予算委員会 第1号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1969/02/01
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 今回、はからずも予算委員長に選任せられました。その職責の重大なることを痛感しておる次第でございます。 幸いにいたしまして練達たんのうなる委員各位の御協力を賜わり、本委員会の円滑なる運営をはかり、もって、予算の慎重なる審議を通じ、国政の上に遺憾なきを期したいと存じます。 何とぞ、よろしく各位の御協力をお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手) ————◇—————
○荒舩委員長 まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。 委員の異動によりまして、現在理事が六名欠員となっております。つきましては、この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は 櫻内 義雄君 田中 龍夫君 塚原 俊郎君 中野 四郎君 八木 徹雄君 大原 亨君 を理事に指名いたします。 ————◇—————
○荒舩委員長 これより昭和四十四年度一般会計予算、昭和四十四年度特別会計予算、昭和四十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたし、審議に入ります。 ————————————— 昭和四十四年度一般会計予算 昭和四十四年度特別会計予算 昭和四十四年度政府関係機関予算 〔本号(その二)に掲載〕 —————————————
○荒舩委員長 まず、三案の趣旨について政府の説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。
○福田国務大臣 昭和四十四年度予算の基本方針及びその大綱につきましては、先日、本会議において申し述べたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするにあたり、あらためてその概要を御説明申し上げます。 昭和四十四年度の予算の編成にあたりましては、先日の財政演説において申し述べましたとおり、わが国経済の持続的成長を達成すること、物価の安定につとめること並びに経済の国際化に応ずる体制を確立することを眼目といたしました。 その特色とするところは、次の諸点であります。 第一に、公債を伴う財政の景気調整機能を発揮させるとともに、財政体質の改善をはかるため、公債発行額を縮減して一般会計の公債依存度を引き下げたことであります。 第二に、国民負担の軽減をはかるため、所得税及び住民税等の減税を行ないました。 第三に、物価の安定につきまして格段の配慮を加え、公共料金の引き上げは、国鉄運賃を除き極力抑制することといたしております。 第四に、昭和四十三年度に引き続き総合予算主義の原則を堅持するとともに、歳出内容について、限りある財源の適正かつ効率的な配分につとめ、国民福祉向上のための諸施策を推進いたしました。 以上により編成されました昭和四十四年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも六兆七千三百九十五億円でありまして、四十三年度予算に対し九千二百十億円、伸び率にして一五・八%の増加となっております。 また、財政投融資計画の総額は三兆七百七十億円でありまして、四十三年度当初計画に対し三千七百八十億円、伸び率にして一四%の増加となっております。 まず、一般会計を中心にその概要について申し上げます。 歳入予算の総額六兆七千三百九十五億円の内訳は、租税及び印紙収入五兆七千三百八十一億円、税外収入四千八百四十億円、公債金四千九百億円及び前年度剰余金受け入れ二百七十四億円となっております。 歳入予算のうち租税及び印紙収入について申し上げます。 昭和四十四年度税制改正におきましては、最近における国民負担の状況に顧み、所得税の負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げ、給与所得控除の適用範囲の拡大、税率の緩和等により平年度千八百二十五億円程度の減税を行なうことといたしますとともに、当面の経済・社会情勢に即応して、住宅及び土地対策の拡充合理化、公害対策の促進、原子力発電の推進、中小企業の構造改善等に資するため所要の措置を講ずるほか、交際費課税を強化することといたしております。 これによる昭和四十四年度の減収額は、千五百三億円となる見込みでありまして、これを税制改正前における収入見込み額五兆八千八百八十四億円から差し引いた五兆七千三百八十一億円を昭和四十四年度の租税及び印紙収入予算額とした次第であり、これは、昭和四十三年度予算に対し一兆四百三億円の増加となっております。 税外収入四千八百四十億円は、昭和四十三年度予算に対し五百五十億円の増加となっております。 次に、公債金四千九百億円は、財政法第四条第一項ただし書きの規定により公共事業費、出資金及び貸し付け金の財源に充てるため発行する公債による収入でありまして、四十四年度におきましては、財政体質の改善をはかる見地から、四十三年度予算に比べ千五百億円を減額いたしたものであります。 前年度剰余金受け入れ二百七十四億円は、四十二年度に新たに生じた剰余金を受け入れるものであります。 次に、歳出のおもな経費につきまして、順次御説明申し上げます。 社会保障関係費といたしましては、総額九千四百七十億円を計上し、施策の充実をはかっております。 すなわち、生活扶助基準を一三%引き上げるほか、児童保護、老人福祉、母子対策、身体障害者対策等を推進することといたしております。 また、年金制度につきましては、二万円年金の実現を期することとして、所要の改善をはかることといたしておりますとともに、福祉年金につきましては、年金額の引き上げ、夫婦受給制限の撤廃、本人及び扶養義務者の所得制限緩和を行なうこととしております。 このほか、保健衛生対策、失業対策にも十分な配慮を加えておるのであります。 文教及び科学振興費といたしましては、総額八千五十八億円を計上いたしております。 初等中等教育につきましては、義務教育諸学校教職員の定数を改善して教育の充実をはかるほか、教材費の計画的拡充、公立文教施設の整備等を進めることといたしております。また、特殊教育につきましては、特殊学級の増設を行なうほか、養護学校の新設等のための経費を計上いたしまして、心身障害児教育の充実に配慮いたしております。そのほか、私立学校教育の助成等教育の振興にも配意いたしております。 科学技術の振興につきましては、時代の要請にこたえて、新しい動力炉の開発をはじめとして、大型工業技術の開発、宇宙開発、原子力船の開発、海洋開発等を推進することといたしております。 国債費につきましては、国債の償還及び利子の支払い等に要する財源を国債整理基金特別会計に繰り入れるため、二千七百八十八億円を計上しております。 恩給関係費につきましては、恩給金額の改定等の措置を講ずることとし、二千六百七十七億円を計上いたしております。 次に、地方財政について申し述べます。 まず、地方交付税交付金といたしましては、四十三年度予算に対し、二千四百十億円増の一兆三千三百三十三億円を計上いたしておりますが、この算定にあたりましては、国、地方を通ずる財政運営の円滑化をはかるとともに、地方交付税の年度間調整をも考慮しつつ、法定額から六百九十億円を減額しております。 このほか、地方財政におきましては、地方税等の歳入の大幅な増加が見込まれるのでありますが、現下の経済情勢に対応する財政運営のあり方にかんがみ、国と同一の基調により重点主義に徹し、節度ある運営を行ない、将来に備えて、その一そうの健全化をはかることを期待しておるものであります。 防衛関係費につきましては、四十四年度予算において、四千八百三十八億円を計上し、国力に応じた防衛力の充実につとめるとともに、基地対策の充実をはかっております。 公共事業関係費につきましては、国民生活の環境を整備し、国力発展の基盤を培養して、わが国経済の均衡ある発展を確保するため、特段の配慮を加えて一兆二千六十四億円を計上いたしております。 治山、治水事業につきましては、河川事業に重点を置いて国土保全の強化をはかっておるのであります。 道路整備事業につきましては、明年に迫った万国博覧会関連事業、交通安全対策事業等に配慮するほか、国道の整備、都道府県道の舗装につき、特に重点的に予算の配分を行なっております。 また、日本道路公団等道路三公団の有料道路事業の拡充をはかっております。 港湾、漁港、空港の整備につきましても、その推進を期しておりますが、このうち漁港整備につきましては、新たに四十四年度を初年度とする第四次漁港整備計画を策定することといたしております。 住宅対策につきましては、住宅建設五カ年計画の線に沿って政府施策住宅の建設の拡充をはかることといたしまして、四十四年度におきましては、政府施策住宅五十七万三千戸を建設することといたしております。 生活環境施設の整備につきましては、下水道、公園、緑地、清掃施設などの拡充をはかることといたしております。 なお、日本国有鉄道におきましては、通勤輸送の混雑緩和と過密ダイヤの解消、新幹線の建設等につとめることといたしております。また、日本電信電話公社におきましても、引き続き施設の整備を推進することといたしております。 貿易の振興と経済協力の推進の面におきましても、重点的に施策の拡充をはかることといたしております。 まず、貿易の振興につきましては、日本輸出入銀行に三千四百五十五億円の財政資金を投入することにより、貸し付け規模の拡大をはかっております。 また、明年に迫った万国博覧会につきましては、所要の財源を計上して、会場の建設及び政府出展施設の整備並びに運営を行なうことといたしております。 次に、対外経済協力につきましては、海外経済協力基金に多額の財政資金を投入して、その事業規模を拡大するとともに、各種の技術協力、南ベトナム難民住宅の建設等につき配慮を加えておるのであります。 海運対策費といたしましては、外航海運について四十四年度から四十九年度までの新たな海運振興施策のための助成措置を講ずること等により、四十四年度においては一般会計において百五十二億円を計上するほか、日本開発銀行からの融資を予定しております。 中小企業対策につきましては、その高度化、近代化等を引き続き積極的に推進することとし、各般の施策を総合的に推進することといたしております。 すなわち、中小企業振興事業団の事業規模を大幅に拡大いたしますとともに、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の貸し付け規模を前年度に対して一八%増といたしておるのであります。 四十四年度の農林漁業関係予算におきましては、農林漁業の生産性の向上と農林漁業従事者の所得の安定向上をはかるため、各般の施策を推進することといたしております。 特に、農業につきましては、総合農政の推進をはかることとし、需要の動向に即応した農産物の安定的供給を確保するため、米管理の改善をはかる一方、農業の生産性向上と選択的拡大及び農家所得の安定向上をはかるために各般の施策を総合的に展開することといたしております。 なお、漁業者に対する資金融通を円滑化するため、新たに、漁業近代化資金融通制度を創設することといたしております。 米価につきましては、最近の米の需給事情を勘案し、生産者米価及び消費者米価を据え置く方針をとることとする等により、一般会計から食糧管理特別会計へ繰り入れる額を前年度に比べ五百三十七億円増加の三千一億円といたしております。 産業投資特別会計におきましては、日本輸出入銀行に対する出資をはじめとして総額八百八十五億円の出資を行なうこととし、これに要する財源の一部に充てるため七百八十一億円を一般会計から同特別会計へ繰り入れることといたしております。 沖繩住民の安寧と福祉及び沖繩における経済開発の増進に資するため、沖繩に対する援助を大幅に増強することといたしております。 四十四年度予算におきましては、公務員給与の改善に備えて、公務員給与を七月から五%引き上げるための所要額を当該各項の給与費に計上いたしております。 予備費につきましては、災害復旧等予見しがたい予算の不足に充てるため、九百億円を計上いたしております。 以上、主として一般会計予算について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、資金の重点的配分と経費の効率的使用につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしておるのであります。 なお、糸価安定特別会計を廃止するとともに、国有財産特殊整理資金特別会計を改組し、特定国有財産整備特別会計とすることといたしました。 財政投融資につきましては、以上それぞれの項目において御説明いたしましたところでありますが、その原資といたしましては、出資原資として産業投資特別会計出資八百八十五億円、融資原資として資金運用部資金二兆九百三十九億円及び簡保資金三千二百億円を見込むほか、公募債借り入れ金等五千七百四十六億円を予定いたしております。 その運用の内容につきましては、住宅の建設、中小企業金融の充実及び輸出の振興に重点を置くとともに、鉄道、道路等の社会資本の強化及び公害の防止等生活環境施設の整備に特に配意いたしておるのであります。 以上、昭和四十四年度予算につきまして、その概要を御説明いたしましたが、このほか、予算に対する国民の理解をより得やすくするとともに機械化の時代に対応し得るよう、予算書の様式に改善を加えました。 なお、詳細にわたる点につきましては、政府委員をして補足説明いたさせます。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同いただきたいと存じます。(拍手)
○荒舩委員長 これにて大蔵大臣の説明は終わりました。 大蔵大臣、経済企画庁長官以外の閣僚各位は、御退席を願ってけっこうでございます。 引き続き、順次政府の補足説明を許します。鳩山主計局長。
○鳩山政府委員 昭和四十四年度予算の概要につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、細部にわたりまして、補足して御説明申し上げます。 一般会計予算の国民総生産に対します比率は、昭和四十四年度予算では一一・六%となります。 これは、今回の経済見通しによる四十三年度の国民総生産実績見込みに対する四十三年度当初予算の比率、一一・五%とほぼ同水準でございます。さらに、四十三年度予算編成時における国民総生産の見込みに対します比率が一二・二%でありましたことに比べますと、若干低下をいたしております。 また、一般会計のほか、特別会計、政府関係機関、財政投融資及び地方財政を含めた国民所得計算上の政府財貨サービス購入の増加率は、四十三年度に対しまして、一二・三%でありまして、経済成長率の一四・四%を下回るものとなっております。 昭和四十四年度の予算規模に占めます公債収入の割合は、七・二%でありまして、これは、四十三年度予算の一〇・九%を大きく下回るものでありまして、財政体質の健全化に資するものでございます。 次に、歳入について申し上げます。 税外収入の四千八百四十億円の内訳は、専売納付金二千四百五十九億円、官業益金及び官業収入二十八億円、政府資産整理収入百八十八億円、雑収入二千百六十五億円となっております。 政府資産整理収入が、四十三年度予算に対し、三十一億円の減少でありますが、減少のおもな理由は、国有財産特殊整理資金特別会計が、特定国有財産整備特別会計(仮称)に改組されることに伴うものでございます。 なお、雑収入のうちおもなるものは、日本銀行納付金千二十五億円、懲罰及び没収金三百十五億円などであります。 財政法第四条第一項ただし書き及び同条第三項の規定によります公債発行の対象となる経費の金額は、一兆三百八十八億円であります。これと公債発行額四千九百億円との差は、五千四百八十八億円でありまして、四十三年度予算の二千五百七十五億円に比べて大きく増加をいたしておりますが、これは、公債発行対象経費にできるだけ多く一般財源を充当し、経済情勢に即応して公債政策の健全な運用をはかろうとする趣旨によるものでございます。 前年度剰余金の受け入れ二百七十四億円は、四十二年度決算の結果新たに生じた剰余金であります。このうち三十一億円は地方交付税の財源に、十四億円は道路整備費の財源にそれぞれ充てられ、これを差し引いた残額の二分の一相当額百十四億円は、財政法第六条の規定により、国債償還の財源として国債整理基金特別会計に繰り入れることとしております。 次に、歳出について申し上げます。 社会保障関係費の九千四百七十億円は、四十三年度予算に対し、千三百十三億円、一六・一%の増加となっております。 生活保護のうち、生活扶助基準の改定は一三%でありますが、東京都の標準四人世帯を例にとりますと、生活扶助のための支給額は、月額二万六千五百円から二万九千九百四十五円に増額されることになります。 厚生年金につきましては、四十四年十一月から、定額部分を六〇%引き上げる等の改善を行なうことによりまして二万円年金の実現を期しております。 また、拠出制の国民年金につきましても、四十五年七月以降所要の改善を行なうことといたしております。 福祉年金につきましては、老齢福祉年金を月額千七百円から千八百円に、障害福祉年金を月額二千七百円から二千九百円に、母子福祉年金を月額二千二百円から二千四百円に、それぞれ引き上げることといたしております。 文教及び科学振興費八千五十八億円は、四十三年度予算に対し千三十三億円、一四・七%の増加となっております。 公立文教施設につきましては、人口の社会増地域における学校施設を確保するため、事業量の大幅な増加をはかることといたしましたほか、単価の引き上げ、構造比率の改善等により、校舎、屋内運動場等教育施設の一そうの充実をはかることといたしております。 科学技術の振興につきましては、特に重点を置くこととしており、動力炉の開発については、四十三年度の五十八億円から百三十八億円に、大型工業技術の開発については、三十九億円から四十七億円に、それぞれ増額計上いたしております。また、宇宙開発につきましては、新たにその中核的機関として、宇宙開発事業団(仮称)を設立して、効率的開発を推進することとし、四十三年度宇宙関係予算の四十二億円を六十一億円に増額計上しております。 国債費二千七百八十八億円の内訳は、国債償還費が千二百十九億円、国債利子等千五百三十二億円、国債事務取り扱い費三十七億円でありまして、前年度予算に対し七百七十六億円の増加となっております。 公共事業関係費といたしましては、四十一億円の特別失業対策事業費を含めて一兆二千六十四億円を計上しておりますが、これは、四十二年度予算に対し千三百六十二億円、一二・七%の増加となります。また、災害関係を除きました一般公共事業関係費の四十三年度予算に対する伸び率は、一五・三%であります。 なお、公営住宅の用地費につきましては、四十四年度から、補助の対象からはずして、地方債によって所要の財源措置を講ずることとしておりますが、同時に、これに伴って家賃が変動することを避けるため、地方公共団体に対し、一般会計から家賃収入補助を行なうこととしております。 四十四年度予算における一般会計の住宅対策費の伸び率は、一三・三%でありますが、四十三年度予算から公営住宅用地費補助額を控除して、住宅対策費の実質増減で見ますと、三三・九%の増加になります。 日本国有鉄道につきましては、工事規模を三千八百十九億円とし、財政投融資を二千六百四十億円から二千九百億円に増額いたしております。 また、日本国有鉄道の財政の再建に資するため、所要の運賃改定を行なうほか、新たに日本国有鉄道財政再建債として、資金運用部から優遇貸し付けを行なうこととし、その利子の全額を、一般会計から日本国有鉄道に補給することといたしております。 一般会計の貿易振興及び経済協力費としては、九百五十五億円を計上いたしております。これは、前年度に対しまして百三十一億円、一五・九%の増加であります。 日本輸出入銀行につきましては、産業投資特別会計からの出資を前年度の四百八十億円から六百三十五億円に、資金運用部からの融資を二千百五十億円から二千八百二十億円に、それぞれ大幅に増額することにより、その貸し付け規模を三千三百五十億円から三千七百四十億円に拡大しております。 万国博覧会関係としては、百二十億円を計上しておりますが、その内訳は、万国博覧会事業費二百九億円に対する補助金七十一億円、政府出展施設整備費四十一億円、政府出展施設運営費六億円等となっております。 海外経済協力基金につきましては、事業規模を、前年度予算の四百四十億円から五百七十億円へ大幅に拡大することといたしまして、これに必要な財源として、一般会計出資二百二十四億円、資金運用部資金融資二百七十六億円を計上しております。 中小企業振興事業団につきましては、一般会計からの出資額を四十三年度の百五十八億円から二百六億円へ増額する等によりまして、融資規模を大幅に拡充しております。中でも、工場、店舗の集団化等のための一般高度化資金を飛躍的に拡充しております。そのほか、繊維工業の構造改善についても、新たにメリヤス製造業、染色整理業を融資対象に加えることとしております。 国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の政府関係中小金融三機関に対する財政投融資計画額は、三千九百七十億円でありますが、その内訳は、国民金融公庫千八百八十億円、中小企業金融公庫千九百九十億円、商工組合中央金庫百億円となっております。 中小企業信用保険公庫への出資金は、百五億円を計上しておりますが、その内訳は、保険準備基金四十億円、融資基金六十五億円であります。 農林漁業関係につきましては、特に総合農政の推進をはかるため、各般の施策を総合的に展開していることを、ただいま大臣が申し上げましたが、なお補足いたしますと次のとおりでございます。 農業基盤整備については、新規の開田を抑制するとともに、畑作振興事業、草地改良、圃場整備、農道整備等を拡充することといたしまして、千六百二十三億円を計上しております。 次に、各種農産物の生産対策として、畜産対策、園芸、特産農産物及び養蚕対策等を重点的に推進するほか、稲作転換対策等米作の合理化のための施策を推進することとしております。 また、農業構造の改善を推進するため、四十四年度において、現在の農業構造改善事業の残地区を全部採択するほか、新たに、第二次農業構造改善事業に着手することとしております。 さらに、農林漁業金融におきましては、農林漁業金融公庫の融資ワクを、千八百億円から二千二十億円に拡大するとともに、農業近代化資金の融資ワクの限度を、一千億円から三千億円へと飛躍的に拡充することとしております。 このほか、農産物の流通改善及び消費者対策の充実並びに農山村対策の充実等についても、特段の配慮を行なっております。 特別会計及び政府関係機関につきましては、一般会計の関連する項目において、それぞれ御説明いたしましたので、説明を省略させていただきます。 以上でございます。
