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61回国会衆議院1969/02/17

予算委員会 第13号

発言数
153
登壇者
17
会派数
2
開催日
1969/02/17

会議録

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行ないます。村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 きのう、各党のテレビ討論会を聞いておりますと、官房長官が言われるには、今国会における物価論争がきわめて低調である、こういうような発言があったようであります。そこできょうは私、社会党の物価政策の基本方針の上に立ちまして、物価の問題にしぼって関係担当大臣にお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  そこで、まず大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、物価安定推進会議の、財政金融政策と物価との関係についての提言がございました。これをあなたはどういうふうに受けとめておられるのでございますか。といいますのは、大蔵大臣の今回の財政演説の中には、物価に対する見方といたしまして、総需要の問題を取り上げて、従来の物価に対する構造政策の問題から一歩前進をした形のものが打ち出されておるやに私は見るのであります。そこで大蔵大臣の所信をまずお尋ねをしておきたいと思うのでございます。  それと、この際やはり菅野経済企画庁長官が物価担当の所管大臣でございますので、あなたが二月の七日に衆議院の物価問題等に関する特別委員会においてあいさつをなさいました。その中には、従来から経済企画庁がとってまいりました、いわゆる物価というのは高度成長のひずみであり、そしてその中における構造的なものが物価政策として必要なんだ、こういう一貫した思想であります。だから総需要に対する問題についてはあなたは提起をされていないのであります。したがいまして、そこに明らかに大蔵大臣と経済企画庁長官の食い違いがありますから、この点について経済企画庁の考え方はどうなのか、この点をまず明らかに願いたいのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 物価問題につきまして、物価問題懇談会との間に私は考え方の食い違いはないと、かように考えております。つまり、物価問題は一方におきましては構造的要因、つまり生産費的要素、それから他方におきましては需要供給、これは個々の需要供給の問題もあります、同時に国民経済全体としての総需要総供給、こういう問題もありまするが、そういう需給のバランスの問題もある。この両々の面からこの問題に取り組んでいかなければならぬ。これは物価問題懇談会が指摘しておる、そのとおりのことでございまして、私との間に意見のそごがある、さような考え方はいたしておりませんです。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 ただいま大蔵大臣が述べられたとおりでありまして、物価上昇の根本原因としてはやっぱり構造上の問題だと考えております。が、しかし、財政金融上からもこの物価との関係は決して少なくないのでありまして、そういう点においては、財政金融上からもこの物価の問題についてはそれぞれ適当な対策を講じなければならぬという点においては、大蔵大臣も同じ考えでおられると存じておる次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 菅野長官、大蔵大臣はそういうような感覚で所信を表明をしているのですよ。あなたは二月の七日に、私もその特別委員の一人なんですから、その席においてあなたが述べられたものを拝見をいたしました。ここに持っております。その中において、総需要の上から見た物価政策の必要性という問題について、あなたはどこに触れておいでになりますか。触れておいでになるのだったら、そこを読み上げてください。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 そのときの御質問の趣旨に対しては、総需要の問題については私は触れなくてよいと思っておったから触れていませんが、しかし総需要と総供給との間の関係というものは、これは物価の問題においては重要な関係を持っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 大臣は私の質問を取り違えておいでになる。いままで経済企画庁は物価担当の庁として仕事をやられたけれども、その主眼はやはり構造政策というものが柱であった。ところが物価安定推進会議のほうから、その構造政策だけでは追いつくことができない問題があるという指摘がなされて、そしてそこにいわゆる総需要の立場から財政、金融、税制、さらに産業政策、そういうような問題をこの際掘り下げてやるべきだという提言があったんですよ。その提言を受けて、大蔵大臣はそういう立場で財政演説をしております。ところが、あなたは質疑に対して答えたのじゃありませんよ。これはあなたが長官としてあいさつをされたのですよ。あいさつをされたということは、これは施政方針なんです。物価政策はこういうふうにしてやりますというふうにあなたは特別委員会に提示されたのですよ。ところが、それには何も書いてないじゃないですか。だから、そういうような構造政策を柱にする物価政策があなたの主流であって、需要政策、そういうようなものについては、総需要の立場から物価という問題についてメスを加えるということについては、あなたはこの中でもあいさつをされないということは、そういう考え方をお持ちなんでしょうと聞いているわけですよ。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 もちろんこの物価という問題に対しては総需要ということが重要な問題であります。しかし、今日までの日本の消費者物価に対しては、総需要という問題よりも構造上の問題が主であるということを私は述べたのであって、それはもちろんお話しのとおり、総需要すなわち財政金融の問題、これは考えなければならぬし、今後については、特に私はこの点については留意しなければならぬ、こう考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 では長官、あなたのいま言われたことは、この前のあいさつは不十分である、だからそのこともあわせて次の特別委員会等において追加説明をする、こういうふうに受け取ってよろしいですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 私は、その後物価安定推進会議などにおきましても、この金融財政上の問題については、物価の問題についてこれから注意しなければならぬということは述べておるのでありまして、従来そういう点にはあまり重要視してなかったかもしれませんが、今後は私はそれを重要視していかなければならぬということを、特に私自身は痛感いたしております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 重要視しておられるのだったら、これは第六十一国会ですよ、二月の七日ですよ、そのときにあなたがこれを読まれる、あいさつをされる中に、重要視している内容のものが入っていなければおかしいじゃありませんか。だから、あなたが書き改める意思があるのかないのかということを私は聞いている。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 その問題は大蔵大臣が特に考えておられることは十分承知しておりますから、したがって、私としては、私からそれを言うまでもなく、大蔵大臣からすでに言われたことと存じておりますからして、しいて私のほうからそれを言わなくてもよい、こう私は考えたのでありまして、私自身がその気持ちを持ってないという考えは全然ありません。それはもちろん物価という問題を論ずる限りにおいては、総需要という問題は当然考えなければならぬ問題ですからして、その点は、金融財政上の問題は大蔵大臣が担当されておることでありますからして、したがって私どもの来年度の財政経済の見通しの中にも、財政上からも考慮するということを述べておるのでありますからして、それで大蔵大臣がやはり財政政策、予算政策においてもそういうような観点で予算を編成された、こう私は考えておる次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 どうもあなたの答弁は歯切れが悪いですよ。  この際お尋ねをいたしますが、物価は構造政策では対処できないわけですか。それとも構造政策の推進が不足をしておったところに今日の物価の問題があるとお考えになっているのですか。どちらです。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 今日の物価の問題についてのおもなる原因は、構造上の原因だと考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 それは私も同様に思うのです。構造政策というものが柱に立つべきだと思います。総需要、特に金融政策あるいは通貨供給の問題等は補完的なものである、こういうようなとらえ方をして差しつかえないと思う。しかしながら、あなたはやはり構造政策というものが——物価安定推進会議のほうでは、これはそれだけじゃ解決ができないから総需要の問題にもメスを入れなさいと提言をしているのですよ。  そうすると、あなたは柱だということは言われたけれども、いままで進めてきたいわゆる構造政策が、これが行き詰まってきたとお考えになっているのか。それともそういう構造政策はなお不足をしている、だからその面を中心にやはりやらなければならないと、どちらなんですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 それはもちろん、今日までの物価上昇の原因は構造上の原因でありますからして、したがって構造上の問題については今後とも一そう、いままで以上に政策上について留意しなければならぬ、こう考えておる次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そうしたら、いわゆる構造政策については限界があるのではない、やり方が不十分であった、不足をしておった、この考え方にお立ちになるわけですね。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 もちろん構造上の問題について、これがいままで完全なものであれば物価は上昇するはずはないのでありますからして、したがって構造上の問題についてそこにいろいろのひずみが生じたというところに物価上昇の原因があるのでありますからして、これは繰り返しこの構造上の問題については、政府が特に注意してやるということを言明いたしておる次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 あなたは答弁されていないのですよ。私の質問は、いわゆる構造政策は限界がありという立場に立って物価安定推進会議は提言をしております。しかしあなたの答弁を聞いておると、それは限度があるのではなくて、構造政策が不十分であったんだ、だから、これからも構造政策を柱にしてやっていくんだ、こういうふうにとらえておるんだということでありますかと聞いておるわけですから、それであるならばそうだ、後段のとおりだとおっしゃればけっこうなんです、それについてまた続いて質問しますから。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 構造上の問題について限度があるというわけじゃありません。やはり不十分な点だって、なお一そうこの問題については政府は力を入れなければならぬ、こう考えておりますが、しかし今後の物価の問題については、財政金融の面から、総需要の面から考えなければならぬということを推進会議でも提言されたし、私もそう思っておる。いままでは構造上の問題ばかりをやっておったが、そうではいかぬ、財政金融の問題をあわせて考えなければならぬということを私は特に感じた次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 どうもやはり混迷があるようであります。その問題については、逐次これから内容的に私があなたに追及をしてまいりますから、後ほど御答弁をいただきます。  この際、やはり需要政策、その中におけるいわゆる物価と通貨政策、これについてメスを入れるべきだという提言がございます。そこで私は、大蔵大臣に次の経済指標を中心にして、あなたはこれについてどういうふうにお考えであるかということをお尋ねしたいと思うのであります。  それは一九六一年を基準年度にいたしまして、六七年の平均増加率を調査をいたしてみますと、これは日銀の統計局の四十三年の五月ですか、日本経済を中心とする国際比較統計の中からの数字でございますから、私きのう政府委員室のほうには連絡しておきましたから、大臣もおそらくその数字をお持ちであろうと思います。その中で経済成長率は年率実質一〇・四%、それに鉱工業生産指数は一二・九%、通貨供給高は一八・四%、卸売り物価が〇・九%、消費者物価の上昇率が五・七%、賃金は一〇・四%。だから一九六〇年を一〇〇といたしました六七年の指標は、経済成長率が一九九・三、まあ二倍です。鉱工業生産は二三二・四、通貨供給高は三二二・五であります。卸売り物価は一〇六・五、消費者物価は一四七・六、賃金は一八一という指数でございます。この指数の上から見て、今日までの通貨政策、金融政策というものは正しかったと、あなたは振り返ってお考えになりますかどうかということをお尋ねをいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 通貨政策は常に財政政策と一体として運営されなければならない。その財政は国の需要の面の調整に当たり、また金融は、これは主として民間設備投資その他民間の需要の調整に当たる、このようにして、国の総需要と総供給とのバランスをとらなければならぬ、こういう立場に置かれておると思うのです。御指摘の、一九六一年、これは高度成長の第一年度に当たるわけであります。その後日本の経済は非常な力で発展したわけでございまするが、その間国際収支と物価、これにどういう影響を及ぼすかということが問題点だったろうと思うのでありまするが、国際収支は、でこぼこ、山谷はありながらも、今日までは順調に来ておると思うのであります。ただ物価の面に若干残念な点が見られると思う。つまり、これだけの成長をするのですから、三%やそこいらの物価、これはまあやむを得ないにいたしましても、今日五%をこえるような物価上昇である。これは何としても是正しなければならぬ問題であり、これは成長の高さとも非常に関係のある問題である、かように考えています。  いま、経済が、好景気の四年目に当たるわけでありまするが、この好景気周波の出発点である昭和四十一年、この年におきましては、物価が非常にいい調子であった。二年度もいい調子であったわけです。三年度になってちょっと狂いが出てきた。この間公債政策が初めて採用された。この運営というものについて政府は非常に注意を払ってきたわけでございまするが、(村山(喜)委員「時間がなくなるから簡単でいいです」と呼ぶ)まあ大観いたしまして、やはり経済政策というのは、これは病気であるかどうかということは、まあ脈搏、呼吸というような関係にあるのは国際収支と物価だと思う。物価の面に若干ひずみというものが出てきておる、こういうふうな見方をいたしておるわけでありまして、その他におきましては大体順調に政策は遂行されておる、かように見ております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 大臣、お尋ねいたしますが、今日まで日本の金融政策というのを振り返って考えてみますと、あなたも安定成長論者だという評価であります。表面はそうだと私は思っておるのです。実質はどうか、これから福田財政がどういうふうな行くえをとるかわかりませんけれども、今日まで高度成長期に入りましてから、日本の金融政策というのは一体どこを目安にして運営をしたのだろう。私は振り返ってみると、まず第一に国際収支の均衡、これを目標に、卸売り物価の安定をするんだ、こういう次元でとらえてきて、持続的な成長政策の通貨供給を行なってきたのですね。そのことはあとから数字で証明ができます。しかし、消費者物価を安定をさせる引き締め政策というのをやられたことがございますか。それはかつてなかったと私は思うのですが、いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 たとえば昭和四十四年度の予算を見てみましても、財源は自然増収が一兆二千億あります。これに対しまして、この際大いに社会資本の取り戻しをしなければならぬ、これは大いに使いなさい、こういう要請もずいぶんあるわけです。それをあえてしなかった。しなかったゆえんのものは、総需要を縮減をしておかなければいかぬ、物価の問題というものが四十四年度においては何としても解決しなければならぬ問題である、そういうふうに考えたからでありまして、そういうような考え方は過去においても何回か採用されておる、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 それはこのごろあなたがそういう財政運営をやっておられるということの証明にはなります。