法務委員会 第15号
- 発言数
- 146 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/04/22
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人件擁護に関する件について、調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍛冶良作君。
○鍛冶委員 かねて本委員会で問題になっておりました自衛官の都立大学拒否問題についてお伺いしたいわけですが、先日、東京法務局長の名前をもって出されました勧告を拝見いたしました。そこで、この最後の結論を見ますると、「前記自衛官三名の受験を認めない旨の決定を取り消したうえ、可能な限り、これらの者に受験の機会を与えるための措置をとるとともに、憲法および教育基本法の前記各法条に違反する差別的取扱いをすることのないよう配慮されたく、」こう出ております。まことにこれは明瞭だと思うのであります。ところが、この間人権擁護局長の御答弁を聞いておりますると、この勧告は強制力を持たない。したがって、単に道徳的の責任を負わせるだけであって、言いっぱなしだ、こういうように言われたと記憶しておるのですが、これは私はどうも納得しがたいのです。いやしくも国家公務員たる都立大学の経営者が、ここに書いてありまするように、憲法及び教育基本法各条に違反した行為をした。したがって、この取り消しということは、われわれのことばで言うならば、できるだけ原状回復をせよ、違法のなかりしことにできるだけ戻せということだと思うのです。これは大きな義務を与えられておるものだと私は思う。しかるに、これを読むと私はそうだと思って、ぜひともこれはやらせなければいかぬものだと考えているのに、いやどうも道義だけでして、言いっぱなしです、こう言われた。この結論とあなたの言われたこのことばとは相いれぬと思いますが、これはそういうのではなかったのか、そういうのであるならば、この点に対して何かケリをつけておいてもらわぬと、相いれないことになると思いますので、この点ひとつ御意見を伺いたいと思います。
○上田(明)政府委員 お答えいたします。過日の答弁はいま仰せられたとおりなのでありますが、これはあくまでも法務省といたしましてはいかんともしがたいという意味でございます。これに基づきまして、他のそれぞれの監督官庁がございますが、その監督官庁は、これに沿ってやっていただきたいという意味をもちろん含んでおります。そういう意味においては意味があるわけでありますが、法務省としてはここまでしかできないという趣旨でございまして、過日の強制力がないというのは、全く無意味だという意味ではございませんので、これに基づいてどうするかということは、文部行政なりあるいはその他の官庁がどうするかということの、それだけの何といいますか、これも強制力としてはございませんけれども、自分の良心に従って社会的あるいは道徳的な責任を負ってそれぞれの措置をすべきものだというふうな意味においては、意味があるとわれわれは考えているのでございます。
○鍛冶委員 いやしくも法務省人権擁護局法務局長として、憲法違反である、教育基本法違反である、こう言われました以上は、相手方に対して違反にあらざるように原状に回復せしめなければならぬ責任があると私は思う。強制執行するとか、代執行するとか、こういう権根はないかもしれないけれども、法律上の番人である役所としましては、法律を履行させるだけの義務もあり、権利もあるのだ。その意味において決して言いぱなしではない、やらなかったら必ずやれ、こう言うべきものだと私は心得ます。この点はよほど重大なことで、たとえばここの間公務員のいわゆる争議のあおり行為に対して処罰せられぬという判例が出ました。しかし、私はあの判決を読みまして、法律違反であることは明瞭であるが、刑罰の対象にはすべきものではない、こういうことである。したがって、刑罰の対象ではないけれども、法律違反だから、今後かようなことをやってはいかぬ、またやったら、そういうことをすべきではない、こういうことを言わなければならぬ上司において権利もあれば、義務もあるものだ、こう心得ている。それをどうも世間では、刑罰を付せられなかったら違法ではないので、何をやってもいいのだ、かようなことを振り回して歩くので、はなはだどうもけしからぬことを言われる、これは法を乱すものだと思っている。それと同じように、これも強制する力はないけれども、おまえのやることは憲法違反だ、そういうことをしてはいかぬぞ、早く憲法違反にあらざるようにこれを原状回復せよと、これはやるもの、あなた方は、どの手段でやられようとも、あらゆるやられる方法でやらなければならぬものだと私は考える。法務大臣がおいでになったら、これは重大なことですから、大臣として責任を持ってこの点を答えてもらいたいと思いますが、政務次官でもよろしゅうございますが、これは重大なことでございますから、明瞭にひとつお答えを願いたい。
○小澤(太)政府委員 鍛冶委員の御意見、まことにそのとおりだと私も思います。ただ遺憾ながら、現在の法制のもとにおきましては、法務省の所管する限りにおいてはその勧告以上のものができないのでございます。ただし、そういう点も十分に考慮いたしまして、この勧告の文章は、お読みいただいておわかりだと思いますが、特に学長の決定並びにその決定に基づいて受験せざることを納得させるために行ないました行為、この二つを合わせまして、憲法に違反することをいたした行政処分でありますから、その行政処分の取り消しをまず一段階において、いわゆる決定を取り消せと申しております。さらにその決定を取り消すことによって、自衛官の受験についてできるだけの努力をしろ、さらに今後このような憲法並びに教育基本法に違反する行為のないようにという注意をいたしております。このように三段のかまえでもって勧告いたしておりますから、ただ普通の勧告という意味よりも、行政処分の取り消しを求めておるというところに私どもは重点を置いておるわけでございます。したがいまして、この処分を取り消すかどうかという問題は、これは法務省の所管ではございませんけれども、政府として、あるいは文部当局、あるいは東京都知事に対する一般の総理の自治体に対する監督権、こういうものを使いまして、いやしくも学長が憲法違反の行意を行なったということ、これは単に社会的、道徳的な責任のみならず、私は教育的な大きな責任があると思います。さらにまた行政的な責任もある。こういう点を行政の面において追及することが、その手段が残されておるわけでございますから、その基礎を、もとになるところの勧告をいたしたというわけでございます。これは、出したからそれで済んだというわけじゃございません。このように私どもは考えております。
○鍛冶委員 法務省自身で行なうことができなくても、それぞれ行なうところの官庁がございますから、それに対してさらに勧告なり注文なりせられることは、これは当然できると思う。それらの方法によって厳格にこれを守るようにやられるべきものだと思いますが、この点はひとつ十分やっていただきたいと思います。 次いで私は防衛庁に聞きたいのですが、この前のときにも私はくどく聞いたのですが、都立大学へ入ろうとした三人に特別な欠点がなかったのでしょうねと言ったら、なかったと言う。ことに自衛隊の命令によって行くものではなくて、本人の勉学意思に基づいてやったものだ。そしてまたこの点は防衛庁自身が何ら干渉したりするものではないということをくどく申し上げまして、その点は明瞭なる返事があったはずです。ところが、どうもこの間新聞を見ておりますると、四月十九日の朝日新聞の夕刊ですが、社会党の江田書記長の談話として、こういうことが出ております。「自衛官であっても自分の意思で受験するのなら、差別待遇するのは適当ではない。しかし、都立大の場合は過去の経緯から考えて、防衛庁などから特別な任務を与えられて受験した可能性が強いと推測される。したがって大学側がとった措置は当然であり、これを簡単に違憲だとした東京法務局の勧告には疑問がある。」こういうことです。これはいまここに書いてあるように、防衛庁などから特別の任務を与えられて受験した可能性があると、あなたの言われることと全然違ったことを前提として、そして法務局から出たこの勧告が間違っておる——これは疑問だと言っておるが、疑問にしたってこれは重大なことだと思うのですが、もう一ぺんあらためて聞きますが、これに書いてあるようなこういう疑いがあるのですか、いかがです。
○麻生政府委員 この点につきましては、先般もお答えいたしましたように、本人の意思によりまして受験をし、受験料も授業料も要するに自分が自己負担で通学をするということで受けたわけでございまして、防衛庁当局からいろいろ指示をしておるというようなことは、絶対にないわけでございます。この点は、学校当局からも特に本人について確かめられたわけでございまして、学校当局も、受験は自己の意思によるものである、それから通学に要する経費は個人として受験をする自衛官が負担するのであるということをよく承知されまして、その上で、学生に対しても認めてもいいではないかという説得をされておったわけでございまして、防衛庁当局からの指図によって行なっているのでないということは、学校当局においては歴然としておったと私は考えております。
○鍛冶委員 そうしてみると、くどいようですが、ここに書いてあるような疑いはないのだ。したがって、法務局から勧告されたとおり、憲法違反であり、教育基本法にも違反するものであるということは、あなた方は肯定されるわけですね。
○麻生政府委員 ただいま御質問のあったとおりに理解しておるわけであります。
○鍛冶委員 そうすると、どうも公党の書記長ともあろうものがかようなことを公にされるということは、こういう問題のあるときにはなはだ私は遺憾だと思いまするが、やむを得ません。しかし、ここでこういう談話をされたとするならば、何をもとにしてやられたのか、まことに遺憾しごくである、かようなことを明瞭に申し上げておきましょう。 そこで、もう一ぺんひとつ法務省へ承りたいのですが、このとおりの勧告をなさいましたが、これはおそらくあなたとしては、大学の監督官庁である文部省に対してやられたものだ、文部省を通じて当該大学に勧告されたもの、こう心得ますが、この点はどういうやり方でどのようにしてやられましたか、ひとつ手続を聞かせていただきたい。
○上田(明)政府委員 お答えいたします。これにつきましては、直接の任免権を有する都知事に、参考までにこの勧告文を送っております。それから申し入れをされた防衛庁及び文部省に対しても、参考としてこれをもちろんお送り申し上げておりまして、これは文部行政の問題でございますので、私のほうで直接どうこうするというわけにはいかず、われわれとしましては、この事案に対して憲法に違反するのだというところまでしか、先ほど政務次官もお話しありましたように、権限はございませんので、そこまでで、あとはそういうものをつかさどる都知事なり文部省にそれぞれこの勧告文を参考までに送付して、あとはそちらで処置してもらいたいという趣旨でお送り申し上げております。
○鍛冶委員 あなたのところは直接の監督官庁でないから当然だと思いますが、しかし、いやしくもここに書いてあるように、取り消せ、そうして違反のないように配慮せよ、こういう意思表示をなされたのでありますから、これは実行されることを希望、どころでない、実行されることを、何と申しますか、官庁の間ですから、やはり勧告ですか、とにかくしてもらわなければならないという意思表示であろうと思う。したがいまして、勧告せられました以上は、ただやりっぱなしではいかぬ。勧告いたしましたが、その後どうなっておる、どのようにしました、こういうことをお確かめになってしかるべきものだと思うが、その点はお確かめになりましたか。それともまた、なったとすれば、どのようなことをしておりますか。この点を承りたい。
