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61回国会衆議院1969/05/16

法務委員会 第17号

発言数
119
登壇者
19
会派数
3
開催日
1969/05/16

会議録

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 これより会議を開きます。  法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について、調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑和君。

畑和日本社会党

○畑委員 私は質問通告で出しておきましたとおり、目下非常にマスコミ等でも取り上げて問題になっております八王子の精薄児の社会福祉施設中央学院、ここでの問題について、主として人権問題を中心として取り上げて、各当局に質問いたしたいと思うのです。  この中央学院の院長等の児童に対する虐待の問題については、非常にショックを与えております。この児童福祉法違反その他のいろいろな違反事件をやった院長らが、児童福祉に関するいわゆる社会事業家というような立場にある人たちの不届きな行為であっただけに、非常にショックを与えた事件であります。新聞等で承知いたしたところによりますと、この中央学院の院長は韓国籍の趙雙済という人のようでありますが、その人が一体どういう関係でこうした福祉施設を認可されるようになったのか。しかもいままでそうしたことが明るみに出ずに済んでおったということは、まことにふしぎだと思うのです。そういった点が、いろいろ直接監督いたしております東京都、それから厚生省、こういったところの機関の怠慢ということが、私は大きな問題だと思うのです。どうしてこうした問題がこれまで表に出ずに済んできたかという原因を追及してみなければならぬ。と同時に、こうした人権問題、しかも精薄児であります、人一倍にこれらの児童の福祉は守らなければならぬ立場におる人がそうしたことをやったわけでありまして、人権問題としても非常に黙視しがたい問題であります。  そこでお尋ねいたしたいのでありますけれども、まず厚生省のほうの関係からお聞きをいたしたい。趙という人物は、一体どういう人物で、この趙一家が中央学院としての精薄児の福祉施設を認可されるに至った経過、それからその後の厚生省としての監督と申しますか、直接には東京都でありますけれども、そういった問題について、まず厚生省当局のほうにお尋ねをいたしたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 今回の中央学院の問題につきましては、私ども厚生省におきましても非常に心配をしております事件でございまして、このような事件が起こりましたことにつきまして、たいへん残念に思っておりますし、また、いままでの監督につきまして問題があったのではないか、かように深く反省をしているところでございます。同時にまた、こういった事件によりまして、ほとんどすべての児童福祉施設の方々がたいへん心を痛めているのではないか。また、このことによりましてそういった善意の方々の意気が阻喪するということにつきましても、実はたいへん心配しているところでございます。この事件の概要につきましては、新聞紙上におきましていろいろと報道されておりますような事実がだんだんわかってまいりまして、特に、東京都におきまして、五月十四付によりましてこの施設の認可の取り消し処分が行なわれたわけでございます。もちろん厚生省におきましても、いままで各都道府県知事に対しましてこのような施設の監査をやるように指導をしてまいりまして、東京都におきましても、この施設が昭和三十六年十一月に認可されて以来、毎年一回ずつは必ず監査を行なってまいりました。特にこの施設がいろいろと問題になりつつありましたときにも、ことしの四月及び五月にわたりまして、二次にわたりまして特別の監査を実施しておるのでございます。しかしながら、昭和三十六年以降その特別監査までの監査におきましては、この施設が今回の事件を起こしたようなそうひどいものではなかったという監査報告もあるわけでございます。したがって、この監査自体が、やはり書面上の——実地監査はいたしますが、やはり書面によりますところの監査を中心といたしました、いわばやや形式的な監査に流れたのではなかろうか、かようにいま反省しております。したがいまして、今後は厚生省におきましても、全国の都道府県知事に対しまして通知を出しまして、今後の監査というものをもっと内容的に実態的な面につきましても十分徹底するようにいたしたい、かように思うところでございます。  なおまた、この施設自体が八王子の山の中腹にございまして、他の同種の施設との間のいわばお互いの切磋琢磨という点につきましても欠けるところがあったのではないか。そういうふうな意味におきましては、やはり施設の設置者同士、あるいは施設の経営者同士のそういうふうな研究、討論、研修、こういうふうな機会も与えるようなことで、そういった点が欠けるところがあったということも反省しておりますので、今後はそのような研修等の機会もさらに多くいたすように考えているところでございます。

畑和日本社会党

○畑委員 この問題がこれだけ表面化いたしまして、東京都でもついに認可の取り消しに踏み切った、また警察庁関係でも、あとでお聞きしますけれども、捜査を始めておるわけでありますが、先ほどの渥美局長の御答弁によると、結局いままでの監査が非常に形式的に流れておったということで、こうした問題が明るみに出ることがおそくなったということのようであります。  ところで、新聞記事等も見て承知いたしたのでありますけれども、院長もなかなかの知能を持っておるようで、東京都等に対する報告は、形の上では非常にりっぱにできておるということで、東京都のほうでも、そうしたことに幻惑されておるというか、教育も児童の補導等も十分りっぱにやられておる、こういうふうに思っておったところが、実は、調べてみたらその逆であった、そういうことが報道されておりますけれども、要するに実際の東京都の監督というか、それがいままで書類だけの監督であったということが、間違いのもとだと思います。もっとも職員等がえらい少ない。東京都のこの関係の職員がわずかに五名しかおらぬというような報道も耳にいたしておりますけれども、そういったことにも原因があろうかと思うけれども、しかし、あくまで書類の上でのていさい上の処理をつけようとするところに、これは間違いがある。こういった児童福祉施設、精薄児等については、ほんとうに実地の指導というか、それが必要だと思う。この問題が起きて初めてその感を痛切に私たちもいたしたのでありますけれども、報道されるところによると、豊丸商会という廃品回収業ですか、そういった商売のほうの看板も、お隣のほうに出しているそうです。大体この趙雙済というのは、くずの回収を最初始めて、それからその間に刑余者五十数名か何かを使って、刑余者の指導というようなことの美名でその回収の仕事をやっておった。そのあと、こうした精薄施設をやる気になって認可を申請したというようなことが新聞に報道されておるわけでありますが、その後も豊丸商会なんというものをそのまま動かして、それで刑余者を安く使って、刑余者の指導、善導という美名のもとにやった。それの延長を、今度はか弱い、しかも精薄の子を使って紙くず拾いをさせたり、そうしたことをやり、あるいはその他のいろいろな長時間の労働をさせたりということが明るみに出てきたわけであります。そういう点で、この社会福祉施設の隣に豊丸商会なんというものを設置をしてその両方を兼業しておったというようなことは、ちょっと普通では考えられないことなんです。これは現場へ行ってみれば、すぐ一見してわかることだと思う。帳面づらだけで、報告だけで指導しているから、こういうことになる。実際行ってみれば、新聞等の写真でもわかりますけれども、そういった看板がすぐ隣か何かにかけてある。それであってずっと公然といままでていさいをつくろってやってきたということ、そういうところ、あくまでやはり現地指導について手抜かりがあったということがこういう事件を生み、精薄児の福祉施設という美名のもとにこういった悪徳きわまることをやったので、全体の人までが迷惑する、こういう結果になったと思うのです。その辺はどう考えますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 お話にございました豊丸商会との関係でございますが、その前に、私ども、こういった精神薄弱児施設をはじめ児童福祉施設におきまして、その子供たちを社会復帰させるというためにいろいろな職業訓練あるいは職業指導というものもやっていただいているわけでございますが、職業訓練、職業指導をいたしますためには、いろいろと規制をしております。これは児童福祉法に基づきますところの児童福祉施設最低基準という省令を施行してございまして、その省令に基づきまして、職業指導の、たとえば継続して二時間以上はそういった訓練につかさせてはならないとか、あるいは時間も朝早いというようなことも禁止されておりますし、さらに大きな問題といたしましては、営利を目的としては行なわないということもその省令においては規定しておりますし、またもし収益があるような事業の場合におきましては、必ず知事の認可を受けるということも規定しておるわけでございます。この豊丸商会につきましては、東京都の調査によりますと、ことしの一月から開始された、かようになっておりまして、もちろん都道府県知事に対しますところの認可の手続をしてございません。そういうふうなことでありましたために、特別の実地検査をするまではこの豊丸商会につきましては判明をしていなかったのでございます。そういった点についてはまことに遺憾とは思っておりますが、手続的にそのようなことが欠けておるというところに問題があろうと思います。いずれにいたしましても、この特に豊丸商会におきましてのやりました、職業指導とはいえないと思いますが、そういったものの収益金の使途なども、まだ判明いたしておりません。したがいまして、こういった点につきましては、児童福祉法に基づくところの児童福祉施設最低基準に明らかに違反しておる、かように思います。  さらに、この職業指導の重要性につきましては、先生も御承知と思いますが、全部これは都道府県知事に届け出、あるいは必要がある場合には認可も受けておりまして、特に、私どもといたしましても重点的に監査をする対象としておるわけでございます。今後ともこの点につきましてはさらに重点的にその指導に力を注ぎたい、かように考えております。

畑和日本社会党

○畑委員 いずれにいたしましても、いまの答弁でもわかりますけれども、東京都並びに厚生省のほうのそういった監督というか、指導というか、そういう点についての手抜かりがあったことだけは、その責任は免れないと思う。福祉施設であるだけに、非常にショッキングな事件であったと思います。これは警察関係だけれども、若い警察官が無免許で運転して子供をはねて殺した、しかも免許証がないのに、赤切符を自分で偽造して持っておったというような事件があって、やはりまことにショッキングな事件として聞きましたけれども、これも児童福祉施設がこういうことをやったということで、われわれもまことにがっかりもさせられたし、非常に驚いたわけであります。今後ともひとつ、厚生省関係でもこういった全国の施設を一斉点検するという話ですが、それを徹底してやっていただいて、かわいそうな精薄児の福祉のために努力してもらいたい。  次に、警察関係にお尋ねをいたしたい。  大体新聞等でも報道されておりますが、非常にいろいろな児童福祉法違反の事件、事実が出ておるようであります。いろいろ院長が児童に対して暴力をふるう、バンドでなぐったりあるいはかぎ束でなぐったりということで、児童が血まで出しているというような事実、あるいはまた子供が病気なのに、それを放置しておいて、子供が悪いからということでその処置を怠って死なせてしまったとか、いろいろな聞くにたえないような事件が報道されておりますけれども、これは新聞等で問題になって、警察関係でもさっそく捜査を開始して、いま身柄も逮捕され、そして送検をしておるようでありますけれども、警察として、その立場でどういうような捜査をしたか、その端緒はどうであったか、どういう刑法あるいは児童福祉法に触れる問題があるかというような問題について、ひとつ警察庁のほうから答弁を願いたい。

