予算委員会第一分科会 第3号
- 発言数
- 647 件
- 登壇者
- 51 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/02/26
会議録
○臼井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和四十四年度一般会計予算中、内閣、防衛庁及び経済企画庁を除く総理府所管予算を議題とし、質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。楢崎弥之助君。
○楢崎分科員 私は、昨年の予算委員会で取り上げました催涙ガスの問題について、引き続き質問いたしたいと思います。 最近の大学紛争に関係をして、催涙ガスがまた問題になっておるところであります。そこで、時間も限られておりますから、答弁のほうもひとつ要領よく、簡潔にお願いしたいと思います。 資料として、私は、催涙ガス筒発射銃はどういうものであるか、そのガス弾と一緒に御提出をいただきたいという要望を出しておったわけですが、そのことはどうなっておるのでございましょうか。
○川島(広)政府委員 楢崎委員から御要望がございましたのですが、催涙ガス筒の発射銃等につきましては、それぞれ部隊に配備しておりますので、きょうは写真で持ってまいりました。後ほどごらん願いたいと思います。
○楢崎分科員 いまその写真をお願いいたします。 そこで、警察は、この催涙ガス銃はいつ開発をされて、いつから実戦に使われるようになられたのですか。
○川島(広)政府委員 お答えいたします。 ガス銃につきましては、現在警察が持っておりますのは二種類ございまして、スモーク型とパウダー型とございます。在来は手投げでやっておったわけでございますが、非常に遠隔規制をいたすためにこの種の銃を開発してまいったわけでございます。実際に開発いたしましたのは昭和二十九年ごろから使っておりますけれども、現在持っておりますのは千五百丁ぐらい警察として保有しております。
○楢崎分科員 略してガス銃は、二十九年ごろから使われておる。実際にという意味ですか。実際に使われたのはいつですか。
○川島(広)政府委員 装備しましたのは二十九年ごろからやっておりますが、実際に使ったのは三十年、実績は、はっきり日にちはわかりませんが、三十年ごろから実際に使用している、こういうことであります。
○楢崎分科員 これに対しての使用の際の順守事項なり、あるいは配慮事項等は、文書としてあるのでございますか。
○川島(広)政府委員 このガスの器具の取り扱いあるいは使用につきましては、現在警察庁訓令として規定がございます。これは先生も御案内のとおりに、先般の国会におきましてもお答え申し上げましたように、内容といたしましては、順守事項といたしまして、ガス銃を使いますのは部隊行動として使うのが原則でございます。 〔主査退席、橋本(龍)主査代理着席〕 したがって現場におきましては、部隊指揮官の指示によって使う。しかし緊急いとまのない場合、こういう場合には個人で使用する場合もございますけれども、原則としては部隊の指揮官の指示に従って使う、こういうことになっております。
○楢崎分科員 そのうち、特にガス銃の使用については、射角を三十度で撃つ、そうして相手方との距離が近いときには射角をさらに大きくして撃つこと、至近距離からの発射は行なわないこと、こういう指導がなされておるように聞いておりますが、そのとおりでありますか。
○川島(広)政府委員 お尋ねのとおりでございます。
○楢崎分科員 去る一月十八、十九両日の東大構内における紛争において、非常にたくさんの被害者が出ておるわけです。それで、その両日におけるガス銃の使用方法について、水平撃ち、特に至近距離から顔面をねらって撃たれた形跡がありますが、そういう点について関知しておられるかどうか。
○川島(広)政府委員 十八、十九の東大構内におきます排除行為につきましては、ガス銃を使用いたしました。使いましたのは安田講堂が主でございますけれども、それ以外に工学部の列品館あるいは法学部の研究室等において使いました。いまお尋ねのように、至近距離で、あるいはまた水平撃ちというようなことはやっておりません。と申しますのは、いまお手元でごらん願っておりますように、このガス筒の発射銃と申しますのは、元込め式で中折れでございますから、水平になりますればガス筒が前へ下がってまいりまして、装薬との接触がなくなってまいりますので、実際上そういう使い方はできないわけでございますので、そのとおりに御理解願いたいと思います。
○楢崎分科員 われわれが直接いろいろ調べておるところ、そうしてまた私どもの関係者が実際に被害を受けた人に接見をして、その報告が出ておるわけです。たくさん報告例がありますが、時間がありませんからそのうちの代表的なものだけ申し上げたいと思いますが、これは本名かどうか知りませんが、坂本武と名のっております。東大病院で眼球の摘出手術をやっておりますが、その患者を担当した先生は、戸張、清水両先生であります。状況を簡単に申し上げます。これはレポートの形になっておりますが、坂本武といっておる人ですね。D君となっております。「D君は、おそらくもっとも悲劇的である。彼は、右眼球摘出手術を近く受けねばならない。彼は、いまそれを知らぬ。彼は、右眼がまったく動かない、右半分の歯もぜんぜん利かず、右頬も、要するに右顔面全部の神経をやられていると語った。「ぼくの右眼はダメになるんでしょうか」と彼は医師に聞いた。医師は黙って答えなかったという。彼の左の眼も二、三日はぜんぜん開かなかった。指で無理にこじあけるようにして彼はものをみた。」それから、ずっと状況が書いてあります。「彼は、背中に直撃弾を一発受けた。背中一面が熱く痛く背骨がガーンと殴られたような感じで、フニャフニャとD君は屋上にしゃがみこんだ。緊張していたので背中の痛みは間もなく消えた。友人がさすってくれたからだろうか。ともかく彼は起き上がり、ふたたび立った。そのとき彼は、水中眼鏡を目からばずして口にあてた。呼吸が困難なほどガスが立ちこめたからである。と同時にD君は、右眼に直撃を受けた。彼がちょっと横を向きかけたとたんにガス弾はななめ前方から飛んできた。隣接する建物の屋上から、彼のいた屋上に、機動隊員は水平ねらい撃ちを続けていた。一瞬なにもわからなくなった彼は、担架に乗せられロープで降ろされる自分をかすかに感じたまま失神した。」「D君は、二、三日前、自分の左眼で右眼を鏡にうつしてみた。「眼の周囲が全体に黒くなり、いく筋も縫ってあって、眼球はパチンとふさがったまま、まぶたも閉じたまま、まばたきもできません」と話した。いまも、タンといっしょに血が出る。歯や唇の右半分は利かない。」これは手術前の状況であります。そしていまから二十日ほど前に右眼を摘出手術したはずであります。こういう事実をつかんでおられますか。
○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。 一月十八、十九日の東大の事件に関しまして、けがをしました学生の総数は、東大病院、一切の病院を含めまして、私どもで承知しておりますのは百四十一名でございます。その中では、いま御指摘のような眼球の手術をしたという事例は聞いておらないわけでございます。 御参考まででございますけれども、現在なお入院加療しておりますのは一名でございまして、それ以外は全部完治をしている、こういう状況でございます。
○楢崎分科員 それでは、この右眼球摘出、失明は知らないとおっしゃるのですか。東大病院のただいま申し上げました戸張、清水両先生に連絡をとられればすぐわかることですが、全然御存じないですか。
○川島(広)政府委員 いままでの調査では私どもは承知しておらないわけでございますので、さっそくに調査をいたしたいと存じます。
○楢崎分科員 ほかにもここに顕著な例が五つほど報告されておるのです。全部十五メートルないし二十メートルの至近距離から撃っておるのですね。そうして特に顔面をねらえということになっておる、そうすると、ただいまあなたがおっしゃいました指導方針あるいは配慮事項と全然反するやり方を現場の指揮官はやっておる、こういうことになるわけですが、どうですか。
○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど申しましたように、東大で使いましたのはおおむね三カ所でございますが、いずれも至近距離からは使用しておりません。一番短い距離が七十メートルの距離で使用しておる次第でございます。
○楢崎分科員 顔面をねらえということはありませんか。
○川島(広)政府委員 さようなことはございません。
○楢崎分科員 あるのですね、それが。これはこのときの状況がさる放送会社から放送されております、そのときの実況が。それで私は、いま警察がおっしゃっていることと、現場の指揮官がガス銃を持っている警官に指揮をしている内容が全然違いますから、私は資料をもってそれをここで示したいと思うわけです。テープをここに持ってきておりますが、資料としてここでかけさしていただきたい。食い違っておるから。
○橋本(龍)主査代理 今日までの委員会の慣例としては、テープを委員会の場で資料としてかけた例はございません。——例はこざいません。 楢崎委員に申し上げます。いままで委員会においてテープを資料としてその席上でかけたことはございませんので、ただいまの御要望、非常に重大な点であると思いますから、資料として御提出を願い、その旨御要望のあったことを理事会に御報告をしておきたいと思います。
○楢崎分科員 ただいまの点は、過剰警備というか違法警備を論証する重要な資料になるわけでありますから、警察がそれを否定されている以上、私どもとしてはそれを反論するための資料として、どうしてもここで明らかにしたいところであります。しかし時間の関係もあり、また、主査の御配慮もありますから、理事会にこの資料を提出をして、そしてこの問題についての審議の取り扱いを理事会におまかせしたいと思います。その結果によって、また私は問題を発展させなくちゃなりませんから、その問題は一応保留しておきます。
○橋本(龍)主査代理 ただいまの御趣旨をよく理事会のほうに報告をいたします。
○楢崎分科員 私は、このガス銃は使い方いかんによると思う。われわれの調べたところでは、二十メートルぐらいの至近距離から撃つならばベニヤ板も貫く。この御提出をいただきましたガス銃の写真はわかりましたが、実はこれに込めるガス弾を私は見たかったわけであります。私どもの関知しておるところによると、これは非常にかたいたまになっておる。それで至近距離で撃たれるならば、これは致命的な打撃を与える、もしくはそれこそ殺人兵器になりかねない。したがって、私は静かに申し上げておりますけれども、この使用の方法いかんによるとこれは重大な問題に発展をいたしますから、問題を保留しておきます。 そこで被害の状況でありますが、私は昨年の予算委員会におきまして、四点にわたって政府に要望し、政府が善処を約束されておる点がありますから、はたしてそのとおりになっておるかどうか、いまから確かめてみたいと思います。 そこでまず、総理は私の要望に対して、慎重にこれば考慮する。そして委員会終了後私のところに参られまして、私が出しましたいろいろな問題点が明確になるまではこれは中止させる、そう約束されました。で、去年の予算委員会以降今日まで、いわゆるクロールアセトフェノン、略してCNと呼びたいと思いますが、CN液を実戦として使われたことがあるかどうか。
○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。 ガス液は、今回の東大において使用いたしております。
○楢崎分科員 今回の東大紛争のとき、ヘリコプターからまかれたものがそうである、そのように思ってよろしゅうございますか。
○川島(広)政府委員 お尋ねのとおりでございます。
○楢崎分科員 そこで、これは総理との約束の重大な違反になるわけでありますが、この問題は一番最後にもう一ぺん取り上げます。 次に法務省にお伺いをいたしますが、これは通常の警備を行き過ぎた違法の規制である、したがって、これは人権上の問題である、人権擁護の観点から法務大臣はどうお考えになりますかという質問をした際に、重大問題であるので、去年は佐世保の事件でしたから、福岡法務局を通じて調査をし、結論を御報告したい、こういう約束になっておりますが、その後の調査の結論を私はまだ連絡を受けておりません。どういうふうになったか御報告をいただきたい。
○上田(明)政府委員 お答えいたします。 お尋ねの件につきましては、昨年一月三十一日、社会党議員団から、警察が催涙ガスを使用し、多数の学生等が皮膚に炎症を起こしたから調査されたいという申し入れがなされましたが、現地の長崎地方法務局においてなお調査を続けているものであります。本件については、被害者らについての調査が非常に困難である、その上に、同議員団から提出される予定の資料、その資料と申しますのは、大体被害者の住所、氏名、被害の程度、薬物の分析、そういうような資料を出していただくということになっておるのでありますが、それがおくれております事情もあって、いまだ調査を終えずに、結論を出すに至っておりません。そしてこの社会党議員団の方々に対しましては、その後、昨年の三月十一日に吉永寿一さんに催促いたしております。続いて八月一、十日に社会党本部書記長さんの江口泰助さんにもお願いしております。御協力を願いたい、こういうふうに申し上げておりますが、そのうち出すというので、私のほうといたしましては、結論をいまだ出し得ないような状態になっております。
○楢崎分科員 私は昨年被害者の写真まで示して、この被害者は住所、氏名はわかっておる。どうして私のところにそれでは言ってこられないのですか。すぐ被害者はわかるのです。みずから進んでやろうという気力がないんじゃありませんか。われわれの資料提出を待って、そして調べるなんという態度からして大体けしからぬと思いますよ。ああいう事実を示しているのに、どうして積極的に人権擁護の観点から調査なさろうとしないのですか。質問者は私だったわけですよ。
○上田(明)政府委員 もちろん私たちといたしましては、議員団の資料だけを待っておったわけではございませんので、現在までいろいろ調査いたしておりますが、主として医者に当たったわけですが、医者の言によりますと、相当数の学生が催涙ガスによって皮膚面に弱い炎症を起こしたことがうかがわれるのでありますが、その炎症の程度は必ずしも実は明らかでないのでありまして、したがって、なお調査を続けていきたいと思っております。
○楢崎分科員 私は、いま申し上げたでしょう。私が昨年被害者の写真を示して、これはわかっておる人です。言ったはずです、昨年。じゃどうして私のところに来られないのですか。
○上田(明)政府委員 その点については、なおもう一度お伺いいたしまして、調査いたしたいと思います。
○楢崎分科員 お聞きのとおり、全く積極性がない、誠意がないのですね。これも約束を履行されていない。 厚生省にお伺いします。それは、劇物指定の対象にクロールアセトフェノンはなる。それがいままでならなかったのは、本来毒劇物指定の対象になる薬品は、工業用、医薬用、農業用に、人間が使う際に害があったらいけないからというので、そういうことを対象にしてきめてある。まさか人間そのものにぶっかけるなんということは想定していないから、クロールアセトフェノンが劇物対象になっていなかったわけです。その後、これは重大だから、園田厚生大臣も当時、直ちに調査する、検査するとおっしゃいましたが、どうなっておりますか。
○下村説明員 お答えいたします。 毒物、劇物の指定の基準は、御承知のように、その毒性によりましてきめております。ただいままでに私どものところで、このCNにつきまして、経口の毒性だけでなく、経皮、吸入毒性、それからその他人体に障害を起こすことにつきまして、基礎的な実験をいたしました結果、たとえば経口毒性につきましては、体重一キログラム当たり四百四十四ミリグラムという結果が出ております。これはほかのものに比べまして、劇物に指定するほどの毒性の強いものではないと判断した次第でございます。
○楢崎分科員 クロールアセトフェノンのATは幾らになっておりますか。
○下村説明員 毒性徴候につきましては、私ども文献その他で調べたのでございますが、はっきりした調査はできておりません。
○楢崎分科員 不耐限度は幾らになっておりますか。
○下村説明員 お答えいたします。 不耐限度は一立方メートル中四・五ミリグラムになっております。
○楢崎分科員 不耐限度がわかっておって、毒性徴数はわからないのですか。これははっきり出ておるではありませんか。毒性徴数なんかがわからなくて何の検査をしておるのですか、一体。何を使ってやっておるのですか。
○下村説明員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたが、国立衛生試験所でウサギを使いまして基礎的な実験をいたしております。
○楢崎分科員 私がただいま問題にしているのは皮膚の炎症の問題です。皮膚の炎症の実験するときにネズミやらウサギを使いますか。
○下村説明員 ウサギを使って皮膚の実験をいたしております。
○楢崎分科員 あなた、専門家ですかね。
○下村説明員 私は、一昨年まで国立衛生試験所に勤務しておりましたが、薬理学者ではございません。
○楢崎分科員 そうですがね。皮膚の実験を動物実験するときは普通何を使いますか。
○下村説明員 できる限り大きな動物を使うのが原則だと存じておりますが、基礎的にはウサギを使うことになっておると存じております。
○楢崎分科員 だめですよ、あなた。私ですらそのくらいのことは調べておるのです。ウサギやネズミは人間の皮膚と構造が違うのです。だから皮膚の実験をするときには、一番似ておるから普通ビーバーを使うでしょう。そうじゃないですか。
○下村説明員 おっしゃるとおりだと思いますが、衛生試験所ではビーバーをただいまのところ飼育しておりません。
○楢崎分科員 それでは厚生省のやっておる検査なんというのは全然なっていませんよ。何をやっておるのですか。そして劇性がないなんて、こういう重要な問題についてどうしてそういう判断が下されるのです。だめですよ、あなた。そういうでたらめな調査をしておって、よく国会の公式の場で報告ができますね。現実に被害が出ておるではありませんか。昨年も私は実際の被害の状態を写真でお示ししました。今度もまた、ごらんください、これだけの被害が出ておるのです。——これだけの被害が出ておるのです。現実に出ておるのです。それは三鷹署に引っぱられておった、名前もわかっております。番号は十八番になっております。はっきりしておるのです。 それでは警察のほうにお伺いをしますが、この催涙液を浴びて警察病院に入院しておった患者であります。名前も明確にわかっております。Eとしておきましょう。E君は明大の学生であります。入院後三日間は警察病院で危篤状態であった。全身の二分の一が炎症を起こしておる。そして入院二週間後に皮膚の移植手術を行なったはずであります。現在東京拘置所にいる。そういう事実に間違いありませんか。
○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねのE君でございますが、お尋ねのとおり、私のほうもそのように承知をいたしております。
○橋本(龍)主査代理 時間が参っておりますから、簡単に願います。
○楢崎分科員 こういう、被害者の立場に立っては重大な問題が、このまま時間が来たからといってやめられますか。
○橋本(龍)主査代理 簡単に願います。
○楢崎分科員 簡単にできませんですね、ああいう答弁ですから。
○橋本(龍)主査代理 簡単に願います。兼務委員の時間はきまっております。簡単に願います。
○楢崎分科員 それではCNの実際の被害というものは確認されたわけですね。皮膚の移植手術をしなければならないほどの被害が起こったということは確認されますね。
○橋本(龍)主査代理 答弁は簡単に願います。
○川島(広)政府委員 ただいまのお尋ねの件でございますが、お尋ねにもございましたように、このE君は、一月二十日身柄つきで送致したわけでございますが、皮膚炎がございましたので、付近の千住警察署に留置した男でございます。民衆病院において診断を受けておったのでございますけれども、その勾留が決定しました後軽い貧血症状を起こしました。それで警察病院のほうへ転院をいたしました。そこで診断の結果では、大腿部にいま申しました熱症を負っておるというところから、いま申しましたような貧血症状がきまして、リンゲル注射をしました後、回復いたしました。その後依然としてびらん症状が残っております。そこで担当の外科の先生とそれから整形外科の先生との間でいろいろ打ち合わせがございまして、外科の先生のほうは、本人も非常に早く退院をしたい、こういう希望があり、整形外科の先生のほうでは、そのままほうっておけばなおるから急いで手術をしなくともよかろうという意見であったそうでございますけれども、結論は、本人の希望もございますし、ベッドの関係もあって、いま御指摘のとおりに表皮の移植をした、こういう事実でございます。二月十日に退院をしまして、現在お尋ねのとおりに拘置所に入っておるものでございます。
○橋本(龍)主査代理 簡単に願います。
○楢崎分科員 答弁が長いのですよね。移植の手術をするほどの被害が起こったかということを確認されるかどうか聞いただけに、ああいう長い答弁をされるのです。 結局確認されたわけですね。——そこで結論に入ります。 もう一ぺん厚生省にお伺いいたしますが、このクロールアセトフェノンの製造方法を御存じですか。
○下村説明員 お答えいたします。 詳しい工程は存じておりませんが……。
○橋本(龍)主査代理 答弁は簡単に願います。
○下村説明員 簡単なことは存じております。
○楢崎分科員 それでは、モノクロル酢酸を使いますか。
○下村説明員 使うと思います。
○楢崎分科員 あなたは劇物指定の規定を御存じですか。
○下村説明員 存じております。
○楢崎分科員 モノクロル酢酸は劇物指定になっておるでしょう。
○下村説明員 そのとおりでございます。
○楢崎分科員 あの規定によれば、化合してつくったものも、化合する物質が劇物指定になっておれば劇物指定になるはずです。どうですか、それは。
○下村説明員 先ほど申し上げましたように、劇物の指定をいたします条件といたしまして、毒性について検討している次第でございます。まざった分の場合の毒性については、検討ができてないと存しておりますので……。
○楢崎分科員 違いますよ。あの条文を読みましょうか。時間がないから私は簡単に言っておるのですよ。劇物指定の条件を見てごらんなさい。化合物の場合も、化合する物質の中に劇物指定になっているものがあれば、当然できたものは劇物指定になるのです。モノクロル酢酸は劇物指定になっているじゃありませんか。そうでしょう。
○下村説明員 お答えいたします。 製造の工程の中で使っておりますものが劇物でございましても、でき上がったものについて劇物指定をしております。したがいまして……。
○楢崎分科員 違いますよ。そんなことを言ったらだめですよ。規定を出してみてください。だめですよ。そんなことを言ったら。
○下村説明員 お答えいたします。 御承知のことと存じますが、劇物を指定いたします場合には、厚生大臣が、別表第二に掲げるものであるというふうに指定をすることになっております。そしてその中に——でき上がったものについて、最終生産物についての規定でございます。
○橋本(龍)主査代理 楢崎弥之助君、すでに十分を経過しておりますから、簡単に願います。
○楢崎分科員 簡単にやりたいのですけれども、これは重大なところですから。これははっきりさせておきます。 私は、これは当然知っておると思うから用意してこなかったのですが、昨年やったところですから。ちょっと時間がありませんから……。これはある一つの薬品ができても、化合してつくるものの中に劇物指定の薬品があったら、劇物指定になるようになっておるのですよ、これは。ちょっと私いまそれをさがし出せませんけれども、なっておるはずです。
○下村説明員 モノクロル酢酸そのものは劇物指定になっておりますが、それを使いましたものにつきましては、劇物指定になっておりません。
○楢崎分科員 こういうことがありますね。「前各号に掲げる物のほか、前各号に掲げる物を含有する製剤その他の劇性を有する物であって政令で定めるもの」——ありますね。したがってこのモノクロル酢酸を使って、そうしてクロルアセトフェノンをつくるのですから、だから当然これは劇物指定の対象になるはずです。
○下村説明員 ものによりましては、製造工程に使われるものを含んだ劇物指定もございますが、モノクロル錯酸の場合には、そういうものはございません。
○楢崎分科員 それでは、これだけの被害が出ておるのを見て、あなたは劇物でないとおっしゃるのですか、どうなんですか、そこは。
○下村説明員 繰り返して申し上げるようでございますが、劇物指定の条件には、CNは該当しないと存じております。
○楢崎分科員 あなたはまだそんなことを言うのですか。あなたが、いままでやっている、厚生省でやっている検査のしかたが間違いだということを、いま言ったじゃありませんか。まだそんな確信を持って言うのですか。だめですよ。ウサギで実験して、そうしてATもしないような状態の中で、だめですよ、それは。やり直しますか、試験を。どうしてもあなたがそう言い張るなら、私はここで、ウサギで出なくても、人間と皮膚の構造が違うのですから、どうしてもあなたが言うならば、人体実験をする必要がある。私を人体実験の素材にしてください。これは明確にする必要がある。こういうものを野放しで許すわけにいかないです。
○下村説明員 お答えいたします。 濃度の高いものにつきまして実験をしろ、こういう御要望がございますれば、いつでもいたす用意をしております。ただいまのところまでは、御承知のように五%溶液についてだけ、最高濃度五%までやっているわけでございます。さらにもっと濃いものについてやれと仰せでございましたら、それにつきまして実験をやる準備をしております。
○楢崎分科員 そこでもし被害が出ていないとすれば、どこかに誤りがある。この実験の方法にどこかに誤りがある。一つは、警察が公表しておる濃度にうそがあるか、もしくは実験の動物が適当でないか、もしくは実験の方法に誤りがあるか。したがって私は動物も適当でないということを指摘しました。警察でも、濃度についてはこれは五%でやられておるそうですが、これは一〇%までやってみる必要がある。それから実験の方法については、どうしても、これほどの被害が現実に出ておるのですから、私は私を素材にして実験をしてもらいたい。私は昨年の佐世保のときに被害を受けたのです。幸い軽くて、早く洗ったから予後がよろしゅうございましたけれども。私を素材にして実験していただきたい。委員長、ああいうごまかしを許すわけにいかないです。
○橋本(龍)主査代理 下村参事官に申し上げます。ただいまの楢崎委員の要望を体し、再度実験を行なっていただくように、私からも要請をいたします。——いまの答弁でよろしいですか。
○楢崎分科員 は……。
○橋本(龍)主査代理 実験をいたしますという返事をしたのです。
○楢崎分科員 答弁しなさい。
○橋本(龍)主査代理 いや、実験をいたしますと、いま返事したのです。あなた聞いていなかっただけです。
○楢崎分科員 それじゃ、法務省のほうも約束どおりやっていない、厚生省もでたらめな検査をしておる。そして警察のほうも、ガス銃について、使用規定と違う使用を、実際に現場の人はやっておる。総理大臣は昨年私に、中止をするということについて約束した。それまた守られていない。これは非常な人権の問題ですから、総理の答弁が必要であろうと思うのです。それで、この問題は昨年からの懸案の問題であり、いま申し上げたとおり、全然約束が、すべてにわたって守られていない。したがって、これは総括のしかるべきところなり、政府として責任ある答弁を、しかるべき機会に、ひとつ統一の見解として出してもらいたい。それを保留をして、質問を一応終わります。
○橋本(龍)主査代理 大原亨君。
○大原分科員 私は三点あるわけですが、荒木国家公安委員長の放言問題が一つ。それから第二は春闘共闘委員会のデモ申請に関する問題であります。これは官房長官の御出席を願っておりますから……。それから過疎問題と駐在所、駐在所の妻に対する手当の問題、この三点につきまして、質問をいたします。 二月の十四日の新聞によりますと、「荒木さんまた高姿勢」——「また」とありますが、これは五回も六回もですから、「また」というらしいのですが、またまた高姿勢。この文章によりますと、たとえば、閣議後の記者会見で、大学の先生の中に、警察アレルギーをひけらかせて——ここらが荒木さん流ですが、ひけらかせて進歩人ぶりを示している人もある。国立大学協会でもおかしなことを言ったら、機動隊員のエンを晴らすために文句をつけにいく。それから、京大の奥田総長はだめで、加藤東大学長の代行のほうがましだとか、暴力がこわい人には機動隊は応援団になる。京都府知事は機動隊動員についてアレルギーはなさそうだ。その点では美濃部東京都知事よりもましだ。美濃部都知事は五十点ぐらいだ、こういうふうなのがございますが、これにつきまして、やはり何と申しますか、警察官の元締めですから、やはり冷静であり厳正公平でなければならぬ。問題が重要であればあるほど、私は、そういう点では冷静さというか、警察官の元締めとしてのそういう慎重な態度が望ましいと思うのですが、私は今日大学問題その他非常に重大な問題があるときに、国家公安委員長がこのような記者会見をされるということは適当かどうか、こう思うわけですが、その真偽のほどにつきまして、またはあなたの御心境につきまして、ひとつ見解を率直に披瀝していただきたいと思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 いま読み上げられましたような東京新聞の記事は、私も読みました。そういうふうなことを、記者会見で雑談的に話したことはございます。実 を申せば、逃げるわけじゃございませんけれども、オフレコということばを知らなかったものですから、雑談のすべてが取材されたんじゃないかとも思いますけれども、それは私の不用意のいたすところ。さらに雑談でありましょうとも、あらたまって大原さんから指摘されますれば、あんまり上品なことばだけで文章になっていないようであります。文章どおりのことを言ったわけでもございませんけれども、大体そういうふうなことを申しました。 むろん御指摘のように、警察というものは、国民に対するいわば消極行政とも申しますか、暴力をはじめとする不法行為は許さない、これは国民に対しまして、国民の生活を守る意味において課せられた責任だと思います。そういう謙虚な立場において、国民のために、民主主義の敵といわれる暴力をはじめとする不法行為を予防し、制圧するという態度でなければならぬということだけは心得ておるつもりであります。 ただ、あの記事の中に、私が理解できないと思いますことは、「エン」というかたかなの下に「恨」としか読めない字が当ててある。これは、明治生まれだものですから、とかく当用漢字を逸脱したような用語が出てきますことは、考えねばならぬとは思いますけれども、いわば警察アレルギーというのは、憲法の趣旨及び現行法律に基づいて、国民のために果たすべき警察の役割りについて理解がないままに、警察アレルギー、もしくは警察に対して無実の罪というかぬれぎぬというか、そんなふうな気持ちをぶつけられているようなことではなかろうかと私は思います。そういう意味で、国立大学協会で、相変わらずの警察アレルギー的な間違った立場に立っての何らかの決定がなされるとすれば、無実をはらす意味においても、国大協に行ってでもお話をしたいというぐらいに思っているのだということでありまして、「エン」に当ててもらうとすれば、ウかんむりに免れるという、冤罪の冤の字を当ててほしかったわけであります。しかし活字になっておりますから、活字そのものを私がかれこれ言ったってどうもなりませんけれども、真意はそういうつもりでございました。蛇足ながら申し添えさしていただきます。 〔橋本(龍)主査代理退席、主査着席〕
○大原分科員 荒木さんは、最初国家公安委員長になられたころは非常に慎重でございました。東大問題等でも、きわめて慎重であって、坂田文部大臣よりもさらに慎重でございました。これは警察官としての配慮として、私どもはきわめて率直に、そういう心境に共感をいたしたわけであります。しかし初めは処女のごとくといいますか、だんだんと脱線をされつつあるような印象、一言二言多いような印象を私は受けるのでありますが、この点厳重に、ひとつこれからの国家公安委員長としての御行動については、腹の中もそうですが、口のほうも慎重に行動さるべきが妥当であると私は思いますが、いかがですか。
○荒木国務大臣 終わりを慎むこと初めのごとしということばがあるようですが、私の心境は、そういう心境で一貫しておるつもりでございます。ただ、人間が少しがさつだものですから、表現にいささか御批判を受けるようなことがあるようだという意味では、反省をいたしておるのであります。警察の責任者として、国民に奉仕するという考え方に立って、法の命ずるところに従い、必要なときには勇敢に、必要でないときにはあくまでも慎重に、という心がまえで臨みたいと存じておりますことを申し上げさしていただきます。
○大原分科員 あなたはそのときに、東京都知事の美濃部は五十点だというようなことを言っておられるのですが、これも、私はことばとしては言い過ぎじゃないかと思うのですね。五十点だというようなことは、どういう根拠なんですか。じゃ佐藤総理は何点ですか。
○荒木国務大臣 警察機動隊の話が記者会見の雑談中に出まして、ことばが適切でない御指摘はつつしんでお受けをいたしますが、五十点ということは、願わくば、東京都内の集団暴力ざた、学園紛争をはじめとします集団暴力ざた、これを念頭に置いて、東京都民あるいは都民たる国民のために、治安の責任を果たす意味におきましては、二千五百名見当の機動隊の増員を妥当とするという考え方に立って、予算も御審議願っておるわけでございますが、美濃部さんのほうでは、都議会その他の関係もございましょうから、一挙にはやっていただけないようですが、そのうち千百名だけは御協力を願えるような状況かと心得ます。そのことを中心に、二千三百五十名を要望しておる中で千百名でございますから、ほんとうは四十八点何分でございましょうけれども、四捨五入すれば、いわば五十点だという話が、雑談の中に飛び出したことでございまして、これとても、そういうことばが活字になって東京新聞に載りました事実は否定するわけにまいらない。その意味での用語の選択は、今後にわたって考えさしていただきますが、五十点と申しました意味は、そのことでございます。
○大原分科員 そういうことをお話しになれば、私どもはまだ議論があるわけです。つまり予算も通っていないのに——予算が通って後に政令が出て、政令の基準に従って条例ができるのに、国会においてこれほど大きな政治問題になっている機動隊増員の問題について、行政指導を含めて、東京都がまるまるのまなければ百点でないとかいうようなばかなことはない。それは議論になっていることですから、そういうことの議論を踏まえないで、傍若無人というか、初めは処女のごとく終わりは脱兎のごとしで、あなたのことばとは反対でございますが、そういうことは私はいけないと思います。これが第一。 それから、あなたは私の質問にお答えになっておりません。たとえば世論調査なんかいたしますと、佐藤総理は三〇%の支持率、美濃部さんは七 〇数%、八〇%近い支持率です。点でいえば佐藤さんは三十点で、美濃部さんが八十点だといってもふしぎではないと私は思うのです。点のつけ方が違うのじゃないか、国家公安委員長といいますか、警察官としては非常に不公平な点のつけ方じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。私はやはり国家公安委員長が、オフレコか何か知りませんが、閣議後の正式の記者会見の席上で言われることばとしては、きわめて不謹慎ではなかったか。その点については、若干の反省のことばもございますが、今後十分ひとつ気をつけていただきたい。よろしゅうございますか、どうぞ御答弁をひとつ。
○荒木国務大臣 話しことばのもっと洗練されたことばで話ができるように、努力したいと思います。
○大原分科員 世間では荒木さんのことを、学生には非常に強いが、どろぼうには非常に弱い——例の三億円問題のことを言うわけです。三億円問題とか七百万円事件とか、いろいろあるわけですが、三億円事件の捜査の状況は一体どうなっておるのですか。
○荒木国務大臣 別に弱いわけじゃないと、自分では思っておりますが、捜査が、なかなか難問題で難航しておることは事実でございまして、電光石火、犯人を捕え得たりせばということに比べれば、間延びがしておるという批評はあり得ると思います。ですけれども、担当の警察官は、昼夜兼行、全力をあげて努力しておることだけは、国民の皆さんにもひとつ一応御了承をいただいておきたい、かように存じておるのであります。
○大原分科員 全然手がかりはないわけですか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 いまのお尋ねに、ちょっと私も的確にお答えできませんので、担当の刑事局長も本日は出席しておりませんから、官房長から、一応承知しておりますことをお答えさせていただきます。
○浅沼政府委員 お答えいたします。 調布事件につきましては、事件の当初におきまして、いろいろな情報資料があったようでありますけれども、その後、いま大臣が申しましたように、非常に難航いたしておりまして、最近特に有力なる手がかりというものはないように聞いております。
○大原分科員 これは弱いですね。全然ほったらかしみたいなものだな。 それでは第二の質問に入りますが、春闘共闘委員会が、きょう二月二十六日に、日比谷から国会を通るデモ申請をいたしておりますが、東京都の公安委員会は、国会付近を請願コースとすることについて、変更して許可をされておるわけですね。それに対しまして、春闘共闘委は、東京地裁に対して仮処分の申請をいたしておるわけです。これは従来の前例によりますと——これはずばり木村官房副長官にお尋ねするのですが、仮処分に対しまして決定が出るのは、きょうの昼から午後にかけてであると予測をされるわけですが、これが従来どおりの決定が出ました際に、総理大臣は、これに対してどのような措置をおとりになりますか。前に出ました例よりもかなり時間がたっておることですから、この点についてひとつお答えをいただきたい。
○木村(俊)政府委員 この事案は、まだ裁判所の決定が出ておりません。この段階におきましては……。後刻、国家公安委員会または法務大臣からの要請を待って慎重に考慮したい、こう考えております。
○大原分科員 デモについて、コースを変更された理由は何ですか。
○木村(俊)政府委員 これは東京都公安委員会の措置でございまして、政府は関与しておりません。
○川島(広)政府委員 警視庁を通じまして報告を受けております範囲内で、お答えを申し上げたいと思います。 昨日、東京都の臨時公安委員会が開かれまして、進路変更という条件を付しての許可を、昨日いたしたわけでございます。ところが、先生のいまお尋ねの中にもございましたが、国会周辺につきましては、請願行進でございますれば問題はないわけでございます。したがって、今回の場合も、事前に主催団体の方々との間で、国会周辺については、集団行進いわゆる請願行進ということにしてはいかがであろうか、という事前折衝の経緯もあったのでございますけれども、どうしても集団示威運動という形で、こういうような御要望があり、その結果、昨日の臨時公安委員会において、そのような決定をされた、こういうふうに報告を受けておる次第でございます。
○大原分科員 東京地裁が仮処分に対しまして決定を下す、裁判所が決定を下すことについて、いままで議論があったことなんですが、やはり十年一日のごとく、総理大臣が異議申請をしてこれを処理するというふうなかっこうは、私は好ましいことではないと思うのです。普通の形ではないと思うのです。ですから、責任を持った団体がそういう集団行進をする際には、デモンストレーションをする際には、やはりしかるべく慎重な態度でこれに対処することが、ノーマルな形で対処することが、私は問題を円滑に収拾する道じゃないかと思うわけです。その点につきましては、いままでの異例の措置を同じように繰り返すのじゃなしに、ひとつ慎重な態度をとっていただきたい、私はこのことを要望しておきますが、副長官の見解をお伺いいたします。
○木村(俊)政府委員 前四回こういう措置をとったことがございますが、いずれも公共の福祉に重大なる関係あるときに限っております。政府としても当然慎重な考慮をしたいと思っております。
○大原分科員 第三の問題ですが、これは駐在所の問題です。私どもが僻地、過疎地帯等に参りまして——警察官は、これは生命財産を守るという意味において、公正に行動され、そして警察の目的を達成されるということについては、私どもは肯定をし、よりよかれと願うわけであります。そういうことでございますが、たとえば駐在所や小学校等がなくなりますと、過疎地帯の人は、これは非常にさびしくなったというふうなことで、だっと出ていく、スピードを増して出ていく、こういうことでありますが、騒在所の設置の基準というものは、一体どこにあるのですか。
○浅沼政府委員 お答えいたします。 警察法には、御承知のように、警察署の下部機構として派出所、駐在所を置くということになっておりまして、これに基づきまして、実際には各県の公安委員会の規則で、駐在所、派出所の位置及び管轄区域といいますか担当区域をきめておるのが普通の例でございます。大体、都市部には派出所、その他の地域には駐在所が置かれるということでございまして、特に一定の基準によって設置するということよりも、むしろ現地の実情に応じて、伝統的に置かれているというのが実情でございます。
○大原分科員 私どもが方々へ行って聞くのは、過疎地帯からなだれを打って人口が流出していくというときに、よく例に引かれる問題でございますし、実際私どもが行ってみましても、全く手の届かぬところに駐在所があるというようなことは、いろいろな事態が出てまいりますので、この点については、そういう過疎地帯における国民の生命、財産を守る、こういう観点でも私は今後十分慎重に配慮してもらいたい。 これはよく問題になるわけですが、駐在所に巡査が一人いる。そういう場合に、報償手当が御承知のように月に三千円出ておるわけであります。しかし、これはちょっと本署へ行くとか、あるいは他の地域へ応援に行くとか、あるいは他の仕事をするということになれば、駐在所がからっぽになって、細君はたいへんだということでございます。これは一千円からだんだんと上がって三千円になったわけですが、これはもう少し配慮をする必要があるのではないか。これは前の例があるとはいいながら、あまりひど過ぎるのではないか、こういうふうに思うわけです。これは具体的な様子をお話しすればいいわけですが、時間もありませんから——これは今後さらにひとつ努力をすべき問題ではないか、もう少し性格をはっきりして増額に努力したらどうか、こう思うわけですが、いかがですか。
○浅沼政府委員 お答えいたします。 ただいま御指摘のとおり、駐在所のいわゆる奥さん手当三千円でございますけれども、実際に電話の連絡であるとか、あるいは留守中の地理の案内とか、たいへん御苦労願っておるのが実情でございまするので、今後もこの増額につきましてできるだけの努力をいたしたい、かように考えております。
○大原分科員 公安委員長、機動隊もさることながら、これは議論ははずすといたしまして、そういう僻地における駐在所の巡査あるいは警官の妻、こういういまの手当の問題等についても、国務大臣としては今後——あなたがいつまで国務大臣をやっておられるかわかりませんが、ひとつ十分御努力いただきたいと思いますが、御見解をひとつ。
○荒木国務大臣 在任しております限り、御指摘のような問題につきましても、微力ながら全力を尽くしたいと存じております。
○大原分科員 終わります。
○臼井主査 山口鶴男君。
○山口(鶴)分科員 まず、公安委員長にお尋ねしたいと思います。 ただいまも、学生には強いが他にはいかがか、こういうお話もありましたが、確かに私ども、東大の問題、さらには神田を中心といたしますああいった事態に対しまして遺憾に思っておりますが、ただ、ああいった事態の中で地域の住民が非常に御迷惑しているという面は、これは私ども十分考慮しなければならぬのじゃないかと思います。 本日もある新聞に出ておりましたが、美濃部都知事が、これは一つの社会公害である、したがって、本来、直接の加害者が明確な場合は、たとえば警察官が事実を誤認して一般住民に対して危害を加えたとかいう場合には、国家賠償法がありまして、明確にこれは補償することができると思いますが、しかし、ああいう事態では直接の加害者を限定することが非常に困難なケースが多い。しかし、一般住民の迷惑というものを無視することはできない。したがって、最終的には国に責任があるとは思うけれども、とりあえず都として見舞い金の制度を考えたい、こういうような発言をせられておるのを拝見いたしました。 大臣、ああいう事態を鎮圧することに力を入れることも、場合によっては必要であろうと思いますけれども、地域住民の迷惑に対して国が責任をもってある程度の措置をするということは、これまた一面考えなければならぬ問題じゃないかと思う。大臣としてこの問題に対する御見解はいかがでしょうか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 私の守備範囲の課題では処理できない課題かとも思います。 美濃部さんが新聞に何か言っておられることが出ておりましたことは、私もべつ見しました。ああいうものの考え方には私も同感で、この点に関する限り美濃部さんに百点上げてもいいのではなかろうか、こう思っております。 ただ、現実問題といたしますと、ちょっと私の乏しい頭では、そのものずばりの解決策というか対策というものは浮かびませんけれども、事柄自体は関心を持つべきもの。まあ見舞い金等は、王子病院のときでもわずかながら配慮してもらった。さらに新宿事件につきましてもそういうことがあった。これは便宜的なことなのであって、ああいう場合にどうしたらいいかという課題がそこにあるということは私も同感でございます。 それもさることながら、私の担当する立場から申せば、あんなふうなばかなことをしないように教育の場でも考えてもらいたいし、特に大学生ともあろう者が、あんなことをするそのこと自体に憤りを感ずるわけであります。 したがって、警察としましては、できるだけああいう、たとえば神田、駿河台方面の、新聞にもでかでかと報道されたことで都民全体が御承知かと思うのですが、ああいうときでも警察機動隊が出まして排除する努力はいたしましたが、単に排除するということだけなら、まあある意味ではやさしいかもしれませんけれども、それをしおに、ところかまわず周囲の商店などに飛び込んでいってしまって、ショーウインドーだろうと、座敷の障子だろうと、何だろうと、ぶっ飛ばして(山口(鶴)分科員「そういうことは、時間がありませんから、簡単にしてください。」と呼ぶ)やっていくという手口なものですから、しばらく遠巻きにしておきながら、時間をかけて被害が起こらないようにというふうなことで、いま対処しておるわけでございます。 結論的に、さっきのお話につきましては、冒頭に申し上げたとおりの心境でおります。
○山口(鶴)分科員 警備の体制でも、なるべく住民に危害が加わらぬように配慮をいただくことも必要であろうと思います。しかし、新聞にも出ておりましたが、イギリスにおきましては、暴動による損失補償に関する法律というものがあって、その損失補償を制度としてやっておられる。フランスにおきましても、国並びに自治体でそのような補償に関する制度というものを確立しておられる、こういうことであります。したがいまして、大臣の言われますように、そのような事態を起こさぬように大学制度を改革する、その他万般の施策を講ずる中で騒動を起こさぬようにすることはもちろんけつこうでありますが、しかし、同時に、住民が犠牲をこうむっているという事実も明確にあるわけでありますから、鎮圧をすることに努力するばかりでなしに、やはり国家公安委員長である大臣が、政府においても、イギリスあるいはフランスにあるような制度を確立して住民の福祉を守っていく、こういうことについても十分配慮をいただきたい、要望いたしておきます次第でございます。 次に、警察官の増員の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思うのです。 これは、予算委員会の総括あるいは一般質問の際にもしばしば問題になった問題でありますが、地方自治法第二条を見ますと、いわば住民の安全を守っていくことが都道府県の事務というふうに規定をされておるわけであります。したがって、公共団体の固有の事務というふうに地方自治法で規定をされております。その他地方公共団体の固有事務というものはあるわけでありますが、その事務を処理するために職員が当然必要であります。その職員については、当該府県の条例でその定員を定める。これは当然、私は法律のていさいからいってそうだと思うのですね。ところが、警察官の定員につきましては、警察法できわめて変わった規定のしかたをいたしているわけであります。警察法の五十七条を見ますと、いわば政令で定めた定員を都道府県はそのまま従わなければいかぬ、こういう規定ですね。私は、この規定はたいへん筋が通らぬと思うのです。国家公務員の定員は、現在国会で法律で定めることになっています。地方公務員の定員は、当該地方公共団体の条例で定めることになっている。ところが、この警察官の定員に関する限り、政令をきめればそれに右へならえしなければいかぬ、それに従わなければならぬ。こういう規定は、他の公務員の定員のきめ方からいって、まさに異例中の異例の規定である、かように考えるわけであります。地方自治法のいわば都道府県の固有事務という規定と、それから固有事務による定員すら自治体がきめることについて非常な制約があるということについて、大臣はいかに考えますか。
○荒木国務大臣 もともと完全自治体警察で戦後発足したと記憶いたしますが、昭和二十九年かに警察法が制定せられ、御指摘のような法体系、制度になったかと存じます。これは、警察治安当局の国民ないしは住民に対する責任を果たす上からいたしまして、たとえば刑事犯罪にいたしましても、また、交通戦争といわれる中に起こります治安当局の責任課題となるべき各種の事案にいたしましても、あるいは大学紛争すらが、外人部隊と通称されるものがはるばる東京から九州へ、あるいは全国から東京へ集まってくるなどという形態がこのごろの流行みたようになっております。遺憾でありますけれども、事実はそういう状態でもある。さらには、今後をかりに言わしていただけば、北海道から九州の果てまで縦貫道路が完成すれば、いよいよもってそういう治安問題の対象となるべき、さらに言いかえれば、警察の国民に対する責任課題というものが、必ずしも都道府県という行政境域内だけで処理できないであろう。そういうことから現在の警察法が制定されて今日に至っておると存じますので、むろん御指摘のように、自治法の指摘します治安問題につきましても、都道府県の、自治体の固有の事務であることは当然でございますけれども、たとえばいま申し上げましたような見解もあわせ考えなければならぬということで、地方自治法の特別法としての警察法が制定され、それに関連する政令等が出せるようになった、こういうことであろうと存じまして、そのこと自体が間違っておるというふうには私は考えておりません。むしろ全国民的な立場あるいは都道府県の境域を乗り越えて、現実に府県間の協力体制が必至という事態もいろいろとあるようでございまして、その考え方をあわせて認識しますれば、私は地方自治は地方自治、しかし、また一面、全国的な視野に立った考慮、あるいは府県相互間の協力体制等も考慮に入れた見解が必要であるという警察法の趣旨は、私は現実即応の妥当な制度じゃなかろうか、こう思っております。
○山口(鶴)分科員 この法律論は、またあとでしたいと思います。しばらくおきましょう。 今回警察官の増員を行なうわけでありますが、昭和四十四年度の五千人増員の中身につきましては、繰り返し議論になったところであります。ただ問題は、五千人のうち二千五百人が機動隊員で、千人が公安刑事で、千五百人が外勤だということになっておるわけであります。その千五百人の外勤は、昭和四十三年六千人警察官を増員した際、千五百人を機動隊に回した、したがって外勤で千五百人穴があいた、それを埋めるんだ、こういうお話だそうでありますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○荒木国務大臣 概略御指摘のようなことだと承知いたしております。なお、間違いがあるといけませんから、政府委員から補足さしていただきます。
○浅沼政府委員 お答えいたします。 四十四年度の増員五千名の内容は、おっしゃるとおりでございます。
○山口(鶴)分科員 そこでお尋ねしたいのですが、昨年、警察を所管いたします地方行政委員会に、警察のほうから予算の説明をなさいましたね。昨年の六千人の警察官の増員は、いわゆる一万八千人の警察官増員の三カ年計画の第三年目という形で六千名の増員だ、こう言っておられるわけですね。しかも一万八千人警察官増員の際は、いわゆる交通戦争が激化して交通警察が非常に必要である、そういう意味で外勤警察官を一万八千人増員するんだ、こういう説明がなされているわけです。昨年もこうですよ。警察官の増員に触れて、この中には外勤警察官増員計画の三年度分六千人の経費が含まれておりますと、こう言っているわけです。国会には、六千人の増員は外勤警察の増員でありますと、こう明確に言っておきながら、現実その中から千五百人を機動隊に回したということは、一体どういうことなんですか。国会での説明とは違うんじゃないですか。その後、国会に対して、この六千人のうちから機動隊に回すようにいたしますというような説明は、地方行政委員会に一切されておりませんよ。ここに議事録を持ってきておりますからね。国会軽視じゃないですか。何で国会に断わりなしに外勤から機動隊に回したのですか。
○荒木国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
○浅沼政府委員 お答えします。 おっしゃるとおり、外勤の一万八千の増員、これは三カ年計画でございますが、現実の機動隊員は、実際学校に入ってくる者でなく、数としましては、おそらくはそれ以前の外勤の中から機動隊の増員分に振り向けた、結果的にはそういうことでございます。 それから、予算的には、先生も御承知のように、それに伴う車両なりあるいは宿舎なりというものが四十三年度では計上されておると思います。
○山口(鶴)分科員 おかしいじゃないですか。さっき私が尋ねたら、四十三年度六千人ふやした、その中から千五百人機動隊に回した。それでその穴埋めとして四十四年度予算で千五百人外勤警察を組んでいるんでしょうと聞きましたら、そのとおりだと言われたでしょう。いまの御答弁は違うじゃないですか。これは議事録ですが、明らかに「外勤警察官増員計画の第三年度分六千人」、機動隊なんて一言も言ってないですよ。国会には外勤警察だと言っておきながら、現実には機動隊に回したことをあなた認めたわけじゃないですか。そうでしょう。しかも昭和四十四年度の予算の説明では、これは正直言っています。二千五百人機動隊、千人が公安刑事、千五百人外勤だと言っておられる。昨年は外勤警察に六千人と言っていながら、千五百人をやみで回したわけでしょう。国会にいわばうそを言ったことじゃないですか。はっきりしてください、こんなことじゃ困ります。
○浅沼政府委員 ただいま申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、結局一万八千人の増員の中から機動隊に、情勢から必要に応じて回したということは事実です。ただ、何と言いますか、頭数の計算上は、言われるように四十三年度の六千人からそれを回したという結果になっておりますけれども、特にこれを国会に秘匿しながらやるというような意図は全くないのでございまして、現実に機動隊をふやした、それから現実の機動隊の増強分はどこから来たかということは、これは個々の状況によって違いますけれども、積算上は四十三年度の最終年度の分から回したという説明をいたしておるわけでございます。