○上田(明)政府委員 この勧告書が学校へ参りましたのは四月十八日でございますので、私どもとしては、現段階におきましては、学校がどういう措置をとるか、あるいはそれぞれの監督官庁がどういう措置をとるか、見守っておる段階でございまして、その上でまたなお検討してみたいと思っております。
○鍛冶委員 それじゃ、まだ何らの返答もないわけですね。——それでは、ひとつ文部当局に承りたいのですが、この勧告を受け取られて、どのような処置をおとりになったのか、まずその点から承りましょう。
○村山(松)政府委員 文部省といたしましては、都立大学に対する自衛官の夜間部入学試験受験拒否事件が起こりまして、直ちに都立大学について事情を調査いたしましたところ、都立大学としては万やむを得ざる処置であったというような御説明があったわけでありますが、万やむを得なかったのかどうか、またとり得る手段があったのではなかろうか。結果において受験を拒否したということは、憲法、教育基本法の趣旨に反する疑いがあるので、是正方を求めました。しかるところ、東京法務局より人権侵犯事案として憲法、教育基本法に反する旨の勧告が出されましたので、これを四月の十八日に法務省のほうから勧告文をいただきましたので、かねて文部省の見解と一致するわけでございますので、さらに重ねて都立大学に対しまして、憲法、教育基本法に反する措置であることが明らかになった以上は、これをすみやかに勧告どおり是正するように文書で指導、助言をし、責任者の来省を求めて説明をし、善処を求めました。また一方、かかる事案が他の大学にも及ばないように、この勧告文の写しを全国の国公私立大学に送付いたしまして、入学試験に際して憲法、教育基本法の違反のような事案が起こらないように、注意を喚起いたしました。
○鍛冶委員 そうすれば、あなたのほうから注意をされたままで、まだ何らの返事がないわけですね。
○村山(松)政府委員 私どもが文書によって指導、助言いたしましたのに対し、とりあえず都立大学からは口頭をもって学内で検討するというお答えがございまして、まだその結果についての御連絡はございません。
○鍛冶委員 本件は、教育上まことに重大なことであります。ことにこれだけいろいろ世間に流布されました以上は、心ある国民はこの成り行きを手に汗を握ってながめておると思います。その処分いかんは、重大なる結果を及ぼすものと私は信じます。したがって、だれが聞いても、なるほどここまでおやりになったのならそれはしかたがなかろう、ここまでやるべきものであるということをおやりになっていただかなければいかぬと思いますから、一日も早くこの点はひとつ結末をつけて、国民に納得させてもらいたいと思います。 ところが、これは取り越し苦労かもしれませんけれども、もしこれだけのことを勧告しても、相手方がこれに従わぬようなことがあったら、これはたいへんだと思いますが、仮定論であるか知らぬが、こういう場合には、私は、文部省としてとるべき手段はなければならぬと思う。私はいま法律を一々繰って申し上げぬでも、あなた方は本職の方々でございますからおわかりだと思いますが、この点は厳重にやってもらわなければならぬと思いますが、もし聞かなかったらどうするおつもりであるか、ここでひとつ大体のことを聞かしていただきたい。
○村山(松)政府委員 本件は、東京都立大学という公立大学に起こった事案でございます。文部省は公立大学に対しましては、学校教育法によりましてこれを認可する権限を持っております。認可された大学は、その設置者が維持、管理いたしまして、これは法令にのっとって維持、管理、運営がなされるわけでございます。そこで法令に反するような事案があった場合にどうするか。第一次的に、文部大臣の所轄長としての権限は、指導、助言によって、是正を求めるということになっております。現段階では、その指導、助言をやっておるわけでありますが、それによってなお是正されない場合、指揮監督的な権限を発動して是正せしめることは、現行法上ではそういうことは法的根拠もございませんし、かなりむずかしいのではないかと思います。最終的な文部大臣の権限としては、故意に法令違反をした大学に対しましては、学校教育法で閉鎖命令を発することができるという規定がございますが、この規定の発動につきましては、きわめて重大な問題でありますので、きわめて慎重でなければならぬ、相なるべくは指導、助言によりまして事態の是正を求めたい、かように考えております。
○鍛冶委員 聞くところによると、学校当局は、どうもこれを入れたら学校が騒がれる、騒がれると学校はたいへんだから、やむを得ずやったんだ。やむを得ずまではよろしいが、いわゆる緊急避難行為だと言っておる。緊急避難行為とは、そのままにしておいたら、学校そのものの存立が成り立たぬということですよ。それだから、しかたがないから、いま俗に言う背に腹はかえられぬから、これをやったらこう言うのだが、何がそんなものがあったのですか。仮定論だから私はあえてなんだけれども、要するに騒がれたらめんどうだ。めんどうだから、まあ悪いことだが、この三人だけをひとつ犠牲にしてやれという、めんどうなることを避けるためにやった。これは一種のやすきについた行為だと思う。先ほどからやむを得ぬとあなたは言われた、さようなことはあなた、通るべきものじゃありません。やるだけのことをやってどうにもならなんだというならいいですけれども、騒がれればたいへんでございますから、これでやってもらった——やってもらったほうが楽かしらぬが、それが憲法違反なんだ。その憲法違反をやってもいいからやすきにつこうといって、問い詰められたら、これは緊急避難行為でございます、もしそういうことを言って、あなたたちがうんと言われたら——言われるわけもなかろうが、言われたら、それはたいへんだと思います。この点をひとつ大きくくぎをさしておきます。 その次に申し上げたいところは、憲法違反は、ただ天から降ってくるものじゃありませんよ。学校を管理しておる者が、憲法違反の行為をやったんですよ。してみれば、憲法違反の行為をやった者には、憲法違反をやっただけの責任をとらせなくちゃならぬ。また、それだけの覚悟がなくて、学校の管理者になれるものではない。この点は、あなた方でもそれは考えて——私は、ただこんなことで学校に閉鎖命令を出しなさいなどとは申しません。けれども、閉鎖命令まで出せるくらいならば、その前にやらなければならぬ行為がたくさんあると思う。その一つの例として——ただで降ってくるのじゃありません。人間がこういうことをやらせた。その人間というのは、管理者がやらせた。そしてみれば、理理者は、公立の学校であれば公務員でございます。公務員がそういうことをやったら、公務員というものは責任があるでしょう。それに対して責任を追及する監督官庁があるでしょう。それが文部省である。ことにこれは都立大学であるならば、都庁というものがありましょう。それらのものが、それぞれその分を守り、その責任を自覚してやらなければならぬことを断固としてやりさえすれば、こういうことは起こらぬのです。それをどうもいいかげんでやるものだからこういうことが起こるので、私はこの点十分言っておきますが、それだけの覚悟があるかどうか、ひとつ聞かしてもらいたい。
○村山(松)政府委員 本件は、御指摘のように、東京都が設置しております東京都立大学の事案でございます。そこで、そこの学長あるいは学部長の処置が適正でない場合の是正につきましては、第一次的には、設置者であり、かつ、任命権者であるところの都知事において処置すべき筋合いのことでございます。しからば、この都知事に対して文部大臣がどれだけの監督権があるかということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、指導助言的な監督権ということになりますので、直ちに是正を求めるというような権限上の処置はできかねるわけでありますが、事態の進展いかんによりましては、文部省としては指導助言機能を最大限に発揮して事態の是正につとめてまいりたい、かように考えております。
○鍛冶委員 それじゃし、かたがないから、いずれかの機会に譲りますが、文部政務次官おいでになっているから、政治上重大なことでございますから……。いまお聞きくだすったとおり、やらなければならぬ手段はすべてとって、将来に悪例の残らぬようにやらるべき責任があると思うが、この点は文部省として自覚しておられるのか。自覚しておられるならば、厳格にやってもらいたいと思うが、どのような覚悟をお持ちになっているか、それを承りたいと思います。
○久保田政府委員 鍛冶先生の御指摘のとおりと心得ております。ただいま局長の申しましたように、法律論は法律論でありますが、むしろ政治的な意味合いも十分理解しておるつもりであります。できるだけの努力をいたしまして、今後起こらないということでなしに、この事案自体についての、何かうまい解決、あるいは御本人の御満足を得られるような、国民の理解を得られるような善処をいたしたいと思います。
○鍛冶委員 自治省は来ていませんか——きょうはこの程度にしておきましょう。いずれ自治省からもおいでを願って、もうしばらく様子を見まして、その処置いかんによって、文部大臣なりあなた方にも、自治省にもひとつ承ることにして、きょうの質問はこれで終わります。
○高橋委員長 大村襄治君と畑和君から関連質問の要求がありますので、これを許します。大村君。
○大村委員 ただいまの法務省の勧告に関する処理の問題でございますが、ただいま文部省の局長さんの説明によると、指導監督権のほかには是正を求める手段が法的にないかのようなお話がございました。そこで私は、関係法条を援用いたしまして、はたして全然ないのかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。 まず、法制局の部長さんにお尋ねしたいと思います。地方自治法の二百四十六条の二の規定を見ますと、地方公共団体の「事務の違法不当処理に対する内閣総理大臣の監督権」という見出しのもとに、違法な措置が地方団体にあった場合に、内閣総理大臣が地方団体の長に対して措置要求をすることができるような規定が設けられております。しかも同条の第四項においては、総理大臣が措置要求をする場合には主務大臣の請求に基づくことを要する、こういうふうな規定がございます。今回の勧告を見ますと、憲法十四条、同二十六条、教育基本法第三条の規定と事実とを照らし合わせて、今回の東京都立大の取り扱いは、「右各法条に違反し基本的人権を侵害するものといわざるを得ない」と明快なる断定を下し、それに基づき「受験を認めない旨の決定を取り消したうえ、可能な限り、これらの者に受験の機会を与えるための措置をとるとともに」云々というふうに勧告いたしておるのでございます。そこで、いま読み上げました地方自治法の規定を発動する可能性は、私はあると思うのでありますが、その点はどうか。 なお、関連いたしまして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十二条を見ますと、これは地方自治法二百四十六条の二の規定の特例として規定されておるのでありますが、文部大臣の違反事件に対する措置要求の規定は、やはり明記しておるのであります。このほうがむしろそのものずばりかと思うのでありますが、いずれにいたしましてもこういうような法令がございますので、そういった点を活用して、都なり都立大学のほうで今回の勧告を握りつぶしにする——そういうことはなかなかあり得ないと思うのでありますが、万一そういう場合には、これらの規定を活用していくのは、法治国家として当然とるべきことではないかと思うのでありますが、法制局の御見解を承ります。
