゃらぬ点があるのです。増員計画をいま言われたんだが、私が提唱したのは、無医村解消のために、ある期間をそういう地域に勤務する条件を付して、国家が特別の奨学制度を設けて、そういう医師を養成するべきではないか。無医村解消にならない、それでは。都市中心主義になっているのを、過疎地帯を救うための医師の、その答弁が抜けておるのです。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 医師確保に関するそういう措置につきましては、文部省としては考えておりません。

受田新吉民主社会党

○受田分科員 いない。冷酷だ、そういうことでは。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 井上普方君。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私は最初に医務局長にお伺いしたいと思います。   〔主査退席、橋本(龍)主査代理着席〕  九州の福岡県に麻生産業株式会社飯塚病院というのがありますが、この病院は、ベッド数が実は千五十九、医者は四十三、看護婦は二百四十四、これは医療法に違反していますかどうか。イエスかノーか、ひとつ医務局長、御答弁願います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 お答えいたします。  麻生の飯塚病院は、患者実数からいたしまして、医者の数は医療法に基づきます定員よりも下回っております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私はこれは厚生省からいただいておる。そうしますと、千五十九、ベッド数が。そうして医者は四十三、看護婦は二百四十四。医療法に違反しておるかどうか、イエスかノーか、お願いします。時間がないので簡単にお願いします。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 医師の数におきまして、医療法の定める定員数よりも下回っておるということでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 医療法二十一条によるところの、患者数が、外来患者を含め、入院患者ベッド数等々で、五十二名までは三名、それ以上は患者十六人を増すごとに医者一人となっておるはずです。それから看護婦は、そういうような関係で数を勘定いたしますと、そうすると四人に一人ということになっておるはずです。これはあなたは認めますか、認めないですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 一般病床につきましては御指摘のとおりでございます。結核、精神等につきましては、御案内のとおり、看護婦につきましても基準をやわらげておるわけでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 あなたはそう言いますけれども、これで、あなたから、厚生省の医務局からいただいた数字によりますと、麻生産業株式会社飯塚病院というものは、医者一人当たりの患者数は——ベッド数だけですよ、にしますと、一人当たり二十三・五二ベッドを持たなければならない。看護婦にいたしましても、四・三四という数字が出てくるのです。これで医療法上あなたは違反しておると思うか思わないか、ひとつお伺いしたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいまベッド数の話がございましたが、先生御承知のとおり、医療法では、前年における患者実数というものを基準にいたしまして、先ほど来お述べのような算定をする、こういうことになっておりますので、必ずしもベッドどおりにはまいらないかと存じます。ただ、この病院につきましては、そういう患者数をもとにいたしましても、御指摘のように、一人頭の医師の受け持ち数は約二十一人ということになっております。もちろん中身に精神とか結核とかいう病床がどの程度あるかということを詳細に分析をいたしませんと、必ずしも一がいには申し上げられないと思いますが、ただ医療法違反かどうかという御指摘でございますが、一応医療法といたしましての数は標準であるという考えに立っております。これを標準とするという考え方でございますので、直ちに、いわばそのとおりに違反というわけにはまいらぬかと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 冗談言っちゃ困る。医療法二十一条によって罰則がきまっておる。この基準以下であれば五千円以下の罰金に処すということは、医療法にかっちり書いてある。二十一条から、それを受けての施行令あるいは施行規則に書いてあるはずです。それにあなたは合っていると言うのですか。医者の数にして一人当たりが二十三人という数になっておるはずなんです。これで罰則があるはずなんだ。罰則を、あなた方は五千円以下の罰金をやったのかどうか、ひとつお伺いしたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 医療法の罰則につきましては、人員については罰則の規定がないというふうに考えております。ただ、いまおっしゃいましたように、これで標準ではございますけれども、当然病院としてはそれを整備すべきという問題でございますので、御指摘のように、これが適当でないということだけは十分言えると存じます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 冗談言っちゃ困る。この医療法によると、罰則まで規定して、標準とするということじゃないのです。これだけは備えなければならないということになっておるはずです。  それでは精神科の病院を申しましょう。精神科で、実は兵庫県立光風寮というものがある。ベッド数が六百三十三、医者は七人しかおらない。これは医療法上違反しておるのですか、どうですか。そして罰則をやったのかどうか。ひとつお伺いしたい。医者一人当たりについて九十人だ、ベッド数を持つのは。それについてどう思いますか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 御指摘の病院につきましては、七名という数でございます。精神病院といたしましてもこれはまだ不足をしております。  それから、罰則を適用したことはございません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 実は、私はこういう病院を指摘いたしましたのは、医療法に違反しておる。これは私立だけじゃない。一例をあげますならば、日赤病院、国立病院においても標準以下の病院がたくさんある。それらに対して、国はどういう処置をとっておるのですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 医者の数がそういうように足らない場合につきまして、国立関係につきましては、できるだけ補充に努力をしておるわけでございます。そのほか、いわゆる定数というもので埋められない場合には、非常勤職員というような医師によってもカバーをするという努力は続けております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 冗談言っちゃ困る。しかもこういう病院か県立の中央病院、——舞鶴国立病院のごときは、しかも総合病院ですよ、七百のベッドを持ちながら三十人しか医者がおらない。一人当たり三十七人という国立病院がある。看護婦にいたしましても、ベッド数が七百に対しまして百四十人しかいない。医療法上明らかに違反の病院、これに対してあなた方はどういうような処置をとるつもりなんですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいま御指摘の国立舞鶴病院につきまして申し上げますと、先ほど来申し上げましたように、入院患者の平均は五百七十八名ということでございまして、それに対しまして、そういうことから計算をいたしますと、医師につきましては、医療法上は三十二名必要だというふうになってまいりますが、現員は御承知のとおり三十名で、二名不足をいたしております。この点は、補充ということにつきまして十分努力を払ってまいっておるわけでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 極力努力するとかいうようなことを申しても、これは私らには話にならない。民間の病院でありましたならばどのような激しい——あなたも衛生部長をやっておるはずだ。どのくらいきびしい指摘をやり改善を要求せられるかということは、あなた自身がやってきたはずだ、地方の衛生部においては。  そこで私はお伺いする。実は、研修医制度というものができて、そしてその研修病院を調べてみますと、医療法違反の病院が総合病院で十六ある。しかも、あなたは三十名と言いますけれども、この中には歯医者さんが二名ないし三名おるはずだ。それだけ減ってくるはずなんだ、病棟だけで。さらにその上に外来患者を見ますから、これははるかに低い数字になってくる。そうしますと、まずベッド数だけで医療法上違反の研修医指定病院というのが百七、総合病院で指定されておりますが、そのうちで、ベッド数だけでいきますと十六違反の病院がある。さらには外来患者を入れますと、その中で医者だけを考えますと実に二十一、合わせまして、百七のうちで三十七の病院が医療法違反の病院なんです。これをあなた方は研修医指定病院として指定しているんです。どう思いますか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 指定病院の指定にあたりましては、すでに御承知のとおり、医師試験研修審議会というものの意見を聞いて、そこで慎重に一々チェックをしていただいた上でお選びをいただいたわけでございます。ただし、御指摘のようにそういう医師数等において非常に不足であるというものは、事実ございます。それから診療科におきましても欠除あるいは指導力が不足である、こういうことが現実に指摘を受けるというような——その委員会におきまして指摘を受ける、改善をしなければならない、こういう条件をつけられたものもあるわけでございます。そこで、私どもはそういう点につきまして百点満点ではないということは多分に承知いたしておりましたが、審議会といたしましても、受け入れその他の関係から、将来の改善を考慮しつつ、そういうことも考えて選んでいただいたわけでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 あなたは言いますけれども、前の国会においてこの研修医制度の審議の際に、園田厚生大臣は、設備も人員も十分に備わった病院に限り指定すると、こう言っているんですよ。しかもあなたがおっしゃるような審議会の中に、自分が病院長であって、しかも医療法上違反しておるような病院の院長がたくさんいる。一例をあげますと、国立武蔵野療養所の精神科、これなんかは実は入院ベッド数が医者一人当たり大体三十人です。精神科は医者一人当たり六人のはずだ。次官通達であなた方は通達してやっておるはずだ。それについてあなた方は、そういうような学界のボスといいますか、そういう連中ばかりをともかく審議会委員に指定してやっておるのじゃないですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 試験研修審議会におきましては、そういうようないわばボスという形で私どもは選んだ覚えもございませんし、医卒懇の御要望等で大学の先生方を入れる、あるいはその各科のなるべくそういう権威といいますか、判断のつく方を網羅する、こういう基準でもって選んだわけでございます。  なお精神病院につきましては、精神病院という特異性があるということで、別途また学会からも全国的にいろいろな御調査を願いまして、そちらからの御意見を十分にいただいて審議会で決定したといういきさつがございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 時間がありませんので、私は文部大臣にお伺いすることにしますが、あなたはおっしゃいますが、厚生省は、前の国会の議事録を読んでごらんなさい、人員においても施設においても十分な病院を研修病院として指定すると言っておる。ところが百七のうちで三十七、それから精神病については全部。これはあなたのほうの医療法に基づいて、あるいは医療法施行規則に基づいて次官通達というものを出しておる。それによって民間病院はがっちりと押えておる。いいですか。それで、あなたの言うようであれば法律というものはないにひとしい。しかもそれが教育指定病院なんだ。こういうような医療法に違反した病院については、あなたは取り消す意思があるかないか、それだけ言っていただきたい。前の園田厚生大臣の答弁とあわせてひとつお伺いいたします。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 取り消しというのは指定病院の取り消しの意味だと存じますが、この研修審議会におきましても、一応指定をいたしましたときに選んだ責任を感じておられまして、そして自分たちの手でも実態を十分見て、不十分な点は実地指導をいたしながらやっていきたい。しかもその条件が永続性をもっていつまでもその指定ということが続くことは妥当でない、こういうことで、一応期間を二年というふうに切っておりますのも、その間にあまりそういう実体にそぐわない不適当なものであれば二年後には取り消してしまう、指定をしない、こういう意味で二年ということをやっておるわけであります。私どもは御指摘のような不備な点は十分承知しておりますが、研修審議会も実地に指導したい、こういう意向を持っておられます。また日本の病院の中で、御案内のとおり非常にりっぱな病院というのが比較的数少ないという実態からも、いまはそういうように多少不十分でございましても指定をされたというようなことでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 医療法に違反しているのですよ。医療法に違反しておる病院が百七の病院のうちで三十七、精神病は十二か十三ある精神病院の全部、しかもそれについててん然として恥じざるあなた方の態度はどうなんだ。研修医の諸君が、青医連の諸君が若年医者の労働力の搾取であるといったのも実はここでうなずけるのであります。これは前の厚生大臣は、人的にも設備においても十分な病院のみを指定する。特に私はそのときに、百三十という病院の数にあなた方は固執するのかと言いますと、固執しない、十分なる設備の、あるいは人員の備わったところだけやると、こう言った。ところが実態はどうかといいますと、やはり百三十近くの病院を指定している。しかも医療法上違反の病院をかくも多く指定している。これは、あなた方は恥と思いませんか。イエスかノーだけお答え願いたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 先ほど来申し上げましたように、百点満点であるというふうには私ども考えていないわけでありますが、受け入れの地域的な配分等も委員会で考慮されまして、そうして日本の実態の中からそういうようなものを選んでいただいたというわけでございます。井上(普)分科員 ともかく日本の研修病院、教育病院と指定した以上は、医者の数がともかく法に十分であり、設備もまた十分でなければ指定できないはずなんだ。それが教育研修指定病院の意味でないですか。これはまたあとで私厚生委員会においてやるが、ともかくこれについてはあなた方が法に違反した病院までも指定している。看護婦の数からいうと、百七つのうちで四十四がともかく違反している病院だ。看護婦不足の病院を三分の一以上、半分近くあなた方は指定しているのだ。審議会にかけると言ったが、審議会の連中を見てみても、ともかくわれわれから見れば学界のボスばかりだ。秋元さんのごときは、自分の病院が事実医療法上違反しているのだ。それをあの人も委員になったでしょう。これは出ているのです。実態からじゃないですよ、私が言うのは。実態から指定するんじゃないんだ。教育環境が十分できておる病院でなければ指定できないはずなんだ。それで、こういうような実態からして、青医連の諸君が昨年の一月以来研修医制度に反対しているという理由の一端がここに明らかになったと思う。文部大臣、あなたの御所感を承りたい。簡単にひとつお願いします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 臨床研修制度というものは、これはなかなか大事なもので、東大の紛争のいわば直接の原因になったものだと考えております。したがいまして、私就任いたしましてからいろいろ検討いたしました結果、国立大学に学ぶ学生というものは、大体年収百万円の家庭から六十数%というような状況で、しかも六年やって、また二年の臨床をやらなければならぬ、こういうことで、私はまずその謝礼のお金が一万五千円であるということ、これはいけないんじゃないか、もう少し、やはり三万円程度はあげるようなことにしなければいかぬのじゃないかということで、大蔵大臣とも折衝いたしまして、最終的には二万七千五百円ということにいたしましたわけでございます。それからもう一つは、無給医局の人に対しましても、いままで一万五千円でありましたのを三万五千円まで引き上げたわけでございますが、そういうような意味から医局の問題を含めまして、今後十分この審議会等の意見を聞きまして、制度の改革、改善をはかっていきたい、かように考えております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 文部大臣、これは厚生省だけじゃないのです。文部省の大学の設置基準というのを見ますというと、入院患者のベット数だけで、診療研究要員としてベッド数だけであなた方は設置基準を認めておる。外来患者はシャットアウトの考え方なんです。そうして大学設置基準というのをあなたは認めておる。これはあとで申しますが、ともかく教官の増員を来たさなければ、医学部紛争についてはなかなか進まないということをひとつ御認識願いたいと思うのです。  そこで、あなたは医局制度、こう申されました。現在の医学部紛争というものは、これが各大学の大学紛争の発端であり、もう一つは、私は見てみますと神学部と医学部がともかく発端になっておる。そこには徒弟制度というものがある。封建性といいますか、江戸時代的な感覚がともかく残っておる。これにメスを入れなければ大学問題の解決というものはなかなか私は不可能だと思う。その一番大もとは講座、医局制に私はあると思う。医局というものがどういう機能を果たすかといいますと、学生の教育、大学院学生の指導、研究の指導、診療までやらされておる。一方講座の主任教授はこれら全部握っているのです。私は医者でございますので申し上げるのですが、私も無給医局員を八年やった経験がある。それであなたにお伺いするのだが、いま研究発表の自由というものはないのです。教授が指令した以外は全部シャットアウト、研究もてきないというのが現在の医学部の体制なんです。でありますから、事少なくとも医学部に関しては講座制を廃止しろという要求が当然起こってくる。しかも教授一、助教授一、助手三、これが診療科目の定員です。そのほかに病院助手という形で行っておりますが、しかしこれとても患者数を受け持つのに、これだけでやりますと、実は一人当たり十八、九人から二十人受け持たなければならぬというのが大学の実態なんです。外来患者も見なければいけませんから。こういうような、しかも研究の自由というものは教授が握って、教授が指令した研究以外はやらさないという医学部の体制なんです。これは都市工学においてもあるいはまた工学部においてもそれに近いものがある。学問の研究の自由なんというのは、医学部ないし工学部には少なくともないと思う。教授自治のもとにおいて行なわれておる。でありますから、今度の東大紛争、医学部、工学部を中心とするところの東大紛争は助手あるいは大学院生、無給医局員、こういうのが立ち上がって大学の改革をやろうとしている。でありますから、大学の紛争というものも、あるいは法学部のごときは解決するかもしれませんが、事文学部とかあるいは少なくとも医学部に関しては改革をやらなければ、解決というものは成り立たない。収拾はほかの学部でできるけれども、医学部に関しての収拾はできないと思う。しかもそういう卒業者が中心になってやっておるこの段階において、学問の進歩ということに関しては、日本の学問の進歩というものが非常におくれると思うのだが、文部大臣の御所見を承りたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私も就任間もないものでございますから、井上さんのようなお方の御意見を十分拝聴しながら、今後検討いたしたいと思いますが、やはり大学紛争の直接の原因になったのが医学部であったということは注目すべきことであるし、いま御指摘になったようないろいろの問題が伏在しているのではないかというふうに思います。でございますから、文部省といたしましては大学病院基本問題調査研究会というものを設けまして、医局の問題を含めまして大学病院の改善方策についても考えておるわけでございます。さらに、単に医学部だけではなく、御承知のとおりに工学部あるいは理学部というところがら問題が起きていることも雑誌等において私は読んだわけでございますが、これは今日自然科学というものが非常に発達をして、むしろ自然科学の発達の結果、逆に機械文明の中に人間性が埋没をされておるというような奥深い原因も一つにはあるかと思うわけでございます。しかも、いまお示しのような医局制度というものは、非常に古いからが残っておるように思われますし、ことに大学が最初できましたときのことを考えると、むしろ十九世紀のものの考え方が旧帝国大学に受け継がれ、しかも医学部あたりにずっとそれが続いてきており、終戦後もまだそういうようなことが残っておるのじゃないか。講座制の問題につきましても、もう少し運営のしかたでやりようがあるのじゃないかというふうにすら思うのでございます。ちょっと前の資料でございますけれども、たとえば助手を含めました一教官当たりの学生数は一対一・二というのが東大の実情だと聞いておるわけでございます。そういう形においてどうしてうまくいかないのかということを考えますと、おっしゃるような問題がやはり残っておって、講座制の運用等についてももう少し考えていかなければならないのじゃないかというふうに私は思っておりますが、とにかく大学問題の中の一つといたしまして、ただいま大学制度全般について検討いたしておる段階でございまして、十分御意見といたしまして尊重して考えてまいりたい、かように思うわけでございます。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 私はいまの御答弁の二、三問題を拾い上げて御答弁を願いたいのですが、まず第一番に、診療報償金という形で文部省は無給医局員に金を出しておりますね。ところが次官通達によって、予算の範囲内で出してよろしいということをいっていますね。——知らないんならいいですよ。そういっているんだから。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 それは私存じておりません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 そういうことをやっておる。知らないんだったらあとで文書で御答弁を願いたいと存じます。  それから、実は東大の医学部の中で、この三月で定年になる教授の数、知っていますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 承知いたしておりません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 実は東大の医学部の教授の中に、この三月で定年になって退官する人が数名おるはずです。ところが教授会で、それじゃひとつこの際だから一年くらい延長しよう、こういうようなことを言って、決議をしておるのです。これも御存じないでしょう。あなた、耳に置いていただきたい。  この研修医制度というものは上田、豊川あるいはまた懸田、樋口、こういう人たちが中心になって推し進めてきた医師法の改正であったのです。各新聞の論説委員を全部回ってみた、あるいは自民党の人たちにも運動した、こういうようにして説得して、ともかく反対運動を圧しようとしてきたのです。しかも東大医学部の教授会は——学生が、先ほど申しましたような結果を招くのだ、若年医者の労働力の搾取になるということで反対すると同時に、日本の医療体系の上において、そういうような不備な病院においてやられたならば、技術の低下を来たし、国民医療の低下を来たすのだ、最初はそういう要求のために実は立ち上がったのです。私は至当だと思う。現実を見れば至当だと思う。厚生省がだらしないからです。ところが大学の病院というのはどういうのかといいますと、東大の教授会は、法案は通った、しかし附帯決議が衆議院において出ておる、この附帯決議が実現できるであろうから、おまえらひとつ黙っておってくれということで説得これつとめてまいった。ところが予算案が内示公表されますと、この附帯決議が何ら実現されていない。そういうもとにおいて、ついにもう東大のあの保守的なガリガリの教授会の連中も、教授会として研修医制度反対という声明を打ち出さざるを得なかった。  私はここで、もう時間もございませんから、ちょっと大臣に対して、大阪の市立病院において大学改革案というものを出しておりまするが、これについてひとつあなたのお考えをお示し願いたいと思います。——知らなければ知らないでけっこうです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 承知いたしておりません。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 実は数日前から、大阪市立大学の医学部改革案というものを私は文部当局に要求してあったのでございますから、当然あなたの手元に入っておると思った。ところがあなたの手元に入ってないという話でございます。ともかく現在の大阪市立大学あるいは東大の再建計画なるものは、全部細分化しようという考え方で、各臓器別あるいは機能別にともかく細分化しようという案を出しております。しかし教授会が出しておる案は、講座、医局制というものはあくまでも残そうという考え方なんです。しかし講座を残すと、先ほど申しましたように一つのピラミッド型で、教授が全部握る、人事権も握る。あるいはおまえはあそこの病院に行け、行かなければ破門だということばすら医学部にはあるのです。お花の先生であるとかあるいは茶道の先生であれば破門ということばはありますけれども、近代医学の最先端を行っておる医学教育において破門ということばが事実あるのです。それで、研究につきましても医局員百人を一人が指導できるかというと、できるわけはありません。さらにまた学位論文の指導もやらなければいかぬ。こういうようなことを考えてまいりますと、事少なくとも医学部の講座制、医局制というものを解体しようという動きがあり、すでに東大医学部においては医局解体の動きすら出ておる。もうやったところがある。これは私も文書を読んでみますと、医局解体の意義というものは、現在の研究体制を解決して、科学の発展に即応する研究体制をつくろうというのが実はねらいだ。私も医局におりまして勉強しておりました関係から、まことにそのとおりだと思います。こういうようなことを考えますと、先ほど来受田新吉さんが言われたように、単に治安発想的な意味合いじゃなくして、医学部だけじゃない、工学部においても、ほかの学部においてもたくさんこういう根本的な問題があるのです。でありますから、これらを根本的に改革したときに初めて大学紛争の解決ということになると思う。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 井上君に申し上げます。時間が参っております。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 ただ収拾のためにいま動いておる、そんなことでは問題の解決にはなかなかならない。ことに医学部あるいは工学部あるいは文学部においては、収拾はできたけれども、あるいはまた解決の段階においてはなかなかできないと思います。  それで、文部大臣としては中教審というものを盛んにおっしゃるが、中教審の中に細川隆元という人物があるそうですが、私が承るところによると、この人は昨年の三月までは中教審に一回も出席したことがないということを聞いておる。それで中教審の委員の諸君の出欠表を国会に——これは予算として出すのですから、ひとつこれは国会に出していただきたい。これは強く要求いたします。  それと同時に、大学紛争の、特に医学部を中心といたしましてのあなたの根本的なお考え方をひとつお伺いすると同時に、厚生当局は、先ほど来申しましたように教育指定病院というこの病院が医療法上違反しておる。五千円以下の罰金に処するという罰則があるんですよ。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 井上君、時間が参っております。簡単に願います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 だからその点についての答弁をひとつお伺いしたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 医学部の問題につきましてはやはり大学全体の問題でございます。また講座の問題もそうでございますから、これは中教審等に諮問をいたしておりますから、その答申を待って検討いたしたいと思います。  それから中教審の中の細川隆元さんその他の出欠状況については、ひとつわかります限り報告をいたしたいと考えております。細川さんは私と選挙区が同じでございまして、前に社会党から出ておられた方でございます。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 指定病院につきましてはさらによく実態を把握いたしまして、改善できますように全力を尽くしてまいりたいと思います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 改善したいというようなことを言っておったってだめだ。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 時間がすでに過ぎております。簡単に願います。