○荒舩委員長 次に、吉國主税局長。
○吉國(二)政府委員 昭和四十四年度予算につきまして、大蔵大臣の提案理由説明を補足して、細部にわたる点について申し上げます。 昭和四十四年度の一般会計歳入予算額六兆七千三百九十五億七千四百万円のうち、租税及び印紙収入予算額は、五兆七千三百八十一億二千四百万円となっております。これは、昭和四十三年度一般会計租税及び印紙収入予算額四兆六千九百七十八億五千二百万円に対しまして、一兆四百二億七千二百万円、二二・一%の増加となっております。また、一般会計歳入予算額の全体に占める租税及び印紙収入予算額の割合は、昭和四十三年度予算における八七%に対しまして、昭和四十四年度予算におきましては、八五・一%へと上昇しており、それだけ、一般会計予算における公債依存度の引き下げに寄与するところとなっているわけでございます。 この租税及び印紙収入予算額は、昭和四十三年度予算額に、昭和四十四年度の自然増収見込み額一兆一千九百五億七千八百万円を加算した収入見込み額五兆八千八百八十四億三千万円を基礎としております。この収入見込み額から、昭和四十四年度の税制改正におきまして所得税減税、租税特別措置の拡充等が行なわれることによる減収額千五百三十八億四千二百万円を差し引き、これに既存の租税特別措置の整理合理化による増収見込み額三十五億三千六百万円を加えたものを、昭和四十四年度の一般会計租税及び印紙収入予算額としております。 なお、この一般会計における予算額に、交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入となります地方道路税、石油ガス税の譲与分及び特別とん税の予算額九百十二億三千万円と、石炭対策特別会計の歳入となります原重油関税の予算額七百四十四億一千百万円とを合わせますと、昭和四十四年度の国の租税及び印紙収入予算額の総額は、五兆九千三十七億六千五百万円となっております。 以上、昭和四十四年度の租税及び印紙収入予算額について申し上げましたが、次に、その内容につきまして、若干の御説明を申し上げます。 まず、昭和四十四年度の収入見込み額の基礎となっておりますところの自然増収額の見積もりについて申し上げます。この見積もり額は、昭和四十四年度の政府経済見通しを基礎とし、最近までの課税及び収入状況等を勘案して見込んだものでございます。 わが国の経済は、昭和四十三年度当初以来、予想を上回る拡大基調をもって推移してきております。昭和四十四年度におきましては、国際経済の先行き等は必ずしも楽観を許さないものが見られるのでありますが、国内経済といたしましては、四十三年度に引き続き、かなりの拡大基調を続けるものと予想されております。すなわち、個人消費支出、民間企業設備投資、民間住宅建設等の根強い増勢にささえられまして、国民総生産の成長率は、名目一四・四%程度、鉱工業生産は一五・五%程度の伸びが見込まれているところでございます。 このような経済の拡大基調のもとにおきましては、租税収入も、所得税、法人税、物品税などを中心として、相応の増収が見込まれるのでありまして、これを各税目ごとに積算し、合計一兆一千九百五億七千八百万円の自然増収額を見込んでいる次第でございます。このように、自然増収見込額が一兆円をこえるのは初めてのことでございまして、また、これの昭和四十三年度予算額に対する伸びも二五・三%と、かなりの増加率を示しております。 なお、この自然増収額の中では、所得税が五千八百五十五億二千百万円で四九・二%と、ほぼ全体の半ばを占め、また、法人税が三千八百七億二千百万円で三二%となっており、この両者で、全体の自然増収額の八一・二%を占めることとなると見込んでおります。 昭和四十三年度予算額に対して以上の増収見込み額を加算いたしました五兆八千八百八十四億三千万円が、一応、昭和四十四年度税収見込み額となるのでございますが、これを前提として、昭和四十四年度の税制改正が行なわれるわけでございます。 今回の税制改正におきましては、最近における国民の税負担の状況にかんがみ、中小所得者の負担軽減を主眼として、平年度一千八百二十五億円にのぼる大幅な所得税減税を行なうとともに、当面の経済・社会情勢に即応して、租税特別措置の整備合理化、土地対策の推進、納税者の権利救済制度の改善をはかることといたしております。 なお、昭和四十四年度におきましては、地方税につきましても、住民税を中心に負担の軽減が行なわれることとなっておりまして、昭和四十四年度の税制改正による減税額は、国税、地方税を通じて平年度二千六百億円を上回る見込みであります。 以下、国税について税制改正の大要を述べますと、次のとおりであります。 第一は、所得税の減税であります。 所得税につきましては、まず、中小所得者の所得税負担の軽減をはかるため、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ一万円、扶養控除を二万円引き上げることといたしております。これにより、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限は、約十万円程度引き上げられることとなります。 次に、中堅所得者層における所得税負担の累増を緩和するため、給与所得控除の定率控除の適用範囲を、従来の百十万円から三百十万円にまで、大幅に引き上げることといたしております。 さらに、今回の改正におきましては、以上のような課税最低限の引き上げ及び給与所得控除の適用範囲の拡大と関連し、十数年来、基本的な見直しの行なわれてきていなかった税率構造につきまして、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかるため、かなりの緩和措置を講じることといたしております。 このほか、障害者控除、寡婦控除等の引き上げにも配慮いたしております。 これらの措置によりまして、所得税の減税は平年度一千八百二十五億四百万円、初年度一千五百三億六百万円となる見込みでございます。 次は、租税特別措置等の拡充と合理化であります。 まず、租税特別措置等の新設、拡充でありますが、これにつきましては、住宅貯蓄控除制度の改善等により、住宅対策の拡充につとめ、公害防止施設の特別償却制度の適用範囲の拡大等により公害対策の促進をはかり、原子力発電の推進のために原子力発電工事償却準備金制度の創設等の措置を講じ、中小企業構造改善計画を作成実施する中小企業者について、五年間二分の一割り増し償却制度等の課税の特例を認めるなど、中小企業の構造改善のために配慮を加えることといたしておりまして、これらによる減税額は四十四年度において三十五億三千六百万円と見込まれております。これに対しまして、既存の租税特別措置につきましては、その整理合理化につとめることとし、交際費の損金不算入割合の引き上げによる課税の強化をはかるなどの措置を講ずることといたしておりまして、これらの措置の全体を通じて、租税特別措置等の整備合理化による増減収額は生じないこととなる見込みでございます。 なお、以上のほか、昭和四十四年度の税制改正におきましては、土地税制につきまして、土地の供給の促進と投機的取得の抑制をはかるため、土地の譲渡益に対する課税につき、分離課税方式を導入するなど画期的な改善措置を講じ、土地問題の解決に資することといたしております。また、そのほか、納税者の権利を救済するための制度の改善をはかるべく、納税者の不服申し立て制度を中心として、国税通則法につき所要の改正を行なうことといたしております。 以上のような税制改正の結果、先ほど申し上げましたとおり、昭和四十四年度におきましては、所得税を中心に一千五百三十八億四千二百万円の減税が行なわれる一方、租税特別措置の整理合理化により三十五億三千六百万円の増収が生ずることになり、差し引きいたしまして、一般会計租税及び印紙収入では一千五百三億六百万円の減税となるものと見込まれるわけであります。これを、さきに申し上げました昭和四十四年度についての税制改正前の収入見込み額五兆八千八百八十四億三千万円から控除いたしました五兆七千三百八十一億二千四百万円が、昭和四十四年度租税及び印紙収入予算額となっているわけであります。 昭和四十四年度の租税及び印紙収入予算額の中では、所得税が一兆九千五億七千二百万円となっており、法人税の一兆八千五百八十億三千百万円を上回って、最大の税目となっております。昭和四十三年度予算におきましては、所得税は法人税をわずかながら下回っていたのでございますが、四十四年度におきましては、一千五百三億円余の減税後におきましても二九。七%と三割近い増加を示して、法人税をこえることとなったわけでございます。法人税は、昭和四十四年度においては、所得税を下回ることとはなっておりますが、昭和四十三年度予算額に対しては二五・八%と、全体の平均をかなり上回る伸びを示しております。 このような結果といたしまして、昭和四十四年度におきましては、国税収入の直接税と間接税等との割合では、直接税の割合が若干上昇するところとなっております。すなわち、国税収入全体に占める直接税の割合は、昭和四十三年度予算における五九・七%から六二・七%へと上昇するものと見込まれます。 以上に述べました租税及び印紙収入予算額を基礎として、国民所得に対する租税負担率を見てまいりますと、国税につきましては、二二・四%程度となると見込まれます。地方税につきましては、収入見込み額は、必ずしもなお確定しておりませんが、一応の推算をいたしますと、六・三%程度かと見込まれます。国税、地方税合計では、一九・七%の負担率となり、四十三年度の見込みでの負担率一九・三%を〇・四ポイント程度上回ることになるものと考えられます。 わが国の租税負担率は、昭和三十年代において逐次上昇を続けて、ほぼ二〇%に達していたのでありますが、昭和四十年の不況に際して税収の伸び悩みの中で景気振興のため大幅な減税が行なわれたため、昭和四十一年度には、一時、一八%台に低下するところとなり、その後、経済の順調な回復と拡大とともに、租税収入も逐次増大し、負担率も再びなだらかな上昇に転じているというのが、わが国の租税負担水準の現状であると考えられます。 なお、先ほど申し上げました昭和四十四年度の租税負担率一九・七%は、来年度におきましては、国税、地方税合わせて二千三百億円余の減税を行なうこととして算出される負担率でございまして、このような負担の軽減が行なわれない場合には、二〇・二%程度の負担率となるものと見込まれる次第でございます。 以上をもちまして、昭和四十四年度の租税及び印紙収入予算額の補足説明といたします。
○荒舩委員長 次に、青山理財局長。
○青山政府委員 昭和四十四年度財政投融資計画及び財政資金の対民間収支見込みにつきまして、補足説明を申し上げます。 昭和四十四年度の財政投融資計画は、総額三兆七百七十億円でございまして、これを四十三年度当初計画額二兆六千九百九十億円と比較いたしますと、三千七百八十億円の増加となっており、その伸び率は一四%でございます。この計画の策定にあたりましては、現在のわが国の経済の状況に照らし、その規模を適度のものにとどめるとともに、限られた資金の効率的な配分に留意いたした次第でございます。 最初に、原資について御説明申し上げます。 まず、産業投資特別会計出資は、八百八十五億円を計上し、四十三年度当初計画額六百八十九億円に対し、百九十六億円の増加となっております。 次に、資金運用部資金は、四十三年度当初計画額に対し、三千二十一億円増の二兆九百三十九億円を見込んでおります。 このうち、郵便貯金につきましては、四十三年度当初計画額に対しまして、一千八百億円増の九千八百億円、厚生年金につきましては千四十七億円増の六千百六十四億円、国民年金につきましては二百十三億円増の千百三十七億円をそれぞれ見込んでおります。 簡保資金につきましては、四十三年度当初計画額に対し、五百四十億円増の三千二百億円を予定いたしております。 また、公募債借り入れ金等につきましては、四十三年度当初計画額に対しまして二十三億円増の五千七百四十六億円となっております。 このうち政府保証債及び公募地方債につきましては、前年度と同額の三千六百億円及び六百二十億円をそれぞれ計上しており、また、借り入れ金につきましては千四百六十八億円、外貨債等につきましては五十八億円を見込んでおります。 以上の原資を合計いたしますと、三兆七百七十億円となるわけでございます。 この原資をもちまして、四十四年度の財政投融資の運用を行なうわけでございますが、先ほど大蔵大臣から御説明申し上げましたように、四十四年度におきましては、特に、住宅の建設、中小企業金融の充実及び輸出の振興に重点を置きますとともに、鉄道、道路等の社会資本の強化及び公害防止等生活環境施設の整備に配意いたした次第でございます。 なお、これら各機関に対する運用につきましては、資金計画に掲げてございますが、ここでは、使途別分類によって御説明申し上げたいと存じます。 使途別分類によりまして、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業等につきましては、国民生活に最も密接な関係を有する部門でございまして、これらに対する財政投融資は、総額一兆六千七百七十三億円でございまして、これは財政投融資総額の五四・五%を占めており、また、その対前年度伸び率は一六・三%にのぼっておりまして、これを財政投融資総額の伸び率一四%に比較いたしますと、ここに重点を置いたことを示しているわけでございます。 次に、社会資本の形成に関連いたしまする部門の国土保全・災害復旧、道路、運輸通信及び地域開発に対します財政投融資は、総額八千四百五十三億円でございます。 また、基幹産業につきましては一千八百十三億円、輸出振興につきましては海外経済協力も含めまして総額三千七百三十一億円をそれぞれ計上しており、特に輸出振興につきましては、その対前年度伸び率三一・八%と大幅に増加いたしております。 以上で、昭和四十四年度の財政投融資計画の補足説明を終わります。 次に、財政資金の対民間収支見込みにつきまして御説明いたします。 四十四年度の財政資金対民間収支の見込みでございますが、予算及び政府の経済見通しを前提といたしまして推計いたしますと、一千百三十億円の散布超過と見込まれます。 まず、一般会計におきましては、前年度剰余金を使用することにより、過去の蓄積資金の散布が行なわれますので、二百七十億円の散布超過が見込まれます。また、食管会計におきましては、食糧証券の発行増加によりまして、一千三百八十億円の散布超過が見込まれ、資金運用部におきましても、繰り越し資金による国債の引き受けにより、三百億円の散布超過が見込まれます。以上合計して散布超過要因が一千九百五十億円になります。 他方、国庫と日銀との問の納付金、法人税、利子、割り引き料等の受け払い、その他特別会計等の収支との関係で、一千三百八十億円の引き揚げ超過要因が見込まれますので、これらの要因を差し引きいたしますと、外為資金以外の財政資金対民間収支では、五百七十億円の散布超過が見込まれる次第でございます。 最後に、外為資金につきましては、外為証券の発行増加によりまして五百六十億円の散布超過が見込まれますので、これを加えまして、四十四年度の財政資金対民間収支全体といたしましては一千百三十億円の散布超過を見込んだ次第でございます。 以上で、財政資金対民間収支の見込みにつきましての補足説明を終わります。
○荒舩委員長 以上をもって大蔵省関係説明は終わりました。大蔵大臣、退席を許します。 次に、赤澤経済企画庁調整局長を指名いたします。
○赤澤政府委員 昭和四十四年度予算案の参考として、昭和四十四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして、その概要を御説明申し上げます。お手元にお配りしております資料をごらんいただきたいと思います。 初めに、四十四年度の出発点となります四十三年度の経済情勢について申し上げますと、御承知のとおり、四十三年度のわが国経済は、年度当初来、個人消費支出、民間設備投資などの根強い増勢を中心に堅調な拡大を示す一方、国際収支は、海外景気の上昇もあって大幅な黒字を続けてきました。この間にあって、日本銀行は、昨年八月には公定歩合を一厘引き下げ、十月から窓口規制を撤廃いたしました。その後も経済の基調は全体として堅調な増勢が続いております。 このような拡大基調を反映いたしまして、四十三年度の経済は、前年度の実質一三・三%の成長に引き続き実質一二・六%、名目一七・三%程度の拡大を示すものと見込まれます。この結果、国民総生産は、五十兆五千七百億円程度の規模になるものと見込まれ、自由世界第二位の規模に達するものと思われます。また、国際収支は、国内経済の拡大にもかかわらず、総合収支で年度間十二億ドル程度の黒字となるものと見込まれます。 こうした中にあって、消費者物価は、年度間で五・四%程度の上昇が見込まれ、その上昇基調には根強いものがあります。 次に、昭和四十四年度の経済運営の基本的態度及び経済見通しについて御説明申し上げます。 四十四年度のわが国経済は、引き続き堅調な需要の動きに支えられ、かなりの拡大基調を続けるものと予想されます。他方、国際経済の先行きは、米国等海外諸国の景気鈍化などにより、世界貿易の伸びの低下が見込まれるほか、流動的な国際通貨情勢など不安定な要因もあり、必ずしも楽観できません。 このような経済情勢のもとにおいて、消費者物価の上昇基調には依然として根強いものがあり、その動向いかんは、国民生活はもとより、経済運営の全般に重大な影響を及ぼすおそれがあるものと考えられます。 以上のような海外情勢と国内物価の動向にかんがみ、四十四年度の経済運営に当たりましては、物価の安定に重点を置きつつ、内外情勢の変化に対応する経済政策の機動性に留意することによりまして、均衡のとれた経済の発展をはかるとともに、経済の効率化と国民生活の質的向上を目ざし、一そうの前進をはかることといたしております。 次に、このような経済運営のもとにおいて、四十四年度におけるわが国経済の姿を想定いたしますと、国民総生産はおおむね五十七兆八千六百億円程度の規模になり、その成長率は実質で九・八%、名目一四・四%程度となる見込みであります。 この場合における経済の主要項目につきまして、四十三年度と比較しながら、簡単に御説明申し上げます。 まず、国内需要について見ますと、個人渉費支出は引き続き堅調に推移し、前年度比一四%程度の伸びが見込まれます。民間企業設備投資については一六・三%程度の増加が見込まれ、十兆七千億円程度になるものと思われます。また、在庫投資も、ゆるやかな上昇基調をたどり、民間住宅建設も二二・九%程度の伸びが予想されます。他方、政府の財貨サービス購入は、財政面から景気を刺激することのないよう配意することとして、前年度比一二・三%増の十兆九千五百億円程度となるものと思われます。 このような堅調な需要を反映して、鉱工業生産も、前年度比一五・五%程度の上昇を示すものと予想されます。 次に、国際収支でありますが、輸出は、前述のような楽観を許さない国際経済情勢を背景として、その伸びはかなりの鈍化が見込まれ、年度間で百四十九億ドル、前年度比一二・五%増程度になるものと思われる一方、輸入は、前年度より伸びが高まり、百二十二億ドル、前年度比一五・六%増程度に達するものと思われます。また、貿易外収支、移転収支の赤字幅が拡大し、長期資本収支についても、海外金利の上昇などによる外資取り入れ環境の悪化もあって前年度を大幅に上回る赤字が見込まれることから、四十四年度の総合収支は、一億ドル程度の黒字にとどまるものと見込まれます。 最後に、四十四年度の経済運営におきまして最も大きな問題となっております物価でありますが、卸売り物価は、比較的安定した推移をたどるものと思われ、年度間で一%程度の上昇になるものと思われます。また、消費者物価につきましては、その上昇基調が依然根強いのでありますが、公共料金の抑制をはじめとする各般の物価対策を強力に推進いたしまして、五%程度の上昇におさめるようとつとめるものといたしております。 以上、四十四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして御説明申し上げた次第でございます。