○山口(鶴)分科員 最終年度から千五百人回したわけですね。ところが国会では、外勤警察六千人の増員ですと言っておるわけです。だから国会の言明と現実におやりになったことは違う、これはお認めになりますね。大臣、どうですか、現実にそうじゃないですか。
○浅沼政府委員 おっしゃるような結果になっておると思います。
○山口(鶴)分科員 国会の言明と異なったことを現実に実施したというきわめて重大なお答えがありました。本日は時間がありませんから、また、これを問題にしましても時間が経過いたしますから、これは所管する地方行政委員会でまたあらためてこの問題については徹底的に究明をいたしたいと思います。しかし、大臣、警察はこういった国会軽視をやってもらっては困るですよ。このことだけは大臣に強く警告をいたしておきます。 次にお尋ねいたしたいのは、装備の問題でありますが、本年度の予算の中に、八億円でありましたか、警備関係の装備の予算がお組みになってあるようであります。昨年二億だったわけですから、六億円ふえておるわけですね。しばしば問題になりますガスやガス銃は、この八億円の中から購入をされるということでよろしゅうございますか。
○浅沼政府委員 さようでございます。
○山口(鶴)分科員 警察法の施行令第九条、これを見ますと、国が警察官に対して貸与する装備品が、ずっと名前があがっております。それから警察法の六十八条、六十九条を見ますと、職務遂行上必要な装備品を貸与するという規定がございまして、この法律の規定に基づいて先ほど指摘した施行令の九条があるようであります。この中にはガス銃なんというのはないじゃないですか。何でこの施行令にないようなものを国が買って貸与しておるのですか。
○浅沼政府委員 お答えいたします。 ただいま御指摘のように、施行令第九条に警察官の装備品につきましては具体的に列挙をいたしておりますが、これは、ここに書いてありまするように、警察官及び皇宮護衛官に貸与する装備品についての規定でございます。催涙ガスの発射銃につきましては、警察が部隊活動を行なう際に使うということで、個人に貸与する装備品ではございませんで、したがいまして、この施行令九条に列挙されておるものではないのでございます。
○山口(鶴)分科員 警察法あるいは警察官職務執行法によりまして警察官の方が武器としてお使いになるものについては規定がございます。そして、これらの武器をお使いになります場合の使い方につきましては、たとえば、けん銃操法でありますとか、あるいは警棒並びにけん銃の取扱規範でありますとかいうことで規定ができておるわけですな。ガスやガス銃を現にしばしばお使いになっておる。これに対して明確な、どういうふうに使うというような操法なり使用規程というものはできていないのですか。
○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど楢崎委員からもお尋ねがございました際にお答え申し上げたのでございますが、ガス銃の使用につきましては警察庁訓令としましてとりあえず規程をつくってございます。それに従ってやっておるわけでございます。
○山口(鶴)分科員 その規程というのは公にしておるのですか。
○川島(広)政府委員 先生も御案内のとおりに、この規程の内容それ自体につきましては、順守事項というようなものが内容になっておるわけでございますけれども、これをこのまま公表いたします場合には、相手方に対抗手段をとられましてガスの有効性の担保ができませんので、一応公表を差し控えさしていただいておる経緯でございますことは、先生も御案内のとおりだと思います。
○山口(鶴)分科員 とにかく警察がいろいろな武器等をお使いになる。そういうものに対して、法令に基づいたものでおやりになるということは、やはり現在の民主政治、法治国の制度としては当然ではないですか。そういった、国民に対していわば秘匿をする中で、目隠しをしておいて、そうしていろんなものをお使いになるということは、これは法治国の民主警察としてはあるまじきことだと思うのです。何もガスのこまかい性能まで一般に公表せよというようなことを言っておるわけではない。どういう規範でもってどういう使い方をするかということくらいは、これは明確にすべきですよ。いかがですか、その点は。
○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。 ガスは、警職法七条にいういわゆる武器というふうには考えておりません。武器は、あくまでも人を殺傷する、そういうような性能を持ったものが武器でございます。したがいまして、現在警察が保有しております各種用具の中では、拳銃がいわゆる武器でございます。したがって、ガスは警職法五条にいうところの制止の用具として使用しておるわけでございます。しかしながら、たびたびお答えも申し上げておるのでございますけれども、実際にガスを使用いたします場合には、警職法七条の本文の使用要件、こういうものを充足した場合においてのみ実は使用しておる次第であります。 さらに一言つけ加えますが、ただいまお尋ねの取扱規程の中で、官房長が申しましたように、ガスは部隊装備でございますので、緊迫した、いとまのない場合は別でございますけれども、あくまでも原則としては部隊指揮官の指示に従ってこれを使うというたてまえでございます。さらにまたガスは拡散性がございますので、相手方以外のいわゆる第三者にもいろいろと御迷惑がかかる事態もございますので、その点につきましては、十分現場の状況、そういうものを勘案して使うというふうに、この取り扱い、使用につきましては、特に慎重な配慮をもっていままで使ってきている経緯でございますので、御理解いただきたいと思います。
○山口(鶴)分科員 殺傷と言いますがね、お使いになっておられますクロロアセトフェノンはクロロピクリンとほとんど似たような性能ですね。厚生省の薬事課が出しました中間報告を見ましても、濃度によりましてはやはり相当障害を与えることは事実じゃないですか。現実に武器と同じような効果をあらわしておることは否定することはできないでしょう、このクロロアセトフェノンは。
○川島(広)政府委員 ただいま先生が御指摘の厚生省の分析結果は、私のほうも連絡を受けておる次第でございます。それで、けさほど来のお話にもございましたけれども、ガスそのものによって直ちに炎症あるいは熱症というものが起こってくるということでは必ずしもないわけでございまして、いろいろ副次的な要因が重なりますれば、たとえば特異体質の方もございまするし、あるいはまた皮膚を非常に強くこすったあとにガスをかぶるというような場合も相当あるかもしれません。しかし、ガスの使用は、あくまでも——先生も御案内のとおり、あれをかぶりますれば涙腺を刺激いたしまして涙が出てくる、あるいは場合によれば鼻じるも出るというようなことでございますので、われわれ警察側としましては、即刻退散することを期待をしてガスを使用しておるわけでございまするので、その点、御理解をいただきたいものだと考えます。
○山口(鶴)分科員 もう時間もあれですから、これで終わりにしたいと思いますが、ガス銃は、警職法七条によるところの武器ではない、それからまた施行令九条による個人の装備品ではない、部隊として持つ装備品であるというようなお話で、一般国民に対してどういう扱い方をするのかという規範なり、取扱規程というようなものを一切隠してやっておられるわけです。しかし、私はそういうことは、先ほども申し上げたような民主警察の上からいっても好ましくない。大臣、どうですか。どのようにお話がありましょうとも、少なくとも警察官がお使いになりますところの、一般国民に対して危害を与えることが現実にあるものにつきましては、やはり明確な取扱規範というようなものをおつくりになって、そうして一般国民にも明らかにする、こういうことが必要だと思うのです。これに対する大臣の御見解と、それから先ほども指摘をいたしましたが、民主警察、国民のための警察であるべきなのが、定員のきめ方についても、国会で言明されたことと現実と違うようなことをやっておる。こういうことでは国民に愛される警察というわけにはならぬと思うのですよ。この点に対する大臣の所見をお伺いいたしますと同時に、せっかく法制局の方に来ていただいておりますから、一言だけお尋ねしたいと思いますが、他の公務員のきめ方は、国家公務員の場合は法律できめる。地方公務員の場合は条例できめる。ところが、警察官の定員だけは、政令できめればそれに右へならえしなければいかぬ。形式的には条例できめることになっておりますが、現実には政令で定員がきまる、こういう形になっておるわけですね。こういったものは、他の公務員の定員のきめ方からいって、私は非常に間違っておると思うのです。他の公務員の定員のきめ方との関連において、この警察官の定員のきめ方は違法ではないかと私は思うのでありますが、その見解をお尋ねいたしまして、終わりたいと思います。
○荒木国務大臣 第一点のガス銃の使用に関します訓令で、内部規定として処理しておるということを公表すべきではないかという御意見は、御意見としてそれなりの意味があろうとむろん思います。思いますが、現実にはガス銃の現場における使用そのもの——内部的な心がまえということを中心としたものかと存じますが、やはりいま警備局長がお答え申し上げましたように、当面、御意見どおりに直ちにし得るかどうかについては、ちょっと私も疑問を持ちます。現場本位で、何も危害を加えるためのものではないわけですから、警察機能からいたしましても危害を加えることが目的ではないはずなんで、不法状態を排除する、予防する、あるいは制圧する、これが国民のためになるという概念だろうと思いますので、そのために効果のある使用方法こそがまず第一義的に考えられるべきことではなかろうか、こういうふうにいまとしては存じておる次第であります。
○真田政府委員 お答えを申し上げます。 現在の法制のたてまえから申しますと、警察事務は都道府県の団体の事務というふうに構成されております。憲法には、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」というふうに定められておりますので、地方公共団体の組織及び運営に関する事項については、当然地方自治の本旨ということを念頭に置いて法律をきめなければいかぬわけでございます。ただ事の性質上、ここまでいけば地方自治の本旨に沿っておるけれども、ここから一歩出れば直ちに本旨に反することになるというふうに明確にきまる性質のものではございません。それは立法政策上のかなり裁量の働く部面があるだろうというふうに考えるわけでございます。現行の警察法では、もちろん地方自治の本旨ということも念頭に置きながらきめられているんだと思いますけれども、ただ、通例の地方公共団体の職員の定数のきめ方に比べますと、非常に異例な、例外的な措置であることは先生のおっしゃるとおりでございます。これはひとえに、警察事務が一都道府県の公安の維持、国民の生命、身体の安全ということにとどまらず、やはり全国的な視野において均衡のとれた警察力というものが整備されなければならぬというような、そういう方向からする立法上の要請をも踏まえながら、片方、先ほど申しました地方自治の本旨ということも当然念頭に置いて、立法政策上さようにきめられているものだろうというふうに理解しております。ただ例外的な措置であることはおっしゃるとおりでございます。
○臼井主査 玉置一徳君。
○玉置分科員 総務長官にお伺いしたいのですが、予算がだんだん煮詰まってまいりまして、またこれは予算の関連法案に重点が移ってくると思いますが、そこで今国会ではその一番焦点の一つが総定員法だと思います。総定員法が、一般新聞論調を見ましても、国民の大きな要望であることも事実でありますけれども、いままでの各省別の定員の国会の承認を求める分につきまして、そういうような意味で非常に不安も考えておる。というのは、それぞれが非常に中央集権的な強さを持つのじゃないだろうかとか、そのときにはどういうようになるのだろうとか、いろいろな心配があると思うのです。その一つとして、私は公務員制度審議会の審議の促進ということが第一点だと思います。人事院勧告の完全実施という給与の問題もまた前提になる一つだと思います。こういう意味で、公務員制度審議会の審議の促進状況につきましてお伺いをしたいと思います。 御案内のとおり、四十年の五月にILOの八十七号条約があのような状況で通過をしたわけであります。その後幾多の変遷を経まして、国内法に関する問題は公務員制度審議会の議を経てこれをやるということになりながら、人間の問題審議委員の構成の問題等の関係で中断をしておったり、いろいろふぐあいがあったと思います。順調な推移は見なかったわけでありますが、最近幸い人事構成もできましてスピードアップしておいでになりますが、この間、一番問題になっております専従の問題も、一応やむを得ないのじゃないだろうかというような形で通っておるだけでして、実際の団結権あるいは団体交渉権、いわゆる労働三権の重要な問題につきましては、今後の審議にゆだねると申しますか、まつと申しますか、そういうようなニュアンスが当然あったと私は思います。その意味では、このILOのあと始末であります国内法の整備、そこから出てまいります、ただいま申しました労働三権の基本的な問題につきまして、すみやかに審議をやっていくということをぜひともおやりいただきたいと思います。聞きますと、最近はがんばってやっていただいておるように承っておりますが、何ぶん長い空間がございましたから、一般国民にしろ一般の官公労の方方にしろ、若干の不安があると思います。きょうまでのいきさつがなぜそうなったのか、また今後はどのような速度でどのように審議のめどをおつけになるのか、お示しをいただきたいと思います。
○床次国務大臣 ただいま玉置さんからお話がありましたように、公務員制度審議会のあり方に対しましてはお互いに非常な関心を持っておりまして、ぜひその進行の結果を早く得たいと思っておりますが、今日までの状況を申し上げますと、昨年の十月二十五日に第二次が再開されたのでありますが、今回の第二次におきましては、公務員等の労働の基本に関する事項につきまして委員各位から鋭意審議を続けられるという状態でありまして、先般、二月の二十四日に東京の農林年金会館におきまして第七回目の会議が行なわれておるのが現状でございます。 なお、これからの審議の状態でございますが、審議会の決定によりまして、今後は原則として月二回程度は開きたいという形で、非常に委員の方も努力していただいておるわけであります。 なお、委員会の詳しい経過につきましては政府委員から申し上げますが、今日までかなり時間がたっておるようでありまするが、実は再開以来五回にわたりまして、在籍専従の問題について審議を続けられたのでありまして、二月から基本問題の審議に入ったので、すなわち六回目、七回目、二回行なわれまして、三月も引き続き二回開きたいという予定でございます。 審議会としては、かようなわけでもって、第二次開会以来非常な努力をして、委員の方々もさような考え方でもって審議を続けておられる次第であります。
○栗山政府委員 では審議の模様につきまして補足をさせていただきます。 ただいま総務長官が仰せられましたごとく、それから先生のおっしゃいましたごとく、最初、在籍専従問題につきましては、これはILOのあと始末の問題でございますが、昨年開会以来四回、それからことしに入りまして一月に一回、熱心な御論議がございまして、大体この辺であと始末の問題を打ち切りといたしまして、それで第六回目の、つまり二月五日からいよいよ、先ほどお話のありましたような労働三権といいますか、基本権と申しますか、この問題に真剣に取っ組んでいくということになりまして、きわめて熱心な御論議が二月に入りまして、二月の五日、それから二十四日の二回あったわけでございます。特におとといの二十四日のごときは、お昼飯もお食べにならずに、午後一時十五分ぐらいまでずっと引き続きまして熱心な御論議があったわけでございまして、先ほど総務長官がおっしゃいましたように、今後は一月二回の原則で審議を進めていこう。審議会の委員さんとしましては、月二回というのはたいへんな御勉強も必要でございますし、たいへんな御努力だとわれわれは存ずるわけでございまして、この基本権問題につきましては、会長も審議の促進には非常な御関心をお持ちだというふうにわれわれは伺っております。
○玉置分科員 そこで、在籍専従の大体の結論はどうなったのか。それからなお、労働三権のうち何をどの程度の目途にやっていこうとしてもくろんでおいでになるか。その間の事情をひとつ御説明いただきたい。
○栗山政府委員 在籍専従の点につきましては、先生もうすでに御承知だと存じますけれども、ILOのあと始末といたしまして、昨年の十二月十四日から条約加入に伴う新しい制度が施行になるということでございまして、その施行になるにつきましてのいろいろの問題を御論議になられたのでございます。 結局、審議会といたされましては、この在籍専従の許可にあたって、客観的に、つまり恣意にわたることのないようにということを中心とされました申し入れをおつくりになられまして、政府に出されたわけでございます。政府部内といたしましては、この申し入れに基づきまして、申し入れの趣旨をよく検討いたしまして、内部によく伝えたわけでございます。 次いで、それが年を越しまして一月に入りましてから、中央、地方、おのおの実施の状況につきましての御報告、並びにまた今後のそれについてのいろいろの御要望等の審議が二月に入りましてあったわけでございまして、大体この辺で、また今後いろいろ関連してそういう問題が起きてきた場合には審議を続けることとして、大体この辺で論議を終わりまして、二月から、つまり第六回からいよいよ本格的な基本権の審議に入ろうということに相なりました。 そこで、二月に入りましてからの審議の進め方につきましては、運営小委員会を開きまして、どういうふうに進めていこうかという——これは非常に大きな問題でございます、労働三権でございますから、きわめて御熱心な活発な御議論が出たわけでございますけれども、労働三権は御承知のごとく一々切り離してはできないきわめて緊密な、一体ともいうべき関係を持っておるわけでございます。したがいまして、総体的な問題、それからそれのうちのまた個々の問題というふうに、いろいろやり方があるわけでございます。それにしましても、やはり同時に行なうということも、これは審議の促進上問題がございますので、とにかく関連はいずれにもあるわけでございますが、まず団結権の問題からそれでは入っていこうか。しかし団結権の問題も、御承知のごとく非常にたくさん問題がございます。問題の整理をするという意味において、最初はフリートーキングをまず試みて、そこでどういう程度の、あるいはどういう範囲のといいますか、問題の整理をひとつしてみたいというような皆さんの御意見に相なりました。 そこで、二月の第六回からフリートーキングに入ったわけでございます。皆さんきわめて御熱心な意見の開陳、それから御勉強の結果等のお話がございまして、これで二回にわたりましていろいろ御意見が出たわけです。まだ全部の皆さんの御意見が出たわけではございませんけれども、大体の方向のお話がいろいろ出たわけでございます。その大体の方向を見られまして、会長のほうから議事促進の意味におきまして、公務員というものの性格と申しますか、公務員といいましても、御承知のように中央の国家公務員もございますれば地方の公務員もございますし、国家公務員の中にも非現業、現業がございます。 〔主査退席、橋本(龍)主査代理着席〕 それからまた、地方の公務員にも、御承知のごとく普通の公務員と単純労務の公務員、あるいはまた、御承知のように公営企業に従事する職員もございます。なお、さらにそのほかに三公社もあるわけでございます。このおのおの、現在におきましても、その適用する法域を異にしておるわけでございます。そういうことで、公務員ということ一本だけで論じてはなかなか促進には相ならないということで、公務員というもののそういう仕分けと申しますか、そういうものをまずお互いに共通の土俵でつくりまして、それにおのおのいろいろの問題をからめていくほうがもっと効果的であろうということでございまして、そういう公務員の性格あるいはその範囲といったようなものをまず前提としてお互いに議論をしてもらったほうが非常に促進になるのではないか。それからさらに、三公社五現業の関連をする性格もひとつ出してもらったほうがいいのではないかという提案がございまして、皆さんいろいろ御論議をなさいました結果、大筋においてこれはそのほうが促進のためによろしかろうということに、実はおとといなったわけでございます。したがいまして、この次からはそういう方向に向かって審議の促進がはかられるものというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
○玉置分科員 私が公務員制度審議会の審議の促進を主張しますゆえんは、団結権あるいは団体交渉権、争議権というようなものが、結局はよき慣行と申しますか、労使間のよき慣行をつくるということで、やはり総定員法をお出しになっても、それに対する信頼があるかどうか、あるいは人事院勧告実施なんということもそういうことになるんじゃないかということをおもんばかりますので、なるべく——お伺いしますと一生懸命がんばっていただいていることはよくわかりますけれども、一時中断したようないろいろな事例もありますし、会長がNHKの会長をしておいでになりますから非常にお忙しいのではないだろうかというようなことも、巷間疑念を持つ向きもなきにしもあらずでございますから、ひとつ十分な御審議をお願いしたいと思うのです。 そこで、話は変わりますが、人事院の勧告の完全実施ということは、政府もしばしば、これはなるべく勧告の趣旨に沿いたいのだということをお話しになっておるわけですが、去年の一カ月分ですね、一カ月分繰り上げ支給と言うていいかどうか、当たっておるかどうかわかりませんけれども、七月にさかのぼってという場合に、閣議では、来年はつとめてもう一月繰り上げようじゃないかというのを努力目標にしようということを、一部申し合わせがあったやにわれわれは承知しておるのですが、それはどうでございましたでしょうか。
○床次国務大臣 公務員の給与に関する人事院勧告の完全実施につきましては、政府といたしましては常にその完全実施の方向へ向かって、基本的な方針といたしまして努力をいたしておるわけであります。したがって、明年度の予算におきましても、給与の改善の意味におきまして、給与費に若干のふくらみを持たせますと同時に、予備費に増額いたしまして、そうして勧告のありました際におきましては、できるだけその趣旨を尊重できますように準備をいたしておる次第であります。
○玉置分科員 そこで、予算には何月分まで組んで、予備費にはどのぐらいの程度の幅を持たしておるのか、お答えをいただきたいと思います。
○床次国務大臣 予算におきましては、四月から五%、並びに予備費は全体として九百億あるわけでありまして、勧告を受けました時期におきまして、その時点においてできるだけ善処いたしたいと考えておる次第であります。
○玉置分科員 一月繰り上げて今度は実施することを努力目標にしようではないかというように閣議の一部で、関係閣僚でお互いにそういうことを努力目標とするというお話があったというように解釈してよろしゅうございますか。
○床次国務大臣 明年の予算はただいま申し上げましたように計上いたしておりまして、その時点において努力する考えでありまするが、しかしどうしてもできないという場合にどうするかという意味においてのおことばだと思うので、いろいろ関係閣僚においても相談いたしたのでありますが、最善を尽くしますが、どうしてもできないという場合におきましては、四十五年までには少なくともこれは実現いたさなければならないのではないか、そういう強い決意を持って勧告に臨んでおる次第であります。
○玉置分科員 四十五年度までに実施するというのは、五月までさかのぼるという意味と解釈してよろしゅうございますか。
○床次国務大臣 勧告が五月からの実施になる、従来そういう形でありますので、完全実施というのは五月から実行できるということを目標といたしておる次第であります。
○玉置分科員 ことしなるべく、総定員法の関係もあるから、五月完全実施をしていただくことが、私は一番国会審議もスムーズにいくと思いますけれども、少なくとも六月まで、昨年よりも一月さかのぼって実施できるように努力をしようという——努力ですよ、努力をしようという意思だと見てよろしゅうございますね。
○床次国務大臣 勧告の内容を見まして、そうしてできるだけその実現に努力をいたしたい。おことばのとおり、われわれといたしましても最善を尽くしたいと考えております。
○玉置分科員 そこでお伺いいたしますのは、政府のほうは五%のベースアップを予算に組み入れておりますが、三公社五現業のほうはこれが入ってない。そこで、当事者能力というもので交渉の相手にならず、結局は仲裁裁定にまたざるを得ない。いつまでもこういうことをしておくということは、私はいろいろな意味でよくないのではないかと思いますが、予算の措置としてこうやらざるを得なかった何かの理由、並びにそれはどういうような含みを持たしておるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○床次国務大臣 ただいま公社等の問題についてお尋ねがありましたが、これは他の政府委員からお答えすべきだと思いますので、別の機会にお譲りいただきたいと思います。
○玉置分科員 大蔵省から、次の機会が私もございますので、そこでお伺いしたい、こう思います。 以上申し上げましたとおり、よき慣行をつくる——この公務員制度審議会の審議を促進する意味でも、片方でできるだけの努力をお払いいただくことが慣行をつくるのですから、やはり信頼の度合いだと思います。信頼の度合いの規則をつくるときに、片方で信頼の度合いを増すような施策が並行されたときに、その審議も非常にスムーズにいくのじゃないか。非常に大事なことだと思いますので、ただいまいろいろ御説明いただきましたとおり、十分な御努力をひとつお願いを申しあげたい、こう思います。 時間がございますので、同和対策と交通対策について、若干触れてみたいと思います。 御案内のとおり、同和対策の問題につきましては、ここ六年間、しかも最近三年間は、審議会の答申も出まして、総理も、政府みずからこのことをなるべく早い機会に実施するということをたびたび明言されておることは、総務長官も御存じのとおりであります。そこで私たちも、相なるべくは四党の打ち合わせを完了いたしまして、政府の御審議と並行して、ただいま取りまとめをやっております。ほぼ九割九分九厘近くまでいったかと思うのですが、そのことを持ち寄りまして協議をいたしました場合、政府のほうではすみやかにそれを尊重して実施していただけるかどうか、念を押しておきたいと思います。
○床次国務大臣 おことばのとおり、同和対策の特別措置法はぜひひとつことしには成立させたい。今日までの経過を見てまいりましても、まことに私はその期待を持っていい状態になっておるのじゃないか、もう最後の努力をひとつお願いいたします。 また、同時に、この御努力に対しまして、政府といたしましてもお手伝い申し上げまして、そうしてできるだけ早く政府案が提案できますように考えておる次第です。ぜひその点につきましては、四党のほうでの結果を待ちますと同時に、私どももさらに最後の努力を尽くしたいことを申し上げます。
○玉置分科員 総務長官は交通対策の全般の責任者でもございますので、ひとつお願いをしておきたいと思うのです。提案を申し上げておきたいと思います。 いろいろ問題がございますが、その一点でございますが、むち打ち症の対策でございます。これは御存じのとおりのような多発をいたしております。しかもまだ原因と治療対策が明確に確定いたしておりません。したがって、被害者は非常にお気の毒であります。これを一日も早く救うような施策を、厚生省もあるいは各省とも、それぞれの努力を払っておりますけれども、私はこの努力だけでは足らないのじゃないか。と申しますのは、被害の治療、治癒の時期等が確定しにくい問題でございますので、その補償その他について、被害者、加害者と申しますか、そういう者の間に意思の疎通を欠く場合も少なくないと思うのです。そしてこれからますます多発していく問題でございますので、これの研究は、厚生省や労働省が、一千万円ぐらいの調査費を、どこかの大学とかいろいろな研究所にまかしておくのじゃなしに、国も思い切って出さなければいかぬし、業界、民間にも呼びかけていいのじゃないだろうか。そして完全にこれを治癒し得るような方途を一日もすみやかに講じるべきであって、一省にまかしておく問題じゃない。労災の関係で労働省、厚生省の医療のほう、聞きますと、一千万ぐらいの予算で、それぞれおやりになっておりますが、予算の金額が若干違っておるかもわかりませんけれども、そのくらいの対策では事済まない。これは民間団体にも呼びかけて、思い切った究明をすると同時に、その治癒の対策としては、相当各所に、そういうセンターを設けるべきじゃないかという感じがするのですが、御所見をお伺いしたいと思います。
○床次国務大臣 交通災害の一番悲惨なと申しますか、問題を残しておりますむち打ち症に対しまして、貴重な御意見を拝聴いたしまして、まことに有益に存ずる次第でありますが、なお政府といたしまして今日努力しておりますことにつきまして、大要だけ申し上げてみたいと思うのであります。 総理府が総合的な対策をいたしておるので、絶えず各省とも連絡をいたしておりまして、さらに御意見等を参酌しまして、努力いたしたいと思っております。 第一は、いわゆるむち打ち症の発生原因となりますところの追突事故の防止ということをまず第一に考えていきたい。このための措置といたしまして、交通安全施設の整備、信号機の合理化、交通取り締まりの強化、交通安全教育及び広報の強化、車両の構造、装置の安全性の向上等につとめるほか、交通の円滑化をはかるための長期的施策として、道路等の都市交通施設の整備促進をはかるということにいたしております。 第二といたしましては、救急医療体制の整備を促進することでありまして、この点につきましては、むち打ち症を含む交通外傷患者に対し適切な診断、治療を行なうため、主要都市の国立病院、公的病院等について、脳神経外科、整形外科、外科等を中心とする救急医療センターの整備を促進するとともに、国立病院、療養所、公的病院を中心とした交通外傷後遺症患者に対するところのメディカルリハビリテーション施設の整備を促進するようにいたしております。 第三といたしましては、被害者に対する補償等を適正化することでありまして、この点につきましては、いわゆるむち打ち症に多いといわれるところの精神神経系の障害につきまして、自動車損害賠償責任保険の後遺症の保険金額の適正化をはかるため、昨年二月、自動車損害賠償保障法施行令を改正しまして、これまでの精神神経系の後遺障害の等級であります七級と十二級との間に新たに九級を設けたのであります。なお、自動車損害賠償保障法施行令で定めるところの後遺障害の等級全般については、労働省において、現在専門家会議を設けまして行なっている、労働者災害補償保険の障害等級表の検討の結果を待って措置することにいたしております。 また、いわゆるむち打ち症の治癒後、職場復帰した者につきましては、事業場に対して、個々の身体の状況に応じた適正な労務管理が行なえるように指導しておるのであります。 第四といたしまして、追突事故の防止等に関する科学的研究、及びいわゆるむち打ち症に関する医学的研究を推進することであります。すなわち前者につきましては、交通事故防止に関する総合的な研究の推進の一環として、追突事故の多い交差点におけるところの信号の現示方法、車の通行規制に関する研究、安全まくら及びシートの安全性の研究、衝突時における乗員の安全性の研究等を行なっております。後者につきましては、いわゆるむち打ち症の治療及び診断方針を確立するための臨床的研究、むち打ち症の後遺障害の認定に関する医学的研究等を行なっておりますが、御意見等によりまして、さらに一そう各方面の協力を求めまして、その成果を推進いたしたいと存じます。
○玉置分科員 時間が参りましたので、これで終わります。
○橋本(龍)主査代理 石野久男君。
○石野分科員 科学技術庁長官に、原子力の平和利用、特に安全性の問題についてきょうはお尋ねしたいと思います。 原子力の平和利用については、これはもう言うまでもなく、それの平和利用が非常に大事だけれども、しかし放射能を十分安全にコントロールしませんと、かえって逆に平和利用が達成できないという危険を感じておると思うのです。昨日の読売新聞の記事によると、東海の原研における燃料棒の破損のことについて、「燃料棒破損また三本」「原研材質、工程に欠陥か」と、こういう記事が出ておるわけです。結局ことしになりましてから、特に原子力研究所国産一号炉、JRR3ですが、ここで二月十四日に事故が出ました。その事故によって——三本ほどの燃料棒の破損ということがその前にわかっておったのですが、五人の人が同時に被曝して、しかもそれが内部被曝だ、こういう事故が起きておるわけです。この事故は、原研十数年の歴史の中では一番大きい事故だと私は思うのですが、長官はこういう事故をどのように受けとめておられるか、まずそのことから、長官にお聞きしたいと思います。
○木内国務大臣 お答えいたします。 いまお話しのように、国産第一号炉におきまして、燃料棒の問題に関連しますけれども、重水の取りかえの際に、そのフィルターに多少故障がありまして、そうして放射能を浴びた、こういうことでございますが、その際に調べましたところが、人体——外からですね、それから床その他の被害というものはきわめて少なかった。しかし、それだけではいかぬというので、体内にどの程度それが入ったか、こういうことを調査いたしましたところ、それもきわめて軽微で、許容量の何十分の一というものであったから、別に支障はなかった、こういうような報告は受けておるのですが……。
○石野分科員 長官はいとも簡単に言うけれども、とにかく百三十ミリレムのものをパー十三週で被曝を受けておるわけです。この線量というのは非常に大きいと思うのです。私はこういうような問題についてあれこれ言いませんけれども、こういう事故で、同時に多人数の人が被曝しているということは非常に重大だと思うのです。これはわれわれも、原子力研究所の中でいろいろな事故が起きている中でも、こういう事故というのは、この十年間では一番大きい事故だ、こう思っているのです。そこで、この事故が起きた当時の作業の内容と、その原因はどういうところにあったか、これを簡単にひとつ説明していただきたいと思います。
○木内国務大臣 こまかいことでございますので、原子力局長から御説明いたさせます。
○石野分科員 なるべく簡単にしてくださいね、時間がないから。
○梅澤政府委員 二月十四日に、原研におきまして、JRR3の重水をときどき取りかえます。取りかえまして、重水の洗浄をいたしますが、その場合に、重水のフィルターがございます。そのフィルターをあけまして、中をきれいにするわけでございます。いままで二十数回やっておりますが、そのときの管理基準でやっておりましたところ、今度揮発性のやつが一部出まして、それでもって五人が軽い被曝をした。その被曝につきましては、三カ月当たり四十五ミリレム、翌日全部身体検査をいたしまして、そういう形が出たわけでございますが、職業人の受けるのは三カ月に三レムということでございまして、その受ける形としてはだいじょうぶでございましたが、しかしやはり管理基準その他のことが問題がありますので、現在その管理基準の見直し等を命じてやらしておるところでございます。
○石野分科員 新聞が報じているように、この燃料棒が前に三本の破損があって、その後また出て、それが合計現在十本の燃料棒が破損をしておる、こういうふうに新聞は報じておるが、それは事実でございますか。
○梅澤政府委員 昨日の読売新聞で、三本とつけ加えがございましたが、私たちのほうは七本、実際のは出ております。それから、そのとき、前から三本のやはり疑いのあるものがあるということで、検討中でございましたが、昨日の新聞は、その疑いのあるものの三本が報道になった、そう存じております。
○石野分科員 そうしますと、十本の燃料棒の破損があるということになりますと、これは安全性の問題から見れば非常に重大なことだと、こうわれわれは考えるのですが、当局はそれをどういうふうに考えておりますか。
○木内国務大臣 御承知だろうと思うのですが、国産第一号炉の目的は、原子炉の開発を研究するというのが一つの目的、それから燃料と材料の研究をするというのがその目的でありますが、いままでは外国から輸入した燃料棒を使っておった。しかしだんだんこれを研究して、国産の燃料棒にかえていかなければならぬ。それで四十二年の三月から使っておりましたところ、四十三年の四月になって一本破損した。それからその次の、いま申しましたように全部で七本、疑わしいものまで入れて十本、これはさきに申しましたのはちょっと余分であったようですけれども、この炉を設けた理由は、それを研究して悪いところがあったら改める、こういうことにあったわけです。そういうことでありましたので、自分の国でみずから開発していくためには、多少の危険とかいうものは、輸入した炉とか輸入した材料に比べまして、多少そういうことがあり得るということは、私ども覚悟していなければならぬ問題だと思っております。
○石野分科員 長官は、国産で原子力を積極的に開発するというためには、安全性は無視してもいいという考え方に立っているのですか。
○木内国務大臣 決してそういうつもりはないのでありまして、安全性については十分の注意をしておりますが、国産の燃料棒にそういう破損を来たしたものがあった、こういうことでありまして、安全性につきましては、十分の配慮をいたしておるつもりです。
○石野分科員 私の聞こうとしていることは、国産でやっちゃいけないとかなんとかでないので、私は、むしろ国産で原子力の開発をすることを、だれよりも望んでおるのですよ。だけれども、原子炉の安全性という問題は、われわれは、一般にいわれる産業公害よりももっとこわいという認識に立っているわけなんですよ。だから、事故があって、それが安全性に危害を与えるということになったときには、これを究明して、それをよくするために努力しなければいけない。だから、いま大臣の言うのは、国産だから少しぐらい事故があったって、そんなことをあまりやかましく言うなということを言おうとしているようだけれども、そういうことを言っているのですかどうなんですか、もう一ぺんはっきりしてください。
○木内国務大臣 決してそういうつもりではないのです。
○石野分科員 それだったら、やはり炉をなにするのには、日本原子力研究所で出しておるところのJAERIレポートがありますね、このレポートの六〇〇四というのは、JRR3についての安全性の問題を各方面から検討しているものですよ。その中で、六八ページにはこういうように書いてある。「考えられる最大事故として破損燃料棒の検出が遅れ、被覆の破損個所が増大しそこに含まれた核分裂生成物が重水中に溶けこみ、この溶けこんだ重水が地下室に洩れ出た場合を考える。破損燃料棒の発生はカナダNRXの実績によれば、年間数本程度であるから、JRR3の場合も、一本以上の破損燃料棒が同時に炉内に存在することは一応ないと考えられる。」こういうようにレポートしておるわけです。こういう条件のもとで、いわゆる国産一号炉というものが運転されているわけです。だから、これはいままで考えている安全度の最大の限度なんですよ。世界的な通念からしても、国産一号炉を運営する上においても、この精神に基づいて運営をしておると私は考えるのだけれども、そうじやないですか。
○梅澤政府委員 ただいまおっしゃるとおりで運営しております。したがいまして、機械におきましても、燃料に破損がまいりましたら瞬間にわかるような機械を直接つけてございまして、それで、そのときにすぐ抜き取って入れかえるという装置も全部つけてございます。
○石野分科員 局長のいま言われたように、国産一号炉というのは、こういう基準に従って安全性を確保する中で運転されているわけだ。たまたま今度は、とにかく一本以上はなかろうと思っていたところが、同時に十本ものこういう事故が出ているわけですよ。ですから、これはもう安全対策委員会の条件を非常に越える状態にあるわけなんです。いま炉は停止されておりますか。
○梅澤政府委員 ただいま炉を運転いたしております。しかし、現在までのデータでまいりますと、使う量でございますが、日にち、これを大体三百メガワットですか、半分の形で使っていってもだいじょうぶというところは、いままでの経過から見ております。したがいまして、現在は日本のものを使うのに、大体予定の半分の期間で取り上げて入れかえている、それで安全に使っているというのが現状でございます。
○石野分科員 私は、すでに予想される最大の限度を越えるような破損率が出ている中で、依然として運転をしておるということについて、いわゆる安全性確保の上からの管理、監督面で非常に問題があるのではないか、こう思うのですよ。しかもいま局長の言うところによると、半分の量で運転しているのだ——これは、大体普通あの炉でやる場合の燃料棒の計算は、少なくとも六百メガワット・デー・パー・トンですね。そういう形で燃料棒の調達もしているし、運転もしてきているわけだ。それをしかもこれだけの事故があるときに、その事故の原因が何であり、現在どういう状態であるかということの解明もしないで運転をしているということについて、安全性の管理の問題で、非常に問題があるのではないかと思うのですが、これはよろしいのですか。
○梅澤政府委員 昨年の十一月から、燃料棒に破損が出ましたので、それについての検討会を開いております。それに基づきまして、そこでも安全性を考えながら検討を続けて、おそくもこの八月までには検討して意見が出てまいります。そのときの段階において、半分の三百メガワット・トン・デーで使ってもだいじょうぶであるというところの考え方のもとに、注意をして、安全管理してやっているというのが現状でございます。
○石野分科員 何本かの、十本近い破損の出た燃料棒というのは、第一次冷却水である重水の中につかっておったわけですね。破損したのは、その重水から取り出したときに破損したのですか、重水の中にあったときに破損しておったのですか、どっちですか。
○梅澤政府委員 重水の中でございます。ただ、中で出ましたときに、すぐ瞬間的に検出できる装置がありますので、さっそくそれを抜いて取りかえるという作業をしております。
○石野分科員 重水の中で出ておれば、重水の中には、この燃料棒から出ているところの放射能も中へ入って散っているし、場合によれば、ウランもその中に入っておるわけですよ。そういうことが、現在重水がどの程度汚染されているかということの問題になってくると思うのです。いま重水の放射能の度合いがどのようなものであり、通常運転の中で事故を起こさないために、大体予定し、あるいは確保しなければならない濃度とどういう比率になっておるか。それをいまわかれば知らせてもらいたいし、わかっていなければ、あとで資料を出してもらいたい。
○梅澤政府委員 申しわけありません。数字はいま持っておりませんが、ただ、聞いているところでは、現在、いままでの外国の燃料を使ったときと、そう動いておりません。それでもってやっていく。ただし、先ほど申し上げましたように、動きましたときには、すぐに検出して入れかえます。それから、そのときの中をはかりまして、それでいまのフィルターでそこのところをとって、もとに戻して使うという形をとっております。
○石野分科員 同時に数人の人が外部被曝、内部被曝を受けているということは、空気中にやはり相当程度の汚染があるということなんですね。いま局長は、重水の中に事故があったりなんかすればすぐ検出できるという話でした。しかし実際に検出できるのですか。現在あそこにあるところの破損燃料検出装置というものは、バックグラウンドが非常に上がっておるために、もう針がとまっているのがたくさんあるのですよ。それだからこそ、どの棒がどこで事故があったかわからないので、四十三本引き出したのじゃないですか。どこに故障があったのか、引き出した上で検出しているのでしょう。本来ならば、どの穴の棒がどういうようにして事故が起きておるかわかるようになっておる。しかし、いまそれが実際いうとわからないのですよ。そういうわからない中でやっているという事実を、あなた知っているのですか。
○梅澤政府委員 現在の現場のあれをこまかくはよく存じておりません。しかし四十三本一ぺんに抜くとかいうよりも、検出装置がございまして、それで、悪いものが出ますと、すぐそれを抜くという形でやっておりまして、それをやります場合に、中の揮発分、それから重水の液体の分析、それができる装置でやっております。
○石野分科員 局長はまだ十分つかんでいないと思うのだけれども、われわれの聞くところでは、実際問題として、この炉のバックグラウンドが非常に上がってしまって、その検出器は完全な作動をしていないというのが実情のようですよ。これはよく調べていただいたほうがよい。私は別にここでけんかしようとかなんとか言うのじゃないのです。安全性を確保する上で、こういう状態の中で運転しておると、もっと大きい事故が起きてくるという危険があるから、私は、このことをもう少し親身になって、皆さんは現場の実情を見なければいかぬと思うのですよ。これは、私は特に科学技術庁長官にもお願いしておきたいと思います。われわれは、原子力の平和利用は積極的にやらなければいかぬと思います。しかし、積極的にやらなければいかぬけれども、そこから出た核エネルギーを使うためには、同時に出る核放射能の被害に対する完全管理をしなかったらば、かえって被害は大きくなる。だから、平和利用について最も大事なことは、もう科学者の諸君がよく言っているように、いわゆる放射能を完全にコントロールすることに成功するものが、平和利用を最も先に達成することができるのだ。それを無理してやると、必ず事故が大きくなってくる。私は現在JRR3の運転というものは、そういう点で非常に無理があるように思うのですよ。なぜこういうふうな無理が行なわれておるのか、こういう点で、私たちは実は疑問を持つのです。特に私は地域住民です。東海村のそばに住んでおります。そういう意味からいいましても、こういうようなことを、科学技術庁が安全性の問題で放置しておくということについては絶対に許せない。これは作業している従業員だけじゃない、地域の住民が戸の事実を知ったらどうするのです。私はもう少し十分な監督をしてもらいたいと思う。私は長官に、その点で、もう一ぺんひとつ現場をよく見ていただくことを確約しておいてもらいたいと思うのですよ。
○木内国務大臣 いまお話がありましたように、原子炉の操作につきまして、安全性を第一に考えなければならぬことは申すまでもありません。そこで、原研当局も、規定によってきめましたところを厳重に守っておるものと私は思いますけれども、なお、その点は十分に注意をいたしたいと思っております。
○石野分科員 私どもは、なるべく原子力の開発がスムーズに、しかも速度が速く、完全にいくことを望んでおります。それだけに、現場に働いておる原研の諸君だってそうだと思いますけれども、ただしかし事故があったときには、長官がさきに言ったように、わが国のなにはおくれておるものがたくさんありますから、一生懸命これは勉強をして事故を早く解明して、みんなで衆知を集めて一日も早くいいものをつくるようにしなくちゃいかぬと思うのです。だから、事故は隠蔽してはいかぬと思うのです。事故があったら、なるべくこれを公にする。そのことがかえって技術を進歩させる道だ。そういうことを私たちは自主、民主、公開の——公開の原則に適合している、こういうように考えておるのだけれども、局長はその点、私の考えておることは間違っておると思いますか。
○梅澤政府委員 原研につきましては、確かに原子力の殿堂でございます。したがいまして、普通の法的から見ましたいわば事故という範囲内の届け出制に入らなくても、事故をなくすことが使命であるということで、今度の問題につきましても、必要に応じてわれわれのほうから立ち入り検査をするという考え方でいま調査を命じております。実はその関係でいま公開の問題が出ましたが、公開につきましては先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、外にものごとを出します場合に、非常に誤解を生ずるようなものとして出すよりも、やはりそれは、ある段階でこれはなるべく普及したほうがいいということの方針で出すように考えております。ただあまり途中で誤解を生ずるような出し方ということはかえって悪いので、その時期についてはいろいろ考え方がある、こう思っております。
○石野分科員 いま局長は誤解を生ずるということを言われたのですが、誤解を生ずるということは、たとえば虚偽の報道をするとかなんとかいう場合は誤解が出てくるわけですよ。事実を事実として伝えるときでも、これは誤解を生じますか。
○梅澤政府委員 事実を事実として公開する場合には誤解を生じません。したがいまして、今度の事故につきましても、これをふるって発表したわけではございませんが、これをあえて押えていたということはございません。
○石野分科員 私は、この公開の原則とか、あるいはまた、なるべくやはり安全性を確保するために慎重な態度をとるということは、いま原研当局などで、特にこういう事故のあったときには大事なことだから、その点について注意をしてもらいたいと思うのです。たとえば一月七日のストのときに、これは原研の労組がストをやったわけですよ。そのときに、JRR3のところに保安要員を置いておきました。その保安要員を使ってやはりJRR3の出力上昇をやっているわけですよ。こういうことでは私は非常に危険だと思うのです。こういうようなことは安全管理上よろしくないと私は思うのですけれども、監督官庁としての局長は責任ある立場で、そういうような状態でも出力上昇なとをやるということは——いろいろ原研にはやらなければならぬ事情があったと思うのですけれども、安全性の観点からすれば、こういうことは私はよくないと思うのだが、所見をひとつ聞かしておいてもらいたい。
○梅澤政府委員 安全管理につきましては、一般的な安全管理は保健物理安全管理部でやっております。それから炉につきましては、炉に主任技術者というのがついておりまして、それで管理をしておりますが、その主任技術者と保健物理安全管理部との関係で、これでだいじょうぶと思っているところでやって、しかも、その保安管理規程に違反しないでいけるという形の基準がつくってございまして、それで自信をもってやっていると私は解釈をしております。その点、そこに非常に不安感があるという点はやむを得ないかと思いますが、仕事を進める関係から、その基準と、それからその保安主任技術者の確信というところでやっているのだと、こう思っております。
○石野分科員 こういう問題は、現場の事情などを見た上で判断しなければ、ただこういうところで話しただけでは進まないと思いますけれども、しかし局長、こういう問題は少なくとも、ストなどがある場合には作業員はほとんどみないないわけですよ。ことにいままでは、JRR2にしましても出火の事故なんかもあったりして、この前大騒ぎした問題があるわけです。それからJPDRにつきましても問題があったりしますし、こういう事故続きのところで、しかも労使の関係がいろいろ問題があってストライキをやっている。ほんのわずか、一人か二人の保安要員だけしか残していないものに通常の作業と同じような出力上昇の仕事をさせるなんということは、私は常識で考えてもむちゃだと思うのですよ。こういう点はひとつ局長、厳重な監督をしてもらわなければいけないと思いますから、その点もう一ぺんあなたの考え方を聞かしてもらいます。
○梅澤政府委員 先ほども申し上げましたように、今度の事故と申しますか、こういう状態が起こりましたのを機に安全管理方式、保安規定、これを全部一切見直すということを命じております。それで今後厳格に進めていきたい、そう思っております。
○石野分科員 この問題に関連して、実は原研でこの職場におる諸君が、組合の機関紙であるいわゆる職場新聞というものでその事情を新聞記事にしたわけです。そのことに関連して処分が出ている。時間があまりありませんから、処分のこまかいことは私は申しませんけれども、この諸君の新聞に書いたことか虚偽の——まあ人事部長の話によると、それは虚偽だとか歪曲したとかいうことのようでございます。あるいはまた、職場で出たデータを無断で出した、こういうことでありますけれども、事実問題として研究所の中で、しかもマル秘の扱いをされてない資料を職場新聞に出すということは、そんなに秘密を漏らしているわけでも何でもない。のみならず、やはり言ったことが虚偽のことでは全然ない。ないどころか、その後商業新聞でさえもはっきりとそれ以上の破損数量が出ているということを書いているのだから、こういう事実を事実として報道し、お互いがやはりその事故を早く解明しようとして努力している現場の諸君のやり方に対して、原研の当局がこれをもう有無を言わさずに処分をしているということについては、私はちょっと労務管理上行き過ぎではないかと思うのですよ。こういう点は、ここで私はあれこれいろいろな論議はしませんけれども、原研当局としてはひとつこの事実をにらみ合わせた上でもう一ぺんこれを再検討してもらいたい。再査察といいますか、原研当局のやったことについて、そういうことをやってくれる意思があるかどうか、ひとつこの際お聞きしておきたい。
○木内国務大臣 いまお話の問題ですけれども、さっき申しましたように、燃料棒に破損があった。そこで、それについて委員会を設けましてその原因を究明し、いかにしてこれを改めたらいいかということを研究しておる段階において、原研の報告によりますと、そのごく一部の数字などをとって、しかも虚偽をまじえ事実を歪曲してこれを労組の数百名に配った。これは服務規律といいますか、職場の規律に違反するものであるから、服務規律に照らして処分したのだ、こういうことでありますので、私はこの職場の規律を維持する立場における理事長の処分としてはやむを得なかったものじゃないかと思っております。
○石野分科員 この点は、長官は理事長からの報告があるのと現場の実情との間に違いがあるというふうにわれわれは見ているわけですから、これは一ぺん、率直に言って、やはりよく調査してもらいたい。しかも職場新聞に出ているものをここに持っておりますけれども、職場新聞に出ているものと、その後のJRR3におけるところの破損燃料の実態というものは、書かれているものよりもっと大きいものが出てきているのですよ。虚偽でも何でもないのですね。しかも、いま局長から言われたように、燃料棒の使い方についても、能力を半分にしていま運転しているというようなことも言っているわけですよ。職場新聞にそのことをちゃんと書いているわけですよ。職場新聞はそのことではないけれども、データをずっと出しておる。そのデータは別に虚偽でも何でもないわけなんだ。だから、これはもう一ぺん調査してもらいたい。調査すべき内容だと私は思う。 そこで、安全性の問題から特に被曝がこういう状態にまでなってきておる。しかも、現場は非常に汚染してきておるという実態があるのに、現在なお運転しておるというところに一つ問題があるのですよ。私は、安全性を確保する上からいえば、しかも、こんなに数人の人が同時に被曝しているというような実情があり、それから、検出器はバックグラウンドが上がっているために十分作動していないというような事実があるのにかかわらず、原研当局がこの炉を動かしているということは、もうどうしても解せない。なぜそういうことをやっているのかということについて、いろいろうわさがあります。たとえば、東大の某教授が脳腫瘍の研究をするためのデータをそろえるために、何でもかんでもそれの作業をやらなければならぬためにやっているのだというようなことも聞いておりますけれども、そういう作業も必要だと思います。必要だろうけれども、しかし炉がこういう危険の中にあるときに作業しているということは間違いだ。むしろこの段階では、私は一応運転を停止して、それで原因の調査をよくして、その原因の解明ができてからやるべきである。局長のお話だと、八月ごろまで、検査の結果、調査ができないんだという。その期間中こんな不安な状態でやられるということになると、原研の内部は承知しても、周辺の地域の者は承知しないですよ。そんなになったらわれわれはあぶないから、押しかけていってもやめてもらわなければいかぬと思うんだ。この点について安全性確保の上からいって、局長は現場監督という立場からしても、こういうような理不尽なやり方、しかも、そのやり方も、労務管理の面だけで押えつけていこうという原研当局のやり方については、私は疑義があるので、まず、その労務管理の問題はともかくとして、作業をやっている問題については不安があるから、一時炉の運転を停止して、そして原因究明をやってもらいたいのですよ。先ほど言ったように、重水がどの程度汚染しているかというデータもちゃんと出してもらいたい。このフィルターの交換は一月の十七日にやったのでしょう。そしてまた二月の十四日でしょう。フィルターの交換というのは昨年は一年に二回しかやっていませんよ。それを一カ月足らずの間になぜフィルターの交換を二回もやらなければならないか。それは汚染度が高いからじゃないですか。そういう実情があるのに、それをだいじょうぶだ、だいじょうぶだという言い方では、私はまずいと思う。そういう実情に基づいて——私はもう時間の関係がありますから多く言いませんが、とにかく決意だけを聞かしてもらいたいのですよ、現場の不安な状態に対して。やはり一応炉をとめて、そして調査すべきである。