海江田鶴造警察庁刑事局保安部長

○海江田政府委員 今回の事件につきましては、端緒といたしましては、実は新聞の報道があるまで知らなかったのでございます。新聞の報道によりまして、五月八日でございますけれども、警視庁が八王子警察署と少年二課が中心になって捜査を、開始いたしました。まず第一に、東京都庁の民生局関係についていろいろお聞きをし、それから中央学院の職員の方々約九名についていろいろ事情を聞き、被害児童なども、これはなかなかむずかしかったのでございますけれども、一応四名について事情を聞き、さらに、たとえばくず拾いをしたとかいうことで、関係の工場あるいは八王子駅というところについても、参考的な捜査をいたしました。そういう捜査の大体の見通しがついたところで、五月十三日に逮捕状と捜索令状を請求いたしまして、五月十四日に院長趙雙済を逮捕、同時に、この趙院長の自宅と中央学院の捜索をいたしまして、二百三十点ほどの証拠品を押収いたしております。趙に対する取り調べは、十四日、十五日と行ないまして、十五日に検察庁に送致いたしまして、その後十日間の検事勾留が続いておるようでございます。  現在までの調べの内容で、実は被害者である精薄児童の捜査は、具体的な点において必ずしも明確でない点がございまして、現在まで送致いたしております事件は、児童福祉法の三十四条第二項の違反、収容児に対して収容施設の目的に反して酷使をしたということだけで一応は送致をいたしておりまして、それ以外の事件については、現在さらに捜査中でございます。いままで判明しておる酷使の内容につきましては、十五、六歳の収容児童約五名を、昭和三十八年ごろからことしの一月ごろまで、日野市にある富士電気の東京工場の作業場で廃品回収並びに八王子駅構内における廃品回収等をさせていたということが、おおむね事実として認められておりますし、さらにそれは午前中でございますが、午後は五時ごろまで草取りとか山くずし等の作業に従事させた、これが一つ。それからことしの一月から最近に至るまで、同院内にあります作業場、豊丸商会、これはトランジスターとかテスターのハンダづけ作業をする一種の下請作業でございますけれども、ここで午前八時半から五時ごろまで収容児童にノルマによる作業を課した。この二つの事案で、これが、いずれも先ほど厚生省からお話しありましたような最低労働基準、これは一日七時間以内、それから継続二時間以内、それから職業指導の作業は、やはり午後六時から午前六時まではさせてはならないというようなことに反しておりますので、この辺がまだ——そのほかに、作業をさせる過程において、院長みずから、あるいは指導員から暴行のおそれのあるようなこともなされておるようでございまして、こういう点で児童福祉法違反として捜査をしたわけでございます。そのほかに違反として考えられておりますのは、これは収容児童でございますけれども、これに対して昨年ごろ、態度が悪いとかいうようなことで、若干暴行を加えて、一週間ぐらいの傷害を与えたのではないかという疑いのある行為がございますが、これも目下捜査中でございます。そのほかに暴行として、やはり一児童に対して殴打し、あるいは着衣を破ったという疑いのある行為もあるようでございますが、これも捜査中でございます。そのほかに、職員に対する給料のピンはねがあるようでありますし、それから収容児童に作業をさせて、そこで収益を得て、これを全部自分でも取っているということで、横領の疑いがあるのではないかという点、それから労働基準法違反として、職員の給料を中間搾取したのではないか、あるいは職員に対して労働時間をこえて余分に仕事をさせて、それに対して割り増し賃金を払っていないのではないか、あるいは児童に作業をさせて得た代金というものを児童に与えていないということで、これがやはり労働基準法の違反になるのではないかというようなことで、現在こういう点につきまして捜査中でございます。

畑和日本社会党

○畑委員 いまの捜査当局の報告によりますと、送検された事実については、児童福祉法違反だけだけれども、そのほかに、先ほど御答弁のあったようないろいろな犯罪の手がかりがあるように新聞報道にも出ておりますけれども、その事実ありやいなやということについて、ひとつ突っ込んだ捜査をしてもらいたい。こうして問題になっておるのでありますから、徹底的にこの点糾明をしてもらいたい、かように思います。子供に対する虐待だけではなく、お聞きすると、労働基準法違反、職員等に対する問題もあるようであります。さらにそういったものからのピンはねとかいろいろなことをやっているようで、社会事業家という名前には最も遠い人だと思うのです。まことに驚いた次第であります。ひとつ今後も捜査当局は、徹底した追及をやってもらいたいということを要望いたします。  次にお尋ねいたしたいのは、法務省の人権擁護局長ですが、新聞等を拝見しておりますと、法務省自体でも職権で人権侵犯の問題として取り上げて調査をしている、こういうふうに報道されておりますが、法務省人権擁護局としての調査、そうしたものについて、その状況を中間報告でけっこうですから、報告してもらいたいと思います。

上田明信法務省人権擁護局長

○上田(明)政府委員 お尋ねの件につきましては、本年五月八日、精神薄弱児童の収容施設中央学院の院長が、職業訓練の名目で収容児童を強制的に働かせ、あるいはこれに暴行を加えるなどの酷使、虐待をしているという旨の新聞記事がございましたので、直ちに調査を進めなければいかぬ、こう思っておりましたところ、その翌日、東京本局に対して中央学院の元職員であった二名の女性が、あの新聞記事はほんとうだ、事実を調査してくれというので、調査しようとしておりましたら、もうすでに警察のほうが手をつけているということでございました。したがいまして、法務省といたしましては、なお警察あるいは厚生省の方々から資料をいただきまして、それに基づいて、さらにほかの関係についても調査する必要があるかどうかを検討して、続いて調査したい、つまり、いわゆる関係官庁と連絡を密にしながら調査を進めたいというふうに考えております。  なお、これはいささか余談になるかもしれませんが、昨日三多摩地区の人権擁護委員の方々がお集りになりまして、この問題をきっかけにいたしまして、一般的にこういう問題、ことに三多摩地区にはこういう問題がふえそうらしいのでございまして、これをどうするか、個別的に一ぺん当たってみようじゃないか、そういうふうな御協議があったようでございます。われわれといたしましても、委員さん方に、ひとつぜひやっていただきたいということを希望を申し上げたのでございますが、現状はそういう段階でございます。

畑和日本社会党

○畑委員 警察当局がもう捜査の発動をしておることでもありますから、そういった刑法問題については警察あるいは検察のほうで究明すると思うのでありますけれども、人権擁護の立場としても、ひとつ今後もその立場で究明してもらいたい。  そこで、最後に法務大臣にお尋ねいたしたい。もうお尋ねする必要もないくらいだけれども、先ほども申しましたとおり、まことにショッキングな事件でありまして、昔で言えばいわゆる社会事業家、こういうような人が、こういう社会福祉施設を舞台にして、しかも自分でその院長になって、先ほど来問題になっているようなああいう普通の人以上のことをこういった立場の人がやる、まことに驚いた問題ですけれども、人権思想がこう発達しているいまの時期に、しかもこういった施設の設置者、あるいは院長がこういうことをやるというのは、ほんとうに驚いたものです。人権擁護の関係を担当していらっしゃる法務大臣として、これに対する御見解、今後の処置等について、御意見を最後に承りたい。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 先ほど法務省のほうからも人権の立場から御答弁申し上げましたが、まことに遺憾なことでございまして、ただいまの件につきましても、今後法務省としても人権擁護の立場から徹底的に調査すべく、なお、こういうことがないようにさらに気を配っていくように努力するように事務当局に命じております。

畑和日本社会党

○畑委員 以上で、この中央学院問題についての私の質問を終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 中谷君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。インドネシアの元留学生の産業スパイ事件というのが、現在警視庁において追及をされておりますが、そのことに関して二、三問題点を明確にいたしたいと思います。  最初に、大臣にお尋ねをいたします。法制審議会の部会においては、産業スパイの規制として産業スパイ罪なるものを制定しようということがいわれておりまするけれども、大臣としてはその点についてはどのようにお考えになりますか。産業スパイ罪を制定したときのメリット、デメリット、産業スパイ罪を制定したことによる利益の面とそうして危険な画、この点についてお答えをいただきたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 産業スパイ罪につきましては、御承知のとおり、法制審議会でその必要性につきまして鋭意検討をいたし、大体の意見もまとまっておるようでございますが、これはお尋ねのとおり、この規定の影響するところは大なるものがございます。どの程度にこれを定めていくかという非常に微妙な点もございますので、法務当局といたしましては、現在の審議会の答申を待ちまして検討を進めてまいりたいと思いますが、その間いろいろ問題が出てまいりますので、非常に心を痛め、われわれとしても、今後どうすべきかについては、目下非常に心を砕いているような状況でございます。法制審議会でまとまり次第答申を得まして、慎重に対処いたしたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 本件の産業スパイは、いわゆるノーハウを盗み取ったということであります。ノーハウということばそのものが、非常に多岐多様であります。きわめて簡単に言いますと、企業秘密とか営業上の秘密というふうに言ってしまったらいいのかもしれませんけれども、特許以上の秘密、特許権を当然受けられるけれども、それが特許を受けることによって公開されることが不利益をこうむるのであえて出願をしないという、きわめて高度な企業上の秘密という考え方もありますし、あるいは特許をとることができないけれども、生産方法において企業上の秘密としての価値のあるものなどというふうなことが、ノーハウについては言われております。そういうふうな本質だから、私はノーハウというものについての詰めた質問をするつもりはございませんが、いずれにいたしましてもノーハウにつきましては、通産省の御所管であります。通産省から御出席をいただいておりまするけれども、通産省としてはノーハウの保護ということについて、まず刑事的な規制、すなわち産業スパイ罪の制定ということについては別の委員会において大臣の御答弁を私いただいておりますが、あらためて通産省の御見解を承りたいと思います。