しかしながら、消費者物価を安定をさせる金融政策というものを、意識的に目標をそこに置いておやりになったことはないのですよ。それはあるという学者があったら、またあるという説を立てる人がおったら、ひとつ紹介を願いたいのです。それはいままでないのです。ないところに、今日、現金通貨は大体私は経済成長のそれに見合って成長通貨が供給されたと見ます。しかしながらこれは、預金通貨はそれよりも指数が一〇〇も上回っているのですよ。四二四という指数になっている。五八年を基礎にしてやりますと……。それに対して現金通貨は三二三です。それでも高いのだけれども、預金通貨はさらに高い。ところが、この席で北山委員の質問に対して大蔵省の銀行局長は、結局その回転率の問題がそこにはあるのだ、こういうようなことで説明をしておられるのですが、私が調べた一般通貨性預金の回転率は、これは六十六年を最低にいたしまして、六十七年、六十八年とずっと上がってきている。回転率も上昇をし、しかも通貨預金残高がふえていく。その中においてなぜそういうような形になったのだろうというメスも加えなければならないし、御承知のように通貨が滞留をする仕組みがいま日本の経済金融政策の中にあります。日銀のオーバーローンだってそうですし、国債なりあるいは政保債のオペレーション、買いオペの問題だってそうです。あるいは貸し出し手形の操作の中においても金融的なものがあることは事実ですよ。そのような形の中において通貨を、信用を供与していく姿が、日銀だけでなくて市中銀行においてもずっととられておるわけですから、経済の成長に見合う成長通貨であるならば、これは私は必要だと思う。しかしながら、それをオーバーしていくような情勢がいま日本経済の経済指標の中にあらわれている、私はこのことを指摘をしたいと思うのです。  そこで、福田大蔵大臣も——今度ニクソンのブレーンになりましたシカゴ大学のフリードマンが言っておりますように、新通貨数量説ですか貨幣数量説、この立場に立って、アメリカのインフレはいままで通貨を供給し過ぎたところに問題があるということを指摘をしているわけですね。だから日本の財政をあずかるあなたとしても、この通貨政策というものについては、ここに物価安定推進会議のほうが提言をしておりますように、メスを加えるべきときがきたと私は思うのです。その意味において、今後あなたは、やはりメスを加えてそれを正しいものにしていくのだ、こういうような立場をおとりになる意思はございませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私は、昭和四十一年度に公債が採用されたその当時、その責任的な立場にあったのですが、そのときも力説をしておるのです。つまり財政が喚起する総需要と、また金融が喚起する総需要との総和、これが常にバランスをとりながら発展をしていく、そこに日本経済が谷間がなく堅実に伸びていく基盤というものがあるのだ、こういうことなんですね。私は今度また大蔵大臣になった。その当初から、財政の問題も非常に大事だ、しかし同時に金融の問題を忘れてはならない、いま日本銀行を通ずる金融の調整能力というものが非常に低下しているように見受けられる、これではいかぬ、やっぱり金融政策を通じて国の総需要というものを調整し得る能力、機能というものを持たなければならぬ、これを持つことが今後日本の経済を発展させる上において非常に大事であるということを実は力説をしておるのです。全くただいま村山さんのおっしゃられることと同じような気持ちでいま政策の運営に当たっておる、かようにお考え願います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 この問題への立場は、あなたが言われるその気持ちと私たちが言う気持ちとは若干の違いがあると思うのです。というのは、私たちはいまのインフレ的な政策を押えていきたい、通貨供給の増大による信用インフレというものを押えなければならぬ、そういう立場に立っているのです。  そこで、いま具体的な問題として、もう一つだけあなたにこの際聞きたいと思いますが、四十二年度も、そしてけさの新聞によりますと四十三年度もそうでありますが、法人企業は、企業収益というものは非常によくなってきました。ところが自己資本比率は逆に低下しておりますね。その中で企業間信用というものが非常に急上昇をしている。買い掛け金の総資本に対する比率は三〇・九%という、十年以来この方初めてそういうようなウエートを示しました。一方、株価は上昇をしておりますが、発券市場である公社債市場は、これは御承知のように日銀が七十二億の融資をしてささえなければならないような状態でしょう。しかも八分八厘から八分九厘でなければ利付金融債は売れないわけですよ。だから資本の調達は公社債市場においてはできないですね。社債発行もできない。だからそれを順送りに送っているじゃありませんか。そういうふうなようにして、車の両輪のごとき株の価格の問題と公社債市場におけるそういうような直接資本の調達がうまくいかない。片一方だけは肥大化して、片一方のほうは日銀のほうから融資をしてささえてやらなければならないような状態になっている。これは国債発行をあなたがおやりになった以前からの問題です。それが今日なお依然として悪くなる一方の方向に進んでいる。それをあなたはそういうふうにお認めになりませんか。そうなると、大体八分八厘から九厘というのは、これは世界的に高金利の時代に入っているわけですから、その高金利の時代に即応した需要と供給の関係が金融市場においてあらわれているんじゃなかろうか。その金利が上がるということは、それだけ今度は物価にはね返ってきますから、この面についてあなたはどういうような改革をしようというようにお考えになっているのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいま御指摘のように、わが国の資本市場また公社債市場は、まだ非常に成育不十分でございます。ことに公社債市場に至りましては、はなはだしく立ちおくれておる、かように考えております。そういう点がただいま御指摘のようなアンバランスを露呈しておるというふうにも考えますが、公社債市場また資本市場の育成、これには今後とも大いにまだ努力をしなければならぬ。日本の資本主義機構というものが諸外国に非常に立ちおくれてスタートをしておるものですから、それを代表しておる、その中心におるこれらの市場の機能が立ちおくれておるというのはそこからきておると思いますが、これから日本が努力しなければならぬその問題の重点である、さように考えております。  ただ、私が特に非常に残念に思いますのは、そういうものも影響しておると思いますが、ただいま御指摘のように、企業の資本調達がどうも借り入れ金に片寄り過ぎておる、企業の自己資本、借り入れ資本、このバランスがだんだんと悪くなりつつある、これを私は非常に心配しておるのです。私は常々、家庭にもたくわえがほしい、また企業も蓄積を持つようにしたい、こういうふうに考えておるのですが、そうなかなかなってこない。それは一に、いま日本の経済の発展の速度が激し過ぎる、そこにあると思うのです。で私は、この三年間の一二、三%に及ぶ実質成長はどうも少し高過ぎて、いろいろなひずみを引き起こしておるが、ただいま村山さんが御指摘の、そういう企業経営の面にもひずみを起こしているのはそこにある、こういうふうに考え、まあ非常にむずかしい問題でありますけれども、これからの経済運営にあたりましては速度をあまり早くしないように、まあ一〇%以内にとどめるようにということを念願しながら運営に当たっていきたい、これがそれらの問題を解決するかなめになっておるのじゃないか、実はそう考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 自己資本比率が十年この方一七・五%というところまで下がったのです。しかし、これにはまだ問題があります。減価償却を十分やっていない法人の所有にかかわる土地、そういうようなものの再評価益金が自己資本の中に挿入されておりませんから、それまで入れたら二二%以上になるのです。だから、そういうような面については、もっとメスを入れなければなりませんが、それにいたしましても、やはり外国に比べたら依然として低いのです。そこら辺は借り入れにたよったほうがコストが安いからそういうようなことになっているんで、もう少し公社債市場の問題は、根本的に、株価だけが異常に高いという状態で推移するのではなしに、もう少し考えないと、いまの付加価値の中における利子、割引料の割合は一五%以上なんですから、これはたいへんな問題だと思うのです。そういうような点でひとつ今後もう少し金融政策の面にメスを入れていただきたい、これだけお願いをしておきます。  そこで、次の問題です。予算の問題ですが、大蔵省は物価関係の予算は幾らだということで資料をお出しになりましたか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 資料は、要求資料として出しております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 予算委員会に「物価対策関連予算表」として、整理項目としては七ですか、お出しになっております。これを累計をいたしますと、一兆三千七十九億、間違いございませんか。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○鳩山政府委員 お答え申し上げます。  物価関係の関連という意味で表をお出ししてございますが、たしかこれは表を合計すればさような数字になるかと思います。私どもこれがたとえば道路費であるとか住宅費とか、そういうものがみんな入っておりますので、まあ関係があるという意味で全部お出ししたわけでございます。したがって、総計が幾らであるということは、これはわれわれとしてはお出ししなかったつもりでおるわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 菅野長官、経済企画庁は、物価関係の予算は幾らだとお出しになっていますか。私はここに持っております。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 政府委員からお答えさせます。

八塚陽介経済企画庁国民生活局長

○八塚政府委員 私どものほうも、衆議院の物価特別委員会に資料をお出しいたしました。ただ、先ほど主計局長が言われましたと同様な意味で、総計というものは出しておりません。  それからその物価関係予算であるというふうな考え方において主計局とは若干考え方の必ずしも一致してないところがございますが、これは物価予算をどう見るかということでそういうことになったわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 この総括表をいただいて、私は計算をしてみましたよ、簡単ですから、これは足し算をすればいいのですから。経済企画庁が物価特別委員会で出しました「四十四年度物価安定対策費の概要」、これによりますと、四千二百十六億四百万円、これは新聞にだいぶ大きく出ました。ことしは物価対策に思い切って予算がつけてあるということで、各新聞社はそれを大きく取り上げたんです。ところが、この予算委員会には、大蔵省はまた輪をかけまして、一兆三千七十九億円でございますという資料を出している。一体、物価担当の経済企画庁が四千二百十六億円、大蔵省のほうはいやそんなちっぽけな数字じゃありません、一兆三千七十九億でございます。これで、あなた方政府は物価対策を進めていくということをおっしゃるが、そういうような食い違った数字、資料を出しておいて、はたしてそれができますか。どっちです。——これは長官だよ。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○鳩山政府委員 私ども資料の要求がございましたのでお出ししたのでありますが、物価問題に対しまして、構造対策というものがどうしても大事になるわけであります。そういうことで、物価に何らか関係があるというものを摘記したのでございまして、したがって、総計が一兆三千億というようなものは、私どもとしては外部にそういうことをことさら言っておることはないつもりでございます。したがって、道路とかあるいは食管会計に対する繰り入れというようなものは、非常に大きな金額でありますが、これは物価に関係があるといえばあるわけでございます。この食管会計繰り入れというものを企画庁は物価対策に計上しておりませんが、私どもはそういうものを入れてある。それから道路の問題につきましても、交通対策が重視されておりますので、私どもは一応掲げてございますが、それをもって物価に非常に力を入れたから道路関係をふやした、私どもはそういうふうには考えておりませんが、一応掲げたということでございます。そういったことで、企画庁の数字とは大きな点ではそういう二点、こまかい点ではいろいろお出しした数字の中身に違いがございますが、そういった趣旨で御了承いただきたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 どうもあなた方は、物価は最重点政策であると言いながら、最重点政策らしからぬ資料を提供をしておられるのですよ。いまも鳩山主計局長が言われたが、一体食管の繰り入れ三千億に及ぶところの——おおよそ三千億ですね、この食管繰り入れというのは、物価対策ではないんだというとらえ方を経済企画庁はしているとおっしゃる。なるほど資料を見てみると、そういうようなのはありませんわ。そうしておいて、土地改良、これは千百八十一億、土地改良は物価対策でございますと出しておる。干拓事業も、これまた百三十三億ですが、これも物価対策でございますと出している。農用地開発事業も物価対策でございますと出している。そういうようなものが物価対策であって、食管の繰り入れの三千億というのは物価対策ではないんだ、こういうような資料をあなた方はお出しになる。一体大蔵省の資料とあなた方の資料と、どっちをほんとうにして論議をしたらいいんですか。これはどういうふうになるのですか。——委員長、答弁が詰まっている間、持ち時間を延ばしてくださいよ。

八塚陽介経済企画庁国民生活局長

○八塚政府委員 物価予算としてどういうものを考えるかということについての問題かと思いますが、私どものほうは、やはり現在の消費者物価の中できわめて大きい影響を持っておる農水産物の低生産性の改善ということが、これはもちろん直接的ではございませんけれども、非常に大きな問題であるということで、特に掲記をいたしたわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 菅野長官、いま八塚国民生活局長が答弁をされました。それを聞いておって、私が質問をしているのに十分な答弁をしているとあなたはお考えになっておりますか。あなたはやはり長官としてその責任がありますよ、こういうような資料を出してわれわれに説明をされているのだから。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 経済企画庁のほうの予算は、大体直接的な物価対策費を計上しておるわけであって、主計局長の説明は間接的なものも含めておる、こういう説明をされておるのでありますからして、したがって、経済企画庁が計上しておる数字は、主計局長の説明された数字の中へは入っておるわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そんな詭弁は私、聞きたくないのですよ。あなたは直接物価に関係のあるものが入っているのだとおっしゃるけれども、私はこれを全部分析してみた。四千二百十六億の半分以上、二千四百六十八億二千万円は低生産部門の生産性向上のためのものなんで、ストレートな物価安定のものではありませんよ。いま申し上げたのは、農業の近代化のための経費じゃありませんか。  農林大臣、あなたは予算を国会に提案されたときに、土地改良の資金は物価安定のために必要だということで出されたのですか。干拓はいかがですか。それが物価安定にどうしてなるのですか。一体そういうような考え方で農林行政をおやりになるんだったら、何のためにあなたは農林行政をやられるのか、私はわけがわからぬと思うのだが、それはどう考えられるのですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 農業事業の基盤整備等、またこれらに関連するものについては近代化を推進していこう、こういう考え方でございまして、近代化を推進すれば、先ほどの答弁のあったような、結論として物価というものの安定にも資するだろうという考えではなかったでしょうか、こういうふうに考えます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 それは、風が吹けばおけ屋がもうかるという仕組みですよ。あなた、そういうようなことをぬけぬけと言っちゃいけませんよ。もう少し正直にお答えなさい。  物価安定は、いまの関係閣僚の意見を聞いておると、全く統一した見解としては示されていないと私は思う。そうしておきながら、テレビの前では、野党の諸君が物価政策について追及が足らないといって、しゃあしゃあとして国民の前に言っている。まことにけしからぬ態度が、この皆さん方が出した物価政策の中じゃありませんか。