P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
61回国会衆議院1969/06/13

法務委員会 第21号

発言数
124
登壇者
20
会派数
4
開催日
1969/06/13

会議録

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 これより会議を開きます。  裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について、調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いわゆる欠陥車問題について、法務省を中心として質問をいたしたいと思います。要するに質問は、大企業の行為には間違いがないという神話が打ち破られた、こういう点に非常な問題があろうかと思うのです。そこで、検察の公正とか、捜査の公正、あるいは裁判に対する信頼等についても、この問題は非常に大きな影響を与えたと私は思います。  そこで、最初に民事局長にお尋ねをいたしたいと思いますが、いわゆる欠陥車であることが判明しなかった、そういうふうな状態の中において加害者、被害者の中において補償の問題が起こります。今日その車が、いわゆる欠陥車であったということが判明した。予想される民事上の問題としては、どのような問題があるでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

新谷正夫法務省民事局長

○新谷政府委員 自動車の構造上の欠陥については何ら気づかれないで、運転者の故意あるいは過失によりまして事故が起きたということでかりに訴訟が起きたといたしますと、被害者からはその運転者に対して、あるいは保有者に対して責任の追及がなされるわけであります。しかし、もしもその事故の発生が、運転者の過失のみによるものであれば別でございますけれども、そうでなくて、欠陥車のその欠陥が原因を与えておるということになりますと、これは問題がちょっと複雑になってまいります。自動車の運行者のみならず、そのような欠陥の包蔵されておる自動車をつくった製造者の責任というものが、当然問題になってくるわけでございます。いわゆる製造物責任といわれますような不法行為上の責任が製造者にもかかっていくのは、これは当然であろうと思います。したがいまして、具体的な場合に、製造者の責任があるかないかということが当然追及されていいものでございますが、従来とかく運転者の故意、過失のみが問題にされておったのでございますが、しかし、このような欠陥車の問題が明らかになってまいりますれば、今後の問題といたしましては、運転者の責任のみならず、製造者あるいはその他の関係者の責任ということも、当然民事的には究明されるべきものと私は考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 刑事局長にお尋ねをいたしたいと思います。交通事故の防止ということが、政府のきわめて大きな政策であり、方針であります。さきに刑法二百十一条を改正いたしまして、刑の強化をはかったこともございます。そこで、私はお尋ねをいたしたいのですけれども、従来業務上過失ありとして、たとえば実刑の判決を受けて刑に服している、そういう人もずいぶん多いと私は思う。さらにはまた罰金の判決を受けた人もいると思う。そこで、そういうふうな人の中で、もしその業務上過失が構造上の欠陥という事実、そういうふうなものと競合している、事故原因が競合しているということが裁判当時判明しておったらば、実刑に服することはなかっただろうというふうな事実がありとするならば、私はきわめて重大な問題だと思います。正義に反する問題だと私は考える。そして先ほど冒頭に申しましたけれども、大企業の経営者だけが、大企業については責任がないんだというふうなかっこうで白い手でおるということは、私は許されないと思う。これらの問題について、刑事局長としては、検察の公正、検察に対する信頼という観点から、どのようにお考えになるか。なお、今日判明した欠陥車問題について予想される法律上の問題は、刑事局の立場においてどのような問題があるのか、この点についてお答えをいただきたい。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 法務検察としては新しい問題でありまして、まだ具体的な、しかも正確な事情を十分に承知しておりませんので、この段階でお尋ねの件について一々的確な御回答は申し上げにくいと思います。しかし、問題はかなり重要な問題でございますので、当面考えております点について、とりあえずお答えを申し上げたいと思います。  すでに起訴した事件でございますが、これにつきましては、もとより個人の過失の有無が最も重要な焦点になりますので、どういうふうな種類の過失が運転者にあったんだということを十分調書に基づいて認定の上で公訴を提起しているのが原則でございます。したがいまして、一般論といたしましては、たとえば適当な間隔を置いてブレーキを踏んだけれども、ブレーキがきかないためにこういう事故が起きたんだという弁解がよく出るわけでございますが、そういうふうな場合には、そのブレーキに構造上の欠陥があったかなかったかということにつきまして鑑定の上で運転者の過失を測定するというふうな措置を検察官は原則としてとっておりますので、私は、御指摘の公訴を提起した多くの事件について、構造上の欠陥が見のがされて刑が確定しているというようなものは、そう多くないんじゃないかというふうには考えております。しかし、何ぶんにも年間五十万件に達する、あるいは三十万件、四十万件というような多数の事故を処理いたしておりますので、具体的に一々の事件につきましては、特に構造上の欠陥が運転者の過失と競合しておったというふうな事件もかなりあるのではないかということが予想されますので、今後検察当局とも十分連絡をとりまして、具体的な事情の判明する次第に、検察当局としてはとるべき適当な措置を検討してまいりたい、こう思っております。  それからもう一つ、最後に法律上の予想される問題は何かということでございますが、定型的に申し上げますと、整備の不良車を運転したということが道交法の違反になって――これはかなり件数が多いわけでありますけれども、これは運転者が構造上の欠陥を知らずにそういう不整備の自動車を運転していたということになりますれば、これはそういう車を製造し販売した者にその道交法の違反が刑法上の責任としては成立するのではないかというふうにも考えられますし、構造上の欠陥のみによって事故が起きたというふうな場合におきましては、その車両を製造し販売したという者につきましても、具体的な業務上過失事故についての刑法上の責任というものは、理論的には存在するのではないかというふうに考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 大臣にお尋ねをいたしたいと思います。民事局長、刑事局長、両局長からの御答弁をいただいたわけでありますが、これは検察の捜査の段階においてチェックされたであろう、あるいは裁判所の裁判の審理を通じてそのような問題については配慮されたであろうということは、私もわかります。ただしかし、こういうふうな大企業が欠陥車を販売しておったなどというふうなことは、われわれにとっては予想もできなかった問題、数は少ないにいたしましても――数についての予想はつきませんが、あるいは無実の人が刑に服しているということもあり得ないとは言えない。当然再審の問題というような問題も起こってくるだろうと私は思う。また当時、車に欠陥があるということが判明をしておったならば、実刑の判決を受けて刑に服することがなかっただろうという人が、私はあるだろうと思う。こういうふうな問題を考えてみますと、先ほど刑事局長のほうから御答弁がありましたように、ひとつこれらの問題については、検察の公正という、民主主義の基本的な立場に立って、法務大臣においてはひとつ御方針をお示しをいただきたい。もとより私の質問は、この欠陥車問題が大きく浮かび上がってきた今日、欠陥車にことよせてみずからの注意義務違背を免れようとする人に手をかすものではありませんけれども、これらについてひとつ大臣の、正義を守るというか、人権を守るというか、こういう観点からの御方針を御答弁をいただきたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 ただいま民事、刑事局長からもお答えいたしましたが、いまお尋ねの点は非常に重要なことでございます。さっき川井刑事局長が申しましたとおりに、法務省としてもう少し時間をかけて実態の正確な把握ということを急ぎまして、その判断をした上で、いま中谷さんのおっしゃるような問題もさらに検討を加えていかなければならぬ。非常に大事なところでございますから、いま具体的にどうこうというのは、もう少し時間を拝借いたしたいと考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 刑事局長に補足してお尋ねをいたします。そうすると、すでに確定をしておる事案につきまして再審の事由がある場合には、検察官としては当然再審の申し立てその他の手続をとる、そういうふうな責務をお持ちになっていること、これは当然でございますね。といたしますと、いわゆる欠陥車であることが原因で交通事故を起こしたというふうな例があるのではないかということについて、確定記録等をもあらためて御検討になる、こういうような点も御方針としておきめいただいているのでございましょうか。私は、そういうようなこともぜひともこの機会になされるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 警察方面では、すでに会社側等からいろいろ事情を聞いておるようでございますが、警察当局と検察当局とがそれらの事情に基づいてさらに検討を重ねれば、おのずからいま御疑問になさっておるような事柄がどういうふうな実態になっており、またそれに対してどういうふうな措置をとるべきかということがわかってくるのではないか、こう思います。一般論といたしまして、もちろん御指摘のとおり、構造上の欠陥のために、あるいは構造上の欠陥が主となって起きた事件であって、起訴の当時あるいは裁判の当時構造上の欠陥についてはそれがネグレクトされておったというような事件のものがありますれば、そのようなものについては、法の規定するところによって再審その他の救済の手続をとるということは、これはもう当然のことだろうと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこでこの機会に、運輸省の村山政務次官に御出席をいただきましたので、お答えをいただきたいと思います。先ほど法務省の民事局長のほうから御答弁がありました、要するに民事上の問題として、加害者の注意義務違背として被害者に対して民事上の責任を果たしてきた。ところが、それが欠陥車の欠陥と事故原因において競合していた。すなわち共同過失の問題が生じたというふうな場合、当然加害者は、さらに製造者であるところのメーカーに対して損害賠償あるいは求償権等の行使ができることは、先ほど局長の答弁のとおりであります。しかし、実際問題として考えてみまして、いわゆるドライバーといわれているところの人たちが、そのような訴訟を起こすだけの力がはたしてあるだろうかどうか、きわめて疑問であります。本来こういうふうな問題は、何べんも申し上げますけれども、大企業のこういう行為には間違いがないんだという大前提があった。その大前提がくずれたところに非常に問題があると私は思う。したがって、ひとつ指導官庁であるところの運輸省として、欠陥車によって事故を起こしたそれらの人については、訴訟等をまつことなしに、メーカーが自主的に誠意をもって補償等の問題について解決をしていく、これらの問題について行政指導をされてしかるべきだと思う。そうでなければ、強い者がまかり通って弱い者が泣き寝入りをする、こういうふうな事態を避けることができないと私は思う。この点について、私はお答えをいただきたい。それが第一点です。  時間がありませんので、第二点の質問をいたします。問題になっております欠陥車といわれているのは、トヨタ、日産の車でありますけれども、たとえば輸入車等についてもそのような欠陥車というふうなものが存在するのではないか。この問題についても、厳正な調査が今後あってしかるべきだと私は思う。この点についてお答えをいただきたい。  いま一つ、これは率直に私申し上げたいと思いますけれども、聞くところによりますと、本田の車の中に、トヨタ、日産以上の欠陥車ありということですが、そういうような報告を、運輸省としては今日この時点において受けておられるかどうか。この点についてはいかがでありましょうか。二点についてお尋ねをいたします。

村山達雄自由民主党運輸政務次官

○村山(達)政府委員 いわゆる欠陥車の問題につきまして、いろいろと民事上あるいは刑事上の議論が行なわれておりますので、御参考までに、一体欠陥車というのはどうして発生するのか、現在安全を守る上でどういう措置を講じておるのか、なぜいままで運輸省がわからなかったのか、その辺のことから、ごく概略的に御説明申し上げます。  もとより新型車につきまして発売するときには、型式指定をやっておりまして、その中では保安基準をきめておるわけであります。ですから、出ましたものは、一応その保安基準に照らしてみて合格しているものでございます。アメリカにおいての輸入車がやはり問題を起こしましたが、これもアメリカの保安基準に合格しているのであります。そしてわれわれのほうでは、事後もしそれを改造する場合には、認可の対象になりました諸要素を変更する場合には、あらかじめ運輸大臣の承認を経なさい、こういうことになっているのでございますけれども、今度のコロナの場合、ブルーバードの場合は、いずれも型式指定の際の諸要素の変更には該当しておりませんものですから、ですから届け出がなかった、こういう事柄でございます。  したがいまして、今後運輸省としてとるべき対策は、第一に新型車を指定するときの保安基準をもう少し科学的に、技術的に高度のものにするということが第一であろうと思うのでございます。第二番目は、現在型式指定の際の諸要素に変更がなくても、そういう重要なものでなくても、保安上の何らかの改善措置をしようとする場合には、すべてこれに届け出義務を課すると同時に、今度のようにこれを一般のユーザーに広く紙面その他を通じまして公表していく、こういう措置が必要かと思うのでございます。  問題になりましたトヨタは、実は三十九年から四十三年まで、それくらいの生産期間でございまして、五十八万台出しておるのでございまして、問題の起きましたのは、私も今度初めて会社側に聞いてわかったわけでございますけれども、三件ばかり事件が起きておりますが、いずれも大事に至らなかったということでございます。現在回収しておりますのは、すでに約五〇%回収しておりまして、あと二十五万台くらい残っておるわけでございますが、今度の事件を通じまして、直ちに周知徹底させるとともに、この回収を八月までに完了するということを会社側は誓約いたしておるのでございます。日産についても同様なことでございます。  そういう事実を踏まえまして、ただいまの御質問にお答え申し上げますと、事柄は民事訴訟、民事責任の問題でございますが、これはその責任の所在がどこにあるのか。確かに構造上欠陥があったことには間違いございませんけれども、あるいは整備が悪かったのか、整備を怠っておったのか、あるいは運転上の問題があるのか、確かに構造上欠陥がありますからいま回収をさしているわけでございますけれども、その民事上の責任はケースバイケースによってきまるわけでございますものですから、にわかに運輸省がすべて欠陥車についておまえのほうで補償しろということは、いま直ちには言いかねるということを御了承いただきたいと思うのでございます。  それから第二点の、いまの本田の問題でございますが、実はそういうわけでございますから、運輸省のほうはそれをいま知らない状態にあるわけでございます。先般の六月六日に日産、トヨタ両社に対して回収を指示すると同時に、自動車工業会並びに輸入組合に対しまして、同様のことはほかの車種についても当然予想されるところでございますから、すべてこういう種類のいわゆる欠陥車について、いままでの詳細な報告と、会社側がとってきた対策の報告を求めております。同時に、今後さようなものについては両社と同様に回収に向かうべきこと、それからいつまでにそれを完了するか、事実がわかったら、両社と同じように直ちにユーザーに新聞広告その他を通じまして周知徹底せしめることをいま厳重に申し渡しておりまして、十二日、きのうでございましたが、それぞれ工業会の会長、輸入組合の理事長から御返事がございまして、御指示のとおり措置をいたします、かように言ってきているのでございます。ホンダにつきましても、私たちもうわさを聞くわけでございますけれども、個々につきまして正確な資料はいま持ち合わしていない、こういうことでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では、重ねて民事局長にお尋ねしておきます。共同過失があるということが法律上予想されまするけれども、そのような訴訟というのは私はきわめて困難である、こういうように考えます。しかし、そういうようなことについて泣き寝入りするわけにはいかないと思いますが、きわめて素朴な質問でありまするけれども、現在そういうふうな欠陥車についての共同過失の立証というようなことは、一般のドライバーが原告になった場合に、はたして一体どの程度可能だというふうに考えられるのか。これは非常に素朴な質問でありまするけれども、ひとつお答えをいただきたい。  そこで、政務次官に私はお尋ねをいたしたいと思うのです。かりに私がそういうふうな欠陥車を共同過失ということの立証をしろと言ったって、相手が大企業である場合には、企業の壁というのは非常に厚いです。それらの問題について、何も補償金を無差別、無制限に払えというようなことを私は言っているのではない。しかし、そういうふうなことによって被害を受けたと思われるところの国民が泣き寝入りをするということは、正義の観点から許されない。だから、これはひとつ公害についての紛争処理機関があるように、メーカーが自主的に紛争処理機関等を設けて、積極的に解決するような方向に向かわせるべきではないか、私はこういうふうに考える。この点については、ぜひともそういうふうに行政指導があってしかるべきだと思いますが、お答えをいただきたい。  なお、私はこの機会にひとつさらに政務次官にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、六月十二日付でトヨタあるいはその他のメーカーの「謹告」と称するところの新聞広告、これは非常に大きなものが一斉に出ました。この新聞広告によりますと、「五十六万四千台生産されていますが、この原因によるトラブルは全国で三件だけで、さいわいにも大事には至っておりません。」という記載があった。まさに私はこの点が問題だと思うのです。要するに、大企業の行為には間違いがないのだという一つの神話があり、幻想がある。三件しかそういうトラブルがなかった。ところが、実際には欠陥車があったという点に問題があるのであって、三件しかなかったという広告を麗々しく出すところの大企業の企業姿勢というか、企業責任に対する態度というものは、きわめて甘いと思う。この点についての運輸省の御見解を承りたい。

