本会議 第15号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/03/18
会議録
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。 ————◇————— 日程第一 日本国とオーストラリア連邦との間の漁業に関する協定の締結について承認を求めるの件 日程第二 日本国とユーゴースラヴィア社会主義連邦共和国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件
○議長(石井光次郎君) 日程第一、日本国とオーストラリア連邦との間の漁業に関する協定の締結について承認を求めるの件、日程第二、日本国とユーゴースラヴィア社会主義連邦共和国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員長北澤直吉君。 ————————————— 〔報告書は本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔北澤直吉君登壇〕
○北澤直吉君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、オーストラリア連邦との間の漁業協定について申し上げますと、わが国は、オーストラリアが一九六八年一月に国内法により沿岸から十二海里までの漁業水域を設定したことに対しまして、沿岸国の一方的な措置による漁業水域の設定は国際法上認められないとの立場から異議を唱え、この問題につきオーストラリア側と交渉を行ないました結果、合意が成立いたしましたので、昭和四十三年十一月二十七日キャンベラにおいて本協定に署名したのであります。 本協定の内容は、日本の船舶がオーストラリアの領海に接続する水域で、領海が測定される基線から十二海里までの水域のうち、オーストラリア本土周辺の特定水域においては一九七五年十一月二十七日まで、また、パプア、ニュー・ギニア周辺の特定水域においては一九七一年十一月二十七日または両国政府が合意するその後の日まで、マグロはえなわ漁業に従事することができ、その漁獲量は、一九六三年から一九六七年までの間の年間操業水準の平均を越えない範囲としております。 また、マグロはえなわ漁業の装備を有するわが国の船舶は、一九七五年十一月二十七日までの間、オーストラリアのブリスベーンほか三港に寄港できること等について規定しております。 次に、ユーゴースラヴィア社会主義連邦共和国との文化協定の締結につきましては、昭和三十二年以来、ユーゴースラヴィア側からしばしば申し入れがありましたので、わが国といたしましても、文化の交流を通じて両国間の親善関係の増進に寄与することを考慮いたしまして、この申し入れに応ずることとし、昭和四十二年一月以来交渉を続けてまいりましたところ、合意に達しましたので、昭和四十三年三月十五日、東京において本協定に署名したのであります。 本協定の内容は、両国文化の相互理解を容易にし、両国の科学技術等の機関で研修する相手国国民への便宜供与の方法、及び一方の国で与えられる学位、資格証書等に関して、他方の国においても共通する価値を認める方法を研究し、さらに、文化、科学、教育機関及びスポーツ団体相互間の交流並びに相互協力を奨励すること等を規定しております。 本二案件は、ともに二月二十五日本委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。 かくて、オーストラリア連邦との間の漁業協定については三月十四日に、また、ユーゴースラヴィア社会主義連邦共和国との間の文化協定については三月十七日に、それぞれ質疑を終了しましたので、討論を省略して採決を行ないましたところ、二案件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(石井光次郎君) 両件を一括して採決いたします。 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、両件は委員長報告のとおり承認するに決しました。 ————◇————— 日程第三 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(石井光次郎君) 日程第三、所得税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 ————————————— 所得税法の一部を改正する法律案 〔本号(二)に掲載〕 —————————————
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長田中正巳君。 ————————————— 〔報告書は本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔田中正巳君登壇〕
○田中正巳君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 この法律案は、 まず第一に、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかるため、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ一万円引き上げるとともに、扶養控除を二万円引き上げることといたしております。その結果、夫婦と子供三人世帯における給与所得者の課税最低限は、現在の八十三万三千円から九十三万五千円に引き上げられることと相なっております。 第二に、中堅給与所得者層における所得税負担の累増を緩和するため、現在、給与所得控除の額が年収百十万円で頭打ちになっているのを改め、年収三百十万円までは給与の収入の増加に応じ給与所得控除の額も増加するよう、定率控除の適用範囲を拡大することといたしております。 第三に、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかるため、税率の刻みとその適用区分の改善をはかることといたしております。 第四に、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ一万円引き上げるとともに、母子世帯など配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の控除も一万円引き上げることといたしております。 以上のほか、ノーベル賞を非課税所得として法定すること、二分の一課税方式の適用されない短期譲渡所得の範囲を保有期間五年以内の資産の譲渡による所得に改めること、予定納税を要しない限度額を一万五千円から二万円に引き上げること、小規模企業共済掛け金を年末調整で控除できるようにすること、社会保険労務士の報酬を源泉徴収の対象に加えることなど、所要の規定の整備を行なうことにいたしております。 本案につきましては、去る七日政府より提案理由の説明を聴取し、自来慎重な審査を行ないました。 おもなる論議の内容は、給与所得者に対する源泉徴収制度の是非並びに必要経費の問題、課税最低限と物価との関係、自然増収と減税額の割合、租税の負担率、租税の所得再分配効果、利子及び配当所得に対する課税問題、配偶者に対する税制上の優遇措置、直接税と間接税の比率のあり方、税務行政のあり方等広範囲にわたりましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。 かくて、去る十四日、質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、自由民主党を代表して渡辺美智雄君は賛成の旨を、また、日本社会党を代表して只松祐治君、民主社会党を代表して河村勝君、公明党を代表して広沢直樹君は反対の旨をそれぞれ述べられました。 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもって原案のとおり可決せられました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(石井光次郎君) 討論の通告があります。これを許します。只松祐治君。 〔只松祐治君登壇〕
○只松祐治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま報告のありました所得税法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。 歴史をひもとくまでもなく、支配者と被支配者の権力争奪の接点の一つは税制であります。すなわち、政治の基本が税制にあるといわれるゆえんは、ここにあります。したがって、政治とは、どの階層の国民に税金を課し、どの階層の国民のためにその税金をどのように使うか、施策を行なうかということであると申しても過言ではありません。 かかる観点よりいたしますと、自由民主党佐藤内閣は、国民の声を無視し、期待を裏切って、巨大法人や大資産家、不労所得者、高額所得者層などにはきわめて寛大な税制と徴税を行ないながら、あとで述べるように、所得税を中心に、中小零細企業者、勤労者に対しては苛斂誅求、百姓とゴマの油はしぼればしぼるほど取れるといわれた昔の悪代官以上に、税法上も、徴税の面からも重税を押しつけてきています。政府が、大蔵大臣がいかに減税をした減税をしたと宣伝にこれつとめても、ちまたには重税に対する怨嗟の声が充満しており、天引きで、税金にほとんど関心を示さなかったサラリーマンさえ大きく立ち上がりつつあることは、マスコミにも連日報じられているとおりであり、われわれ為政者にとってゆゆしい問題であります。政府は、この事態にいつまでも目をおおってこれを無視し、反省をしないならば、単に佐藤内閣の不信にとどまらず、やがては政治不信へと発展し、重大な事態を招来するでありましょう。私は、まず法案の討論に先立ち、政府及び関係者の現行税制及び徴税に対して猛省を促してやみません。(拍手) およそ近代国家の税制は、言うまでもなく、応能、公平、法定の三原則に基づき、また、税務行政は民主的であらねばなりません。ところが、現行のわが国の税制と税務行政は大きくこの原則にもとり、逆に、年々この原則から遠ざかりつつあります。世界に類例を見ない悪法たる租税特別措置法、大企業に低い法人税法、マッチ一本にもかかる間接税など、わが国の税制、税体系を総合的に論すれば、私の言っていることが決して誇大でも言い過ぎでもないことが明白になりますが、時間の関係上、私は、ただいま議題になっている所得税法についてのみ申し述べて、その実態を国民の前に明らかにいたしたいと存じます。 まず、直接税対間接税の比率でありますが、本年度末には六五対三五%になり、明年以降には七対三の比率になるでありましょう。さらに、この比率の中身がたいへんに重大であります。すなわち、直接税の中で、所得税が当初予算で一兆九千五億円、四九・六%、人員は二千五百五十三万人に及びます。またその中で、源泉所得税は税額一兆三千二百九十六億円、人員は二千百六十三万人にも達しており、インフレと物価高にあえぐ労働者の春闘が終わりますれば、名目賃金の上昇に伴って税額、人員とも大幅にこれを上回り、所得税総額は二兆億円をこえ、直接税に占める割合も五〇%を突破することになるでしょう。所得税は、まさに額に汗して働く勤労者にとって、のがれようとしてものがれることのできない重税であり、酷税、すなわち、むごい税金であります。(拍手) 次に、本年度の改正案について論及してみましょう。 さきの委員長報告にありましたように、政府は、本年度は所得税を中心に一千五百億円の大幅減税をしたと自画自賛をいたしていますが、本年度の自然増収一兆一千九百六億円、うち、所得税の増収五千八百五十五億円に対比すれば、それはあまりに少額であります。しかも、政府の言うとおり物価上昇を五%以内として、物価調整減税四百二十億円を差し引けば、実質的に千百億円になり、おそらくインフレ政策を進める佐藤政府のもとで五%にとどまることは困難でありましょうから、さらに実質減税は減り、一千億程度に落ち込んでしまうことは確実であります。かつて政府に忠実な税調でさえ、物価が五%上がった場合は、所得税の自然増収の三割は物価上昇分として考慮するよう報告したことがあります。といたしますならば、本年度は少なくとも一千八百億円以上を物価調整分として減税措置を講じなければならないはずでありますが、総理、いかがなものでございましょうか。改むるにはばかることなかれと申します。国民のためになることなら、いまからでもおそくはありません。改める勇気はありませんか。 第二に、今回の課税最低限の引き上げは、生計費に課税せずという税法の原則を踏みにじり、相変わらず生計費にまで食い込んだ課税がなされているということであります。特に納税者の八五%を占めるサラリーマンにとりましては、給与の全額が課税対象とされている、いわゆるクロヨンといわれますように、きわめてきびしいものがあります。今回の改正で、課税最低限は五人世帯で約十万円引き上げられ、四十四年度九十一万円、平年度九十三万五千円に引き上げられ、独身者についても三十一万五千円から三十二万五千円になりましたが、これは実際の生活費と比べていまだ低く、たとえば国民生活研究所の調査によると、四人家族の団地生活者は実額百四万円にも達しており、総理府の統計から推計しても、五人家族ではすでに百十万円をこえております。わが党が本年度四人家族百万円を主張していることは、まことに妥当なものであります。 第三に、今回の税制改正は高額所得層の減税に重点が置かれ、低所得層の負担はかえってふえているのであります。今回の改正の特徴は、十二年ぶりに税率の緩和が行なわれたことと、給与所得控除の適用範囲が広げられたことであります。しかし、これにも大きなごまかしがあります。税率の刻み自体何ら根拠のない、きわめて恣意的なものであるばかりでなく、最低税率はかえって九・五%から一〇%に引き上げられております。また、給与所得控除についても、百五十万円以上の定率控除部分が拡大されただけで、低所得者層の望んでおる定額控除部分の引き上げは全然忘れられています。これでは名は減税といっても、上に厚く下に薄い減税であります。その結果、五人家族で年収百万円の人は八千円程度の減税にすぎませんが、五百万円の人は十五万五千円、一千万円の人なら二十二万八千円の減税になっております。また、独身者の場合では、年収五十万円の人はわずか五百円の減税にしかすぎません。税率最低限の引き上げにより、かえって増税にさえなっているのであります。このことは、全体で一千五百億円の減税といっても、大部分は中高額所得者に持っていかれてしまい、低所得者、独身者はほとんど減税の恩恵に浴しておらないことを端的に示しております。 さらに問題となるのは、物価の値上がりをカバーしようとする春闘によって、名目所得が一一%程度上がるといたしますと、生活は一向に楽にならないのに、税金はかえって二一%も増税になるのであります。特に、現在の酒、たばこなどを含めた税体系のもとで、重税のしわ寄せを受けているのは低所得者層であります。しかも、所得税納税者のうち七割が年収百万円以下の所得者層であることを考えますならば、これらの階層の減税に力を注ぐことが緊急の課題でなければなりません。しかるに、福田大蔵大臣は、これらの階層の減税は一応終わったと広言いたしていますが、はたしてそうでありましょうか。たとえば五人家族で年収百万円の場合、所得が一割程度ふえれば、実際の税金は減税前よりも約三千円ふえるのであり、独身者の場合、かりに年収五十万円が五十五万円になると、税金は実に四千円近くもふえることになるのであります。まさに、重税のおりに閉じ込められたサラリーマンの現実を端的に示しているものといわなければなりません。 