○梅澤政府委員 すぐとめろという先生の御指示でございますが、私のほうではいま早急に調査しておりまして、ただ現在、先生おっしゃるほどにあの炉のところがよごれている、どうしているということはございません。したがいまして、安全運転が確実にできるということでいまやらせておりますが、それにつきましてもいま調査中でございまして、調査が終わりましたところで考えさせていただきたい、こう思っております。
○橋本(龍)主査代理 時間が参っておりますから、簡単に願います。
○石野分科員 これはひとつ調査をしてもらうように、私は特に長官にもお願いしておきたいと思います。これは安全性を確保するために。 それからいま一つお聞きしたいのは、燃料がこういう状態で非常に破損したというような実情が出てきて、そして燃料の効率が非常に下がっているわけですね。効率が下がっているということになりますると、JRR3について燃料を約二百九十本ほど買い入れしております。それで研究計画が行なわれているわけですが、いわゆる三百メガワットデー・パー・トンという形でいきますと、これはもう燃料は半分と同じになりますね。当然研究は半分ぐらいしかできなくなる。これの予算措置はどういうふうにするつもりでおりますか。
○梅澤政府委員 現在までに炉に入って使ったのが約半分でございます。それであとの百二十本ほどがまだ炉に入らないで、これは検査して残っております。したがいまして、現在まで国産で使いましたのが約半分でございますから、八月までにそれをやって、それが使えるか使えないか、その点の検討をいたしまして、それに基づきまして今後の燃料についての作製方法その他を明らかにしまして、続けて試作していきたいと思います。
○石野分科員 いずれにしても燃料の計画はくずれてきている。いわゆる十分にいかないということだけははっきりしてきているわけですから、その予算措置はする所存でありましょうね。
○梅澤政府委員 その予算措置はやらせていただきたいと思っております。
○石野分科員 その場合、こういうようなそごを来たした責任は、どこにありますか。
○梅澤政府委員 燃料そのもの、国産燃料として二百九十本これをつくりましたわけでございますが、そのつくりましたときの契約の時期、そのときに考えますと、前の外国からとりましたものの使う時期、そのときの予定が実は延びたわけでございます。したがいまして、前の燃料で相当の時間のカバーができた。したがって、国産燃料を使う時期が少しおくれたという関係がございます。したがいまして、その点も勘案いたしまして、また、今度の原因に基づきまして、その間の契約した関係あるいは燃料の破損の技術的問題点、今後その点については検討させていただきたい、こう思っております。
○橋本(龍)主査代理 時間が過ぎておりますから、簡単に願います。
○石野分科員 いずれにしても燃料は不足しているので、これば処置をしなくてはならぬということですし、それに対する責任の所在もあると思いますが、これはあとでまた委員会で聞かしてもらいたいと思います。 いま一つ私の聞いておきたいことは、今度の場合、原研の職場の中でやったことは、やはり労務上のいろいろな問題で人事配転とか、あるいは譴責ですか停職処分というようなものが出ておるんですけれども、いまもわかるように計画の上でそごを来たし、そしてそれが事故を起こす、そういう責任は当局側にあると私は思うんですよ。そういう問題はなるべく安全性を確保するために職場の労働者がお互いにやはり知恵を交換し合う、あるいは経験を交換し合うということをやらないというと、日本原子力研究所というものば研究所の役割りを果たさないと思う。これを押えておいたのでは、研究所が研究所の役割りをしないと思うんですよ。だから所内においてそういうようなことが、なるべく意見の交換が十分できるようにさせなければ、研究所の役割りはできないと思いますから、そういう方向でひとつ指導をするように期待します。 それからいま一つお尋ねしておきたいことは、再処理工場の問題でございますが、再処理工場の問題では、ことしの予算には、この再処理工場設置についての予算は全部削られておりますから、これはことしもう予算的にはやれないわけなんですけれども、どういうふうにやる所存であるか、その点だけひとつ聞かしていただきたい。
○梅澤政府委員 再処理工場の予算につきましては、去年と同じように、いわば場所がきまりませんでした。したがいまして、金額としてはっきり載せられませんでしたが、もしも途中でやる場合には、資金的措置を年度内のところで、たとえば銀行借り入れ、開銀等、財投融資等のことが考慮できる、検討するという考え方で、大蔵当局と話し合いもしております。
○石野分科員 予算総則とかあるいは財投とか何かには、そういうことを全く予想してないんですよ。予算審議をしている今日の段階で、そういう予算総則とか何かに全然出ていないようなことをかってにやるということは非常に疑義があると思うんだけれども、そういう点についてはいかがですか。
○梅澤政府委員 今度予算を御審議いただきます範囲内の考え方でできる考え方でいきたいと、こう思っております。
○橋本(龍)主査代理 あと三人の質疑者がすでに待っておりますから……。
○石野分科員 それじゃもうこれで終わります。 この問題は、私は、財政法の上からいきましても問題が多いと思います。けれども、時間がありませんからこれでおきますが、ひとつこれはあまりかってなことをやらないようにしてほしい、そのことだけを要望して私の質問を終わります。
○橋本(龍)主査代理 兒玉末男君。
○兒玉分科員 科学技術庁長官にお伺いしたいのでございますが、現在宇宙関発をめぐりましていろいろと論議をされているわけですが、たとえば種子島なり内之浦の東大のロケット発射等の傾向を見ましても、私は昨年も宇宙開発の一元化ということを強く主張してきているものでございますけれども、一体この宇宙開発の目標というのは那辺にあるのか、この点をまず第一点お伺いしたいと存じます。 〔橋本(龍)主査代理退席、畑主査代理着席〕
○木内国務大臣 御案内のように、最近の科学技術は非常に進歩してきまして、宇宙開発は非常に急速に各方面に、しかも拡大してこれは進んですいりました。そこで私どものほうでは、しからばどういうふうに考えているか、どういう目標を持っているかといういまの御質問ですが、私どものほうにおきましては、昨年五月に御配慮にあずかって、昨年五月に設置しました宇宙開発委員会、この委員会によりまして、いま申しましたように非常に急速に拡大して、各方面にこれから先どこまで発展していくかわからない宇宙開発の問題があるのですが、これに対して、そう遠い将来というわけにはいかぬが、十年間ぐらいを展望しまして、そうしてそのうちにおいてさしあたりこの五年間にどういうことをしたらいいか、こういう計画を練ってもらっておるのです。そこで実は昨年予算の要求をする際に、当面措置すべきことということでこの委員会から意見がありまして、それに基づきまして私どものほうが予算の要求をいたしました。ところが、さらにこの委員会は引き続きまして、今後の長期計画というものを練っておるわけでありまして、その案は近く出てくるだろうと思います。それに基づきまして、私どものほうの開発を進めてまいりたい。 そこで、しからばどんなようなことをやっておるかといいますと、当面やりますこととしましては、実用の分野につきましては、昭和四十六年度に電離層の観測衛星を打ち上げる、それから昭和四十八年度には実験用の静止通信衛星を打ち上げることを当面の目標といたしまして、人工衛星及びこれを打ち上げるためのロケットの開発を行なう、こういうことになっております。 それからさらに東大関係によりましては、科学研尤の分野については、電波、粒子線等の観測を目的とする科学衛星を昭和四十四年度以降に打ち上げる、こういうことになりまして、これは当面の目標ということになっておるわけであります。
○兒玉分科員 私のお伺いしたいのは、現在の宇宙開発ということが、いまの長官の答弁はロケットの開発が主であって、いわゆる宇宙の開発ということは二次的に私は受け取るわけですが、その辺はいかがでございますか。
○木内国務大臣 そういうわけではないのでありまして、先の先までいろいろやらなくちゃならぬことがありまするけれども、日本のほうは非常におくれておりますから、当面の目標としてはそういうことであることということを申し上げた次第でございます。
○兒玉分科員 現在までの予算の推移というものを見てみますと、確かに私は、宇宙開発ということは科学の進歩を伴って、その必要性というものは十分認めるわけでございますけれども、四十年度三十五億、四十一年度が四十六億、四十二年度六十億、四十三年度七十四億と、これは将来日本がアメリカなりソ連なり、こういう先進国並みの宇宙開発ということに、一体どの程度の規模まで国家予算というものを投じたらできるのか、この過去の実績から見ましても、この程度の予算規模において、理想とされる宇宙開発というものが先進国並みにできるのかどうか、この辺はもう少し検討の必要があるのじゃないかと私は考えるわけであります。 と申しますのは、先ほど長官が答弁になりましたロケットの開発につきましても、たとえば東大の先般のラムダ4型ですか、これも完全に失敗をしております。さらにまた、科学技術庁が私の宮崎県の全漁民のものすごい抵抗にあいながらも、今回実験を再開されましたいわゆる液体ロケットによるLS−C型の一号機あるいは二号機ともに、新聞の報道等によりましても芳しい成績はおさめてない。この点は、やはり基本的な研究というものにおいて相当ずさんな点があるのじゃないかということが私は指摘されると思うのですが、長官の考えているロケット開発の現状というものから見ます場合に、もう少し総合的な立場から判断をしなければ、このような実験も、いたずらに国費の乱費ではないかと思うのですが、この辺の経過なり、どうしてこういうふうに成功を十分おさめることができなかったのか、この原因というものはどの程度究明されておるのか、この辺を明らかにしていただきたい。
○木内国務大臣 いまお話がありましたように、確かに予期どおり一〇〇%はいってないことは事実でありますけれども、なるべく自主的に開発したい、こういうことで、自主的の開発に努力しております関係上、多少の計画とのそごが生じてきておる現状でありますけれども、いまお話がありましたように、この宇宙の開発は確固とした基礎的研究の上に立ってやっていかなければならぬということはもちろんのことでございまして、今後とも十分に基礎的な研究に力を入れて、そうして先ほど申しましたところの目標に合うように、すなわち四十六年度と四十八年度の打ち上げに間に合うようなふうにぜひともいたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
○兒玉分科員 いま長官の答弁では、なぜ成功しなかったかということに対する原因というものは表明されなかったわけですが、担当官でもけっこうでございますので、ぜひひとつ御答弁願いたい。
○石川(晃)政府委員 お答えいたします。 初めに御質問のございました基礎的研究の問題でございますが、これは現在、私たちのほうで、宇宙開発委員会の中にロケット開発部会、それから衛星開発部会、それから総合計画部会、こういうものをつくりまして、基礎的研究並びに将来の開発計画も含めましていろいろ検討しているわけでございます。そのメンバーには、いろいろ各方面から参加していただいておりまして、大学の先生をはじめ斯界の権威が集まっているわけでございますが、その席上におきましても、いろいろ基礎的な問題につきましても意見の交換が行なわれているわけでございます。 また一方、将来の開発をめざして現在研究を進めております郵政省、それから通産省、それから運輸省あるいはその他の衛星の開発というものを進めております各官庁におきましても、また、ロケット開発研究をやっております東京大学、それから科学技術庁の航空宇宙研究所、こういうようなところでもさらに基礎的な研究をやっておりますが、それぞれ基礎的なテーマを持ちまして現在研究を行なっておりまして、それにつきましていろいろ資料の交換は行なっているわけでございます。 それから次に、先般のLS−Cの問題でございますが、先般上げましたのはLS−Cの一号機でございまして、先生御指摘のとおり、確かに満足な結果が得られたわけではございません。ただ、あの場合は液体燃料というものを私たちのほうで最初に使ったものでございますので、その点の成果につきましていろいろ問題はあると思いますが、一段目が少し予定の時間よりも燃料消費時間が早かったということでございまして、二段目においては成功したわけでございます。 この原因につきましては、現在宇宙開発推進本部のほうで探求中でございまして、いずれそのうちにその原因なり調査結果がわかってくると思います。
○兒玉分科員 いま御答弁ありましたが、一体宇宙開発委員会の構成メンバーというものはどういうふうになっておるのか。私は、この開発委員会の立場の強化ということがやはり将来の一元化の一つのもとになるんじゃないかという判断をいたしておるわけでありますが、聞くところによりますと、本年もメンバーの増加ということが予算的に削減されるということを聞いておるのですが、その辺の実情はどうなっておるのか。長官の答弁とは逆行する状況じゃないかというふうに聞き及んでいるわけですが、その辺の実情はどういうふうになっておるのか、お聞かせをいただきたい。
○石川(晃)政府委員 お答えいたします。 現在の宇宙開発委員会におきましては、科学技術庁長官が委員長でございまして、そのほかに委員の先生が四名おられるわけでございます。この四名の先生は、委員長代理といたしまして山縣先生、それから關委員、大野委員、吉識委員、こういう構成になっております。そのほか参与という制度がございまして、この参与に学識経験者が約二十名いるわけでございます。 先ほど申しましたロケット開発部会、衛星開発部会、総合計画部会につきましても、それぞれ斯界の権威を集めまして、専門部会をつくりまして検討を進めておりまして、そういう意味において、決して消極的なかっこうではないと思っておる次第であります。
○兒玉分科員 本年の宇宙開発委員会のメンバーを強化するという案が当初あって、それが縮小された、通らなかった、こういう点を聞いておるので、その点はどうなんですか、答弁なかったようですが。
○木内国務大臣 お話しのように、先般この委員会法をお通しになる際に、これを増強しろという御意見がありました。しかし、ことしは行政機構のあれによりましてああいうものの新設は厳にこれを押えるということになりましたので、遺憾ながら本年はこれを実現することはできませんでした。しかし、これは今後におきましては大いに考えなければならぬ問題だと思っております。
○兒玉分科員 さらに問題は、宇宙開発事業団の新設ということが言われておりますが、私は、宇宙開発委員会の強化ということによって、現段階においては十分目的が達成されるのじゃないかというふうに考えるわけですが。この事業団の新設というのは一体どういう構想のもとに出されようとしておるのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
○木内国務大臣 御指摘のように、宇宙開発の推進は非常に大きな事業でありまして、ばく大な資金も要ります。また、衆知を集めてこれを行なわなければならぬ問題だと思いまするので、いまお話しのありましたようなこの委員会の設置、こういう問題も第一段階におきましてお考え願いまして、昨年この宇宙開発委員会を設けていただいたのですが、この実施体制としては、いま申しましたように衆知を集めてこれを行なわなければならぬ、こういう考え方から、今回、いままでありました宇宙開発推進本部というものを解消しまして、この仕事を宇宙開発事業団のほうに引き継ぐ。なお、郵政省におきまして担当いたしておりましたところの電波研究所の仕事もこれに合わせまして、一元的の強力な体制を設けて弾力的にこの事業を遂行してまいりたい、かように思ってこの事業団を新設することにした次第でございます。
○兒玉分科員 それでは、いまの長官のその構想というのは、結局宇宙開発全体を統合していく、いわゆる一元化の一つの方向というものとして解釈していいのかどうか。 さらに、この事業団の発足に伴って、現在科学技術庁なり東大なり、あるいは郵政省、それぞれの分野においてロケット開発をやっておるわけでございますが、それを統合し、一元化するというふうな構想なのかどうか、その点明らかにしていただきたい。
○木内国務大臣 お話しのように、この事業団は漸次宇宙開発事業を一元化してまいりたい、こういう構想でつくったのでありますが、なお今回、東太の宇宙開発業務をこの事業団になぜ含めなかったのか、こういう御意見だろうと思うのであります。東大のMロケットによるところの科学衛星計画はだいぶ進んでまいりまして、すでに第一号科学衛星の打ち上げがごく間近に迫っておるような段階まで来ておるのでございまして、この純学術目的のもとに行なわれまするところのこの衛星の開発、打ち上げを、いまこの時点において事業団が直ちに引き継いで、異なった体制のもとにおきましてこれを運営するようなふうにするということは、かえって能率を害するのじゃないかと思いまして、この際はこれをこちらの事業団のほうには入れておらないのでございます。
○兒玉分科員 以前長官をしておられました二階堂さんは、やはり宇宙開発というものは一元化の方向にすべきだ、こういう意向を当委員会で答弁された経過もあるわけですけれども、やはり役所のなわ張り根性なり、学者の研究というものと実態というものを統合しなければ成果は期待できないのじゃないか。現実的に東大そのものも再開したけれども失敗しておるじゃないか、そういう失敗の貴重な基礎的な事項というものを総合的に研究してこそ成果が期待できると思うのでございますけれども、東大部門というものが、国のばく大な財政投資を行なう宇宙開発面においてなぜ統合できないのか、その理由が那辺にあるのかということを、長官としてはどういうようにお考えになっておるのか。
○木内国務大臣 ただいまお答えいたしましたように、東大のほうにおきましても純学術的目的のもとにおいて今日まで進めてまいったのであります。いまお話しのように一部におきましては失敗したこともあったでありましょうが、東大の純学術的目的のもとにおいて進めてまいりましたこの事業が、いまも御説明申しましたようにだいぶ進行してまいりまして、第一号の衛星というものは近く打ち上げられるような段階まで来ておる。それを無理にこの時点においてこちらのほうに移すということはかえって能率を害するのではないか、こういうことで今回入れなかったのでありますが、長い目で見ればお説のとおりでありまして、そういうつもりで一元化の方向に向かってこの事業団は進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○兒玉分科員 その点、私は時間がございませんので、要するに宇宙開発の目標というものを考えた場合に、やはりロケット部門の開発というものはもちろんその前段階であるわけだけれども、科学技術庁は科学技術庁、郵政省は郵政省、東大は東大、そういう別個の形のロケット開発ということではほんとうの宇宙開発の目標の達成はできないのではないか、その点十分ひとつ配慮していただきたいと思います。 次に、これは多少問題の本質は変わりますけれども、先般来問題となりました種子島のロケット基地をめぐりまして、非常に問題の紛糾しました漁業関係の補償対策の一環として特に長官にも先般お伺いしたわけで、十分な措置をとることは御答弁になっておるわけですけれども、現実に一番被害の大きい南郷におきましては、今回のこのようないわゆるロケット基地の推進に伴うところの補償対策の中において、たとえば漁港整備であり、あるいはえさ場の改善なり、こういうふうなこのロケット基地に関連する事業として、自主的に一千五百万をこえるいわゆる町の持ち出し、町財政の負担増ということが非常に問題になっておるわけですが、町当局としても一千五百万程度の支出増ということは、今日の地方自治体の財政状況から判断しましてもこれは重大な負担ではないかと考えております。これはあげて科学技術庁としてはそういう実損的な負担増にならぬように配慮すべきだと思うのですが、これに対しての御所見を承りたいと思います。
○木内国務大臣 このロケット打ち上げに伴う漁業問題につきましては、児玉先生にもかねがねたいへん御配慮願いまして、おかげをもちましてこの一月から二月にかけての打ち上げが円満に行なわれたのであります。科学技術庁といたしましては、この前も申し上げましたように、あの水域を漁場としておるところの各県の漁業者の方々のあの地域に対する依存度を考慮しまして、それに応じていろいろな漁業振興の対策を講じまして一これは各県からお申し出があった問題につきまして、それについて政府のほうとしても補助金を出す、こういうようなことでものごとを運んでまいっておったのでありまして、地方におきましてもある程度の御負担は、この漁業振興のためにはしていただくのはやむを得ないのではないか、かように考えておりますが、政府といたしましてはできるだけの助成策をこの際講じたいと思っております。
○兒玉分科員 漁業振興対策というのは所管は違いますけれども、問題は、この種子島のロケット基地に関連いたしまして多くの漁業制限を受けるという立場からそういう政策がとられておるわけでありまして、これは金額そのものは全体から見ればきわめて些少かもしれませんけれども、一自治体にとりましては事はきわめて重大であります。単にこれは南郷町だけではないと思うのでありまして、この辺について特に担当官のほうにもおそらく関係の筋から要請が来ておるのではないかと思うのですが、ひとつ最小限の財政負担にとどまるように積極的な措置をお願いしたいと思うのですが、いかがでありますか。
○石川(晃)政府委員 お答えいたします。 この件につきましては、漁業振興対策というふうなかっこうで地元の県といろいろ打ち合わせをしておりまして、大体、こういうものでございますので、県を窓口にいたしまして折衝いたしております。各県からいろいろ御要望もございまして、その点を現在まとめて最終の作業に入っておりますので、近く最終的な決定を見ることと存じております。
○兒玉分科員 終わります。
○畑主査代理 以上で児玉末男君の質疑を終了いたしました。 続いて近江巳記夫君。
○近江分科員 公取委員長に富士・八幡の合併問題についてお聞きしたいと思います。 まず初めに、事前審査のあり方でございますが、公取のこの委員会自身が、今回のような形で行なった事例というのは、私たち過去には承知しておらないわけであります。この影響の重大さをお考えになったわけであろう、このように考えますが、恣意的なそういう運用に流れる危険、結果として不公平になるおそれもある。この委員会自身が直接、正式届け出の前にタッチする場合、どういう基準があるか。それについてお答え願いたいと思います。
○山田政府委員 お答え申し上げます。 事前審査は、いままで過去においてなかったというお話でございましたが、これはございます。 事前審査と申しますものの性格は、二つの角度から考えることができると存ずるのでございます。 第一の点といたしましては、いわゆる行政相談、ほかの役所におきましても窓口へ国民が参りまして、法律の運用について相談を受けるということは、どこでもやっておると考えるのでございます。その意味合いにおきまして、先方から事前に、こういうことでは法に触れるであろうかどうであろうかという相談を受け付けまして、内審査をいたした。これが一つでございます。 それから第二の面から見ますると、私ども公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に抵触するおそれのある事実をつかみました場合においては、こちらから積極的に調査をいたす義務を持っております。 この二つの面から、今回の事前審査というものが行なわれたわけでございます。
○近江分科員 相談をなさる、これについては事務局の中に独禁相談所ですか、こういうところで扱いをしている。委員会自身が直接タッチをした——じゃ過去にあったその例を話してください。
○山田政府委員 事案が軽微でございます場合におきましては窓口で、いわゆる独占禁止法相談所がございますので、そこで答えをすぐ出すわけでございますが、今回の件は事案が非常に大きく、また複雑でございますために、委員会において審議をいたしたわけでございます。
○近江分科員 だから私は、委員会自身が事前審査をした、このことについて、いままでになかったケースである。あなたはあるとおっしゃった。だいぶ問題が横にそれた感じがしますが、それはそうとして、じゃ、タッチする場合の、要するに基準であります。どのようにお考えでありますか。
○山田政府委員 基準はどこまでも法律の条項に照らしまして抵触するおそれがないか、こういうことを判断いたしておる次第でございます。
○近江分科員 要するに、客観的にこのケースなら委員会がじかに事前審査をする、その辺のところをお聞きしておるわけです。
○山田政府委員 これははっきりした基準、たとえば資本金が幾ら以上の場合とか、そういう基準はございませんが、窓口の相談所において判断をいたしまして、これはむずかしい問題だと考えました場合には委員会において審議をいたす、かようなことに相なっております。
○近江分科員 三品目について独禁法の十五条に抵触をする、こういう結論を出されたわけでありますが、それ以外、鋼矢板を除いてシロである、こういう判定をはっきりと下されましたか。
○山田政府委員 どこまでもただいまは内審査の段階でございますから、三品目につきましては抵触するおそれがあるということをはっきりと指示をいたしたのでございまして、そのほかの品目については特に判断をいたしておらないわけでございます。正式の届け出がございますかいなかは、これから当事者が考えることであると思いますが、正式の届け出がございましたら、正式の法の定める手続に従って正式の審査をいたす、こういうことに相なると思います。
○近江分科員 内審査として、そういうおそれがあるということで三品目をあげられた。しかし、そういう態度に決定を下すまで、やはりこれは非常にそういうおそれがある、そういうただし書きがあるわけです。ですから、その辺の判定を下された、要するに競争を実質的に制限することとなる場合かどうかによってきめられると思うのでありますが、いかなる基準によって——これは正式な判定ではありませんが、少なくとも三品目におそれがある、一応内審査であるけれども、他はシ口だという、そういう考えは皆持っているわけです。合併後の市場関係の変化を科学的に予測することはできるか、こうした点にわれわれは非常に疑問を持つわけです。要するに、どういう基準でその三つは疑いがある、あとは大体シロだ、こういうぐあいにおきめになったか、その基準をお聞かせを願いたい。
○山田政府委員 私どもが、抵触するおそれがあるかどうかを判断いたします基準は、これは決してシェアとかなんとかいうことをただ算術的に適用いたすのではございませんで、シェアはもとよりのこと、それから競争業者の地位、あるいは需要業界の地位、それから新規参入の可能性、あるいは代替品の関係、それから輸入の可能性があるかいなか、またその品目の特質、これらの点を総合的に勘案いたしまして、判断をいたしておるわけでございます。
○近江分科員 そうしたいろいろな条件があると思いますが、そうした結論を下すにあたって——結論というのはあくまでも内審査の段階で、それはわかっておりますが、各委員とも共通の何かものさしというものが私はあると思うのです。その辺のところをもう少し明らかにしてもらいたい、こう思います。
○山田政府委員 これはどこまでも独禁法の第十五条、それから独禁法の目的といたしまして、第一条、これを基準にいたし、また過去の判例なども参考といたしまして、判断をいたすわけでございます。
○近江分科員 もちろん第一条と第十五条を基準としてやるのは、これはもう当然であります。法でありますから……。だからいままであなたがおっしゃったいろいろなそうした条件、その辺、判定の基準として使われたその資料を私はここで提出を願いたい、このように思いますが、いかがですか。
○山田政府委員 判断をいたしました資料は、業界の機密に属することもございまして、その資料の逐一を差し上げるわけにはまいらないと存じますので、御了承をいただきたいと存じます。
○近江分科員 業界、業界とあなたはおっしゃいますが、この合併は国民の生活にとって、非常に物価という問題にも大きな影響を与える。そういう点で、ただ機密に属するからということで、そのままベールに閉ざされていいものか。われわれは公取を信用しております。してはおりますが、今回のそうした内審査の段階であっても、結論というものについては非常に大きな疑問を持っておる。そういう点で、われわれとしてもさらに、あなた方がいろいろと判定のそういう資料となさった、その辺のところを知りたい。これは国民の代表としてあなたに要求したい。再度お答え願いたい。
○山田政府委員 ただいま業界と申し上げましたのは、ことばが足りなくて相済みませんでございましたが、それは当事者の業界ということではございません。需要業界、そこの製品を購入いたします業界、すべてを含めまして、あるいは競争事業者の業界、これらを含めていうわけでございます。
○近江分科員 これは押し問答になると思いますので、時間がありませんから次のときに再度この問題は要求したいと思います。 次に、今回のこの審査は、なぜ個別、品目別の審査をとられたか、その辺のところを答えてもらいたい。
○山田政府委員 これは法律に、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」と書いてございますので、したがって一定の取引分野ごとに判断をいたした、かような次第でございます。
○近江分科員 それではなぜ企業の総合的な事業能力というものを判定の基準としないのですか。その点は加味をいたしましたか。
○山田政府委員 総合的な事業力と申しますのは、これは競争事業者の、何と申しますか、牽制力と申しますか、合併会社を牽制する力を判断する上において、当然考慮されておるわけでございます。
○近江分科員 企業の合併である以上、当然経営体としての市場支配力、これが競争制限になるかどうか、これは判定基準となるべきものではないのですか。
○山田政府委員 直接競争の制限になるかならないかというのは、先ほど申し上げましたごとく、一定の取引分野において競争が制限されるかどうか、これに主眼が置かれるわけでございまして、総合的な力と申しますのは、先ほど申し上げましたごとく、競争事業者の競争力、こういう点で判断の要素に入ってまいるわけでございます。
○近江分科員 独禁懇話会の出した、生産集中度の高い品種ほど価格が硬直しており、生産集中度の低い品種ほど価格が低下する傾向が一般的に明らかになっている。八幡一富士合併による各品種の生産集中度はいずれもきわめて高く、この一般傾向から見ても、いわゆる管理価格が形成される危険がきわめて強い。こうした国民生活から考えれば非常に危険な要素を持っている。それのウエートを一定のそうした品目別のシェアというか、そういうところに重点を置いて、総合的なところに重点を置かない、ここに私はそもそも大きな間違いがあると思う。あなたの考えは変わりないのですか。
○山田政府委員 生産集中度とそれから管理価格との関係というものは非常に大きな問題でございまして、御承知のように、アメリカの上下両院のアンチトラスト委員会で数年かかりまして管理価格の調査研究をいたしたわけでございまして、その報告がこんな厚いものが出ております。私それを読んだわけでございますが、どうもその見解ははっきりとしたものにはまとまっておらないのが実情でございます。むろん私どもといたしましては管理価格という問題に真剣に取り組みまして、基本調査あるいは個々の商品における管理価格というものについて検討をいたしてまいりたいわけでございますが、管理価格という概念は非常に広うございまして、また経済学者によってもその範囲が違っておるわけでございます。私どもがこれを規制いたします場合には、どこまでもやはり一定の取引分野において競争を実質的に制限をした価格、これを押えることはできるわけでございますが、それ以上の管理価格、これはさらに別途検討を要する問題と考えております。
○近江分科員 改正前の独禁法め十五条には合併要件として「不当な事業能力の較差が生ずる」場合は合併を認めてはならない、このようになっていたわけです。御承知のとおりですが、この要件は企業体を全体ととらえて判定の基準としておる。ですから、削除されたといっても、この条項の精神というものは十五条の運用に当たってりっぱに生きておる、私はこのように思うのです。内容は違いますが、しかし独禁法の第一条は改正されずにそのまま生きておるわけです。この点について法の立場でどうお考えになりますか。
○山田政府委員 御指摘のように、当初独占禁止法が制定されました当座におきましては、集中排除法がございますし、また御指摘の第十五条に企業間の格差が著しく大となる場合という規定がございまして、これを適用いたすことができたのでございますが、しかしこれはその後の改正によりまして二つとも削られておるわけでございまして、したがって、これを機械的に拡張解釈をして、それを適用するというわけにはまいらないと存ずるのでございます。格差というものはむろん一つの要素として評価はいたしますけれども、これあるがゆえに直ちに十五条に触れる、かような解釈はできかねるかと存ずるのでございます。
○近江分科員 これは何回も論議され尽くしておりますが、業界の一位と二位が合併して、そうなればその結果、市場シェアが、系列業も含めると少なくとも五割近く——この数字はあなたのほうははっきりつかんでおられるわけですが、五割近くもなる。そうすると他の同業者と各社とのそうした事業能力の格差というものが圧倒的にこれは開くわけです。この点だけで完全に独禁法の違反、これはあなたもお考えいろいろあるでしょうが、私はこう解釈します。ですから、なぜそういう尺度でそれを重点的にウェートを置いてお考えにならないか、その辺のところをもう一度答弁を求めます。
○山田政府委員 先ほど来申し上げましたごとく、シェアとか一位、二位とかいうことで機械的に判断をいたしてまいるわけにはまいらないと思います。先ほど来申し上げましたような競争事業者の牽制力、こういうような点を十分実態に即しまして判断をいたしてまいる必要がある、かように考える次第でございます。
○近江分科員 では私の聞いたところでありますが、これは品目別の話ですが、ある品目について同業会社が生産を始める計画があるから、そういうことから結局競争が行なわれるであろうということでシロとした、そのような——私はうわさかどうかわかりませんが、希望なり構想なりを持っているというだけで、そういうものを要するに判定の要素として採用するということが妥当であるかどうか、この点あなたはどうお考えになりますか。
○山田政府委員 ただ単に同業者にこういう計画がある、これだけでは判断の基準にならないと存じます。その前提といたしまして、当該商品の今後の需要の伸び、従来までの経過、それからその同業者の計画の具体性、蓋然性と申しますか、それらの点を総合的に判断をいたしたわけでございます。
○近江分科員 さらに鋼矢板にコンクリートの代替品があるからよい、そういうような議論があったように聞いておりますが、そういう理屈が通るというなら、ブリキ、あるいはまた薄板、トタン板等についても、たとえばプラスチックとかセメントがわらとか、いろいろ代替品が考えられるわけです。そうした場合に、鉄鋼の合併を議論しておるのに、鉄鋼以外のそうした代替品を判定要素に持ってくる、こういう点はどうお考えになっておりますか。
○山田政府委員 代替品と申しましても幅が広いのでございますが、私どもが代替品と申しております場合には、同じ用途にただ経済的の判断だけでいずれをも選び得る、こういうものを代替品と考えておるわけでございます。
○近江分科員 それではあなた方がその判定にお考えになったその代替品、品目別にこれは資料として私は要求します。これから問題をはらんでおります、これは。
○山田政府委員 これは代替品の製造業者の意見等も十分に聴取をいたした上の判断でございまして、その資料はコンフィデンシャルに競争事業者等から徴収したものでございますので、残念ながら差し上げるわけにはまいらない、かように考える次第でございます。
○近江分科員 だれが見たって客観的になるほどと納得できるものなら出せるはずではないですか、再度要求します。
○山田政府委員 これは代替品を製造いたします業者の今後の進出計画等に関係がございますので、それは御了解をいただきたいと存じます。
○近江分科員 そうした企業の秘密、秘密ということで非常に公正を欠いておる、私はこのように思います。この問題も次のそうした機会で再度あなたにその点を聞きたいと思います。 それから鋳物用銑鉄について需給委員会をつくるとか、八幡、富士の生産を人為的に押えるとか、こうした話が出ておりますが、このような業者間の談合行為、こういう行為自体、独禁法違反の共同行為ではないか、通産省の指導ということも聞いておりますが、これは公取としてこういう考え方についてはどう思っていらっしゃる、私はこうした点については行政指導の、あくまでカルテルだ、絶対にこれは認めてはいけない、私はこう思います。この点について公取委員長と通産省、お答えを願います。
○山田政府委員 新聞紙上には何かとそういう記事が出ておりますが、私どもといたしましては、責任ある筋からそういうような案の提示を受けたことはまだ一度もございませんのであります。したがって、仮定のもとでこれがどうこうということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。もしもかりにそういうような案が責任ある筋から提出されました場合においては、委員会において法律に従って厳正な判断をいたしたい、かように考えております。
○山下説明員 鋳物の需要業界であります機械関係から、鋳物銑の将来の需給見通しを調査してほしいという声がございまして、一年間調査しました結果、将来の鋳物銑の需要がなお増加いたしますので、その関係団体であります日本機械工業連合会から通産省に要請がありまして、将来の供給対策を検討してほしいということでございます。通産省としましては、鋳物銑の供給者に対して、ただいまそれぞれの供給計画を検討してもらっておる段階でございます。
○近江分科員 時間がありませんので、次に進みますが、今回ああした内審査のそういう結論が出たわけでありまして、各報道機関等も、六月一日をめどに、それはほぼ確実視されておる。こうした報道がされているわけです。合併の是否論については、論ずれば委員長もいろいろなお考えを持っていらっしゃる。これは並行線で一時間でも二時間でもなろうと思いますので、きょうは時間的に許されませんから後日に譲りますが、私はこうした結論が出たこの一つの原因というのは、要するに公取委が行政官というよりも裁判官、そういう意識を持っていた。これは非常に強過ぎた。だから、結局公取委のこの審査というのは、両社の持つそうした非常に絶大な影響力、さらにこういう産業支配などのマクロ的な観点からではなくして、両社にとって非主力品種の競争制限の可能性、こういうミクロ的な面だけに非常にしぼった。その結果が市場の寡占化を促進して公正な自由競争が確保できないというような問題を素通りして、合併を事実上認めるような結論、そういう方向になってしまった。このことについて、非常に残念に思うわけです。委員長も御承知のように、わが国の独禁法というのは合併後のそうした監視等については全く無力になっております。そういう点は非常に法の盲点になっておると思います。こういう点で今回のそうした内審査の結論というのは、これからの独禁法のあり方、また公取委のあり方自体にも大きな問題を提起した、私はこのように思います。この辺の、私がいま申し上げたそうした観点に立って、委員長としてどのように思われますか。
○山田政府委員 公正取引委員会が裁判官意識に片寄り過ぎておるという御意見でございましたが、公正取引委員会なるものは本質において行政機関でございます。ただ、その特殊性にかんがみまして、準司法的性質、準というのは純粋ではございませんで司法機関に準ずるところの性質、またある程度告示を出しましたりなんかいたします準立法的性質と、これを兼ね備えておる複雑な機構でございますが、私どもはその各般の複雑な機構を十分生かしてまいるように努力をいたしておる次第でございます。 それから、次に御指摘のございました、一ぺん合併を認めると無力であるというお話でございましたが、合併会社が非常に大きな優越した地位を乱用いたすとか、その他あるいは差別的対価を出すとか、こういうことがございますれば、これは不公正なる取引方法として十分に規制する道はあるわけでございます。
○近江分科員 あなたとしては、法の改正なりまた公取のあり方自体に対してこのままでいい、全然考える余地はない、絶対であるとお思いなんですか。
○山田政府委員 法律の運用につきましては、時代の要請に応じまして十分これに即応いたしてまいる必要がございますので、昨年の暮れから、各界から御依頼をいたしまして、学者さん、それから産業界、消費者、これらの方々にお願いをいたしまして、独占禁止懇話会なるものをつくっております。各方面の御意見を十分広く拝聴いたしまして、現在の法律の運用に資してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○近江分科員 審判の手続について次にお聞きしますが、今回の場合、正式届け出がなされておったならば当然審判開始になるケースであったわけです。したがって、届け出が出たならば、公取の見解を明らかにする意味で正式な審判手続をとられるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○山田政府委員 もしも今回内相談のございましたような内容の合併ケースが当初届け出がございましたならば、当然審判に付されるかあるいは勧告をいたさなければならないと存じます。今後どういうような届け出がございますか、あるいはございませんか、私ども関知するところでないのでございますが、もしも内相談と同じ内容を持った届け出がございますれば、当然法律の手続に従ってさようなことに相なろうと存じます。それは一に正式の届け出のございました内容によって私どもが判断をいたすところであろう、かように考えております。
○畑主査代理 近江君、時間が参りましたから、そろそろ結論に入ってください。
○近江分科員 内容による、そのように言われましたが、これだけの大型合併がもしも実現されるとなれば、要するに独禁法なんというものはあってなきがごとしです。これは国民のだれもが全部そのように思っております。したがって私は、内容は公取に対する両社の態度としても当然何らかの対策は打つでしょう。前と違うから通す、そういうようなニュアンスを非常に感ずるわけです。ですから、内容が相当変わろうと何であろうと、正式な審判の手続をここでとるべきだ、国民の前にもう一度それを明らかにすべきである、私はこのように思います。どうお考えですか。
○山田政府委員 仮定の問題でございますが、正式の届け出の内容に法律に抵触するおそれがございます場合には、ただいま申し上げましたごとく、当然勧告または審判手続になるものと考えます。一にそれは、正式の届け出がもしございました場合には、その内容が法律に少しも抵触することがなければ格別でございますが、抵触するおそれがあれば、これは勧告なり審判なりの手続に入る、かように考えております。
○近江分科員 これで終わります。 あなたの立場としてはそうだとなかなか言いにくいことはよくわかるわけです。しかし少なくともこの問題は、先ほど申し上げたように国民生活が物価高によって非常な苦しい状態に追い込まれておりますし、このままもしも、おそれているような管理価格にしろ、将来合併の後にそういう問題が出てくる、そうなってくれば、日本の工業製品等もまた非常に弱体化してくる。これはおそろしい結果がこれから予想されるわけです。そういう点において委員長と、いまの問題についてはこれはあくまで平行線になると思いますから、私は、公明党の代表として、これは強力に正式な審判を開始してもらいたい。このことを私は——消費者の国民はみんな公取は味方と思っております。もしもそれがそういうような手続が踏まれないとするならば、私は、もう国民の公取に対するそういう期待、信頼というものは一挙にくずれてしまうと思う。これで独禁法がもうなくなるか、この合併できまりますよ。将来、おそらくこれだけの大型の合併というものはあり得ない。そういう点で私は、公取委員長として、どうかひとつ国民のあくまでも——そうした、先ほど申し上げた物価の問題とかいろんな問題があるわけでありますが、影響度、そういうことを勘案して正式な審判をする、こういう方向に力を入れていただきたい。このことを重ねて委員長に要望しておきます。
○山田政府委員 審判をいたすかいたさないかという点は、先ほど来るる申し上げておるとおりでございまして、ただ、本件の処理いかんにかかわらず、決して独占禁止法の精神がそこなわれるというようなことは絶対にないことを私は確信をいたしておりまして、今後とも独占禁止政策の上におきまして、十分その責任を果たしてまいる決意でございます。ただいまの御激励のおことばはありがたくちょうだいをいたします。
○近江分科員 終わります。
○畑主査代理 以上をもって近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。 続いて、角屋堅次郎君。
○角屋分科員 私は、きょうは海洋開発に関連する問題と、三十分でありますから、さらに時間を得ますれば原子力の平和利用に関連する問題、大体この二点にしぼって簡潔にお尋ねをいたしてまいりたいというふうに思います。 海洋開発の問題は、近時国際的にも宇宙開発、原子力の平和利用、さらに海洋開発というふうなことが大きくいわれておるわけでございます。国際的に見ましても、アメリカあるいはソ連、フランス等々、積極的に取り組んでおる国々もございますし、日本もこれからこの問題には本格的に取り組もうという姿勢にあるわけでございます。 冒頭にお伺いをしたいのは、海洋開発のこれからの問題を考えるにあたって、いわゆる一九五八年の国際海洋法会議での四条約、その中での大陸だな条約という問題について、これをどう受けとめるかということが一つの課題になっておるように判断をいたしております。この点については、二十四日の予算の第四分科会におきまして、私は、長谷川農林大臣、森本水産庁長官に、水産政策の立場も含めてお伺いをいたしましたところ、長谷川農林大臣は、大陸だな条約に加入をするということには反対であるという見解を明確にされました。ただ、自民党のたとえば田川君が小委員長でやっております海洋開発小委員会というところでは、大陸だな条約に加入すべきだという意見を言っておるやに聞いておりますし、また産業界の諸君の中にも、それを押し出そうという動きがあるやに聞いておるわけでございます。 冒頭にお伺いしたいのでありますが、二十四日の時点で、私第四分科会でやりましたが、きょうは農林大臣にはおいで願ってないわけでありますけれども、森本水産庁の長官から、大陸だな条約に農林大臣の立場として反対である——もっとも、これは何も突然出たのでなしに、大陸だな条約については、今日三十九カ国が加盟をしておりまするけれども、日本は、長谷川さんの言をまつまでもなく、一定の理由をもってこれに加盟をしていなかったということでございますが、この機会に、加入しないという反対の理由について、簡潔にお答えを願いたいと思います。
○森本政府委員 先般の分科会でも大臣からお答えを申し上げたところでございますが、御案内のように、大陸だな条約は、定着種族に属する生物についても沿岸国の主権的権利を認めております。それを根拠にいたしまして、アメリカ及びソ連は、カニ類をも大陸だなの資源であるとして、わが国のカニ漁業を規制しようとしておる。わが国のほうは、伝統的にカニ漁業は国際慣習上、公海漁業としておるという立場をとっておるわけであります。したがいまして、水産業の面から考えますと、大陸だな条約に加入をいたしますことが、公海漁業に依存するわが国の立場と相いれないということで適当ではない。当面、本条約に加入する意向は持っておらないということを申し上げます。
○角屋分科員 この機会に重ねて水産庁の長官にお尋ねをいたしておきたいわけでありますが、日米のカニの関係では、数年来日米のカニの協定を取りきめておる。日ソの関係は、従来は日ソの漁業委員会で処理をしてまいった経緯がございますけれども、昨年末以降、ソ連側からは大陸だな条約に基本を置いて、さらに最高幹部会議の命令をもって、それをたてにして、従来の日ソの漁業委員会で取りきめていくというのでなしに、別途交渉いたしたいということを昨年の暮れに申してまいりました。日本もこれを受けて、いま藤田首席代表以下ソ連で交渉を続けておるという経緯がございますが、従来の日ソ並びに日米のカニの関係の漁獲高、これは年によって若干の変動はあると思いますけれども、私ども大体百五十億台ではないかというふうに判断をしておるわけですが、それはそのように考えてよるしゅうございますか。——ラウンド数字でよろしいから、おおむねそのとおりならそのとおりと……。
○森本政府委員 おおむねそのようなことであります。
○角屋分科員 なお、きょうは特に触れて取り上げるつもりはございませんけれども、いわゆる領海の日本の三海里という問題が、最近のソ連の日本近海の操業問題とからんで、専管水域等の設定問題というような論議も出てまいっておるわけでございますが、国際漁業の舞台で水産国として活動しております日本が、十二海里以内において従来漁業実績として持ってきたその漁獲高、これは私、大体百五十億円から二百億円の幅というふうに判断をしておるわけですが、これは大陸だな問題とは直接あれでなくて、領海問題の関係になりますけれども、国際漁業における十二海里以内の従来の漁業実績というのは、大体百五十億円から二百億円の幅、こういうふうに見てよろしゅうございましょうか。
○森本政府委員 わが国が特に協定を結んで、他の国の漁業水域内において操業を認められておるというのは、数カ国ございます。そこにおきましては、主としてマグロはえなわの漁業、それからアメリカ等におきましてはサケ、マスとかあるいはカニ、トロール、それからその他タイはえなわといったようなものが、漁業の種類としてあがっておるわけであります。ちょっと私、いまそういった漁業の実績が金額としてどの程度にのぼっておるか、資料を持ち合わせておりません。その点はひとつ……。
○角屋分科員 おおむね大体それくらいだろう。こっちは専門だから。
○森本政府委員 おおむねそういうことであろうかと思います。
○角屋分科員 そこで、大陸だな条約の問題に返りまして、科学技術庁長官というのは、科学を中心にした守備範囲というのは、宇宙から原子力から海洋開発まで、きわめて広範なことの総合調整あるいは指導的役割りというものを持っておるわけであります。人員として十分な陣容をいただいておるかどうかには、これは率直に言って、さらに整備強化をしなければならぬ問題を含んでおると思いますけれども、この大陸だな条約の問題は、冒頭に申し上げましたように、海洋開発をこれから考えていく問題ともからみますし、また、わが国が水産国として国際漁業舞台で活動してきた、現にカニの問題では日米の経緯もあり、日ソの本年の経緯もあり、国益上からも、そういう問題も当然やはり判断をしてまいらなければならぬ。これはやはり慎重に考えるべき問題だと思いますが、科学技術庁の長官としては、この問題はどういう御判断でこれから取り扱うべきものだと考えておられるのか、御見解を承っておきたい。
○木内国務大臣 お答えいたしますが、いま角屋先生からお話がありましたように、海洋の開発というのは非常に大きな問題になってきています。ことにこの資源がきわめて豊富である、ことにまたわが国としては、海洋国として、一そう重大な関心を持たなければならぬということは、いま先生のお話のとおりでありますが、最近におきましては、御案内のように科学技術が急速に進歩してまいりまして、ことに海洋工学も非常に進んでまいりましたので、従来のような考え方だけではまいらない問題がたくさん出てくるだろうと思うのです。ことに大陸だなの問題につきましては、海洋工学が進んできまして、相当水深の深いところまで鉱物資源——水産資源はもちろんですが、鉱物資源も開発されるような段階になってまいっておるのでありますが、これにつきましては、しかし、わが国にとりましても、いろいろな利害が錯綜しておることは御案内のとおりでありますが、今後におきましても、科学技術庁としても、この大陸だなの条約に加盟するかどうかという問題は、国益全般を考えまして、慎重に、いまおことばのとおりに慎重に対処していくべき問題だと思っているわけであります。 〔畑主査代理退席、主査着席〕