井上普方日本社会党

○井上(普)分科員 これで終わりますが、ともかく私は指定病院を告発してもいいと思うのです。こういうような病院をともかく指定教育病院として指定しておる厚生官僚の頭のほどを疑わざるを得ないのです。いずれ文教委員会あるいはまた社労委員会においてお伺いするといたしまして、本日はこの程度で終わらせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 長谷川正三君。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 冒頭、昨日、本委員会におきまして岡澤委員が質問いたしましたのに対しまして、荒木国家公安委員長が御答弁をいたしましたが、そのことについてまずただしたいと思います。  荒木国家公安委員長は、昨日岡澤委員の質問に先立って午前中の大原亨委員の質問の際にも、大原委員から、荒木さんが東京都の美濃部知事に対しまして五十点であるというようなことを放言されておるが、まことに不謹慎であるという指摘がありましたのに対して、十分今後気をつける旨の御答弁があったばかりでありますが、その舌の根もかわかないうちに、午後の岡澤委員の質問に対しまして、九州大学の井上法学部長について————ときめつけた御答弁かございました。はなはだ不謹慎なことばであって、これを看過することはできないと思いますので、私は冒頭その発言の取り消しを要求いたします。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  昨日、当分科会における岡澤委員の質問に対する私の答弁において、九州大学井上法学部長につき————と発言しましたことは、用語が不適当のため取り消させていただきます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 それでは次に、私学の振興に関連いたしまして、教育を受ける国民の立場から質問をいたしたいと思います。  私は、私学といえども教育基本法、学校教育法に基づく公の教育をいたしておるのでありますから、国公立と格差があってはならない、いずれに進みましても同様な教育を享受できるよう国なり地方自治体が十分な援助、配慮をすべきであるという基本の考えを持っておりますが、しかし本日は少し角度を変えまして、教育を受ける児童、生徒、学生あるいは父母の立場に立ちまして質問を申し上げたいと思うのであります。  端的に申し上げますが、私がきょう文部大臣にただしたいと思いますのは、今日ちまたに満ちておる声として、親たちは子供の教育のために、生活水準を最低限度に落としても子供の教育費を貯金しておる、母親は夜おそくまで内職をしておる、そういう実情が至るところにあるのでありますが、にもかかわらず、子供を教育したいという親の弱みにつけ込んだと申しますか、その根本が私学振興の国家の対策の貧困に由来するといたしましても、たとえば、今日入学試験の時期になっておりますが、入学金あるいは半年分、一年分の授業料その他の納入金、こういったものを期限つきで納入させられるために、結果的にはそこへ入らない学校にも、大学についても高校についても、二重三重に支払わされる。どうしてこれが何ともならないのだろうか、これは実に切実な国民の声であります。これに対して文部大臣はどのように考えられておるか。またその実情がどうなっておるかについて、大学及び高校について御調査をなすったことがあるか。それがどうなっておるか、それに対してどう対処されるか、このことをお尋ねいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私立大学の問題は、われわれといたしましても今後予算の面においても力を入れてまいりたいと考えておるわけでございますが、お尋ねの私立大学における入学手続時に納入しました納付金は、入学を取り消しました場合でも返還しないことにしておる例が多いわけでございます。入学時学生納付金の扱いにつきましては、国が関与することなく、当事者である学校当局と入学志願者の取りきめに実はまかされておるというわけでございますが、入学取り消しが、たとえば入学者の死亡等特別の理由があるという場合には、大学当局においてその理由に応じた相当の考慮を払われるのが適当だと考えておるわけでございます。文部省といたしましては、従来から私学に対しまして各種の助成措置を講じまして、年々その拡充をはかってまいりましたが、昭和四十四年度予算におきましても、これらの助成措置の一そうの拡充をはかっており、今後も臨時私立学校振興方策調査会の答申の趣旨に沿いまして、その拡充強化をはかりますとともに、父兄負担の増大の抑制につとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 本鈴が鳴っておりますから、簡単に願います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 文部大臣の私学振興に対していろいろ具体的努力を払っておられる。まだ不十分であるけれども、払っておられる、この点は了解いたしますが、いま私が端的に申し上げた国民の声に対して、それは法的にはどうにもならないので、これはもっぱら自主的な、大学の良心的配慮に待つ以外に手はないんだという、突き離したようなお答えに聞こえたのですが、そうですか、真意は。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いや、そうじゃなくて、私の与えられました権限内におきまして、御指摘のようなことのないようにひとつ相つとめてまいりたい。最大の努力を払ってまいりたい、こういう気持ちでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 いままでに私立大学についてどういう努力を払われたか。あるいは高等学校にもこの現象はあるわけですが、それについてはとういうふうに手だてをとられたか。いままでとられた手だてかあったら——なかったらなかったでけっこうでございます。お答えください。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 御指摘のように、大学、それから高等学校におきまして、入学金等を返さないという例はほとんど大部分でございまして、返す例のほうがむしろ少ないという実態でございます。これは、御指摘になりましたように、やはり私学の財政の困難ということが原因だと思いますので、今後私学の助成を強化するという方向でしか解決の方法はないのじゃないかというふうに考えております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 私は、ごく身近な東京付近の問題だけを二つ三つ調べてみましても、たとえば、法律学を学ぼうとするものが早稲田と明治とを受けた場合には、これは明治のほうに入学金その他を全部払ってから早稲田の発表があって、そして早稲田に入れば明治のほうは払い捨てになる。あるいは早稲田の経済学部と中央の同じ学部を受けた場合がやはり同様。早稲田と立教を組み合わした場合も同様であります。あるいは、国立大学と早稲田や慶応と比べた場合にも、大部分の学部が、全部納入してから国立大学の発表がある、こういう状況になっておる。その額はいずれも、入学金その他を含めますと、大学の場合十三万とか十五万とか十七万とかいう額であります。これは零細な庶民にとっては耐えがたい負担であります。このことを御銘記なすって、このようなことのないように、学部によってはそこに二日ぐらいの差で一応結果を見てから納められる余裕のあるところもあるのでありますけれども、この点は十分な御指導を願いたい。  高等学校も非常にそういう点は多かったんでありますが、東京都について調べますと、高校については美濃部都政になりまして非常にその方面の指導が徹底したと思いますが、延納届けというのを出すと何とか間に合う、こういう措置が八割方最近とられるようになっております。ところが、残念ながらこれが非常にわかりにくく書いてある。したがって依然として高等学校においても泣き泣き納めているという現実は方々にございます。しかしすでにこれは、よく調べてみますと、こういうことを承知して届けを出せば、八割方の高校が東京においては二重払いにならないようになっておる。したがいまして、こういうことにつきまして、文部省といたしましてはもっと実態を深刻、如実に把握されて、適切な指導、行政を推し進めていただきたい。同時に、冒頭申し上げました私学の振興について、さらに格段の配慮をしていただきたいと思います。  時間が参りましたので、この問題についてはこれで打ち切って、最後に一つだけ。文化庁長官はきょうお見えになっていないようですが、次長が見えていますから一つだけお伺いします。  これはきわめてこまかい問題でありますが、文化庁発足以来、日本の文化財保護の上にきわめて重大な試金石となっている問題でありますので、ここでお尋ねします。それは岡山の津島総合グラウンド遺跡の問題でありまして、これは非常に重要な遺跡であるということで、文教委員会でもわざわざ視察をしたところであります。しかしここに、岡山県知事の手で武道館が建てられるという計画が非常に法を無視して進められたために、今日非常に問題になっているのですが、私はこれがいまどういう状態になっているのか。保存の見通しが立っているのか。特にその武道館に付属する体育館は、これは文部省の補助金の対象になっていると思いますが、四十四年度の予算案の中にはこれが含まれておるのかどうか、その点を明確にお聞かせをいただきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 津島遺跡内の武道館予定地につきましては、御案内のとおり、すでに昨年の五月から六月と七月から八月にかけまして、二回にわたりまして発掘調査が行なわれたわけでございます。文化庁では、この調査の結果につきまして、文化財保護審議会、同第三専門調査会の史跡部会と、それから重要遺跡緊急指定調査研究委員会というところにおはかりいたしまして、いろいろ御相談をしたわけでございますが、この遺跡は相当に重要な遺跡であることについては異論がなかったわけでございますけれども、これを国の史跡として指定して保存すべきかどうかということになりますると、現在まで出ておりまするところの発掘調査だけではその可否の判定ができかねる、こういうわけで、さらに調査を行なうべきであるという結論であったわけでございます。文化庁といたしましては、こういう結論でございますので、武道館の予定地を中心といたしましてさらに発掘調査をしたい、そういうことで、文化庁の指導監督のもとに岡山県教育委員会がこの調査をするということで、すでに二月の二十四日から約五十日間の予定で調査をいたしておるわけでございます。今回の調査は史跡として指定して保護するかどうかということでございますので、形式は岡山県教育委員会の調査ではございますけれども、文化庁の指導監督のもとに行なうということで、前回の津島史跡発掘調査委員長でございますところの上智大学の八幡一郎先生を団長といたしまして、文化庁の記念物課、それから奈良国立文化財研究所、国立の東京、京都、奈良の博物館の関係の専門家で、約十五名を調査員といたしました団を構成いたしたわけでございますが、さらに顧問といたしまして、文化財審議会の専門員というような方々にもお願いをいたしまして、十分適切な調査ができるようにと、こういうことをいたしておるところでございまして、遺跡を今後どういうふうにするかにつきましては、この発掘調査の結果を待ってさらに判断をいたしていきたい、かように考えておるところでございます。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 武道館のことにつきましては、四十四年度の予算に、三百万円補助をいたします武道館を十五カ所ほど予定をして、いま予算の御審議をお願いをいたしております。予算の成立後各県からの申請を待ちまして処理をするつもりでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 ただいまの体育局長の御答弁、武道館ですか。体育館ではないですか。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 小型の武道館でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 いわゆる、私が問題にしておる武道館の付属の小型のことですね。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 四十三年度には、岡山県からもそういう御要望が出たのでございますが、四十三年度の交付はいたしておりません。来年度岡山県からどのような御希望が出てくるかは、まだこれからのことになろうかと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 一言だけ。そうすると組んでいるわけですね、四十四年度には。案の中には組んでおるんですか。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 小型の武道館に対しまして、自治体が設置を希望しておりますものに対して、十五カ所ほど補助ができるように予算が上がっておりまして、どこにどうという決定は予算成立後になります。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 了解しました。  それでは時間が参りましたから終わりますが、文化庁がせっかく発足して、日本の文化行政が一歩前進を期待されているときに、その最初にかかったこの津島総合グラウンド遺跡が、どうも、たまたま知事が武道館建設に非常に御熱心であるということで、これが、文化庁と地方自治体が共同で文化財の破壊のお手本になるような結果に万が一にもならないように、私は強く要望いたしまして質問を終わります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後の会議は、本会議散会後直ちに再開することといたします。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管予算に対する質疑を続行いたします。小川新一郎君。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 大臣にお尋ねいたしますが、最近の大学問題は、これは御承知のとおり非常な大きな問題で世論も大騒ぎしております。また私ども父兄も、また社会のそれに携わるすべての人たちが、この成り行きを注目しております。大臣の努力も多といたしております。大学問題がこうなっていったという要因を、中学校または高校という問題もこの際大臣は考えなければならぬのではないか。最近の一連の大阪府立の茨木高校とか東淀川高校ですか、これらの卒業式における不祥事件、これらに対しても、大臣ももう御承知のことと思いますが、まずこれについて大臣のお考えをお尋ねいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 大学紛争の問題でございますけれども、だんだんその傾向というものが高等学校の段階までもいっておるということにつきまして、これはゆゆしいことであるというふうに考えるわけでございます。文部省といたしましても、高校生の健全な育成をはかるということは当然のことでございますが、政治運動というものがこういう形で行なわれてまいりますると、なかなかむずかしい問題もございます。しかし何と申しましても、まだ高等学校の段階の生徒たちでございますので、まず現場の先生方の御指導ということを中心として、これらの先生方の指導、研修と申しますか、そういうようなこともつとめてまいっているようなわけでございます。それからまた、地方の教育委員会はもちろんでございますけれども、県の教育委員会あるいは学校のPTA等につきましても十分の指導を行なっておりますし、今後も続けてまいりたい、かように思っておるようなわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 こういう問題が起きた根源は一体何なのでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 これはやはりなかなか一がいには申せないと思いますけれども、一つにはやはり文明史的な、機械文明における人間疎外というような問題があるかと思うわけでございまして、そういうようなものの考え方というのは、大学生のみならず高校生にもあるのじゃなかろうか。たとえばわれわれの時代でございますと、文字、活字を通じて知識を獲得する、あるいはものを考える、思索をする、思想が生まれる、文化が形成される。ところが近ごろ、第二次大戦後になりますると、むしろ視聴覚というものが非常に発達をいたしまして テレビとか映画とかラジオとか、そういうような目、耳あるいははだで感ずるという形においていろいろなものを吸収するというようなことで、むしろ衝動的になったり、あるいは即物的になったりというような考え方もその一つかと思いますが、いまお尋ねの問題についてはむしろ政治的な問題、暴力をもってしてもその政治主張を貫こうとする、今日紛争の一つの原因と考えております大学の学生たちのそういう影響がやはり高校にも及んできた、またそういうような運動家たちが高校まで手を伸ばしてきたというところにもあるかと考えております。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 そうしますと、大臣は、最近の中学、高校のこれらの政治的問題について、いわれております三派全学連、民青につながる党勢、これらについてはキャッチなされておりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 人数その他につきましてはある程度つかんでおるわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 それでは、その高校の反戦高協みたいなもの、または中等学校——中学校は義務教育ですから非常に問題なんでありますが、中共の紅衛兵のように非常に若年家までそういった政治的な問題が浸透しつつあるといういまおことばを聞いて、約八百万人もおられる小学校から大学までの父兄の方が一番心配しておる中学校、高校にまでこういう政治的な問題が入ってくるのじゃないか。おわかりになりましたら、その数をお知らせ願いたい。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 お答えいたします。  一応大きく分けまして、最近大学生等の関係でも代々木系、反代々木系といったようなことで呼ばれておりますが、そういう数字から見ますと、代々木系いわゆる民青同に属する高等学校生徒、班組織を持っておるようでございますが、約千の班をもって九千名ばかり。それから反代々木系の者は、組織として五十余りの組織があって約三千名程度。これは私のほうでの調べではございません。一応警察庁の調べで、私どももほぼこのくらいな数字であろうというふうに承知いたしております。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 それは高校生だけですか。中学生にはありませんか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 私のほうは、高等学校につきましてはこの程度というふうに承知いたしておりますが、いま先生のお尋ねの中学生につきましては、その詳細をつまびらかにいたしておりません。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 大臣に重ねてお尋ねいたしますが、いま九千名、またはあとの反代々木のほうは三千ですね、全国で約一万二、三千、これはつかんでいる範囲ですから、もっとつかまないグループもあると思うのです。こういう数が一九七 〇年の安保の改正期に対して相当数そういう高校生が参加するようなことも聞いておりますが、大学紛争のときでもそうでありましたけれども、一般市民、労務者、これは参加しております。それじゃ高校にそういった紛争が起きたときには、大学生や中学生もこの紛争高校に参加するおそれがある。そうなった場合には、大臣としてはどういう対策を講じられますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、不法な行為がございまするならば、当然それに対する一般の規制が行なわれるものだと考えておるわけでございますが。とにかくそれにならない前に、やはりわれわれ文部省といたしましては、高校の段階なりあるいは中学校の段階なり、それぞれの指導を強化してまいりたい。直接的には県の教育委員会あるいは市町村のおも立った教育委員会を通じまして、ひとつそういうことが未然に防げるような最大の努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 そういう大臣のおことばでありますけれども、この大阪府立の場合は、その問題が防げなかったじゃありませんか。一番人生の大事な高校時代の思春期の傷つきやすい時代に、こうしてヘルメットをかぶって、それも他の高校の生徒が、茨木高校にしても東淀川高にしても、こうやって占拠して、楽しかるべきはず、また一生の思い出となるべきはずの卒業式に、ヘルメットをかぶり、ゲバ棒を持って大学生のまねごとをしているような高校生が入ってきたということを文部省としては防げなかった。そうなりますと、当然これは、私が心配しておりますことは、この程度で済んでればいいですけれども、来年のような激動期を迎えて、当然大きな問題に拡大したときには、東大のように、また各大学のように取り締まり当局の介入もこれは考えられる。これはちょっとお尋ねいたしますけれども、こういうふうに拡大されたときには、高校といえども機動隊を導入する考えがあるのでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 大阪の茨木高校と阪南高校の二校が二十五日の卒業式に三十名前後の若者が押しかけてまいりまして、封鎖をしたり卒業式のじゃまをしたという事件でございますが、このときに学校の処置といたしまして、阪南高校のほうは教育委員会にも連絡し、また警察の出動も考えたようでございます。結果的には警察は出られなかったようでございますが、何ぶんにも高等学校の生徒として、このようなことはいままで多少似たケースはございました、こういった学校行事としての卒業式といったようなときに、父兄も集まり、また生徒も、先生の御指摘のように記念すべき日として参っておる、そのときに学校として警察を呼んでこれを混乱におとしいれるのはどうかといったような教育的配慮をしたようでございます。ただ、結果的にこれを府教委も学校も反省をいたしておるようでございます。そのときとった措置がはたしてよかったか悪かったか。極端に申しますと、わずか三十人のこういった暴力的な若者によりまして、将来記憶に残る卒業式が混乱され、あるいは日延べになった、そのときにもっと学校としてとるべき措置はなかったかといったような反省をいたしておるようでございます。これは弁護するわけではございませんが、何ぶんにも大学生にはこういう例が最近多うございますが、高等学校には初めてといっていいようなことでもあり、学校も虚をつかれたといったような形で、私ども今後いろいろ指導もしなければいかぬと思いますが、お尋ねの警察云々ということは、これは高等学校でも非常に高等学校の生徒であれ、暴力的な行動に出て、学校として、これをいかんともすることができなければ警察力を借りるということは当然のことだと思います。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 これらの生徒は未成年者でありますけれども、十五歳から十八歳まで。これらの未成年者であっても、警察は警察に留置して当然その責任追及をするための取り調べを行なうかどうか、この点についてお聞きしたい。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 私はこうした刑事事件の手続上の問題は所管でございませんので、詳細を承知いたしておりませんが、茨木高校、阪南高校、これはその当該高等学校の生徒も茨木の場合は四、五名いたようでございます。しかしながら、その他は他校の生徒であったりあるいは大阪の大学生らしき者であったというふうに承知しておりますか、いまの未成年者の点につきましても、警察として、この暴力をふるう者は取り締まる場合は取り締まりますし、またそれが未成年者であれば家庭裁判所送りになるとか、いろいろ、そういった所定の法律の手続に従って処置される、こういうふうに考えております。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 これらの高校の過激的グループ、思想的グループですね、これはどこの都道府県が一番激しいのでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 実は先ほど申し上げましたように、代々木系、反代々木系、加えまして一万二、二千名ということでございます。高等学校の数は非常に多うございますので、最近の大学生のように、日大の問題であるとか、あるいは東大の問題であるとかいったような形で現実の問題としてつかまえられません。したがいまして、総数一万二千人ということでございまして、一つの学校にその数が百名以上といったような学校はないようでございます。でございますので、特にどういったところということよりも、大体そういったきざしが見えつつある。その数は多くはございませんが、一つの学校でそういうきざしのあるところで、激しいところは大体二、三十名、五十名以上というふうなところは私ども承知いたしておりますところではほとんどございません。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 そうしますと、私の質問でありますどこの都道府県にこういうのが激しいのか、大阪市の例が二校あがったのですが、大阪は特に激しいと理解してよろしいのですか、その点が一点。  それから、これは大臣に、時間がありませんから続けて申しますが、この大阪の事件が起きましてから、坂田文部大臣は、これらの高校にこういう暴力——ヘルメットをかぶり、ゲバ棒を持つようなゆゆしい事態が発生したことに対して、都道府県教育委員会や市町村教育委員会に対してどのような指導助言をいつ行ないましたか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 先ほどの前段の御質問でございますが、大体東京、大阪、京都、これが学校組織としてはきわ立って多いところでございます。その他は各県にばらまいてありますが、組織としてあります学校数は一、二校程度のところが多うございます。東京が十数校、大阪、京都が十校足らずといったような形になっております。  またこういうことに対します指導でございますが、学校教育全般を通じて、生徒の教育上の問題としてこういう生徒が出ないような配慮は、教育活動、授業の時間はもちろん、特別教育活動、あらゆることを通じて行なう必要があろうかと思いますが、とりわけ最近の子供は、大学生等がそうでございますが、心身の発達が調和がとれていない、知情意のバランスがとれていない。試験勉強だけはよくやるけれども、人間らしさといった、秩序を守り、規律を守る、社会人の一員であるといったような考え方、またその正しい行動といった点において、得ている知識に比べて非常に劣っている、こういうようなこともございまして、私ども小中学校の学習指導要領の改定を進めております。あわせて高等学校の学習指導要領の改定も、いま教育課程の改定を審議会で検討していただいております。調和ある人間形成ということに重点を置いた改定がなされようといたしております。教育課程の改正、学習指導の改定が行なわれますれば、そういうときにも指導いたしますが、毎年の生徒指導の指導部課長会議でもそういうことで指導いたしたいと思っております。  大阪の問題につきましては、何ぶん一両日前のことで、大阪府と電話連絡をとっているということで、電話では一応申しましたが、まだ先生の御質問のような趣旨で十分な指導はいたしておりません。今後十分、大阪だけでなくてその他の学校等ともこういう問題がございますので、近い指導部課長会議等におきましては具体的な事例として指導いたしたい、このように考えております。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 これは治安対策のほうでお尋ねしたいのですけれども、そうしますと、こういう危険な高校生の思想的な暴走というものも考えられますので、今度の警備体制とか、そういった点に高校生対策というものもこれから含まれていくのですか。

後藤信義警察庁警備局参事官

○後藤説明員 たいへんおくれまして申しわけございません。  高等学校の生徒の問題につきましては、全国的ではございませんけれども、若干の地方に警察問題を引き起こしておるところがございます。これらにつきましては、警察といたしましてはまだ未成年者であるという点も考慮しながら、かつ法秩序の維持という点を勘案いたしまして適切なる処置をしたい、こういう考えで臨んでおるわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 ちょっとすみませんけれども、いまの私の質問は、取り締まり当局は高校生対策というものをこういう取り締まり対策の中に含めるかどうかという御質問なのです。

後藤信義警察庁警備局参事官

○後藤説明員 私、先ほどからの話を実は承知いたしませんので、あるいは先生の御趣旨と違う点があるかと思いますが、全般的な治安問題として考えます場合には、それが高校生でありましょうとも、やはりそういう意味におきましては全般的な治安対策の一環をなす、こういうふうに考えておるわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 学校の建物は、これはだれが管理するかと申しますと、公有財産でございますから、この管理の責任者は一体どういうふうになっているのでしょうか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 国有財産でございますればこれは文部大臣、ただ、その場合大学でございますれば文部大臣は学長等にその管理を委任いたしておりますが、公立でありますれば設置者が直接の法律上の管理者でございますが、私、都道府県でどのように委任をしておるか承知いたしませんが、一応設置者でございますので、都道府県立学校であれば都道府県教育委員会、市町村立であれば市町村教育委員会ということになろうかと思います。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 大臣は、このような問題が起きた、これに対して具体的には一体高校生対策というものにどのような指導、またこれらの市町村教育委員会または都道府県教育委員会に指示なさいますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私の文部省内におきましても、このような高校生の政治活動が頻発いたしておりまする現状にかんがみまして鋭意検討をいたしておりますし、また現実には関東地区等においてはその担当者会議等も行なっておるようでございます。やはり直接的には都道府県の教育委員会に対しましての指導、そしてまた都道府県教育委員会においてはまた末端の市町村教育委員会に対して強い指導という形で、文部省、県、そして市町村という形において一貫した指導をいたしておるものと心得ております。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 この問題は、ぼくは具体的に大臣の本心をお聞きしたいのですよ。いま一番父兄が心配していますのは、もうこういう義務教育の中学生または大学へ行く一歩前の高校生、親が心配しているのはあぶなくてたいへんだという気持ち、私ども父兄がそういう気持ちになっている。この気持に対して大臣が、大学のように問題が起きてから騒ぐのでなくして——これは必ず起きますよ、現実に起きているのですから、これに対して、本心こういうことでやるのだ、こういうことで解決していくのだ、これを私は聞きたいのですよ。どうですかこれは。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私の省といたしましては、紛争が起こりやすい地域では、特に過密地域に御承知のように相当数の大学が集まっておりますし、またその影響を受けて高校のこういった活動が行なわれておるわけでございますから、先ほど局長が説明いたしましたように、大阪地区を中心としたも一の、それからまた関東地区を中心としたものと、この二つには重点的に個別的にも綿密に調査をいたし、指導いたしておるのでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 その指導の内容が私は聞きたかったのだけれども、大臣もなかなかお答えしていただけないのですけれども、この問題は、私は警告しておくわけではありませんけれども、えらい問題に発展するようないやな予感がするわけです。  そこで、いまこういう国会を通して、高校生対策というものを坂田文部大臣の時代にほんとうに確立しておかなければ、またまた大臣がおかわりになったあとにその禍根を残すのではないかという気持ちから種々お聞きしたわけです。  この点はまた後ほどいろいろとお尋ねしたいと思いますが、予備校生、現在東大の試験等を中止されたり、いまもう人生の目的がいろいろに狂っておりますところのこの予備校生に対して、この予備校生をも放置しておくならば、この不満に対する爆発がいつ起きるかわからない。全国にいま予備校へ通っている生徒はどれくらいいるのか、この数はここで発表くださらなくてもけっこうでありますが、これらの二軍的な準備段階にある生徒に対する指導というものを野放しにしておいていいのかどうか、文部大臣の非常に大きなふところの中に抱かれて成長していかねばならないこれらの予備校生に対する根本的な指導というものは、一体どこでだれがこれをなさるのか、これをひとつお聞きしたいと思うのです。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 お尋ねの予備校につきまして、これは各種学校でございますので、率直に申し上げまして、従来は——文部省といたしまして学校教育法一条学校、正規の学校の指導につきましてはいろいろ教育課程を編制し、学習指導要領あるいは教育委員会を通じいろいろな指導もいたしておりましたが、お尋ねの予備校につきましては、率直に申し上げまして、文部省としていま適切な、胸を張ってお答えするだけの指導をしていなかったと申さざるを得ないと思います。御指摘の点を十分頭に置きまして、今後できる限りの指導といったようなことを検討し、またできる限り実施に移したい、このように考えます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 まだ時間はありますね。——まことに残念だと思いますが、どうかひとつ胸を張って答弁できるような指導をお願いしたいと思います。  それから大臣に最後に一つだけ。私ども住んでおります埼玉県、これは先輩議員もそれぞれ追及になったと思うのですが、過密都市に対して、小学校、中学校の問題が学校問題で非常に悩んでおります。朝霞市におきましては、第六小学校においてはその隣がキャンプ朝霞であります。そしてそこに米軍の野戦病院が鉄条網を一つ隔ててございますが、この小学校の二階からベトナム帰りの傷病兵が続々と運ばれてくる姿が子供たちの目に映っておりまして、この点についてはまことに環境がよくない、こういうことで朝霞市においては移転をする計画を進めております。ところが御存じのとおり都市化の激浪に洗われまして、朝霞市は土地が高くていま買えないでおります。こういう問題等を含めまして、この過密地帯における小中学の校舎の負担率は三分の一と二分の一でございますかになっておりますが、これを一律三分の二国庫補助、またそのような特殊的な朝霞市の小学校のような場合、どういう措置を一体講じてくださいますか。これは文部大臣に御答弁願いたいのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 過密地域におきます社会増による校舎建築あるいは土地購入という問題は、非常に大きい問題として、今度の予算にも要求いたしました。結果といたしましては、御要望のような線までまいりませんでしたけれども、とにかく私どもの要求といたしましては、二分の一、三分の一を三分の二までお願いしたいということで、強く大臣折衝もいたしたわけでございますが、結果といたしましては、補助率アップは今年度までは実現できなかったわけでございます。しかしながら、何を申しましても、土地を購入するということが先決だということはわかっておりまするので、この点について、従来からの二十億の起債ワクを五十億にふやしていただきまして、それから新たな、ほんとうのそれこそちょっぴりした芽ではございますけれども、小中学校の敷地に対する予算補助というものを、新たに三億だけ確保いたしたわけでございます。これは将来過密地域の方々に対して、ある程度御貢献できることではないか、量的にはわずかに三億でございますけれども、しかしこれは一つの質的な意味において、それにこたえる私たちの意欲をおわかりいただけるのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。とにかく過密地域対策、社会増対策、特にいろんな基地周辺の問題等につきましても、私はできる限りの努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 これで終わりますけれども、最後に、そうすると、朝霞の第六小学校の件は、具体的には何か援助していただけると理解してよろしいのですね。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 朝霞の第六小学校につきましては、これが不適格校舎であるかどうか実情をさらに調べまして、適当な措置をとりたいというように考えております。  なお、先ほど大臣が申されました三億円は、これは新設の学校の敷地の整地費ということでございますので、その点も補足して御説明申し上げます。