新谷正夫法務省民事局長

○新谷政府委員 立証上の問題でございますが、これは確かに非常に困難な問題でございます。運転者だけの運転上のミスによる場合、さらに運転者のミスと自動車の構造上の欠陥が競合しておる場合、あるいは自動車の構造上の欠陥のみがその原因を与えた場合、いろいろ考えられるわけでございます。しかし、先ほどお話しのように、自動車メーカーというものは安全性をモットーにして間違いのない製品をつくるというふうに一般に考えられておるのでございます。そういう状況下において事故が起きたとしますならば、まず運転しておる者の故意なり過失ということが問題として取り上げられるわけでございまして、それから先の追及は従来おそらくなされていなかったであろうと思うのでございます。ところが、今回のような欠陥が明らかになりまして、そのことが何人にも明白になったといたしますならば、今後事故が起きました場合には、もちろんそういう点も十分調査いたしまして責任の所在が究明されるであろう、このように考えるわけでございます。しかし、何ぶんにも機械の構造上の問題になりますと、当該の事故と機械の欠陥との因果関係というものが、必ずしも明白でない場合もあり得ると思います。いろいろの要素が競合する場合も考えられますのでむずかしい問題ではございましょうけれども、その立証がつきますれば、これはやはり責任を負うべきものは当然負うという態度であらねばなるまい、私はかように考えております。

村山達雄自由民主党運輸政務次官

○村山(達)政府委員 いま御質問の第一点の問題でございますが、その法律上の責任ということになりますと、競合いたしますからなかなかむずかしいと思いますが、少なくとも心がまえといたしましては、大企業はそれだけ社会的に責任を負うべきだ、こういうふうに私は思いますから、個々の問題にあたりましても、それだけやはり謙虚な気持ちで大企業は事柄に当たるべきであろうと思いますし、またわれわれもそのように一般的に指導してまいりたいと存じております。  第二点の広告の問題で、たまたま三件しかなかったという話でございますが、これは私はとりょうだと思うのでございまして、実は私も、アメリカの新聞に出ましたときに、自分の乗っている車があすにでも故障を起こすのではないかということを心配したのでございます。しかし、そんなことはあり得ないということを片方常識として考えるわけでございますが、その危険率がどの程度であるかということを、うそを言ってはいけませんけれども、正確にユーザーに知っていただくということは、大事なことであろうと思うのでございます。そういう意味で、とりょうでございますけれども、私は率直に述べたのであるというふうに受け取っておりまして、ある種のユーザーにとりましては、まあまあこれは回収は急がねばならぬけれども、きょうは忙しいからそれほどのこともない、あすにしよう、これくらいの心の余裕を与える広告ではなかろうか。私は少し善意にとっているのかもしれませんが、しかし、ものごとを正確に広告するという意味でやったのではなかろうか、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 全く見解を異にいたしますね。ただ、私の持ち時間がないようでございますので、重工業局長さんにお尋ねをいたします。要するに、こういうふうな欠陥車の生じた原因というのは、価格引き下げ競争、さらに過保護あるいはいわゆる過当競争、いろいろな状態の中で部品を納入しているところの下請その他の問題が、私はあるというふうに聞いております。自動車業界の強い反省が望まれるということは、世論であります。そういうような中で、ひとつ通産省といたしまして、これらの下請部品企業等の納入等を含めて、下請部品企業等についての総点検、こういうようなものを私はされることを国民は望んでいるんではないか。通産省は業界の方をお集めになりまして行政指導をされたというふうに聞いておりますけれども、この点についての率直な御答弁をいただきたいと私は思います。  なお、たいへん恐縮ですけれども、これで私の質問が終わりますので、警察庁の方にお尋ねをいたします。実は、この総点検運動というのは、本日の新聞に警察庁が総点検運動をおやりになるんだということが麗々しく報道されておる。ところが、私は率直に申しまして、現に捜査中の事件、これらの問題については、それぞれのドライバーは抗弁し、弁解する機会がある。しかし、すでに確定したものについては、これは全く泣き寝入りということがあってはいけないということを、先ほどから何べんも指摘をいたしました。だから、私が警察庁にお尋ねをいたしたいのは、総点検運動というのは、これらのすでに捜査が終わったものについて、そうして確定判決を得たものについてまで、それまで掘り下げておやりになる決意があるのかどうか、これが一点。  なお、状況に応じてはメーカーについて刑事上の業務上責任を追及することもあり得るというところの警察庁の方針であるというふうにお聞きしておりますけれども、これらの御捜査については、早急かつ迅速、ひとつ徹底的にやっていただきたい、この点を私は要望をいたしますので、御答弁をいただきたいと思います。  なお、私は法務委員会の委員といたしまして、先ほどの運輸政務次官の広告についての御答弁でありますが、要するに氷山の一角としてしかあらわれてこないその社会的な背景、すなわちわずか三人しかトラブルとして申し出ができないような雰囲気、こういうような雰囲気というものは、きわめて遺憾である。そういうふうなことが非常におそろしいことなんだ。先ほどの政務次官の御答弁、善意に解釈せられてと言いますけれども、私の立場においては、どのように善意に解釈をいたしましても、先ほどの広告にあらわれた企業の姿勢というものはきわめて遺憾であるということ、これは御答弁要りませんが、重ねて申し上げまして、通産省と警察庁の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 通商産業省といたしましても、今回のような事態が起こりましたことにつきまして、きわめて遺憾に存じておるわけでございます。したがいまして、先般自動車工業会の社長会を催されましたときに、こういう事態について厳重な注意を喚起いたしたわけでございます。その際、いま御質問ございました部品についての話でございますけれども、特に設計、あるいは工程管理、あるいはまた検査施設、そういうふうなものにつきまして、この際会社自身の手で総点検をするようにということを特に厳重に申し渡したわけでございます。ただ、私ども一番心配いたしますのは、部品のうちの六割が部品業界からの納入部品であるということでございますので、この総点検の名のもとに部品工業界にすべてのしわが寄るということを実は一番心配いたしまして、特にその点につきましても、そういうことのないようにということにつきまして注意を喚起いたしておるわけでございます。したがいまして、さらに自動車工業界と部品工業界、それぞれ緊密な連絡をとりながら総点検体制について準備を進めてまいるという段取りで現在進めておるわけでございます。

竹岡勝美警察庁交通局交通指導課長

○竹岡説明員 今回日産とトヨタ関係で発表されました欠陥車の問題につきまして、われわれが事故との関係で問題があると思いますのは、ブレーキ関係の欠陥だと思います。日産関係で三項目、トヨタ関係で四項目でございます。われわれ警察のほうで、昨年一年間の交通事故で、ブレーキ関係の損傷事故は年間約二千五百件ございます。普通は、トヨタ、日産関係のブレーキ関係の欠陥と申しましても、突発的に急にブレーキがきかなくなるというようなことはむしろレアケースで、やはり徐々にブレーキオイルが漏れてくるとかあるいは締めつけがきついがために摩耗していくというようなことで徐々にブレーキがきかなくなるということが、どの欠陥でも普通あらわれる傾向だと思います。そうしますと、われわれ、当然、事故が起こりまして、これがブレーキがきかないというような運転者の申し立てによりましたときには、必ず整備専門家の鑑定を受けております。整備専門家も鑑定いたしまして、ブレーキがきかなくなっておるというようなことで、運転者の過失責任によって送る場合がございます。しかし、この二千五百件のブレーキ事故による事故をわれわれつかんでおりますけれども、送りました事故あるいはわれわれの扱いました事故で、これだけの車種というのは限定されておりますから、これらの車種につきましてのブレーキ関係での事故というものは、そう大きな数にはならないと思います。とりあえずこれを私のほうで一応チェックしてみよう。不審な点が――当時そういう車体欠陥ということは、警察庁のほうも、何と申しましてもこれは二年に一ぺんの車検を受けてきて、完全なものだと思っておりますので、そういう不審の点は毛頭持っておりませんでしたので、やはり私のほうでも、そういう点は新たな目で、送りましたものにつきましては、この機構の車のブレーキ関係で事故を起こしたものにつきまして点検することは、そうむずかしい問題ではない。ただし、これによってどの程度の業界のほうに対する過失責任を問うか、こういう問題は、非常にむずかしい問題であります。われわれの十分わかりません場合には、検察あるいは法務省の御指示も得まして、やはり一応洗ってみるというのが、第一次捜査の責任を持っておりますわれわれの一応責任ではないか、このように考えまして、関係事故につきましての点検を指示したわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 畑和君。

畑和日本社会党

○畑委員 私は、きょうは三件の問題について質問したいと思っておったのですが、一つの問題については、例の機動隊が誤ってほかの大学のほうへ要請と間違えて行ったという件、それは文教委員会のほうで質問をいましておるようでありますから、省略いたします。したがって、私がきょう質問いたしますことは、二つの案件、一つは、この間新聞にも出ておりました、裁判官が事実上解雇されたということ、すなわち転任を断わったために、十年十年でやる区切りの際に不再任ということで名簿に載せられなかったという件について一件。それから、もう一つは、私の地元でありまする埼玉県で起こりました、ついこの問の日曜に行なわれたベ平連の比較的静穏なデモに対して警察当局が弾圧を加えたという件について、若干究明をして、真実を明らかにしたい。こういうことであります。  まず最初に、時間が少ないのでありますけれども、裁判官のほうの問題について質問をいたします。これは、最高裁の人事局長見えていますね。この問新聞で拝見したのでありますけれども、広島地裁の長谷川茂治判事、この方が十年間の任期が三日に切れたということで、その後最高裁は再任をしなかった。その理由とするところは、結局それまで転任をするように慫慂しておったが、福岡高裁への転任を長谷川裁判官が拒否したので、そのために再任をしなかったということであります。これは法規上は十年十年で裁判官が任用されるわけでありますけれども、ちょうど切れ目が来たが、最高裁の転任の要請にもこたえなかったから再任をしないということの処置に出たということだろうと思うのであります。一方、御承知のように、裁判官は身分が保障をされておるわけでありまして、その意に反して転任だとか転官だとか、それから首を切られたり何かすることはないという規定がほかの法規できまっておるけれども、憲法八十条並びに裁判所法四十条によって指名をされなかったということにおいて、結局事実上解雇されるようなことになった、この問題でございます。行政権限でできることはできると思うのでありますけれども、しかし、一方御承知のように裁判官の身分保障の憲法の規定もありまするし、またそれを受けて、先ほど言うた意に反して転所、転任等もさせられないという規定も一方あるわけです。その規定が片一方の八十条と四十条の再任の規定によって再任されないでやめさせられたということで、めったにないことでありますから注目をひいたものだと思うわけです。このいきさつを聞きたいのですが、新聞の報ずるところによりますると、まだ本人は広島でぜひ仕事をしたいということ、それから細君が病弱であるということで、福岡への転任は希望しないということであくまで突っぱったものだから、そういう処置になった、こういうふうに出ておるわけであります。そういうことに対して青年法律家協会広島支部などは、「最高裁は法律で認められた司法機構内での人事など行政権限を悪用、良心と法律にのみ従うべき裁判官の地位をおかしたことは司法の独立と裁判の公正への挑戦であり、国民の立場を守る法曹界として見のがすわけに行かない」こういうような声明を発表いたしておるわけであります。この問題については、いままでどういうような転任の進め方をやってきたのか、そのいきさつ等をまずお聞きいたし、それからもう一つ、再任をされなかったケースが大体一年間にどのくらいあるのか。それからまた、こういう長谷川判事のような場合、すなわち本人の意思に反して再任されなかったという件が一体ほかにもあったのかどうか。この点についてお聞きいたしたい。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 十分御承知のとおり、憲法七十八条と裁判所法四十八条に基づきまして、裁判官は十年の期間中は非常に強い身分保障を受けております。転任の件は、同意がなければ転任を命ずることもできませんし、報酬を減額することももちろんできない。非常に強い身分保障を受けておるわけでございます。そこで先ほど御指摘のとおり、憲法八十条と裁判所法四十条によりまして、再任の期間が到来した場合には、その強い身分保障は一応消える。そして消える場合に、最高裁判所がその裁判官を再任の名簿に載っけるかどうかということについての権限を憲法と裁判所法によって与えられているわけでございます。  ところで、長谷川前判事につきましての具体例でございますが、これは最高裁判所の裁判官会議できまる人事上の事項でございまして、なぜ特定の裁判官を名簿に載っけたのかという御質問があった場合にも、これはなぜ載っけたかという具体的な理由について裁判官会議の内容を御説明申し上げることはできないと同様に、なぜ裁判官を名簿に載っけなかったのかという場合につきましても、これまた同様にその載せられなかった理由について御説明するのはできないということに相なっておるわけでございます。この点、具体的な人事につきまして御質問にお答えできないのははなはだ残念でございますけれども、そういうような趣旨で御了承いただきたいと思うのであります。  ところで、第二点にまいりまして、それじゃどのくらい裁判官が再任を契機にやめているかという御質問でございますが、ここ十一、二年間を見ますると、年に大体七、八人ぐらいは再任期を機会に勇退いたしております。そしてその意に反して再任の名簿に載せられなかったという方は、大体平均いたしまして年にお一人ぐらいある、こういうような現状に相なっております。

