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61回国会衆議院1969/02/13

予算委員会 第10号

発言数
304
登壇者
26
会派数
3
開催日
1969/02/13

会議録

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これより会議を開きます。  まず、理事の辞任の件につきましておはかりいたします。  理事小平忠君より理事を辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  つきましては、この際、ただいま辞任されました理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に麻生良方君を指名いたします。      ————◇—————

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。   一般質疑を続行いたします。石田宥全君。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 私は、公害の問題の一般並びに具体的な問題、さらに、食管法を中心とする諸般の問題について質問を申し上げたいと思いますが、時間に制限がございますから、大臣の答弁はあまり説明をしないで要点だけを答弁を願いたいと思います。  公害の問題でございますが、最近の政府の高度経済成長政策に比例いたしまして、産業公害、都市公害、さらに基地公害など、あわせてきわめて深刻な社会問題となってまいりました。これは政府や地方自治体が加害者であり、水俣病や阿賀野川水銀中毒あるいはイタイイタイ病などのように、間接的な殺人傷害事件といわれる問題に対しても、企業に追随しておりまする結果、さらにこの公害が深刻かつ甚大になっておると考えられるのであります。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕  昨日は、亜硫酸ガスに対する環境基準の発表が行なわれたわけでありますが、これについては、すでに新聞その他で内容が報道されておりまするから、私は、その内容をお聞きしようとは存じませんが、このきのう発表された内容によりますと、十年目標を設定したというようなことになっておるわけでありまして、いま現に患者が発生しておるような地域に十年を目途として実現をはかるというようなことは、これを実行する意思があるのかないのか、はなはだ疑わざるを得ないのであります。現に鹿島臨海工業地帯の五年前後実現目標グループに入れられたところなどは、五年前後で達成することとなりましたが、通産省では、今日までコンビナート建設の事前指導の基準ではなかったか。いままでも、すでに事前指導を行なうところの基準であったものを、五年前後で達成するということになれば、従来よりもさらに後退をすることになるじゃないか。何のための環境基準なのか、ひとつこれは厚生大臣並びに通産大臣の所信を承りたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 昨日、政府で決定をいたしました環境基準の達成目標は、十年あるいは地区によっては五年前後を目途とする、こういうことにいたしておることは事実でございますが、そこに到達するまでの間に、逐次公害を少なくしてまいって、おそくとも十年というのが目標でございますから、地方によっては、できるだけ早くそれよりも達成をいたしたい、そういうように指導をし、やってまいりたいと考えております。  鹿島工業地帯をあげられましたが、鹿島はこれから発展をしてこようというところでありますから、できるならば、それよりももっと早い時期に理想的な状態を出現するようにいたしたいし、特に鹿島においては、予防的な措置として考えてまいりたい。  今日そういうような考え方で指導をいたしておりますので、十年、五年というのは、これは最終の達成の目標でありますが、それまでに逐次できるだけ早く、毎年毎年公害を減らしていきたい。こういうように考えているわけでありますから、十年あるいは五カ年間は、いままでのままというのではございませんので、その点はとくと御了承をいただきたいと存じます。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 石田委員も御承知のように、われわれといたしましては、いま低硫黄化計画の鋭意進行中でございまして、それに対応して公害政策を進めてまいらなければいかぬという事情が一つございます。と同時に、鹿島にいたしましても、水島にいたしましても、放置しておきますと水準を上回るということが起こり得ますので、十分不断の注意が必要だと思います。  なお、私どものほうで、事前の指導基準にいたしておりまする〇・二五PPMというのは、〇・二PPMを換算したものでございまして、特に低位なものではないわけでございますので、そのあたりも御了解いただきたいと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 きのうの決定された環境基準は、生活環境審議会の答申より著しく後退をしておることは、企業側の圧力、なかんずく経団連の圧力が強かったといわれておるのでありますが、これについて別に答弁を求めようとはいたしません。  ただ、大阪や四日市などでは、慢性呼吸器疾患による欠席児童が漸次増加をしている、スモッグの多い日には死亡率が高い、こういう現状の中にあって、四日市では、基本法の十九条によりまして達成計画作成中である。そうすると今度は、これがどのランクに入るかきまっておりません。四日市では、十年のランクの中に入れられるのではないか、そういうことになれば、いまの患者はほとんど死んでしまう、こういう状態になるのではないか、こういうことが心配をされているわけでありますが、四日市については、一体どういうお取り扱いをされようとしておりますか、厚生大臣。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほど、お答えは必要がないということでございましたが、企業側の圧力によって非常に後退をしたという事実はございません。相当日数を要しましたのは、企業側の理解を得ますために、通産省におかれていろいろと内容の説明、説得を各企業ごとにやっていただくというようなことで時間がおくれたわけであります。  ただ、環境基準の中で五カ年目途というものを入れましたのは、これはむしろ達成をしていくのにそのほうが便宜であるという中間目標をつくりました。それが後退をしたというように見られるわけでありますが、事実上の後退にはならない、かように考えておりますし、また、ならないように運用いたしたいと考えております。  四日市につきましては、いま地元で都市改造の考えも持っておるのでありますが、都市改造をやるといたしますと、これは相当の日数を要しますから、全部完全に完了してしまうまでには十年くらいかかるかもわかりませんが、しかし、都市改造ということを考えないで、ただ大気汚染をこちらの目標とする〇・〇五PPMまでに持っていくというのには、これは五カ年くらいでできるであろう、かように考えておりますので、地元と相談の上実際の計画を立ててまいりたいと思います。大気汚染は、四日市は相当ひどうございますけれども、これはほとんど亜硫酸ガスの被害でございますから、低硫黄化の装置もできてまいりましたので、したがって、これを進めてまいれば、五年以内には完了ができるであろう、かように考えているわけでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 通産大臣も厚生大臣も、五年以内、十年以内ということばを使っておられますが、文書では五年前後、十年前後、こういうことばを使ってあるのです。これは一つのごまかしだと思うのでありますが、これは答弁を求めませんが、厚生大臣、一酸化炭素に対する環境基準は、大体いつごろ設定できるお見通しでありますか、簡単に答弁してください。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 この一月に、一酸化炭素の環境基準をつくりますために、生活環境審議会の専門部会を出発をいたしました。できたならば、できるだけはやくと思っておりますが、なかなかむずかしい点が多々ございますから、おそらく九月か十月ごろになりはしないか。できるだけ早くやってもらうようにお願いをしたいと思っております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 次に、内閣官房長官に伺いたいのでありますが、公害基本法というのは、御承知のようにこれは宣言法でありますね、しかし、実体法といわれるものもたくさんございます。大気汚染が八本、水質汚濁が十五本、騒音、振動など十本、地盤沈下二本、悪臭など二本、全体で三十七本あるわけです。いずれも内容の不備不完全、あるいは行政の不公平といっていいのではないかと思いますが、この点はあとで触れますけれども、地方で審議会をつくるような場合に、この法律の範囲内においてつくらなければならないということのために、十分な予防措置対策ができない、こういう実情にあるわけであります。したがって、これがいわゆるざる法だといわれるゆえんでありますが、ざる法たらしめた主要な原因は一体どこにあるか。  私は、ここで官房長官に特に伺いたいことは、従来のこれらのたくさんの法律の窓口がばらばらであったということが一つあげることができると思う。たとえば、工場内へは通産省で、これはほかの省では立ち入りができない。水質規制は経済企画庁で、特定河川に限られておる。河川汚染は、どろや珪藻類、魚介類、農作物などが毒物を濃縮させるので、これは大切な問題でありますが、これは厚生省の所管。地盤沈下などは、これはまた別でありまするけれども、少なくともこれらの生命、人体に関するような問題については取り扱いの窓口を一本にする必要があるのではないか。従来の水俣病は経済企画庁が取り扱っておった。最終的には厚生省にいった。阿賀野川の水銀中毒事件は科学技術庁が取り扱った。こういうようなふうにばらばらでは実効を期しがたいのではないか。これは窓口を一本にする、こういうことを私は提案をしたいと思うのでありますが、内閣ではそういうことについて検討をされる用意があるかどうか、承りたいと思います。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 石田委員の御提案については検討さしていただきたいと思いますけれども、それぞれの所管の関係もあり、ただいまお話しのようなこともあろうかと思います。そういう意味から、関係閣僚を中心にしました公害対策会議というものを内閣は持っておりまして、たとえば昨日の環境基準の決定にいたしましても、公害対策会議を経て閣議にもかけました。しかし、窓口はそれぞれあるわけでございますから、その窓口を、通産省なりあるいは建設省なり、経済企画庁なり、厚生省なり、それぞれの窓口は窓口として、それが全体として調整をされるように運営されていけばいいんじゃないかと私は思うのですけれども、しかし、御提案は検討さしていただくようにいたします。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 次に、公害救援法というものが近く提案されるといわれておるのでありますが、いつごろ提案になりますか。特にその内容において、国と地方公共団体と企業、三者の負担の割合、それから生活補償というものを含んでおるかどうか、この点について厚生大臣から承りたいと思います。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 公害病患者の治療その他の扶助に関しましては、できるだけ近く、ここ十日以内ぐらいには御提案できるのではないか、かように考えております。そうして、その扶助の内容は、公害病で特にお医者さん等にかかることで費用が多くかかり苦しんでおられる方々に対しまして、治療費というものを主にして考えたいと考えておりますので、生活扶助は他の生活扶助関係の法令によって処置をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 企業と国と地方自治体の、この負担区分を伺っているのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 企業側が半額、あとは国とそれから府県、また場合によっては府県と市町村というぐあいに、あとの半分を案分してまいりたいと考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 この法案の当初の厚生省案では、企業側が八分の五ということで審議が進められてまいった経過がございますが、やはり企業側の圧力というかあるいは通産省側の圧力というか、そういうことで後退をしたという印象を強く持たざるを得ないのです。これは当初のように企業八分の五ということで進めるわけにはまいりませんか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 事務当局の側で最初企業側のほうをもう少し、八分の五あるいは六割とか、五割五分とかというような考え方もあったことは事実でありますが、各方面のいろいろ意見を伺い、また、私ども高度の判断といたしまして、企業が半分、あとは国あるいは公共団体が適当であろう、こういう結論に達したわけでございまして、特に企業側の圧力というほどのものではないと御了解いただきたいと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 総理府総務長官に伺いたいのでありますが、公害紛争処理法案が準備中と伺っておりますが、いつごろ御提案ができる運びでありますか、伺いたいと思います。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 ただいまのお尋ねの公害紛争処理法案につきましては、大体の基本の成案を得まして、いま若干の問題について各省間の意見の調整中でありまして、大体十日ぐらいの間には成案を得ることができると思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 長官に重ねて伺いますが、公害紛争処理に関する法案では、一番問題なのは罰則規定を盛り込むかどうかという問題が一つ。もう一つは、公害紛争にあたって工場への立ち入りを認めるかどうか、この問題が中心になる、一番国民の関心の高い問題であると思います。これについて率直にお考えを承りたいと思います。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 ただいまのお尋ねの罰則に関しましては、従来かなり間接な罰則のように見えておるのでありますが、この点につきましてはよく検討していきたいと思っている問題点でありますが、なお、立ち入り検査の問題につきましては、やはり機関が設置されます以上は、その機関が十分職務を全うするようにいたさなければならないと思うのであります。ただし、中央と地方と二段の機関を置いておりますので、どちらにも同じような権限を置くかどうかということにつきましては、今日なお研究中であります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこで、これに関連いたしまして伺いたいのでありますが、工場の立ち入りについては、水俣病、阿賀野川事件とも、学者や調査官が立ち入りを拒否されております。通産大臣、聞いておいてください。調査に支障を起こしておることは言うまでもありません。また昭和電工川崎工場が、三十九年六月十一日にプロピレングリコール精製工場の貯蔵タンクが爆発いたしまして、十一名の死亡者を出し、重傷五十五名の大事故を起こしましたが、この際に会社側は、消防署員も警察官も立ち入りを拒否した事実があります。また北九州市のある工場では、従業員には退避命令を出しておるけれども、住民にはこれを知らせないという事実があります。人命にかかわる事故でも立ち入りを拒否できるということは納得はできません。最近特に産業スパイ罪を刑法に入れるべきであるという意見も企業側から出ておりますが、さらにあわせて伺いたいのでありますが、水俣市においては、死者四十二名、百余名の患者を出し、生けるしかばねのような人もいままだたくさんおります。阿賀野川では、死者五名、患者二十七名、その他水銀保有者、要観察者も多数おります。イタイイタイ病は死亡者は百余名、患者も無数におります。これは間接的な殺人傷害行為であるにかかわらず、刑事事件としては不問に付されております。刑事局長は現行刑法では処罰の対象とならないと言っております。一つには、阿賀野川の場合には、時効が昨年の六月であったのに、九月二十六日まで科学技術庁は政府の統一見解を出さないために、時効完成となったわけであります。まことに不合理きわまるといわなければなりません。  幸い三十八年以来刑法の全面改正と取り組んでおる法制審議会刑事法特別部会では、公害犯罪の新設について意見が提起され、去る十日の日に特別部会において、公害罪、いわゆる国民の健康に関する罪を新設することをきめたのであります。前段述べたように、各法律にも罰則規定はあるが、行政目的達成の手段であって、したがってざる法といわれておるのであります。公害犯罪の新設については、国民の重大な関心を持つところでありますが、法務大臣はこの点についてどうお考えになっておりますか、承りたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの件につきましては、国民大衆の健康の保護という広い立場から前向きの姿勢で検討しておりますが、いまお話しのとおり、この問題につきましては、目下刑法の改正を審議しておりまする法制審議会の刑事法特別部会におきまして、非常に重要な問題の一つとして取り上げておりまして、いまお話しのとおりの結果になっておりまするが、その特別部会の第四小委員会におきまして、現在、水俣、阿賀野川両水域の中毒事件並びに神通川のカドミウム中毒事件をはじめといたしまして、その他各種の公害の実情、現行の公害関係の諸法規との関連、また外国の立法例等につきましても、鋭意慎重に検討を進めておるのでございます。さようなことでございますので、私もこの法制審議会の答申をまちまして善処いたしたいという考えでおります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 厚生大臣、官房長官に伺いたいのでありますが、不特定多数の原因者ということは、これは厳密に言えばあり得ないのでありますが、しかし四日市のような場合には、原因者が非常に多いということで、いわゆる不特定多数ということがいわれておるわけであります。しかしそれと違って、いま問題にいたしましたカドミウムの被害であるとか、あるいはメチル水銀中毒というような、私企業の責任が明らかになった場合、この場合における取り扱い、先ほど厚生大臣は、一般生活保護法でおやりになるということでありますが、これは私はどうしても納得がまいりません。一企業の責任が明確になっておるにもかかわらず、それをいわゆる公害として画一的に取り扱うということについて、特に問題なのは、阿賀野川の場合には、昭和三十四年十一月十日に通産省の軽工業局長名をもって警告を発しておる。そしてそれを放任して今日に至っておるのであります。昭和電工に対しては、水俣病のような病気が発生するおそれがありますよという通達を出しておきながら、報告も求めないし、そのまま放任しておいて、第二の水俣病を出したというこの政府の責任は重大であろうと思うのでありまして、まず官房長官から、政府の責任をどうお考えになるか、私企業の責任が明らかになった場合といえども、一般生活保護法以上にこの措置をとることができないという理由は一体どこにあるか、明らかにしてもらいたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 私企業の責任であるということが明確になりました以上は、やはり私企業が与えた損害を賠償するというのが、これは今日の通念であろう、かように考えるわけでございます。したがいまして、そういうところにおきましては、すでに損害賠償の訴訟を起こしているところもありますが、ただ、こういった訴訟は非常に長引きますから、その間に、公害病で苦しんでおられるという方に対しましては、とりあえず政府としてその治療等に差しつかえのない程度の措置をすべきであろう。生活扶助は生活保護法がございますから、その扶助によりまして、そして生活に困られない限度のあれをやりたい、こう考えているわけでございます。したがいまして、長く放置をしておったという責任もあろうかともちろん思いますけれども、しかし、責任がその工場から流れ出る汚水によるものかどうかという検討に相当時間がかかったためにこんな結果になったものだ、かように考えているわけでございます。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 ただいま厚生大臣がお話しのように、私企業の負担に帰すべき原因によって起きておれば、これはもう私企業で責任を持ってもらわなければならぬととは当然のことだと思います。その間の処置については、ただいま厚生大臣の言われましたように、政府としても可能な処置はとっていかなければならぬと考えます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 官房長官、いま厚生大臣は、結論を、統一見解を出すのに非常に長引いたとおっしゃるけれども、実はいまの厚生大臣はおわかりにならぬのだけれども、その長引いた理由というのは、厚生省内の一局長がこれをひっかき回して、企業側擁護のために立ち回っておるのです。そうして科学技術庁はなぜ昨年の九月二十六日まで統一見解を発表しなかったかというと、昨年の六月中に結論が出れば、統一見解が出れば、刑事責任が発生するのです。そこで、ここの時効完成を見て統一見解を出しておるじゃないですか。子供だましのようなことを言ったって、よく調べておるのですから……。  そこで官房長官、官房長官には、政府が熊本県の水俣病の経験にかんがみて、アセトアルデヒドの製造工場からはメチル水銀が出て病気を起こすおそれがあるからという通達を出しておるのに、何にも処置をしないから第二の水俣病を起こしたのだから、政府に責任があるではないかということを言っておるのです。政府はどういう責任を負おうとしておるのですか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 政府が警告をして、その警告が実行に移されていなかったということについては、実行をしなかった企業者の責任は追及せらるべきだと私は思うわけです。それはそういうふうに感じます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 この点は通産省が窓口としては責任を負うべきものだ。熊本の例もあるから、アセトアルデヒド製造工程から出るメチル水銀というものは危険なものであるということを、これはしかも秘密文書で出しておる。私の手元にありますけれども。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕 しかし、報告もしてこないし、除濁装置もつけていないし、何らの措置もやっていないけれども何も言わないのは、一体どういうことなんです。報告を出しなさいとか除濁装置をつけなさいとか——ちゃんと水俣では除濁装置をつけたじゃないですか。そういうことを何にもやらしておらない。通産省は一体責任を感じませんか、それは。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 私の承知している限りにおきまして、あの事件は両当事者の間でお話し合いが進んでおるようでございますので、その成り行きを注視いたしております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 何か勘違いしていますよ。そんな話し合いは全然ありませんよ、これは。いま裁判をやっているじゃないですか。当事者の話し合い、どこにありますか。裁判やっていますよ。そういうとぼけたことを言っておるから、いかに公害に無関心だか、いかに企業側に立っておるかということを佐藤内閣は暴露するものだと私は思うのです。  そこで官房長官、さっきから言っておるように、三十七本も公害関係の法律があるけれども、ほとんど一つとして実行はされておらないといっても過言ではない。これは、憲法に定められたところの生命、身体が、先ほどから申し上げるように、むしばまれておる、おかされておるのは、どこに一体問題があるとお考えになるのですか。法律が悪いのですか、刑法が悪いのですか、行政が悪いのですか、ひとつ答弁してください。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 かような大事な席でございますから、個人の見解は差し控えるべきだと思いますけれども、やはり急激に日本の国土状況が変わってきた、これだけの経済、産業が爆発的な成長を遂げてきておる。したがってこの公害問題というものは、輓近非常な大きな国民的な課題として各方面から取り上げられている。これに適応するところに、その政治も行政も全体がまだ十分の適応性を持って用意がなかったということは、これはもう私は全体の原因だと思うわけでございます。  しかし、最近のこの実態から、また世論から、また政府の責任から、政治の責任からして、公害問題が、ただいま石田さんがお述べになりますように、非常に重要な課題となって、それだけに政府といたしましても、公害対策に対しては一段の努力をしなければならないというようなふうになってきておる。そういう心がまえで、先ほど来お話しのような公害に対する取り組み方、行政の上においても政治の上においても、取り組み方を気を新たにしてやれという御意見に私は承りますが、そういうことでひとつ督励をしてやっていくようにいたしたいと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そうしますと、高度経済成長政策のために人命を犠牲にしてきた行政府の責任はお認めになりますね。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 純然たる行政上の責任ということは私はないと思いますけれども、とにかくこういうふうな短期間に爆発的に日本の様相が変わってきておる。それに対して大急ぎで取り組みをやっておるわけでございますから、あなたの言われるように、理想の公害対策が今日まで行なわれていなかったというととは、これはもうすなおに認めなければならぬところだろうと思うわけでございます。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 水俣の事件が訴訟になっておるということはあなたから初めて聞いたのでございまして、私はそういうことは聞いておりません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 阿賀野川の問題ですよ。阿賀野川の水銀中毒事件を言っておるのです。  それでは次に進みますが、昨年の十二月二十日に板橋区前野町の志村工場のわきでたいへんな事故が起こっておるわけです。その内容をちょっと伺いたいと思うのであります。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  具体的に申し上げないとお答えになりませんので、政府委員からお答えすることをお許しください。

内海倫警察庁刑事局長

○内海政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御質問になりました事件は、板橋区内にあります化学工場の排出いたします有毒ガスの関係から生じた事件でございますが、十二月のほかに、その前に九月にもこれに関連した事故が発生いたしております。したがいまして、この二つを関連して御説明を申し上げておきたいと思います。  事故の起こりましたのは、板橋のあるゴム関係の工場でございますが、九月に、その工場から排水いたしております液が流れ出まして、その川で工事をしておった労務員の人が突然倒れた、さらに次々に七人が倒れた、こういう事件が起こりました。それから、次いで十二月の二十日に、この工場のごく近くにあります会社員のある人の宅で、その家族並びに近所の人々、こういう人五名が、自宅におきまして有毒ガスによりまして一週間ないし二週間の中毒を起こした、こういう事件でございます。  これの原因につきまして、警視庁並びに東京都の公害関係部局で、行政上の調査並びに犯罪の容疑をもちまして、それぞれ捜査あるいは調査を現在継続いたしておりますが、九月の事件につきましては、警察といたしましては、やはりこの工場から川のほうに流しました液体について、これが一応業務上過失傷害罪が成立するのではないかというふうな疑いをもちまして、現在なお技術的、専門的に捜査をいたしております。御存じのように、刑法の適用ということになりますと、非常に慎重な措置を必要といたしますので、技術的、専門的に慎重に検討いたしておるところでございます。  それから、十二月に起こりました事件につきましては、これは有毒ガスを中和させる装置の中におきまして、これが不十分であったと思いますが、その中和装置の中から有毒ガスが空中に排気口から出まして、その排気口の向きが、先ほど申しました被害を受けました家の方向を向いておりまして、五名の方が中毒をいたしましたので、これは工場長以下五名につきまして、業務上過失傷害事件としてこれを調べ、現在その取り調べを行なっておりますが、近く検察庁のほうに送致をする予定でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 いま御報告になったような事実でありますが、九月十六日に七名の傷害事件が起こった。ところが、それをそのままにしておいて、十二月二十日にさらに同様な事件を起こしておる。これは単なる過失傷害というような問題ではなくて、日本じゅうの都会の至るところのすみずみに起こっておる問題であります。こういう問題が、いわゆる公害といわるべきものであろうと私は考えるのでありますが、厚生省は、警察にまかせておいて、これほど身体に障害を与えておる事件に対して、一体どんなことをおやりになったのですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 私のほうで承知をしておりますのは、そういった事件が起こりましたので、東京都の公害課では、その工場に事業停止を命じまして、そうして施設の改善をやらした。改善ができたので、二月の十日からですか、再開を命じたというように報告を受けておるのでございます。  法律といたしましては、そういった有毒のものを排出する工場に対しましては、都知事から必要な措置を命じて、そして勧告をすることができるという規定がございますので、それによって東京都知事が措置をしたものと思います。そういう事故がありますれば、地方の監督を担当しております都知事以下の職員が、法の規定に従いましてしかるべき措置をとるように指示をいたしておるのでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 次に、科学技術庁並びに厚生省に伺いますが、昨年九月二十六日に政府の統一見解が出された、阿賀野川水銀中毒事件に関しましてお伺いをいたします。  統一見解は、昭電の廃液が基盤をなしておるということでありますが、厚生省案では、農薬説もあったが、これは裏づけする何ものもなかったし、むしろこれを否定する事実があったと、こういう案をつくっておったわけです。ところが、政府の統一見解の中で、昭電の廃液が基盤をなしておるということで、さらに添え書きで、農薬説があったが、これは裏づけられないということが書いてあったために、昭和電工の責任が一〇〇%であるということにならないということであります。  その後、阿賀野川では新しい事実が発生しておる。それは生物生体学的にメスを入れておって、プランクトンや珪藻類の微生物にメチル水銀が吸収され、これが魚体、人体に濃縮し、食物濃縮連鎖をいたしまして、すなわち、昭電旧排水口下流にはユスリカの一種テンジッペス、ハロフェロスなど数種類の珪藻類が見つかり、そのシリカや生体そのものは、河口付近のどろやニゴイの消化管からも多数発見されておる、こういう事実。さらに、昭和電工ではスラッジ、いわゆるボタ山の中にはメチル水銀はないと、こう主張して、県庁に出したスラッジの中には含んでおりません。ところが、約三百トン奈良県の郡山の水銀精製工場へ送ったスラッジの中には、これは非常にたくさんの水銀を含有しておるという事実が明らかになって、これは大学の研究室で、しかも数個所で検出をいたしております。こういう事実。それから、最近の阿賀野川における魚の中にあるところの濃縮されておるメチル水銀の量というものが明らかになっておる。こういうその後の事実によって、九月二十六日の政府統一見解というものはこれを破棄して、厚生省研究班、疫学班の最終結論である、昭和電工の廃液であると診断する、この結論を新たに確認すべきであろうと思うのでありますが、これは科学技術庁並びに厚生大臣の答弁を承りたい。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○木内国務大臣 石田さんの御質問にお答えしますが、この阿賀野川の事件につきましては、当初におきまして科学技術庁が中心になりまして、経済企画庁、通産省、農林省、厚生省の係官が集まりまして協議いたしました結果、厚生省と農林省にこの調査をしてもらうということになりまして、私のほうにあります特別研究促進調整費を配分しまして調査してもらいました。その結果、農林省からも調査が出てまいりましたが、厚生省のほうにおきましては、いまお話がありましたように、疫学班とそれから試験研究班及び臨床班、この三班を組織されて研究されまして、その成果を取りまとめましたものを、食品衛生調査会の答申といたしましてこちらのほうに御報告がありました。  そこで、私どものほうにおきましては、農林省の御報告と厚生省から出ました御報告、その資料も答申も基礎にいたしまして、関係各省、さっき私が申しました経済企画庁、通産省、農林省、厚生省、こういう各官庁の技術官が集まりまして詳細に検討いたしました結果、先ほどお話がありましたような結論に政府の統一見解を得まして、これを発表したわけです。  それによりますと、いまお話がありましたように、この阿賀野川の中毒というものは、メチル水銀化合物がその川に住むところの魚に蓄積といいますか、積もってきて、それを多く食べたためにこの中毒事件が起こった。しかし、この汚染の形態は、長期的の汚染とそれから短期的の比較的濃厚の被害があるということは、いまお話があったとおりですが、この短期濃縮の汚染のほうにつきましては、そういう魚を調べたりしたいろいろな結果、そういうものがあるということは疑問を持たれたのですが、それはどこから出たものであるかということの証明がつきませんでした。しかし、この長期の汚染のほうは、事実そういう汚染がある。この事実は否定することができない。そこで、長期汚染がこの中毒事件の基盤をなしておるものである、こういう慎重な検討の結果の報告がなされたわけであります。  そういうわけでありまして、農林省、厚生省、その方面から出てきました研究の結果を詳細に検討した結果でありまして、いま直ちにこれを変更するというようなことは、御意見でありますけれども、考えておりません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 厚生大臣、答弁は要りません。科学技術庁長官、いまこまごまと御説明を伺ったのでありますが、実は御承知かと思うのでありますが、熊本県の水俣病の場合には、昭和三十四年の三月で検討を打ち切っている。政府は握りつぶしておったわけですね。その後、私が中心になって三年くらいこれを掘り起こしてやってまいりました。学者の研究も進んでまいりましたよ。そこで、昨年統一見解を出したのですが、阿賀野川の統一見解というものも、その後も学問的な新事実がまだ出るのです。これは阿賀野川研究会というものを学者のグループがつくっておりますから。だから、いま私が指摘した問題だけでも統一見解は破棄して、そうして新しくこれをやり直すべきではないか、こう言っているのです。いままでの経過は、あなたより私のほうがよく知っておるのだから、その説明を聞く必要はないが、新しい事実が出た場合には、従来の統一見解を破棄してやり直すべきじゃないか、こういうことを言っておるのです。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○木内国務大臣 お答えいたしますが、水俣病のほうは経済企画庁のほうでおやりになったと私は伺っております。しかし、いまお話がありました、いろいろおあげになりました事実は、私どものほうの技術者が、また厚生省、農林省におきまして調査をされたときにも、十分に考慮されておるものだろうと私は考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そうではありませんよ。その当時、また生体学的な調査、研究は行なわれておらなかったのですよ。そしてなお今後新しい事実が出てくる。したがって、そういう事実が出てきた場合においては、従来の統一見解は当然破棄して、新たにその責任を明らかにすべきではないかと、こう言っておるのです。当然そうでしょう。科学技術庁がやろうが、経済企画庁がやろうが、新しい学問的な事実が出たならば、従来の見解が間違っておったのならば、正確な真実を確認すべきじゃないですか。どうですか、簡単でいいですから。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○木内国務大臣 私どものほうの技術者、また、関係各省の技術者も十分に注意して事を処理したと思うのですけれども、もしこの統一見解を破棄しなければならぬような事実が出てくるということになれば、それはまたおのずから事態が変わってくることだろうと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 次に、時間がありませんから食管の問題を伺いたいのであります。  農林大臣、最近生産者米価並びに消費者米価が——いわゆる自由米の価格が、ごく最近になってさらにまた値上がりをしております。その原因は何であるとお考えになりますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 何かいろいろ、自主流通米が今回、四十四年度から行なわれるのではないかというような想定の上に立って、そのような価格構成が行なわれているというような話も承っておりますが、詳細、最もよく調査をしている食糧庁長官にその説明をさせたいと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 自主流通米の構想が明らかになったので、生産者価格も消費者の価格も値上がりした、大臣の答弁はなはだ率直でけっこうです。そのとおりだと私は思います。  そこで、一体国の管理する米と、自主流通米と自由米との区別はできますか、どうですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 自主流通米と政府を通した米の区別は、これははっきりと——どこで検討するかということになるのですが、自主流通米というものと政府管理米は、販売の経路は違ってはおりませんから、別にここでどうこうという考え方は、米そのものを見て、ここでもってどっちがどうだという見当はつかないと考えられます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そのとおりだと思うのです。そうしますと、自主流通米と自由米と政府の管理米との区別がつかないということになると、自主流通米が多くなってまいりますと、いまの食管法というものは全く意味のないものになる、こう考えられるのでありますが、どうですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 自主流通米は政府が補償をしておりませんし、政府負担をしておりません。また、政府管理米のほうは、御承知のように政府負担がありますから、そういう点でのけじめははっきりつくだろうと考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 重ねて伺いますが、自主流通米というのは、農協が集荷をし、販売をするという受け入れ体制があるところに自主流通米というものがあって、いわゆる自由米というやみ米というものは、それと離れたものになりますか、どこかで一緒になる性質のものですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 自主流通米をやることになれば、従来あった、一名やみ米と申されたようなものは、おのずから姿を消していくだろうというような考え方の上に立っております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そういたしますと、そういう自由米と自主流通米というものが多くなってくれば、国の管理する米というものの量はわずかになる、事実上食管制度というものはくずれるものである、こう考えられるのでありますが、農林大臣はどうお考えになります。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 私たちの考え方というものは、米の一部の自主流通の考え方は、米の全く自由な流通を認めようとするものではないので、米穀の需給の事情に即応して、食糧の管理制度の根幹を維持しつつ、したがって、その直接管理の長所を生かさなければいけない、そしてまず米穀の品質の問題の前進をはかる、そして自由というものの長所をあわせて実現しようとするような考え方も持っております。ですから、食糧管理制度というものをなしくずしにしていくとか、あるいはなくして、そしてその変革をしようという考え方は毛頭持っておりませんです。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 なしくずしにくずそうとする意図はないという、それはあなたの主観的なものであって、客観的には、さっき御答弁になりましたように、事実上これは崩壊する。  そこで、非常に重要な問題ですから、ひとつ伺っておきたいのでありますが、米の等級と、品種と、味と、どこでどう結びつくことになりますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 そのこまかい点は、食糧庁長官に説明をさせます。