小川新一郎公明党

○小川(新)分科員 では、時間が参りましたから、これで終わらせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 田原春次君。

田原春次日本社会党

○田原分科員 私は、漢方医学に対する文部省の方針について聞きたいと思っております。  第一にお尋ねしたいことは、国立大学医学部で、漢方医学、つまり東洋医学を講義しているところがあるかということです。聞くところによりますと、千葉大学、大阪大学、金沢大学等にあるといううわさもありますが、このうち千葉大学の学則を見てみますと、別に漢方医学ないし東洋医学という科目はありません。まずこの点をお尋ねします。  次いで、漢方薬学については、富山大学で講座を持っているというが、これも事実であるかどうかお尋ねしたい。  第三は、私立大学では東京医科大学に講座があるといわれるが、それ以外には講座を持っているものはないかということ、まずこの点をお尋ねいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 近年、漢方医学を再認識して、漢方医学を現代的な方法によりまして研究しようという動きがございます。特に漢方医学は相当な歴史を持っておるわけでございますから、そういうようなことでございましょうが、漢方医薬を含みます和漢薬につきましては、国立大学でも、富山大学薬学部に和漢薬研究施設を設けまして、和漢薬に関する基礎的及び応用的研究を行なっておりますが、昭和四十四年度には、さらに病体生化学部門を増設する予定になっております。また、講座等の設置につきましては、従来、大学の要求をまって措置するたてまえをとっておりまするが、東洋医学講座の設置については、まだ全体的なそれぞれの国立大学からの要請は実は参っておらないわけでございます。千葉大学はたしかなかったと思います。また、詳しいことにつきましては、局長から御答弁を申し上げます。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 東洋医学に関します、国立私立大学の医学部における教授状況でございますが、大臣の御説明にございましたように、そのための講座として設けられたものはございませんで、研究施設といたしましては、富山大学薬学部に和漢薬研究施設があるのみでございます。ただ、講座はございませんけれども、そのための講義等を、既設の講座あるいは非常勤講師等によって行なわれているものは、若干あるようでございますが、詳細は把握しておりません。

田原春次日本社会党

○田原分科員 国立図書館において、富山大学の薬学部の科目を調べてみましたところ、いまおっしゃるような和漢薬研究室というのは出ておりません。たとえば、その薬学科には、薬化学、薬品分析化学、生薬学、衛生化学、薬剤学、薬品生物化学、薬品作用学となっておるのでありまして、研究室としての設備については出ておらぬようですが、いかがですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 富山大学の和漢薬研究施設は、学部の中には組み込まれておりませんので、学部の外に、付属の研究施設として設置されております。設置目的といたしましては、わが国古来の伝統に根ざした和漢薬に関する基礎的、応用的な研究を行ない、保健、治療に貢献することを目的とするといたしております。設置年度は昭和三十八年度でございまして、部門といたしましては、資源開発部門、組織として、教授一、助教授一、助手一の組織になっておりまして、その内容といたしましては、生薬の生産増強を目標に、栽培条件、気候、風土などと有効成分や生薬の収量との関係などを研究することになっております。それから生物試験部門というのがございまして、これまた組織は教授一、助教授一、助手一の組織で、研究内容としては、和漢薬またはその抽出成分等について、薬理学的、生理学的作用を純系動物を用いて研究するということにしております。それから第三部門は臨床利用部門というのがございまして、組織は他の二部門と同一であります。研究内容は、前記二部門で研究されました有効和漢薬につきまして、臨床利用の可能性を研究することにしております。四十四年度設置予定のものといたしまして、病体生化学部門というのがございます。これにつきましては、正常または病体の動物に対して、和漢薬の効果を生化学的に比較研究いたしまして、和漢薬の有効成分の発見並びに作用の解明に関する研究を行なうということにいたしております。したがいまして、要約いたしますと、和漢薬研究施設は、薬学部門の付属施設として設置されておる。組織は現在三部門で、来年度一部門の増設を予定しておる。研究内容としては、御説明申し上げたようなことをやっておりまして、指導者といたしましては、京都大学に定年までおられました木村康一教授が富山大学に移られまして、指導の中心になっておられます。

田原春次日本社会党

○田原分科員 他の私立大学医学部等にあるかということについて答えがありませんから、答えてください。  それから、いまの御答弁の中で、富山大学の研究施設で臨床利用の可能性を研究しておるというのでありまするが、臨床の利用について、どの大学かどの大病院かで現に東洋医学をやっておりますかどうか、これも明らかにしていただきたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 私立大学につきまして、特に漢方医学あるいは東洋医学の研究を目的に掲げた組織として設置されたものはないようでございます。  それから、富山大学の和漢薬研究施設における研究成果の臨床利用に関する部門につきましては、これは薬学部でありまして、医学の臨床は行なえないわけでありますので、そういうことに共鳴をする医学部と連携を保ちまして、医学部において実施するわけであります。たとえば医科歯科大学でありますとか、大阪大学でありますとか、そういうところの医学部で、東洋医学に興味を持ち、あるいは研究に共鳴される方にお願いをして臨床研究はやる、こういうことになっておるようでございます。

田原春次日本社会党

○田原分科員 私は全くのしろうとでありますが、日本医事新報あるいは寺師博士の著書あるいは週刊朝日の記事あるいは東京の日刊新聞の記事の切り抜き等から、漢方医学に対する世評を集めておりますので、いまこれを三分類ぐらいにして分けますから、これに対する回答といってはおかしいけれども、意見を大臣から聞かしてもらいたいと思います。  第一点は、明治四十三年、医師和田啓十郎氏が「医界之鉄椎」という本をあらわし、漢方が治療医学として優秀なる点を強調しております。  第二点は、昭和二年、医師湯本求真氏が「皇漢医学」三巻をあらわし、現代医学の立場から見て、漢方医学のすぐれておることを強調しております。  第三点、東大医学部を銀時計で卒業した故馬場辰二医師は、名著「医界之鉄椎」に感動し、卒業後直ちに漢方専門医となったが、吉田元首相や鳩山元首相の治療に当たった。  第四点は、東大医学部の生理学教授から元の一高校長となり、次いで文部大臣となった橋田邦彦博士は、ドイツにおいて、「わが国古来から伝えられ進展された東洋医学は、病気の治療について、はるかに現代医学にまさっている」と言っておりまするが、これらに対する文部省の考え方を聞かしてもらいたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 漢方医学に対する文部省の考え方ということになりますと、遺憾ながら、そういうものを検討してまとめたものはないわけでありますが、せっかくのお尋ねでありますので、私どもが医学部等において漢方医学等に興味を持たれる方のおっしゃることの受け売りのようなことを申し上げますと、西洋医学は、病源とその病気に対する関係を追求していって、科学的であるけれども、俗に申しますと、病気を見て人の全体を見ないというような弊がある。それから片や東洋医学については、学理的究明の点においては若干理論的でない点がございますが、病というよりは、病を持つ人間全体をとらえまして、それが正常の状態に回復するように、あるいは医薬面、治療面でくふうをこらすという点に長所があるというようなことをいわれております。  ただ問題は、その理論的に弱いというようなことから、明治以降、東洋医学は大学の医学部の講座等からはほとんど姿を消して、どちらかといえば民間に存続するというような状況になっておりますが、西洋医学の進歩にもかかわらず、なお病気の根絶はできないし、それから病源菌によらざる本態的な慢性的な疾患に対しては、漢方医学の効果というのが実証的に説明される点もございまして、最近はやや復興の機運が見えておる。これはやはり研究する価値があるのではないかというので、医学部等においても若干興味を持つ方がふえ、現在は、どちらかといえば研究グループ的に研究が行なわれているのが実情だと承知します。文部省として、この点について、まだどうこうという段階ではございません。

田原春次日本社会党

○田原分科員 第五点、国立千葉病院は、厚生省補助金のもとに東西医学研究班をつくり、伊藤清夫、藤平健等の博士によって研究し、特に「生薬の効果に関する研究」を発表しておりますが、その中で、「慢性疾患に対する東洋医学の治療は、西洋医学の治療とともに併用して有効である。また東洋医学の治療を単独に施しても有効である。」と結論しております。  第六点、大阪大学教授沢潟久敬博士は「医学概論」の中で、「漢方医学の治療効果を知らずに非難することは、非科学的である。漢方の講義を行なうことは国立大学に課せられた使命であると考える」と言っております。すなわち、いま局長の御答弁の中にも、理論的な究明はまだであるがと言っておりますが、科学とは理論的究明だと思うのでありまして、したがって、東洋医学に対する理論的究明が足らなければ、それこそ、少なくとも国立大学のどこかに、医療に関する理論的な研究をやらしたらどうか。いま富山大学では、薬物に対する研究をしておるようでありまするが、実際病に対してやっていない。私は、東北大学と千葉大学の医学部の講座を調べてみますと、解剖学とか病理学とか衛生学とか寄生虫学とか法医学とかありますけれども、東洋医学に対する研究科目は科目としてない。これは要するに文部省の指導が消極的であると思う。各大学に、今後東洋医学の理論的研究をやれ、実証的治療は開業医でやっておるのであるから、こういうふうに言えばその気になると思うのでありますが、いままでおろそかにした理由はどこにあったか、これをはっきりさせたいと思います。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 ただいまのお話の中で、大阪大学の沢潟教授が——この方は理論的な医学のみにあきたらないで、かねて医師の倫理といいますか、そういうものの高揚を目ざしまして、医学概論というような講義を大阪大学で展開されておられる方でありまして、その中で東洋医学にも触れておられるわけでありまして、そういう傾向そのものにつきましては、文部省といたしましてもけっこうなことだと思っております。ただ、東洋医学を講座として設置するというようなことになりますと、先ほど大臣からもお述べになりましたように、現在、大学で学部学科講座というようなものをつくる場合には、一方において大学設置基準があるわけでありまして、大学設置基準に照らして適当なものを現実につくるかどうかということは、大学の発意に基づきまして、文部省と協議して、必要と認めれば予算措置をして実施する、こういう筋道になっております。  そこで、現在医学関係の基準を定めております医学部設置基準によりますと、御指摘の医学部については、解剖、生理、生化学、薬理学といったようないわゆる基礎に関する講座と、内科、外科、産婦人科、整形外科、眼科、小児科というような、いわゆる臨床に関する講座二十数講座をもって根幹的な講座とするという基準が定められております。その基準そのものの中には、東洋医学関係は含まれておらないわけでありますので、そこに制度的な問題はあろうかと思います。  それで、基準の問題ということになりますと、これまた文部省といたしましては、行政的に一方的につくるようなことはいたしませんので、組織としては、大学設置審議会基準分科会という関係者、大学の専門家からなるところの審議会がございますし、それから医学の部門に関しましては、そのほかに視学委員という制度がありまして、そこでも医学の専門家を委嘱して、そこで検討を願った結果を、行政的には文部省で取り上げて指導しておるわけでありまして、まずもって医学関係者の間の討議を経ることが必要かと考えます。そういう討議によって、東洋医学というものが浮かび上がってくる段階において、設置基準の問題というのが行政的な課題になろうかと思います。

田原春次日本社会党

○田原分科員 次に、先輩医学博士諸君のことばをもう少し追加いたします。  第七点、昭和二十八年、杏雲堂院長佐々木隆興博士は、日本内科学会でいわく、「東洋医学と西洋医学の長短を取捨し、よりよい治療をしなければならない。」と言っております。  第八点、名古屋大学総長であった勝沼精蔵博士はかつて言った。「私の先輩三浦謹之助博士は、杏仁という漢方薬をぜんそくに用いて全快させたことがある。また、甘草を胃かいように用いて卓効をあげた。ドイツでも甘草を使って効果をあげている。」と言っております。  第九点、昭和三十五年、東大物療内科の大島良雄博士は、「漢方では証を見て治療ができる。西洋医学の盲点が漢方医学の得意とするところである。」と、テレビで放送しております。  第十点、昭和三十八年、順天堂大学教授小川鼎三博士は、「西洋医学は万能とは言えない。分析や解剖だけでなく、総合判断が重要である。漢方の主眼は病人をなおすことにある。」と語っております。  以上、学会や実際治療界の先輩の言っているのを、文部省も無視してはいけないと思いますが、具体的にどういう方途を立てればいいか、これをひとつ明らかにしていただきたい。これはひとつ大臣から聞きたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 田原先生の該博な東洋医学に対する御意見を承っておったわけでございますが、なるほど西洋医学が発達いたしましたのも、この東洋医学の歴史から考えれば、むしろ漢方医学、東洋医学のほうが年数も長いし、そしてまた、その経験的な、あるいは実証的な、あるいは害になるとかならないとかという限界、あるいはまたきくとかきかないとかというようなことは、やはりいままで多く示されておったと思います。それがいまから百年ばかり前の——あるいはもう少し前でございましょうけれども、蘭学が入ってまいりましてから、西洋医学というものが日本に入ってまいって、それから旧帝国大学その他の大学等において、西洋中心の医学というものが、今日の医学、医術の体系を形づくってまいったわけでありますけれども、このあたりでもう一ぺん、その歴史深い、実証的な東洋医学あるいは漢方医薬というものについて考え直してみる時期ではなかろうかというふうには、私も考えるわけでございます。でございますけれども、ただいままで大学局長が申しましたようなところで、その機運がまだ向いておらない。十分ひとつ先生の御発言の趣旨を体しまして、検討いたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。

田原春次日本社会党

○田原分科員 西洋医学を崇拝し、心酔していることに対する反証の姿が少しわかると思いますが、それでは、ドイツやカナダ、フランスでは東洋医学をどう見ているか。これも新聞学問ですから、簡単でありますが、御紹介し、御意見を求めたい。  第十一点、ドイツのヘルベルト・シュミット博士はいわく、「西洋では、漢方は新しい、将来性のある医学である。」と言って、期待をしております。  第十二点、カナダの有名なストレス学説のハンス・セリエ博士が、先年東大に来て講演したときにいわく、「東洋医学を理解し、これを体系化することは、日本の医学界の責務である。」こう結んでおります。  第十三点、フランスのマルセル博士が日本に来たときにいわく、「私は、日本の知識階級が先祖代々の精神的遺産をすっかり投げ出すのではないかと心配しておる。」と言っております。  この代表的な意見を読んでみますと、いまごくわずかな程度で大臣から触れられたような西洋医学に対する理解とあわせて、過去二千年の歴史を持った東洋医学を再認識する時期が来ていると思いますが、御意見を聞かしてもらいたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 単に自然科学の分野、それからその中の医学の分野のみならず、精神文明の中におきましても、やはりこの西洋的な精神文明というものが一面において行き詰まりを来たしておる、というようなことが最近伝えられておることも、私は承知をいたしておりますし、これから日本及び中国、東洋を含めました、かつて世界を風靡いたしました精神文明というものを新たに創造すべき時期、そして西洋と東洋というものを結び合わせる第三の文明と申しますか、そういうようなことも考えられるんじゃないだろうか、そういうことを主張しておる学者もだいぶ出てまいっておりますし、ことに日本というものにつきまして、アメリカでも、またフランスでも、あるいはドイツでも興味を持っておるということにつきましても、若干私は私なりに承知をいたしておるわけでございまして、先生の御意見はまことに貴重な御意見である、かように考える次第でございます。

田原春次日本社会党

○田原分科員 漢方医学を日陰者扱いにしている今日の医師法の改正が問題となるのであって、これは二十四日の厚生省関係のときに、斎藤厚生大臣と問答して、大体前向きで検討するという賛意を表されております。  医師法は、明治九年の文部省令による医術開業試験で医師の資格が限定されたのでありますが、一方、薬剤師や薬種商は漢方の看板をあげてもいいのであります。ところが、医師だけは漢方という看板は出せない。内科とか小児科とかという看板しか出せない。こういうふうな点がありますので、これは厚生省と交渉いたします。  現在漢方医は、日本東洋医学会が約七百名の会員、うち半数くらいが実際に医者であります。東亜医学会会員が約四百名、このうち百名くらいが実際医者であります。漢方を専門にしておりますけれども、漢方医は名乗れないという日陰者扱いをするということは、病人にとっても非常に不便でありますから、そのために医師法の改正が伴うと思うのでありますけれども、それにはやはり文部省で、大学の医学部で講座を持って、正規の医者が漢方を公然と名乗れるようにすべきことが先決じゃないかと考えます。  私が調べました範囲で、各大学の医学部を卒業して、西洋医学の免許を受けた後、数年または十数年、大病院または大学で実習の後漢方医に転業し、現に開業中の者で、私の知っているだけでも数名あります。第一は大塚敬節、この方は熊本医大を卒業し、東京で開業しております。矢数道明、この方は東京医科大学の出身の博士であり、現に同大学で講師をやっておられるわけであります。第三は細野史郎、京都大学の医学部を出られた医学博士で、開業しております。第四、相見三郎、慶応大学を卒業され、外科を十数年やった結論として漢法に転じております。医学博士であります。次は石野信安、この方は日本医科大学の出身。伊藤清夫、千葉大学医学部の出身で博士であります。岡野正憲、慈恵医科大学出身で博士であります。寺師睦済、鹿児島大学出身の博士で、現に東京で開業しております。小倉重成、千葉大学の卒業。藤平建、千葉大学の卒業で博士。山田光胤、東京医大卒業で、開業しております。大島良雄、東大物療科出身の博士である。藤井美樹、名古屋大学卒業で医学博士である。石川太刀雄、京都大学出身で、金沢医大の教授であり、医学博士である。高橋晄正、東大出身であって、開業しております。  こういうふうに、フランス、ドイツ、カナダでも東洋医学に期待をし、また西洋医学を勉強して正規の資格を取った博士連中が十数年の結論の後に漢方に転じておるのでありますから、いまならば、文部省で講座を各大学に設けることの方針をきめれば、講師の種は尽きないと思うのであります。しかるに、その措置がなければ、講師の種がなくなってくるのじゃないかと心配するのでありますから、来年度の予算では無理と思いますけれども、近い将来に、国立の大学では漢方医学の講座を設けてもいい、併設して自由選択にしてもいいという方針をきめて、各大学の教授会と話し合いをしたらどうかと思うのでございます。これに対する御意見はどうでしょう。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いまお述べになりましたような方々がまだ御存命で御活躍中であるわけでございますが、それらの方々からそういうような要望なり、あるいはまた、各大学等においてもそれを受けとめるというような機運が醸成されることが第一じゃなかろうかというふうに思います。しかし、先生の御意見は私は貴重な御意見だと思いますので、せっかく研究をいたしてみたいというふうに思っておるわけでございます。  漢方医学というものをやります場合には、むしろ西洋医学というものを修めた人が、そういう実証方法でもって漢方医学のきき目あるいはより有利な点というものを御説明いただくことが、今日漢方医学というものを定着させる——定着と申しますか、認識させることになるかと思うわけでございまして、いま直ちにわれわれのほうで指導するとかいうようなことは考えておりませんけれども、しかし貴重な御意見でございまするので、ひとつ研究させていただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 田原君、時間が参っておりますから、簡単に願います。

田原春次日本社会党

○田原分科員 近来、新聞、雑誌、単行本等で漢方医学のことが出て、一種のブームが起きております。たとえば国会議員もおそらく四百人くらいは漢方医薬を飲んでおると思うのです。現職の大臣も三人、坂田さんはどうか知らぬけれども、ほかの方は行っていることは私は知っております。前の内閣の大臣も四名行っていることは知っております。元の各内閣の大臣で合計二十人くらい行っていることは知っております。いずれも病気は軽くなったり、また全快しておるわけです。これが実際の証拠であります。病人にとっては、病気がなおればそれでよいのであって、ドイツ流のレントゲン検査とか血液検査、心電図等、あらゆる方法で病気の原因をきわめることもいいけれども、治療法があやまってはいけない。手術は成功したが、命はなくなったという例がよくあるのであります。そこへいきますと、根本療法である漢方医学は、たとえば神経痛、リューマチス、糖尿病、じん臓病、高血圧、動脈硬化、アレルギー、ロノイーゼ等についても全快している者もあるし、また軽くなっておる者もあります。そのことは御承知だと思います。  したがって、ほのかな、たいへんいい御回答であるけれども、私の希望するところは、昭和四十五年くらいには研究費を出す、あるいは各大学医学部長会議でもやって、前向きでこの日本に残っておる東洋医学の漢方医学を大学の科目に入れるようにしてもらいたい。当分は選択科目、自由科目でもいいけれども、各大学にないということはいかにもさびしいことでございますから、それを希望いたします。  私は、きょう質問するために自民党の元文部大臣、それから元の厚生大臣等を訪問したわけです。ここにサインをもらっておるんですよ。灘尾弘吉君は、昭和十八年内務省衛生局長時代に、東亜医学研究というものの予算をわしが出したんだと言っている。当時の主計局長であった植木君が半分の二万五千円くれた。それから植木氏に会ったところが、そのとおりです。賛成しますから、田原さん、あんたが質問してくださいというわけです。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 田原先生、簡単に願います。あと質問者が残っておりますから。