小山実通商産業省企業局商務第一課長

○小山説明員 お答え申し上げます。ノーハウの保護についての通産省の見解ということでございますが、これはおとといでございますか、商工委員会で中谷先生の御質問に対しまして通産大臣がお答え申し上げたところでございます。それを再度繰り返して申し上げます。結局、ノーハウをある程度商品化してと申しますか、財産権的なものとして保護しろという一面の要請も、いろいろあるわけでございます。一方企業の競争という面から見まして、特に情報化時代というものを迎えて、それぞれ最大限に情報を収集して、企業の的確な将来の意思決定を行なっていく要請というのも高まってきているわけでございまして、その辺、たとえば特許の場合には、一面において公開を促進する、その反面特許権を与えるということで、重複研究の防止というような功利的な面も含めて両方のバランスをとっているわけでございます。そこに至らないノーハウにつきまして、たとえばどういう形が一番国としても望ましい方向であるかということについては、いろいろ検討を要する点が多い。大臣も申し上げましたように、今後先生の御指摘の問題、真剣に取り組んでいきたい、こういうふうに考えているところでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 法務省の刑事局長さんにお尋ねをいたします。産業スパイ罪につきましては、企業秘密と申しましても、いわゆる世間で言われているノーハウ、すなわち技術、この技術ということばも非常に多岐なことばでありまするけれども、少なくとも生産方法を含む技術に限定をするということは、審議会の秘密漏泄罪についての案であるし、まさにそのようなものでなければならないとは私は思っております。ただ、大臣に私お尋ねしたのですけれども、現在審議会にかかっておりますが、法務省、審議会の御審議の過程を通じまして、産業スパイ罪というものを制定しなければならないとしている必要性、その必要があるのだとされている理由と、しかし、産業スパイ罪ということは、たとえば機密保護法の制定につながることとか、あるいは公害等の責任追及を不可能にするとか、また逆にいうと、私先ほど申しましたデメリットが、非常に一部ではこれまた指摘されているわけです。現在審議会等の御審議を通じまして、産業スパイ罪というものを制定したときの利益、不利益、その点について刑事局長、御専門の立場からお答えをいただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 ただいま、御承知のとおり、法制審議会の刑事法特別部会というところで昨年の暮れに一応の結論を出しました。それはいろいろ功罪を比較した上でもって、多数意見といたしまして、近代工業国家としては、やはり企業の秘密について何らかの保護規定が必要であろう、こういう意見が大勢を占めたわけでございますが、先ほど大臣からもお答えがありましたように、なお引き続き法制審議会においてこれらの案について審議中でございますので、いずれまた答申があれば、その際にまた政府当局としての立場からあらためて慎重な審議を尽くしたい、こういうふうに思っております。そこで……。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 失礼しました。御答弁続いたようですけれども、私のほうからお尋ねをいたしていきます、時間がないようですから。そうしますと、こういうふうに非常に社会の耳目を聳動させたような事件が起こっておりますが、特段に、刑法の全面改正に先立って産業スパイ罪の制定をはかるというふうなことは、お考えになっていない。この産業スパイ罪の制定については、慎重に刑法全面改正の中においてこれを取り入れる。逆にいうと、刑法全面改正の作業はきわめて熱心に進められておりますけれども、数年先だろうと思いますが、そういうことだというふうにお伺いしてよろしいのでしょうか、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 中谷さんの御意見にもございましたとおり、なかなかこの法案は影響するところ微妙なものがございますので、いませっかく法制審議会でやっておりまして、この問題については大体の案がまとまっておりますが、これだけを敵出することは、法体系を乱すおそれもありますので、そこまではまだ考えておりませんが、今後の成り行きを見てまいりたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そういたしますと、とりあえず、現行ではノーハウの保護ということについては、刑法的な、刑罰的な保護の対象にはだからならない。現行法として、たとえばそれが窃盗になるとか、背任になるとか、業務上横領になるとか、あるいはそうして臓物故買になるというふうな、現行法に触れる場合は現行法でこれを規制していく、こういう考え方であろうかと思いますが、念のために局長に御答弁をいただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 当面大体そういうことになろうかと思いますけれども、御承知のように、その企業上の秘密について不正行為があった場合に、現行刑法でもって取り締まりができる場面と、それから取り締まりができない場面がございますので、その辺のところは、今後発生する事件の様相とか、あるいはまたこの問題についての世論の動向とかというふうなことを考えまして、慎重に政府としての立場をきめていかなければならない問題ではないか、そういうふうに考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうでしょうか。では、もう一度念のためにお聞きしておきます。たとえば刑法二百十一条業務上過失致死傷については、刑法の全面改正を待たずに刑法の一部改正をおやりになりましたね。そうしたら、産業スパイ罪というものの創設についても、刑法の全面改正とは切り離して、一部改正で産業スパイ罪の創設などということもあり得るということなんでしょうか。これは大臣、いかがでしょうか。局長からでもけっこうです。ひとつお答えをいただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 たとえば公害罪の問題について、同様刑法全面改正の審議会において一応の案を得て、なお審議中でございます。公害罪なんかについては、五年先、十年先を待って、答申を得て、政府がさらにまた審議をするというようなことが、現在の公害の状況から見て適当かどうかというようなことにつきましては、やはり私どもとしても相当慎重な態度をもって臨んでいくということが必要ではないか、こういうふうに思っておりますので、刑法の全面改正の中にいろいろな新しい案が現在盛り込まれておりますけれども、それらのものをいつごろどういうふうな姿勢において取り上げるか、あるいはさらに慎重に審議を持ち越していくかということは、やはりそのつど問題に応じまして慎重な態度をもって対処していくということが必要だろうと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、結局産業スパイ罪については、業界、企業のほうからの強い要請があるようでございますが、同時に、研究者などのほうから、産業スパイ罪というものはきわめて危険だという批判があります。しかし、慎重にそれらの意見をいろいろ配慮されるということですが、いわゆる十年ぐらい先、あるいは五年先になるであろうと思われる刑法の全面改正に先立って、そういうふうなものが出される可能性——なるほど公害罪については早く出していただきたいと思いますが、公害罪と同じように早く出される可能性もあり得るということなんでしょうか。ひとつ簡単にお答えを願いたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 いまの産業スパイ罪につきましては、先ほどからるる申し上げておりますとおり、法律的にいま非常にいろいろな問題がございます。また、企業の面からもいろいろ御意見が出ております。国会におきましても賛否両方の御意見が出ておりますが、それらの点を十分に勘案いたしまして、なお慎重に考慮して対処してまいらなければならない、こう思っておりますけれども、いま直ちにそれの検討に取りかかるとか、あるいは提出するとかというようなことは、考えておりません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、民事局長にお尋ねをいたします。ノーハウの保護というものについては、いわゆるノーハウというものが——私先ほどからノーハウということを申し上げておりますが、特許権を持ったものと持たないものとが複合したようなものもあるやに聞いております。あるいは特許権はとっていないけれども、特許以上のものだというものもあると思う。しかし、ノーハウということば自体が、非常に多岐多様でありまして、ノーハウということについて答弁をしていただくのは、私は非常に困難かとも思いますが、いずれにしても一般的に言えることは、ノーハウというのは、法的な保護がないのだ、要するに模倣されたら模倣されっぱなしなんだというふうにいわれております。ノーハウの民事的な保護については、法務省民事局としては、どのような御検討を進めておられるか。また、立法上どのようにあってしかるべきだというふうに、今後の問題として、また当面の問題として、お考えになっておられるか。この点についての御所見を承りたいと思うのです。特に、できましたら、今度のインドネシア元留学生の問題との関連においてお答えいただければ、私は非常に問題が前進すると思いますので、この点をお尋ねいたしたい。