桧垣徳太郎食糧庁長官

○桧垣政府委員 お答えいたします。  石田委員も御承知のように、等級は外見基準あるいは水分の基準等で規格をつくって分けておるものでございますから、それ自身はいわゆる食味を直接に表現しておるものとは言えないのでございます。ただ、同一品種、同一銘柄のものにつきましては、上位等級のものが食味もすぐれておるということは事実でございますが、食味の点になりますと、これは非常に、それぞれの地域あるいは個々人の嗜好によって差異があるのでございまして、現在の段階で、等級をもって食味を表示するということは不可能であるというふうに思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そのとおりだと思うのです。  そこで、さっきの大臣の答弁である、自主流通米制度をとるようになったので、消費者米価が大幅に上がってきた、こういう答弁でありますが、そのとおりなんです。この間ある主婦の座談会で、自由米が多くなれば金持ちは高いうまい米を、貧乏人はまずい米を食わなければならないことになるという発言があったわけでありますが、これはこのとおりだと思うのですが、どうですか、大臣。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 自主流通米が出るようになるから値段が上がったと申し上げたのではないのであって、そのようにはうわさをしておられますけれどもという話を申し上げたのでありまして、したがって、自主流通米ばかりでなくて、自由米という面について、その中に含まれる新米、古米の混合の割合などもありましょうし、それ以外のものも影響はあっただろうというような要素は幾つもあるわけでございまして、ですから、そういう点がこれできれいになったからそれがそうなったという、たとえば自主流通米を来年度から行なうようになったから、つまり米価が上がってきたんだということだけではないのであって、そういうような要素もあると伺っておりますがと申し上げたのでありまして、その点を間違わないで——そうきめつけられちゃうと困るので、専門家の前ですから、そうはっきり申し上げるわけにはまいりませんから、私のほうは、そういううわさもございますけれどもと言ったんでございまして、別にそうだと申し上げたわけではないので、要素は幾つもあるわけでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 法制局長官、呼んでおったのですが、見えませんが。  そこで大臣、食管法三条では、生産者米価というものは「物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」となっております。総理大臣も農林大臣も、食管制度の根幹は守る、こう言っておられますね。一体食管制度の根幹というのは生産者価格、消費者価格、それと流通の点、これが根幹だと思うのでありますが、どうでしょう。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 根幹とは一つの目的でありまして、その三者ももちろんその要素の中の一つであろうと考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 とにかく完全に実行しておれば、生産者価格も安定し、消費者価格も安定しておる。したがって、食管制度というものの価値が生産者にも消費者にもある。流通の面がジャングルのようだという農林大臣の表現でありますけれども、自由米というような流通は認めない、流通制度が整然としておる、ここに食管法のねらいがあるのではないか。  そこで、これはあとの議論にいたしますが、伺いたいのは、去年の生産者米価は何%上がりましたか、農林大臣。それから次に経済企画庁長官に伺いたいのでありますが、これは大蔵大臣がいま兼務されておるそうでありますから伺いたいのでありますが、本年度内の消費者物価は何%くらい値上がりの見込みでありますか。農林大臣並びに大蔵大臣に伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 昭和四十三年ですか、昨年というのは。——昭和四十三年におきましては、消費者価格は八%、それから生産者価格は五・九%であります。それから昭和四十四年度におきましては、両米価とも据え置きにいたしたい考えであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 福田さん、よく聞いてください。そんなことを聞いているのではないのです。去年の生産者米価は何%上がりましたか、それから消費者物資の値上がりは、年度内で幾らのお見込みであるかということを、経済企画庁長官の代理である大蔵大臣に伺ったわけなんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 四十三年の消費者米価は、八%引き上げになったわけです。それから消費者物価は五・三%上がるという大体の見込みであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 農林大臣、いいですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 ただいま大蔵大臣が申し上げたように、生産者米価を五・九%……。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこで一体米価の算定というものは——先ほど私は食管法三条をちょっと指摘しておいたのは、米価を決定するにあたっては、前年度の生産費の値上がりというものを勘案して、これを参考としながら価格を決定する、こういうことなんですね。そうすると、消費者物価は八%上がると、こう福田さん、おっしゃるのですが……(福田国務大臣「五・三です」と呼ぶ)五・三ですか、五・三でいいです。そうすると、一体米の生産費は、これは百五十キロ当たりでも十アール当たりでもけっこうですが、幾ら上がったか。これは農林大臣、四十二年の米の生産費、たとえば労働費、農具費、水利費、防除費、建物費、地代などの上がった分です。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 数字のことは、いま食糧庁長官に説明させます。

桧垣徳太郎食糧庁長官

○桧垣政府委員 お答えを申し上げます。  統計調査部の調査によります四十一年の……

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 四十一年を聞いておるのじゃないのです。四十二年を聞いておるのです。

桧垣徳太郎食糧庁長官

○桧垣政府委員 四十一年の第二次生産費が、百五十キロ当たり一万五百八十三円、四十二年が一万二千五十七円ということでございまして、内訳を申し上げますか。——以上の数字になっております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 内訳はいいですから、長官そこにいてください。  先ほど私が指摘しました労働費、農具費、水利費、防除費、建物費、これの総合的な値上がりのパーセンテージはどうですか。

桧垣徳太郎食糧庁長官

○桧垣政府委員 ただいま御指摘の生産費の項目別の絶対数はあるのでございますが、総合いたしました上昇率というものをただいま計算をいたしておりませんので、後刻計算の上お示しいたしたいと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 こういう米の値段の据え置きをするという議論の中で、生産費が一体——去年ののはまだ集計されておらないだろうと思うから聞いていないのですが、おととしのこうした生産費の上昇分がどれくらいであるかということがおわかりにならないで、本年度の米価は据え置き論をなさるのはおかしいじゃないですか。据え置きの根拠を伺いたいのです。これは大蔵省、特に当初は値下げを主張されたのでありますが、私はいまの数字で、あとで出されるそうでありますけれども、私の統計調査部の資料によると、物価は五・三%上がった。生産費は、いまの総トータルで、地代は三倍になっておるけれども、地代を含まないところの総平均で、生産費は一六・一四%上がっております。物価が五・三%で、生産費が一六・一四%上がっておって、米価が五・九%上がったとすれば、どういうことになりますか。大蔵大臣、どういうことになりましょう。計算してごらんなさい。五・三%に生産費の一六・一四%をプラスして、マイナス米価五・九%。去年のお米は幾ら下がったと思いますか、一五・五四%、去年の米価は下がっておるじゃないですか。下がっておりますよ。それぐらいのことは、経済的にあなた専門家だからおわかりでしょう。生産費が上がって、諸物価が上がって、そうして米の上がる分が五・九%でしかなければ、一五・五四%去年の生産者米価は下がったことになるじゃないですか。どうですか、お認めになりましょうね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 それは私と考えが違います。四十三年の米価は、とにかく五・九%引き上げになっておる。その引き上げの計算の中には、農家で用いる労賃を都市労賃に換算をいたしまして、そしてつくり上げておる。そういうようなことでありますので、米価は都市労賃並みに大体において引き上げられておる、こう考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そんな単純なものじゃありませんよ。いいですか。おととしの米の生産費は労働費で二二・七%上がっておる、農具費で一六・六%上がっておる、水利費は二〇・五%上がっておる、防除費は一六・四%上がっておる、建物費は二八・五%上がっておる。だからこれだけで、まだあるけれどもこれだけで一六・一四%上がっておるということを私は指摘しておるのです。そうすると、米の生産に要する経費がもっと上がっておるんですから、もっと上がっておるんだけれども多少ダブる面があるから、私は地代部分は含まないという議論をしておるのです。地代部分を含めば、さらに大幅な生産費の増高になるんです。この計算は単純な計算ですよ、大臣。単純な計算です。あなたは一体どういう計算でお考えになっておりますか。あなたも農林大臣もやられたし、よく米価のことは承知になっておられるのですが、どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 これは生産費所得補償方式で計算しておるわけなんです。あなたのは、もう単純に諸物価のおもなものを、騰貴率を見ておるだけで論じておりますが、そうじゃない。これは物価、資材費の上がりということも考慮しなければならぬ。また特に先ほど申し上げましたように、労賃の上がり、これも考慮しなければならぬ。それから逆に、生産性の向上というものも考慮しなければならぬ。総合されたものが五・九%のアップになる、これで大体のバランスがとれた価格である、かように考えています。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 だから、生産者米価を決定するにあたっては、生産費を考慮しなければ生産費及び所得補償方式とは言えないでしょう。言えないでしょう。だから、その生産費を無視した米価のこの上げ方などというものは、上げた分にはなりませんよと言うのですよ。下げたことになるじゃないかと言うのですよ。  そこで、ことし今度は据え置きにするということになる、——なるかならないかはこれからの話だ。けれども、据え置きにするとすれば、諸物価の値上がり分だけは値下げをするという結果になるじゃないか、そうなりますね。どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 私は、いま戦後の経済社会の中で、農業を含めた経済社会というものは非常に発展をしておる、世界でまれに見るような、驚かれるような大発展をしておるのですが、それは鉱工業の部面が中心になっておるのです。農業のほうは、鉱工業に比べて生産性が非常に低い、そういうようなことを内蔵しつつ発展しておる。しかし政治的に見て、また社会的に見て、農業従事者の所得が、他の鉱工業に従事する所得者に比べまして、低くてよろしいというわけにはいかない、これは肩を並べなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。それで、いろいろな農業に対して保護政策がとられてきた、私はこれは当然のことだったと思います。しかし、その保護政策が、米作農家につきましては、価格政策に偏重されてとられてきておった。その結果、非常にいま米の需給上困難な事情をもたらしておる、こういうふうに見ておるのであります。保護政策というものは続けなければならぬけれども、これは価格政策に偏重しておるという考え方、これを生産性を向上し、農業の、米作農家の能率を向上するという方面に考え方を切りかえていくという転換をしなければならないんじゃないかという感じがしてならないのであります。それはともかくといたしまして、今度は据え置きだ、こういう線を出してきておるわけですが、そうすると、いままでの考え方、方式をずっとこういくということをとるとすれば、あなたのおっしゃるとおりなことになると思う。しかし、いま申し上げましたように、需給が非常に困難な状態になっておる。農家が願うところは何だというと、私どもは、食管制度を維持したい、こういうことにあると思うのです。ところが、いまの価格偏重の保護政策、米価決定方式をとっておったんじゃ、これは食管制度を私は維持できないと思うのです。農家の願うところの価格支持、食管制度を続けていくためには、これはくふうをこらさなければいかぬ。それにはやはりこの辺で価格偏重の考え方というものに対しましても反省しなければならぬ、そういうふうに考えまして、据え置きという考えを出しておるのです。  この据え置きを理論的にどういうふうにやっていくかというと、あなたもよく御承知の限界農家問題です、シグマの問題であります。この問題から説明していく、こういうことに相なろうかと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 時間があとあまりありませんから、二、三伺いたいのでありますが、総理大臣はこういう答弁をしておる。国鉄運賃以外は絶対に上げないとは言えない、こういう答弁をしておる。それからもう一つは、今後米価審議会その他所定の手続によって決定をする、こういうことを言っておる。この答弁の限りにおいては、生産者米価、消費者米価については、多分に流動的だという受け取り方を私はしておるわけです。流動的であると受け取ってよろしいかどうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 法的には流動的であります。しかし、政策論的には流動的ではない考えだ。つまり米価審議会にはかつて両米価をきめる、これはそのとおりの方式をとるわけでございまするが、米価審議会に対しましては、据え置き方針こそがほんとうに真剣に、親身に農家を守るゆえんでもあるし、また国民経済を安定させるゆえんでもあるということの説得につとめる、かような考えであります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長代理 石田君にちょっと申し上げます。  先ほど答弁を留保いたしました米の生産費の上昇率について、食糧庁長官から答弁を求めておりますので、これを許します。桧垣食糧庁長官。

桧垣徳太郎食糧庁長官

○桧垣政府委員 統計調査部調査によります米生産費につきまして、四十一年に対する四十二年の比率でございますが、十アール当たりの上昇率は、資本利子、地代を除きます第一次生産費では一三・四%のアップ、二次生産費では二五・五%のアップでございますが、百五十キログラム当たりに直しました上昇率は、第一次生産費では二・九%のアップ、資本利子、地代を含めました二次生産費では二二・九%のアップという数字でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 それは大体こっちもわかっておるのですが、そこで、先ほど農林大臣も需給事情に触れられました。それから大蔵大臣も需給事情と食管維持について触れられました。そこで、私は需給の事情について承りたいと思うのでありますが、農林大臣、需給関係ですが、昭和三十九年から四カ年間で外米の輸入量は幾らですか。昭和四十二年の一——十二月の外国小麦の輸入量は幾らですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 長官にいま答弁させます。

桧垣徳太郎食糧庁長官

○桧垣政府委員 お答えをいたします。  合計数字は、私ども持っております資料の年度の途中からの質問でございますので、会計年度別に三十九年から申し上げますが、三十九年が米については五十二万四千トン、四十年度が百七万二千トン、四十一年度が七十万八千トン、四十二年度が三十五万トン。麦につきましては三十九年が三百九十四万四千トン、四十年が三百九十三万八千トン、四十一年が四百五十一万八千トン、それから四十二年度が四百八十三万一千トン。麦についてはえさ用、飼料用の麦を含んだものでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 農林大臣も大蔵大臣もおわかりだと思うのですが、いま長官が説明したとおりです。米は余る余るというけれども、四年間で二百六十四万トンも外米を輸入しておるのです。四十二年単年度で外麦は四百二十何万トン、食糧分だけでも入れておる。飼料を入れれば四百八十万トン入れておるのです。米換算で三百二、三十万トン入れておるんです。こういう事実の上に立って、今日米過剰論をするのはおかしいじゃないですか。大蔵大臣、どうお考えになるのですか。  そこで、もう一つ伺いたいのでありますが、そういう外国食糧の輸入というものが基盤をなしておって過剰論というものが出ておるじゃないか。これを輸入しなければどういうことになる。足らないじゃないですか。しかも、米が非常に足りなくて、年度末に一万三千トンか一万五千トンしかなかったのは何年ですか。何年前ですか。おわかりでしょう。

桧垣徳太郎食糧庁長官

○桧垣政府委員 米の米穀年度末におきます内地米の繰り越し量が非常に激減をいたしましたのは、三十七米穀年度からでございました。三十七年が八万六千トン、三十八年が一万五千トン、三十九年が一万三千トン、四十年が四万七千トン、四十一年が十八万六千トンというような数字でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 いまお聞きのとおりなんですね。米が足らなくて東京都では配給の二日分しかないというので、私が食糧危機に関する緊急質問を本会議でやろうといって、これは議運で問題になって、それはやらさぬということになった。それほど危機状態が起こったのは、わずか四年前じゃないですか。  科学技術庁長官に伺いますが、今日科学技術が進歩したからといって、寒波の襲来をとめることができますか。台風を押えることができますか。どうでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 お話しのとおりでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 科学技術的にどうですか。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○木内国務大臣 お説のようなことは、ただいまはできませんけれども、私の夢としては、ボタン一つを押せば雨量も調節できるように、あるいは台風の進路も変えることができるように、そういうようなことも夢として持っております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 時間ですから終わりますが、最後に、この間角屋委員の質疑の中に出てまいりました外国への貸し付けまたは売却という問題については、これは食管法の七条でたいへん問題になっておりますが、私は、財政法九条との関係について大蔵大臣に御質問を申し上げ、それで終わりにしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 財政法第九条では、特例を認めているわけです。その特例は法律に基づいた特例でなければならぬようになっておるのですが、その特例措置が食管法に認められておる、こういう見解をとっております。すなわち、食管法において交付、これは有償の場合もあるし、無償の場合もある、を認める、かようなことになっておるのであります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長代理 これにて石田君の質疑は終了いたしました。  次に、和田耕作君。

和田耕作民主社会党

○和田委員 最初に、金沢の自衛隊機の墜落事故につきまして、ちょっと防衛庁の見解をただしておきたいと思います。  まあ、自衛隊はだんだんと災害出動なんかをしまして、国民の中にとけ込んできた。たいへん私どもも喜んでおるわけでございますけれども、今度の事件で、不可抗力とは思われないような状況のもとで四人の人が死ぬ、そうして多数の人がけがをなさったという、この事故については、ほんとにたいへん遺憾に思うわけでございますけれども、それにつきまして、自衛隊の監督をしておる防衛庁長官は、真剣にこの問題を反省してみなければならぬと思うんです。これはいままで同僚議員からいろいろ指摘があったわけでございますから、あまり多くは述べませんけれども、ただ一点についてお答えをいただきたいと思います。  あの墜落事故のあった日に、操縦士がまともな操縦ができなくなった、あの雷によってできなくなった。同じ時期に、地上の誘導設備に故障があったという報道でございましたけれども、これは事実でございますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 レーダーが瞬間とまったことは事実なんです。しかし、それは雷が落ちましたときに、あそこは北陸電力の供給区域ですが、停電しちゃったんですね。そこで、レーダーが動かなくなった。しかし、御承知のとおり、レーダーには自家発電の用意がしてありますから、そこで自家発電をやりまして——すぐやったんですが、このレーダーは少しも故障が起きていませんで、停電であったんですから、したがいまして、この事故とは——レーダーが間違っておったからこの事故が起きたんじゃなくて、あの事故が起きた瞬間に停電で一時とまった、こういうことでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 落雷と停電というものは多くの場合結びつくものでございますね。したがって、この停電によってレーダー設備が機能をストップするという問題は、落雷があるときには考えなければならない。そういうことですね。しかも、これは航空機の操縦に対して決定的な一つの影響を持つ設備だと思いますけれども、これを停電があったからやむを得なかったんだ、すぐに自家発電に切りかえたんだという御説明ですけれども、これでは非常に危険なことになるんじゃないですか。つまり落雷と停電という問題は、もう瞬間的に一緒になるものであるだけに、今後こういうことではこのような不時の災害というものは避けられない問題になる。したがって、こういう問題としては、落雷があってもレーダーの誘導施設がストップしない、瞬間的にストップしないように——この瞬間が大事なんですから、しないような措置をすべきだと思うのですが、どう思われますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 先ほど言いましたように、落雷によって飛行機は墜落したわけですね。その瞬間に停電したということでございまして、レーダーが故障があったから墜落したわけじゃない。しかしながら、今回の事故はそういうことでございますけれども、レーダーもきわめて重大なことでありますから、今後蓄電装置をしっかりやって、自家発電もありますけれども、すぐレーダーが動くように蓄電装置等をやって、今後万全を期したい、かように考えておるのです。