これは統一した資料をお出しになりますか、いかがですか。これはだれが答えてくれるか。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 経済企画庁長官、しっかりした答弁をしてください。だめです。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 いまのお尋ねの件でありますが、たとえば農業上の問題でも、先ほどから私が申し上げましたとおり、物価の問題は構造上の問題だ、だからして、その構造上の問題を解決するためにいろいろこういうような経費を出しておるのでありますから、したがって、この物価の問題に対してそれだけの費用だということは、私は説明してよいと思っております。ただし、それは直接物価に影響がないと言われればそれはそうかもしれませんが、しかし、この構造をよくするという意味でやっておるのでありますから、直接的ではありませんが、しかし、構造上の問題で物価対策と、こう説明して私はいいと考えております。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 ちょっと待ってください。大蔵大臣、ひとつこの問題についてあなたの見解を表明してください。はっきりしないといけません。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 予算の中で物価対策的なものはどういう経費かということは、ただいま企画庁長官からお話がありましたように、これは程度の問題で、いろいろ見方の結果違いが出てくると思うのです。ですから、何なら一定の基準をきめてその程度をきめ、それによりまして、こういうものがあるという資料を後刻出して差しつかえございませんです。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 私は、やはり現状をいかに認識をするか、そしてそれをどのように分析をして、どういう角度から物価政策というものは進めるのかということをきめなければ、内閣の統一ある見解とは言えないと思うのです。あなた方が言われる中で、一番端的な問題として私が指摘をした、一体その食管繰り入れというのは物価政策なのかどうなのかということを追及をしても、経済企画庁は、資料として出しておる中にはそれは入っていないのですから、それはいわゆる物価対策ではないという見解をお持ちになっている。ところが、大蔵省は、それは物価安定に役立っていると考えているに違いない。そうして土地改良は、おまけに干拓まで、それは物価政策でございますとあなたは言っている。そんなことで、統一ある見解として国民の前に明らかにするあなた方勇気があるのですか。もう少し閣内の統一をやって、物価は佐藤内閣としてはこういうふうにやりますということをなぜ提示しないのです。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 食管関係は、これはもちろん物価と関係がある予算であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 物価に関係があるということを、関係がないという資料を出しておきながら、しゃあしゃあとしてそんなことを言ってもらっちゃ困る。だから、これについては統一見解を示してもらいたい。——理事会で処理してください。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 食管会計は物価に関係がありますからして、それを食管会計の問題は主として大蔵省のほうの所管だという意味で私のほうでは計上しなかったのでありますが、そういうお尋ねの問題でありますから、それでは統一して物価対策の費用を計上いたします。あらためて計上いたします。   〔発言する者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 ちょっと待ってください。村山喜一君に申し上げます。  ただいまのあなたの御質問に対して、政府の統一した見解を午後の会議までにはっきり提示をいたします。  そこで、経済企画庁長官並びに大蔵大臣に申し上げますが、必ず、いまのような答弁でない、はっきりした答弁をお願いをいたします。よろしゅうございますか。   〔「その期間質問できますね。質問の機会をつ   くりますね」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 いや、はっきりした見解が出ればそれでいいでしょう。   〔「納得できなかったら質問できますか」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 納得できなければ、納得できるように説明をさせます。よろしゅうございますか。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 委員長が納得できるように説明をさせる、私の気持ちの上に立ってですね。それは委員長として責任をお持ちであれば、委員長に私はまかせます。しかしながら、それを聞いて、どうもそれについては納得ができないということであれば、私は委員長に発言の時間をいただきたいと思う。いかがですか。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 村山君に申し上げますが、その点は納得できるように説明をさせます。よろしゅうございますか。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そのことは保留しておきます。  そこで次に、私は具体的な内容についてさらに詰めてまいります。五%の内容であります。いままで予算委員会やその他の委員会で聞いておりますと、五%というのは、これは非常にむずかしいけれども政策目標としてやるんだというような発言内容に変わっておるようであります。ところが四十三年度は、四・八%のその見込みを立てましたときには、げたばきの分が三%だ、残りが一・八%ありました。そこで、それが結果的には五・四%に上がったわけですが、その間げたばき以外を除きますと二・四%。四十四年度は五%の中にとどめたいということで努力をされるんだが、それはげたばきの分は幾らになるんですか。  この前、横山利秋君が十二月の第六十回国会で追及をしたときに、この点について明らかになっておりません。だから、前に大蔵大臣は、そのげたばきの分は去年よりも低いから、残りの余裕が去年より多い、だから何とかこの中におさまるのではなかろうかということを私の質問に対してお答えになったことがある。福田大蔵大臣、あなたですよ。そこで、その五%は、その中身は一体どうなっておるのか、これを明らかに願いたいんです。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 げたばきのお尋ねがありました。げたばきは大体が三月末にならなければはっきりした数字が出ないのでありますが、しかし、大体五%についての内容については、政府委員から説明をいたさせます。

八塚陽介経済企画庁国民生活局長

○八塚政府委員 まず、げたの件でございますが、先ほどお話がありましたとおり、昨年は四・八%の見通しを立てましたが、そのときのげたは先ほどお話があった数字でございます。  本年の状況はいま長官が申し上げましたように、最終的にまだ三月の数字が確定いたしておりませんからはっきりは申し上げられませんけれども、昨年が三・二のげたでいったのに対しまして、いまのところでは二・七か、そのあたりになるだろうと思います。ただ、げたについての考え方は、一つは、これはもうもちろん御承知のことだと思いますけれども、いわゆる下期の騰勢というものがその次の年に非常に響くという点において、非常に意味があるわけでございます。そういう意味におきまして、本年はげたに関する限り、数字に関する限りは楽でございます。楽でございますが、それだからといって、非常に楽だということにすぐ裏返しにはならない。ただやはり三・二と二・七というのは、かなり違う意味を持つというふうに考えます。  それから、来年度五%の見通しでございますが、これも御承知のように、私どもいろいろな、三百二十幾つの消費者物価のアイテムがあるわけでございますが、それを一つ一つ全部積み上げるというわけにはもちろんまいりませんが、やや大ぐくりにそれぞれの品物をくくりまして、そして動向を見るわけであります。それにいたしましても、確実に生鮮食料品なら生鮮食料品、あるいは野菜なら野菜の来年の見通しをつけるというのは困難でございますから、全部が全部正確であるというわけにはまいりませんけれども、多くの品物をやりますと、やはりプラス、マイナスで大体当たっていく。そういうことで、一つは積み上げによる検証をいたします。なお、過去のトレンド等をも考慮をいたすわけでございます。そこで五%は、昨年の暮れからいろいろ作業をいたしまして、かなりむずかしい数字であろうというふうにはなりましたが、決して目標として達成できない数字ではないというふうになったわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 これは政策努力によって四十三年度は努力を一生懸命したのだけれども、事実上そのげたばきの分を除いて二・四上がったわけですね。ことしはげたばき分が二・七ですから、これを五%におさめるためには、政策目標で二・三だけ上がるように、それ以上上がらないように努力をすればいいということですから、去年と同じくらいの上昇率にとどめたらおさまるわけですね。おさまるけれども、いろいろ答弁を聞いておりますと、いわゆる国鉄の運賃の一五%値上げ分は、〇・一八%物価の上昇に影響がある。それで、これは関連まで入れたら〇・二ないし〇・三ぐらいまで指数は上がるかもしれません。しかし、それを入れると、どうも五%というのはむずかしくなってきた、五%内に押えることは困難になってきたと菅野長官はこの委員会において述べておいでになります。とするならば、あとの二%程度は、何がどういうふうに上がるから、それをどこでどのようにおさめようとしておられるのか、その数字を明確にしてもらわなければ、五%の範囲内にとどまるかいなかということについての政策論争ができないと私は思うのです。だから、その二%というものは一体何か、それをどこでどのようにおさめていくのだという具体的なあなた方の政策を提示願いたい。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 五%以内に押えようと思いますと、いまお話しのとおり、鉄道料金は値上げをしますからして、それがあるいは〇・二%の影響を及ぼすと存じます。しかしながら、五%以内に押えようと思えば、たとえば農産物などその他の生鮮食料品が高くなった場合には、安い食料品を海外から緊急に輸入するという政策があります。それからまた、生産性の高い品物で、それが商品の価格があまり下がらないというようなもの、これは売り値を安くしてもらうというような考え方があります。それからもう一つ根本的な問題は何であるかと申しますと、私は、いま一般日本国民が持っている消費者物価の上昇のムードです。ムードを消すことが大事であって、そこでそのムードを消すためには、まずいままでの物価の騰貴が政府の主導型であるというようにいわれている、政府が公共料金を上げるから物価が上がる、こういうようにいわれておりますから、したがいまして、鉄道料金以外の公共料金は上げないという方針をとったのでありまして、それによって消費者物価の上昇のムードを押えていく。ムードを押えることが先決問題だ、こう考えておりますので、そういう意味で、予算におきましても、できるだけ物価抑制の予算を編成してもらうし、そうしてまた一般国民も、物価は上がらないというムードをひとつ国民の間に自然と植えつける。それがためには、公共料金を上げぬということが先決問題でありますからして、したがって、いま申し上げましたとおり、鉄道料金以外の公共料金は押えるという方針をとってきた次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 私は経済企画庁長官の話を聞きながら、まことに遺憾に存じます。というのは、今日消費者物価がやや上がらない形になっておりますのは、野菜、生鮮食料品がたいへんな下落をしているんですよ。私は二、三日前に郷里に帰りましたが、帰ってみましたら、二十キロ入りの白菜が、ビニールの袋の中に入ったのが三十円しているんです。一キロ一円五十銭ですよ。そしてニンジン、これはここに手紙が来ておりますが、ニンジンがふろしき一ぱい包んで五十円だ、ジャガイモ、バレイショが二十個で十円だと書いてある。こういうような暴落ですね。百姓はもう全く元気がありません。そういうような人たちのおかげで物価がやや鎮静をしているんですよ。ですから、そういうようなものを織り込んで考えていきますと、いまあなたが、物価が上がったら海外から生鮮食料品を入れるんだ、そんな程度で答弁をされたって困ります。あなたのところで、長期的に見たら、海外から食料を入れるのは割り高につくという研究発表がなされているようじゃありませんか。私はそれを見ておりますよ。そういうようなこともお考えをいただかなければ、ただ海外から入れたら物価が下がるというような時代はそう長くは続かないのですよ。ですから、そこら辺をもう少し考えていただきたいのでありますが、あなたはまだ私の質問に対してお答えになっていません。  その二・三%のうち〇・二%は、これは国鉄運賃の値上がりで、しようがありません。これは認めたらそうなるでしょう。しからば、あと二・一%の差があります。二・一%の中に、物価を安定させるという努力をどういうふうにして政策目標としてお持ちかということをお尋ねしている。それを提示願います。ムードでは解決できません。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 物価の上昇というものは、これは需要供給という原則がもともとはありますけれども、今日の物価というのは、価格というのは需要と供給の問題だけでは解決できません。そこでいろいろの原因が、ほかの原因が加わってきておるのでありまして、したがいまして、この物価の上昇の問題も、そういうムードがあるときには物価は上がります。がしかし、一たび何かの都合で政府が政策をとりますと一ぺんにその物価が下がるという例は、決していままで少なくないのであります。でありますからして、そこで私としては、物価上昇のムードを押えるということが先決問題それは公共料金がその原因だというようになっておりますからして、公共料金をまず押えるということで、政府が公共料金を押えることにいろいろ今日苦心をいたしておるのであります。  そこでまた、ことに物価上昇の原因になるものは、たとえば消費者米価です。消費者米価が上がったときにはあとでやはり物価が上がっております。でありますからして、そこで消費者米価だけはことしは押えようということで、政府がそういう方針を定めたのであります。したがいまして、消費者米価を押えることによって、私は一般物価の上昇も押えることができるのじゃないかということを考えておるのであります。そういうあらゆるいろいろ手を尽くして、五%以上にしないように政府が努力するということを皆さんに申し上げておる次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 五%の範囲内に物価をとどめるというのはムード政策だ、佐藤内閣はムードしか持っていない、こういうことが明らかになってきたように私は思うのです。それが間違いであれば、では、二・一%の範囲内にとどめるための政策をここでお示しを願いたいというのに対して、あなたは抽象的な答弁だけしかなさらないところを見ると、何もお持ちになっていないということが明らかじゃありませんか。だから、そういうようなたよりのない物価政策をやっているところに物価を軽視する佐藤内閣の性格がある、私はそう思う。いかがですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 今日までの物価上昇の大勢からいきますと、このままほっておけば、あるいは来年度物価が五・五%以上になると思います。それをぜひ政府の努力によって五%以内にしたいということで考えておるのでありますからして、そこでまず公共料金を押える。鉄道料金だけは上げましたけれども、それによって波及すべき私鉄の運賃などは押えるというようなことで、他の物価に影響を及ぼすようにはしないという方針を定めておるのであります。したがいまして、それらの努力によって私は五%以内に押えられるという確信を持っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 あなたは、きょうは、五%以内におさめ得る確信を持っておるといまおっしゃいましたね。この前までは確信がないとおっしゃった。きょうはあるとおっしゃる。そこには何らかの根拠をお持ちであなたはそういうようなことをおっしゃっているのだろうと思いますが、いかがですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 四十四年度の経済の見通しを立てるまでは五%程度ということを私は申し上げたのであります。四十四年度の予算の見通しが大体できましたから、そこで五%ということをはっきり申し上げておる次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 わかりました。  