畑和日本社会党

○畑委員 いまの人事局長の答弁は、まことに官僚的というか、裁判所の裁判官の会議できまったことであるから、どういう理由で名簿に載せ、どういう理由で名簿に載せないかということについてはお答えをひとつかんべんしてくれ、こういうお話でございますが、そうかたくならぬでもよろしいと思う。長谷川裁判官が転任をがえんじなかったから、結局そこである意味のしっぺ返しだとも思うのだ。そういうことで、ちょうど十年の任期が切れたから、再任しなければ結局意に反してやめるほかない、こういうことだと思う。しかも、もう一カ月前に後任の判事が到着しておる。こういうようなことに至っては、最高裁判所としてもどうもやり方が少し問題だと私は思うのです。結局身分保障があるとはいいながら、十年十年の切れ目で身分保障がなくなる。これは文字どおりそうではあるけれども、先ほど言ったような自分の意に反して転任などはさせられないということもあるのです。それが十年十年の切れ目によってなくなってしまう、こういうことで答えは簡単だと思うが、しかし、本人も広島で仕事をしたい、あるいは奥さんが病弱だというようなことでもっといたいということであったろうと思うのでありまして、そのいきさつにはいろいろあろう。しかし、そのいきさつを言うわけにいかぬ、こういう最高裁の態度であります。それを機会に勇退をするのが年に七、八人、意に反して事実上の解雇をされる、不再任という決定をされるのが年に一つくらい。その一つの例に長谷川さんが加わっておったから、新聞にも報道されたのだと思うのです。そういうことで、不再任はできることはできるけれども、やはり十分にもっともっと――やったと言われるだろうけれども、またそういうことを答弁すること自体が実は遠慮させていただきたいということになるのであろうけれども、しかし、裁判官の身分保障ということもあるし、もっと熱を入れてその辺の打開をはかるということが望ましいと私は思う。こういう形になってきますと、転任を断わり続けておったものだから、結局後任も発令しちゃって本人は不再任、こういうことになったということで、われわれが見ましても、どうも適当な処置だとは思えないのであります。この問題はこれでよろしゅうございます。  それから、それに関連してこの間実は自民党内で裁判の批判の問題がありました。それに端を発して、自民党内で裁判制度に対する調査特別委員会というものを設けられて、いろいろ紆余曲折等があり、世間の批判等があって、結局形はとにかく裁判制度を調査研究するんだということで、田中さんが委員長になられたようでありますが、いろいろその当時マスコミ等で騒がれておったけれども、最高裁判所としては司法の独立を守るというような態度であくまで貫く、こういうことの声明があったけれども、その点新聞で報道されたことによって自民党もいろいろ態度を変えておられるようでありますけれども、しかし、必ずしもまだそうきまったものではないと思います。こういう点について最高裁の声明がありましたけれども、人事云々、いろいろ判決の結果によって人事を左右しようというような動きがあったやに承るので、そういう点について、最高裁の人事局長としてこの問題についての御見解を承りたい。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 実はこの問題につきましては、自民党のほうから別に正式にお話を承っているわけでもございません。要するに、四月二十三日の水曜日の朝刊に、裁判制度に関する調査特別委員会をお設けになって、いろいろな調査をなさるという新聞記事を私ども拝見したわけでございます。その内容がかりに裁判の独立に関係があるものとすれば、これはわれわれとしては非常に重大な関心を持たざるを得ない事柄でございます。ちょうど四月の二十三日は水曜日でございまして、これは定例の裁判官会議が行なわれる日でございます。そこで朝刊に発表されました記事の点が、問題になったわけでございます。しかし、新聞で発表された事柄でございますので、一体その調査活動がどういうような実態をとるか、またどういうような目的で調査活動が行なわれるかは、われわれのほうにも全くわからないわけでございます。したがいまして、新聞に発表されましたことを前提にいたしまして、かりに新聞で発表されたようなことがあったとすれば、そしてそれが裁判の独立に影響があるとすればこれは困るというような趣旨で裁判官会議でもいろいろ意見がかわされまして、裁判官会議の御意見を経て事務局長の意見の発表、こういうことになったのがいきさつでございます。

畑和日本社会党

○畑委員 了解。  次に、もう一つの問題について申し上げます。もう一つの問題と申しますのは、この問の日曜に、埼玉県の朝霞におきまして、埼玉ベ平連が主催して、朝霞に米軍の基地がございますので、その基地の撤去を要求する意思表示をするための市民のデモがありました。これは朝霞の駅の北口へまず集合して、それから踏切を渡って朝霞の本通りを出て、約七百メートルくらい行ったところに交差点がある。その交差点で実は十二名の人たちが逮捕された事件であります。この事件は、われわれがいろいろ市民の人たちの話も聞きまた参加をした人たちの話も聞きましたあげく、どうも警察の権力乱用だというふうに私は思いましたので、実はきょう注意を喚起するためにこの点について質問をいたしたいのであります。  このときのあれは、まず五十人くらいのデモだったそうです。そうして北口駅前で集会をして、それから出発をした非常に小さいデモでありまして、もちろんゲバ棒もないしヘルメットもないというような状態で、中には子供をおんぶした者あるいは子供の手を引いた者もいたそうであります。ところが、初めからどうも警察の態度は規制をするという態度で、サンドイッチで初めからやって、最後の場になりまして、ちょうど交差点でゴー・ストップがある。信号が赤だったから、そこでとまって、青になったので、ピッピッと吹いて前進ということになった。その交差点の左側にゲートの裏口に通ずる道がある。そこの四つかどに機動隊が五十人くらいおりました。その反対側におった公安係のほうで、逮捕する、何をするんだということになったときに、かかれ、一斉検挙だ、こういう警察側の指揮者の指揮でけ散らした。そして十二名が逮捕された、こういう事件であります。あまりにどうも私も聞いたことはないので、実は驚いておる。このことについて質問いたしたいのですけれども、警察当局に聞きたいが、一体この逮捕は何を理由にして逮捕したのか、まずその逮捕の罪名ですか、それを承りたい。

丸山昴警察庁警備局警備課長

○丸山説明員 ただいまのお話のデモでございますが、当日先生がおっしゃいますように約五十名、東上線の朝霞駅の北口の広場で集会を行ないまして、それから東上線の踏切を通りましてから、ずっと基地のまわりを一周するような形で行なわれたのでございます。集会は一時五十二分に始まっております。それからデモは二時三十五分から始まっておるわけですが、このデモの先頭に大東文化大とベ平連の約二十名の集団があったのであります。出発と同時にかけ足行進を行ないまして、その後ただいま先生御指摘のありました基地の裏門の十字路に至ります間、商店街の狭い道でございますが、その間を蛇行進をし、あるいは渦巻きデモをやり、ちょうど踏切を渡りますときは遮断機が降りましたので、そこから逆の方向にかけ足行進をするというようなことで、この十字路に参ります間に、数回の警告を行なっておるわけでございます。  そこで、十字路で検挙をいたしました者のうち、二名は埼玉県の公安条例の違反並びに道交法の違反ということで、いまの十字路で検挙をしておるわけでございます。それから残りは、この逮捕行為が始まりましたときに、これに対しまして逮捕を妨害をした。中の警察官の一名は、左足の骨折をしております。また、携帯無線機をこわされておるわけでございますが、こういうことで、公務執行妨害、傷害、という名目でございます。それから、このうち二名は、実はここから逃走いたしまして、近所の民家に入りまして、土足で入ったということで、その民家の方がとめたのでございますが、それにもかかわらず入り込んで困っておるという届け出がございました。警察官が出向いて検挙をいたしましたので、建造物侵入が加わっておるわけでございます。

畑和日本社会党

○畑委員 私は、現場も見てきたんです。写真などもあるんですが、この蛇行行進をちょっとしたのは、駅前の北口なんです。そのときは日曜日でありまして、ほとんど人通りはない。むしろ警察の公安がえらい数だ。これを見なさい。これみんな警察の公安ですよ。警察の公安が大体五十人ぐらいいる。それでわずか五十人ぐらいのやつをサンドイッチにしちゃった。初めからほんとの二分ぐらい蛇行進したそうだ。ところが、それをサンドイッチにしちゃって、それから踏切を渡ってもずっとサンドイッチ。そうしてかけ足しようにもかけ足できない。しょうがないから、こういうふうに足踏みした。これはかけ足というか何かしらぬけれども、足踏みだ。まわりじゅうから取り囲んでずっと行っている。バスも通っている。何の交通の妨害もないわけだ。それでキャンプのところへ行ったら、ちゃんと機動隊が待ちかまえていて、それでゴー・ストップでとまっていた。そうしたところが、青になったから、前進。ピッピッと行ったら、こっちから、かかれっ、全員検挙、というわけだ。何が何だかさっぱりわからない。公安条例違反だったら公安条例違反で、指揮者だけ逮捕すればいいんで――逮捕しなくたって済むことだ、あれは罰金で済むことだから。埼玉県の公安条例は、御承知のとおり、届け出制だ。ただ、公安条例の第三条に、蛇行してはならないというのが別にあるから、これによってやったのかもしれぬけれども、それによってやったんだったら、最初のときですよ。七百メートルも離れている。現場でなぜ押えぬ。押えるなら、初めからその現場で押えたらいい。それを、そうじゃなくて、蛇行も何もしない、七百メートルも行ったところで、あらかじめきめておいて、四つかどで機動隊が待ちかまえていて、それでやれっ。さすがに機動隊も手控えたそうだ。そういう種類のデモだから、手控えてあまりやらなかったそうです。片方ではやれやれと言って、しかもとっつかまえておいて、だれがつかまえたかわからないのが三人いた。その三人は、現認した人がとうとうあらわれないから、その日のうちに釈放された。十二名のうち三名が釈放された。しかも、逮捕されても、ほとんど調べがない。ところが、逆に調べを集中された者は、二日間にわたって夜の十時までも調べられている。しかも、取り調べ官の中にも、どうしてこういうのをつかまえるんだろうという声が非常に強かったらしい。新聞記者も、たいして問題にしてなかったから行ってない。あとで聞いたんだ。その中に高等学校の生徒が二、三人おるわけだ。その中には、親に通知をしないのがおって、知らないでいて、親がおこって行って、それで釈放してくれた。これはあとで釈放になった。その日じゃありません。翌々日かなにかに、勾留請求の前に釈放されたのが一人おります。それから十二名のうち三名が、そういう事情で特にその日にその場で釈放され、それから九名送検になった。そのうち高等学校の生徒二名が勾留請求までに釈放になった。それで結局七名請求をして、検事のほうでそのうち四名については却下された。三名だけは残っている。私は次席検事に会ったんだけれども、次席検事も、どうもまだよく調べてないもんだからよくわからぬから、まあまあとにかく勾留請求だけは七名については出すつもりでおります。しかし、処分については十分よく調べて処分をするつもりでありますと、こういう返事をしておったが、ともかくやり方がでたらめなんだ。もう少しよく冷静になってやらなければいけない。ここに高橋という警備二課の男がおる。この男はだいぶあっちこっちから評判が悪い。その男が指揮をして、全員検挙だ。何を全員検挙の理屈があるのか。道路交通法違反というのかしらぬけれども、そんなこまかいことまでだれも知らない。しかも、つかまったところあたりは、ずっとサンドイッチで来ていて、蛇行進も何もしていないんです。かけ足もできないんです。そういう状況であって、初めから待ちかまえておって指導者をつかまえた。しかも、どっと、みんなかかれということになると、だれもつかまりたくないから、それで逃げようとしますわ。そうすると、そこで公務執行妨害、何でもかんでも公務執行妨害だ。これは要するに、つかまえようとすれば逃げようとする。そうすると、それが公務執行妨害だというのか。まさに公務執行妨害の乱用ですよ。まさに道路交通法の乱用ですよ。それから住居侵入といったって、ゆえなくといっておるけれども、ゆえなくではなくて、ゆえがあるんだよ。ゆえなく追っかけられたから、だからしようがなくて、ゆえなくじゃなくて、しようがなくて合法的に入ったんだ。ゆえなく追っかけられたからやむを得ず入ったんで、ゆえがあるんだ。そういうことも建造物侵入なんてつけ足しにくっつけてやるのは、ぼくは非常に行き過ぎだと思うんだ。どう考えても行き過ぎだと思う。埼玉県はあんまり事件がない。埼玉大学のゲバぐらいのもんで、あとは埼玉ベ平連をねらうぐらいのもんかもしれないから、ひまかもしれないが、五十人や六十人の穏やかなデモに、五十人の――ここに写真がございますけれども、ごらんなさい。こういうたくさんの公安がいるんだ。丸山さん、見なさい。これはみんな公安なんですよ。その日は人通りはまばらですよ。こういう状況なんだがね。もっとよくあなた調べてみなさい。もっとも、あなた方への報告はいいことを言うかもしれぬけれども。しかも、もう一つ聞きたいことがあるんだ。これこそほんとうに権限以外だと思うんだけれども、それからあと残った五十人ぐらいの者が、朝霞警察に抗議に行ったわけだ。署の前で、それで抗議したところが、高橋というのがつかまえろというので、二人つかまえた。抗議に行ったら、そいつつかまえろというので、それで追っかけていって三百メートルぐらい行ってとっつかまえた。ほかの人がもう一人抗議したら、そいつもつかまえろといってつかまえた。それでなぜつかまえるんだといって押し問答しているうちに、理屈に困ってしまって、最後には裏口から釈放した。それで、逮捕したんじゃない、釈放したじゃないか、こういっていばっているという。何ゆえの逮捕か。その逮捕こそおかしいと思う。逮捕するなら、ちゃんとケリをつけたらいいじゃないか。ところが、抗議をしたら、法律にはないけれども、逮捕できるのだ、こう言ったそうだ。そんなおかしな話はないですよ。法律のどれによったものでもないけれども、逮捕はできるのだ、こう言って署長がこのことについて説明したそうだ。蓮実というのと石田という青年がつかまえられた。それでその代表が会ってその理由を聞いたら、法律のどれによったものでもないけれども、逮捕はできるのだ、こういって言明したというので、それでそういう激しい抗議にあって結局釈放している。それ見ろ、逮捕してないじゃないか、釈放したじゃないか、こう言っているが、それならなぜ、一体何を根拠に逮捕したのか、これこそ逮捕権の乱用だと思う。ほかのほうは、公務執行妨害とかなんとか理屈だけはつけるでしょう。私はこういうことをやらしちゃいかぬと思うんですよ、反代々木系のゲバ棒と違うんだから、だれだって基地反対の意思表示はすることができるんだから。そういうことをやると、だんだんエスカレートする。近ごろベ平連がおかしい、反戦がおかしいというので、いろいろねらいをつけてやるかもしれないけれども、一応法治国ですから、法に従ってやらなければならぬと私は思う。こういう点について、私の調べた範囲ですけれども、私のむすこも――実は私も言われて、最初行かなかったのです、連中があばれたんだろうぐらいのところで。ところが、いろいろ調べてみるとそうじゃないものだから、私も黙っておるわけにはいかない。実は頼まれて弁護士の私のむすこが行って、いろいろ本人とも会った。そうすると、おとうさん、これはたいへんなことだ、あまりにもひど過ぎるということだ。だから、今度ひとつ法務委員会に出てきてもらって、実情をよく私の調べた範囲のことを申し上げて、今後こういうことのないようにひとつ注意を促したいという気持ちで実は私きょうは申し上げたわけなんです。その点どう処置するか。だいぶ食い違いがありますよ。もうひとつ詳細調べてください。そして高橋という者、これがどうもいかぬ。これにひとつ大いに訓戒を与えてもらわなくちゃ困る。刑事訴訟法をちゃんと読んで、警職法をちゃんと読んで、警職法や刑事訴訟法にのっとってやるなら、ぼくは何とも言わぬ。ところが、それをやらぬで、めちゃくちゃにつかまえて、あとで罪名を考える、こう言うんだ。罪名は、うちのむすこが行ってもぐらぐらする。ぐらぐらするわけで、とっつかまえておいて、理屈はない。初めに三名釈放したのは、現認者がとうとうあらわれないのだ。あらわれないからしようがないものだから、何でつかまえたかわからないから、したがって釈放せざるを得ない、こういうていたらくで、まことにかっこう悪い。この辺は、警察官の教養が必要だ。機動隊自身がひるんだそうだ。そんなデモだから、かかれと言ったって急にはかかれない。そういう点、公安がはね上がっているというか、ひまなのか知らぬけれども、この点、警察本部長を通じてあなたのほうもよく実情を明らかにして、私がこう言ったって、いやそうじゃないと言うかもしれぬけれども、それを洞察して、今後間違いなく指導してくださいよ。これは、ゲバやる者は大いにやってもいいですよ。だけれども、そうでない、善良な市民が――ギターを持っているのもいたんだそうだ。そのくらいな、大したことじゃないんだ。それを同じぐらいの数を動員してやっていって、機動隊の前まで来たら、やっちまえ、こういうのは、それで公安条例違反だといったって、ジグザグ・デモはほんとうの最初の広場で、しかもその日は日曜でほとんど乗客もないんだから、そういう状況下における蛇行だから、これは見のがしてもいいんだ。そこの場でやるならともかく、七百メートル離れて――準現行犯というかもしけれないけれども、これも少し距離が遠過ぎる。この辺十分に考えてもらいたい。事実はあまりあなたは知らぬだろうから、私のほうが一方的に言うただけで、あなたがどう答弁するというよりも、むしろまだ資料不足かもしれぬけれども、その辺どう考えるか、ひとつ最後に承っておきます。