和田耕作民主社会党

○和田委員 今後の問題がありますから、防衛庁長官の今後深刻な反省と御注意を促しまして、これで終わることにいたします。  次に、私は、特にこれも緊急の問題として御質問するわけですけれども、解散の問題でございます。昨日も川島副総裁が、一月にお話しになったことをことさらあるところでお話しになって、これがマスコミに乗って大きく報道されておるという、いろいろな報道のしかたでございますけれども、よく読めばわかりますけれども、よく読まなければ解散を強く主張したというような印象を受けるような報道もあるということで、その前も田中幹事長も、この年度、この国会中には解散をしないという前提のもとに、しかし、バット以下でよけいなことを言っているということがあると思いますけれども、さすがに佐藤さんはそのバット以下のことばを使っていないようですけれども、官房長官、総理の意向をお考えになって、この解散という問題をどういうふうにお考えになっておるか、一言お伺いしたい。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 総理は解散のことは何も考えていないと繰り返し言っておられますが、それ以上のことは私は何にも存じません。また、それ以外のことは総理も考えておられないと私は信じております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 まあ総理がそれ以上の答弁をしていないことはよくわかりますけれども、いま申し上げたように、与党の最高幹部がそのような発言をしているという事実がある。また戦後、全部の総選挙は解散によって行なわれている事実、二年そこそこで解散をしているというこの事実がある。この解散によって総選挙をする、しかも二年そこそこで総選挙をするということが、日本の戦後の政治にとってどのような影響をもたらしたか。プラスがあったかマイナスがあったか、その判断はどのようにお考えになっておられますか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 これはやはり政局安定ということが最大の願望で解散はせられておると思うのでございますが、ただしかし、個人的な見解になるかもしれませんけれども、総選挙という国民の主権発動という機会が多かったということ、民主主義の発展の上には大きな貢献をいたしておる、私はそう思っております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 最近の状況を見ればよくわかりますように、もういわゆる解散風が吹いております。したがって、これから数カ月の間の時期がどうなるか予想はつきませんけれども、少なくとも国政を本気に審議をする、調査をするということは、だんだんとできなくなるのではないか、こういう感じがいたすわけでございます。こういうようなことを思いながら、私は憲法を読みましても、憲法の四十五条でしたか、衆議院議員の任期は四年だということをはっきりきめております。ただし解散があれば云々ということですけれども、つまり憲法の基本的な精神と申しますか、考え方というのは、衆議院議員は四年間の任期があるんだということをはっきり示して、ただし解散ということで考えておるわけですね。こういう書き方からすれば、戦後どの総選挙も全部解散によるんだ、しかも二年くらいの解散でやるんだということは、憲法の基本的な——憲法違反とは申しませんけれども、基本的な考え方とは違った方向に運営されておるとはお考えになりませんか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 いろいろの考え方があろうかと思いますけれども、最近の解散事例を見ますと、おおむね三年くらいの経過はしておるようでございますし、四年という任期はございますけれども、お互いに身分保障をされていないというところには、また民主主義のいい味もある。絶えず国民のきびしい批判の前に立たされておるということを考えますと、非常に味のある制度じゃないかとは思います。最近の解散の事例は二年とおっしゃいますけれども、大体三年以上になってきつつあるんじゃないか、こういうふうに思っております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 先進国、どこの国の例を見ましても、衆議院に当たる議会の解散というものは、ほとんどないのですね。全部任期一ぱいでやっておる。まあイギリスなどでときに解散をやりますけれども、きわめて異例な場合の解散しかない。つまりこの問題を、私どもは日本の政治を考える場合に、真剣に考える時期ではないかと私は思うのです。と申しますのは、衆議院議員に私当選をしまして、一年くらいは無我夢中でいろんなことの勉強をする、あいさつをするということになります。あとの一年、少し落ちつくかと思うと解散ということになってくる。全然手がつかない——全然とは言いませんが、手がつかなくなる、こういう状態ですね。こういう状態をいままでずっと繰り返してきた結果、上等の人間でも代議士になれば品物が悪くなるという世評もあるんですけれども、結局勉強する間がないということになるんじゃないですか。日本は、よくいわれますように、経済はまあ先進国並み、それ以上だということで、ごく短期間に世界三位の状態になってきている。経済のマネージメントはりっぱなものだ。外国からもそういわれておる。しかし、政治は三等国並みだというような話がずっと続いている。私は、このことは解散と関係があるのじゃないかと思うんです。つまり政治の主役である代議士が、自分の身分の状態が不安定である。いつでも世論を考えなければならない、いつでも選挙のことを考えなければならない、こういう状態で代議士がよくなるはずがないじゃないですか。お互いに政治家というものは世論を聞くことは必要です。だけど、逆に世論を指導しなければならない任務があるわけなんです。世論を指導するということは、いろんな面から考えられますけれども、とにかく勉強が必要です。役人以上に勉強が必要です。学者以上に判断力が必要なんです。そういうことができないのが、つまり解散問題じゃないですか。戦後の、いろんな政治がダイナミックに動く時期には、そういうこともあったでしょう。それがある意味でプラスになったかもわかりません。しかし、こういうことになってきますと、この衆議院議員という四年間の任期というものをもっと真剣に考える時期にきているんじゃないか、憲法の精神はそこにあるんじゃないか、こういうことを私は思うのですけれども、官房長官、総理大臣のその問題についてのお気持ちをお伺いしたい。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 私は総理大臣から解散の問題について何も伺っておりませんが、ただ私どもは国会がそれぞれ職責を十分に尽くしていただきたいということ以外には考えていないのでございますから、ただいまの和田さんの御意見は、非常に貴重な御意見として伺わせていただきます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 ここでいろいろな突発事故はやむを得ないし、また緊急な安保の問題等についての世論を聞くという問題については、これは一つの重要な案件かと思いますけれども、総理大臣として、あるいはその代理としての官房長官は、とにかくできるだけ早い機会に衆議院議員はできるだけ任期一ぱいに持っていく、そういう制度を、憲法のそういう気持ちを実現するようにするんだ、その気を持っているんだということをこの場でお話しになることはできませんか。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 憲法上の基本に関する問題でございまするし、非常に大きい問題でございますから、御意見は総理にもお伝えいたしますけれども、私は、それについて私見を申し述べることは、御遠慮さしていただきたいと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 これはこの程度にとどめておきます。ぜひともこの解散でもって野党をおどす——私はそうびくびくはしませんけれども、おどすとかいうような気持ちで解散の問題を安易に取り扱わないように、そういうことをお願いして、この質問を終わりたいと思います。御苦労さんでございました。  そして次の問題、医療の抜本策について御質問したいと思います。いまから一年半前に、あの有名な健保国会という国会がございました。ちょうど私ども民社党は、あの混乱の中で、二年間の時限立法にしていこうということで、さしものあの混乱国会がおさまってまいったことは、御承知のとおりでございます。ちょうどあの提案の理由の趣旨説明を私したわけもございまして、今回政府が抜本策を出さない、また一年半か二年か知らないけれども延ばしてしまうという御決定のようですけれども、この問題について、厚生大臣のお気持ちをお願いいたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 医療保険の抜本改正は、できるだけ早く結論を得まして、国会の御審議をお願いいたしたい、かように思っておるのであります。できるだけ延ばしたほうがいいなんというような考えは、毛頭持っておりません。ただ、御承知のように、内容は非常に広範にわたりまするし、また抜本といいまする以上は、今日の国民医療の現状、またその拠出の程度、またさらに一般の大衆の健康を保全をしていく予防衛生、また健康増進対策というような事柄とも関連し合って、最もいい制度をこの際樹立をすべきだ、この機会をのがしてはまたまたさらに抜本改正、抜本改正といわなければならぬようなことが起こっては相ならぬ、かような考え方から、自民党においても真剣に検討していただいておりまするし、厚生当局もかつては一試案を出しましたけれども、しかし、これだけでは十分でないという考えを持っておりますので、党と政府と両々相まちまして、できるだけ早い機会に、少なくともこの国会の終わりには基本の考え方をお示しできるようにいたしたい、かように考えているわけでございますので、何とぞ御了承をお願いいたしたいと存じます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この国会中に抜本対策の基本をお示しになるということですけれども、それは法案の形で国会に提出されるという意味ですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 できるだけそうありたいと思うのでございますが、関係の審議会もございまするし、法案の形でというのはちょっとむずかしいかもしれない、真剣に考えて、さように思うわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 私は、政府の姿勢としまして、たとえば思い出していただければわかるように、あのような大きな混乱を起こした国会、そのために臨時に国会を開いたような国会で、しかも八月中旬まで続いてきた、あのような大騒ぎをして、そうして国民に約束をしたあの時限立法というものは、政府は二カ年のうちには必ず提出をいたします、各政党もそういうふうなことでこの問題と取りかかりますということを示したのがあの時限立法の趣旨でございますね。ああいうふうな経過を経ておるものであるにもかかわらず、私たちから見ますというと、そうたいした障害があったとも思われないのに——党内のいろんな問題もあったでしょう、あるいは他の関係の団体の意向もあったでしょう。あったでしょうけれども、政府がやる気になればできないことはないと思われるのに、いまもおっしゃられるとおり、できるだけ早く出すとおっしゃっても、法案の形でなくて基本構想の形で出すというようなことであればいつになるかわからないということに、問題が問題であるだけにそういうことを心配するわけなんですね。その点はどういうふうに思われますか、つまり政治的な責任というような問題を。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 おっしゃいますとおり、まことに責任が重いと考えておりますが、事柄が事柄だけにそれだけの時日を要しておりますので、これは申しわけないと申し上げる以外にないのじゃないか、かように考えます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 こういう問題は、お米の問題と並んで非常にむずかしい問題だということはよくわかります。よくわかりますけれども、こういうむずかしい問題を民主的な手続で合理的に解決できないような状態というものは、これは反省してもらわなければならないと思いますね。特に今度の政府の出しておるいろいろな法案の中で、この問題と関連して私遺憾に思いますのは、日雇健保の改正が出ていますね。日雇健康保険の問題に問題があるということは私もよくわかります。政府があの案を出してきた理由もわからぬではございません。しかし日雇健保という問題をいままで議論した場合に、これは抜本対策の場があるから、そこで解決していこうじゃないかということをずっと言ってこられましたね。そうであるのに、抜本策の問題は避けて、むずかしさにとにかく延ばして、この日雇健保だけがにょきっと出てきておる。つまり、日雇健保というのは、結局保険料を引き上げるという赤字対策、財政対策の面からだけでこの問題を取り上げているという感がしないでもない。あの、この前の特例法のときに、財政問題だけからではないのだ、基本的な問題を考えなければならないということを何べんも各方面からいわれたことなんですね。しかも今度の国会では抜本策をさぼって、しかもこの日雇健保という問題だけを出してきておる。こういうところにも、政府の意思というものが疑われてしかたがないんじゃないですか。つまり抜本策を何とかかんとか理由をつけて延ばしながら、赤字の問題だけを保険料の引き上げという形でカバーしていこうというように見られてもしかたがないんじゃないですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 日雇健保も抜本改正の中で必ずこれは解決をいたしたい。それを抜本改正の中に取り入れることはここではっきり申し上げております。しかしながら先ほど申しますように、もう一年もおくれる、抜本改正が成案ができ、国会で通していただきましても、それを実施いたしますのに半年、一年もかかるであろう。そこで私は、この際、日雇健保を暫定的にでも改正をするかしないかというのに非常に判断に迷いました。もちろん日雇健保はもう手をつけないで、抜本改正までそのままに置いておくべしという意見も有力に私は聞きましたが、しかし日雇健保の現状を見ますると、給付があまりにも低い。少しでも、直ちにでも上げられるものは少し上げたほうがいいのじゃないか。それから保険料の問題も健保の財政対策だとおっしゃいますが、その面もないことはございません。率直にいってございます。しかしながらこの程度の保険料の引き上げは、他の保険に加入しておられる方の保険料に比べまして決して高いとは言えませんし、また保険料を出すのに酷であるというわけでもございません。この程度の引き上げはあたりまえであり、そうしてそのために給付の引き上げもでき、これは私は日雇保険に関係しておられる方々の、日雇い者の方々のためにいいのじゃないか、かように思って提案に踏み切ったわけでありまして、このために抜本改正からのけておくという関係はございません。なお財政的に見ましても、この程度の保険料の引き上げで、年間の保険給付はまだ不足をいたすのでございます。その点ひとつ、とくと御了承をお願いいたしたいと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いまのお答えなんですけれども、つまり抜本策をつくるというのは、私はここで重ねて言うまでもなしに、社会保障制度審議会でも、社会保険審議会でも、もう抜本策をつくるということは天下の声だということをはっきり書いてあるし、その論点もはっきりしているのですね。論点ははっきりしているのです。つまり政府が判断を下せばいい時期に来ている。もう三年ほど前から来ているということなんですね。こういうようなことでございますので、しかし問題は非常に困難な問題を含んでおるわけで、三年なり五年なりの時期を通して問題を処理していくということになろうかと思いますが、少なくともあのような形で約束した限り、あの中に、三つぐらいの大きな柱があると思いますけれども、その柱のどれか一つを頭を出さしていくというような考慮があってしかるべきでなかったかと思うのですね。その一つは、いまの日雇健保の問題を含んだ各健保の種類を統合していこうという問題が一つあります。もう一つの問題は、いまの総医療費の中で約四〇%は薬代だ、薬がたくさん使われ過ぎておるということが、現在の医療保険制度の最大の問題であるとするなれば、この問題を解決するためにいわゆる医薬分業、お医者さんと薬とを引き離していく医薬分業の線を効果のあるような形で実行していく方途を頭を出さすとか、あるいはそれではお医者さんがやっていけないという問題もありましょうから、診療報酬体系をつくり上げていくとかいう、こういう面で抜本策の顔を出していくということもありましょう。あるいはまた供給側の、病院とか個人の医者とか、いろんな医療体系の整備という問題もありましょう。いずれにしても抜本策の幾つかの柱について、それの頭だけでもこの時期に出しておかなければならないと私は思うのですけれども、そういう点について厚生大臣はどうお考えになりますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、抜本改正にはいろいろな問題を含んでおります。いろいろな問題を同時に一挙に全部解決してしまうということはむずかしいかもしれませんが、私どもの考え方といたしましては、まず抜本の大きな骨組みを考える、現在の保険給付のアンバランスあるいはまた保険料のアンバランス、国民に完全な医療をやるための一つの体制というものをつくり上げていき、その中において、ただいまおっしゃいます診療報酬費の問題という点も考えていかなければならぬと思うわけであります。  ただ、医薬分業等の点につきましては、抜本改正とも密接不可分の問題であろうと思いますが、この問題は御承知のように、もうずいぶん以前からの問題でございます。そこで、最近薬業関係の方々の中におきましても、医薬分業にたえられるような体制をつくろうという機運が起こり、また厚生省もその機運を助長をいたしまして、そして医薬分業がスムーズにできるような措置をいまいろいろと薬業界の中で考えてもらい、厚生省も指導して、そうして一日も早くこれが抜本改正と同時にできるような措置を、これは事実上つくっているわけでございます。  診療報酬の適正化という問題も必要でございますが、これはいま中医協におきまして審議をしてもらっているわけでありますが、中医協におきましても、緊急的に医療費をどうしなければならぬかという問題とあわせて恒常的に、いまの診療報酬の内容をもう少し改善をしたらいい、どういうふうにしたらいいかということをいま検討してもらっているわけでありまして、これも法律には関係はございませんので、事実問題としてその検討を進めてもらっているわけでございますので、御了承をいただきたいと存じます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 ちょうどいま、法律とは直接関係ない、医薬分業なんという問題はもう十年以上も前にきまった原則でございますから、政府がやる意思があればできる問題でもございます。また日本医師会のほうも原則的にこの方向を認めておる問題でもあるわけでございますから、できるものからとにかくどんどんと処理していくという体制を、この機会に確立していただきたい。このことを要望いたしまして、抜本策の問題についての質問を終わります。  その次に、同じような問題ですけれども、政府のお約束をしていただいた問題について、約束不履行という感じのする問題なんですが、それは消費者保護基本法の問題でございます。昨年の五月に消費者保護基本法というのを、議員立法として各党共同で提案いたしました。私どもの党も、これは四、五年前から消費者保護の基本的な法律をつくらなきゃいかぬということで、私ども一生懸命になってこの法案をつくったわけでございます。しかし、この法案というのは基本法でございます。先ほどの公害基本法も同じような問題でございますけれども、その後のカバーがなければあまり意味をなさない法律であるわけでございまして、この点特に各委員とも注意をして、そして付帯条項をつけるということで、そしてまた、具体的に各省の大臣、総理大臣を含めて大臣で、この付帯条項の実施についての申しわけもつくるということで、法律ができて、それに関する問題としては、かなり完ぺきないろいろの準備をしたつもりでございますけれども、その後の実施の問題につきましてお伺いしたいと思います。これは経済企画庁長官の代理としての大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、今年度の予算に、あの付帯事項並びにそれに基づいての消費者保護会議で御決定になった項目の、どの程度まで実行されておるのかということについてお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 消費者保護基本法ができましてから非常に各省協力して努力をしておるのですが、もちろん昭和四十四年度予算ではその線に沿いまして努力をいたしております。予算のほうもかなりふえておりますが、同時に、これと関連いたしまして法令の改正ですね、これもやっておるのです。  まあ、予算のほうについてのお尋ねでございますが、まず公正取引委員会の定員を増加する。これは主として表示や広告関係の取り締まりの強化、こういう立場でございます。それから食品衛生パトロール車の整備、また、おもちゃの規格基準の作成、これはまあ厚生省の関係に相なります。それからさらに厚生省といたしまして、食品に残留する農薬の許容量の設定等、食品残留農薬対策費というものをやっておるわけであります。それから、農林省におきましては、農林物資規格表示制度の運営改善、このための経費、それから、経済企画庁それから農林省、通産省にまたがるわけでありまするが、地方公共団体が設置する生活センターの設置補助助成に関する費用であります。それから通産省でやるのですが、テレビ放送、それから映画、スライド、パンフレットなんかを作成いたしまして消費者に情報を提供いたしましたりいたします事業の拡充、それからこれまた通産省でございまするが、消費生活関連商品の買い上げ、分析及び実用性能テスト方法の確立、かようなことで、かなり広範な対策をきめこまかにとっておる、かように御承知願います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 公取委員長、おられますか。——いま大蔵大臣から最初に報告されました公取の人員をふやしたということでございますけれども、私の聞くところによりますと、三十数名の要求に対して八名だけふやしたということだと思いますが、それは事実ですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 大体御指摘のとおりでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 消費者保護基本法のたてまえからして、公正取引委員会のメンバーを拡充するということは、議論の過程で一つのポイントになることでございまして、御承知のとおり公取の機能というのは、自由な競争という問題を番をしておるところでございまして、あるいは公正な取引あるいは品質の問題、不当表示の問題等を監督しているところでございまして、物価と並んで商品の品質、危害等を防御するためには、非常にたくさんの人が必要なんです。これは公取はやろうとしているのですけれども、公取がやろうとしているすべての問題の最大のガンは、人手がないということなんですね。たとえば再販制度の問題、やみ再販の問題でも、一つの問題をとらえてから二年も三年もかかるという状態ですね、一つの事件だけで。そういう事件が軒並みにあるということですから、政府が、総理大臣がお約束になったように、宮澤前経済企画庁長官も確認したように、そういうふうなことを早急に直していこうという意向があるなれば、もっと公取の機能を強化しなけばならないということになりますけれども、大蔵大臣、あなたの御査定では、三十余名に対して八名しか査定をしていないということでございます。こういうふうな形では、あの消費者保護基本法というものが有名無実になっていくということになると思いますけれども、御所見をお伺いしておきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 消費者行政は、これは公正取引委員会も大事でございまするが、各省総がかりでやらなきゃならぬわけなんです。それで人の問題につきましても、三十数名の要求に対しまして八名ということになりましたが、仕事はそれだけしかしないでいいという趣旨じゃないんで、公正取引委員会の既定の人員ですね、これをフルに繰り回ししていただいて、三十数名分の能率をあげていただきたい、こういう趣旨なんでございます。  なお、総定員法というのを今度の国会でまたお願いいたしておりまするが、そういうことができますれば、お話しのような趣旨はさらにさらに徹底する、かように存じますので、御協力のほどをお願い申し上げます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この問題は、あとで物価の問題について、きょうのおもな質問の項目でもう一ぺん立ち返っていくことにいたします。そして消費者保護基本法というところで、各省のこうしなきゃならない、あるいは法律改正をしなきゃならないというたくさんの項目の中で、とりわけ重要なのは食品衛生法の問題でございます。また、あのときに厚生大臣の代理の政府委員も、食品衛生法については画期的な一つの改革をしたいということを言明されております。これは速記録を読んでもよろしゅうございます。必要があれば読みますが、時間がないのでこの速記録は省きますけれども、そういう言明をされておるのに、食品衛生法の改正法案をお出しになってないのはどういうわけですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 食品衛生法も、あの附帯決議の御趣旨に従いまして前向きにただいま検討中でございます。いろいろと事実問題の調査も同時にあるものでありますから、できるだけ次の国会には何らかの形で提案のできるようにと思って、前向きにただいま検討中でございますので、御了承をいただきたいと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いまの食品衛生法の問題点というのは、もっぱら衛生の面からのみこの法律ができておる。しかしそれでは、牛肉のかん詰めだというものの中身は馬だった、あるいはアイスクリームは何%以上脂肪分を含んでいなければアイスクリームといえないのに、それ以下しか含まってない、こういうふうな問題ですね。価格と並んで、現在消費者のためには重要な品質の問題、内容等いろいろな問題を取り締まることが必要だというために、単に衛生的な立場からだけでなくて、国民の健康保持の立場からこの食品衛生法を変えなければならないというのが、あのときにさんざん議論になった問題点なんです。この問題点について、厚生省では、それは守備範囲が多くなり過ぎるといういろいろな理由で、食品衛生法の改正をためらっておるということですが、この問題はそのとおりでございますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 農林物資の規格法につきましては、御指摘のとおりな要求もございまして、したがって、もちろん規格もそのとおりでありますが、何といってもこれをつくるということは、消費者をいかに保護するか、そうしてその安定を見るかということでございます。でありまするから、この中身には何と何が入り、何が幾ら、何が幾ら入っておりますということを明らかに表示をさせるつもりであります。さらに輸入品等に対してはどうするかというような意見がいろいろ出てまいりましたが、結論として、輸入品も同様な取り扱いをする、こういうことになりまして、近く法案を提出することになっております。  先ほど大蔵大臣からもお話がございましたが、さらにそのほかモニタリングとか、あるいは監視制度というものを強化してその実現を期してまいりたい、このように考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この問題につきましては、各省一つずつやっておりますと時間をとりますから、一つだけを指摘しておきたいと思います。  あのときに、あの消費者保護基本法の中身の柱の一つと思われる問題に、消費者の組織という問題がございます。その中でも生活協同組合というものを、われわれは強くその必要性を主張してきたし、それは各党ともお認めになったし、それから関係の各官庁も、消費者組織の中核としての生活協同組合の推進をやろうということは了解しておると私どもは記憶しております。また厚生省のほうも法律改正の必要をお認めになって、お約束をなされた問題でもございます。この生協法の問題を今度の国会で、厚生大臣、お出しになる用意がございますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 消費生活協同組合法の所管は確かに厚生省の所管になっているのでございますが、この前の消費者保護基本法の精神等から考えまして、これは厚生省だけの問題でなくて、もっと広い全面的ないわゆる消費者組織の問題であろう、かように考えます。したがいまして、経済企画庁や通産省や農林省、その他関係省ともいろいろ意見を交換し、また各団体等の意見も聞きながら、前向きに御相談を申し上げているわけでございまして、この国会の提案はちょっとむずかしかろうかと考えておるわけでありますが、できるだけ関係各省と相談の上、早期に御期待に沿えるようにいたしたい、かように思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この国会の提出はむずかしいんですか。一番むずかしい論点はどういう点でございますか、生協法の改正のむずかしい論点は。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 全体の消費者の利益を推進していくという団体として、この生活協同組合だけを中心にしてやっていくのがいいかどうかという点がまず一つのむずかしい点であろう、かように思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 これは昨年の四月の私の質問に対しまして、要望に対しまして総理大臣の答えたことばなんですけれども、ちょっとここで読んでおきます。これは物価問題等に関する特別委員会で、この生活協同組合等の問題についての私の質問に対しまして、総理大臣はこのように答えています。「それぞれの分野においてそれぞれ適切な消費者の組織があっていいだろう、かように思います。また、そういうものの出てくることを、この際は心から期待する次第であります。政府並びに地方自治体等におきましても、そういう組織が容易にできるように力をかすように考えております。」こういうふうに総理大臣は御答弁になっておられるんですね。そうして厚生省の今村局長も、私の質問に対して、この問題については前向きに取り組みたい、何とかできるようにしたいというような趣旨の答弁もいたしております。これはいろいろと小売り商の問題その他の問題についての問題があると思いますけれども、このような総理大臣以下の御答弁があるにもかかわらず、これがいま厚生大臣のおっしゃるような答弁で、本気になってこれをやってみようという気魄が見られないのはどういうわけでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 総理の御答弁、いまお読みになられましたのも伺いましたが、消費者万般にわたってそれぞれいろいろな組織がある、その組織を伸ばして消費者全体の利益をはかるように、こういう御趣旨であろうと思うわけであります。  生活協同組合は、御承知のように、御専門家でいらっしゃいますが、とにかく一つの経済活動をいたしておられまして、消費者全般を包含するに至っていない。全般を包含するということにすればどういうような組織がよろしいか、そこにむずかしい点があろうか、かように思うわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この消費者生活協同組合というのは、これこそ先進諸国では、ほとんどどこの国でも非常に強力にある組織でございます。たとえば、イギリスでも千二百万という組合員がある、スウェーデンでも同じくそういうふうな組合員のある強力な組織が、各国の高まっていく消費者に対するいろいろな脅威というものをみずからの力で守っておる。これがまたいろいろな近代社会の組織をささえてもおるというような重要な組織なんですね。この組織が現在、日本では昭和初年から問題にされておりますけれども、なかなかうまく進まない大きな理由は、一つの消費者運動をする生活協同組合をやっていくための組織に対して、信用がなかなか持てない。あるいはそれの経営者の中に汚職があったりなんかする。こういう経営の劣悪という問題が、この消費者運動をはばんだ一番大きな理由だと私は思うのです。  現在日本でも、灘の生活協同組合という強力なものがございます。しかし、この強力な灘の人たちの話を聞きますと、現在兵庫県だけでしか活動できない。大阪へ伸びる、あるいは和歌山へ伸びるということはできないんですよね、いまの法律では。しかし、この灘の協同組合というものが大阪へ伸びていけば、大阪の消費者は、これはりっぱな組織だ、金を預けてもだいじょうぶだというふうなことで、大きくなってくるけれども、県を越えてはいかれない。こういうようなことで、なかなかその生活協同組合というものが強力になっていかない一つの理由があると思いますので、この地域条項は撤廃してもらいたいということを私どもは強く要望しておるわけなんです。こういう問題については、厚生大臣どのようにお考えになりますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいまの点はごもっともだと思います。したがいまして、その点も十分考慮をいたしておるわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この消費者保護基本法の問題につきましてはこの程度にとどめておきますけれども、これは結局、先ほど申し上げたとおり基本法でありまして、その後の具体的な措置を政府がやらなければ、ほとんど意味のない基本法になるわけでございます。また現在、総理大臣も何回も言っておりますように、いままでの資本活動、生産中心の行政から、生活あるいは消費者中心の行政に切りかえていくんだ、それが大事なんだということも言っておりますので、各省大臣の一そうの御努力をひとつ要望いたしたいと思います。  続きまして、物価の問題に入っていきたいと思います。今度、政府は、政府の方針によりまして、来年度の物価を五%のアップに見込んでおられるわけですね。これは鉄道料金の問題は含んでおると思いますけれども、単に鉄道料金だけの問題しか含んでいない、そう理解してよろしゅうございますか。ほかの公共料金は全部ストップだということを考えて……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 公共料金はおおむねストップ、ただし、国鉄の旅客運賃はこれを除く、こういうたてまえでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 特に大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、五%のアップという問題は、私非常に重大だと思うのです。早い話が、預金との関係で五%というものを大蔵大臣はどのように評価しておられるのか。つまり、銀行の定期は一年もので五・五%でしたね。半年もので五%、つまり、定期利子の分だけ五%というものは取り上げてしまうわけですね。しかし、日本人というのは、定期に預金を預けるというよりは、むしろ一般の預金をする人が非常に多いのですね。一般の預金利子ということになりますと、三%前後ですね。こういう問題を端的に大蔵大臣としてどういうようにお考えになるのか、それをお伺いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 私は、いまの経済成長が今日のような程度で進みますと、物価が上がる、消費者物価にその影響が出てくる、これはやむを得ないのでありますが、この上がり幅というものを何とかして二、三%程度にしたい、こういう気持ちを持っているのです。御承知のように、経済社会発展計画では、最終段階では三%まで持っていきいた、こういうふうに考えたわけなんです。佐藤内閣ができましてから物価は落ちつきぎみになりまして、四%台になったのですが、ことし今度は五%ということになってきた。非常に残念に思いますが、五%をこえるということは、和田さんのいま御指摘のように、預金の問題から見ましても、あるいは将来これが卸売り物価への影響というようなものを考えましても、賃金と物価の悪循環という問題を考えましても、まことに容易ならざる問題である、かように考えるわけです。  しかし、五%上がる状態になったのをまた一挙にこれをというわけにもまいりませんで、とにかく昭和四十四年という年は五%、これを上がらせるようなことは絶対にしないということをかたい目標としてまいりたい、かように考えておるわけであります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 昨年は経済社会発展計画という一つの目安もあって、四・八%という年度初めの計画でございました。この計画の中でやろうとしたものが、実際は五・四%になるという政府の見通し、最近では五・三%ぐらいにとどめるのではないかというのですけれども、正式の書類では五・四%になるという見通しをしておられる。この内容を吟味しましても、去年の実績以上に物価が押えられるという保証は何もないじゃないですか。その点どうでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 昨年のというか、四十三年の物価がああいう状態になりましたのは、私は、これは米の消費者価格が八%という大幅な引き上げになった、これが牽引力になってああいうことになった、こういうふうに見ておるのです。ことしはそういうことを考えまして、どうしても米の消費者価格の据え置きをしなければならぬ、こういうふうに考え、据え置きをどこまでもやり抜かなければならぬ、かように考えています。  それから公共料金ですが、公共料金は、いま申し上げましたように、国鉄の旅客運賃、これは貨物と違いまして、物価にはそう直接的な影響はない、こう踏まえておるのでありまするが、それ以外のものは、政府の財政上関係のある公共料金は全部抑える、こういう方針をとっておるわけです。これは四十三年、四十四年と比べると、この米の一事をもちましても、非常に情勢は変わってくる、こう見ています。  それからさらに、これは技術的な問題ですが、いわゆるげたの理論ですね。あれから申しましても、四十三年が三・二のげたをはいたというのが、おそらく三をかなり切る、こういうような状態になろうかと思います。そういうようなことを踏んまえますと、本職の企画庁長官は五%をとにかく維持したいというふうに言っておりますが、私は大蔵大臣として、何とかしてこれをかなりめり込みたい、こういうふうに考えています。

和田耕作民主社会党

○和田委員 大蔵大臣並びに企画庁長官代理としての御決意はわかりますけれども、ここで農林大臣と運輸大臣にお伺いしたいのですが、いま大蔵大臣がおっしゃるように、お米の値段は生産者価格も消費者価格も上げない、堅持したいという御方針のようですけれども、農林大臣も同じようなことばで、同じような形で保証することができまますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 先ほどからのお話のように、物価及び賃金も明年度は幾ぶん上昇するということが考えられるだろうと思いますが、米価の算定の基準として、そしてどのような農家をとるかというような点から考えましても、消費者価格は安定をさしていきたい。ただいま大蔵大臣のお説のような方向をとっていきたいと考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 大蔵大臣は、非常に強いことばで、上げないのだ、絶対上げないようにするのだというおことばですけれども、そういうように理解してよろしゅうございますね。  それで運輸大臣、鉄道料金の問題が今度一五%上がってくる。新聞などで見ますと、少なくとも競争するようなところでは引き上げを考慮しなければならないというような報道もあるようですけれども、総理大臣はとにかく便乗値上げは許さないということを何回もおっしゃっておりますけれども、運輸大臣としましてそのことがお約束できますか。