新谷正夫法務省民事局長

○新谷政府委員 ノーハウの問題は、たいへん法律的にこれを把握することが困難な問題でございます。御承知と思いますけれども、これは国際的にも非常に問題になっておるものでございまして、国連機関等におきましても、これを法律的にどう構成したらいいかということが、いま問題になっておるようでございます。ひとりわが国のみならず、各国とも、この問題は、把握することも非常に困難な問題として、しかも重要な問題として検討されておるわけでございます。ただいまのお話のように、いわゆるノーハウといわれるものは、権利として明確にされておるものとの関連もあるでしょうし、また権利まで持っていけるほどのものであるかどうか。たとえば特許権、実用新案権以上の重要なものもありますし、また、そうでないきわめてささいなものもノーハウといわれているようでございます。一体このノーハウというのは、秘密性を重視するのか、それとも秘密のベールにおおわれた技術なり様式、仕様、そういったことを重視するのかということになろうかと思います。民事的にこれを把握して保護しようとしますと、どうしても権利という形に構成するのが常識的であろうと思うのでございますが、何ぶんにもこれは秘密のベールにおおわれた技術でございます。権利というからには、その中身を相手方に主張し得るものでなければなりません。物権にいたしましても、債権にいたしましても、その中身が具体的に確定しましてこれを相手に主張し得てこそ、初めてこれは権利として保護され得るわけであります。ところがノーハウの場合には、そういうことはできないわけであります。むしろ秘密であるがゆえにこれは意味があるのであります。これは民事的に法律上構成していくということは、たいへんむずかしい問題でございます。今回問題になっておりますノーハウも、一部新聞の報道しておるところによりますと、それほど重要なものでない、何ぴともその程度のことはいま考えておるというぐらいの程度のものであるやに聞いておるのでございますが、こういうものが一々ノーハウとして法律上保護に値するかどうか、またその法律上の構成をどうするかという非常に困難な問題がございますので、私どもとしましても実は非常に迷っているのが実情でございます。事柄が産業に関することでございますので、通産省その他の関係省庁で十分御研究になっておることと思いますけれども、私どもも、民事の観点からこれに協力し、研究するつもりでおるわけでございます。ちょっとこれ以上具体的なことを申し上げるだけの自信がないと申し上げざるを得ないわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 御答弁は、私それでやむを得ないと思うのです。そこで、では具体的な事件に入ります。  警察庁の外事課長さんにお尋ねいたしますが、この事件はあなたのほうの御所管だそうでございますね。そこで、まず問題が二つあります。窃盗罪としてこの元留学生を逮捕したということです。とにかくロッカーをこじあけて人の物をとる、非常にいけないことだし、窃盗罪になると思うのですけれども、被害者の会社のほうからは被害届けが出ていると思うのですけれども、一体社内秘扱いのノーハウを表示しているところの書面、図面がとられた。金銭としては、被害金額どのようなものとして届け出が出ているのでしょうか。要するにノーハウというものの民事的な保護というのは、それは一体どの程度値打ちがあるのかということ、またそういうものが実体としての権利があるのかというふうな点が、先ほど民事局長の答弁からもうかがわれました。非常にむずかしいのです。この問題はたいへんむずかしいのですが、そこで一体ノーハウをどう評価するかという問題ですが、被害者の会社からは、一体どれだけの被害のものとして、盗まれた書類について金銭的な評価をしておりますか。その点、いかがでしょう。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 ただいまインドネシアの元留学生マデ・オダンタラを逮捕、取り調べ中でございますが、窃盗の点につきましては、信越ポリマー株式会社所有の秘扱いになっておりますエンゲルプロセス・ノーハウ・ブック外四点を窃取したという疑いで逮捕いたしております。会社側の被害届けにつきましては、この当時の値打ちとして約三百五十万円ということを申しているように聞いております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 それは窃取当時の価値でございますね。だから、その問題は、三百五十万という価値がノーハウ保護に関して出てくるわけですけれども、その書面が三百五十万というのは、どんな算定根拠なのか。要するに、ノーハウを実施したことによって受ける利益から換算してくるのか、書面がとにかく何か特別のいい紙に書いてあるから三百五十万というわけではないわけでございましょう。その三百五十万というのは、どんなふうに——これはノーハウをどう保護していくかということに関連してくるのですが、民間の被害者の会社はどういうふうに考えているのでしょうか。それはお聞きになりましたか。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 その点につきましては、承知いたしておりません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 ですから、会社のほうだって、逆にいいますと、そういう書面をとられた場合に、どれだけの被害金額に表示するかということは、私は非常に困惑を感ずると思うのです。ですから、これは私、大臣にひとつ要請といいますか、お願いしておきたいと思いますけれども、そういうふうなノーハウというものの権利の民事的な保護について、法務省民事局等においても理論構成、問題点の指摘、それを比較法的な観点からも御検討いただいておるわけでありますけれども、ひとつ十分に御勉強いただいて、早急にこういうものについてのいわゆるノーハウというものが保護さるべきものか、保護さるべきものとすれば、どのようなかっこうにおいてそれは金銭的に評価さるべきものかというふうな点についての、いろいろなノーハウの民事的な問題点について、御検討を早急にひとつ精力的に願いたいということについて御答弁いただけませんでしょうか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 御説のとおり非常に重要な問題でございますから、先ほど民事局長からも御答弁いたしましたが、法務当局としても鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 今回の事件は二つあります。一つは、ノーハウというものをどのようにして保護するか。しかし、ノーハウを保護するということに重点が過度に行き過ぎた場合に、企業秘密というふうなことで、たとえば福沢という、この前私質問をさしていただきましたが、レーサーの死亡のときに、警察の現場検証がうまくいかなかったといううわさが流れたり、あるいは化学工場の火事の場合に、化学工場に消防車を入れなかったではないかというふうなうわさが流れたり、あるいはまた水俣病の裁判について、企業秘密をたてにとってなかなか現場を見せないではないかというふうな住民の不安が出てきたり、企業秘密というものだけが絶対に前面に出てくることも危険だし、これは非常に問題があるわけです。  しかし、ノーハウの問題はその程度にいたしまして、この問題の産業スパイ事件について、同じく外事課長さんにお尋ねをいたしますが、要するにセドフというソビエトの通商代表部の人、それからソロビエフというソビエトの人、セドフというのは元通商代表部の部員であったけれども、現在ではそうでないわけなんですね。それからソロビエフというのは、通商代表部の部員なんですね。事実関係だけをひとつ確認をいたしたいと思います。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 オダンタラの調べの過程で名前の出てまいりましたソ連人は、いまお話のありましたセドフとソロビェフの二人でございます。セドフは三十九年に通商代表部員でありましたが、同年八月二十七日に日本を去っております。その後ソロビエフがかわって本人と関係を持っておるわけでございますが、ソロビエフは現在も通商代表部員でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 ちょっと恐縮ですが、外務省自席から御答弁をいただきたいと思いますが、通商代表部員でないセドフはもちろん、ソロビエフは通商代表部員だそうですが、これは外交特権は持っていないことは明らかだと思いますが、いかがでしょうか。

中尾賢次外務省欧亜局外務参事官

○中尾説明員 通商代表部の特権の問題は日ソ通商条約の附属書に規定してございまして、通商部員は、税金以外の点では外交官の特権あるいはそれに類した特権は持っておりません。通商代表及びその代理二名は、持っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで外事課長にお尋ねをいたしますが、ソロビエフという人にしろセドフという人にしろ、参考人ということになっておりますけれども、この人たちは窃盗の教唆だとか臓物の収受犯だとか、そういうふうな被疑者に転落をする、被疑者になる可能性をきわめて濃厚に持ったところの人であるというふうに、私は事実関係の中で推察をいたします。逆にいいますと、人さまのものを盗んだというインドネシアの留学生の行為は、当然現行窃盗の規定に触れるならば窃盗罪で処罰さるべきでしょうけれども、背後においてそれをあやつったという人が、法の追及を免れていいというはずは私はないと思うのです。  そこで、これらの人については、まず確認をいたしたいのは、被疑者になり得る可能性を十分に持っている人たちなのかどうかという点。それから呼び出しの点については、どの程度の努力をされているのかどうか。今後呼び出しに応じない場合には、強制逮捕に踏み切ることもあり得るのかどうか。われわれ日本の国内においてこのようなことが行なわれる。社外秘の文書の値打ちはどの程度かは別として、いわゆる呼び出しに応じない。しかもそれが通商代表部員だということで応じないというようなことでは、私はある意味においては示しがつかない、こういうふうに思うのです。この点についてお答えをいただきたいと思います。  その前に一つ外務省にお願いをいたしたいのですけれども、通商代表部員は外交特権を持っていない。しかし、こういうふうな場合に、いわゆる何か外交上の慣例というようなものがあるんでしょうか。こういう人については、特に窃盗の教唆の疑いがあって呼び出しをしてもなかなか出てこなければ、そのままもう警察のほうは泣き寝入りをする。学生については草の根を分けても探るということは、外交慣例上そういうふうな一つのものがあるのかどうか。これは外務省、いかがでございましょうか。外務省のお答えを待ってから、ひとつ警察庁のお答えをいただきたいと思います。

中尾賢次外務省欧亜局外務参事官

○中尾説明員 特にそのような慣例はないと思います。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 お尋ねの第一点は、被疑者となる可能性があるかどうかということでございますが、現在この事件は捜査中でございますし、事件の性質上、国際的な関連もありまして、慎重に取り扱うべきものと思いますので、その点についてのお答えは差し控えさしていただきたいと思います。  ソロビエフにつきましては、五月十一日にオランタラを逮捕いたしまして取り調べました結果名前が出てまいりましたので、同日、本人に対して出頭をして事情を明らかにするように申し入れをいたしております。さらに翌五年十二日に、外務省を通じて通商代表部に、警察の捜査に協力するよう申し入れをいたしております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 お尋ねをいたしますが、外交特権がないというところの外国人については、法律的には強制捜査は可能でございますね。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 お尋ねのとおり、強制捜査は可能でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 さらに呼び出しは何べんもおやりになるのですか、今後とも。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 その点につきましては、今後の事件の推移を見まして慎重に検討してまいりたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 しかし、推移とおっしゃいますけれども、要するに呼び出しをかけたというのは、その人があなたのほうの捜査で必要であったから呼び出しをされたのでしょう。何となしに来てくれということではなかったわけでしょう。それで出てこないということで、そのまま放置されるというわけにはいかないのじゃないですか。推移というようなことは、まさにその点が捜査のかぎなんでございましょう。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 本人が警察の捜査に協力して出頭していただけるよう、期待いたしております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 入国管理局長にお尋ねをいたしますが、セドフは、四月の二十二日に日本に入ってきて、五月の十五日に日本を出ましたね。その事実関係はそのようなことだと思いまするけれども、入管としては警察から、セドフについての出国等については、何らのいわゆる措置等についての要請はなかったのですか。たとえば、これは何かの被疑者なんだというような場合には、出国等については入管局としてはどういうふうな措置がとれるのですか。何も連絡がなければ、出国したいというのは当然出国になりますけれども、この点いかがなんですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 まず、セドフの事実関係でございますが、四月二十二日に入国いたしまして、五月十五日に出国しております。御指摘のとおりでございます。  それからセドフの出国を阻止するようにどこか関係機関から要請があったかという御質問かと承知いたしますが、そういう要請はございませんでした。したがいまして、これに関しましては出国を認めたのでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 警察庁、自席からでけっこうですが、そうすると、セドフについては、警察庁のほうとしては出国については何ら入管のほうにも御連絡がなかった。とにかく入ってきた。そうしてそれがどうもインドネシア元留学生の産業スパイ事件と関係がある。しかし、出ていくというのだから見送れ。こういうことであったわけですか。