○荒舩委員長 以上をもちまして補足説明は終わりました。 ————◇—————
○荒舩委員長 この際、公聴会の件につきましておはかりをいたします。 総予算につきましては公聴会を開かなければならないことになっておりますので、この際、昭和四十四年度総予算について、議長に対し公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議ないと認めます。 なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会及び終了等に関するすべての手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は一時から再開し、昭和四十四年度総予算に対する総括質疑に入ることとし、暫時休憩いたします。 午前十一時一分休憩 ————◇————— 午後一時八分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより昭和四十四年度総予算に対する総括質疑に入ります。内田常雄君。
○内田委員 私は自由民主党を代表して、いま国民が政治上最も大きな関心を持っている幾つかの問題につきまして、佐藤内閣総理大臣並びに関係閣僚に対しまして、政府の考え方をお尋ねをいたしたいと思います。総理をはじめ関係閣僚からは、どうか国民との対話のつもりで、政府の所信をわかりやすくお話しをいただきたいと思います。 わが国経済は戦後著しい発展を続けて、最近においてはその経済総力はてソ連を除けば西ドイツを追い越して、米国は次いで世界第二位にまで進出し、国民一人当たりの生活水準も、おしなべて言えば戦前の生活をはるかにしのいでおりますことは、国民だれもが肯定するところであります。ことに昨年は、経済の成長とあわせて国際収支が著しく改善して、貿易においては二十五億ドルの黒字となり、これに外国からの資本の流入も加わって、貿易外の支払いなどの赤字を差し引いても、総合収支において十一億ドルの黒字を残し、わが国外貨準備高はまさに三十億ドルになんなんとして、史上最高に達しておることもまた事実であります。もちろんその陰には、物価の問題とか人口の都会への過度集中など、これはあとから私も触れたいと思う幾つかのひずみが発生しておることもまた事実ではありますが、ともかく平和のうちにこうした経済の発展と国民生活の向上をもたらしたことは、何といっても、内にはわが国の政治が自由主義、民主主義体制のもとに安定してきたことと、歴代のわが党政府の政策が、これはもちろん佐藤内閣の政策をも含めまして、われわれの政策が間違いでなかったこと、また外には、日米安保体制のもとに戦争に巻き込まれることを抑止して平和と安全を保持することができたことによるものでありますことは、一般の国民が理解いたしておるところであります。しかしながら、この経済の発展と物質的豊かさが今日において心の豊かさと結びついて正しい精神文明をつくり出していないことは、総理大臣も施政演説において指摘されたとおりでありまして、そこに問題があり、そこから今日のもろもろの社会的あるいは国家的の病弊、さらにあるいは家庭的の混迷も発生してきているといわざるを得ないのでありまして、為政者はここに十分の関心を注いで施策の重点を置くべきであることを、国民もまた求めておるのであります。 その一つのあらわれが、今日の大学問題であります。私は、これから幾多の問題を取り上げてまいりたいと思いますが、しかし、いま国民が最も大きな関心を払い、と同時に憤りを感じ、不安と不信の念を抱いておりますことは、物価や沖繩の問題もさることながら、この大学問題であり、また学生の暴力行為であります。その道にかかわりのあるいわゆるプロの範囲に属する方々は別といたしまして、都会と地方とを通じて一般の国民は、正直のところ、大学問題を教育の問題、あるいは社会の有為の人材を養成する大学制度の問題、さらにはまた大学紛争の処理の問題としてよりも——もちろんその点についても大きな関心を寄せてはおりますけれども、学生暴力の問題として、まるで無責任状態に放置されている社会混乱の大きな火の手として、真剣に憂慮をいたしておるのであります。昨年来の学生暴力は、単に学内というだけではなく、御承知のように佐世保から成田、王子、新宿、それから最近の神田周辺と、まるで無法者集団の暴走は、質量ともに拡大して、その破壊行動は騒乱罪の適用にまで発展しております。特に全国民の憤激と不安を買っておりますのは、昨年十月二十一日の新宿暴動と、先日のお茶の水、神田周辺の略奪と暴動であります。一方東大は、ようやくに警察機動隊の導入で封鎖を解除されましたけれども、そのあとは廃墟と化して、国民の財産である学校施設は、貴重な研究資料とともにむざんにも破壊され、目をおおわしめるものがありますことは、先日総理大臣、文部大臣も実地を検証されて、ごらんになったとおりであります。 そこで、私はまず政府にお尋ねしたいのは、政府はこの大学紛争、無法学生の暴力の実態をどう見ているかということであります。その背景をどう見ているか、これをまずお尋ねしたいのであります。ただいまの大学の実態、暴力の実態は、学内運営などのための大学紛争を離れまして、政治闘争であることは、国民だれの目から見ても明らかであります。東大の正門には堂々と毛沢東の肖像が掲げられ、安田講堂にはくわとハンマーのソ連赤色国旗が掲げられていたことは、何を物語るでありましょうか。まさに革命の前夜であります。われわれは国民とともに、大学紛争の実態、その背景、背後関係を正確に理解しなければならないと思いますので、まずこの点について、総理大臣、文部大臣、法務大臣、警察担当国務大臣から、事の実態、背景、真相を明らかにしていただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 内田君にお答えいたします。 今日のような大学の騒ぎができたこと、政府といたしまして、まことに私自身遺憾に思っております。もちろん教育の場で起きた問題でありますから、当初の原因などは、これはもう教育問題でもあり、社会的な問題でもあった。そういう面が多分にありました。しかしながら、それがだんだん進んでまいりまして、そういう暴動化した今日の状況、ただいま内田君が指摘されるように、これが政治的なイデオロギー的な一つの目的を持った、そういう問題じゃないか、かようにも私ども思うのでありまして、したがいまして、これに対する対策がただ単に教育上の問題だけでは済まなくなっておる。政治的目的を達するためにはどんな行為にも出るというような、こういうようなたいへん悪性な政治活動になっている、かように私思いまして、その意味でたいへん心配しておるような次第であります。
○坂田国務大臣 内田さんにお答えを申し上げたいと思います。 ただいま総理大臣がお答えになったとおりでございますが、今日東大当局みずからも、単にこれは学内問題でなくて、特定の政治目的を持った者が暴力をもってその政治主張を貫こうとしておる、しかもそのために東大が利用されておる、こういう認識を申しておるわけでございます。この背景となりまする原因は、いろいろこれはあるかと思いますが、第一にはやはり量的な学生数が戦前と戦後では著しく拡大をされてきた。一面においては、これは世界の進歩に対応するものでございまして、高等教育機関に学ぶ者が二〇%をこえておるということは、これは一応評価しなければならないのでございますが、さて、その量的及び質的変化に対して大学というものが対応しておるかどうかという問題が、一つあるかと思うのでございます。たとえば、大学自治と申しますけれども、はたして国民のための大学として、国民の意思を、反映を踏まえた大学自治に運営されておるかどうかというところが、一つあるかと思います。それからもう一つは、たとえば学部自治に堕しまして、大学の意思、つまり全学的意思の決定というものがなかなかできにくくなってきておる、こういう点があげられるかと思います。もう一つは、入ってまいりまする学生というものが、どうも精神的なアンバランス、これにはいろいろ問題がありますし、これにもまた深い原因がございましょうけれども、自律的な人間形成というものができにくくなってきておる。そうしてすぐ——何といいますか、視聴覚文化に育ちましたということもその原因かと思いますが、ものを考えたりあるいは思索をしたりというようなことができにくくなってきておる。そういう学生の意識というもの、したがいまして、自分の欲望をコントロールすることができなくなってきておる、そういうような面もあるのではないか。あるいは情緒という毛のも、なかなか——あまりにも入学試験の激甚な中を過ごしてきた、あるいは終戦直後の混乱の中に、あるいはまた小中商のすし詰め教室の中で育ってきた、そういった面もあるかと思うわけでございまして、そういういろいろの面がこの大学紛争という形に出ておる。しかしながら、当初に総理大臣からお話がございましたように、最大の原因は、何と申しましても特定のイデオロギーを持ったその政治主張を貫くために暴力をもってやるということ、そうしてそれを大学を一つの根拠として、根城として、とりでとしてやっておるというところにあるかと私は思うのでございます。
○西郷国務大臣 御承知のとおり、最近全国の大学におきまして暴力的な紛争が相次いでおりますのみならず、学園外におきましても学生による集団暴力が頻発しておりますことは、まことに遺憾しごくでございます。かような集団暴力は、学園——本来は学問、研究の場の学園を紛争の場と化しまして、荒廃せしめるものと存じますのみならず、また、こういう学園外の暴力は、一般国民にも多大な不安を与えておると存じます。私は、かような学生の集団暴力に対しましては、今後とも法秩序維持の観点に立ちまして、厳正な態度で臨みまして、治安の万全を期したいと存じます。また、その背景なりにつきましては、先ほど総理の御答弁のとおりでございます。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 元来、大学という良識の府に暴力が横行するということは、あるべからざる課題だと心得ておりますが、遺憾ながら良識の府が暴力まかり通るような姿になっておるのでありまして、その意味において、治安当局としても不本意ながら関心を寄せざるを得ない、こういう状況かと思います。御指摘のとおり、最近における大学紛争が、政治的なイデオロギーに基づくものであって、いわゆる学問の自由を確保する意味における大学の自治ということとは、まるで無縁の集団暴力がその実体であると見ております。過激派学生集団につきましては、革命路線に従って暴走を続けております。民青系学生集団も、いわゆる新聞紙上代々木系といわれる集団も、他の大学の学生などを動員して、いわゆる外人部隊を形成しまして、暴力衝突を繰り返しておる状態であると心得ます。
○内田委員 私は、総理大臣並びに各閣僚の御答弁は、おおむね国民の今日考えるところに合致するものだと思うのでありますが、私は、これまでそういう面からの政府の国民に対する説明が、必ずしも十分ではなかったと思います。 私どもが見るところによりましても、皆さん御承知のとおり、中国共産党の機関紙の人民日報は、あの学生暴力をたたえて、進歩的学生の英雄的な行動というような文言を掲げて、連日これを称賛したり、また機動隊の導入を批判するような放送を電波に乗せて内外に送っておるのであります。 また、これとともに、今回の事件に対するわが国の各政党の発表した談話にも国民は非常な注意を向けておるのでありますが、私はここでわが党以外の他党のことをとやかく申すつもりはありませんけれども、しかし、その談話のあるものに対しては、国民が鋭い批判を注いでいることも、御承知のとおりであります。 大学問題はまた、その実態において、いま警察担当国務大臣のお話もございましたように、反日共系、反代々木系といいますか、過激派共産主義の学生と、それから日共系、代々木系の共産主義の学生との主導権闘争の様相であると思いますが、このことにつきまして、もう少しわかりやすく、ここでひとつ国民に警察担当国務大臣からでも御説明をいただきたいのであります。反代々木系、反日共系の学生とは何をいうか。また、いま民青ということばもございましたが、おそらくそれは日本民主青年同盟の意味だろうと思いますけれども、それとの関係はどうなっておるか。これはまことにこっけいな話でありますが、これもひとつお聞きをいただきたいのでありますが、地方に参りますと、反代々木系、反日共系というのは一体何だ、あれは右翼ですか、あるいは反日共系だから、自民党の系列団体、系列学生ですかというような、そういうこっけいな話さえもあるのでありまして、これは全く無辜の国民は、あの一番暴力の最先端をいっておるのは反代々木系、反日共系ということでありますために、その点が何が何だかわからないという点がありますので、これは私はもう万事承知をいたしておりますけれども、冒頭に申しましたように、国民との対話でありますから、わかりやすくひとつお話しを願いたい。 そしてさらに、これは瞬間の節約になりますので申し添えますが、その活動は高校生の組織にまで及んでおるように思いますけれども、そういう事態はいかになっておるか。また高校生に対する反代々木系、反日共系なりまた民青系の組織というものは、どこまで及んでおるか。わかりやすく簡単にひとつ御説明をいただきたいと思います。 〔発言する者あり〕
○荒舩委員長 林君、御静粛に願います。共産党の林君、御静粛に願います。
○西郷国務大臣 内田さんの御質問に対しましては……。
○荒舩委員長 呼ばれた順序に……。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 いまの御質問にお答えするにつきましては、公安調査庁の関係から御解明いただいたほうが原則的には妥当じゃないかと存じますので、法務大臣からでもお答え申し上げました後に補足さしていただきます。
○西郷国務大臣 内田さんの御質問に詳しくということでございますので、公安調査庁長官が来ておりますので、答弁させます。 〔発言する者あり〕
○荒舩委員長 林君、御静粛に願います。
○吉橋政府委員 御指名がありましたから、お答え申し上げます。 現在の学生団体の組織は、大ざっぱに申しまして、いわゆる五流十三派というほどに大きく組織が分かれております。御指摘の日本共産党系統の全学連が一つと、他に四つの流派があります。四つの流派の中では、御承知のかつてのいわゆる旧三派系の全学連、すなわち中核派、社学同、社青同解放派と、この三派で形成しておりましたいわゆる旧三派と、そのほかに革マル全学連、この四派がありまして、このうち旧三派は昨年の七月にさらに分裂いたしまして、現在では革マル派全学連と称しておる流派と、いわゆる反帝全学連、中核派全学連という二派とが大きな組織であります。そのほかに、いわゆる全国自治会共闘というのがありますが、最近東大等で暴走いたしております学生諸団体は、ここで申しますいわゆる旧三派全学連と、さらに革マル派全学連系統などの諸派、これらが暴走を続けておるのでございます。これらはいずれも全学連を呼称いたしておりまして、いずれも全学連の指導権争いを続けておるのでございまして、これが東大紛争あるいは各学校紛争のさなかにおいて、暴力的な事犯を各地に惹起いたしておるのでございます。 お尋ねの高校生の関係はどうかという問題でございますが、現在、いわゆる反日共糸の高校生の中で活動的な分子は千九百あり、先ほどのお話の民青系の活動家は約一万でありまして、これらがいろいろ大学生の組織と相呼応いたしまして、一昨年の秋の羽田闘争以来の各闘争において、に動きを、越軌行為、暴力事犯を起こしておるのでございます。特に、いわゆる反日共糸の、先ほど申しました各種学生団体の下部機関と関連性を持っております高校生の団体において、特に著しいのは、いわゆる社学同ML派の関連の高校生でありまして、高校生解放戦線あるいは商社研というようなものを組織いたしまして、これが「紅衛兵」という機関誌を出して、いわゆる社学同のML派と同様に動きをいたしておるのであります。 さようにいわゆる旧主派全学連系統は、彼らの主目標は、いわゆる現体制を打破して、共産主義社会を直接に現出、実現させよう、そういう意図でやっておるのであります。したがって、東大紛争等におきましても、学校との話し合いとか、あるいは学内問題というものを表面的に掲げてはおりますが、その真の意図は、東大のコンミューン化というような線を打ち出しておるのでございます。またいわゆる日本共産党系の学生団体といたしましては、大学の民主化というようなものを当面の対象にいたしておりますが、その真意は、あくまで大学の人民管理というところが兵のねらいであるのでございます。 以上をもってお答えといたします。
○荒舩委員長 内田君、いまの説明はきわめて事務的であって、説明が非常にまずいと思いますが、この程度でよろしいか。
○内田委員 私がお伺いしたいのは、何派何流あるかというようなこともさることながら、反日共系、反代々木系全学連というのは一体共産主義者かどうか、こういうようなことをお尋ねしたかったのであります。これは先ほど申しましたように、私は政府に確かめたいのでありますが、質問者の私が調べたところによりますと、この反日共系学生というのは、つまりわかりやすく言うと毛沢東系の共産主義者、これは社会党系の諸君に言わせますとトロツキスト系ということばもあるようでありますが、共産主義の一番ひどいやつ、こういうわけでありまして、これは右翼団体でも、自民党の団体でもない。それが一番あばれているが、しかしその代々木系、共産系というのだって、これは安心ができないので、これもわけはやはり同じで、それらは反日共糸の共産主義学生にけんかをさせておいて、そうしてそのあとの主導権を乗っ取ろうというのが今回の学生の主導権争いだ、こういう説明をすれば国民が一番理解しやすいところであると思いますが、簡単にそういうことでよろしいかどうか。私は委員長から、おまえ時間を長くやる、こう言われておりますが、質問者内田君の言うとおり国民に理解させていいかどうか、その辺から政治的にわかりやすく御答弁いただきたい。警察担当国務大臣ですか、それがはっきりすると思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 私の国家公安委員長としての守備範囲は、不偏不党、法に基づき、法の範囲内において公正な警察責任を国民のために果たすというのが私の守備範囲でございまして、代々木系というのが民青と言われ、端的に申せば共産党の子分みたようなものだというふうなことは、それ自身私の守備範囲の課題じゃございません。ゲバルト、マルクーゼ、あるいはアナーキスト、トロツキストなどといろいろ解明をされますが、これまたそれ自身私の守備範囲の課題じゃございません。冒頭にお答え申し上げましたように、私の立場においては、いわゆる大学紛争そのものは国家公安委員会の課題じゃない。 ただ、課題となりますのは、暴力行為をはじめとする刑法事犯、あるいは条例の罰則に反するとか、不法行為が行なわれる、残念なことではありますけれども、この事実に関連して国家公安委員会ないしは警察が関連を持ってくる。こういうことでございまして、先ほども公安調査庁長官からお話がありましたとおり、具体的には東大をはじめ代々木系と反代々木系の主導権争いとなって、それが暴力をはじめ犯罪に関連をしてくる。その点で、すでに万々御案内のような、警察官を出動させながら不法行為を排除し、全大学のために、国民のために秩序を維持するという責任を果たしつつあるわけであります。 少し脱線しますけれども、いま解明されましたとおり、政治的な意図を持ち、政治運動が行なわれている、こういうことも言い得るかと思います。そのこと自体は、もともと教育基本法第八条が要求するところの、学校で政治運動をなしちゃいかぬということも、罰則はございませんけれども、一つの不法事犯の概念に該当しようかと思います。それが暴力をはじめとする不法事犯に関連しますから、先ほど来申し上げているような立場において、国民のためにこれを排除する、そういうことをいたしておるような次第であります。