原田憲自由民主党運輸大臣

○原田国務大臣 総理も企画庁長官も、仰せのように、便乗値上げというものは絶対に避ける。国鉄運賃は、お話のように、残念なことでございますけれども、これを上げさしてもらわないと、逆に経済のバランスがくずれて、国民の生活というものに逆な影響を及ぼしてくるので、この際、まことに申しわけないことでございますけれども、一部値上げさしていただきたい。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕 そのほかの問題につきましては、極力これを抑制することにつとめたいと存じます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 御決意は非常に頼もしく承るわけですけれども、現実に、去年もそうでしたよね。去年も、たとえばお米の問題についてそのような御約束があったのですけれども、結局は五・四ですかを引き上げることになり、消費者米価を八%も引き上げることになったということがありますので、なかなかそれが信用できないことでございまして、とにかく物価の立場から、その問題だけはひとつ堅持していただきたいと思うわけでございます。  そこで、もう一つ問題があるのは、いままで私ども民社党としては公共料金のストップという要求をずっとやってきております。この問題を西村委員長も本会議でやり、予算委員会でも何人かの人がいままでやっておりますけれども、そのときにきまってのお答えは、昭和三十九年にやってみた、その年はよかったけれども、翌年になったらなお輪をかけて上がってしまったというお答えでございました。そういうことで、公共料金のストップはできないのだ、またやるべきでもないのだという趣旨の答弁をしばしばなさっておられましたけれども、この問題を大蔵大臣どうお考えになりますか。先ほど鉄道以外のすべての公共料金をできるだけストップ、上がらないようにしたいというお考えと関連さして、いままでの答弁との問題、どういうふうにお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 それは一がいに固定した考え方はとるべきでない、かように思います。つまり、そのときどきの全体の情勢から判断しなければならぬ、こういうふうに思いますが、まあことしあたりというこの年ですね、四十四年、これは、私どもは何とかして物価を安定させる方向に向かわせたい、そういう年柄にしたい、こういうふうに考えておるのです。そういう年柄といたしますと、公共料金の引き上げということにつきましては慎重なかまえをとるべき年柄である、そういうようなことで、米の値段も上げません、麦も上げません、塩も上げません、電電料金も上げません、そういう考え方を出してきたわけなんですが、まあ民社党でよく一がいに公共料金をストップせいと言われますが、ストップされたそのあと、一体どうなんだろうかと私どもは考えるのです。二、三年ストップを続けたそのあと、一体どうするのだろう、これは容易ならざることになるだろうと思うのであります。その容易ならざることを非常に憂えて、今回処置をするのが国鉄の問題なんですが、結論から言いますと、固定した考え方じゃいかぬ。そのときどきの情勢に応じて、全体の立場から判断してかからなければならぬ、かような考えであります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この公共料金のストップという問題を私どもが主張しておりますのは、一年あるいは二年の間に、ストップしている間に、他の有効な政策を実行して、そしてこれがその翌年度、翌々年度に響かないように、物価を安定さす方向に向かわしていく、その一つの糸口としてのストップということを考えておるわけなんです。おそらく先ほどの大蔵大臣の御説明によっても、同じような趣旨じゃないかと思うんですね。今年をとにかく安定さすという年にしたい、そのために公共料金をストップさしたい、これですね。これはいままでの議論はみんなそうなんですよ。民社党だけではなくて、ストップ論者の意見というのは、ストップして、何もそのまま手をこまねいてほうっておくというんじゃないのですよ。ストップしている間に、物価上昇を促進している問題に対して手を打って、そして物価安定の方向に切りかえたいというのが、すべてのストップ理論のあれなんですね。おそらく大蔵大臣が今年は鉄道以外のすべての公共料金をストップさしたいという御意見も、この間にいろいろな手を打って、そしてこの年を転機にして安定の方向に向かわしたいということでしょう。来年上がってもいいというわけじゃないでしょう。  今年は、私はこういう感じがするんですよ。このストップを打ち出したのは、安保のことと、物価が上がったんじゃたいへんだということで、今年は是が非でも物価は上げないという形のそういう政治的な考慮から、こういう判断をなさったのじゃないかという感じがするのですけれども、その点どうですか、大蔵大臣。つまり、いままでの議論と矛盾するんですよ。私どもの議論も、先ほど大臣がおっしゃったのと同じことなんですよ。一年間あるいは二年間ストップして、そして安定の一つのチャンスをつかみたい、そのための手を打ちたいというのが私どものストップの意見なんだ。これは先ほどの大蔵大臣のストップの意見と同じでしょう。大蔵大臣もそういう御意見でしょう。来年上がってもよろしい、再来年はどうなるか知らぬということじゃないでしょう。そういう問題、どういうふうにお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 公共料金につきましては、財政上の立場も考えなければならぬわけですが、公共料金も財政の立場から上げなければならぬという場合におきまして、それを上げていい年と悪い年があると思うのです。つまり、物価をその公共料金の引き上げによって非常に刺激する、そういうような年でありますと、これは上げてはならぬ年だと思います。それから物価は大体落ちついておる、多少の公共料金の引き上げがあってもこれが刺激するようなことにはなるまいという際には、財政を助ける意味におきましてこれは上げなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、とにかく公共料金を据え置いた場合に手をこまねいておっていいのかというと、そうじゃない。それはやはりその間に力を尽くして物価の安定の対策を進めなければならぬ。  ところが、民社党のおっしゃる全面的な公共料金のストップ、その間に物価をぴしゃっと押える体制を整えよ。この体制がいまの日本の経済の中でできるかというと、私は、なかなかこれはできない、こういうふうに思うわけです。つまり、賃金との問題なんか非常にむずかしい問題があります。そういう問題を考えますと、そう簡単にはこれはできません。  ですから、やはりその年々に見合いまして、物価問題に最善を尽くしながら、長い時間をかけて、賃金と物価との間の問題、こういう問題を処理していかなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いずれにしても、これは物価安定推進会議の提案の中にもありますけれども、今年あたり五%以上の物価が上がっていくということは、いままでとは本質的に違った段階に入りつつあるような感じがするのだ、したがって、政府に対してよけいに真剣な態度を要望しているのですね、安定推進会議の提案で見れば。いままでは、政府は、物価が上がるのは構造的な問題だ、構造的な問題に対して手を打つから時間がかかるのだということでしたけれども、この今年の五%アップという一つの目標を立てた、あるいはいろいろな諸問題を考えた場合に、単に構造的な原因だけじゃないのだということを指摘されておられますね。これはつまり総需要の問題もあるし、インフレが悪性的なインフレに向かっていくことを、そろそろ本気になっていろいろな対策を講じなければならぬということを、安定推進会議の人たちも考えておると思うのですね。この問題を特にお考えになっていただきたいと思うのです。  また、政府は、いままで物価問題について、物価は五%上がる、六%上がるという場合に、勤労者の所得はもっと上がっておるじゃないかということをその反証にあげていることがございました。確かに、勤労者の所得のアップというものは、物価のアップというものを調整してきた大きなあれだと思いますけれども、しかし、勤労者の所得のアップというものも、政府が考えておるほど高いものじゃないですね。たとえば、毎年の春闘でもって一二%上がった、一三%上がったということですけれども、全体の雇用者の賃金のアップを見ますと、一〇%越しておるのは二十歳以下の人たちだけですね。三十九年から四十二年、五人以上の全企業の平均の数字を見れば、これは企画庁の数字になって出ておりますけれども、二十歳以下の若年労働者の賃金が一〇%、あるいはところによって一一%というのがあるだけで、二十からそれ以上の人の賃金は大体八、九%、あるいは六%というのもありますね、年齢別のあれを見ますと。つまり、これは大体七%前後ということになりますと、五%の物価アップによって、ほとんど賃上げという形の所得の増というものは相殺されていくという段階になってくるのじゃないですか。こういうような問題も、五%アップという問題の持っている意味も十分ひとつお考えいただきたいと思います。  また、これは経済企画庁の取り上げている問題、だれが物価のアップによって被害を受けるか、あるいはだれが得をするかという調査がございます。これなんかを見ましても、五%と簡単に言われるけれども、しかも実際、今度の五%アップの目標というのは、大体六%に近づくんじゃないかということを危険信号として受け取っている人も相当多いのです。そういうふうなことですから、五%アップという問題は、預金の面から、あるいは勤労者の所得の面から、その他のいろいろな所得の公正な分配という面からも、大蔵大臣は真剣にこれを考えなければならない時期に来ていると思います。  あるイギリスの有名な大蔵大臣は、施政方針演説でこういうことを言ったことがございます。つまり、インフレ気がまえの状態における大蔵大臣というものは、ちょうどあらしの海に出かけていく船頭さんのようなものだ、しっかりと羅針盤を握って、小さな徴候でも見のがさないで手当てをしていかなければならない、これが大蔵大臣の任務だ、こういうことを言った有名な、りっぱな大蔵大臣がおりますけれども、まさしくこの心がまえというのは、現在の日本の大蔵大臣である福田さんの心すべき態度じゃないか。あらしの海に出かけていく船頭さんのような気持ちで、このインフレという問題に対して細心の注意を払うべきなのが任務じゃないかと思いますけれども、大蔵大臣いかがでございましょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 たいへんありがたい御注意でございます。御礼申し上げます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それでは次に、その問題と直接関連をいたします寡占価格と行政指導という問題について質問をしていきたいと思います。  一昨年から、私、牛乳の問題で富澤長官その他の方々に御質問してきたのですけれども、一昨年の四月に、農林省がそれまでやっておった牛乳に対する行政指導というのをはずしまして、自由な価格市場に突っ込んでいったほうが公正な価格が出てくるんだという判断で、そういうことをなされた。しかし、その結果は、予想と違って、物価はどんどん上がっていった。現に上がりつつある。この問題を農林大臣どういうふうにお考えですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 これは農林省がかってにきめたわけではないので、現在あるそういうようなものは不必要じゃないか、それがあるために価格というものは上昇するんだろう、そういうようなものをなくすことが最も妥当であろうという、こういう御意見に基づきまして、指導価格というものを四十二年撤廃をいたしたわけでございます。その結果、今日小売り業者の値上げというような面になりました。けれども、こういう点については、いままでの今度撤廃したものをさらに指導価格を新たにつくろうという考え方ではなくて、これに対しては、いま指導方針によって何とかこれらの道を開いていくほうが妥当だろう、こういうような観点に立って、いませっかくのいろいろな指導をしておるところでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 自由な価格市場にまかしたほうが、役人が変な行政指導をするよりはいいんだ、価格は公正な価格で安定し、そして下がっていくんだという判断があったからはずしたと思いますけれども、実際にやってみると、牛乳の価格は安定もしなければ下がりもしない。予想よりもずっと上がっておるというのが現実ですね。  つまり、この問題を考える場合に、自由な市場にまかす、役人の手から放せば自由な市場になるということが、非常に安易な考え方じゃないですか。現在牛乳を取り扱っている小売り商人の九九%は大企業の系列下の商人だと言わなきゃならない。大企業といえば、明治、森永、そして雪印、協同、グリコですか、この五社の大メーカーの製品というものは、そのものを専門に扱う小売り商にほとんど九九%がなっておるというのが事実なんですね。つまり、小売り商のほとんど全部は系列化しておる。そういう小売り商の扱っておる市場に行政指導をはずして、自由な価格形成の場に価格をまかしたから、期待がはずれるのは当然のことじゃないですか。つまり、小売り市場というものはもう寡占的な状態になっておる。そういうところに農林省はいままで行政指導をやって価格の安定をはかってきた。それではぐあいが悪いからという意見があったからといって、それをただ放しっぱなしにして、そしていまの小売り市場をそのままにした、これが実情でしょう。こういう問題をどういうようにお考えになりますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 放しっぱなしにしたというわけでもないのでありまして、全然これから放れたわけにはいかないのでありまして、ただ小売り業者が、現在の労働賃金というものが非常に高くなってきた。それによって、この面だけは認めるべきであるということで、小売り業者がかってにやったと言ったのではなんですけれども、かってにやってこれを上げた。そうして二十三円と、三円高というものが出たわけでございまして、こういう点について、それはそのまま野放しにしておくわけにはいきませんから、私たちのほうといたしましても、いろいろこれに対しての交渉をいま続けておるところでございます。  いまお話しがございましたように、牛乳製造業について大手の占めるシェアというものがまさに高いということは事実であって、大体六〇%を占めておるそうでございます。現在、現実の牛乳小売り価格は、地域によってもばらばらとなっておるのが実情のようでございますけれども、これらに対しても、昨年以来東京で起こっているいまお話しのような小売り価格の値上げ、こういうような点については、乳業のメーカーとももう無関係でおるわけにはいかない、したがって小売り業者とも無関係でおるというわけにもいきませんし、これらに対しまして、いま、いかにして妥当性を持った価格のもとに消費者に満足をしてもらうかということに、せっかくいろいろな協議をし、努力をしておるところでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この問題につきまして、公正取引委員会で、話し合いがあったのではないかという疑いでお調べになりましたね。その結果を、簡単でよろしゅうございますが、お聞きしたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 牛乳の小売り商の間で価格の協定をいたしたかどうかという件につきましては、三件ほど取り上げまして審判に付しましたわけでございます。現在審決案を作成中でございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いま指摘しましたように、現在自由な競争という問題、自由な価格市場に突っ込んでいくということで問題が解決するのではない。政府の態度は、自由な競争条件という、いわば反対のできないような態度と、自分のかってなところにだけ適用しておる、あるいはひどくいえば、たとえば牛乳に対する行政指導を放棄したように、これを放棄しても価格が下がる見通しがないにもかかわらず、行政責任をのがれるために放棄している、そういうふうに言われてもしかたがないのですね、この問題は。  これはお酒の問題にもあると思いますよ。お酒の問題は、大蔵省が、税金の問題と関係するから頑強にがんばって、これを放棄するとはなかなか言わないのですけれども、そういう問題がありますよ。  つまり、この問題の焦点は、これは製品のメーカーだけでなくて、卸、小売りの流通段階においても寡占化しておるこの実態に手を入れないで、これに対する有効なチェックの方法を考えないで、自由市場にまかすという美名で行政責任を放棄するような態度が見られるということなんですね、いまの政府の基本的な態度として。そういう問題を、公正取引委員長、どういうようにお考えになりますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 価格の協定がございました場合には、これは独占禁止法に触れるものといたしまして、十分厳密に処理をいたしたい、かように考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 その問題と関連して、私は、現在の八幡と富士の合併の問題、これは新聞の報道によりますと、最後の段階にきているというお話でございますけれども、この八幡・富士の合併という問題について、これはいろいろ功罪があると思いますが、通産大臣はどのようにお考えになっておられますか。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 八幡・富士という具体的な問題を一応別にいたしまして、一般論といたしまして、私どもは、国際開放経済に向かっておる今日、日本の産業の体制が大中小を問わず、強い競争力を持つようなものであってほしいと思っております。そのために合併とか、あるいは協業化とか共同化とかというような体制の整備が必要であると思います。しかし、これとても野方図に追求してよろしいかというと、そうは考えていないのでございまして、独占禁止法によりまして、一定の地域において実質的に競争が制限されるような事態は好ましくないわけでございまして、そういうことにならない範囲内におきまして、私どもは合併の利益の追求は怠ってはならないと考えております。  八幡・富士という具体的なケースは、目下公正取引委員会で慎重に審理中でございますので、私の意見は差し控えたいと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この問題についての、公正取引委員長の八幡・富士の問題についての現在までの御判断はどういうことでございますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいま御指摘の件つきましては、現在法律の条項に照らしまして、十分慎重に厳正に審理をいたしております最中でございまして、これから委員会といたしまして判断をいたすわけでございます。現在のところでは、まだその段階に至っておらないわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 そういうことでしょう。そういうことでしょうが、八幡・富士の合併が一つの象徴的に示しております今後の会社の合併という問題については、通産大臣から基本的な態度のお話がございました。私もその必要があろうかと思います。しかし、その立場から、現在の八幡・富士の問題をかりに公取委員会が合併よろしいという判断を下すとすれば、現在の公正取引委員会の基準になっておる独占禁止法の中核の十五条というものは事実上その意味を失ってくるという、そういう働きを持っていることはお認めになりますか、公正取引委員長。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 認めればという仮定の御質問でございましたけれども、まだその点が決定しておらないわけでございます。私どもといたしましては、独禁法第十五条に忠実に、厳正に適用をいたしてまいりたい、かような考えでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それは仮定の問題ですけれども、そういう判断をしなければ、この問題についての対処は非常にむずかしい。つまり条件をつけるにしろ何にしろ、八幡・富士の合併というものを認めた場合にはどういう結果になるのか。これは純粋な政治判断だけではこの問題は解決できないことは、あなたも御承知のとおりでしょう、通産大臣もおっしゃるような面があるということも。そういう場合に、この合併を認めた場合に、公取の法律そのものに重大な影響を及ぼすと私は判断をするのです。それはどうなんでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 現在定められております独占禁止法に重大な影響を及ぼすような決定はいたさないつもりでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 まあそういう決定をいたさないということは、現在の段階では一つの結論かと思いますけれども、これは非常に重要な問題だと思います。つまり私は、八幡・富士の合併というものが日本の経済の全体の発展にとって必要でないということを申し上げておるわけではないのです。輸出の競争力を伸ばすかどうかというのは、稲山さんも言っているように、そんな必要までないのだというようなことを言ったことがありますけれども、全体として国際競争力を高めるために八幡・富士が合併するということのメリットもあることは認めます。認めますけれども、そういう立場から、法律上に若干の問題はあっても八幡・富士の合併を認めたとすれば、独禁法の十五条というものは有名無実になってくる。つまり、それに違った方法を考えなければならないということなんですね。もう独禁法というものでは、現在寡占化していく傾向に対してこれを有効にチェックできないということになる。そういうふうな意味で私は申し上げておるのです。これは独占禁止法の改正に連なっていくし、あるいは新しい法律の設定ということになっていくということを申し上げておるわけなんです。こういう問題を通産大臣、どういうようにお考えになります。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 私は、現行独禁法はりっぱに働いておると思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 先ほどの議論と大蔵大臣に御質問した議論と結びつけていくわけですけれども、つまり佐藤総理大臣は、何回かの施政方針演説で、生産性の上がった企業の製品は労使でひとり占めにしないで消費者に還元をしなければならないというお話をよくなさいましたね。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 このために、言うだけで、どういう御処置をなさったか、大蔵大臣、お気づきになればお答えいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 それはいわゆる所得政策という考え方にも通ずる御意見かとも思いますが、いま日本の政府におきましては、所得政策という考え方を進める、そういう方針はとられておらないのです。したがいまして、いまの総理のことばだというその考え方は、具体的にどうという政策面にはあらわれていない。ただ、そういうことであってほしいなという希望の表明と、こんなような感じがいたします。

和田耕作民主社会党

○和田委員 そんな希望の表明程度でこの問題が打開される糸口がつかめると思いますか。大蔵大臣、生産性が上がっている企業、しかもそれを労使でひとり占めしない、消費者に還元をする、社会に還元をする、これは非常に必要だということをまっ先に総理は言っておられる。何らのそれに対する処置の準備なしに、ただそういうことをおっしゃられるのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 それはいろいろこまかい点におきましては、そういう行政上の考え方が出されておると思います。思いますが、その中核となる考え方は何だということをいま申し上げたのですが、これはいわゆる所得政策という考え方、それだろうと思うのです。しかしその考え方、つまり本格的なそういう考え方は押し出されていない。しかし、政府が接するいろいろな諸問題につきまして、ただいまのお話のようなことはこまかには打ち出されておる、こういうふうに私は理解しております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 八幡・富士の問題につきまして、物価問題特別委員会で私、総理大臣にただしたことがございます。そのとき総理大臣の答弁は、つまり寡占化してくる危険は十分、またいろいろな寡占の相当高い状態からの国民の受けるマイナス面も相当考えられる。その問題に対して特殊な監視機構が必要じゃないかということを質問したのに対しまして、総理大臣は「そのために必要ならば政府も監視機構を考えていく、かようにしたいものだと思っております。」その前に、そういうふうな必要性をいろいろ総理大臣自身が述べまして、こうお答えになっておられます。つまりこの場合の必要な監視機構の実態ですけれども、これが問題だと思います。つまりこの必要な監視というものが現在の公取の独占禁止法でできれば、あるいは若干改正してできればそれでいいと思いますけれども、そのような監視が公取の独占禁止法でできるでしょうか。つまり寡占問題ですね。はっきり話し合いではなくて、実際においては話し合いと同じような効果を持つ状態、あるいはプライスリーダーという問題もある、こういう問題を現在の独占禁止法でチェックできますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 寡占の問題について御指摘でございましたが、元来寡占理論が経済理論として出てまいりましたのは比較的最近のことでございまして、まだ定着いたしておるとは考えかねるのでございます。  私どもの立場といたしましては、寡占の中の、競争的寡占もございますし、協調的寡占もあるわけでございますが、協調的寡占の場合には、ただいま御指摘のございましたような企業間で競争の制限が行なわれやすくなるというようなことが考えられます。その場合には、それが協定に基づきますとか、あるいは新しい競争者の出現を、新規参入を阻止いたします行為等によりますときは、独占禁止法で規制できるわけでございます。また、寡占化に移ってまいります過程でボイコットでございますとか差別取り扱い、あるいは優越した地位の乱用行為等の不公正な取引方法がございました場合には、これを規制できるわけでございます。しかしこれはなかなかむずかしい問題でございますから、競争維持政策的の観点から、寡占というものに対して十分今後一そう検討してまいりたいと考えております。  公正取引委員会といたしましては、基本的な調査を進めまするとともに、昨年の暮れに設けました独占禁止懇話会におきまして、各方面の御意見を拝聴いたしまして適切な策を考えてまいりたい、かように考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 もう時間もございませんから、最後に、この問題についての私の考え方を申し上げまして御参考にしていただきたいと思います。  つまり、先ほどから申し上げておる問題は、自由な価格市場にまかせればいいんだという考えでは、いまの価格問題は解決しない。したがって、農林省なり大蔵省が行政指導をはずすというだけでは解決しない問題がたくさんある。したがって、そういう場合に、いままでの行政指導という悪い面をそのまま受け継ぐのでなくて、もっと政府は責任を持つ形で国民生活の安定のための価格問題に対して関与していく必要が私はあると思います。その関与のしかたですけれども、いろいろなものがありますけれども、たとえばいまの製鉄の合併の問題、これは、合併やむなしとする一つの経済論というものは、そのメリットは十分認めます。認めますけれども、合併した場合には、私はこれは電気事業に対して適用しているような単独事業法的な考え方を持つ必要があるような感じがするのですけれども、このような問題について通産大臣、一言お伺いいたします。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 たいへん恐縮ですが、私はあなたと少し意見が違うのです。と申しますのは、いま寡占価格が問題になっておりますけれども、日本の代表的な寡占業態、これを問題にしてみますと、大企業が多いと思いますが、大企業製品は卸売り物価で見ましても、四十三年は〇・六%ダウンいたしております。それから総資本の回転率から見ましても、日米比較いたしましても、はるかに低位にあるわけでございます。典型的な、たとえば板ガラスであるとか自動車であるとかいうようなものも、たいへん競争は苛烈でございます。新しい技術が発見され、それをめぐっての競争は非常に苛烈でございますから、私は、あなたが御心配されるように、寡占形態にあるから価格が必ず硬直化するというような見方は、必ずしもとらないのでございます。わが国の経済は非常に若い成長力を持っておると私は思うのでございます。  したがいまして、こういう状態を踏まえた上であるいは鉄鋼業法を考えるとかいうようなことは、私は行き過ぎじゃないか。また、独占禁止法は公正取引委員会が手を出す出さぬにかかわらず厳存いたしておりまして、にらみをきかしておるわけでございまして、これは十分私は機能いたしておると思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 申し上げておきますが、指導価格は、国民生活審議会のほうからいろいろのお話もございまして、この価格制度というものはタッチすべきものではないという御意見が出たのです。その御意見に基づきまして指導価格制度というものを撤廃したのでございますから、その点のお間違いのないようにお願いいたしたいと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 いまいろいろと御意見を承りましたけれども、一番大事な点は、いま通産大臣がおっしゃったように、公取の独占禁止法は厳然と存在しておる。確かに存在をしておる。しておるけれども、その存在を発揮せしめるための十分な人手がない。人手を出すことは大蔵大臣は断わっておる。それで十分機能しておる。こういうふうな議論があまり多過ぎるんじゃないですか。ほんとうに独占禁止法を活用するなれば、公取のいまの人員が事実不足しておるのですから、先ほど大蔵大臣は八人でもって三十四人分やれ、こうおっしゃっておるのだけれども、そんなことのできるはずはない。政府がほんとうに独占禁止法を実行しようとすれば、独占禁止法にもっと大きな力を与えるように公取の人員を拡大しなければならない。それをしないでおって、独占禁止法はりっぱな法律だ、厳然と存在しておるというだけでは、ぐあいが悪いんですよ。  つまり八幡・富士の問題でも、私は八幡・富士の問題は、合併していく方向を認めます。認めるけれども、それに従っての危険性に対しては、政府は十分考慮しなければならない、手を打たなければならない。言うだけで手を打たなければ、やらないと同じことですよ。そういうことを申し上げておるのです。  そういうふうな意味で、たとえば所得政策の問題でも、賃金の問題は、いまの時期でこれは手をつけるべきではないと思います。しかし、寡占価格でできてきた利潤に対して、この利潤を消費者に還元するために、価格を引き下げるためにその方面から所得政策を突っ込んでいくということは現在でもあり得ると思います。そういうような問題を本気に考えることが、寡占状態に有無を言わさず進んでいく、これがある面で日本の経済にもプラスになるという問題を含んでおる、しかしその他いろいろなマイナス面もある、現行法に影響もあるというときの政府のかまえというものは、そういうものであるべきだと私は思います。  以上で質問を終わります。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  午後の会議は、午後一時三十分より再開いたし只松祐治君、岡本隆一君の一般質疑を行ないます。  この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質議を続行いたします只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 本予算委員会では一般論議が行なわれることは当然でございますが、とかく防衛とか、あるいは外交とか、はでといってはなにですが、こういう問題に非常に目が注がれる。いまの出席を見ましても、おそらくそういう問題や何かですとハッスルするとか、こういうことになろうかと思うのです。とかく税制の問題とか金融、こういう問題になりますと、じみでございまして、そういう面が少ない。しかし私は、政治というのは国民の中のどういう階層から税金をいただいて、その税金をどのように使うか、執行するか、これが私は政治の基本だろう、こういうふうに思います。もっと私は、本委員会においても、したがってそういう面から税制の問題が取り上げらるべきだと思います。ひとつぜひ、大臣その他、この委員会におきましても、そういう面からのお取り上げ方をお願いしたいと思います。私もそういう面から、きょうばいろいろ聞きたいことがありますけれども、税制一本にしぼってお聞きいたしたいと思いますので、ひとつ真摯な御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず、概要的な面からお尋ねをいたしますけれども、近ごろ何か急に税制の問題、税金の問題がジャーナリズムやマスコミにも取り上げられまして、特に所得税の問題が非常ににぎやかに取り上げられてきております。しかし、これは突然税金が重くかけられたり、近ごろ何か急に変わったわけではない。しかし、こういうふうに急に税金が取り上げられてきたのは、福田大蔵大臣としては、いかなるところに原因があるんだろうか、何かお考えになったり、心当たりがおありでございますか。いかかでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 税の問題が確かに最近議論が多くなり、かつその中で特にサラリーマンの税の問題がにぎやかになってきておると思います。サラリーマンの税の問題につきましては、源泉所得という問題もあります。また累進所得で、所得が上がりましても、どうも負担感というものが軽減されない、こういう問題もあります。それから、事業所得者の中では、必要経費の控除という制度が広く用いられておるが、どうもサラリーマンにはそれが薄いじゃないかというような問題を込めてのサラリーマン論議でありますが、この問題を中心にしてたいへん世論を引くようになってきておる、かように存ずる次第でございますが、そういうような世論なんかよく耳を傾けまして、今後の税制のあり方というものに善処していきたい、かような考えでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いろいろ原因はありますが、やはり何といっても増税になってきておりまして、ひしひしと国民に負担感が重くのしかかってきた。このことが私は一番基本的原因だと思う。  ことしも施政方針で、佐藤総理もあなたも二千六百億から減税をした、こういうことをお述べになりました。ところが、この数字を見ましても、年々税は重くなってきております。本年度一兆一千三百六億円自然増収があると見積もられております。これも時間があればあとでお聞きしたいと思いますが、とてもこれではとどまらない。もっと自然増収はふえるだろうと思う。それに対し減税は千五百三億円、一三・三%でございます。昨年度はわずかに五百五十億円の減税でありまして六・一%、しかもこれは酒、たばこの値上げがありましたから、実質減税ゼロといわれたわけでございます。ずっと、四十二年度、四十一年度、こうさかのぼってみましても、毎年自然増収というものが膨大な額になってふえてきている。これは予算がふえておるわけですから、その表裏をなす税金が大きくなってきているのは当然であります。こうやって皆さん方は減税とおっしゃいますが、私たちは税の調整と言っております。実質上こうやって増税が行なわれてきておる。増税というのは、税制もさることながら、この調査、徴税という、こういう面も非常にきびしくなってきている。したがって、サラリーマンだけが重税感を持ってきておるのではなくて、中小企業者やなんかにも相当の重税感がのしかかってきております。これはあとでいろいろ例を話します。したがいまして、こういうことが積もり積もって今日税金が重いという形になってきておるのだと思う。  大蔵大臣は減税をしたとおっしゃいますけれども、私たちから見るならば、減税ではなくて、それはあまりにも大き過ぎる増税に対する調整をしたにすぎない、こういうふうに私たちは思いますけれども、大蔵大臣はやっぱりあくまで減税をしたのだ、こういうふうにお考えでございますか、どうです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 いま日本の財政は、公債を出している状態であるということをとくと御了解願いたいと思います。国費がだんだんだんだんふえるような状態です。ことに社会資本の立ちおくれというようなことを考えますると、今後ますます財政の需要はふえていく、こういう傾向ですが、これを否定するというのならば格別でございまするが、この財政の需要というものがだんだんと重くなっていくということを前提としますと、なかなか国の財政のやりくりも容易じゃないのです。そこで、公債を出している。もし公債を出さなければそれだけ税を充当しなければならぬわけですから、公債を出しておるだけ国民の税負担は軽くなっておる、こういう状態にあるということを、まず一つ私は考えておるわけなんです。  しかし、そういう状態ではありますけれども、ただいまお話のありまするように、いまの税制下では累進税率でありまするから、所得がふえればそれだけ税も多くなる、こういうようなことで租税の重圧感もある。そういうようなことを考えながらことしは税率の調整もする。久しぶりです。それから所得税の課税の最低限も引き上げる。しかもその金額は、平年度にいたしまして一千八百二十五億円になる。これも所得税だけにそう集中されるというケースは珍しいケースなんであります。  それから、確かに一面において物価の高騰というものもあります。しかし物価の高騰要因をいろいろ調べてみまするが、それでこの減税効果が消されるというのはせいぜい三、四百億円である、こういうふうに思うわけでありまして、したがって、実質的な減税をことしはいたしたと、こうはっきり申し上げることができる、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 福田さんともあろう人が、公債論をこんなところで持ち出されるとは、私は、公債だってこれはやがて国民の税金から返していくわけですから、いずれの日にか税金に化けるわけなんです。単年度、ことしだけ見ればそういうことも言えるでしょう。私はここで公債論や——あるいは多少の実質増税になりましょうとも、社会保障制度その他が充実されてくれば、これはまたおのずから別個の問題、予算の内容という問題になってくる。私はこういう問題をきょうは論議しようとは思っておりません。その論は私はいただきかねます。  ただ、こうやって自然増収がふえてきておる。しかもその中で、私は順次やっていきますけれども、所得税——源泉所得税、申告所得税、こういうものが中心にふえてきておる。こういうところに最初大臣からお答えがありましたような要因も含んで、重税感というものが国民の中にしみ通ってきておる、のしかかってきておる、こういうことだと思うのです。私は、そういう論議は時間がありませんから避けてまいりたいと思います。  とにかく、こうやって自然増収がふえてきておるということは、国民の上に税金がだんだん重くなってきておる、このことでございます。このことが結局、減税をしたと政府は言うけれども、国民が税金に対してだんだん注目を向け、サラリーマンユニオンとか、あるいはそれほど熱心ではなかった総評等が、税金問題にまっ正面から取り組む、こういう事態が起こってきておる、こういうふうに私は理解しております。  そこで、今度は若干具体的な問題に進んでまいりたいと思いますが、現在直接税は六〇・一%、間接税が三九・九%、直接税と間接税の比重はこういうふうになっておりますが、この直接税と間接税のあり方は、各国によっていろいろ違います。大臣は、日本において、現状においてこれでいい、こういうふうにお考えでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 まあ直接税、間接税の割合は、いわゆる戦前の基準年次ですね、あのころはちょうどいまと逆で、間接税のほうが六割、直接税のほうが四割だ、こういうのが戦後。パーパーというようになり、だんだんと直接税の比率がふえてまいって、ただいまお話しのように、いまでは直接税のほうが六で間接税のほうが四だ、こういうふうになってきておるわけです。  私は、この直接税、間接税の比率論、これにつきましては、いまの税制をこのまま維持いたしますと、直接税の比率がもう少しふえていく傾向を持つであろう、こういう想定をいたしておるわけでございます。しかし直接税にいきますと、直接税というものは、税の理論からいいますと、負担に応じて課税されるという性質を持ちますものですから、税そのものとしては好ましい税ではございまするけれども、与える重圧感ということを考えますると、こればかりにたよっておるという考え方はいかがであろうか、こういうふうに思うわけであります。まあ何かいい間接税的な税源がありますれば、それに多少は振りかえてみたいな、こんな感じを持っておるのであります。いまこれ以上直接税のウエートをふやしていくというような行き方でありますると、いろいろな問題が出てくるのではないか、それを心配しております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私もこのままでいくと、ますます源泉所得税を中心とした直接税がふえてくる、よほどあとで課税最低限を引き上げたりなんかしていかないとそういうことになる、そういうことをおもんぱかって、こういう質問をしたのです。  そこで、たとえば間接税を高めるとするならば、前の水田大蔵大臣は、売り上げ税についてわりあい熱心だったように見受けたわけです。多少調査か何か命ぜられたように聞いておりますが、福田大蔵大臣としては、売り上げ税の新設、あるいはそういう点については、現在水田さんみたいな構想をお持ちでございますか。全然具体的にはまだない、こういうことでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 売り上げ税につきましては、私最近これを具体的に真剣に考えたことはございません。しかし私は、何か間接税でかなり膨大な財源が徴収できないものだろうか、そして直接税による重圧感、これを取り除くことができないものだろうか、こういうことをばく然と考えているのです。  その一つの方法として、やはり私は売り上げ税ということが考えられると思います。これはほかの国でもやっておるところでもありますから、できないことはないかと思うのですが、いまこれを直ちに採用できるかというと、これは物価に非常な影響がある。ことしあたりは、とにかく物価を克服しなければならぬ年だ、こういうふうに考えておるし、それから引き続く数年の間というものは、物価問題というものがなかなか重要な時期に来ておる、かように考えます。そういう際に、物価に直撃的な影響のある売り上げ税はなかなか採用できないだろう、こういうふうな考えになるわけでございます。したがって、具体的に真剣に考えてはおりませんけれども、遠い将来のビジョンというようなものとすると、何かそういうもので、いまもやもやしてきておる国民の間の租税に対する感触というものを吹っ飛ばすということはできないものか、こんなことを考えておる次第でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そうすると、福田さんも、次期自民党総裁候補の有力な一人でございまして、まあ福田さん個人としては長期的に自民党の政権を構想されておる。そういう長期ビジョンに立つならば、売り上げ税というものはやはり将来考えられる、こういうふうにお考えでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 これは具体的に真剣に検討すべき問題である、そういうふうに考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 次に、間接税がそういうふうに高い——比率としては低いわけでございますが、しかし部分的に取り上げますと非常に高いものがあります。そういうものの極端な一つの例をここにお話しいたしますと、洋酒というものをとってみたいと思います。わりと使われておるジョニーウォーカーのブラック、これは輸入価格が千百三十四円でございます。これに対して関税額が四百十四円、酒税額が三千四百十四円。この原価に対して関税額と酒税額を総合いたしますと三四六%の税金がついております。それからジョニーのレッドを見ますと原価が四百九十五円、これに対して四百十八円の関税額と二千八円の酒税額がついております。これは四九〇%の税金になります。御承知のようにジョニーのブラックでは一万円、レッドでは五千八百円として市価で売られております。時間があればこのマージンその他——近ごろもこのブラックやレッドがだいぶ大幅に値上がりになります。税額その他が変わらないのに非常な大幅な値上げがあっている。洋酒とか舶来ものを崇拝する日本国民で、高ければ何かいかにもいいように錯覚におちいっておりますけれども、わずか五百円足らずのジョニーのレッドが五千八百円もする。物価問題も一つあります。しかし、きょうは私はこれは論議いたしませんが、こういうふうに税金が非常に高い。レッドなんか約五倍近くかかっておる。こういうのは、いかに、輸入の問題が一つありましょうし、酒税確保の問題あるいは税制の問題その他ありましょうが、あまり高過ぎるのではないか、こういう気がいたします。  これは、日本の洋酒を例にとりましても、大体一二〇%から原価に対して税金がついております。国税庁が発表しておるように、小売り価格に対しは確かに三〇%か四〇%という税額になっておる。私たちもその税額を見てなるほどと思ったのですが、これは大体小売り価格に対して含まれている額ですからそういうふうになる。そういう説明を聞きますと、三〇%、四〇%程度ならと、こういうふうに思いますが、原価に対して——これは私はジョニーのブラックとレッドと、輸入価格に対して言っているわけですが、こんなに高いわけです。こういうのは私は順次減額していく必要があるのじゃないかと思いますが、どういうお考えですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 さあどんなもんでしょうか、ジョニーウォーカーの黒だとかあるいは赤だというと、まあウイスキーといたしますれば最高級品というか、典型的な奢侈品ですね。奢侈品について税率を引き下げる、ちょっとどうもそういう考えには、まあ乗り得ないような感じでございますがね。まあ、いろいろ調べてみると、でこぼこがあるのかもしれませんが、そういうものをならすということは、そうしなければならぬと思いまするが、とにかく間接税を少しふやしたいという考えを持つのですよ。しかし、奢侈品で間接税をという考えをとらない限り、間接税というものはもうほとんど見込み薄といってもいいくらいの困難な税金でございます。まあ、にわかに賛成もいたしかねる、こうお答えするほかない。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私は極端な一例としてこれをあげたわけですね。奢侈品でない日本のサントリーやニッカ等を見ても、一二〇%くらい税金がかかっているわけです。ほかの、私はこれも極端な間接税の一例を引いて、こういう高いものは修正する必要があるのじゃないかということを聞いているわけですね。ダイヤモンドにしたって、あるいはお召しやなんかの絹製品や何かにしても、税金が非常に安かったり、全然かかっておらない、こういう奢侈品があることは、私がここで言うまでもなく御存じのとおりだと思う。そういうアンバランスがあるわけですね。応能公平と公平であることが税制の一つの問題ですから、こういう極端に高いのは考える必要があるのではないか、こういうことを言っているわけです。これだけを、私は極端な一例をあげますよと、こういうことで言って、あまりにも四倍も——これは酒を飲んでいるのじゃなくて、税金を飲んでいるみたいなものじゃないですか、こういうことを言っているわけですね、四倍も、五倍も高いのは。それならほかのやつも、もっと奢侈品に対して……。私はきょうは大蔵委員会じゃありませんから、こまかい論議はいたしませんけれども、そういうものに対して課税すべきだ、こういうことを私たちも委員会においていつも言っていることですから、こういう極端な間接税の高いのは考慮したらいいのじゃないか。あまり国民からそういうところに税金を取り過ぎていないか、こういうことを言っているわけです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 でこぼこにつきましては、できる限り注意を払って調整していきたい、かように存じます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 今度は、そういうでこぼこの一つに入場税というものがあります。これも論議のしかたによっては安いとおっしゃるかしれませんが、大体一〇%かかっておるわけですね。諸外国では多く入場料に税金をかけておらない。そのかわり地方税でかけておるというところがありますけれども、かけておらない。むしろ国がそういうものに対して積極的に補助や援助をしておる。まあ、日本でも国立劇場は無税になっておりますね、こういうことであるわけですが、これをどこまでを芸術と見るか、なかなかむずかしい点もあろうかと思いますが、私はこういう点に対してはもう少しあたたかい施策が必要ではないか。文化国家を口にする、佐藤さんなんかおっしゃるわけですけれども、少なくとも諸外国並みにしていったらどうだろうか。入場税の減税についてどういうお考えをお持ちですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 入場税は、ただいまのところ、だいぶ最低限の引き上げなんかをやってまいりまして、いいところにきておるのじゃあるまいか、こんな感じを持っておるわけです。   〔委員長退席、中野(四)委員長代理着席〕 どうも奢侈品も、また入場税も、物品税も一般にというようなことになったら、もうこれは間接税間接税は行く場所がないのでありまして、いよいよこれは何というか、直接税偏重にならなきゃならぬ、こういうことになるのです。私どもは、多少のことがありましても、いままである間接税、これはどっちかといえば国民にも受け入れられておる税でありますので、これをにわかにはずすということについては相当強い抵抗を感ずる、こういう状態であります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私は、一般論——大臣だから一般論から引き出して答弁されるのかしれませんが、あとでこれはやりますが、料飲税は高級を下げようとされておるし、あるいは一般に私たちが言うように、租税特別措置は四千億からことしあるわけです。そういう問題等全部を論じているわけではなくて、ただ、諸外国並みの文化国家というなら、下げられたらどうですか、こういう幾つかの間接税の問題点だけ引き出してお聞きしておるわけで、一般論とすりかえないで、これがどうしてもできないならできない、日本のほうが安いんだとおっしゃるなら、それでしかたがない。私は、この予算委員会において、多少はそういう面に対して前向きの姿を示す、こういうことも福田さんにとっては、文化国家を——さっきから言いますように、将来の日本を押える福田さんとしては、考える筋合いではないかと思う。どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 十分御趣旨はよく検討いたします。