丸山昴警察庁警備局警備課長

○丸山説明員 私どもの受けております報告の範囲では、先ほど申し上げましたように、埼玉県警の職務執行については遺憾な点はなかったように判断をしておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のような点がもしあるとすれば、今後十分気をつけていかなければならない問題であると思います。私どもとしては、あくまでも職務の適正を期するということが基本的な立場でございますので、今後の運営につきまして、ただいま御指摘の点十分参考にしてまいりたいと存じております。

畑和日本社会党

○畑委員 事は小さいのですけれども、その辺からひとつ注意してかかってもらわないといかぬのです。きょうは警備局長はからだのぐあいが悪いそうですから、警備局長でなくて、あなたにかわって来てもらったのですが、警備局長にもよく言うて、公安委員長にもよく言うて、それで法律に従って公正にやってもらいたいと私は思います。  時間が参ったようですから、委員長、以上で本件の質問は終わりたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 矯正局長にお尋ねいたします。これは朝日、毎日新聞にも報道されましたが、今度の学生事件で起訴され、東京拘置所に入れられておる学生の中で、看守から相当暴行を受けたという事実が報告されましたが、私のところへ弁護団から詳細な報告がまた来ております。本人が事こまかに、細密に書きました手紙も持っておるのですが、時間がありませんから、一々それを申し上げるわけにいかないのですが、そのうちの桑原健一という人物、この人間は非常に綿密な訴えと、その現場の地図まで全部つけてきておりますが、これを見ますと、相当乱暴を看守がやっておる。これは昭和四十三年十月二十一日の新宿における騒擾事件に参加したかどでつかまった人物でありますが、本年の五月二十七日の朝、分離公判反対というふうなことを叫んだというので、七、八人の看守に取り囲まれて、そして被告人を廊下に連れ出して、そしてこれを突き倒し、両手をねじ上げて、額をコンクリートの道にすりつけ、その際ズボンの右ひざが裂けて、ひざ小僧に挫傷を受けて、いまでもそれが残っておる。それで、髪の毛をつかんで数分間にわたって被告人の顔を床にこすりつけた、そういうことをやられたために首に障害を来たしまして、現在首に非常に激痛を覚えて頭痛がする、腕のしびれが激しくて、房内ですわっておることもできないという症状であります。こういう事実を訴えてきておりますが、その実情はどうですか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 お話の桑原健一でありますが、昭和四十三年十二月二十六日から東京拘置所において収容いたしております。五月二十七日の件でございますが、当日午前七時三十五分ごろ、東京拘置所におきまして、他の一般収容者も同様に人員あるいは健康状況の朝の点呼を実施中に、突然この桑原が収容されている舎房におきまして、ただいまの分離公判反対といった大きなシュプレヒコールが行なわれたのでございます。それが契機になりまして、全舎房の各階から分離公判粉砕その他怒号する者が続出いたしまして、舎房全体が文字どおり騒然たる様相を呈するに至ったのでございます。なお、その近辺に、御案内と存じますが、死刑確定者が二十五名、死刑の言い渡しをされておる者が十四名収容されておりますが、これらがまたいらいらし始めた、こういう状況を呈したのでございます。お尋ねの桑原につきましては、このシュプレヒコールに呼応しまして、舎房内から大声で分離公判粉砕と怒号しておるのを職員が現認いたしまして、直ちに出房を命じたのでありますが、本人がこれに応ぜず、顔面を蒼白にして一そう大声でシュプレヒコールを続けましたので、これを制止しまして、それで腕をとって出房させようとしたのであります。ところが、本人は手足をばたつかせ、激しく抵抗するために、通常は職員二人で出房させておるのでございますが、そういう状況になりましたので、職員四名で本人の両手と両足をかかえて出房させた後に、両腕をかかえて連行し始めたのでございますが、舎房の廊下の出口付近で激しく抵抗をし、身体をくねらせるという状況を呈しまして、職員が一名つまづいたということも重なって、本人と職員とがともに横転するかっこうで倒れたのでございます。本人は倒れてからも手足をばたつかせていましたが、職員は本人の腕をとって起こして保安の事務室に連行し、連行後しばらくたったところで全舎房の騒擾状態もおさまり、本人の興奮もさめましたので、房に帰した、こういう事実関係でございます。還房後に本人が頸部に痛みを訴えましたので、同日午前九時ごろ医師が診察した結果、右手首及び左また関節に軽度の擦過傷並びに頸部の挫傷を認めましたので、頸部にはゼノールを貼付し、さらに同日レントゲン撮影を行なったのでございますが、頸椎に異状は認められなかったので、医師が診察をして左頸部にサロメテールを塗付した、こういうのが私のほうで承知しております事実関係でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この桑原健一という人物について、なお私どもがあなたの説明に承服できがたいのは、実はこの人物は昭和四十三年一月の佐世保のエンタープライズ事件でやはり公務執行妨害の嫌疑を受けまして、その際警視庁の機動隊の警棒によって頸部、頭部を乱打され、それ以来頸部に非常に疼痛を覚え、手足のしびれを来たしたというので、それで結局立川市立病院の脳神経外科でもってレントゲンをとったところが、頸椎がはずれておるという診察を受けておる。それをなおさなければならない。もちろんそういうからだでなおまた新宿事件に関係したということには問題がありましょうけれども、その旨を看守によく訴えておる。だから、首は大事にしてくれ、それをよく知っているわけなんだ。それでなお両手をうしろへ回して、そして首を押えて床にすりつける、そういうことは、私は不当だと思うのです。知っているのですよ。診断書も出ておる。そこでレントゲンをとってくれ、レントゲンもとったが、刑務所の中のレントゲンは何にもないという。立川市立病院の診断書では出ています。頚椎が捻挫しておる。レ線上第一ないし第三頚椎に前屈を認めると、ちゃんと書いてある。それで一カ月も入院しておったがなおらない。そこをまたやられた。こういうことを一体刑務所は知らなかったのか、知っておったのか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 私のほうで調査しましたところでは、お尋ねのように、首を押えつけてコンクリートのへいにねじ伏せたという事実はございません。なお、御参考までに申し上げますと、私のほうといたしましては、連行する場合等におきましては、両腕を両側からかかえていくという方法を全国的に統一してやらしております。なお、その際にけがをさせないように特に職員の訓練を慎重にやっておりますので、頸部を押えつけるとかあるいはコンクリートのへいにねじ伏せるというようなことは、私としてはないものと確信をいたしております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 諸君は刑務所の都合のいい報告だけを信じて、実際徹底的に調査したのですか。彼らはお互いの責任のあることは言いやしませんよ。いいかげんな報告をしておる。そのいいかげんな報告をそのまま信じて、何にもないのだ。これは意味ないじゃないですか。こういうことが裁判上の問題にまでなって大新聞に報道されるとすれば、もっと徹底的に調査しなければならぬじゃないですか。どれだけ調査したのですか。調査したならば、この人間がもうすでに前に頚椎がはずれておるなんて病気のある――診断書まで出ておるじゃないですか。それがわかっておらなければならぬはずだ。それがわかっておったら、やはりそれだけの態度をとらなければならない。その人間を、両手をうしろへねじ上げて床にこすりつけるみたいなことをやったら、どういう現象が起こるか、それは推して知るべしじゃないですか。そういうことを調べてあるのですか。その人間の非常に頭痛がする、首が痛いということに対して、前にどういう診察を受けたか、そういうことを看守は調べてあるのですか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 拘置所に入所してきました際には、必ず専門の医師に健康診断をさせております。さらに本人の訴えがあれば、そのつど専門の医師によって診療を特に勤務のつく限りにおいては手当てをさせております。  なお、ただいまの首を押えつけたとかあるいは床にねじ伏せたというような点につきましては、私のほうとしては、あえて本件の指定の本人に限らず、詳細報告をさせ、さらに必要に応じましては、本省の係官また管区の監督官について十分な配慮をさせているつもりでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 桑原は、それ以後房に立っておることもできないくらい非常に頭痛が激しいので、診察を請うた。そうしたところが、白衣を着た人が診察をしてくれて、首に何か湿布をしてくれた。そうしてその人間に、医者だと思うから、ひとつ診断書を出してくれと頼んだけれども、裁判所の命令がなければそんなものは出せない、こうつっぱねられた。翌日法廷へ出てみたら、その白医を着た医者だと思った男が、看守の服を着ている看守であったという。一体拘置所は、看守にそういう医療行為をさせているのですか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 いわゆる診断でございますが、これは必ず資格のある医者にさせております。お尋ねの白衣の点につきましても私のほうで調査をいたしましたが、無資格の看守がそういう医療行為をしたという事実は認められません。その点につきましては、私のほうは特に拘禁者に対しては、健康がきわめて重要な問題でございますので、私のほうとしては、事あるごとに医療の点については十分考慮を払うように留意をしているところでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 看守であったと本人認めているのだ。きょう治療をして湿布をしてくれた人が、翌日行ってみたら看守の服を着ているという、そういうことだから、看守に白衣を着せてそういう治療をするようなことがあるのかないのか聞いている。絶対ないとすれば、これはおかしいじゃないか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 いわゆる診断は必ず医師がやりますが、その医師の指示によって、看護夫あるいは保健助手あるいは准看護人というものが医師法上許されている薬の貼付をするというようなことはございます。東京拘置所にも、いわゆる看護人の資格を持った保健助手、准看護人がございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは水かけ論になるかもしれませんが、痛くてしようがないから医師に見てもらいたい。そうしたら、白衣を着た人が見てやって、ああ、これはおまえ、湿布しておけばいいと言って湿布をしてくれた。その人が看守であった。それは一体診察であるのか、ただの手当てであるのか、はなはだ不明確でありますが、そういう事実を訴えてきている。そうして立川病院ではレントゲンの結果、りっぱに頸椎に故障があることを言っているのに、拘置所のレントゲンでは何でもない、こういう診断です。そこで、この桑原につきましては、いま弁護団から東京地方裁判所に対しまして執行停止申し立て書が出ている。とにかく痛くて寝ることもできない。どうもならぬ。そこで一応執行停止して病院の手当てをさせてもらいたいという申請書が出ていますが、一体矯正局でも拘置所の長と相談の上、こういうことはなるべく裁判所が執行停止ができるように上申する意思はございませんか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 具体的な案件でございますが、拘禁を続けることが本人の心身に重大な悪影響があるという場合には、医師の立場からの意見を添えるということはございますが、最終的な判断は裁判所のほうにおいて行なわれるところと承知しております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そういうことにつきましては、裁判所からきっと拘置所に対して照会があると思いますが、そういうときに正直な立川病院あたりの診断書が出ているのですから、そうして現在疼痛を訴えている、立っていることもできないという現状なんだから、それを正直に裁判所に言うて、私は、拘置所としても執行停止はしかるべきだという意見をつけてしかるべきものだと思うのだが、そういう指導はできませんか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 お尋ねの点につきましては、医療関係につきましては、特に私のほうからカルテの作成その他については手落ちのないように十分徹底させております。したがいまして、拘置所側としては、いわゆる医師の良心に従った診断の結果と罪状を裁判所に提出するのが任務でございまして、それ以上裁判上の判断を書き加えるということは、従来ともやっておりませんし、その点については、私のほうとしては、いま変更をするということは考えておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これはもっと言うことでありますけれども、私は時間がありませんので、これはこれまでにしますが、もう一つ新聞に報道された半沢一郎という人物、これは何か寒いので手をポケットに突っ込んでおったら、そいつがいけないとしかられて、寒いからやったんだと言ったら、看守の命令に服さぬとかいうことでこづき回され、倒されて、結局懲戒処分、懲戒房というものに二週間入れられた。そうしてこの懲戒房というのは、読書は禁止され、新聞も読めぬ、ラジオも聞けない、入浴禁止、運動も禁止、面会禁止、手紙の差し出し禁止、ひげそり禁止、座ぶとんも禁止、こういうところへ入れられておった。ちょっと寒いから手を突っ込んだと言うたことだけで、手錠をはめられて、そうしてそういうところへぶち込まれた。こういうことは、ちょっと看守の権限の乱用じゃないかと思うのだが、どう思いますか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 本件に限りませんが、これは一般的に数百名、数千名というふうに被告人を集団管理をしている場合におきまして、従来の経験からもうかがえるのでございますが、ズボンに手を突っ込んだままの状態を許しますと、そこにいろいろのものを隠していて、そのために事故が起きたというような例もあるわけでございます……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ちょっと、私は人名を間違いましたが、半沢一郎じゃなくて、これは新聞に出ておりません吉羽忠という人物のことですから……。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 お尋ねのとおり、吉羽忠というのはございます。これはその本人につきまして、いま言ったような事情で、ズボンに手を突っ込んだまま歩いているのを連行の職員が発見いたしまして、注意をしたわけでございます。ところが、本人が突然腹を立てまして、うるさい、寒いから手を入れるのになぜ悪い、ばかなことを言うな、など大声でどなりまして、さらに舎房の担当の職員にも同様なことを言って、所長を呼べ、などと大声で叫んだわけでございます。さらに、同日午後五時五十分ごろに、水の音がうるさくて眠れない、なぜこのような房に入れるか、人権じゅうりんだぞ、と大声でどなりまして、さらに注意をいたしましたが、ますます興奮いたしまして、他に収容しております被告人のほうにも影響を及ぼすようになりましたので、保護房に収容をしたのでございます。御案内と存じますが、東京拘置所には懲罰房という房はございませんで、保護房というのがございます。その保護房に収容をしたわけでございます。なお、懲罰につきましては、御案内のように規定がございまして、その規定に従って処置をしたわけでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 懲罰房というものはないというようなことを言っていますが、二畳の部屋で窓が一つもない。そうしてとにかく暗い、空気がきたなくてどうしようもないようなところです。そこは、いま言ったような、普通の囚人に許されている、未決の人に許されているようなことが一切禁止されておる。それをあなた方は保護房というのだが、名前が違うだけで、一種の懲罰のものであることは間違いない話です。そこで、いま申しました人物は、あなた方の言う保護房、彼らが言う懲罰房、それがひど過ぎるので、弁護人に面会を求めるように電報を打ってくれと職員に頼んだ。いま懲罰房に入れられておる、至急面会頼むということをあれしても、打ってくれない。それで弁護人と接見することができない、こういうことを訴えておるのですが、そういうことがあったのですか。