○内田委員 法務大臣から最後に、いまの御説明を、端的にこうだということを締めくくりに御説明いただきたいと思います。
○西郷国務大臣 いま国家公安委員長が言われたとおりでございまして、先ほど内田さんみずからもおっしゃったとおりに、代々木系とか反日共系といいますので非常にわかりにくい点がございますが、端的にいって、代々木系は日本共産党系のものであり、反日共系は共産主義団体には違いないが、━━━━━━━━━日本共産党と志を異にするところの共産主義団体である、さように考えます。
○内田委員 法務大臣の説明で、これで国民もよくわかったと私は思います。要するに、私たちが理解しておるところによりましても、反日共系の学生、すなわち、反日共系の最もひどい共産主義学生というものは、究極においては、いわゆる大学紛争を材料として大学コンミューンというものをつくり上げて、そうして大学を陣地として七〇年の闘争を行ない抜こう、こういうことをねらいとしておるものであり、また日共系といわれる学生も、これも大学を自主管理、人民管理をすることによって今後の共産主義活動の展開を容易ならしめんとするところから出発しておるものであると、私はいまの御説明によりましても理解をいたしまして、今後この面については大いに警戒をいたさなければならないと思うわけであります、(発言する者あり)それにつきましても、いろいろうしろのほうから御議論もありますように、大学、暴力学生の紛争というものは、とどのつまりは、これは一体今後どう処理するのか、学内紛争処理の保障というものをどういうところに求むるか、あるいは大学の学制改革を今後どうするか、またこういう事態に至ったのは一体だれの責任か、これは学校当局の責任か、政府の責任かというところに、私はだんだんお話を伺いたいと思いますが、まず、やはりそれに先立ちまして、いまの続きを私は伺ってまいらなければならないと思います。 それはまず、東大の状況は総理大臣もごらんになったとおりでありますが、いま国民の間で、いろいろ私が代議士として聞かれますことは、あの東大施設の損害、あれは一体だれが補償するんだ、こういうことであります。あるいはまた、大学内の損害ばかりじゃなしに、新宿や神田などの商店街、民家の被害、あるいは自動車が略奪されたり、あるいはガソリンのドラムかんを略奪されたり等々、こういう損害はだれが責任を持つか、こういうことが国民の間で心配をされておりまして、だれも責任を持つ者がなければ、市民自身が自警隊を組織して、そうしてみずから守らなければならないじゃないか、これはひどいことばになりますと、その被害を与えたと思われる学生の団体の拠点をみずから襲撃して、そうしてその報復をしなければならないじゃないかというような議論さえも行なわれておるのでありますが、この責任問題の所在について政府はどう考えておるのか、この点についてもお答えをいただきたいと思います
○坂田国務大臣 お答えをいたしたいと思います。 東京大学など国有施設、新宿、神田などの民間財産破壊の損害補償はだれがするのかという御質問かと思いますが、最近におきます一部の学生の暴力行為により、東京大学など国有財産などが損害を受けましたことは、まことに遺憾なことでございまして、その損害につきましては加害者が当然責任を負うべきものと考えられますので、国といたしまして、国有財産等に対する損害賠償請求につき現在鋭意検討中でございます。 また東大当局に対しましても、どういう建物がどれくらい破壊されたか、あるいは研究資料等がどういうふうなぐあいになっておるかというつぶさな報告をいま求めておるところでございます。しかも、本朝の新聞にも見られますように、東大当局といたしましては告訴いたしたようでございます、刑事上の問題につきましては。
○内田委員 学外の民間の損害の措置はどういうことになっておりますか。これは法務大臣なり、あるいは大蔵大臣でよければ大蔵大臣からお聞きしたい。
○福田国務大臣 ただいま坂田文部大臣からお話がありましたように、東大はこれは国の財産でございますので、これに棄損を与えたという損害に対しましては、国としてはこの損害を取り返す、こういう行為をとるべきものである、かように考えております。ただ、実際問題とすると、だれが損害を与えたのだということが非常にむずかしいと思います。しかし、むずかしいにもかかわらず、さような措置はとらなければならぬ、かように考えております。 それから、新宿なんかのことは、私としては直接関係はありませんけれども、新宿の市民が損害をこうむった、その市民は当然その加害者に対して損害を賠償する民事の請求をして差しつかえない問題である、かように考えます。
○坂田国務大臣 東大の現時点におきます被害見積もりは約四億五千七百万円、内訳といたしましては、施設関係で二億一千六百万円、設備物品関係で二億四千百万円となっております。なお、被害の大きいものを施設、設備等の合計で二、三申し上げますと、大講堂は一億五千七百万円、工学部列品館は九千百万円、法学部研究室は五千百万円、(「分科会でやれ」と呼ぶ者あり)法文二号館は二千五百万円などとなっております。
○内田委員 私はなぜこういうことをお尋ねするかといいますと、——これは分科会の問題ではない。これはいま国民がどういうことを言っているかというと、大学生一人当たりについて、場合によっては国民が百万円以上の負担もしておる、あるいは大学の財産もみなわれわれ国民の財産だ、これがあのとおり破壊されてだれも責任が負えないような状態のもとにおいては、われわれ納税者としては税金を納める気持ちが生まれてこない、こういうことを言っておるのでありまして、これは私は非常に重大な問題であると思います。 会計検査院長もお見えと思いますが、東大の中にもやはり財産の管理担当官というものはおるに相違ない。それらの者が、文部大臣の行為を待たずして、当然大学の内部においても損害の調査なりあるいはそれの補償の問題なども検討しておると思いますが、会計検査院がこの問題に乗り出したということをいまだ私どもは聞いたことがない。もしかしたら、例の確認書などで警察官さえも入っていけないというような問題があるようでありますが、これはあとから御説明を承りますが、会計検査院についても同じように、大学の自治というものは、今回のような状態であっても会計検査官さえも入れないような了解でもあって、そういうことを文部大臣も了解しているのではないかとさえ、私は国民の一人として疑うものでありますが、会計検査院はこれはどうすべきでありましょうか、簡単にお答えいただきたい。
○宇ノ沢会計検査院説明員 お答えいたします。 会計検査院におきましては、目下、東大紛争におきまして破壊された国有財産とか物品などがどの程度あるかということについて調査をいたしております。その結果、御承知のように、国有財産なり物品なりにつきましては、それぞれ管理責任者というものが会計法上定められておりますので、そうした人の責任が会計法規に照らして十分全うされておるかどうかということについて、今後検討いたします。その結果によってまた処置を考えたい、かように考えております。
○内田委員 それを伺いまして、私も一応安心をいたしました。どうかそれはしっかりやっていただきたい。会計検査官の介入につきましても、大学当局は学生と相談しなければ会計検査院の介入もできないということにならないように、文部大臣もひとつしっかり監督をしていただきたいと思うのであります。 文教政策としてこの問題をどうするかという問題にだんだん入ってまいりますが、私はいま国民の一人として一番憂えておりますのは、入学停止に伴う志望者の振り分けの問題であります。御承知のように、あるいは私どもが理解をいたしておりますと、東大につきましてはあのような経緯のもとに入学試験が中止になり、また東京教育大学も入学試験が停止されております。また、きょう現在どうなったか、あとから御説明をいただきたいのでありますが、東京外語大学も学長がそのために辞表を出しているような話さえもありまして、入学試験ができないかもしれないというような状況に置かれまして、私どもが知る範囲におきましても、三千数百名ないし四千名以上の受け入れらるべき新入生が、ほかの国立大学に振り分けられなければならない状態であるのでありますが、その振り分けの経緯なり見通しなりというものがさっぱりわかってない。きょうから第一期の国立大学は入学願書の受付の日であります。したがって、きょう現在において、この三千数百名なり四千人をこすこれらの定員の振り分けがどうなっているかはっきりわからないということは、これは志望者やまたその父兄、国民の不安を一そう加重をいたしておるわけでありますが、昨日、新聞の伝えるところによりますと、文部大臣は前代未聞の何かおわびの談話を発表いたしております。おわびの談話だけでは事が済まないのでありますから、おわびはおわびとして、これはこういうことになっておるから、それは入学志望者諸君、そのつもりで善処せよということを示されなければならないと思うのでありますが、お答えをいただきたいと思います。
○坂田国務大臣 きょうから受付が開始されたわけでございますが、おととい私は談話を発表いたしまして、もう十二月の段階で一応中止ということを両者できめたわけでございますが、最終段階といたしましては、二十日の協議で中止と最終的に決定をいたしたわけでございます。おそらく、入学志願者の方も、自分でどの大学を選ぶかということをおきめになってやっておられると思いますが、どうぞひとつしっかり自分の初心を貫いて、そうして勉強してほしいという意味のことを申し上げたわけでございます。 また、十二月の段階ですでに七十三大学にお願いをいたしまして、こういう事情であるから、ひとつ国立大学として、もし各大学で増員ができるところはぜひとも一人でも二人でも入学者のためにやっていただきたい。もちろん、私立大学を含めまするならば、昨年より本年度は合格率が高くなるように思われますけれども、しかし、国立大学といういわゆるお金のかからない大学を受けるその志願者の気持ちを考えますときに、国立大学の他の大学の人たちも、いま東大に起こっておることがいつかはまたわが身に、よその大学にお願いをしなければならぬということもあるかもしれないというような気持ちを考えて、できるだけひとつ増員のことについても御協力を願いたいというふうに、せっかくいまつとめておるところでございます。 詳細につきましては、大学局長から御答弁を申し上げます。
○村山(松)政府委員 御説明申し上げます。 東京大学の入学定員は三千六十三名でございます。それから、教育大学につきましては千五十人でありますが、うち、体育学部は入試を実施いたしますので、入試を実施いたさない四学部の合計は八百五十名でありますので、両大学合わせまして三千九百十三名、これが二大学入試中止に伴う国立大学全体の募集人員の欠ける分でございます。 この欠ける分の措置といたしましては、でき得る限り全国立大学で収容でき得るよう、全大学にお集まりを願いまして、文部省としては、それぞれの大学の入学定員の一割を限度としてできるだけ受け入れ方を懇請いたしました。ただ、問題は、それぞれの大学の入学定員というのは予算的にきまっておるわけでありまして、これを動かすことはできませんので、定員を増加するというような形ではなしに、それぞれの大学の定員は定員としておいて、四十四年度に限り、入学許可者をできるだけ、一割程度を目標にしてふやすことを考えてほしい。ふやしていただけるところにつきましては、学生経費その他予算上の問題については、運営上できるだけの配慮をする、こういう懇請をいたしたのでございます。その結果、今日までに、それでは考えてみようというところは約二十大学でありまして、人数にいたしまして約千二百名でございます。したがって、目標に対してはかなり下回っております。 なお、国立大学全体といたしまして、四十四年度は学部、学科等の設置に伴う新規増加が九百四十名ございます。 それから、この募集停止に伴う影響というのは、この三千九百名がどこかにぽかりといくのではなくて、それがそれぞれいろいろな大学に分散していく。そうすると、三千九百名が入った大学については、その大学にこういう事態がなければ入り得べかりし者がはみ出る、こういう、いわば観念的には、国公、私立全大学に波及する問題であります。国公私立大学全体といたしましては、来年度は学部、学科の設置あるいは増員で約九千名入学定員がふえます。したがいまして、全体的な計算としては、三千九百名が大学入試からはみ出るという形ではございませんけれども、やはり自分の本来の志望を曲げなければならぬという事態に相なっておるわけでありまして、これはきわめて遺憾なことで、でき得ればこの影響を国立大学の範囲内でできるだけ軽減したいというのが、いわゆる振り分け措置の内容でございまして、その歩どまりは、現在のところ千二百名にとどまっておりますが、なお最大の努力をいたしたい、かように考えております。
○内田委員 まあ一応の数字合わせはできたようでありますが、三千九百余名の東大等の入学試験中止に伴っての振り分けができた分は千二百名にとどまるというお話でありますが、これはもうできるだけ三千九百余名が、結果においては、それぞれ当初の志望とは違っても、国立大学に入学できるように、さらに今後十分ひとつ文部大臣に御心配を願わなければならないと思います。 しかし、私は、安心しているところもある。聞くところによると、もうこれは、三千九百名近い振り分け受け入れを覚悟している大学もあるが、しかし、いまここで自分の大学が何名東大から振り分けを承知したとか、あるいは教育大学から振り分けを承知したということになると、それらの紛争大学の余じんを自分の大学に持ち込むことになるということで、そこでまたその受け入れ大学に問題を起こしてはもとのもくあみになるということで、腹の中では承知をして、入学定員をふやす気がまえでおりながら、文部省にその振り分け受け入れの返事をしていないところが相当あると聞いておりますので、それなども十分話し合って、でき得る限り入学志望者を安心させるような措置をとっていただきたいと私はお願いをいたすわけであります。 これらの問題につきまして、野党側からほめられたところでまた逆戻りをいたしまして、私は、二、三野党の方々がきらう質問もしたいのでありますが、時間がないようでありますから、こういう問題があるということだけを私は提起して、次の本質の教育問題に入らしていただくつもりであります。 その問題とは何かと申しますと、さっきもたびたび触れました、反日共系全学連の学生たちあるいは日共系の暴力学生たちの資金源はどこからきているかということを、ぜひ内田代議士、国会でただしてくれということが、私に対する国民多数からの実は輿望であります。あれだけの金が一体どこから出てくるのか。おそらく、警察白書なんていうものもこの間出されたようでありまして、何とか派では数百万円の収入があり、数百万円の支出があるというようなものが発表されておりますけれども、そんなものでやれるはずがない。もっと何億かの金がいろいろのところから出ているという幾つかの資料を私はここに持っておるのでありますが、しかし、それらの資料をここで披露することにつきましても、かえって問題を紛糾せしめるものがありますので、私はあえてここで申しませんが、このことに国民が非常に多大の関心を持っておることを十分政府の諸公も心に刻みまして、発表をされるならば、ああした警察白書のような、このほかはわかりませんがいろいろの憶測はありますというようなものでは、何のための発表かわかりませんので、わからなければ私に聞いていただきたい。私が真相を申し上げてもよいということをひとつ申し上げておきたいということであります。 もう一つは、これは確認書の問題にも触れるのでありますが、東大医学部の豊川、上田両教授の退職問題などというものについて、いろいろの識者の批判を買っておりますが、それはそれといたしまして、これはもう法制局長官の昨日の回答によりましても、これは教育基本法ですか、あるいは教育公務員特例法の違反と断ぜざるを得ないというような御回答もあるのでありますから、それはまた適当の時期に私は論議をいたすことといたしまして、私は法制局のあの判断は正しいと思います。それとは別に、それにも増して問題になるのは、たとえば京都大学の井上清というような教官の問題であります。これは毛沢東の写真の横には、造反有理というような——あれは毛語録というのでありましょうが、むほんするのはあたりまえだというようなことばを掲げてありますが、一歩入ると、その左側には立て看板があって、それには日本の教育公務員であるところの京都大学教授井上清外二名の激励文が、これは共産主義学生に対する激励文が堂々と看板になって掲げられておるのであります。これは文部省も大学の自治というようなことで、さっぱりこれに対しては処置を下さなかったようでありますけれども、しかし、これらも国民から非常な批判を受けておるのでありまして、あれを私は読んでみました。週刊誌にも出ておるのでありますが、あれに対して国民はどういうことを言っているかというと、それは発表の自由、思想の自由はある、それは当然であるけれども、しかし、日本の憲法はどういう憲法かというと、民主主義、自由主義の憲法である。だから、民主主義、自由主義、平和主義を否定するようなそういう大学教官というものは、これは憲法違反者であります。これはもう倉石忠雄どころの話じゃない、全く。倉石忠雄がやめるならば、井上清はとっくにやめていなければならぬ。日本憲法の存立する基礎をやめるわけであります。つまり、われわれ人数が生存する地球の上から空気を抜くのと同じ犯罪であります。日本の国そのものを民主主義、自由主義から違ったことにしようというのでありますから、刑法第何条にあろうがあるまいが、それはもう法律のアプリオリであります。でありますから、この人は、教育基本法第八条の違反などということを論ずる前に、憲法違反であることを、法制局長官なども十分これは研究をして、当然の処置を講ずるべきである。そうならなければ、この大学問題紛糾解決の保障というものは決して得られない。確認書の問題などよりも、はるかに私は国民思想に与える影響というものは多大のものであることを政府に警告をいたします。これも論議をいたしておると時間がありません。 そこで、私はだんだん問題を締めますが、こういう事態になった責任は、まず第一に政府はどこにあると考えるか。大学の自治があるのだから、それは万事大学の責任だといっておられて、それで済むことか。あるいはそうかもしれない。それは大学の自治をかざして、そしていつまでも警察官の導入を認めない、そうしてああいう学生と話し合いのようなものを進めていた結果がとうとうお手あげになって、先月の一月十八、十九日にあの機動隊を入れざるを得ないことで協定ができたということから考えると、大学の責任かもしれないし、あるいは裏返しにしますと、大学の自治があるということをたてにして、政府自身がどろをかぶるのを避けておったのではないかという、そういう考えの国民もあるわけであります。もしかしたら、ことによると、見通しの誤りもあって、まさかこんなことにはならないと考えておったのがこんな問題になったということ、政府の見通しの誤りであるならば、それは私は政府の責任でもあると思うわけであります。しかし、私は、いまここで大学の責任か政府の責任かということをきめつけて、きめてみたところで、それは何の役にも立たないのであります。かりにこれは大学の責任であるといたしましても、究極の責任は政治の責任でありますことを、それは総理も官房長官も、こっくりこっくりされておりますが、それはひとつ頭に置かれて、政治責任としてこの問題は将来に向かって解決をされますことを、私は国民の一人として心から希望をいたします。 それから最後は、今後の大学紛争の解決の保障であります。それは今後の大学制度の改革の根本にもつながる問題であろうと思うわけでありますので、総理大臣からそれらの所信についてお答えをいただきたい。 まずそれは、先ほど来たびたび申してまいりますように、大学から暴力的政治闘争を排除する、そのための手段を講ずることも、今後の大学問題処理の保障の一つでありましょう。あるいはいま申しますような大学制度の根本的改革の問題。戦後の大学というものが、戦前の大学とまるで違ってきておる。最初に私が演説いたしましたように、これは経済の豊かさ——また総理の演説もそうあるわけでありますが——経済の豊かさと心の貧しさとがちぐはぐな状態になっている。したがって、教師自身がほんとうに教師としての使命感に徹して、そして出直すこと、また国としても教師の再教育をするというようなことも、私は今後の大学問題の保障の一つでなければならないと思います。 さらにまた、大学の自治というものは、学問の自由と並列すべきことばではない。うっかり皆さん方は学問の自由と大学の自治というようなことを言いますけれども、学問研究の自由はどこまでも保障しなければなりませんけれども、大学の自治というものはそれと並ぶものではない。もしありとしても、それは社会人がみんな社会信義において認められる範囲における自治でなければならない。もし大学の自治があるならば、いかなるサークルにも自治があるべきでありますので、私は、大学の自治というものを研究の自由とは違った角度において、違った範疇において取り上ぐべきものであろうと思うのであります。 