只松祐治日本社会党

○只松委員 今度は、個々の税制に入る前に、ちょっと現在の滞納額は幾らあるか、その滞納の中の実際上取り立てができないだろう不納額といいますか、それは幾らあるか、お答えをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 お答え申し上げます。  昨年末の滞納総額が九百五十六億円になっております。それから、いろいろの事情で徴収ができない、執行停止になっております額が、百二十一億円に相なっております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 次は、所得税についてお聞きをいたしたい。  先ほどわが国の税収全体の増加率のことを若干論議いたしましたが、その中で所得税の伸びというものが幾らあるかといいますと、本年が四千三百四十七億円、昨年でさえも二千二十億円、その前がやはり二千五十四億円、こういうふうに年々——ことしは二〇%をこしておりますが、昨年でも一六%、おととしは一八・九%、こうやって所得税の伸びは非常に大きいわけでございます。これはあとでも法人税のときに申しますけれども、イザナギ景気だ何だと、こうおっしゃっておりながら、実際上法人税はそんなに伸びておりません。こういうふうに所得税が大きく伸びてきておる。これはどういうところに原因があるとお思いですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 経済の成長に伴いまして、個人の所得が伸びるということがこれは基本でございまするが、同時に、その所得の伸びる以上に税の収入が伸びておるわけであります。それはいまの累進税率が大きく作用しておる。つまり所得が伸びますると、次の高い税率が適用される、こういう関係が大きく響いておる、かように見ております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いまおっしゃいましたけれども、累進税率が次の段階に進んでいる、これも確かにそのことでございます。しかし、経済成長が伸びたからといって、国民の所得、たとえば給与所得者の所得がそんなに伸びておるかというと、これも必ずしもそうではない。  わかりやすく公務員の平均給与をとってみますと、たとえば十年前の三十四年の一月を一〇〇といたした場合、去年、四十三年度では二五〇・八、こういうことでございます。ところが、所得税の伸びは、やはり同じく三十四年を一〇〇といたしますと五二七というで、所得税の伸びは公務員の平均給与の倍を上回っております。とうやって確かに所得も増大をいたしておりますけれども、それ以上に給与所得者の所得税というのは大幅に伸びております。これは累進税率が上がるだけではなくて、それに伴っていろいろ講じなければならない課税最低限の引き上げその他が十分ではなかった。一口で言うならば、勤労所得者は、ほとんどのがれることができなくて、ほとんどの名目的な賃金に課税をされておる。あるいは若干居残りや何かしましても、そういうのも総合所得でまた全部持っていかれる、こういうことであります。  したがって、何としても給与所得者の税金というものを何らかの形で安くしていく、引き下げていく、こういうことを努力してまいらなければならないと思います。ほんとうはこのことだけを論議いたしましても一時間や二時間、このデータに基づいて論議しても時間がかかるわけでございます。それだけの時間がありませんから、こまかい論議はいたしません。こういうふうに、どんなデータをとってみましても、所得税が安くなったということは私は一つも言えない。重くなったと言えても、安くなったとは一言も言えないと思います。何らかの形で安くしていく。負担感を少なくしていかなければならない。そういうものの一つに、これも大蔵省当局は明年からというように初めお考えだったように存じておりますが、やっとことしから税率の緩和というものに踏み切られました。これは税調では、四十五年までに百万円の課税最低限と、それから税率と給与所得控除、こういうものを掲げまして、四十五年までに財政その他と見合って完全実施するように、こういう答申が一応なされております。ことし五%を四%に税率を一応緩和されましたけれども、これは中途はんぱなもので、まだ完全にできたわけではない。  そこでまず第一に、給与所得者の税金がたいへん重い、何とかこれを減税していかなければならない、そういうことが十分御認識されておると思いますが、そういう観点から明年度、ことしに続いて税率をどのように緩和をされていくか、ひとつお答えをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 昭和四十四年度におきましては、ただいま予算で御審議をいただいておるわけですが、課税最低限を九十三万五千円までに引き上げるということと、それから税率の引き下げを行なう、この二点がおもな点でありますが、税制調査会におきましては、実はこの昭和四十四年度予算においてお願いしておりまする減税規模のおおむね二倍の規模の減税を大体二カ年間でやれ、こういう答申をいたしておるわけであります。私どもはこの答申を尊重したいと思います。ことに課税最低限の問題、これは政府におきましても、かねて百万円までは昭和四十五年までにこれを行ないますということをいっておりますので、これはぜひやらなければならぬ、かように考えております。それから税率の調整の問題——課税最低限のほうは百万円までというのを九十三万円までやるのですから、まあ六割程度のところまでいくわけです。ところが、税率調整のほうは二年間でやれというのに対しまして、大体四割程度のところしか四十四年度はいかないのです。六割方が残るわけであります。残るわけでございまするが、財政状況が許しますれば、ぜひ残りの部分を四十五年度において実現したい、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 明年度——財政年度からいけば明後年度になるわけですね、明四十五年度までに税率の緩和を税調が答申したような形において実現をする、こういうふうに確認をしてよろしゅうございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 財政の事情が許せば、ぜひそういうふうにしたいものだ、かように考えております。  それで、課税最低限を百万円まで上げるという考え方を、かねて政府は打ち出しておるわけなんです。四十五年までに上げるのだ、こういうことを打ち出しておりますが、さあそういう行き方と、それから税率調整と、この利害得失はどうだろうということを多少は考えておるのです。同じ財源の状況で両方ができないのだという場合に、課税最低限を百万円までやるのがいいのか、あるいは税率調整を思い切ってやるのがいいのか、その辺は考えものだとは思うのですが、政府はとにかく課税最低限百万円ということを国民に公約をいたしておるというかっこうなものですから、それによらざるを得ないかと思う。ただ、国会等においていろいろ御議論もあろうと思います。そういうことになりますれば格別でございまするが、ただいまのところは、いろいろの感触は持ちながらも、公約を実行するというたてまえをとらざるを得ない、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 実行はしたいけれどもという、なかなか微妙な発言に最後のほうはなってきたのですが、私は、給与所得税がたいへんに重いという認識をお持ちになっておるからということで、あまりこまかいデータを申し上げたりなんかしなかったのですが、たとえば本年度の自然増収を見ましても、源泉所得において二一%、申告所得において二三・五%、法人において二二・六%、こういうふうにいままでもずっと所得税が大幅に伸びてきておる、特に源泉が伸びてきておるわけですが、さっき言いましたように、イザナギ景気といわれて法人税が大きく伸びてもいいと、こう見られておる本年あたりでも、源泉所得と法人税の伸びがほとんど変わらないのです。それから三、四年前のときは、法人税はむしろ減収になっておる、前年度よりも減収をしておる、こういうときもあるわけです。そのときでも、依然として所得税というのは逐年自然増収という形で増収がされてきておる。したがって、何としても所得税をやはり減税をしていかなければならない、これが一番いまの税体系の中で問題だ、私はこういうふうに思うのです。そのことを私は御認識になっていると思うということを前提にして詳しくは申さなかったのですが、まあ大臣だからそう詳しく言う必要はないと思いますが、あるいは給与所得者対農業あるいは農業以外の事業所得者等を見て、納税者の率を見ても、給与所得者は三千百二十六万人に対して一千九百二十八万人、六一・七%の納税率、農業所得者は二二・九%、農業以外の所得者は二七・二%、法人はあとで聞きますけれども、六五%、こういうことで、法人でもたいへんな赤字欠損をかかえて、税金を納めていないところがある。しかし、勤労所得者は六割から、よほどの低所得者を除いて税金を納めておる。いろんな納税の自然増収の進捗率なりあるいは納税人員なり、どんな角度から見ても、いま給与所得者の、いわゆる源泉所得者の税金が重くなってきておるということは、もう論ずる必要はない。これは与野党を問わないと思うのです。  そういうことならば、まあさっき大臣の発言が微妙になってきたというのは、おそらくあまり所得税中心に減税しておったのでは与党内でもというような、あるいは法人関係からというようなおもんぱかりだろうと思うのですけれども、私は、何としてもやはり所得税中心に、税調が答申したとおり明年度までには実施すべきである、こういうふうに思っておる、そういう角度から質問しております。ひとつ明確なお答えをいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 減税の方向につきましては、只松委員のお考えと私、全く同じであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私の考えと同じということでございますから、きょうは時間がありませんから、また私の考えを大蔵委員会においてもひとつ述べて、ぜひひとつお考えを実行していただきたいと思います。  次に、そういう所得税のまた合理化の一環として、二分二乗方式というのを私たち社会党の場合は主張しておるわけですが、いま世界では例が少ないようで、アメリカで行なわれておるというようなことのようでございます。この二分二乗方式について考慮する余地があるとお考えでございましょうか、全然相手にならないというようなことですか、いかがです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 いわゆる夫婦間の所得の二分二乗ということだろうと思いますが、これはアメリカでもドイツでもやっておるそうでございます。フランスでもあるいはやっているのかもしれませんが、これはいまの小刻みになっておる所得税税率、これを引き伸ばすという効果がある。したがって、累進税率をなだらかにするという大きな効果があるのですが、これを採用いたしますことは、これはいまの所得税制に対する非常に大きな変化になってくるわけでありまして、ちょっと簡単にこれを取り入れるというわけにはいかぬだろうと思います。ことに税率の引き下げという政策が四十四年度においてはとられる、また四十五年度においてはおそらくその引き続きが行なわれるであろう、こういう段階におきまして、それを完全にくつがえすような二分二乗という制度を取り入れる、これはかなり問題があるだろう。まあ只松権威のお話でございまするから、よく考えてみまするけれども、現在のところなかなかむずかしい問題であると、かように考えておるのであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 憲法も男女平等になっておりますし、人類の歴史というのは大体そういう方向に進んでおるわけです。そういう原理原則はさておいても、税制としても、この二分二乗方式というのは近代化のために考えなければならぬ問題ではないか。だから、おっしゃるように、本年、来年という速急の間にすれば税体系もいろいろ問題を生じてくるでしょうけれども、長期的展望に立つ場合には、ひとつぜひそういう近代社会に適応するものとして政府なり自民党においても十分検討していただきたい、このことを要望いたしたいと思います。  そういうものの考え方から私は発するわけですけれども、いま妻の内職は十万円まで非課税になっております。所得控除と合わせますと二十二万幾らかまで税金がかからないわけですけれども、私は、いつもまた極端な例を反対に出しますが、年間二十二、三万ではなくて、月に二十万、三十万とっておってもほとんど課税対象になっておらない。捕捉しにくいという面もありますけれども、たとえばホステスさんなんかにはそういう例も見受けることができます。しかし、妻の場合は、離婚でもしないと逃げるわけにいかないで、こういう捕捉されやすいものは非常に確実に捕捉されている。たとえば浅草かいわいの手内職でしておられるいろいろなぞうりや何か、張りものしたり何か、こういう人は確実に捕捉されておるわけなんです。こういう点に私はたいへんな矛盾があると思います。あるいは一般の給与生活者の家庭を、団地あるいは公務員の住宅等を私たちが回りましても、ひどいところは半分、三分の一近くくらいは何らかの形で家庭内職したりパートタイムにおいでになる、こういう問題もあります。あるいは、まあこれも時間がありませんからあれですが、今度青色申告が完全給与制に地方税でもなりました。国税の場合でも矛盾が出てきておりますけれども、青色申告者の奥さんが完全給与制になって、幾らかでも——年間五万でも十万でも払えば、これはもう妻の控除を認めない、こういう立場、いわゆる妻なるがゆえに、あるいは妻が少し収入がある、内職をする、あるいはいま言うように完全給与制で若干の給与を受け取る、こういうことになると、妻の立場はすぐ否定をされる。私は、もう少しこういう面に対してはあたたかいといいますか、配慮があってしかるべきだと思うのです。個々の問題については、また委員会においても論議をいたしたい、御提案もしたいと思いますけれども、もう少しこういう妻の座に対してあたたかい配慮を——二分二乗方式が遠い将来のこととするならば、当面の妻のこういういろいろな税制に対して、もっと内職を十万を二十万に引き上げる、あるいは完全給与制に伴って起きてきたそういう問題についても、もっと別な角度から考えていく。これは非常に事務的な面にもわたってまいりますが、こういうふうにひとつお考えをいただきたいと思います。事務当局と打ち合わせした上で、ひとつこれに対して配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 よく勉強いたしましてから、お答え申し上げます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 勉強じゃなくて、ひとつ配慮をする——勉強してお答えするのじゃなくて、妻のそういう立場に対しては配慮をするということなら、まあわからぬわけじゃないですが、そういう形でのお答えですか、いまのお答えは。どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 よく検討いたしまして、その結果また大蔵委員会などでお答えをいたしたい、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういう反面、これはあとの特別措置とも関係してくるわけですが、不労所得者あるいは資産所得者というのは、たいへんな免税措置、非課税措置があります。たとえば日本の税法の中には地方税とあわせて八〇%の頭打ちの問題がございますけれども、それでもなおかつ本年度のベストテンの大塚さんの六億一千万円その他から見ましても、この所得に対して納められた税金と、本来納めなければならない税金とは、相当の食い違いがあります。納めなければならない税金と納められた税金とが一致しておるのは、七番目の西博さんというのが二億一千七百万の所得に対して一億五千三百四十七万三千円、これがぴたりと一致いたしておる。あとの人はみな納めなければならない税額というものより、実際はずっと少ないわけなんです。こういうベストテンの中へ入るような人ですと、八〇%の頭打ちがありますから、それほどの差がなくなってきていますが、これが一億円だ、あるいは五千万だ、一千万だという程度の人、あるいはこの中に配当所得や利子所得等たくさんお持ちの人、こういう人の税額というものは、非常に下がってきております。こういうものに対して、私が先ほどからいろいろデータを用意はしておりますけれども、あまり使用いたしませんでしたが、一般の勤労所得税というものは、非常に確実に、しかも強度に取られておりますけれども、こういう資産所得や不労所得の人々の税金というものは少ないのですね。こういうものに対して大臣はどうお考えでありますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 税は資産所得あるいは不労所得というか、そういう所得に対して特に軽いのだというようなことがあってはならない、こういうふうに考えます。それでいまおそらく配当所得の問題なんかを頭に置かれてのお話かとも思いますが、これは四十四年度で特例措置の期限が到来するわけです。そういう際に十分考えてみますが、これは配当問題は法人税の本質にも関連をしておるわけで、かなりやっかいな問題ではあります。またいろいろ御意見を承ったりいたしまして、十分国民が納得するような姿にいたしていきたい、かような考えを持っております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 国民が納得するというのは、なかなか税金というのはむずかしいわけですから、山林所得者あるいは利子所得者、配当所得者、そういうものがどういうふうな特別措置を受けておって、幾らになれば税金がかかるのだ、かからないのだ、こうなかなかわからないわけですね。だから、納得すると申しましても、そう何か了解して納得する、こういうことはなかなかできかねる。たとえば一番顕著な配当所得にいたしましても、独身の場合は百七十二万七千円まで税金がかからない。夫婦、子供二人で——三人じゃないですよ、これもあとで言いますけれども、二人で二百六十二万七千円まで税金がかからない。こういうふうに配当所得者は税金かからないけれども、先ほどから言いますように、ほんとうの勤労所得者は、相当の税金がかかってくる。こうやって私たちが国会で数字をあげて多少でもこれを報道していただいてわかれば、なるほどということで、多少立腹されたり、納得されたりするかもしれませんが、なかなかこういうのを常に国民が知っているわけではない。やはり為政者たる、特にその責任者たる大蔵大臣等が、こういうものについては十分やはり考えて、少なくとも山林所得や利子所得も——例をあげろといえばあげてもいいですが、これはあげぬでも福田さんのほうが御存じですから、あげませんけれども、もう少しこういう不労所得、資産所得というものに対しては厳重な課税をすべきだ、こういうものをしていって、あとで言いますけれども、租税特別措置の金を取ってくれば、さっき言うような奥さん方に税金をかけなくても、その程度の、三十億か五十億の金はすぐひねり出せるわけであります。ぜひひとつそういう不公平のないように、あとで租税特別措置でやりますが、明年たくさんの租税特別措置の期限が到来するわけでございまするから、ぜひひとつ廃止していただきたいと思います。ここでひとつお約束をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 四十四年度には各種の重要な租税特別措置対象の期限がまいりますので、その際は厳正に検討いたして、妥当な結論を得たい、かように考えます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 それからこれはこまかいことになりますが、所得税の最後として聞いておきたいのですが、いままでいろいろ発表される場合の一つの基準に、五人家族、夫婦、子供三人というものをお使いになっておりましたけれども、いま厚生省の統計では家族構成は三・五人を下回っておりますね、だんだん核家族化しておりますから。そこで、五人といたしましても、これは現実の日本国民の家族構成から遊離しておるわけです。私は常に四人にしたらどうだということを言っているわけです。いままでの慣習があるものですからと、こういうお話でございますけれども、それでは五人、四人、三人、二人、一人という、国民の各位に当てはまる税制の発表のしかたをしたらどうだろう、こういうことを御提案して、ことしからそのようにもされておるようでございますが、ひとつ少なくともそういうふうに今後ぜひ発表していただきたいし、できれば四人家族幾ら——私たちが今度使用する場合でも、五人家族なら百二十万だけれども、四人家族百万までということを課税最低限はいっているわけです。政府の場合は五人家族百万ということをおっしゃっているわけでございますが、今後の厚生省が家族の構成を発表したなら、厚生省側は三・五人、大体実際四人である。大蔵省の税金の問題だけ五人家族、こういうのでは片手落ちだと思います。政府の見解その他を統一する意味からも、あるいは税金の実態を正しく国民に認識させる上からも、四人家族にしたほうがいいと思います。そういうふうにぜひしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 政府が何も、税の場合において親、子三人ですか、五人が標準世帯であるというふうに言っておるわけでもなし、またそれにこだわっておるわけでもないのです。ただ、国民が、またみなさんが御理解がいくためには、前からのつながりを見たほうがよかろうと、こういうので、夫婦、子三人という場合をあげておるわけです。その夫婦、子三人というのを採用したときが、ちょうど実際が夫婦、子三人というのが標準的な姿であったということから出ているわけなんです。しかし、こだわっておりませんから、今度の予算の審議でも、夫婦、子二人の場合はこうなります、夫婦、子三人の場合はこうなります、四人の場合はどうなりますと、こういうふうに資料をつくりまして、御審議をわずらわしておるわけですから、今後とも厚生省とあんまりそごをするというのもおかしいだろうと思いますから、その辺は何とか調整がとれるように努力はいたしてみたい、かように考えます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 次に、法人税の質問をいたしますが、先ほども言ったように、所得税について資産所得その他は減免税なり、脱税なり、多少あるわけです。まじめに一生懸命働く者は税金を取られる。法人の場合を見ますと、資本金別に見ましても、いわゆる税務署管内の五千万以下の場合でも、欠損会社が平均しまして三五%あります。その数二十六万六千六百七十一社、四十二年度の統計です。それから五千万以上の局所管のやつを見ましても、三千四百四十九社、やっぱりこれが三〇・五%、平均いたしまして三五%の赤字会社がございます。こんなに赤字会社といいますか、これがあとでもおいおいやりますが、一年ならまだいいわけですが、二年も三年も五年も赤字会社が続いておる。しかもそれに対して銀行が融資したりなにしたり、正常な行為が行なわれる。あるいは極端なのは、山陽特殊製鋼のように、一割二分の株の配当をしながら赤字会社を続けている。こういうばかげたこともあるわけです。一体、こういうことはどういうところに原因があるだろうと大臣はお考えでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 さて、どうも赤字会社が多い。これはやはり何じゃないでしょうか。戦後の過当競争というか、非常な高度の成長下にありまして、おれもおれもといって企業を始める。その始める基礎というものが安定をしない。こういうようなところに原因があるのじゃないでしょうか。そんなような感じがしますが、的確なことは考えたことはございませんですが……。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういう中で、中小法人は一応おきまして、上場会社で、いわゆる証券局に対しては黒字の決算報告をする、同じ大蔵省の国税庁に対しては赤字の決算報告をする。私は、これは税法上か商法上かどちらかにひっかかるはずだ、こういうことをたびたび言っている。私が初め言い出してから間もなく、山陽特殊製鋼の問題ができて、あれは刑事事件に発展してまいりましたけれども、これも一般的にいって、どちらかの責任は免れない、こういうふうに思いますが、私はどこどこと具体的な会社をきょうはあげませんけれども、あるわけですが、どうでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 これは証券法の立場から見た場合と、税法の立場から見た場合と一致するのが普通だと思います。しかし、たとえば、ぼくはいまちょっと頭の中で考えて、償却の見方を一体どうするか、税は税法にきめられた償却率によっておそらく計算をされると思うのです。今度は具体的な会社の経理のほうは、償却の見方がそのつどそのつどによって変動する。税法の見方に必ずしもよらぬというような場合もありますから、これは証券取引の関係から見た場合、また税法の立場から見た場合、これが全部一致するかというと、必ずしも一致しない場合があり、しかも一致しなくても適法な処置である場合が多いのじゃあるまいか、そんな感じがいたします。