勝尾鐐三法務省矯正局長

○勝尾政府委員 最初の保護房の構造でございますが、床面積は四・三一平方メーター、いわゆる間口が一・七八メーター、奥行きが二・七五メーター、高さ三・一七メーター、床面からの高さ一・九五メーター、縦五十センチ、横六十七センチの窓がついております。しかしながら、御指摘のように、一般の舎房に比しまして若干狭い点もございますので、この保護房に収容する場合には、その収容にあたって特に医師の診断を受けさせる。さらに随時医師が保護房の拘禁者を視察する。さらに看守を一名ふやして、保護房のほうの動静については十分注意をさせているつもりでございます。  それからなお第二点のお尋ねの点でございますが、懲罰房に入っている云々という電報を打ちたいという申し出がございまして、その際懲罰房というのではないということを本人に申し述べましたが、その点については本人ががえんじなかったので、そのまま電報を打たしております。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この点につきましてはこれで終わります。  入管から来ていらっしゃると思いますので、入管局長にちょっとお尋ねします。  これは先般新聞で見たのですが、韓国人の尹という人物が韓国の大使館に呼ばれて、そのまま本国へ連れていかれた。そしてまた日本に帰されたのですが、何かスパイ嫌疑であった。それについて彼が帰ってきてからの告白によれば、日本の入管は韓国大使館に協力して、そして自分は強制的に連れていかれたのだ、こう言っているのですが、日本の入管はどういうふうに関与したのですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 新聞等に報道されておりますので先生すでに御承知かと思いますが、事件の概要を申し上げます。五月二日の午後二時過ぎごろに、問題になりました尹酉吉さんと韓国大使館から権という参事官、この二人が東京入国管理事務所にあらわれまして、次のように申したのでございます。すなわち、この尹という人の弟が急病になったので、大至急再入国許可を与えてもらいたい、こういうことでございました。そこで、当日は、二日と申しますと、御承知のように連休三日続く前の日でございまして、弟さんが非常に悪いからひとつ何とかできるだけ早く、できればきょうのうちに許可を出してくれという、わざわざ参事官がついてきての特別の依頼があったわけでございます。そこで私どもの再入国許可を与える業務の基準ということが問題になるのでございますが、これは外国人の持っておりますステータス、地位によりまして、その再入国の許可を与える難易ということがあるわけでございます。この男という人は、たしか昭和十九年に日本に参りまして、要するに戦前から引き続いて今日まで日本に在留しておる人でございまして、昭和二十七年法律第百二十六号というものの適用を受ける人でございます。したがいまして、こういう人はいま日本に一種の永住権のようなものを持っておりまして、別段の法律をもって規定されるまでは在留資格、在留期限なくしておれる、こういうことになっております。こういう人の再入国に関しましては、入管といたしましてはきわめて寛大にやっておるわけでございまして、別段犯罪その他の特別な事情がない限りは、できるだけ早くやってやるということでやっておるわけでございます。そこで本件につきましても、そういうことで、本人の弟が急病である、しかもわざわざ大使館の人がついてきたということもございましたので、それからいま申しましたように、これを延ばしてしまうとあと三日間休みが続く、四日目にならぬと弟のところに帰れないということもございましたので、人道的配慮をもちまして早くやろう。ただ、いま申しました犯歴などはぜひ調査しなければいかぬということで、関係の向きへこの件を照会いたしまして、この返事をもらうまでに約一時間かかったのでございますが、その点確かめましたところが、クリーン・レコードであるということがはっきりしましたので、出入国管理令に基づきまして再入国許可を与えた次第でございます。入管が加担しておるとか関与しておるとか言われましたが、これは入国管理事務所といたしましては、外国人から再入国許可の申請が出ました場合には、特別の事情がない限りは、できるだけ許可してやる。ことに、人道的な場合には許可してやるというような方針でやっておるわけでございます。一日でやったのはけしからぬじゃないかということをこの前も参議院で言われましたが、そんなことはないのでございまして、たとえば四月じゅうに東京入国管理事務所だけでも三十三件即日許可した例がございます。くどいようでございますが、犯歴その他特別の事由がない限りは、役所といたしましても、行きたい人はできるだけ早く帰してやったほうがいいということでやっておるわけでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そうすると、入管としては、尹氏は心ならずも大使館にだまされて呼び寄せられて、そのまま本国へ連れていかれたのですが、そういう事情は御存じなくて、ただ普通の出入国だと思って取り扱ったということになるわけですか。それに大使館員がついてくるというのは、異常だと思いませんでしたか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 前半の御質問でございますが、新聞に伝えられておった、あるいはいま先生が御指摘になった、韓国へ帰っていろいろ取り調べられたというようなことは、もちろん私は全然存じません。ただ本人の単純な出国だと思いました。  第二点の、大使館員がついてくるのは異常じゃないかとおっしゃいますが、これは決して異常ではございませんで、どうしてもこうしてもらいたいというときには、大公使館、領事館としましては、自国民保護義務というものがあって、ぜひひとつこれはやってもらいたい、連休が続くので何とか早くやってくれというようなことがあるのでございまして、何らそこに異常を感じたことはございません。

畑和日本社会党

○畑委員 関連して。実はこの件につきまして量さんと会ったのです。猪俣先生は会っていないからわかりませんが、尹さんと会いまして、いろいろ聞いたのです。それによると、結局その参事官というのがついてきて係官と会ったけれども、その前にいて一言もしゃべらなかった。参事官と係官とが少し話し合って、それでみんな出たんだそうです。署名したのも――やっぱり署名は確かにした。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、そういう環境下において――大使館から連れてこられたんですね。一緒に同道して、その参事官が連れてきた。で一言も言わせない。その参事官と係官とで話をして、それですっと出した。こういうことで、ひっかかったといえば確かにひっかかったんだ。そういう点、やっぱり本人がその前に来ているのだから、一応聞いてすれば、そのとき実はと、こう言うかもわからぬが、また参事官がいる前では言えなかったかもしれない。とにかく意に反して連れていかれたということは、間違いないようだ。そして大使館にもその晩か前の晩か一晩泊められたのかな、何かそういうことがあったようですね。向こうへ行ってからも、だいぶ監禁状態だったそうです。この点はあなた方知らぬだろうけれども、米田君と私が聞きましたので、いずれあとで詳しく実情を聞いた上の話をしながらさらに質問したいと思っておったのだが、猪俣先生がそう言われたので、それに関連して、ちょっとそのことだけをぼくは聞いた範囲について申し述べたわけです。その点、少しもう一度よく調べてください。それだけでけっこうです。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 山田太郎君。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 先ほど欠陥車の問題で中谷議員からの質問もありました。この問題については、六月の四日でございましたか、公明党の同僚松本議員の質問に端を発しまして世論の大きな問題となったわけでございますが、人命尊重の立場から、また交通事故多発のおりから、非常に重要な問題だと存じます。そこで、きょう当法務委員会においては中谷議員の質問もありましたので、できるだけ重複を避けて、短時間でございますので、羅列的に疑問点をお伺いしておきたいと思います。  なお、聞き漏らした点があるやもしれませんので、その点もし重複した場合も容赦願うといたしまして、まず私自身車の専門家ではございませんが、専門家である東京農工大の樋口教授あるいは自動車評論家の宮本さんの指摘されていらっしゃることによりますと、この欠陥車が事故に直結するおそれが多分にあるということを言われております。たとえば日産の十一の車両欠陥のうち、特に危険なのは乗用車ブルバード、それからセドリックのガソリン漏れ、あるいはマイクロバス・エコーの推進軸の折損、これは走行中に車が燃えるおそれがある。またその事実が出ております。また横転する事故を多発するおそれがある。これも事実最近においても、この六月にこの事件が起きております。あるいはフェアレディの後車軸とボデーの連結棒も、折れるとこれは大事故を招く。なおブレーキ系統にグロリア、あるいはスカイライン、あるいは小型トラックのキャブライト、ホーマー、特にグロリアの場合は、これは乗用車ですが、ブレーキペダルの材質が悪いために、急ブレーキの際足を踏みすべらせている原因になっている。このように日産車については述べておられます。また、トヨタの車においても、十件の欠陥が報告されて、コロナのブレーキチューブの破損、これは事故に直結する。あるいはクラウンのブレーキホースの損傷、ブリスカのハンドル軸の溶接不良、あるいは大型トラックのブレーキオイル漏れ、これも同じように非常に危険である。ことにクラウンの場合は、制動伝達装置がこわれてブレーキがきかなくなるおそれがある、その他述べていらっしゃいますが、国民にとって非常に危険きわまりない欠陥の部分を指摘されております。  ところが、運輸省が改善を命令した十七件の中には、これらのものがほとんどなかったと報道されております。なぜ、運輸省としてこのような人命に大きな影響を与えるこの欠陥車が、いままで判明できなかったのか。この原因と、それをどのように改善していこうとするのか。  時間の関係上もう一点お伺いします。答弁を漏らさないようにしてもらいたいと思いますが、警察庁と運輸省との連携は、従来どのように保たれておったのか。この点に大きな欠陥があると存じます。警察庁の交通課長談でございましたか、メーカーがそのような欠陥車をつくるなどということは思いも及ばなかったので、信頼しておりましたという談話も出ております。  その三点について、まず運輸省から答弁してもらいたいと思います。