○角屋分科員 大陸棚に関する条約について、一、二点、外務省の条約局の関係、あるいは内閣の法制局の関係についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますがい大陸棚に関する条約の第二条の第四項、この第四項に、いわゆる大陸だなの沿岸国の主権的権利ということに関連をして、「これらの条項にいう天然資源とは、海床及び地下の鉱物その他の非生物資源並びに定着種族に属する生物すなわち、」ということで、「定着種族に属する生物」についての説明がずっと続いて書いてありますが、問題は、この地下資源でなくて、あるいは地下資源に引き続いて書いてある非生物資源ではなくて、問題になっておりますのは「定着種族に属する生物」、これにタラバガニ等が、ソ連やアメリカは入るのだとこう言うし、日本はそれは入らないというところに問題が提起されておるわけでございます。結局そういうことの問題はたな上げにして、毎年相談できめているという形がとられております。この条約の第十二条のところへ参りますと、「いずれの国も、署名、批准又は加入の時に、第一条から第三条までを除いたこの条約の条項の規定について留保を行うことができる。」留保条項が第十二条でございます。この留保条項では、いま申しました第二条の第四項を含めての第三条までのところは、留保条項を付することになっていないのでありますが、その場合に、第二条の第四項にいう「定着種族に属する生物」という点は、日本の国内法でもそうでありますが、これは定義を示したのであって、タラバガニがこの第二条の第四項に入っておるか入らないかということは、この第二条の中では明確にされていない、こういう解釈をしていいのか。かりに大陸だな条約というものに入る場合においては、第三条までは留保条項を付することができないという、この第三条までの中に、第二条第四項が入っておるということによって、結局従来の既得権益というものは喪失される、留保条項は付せられないという解釈であるのか。あるいは第二条第四項はこれは国内法でもいう定義であって、タラバガニが含まれるかどうかということは、この第二条第四項だけでずばり当てておるのではない、こういう解釈をしていいのかどうか。それとタラバガニの問題等について、かりにこの条約に将来日本が入るという考え方を前提にします一つの仮説を立てると、留保条項について、いま言った定着種族に属する生物にタラバガニ等は入らないということを留保条項でいうとすれば、第四条以下のところで、そういう留保条項をいうことのできる条文があるのかないのか。私は条約をずっと見てみますと、第五条の第八項、これは直ちにその留保条項に当たるかどうかには、条約上大きな疑問があると私は思いますけども、ここでは「大陸棚に関する調査であってそこで行われるものに関しては、沿岸国の同意を得なければならない。」ということがあり、「ただし、沿岸国は、資格ある機関が、大陸棚の物理学的又は生物学的特質について純粋に科学的な調査を行う目的のため要請を行うときは、通常、同意を与えることを拒絶することができない。」こういうことが書かれておりますが、これは仮説でありまして、この大陸だな条約に入るのは、水産サイドからいけば非常に大きな影響を受ける。したがって、そういうことを軽々に言うべきものでもないと私は思いますけれども、条約上留保条項というのが第三条までいわれてなくて、第四条以下については留保条項をいうことができる。かりに、第四条以下でタラバガニ等の日本の主張を留保条項でいうとすれば、第五条の第八項において、要するに、それが定着性のものであるかどうかということについては、国際的にも調査不十分という面が論議の一つの問題点でございます。したがって、ソ連の大陸だな、あるいはアメリカの大陸だなについて、それは科学的な調査を行なうべきである、日本の主張はこうであるというふうな立場から、この条文の第八項を使って留保条項を付することが、条約上国際的に可能であるのかどうか。あるいは、そうでなくて、外務省の条約局の立場から見て、そういう主張を四条以下でやるとすれば、他の条文でもそういう主張ができるというのか。あるいは、いま指摘した点も、そういう留保条項には条約上無理である。その他のところでも、タラバガニ等についての留保条項をいうところの条約上の条文は、四条以下にないという判断なのか。条約の解釈の立場において、御見解をまず外務省から承りたい。
○大塚説明員 御説明いたします。 御指摘のとおり、この大陸だな条約に関しましては、十二条に明文の規定を置きまして、留保ができるという条項を限定して書いております。したがいまして、文理上から言いまして、ほかの条文に掲げました一条から三条までを除いた部分につきましては、留保ができるというふうに解釈しております。したがいまして、ただ先生が具体的に御指摘になりました点でございますが、五条八項の大陸だなに関する調査——この五条八項というのは、いま大陸だな条約の十二条で明白に禁止し、留保を行なえないというふうな禁止規定の外に置かれておりますので、五条八項につきましても、理論的にはこれは留保ができるというふうに解すべきであろうと思います。ただし、五条八項で書いてありますのは、あくまでも調査でございまして、開発権利そのもののことをいっているわけではございませんので、調査につきましては、それに関する限り、これは留保することができるというふうに解釈してよろしいのではないかと私は思います。
○角屋分科員 水産庁の長官にお伺いしたいのでありますが、かりに、仮説として、大陸だな条約に入る場合においては、いま申しました第三条までに留保条項を付することはできない。第四条以下に留保条項を付することができるわけでありますけれども、日本の定着種族に属する生物に対する主張というものを、留保条項の中で明確にできる条文がないように、条文を全部目を通したところでは、私は判断をしておるわけですが、もし、だとするならば、結局、この条約に入ることによって、日米の関係、あるいは日ソの関係のカニについては、従来の日本の主張の根拠を大部分失うと、こういうふうに条約上判断できるのかどうか、この辺は、水産庁長官としてはどう考えておられますか。
○森本政府委員 先ほども申し上げましたように、そういったカニの交渉をいたします際に、日本としては、公海資源であるという立場から見解を主張し、交渉をいたしてまいりましたので、日本のほうで大陸だな条約へ加入するとすれば、そういった立場をどったいままでの主張なり見解なりというものに、大きな影響を及ぼすということは当然であろうと思います。
○角屋分科員 私は、大陸だなに関する条約の問題について、三十分まるまるというわけにもまいりませんわけで、あと、そう持ち時間がないわけですが、もう一点、外務省にお聞きしておきたいのは、要するに鉱物資源の開発という通産省サイド、あるいは経済界のサイドからは、この条約に入らなければ、いわゆる大陸だなは守れないのだということを盛んに喧伝しておるようでございますが、これは、国連憲章の前文あるいは国連憲章の第一条、第二条というようなところとの関連からも、考えるわけですけれども、国際条約の関係は、ある場合には入り、ある場合には入らないということが、国連加盟国の中でも多く行なわれておる。その場合に、条約の加盟国が、いろいろな理由で条約に入っていないものに対して、国際的ないわゆる親善関係あるいは国連憲章の精神を無視して、たとえばいま取り上げました調査の問題についても、加盟国が加盟していない国に対して、第五条の第八項については、沿岸国の同意なしに可能であるという条約上の解釈は出ないと思うのですけれども、その辺のところの、加盟国、加盟国でないということにおける利、不利の問題は、条約上どういうふうに判断をしておられるか。私ども承知しておるところでは、大陸だな条約に関する問題は、いわゆる日本政府として、二十二カ国で批准、この条約は発効するわけですけれども、三十九カ国ですでに発効しておりますが、いわゆる国益全体の総合的立場から、大陸だな条約に加入すべきではない、その場合においても、いわゆる地下資源問題には直ちに支障はこないという判断を、外務省も統一見解として従来とってきたと思うわけでありますが、一部に、盛んに、この条約に入らなければたいへんなことになるという議論があるのに対して、条約局長の立場としてどう考えておるか。
○大塚説明員 お答えいたします。 外務省の条約局といたしましては、実は、この大陸だな条約というものの内容に盛られております規定は、一般国際法、慣習国際法を法典化した部分と、そうでない立法的な部分とがあると考えております。もっと具体的に申しますと、大陸だなの地下鉱物資源の開発、探査について、沿岸国が主権的権利を行使し得るという点は一般国際法となった。この大陸だな条約の規定はそれを法典化したにすぎない部分と考えます。ただし、生物資源の問題につきましては、これは、私どもといたしましても、立法化の部分であって、したがって、大陸だな条約に日本が入らない限り、日本はこれの拘束を受けないというふうに考えておるわけでございます。 実は、こういった条約局の見解は、最近国際司法裁判所が——これはたしか先週の金曜日、二月の二十日だったと思いますが、私どもも外電でとりあえず見たわけでございますけれども、国際司法裁判所も、その日に行ないました判決におきまして、大陸だな条約に入っていないドイツが、北海の天然ガス資源のシェアの問題について、オランダとデンマークを相手どって争っていたケースがありまして、それに判決が下ったわけでございますけれども、外電で私ども見ました限り、ほぼ全面的にドイツの主張をいれたような趣旨の判決が出ていると了解しております。ということは、国際司法裁判所も、大陸だな条約に入っておりませんドイツが、地下資源の探査、開発については、大陸だな条約に入ってなくても、ドイツに主張する権利ありという前提で、この判決を下したものとして、私どもとしては、従来条約局がとっておりました、大陸だなの鉱物資源について、沿岸国が主権的権利を有しているということが、一般国際法となったという解釈が、いわば裏づけされたものと考えております。
○角屋分科員 時間が制約されて、結びにしなければならぬ段階に来ましたので、海洋開発問題について、科学技術庁長官に基本的な問題をお伺いしておきたいと思います。 御承知の原子力問題では原子力基本法があり、あるいは宇宙開発の問題でも基本法をつくるという形になっておるわけでありますが、海洋開発という問題については、各省にまたがる問題でありますし、今後速急に、基本的に日本の意思として、政府としてこういう政策でいくということで、海洋開発問題についても基本法というものの制定をすべきだ、という御見解に立っておられるのかどうかという問題が一つございます。 それから、海洋開発について近く長期計画というのをきめられる、大体三月段階だ、というふうに聞いておりますが、そういう運びであるのかどうか。 それから、海洋開発問題では、基本法の今後の検討問題とからんで、各省ばらばらで、いわゆる総合調整というのが不十分であります。これは、科学技術庁が出されるところの科学技術白書とか、いろいろなものを全部目を通してみましても、現実にもそうだと思います。そういう点で、総合調整の面では、相当膨大な技術陣容を擁して取り組まなければならぬ課題だと思いますが、原子力は日本原子力研究所等、中心的な試験研究機関を持っておるわけですが、科学技術庁に海洋関発のための総合研究所を早晩持つ必要があるだろうというふうな問題もございます。そういうふうな問題について、これから海洋開発に取り組む総合調整と指導の責任のある科学技術庁としては、どういうかまえでいかれようとしておるのか、この点、長官の御見解を承りたいと思います。
○木内国務大臣 先ほど来、海洋開発の非常な重要性については角屋先生からお述べになったとおりであります。非常に深く御勉強になっておられるようでありますが、海洋が豊富な資源を包蔵している関係から、各国ともにこれに非常に積極的に取り組んできております。わが国においてはどうかと申しますと、わが国は、先ほども申しましたように、海洋国でもあり、一そう重要な問題だと思っておるのですが、これにつきましては、わが国においても、従来から関係各省庁におきまして、あるいは鉱物資源、あるいは生物資源、こういうものに関する研究調査は十分やっておるのですが、何と申しましても、お示しのように、海洋の開発というものは巨大な事業でありまして、進歩した海洋工学を駆使して、先端的な技術を集めて、そうして開発していかなければならぬものでありますが、どうもわが国の海洋開発の面におきましては、先進諸国に対して、遺憾ながら相当おくれておるように思うのであります。そこで、わが国としても、どうしてもこの際長期的展望に立って、総合的な計画を立てなければならぬ、かように考えておるわけであります。そこで、いまお話しのように、海洋科学技術審議会におきましては、当面措置すべき問題を昨年示されまして、それに基づいて予算を要求しましたが、さらに長期的展望に立って、総合的な長期計画を立てようと、目下委員会において検討中でありまして、近くその答申が出るはずであります。それに基づきまして、総合的な計画を大いに積極的に推進してまいりたいと思います。 ところで、わが国におきましては、今日までまだ海洋の研究調査というものは、予算上にもあらわれておらなかったわけであります。そこで、ことし初めて予算上私どもの役所にそういう柱を一つ立てることになりました。しかし急激に金額をふやしましても、人員もまだ十分でない、態様も整っていないのに金ばかりふやすと、とかくむだになりますので、本年はまず数億の金ですけれども、柱を立てることになりました。そして、同時に、今度はそれが中心になりまして、海洋科学技術審議会の答申を待って、その線に沿って私ども長期計画を推進してまいりたい、かように存じておる次第でございます。 基本法のことは、まだ今日の段階では、これをきめるにちょっと少し時期尚早じゃないかと思います。研究はいたしておりますけれども、そういう段階でございます。 総合研究所の問題につきましても、今後、海洋科学技術審議会の答申を待ちまして考えてまいりたい、しかし急速にこれを一つの役所に固めましても、たとえば生物資源は農林省が主管している、あるいは鉱物資源については通産省が主管しているというようなわけで、一つのところに全部まとめてしまうことがいいか悪いかという問題も、今後考えてまいらなければならぬ問題ではないか、かように思っております。
○角屋分科員 時間が参りましたので、あと一点の質問で終わります。 いまの総合研究所の問題も、従来、海洋開発というものを各省の試験研究機関で若干取り上げておる点をずっと拾ってまいりますと、運輸省関係では気象研究所、あるいは港湾技術研究所、船舶技術研究所。農林省関係では水産研究所、農業土木試験場。科学技術庁では国立防災科学技術センター。あるいは通産省では地質調査所。労働省では労働衛生研究所。建設省では土木研究所。防衛庁は別として、そもそも必ずしも海洋開発に相当なウェートを置いてやるという姿勢の研究所として発足したのではない。宇宙開発あるいは海洋開発、原子力問題というのが、いずれにせよこれからの大きな科学の領域における問題であるということであるならば、こういう既設のばらばらのところで将来ともにいけるものだという結論には、私はならないと思う。基本法の問題あるいは総合研究所の設置問題は、これから慎重に検討するということでありますけれども、消極的な姿勢でなしに、試験研究機関は、あなたのほうで総合調整の研究費も与えたりなんかで、一応指導権を握っているわけですね。そういうところを前向きにひとつ考えてもらいたいと思います。 最後に一点——原子力の平和利用の問題に関連して数点お伺いしたいと思いますが、時間の関係上、省略をいたしまして、一点だけお伺いしておきたいと思います。 最近、予算委員会等々でも、佐世保、横須賀の原潜寄港の問題に関して、放射能汚染問題で、長官も、観測体制は非常に不備である、これを速急に整備をしなければならぬということでやっておられるわけですが、それを、ことばだけでなしに、具体的にどう整備するのかという問題もございます。同時に、今後海洋開発ということで、大陸だなを含む資源の開発をやっていこうとしますと、放射能汚染というものが日本の近海で憂うべき状態になるということは、断じて許せないということは当然のことだと思う。そういう点で、今年の二月六日に放射線審議会、これは首相の諮問機関ですが、そこで放射性廃液の問題についての答申が、長官御承知のように出されておるわけです。そこでは、私どもから見ましても、従来の廃液の放出口で濃度を規制するという考え方を改めて、これが海水にあるいは魚にというふうなことも含めて、一般人の健康を守る、生命を守るという立場からの、いわゆる一般人の最大許容量の十分の一以下に押えるというような、非常にシビアーなやり方をやろう。マスコミも報道しておりますように、政府はこの答申に基づいてどう取り組むのかということが注目されておるわけでございますが、いま申しました当面政治的に非常に問題になっております原潜寄港によるところの放射能の問題に対する観測体制の整備という問題が非常にクローズアップしておりますが、長期展望に立てば放射性廃液に対する放射線審議会の答申を受けて、具体的に科学技術庁を中心に政府としてどういう考え方でいこうとするのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○木内国務大臣 いろいろ御質問になりましたが、原潜の入ったときの監視体制ですね、この点については研究すべき問題はあるということは申し上げたのですが、非常に不備だということは申し上げたつもりはないのですが……。 今日までできるだけの監視体制をつくっておりましたのですが、レーダーの監視機器に対する影響ですね、これを遮断することができるかどうかということがこの間から問題になっているのですが、その問題につきましては、きょうから専門の人々を集めていま研究しているわけです。これは非常にむずかしい問題で、ここでこの前申し上げましたように、一流のメーカーにそういう条項をつけて注文したのですが、一流のメーカーにシャッポを脱がれてしまったわけなんですよ。そこで、今日の水準ではそこまでできないということであったのですが、専門家を集めまして対策を研究しています。もしそれでできないならば、間接的にこれを観測する方法はないかというようなことを研究しているわけです。 それから、いまの廃液の海水汚染の問題ですね。これにつきましては放射線審議会で十分に検討をいたしまして、そしてああいう案を出したのですけれども、それはあくまでも厳重に守ってまいりたい、かように存じておるような次第であります。
○角屋分科員 具体的にはどうなんです。
○木内国務大臣 具体的にですけれども、あの基準に合うように監視するというのが、いまの具体的の方法だと私は思っております。なお、それをどういうふうにしてやったほうが有効であるかという問題については、今後また検討してまいらなければならぬ問題だと思っております。
○角屋分科員 時間の関係もありますので、以上で終わらせていただきます。
○臼井主査 田中武夫君。
○田中(武)分科員 公取委員長にお伺いいたしますが、一昨二十四日、公正取引委員会は八幡、富士に対して、内示というのが正しいのか覚え書きを手渡したということが正しいのかしれませんがやられました。あの行為は独禁法上どういう行為になるのです。覚え書きあるいは内示は、法的にどういう行為になります。
○山田政府委員 事前相談というものの性格は、二つの面から考えることができると存じます。一つは、行政機関といたしまして、窓口において関係者が参りまして、こういうことをしたらば法律に触れるであろうかどうであろうかということの相談をいたしてまいりました場合には、これは私どもといたしましてこれに回答を与えて、一つの指針を与えるという責任があると存じます。現に独占禁止法相談所という窓口が私どもの役所につくってございます。軽微の案件でございますれば、そこで職員限りで回答いたすわけでございますが、事が重要なものでございます場合には、委員会において事前審議をいたしましてその結果を回答する、こういうことに相なっております。 また、他方、私どもの公正取引委員会といたしましては、法律に違反するおそれのある事実を探知いたしました場合には、こちらから積極的に調査をする権限が与えられておるわけでございまして、その両面からいわゆる内審査をいたしました次第でございます。
○田中(武)分科員 先日の予算総括で、私が、いまやっておられる行為は何かとお伺いしたときに、独禁法四十条によるところの職権調査だとお答えになった。四十条を見ますと「その職務を行うために必要があるときは、」となっておるのです。したがいまして、あの事前調査のところで公取委員会が行なおうとした職務は一体何なのか。そして、その必要のために調査をせられたと、こういうことになると思うのですが、その行なおうとする目的は何だったのです。
○山田政府委員 独占禁止法に違反するおそれのある事実を探知いたしました場合には、これをあらかじめ審査いたす。これは第四十条に基づきまして審査をいたす権限もございますし、義務もあるものと、かように心得ます。
○田中(武)分科員 そうすると、十カ月にわたって富士・八幡の問題について調査をせられました。それは四十条による独禁法に触れるおそれのあるということを探知してやられた行為なんですか。
○山田政府委員 新聞記事によっても承知をいたしましたし、また、両社の社長からこういうような計画で合併をしたいということを聞きましたわけでございますから、それに基づきまして調査をいたしました。
○田中(武)分科員 あなたはなかなか秀才答弁せられるわけです。そつのない答弁をせられる。しかし答弁とやっておることとは、いささか私はふに落ちない点が多いです。現に二十四日十一時前に私はあなたに、きょう何らかやられるように承っておるがどうなんだと聞いた。委員会としては何もきめておりません。なるほど新聞等を見ますと、十一時過ぎに、すなわち私の質問が終わって帰られて、そして委員会を急遽開いて覚え書きといいますか、内示を与えた、こういうことになっておるのですが、よくもまあぬけぬけとあの段階においてああいう答弁をせられたなという感じを受けておるのですが、どうなんです。
○山田政府委員 あの御質問をいただきました当時におきましては、まだ何もほんとうに決定をいたしておりませんでしたので、午後の一時から急遽委員会を開きまして、ずいぶん長時間にわたりまして審議をいたしまして、その結論が出た、かようなことでございまして、決して他意あってさようなことを申し上げたわけではございませんことを御了解いただきたいと存じます。
○田中(武)分科員 これもおそらくあの内示は条件つきの内示だといいますか、条件つきの公取の態度を表明したものではない、こうお答えになろうと思いますが、少なくともあの事態を新聞記事等々で見た者の受けた感じは、これは条件つきのいわゆる承認への前提である。何回か私指摘いたしましたが、この条件を両者が除く、そのことによって独禁法上問題がないということで今度はすんなりといくのじゃないか、こういう感じを受けておりますが、いかがです。
○山田政府委員 新聞紙上等では条件つき認可ということばが出ておりますのでございますが、私どもといたしましては、さような考えは全然ございません。前にもお答え申し上げたことがあるかと存ずるのでございますけれども、条件つき認可ということはあり得ませんのでございます。イエスかノーか、どちらかということでございます。したがいまして、この内示をいたしました結果、合併を希望しております当事者が正式の届け出をいたすのか、いたさないのか、これは私どもの関知するところでございません。もしもかりにいままで内相談に持ってまいりました同じ内容の届け出があったといたしまするならば、これは当然法律に違反することになると存じます。新しい正式の届け出がございました場合において、その内容を十分に法律に従って審議をいたしてまいりたい、かように考えております。
○田中(武)分科員 これは審査の結果、そうなったのであろうと思いますが、問題品目として指摘せられた三品目は、両社からいうならばいわば主力生産品目ではない。これがかりに主力生産品目に問題ありという指摘ならば、私は、両社は困ると思うのです。しかし、非主力であるところの品種である。したがって、これを是正するということは、そう犠牲を払う必要もないと思うのですよ。たまたまそうなったのであろうけれども、どうも重要なところを避けて、端っぽのところで指摘をしたような感じを受けますが、いかがです。
○山田政府委員 私どもといたしましては、重要な点を避けたなどという考えは毛頭ございません。各品目につきまして、十分審議をいたしました結果を伝えた、こういうことでございます。 それから、会社側といたしましても、これは私がそんたくをいたす筋合いはございませんけれども、そう簡単なことではない、かように考えております。
○田中(武)分科員 今回の公取委のあの態度を見て、私は、一般に公取に対して期待をし、あるいは声援をしておった人たちが、大きな期待を裏切られたという感じを受けておると思うのです。あのことによって、いろいろと問題が残ると思いますので、逐次お伺いをいたします。 まず、その第一点は、どのようにここであなたが答弁をせられはうとも、十五条の解釈の幅を広げた。そうして寡占体制の弊害は、それだけでは競争制限にはならない、こういったような見解をとられたのではなかろうか。十五条の統一見解に対して疑問があります。 それから、第二点といたしましては、独禁法が寡占対策にとってきわめて力がないものである。いままで弱い消費者、中小企業を守るものとして、日本の経済の民主化のための経済憲法ともいわれる独禁法ないし公正取引委員会に期待をかけておった、その期待の大きいほど、私は、公取を見直すといいますか、そういうことが一般に、公取頼むに足らず、独禁法頼むに足らずという感じを与えたことはいなめないと思います。しかも、寡占体制を排除する力がないだけでなくて、寡占の弊害除去ということについても、これをチェックすることもできないのではなかろうか。そうするならば、寡占の弊害除去に対しては別に監視体制をつくる必要がある、こういうことがいわれております。私は、その寡占の弊害をチェックするのも公取でやるべきだという意見を持っておったのです。しかし、これでは、公取さん、どうも頼むに足らぬじゃないか、こういう感じを私も受けております。いかがでしょうか。
○山田政府委員 私どもは、独占禁止法の精神を十分に発揚させてまいりたいという決意において少しも変わっておりません。したがって、もしも世間に何か公取委の線が変わったというような御印象を与えましたならば、こればきわめて不幸なことでございまして、私ども今後十分に、われわれの方針が少しも変わっておらないということを説明もいたしますし、また、今後の行動において実証をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 それから、第二点の寡占問題について御指摘がございましたが、先般も申し上げましたごとく、寡占という概念、これはなかなか意義が広いように思います。ただ数が減ったというだけでもって、それがすぐに競争の制限になると、こう数学的に考えるわけにはいかないように存ずるのでございまして、寡占の中にも、協調的寡占とそれから競争的寡占と、いろいろあると存ずるのでございます。私どもといたしましては、かねがね繰り返し申し上げておりますごとく、競争者の牽制力あるいは需要者側の事情、あるいは代替品、新規参入、輸入、各般の、こういうような点を十分に総合的に勘案いたしまして、当該取引分野における競争の実質的制限になるのかならないのか、この角度から判断をいたしまして、独禁政策を推し進めてまいりたい、かような考えでおる次第でございます。 それから、寡占の弊害が除去できなくなるというお説でございましたが、もしもこれがかりに寡占業界において優越した地位を乱用いたしますとか、あるいは差別価格の適用をいたすとか、かような不公正な取引方法がございました場合には、これは法律に照らして厳正に処置をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○田中(武)分科員 総務長官、私は、公取委員長がいろいろと言われておりますが、独占は、これは一個ということが正しいのかどうか知りませんが、数社で事実的に競争を排除していく、そういう体制を私は寡占というんだと思うのです。しかも、寡占の弊害、独禁法のたてまえは、そういう体制をとること自体を私は問題にしておるのだと思うのですよ。いわゆる寡占が悪いのか、あるいは寡占の弊害が悪いのかという議論になると思うのです。しかし、独禁法それ自体は、私は、寡占体制をも禁じておると思うのです。そうして次に、その寡占が経済力を乱用して弊害を生じたときには、公正取引とかなんとかの点でチェックをしていく、こういうことだと思うのです。ここは、前にも特振法のときに議論をやりましたが、寡占が悪いのか、あるいは寡占の弊害が悪いのかということですが、独禁法は、私は、寡占それ自体、寡占体制自体も取り上げて問題にしておる。それが十五条の精神であり、独禁法全体の精神じゃなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。——いや、総務長官、あなた、担当国務大臣ですよ。だから、その観点に立って考えもらわなくてはいけないと思うのです。と同時に、法律的なことはなにでけっこうです。その寡占の弊害をチェックする体制をどうすべきかということを考えてもらう必要があると思うのです。
○床次国務大臣 ただいまお尋ねがありましたが、この公取委員会というものは、独立の行政官庁でありまして、私ども総理府の所管には属しておりまするが、その運営等につきましては、独自の立場に立っており、私、総務長官として意見を申し上げる余地はないと思います。
○山田政府委員 寡占体制が悪いかあるいは寡占によって生ずる行動が悪いかというお尋ねでございましたが、私どもの考えといたしましては、寡占体制め中で、法律の定めますような一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合、これは厳重に規制をいたしてまいる所存でございます。
○田中(武)分科員 合併をし、いわゆる寡占体制をつくっていくということは、その目的は何かといえば、事実的な競争排除なんです。それがなくて、私は、合併をし、寡占体制をつくっていくはずがないと思うのです。したがって、寡占体制々つくることそれ自体が競争排除ということに目的があるわけなんです。そうじゃないですか。
○山田政府委員 それは、その個々のケースによりましていろいろな場合があると存じます。表現は悪いかもしれませんけれども、外形だけで寡占になるからすぐたちどころに競争制限になる、こういう断定はいたしかねるように思うのでございます。法律の精神も、合理的蓋然性としてそうなるかどうか、これの判断を公正取引委員会にゆだねられておりまして、私どもは、これを、法律を厳正に適用いたしまして判断をしてまいります大きな責任を負っておるものだ、かように考えておりまして、どこまでも数が減ればすぐに競争制限になる、こういう断定はいたしかねるかと思うのでございます。
○田中(武)分科員 それはへ理屈というものです。十人おるのと三人おるのとなら、やはり十人のほうが、入学試験を受けても競争は激しいのですよ。数が減ればそれだけ競争が緩和されることは理の当然なんです。そうじゃないですか。ことに今日、すでに鉄鋼においては建て値制度等々、独禁法上疑わしい、カルテルではなかろうかといったような問題も常にあります。たとえばその生産が数倍に伸びておるのに、その価格は三十六年ですか以来、硬直化したままである。生産が伸びれば価格が下がるのが理の当然。それは、鉄鋼建て値制度等々によって値くずしをしないように、すなわち管理価格が形成せられておるわけです。それが、数を少なくするならば、当然競争緩和ということになることはあたりまえじゃないですか。ことに、日本における鉄鋼業界の一と二が一緒になるのですね。これが十五条の上から許されるとするならば、ほかに十五条からいって問題になるようなところがあるのでしょうか。時間がありませんので、あまり法律論争はやりたくありませんが、感じですよ。 そこで、あなたはあくまでも独禁法を守ると言う。信じております。しかし、寡占体制をつくること自体は、私は、競争緩和である、競争排除であるということを言っておるのですが、どうなんですか。これからもなお独禁法をどこまでも守るという気持ちはありますか。
○山田政府委員 初めの、入学試験の十人が三人に減れば競争が減少するというお話がございましたが、考えようによりましては、三人になればなおさらそのせり合いが激しくなるということも考えられるわけでございまして、三人が三人合格することがきまっておれば、それは別でございますけれども、三人の中から一人が合格するということになれば、競争は一そう激甚を加えるかと、かように考えるわけでございます。 それから、建て値制度の話がございましたが、これは現在においては働いておりませんのが実情でございまして、建て値よりもはるかに下回っております。これが競争制限になるという……
○田中(武)分科員 実際、下回っていないでしょう。
○山田政府委員 いえ、かなり下になっておるのが現状でございます。
○田中(武)分科員 生産と比例して……
○山田政府委員 これは別の問題でございますけれども、建て値制度によって拘束されておるという事実は、現在のところございませんわけでございます。 それから、一位、二位の合併によってというお話でございましたけれども、これに対しまして競争者の牽制力、合併会社を牽制いたしますところの力、これは各種の角度から評価をしてまいらなければならないのではないか、かように考えるわけでございます。 それからまた、第十五条、これが、現在の段階ではこの合併はできないわけでございますけれども、もしも、かりに何らかの変更によってできた場合には、ほかのケースはみなどうこうというお話がございましたが、私どもといたしましては、それこそケース・バイ・ケース、その業界のつくっております商品の特質あるいは競争業者の牽制力、あらゆる角度から、あるいは新規参入の蓋然性、輸入の関係、代替品等を勘案いたしまして決定をいたしたいと思いますので、これがどうこうだからというようなことは決してないものと確信をいたしております。
○田中(武)分科員 このいわゆるビッグビジネスですか、大企業合併は、大きな世論となり、あるいは一般の関心を引いております。したがいまして、昨年夏も学者グループからの申し入れ等がありました。また、公取委員会の職員の結成している職員組合も、去る十九日ですかに決議文をつくって、あなたに渡しておるという。その中に、外部からの圧力で、「職員組合は公取委が従来の公正な態度を守ることを確信し、独禁法に対する圧力を排除して独禁法の弱体化に断固反対する」、こういう決議文ですが、その前提に、各種の圧力云々というのがあるのですね。したがいまして、ここでもう一度ふんどしを締め直さなければ、公取委員会の内部において問題を残すのではなかろうか、そういうことが思われます。それから、先ほどから言っておる一般の期待にこたえるべきである。さらに昨日ですか、三十九名の第一線学者が、この公取委の内示という行動に対しまして、声明を発表いたしておりますね。その声明につきまして一々言う時間がございませんが、御承知のとおりであります。 そこでこれらにこたえるべく、方法とすれば、問題業種を指摘した、それを是正したから次には問題がないというような安易な考え方ではなくて、正式な、十五条二項によるところの届け出があったときに、正式審判を開く。そうして、その審議の内容等々が、一般から誤解を招かないように、十分な論議をガラス張りの中でやる。もちろん、そのためには参考人の意見を聞くとか公聴会を開くということは当然であります。そういうような方法をして、さて、かりに是認するということになるならば、積極的に、このことが独禁法第一条でいう国民経済の発展及び国民経済の安定に積極的に必要であるということを解明すべきだ。それなくしては、公正取引委員会は、みずから墓穴を掘る、自殺行為の道を歩むものだと思うわけでありますが、今後に対してどういう決意、しかも内部の問題、内部の職員の感じ、真剣ですよ、職員組合の諸君も。委員と職員との間に、そういったようなみぞをつくってはならない。そういうような問題についても、決意のほどを伺っておきます。
○山田政府委員 職員組合のことにつきましてお尋ねがございましたわけでございますが、私どもは、外部から圧力を加えられたという事実は毛頭ございませんのでありまして、職員組合の委員長に対してその旨をよく説明いたしまして、職員組合としても理解をしてくれたわけでございます。したがいまして、あれは委員会に対する、一そう独禁政策の精神を働かせてくれという激励の意味に私は理解をいたしておるわけでございます。 それからその次の、正式審判をやるべきであるという御意見でございましたが、これは正式の届け出がまだ出ておらないのでございまして、かりに出てまいりましたならば、それをあるいは公聴会、各方面の御意見も伺うこと、もとよりであると存じますが、それを審査いたしまして、いやしくも抵触する疑いがあれば、これは審判に付するということは当然のことであると存じますが、正式な届け出が出てみませんと、これは何とも申し上げかねる、かように御了解いただきたいと存じます。
○田中(武)分科員 かりに是認する場合には、独禁法の一条の精神からいって積極的な理由の解明。
○山田政府委員 独禁法第一条の精神に照らして、積極的に必要であるということまではいかないと存じますけれども、独禁法第一条の精神に違反しない、やはり競争制限にはならない、こういう事情は十分に御説明申し上げる必要がある、かように存じております。
○田中(武)分科員 これはあくまで経済の民主化、国民経済の安定、発展、このためにこそ独禁法はあるわけですね。したがって多くの人が疑問を持ち、実際はそうでないとしても疑問のあることは事実なんです。ならば、そういうときにあたっては積極的に、この必要があるんだ、認める必要があるんだということを、独禁法の精神を通し、一条の目的を通して解明すべきだ、こう言っているのですが、いかがでしょう。
○山田政府委員 世間にさような誤解があるといたしまするならば、独禁政策は少しもこれによってゆらぐものではないということを十分御説明いたす必要があると存じます。また、今後の独禁法の運営につきまして、独禁法全体の精神によりまして厳正にこれを執行いたしてまいる、そういう決意は少しも変わっておりません。
○田中(武)分科員 何回も申しますが、いまや公正取引委員会はかなえの軽重を問われておる。一歩誤るならばみずから墓穴を掘り、自殺的行為を歩むことになります。これは十分に性根を入れ直してやっていただくことを私は要望します。 次に、時間もありませんが簡単にお伺いいたしたいのは、資本の自由化についての独禁法との関係であります。第二次資本自由化の答申がなされ、三月からいよいよそれが動くようであります。したがいまして、この資本自由化で考えられることは、まず外国の企業が国内に代理店を設け、この代理店が持ち株会社の役割りを果たすようなことが起こるかもわからぬ。国内産業を倒すために、まず安売りあるいは景品つき販売、あるいは誇大広告等々の手段に出るかもわからない。いろいろとありましょうが、こういうことが予想せられます。独禁法六条では、まず第一項で、国際的な不公正な契約をしてはならないということをうたっておる。第二項で、国際的契約はすべて独禁法によって届け出をしなくちゃならぬとなっております。はたして今日まで、国際的契約のすべてが独禁法の六条二項によって届けられたかどうかということに疑問を持っております。経済開放体制に向かうならば、ますますこういった国際的契約がふえると思います。それはまず第一に、第六条第一項の不公正なものであるかどうかを見る必要がある。そのためにはこれは当然二項によるところの届け出を全部出させなければいけないと思う。現在の公正取引委員会の人員、予算でそれが十分やれますか。六条関係の仕事をやっている人は何人、そのための予算は幾らです。 それから総務長官、いま申しますように経済が開放体制になって、ますますそういうことが重要になる。いまのような公正取引委員会の人員、予算では、とうていこの外国の巨大資本の上陸に対しての守りとはなり得ないわけです。十分の予算並びに公取委員会の機構強化が望ましいと思いますが、これは国務大臣としてのあなたに答弁を願いたい。 それから先ほど言ったように、山田さんからはそのことについて先ほどのことを御答弁願いたい。
○床次国務大臣 公正取引委員会の任務の重要なこと、まことにおことばのとおりでありまして、現在その職務の内容も非常にふえておりますので、本年度におきましては特に予算等も増額いたしております。前年度に比しまして五千五百二十八万五千円の増、合計四億七千二十五万六千円でありますが、なお人員に対しましては、前年度に比しまして八名の増員をいたして、なお一律に行政官庁五%削減しておりますから、三名減の純増五名という形になっておりまして、その内容におきましても、独占禁止法違反審査のための二名並びに不当表示あるいは過大景品等の消費者保護行政の立場から六名を、特に増員いたしておるような次第であります。
○山田政府委員 国際契約の届け出は従来あまり芳しくなかったのでございますが、昨年以来急激にふえておりまして、私どもも気づきましたところは全部督促をいたしましてとっております。 それから機構についてお尋ねでございましたが、現在その業務を扱っております人数は十名でございまして、予算額は大体五百五十万余りが計上してございます。 それから、その前にお尋ねのございました、外資が入ってまいりまして、持ち株会社をつくるとか、あるいは安売り、不当景品、誇大広告でございますか、これらにつきましては十分、不公正な取引方法であれば、これは厳重に対処いたしてまいりたい。持ち株会社は、これは純粋な持ち株会社でございますれば、法律によってはっきり禁じられておるのでございますから、その処置をいたしたい、かように考えております。
○田中(武)分科員 経済の開放体制への進行に伴って、公正取引委員会は、国内的には先ほど来書っておるような合併、トラストという関係がますます起きてきます。それが管理価格につながり、中小企業あるいは消費者を痛めるということも当然予想せられます。対外的にはいわゆる外資の上陸等で、先ほど言っておるような問題も起きてまいります。これに対して十分に職務を果たすというか、役割りを果たすためには、現在の体制ではとうていその職にたえかねるであろう、私はこういう感じがいたしております。従来、公正取引委員会に対しては、われわれ野党、一般の消費者団体あるいは進歩的学者等は応援者であります。それに対して独禁法、公取をじゃま者にしておるのは権力者、財界の大もの、財界等でも独禁法懇談会とかなんとかいうものをつくって、何とかして骨を抜こうとしておるわけです。言うならば、公正取引委員会に応援しておるのは、数は多くとも力が少ない者で、権力を持ち、財力を持つ者が公正取引委員会をじゃま者にしておることは明らかであります。この際、き然たる態度と、独禁法をあくまでも堅持する、この考え方がなければ、私は公正取引委員会、独禁法は滅び行く道を歩まなければならないと思います。われわれも応援者です。公取の応援者です。しかし変なことをすると、もう頼むに足らずということになれば別の方法を考えなければならぬということになるのです。ひとつもう一度重ねて決意を伺いましてやめます。
○山田政府委員 公正取引委員会の人員が少ないではないかという御指摘でございます。確かに少ないことは事実でございます。しかし、私ども上下一体となりまして、たとえば今回の合併問題の審議を通じましても、実に涙ぐましいほどの努力を職員はいたしてくれました。私の口から申し上げてはおかしいかもしれませんけれども、まあ普通の二〇〇%、三〇〇%近い力を発揮してくれました。人数が少ないからということによって業務に支障を来たすようなことは決していたさないつもりでございます。 それから、外部から何か権力とか圧力とかいうことを受けはしないかという御懸念でございましだが、私どもはそういうものを一切受け付けるつもりはございません。一そう時勢の進運に応じまして、独占禁止政策の推進をはかってまいる決意をさらにさらに固めておりますことを申し上げまして、どうぞよろしくお願いをいたしたいと存じます。
○田中(武)分科員 そのように熱意を持って仕事に当たっておる職員の期待を裏切ることのないように、再度要望しておきます。 どうもありがとうございました。
○臼井主査 神門至馬夫君。
○神門分科員 私は非常にじみな質問ですが、昭和四十一年の二月に行政管理庁が農村福祉対策に関する行政監察結果に基づく勧告というのを出しております。私は出身が島根県でありますから、島根県として当面している問題は何といっても過疎問題であります。人口減少が部落なりその地域の社会機能を破壊してしまう。これを何とか解決する、取り組まなくちゃならぬ、こういうふうな観点に立ちまして、私たちも地元の島大の先生方と一緒に今日までやってまいりました。そういう中で、この四十一年の二月に出されましたいわゆる農村福祉対策に関する勧告というものは、非常にわれわれといたしましては期待をしたわけであります。期待をして今日に至りましたけれども、私たちが感じますことは、ただ単に勧告がなされて、勧告の形骸化に終わっているんじゃないか、勧告の実効をもたらしていないのではないかという、こういう疑問であります。もちろん行政管理庁としての設置法に基づく権限範囲もあるでしょう。あるいは事業主体としての官庁ではないのですから、そのような限界もあると思うのですが、期待することは、縦割り制度の中にあって、やはり行管なり企画庁なりあるいは総理府というような総合的な行政を行ない得る官庁、そういうものが非常に大切になるし、期待される点なんです。でありますから、こういう点について、せっかく多くの期待を持って私たちがその成果を見守っていたこういう勧告そのものが、どのような実効をもたらしてきたと考えておられるのか、あるいは勧告そのものが実効をもたらすように、いかなる推進が関係各省庁と連絡をしながら今日まで進められたのか、こういう点についてひとつ説明を願いたいと思います。
○諸永政府委員 お答えいたします。 この農村福祉対策に関する行政監察につきましては、ただいま神門先生からおっしゃいましたように、四十一年の二月十八日、関係各省に対して改善すべき点につきまして勧告をいたしたわけでありますが、勧告の結果、各省庁からは文書をもってそれぞれ回答をいただきました。これは四十一年の四月から四十二年の二月までにわたっております。われわれ行政管理庁としましては、回答を受けましてからさらに六カ月後に、その後の改善状況の実態を御照会いたしました。その改善状況も承知をいたしております。また昨年の五月には、最近におきます、約三カ年間にわたります行政監察の結果、勧告いたしました諸事項につきまして、全面的に勧告の措置状況を調査いたしました。この農村福祉対策に関する行政監察は、非常に総合的な行政の必要な分野でございますが、われわれの勧告した趣旨を各省庁とも非常に御熱心にお取り上げいただいておって、非常に御努力をいただいておるというふうに考えております。
○神門分科員 いろいろの原因があるのでしょうが、勧告に基づく環境整備なり産業育成なり、いろいろとそれぞれの行政官庁が努力をしておる、こういうふうなことでありますが、ただそれは文書にのみよっての判断であろうと思うのです。実態というものは、御承知のとおり、いまこの高度成長政策の中で、物価の値上がりとあわして過密と過疎問題が起きている。いわゆる都市問題といわれるものと、人口減少による非常な農村の荒廃であります。この速度というものは、勧告がなされた当時よりかむしろ現在進行しておるのであります。でありますから、それは行政管理庁そのものの責任というふうなことではなしに、具体的な問題としてはあとからいろいろお尋ねするとしても、総括としてそれが実効をもたらしてない。私たちは、実際の農村に入ってみて、また現在の政治の動向を見て、そういうふうに判断をするのですが、あなたのおっしゃるところの実効をもたらしているということと、現在の、現象があらわれている政治とか社会現象というものがその逆の方向へ行っているということ、この辺の問題についてどのようにお考えになりますか。
○諸永政府委員 勧告をいたしましてあと、ただいま申し上げましたような推進措置を講じておりますが、それはおっしゃるとおり中央関係各省庁からの文書回答でございまして、その後の現地の実態がどうなっておるかという点につきましては、さらに監察をいたしませんと、実は実情をつかんでおらない次第でございます。いまのところ、この農村福祉関係の監察の結果を推進するために、さらに再監察を行なうという具体的な計画を持っておりませんけれども、その点につきましては十分検討いたしたいと思っております。
○神門分科員 都市問題は、経済的な強者の立場にあるし、政治的に最も焦点の合ったところでありますから、いまいろいろとマスコミでも焦点が当てられ、政治の場においても発言されております。しかし、ことしの総理大臣の施政演説の中で、過密と過疎——過疎ということばが総理大臣の口から出たのは初めてであろうと思う。しかし、過密対策はその中で若干触れられたけれども、過疎対策というのは、実はあの演説の中にいかにするかということがないのであります。このように私が四十一年の古い勧告を持ち出して質問をするのも、いわゆる過疎対策としての問題が非常にむずかしい行政を必要とする、こういうようなことはよく知っているのでありますが、しかし知ってはおるが、何としてもこのような——政府として何かこの過疎対策らしきものが出たのはこれが初めてでありますから質問をしておる。 こういうような観点から立ちますと、いまのようにペーパー的な判断においては効果をもたらしているというけれども、実効としては逆の現象が生まれているわけなんですね。これはあなたがお認めになっている。ですから、もう一ぺんこれに対する監察をしてみなくてはわからないということをいま管理庁のほうからもおっしゃっているのだが、四十一年の二月だったですからこれはすでに三年間はたっております。三年間たってさらにやってみなくちゃわからないというふうなことをおっしゃっているけれども、その実際の計画がないということは、行管として勧告もしっぱなしにほったらかしにしておるのであって、この勧告をほんとうに実効をもたらそう、推進していこうという意欲というものがないのじゃないか。言うならば、行政管理庁があるということだから、形式的にこの設置法の求める方針に従って作業した、そしてそれぞれ紙のやりとりをしてこういうふうにあと始末をしましたという報告用にすぎないのじゃないか、こういうふうに思うのだが、これはあなたのほうでいまのところ再度監察計画はない、このような崩壊現象をたどっている農村、過疎現象を起こしているこういう状態についての再度の監察計画はないということは、これは何よりそのことを物語っておるのではないか、こういうふうに思うが、どうですか。
○諸永政府委員 ことばが足りなかったかと思いますが、われわれの監察の業務としまして、勧告をしましてから回答をいただきまして、その後の実施状況を六カ月後に報告を聴取しましてから、三年ぐらいたちましたら大体全体的に改善の実情を実地について見る、こういうような業務の運営をいたしております。 この農村福祉だけについて、ただいま再監察の予定、計画的なものが、はっきりしたものがないと申し上げましたけれども、これはよく検討いたしまして、そのほかにも監察をずいぶんしておりますから、一括して来年度の監察計画の中に組み入れるかどうかということにつきまして検討いたしたい、こういうことでございます。
○神門分科員 この監察された結果の勧告ですね、この中の具体的なものについてちょっとそれでは触れてみたいと思いますが、この勧告書の前書きですね、「農村福祉対策に関する行政の推進について」、この中に実は重大な現在の行政上の問題が述べられております。この中の文章を読んでみますと、まず「農村福祉に関する行政は、各省庁でそれぞれの所管にしたがって、十分な有機的関連を持たずに企画実施され、」関連がない。「また、農村に関連する行政の中心的行政機関である農林省でも農家の福祉増進に十分な対策を講じていない」、こういうふうに断定しておるのであります。さらに下に下がってみますと、「社会開発的見地にたって、農村の社会、生活基盤の立ち遅れを是正するため、関係各省庁は、以下の諸点について検討を行ない対策を確立する要がある。」と、こう書いて、「関係省庁は、相協力して農村の社会・生活環境の整備を強力に推進すること。とくに、農林省は、県、市町村の中で高まりつつある田園都市構想等の「農村計画」の国における受け入れ窓口を担当する等、農村社会に対する関係各省庁の行政について、総合的見地に立って積極的に援助・協力するとともに、都道府県段階における指導のあり方についても検討すること。」こういうことを本文でいっております。そして説明の中には「これら県、市町村の悩みは、国の各種行政が十分な関連性をもたずに補助金行政として流れてくること、」十分な関連性がなしに、いわゆる陳情行政といわれるものであります。「さらに重要なことに、これら独自の対策について指導、助力を仰ぐ国の統一された受入窓口がないことである。」こういうふうにいっておるのであります。そして、農林省は設置法第三条第一項に基づいてこの窓口になれ、こういうことをいっております。 しかしここに指摘されておりますような根本的ないまの勧告趣旨、いわゆる農村におけるところの行政上のそれぞれの縦割りの矛盾、これが今日においてもこのような勧告のらち外にあり、何ら一本に統一されたものは生まれてないと私は考えるのであります。その点についてあなたは、実効をもたらしている、そのような窓口を農林省が完全に果たしている、こういうふうにお考えになっておりますか。この勧告の趣旨に沿って改善がなされたというふうにお考えになっておりますか。
○諸永政府委員 農林省が農村計画の受け入れ窓口を担当するということは、農村福祉に関しまする中心的な役割りを果たすべきであるということは、当然農林省の設置法に照らしてもいえると思いますが、受け入れ窓口という解釈でございますが、これはやはり農林省に総合調整権というものはございませんので、農林省が農村計画について総合的な振興目標を立て、各省関連の業務について農林省のほうから積極的に連携を求めていく、こういう必要があろうかと思います。ただ御承知のとおり、関係各省との調整の問題が当然起きてまいりますので、ただいまのところわれわれの勧告したとおり具体化されておるというふうには考えておりません。ただ、農林省としましてもその必要性を非常に認められまして、農村計画のような総合的な振興目標を農林省自体で立てることが必要であるという御認識に立たれまして、村落構造の再整備に関する調査研究あるいは農村整備に関する調査研究等を逐次実施しておられるようであります。さらに最近では、農業振興地域の整備に関する法律案というようなものも御検討されておるというように伺っております。
○神門分科員 いまお認めになったように、この勧告によるところの、いわゆるこの勧告がいっておりますばらばら行政が窓口を一本にして環境整備なりをしなさい、こういうことについての実効はあがってない、これはもうだれもが認めるところだと思うのです。この山村地区に関する、たとえば過疎というものを対象にいたしますと、現在の制度資金的なものは十指に余ると思うのであります。そういう中における事業主体がそれぞれの各省にまたがっている。そのような総合的行政を行なうものはいまないのです。これが一番根本になって、大きな悩みになっておるわけなのです。ですから、農林省そのものは産業政策あるいは産業行政を行なう意味においては、これが適当かとも思うのですが、やはり自治省がいま主体となって地方自治体の所管を行なっている、こういうことにおいて、自治省との関係、受け入れ窓口を農林省にするということを勧告しておいでになりますが、むしろ自治省にしたほうが適当ではなかったか、こういうふうに私は考えるのですが、その点はいかがですか。
○諸永政府委員 自治省の所掌業務ももちろん関係がございますが、事が農村問題でございますので、やはり業務の実態を一番よく握っておられるという点で、われわれのほうは、農林省が窓口になられたほうがより実効があがるんではないかというふうに考えた次第でございます。
○神門分科員 その点は議論いたしましても抽象的になりますから、また自治省に、明日いろいろ尋ねたいと思いますので、その辺でおきたいと思います。 さらに、この中で、具体的な問題といたしまして、やはりこの説明の中でありますが、行政投資が非常に都市部と第一次産業を主体とする農村部とでは格差がある。都市部に多く投下されている、こういうふうにいっておるのであります。三十六年から三十八年、もちろん四十一年の勧告でありますから、この数字は古いのでありますが、全国平均住民一人当たりを一〇〇として、東京、神奈川、大阪は一一九ないし一三九、茨城、島根、宮崎は五〇ないし一〇六、こういうふうにいっておるのであります。私はこの行政投資そのものが現在のあらゆる格差を拡大をさした要因であるとするならば、この数字の動向は、またその格差拡大を如実に示す数字になろうと思う。いまのように、どんどん格差が四十一年当時よりかなおかつ拡大しておる今日、行政投資といっておいでになるこの数字はどのような変化をもたらしておるのか。四十三年の時点で御説明を願いたいと思います。
○諸永政府委員 自治省の調査によりますと、都市部と農村部についての国の行政投資の経年の推移は、三十六年から三十八年までは、御指摘のとおりでございまして、都市部が一一九から一三九、農村部が五〇から一〇六でございますが、昭和四十二年の資料しか持っておりませんが、四十二年は都市部が一一二から一三六、農村部が七七から一〇五、この数字だけを見ますと、行政投資の都市と農村との格差は若干縮まっておる、かように考えます。