中島二郎警察庁警備局外事課長

○中島説明員 オダンタラの逮捕取り調べ後名前が出てまいりましてからは、セドフにつきましても事情を聞くべく出頭を要求いたしたいと考えて、その機会をうかがっておったわけでありますが、ただいまお尋ねのように、入管当局に連絡をして措置するという段階までは至っていないという判断であったわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 入管局長に、では次にお尋ねをいたします。この研修留学生というのは、インドネシアから来て、そうしてかなり日本でも長く住んでいる人のようですけれども、かりにこういうふうな事件があった、そうしてこの事件について処罰を受けるというようなことがあった場合には、入管としてはどのような措置をおとりになるのか。通常何でしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 本件は、先ほどから警察当局の御答弁がございますように、まだ事案が確定しておりません。取り調べ中でございますので、まして刑罰がどのような結果になるかということはわかりません。しかしながら、入国管理令によりますと、御承知のごとく、一年以上の有期の懲役もしくは禁錮の刑を受けて執行猶予を受けなかった者というのは、これは強制退去事由になるのでございます。それからさらにまたそういうこと以外にも、本人すなわち外国人の行動が日本の国益、公安を害するということになりました場合には、やはりこの退去を強制することになるのでございまして、本人の今度の行為が一体どういうふうな価値判断を受くべきものであるかということは、事実関係が明らかになりました後におきまして検討したい、かように考えております。  それから、この人は、御承知のごとく、そういうことがなかったといたしますと、昭和四十五年の一月二十二日まで在留期間が与えられておるわけでございまして、一月二十二日から越えましてさらに日本にいたいというときには、その十日前までに延期を願い出るわけでございます。しかしながら、この本人のやっておりますことが新聞紙の伝えられるごときことであるといたしますと、延長を与えるかどうかというところにおきましてまた一つ問題が出てくるわけでございまして、四十五年一月二十二日を越えての日本の滞在を認めないということになりますと、その点からやはり本人は帰らざるを得ないということになる、かように考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最後の質問です。大臣にお尋ねをいたします。日本の生産は非常に急速に伸びたけれども、技術においてはまだ格差があるということをいわれておりましたが、ソビエトが日本の技術をほしがったということだとするならば、日本の技術のためには、ある意味ではこれは非常に自慢をしてもいいというふうな感じさえ持つのでありまするけれども、盗まれた人にとっては、たまったものでないことは当然であります。そこで、私はこういうふうに思うのです。インドネシアの元留学生というのは、現に窮盗をした人でございますね。ただしかし、どうも新聞報道を読みますると、金銭等をもちましてこの留学生を踊らしたところの黒幕がいる。この黒幕がやはり外国人であるということが、新聞に報道されているわけです。そういたしますると、そういうふうな刑の均衡と申しますか、公平というか、正義の観点からいいましても、現に実際にその手を働かして足を忍ばしてどろぼうをしたところの留学生だけが処罰をされて、うしろの実際の黒幕、大物というものが法の網を平気でくぐるというふうなことは、許されないことであるし、いけないことだと私は思うのです。この事件は、もうすでに逮捕されて何日かたっておりまして、ここからはすでに検察庁に移っているわけです。そういうような点から、法務大臣として——外事課の課長のほうからいろいろな御答弁がありましたけれども、すでにもう事件は法律的には検察庁のほうに移っているわけだと思います。そういう点で、これは公正かつ厳正に事件の真相、特にこのインドネシア留学生を踊らした黒幕、こういうふうな者が明らかにされないことには、私は世間は納得しないだろうと思うのです。大臣の御所見を承りたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 お話のとおりでございまして、すでにこの件は検察庁に送致されておりまして、いま鋭意捜査をいたしておる過程でございます。いろいろ新聞等の報道にもございますので、実態を正確に把握するということが大事だと思いますので、捜査の段階でいろいろの微妙な関係がございますけれども、検察も実態の把握に懸命な努力をいたしておりますので、近いうちにはっきりいたすと考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 それでは私、もう一点だけ、済みませんが質問させていただきます。要するに、不良外人に対する取り締まり一般の問題として、むしろ私は、外交保護権を持っていないのだから逮捕していいということで、検察あるいは警察が外人に対して弱いなどということがあってはならないと思う。法のもとにはすべて平等だということは、保護も平等であるけれども、違反行為に対する追及もまた平等でなければならないと思う。先ほど外事課長のほうで答えましたけれども、法律的には、この種不良行為を行なったところの事実が判明すれば、そうして呼び出しに応じないというふうな事実があるならば、当然強制逮捕もあり得る。これはひとつ検察権行使の立場から、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 先ほど来各省の意見はお聞き及びのとおりでございまして、法律解釈からいえばはっきりいたしておりますけれども、相手が外人等の場合は、特に慎重を期していかなければならぬような事情もございます。しかしながら、法律は法律といたしまして、いま捜査中でございますから、その間において実態を明確に把握したいと考えますので、捜査陣にいままかしてあるのでございますから、近々のうちにその辺等もはっきりいたすことと考えております。      ————◇—————