堀山健運輸省自動車局整備部長

○堀山説明員 お答えいたします。私ども車両の保安について責任を持っておるわけでございますが、従来車両の欠陥を発見いたしますのは、事故がありまして、事故の場合に事故報告規則というものがございます。これは重大な事故が起こった際には届ける義務がある、こういうことになっております。ただこの欠陥といたしますところは、道路運送の免許をもらった者あるいはある台数以上の自家用の自動車を持った者、こういう者に義務づけられているわけでございます。そこで、事故の結果を私どもが解析いたしまして、これは車両の構造上重要な問題があるというものにつきましては、それぞれ対策を練りまして、これに対してどのような措置をとるべきかということの結論を得て、私どもの下部機構でございます陸運局、陸運局長に流す、あるいはバス、タクシー、トラック、自家用の各団体に流す、こういう方法をとっております。で、そういうところから、いわば漏れがあるということは確かに欠点でございます。  もう一つの問題といたしまして、先般来、そういう制度では漏れがどうしても出てくるということで、従来量産する車、今度問題になりましたコロナ、ブルーバード、こういったように大量生産する車につきましては、型式指定という制度をとっておりまして、車を私どもが書面で審査をいたしまして、あとはそのとおりできるかできないかという品質管理と検査をして、そしてメーカーの責任においてその車を出すという制度がございます。そこで、従来はそういう問題がありますと、構造変更について、たとえば車に欠陥があった、したがってどの部分をどのように改善するかということについては、当局に届け出まして、その承認を得て改善をする、こういうシステムになっております。  それからもう一つ、それで足りなかった点と申しますのは、今度トヨタ、日産がそれぞれ私どもに届けて、しかも新聞に発表した中身は、私どもに届け出を要しない部分がほとんどでございます。一件だけ届け出を要するものがございましたが、これは届け出をしております。したがって、実際、今度のトヨタ、日産が公表されておりますのは、どういう方法で発見されたか調べてみますと、発見の動機は、たとえば私どもの車両検査場で発見されたものが一件ございます。それから自分の会社で発売後いろいろテストして、ここに誤りがあったということで積極的に欠陥を発見したというもの、それからもう一つのグループは、お客さんから、車の持ち主からこういう点に不良個所があるという申し出が販売会社を通じてメーカーにあった、この二つの種類が一番多うございます。事故があったからそういう欠陥改善をしたということよりも、そういう形で発見されてそれぞれ手当てをしていくというケースが多うございます。私ども当初申し上げましたように、事故があってからそれを解析してこういう手当てをするということも当然必要でございますけれども、今度の例のように、やはりメーカーみずから、あるいはユーザーが、事故にならなくても、こういう点に不良個所がある、考えてみればこれは事故につながる、こういう点は、やはりメーカーサイドからの届け出ということも、事故の欠陥を除去するのに非常に大きな要素だと思います。先般六月六日付でメーカーに対しまして、今後法律で規定されております届け出はもちろんのこと、届け出に該当しなくても、これが事故に結びつく、あるいはそういうおそれがある、こういうものについては、届け出をして当局の承認を求めると同時に、一般に公表して、こういう点に注意をしてください、こういう点を直します、こういうことを一般に知らせて、大かたの皆さん方の注意を喚起する、このような手配をしたわけであります。  それから警察庁と運輸省との関係でございますが、これは従来制度としてはございませんけれども、いろんな事故がございますと、これは車の欠陥によるのかどうかということについて疑問とされる点については、それぞれ現場の、それを発見された現場の機関と私どもの現場の機関でそれぞれ意見を交換する、あるいは鑑定を求めるということが多うございます。なお、警察には科学警察研究所もございますし、私どもの省には船舶技術研究所がございますので、非常に込み入った事故につきましては、警察あるいは検察の段階で鑑定を依頼されることがございます。以上でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 いまの答弁では、まだなお疑問点が二点残っております。それはメーカーに欠陥車について義務づけられたもの、あるいは事故に結びつく欠陥について公表するという義務が義務づけられたかどうか。これは緊急事態等々の判断はメーカーによってなされるような方法になっておりますが、これをメーカーに義務づける、そういう措置ができるかできないのか。できるならば、どのようにしてそれを義務づけるか、できないとするならば、それをどのような方法をとって人命を擁護する立場からそれを義務づけられるようにすべきであると思うか、その点について。  もう一つは、警察においても科学云々の答弁がありましたけれども、それは先ほど申し上げましたように、警察においてはメーカーのつくった車を信頼しておった。また、これが事実でありましょう。なぜならば、いままでメーカーの責任において賠償責任を負ったり、あるいは刑事責任を負ったことがあるかどうか。これも警察庁のほうからあわせてその点についてもお伺いいたしますが、したがって、その答弁は言い抜けにすぎないような感じを与えます。したがって、これを防止するためにも、運輸省と警察庁において、いまの答弁のようなおざなりでなく、新たなるそういう機関を設けるべきではないか、そういう点について、警察庁並びに運輸省にもう一度尋ねておきます。

堀山健運輸省自動車局整備部長

○堀山説明員 コロナ、ブルーバードを契機といたしまして、こういう問題は早急に処置しなければならぬということで、当面緊急を要することとして通達でこれを処置したということでございます。これが実行できればもちろんそれでいいと思うのでありますが、いまの段階では、やったばかりでございますが、トヨタ、日産については、従来やった実績については全部公表されたものと私どもは信じております。なおその他のメーカーにつきましても、近日中にそれがまとめられ、公表するということになっておりますので、これらの実績も勘案いたしまして、制度的に無理があるならば制度を改正いたしますし、実質的にそれが守られるならば、それはそれとして育てていく。  警察と私どもの連携の問題でありますが、今後ますます連携を密にいたしまして、車両欠陥事故によるそれぞれの情報の交換、あるいは意見の交換、そういった面について、ますます緊密に連携をとってまいりたいと存じます。

竹岡勝美警察庁交通局交通指導課長

○竹岡説明員 まことに申しわけございませんが質問の御趣旨をもう一度お願いいたします。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 先ほどお伺いしたのは、欠陥車による事故等々によってメーカーなりあるいは一ディーラーなりが過去に刑事責任なり賠償責任を負ったことがあるかどうか。

竹岡勝美警察庁交通局交通指導課長

○竹岡説明員 今回の問題になっております日産、トヨタの欠陥部位が直接の原因になりましての人身事故が発生しておるということは、まだ私は報告は聞いておりません。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 欠陥部位による事故が起こってないという言明をされるわけではない、報告がきてないということですね。したがって、メーカーの欠陥によって刑事責任なり賠償責任に応じたようなことは、いままで過去の例はないという答弁ですか。

竹岡勝美警察庁交通局交通指導課長

○竹岡説明員 そのとおりであります。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 そこで、これは非常に大きな問題になると思います。警察庁においても、新聞発表にありました点をいま読んだわけですが、メーカーの車を信頼しておったという発言もあります。そこでいままでの交通違反、たとえば居眠り運転だとかわき見運転だとか、あるいは前方不注意等々によって発生した事故の中にも、メーカーの責任によっての欠陥が原因であったのではないかという点も想像はできるわけです。過去にさかのぼって追及検査しなければわからないとしても、たとえば先日このような事件がありました。これは日産のマイクロバスのエコーですが、プロペラシャフトが折れて事故を起こしたのが、昨年の六月にあります。また今月、安全分離帯に乗り上げて横転して、死亡事故が出ております。このときも、プロペラシャフトの折損がやはりあります。ところが、本人は死亡しておるものですから、状況はわからない。したがって、業者のほうは、分離帯に乗り上げたために起きた折損だというて、言い抜けしている感じなきにしもあらず。なぜならば、先ほど読み上げましたように、自動車の専門家が、やはりマイクロバス・エコーの問題を追及しております。そして燃えるような場合もある、このような言明もしております。ところが、これはもう死亡しておるからわからぬ。車をよく見てもわからない。分離帯に乗り上げたためにそうなったんだというふうな事実の実例が、今月あります。このようなことを見ましても、いままでの交通事故は、人身事故にしろ、あるいは車体事故にしてみても、刑事責任なり賠償責任なりをメーカーにまでさかのぼったことはないといういまのお答えです。ところが、これらから判断してみると、メーカーの責任に属さなければならないんじゃないかということも、当然出てくると思います。警察庁の発表によりますと、欠陥車によっての事故と思われるものが三千数百件というのが出ております。御存じなければ、きょうの――警察庁の調べによると、去年一年間に車両の整備不十分、あるいは欠陥などによって死傷事故を起こしたケースは、全国で三千百十三件あります。事故全体の五・二%であります。このようなことを新聞報道ではいっております。したがって、これは法務当局にもお伺いしたいことですが、これは刑事責任なり、あるいは――民事局長はおいでになりませんが、刑事局長に答弁願いたいと思いますが、賠償責任も当然起こってくる問題で、これは大きな分野で内包されていると思います。こういう場合、警察庁としての見解と、それからもう一つは、刑事責任なり、あるいは賠償責任を負う問題が提起された場合、このメーカーの経営者に責任があるのか、あるいは設計者に責任があるのか、あるいは工場担当者に責任があるのか、この点について刑事責任についての問題と、それから同時に賠償責任についての問題も、あわせてお答え願いたいと思います。  同時に法務大臣も、この車の問題は非常に全国的な問題でございます。ことに交通事故死は、去年は空前な交通事故死を出来してきております。したがって、大臣としての立場から、通産省としては産業上の面に重点を置くかもしれませんが、法務省当局としては、そのような立場を重んじているのでは、これは逆だと思います。その点について、法務大臣も最後に答弁願いたいと思います。

竹岡勝美警察庁交通局交通指導課長

○竹岡説明員 お答えいたします。先に先ほど申されました数字のことをちょっと申し上げてみたいと思います。その数字、昨年一年間に約三千件ありましたというのは、いわゆる車の整備不良ということが原因しまして起こりました事故が、三千件ありました。そのうち、ブレーキの故障ということで事故の起こりましたのが、二千五百件あるということでございます。これが直ちにいま指摘されておる問題の車の欠陥ということで結びついておる件数ではございません。御了承願いたいと思います。  私のほうで先ほどお答えしましたとおり、今回の欠陥部位につきまして問題のありますのは、いずれもブレーキ部位だと思います。そのブレーキ部位で、突如としてその車がその瞬間ブレーキがきかなくなるということはほとんどまれだろうと思います。その大半は、たとえばブレーキオイルが自然のうちに漏れてきたとか、あるいは予想よりもブレーキの摩耗が早くきましてブレーキのききが悪くなったというようなことで、普通の車がだんだん使っておりますうちに、車にがたがまいりまして、ブレーキがきかなくなってきたというような形で、徐々に出てくるブレーキ損傷があろうと思います。そういう点で、われわれもこの際、この問題の車の欠陥は十分知っていなかったわけでございますけれども、現実にそういうブレーキ故障で事故が起こったという場合、われわれは、そのブレーキ故障を運転手が気がついておったかどうか、あるいは点検やなんかのときに気がついておったかどうか、あるいはその前にブレーキの踏み方によって気がついておったかどうか、そういうものに対します車の整備不良ということを知っておったかどうかということで、その運転手の過失責任を問うわけでございますが、その場合は、必ず地元の陸運事務所の整備責任者の方々に鑑定してもらいまして、そしてこのブレーキ故障はどうして起ったのだろうかということで、それはおそらく運転者も知っておったんじゃなかろうか、そういうような場合で、運転者も認める、そういう過失責任がある場合には、これを送検しております。しかし、たとえば問題のトヨタのブレーキ・チューブですか、ああいうものにさびが入っておって、そのさびは普通の人もなかなか気がつかない。突如さびが原因して穴があいてブレーキがきかなくなったという場合も、あるいはあり得たかもしれません。こういう場合は、おそらく鑑定をお願いしましたときに、ブレーキ故障というものはちょっと運転手も気がつかない。運転手の責任は問われないだろうということになりますと、これはおそらく運転者の過失責任は問われていない、このように思っておるわけでございます。ただ、われわれのほうといたしましても、そのブレーキ故障の遠因が、欠陥から出てきて意外に早く起きておったということはあったかもしれませんけれども、まずそれをもってメーカーの責任云々をいまさら問うということは、非常にむずかしい問題でありますけれども、先ほど答弁いたしましたとおり、一応そういう問題車種のブレーキの故障のおそれがあった事件につきましては、もう一度われわれも検討してみようという感じは持っておりますけれども、刑事責任をあらためて云々ということは、むずかしかろうと思います。一応そのような考え方でおります。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 いま警察庁のほうからお話がありましたが、私も同じような考えでおりますが、昨年は五十二万件ほど業務上過失致死傷事故を受理いたしておりますが、その中で起訴いたしましたものは大体七〇%前後ということになっておりますので、残りの三〇%、約十四、五万件は、不起訴処分になっておるわけであります。起訴したものにつきましては、原則といたしまして、過失の有無については非常に厳格な捜査が行なわれておりますので、それがいろいろ科学的、合理的な捜査の結果、車両の欠陥、構造上の欠陥が原因になったと思われるような場合におきましては、これはかなり簡単な方法でもって法律上発見ができると思います。しかし、たくさんの事件でございますので、起訴しあるいは確定した案件の中に、構造上の欠陥が加わって起こった事故が全然ない、こういうことを申し上げる自信はございませんので、これは警察庁と十分今後連絡をとり、また相談をいたしまして、それらの事件につきましても、具体的なそれぞれの事故について適切な措置をとるように処置してまいらなければならないと思っております。むしろ原因が不明でもって不起訴にした事件の中に、構造上の欠陥が原因となって、したがって製造業者、メーカーの責任を問わなければならないような案件がかなりあるんじゃないか、そういうことがむしろ予想されるわけです。これにつきましては、またそれぞれ相当な措置をとりたいと思っておりますが、過去における事例の中で、私が承知しておる限りでは、自動車の事故で、その自動車のメーカーないしは販売ないしは設計者というものの責任を問うた事故は、ちょっと私の記憶にございません。しかしながら、たとえばボイラーなんかの事故ではよくあるのでありまして、ボイラーの製造が不備だったために、あるいはその修理が不完全だったために爆発して人が死んだというようなものにつきましては、ボイラーの製造業者ないしは修理業者を業務上過失致死傷で起訴をして、禁錮になったような事例も、私承知しておるわけでございますので、今後こういう問題につきまして、自動車の経営者ないしは販売者ないしは設計者というようなものの事実関係によりまして、おそらく共同過失が認められる場合もありましょうと思いますけれども、そういうようなものについて、今後刑事責任を考えていくというふうな場合が出てくるのじゃなかろうかというふうに思います。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、何といいますか、初めから欠陥があって、新車をおろしてちょっと運転したところ、急にシャフトが折れてすぐに事故が起きたというような場合は、きわめて構造上の欠陥が明白であるし、かつそのこと自体を製造業者が知っておって、この車を運転すれば間もなくひょっとすれば事故が起こりそうだということを予想して車を売った。はたせるかな、その車を運転したら事故が起こったというような場合には、製造業者の過失責任はたいへん明白でございますけれども、一年なり二年、その間に一、二回の車体検査を受けてやっているうちに、その構造上の欠陥というものが漸次大きくなったり、あるいは使い方というふうなものも影響してそれに加わって、そしてそういうことが原因となって事故が起きたというような場合が、おそらく多かろうと思うわけでございます。そういうふうな場合に、製造業者ないしは設計者の責任を実際問題としてどの程度追及できるかということは、かなり法律上の問題もありますし、事実認定の問題もございまして、非常にめんどうな問題が出てくるのじゃないかと思っておりますけれども、それはともかくといたしまして、まだ私どもは、具体的な事情の正確なデータをつかんでおりませんので、関係当局と連絡をいたしまして、具体的に、しかも正確な事情を十分に把握することが先決だと思います。そういう事情のもとに立って、この問題を刑事的にないしは民事的な問題として、賠償責任をどういうふうに追及していくか、あるいは賠償責任があるかないか、あるいは今後行政としてどういうふうな予防措置をとっていくかというようなことを迅速にきめていかなければならない問題だろう。要は、具体的な事情を、事実関係を迅速に、正確に把握するということが、いま、私ども行政当局に課せられた使命ではないか、こういうふうに考えております。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 ただいま刑事局長が答えましたとおり、当省といたしまして実情の把握につとめておる最中でございますので、その上で慎重に対処してまいりたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 時間があとあまりありませんので、その実情の把握ですね、先ほど川井刑事局長からの答弁の中にもありましたが、過去にさかのぼっての実情把握もなければならぬ、そうして欠陥車が原因で事故に至ったというおそれも想像できないじゃない、おろしてすぐ欠陥が見つかったというならすぐ責任がわかるがというお話でもありますが、しかし、これはやはり実情に即しては当を得た答弁じゃないとも存じます。たとえばスウェーデンにおいて実施されていると言われますように、何万キロ走ってそうしてこのような欠損があり、このような欠陥があるとなれば、これは使用者の点もあるけれども、メーカーの点もそれを追及しなければならない、そういう制度もあるやに聞いております。いま日本の車検の制度にその点の欠陥があるやに見受けられますが、過去に遡及して、それを追及していく点と、もう一つ、それはどのようにしてやっていくか。それからもう一つ、スウェーデンのような車検制度――それが一番いいというわけじゃありませんが、その車検制度を改めるべきじゃないか、この二点について、これは運輸省から、それから過去に遡及して追及するのは、どのような方法をもってどの省とどの省どの省が連携を保って、どのような追及のしかたをするか、その点もあわせて運輸省のほうから答弁をお願いしたいと思います。