ではお尋ねをいたします。経済社会発展計画ですね。これはいままたあなたは修正をされておるようですが、作業中だと聞きますが、その中に物価は三%におさめるのだという目標がありましたね。これは下げられるんですか。その政策目標は残されるんですか、お取りやめになるんですか。この点を明らかに……。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 最終年度において三%にするという目標を掲げておるのでありますが、それは私は困難だと考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 いまその三%は困難だ——これにはいわゆる組み合わせがありました。実質成長率八%、そして物価は三%、これが最終年度における経済社会発展計画の目標として示されておった。だから私は、ことで佐藤内閣はそういう政策をお持ちであれば、三%に至る筋道を国民の前に明示を願いたいということを言いたかったのです。ところが、もうすでにあなたは困難であるということでお投げになった。ということは、ああいうような経済社会発展計画をつくって国民の前に提示しても、政党として、内閣として責任も持ち得ないのだということを言われたのです。それであなたはいいのですか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 これは、たびたび私が申し上げておりますとおり、計画は、これは見通しでありますからして、共産主義国のようにちゃんと計画生産をやっておれば計画どおりにいきます。がしかし、自由主義の日本でありますからして、その計画どおりいくということは考えられない。がしかし、できるだけ計画は正確を期したいというつもりでやっております。  で、経済社会発展計画というものは、たびたび申し上げますとおり、昭和四十年度の最も景気の悪いときの数字を基本にいたしておりますからして、したがって、大体がすべての見通しが甘かったということは、これは私は申し上げてよいと思います。したがいまして、私が経済企画庁を引き受けたときに、この発展計画はやり直す必要があるということで、補正をするという方針を定めて、いまこれからその補正の仕事にかかろうといたしておる次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 私は、やはり今日資本主義の政党であろうが、そこには計画的な見通しを持った政治経済が行なわれなければならない時代だと思うのです。この点は、そういうような長期的な見通しなしに一国の財政金融政策を進め、産業政策を推進をしていくことは不可能だと思うのです。だから、今日そういうような高度な資本主義の発展段階にきているわけですから、その中において、あなたは非常に重要なことを言われる。その三%というのは、もう見込みがないのだ、とするならば、成長率は一〇%程度続くということを頭の中に置いていらっしゃると思う。そのときには物価はやはり五%程度は上がらざるを得ないという構想を頭の中に描いていらっしゃるのではなかろうかと思う。その三%達成はどういうような——前はワク組みがありました。今度は一〇%の高度成長というものが続く、その中における物価安定だということになれば、経済のフレームワークをですね、新たに組み直そうということでしょう。どういうふうに組み直すのですか。三%はもう目標を捨てた、こういうふうに受け取ってかまいませんね。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 それは先ほど申し上げましたとおり、四十二年度に策定したところの経済社会発展計画というものは、その後の実勢が違ってまいりましたからして、したがって、その後の実勢をまた基本として、新たというと語弊がありますが、新と申しますか、補正をした計画をこれから立てようといたしておりますからして、また、その内容についてはこれから問題になるのでありますから、一〇%になるかならぬかという見通しもまだはっきりいたしておりません。したがいまして、消費者物価も三%になるか五%になるか、その点もまだこれから計算するのでありますから、したがって、おそらく私は半年以上、その基礎の数字を計算するについてもかかると思いますからして、いまここで成長率は何ぼだとか、消費者物価は何ぼ上がるというような返事はできません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 まさに、政府の経済見通しというのはさっぱり合ったことがない。もう天気予報以上ですよ。だから年末につじつまを合わせる作業ばかりやっている。一体、今度もGNPの伸びが九・八%の実質にとどまるという見方をしているのは佐藤内閣だけですよ。ほかの金融機関やら経済界の見通しは、実質成長率が一〇%を割るという見方をしているのはどこもありませんよ。これは五%の範囲に物価をとどめる、その上に立ってそういうような計画をつくったとしか私たちには思えない。金融引き締めが行なわれないのに、民間の設備投資が去年よりも五%も落ちるのですか。輸出の伸びが、これが去年の半分にしかならないのですか。一体、そういうような世界の情勢が現実にあるとあなた方は見ているのですか。そうなってくると、最近の機械の受注の見込み、その増減関係から見ても、民間の設備投資が去年よりも六%も八%もダウンをするような、そういうような情勢であるということの立証ができない。あなた方の、こういうふうになるであろう、こういうようにしなければならないという願望的な、政策的な願望を込めたものが今度の経済計画ではありませんか。それは、そういうような見方をするのが間違いだとあなたが言われるのだったら、説明を願います。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 民間の調査は、政府が四十四年度の経済見通しを立てる前にしておるのであります。したがって、公共料金もすべて上がるという見通しのもとにやっておるのでありますから、したがって政府の見方とは違っております。  それから、来年度におきまして世界の貿易が鈍化するということは、先般のOECDにおきましても、そういう見解をOECDの事務当局はじめ、各国ともにそれは言っておったのであります。でありますからして、その点をわれわれ考慮いたしまして、来年度の下期においては貿易その他の経済の発展が鈍化するという見通しを立てて、したがって四十四年度の経済見通しを立てた次第であります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 この問題については、あとでまた追及をする機会がありますから……。  しかし、鈍化はするでしょう。鈍化はしましても、四十三年度の輸出の伸び率が二四・二%あったのが今度は一一・八%しかないということは、いかにも、あまりにも低く見過ぎておるという印象をみんな抱きますよ。あなた方はこれが普通だとおっしゃるけれども、そんなにはなりません。大体、輸出弾性値の問題等を考えてみましても、海外の景気の状況を見てみましても、そんなに急激に落下するような情勢ではない。私たちの見方のほうがやがて正しいことが立証されるでしょう。  そこで経済企画庁長官、最後にこの点だけをお尋ねしておきます。  五%というのは、それはいわゆるげたばきの分もある、公共料金の国鉄の値上げの分も計算ができる、しかしながら二・一%の残ったものについて、このワクの中におさめることができるとあなたはおっしゃった。おさめるための具体的な政策は、予算的にどのように裏づけをされ、どの項目についてどうするんだという細目の案はない。それでよろしゅうございますか。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、物価上昇の根本原因は構造上の問題でありますからして、その構造上の問題を解決するためにいろいろ予算をとっておる次第であります。先ほど局長が申し上げました数字はそれを含んでおるわけでありまして、そういうようなことを極力実行することによって物価を押えることができる、私はこう考えておる次第です。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 具体的には、構造上の政策ということで逃げられました。これについては、どういう構造政策があるかということは物価の特別委員会で追及をいたします。  具体的には、私が予算を見、今日までの経済企画庁の取り組む姿勢の中では、具体的にこの部門についてこれだけのウエートを占めるから、このウエートをこれだけに押えていくというための政策目標というものは全然ない。いままでかつてそういうようなことをやったこともないのですから。だから、そういうようなことは、国民を欺くものに結果的にはなるということだけ指摘をしておきます。  大平国務大臣、あなたにお尋ねをいたします。  先般、二月の四日、高田委員に対しまして、質疑応答がございましたその際に、アメリカ向けの自動車の価格についてあなたが数字で述べておいでになります。それからカラーテレビについてもお述べになりました。私がこの新聞によります発表を——去年の十一月の二十六日のこれは新聞です。当時、NHKのほうでもテレビで放送をしておりましたから、なるほどそうかといって国民が受け取りましたのは、こういうことであります。アメリカのほうが、日本がダンピングをやっているというので、それに対する日本の家電関係のメーカーのほうが二%分だけ引き上げる、その二%上昇した分が、白黒テレビであるならば、その分が一ドル、カラーテレビであるならば、それが三ドルに該当をする、引き上げることになりますと書いてある。テレビでも盛んにそれを報道いたしました。そこから計算をしてまいりますと、白黒の場合に、あなたは十九インチが二万一千六百円だとおっしゃった。しかし、この計算方式でやりますと、これはもっと安いはずであります。これは五十ドルですから一万八千円になるはずです。それからカラーテレビの場合は二%値上げをした。ダンピング問題に対処するために二%輸出テレビの値上げをした。それが三ドル分に該当するのですから、それを引き直してみると百五十ドルです。百五十ドルということは、カラーで五万四千円です。そちらのほうの新聞やテレビで報道した価格のほうが間違いであって、あなたが言われたその二万一千六百円と六万四千円、こちらのほうが正しいのですか。いかがでございます。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 この間、高田委員の御質疑に対しましてお答えいたしましたのは、私どもの調査の数字を申し上げたわけでございますが、いま新聞によって計算された数字との格差についての御質疑でございますが、ちょっと調べさせていただきます。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの白黒とカラーテレビの輸出価格についてでございますけれども、平均いたしまして、白黒テレビのほうは五十一ドルで輸出いたしております。それからカラーテレビのほうは百八十三ドルでございます。これは平均でございます。したがいまして、先ほどの新聞の一ドルないし三ドルというのは、この辺の数字を基準にして出ておる解説ではないかと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 五十一ドルということは一万八千円ですよ。——一万八千三百六十円ですか。結局この前通産大臣が言われたのは一九インチのことで言われたのだということです。まあ、それで数字が合ったことにしましょう。  この中でカラーテレビの問題を取り上げますと、いま現金定価というのがあります。それから現金正価というのがあります。それから割引をしますから割引正価、これは名前は何とつけたらいいのかわかりません。現金定価というのは、メーカーがこれだけで売ってもらいたいという希望価格が現金定価だそうです。そうして現金正価というのは、小売り店が売るいわゆる表示価格が現金正価。そして実際はそれよりも割引をして売りますから、割引正価とでも申しますか、そういうふうになっている。割賦のほうも、割賦定価というのがあって、割賦正価というのがある。一体その割賦にどれくらいのコストがかかっているのだといって聞いてみると、これがさっぱりわからない。だから、アメリカにはこのカラーテレビの十九インチが六万四千円で売られる。それが日本の国内では十五万五千円ですか、今度は割り引いて買いますと十二万円、中には十万円で売っているところもある。そうすると、割賦で買うほうは十九万五千円くらい取られるのです。一体、キャッシュで買ったら十万円くらいで手に入って、割賦で買ったら二十万円になるという、そういう価格の仕組みの問題が正当であるとあなたはお考えになっていますか。私は、国民の立場から見て、これには明らかにからくりがある、そのからくりを究明をして、国民に工業製品だけは少なくとも値が下がるように行政指導でできるのだという分野が残されていると思う。なぜかなれば、家電関係はことしの末には世界一の生産量になるということが新聞にも報道されておる。その段階の中で、外国に売り渡す価格は安くて、国内の価格はめちゃくちゃに販売価格が乱れている。そうして、力の弱い者、金のない者は割賦で買わなければなりませんから、結局現金買いのほうが安くあがるわけです。そういうような価格の問題についてメスを入れていくならば、私は、ここに工業製品については価格を政府が行政指導で値下げができるという政策の余地があると思うのです。あなたはそういうようなことをおやりになる意思はございませんか。  それにもう一つ関連をして、一番割賦の信用対象になっておるのが自動車でございますから、私申し上げますが、あなたはこの前中型の自動車のアメリカ向けのものを言われました。その際、オーストラリア向けの価格についてダンピングの問題で問題になったことがあります。具体的に申し上げますと、日本の国内で四十一万円で売られているサニー一〇〇〇という自動車があります。それが二十三万三千円で売られているはずです。そういうような車種ごとの資料をあなたはこの委員会にお出しになる御用意がございますか。それが今日においては、御承知のように、国内において四十一万円、もちろん物品税が入っておることは知っておりますけれども、それまで入れましても、あまりにも国内価格と国際価格が開き過ぎているじゃありませんか。これについて菅野長官は、去る物価の特別委員会のときに武部委員の質問に答えて、外国に輸出する価格よりも国内価格のほうが安いほうが望ましいとおっしゃった。あなたは経済企画庁長官をやられる前に通産大臣もやっておいでになる。そのあなたがそういうようなことをおっしゃったのですから、いま輸出価格と国内価格の開きを私が具体的に数字で指摘をいたしましたそれを逆転をさして、輸出価格よりも国内価格が安くなるような具体的な施策をあなたはお持ちであればこそそういうようなことを言われたのだろうと思うから、それについてあなたの御所見を承りたい。大平国務大臣、菅野長官、両方から御答弁いただきたい。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 メーカーの価格の引き下げについて行政指導を行なう意図があるかどうかという御質問でございます。結論から申しますと、私はそういうことをやるべきではないと考えております。と申しますのは、この間、高田委員の御質疑にもお答え申し上げましたとおり、現在大企業製品というようなものの卸売り価格が、御案内のように、ここ十年間の傾向を見ましても、だんだん下がってきておるのであります。これは卸売り価格でございまして、実際は工場渡しの値段はもっと下がっておるはずだと思うのでございます。卸売り段階におけるコストも含めて、しかも下がっておるわけでございまして、これはメーカーが生産性の向上に鋭意努力しておる結果でございまするから、私は、特に政策的に政府が行政指導しなくても、いま私どもがやっておりまするような生産性向上の施策が堅実に実行されますならば、村山委員が御期待されるように、工場渡しの価格はだんだんと低減の方向にいくものと期待しておりますし、またそういう方向に政策全体を持っていかなければならぬと考えております。  それから第二点といたしまして、割賦販売制度の問題でございますが、現金売りの場合、掛け売りの場合、値段が違いますことは御案内のとおりでございますが、同じく割賦販売と申しましても、商品によりまして、また割賦販売会社の信用、それから消費者の信用によりまして、なかなか画一的にとらえにくいと思うのでございまして、割賦販売の場合のアドオン価格が八%とか九%とかいわれておりますけれども、これも一応の目安でございまして、個々の取引の実態にわたってこの見当でなければならぬという以上は、それだけの消費者の信用がちゃんと調査されていなければなりませんし、割賦販売信用制度もまた確立していなければならぬわけでございますが、わが国の割賦販売制度は、相当ふえてまいりまして、二兆円といわれておるように進歩いたしておりますけれども、なお先進国に比べてまだ非常にかよわい段階でございますから、いま私のほうで割賦販売制度の審議会で消費者信用の問題、割賦販売機構の問題等について非常にこまかく部会を設けまして御検討いただいておるのでございまして、あなたが御指摘のような方向で、政策的にどういうところにアクセントを置いて施策をすればいいかということを、いま御相談を申し上げておる段階でございます。  それから第三の豪州向けの輸出のお話がございましたが、これは各個別会社の価格の問題でございまして、私がこの立場で国会で一々その価格を申し上げるというようなことは穏当でないと考えます。