只松祐治日本社会党

○只松委員 こういうことをまだほんとうは——時間がだんだんなくなってきましたのですが、私が申し上げようとしておるのは、先ほどから言うように、源泉所得者、給与所得者はほとんどのがれる方法はない。しかし、ほかにもいろいろありますが、会社にいたしましても、こういうふうに税金は一銭も納めない。国税庁には赤字報告をしながら、株主には配当している。それだけではなくて、膨大な交際費もそこで使っている。広告費は営業でしょうが、それにしたって広告費も湯水のごとく使っている。そうやってできるだけ利潤を生まない、税金を納めないようにしておいて、これは、株主対経営者という現在の資本主義の一つの盲点というのがありますね。こういうことが、資本主義の本質論を論じてこなければならない面もありますけれども、そういうことはさておいて、とにかくそういうふうに証券局に対しては黒字決算報告をしながら、同じ大蔵省の国税庁に対しては赤字決算報告をする。これはずさんな一つの例だと思うのです。  だから、そういうことがないように、私は、大蔵省当局は個々のこまかい会社までできないでしょうけれども、少なくとも上場している会社や局扱いの会社等には、何らかの警告といいますか、注意といいますか、あるいは指導といいますか、できるはずだと思うのです。一年だけならあれですが、これが三年も五年もそういう状態が続いておるような会社に対しては、たとえば交際費を認めない、あるいはことしから若干の交際費に対して課税を強化しますけれども、そういうものは罰則的な課税をしていくとか、何らか私は考慮する必要があるのではないかと思う。ほかのこともありますから、まず、その点をどういうふうにお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 御指摘のようなことで問題になります場合には、大蔵省でも、国税庁と証券局がよく連絡をとって処置することにいたしております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いや、私はできるだけいたしてくださいと言っておるんですが、あまりいたされておりませんから、きょうもあらためて聞いておるわけですが、ぜひひとつ——まあ税務署側は秘密保持とかなんとかおっしゃいますけれども、二千万円以上の所得がある場合には、それは公表することになっておるわけです。赤字の場合は実所得になっておらないかしれぬけれども、私はその程度は連絡していいと思うのですね。ぜひひとつそういうことのないように——繰り返し言いますが、勤労所得者は税金を取られるけれども、こういう大法人等は交際費等を湯水のごとく使って、税金は一つも納めていかない。こういうことではやっぱり直接税に移っていかなければならない、こういうことだと思う。あるいは入場税や何かでもやっぱり取っていかなければならない。こういうのを少しまともに調べて取れば、さっき言ったようなものの減免税ぐらい幾らでもできる。こういうものの例もあとで一、二をお話しいたします。  そういうことで、今度は、調査はどういうふうに行なっておるか、こういうことについて私も少し調べてみました。たとえば東京国税局管内に約三十万社あります。これに対して調査員が三千人おいでになる。二百二十日稼働したといたしましても——まあ実際上これは署ですね。署管内で調べにいかれるのは三年に一ぺん、まあ三日ぐらい、こういうことになろうかと思います。局扱いのほうの調査課所管のものは、六百人おいでになります。これは大体延べ二十日ぐらい、五人行かれると四日、四人行かれると五日間、こういう形で調査が行なわれる。大まかな数字を申しますと、そういう形で東京国税局の管内の法人調査が行なわれている。ところが、こまかい、小さい——このごろは八百屋さんもくつ屋さんも魚屋さんもほとんど法人成りをいたしております。これも税法と関係があるわけですが、こういうところをいま言うように二日か三日お調べになると、大体わかります。あるいは直接調べなくても、A、B、C、ランクを抽出しておいて、およそのところをずっと聞いて呼び出して、君ら、大体修正申告をしてこいというような形で投網を打っておやりになっておりますが、そういう形でも大体出てきます。ところが、調査課所管で扱うような五千万円以上の特に大きな法人になりますと、電子計算機、コンピューターを使っておいでになります。私が大蔵委員になった当初、この電子計算機が読める調査官は一人もおいでになりませんでした。たまたま電子計算機を読める人は、総務課に統計をとる人が七、八人いた。あとは調査官としてはだれもいなかった。少なくともこれだけ社会が近代化をしていく、マンモス化をしていく、それに対応する税の調査をする、あるいは徴税をしていく場合、源泉所得は一〇〇%取られる。中小法人やあるいは企業所得者は、これも相当確実に捕捉される。ところが、マンモス化した企業の場合には、こういう電子計算機で巻き込まれてしまった場合、それを出して数字に並べられた場合に、これはもうちょっと調査の方法というのはないではないか、こういうことを言ったわけです。その後、調査官の中にもこの電子計算機を勉強されておるようでございますけれども、それでもなおかつ私は十分ではないと聞いております。だから、この大法人の調査というものは、もっと厳密にやっていかなければいけない。ほんとうは具体案を提示すれば私のほうもいいのですが、大臣として、こういう大法人の調査を今後どのように進めていくか、いまはこれで十分だ、こういうふうにお考えになっておりますか、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 最近は、大法人に対しましても、組織的、計画的にかなり突っ込んだ調査を行なっていくわけでございまするけれども、この上とも大法人につきまして適正な課税が行なわれるようにいろいろくふうをこらしてみたい、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 それでは、現在の表面税率ではなくて、そういう調査の結果出てまいりました大法人と中小法人の実効税率は、幾らになっておりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 政府委員がお答え申し上げます。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 ただいま、御承知のように、法人税におきましては、配当軽課措置等がとられておりますし、各種の特別措置がございますが、この特別措置が適用される前の所得に対する税率を実効税率と言うという意味では、各法人ごとに実際問題として実効税率は変わっているわけでございます。ことに配当軽課措置でございますと、配当した分は四分の一低い税率が適用になるわけでございますが、したがって、配当性向が高ければ税率が下がるという事実がございます。しかし、特別措置の内容は、御承知のとおり、現在、昨年で二千六百億程度の減収が生じておりますが、そのうち、約四割は個人関係の利子所得その他でございます。残りのうち、約四五%が一億円以上の法人に適用がある、五五%が中小法人ということになっておりますので、特別措置からくる実効税率というものは、両者その適用のしかた、十分に特別措置を適用しているかどうかの差はございますけれども、実効税率としてはたいした差はないはずでございます。ただ、個別に法人ごとに違っておりますので、全体としての平均の実効税率というのは最近計算いたしておりません。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私の手元にも、少し古いのだけれどもあるわけですが、一番新しいやつの実効税率は幾らになっておりますか。——時間がありませんから、私のほうにありますから言いです。要するに、表面税率は、大法人と中小法人とは七%違っておりますけれども、実効税率になってまいりますと、租税特別措置が加わってまいりますから、これが五%、四%、あるいはひどいのになると三%程度になってまいる、あるいはほとんど変わらない。地方税を加えますと、これがまた多少開いてまいりますけれども、国税だけをとりますと、そんなに違わなくなってくる。要するに、大法人と中小法人は、特に大法人の場合は、いま申しますように、税の調査が甘い。その上に租税特別措置というものが加味されてくるわけです。まあそういうことで、税の全体の統計を見ましても、ちょっと景気が悪いときは、法人税率は、もののみごとといいますか、非常に減ってしまいます。不景気だというと、法人税は減ってしまいます。じゃ景気がよくなったときにそんなに伸びるかといいますと、それほど大きくは伸ておりません。  だから、私はここで一口で言うならば、大法人に対する税の課税は、調査から始まって、そのしかたというものをもっときびしくすべきだ、租税特別措置というものをもっと厳密に皆さん方がお考えになるならば、国民に対する税の負担感というものは、重圧感というものは、ずっと取り除かれてくると思うのです。だから、ぜひひとつ、そういう租税特別措置が大法人にのみ適用されることのないようにやっていただきたいと思います。  そういう観点から、大臣はさっきもお答えになりましたが、今年だけでも税額において四千三百九十四億円、租税特別措置で免税になっております。さらに本年度期限の到来する租税特別措置というのは三十八ぐらいございます。明年はまた利子や何か重要な問題がたくさんございます。だから、ほんとうは、ことしの予約米減税をはじめとして、この租税特別措置にどう対処していくかということの腹をきめてかからないと、明年いろんな重要な問題がくるのに、また来年財界方面から圧力がきたり何かして、おどかざれたりすかされたりすると、これは自民党として実際上なかなか容易じゃないと思うのです。だから、ことしからそういうふうに腹をかまえてかかっていかなければならない。大臣はどうお考えでございます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 租税特別措置はあくまでも特別措置でありまして、異例の措置であります。しかし、この異例の措置にはそれぞれ目的がある。その目的を終了し、その任務を終わったという際には、これ遅滞なく廃止する、こういう考え方を厳格にとっていかなければならぬ、かように考えておるわけでありまして、ことしもそういう見地で改廃を行なっておる次第でございまするが、——ことしというか、四十四年ですね。四十四年末にはさらに期限の到来するものが、重要なものが多数あるわけでありまして、それらもそういう考え方で厳正に検討いたしまして、改廃、整理をしてみたい、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういうものの問題点の一つとして、予約米減税が本年もまた議題になってくると思うのです。与野党ともこれはなかなか微妙な問題といいますか、含んでおります。しかし、これは、そういう政治情勢ということ等は抜きにいたしまして、厳密な税制問題から、どういうふうにこれと取り組んでいったら——私たちもそれはいろいろ考えておるところでございますけれども、ひとつ大臣のお考えを聞きたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 予約米に対する減税制度、これは予約を奨励する、また早出しを奨励する、そういう趣旨のもとに、所得税法に対する特例として採用された制度でございます。ところが、御承知のように、米の需給の状態、もう一変をしてまいりまして、そういう奨励措置をとる必要はない、こういう段階にいま来ておるわけであります。したがいまして、私といたしましては、また政府といたしましては、これに対して従来どおり免税措置をするという立法をお願いする考えは、ただいま持っておらないのでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 なかなか苦しい立場のようでございますから、これ以上追及はいたしませんけれども、片一方は予約米減税で、これはある意味では早場米奨励金、早出し奨励金みたいなものですからね。片一方には今度おそ出し奨励金を出す。こんなばかなことは、ちょっと世界の政治史上あまり見かけないというような、もしすればそういう問題になります。これは政治情勢とは別ですね。政治情勢というものを勘案しないで、厳密に税制という面から見れば、同じ国費を片一方はおそ出し奨励金を使い、片一方は早出し奨励金を使い——予約米減税というけれども、早出し奨励金みたいなものですからね。だから、ほんとうは、こういう点については、農林大臣もお見えになりましたから、時間があれば、自民党の農政の問題点の一つとして追及しても、これだけでもおもしろいと思うのですが、ほかに二、三質問したい点もありますから、これでとめますけれども、私は、税制の面から、ほかの税制等を十分勘案して、大蔵大臣はこれにひとつ取り組んでいただきたい、こういうふうにだけお願いをしておきたいと思います。  それから、土地税制をことしから新たに設けられるわけですが、この場合に、個人の売買や譲渡などに関しては相当きつい規制をされる。本来、土地というのは、これは天与のものといいますか、人間がなかなか製造することができないものでございますから、私も、土地によって収益を得たり何かすることに対しては反対ですし、こういうのは厳重に税金を取り上げたりしたらいいだろう、あるいは持っているのはできるだけ早く手放すようにいろんな税制措置を講ずるのはけっこうなことでございます。  しかし、個人だけ規制をいたしましても、法人のものをことしは——明年からですが、ほとんど規制をしておりません。聞きますと、法人の場合は法人の税制措置があるから、こういうお話でございますが、これも時間がありませんから何ですが、私が、去年の大蔵委員会で、各金融機関やあるいはいろんな大会社が不動産会社を子会社に持っておって、そうしてこれによって二百億、三百億という売買を営みながら、ほとんどが利潤を出しておらない、こういう事態について指摘したことがございます。このことを勘案いたしますならば、個人だけ規制しても、法人が大口でこういうことをやる。あるいはわが国でちょうどいま九十二万の法人がございますが、法人がそういうことで税制措置が甘い、あるいは何とか逃げる道があるということになれば、土地を扱う場合にも今度は法人成りにして、個人で扱わないで、法人で扱っていけばいいわけだ。幾らでも脱税の道というものは出てまいります。だから、個人だけ規制をして、法人をのがしておくということは、私は片手落ちだと思うのですが、こういう問題について、大臣は今後何らか考慮する、あるいは明年でも直ちにそういうものに手をつける、こういうようにお考えでございますか。個人だけでけっこうだ、法人はする必要はない、こういうお考えでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 御趣旨はまことにそのとおりだと思います。したがいまして、私どもの立場といたしましては、個人につきましては、土地の早出しというか、を刺激するような措置をとるわけでございます。しかし、法人につきましては、これは別の角度から、政策的な角度から、土地の売買を調整してみたい。つまり、法人は個人と違いまして、かなり大規模の土地を持っておる。これは早出しとかおそ出しとか、そういう角度でなく、これは都市政策でありますとか、あるいは住宅政策でありますとか、そういう角度でこの問題をながめたほうがよかろう、こういうので、別の税制措置を講ずるということにいたしております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 ことばはいろいろ言われますけれども、私が言ったみたいに、法人の場合には収益もほとんどあげておりません。これはもう少し厳密にやっていただきたいと思います。  それから、これも時間がなくなりましたから委員会のほうでやりますが、私が前に指摘しましたように、東京都だけでも、私の推定によって、一兆二千億ぐらいの敷金あるいは権利金その他こういう土地関係の不労所得がある、これが完全に捕捉されておりませんし、それを四〇%の税金に換算した場合には約五千億近い税金というものが取れる、それを私が言ったときはナンセンスというような顔をされて笑っておられたわけですが、実際上調査してみると、続々と私の言った以上の税金というものが、ある署では取られてきております。したがって、大臣は勤労所得税はこれ以上減税されないとか、妻やあるいは入場税や、そういう問題については考慮はするけれども——具体的な答弁はされませんでしたけれども、私はそういうふうに、即効的に取ろうと思えば土地や何かで取れるものがあるということを指摘しておるわけです。あるいは恒久的に税制を洗いかえようとするなら、租税特別措置をはじめとして洗いかえて、もっと取れる財源というものがあるわけです。だからもっと私が言う必要のない応能公平という租税の原則を十分踏んまえていただいて、いま国民がひしひしと重税感を訴えてきておる、このままに放置しておいていいとは大臣もお思いになっておらないと思いますけれども、これをこのままにしておれば自民党内閣といえどもそう安閑としたものではないと私は思います。だからもっと税制に対して応能公平、法定という原則に立ちかえり、ぜひひとつ税制の近代化、民主化というものに努力していただきたい。  地方税の問題についてもいろいろお聞きしようと思ったのですが、時間がなくなってまいりまして、ここでまとめて聞いておきたいと思います。  その一つは、青色申告者が、国税に準じて地方税を、明年度から完全給与を実施されます。その場合に問題になってまいりますのは、事業主は完全給与ではないわけでございます。これは理論上も実際上もなかなかむずかしいところもありますけれども、しかし、これは一般の願いとしてひとつ完全給与を実施してもらいたい、こういう要望があります。少なくともいま国税が免税になっているものぐらい地方税においてもしてもらいたい。二十七万円というような低いものでは、これはもうお手伝いさんの給料にも当たらないようなものが課税最低限であるというのはけしからぬ、こういう意見が出ております。したがって、事業主の完全給与制を早く実施する、それに対してどういうお考えをお持ちであるか、まず第一点。  それから次に、固定資産税の評価がえがぼつぼつ行なわれる、こういうふうに言われておりますが、いつ、いかなる方法で固定資産税の評価がえを行なうつもりであるか。  それから東京都の美濃部知事が、ギャンブルを廃止したい、こういう考えでいろいろ御苦労をなさっておいでになります。これは大臣個人のお考えでけっこうでございますが、このギャンブル廃止に伴っていろいろな財源の問題その他が出てはまいりますけれども、このギャンブル廃止に対してどういうお考えをお持ちになっておるか。  以上三点を聞いておきたい。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 事業主の完全給与実施の問題ですが、事業主は御承知のとおり事業主控除をやることになっておりまして、これが給与として完全に実施するということはいまのところ考えておりませんが、しかし、御承知のとおり低いのは事実でございますから、十分検討してみたいと思っております。  それから固定資産税の問題でございますが、明年が評価を改めるときでございますから、明年において固定資産税の問題も当然これは評価がえと同時に考えることであります。内容につきましてもし詳しく必要でございましたら、政府委員がおりますから申し上げます。  ギャンブルの問題でございますが、ギャンブルを廃止するかどうかというのは、これは地域住民の自由意思できめることでございまして、自治省がかれこれ指導することではございません。これに関連して、いまお示しのありました地方の財政上の負担の問題があります。全国的のギャンブル関係の収益と申しますか、これは相当地方財政の行政水準を引き上げるために有効に使われていることは御承知のとおりと思います。したがって、ただ簡単に公営競技をやめる、そのあとの財源措置をどうするかということになりますと、自治省といたしましては、一々やめたところをカバーしていくということは、これは全体の公共団体の財政上に影響がございますから、なかなか困難だと思っております。したがって、これも地方公共団体の執行部の考え方並びに地方の地域住民の考え方によって、もう公営競技の収益なんかは必要ない、また、したがってそれに対していろいろな施設が進まぬでもしかたがない、こういうことが割り切れて考えられるならば、これはやはりその自由意思にまかせる以外ない、こういう考え方を持っております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 時間が参りましたので、私は論争も何もできないわけでございまして、いまのギャンブルの問題一つとりましても、本年あたりは地方税が大幅に伸びてきておるときですから、こういう機会に前向きの方向でも示していかないと、赤字になれば、税収が減ってくると減ってきたときで、たいへんだ、たいへんだというわけでだめだ。こうやってちょっと余裕があっても、その程度ではなかなかギャンブルはやまっていかないわけですね。しかし、基本的にはやはりギャンブルはやめなければならないわけですから、その点について、私はもっと前向きのお答えがいただきたかったわけなんです。また別な機会に地方行政委員会へ出てまいって論議をしたいと思いますから、きょうはやめますけれども、ぜひひとつ前向きの方向でそういう問題についても取り組んでいただきたい。  福田大蔵大臣、最後にちょっと落としましたのを一つお聞きしておきたいと思うのですが、日本の法人税制は御承知のようにシャウプ勧告以来擬制説の上に成り立っておるわけですが、もうそろそろ実在説に切りかえていいといいますか、擬制説の矛盾がたくさん出てきております。これも時間がありませんから申しませんが、これが別な意味からは中小法人の税金を重くしておる一つの原因にもなっているのですね。その問題のときに私が質問する予定だったのですが、ちょっと忘れてしまいました。実在説についてどういうふうにお考えになりますか。私たちとしては、結論から言うならば実在説に移行すべきだ、こういう意見を持っておりますが、大臣のお考えを聞いておきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 法人擬制説、実在説、これはなかなかむずかしい問題でございますが、いま擬制説の上に税法が成り立っておる、そういうことで、大法人、中小法人、それの格差等もできておる、また税率もそれを前提としてきめられておる、こういうような状況でありますので、これを変更するということは、これはたいへんな、税体系そのものに及ぼす影響甚大なものがあろうと思うのです。しかし、これは考え方によりますと利害得失相半ばする問題でありますので、今後の検討問題といたしまして十分考えさせていただく、かようにさしていただきたいと思います。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 先ほどお尋ねの公営競技の財政上の影響のことですが、只松さんのいまのお話で、地方税なんか非常に増しているから、この際そういう公営競技の収益なんかは地方は当てにせぬがいい、こういうお話。したがって、ことに公営競技なんというものは廃止したがいい。私は公営競技を奨励する意思は全然ございません。しかし、地方財政の内容をひとつ御検討願いたいと思っています。いまの地方財政が非常に豊かになったとか、もうたいへんに内容がいいというお考えでございますと、私はいまのお話はまあごもっともだと思いますけれども、やはりいまの地方財政の内容というものは、まだまだたいへんな仕事を控えておりますから、そういう意味におきまして、やはり各地域の住民の考え方によってきめたがいいのじゃないか、こう考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私は、時間が来ておりますから、論争しようと言っているのじゃないのです。ただ、幾ら給料が上がったって足りないというように、人間はいつでも満足ということはないでしょう。その中でも、ことしは地方財政がわりあい豊かになったのではありませんかと言っているのですね。これはこれ以上言う必要はないでしょう。こういうときにギャンブルを廃止するという、そういう前向きの姿勢が出ないことには、なかなか廃止という方向にいかないでしょう。たまたま美濃部さんがこうおっしゃっておるわけですから、多少ぐらい援護射撃をする方向でおっしゃるのが、私は自治大臣の立場だと思うのですよ。それをいかにも足を引っぱるような——美濃部さんが、それは党派は違いましても、やめること自体は、やっぱり自民党といえども、保守党内閣といえども賛成だと思うのですよ。それならばそういう方向が出て、多少なりとも——それは大蔵大臣を目の前に置いてだから、余っているとは言えないかもしれぬけれども、だれが見たって、ことし六百億貸しておるわけですから、いままでよりいいことは確かですよ。こういうときに、たまたま美濃部さんも前向きの姿勢を出されたのですから、多少なりともいいことですよとおっしゃるかと思って私は質問したのです。しかし時間が来ておりますから、これ以上論議はいたしません。また地方行政委員会にでも参りまして、こまかく数字をあげてやりますけれども、ぜひ前向きの姿勢で取り組んでいただきたい。

中野四郎自由民主党

○中野(四)委員長代理 これにて只松君の質疑は終了いたしました。  次に岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 昭和三十六年、所得倍増計画とともに住宅建設十カ年計画、一世帯一住宅の計画が、第一次五カ年、第二次五カ年の二回にわたって行なわれてまいりましたが、昭和四十四年度は、十カ年計画から申しますなれば九年目、後期五カ年計画の第四年でございますが、先般の阪上委員への建設大臣の御答弁の中で、大体その目標は達成された、こういうふうな御答弁がございました。なるほど一世帯一住宅、一千万戸建設、こういうふうな戸数におけるところの目標は達成されましたけれども、しかしながら、国民の中にほうはいとして広がっておる住宅窮乏感、ことに勤労者が狭い一間きりのアパートにひしめくような姿で暮らしておるというところの、都会の住民の居住生活を見ておりますときに、国民の住宅難というものは全然解消されておらない。十カ年計画の始まりますところの昭和三十六年あるいはその当時以前にも増して住宅難はきびしいのではないか、こういうふうに考えられるのでございますが、建設大臣はこの今日の住宅難の現状をどのように把握しておられますか、お考えを承りたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 お答えいたします。  住宅問題につきましての岡本委員の御意見、私も全く同感でございまして、建設大臣に就任いたしまして以来、私の手元にいろいろ国民の各位から送られてくる手紙等を拝見いたしますと、その中に最も強く要望される問題として住宅問題の解消、住宅の要望が多くあることを思うときに、われわれ政府といたしましては、住宅政策をもっと強く推進してまいりたいという決意を新たにいたしておるような次第でございます。  先般の阪上委員にもお答えいたしましたごとく、五カ年計画の四年度でございますが、六百七十万戸の一世帯一住宅という目途といたしましては、計画のとおりの達成の運びを進めているということでございまして、本年は大体五十七万三千戸、それから個人のほうのいわゆる自力に依存していただくのが百万戸というようなことに相なっております。しかし、もう残り一年の現時点において、私といたしましては昭和四十一年から六十年までの長期展望に立っての国民の需要、いわゆる住宅の戸数を大体予想いたしますと、二千七百万戸に至っておるということに相なっておりますので、私はさらに新たなる住宅五カ年計画の具体的な検討をいまいたしつつあるような次第でございますので、この点ひとつ御理解をいただきたい、こう思っております。   〔中野(四)委員長代理退席、櫻内委員長代理   着席〕