第四に、今回の改正案は、不労所得、資産所得優遇の税体系は何ら是正されず、むしろ強化されたことをあげなければなりません。これまで述べましたように、課税最低限の引き上げ、税率の緩和等が年収四百万円以上という高額所得者に大きく食われてしまうことは、本年度のような減税方式から考えれば当然の結果であり、こうした高額所得者層には減税は当面必要がないのであります。しかも、租税特別措置法の改悪と相まって、資産所得者層の優遇措置には何らの是正措置がとられていないのみか、国民を無視し、ますます逆コース、悪化の傾向をたどっているではありませんか。五人家族の課税最低限はわずか九十一万円に押えておいて、配当収入だけの所得者層については、課税最低限を二百三十六万円から本年度には二百八十二万円にまで大幅に引き上げることにしたのは、サラリーマンが不公平を嘆くよりもゲバ棒でも持ちたい気持ちになりつつあるのは、まさにやむを得ないことだと存じます。 第五に、今回の税改正は、現行税法それ自体に内包された矛盾を何ら解決することなく、かえって矛盾を拡大する結果となっていることであり、政府がどんなに減税のPRをいたしましても、税額はもちろん、納税人員も二千万人のワクを大きく突破して二千五百五十三万人と増大し、そのうち八五%が源泉所得者サラリーマンであり、しかも、高校を卒業して二万円を少しでもこえた月給を取れば、洋服も持たない少年にも所得税を課するというがごとき税法のもとに生活を営ませなければならないということは、いかに法定主義とはいえ、政府・与党はもちろん、われわれ政治に参加する者も深く反省しなければなりません。 さらに私は、第六、第七、第八と問題点を述べる用意がありますが、時間の関係上、以上で問題点の指摘をとどめ、最後に、今回の改正はきわめて不十分であり、額に汗して働く人々には重税を、不労所得、高額所得者には減税をという現在までの大衆重課の税構造を温存しているばかりでなく、独占資本の要請によって佐藤内閣が推し進めているインフレ経済の効果を悪用いたしまして、ますますその弊を助長しようとするものであります。 わが党は、すべての働く国民を代表して本改正案に強く反対の意を表明するとともに、税調の改組をはじめ、税制の民主化、近代化のための抜本的な対策のすみやかな推進を求めるものであります。そのためにも、わが党が大蔵委員会をはじめ各種委員会において提示いたしました建設的な意見をすなおに検討し、実施するよう強く要望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(石井光次郎君) これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手) ————◇————— 日程第四 昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算 昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算 昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書 昭和四十一年度政府関係機関決算書 日程第五 昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書 日程第六 昭和四十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
○議長(石井光次郎君) 日程第四、昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十一年度政府関係機関決算書、日程第五、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書、日程第六、昭和四十一年度国有財産無償貸付状況総計算書、右各件を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。決算委員長中川俊思君。 ————————————— 〔報告書は本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔中川俊思君登壇〕
○中川俊思君 ただいま議題となりました昭和四十一年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。 初めに、各件の概要から申し上げます。 まず、昭和四十一年度決算でありますが、一般会計の決算額は、歳入四兆五千五百二十一億円余、歳出四兆四千五百九十一億円余、差引九百二十九億円余の剰余金を生じております。 特別会計の数は四十五、その決算総額は、歳入八兆六千五百八十三億円余、歳出七兆六千六百九十八億円余、その歳入超過額は九千八百八十四億円余となっております。 国税収納金整理資金の収納済額は三兆四千七百四十四億円余、支払命令済額及び歳入への組入額は三兆四千六百八十億円余となっております。 政府関係機関の数は十三、その決算総額は、収入三兆八千六百五十六億円余、支出三兆六千百二十一億円余となっております。 次に、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書でありますが、昭和四十一年度中に増加した国有財産の額は、一般、特別両会計を合わせて五千七百三十億円余、同じく減少額は千四百二十五億円余、差引純増加額は四千三百四億円余となり、年度末現在額は五兆五千百六十五億円余となっております。 次に、昭和四十一年度国有財産無償貸付状況総計算書でありますが、昭和四十一年度中の無償貸付の増加額は、一般、特別両会計を合わせて七十九億円余、同じく減少額は四十九億円余、差引純増加額は三十億円余となり、年度末現在額は七百二十二億円余となっております。 各件のうち、決算は四十三年三月七日に、国有財産関係二件は同年一月二十三日に、第五十八回国会に提出され、決算は四十三年三月七日、国有財産関係二件は同年一月二十三日委員会に付託されました。 委員会は、四十三年三月二十二日、各件について大蔵省当局よりその概要説明を、会計検査院より検査報告の概要説明を聴取した後、慎重審議を重ね、本年三月十七日決算外二件の審査を終了し、決算については、直ちに委員長より左記要旨の議決案を提案いたしました。すなわち、一、昭和四十一年度決算審査の結果、予算の効率的使用等、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。政府は、次の諸点について特に留意して適切な措置をとり、次の常会の初めに本院にその結果を報告すべきである。 (1) 地方自治体等に対する零細補助金等の整理統合は、従来しばしば指摘してきたが、なお、その実があがっていない。 補助金の多様化と零細化が地方行政を複雑、非効率なものとし、地方政財の自主的運営を阻害している実情にかんがみて、補助金の合理化をさらに推進し、国、地方を通ずる事務の簡素化と財政資金の効率的使用をはかるべきである。 次に、補助金の交付が適切に行なわれていないため、補助の趣旨が十分生かされていないと認められるものがある。 また、地方自治体等が国の補助金、負担金の交付を受けて施行する各種公共事業について、工事費の査定、並びに補助金等の交付がおくれたため、工事が、冬季の工事不適時または年度末に行なわれる事態も改善されていない。 政府は、関係行政機構と事務手続の簡素化をはかり、補助工事が適時、円滑に行なわれるようつとめるべきである。 (2) 契約の締結にあたっては、契約の目的となる物件または役務について十分な調査検討を行ない、適正な予定価格を作成して契約の適正を確保する必要がある。 特に随意契約は、競争契約の場合より安易に予定価格を作成していると認められるものがある。 政府及び政府関係機関は、契約締結にあたっては、十分な調査と入念な検討を行ない、もって契約の適正、効率化を確保すべきである。 (3) 東南アジア地域を中心とする発展途上国に対するわが国の経済協力は、援助の目的とわが国及び相手国の実情に即して最も効果的な援助を選定し、統一ある方針のもとに適切なる援助を実施すべきである。 資本協力にあたっては、事業の相手国等に及ぼす経済効果等を事前に十分に調査する必要があり、これがため、技術協力との一元的推進により、経済協力の実効性の確保につとめるべきである。 (4) 公社、公庫、公団、事業団等の事業運営等について、従来しばしば指摘してきたが、いまだ改善を必要とする点が多い。 すでに事業の目的を達成したもの、あるいは事業成果のあがらないものなどの整理統廃合を促進し、新設にあたってはその乱立を防止すべきである。 また、役員の任命にあたっては、高級公務員の選任に慎重を期し、広く民間人材と部内職員の起用をはかるとともに、その定数、給与等については、統一ある基準を法令に明示する等、再検討を行なう必要がある。 さらに、事業の運営にあたっては、効率性の発揮につとめるとともに、業務報告等を国会に提出し、もってこれら機関が国の行政機構と独立して設けられた趣旨が十分生かされるようつとめるべきである。 (5) 交通、水道、病院等地方公営企業は、昭和四十年度末の不良債務の解消をはかる財政再建計画の実施等により経営収支の改善につとめているが、なお、全般的には悪化の傾向にある。 政府は、地方公営企業の合理化を促進して、経営収支の改善をはかるため、公営企業金融公庫の融資条件の緩和など、財政援助と経営指導体制を強化し、累積欠損金解消のための財政再建計画の実行にさらに適切な援助を強化すべきである。二、会計検査院が指摘した不当事項については、本院においてもこれを不当と認める。 政府は、これら指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、また、行政管理庁の勧告等を尊重して制度機構の改正整備をはかり、官紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。三、決算のうち、前記以外の事項については異議がない。 以上が議決案の概要でございます。 これに対して自由民主党、民主社会党は賛成、日本社会党、公明党は議決案中に述べられている「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」という事項には同意できない、したがって、決算については不承認、警告事項については賛成である趣旨の討論があり、採決の結果、多数をもって議決案のとおり議決いたしました。 次いで、国有財産関係二件について採決の結果、各件はいずれも是認すべきものと多数をもって議決した次第であります。 以上、報告を終わります。(拍手) —————————————
○議長(石井光次郎君) これより採決に入ります。 まず、日程第四の各件を一括して採決いたします。 各件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、各件は委員長報告のとおり決しました。 次に、日程第五及び第六の両件を一括して採決いたします。 両件の委員長の報告はいずれも是認すべきものと決したものであります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、両件は委員長報告のとおり決しました。 ————◇————— 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案(第六十回国会、内閣提出)
○西岡武夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 すなわち、この際、第六十回国会内閣提出、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。 —————————————
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員長大久保武雄君。 ————————————— 〔報告書は本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔大久保武雄君登壇〕
○大久保武雄君 ただいま議題となりました日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 日本合成ゴム株式会社は、合成ゴムの国産化体制を確立するための政府・民間共同出資会社として昭和三十二年に設立されたものでありまして、現行法は、同社に対する政府出資及び設備資金の確保等について規定したものであります。 同社は、昭和三十五年に操業を開始して以来、順調かつ急速な発展を遂げ、同社を中核とするわが国の合成ゴム製造事業は、その生産能力におきまして、いまや世界第二の地位を占めるに至りました。このように、同社は、国策会社としての所期の目的を達成いたしましたので、今後は純然たる民間会社に移行させ、その自主的な事業運営にゆだねることが適当と考えられ、この趣旨によって本法案が提出されたのであります。 本案は、昨年の第六十回国会に提出、当委員会に付託され、質疑の後、継続審査となったものであり、本国会では昨年十二月二十七日に付託されております。本年に至り、去る二月十二日、通産大臣より提案理由の説明を聴取、三月四日より質疑に入り、政府当局及び参考人に対する質疑によって慎重な審査を行ないました結果、本日に至り質疑を終了いたしました。引続き採決に付しましたところ、本案は全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案による、国有財産たる株式等の処分を一そう適正化すること、及び法律廃止後においても合成ゴム製造事業に対して強力なる行政指導をすることの二点に関する附帯決議を付しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇————— 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
○西岡武夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 すなわち、この際、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(石井光次郎君) 西岡武夫君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。 —————————————
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長井原岸高君。 ————————————— 〔報告書は本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔井原岸高君登壇〕