○神門分科員 ちょっと納得しかねる数字なんですが、私のほうでこれに対置できる数字を持ち合わせておりませんから、これも一応ここでお聞きして、何かの機会に質問したいと思いますが、たとえば、こういうような数字の接近をもって、勧告の実効をきたらしている。この判断の一つにしておいでになりますか。
○諸永政府委員 それを勧告事項の実現状況の判断とはいたしておりません。
○神門分科員 してないということになりますと、この判断としてはこういうふうにいっておるんですよ。「わが国における行政投資は、一次産業を中心とした農村部より、二次三次産業を中心とした都市部に対して多く投下されている。すなわち、自治省調査によると昭和三十六−三十八年度における行政投資は、全国平均住民一人当りを一〇〇とすると、都市部(第一次産業就業者率の低い東京都、神奈川県、大阪府)は一一九−一三九となっているのに対し、農村部(第一次産業の就業者率の高い岩手、茨城、島根、宮崎各県)は五〇−一〇六と相当低くなっている。」こういうことをもって、「現実には農村道路整備の立ち遅れに端的に示されているように、それは大きく立ち遅れている。」こういうふうに行政投資率そのものをもって判断の基準にしておるのですが、これらをもって勧告の実効云々と判断してないということはたいへんおかしな回答だと思うのですがね。実効をもたらしているかどうかという点は、やはりこの説明の中において、これらをもって非常に立ちおくれをしているのだ、こういっているんですから、この数字というものはその判断基準には相当貴重なものではないかと思うがどうですか。
○諸永政府委員 われわれの勧告は行政投資面だけの勧告をいたしておりませんので、確かに道路等の行政投資は、これは三十六年から三十八年とただいまと比較いたしますと、画期的に道路の公共投資はふえておるわけでございます。ただ、私が申しましたのは、勧告全体の実現度と申しますか、それをそれだけでははかれないということを申し上げただけでございます。
○神門分科員 まあその答弁非常におかしな答弁で納得できないのですが、またの機会に譲りましょう。 「生活改善普及事業について」という項があります。「生活改善普及事業について」の主文には、「農家の生活をとりまく社会生活環境の整備充実こそ、その急務であると考えられる」こういうことを主文でいっております。そうして説明の中には、これに対してたくさんの緊急性を力説している、こういう状況でありますが、今年度の予算編成にあたりまして、大蔵当局は、いわゆる生活改善普及員あるいは農業改善普及員の補助金を削減する、打ち切ろうといたしたことは御承知のとおりであります。この後継者対策の中にも明確にいっておるのでありますが、この後継者対策の主文の中に、「ここ数年来、農業労働力の減少が著しく、とくに若年労働力の減少が激しいため、農業労働力の質的低下をもたらしている。このような動向下において、農業の近代化をはかるためには、高い生産技術と経営技術を持ったすぐれた農業後継者を積極的に育成、確保することが必要である。」こういうようにいっておりますが、この多くの農家の人あるいは農村主婦が運動してようやくこの復元となったのでありますが、いまこの生活改善普及員あるいは農業改善普及員に対して、行管といたしましては、さらにこれは、いまのような格差ができた現在必要であるというふうに強くお考えになっておりますか。
○諸永政府委員 生活改善普及事業が農村の生活改善に非常に大きな役割りを果たしてきているということは高く評価していいと思います。ただ、その活動をもっと効率的にやるためには、普及活動を集団的あるいは広域化してやる必要があるということ、それから、農協等の関係機関と類似のことをやっておりますので、関係機関との連携を強化するというようなことをして、運営の改善が必要である、こういうふうに考えておるわけであります。
○神門分科員 時間がないので、行管のほうに対する質問は一応終わりまして農林省に——農政局長お見えですか。
○臼井主査 中澤農政局参事官が見えております。
○神門分科員 お尋ねいたします。 先ほどの、縦割り行政の中でばらばらになっている窓口を、農林省でひとつ農村計画の受け入れ窓口になれ、こういう勧告があって、報告の中ではあれもこれもしているということなんだが、実際としてはなかなかその実効をもたらしていないといういま行管のほうの答弁がありました。農林省としてはこの実態はいかがでございますか。
○中澤説明員 お答え申し上げます。 農村の福祉対策に関連いたしまして、行政管理庁から勧告をいただきました個々別々の具体的な事業につきましては、その後勧告の御趣旨を体しまして拡充してきているわけでございますが、ただいま先生から御質問になりました農村における生活及び生産全体を含めました農村計画に関する窓口を農林省が引き受けるということに関しましては、農林省といたしましてこういうふうに考えているわけでございます。 農村の生活環境の問題が取り上げられる場合に一番中心に考えておりますことは、申し上げるまでもなく、農村におきましては生産と生活の場の結合度が非常に強いということでございまして、いま現在の農村を見ますと、都市化の非常に進んでいる農村から、純粋なる農村、山村、こういうふうに段階を追っておりますけれども、農村度といいますか、山村度というものが強ければ強いほどそういう関係が深うございます。したがいまして、農林省といたしまして、固有の所管の事業をいたします場合には、もちろんそういいますところの生産と生活との一体的なかかわり合いを持てるような事業の遂行が望ましいということで努力はしておるわけでございますが、生活環境の整備の側面から考えますと、これを所管する行政庁が多うございます。しかしながら農林省以外の各省におかれましても、やはり農村のそういう生産と生活とがかかわり合いを持った一体的な事業として遂行していただけることが望ましいというふうに考えますので、まさに行政管理庁の御指摘はそういう点をつかれたものというふうに考えまして、それぞれの事業の実施の段階には、もちろん各省の事業の実施につきましても、そういう観点から事業をしていただけるよう御連絡を申し上げ、御要望を申し上げ、農村における産業政策的な部面と生活環境的な部面がかかわり合いを持って一体的に実施されるように努力しており、今後とも一そうしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○神門分科員 管理庁の長官がお見えになったからちょっと最後に要望なりをしておきたいと思います。 いま申し上げておりますのは、四十一年の二月に出されました農村福祉対策に関する行政監察結果に基づく勧告、これがいま過密、過疎といわれる過疎対策に対する政府としては初めて何か意見らしきものが出たものの一番最初である、こういうように私たちは判断しているわけです。ところが、勧告そのものが出されて、どうもその実効がもたらされていない、こういうように考えるわけです。この行政管理庁の性格として、いわゆる長官そのものの性格が縦割り制度であるところの各省庁を積極的にまとめてその実効をもたらそうとする意欲を持つかどうかにかかっている、勧告を生かすかどうかはそこにかかっている、こういうように考えるわけです。しかし結果としては、期待したにもかかわらず効果があらわれていない、農村地帯、特に過疎地帯に住む過疎に悩む住民の気持ちはそこにあるのです。ですからこの勧告を完全に実効あるように推進してもらいたい。 もう一つは再度、これに対しては先ほど申し上げましたようにただ各省庁からの報告書に基づいて判断をしておいでになるようであるから、次の監察計画等を立てて実態を把握してもらいたい、このように要望したのでありますが、いかがでございましょうか。
○荒木国務大臣 当面問題にされております具体問題について理解がございませんので恐縮でございますが、行政監察をやるにつきましては、現地について現実の事態を詳細に正確に把握して、その上に立って総合判断をしたものを中央に持ち帰って勧告する、そういう立て方で動いておると思うのでございます。四十一年の勧告がいまだに成果をあげていないには、それなりの意味はあろうとは思いますけれども、一般的に、私は着任以来申しておりますが、監察を受ける当該省庁ないしはその出先機関と一緒になって、その行政サービスを通じて国民の期待にこたえ得る、一緒になってそれを発見する、そういう態度でやらないと——むろんそういう態度でやっているということは聞いておりますけれども、その気持ちが相手方に通じないと資料も十分もらえないこともあろうし、いろいろと手はずが思うようにいかないのは想像にかたくない。したがって一体感を持ってともによりよき行政を追求していく、改善していくという気持ちでやろうじゃないかと申しておるわけであります。二、三日中に地方の監察局長会議等もやりますから、いま御指摘のようなそのお気持ちを私もくみ取りまして、さっき申し上げたことに付加して十分に懇談をし、監察効果があがるように努力したいと思います。
○神門分科員 それじゃ期待して質問を終わります。
○臼井主査 岡沢完治君。
○岡沢分科員 私はきょうは主として大学紛争と法律関係、そうしてまた特に警察との関係についてお尋ねをいたします。時間が三十分でございますので問題点の提起だけに終わるかもしれませんけれども、もし聞き漏らした点あるいは深い突っ込みにつきましては別の機会に質問することをお許しいただきたいと思います。 最初に、お忙しい中を法制局長官お見えでございますので、学生には、いわゆるスト権というのがあるのかないのか、あるいは団体交渉権、団結権あるいは団体行動権というようなものについても明確な御答弁をいただきたいと思います。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。 御指摘の用語は、申すまでもなく、元来が労働法上の用語でありまして、そのような用語の固有の意義における団体交渉権あるいは団体行動権、そういうものが学生についてあろうはずはないというふうに考えております。
○岡沢分科員 いま法制局長官から、一応私が質問した権利は本来はないという御答弁がございましたが、現実には、東大をはじめとする全国の各大学における学生紛争の交渉の過程において、すでに団体権、団体交渉権があるやのようなことを前提にした行動がとられていることは通常であります。これが妥当とお考えでございますか。あるいは本来権利がないのにこういう現象面を見るということについては、少なくとも不当であるか、あるいは違法であるか、あるいは好ましいか、好ましくないか、そういう点についての御見解も長官からお聞きしたいと思います。
○高辻政府委員 実は、いま申し上げましたように、団体行動権、団体交渉権、そのような固有の意味におけるそういう権能というものが学生についてあるはずはないということを申し上げましたが、確かに仰せのとおりに、例の確認書等については、いわゆる団交権ということばが使われております。それにつきまして、これもまた御承知のように、法制局の見解なるものを実は文部大臣から求められたことがございまして、その際に、いま申し上げたような意味のものがあるはずはないけれども、まあこの確認書等について、言っている趣旨をいろいろ考えてみますと、どうも一定の事項については、いわゆる団体交渉といわれるような形態を通じなければ決定をされないという制度を採用しようとする趣旨にどうもとられる余地がある。そうなりますと、また一方、団交の対象になる事項というものが、実は確認書等に触れられておらないわけでございます。そういうことからいいまして、内容形態については今後話し合うというようなことになっておりますが、話し合いがまとまらない場合には一体どうなるのか、その内容形態についても、団交によって決定せざるを得ないことになりかねない。その結果、団交の対象事項の範囲はますます拡大されることになり、その事項が大学固有の管理運営事項にも及ぶことになりかねない。そうなれば現行法に定められている管理機関以外の者に大学の管理運営に参画させることにもなるし、また団交によって合意が成立しない場合には大学の管理運営は行なわれなくなることも考えられる。そういう意味で、まことに法律上問題であるということを述べたことがございます。いまの私の考えもこれに変わりはございません。
○岡沢分科員 重ねて長官に、大学にはいわゆる治外法権的な権利があるのか、あるいは治外法権的な取り扱いを受ける理由があるのか、その辺についてお尋ねいたします。
○高辻政府委員 よく治外法権ということばが使われますが、私ども大体、きわめて大ざっぱな言い方でございますが、一国の領域内にありながらその領域外にあるがごとくに、つまりその国法の外に立つがごとくにいま取り扱われる地位、それを大ざっばに言って、治外法権だと思いますが、そういう治外法権というものが、学園についてこれまたあろうはずはないのでありまして、いままで何かそれがあるようにとられていたとすれば、それはもう全くたいへんな誤りであって、私自身は、そんなふうに考えられていたことはかつてなかったと私は思っております。
○岡沢分科員 法制局長官お忙しいかもしらぬが、もう少しお待ちをいただきまして、これから国家公安委員長との御質問を通じまして、必要に応じたらまた御見解を聞くことがあるかと思います。 荒木国家公安委員長にお尋ねをいたします。 いま、法制局長官からは、大学には、治外法権的な権利はないという明快な御答弁がございました。また公安委員長自体、大学は治外法権の場所ではないという御答弁を過去にいただいたことがございます。ところが、現実に日本の各大学、七十校に近い大学におきまして紛争があり、その過半数の大学においてあたかも治外法権的な観を呈した、いわゆる無法状態、違法状態がそのまま放置されておるという現実は、私は客観的に否定できないと思いますが、そういう状態で、現にわが国の大学において事態が発生しておるという事実はお認めになりますか。
○荒木国務大臣 最近、毎日、新聞その他の報道機関を通じて承知いたしております。
○岡沢分科員 警察法第二条によりますと、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」、明確に規定がございます。 〔主査退席、橋本(龍)主査代理着席〕 また第一条には、この警察法につきまして、「この法律は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、」という規定がございます。一方、憲法第十一条によりますと、「國民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が國民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将來の國民に與へられる。」、第十二条によりますと、「この憲法が國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、國民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」、第十三条には、「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に封する國民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」という規定がございます。また憲法二十六条の第一項には、「すべて國民は、法律の定めるところにより、その能力に感じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」、いわゆる教育を受ける権利の規定も明文としてございます。いずれも憲法上の規定であります。 先ほど公安委員長が率直にお認めいただきましたように、私たちが具体的な例をあげるまでもなしに、新聞に顕著に報道された事件だけでも、たとえば東京大学の林健太郎教授の事件あるいは大内総長代行代理の事件、その他各大学におきまして、連日のように、——おそらくいま私が質問をしておりますこの瞬間におきましても、どこかの大学で教授がみずからの行動の自由を奪われたり、あるいは言論の自由あるいは思想の自由に対する圧迫的な行為を受けたり、あるいは他の一般学生が教育を受ける権利を奪われたり、あるいはまた大学に入りたい学生が入学試験を受ける権利を妨害されたり、こういう事実が続発しておることは御承知のとおりでございます。単にこういう権利だけではなしに、大学の中におきまして、東京大学の捜索の結果によってもわかりましたように、教授の個室が荒らされたり、あるいは国民の貴重な財産が、むざんにも無価値なものにされたり、また大学外において一般市民の財産あるいは自由が妨害されておることは、これもまた顕著な事実であります。こういう憲法上の基本的な人権が、連日のごとく、しかも各所において白昼公然と侵されておる。一方で警察法第二条の警察官の職務に関する明確な規定がございます。これらと結びつけて、長官としては現在どういうふうに考えておられるかお尋ねいたします。
○荒木国務大臣 御指摘になりましたような、一言にしていえば、不法事案が山のごとくあります。それが的確に警察の職責を果たしていないがごとき結果も幾多あることを否定いたしません。原則的には、警察法その他を引用してお示しいただいたような、国民の生活を守る、平和な生活を守る、国民のために奉仕する警察機能を地でいきますれば、事細大となく、ここに不法行為があるならば、なるべくすみやかにこれを予防し、排除するということが当然の責務であるということは、万々心得ております。末端の警察官といえども、すべてそういう考えは透徹した考えを持っておると信じております。それにもかかわらず、特に大学の紛争をめぐりましては、必ずしも不法行為がそのつど的確に排除されないままであるという点を遺憾に存じますが、その現象だけからかりに言うとしますれば、警察は怠慢じゃないかと国民からおしかりを受けてもしかたがないという現象のあることも、私は認めます。ただ、いささか弁解じみた気持ちも含めて申し上げさしていただけば、元来、特に国立大学について申し上げれば、私の承知するところでは、刑事訴訟法上、職務に関し公務員が不法行為があると認めた場合には、これを告発しなければならぬという義務を課しておる。それにもかかわらず、たとえば安田講堂あるいは法学部の第何教室なんというものが不法占拠されたということがありましても、東大八千数百人の教職員がありながら、だれ一人としてこれを告発する者がいないという非協力態度あるいは義務違反。公務員として義務違反であるということすらもが、もうあたりまえのごとく横行しておるところにも、警察として行動しにくい根本の要因があると思うのであります。うろ覚えの法律論で申しわけありませんが、安田講堂その他の不法占拠をとってみましても、器物毀棄罪というのは親告罪だと承知いたしております。安田講堂を不法占拠したということは親告罪じゃございませんけれども、その不法事案があること、そのことを、昼となく夜となく警察官がパトロールするわけにも実際上まいりませんので、確認できない。本来の大学機能を阻害しておるそういう不法行為があったならば、まずもって大学当局がその不法状態を排除する、ぼやのうちに消しとめるという気持ちで、そのつど警察主局に連絡しながらそれを排除するということをしてもらったりせば、講堂なんかも、長い期間にわたって、見るに見かねるようなむちゃな状態は排除し得たはずであります。一月十八日、十九日の安田講堂その他のバリケードの排除その他にいたしましても、いま申し上げるようなことがそのつど行なわれており、大学当局の責任を果たす形での警察に対する協力があったりせば、あんなばか騒ぎをしなくても済んだはず、かように理解するわけであります。 さらにまた、学生自治会の美名に隠れましての一種の政治集団的な、しかも暴力を伴った集団暴力団的なあのありさまは、およそ大学にあるまじき姿であると同時に、そのこと自体、ゲバ棒を持ってなぐり合いをする、あるいはしそうである、ガソリンだのその他の危険物までも運び込んでおるということも、警察は座視することを許されない課題であるとむろん思いますけれども、ただ実際問題といたしますと、妙な表現でおそれ入りましたが、いつかも申し上げましたように、警察アレルギーとかいうものが大学当局にもあり、職員にもあり、学生にもあるというのが通り相場みたいになっておりますが、大学当局からの求めがなくても、そこに不法事案があるときは、令状を持ち、現行犯があることが確認されるならば令状なしにでも、出動すべき責任があることも当然でございますけれども、さりとて、ただ大学当局と無関係にいきなり参りますれば、大学当局をはじめ学生諸君も協力しようとしない、警察アレルギーのゆえに。あえて公訴維持だけを念頭に置いて行動するわけでもないと存じますけれども、効果があがらなければいわばむだになる。いわんやそれがエスカレートして、法の命ずるままに出かけました結果がアレルギー症が暴発して、妙なたとえでございますが、いかな名薬といえども注射といえども、アレルギー症の人に注射すればとん死するという例もあると似たような、思いも寄らないエスカレートした騒ぎを誘発するおそれもございます。さようなことで、国民一般からごらんになって、あんなに騒ぎが新聞にも出るような状態なのに、警察は一体何をしているのだというふうなおしかりにつながる手紙をもらったり、はがきもらったり、私もいたしておりますけれども、そういうふうな内情も率直に申し上げて、御理解を賜わりたいと思うわけでありますが、これを要するに、御指摘のような警察の責任を国民のために果たすということは、今後といえども、当然のこととして責務を果たしていきたい、かように思っております。
○岡沢分科員 公安委員長みずからのお答えの中に出てまいりました警察アレルギー、私はこれはきわめて悲しい現実の現象だと思います。私の素朴な感じからいいますと、小学校の先生とおまわりさんが大切にされない社会というのは健全な社会ではないという感じがございます。それだけに、御指摘のような大学あるいはマスコミ、特に進歩的教授といわれる方々のいわゆる警察アレルギー的な感覚につきましては、このまま放置しておくことは、私は、国家全体のためにも、憲法の基本精神からいいましても、場合によったら民主主義の基本に対する危険ということを感ずるわけであります。それだけに、どうしてこの警察アレルギーを解消するか、その努力につきましても、やはりこの際、国民全体、警察も国会も政府も合わせて考えてみる必要があるのではないかと感ずるわけでございますが、それと結びつけまして、国立大学の教授で、警察の捜査に協力しないばかりか、九州大学の井上正治法学部長のごときは、テレビの公開放送におきまして、警察は敵である、自分の敵であるということを明言されているわけであります。いかに言論の自由、思想の自由ということがございましても、事国立大学の現職の教授であり法学部長でありますこの人の言動が、学生あるいは全国民に与える影響というものばきわめて私は大きいと思います。この井上正治教授のこの発言は、現在の憲法あるいは法律に照らして、処分の対象にならないか、あるいは文部大臣の指導監督の範囲の対象になるようなことがないかどうかという点について、法制局長官の御見解を聞きます。
○高辻政府委員 お答えを申し上げますが、いまお話しになったのは、警察は敵だという言辞のようでございます。これはそのことばの意味内容を考えていきますれば、当然——ちょうど先ほど警察法の二条を御指摘になりましたけれども、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、」「公共の安全と秩序の維持に当る」という警察の責務を敵視するのと、実は同じことであろうと私は思うわけです。したがって、そういう言動がおよそ法の期待に反する言動であることは明らかであろうと私は思いますけれども、その言動が現実に法の規定に抵触するかどうかという、ただいまのお尋ねでございますが、それになりますと、やはりこれは、法の適用執行に当たる者がつぶさに事案を審査して判断すべきでありまして、法制局のように、その衝に立っておらない者が、事案の審査に当たることもなく、かってな推断を下すわけにはまいらぬと思っております。 ただ明らかなことは、その法の精神に反するかというようなことからいえば、むろんおよそ何法といわず、ともかくも「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、」「公共の安全と秩序の維持に当る」ということを敵視することが、法の精神に反することは明白であろう、というふうに考えております。
○岡沢分科員 法制局長官は頭がいいので、法の精神と、まっこうから法に反するということはお避けになったようでございますし、それは当然かもしれませんが、しかし先ほど読み上げました憲法の十二条によりましても、いかに言論の自由、思想の自由ということがうたわれておりましても、これを乱用してはいけないというのもまた憲法の精神でございますし、公共の福祉のために利用する責任を負うわけであります。国立大学の現職の法学部長、ことにまた法律的な発言ということになりますと、私は、公共の福祉そのものにも影響するところもきわめて大きいというふうに考えます。もちろん教育公務員でもあるわけであります。法制局長官が、これが犯罪になるかならないか、これはまあ捜査の結果、起訴され、裁判所がきめることであるということを前提にしましては、いまの御答弁は当然かもしれませんが、少なくとも法の精神に反する、あるいは場合によったら国家公務員法あるいは教育公務員法に反するという疑いのある言動である、と私は思うわけでありまして、そういたしますと、やはりこれは警察の対象になるべきではないか。犯罪の疑いがあれば当然捜査をするのが責務かと思いますが、国家公安委員長の御見解を聞きます。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 治安の課題、不法事案として、警察の責任分野において処置すべき課題であるかどうかということは、ちょっと私も申し上げかねますが、それ以前に、いま御指摘のような言動、さらにはエンタープライズ事件のときに、外人部隊を、続々と九大の学生寮に不法に侵入した者をそのまま放任しながら、一段落したときに、同じ井上法学部長の記者会見の発言が新聞に出ていましたが、幸いにしてわが九州大学は、ゲバ棒を持ったヘルメットをかぶったいろいろな者に妨げられはしたけれども、これを排除するために警察官を導入しなかったという一点だけで大学の自治の名誉を保持し得た、ということを言うほどの————じゃないかと私は思いました。いま御指摘の点につきましても、それ以上の不届きな発言だろうと思います。警察が侮辱されておることを感じます。被害感を覚えます。しかしながら、それはまず第一に、教育者として適任なりやいなやという意味において、教授会が解職権を持っておるわけですから、教授会で、まずもって決議してこれを排除するということが行なわるべきもので、それすらもよくし得ないような教授会のていたらくじゃなかろうか。無為にして今日まできておりますから、いささか国立大学として、教授会を含めましていかがであろうと、国民の一人として私は軽べつしております。法に照らしていかに処断するか、治安問題として処断するかということは、ちょっとやりにくいんじゃなかろうか。法廷侮辱罪的な、行政府を侮辱するような言動そのものが罪名にあろうとも、私の乏しい記憶では、浮かびませんから自信がございません。これは法制局長官にひとつお答えいただいたらいい、さように思います。
○岡沢分科員 与えられた時間が三十分で、もうあと五分しかなくなりました。一点だけ、いまの警察官侮辱的な井上教授の言動についての感想は、私も大体同感でございますが、これとは逆に、警察にどうしても私はただしたい点がございます。 それは、すでに逮捕状が出ております東大全学共闘会議議長の山本義隆を逮捕できない、情けない警察の姿についてであります。これはもう新聞等でも大きく報道されましたが、ことしの二月二十一日の夜、山本議長は、警視庁と目と鼻の先にあります日比谷公会堂で、東大闘争、全国学園勝利、労学市民連帯集会というのに、あらかじめ予告をして出席いたしております。しかも四千人に近い学生、市民の前で、三十分間も演説をいたしております。各マスコミもテレビにこれを撮影して、しかも結果としては逮捕できなかった。さらにこの山本につきましては、二月四日の日大における、東大、日大共闘集会でも、同様に堂々と演説をいたしております。その後もたびたび記者会見をしたり、あるいは雑誌記者と対談をしたりいたしております。私は、これを見た場合に、国民がはたして警察に信頼感を持てるかどうか。先ほどの公安委員長のおことばにも、各大学の学内における違法行為を徹底的に調べることは不可能に近いというお話がございました。私は、機動隊に対する要請がなくても、先ほど法制局長官がお答えになりましたように、大学は治外法権ではございませんし、また、いま三派糸全学連の諸君その他いわゆる暴力学生がとっております行動は、大学の自治とか学問の自由とは全く無縁であるばかりでなしに、むしろこれを破壊するものであると信ずるだけに、私は要請がなくても、たとえば立命館大学に対して京都府警の機動隊が捜査に入りましたように、私は当然警察力の行使がなされてしかるべきだと思うわけであります。ところが、いま指摘いたしましたように、山本議長をいまだに逮捕できない、あるいはまた同じような意味で、日大全学共闘会議議長の秋田明大につきましても、同様な結果を招いておる。私はこれは国民の警察に対する信頼感を失うという意味で、大きな憂いであろうと思いますが、国家公安委員長の御見解を聞きます。
○荒木国務大臣 私も同じ感じを持ちます。恐縮に思っております。日比谷公会堂の場合は、四、五百名の機動隊でもって、山本何がしを逮捕すべく出動はいたしたようでございますけれども、何さま数千名の学生集団を中心とする群衆にはばまれまして取り逃がしました。取り逃がしたことそれ自体、警察としては不名誉だと思います。聞けば、裏口からこっそり逃げていったというふうなことも仄聞しますけれども、それを含めまして、もっと万全の体制を整えて、ほんとうならば、二千名おるならばその倍ぐらい出かけませんと、制圧することは困難、混乱の中に犯人を逮捕することも困難だということも聞かされておりますが、そういう点でいろいろ考えさせられるところがある意味で、御指摘の点は恐縮に思います。ただ、国民のための警察の責任を果たす意味では、秋田、山本逮捕状も出ておりますことでございますから、必ずこれを逮捕しまして、責任を果たすということを当然のことと存じておる次第であります。おしかりを受ける意味があるとすれば、当面おしかりを受けざるを得ないことを遺憾に存じております。一生懸命努力します。
○橋本主査代理 時間が参っておりますから、締めくくりを願います。
○岡沢分科員 最後の質問にいたしますけれども、先ほども申し上げましたように、大学内にもし犯罪行為あるいは犯罪類似行為があった場合に、警察は当然、要請がなくても、大学に捜査のために入るべきだと私は思います。ところが、私が関西学院大学のある助教授の方と話し合いましたときに、それじゃほんとうにその場合は——大学が要請した場合とおっしゃっておりましたが、警察は守ってくれますかということを真剣に心配しておられました。現在、御承知のとおり、大学が八百を越える数を持ち、百五十万の学生を擁し、また大学紛争が七十校近いところで現に続発をしておるというような場合に、各大学が一斉に機動隊を要請する、あるいは要請がなくても、当然の責務として警察力を行使された場合に、実際に現在の大学紛争、大学内における暴力行為、犯罪行為を鎮圧するだけの能力をお持ちかどうか、用意があるかということをお尋ねいたします。
○荒木国務大臣 同時多発的な騒ぎをもくろんでいるやにも仄聞はしておりますが、一応想定できます大学騒ぎくらいならば制圧できる、という自信を持って臨んでおる次第であります。 ただ、願わくは、貴重な時間に、おそれいりますけれども、申し上げさせていただきますが、先刻も触れましたように、国立大学はもちろんのこと、私立大学でありましょうとも、管理者たる大学当局が、無法を許さない、不法行為は許さないという確固たる信念に立って、機動隊その他の警察官の出動を要請していただき、しかも犯罪捜査に対しましては協力していただく。一ぺんはやったが、ゲバ棒連中のお礼参りがこわいから、あとへなへなになるというふうなことが二、三ございますけれども、そういう態度でやられたんでは、ただ騒ぎを大きくするにとどまるという反面の欠陥もあるわけでありますから、大学を本来の大学らしくする意味においての確固たる考えに立った御協力とあわせまして、御懸念のないようにやりたい、かような考え方で、真剣に対処しておるわけであります。
○岡沢分科員 これで終わります。ただ、私は、大学紛争が単に治安問題、警察問題だけで解決できるというようなことは、もちろん考えておりませんが、しかし、無法状態、彼らの誤った暴力行為をほっておくこと自体が、それが正しいのだという錯覚を彼ら自身に起こさせる原因にもなり、大学紛争がエスカレートした一因をなしておると思うわけであります。また、結果的に最大の被害者は、あるいは暴動を起こしている学生自身かもしれないというようなことも含めまして、私は、やはり警察が、警察法二条の職務を忠実に果たす努力を今後も続けていただきたい、国家公安委員長のお気持ちだけでなしに、現実の行動をもってお示しいただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
○橋本主査代理 川崎寛治君。
○川崎(寛)分科員 官房長官にまずお尋ねをいたしたいと思います。 二、三の新聞並びにテレビ等でも報道されたのでありますけれども、政府が、つまり内閣官房の広報室が、中央世論調査所を通して、沖縄返還についての世論調査を依頼した。その世論調査の結果というものは、公表されずに、閣議で報告をなされたというふうに読むわけであります。ただ、ここで、この世論調査の設問のしかたが、この国会で、本会議あるいは予算委員会等で、総理大臣が答弁をし、主張されておりますその論理ときわめて一致をいたしておる。つまり、誘導尋問的な世論調査をなしておることを、私はたいへん重大視するわけであります。たとえば、沖縄の祖国復帰については、当面基地はそのままにして、ともかく一日も早く復帰をはかるべきだと思いますかとか、時間はかかっても、基地を本土並みにして復帰させるべきだ——これは、用語は、総理が、あるいは官房長官が、本国会で答弁をしておる文句と同じなんです。だから、そういう世論調査を政府がやるということ、内閣官房が政府の金でこういうことを行なうということ、このことは、私は、公正な世論に基づいて政治を行なおうという姿勢にもとる、こういうふうに思います。この点についての官房長官の御見解を伺いたいと思います。
○保利国務大臣 けさの新聞に出ておったのでございましょう。何か、新聞を見まして、閣議へそういう報告があったというようになっておるようですけれども、私の記憶しておるところでは、そういうものを報告されたことはないと思っております。これは総理府の広報室でやっておることだと、総務長官の所管に属することでございます。私も、けさの新聞を見ただけでございます。
○川崎(寛)分科員 官庁録をちょっと見せてください——これは内閣の官房広報室になっておりますよ。そうじゃないのですか。そうすると、内閣官房の、内閣広報室だと、これは官房長官の責任下、管轄下にならないのですか。
○保利国務大臣 私はそういう調査を命じたこともございませんし、また、報告を聴取したこともございません。
○川崎(寛)分科員 それでは、これは政府の関知しないところだ、そういうことはやっていない、こういうふうに言明されますか。
○保利国務大臣 総理府広報室でやっておるかもしれません。
○川崎(寛)分科員 それ以上はもう問いません。 次に、法制局長官にお尋ねをいたしたいと思います。 去る二月の二十三日、参議院の予算委員会で、憲法と条約との関係について、法制局長官が答弁なさっております。このことを確認いたしたいと思います。 憲法は最高法規であり、条約といえども憲法にまさるものではない、憲法が上位規範だ、こういうふうに御答弁になっておりますが、この点は間違いございませんですか。
○高辻政府委員 法律論だものですから、実は、ほんとうは詳しく申し上げないと困るのでありますが、一般的に申して、そのとおりでございます。
○川崎(寛)分科員 それでは、憲法と沖縄の関係について、具体的にお尋ねをしてまいりたいと思います。 憲法の第二十二条には、職業選択の自由、居住、移転の自由というものが定められておりますが、現在の沖縄においては、このことが守られておりますか。憲法違反の状況にありますか。いかがでありますか。
○高辻政府委員 ただいまのお話と何か関係があるのかもしれませんけれども、沖縄につきましては、憲法はそのまま実効性をもって適用されておりませんので、沖縄に関して憲法二十二条を論ずることはいささかどうかと思っております。もし、さらに御質疑があればお答えいたします。
○川崎(寛)分科員 それでは、原爆の被爆者が、同じ原因によって二十年の八月、広島なり長崎で被爆をしました。ところが、この同じ原爆の患者も、本土におります原爆の患者と、沖縄に帰りました原爆の患者はいま差別を受けておるわけですね。つまり、だから、憲法に基づいたその援護法というものの恩恵を受けていない。本来属人的な権利であるべきものも、施政権ということで差別を受けております。だから施政権そのものを別に置きますならば、今日同じ原爆の患者が本土と沖縄で差別を受けておるということは、つまり憲法が具体的に適用されておるかどうか、そのことは後ほど詰めますが、原爆の被爆者が、憲法の面から見まするならば本土と沖縄においては憲法上明らかに差別をされておるということについては、御異論はございませんか。
○高辻政府委員 先ほど申しましたように、沖縄に憲法がそのまま適用になっておらないということは、従来からしばしば申しておりますことでございますから、その憲法との関連についてものを申される点は別といたしまして、それが立法政策上適当であるかどうかという問題はむろんございましょう。ございましょうが、それは立法上の問題として、憲法との関連とは別に考えるべきことだと思っております。
○川崎(寛)分科員 それでは裁判を受ける権利についても同じでありますね。裁判を受ける権利、これも同じ長官の答弁になろう、こういうふうに思います。つまり、こうしたいろんな問題が、百万の県民については沖縄は別だ、つまり憲法が実効性を持って適用されていないのだ、こういうことになります。しかし、それならば憲法と沖縄の関係、つまり憲法は沖縄に適用はされておる、しかし、それが具体的に実施がはばまれておる、こういうふうに私は現実を見るべきだと思います。その点いかがでありますか。
○高辻政府委員 その点は、現実に憲法が実効性を持って適用になっているかいないかということが実は中心の問題でございまして、それを観念的に思考されているけれども、現実的には適用されないという言い方もありましょうし、いろんな言い方もございましょうが、明白なことは、憲法が実効性を持って沖縄には適用されておらない。それが実は現実の問題でありますし、そのことだけを考えればいいのじゃないか。それをどう考えるかということは、いろんな説明のしかたがあるかもしれませんが、ただいまはそれだけ申し上げさしていただきます。
○川崎(寛)分科員 二十一年に憲法が公布された時点において、沖縄県民並びに沖縄領土は、日本の領土であり、日本国民であったのかなかったのか、その点はいかがでありますか。
○高辻政府委員 日本が独立を回復し、諸般の旧領土が始末をされたというのは、言うまでもなく平和条約でございます。したがって、その平和条約と憲法との関係というものが出てまいる余地はあろうと思いますが、いま申し上げたように、領土の処分は平和条約によってきまったということになります。
○川崎(寛)分科員 そうじゃない。私が聞いておるのは、二十一年十一月三日、憲法が公布された時点において、沖縄領土は日本の領土であり、沖縄県民は日本国民であったのかということであります。
○高辻政府委員 それは、いまでも沖縄の住民は日本国民であるか、あるいはいまでも沖縄は日本の領域であるか、いわゆる日本国民であり、潜在的主権を持った意味での領域であるということはいまでも実は言っておるわけでありますが、ただいまのお話は、またもう少し前にさかのぼっての御議論のようでございますが、憲法が制定されました当時は、少なくも、先ほどお答えしましたとおり、平和条約はその後に締結されておりますから、その憲法が制定された当時においては、なるほど行政分離等のいろんなこまかい点の区別はございますが、日本の国民であり、日本の領域であったということになろうと思います。
○川崎(寛)分科員 そういたしますと、戦時国際法のもとで分離をされておった、当時本土も占領下にありましたが、沖縄はさらに別個に特別地域として分離されておったわけですね。しかし、長官の御答弁のように、日本国民であり、日本の領土であったことはお認めになったわけです。そうすると、日本国憲法の上に国民を差別していいという、つまり基本的人権の面で権利を差別してよろしいという規定はどこにありますか。
○高辻政府委員 いま差別してもよろしいという規定があるかどうかというのは、現在の話でございますか。
○川崎(寛)分科員 要するに現在差別されておるわけですね。——もう一ぺん質問し直します。 現在差別されております。それは平和条約の第三条で、それに基づいた施政権で差別されておるわけですね。いまお認めのように、二十一年の十一月、憲法公布の際には日本国民であり、日本の領土だったということを確認されたわけですね。そうすると、日本国憲法の上に国民を差別してよろしい、人権の制約について差別をしていいという根拠がどこにありますかということです。
○高辻政府委員 そのお話を申し上げますには、先ほどの憲法と条約との関連にさかのぼってもう少しお話をしなければいかぬと思います。 先ほど、法律論でございますからかなり微細に申し上げなければいかぬけれども、大ざっぱに言えば、条約よりも憲法のほうが上であるということを時間の節約のために申し上げましたが、いまそこまで問題が来れば、そこのところもまた申し上げないといかぬと思います。 御承知のように、日本国憲法は確かに昭和二十一年に制定されたわけでございますが、その後に平和条約が締結をされた。そこで、遺憾ながら、日本国憲法が制定された際に、実は日本国憲法の真の姿があったわけではない。御承知のとおりに、アメリカの連合国最高司令官というのがいて、それが絶対の権力を持っておった。憲法自身もまた、実はほんとうの憲法ではなかった。これは事実でございます。その後日本国憲法が真の面目を発揮するようになったのは、実は平和条約が締結されてから、ほんとうの憲法の実効性が出てきたわけです。これは言うまでもないことでありますけれども、そういうような憲法の生誕の基盤となる条約、それがすなわち平和条約であったということもまた認めざるを得ない。そういう条約と憲法との優位関係を論ずること自身が実はおかしいのであって、憲法が初めてその実効性を確保するに至ったのは、平和条約が締結された結果である。それによってわが国は初めて主権を回復することになったし、わが国はそういう意味での独立性を回復することになり、しこうして、それによって初めていまのわれわれが享有しておる憲法というのは実効性を持つようになったというわけでございまして、そのときには、その平和条約によって例の沖縄の施政権というものが認められておるわけでありますから、その沖縄の施政権下にある沖縄の住民の権利義務、それが憲法の範囲外にあるからといって、憲法が適用されてないのは法のもとの平等に違反するからおかしいじゃないかという議論をいたしますのは、ちょっとこの場合にはぴったりこないと考えるべきであろうと思います。
○川崎(寛)分科員 これは非常に無理な論理の展開をしておるわけですね。それは無条件降伏をしたのだということで、憲法の実効性を持ってきたのは二十七年の四月二十八日以降なんだ、こういうことだと思うのです。私、これだけを詰めておりますと時間がないのです、あとずっとございますから。そのこと自体をもう少し問わなければいけませんが、これは後に残しましょう。またあらためてしますが、それならば、現在憲法は大きな傷を受けておる、領土と百万の国民の人権の面においては、日本国憲法はたいへん大きな傷を受けておるということはお認めになりますか。
○高辻政府委員 傷を受けておるという意味は、非常に象徴的な言い方だろうと思います。これは法律論としてどう受け取っていいのか、私どうも、はなはだぴんとまいりませんで弱るわけですが、憲法が傷を受けておる1要するに日本国憲法は、先ほど来お話しを申し上げておりますように、平和条約の締結によってその新面目を発揮することになった。その限りで見れば実はそのときに新面目を発揮したわけで、憲法はそのままの姿を現に持っておるわけでありますから、これがどうかということは言えそうもないと思いますけれども、非常に象徴的なといいますか、比喩的な意味においておっしゃるとすれば、それは法律論としてはどうも御同意申し上げにくいかと思いますけれども、もし法律論としてどういう意味だということの御説明があれば私はさらに考えますけれども、ただいまのところはその程度でお許しを願いたいと思っております。
○川崎(寛)分科員 その点は認めているわけですよ。認めておってなかなか言えないわけですよ。 そこで、次に、私は、あと残された時間、この間の総括質問で詰めてない問題がございますので、これを少し詰めたいと思うのです。それはやはり憲法とも関連をしてまいりますが、官房長官、沖縄の返還に際し、軍事基地の態様について特別の定めをしない限り、安保条約と憲法は適用されます。この点の、憲法が適用されるという適用のされ方が現在及んでおるのだが、平和条約三条で実施をはばまれておる、こういうふうに私は見るわけです。そこで、施政権が返ったときには、即時憲法なり条約なりはすっと入るわけですね。すっと浮かび上がるわけです。つまり条約もいま及んでおる、条約の適用区域であるけれども、それがはばまれておる、こういうふうに思います。そこで、官房長官、特別の定めがない限り、こういうことになりますが、特別の定めをしたとき、この特別の定めは、私は憲法九十五条にいう特別法と性格的には同じだ。だから、つまり、特別の定めというのは、これは外務大臣とおとといでしたか、第二分科会でも議論になった点ですけれども、いまの沖縄の機能というものをそのまま認めた形でいくならば、地位協定もなかなか適用できぬだろう、こういうことになって、その点は、条約局長も外務大臣も不明確な答弁になっているわけなんですね。それほど特殊な状態にあるわけです。 そこで、特別の定めという場合に、その特別の定めが基地協定になるか、あるいは安保六条の付属交換公文の特例になるか、いずれにいたしましてもこれは、国会にかけるということは官房長官が答弁されたわけですね。事前協議の問題について、これを全部はずすというふうなことになれば、これは交換公文の特例として国会の承認を求めなければなりませんということを法制局長官が答弁になっているわけですね。そこで、特別の定めをする、その特別の定めというのは特別の基地協定、あるいは安保六条の付属交換公文の特例、いずれにしましても、国会の承認を得なければならない問題になってきますね。そのことは、つまり国際法が持つ国内法的な側面というものを持っておるわけですね。沖縄地域、沖縄の住民に対しては、その交換公文なり協定なりというものが持っておる国内法的な側面というものを持っておるわけなんですね。そうしますと、憲法九十五条というのは、これは地方自治体の平等権の保障——平等権の保障というのは、これは根本ですね。そうなりますから、このことは——時間を節約する意味でもう少し先へ進めておきましょう。 国会法の六十七条には、「一の地方公共団体のみに適用される特別法については、国会において最後の可決があった場合は、別に法律で定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票に付し、その過半数の同意を得たときに、さきの国会の議決が、確定して法律となる。」というふうに定めておるわけですね。そこで、交換公文なり特別の基地協定なりというものの国内法的な側面というものを見ますならば、これは、この憲法九十五条でいっておる特別法に当然見ていいのじゃないか。つまり、住民の権利義務に関する法的な拘束力を持っておる一切の規定を、この際、憲法九十五条でいっておる特別法として解釈すべきではないか、こういうふうに私は思います。だから、この点をひとつ官房長官、これは特別の定めがない限りと総理大臣がずっと答弁をしてきておるのですから、特別の定めをするときには、当然このことは問われなければならないというふうに私は思います。官房長官いかがでありますか。
○高辻政府委員 もっぱら法律関係のことでございますので私がかわってお答えをさしていただきますが、憲法九十五条は、申すまでもなく、憲法五十九条「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。」というこの法律の成立の基本原則に対する例外規定であるというのは、だれもみなそう思っておりますが、五十九条で言えば、「この憲法に特別の定のある場合」というのが九十五条に当たるということが言えましょう。そこで九十五条は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」のやり方については、先ほど御指摘がありました国会法の六十七条で云々云々とあって、その国会で議決が確定して法律となるというようなことからいいまして、これは法律を問題にしているということはもうほとんど明白であろうと思います。ただ、いまお話しのところをよくよく伺ってみますと、条約には国内法的側面があるから、そういう方面も考えていいのではないかというような一つの御提言のようなふうに思うわけでございますが、いままでのこの九十五条の解釈からまいりますと、これはやはり形式的な法律をもとに規定しているものであって、いまのようなものはこの九十五条の範囲の問題ではなかろうというのが私のさしあたっての考えでございます。
○川崎(寛)分科員 日本の憲法には領土の扱いについての規定がないわけですね。規定がないから、そうなると、そういう住民の意思というものは問われないわけですよ。そうでしょう。だから、国際的な条約なり公文なり協定なり、そういうものが住民の権利義務を縛るということが国会でなされていくということ、これはたいへんな問題だと思うのですよ。もしそのことが合法的によしとするならば、特定の地域の住民の権利を縛ろうというときには、法律によらぬで協定なんかでやれるということになるわけでしょう。そうすると、国会にかけずに済むという問題も、これは出てくるのです。領土の扱いについての憲法の規定がないだけに、しかも、国際法が持っておるそういう国内法的な法的拘束力という面からいうならば、沖縄だけに限定をされる、そうして沖縄の百万の県民に限定をされる、そういう協定なり交換公文なりというものについては、当然にこれは住民の意思を問うべきだ、憲法九十五条の手続を経べきが当然だと私は思うのです。官房長官いかがですか。その法律論だけでなくて、政治論としてもこれは大事なことですよ。特別な定めがない限りと総理大臣が言っているのだから、総理大臣の意向を受けて、あなたは、この点については、いやそういう心配はありません、絶対に特別の定めはありませんとあなたが言えば、この議論はもうやめますよ。特別の定めがない限りということをあなたが言えば、もう議論はやめます。しかし、定めがない限りと総理大臣が言い続けてきているのですから、これはひとつ官房長官が総理にかわって、いまのこの点について政治論としても展開してください。
○保利国務大臣 総理にかわってといわれますと、総理が申し上げられた以上のことは、私は申し上げる何もないわけです。総理が申されておりますのは、施政権が返還されれば憲法はそのまま適用されていく、安保条約も、特別の定めがない限りは、取りきめがない限りはそのまま施行されていくということを繰り返し御答弁になっていると私は理解しております。
○川崎(寛)分科員 それじゃ法制局長官、この点法律だということで先ほどからいわれておるけれども、これは憲法論としてもまだ確定しておりません、特別法の内容については。だからこういう特別に領土の扱いがない問題なんですから、この点については、私が先ほどから言っておるように、国際法の、しかもこういう生命財産に関係する憲法の十一条なり、十三条なり十四条なりという点が議論になっておる。この国会でも議論になっておるように、基本的人権にかかわる問題なんですから、これはただ単なる、普通一般の法律以上に大きな生命財産にかかわる問題なんです。だから、その特定の地域だけが交換公文なり協定なりから差別を受けるということについては、この憲法九十五条の精神が地方自治団体の平等権の保障という基本に立つ限りにおいては、当然に交換公文なり協定なりも特別法の範疇に入れて判断をすべきだ。いかがでありますか。
○高辻政府委員 先ほど申し上げたことと基本的に変わるわけではございませんが、この九十五条は、先ほど申し上げた六十五条だとか国会法の規定等から見ましても、また一般の解釈論からいいましても、これは形式的意味の法律をいっているのだというのが通説ではないかと私は思うわけですが、さらにもう一つつけ加えて申し上げれば、先ほどはあえてそこまでは申し上げませんでしたが、九十五条は一の地方公共団体のみに適用される特別法、これは実は地方公共団体があっての規定でございます。やや百姓読みみたいに聞こえるかもしれませんが、一の地方公共団体のみに適用される特別法、これは沖縄の場合には、実は返ってこぬことには一の地方団体になるわけではございませんために、返ってきて初めて憲法上の、あるいは法律上の地方公共団体になるわけでございますので、その返るときのことについては、実際上これを適用するにはどうしたらいいかというような技術的な問題もございます。どうもただいまのところ、いま仰せのような条約等について、この九十五条が適用になるんだということを、私いま直ちに御賛成いたしかねるということだけは申さしていただかざるを得ない。 それからもう一つ、先ほどちょっとお話がございまして、いま官房長官も明白におっしゃいましたが、憲法は、これは特別の定めがない限りということでなしに、憲法は返還されれば当然に適用されるんだ、これは御議論もないようでございますが、安保条約についてだけそういう留保といいますか、そういうことがあることを念のためにつけ加えさせていただきます。
○川崎(寛)分科員 それでは、先ほど傷と言ったのが象徴的なことばだというが、瑕疵ある憲法ですね、日本国憲法は。現在領土と百万の県民についていえば瑕疵ある憲法である、この点は間違いありませんね。それが一つ。それから次に、それならば、そういう憲法の中で守られてこなかった百万の諸君を守ってやるためにどうすべきか、逆にいえば。憲法の上にないからいいんだ、いいんだといって、その住民の生命財産に関する重大な取りきめというものが百万の県民だけ別扱いだというんだとこれはたいへん、それこそ三百代言的になっちゃうのですから、じゃ、それを守るにはどうしたらいいか。基本的人権を守っていく、そういう差別をしないということのためにはどうすればいいのですか。逆に私はお尋ねしたいと思います。
○橋本(龍)主査代理 簡単に答弁を願います。時間がまいっておりますから……。
○高辻政府委員 領土についての憲法に規定がない、これは瑕疵ではないかということは、一体……。
○川崎(寛)分科員 領土じゃない、いまの沖縄の現状は憲法上瑕疵だ。
○高辻政府委員 いまの私の言った点ではなかったようでございますが、いずれにしましても、究極的には沖縄の住民の基本的人権を守るにはどうするのか。これは何かきわめて形式的にいえば、いま日本の憲法は具体的に実効性をもって適用されておりませんから、一日も早く返還をするのが一番にきまっておりますが、そういう意味で早期返還というのはまさにしかるべきだと私は思いますけれども、それが返還になっておらない時期においては、これは平和条約三条に基づいて日本が潜在的主権を持っておる。しかし、向こうが同時に施政権を持っておる。そういう施政権の行使について、平和条約三条の規定に流れる潜在的主権者としての日本が、やはり施政権者に対して人権を守るように、外交という保護権とか何か形式的な権利の行使というようなことでなしに、いま現にやっておりますように、何かと向こうに話をして、そして守ってもらうようにしてもらうというようなことだと思いますが、なお何かお考えがあるならばお考えを示していただいて、私が答弁をさしていただきたいと思います。