菅野和太郎自由民主党経済企画庁長官

○菅野国務大臣 私は国内価格のほうが海外の価格よりも安くあるほうがいいという私の希望を申し上げたのです。今度も海外へ行ってみて、たとえば牛肉などは日本よりも海外のほうが安い。これは日本人、われわれがひとつ安い牛肉を食べるようにしたいものだという感じを持ったのであって、これは私の希望であって、こういうようにやりますということは決して言うてないはずです。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、どうも菅野長官、あなたはあまりにもラフにものを言い過ぎますよ。もう少し、長官としてあなたが委員の質問に対して答える場合には、あなたが自分が物価の担当の大臣としてこれはやるんだという立場のものをお話しを願わなければ、あなたのことばについてはもうこれから信用ができなくなりますから、そういうことにならないように御配慮を願っておきたいと思うのです。  長谷川大臣、せっかくお呼びをいたしましたが、米の問題について残念ながら質問ができませんでした。しかし、外砕米がことしは二月、三月まではみそ、しょうちゅうの分があるそうです。だけれども、それがもう四月ごろからなくなりますから、今度は準内地米を使わなければなりません。それが切れたら今度は国内産の米を使わなければならないように、外米はもち米を除いて一切入れないという政策をとられるそうですから、そうなったら、しょうちゅう三百六十円なるものが今度は五百円以上五百四十円ぐらいに値上がりになるのですよ。そうなってくると、鹿児島県のような地帯は非常に物価上昇の上に多大な影響を及ぼしますので、この点については、あなたはあとでよくやっていただけると確信をいたしておりますので、前向きのお答えをいただきまして、私はこれで終わりたいと思います。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて村山君の質疑は終了いたしました。  次に唐橋東君。「答弁答弁」と呼ぶ者あり)答弁はもういい。——唐橋東君。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 私は大学問題について、いろいろ大学問題は問題があると思うのでございますが、その中から重要と思われる一、二点をお伺いしたいのでございます。  その第一は、さきに東大の加藤総長代行が学生側と取りかわしました確認書についてでございます。   〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕  具体的な質問に入る前に、この確認書が発表されて以来、これに対する佐藤総理並びに文部大臣の所見は現在までの論議の中で一応明らかにされましたが、この見解は非常に形式的、皮相的なとらえ方をしておりまして、大学問題の解決を進めるというよりは、むしろはばむ結果を来たしておるのではないかということを指摘せざるを得ないわけでございます。すなわち、加藤総長代行が御承知のような経過の中で取りかわしました確認書は、各細目の表現に幅広い解釈の余地を持つものでありました。これは、確認書が御承知のように当事者間の双方が検討すべきものとして作成されたものであること、具体的には紛争の収拾策でありますが、大学側もこの確認書の方向で多数教官の意見の統一をはかるべきものでありましたことなどの理由から、幅広い解釈の余地があったことは当然のことだと考えるわけでございます。したがって、東大はその後評議会において承認する段階で、学生組織の団交権、産学協同の否定の項目と、さらに学生、院生、職員もそれぞれ固有の権利を持って大学自治を形成しておるという部分、並びに学生、院生、職員代表を加えた大学改革委員会を設けるという部分がいまだ未決定であることは御承知のとおりでございます。今後この部分については、学生側とも話し合うというように努力されているように聞いておるわけでございますが、したがいまして、確認書の二十六細目のうち十五細目が双方に拘束力を持つ結果になったのが現在だろうと思います。したがいまして、大学当局と学生側において進められているこのような努力に対しては目をつぶって、暴力学生の行動のみを取り上げ、このような暴力の状態の中で行なわれたものは認め得ないという態度をとったことは、その佐藤総理の態度は、決して大学問題の解決を進めるものではなくて、むしろはばむ結果になっておるのではないかということを断言せざるを得ないわけでございます。したがって、その後発表になりました東大確認書に対する文部省の見解も、大学側が引き続き文面上における不確定部分を掘り下げる努力を続けておりますその点に目をつぶりまして、表面的に不確定部分が多分にあることを文部省は指摘しております。そしてこの指摘によって、双方当事者がそれぞれの解釈に対する場合紛議を生ずるなどということを表現しておりますが、この皮相的な見解を述べて、また大学としてきびしい姿勢が見られないというような点を指摘しておりますが、このような態度は、大学の継続的な努力に対する文部省として遺憾な態度ではなかったか。裏を返して申しますならば、新聞等にも、大学と文部省との関係が、指導、助言という現行法のあの部面を早く整理し、文部省の権限を強める方向に持ち込みたいとの意図より出たものであると報ぜられておりますけれども、これらは当然の考え方が出てきたのではないかということを言わざるを得ないわけでございます。したがって、この文部省の考え方に対して、東大側の反発意見は当然であると考えざるを得ません。  ともかく私の質問は、確認書の中にある未承任の部分には触れず、承認された十五項目のうちから重要だと思われる二点だけを取り上げてお伺いしたいわけでございます。  その第一は、新しい処分制度に関してでございます。一般的に考えてみましても、学生の処分形態は、学生、すなわち教育を受ける身分に対し、何らかの制限を加え、またはその身分を剥奪する停学、退学等によって行なわれるわけでございますが、学ぶという基本的な権利を制限し、剥奪することは、事大学だけでなしに、一般的に申しましても、その人の一生にとってたいへんな重大なことでございます。その人の一生を狂わせる最大のものであるといっても決して過言ではないと思うのであります。人を殺しても官選の弁護士がつきます。日本の学校制度の中でいままで行なわれておりましたこの種の処分形態は、教師の一方的な判断で当然のこととして行なわれてまいりました。本人の立し立ても、友人、学校の申し立ても、父兄の申し立ても、ましてや弁護士の申し立て等を聞くというようなことは思いもよらない制度の中にあったわけでございます。しかも先生方がきめた規約、それには何ら学生あるいは生徒の意見などは取り入れられておりません。この規約によって、単に教師の立場からの見解でつくられた規約のみに照らして、これに反した者は一方的に処分されてきたのがいままでの処分のあり方でございます。  今度の処分制度に対する加藤代行の基本的見解は、学生が判定者あるいは陪審員として参加する。学部教授会の処分から全学的な大学法廷を設けること、二審制度をとることなどが示唆されておりますが、要は、その根底にあるものは、いままでの師弟という関係で、教えられる者の人格は独立していない、との原理と申しましょうか。考え方から抜け出して、学生という学ぶ権利を持つ人格体として認めたところにあると考えられるわけでございます。このことは従来の教育制度の中で欠けていた基本的なものの一つであろうと思いますが、この考え方を容認するのかどうか、まず文部大臣の所見をお伺いしたいのでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 お答えをいたしたいと思います。  御案内のとおりに、この加藤提案なるものが出ましたのが十二月二日、しかもその加藤提案につきまして基本見解というのが出ましたのが十二月二十六日、そしてこの七学部代表団との「確認書について」、しかもそれは未定稿という形で一月二十八日に出ておるわけでございます。先生が御指摘になりましたように、これはやはり紛争処理の一つの手段としてとらえたわけで、非常に流動的である。また同時にいろいろにも解釈ができる。学生側の主張として、こういうふうに解釈するならばこういうふうになる。それからまた一方大学側のほうでも、各学部教授団におきましてもいろいろの考えの相違がある。また世間におきましても、これを読みました場合にはいろいろの解釈のしかたがあるというわけで、非常に幅があったことは、先生の御指摘のとおりだと思うのです。したがいまして、いろいろな議論が両方から出た、学生側からも教授側からも。それから民間におきましても、右と左とでいろいろ分かれた。こういうものであったがゆえに、十二月二日の加藤提案そのままが、その解釈だけでは不十分だということで、十二月二十六日には基本見解を発表した。そして、それでもなおかつわかりにくいところがあるということでございまして、一月十日ごろにこの確認書がきめられて、これに対してまたいろいろ議論がございました。ある人は、この点についてはこう読むならばこれは法律違反じゃないか。いや、そうじゃないのだ。あるいはまた、これは不当である、あるいはそうではないのだ。いや、この部分は現行法内の問題であるけれども、この問題についてはむしろ将来の大学のあり方というものを考えなければ出てこない問題である。そういうものをごっちゃにしておるのだというような、いろいろの議論がなされたわけでございますし、そういうようなものであったと私は思うわけでございますが、ただ一月二十八日に至りまして、この七学部代表団の確認書で、十五項目について両方、教授側もそれからまた学生側も承認をした部分についてだけ一応批准をしたというのが、現在の段階かと思うわけでございます。  その間私たちは、そういう議論がごさいましたから、こういうふうに解釈するならば違法だと思われるというような意味合いにおきまして、法制局長官のいわば見解というものを発表していただいたわけでございます。違法なことを加藤執行部としてもやる気持ちはないことは、私の協議の段階におきましても加藤代行が申しておったことでございますから、違法なことはやらない。しかしさりとて、それでは違法ではなくとも、大学というところはやはり教育の場であり研究の場であるから、良識とそれから理性の府にふさわしい当不当、適当であるかどうかという議論だってできるのである。その意味合いにおいて、御承知のようにわれわれといたしましては、この確認書についての考え方の基本になる問題について、東大側にその見解を示したわけでございます。  そういう前提でございますが、確認書の内容を見ますと、大学側の反省の姿勢が強調されている半面、学生側の反省を求める態度が見られないこと、及び学園における暴力の否認と学園秩序の維持並びに政治的中立の確保について、大学としてのきびしい姿勢が見られないというようなことは遺憾である。あるいはまた確認書は、紛争処理に関する取りきめの部分と、先ほど申しました将来の大学のあり方についての方向づけに関する部分を含み、かつ全体として不確定な要素を多分に包蔵している点に問題があり、またその記述において、まだ現在でもなおかつ随所に解釈の幅のあるあいまいな表現があって、双方の当事者がそれぞれ独自の解釈をする場合紛議を生ずるおそれが多いというところもあります。さらにまた、将来のあり方の方向づけに関する部分につきましては、一つの提言としても、これは大学制度の基本にかかわる問題でございますし、また他の大学に影響を及ぼす問題でもございますから、こういうような紛争処理の過程において、部分的に学生の要求にこたえる形で打ち出されることはどうだろうか。こういうようなことで、むしろこういうような制度の基本に触れる問題については、ちょうど中央教育審議会にいま諮問をいたしておるところでございますから、文部省としては、それらの意見を十分に慎重に考えて対処したい、こういう考えです。  それから文部省としましては、法律上の問題点のほか、文教の立場からもなるべく早く考えをまとめまして、そうして東大に伝えたいと思っておりましたが、文部省の最終的な見解ということになりますと、東大当局の説明をまださらにお聞きする必要の部分もございますので、やはり中央教育審議会の審議との関連もございまして、現時点でまとめました基本的な、先ほど申し上げましたような所見として指導、助言の意味から二月の八日東大に伝えることにしたものでございますが、この文部省の所見に対しましては、現在までのところ東大からは何も言ってまいっておらないわけでございます。  それからまた、一月の何日からか、大学制度の問題について東大自身があるべき東大像と申しますか、新しき東大の姿というものを御検討になっておるということは、十分私は承知をいたしておりますし、そういうような御意見がどしどし出てくるということは非常にありがたいことでありますし、あるいは大阪大学等においてもそういうような検討が始まっておる。そういう各大学におけるいろいろのことが出てくる。また、各党においてもいろいろの大学像が出てくる。そういうものを踏まえまして、あるいは中教審も、そういうものをお考えいただいて答申があるものと心得ておりますし、その上で私といたしましては最終的な考え方をまとめていきたいというのが文部省の実は態度でございます。  端的な処分の問題につきましては、たとえば、あれだけ一年間もかかって、あれだけの暴力、市民として刑事事件になったようなものまでも不問に付すといいますか、そういうものは処分をしないということは一体いかがかというふうに私どもは考えておるわけでございます。この点の詳しいことにつきましては、大学局長からお答えを申し上げたいと思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 経過等のお答えが大部分でございますが、私は、そういう経過の中から一番重要なことは、現在の学生という身分をどのようにとらえるのか、これが最大の問題であろうかと思うわけでございます。それらに関しましてはお答えがなかったわけでございますが、しかし、処分をするということについては、必ずこの考え方が固まってこないうちはできないと思うわけでございます。したがって、私がもう一度大臣にお伺いすることは、経過は経過として、加藤学長代行がこのような経過の中でつくり上げ、そして批准された学生の処分制度、この処分制度の根底にある学生の身分、それをどうとらえるかということでございます。それについては中教審その他各方面の意見を聞いて考えをまとめていくというようにいまの答弁で受け取られますが、しかし、文部大臣として、これだけの大学問題の中において、これからそのような意見をまとめた上において大臣としての意見を発表するんだというような態度では、私はやはりもの足りないかと思います。したがって、学生の身分に対してのやはり考え方だけは明白にひとつお答え願えないものか、この点を再度お伺いします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 まさにこの学生の基本的権利という問題がいま一番大きい問題だと思います。やはりその希望表明の権利と申しますか、学生の意思を反映した大学自治あるいは大学運営というものがやられなければならない。その点については、従来の大学というものがはたして学生の意思を反映しておったかどうであろうかというところにつきましては、私はそうではないじゃなかったか、それがやはり紛争の原因の一つになっておるというふうに思うのでございまして、こういう希望表明の権利というものをどういう形であらわすかということは今後の問題であるけれども、そういう基本的な権利というものであるならば、これからはそういう権利を認めていかなければならないのだというふうに私は思っておるわけでございます。ちょっと詳しいことを大学局長からお答えをいたさせますから、お許しを得たいと思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 私は大臣に……。これは局長からの答弁というようなテーマの問題でないと思うのです。要は、いま世界の各国ともいろいろな大学紛争がございますが、その中に横たわっておるものは、やはり学生というものをどのような人格体にとらえるかという、この基本的なものがあるわけでございます。先ほど申しましたように、従来の師弟関係という考え方ではなくて、やはり大学生という学ぶ権利を持っておる人格体だ、このことが新しく今後の大学の中にはっきりと入っていかない限り、大学問題の進展はないのではないか、このような考え方の中から、中教審の答申を得るとか、そういう問題でなくて、現在この紛争の最中における大学に対して、文部大臣として必ず表明していかなければならない大学問題解決の基本的な考え方があろうかと思うので、あえてまたこれについてお伺いしなければならないわけです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 学生は、大学におきまして本来教育を受ける立場にありますが、同時に、お説のとおりに大学社会の一員でもございます。学生みずからの正しい希望や意見というものが大学の管理運営あるいは大学の自治の中に反映され、また大学当局にそれを求めるということは、一がいに否定されるべきことではないと考えております。学生の基本的権利といわれるのもこのような形のものと理解すべきであると考えております。また、教官と学生との関係というものは、言うまでもなく本来教育を行なう者とこれを受ける者との関係でございます。