○井原岸高君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、逓信委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。 この議案は、日本放送協会の昭和四十四年度収支予算、事業計画及び資金計画について国会の承認を求めようとするものでありますが、まず、その内容を御説明いたしますと、収支予算は、事業収支は、収入、支出とも八百三十七億五千万円、資本収支は、収支いずれも二百十五億円となっております。また、事業計画は、そのおもなものとして、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及のための放送網の建設、放送番組の充実刷新、教育、教養番組の利用促進、受信契約者の維持増加等をはかることになっております。 なお、この収支予算等に対し、郵政大臣は、これをおおむね妥当と認める旨の意見書を付しております。 逓信委員会におきましては、二月二十六日本案の付託を受け、自来数回の会議を重ねた後、三月十八日討論採決を行なった結果、多数をもって本議案はこれに承認を与うべきものと議決いたした次第であります。 なお、採決の後、委員会は、政府並びにNHKに対する六点の要望事項を内容とする附帯決議を付することを多数をもって議決いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。 本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。 ————◇————— 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに石炭鉱業国有法案(多賀谷真稔君外十四名提出)及び日本石炭公社法案(多賀谷真稔君外十四名提出)の趣旨説明
○議長(石井光次郎君) 内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、及び石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案、並びに多賀谷真稔君外十四名提出、石炭鉱業国有法案、及び日本石炭公社法案について、趣旨の説明を順次求めます。通商産業大臣大平正芳君。 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案、及び石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 わが国の石炭鉱業は、エネルギー革命の進展、自然条件の悪化、労働力需給の逼迫等によって、その経営基盤が著しく悪化し、きわめて憂慮すべき状況に置かれております。このため、政府は、昨年十二月の石炭鉱業審議会の答申の趣旨を十分尊重して、本年一月に、石炭対策に関する閣議決定を行ない、今後の対策の基本的方向を確立した次第であります。 この新しい石炭対策におきましては、わが国のエネルギーの安定的供給、雇用の安定、地域経済の発展など、国民経済的観点から総合的施策を講ずることとし、このため、石炭鉱業の再建のための助成、体制の整備、労働対策の推進、保安対策の強化、閉山対策の改善、鉱害処理対策の推進及び産炭地域振興対策の強化などの諸施策を推進してまいることといたしております。これがため、政府といたしましては、所要の予算措置を講ずることとし、本国会の御審議をいただいておるところでありますが、これに伴い、石炭関係法律につきましても所要の改正を行なうことが必要であると考え、今回、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案、及び石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を提案いたした次第であります。 次に、これらの法律案の概要を御説明申し上げます。 まず、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 本法は、石炭鉱業の再建のための助成策の一環として、総額一千億円程度の再建交付金を石炭企業に対し交付することをその主たる内容とするものであります。再建交付金は、再建整備計画について、本法施行の後新たに通商産業大臣の認定を受けた石炭企業に対し、その負っている債務の償還とそれにかかる利子の支払いに充てるために交付するものであります。その際、再建交付金の交付の対象として、従業員に対して負っている賃金及び退職金の支払いの債務などのいわゆる従業員関係債務をも含めることとするほか、石炭企業の資金調達を容易にすることを目的として、いわゆる担保抜きに伴う特別の損失補償を行なうことができるよう措置しております。 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 今回の改正の第一点は、今後やむを得ず生ずる企業ぐるみ閉山による社会的混乱を防止するため、閉山を行なう石炭企業が、その資力をもってしては支払うことができない従業員関係債務、鉱害債務、一般債務等について、一定の限度までは充足が可能なように、所要の金額を石炭鉱山整理特別交付金として交付する制度を創設することであります。 改正の第二点は、石炭鉱業の体制の整備に資するため、石炭企業が相互に協力して事業を行ない、またはその事業を一体的に運営することが特に必要な場合には勧告を行なう制度を設け、また、石炭の流通の円滑化をはかるための共同行為を指示する制度を設けることであります。 以上が、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案、及び石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手) —————————————
○議長(石井光次郎君) 提出者多賀谷真稔君。 〔多賀谷真稔君登壇〕
○多賀谷真稔君 私は、石炭鉱業国有法案、並びに日本石炭公社法案について、提出者を代表して、その提案の趣旨説明を申し上げます。 戦後、日本経済再建のにない手であった石炭鉱業は、その後石油の進出により急速にその需要が減退し、千二百円炭価引き下げとともにスクラップ・アンド・ビルド政策が強行され、その結果、失業者のはんらん、関連中小企業の倒産を引き起こし、産炭地域は荒廃して大きな社会問題となり、労働者を中心として、中小企業者、住民、自治体、一体となって政府に石炭政策の転換を迫ったのであります。昭和三十七年四月、政府は石炭鉱業調査団を編成し、第一次、第二次、第三次の答申がなされ、ことに第三次答申は、抜本策として一千億円の債務の肩がわりという私企業への異例の措置であったのであります。しかしながら、これらの諸政策もことごとく失敗に終わり、石炭鉱業の全面的崩壊は必至の状態となったのであります。 かくして政府は、石炭鉱業審議会に答申を求め、昨年十二月二十五日、第四次答申がなされましたが、この第四次答申の基調は、再度一千億に及ぶ債務の肩がわりを中心とする、五年間四千億円程度の財政支出を行ない、この間に出炭規模を三千五百万トン程度に縮小しようとするものであります。この答申は、私企業としての経済的基盤を完全に失っている個々の企業をそのままの形態にして再建交付金を交付するものであって、全く従来の政策を踏襲したのみであります。これは金融機関の救済と個別企業対策であって、石炭の産業政策ではないのであります。再び過去の失敗を繰り返すことは火を見るよりも明らかであります。 私は、今日までの政府の政策について、その欠陥を指摘しつつ、政策の提言をいたしたいと思います。 第一に、従来の政策の最大の欠陥は、個別企業対策に終始したということであります。相次ぐ答申が挫折した原因には、もちろん予想以上の重油価格の低落、諸物価の高騰などがありましたが、政策を策定するに際して提出された各社の計画が、常に会社の利害の上に立ってつくられ、さらに、答申に基づく再建計画の実施が無秩序に行なわれ、計画がそごを来たしたという事実を見のがすわけにいかないのであります。第一次答申以来、各社は競うて第二会社化、閉山、首切りを進め、五年間逐次実施する予定のスクラップ計画をわずか一年半で強行し、その後における合理化も、ベースアップの抑制、労働時間の延長、組夫の導入など、全く非近代的方向で行なわれてきたのであります。その結果、大災害の頻発となり、労働者に炭鉱の将来に対する展望と希望を失わせ、離山ムードをかり立て、ついに計画出炭体制を経営者みずから放棄するに至ったのであります。 第二には、かように企業内合理化は非合理化の段階まで落ち込んでおるのに、企業間の合理化は全然放置されてきたということであります。石炭鉱業の近代化を阻害しているものは、明治以来の先願主義による鉱区の大手炭鉱の独占と錯綜せる鉱区の分布によるものであります。鉱区の統合は、石炭の生産構造整備の基本であります。地下の鉱物資源が土地所有権に属する法制になっていた英国においては群小の炭鉱が存在し、近代化が著しくおくれていたところから、早くより国有化が叫ばれてまいりました。イギリスの国営、フランスの公社営制度は、大胆な鉱区の統合再編成であったのであります。したがって、生産基盤の整備を行なわずして石炭鉱業近代化はあり得ないのであります。 次に、石炭鉱業の近代化のおくれは、その流通機構にも見ることができます。わが国においては数百に及ぶ銘柄があり、しかも、輸送コストの高い石炭の交錯輸送が依然として行なわれておる現状であります。最近は石炭の供給構造が変化し、北海道に重点が移行し、さらに石炭各社の出炭と販売シェアが変わりつつある今日、流通機構の一元化が緊急な課題であります。石炭の需要は電力並びに鉄鋼が大宗を占めております。いわばその大部分が政策需要であることからも、販売における競争は、もはや意義を失っておるのであります。今日まで、政府がこれらの根本的な問題の解決に手をつけようとしなかったところに、わが国の石炭鉱業の悲劇があるといわざるを得ないのであります。(拍手) 第三には、今後の石炭政策において最も重要な問題は、いかにして労働力を確保するかという問題であります。鉱山の命数は鉱量によってきまります。個々の炭鉱に就職することは、若い者にとっては永遠の職場ではないのであります。高温多湿の地底に、しかも災害の多い職場で、低賃金で、退職金すら確保の保証のない状態において、労働力の吸収が困難であることは当然であります。それには、災害を防止し、労働条件を引き上げ、現在のような各炭鉱別雇用でなく、石炭鉱業全体としての雇用形態に改め、少なくとも現存する技術者、労働者を確保しながら、若い労働力の養成をはかることが必要であります。 第四には、膨大な債務と残存鉱害の処理の問題であります。欧州各国とも、石炭政策については多くの予算を計上し、保護助成政策をとっているのでありますが、わが国のごとく、私企業たる個別会社に政府が債務の肩がわりをした例は皆無であるとともに、企業間においてきわめて不公平な施策となっているのであります。しかも、一千億の肩がわりでは立て直しが困難であるということが判明した今日、個別企業を再編成し、公的機関に統合して、債務の整理と鉱害の処理を行なう必要があるのであります。 以上の観点より、これらの問題を総合的に解決する方法は、炭鉱を国有化し、公社において経営する以外にないと私どもは考えるのであります。わが国におけるエネルギーの消費は、年々経済の成長率とほぼ同一テンポで増加しております。これがためには、供給源の分散化、海外原油の開発等の対策が進められ、増殖炉等発電用原子炉の開発が期待されておりますが、国内資源である石炭鉱業の継続的安定こそ、最も確実な安定供給であります。また、鉄鋼生産の飛躍的増大に対処し、その原料炭の確保は最も肝要であり、国内炭のみでなく、海外開発もみずから行なう体制の確立が必要であります。国民総生産が世界第三位に達したわが国経済において、現在程度の出炭規模の維持は、けだし当然であるといわなければなりません。 かかる見地に立って、以下石炭国有法案の概要について説明申し上げます。 第一章は、目的についての規定であります。石炭がわが国における重要なエネルギー資源であり、その安定的供給を確保するため、石炭の掘採、取得及び輸入の権能を国に専属し、計画的、合理的生産及び供給を確保し、石炭鉱業の継続的安定をはかり、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。 第二章は、前述のごとき目的に基づき、石炭鉱業に対する国の権能を規定いたしました。しかして、その権能の実施は、日本石炭公社をして行なわしめることにいたしたのであります。 第三章は石炭需給計画について、第四章は石炭審議会についての規定を設け、石炭審議会は、公社の労使、需要者、学識経験者からなる四者構成といたしました。 第五章は、石炭鉱業等の買収について規定いたしました。買収の価格の評価方式については、わが国における従来の鉄道国有法、日本製鉄株式会社法、日本発送電株式会社法等の場合並びに欧州における国有法、公社法の場合の方式等を検討いたしましたが、わが国における石炭鉱業の企業経理の実態から、一定期日前、一定期間の平均株価を基準として評価することにいたしました。これらは政令によって定めるわけでありますが、わが党としては、国有法案が国会に提出された二月十八日前一年間の株価平均といたしたいと存じます。非上場の会社については、評価審査会において上場会社の買収価格を考慮に入れながら資産を評価し、それから負債を控除した額を基準とすることといたしました。その他、兼業会社並びに現在稼行していない鉱業権について、それぞれ買収、補償の規定を設けたのであります。買収時における鉱業権者等が有する権利、義務は国が承継し、直ちに公社において引き継がれるものといたしました。これらの買収代金並びに補償金については国債証券を交付し、二十年以内に償還することといたしたのであります。 なお、本法律施行に伴う諸種の整理については、別に施行法を提出する所存であります。 次に、日本石炭公社法案について説明申し上げます。 第一章において、日本石炭公社は、国有法に基づき、石炭の掘採、取得、輸入、販売、海外を含め未開発炭田の開発等の業務を行なうことを規定いたしました。輸入業務は委託を行なうことができるように規定し、また、販売についても、小口等は従来どおり商社を通じ販売するつもりであります。資本金は二百億円とし、全額政府出資といたしました。 第二章に、業務運営の重要事項を決定する機関として経営委員会を設け、学識経験者、労働者を代表する委員、公社を代表する特別委員で構成することにいたしました。 第三章は、役員並びに職員について規定いたしましたが、職員の労働諸権利につきましては、ILO結社の自由に関する実情調査調停委員会のドライヤー報告の、「すべての公有企業が、関係法律上区別することなく、同一の基盤で取り扱われることは適当でない」と述べている勧告に基づき、本公社の職員は公労法の適用を受けず、一般労組法並びに労調法の適用を受けることといたしたのであります。 以上が日本石炭公社法案の概要でありますが、すでに、わが国と同じく石炭を私企業として会社別に経営してまいりました西ドイツにおいては、昨年、石炭鉱業の適応化と産炭地域の健全化に関する法律が成立し、ルール石炭鉱業株式会社が発足し、ルールにおける二十九炭鉱会社中二十四炭鉱会社を吸収統合し、その下に七社を置き、石炭生産シェア約八十数%、従業員十九万人の一大体制整備を断行し、今後二十年間にわたる西ドイツ石炭鉱業の安定を目ざしているのであります。 また、わが国においても、第四次答申に至る間において、石炭経営者側から全国一社化、あるいは三社化、販売機構の一元化案等が提案され、また、いわゆる植村構想が検討された経緯もあり、石炭の長期安定のためには、いまや抜本的な体制的解決が不可欠の要件となっておるのであります。今日までの石炭政策のきびしい反省と石炭鉱業の実態を直視すれば、石炭鉱業の国有、公社化が最善の道であると確信するものであります。 わが党政権下であるならば、当然エネルギー全体を把握し管理する方式をとるべきでありますが、現在の政治的分野を配慮して、この崩壊しようとする石炭鉱業に限定し、その立て直しをはかり、国産エネルギー源を確保する見地から、石炭鉱業国有法案並びに日本石炭公社法案を提案した次第であります。 何とぞ本法案がすみやかに審議され、可決されんことをお願いいたしまして、提案の趣旨説明といたします。(拍手) ————◇————— 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに石炭鉱業国有法案(多賀谷真稔君外十四名提出)及び日本石炭公社法案(多賀谷真稔君外十四名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(石井光次郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。渡辺惣蔵君。 〔議長退席、副議長着席〕 〔渡辺惣蔵君登壇〕