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 昭和三十三年の総理府の行ないましたところの住宅統計調査によりますと、狭小過密住宅に住む住宅難世帯は三百五万、それから五年ごとに行なっておりますが、昭和三十八年度の調査では三百十三万。三十三年から三十八年にかけまして、いわゆる所得倍増計画もだんだん進んでまいりまして、日本の経済成長が進行しておる過程の中で、住宅難世帯は逆にふえておるという統計が出ておるのであります。四十三年にまた住宅統計調査が行なわれておりますが、それはまだわれわれの手にその結果は発表されておりません。しかしながら三百五万から五年たって三百十三万になっておる。さらに三十八年から五年たった今日、われわれの感じといたしましては、これがさらにふえておるのではないか、私はこのように考えておるのであります。住宅難世帯といいましても、一つは狭小過密住宅に住んでおる人、一つは、今日ではもう一つの新しい形といたしまして、非常に遠方に住をかまえるところの遠距離通勤というものが最近大きな問題になってまいっております。こういうものを加えますと、住宅難世帯というものはもう四百万をこえて五百万にも近いのではないか、こういうふうに私は思うのでございますが、いま建設省とされましては、現在どの程度の狭小過密住宅に住む人があり、あるいはまたどの程度の遠距離通勤で困っている人があるかというようなことについて、これは正確な数字は把握できないでありましょうが、その憶測されるところ、どの程度というふうな点は考えておられますか、いかがでしょうか。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 御指摘になりましたとおり、非常に都市への人口集中、あるいは結婚適齢人口の増加、あるいはいわゆる所得の上昇に伴う質の向上を要求されるというような面からきます住宅難ということも事実でございます。そうした立場から建設省といたしましては、ことに働かれる勤労者の住宅政策というものに重点を置きたい、こう考えておる立場から、御案内のごとく建設省は、いわゆる職住近接という方針を打ち立てまして、そして住宅の高層化、住宅の共同化というようなものをはかりますとともに、いわゆる新都市計画推進によりまして、工場用地の郊外への配置、あるいは流通業務の都市郊外への配置というようなことも考えますとともに、市街化区域、市街化調整区域というようなものをひとつ設定いたしまして、そしてその中にあって工業用専用地区あるいは住宅用専用地区というようなものも設けまして、住宅の環境整備にも当たりたい、こう考えておるのであります。いま岡本委員が御指摘になりました細部のすみずみについては、私、手元になにしておりませんが、住宅局長が来ておりますから、住宅局長をして答弁させたいと思います。

大津留温建設省住宅局長

○大津留政府委員 先生御指摘のように、ちょうど昨年の十月一日で住宅統計調査をやりましたので、その結果がことしの中ごろに出ます。したがいまして、現在の段階で新しい数字というのは実は私ども持ち合わせておりません。その前の調査によりますと、先生御指摘のように、住宅不足数が二百七十八万戸で、この中で老朽住宅が八万、要修理住宅が三十四万、狭小過密が百八十三万というような数字になっております。これは前回の統計によります数字でございますから、現在におきましては、先ほど大臣が申しましたように、五カ年計画の遂行とともにある程度減少しているとは思いますけれども、その正確な数字はことしの中ごろになりませんとはっきりいたしませんような状況でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 住宅局長は、住宅難世帯は減少しているだろう、こういうふうな楽観的な見方でありますが、しかしながら、たとえて申しますなれば、一昨日の十一日の毎日新聞に出ておりましたが、都営住宅のことしの上半期分の入居者を募集した。そうすると、募集戸数二千九百八十七戸、約三千戸の募集に対して申し込みが二十二万、何と七十七倍というふうな見出しで新聞に出ているのであります。東京都の都営住宅三千戸の募集に対して、このように大勢が殺倒するということ、そのことは今日の住宅難の実相を如実に示しておると私は思うのであります。そういう見地からいきますときには、これは建設省で、この統計の結果が出ないといまはわからないというふうなおことばでありますけれども、しかしながら、だれも満員の電車にゆられて二時間もかかって職場に通うというふうなことは避けたいと思うでありましょうし、また、そうして遠隔地へ出ていきましても、やはり狭小過密の家に住んでいるのです。だから、そういうふうな意味で、遠距離通勤をも加えた住宅難世帯というものは、はるかにふえておるということが考えられるのであります。このような住宅難がいまなお——所得倍増計画は一応もう昭和四十五年度に終わる、国民は昭和元禄なんだ、もはや戦後でないどころか昭和元禄なんだ、こういうことをいわれておりますが、住事情も昭和元禄、元禄時代そのまま、こういうふうな住事情に庶民の住事情があるということ、住宅難が全く解消できなかったということの理由ですね、それはどういう点を一番大きなものとしてお考えになりますか、建設大臣からお答えを願いたいと思うのであります。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 お答えいたします。  住宅難の現況につきましては、私も全く同感でございまして、先ほども申しましたとおりに、新たなる五カ年計画の制定を行ないまして、そうして強く推進いたしてまいりたい。政府といたしましては、御案内のごとく四十四年度におけるところの計画といたしましては大体八二%五カ年計画が進捗する。残り一八%でございます。それを来年、四十五年度に進めたいと考えております。  それとともに、御指摘になりましたその原因といいますか、その基因するところはいずこにありやという問題は、やはり地価問題、土地問題であろうと考えるのであります。住宅政策を解決する優先すべき問題として地価、土地対策に一そうの配慮を進めてまいりたい、こう考えておるようなわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 なるほどおっしゃるように、住宅難問題の一番大きな障害は地価問題であります。しかしながらそれと同じように、いま建設大臣からお答えをいただきましたことばの中に住宅難問題の解決できない理由の一つがあるのです。それは、大臣はいま五カ年計画の八二%は完成した、だから一八%残っているだけだからゆうゆうとこれは乗り切れる、こういうふうなおことばであります。ところが、なるほど戸数の上ではその八二%にまで達しましても、住宅難世帯というものはなくなっておらない。三十八年の当時三百万あったところの住宅難世帯が、いまなお依然としてそのまま残されておる。住宅難世帯の解決ということについてはゼロ%である、こういうことになるわけです。だから、住宅問題は解決した、こういうことにはならないのです。三百十三万というところの昭和三十八年の住宅統計調査、そのときの住宅難世帯がそのまま残っておるということは、住宅問題は全然解決しておらない、こういうことになると私は思うのです。  そのことはどこに基因するかというなれば、政府がとっておるところの住宅計画というものが戸数主義、数さえ建てればいいではないか、こういうことなんです。数が建ちましても、その建った住宅の中へ入れない人があります。また建った住宅がきわめてお粗末な二階建てのアパートである。六畳一間か六畳に三畳の二間、そういうふうな二階建てのアパートに夫婦に子供三人入っておるというふうなことであれば、それは住宅難を再生産しておるにすぎないのです。だから政府がいままでとってこられましたところの住宅建設計画というものは、いわば住宅難の再生産政策にすぎなかったとも言って過言ではないと思うのであります。だから、そういうふうな意味におきますなれば、政府は戸数さえ建てればいいではないか——政府政策住宅はきわめて少ない。民間自力建設にその多くを依存しておる。しかも民間自力建設はきわめてお粗末なアパート建設に非常な主力が注がれておる。現実に建っておるところの住宅の統計、計画局から出ておりますところの統計を見ましても、その非常に多くが、貸し家の六、七〇%はいわゆる長屋建てのアパートなんですね。だから、そういうふうなものがどんどん建っておるからといって、住宅難というものが解決したということは言えないと思うのであります。  したがいまして、そういうふうないろいろの問題点から見まして、これはどうしても公営住宅の建設にいままでよりも数倍の大きな力を注いでいただかなければ、住宅問題というものが真に解決するという段階には達しないと思うのでありますが、建設大臣のお考えを承りたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 さきには地価問題ということを基因として申し上げましたが、いま岡本委員が御指摘になりましたとおりに、ただ住宅の戸数だけをふやすというところに一つの問題点があるのではないかというお説、もっともだと思います。建設省といたしましては、それなどを勘案いたしまして、単なる数の増加ということを喜んでおるのでなくして、いわゆる住宅の質、規模、こういう問題に力を入れなければならぬ、こう思っているようなわけでございまして、住宅審議会にも諮問をいたしまして、たとえば、現行の五カ年計画の小世帯については九畳以上、一般世帯については十二畳というように居住水準を引き上げ、将来は、平均八十五平方メートル程度の広さを確保し、一人一個室のほか一共同室を確保するよう、しあわせな夢が見られる長期の見通しに立って住宅政策を進めますとともに、いまおっしゃいました公営住宅の問題等につきましても、御案内のごとく四十万戸のうちことしは十万戸を建設するということに相なっておりまして、われわれは公営住宅には非常な力を入れておるようなわけでございます。  御承知のように、貸し家といわゆる持ち家の問題等もございますが、この五カ年計画を立てましたときには、一応国民の希望、世論というものを基準に置きましたのでありますが、そのときの国民の希望に対する世論調査を見ますと、持ち家に対しては大体五%、それから借家に対しては四三%、あとが給与住宅というような姿でありますが、われわれの建設省がとっております五カ年計画に対しましては、いわゆる持ち家は五〇%、借家を四〇%、給与住宅を一〇%ということを基礎に置いて建設を進めておるようなわけであります。それとともに、公営住宅については御指摘のとおり、私は、質の改善、規模の改善等を行ないながら、ひとつ重点的にその増をはかってまいりたい、こう考えておる次第であります。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 住宅難世帯は依然三百万戸である、それに対して来年度は公営住宅十万一戸これではやはりしじみ貝で宿がえというたとえが関西にございますが、そのたぐいであると思うのですね。政府の住宅政策というのは持ち家政策に重点が置かれておった。民間自力建設、持ち家住宅、こういうふうなことは後ほども触れますが、住宅難世帯のモードですね。一番多いのは、昭和三十八年の統計調査では大体二万から四万のところに住宅難世帯が圧倒的に密集しておるということは御承知のとおりです。二万から四万というふうな人たちは自分では建てることはできない。しかも公庫、公団住宅にも入れないということになってまいりますと、公営住宅に入れなければ、もう粗末なアパートに入るよりしかたがない。こういうふうな人たちなんですね。こういうふうな人たちのための住宅を建てるということが、大臣の先ほどおっしゃいましたところの勤労者のための住宅政策ということになってくるわけですね。だから、全国に広がり、ことにそれが東京、大阪あるいは名古屋といった人口急増地帯に圧倒的に密集しておりますところの住宅難世帯、これに対して、やはり公営住宅の大量建設というものを早急に進めていくのでなければ、いつまでたっても住宅難問題というものは解決しないという理解の上に立って、次の昭和四十六年度に始まるところの第三次の五カ年計画に取り組んでいただきたい、かように思うのでございますが、大臣の御所感を承りたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 お答えいたします。  御指摘になりましたとおり、公営住宅の要望、また公営住宅の重大性というものを私は非常に痛感いたしておりますので、このたび公営住宅法の改正をいたしまして、今国会に御審議をお願いすることに相なっておるのでございますが、その中においての一つの方法といたしましては、御承知のとおりに、所得が基準より上回って長らくまだお住まいになっておられるというような方に移っていただくというような問題も改正の中に入れまして、そして低所得者の各位がお入りいただく余裕を拡大する、こういう立法のねらいをいたしているゆえんもここにあるような次第であります。  とともに、いま岡本委員が御指摘になりましたごとく、四十六年度から実施に入らなければならない新たなる住宅五カ年計画といいますか、まだこれからの検討でございますが、この計画に対しましては、私といたしましては、岡本委員御指摘のとおり、公営住宅、勤労者の立場を考えての住宅の建設を最重点に置きながら、ひとつ進めてまいりたいと思いまして、目下検討を命じており、私自身もそれらに対する検討もいたしておるようなわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 公営住宅の大量建設をやれば、今度の公営住宅法の改正などという、重箱のすみをほじくるようなつまらぬまねをしなくてもいいのです。一番やらなければならない低所得者に対するところの、大量に取り残されておるところの低所得者層に対する公営住宅の建設というものを忘れているから、わずかな、明け渡してくださいというようなみみっちいことも言わなければならぬ。この公営住宅法の改正の問題については、時間がありませんから、これは法案審査の中で議論させていただくことといたしまして、とにかく今度は新たな計画の中には公営住宅建設を一番大きな太い柱にする、こういうふうに御約束願いますか。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 さっき申し上げましたとおりの決意で臨みたい、こう考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 さっきの決意とはどういう——いまの私の問いに対する答えをしていださい。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 お答えいたします。  新たなる住宅建設計画につきましては、私といたしましては、いま岡本委員御指摘になりました点、全く同感でございますので、その方針で進めたい、こう考えておるのであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 この前の通常国会で新都市計画法が成立いたしました。ことしの六月から実施ということになりまして、市街化区域と市街化調整区域とに全国の市町村の中の、自治体の中の大きなものについては区分をやっていかなければならぬということになりましたが、いま地方自治体の中では、この新都市計画法の実施の段階でどういうふうなことになるだろうということで、非常に大きな波紋が起っております。  そこで、まず第一に、建設省から新しい都市計画法実施のプログラムをお示し願いたいと思うのであります。大体、大都市ではいつごろまでにそういう線を引かなければならぬのか、地方都市はそれぞれの規模に応じていつごろまでにやらなければならないのか、そういう点をまずお示しを願いたいと思うのです。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 お答えいたします。  新都市計画法の実施計画につきましては、御案内のごとく、本年の五月にこれを施行いたしたいと、こう考えておるようなわけでございまして、御承知のとおりに、三大都市及びその周辺地区を第一、第二といたしましては新産業都市及び拠点都市、第三番目といたしましては、人口十万以上で人口の伸び率の著しい都市、この三つを対象にいたしまして進めてまいりたいと、こう考えておるのでございます。  一番大事な、いわゆる人口が最も稠密であり、増加いたしております東京、大阪あるいは名古屋、この三大都市に対しましては、市街化区域及び市街化調整区域の問題につきましては九月ごろ実施をいたしたい、またその他の、いま申し上げました残りの都市、人口の伸び率の著しい十万以上の都市とそれから産業都市等の、これにつきましては昭和四十四年度のうちにこれを実施いたしたい、こういうようなプログラムであることを御了承願いたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 そういうことになってまいりますと、一応人口の急増地帯につきましては、昭和四十四年度中に市街化区域と調整区域とが区分されることになりますが、調整区域については大体において農業用の施設、農業に関連した建物だけより建てられない。したがって、いまどんどん農村地帯にスプロールしておりますところの住宅開発というものは全部ストップになる。経過措置はあるかもしれませんよ、しかしながら一応ストップになる。そして市街化区域の中へ、いままで都市周辺にスプロールしておって果てしなく広がっておりましたところの宅地開発のエネルギーが市街化区域に集中的に集まってくる、こういうことになるわけであります。そうなってまいりますと、ただでさえどんどん値上がりを続けておる都市周辺の市街化区域、宅地ですね、これは非常な急騰、値上がりを起こすであろうと思うのでございますが、それについて建設大臣はそういうふうな懸念はないとお考えになりますか、その点を承りたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 いま申し上げました市街化区域及び調整区域の指定を行ないますとともに、区画整理事業を遂行いたしてまいりたい、こう思っておるような次第であります。こうした総合的な施策とともに、御案内のごとく長年の課題でございました土地公示制度の法の制定をお願いいたしまして、これを実施いたして土地の評価に一つの目安をつけたい、こういうような問題もございますし、また土地税制の立場から、御承知のとおりに長期に保有しておられる個人の譲渡益等の問題、あるいは短期に持っておられる譲渡益の従価税分離というような問題、あるいは私といたしましてはほんとうにもう少し検討を加えて何とかひとつ実施もしたいなということを思っておりますのは、空閑地税の問題等もございます。これらの問題とともに、いわゆる来年度の固定資産税の評価がえにおけるところの適正化というような問題を総合的に含めまして、土地の高騰を押えながら、いわゆる適正な住宅専用地区あるいは工業専用地区というような面も考えまして、住宅の円滑な進捗を進めてまいりたい、こう考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 官房長官にお尋ねをいたしますが、前の建設大臣でございまして、この都市計画法の成立のときにはずいぶんいろいろと議論をいたしました。その過程の中で、とにかく都市計画法というものは直接的に地価を押える力はない、土地利用区分をやるだけのものだ、しかしながらこれに補完的に税制の改革を行なうなれば大きな期待を置くことができる、こういうことでございまして、私どもとの間で、まあ土地の保有に対して課税するか、あるいは流通過程において課税するかというふうなことについても相当議論をいたしたのであります。しかしながら、とにかくこの税制改革ということについて、建設大臣相当期待を持っていただいておりましたし、私どもも建設大臣の佐藤内閣におけるところの地位というものに非常に大きな期待をかけて、われわれの議論の内容が大体今度の税制改革の施策の中に生きてくるであろうという期待を持っておったのでありますが、しかしながら。私にいたしますると、その期待を裏切られたということになるのでございますが、官房長官、いかがでしょうね。あの当時の議論の中から、今日のこの税制改正というものが大体建設委員会におけるところの議論の経過の線に沿ったものかどうか、沿ったものと認識しておられますかどうか、その辺を承りたいと思うのです。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 新都市計画法案の御審議の際に非常に御熱心な御審議をいただきまして、その過程において一番大きな国民的課題になっております地価の上昇にどうブレーキをかけることができるか、新都市計画法の運用を誤れば、市街化区域、市街化調整区域を設定することによって、かえって地価の値上がりを呼び起こす作用を持つ、したがって、市街化区域については税制等の面から相当の措置を講じないとそういう危険をはらむという御趣旨であった。特に、値上がりによる利益の社会還元、あるいはその空閑地税等の設定等は緊急に考えなければならぬじゃないか。そこで、当時、私どもといたしましては、税制調査会に対してかなり執拗に空閑地税の創設等、建設省計画局、都市局を通じまして熱心に主張いたしておったことは御承知のとおりでございます。ただ、この空閑地税については税制調査会においても、考え方としては十分考えられることであるけれども、この調整区域、市街化区域という荒っぽいきめ方でなく、もう少しこまかい、空閑地税なら空閑地税を創設し得るようなこまかい計画を持たれないと無理じゃないだろうか、しかし空閑地税等は税制としても当然考えていかなければならないという考え方については、税制調査会も同意見であったわけでございますが、今回の税制改正の措置にこれを取り上げるということは、もう少し実施上建設省においても知恵を出してもらいたいということで、今回は空閑地税等を見送られておるわけでございます。  しかし、もう一つは短期取得といいますか、短期取得といえばおおよそ投機の対象として取り扱われるというものが多うございますから、それに私としてはどうも今回は——個人についてはかなり私どもの意見を取り上げていただいておったわけでございますけれども、法人が対象外に置かれておるということについて非常に不満を覚えました。当局を督励して、何とか法人をも対象として扱うことができないかということでかけ回らしていただいたわけでございますが、なかなかこの法人のほうになりますと、私ども税法はよくわかりませんけれども、扱い上非常にむずかしい点があるらしいのでございます。しかし、新都市計画法の審議の経過にもかんがみまして、採用できるだけの措置は今回の土地税制の改正にも取り入れられていると——まあ、あとはもっとこれを推進していくように原局のほうで勉強を願わなければいかぬのじゃないか、こういうふうに思っております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 官房長官は十二月まで建設大臣でおられたわけですね。したがって、この国会に法律案を出してくる下ごしらえはあなたの手元で大体できておらなければならないはずですね。いまおことばでありますと、まあ空閑地税の制度は、これは税調へ申し入れてずいぶんがんばったが、税調のほうで、もうちっとこまかい計画を立ててくれと言われた。それはいろいろな都市施設が一応そろった段階、先行の公共投資が行なわれて都市施設がそろった段階になって、その地域において土地を遊ばしておって、有効利用しない場合には空閑地税をかけるというふうにしたいのだ。だから、言うなれば、そういうような公共設備のそろった段階、ことばであらわすなれば、建築熟地という、ドイツでそういうことばが使われておりますね、だから、建築熟地ということばの定義をはっきりさせる必要があるのではないかというふうなことも話としては承っておりますし、それならそれで、そのような法律案を今度は今国会に提案してくる必要があるんじゃないか、あるいはまた、そういうふうな制度の整備というものを省令でできるのなら省令で、あるいは立法化しなければならないなら立法化するというふうな形で、何らかの手を打って、それでもってとにかく土地を遊ばせておるものは、やっぱり早く何とか有効利用してくださいということを、はっきり制度として国が意思表示するというふうなことをしていただかなければならぬ。  今度の税制は、あとで議論しようと思いますが、なるほど思惑買いはある程度とめますよ。抑制効果はあります。思惑買いの抑制効果はありますが、家を建てるための土地の必要な人はひしめいているのです。だから、土地を提供するというなれば、買い手は殺到するわけだから、売り手相場になるわけですね。だから、そういうふうな売り手相場が多いのをこえて、なおかつ大量の土地の提供をしてもらうということになりますなれば、ぐっとある程度のプレッシャーを加えて土地を吐き出すというふうな方策を講じなければ、地価は下がらないのです。資本主義下におけるところの需要供給の法則でいくなれば、われわれの考え方とはまた別ですが、いまの需要供給の法則でいくなれば、やっぱりある程度のプレスをかけなければだめなんです。ところが、とにかく土地利用促進税という形のプレッシャーをかける側については、何にも今度は手を——ただ門戸をあけて、さあ出てきてくださいよと言っておる程度の税制改革であって、プレッシャーかける側は全然ないのです。だからプレッシャーをかけるのと一緒に窓をあける、入り口をあけるのと一緒にプレッシャーをかけるということで出てくるのでありますから、その二つを兼ね行なわなくてはだめだということを、私どもはずうっと長い間言っておるのでありますが、そういうふうな施策が足りない。しかも大臣も、この都市計画実施の段階で、岡本さん、あんたの言うことはわかった、わしにまかしておけ、とあなたは言われた。そうでしょう。まかしておけと言われて、私はあなたを信頼してまかしたのに、これじゃあまりひどいじゃないですか。佐藤さんの右腕といわれるだけのあなたにしては、あんまりこれじゃ——どこからそういうふうなセーブがかかったのか知りませんよ。しかしながら、とにかくこれじゃひどい。なるほど私は会議録は読んでみましたよ。もう一ぺん読み返してみましたよ、どこぞで口すべらしてしないかと思ってね。ところがあなたはなかなかじょうずに答弁していられますよ。会議録には、まかしておけ、あなたの言う通りちゃんとするわというふうなことは言ってない。さすがはあなたはりっぱな政治家です。そこまで会議録の上では口すべらしておられませんが、しかしながら、与野党の話し合い、さらにまたあなたとの個人的な話し合いの中で、そんなもの岡本さんまかしてくれというふうな調子であったのが、どうも今度はこれは私は、はなはだ期待を裏切られたと思うのでございます。  そこで、これから後は新建設大臣坪川さんにお願いしなければなりませんが、しかしながらあなたもひとつ協力してプレッシャーもかける。今度のなにで、ある程度袋の口をあけました。袋をあけたからといって、外から押さなければ中から出ないのですよ。その押すほうの側の税制改革ですね。これをひとつ大いに努力をしてやっていただけるかどうか、あなたの御所見を承りたいと一緒に、いまの応答の中で、建設大臣はある程度経過もわかっていただけたと思いますが、その点についての建設大臣の御所見を承りたいと思います。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 弁解がましくなるかもしれませんけれども、今回の土地税制の改正、つまりなるべく早く出してくださるならば、税法上の恩典がある。土地は売ったわ、所得はあったわ、税金で取られてしまうというようなことなしに、今日の土地事情の逼迫からいいまして、幾らかでも不用の土地をかかえておられる方は、できるだけひとつ社会公共のために出してもらいたい、出していただくならば、こういうふうな税法上の優遇措置をいたしますという、あなたの言われる、いわゆるプレッシャーはございませんけれども、誘い水と申しますか、誘導措置といいますか、私はある意味ではこのほうが実際的には相当効果をあげるんじゃないかというように感じますわけでございます。しかしこの問題は、いずれにしましても各党でそれぞれ御意見もあり、主張が政策としても出ておりますけれども、どっちにしても、都市問題、地価問題というようなものは、できるだけ各党の合意を得られる線で解決点を見出していくことがよかろうというような感じでございます。  後段の、今後のことについて協力するかということでございます。私は誠心誠意協力いたしてまいるつもりでございます。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 お答えいたします。  先ほども私が答弁の中に申し上げましたとおりに、この空閑地税の問題については、保利前建設大臣の引き継ぎのときもお聞きいたしておる問題でもありますし、私自身も、いま官房長官がおっしゃったとおり、また岡本議員が御指摘になりましたとおりに、何とかしてこの空閑地税の制定というものはやっていただきたい、やっていきたい、こういうふうな気持ちが、私はこの土地問題の税の問題から考えると一番頭に強くしみている問題でございます。そうした点を私といたしましては、ただ気持ちの上でなくして、実際の行政面に、また制度の面について、ひとつ何とかくふうをこらしてまいりたい、こういう気持ちでおりますので、今後とも税調との関係もございますし、またいろいろございますので、それらの方との調整もいたしまして、また財務、大蔵当局との話し合いも進めて、そしてこの問題についてのひとつの取り組み方を、誠意をもって、前向きの姿勢をもって進めてまいりたいという気持ちであることを御了承願いたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、いまも官房長官も仰せのように、とにかくある程度の誘い水にはなっておる、だから地価の抑制に相当効果があるのではないかというふうにお答えでございましたけれども、今度の土地税制の改正といえば、一応分離課税にして税率をうんと低くしました、だから早く土地を売ってください、とにかく二年以内に売るなる一割ちょうだいしましょう、それから四年以内になってくると一割五分です、それから六年までに売れば二割課税するだけで、所得が幾らある人でも、その本来の所得とは関係なしに分離課税にいたしますということで、それで引き出そう、こういうことです。ところが、六年かかって二〇%ふえるわけですね。そうすると一千万円の差益のある人、土地の値上がり幅でもうかる人、そうするとそれが六年の間に二%以上上がれば、もうどっちでも同じことですね。だから五〇%上がれば売らずに持っていたほうが得です。ところが、市街化地域と調整地域に分かれます。いままでどんどん農村地帯にスプロールしておったところの宅地開発が全然外へは出られない。業者は、商売ですから、とにかく宅地開発していって売らなければめしが食えないのですから、業者は市街化地域の中に殺到して、売ってくれ、売ってくれと、やいのやいのになってくるです。やいのやいので、あっちこっちから引く手あまたになってくれば、土地の持ち主は高くとまります。そうなってくると、ここまでおいでで、何ぼでも値がつり上がる。だから五〇%、七〇%あるいは一〇〇%というふうに値上がり、お互いに需要供給の関係で値上がりが出てくるということは、これを当然でしょう。それならこの分離課税にして累進的に二年ごとに五%ずつ累進させますよというところの累進課税制度も、何にもならぬことになるわけですね。こんな子供だましの手にこのごろのお百姓——都市周辺のお百姓、賢いですよ。こんな子供だましの手に乗りませんよ。  だから、こんな手でもって、これで地価は抑制できるというふうな考え方を持たれるとするなら、それは少し考え方が甘いのではないか、私はこう思うのでございますが、この分離課税の制度で土地の供給がふえると大臣お思いになりますでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 土地の需給につきまして、私は税が主力的な役割りをするものだとは考えません。これはどこまでも補完的な役割りだ、こういうふうに存じますが、その補完的役割りとしては、今度の税法改正はかなりいい働きをするのじゃあるまいか、そんなふうに見ておるのです。そのうまみというのは分離課税ですね。分離課税で、しかも低率だ、こういうところにあると思うのです。現に私どものところに対しましてずいぶん、もうこういう税制が始まるんじゃ処分しましょう、処分したいと思っているんだが、その方法は——その法律案が出るまで待ってましょう、いつ発効になりますかというような問い合わせがくるような状態でございまして、そういうことを総合しますと、これはかなりの効果があるのじゃあるまいか、そういうふうに見ておるのであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 これはなるほど気楽なお考えでございますが、しかし、分離課税でなるほど安くなりました、税金で安くなるのはこれは大歓迎でしょう。しかし、とにかく六年持っていても二〇%の分離課税で済むのですから、これはけっこうな制度ですよ。しかしながら、現実にいままだ線が引かれておりません。線が引かれておりませんから、との法律が成立して、調整地域の土地をその機会にぽっと売っておけば、なるほど分離課税のおかげをこうむって、それはいいかもしれない。また、それを知らずに言い値で買った人は、調整地域になって宅地開発できぬところを宅地にしようと思って買った人が損をするといたしましても、売り主はもう分離課税で大いにかせげるかもしれませんよ。  しかしながら、いよいよもう来年の三月三十一日までの間には、全国の人口急増地帯、それは宅地難のはなはだ激しいところです。その宅地難の激しい、坪少なくも二万、三万、五万というふうな事態になっておるところでもって線が引かれるのです。この点ちょっと建設大臣に注釈的にお伺いしておきますが、これはあまり広い範囲に市街化地域が指定されないのでしょう。十年間に市街化できる、公共施設を整備して、住宅が建ち、工場が建ちというふうな、そういうふうな十年以内に都市施設を整備するというところを市街化地域ときめるのですね。そのことを念のために。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 御指摘のとおりでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 そうすると、あまり広い範囲は指定しない。その比較的狭い範囲について市街化地域と指定され、そこ以外では宅地開発ができない。住宅は建設できない。そういたしますと、いままでどんどん外へ出ておったところの宅地開発業者、デベロッパーは全部その狭いところに集約的に集まってくるわけです。そこで、売ってくれ、売ってくれになってきます。そうなってくると、そういう段階になると、なるほどいまはまだそういう線が引かれておらないからそんなのんきな話も出るかもしれませんが、線が引かれて、業者がどんどん入ってきて、土地を売ってくれ土地を売ってくれとあっちこっちから話が出てくれば、やっぱり高いほうに売りましょう、どんどん上がるそうだ、それならもう四、五年待ったほうが賢いな、こういうことになるにきまっているじゃないですか。しかも土地というものは、一たん手放したらもう再びつくれないのですよ。ほかの商品なら、商社の薄口銭で売っても、また何ぼでもつくって売ればいいです。土地というものは、一たん売ってしまったら、もう再生産できないからね。だから、一ぺんきりの勝負だから、できるだけ高く売りつけようということになるのは当然でしょう。そういたしますと、土地の所有者のほうは、できるだけ高いのをとことんがんばって待つということになってくるわけであります。  したがって、私が言うのは、この税制では地価を抑制できない。地価はどんどん上がっていく。だから持っていたんでは税金がかかってかなわぬ。値上がりするよりもより一そう税金がかかる、もっていたんではかなわぬというふうな、そういうふうな、遊ばしている土地に対してははき出さざるを得ぬような、そういうふうな底値に達するまでのプレッシャーをかけるような税制というものをつくらなければだめなんだ。それを空閑地税だと私たちは言っている、あるいは土地利用促進税だと言っているわけなんです。  だから、あなたのほうは、呼び水、口をあけてやれば出てきよるやろう、おいでおいでをしてやれば出てきよるやろう、こういうふうに思っておりますが、なかなかへばりついて離れませんわ、つかまえて放しませんよ。だから、そういうふうな土地の持つ性格、一たん放したら再び再生産できないという土地の持つ性格、勝負は一ぺんきりという土地の持つ性格、こういうものから見るならば、これはもうこの分離課税の制度で税金は安ういたしました、累進的でだんだん高うなりますよ。それがわずかですね。これがかりに六年目になれば一〇〇%になりますとでもいう税制なら話は別ですよ。十年持っていたら元も子もないようになるのだというのなら話は別ですよ。しかしながら、六年たってもわずか二〇%です。それなら五〇%上がったら、それで六年待って五〇%上がるのを待ったほうが賢いじゃありませんか。  だから、そういう意味においては、今度の税制改正というものは全然役に立たないと私は思うのでありますが、もしあなたが、いやこれで十分なんだというのなら、どういうふうなメカニズムで、どういうふうな論拠で——ただ、ありますよ、近所にそんなこと言う人がありますよ、そんな話じゃいただけません。これは、こういうふうな理論的な結論として、地価は安くなります、抑制できます、少なくも値上がりは防げますという、その論拠をはっきりお答え願いたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 これは、かりに岡本さんのおっしゃることをそのとおりといたしましても、この税制がある場合、ない場合を比べてみれば、これはもう格段の違いがあると思うんです。しかし私は、まあ今度は都市計画法もできる、その機会に農地法の問題も出てくる、いろいろの問題が出てきて、新しく指定せられる市街地というものが、そう必ずしも需要が殺到するような状態にはならない。そこへもっていって、逆に今度の税法は、投機的な動機で土地を入手するということを抑制するかなり強い力を持っておる、こういうふうに見ておるわけであります。そういうようなことを考えますると、私は、岡本さんがおっしゃるように、今度の税法は、新しい法律ができるその体系のもとにそう意味ないのだとおっしゃられる、それがわからない。これはかなりの力を発揮するものである、こういう見方をしております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 いま建設大臣は、大体昭和四十一年から二十年間に二千七百五戸大体七百万戸近く四十五年に建ちますから、四十五年からいきますと二千万戸、とにかく二千万戸住宅需要があるのです。二千万戸の住宅需要が、しかも大都市周辺の人口急増地帯にあるのです。だから、一戸当たり五十坪としても、それは相当な面積が住宅用地として必要なんです。だから、需要はものすごくあるということは、これは明らかですね。あなたはいまそんなもの市街化地域に殺到するような心配はない、こうおっしゃいますが、やはり住宅のほしい人、建てたい人、とにかく住むところが要るのですから、その人たちはとにかく宅地は求めます。第一、いまの宅地ブームを見てごらんなさい。新聞を見てごらんなさい。宅地のことが広告に載ってない日ありますか。とにかく、いままでは、十年前までは、新聞広告に、あるいは電車の中の広告に土地のことなど載っていたことないですよ。最近になってこれほど土地が大きく広告に出てくるということは、それだけものすごい需要があるということを示しているわけです。そういうような大きな需要があり、かつそれを供給するところの業者が非常に発達いたしてまいりました。とにかく従来のように——いままではまあ土地というのは大体個人間、それでまあ多少は口入(くにゅう)があって、それもそんなに——昔は口入というふうな呼び方をしたくらい、そうはなやかに大きく手広く商売するというふうなものではなかったです、土地ブローカーは。ところが、いまは堂々と門戸を張って、それでもって宅地造成業者あるいは宅地開発業者、このごろは民間デベロッパーなどというハイカラなことばをもらって、それでもってどんどんいま宅地造成をやっておるでしょう。それほど土地造成業というものは発展してきたのですよ。一つの業として大きな、言うなれば宅地造成が一つの産業として発達してきておる。  このような段階になったときに、手をこまねいて遊んでませんよ。とにかく、いままでどんどん市街化地域に出ていっておった。どんどん山林やら田野を宅地開発をやっておった。それがそこヘストップ食ったら、全部市街化地域に集中してくるのはあたりまえじゃないですか。それをやらなければ、みんな業者は倒産するのですよ。だから、そういうような段階になれば、市街化地域に大きく宅地需要が殺到するということは、あなたがいまそんな心配要りませんよと、一国の大蔵大臣としてそんな御答弁では困りますよ。当然そういうことは予想されると、予想されるからそれにどう対処するかと、こういうふうな御答弁をいただかなきゃ、いや心配要りませんよ、安心しなさいと、こんな御答弁では、これは満足できません。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 いや、岡本さんがいまおっしゃられるとおりといたしましても、この新しい法律が役に立たないようにおっしゃられますが、この法律はかなり役に立つのであります、こういうことを申し上げておるのです。あなたのおっしゃられるとおりだと、今度の法律は役に立たぬ、こんなものはやめちゃえ、こういう議論になるのです。ですけれども、私が申し上げたいことは、おそらく岡本さんは、この法律は役に立つのだろう、しかし、その上にもう一つ足りないぞと、空閑地税的なものが足らないぞと、こういうふうにおっしゃりたいのだろうと想像するのですけれども、そうおっしゃられないものですから、そう申し上げておるのです。  私は、空閑地税的な不動産課税、これに対しましては賛成です。ただ、賛成と申しましても、技術的にやっていく、これは非常にむずかしい。これをうまくやり抜けるかどうか、まだ確信が持てないのです。そういう状態でまだ実施には踏み切れませんけれども、そういうふうな考え方、これはしてみたいなと、かような考え方を持っておるのです。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 私の申し上げておるのは、一本足では歩けないよということを申しておるのです。なるほどこれは、幾らかの思惑買いを抑制するという意味においてはある程度の効果はあるであろう。しかしながら、決定的な役割りを果たさない。それはもう一つプレッシャーをかけるものがないからだ。だから口をあけた。あけたら今度は中から押し出す。この二つがそろわなければだめなんですね。だから一本足では半分の力もないのですよ。足は二本あって一人前ですが、一本足は三分の一の力もないのです。たとえば、あなたがここからあなたの会館の部屋まで一本足で帰りなさいと言われたら、あなた困るでしょう。そいつはかんにんしてくれと言うでしょう。一本足では五分の一の力もないのです。だから、一本足だけ出してきて、はい、足こさえましたよというのじゃ、だめだ。足として出してくるなら、二本足に足をそろえて出してください。私はこういうことを申し上げているのでありますが、大蔵大臣、いま趣旨としては賛成だ、そういうことはただ技術的な面での困難さが伴う、こういうふうにあなたは思うと、こうおっしゃいました。私は、技術的には困難さは伴わない、そんなことは可能だ、こう思っておるのです。  たとえて言うなら、法人のずいぶん知恵をしぼった限りにやるところの脱税だって、あなたのほうは、特捜部隊を出して引っぱり出してくるじゃないですか。また、ずいぶん民間の企業の収入の実態をつかむことは困難だが、それはきちっとつかんである程度の成果をおさめておられる。  それだけの力を持っておる日本の徴税機構であるとするなれば、この土地が有効に使われておるか使われておらぬかというくらいの判断は、これは何でもありませんし、また、それに基づくところの民主的な委員会のようなものをつくって、査定機関をつくって、それでこれはちゃんと使われておるということを認定すればいいのでありまして、そんなことは何でもないのです。  そこで、もう一度、それでは官房長官にお尋ねをいたしますが、あなたは行きがかり上、これは前の建設大臣で、当然今度の国会までの間に、あなたは、いま大蔵大臣が言われるところの技術的な問題、こう遊ばしておいてもらっては困るというふうな土地はどのような土地だというふうに規定するか、この定義づけですね、こういうふうなものを制度としてこれからつくり上げていただきたい。それは坪川新建設大臣にお願いするのが当然でございますが、あなたにも——これは都市計画法は成立さした。しかしながら、それに当然伴うべきところの地価抑制政策というものが伴っておらないから、これは非常な地価暴騰の危険がある。これはしかし来年から実施される。四十五年の四月から一応なにされますね。だから、実動するのは四十五年度に入ってからでありますから、いまから作業にかかっても十分間に合いますし、また、そういう作業にかかってやるのだという方針が明らかにされたとするなれば、地価抑制効果は相当はっきりあると思うのでございますが、ひとつそういう点、きょうはお約束をして退出願ってけっこうと思うのでございますが、いかがでしょう。