○真田政府委員 お答え申し上げます。地方自治法の二百四十六条の二に御指摘のような規定があることはそのとおりでございまして、この規定は、結局地方自治と国との関係を規定した内容でございます。御承知のとおり、地方公共団体が処理いたします事務には、いわゆる国家機関として行なう事務と地方公共団体の事務というふうに大別されるわけでありますが、国の委任事務につきましては、これは御承知のとおり、国の指揮監督権が働きます。地方固有の事務につきましては、その指揮監督権は、地方自治の本旨に照らして、実定法上働かないというふうなしかけになっております。そのかわりといいますか、国の事務については国の関心をどの程度実定法で規定しているのかということが、いまの二百四十六条の二の規定と理解しております。結局、これは先ほどお読みになりましたように措置要求でございまして、ぎりぎりの法律論からいいますと、やはり拘束力はない、指揮監督とは違うというふうに理解しております。それでこの二百四十六条の二の特例といたしまして、先ほどこれも先生がお読みになりました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十二条に、この教育行政に関しての同じような規定がございます。これは地方自治法の特例でございまして、つまり公立教育機関につきまして、違法または著しく適正を欠くという行為があった場合に、その設置者である地方公共団体のほうに対して国のほうが措置要求をする規定だと存じます。これと見合いまして、今度は学校自体につきましては、文部省設置法で文部大臣の指導、助言の規定がございますので、これら両々相まって文部省として国の関心を示して、それぞれ指導、助言なり是正の措置要求をいたしまして、地方公共団体が行なう教育事務もやはり適正、適法に運用されることを期待しておる、こういうしかけになるのだろうと存じます。 御指摘のように、都立大学の今回の案件につきまして、先ほどお読み上げの条文が適用になってしかるべき場合であるということには、私たちも同感でございます。
○大村委員 ただいま法制局からお話のあったとおりであると思うのであります。そこで、こういったような規定もございますので、文部省当局におかれましては、具体的にどういった措置を講じたらいいか、なお、事態の推移をよく御検討の上、明確なる措置をとっていただきたいと思うのでありますが、この点につきまして、久保田政務次官のお答えをちょうだいしたいと思います。
○久保田政府委員 私どもも、いま法制局がおっしゃったように、十分法律関係を考慮はいたしておりますが、先ほど申しましたように、法律関係以上に、政治的な責任という意味合いからこの問題に立ち向かいたいと思っておりますので、御期待に沿えることを願いまして一生懸命やりたいと思っております。
○大村委員 いろいろな複雑な事情はあることは承知しておるのでございますが、やはり法治国家でありますので、教育行政に関しましても、また相手が都立大学でございますので、国と地方との関係におきましても、それぞれ関連の法律があるわけでございますので、そういった点をあくまで尊重して、文部省としても明快なる措置をとっていただくよう要望して、私の関連質問を終わります。
○畑委員 関連して、一、二点お伺いいたします。まず、防衛庁に伺いたいのですが、私よくわからぬのだが、自衛隊の隊員の今度の都立大学の受験問題ですが、都立大学だけに限らず、自衛隊からほかの大学にも派遣という形をとっているのがありますかどうか。先ほど問題になっておるような、自分の費用で、そして勤務に差しつかえない夜間等に大学の講義を受ける、こういうことだけなのか。あるいは自衛隊として、防衛庁関係として派遣をしておる。戦争前の大学などには、東京大学等にも、よく派遣学生というのが来ておりまして、聴講生というのか、派遣学生というので、大尉だとか少佐だとかいうのが、せびろで来ておりましたが、そういう形は、いわゆる派遣だった。法規的に、戦争前のそうした派遣のような形をとっているのがあるのかどうか、その点をまず伺いたい。
○麻生政府委員 先ほども申し上げましたのは、大学の夜間部に、自分の経費で、自己の意思で、勤務の余暇を見て通学しているものでございまして、これは役所とは直接関係がないことになるわけでございます。 それから、それ以外に二つのタイプがございます。これは国が経費を見まして行っておるのがございます。昔の軍の場合におきましても、員外学生というのと聴講生または研究生というのと、二つあったと思います。昔は大学院というよりはむしろ学部のほうに行っていたと思いますが、現在われわれのほうで行っておりますのは、この学部のほうに行っておりますのは、いわゆる研究生とか聴講生というような名目で行っておるわけでございまして、学校で聴講を許している学校があるわけでございます。あるいは学校で研究生を受け入れておるところがあるわけでございまして、一年とかあるいは二年という期間を限って、研究生あるいは聴講生という名目で行っている制度がございます。 それからもう一つは、大学院に行っているタイプのものがあるわけです。これは一般の大学から自衛官なりあるいは防衛庁の技官になっておる者、あるいは防衛大学を卒業しております者は、修士課程を受ける資格を持っているわけでございます。あるいはお医者さんで入ってきた者は、博士課程を受ける資格を持っているわけであります。これらの者が、一般の大学院の受験生と平等な条件で同一の試験を受けて、そして入学許可をされる。そこで修士課程なり博士課程なりで勉強して、その結果、要するに修士課程を修了する、あるいは博士課程を修了するという課程をとる者がございます。昔の陸海軍の制度に比べますと、員外学生というものにだいぶ似ておるかと思いますが、そういう二つのタイプが、公務と申しますか、国で経費を負担してやっている制度にあるわけでございます。
○畑委員 そうしますと、今度の都立大学の問題の場合は、ほんとうの自費で、自分の公務に差しつかえない時間で行く、こういうことでありますね。そうすると、そういった大学に行くときに、自衛隊の上司等に了解なしでも行けるということですか。この場合は、やはり許可が要るのですか、要らないでいいのですか。
○麻生政府委員 大学の夜間部に行きます場合につきましては、就学につきまして上司に届け出をするという規定になっておるわけでございます。
○畑委員 そうすると、届け出だけでいいわけで、許可は必要ない、そうですが。
○麻生政府委員 規定上は、そういうことになっております。もちろん、試験を受ける前には、内々に話をしていると思います。それはなぜかと申しますと、個人として受けるわけでございますから、試験を受けるのには休暇をとって行かなければいかぬわけです。試験は昼間やるわけでございますから、ちゃんと休暇をとって、その休暇の間において試験を受ける、こういう形になっておりますので、休暇の理由の中に、試験を受けにいくいということは出てくることがあろうと思います。
○畑委員 その点は、それでわかりました。 ところで、本件の問題については、学生側で自衛官の入学を拒否させるというような運動が強くなって、それが受験の許可をすると、さらに紛争が大きくなるであろうというような情勢があったので、学校側としては、教育効果のことを考え、学校紛争のことを考え、いろいろプラスマイナスした結果、その道を選んだ。ところが、それは先ほど来申しておりますような形で、学問の自由に違反するではないかというようなことで盛んに、特に自民党の方々がだいぶハッスルをしてタカ派的な発言をしておるわけでありますけれども、その辺が非常に問題だと思う。結局、この間、人権擁護局のほうから勧告がなされたわけです。それは言うまでもなく、学問の自由、教育基本法の原則、憲法の原則に違反をしているじゃないか、したがって、それを取り除く処置を講ずべきである、こういう勧告だと思うのです。ところで、われわれ社会党側のほうとしては、自衛隊そのものが違憲であるという考え方をいまでも捨ててない。そういうところからすると、憲法違反の存在であるのだからということの理屈があるわけでありますけれども、学生も、そうした基本的な考え方をもとにして、やはりそういった拒否の運動が広まったのだと思うのであります。この点は、根本的な自衛隊そのものの存在の可否の問題につながる問題です。しかし、そう言ったって、すでに自衛隊が二十万近くにもなろうとしているような存在になっておるわけでありますけれども、そういう問題が根底に横たわっておって学生がいろいろ騒ぐ、こういうことだと思うのです。そこで、学校当局としては、そうしたことによって紛争を拡大するということは好ましくないということで——まあ自衛隊を認める立場に立てば、入学を拒否するというのは憲法違反かもしれない。いまお話をいろいろ伺っておると、自衛隊からの派遣ということじゃなくて、本人の自費で、しかも自分の時間で学校で学ぶという意向で入学のための受験をするのですから、そういう点では私は理解ができるわけです。しかし、学校側としては、そうした教育上の配慮ということは、非常に大きな問題だと思うのです。ところで、これをぜひやれというのでまた無理にやらして、学校の紛争がまた拡大をするというようなことは、やはり教育者としては非常に心配するんだ。この点は、いまの一時的な現象の問題だから、そうむやみにハッスルすることは、かえって危険だと私は思うのであります。ところが、なかなかそうはいかぬ。理屈一点張りで、憲法違反じゃないかという声が盛んに最近強いのでありますが、学校当局としては、まだ返事が来ていないようでありますけれども、勧告を出されたものに対する反響として新聞にちょっと出ておった学校側の見解、新聞の報ずるところによれば、勧告というものは、そうした学校の教育環境、教育目的、そういったような学校の管理などはあまり考えておらない勧告である、こういったような意見が出ておったように思うのです。いずれ公式にはどう見解が出るかわかりませんけれども、私は、やはりそういう点の配慮を十分にせぬといかぬと思う。ただ憲法違反じゃないかといったって、処遇のしかたが、先ほど来の質疑応答の間に読み取られますように、なかなかうまいわけにいかない。文部大臣も単に指導、助言をするだけの権限しかなくて、それ以上指揮命令をする権限はない、こういうことなのでありまして、あとはでき得る限りその学校当局等で処置する以外にはない。これは強制する方法というものはなかなかない。学校側当局がやれば別です。ところが学校側当局が、そうした大きな学校の管理というようなことを考えて、そのほうが管理上都合がいいというふうに判断をしたから、三名かの入学受験を拒否したということになろうと思うのです。その辺は非常によく考える必要がある問題であって、ただ憲法違反だからということで、むやみにそれでやることは、かえって紛争を激化するもとになりはせぬかということを、私は心配しておるわけです。この辺に対しては、文部当局はどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いしたい。
○小澤(太)政府委員 畑先生のせっかくの御質問でございますけれども、まず第一点で明確にいたしておきたいことがございます。それは、今回の事件は自衛隊員であったからとかなかったからとかいう問題ではないのでございまして、日本人として憲法第十四条、二十六条、教育基本法三条によって保障されておりまする教育を受ける基本的な人権が侵されておるということでございまして、自衛隊員である、ないということは、関係ございません。全然関係のないことなのでございます。それが第一点でございます。 それから第二点といたしまして、学校が管理上困難におちいるだろうというような予見のもとに、憲法で保障されておる何よりも大事な教育を受けるこの基本的権利が軽く扱われて、たった三人ですけれども、その重い人権を無視して安易な方法をとったというところに、問題があるわけでございます。しかも、これは緊急やむを得ざる措置というほどの事態ではない。大学としてはとるべきことがまだたくさんある。まず試験を受けるために、受験させるためにとり得る措置もありますし、学校管理の面におきましても、まだ努力をする余地もあろうかと思います。このような安易につく判断でもって憲法で保障されたる非常に重い基本的な人権が侵されておるというのが、今回の事件でございます。そのように御了解いただきたいと思います。