したがって、そのためには、やはり大学の管理運営というものについても、政府が責任を持つ体制をもって踏み込まなければいけない。野党がいかに批判しようとも、それは批判にこたえつつも、私は、大学の管理運営ということについて、必要があれば法律をつくるというような決心をもって臨まなければ、この問題は、一警察機動隊の荒木公安委員長がいかに高一点を誇ろうとも、それで解決できる問題ではないと思うのでありますが、この点について最後に総理の所信を伺いたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 なかなか大学問題は、議論し、あるいは意見を交換いたしますと、ずいぶん長くかけなければならないように思います。内田君の心配される点もそういう点にあるが、これをたいへんはしょってお尋ねでありますので、あるいは聞き取るほうから申しましても、内田君の真意に触れておらないかもわかりません。しかし、とにかく一応お聞き取りいただきたいと思います。 この大学問題が起きました原因は、一体どこにあるか。物質的な豊かさが心の豊かさにつながらない、そういうこともありますが、とにかく戦後二十五年、これは一世代を画すといいますか、百年じゃなくても三十年近くたつ、その間に非常な変貌がありました。その最も大きな変貌は、マス大学とでも申しますか、大きな大学になった。しかし、これは時代の要請であり、この大きな大学自身が果たした役割りというもの、これはすばらしいものがあると思います。私が申し上げるまでも一なく、本来学校が大型化した、学生が多数になった。これはまず第一に学問が開放されたということでもあります。また、わが国の大学就学率は、世界第二だといわれる。これはもうすばらしいことになった。その結果がわが国の今日の繁栄をもたらした、その原因でもあると思います。またさらに、一部の金持ちだけの大学であった昔に比べまして、いまそういうものじゃない。ことに国立大学というものが果たしておる役割りは、いわゆる学問が開放されたという感じがあるわけであります。ただ本来の姿ばかりじゃない。その上にも特別な育英資金なども出して、非常に広範にわたっての教育を普及さしておる。それが今日のような大学になったのだから、また今日のような経済社会を築き上げた基礎でありますから、これはこれなりに私はりっぱにその目的を果たしておると思います。 しかし、大事なことは、明治時代の大学と戦後の大学と、この変貌、その変貌についての十分の認識がない、そういうところに問題があるのじゃないかと思います。その認識は一体どういうことなのか。申すまでもなく、学問研究の自由、その授業の範囲の拡大、同時にまた管理形態、その面におきましてもこれは問題があると思います。でありますから、いま一部の学生によって、この大きな組織になった大学を、特別な政治目的のためにこれを動員するような形の方向へ動かしておる、これは先ほど来から言われましたように、その点は明確になって、まずその点ではこれに対する対策はそれぞれ講ぜられておると思います。しかし、私は、今日のような大学ができ上がった、それを昔のように返せというような考え方はどこにもないだろうと思います。それならば、やはり授業と研究と管理と三つの部門に分けて、それぞれが大型大学の経営に遺憾なきを期するようにしなければならぬ、かように私は思います。そうしてただいま言われますように、学問はどこ左でも自由だ、やはりそこに進歩があるんだ。私は、共産主義的なマルクス、レーニン等があるいは経済学的にあるいは政治学的にいろいろ議論されても、それらについてとやかく言うことはないだろうと思う。そういうところに学問の進歩がある、かように思います。 しかし、管理の面におきましては、やはり責任が明らかでなければならないと思う。この管理が乱れているところに今日の問題があるのだ。あるいは一、二の教授の名前をあげて議論されましたが、この井上君やあるいはその他の教官の考え方は、学問の自由と管理の面とをどうもごっちゃにしているんじゃないだろうか。学問の自由があるからといって、管理までかような状態では、大学はおさまっていくわけはないのであります。私が特にその点を申しますのは、私ども政府は学問の自由は尊重する、そのためにこそ学園の自治も尊重するという考え方でありまして、この点ではすでに国会におきましても私、明確にその点を申し上げております。しかし、管理自身が、それぞれの教官が思い思いの方向で管理するとしたら、大学は一体どうなるでしょう。大学のおさまりはつかないと思います。私の身近なことで、内閣について申し上げます。私の内閣各大臣は、それぞれの立場におきましてそれぞれの担当する範囲においても、自由な裁量権を持っております。しかしながら、内閣として、内閣の責任においてそれらのものが統一されないならば、それこそ何のための内閣か、かように批判を受けても、これはしかたがないと思います。 私はその意味で、いまの一部暴力学生についての批判は非常にきびしいが、本会議において民主社会党の西村君から指摘されましたように、教官自身の責任、そういう部門にやはり問題があるのじゃないかと思う。教官の学問の自由と、大学管理における教官としての責任、そこらに開催な一線が画されていないんじゃないのか、かように私は実は心配をしておるのであります。また、学生自身も、先ほど来説明されましたように、三派であるとか四派であるとか、あるいは四流であるとか十二派であるとかいろんな議論がされております。それほど学生そのものも一体性を欠いておる。何らか大学の運営をやる、参加の方法がいま議論されております。私は、何でもかんでも参加は絶対に反対だ、こういうものではありませんが、その前に、やはり学生諸君の意向というものがどこかに集約されないと、いまのような状態で学生の参加を認める、各派からそれぞれみんな代表をとるというようなことで、大学の管理などできるはずはありません。教官自身が、管理については総長にまかすんだ、評議員会において責任をとるんだ、こういう形においてはじめて大学が大学らしく運営されるんだと思うのです。 私は、この点において教官の責任をまず第一にあげたいし、また、これが授業をする、教育を授けるというそういう立場に立ちましては、学生との間のコミュニケーションも必要でありましょうが、それは自由な立場においてやられるがいい。また、世間がその学説そのものについての批判をそれぞれの立場においてそれぞれするのでありますから、そこらに学問の自由というものはあってよろしいと思います。しかし、管理まで思い思いにかってな議論をしたら、これはいかぬと思います。やはり学長が全責任を持って管理運営をやるべきだろうと思います。学内の暴力行為に対して学長自身が警官を導入した。一応おさまったが、あの行為はけしからぬ行為だ、何事だという一部の者もいる。いや、あれでよろしいんだというのもいる。そういうような大学というところに自治があろうはずがないのであります。自治能力を失った、かように私はずいぶん極端な議論をいたしましたが、実はそういう点にものごとを考えておるのであります。 私は、今日のような大きな大学ができたことは、これはもうどうしても必要なことであったと思うし、また大きくなってよかったと思うから、その方向でこの問題をおさめていく、それについてはやはりもっと政府がいわゆる大学の学問は尊重する、学問の自由を尊重する。したがって大学の自治またしかり、こういう立場に立ちまして、大学に対しての必要な勧告やあるいは協力はしていかなければならないと思います。したがって、だれに責任があるかといわれると、私は、最高責任者は政治の最高責任者でありますから、内閣自身、政府自身、私にある、かように申しても、これはそのとおりじゃないかと思います。 私、そういう意味で、こういうような事態を起こしたことについてはまことに残念に、遺憾に思っております。国民の皆さんに対しましても、ことに東大の入試を中止せざるを得なくなった、その責任はまことに重大だと思います。しかし、今日の状態で東大が授業などできるような状態ではありません。授業もできないようなところに入試が行なわれるはずもないのであります。私は、それらの責任は政府にもあるが、同時にまた教官自身がその責任をとるべきじゃないだろうかと思います。また学生自身にもあると思います。そこに問題があると思います。ただ、いずれが悪いとかなんとかいうような議論をする、そのときではないのでありますから、これはこれとして、今後一体どうしたらいいか。 今回は入学試験は一応とめましたが、私どもが政府として希望いたしますものは、学校の正常化が一日も早く取り戻されることであります。また入試を取りやめたことも、政府自身の責任においてではございません。昨年未、加藤学長代行と十分話し合ってその結論に達し、そうして今日、その結論がしばらくの時間をかしたけれども十分改善されない、これはやむを得ないということを申したのであります。現に、昨日もお話をしたのでありますが、ある新聞には、駒場の教養学部で、あの状態では授業する責任は持てない、こういうような教官の話も出ておるのでございます。 私は、そういうことなど考えますと、まことに遺憾なことだが、一日も早く正常化することだ、そうして大学の権威をこの際に取り戻すことだ、かように思います。しかもその権威を取り戻すために、これからの問題でありますが、昔のような大学ではないんだ、時代に応じた大学にしていかなければならない。幸いとでも申しますか、あるいはおくれておる、かような御指摘はあろうかと思いますが、昨年来、中教審に高等教育のあり方、大学のあり方等についても諮問し、答申を願っておるような次第でありますから、私は国民の皆さま方ともどもに、今後の大学はいかにあるべきか、こういうことにつきまして、この中教審の答申の線に沿い、また各界、各方面の御意見も聞き、そうしてりっぱなものを国民のためにつくりたい、国民の大学にしたい、かように思います。その意味で、各党からの御意見もいろいろ伺っております。私は、これは最も必要なことではないだろうかと思っております。 ことに、この問題が起こります前に、これは社会党からの注文でもありましたが、何か問題が起きて、党首が会うという、そういうことだと非常に問題は起こりやすいし、またそういうときには、なかなか党首会合ができない。しかし、やはり普通の状態のもとにおいて党首が会うということは意義があるのではないだろうか、こういうことから話をもちかけられまして、私どもも懇談をいたしました。その際に懇談に出たのは、あるいは社会党のほうからも老人福祉対策についてのお話がありました。私が一番気にしておるのはこの大学関係でありますので、大学の問題についていい解決方法はないだろうかと、率直に国会の始まらない今日、こういうような問題でお互いに意見を交換することは何かお国のためになるように思うから、こういうことでお話を申し上げた次第であります。その際には、社会党の方も十分この問題について真剣に取り組んでおるお気持ちを私はくみ取ることができたのであります。しかし、国会が開かれますと、国会の場における議論、これはどうもそれぞれの党の立場において議論が終始されます。これは私はまことに残念なことに思います。こういう点では、各委員会の運営におきましても、すでに文教委員会では円卓会議を開いておられるようにも聞きますが、やはりこの問題こそ国民全体の問題として、そしてりっぱな学生をこの際つくるべきではないか、かように私思っております。 私の感じておることを率直に申しました。いろいろ御批判はあろうかと思いますが、御批判のあるのは当然であります。また、それぞれの立場において御意見を聞くという気持ちでいることだけは御理解をいただきたいと思います。
○内田委員 私は、ただいまの総理が述べられたおことばを意味深くそしゃくしながら、総理の述べられた理念に従ってその施策を実施せられますことを激励をいたしながら、期待をもって監視をしてまいりたいと思うものであります。 なお、法制局長官がここに見えられておりまして、問題になっておりまする東大の加藤代行と学生との間の確認書の解釈につきまして、法制局は昨日その所見を述べられております。それらの問題につきましても意見をかわしたいのでありますが、残念ながら時間がございません。しかし私は、法制局が発表せられたあの見解はおおむね当を得ておるものであると思うものでありまして、もしこれからあの確認書があのまま大学の今度の問題の収拾の条項として実施せられるようなことが万一ありますならば、これも問題の禍根を将来に残すのみであって、さらにまた、これは一東大の問題ではなしに、多くの大学にも影響を及ぼすものであって、とうてい私はあの確認書のいろいろな条項がそのまま実施せられるべきものではないという私の考えを述べまして、この点についての問答は次の機会に譲ってまいりたいと思います。 総理大臣、次に国民が大きな関心を持っておりますのは沖繩の問題でございます。 沖繩は平和条約によりまして、同じ日本の領土でありながら、同じ日本の民族でありながら、すでに二十数年日本の施政から離されておるのでありまして、統一民族国家の百万の住民が他国の支配下にこのように長く置かれておりますことは、沖繩の住民の不幸であるばかりでなしに、独立国家日本としてもまことに尊厳を害される問題でありまして、どうしても私はこの機会に解決をはかられなければならないと思うものでありまして、これは私ども日本人としての悲願であります。総理大臣が非常な情熱を持ってせっかくこの沖繩の問題と取り組まれる気魄を示されておりますことは、私どもといたしましても高くこれを評価し、また総理大臣を激励いたすものであります。私はこの問題につきましても、いろいろの議論を総理と展開をいたしたいのでありまするが、残念ながら十分の時間がありませんので、私が考えておりますことを個条書きに申し述べるほかありません。どうぞその個条書きにつきまして、これも私どもの納得のいくようにわかりやすく、ひとつ個条書きで説明をしていただきたい。私もことばの修飾は用いませんので、どうか総理大臣、外務大臣のほうでも、ことばの修飾を抜きにして、できるだけわかりやすくお答えをいただきたいと思うのであります。 沖繩の施政権の返還は、どんなことがありましても、これはもうぜひ私はことしのうちに総理大臣にめどをつけていただきたい。そのために総理大臣は、ことしの秋渡米して、ニクソン新大統領とも会談される決意を国会で述べられておるのでありまするが、しかし沖繩の施政権の返還というものは、当然に沖繩にある基地の態様とからみ合う問題であります。なぜならば、沖繩の施政権の返還ということは、法律的に見まするならば、平和条約第三条の沖繩に関する条項が消え去って、そして沖繩全島に平和条約がそのまま施行されるということであります。アメリカの支配下から離れて佐藤内閣総理大臣の施政下に沖繩が入るということでありますので、したがって、国民がさっと考えますことは、基地の問題につきましても、その基地の態様は当然平和条約が内地に適用されると同じような形で沖繩にも適用されることを期待し、それが国民感情であると私は思います。私はここであえてそれが国民世論を形成しておるとまでは申しませんけれども、私が国民感情と言う意味は、これはひとつ総理大臣にも外務大臣にもわかっていただきたいと思うのであります。 しかるに、総理大臣の施政演説においては、この点について必ずしも明瞭ではございません。のみならず、愛知外務大臣がそこにおられますが、愛知外務大臣が先月の二十一日あるいは二十二日に、全国の経営者大会でありましたか、あるいはまた外国人記者団との会見の場所、そこで述べられておりますことも、また最近国会の答弁等に関連してその後の記者会見などで申されておりますことから考えますと、総理大臣も愛知外務大臣も、この基地の態様につきましては何か一つの方向に踏み出しているような憶測を、これはほかの人は知りませんけれども、私に与えておるのでありまして、そこのところをまずお尋ねいたしたいのであります。 一人でしゃべってしまって恐縮でありますが、ぜひ時間を節約させていただきたい。それは端的に申すと、本土並みかあるいは核つきかということに集約されるわけでありますが、総理大臣なり外務大臣のこれまでの発言は、私がいま申す一つの方向を憶測させるというのは、本土並みの返還ではなしに、それ以外の態様の基地を残しながら沖繩の施政権の返還を求むる以外にない、ということを訴えているかのごとくに聞こえるのであります。総理大臣並びに外務大臣の真意はいかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 これは簡単に、また要領よく申し上げたいと思いますが、私がジョンソン前大統領と話し合って、二、三年のうちに沖繩返還のめどをつけようという共同コミュニケを出した。これはやはりいまの沖繩県民の不幸、独立国家日本の当然のこととして潜在主権を持つ沖繩、それを本土と一体化さすというそのめどをつけること、これは私の念願でもありますが、もう国民全体の念願だと思います。それがジョンソンと私との共同声明によってはっきりしている。もうすでに昨年から、今度は新しいニクソン政権ができた、ことしの適当なときに私が出かけて、そしてニクソン大統領と話をしたい。これはまずいわゆる返還のめどをつける話であります。返還のめどをつけるということでありますから、もう何らか足を踏み出してしかるべきじゃないか、またことしの秋にも出かけようというのでありますから、すでにまずそのスケジュールというか、私が秋に出かけるが、その前にひとつそれぞれが用意しようじゃないか、そういう話し合いは、もちろんジョンソン次官が向こうへ帰ります前に、ジョンソン大使にもこのスケジュールについての話し合いはしたつもりであります。でありますから、その方向で歩み出したと言えば、そういうことが言えるかと思います。 そこで問題になります日米安全保障条約との問題でございます。私が申し上げるまでもなく、日米安全保障条約は日本の安全確保のために必要なんだ、これはアメリカのために必要ではございません。ある一部の政党においては、アメリカのために必要なんだということをしばしば言われますが、そうじゃない、日本のために必要なんだ。また、日本の安全のためにこそ私どもこの日米安全保障条約を結んだ。アメリカにはアメリカの考えがありましょうが、しかし私どもには私どもの考えがあるのだ、そこに自主的なものがあるのだ。そこで、いわゆる、この沖繩が日本の本土に返ってくれば、ただいまの安全保障条約は、いまあなたがおっしゃるように、私どもこれは当然そのまま適用されるというのが筋のように思います。それはそのとおりです、議論から申しまして。しかし、その際に考えなければならないのは、日本の安全、そのために非核原則などをこしらえたが、それは沖繩というものがアメリカの支配下にあり、沖繩が特別な基地を持っておる、そういうところから、本土における非核原則というものを私どもが立てることができたのであります。したがって、沖繩は返してほしい、同時に日本の安全はどうしても確保しなければならない。日本の安全が危険にさらされることは、本土が危険にさらされることは、沖繩も同時に危険にさらされることであります。私どもが問題にしておるのはその点なんです。でありますから、私は二者択一の議論をしておるわけじゃありません。きょうの新聞などを見ますと、核つきかあるいは核つきでなしでどうかという、そういう二者択一の議論をしているという記事が出ておりますが、二者択一の議論ではありません。ただいま申すような心配があるのであります。その問題を解決するにはどうしたらいいかというのが、今後のアメリカとの交渉の問題なんだ。でありますから、理論的にいえば、いま沖繩は返ってくる、その場合に部分的返還だというようなことを私は考えておりません。沖繩は全面的に返還してしかるべきだ、また当然そうなければならない、かように思っておりますが、しかしその場合においても、同時に安全確保ということと両立するような方法はないかというので、いろいろ議論しておるのであります。それが、いままでもたびたび申しましたように、そう心配するものでもないだろう、いますぐ返ってくるのじゃないのだ、これから行ってアメリカに返還の時期のめどをつける交渉をするんだ、そこには時間的な余裕もあるはずであります。その間に世の中はどんなに変わっていくか、これはわかりません。いわゆる国際情勢の変化もあれば、また科学技術の進歩もあるし、世論の支持もある。でありますから、そういう点を考えながら、私は国民の世論の動向を見きわめてしかる上でこの問題と取り組む。だから、いまのうちから二者選択ではっきりきめる、そういうようなものでないこと、これを、重ねてお尋ねがありましたから申し上げておきます。