田原春次日本社会党

○田原分科員 今度はあのタカ派といわれる荒木萬壽夫元文部大臣も賛成して、署名しているんです。その他厚生大臣は、西村英一、坊秀男、川崎秀二等も大賛成で、やってくれると言っておりますから、来年の予算に計上しても、野党である私も賛成しているんだから、安心して通ると思いまするから、たった当時の二万五千円くらいだけでなく、相当膨大な費用を用意し、各大学医学部の部長と相談して、せめて東京付近の国立大学のどこかに正規の科目をまずつくってもらう。それによって私立大学も漸次従うと思いますから、そういうことを希望いたしまして、私の質問を終わります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 与えられた三十分で簡潔に、しかも要を得て質問したいと思いますので、そのつもりで、大臣のほうも簡潔に御答弁願いたいと思います。  青少年対策についてお聞きしたいのですが、一口に青少年対策といっておりますけれども、中身は大体青年対策が重点になっておると私は思っておるんです。このうしろに中村さんがおいでになっておりますが、少年対策で、かぎっ子対策というのは、最近中村前文部大臣の発想でちょっと予算化したのがありますが、大体青年対策が重点になっておる。青年の家、青年の船。しかし、これはほんとうの人間形成というものの立場から考えますと、少年対策がむしろ重点的に考えられなければならぬのではないかと私は考えております。  そこで、結論的に先に申し上げますと、  〔橋本(龍)主査代理退席、畑主査代理着席〕 国立の青年の家あるいは県立の青年の家を予算の裏づけで盛んに増設しているようでありますが、むしろ国立の少年の家あるいは公立の少年の家という施設をお考えになる必要があるのじゃないかというのが私の結論ですが、そういうことでお聞きいたします。  青年の家については、岩手に関係いたしましては、昨年佐藤総理大臣が参議院選挙のときに参りまして、選挙のときですから、お互いに政治家でありますから、そのことは言いませんが、佐藤総理大臣は、国立青年の家の岩手県設置を濃厚にほのめかした。そこで、その当時の新聞記事を見ましても——昨年の参議院選挙、七月でありますが、応援に行きまして、それについての岩手日報の記事でありますが、「佐藤首相は参院選で二度にわたり本県各地を遊説したが、六月五日、県庁で千出知事の陳情に答え「国立青年の家の岩手県設置を十分に考える」と述べた。この国立青年の家誘致は三十九年以来の課題だった。三十六年から政府が青年層の研修を目的に全国を八ブロックにわけ、毎年一カ所ずつ設置しているが、本県は三十九年の東北ブロックで、福島県と争った。候補地は滝沢村岩手山ろくだったが、結局、福島県の磐梯地区に決まり、本県は涙をのんだ。」というふうな記事で、県民の関心を、また眠りをさましたということになっておるわけであります。  そこで、岩手においては悪い習慣がついて、選挙のときに公約をうんとするところでありまして、最近十くらいあるのですが、それはそれとして、一たん政府の要路に立つ者が口でそういうことを約束しますと、これは何らかの形で約束を果たさないと、政治不信が強まっていけないということが一つ。しかし、同時に、そういう党の立場において行なう政策は、国策と一致するという限界がなければいけないという二つの矛盾した要請があると思うのです。  そういうことでまずお聞きしておきたいが、今度の四十四年度の予算には、どういう目的でやるか、中身が明確でない調査費の形で百万円くらい計上されている。何らかの公約、佐藤総理大臣の現地における表明と関係づけられた予算のごとくである。そこで、文部大臣として、実際の責任者でありますので、このことに関してどういうふうにお考えになっておるか、百万の性格はある程度言える程度までお聞きしておきたいと思うのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 国立青年の家を始めましてから、もうずいぶんになりますが、この利用者は非常に多うございますし、また、健全育成のために役立っておると思います。それだからこそ各地から強い御要望があるし、あるいは政治家の人が行って、いろいろそういうことをほのめかすということも、その結果として県民の要望ということの一つの証拠かと思うわけでございます。でございますけれども、本年度の予算におきましては、御承知のとおりに二つの青年の家をつくるということを決定いたしたわけでございますが、昨年度は御承知のように二つともなったわけでございます。その意味合いにおきまして、昨年度でございまするから、四十三年度の予算の中にもたしか調査費というものが含まれておると記憶をいたしておるわけでありますが、今年度も実は二つの青年の家をつくりますと同時に、調査費を、たしか二百万円だったと思いますが、きめまして、   〔畑主査代理退席、橋本(龍)主査代理着席〕 そうして、そういう調査をする。どこにきめるとかなんとかいうことは、少なくともその面には出ておらないということで御了承をいただきたい、かように思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 これ以上お聞きいたしませんが、そこで私、ブロックに一つ国立青年の家という国全体の方針があるので、一つのブロックに二つというふうなことを立てるとなれば、また違った発想の上に立ったときであるから、実現してもおそらく相当年数があとになる、そういうふうに思うのです。しかし一方、総理大臣のそういう国民に期待を与えたということも考えまして、文部省行政の青少年対策の中にあるので、私が申し上げることに共鳴をされるならば、むしろ国立の少年の家、そういう発想の中で、また国全体の政策と政治家のいろいろの責任の上に立ったものについて御検討願う新しい一つのなにがあるのじゃないかと思ってお聞きしたいのですが、いま中小企業センターにしても、青少年センターにしましても、大体レクリエーション中心の考えがあって、いわゆる過保護教育という傾向が非常にあり過ぎると思うのです。やはり人間訓練、鍛練、人間形成という観点に立ったセンターをもう少し重点に進めるべきではないか。娯楽施設的なものが多い。そういうことからいいますと、むしろ少年を対象とした施設を考えることが重要なので、そこに意思の訓練があって、おとなになったときには、大学問題の紛争のしかたでも変わってくるはずである。そういうことを考えて、私が少年の家の着想を御検討願いたいと思うのは、現実に岩手において盛岡地区に区界という大きい高原があるのです。そこで小学校の先生その他の有志が推進力になって、土曜日、日曜日あるいは夏休みにその地区に少年を一日、二日、三日集めまして、その原始的な環境の中で原始生活をやらす。文明社会において、周辺は文明の利器に充満しておるので、人間の心身の機能というものがむしろ後退をするという、そういうものから、逆に文明を取りはずした原始環境の中で、少年諸君みずからに冒険計画を立てさせて、牛と馬と間違っては困るが、全体の危険のない地区を、安全地帯を置いて、自分の冒険計画で自分で実践するというふうな、一つの興味のある計画を立てながら、二日、三日の原始生活の中で少年の人間形成の実現を数年来実行しておる。私は非常におもしろい計画であると思うのでありますが、この点について全国的に例があるのかどうか、ひとつお聞きしたいことと、ここで御意見を聞きたいのは、ソ連の場合は、労働人口が少ないし、男女平等労働という意識があるので、ほとんど夫婦が共かせぎをしておって、月曜日から金曜日にかけては集団保育に預けて親と子供が遊離しておる。土曜日と日曜日に子供を家庭へ持ってきて、二日間親元に戻して、親子の人間関係を結ぶことによって、全体の人間形成ができておるが、日本の場合については、逆に親と子が密着して過保護教育という弊害をむしろつくっておるから、ソ連のように土、日に親の元に戻すことの逆に、土、日は親から離れて、少年の家とか、そういう自然環境の中で集団人間形成をする施設をむしろ逆に着想することが、日本の場合に非常に必要な少年対策ではないか、そういうふうに私は考える。そういう実例もあるので、この青年の家というような着想を少し角度を変えて、少年の家という着想をおとりになり、また岩手の場合に、国立青年の家をまた二つということも、実際問題として筋をなかなか通すことはできないので、文部大臣もよほどの苦労をしないとできない。そのときに、青年の家に対する少年の家という構想の中で、新しい政策を発展させる着想を持ちながら提案をされてはどうかということも思いますので、大臣の御意見をお聞きしておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 基本的には山中さんの御意見は、やはり非常にいい御意見だと実は思っておるわけでございます。ただ、考えますと、少年と青年との場合は、青年でございますと、多少遠いところまで行ける。しかし、少年の場合は、やはりその住んでおります近くになくちゃいかぬというような制約もあるかと思います。  それからもう一つ考えなければならないのは、非常な速度で人口の都市集中化が行なわれておる。その都市集中化のいわゆる少年の問題、これこそが、まさにわれわれの小さいときに遊びはねたという遊ぶ場がないということではなかろうか。むしろ山中さんのお住まいの、御郷里の岩手県であるとか、あるいは私の郷里の熊本であるとかというところは、自然が豊かでございますから、キャンプみたいなことも、指導者がしっかりさえしておれば少年のころからやれるのだ、ボーイスカウトでございましてもカブがございまして、もうああいう小さいときから自分のことは自分で始末をする、あるいはテント生活をするという、こういう最近の機械文明に対して自然を求める指導というものが行なわれておる。そのことが将来中学生になり、あるいは高等学校に行き、そうして大学に行った場合は情緒性を持ち、また、精神的にもますます全人的ないい学生が生まれてきて、今日のようなことにならないのじゃないかということにつながっていくというふうに私は思うわけでございます。したがいまして、これは局は違いますけれども、体育局におきましては、昨年度、つまり四十三年度が一カ所、四十四年度で三カ所、野外活動センターと申しますか、そういうような要求もいたしておるようなわけでございます。  それからもう一つは、いわゆる近距離のところにおいてそういう少年の家というものをつくらなければならないわけでございますから、モデル的な意味における国立少年の家ということは一つの構想かと思います。しかしながら、また全国に国立の少年の家というものをやりますることはいかがか。むしろ県やあるいは市町村等においておやりいただくほうがいいのじゃないか。それからもう一つは、やはり既設のいろいろの施設があるわけでございますから、この利用ということをむしろ考えたらどうだろうか、そこになるとむしろ指導者の問題になるのじゃないかということでございまして、どうも日本人は、けさからもいろいろ申し上げたように、制度とかあるいは法律とかというものがたくさんできるわけでございますけれども、それを運用するということにおいて、言うならデモクラティックな運用というものができないとか、あるいは施設、設備はあるのだけれども、新しい何かをつくらなければそれが動かないのだという錯覚があるのじゃないだろうか。その辺はもう少し地域社会において、それの所管が文部省であれ、厚生省であれ、どこの省であれ、やはりそれを活用する人によってずいぶん死んだり生きたりするのじゃなかろうかというふうにも私は考えるわけでございます。しかし貴重な御提案ではないかというふうに考えております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 大臣の考えられたことを私もずいぶん考えていたのですが、地域の小都市、中都市の子供をそういう自然環境の中に入れるということ、地域の少年の家というこれも一つの着想であるが、大都市の、たとえば一千万の人口を持っておる東京都の子供は自然環境を知らないままおとなになり、人生を送るので、交通機関が発達していれば熊本の阿蘇山でもいいのだ。東京都の子供を運んで三日でも四日でもそういう中で、むしろ少年のときに原始生活を経験さす。これは交通機関があるのですから、それくらいの輸送機関も考えた構想をした国立の少年の家を持ってしかるべきだ、むしろそういう意味の大都市の子供のための原始生活を考えた国立少年の家も必要ではないかと私は考えたのです。各都市の中の小さな遊び場を設置するということは、もちろん交通事故防止その他を含んで大事であるが、ここまで来ますと、ここまで日本のように大都市に集中する姿になると、輸送機関を考えた国立少年の家が逆に必要になってきているということでありますので、その点御検討願いたい。  そこで、岩手の場合について、国立青年の家というものが政治的になってきておるのですから、そればかりでなく、少年の家を市町村立という構想でもいいのですから、その少年の施設も考えて一度視察をしていただいて、そういう政治的ななにがあるものですから視察をして、少年の施設というものも適地を考えるという意味において、現実にそういう営みをしておるものでありますから、刺激も与えることでありますから、一度視察をして検討していただきたい、それをお答え願って次に移りたいと思います。

福原匡彦文部省社会教育局長

○福原政府委員 お答え申し上げます。  たいへん御貴重な御意見だと思いますので、十分検討さしていただきたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 それでは次に移りますが、僻地の給食について非常に矛盾を感じておりますので、その矛盾を解明していただいて善処していただきたいと思います。これも簡潔に申します。  これも佐藤総理大臣が選挙のときにおいでになりまして公約から始まったのであるが、完全国費で僻地の完全給食をやるという公約が発端になって、現在いずれにしても五級から三級までの僻地が平均三分の二以上の国庫負担の制度ができた。これはうそからまことが出た、ということは言いませんけれども、結果がいいことだと思うので、これは私も賛意を表するのでありますが、その結果一級から二級の僻地校においては特別の国の負担がないので、なかなか完全給食が実現をしない。   〔橋本(龍)主査代理退席、主査着席〕 そこで一番矛盾を感じておるのは、僻地指定というのは、教員の給与の立場から僻地手当を支給する基準として生まれてきた指定校である。そこでバスの関係その他の関係という点で、点数制度で五級から一級まで区別をしておるわけでありますが、したがって、教員の僻地手当の支給基準としてできたその基準に基づいて、今度は学校給食の国庫負担の差別をするというところに非常に矛盾が出てきた。すなわち、僻地手当支給基準というものに関係なく、学校給食についての国の負担政策というものはその地域の貧困からきておるものですから——父兄の貧困ですね、欠食児童が非常に多い。そういう関係から考える政策でありますから、五級から三級までの指定されておる地域が貧困で、一級二級の僻地校の所在する地域が豊かだということは、因果関係は絶対ないわけです。そういう関係で隣村の三級の指定校においては、そういう意味で完全給食が行なわれておるが、隣の村の一級、二級の指定校のほうにおいてはそういう補助がないので、しかも欠食児童がさらに多いという関係から、完全給食ができないという矛盾が出てきておる。そこで、これは一級から五級まで指定をしておるところの僻地校に対しては、同じ国の政策をなすべきではないかと思うのだが、この点は御意見いかがでしょうか。

木田宏文部省体育局長

○木田政府委員 お答え申し上げます。  いま山中委員御指摘になりました三級から五級地までの特別措置につきましては、パンとミルクを全員に全額国の補助で給付しておるということがございまして、それ以外の一、二級地とはその取り扱いが異なっておることは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、一、二級地も含めまして僻地の地域に対しましては、貧困世帯も多いことであろうからということで、普通の市町村の場合に準要保護世帯として見ております積算以上に、一、二級も含めまして貧困世帯の積算についてはかさ上げをして数字を見込んで、市町村当局がその貧困世帯に対しまして処置をとる場合には対応できるように考えておるわけでございます。  そのことに関連いたしまして、もう一つ、市町村の財政事情ということがございます。財政事情につきましては同じように財政指数の五〇%以下の僻地の市町村につきましては、一級地から五級地までの僻地市町村でございますけれども、それぞれ国の補助率を、普通の場合の二分の一補助に対しまして六割から八割までの補助割合で補助ができるという措置を現に講じておるわけでございます。でございますから、貧困世帯に対します措置といたしましては、三級地以上と一、二級地との間に私はさして大きな違いは起こっておらないというふうに考えておる次第でございます。  なお、御指摘がございましたように、市町村が完全給食を進めていくについて、施設の整備をすることについても問題が同じように起こり得るわけでございますが、この施設の整備につきましても、一、二級地を含めまして、僻地の市町村にはその財政力指数に応じて補助率のかさ上げの措置をとっておるところでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 いまの説明では大体矛盾がないように受け取れるのですけれども、実際はそうなっていない。これで現実に岩手の場合に北山形小学校で問題になっているのです。それが中央には響いておると思いますから、実質差別のないようにぜひしていただきたい。  大蔵省の主計官おられますか。——いまお聞き願っておきたいと思うのですが、一級から五級までの僻地指定しておる中で、一応一級から二級を省いて、三級から五級までを特別の、国が全額負担というたてまえの制度が三年くらい前からできたわけですが、これは教員の僻地手当の基準で、村の貧困に関係ないものですから、非常に矛盾が出ておるわけです。たとえば、一方に文部省で小学校の統合奨励をしている。その統合するとき、四級の指定学校と二級の指定学校があって統合すると、それが二級になってしまう。そうするといままでの四級なるがゆえに給食の特別の措置を受けておった学校の生徒が、統合することによって一級、二級になるためにその恩典がなくなる。それで統合できないという行政上の矛盾も出ておる。いずれにしても一級から五級まで、どうせ指定されておる地域というのは、東京に住んでおるものからいえばほんとうに非文化的な生活で、貧困な地域で、それをさらに小刻みに国の政策が差別をするようなものではないのです。一括それを考えるべきだ。そういうことであるから、大蔵当局の財政的な一つの審査をする思想においても、十分この点については差別のない検討をされていただきたい。僻地指定がなくなった地域は別ですね。特にぼくは主計官から御意見をちょっとお聞きしておきたい。

藤井直樹大蔵省主計局主計官

○藤井説明員 お答えいたします。  ただいま文部省のほうからお話がありましたように、僻地の一級から五級につきましては、その市町村財政の貧困の状況、それからまた家庭の貧困の状況、それに応じてそれぞれ援助対象率を調整するとか補助率の調整をするというようなことで現在やっておりますので、そういう意味で十分その実態を反映した政策といいますか、措置がとられていると私ども考えております。たまたま、いま僻地の基準が、学校給食のためにとられた基準でなくてほかのものであるということでございますけれども、それを使ってもそれほど実態から離れたものになっていないというふうに私ども考えております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 その財政の実態に即して処理しているという思想、その思想によって処理してください。いいですか。一級から五級まで差別なく、その地域の財政の事情によって処理する、それならわかるのです。五級から三級までを別途の、最初から適用する地域として、一級、二級を除外しておるのですから、この矛盾がおわかりになればいいのです。いいですね。来年の予算を見せてもらいます。それで、その思想に基づいて処理してください。そうしたらおそらく合理的になると思います。  次に、時間がございませんので一点だけ、六・三制の施設について一回だけ質問して、一回の答弁でけっこうですから。  六・三制の施設で小学校が三分の一の補助率、中学校が二分の一の補助率という思想が、終戦後二十数年たってまだその思想がずっと残っておる。もうすでに六・三という義務教育で、小学校が軽くて中学校が重いという思想はあるはずがないのである。ところが六・三制の出発点において、中学が新しくつくられるということで補助制度ができた。そういう関係から、その施設については市町村立であるので市町村がやるべきだという、新憲法ができない前の伝統的な財政思想があって、新制中学ができるときに施設の補助というものが新しくできたというそのままの思想が伝わってきておる。そのために、同じ義務教育であるのに、現在もう新設校というものを離れて、六・三という義務教育全体を重視する思想に立っているにかかわらず、小学校の補助率が三分の一のまま、中学校が二分の一という、どうしても論理的に理解できない差別の補助率が依然として残っておる。二年前に予算委員会で私はその矛盾を質問したところ、佐藤総理大臣も大蔵大臣も検討をするのだと明確に答えた。ところがそのあとで、昨年でありましたか、昨年の予算のときに、補助率そのものには触れないとか、制限を引き上げることはやらないとか、何かそのときにおける予算編成の方針のために差別のまま残っておるのですが、もうこの点だけは、財政思想もあるいは文部省の思想も切りかえなければならぬ。ほとんど理論的に私はわからない。その点を明確にお答え願って、来年からは二分の一なら二分の一、小中学校は義務教育なんですから、そういう補助率で済むということを明確にお答え願いたいと思うのです。そういう差別する理屈がわからない。理屈が堂々と言えるなら言ってもらいたい。お答えください。それで、いい答弁をお聞きすればもう終わります。主計官もお答え願いたい。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 この問題は、仰せのように、理論的に説明しろと言われますと、これは理論的に説明がしようがないと思います。前から文部省といたしましてもたびたび予算要求をしておりますけれども、これはやはり事業量等との関係もございまして、現在負担率が三分の一でございますと、残りの三分の二につきましては、これは起債ないし交付税で全額措置するというふうなことで、財源的に申しますと一応そういう形で全体的に国がめんどう見ておるという形でございますけれども、その場合に実際上事業量をとるかあるいは負担量をとるかという問題になりますと、やはり事業量をとるというふうなことでまいってきたわけでございます。この問題につきましてはたびたび国会でも御指摘がございますし、何らかの形で決着をつけなければならないような時期に来つつあるというように考えておりますので、今後そういう気持ちでもって進んでまいりたいというように考えております。

藤井直樹大蔵省主計局主計官

○藤井説明員 中学校二分の一、小学校三分の一という現在の補助率につきまして、私ども承知しておりますのは、六・三制を実施したときに急速に中学校の整備をしなければならない、そういうことで補助率を特に二分の一にして、小学校の三分の一と差をつけた。   〔主査退席、橋本(龍)主査代理着席〕 その後、六・三制の実施がだいぶ進んだあとでは、たまたま中学校急増という問題がありましたので、その関係で補助率を依然として二分の一のままに据え置いた、こういうことで、その後は激変を緩和するというような意味もありまして、二分の一のままきておるというように承知しておるわけでございます。したがって、本来的にはやはり小学校の三分の一というものが、公立文教施設に対する国の助成の割合としての姿ではないかというように私ども考えております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 時間が過ぎております。簡単に願います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)分科員 義務教育の思想の上に立って、給与は二分の一負担をしておる。施設も二分の一あるいは全額国が持つというふうなところまで、新しい憲法の思想の中に私は前進すべき要請があると思うのですよ。いま言われておるあなたの思想というものは旧憲法思想でして、そういう施設には国は全然助成する必要ないというふうなところから出発して、そのままずっと持ってこられておるのでいまのような差別が出ておると思うのです。だから少なくとも、六・三が全体の一環としての義務教育で、小学校の義務教育が軽いという結果がこの補助の率の中から出てきている、これは払拭しなきゃならぬでしょう。そして二分の一という施設についての補助制度というものが国の一つの常識としても出ておるのですから、いままでのような三十年くらい前の思想のままで、小学校は三分の一、六・三制出発のときはこういう実は考え方から出発したというそれだけで、いつまでも固執される時期はもう過ぎたのではないか。あなたの説明はわかるのです、いままでの経過のね。そういう段階が過ぎて、新しく六・三の義務制というものが出発してもう二十年たっておる。そして国が、無償という一つの基本的な理念があって、現実的に二分の一補助ということの常識が出てきて、財政が許せばやはり三分の二にすべきだという思想が裏にありながら来ておるのです。しかも二十年たっておるのですから、もうすでに一方は三分の一、一方は二分の一という差別の補助率は払拭すべきではないか。この点についてはいままでの行きがかりとか、あるいは画一的に他の補助率の関係がどうだということでなくて、少なくとも二分の一——これは道路その他については三分の二とか、そういうことはやたらにしておるのですが、義務教育で国が負担するといり一つの伝統的な思想といいますか、憲法上の思想があるのに、いまごろ三分の一ということで固執するということは私は許されるべきでない。そこまで来ておると思う。文部省においてもいまそういう意見を述べておられるので、大蔵省も、二十年たった義務教育だ、六・三制は平等の義務教育なんだという思想で、角度を変えて新しいすっきりした気持でこの点は解決してもらいたい。時間が来ましたからこれで終わりますので、来年度予算までにそういうすっきりした姿が出ることを期待をして終わらしていただきます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 私は姫路城周辺の特別史跡についてお伺いしたいと思うのです。文化庁から次長がおいでいただいているようにも思いますし、大蔵省から谷川理財局次長が見えておりますの