○渡辺惣蔵君 私は、ただいま趣旨説明のありました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、及び石炭鉱業再建臨時措置法の一部を改正する法律案に対して、日本社会党を代表して質疑を行なうものであります。 政府は、昨年末に第四次答申を受け、その新石炭政策に基づいて、四十四年度の石炭予算として八百八十四億円を組み、二月十八日の閣議決定によって関係法案の提出を決定されました。ところが、この新政策によれば、この法律の適用を受けて閉山特別交付金をもらって閉山しようとする会社は、三月三十一日までに届け出をすることになっておりますので、法案の通過を予期し、その適用を受けてばく大な閉山交付金をもらい、石炭業界から全面的に撤退しようとする会社が続出し、特に明治鉱業、麻生産業、杵島炭鉱などが新制度による企業ぐるみ閉山を打ち出したことによって、大きな波紋と混乱を巻き起こしておるのであります。 すなわち、この新制度によれば、四十四年度において三百八十万トン前後にわたって閉山する計画になっておりますので、大手はもちろんのこと、中小炭鉱にも大きな連鎖反応を起こし、撤退、閉山のなだれ現象を引き起こしつつあるのであります。明治、麻生、杵島は、日本の石炭鉱業発祥以来、石炭界に君臨して主役を演じてきた有力企業であることは、周知のとおりであります。それだけに、大きな社会的、経済的影響があり、各界の強い関心がここに集中され、政府並びに石炭企業に対して鋭い批判と責任の究明が行なわれるのは当然のことであると信ずるのであります。(拍手) 私は、石炭産業の抜本的な再建をはかるには、まず第一に体制問題を解決しなければならないと信ずるものであります。わが党が石炭国有化法案、及び石炭公社法案を提出しているゆえんであります。 石炭鉱業審議会といえども、第四次答申にあたりまして、前後八カ月にわたる長期審議の日程の大部分は、体制と経理の問題に集中されてきたのであります。しかるに、いわゆる植村構想として提案された体制的解決の方向も、その審議の途中において、通産省、大蔵省の圧力でつぶされて、内容は第三次答申の補充のみにとどまってしまったのであります。この審議会の体制問題ぶっつぶしの原動力をなすものは、私企業の原則という、石炭会社のエゴによるたてまえ論であります。日本の経済組織は資本主義経済であるから、私企業の原則を守らなければならないという観念論が横行し、圧倒したからであります。しかし、今日の石炭産業が、かつてないほどの危機段階にありながら、大小の石炭会社は百五十余を数えており、鉱区は分断され、錯綜し、石炭の銘柄は数百に及び、九州の石炭が東京へ、北海道の石炭が大阪へと、販売市場をかって気ままに横行しているのであります。この石炭産業の無政府的な企業エゴイズムこそ、自由主義の典型であり、石炭産業をみずからの手でむしばみ、食い散らかして、今日の破滅を導いた原因であります。これを規制し、これに計画性を導入し、統一をして、新しい秩序を打ち立てることこそが、国民経済的立場からも、国の当然の責任でなければならないと信ずるのであります。(拍手) この根本問題に手をつけないで、一方では、一産業としては類例を見ないような膨大な財政投資を行ない、二十に近い法律を制定し、経理を規制し、政策需要を確保し、安定補給金など、数々の国のささえの上に石炭産業の安定をはかろうとすることは、まさに、内臓疾患の患者に頭痛の薬を施そうとするやぶ医者の処方せんにひとしいのであります。いまや石炭企業は、従来の私企業としての存在の基盤を完全に失っているのであります。だからこそ、その反発のあらわれとして、石炭産業に対する秩序と統一を要求する声が、石炭業界自身の中からさえ打ち出されて、北炭の萩原会長による全国一社案、あるいは舟橋北海道鉱業会長の三社案、もしくは国有民営論が、国会の参考人として、公然として主張され、三井鉱山でさえ、仮称石炭公団というような、体制問題に対して意見を出さざるを得ないことになってきておるのであります。いわゆる石炭産業の体制整備の問題は、岸信介流にいえば、いまや天の声となっておるのであります。政府・自民党は、この体制問題に対して目をおおうとしていますが、このことを逃避して、石炭産業の安定と展望を切り開くことは絶対にできないことを自覚すべきであります。佐藤内閣総理大臣は、石炭問題の体制的解決として、その展望において国有化・公社化案、全国一社案、三社案、そのいずれの方向においてこの問題を解決しようとするのか。総理大臣並びに通産大臣の所信を明らかにしていただきたいのであります。(拍手) 政府は過去の第三次答申のおかした誤りを反省することなく、前回と全く同じようなその場限りの政策で糊塗して、再び一千億円という膨大な国民の税金、血税をもって金融機関の救済をはかろうとしておるのであります。本来、石炭会社の金融債務に対して、財政資金をもって国がこれを肩がわりしようとする趣旨は、多額の負債を背負い、担保をとられたり、金利の重圧に苦しんでいる会社の重荷を軽くさせて、今後の銀行融資をしやすくさせ、円滑化させることによって、石炭会社の経営を安定させることにあったはずであります。しかるに、負債を回収した銀行のほとんどが、予期に反して窓口を閉ざしてしまったので、石炭企業はかえって金融難におちいってしまいました。結果は、石炭産業の建て直しではなくて、金融機関の債権回収の片棒をかつぎ、銀行をもうけさせ、喜ばしただけに終わって、この方策は完全に失敗に終わってしまっておるのであります。(拍手)今回の企業ぐるみ閉山の渦中にある某石炭会社の金融債は約八十五億円といわれておりますが、この金融債のうち約五十億円は開発銀行であり、残りが市中銀行であるといわれております。とすると、財政資金をもって政府関係資金の回収をはかろうとするからくりではないのかと疑わざるを得ないのであります。 このような状況の中で、このたびの第四次答申に基づく本法案の実施は、はたして政府が主張するような最終的な措置になるという確信があるのか、ほんとうに石炭産業の再建と整備のきめ手となり、役立つと確信しているのか。それとも、石炭企業が石炭産業から撤退をはかろうとするのに、政府はそのしり馬に乗って、その手助けをしようとしておるのではないかという国民の大きな疑問に対して、総理大臣、大蔵大臣、通産大臣の明確なる見解を承りたいと思うのであります。 次に、私は、企業ぐるみ閉山を行なおうとする処置について、具体的に明治鉱業の例によって質問をいたします。 明治鉱業は、かつて十五山の炭鉱でありましたが、今日では九州三山、北海道二山、計五山によって構成され、会社は上がり山三山を分離して、炭量の豊富な他の二山——北海道の昭和、本岐の両炭鉱を閉山することによって、企業ぐるみ閉山として処置することをすでに労働者側に提示しておるのであります。しかし、この二山は、現地札幌通産局による北大の磯部教授を団長とする調査団の報告によっても、経済炭量も向こう十カ年採掘できるほど豊富であり、国民経済の立場から、一定の条件が満たされれば経営的にも技術的にもその存続が可能であることが立証されているのであります。しかるに通産省当局は、明治鉱業の企業ぐるみ閉山を支援するために、この貴重な調査資料の公表を拒否し続けて、この問題の真相究明を故意に妨げていることは、はなはだしく不可解な態度であるといわなければなりません。(拍手) また、この炭鉱は、企業ぐるみ閉山ではなくて、単位炭鉱の閉山をすれば、労働者の退職金に限ってはほぼ一〇〇%保証されまするのに、企業ぐるみ閉山をすれば七五%しか退職金は保証されないということになり、本法案は、矛盾に満ちておるのであります。このことは明治鉱業のみならず、明治昭和鉱に隣接する太刀別炭鉱の場合といえども同様であります。特に明治鉱業の場合は、過去二度も閉山にあいながら、九州から北海道に渡り、今日まで炭鉱に踏みとどまっている労働者も多数いるのであります。いままでの閉山の場合は、退職金一〇〇%プラスアルファの支給を受けて炭鉱を離れておりますのに、企業ぐるみの閉山の場合は、退職金は七五%しか保証されないというのでは、山の労働者は断じて承服せず、閉山に同意しないのは、当然過ぎるほど当然のことであると思います。(拍手) これらの矛盾を解決するためには、労働者に対する退職金は一〇〇%支給を保証する措置を講ずべきであります。特に企業ぐるみ閉山に対しては、単に会社の一方的申請によるのみでなく、政府は調査団を派遣して、地域経済、関連企業等の関係を十分調査して、納得させる方策を示すべきであり、当然また札幌通産局の磯部調査団の報告書の公表を要求というものであります。この点について、総理大臣、通産大臣、労働大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。 北海道における石炭産業は、九州地方に見るような、平原にあり、道路、交通が整備され、国鉄を直ちに利用し得るような立地条件に乏しく、多くは山間の奥地に存在しておりますので、運輸交通手段に対する依存度はきわめて多いので、炭鉱関係の専用路線ともいうべき私鉄が九社を数えております。すなわち、石炭企業の傍系会社が六社、直営が二社、一社だけが単独経営であります。これらの私鉄は、炭鉱が閉山、縮小することによって、直ちにその命脈を断たれてしまう運命に置かれております。私鉄が運休、廃業する場合は、閉山後の地域の住民はもとより、沿線の住民は完全に孤立してしまい、農業経営も通勤も通学も、生活物資に至るまで、全く不可能になってしまいます。私鉄それ自身の経営責任によるものではなくて、石炭企業の犠牲となって崩壊する私鉄企業並びに私鉄労働者に対する補償は、国が石炭企業と同様に配慮して処置することは当然のことであると信ずるのであります。(拍手) すなわち、政府は、鉄道事業の公益性にかんがみて、万一私鉄の運行停止の場合には、それにかわるバスその他の運輸交通手段を配備すること、その保証が確立されるまでは、私鉄の運行を行なわしめ、これに対して運輸省が、国の責任において適切なる助成措置を講ずべきであります。また、私鉄の退職労働者に対しては、炭鉱の労働者の場合と同様に、炭鉱離職者臨時措置法を全面的に適用せしめるべきであると考えますが、運輸大臣、通産大臣、労働大臣の所信を明らかにしていただきたいのであります。 石炭企業の崩壊と撤退によって最大の被害をこうむるのは産炭地域であります。北九州地方各地に続発する鉱害は、その最も具体的な例であります。炭鉱地帯に定着する低所得者、失業者、生活保護者の激増、住民福祉の破壊、中小企業の倒産、地域経済の混乱など、数え切れないほどの社会問題が勃発いたします。これらの問題は、ただでさえ赤字財政に悩み抜く市町村に背負わされ、財政破綻に瀕していることは、すでに全国の関係市町村がきびしく体験し、実証されているところであります。特に、今般のような無責任な、しかも、急激な企業ぐるみ閉山による打撃は、関係市町村に対して破滅的な打撃を与えますので、緊急、特別の措置を強く要求するものであります。 この石炭のなだれ閉山が最も極点に達する時期は四月から六月にかけてであります。四月から六月、この時期は児童、生徒の入学、通学の時期でありまして、教育計画が根本的に破壊されてしまいます。 一つの例ですが、沼田町では、昨年十一月に雨竜炭鉱が閉山し、続いていままた昭和、太刀別と三山が一挙に消滅してしまいますと、小学校二、中学校二の四つの学校が同時に閉鎖、廃校の危機に立たされておるのであります。これらによって生ずる各種の問題と対策を含めて、自治大臣並びに文部大臣の見解を承りたいのであります。 最後に、炭鉱労働者に関する問題について質問いたします。 山に働く労働者たちは、戦後二十余年にわたって幾たびかの首切り、合理化のあらしをくぐりながら生き抜いてきたのであります。かつては二十八万余の労働者が、いまではわずかに三分の一、九万人に減ってしまい、その平均年齢は四十歳を上回る高齢者となり、しかも生産能率は、かつての一人当たり十四・二トンから四十二・二トンと、三倍にはね上がっております。炭鉱がいかに合理化され、労働者がいかにきびしい重労働のもとにあるかを率直に示すものであります。このままで推移いたしますと、石炭企業は労務倒産に追い込まれて、石炭政策は根底から崩壊するおそれに迫られておるのであります。 私は、そのために、地下産業にふさわしい労働条件の確保と生活環境の改善及び労働者の雇用形態を根本的に改革して、おのおのの企業から脱却して、石炭産業全体としての雇用体制を確立することが最も肝要であると確信するのであります。 また、炭鉱保安の現状は、私が述べるまでもなく、頻発する災害は、その死亡率においてヨーロッパ諸国の十倍の高率を示して、昭和三十一年の合理化以来、実に六千六百七十九人の殉職者を出しているのであります。 私は、この際、炭鉱の保安確保のために、労働者側の保安監督員制度を確立して、災害絶滅のために労働者の積極的参加の方途を講ずべきであると信じます。 以上申し述べました二法案をめぐる諸問題について、総理大臣、通産大臣、労働大臣の明快にして誠意ある答弁を求めて、私の質問を終わる次第であります。(拍手) 〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私から基本的なものの考え方を申し上げまして、その他の具体的な点については所管大臣からお答えいたします。 いままでの石炭対策は、必ずしも思うようにいかなかったことはたいへん残念であります。今回、あらためて第四次答申に基づく石炭対策としての法律案なり予算なりの御審議をいただいているのでありますが、まず、巨額の国費を投入して石炭産業の対策を進めていこうとする政府の熱意のほどをおくみ取りいただきたいと思います。 この第四次対策が従来と同じやり方ではないかとのお尋ねでありますが、私はさようには思いません。従来の足らざるところを補い、さらに、積極的にその対策を進めていこうとするものであることを、よく御理解いただきたいのであります。 また、今回の対策は最終的なものかとのお尋ねでございますが、これが最終的なものとは必ずしも考えておりません。当面、最も緊急を要する問題に取り組んだものであり、いずれ、その条件が整った暁には、いわゆる体制問題と正面から取り組まねばならないものと考えております。 石炭鉱業審議会においても、体制部会を設置し、石炭鉱業全体の合理化のため、鉱区の再編成と調整及び地域の実情に即した共同行為、あるいは統合等の体制の整備を進めるにあたっての諸問題を検討していただく予定であります。準備整い次第、できるだけ早急に設置されるよう指示しております。 ただ、この問題は、問題が問題だけに、そう簡単に結論が出る問題とは私は考えておりません。腰を据えて、じっくりと取り組むべきものと思います。その際、石炭産業の将来を見通して、最も的確なる判断を得るために全力をあげる決意であることを、御質問に対するお答えといたしまして、はっきり申し上げておきます。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。 前回同様の一千億円でうまくいくかというお尋ねでございますが、前回は、反省してみますと、賃金の見方、また物材費の見方、こういうものがどうも適正でなかったように思うのであります。今回は、賃金の見方にいたしましても、それから資材費にいたしましても、前のように横ばいだなんというようなことでなく、普通の速度で上昇するというような見方を前提としております。それで、千億円の再建交付金ばかりでなく、安定補給金は大幅に拡充する、それから無利子貸し付け制度を大幅に導入する、その他保安対策なども十分に考えておりますので、今度はだいじょうぶであろう、かように考えております。植村審議会の報告、それを十分通産省で検討して私どもに相談があったわけであります。私どもも、これに対しまして慎重なる検討を加え、これならだいじょうぶだという確信のもとに同意いたしておるわけであります。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) 〔国務大臣原健三郎君登壇〕