○久保田政府委員 御指摘のとおり、入学試験の当時、騒がれてはという配慮があったことは、十分わかります。しかし、入学試験であったから、別の方法がなかったかということも、逆に言えると思います。単に世間が騒がしいということでなく、教育問題と人権問題の関係は何よりも大事だと私どもは思いますので、その角度から考えまして、十分善処する余地があったのではなかろうか、こういうような判断から、ぜひ大学側に十分考えてもらいたい。また、一大学の問題ではありませんで、今後またこうした問題を起こすということの重大性にもかんがみて、善処すべきことではなかろうか、こう判断いたします。
○畑委員 もう一点で終わります。法務次官の御答弁で、いまだいぶはっきり言われましたが、これは自衛隊だからどうこうという問題では全然ない、こう言われるのだけれども、実際は、自衛隊の問題だから問題になった。ほかの問題なら、問題になりません。それを法的にはどうであろうが憲法違反だ、こういうことでありましょうけれども、自衛隊員でなければ、憲法違反だと学生も騒ぎません。自衛隊はどうだこうだというのでなければ、入学拒否の問題やなんかで騒ぎはしません。それが自衛隊は違憲であるというような学生の基本的な考え、これがやはり一番底に横たわって問題が発生したので、それに対する認識が足りない。何であろうが違憲だ、こう言われるのは、そこを逃げたような言い方だと私は思うのでありまして、これはそう言われればそう言えないことはない。確かに何であろうと違憲であるかもしれないが、自衛隊の受験だからこそ、こういう騒ぎが大きな問題になっているのでありまして、その点はひとつ十分考えておられるのだと思うけれども、おことばのあやで——そういうことだと思います。それが一つです。
○小澤(太)政府委員 自衛隊なるがゆえに、もちろん学生が騒いだという事実はございます。しかし、法務省としては、そういうことでなしに、日本国民として憲法で保障された基本的人権、こういうたてまえでやったのでございます。また、おことばを返すようでございますが、それならば、自衛隊員であるならば人権が侵されてもよろしいか、という議論には相ならない。むしろ、そのことも基本的な人権を守るという原則に照らして判断していただかなければならぬ、こういう態度でございます。もちろん自衛隊に関連して、動機にはなっております。しかし、それはこの問題の本質とはかかわりのないものでございます。このように申し上げたわけでございます。
○畑委員 それはわかります。ところで、この問題が大きな問題になって、いろいろな突き上げもくる。そこで法務省等も重大な人権侵犯事件だ、こういうふうに言っておられますけれども、ほかに幾らでも人権侵犯事件がたくさんあるのですね。ところが、それに対してはさっぱり、われわれの考えでは、法務省がおみこしを上げてしっかりやっているような模様は見えない。こうして突き上げを食うと、これは重大事件だ、人権侵犯問題だ、けしからぬ、こういう態度でやっておられるけれども、ほかの人権問題をもう少し強く取り上げてもらいたい。これだけ批判するわけでは決してないのですけれども、これだけに限らず、ほかの問題についても大いにハッスルしてもらいたい。こういうことを最後に申し上げたいと思います。
○小澤(太)政府委員 よけいなことでございますけれども、私どもいわゆる法の番人として、今回の事件も突き上げがあったからやったわけではございません。この点だけは明確に申し上げておきます。
○高橋委員長 松本君。
○松本(善)委員 この問題についていろいろ聞くことがあるのですけれども、さっき防衛庁の話が出ましたので聞きたいと思うのですが、こういう場合は届け出をすればいいんだという話ですが、これは学校へ行くときは、隊務を離れるということになるわけですか。
○麻生政府委員 正確に申し上げますと、条文に照らして申しますと、自衛隊法六十条におきまして「隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。」こうなっております。その勤務時間として、われわれは午前八時から午後五時までを日課としてきめておるわけでございます。それ以後は、いわば勤務の余暇、個人の自由な時間、こういうことになっておるわけでございます。もちろん、警衛勤務とかそういう特別な勤務に付させられますると、その時間は特別の勤務になるわけでございます。それ以外は、勤務の余暇、個人の自由に使える時間、こういうことになっておるわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、一たん届けをすれば、だれであろうと行ける、こういうたてまえになっておるわけですか。
○麻生政府委員 規定上は、そういうたてまえになっております。もちろん、試験を受けて合格しなければ、それは問題になりませんが……。
○松本(善)委員 自衛隊法の五十六条には、上官の許可を受けなくては職務を離れることはできないとありますが、そうすると、勤務時間以外はもう職務を離れている、こういう考えになっておるわけですね。
○麻生政府委員 勤務時間と、それから特別に勤務を命ぜられておる場合がございますね。不寝番を命ぜられておるとか、警衛勤務に服するとか、勤務時間外にですね、そういう場合は、もちろん勤務についているわけでございます。ただ、夜学に通学する者につきましては、できるだけ本人の向学心というものを尊重してやらなければならぬものですから、そういう警衛勤務ということを命ずるのも、日曜とか祭日とか、時間のやりくりをできるだけ見て、めんどうを見てやるというのが、普通であります。
○松本(善)委員 それは許可ではなくて、届け出をすれば、いつでも学校の都合によって離れることができる、学校に通うことができる、こういうことなんですか。やはり許可ということではありませんか。
○麻生政府委員 これは、毎日外出許可で出ておるわけです。
○松本(善)委員 そうすると、結局は許可ですね。
○麻生政府委員 それは就学についての許可ということではなしに、外に出ることについての許可、こういうことでございます。
○松本(善)委員 そうすると、確かめておきますが、毎日外出許可をとって出る、こういうことですね。
○麻生政府委員 この外出の許可は、包括的にやっておるようであります。
○松本(善)委員 そうすると、包括的ではあるけれども、許可は許可、外出許可をとって出ると、こういうことですね。
○麻生政府委員 形式的には、就学の届け出が出て、よろしいということになった場合、包括的に許可をいたす、こういうことであります。ただ、何か緊急な要務ができたという場合に、それが取り消されるということは、これはもちろんあり得ることであります。
○松本(善)委員 形式的なことを多少聞きますが、法務大臣、先ほど行政処分ということを言った。この勧告文によりますと、結局、三名は受験を断念したという趣旨になっております。そうすると、これは結論的には受験を断念したのであって、行政処分があったというふうには見てないわけですけれども、これは、法務省のほうではどういうふうに考えておるのですか。
○小澤(太)政府委員 この問題、非常にむずかしい問題でございます。(松本(善)委員「法律的に厳格に答えてください。」と呼ぶ)法律的に厳格に検討いたしました。まず第一に、学長が臨時に評議会を開いて、その意見を聞いて決定をしたということであります。受けさせないようにしようという決定をした。それからその決定に基づいて教授が本人に受験をしないようにという、いざないでございますか、勧告でございますか、そういう話をした。そこで、いろいろ法律的に検討いたしました結果、一つは、大学自体が文部省に対しまして「決定に基づき」と、文書にこういうことばを使っております。それからこのことが行政処分であるかどうかという問題、まず、評議会は諮問機関でございますね。しかも学校教育法の中で、評議会の決定すべき専管事項にはなっておらないようであります。したがいまして、学長が一応自分の意思決定をする際に意見を聞いたという形になっております。そうなりますと、その決定は、学長の意思決定でございます。その意思決定だけでなしに、それに基づいた学長の命を受けた教授が、当事者に対して受けないようにと言って歩いた。この二つが合わさって、憲法に違反する受験を拒否したというその効果があらわれたわけであります。それを考えてみますと、この行為は、二つ合わせて行政処分と考えておる。行政処分である以上は、まず第一に、その決定を取り消してもらいたい。さらに、決定の効果として行ないました受験を拒否したということも、これを取り消してもらいたい、こういう勧告になっております。なお、詳しいことは法律の専門家から御答弁させます。
○上田(明)政府委員 いま政務次官からお話がありましたように、これを法律的に考えてみますと、結局、学長の決定があった。そうしてしかもそれを通告して、こうなったからやめてもらいたい、こういうふうなことになりますと、学長の処分というものは、これは一つの処分であり、しかもその処分の内容は、まあこれは本件は一応受験申し込みに対して受理しておりますね、受理しておりますから、その内容を分析しますと、受理撤回という意味の行政処分になる。したがって、もしかりに訴訟を起こすとすれば、行政処分の取り消しの訴えの対象になる処分であるとわれわれは考えております。それは、私どもの職員の調査もさることながら、東京都立大学長から文部省に出した書面にも「本学の現状にかんがみ出願中の自衛官の受験を認めないことにした。」という報告がございます。だから、そういうところからそういう決定があった。ここでは「次のように決定した。」それで、これは決定したのは、結局、諮問機関の議を経て学長が決定した、こう言っておる。そうしてただいま申しましたように、その決定の内容は何であろうか。受験させないというのは事実行為なのか処分行為なのかということを十分検討いたしましたところ、結局、それは受験の申し込みを受理した。受理したやつはだめだ——受理した以上は受験をせしめる義務があるわけですから、その義務を解除する意味の行政処分である、こういうようにわれわれは解釈しておるわけでございます。
○松本(善)委員 いま次官が勧告ということばを使われ、それから勧告書の結論は、受けたいけれども拒否をされたということではなくて、受験を断念した、三名の意思を撤回したということが書いてありますね。これは事実と違うのですか。行政処分であれば、勧告ということもなかろう。いま次官が言われた勧告をして、そうして納得して受験をやめたんでしょう。そうしたら、やめたということによって——結局、学校側の事情はいろいろこの三名も理解をし、そうしてやめたというのが、勧告書そのものを見ましても、それからいまの次官の話を聞きましても、理解できるのです。違いますか。
○小澤(太)政府委員 いま局長から説明しましたとおり、まず、大学の意思決定があるわけです。(松本(善)委員「私が言った勧告書のことを言ってください。」と呼ぶ)いまお聞きになったのは、勧告書の性格ですか。(松本(善)委員「勧告書に断念したことになっているから……。」と呼ぶ)だから、先ほども申しましたように、まず学長が意思決定をいたしまして、受理しておったものを今度は受けさせないという決定をいたしまして、その決定に従って事実行為として受けさせないような処置をしたわけです。この二つを合わせまして行政処分と私どもは見ておるわけです。