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 三木委員に申し上げますが、文化庁長官も見えております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 ちょうど長官もおいでいただいておりますので幸いであります。  ちょうど特別史跡の中に姫山住宅という住宅が四百三十七戸、城の北側にございます。現在この地は公園緑地の予定地になっておりますが、これらの住宅の人は、その適用を除外して県市住宅を払い下げ、またはその土地に建てかえをしてほしいと要望しておるわけであります。県、市、文化庁は四十四年一月十一日、姫山住宅東中西の五自治会長に対しまして、改良住宅法の適用を受けて新しく建築する他の地区に移転してもらうよう計画の説明をしておるわけであります。しかし、私はこういうやり方に対して、姫山住宅の住民が承知しないということを聞いておるわけであります。なぜ承知しないかといいますと、この住宅の近くにあるその他の施設は一体どういう処理を受けるのかということが、この住民たちの納得のいかない大きな原因になっておるようであります。私は前々から、三十九年に、ここに初中局長になっておられます宮地さんが文化財保護委員会の局長をしておられたときに、こういうことがあるだろうということで心配しておったわけであります。住宅に対して立ちのきをもし言ったときに、自動車学校と、この特別史跡の中で営業をするものを許して、その自動車学校に対して国有地、後市有地になるのですが、市有地を三千五百五坪ですか、これを二百万円で払い下げる、その中で営業させる、これではいけないのではないですか。私は当時、こういうことがあることを非常に心配して、そういう許可をされないようにしてほしいということを強調したつもりであります。今日、やっぱりこの問題がガンになって住民は承知しないのであります。  そこで次長にお伺いしたいのですが、この弱い立場にあるこういう人を追い払う以前に、こういう点について明確にしていただかなかったらいかぬのではないかと思うのです。少し当時の模様を会議録によって、長官も御存じあるかないかわかりませんが、認識していただくために申し上げたいと思うのです。三十九年の五月十五日に、文化財保護委員会の事務局長宮地君に注意を込めて質問を私はしておるわけです。指定地域内にそのような自動車学校をつくるというような施設をすることは好ましくないというふうに考えて、先がた申しましたような許可をしないようにと申しました。しかし、当時この自動車学校は、福祉法人の白鷺園というのがいわゆる福祉事業をやっておるために厚生省からも補助金が出る。しかし自分の負担で残りの金額を出すことができないので、一時的に、そういう社会事業をするための財源として自動車学校をやりたい、これが主張だったのです。二番目に、年限を十年にし、つつましやかに十四、五台の内輪の形でやりたいからというので、厳重な条件を付して許可したというものです。  そこで問題は、こういういきさつでこの許可がされておるわけでありますが、次の点をどうするかです。厳重な条件とはいまから考えたら何かということですね。それから、宮地氏も言外に当時におわされておりましたし、今日でも県、市の役人にひそかに聞いてみますと、ここに自動車学校を許可したのは政治家のあと押しがあったからだと言っておるわけであります。特別史跡の中で、将来緑地化する必要のある土地をこういう払い下げをしてもよいのかということであります。それから、もしこの土地を緑地化するということになるならば、二百万円で払い下げたその土地を今度はどういうぐあいに買い上げるのか、この自動車学校をどうするのかという問題をお答え願い、後私有地になった払い下げ国有地をどうするのかという答えなしに姫山住宅の住民の言い分をむげにしりぞけるわけにいかぬわけでありますから、この点についてお伺いしたいと思うのです。  まず文化庁の次長がおいでになっておりますから、この周辺にたくさん学校だとか官庁だとか、ここにあげておるだけでも、私は当時変な言い方をして百鬼夜行だというようなことを言ったのですが、まず史跡からはずしておるのがありますけれども、県立ろう学校、神姫バス、建設省の工事事務所、県総合庁舎、市営アパート、県営アパート、市営アパート、教育会館、白鷺中学校、城南小学校、市民グランド、姫路美容師組合、姫路酒販株式会社、農林省兵庫統計調査事務所、社会保険姫路出張所、姫路米穀会社、姫路営林署、山陽石油、福祉児童相談所、検察庁姫路支部、神飾税務署、西播米穀会社、国鉄住宅、白鷺住宅、姫路マート、市保健所、電電公社、大手前公園、宮崎酒事務所、白鷺ノ宮、電電公社姫路電話局、公会堂、神戸新聞姫路支社、姫路郵便局、郵政省、電電公社無線中継所跡、関西電力姫路営業所、姫路商工会議所、姫路税務署、労働会館、神戸地方裁判所姫路支部、動物園、電電公社用地、姫路警察分室、カトリック淳心会、カトリック淳心学院、カトリック賢明女子学院、市役所、国立姫路病院、四郷町他四ケ村伝染病事務組合、姫路東高等学校、姫路測候所、姫路消防署、電電公社兵庫通信部、法務省本町拘置所、市有地元国立姫路病院高等看護学院、宿舎用地、市営住宅、県警機動隊宿舎、社会厚生施設白鷺園、国立病院宿舎、防衛庁宿舎、姫山授産場、厚生住宅、県営住宅、姫山市営住宅、姫路神社、姫山公園、三角堀、姫路パン、これが、大蔵省からも見えておるでしょうが、もうまちまちの形になっておるわけですね。県に売り払ったのもあります、二十六年からこちらへ……。市に売り払ったのもあります。無償貸し付けもあるし有償貸し付けもありますし、いろいろなんです。この調べは、この前三十九年のときにこういう状況になっておったんです。この地図はここにあるわけなんですね。その後、まあいろいろ立ちのきをしたりしたのもあるようであります。  当時私は、この問題については、住宅等、弱い立場にある人を責めるのはいけないと思う、それよりももっと、公的な立場の人がこういうところを使わなければならぬというのはしかたがないとしても、そうでない分についてはよくまず検討することから始めなかったらいかぬのじゃないか、こういうことを強調したのです。特にこの中で営利をやっておる。この営利なんかやっておるのはこれはいかぬのじゃないかということを主張してまいったんですが、その後、文化財保護委員会から文化庁になって、それぞれ整備計画を立られたようであります。その状況を一ぺん聞かしてもらいたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 御指摘のとおり、特別史跡姫路城あとは非常に地域も広大でございまするし、ただいまおあげございましたようなたくさんの施設、建物等が混在いたしておるわけでございまして、これはやはり基本的に整備の方針を立てなければならないということで、昭和四十二年度以降、姫路の市、それから兵庫県、それから近畿財務局、それから文化庁の前身でございまする文化財保護委員会、この四者の間で、近畿地方建設局を加えまして現地で会議を重ねたわけでございまして、その結果、最近の、昨年の十一月の会議におきまして整備、管理の方針の大綱をまとめたのでございます。  その内容といたしましては、特に姫路城あとの整備について問題のある中ぐるわ、内堀と中堀との中間地域を二十の区画に分けまして、それぞれの区画につきまして一定の方針を立てて整備を進めよう、こういうことでございまして、今後はその方針に基づきまして実施計画を協議していきたい、こういうことでございます。しかしながら、この地域は広うございまするし、二十の区域それぞれの事情もございますので、この整備を完成するには相当の時間が要るということが言えるわけでございますが、 かりにスローであってもステディに、この問題を前向きに処理をしてまいりたいというのが私どもの基本的な方針になっておるわけでございます。  それから、御指摘になりました社会福祉法人白鷺園が、北部の中堀に接する地域に養老院、母子寮、保育所のほか、ただいまお述べになりました自動車教習所を経営しておるわけでございますが、この地域はただいま申しました点からすれば史跡の整備区域に当たり、また都市公園の計画決定もすでになされておるのでございますので、将来整備、緑地化の必要な時期に達するならば、これに協力して建物を撤去するということを条件に現状変更が許可されている経緯もございまするし、先ほど御指摘のとおり、自動車教習所は四十七年の十月までに撤去する条件が付されておるわけでございまして、私どもはその条件の来た時期には確実にその条件を順守してもらいたい、かように思っておるところでございます。  それから、御指摘のございました姫山住宅につきましては、市の当局、市の建設委員会等におきまして、これを緑地化計画といたしまして整備をしていきたい、こういうことでございますが、現実に人が住んでおられるわけでございますので、これについては代替するところの県営なり市営の宿舎を用意して、漸次移ってもらうというようなことでございます。   〔橋本(龍)主査代理退席、主査着席〕 そしてあき家になった場合にはそれに入れないということで、すでに十五軒があき家になっておるというようなことでございます。いずれにいたしましても、この問題は短日月には完全な姿にいきませんけれども、計画を立て、漸次これを整備していきたいということでございますので、民間の住宅であるからどう、あるいはこういうものであるから有利に扱うということなく、前向きな姿勢で整備を進めていきたい、こういう考え方でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 あなた方のほうから特別史跡姫路城跡整備管理方針というのが出ておりますね。これは見せてもらいました。もちろんこういう方法によってやられる方針はわかるわけでありますけれども、こういう住宅を立ちのかそうということになれば、そのほかのところに対してどうするかという見取り図がなかったら、いま申し上げますように、不公平だというそしりを免れないわけであります。住宅の人にも、私は陳情を受けたのですから、これを公園緑地にするということは、市民のものにするということで、国民のものにするということだから、あなた方、納得がいくならここは立ちのかなければいかぬのです。これが大原則です。私はあなた方の考え方を全面的に支持はできません。ただし、これは長官もおいでになりますからよくお聞きいただきたいのですが、そういう営利事業をやった姫路の白鷺園の自動車教習所、この土地が同じように同じところにある土地なんですが、敷地にいたしまして三千五百五坪、姫路市に売却しておいて、その次、自動車教習所として買っておるわけなんです。これをどういうぐあいにするのかということを明らかにしなければ、市民はここを立ちのけと言われますと、逆に自動車教習所と同じように、私たちもこの土地を分けてくださいと言っているのですよ、そしてここに改良住宅を建ててもらいたいと言っているのですから、一例をあげますと、これをどうするかということです。三十九年から——これを見ますと、当時はこれだけみな特別史跡になっておったわけです。それを現在特別史跡からはずしておるのであります。緑地にするというところがらこれははずして、ずっとゲリマンダーがつくられて、こんなところだけを緑地にするという、弱い立場の市民のおるところだけ緑地にしますというようなかっこうがとられておる。こんなかってなことをやれば市民は文句を言うと私は思うのです。これは間違っておるかどうかわかりませんが、これが現在ですが、こういうところはみな除外されておるわけです。強い立場にあるものですね、たとえば自衛隊だとかあるいは法務省だとか、市役所だとか——拘置所は後にのけると言っておりますけれども、そういうところの見通しがなくして、しかもこんなゲリマンダーをつくって先取りしたものが勝ちだというようなかっこうで、大きな背景があるものは勝ちだ、弱い立場にある住民はそのまま泣き寝入りだというようなことでは納得しないと思うのです。こういうところをどうするかということが、私がきょうはお聞きしておる要点であります。そういう点をきっちりやっていただかなかったら、特別史跡という大義名分を立てて住民をそこから立ちのかそうという、そういう大義名分が死んでしまうわけであります。一番簡単な自動車教習所で一ぺん答えてみてください。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 ただいま御指摘のございました市役所、それから拘置所その他のところは、実は四十二年の三月にこの緑地地区から、私どもの知らないうちに実ははずされたわけでございます。それで私どもは驚きまして、これば困るということを申し上げて、市長さんは、これは緑地地域のほうに入れるようにするというようにおっしゃっておるわけでございまするし、拘置所のほうもそういう方針に協力したい、こういうように言っておられるわけでございます。  それから白鷺園につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和四十七年にこれを撤去するという条件をいたしておりますから、そのところの撤去は十分可能であると考えておるところでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 撤去するということは、自動車の教習所はやめますということでしょう。これ一つ例にとって言ってみてください。ここは緑地からはずしてしまってあるんですね。はずしてしまっておるのですから、その国有地を——いまこれは一億円ぐらいしますよ。番号で言いますと、姫路厚生施設白鷺園、これは土地番号はこれに載ってませんけれども、三千五百五坪、これは一応国有地から市有地に払い下げたのでしょう。払い下げたのをまた個人が買っておるわけであります。こういう土地をどうするかということをはっきりしてもらわなければいけぬじゃないかと思います。今度またこれを買い上げるのですか。緑地にするといっても、個人の土地を緑地にできないでしょう。そういうことはどういうぐあいにやるのですか。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 ただいま御指摘の白鷺園の現在使っておりまする土地は、これは緑地地域の中に現在含められておるわけでございます。この撤去後のこれの財産の処理といいますか、土地の問題は、私どもと同時に、大蔵省の理財局等とも十分相談してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 大蔵省から見えておりましたら、ひとつ御答弁いただきたいと思います。

谷川寛三大蔵省理財局次長

○谷川説明員 まだ具体的に進めておりませんが、文化庁ともよく相談をいたしまして善処したいと思っております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 これは三十九年からもう県、市、そして文化庁、ずっとこれは協議しておる問題です。もうガンになっておるわけです。その一番もとは、大蔵省がもう無分別といってもいいくらい払い下げをしたり貸したり——いまずっといろいろ読み上げましたが、いまこの中にあるのは、私がいま読み上げましたとおりな所有のしかたになっておるのですか。こういうことがやられておるから問題なんですね。もう文化をどう盛んにするとか、あるいは史跡を大切にするとかいうような問題を取り扱いましても、どうにもならぬのですよ。それでいま聞いておるのですが、大臣のような答弁をされて、よく検討します、では話にならぬじゃないですか。

谷川寛三大蔵省理財局次長

○谷川説明員 実は、言いわけがましくなりますが、この姫路城につきましては、三十一年に文化財保護法でただいまのような特別史跡の指定がなされます以前は、天守閣の部分、あのあたりしか史跡になっておりませんでした。御案内のとおり、お城の中の部分につきましては、戦時中は第五十四師団でございますかの司令部、それから連隊の営舎、練兵場等がございまして、政府といたしましては、大蔵省といたしましては、終戦後陸軍から引き継ぎまして、この史跡の指定もございませんときでございましたので、もちろん公用、公共用でございますが、県市等の御計画に従って払い下げをしてまいったわけでございます。ただいま見てみますと、十分な資料もなかったのでございますが、大体ただいま特別史跡になりました天守閣以外の部分、六十九万平米ぐらいございますが、そのうち、さっきお話しになりましたような所管がえ、売り払い、譲与だけに限りまして見てみますと、大体六十九万平米のうちの半分以上になっておると思います。そのうちの九割近いものが特別史跡の指定になる以前に処分されておりまして、ただいまといたしましては、いろいろ私も先生お話しのような文化財の保護につきましては考えを持っておりますけれども、これをいまどうするということにつきましては、なかなか問題があろうかと思っております。文化財保護法が制定されました以後におきましては、公用、公共用として処分いたすものにつきましても、文化庁長官の御同意がなければ、私のほうは処分をいたしておりません。管理、処分につきましては厳重に文化財保護法の規定を守りまして、文化庁に御相談を申しまして、御同意がないものにつきましては、処分等は絶対いたさないようにしております。今後とも注意してまいりますが、ただいまの現状を理想的にいたしますにつきましては、なかなかむずかしい問題がなにしておりますことをひとつ御了承いただきたいと思いますが、先ほどお答えいたしましたように、文化庁ともよく相談をいたしまして善処をしたいと思っております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 時間がきましたから大体まとめていきたいと思うのですが、それは困難なことはわかっておるわけです。ただ、一つだけこの自動車学校のことだけとって悪いですけれども、自動車学校は、これは文化財保護委員会ができてからやっておるわけですね。二十四年に市に払い下げておるわけです。市はまた個人に払い下げておるわけです。こういうようなのは今度緑地にするときにはどうするのか、買い取るのかどうかということですね。これがはっきりしなければならぬということと、それから私の主張したいのは、こういうところがら、公有地になっておるところがら整理すべきであって、弱い個人の住宅から追い払うというようなやり方は、これはちょっとひどいじゃないかと思うのです。そういうことで、これは文化庁にもお聞きしたいのですが、どの方針でいくか、弱いほうからあなた方はいかれておるような気がするのですね。それはちょっとひどいじゃないかということを私は主張したい。もっと極論いたしますならば、公有地、国有地を私有地に払い下げて、それを個人に払い下げるというのなら、この住宅の人が払い下げてくれということを言ったときには、この払い下げてくれということも無理でないというような感じがするのです。だから、そっちから正してもらいたいと思うのです。官側から正してもらいたいと思うのです。それを主張しておるわけです。どうされるかということを聞いたわけです。これだけ答えてください。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 先ほども申し上げましたように、弱い者からやるとか、弱い者いじめをするというような意図は毛頭ございませんが、ただ姫山住宅のほうはすでに家屋も相当老朽化いたしておりますし、この地域は緑地地域として整備しようという決定といいますか方針も出されておりますし、そしてこれはいつまでに立ちのくというような期限を切って責めるというようなことではなくて、県営住宅なり市営住宅を提供して、そして漸次移っていただく、こういうことで整備をいたしたいというような方針でございますから、特に姫山住宅について過酷に扱うというようなことは毛頭ないことを御了承いただきたいと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 それから公有地のほうです。緑地にする場合どうするのですか。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 この点は先ほども申し上げましたように、大蔵省とも相談しなければならないことは、これは国有財産であったということがございます。したがいまして、そういうところの制限等につきましては、よく大蔵省とも協議をしなければならないわけでございますが、その範囲内におきまして、これをやる場合には、かえ地を提供するとか、あるいは買い上げをするとかということも検討しなければならないと思うのでございますが、申し上げましたように、国有財産であったという事実との関連等も十分つけまして、しかるべく処理をいたしたい、かように考えておるところであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 はっきりせぬのですが、買い上げるのですか。それは大蔵省と相談をしなければいかぬのですけれども、方針がなかったらいかぬでしょう。よく相談して相談してと言っても、一たん売ってしもうたものをもう一ぺん買い上げるという方針でいくのか、そうすると、かなりお金が要りますね。それでも文化財、特別史跡を大事にするという意味合いで買い上げるのだ、こういう方針を明確にしてもらわなかったら話はわからないのですよ。その点だけははっきりしてください。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 現在の一般的な史跡の保存という観点からいたしますと、これは公有化して保存していく、こういう方針でございますので、具体的な場合は別といたしまして、一般的には買い上げするか、かえ地を提供するか等して公有化する、こういう一般的方針でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)分科員 終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 玉置一徳君。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 私は、名勝史跡の双が岡の問題並びに無形文化財及び時間がございましたら大学問題につきまして、文部大臣以下の当局の所見をただしたい、こう思います。  そこで、まず双が岡の問題でございますが、京都にございます双が岡は旧史跡名勝天然記念物保存法、現在の文化財保護法によりまして、昭和十六年十一月十三日付で、文部省告示第八二八号によりまして名勝として指定されたことは御存じのとおりでございます。  保存の要件として、岩石の破壊及び採取をなさざること、みだりに樹木の伐採をなさざること、みだりに眺望を妨ぐるがごとき施設をなさざること、みだりに風致をそこなうごとき建物、工作物等の建設をなさざること、その他現状の変更をなさざること、こういうのを保存の要件としておるわけであります。これが古来仁和寺の由緒の地でございまして、昭和二十七年十月二十八日に仁和寺が大蔵省から無償譲渡を受けて、寺有地として保存されてきたものでございますが、三十九年に売却問題が起こりまして、九月十日仁和寺宗議会において、その売却を決定したのであります。京都府あるいは京都市ともに反対の意向を示しましたが、一般市民からもまた双が岡が観光施設等により破壊されることに対して広く反対の声が起こりましたことは、文部省当局は御存じのとおりでございます。そういうことで、文化財保護委員会としましても、名勝地の保存上好ましくない現状変更を伴うことが懸念されるような売却がなされないように、京都府あるいは京都市当局と協議して仁和寺と折衝を続けられたのでありますが、遺憾ながら、終局には三国人であります文さんにこれが所有権が移ったのは御存じのとおりでございます。  その間、工科大学を建設する予定地であるとか、あるいは観光施設だとか娯楽施設だとかいろいろな希望があったやに伺っておりますけれども、これは現状変更が認められないと判断された結果かどうか知りませんが、要求内容を変えまして、二の岡、三の岡の東斜面を削りまして、そこに京都市内から約十カ寺院を移転して、岡全体を寺院有にして保存をはかるというような計画を示してきたのでございますが、終局には昭和四十三年八月、文東建氏は双が岡の自己所有地二万六千坪のうち約六千坪をただいま申しました寺院敷地として造成して、ここに市内にある寺院十カ寺を誘致して、寺院地以外の所有地は国に寄付したい旨の計画案を示して、京都府教育委員会に現状変更申請の取り次ぎを要望してきたのでございます。  そこで京都府教育委員会は、現状変更申請書を昭和四十三年十二月二十八日正式に受け付けして、四十四年一月二十七日次の意見を具して文化庁長官に進達してきたというのが現在までの経過でございますが、私はここで質問を申し上げたいのは、この京都府教育委員会がつけてまいりました意見でございますが、「仁和寺が「寺有財産処分公告」を行なった昭和三十九年十月以来今日まで、京都府および文化財保護委員会と密接に連絡して、名勝双が岡の保存にあらゆる努力を傾けてきたのであるが、別記「経過」のなかで明らかにしたように、今日地方公共団体によって岡を保存することは不可能な状況である。  京都府教育委員会は、京都府とともに、名勝双が岡の現状変更をすべきでないとする当初の態度を何ら変えていないが、その所有者を代表する文東建から現状変更等の計画を文化庁の審議に付しうるよう、事務処理を切望する旨次の申し出があり、今回適法の現状変更等許可申請書の提出があったので、経由庁の職務にかんがみ、内容を精査のうえ、直ちに書類送達の手続きをとった次第であります。  本件については、今日までの経過にかんがみて、国による解決以外に有効な方策のないことは明らかでありますから、この間の事情をじゅうぶん考慮されて名勝保存のため適切な措置を決定くださるよう希望し、意見具申とします。」こういう意見具申がついております。  これを要約いたしますと、名勝双が岡の現状変更をなすべきでないとする当初の態度は何ら変えておりません。しかしながら、地方公共団体によって岡を保存することは不可能ということは、それを買い取るだけの財源がございません。したがって、国による解決以外に有効な方策がないということも、このことを間接に示しておると私は思うのですが、「この間の事情をじゅうぶん考慮されて名勝保存のため適切な措置を」こう書いておりますけれども、これは国で買い上げてもらうなりあるいはその大部分を国の助成による構想でもって、地方公共団体その他が買い取るようにしてこれを保存するしか方法がない。長い経過もございますので、せっぱ詰まった形でもって進達をしてきたのだと思いますが、これにつきましてこの京都府の意見書は、ただいま申し上げましたとおりの現状変更は認めないでいただきたい。しかも地方公共団体では買い取りその他の適切な保存の措置ができかねますから、どうぞ国において適切に処置をしてもらいたい、こういう意味だと解釈いたしますが、これを受け取られました文部省並びに文化庁はどういうようにお考えになるか明らかにしていただきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 ただいまお触れになりましたこの名勝双が岡の現状変更の申請は、二月一日に文化庁において受理をいたしたのでございます。しかしながら、この問題は文化庁が所管いたしておりまするところの名勝の問題であるとともに、同時に古都保存法の歴史的風土保存区域、これは府の知事がこれに関係するわけでございます。また都市計画法に基づく風致地区などの問題、これについては京都市長が関連をいたします。そういうような問題とも密接に関連をいたしております。また京都の府民あるいは京都市民の感情にもかかわる問題でございます。したがいまして、この現状変更の申請を受理はいたしましたけれども、これを審議会等にはかって進める前に、まずは京都府の知事、京都市長等の意見等をも詳細に徴した後、これを検討すべきものである、かように考える次第でございます。  文化財の保存を広く考えました場合でも、これは国の文化財といえどもそれぞれの地域にあるわけでございまして、これらの保存を考える場合には、常に国と地方公共団体とが一致協力して当たっていかなければならないわけでございまして、したがいまして、京都府なり京都市などがこういう保存についてどのような協力ができるかというようなこと等についても、具体的にお伺いをいたしました上で処理することが適切である、こういうような考慮からもさように措置をしてまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 文化庁の次長、あなたがおっしゃっていることは私の質問をちょっとはぐらかしているような感じがするのですが、私の言うておるのは、この京都府教育委員会の意思具申というものは、意見書というのは現状のままでひとつ保存をしてほしい、その態度は私どものほうはごうも変わっておりません。しかしながら、私のほうには財源措置その他で手に負えません。だからもっと財源を持っておる国のほうで適切な措置をしていただきたい、こういうように解釈していいかどうかということを聞いているわけです。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 いまお触れになりましたように、現状変更をすべきでないとする当初の態度を何ら変えていない、しかしながら地方公共団体の手には負えない、こういうようなことでございますから、先生の御指摘のような点であろうかと思いますけれども、現在国が全経費を出して買い上げをしておる、こういうような制度はございません。現在の制度ではまずは地方公共団体が買う、その場合に国が補助をする、こういう体制でございますからして、したがいまして、そういうようなことに対してどのような用意があるか、準備があるか、そういうことをまずは京都府なり京都市から確かめたい、こういう意味で申し上げたわけでございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 私はまず、ここに所在いたしております京都府並びに京都市及び一般住民からすれば、これは何とかしてでもひとつ保存をしていただきたい、私たちでは手に負えません、こういうことでありますので、そういう点から、並びに名勝というものはでき得べくんばその他の公共的な用途に用いられる以外の分はつとめて現状のままで保存するという精神が文化庁、文化財保護委員会を置いておるゆえんでありまして、でなかったらもう建設省のほうにまかせてどんどん開発してしまったほうがいいわけであります。そういうような意味で、まずやはり基本方針をきめて、しからばどんな方法があるか。私が質問しようと思うことを先に言ってしまうものだから質問がしにくくていかぬわけですが……。  そこで問題は、どういう方法があるか。きょうも、御存じのとおり建設省から古都保存のほうに来ていただきまして、いろいろ一緒に考えておったわけでありますが、建設省の都市局のほうでは、古都保存法の「一体」という文言の解釈の問題でなかなか——前に京都市が出しましたときもそれを却下した——却下というところまでいかないのかもしれませんけれども、返したといういきさつもございます。そこで私は、どんな方法でもいいから、衆知を集めて、これはやっぱり国の文化財を守るという考え方でものをやっていただかなければ……。いまおっしゃったあなたのことばを聞いていますと、京都市や京都府が、たとえ二割でも三割でも出すのがいやだったらやむを得ぬじゃございませんかというような言い方にすら聞こえもするしなりもするわけです。そうじゃなしに、これはどんなことをしてもみんなで守らなければいかぬというような考え方に立って、その上でどういう方途があるか、京都市や京都府と一緒に相談されるというお答えでないと、間違ってくるのじゃないか。あるいは一般に誤られる。そういうことが今日まで、そんなものを買ったって、あるいは仁和寺に、そんなものを売ったって現状変更は認めませんぞとみんなてやっておるにかかわらず、強引に売買をしてしまったわけですから、そういうことも、私は、役所の全部の空気が一致していないところに、こういう問題が強行されるのじゃないかということをおそれるがゆえに、申し上げておるわけであります。  そこで、それならば、考えられる方途としては、どういう問題がございますか。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 まず考え方といたしましては、現状変更を許可しないということは一つ当然考えられわけでございます。この場合は、所有者としては、その財産権の問題としてこれを何とかしてくれ、こういう要請が起こるのは当然でございます。その場合には、一つの考え方としては、すでに現状変更は原則的に認められないという前提の上で買ったのではないか、という考え方が一つあるわけでございます。しかしながら事柄をさらに具体的に進めるためには、先ほど御指摘がございましたように、国も地方も協力一致してこれを保存するというような方法といたしましては、地方が買い上げて国が補助をするというような方法が、次に出てくるというように考えるわけでございます。現在文化財保護委員会では、史跡等の土地の買い上げ費で明年度の予算として御審議いただいておりますのは、五億六千万円を計上いたしておるわけでございます。これは従来は史跡を主体といたしまして、若干例外的に天然記念物の土地を買い上げたことはございますけれども、従来は名勝地を買い上げたことはないわけでございまして、これはまた新しい問題として検討しなければならない問題である、かように考えておるわけでございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 建設省がお見えになっておりましたら……。  まずその先に、現状変更を変えないということが考えられますのではなしに、現状変更は変えない、変えないのですよと何べん注意しても、けっこうですと言って、変えよったのだから、それはぼくは現状変更はもう変えない、これは大方針であって、しからばいま言っておるように、京都府教育委員会がお困りになっておるようなものを救済する措置としてはどういうことがありますか、こういう話をしたわけであります。  そこで、建設省お見えいただいておりますので、古都保存法の特別地域の申請をした場合に、どういう手続でどうすれば御検討願えるのか、あるいはそれはどのくらいの補助でやって、補助残についてはどの程度の起債を認めあるいは特別交付税をもらえるか。後段は自治省から御答弁をいただきたいと思います。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように、歴史的風土の保存に関する法律によりまして、一般地域に指定されておる中で特別地域に指定いたします場合の手続は、都市計画として行なうということになっておりますので、現行都市計画法は実はことしの六月から変わるわけでございますが、現行法で申し上げますと、申請に基づまして、建設大臣がそういう案を出すのが適当だということになりますと、建設大臣が案を京都府の地方都市計画審議会にかけまして諮問をした結果、その答申を得て決定するということになろうと思います。それから、六月以降変わりますと、それは京都市の場合、特別市でございますので、京都市長が地方審議会にかけまして、建設大臣の認可を得る、こういう形になろうかと思います。  それから、特別地域に指定されました場合に、どういう予算的手当てがあるかということでございますが、特別地域に指定されましたことによりまして、土地の利用が著しく支障を生ずる、しかもそれがやむを得ない理由に基づくという場合には、買い入れの規定がございます。それに該当いたしました場合には、この場合でございますと、京都市が土地を買い入れるわけでございますが、それに対しまして国が八割の国庫補助をする、こういうような制度になっております。