この限りにおきましては、両者が対等の立場において要求や交渉等を行なうことはあり得ないというふうに考えるわけでございます。やはり同等同質の意味の権利というものではなくて、学生は学生としてどういう権利を持つか、あるいはまた教官は教官としてどういうような権利を持つかということは、非常に大事なところであって、ただ、それは多少異質なもので、同等同質のものでないということだけは明確にお答えができると思うのでありますが、そのこまかいことをどの程度までするかということは、やはりいろいろの衆知を集めて御検討いただくことがいいのではないかというふうに思います。とにかくもう少し学生の意思を反映したところの大学運営あるいは大学自治というものが考えられなければならないということだけは、はっきり申し上げられると思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 学生は学ぶ立場における身ですから、なるほど同質ということは言えないと私は思います。しかし、学生の基本的な権利正をしく認めるかどうか、このことは、やはり大臣としてほんとうに重要なことであり、今後の大学を創造していく上における基本的な問題だと思うわけでございますが、それだけの議論だけでは前にも進みませんので、この点については、さらにあとにすることにしまして、この考え方が確立していないところに日本のいままでの教育の欠陥があったと、このことだけは言えるのではないのか。学生の身分というものをあくまでも師弟関係の中だけにとらえてきて、教師はいつでも絶対者の立場に立って、身分の剥奪も一方的にやり得たというところに、日本の教育制度の欠陥があったとは考えませんか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 これはお説のとおりでして、大学当局自身が、大学自治のたてまえから、あるいは学問の自由という意味から、第一義的に改革案というものを出されるべき筋合いのものであったと思います。しかしながら、この二十年間、どうも大学というところはベールに包まれまして、タブーとされて、大学の批判をするということを許されなかった。むしろ大学自治の美名のもとに何ら批判することを許されなかった。ここにも問題があったのじゃないだろうか。やはり大衆のための大学というふうに——年収百万円以下の子供たちが国立大学においては六八%も入ってきておる。しかもその数は非常に多くなってきておる。各層から入ってきておる。こういうような量的、質的変化に対して、大学当局がこれに対応するところの改革案を示し得なかったというところにも問題がある。また、われわれ文部当局といたしましても、こういうことについての指導、助言というものを十分に果たし得なかったというところは、私は反省すべき点であろうと思うわけでございますが、しかし、この段階においては、大学当局がどうだ、あるいは学生がどうだ、文部当局がどうだということでなくて、やはりみんながそれぞれの立場において責任を感じて、この改革を慎重に、一つのターニングポイントにしておるわけでございますから、時間をかけてこの制度の問題、大学制度のあり方ということについては考えていくべき問題である。単に紛争処理の中において、力関係においてきまるというようなことであってはならないのではないだろうか。将来の基本的な問題にかかわるような、紛争処理を急ぐのあまりに、将来の基本的な問題を曲げるようなことがあってはならないというふうに私は考えておるわけでございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 大学問題だけでなしに、いまの考え方は全部の教育に通ずると思うのです。したがって、私がいま申し上げたような考え方を基底とした場合——法務大臣にお伺いするわけでございますが、具体的な事例を一つあげてみたいと思うわけでございます。  ある県立の高等学校の三年生で、しかも就職の先まで決定していたある生徒が、ちょっとしたはずみで盗みを働きました。まあ窃盗罪です。それが警察に知れ、学校側に通告をした。警察側では事情聴取の上、もう十分情状酌量の余地がありますので、訓諭だけで一切を打ち切ったのでございますが、学校側では警察からそのような報告を受けて非常に驚きました。そうして職員会の結果、退学。学校の名誉にもかかわるというようないろいろな理由があったでございましょう、ともかく退学と決定されました。もちろん、父兄からも、友人からも、決定して初めて知ったものでございますから、学校側に嘆願が出ましたが、一切取り上げられません。このような事例は全国各地の各校にあると思うわけでございますが、これはやはり教育上の処分、いわば基本的人権をどう守っていき、どのように制限するかという刑法上の関係が明らかでなくて、教師の一方的な見解、いわば学校の見解という中にゆだねられておる、こういうことが原因になっておると思うわけでございます。  したがいまして、私が先ほど申し上げましたような教育を受ける権利を認める立場に立つときには、警察でさえ送検しない程度のものを、学校では直ちに退学させる。このような処分が、ほんとうに人権を守る立場の法務大臣の見解から見て、この間の教育処分との関係、このようなものがいままで明白にされていなかったところに私は問題があるのではないか、このように考えるわけでございます。したがいまして、新しい大学制度の中にも、一つの教育を受ける立場における学生生徒の身分というものの考え方に立つときに、基本的な人権を守っていくという立場の法務大臣として、この教育的な処分と刑法上の処分というようなものに対して御所見があれば率直にお伺いしたいわけでございます。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 お答えいたします。  法務大臣としての答弁でございますから、刑法事犯ならば別でございますが、いまお話しのように、非常に微妙な関連を持った、刑法には触れないが、軽い処分をしたが、学校が退学を命じたということはけしからぬじゃないかというお話でございます。そういう場合には、いろいろ事情等もあると思いますので、その学校の当事者、責任者の考えが相当ものをいうと思いますが、その結果について刑法に触れてない問題であれば、道義上とか、いろいろの事情もあると思いますので、法務大臣としてこれにあれこれと確定的なことは申し上げられないと思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 具体的な事例に対してのお答えでございますので、これ以上の答弁をどうのというような要求も多分に無理かと思います。  ともかく、繰り返すようですが、文部大臣に考えていただきたいのは、やはり大学制度の根幹にあるものは、学生の人格をどうとらえるかということだと思うわけでございます。  次の質問は、矢内原三原則といわれるものに対して御承知のように停止いたしました。学生ストライキをすべて違法とし、ストライキ提案やそれを議題とするものは直ちに処分の対象になる、これが今度の確認書の中で停止されたわけでございますが、このことは、先ほど申し上げましたような、学生を人格体と見るとき当然出てくる結論であろうかと思います。大学側の解釈のように、これはすべてのストライキを処分の対象とせず、その性格によって判断するとなっておりますが、ともかくこれらの今後の取り扱いについては別といたしましても、先ほどのような考え方から出発して批准され、いま効力を持っておる矢内原三原則の停止ということは、私は当然のことであると考えますが、大臣としての御所見はいかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 現在の東大内におきまして、あれだけの長期間の紛争、しかも暴力が横行し、それから政治的な、もう加藤執行部みずからが、これは学内問題ではない、むしろ政治問題である、したがってわれわれも警察導入をあえてして、そうしてその暴力を一掃するんだ、ことに研究者として一番大切な研究資料やなんかを破壊をする、そういうことをほしいままにさせておるということは許しがたいことだ、こういうようなことを申しておるわけでございます。それがどうも確認書を読んでみますると、一月十五日のストライキ解除をした翌日からの暴力行動は、これは処分をしてもいいようにも読み取れますし、そして、その前のものは処分の対象にならない。同じような暴力行動が行なわれておって、そしてそれは学問の自由と、そしてまた大学の自治を侵すものであるという認識を持ちながら、片方は処分をしない、片方は処分をするというような、そういう考え方というものは一体いかがかというふうに私は考えております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 時間の関係もありますから、質問に率直にお答え願いたいのですが、いま私は具体的な処分の経過をお伺いしているわけではないのです。いわば今後の大学のあり方として、現在までの東大を縛ってきていた、拘束してきたあの矢内原三原則を、今度は基本的に取りはずすのだ、いま申しましたように、ストライキを提案したり、議題とする者でさえも処分の対象としたというようなことは、やはり前近代的な東大の弊害だと、こう考えるときに、具体的な一つの、いま大臣が申されましたような事項ではなくて、この原則をやはり私は率直に認めるべきだ、このことをお聞きしているわけでございます。経過その他を別として、大臣の率直なるこれに対する見解をお伺いしておるわけです。認めるべきであるか、それともどうなのかということです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その辺はやはり十分慎重に検討した上でお答えをしたほうが私はいいと思うのでございまして、いま申しました現実の問題といたしましては、そういうような不審を持っておるわけでございます。ですけれども、今後どうあるかという問題については、やはり東大自身としてもお考えをいただきたい。それがいいのか悪いのか、あるいはまた世間に通用するのかどうか、あるいはまたほかの大学ではどうなのか、各党の御意見はどうなのか、そういうようなことを含めて、実はただいま第二十四特別委員会におきましてその審議をいたしておるところでございますから、私は私としていろいろの考えもございますけれども、ここでそれを申し上げますことはいかがかということでお答えをしないだけでございますから、御了承を賜わりたいと思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 十分慎重な態度をおとりになっているということでございますが、それでは次にお伺いしたいことは、中教審の答申と各大学の自主的な改革案ないしは改革の実態との関係についてお伺いしたいと思うわけです。  すなわち、現在政府は中教審の答申を待っているわけでございます、いま御答弁ありましたように。そうしてまた、中教審も急いで答申をまとめ、大臣の諮問にこたえようと努力されているようでございますが、他方では、御承知のように、東大では大学改革準備調査会の組織問題専門委員会がまとめた報告書が出されております。あるいはまた、新聞で報ぜられておりますように、国立大学協会では理事会と大学運営協議会との合同会議を開き、見解を発表したようでございますが、その内容を見てみますと、結論として、自主改革を尊重して、大学自体の改革への努力を見守ってほしい、こういうことだと理解されます。  しかるに文部省の現在までの態度から見ると、大臣は非常に慎重なようでございますが、やはり中教審の答えをどう受けとめていくだろうかということに対する自主解決の要望だと思います。したがって、私のお伺いするのは、中教審の答申が出ましたときには、それによって、いまお答えにもあったように、政府の考え方をまとめて、一挙に法的な方法をとり、ということは行政指導を強めるとか、あるいはまた何らかの法律を考えるとかということによって今後進めようとするのか、あるいはまた中教審の考え方を基底として政府の考え方をまとめて、このような方向の中で自主的に大学は改革に進んでもらいたい、このような方向にするのか。要は答申待ちだという現在の姿勢の中で、答申の出たあとの態度にはこの二つがあろうと思うのでございますが、そのどちらをおとりになるつもりなのですか、お伺いしたいのです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 非常に大事な問題でございまして、中教審のほうでも、大学側、特に東大で新しい大学像というものを検討いたしております。そのことをも参酌をして、そして御検討いただくものと思います。この十九日におきましても、たしか東大の法学部の二人の方をお呼びして、若い助教授だっだと思いますけれども、その方の御意見をも聞こうというような態度でございます。私は、そうあるべきものではないだろうか、やはり第一義的には大学自身が、自分の大学はどうこの社会の変革に対して対応するかというプランがなければならない。それがあまりにもおそ過ぎたのじゃないだろうかという気さえするわけなんでございます。また、中教審のほうでも、そういう単に東大の改革案だけではなくて、各国立大学あるいは各私立大学等の、いろいろの社会の変化に対応する大学像というものがどんどん出てまいって、あるいは各党でもいろんな大学改革案が出てまいって、それを見きわめた上で、そして国民の大多数の同意のもとに、立法すべきものがあるならば立法していくということでなければ、それが通過をいたしましても、実際において運営ができないというようなことになるかと思うわけでございまして、その点については十分各大学の自主性を尊重し、そしてまた、あるべき姿というものを考えながらやっていきたいというのが私の気持ちでございます。  ここで申し上げておきたいことは、御承知のように、三十八年ごろ中教審の答申を受けて、われわれといたしましては大学管理法というものを出そうといたしましたけれども、結局これは成案を得なかったことは御案内のとおりでございます。その際に、国立大学協会というのがございまして、そして国立大学協会としても、われわれがせっかくひとつ何か大学改革案を考えるから、いましばらくわれわれにまかせてくれ、こういうことでございました。そこで思いとどまったという経緯もございます。  その間、国立大学協会とされましても、いろいろの案を出されたようでございます。せっかく努力をされたようでございまして、現在もやっておられるようでございます。そしてまた、大学自治の問題についても見解を発表されておると思うのであります。その見解と一体今度加藤代行が出されましたあの見解とどのようなのか、私はちょっと考えてみますると、かなりそこには隔たりがあるのじゃないか、それを国大協の方々は一体どう受けとめておられるのか。東大パンフの問題にいたしましてもそうだと思うのであります。そういうわけでございまして、国大協は国大協として各自分の大学を持っておられるのでございますから、その大学自体においてお考えをいただかなければならぬ。東大が東大であるように、大阪大学は大阪大学、あるいは京都大学は京都大学の、やはり東大のようないろいろの前向きの改革案が出てこなきゃいかぬのじゃないだろうか。それをこの四、五年の間、われわれは国大協でやる、それまで大管法は待ってくれとおっしゃったのに、今日こういうような紛争ができてきておるということも、これは考えてみなければならないことではなかろうかというふうに思うわけでございまして、私たちとしては、あくまでも第一義的には大学側を信頼し、また尊重するというたてまえをとりつつ、なおかつ違法な問題、あるいは将来に禍根を残すような問題については、やはりわれわれとして、国民の代表として、ことに国立大学に関しては、平均いたしまして七十六万円も国民が税金を払っておる。しかもその大学というものがああいうような形において紛争をやり、そうして学術研究の中心である資料等も破壊をされておるということは、国民の側から見るなら、まことに大学は何をしておるんだ、こういう国民の側に立った場合において、やはり国民の意思の反映をもった一つの大学自治というものを、東大としても、京都大学としても、その他の各大学も考えていただかなければならないのであって、大学を構成しているのは教官と学生であって、そしてまた事務職員であるから、われわれがきめたことは全部オールマイティーであると、こういうような考え方は、今日の国民のための大学ということから考えるならば、もう少しお考えいただかなきやならないんじゃないか。授業を一年間も再開できなかったということ、あるいは四億もの国民の税金を、損害を与えたということ、こういうことに対して、大学当局みずからが、一面において大学の自治を主張し、社会的責任というものをもう少しお考えいただかなきゃならぬ、国民の意思の反映をもった大学自治というものをお考えいただかなければならぬのだ、かように私は思うわけでございまして、その最高の責任者として、私には指導、助言ということだけしか与えられてはおりませんけれども、それを最大限に尽くすということが、文部大臣としての責任ではなかろうか、国民にかわって責任を果たすゆえんではなかろうか。それをしも大学の自治であるから拒否するという態度は改めていただくということが、今日の国民のための大学というものを国民が求めておることに通ずることではなかろうか、というふうに私は思うわけであります。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 もっと答弁を簡単にしてください。私の質問に経過や気持ちだけを申されて、答えていないんです。  