堀山健運輸省自動車局整備部長

○堀山説明員 検査制度は、各国いろいろな方法をとっております。日本の場合は、検査を受ける前にすでに整備をした車を持ってくるという形をとっております。これは、おおむねよその国でやっておるのと大体同じような形でございます。スウェーデンは、私、よく承知しておりませんが、聞き及ぶところによりますと、三年目に初めて検査をする、そのときに車の持ち主は、まず検査場に来て、そして指摘されたら、その部分を工場に持っていって直してもらう、こういうことのようでございます。ただ、どちらが車の保安の面からいいましていいかということは、いろいろ議論があるのではなかろうかと思います。  私ども、車の検査の結果、どういうところに一番欠陥があるか、いろいろなデータをとりますと、たとえば灯火関係、ブレーキ関係、こういうところが、いわゆる不合格になる一番多いケースです。それからたとえばJAFと申しまして、車の修繕パトロール――ロード・サービスといいますか、そういうことで行なわれる補修、路上補修、こういうようなもののデータをとりまして、これをもとにいたしまして、たとえば高速点検要領をどのようにしたら一番いいか、高速で走る場合にはどういうふうにしたらいいか、そういうようなデータにもしております。そういうことで、全体として、一般的にどういうところに車の欠陥があるか、あるいは整備をする場合にどういうところに重点を置くべきかというデータは、それぞれつかんでおるつもりでございますので、その面で工場を指導する、あるいはユーザーの方に、こういう点に注意をしていただきたい、こういう方法をやっておりますので、この面について、今後改善すべき点については改善をいたします。(山田(太)委員「もう一つ、過去に遡及する点を……」と呼ぶ)過去の遡及につきましては、先般六月六日に、メーカーに、従来指定自動車で義務として届け出をしなければならぬものはもちろん、届け出を要しないものであっても、事故になるおそれがある、こういうものについては、全部報告をしなさい、そういう指示をしておるわけであります。コロナ、ブルーバード関係があったので、日産は特にやったわけでございますが、その他のメーカーにつきましても、私の知るところでは、来週中に全部出すそうでございますので、それをもって追及していきたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 そこで、もう時間がなくなりましたので、通産省と建設省、それから警察庁並びに法務省にお伺いいたしたいと思いますが、その答弁を願って、それで終わりにしたいと思います。  そこで、まず建設省、これは高速道路のことでございますが、山北-御殿場間の路線は、走行速度が八十キロに制限されております。ところが、ここは非常にカーブが多いために、事故が多発しております。この点について対策を要望しておきます。  もう一つは、これは御承知でしょうが、都夫良野トンネルの中で――この舗装は、フランスの輸入の技術だそうでございますが、サルビアシム工法をとられておる。そのために、この場所において追突事故が非常に多発しております。こういう道路構造が悪いための交通事故は、これは当然国家において賠償責任があると思います。このトンネルにおいては、供用開始までに試走もしていない。よその場所で、同じような舗装をしましたのでもうその必要がないと思いましたという答弁だそうでございますが、これはもってのほかだと思います。現在は改装してありますけれども、これは国家の責任において賠償すべきではないか、この点について答弁を願いたいこと。  それから通産省にお願いしたいことは、この自動車のメーカーの下請中小企業に対して、この問題が大きくなるにつれて、部品検査等々含めて、非常に強力な圧力、ということばは適当でないかもしれませんが、中小企業に及ぶおそれがある。その点について、通産省としては、中小企業保護の立場から、もう一つは、完全なる、欠陥車でない車をつくるためにおいても、その点についての対策と指導、この点はいかにしていくか、この点をお伺いしておきます。  それからもう一つ、次は警察庁並びに法務省当局にお伺いしたいと思いますが、従来の交通事故の中に欠陥車が原因であるという、その明確なる確証をいまだ握ってないという答弁でございます。しかし、これは外国の例を見ても、当然あるはずでございます。したがって、これを当局側が追及するのみに終わらないで、過去、もう死亡した方は万やむを得ないとしても、現在罰せられた方々の中に、欠陥車のために事故が起こったのじゃないかと思われるような人々から申し出を受ける、そういう措置をすべきではないか、その点について全部答弁を願いまして、私の質問を終わりたいと思います。

松崎彬麿建設省道路局高速国道課長

○松崎説明員 東名高速道路の大井松田-御殿場問において事故が非常に多いということでございますが、これについての対策といたしましてまずとりあえずとりましたことは、都夫良野トンネル並びに吾妻山トンネルの舗装の表面をざらざらにすることによりまして摩擦係数を多少よくするという処置をまずとっております。その他の処置につきましては、現在、今月の二十五日ぐらいまでかかりまして、この間の車両の走行状況、こういったものを十分調査いたしまして、その結果に基づいて警察庁のほうともよく御相談いたしまして、トンネル内の追い越しの規制とかあるいは速度規制、こういった措置について検討いたすという手配にいたしております。  なお、高速道路全般の安全対策につきましては、先般の閣議でもいろいろ要請がございまして、総理府を中心にしまして、現在私どもも参画いたしましていろいろ対策を練っておる段階でございます。これにつきましても、早急に結論を出すことになろうかと思っております。  それから都夫良野-吾妻トンネルの舗装についての御質問でございますが、サルビアシム工法という工法を採用いたしております。この工法は、東名高速道路についてはすでに大和トンネルあるいは日本坂トンネル、こういったところで採用いたしておりまして、この区間は昨年すでに供用開始しておる区間でございます。こういったところでは事故は起きておりません。そういう関係もございまして、公団としては決して初めてのケースではなかったわけでございます。それと、供用開始前に何ら試行テストをやっておらないという御指摘でございますが、大型試験車によるテストは実施いたしておりませんが、小型のポータブルの試験器によるテストは、供用開始の十日ほど前に実施をいたしております。舗装のすべり摩擦係数、これについてはいろいろと議論のあるところでございますが、高速道路の設計基準上考えております八十キロの設計速度に対する視距、つまり高速道路上異物を認めた場合にブレーキをかけて停止し得る十分な最小限度の距離でございます、これを百十メートルと規定いたしておりますが、この際に使っております摩擦係数が〇・三程度でございます。ポータブル試験器による供用開始前の試験結果は、いずれも〇・三ををこえる数字を示しております。そういう観点からいたしまして、私どもは、トンネル内の事故が必ずしも摩擦係数が低かったから起こったというふうには考えておりません。その点は、設計上具備すべき要件は一応備えておったものであるというふうに考えております。(山田(太)委員「舗装を変えたじゃないか」と呼ぶ)なお、路面にざらざらをつけるというような処置をいたしましたが、これは当然よりよいほうがいいわけでございます。ということは、トンネル内といえども追い越しを禁止しておるわけではございませんので、八十キロ以上の速度で走る車がかなりあることが予想されますものですから、速度が上がれば上がるほど摩擦係数は減る傾向を示すものでございますので、より以上の摩擦係数を持たしたほうがよろしかろうという観点に立ちまして処置をしたわけでございます。

田中芳秋通商産業省重工業局自動車課長

○田中説明員 下請部品企業の育成問題でございますが、御承知のとおり、自動車メーカーの使用部品の六割ないし七割が外注に依存をいたしておるわけでございます。したがいまして、外注部品の品質、性能の向上、これが自動車の性能、品質の確保にきわめて重要であります。こうした見地から、私どもといたしまして機械工業振興臨時措置法に自動車部品工業を業種として規定をいたしまして、開発銀行あるいは中小企業金融公庫等によります七分五厘といいます低利融資によりまして、これら企業の助成をはかっておるところでございます。特に中小企業につきましては、四十三年度までの融資実績は、対象約百四十件、融資金額にいたしまして三十五億円にのぼっているわけでございます。  しかし、今回、安全欠陥車、そういうものの発生に対処してどのような新しい対策を講じていくかという御質問でございますが、今回の欠陥車の届け出等を中心といたしまして、私どもこの分を行なっているわけでございます。まあいろいろ問題はあろうかと思いますが、大ざっぱに申し上げまして現在二つの問題点があります。第一番目は、部品そのものの品質には問題はないけれども、メーカー側におきます設計上の問題あるいはその部品を組み立てます際の工程上の問題、いわゆる品質管理、こうした点に問題があって、こういう状況になったんだ。第二点は、納入部品そのものの品質が悪いためにこうした状況が起こったんだ。まあ今回の届け出等を中心にいたしまして、私ども欠陥車がこうして出てまいりました点を十分解析をいたしたい、このように考えております。そしてかりに納入部品の品質に問題があるとすれば、それはやはりメーカーの購入価格等に原因があるかどうか、そういうような問題もあわせ追及をしてまいることがこの際必要ではなかろうか、かように考えまして、まあメーカーあるいは部品業界、私ども総ぐるみ一緒になりましてこの追及をやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。いずれにいたしましてもこの部品企業の育成はきわめて重要だと思いますので、こうした解析とあわせまして、財政資金等によります助成、これを一そう積極的にやってまいりたい、このように考えております。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 すでに検察庁におきましては、警察当局と連絡をとりまして、実態の解明と検察当局としてとるべき対策について検討を開始しているものと信じております。しかし、なおこの際きわめて重要な問題でございますので、なお正確な実態の解明とこれについての遺憾のない対策、納得のいくような手続を講ずるように伝えたいと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 きょう全国交通課長会議があるそうですが、その点についても十分納得のいくような措置を講じてもらいたいことと、もう一点は、過去もうすでに事故をやった人で、そうした欠陥車が原因ではなかろうかと思うような人の申し出を受け付ける、そういう制度もあわせて考えてもらいたいことを要望しておきます。以上で終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それでは伺いますが、最近自民党の司法制度調査会の発足でありますとか、あるいは先ほどもこの委員会で問題になりました広島地裁の裁判官の人事の問題でありますとか、裁判官の人事、あるいは司法の独立、あるいは裁判官の独立、こういうような問題が非常に大きな問題になってきておりますので、いろいろお聞きしたいのでありますが、最初に裁判所に、司法の独立あるいは裁判官の人事の保障こういうものは一体何のために考えられておるのかということについての裁判所のお考えをお聞きしたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 これは申し上げるまでもないことでございまして、憲法に規定されてありますとおり、裁判官としてのその職責を全うして、正しい適切な判決をするということにあると存じます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 これは司法の独立ということ、あるいは裁判官の人事ということは、正しい裁判が行なわれるということについて非常に重要な関係がある。憲法の「すべて裁判官は、その良心に従ひ獨立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」、憲法と法律、そして良心以外に一切何も拘束をされない、そういう公正な立場で裁判をする、これを保障することが大事だからこそ、司法の独立が言われ、裁判官の身分の保障が言われ、裁判官の独立ということが言われておるのではないかと思いますが、裁判所の見解を聞きたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま仰せられましたのは、憲法第七十六条の三項についての御見解と思いますが、これはまことにその規定しているとおりだと思っております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、一人一人の裁判官の独立を保障する、この憲法の条項を適切に守られる、そこに司法の独立を守ったりそれから裁判官の人事についての身分の保障があるということをいまお認めになったと思うのですけれども、ここのところを中心に置いていろいろな問題を考えなければならないと思います。その点についてはいかがでしょうか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 おっしゃられた範囲において、まことにそのとおりだと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それでは法務大臣にお聞きしたいと思いますが、そういうような重要な裁判官人事の問題でありますが、四月に自民党議判制度に関する調査特別委員会を設置をする。これは、その後、報道によりますと、司法制度調査会になったということでありますが、これが裁判官の独立を脅かすということで司法関係者に非常に不安を与え、最高裁の岸盛一事務総長も談話を発表した。これは先ほど来言われるところでありますけれども、この経過の中で、なかなか重大なことも発言をされているように報道をされております。たとえば自民党の田中幹事長がこのことを言われたわけですが、四月二十二日の総務会では、倉石副会長が都教組事件に関する最高裁の判決を取り上げて、刑事罰の対象となる争議のあおり行為を限定的に解釈して無罪判決を下したことは、立法の趣旨と違う、この判決の少数意見でも、このような法解釈は法の明文に反する一種の立法であり、法の解釈の域を逸脱したものだ。下級審ならともかく、最高裁でこのような重大な判決が出たことは軽視できない、こういう発言をしたということで、この最高裁判決がきっかけになったということが報道されており、また総務会のあとの記者会見で鈴木総務会長は、内閣が裁判官の人事権を握っているのだから、思想的偏向の顕著な下級裁裁判官は、過去の判例を調査した上、上級裁裁判官に登用しない措置も考えられる、こう述べたというふうに報道をされておるわけであります。たいへんゆゆしい事態なのでありますが、法務大臣は、この司法の独立ということですね、たいへん大事な問題であり、この問題については内閣で責任を負わなければならない立場の方でありますが、このことについて調査ないしお聞きになっておることがあるかどうか、これについて伺いたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 司法権の独立ということについては、もうあれこれ言うまでもなく厳然たるものであり、今後ともその権威を発揮するようにわれわれもつとめていかなければなりませんが、お尋ねの自由民主党の司法制度調査会ができたということでございますが、これは公党の立場から国政に参与する一環として、調査活動の一環として、政務調査会の中に司法制度調査会を設けて、そして司法制度全般について検討を加えていくということでございますから、何ら差しつかえないものと考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私がいま特に取り上げました倉石副会長、鈴木総務会長の発言、このあとにはわざわざ裁判所が談話まで発表をしておるわけであります。ひとしく、裁判官のみならず、司法関係者や国民がそういうようなことになってはならないということを、みな、新聞紙上の報道によりますれば、遺憾の意を表明をしたり、いろいろ報道をされておるわけです。このことについて、法務大臣としては何ら国民に、国会においてどういうことであったのだというようなことについて御説明になる材料は、一切お持ちにならないのでありましようか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 よくお尋ねの趣旨がのみ込めてないかもしれませんが、そういうことが総務会でいろいろ発言があったようであります。それが新聞に報道されましたので、それについて最高裁としてこういうことがあればというようなことで御意見をお述べになったものと思いまして、そういうふうに拝聴しております。  いま何か聞いておらぬのかというお話でございますが、私、総務会において多数の議員の諸君はいろいろ個人的な意見は大いに述べただろうと思いますが、それにつきまして、法務大臣として政党人の言動についてあれこれ言う必要もないのではないかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この際、ちょうど同僚の田中委員がこの司法制度調査会の委員長をしておられるということでありますので、御意見があれば伺いたいと思うのでありますが、いま田中委員、ちょっと席をはずされたときに私申し上げたのですが、倉石副会長が四月二日の都教組事件に関する最高裁判決を取り上げ、それから総務会後に鈴木総務会長が、内閣が裁判官の人事権を握っているのだから、思想的偏向の顕著な下級裁裁判官は過去の判例を調査した上、上級裁裁判官に登用しない措置も考えられる、こういうようなことを、司法関係者が聞きますと、新聞報道どおりでありますれば、全く非常識きわまりないといってもいいような発言をされておるのであります。この司法制度調査会というのは、どんな趣旨でできて、そういう問題についてはどういうふうになったのか、御意見があればお聞かせ願いたいと思うのであります。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 田中議員に御質問でございますけれども、田中議員がお答えになるのもどうかと思いますので、いまちょうど御退席でお留守のときに私お答えいたしましたが、松本議員に対しまして、公党の立場として、国政に参与する調査活動の一環として、自由民主党政務調査会に司法制度調査会を設け、そして司法制度全般について検討を加えていくということでありますから、何ら公党の立場として差しつかえないもの、さようにお答えしたわけでございますが、田中先生もそういうお考えだろうと思っております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 田中先生ございませんか。――田中さんは何も言われないので、これについて特に弁明するものがないのではないかと私のほうは思うわけでありますが、先に進もうと思います。  しかも、もう一つ大事なことは、田中幹事長が四月二十二日の午後の記者会見で、この問題について、閣僚選考については検察庁や公安調査庁の身上調書を取り寄せておるけれども、裁判官人事について判例一覧表をつけたりすることも考えていくべきであろう、こういうことを述べられたということが報道されておるわけなんです。一体公安調査庁は、そういう身上調書のようなものを作成しておるのでありますか。