山本成美自治省財政局地方債課長

○山本説明員 起債と交付税の問題についてお答えいたします。  起債は、補助事業につきまして補助残の七〇%、これを起債で見ております。それから交付税の問題でございますが、これは現年度、四十三年度で申し上げますと、特別交付税の中で約八千六百万円を京都市分の特別交付税として渉外及び文化財関係の経費として——これはなかなかぴしっといった数字になりませんですけれども、いろいろなものが経費として要るであろうということで、京都市の場合ですと八千六百万円が措置されておる、こういう結果になっております。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 たただいま都市局長のほうから御答弁いただいたわけでありますが、六月からは、京都市長が、特別地域に編入をする議を地方審議会に出して、それができれば建設大臣に認可を受ければいいという——許可ですか、認可ですか。認可を……。答弁をお願いいたします。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内政府委員 ちょっと申し落としましたけれども、実は一般地区を指定いたします場合に、特別地区の指定の方針というのを保存計画に書くことになっております。その保存計画というのは内閣総理大臣が定めることになっております。それに指定の基準が載っておるということが先ほどの要件でございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 いずれにいたしましても、今日までこの売買が行なわれるとき、このときも、府、市の教育委員会はもとよりのこと、文化に関心を寄せる一般市民の皆さんから非常に大きな反対の声があがったわけでありまして、しかもただいま申し上げましたように、京都府の教育委員会からも、具申の意見書といたしまして、ただいま申し上げたような問題を取り上げてきたわけでございますので、これにつきましては、次長もお話しになりましたけれども、今後ほんとに文化財をどうしても守るのだという強い決意のもとに、慎重な審査をしていただきたいと思うのでありますが、これにつきまして、文部大臣並びに文化庁長官の御所見を承りたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 日本におきます文化財は貴重なものでございますから、私といたしましては、できるだけその保存のために努力をいたし、また個別的ないろいろな問題につきましても注意をいたしまして、そうして、この保存のために努力をいたしたいと思っております。

今日出海文化庁長官

○今政府委員 まさに御指摘のごとく、私どもの文化庁は、文化財保護ということ、保護のために誠心誠意努力しているのでございまして、今後とも、ことに、この双が岡の問題につきましては、私は、できるだけのことを努力いたす所存でございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 大臣のお答えが、非常に声が小そうございまして、実際はほとんど聞き取れなかったのですが、意味は、事文化財の保護という趣旨に徹して、できるだけのことをさしていただきたい、こういうお話だったと思います。私は、こういうものは、法律の文言で言えば、建設省の都市局のような考え方もなかなかむずかしい点もあるやに思いますけれども、これだけ市民を騒がせた問題でございますので、一つの文化行政の象徴のような感じにすらなっておるのは御承知のとおりであります。なかなか、お寺によっては、青蓮院事件が起こってみたり、思うにまかせないのが現状でございますが、こういうものがルーズに行なわれていくということになれば、私は、そういう弊害がますますばっこするんじゃないかということをおそれます。ひとつ、筋は筋でぴしゃっと通していただく。法規の解釈その他は、ほんとうに、文部省も建設省も、みんなでお考えいただいた上で、できるように、ものをひとつ措置していただかねばならないんじゃないか、こういうことを感じるわけでありますが、文部省、文化庁並びに建設省の都市局の善意を期待いたしまして、この質問を終わりまして、次に移りたいと思います。  一言、無形文化財、いわゆる人間国宝についてでありますが、私は、かつてまる二年間、この分科会におきまして、人間国宝に対してとられておる措置がほとんどない。文化功労者には年金が当時五十万円下付されておりまして、人間国宝というようなりっぱな名前だけは栄誉ではございますけれども、指定された方々は、伝承責任とか、あるいはいろんな人が見に来られまして、実際、経済ベースに乗らないものをやっておいでになる方々が、そのうち半分ぐらいあるんじゃないだろうか。それがために、継承の責任を負わし、人間国宝としてたたえているわけでありますが、何らの実質的な給付というものがないということをおもんばかりまして、まる二年間ここで叫び続けてまいりまして、三年目にようやく、ことばは語弊がありますが、平均すれば三十万円余りの年金、というと、またこれ間違いがございますけれども、伝承費をつけていただいたのであります。私は、当時五十万円の文化功労者の年金、それがそのあくる年また百万円になりました。だから、こっちを倍にしてくれという意味じゃございませんけれども、この指定されておる方々の中には、経済的に裕福な方もあるとは思いますけれども、何しろ経済ベースに乗らず、もうほとんどこれから絶えるだろうという技術を伝承するわけでありますから、どうしても生活に苦しい方も私はあり得ると思うのです。人間国宝というような名前で、その技術を伝承していただきたいということになれば、私は、その生活だけは、安心して生活してそのことに従事できるような境遇をつくってあげることが絶対に必要であり、それは最低の条件ではないか。ただいま申しましたとおり、みんなの方々がそうであるとは言いませんけれども、その中には、そういう方々もあり得るんじゃないだろうか、こういうことを考えますにつきましては、若干の、ほんのわずかの予算増はございましたけれども、ここ三、四年の間まずほとんど変わっていない。とりあえずというのでつけていただいたのが三十二、三万円だったと思います。こういう意味では、これを幾ら増額というような意味じゃなしに、ただいま申しましたように、やはりそれだけの芸術を伝承するためには、生活にお困りのことがもし万一ございましたら、生活のことだけは考慮なしに、そういうことの業に励んでいただけるような措置を、文部大臣並びに文化庁のほうでお手当ていただきたい、こういうように要望したいと思いますが、御所見のほどをお聞かせいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 もう玉置さんのおっしゃるとおりだと私も心得ているわけでございます。重要無形文化財を保存するため、御案内のとおり、昭和三十九年度以来、重要無形文化財の保持者——現在では、芸能関係が三十人、それから工芸関係が三十人、計六十人でございます。これらの方々に対しまして伝承者の養成と本人自身のわざの練摩のための経費の一助といたしまして、特別助成金を各人に交付してまいったわけでございますが、昭和四十四年度も、実は前年度と同額の予算額二千万円を計上して御審議をわずらわしておるわけであります。年間一人当たり二十五万円または四十万円。重要無形文化財の保持者に交付する特別助成金は、いま御指摘がございましたとおりに、伝承者の養成や本人自身のわざの練摩のための経費の一助でございます。生活費の補助のための年金とは性質を異にしていることも、いま御指摘になったとおりでございますが、しかし、経済清勢の変化等を考えました場合に、保持者の保持しておりまするわざが、今日においては経済的に条件のよくないものも少なくないことでございますことを考えました場合に、この助成金だけでは必ずしも十分ではないのではないかということも私は考えるわけでございまして、特に、後継者の養成は非常に重要なことだと私は考えるわけでございますので、別途実施をしております団体助成等の諸方策をも考慮に入れまして、今後その増額充実のために懸命の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

玉置一徳民主社会党

○玉置分科員 時間もなくなりましたので、最後に御質問申し上げ、御要望申し上げておきたいと思いますが、国宝あるいは重文の修理、修築もしくは保管につきましては、毎年、その予算化をお願いして、ある程度これは熱意をもっておこたえいただいておりまして、ありがたいと思っておりますのですが、青蓮院の事件等を見ましてもこれは国の財政負担だけでやるところに無理があるんじゃないかと思う節もあるのです。こういう民族の伝統と申しますか、そういうようなものを、やはり国民一般の浄財も集めて、そういうものが海外に流れたり、いろんな好ましくないところの手に移ったりしないような方法を講じていいんじゃないだろうか。それには、やはり財界等の浄財も集めるようなくふうをいたしまして、一時それを保管するというようなことも考え得られるのじゃないか。仁和寺の問題を見ましても、そういうことを痛切に感ずるわけです。それで、それぞれ重要美術品等にも何らかの規制を加えておるわけでありますので、もしも所有者が希望があるときだけはまず買い受けるというようなものが要るのじゃないだろうか、そしてしかる後、予算措置があった場合にまた移していくというようなことも要るのじゃないだろうか。あるいはわれわれ京都におりますものですから間々見受けられますのは、非常に歴史のある建物でございますけれども、現在は檀家その他がほとんどなくて、国から手厚い補助を受けたって、その残りの二割というものを持ちこたえるだけのあれが出ないというようなこともあり得るわけであります。こういうことにつきましても、いま申しますような基金と申しますか、そういうものがあればなあということをずいぶん考えるわけですが、坂田さんが文部大臣であり、今さんが文化庁の長官であるこういう機会が、一番そういうことが考え得られるチャンスじゃないかとも思いますので、ひとつお考え置きをいただきたい、こう思います。  ほんとうはきょうは大学問題につきまして、私は私なりに坂田文部大臣に御質問を申し上げ、御鞭撻を申し上げたい、こう思ったのですが、時間もございませんので、文教委員会の一般質問等に譲りまして、いまのことをお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 勝澤芳雄君。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 私は二つの問題、静岡大学の医学部を設置するという要望がいま出ておりますが、その問題と、それからもう一つは、最近の看護婦のいろいろ各所に起きている問題、この二つについて質問いたしたいと存じます。  最初に、私は最近の医師の状況はどうなっておるかという点を、簡単に御説明願いたいと思うのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 まず大学局長から御答弁申し上げることをお許しいただきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 現在医者の実数が十一万二千人でございます。人口十万に対比いたしまして百十一・八人という数字でございます。大体外国の、ヨーロッパ諸国の大部分と比較いたしますと、まあ人口対比ではほぼとんとんに近いところにきておる、こういう実態でございますが、ただ国内におきましてのいろいろな偏在という問題、これは相当ございまして、大都市に非常に多く、町村部にかなり少ない、こういう分布状態になっております。この数につきましては、先ほど外国との数字を申し上げましたけれども、日本におきましては、最近患者の増というのが非常に顕著でございます。そういう意味におきましては、絶対数が全体として足らないという感覚を持っておるわけでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 医者が多いか少ないかという質問のしかたは、ちょっと不親切かもしれません。一体患者がどうなっておるのか、あるいは医療水準がどうなっておるのか、あるいは専門的なものがどうなっているのかという点があるので、そう思います。  それでは次に、戦後、大学に医学部を設置せよという要望もあったわけでありますけれども、医学部設置について、いままでどういうふうになっておるのか、あるいはそれについての文部省の考え方はどうかという点について御質問いたします。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 終戦の時点におきましては、わが国は、医科大学のほかに医学専門部が、旧帝国大学並びに単科の医科大学には全部付置されております。ほかに独立の医学専門学校もございまして、医師の養成数は年間一万人をこえておった時期がございます。終戦後、これでは多過ぎるし、また医学専門学校や付属医学専門部における教育では、医師として必要な教育が十分でないということで、これを廃止いたしまして、医師の養成数は、需給をにらみ合わせましてかなりしぼりまして、医専は廃止したのみならず、医科大学の入学定員も、一校当たり百名から、多いところは百五十名ありましたのを、最高八十名に押え、中には六十名、四十名としぼり、年間の養成数を約二千八百人に押えて、これを全部大学院を持つ大学にして、数をしぼって、充実した医学教育を行なうということで発足いたしました。以後、医学部の新設というのは、札幌医科大学、これは公立でございますが、これが設立されましたものを除きまして、最近までございませんでした。今回国立の秋田大学に医学部を新設する準備費が認められまして、四十五年度設置を目途といたしておりますが、こういう時点に至りますまで、少なくとも国立大学では医学部の新設ということはなかったのが実情でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 文部省として、医学部を設置しようという意思がなかったのですか。そのために、戦後秋田大学がようやく準備費がついたということなのですか。それとも、文部省としても考えられなかったけれども、地方からもそういう声があまりなかった、こういうことなんでしょうか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 終戦直後の時点におきましては、前回御説明申し上げましたように、医専を含めて、医学生の数が非常に多くて、医師はむしろ減らす必要があるということで、厚生省のほうの需給計画ににらみ合わせまして、養成数を減らして、内容の充実につとめたわけであります。そういう状況が昭和三十五年ごろまで続きまして、その間、医学部をつくりたいという要望は、実はあまりございませんでした。一部私立大学において、たとえば早稲田大学とか上智大学とか、そういうところで医学部をつくりたいということを研究はされたようでありますけれども、具体化せずに終わっております。国立大学につきましては、昭和三十五年ごろから、医師の絶対的な不足はともかくといたしまして、医師の不足する地方において、つくってほしいという要望が漸次出てまいりました。秋田に実現を見たのもその一つのあらわれでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 ただいま大学局長からお答えを申し上げたとおりでございますが、特に私は今度の予算折衝におきまして、やはり地方大学を充実していくということが、これからの大学のあり方としていいのではないかという考えもありまして、それからもう一つは、やはり医者の需給関係、あるいは医学部がない県に医学部を持った大学があるということは、同時に、民間の病院の再教育あるいは研究というような面からも非常にいいのではないかというようなことも配慮をいたしまして、実は新しい準備費ではございますけれども、四十五年を目途とした秋田大学の創設に踏み切った次第でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 時間がありませんから、大臣に一言お尋ねいたしたいのですが、最近静岡県でも、静岡大学に医学部を設置したいという強い希望が出まして、特に昨年県議会でこれも決議いたしまして、県議会が特別委員会も設置いたしまして、近く医学部設置の調査会も県でつくるというところまできたわけであります。これは静岡県の医療水準というのが、数量的に見た場合、お医者さんの数で全国で四十番目だ。看護婦や准看護婦も四十番目だ。病床の数では四十五番目で、全国総合では四十四番目だ。県民の所得は九番目だ。県民所得が九番目にあるにかかわらず、医療問題というのは、これだけ静岡県はおくれているという点で、これはいろいろ原困があるわけであります。大学医学部をつくったからといって解消するとは限りませんけれども、しかし県民の感情として、いろいろな観点から、この際静岡大学に医学部を設置しようではないかということがいまあるわけでありまして、先ほど大臣の御説明によりましても、地方の大学を充実していこうというお考えでありますので、私はこの問題について大臣にやはり積極的な、秋田大学に次ぐ問題としてお取り組みをいただきたいと思うのですが、いかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 静岡県の県会の方だったと思いますけれども、御陳情も承っておりますし、多少内容も聞いております、御事情につきましては。でございますけれども、御承知のとおりに、医学部の校舎あるいは付属病院をつくりますと、平均してでございますけれども、約四十億くらいかかりますし、それから、教育研究用及び医療用設備を、そのほかに約三十億、合わせますと約七十億という相当多額の金がかかるわけでございます。それから、経常費といたしますと、平均しますとやはり三十億くらいかかるそうでございます。そういうことでございますから、御事情は私も十分お聞きをいたしまして、将来の問題といたしまして十分検討してまいりたい、かように考えております。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 大臣慎重な、原稿を読みながらの答弁で、だいぶむずかしいお話のような言い方をされておりましたけれども、県としても積極的でありますので、ひとつ十分話し合いをいたしまして、金だけの問題でしたら国のほうなり県のほうなり話し合っていけば問題が解決をしやすいと思いますし、特にいま静岡大学が移転をしたあと地が残されておるわけですから、そういう観点からも一応考えられておるわけでありますから、ぜひひとつ近い将来の問題——遠い将来でなくて、すぐの問題としてひとつ特に要望いたしておきますが、よろしゅうございますか。——それでは、大臣御返事しておるようですから、次の問題に移ります。時間もありませんから。  看護婦の夜間勤務の問題で、最近各所に、特に公立病院で紛争が起きているわけでありますけれども、その一番の中心は夜間月八回以内、二人以上の夜勤にしてくれということが一番中心でありまして、これは、看護婦の勤務問題というものは、ただ単に看護婦だけの勤務という問題だけでなくて、患者から見た場合も、重労働ど看護婦がいいのかという観点からもこれは考えてみなければならぬ問題で、人道上の問題としてこれはやはり見のがすわけにいかないと思うのです。  そこで私は、月に八回も夜間勤務をするということも、まことに何といいますか、ささやかな要求だと思うのです。しかし、いま現状を見てみますと、十五、六日といわれているような状態もあるようでありまして、まず、これについての考え方、夜間勤務あるいは二人夜勤というような問題についてどういうふうにお考えになっているか、その対策をどうしようとしているのか、この二点についてお尋ねいたします。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいまお話がございました看護婦の夜勤体制の問題でございますが、四十年に人事院から判定が国の機関に出ておりまして、それは二人夜勤を必要とするような看護単位につきましては、ほかの条件もいろいろ整備をしながら二人夜勤を実現できるように計画的に持っていくべきである。また、夜勤の回数も一応一カ月八日ということを目標にすべきである、こういう判定をいただいたわけでございます。私ども、やはり看護婦というものが、どうしても夜間の二十四時間の患者の生活を預かっておりますので、夜勤というものが避けられない。その点につきましては、ただいま先生御指摘のように、いろいろなたくさんの患者を持っておりまして、いろいろな突発事故が起こるという問題に対応いたしますために、やはりそういう病棟の場合に二人夜勤ということがぜひ必要であろうというふうに考えております。  ただこれを現在一気に、直ちに解決できるかどうかという問題でございますけれども、看護婦養成についても相当の努力をいたしまして、ただいま就業者約二十五万三千人というところまでまいっております。毎年約二万八千人程度の新規就業を見ているというような状態ではございますが、一方、病床等の増設も非常に多いものでございまして、なかなか十分なところまでまだ行き届かない。要は、かなり不足をしておるという実態でございますので、これが全部一挙に解決するというわけにはまいるまいというふうに考えております。  ただ、これを実現いたしますために、そうかといいましても、ただいまお話しのように改善できる点はどんどん改善しなければならない問題がございます。たとえば国立病院等におきましては、過去三カ年間におきまして、看護婦の夜勤体制をやりやすくするような、たとえば仮眠室の整備でありますとか、あるいはいろいろな連絡、通信というものを整備いたしますとか、いろいろなそういう改善を、環境づくりをまずやってまいりました。しかし今後はやはり人をふやさなければなりませんので、来年度も定員増ということで、そのために一部見ていただいておるわけでございます。私どもは、一方におきましては、やはりこのために、看護婦の養成を大いに急いでいくということが一つございまして、何としても人を確保するということがなければ解決できないというわけでございます。  ただ、新規の養成以外に、すでに御承知だと存じますが、現在就業者とほぼ同数の方が免状を持って家庭に入っておられます。これはやはりいろいろな御事情もあろうかと存じますけれども、できるだけこういう潜在しておられる看護婦さん方に、またできるだけの範囲で戻っていただきたい、こういうことで、いまそのために必要な再教育ということも手をつけてまいっておるような状況でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 答弁が長いので、時間がないんですよ。私が質問したぐらいの時間で御答弁してくれると楽なんです。  そこで、私は根本的には看護婦をふやすということだと存じますけれども、そのためにはやはりもっと公立の学校をふやさなければならぬと思うのですが、それについてどうお考えになり、どう努力をされますか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 御指摘のとおりでございますので、私どもも年々補助金をもって整備を促進しております。来年度におきましては、新設を約十五カ所見た補助金を予定いたしております。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 特に私は公立をもっと根本的にふやすように考え直すように要請いたしておきます。  それから当面の問題として、いま紛争しておる、紛争の解決のいろいろな条件を見てみますと、とにかく紛争し、あるいは労働問題になれば、何らかの形で前向きには解決の方向が見えているわけです。そのことは、やはりなおざりにしている、文句を言ってこなければ何もやらぬ。特に看護婦という弱い立場のものを両面から、企業主の立場から、自治体の立場からと、また患者の立場から、両方から私は攻めているという感じがするわけです。それを、緊急的な問題としては、まず深夜勤を減らすためにどうしたらいいか、勤務形態だけの問題ではないと私は思うのです。  そこで、私は、看護婦のやっておる仕事の中で作業婦でやれるものは作業婦を定員化すということ、そして作業婦の仕事というものと看護婦の仕事というものを別にするということ。それから第二に、特に私は住宅問題をもっと前向きで考えてみたらどうかと思うのです。特に男の場合には、みな会社でも社宅を与えるけれども、女の人の場合にはあまり社宅を与えたと聞いてないわけですから、有夫、夫を持っておる人に社宅を、そして、その住宅についてはやはり特別な方法を考える。炭鉱労働者にもいろいろありますし、あるいは中小企業の住宅にもありますし、そういう長期低利のものを考えて、やはり優先的に有夫の看護婦を確保していくということを積極的に考えなければいけないと思うのです。そのまままかしておくよりも、看護婦だけをいま特別な問題として取り上げて、そして夜間勤務がしやすいようにするということだと思います。  それから、夜中に勤務が終わってうちへ帰るという者について最近の解決条件を見てみますと、タクシー代を持とうじゃないか、あるいは自動車で送ろうじゃないかということで、仮眠をさせずにそのままうちへとにかく帰らせる、こういうことも地方自治体ではやっているわけですから、そういう問題をどうするかということもまた考えていただきたい。  それからもう一つの問題は、やはり託児所であるとか保育所というものをその病院の中なり外なりにつくっておいて、そこでまたそのつくり方も通例のものでなくて、やはり特別に看護婦問題を解決するという考え方で積極的にやはり解決する方法というものを私は考えるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 たいへん貴重な御意見だと存じますが、第一点の補助者を活用しろということは、ごもっともでございます。私どもも、看護婦という非常に高度な技術を持った人がそれを十分発揮できるというためにやはり補助者が必要な限度において必要であるというふうに考えております。現実にはそういうふうな方向で十分指導をいたしておりますし、また、現に国立等におきましても、そういう補助者をもってチームを組んでやっておるわけでございます。  それから宿舎の問題、特に有夫用の宿舎、私どももただいま、そういうせっかくこの免状を持たれた方が結婚してリタイアしていかれるということを何とか考えなければならないというふうに思っておりましたので、ただいまの宿舎を整備するいろいろな方法につきましては、先生の御意見も十分ひとつ尊重いたしまして検討させていただきたいと思います。  それから、保育の施設の問題でございますが、この問題については、従来児童の保育という観点からはなるべくその自宅に近い保育所の整備ということが望ましいのではないかという感じであったわけでございますけれども、先ほど来のお話のように、やはり病院の内部でこういう保育施設を持って、保育機能と申しますか、そういうものを持つこともぜひやはり必要ではないか。現実に国立病院等におきましても、約十九カ所ほどでそういうものをやっておりますので、そういう効果なり実態を十分見まして、ぜひこういう方面には踏み切ってまいりたいということで検討中でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤分科員 特に局長、申し上げておきたいわけですけれども、この住宅の問題あるいは保育所の問題というのはいままでの既成のものの考え方じゃなくて、特別な問題、新しい問題として考えないといけないと思うのです。それから、ほかのものを取り出してみれば、やはり特別に取り上げてそういう住宅問題でもあるいは託児所問題でも、あるわけですから、ひとついろいろほかでやられているものも参考にしながら、やはりこの際どうしたら有夫の看護婦を吸収することができるのか、あるいは子供を心配なく預けて、そこである程度の夜間勤務ができるのかという点を十分ひとつ考えて、これはやはりことし間に合わなければ来年度の予算ぐらいでも、あるいはことしなんかでも緊急的な問題として、それは国のほうはあまり困ったような顔をしていませんけれども、地方の市や県で持っている病院などはいろいろ困っているわけですから、それをやはり特別の問題としてそういう問題を投げかけて研究し合い、前へ進めるということをひとつお考えていただきたいと思うのであります。——いいです、先ほど答弁がありましたから、このことを特につけ加えて、私は質問を終わります。

臼井莊一自由民主党

○臼井主査 小林信一君。

小林信一日本社会党

○小林分科員 私は、信州大学の繊維学部の蚕糸教育課程が東京農工大学に吸収をさせられるような動きがあるということで、これは長野県だけでなく、隣県であります山梨県とか、群馬県とか、埼玉県、それから福島県、こういうところの人たちが、そういうことをしてくれないようにという希望があるのですが、そういう事実があるのかどうか、まず文部当局にお伺いをしたいと思うのです。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 端的に申し上げますと、蚕糸教育についてどうすべきかという議論は現在行なわれておりますが、信州大学繊維学部の学科を移すというような具体的な案は現在ございません。