○松本(善)委員 そうすると、しかし結局においては三名は受けなかったのでしょう。断念をしたということなんでしょう。その事実の有無を聞きたい。
○小澤(太)政府委員 本人たちはやむを得ずことばどおり断念はいたしたわけですが、それはそのような決定と、それからやめてもらいたいという話がなかりせば、当然受けておるはずであります。
○上田(明)政府委員 その点についてなおもう一度政務次官のをふえんいたしますと、大学としての決定を三名に伝達する責任者が岡本委員長であったわけでありますが、その委員長が伝達する——普通であれば、行政処分でございますから、あなたは自衛官出身だから認めないという書類一本でいいわけです。いいわけでございますけれども、まあ一応申し込みに対して受理したというような事情がございますので、伝達の具体的方法としては、なるべく本人に断念してもらうという方法において伝達したというふうにわれわれは認定したわけでございます。その意味におきまして、この行政処分は伝達された。ただ、方法の問題として、相手を断念せしめる方法によった、こういうふうに理解しておるわけでございます。
○松本(善)委員 だいぶわかってきましたが、結局やはり断念をさせた。本人は最後まで受けたいという意思を堅持をしていて、それを学校側が受けさせなかったというのではなくて、結局、こういうふうにきめたがどうだ、やめませんかと言って、結局断念をした、こういうことですね。私どもから見ますと、そういう事実関係になっておるのに、これを人権侵犯事件として取り上げるということ自身が、問題だと思います。この点については、法制局にちょっと聞きたいと思う。法制局が自民党の文教制度調査会に四月の七日に、あなたでしょう、おいでになって、自衛官個人が大学に対して慰謝料請求等の損害賠償請求を求めるということはあるいはできるかもしれぬが、行政訴訟を起こすことはむずかしいだろう、こういうことを言ったということが、幾つもの新聞に報道をされております。この自民党の文教制度調査会で述べられたという見解は、どういうものであったのですか。
○真田政府委員 お答え申し上げます。四月の何日でありましたか、さだかに覚えておりませんが、都立大学における自衛官の受験拒否の問題に ついてお尋ねを受けたことがございます。そのときに、行政訴訟を起こせるのかという御質問がございまして、もちろん私は具体的事案の詳細を知っているわけではございませんので、一般論としてお答えしたわけなんですが、理屈の問題といたしまして、これは松本委員もよく御存じだと思いますけれども、現在の訴訟のシステムというのは、国民個人の権利の擁護を目的とするものでございますので、いわゆる司法裁判所でございますので、たとえば自衛隊が原告になって訴えを起こすようなことはできないのかというお話でございましたけれども、それは無理でございましょうというふうにお答えいたしました。それから、それじゃ、しようがないから、個人が起こすという場合にはどういう形になるのかという、次にさらに進んでの御質問がございまして、それに対する私のその席のお答えは、結局現在の法律関係に基づけば、抗告訴訟あるいは無効確認訴訟は無理であろう。これは行政事件訴訟法にあるとおりでございまして、そこで行政訴訟が無理ではなかろうかという感じを申し上げましたのは、結局その前提といたしましては、やはり受験を拒否したということが行政処分であるというふうな前提に立ちまして、さらにそれを前提として現在の法律関係としてどういうものが考えられるか。そうすると、二つありまして、一つはそういう違憲、違法な行政処分によって損害を受けたという精神的苦痛といいますか、ちょうど形といたしましては家永裁判のようなものであると思います。事の当否は別といたしまして、訴訟の形としては、そういう慰謝料請求というものは一つ組み立てられるというのが一つでございます。もう一つは、違法な拒否処分によって受験をすることができなかったという状態を回復するために、自分は正当に願書の受理を受けたのであるから、試験を受ける地位にある。これは追試験をしろという給付訴訟の形になるか、あるいは受験資格のあることの確認を求めるか、それは技術的なことでございますが、そういう形が一つ考えられる。ただ、そこで私が無理ではなかろうかという感じを申し上げましたのは、事が資格試験ではございませんで、選抜試験なものでございますから、三人のためにまた一体どういう試験をするかということがやや疑問でございますので、そういう選抜試験の追試験ということがはたして制度上スムーズにいくかどうかという懸念がございますので、無理ではなかろうかというお返事をした次第でございまして、決して行政処分ではないというふうな感覚でお話ししたわけではございません。
○松本(善)委員 行政処分であれば、そういうことがもちろん全部こまかいことを知っているわけではないが、行政処分だという前提に立って、そしてその場合にどういうことができるかということを考えたけれども、結論的にはいまの法律関係では行政訴訟はむずかしい、こういうことを言った、こういうことですね。
○真田政府委員 さらに正確に申しますと、抗告訴訟としてはむずかしいということでございまして、損害賠償でもやはり一種の行政訴訟といってもいいくらいでございますから、ことばじりをとらえるわけではございませんけれども、訴訟の形としてはそういう損害賠償に一番なじみやすいものではなかろうか、いわゆる抗告訴訟はいかがなものであろうか、はたして裁判所がそのとおり本案の判決をしてくれるかどうかは疑問でございます、という感触を申しただけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、取り消し訴訟、抗告訴訟はむずかしい、こういうことですね。だから、先ほど申しましたように、人権擁護局、法務省が行政処分というふうに考えるには私はたいへん無理があると思いますが、この点はこれ以上はやりません。根本問題なんですが、学校教育法の施行規則の六十七条によると、学生の入学は「教授会の議を経て、学長が、これを定める。」ことになっている。要するに入学に関するくとは学長の権限であって、これに干渉するということは大学の自治に干渉するということになると思いますけれども、この点については、どう考えておるか、聞きたいと思います。
○村山(松)政府委員 学生の入学を教授会の議を経て学長がきめるというものは、人学資格のある者について公平な選抜を経た上で、その判定は教授会の議を経て学長がきめるということを言ったわけでありまして、入学に関することは、資格等を含めて、何でもかんでも大学がきめるという趣旨ではございません。
○松本(善)委員 それでは、具体的に聞いていきましょう。この勧告書によりますと、入学試験を受験する機会を与えない場合は合理的な理由が必要なんだということを書いていますね。要するに、合理的な理由があれば、そういうことはあり得るんだということを言っておる。いまの文部省の見解とは少し違うわけであります。そうして、この「合理的理由の有無は当該学校の目的、性格、教育内容、全般的な学校制度等と、教育を受けようとする者の側の諸事情等とを総合して判断されるべきである。」ということを、このあなた方の勧告書は言っておるわけですね。これは詳しく聞きたいわけですが、当該学校の目的、性格、教育内容、全般的な学校制度等、それから教育を受けようとする側の諸事情等ということをいっておりますが、この考えなければならない諸事情を、もう少し詳しくどういうことなのか、説明してくれませんか。
○上田(明)政府委員 これは理由の一に書きまして、一般的な憲法の解釈を述べたわけでございまして、本件だけを述べたわけではございません。そういう意味でお聞き願いたいと思います。たとえば平等の原則にいたしましても、男女平等というのがございます。男女平等ということがあっても、たとえば日本の場合、女子大学、女子だけの大学がございます。これが男女平等に反するのではないかという問題もあります。しかし、これはすべて女しか大学へ行けないのだということになりますと、これは憲法違反の問題が出てくる。しかし、大学は幾らでもあるので、たまたま女子大学が女子だけに限るというような場合には、この全般的な学校制度を考えるという意味で、ここでは広く考えたものですから、こういう表現になったわけでございます。
○松本(善)委員 それだけですか。いまの学校の目的ということに関する説明と思っていましたが、性格、教育内容、学校制度、それから教育を受けようとする側の事情、こういうふうに書いてありますね。これを一つ一つどういうことを考えて書かれたのか、説明してもらいたいのです。
○上田(明)政府委員 これは都立大学の目的なり性格、その教育内容は、それぞれ学則あるいは都条例に書いてあるわけでありますが、そういうものを一々見てまいりましても、自衛官個人として受験するのはいかぬ(松本(善)委員「一般的にどうだという説明でしょう、ここは。都立大学のことじゃなくて。」と呼ぶ)一般的に学校で、先ほど言った一番いい例が、男女平等の原則に反するような大学があるというようなことを念頭に置いて実は書いたわけです。だから、合理的理由があるというのは、これは具体的な問題としましては、たしか岡山県か広島県かどちらか忘れましたが、公立学校で男しか入れないという高等学校を設けた。これは憲法違反ではないかということが問題になりましたが、学校の目的からいいますと、男だけでいいのだということが書かれる場合があります。たとえば商船学校なんか、事柄の性質上、これは男女平等に反してもやむを得ない。そういうようなのが、学校の目的になるんだろうと思います。 その性格、それも同じような問題だと思います。 教育内容も、商船学校だと、男だけで女は入れないというのは、これは男女平等には反するけれども、合理的理由がある。ああいうような労働については、女子は適さない。教育内容から、そういうふうに考える。 それから最後の全般的な学校制度等というのは、いま言った女子大学の例でございます。 それから教育を受けようとする側の諸事情というのは、たとえば、これも極端な例でありますが、昼働きながら昼の学校を受けるというようなことは、これはばかばかしいようなものでございますけれども、こういうことも、そういう理由づけが明々白々だ。おまえは昼働いているじゃないか、それでも学校へ行くのか。いやそれでもやるというような無理を言ったときは、合理的理由があると判断をしたときは断われる。そういうようなことを一応考えて網羅する、できるだけ広く書こう、学校関係の憲法解釈について広く書こうという意味で、普通あり得ないようなことまでも、ここには入っております。これは一般論でございますので、表現がこういうふうになったわけでございます。
○松本(善)委員 そうすると、いま述べられたような諸事情というものは、まさに当該大学によってのみ正確に判断することができる、そういう性質のものではないか。合理的な理由があるかどうかというようなことは、大学が自主的に判断をしなければならない、まさに大学の自治の内容ではないかと思う。そうは思いませんか。こういうことは、どこでもかってに判断するというのではなくて、大学、まさに教育の担当者である大学が判断すべきことではないかと思いますが、その点はどう思いますか。
○上田(明)政府委員 もちろん大学側でこういうことを判断する資料になろうかと思います。一般論としては、そういうことがいえると思います。
○松本(善)委員 そうすると、そういう学校が本来判断すべき内容について干渉するというのが、大学の自治に対する干渉といわれているのですよ。そのことについては、どう考えたのですか。
○上田(明)政府委員 もちろん学園の自治というもの、これは学問の自由を保障するために、学園の自治というものは尊重しなければならないということは当然のことであります。この学園の自治にもやはり限界があるのでありまして、結局学園の自治をやる具体的な執行者としては、学長になるわけであります、学長の裁量権ということになるわけですが、その学長の裁量権にも限界があるわけでありまして、憲法及び関係諸法規の精神に反するようなことについては、その裁量権の範囲を越えているというのが、われわれの見解でございます。