吉橋敏雄公安調査庁長官

○吉橋政府委員 ただいまお尋ねの閣僚人事あるいは裁判官人事について、公安調査庁が身上調書を提報したような事実は全くございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 公安調査庁は、裁判官について調査をしたことがありますか。

吉橋敏雄公安調査庁長官

○吉橋政府委員 裁判官人事に関連しての……(松本(善)委員「人事についてではなくて、裁判官について」と呼ぶ)裁判官についての調査をしたことはございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それから、ついでにこの際聞いておきますが、公安調査庁が容疑団体の構成員だというふうに疑った場合には、その人を調査しますか。

吉橋敏雄公安調査庁長官

○吉橋政府委員 お尋ねのとおりでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 疑いがあるだけで調査をし始めるということになると、裁判官であろうとだれであろうと調査をされるという、そういう専権が公安調査庁にあるようなことになりますが、そういう状態になっておりますか。

吉橋敏雄公安調査庁長官

○吉橋政府委員 御承知のように、公安調査庁では一応調査指定団体、容疑団体というものを定めておりますが、それに関連したいろいろの組織あるいは活動、その構成メンバーといったようなものは、調査をいたしております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 構成メンバーであるかどうかということを本人が言わない場合、どうやって確定するのですか。そして疑っただけで調べるということになれば、これは裁判官であろうとだれであろうと、非常に危険な目にあわざるを得ないと思うのです。一体その辺はどうなっておりますか。

吉橋敏雄公安調査庁長官

○吉橋政府委員 調査については、もちろんただばく然と構成メンバーを調べておるわけではないのでありまして、いろいろな諸般の資料あるいは情報等を慎重に検討した上で、さような事実関係があるやいなやというようなところを慎重な態度でもって調査いたすのでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 まことに危険なことであろうと思いますが、きょうここでこの問題を中心に聞くのでないのでこの程度にしますけれども、たいへん重大な危険な思想調査、あるいはそれはないと言われたけれども、新聞報道を信ずれば、閣僚の選考にも調書を取り寄せているというようなことが報道されておるのです。これは事実かどうかわかりませんけれども、しかし、公安調査庁がその程度のことで調査をやっているのだと、非常に危険だということを言いまして、次の問題に進みたいと思います。  それから広島地裁の長谷川裁判官の問題についてお聞きしますけれども、この裁判官の再任の問題というのは、憲法の条項及び裁判所法の条項、先ほどこの委員会でも問題になった条項の運用について、きわめて重要なものであります。これについて、法律ができましたときに行なわれました国会における論議を少し紹介した上で、人事局長に話を聞きたいと思います。  憲法八十条の条項ができましたときに、金森国務大臣は「故なく再任を拒むと云ふやうなことはなからうと思ひます。」原則としてこれは再任されるのだということをはっきり答えております。それから裁判所法ができましたときに、第九十二帝国議会の裁判所法案委員会で――昭和二十二年ですけれども、木村国務大臣は「お話のように何ら不都合なく十年勤めてきた人は再選され得るように取計らうということは、これは私は当然のことであろうと思います。」「無事に勤めた方は、おそらく将来といえども十年、さらにその選にあたることと私は確信して疑いません。」こういうふうに答弁をされておるのであります。それから「裁判所時報」の昭和三十三年十月一日の二百六十四号に「裁判所法逐条解説」というのが総務局から出されております。この四十条の解説によりますと、再任の機会というのは、「その機会に不適格者を排除しようとするにすぎないものであるから、適格者が再任されることは、少しもさしつかえないばかりか、裁判官に練達の人を得る点からいって、むしろ望ましいことである。」これらの国会論議でありますとか裁判所自身の出しました解説を見ますならば、この再任を拒否するということは、不適格者を排除するというのが趣旨である、こういうふうに受け取れるわけでありますが、最高裁はこの再任をするしないについての基準はどのように考えておられるか、お答え願いたいと思います。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 再任する場合において、最高裁判所のほうで名簿を作成して、その名簿を提出するわけでございますけれども、その名簿の作成につきましては、慎重に裁判官会議で検討されるわけでございます。一般的な基準というものは明文をもっては規定されておりませんが、きわめて慎重に審議されるということは申し上げることができると思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私の読みました国会での論議、それから「裁判所時報」に載りました裁判所法の解説、これを否定されますか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 決して否定するわけではございません。最新の「裁判所時報」の四十条の解説によりますと、「裁判官には、厳格な身分の保障がある関係上、一般的に人事の渋滞をまねき、独善と沈滞をみちびくおそれがあるので、その弊を打破し、不適任者を排除する途をも開くため、憲法は、下級裁判所の裁判官につき、かような任期制を採用したもの」である、こういうような説明もしてあるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いまあなたの読まれた中でもそうですが、結局不適格者を排除するというのが趣旨なんですね。そうでしょう。あなたのいま否定するわけではないと言われ、それからまたいま読まれたものの中にもそういうことばがありましたが、結局裁判官として不適格な者を排除をする、そういう趣旨でしょう。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、名簿に登載するのが適当であるかどうかということは、その具体的な事案についての問題でございます。したがいまして、最高裁判所の裁判官会議でその具体的事案について名簿の登載を適当とするかどうかということに基づきまして判断をされる、こういうように理解いたしております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 問題をそらさないでいただきたい。名簿に載せるかどうかということは慎重に判断するということは、何べん答えられても同じことなんですよ。私の言うのは、その基準は、いろいろ国会論議や裁判所の発表している文書によれば、裁判官として不適格な者を排除をするという趣旨じゃないかと、違うか、そうでないかを答えてください。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 ですから、それについては具体的なケースケースで判断していかれる、こういうことを申し上げているわけです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私の言うのは、その具体的なケースケースで判断されるのはけっこうです。しかし、その基準は不適格者を排除をするという趣旨かということです。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 それは結局抽象的に申し上げれば、名簿に載るか載らないかということ、その名簿に載せていいかどうかということに帰着いたしますので、それはおっしゃるとおりかもしれません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 これはたいへん大事な問題で、この条項ができましたときの国会論議でも出ておりますけれども、十年で任期が終わるというような官吏は、ほかにないわけですよ。もちろん十年の間非常に身分が保障されている、強い身分保障がありますけれども、それじゃ十年たったらいつでも身分を失うおそれがあるのかという問題が起こって、そしてその中で、いや不適格な人だけを排除をするんだという議論になっておるわけです。しかもこの裁判官の身分保障というのは、一番最初にお話ししたように、あなたもお答えになったように、裁判官が憲法と法律と良心にだけ従っていればいい。それが保障されているから、裁判の公正が保障されるわけでしょう。その保障がなくて、十年たったあとは判例一覧表をつけられる、場合によっては公安調査庁の調書もつけられるかもしれない、こんなことが報道されておる中で、一体良心に従い、憲法と法律に従った裁判ができると思いますか。その根本問題なんですよ。司法の独立ということ、最高裁はそれについて談話を発表された。しかし、自分のほうが裁判官の独立ということを侵すようなことをやっていたのでは、司法の独立を守ることはできないですよ。そういう根本問題だから、詳しく聞いているわけです。これについては、十年ごとに――この十年の再任という問題は、最高裁の裁判官が国民審査を受けると同じ趣旨だと思います。そうだとすれば、この基準は国民に明らかにする、どういう人事が行なわれておるかということについて、これは最高裁は国民の前に明らかにするというのが当然ではないかと思いますが、その点どう思いますか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 その点につきましては、最高裁判所といたしましては、憲法に規定されております名簿に登載する権限の行使についての問題でありまして、お説とは私は反対の考えを持っておるわけであります。憲法にのっとって名簿を作成するかどうかということをやっているわけでございまして、このことの内容を公に発表すべきものではない、こういうように私どもは考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私は、こう聞いておるわけです。この名簿に登載をするかどうかということについて、国民の疑惑がないようにその基準を明らかにし、どのような人事が行なわれておるかということについて明らかにすることが妥当ではないかということを聞いておるわけです。もちろんそれが最高裁の権限に属することを否定しようとは、少しも思いません。その人事を明朗にするということが、必要ではないかということです。なぜ理由を言われないのか、その理由も一緒に聞きたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 内容は発表できないということだ。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 その理由を聞いているのです。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 特定の裁判官につきまして、なぜそれではこの人を再任の名簿に掲載したのかという理由を申し上げることができないと同じように、なぜ名簿に載せなかったかという理由も申し上げることはできない、そういう問題について公表すべきものではない、こういうように申し上げておるわけです。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私は、公表すべきものではないというあなたの意見はわかった。わかったが、それはなぜだろうかということを国民になぜ説明できませんか、なぜ言えないのですかとみな疑問に思っているわけです。長谷川裁判官は私は面識ありませんけれども、裁判官を長くつとめた方自身が、これはおかしい、これでは裁判官の身分保障を失うのじゃないか、裁判の独立を侵されるのじゃないかという疑問を提起しているのでしょう。一体その裁判官の言っていることは正しいかどうかということを、国民が判断をすることはあっていいのじゃないですか。なぜ理由を言えないかということを私は聞いている。そのことだけ、私の問いにそのまま答えてください。言われないということでなくてなぜ理由を言えないかということを明らかにしてもらいたい。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 なぜ理由が言えないかと仰せられましても、要するに、人事に関する事柄につきまして、公にできないような事柄については公にできないというように申し上げるよりほかに申し上げようがないのじゃないか、こう思うわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そういうような言い方は、国民の不信のみならず、裁判官の中であなたのような答弁はたいへんな不信を招くと思います。そういう態度はけしからぬと思います。  それからもう一つ言いたいのですけれども、あなた先ほど同僚委員に答えられた中で、この再任の機会に裁判官の身分保障は一切ないのだ、こう言いました。この再任の機会を利用して転任とか、転所とか、あるいは罷免とか、そういう実際上裁判官に保障されている権限を事実上奪っていく、こういうやり方が一体正しいですか。そういうお考えかどうか、お聞きしたいのであります。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 結局先ほど申し上げましたように、裁判官は十年間というものは非常に強い身分保障を持っておる、これは御承知のとおりでございます。そうしてその十年の任期が満了した場合には、今度は憲法、裁判所法の規定によりまして、最高裁判所がその当該の方について名簿に載せるかどうかということを非常に綿密に審査なさるわけでありまして、その名簿に載せるかどうかということを審査する場合に今度のような事案もあるわけでございますが、いわゆる制度が悪いというようには私どもは考えられないわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私の言っておるのは、そういうやり方をしたら、裁判官に対して保障しておる裁判所法の保障が無にならないかと言っておるのですよ。「免官、転官、転所、職務の停止又は報酬の減額をされることはない。」ということが、ちゃんと書いてあるわけなんでしょう。あなたのように、十年たったときにもうないのだということになると、それじゃ十年目を考えて最高裁の気に入るような判決を下さなければいかぬかなと裁判官は思いませんか。十年再任のときだけじゃないですよ。三年で簡易裁判所の裁判官に任命されるときもそうです。それから一人で裁判ができるという五年目もそうです。そのたびごとに裁判官は最高裁の顔色をうかがわなければならない、そういうことが正しいですか。憲法がほんとうに考えている趣旨は、裁判官がそういう一切にとらわれることなく、良心と憲法と法律のみに従って裁判をする、だから、正しい裁判が保障される、こういう考え方と違いますか。あなたの考えでは、裁判官の独立を裁判所自身が侵すことにならないかどうか、そのことを聞いているのです。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 再任の制度というものは、憲法に規定されている制度でありまして、ただいま仰せられたように自分みずからの手で裁判の独立を奪っているようなことは、毛頭考えているわけではございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それではもう一度確かめておきますが、あなたの言った十年目には一切の身分保障はなくなるのだ、このことは確認しますか。

矢崎憲正最高裁判所事務総局人事局長

○矢崎最高裁判所長官代理者 それは憲法八十条と裁判所法四十条の法律解釈の問題である、こういうように考えます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 裁判所法、これは裁判官の中でもたいへんな論議になる問題だと思います。裁判所自身もあらためて検討しなければならない。ほんとうに司法の独立というものを守るために、一体どういう姿勢でなければならないかということについて、厳重に最高裁に反省を求めて、私の質問を終わりたいと思います。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 次回は、来たる十七日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十一分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