○橋本(龍)主査代理 最後に一問を認めます。
○川崎(寛)分科員 返還の際に、特別の定めがない限りと総理は言う。しかし、もしあったら、私が言うように、協定なり交換公文なりというものは国内法的な側面を持つから、百万の県民なり沖縄の地域の諸君については、国の行為の結果の制約を受けてくるわけですね。そうすると、そのことは差別を受けるという結果になるから、じゃ、そういうことをさせないためには、沖縄県民の基本的な人権を守る、そのことについての県民の意思というものを問い得る方法というものはないのか。先ほど来、特別法の解釈について違うのだ、これはもう単なる法律だ、こうあなたは言われる。私は違うと言う。これはこれからまだ争わなくてはならない問題だと思います。争われなければならない問題だと思いますけれども、それならば返ってくるときに、そういう協定あるいは公換公文等のために差別をされる、生命財産、基本的人権というものについて、なおかつ差別が継続をされるというふうな場合になったとき、九十五条でだめだ、単なる法律だから、こういうことならば、県民のそれを守るための意思の表明というものは何か、その差別をさせないように憲法上どこで保障しようとしておるかという点なんですね。だから、現在云々ということじゃないのです、その時点における……。じゃ、憲法上どうして差別をすることを阻止しますか。つまり国内法的な側面からいえば、差別であるということばが悪ければ、区別である。百万の県民については特別の権利義務というものが課せられるわけですから、そのことはお認めになるわけでしょう。公共の福祉と安全……。
○高辻政府委員 区別されることになるかならないのか、これは将来の問題であって、実はわからない問題でございますが、それをどうするかということになりますれば、いずれにしても国会が沖縄住民の身になって、つまり国民としてよくよくお考えになればいいことである。国会でもはずすというならば問題はございませんけれども、少なくとも、さっき申しますように、国会の承認にかかった条約なりあるいは交換公文の内容を変更するということになりますれば、少なくとも国会の承認が要ることは明白に申し上げられることでございますから、国民の代表者である国会の議員の各位が、それこそその身になってお考えになればよろしいということになるのではないかと思います。
○川崎(寛)分科員 終わります。
○橋本(龍)主査代理 八木一男君。
○八木(一)分科員 保利官房長官と、それから床次総務長官、また法制局長官に、逐次御質問を申し上げたいと思います。保利官房長官に御質問を申し上げるときに、同じことが国務大臣としての床次さんの質問にもなることがありますので、両方ひとつ——一人を中心として御質問を申し上げておりましても、国務大臣としてよく聞いておいていただいて、随時御答弁を求めるかもしれません。 まず保利さんに御質問申し上げますが、この前予算委員会の一般質問で申し上げましたことの結果についてであります。実はあのときに、毎年の予算編成について大蔵省のほうが——閣議で大蔵大臣から、各省の予算要求はまず前年度予算の二五%増以内にとどめてくれという提起をいつもなさいまして、閣議でそれが決定をして、そういう方向で予算編成が行なわれております。そういうことをいたしますと——ちょっと保利さん、聞いていてください。
○保利国務大臣 伺っております。
○八木(一)分科員 資料は御答弁のときに見ていただいていいから、ちゃんと聞いてください。
○橋本(龍)主査代理 聞いておるそうですから。
○八木(一)分科員 見ながら聞いているんじゃ、注意がそんなにいっていませんから、ちゃんと聞いていてください。 そういうことのために国政のアクセントが消えるという問題があります。厚生省であれば、たとえば健康保険の問題、たとえば年金の問題、たとえば公害の問題、たとえば障害者対策の問題、みんな急速に予算を増大しなければならないものをかかえている省でございますから、そこで一律一省二五%をされると、どれかを進めようとすれば、どれかをとめなければならない。どれかをぐんと進めようとすれば、どれかを改悪しなければならないというような問題になります。そういうことではほんとうに国民のための政治になりませんので、このような予算ワクを一律に二五%増にとどめるというような大蔵省の間違ったやり方に対して、内閣でそれを改めていただきたいということを申し上げました。保利国務大臣をはじめ各省大臣全部に申し上げまして、それについて異議のある方は特に立って御意見を言っていただきたい、なければ、それに同じ意見であると認めますということで、そのときの予算委員長の荒舩さんを証人として、保利さんをはじめ、大蔵大臣以外の各大臣がそれに賛成であるということを、この予算委員会で確認をしたところであります。 そこで、その問題をほんとうに進めるために、次の閣議において、保利さんを中心に各省大臣がこれを提起をして、誤った予算の編成をこれからとらないというような論議をぜひ閣議でしていただきたいということを要求申し上げておきました。 このことは、予算をむちゃくちゃにふやせということじゃありません。予算総ワクを——もちろんワクの中に入れなければならないけれども、各省が全部必要なものを出して、それを大蔵省が、主計局が各省と相談しながら入れる。その前にアクセントを消すことは間違いだということで申し上げたわけであります。福田大蔵大臣も、当面のそれに対する防戦をしなければならないところであって、苦しいところでございましたけれども、苦しい立場でありながら、にわかに賛成はできませんということで、私の申し上げたことが国政上正しいことであるということを暗黙に認められたわけであります。したがって、各省大臣が、それが正当である、そういうワクをはずすことが正当であるということを主張されれば、大蔵大臣としても、その正当な要求を受け入れて、あのような大蔵省の役人だけが手数が省けるというような、そのことによって国政のアクセントが消えるというような間違った政治の方針が変わっていくわけであります。その問題を閣議で提起をしていただきたいことを要求いたしましたが、その点の中心の御答弁者であった保利さんは、それをなさったかどうか、これからいつなさろうとするか、それについて明確にお答えをいただきたいと思います。
○保利国務大臣 ただいまのお話は、この間私もお答えをいたしましたし、また、大蔵大臣からもお答えをいたしたわけであります。八木さんから非常に強く、できるだけ早い閣議でそれを持ち出せというお話でございましたが、これはやはり年度予算の編成期にあたりまして、まず次年度の予算をどういうふうに組み上げていくかという相談の時期が当然ございますので、その時期に考えなければならない問題だと私は考えております。
○八木(一)分科員 もちろん予算の編成の六月ごろから七月ごろには、当然それを取り上げられなければならないと思います。しかし、間違ったことを直すのですから、いまからそういうことを取り上げることが必要であるとして申し上げたわけであります。で、閣議のほうのほんとうの議長とか——それは総理大臣がなさると思いますが、そういう閣議の提出案件について処理をなさるのは事務局の人がなさるとしても、その責任者は官房長官だろうと思います。ですから、そのことについて、そのように五、六月でいいというのではなしに、総括的にでもまずそういう問題を至急に閣議で提起をしていただきたいと思います。そこで、この予算委員会の終末に、社会党の大原君か、あるいはその他の方の総括質問があろうと思います。この前にも申し上げておきましたけれども、それまでにどのような努力をされたかひとつ伺っておきまして、もしその努力が足りなければ、予算編成という重要な問題について当然あるべきことを理解をしておきながら、その努力をされなかったことについて責任を追及しなければならないと思います。どうかそれまでに、責任を追及されないで、よく保利国務大臣は国政の重要問題について推進をなさったという理解でいろいろ質問ができるようにやっていただきたいと思います。再度重ねて前向きの決意を伺っておきたいと思います。
○保利国務大臣 重ねてのおことばでございますけれども、予算編成の下準備がいつごろから始まるか、まあお話しのように六、七月ごろから、各省は各省でいろいろ勉強をされておるわけであります。それを持ち込まれるのがたいてい八月くらいになるのじゃないか。そういう段階で、従来閣議で大体の予算要求の方針について御相談があることだと私は理解をいたしておりますし、そうでありましたから、私もその段階で、ただいまお話のことはよく頭に置きまして善処をさせていただきたいと考えております。
○八木(一)分科員 保利さんも私も、もういつ死ぬかわかりません。保利さんはまだあと五十年長生きなさるかしらないけれども、やはり人間の命というのは、いつどうなるかわからないわけです。政治家というものは、大事な問題について責任を持たれたら、いつの時期を待ってと言わないで、大事な問題をすぐ取り上げられることが政治家の任務だろうと思います。保利さんがかわって、この問題を理解しない官房長官が来たら、そのときまたおくれるでしょう。保利さんがほんとうに大事だということを、首をさっき縦に振られたようにほんとうに思っておられるのだったら、ほかの重要案件があっても、総括的に次の閣議に提起をされておいて、なおそれを詰めるのはもっと先でもいいですが、そういう重要問題があるということを提起される必要があろうと思います。それについて、先ほどおし上げましたように、至急に次の閣議で提起をされることを私は要望いたしておきたいと思います。それがされなかったならば、同僚委員の機会のときにお願いをして、そういう国政の問題についてほんとうに熱意を示さない、怠慢である各閣僚に対して徹底的な追及をしていただこうと思います。また、そのことを事務局長である、官房長官である保利さんが総理大臣に申し上げられたならば、総理大臣はすぐやろうと言うにきまっておると思う。そういうことを言わない総理大臣だったら、国政を担当する資格はないと思う。総理に対してそのことをすぐ進言するのがあなたの任務である。総理大臣をかかしにしてはいけません。そういう意味ですぐ取りかかられることを要求しておいて、そのとおりになさらないときには、同僚の委員が徹底的に追及するということを御覚悟いただきたいと思います。 次に、この前この問題に関連をいたしまして、そのような大蔵省のサボタージュのために、第一次要求を二五%増にとめることのために、厚生省の予算が、あるいは労働省の予算が、あるいはまた、国民健康保険関係の自治省の予算が詰められるということが一つの大きな原因になって、社会保障の予算が伸びておりません。社会保障の予算が伸びておらないことについては、これは厚生大臣に質問すべきことかもしれませんが、社会保障という問題について国務大臣全体が理解が少ない。そのために厚生省が伝統的に弱腰で、その任務の十分の一も果たしていない。大蔵省が伝統的に無理解で、その厚生省のわずかな予算も削られるということで社会保障の進展が害せられておるわけです。そのことを各国務大臣が全部気持ちを入れかえて理解をし直し、決意を固め直していただかなければならないと思います。 そこで法制局長官に伺っておきたいと思いますが、日本国憲法の中で具体的な政策について規定をしている条文は、何条と何条であるか、それは何と何であるか、ひとつ伺っておきたいと思います。もし非常に法制の大家であっても、すぐわからなければ、私が申し上げます。簡単に、いますぐ気がつかないというなら気がつかない、気がつくならすぐ言ってください。
○高辻政府委員 憲法は、国の政治の組織運営について規定するものでございますから、広く言えば、国政の指針について規定したところが非常に多いと思います。しかし、何か典型的に例をあげよと言われれば、たとえば二十五条の規定のごときは、その典型的なものであろうと思います。
○八木(一)分科員 法制局長官は、さすがに責任者ですから、すぐおわかりになります。だけれども、完全に十分ではありません。憲法の中で、平和主義の問題、あるいは基本的人権の問題、民主主義の問題そういう問題を全国民的に、もちろん政府はその中心でなければならないけれども、それを確立していくという精神は、あらゆるところに載っております、自由の問題についても。具体的な政策について規定してあるのは二カ所である。しかも、具体的な政策を進めることについて規定をしてあるのは一カ所だけであります。たとえば義務教育無償ということは、具体的な政策を規定をしてあります。しかし、これは無償ということで確実にきめてあるので、政府が怠けて実際上の父母負担があるのはけしからぬですが、これは条文では義務教育無償をやるということで、別にそれを動かさなくてもいいわけです。実際に父母負担という憲法違反をやっている点はどんどん指摘してやめていかなければならないけれども、義務教育無償の条文は、固定したものであります。ところが、社会福祉と社会保障と公衆衛生については政府は不断に向上、改善をしなければならないという規定がある。このことは減税にはありません。このことは農業政策にはありません。このことは産業政策にはない。ましてや資本蓄積なんということは一つも書いてない。ましてやまた総合予算だとか財政硬直化だとか、そんなとんでもないかってにつくったようなことは一つも憲法に載っておらぬ。したがって、憲法が具体的政策について向上、前進をしなければならないという規定をしている以上、それが具体的な政策の中で最も優先をされなければならない。そうでない議論を吐く者は、これが国務大臣であり、公務員であり、議員であれば、全部憲法九十九条違反の責任を問われなければならないということであります。そのことを踏んまえて、保利さん、そういうことが阻害されている予算編成方針については、さっき申し上げたように、保利さんのりっぱな政治家としてのほんとうの信念に燃えて即時取りかかっていただきたいと思います。 そこで具体的な問題を一、二申します。この前も時間切れで言えなかった。保利さんに、これはごく正しい考えを持ち、よい人間であるという立場ですなおに御判断をいただき、明快に御答弁いただきたいと思います。零歳で全盲になった人と、十五歳で全盲になった人と、十九歳で全盲になった人と、二十三歳で全盲になった人と、その中の気の毒な程度は、どちらが気の毒であるか、それをひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
○保利国務大臣 私はどうも、どの方が気の毒だということは、先天的に全然目が見えなく不幸に生まれついた方と、途中で失われた方と、どちらが実際気の毒か、私はよう判断し切れません。
○八木(一)分科員 その御答弁ははなはだ不満であります。少なくともどっちが気の毒かわからない、同じように気の毒である。個人個人で、そのほかに親があるとか親がないとか、財産があるとか財産がないとか、いろいろな事情がありますでしょう。その人が、たとえば音楽が好きであれば、目が見えなくても耳で生活面の積極面ができる。しかし全然音痴であって絵が好きである人であれば、目が見えなくなったらほんとうのことが全部だめになってしまう。いろんな個人的な要件はありますでしょう。そういうことは一つ一つの要件ですが、一般的に見て目が見えないという状況は、少なくとも何歳であってもみな同じように気の毒だということはおわかりになるであろうと思います。それについてお答えをいただきたいと思います。
○保利国務大臣 私も人間でございますから、よくわかります。
○八木(一)分科員 その点はいま御率直な御答弁でけっこうだと思います。ところで、いまの社会保障制度の中にずいぶんとひん曲がった点で間違った点があります。たとえば、いまの全盲の障害者の問題であります。二十歳以降において全盲になられた方については、金額の多くて所得制限のないという条件の障害年金が国民年金法では給付をされることになります。ところが、それより前に、この全盲という障害、ほかの障害でも同じですが、そういう障害を得られた方は、どんなにその人が年金を熱望し、どんなにまたそれに対して協力の意思があっても、いまの国民年金法の冷酷な規定によってその障害年金というのは絶対に給付をされないように規定をされておるわけであります。その人たちにははるかに障害年金より少ない障害福祉年金しか適用になりません。しかも、障害福祉年金は本人並びに世帯の所得制限がある。その条件にひっかかるときにはこれも支給をされないわけであります。こういうことはほんとうに非常に不平等なことであって、気の毒な人が置き去りにせられておることは明らかであります。これも、りっぱな政治家であり、りっぱな人間である保利さんはそのとおりにお思いになると思いますが、それについて伺っておきたいと思います。
○保利国務大臣 だんだん社会保障の諸施策も、不十分ながらもとにかくかなり改善されてきておると思います。しかし、その改善される力というものは、やはり国民の力、これがなければ何一つ改善できないであろうと思うわけであります。お話しのように、いまだ十分手の届かない、改善を要する面が幾多あるであろう。これはひとり社会保障の問題のみならず、日本の国のあり方からしまして、特に社会資本の不足等は社会保障に劣らざる急を要することになっておるんじゃないか、私はそういうふうにも感じておりますが、しかし、いずれにしましても、八木さんが熱心に言われますように、とにかく片手落ちにならないように、十分手厚くいかないまでも目こばしができないようにしなければならぬということについては、十分政府として考えなければならぬと思います。
○八木(一)分科員 抽象的で、はなはだ不満でありますが、専門家でありませんから、その点についてはあれです。ただ、いま、一つの例を申し上げたのですが、その例は、保利さんがすなおにものを受け取られ、考えられる方であり、政治についての責任を持った立場をとられる方であれば、不均衡であるということは認められたはずだと思います。ところが、そういう点が指摘をされながら動いておらないわけであります。これは与党自由民主党も含めて与野党の満場一致の決議で、衆参の社会労働委員会で四回続けてこの問題を解決すべしという附帯決議がついているわけです。与野党含めてですよ。ところが、それについて厚生省の年金局で予算要求もしていないわけです。したがって、これは大蔵省より厚生省のほうが怠慢だ。そのような理の当然のことが一つも提起をされないというところに厚生省のほんとうの社会保障理念を忘れた弱腰の怠慢な点があるし、また、その原因としては、持って行ってもすぐ大蔵省からけっ飛ばされるだろうというようなつまらぬ配慮があるわけです。そういうことが、さっき言った二つのこと、ほんとうによく自分の公務員としての責任を考えないところ、そして旧来の陋習にとらわれているというところからきているわけです。そういうことを直していくのは、やはりその各省の努力にもありますけれども、あやまちを数年間繰り返しているようなときには、こういう問題も政府の最高責任である閣議において取り上げて、これはおかしいじゃないか、厚生省は怠慢だ、その怠慢のもとの大蔵省が何でもかんでも、正しい筋の通ったことでも予算が膨張することはいやがるというようなやり方はいかぬではないか、そういう風潮をつくらなければ、内閣というものはかかしと同然です。そういうことをぜひ閣議で取り上げて、政府の責任を果たされるように進めていただきたいと思います。これは一例でありますが、ですから私どもはこれは総理大臣に申し上げたい。ところが社会労働委員会には総理大臣は、忙しいといって、また与党の方が総理大臣の健康か何か心配して、なかなか出てこられない。したがって、直接に総理にいかない、総理大臣がかかしになるということになる。総理大臣にも積極的に、そういう問題についてはおれは出るのだ、かかしにするなということの態度がほしいと思います。そういう助言を官房長官にお願いしたいし、また、忙しい総理大臣ですから、全部が全部出られないにしても、官房長官が総理にかわって聞かれたことは、すぐに、即刻に熱意をもってこれを伝えられて、その問題が取り上げられるようにしていただきたいと思います。どうか官房長官の前向きのお約束を願いたいと思います。
○保利国務大臣 佐藤総理の政治理念が人間尊重と社会開発ということでスタートされておる。いろいろその御批判はありますけれども、総理自身としては一生懸命なんでございますから、ただいまのお話は、それぞれ所管の国務大臣がおられまするし、国務大臣が提起していただかなければ、これは、あれ持ってこいというようなことは実際問題としてはなかなかありませんから、所管の国務大臣、そしてまた事実閣議も、事務レベルばかりにまかしておるというと、いろいろ今日のほんとうの政治の要請にこたえ切れないことになるから、最後は各省大臣という立場を離れて、国務大臣という立場で、ひとつ全体のあんばいをはかっていくように持っていこうというように閣議の運営もやっておるわけでございます。ただいまのお話は総理にもお伝え申し上げておきます。
○八木(一)分科員 いま国民年金法の不備な点について申し上げました。まだたくさんございます。たとえば国民年金法では、昭和四十六年から拠出制国民年金が始まりまして、所得制限がなくて、六十五歳から年金を受け取る方が出てくるわけであります。——そうこまかいことは聞きませんからだいじょうぶです。ところが、そのとき六十六歳の方の場合には、これは七十歳からしかもらえないから、もらえません。しかも、所得制限のあるその小さいものももらえないわけであります。こういうところに断層があるわけであります。そういう問題も提起をなされておるけれども、ほったらかしになっております。 年金でたくさんありますけれども、そのほかにたとえば、今度は医療保険について特例法の延長法案を用意をされているようであります。それとともに日雇労働者健康保険法の、私どもは改悪と思いますが、政府は改正案と称するものを用意をしておられるわけであります。その中で保険料がいきなり三倍半になる部分があります。その部分については、大工さんとか左官さんとか、そういう人たちが名目的な給料が多い、だからそのくらいの保険料負担にたえられるだろうと考えてつくられた形跡が多いのであります。ところが、その人たちの給料は、たとえばほかの民間の産業の人であれば、これはいま総報酬制でなくて標準報酬制というものをとっておりますから、盆暮れのボーナスを勘定しないで標準報酬を勘定し、それに保険料率をかけて保険料を出しております。ところが、大工さん、左官さんにはそういうような盆暮れのボーナスがありませんから、その収入の中からそれを差し引いたことで考えられないと不均衡が起こるわけであります。また、交通費は各会社支給しておりますが、こういう方々は交通費は自前であります。道具も自前であります。また、退職金もございません。そういうようなことをちゃんと調べて問題を提起されないと、たとえば手間賃がどのくらいだからどのくらい負担できるだろう、その賃金の性格が普通の月給取りの賃金とは大いに違うのだ、半分以下の実収入額しかないのだということも頭に考えて提起をされなければならないと思います。そういう問題についてもあります。いろいろな問題がありますので、これは厚生省というところですと、やはり頭のいい公務員がいましても、その問題だけの固着をした型で考えますので、大きな意味で、正しい政治の意味で、しかも厚生省が予算ワクに縛られて、社会保障を拡充しなければならないのに、詰めなければならないと、大蔵省に締められた状態で、ひねくり出したようなひん曲がったものについては、大きな政治の面で社会保障が拡充をされなければならぬ、充実をされなければならないという面で、考え直していただく必要があろうと思う。いろいろな問題が提起をされて、たとえば修正交渉なり、これを撤回していただきたいという問題なり、いろいろなことが起こると思いますけれども、ただ政府がきめたのだから意地でも通す、それを与党とも相談したから意地でも通すというのではなしに、憲法の理念に従って、社会保障の理念に従って、それで百のうち九十はりっぱな法律を出しておられても、十について不十分な、不適な法律があったら、いさぎよくそれについては撤回されるなり、大きな修正をされるなり、大きな意味で佐藤内閣とか自民党というようなことを乗り越えて、国民のための政府であるということで、間違いは正す、不十分は直すという態度で処していただく必要があろうと思います。各省で出た問題を閣議で、そういう問題については各省まかせではなしに、大きく正しい政治的判断で、そういう運行をされることが必要であろうと思います。それについての保利さんのお考えを伺っておきたいと思います。
○保利国務大臣 どうも私が専管いたしておる事柄ではございませんけれども、御注意は十分承っておきます。
○八木(一)分科員 御注意は伺っておきますという丁寧な御文言でございますが、そういうことについて積極的な前向きな御努力をなさるということで理解をさせていただきたいと思います。 次に、いま保利さんに御質問を申し上げたことについて、床次さんは有力な、また指導的な国務大臣として、総理府総務長官という立場と別に、同じく国務大臣として、そういうことについて御推進をいただけると思いますが、床次さんの前向きの御答弁をいただきたいと思います。
○床次国務大臣 国務大臣としての立場においてお尋ねだと思いますが、私どもさような心がまえをもって今後とも努力いたしたいと思います。
○八木(一)分科員 法制局長官けっこうです。——床次さんに今度お伺いしますが、これは保利さんもひとつ聞いておいていただきたいと思います。 同和対策の特別措置法につきましては、いま四党間でかなり話が煮詰まっております。それについてめでたく煮詰まって、そのことについて総理府がどんどん提出されることを私どもも期待をいたしております。まだ完全ではございませんが、かなり煮詰まっております。もし不幸にして煮詰まらないときには、総理府のほうで御提出になるということになっているわけでございます。どうかそれについて、この前も伺いましたけれども、非常に御熱心な床次さんとされまして、まとまったものが、少なくともそれ以上によりよくなるように、または総理府のほうのりっぱな指導性、主体性を発揮されて、よりよくなるように御努力を願いたいと思います。総理府自体がおつくりになるときには、とにかく佐藤内閣は公約を果たされた、床次総務長官は、その果たすときにおいて、ほんとうにりっぱな、指導的な役割りを果たされたというような、満足をいただけるような、そういう法案をお出しをいただく、そういう御努力をひとつお願いしたいと思います。床次さんひとつ……。
○床次国務大臣 同和対策に対する特別措置法の問題ですが、今日まで関係四党の間でもって非常な御苦心をいただきまして、だんだんと煮詰まっておりまして、もうほとんどでき上がりつつある次第でありまして、不日私は結論を得られると思うのでありますが、今日の状態におきましては、四党案がまとまらずにいくということはむしろ考えられない。必ず四党案がまとまるので、それを私どもが提案できるのではないか、かように考えまして、なお政府といたしましても側面から御援助申し上げておる次第であります。今度は、私は、長い間の待望の措置法案ですから、日の目を見ることができると確信しております。
○橋本(龍)主査代理 時間が参っておりますから、締めくくりを願います。
○八木(一)分科員 実は、ちょっと私早まりまして、法制局に先に帰ってもらいましたけれども、御承知のように、法制局長官から二回にわたって確認をいたしておりまして、各党間で協定をされたもの、あるいは政府も熱意を持ってお出しになるものについて、特別な法律でございますから、いままで書いた例のないことも書かなければならない。そういうことについては、そういう意思決定をほんとうにはっきりさせるために、法制局は全能力をあげてそのとおりに書きます、前にそういうような例がありませんというようなことは一切いたしません、そのとおりに書くように、全能力をあげてやりますということを、二回高辻君から確言をされておるわけであります。どうかその意味で総務長官も、おつくりになる、お出しになるときのいろんな法律的な作業のときに、その精神が、その内容がほんとうに確実に表現されるように、そういう文章をつくることを法刷局に強く要求をされまして、前進をしていただきたいと思います。 一問と限られましたので、続けて御要望を申し上げておきたいと思いますが、前期五カ年計画について、まだ本格的に発足をされていないことを非常に私、もどかしく思うわけであります。同和対策協議会においても推進されると思いますけれども、この同和対策の特別措置法というのは、それをやるための一つの手段だ。本格的に前期五カ年計画、後期五カ年計画が全面的にほんとうに有効に熱心に実施されなければ問題は解決をしないわけであります。その五カ年計画を至急にりっぱなものをおつくりになるということを強力に御推進をしていただく必要があろうと思います。それについてひとつ御決意のほどを伺っておきたいと思います。
○床次国務大臣 政府のほうにおきましては、審議会の答申に基づきまして特別措置法案というものを研究してまいりましたが、同時に並行して長期の計画を検討しておったわけでありまして、これも大体各省間の意見の調整を見つつありますので、不日成案を得ることができると思っておる次第であります。
○橋本(龍)主査代理 島本虎三君。
○島本分科員 総理府長官に、いま成案を得つつあります公害紛争処理についての基本的な考え方について、今後のために十分これは伺っておかなければならない、こう思って再び立ったわけであります。 前回、ほんの五、六分の間でございましたが、意図するところは、そのほんの少しだけはわかったわけです。まだ十分ではございません。それで長官にお伺いしたいんですけれども、このいわゆる、国民がいま熱望しております公害紛争処理法案ですか、この内容ですが、準司法裁判所的な権能を持つ行政委員会にして紛争の処理に当たるべきである、これはわれわれがいままでずっと主張してきた点なんです。これがいわゆる、何というんですか、三条委員会という表現によってわれわれ理解しておりましたが、聞くところによりますとそうではなく、単なる八条委員会に格下げをして出したものである、こういうように言われているわけであります。今後公害の紛争、この処理に対しては、われわれは新たな決意を持って当たらなければならない最中でありますが、やはり三条委員会にして強力に実施するほうが、これが正しいのじゃないか、こう思っておるんです。八条委員会にしなければならなかったこの理由をまず承りたい、こういうように思うわけであります。
○床次国務大臣 紛争処理の機関に対しましては、すでに法案の制定のときからも御要望があり、なお委員会等におきまして御要望がありました。その趣旨に従って実は立案いたしたのでありますが、今回ぜひ三条委員会という形において発足させたいと、いろいろ努力いたしたのでありまするが、残念ながら八条委員会という形において発足せざるを得なくなったのであります。しかしその委員会の運営等におきましては、三条委員会と同じ運営ができまするように内容の充実をいたしたのであります。したがって、端的に申しますると、委員長並びに委員の待遇等もできるだけ十分によくすると同時に、その中立性、公平性というもの、独立性を維持するようにつとめる。並びに委員が地方あるいは中央におきまして活動いたしまする際における権限等におきましても、三条委員会に近いところの権限を持たせまして、そうして紛争処理の職責を果たし得るようにいたしたのであります。なお、御承知でもございましょうが、政府におきましては、ことしは特に三条委員会という機関を置くことをしないという方針をとっております。これも一つの理由であったと思うのでありますが、実質的におきましては、十二分に発足当時の職責を果たし得る形を考慮いたしまして、今日立案中でございます。
○島本分科員 私があえて心配するのは、以前からまだ紛争中でありますが、大きい問題になっております阿賀野川のいわゆる有機水銀事件、それから神通川の神岡鉱山から流出するカドミウムの事件、こういうような事件がございまして、わざわざ国会から派遣され、調査に行ってまいったわけであります。いろいろデータその他でわれわれが調べてまいりましたその中で、残念ながら同じような機構のもとではどうしても解決できないような点があります。 たとえば、鹿瀬工場では、通産省から危険があるから始末には万全を期せい、この通知が数回あったのですが、何ら意に介しないでそのままやっておった。この事態も明らかになりました。それだけじゃございません。今度、昭電、阿賀野川ですか、この方面では、当然産業行為をしなければ有機水銀の排出は起こらない、厚生省自体でも、政府でもこういうような見解を出しておったわけでありまするけれども、この鹿瀬工場のほうでは、これは工場閉鎖のときに解決した始末について、このデータが幾ら要求しても出なかった、そのために解決が長引いておる、こういうような事態があるわけです。データを出さなければ調べられないのは当然であります。しかし出さないまま始末してあるから、そのあとから行ったら何もないということになる。まして神岡鉱山のほうでは、昭和三十一年以降はカドミウムを主に生産しているわけです。全国の生産量のもう二〇%近くも出しているのです。それが原子力のあの開発に伴って中性材、こういうようなものになって、あれがいま貴重な産物になっておるわけです。そういうような始末で、いま行っても何ら痕跡がないのは当然であります。 そういうような状態になってみますと、現在のような、同じような状態、同じような権限では解決にならないという具体的な問題がずらっと並んでいるわけであります。まあそういうような点を心配するから、やっぱり三条委員会にしなければならない。これは強力に私どもは主張してまいったわけなんです。長官も御存じだと思うのです。一昨年公害基本法が出ました。その公害基本法が出た際に、基本法は法体系全体の立場から、これはいまの場合はこのとおりにしなければならない、しかしながら付帯意見をつけて、今後実施をする場合には、必ず無過失賠償責任の問題から、具体的な立ち入り検査の問題を含めて、今度強力な委員会にするなり、具体的な問題に対しては、これは行なっていくのだという総理のこの場所における発言もあったわけです。しかしながら三条委員会にしない方針であるというと、あの基本法をつくるときの総理の言明も、これは一片の紙きれであり、あの言明もうそだった、こういうようなことになってしまうではありませんか。やはり私は、三条委員会にするのがどうしてもこれは正しいのである。そうでなければ、いまのこの複雑な公害の解決にはならない。このことを強く申し上げなければならないのです。いままで長官がおっしゃっただけの理由では、どうも私は納得することが残念ながらでき得ないのであります。長官の御答弁によりましては、私が納得できないような理由を具体的に申し上げたい、こういうように思います。
○床次国務大臣 今回の紛争処理の委員会に対しましては、法案によりましてその権限等を御理解いただきたいと思っておりまするが、必ずしも三条でなくても、今日の御要望には応じ得るという基礎的な体制だけはできておるのであります。 簡単に要旨を申し上げますると、中央公害審査委員会ば、いわゆる準司法的な機関として公害紛争についての調停、仲裁を行なうことを主任務としておりまして、そのほか公害防止に関し行政機関に意見具申等を行なうことができるようになっております。それから第二に、委員会はその所掌する事務の性質上、独立性、中立性を確保しておるということ、それから第三に、出頭命令権とか立ち入り検査権等、調停、仲裁を行なうのに必要な権限を持たせてあるわけであります。こういうことが必要でありまするが、国家行政組織法第八象の機関でありましてもこれらの要請に応じ得るようにできておるのでありまして、現にやはりそのような機関もあるので、委員会が八条機関でありましても、御要望にはこたえ得ると考えておるのであります。 なお、委員会の内容等詳しく御質問がありまするならば、他の政府委員からも御説明申し上げたいと思います。
○島本分科員 時間がもしありましたらこの内容を詳しく発表してもらいたいのですが、三十分しかないその中で長くやられたらこれは何にも実を得ませんので、それは後日のことにしてもらって、いま疑問とするところを申し上げさしてもらいたいと思います。 そうすると、調停については、これはまあ当事者の一方的な申し立てによって行なわれる、こういうようなことになっておりますが、これに拘束力というようなものがあるのかどうか。当事者が拒否したら解決は一そう困難になってしまうようなことがあるのではないか。また仲裁については双方の合意が必要でありますが、加害者が被害者の申し出を拒否したら当然裁判に移行されてしまいますから、いまと同じようなことになってしまうではありませんか。この二つの疑問に対して、三条委員会でない八条委員会の中でこれが強力にできるという一つの基礎を示してもらいたい、こういうように思うわけでございます。
○橋口政府委員 ただいま御指摘がございましたように、中央公害審査委員会には調停と仲裁の権限を付与する予定にいたしております。 調停につきましては、当事者間の互譲の精神によって、民事調停の精神を基本としての調停行為でございます。したがいまして、調停案を提示いたしまして一方が拒否をいたした場合には、調停は不成立ということになるわけであります。 それから仲裁についてのお尋ねでございますが、仲裁も御承知のように当事者間の合意によりまして仲裁に付する、こういう契約に基づいての仲裁依頼行為でございますから、当事者間に合意がございません場合には仲裁の行為は行なえない、こういうことになっておるわけでございます。 これは紛争処理の制度といたしまして、和解の仲介、調停、仲裁、そういう制度を公害対策基本法の延長といたしまして考慮いたしておりますので、制度の本質、調停の性格から見まして、ただいま申し上げたような性格の内容のものになるわけでございます。
○島本分科員 やはり長官、危惧はそのとおりなんでございます。やはり重大なる公害が発生して、緊急にこの問題に対して対処する必要がある、こういうふうに認めた場合には、現在でも労働委員会の中には強制的に職権調停というような制度さえあるのです。それ以上に重要なと思われる、それ以上に現在焦点が当てられておるこの三条委員会と匹敵するという八条委員会の中に、中労委のごとき職権調停の権限があるのですか。
○橋口政府委員 ただいまおあげになりました仲裁委員会、これは御承知のように、労使間の紛争に対する調停その他の紛争処理の制度でございます。労使間の紛争でございますから、その基本に団体協約があるのが原則でございまして、一定の協約に基づいての紛争でございます。またそれが公益事業等においては第三者に非常に大きな影響を及ぼすという性格からしまして、職権調停の制度が設けられておるわけでございます。 公害の紛争に関しましては、全く関係のない当事者間における紛争でございます。その間には契約とかあるいは協定等の拘束すべきものがないわけであります。そういう本質的に対等の立場にある私人間の調停行為でございますから、そういう意味におきまして、直ちに職権をもって一方的に調停を開始するということは適当でないというおうに考えて、そういう案で用意をいたしておるわけでございます。
○島本分科員 したがって、これは現在あるものよりも重要であるはずなのに弱いという面が指摘されているとおりだ。私は、この中央公害審査委員会、こういうような名称のようでございまするけれども、これはやはり三条委員会のほうがいいのだ。そのためには整備した調査機関を下部組織と申しますか、事務局と申しますか、この中にちゃんと持っている、これが不可欠の要件です。それと同時に、立法、監視、審判、この実をあげるような有力な機関を持っていることがやはり一つの要件じゃないか、こういうように思うわけなんです。公害紛争はやはり高度の科学的な、技術的な、専門的な知識を要する分野なんですから、当然これは監視機関、調査機関、研究機関を整備しておかなければ、もうだめなんです。したがって、これを完全に尽くし得るような行政委員会はいわば三条委員会にしてやる以外にはない。そうでなければこれは有名無実の存在となる危険があるのじゃないか、こういうようなことを心配するわけなんです。長官、この心配は当たりませんか。
○床次国務大臣 今回設立せんとする委員会が将来有名無実になるのじゃないかという御心配でございまするが、私どもは今後、いわゆる公害処理という問題は非常に重大なものとして、いよいよ社会の要求も多くなる、しかもその事務も非常にふえてまいると思っておるのでありまして、発足する初年度にあたりましては、ただいまのような比較的小さな、ささやかなものであると私は考えておりまするが、将来は当然こんなような形だけではとうてい紛争処理に対する要望を受け入れることが困難ではないか、私はさように考えておるので、できるだけすみやかに今後これを拡充してまいりたい。いまお話しのような機構等も整備してまいりたい。そういう時期も間もなく来るのではないかと考えておりまして、この点は私どもは積極的に、いわゆる前向きに将来の発展を考えておる次第であります。御協力をいただきたいと思います。
○島本分科員 長官、私は協力するあまりいまのような具体的な機構をあげて、そしてそういうようなことにしてもらう——一たんでき上がったものを修正するというようなことはなかなかむずかしいのです。したがって、鉄は熱いうちにきたえなければならないということばもございますけれども、やはり初めできるときにこの基本線だけはきちっとしておかないと、あとからこれを手直しするということはまさに至難のわざになるわけであります。そして一つの名分としては、佐藤総理がその場所から、公害基本法ができたときに、体系としてこれはこのままにしておいてもらうけれども、実施法ができる場合には、これはもう無過失賠償制度の問題から個々の強力なる行政権の問題は、これを付与するような行き方でやってもよろしいということを言明したのです。言明があるのです。したがって、あなたはそれの上に立って堂堂とやっても、総理は喜ぶだけです。よくでかした、やった、さすがに総務長官だ、こう言ってあなたはおほめのことばをもらう立場にあるのです。それがいま言ったような状態で、やはり監視機関、調査機関、研究機関、こういうような下部組織を完成させておかないままに発足したこの中央審査委員会であるとすると、やはりその運用の面で現在あるがごときものに堕するおそれがありますから、やはりこれは複雑ないまの公害の紛争の処理にはほど遠いものになる危険性がある、可能性がある、こういうふうに思うわけなんです。いまの監視機関と調査機関と研究機関、この三つは、立法の際にはやはりこれは必要だという考え方で、現在あるものをどういうふうにして利用しようというのか。どういうような立法の根拠でございますか、これは事務的にお伺いしておきたいと思います。
○橋口政府委員 先生から御指摘がございましたような委員会の性格なり権限の問題は、公害の実体法の整備と表裏をなしておる問題であろうかと思います。現在日本におきまして、公害関係の法規の整備の過程にございます。そういう法律の整備と相まって、委員会の権限あるいは御指摘の調査機関、あるいは監視機能等についての発展も当然考えてまいらなければならないわけでございます。それから、もちろん各省庁におきまして、それぞれ公害責任官庁としての立場においての調査あるいは法の執行等については努力をいたしておるわけでございます。そういうようなことでございますので、当委員会の発足の当初におきましては、先ほど申し上げましたような委員会の性格並びに権限をもってとりあえずスタートしたいというふうに考えておるわけでございます。
○島本分科員 答弁になりませんよ、それは。 では、中央公害審査委員会、この裁定と命令の効力は一体どういうふうにお考えなんですか。一定の執行力を与えることが、これは不可欠な条件でしょう。そうなりますと、委員会が発した差しとめ命令、その裁定した賠償命令と申しますか、何か別なことばがありましたらそれにしてもらいますが、そういうようなものに対して強制力を持たして、そしてこれを実行するのでなければ、これはどうしても無力なものになってしまう。こういうようなことはあたりまえのことでございましょう。一体、差しとめ命令だとか委員会の裁定した損害賠償命令、こういうようなものに対して——賠償命令というのはちょっとまずいかもしれませんが、そういうようなことに対して強力に執行力を持たしてあるのですかどうか。三条委員会ならこれができるはずです。そうでなければやはりこれはできないんじゃないか。重大なこの問題に対してどうなんだ。同時に、この立ち入り調査権、この問題に対しては一体どういうようなお考えなのか。
○橋口政府委員 調停は、御承知のように、一方の当事者の申し立てによって開始するわけでございます。先ほども申し上げましたように、当事者が互譲の精神によって調停案を受諾するということになることが、最も望ましい形態であるわけでございます。したがいまして、調停者が協力して調停案の作成ができるようになるということが一番望ましいわけでございますから、本来の調停の性格から見ますと、調査権なりあるいは立ち入り検査権というものは異例中の異例でございます。しかしながら、公害紛争の性格から見まして、近く提案を予定いたしております処理法案におきましては、調査権、出頭命令権、立ち入り検査権を予定いたしておるわけでございます。 それから、最初にお尋ねがございました裁定行為あるいは損害賠償の支払い命令権というものにつきましては、昨年、中央公害対策審議会の専門委員会で学者の先生方、専門家にお集まりいただきまして、その点も含めて検討いたしたわけでございます。専門委員会におきましては、今回提出を予定いたしております処理法案とほぼ同じ内容の権能行為をとりあえず予定することが適当だ、こういう答申をちょうだいいたしておるわけでございます。そういう点等もあわせ考え、また検討いたしまして、裁決権あるいはおっしゃったような命令権等は予定をいたしておらないのでございます。
○島本分科員 まっ先に私が具体的な例として、鹿瀬工場や神岡鉱業所の問題をいろいろ申し上げました。その際に、普通の状態であるならば何ら意に介さないところにやはり問題がある。したがって、もうそれをなくするためには三条による機関が必要だということを申し上げてきたわけです。もし、立ち入り調査権、これを認めたからいい、こういうようなことでございますけれども、三条委員会によらない立ち入り調査権が拒否されたならばそれはどうなるのか、この点ひとつ解明してもらいたいと存じます。
○橋口政府委員 いわゆる八条委員会におきましても立ち入り検査を認めている前例がございます。ただ、いわゆる調停行為につきまして立ち入り検査を認めておる前例はございません。仲裁についてそういう前例があるわけでございます。立ち入り検査権に対しましては、これを拒否いたしました場合には罰則の適用を予定いたしております。
○島本分科員 その罰則が軽きに過ぎる場合は、拒否して罰則を受ける、これでもやっていけると、こういうような逃げ道がいまの労働基準法にあるのです。罰則はあっても、軽かったら進んで罰則を受けるのですよ。これはそういうふうなことになってはたいへんなんです。だから形式だけ整えても内容がしっかりしないととんでもないことになっちまうのです。 まして長官、公害の特質は、やはりこれは簡単なものじゃないのです。因果関係がわかるだけでもこれはたいしたものなんです。これは何というのですか、侵害の規模が意外に大きいし被害の範囲が大きい。これがまず第一番の要件、条件みたいなものです。それから加害者らしいものが存在するけれども、これを特定しがたいのです。だから立ち入り調査権は、拒否され得ない強力なものでなければならない。また加害と被害との因果関係の立証がはなはだ困難だという特性があるのですよ。したがって、どうしてもこれは拒否されたり、罰金を取ってそのまま流してしまえ、こういうやり方ではだめなんです。まして、加害者が法令の規制を順守していて、一応の合法性は保持しているけれども被害が発生するのだ、こういうような面もあるのです。また被害が物的なものにとどまらないで、精神的に、人体の健康、快適な生活、こういうふうなかけがえのないものにまで及んでおる。しかもこれが不断に継続されておる。こういうような五つの特性があるのです、公害の場合には。 したがって、こういうようなものを一つずつ解明していくような状態にしないと、これがいつの日にか青空が仰げるようになるか。いつの日にかこの公害紛争は機関があっても解くことができない、こういうような状態は残念であります。しかしいまの場合、長官もお聞きでしょうけれども、まだまだこれじゃいけません。不足です。 しかも公害の範囲、この問題についても、新しい公害について何ら考えておらないし、いままであったものだけに限定されておるようです。これに対しては、それでいいということには絶対なりませんが、どうしてそんなことをするのですか。新しいものに対しても配慮してありますか。
○床次国務大臣 公害の範囲に対してのお話でありますが、公害基本法の示しておりまする公害をとりあえず対象にしております。 なお、今後のあり方に対しましていろいろ御意見がありましたが、確かに小さな機構でもって出ているというわけでありまするが、私は、この際つくらなければ、またまた今後のこういう機関の設立がおくれてしまうのではないか、かように考えまして、今度の機会においてこそつくるべきだ。さような意味におきまして、多少の不満はあると思います。また世間からもいろいろと御批評を受けておりますが、これを育て上げて、そうしてりっぱなものに仕上げるというところに、私は大きな使命も持っておるし、今後のそこに期待を持っておる次第であります。さような意気込みでもって発足いたしたいと思う次第であります。
○島本分科員 その意気込みはわかりました。しかし、調停、仲裁のこの内容を非公開にしているという点はこれは重大です。と申しまするのは、いまだに九州のあの水俣の有機水銀の問題で、たとえば賠償をもらったならばあとは請求いたしません、たとえば年金をもらったならばこれ以上会社にもの申しませんという、いわば協定のあの五条というやつがあるのです。その際にいろいろ問題がございましたが、あれもやはり非公開の中でいろいろとやられて、まだいまだに問題が残っている。厚生省もどうにもできないような状態にもなっている。二月に結論を出します、こう言いながらも、まだいまだに手をつけられない、こういうような状態になっている。これは非公開を原則にしてやった、そのためにいろいろな状態がかもし出された結果なんです。今度のもこれは調停、仲裁は非公開、内容は非公開だ、こういうようなことをしてあるようですが、これはガラス張りの中でやるべきじゃございませんか。これは世論の中で解決すべきじゃありませんか。そして公害に対してはっきり責任を持つ企業がこれから伸びるのだ、こういうような状態こそ大いに指導してやろうじゃありませんか。そのためにはやはり調停、仲裁、この内容の非公開というのはまことに残念であります。長官、最後に皆さん、誠意ある答弁を願いたい。
○橋口政府委員 調停、仲裁の性格から見まして、調停の成立を強く希望いたしておるわけでございます。したがいまして、民事調停法の精神も手続を非公開にいたしております。そういう精神にのっとりまして、調停案の作成、受諾が円滑に行なわれることを期待いたしておるわけでございます。
○島本分科員 最後に要望してやめます。 これはまことに重要な意味を持つ法律になろうと思います。しかしその貫かれている線は、内容は、甘きに過ぎる、こういうような点が考えられます。まだ法案を見ておりませんが……。しかしながら、やはりこれをいかに国民の期待するように運用するか、これが重大な問題にもなろうと思います。三条委員会でなくても、八条委員会でもやれる、こういう決意があるならば、いまいろいろ私申しましたような難問がございますから、これを一つ一つ解決の上に立って国民の期待にこたえるようにしなければならない。いままでの答弁だけではまことに不満でございます。時間でありますから、これでやめておきます。
○橋本(龍)主査代理 沖本泰幸君。 〔橋本(龍)主査代理退席、主査着席〕
○沖本分科員 総務長官にお伺いいたします。 私は先ほどの八木委員と重複することになるわけですが、八木さんがせんだっての予算委員会の一般の質問で御質問にもなりましたし、そういう点から重なる面もあると思うわけでございますが、同和対策につきまして、わが党からは私初めて質問することになりますので、そういう観点から重複する点につきましても、どうかひとつそういう点を党として明らかにしていきたい、こういう観点に立っておるとお考えになって御答弁いただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。 そこで、先ほど八木さんもお触れになりましたけれども、この同和対策特別措置法は長い間の懸案であって、現在四党協議会でそれぞれここまで持ってきて、いよいよ国対の中の折衝でほほ見通しがついてきた、こういうことで、先ほどの総務長官の御答弁にも、大体その見通しは明るい、おそらくでき上がるだろう、こういうふうな御答弁であったわけでございますが、もし万が一、やはりいろんな内容の事柄でございますから、話が割れたりして今国会中に成立を見ない、こういうふうになったと仮定した場合には、どういうふうな御処置をおとりになるか、その点についてお答え願いたいと思います。
○床次国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、私は四党の御研究の結果、結論を得られることと確信をしておるわけでありますが、しかし、万が一できないときはどうなさるというお尋ねでありますが、私どもはその四党会談の結論等を踏んまえましてそして制定案ができるのではないか、さようなことを考えております。まず何といたしましても四党共同の結論を得ることに全力を注いでおる次第であります。
○沖本分科員 私も四党協議会にはいろいろ協議さしていただいた一員でございまして、われわれといたしましてもできるだけ早い時期にこれを成立さしていきたい、こういうことで努力は重ねておるわけでございます。そこでもしこの法案ができて、この国会に提案されて採択されたということになりましても、施行する時期という点についてはやはりある程度の期間がある、こういうことになるわけでございますが、その間のつなぎとしては、四十四年度予算ということが盛り込まれております。そうしますと、今年度の同和対策としておもにどういう点に重点を置かれた予算組みをなさったか、その点について御説明をいただきたいと思います。
○床次国務大臣 予算の大綱だけ申し上げたいと思いまするが、先ほどもお話がありましたが、特に同和対策に対しましては、ほかの事業の伸び率と比較いたしますと、非常に高率な伸び率を示しておりまして、三九・二%という伸び率でございます。総額におきまして約二十七億二千万円の予算でありまして、本年度の十九億六千万円に比較して、先ほど申し上げましたように四割近くの伸びをしているということは、ほかの事業と比べまして非常に異常な熱意を持っているということをおわかりいただけると思うのでありまして、今後の事業の最初のものといたしましても、まずまずの数字であろうと私は思っております。
○沖本分科員 その点はある程度見られるわけでございますけれども、年度年度にやはり重点施策ということがいわれるわけでございますから、やはりこの特別措置法ができて施行されるまでの間にある程度の仕事をやっていく、こういう上から予算に盛られている問題の中で、総理府としてはおもにどういう面に重点を置いたものをやっていきたいか、そういう点について御関係のお方からでもけっこうですからお願いいたします。
○床次国務大臣 同和対策の所要経費の内容につきましては政府委員からお答え申します。
○橋口政府委員 同和対策関係の予算でございますが、これは御承知のように各省から要求をいたしまして、各省に予算が配賦になるわけでございます。全体の伸び率は、先ほど総務長官からお答えを申し上げたようなことでございますが、ここ数年おおむね四割程度の伸びを示しておるわけでございます。予算の金額的に大きいものは住宅関係でございますが、その他法務省関係の人権侵犯事件の調査費、文部省関係では学校教育関係、社会教育関係、ことに学校教育の関係はかなり大きな伸び率を示しております。それから厚生関係、厚生関係も金額としては非常に大きなウエートを占めておるわけでございまして、これも同和関係予算並みの増加率を示しております。その他農林省、中小企業庁関係、労働省関係等の予算がございますが、いずれも相当程度の大幅な伸びを示しておるわけでございます。