小林信一日本社会党

○小林分科員 私も、その移転をすることがいいとか悪いとかということだけでなくて、こういう問題について文部当局が従来よりも真剣に考えていただきたいというところで私の意見を申し上げ、文部当局の御意向を承りたいと思うのですが、まず繊維学部というのは、主として何を研究するようにされておるのか、その中で蚕糸教育課程というのはまたどういう教育内容を持っておるのか、この点をお聞きしたいと思うのです。   〔主査退席、橋本(龍)主査代理着席〕

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 国立大学で繊維関係の教育研究をもっぱらやっておる学部が三つございました。ございましたというのは、そのうち一つは、すでに転換をしておりますのでそういう表現を用いるわけでありますが、一つは、東京農工大学の繊維学部がございましたが、これはすでに工学部に改組いたしまして、そのうちの蚕糸関係の教育をやっておる学科は、農学部のほうに移しております。それから二つ目が信州大学の繊維学部でありまして、これは以前は天然繊維が中心でありましたけれども、戦後は漸次化学繊維のほうに重点が移ってまいっておりますが、その中に現在繊維農学科という一学科がございます。これは昭和三十六年までは養蚕学科と言っておりましたけれども、これを三十六年に改名いたしまして繊維農学科ということにいたしまして、ここで蚕糸を中心とする天然繊維の教育研究をやっております。もう一つは京都工芸繊維大学の繊維学部でありますが、これも従来は天然繊維が中心でありましたのが、漸次化学繊維のほうに重点が転換しつつあるのが実情でございます。

小林信一日本社会党

○小林分科員 蚕糸教育課程というのは……。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 現在、京都にも残っております。

小林信一日本社会党

○小林分科員 その中で特に蚕糸教育課程というのは何をするのか、どういうことを勉強するのか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 一口に申し上げますと、蚕の生態の研究、それから養蚕のやり方、繭をつくり、場合によってはそれからさらに繊維に製品化するところまでの教育、研究をやるわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林分科員 そこで、特に坂田文部大臣にこの点をお聞きしたいと思うのですが、大臣は科学技術教育振興で非常に御苦労なさっておられて、その成果がいまあらわれようとしておるのですが、ただこの科学技術振興というものが単に大企業の技術だけを満足させる方向だけに文部省が引きずられておりますと、ますます産業間の格差というものは大きくなってきて、ことに農業のような産業というものはますます疲弊していくのじゃないかと思うのです。いろんな条件の中で農村というのは非常に問題になっておるのですが、せめても、こういう教育面の中で、単に基礎的な学問をつくり、その応用技術をどうこうするというだけでなく、一体その産業の事情はどうなっておるか、あるいは貿易事情はどういうふうになっておるか、そういう中で、こういう産業は教育面で力を入れていかなければならぬというような考慮をしていかなければならぬと思うのですが、いまの局長のお話を聞いておりましても、確かに養蚕とか、それから生まれてきます繊維過程というふうなものは、これは斜陽的なものかもしれませんが、しかしいまの農家の実態とか、あるいは今度は大きく世界的な面で、生糸を基礎とする工業というようなものを考えてまいりますと、いろいろなくふうというものができてくると思うのです。そういう点を無視して、大体もう斜陽産業であるからというふうに文部当局が考えて、こういうものの改廃を軽率に取り扱ったら、非常にこれは問題だと思うのです。  私は、ここでちょっと例をあげて申し上げれば、イタリアは、かつては養蚕をやっておりました。しかし、いまはやっておりません。だが、あそこの絹製品は世界的なものだということは大臣も御存じだと思うのです。それは染色とか、デザインとか、あるいは織り方にも問題があるでしょうが、そういう点に非常な進歩があって、養蚕はしないけれども、ほかの国から原糸を輸入してきて、そして絹織物としては世界的な地位を占めておるというように、イタリアあたりでは成功しているわけです。ところが日本では、養蚕国ではありましたけれども、生糸としてこれを売買することにいままで業者というものは関心を持っておって、それをさらに、染色とかその他の技術を改良する、振興するということでその仕事の開拓をはかるというようなことがおろそかになっておったわけですが、もしそういう点に政策的に考慮をするならば、日本は十分イタリア等に負けない絹製品の世界的な国になることができるのじゃないかと思います。しかしそういう配慮というものは、業者にはもちろんありません。しかし、せめてもこういう政治の面で考慮されるならば、私はもっと養蚕農家も安定するし、あるいは製糸業者も安定するだろうと思っておるのですが、残念ながらそういうものが見られずに、いままた一つ一つ、繊維学部というものがなくなっていく中で、そのまた基礎であります蚕糸教育課程というものが軽視をされる、こういうことを非常に私は残念に思うわけですが、このことについて教育の面から御考慮を願いたいと私は思っております。いまお聞きしますと、この問題は論議をされておる過程で、どうするということはないと言われておりますが、特に大臣の御見解がありましたらお聞きしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 小林さんの御質問は非常に大事な点だと私は思っております。と申しますのは、これからの新しい大学というものは、地域における個性のある大学というものを、これは地域住民の方も考えていただくし、また、その地域に設立されておる国立大学も——国立大学だから何も地域社会のことはそう考えなくてもよろしいというようなことがもしあるとするならば、それは今日の社会の変化に対して対応しないのじゃないだろうか。そしてまた、これからの大学というものは、やはりその研究の成果を地域に還元していくということが必要である。たとえばおたくの山梨大学に、かつて醸造研究所をつくったことがございます。その当時は、まだヨーロッパ的なワインというものができておらなかった。ところが、あの醸造研究所をつくりましたために、おたくの県を中心として、あのヨーロッパのワインに比肩できるようなワインもできるようになってきた。こういうようなことも考え合わせました場合に、信州大学における繊維学部、その中における工学的な面と、それからやはり何と申しましても養蚕系統の農学部系統のもの、これが一体になった形において、世界の需要供給等をにらみ合わせて、そしてやはり新しいものをつくり出していかなければならないのじゃないか、基礎的な研究というものを続けていかなければならないのじゃないか、また、教育もやっていかなければならないのじゃないか。そういう意味から考えまして、やはり私は、小林さんの御指摘のとおりな意味において、大学当局としても慎重にそういう地域産業との結びつき、あるいはその教育、及び研究の成果というものもその地域に還元するという意味合いにおいて考えていかれるべきではないかという考え方を実は私は持っておるわけでございます。でございますから、お尋ねの問題につきましても、私は慎重に取り扱うように指示をいたしておるところでございます。

小林信一日本社会党

○小林分科員 大臣が私の考えと同じような御意見を出されまして非常に力強く思うわけでありますが、しかし、大臣も大臣になりたてでありまして、山梨県のそういう醸造研究所というものが、大臣の御意図どおりにやっておるかどうかということについては疑問があると思うんですよ。もっとその地域の人たちに研究を開放するとか、ほんとうにその地域の仕事に溶け込んだものでなければならぬ。やはりそういう地域なんかとは接触なく、ただ醸造研究だけに満足しておるような現況ではないかと私は思うわけなんです。そこに勉強する生徒も、もし大臣がそういう考えでいれば、もろとその大学生と称する人たちにも、ばく然とした、資本家に提供するわれわれは人間疎外の学生であるというような考えは持たせずに、もっと自分の将来に見通しを持つことができたり、あるいは先ほど来もお話がありましたように、農村に継承者がないというふうな問題も、私はこういう面から解消できてくるのじゃないかと思うのですが、残念ながらそういう面に欠けておるところが非常にあると思うのです。特に私はこの際この問題については強調したいのですが、繭は一貫目でもって通常やっておりますが、昨年は三千円ぐらいしたのです。ところが一昨年は四千円いたしました。物価が上昇する中で千円くらい下がっておるんですよ。下がっておりましても、山梨県あたりの実例から申しますと、桃やブドウ、そういうものよりも、三千円でも農家は非常に助かっておるわけなんです。去年あたりの災害の非常に多かった山梨県等は、養蚕業で救われているような状態であります。したがって、この養蚕というものは、現在の農業の実態からすれば、従来養蚕地帯であったものは捨てることができない。そればかりでなくて、これは大臣もお聞き及びだと思うのですが、関西方面で養蚕県が相当たくさんふえてきておるのですよ。やはりこれは何らかまた養蚕に捨てがたいものが農村としてはあると思うのですね。そういう点を考えれば養蚕の技術、あるいはこの価格が、物価が上がるのに繭は下がるというような矛盾した現象というものも、教育面から考慮してもこれを救済することができると思うのです。ただ生糸を売買するだけにこの仕事が置かれておるのでなくて、もっとそれを加工する技術というふうなものが出て、その仕事が安定しておればこんなに浮動はしないと思うのですよ。そういう面にも私は教育行政の中で考慮をされるようにならなければ——文部行政というのはこれから象牙の塔であってはならない、そういう面に深く食い込んだ配慮というものがなければならぬと思うのです。この信州大学の繊維学部は、御承知だと思うのですが、上田高等蚕糸が吸収されておるものでありまして、当時日本の養蚕業というものはここが中心になって発展したわけなので、したがってこのものが吸収されておる大学とすれば、地域住民というものはこれに依存していろんな産業計画もなされておると思うのですよ。そういう中で蚕糸教育課程というものをほかへ持っていく。ところもあろうに東京農工大学へ持っていく。何かこれは便宜的に持っていけば持っていけないこともないと思うのですが、そういう地域の事情や歴史的なものが文部当局に考慮されないというふうなことになりますと、それはひいて地域あるいは未開発の産業の開発にならないだけでなくて、学生等も板についた勉強ができないという形になってくるのではないかと思うのです。  そこで、山梨県の大学の問題が出ましたからこれも御質問申し上げるのですが、経済学部を去年設置をしてくれるという傾向があったわけです。ところが去年は、これも大臣の耳に入れておいてもいいと思うのですが、前の前の文部大臣が参議院選挙を前にして、参議院選挙に立候補する候補者を連れていって、そして経済学部を設置するというふうな、そういう何かデモンストレーションをやろうとしたわけなんです。そうすると、やはり学生が、そういう意図をもって学校訪問をするような大臣には来てもらいたくないという態度をとったわけなんです。そうすると、それかどうか知りませんが、全学連的な行動をとる学生のあるところには学部は置かないということでもって、去年はだめになったということが伝わってきておるのですよ。ことしは、学生もあるいは父兄も教授も、そういうふうな落ち度がないように十分心して文部省にお願いをして、経済学部を設置してくれるようにお願いをしたのですが、ことしもだめになったそうであります。しかし、文部当局に聞いてみますと、山梨大学の経済学部というものは必要である、設置して十分その目的を達することができると、こういう意図であるというのですが、これがことしもだめになっておる。だいぶその地元等は文部省のそれとなく持ってくる要請というものにこたえて準備もしておるのですが、その設置されない理由というものをこの際聞かしていただけば一番いいと思うのですが……。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 これは予算折衝で大蔵大臣と折衝をいたしましたわけでございますが、私の方針といたしましては、一応東京大学とかあるいは京都大学というような、こういうところはいまちょうど紛争もいたしておりますし、こういうようなところでなくて、将来はやはり地方大学の個性ある大学をというような観点から、ことしはひとつ地方大学を充実するという形で学部を考えようという一つの考え方を実は持ったわけでございます。でございますけれども、結論といたしましては、地方大学ではございますけれども、また地元の方々の熱心な御要望等も私は承知をいたしておったわけでございますけれども、本年度におきましてはいま仰せのとおりのような結果になったわけでございます。それ以外にいろいろ何か理由というものは、私ば実は承知はいたしておりません。

小林信一日本社会党

○小林(信)分科員 その一つの理由として教授陣が不足しておる。これは山梨大学だけの問題でなくて、今度文部省が要請したのは四大学の学部があったと思うのですが、それらが一つも満足できなかったというのは、予算という問題よりも教授陣に不足を来たしておって学部設置が不可能だ、こういう意向も聞いたのですが、これは大学局長どうですか、そんな傾向があるのですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 国立大学で学部をつくります場合には、もちろん大学設置基準に照らしまして教授組織を整え、一方予算の要求をいたすわけでありまして、まあ両々相まって初めて学部ができるわけであります。したがって、私どもとしては教授組織も、これは大学設置委員会の判定を要するわけでありますが、事務的には成り立ち得ると考えたわけでありますけれども、むしろ一般的に、最近国の各組織を通じまして新しい部局の新設あるいは人を増加するということにつきましてきわめてきびしい方策がとられている関係もありまして、それからまた一般に大学志願者の増加に伴う増員計画も終わったというような情勢もありまして、財政的な観点、そういう観点合わせまして実現を見なかったというぐあいに承知しております。

小林信一日本社会党

○小林(信)分科員 大体事情はわかりました。しかし、一つ聞いていただきたいのば、御承知のように山梨県は京浜地区に隣接しておりまして、どっちかというと人間供給の県なんです。これという産業もありません。したがって、いかにして京浜地区へ出るかということが念願であるわけなんです。県としては非常に残念なことでありますが、そういう事情からやむを得ないわけです。したがって、外へ出すためにはできるだけ教育をしようとする。財政は豊かでないのですから、東京へ子供を出せば相当な金がかかって、いまの山梨県の農村事情からすればとても大きな負担になるわけなんです。もちろんその基礎として高等学校にも進学させなければならぬ。高等学校の進学率というのは、山梨県は非常に高いということは御承知だと思うのですが、決して山梨県にそういう人間が必要だからということでなく、山梨県にこれという生きる道がないからそういう準備をするわけなんです。そういう点からすれば、人間供給県というふうなものに一つの便宜を与えてもらって、一つはまた地域のいろいろな産業等の振興のためにも、私は、経済学部を設置することについては国が積極的にやってくれていいじゃないか、こう思うわけなんですが、ひとつそういう点を御考慮願って、来年ば実現できるようお願いしたいと思うのです。  以上で終わります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党

○沖本分科員 大臣もいてくださるわけですか。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 もし休ませていただけるなら、多少とも大臣に休養をとらしていただければ幸いに思います。

沖本泰幸公明党

○沖本分科員 まあ休みながら聞いておっていただいてもけっこうなんですが、文化庁長官におもにお伺いして、付属的に大臣から何か御意見を伺えるようでしたら、委員長のほうでお取り計らいいただきたいと思います。  非常に地域的にしぼりまして恐縮なんですが、昭和六十年を目ざして全国の開発計画と総合開発計画というものが政府のほうで立てられた草案の中にあるのですが、東京を中心にして、いろいろな経済、文化、情報、道路、こういうものを集めた一つの網を張ったわけですが、その中で大阪が札幌とか仙台とか広島と同じような、地方行政区域と同じような扱いになっている。こういう点について関西人が非常にがっかりしているというような点もあるわけです。こういう点は、やはり最近の大阪の果たす役割りというもの、これから中国との関係も改善され、ベトナムに平和が訪れてき、あるいはアジアの平和が確立されるごとに、大阪という地域の評価というものがだんだん高くなってくる。こういう点の文化というものは非常に高くなければならない、こういうことになるわけなんですが、大阪では文化が非常に育たない。文化不毛ということをよくいわれるわけなんです。現在も文化施設に恵まれていないのが関西の現状でございます。そういうところで、明治から文化の中心が東京のほうに参ってしまいまして、関西から離れた。終戦後、占領政策で、経済の中心も非常に東京に移り、そのためにまたよけい東京中心の政治経済という形になったので、関西がおくれて、経済の地盤沈下ということが盛んに危惧されていき、それと同時に、大阪の実際の地盤沈下も起き出してきて、問題になったわけです。こういうことで、地盤沈下は食いとめるというところまではやったのですが、経済の地盤沈下はなかなかとまらない。幸いに万国博が大阪で開催される、こういうことによって幾分かでもこの面に貢献してもらえる、こういうところで、大阪方面は相当意気込んでおるということになるわけですけれども、はたしてこれが文化面にどのくらい立献してくれるかということになるわけです。  ちょうどこういうときにあたりまして、大臣についでにお伺いしておきたいのですが、大阪はいにしえから文化の中心ではあったわけです。ところが、いまは文化のほど遠い地域にされているわけなんですが、東京中心にいわゆる文化が片寄りすぎていないか、こういうふうに見る向きもあるのですが、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私は大阪をあんまりよく知りませんので、あるいは間違っているかと思いますけれども、やはり芸術、文化というものは、むしろ民間の意欲的な活動ということが真の文化活動だというふうに私は思います。その意味から申しますと、やはり大阪というものは非常に文化活動の旺盛なところであるというふうに思うのでございまして、私の乏しい知識から申しましても、まだ行ったことはございませんけれども、フェスティバルホールでございますか、新しいものができていて、そしてむしろ大阪を中心として諸外国のいろいろなオーケストラとか何かがどんどん入ってきて、そのおかげで東京でもまた開催されるというようなことで、相当意欲的だというふうに考えておるわけでございます。ただ、国の施設としてのそういうものは、あるいは欠けておるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、やはり地方は何といいましても、民間的な芸術活動あるいは文化活動というものが基礎にあって初めて成り立つものであるというふうに思います。しかし、仰せのとおりに、国としてのいろいろな施設を御希望になるということも、私といたしましては十分考慮を払わなければならない問題だと考えておるような次第でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本分科員 明治の話をしては悪いですが、明治以来、教育、文化がほとんど東京に移った。それから東京では教育施設、文化施設はずっと長い年月をかけて育ててきた。ところが、関西はいわゆる商業、工業の中心になってきて、そこに大臣が指摘されました局間の文化に対する熱意というような形が残ったわけでして、したがいまして、明治にできました中之島公会堂も株屋さんが寄付をして、その株屋さんは自殺をした。ただ一つこの公会堂が残っている。全くお寒い大阪の状態でございます。大阪市があとでつくった体育館も日本生命が寄付している。大阪市は二つとも施設を持っているわけですが、全く寄付にたよっている。府のほうが府立体育館を持っておる。それ以外に朝日がフェスティバルホールをつくったわけですが、これは民間施設であり、やっとこの間厚生年金会館が厚生年金の資金によってできた。これがやっと一つふえた。こういうことで、そのほかは、体育に対する施設もあるいは芸術に対する施設も、何もない。こういうことで、言ってみれば、東京都内は緑の陰がたくさんあるのですが、大阪へ行ってみると全く緑の姿は見えずに、いまのところは万博の関連事業で掘り返している。よけいたいへんな姿が見えるわけです。こういう点が大阪の将来性ということに対して一番大きな問題点になっている。こういう点も含めて、いにしえからのなごりであった文楽がだんだんと凋落を来たしてしまって、補助金をいただいてやっと露命をつないでおる、こういうふうな形になってしまったわけでございます。そういうわけで、国によるこういうふうな文化施設を何とかしてぜひとも関西につくってほしい、こういうようなことが大体声として最近出てきておるわけです。こういう面は大臣が耳に入れておいていただいて、今後のあり方として政治の中に十分生かしていただきたいわけです。  これからは文化庁長官にいろいろと御返事もしていただきたいが、大臣がここだけはやっておこうというお考えがあったらかまいませんですけれども……。  そこでお伺いしたいことは、国立劇場を東京でおつくりになったわけです。そのときの附帯決議で、いままでは古典ものばかりである、だからこれからは近代もの、現代もの、そういうものをすべてまかなえるような第二国立劇場をつくるようにという附帯決議がついて、それに対する準備、’調査というふうな形でいま進められておるわけですけれども、この国立第二劇場を大阪へ、とは言わないけれども、近畿、関西に持ってきてもらいたいという声が財界からも起きているわけです。そういう点について、そういうお考えがあるかないか、こういう点をお伺いしたいわけです。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 私から、従来の経過その他につきまして、まず御説明を申し上げたいと思います。  御指摘の国立劇場法案が衆議院の文教委員会で可決されました昭和四十一年の四月十五日に文教委員会の附帯決議がございます。その一つの項目といたしまして「政府は、伝統芸能以外の芸能の振興を図るため、施設その他につき、必要な措置を講ずべきである。」こういう御決議がございました。ここで「施設その他につき、」というまず「その他」の点でございますが、これはお伺いするところによりますと、これは施設以外の現代芸能を振興させるための助成策、こういうものを大いにやれ、こういう御趣旨かと伺っておるわけでございます。こういうものにつきましては芸術関係団体に対する補助の強化ということで、当時からいたしますると約一億円くらいの現代芸能関係の費用が出ておるわけでございます。増加を見ておるわけでございます。そういうようにいたしまして、新しい芸能の振興に力をいたしておるわけでございます。それから第二の——第二と申しますか、その「施設」の点は、いわゆる現代芸能の公開を主とするところのいわゆる第二国立劇場、こういうものの問題につきましてはその当時から引き続き検討いたしておるわけでございまして、現在も、また将来につきましても、文化庁といたしましては前向きにひとつ十分検討をいたしたい。現在のところでは内々の調査でございますが、そういうことでいろいろ検討を進めておるということでございます。  それから第二の、大阪のほうでの御意向でございますが、これは昨年の九月、大阪商工会議所から文書をもちまして文部大臣あて、大阪に大阪総合文化会館を設置いたしたい。その内容を見てみますると、大阪で最大の収容能力を持つ文化ホール施設というのがございまして、その第二番目として「国立劇場の付設」というようなふうに書かれておるわけでございます。したがいまして、そういう大阪の大阪商工会議所を中心といたしまするお考えのことは、なおまたおりを見ましてよくお伺いしました上で十分検討させていただきたい、かように考えているところでございます。  なお、一般的に地方の文化を振興するその拠点といたしまして、地方で県民会館とか文化会館とか、こういう施設をおつくりになる場合におきましては、国において一カ所千五百万円の補助をするということで、来年度の予算におきましてはその五カ所分の七千五百万円というものを計上いたして御審議をお願いしておる、こういうような状況でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本分科員 ある雑誌の中にもいろいろな座談が出ておったわけですが、その中で、東京中心にものを考えて、日本のような帯のように長いものを見るのに一眼レフで見ている。写真をとるには一眼レフではとれなくて、二眼レフでなければとれないのだ、そういうところに大阪を見落とす面があるのじゃないか、こういう話も出て、最近大阪で二眼レフという話が盛んに行なわれておるわけです。そういう関係であり、新幹線も将来日本をすべてずっと貫通していくようなことになり、大阪の果たす役割りあるいは万博中心に将来の大阪という面もいろいろあるわけでもありますし、また太平洋ベルト地帯としての大阪の果たす役割りということは、東京圏あるいは中京圏あるいは近畿圏、こういう一つの大きなネットが存在する、そういうところの人口集中比率というものを考えても、これは当然のことだと私は考えるわけです。  すでに、同じような国が施策を講じていただくというものの中に、たとえていうなら、厚生年金会館の一つの例があるわけですが、初め話が起きておって、大阪市のほうが小学校の焼けあとと公園とを合わせて用地だけは準備しておったわけです。ところが途中から厚生省のほうで話が変わってきて、西宮のほうに厚生年金会館を建てるというような話になってしまって、大阪市と大阪府があわてて厚生省のほうに日参して交渉して、やっともとの話に話を戻して厚生年金会館をつくるようになった。そのときの第一候補地は東京で、東京の新宿に厚生年金会館ができて、それで二番目の厚生年金会館は地方都市につくる、こういうふうな趣旨で問題があったわけです。それが話が行き違いになるととんでもないところに持っていってしまう。こういうふうな、国のやり方によってはずいぶん違ってくるということになるわけです。そういうところで二眼レフというような話が持ち上がったのだと思うのですが、そういうことで、どうしても東京に次ぐ大きな人口をかかえ、将来は流通機構あるいはその他の問題として大きな役割りを果たす関西、近畿あるいは大阪に二番目の国立劇場を建ててもらいたい、こういう要望を通していただきたい、こういうふうに考えるわけですが、文化庁長官はどういうふうにお考えでしょうか。

今日出海文化庁長官

○今政府委員 御趣旨ははなはだよくわかるのでありますが、私は、文化は中央集権であってはならないという考えで、就任の当時から地方文化というものの振興を第一番にうたっておりまして、現在も地方文化の振興ということを盛んに主張し、鼓吹しているのでありますが、ただいまのお話のように、大阪は単なる地方ではなくなったとおっしゃいました。まことに大都市でございますが、私は同じように、それでは東京が明治以来江戸芸術というものを残して、それを東京の文化の先端に置いているかというと全く違うのでありまして、それと同じように、大阪におきましては徳川時代から明治を通じた大阪の芸能というものは全く衰微しておりますが、しかし東京でもこの芝居は半分は上方の芝居をやっている。早い話が、江戸っ子ばかりの芝居の中に世話物を入れるときには、わざわざ上方弁を学んで四分どおり入れている、入れなければ世話にならない。こういう伝統があるにかかわりませず、大阪の本場の芸能が日に日に衰えて、近松の伝統、西鶴の伝統いまいずこというような状態にあることを私ははなはだ嘆いているのでありまして、むろん国を思う大阪の文化と、またあの都市の膨大さ、活力を見ますと、大阪は決してゆるがせにできないし、してはならないということを私は思っておりますが、また同時に、大阪の方々が大阪の伝統を守り育てていただきたい。もっと盛んにわれわれも東京の伝統のくずれ去っているものを掘り出していきたい、そうしてもっと守り育てていきたい、現代にマッチさせていきたい。こういうように、東京も大阪も両々相まって私はやっていきたいというように考えております。したがいまして、第二劇場というようなものは、これはどのように予算化し、どのように企画化していくかということにつきましては、私は他の官庁とも連絡をし、またいろいろと相談をしなければなりませんけれども、これも一つの案であって、非常におもしろい案で、第二、第三、第四の国立劇場が日本に建っていくということが望ましいのではないかと思っております。