○松本(善)委員 あなた、冷静に考えてくださいよ。あなたの判断に基づいてというのですよ。一般的には憲法十四条、二十六条、教育基本法三条がある。しかし、その場合であっても、拒否することはできる、合理的な理由があれば拒否することができるのだ。本件の場合には、合理的な理由があるかどうかということを判断する、こう言っているわけです。合理的な理由について私はいろいろ聞いたら、それは大学が判断すべきことだと言った。それは当然に大学の自治の内容の問題なんですよ。あとからよく検討してください。時間もそうたくさんないから、あなたの弁解ばかりを聞いているわけにいかないから……。 〔委員長退席、永田委員長代理着席〕 それから具体的に——それは一般的なことであなた方はそういうふうに言ったのだが、この具体的な内容として、都立大学が言っておる三つの問題点について、都立大学の言う理由はないということを判断しましたね。都立大学が自衛官三名の入学を認めない理由として判断した三つのことというのは、まず第一は、入試実施に関する問題、これがうまくいくかどうかという問題です。第二は、教育の環境がよくなるかどうかという問題。三つ目は、教育的な効果があがるかどうかという問題。こういう問題は、全部教育担当者が判断すべきことだと思う。これは教育担当者のみが判断できるというのが——文部省ですら指導と助言しかできない。それを教育担当者がやることに介入をするというのが、自治の干渉なんです。この点どう思いましたか。
○上田(明)政府委員 その学校の判断にも、平等の原則は働く、憲法上働いておる、こういうふうにわれわれは考えたわけであります。
○松本(善)委員 あなたは、もう一回これを読み返してごらんなさいよ。一般的にそれはあるけれども、合理的な理由がある場合は拒否できる場合がある、そういって、合理的な理由があるかどうかを判断するといって、私の言った教育の環境の問題、入試実施に関する問題と教育的効果の問題について、学校の判断は間違っていると言っている。憲法違反の問題を判断する中で、そういうことを判断しているのですよ。憲法違反という問題を判断すると称しながら、実際には、大学が拒否することは合理的理由があるかどうか、その判断の内容については、教育担当者のみが判断すべきことを判断しているのじゃないですか。あなた冷静にものの論理そのものの進め方を考えて答えてください。全然答弁になっていない。
○小澤(太)政府委員 あなたの御質問を聞いていますと、なるほどそういう進め方もあるかと、実は感心して聞いているわけです。ですけれども、論理の進め方を申し上げますと、一般的にはこれこれいうものが判断される。しかし、その判断は大学の自由でございましょう。大学のいわゆる自治権に基づく自由でございましょう。しかしながら、その判断が正しいものであるかどうかということは、憲法に照らして考えるべきであって、そうしてそこの判断は正しくない、憲法に照らして正しくないという判断をしているわけです。これがまともな論理の進め方でございまして、先生のおっしゃるのは少し逆にいくような……。
○松本(善)委員 冷静にこの勧告文というのを読んでごらんなさい。もう一回読んでごらんなさい。憲法違反ということを初め言っておきながら、合理的な理由があるかどうかということの内容として、いまのことをずっと判断してみてください。ここでそんなにやっていても始まらぬですから、あなたもう一回よくこれを読んでごらんなさい。あなたのところの書いたものがどういうものか、もう一回よく検討してごらんなさい。だから、法制局でも、またちょっと慎重な見解を出しているのですよ。 それからこの判断をする中で、自衛官入学反対運動が行なわれているということが書いてありますが、これは自衛隊が憲法違反だということを理由にしてやっておるということは、わかっておりましたか。
○上田(明)政府委員 そういうことを学生側が言っておったということは、学校から聞いております。
○松本(善)委員 それからこれはやはり人権擁護局に聞きますが、京都大学の大学院や愛知大学の豊橋分校、東京理科大学なんかで、入学した自衛官が、教授の思想あるいは教授内容を逐一上官に報告をして、スパイ活動をしているという事例があったということをいわれているのですけれども、そういうことは知っておりましたか。
○上田(明)政府委員 存じておりません。
○麻生政府委員 私も「赤旗」にそういう記事が載っておりましたので、担当の部局に命じて状況を聴取いたしましたところ、そういう事実はないということであります。
○松本(善)委員 ではお聞きしますが、自衛官は上官から大学の中の状況を質問された場合に、これは答えざるを得ない立場になっておるのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○麻生政府委員 学校に参っておりますのは、いわゆる個人の資格で行っておるわけでございまして、特に大学の問題についてこまかく聞くこともありませんし、そういう問題で、先ほど列挙されましたような事実が発生したということも、聞いておらないわけでございます。
○松本(善)委員 いや、私の聞いておりますのは、自衛官という立場上、上官からそういうふうに聞かれれば、やはり答えざるを得ないのじゃありませんかというのです。
○麻生政府委員 要するに、職務でそこへ行っているわけではないのでありまして、また、学校の模様を職務でスパイするというようなことで行っているわけでは全然ないのでありまして、学生が向学心に燃えて、そこで一般の大学生と同じように勉強しようということで行っておるわけでございますから、そういうような意図は学生にもありませんし、またやっている上官のほうにも、そういう意図はありません。したがって、そういうようなことを聞くというようなことも、これはあり得ないわけでございます。
○松本(善)委員 私は、あり得ないとか、実際にあったかということをいま聞いているのじゃなくて、自衛官というのは、もし上官から聞かれれば、やはり答えざるを得ないのじゃないか、それは拒否することができるのかどうか、こういうことを聞いているのです。
○麻生政府委員 これは、答える義務はないと思います。
○松本(善)委員 さっき、人権擁護局長、女子大学のことについて、大学は幾らでもあるということを言ったのです。この三名の自衛官は、都立大学にどうしても行かなければいかぬのですか。これは、入学を認めるところへ行ったのでは、ほかの大学では絶対にいかぬという理由はあるのですか。
○上田(明)政府委員 先ほど女子大学の問題を申し上げましたのは、女子大学はかりに男子が申し込みをすれば、これは頭から拒否される。しかし、そうでない限り、一定の資格のある者は、広告その他から見まして、大学側としては受理しなければいかぬ、これはほかの大学との関連の問題は起こらないというふうに私は考えます。
○松本(善)委員 質問をよく聞いてください。あなたが大学は幾らでもあるということを女子大学のことに関して言ったから、それを引っぱって言っただけの話で、実は、この三名の自衛官はどうしても都立大学へ行かなくちゃいかぬという理由があるのかということですよ。ほかの大学へ行ったのではどうしてもぐあいが悪いという理由があるのかどうかということを聞いているのですよ。
○小澤(太)政府委員 なかなか巧妙な御質問で、この間はほめられましたが、今度はおほめ申し上げます。いまの御質問は、一般論と具体的な今回の問題と混同されないようにお願いしたいと思うのです。今回は、あるいはほかも受ける希望もあったかもしれません。また、受け得るかもしれません。けれども、今回の事件は、都立大学を受けようとして、それが拒否されたという具体的な問題でございますから、一般論じゃございません。したがって、その人がほかも受け得たであろうかということは、これは議論の対象にならない問題でございます。
○松本(善)委員 私が聞いているのは、受け得たかどうかじゃなくて、この三人は、どうしても都立大学でなくちゃいかぬのかというのですよ。ほかの大学に行くということはできないのかということなんです。
○小澤(太)政府委員 そのことは問題外でございます。(松本(善)委員「それじゃ答えないということなんですか」と呼ぶ)現実には問題外でございます。現実に、この問題は、都立大学を受験して、それが拒否されたということでありますから、それとは関係のないことであります。
○松本(善)委員 次官は頭がよろしいので、お答えにならないでほかのことをお答えになりましたが、やはり答えられないことなんだろうと私は理解いたします。 それで、もう一つ聞きたいのは、自衛官の意識調査をやったところが、これは三カ月の教育を終わった隊員の意識調査ですが、「自分のことは次にして、自衛隊や国のためにつくしたい」ということで入ってきた人が三%「金を貯めたい」というのが一八%「金や名誉を考えず、自分の趣味にあった生活をしたい」というのが二二%「一生懸命勉強して幹部自衛官になりたい」というのが一八%、それから「自衛隊で勤務しながら大学を卒業したい」というのが、一番多くて二七%もいるのです。「自分のことは次にして、自衛隊や国のためにつくしたい」というのがわずか三%で、自衛隊に入れば大学に行ける、勤務しながら大学に行くというのが、二七%もおる。一体、自衛隊としてはこれでいいのですか。いいのですかというのもちょっと変だけれども、こういうように学問もできる、官費で学校へ行けるということで、えさでつって自衛隊に入れているというようなやり方が、ここに非常に出ていると思うのです。この点について、自衛隊は一体どう考えているのですか。
○麻生政府委員 募集の問題でございますが、やはり自衛隊員も一般の若い青少年と同じなわけでございます。したがって、その気持ちというものも、一般の青少年と同じような考え方というものが、入ってくる前には少なくともあるわけでございます。そこで、お説のように、公共のために尽くしたいという数が入ってくるとき少ないということは、これは確かに事実でございます。そのパーセントが何%であったかということは、私はいまはっきりしておりませんが、しかし、これは部隊内における教育課程におきまして、自衛隊の任務に邁進するという使命感の教育というものが行なわれるわけでございます。これは教育の間に自然に養われていく、こう考えておるわけでございます。 なお、いま官費で大学に行けるというお話がありましたが、これはたいへんな誤解でございまして、これは先ほどからずっとお話し申し上げておりますように、自分の意思で、自分の経費で大学に行こうということでございまして、私から言いますと、非常に向学心に燃えたけなげな青年だと思います。こういうけなげな青年が自衛隊のメンバーをつくっていくということは、やはり自衛隊の健全性ということからも、いいわけでございます。同じ営舎内に閉鎖的に生活をして、非常に窮屈な片寄った考えをする隊員からなるよりは、一般大学に行って一般の勉強をして、それによって健全なる常識を持っていくということが、やはり民主主義社会における軍隊の構成員として非常に望ましいことである、私はこう思っておるわけであります。