○沖本分科員 そこで考えられますことですけれども、この法律ができて実施するにあたりましても、やはり各省間にわたる内容になってまいりますから、どうしても一カ所においてコントロールしてそれぞれの問題を進めていかなければならない、こういうことになっていきますと、やはり総理府のほうでこれを進めていくことになるのでしょうか、どうでしょうか。
○床次国務大臣 将来のことに対しましては十分な連絡調整しながら事業を行なわなければなりません。さような意味におきまして長期の計画を樹立いたしまして、その樹立されました計画を中心としながら事業を考えていくということが必要であろうと思います。かような点から、総理府におきましても絶えず各省の連絡を調整しながら事業の推進をはかってまいりたいと思います。
○沖本分科員 大体、この特別措置法ができる機運の不満の一つの中にもあるわけですけれども、各省の対策がばらばらであって、それがまとまりがないので、行政措置の一つとして一つにまとめてほしいということでこの特別措置法にしてほしいという要望があり、また同対審のほうの答申案の中にもそれが盛り込まれておるということになるわけですから、これは当然すべてのものを見ていくということになり、その関係省の連携をとって調整をはかっていくというのは、やはり総理府においておやりになるのでしょうか。
○床次国務大臣 御意見のとおりであります。
○沖本分科員 そうしますと、まあ問題は、八木さんも御質問になっておりました前五カ年計画の中の問題を十分におはからいをしていただきたい。こういうふうに十年間の問題でございますから、前の部分に対して大いに力を注いで問題を消化していただきたい。これは八木さんの御意見と同意見なんでございますが、現在、住宅の問題にしましても、都市部のほうの住宅の建設あるいはいわゆる過疎地帯の住宅の建設、こういうものに対してもいろいろなネックが出ておるわけでございます。そこで都市部では、たとえていうなら改良住宅がどんどん建っておる。しかし、それと公営住宅というものとの関連性を一般住民の方はごらんになってない。だから改良住宅が建つと、私たちは入れるのだ、こういう考え方から見ていると、そうでない。どんどんほかの方が入ってきている。よく聞いてみると、一般の住宅ではない。こういうふうな問題がいま盛んに大都市の中では起きつつある。こういう点も、これは特別措置法を実施する以外の点ですでに起きておる。こういう点ではやはり何らかの措置を講じて、違うという点をもっと周知徹底していただく、こういうような方法もとっていただかないと、将来やはりこの特別措置法を施行するにあたっては大きな障害になってくる、こういうふうに考えられるわけです。 それと、もう一つの点につきましては、いわゆる地方公共団体の中でこちらの市のほうでは十分手厚い仕事をやっておる、こっちでは案外冷淡である、こういうような非常な格差があるわけです。あるいは、この府県では十分な手厚い保護をしておるけれども、こっちの府県ではやってない、こういうような内容がすでにもう相当の地域にわたっていろいろ格差ができておる、こういう点があるわけなんですが、こういう点について、この法を施行する以前の問題あるいは施行するにあたってからの問題、二通りあると思うのですが、そういう点について御見解を承りたい。
○床次国務大臣 この措置法を施行するに際して最も大事なことは、この事業の裏づけを十分にやる、そうして実施しますところの公共団体がやりやすいようにするということが必要であると思う。したがって、今度の特別措置法等におきましても、問題点の一つとしては補助率の引き上げという、この点も現在検討中であります。 なお、多量の仕事を実施いたしまする際におきまして、起債をするというような事情も出てまいります。そういう際におきまして、やはり起債しやすいようにするというようなことも検討しなければならない。今日の法案におきましては、さようなことも検討中であります。御参考までに申し上げます。
○沖本分科員 お答えは少し抽象的なお答えになったわけでございますが、現実としてもうすでにそういう格差ができております。そうしますと、同じ同和地域でありながら、手厚い保護を受けておる——現段階では全体に手厚いとはいえないわけですが、手厚くない中にもある程度の保護を受けておる、施策を受けておるという地点と、全くそれが薄いというところで冷淡である、こういう内容が現実にあるわけですね。こういう点をやっぱりそろえていって、あるところに持っていかなければならない。それは措置法を実施すればできるだろう、こういうことになるかもわかりませんが、それまでの問題もすでにあるわけなんで、そういう点についてどういうふうにおやりになるか。
○床次国務大臣 ただいまあらためて御質問いただきましたのでわかりましたけれども、やはりこの同和問題に対する関係当局者の心がまえと申しますか、事業実施に対する気持ちもだいぶ差があるのじゃないか。ただ従来におきまして、財政的に非常に苦しい立場があったために、なかなかやりたくてもできなかったところもありますから、そういうところができやすいように補助のかさ上げというような問題も先ほど申し上げたわけでありまして、やはり今後同和事業に対する認識が徹底するに従いまして、必要であるにかかわらずこれができなかったというところもなくなってくるのじゃないか。また、必要か必要でないかということに対しましては、地元でもってそれぞれ十分検討されまして、そうしてこれが計画的に立案をされて、これが具体的な仕事になるというふうなたてまえに今後ともなってまいると思うのでありまして、この点は同和に関する理解の進展の度合いと申しますか、そういうところもかなり大きな差があります。同和事業と申しますか、同和事業の性格というもの、思想というものをよく理解させながら進んでいきたいと思っております。
○沖本分科員 いま御答弁いただいたのは、その格差の問題という点について御答弁いただいたのだ、私はそう了解したわけなんですが、それとは別に、先ほど申し上げましたように、改良住宅をつくった、あるいは道路を敷いた、あるいは下水の施設をつくった、共同水道から水道を各戸に引くようにした、あるいはいろいろな施策が今後あるわけなんです。これは特別措置法と両々相まって進められていくとは思うわけなんですけれども、その中にあって、結局スラム対策という問題とそれから同和対策という問題とが混合されていく。たとえていいますと、大阪の西成の愛隣地区、従来からいわれております釜ケ崎も一般概念ではこれは同和地区だろう、こういうふうに一般の方は考えていらっしゃるわけです。あそこは同和地区ではなくてスラム地帯で、別のほうに同和地域はあるわけです。こういう点がやっぱりきちっと区別された施策が講ぜられていかなければならないし、また、それを施行して実施していただく地方公共団体のほうも、十分そのことを考えた政治を行なっていただかなければ、受けるほうの側でいろいろな問題点が出てくるわけです。そういう点について、たとえていいますと、先ほど言いました住宅の問題も、いわゆる公営住宅と同じようなスタイルの改良住宅ができ上がるわけです。それを目の前に見ているわけです。目の前に見ていて、ずいぶん住宅が建ったから、私たちもこの公営住宅に住宅難のときに入れるのだ、こう思ったところが、そこに入る方々は違う地域に住んでいらっしゃる方々がすぽっと入ってしまったということで、行ってみたら公営住宅の指定の住宅ではなかったということで、あれはどういうわけか、特別待遇じゃないか、こういうことがかえって差別の差別を生んでくる、こういうかっこうになっておるのが現実に起きておるわけです。こういうものは、やはりある程度の指導であるとか、ある程度の問題をやはり行なっていくほうの側が踏まえてやっていただきさえずれば解決してくるのじゃないか、こういうふうに考えるわけですけれども、現実にもう起きつつある。これが特別措置法ができて差別をなくするためにどんどんこの法律を施行していくようになると当然起き上がってくる問題として考えられるわけなんですが、この点について総務長官はどういうふうな考えでお取り組みになるか。
○床次国務大臣 ただいまの問題につきましては、従来のあり方等も詳しく知っております政府委員からお答え申し上げます。
○橋口政府委員 先生から御指摘になりましたような現象はあろうかと思います。都市部の中の住宅の問題あるいは自治体相互間の格差の問題、確かにそういう現象が出てきております。まさにそういう現象を踏まえての本質をついての御質問でございます。ある意味では同和地区に行政投資が相当集中して行なわれている。それがかえって周辺地区との間に格差を生み出しているという現象も出てまいろうかと思います。特別措置法の制定及び長期計画の運営の過程におきまして、事業量の確保と同時に、個所づけと申しますか、事業配分についても十分配慮してまいりたい。ただ、やはりこういう問題に対する対処のしかたとしては、地方団体の理事者のお考えというものが一番大きなきめ手になるのじゃないか。先ほどもお話がございました都市スラムとの均衡の問題も出てきておると思います。ただ同和地区の性格とスラム地区とはやや性格を異にしているというふうに考えますが、しかし、いま御指摘になりましたような現象が、かえってまた同和地区の住民意識に必ずしもよくない影響を与えている面もあろうかと思います。事業の運営については十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
○沖本分科員 この問題はやはり将来にわたってだんだんと大きくなってくる問題だと思うわけです。そういう点については各省間でおやりになる仕事でございますから、たとえて言うなら、いわゆる公営住宅をどんどん建てていくという点について、改良住宅を建てるという点についての立地の問題だとかそういう問題について十分の配慮を払って、その建てる土地の選定とかそういう問題もやはり立体的に考えてやっていただかなければならないので、そういう点については十分な検討と、総理府においてそういう点キャッチしていただいて、むしろよりよくその問題が処理されていくような問題を総理府のほうで十分できるような力を持っていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。そういうことでありますが、結局この四十四年度同和対策関係予算というものは、あれでございますか、同和対策措置法が通った場合には、そのままその中にこの予算は吸収されるもんでしょうか、あるいは別途に施行されていくもんでしょうか、どちらなんでしょう。
○床次国務大臣 新しい措置法の施行の時期も関係がありますけれども、大体現在の予算でもって本年度におきましては間に合うものと考えておるわけであります。
○沖本分科員 そういう点におきますと、先ほどのお話の中に大体その四割程度の上昇を示してここまできたと、こういうことなので、十分重点的な扱いをやっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。 また同時に、これから一番問題になるのは教育の問題についてですね。そこに差別が起きている、あるいは就職の内容についての差別が起きている。これは特別措置法ができて十分そういう問題は消化されていくことになるわけですけれども、やはり要は、それに携わる人たちの組み方によって違うわけで、こういうものの内容はただ予算だけで片づけられるもんではないわけです。こういう点について、全体的な差別感をなくするというモラルの問題、こういう点について長官はどういうふうなお考えを将来に向かってお持ちなんでしょうか。
○床次国務大臣 事業費の問題につきましては、ことしの予算におきましては、この措置法というもの並びに長期計画というものを頭に置きまして策定いたしたために、相当伸び率が大きかったということを申し添えておきたいと思います。 なお、同和問題の特色は、他の事業と違いまして、事業量の多寡だけもって論ずべきものではない。同和対策の中にも書いてあります思想的なものがかなり大きな役割りを果たしておる次第でありまして、御意見のごとき点につきましては十分これは考慮すべき問題である。教育その他の思想普及、徹底という問題が、特に同和事業の中においては加味されておる点が、ほかの事業とは異なる点であることを十分考えまして、今後とも慎重に努力してまいりたい。 なお、一面から申しまして、特別措置が講ぜられることによって非常に伸びることの反面におきまして、先ほどお話にありましたような周囲との格差というような問題も出てきて、そのためにかえって同和問題を害するというようなことはあってはならないと思う。この点の調和を十分考えながら、私どもも慎重にこの同和対策特別措置法ができました以上は、その趣旨に従って努力してまいりたいと思います。
○沖本分科員 これは当然この法律ができたときにお互いに考え、また論じなければならない問題ではあるわけでございますが、やはりこの法律の受け入れ体制として、すんなりとこの法律が受け入れられて施行できるように、前もってそういう問題点を十分積み重ねていただいて、そういう事態の上に乗せていってこれをスムーズに進めていくような準備的なものもお進めになっていただいておいたほうが、もっとこれは効果があがるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。先ほども申し上げましたとおりに、多分にモラルの点、あるいは実際に特別措置法をつくって差し上げて差別をなくすることをやったことが、かえって差別感をつくっていくようなことになったんでは、根本的なものがもう間違ってしまうというようなことになりますから、十分に法律の精神が生かされる土台をつくっておいて法律を乗せていくような方法を、総理府のほうで十分対策をつくっていただきたい、こういうふうにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○臼井主査 岡田利春君。
○岡田(利)分科員 私は北方関係の問題について御質問いたしたいと思います。 初めに、政府は北方領土問題対策協議会を今度新たに設置をする、こういう角度で法案の作成を急いでおるようでありますが、この法案はどういう形で、いつ国会にまず提案をされるのか、この見通しについて伺っておきたいと思います。
○床次国務大臣 お話の北方問題に対しては、現下きわめてこの思想普及ということが必要を感ぜられてまいりましたので、地元の要望等も参酌いたしまして、いわゆる、仮称でございますが、北方領土問題対策協会という法人を設立いたしたいと思うのであります。なお、この協会といたしましては、従来地元に設置せられておりました北方協会、これが漁業者対策等の役割りを果たしておりましたが、しかし一面におきまして、新しく設立します法人と同じ目的を持ったものも含んでおります。さようなことを考慮いたしまして、今回の新しい法人には北方協会を吸収してその事業をそのまま続行させるということにしまして、思想普及、啓蒙宣伝等の事業は本部を中心として大きく実施するようにいたしております。 なお、関連いたしましたものは南方同胞援護会におきましても領土問題に関して従来から努力しておりましたが、その一部は、北方関係につきましてはやはり今後は新しい法人においてもっぱら実行するようにいたしたいと思っております。
○岡田(利)分科員 いま長官が答弁をされたいわゆる北方協会でありますが、これは北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律という中に規定をされておるわけです。しかし、この北方協会が設立されましてから今年は八年目を迎えているわけです。私はこの法律案の審議に当たったわけですが、このときに一体十億の国債というのはどういう性格のものであるか、この点がしばしば議論になりましたけれども、その内容は、厳格に、政府としてこういう性格だということが示されていないわけです。当時議論の過程で出てまいりましたのは、十億のうち七億五千万は内地の漁業補償、北海道は当時おそらく五十二億程度でありましょう。これに漁獲高を見合うと、大体七億五千万になる。あとの二億五千万というのは北方領土における、北方地域におけるいわゆる引き揚げ者の資産、こういうものを考えつつ、北方協会の業務が、いろいろな運動をするので、そういう面を加味して十億という額を算定した、このように議事録にも明確に残っておりますし、そういう答弁をいただいておるわけです。いまこの時点で新たな北方対策協会を設立する、それに北方協会をそのまま入れていくということになりますと、こういう従来政府が私どもに答弁をいたしておりました性格については変わってくるのではないか、このように私は考えるのでありますけれども、この点についてはどういう考え方に立たれておるか、伺っておきます。
○床次国務大臣 今後設立しますところの協会が、北方協会を吸収して事業を存続していくということを申し上げましたが、ただいまの御意見もありましたので、現在までの北方協会等の事業のあり方等につきましても、政府委員からあらためてお答え申し上げたいと思います。
○山野政府委員 お答えいたします。 北方協会の旧引き揚げ島民に対する援護措置としての十億円の貸し付け金の経緯につきましては、ただいま先生から御指摘ございましたような論議があったのでありまして、そのようなことも考えながら、引き揚げ島民の生活の援護あるいは転業その他の救済措置を講ずる必要がある。そこでさしあたりその十億円をもってそういう資金に充てていこう、こういう趣旨でございました。このたび、いまお話に出ました北方領土問題対策協会の設立にあたりましては、実はこの北方領土問題が、北海道なり根室だけの範囲で啓蒙宣伝その他が行なわれておりますので、これをやはり北方領土問題の重要性にかんがみて、中央で取り上げていきたい。ところが現在は、実は北方協会の機能の中に、啓蒙宣伝その他が含まれておるわけでございます。したがいまして、との新協会をつくるにあたりましては、一応同じような地域を主として対象にしますから、北方協会をやはり吸収するという形にしよう。そこでその場合に、北方協会が現在行なっておる十億円を中心としたこの旧引き揚げ島民の援護の措置はどうするか、十億円の性格はどうするかという問題が考えられますが、これは従来どおりの方針に沿って、会計も別会計にして運用していこうということに考えております。
○岡田(利)分科員 この法律案が審議をされる場合には、一応十億円の国債の償還は十年と定めてあるけれども、繰り上げ償還をするという点についても十分考えたい、このように政府から答弁されているわけです。今年度はもう八年目で、もう二年たてば、これは償還される国債であるわけです。そういたしますと、新たにつくる北方対策の協会、これに北方協会を含めるとするならば、二年後には国債はもう償還されるわけですから、当然抜本的に、この北方協会の問題を、繰り上げ償還をするのか、あるいはまたそういう中で新しくできる協会がどういう業務をするのか、こういう総合的な検討が、法律ができた当時の審議からいって、当然検討されなければならない問題である、このように私は考えるのであります。これが従来の法律のままいくのであればいいとして、今度は含めるわけですから。そうすれば、審議当初の原則に立ち返って、これは繰り上げ償還してけっこうなわけですから、政府はそういう答弁をしておるわけですから、当然そういう点を抜本的に解決をすべきではないか、このように私は思うわけです。この点はいかがですか。
○床次国務大臣 今回新設いたします際におきましては、とりあえず従来の北方協会の事業をそのまま承継するという形において、吸収いたしておるわけでありまするが、しかし、お話しの繰り上げ償還の時期の参りました二年後におきましては、その時点におきまして、十分検討いたしたいと考えております。
○岡田(利)分科員 あと二年あるから二年後に検討するという、そういう答弁のしかたもできると思いますけれども、私は、この法律を立法した時点でものごとを考えると、繰り上げ償還も十分検討できるのだ、十年にはこだわらない、とにかく当面は十年だけれども、情勢を見て繰り上げ償還することも考える。繰り上げ償還の希望も非常に強く出ておったわけです。そうすると、八年目にきて、今度新しい法律をつくって、新しい協会の中にこの業務を引き継ぐ。あと二年より残っていないわけですから、そうであるならば、この時期に根本的な検討をすべきではないか、このように私は考えざるを得ないわけです。その点を、ただ単に引き継ぐというのでなくして、そういう立法した当時の政府答弁、政府の見解等に立ち返って、やはり検討されなければならない。検討された上で、新しくできる協会の中にこうするのだというならいいですけれども、初めからそういう総合的な検討もしないということについては、立法当時の政府答弁からいって、どうも理解ができない、こう私は思うわけです。この点はいかがですか。
○床次国務大臣 詳細は政府委員からお答え申し上げますが、今日まで、北方協会のいろいろと経過があるわけでありまして、したがって、そういう経過から見まして、とりあえず吸収する形をとっておるものと思いますが、具体的にさらに御説明申し上げます。
○山野政府委員 従来、北方協会の業務運営にあたりまして、十億円の利子でこの運用をすることは非常に困難だということで、繰り上げ償還の話がありまして、実は現在までに、御案内のように一億円繰り上げ償還しておりまして、その繰り上げ償還は——昭和四十五年と記憶していますが、四十五年には買い戻しをしなければいかぬということになっております。そこで、いま御指摘になりましたように、四十六年になったら、これは十億円の問題が出るわけでございますが、この十億円につきまして、その使途その他につきましては、やはり当初の目的に応じて、これを引き揚げ、旧島民の福祉のために使っていくことになると思うわけでございますが、これには、御承知のように非常に複雑な経緯もございますし、また受益者、対象者その他いろいろ複雑な問題がございますので、今回の吸収して新協会を発足さす場合には、そこまで根本的に実は検討する余裕もございませんでしたし、したがいまして、償還の時期に至った場合に根本的に検討したいということに、私どもはさしあたり考えまして、地元の関係者の方々にもやはりそういう御了承を得て、こういう発足をする予定にしたわけでございます。
○岡田(利)分科員 おととし、臼井団長を先頭にして、調査に私どもも随行して参ったわけです。そのときから問題が出ておるわけですね。去年もまた同様問題が出ておるわけです。ですから、もう少し早く政府は検討すれば、私は相当やはり総合的に検討できたと思うわけです。ところが最近になって、では地元の要請もあるから北方協会をつくろうかという点で、時間的に非常に短い時間の中で結論を出された、そういう点が、実は私は非常に残念でたまらないわけです。もうすでに去年おととしから調査をやって、そういう点は強く要望されておる点ですから、いずれこれは法案審議のときにまたお伺いするとしまして、では、この北方協会の十億については、今日政府は、この性格についてはどのように理解していますか。
○山野政府委員 これも実は先生のほうは詳しく御存じだろうと思いますけれども、御承知のように、北方領土につきましては、ソ連が現在占領しておる。したがって、わが国の固有の領土とはいえ、事実上わが国の行政権が及ばない。したがって、引き揚げ旧島民が、いわゆる漁業権その他の財産権の行使ができない状態に置かれておる。それから、そういう状態が一方にあると同時に、引き揚げてこられた方々は、非常に苦しい立場で無一物で引き揚げてこられた。これらの人々が非常に苦しい生活環境の中で生活をしておられるので、この人々の要望にこたえて、やはり生業の安定をはかり、転業の機会を与え、生活の再出発をできるような措置をとるべきじゃないかということで——いろいろこの十億円についての評価の算定の基礎等は、いま御指摘いただいたような経緯があろうかと思いますが、十億円をもってその事業資金に充てることにいたした、かように私ども承知しておるわけでございます。
○岡田(利)分科員 私は、この法律ができるときに、しつこく積算根拠について聞いたわけです。そのときに出ているのは、七億五千万は、昭和二十四年ですか、内地の漁業補償をした、北海道が五十二億ですか、これに見合って漁獲量で割り出すと、七億五千万になる、あとの二億五千万は、資産その他を含めて十億というものを出したのだ、一応めどをつけた、こういわれたわけですね。そういたしますと、一応そういうような考えで十億が出されたのですけれども、いずれ償還をされるわけですから、これをもって漁業補償なりあるいはまた残された資産の補償が終わるのだ、これでできるのだ、こういう考え方は、少なくともいまお持ちでないと思うのですが、いかがですか。
○山野政府委員 私も、実は当時おりませんでしたので、当時の経緯は詳しくは存じておりませんが、いわゆる漁業権が存続しているかしていないか、漁業権の補償の問題が存在するかしないか、あるいは補償し得るかできないか、そういうことを含めまして、いろいろ専門的な詳しい議論が当時あったように私は承知しております。これらにつきましては、最近の時点におきまして、政府部内に見解の統一はまだはかられておりません。したがいまして、いま御質問いただきました点については、まだ明確に答えるわけにまいらないわけであります。
○岡田(利)分科員 いずれこれは法案が出てまいりますと、問題になる点です。十分ひとつ検討しておいていただきたい、予告をいたしておきます。 大体いまの換算でいきますと、漁業補償だけで百六十億になるわけですよ。小笠原の例もありますし、大体百六十億と推定されているわけです。もう戦後二十四年もたって問題が解決しない、この補償が行なわれていないわけですね。しかしこれが償還になる時点、また強い要望から見ても、内政問題としてこれは一体どのように解決をするのか、こういう面になってまいりますと、漁業権の補償は一体どうするかという問題が、当然問題になって出てきます。それというのは、引き揚げ者の資産については、今度の政府の措置によって対象になっていますけれども、しかし北方地域の場合には、固有の領土である、こういうのであればそれでよいのかどうか、いわゆる海外の、いま外国の領土になっている旧満州とかそういうところと同じように扱って、それで事終われりということになるかどうか、これも問題点であるわけです。この点は特に指摘をしておきますので、十分御検討願いたいと思うのです。 そこで、北方問題で一番問題になりますのは、拿捕事件ということが一番問題になっているわけです。しかも政府は危険推定ラインというものを設定し、ソビエト側は、国後、択捉、歯舞、色丹いずれも十二海里、これから入ると拿捕されるということに実はなっておるわけです。したがって、政府は、この危険推定ラインから入ってはならないという指導をされておるわけですね。ところが拿捕事件がひんぱんに起きるわけです。実は先般水産庁を呼んで質問いたしましたところ、漁業権の法律上のたてまえからいえば、入って操業しても別に問題ないのだ、水産庁はこういう見解をとっているわけです。海上保安庁のほうは、これは危険推定ラインだから、現実にソビエトが領有しているわけですから、入ると拿捕されるので入ってはならない、こういっているわけです。この点が、どうも水産庁の見解と取り締まりの見解とは違うわけですね。しかし、本件についてはすでに閣議決定もなされているわけですから、一体政府はどういう方針でこの取り締まりをしているのか、これを明確に、ひとつ海上保安庁のほうからまず答弁を願いたい。
○郷原説明員 お答えします。 海上保安庁では、昭和二十七年五月の閣議決定に基づきまして、北海道方面では、道北海域及び道東の海域それぞれの海域に、常時一隻の巡視船をば配備いたしまして、拿捕防止に当たっております。現場におきましては、巡視船は出漁船に対しまして、ただいまお話のございましたように、十二マイルに入りますと現実に拿捕されておりますので、出漁船に対しましては、ソ連によります拿捕の危険のある海域、すなわち十二マイルを主張しておりますので、その海域にはできるだけ入らないように指導、警告をしております。
○岡田(利)分科員 長官、これはたいへんな、一番大事なところなんですが、海上保安庁は手が回らないのですよ。もちろん今年度の予算でも、根室には三百五十トン型の巡視艇を配置する。羅臼のほうにも更新をする。予算はついています。しかし、これは北方全体の海域の安全操業、特に海難防止のために配置をされておるわけです。しかし、国後、択捉、歯舞、色丹というのは非常に根室から近いわけですね。そうであるならば、ほんとうにこれを指導するならば、パトロール船をやはり配置をしないと、なかなか実際操業している場合の指導はできないわけです。大型船でしょっちゅう歩いているわけにいかぬわけですから、むしろ足の速い小型の快速艇的な、そういう指導船といいますか、こういうものを配置しないと、実際はできないのですよ。海上保安庁の巡視船はほかのほうに出なければなりませんし、北洋にも参るわけですし、海難救助にも出るわけです。ですから、結局は政府ではそう指導しておるけれども、十二マイルに入って拿捕される、これが解決されないわけですね。ですから、まずこの問題を防ぐためには、そういう措置を検討し、対策を立てなければならない、私はこう思うのですが、こういう点については、所管である総理府は、拿捕問題というのは調査もされていますし、田中長官もわざわざ行って調査をされておるわけですから、これにどう対処しようとするのか、この際、見解を承っておきたいと思うのです。
○床次国務大臣 今回、北方問題等に対しましては、政府といたしまして、意を新たにして対処する考え方を持っております。お話のごとく、安全操業等につきましては、まことに重大な問題であり、各省庁いろいろ意見もありますが、なお地元のほうからも強い陳情を承っておりますので、これに対して十分な対策をひとつ検討いたしまして、善処いたしたいと思っています。
○岡田(利)分科員 床次長官は、先般中川駐ソ大使が帰国するにあたって、安全操業の問題について意見を述べられておるわけです。いまコンブ協定の場合には民間協定ですが、入漁料を払って、コンブを安全採取しているわけですね。今度外務省並びに総理府でも、長官が中川大使に要請をしたように、この安全操業体制の確立を、ソビエトと政府間交渉で、ひとつ解決をしてほしい、こういう点について意見も述べられておるように私どもは聞いておるわけです。しかもこの方式は、赤城試案、それをさらに広げて国後、択捉の十二海里内にもひとつ安全操業ができるように、日本側としては希望している、こう伝えられておるわけです。しかもその場合には、漁業協力費もしくは入漁料という形で、コンブ協定と同じような方式を政府のほうとしては考えたい、このことは明らかだと思うのです。そういたしますと、いまの危険推定ライン及び十二海里の線ですね、この点はやはり事実上認めた上で、安全操業の問題を現実的に処理しようというのが政府の案だと思うのです。そうであるならば、結局いまの十二海里内で拿捕されるという事件を、やはり政府は強力な指導で、また不十分であるならば、そういう足の速い指導船を配置をしてやる、こういうかまえがないと、対ソ交渉をしても、どうも問題解決にあたって、むしろソビエト側から指摘をされる面が多くなってくるのではないか、こう私は考えるわけです。そういう点を、国内の、政府の各省間のいろいろな問題がありますけれども、その調整をして、そういう体制というものをぴちっとしないと、私はこの北方におけるこれらの問題の解決はできないのではないか、こういう見解を持っているんですが、いかがでしょうか。
○床次国務大臣 北方、特に漁業問題は、領土問題というむずかしい背景を持っておりますし、なお漁業問題自体におきましても、ただいま御指摘のごとく、きわめて複雑な問題であります。この点におきましては、各省の間におきまして十分連絡調整をいたす、これが総理府の仕事でありまして、今後とも、さような立場から対策を立てて、実行してまいるようにつとめたいと思います。
○岡田(利)分科員 田中前長官は、先般根室海域を視察をして——これは新聞報道ですから、誤りかもしれませんが、この国後、択捉、歯舞、色丹にはわが国の潜在主権がある、という記事が報道されているわけです。床次長官は、この田中前長官が言ったといわれる新聞報道の、この領土に対して潜在主権があると思われますか。
○床次国務大臣 国後、択捉、色丹、歯舞はわが国の固有の領土というたてまえに立って、今日まで外交折衝をいたしておる次第でありますが、なお、田中前長官の、具体的なその他の対策等についてお述べになりましたこと、これは新聞関係でありますので、私もよく承知しておりません。しかし、ただいま申し上げました固有の領土であるという基本方針のもとに、今後とも活動してまいりたい、かように考えております。
○岡田(利)分科員 いまの長官の答弁なら、私も了承できるわけです、固有の領土ですから。それが潜在主権があるとかなんとか、大臣あたりが軽々しくそういうことばを、新聞報道は誤りかもしれませんが、私は現地の人から、そう言ったということを聞いているわけです。こういう点は、特に現地の住民などを惑わすようなことは厳に避けなければならぬ。この点、特に私はこの問題を扱うにあたって、指摘をしておきたいと思うのです。 そこで、これは調査団の報告にもありますし、総理府でも御存じかと思いますけれども、この北方領土を、いわばわが国の領土に含めて、地方交付税あるいは特別交付金の交付対象の面積に含めたい、この点は検討する、こういわれているわけです。しかし国土地理院では、これは次元が違うわけですから、地理院に対して、幾らこれを含めろといっても、科学的に測量調査ができないものを載せろといったって、載せる方法がないわけでしょう、次元が違うわけですから。国土地理院では、これは解決しないわけですよ。この問題、何か国土地理院で解決できるような印象を非常に強く与えておるわけですが、解決できると思いますか、地理院の性格からいって。
○床次国務大臣 国土地理院の地図に対しましては、わが国の領土としてこれを明示するというふうに取り計らってまいりたいと思います。なお面積等におきましても、さような見地から、わが国の領域の中に計算をするという処置をとってまいりたいというわけであります。
○岡田(利)分科員 総理府として、そういう希望をするということはわかるのですけれども、国土地理院でわが国の領土をきめる場合には、実質調査ができなければ載せられないですね。次元が政治次元とちょっと違うわけですよ。これは不可能なことですよ。ただ、戦前の地図を参考資料として添えるという程度は、いまの地理院ではできるでしょう。実際これはできることじゃないんじゃないですか。むしろ私は、これを含めて交付金の対象にするということは、いろいろ運動の経費その他かかるからという理由も大きな理由でありますから、この点は、要素を認めれば、特別交付金の面で考慮できるという面はありますよ。すでにことしもやるわけでしょう。これはできるわけですよ。そういう点について、できるとほんとうにお思いになりますか。次元が違う、私はこう言っているんですが、いかがですか。
○床次国務大臣 ただいまの問題は、北方問題各省連絡会議をつくりまして協議いたしておるわけでありますが、なお具体的につきましては、政府委員からお答え申し上げます。
○山野政府委員 私ども、建設省あるいは国土地理院と数回にわたりましていろいろ打ち合わせをいたしまして、その結果、調査時点は確かに御指摘のとおり違います。戦前のしかございませんが、そういう時点をとらえまして、全国の面積の中に入れよう。もちろん全国の面積と申しましても、単に歯舞、色丹、国後、択捉に限らず、必ずしも調査が徹底的にできない地点もあるわけでございます。したがいまして、大局的に見まして、国土地理院としては、そういうことで、全国の面積の中に含めることで、ことしの地理院の図表から直したいということに相なっております。
○岡田(利)分科員 私は院長に直接確かめているのですが、私が確かめたところでは、参考資料としてはつけることができますけれども、これをわが国の国土地理に正式に載せるということは不可能である、これは次元が違う、というお話を実はいただいておるわけです。いずれにしても、この点はいずれまた議論できると思いますから、時間がありませんから……。 そういたしますと、沖縄は潜在主権のあるわが国の領土ですよ。これは載せますか、いかがですか。
○山野政府委員 まだ最終的な決定をいたしておりませんので、正確には申し上げかねると思いますが、わが国の潜在主権を持っておる地域の面積として沖縄をあげ、それから、わが国の施政権の行使が妨げられている地域として北方領土をあげるというような方向で、大体調整が進んでおります。
○岡田(利)分科員 奄美大島、小笠原の場合は、これは地方交付税の対象になっていましたか。あるいはまた、これはもちろんいままでは載っていなかったわけですね、わが国の国土地理には。この点は間違いないと思うのですが、いかがですか。
○山野政府委員 奄美大島は返還以来入っております。それから小笠原につきましては、去年帰りましたので、今度は東京都の中に入っておるわけでございます。
○岡田(利)分科員 わが国の潜在主権のあるところであっても、返還後に地図に入り、それ以前は交付税の面積の対象にすらなっていなかったわけですよ。ここに、経過的にわが国の領土の扱い方が非常に違うわけですね。私は、こういう一貫性のないところでは、どうも何か無理し過ぎるのではないかという感じすらするわけです。といいますのは、竹島の場合には地理院の地図に入っていますね。しかも交付金の対象になっています。しかし小笠原の場合は、帰りましたけれども、帰る前というのは、これは東京都の管轄下です。自治体が別なわけですね。歯舞、色丹の場合には、歯舞村ですから、いまは根室市なんですよ。自治体があります。国後、択捉の場合には、自治体は別だったわけですね、大体三つくらいの村があったわけですから。そうすると交付金の対象にするという場合、人は現実にいないわけですよね。しかもその自治体は単独であったわけですから、北海道という形で見るといっても、ちょっと無理が伴うと思うのですね。こういう点については調整されていますか。
○山野政府委員 沖縄の場合は、潜在主権があるわが国の領土でございますし、北方領土につきましては、わが国の施政権の行使が事実上行なわれておりませんが、固有の領土でございますから、したがいまして、これらの面積はわが国の全面積の中に入れるというふうにしておるわけでございます。 それからただいま御指摘のように、竹島は現在もずっとわが国の面積に入っております。それから、これは特別交付税の対象ではございませんで、普通交付税の対象として一応面積として算入する。しかし施政権の行使が現に妨げられておりますから、したがいまして、普通の地域と同じような交付税算定をするのも私は適当ではないと思うし、これはまた自治省でも当然そう考えられるだろうと思います。したがいまして、どのような補正をして現実的な単位費用を算定されるかは、まだ今後自治省で十分検討になる問題だと考えます。
○岡田(利)分科員 これは非常に多くの問題が必ず出てくるわけですから、十分その点を含んで、法律の出る場合にはそういう点が明らかにされなければならぬ、こう思うわけです。そういう点で十分いまから、法律を出す前に十分検討して、ひとつ政府は見解を統一しておいてもらいたいということを希望しておきます。 時間がありませんから、墓参の問題なんですが、樺太の場合には厚生省、歯舞、色丹、国後の場合には総理府ですね。非常にややこしいわけなんですけれども、昨年残念ながら墓参ができなかったわけです。これはどういう事情によるのか、どうしてできなかったのか、どういう判断をされているのか、ひとつこれの見解を承っておきたいと思います。 それと、北方問題を扱う場合、わが国の外交方針、特に北方問題懸案事項解決の外交的方針と運動の関係なんですね。この関係については私は非常に微妙なものがあると思うのです。というのは、中川大使が帰ってきて言われておりますように、領土の問題は壁が非常に厚い。しかし、安全操業の問題については、三木さんが参ったときの話し合いの経過もあり、中間的な措置というような面で、この面はある程度話が進む可能性があるのではないかという見解を持たれている。そうしますと、一応外交的な懸案事項の解決は、まず安全操業に主力が注がれていき、そういう懸案事項の解決の上に、ソビエトとの間にできれば領土問題を解決していく、こういう方針が大体私は政府の方針だと思うわけです。そういたしますと、そういう外交方針と北方問題を扱うこの運動方針といいますか、これとの調整というものをはかっていかなければ、私は、外交上の問題が解決できるものも解決できないという事態になるのではなかろうか。刺激をし過ぎてそういう問題すらも解決できないという問題が出てくるのではないか。そういう意味で外交方針と進めている運動方針、こういうものは、当然綿密に政府としては検討された上で運動的な面も調整をされるとか、当面の懸案事項に集中をするとか、こういう面のタイミングを十分考えていかなければならない性格を持っておるのではないか、こう思うわけです。この二点についてひとつ見解を承っておきたいと思います。
○床次国務大臣 将来の北方対策の問題でありまするが、御指摘のとおり領土問題と安全操業と二つの大きな問題があります。この問題に対しましては、わが国の世論というものも次第に定着してまいってきて、従来と比べますと非常に違ってまいりました。同時に、日ソの間におきましても変化があるわけで、こういう背景を考慮いたしまして、各省の間において十分連絡をとりながら今後強力に進めてまいりたい。特に新しい特殊法人が宣伝等を担当いたしますので、この点は国策の方面とよく連絡提携をいたしまして努力をいたすように考えておる次第であります。 なお、墓参等の問題につきましては、政府委員から申し上げます。
○宮沢説明員 ただいまの第一点についてお答え申し上げます。 墓参は、御承知のとおり、昭和三十六年以来ほぼ毎年行なわれてまいりました。昨年度はソ連二カ所及び歯舞、色丹、国後等四カ所、合わせて六カ所の墓参を申し入れましたが、ソ連側はシベリアの一カ所を認めました以外は、これは認められないと理由を明示することなくわがほうに正式に回答してまいりました。これをどのように見ておるかというお尋ねでございますが、これはソ連側が理由を明示いたしませんので、全く憶測ないし推測にすぎませんが、そのうちの一つは、あるいは本年度はソ連が当該地域に何らか部外者に見られては困る作業ないし構築物等を行なっておるのではないかという憶測が一つと、いま一つは、領土問題におきまして国内にかなり盛り上がりが見えておる。その意味において、ソ連側がこれを警戒して邦人の立ち寄りを好まないのではないか、このような観測も一部になされておりますが、先方が理由を明示いたしませんので、詳細はわかりません。
○岡田(利)分科員 では終わりますけれども、要望だけいたしておきます。時間もありませんし不十分なんですが、いずれ法案が出る場合に、これは関連する総合的な問題がやはり委員会で問題になってくると思うのです。特にいま指摘しておりますように、安全操業の問題、拿捕の問題、これは総理府として、外務省と農林省の見解もずいぶんニュアンスの違いがあるわけで、そういう点を実は私は非常に心配いたしておりますので、この点を十分調整をされて、他の海域と違いまして現実に拿捕が行なわれておるわけですから、そういう点を調整をされて、拿捕がないようにするためにはどうするのか。そのためには水産庁はどう指導するのか。外務省は、これからの日ソ懸案事項解決のために一つの方式を出すとするならば、それとの関連はどうなのか。こういう点についてどうもニュアンスに相当違いがありますので、総理府としてこの点を十分に調整されて、総合的に北方問題が希望する方向に一歩ずつ前進ができ得る国内的な体制が整備できるように十分協議をしていただきたいということを希望して質問を終わりたいと思います。
○床次国務大臣 ただいまの御要望に沿ってできるだけ努力いたしますが、今日政府におきましても、このために北方連絡会議を開催いたしまして、各省間の意見を調整しておりますが、さらに一そう私どもも今後努力をいたしたいと思います。
○臼井主査 太田一夫君。
○太田分科員 私は、総理府を中心にいたしまして、交通安全対策の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。 これは人口二十万以上の大きな都市で行なわれた交通共済の帳じりの話でありますが、四割ぐらいの市民が加入いたしまして、さて一年やってみたらば二千万円をこえる赤字になっちゃったという例があるのです。それはどうしてそんなことになったんだろうと関係者が検討してみたらば、思いがけない事故が多かった。しかも、その事故の中に、負傷者が治療を要する期間が長期間のものが多い。そのために最高の見舞い金をとる。たとえば一年以上十五万とくると、十五万というような見舞い金を出さなければならないのがたくさんあって、四十二年度は二千百六十六万円赤字になった。四十三年度もまた赤字になっちゃったということを言っておるのです。どうしてそんなに長期に治療しなければならぬのがふえたのだろうかという点をさらに検討してみると、それはむち打ち症というものを長期治療を要しない短期治療の症状と見たわけです。ここに誤認したもとがあったということがいわれておるわけです。 そこで私はちょっとこの際宮崎さん、総理府長官にお尋ねいたします。総理府は今度陸上交通安全調査室というのが、陸上をとって全部の交通安全調査室になる。そういう点から交通安全のことはどうしても総理府にがんばってもらわなければなりませんが、最近の傾向では一日にどれぐらいの死者が出て、どれぐらいの人が負傷しておるものでございましょうか。
○宮崎(清)政府委員 昨年一年間の交通事故の統計を見ますと、一日平均の死者が約三十九名、負傷者が同じく二千二百六十二名でございまして、死傷者合わせますと二千三百一名という数字が出ております。
○太田分科員 そういう非常な、一時間に二人に近い人が死んでおるということになると、これはたいへんなことなんでありますし、また、意外と負傷者も多いのでありますが、そこで、昨年、一昨年から総理府は特に新しい角度から交通安全対策に取り組んで、通学路の安全施設問題とか、あるいはダンプカーの取り締まり、適正運行ということに非常な努力をされたのでありますが、その当時たしか問題になっております、一年、二年問題になっておりますむち打ち症というものに対する対策は、これは一向に法案も出なければ、それらしい予算の面も出てきませんけれども、これは一体どういうことに相なっておりますか。
○床次国務大臣 お話しのように、むち打ち症は交通事故のうちの非常にお気の毒な症状であります。したがって、この点はやはり総理府におきまして総合的に対策を考慮いたしまして、各省に連絡をいたしておるわけでありますが、簡単に申し上げますと、第一は、そのむち打ち症の発生の原因となりますところの追突事故の防止をはかることを努力しておりまして、このためには、交通安全施設の整備とか信号機の合理化、交通取り締まりの強化、交通安全教育及び広報の強化、車両構造・装置の安全性の向上等につとめるほか、交通の円滑化をはかるための長期的施策として、道路等の都市交通施設の整備の促進をはかることにいたしております。 第二は、救急医療体制等の整備を促進することでありまして、この点につきましては、むち打ち症を含むところの交通外傷患者に対し適切な診断、治療を行なうための主要都市の国立病院、公的病院等について、脳神経外科、整形外科、外科等を中心とするところの救急医療センターの整備を促進するとともに、国立病院・療養所、公的病院を中心とした交通外傷後遺症患者に対するところのメディカルリハビリテーション施設の整備を促進することにいたしております。 第三は、被害者に対するところの補償等を適正化することでありまして、この点につきましては、いわゆるむち打ち症に多いといわれるところの精神神経系の障害について、自動車損害賠償責任保険の後遺症の保険金額の適正化をはかるため、昨年二月自動車損害賠償保障法施行令を改正しまして、これまでの精神神経系の後遺障害の等級でありまするところの七級と十二級との間に新たに九級を設けたことであります。なお、自動車損害賠償保障法施行令で定めるところの後遺障害の等級全般については、労働省において現在専門家会議を設けまして行なっているところの労働者災害補償保険の障害等級表の検討の結果を待って措置することにいたしております。また、いわゆるむち打ち症の治癒後職場復帰した者につきましては、事業場に対して個々の身体の状況に応じた適正な労務管理を行なうよう指導しておるのであります。 第四は、追突事故の防止等に関するところの科学的研究及びいわゆるむち打ち症に関するところの医学的研究を推進することであります。 すなわち、このために、前者につきましては、交通事故防止に関するところの総合的研究の推進の一環として、追突事故の多い交差点におけるところの信号の現示方法、車の通行規制に関する研究、安全まくら及びシートの安全性の研究、衝突時におけるところの乗員の安全性の研究等を行なっております。 後者に対しましては、いわゆるむち打ち症の治療及び診断方針を確立するための臨床的研究、むち打ち症の後遺障害の認定に関する医学的研究等を行なっておる次第でございます。 以上、概略を申し上げました。
○太田分科員 長官、たいへんどうも微に入り細をうがったお話でございましたが、具体的なものとするならば、自賠保険の九級というのができたということでございますね。九級は七十八万円。いまむち打ち症によって職を失ったという人に対して自賠保険七十八万円では、私は少ないと思う。これは自賠保険のほうが解決して、まだ労災保険のほうがいま検討中だというお話でありますが、むち打ち症対策の精神面的と申しますか、経済面というものはある程度進歩しておるようでありますが、一番重要なのは何といっても対症療法の研究でございましょう。 そこで、これはちょっと厚生省に直接お伺いをいたしますが、対症療法の研究は完成をしたのでございましょうか。
○上村説明員 研究につきましては、四十二年度、科学技術庁の特別研究促進調整費をもちまして、むち打ち症の臨床的な研究を行なったわけでございますが、この研究が終わりました段階では、なお発生原因について明確な結論に達しておりません。ただ、言い得ることは、現在行なわれております初期の治療というものをできだけ早くすれば相当の効果があるというところまでが答えとして出たわけでございます。それで四十三年度は、単に整形外科的のサイドからだけではなく、脳神経外科的のサイドなりあるいは精神神経科のサイドも含めました研究をすべく、一千万円をもちまして現在継続中でございます。
○太田分科員 昨年もたしか特別研究費の中から一千万円ぐらい出ていた。そしてまた、ことしも一千万円同額予算をもって、それぞれの学会に研究を委託していこうというのですが、明確な結論に達していないというところが問題であって、いつ達するのですか。これは一たんかかると非常に長期の療養を要することになりますし、早期の治療をするのが効果があると、いまおっしゃいましたが、早くなおせ、早くなおせ、早く医者にかかればなおるよというだけでは最上の療法とはいえないと思うのです。したがって、明確にその研究の結論が出るのはいつごろでございますか、見通しがあったらお答えいただきたい。
○上村説明員 現在いわれております初期の治療方法と申しますのは、御案内のように、局所に出血があるとか、浮腫があったような場合に、湿布をするとか、包帯固定をするとかいうふうなこと。それから、薬としましては、消炎剤とかあるいは筋弛緩剤というものを投与するということ。それから、重傷の場合には、ベッドの上で首の横に、両横でございますが、砂袋を置きまして頸部の運動制限を行なう。牽引療法というのは初期には効果がないというふうなことがいわれておるわけでございます。御案内のように、整形外科的な病変の認められるような患者から、そういった病変が認められないけれどもその異常を訴える患者まで、非常に範囲が広うございます。したがいまして、いま研究はいたしておりますけれども、いま直ちに、いつその結論が出るかというふうなことは申し上げにくうございます。
○太田分科員 という厚生省の実態です。そこで総理府長官にお尋ねいたします。 むち打ち症対策に対して、このごろ、むち打ち症ということばは使わないほうがよかろう、こういうことがその世界にささやかれておるのでありますが、私ども、むち打ち症ということばを使わないからといって、ほかの病気の中にそれぞれ分散せしめられて、むち打ち症がすっかり解消してしまうということに対して非常な反発を感ずるのです。何かこの際総理府としてむち打ち症対策というものを完成してみる、厚生省だけにまかせておかない。あなたば各方面におまかせするとおっしゃったが、それを早く総合して、急いでむち打ち症対策を完成をする。このたくさんの人たちの不幸にどう対処するのか、四十四年度中に何らかひとつまとめてみるというお気持ちはございませんか。
○床次国務大臣 ただいまお話がありましたごとく、むち打ち症対策に対してはもっと積極的に取っ組んだらどうかというまことにごもっともな御意見でございまして、従来も各省でそれぞれ分担してやっておる。もちろんこの連絡調整を総理府においていたしておるわけでありますが、今後ともさらに一そうこれを掘り下げて早期に結論を得られるように努力したいと思います。
○太田分科員 ぜひひとつ、忘れられつつあるむち打ち症対策というものをこの際もう一回拾い上げて、この対策の完成のために努力をしてほしいと強く思うのです。むち打ち症ということばさえ抹殺されようとしておると思うのです。私はたいへんだと思うのです。一千万円やそこらの予算で、厚生省ではたしてむずかしい病理と取り組んで解決できるかどうか、私もたいへんだと思いますが、ひとつぜひ総理府におきまして各省の動きを総合していただいて、対策を早期に確立してください。 続いてこれは警察庁にお尋ねをいたしますが、最近の交通事故の中で、マイクロバスによる事故というものがかなり目立っておる。依然としてこれが減らない。一時は、何かマイクロバス対策というものが何らかの形で明らかにされて、車両の構造であるとか運転手の資格であるとかいうようなことまで改正されるやに伺ったことがありましたけれども、その後一向音さたありません。いかがなものですか。マイクロバスの事故を絶滅するために何らかの策を立てるべきだと思いますが、お考えがございますか。
○鈴木(光)政府委員 お答えいたします。 マイクロバスにつきましては、全事故に占める他の車種との比較において見ますると、必ずしも件数としては多くございません。ただ御承知のように、マイクロバスには多数の人が乗っておりますので、一件の事故が起きました場合に、死傷者の数が大きいということがございますので、お説のように、マイクロバスの運転免許につきましては、現在普通免許になっておりますけれども、これをさらに規制を強化してまいりたいということで考えております。大型免許にするか、二種免許にするか、あるいは現在政令大型という形の法律規制もございますが、政令普通といったような形で運転資格等を強化してまいりたいということで検討しておりますが、道交法の改正の機会には必ずやりたいと思っております。
○太田分科員 道交法改正の機会に変えようとおっしゃったことは、いわば普通免許でなくて、第二種免許にしようという、資格要件を営業車並みにしようということであろうと思うのでありますが、その道交法の改正の機会というのは近くあるのですか。 〔主査退席、橋本(龍)主査代理着席〕
○鈴木(光)政府委員 道交法の改正につきましては、今国会では予定しておりません。実はいろいろ道交法の問題点がございまして、現在大幅な改正を検討いたしておりまして、その一環としていま御指摘のような問題も含めて検討してまいりたいということで、今国会に提出する予定はございません。