沖本泰幸公明党

○沖本分科員 いまの御答弁を聞いておりまして、ちょっと今長官らしからぬお答えだ、こういうふうに考えるわけですが、いまのお話の中で、上方芸能の世話物のところをわざわざ上方弁を入れて、東京のお芝居の中でやる、こうおっしゃるのですが、いま長官がお話しになっていらっしゃる場所は政治の場所でございます。ですから、それは上方のそういう伝統の文化というものを、関西の人間が育てるべきだ、こうおっしゃるのですが、それは文化庁長官がおやりになる場所ではないのでしょうか。あなたのほうでどんどんPRして、関西人にそういう点を徹底なすっていって、そういうものをお育てになっていただくことが、あなたのお立ちになっているお立場ではないか、こういうように私は考えるわけです。私が言いたいのは、政治の場所に上方の世話物を入れてほしいわけです。それをお願いしているわけなんです。  それでは大蔵省の主計局の担当官いらっしゃったらひとつ……。

藤井直樹大蔵省主計局主計官

○藤井説明員 いまの芸術文化の予算の中には、地方芸術文化ということで、毎年相当な配慮をしてやっておりますので、その一環として、これからもいまの第二国立劇場というか、お話はいま伺ったのでございますけれども、そういうものはこれから十分検討さしていただくことにいたしまして、現在の地方芸術文化というものの予算のほうで配慮していきたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本分科員 何か要領を得ないのですが……。これから将来の話しになるわけで、当然お答えは十分なものをいただけないと思うのですが、先ほどからのお話にも出ておりますように、やはり一眼レフになっている、こういうふうに考えるわけなんです。こういうところで大臣のほうもひとつ二眼レフで考えていただいて、政治の場所で関西の芸術あるいは芸能、そういう文化の面もうんと残していく。また先ほど申し上げましたとおりに、必ずアジアの平和が将来は訪れるわけですから、訪れてきますと、大阪あるいは西日本の果たす役割りというのは、直接東南アジアにつながってまいるということになりますれば、当然そこにそれだけのものがなければならない、こういうことになるわけです。そういう面もかまえまして、やはり国立劇場をつくっていただいて、そこに上方の、関西がいままで古くから育ててきたものも集めるし、それから、あるいは現代あるいは近代的なものも上演できるようなものも十分考えていただく。関西の人間はがめついとよく一般にいわれるわけです。ですから、花よりだんごで、食い道楽のほうに発達しているので、こういう面は非常に少ないという点を、今長官はおっしゃったのではないか、こう思うわけですけれども、そのとおりに、こういう施設的なものに非常に恵まれていないということが、やはり文楽を凋落させていった、芸術をおくれさせていったという一つの面でもありますし、関西で芸術団体が育っていないという現実もここにもあるわけです。そういう点も、ひとつ踏まえていただいて、将来に向かって十分お考えを願いたい、こう思うのですが、もう一度大臣から。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私もやはり大阪は東京と同じような意味において、ある程度の国としての施設があってほしいというふうに思います。幸い万博が行なわれますから、その機会をとらえて民間の方々も、それから政治家の方々も、あるいは府知事あるいは市長さん等々もひとつお話し合いの上、われわれも及ばずながら努力してまいりたい、かように考えております。  先ほど次長から答弁をいたしました国立劇場設置の際でございますけれども、私は、あの国立劇場設置の際、非常に意欲的に取り組んだ一人でございます。久保田万太郎さんなんかと一緒になってやったのを記憶いたしておりまして、実を申しますと、ただいまできております、あの国立劇場に近代的なものを付置すべきであるというような気持ちでやったわけでございますが、残念ながら敷地が少し狭くなってしまったものでございますから、しかもいまの高速道路が通るというようなこともございまして、そのとき、たしか高さの制限がございまして、オペラなんかはやれないということもわかりまして、予算の点もありまして、結局いまのようなことになったわけでございますけれども、仰せのことにつきましては、十分私といたしましては一眼レフでなく、二眼レフで立体的に考えていかなければならぬ。それからまた、文化庁長官がお話しになりましたように、やはり文化というものを、むしろ享受していない、あるいはテレビその他の視聴覚を通じて、ある程度その文化の流れというものが地方にもいっておりますけれども、同時に生きた、直接目で見、はだで感ずる、そういう上演される本格的なものを、やはり地方にも育てていくという文化庁長官のお考えも、また私、深く同感するところでありまして、両々相まちまして日本の文化国家にふさわしい一つの文化行政をやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本分科員 万博のついでということなのですが、万博の会場を利用したり、施設のあと地利用というような話から出てくるものは、もっとほかの話が出まして、国立劇場ということになると、やはり都市の中心部に近いところ、皆が交通のしやすい場所、こういうふうな面が非常に要求されますので、いろいろ考えてみたのですが、万博の場所では、少し場所的にむずかしいのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。そういうことで四十四年度の予算の中には組み込まれていただけないと思いますけれども、ぜひとも近い間に組み込んで、大阪のほうにつくっていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わりにいたします。どうもありがとうございました。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 折小野良一君。

折小野良一民主社会党

○折小野分科員 現在文部省におきましては、大臣をはじめとして大学問題に非常に御心労になっておることだと考えております。ところで最近、某大学の入学試験を受けた学生の話をちょっと聞きますと、その入学試験の試験場も、もちろんその大学は、現在紛争が続いておりますので、いろいろな面で行き届かなかったのだというふうに考えますが、多くの受験者にとりましては、今日まで非常に期待をして大学の試験を受けた、その一番最初の試験場におきまして、学生のイメージは完全にこわれてしまった、もう試験を受けるときから、大学に入るということに対する幻滅を感じてしまった、こういうことでございます。また大学に入りましても、まず大学に入って教養課程を学ぶわけでございますが、そこで第一大学の勉強がおもしろくない、そこでも大学に対する大きな幻滅を感ずる、こういうようなところに今日の大学問題の一つの基本的な問題があるのではないかというふうに考えるわけでございます。  今日、大学問題を紛争の面からいろいろとらえられておるわけでございますが、大学の学校当局におきましても、また世間においても、大学問題を一部の暴走学生を中心にした紛争だけに目が向いておりまして、あるいはそういう学生だけに振り回されておりまして、一般の大学生、こういうものに対する考え方というのが案外抜けておるんじゃなかろうか、こういうふうに考えます。しかし今後の大学の改革につきましては、すべての学生を中心にして考えてまいらなければならないわけでございますし、もちろん現在、文部省におかれても、中教審の答申をまっていろいろな改革案をやっていこう、こういうふうな御意図であるように伺っておるわけでございますが、こういう状態の中で、今後の大学というものを改革していこう、こういう立場におきまして、具体的な問題は、大臣からはいろいろお話しにくい、こういう面はあろうと思いますが、お気持ちとして、感じとして、大体どういうふうな大学にしよう、あるいはどういうふうな大学であってほしい、こういうふうにお考えになっておりますところを、ひとつお気持ちだけをお知らせいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いま冒頭にお述べになりましたところは、私、まことに同感でございまして、実は紛争だけに目を奪われて問題の本質というものを見誤る、そういう傾向があるのではないかと思うのでございます。むしろ、われわれといたしましては、やはりほんとうに大学で勉強しよう、教育を受けよう、そして学問をしようという、そういう多数の人たちの立場に立って、一体大学当局は、これをどう受けとめるべきであるかということ、そしてまた今日、社会の変化に対しまして、大学というものは、どうなくてはならないかという形においてこれを受けとめなければならない、考えなければならない、一部学生だけを責めても解決するものではない、また、管理運営の面について欠くるところのある大学当局だけを責めても、それで解決するものではない、もっともっと深い原因というものを、ほんとうに冷徹な気持ちで認識をしまして、そしてこれからの国民のための大学のあるべき姿というものを、謙虚に、そして相当時間をかけまして、そして各党の御意見等も承り、あるいは中教審においても、いろいろの意見を聞きながら答申を出していただきたい、こういうふうな気持ちでおるわけでございますが、国の大学と申しましても、一体そういう大学はどういう大学かと申しましても、一口には申し上げられないわけでございますが、しかしどうも従来の大学というものは、昔の旧帝国大学の理念がまだ大学当局の多数の教授の頭の中にあったのではないだろうか。でございますから、むしろ世の中と隔絶して学問研究をしていれば、それで足りるというような感じがいたすわけでございますが、そういうところが、たとえば一学部の学部自治であって、学部閉鎖主義であって、全学的意思の決定というものができないというようなところにも問題があるようでございますが、これからは、やはり大学自治と申しましても、私どもとしては、大学自治というものを尊重する立場にあるわけでございますけれども、同時に、特に国立大学においては、国民の意志の反映された大学自治ということを考えていただかなければならない。その意味合いにおいて、今日横行しておりまする暴力というものは、三派であれ民青であれその他一般学生であれ、そういう暴力というものを許すべきものではないのだというき然たる態度は、やはり大学教授に、あるいは管理者たる学長及びその執行部になければならないのではないかと思います。  それからまた、とやかくいろいろ問題がございますけれども、産学協同というような問題を考えてみましても、やはり大学自身が基礎的な研究というもののその成果というものを社会に還元していく作用、機能というものを、これからの大学は持つべきである、そういうことから考えるならば、ことばは産学協同であるか、あるいは学産協同であるか協力であるか、それはとにかくといたしまして、やはり社会の、企業その他の動き、あるいは研究というものと関連を持ち、その基礎的部分は、あくまでも大学において行なわれる、そうしてその研究というものの成果を社会一般に還元する、ただし、大学は一企業のために奉仕するものであってはならない、また社会及び企業というものは、大学に対して、やはりそういうことを求むべきではないのであって、社会的、一般的要請を大学に求むべきである、また大学当局も、もう産学協同はだめなんだ、こういうことではなく、窓を開き、門を開いて、積極的にそういうような社会的責任というものを果たしていただかなければならないのではないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。  ビッグサイエンス時代になりまして、これくらい科学技術の進歩いたしましたこのことについて目をおおうようなことであっては、基礎研究それ自体も、あるいは学問の研究それ自体も鎮静していかざるを得ないのではないか。そうなると、はたしてこれから先、世界の中の日本として世界的ないわゆる学問の水準を維持し、発展させていくというための大学の存在意義というものは低下してくる、かように考えるわけでございまして、やはり国民のために開放される大学ということが必要である、こういうふうに思うわけでございます。  また、今後レジャーはだんだん多くなってまいると思います。労働時間も四十八時間からだんだん少なくなっていくと思いますが、人間の欲望は、また単に娯楽とか旅行するとかボーリングとかあるいはカーを乗り回すとか、そういうことにもうあきてしまって、むしろ内面充実という面にくると思います。つまり生涯教育の形にくる、そういう意味合いにおいて、大学というものがソーシャルインスティチュートとしての働きを持つべきであるし、そういうものを提供するような大学であってほしい、こういうふうにも思います。また地方の大学においては、個性ある大学というものを育成していくということが一つの方法かと、かように考えるわけでございます。  また、今日のような科学技術の進歩によりますと、もう単に大学を出たからといっても、もう追いつかない、もう一ぺん大学で研究しなければならぬ、企業の中で研究しておっても、もう一ぺん基礎的な研究をやらなければいけない、そういう時代になったわけでございまして、むしろ再教育機関としての大学という役目も出てくるのではないか、そういういろいろな将来のことを考えながら慎重に検討している、中教審においても御検討を願っているという段階だと私は承知をいたしているわけでございます。

折小野良一民主社会党

○折小野分科員 大学の改革の問題は、ただいま大臣がおっしゃったような各方面にわたっていろいろ問題も多いと思っております。私は、一言で言いますならば、学問を通じて理想を追求し、青年の夢を育てるような、そういう大学像というものをひとつ描いていただきたい、かように考えるわけでございますが、その大学の一つ前の段階において、すなわち高校の段階におきまして、最近やはり全学連、そういうような立場の一部の生徒たちが卒業式をボイコットする、あるいは卒業式を封鎖する、あるいはある学校におきましては生徒が卒業式で読み上げる答辞を印刷して配らなければ不測の事態が憂慮される、こういうような状態が出てまいっておるわけであります。現在の高校の実態につきましては、申し上げるまでもないわけでございますが、特に予備校化しておるというようなところにも一つの大きな問題があろうというふうに考えております。この高校の問題は直接はそれぞれの都道府県の教育委員会の問題であろうというふうに考えておりますが、文部大臣としてこの大学の一つ前の高校の段階におけるこのような情勢に対してどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 大学に入りますまでの高校教育というものは、やはり全人的な教育と申しますか、古いことばて恐縮でございますけれども、知情意とかあるいは特性とか情緒とかあるいは秩序を守るとか、自分のことは自分で責任を持ってやるとか、そういう自律的人間形成という一つの教育の場であるというふうに思いますけれども、いろいろな原因からそれが失われておる。大学に入ります学生そのものが精神状態は非常にアンバランスである。肉体はあるいは欲望はおとなになっておるけれども、精神状態は非常に幼稚であるというようなことも言えるかと思うわけでございますが、その原因は高等学校教育それ自体にあるかと思います。しかしてその高等学校教育を乱しておるものの一つの大きい原因は、ただいま行なわれんとしております大学入学試験のやり方そのものにあるのじゃなかろうか。短期の、非常に短い時間で大量の人を選抜するということは、これは非常にむずかしいことかもしれませんけれども、もう少したとえば高等学校三年間の成績評価というものを重視して、これをくみ取るようなやり方で試験をやられるとか、あるいはものを考えるとか思索をするとかいうような、昔われわれが受けましたような作文教育というようなものもその試験の中に入れるというようなことでございますと、だいぶ高校教育というものの弊害がなくなるのではなかろうか、かように考えておるわけでございまして、今度の機会にやはり入学試験制度と、またこれに対する大学側の受けとめ方ということを大学自身も真剣にお考えいただかなければならぬのではなかろうかというふうに思うわけでございます。たとえば慶応大学等においては、高校三年間の成績評価Aというものを採用されて、たしか工学部だったと思いますけれども、その結果は非常にいいということも聞いておるわけでございまして、そういうようなことが今後国立大学においてもあるいは私立大学においても採用されるということになりますと、この高校教育あるいはそれまでの中学、小学校の教育までも非常に変わってくるのじゃないかというふうに考えております。

折小野良一民主社会党

○折小野分科員 次に義務教育の段階でございます。実は私の郷里あたりにおきまして最近いわゆる教育の正常化問題、こういうのが出ておるのであります。教育の正常化といいますとちょっとことばが変なのでありますが、その内容は、義務教育の学校の先生方がいろいろな形で日教組を中心にしていわゆる闘争その他の行為が行なわれる、それが子供たちの父兄あるいはその地域の一般の人たちとの間にいろいろな対立あるいは相互の不信感、こういうものを生み、したがって正常でない、いまわしい教育環境というものをつくってしまっている。そういう中において、そしてまた、そういう状況を見ながら勉強をしておる子供たち、これがはたしてどういうふうになっていくであろうか。もちろん子供たちがこういうものを見ますといろいろな形において教えられるわけであります。これはいい意味においても悪い意味においても、やはり教えられるということがあるわけであります。それがはたして子供たちに対してどういうような影響を与えるであろうか。こういうような面から現在教育正常化の問題というのが取り上げられておるのであります。こういうような実態は、何も私どもの郷里だけに限ったことではなくて、その他の地域においてもやはり大なり小なりあると思うのでありますから、こういうような問題についての大臣あるいは文部省としてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私はやはり教育というものは非常に大事である。しかも大事という意味が、現場の先生お一人お一人の行為、行動というものが非常に子供たちに響影を及ぼすということ、非常に古いようなことを申して恐縮でございますけれども、昔から教師と生徒との人間関係あるいは師弟関係というような、そういう人格と人格との触れ合いというものこそ教育の真髄であり、小中学校の、まあ白紙の状況にある子供たちには非常な影響を及ぼすものであって、大学教授というものは、あるいはもう大学に入りますならばそういう専門教育というものを主体として学問研究を通じて教育もし、そして研究もするという形でございますが、小中学校の場合は特に人間対人間という関係というものが非常に大事だ。その意味において常に先生というものはみずからの行為行動というものを反省をする謙虚さということがなければ、私はほんとうの意味の教育というものは行なわれないと思うわけでございます。過去のことを振り返ってみましても、確かに不正常な状況がありまして、そうして政府と対立せざるを得ないような状況になって、あるいは授業放棄とかなんとかいうようなことをまのあたりに見、そしてその経験を持った人たちが、昭和二十一年に生まれた人たちがいま大学院の二年くらいでございますから、ちょうどいま大学に入っておりまする大学院の二年から学部の一年生、その間の人たちが、そういう文部省とあるいは日教組との対立の中において最も長い時間を経過してきた人たちである。こういう意味から考えますと、一面においては被害者でもあり得る。しかもそれに加えまして、その人たちは中学校に行ったならばすし詰め教室、また高等学校に行くならばすし詰め教室、そしてまた激甚な競争、友情をあたため合うということもない。こういうような状況は、私は真の教育環境ではないのであって、御指摘の点はまことに私もそういうふうに思うわけでございまして、いろいろな制度の問題も大事でございますけれども、もっと大事なことは、現場の先生がやはりこの点は教師としての自覚と、そしてあるべき姿というものを持って教育にあたっていただきたい。まあ大部分の方々は、おそらくそうだと私は信じております。しかしながら、一部には御指摘のような点があるということはいなめないと思うわけでございまして、文教行政をあずかる者といたしまして、十分その点不正常な状況にならないように先生方にもお願いをいたしたい、かように思っておる次第でございます。

折小野良一民主社会党

○折小野分科員 ただいま義務教育から大学まで一とおりお話をお伺いをいたしましたのですが、今日の教育界のこういうような状況を、人によりますと、わが国の教育界の最近二十年の総決算がここにあらわれておるのだ、こういうふうな言い方をいたします。しかし大臣もおっしゃったように、教育という問題は非常に重要な問題でございます。したがって、この際いろいろな面から十分に検討をされまして、そしてその上で勇断を持って改革を行なう、こういうことが特に大切なことじゃなかろうかというふうに考えますので、その点は大臣に特にお願いを申し上げておきまして、時間の関係もございますので、あと一、二その他の問題について御質問を申し上げます。  義務教育施設の補助の問題でございますが、学校をつくる場合に、鉄筋でつくるか、あるいは鉄骨でつくるか、木造でつくるか、いろいろあるわけでございます。これにつきましては、毎年毎年一応の比率というものがあって、私はいい方向へ向いてきつつある、こういうふうに考えるわけでございますが、えてして木造の校舎は僻地に建てられる。そうでなくとも僻地の子供たちは、いろいろな面で都会の子供たちに対してコンプレックスを持っております。最近は僻地教育というものもいろいろな面で重要視してきていただいておるのでありますが、しかし学校を建てる場合に、木造の建物は相変わらず僻地に建てられる、こういうことが、子供たちのコンプレックスをつくっていく上に大いに——おかしな言い方ですが、役立っておる、こういうようなことだと思うのでございます。僻地教育というもののほんとうの効果をあげるということからいきますと、こういうような面の配慮というものも必要なことじゃなかろうかというふうに考えます。したがって、こういう点について、今後、文部省として行政運営上どのように考えておいでになるか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 僻地におきましては、現在木造の校舎が非常に多い、また新しく建てるものにつきましても、木造のものが多いというふうな現状は、御指摘のとおりだと思いますが、文部省といたしましては、別に補助のワクをきめてやっておるわけではございませんで、市町村で、鉄筋で建てたい、あるいは鉄骨で建てたい、そういう御要望がございました場合には、そのとおりにいたしておる次第でございます。来年度の予算につきましても、九四%までか鉄筋、鉄骨というふうな計画で、一応予算の要求を今国会にお願いしておるわけでございます。

折小野良一民主社会党

○折小野分科員 鉄筋であるからいい、木造であるから悪いというわけじゃ決してございません。しかし、ただいまの御答弁でもお認めのように、いなかに行くほど木造の学校が多いわけでございまして、そういう点から、必然的に子供たちは僻地のコンプレックスをいやが上にも高めていく、こういうような傾向になっておるわけであります。したがって、できるだけそういう僻地に対しましては、あたたかい思いやりを持って十分考慮していただいて、そうしてほんとうの意味の僻地教育の効果というものをあげていただくように、今後の配慮その他を特にお願いをいたしておきたい、かように考えます。  そこで、次に養護学校の問題でございます。最近養護学校もだんだん整備されてきつつあるのでございますが、しかし現実に養護学校に入らなければならない子供の数に比較いたしまして、その施設は必ずしも十分であるというわけにはまいらないのであります。特に私が申し上げたいのは、そのうち肢体不自由児の教育をいたします養護学校におきまして、やはり肢体不自由児というものの実態に即した教育あるいは制度というものを整備していただく必要があるのじゃなかろうか、もちろん文部省は学校教育を中心にして考えられますので、まず小学校、中学校の義務教育を何とかやろう、その次には高等学校、こういうふうに考えられるのは、その立場上一応自然のことかというふうに考えます。しかし、肢体不自由児等の実態を見てまいりますと、できるだけからだが固まらない間にいろいろな訓練を行なうということが、その子供たちにとって非常に大切なことなんであります。したがって、むしろそういう意味の養護学校におきましては、高校をつくること、もちろん大切なことでございます。そしてまたそういう面で職業訓練その他をやること、もちろん大切なことでございます。しかし、幼稚部というものについてもっと御考慮になる必要があるのじゃなかろうか。できるだけ若い時期に、からだが固まらない時期に、いろいろな訓練をする効果というものは非常に大きいのであります。また特殊学級等におきましても、肢体不自由児関係の特殊学級というのはあまり普及いたしておりません。しかし、やはりそういうようなもので、できるだけ小さいころ、若い時代に訓練をしながら勉強させる、これがその子供たちにとって非常に大きな効果があらわれるわけでござます。そういうような意味におきまして、特に養護学校における幼稚部の設置というものに対して、積極的に御配慮を願いたいというふうに考えるわけでございますが、御意見をお聞かせいただきたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 先生のおっしゃるとおりだと私は思います。したがいまして、私は就任早々まず、大学問題もさることながら、文教行政の谷間は、何と申しましても特殊教育だということで、鋭意努力を傾けてまいっておるわけでございます。したがいまして、中央教育審議会の中にも、その方面の方がいらっしゃいませんでしたから、特に私は特殊教育担当の委員の任命をお願いをいたして、実現をしておるわけでございますが、これからひとつ中教審においても、特殊教育の部面についてひとつ十分検討をしてもらいたい、かように考えておるわけでございます。  それからいまお話しの肢体不自由児の問題でございますけれども、仰せのとおりに、早期にこれをやるということが本人のために非常にいいので、おくれてしまったら手がつかない、しかし早ければ助かったというようなケースは、諸外国の例等も考えまするとずいぶんあるかと思うのでございます。そういうような意味合いにおきまして、私はこれからこの方面についてひとつ十分考えてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。たとえばろうの方でございましても、たしか大嶋先生のろう学校は、三歳児でございましたか、四歳児でございましたか、そういう小さい子供たちを教育をするということによって、その成果を得ておられるようでございます。この点につきまして、私は今後この文教行政の谷間にひとつ光を与えてまいりたい、かように考えております。  その一つのあらわれといたしまして、実は二年間検討いたしました結果、今回心身障害児のいわば特殊教育の総合センターというものを、今度の予算で一応やることに踏み切ったわけでございまして、単に教育的部面だけではなくて、心理学的、社会学的あるいは精神衛生、そういった医学的な、学問的、総合的なことをやりますと同時に、実際的に子供を収容して、そして教育の方法あるいはまた職業にどうやってつかせるかというようなことも、この研究所を通じて成果を得たい、その成果でもって、これをまた全国に普及させるというようなことも考えておるわけでございまして、その中にももちろんこの肢体不自由児の問題も含むことになっておることを、ひとつ御了承をいただきたいと思います。  また、 いろいろわからぬところの点については、局長から御答弁を申し上げることにしたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 大臣の御答弁に事務的に補足いたします。  お尋ねの、肢体不自由児の早期教育のための幼稚部の設置ということでございますが、実は先ほど大臣からもお話がございましたが、まず昭和三十七年から、ろう学校の幼稚部からその設置を奨励してまいりましたが、来年度から、お尋ねの肢体不自由児も含めまして、二十五学級ずつの学級を増設してまいりたい、施設費の補助はもちろんですが、設備費——わずかではございますが補助して、幼稚部を今後大いに増設してまいりたいという計画でおります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)主査代理 これにて昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算中、文部省所管に関する質疑は終了いたしました。  明二十八日は、午前十時より開会し、裁判所所管予算を議題とし、質疑を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時五十一分散会

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