○松本(善)委員 文部次官に聞きますが、教育の機会均等ということです。そのお金がないために大学に行けないという事態は、やはりなくさなければいけないから、これも一つの大きな問題です。教育基本法の三条二項では「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」ほんとうならば、自衛隊が働きながら学校に行けるとかいって宣伝をしておるというのは、文部省にとってまことに遺憾な事態のはずなんです。これは自衛隊なんかに行かなくても、みんな働きながら十分に学校へ行けます、こういう教育環境ができなければならない。勉強したいと向学心に一生懸命燃えている。しかし、しようがないから自衛隊に行く。自衛隊のほうは、入ってから一生懸命教育しようといういまのお話だけれども、これは自衛隊がそういうふうに宣伝をして自衛官を寄せ集めている、ここが問題なんです。教育の問題として、教育の機会均等ということを論じられるならば、ここを論じなくちゃいかぬですよ。文部次官、ここをどう思っておりますか。
○久保田政府委員 いまお話しの自衛隊の、特にそうしたものがあらわれておるということで申しますと、ほかの就職口が幾つもございましょう、その中で自衛隊がかくかくのごとく勉学にいそしんでおる、いい青年を入れている、こういう見方を露骨に出した広告でございましょう。一般論として、自衛隊に行かないと教育の機会均等が得られぬのだというふうには、私は理解したくございません。
○松本(善)委員 私の言いますのは、自衛隊がそういうふうに宣伝をするというのは、自衛隊に行けばそれはできるから、その宣伝スローガンになるのです。ほかでも、別に自衛隊に行かなくても、それはできるのだ、学校に行けるのなら、そういうスローガンにならないのですよ。そういうことが自衛隊の募集スローガンになるという事態について、文部次官としてはいささかも遺憾の気持ちがないのかどうか、そういう状況を聞きたい。
○久保田政府委員 一般の教育環境が必ずしも十分でございませんから、したがって、そうしたことがないほうがいいということについては、御同感申し上げます。ただし、私のいま申し上げましたのは、自衛隊なんかに行っていますと、拘束されてしまって勉強もできなくなってしまうのと違うかといったようなことに対して、かくかくの事態で、自衛隊におる人たちの中でも比較的勉強しておる人たちがこのとおりいますということで、いまのことはちっとも差しつかえないことだと思っております。
○松本(善)委員 時間がありませんので……。政府は、この事態、この時点において、全く考え方が転倒しておる。いま言われたとおりですよ。いまの教育環境、青年が学問をするという環境が、非常に少ない。いやいやでも——この事件について私こう聞いています。何も行きたくて自衛隊に行っているんじゃない、こういうことを言っている人もおるのです。勉強したいというために自衛隊に行くという事態になっているということは、政府はよほど真剣に反省をしなければならない。そこのところを、いまの文部次官のないほうがよろしゅうございますという程度では、これはだめだと思うのです。もっと真剣に、深刻に反省すべきものであるということを私は要求いたしまして、最後にそれについて一言聞きたいのです。ほんとうに深刻に反省してもらえるかどうか。
○久保田政府委員 自衛隊に関しての反省というお話でありますが、自衛隊そのものについて、私ども大げさにとかくものを申す資格はございませんけれども、教育一般という立場から見て、自衛隊の中に、自衛隊に行けばどうやら勉強できそうだという環境があるということでは、ほかが一般にそういう環境にはないということになるわけでございますから、その意味においては十分反省しなければならぬ、仰せのとおりだと思っております。
○永田委員長代理 中谷鉄也君。
○中谷委員 私は、ちょうど四十五分まで質問をさせていただきます。 本日新聞の報道によりますと、文部省が新しい次官通達をお出しになった。この問題は非常に大きな問題ですので、本日そのことについてお尋ねするつもりはありません。文教委員会、あるいはまた当法務委員会において、掘り下げて同僚委員、あるいは私なども同僚委員の質問に引き続いて論議すべき問題であろうかと思う。ただ、私は当委員会におきまして、ここ数回、特に国家公安委員長が御出席になって、警察アレルギー、要するに警察ぎらいということが大学の中にあるということは、非常に遺憾だということを強調に強調をされている。そこでそういう問題について、私は最近一つのできごとを通じて法務、文部両担当政務次官にお尋ねするわけでありますけれども、その前提として、私は警察庁の刑事局長に御出席をいただきましたので、刑事局長にお尋ねいたしたいと思う。 私は、この新聞の報道については、非常に衝撃を受けました。と申しますのは、大阪市の教育長さんが、いわゆる大阪市の教育委員会汚職の中で自殺をされた、二十日の晩のできごとのようであります。たまたまこれは和歌山県の和歌山市雑賀崎というところでありまして、これは個人的なことを申し上げて恐縮でありますが、ちょうど同じ場所に私が行っておった。あくる日その新聞の報道を見まして、非常に衝撃を受けると同時に、この人の冥福を祈りたい気持ちで一ぱいであります。そこで、私は警察庁にまずお尋ねをいたしたいと思いますけれども、三月三十一日の新聞の報道によりますと、厚生省の公衆衛生局の筆頭課長さんがすでに自殺をしておられますね。そうして大阪市のこの汚職事件に関連をいたしましては、四月の十四日の日に、名前は特に配慮されて報道されておりませんけれども、女の教頭さんが自殺をはかっておられる、こういう事情がある。そこで、おなくなりになったこの柏原という教育長さんの名誉のためにも特に申し上げておきたいと思いますけれども、捜査当局は直ちに、この人は全く容疑がなかったんだということを新聞に報道しておられる。しかし、汚職事件の摘発のときに、ついことしに入ってから、東では東京警視庁の管内において、将来を嘱望されておるところの厚生省の筆頭課長さんが自殺をする。西においては大阪府警のもとにおいて、大阪市の教育長さんという、これまた非常に部下から信頼されておった人が、とにかく自殺をする。まことに遺憾であると言わざるを得ない。そこで、この人は、新聞報道によると、九日の日に大阪府警に呼び出しを受けたらしい。そうしてその呼び出しを受けて、丸山という指導部長さんの職務権限の問題について事情を職取されたということです。警察は弁解がましく、こう言っている。取調べ室で調べたんじゃありません、応接室で調べたんです、ということになっておる。ところが、九日にこの教育長さんから事情を聴取された時点においては、すでに丸山指導部長に対する逮捕状を警察は発付を受けておったわけですね。まず、その事実関係からお尋ねいたしたい。
○内海政府委員 ただいまの御質問について、大阪市の教育長が今度自殺された件につきましては、私どもも衷心から弔意を表するものであります。なぜ自殺をするに至ったのかということについては、私どもそんたくの限りではございません。ただ、こういうふうな場合しばしばいわれることは、警察の扱いがそういうものに影響するのではないかということでございます。だれしもいろいろな問題で警察に調べられるというふうなことは好ましいことではありませんから、人それぞれのショックを受けることはあろうと思います。これははなはだ遺憾なことでありますけれども、やむを得ないことだと思う。今回の教育長の場合は、いまも中谷委員おっしゃっているように、犯罪容疑をもって取り調べたというふうなものではございませんで、大防府警察におきまして取り調べをいたしております被疑者についての職務権限について、その直属の上司として、参考人としての意見を聞いたということがあるだけでございます。 なお、この参考人としての意見聴取が、被疑者の逮捕前であったか後であったか、私はいまそれを明らかにいたしませんが、いずれにしてもその被疑者に関する職務上の問題について、その上司としての立場からの意見を聴取した、こういうことでございます。
○中谷委員 私がお尋ねしたのは、こういうことでございましたね。その被疑者という人は、指導部長さんですね。九日に逮捕されている。この教育長さんが呼び出しを受けたのも、九日なんですよ。そうなると、緊急逮捕とか現行犯逮捕ということはあり得ないのですから、九日にはもうすでに逮捕状の発付はされておったのでしょうねと。それを、その日に大阪府警にお呼び出しになっているわけですね。当然、私は御配慮としては、たとえば警察のどこかの寮へ来ていただくとかいうふうな配慮があってしかるべきだったと思う。そういうふうな配慮を一体されたのかどうか。とにかく取り調べ室ではしませんでした、応接室でしましたと書いていますね。一体調べたのはだれなんですか。何人で調べたのか。一人で調べたのか。これは何といっても警察の立場から見れば、教育長というが、あれでもとにかく参考人だからということになればそれまでだけれども、何といっても大阪市の教育をあずかる最高の責任者の一人でしょう。その人について一ぺん事情をお聞きするというなら、私は礼儀をもって事情聴取があっただろうと思う。どんな人が、何時間くらい、どこで調べられたのか。そういうふうなことが本件の自殺の原因だというようなことを私はそんたくしたくないけれども、汚職事件のたびごとにこういうふうに人が死んでいくということは、きわめて遺憾である。その取り調べの状況について、そうして逮捕状の発付がすでにあってからなんですか——あったに違いないと私は思うが、常識的にそう思えるが、この点についてお答え願いたい。
○内海政府委員 被疑者につきましては、四月九日に逮捕をいたしております。それから死なれた教育長については、四月九日の午前十時から午後一時半までの間に、柏原氏のほかに市の教育委員会の事務局の教職員課長の職にある人と同席で、大阪府にある大阪警察会館、これは大阪府警で共済組合等の施設として宿泊その他宴会あるいは婚礼等も行なえる会館ですが、ここの三階のかえでの間というところで事情聴取をいたしております。
○中谷委員 答弁漏れがありますから……。すでにもう逮捕状が出ておったのかということと、いま一つは何人でお調べになったのか、調べたほうの警察官。
○内海政府委員 調べたのは橋本警部補外一名、二名で調べた。逮捕状の時点については、私いまこれを明らかにいたしておりませんが、先ほども言いましたように、逮捕は四月の九日に逮捕をいたしております。それから事情を聴取したのは四月九日の午前十時からでございますから、ほとんど同時点、あるいは逮捕状の発付を得ているのは当然十時以前ではないのか、こういうふうに考えます。時間関係は明らかでございませんが、日の関係は同日でございます。
○中谷委員 そこで私は非常に残念だと思うのは、三月三十日には厚生省の筆頭課長さんが、非常にとにかく残念といいますか、お気の毒な自殺のしかたをしておられる、そういうふうなことがありますね。しかも大阪府警に限って言いますると、四月十四日に女の教頭さんがすでに自殺をはかっているのです。発見がおそかったらもう死んだかもしれないという状態になっている。そうしてそういうふうな状態の中に、大阪市の教育長さんというのが和歌山市の雑賀崎で自殺をされた。そこで警察としては、非常にとにかく残念なことだけれどもとおっしゃいまするけれども、こういうふうな汚職の捜査の中でこういうふう自殺者が出てくるということ、このことについて、一体どういうふうな反省をしておられるのか。私は、丁寧に調べて、とにかく圧力を加えずに、暴行をせずに、拷問をせずに、心理的な苦痛を与えずに、というふうな一般的なことをお聞きしているのじゃない。一体こういうふうな汚職事件に伴う自殺頻発に対して、どういうふうな反省を警察としてはお持ちになっているのか。ひとつ私は苦言を呈しておきたい。近畿には、教育汚職というものは、きわめて最近頻発をいたしました。藤田検事正のもとにおいて、和歌山地方検察庁では、二千人の学校の先生と、それから関係者が調べられた。二千人ですよ。その前には、ト部検事正のもとで、奈良地方検察庁において、これまた千人近くの関係者が調べられた。これは教育長も調べられましたね。この事件については、いわゆる自殺をはかったとかいうふうな人は、一人も出ておりません。これは検察庁がやった事件ですね。検察庁が直接やった事件というふうに聞いています。奈良のほうは、警察も手伝った。和歌山のほうは、完全に検察庁だけがやった事件。大阪のほうは、これは全く警察が独自に摘発をした事件。そういうような中で、十分な反省というものがなければならぬのじゃないか。今後こういうことが二度と繰り返されてはならぬ、こういう点について、具体的な反省というものがあるのかどうか。具体的な、自殺というふうなきわめて遺憾なできごとがないような対策というのはあるのか。私がなぜこういうことを質問するのかというと、こういうような点についての反省がないところには、必ずまたこういうふうな自殺というものが出てくるだろう。きわめて私は遺憾だと言わざるを得ない。この点について、刑事局長さんいかがですか。