○国務大臣(原健三郎君) 渡辺さんにお答え申し上げます。 最初の質問は、再建交付金の従業員関係債務については七五%となっておるが、とれでは少ないではないか、こういう御趣旨でございますが、御承知のように、今後の石炭鉱業の再建にあたりましては、労働力の確保とか労働条件の向上、そして労使一体となっていかねばならぬ、こういうことが基本的なことでございます。それで、一般的に申しますと、労働者の賃金とか退職金などは、本来企業の責任において全額支払うべきものではございます。しかしながら、今回の答申による石炭対策においては、石炭鉱業の特殊性を考えまして、再建のために交付する再建交付金の使途についても特別の配慮をいたしております。すなわち、第一には、新たに退職金及び従業員の未払い賃金、預かり金等の弁済を含めることにしておる。第二には、他の債務に優先して弁済するということにしております。また、七五%まではこれを債務に充てる。このような処置で、従来に比べて非常に手厚い施策をやっておることは御承知のとおりであります。それで、私は、再建会社が従業員の債務をこれで大体全額払うようになろうと思いますが、残額につきましては、各企業において当然十分配慮すべきものであり、労働省としても、そういうふうに行政指導をいたしたい、そして御期待に沿いたいと思っております。なお、諸般の改善等につきましては、通産省当局と連絡をとり、引き続きその改善策を考慮する考えであります。 それから、こういう一連の労務対策をやるために炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正いたしまして、そうして近く御審議を願いたいと、こう思っております。それによりまして、労働条件全般をもっと魅力あるものにしたい、あるいは就職促進措置、援護措置等を、この法律の一部を改正してやりたいと思っております。 それから第三の御質問で、炭鉱の閉山に伴って民間鉄道が廃止になる、そのときに離職者についても炭鉱離職者臨時措置法の適用をすべきものである、こういう趣旨でございます。それで、炭鉱離職者臨時措置法の対象となる炭鉱労働者はどういうものか。同法の第二条に、こういうふうに書いてあります。「石炭を目的とする鉱業権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区における石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の業務に従事する労働者」こういうふうに定義をいたしておりまするので、一般の鉄道企業の従業員は炭鉱離職者臨時措置法の対象とすることは非常にむずかしいと思っております。しかしながら、問題になってくるのは、閉山炭鉱の鉱業権者が当該鉱区、租鉱区内で石炭の掘さくに関連する鉄道を経営しておるような場合でございます。そういう鉄道が廃止されるような場合に立ち至りましたならば、これは個々の事例を検討して判断して善処いたしたい、こういうふうに思っております。(拍手) 〔国務大臣野田武夫君登壇〕
○国務大臣(野田武夫君) 産炭地域の地方団体に対しましては、石炭鉱業の合理化に伴いまして特別の財政需要が増加しておることは、いまお話しのとおりでございます。これらに対しましては、いわゆる地方交付税及び地方債の重点的な配分を通じて所要の財政措置を講じてきております。昭和四十三年度におきましても、事業費につきましては地方債をもって措置し、ともに特別交付税として三十九億円を交付いたしております。明年度におきましては、その実情がきわめて深刻であるということを考えまして、さらに一そう充実してまいりたい所存でございます。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 体制問題につきましては、総理大臣からあらましお話がございました。前の本会議におきましても御質疑があったところでございますが、日本の炭鉱の鉱脈がたいへんむずかしい賦存状況にございます。また、炭鉱自体が規模の利益に多くの期待を寄せられない業態でもございまするし、わが国における企業者の意識とか、あるいは財務、経営の格差等を見ますと、一がいに一律的な体制整備というのは、現実の問題としてたいへんむずかしゅうございますので、私どもといたしましては、私企業に責任を持たした上で、それを基礎にいたしまして、労使の一段の御奮起をお願いしていくことを基本といたしまして、審議会の中に体制部会を設けまして、石炭鉱業の場合、隣接する鉱区で統合を便宜とするような場合、統一した投資が必要な場合、共同の利用施設をつくろうということが必要な場合、そういった場合、ケース・バイ・ケースで十分たんねんに見まして、きめこまかく体制の整備に当たりたいと考えております。 それから第二点でございますが、新政策にメリットはあるかということでございます。これは大蔵大臣から先ほどお話がありましたが、こういった新しい政策を大幅に講ずることによりまして、四十四年度におきましては大手、中小とも、ほぼトン当たり九百円程度、対策効果を私どもは期待できるのではないかと思っております。 第三に、退職金に七五%の天井を設けたことについての御質疑でございました。これは国としては、手当てし得る最大限度の制度的な限界であろうと私は考えております。しかしながら、企業におきまして十分な補完措置ができるように、私どもといたしましても、できるだけ御相談に乗って、渡辺さんが期待されるところまで現実の問題として達せられるように援助をしてまいりたいと考えております。 それから明治鉱業の閉山等についての御質問でございましたけれども、これはまだきまっておりませんで、今度の新政策できまりましたこのワク内におきまして明治鉱業さんがどのように対応されるかということで、まだ最終的には御相談をいただいていないわけでございますけれども、いま御指摘になりました点は十分記憶にとどめておきたいと思います。 それから札幌通産局の調査報告の公表でございますが、これは私企業の秘密にもかかわることがありまするので、一般に公表することはごかんべんいただきたいと思いますけれども、しかし、差しつかえない範囲におきまして、国会の御質問等に応じてお答えすることはいたしたいと考えております。 労働者対策につきましては、詳しく労働大臣からお話があったわけでございます。私どもといたしましても、この前までの対策では、賃金は毎年七%程度上昇するということを見込んだ政策でございましたけれども、今度は一〇%に格上げをいたしてございまするし、退職金につきましても、いま申しましたような措置を講じてございます。また、炭住の投資をはじめといたしまして、福祉政策についても相当の配慮を行なってありますのみならず、保安の強化につきましては格段の措置を講じたつもりでございまして、仰せのように労働力の定着ということが企業の興廃を左右するものであることはよく承知いたしておるのでございまして、その点に力点を置いたつもりでございます。 それから地方鉄道の問題につきましては、この対策は、あくまでも石炭産業の再建ということを軸として立てられた政策でございますので、地方炭鉱に関連いたしました地方鉄道の救済という点には、おのずから限界があることは御承知願わなければならぬと思うのでございます。産炭地のその他の中小企業に対する配慮等とあわせまして、できるだけこまかく配慮をいたしてまいるつもりでございます。(拍手) 〔国務大臣坂田道太君登壇〕
○国務大臣(坂田道太君) 渡辺さんにお答えを申し上げたいと思います。 炭鉱の閉山の結果、児童生徒が激減をして、あるいは教員の定員や人事異動などによって四十四年度の教育計画がくずれてしまうのじゃないだろうかというお尋ねでございます。本年度の公立小中学校の教職員定数の改善をはかるために、実は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正という案をもう御審議を願っておるわけでございます。この改正案の中に、この産炭地域の教員の定数のこともあわせ配慮しておるわけでございます。 その概要を申し上げますと、生徒児童が急減する都道府県につきましては、前年度の教職員定数において、つまり九八・五%を保障しよう。それから産炭地域に所在する学校の教員定数につきましては加配をするということ、あるいはまた事務職員につきましても加配をするということ、こういうように、教育水準の維持につきましては配慮をしておるわけでございまして、どうかこの法律案がすみやかにこの四月早々通ることをお願い申し上げます。この法案が通りますると、そういうようなことができるわけでございます。 それからまた、産炭地域におきます家庭環境や社会環境の変化によるいろいろな教育問題が生じておるが、その対策として、就学援助や児童生徒の指導はどうかというようなお尋ねだったかと思われるわけでございますが、就学援助につきましても、準要保護児童生徒というものに対しまして、市町村は普通援助費が二分の一でございますけれども、産炭地地域につきましては、十分の六から最高十分の八というかさ上げ等も行ないまして、就学援助の充実をはかっておるわけでございます。(拍手) 〔国務大臣原田憲君登壇〕
○国務大臣(原田憲君) 石炭鉱山の個々の縮小、閉山等の見通しにつきましては、ただいま通産大臣が申されましたように、まだつまびらかではございませんが、石炭鉱山の閉山によりまして経営難におちいる産炭地鉄道のあることも予想されます。このような鉄道が廃止のやむなきに至るというような事態に対しましては、地元地方公共団体の協力も得まして、代替輸送手段を確保する等の方法により、地元の便益性が低下することのないよう十分配慮していくことといたします。裏返して申しますと、このような鉄道の廃止申請が出されました場合に、この許可をいたす場合には、沿線地域の輸送状況等を十分検討して、バス等の代替輸送手段の確保が必要であると認められる場合には、その見きわめをつけて処理することといたしておりますので、産炭地鉄道の場合についても、同様に取り扱うという所存でございます。代替輸送を確保するようにつとめますが、万一その確保ができず、鉄道が唯一の輸送機関であるという場合には、何らかの対策を検討し善処することといたします。 それから、鉄道従業員に対して炭鉱離職者臨時措置法を適用できるかどうか、この問題につきましては、労働大臣並びに通産大臣から御答弁がございましたが、特殊性を勘案して措置されるよう、関係省と折衝を行なっておる段階でございます。(拍手) —————————————
○副議長(小平久雄君) 田畑金光君。 〔田畑金光君登壇〕
○田畑金光君 私は民主社会党を代表し、政府の石炭政策について、以下数点にわたり質問を行ないたいと思います。(拍手) 御存じのように、戦前戦後を通じ、わが国資本主義発展の原動力を果たしてきた石炭産業は、この十年間に、いまや見る影もない姿に変わり果ててしまいました。大量の閉山、そして構造的な危機に見舞われるたびに、政府は石炭鉱業審議会に諮問し、政策の改定を行なってきましたが、石炭産業はますます危機を深めるばかりであります。昭和四十一年七月の第三次答申は、「この安定対策をもつてしても、その存立が困難な企業は、いたづらに赤字経営を続けるという態度を捨て、その進退を決する必要がある。」と指摘しました。ところが、四十五年度をめどとする石炭産業安定策は、初年度から崩壊を始めたのであります。画期的といわれ、抜本策と呼ばれた第三次石炭産業安定策が、かくももろく、しかも急激にくずれ去った原因は一体何であったのか、この際、通産大臣の所見を求めます。 かくて政府は、昨年四月石炭鉱業審議会に四度目の諮問を行ない、同十二月の答申により、今次予算案と法律改正案が提案されるに至りました。なるほど、新政策として幾つかの新規なものが取り上げられておりますが、発想方法は、結局前回のそれと大同小異にすぎません。御存じのように、石炭の価格は、石油との競争という観点から引き下げられたまま据え置かれておるのであります。炭価は押えられて身動きもできないが、コストは年々上昇するのが石炭の実情であります。ゆえに、石炭の安定は、帰するところ、今回の政策効果によるプラス要因が、今後予想される人件費、物件費、輸送費など、コストプッシュ要因を何年間吸収できるかにかかっております。四十四年度の新政策が大手、中小に及ぼす対策効果は、先ほどの答弁によるとトン当たり約九百円と言われましたが、しからば、四十八年度以降も石炭産業が安定できるという理論的な根拠は何に求められておるのか、通産大臣の所見を承ります。 次に、今次答申は「今日のこの深刻な事態に至るまで企業が局面打開のため必らずしも全力をふりしぼったとはいいがたい」と指摘しておりますが、一産業に対する財政援助の厚さから見れば当然の警告であると思います。しかし反面、労使の企業再建への努力も決してなまやさしいものでなかったことは、次の事実から明らかであります。すなわち、石炭政策の本格的出発の基準となりましたのは昭和三十三年でありますが、当時の在籍労務者に対し、昭和四十二年度末のそれはわずか三分の一に激減したにかかわらず、出炭量はほぼ横ばいであり、しかも能率は、三十三年一人一カ月十四トンの実績が、四十二年度は四二・七トンと三倍強になっています。自然条件の悪いわが国において、その能率はイギリス、西独、フランスに匹敵するまでに至っております。しかし、赤字はふえ、借り入れ金はこの十年間に約四倍近くに達しております。石炭は、私企業といっても名のみであり、企業努力といっても、その範囲は限られております。限られた財源措置のもとで、能率の向上、経費の切り詰めをやりましても、これから何年間自立できるかが石炭の実態であり、行く行くは価格政策に取り組まざるを得なくなると考えますが、価格政策について、通産大臣の見解を承ります。 次に私がお尋ねしたいことは、総合エネルギー政策のもとにおける石炭の位置づけの問題であります。 第三次答申の段階までは、五千万トン程度の規模を維持するというのが政府の政策態度でありました。しかるに今回の答申には、このことは明示されておりません。言うなれば、四十四年度から向こう五年間に四千二百億の財源をつけるから、このワク内で石炭はその始末をつけろというのが今次政策のねらいであります。政府は、四十八年度三千六百万トンの出炭規模を予定しておりますが、このままでは、四十八年度を待たずして石炭産業は壊滅的打撃が予想されるのであります。この際、石炭産業の今後の位置づけにつき、佐藤総理の率直な御意見を伺います。 また、今回の政策を見ますると、一般炭を縮小し、原料炭重視を指向しております。しかし一般炭も、電力需要の伸びと大都市における大気汚染の公害を考えますならば、現在程度の需要は十分確保できると考えます。また、原料炭について見ますると、その輸入は、三十三年度に対し四十二年度は実に六倍にのぼっております。わが国鉄鋼生産の伸びに伴い、原料炭の輸入はますますふえるが、国内原料炭はせいぜい一千万トンないし一千二百万トンにすぎません。