○太田分科員 交通局長さんに、今国会に提出する意図がない法律の改正点にそれが一つ入っておるということを承ってみても、毎日朝晩のラッシュ時間に動いているマイクロバス、しかも、それは大都市周辺でありまして、必ず交通混雑の個所を運行しておる。しかも、そのマイクロバスには相当多数の方が乗っておる。それはタクシーの運転手を第二種免許でなくちゃならぬといったことよりは、さらに数等重大じゃありませんか、生命を預かっておるという分において。助手台に一人、二人乗せておるのとはだいぶ違うのだから、急ぐ必要はありませんか。
○鈴木(光)政府委員 法律改正による対策は先ほど申し上げたとおりでございますが、実は法律改正までの間に、行政指導といたしまして、全国のマイクロバスの所有者、事業所等も含めまして、それを調査いたしまして、その事業所あるいは所有者等につきましてマイクロバスの運転手につきましては、普通免許を持っておりましても、熟達した普通免許の保有者を運転手として雇用するように、あるいはそれを使用するようにという行政指導は強力にやっておるつもりでございます。
○太田分科員 熟練しておる普通免許を持っている運転手というのは、どういうことですか。何年かたっておるということか、事故の前歴がないということか。あるいは大型の経験があるということか。どういうことですか。
○鈴木(光)政府委員 普通免許で運転できることになっておりますので、普通免許を持った者でも、二年ないし三年の運転経験のある者、二年以上の運転の経験のある者という、大体大型免許の考え方で二年以上の運転経験を持っておる者、また、御指摘のような事故の前歴のないような者を極力雇うようにということで行政指導しておるわけでございます。
○太田分科員 それではさらに百尺竿頭一歩を進めて、どうせそこまで二年以上を経験をし、そしてまた、事故の前歴のない者というふうにしぼってくるとするならば、第二種の免許を持っておる者をなるたけ雇いなさいというように言うても、えらい違いはないと思うのですが、それはできないのですか。
○鈴木(光)政府委員 そういう言い方もあると思いますけれども、御承知のように、第二種免許というのは営業用の自動車で、この運転者が、平たいことばで言いますと、非常にひっぱりだこになっておるわけです。そういうことでなかなか第二種免許というものを雇うということはむずかしいような情勢にありますので、普通免許を持った者で、先ほど申し上げましたような資格のある者を極力雇うようにということで指導しておるわけでございます。
○太田分科員 そうすると、もうちょっと具体的な話を聞きます。こまかくて恐縮でありますが、たとえば、第二種でないが、二年以上経験をして、無事故の優秀であると考えられる運転手を雇ってマイクロバスの運転に従事させた。そしてその朝地方へずっと従業員を集めて回ってきて、そして工場の門に入った。それから先、帰るまでの間の運転手の勤務態様というのはどういうふうにあってしかるべきだというふうにお考えです。普通の仕事をやっていて、また帰るときには、さあ君、運転手をやりたまえ、オーライというようなことでやってよろしいのですか。それとも運転手であるということであるならば、その間に次の運転に支障のない程度の軽作業に従事させなければならないとかなんとか、その指導があってしかるべきだと思いますが、それはいかがですか。
○鈴木(光)政府委員 そこまでは指導しておりませんけれども、そういうような実態がありますれば、今後各府県の本部長に、そういうこまかい面にまで配慮した指導をさしてまいりたいと思います。
○太田分科員 いますぐに道交法の改正ができないということであるならば、マイクロバス運転手に対する、第二種の資格要件をきめたと同じ程度の効果のある行政指導をなさること、これを特に要望しておきます。いまのあなたのお話ではそれが可能のようでありますから御期待しますけれども、信頼しますけれども、ぜひこれはあまり軽視なさらないで、あなたの法の盲点でございますから、次から次へと大きな、大量の方が一挙に死傷されるというような事故が起きるということはあなたのほうの責任でもあるわけです。ひとつ大いに気をつけていただきたいと思います。 それから次は、これは総理府の長官にお尋ねいたしますが、通学路の安全を確保する法律というのは、四十二年度、四十三年度をもって終わりになるわけですね。そういうことでございますか。
○宮崎(清)政府委員 御指摘のいわゆる通学路法に指定いたします通学路の安全施設の整備は、四十三年度で一応終了するたてまえになっております。
○太田分科員 そうすると四十四年度はもう通学路のことは野放しでございますか。
○床次国務大臣 四十四年度からは新しく三年計画をもちまして、そうして道路交通の整備をはかってまいりたい。新しい法律をつくってまいりたい。 なお通学路に関しましては、従来に実施しておりますところの基準というものをさらに拡大いたしまして、そうして通学児童の事故を防ぎたいと思っております。具体的には、その基準の内容等につきましては政府委員から説明いたします。
○宮崎(清)政府委員 現行のいわゆる通学路法におきましては、通学路は、先生御承知のように小学校、幼稚園、育児所等の門から五百メートルの区域になっております。この通学路法に基づきます交通安全施設の整備につきましては、この両年度間におきましておおむね整備が完了したと考えられますので、今後は、従来と状況が変化して新たに整備しなければならない通学路とあわせまして、この五百メートルの範囲をさらに拡張いたしまして、五百メートル外の部分におきましてもできるだけ交通安全施設が整備できるようにいたしたいと考えております。
○太田分科員 これは長官、それぞれ地方の実情に詳しい方はおわかりですが、都市地域、市街地域におきましては、校門から五百メートルまでぐらいは大体において安全対策が講ぜられております。ところが一たび市街地域から離れますと、非常に交通のひんぱんなところでありましても、五百メートル以内にしましても整備されておる向きが非常に少ないのであります。でございますから、すべての小中学校、保育園、幼稚園等は、すぐそばに交通ひんぱんな道路があるならば、平面交差にしなくて立体交差にするために必ず跨道橋をつくる。それから、校門からその跨道橋なら跨道橋ないしは安全な側道に入るまでの間は新たに完全な歩道をつくる、防護さくのある歩道をつくる等の措置をすべきだと思うのです。こういう点はいかがでございますか。
○床次国務大臣 ただいまお話しの問題は、従来のような規格によりまして実施するというのでなしに、お話しのような実情に応じましてこれを実行するように努力いたしたいと思っております。
○太田分科員 ほんとうでございますね。時間がおそくなっていて、あなたのほうも早く片づけてしまったほうがよかろうという気持ちもあろうかと思いますけれども、長官のまじめな態度にわれわれは信を置きますからね。市街地域といわないで、その市街地区外の地域におけるところの学校の生徒児童の通学路に至りましても同じように配慮してもらいたいと思うのです。単に形だけの歩道ができておる、あるいはまた形だけの通学路といわれる道ができておるということでは私は困ると思うのです。魂を入れていただきたい。特にこの法律がなくなりますからね。本年度からもうなくなってしまうのですから、もう通学路はあれで終わりになるんだよということになりますと、これは私あとがたいへんだと思うのです。よろしゅうございますね、予算の面等におきましても。
○床次国務大臣 政府委員から補足説明いたさせます。
○宮崎(清)政府委員 通学路の距離につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、五百メートルにこだわらずに、さらにそれ以外の部分も整備いたしたいと考えております。 それから整備の基準でございますが、御承知のように現行法におきましては一つの基準といたしまして、その通学路を大体児童が一日二十人程度通学する道路であることと、それから午前七時から午後五時までの一時間当たりの平均の自動車等の交通量が五十台以上であるということが一つございますが、これに対しましては道路の状況、交通の状況、あるいは交通事故の発生状況等を勘案して、これにこだわらずに必要があれば交通安全施設の整備をすることになっておりますので、この基準は新しい三カ年計画におきましても同様に取り込みまして、弾力的な運用をはかってまいりたいと考えております。
○橋本(龍)主査代理 時間が参りましたから簡単に願います。
○太田分科員 これで終わりますけれども、高山におけるところの学童の集団死傷事故というのは、八人の通学団が、八人であるからというので対象外であったわけです。それが七人死んでしまったのですからね。一人残っただけだ。だからこれはそういう、何人とかいうふうに、人間の命というものを数でどこかで線を引くなんてことはなしに、今度の新たなる基準は非常に寛大な基準にしてほしいと思うのです。要望します。 終わります。
○橋本(龍)主査代理 広沢賢一君。
○広沢(賢)分科員 私は、公務員制度と官僚組織の問題についてお聞きしたいと思うのです。 まず、人事院にお聞きしたいのですが、この間国会職員の給与の問題についてお聞きしましたときに、行(一)の四、五、六が頭打ちになっているということを申し上げました。この頭打ちは国会の速記者ばかりじゃなくて、国税庁や教員に至るまで、公務員制度の中で大問題になっていると思うのです。その問題について戦後の人口構成の問題もありますが、人事院はどのように考えておるか、お聞きしたいと思います。
○渡辺説明員 お答え申し上げます。 行政職の四等級、五等級、六等級につきましては、御指摘のとおり高号俸者が相当ふえていることは事実でございます。ただ現在、公務員の給与は職務と責任に応じてこれをなすというたてまえでございまして、等級別に定められた職務を担当いたしました場合に、そのきめられた職務の等級の給与が支給されるわけでございます。したがって同一の等級に長く在職しました場合には、当然毎年一号俸ずつ昇給をいたしまして高号俸になる傾向は確かにあるのでございますけれども、それを打開いたします方法といたしましては、やはり俸給表そのものを考慮するというのが本筋ではなかろうかと思います。その意味におきまして、人事院も従来から四等級、五等級、六等級の中位号俸以上につきましては毎年相当の改善をはかってきております。ただ、御指摘のように終戦後の大量採用によります職員がそういう等級にだんだん参ってまいりまして、そういう人事管理上の要請もございますので、その点につきましては等級別定数の上でも可能な限り評価できるものにつきましては評価をいたしまして、定数の改定に努力をしているような状況でございます。
○広沢(賢)分科員 そこで、結局まあこれはたとえですが、若い人は、高校卒の方で——若くはないですが、二十七歳、八年の職歴を持っていて、それで手取りは、大体まあ目分量ですが、三万二千円ぐらい、本人が言っているのですから、これは税金差し引き。それで、今度は大学卒で、ことに東大出た人ですね。この方々は上級試験甲を通った場合なんというと一気にたったったったっと上がっていくわけですね。一年半で係長で二十三歳、四年で課長補佐、二十八歳ぐらいで課長補佐、これは五、六万円取っておる。で、五、六年たつと課長さんになったらなおさらざあっと上がるという問題がありますが、大体こういう事実は、この数字は当たっておるかどうか。もう一つは、これ不公平だと思いませんか。
○渡辺説明員 高校を出ました場合と大学を出ました場合に、何年かたちますと大体御指摘のような給与になろうかと存じます。正確には当たっておりませんけれども、大体それに近いものであろうかと思いますが、これは高校卒の場合には民間の初任給に合わせまして初任給を作定し、それから一年に一号上がっていく。その昇給間差額等につきましてもおおむね民間と合わせてきめてあるわけでございます。大学卒の場合には、上級甲でございますと七等級の二号俸というところで、試験が六等級を対象としております関係で、一年たちますと規定によって六等級の一号になります。その後一号ずつ上がっていくわけでございますが、その後係長なりになる場合にはまあ五等級ということでございますけれども、その五等級になります場合は、これは任用上そういう係長になるということが先行いたしまして、そうなった場合にあと給与の五等級というのがそれについて回るということになるわけでございます。その任用上だれを係長にするかということは、任命権者の権限と責任においてやることでございまして、その五等級になる給与上の最低資格その他は、高校卒と大学卒等でも給与の上においての差は別にきめておらないわけでございます。そのような意味で、給与の面では高校卒と大学卒と昇格の際に差別をするというようなことは一切やっておらないのでございますが、ただ、高校卒と大学卒の場合には、そういう試験の種類によりまして初任給が違うというところから、当然何年かたった場合にそういう差が起こるということはいまの体制上ではやむを得ないことでございますし、またそれは試験の性格上妥当なことではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○広沢(賢)分科員 やむを得ないと言いますけれども、これ民間で考えますと、八年つとめた人が四年つとめた人よりも半分の月給しかもらってないということになるんですね。しかもベースアップのときには御承知のとおり、率はとにかくとして、同じ率であっても絶対額はもうたいへんにはね上がってしまうわけですね、上のほうは。うんと取っている。そうですね。二千円と七千円の差ということになる。これをずっと続けているのと、もう一つは、これがかたくいまおっしゃったことと結びついているんですよ、指揮命令とですね、いわゆる職階制と。考えてみますと、いまの判定の基準は云々とおっしゃいましたけれども、これが重要なんで、人事院の規則でこの判定の問題とかなんとかいうのは——いま任用の方は来ていませんが、どういうように判定していくか。それは各省それぞれまかせだと言いますが、こういう不公平が当然だと思っているか、やむを得ないと思っておられますか、どうですか。
○渡辺説明員 ただいまの任用の際の判定ということでございますけれども、これはたとえば係長の場合で申し上げますと、だれを係長にするかという場合に、それに最もふさわしい人を任命権者の責任と判断において選考によってやるというのがいまの任用制度上のたてまえでございまして、その場合に五等級にするかどうかということは給与上の問題でございますけれども、その場合は六等級に現在たしか最低四年だったと思いますが、四年の在級がございますれば五等級にしてもいい。その場合には別に、大学卒であろうとも高校卒であろうとも、六等級に四年という数字は学歴によって相違はきめていないわけでございます。したがって給与上は何ら差別待遇はしているわけではございませんで、ただ問題は、任用上だれを係長にするかということはやはり任命権者の裁量と判断によって責任をもって選考されていくというような形になっているわけでございます。
○広沢(賢)分科員 軍隊を例にとっては変だけれども、元来行政組織というものを、指揮命令の階級的な区別と生活費を基準とする給料とをかたく結びつけるところにこの行き詰まりがきていると思うんですよ。中国の例をとるとみんな変な顔をするけれども、中国の軍隊というのは肩章も何もない。それでみんな給料は同じで、指揮命令をするときは厳格にぴちっと指揮命令系統はきまるんですね。つまりこれは民主的な組織、アメリカでも何でも、市民の組織から公務員が組織されたところでは、市民社会では大体そういうあれが残っているんですね、そういう気持ちが。そういう慣例があるのです。ところが日本の場合には非常にがんこな形で生活と階級的なあれが結びついて、それで任命権者がだれかわからないということで、これは重要な政治問題だと思うのです。 そこで、ちょっと私は読み上げますが、こういうことがいわれている。これは事実かどうか御判定を願いたいと思うのです。 戦前は「行政官たる特権官僚は高文をパスしたもの、外務特権官僚」——これに出ている名前は書いた人が言っていることで、私が言っているのじゃないんですよ。「外務特権官僚は外交官試験、裁判官、検察官は司法試験に合格したものが採用されたが、これら特権官僚は、特別にぬきんでて優遇された。同じ官僚でも、高文をとったものと、とらないものとのあいだには、決定的差別がつけられた。エリートである特権官僚は、二〇代で本省課長補佐、あるいは課長、出先機関の局長などの地位をしめ、実力のいかんにかかわらず、」これは重要ですね。「実力のいかんにかかわらず、エスカレーターのように出世街道をすすむが、一般の下級官吏は、五〇歳、六〇歳になっても、本省の係長のポストにもつけない」、二十年つとめて衛視が係長になれないというんですね。「という厳格な身分的差別があった。」ということだったのです。何も、能力のある人がどんどん選ばれるというのはいいんですよ。ところがその任用のしかたです。それが今度は戦後にいきます。戦後にいきますと、「この身分的特権官僚制だけは、あまり変化なくそのままうけつがれている。外交官試験、司法試験、上級警察官試験、国家公務員六級職試験に合格した官僚、とくに東大法学部出身者は、」ほかは違うのですね。医学部や何かはだめなんです。「特権官僚コースをひじょうにはやい速度ですすむ。」ということで、警察それから大蔵省のいろいろな例があがっております。国税庁に働いている人は、東大出以外だったらもう絶望的で、働く気がしなくなっちゃうというのです。何かいい提案をしようといったって、そんな気にならなくなっちゃうというのです。こういう行き詰まった形です。しかも、判定試験がいまないとおっしゃいましたけれども、判定試験がなくて、それで場合によっては結婚、財界のいい娘さんと——めっかちでもですよ、毛並みのいい娘さんをもらえば、それでもってエリートコースがきまる。これは能力じゃないんですよ。こういう点はおかしいと思いませんか。政治家として、官僚組織や何かよりずっとぬきんでて広い視野を持っておられる鯨岡さんにお聞きしたいと思うのですが、どうですか。
○鯨岡政府委員 お答えいたします。 初めに、大学を卒業したり、あるいは短大を卒業したり、高校を卒業したり、それぞれ分類して試験を行なっていることは御承知のとおりです。しかし大学程度であり、短大程度であり、高校程度でありますから、たとえば高校しか学校は出ていないけれども、自分で大学を卒業しただけの学力があると思う人はそれを受けることができるわけであります。現にそういう人もいるわけであります。そうして試験をした結果は、従来は東大の方のその試験に合格する率が非常に多いということは事実であります。そういうことで、その後も成績がなかなかよろしい。いま御指摘の法学部等の出身の方は特にそういうことがいえる、その試験の結果です、成績ですよ。ですから、いま御指摘のように、何かこう非常に能力があるにかかわらず出世できないというようなことは、実際上は、昔はどうか知りませんが、いまではそういうことはないというふうにわれわれは考えておりますし、だんだんとそういうふうでなくなってきつつある。もし御指摘のようなことであればたいへんだと思いますが……。 それから、特にいま御指摘の中で閨閥といいますか、結婚の状態等によって任用される、出世が早いというようなことはないものだ、あってはたいへんだ。もしそういうようなことが行なわれるということであれば御指摘のとおりでありますが、そういうものはない、こういうふうに私どもは考えているわけですが、いかがでございましょうか。
○広沢(賢)分科員 野性的な政治家として未来がある鯨岡さんにしては、官につくと全然変わっちゃうんですね。材料は幾らでもあるんですよ。ここに書いてあるんですよ。一々名前をあげたら差しつかえがあるから言いませんが、ことに大蔵官僚、それから外務官僚については、財界とのいろいろな関係について、ちゃんと名前が載っているのです。あるんですよ、実際上は。それはもう偽らざる事実なんです。いろいろうわさを聞いてごらんなさい。新聞記者の方や何かのうわさを聞いたらあるのです。 それで、結局判定の基準が、たとえば今度は通産本省を例にあげますと、通産本省で東大の法学部以外でなっている人というのはほとんどいないのです。よそを見てもわかります、大蔵省を見ても。これはずっと鯨岡さんお調べになるとわかりますが、結局これはちゃんと学閥、それから結婚閥、ばかりではないですがね、そういうようないろいろなつながりがぴしっときまっているのです。それであの吉田さんの毛並みがいいということばが日本でははやり出すのです。もちろん東大出の人で優秀な人はいますよ。だけど、そういうように世間一般が見ているということですね。これはたいへんな政治にとっての——国民が公務員組織、官僚組織に対する不信の念を持って、年がら年じゅう新聞で書いているのはそれなんです。 ことに重要なことは、結局そういうふうになって、任命権者がきちっと一ついて、あと公平な基準というものがない、判定基準がない、いろいろ審査するにもないという形になりますと、気に入られるために上ばかり見るのです。もう上ばかり見て出世主義がずっと蔓延するのです。それから事なかれ主義ですね。出世主義、事なかれ主義でもってそれが蔓延した場合には徳川時代の大奥みたいなものですよ。これは私が言っているのじゃないですよ。大奥だというのですよね。まさにいまの近代国家でもって、民主主義の国家で大奥があって、それが日本の権力の中枢にあったら、これはたいへんなことです。したがって、これについてやはりメスを入れなければならぬと思うのです。国民が納得するような判定の基準がなければいかぬと思うのです。いや、判定基準は各省でみんなそれぞれ担当してちゃんときまっていますというだけでは、これは納得しないと思うのです。英米の例もいろいろありますが、英米の例から見てどうか、そういうことについて今後御検討なさいますか。これは重大問題だと思うんですよ。
○鯨岡政府委員 もし御指摘のようなことがかりにあるとすれば、これはたいへんなことでありますし、国家の能率が落ちるわけですから、それはもう御指摘されるまでもなく検討しなければならないことであります。ただ、民間で、毛並みがいいとか、そういうようなことが行なわれているようにいわれているといま言われた。それは昔はどうであったか知りませんが、そういうことがいまでも言われるとすればまことに残念ですし、また多少言われているであろうことも私はわかります。しかしながら現在は、大ぜいの者が見ている中で、何か閨閥で上げるようなことをやれば、これはもうみんなからたたかれてしまって、実際上そういうことはできないのではないか。また、ないと言うと少し言い過ぎるかもしれませんが、こう言い直したらどうでしょう。だんだんとそういうことができなくなってくる、みんなが見ている目の前でそんなことはできなくなってくる。 それから、任命権者の責任と判断でやるとはいいながら、その基準は何かといわれれば、それは日常の勤務等を任命権者が見て責任をもってやるわけです。いまはそうやって、やっているのです。それでは何か基準があやふやではないか、諸外国の例等もとって、だれが見てもわかるような公正な基準というものを求めたらどうか。それができればまことにけっこうなことだと思います。そういう点については、御指摘もありましたのでなお検討してみたいと思います。
○広沢(賢)分科員 だんだん認めてこられましたが、一ぱい材料はあると思います。だから、いろいろ町に出ている官僚組織についての本をひとつ勉強されまして、人事院もそれは勉強されまして、それについて——英米の組織はその点では非常に民主的な点もあるのです。今度全逓の宝樹委員長が行って、公務員制度について全般的に調査をしてきた調査団の報告がありますが、格段の違いがあります。だから、それと比べ合わして、公平な人事、それから生活を基準とするいわゆる給料、それから指揮命令系統、これをどういうふうにやるか。全然切り離すというわけにはいかぬです。だけれども、やはり一段と前進しなければならぬ、そういう点でのくふうですね。きょうは人事院の任用のほうの方は来ていませんが、きょう来られたらそれをずっと聞こうと思ったのです。今後深めたいと思うのですが、抜本的にいろいろ私も御質問を続けますけれども、決意のほどをもう一回聞かしてください。
○鯨岡政府委員 行政の機能といいますか、能率というものがよくなければならぬことは言うまでもないことであります。これをよくするためには、やはりみんなが熱意を持ってそれぞれ働いていただかなければなりません。熱意を失うような制度であったとすれば、それはもうたいへんなことであります。これでいいということはございません。これでいいなどとはわれわれ一つも考えておりませんから、今後、もっともっといい方法があるとするならば、それらを十分に研究して、そして弊害少なく、いい制度というものを採用するのに少しもちゅうちょするものではありません。
○広沢(賢)分科員 さすがだと思います。それでこの問題は、もう言うまでもないですけれども、いま、東大はぶつつぶしてしまえという声が自民党の中からも生まれているのです。東大出の自民党の議員の方々でもそういうぴしゃっとしたことを言う方が多いのですが、それほど小さいときから学校を区別し、教育ママで、よく勉強しないとおとうちゃんみたいになっちゃうよというようなことで、出世主義でずっと育てられて、それでぎしぎしぎしぎしエリートコースを歩まされるというのでは、非人間的なコースを歩んでいるという、それが一つの社会の矛盾で、ああいう東大問題となって爆発するのですよ。したがって、この問題は、やはり根本的な問題だというふうにお考えになっていただきたいと思うのです。 それから、もう一つ、内閣人事局ができてからどうも公務員の組織の中で、いろいろごたごたが起きるというのです。私が経験したのは、通産省の前で賃金要求とか、そういうことの要求で集まっていたら、陰で写真をとっているということで、大騒ぎになったことがあるのです。写真を一生懸命とっている人は、これは国民の税金で給料をもらっている公務員で、しかも写真のフィルムは国民の税金なんです。物品費から出ていると思うのですよ。こういう形でやっているということは、非常にごたごたを起こす。それで、いろいろ追いかけていくと、各省の秘書課長の部屋へ入ってしまう、逃げ込んだということで、今度は秘書課長に各省でもっていろいろ聞きますと、どうもお目付けが来てうるさいので、ということで逃げ口上で、あのビラをはがせ、このビラをはがせということをやるのですよ。だから、また張ってしまう。そうすると処分だとかなんだとかという。前はそんなことはなかったのに、内閣人事局ができてからこんなことがやかましくなったということなんです。それから夏期休暇も満足にとれないということなんです。こういう点でも、秘書課長もおちおちいられないというのです。これじゃゲー・ペー・ウーじゃないけれども、あんまり行政組織、政治を明るくするものではないと思いますが、どうでしょうか。
○橋本(龍)主査代理 人事局長が参っておりますけれども、人事局長でよろしいですか。
○栗山政府委員 お答え申し上げます。 デモとかストとか集会が行なわれている際に、何か人事局のほうからそういうおしかりを受けるようなことがあるのではないかというお話でございますが、各省の大臣、長でございますが、国家行政組織法の定むるところに従がいまして、自分の部下の服務につきまして責任をお持ちのわけでございます。したがいまして、法律できめてございますいろいろの服務につきましてのもし違反があるならば、それは大臣が懲戒権を御発動になるというような組織になってございますが、人事局ができましたときに、総理府に、任務といいますか、それが一つ追加になりまして、国家公務員の人事管理に関する各機関、そういう各機関の方針、計画等を統一的にするために、総合調整をするという任務が与えられておるわけでございます。 そこで、その任務は、それでは総理府に書いてございますが、総理府の設置法の中でさらに人事局でそれをつかさどるというふうにおきめになっておるわけでございまして、各省、各庁、各機関が自分で責任をお持ちになっているものにつきまして、統一的な調整をわれわれのほうで行なうというかっこうに実はなっておるわけでございます。したがいまして、各省のそういう服務についてのいろいろおやりになっていることにつきまして、われわれのほうとしては、これの状況を把握するという必要があるわけでございまして、統一行動があるような場合には、全部ではございませんけれども、場合によりまして出向いていくこともあるわけでございます。原則としましては、各省から御報告をいただくというのが原則でございまして、場合によりまして、状況を拝見に参上するというような例があるわけでございます。そういうことでございまして、われわれのほうは、それを証拠とかなんとかということによりましてどうこうするというようなことは、毛頭そういうつもりは持っておらないということで御了承願いた いと思います。
○広沢(賢)分科員 人事管理の総合調整のために出向くという。相談に行くというわけですね。写真機を持って行っているのですよね。たとえばこういう場合はどうなんですか。B52撤去なんというと、これは人事管理上、公安職というか——公安といったらあれですけれども、人事局がいろいろ調べるのですか。B52撤去はいかぬ、これは政治問題だ。それから、その次に総定員法は首切りにつながるということを書いたら、これはいけないのですか。これは二つの例ですね。それからもう一つは、きょうは物価メーデーがあるという、そのときに、物価メーデーで佐藤内閣打倒というのを持って歩いていたら、ときたま隣にいて、そんなものをぱちぱち写真にとって、ああだこうだということは——これは基準がないですよ。全部基準がない。そうすると、さっきも一つ具体例で言いましたが、B52撤去と、沖縄の問題、それから総定員法の問題という問題について、どこまでなのか、お答え願いたいと思います。
○栗山政府委員 お答え申し上げます。 ただいま例を先生おあげになられましたのですが、いままで、私が就任いたしましてからの経験といたしましては、佐藤内閣打倒というプラカードをさげまして行進をしておったという例が、実は、これは総理府の前を通ったわけでございますが、ございました。国家公務員は、政治的行為につきましては、一番激しい例は、立候補をしてはいけないということ、やめなければできないことになっておりますが、それが一番激しいといいますか、極端な例としまして、ずっといろいろ、政治的行為をしてはいけないという政治的行為の内容につきまして人事院が規則をつくっておるわけでございます。したがいまして、一々の具体的な事例につきまして、それが政治的行為、つまり法の定める違反になるかどうかという点につきましての判定ば人事院が最終的に下すことになっておりますけれども、いまのような、佐藤内閣打倒といったようなことは、従来の例から見まして、特定の内閣に対する反対というような点から、政治的行為に当たるということになっておりまして、そういう行列が通ったような場合には、われわれとしましては、やはり状況ということで、写真をとるようなこともございます。しかし、すべての例にわたりまして、必ず写真をとれとかなんとかという命令は全然下しておりませんで、たまたま行っておる人が、これはとっておいたほうがいいというような判断に基づいてとる場合もあるというようなことでございます。
○橋本(龍)主査代理 時間がまいりましたから、締めくくっていただきます。
○広沢(賢)分科員 全くおかしいですよ。そうすると、佐藤さんの似顔をかいて、げんこでこうやっているところで、それで、物価値上げけしからぬと書いたら、これが打倒になるかならないかという問題があるのですよ。紙一重ですよ。これは一つの例ですがね。まして、B52撤去、沖縄の問題なんというのは、これは憲法で保障された国民の表現の自由。それについては、佐藤内閣打倒ということはどういう範囲のことなのかとか、ちゃんときめてみんなに知らせなければ始終もんちゃくが起きますよ。たとえば、極端な例は、大衆のためになる政治意識啓蒙の演劇、このプラカードを——プラカードというか、ポスターを組合の近くの食堂で張ったら、わあわあわあわあ文句を言われたなんというのです。だから、責任を持って、そういうトラブルが起きないようにしていただきたいのですよ。たとえば、政治的行動というのは、選挙に立たないことだ、選挙に関連することはやらないことだということを言われましたけれども、一つ例を言っておきます。これは名前はあまりあれですから……。たとえば、大蔵関係で立候補するということになりますと、税務署のいろいろな人やなんかが一斉に動き出すのですよ。すれすれまでも参議院選挙をやっているのです。膨大な国家機構を利用して税務署はやる。税務署というのはこわいですからね。警察よりこわいんです、あとでしっぺ返しがくるから。そういうところでぐいぐい締めていったら、それは票にはならないと思いますがね、人の心をつかまないから。しかしそういう形のものは大目に見られて、税金が高いとか物価が高いというような問題についていろいろ言う。B52撤去といったら日本の国を救う行為です。そういう問題についてとやかくやられると、とても片手落ちです。それじゃ困るんでして、やはり公平な判断基準、それからいろいろ、こそこそ写真をとって、それで何だと言われたら、たったったっと秘書課長の部屋に逃げ込むようなことをさせちゃかわいそうだと思うんです。そういう点のいい指導をお願いしたいと思います。 以上で終わります。
○橋本(龍)主査代理 田畑金光君。
○田畑分科員 しんがりに質問するわけでありますが、私は総務長官に沖縄の問題、それも基地の問題であるとかあるいは施政権の返還という高度な政治問題ではなくして、当面琉球政府が一番頭を痛めておる財政の歳入欠陥を中心とする問題点についてお尋ねしたいと思います。 長官もすでに御承知のとおりに、琉球政府においては税収の落ち込みによる六九年度の歳入減は、去る二月二十日調査によりますると、当初の予想よりもはるかに多く、歳入減千六百七十万ドル、こう見ております。すでに昨年の十二月に琉球政府の企画局では一千万ドル余の政府工事の執行保留を通達しておる。この歳入落ち込みが市町村の交付税のおくれとなり、市町村財政に深刻九影響を与えておる。また政府の事業の縮小が地方の行政や経済面に深刻な影響をもたらしておる。こういうことは当然政府としても御存じのはずでありまするが、なぜこのような事態になったのか、総務長官としてはどのように観察しておられるか、まずこの点を承りたい。
○床次国務大臣 お話しの琉球政府の財政の落ち込みの問題であります。十分な資料というもの、また琉球政府の意見というものを的確に持っておりませんが、今日までの状況におきましては、当初予算で編成いたしましたところの歳入に対しまして、その当時の経済状況とだいぶ状況が異なりましたために、租税収入におきまして減収が予想されるのと、一方歳出面におきましては、職員給与のベースアップ等によるところの人件費の増加並びに米国政府の補助の決定に伴うところの事業費が多くなってきて、対応費をよけい出すということになったと思います。その追加計上等のために予算補正が必要ではないかという財政状態になりまして、非常に琉球政府が困難しておるということを聞いておる次第であります。 なお、最近の琉球政府の財政経済状態は、どちらかといえば沈滞状況でありまして、所得税及び法人税の税収が減収しているのではないかということが想像されておるのであります。しかし現在琉球政府から申しますると、年度はちょうど半ばでありまして、三月期の決算の動向がまだ把握し得ない状態であります。したがって、年度全体としてはまだ見通しを確実に言えないのでありますが、相当苦しいことは聞いております。琉球政府におきましてもさような状態なわけでありまするから、現在は徴税に対して非常な努力をしまして、極力税収を確保するようにつとめておるようであります。なお半面におきまして、歳出予算におきまして効率的にこれを実施するという意味においての節約並びに執行繰り延べをいたしますと同時に、あるいは借り入れ金等も考慮して、そうして財政の均衡を得るという検討が行なわれておるように聞くのであります。政府といたしましても、お話しのごとく、財政が窮屈になる、また執行等の不能によるところの影響もありまするので、できるだけ補正予算の編成並びにこれに伴うところのいろいろの措置につきまして、琉球政府の事情をよく聞き、同時にこれに対して適正な指導を行なってまいりたい、かように考えておる次第であります。
○田畑分科員 いろいろ長官があげられましたが、このような財政状況になったという一つの理由は、やはり前政権のもとで昨年十一月に行なわれた三大選挙を焦点として、水増し予算が組まれたのじゃないかという見方も強く出ておるわけです。そのことはあたかも、たとえばいま本土においても解散含みの空気が流れておりますが、本年度のわが国の予算を見ても、これは解散を予定した予算だなという感じを持つわけであります。本土と沖縄との場合は経済事情その他財政事情が非常に大きく異なっておるわけですが、あの沖縄において三大選挙を意識した予算編成がなされておる。むしろ歳出に合わせて税収額をきめたのじゃなかろうか、こういう見方すら行なわれておるわけです。こういうようなことを考えてみたときに、いま長官がお答えになったような、ただ現地における予算の補正を待つというような態度だけで済まされるものかどうか。このことはもっと深刻に考えておく必要があろうと考えております。プライス法によってアメリカ政府から琉球政府に対する援助額というものがなされておりまするが、プライス法による援助額というものは六九年度幾らになっておるわけですか。
○床次国務大臣 千五百六十五万三千ドルになっています。これは若干変更いたしまして、実際の支出においてこういう形でもって援助を受けておるということであります。
○田畑分科員 長官御承知だと思いまするが、昨年度もプライス法に基づく援助、これは一応援助額はきまるけれども、御承知のように支出権限法に基づいて幾ら出すかということになるわけです。プライス援助法によって援助額がきまっても、実際の支出は支出権限法に基づいて出すから、そこにおのずから差が出てくるわけです。六八会計年度においても六百万ドルの援助額が当初期待したよりも不足したわけです。その結果、琉球政府においては予算の補正をやらざるを得なかった。そうして六九年度の税収を見込んで六八会計年度の予算の補正が事実上なされておる。このことは御存じのことだと思うのです。 本年度は、六九会計年度については、いまお話がございましたが、プライス法に基づく援助額は千七百五十万ドル、すなわち、五百五十万ドルことしは援助額がふえる予定であったけれども、その中から職員給与に充当すべき分百八十四万七千ドル、要すれば援助は減っておるわけです。プライス法に基づいた援助額が毎年支出権限法に基づいて、実際の支出額は減っておる。これはアメリカ側からいわすと、ドル防衛であるとかドル節約とかいろいろな名目でなされておるわけです。施政権者であるアメリカが、日本が毎年毎年援助額を拡大しておるのに対して、当然法に基づく援助額すらも出してない。これがやはり沖縄の今日の大きな歳入不足となり、それが財政運営に非常に大きな問題をもたらしておるということ、このことについて総務長官としては、ただ先ほどのような減ったという答弁だけでは、長官としての職責の遂行上問題があると私は思うのです。この点については、アメリカとどのような話し合いをなされておるのか。
○床次国務大臣 プライス法の会計に対しましては、できるだけ増額を期するように今日まで努力してまいったのでありますが、ただ毎年の実際の交付額において減少がありますことは、現実に沖縄財政に非常に影響がありますので、これはできるだけやはり予定の歳入をあげ得るように今後とも努力をしてまいりたいと思います。 しかし、本質的に申しますると、復帰も間近なんでありまして、私どもは、アメリカが増額しないということを考えるよりも、われわれの祖国の立場におきまして、積極的に援助費を増大いたしまして、そうして一体化を推進していきたい、かような考え方を持っております。
○田畑分科員 その最後の基本的な姿勢については、長官、私もあなたと同感です。だけれども、プライス法に基づく援助額をきめながら、しかも琉球政府はその援助が来るものであるという前提で予算を組んでおるにかかわらず、年度の途中に、常にそれが減額をされておるわけです。そのことは、その基本的な姿勢の問題とは別に、アメリカの施政権者としての当然の責任という立場からも、これは日本政府は強く、義務を果たすことは義務を果たしてもらいたいという要求をすべきじゃないか、こう思うのです。 さらにまた、ことしの大きな歳入欠陥の一つとしては、昨年まで油脂交付金という名前で、昨年は三百五十万ドル、要するに、石油の収益の中から油脂交付金という形で交付されていたわけです。それでことしは三百七十万ドル交付されるであろうという前提で、実は六九年度予算が編成をされておるわけです。ところが、——そうでもないんじゃないんですよ。私はちゃんと前政府の組んだ予算書も持っておりまするが、油脂交付金三百七十万ドルが来る前提でこの琉球政府の予算はできておるのですよ。ところが、実際今日来なくなったということも、これは大きな歳入欠陥になっておるわけです。プライス法のこの援助額の年度途中における減額といい、昨年まで交付されてきた油脂交付金がことしからストップされたというこの問題がまた大きな琉球政府の歳入欠陥になっておるんだ。このことは御存じであるのかないのか。——何かお二人の話ではそんなことはないと言っているが、ちゃんと載っておるんですよ。
○床次国務大臣 いまの御指摘の二つの問題が、やはり歳入の不足をさせるところの原因であるということは私も存じております。またそれが地元に対してたいへん迷惑をかけたということを感じておるのでありまして、やはり財政の確保の立場から見まするならば、予定されましたものが予定どおり支出されることが望ましいと考えております。
○田畑分科員 望ましいだけでは私は済まされないと思うのです。私は、日本政府の対沖縄政策というものは、予算その他については総理府が窓口であり、総務長官が責任をもって処理をなされておるわけでありまするから、その意味において——これは外交折衝ということになれば外務大臣ということにもなると思いますが、こういう問題については遺憾であるとか遺憾でないとかいう問題ではなくして、もっとアメリカに対して、たとえば日米琉諮問委員会等々において、あの運用の場所において、当然こういうような問題についてももっと掘り下げて、アメリカの態度については是正を求めるべきじゃないか、このように考えるわけでありまするが、この点どうですか。
○床次国務大臣 従来プライス法につきましては、予算額としては従来きめられますが、実際は支出命令でもってこれは支払っております。したがって、予算一ぱいに出すという慣例にはないのでありまして、その年そのときによって違って捻るわけであります。歳出予定と違っておりますると、たいへん迷惑を受けるということ、これはもう当然のことでありまして、できるだけそういうことのないように、私どもも要望いたしておるのです。
○田畑分科員 その点が、私が冒頭申し上げたように、プライス法というものによって援助額はきまるけれども、実際の支出は支出権限法に基づいて常に減額されておる。また、それが常に毎年琉球政府の財政の運用に非常な蹉跌をもたらしておるということを指摘したわけでございまするから、そういう問題等についても、これは大事な沖縄県民の生活につながる問題でもありますので、真剣に取り上げていただきたいと考えるわけです。 先ほど長官の答弁の中にもありましたように、そのような状況下にあるにかかわらず、すなわち、歳入欠陥がいろいろな原因で相当額にのぼっておるにかかわらず、長官のお話の中にありましたように、公務員の給与の引き上げの問題であるとか、あるいはまた屋良政権の成立に伴ってキビの奨励金を出すなどという新たな政策もなされておるようです。そしてまた申すまでもなく本土と同じように、人件費、物件費、諸要素の値上がりによってますます支出の増加が心要であるにかかわらず、いま言ったような歳入欠陥で、いまこれが琉球政府にとっては非常な問題になっておるわけです。この際、この窮状を打開するために、本土政府に対しまして琉球政府は資金運用部資金からの借り入れということを強く期待しておるということを私は聞いております。それができなければ、琉球政府においても赤字公債を発行しなければならない、こういうことです。赤字公債といっても、たとえば琉球銀行は御承知のように五一%アメリカの資本、あるいはまた沖縄銀行というのがありまするが、一体銀行に引き受ける余力があるのかどうか、こういうことを考えてみた場合に、沖縄の金融情勢その他等から見たときに、赤字公債発行などということは言うべくしてなかなか困難な問題だ、こう考えるわけです。そこで、帰するところは資金運用部資金の本土からの借り入れ、こういう問題になろうかと思っております。 そこで、私は長官に念を押したいのは、現地政府からそのような申し入れがあった場合には、日本政府としてはそれに対して善処する用意があるのかないのか。私はここにこそ先ほどの長官の答弁にいみじくもありましたように、本土との一体化政策を進めておるその基本姿勢に立つならば、資金運用部資金の借り入れ等については、当然善処するだけの用意があってしかるべきであると考えますが、琉球政府からしかるべき申し入れがきた場合には、長官としては、その意をくんで善処する用意があるかどうか、このことを明確にお答えをいただきたい。
○床次国務大臣 ただいままで、琉球政府が相当財政難で苦しんでおるという話は聞いておりますが、具体的にその善後措置等に対しましてどうするかということは、まだ琉球政府自体の意見もはっきり聞いておりません。ただ赤字ができたから、本土から預金部の資金を借りるということは私どもはできないと考えておるのであります。 なお、私ども今後の方針といたしましては、十分補正予算等に対しまして指導を加えてまいりたいと思いますと同時に、なお、先ほどのアメリカの援助金等も将来の歳入に見積もっておるということ、この点に対しましては、私は今後日本政府等の援助金の増大等も考えまして、やはり援助金のあり方というものについて、将来十分検討する必要があるのではないかということを考えております。 なお、今日琉球政府と本土政府との間におきまして、会計年度が半分食い違っておるわけです。こういうところも、いろいろ不自由な問題であるというふうに考えておりますので、こういうことの是正もやってみたならばどうかと思っております。 その他、事業費等につきましては、今日ちょうど年度半ばでありまして、なおなすべきことが多多あると思うので、事業繰り越し、あるいはその他の方法もあろうかと思いますので、そういうことをよく検討してまいりたいと思っておる次第であります。
○田畑分科員 私は、端的に、いま長官からいろいろなことをあげられておりますが、しかし、そのような努力はしてみたものの、二千万ドル以上の歳入欠陥といわれておるわけです。一億四千万ドルの六九年度予算に対して、二千万ドル以上の赤字が出、歳入欠陥があったとすれば、あなたのお話しのように、いろいろなことを節約をする、繰り越しをやる等々やっても、これはたいへんな問題じゃないか、こう思うのです。すでに長官あるいはお聞きであろうと思いまするが、沖縄で一番大きな那覇市の財政においても、年間一千万ドルをこえる予算でありまするが、すでに交付税が政府から来ないというようなことで、二月の職員の給与の支払いに行き詰まりを来たしておる、などというようなことも私は聞いておりまするが、先ほど長官の答弁の中にありましたように、琉球においては、六六年から六七年は経済の伸び率も一六あるいは一七%といわれておるわけです。なぜそんなに伸びたのかというと、それは軍用地の土地借り上げ料とかあるいはまた講和条約発効前の例の補償金の支払いであるとか、あるいはベトナム景気等によって相当経済が伸びた、こう名目的にはいわれておるわけでありまするが、昨年に入ってからは事態が一変してきた。アメリカのドル節約その他、最近は軍の発注も非常に減ってきて、したがって事業量が非常に減ってきた。これが沖縄の経済にも深刻な影響をもたらしておる。ことしの経済の伸び率は一〇%以下であろう、こういわれておるわけです。さらに、これは長官御承知のごとく、琉球政府の今日やっておる仕事といえば、たとえば裁判所の仕事であるとか、法務省関係の仕事、あるいは検察庁の関係、あるいはまた日本でいえば国立病院のようなところ等も全部、本来国の事務であるべきものも、この琉球政府の予算の中で組んでおるわけです。めんどうを見ておるわけです。国の事務と府県の事務をあわせ実施しなければならぬというのが今日の琉球の財政だろう、こう考えておるわけです。そういうことを考えてみますと、一億四千万ドルの予算規模に対して二千万ドル以上の歳入欠陥があった、そういうような事態にあって、これはどうしても日本政府に財投の借り入れを申し入れる、援助を仰ぎたい、こういうようなところまで来ておるので、日本政府にその意思があるならば、屋良主席もすぐ飛んできて日本政府に折衝したい、こういうことを私たちは聞いておりまするが、長官としては、そのような場合には善処するだけの用意があるかどうか。あなたの先ほどからの答弁を聞いておりますと、会計年度が日本と違っておるとか——それは技術的な問題でしょう。そうして昨年はたしか財投が二十八億ですか、ことしは五十三億の財投、これも日本の会計年度と向こうの会計年度は違っておるわけでありますが、それは技術的な問題として処理できると思うのです。この問題について、長官としては、そのような事態にあたっては善処するだけの用意があるかどうか。
○床次国務大臣 相当大きな赤字を出しておるから、これに穴埋めを貸し付けすることはできないだろうか、用意があるかというお話でありますが、今日の琉球政府の財政状態につきまして、もう少し数字を検討しなければならない。そうしてみなければ、これは用意があるとはちょっと申し上げかねる状態であります。 なお、計数の詳しい問題につきましては、局長から御説明申し上げます。
○山野政府委員 ただいま御指摘いただきました琉球政府の財源不足の問題でございますが、いまお話がありましたように、歳入の欠陥で、約二千二百九十五万ドル程度の歳入欠陥が予定されております。一方また、歳入の増加も三百万ドル程度ございまして、さらにいま長官からお話がありました公務員給与の引き上げとか、あるいは失対事業等の経費増加額が百二十万ドル程度予定されておりまして、大体約二千百万ドルが財源不足額と一応見積もっておるわけであります。ところが、琉球政府のほうで、運営費の節減あるいは事業費の節減等を合わせまして、七百六十五万ドル程度の節減を考慮しておるようであります。そして一方、琉球政府の資金運用部からの借り入れ金も四百万ドル程度可能であるということでありまして、現時点におきまして、不足額は大体九百三十四万ドル程度だろうといわれておるわけであります。しかし、いま長官からもお話がありましたように、現時点におきましてはまだ約半年ばかり残っておるわけでございます。したがいまして、税収入の見積もりにつきましても、まだ相当期待できる分野が予想されるのではないだろうかということを私どもは考えておるのでありまして、その他、いま明年度の予算編成期でございまして、したがいまして、沖縄の下半期の経済動向なり歳入の努力なりあるいは適正な運営なりによって、この規模はまだ相当縮まっていくだろうということも考えられるわけでございます。したがいまして、いまの時点で、いま御指摘いただいたようなことを想定しつつ対策を講ずるということを考える時点ではない。私どもとしましても、ひとつ琉球政府に十分協力して、歳入歳出にわたってよく指導申し上げて、そうして適正な予算運営ができるようにしてまいりたいと考えております。
○田畑分科員 長官、いまの局長の答弁を聞いておりましても、結局一千万ドルぐらいは不足だ、こういうことになるわけですね。二千百万ドルの財源不足、そうして節減その他いろいろなことを講じて、七百六十万ドルは何とか琉球政府の努力でその歳入欠陥を埋めよう、四百万ドルは琉球政府のみずからの財投の中から借り入れをしよう。なおかつ九百三十万ドル、これが不足しておる。要すれば約一千万ドル財源が不足しておる。こういうことなんですね。日本政府から、財投、財投というけれども、結局これは向こうの財投に貸すんでしょう。別に援助というからといって、ただやるんじゃなくして貸しているわけですね。貸しているわけですよ、これは。すでにことしの二月二十五日から沖縄に財投で貸したものは、二年据え置きで、そして利息ば六分五厘で返済を受けておるわけで、もうすでに本年の二月二十五日から第一回の償還が始まるわけですよ。そういうことを考えてみたならば、私も実はそんなものじゃないと思っていたら、実際財投というのは向こうの財投に貸し付けて、二年据え置きで、そうしてもうすでにことしの二月二十五日から第一回の償還が始まるわけですよ。こういうことを考えてみますと、技術的な問題はいろいろ述べておられまするが、実際、私がお尋ねしていることは、年度途中であるが、現実に補正予算を組まねばならぬ。いまそれで四苦八苦しておるわけです。ほんとうに一体化政策を進めるとするならば、日本の一つの県でしょう。県が、アメリカから当然来るべき援助が来ない、その他いろいろな事情で基地経済にたよっておるという矛盾と、そして基地経済に依存していた沖縄の経済が、いま一つの大きな壁にぶつかったというのが現実にあらわれておるわけですよ。こういうことを考えたならば、そういう官僚的な答弁ではなくして、もし真に向こうがみずからの努力をやってみたが、ほんとうにこれだけはどうしてもひとつ日本政府の借り入れに仰ぎたい、こういうことになったならば、長官、あなたはそれだけの好意を持って努力をなさるべきだと私は思うのですが、琉球政府から、諸般の努力をやったがなおかつ困難な事態に立ち至ったので、ひとつ日本政府、協力してくれ、こういう要請があるならば、あなたは受けて立つだけの心がまえがあるかどうか、この点だけひとつ親切にお答えを願いたい。
○床次国務大臣 日本政府の財投計画は、すでに今年度予算でもって決定しておることは御承知のとおりであります。したがって、さような事情でございますので、琉球政府でもって調べて、そして赤字だからすぐ差額、足らないところを貸してくれというお話でありまして、これではなかなか困難だと思います。琉球政府のあり方自体につきましても、もっと本土政府といたしましてもよく指導いたしまして、内容等も見きわめまして、そして対策を考えるべきだと思っておる次第であります。本土の府県と同じようにと申しましても、なかなか本土府県が足らないからすぐ赤字融資をするという状態じゃない。この点につきましては琉球政府の財政もいろいろ特色を持っております。したがって、さような事情を考えながら、善後措置を私は指導してまいりたいと、広い意味において申し上げておる次第でございます。
○橋本(龍)主査代理 締めくくりを願います。田畑金光君。
○田畑分科員 時間も来ましたので、私はこれでやめますが、私の申したいことは、特にひとつお考え願いたいのは、予算——日本政府の財投計画もきまっております。十分承知しております。だけれど、四十四年度の予算で二百二十七億の援助をする。その中には五十八億の財投が入っておる。だから最終的には、その中から前貸しするというか、融通してやるというようなことも、技術的に何らかの方法があり得ると思うのですね。そういうことも考え得ると思うのです。そういうようないろいろなことが想定されるわけでありまするが、ひとつ相談があったならば、長官としても、やはりそういう不親切な答え方ではなくして、もっと前向きに善処するくらいの気持ちで取り組んでいただきたい、こう思うのですが、別にことばじりをとらえてやるんじゃなくして、もっと誠意をもって努力なさったらどうかと言っているのです。
○床次国務大臣 いや、十分誠意をもって検討いたしたい。ただ足らないから埋めてくれ、それで、埋めましょうというのでなしに、現在の財政状態等につきまして、もっと根本的にもいろいろ検討すべき問題があります。また対策も地元で考える以外にいろいろあるべきではないか。そういうことにつきまして、十分私ども検討いたしまして、そうして善処いたしたい、かように申し上げている次第であります。
○橋本(龍)主査代理 これにて昭和四十四年度一般会計予算中、内閣、防衛庁及び経済企画庁を除く総理府所管に関する質疑は終了いたしました。 明日は、午前十時より開会し、文部省所管に対する質疑を行なうことといたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後八時五十六分散会