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 この際、参考人の出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会において調査中の北朝鮮帰還問題について、本日参考人として日本赤十字社外事部長高杉登君の出席を求め、意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、参考人の出頭手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 この際、高杉参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ突然御出席をお願いいたしまして、まことにありがとうございました。北朝鮮帰還問題について、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 まず、法務大臣にお伺いしておきたいと思うのでありますが、この在日朝鮮人の帰国の問題に関しましては、人道上の問題ということで取り上げられておるわけでありまして、前の委員会におきましても、法務大臣非常な熱意を持って推進をしたいということも言われ、勇断を持って事に当たりたいということも言われたわけであります。特に、いま在日朝鮮人の帰国の問題は、朝鮮赤十字会の代表の入国手続の問題が一つの大きな問題になってきておるだけに、法務大臣がこれについて当たる態度というものは、たいへん重要な関係が出てくるかと思います。そういう点で、この問題が問題になりました委員会以後、どういう方向で努力をされたかということについて一言伺いたいと思うのであります。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 お尋ねでございますが、きょうは赤十字社から直接参考人として御出席もありますので、詳細は赤十字のほうにお譲りしたいと思います。  お話しのとおり、先般来北鮮、日本の両赤十字社で国際赤十字本社も含めまして打開にいろいろ努力をしてまいったわけでございますが、なかなか先方がその案をのみませんので、いまわれわれも、これを今後いかにして打開するかに非常な腐心をいたしておる最中でございます。しかし、お話しのとおり、これは重要な問題でもございますし、帰還がきまっておる方々でございますから、私どもといたしましても、大局的な見地から譲るべきは譲り、何らかの具体案をつくりまして、両赤十字社にごあっせんを願い、また国際赤十字も非常に好意を示してきておられますので、いろいろの点から案をつくりまして、何とか再開できるように、今後ともできるだけの努力を傾けていきたいという気持ちは何ら変わりませんけれども、タイミング等の問題もありますので、いつというふうな時期ははっきりいたしませんけれども、今後ともこの打開のためには最善を尽くしてまいりたい所存でございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 松本君、大臣は十二時半までの予定だということですから、念のため……。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 はい。日赤の高杉さんに伺いたいのでありますが、高杉さんはコロンボ会談では代表としておいでになったと思いますので、その間の経緯についてお聞きしたいと思うのであります。この朝鮮赤十字会の代表の入国については、一応コロンボ会談では、日本赤十字社が朝鮮赤十字会代表の在日保証人となって代表の入国許可の取りつけに必要な手続を行なう、そして朝鮮赤十字会代表の入国許可手続を簡単にすることについては、政府において妥当な考慮が払われるよう日本赤十字社は努力をする、こういうような基本的な合意は一応できたというふうに伺っておりますが、それに間違いありませんでしょうか。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 このような一応の合意をするについては、もちろん政府の承認のもとにそういう方向で話を進めたのだと思いますが、それも間違いありませんでしょうか。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 そのとおりでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうしますと、この代表の入国許可の取りつけに必要な手続を全部日本赤十字社がやるということになりますと、あとは残っておる問題というのは、結局は渡航の証明書をどこで渡すかということだけになっておったということではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 簡素化せられるように政府において妥当な考慮を払ってもらうように努力するという点が、先生のいまおっしゃった点でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、結局ナホトカとかモスクワで渡航証明書を発給するのではなくて、もっと簡便に——代表の入国許可の手続は日赤がやるけれども、渡すほうはナホトカとかモスクワではなくて、ほかに簡便な方法を考える、これがコロンボ会談での方針だったわけですね。そこのところをもう一度確認したい。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 大体先生の御了解いただいているとおりでございますが、もう少し具体的に申しますと、日赤が在日保証人になりまして入国の申請その他必要な手続をとりまして、日本政府において許可の決定がありますと、これを朝鮮赤十字会に通知するわけでございます。通知しますと、朝鮮赤十字会は、日本に参ります前に渡航証明書をもよりの在外公館に行ってもらって日本に来てくれというのが、われわれが説明した最初の手続でございます。ところが、これに対しまして、日赤を通じて入国許可の手続まではするが、許可になった以上は、許可の決定が日本政府において下された後は、わざわざナホトカとかモスクワという遠いところまで日数をかけて行ってそれをもらう手続は、省かしてもらえないかということでございます。この点につきましては、コロンボ会談において妥協が成立いたしませんので、とりあえず日赤を通じて必要な手続をする、簡素化については今後日本政府において妥当な考慮を払ってもらうように日赤が努力する、ということで一応話を進めてまいったわけでございます。しかし、御承知のように、そのコロンボ会談は妥結しなくて終わったわけでございます。その点もお含みを願いたいと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務省に伺いたいと思うのでありますが、日本赤十字社が朝鮮赤十字会代表の入国許可に必要な手続を全部やって、あと渡航証明書の発給を、たとえば朝鮮赤十字会の代表が新潟へやってきたときにそこで渡すというようなことをした場合には、どういう障害が生ずるのか、それはやることができないものであるのかどうか、その点について法務省の考えを伺いたいと思うのであります。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 お尋ねでありますが、まず、国交関係のない国の方が日本に入国される場合には、原則といたしましては、在外公館に寄りまして渡航証明書をもらってくるというのが原則でございまして、これは先ほど高杉部長から説明したとおりでございます。  そこで、お尋ねの第二点の新潟で渡したらどうかということでございますが、これは法律的に必ずしも不可能というわけではないのでございますが、やはり私どもといたしましては、原則を順守したい、かように考えておる次第でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣に、最後にいろいろお聞きしたいと思いますので、こまかい経過についても聞いておいていただきたいと思うのであります。法律的に不可能でないということになれば、これは政府の方針いかんによっては、やれぬことはない、こういうふうに伺っていいでしょうか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 これは、御承知のごとく、外国人の上陸を認めるかどうかは法務大臣の権限でございますから、法律的に不可能ではない、こういうことを申し上げたのであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 このコロンボ会談のときに、合意をするについて政府の承認のもとにやられたということが、先ほど日赤の高杉外事部長からお話がありましたけれども、入管としてはもちろん、法務省としてもこの点については相談があっての話だと思いますが、このときにはナホトカとかモスクワでは困るという話になってこういうことになったわけですから、どこで渡航証明書を渡すというような心づもりといいますか、どういうことを考えてこれが政府の承認のもとになされたのか、その間の経緯を入管局長に伺いたいと思うのです。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 コロンボで会談がありましたときには、先ほど高杉部長も御説明いたしましたごとく、現在外務省で行なっております査証事務処理規程に基づきまして、本人に在外公館まで出てもらって、そこで渡航証明書をもらうということで話をしておったのでございまして、具体的にその時分考えておったのはナホトカでございますが、何といいましても地理から考えましてナホトカが一番近い。しかし、必ずしもナホトカには固執しない。あるいはモスクワでもその他どこでもいいということでございまして、ただ具体的に政府部内において検討いたしましたのは、そのたびたびにやるか、すなわちかりに二カ月なり三カ月おきに結果的に来るということになった場合に、そのたびたびにナホトカまで取りにやらすか、それとも少し長い期間の渡航証明書のようなものを出してやって、結果的には半年に一ぺんなりあるいは一年に一ぺんなりナホトカに顔を出せば、その期間内において来るたびにたびたび行かなくて済ますようにするかというくらいのことは、政府部内において検討しておった事実はございますが、しかし、本人が出頭しなくてよいということは、政府部内で検討もいたしませんし、ましてやコロンボにそういうふうなことで折衝してよいということを訓令した覚えはございません——訓令と言うと失礼でございますが、そういう意見を申し述べたことはございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 前回田邊参考人が話されたことでは、ナホトカとかモスクワで受け取るというのは困るから、それを受け取る場所について簡単にしてもらいたい。そうして朝鮮側の主張は、新潟でもらえるようにしてもらいたい、こういうことであった、こういうふうに答えておられますが、高杉さんどうでしょうか、そういうことであったのですか。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 さようでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 高杉さん、日赤にお伺いしておきたいのですが、そうすると、今度の国際赤十字を通ずるという案は、やはりこの方式とは一応別個のものであることは間違いありませんね。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 これはとり方いかんによることでございますが、日赤といたしましては、国際委員会を通ずるにいたしましても、簡素化の目的を達することはできるのだから、これは一つの適当な簡素化の案だと考えて、われわれは朝鮮赤十字会に提案をしたわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 簡素化の案だというふうに考えてやられたということはいいのですけれども、一応コロンボで考えられていた方式、日赤が入国申請に必要な手続を全部やって、そして渡航証明書をどこかで渡すという方向、これとはやはり別のやり方を提案したということにはなりますね。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 これは先ほど申し上げたように、とり方の問題でございますが、国際赤十字委員会を通じるにいたしましても、国際委員会から私らのほうに書類が回ってまいりますと、日赤はコロンボ会談においてわれわれが朝鮮赤十字会に御説明したとおりに、やはり日本におきます朝鮮赤十字会の代理人となって、その当時そういう手続が必要であったように、その手続は依然としてやることになっておったのでございますから、根本においては私は変わりはない。ただ、国際委員会を通じてくるという点が、これは先生のおっしゃるように、コロンボ会談のときの話と筋が違うじゃないかとおっしゃれば、そうもとれないことはないと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 違うじゃないかとか、違わぬじゃないかということではなくて、私の言うのは、このコロンボのときには、とにかく朝鮮赤十字会代表のほうは、入国許可の取りつけに必要な手続については心配しなくてよろしい、これは日赤のほうでやりますということであったのじゃないかというのです。だから、そういうことからいくと、ちょっと別の提案をしたということになるんじゃないだろうか。これが、日赤のほうが解決のためにやろうとした、簡素化のためにやろうとしたということについては、再々お聞きしておりますけれども、一応別個の提案ということになりはせぬだろうか、こういうことなんですよ。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、その提案をしました前書きにも、従来コロンボ会談以来御説明してきていることにかえてこういう案を提案するのだということをうたってございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、ここが完全な合意に——私が一番最初に読みました入国許可の取りつけに必要な手続を日赤がやる、そしてその簡素化について妥当な考慮を払うということは、完全な合意に達しておれば、これはやはり国際赤十字を通じてという案は出てこない筋合いのものである、こう考えていいですか。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 これも、われわれは妥当な考慮を払ってもらうように政府にお願いするように努力するといったわけで、妥当な考慮の内容がどういうことかということは、これは相当幅があるだろうと私は思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私の聞きますのは、この間田邊さんにお聞きしたときにも、これは完全に妥結してないんだ。だから裏切ったとかなんとかいわれると困るということは言われたけれども、私のいま聞きますのは、これは完全な合意に達していれば、これは国際赤十字を通ずるという話にはならぬのです。一切手続は朝鮮赤十字会は心配しなくてよろしい、手続のほうは日赤がやりますから、こういう話なんじゃないか、完全な合意に達していれば。そういう事実を聞いておるわけです。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 これは解釈の問題でございますが、それはかりにコロンボにおいてそういう合意が成立したといたしましても、妥当な考慮ということの中には、いろいろなことが私は含まれてくるので、もちろんこれは話し合いの上できまることでございますけれども、あるいは国際委員会を通じてくれば、渡航証明書を出頭しなくても発給することができるんだという案も、その時点において考え得る一つの案じゃないかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 しかし、国際委員会に入国許可の申請に関することを朝鮮赤十字会が頼むということは、ここでやはりこの文章そのものから考えられないのじゃないだろうか。その手続に必要なことは一切日本赤十字社がやる、その意味が述べられておるように思いますが、その点国際信義の問題としてもたいへん大事な問題であろうかと思います。やはり日本側が誠意を持って交渉しなければならないはずであります。先ほど冒頭にお聞きした内容のとおりであれば、文章からするならば、入国許可に必要な手続というものは、一切朝鮮赤十字会が考えなくてよろしい、日本赤十字社が考えますということにして合意をしてきたように、完全な合意ではないが、一応の合意に達したようにだれが見ても見えると思いますが、そこは違うのですか。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 日赤が在日保証人となって必要な手続をする。したがいまして、先ほども申し上げましたように、許可がおりるまでの必要な手続は全部日赤がやる。そして政府の許可をいだたく。いただいた後のことが問題になっておりますので、その許可のあった後に、日本へくるために必要な渡航証明書を、どのような方法でどこで受け取るかということが、問題に残っております。そこで妥当な考慮を払っていただくように努力するという約束、これは会談は成立しなかったわけでありますが、そういう話し合いをやったことは事実でございまして、そのときに妥当な考慮ということは、それは先ほど入管局長もおっしゃいましたように、いろいろな案があるわけです。ナホトカがだめならモスクワに行ってもいいじゃないか。あるいは毎度行くのを省いて、半年に一ぺんというようなことも政府からいま初めて伺ったのです。そしてまた朝赤側においてどうしてもナホトカ艇出頭することがいやだとおっしゃれば、日本側においてもいろいろ検討した上で、国際委員会を通してこられるならば出頭しなくてもいいことも考えられるというような話も、それは合意が成立した後といえども私はできないことはない、こう考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それは朝鮮側が考慮すればけっこうでございますということになれば、もちろんそれでもいいわけでしょうけれども、しかし、朝鮮側がこれじゃぐあい悪いといってくれば、やはり別の方法を考えなければならない性質のものではないかということです。この点については、田邊さんも前回日赤が主たる責任を持って打開しなくてはならぬというふうに言われたんだけれども、そういう性質のものではないかということですが、いかがでしょう。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 そのとおりでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣に最後にお伺いしたいのですけれども、いまの経過でおわかりのように、コロンボ会談で少なくともきまって、一応の合意に達したということから判断していきますと、あと渡航証明書をどこで出すかということですね。どこで渡すかということだけになってきて、これは手続からすればごく簡単な問題であろうかと思います。このことの解決によって、在日朝鮮人で朝鮮に帰りたいというたくさんの人たちの問題が解決をするならば、これはまさに法務大臣が言われる勇断をもって当たることの内容ではないか。積極的に推進をするということであれば、法務大臣の決断いかんによって解決の方向にいくべき性質のものではないかと思いますが、法務大臣の御見解を伺いたいと思うのです。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 御承知のとおり、今日までの経過におきまして、非常な両方の努力がございますけれども、完全な意見の一致を見ないことは、私も非常に残念に思っておりますが、しかしながら、きまっておることでございますから、すみやかに再開の実現を私も強く希望しておりますので、その時期その他ははっきりいたしませんけれども、いままでの経緯にこだわっておってはなかなかできませんので、この際、両赤十字社の一そうの御検討を願いながら、われわれもできるだけの側面援助をして再開を期していきたい、かように考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 もう一つ、最後に日赤のほうに聞いておきたいのですけれども、前回も木村副長官が来られて、このコロンボの線から後退しているわけじゃない、何とか打開したいということを言い、そして両赤十字社が話し合ってもらいたい、そしてそれを支持していきたいというふうに考えているということを言われました。それから法務大臣も、いま何とかやりたいというふうに言われているわけです。日赤がやはり人道的な立場を一番考えなければならない立場にあるわけなので、この打開の方法についてどこまで進んでおるか、その点を伺いたいと思います。

高杉登日本赤十字社外事部長

○高杉参考人 われわれ赤十字といたしまして、また帰還問題の当事者といたしまして、重大な責任を感じて、赤十字社をあげてこの行き詰まった難局を打開しyoうと努力いたしております。しかし、いろいろな事情もございまして、いますぐ朝鮮赤十字にどういうことを話していくという段階には達しておりませんが、われわれは赤十字をあげて、どういう方向でこれを打開するか、苦慮しているわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 この際、高杉参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ、本委員会に御出席くださり、貴重なる御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  どうぞ御退席ください。  引き続き質疑を行ないます。神近市子君。

神近市子日本社会党

○神近委員 私は、このごろたいへん多発している交通の問題で、ちょっと御質問申し上げたいと思います。  いま交通安全旬間が進行中ですけれども、この前のゴールデンウイークには一日平均四十九人の死者を出して、たいへん問題になったようですけれども、安全運動に入っても、四十人ぐらいが一日に死んでいる。一体これをどうしたらいいかということが、きょう私がお尋ねしようと思う問題です。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 年間に一万五千人死んでいる。これは二十四時間以内の死者でございまして、あと二日目、三日目、四日目に死ぬ人はこの中に入っていないとはっきりいわれているのですが、これをひとつどうしたらいいかということが、私がお尋ねしたいものでございます。大体この対策を持っていらっしゃるのか。私は、一番いいことは、自動車の販売をある程度制限するということが一番必要じゃないかと思うのですけれども、いまの日本の状態ではそれは通らないでしょう。年間ともかく七億というような自動車メーカーの収入を考えれば——これが輸出で、あるいは国内売りで一番もうかっておる。それをここである程度これに制限を加えるということでは、今日の日本の体制では、これは通らない。それではどうしたらこの死者を多く減らすことができるかということが、私がきょう考えている問題なのです。死者が年間一万五千人と出ておりますけれども、負傷者も十万人以上出ておりますよ。そうしてこれがこの十年間には百万人になる。この負傷者は、ただ傷がすぐなおればそれでいいということじゃないのですよ。むち打ち症になったり、あるいはびっこになったり、あるいは何かの持病持ちになったりというのが、いま百万人もそういう人をかかえなくてはならないというようなことを考えれば、ここで安全対策というものは、ひとつ問題にされなければならないのじゃないか。私は、これを総理府ではどういうふうに考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。