○愛知国務大臣 私に対しても御質問でございますから、私からも簡単に申し上げたいと思います。 ただいま内田委員から御指摘がございましたように、一、二の機会に私が申したと伝えられておりますようなことも、必ずしも本意が正確に伝わっておらないようなふうに思います。私はこの国会を通じて国民に申し上げることが私の真意でございますから、この際明らかにいたしたいと思いますが、一昨日、本会議で佐総総理から成田委員長に対して御答弁申し上げたこと、それからただいまも総理から答弁せられましたこのことについては、私は、もう当然のことではございましょうけれども、全く同じ考え方でございます。このことは総理の御答弁にもありますように、一つの考え方というものを早計にまだ断定すべきものじゃない、いま総理のことばにもありましたように、二者択一というようなことに別段決定的な踏み切り方をするような時期でもございません。私といたしましては、ただいま総理が言われたような考え方あるいはこの問題の取り上げ方の姿勢の基本方針のもとに、国民の皆さま方、それから沖繩の方々に対して最もよき選択はいかにあるべきかということを、主体的に考えをだんだんと積み上げて、つくり上げてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 そしていま、これも総理からお話がございましたが、ことしの後半に総理が行かれるとすると、そこを一つの期限とでも申しましょうか、日程的な一つの目標があるわけでございますから、それまでにいかにして対米交渉の地ならしをするかというような日程等につきましても、いまいろいろと話し合いと申しますか、申し入れもし、またそれの回答もいずれございましょうが、それらの段階に応じてだんだんと考え方を詰めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○内田委員 ただいまの総理大臣の発言並びに愛知外務大臣の説明を聞きまして、私はやや心を平らかにするものがございます。しかし、先般来の愛知外務大臣の発言は、だれが聞きましても、施政権の返還と基地の態様とは別に論ずべきものであって、まず施政権の返還を早期に行なわしめることが第一であって、基地の態様というものは、場合によっては現状のままで、その後の環境変化に応じて処理すれば十分ではないかと自分は考える、というようなふうにとれる発言をしておるのであります。しかし、いまの愛知君の発言はそうじゃない。私はまあ愛知君は——と言っては恐縮、愛知外務大臣とはもともと友だちでありますから乱暴なことを言いますが、あなたは椎名外務大臣とだいぶ違っておる。いまの段階においてはよけいなことを言わないほうがよろしい。でありますから、下田発言などというものも国会で取り上げられて、あたかもあれが総理大臣の考え方のアドバルーンであるかのごとくも解される向きがあったわけでありまして、私はいまの愛知大臣、また総理大臣の考えならば、いまこれは二者択一も何らきめてない、とにかくいろいろ国民の世論を聞いて、また総理大臣の演説には確かにあったんでありますが、国民の納得のいく基地の態様で解決をするとあるのでありますから、私が先ほど申した国民感情なり国民の世論なりをさらに十分に聞いて、あらかじめ一つ型をつくり上げないで、二者択一というおことばもございましたが、これはまあ国民が聞いておられるから申すのでありますが、おっしゃるその二者択一というものは、早期返還を希望するならば基地は現状の核つきのままよりしかたがない、あるいは本土並みにするならば早期返還は断念するよりしかたがない、その二者択一と、こういう意味だろうと思いますが、そういうことで総理大臣も外務大臣もきめておらない、こういう話でありますから私は心平らかだ、こう申すのであります。 しかし、ここで私は私の意見を申し上げておきますが、核つきということになると非核三原則との問題が出てまいります。総理大臣はいまその問題にも触れまして、非核三原則というものは沖繩にアメリカの核のかさというものがある当時の環境のもとにおいて考えられたことばである、したがって、沖繩の核基地がなくなってしまえば非核三原則というものについてもおのずから変化があり得るという意味のことを示唆せられましたが、私はそうとは言えない。つまり、非核三原則というものは、沖繩が日本に返ってきた場合には、沖繩は日本の施政権が行なわれる地域でありますから、あくまでも日本全体としての原則でありますから、沖繩は別だといったのでは国際的には通らないということが第一。 それから第二には、一体沖繩の核というものはいまから十七年前、平和条約あるいは安保条約ができました当時と私は状況がだいぶ変わってきておる。沖繩の核というものは、これはもう、私は軍事専門家ではありませんからよく知りませんが、これは人々のみんな知っておるところによりますと、要するにメースBというのが主力であります。これに若干のリトルジョンとか、あるいはまた、核をつけようと思えばつけられる小さいF105とか、あるいはナイキハーキュリーズというようなものもあるようでありますけれども、だれもが知っておりますように、メースBというのはもう旧式であります。スピードもおそい。実戦の役に立たない。これはうしろから飛行機で飛んでいって落とせるようなものでありまして、かつてはヨーロッパにもありましたけれども、これは古道具屋に払い下げられておるわけであります。したがって、沖繩の核のかさというものは、昔と事情が変わってきているのみならず、新しいまた軍事科学の進歩も行なわれておる。すなわちポラリス潜水艦というようなものがプレベールいたしまして、これが沖繩周辺あるいは太平洋方面にもおるわけでありまして、これから発射されるミサイルのほうがはるかに強力であります。またICBMというような長距離ミサイルも発達をいたしておりまして、いまやメースBとかあるいは小さな飛行機に待つ必要がなくなっておりますことも、すべての人が知っておるわけであります。さらにまた、対抗用のABMというようなもの、かりにそういうものを沖繩に置くといたしましても、これはもう今日の相手国のミサイルのスピードからいって、ああいう相手国に近いところにあるABMなどは、時間的に間にも合わないし、役にも立たないというようなこともいわれておる。これはひとつ、防衛庁長官は専門家でありますから、内田君の言うことは違うとか、大体そうだとかいうことを御説明をいただきたいのであります。 だとすれば、佐藤総理大臣が、非核三原則ができたのは日本が沖繩の核のかさの下にあるというそういう前提のもとにできたというような意味のことを言われましたが、そうではないので、私の記憶に残っておりますのは、総理大臣は沖繩とは言われないで、アメリカの核のかさにあるということは確かに言われましたから、沖繩の核の問題については、私はそれは総理大臣がまた考え直されてもいいじゃないか、かように思います。 最後に、さらに問題のことは、沖繩が日本に返ってまいりまして、そこにある基地というものが万一日本と違った態様の基地であるとしますなれば、非常にこれは複雑な問題を起こします。日本内地におきましても、基地はそこにあるから問題であります。私の郷里山梨県でも北富士演習場という基地がありまして、非常にいろんな問題を起こしております。いわんや王子の病院でありますとか、板付の飛行場でありますとか、水戸の射撃場でありますとか、これは核基地ではないけれども、基地がそこにあるために、日本においてもあれだけの問題が起こっている。そういう状況のもとに沖繩が日本に返ってきた際に、沖繩にある基地というものはそれとは違った態様であるということは、そこに越えがたい非常に複雑な問題を起こすであろうということを、これは事実問題として考えていただきたい。 ついでにもう一つ申しますが、法律的に非常な困難を起こしませんか。さっきも申しますように、沖繩の施政権が日本に返ってくると、安保条約がそのまま沖繩に適用される。しかし、もし日本の基地と態様が違う場合には、安保条約第六条の事前協議の問題でありますとか、あるいはそれに基づく交換公文とか、こういうものについて特例をつくらなければならぬという問題でありまするが、これはなかなか困難な問題。これは日本の世論、国論がそれでいくということになりますればいいんでありますが、これは政治的にも非常に困難な問題を起こすという問題。これは法制局長官が専門でありますが、これもあまり法制局長官から答弁されますと、私の時間がなくなりますから問題をあげますが、総理大臣、それらの点も考えられて、冒頭に総理大臣が言われましたように、虚心たんかい、白紙で——白紙というのはよくないけれども、いろいろな研究をして、そして臨むんだから、それは内田君、安心しろと、こういうことをもう一度ひとつ言っていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 いま言われますように、結論としては、とにかく私は日本の総理ですから、日本国民の反対するものを無理やりにやるという、そういう権能もなければ、そんなことはいたしません。しかし、いま御議論がいろいろ展開されておる。国民がやっぱりそういう点について理解を持っていただきたいと思いますので、二、三申してみたいと思います。 その一つは、先ほどもお答えいたしたのでありますが、日米安全保障条約はわが国の安全のためにわが国が必要としておる、これが第一だ。それから、その際に、日米安全保障条約を結んだのは、沖繩を含むアメリカの持つ軍事力、かように御理解をいただきたい。だから、したがいまして、ただいま沖繩がどういうようなものを持っているか、それは私十分知らないにしても、とにかくいまの沖繩を含むアメリカの軍事力、戦争抑止力、それをたよりにしているということ、このことはひとつはっきりしておく。 そうして、わが国の本土に非核三原則を持ったということは、これは何といってもまず第一は、日本国民の民族的感情が原子兵器を心から憎んでおる、そういうことはございますが、同時に、政府の立場において、安全を確保するという立場から申しますと、沖繩の近くに持つアメリカの基地、そういうものもたよりになっておるんだ、こういう説明であります。 そこで今度は、沖繩自身が日本に返ってくれば、特別な処置をとらない限り、当然ただいまの日米安全保障条約はそのまま適用される、日本の法律、憲法はそのまま適用される。だから、したがって、沖繩は日本の本土でありますから、それを基地にして攻撃的な処置をとるという、そういうことは憲法は許さないはずであります。また日米安全保障条約も、特別な変更その他を加えない限りそのまま適用になるんだ、こういうことであります。 したがって、これで御理解がいただけるかと思いますが、私がいま申しますのは、国際情勢の変化というものがいろいろございます。幸いにしてベトナム問題は解決の方向へ行った。あるいは三十八度線は、私が申し上げるまでもなく、プエブロがつかまった時分はずいぶん緊張いたしましたが、これも幸いにプエブロの捕虜は返された。ややゲリラその他は北鮮から入るにいたしましても、ただいまは鎮静している。また最近の国際情勢から見まして、中共とアメリカとの関係もだんだん改善されつつあるやに見受けます。国際情勢自身はそれぞれ変化はいたしております。しかし、二大強国だといわれるソ連とアメリカ、さらに最近の大国である中共、これらが核を持っておることだけはこれは忘れるわけにはいかない。 私は、そういうようなもとにおいて国際関係は改善されつつあるとはいいながら、わが国の安全を確保するのにどういう方法が一番いいのか、ここに私の悩みがあるのだ。この点をぜひ、やはり早くは日本に帰りたいが、同時に安全確保ということについても関心を持っていただきたいと思う。だからこれは小手先の議論じゃありません。ただ私は、先ほど来申しますように、ことし出かけるが、何らの準備のない今日、来年沖繩を返してくれるとは私も思いませんし、また国民の全体もそこまでは考えておられないでしょう。早期返還ということをめどにするといいながらも、ここに何年かの余裕の期間があるだろうと思います。その期間の間にやはり国際情勢の改善についても日本は積極的に独自の立場からすべきだと思うし、さらにいまの核基地についていろいろ御指摘になりましたように、科学技術の進歩は、これははかり知ることができないものであります。したがいまして、こういう問題はそんなに問題にならなくて、おそらく返ってくるまでには解決する、かように思いますので、ただいまの二者択一の議論をするとたいへんホットな議論にもなりますけれども、そこはやはり大国日本国民として落ちついて、そうしてこれと沖繩返還問題と取り組む、それがよろしいんじゃないか、かように思います。
○有田国務大臣 アメリカの核戦力のことにつきましては、これは残念ながら私のほうではつまびらかにすることはできない。ただ、公表されたいろいろな資料なんかによってそんたくいたしますと、いまの極東に対する核抑止力は、おっしゃるとおり本土のICBM、それから太平洋のポラリス、それからグアムのB52、それから沖繩の核基地の四つの組み合わせによってこの抑止力ができておるような——ただメースBというのが沖繩の主力になっておるようでございますが、おっしゃるようにメースBはだんだんと古くさくなっておるというようにも聞いております。しかし、また一方においては、しばらくの間はまだメースBを現役部隊として残置しようという国防省側の意見もあるようです。その辺のところは、残念ながらここに明確にかくかくになりますということは言えない立場にあることを御了承願いたいと思うのです。
○内田委員 総理大臣に対しまして、私は佐藤内閣総理大臣ではない、佐藤自民党総裁の施政権のもとにあるわけでありますから、総裁の顔を下からなで上げるような意味でいろいろ申しておるわけではありません。また総理大臣のお答えも、たいへん私は、これも私どもが広く深く思索すべき内容を持っておるものと理解をいたすわけであります。私がかように申しますことは、総理大臣なり外務大臣の対米交渉のフリーハンドを私どもの考え方で縛りあげようというわけでは決してございません。したがって、また総理なり外務大臣も、先ほども申しますように、この交渉についてはいろいろの点を深く広く考えられて、そしてフリーハンドでぜひ臨んでいただきたい。これはもう外務大臣、総理大臣も御承知のように、アメリカでも私が申しましたような世論がいろいろあるわけであります。今日、アジア及び沖繩に関する日米の京都会議というものが行なわれたことも御承知のとおりでありますが、あそこに出てきておりまするアメリカのシカゴ大学教授のウォールステッターというような人も、これはもう核戦略の権威といわれておりますけれども、これはどちらかというと、やはり早期、本土並み返還というような説を持論といたしておりまするし、また前駐日大使、ハーバード大学教授のライシャワー氏も同じような考え方であることも、総理大臣すでに御承知のとおりであります。また米上院の外交委員長のフルブライト議員にしても——同様の議員の人々があるわけでありまして、これらの考え方はもちろんアメリカの大勢の世論とはなっていないでありましょうけれども、そういうアメリカの有力な地位にありながら日本の立場も十分理解した人々がたくさんおる。こういうことも頭に置かれまして、フリーハンドで、しかも国民の納得のいく解決をぜひ願いたいということを繰り返し述べるわけであります。 しかし、私は、ここでひとつ憂えなければならないことは、沖繩は総理大臣以下私どもの非常な熱意のもとに必ず日本に返ってくると思いますが、また基地の態様につきましても、私たちの希望が次第にいれられるようなそういう環境も出てくると思いますが、しかし、このことは日米相互理解と信頼のもとにおいてのみ達成されることでありまして、いわゆる反米闘争というような実力手段をもってしては決して達成されないということを一いろいろ議論はありますが、これは国民が聞いております。(発言する者あり)本性が出たと言っておりますけれども、それが本性でありましょう、国民の。でありますから、そのことは、これはわれわれ国民としても銘記しなければならないところでありますので、政府としても、私は適切なる指導をしていただきたいと思うところであります。 最後に、沖繩についてお聞きいたしたいことは、二・四ゼネストはどうなったでありましょうか。私はきょうのこのことの勉強もありまして、ホットニュースを知りませんが、きょうの午後には沖繩における二・四ゼネストのその解決の見通しがつくというようなことが伝えられておりますが、これはどうなったでありましょうか。そのことに関連いたしまして、私がひとつ政府に苦言を呈したいことは、これはもちろん今回の新総合労働布令の問題に関連して起こらんとしておるゼネストではありません。言うまでもなく、B52の撤去問題を主として起こっておる問題ではありましょうけれども、新労働布令の取り扱いについて、私は、いま日米の協力一体関係にあるという以上、ああいう労働布令は、あの事態になってから政府からストップをかけたり、修正を申し入れるということではなしに、草案のうちからアメリカと政府が打ち合わせていただきたかった。また沖繩の現地の意向も聞いていただきたかった。そうでなければ、いまのような事態のもとにおいては、これはまあアメリカ側に対しては不誠意だ、また日本側においては不見識だと私はいわざるを得ないのでありまして、これはまあ過ぎたことでありますけれども、私は苦言を呈しておくものであります。いまのゼネストについてお答えをいただきたい。
○愛知国務大臣 まずゼネストの件につきましては、床次総務長官から御説明いたすほうがよろしいかと思いますが、私のところに、本日午前十一時に県労協関係はストに突入しないようにという趣旨の一応話し合いがまとまって、これを午後の共闘会議に提案をする、こういうところまで私入報を得ております。あとは床次長官から、もしその後の入報がございましたら御説明願いたいと思います。 それから、労働布令の問題につきましては、私は全く御同感でございます。したがいまして、私の立場からいたしましても、日米相互理解を深めることからいっても、あるいはアメリカ自身の立場に立って見ても、もう少し本件の取り扱いについてはきめのこまかい配慮が望ましかった。結果におきましては、とりあえず三月一日までにあらためて琉球側の意見も詳細に申し入れる余裕ができましたので、なお今後とも善処いたしたいと思います。
○床次国務大臣 きょうのゼネストの問題につきましては、ただいま外務大臣から申しましたとおりでありまして、地元におきましては、九時半に琉球政府から共闘のほうへストの中止方を申し入れまして、なお県労協、これはストの中心勢力でありますが、これは中止をすることを決議したようでありますが、しかし、共闘会議全般といたしましては、今日まだただいま協議中でありまして、最後的な結論を得ておらない次第であります。 なお、今後の布令の取り扱い等につきましては、外務大臣からお話しいたしましたとおり、日米ともにもつともっと隔意なく話し合いをいたしまして、そうして住民の幸福増進のためにはかるべきものだと考え、私どももさように今後とも努力いたしたいと思います。
○内田委員 私は、この二・四ゼネスドをぜひ回避させたい。ぜひひとつこれは総務長官も外務大臣も最後の努力を傾けていただきたい。また、野党の諸公におかれましても、このゼネスドが決行されるということは決して沖繩問題のいい解決にはならない、今後非常な深いみぞを残すことになりますので、これはもう私ども超党派の総力をあげて、そしてこの四日までの間にこれの回避に全力を尽くしていただきたいと願う次第でございます。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど沖繩の祖国復帰について、外交ではやはりフリーハンドを持て、さようなお話がございました。そういう意味で、政府はやはりフリーハンドを持って外交交渉をする、それが本来の姿だと思います。しかしながら、事柄はまことに重大なる問題でございます。まだ私が、政府が最終的な意見を決定した後ならば、先ほどのフリーハンドを持てとおっしゃることをただ激励のことばとして聞きますけれども、ただいままだ最終的な問題ではございませんので、どうか、こういう際にこそ、各党各派から、十分国民が納得のいくような結論を出していただく意味においても、具体的なひとつ御進言をいただきたいと思います。 また、ただいまゼネストについてのお話がありました。私も屋良主席に対しましても、アメリカとせっかく祖国復帰について話をしようという大事な段階だ、そういう際に政治的な意味を持つゼネストが行なわれることはどうもプラスにならないように思う。自分はどうもB52を撤去するその時期をアメリカに確約さすことはできないけれども、主席としても、それがないとやはり説得がなかなかむずかしいかしらないけれども、いまは大事な時期だから、どうか慎重に取り扱うようにこの上ともひとつ善処されるように、こう言って会見を終わった次第であります。その後B52や労働布令について先ほど床次君や外務大臣から申しましたように、また昨日来の国会における本会議の審議状況なども逐一米大使館を通じてワシントンによく事情を連絡して、そしてこれらの問題に善処されるように重ねて要望した、こういう次第でございます。 〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕
○内田委員 私は最後に北方領土問題についてぜひ注意を喚起いたしておきたいと思います。 私ども国民は、沖繩の問題に目を奪われて北方領土の問題を忘れてはならないと思うわけでありまして、この点につきまして総理大臣が施政方針演説の中においても触れておられる見識に対して、強く私は敬意を表するわけであります。 実は私自身も数年前にソ連に参りまして、これは私ばかりではありません、野党の議員の方々とも一緒に参りまして、そしてフルシチョフの最後の時代にこの北方領土返還問題を申し入れたことがありますが、ソ連当局は、そのときにおいても、日本との間の領土問題はすでに解決済みであるということを言うのみでありまして、国後、択捉あるいは歯舞色丹につきましても、これを取り上げようとする態度を示さなかったのでありますが、その同じ態度が今日まで継続されているような状態にありますことは、まことに私は遺憾であります。のみならず、これらの諸島の周辺における漁業の安全操業の問題すら十分な解決を得ていないということは、私どもは沖繩問題に対する関心と情熱とを同じように北方のこれらの問題に注ぐべきであることを強調いたしまして、この沖繩の問題に対する……(「質が違う」と呼ぶ者あり)野党の諸君は質が違うと言っておる。私はそうは思わない。これは私の演説でありますけれども、どうぞひとつそのことについて十分なる関心を払っていただきたいと思います。 続いて私は、安保の問題、中国問題について触れてまいりたいと思います。私は日米安保条約堅持の問題をここでわが党の宣伝の手段にする演説はいたしません。時間もございませんが、ただ安保について触れておきたい問題は、先般来国会における総理大臣の答弁が必ずしも明瞭でありませんけれども、私は安保堅持ということについては、総理大臣また政府、わが党の諸君とともに全く同じでありまして、日本が繁栄と安全とを保ちますためには、一九七〇年以後におきましても、当然その安保体制というものを堅持しなければならないことにつきましては、一点も、つゆほども私は疑念を持たないのでありますが、しかし、現行の安保条約には一九七〇年までの固定期限がついておりまして、そしてその以後におきましては、これは、安保条約は国連の安全保障に関する措置が効力を発生するまでは、その以後におきましても有効でありますが、われわれはこの機に臨んで、さらに現在におきましても、その有効であるという措置を継続していく、いわゆる自動延長とかいわれておりますが、私はそのことばは適当ではない、自動存続ということばがいいと思うのでありますが、その自動存続でいくべきか、あるいはさらに固定的に、いまから九年前の岸内閣のときにおけるがごとく、この期限を、条約の改正をして延長すべきかという問題があるわけでありますが、しかし私どもは、安保堅持ということばのためにも、この際としては何らの条約の改正の手続を経ない自動存続の方法をとっていくことが私は最も適当であり望ましいと考えておるわけであります。これについてはいろいろの角度がありましょう。政治的の難易の問題もありましょうし、アメリカ側の態度の問題もあるでありましょうが、私は私なりに考えると、私は非常に柔軟性のある若い思想を持っているつもりでありますが、総理大臣の演説にありますように、日本というものはこれから非常な流動期にある、これからの数年間は、過去の数十年にも匹敵するような流動期にありますので、そういう機に臨んで、固定延長という必要は全くないわけであります。私ども日本人は、みずからの経済成長とともに、みずから日本を守るだけの気概も必要でありまして、そういう心がまえのためにも、私は詳しくは申しませんけれども、自動存続の方法をとるべきだと考えます。私は政府も同じ意見だと思うわけであります。と同時に、またアメリカにおきましても、二、三日前に、日本におりました前駐日米大使のジョンソン氏がアメリカの上院外交委員会に臨みまして、これはニクソン政権の考え方であると申して、私と同じような証言をなしておりますので、総理大臣に私の意見を批判をしていただきたい、かように思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの内田君の御意見、批判してくれろとおっしゃるのですが、まだ政府はきめておりません。あまり批判する材料がございません。ただ、申し上げるまでもなく、日米安全保障体制、これは堅持する、こういうことの一語でございまして、その際にどういう形式をとるかということはまだきめておらない、さように御了承いただきます。
○内田委員 私は、総理大臣がそのことについてそんなに慎重に、安保における基地態様の問題のように慎重な態度をおとりになる必要はないこ思うわけでありますが、それは総理大臣の御意見として承っておく次第であります。 この安保堅持に関連しまして、私が一番関心を持ちますのは、安保ということは、これは裏返しすると、基地の問題でございます。これは沖繩についても、沖繩返還になれば安保条約が全面適用されるかされないかということで大きな問題を呼ぶわけでありますが、しかし今日、国内におきましても、安保条約に対する批判というものは、これはもう日本におけるある一部の政党のように、それは非武装中立がいいというような非現実的なことを述べられる政党なしとしませんけれども、あるいはまた他の政党のように、武装中立がいいというような、そういうことを述べる政党もあるようでありますが、私はそういう意味からの国民の安保堅持に対する反論というものはきわめて少ない、きわめて狭い分野、しかもそれはだんだん狭まりつつあると思うのでありますが、現実の問題として、安保に対する国民の一番の心配は、結局国内における基地の問題であります。基地があるから、基地周辺の住民というものは基地に対する感情がそのまま安保体制にも映るわけでありまして、私どもといたしましても——私の選挙区には基地があるわけであります。これは野党の諸君にいたしましても、与党の諸君にいたしましても、同じであるわけでありまして、そこで私は基地の合理性を常に検討するということと、そして基地周辺地域の対策について政府が万全の配慮を常にとっていくということは、今後一そう必要になることを強調しなければなりませんが、このことにつきましては、総理大臣なり基地担当大臣なりから、誠意のほどをぜひ示していただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 基地周辺住民の生活を守るという、また十分の理解を得て初めて基地が生きてくる、いわゆる安全保障の目的を達することができる、かように考えます。そういう意味で私は基地対策というものは、御指摘になりましたとおり最も大事な問題だ、かように思います。基地周辺の方だけが犠牲になってわが国の安全が確保される、そういうことのないように、この基地周辺の方々に対する配慮はこの上ともすべきだと思っております。そういう意味で、今回の予算編成にあたりましても特に意を用いられたようであります。あるいはまだ不十分だという御指摘もあろうかと思いますが、そういう点はよほど改善を見てきている、かように私は確信しておりますし、この上ともそういう意味の力をいたすつもりでございます。
○有田国務大臣 先ほど総理のおっしゃいましたように、わが国における米軍の基地は、日本の安全と平和のために必要なものであるということは御理解を願いたい。その前提に立って、われわれいろいろ基地対策をやっておるのですが、日本の安全と平和のために必要なものでありますけれども、基地の周辺の方々は毎日の騒音に悩まされ、あるいはいろいろな事故に悩まされ、非常に迷惑をこうむられておる。なお、その後のいろいろな社会情勢の変化によりまして、都市発展の阻害をなしておるところもあります。 そこで、われわれとしましては、何とかして基地周辺の方々に迷惑の度を少なくするようにしたらどうか。また同時に、情勢の変化によって米軍の利用度の少ないものもだんだん出てくるわけですね。そこで、昨年の九月でございましたが、日米安全保障協議会、その事務レベルにおきまして、日本からアメリカ側に対していろいろな要請をいたした。そうしてアメリカ側も、日本の言うことももっともだというので、双方の検討を重ねておったわけですが、御承知のとおり昨年の暮れ、十二月の二十三日ですか、正式の協議会を開きまして、そうしていわゆるトップレベルで、約五十カ所の基地について双方の協議がととのいまして、その運びはいわゆる日米合同委員会において具体的な処理をやっていこう、こういうことになっておるわけでございます。 そこで、それでまあ数からいえば約三分の一は減るわけでございますが、しかしまだ依然として残る地区もありますし、また五十の中に入っておりましても、すぐあすからというわけでもございませんので、その基地周辺の人々の悩んでおられる騒音防止対策とか、あるいは民生、安定対策とか、いろいろな施策を講じまして、先ほど総理のおっしゃったように、来年度の予算におきましては、従来に比しまして約三割二分程度の増加をして、基地対策に対して熱心にいま推し進めているところであります。もちろんこれでもって十分ではございませんが、われわれは何とかして、必要なこの残る基地に対しましては十分な施策を施したい、こういう考えのもとに進みつつあることを御了承願いたいと思います。
○内田委員 担当大臣の御苦労は十分了といたしまするが、しかしやはり国民の頭にのぼりますのは、正直に申しまして王子病院の問題でありますとか、板付の飛行場の問題でありますとか、あるいは水戸の射爆場——これは日本のいわば原子力センターの付近にあるわけでありまして、しばしば事件を、大きくは至っておりませんけれども、憂えしめるものが多々ございます。また私どもの郷里におきまして本北富士演習場というようなものがございまして、これは常に問題の対象になっていることは御承知のとおりであります。たとえばこういうような、何といいますか、日本における代表的な基地の顔のようなものがいつまでも国民の納得のいく解決がつかないということは、これはもう野党のみならず、私どもとしても非常に大きな関心と憂いを持つものでございますので、この上ともこれらの問題につきましては一そうの努力を要請をするものでございます。 次に、私は中国問題に移りたいと思います。 中国問題につきましては、もうこれまでこの国会でもいろいろの方面から論ぜられておりますが、言うまでもなく、最近におきましてイタリアが中国承認の決意を表明いたし、それに続いてカナダやベルギーなども、大陸中国を承認の方向に取り上げていろいろの接触をしておることは、もう御承知のとおりであります。 そこで私が感じましたことは、このたびの総理の施政方針演説の中における総理の演説の調子でございます。総理大臣の演説におきましては新しい表現が用いられておると、私は私なりに解しました。その一つは「今後、中国が広く国際社会の一員として迎えられるようになる事態は、わが国としてこれを歓迎する」ということばをわざわざ述べておられ、また中国に対しまして各種接触の門戸をわが国は開放するものであるということを、念を押して述べておられます。その反面、従来判こで押したようないつもあることば、政経分離の方針のもとにということばが姿を消しておりますので、そこで私は、政府といたしましても、いま申しましたような国際情勢の動き、ことに言うまでもなく中国における文化大革命の騒動が収束に向かっておりますこと、あるいはベトナムの戦争がパリの会談を中心として平和的処理の方向に向かっているなど、国際情勢の動きに対応して、総理は弾力的な考えを持たれるに至っておるのか、あるいはまた従来の中国に対する考え方をある程度変えられていられるのか、あるいはそれは総理その方ではなしに、外務大臣の発想であるかもしれません。その辺につきまして、私はここにあらためて総理なり外務大臣の考え方を承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 外交というものは、私が申し上げるまでもなく相手のある問題であります。ただいま中共に対する対策のお話が出ております。それほどお気づきなら、先ほどお尋ねのありました北方領土についての表現も違っておることをやはり指摘しておきたいのであります。 と申しますのは、北方領土については、ただ北方領土だけを返還しろ、ソ連が非常にかたくなな状態だ、こういうような表現をいままではとってまいりました。しかしながら今回は、その他の面においては大体共存の状態にあることを指摘してございます。私は、イデオロギーは異にいたしますし、また大問題において相互に主張が違っておること、これはまことに残念に思いますけれども、領土問題の解決ができないことは残念に思いますけれども、あるいは経済交流はなかなか盛んになるし、シベリア開発には当方も協力をしておる、こういうことで、日ソ関係はそういう観点でやはり見ていこう。 中共との問題にしても、やはり中共といわず中国本土の問題として、在来から古い特殊な関係があるのだ、これはやはり門戸の開放はすべきだろう。ことに長期的観点に立てば、やはり日本はどういうように考えておるのかという、そういう点も明らかにしておくことが必要ではないだろうか。この際に、しからば直ちに考え方が変わっているのかというと、いまの状態では残念ながら変わらないのだ、こういうので、答弁としては相変わらず政経分離ということを申しておりますけれども、やはりたてまえとして、当座の問題ばかりじゃなしに、やはり長期的な観点に立っても、ものごとを見るべきが外交の本来の姿ではないか、国民の理解を得るゆえんではないだろうか、かように私は思っておる次第であります。
○内田委員 国際の情勢はきわめて弾力的に動いておるのでありますから、せっかく私が高く表現したような総理大臣の演説を、ことばの上で否定してしまわないほうがいいのではないかと私は申し上げておきましょう。 しかし、もっとも総理大臣の演説の中には、一つまたおもしろいことばがあることを私は気づいております。それは、中国の態度の変化を期待すると、こういうことばもございましたが、それはまことにもっともでございます。しかしそれに対しましては、中国側では同じように日本の態度の変化も期待しておるといわざるを得ませんので、そのことにつきましてのお答えは私は要りませんけれども、やはり国際的な動きに弾力的に応ずることがよいと思うわけであります。 その答弁にも関連いたすのでありますが、最近中国に関して幾つかの解決しなければならない問題が存在をいたしております。それを私が承知をいたしておるのだけ申し上げましても、たとえば日本工業展覧会の出展品目の制限問題というのがございまして、もうこれは詳しく申し上げるまでもございませんが、この展覧会は日本が補助金まで出して助成をしておる展覧会で、二年に一ぺんぐらい上海か北京などで行なわれるわけでありますが、そこの出展品目を日本側が制限をいたしております。また、制限はしないけれども、展覧会が済んだら持って帰れ、現地処分はまかりならぬ、こういうのもございます。これはわれわれもよく承知をいたしておりますが、国際的な約束ごとでありまするココムのリストに該当する品目については、日本がこのココム協定に加盟しておる限りはこれによらざるを得ないということのようでございますけれども、一つの紛争を巻き起こしておることは事実でありますので、これの趣旨なり成り行きなりということについて所管の大臣から御説明いただきたい。 もう一つ、これはいいほうにいっているようでありますが、日中覚書貿易の継続などにも関連がある問題でありますが、中国のなま肉の輸入問題があります。これは口蹄疫の問題にも関連する衛生的、技術的のかかわりあいがたくさんある問題でありますけれども、それを克服して一つの方法を考案をしつつあるようなことも伝えられておりますが、たいへんいいことでありまして、日本側の態度の変化の一つと見られればたいへんけっこうなわけであります。 さらにもう一つは、大陸中国から日本に輸出する輸出品について関税を下げてやろうという、たいへんけっこうな話があります。言うまでもなく中国はガット、つまり貿易に関する国際協定の加盟国ではありません。貿易に関する国際協定、ガットの加盟国につきましてはお互いに安い税率をきめ合っておりますが、しかしそれらに該当する品目につきまして、実質上中国から来るものについても税金を下げてやろうという話が進んでおるはずでございます。それらの実態について簡単に触れていただきたい。 第四は、これはもう旧聞に属するわけでありますが、そういうふうに態度の変化を行なったり、態度の変化が期待されておるのでありますから、輸銀の使用問題は今後どうなるか。通産大臣も幸いかわられましたし、ことにお話によりますと、輸銀の資金を補正予算までも組んで豊富にしてもらいたいということは、中国問題がこんなになってきたから、その辺にも関連があってかと、そう判断をする向きもないではないわけであります。そこで輸銀の使用——吉田書簡がどうなったかというようなことはいまさらよろしいが、輸銀の問題につきましても、これは外務省の中においてさえも——カナダやあるいはベルギーやイタリアの問題が起こって後においては、この問題についても一番がんこで、かたかった外務省の考えさえも変わってきつつあるともいわれておりますので、その問題にも所管大臣から触れていただきたい。 覚書貿易が、言うまでもなく昨年の十二月中断したままでありまして、わが党からも代表の同僚の議員が最近中国に渡られて、この覚書継続の努力のために活躍をせられるはずであります。これは何とかいいおみやげも持たしてやりたいものだと、私は私なりに思うわけであります。 しかし一方においては、新聞記者を含む十三人の日本人がいまだ依然として中国に抑留されたままで、この釈放の問題につきましても、さっぱりそのめどがつかないということも伝えられておりますが、それはどうなっているかというようなことにもぜひ触れて説明をいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 具体的な問題については外務大臣から答えさせますが、私は基本的な問題で誤解のないように願いたいと思います。 いろいろ中国大陸とも友好的な貿易拡大をはかっていく、こういう立場ではございますけれども、私どもは、本来中国は一つなり、ただ一つだ、こういう考え方を持っております。そうして、ただいままで中華民国と私どもとの間には国際条約が締結されておる。講和条約が締結されておる。そこに国際上の権利と義務がございます。したがいまして、ただいまのこの中国大陸との交流をいたすにいたしましても、この基本的な態度はただいま変わっておらないのでありますから、この点ははっきり申し上げておきます。でないと、どうも大きさによってものごとを云々されたり、あるいは二つの中国論が出たり、いろいろ問題が紛糾するように思いますので、誤解のないように願っておきます。
○愛知国務大臣 先ほどソ連の関係のお話が出ましたので、ちょっとこの機会に一言申し上げますが、領土問題につきましては総理大臣のお話のとおりでございますが、そのほかの懸案について、たとえば日ソ間の航空問題、これにつきましては、前運輸大臣の中曽根君が訪ソいたしましたときからの懸案でございましたが、約束どおりソ連側は航空大臣を首席にいたしまして、交渉団が今月三日訪日することになりまして、五日から東京で交渉を始めることになりました。この機会に申し上げておきたいと思います。 それから、中共との関係の基本的な姿勢は、これまた総理大臣のお話のとおりでございますが、実は政経分離といいましても、申し上げるまでもなく非常に幅が広いわけです、経のほうに属するものが。そこでたとえば覚書貿易、これにつきましては、私どもの考え方は、これが大筋のパイプというかルートと心得ておりますから、民間貿易でございますから、正面からは政府は関係いたしておりませんが、側面的にはその規模の拡大、継続というようなことについては、この上とも側面的協力をするつもりでございます。 それから日工展の問題は、よく事情御承知のことかと思いますが、私どもとしても最善を尽くしたつもりでございます。一面におきまして、自由主義国家群とのかねがねの約束は守らなければならない。誠実にやっていこう。しかし同時に誠実に、積極的に日工展が円滑に開かれるようにということについては、できるだけの努力をいたしました。 牛肉の輸入につきましても、よく事情御承知のとおりでございますが、これらは通産大臣や農林大臣からもお答えがあろうかと思います。 それから新聞記者の問題は、非常に私どもも心配しているわけでございまして、こまかい点については申し上げにくいところもございますけれども、われわれとしてもあらゆる在外の機関で、中共に抑留されておる新聞記者その他の人たちのまず安否を知ること、そして自由にしてもらいたいということについては、あらゆる努力をいたしておりますが、何らこれに対する反応がない。まことに残念なことに思っておるようなわけでございまして、こういう点につきましても中共側に寛大なというか、ゼネラスというか、そういう国際的な気持ちになってもらいたい。これなどはその一つの大きな具体的の事例ではないかと考えております。