しかも、輸入原料炭の仕入れ先は米国、カナダ、豪州など、いずれも先進国であり、労働力不足事情など、海外原料炭の先行き入手難と価格の値上がりは必至と見るべきでありましょう。そこで、わが国鉄鋼、石炭両業界の提携により海外原料炭を共同開発し、国内炭を含め、所要量の三〇%をわが国の支配下に置くことが必要であると思いますが、政府にこのような考え方があるかどうか、佐藤総理にお尋ねいたします。 ことに、わが国のエネルギー構造を見まするとき、石炭の比率は年々低下するに反比例し、石油の量はますます高まってまいります。しかも、輸入石油のほとんどが中東からの輸入であり、万里の波濤を越えて輸入されておるという実情であります。御存じのように、イギリスは、国内事情から、一九七一年末までには、香港を除くスエズ以東から全駐留軍の引き揚げを明らかにいたしております。イギリス撤兵後のわが国原油輸入輸送経路であるぺルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡から東シナ海にわたる海路の安全確保は重大な問題であります。このような背景のもとで、わが国のエネルギー消費構造の現実を見るときに、現状程度の石炭を確保しておくことは、エネルギー供給安定の見地から、私は依然として必要であると考えますが、佐藤総理の御所見を承ります。(拍手) 次に、私は、石炭産業の体制問題についてお尋ねします。 今次答申の過程で一番論議されたのが、いわゆる体制問題であったことは周知のことであります。昨年二月打ち出された植村構想も体制の転換をはからんとするものでありましたが、政府部局の反対でつぶれたのであります。わが国と同じく私企業の原則に立つ西独も、この十年来、石炭問題については同じ悩みをかかえてきましたが、これが解決策として、昨年四月、石炭適応化法をつくり、本年一月以降、ルール炭田二十九社の中で外資系を除く二十三社を統合するルール石炭鉱業株式会社を発足させ、この持ち株会社のもとに七つのグループ会社をつくり、体制整備を行なっております。これを直ちにわが国に輸入することは無理であるといたしましても、石炭産業の体制をどうするかが今後の大きな課題であります。総理も真剣に取り組むとお答えになりましたが、総理の体制問題に対する構想は何でありましょうか。国有化についてはどうお考えでありましょうか。西独方式についてはどう考えるでありましょうか。それともまた、沖繩施政権返還に伴う沖繩基地のあり方と同じように白紙なのかどうか、この点をお伺いいたします。 特に、今次答申では、石炭鉱業審議会の中に体制部会を設け、合理化を達成するために鉱区の再編ないし調整等を行なうことにしていますが、この際大事なことは、体制部会を単なるおざなりの勧告機関に終わらしめることではなく、行政委員会的機能を付与し、鉱区の再編、統合等を積極かつ果敢に行なうべきであると考えますが、政府にその決意と勇気があるか、通産大臣に承ります。(拍手) 次に、石炭金融についてお尋ねいたします。 今後の石炭の存続、安定の可否は、しょせん資金調達が円滑にできるかどうかにかかっています。今回の再建交付金の交付をもってしても、なおかつ石炭企業の残存債務は八百三十八億にのぼります。そうして、設備資金は開銀から合理化事業団に乗りかえ、運転資金は市中銀行その他に依存するというのが資金調達の方向であります。既存の炭鉱債権について、元本は十五年償還とし、金利は三分に切り下げさせられた金融機関が、今後あらためて石炭金融に協力が期待できるでありましょうか。ことに、開銀が手を引いて、他の金融機関に石炭融資を依存するということは、開銀の機能に照らしてみても、矛盾したやり方であると考えます。今後の石炭金融に関し、大蔵大臣はいかなる協力、指導をなさんとするものであるか、あらためて所信を承ります。 次に、労働対策につき、主として労働大臣にお尋ねいたします。 石炭産業再建の大きな柱は、労働力の確保、ことに若年労働力の確保の問題であります。炭鉱労働者は老齢化し、このままでは、炭鉱は労務倒産必至の状態といわなければなりません。労働力確保の第一の要件は、地下産業労働者にふさわしい賃金水準の確保であります。炭鉱労働者の賃金水準の推移はどうなっておるのか、この際明らにしていただきたい。 今次政策立案の基礎になりました炭鉱労働者の賃金上昇率は、年率一〇%と算定されています。しかし、すでに昨年のわが国民間企業の賃金上昇率は平均二二%をこえております。このままでは、ますます炭鉱労働者の賃金水準は低下し、若年労働力の確保は不可能になると考えますが、炭鉱労働者の賃金はどうあるべきか、労働大臣の見解を承ります。 特に私が強調したいことは、炭鉱労働者の退職手当は、一〇〇%政策措置により保証することが労働力確保の絶対の要件であると思います。賃金債務は、金融債務や一般債務とは全く異質なものであること、しかも、山とともに最後まで運命をともにした者が結局はばかを見るということでは、山に残る者はいなくなるでしょう。七五%の保証をし、あとは労働大臣が行政指導で各企業に支払いをさせるなどとおっしゃいますが、炭鉱の実情は、そういうなまやさしいものでないことを、この際労働大臣にお伝えしておきます。この点について、あらためて労働大臣の所見を承ります。 最後に、私は、鉱業法上における府県知事の権限についてお尋ねいたします。 少し具体的な話になりますが、常磐炭田の中心である福島県いわき市は、新産都市として目下工業的発展途上にある地域であります。そこで、県は、従来、重要港湾小名浜港の整備を中心に、これに隣接する背後地に一大工業団地をつくり、石油コンビナート建設計画を進めてまいりました。ただし、現在の段階は、いまだペーパープランの域を出ず、団地造成予定地はほとんどが山林原野であります。ところで、この山林原野の地下一帯は、常磐炭田唯一の主力炭鉱である常磐炭鉱の生命線ともいうべき貴重な鉱区であります。同炭鉱は、すでに昭和二十八年採掘権を設け、自来、今日まで約三十本の探炭試錐を行ない、その結果、当該地区には可採炭量一千万トンにのぼる良質の炭層、しかも、サルファ分〇・五%といろ炭層が賦存するととを確認し、昭和四十七年度上期から採掘すべく、すでに骨格坑道の展開、立坑開さく、入排気坑の着工など、すでに十五億余にのぼる設備投資を行なっておるのであります。そして昨年六月、施業案の認可を得ておるのであります。ところで、最近、地上施設と地下採掘の調整をどうするかが問題化するに及びまして、県は、石炭を掘ることが障害になるということであれば、断然採掘をやめてもらわねばならぬと、強い決意をしばしば繰り返し、当該炭鉱は言うに及ばず、地域社会に大きな反響と驚きを与えております。常磐炭田の需要確保のため、政府は、石炭専焼の常磐共同火力はつとに建設されたのであります。そして昨年以降、容量二十五万キロワットの七号機が、来年秋の完成を目ざし増設中であります。これが完成いたしますと、設備投資が三百五十億、出力七十二万キロワットアワー、年間の基準石炭消費量は二百五十万トンに達し、常磐炭田の需要はほぼ安定を見る見通しに立っております。しかも、二百五十万トンの消費量のうち二百万トンは、常磐炭鉱の出炭にまたねばならないのが実情であります。工業的発展をはかることは、県や市の政策目標としては当然のことであり、また大いに歓迎すべきことであります。しかし、ここに強調したいことは、工場の建設も誘致も、それはあくまでも既存企業の維持、発展と、そうして長い歴史の過程で地域経済繁栄の原動力をなしてきた石炭企業、産業との共存関係の上に立ってこそ、真に住民福祉の向上や地域社会の発展に寄与できる工業化であると私は考えます。ことに常磐炭鉱は、常磐炭田唯一最大のビルド鉱であり、系列企業を入れますと、従業員、家族数は四万に達する大手企業であります。したがって、これが存亡は地域社会に至大の影響をもたらすことを銘記していただきたい。 そこで、この際明白にしておきたいことは、一体、鉱業法上、府県知事は、物権、財産権である鉱業権を自由に裁量できるのであるかどうか、鉱業法上の府県知事の権限の範囲いかんを、特に大平通産大臣から明確にしていただきます。 以上をもって、私の政府に対する質問は終わりますが、ここに一言、社会党案について触れておきたいと思います。 社会党案は、それなりの労作であることは、これを認めるものであります。しかし、わが国の政治風土、社会経済情勢下で国有化、公社化といっても、これが実現をはかることはしかく容易なことではありますまい。このことは、社会党としても十分御承知のことだと考えます。そこで、今後の石炭産業の体制問題については、イデオロギーにとらわれることなく、弾力性をもって各党との話し合いに応ずる用意があるのかどうか、この際、提案者から明白にしていただきたいと思います。 以上をもって、私の質問を終わることにいたします。(拍手) 〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 田畑君にお答えいたします。 エネルギー革命の進行中に、今後の石炭のあり方は、またその位置づけはどうするのかという第一のお尋ねであります。大体、出炭量が明確でなくて、こういうものに対する対策が立つか、こういうことを含んでのただいまのお尋ねだと思います。もちろん、そういう目途が全くなくて対策が立てられるはずはございません。言うまでもないことだと思います。審議会では、昭和四十八年度の出炭量を一応三千六百万トン程度と見込み、試算を行なったのであります。ただ、石炭産業の再建が真に可能となるためには、石炭企業が、労使の協力のもとに、今次の対策で考えた助成のワク内で最大限の事業再建への努力を払うことが何といっても必要であります。その場合に、出炭量が三千六百万トンを上回ることはもちろんけっこうなことで、私どもも歓迎するところでありますが、諸般の情勢から、これをある程度下回りましてもやむを得ない、こういう幅を持った考え方のもとに、実は今回の対策を立てておるものでございます。この点を、まず御理解いただきたいと思います。 次に、原料炭のうちの相当程度をみずから確保する体制を整えておく必要性は、御指摘のとおり大事なことだと考えております。海外原料炭の開発につきましては、国内鉄鋼生産の伸展の見通し、及び内外の原料炭需給状況から見て、将来検討する必要があるものとの判断に立って、開発の可能性等を含めた海外原料炭事情を調査することとし、すでにこの二月に豪州に調査団を派遣した次第であります。これらの調査の結果をまって、さらに今後どのようにすべきか考えてまいりたい、かように考えております。 次に、体制問題についての基本的考え方につきましては、先ほど渡辺惣蔵君にお答えしたとおりでございます。御理解をいただきたいと思います。 なお、鉱区の調整を強力に推進するためにいかなる方式をとるかというお尋ねでありますが、そういうことをも含めて、合理化部会で十分御審議いただきたいものと、かように考えております。 その他の点につきましては、所管大臣からお答えいたします。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の対策では市中金融が困難になるのではあるまいかというような御心配でございますが、さようなことがあってはならないのであります。そのために、担保抜き金融に特別規定を設けまして、国の保証限度を拡大するとか、所要の措置を講じておるのであります。市中金融はおそらく円滑に取り運ばれると、かように存じます。 また、設備資金につきまして、今回開銀の融資を取りやめたのは不安ではないかという御心配でございますが、これは今回の措置によりましても、なかなか石炭会社の経営は順調ではない、なかなか困難だと思います。いままでのような開銀の利付融資ではなかなかむずかしかろう。そこで、特に石炭鉱業合理化事業団から無利子の融資をいたしたい、かように考えまして、今後の融資を事業団を中心にやっていこう、こういう構想を打ち出したわけであります。企業によりまして、どうも採算がとれそうだというものにありましては、開発銀行を使うということ、これはもちろんそのように考えたい、そうあってほしいというくらいに考えておるのであります。制度といたしましては、金融サイドからはかなり手厚い対策を講じておるわけでございまするけれども、この対策を実行する上において、大蔵省としては、なおできるだけ御協力申し上げていきたい、かように考えております。(拍手) 〔国務大臣原健三郎君登壇〕
○国務大臣(原健三郎君) 田畑さんにお答え申し上げたいと存じます。 最初のお尋ねは、労働賃金が石炭鉱業ではだんだん安く、他の産業に比して少ない、これでは労働力確保にならないじゃないかと、こういう御質問でございます。その賃金の推移が昭和三十五年以降どうであるかという御質問でございます。労働省の毎月勤労統計調査によりますと、石炭鉱業の賃金は、昭和三十五年以降年平均で九・五%上昇いたしております。一方、製造業の賃金の平均上昇率は、同じ期間に繊維工業が一二%、化学工業が一〇・一%、鉄鋼業が一〇・二%、電気機械器具製造業が一一・一%であり、全製造業では一一・四%となっております。その結果、全製造業の賃金を一〇〇といたしますと、石炭鉱業の賃金は、昭和三十五年当時では一一七であったものが、昭和四十三年度には一〇三と、その差が著しく狭まっておる次第であります。全体の賃金としては、まあ依然として若干石炭労務者のほうがまさっておるのでございますが、その上昇率がだんだん非常に低下いたしていることは、いま申し上げたとおりであります。それで、今後の炭鉱労働者の賃金はいかにあるべきかという御質問でございますが、政府も、いま全力をあげて石炭鉱業の抜本的な再建策を講じております。でありますから、石炭鉱業の再建の途上におきまして、願わくは炭鉱労働者の賃金その他の労働条件がだんだんよくなって、そして他の産業との格差がなくなるように、私どもは期待いたしておる次第でございます。 次に、退職金が七五%より支払われないということでございますが、これも、さいぜんるる申し上げたとおりでございまして、普通でしたら、企業は、企業自体で支払うべきものを、石炭鉱業の特殊事情にかんがみまして、今度は再建交付金を設け、新たに退職金とかその他の預かり金、未払い賃金等を、この中から七五%まで支払うということになっております。また、他の債務に優先してこれを支払うというような新たなる措置をとっておりまして、まず、政府といたしましては、第一段階でございますので、七五%ぐらいがせいぜいのところではなかろうかと思います。残余のことは、さいぜんも申し上げましたが、労働省といたしましてもよく行政指導して、できるだけ一〇〇%支払いされることを期待いたしておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、石炭産業がこのような危機を招き、これまでの政策が不成功に終わった原因についての御質問でございますが、これは、外務的な要因といたしましては、競合エネルギーの供給が年々ふえてまいりまするし、その価格も漸次低落してまいった事情と、内部的には、先ほどからもお話がありますように、賃金、生産性等の見通しが甘かったという点に基因するものと考えております。 それから、四十八年度以降の見通しはどうかということでございますが、私どもとしましては、この第四次の政策を実行いたしまして実効があがりますならば、四十八年度以降は自立的な経済的な企業として成り立っていくことになることを期待いたしておるわけでございますが、その間にどういう経済状況の変化がございまするが、予見ができませんけれども、この政策のたてまえといたしましては、なるべく早く自立の状態に持っていくということを志向して政策を打ち立ててあるわけでございます。 それから、第三の問題として、価格政策についての御質問でございました。競合エネルギーは、御承知のように、だんだん低落の方向をたどってきたわけでございまするし、現に、原料炭にいたしましても、外国のものに比べまして割り高でございまして、政府から補給金を出しておるような状況でございます。したがいまして、政府が炭価を値上げするというようなことに乗り出すつもりはないのでございます。 それから、体制部会というものを行政委員会にする考えはないかということでございますが、そういう考えはございません。私どもは、この部会をして、労使の代表と学識経験者を連ねまして審議をさせた上、要すれば、政府が勧告をし、その効果を規制していくというような運営をいたしますならば、成果は十分期待できると考えております。 それから最後に、常磐地区の問題でございまして、鉱区がすでに設定されてあるところへ工場の計画がございまして、相互の権利が競合する場合の法律関係でございますが、これは原則的には民事上の問題でございまして、当事者間の話し合いによって解決をしていただくよりほか道がないと思います。 お尋ねの知事の権限でございますが、鉱業の実施を制限する権限は、鉱業法上知事にはございません。(拍手) 〔多賀谷真稔君登壇〕