保利茂自由民主党内閣官房長官

○保利国務大臣 税制のほうは、この地価抑制に対しては前国会でも大蔵大臣から、これはどうもやはり補完的な作用として理解せざるを得ない、本体はやはり土地に関するもろもろの諸施策によって考えてもらいたいということを言っておられました。建設省事務当局もいろいろの苦心をして計画もしておると思うのでございます。また、当然新しい大臣のもとでさらに勉強を積まれておると思いますから、そういう成案ができましたならば、私どもも側面から協力をしていきたいと考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 先般科学技術庁から「大都市圏の地価・地代形成理論とその応用に関する報告」という研究の成果が発表されました。それを読みますと、とにかく都市周辺の地価は、このようにして形成されていき、形づくられていきます。それは大体通勤距離、そして通勤の一時間半程度までのところ、それが居住の限界地だ、その限界地までどんどん土地を求めて勤労者は広がっていく。その限界地の地価というのは、その広がっていくところの勤労者の支払い能分によってきまるというふうなこと、そういう形でもって地価は形成されていく、こういうことが結論づけられておりました。したがって、そういう形で広がっていくのだが、ところがその限界地は交通機関が発達すれば広がります。それは通勤時間一時間半くらいになると、それが限界地になり、そこが勤労者が払える精一ぱいのところまで上がっていくから、二万、三万というふうなところまで上がるわけですね。ところが、その内部の土地は、向こうが二万、三万ならおれのところは五万、六万でもよかろうというようなことで、何ぼでも広がれば広がるほど、中もまた富士山のすそ野の上にある山の部分のように、だんだん上がっていく。しかも、上がってそれによって別に農民のほうは、土地を持っている者は、売り急ぐ必要はない。大体都市周辺の農家が土地を売るのは、自分の家を建て直すか、あるいは特に借金して、たとえば子供を結婚さすとか、そういうようなことの費用に充てるとか、あるいは自分が土地の一部を売ってアパートを建てるというふうなこと以外には土地を売る必要はないのだ。だから土地を売らずにじっと高値を待って、幾らでも持久作戦で高値を待っておられる。高値を待つことができる。こういうふうないろいろな性格の分析をいたしておりましたが、結論としては、もう今日では、土地を持った人に家を建てさせてあげましょう——持ち家主義ですね、持ち家主義というのは、零細土地需要を何ぼでもつくっていく。それらの人が、零細土地需要——持ち家を持ちたい人が小さな土地を求めてうろうろと買いあさっていくというふうなことが一そう地価を上げていくのだから、もう持ち家主義はだめです。むしろ、それなら逆に、それらの土地を持っている人に公庫かその他の財投の金でも貸して、家を建てさせて、貸し家主義に転換したほうが賢いのじゃないか、こういう提唱をしているのです。  そういうような人に貸し家を建てさせるかどうかということの是非は別といたしまして、このようにして地価というものが形成されていくという地価形成理論は、私も非常におもしろい、またうがった議論だ、理論構成だと思っておるのでありますが、科学技術庁長官にお尋ねをいたしますが、これをどういう目的で調査をされて、そしてこれをどのように生かしたいと思っておられますか、ひとつ御所見を承りたいと思います。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○木内国務大臣 お答えいたします。  私のほうの科学技術庁の資源調査会が、いまお話しになったような報告を提出しました。これはいまもお読みになりましたように、「大都市圏の地価・地代形成理論とその応用に関する報告」、この内容を見ましても、なかなかむずかしい表現をしておりまして、学者の論文といってもいいような報告だと思うのですが、一つの見方だと思うのです。これにつきましてはあまりお読み願っている方はないと思うのですが、岡本さん御熱心にこれを研究していただいておるということは、私は非常にありがたいことでございまして、科学技術庁としては感謝にたえない次第なんです。  いま、どういう目的でつくったか、その内容を、結論はどうだ、あるいはこれを行政面においてどういうふうに利用していくかというお話でしたが、いま大体お述べになったようなことなんですよ。しかし、せっかく御質問がありましたので私から申し上げますが、表現が少しむずかしいものですから、書いたものにたよりながらやりたいと思うのです。  最近大都市におきまして、土地の問題が非常に重要な課題となってまいりました。そこで、資源調査会におきましては、この地価問題について、地価形成の原因たる経済的のメカニズムを解明することを目的にしておる、こういうことなんです。そこで、大都市圏の地価現象がいかなる筋道を通って形成されてくるのであるか。これを住宅地、商業地あるいはサービス業地、工業地、公共用地、こういうおのおのの別に分けまして、この地価はいかなる筋道からきたか……(岡本(隆)委員「もうちょっと簡単に。時間がないですから」と呼ぶ)あなたはおわかりになっておるので、私から申し上げる必要のないくらいにおわかりになっているように私は拝聴したのですけれども、せっかくの御質問ですから御報告するのですが、この報告は、内容は、大都市圏における住宅地の地価・地代が利用の限界地、いまお話しになったように、この報告では、一時間半でありません、一時間半ないし二時間程度、そして距離にすると四、五十キロ、これを基準といたしまして、それとの相対的有利性によってきまるという理論に基づきまして、そこで持ち家、貸し家、アパートの限界地について地価・地代の形成機構を明らかにしようとしておるのであります。そこで、住宅地だけじゃなく、いま申しましたように、商業・サービス業地、工業地、公共用地についても、それぞれその地価形成の機構を明らかにしよう、こういうことに努力をしておったようであります。  そこで、これに関連しまして住宅政策への一つの提案をしておるのですが、これは先ほど来岡本先生からお述べになったり、あるいは建設大臣からお答え申し上げているところとだいぶ違うのです。政府の考えともだいぶ違うのですが、これは調査会の意見ですからひとつお聞きを願いたいと思うのですが、その提案の一つとしては、地価の上昇率が利子率より高い状態では、土地を買って住宅を建てる政策は制約を受けざるを得ないということをまず第一にいっている。これはちょっと難解ですけれども……。その次には、地価、地代……(岡本(隆)委員「簡単にやってください」と呼ぶ)ちょっと待ってください、大事なところがあるのですから。それから先が一番大事なところです。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 参議院と違うのですよ。こっちはあなたの答弁も時間の中に入るのだから。参議院は時間は関係ないですけれども……。

木内四郎自由民主党科学技術庁長官

○木内国務大臣 しかし途中まで説明してやめるわけにはいきませんから……。  二番目には、地価、地代の上昇を抑制するためには税制の改善に加えて、土地所有者に——ここがあなたのお説とだいぶ違って、公営住宅を建てたり、あるいは個人に金を貸して土地を買わして家を建てるということは地価を上げることになるから、それは考えなければならぬ。それよりも土地所有者に金を融資して、貸し家、アパートの建設を促進するような方法が有効である。これは地主が家を建てる、競争してサービスもよくする、建物もよくする、家賃も安くなるだろう、こういうことを言っていることなどが述べられております。  なお、住宅政策は、地価だけで割り切れるわけではなく、関連する多くの側面があるので、この報告では、もっぱら地価との関連を問題にしておるものであり、住宅政策全般を問題にしているものではないとお断わりをいたしておるのです。  それからさらに、これは行政面でどういうふうにしておるかというお話ですが、大都市圏の地価はきわめて複雑な諸要素によって形成されて——いまのこれに書いてありますように形成されておりますが、その報告は地価問題に対するための一つの理論的考察を提示したものであると私どもは考えております。そこで科学技術庁におきましては、関係各庁、すなわち建設、農林、大蔵、経企等に対しまして、この報告を送り届けまして、その周知をはかっておるところでありまして、今後各省庁におきましては、いろいろな施策をなさる。さっき建設大臣もお述べになりましたが、そういう立案に際しまして参考とされることを私どもは期待しておるわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 最後のところを言うていただいたらよかったのでございまして……。しかし、とにかくいろいろその内容、いま長官がおっしゃいましたすべての部分には賛成いたしかねますが、相当参考になる点があって、非常に有意義なものだと思うのでございます。  そこで農林大臣にこの機会にお尋ねをいたしたいのでございますけれども、都市計画法が改正されまして、市街化地域と調整地域とに分かれました。現段階で非常に地価が暴騰しております。それは日本農業に相当な影響があるのではないか、現実あるのではないかと思うのでございますが、地価が農業に及ぼしておる悪影響ですな、どんな点が悪影響であるか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 市街化調整区域は市街化を抑制する区域である、御承知のとおりでございまして、この中には今後の農業振興の基盤となるべき優良な農用地が相当含まれていると考えられるのでございまして、農業振興地域として指定することが適当なものにつきましては、積極的に地域指定をする考え方でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 お尋ねをいたしておりますのは、いま地価が現段階で上がっておる。たとえていうなれば、都市周辺で農家が土地が売れますね。そうすると、都市から離れたところへどんどんかわりの土地を求めていきますね。だから、そういうふうな需要がまた非常にふえてまいりまして、都市周辺でないところの農地も、相当ひどく上がってきておる。そのことのために、農業の経営基盤が非常に脅かされてきておるのではないかと思っておるのでございますけれども、そういうことはございませんでしょうか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 でございますから、農用地として指定してあるものの中には、その地域は許可をしない、認可をいたしません。いままでのように許可、認可制があるわけでございますから、そのとおり行なっていく、こういうことで、他の市街地周辺において飛び飛びにあるような地域、地帯については考え方をもっと寛大といおうか、もっとゆるめていく考え方でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 ちょっとかみ合うてないのですがね。とにかく大臣のおっしゃるのは、調整地域の土地もひとつ振興地域というふうに指定をして、農業投資を行なって、農業がどんどんうまくやっていけるようにしてやろう。そして市街化地域になった農地は、それは比較的値が上がりますから、それとのバランスがとれるようにしてやろう、こういうふうなお考えのように思うのでございます。  そこでもう一つお尋ねしたいのは、市街化地域になった土地と市街化地域の中にある農地と、いまいろいろな意見が出ております。大体土地というのはこんなにべらぼうに上がって、土地本来の持っておる生産価値以上に需要供給の関係で上がってしまっておる。だから、これはもっと適正な価格にしなければならないのではないか。また土地というものは、全部ではございません、全部ではございませんが、昭和二十何年でございますか、三年でございますか、農地改革のときに、坪二、三円で政府から払い下げを受けた土地である。それがいま三万、五万しておる。まさに一万倍というふうな値上がりというものは、幾らいろいろな諸般の状況に恵まれたとしても、これはあまり土地の価格というものは高過ぎやしないか、あるいは六万円であれば二万倍になっているわけでありますからね。だから、そういうふうな土地については、これはもうある程度のなにを押えて、それで市街化地域に指定されたら、市街化地域になったところの土地については宅地化をしていただくのでありますよ。宅地にしていただくのには、これは離農していただかなければならぬから、離農年金というような形、あるいはそれ相当の時価で買うといたしましても、そのような二万倍、三万倍というふうな価格でなしに、せめて一万倍か二万倍程度でその土地を買い上げるというふうなことにすれば、地価は安定するのではないか。  例を申しますと、かりに坪一万円と評価いたしまして、その年の利息は六%といたしますと六百円ですね。そうすると、坪五十円でその農家が土地を貸せば、一反について月一万五千円の地代が入るわけです。そうすると、年一万五千円の十二倍でありますから、何ぼになりますかね。とにかくそれでもって相当な反当たりの年収がある。だから、月割りにいたしますと、たとえば月反一万五千円であれば、五反耕しておる農家であれば七万五千円でしょう。だから、七万五千円の離農のそれを利息として年金として渡されれば、一応の生活は安定するわけですね。だから、坪一万円という価格は一応現在価格で、五反の農家に対しては月七万五千円の給料を渡す——給料というと語弊がありますが、年金を渡す額に相当するわけです、一万円という時価のなには。だから、そういう意味でいくならば、一万円ないし二万円程度のそれを物価にスライドさすところの年金を払うというふうな制度の中で、市街化地域の農地を——かつては農地は耕作農民に渡せ、こういうことでございましたから、それが農地改革であったから、今度は宅地改革。だから、市街化地域の中の農地については、そういうふうな農地については、これはやはり庶民の住居に開放してもらいたい。そのためには年金を出しましょう。生活を保障するだけの年金を出しましょう。五反の農家なら七万五千円から十万円以上、かりに倍額の坪百円といたしますと十五万円というふうな、そういうふうな年金の支給ということでも、それでも非常に住宅問題の解決には役に立つ。同時に、住宅問題だけでなしに、公共用地の問題の解決にも役に立つと思うのですよ。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 道路であるとか、鉄道であるとか、一切の公共用地の取得を、農民に離農年金を渡すという形で土地の提供をお願いする。こういうふうになれば、非常に住宅難が解決すると一緒に、公共用地の取得にも非常に大きななにがある。だから、カイザーのものはカイザーへというふうな形で、これは農地改革があったように、宅地改革にいまこそ踏み切っていいのではないか、こういう意見があるのです。だから、それについて農林大臣はどのようにお考えになりますか、承りたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 前段については、農用地について、他の指定された地区内のその以外のものの土地の価格が上がっていって、それでは農用地だけはかわいそうではないか、こういうような点につきましては、申し上げたように、これらには積極的な施策を政府としては考えていくつもりでございます。  後段につきましては、私でなくて、もっと専門家が来ておりますから、局長に説明をさせます。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 これはしかしもう局長、事務段階でこんなのは答えられる問題ではないと思うのですよ。これは農地改革が思い切ってやられた。それは耕作農民に耕地を渡せ——しかし、いまもうこれだけ住宅難が激しく、地価の高騰が激しいときに、地価問題を解決するのには一番大きなきめ手だ。だから、それには土地の売買を公的機関を通じてやるというふうにせよというふうな、これは都留さんあたりもこういう意見です。とにかく土地の売買は公的機関でやれ、そうすると、地価というものはなくなるのですね。社会党も公的機関でもって土地の売買をやれ、こういう意見でありますね。大体そういうふうに土地というものは、自分のものと考えてもらっては困る。しかしながら、適当な補償はしなきゃいかぬ。補償をするのは、いま非常に上がったところの地価というものの形における補償でなしに、その人の所得補償、りっぱに安んじて暮らせるだけの所得は補償します、だからその土地を提供してくださいというふうな形を、いまこそ土地改革というふうな形で、もう一ぺん農地改革を、今度は宅地改革の形でやるべき時期が来ておるのじゃないか。また、先ほどから大蔵大臣と議論をいたしておりますが、もしわれわれが言うような形で相当強力な土地税制というものが行なわれずに、地価がぼんぼん上がっていったということになって、市街化地域ははっきり限界をきめられた、しかも地価はどんどん上がっていくというふうなことになってまいりますと、それこそまさに土地が原因になったところの暴動も起こりかねないというふうなことを、われわれは憂慮しなければならぬと思うのですよ。だから、そういう意味においては、いまこそそういうふうな考え方を持ち始めるべき時期ではないか、そういうふうな問題を真剣に考え始めるべき時期ではないかと私は思うのでございますが、ひとつ農林大臣から、あわせて大蔵大臣からも御所見を承りたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 たいへんりっぱな御意見でございまして、御意見として十分承っておきまして、これらは農地の問題以外に宅地構成の問題がこの中に多分に含まれておりますというような関係もありますので、私だけの考え方だけで御答弁申し上げることもどうかと思いますので、よって、りっぱな御意見として承って、後日またお話し申し上げたいと考えております。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 ただいま農林大臣から申し上げたとおり私も考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 大蔵大臣、それはちょっとあなた、なにですよ。地価問題について、公共用地の取得——農林大臣は土地を手放す側です、農家の立場です。だから、農家について不利なことは、これは避けられるのは当然だと思うんですよ。しかし、あなたは、言うなれば予約米の減税はやられましたけれども、米価の問題なんかは、ことしはもう上げないのだとか、あるいはいろいろな面で、ときとしてはやっぱり大蔵大臣としていろいろき然たる態度をもってものを言わなければならぬ立場にある方、少なくも国の財政を預かっておられるあなたとして、農林大臣と同じでございますと、そんな御答弁じゃだめですよ。やっぱりあなたは、国民の住生活をどう保障するか、それには宅地をどのようにして取得するか、その宅地の計画というものも問題になってまいりますし、さらにまた、数限りないところの公共用地の取得を、あなたは直接やっぱり金を出す側の立場なんでしょう。だから、どのように地価を押えるかということについては、もっと真剣でなければらなぬと思うのです。大体あなたは、地価を押えようと思っておられるのか、押えたいと思っておられるのか、あるいは下げたいと思っておられますか、どちらですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣・経済企画庁長官事務代理

○福田国務大臣 いま時間がないから急げ急げというような先刻からのお話なんで簡単にしたわけなんですが、土地は、私はそもそも普通の商品と違う。生産できるものじゃないのだ。これはもう国民全体の財産、国民財産とも称すべきものだ。そこで、全体の国民が、最もこれをお互いに高度に、最高の程度に利用するという形において、まあ信託を受けておる、こういう形、考え方をとるべきじゃないか、そういうふうに考えます。  そこで、地価の問題、これは当面の大きな問題でございますが、これはただ単に一つの角度、一つの政策じゃ片づかない。やっぱり土地の利用問題、これが根幹になる問題だろうと思うのです。それから地価直接にする問題といたしましては、公示制度、これは手をかけますが、これもやっていかなければならぬ。税の問題もやっていかなければならぬ。それから国有地、公有地、これの利用を高度にするというような問題もやっていかなければならぬ。これはもうあらゆる政策をこれに結集して初めて効果をあげるんじゃないか、そういうふうに考えます。しかし急速にはこれはできない問題です。今度新都市計画法なんかできる一つの機会でございますので、それらを軸とし、また公示制度も始まります、これも進めていかなければならぬ。税法も今度は改正になる。それも一つの助けになるでしょう。そういう一つ一つを積み上げてこのむずかしい問題と取り組んでいく、こういうことかと思っております。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)委員 大臣、大体土地の性格、土地所有権の持つ性格ですね、わりあいにわれわれと似た考え方を持っていただいております。とにかく土地は、これはもう全く個人のほしいままに使うというべきものではなくて、やはり国民から有効利用をゆだねられているというふうな制約がある。だから、そういう意味においては、ある場合には土地というものは公共の福祉のためには提供しなければならぬ。それが土地収用法の発想でございますがね。  だから、そういう意味においては、国民がこれだけ住生活に困っておる場合には、やはり市街化地域におけるところの農地というものの持つ性格というものも、ある程度所有権に制約があるということは考えざるを得ない。いまの日本の宅地事情がそこまでわれわれを追い込んできておる。こういうことであり、いままで申し述べましたことにつきまして、大蔵大臣もある程度御理解をいただいたと思うのであります。  本日は、自治大臣やあるいは運輸大臣、通産大臣、厚生大臣にも来ていただいて、時間がなくてそこまで入っていけなくて、まことに申しわけございませんでしたが、それはまた分科会なり、それぞれの委員会でやらしていただくことにいたしまして、一応大蔵大臣のその辺での御理解を十分お願いいたしまして、その上に立ったところの土地政策というものを確立していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。  明日は、午前九時四十分より委員会を開会し、伊藤惣助丸君、石川次夫君、森本靖君、河野正君の一般質疑を行なうことといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会

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