いま大臣みずから申されましたように、現在学生参加という問題だけをとらえてみても、いま一橋大や立命館大、同志社大のような前からのものや、新しく芝浦工大のようにはっきりとした新しいビジョンを打ち出したところがございます。しかし、そういういろいろな状態の中で、大臣はしばしば申されておりますように、答申待ちだと言うのです。答申を待った場合に、具体的に申しますならば、指導、助言の権限しかいまのところない、だから、今度新しく大学管理法ともいうべきものを考えざるを得ない、このようなかまえなのか、それともいままでのような態度の中で、いま大臣が説明されたような態度の中で終始していこうとすることなのか、そのどちらなんですかということをお聞きしておるのです。くどいようですが、もう一度お聞きしますと、大学管理法というような考え方を、少なくとも今国会あるいは近い将来において出す意思があるのかどうか、この点だけでも明瞭になってくるわけです。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 そのことをるる私は申し上げておるわけでございまして、私といたしましては、中教審の答申を待って、その時点で考えたいということを申し上げておるわけであります。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 中教審の答申を待って、その結果によれば大学管理法というようなものを考えざるを得ない場合もあるというように理解していいのですか。それとも先ほどるる申されましたように、あくまでも指導、助言でいくんだ、こういう考え方で終始されるのですか。そのどちらですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 どちらであるということは、その時点で考えたいと思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 まあその時点といいますので、またその場合に議論することにしまして、時間の関係もありますので、質問を進めさしていただきたいと思います。  大学の改革は、いままでいろいろ議論されましたように、一つの理念あるいはビジョンに立った問題と同時に、財政的な問題、あるいは学校の規模という問題を直接取り上げなければならないと思うのでございます。したがって私は、今度は、私立大学を中心として、財政的な問題、学校規模についてお伺いしたいわけでございます。  第一にお伺いすることは、大学の設置基準ということで、大学の設立が学校法人の手続をもって文部省に出されます。そして出されたのを認可するわけでございますが、その場合には、定員があるわけでございます。さらにそれに伴う規模があるわけでございますが、この大学設置基準というものから見て現在の私立大学が定員と規模が合っているかどうか、これらの実態に対して大臣はどうとらえておるか、お伺いしたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その点は、実態はかなり定員をオーバーしておるというふうに見ております。定員は施設、設備、教員、組織等の関係からきめられておるわけでございますが、しかし、やはりこれは、教育の水準あるいは研究をほんとうにやれるという一つのめどを考えてこの基準がきめられておるわけでございますから、望ましいことではないのでございまして、われわれといたしましては、できるだけ定員に即するような指導をやってまいってきておるわけでございます。御案内のとおりに、各専門分野別に視学委員というのがあって、その方々によって指導、助言、それから大学設置審議会、大学設置分科会等によるアフターケアとしての視察等によってその基準に定められた水準を確保する、その改善をはかるということをつとめてまいってきておるわけでございますが、なかなかこれも思うようにはまかせないというのが実情でございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 大臣答弁のように、設置基準を越えた学校が多数ある。極端にいえば、全校生徒が登校すれば教室もなければ机もないというような現状の大学さえあるということは、大臣御承知のとおりだと思います。いまこのように、国立あるいは私立を問わず大学の改革が問題になっておるときに、このような状態を正しく文部省は現在まで調査し、把握したことがありますか。調査の上に立った資料がございますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私、就任間もないものですから、あるいはその実情については政府委員から答弁させたいと思いますけれども、やはりこれは調査するにいたしましても、向こう側の、いわゆる私学側の御協力を求めなければならないわけでございまして、そういうような権限は、おそらくあると思いますけれども、ひとつ大学局長からお答えいたしましょうか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 文部省では、学校の実態につきましては、指定統計によりまして各学校種類ごとに教員の数、あるいは学生の数を調べて、これを公表いたしております。ただ指定統計の性格上、個々の学校につきましては報告しておりませんので、全大学につきまして、定員に対して実員が何人おるかということをまとめて発表しておるわけであります。集計して発表するわけでありますから、文部省といたしましては個々の大学の実情も承知いたしております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 個々の大学の実情を把握しておる。しかもそれは基準よりもオーバーしておる。いわゆる設立認可のときにはいいが、認可してもらえば、あとはもう学校の運営にまかせてあるんだ、これが現在までの私立学校に対する文部省の指導方針であったわけですか。局長でもいいですよ。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 大臣からも御説明がございましたように、私立大学につきましては、設置認可にあたりましては、大学設置審議会及び私立大学審議会に諮問いたしまして、教育上の観点並びに経営上の観点から基準に合致することを確認して認可するわけであります。認可された大学につきましては、これは学校が自主的に運営しまして、文部省としては指導、助言という形で基準に合致するようにやってまいるわけでありまして、おのずから限界はございますが、大臣からも御説明がありましたように、視学委員というような機能を通じまして、あるいは審議会の事後監視措置といいますか、俗にアフターケアと言っておりますが、そういう措置を通じましてできるだけ基準から逸脱しないように指導してまいっておるわけでありますが、それが限界があるということにつきましては御指摘のとおりでございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 指導、助言をしてきたけれども、生徒数から見れば現在のような規模に合わない大学にふくれ上がった、こう理解されるわけでございます。そうすれば、正常な状態の中で大学があるとするというような、ことばをかえて言えば、定数を文部省が考えておるような定数に押えた場合に、大学の経理上の欠陥はどれだけのものが出てくるのかというような財政上の見地にまで立った調査はしたことがございますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 私立大学の財政上の実情把握といたしましては、毎年私立大学の収支状況あるいは財産状況という調査をやっておりまして、財産状況がどうなっておるか、収支がどうなっておるかということは、数字的には若干年次がおくれますが、二年おくれぐらいで大体において把握いたしております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 時間がありませんので、その計数上の点については質問を省略いたしまして、この学生の数と同時に、入学の際のいわゆる入学金、これがやはり私は問題になろうかと思うわけでございます。特に補欠入学に伴う寄付金の納入というようなことは、これはこれだけ大学問題が困難している中でまず第一番に手をつけて、そのような状態をなくするようにしなければならないと思うわけでございます。要は、いままでこのように生徒はふやす、入学の際における寄付金はいただく、補欠の際はさらにさらにまた寄付金をいただくというようなことは、私立学校の経営というものの財政的な原因からきておる、こう考えざるを得ないわけでございます。したがって、文部省も実態はつかんでおるが、こういうことでいわば見のがしてきたのではないか、こういうように考えるわけでございます。したがって、大学の改革という場合には、国立と私立の格差の解消、いわゆる経営の格差の解消、こういうことと同時に、いま私が申し上げましたような、もうまっ先に手をつけていかなければならない問題である財政上の問題もあるかと思うのでございます。  したがってお伺いすることは、教育上好ましくない、特に補欠入学に伴う寄付金、これをこのまま放置しておいていいのかどうか、これに対する対策というものを文部省としては当面考えておいでにならないかどうかをお伺いしたいのでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私立大学がいろいろ経営上の関係からもありましょうけれども、そういうような一部の大学があることも……(唐橋委員「簡単に」と呼ぶ)御承知のように納付金の種類、額等については、現行制度上、国が直接に規制をしないというたてまえになっておりまして、私大のこれも良識にまつという形になっております。  お尋ねの、補欠入学者から正規の学生納付金以外に、募集要項等で明らかにされていない寄付金をさせておる場合があるということも一部には聞いておるわけでございまして、父兄の誤解を招くような学校がございますことは、私学全体のためにまことに遺憾なことであると思うわけでありまして、この点については今後指導を高めていきたいというふうに考えております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 私の大臣の出席要請には大蔵大臣の出席要請をしておかなかったのですが、幸い大蔵大臣おいでになっておりますので、質問させていただきます。  大蔵大臣、大学の改革はいわゆる理念的なものだけでなしに、特に私立というものは財政的な確立がなければ大学の改革ができないと思います。いままで申し上げましたように、生徒数と規模が合わない。生徒数がものすごく基準をオーバーしておる現状が私立大学の現状であります。その理由は何かというと、私立学校の財政難からきておるのだと思います。さらにまたそれに伴うて、先ほど大臣から答弁がありましたような補欠入学、あるいは正常な入学であってもばく大なる寄付金をいただく、こういうようなものをやはり一たん整理する、そうしてやはり生徒数に応じた規模、大学設置基準、それを設けさせるまではこれを国として必ずめんどうを見る、あるいは補欠入学に伴う寄付金というようなものは全廃させる、このことが断行されない限りは、日本の私立大学の改革はあり得ない。しかも、私立大学の持つ任務というものは、いまさら申し上げるまでもなしに、日本の教育制度の中においては重大なる位置を占めておる。財政的な見地に立って私立大学に対する補助をだいぶ増したというようなことは申されますけれども、また佐藤総理の本会議の所信表明の中にも、大学改革は断行するのだ、こういうことなんですが、私はほんとうに断行という政府自体の考え方は、私立大学に当てはめれば大幅なんということでなくて、少なくとも規模とそれから生徒、これに見合うだけの財源を持たせてやる、そうしていわゆるマスプロといわれるこの超過人員というものをやはり正しく教育を受け得る立場に置かせる、この財政的措置こそ断行しなければならない一番重要なものでないか、こう思うのでございまして、この私立学校に対する財政援助を要請しながら大蔵大臣の所見をお伺いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私は、官学と同時に私立大学につきましても根本的な改革を要する、ちょうどその時期にきておる、こういうふうに考えるわけでありまして、やはり財政的に見ましても、その対策をどうするかという問題も、私立大学制度の根本的改革と相対応する必要があるだろう、こういうふうに考えます。私の専門ではございませんけれども、観察によりますれば、どうも私立大学は数が多過ぎる、人数も多過ぎる、乱設というか、そういう傾向がある。それに対して、無方針で無性格で財政援助をするということになったら、一体またこの傾向がどうなっていくのだろうかということを憂慮いたします。やはり私立大学はかくあるべきものであり、かくのごとき規格を備うべきものであり、その運営はかくあるべきものであるということがきちんときまって、できた以上はこれは完全にその任務を尽くさせるというために財政が働くというのでなければならぬ、こういうふうに考えまするけれども、いま現実の問題として、文部大臣のほうから私立大学に対する融資についていろいろの申し出があります。それに対して、私は、赤字金融はいたすべきじゃないということを言っております。言っておりますが、それはそういう趣旨なんです。つまり、これを赤字金融をして私立大学の経営を企業的に助けるというようなことになると、一体どういうふうに私立大学全体がなっていくのだろうかという先々のことを憂慮するのです。ひとつぜひともこの機会に私学の根本的な体制づくりをしていただきたい、かように念願をいたしております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 大蔵大臣のお考えをお聞きして非常に心強いものがあるわけでございます。大学がいろいろな状態があるといいますけれども、繰り返すようですが、文部省で認可した規模があるわけです、人員があるわけです。それをまたものすごくオーバーしておる、ここに問題があると思うのでございます。したがって、オーバーすることはそれだけの必要性があって出たならば、それをやはり財政的にめんどうを見る、あるいはどこまでオーバーさせないようにするか、そのような見地に立ちながら私立大学の経営というものを根本的な検討をしていただいて、そして国の力による財政的な援助によって私立大学を位置づけていただくということを要望して、いまの御答弁で一応了承いたします。  時間がありませんので次の質問に入るわけでございますが、これも非常にこまかいような点でございますが、現在入学試験を受けようとする生徒あるいは父兄の立場から言うと非常に問題があるわけでございます。したがって、この点はやはり法務大臣にお伺いするしかないと思うのでございますが、入学手続をとって入学金なりあるいは寄付金を納めます。しかし、一たん納めたものは返ってきません。返ってこない理由は、納付したのであるから、納めたものは返しませんというあの合格通知書あるいは納付通知書に一行書いてあるところに原因があるわけでございます。このことがほんとうに民法上の契約条項だろうか、何か父兄のいわば弱みにつけ込んで取るような性格にも受け取れます。したがって、このようないわゆる寄付金の取り方、これをこのまま放置していいだろうかと考えますと、やはり一つの契約とも考えますから、民法上の見解もいろいろあるでしょう、あるいはまた広く人権を尊重する、こういうような立場からもやはりいまのような問題は解決しなければならないと思うわけでございます。しかし、当面試験を受ける者から見れば、非常に矛盾した一つの現実であるということを言わざるを得ないわけでございまして、これに対してひとつ見解をお伺いしたいのであります。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 現行制度上は、やはり学校当局と入学志願者の取りきめ、それからまた大学の学則等でその取り扱いがきめられておるのが通則でございますけれども、しかし、入学取り消しというものが、入学者の死亡など特別の理由による場合には、その大学当局においてその理由に応じた考慮が払われておるというのが通常であるというふうになっておるわけでございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 法務大臣の見解はどうですか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 お尋ねでございますから、大体ただいま文部大臣もお答えになったと思いますが、正確にお答えしたいと思いますが、入学試験に合格した者が、いまお話しのとおり、後日入学を取りやめたような場合にも納付した入学金等の返還を受けない、こういう大学との合意のもとに入学金納付その他入学手続がとられておりまして、それによりまして学生たちの地位を取得するのが通例であるわけでございますが、このような合意は法律上無効とは言えないと思われます。