宮崎清文内閣総理大臣官房陸上交通安全調査室長

○宮崎(清)政府委員 御指摘のように、交通事故が多発しておりますことは、まことに憂慮すべき事態だと考えております。したがいまして、政府も、何とかいたしまして、この交通事故を少しでも抑制いたしたいということから、ここ数年来交通安全対策というものを特に重点に取り上げまして、いろいろの施策を実施しているところでございます。御承知のように、交通事故の原因は、いろいろ複雑でございます。また、実際に事故が起こりました場合にも、いろいろな要素がからみ合っておりまして、事故の原因、これに対する対策を簡単にきめつけるというわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、総合的な交通安全対策というものを一応立てまして、いろいろの施策をバランスをとりながらやってまいりたいと、このように考えております。具体的に申し上げますと、非常に大きく分けますと、現在四つの柱を立てております。  第一が、最近政府が特に力を入れております、御承知のように、横断歩道橋でございますとか、ガードレールでございますとか、信号機といったような交通安全施設の整備を中心といたしました道路交通環境の整備でございます。この中には、これ以外に、たとえば自動車の構造装置の安全性の向上というような問題も、もちろん取り上げておりますし、また子供が、遊び場がないために、往々にして路上で遊戯をして不測の事故にあう、こういうことを防止いたしますために、全国の主要な都市に児童公園をなるべくたくさん整備する、こういうようなことも含んでおります。  第二は、何と申しましても、交通事故はいろいろの原因がございますが、最終的には運転者なり歩行者なりの行為によって起こっております。したがいまして、こういう見地から、事故を防止いたしますためには、交通安全教育というものがたいへん必要になるわけでございまして、この点につきましては、現在政府は、学校におきます交通安全教育、それから地域社会におきます交通安全教育、それからさらには運転者に対する再教育、こういうようなことを中心にいたしまして、交通安全教育の充実というものをはかっているわけでございます。特に地域社会におきます交通安全教育、これはことばをかえて申し上げますと、交通安全思想の普及徹底ということに相なるわけでございます。この点につきましては、先ほど御指摘がございましたように、春秋二回、全国の交通安全運動旬間を行ないまして、この期間中に集約して交通安全に関するキャンペーンを行ないまして、国民の皆さんの御理解と御協力を得たい、このように考えております。  それから第三番目は、やはり多くの運転者の中には、これは数から申し上げますと必ずしも多いわけではございませんが、いわゆる無謀な運転をして、それによって事故を起こす者がある。したがいまして、これらを抑制するためには、交通取り締まりと申しますか、交通の指導、取り締まりの強化ということが、三番目の柱となるわけでございます。  それから第四は、これは交通事故を未然に防止するということではございませんが、不幸にして交通事故が発生いたしました場合のあと始末が、わが国は諸外国に比べて立ちおくれているわけでございまして、たとえて申しますと、救急医療の問題、それから損害賠償の問題、これらの点がまだ若干立ちおくれた点がございますので、冒頭申し上げました交通安全施設の整備とあわせまして、この四本の柱、私たちは被害者救済対策の強化と呼んでおりますが、この被害者対策の強化を、最近におきましては四本のうちでも特に重点に取り上げて、これを実施いたしているわけでございます。  以上が、一応政府が現在考えております総合的な交通安全対策の概要でございまして、私、総理府でございますが、総理府といたしましては、こういう総合的な対策の骨組みを組み上げまして、あと個々の施策の実施につきましては、関係省庁がそれぞれの所掌に従って鋭意努力しているというのが実情でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 それはいまの対策はほんとうに場当たり的な対策で、私はこんなに交通の問題が深刻になったら、場当たりでは間に合わないと思うのです。きのう私久しぶりに新橋駅のあたりを回ったのですけれども、あそこいらの車の混雑というものは、歩いたほうがよっぽど早いと思うくらい車が回らないんです。そしてどこに行っても感じることは、駐車の問題。駐車をいっぱいしてあるものですから、人が歩く道が狭い、あるいは車がそこを通ろうとするときにのろのろ運転がやっとというところが、とても多いのです。私は、何とか車を都内の道路に置くということを減らさなければならないというように感ずるのです。方法としては、第一は、最近スウェーデンでやったという、市内に入った車は、役人の車であれ、あるいはそこが国有地であれ、それから市有地であれ、必ず駐車料を取るというような方法が行なわれているのが一つ。これは宮城前の場所とりの話をお聞きになったことがありますか。サラリーマンが二時間早く出なければ、宮城前のあの無料駐車場がとれない。ですから、あそこにもちゃんと——たとえばスウェーデンの場合は、ああいうところにもみんな駐車料を取る。全部都内に入るものは駐車料を取る、これが一つ。それからもう一つ、国がこれに対して何らかの手を打つということをお考えになるならば、私は屋上の駐車ということもお考えになっていいのじゃないかと思うのです。私はパリでその屋上駐車を見せられたんですけれども、これはエレベーターで車を上げる。そしておりるときにはちゃんと運転ができるようになっておりました。私はどこか銀座にごく粗末な駐車ビルが建っているということを聞きましたけれども、非常に粗末なものだったということでしたから、私はまだ見にいっていないのですけれども、あれを完全なものにつくって、そして道路の駐車を減らすということ、これは私は非常にいい方法じゃないかと思うのです。私は、前にこの問題を取り上げたときに、郊外の住宅地から駅まで乗ってくる、それで駅の近くに駐車場を広く設けたらということを申し上げたのですけれども、いま郊外もずいぶん地所が詰まっているから、平面的な地所、平地にはこれはつくれないと思う。やはりこれはごく粗末なものであっても、じょうぶな、雨が降っても雪が降ってもかまわないから、外側に金をかけることは、要らないから、エレベーターと鉄筋があれば、粗末なものならできる、私、これをお考えになったらどうかと思うのですけれども、たとえば都内に乗り入れるものは全部駐車料を取るということ、それからもう一つはビルをつくるということ、そうして安い駐車料でこれを収容する、この二つしかないと思うのですけれども、あなたはどうお考えになりますか。

宮崎清文内閣総理大臣官房陸上交通安全調査室長

○宮崎(清)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは、主として交通事故防止、及び不幸にして事故があった場合のあと始末の問題についての政府の対策を申し上げたわけでございますが、御指摘のような点はもちろん交通安全と密接なうらはうの関係にあるわけでございまして、交通渋滞をいかに解消するかという点におきまして、やはり政府としては重点的に取り上げているところでございます。特に最近は、御指摘のように大都市におきます交通渋滞が非常に激しくなっておりまして、その原因の主たるものが路上における違法駐車であることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、私たちといたしましても、大都市におきます駐車禁止の規制の強化、これは当然考えなければならないと思っておりますし、すでに一部もう実施中でございます。また、先ほどお話しになりましたスウェーデンの件は、私案はよく承知はしておりませんが、これはパーキングメーターをつけました路上駐車のことではないかと考えられるわけでありますが、この路上駐車につきましては、たとえば東京都におきましてもかつては実施したことがございます。しかしながら、その後あまり効果がないというようなことがございまして、現在では、たとえば東京におきましては、ほとんどこのパーキングメーターを伴いました路上駐車を認めておりませんが、こういう段階になってまいりますと、一方においては駐車禁止の規制を厳重にいたすとともに、他方におきましては、駐車がそれほど交通に支障がない場所におきましては、パーキングメーターをつけまして路上駐車を認める。ただ、その場合は駐車料を相当高くいたしまして、あまり気やすくそこには駐車させないようにするというような方策も、今後また再検討する必要があるのではないかと考えております。それらを含めまして、都市交通の問題は、御指摘がございましたように、世界各国これは共通の悩みであり、共通の方向だと思うわけでございますが、いわゆるパーク・アンド・ライド・システムというものがございまして、特に自家用車等で都心部に通勤いたそうとする人々は、環状線の外側で自家用車をおりて、そこから都心部までは地下鉄なりその他の輸送機関で通勤する、こういう形が現在ヨーロッパ、アメリカ等におきましての主要各国で漸次とりつつある対策でございまして、やはりわが国におきましても今後当然こういう対策を検討しなければならないということを考えております。もちろんその場合には、先ほど御指摘がございましたように、環状線——この環状線をどこの環状線にいたすかはいろいろ問題がございますが、そういう環状線の主要駅には、相当程度のパーク、つまり駐車場設備をいたし、そこに駐車をして、それからあとは地下鉄なりバスなりで都内に通勤する、こういう設備も当然あわせて整備いたしていかなければならないと思っておりますし、また都心部におきます駐車場の整備も、今後一そうその促進をはからねばならぬ、このように考えております。ただ、この都市交通の問題は、いろいろ複雑な問題がございまして、私たちも早急にこれを解決いたしたいとは思っておりますが、やはりなかなかの支障がございまして、思うようにまかせない点もございます。しかしながら、考え方としては、いままで申し上げましたような方向で、今後とも努力していきたい、このように思っております。

神近市子日本社会党

○神近委員 その対策をなるべく急がなければならないから、私はきょう持ち出したのですけれども、もう一つは、この間ドライブインの飲酒を禁止したのですが、あれは完全に守られていますか。

宮崎清文内閣総理大臣官房陸上交通安全調査室長

○宮崎(清)政府委員 ドライブイン等におきまして運転者が飲酒することによって、いわゆる酔っぱらい運転の危険を防止するという観点から、ドライブイン等につきましては、かねてから行政指導で運転者には酒類を提供しないようにいろいろ呼びかけていたわけでございます。しかしながら、なおまだ徹底しない向きもございましたので、五月八日でございますが、総理府に関係省庁の事務次官等の集まりでございます交通対策本部というものが設けられておりますが、この交通対策本部におきまして、さらにドライブインにおきます飲酒、酒類の提供の抑制についての指導を強化するという決定をいたしまして、現在関係省庁あるいは関係諸団体を通じまして、ドライブイン等に対して行政指導の徹底をはかるべく手配中でございます。決定いたしましたのは五月八日でございますので、まだ一週間しかたっておりませんので、まだその効果等につきましては、たいへん申しわけございませんが、手元には的確な資料を持ち合わせてございません。しかしながら、この行政指導が徹底すれば、相当程度効果があがるだろうと私たちは期待いたしております。