○多賀谷真稔君 田畑議員より、社会党は国有・公社法案を出しておるけれども、日本の政治的、社会的風土の関係からその成立は困難ではないか、社会党はこの際、イデオロギーにとらわれることなく、体制問題について各党の話し合いに応ずる用意があるか、こういう質問でございます。私どもは、提案趣旨説明で申しましたように、イデオロギーにとらわれて出しておるのではありません。石炭鉱業の産業としての固有の特性から、また、現在における石炭鉱業の実情から提案をした次第です。 すなわち、問題の第一点は、近代化というけれども、鉱区の統合なくして近代化は不可能であるという点。第二は、流通機構の問題がそのままになっておるという点。第三は、労働力の確保が個別企業ではたしてできるかという点。あるいは第四は、膨大な債務あるいは残存鉱害の処理が私企業で一体できますか。これらの問題を総合的に解決するには、やはりその方式として、私どもは国有・公社化以外にはない、こういう点で提案をしておるのでございます。政府案は、すでに出されましたけれども、それは企業として存続をするか、産業として残すかという問題について、むしろ企業として存続をさす、こういう方向に一歩踏み出しておられる。でありますから、石炭会社は、名前は石炭会社でございますけれども、おそらく今後は他の部門が進出をして、そうして名前は石炭会社であるけれども、実体は、石炭は縮小の一路をたどるのではないか、かように実は心配をしておるわけであります。 そこで、各党がおのおの今後の石炭政策について再建案を出していただきますならば、私どもは十分検討をして対処していきたい、かように考えております。しかし、いまの段階では、私どもは国有・公社以外にはないと、かように確信をしておるわけであります。(拍手)
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。 ————◇————— 国務大臣の演説(昭和四十四年度地方財政計画について)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(小平久雄君) この際、昭和四十四年度地方財政計画についての自治大臣の発言を許し、あわせて、内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣野田武夫君。 〔国務大臣野田武夫君登壇〕
○国務大臣(野田武夫君) 昭和四十四年度の地方財政計画の概要、及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。 昭和四十四年度におきましては、最近の経済情勢の推移に即応して、地方財政におきましても、国と同一の基調により行政経費の重点化と効率化を推進し、節度ある行財政運営を行なう必要があります。 昭和四十四年度の地方財政計画は、このような考え方で策定いたしたのでありますが、その策定の重点を、次の四点に置いております。 第一は、地方税負担の軽減合理化をはかること。 第二は、最近における社会経済情勢の進展に対処し、それぞれの地域の特性に応じて、町づくり及び地域づくりの事業を計画的に実施すること。 第三は、地方公営企業の経営の基盤を強化して、その健全化をはかること。 第四は、財政運営の効率化を進めるとともに、財政秩序を確立し、地方財政の健全化を推進することであります。 以上の方針のもとに、昭和四十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は六兆六千三百九十七億円となり、その前年度に対する増加は一兆三百四十六億円、すなわち一八・五%となるのであります。 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。 第一は、地方交付税の算定方法の改正であります。 普通交付税の算定に用いる基準財政需要額について、経常経費と投資的経費の区分を明確化し、特に投資的経費については動態的な財政需要の算定を強化する等、基準財政需要額の算定の合理化をはかるほか、市町村道、下水道等各種公共施設の計画的な整備の促進に要する経費その他制度改正等に伴い増加する財政需要を基準財政需要額に算入するため所要の改正を行ない、地方行政の全般的状況並びに過密地域及び後進地域における行政の特性に即応した財源措置の充実をはかってまいる所存であります。 第二は、地方交付税の総額の特例であります。 昭和四十四年度分の地方交付税の総額については、地方財源の確保に配慮しつつ、その特例を設けるとともに、これに伴い、後年度分の地方交付税の総額について所要の措置を講ずることといたしております。 以上が昭和四十四年度の地方財政計画の概要及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手) ————◇————— 国務大臣の演説(昭和四十四年度地方財政計画について)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(小平久雄君) ただいまの地方財政計画についての発言及び趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。山本弥之助君。 〔山本弥之助君登壇〕
○山本弥之助君 私は、日本社会党を代表し、ただいま趣旨説明のありました昭和四十四年度地方財政計画と地方交付税法の一部を改正する法律案につき、若干の質問をいたしたいと思います。 昭和四十四年度地方財政計画の評価につきましては、激動しつつある三千有余の地方自治体のそれぞれの持つ苦悩と住民の不満にこの計画がどうこたえているかでございます。 昭和四十四年度の国の予算の審議にあたりまして、わが日本社会党は、昭和四十四年度予算は、従来以上に大企業と資産所得者を優遇して、資本の集中蓄積を推進する一方、消費者物価の上昇、格差と不公平の拡大、交通事故、公害の激化などにより、勤労国民の生活を圧迫する国民不在のインフレ予算であり、また、自衛隊の拡充、警察機動隊の増強など、七〇年に備える反動的な安保予算であるという認識に立ちまして、物価の抑制、生命と健康を守る施策の実現、住宅、生活環境の強化と交通難の打開、地方財政の充実、防衛費等の経費の削減等を柱といたしまして、予算の編成がえを要求したのでございます。このわが党の要求は、今日国民大衆の要求に基づくものでございます。これを無視いたしまして編成しております国の予算と同一の基調により策定せられております限り、この地方財政計画は、地方自治体の悩みを解消するものでないことは明白であり、むしろ、このワク組みによりまして、政府の地方自治体支配を一そう強化したと、まず指摘せざるを得ないのでございます。(拍手) 地方財政、ことに地方交付税につきましては、食管制度、国鉄再建とともに、昭和四十四年度予算編成過程で最後まで難航したと聞いております。結局、昨年四百五十億円を国に貸すという誤りは本年度限りということであったにもかかわらず、いろいろの経緯を経まして、来年度六百九十億円を再び国に貸すという、地方自治を軽視した不当行為を重ねたのでございます。(拍手)これはすでに昨年解決を見ておるべき地方交付税の性格、国のフィスカルポリシーとの関係、地方財政の現状認識につきまして、政府内に意見の不統一が持ち越され、地方財政の将来に大きな禍根を残すものでありますので、総理並びに自治、大蔵両大臣の御所見をお願いをいたします。 なお、本年一月六日の自治、大蔵両大臣の覚え書きの一に「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしないこととするとともに、昭和四十三及び四十四年度においてとられた特例措置を今後は避けるようにすることとし、別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する。」とありますが、「当分の間」とは、国、地方問の行政事務及び財源の再配分などの基本的問題の解決されるときまでのことでございますか。また、「地方交付税の年度間調整の措置」とは、地方交付税の総額を国の一般会計を通すことなく、直接、交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れ、地方自治体に配分後、それぞれの財政状況に応じ、自主的に調整を行なうことになるのか。自治、大蔵両大臣より、あわせて明快に御答弁をお願いいたします。 次に、地方財政計画で重点を置かれたという町づくり、地域づくりについてお尋ねをいたします。 自民党政府の高度経済成長政策は、地域の過密過疎を激化したばかりでなく、産業基盤整備に重点が置かれた結果、生活環境の著しい悪化となり、社会福祉、保健衛生の施設が立ちおくれ、新しい産業公害、交通事故その他の人災を増加して、命と生活の不安を生み出しております。ほんとうの町づくり、地域づくりは、その地域に住む住民のための生活基盤整備と住民サービスに重点を移すべきであります。来年度五割増し経費を配慮したといわれる市町村道の整備についてすら、道路の改良率において一・五%、舗装率で一%を引き上げるにすぎないのでございます。下水道事業や清掃事業につきましても、また同様満足すべき状態でないのでございます。 国の社会保障関係予算も、佐藤内閣成立以来、一般予算額に対する比率は低下し、その中心である医療保障は、公約の抜本的対策すら今日なお回避をいたしております。低所得層が大部分を占めておる市町村経営の国民健康保険は、住民税の平均を上回る一世帯二万円以上の保険税を徴収している町村も出ております。しかも、一般会計からの繰り出しは、過疎地帯の町村の大きな負担でございます。 さらに、直営診療所の医師、看護婦の確保に今日町村がいかに困窮しているかという現状につきましては、厚生省も十分御承知のはずでございます。経済成長世界第二位を誇るわが国は、先進国中最も高い乳児死亡率でございまして、これが対策につきましては、乏しい財源から十割の医療給付を断行しておる市町村もあり、本年も記録を更新する勢いにある交通事故に対処するためには、交通遺児手当の支給や、さらに国に先行して児童手当の支給を行なう地方自治体までも出ているのが現状でございます。 これらの地域住民に密接いたしまして苦心をいたしておる地方自治体の実例を申し上げれば際限がございませんが、最近、美濃部東京都知事が昨年十二月発表いたしました東京都中期計画は、社会福祉、保健を中心とした画期的計画といわれております。今後の地方自治体の生活基盤整備を中心とするあり方を示唆していると思うのでございます。政府は、各自治体がこの種の計画を積み重ねまして、その上に立って国、地方の財源を確保すべきであると思いますが、自治、厚生両大臣の御所見をお聞かせ願います。(拍手) ことに、これら緊急措置すべき行政需要を無視いたしまして、また税外負担、補助事業の超過負担、超過課税等の解消、さらには住民税の課税最低限の引き上げを必要としておるときに、公共土地の先行取得は必要といたしましても、地方自治体を指定し、通達をもって土地開発基金等の設置を指示し、地方交付税の中から六百億円をひもつき交付することは賛成できないのであります。地方交付税の本質に反しないのか、自治大臣の御所見を承りたいと思います。(拍手) 地方公営企業は市民生活と密接な関係にあるために、佐藤内閣成立以来、一七%の物価上昇下におきまして、その公共料金の決定にきめこまかな配慮を必要とし、経済成長のひずみと独立採算制というきびしい制度の影響をまっこうから受けて、年々その経営を悪化してまいりました。昭和四十二年度末の累積赤字は一千四百四十一億円に達し、不良債務額もまた多額でございます。この際、長期低利の融資、不良債の借りかえ、水道事業や地下鉄に対する国の助成、直接住民に関係する水道、交通事業等の独立採算制の排除等、英断的措置を必要としております。この要請にこたえるためには、公共企業金融公庫への大幅の出資の増額及び利子補給を、政府の責任において断行すべきであります。(拍手)わが党は、これに関連する法案を提案いたしておるのでありますが、これが通過を期待いたしておるものでございます。 最近、地方自治体の中で、公営ギャンブルの必要悪から反省期に入ろうとして、その財源に腐心をしているときに、政府みずから長期にわたり公営ギャンブルを恒久化し、その売り上げ高の一%九十億円をピンはねして、公営企業金融公庫の金利引き下げに充てんとすることは、許すべきことではないと存じます。(拍手)自治大臣の御所見をお尋ねいたします。 来年度におきまして、地方自治体に対し、行政機構の簡素化と定員管理の合理化の同調を財政的に強要しておるのでございますが、地方自治体は、過去における赤字解消と行政需要の急増に対処すべく、国に先行して絶えず行政機構の能率化に専念してまいったのでございます。国と同一基調に立って八千二百六十三名の定員削減を強要するのでありますならば、まず政府において各省の縦割り行政の弊害を除去するとともに、多数の委任事務処理の権限委譲等行政改革の検討を促進すべきであると思うのでありますが、ことに警察官の増員は、地方自治体の意向にかかわりなく、国の方針により法的に府県を拘束し、住民サービスに従事する地方公務員には定年制を法的に実施し、その労働過重を強要することは不当といわざるを得ないのでございます。(拍手)昨年、自治省で一応民主的方法で行政改革に関するアンケートを作成したのでありますが、その結末はどうなっているのでありましょうか。自治大臣及び行政管理庁長官の御所見をお伺いいたします。 この機会に、国家公安委員長であられる荒木国務大臣にあわせてお聞きいたしたいと存じます。 大学紛争及び七〇年安保に備えて、警察官五千人の増員中、三千五百人を治安対策要員に充てまして、全国十七万の警察官の半数が治安出動し得るような個人装備と機動力の強化をはかったのでありますが、地方管区警察学校の治安警察教養の強化と相まちまして、都道府県警察は、いまや荒木国家公安委員長を頂点に治安警察の色彩を濃くしたのでございます。不法な暴力に対し警察が適切に対処すべきは当然でございますが、重要刑事犯罪が迷宮入りしている今日、各種犯罪の捜査、激増する交通事故の指導取り締まり、複雑化しつつある青少年の不良化防止等、警察行政は多岐にわたるのでございますが、治安対策に重点を置くあまり、警察が、あらゆる機会に治安情報収集の強化となり、正常な労働運動や市民運動の取り締まり行き過ぎとなって、その民主的運営を見失ったり、警察行政全体に欠陥を生ずるおそれはないかということでございます。 最後に政府にお聞きしたいことは、過密過疎現象に対処する経済政策でございます。 