したがいまして、このような合意があります以上、その後自分の都合によりまして入学等を取りやめました場合、入学を取りやめました者が入学金等の返還を請求する権利は取得しておらないというふうに解していいのじゃないかと、かように考えます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 大臣の答弁にもちょっとありましたが、たとえば他の大学に入ったのでなくて、交通事故もあるでありましょう、病気もありましょう、あるいは急な経済的な理由によって入学できなかった、このような事例も私は必ず大ぜいの中にはあると思うわけでございますが、そういう場合、いまのような理由で請求をする、戻していただきたい、このような意思表示をすれば、これはいま法務大臣が、法的にはそう考えられるという、その法的な立場から見ても当然のことだと思うのですが、その点はどうですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 やはりその場合におきましても、一応われわれのほうでそれをどうというわけにはまいらぬだろうと思うのでございます。ただ、先ほど私がお答え申し上げたように、何らかの理由があって、そうしてその点について考慮していただいたらどうだというような指導、助言はやれるかと思っております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 時間がありませんので、次に日大問題について具体的にお伺いしたいと思うのでございますが、簡単にお伺いします。  新聞でも報ぜられておりますように、日本大学は、あの法人の寄付行為、定款の変更が文部省に出されて、そうして認可された、こう聞いておりますが、その出されたとき、認可されたとき、この日はいつですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 昨年の十二月二日付で寄付行為変更認可申請がございまして、同年の十二月二十八日付で認可をいたしました。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 その際、新定款が認可になり次第、一カ月以内に理事並びに評議員全員が辞表を出すというようなことが新聞に報道されていましたが、全員が辞表が出たというようなことを文部省としてはとらえておりますか、どうですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 管理局長から答弁をいたさせますことをお許しいただきたいと思います。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 お答えいたします。  寄付行為の認可がございまして、ただいま評議員等の選任をやっているようでございます。特に校友関係からの評議員の選任というのがおくれておりまして、まだやってないようでございますけれども、当然、新しい役員が選任されました場合には旧役員は退任するということになると思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 昨年の十二月二十八日から今日までずいぶんと延引しているわけでございますが、その内容は、いま御答弁ありましたように、内部事情にあるということは推察できるわけでございます。聞くところによると、古田会頭は、これまでのいわば天下国家を騒がした、みずからの学生に流血の事件を起こす原因をつくり上げた責任者でございますし、さらには脱税問題等で世間のひんしゅくを買っておる、こういうのが日本大学の実態であるわけでございますが、延々としている中には、再び古田会頭が留任をしよう、こういうような動きが強いというようなことが流れておるわけでございます。それらの点についてはいわば内部問題である、こういうふうにお答えがされると思うのですが、しかし内部問題だけでなしに、これだけの紛糾を来たしていた学校でございますので、その間の事情等は何らかの形で文部省は把握しておるのではないか。もし把握しておるとするならば、その状態等を承りたいのであります。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 先生御指摘のとおりに内部事情でございますので、なかなかいろいろ申し上げにくいのじゃないかと思います。しかしながら、寄付行為変更をいたしましたときには、すみやかに学園の正常化に努力をしてもらいたい、そして、いろいろ社会的に御迷惑をかけたことに対して責任をとって、十分ひとつ努力をしてほしいということを強く申し上げておる次第でございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 さらにふしぎに思うことは、去年の三月末以来失跡をしております元会計課長の問題があるわけでございますが、このことはさきの文教委員会において、脱税問題という形の中で国税局の取り調べ経過、とった措置等をお伺いしましたので、ここでは繰り返しません。その当時学校側としては、元会計課長は横領の事実はない、こういうように公表されております。しかも、それは国税庁の特別査察を経たあと、その前後でございますが、今度はそれを告発する。しかもまだ行方不明である。一年になんなんとするのに全然行方不明であり、家出人の捜索願いも前に出ておる。このような人に対して、このような学校側の態度が出ておる。こういうような点に対して実に不審に思い、疑惑に思っておるのは国民全体だろうと思うのでございまして、時間がありませんので、その間の事情は詳しくお聞きするわけにいきませんが、この間の事情をひとつ荒木委員長のほうから、経過をお伺いしたいのであります。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 唐橋さんにお答え申し上げます。  お話のとおり、日本大学経済学部における経理をめぐる不正容疑事案につきましては、警視庁においてかねてより捜査中でございましたが、このほど昨年春以来所在不明の同学部の会計担当者に、横領犯罪の容疑が濃厚となってまいりましたので、同人の逮捕につとめるとともに、関係者の取り調べ、証拠の収集等、所要の捜査を進めているところでございます。  なお、さらにお答え申す必要がございますれば、具体的になってまいりまするので、政府委員からお答えを申し上げたいと思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 この点については十分具体的にお聞きしたいのでございますが、時間もありませんので、他の委員会のときにお伺いすることにいたしまして、最後に教員の超過勤務の支給についてお伺いしたいわけでございます。  この問題はさきの国会においていろいろと議論されておりますので、繰り返して詳しく申し上げません。結論は、教育公務員も他の国家公務員と同じように、現行法のもとでは正規の勤務時間をこえて勤務を命じ、これに従って勤務した事実があれば、これに対し超勤手当もしくは時間外手当を支払わなければならないことになっておるわけでございます。このことは文部省自身も法律的には全く疑義がないと思いますが、まず確認の意味におきまして、現行法においては時間外の手当は支給するものであるというように理解していいですか、どうですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 大体は、現行法上は文部省としましては時間外勤務を命じないことにいたしておるわけでございますが、しかしもしやった場合はやらなければならぬということになっておると承知をいたしております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 法律的にはそれはもう当然のことである、こういうように理解していいわけですね。  次に文部省側は、これは当然でございますが、常に法律を守ることを要請しております。この法律を守ることを要請している政府が、なぜ時間外手当を現在まで支給しなかったかということを考えてみますと、法律上はそうなっておるが予算がないからだということで、行政上の指導方針として超過勤務を命じなかった、こういう指導をしてまいったわけでございますが、この前もしばしば議論されましたように、実際は文部省の調査でも明らかなように、時間外勤務はしておるのでございます。  したがって、時間外勤務をした教師側の訴えが起こされておることは御承知のとおりであります。その実態を見てみますと、支払い請求を認容した人事委員会の判定は、二十三件です。静岡地裁、大阪地裁、東京地裁の判決はみな先ほど申し上げましたように、はっきりと支払うべきであるということを認めておりますし、今回の東京高裁の判決もまた御承知のとおりしかりだと思うわけでございます。したがってお伺いすることは、このような明白な問題を今後また最高裁まで持っていくのだ、このような立場に立つことを、文部省としては関係当局から必ずこれは相談あるであろうし、あるいは相談なくとも指示していると思いますが、どうですか。またこれを最高裁に持っていくつもりなんですかどうですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 これは皆さん方御承知のとおりでございますが、そういう気持ちで実はさきの通常国会に教特法をお出ししたわけでございますけれども、実をいうと国会で御承認を得るに至らなかったわけでございます。しかし、その後文教委員会の方々において寄り寄り御相談もあるやに伺っておりますし、そういうような御了解ができますならばひとつ考えたいということでございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 何だか御答弁が——私はやはりこのような全国問題ですから、必ず当事者間、いわば裁判でいえば被告のほうですね、この方が最高裁に持って行きますかどうかということを文部省に必ず相談するし、文部省としてもまた、どうだろうという相談をするかと思います。したがって、このような法律的に明白なものを最高裁まで持って行くというようなことは愚の骨頂だと思うのですが、率直に、もう高裁の判決が出たならばこれで打ち切りだ、こういうような御答弁はできないですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 やっぱりこういうような問題は、一応私どものほうとしても何とかしたいという気持ちがあるわけでございますし、野党の方々におきましても何とかしたいという気持ちがあるわけでございますし、ひとつ御協力のもとに、そういうような事態にならないようにいたしたいというふうにまず考えるわけでございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 なかなか答弁をいただけないわけでございますが、確認のため、それでは次のことをお伺いします。  文部省は、四十三年度の予算編成の際に、超過勤務手当として六十三億円の概算要求を出した。このことを、ひとつ認められますかどうかということ。  そして、それが自民党文教部会の意見によって、いま御答弁の中にも出てまいりましたが、教職特別手当として十五億円の財源が組まれたんだ、このこと。  それからもう一つです。時間がありませんので一緒にお聞きします。もう一つ、したがって、この十五億円の教職特別手当は経過から見ても超勤手当に見合うもの、超勤手当に相当する予算である。超勤手当に見合うものという考え方で組まれ、それが教職特別手当という名であったが、しかし、実質は超勤に身がわるものだ、こういうように理解していいかどうか。この三点を、ひとつお伺いします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 三点、ちょっと私、またわからなかったのでございますけれども、ただ最初に、四十三年度で要求いたしましたときの事情を考えますと、超勤ということじゃなくて、何らかの教職員の方々の待遇を改善しようという意味合いにおいて、たしか六十三億でございましたか、を計上した。それから、予算の査定の段階においてそれが十五億ということにされて、その後において教特法という形で法案にするということが最終的に決定したということでございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 もう少しその点、はっきりしておきたいのですが、文部省は、最初六十三億円の概算要求、これはあくまでも超勤手当だ。そして、御承知のような経過によって十五億になったのでございますが、それはあくまでも超勤手当に見合う、こういう考え方の中で教職特別手当というものにした、こういうように理解していいかどうかということでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 一番最初から要求いたしましたときは、その六十三億というものは超勤という形では出ておらないのです。いろいろの事情がございまして、御案内かもしれない、あるいはお聞き及びかもしれませんけれども、とにかく教職員の待遇改善をどういうふうな形でやるかということだったと記憶をいたしております。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 局長のほうからお聞きしたほうがいいと思うのですが、非常に問題があるわけでございますが、文部省の概算要求は、やはり六十三億円は超勤手当だったでしょう。これはあくまでも事実ですね。どうですか。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 お答えいたします。  先ほど来大臣がお答えいたしておりますように、六十三億というものは給与改善に要する経費ということで要求いたしております。その中身は、もちろん超勤ということも頭に置きつつ積算はいたしておりますが、あくまでも、それは一応教員の四%の財源ということを頭に置きまして、超勤ということではなくて、給与の改善に要する経費ということで要求をいたしました。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 しかし、表面的にはいまのような御答弁がなされると思うのでございますが、いままでの経過の中から、超勤手当をどうするか、こういうことで超勤に見合うものとして今度の教職特別手当が出されたということは、これは事実だと思うわけでございます。したがって、あの教職特別手当の教特法が成立しなかった。そうすれば現在法が生きているわけですね。そして現在法は、御承知のように超勤を支給しなければならない。ただ、いままでそれを行政的にやっていなかったのは、財源がないから命令を出さなかったんだ、こういうようにやはり受け取って決して間違いはないと思うのでございます。このことは現場の教職員もそのとおりにやはり考えているだろうと思います。そして今度は十五億円の予算がある。超勤手当、時間外手当に見合うもの、こういうような——なるほどそれは、あの教特法では、法律はそうであったが、内容的にはいま申し上げたような形で出ておる。そうすれば、いまは二月です。そするとあの予算は、一月から三月まででございます。今度は財源がないということはなかなか言えないわけです。こういう場合に、私は、やはりこの財源の処置は、今後先生方の待遇改善が、専門職としてどういうように解決していくかということは大きな問題として、根本的な問題としてしなければならないとは思うのでございますが、一つの法のたてまえ、いままでの経過のたてまえから申しますならば、いま計上されておる十五億円というものは、やはりいま支給すべき時期にもなってきておるのでありますから、あるいは裁判の判決等のあの趣旨からも申しまして、超勤手当として支給しておくことが、これはよいことでもあるし当然のことではないのか、このことをひとつお聞きしたいのでございます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 あの十五億は、あくまでも教特法として計上しているわけでございますから、この点について法案がつぶれたわけでございますから、やはり国会の意思を私は尊重せざるを得ないわけでございます。ただ、与野党間において、この点についてまだいろいろ御協議等もあるやに承っておりまするので、その点については、一面においてまた考えるつもりはあるということだけは申し上げておきたいと思います。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 あと詳しいことは他の委員会に譲りまして、質問を終わります。

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長代理 これにて唐橋君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長代理 この際、理事の辞任の件についておはかりいたします。  理事麻生良方君より理事を辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  つきましては、この際、ただいま辞任されました理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例により委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚原俊郎自由民主党

○塚原委員長代理 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に小平忠君を指名いたします。  午後の会議は午後二時より再開し、中村重光君、神田大作君の一般質疑を行ないます。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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