○大平国務大臣 日工展問題の紛争について御報告をいたします。 ことしの春、北京と上海で展覧会が行なわれます予定で、七千点ばかりの出展の希望が十一月十三日に輸出申請が出てきたのでございます。それで鋭意査定いたしまして、先月の十三日に全部の査定を終えたわけでございます。 御案内のように、十九品目不承認、十九品目は持ち帰り条件つきという結論になりまして、これを日工展当局に渡しまして、先方もそれを受け取りまして、持ち帰り条件につきましても誓約をされたので、私どもとしては円満に解決したと考えておったのでございますが、一部新聞に報道されるように、全品出品許可の希望が出てまいりましたことは事実でございます。その言い分といたしましては、まず第一にココム協定は違憲でないかというような論点が一つ、それから査定の基準が従来よりきびしいではないか、さらにはヨーロッパ諸国よりきびしいでないか、要約するとこの三点ぐらいになろうかと思いまするが、そのいずれも当たらないのでございまして、そういった点はよく先方にも伝えてあるわけでございます。行政訴訟を提訴するとかなんとかいうことを一部報道されておりますけれども、そのようにきまったとは聞いておりません。 〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕 それから食肉輸入の問題でございますが、これはもう十年も前からの家畜衛生上の問題として可能かどうか検討してこられたようでございます。この問題を何か打開の道がないものかと思いまして、農林省と私のほうで鋭意検討いたしたのでございまするけれども、なお家畜衛生上の問題が、家畜衛生についての安全保障措置がこれでいいというところまでなかなかまいりませんのでございます。したがいまして、そういった問題にならない方法で輸入が可能かどうか、貿易政策上の見地からも、あるいは物価政策上の要請からも考えられますまいかということで目下検討中でございますが、そういった方式がはたして実行可能かどうかというような点も含めまして、いま検討いたしておるところでございます。 それから輸銀資金の問題でございますが、これは従来から政府が諸般の事情からしてケース・バイ・ケースで措置するのだということをお答えするより道がないのでございます。諸般の事情というのは一体何かということでございますが、これは輸銀の長期にわたるプラント金融、輸入金融にも資金に限度がございまするから、この金融上の制約からいってもいろいろ考えなければならぬ面もあります。それから貿易政策上からもいろいろな制約が——貿易は取引でございまするから、そして究極的にはこれはバランスをとらなければいけませんから、むやみに認めるというわけにもまいらない。その他、戦後の異常な国際環境の中でいろいろな制約がありまして、なかなか思うにまかせない事情なども含めまして、諸般の事情というように従来政府が説明しておるのではないかと私は了解しておるのでございます。 ただ、私どもといたしましては、従来から申し上げておりますように、貿易は体制のいかんにかかわらずグローバルに鋭意拡大してまいるという基本の方針を堅持いたしまして、できるだけ豊かな貿易金融措置を用意いたしまして対処していかなければならぬと思っておるのでございまして、予算編成につきましても特に配慮いたしますのは、中国問題ばかりでなく、貿易政策上から当然のことであると心得ております。 それから関税、ケネディラウンドに関連いたしましての問題でございますが、これは大蔵大臣からの御説明があろうかと思いまするから、以上私のお答えとします。
○福田国務大臣 関税の問題でありますが、わが国と各国との間の関税は、ケネディラウンド交渉が成立しました結果、大幅にかつ広範囲に引き下げが行なわれたのです、そうしますと、ケネディラウンドの適用を受けない地域との間にアンバランスを生ずるということになるわけでありますが、特に中共との間を調整する必要がある、さようなことがこの国会におきましても御決議があった次第でございますので、それを尊重し、政府においてはすでに大豆でありますとか、銑鉄でありますとか、関税引き下げの措置をとっております。なお残っておる品目の大部分につきまして、この国会に引き下げ方についての法律案の御審議をお願いしたい、さように考えておりますが、ただ生糸、これはいろいろ御承知のような事情もありますので、引き下げをいたす考えを持っておりません。
○内田委員 私が提起いたしました諸般の問題につきまして、おおむね政府の回答をいただいたわけでありますが、輸銀問題に対する御答弁は、いわば中共政策全体の縮刷版みたいなかっこうで、やはり行くえ不明のようで必ずしも納得いたしませんが、これはまた他の機会にだんだん詰めてまいりたいと思います。 中共からの輸入品につきまして関税を引き下げるという話は、それはどこかおこる国がなければまことにけっこうな話で、物価対策にもなるわけでありますから、私はこれを支持するわけでありますが、米を輸入するとか——米に関税があるかどうか知りませんが、従来から中共から米を入れたようなかっこうで米を入れる必要もないこと、また生糸は関税は下げませんということは、私よりも、私の郷里は蚕糸県、生糸をつくる県でありますが、さすがは大蔵大臣は群馬県で生糸県だ、こういうことで、私とともに大蔵大臣の値打ちは上がったろうとも思います。 次に、私は大急ぎで物価と税金の問題につきまして政府の感触を伺いたいと思います。それで終わりたいと思います。 物価の問題でありますが、物価の問題は非常にむずかしい問題でありますが、これも個条書きにお伺いいたしたいと思います。 政府の施策の見通しで、物価が五%というような発表をされたのは最近まれでございまして、従来はこれは五%というようなことを政府は言いませんでした。たいがい四%台、しかしおととしなどは四%台といったのがほとんど三%台ぐらいでおさまりまして、政府の努力は大いに高く評価されましたが、しかし昨年のごときは四%台といっておったのが五・四%、あるいはけさの新聞で見ますると、昨晩締め上げたら五・三%になったということで、政府の物価に対する政策の値打ちも〇・二%だけ国民から見直されたということかもしれませんが、来年の五%というのは非常に高いわけであります。 しかも、私が簡単にお尋ねしたいのは、生産者米価、消費者米価は据え置きだ、こういうことを総理大臣も、また大蔵大臣も経済企画庁長官も農林大臣も言っておるはずでありまするが、一方においては五%消費者物価が上がるといいながら米を押えられるのか。そればかりではありません。公務員の給与につきましては、これは大蔵大臣はけさほどの説明でも、一応人事院からベースアップの勧告があることを見越して五%上がる分だけはもうすでに一般会計に織り込んである、それ以上上がる場合には予備費をもって処置する、こういうようなお話もあるわけでありますから、そういうふうに政府の公務員の月給も上がるわけであります。したがって、米作農家につきましても、この秋までには当然米の生産資材というものも、これは消費者物価の一つで上がりますから、上がるわけでありますが、そういう環境の中においても、なおかつ、これは経済企画庁長官というよりも、農林大臣は両米価を押えていけるとお思いですか、またそれをほんとうにするのですか、ここで私は確かめておきたい。
○長谷川国務大臣 お答え申し上げます。 お説のとおり労賃といい、物価といい、来年度は幾ぶん上昇するということだけは見のがすことのできない事実だと考えます。しかし、最近における米の需給の状態を見、また物価安定という立場に立って、こういう見地から、明年度においての両米価に対してのまず据え置きというような政府の考えを申し上げたわけであります。しかしながら米価審議会というものがございまして、米価を決定するのは必ずやこの審議会にかけなければなりません。したがいまして、米価審議会の会議を経て、この成規の手続を行なう考え方ではございますけれども、政府は一応方針といたしましては、米価は据え置きということに決定をしておるのでございます。
○内田委員 農林大臣はそういうことのようでありますが、しかし、私どもはやはり心配がございます。米の値段が据え置かれますと、それでは生産コストを割ってしまうような農家は、どこかへ行かなければならぬわけであります。その農家は一体どこへ持っていくのか。おそらく政府は、それは新農政で持っていきます、つまり作物転換をさせます、それには技術面の指導なりあるいは助成もする、こういうことでありましょうが、しかし、全国の米作農家とは言いませんけれども、そういう不利益な地帯の米作農家は、はたしてほんとうに技術面、価格面、その他の面で納得をしておるでありましょうか。新農政でこれが円滑に吸収できるものかどうか。その点も簡単にぜひひとつ説明をしていただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 農産物の需要というもの、特に米の需要というものが非常に緩和されてきているということは、御承知のとおりだと考えるのでありまして、したがって、農産物の需要と生産に関する長期の見通しということになれ、現状のまま推移するということは非常な困難であろう。したがって、今後とも相当な米の過剰が見込まれておりますし、また米は何といっても国民の主食でございますので、ただ、いままでのような量をつくればいいというような考え方ではなくて、消費者が要求するようなおいしいお米をつくってもらうように、一方は指導していかなければならないと考えておりますし、したがって、米に対しますところの生産という毛のも、さらに合理化につとめてもらわなければならぬ。したがって、そのような生産の調整をはかる必要のあることであり、そこで政府といたしましては、無理のない方法で、まず開田の抑制や作付転換を進めていきたい、このように考えておるのでございまして、したがって、農家の自主的な意欲に基づいて転換を行なわれるように指導助成をしてまいっておるつもりでございます。 転換する作物といたしましては、もちろん国内には——国内も広うございますものですから、大体適地適作主義をとっていきたい。それには飼料作物とか果樹だとか、先ほどもお話のあったような桑だとか、あるいは蔬菜だとか、ビートだとか、サトウキビ、この需要を考えながら、慎重に転換方法を考えておすすめをしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○内田委員 ことしの政治の問題で一番むずかしいのは、私は、国内的にはやはり最初に述べました大学問題と米の問題だと思いますので、私どもはそれは全面的に協力をいたしたいと思いますので、どうぞひとつ農林大臣、しっかりやっていただきたいと思います。 その次に、私は、消費者物価五%は高いじゃないかと先ほど申しましたが、この五%はほんとうに守れるかということについて、実はもう一つ危惧を持っております。たとえば公共料金につきましても、これは一月の二十何日かに経済審議会が行なわれましたときに、総理大臣並びに経済企画庁長官は、公共料金については国鉄料金を除いて一切その引き上げを禁止する、「一切」と、こういうことばを使っておるが、施政方針演説になりますと、それが弾力的になって、国鉄運賃以外は極力これを抑制する、こういうふうに弾力性を帯びてきておるわけでありまして、一事が万事——五%上げというのは、国鉄運賃以外は一切引き上げないといった時代に経済企画庁がそろばんをはじいて五%と、こういうわけでありますから、それが「極力」になっただけで少し上がることにもなりましょうから、この点につきましては、少なくとも政府が支配する——私はそれはあとから申しますが、すべて無理な料金をそのまま押え込めということではありませんが、そこに問題がありますので、さらに今後、数字合わせだけでなしに、これもやはりいまの農政ではございませんが、しっかりやっていただきたいということを申し上げたいのであります。 それとまた裏返しになりますが、今日消費者物価が上がっておる一つの原因は、農林水産物でありますとか、中小企業製品でありますとか、サービス料金でありますとか、いわゆる生産性が上がっていないそういう分野の価格が上がっておるからということもよくいわれるわけでありますが、(「独占価格だ」と呼ぶ者あり)しかしこれは、いま独占価格という話がありますとおり、他の方面におきまして、利益が出て賃金が上がる、あるいは配当が上がるというようなことになりますと、その賃金というもの、配当というものが、生産性を上げることが人為的にできないような、そういう分野にも当然波及してくる。その際その高賃金をもし受け入れなければ、その中小企業なり農林水産業というものは人間がみないなくなってしまうわけであります。御承知のとおり、それは何とか倒産、人間がいなくなる倒産——労務倒産、労働倒産というのでしょうか、そういうことになるわけでありますから、そこで私は、そういうものについてまでも、物価、料金を押えさえすれば、つまりいま内田君が五%以上上がるのは問題だと言ったから、それではひとつ四・八%に押えてみようというわけで押えたらば成り立てないような産業、中小企業やまた農林水産業その他サービス産業をつぶすような形になってはいけないと考えますが、これらの点において経済企画庁長官のお答えをいただきたいと思います。
○菅野国務大臣 先ほど内田委員から消費者物価が四十三年度五・三%というお話がありましたが、これは暦年度で五・三%です。年度ではやはり五・四という予想をわれわれはいたしておるのであります。しかし、五・三%になったということは、私ら自身としては非常に喜んでおる。予想よりも低くなったかと喜んでおる次第でございます。 そこで、四十四年度は五%にするということについては、これはもちろん公共料金を全部抑えるということにすれば五%以内になるということは、われわれも最初考えたのでありますが、しかし、一方では国鉄の料金だけは破産の状態でありますので何とか救ってあげなければならぬということで、国鉄の料金は上げることにいたしましたが、その他の公共料金については極力押えるということでやりまして、公共料金以外の方法で消費者物価を押えようということを考えた。いまお話しのとおり、生産性の高い商品などは、これはそれで売り値を安くしてもらう。ただ賃金を上げたりあるいは配当を高くしたりすることをせずして、同時にやはり売り値を安くするというようなことをやってもらいますれば、私は五%以内に押えることができるというように考えておるのでありますが、しかし、よほどこれは困難であります。でありますからして、これは政府も各省もひとつこの点については協力してもらいたい。 それから、最も消費者物価で影響を及ぼすものは米価であります。米価を押えさえすれば、私は大体五%でいけるという確信を持っております。そこで農林大臣も米価は押えるというお話がただいまあったのでありますが、どうしても米価を押えなければ、私は五%ということに実は私自身自信がありません。でありますからして、消費者米価については五%で押えるということについては、これはもう政府の方針としてやっていきたい、こう考えておりますから、大体五%以内でいくということでひとつみんなが努力したい、こう考えております。
○内田委員 物価の問題には、その他まだいろいろのおもしろい問題があります。いまの消費者物価が上がっている。五%とかいいましても、日本の卸売り物価は少ししか上っていない。一%か一%弱しか上っていない。これは諸外国においても同じでありますが、諸外国においては、卸売り物価は少ししか上がっていないと同じように、消費者物価もあまり上がっていない。しかし、日本では、卸売り物価が少ししか上がっていないのに消費者物価はうんと上がっておりまして、その点外国とまるでタイプが違う。それはなぜかという問題もありまするし——しかし、もう時間がないから立ち入りません。あるいはまた、はたして日本の物価が高いのかという根本問題があるわけであります。つまり、日本で洋服を買った、卵を買った、くつを買った、ワイシャツ買った、テレビを買った、機械を買ったが、はたしてそれは世界じゅうのどこの国よりも高くなっているかというと、そうじゃないのだという問題もありますし、またそもそも消費者物価のつくり方、これはCPIというのですが、そのつくり方の構造が旧式で、あんなつくり方をやっていれば、高くなるにきまっておる。経済企画庁長官は自分で首をくくらなければならないような、そういうスタイルで消費者物価の表をつくっているのですが、あれは間違いだ。ほんとうはあのつくり方は違う。たとえば、最近はテレビとかラジオとか、ああいう長期資材なんかが相当各家庭で購入されている、そういうものは下がっているのです。食料などに関しますエンゲル係数というものものは、ずっと下がっておるのです。いまから三年前、五年前とは違う。それをCPIのつくり方のタイプが昔のままでやっているなど、いろいろ問題がありますが、もうそれは私は理事からそろそろ締めくくれという御催促もありましたので、やめます。 ただ、ひとつおもしろい話を皆さんに申し上げますと、世界的に日本の経済をどう見ているかということにつきまして、一月十三日に、英国のフィナンシャル・タイムズ紙という、まあ日本の経済的な新聞と同じような新聞があるのですが、それがおもしろいことを書いている。それは世界じゅうの各国の経済に点数をつけて、一番よくできたところには総合最優秀賞という表彰を実は出しておるわけです。それはひどいところもあるのですが、総合最優秀賞をもらっているのが日本であって、そうして最不人気賞、最も不人気賞というのをとったのがフランスです。それから英国はだめだ、なまけていてだめだという安逸賞というのが英国自身に与えられているのですが、これは、日本がなぜ総合最優秀賞をとったかといいますと、ごく簡単ですが、こう書いてある。先進国の中では日本に——(「だれがもらったんだ」と呼ぶ者あり)この総合優秀賞は日本国に与えられた。だれがもらったかということになりますと、やっぱり総理大臣ということになるわけであります。その理由は、日本の経済は、一九六八年に実質一〇%をこえる成長を遂げ、しかも国際収支は外貨準備が記録的水準に達するほどに好調であった。若干のインフレの進行はあったけれども、これも世界の標準から見て特にけたはずれだものでなく、日本の経済は総合して目ざましい業績をおさめたものと判定して、この賞を授与する。いまにあなたのところにそういう英語で書いた賞状が届くのではないかと思います。 ところが、ドイツなんかもあるんですが、ドイツなんか傍若無人賞というので、人の迷惑をかまわぬ、こういうわけですが、これは読みませんが、フランスはこう書いてあるのですよ。一たんフラン切り下げの実施の印象を与えて、そうして大がかりな国際的な援助を取りつけておきながら、ドゴールはまた言をひるがえしてフラン切り下げをやめて、他の諸外国に疎外感を持たせ、国際通貨機構にとって非常な脅威が続いていることは、フランスの政策が適当ならざるものと判定する。よって、最不人気賞を授与する、こういうわけです。 英国に至っては、これは御承知のとおり、労働党内閣でありますが、もっとも日本の労働党、日本の社会党とも違う労働党のようでありますが、ジエンキンズ英蔵相、彼は一昨年二月の声明で、イギリス経済を立ち直らせるためには、今後二年間に国民が刻苦精励する必要があると明言した。その刻苦精励の二年の期間が過ぎようとしているのに、他の諸国のほとんどは、イギリスは一九七五年より前には決して立ち直れないだろうという評価をしておる。よってなまけ者賞を授与すると、こういう次第でございます。 実は、私はここに税金の問題を用意してまいりました。政府は千五百億、千八百億の減税をするということで、けっこうでありますし、またそれについて私は特にサラリーマン減税のことを論じたいのであります。要はもっとやれということであります。サラリーマン減税をもっとやれ。しかし、給与所得の幅を引き上げたというようなことは、大蔵大臣福田赳夫君氏の一つの勇断ではあるけれども、まだ足りない。その理論を展開したいし、また中小企業などに対しましては、昨年来行なった国税についてと同じように、ことしからは完全給与制、つまり自分の仕事に女房や子供を使っても、いままで年十七万円くらいしか給料を払ってなかった。それ以上払っても税金の計算では損金として認めないということで、中小企業に非常に高い税金がかかってきておりましたのを、地方税においても今度は女房や子供に払っただけの給料を、それが合理的である限り認めるということに政府が直されるということで、これもまあ一つの最優秀賞でもないけれども、なかなか傑作賞くらいをあげるわけであります。 農業についてもいろいろ問題はあるわけでありまして、それらについても論じたいのでありますが、残念ながら約束の時間を過ぎましたので、その問題は他日に譲ります。 ここで私は最後に総理大臣を激励いたしますことは、総理大臣は、私が述べましたように、またこれからも同僚与党並びに野党の諸君がおそらく述べられるでありましょうように、非常なむずかしい問題を幾つかかかえて佐藤総理大臣は第三期目の総理、総裁に就任されているのでありまして、これから先は非常に困難な問題をかかえて異常な努力を必要としますことは、米国における新ニクソン政権が抱いておるあの諸問題と同じであると思うわけでございまして、どうぞひとつ与党を率いて、そうしてりっぱな政治を行なっていただきたいということを激励の辞としてささげまして、私の演説を終わらしていただきます。 委員長、ありがとうございました。
○荒舩委員長 これにて内田君の質疑は終了いたしました。 次回は、来たる三日午前十時より開会し、総括質疑を行ないます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十六分散会