第十二次地方制度調査会は、昨年八月「最近における社会経済情勢の変化に伴う地方行政の変ぼうに対処する行財政上の方策に関する中間答申」を行なったのでありますが、その中で、「大都市地域については、人口、産業の集中を極力抑制し、他面、地方における地域社会の振興を図ることにより、積極的に人口、産業の分散を図るべきであり、この考え方に基づいて行財政上の方策を確立すべきであるとの結論に達した。」と述べております。当然過ぎる結論でございます。そして地方行財政からの措置に触れ、「府県制度、市町村制度の基本的なあり方を抜本的に検討することが不可避である」としておるのであります。来年度地方財政計画におきましても、本年度に比較いたしまして六二%増の一千三百七十億円を過密過疎対策費として見ておるのでございますが、これで十分であるとは自治省自体でもお考えになっていないと思います。地方行政機構いじりで解決できるとも思われません。私は、一言にしていえば、今日の企業奉仕の経済政策を、佐藤総理の常に口にせられる人間尊重の政策に切りかえる必要があるのではないかと思います。(拍手)企業の社会的、地域的責任を追求する政策が実行される必要を感ずるのでございます。本日説明された石炭に関する法案も、政府提案とわが党提案との当不当は、いずれ審議の過程におきまして明らかとなるでございましょう。石炭に次いで、過疎地帯にある鉱山硫黄の斜陽化が起こっております。資本の自由化と国際的産業再編成の動きは、企業設備の分散よりも、むしろ集中が行なわれようとしておるのでございます。専売公社や郵政省の地方現業部門等も、また民間企業にならい、経済効率化の要請のみを考え、一部地域を犠牲にする動きもあるようでございます。政府は前述の答申の要請に、この種答申の例文と簡単に片づけないで、どうこたえようとするのか。総理、自治、通産両大臣の責任ある御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 私が申し上げるまでもなく、地方財政は行政水準の向上をはかり、過密過疎対策に対処するための多くの財政需要をかかえており、地方財政の充実が強く望まれることは御指摘のとおりであります。今回行なった地方交付税の特別措置は、四十四年度の地方財政の運営に影響を与えない方法により、地方交付税の年度間調整を行ない、かつ、国、地方を通ずる財政運営の円滑化をはかる見地からなされたものであり、このことによって明年度の地方財政に支障を来たすことはないもの、かように考えております。 次に、過密過疎問題に関連して、政府の経済政策はむしろ企業の集中をはかっているとのおしかりでありましたが、政府といたしましても、大都市周辺の人口、産業の集中を抑制し、これを地方へ分散することが、国土の均衡ちる発展のためきわめて必要なことと考えております、このため、工業制限区域の設定を行なったり、あるいは都市開発区域に対する税制、金融上の優遇措置を講ずるなどの各種の施策を進めておりますが、率直に申しまして、過密過疎の解消という観点からは、残念ながら、現状では必ずしも十分な成果をあげるに至っておりません。問題が問題だけに、そう簡単に過密過疎問題が解消するものとも考えませんが、今後とも、以上の基本的方向での努力を一そう積み重ねてまいりたい、かように考えております。決意のほどを披瀝いたします。(折手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 私には、四十四年度予算におきまして六百九十億円を減らした、交付税交付金を取り上げたというお話でありますが、これは決して取り上げておるわけではございません。昭和四十五年度以降において、交付税の通常の計算の上に乗っけてお返しをする、かようなことに考えておるのであります。国の財政がよければ地方はどうでもいいんだとか、あるいは地方財政だけがよければ国のほうはどうでもいい、そういうものではないと思うのであります。国も地方も両両相まって、わが国政の運営に当たっているというこの現実の姿に即してものを考えなければならぬ。現に、過去におきまして、地方財政は昭和二十九年、三十年と非常に苦しい立場になった。昭和四十年においても同じような苦しい立場に立ったわけです。そのときは、国が全力をあげてその財政を援助したわけです。昭和四十四年度の地方財政の状況を見ますると、その当時に比べますると全く予想も及ばなかったような改善を示しておるわけでありまして、国と地方との財政を両全せんとするその間の調整をとろうとすると、地方交付税の交付額を四十三年度に比べまして三一%もふえるという激増の状態で、これを二五%増ぐらいにとどめる、六百九十億円を差し控えていただく、こういうふうにすることが適切であったと判断をいたしたわけであります。 なおまた、地方財政だけを見ましても、この年度間調整の必要がある。というのは、地方財政の主力をなす財源は、税とこの交付税でございますけれども、この交付税は、国税主税、つまり、景気に非常に敏感に連動して動くところの三税の収入、それに三二という定率をかけるというところから出てくる額による仕組みでございます。でありまするから、去年は二四%ふえた、ことしは——ことしというか、四十四年度においては三一%もふえるのだ、こういうことになりまするが、やはり節度ある地方財政の運営ということを考えますると、年度間の調整をはかる必要がある、かように考えたのであります。自治大臣との間におきましては、さような趣旨におきまして、昭和四十四年度予算では六百九十億円を交付すべき交付税額の計算から落とす、しかし、それは四十五年度以降においてつけ加えてお返しをする、それから、当分交付税率はこれを動かさない、また、地方財政における年度間調整の問題につきまして検討いたしましょう、こういう約束をし、覚え書きをつくっておるのでございまするが、その「当分の間」とはどういうことかというお話でございまするが、これを中央と地方との間に行政事務の再配分が行なわれるとか、あるいは財源について根本的な再配分が行なわれるまでの間、さような意味であります。(拍手) 〔国務大臣野田武夫君登壇〕
○国務大臣(野田武夫君) 六百九十億円の措置につきまして、ただいま総理大臣並びに大蔵大臣から御説明申しましたから御了解を得たと思いますが、この金は、四十三年度の自然増収を見込みまして、その限度内の金を融通する、したがって、その自然増収は当然七百数十億円になるという見込みが立ちましたから、その金は四十五年度ほか使えない、したがって、これはもうはっきりしているので、補正予算ですでにあらわれてきております。四十四年度の地方財政計画には何ら影響がない、これを見きわめましたので、この措置をとったのでございます。 ただいま大蔵大臣との間の覚え書きの中の「当分の間」、これもすでに大蔵大臣から御説明がありましたが、自治省といたしましては、地方交付税というものは地方財政の固有の財源だ、こういうところに基本を持っております。したがって、当時しばしばこの四十四年度の予算編成期前から、大蔵省財政当局のほうから交付税率の問題が論議されておりましたが、私といたしましては、税率に手をかけてもらうことは一切これは困ると拒否しました。したがって、大蔵大臣との間に覚え書きをかわしまして、すなわち、大蔵大臣が説明いたしましたとおり、当分の間は一切交付税率には手をつけないという原則をつくったのであります。その「当分の間」の説明は、すでに大蔵大臣が御説明申したとおりでございます。同時に、年度間調整におきましても、山本さんが御指摘になりましたとおり、自治省といたしましては、あくまでも自主的にいわゆる年度間調整をするということに考えております。 次に、地方財政計画の産業基盤の整備と生活基準の問題でございますが、昭和四十四年度の地方財政計画の策定にあたりましては、住民生活に密接な市町村道、また下水道、清掃施設の整備、教育施設、交通安全対策等を積極的に進めることにしておりますので、いわゆるこの考え方は、生活基盤の整備を決して軽視しておるものではございません。 次に、土地開発基金の問題でございますが、公共用地の確保が地方の財政、また、いわゆる特に行政施設の整備を進めていく上におきまして重要な問題であるということはもう御存じのとおりでございまして、その意味におきまして、基金の財源の一部に充てるために、地方交付税法の改正にあたり、新たに単位費用を設けて措置したのであります。しかし、基金の設置についての指導というものは、地方の行財政運営に対する一般的な指導でありまして、普通交付税の使途につきましては、条件をつけたり、また制限を加えるようなことは一切考えてはおりません。 地方公営企業の財政問題の御指摘でございましたが、全く、今日地方公営企業の財政というものはきわめて困難をいたしております。したがって、この確立について努力を重ねておるのでございますが、現在の、このお話に出ました公営企業における収益というものを地方道、下水道、住宅、清掃施設などの都市的施設のほかに、社会福祉施設、教育施設など広く住民大衆の要望する施設の整備に充てております。公営企業につきましては、その社会、経済に及ぼす影響も広いのでございまして、いろいろのむずかしい問題を含んでおりますので、特に、自治省としてこれを奨励するということではなくて、地方団体の自主的な決定にまかしてまいりたいと考えております。 終わりに、自治省で行なった、つまり行政改革の案はどうなったかということでございますが、御承知のとおり、先般自治省におきましてはアンケートを出しまして、地方公共団体における行政改革の意見を聴取いたしました。この意見は、目下行政改革本部に出しておりまして検討中でございますが、なかなかまだ結論を得ておりません。しかし、今後とも、この行政改革の実現に向かいましては積極的に取り上げていきたいという考えでございます。(拍手) 〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
○国務大臣(斎藤昇君) 産業、経済、発展、国民所得の増加、生活水準の向上に伴いまして、社会保障費、社会福祉費の増加は必然でございます。国、地方を通じて必然的に増加を要求されるわけでございます。ところが、地方におきましては、これらの財政需要と財政能力とが必ずしも平衡いたしませんで、したがいまして、交付税等の配分にあたりましては、できるだけ新しい社会福祉、社会保障費の増加を、その配分にありて財政需要として適当に見込んでもらうように、自治省とも話をいたしている次第でございます。 また、財政に余裕のある地方におきましては、あるいは児童手当でありますとか、交通遺児に対する対策でありますとか、おあげになりましたような施策が講じられつつあるのでございますが、財政の伴わない市町村におきましては、とうていこれができないという現状でもございます。したがいまして、仰せになられました医療制度の抜本改正あるいは児童手当制度等も、なるべく早く実現をいたしまして、そうして国全体の規模におきまして、国と地方の財政と見合って、その財源措置も講じながら善処してまいりたい、かように思っておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 工場の地方分散についてのお尋ねでございましたが、御指摘のように、これまでの工場は過密地帯、とりわけ、東海道メガロポリス地帯へ集中しておりましたことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、最近になりまして、地価の関係、労働力の関係、公害問題等から申しまして、工場の都市集中は限界にきておるようでございます。一方におきまして、税制上あるいは金融上その他の優遇措置、さらには地方の誘致に対する熱心な要請が結実いたしまして、ようやく地方分散の傾向が顕著に見えておりますことは喜ぶべき傾向であると思います。私どもは、すでに三千四百の地区を指定いたしまして、工場立地条件について綿密に検討をいたしておりますことは御案内のとおりでございますが、道路、港湾等と並行いたしまして、工場用水等の基盤整備につとめまして、特色のある地方産業の育成につとめてまいりたいと思います。(拍手) 〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 山本さんにお答え申し上げます。 第一点は、地方財政計画に関連をしまして、公共団体の人員削減、そういう関連からいたしまして、国の行政の縦割りは一体どうだ、国の立場の行政改革をやらねばならぬじゃないかというふうな立場からのお尋ねであったと存じます。縦割り行政の弊害につきましては、しばしば指摘されてきておるところでございますが、これにつきましては、総合調整機能の強化をはかり、その弱点を補うべきものと考えております。また、人員削減に、対応して事務の簡素化をはかるべきであるとのお説には全く同感であります。目下種々検討いたしておるところであります。たとえば、御指摘の許認可事項の整理につきましては、第一次行政改革計画におきまして千三百八十三件について廃止、統合その他の合理化を行なうこととしております。また、許認可の新設につきましても、極力これを抑制する措置について具体的に検討を加えてまいっておるのであります。今後とも、中央、地方を通ずる事務運営の改善につきましては引き続き検討を続け、努力してまいる所存でございます。 なお、自治省のアンケートに対する対策はどうしておるかという御趣旨のお尋ねであったと思いますが、これにつきましては、すでに自治大臣から一応のお答えを申し上げましたので、蛇足ながら、私の立場から一言添えさしていただきます。 すでにお話が出ましたように、行政改革本部でこれを取り上げまして、その本部の幹事役は行政管理庁でいたしておりまして、検討中でございます。一応関係各省庁にアンケートを出して、前大臣のときに照会をいたしまして、大部分回答は得ておりますが、イエスというよりはノーというのが多うございます。立場上ある程度やむを得ないのもわかりますけれども、もっとこれを客観的に検討を加えまして行政改革に資したい。さらに、行政監理委員会におきましても、先月末からこれを正式の議題として取り上げて検討中でございますことを申し添えさしていただきます。 第二点は、治安問題についてのお尋ねでございました。警察の運営は、そのときどきの治安情勢の推移に応じて、全国民に奉仕する立場に立って適時適切に行なわなければならないことは御理解のとおりであります。このような趣旨から、警察といたしましては、現在国民がひとしく憂慮いたしております一部学生等の過激な集団暴力行為、これから国民生活を守るため、御指摘のような集団警備力増強のための措置を講じたものでございまして、これは警察として、国民から負託された任務を果たすために必要な当然の措置と考える次第でございます。また、これが運営にあたりましては、不偏不党、法の命ずるところに従って厳正公平に徹する考えではありましても、いやしくも正常な労働運動や市民運動、学生運動等に対して不当な取り締まりを加えるようなことなど、従来同様思いもよらぬことであると存じております。 さらに、刑事警察、保安警察、交通警察、青少年の非行防止やその補導におきましても、それぞれ予算も重点事項として配慮をいたしておりますことを申し添えまして、お答えにかえます。(拍手)
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十四分散会 ————◇————— 出席国務大臣 内閣総理大臣 佐藤 榮作君 外 務 大 臣 愛知 揆一君 大 蔵 大 臣 福田 赳夫君 文 部 大 臣 坂田 道太君 厚 生 大 臣 斎藤 昇君 通商産業大臣 大平 正芳君 運 輸 大 臣 原田 憲君 郵 政 大 臣 河本 敏夫君 労 働 大 臣 原 健三郎君 自 治 大 臣 野田 武夫君 国 務 大 臣 荒木萬壽夫君 出席政府委員 内閣法制局第四 部長 角田礼次郎君