神近市子日本社会党

○神近委員 ドライブインの問題は、酔っぱらい運転を防止するという意味ですけれども、何もドライブインだけが飲み屋じゃないのですから、私が駐車ビルをおつくりになったらということを申し上げるのは、車を預けにくる、これはいいですね。そして銀座とか新宿とか、飲み屋が軒並みにあるというようなところにおりる人が、しらふで出てくるということはちょっと考えられない。そういう場合に、このビルがあって、車をとりに来る人がもし酔っぱらっていたら、その車を翌日までお預かりするというふうな法律をつくれば、非常に酔っぱらい運転というものができなくなるのじゃないか。特に銀座のようなところで、バーだのレストランだの、ああいうところに入る人は、男の人であれば、若ければとにかく飲むということはさまったことなんです。その帰りに自分で運転して帰るというのは、これはもう酔っぱらい運転をはっきり示すようなものですから、一つはこの規制ができるということが、有料の駐車場、駐車ビルをつくるということの必要性があると私は思うのです。  もう一つ考えられていいことは、何だか十六、七歳から運転を許していらっしゃいますね。ところが、あの年代は、たとえばビジネスとか、あるいは自分の義務とかいうことよりも、半分は遊戯的な感覚が多いと思うのです。喜んで運転するというのは、あの年代が一番強いのです。私も娘のところでそういう経験があるのですけれども、あれもやはり人命あるいは交通事故というふうなことを考えれば、二十歳ぐらいに引き上げて、満二十歳以上しか運転はできないということにしたらどうかと思うのですけれども、あなたの考えはいかがですか。これはビジネスあるいは運転手が足りないというようなものとからんでくると思うのですけれども、ともかく十年間に百万人以上の人が負傷したり、あるいは半分動けなくなったりというようなことを考えれば、私、それぐらいはいま手を打つ必要がある、資本主義に対して批判ができない立場にいらっしゃれば、人身保護の面に対してだけはもっと立ち入った介入がおできになるのじゃないかと思うのですけれども、それはいかがでしょう。

宮崎清文内閣総理大臣官房陸上交通安全調査室長

○宮崎(清)政府委員 現在の運転免許制度は、非常に大ざっぱに申しますと、原動機つき自転車が満十六歳以上でとれることになっております。それから普通自動車が満十八歳以上、大型が満二十歳以上、それから営業車等はさらに年齢がそれに付加されておるわけでございまして、その年齢の基準は大体におきまして国際基準に合致いたしております。つまり国際的と申しますのは、道路交通に関します条約がございまして、これはほとんどの国が加盟いたしておりますが、その条約におきましても、運転免許の年齢は大体同じような規制をいたしております。これをさらに引き上げるかどうかという問題でございまして、もちろんいろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、政府といたしましては従来から——と申しますのは、十年ほど前にはもっと年齢が低くてもいろいろ免許がとれたのでございますが、一部のものにつきましてはだんだんこの免許年齢を引き上げまして、現在に至っているのが実情でございます。いま直ちにこの免許年齢を引き上げるかどうかということになりますと、まだその方針はきまっておりません。ただ、いろいろの問題がございますので、将来検討をいたしたい、かように考えております。  なお、この点は、免許制度につきましては直接的には警察庁の主管になっておりますので、本日警察庁から課長が来ておりますので、補足的に御説明をいたさせたいと思います。

藤森俊郎警察庁交通局交通企画課長

○藤森説明員 運転免許の問題につきましては、ただいま総理府安全調査室長からお話のございましたとおりでございます。私どもといたしましては、徐々に御指摘のございました方向へ進めてまいりまして、現在国際水準のところを一応の線として、その状況を見ておる、こういうことでございますが、ただ制度でございますので、現状と引き比べまして将来どういうふうにすべきかということについては、絶えず研究をしておるところでございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 この年齢の点は、いま世界的な常識とおっしゃったのだけれども、国土の広さと狭さというようなことを考えれば、世界的常識だからというようなわけにはいかないと思うのです。悲しいことに私どもは——きのうもEECのお話をちょっと聞いたのですけれども、国土の狭さという点と車の台数の点を考えてごらんになれば、これが国際的水準だからというわけにはいかないと私は思うのです。やはり国土に合ったような施政をなさらなければならないと思うのですけれども、その点考え直す余地はないのですか。

藤森俊郎警察庁交通局交通企画課長

○藤森説明員 私ども、事故防止対策といたしまして、運転者の問題につきましてはいろいろな角度から検討をいたしておるところでございます。運転免許の問題一つとりましても、御指摘がございましたように、年齢の問題が確かに一つございます。そのほかに免許基準といたしましては、運転技能の問題でございますとか、運転適性の問題でございますとか、いろいろの問題がございます。したがいまして、御指摘がございましたように、日本の国はいろいろな悪条件がございます。したがいまして、この悪条件の中で運転者が事故をできるだけ起こさないような状態でいられるようにするためにどういう運転免許基準であるべきかということにつきましては、絶えず検討いたしておるところでございます。ただ、御指摘がございました年齢基準につきましては、現在の段階では、いままで軽免許は十六歳でとれたわけでございますけれども、ちょうど昨年の九月の引き上げによりまして、十八歳でなければとれないというふうな引き上げもいたしたばかりでございますので、そういう点につきましては、現在、状況を見ながら、次の問題についてどうすべきかということを見ておるということでございますが、他のいろいろな免許基準というふうな点につきましても、多角的に見ていきたい。御指摘がございましたような、わが国のいろいろな悪条件に沿う、状況に適した基準は何であるか、これは絶えず検討をし、絶えず改善をしていきたい。かように考えて対処いたしております。

神近市子日本社会党

○神近委員 十六歳を十八歳に繰り上げたということは、私、たいへんけっこうだと思うのです。普通の成育をしている青年だったら、十八歳で大体個性的なものになると思うのですけれど、一年間に何万というような死者だのあるいは負傷者のできることを考えれば、この年齢はもう一年引き上げるというふうなことが——普通の正常の人なら十八歳で成育すると思うのですけれど、ちょっとまだ頭が弱いような青年は、十八歳ぐらいではどうかというふうに考えます。これは御参考に考えておいていただきたい。  それから負傷者ですけれども、死亡は二十四時間以内に死んだ人ですね。二十四時間以内に死んだ人が死者、それと、あとこの負傷者の中で発病するというような人、負傷が直らない、あるいは打ったところがあとで故障を起こす、こういうような場合は、単純に負傷という名前がつけてはあるけれども、このあとに事故が残るような人は、どのくらいの率がありますか。二十四時間以内に死なない者は、みんな負傷者となっている。ところが、一週間とか三日とかの間に死ぬ人が相当あるということを聞いていますが、その率はわかっていますか。

宮崎清文内閣総理大臣官房陸上交通安全調査室長

○宮崎(清)政府委員 現在、一般に、交通事故統計として交通事故による死者の数を発表しておりますのは、警察の統計でございまして、これは先生御指摘のように、事故発生後二十四時間以内に死亡した人の数でございます。これに対しまして、厚生省のほうにおきまして、交通事故が直接の原因になりましてその年度間に死亡した人の数がございます。大体警察統計と厚生省統計の差でございますが、年によって若干違いますが、大体二割五分から三割程度厚生省統計のほうが多いのが実情でございます。たとえて申しますと、一昨年の交通事故でございますが、警察庁統計によりますと、一昨年の交通事故による死者が一万三千六百十八名でございますが、これに対しまして、厚生省統計は、ちょっと私の記憶が不確かかもしれませんが、一万七千三百三十名程度だったと思います。したがいまして、その差し引きの数が差になるわけでございまして、これが大体三割程度と見ております。

神近市子日本社会党

○神近委員 だから、私は、幾らこの問題を言ったって、事故を減らせとか、あるいはあとの負傷者を保護しろと言ったところが、事故を起こさないことが問題だと思うのです。だから、いまさっきも申し上げましたように、道路は車で一ぱいです。銀座裏、あの周辺に行ってごらんなさい。これは新宿でもそうですけれど、車で通る人がどうにもならないような状態です。この過密をどうするかということで、私、さっき申し上げたような駐車場のアイデアをぜひ実行なさるがいいと思って申し上げているのです。何だか、銀座に一つできているというのですが、ごらんになったことがありますか。

宮崎清文内閣総理大臣官房陸上交通安全調査室長

○宮崎(清)政府委員 御指摘の駐車場は、都内に若干あることは承知いたしております。都内に若干ございます。一つだけではございません。

神近市子日本社会党

○神近委員 これは、平面的な駐車場を意味しているのではないのですよ。車を並べるということはたいへんなことなんです。だから、これを上に上げなさいということを言うのです。それは多少金はかかるでしょう。だけれど、自動車メーカーの最高の人からは五億も六億もの税金が取れるのだから、それを考えれば、人身保護のために粗末なビルの四つや五つつくるということは、何でもない話だと私は思う。ただ、そのアイデアがあなた方の頭にないということだけでしょう。人身保護ということがどんなに大事か。いまこのままでおくならば、十年間にたいへんたくさんの事故にあった人、負傷の経験者ができて、その人はびっこになる、片目になる、あるいは片つんぼになる、こういう人が日本のわれわれの周辺にぞろぞろできるというようなことになったら、これはたいへんだと私は思うのです。だから、もう少しお考えにならなければならない。私は、あんなに自動車を乗り回すことが人間の喜びだということには考えないのです。もっと歩くこと、昔の方のように歩いたほうが健康にもいいというように考えるのですけれど、この時代の流れには抵抗できないと私は思う。ただ、かたわ者ばかりそこらに続々とできて、若い者も、年とった者も、中年の者も、びっこを引いたり、片耳のつんぼになったり、片目になったりというような人類を、私は自分たちの民族の中にかかえたくないと思うから、ここで対策を真剣になってお考えいただきたいということをお願いしているわけでございます。私の意図はそこだけでございますから、これをもって質問を終わります。

宮崎清文内閣総理大臣官房陸上交通安全調査室長

○宮崎(清)政府委員 先ほども申し上げましたように、特に都市交通におきます交通渋滞の対処につきましては、ただいま総理府が中心になりまして総合対策を検討し、かつ、実施可能なものから逐次実施している段階でございます。御指摘の点は、その一環として、私たちのほうでもぜひ検討させていただきたいと思います。

進藤一馬自由民主党

○進藤委員長代理 次回は、来たる二十日午前十時理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十九分散会

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