○内海政府委員 取り調べあるいは参考人のそういう事情聴取の過程で自殺者が出たということについては、私もはなはだ残念でございます。残念に思いますが、しからば、そういう取り調べあるいは事情聴取ということと、その自殺というものが直接に因果関係がありやなしや、この問題になり、もし少しでもそういうふうなものに追いやるような不当不法な取り調べあるいは処遇というふうなものがありとするならば、これはもってのほかでございまして、私どもも厳重にそういう事態についての糾弾はしなければならない。また、私どもは、日ごろから取り調べにあたってそういうふうな問題の起きないようにということについて細心の配慮をし、機会あるごとにそういう問題については触れてきておるところであります。今回の柏原氏の問題について考えますと、先ほども申し上げましたように、本来被疑者という形で調べておるわけでも何でもございませんし、またその事情聴取についても、場所あるいは時間——大阪府警としては、その職務に対しても非常に敬意を払い、またその事情聴取についても、その人の部下に当たる人も同席させて事情を聴取しておるということで、この事情聴取というものが柏原氏を死に追いやったというふうに考えることは適当でない、こういうふうに私は思います。しかしながら、本人がいろいろな観点から心労し、あるいは非常に責任を感ずるというふうなことが、もしこういうことの結果を招いたとするならば、これとても、私は当人にとってもたいへんお気の毒であり、申しわけないできごとだと思いますけれども、警察が及ぶ範囲、これについては、できる限りのことをしなければならぬ。現に、これはいままでもいろいろ私ども例を見、あるいは注意を与えておるところですが、そういう取り調べをしたりあるいは事情を聞いておる間にでも、あるいはその後においてでも、少しでも精神の動揺が感ぜられる、あるいは何か異常を感ぜられるような場合には、わざわざ特に注意をして、その家庭にまで送り届けるというふうな配慮もし、また実行もしておるところであります。ただいまこれについて反省なきやということですが、私どもは、警察の仕事に関する限り、事人権に及ぶ問題でありますから、日常座臥反省に反省を重ねておる問題でありまして、ことにこういうふうな問題については、いやが上にもさらに何らかのことなきやということについては、今後といえども十分に考えていかなければならないし、そういう意味においてのわれわれの反省というものは、日常座臥離れることのないものであるということを申し上げておきます。
○中谷委員 時間がないようですから、私はこういうことで申し上げておきますけれども、刑事局長、人を調べられたことはあっても、人に調べられたことはないでしょう。被疑者になったことは、一ぺんもないでしょう。率直な、人間として私は申し上げたい。人に調べられるということがどれだけつらいことかということを、長い間検事をおやりになった方とか警察官は知らぬですよ。そういうふうなことについての基本的な反省といいますか、どれだけそれが苦しいことであり、いやなことであり、残念なことであるかということが、あなた方にはわからない。これは率直に申し上げたい。私なんかも、こういうふうな弁護士なんという仕事をしている人間も、そういう点については、ある意味での反省をしなければいかぬと思う。そういう留置場を知らない人、拘置所を知らない人には、どれだけつらいことか、警察というのはどれほどいやなところかということは、わからぬと思うのです。死んだ人は、ものを言いませんよ。厚生省の課長さんも、ものを言いませんよ。柏原さんも、ものを言いませんよ。ですから、警察が幾らここで、取り調べに無理はなかったんだ、礼儀を尽くしたんだとおっしゃっても、直ちに信用できない、死んだ方はものをおっしゃってくれないのだから。そういう点で、厳粛な反省というか、こういうものについての予防措置というか、こういうものを講じてもらわなければいかぬ。何か局長のお話を聞いておると、ある程度こういうことはやむを得ないんだというふうにも聞こえるまじき御答弁のように私は思えて、きわめて残念だ、そういう点を私は苦言を呈しておきたいと思う。 そこで私は、文部政務次官にお尋ねいたしたい。私はどういうことをお尋ねしたいかと申しますと、公安委員長は、大学の警察アレルギーをなくせよということを盛んに言われる。しかし、大学があれだけ敏感な警察アレルギーというもので、警察に対する拒絶反応、拒否反応を示すというのも、長い間の戦前、戦後の警察のあり方に私は関係があると思うのです。一がいに警察を理由なくしてきらうというようなことはいけないでしょうが、大学が警察に対して拒絶反応を示し、拒否反応を示し、警察アレルギーだといわれている、そこには、一つの歴史的な原因と理由というものがあると思う。こういうことを除外しまして、大学が警察について全然批判をしない、警察に対して親近感を持つ、それが当然なんだというような言い方は、おかしいと思うのです。だから、ひとつこの機会に警察アレルギーといわれているようなものについて——何か公安委員長の話を聞いていますと、警察がオールマイティのようなお話、警察は全然間違いのないような話をされる。そういうことについて、私は全然息が合わない。警察は全く間違いないんだというような考え方が警察にある限りは、そういう考え方で大学問題を治安問題として理解する限りは、とうてい大学問題についての解決はあり得ないだろう。だから、政務次官にお尋ねいたしたいのは、政務次官は教育の御専門家ですから、警察アレルギーというものを一体どういうふうにお考えになっているかということと、それからこれは文教でお尋ねすべきことだと思うけれども、遺憾だというふうなことばだけではなしに、今度の大阪市の教育委員会の教育汚職事件、こういうたいへんふしあわせなできごとが生じた。こういう中で、大阪市の教育委員会というものをごらんになった文部政務次官というお立場から、教育専門家のお立場から、一体汚職の原因はどこにあるだろうということについても、この機会に、法務での直接のストレートの質問ではありませんけれども、ひとつお答えになっていただきたい。これが政務次官に対する私の質問です。
○久保田政府委員 前半の警察アレルギーについての考え方は、私も御質問の意味合いを十分理解できると思っております。きょうは次官通達がお目にとまったわけでありましょうが、いまお話しのように、あるいは先生がおっしゃるような警察万能といったような意味合いからではなしに、たまたまこの問題に触れております通達の意味合いが非常に誤解されておるという点が一つ。もう一つは、警察アレルギーといってしまうとどうかと思いますけれども、大学はたいへん特別なところなんだというようなことで、そういう経過を全然知らない若い人あるいは新しい教官その他のところで、そうした無理解がかなり強いということも事実でありまして、そこいらの観点からいいますと、そういう意味合いのとり方は間違っておるんだ、この点を明確にするということは、この際必要なことであろう、こんなふうに考えております。 後半の大阪市の事情につきましては、これは露骨に申し上げますが、大阪だから事件が相当深刻なんだろう。よその県であったらあんなに騒がれることがないのと違うかということが、率直な言い方であります。したがって、教育長さんがあまりに自分で責任を感じられたのか、あるいは特殊なことがあったのか、確かなことはわかりませんけれども、いやしくも大阪の市の実情からいいますと、たいへん責任を感じられただろう。したがって、先ほどおっしゃるように、自分が容疑者でなくても、まことにつらいことだったろう。私もいまおっしゃったような多少の経験を持っておりますので、全く御同情にたえぬ。特に大阪だったからというような感じを十分に持って、今後これからどうするか、私どもそれについての対策をいたしたい、こんなふうに判断いたしております。
○中谷委員 法務政務次官、人権擁護局長さんに同じ質問をいたしたいと思うのですが、私は、人の命というのは、たとえば岡山大学で若い警察官の方が、将来警察の署長さんにもあるいは本部長さんにもなったかもしれない、こういう人がなくなった。たいへん残念な、ふしあわせなことだと思う。しかし同時に、たとえどこかの県の農林関係の人が何か汚職で調べられたということがあったからといって、そのことが調べがきつかったというようなことで自殺をしたというようなことも、これは私は人権の問題の上から絶対に捨てておけないことなんだ。ましてや、先ほど刑事局長が言われたように、人の厳粛な死という事実について、その理由を軽々にそんたくすることは私はできないと思うけれども、いずれにしても汚職事件が発生し、そうして呼び出しがあったという事実は事実なんだ。そういう中でとにかく死を選ばれたということは、これも隠れもない事実なんだ。しかも、その前には、女の教頭さんも自殺をはかっておる。東京においては、厚生省の非常に優秀な筆頭課長さんが、同じく警察の取り調べを受けた中で自殺をしておられる。非常に悲惨な死に方をしておられるというようなことで、やはり法務行政の中において、被疑者の人権あるいは参考人の方の人権というのは、特に守らなければならぬ。そういうふうな、取り調べによって自殺に追いやられたというふうなことがあったとするならば、これは全く遺憾千万なことである。こういうような点についての政務次官の御見解を承りたいと同時に、私は刑事局長からも最後にお聞きしたいと思うけれども、人権擁護局としては、こういうふうに頻発するこの自殺事件について、こういうふうなことの予防を兼ねて調査をさるべき時期に来ているんではないか。警察の取り調べが適当であったかどうか、あるいは必要な呼び出しであったかどうかというようなことを調査さるべき時期に来ているんではないかというふうに考えますが、政務次官のほうから、あるいはまた局長さんのほうから、いずれにいたしましても、この二つの質問について御答弁をいただきたいと思います。
○小澤(太)政府委員 中谷委員の御見解に、私は完全に同意であります。人一人の命は地球よりも重いといわれております。その大事な命をみずから断つというような悲惨な状況に追いやったということが、原因がどこにあるかは別といたしまして、いやしくもその原因の一端に触れることが警察の取り扱いであるということになりますならば、これは重大な問題でございます。私自身も、参考人としてたびたび呼ばれたことがございます。県知事としての立場におきましても、参考人として呼ばれた。丁重な扱いはされておりますけれども、何と申しますか、やはり警察に対するコンプレックスと申しますか、アレルギーと申しますか、何かやはり割り切れないものがございます。そういう心情は、よくわかります。したがいまして、警察も十分丁重な処置はしているとは思いますけれども、さらに、この点については十分な配慮を重ねていただきたい。 それから第二点の問題でございますが、やはりこれは原因が非常に複雑だと思います。思いますが、そのような事態が相次いで起こりますそこには、何か最近においてその要素があるんではないか、こう考えます。私ども法を守る立場、ことに人権を擁護する立場において、この点については等閑に付するつもりはございません。この点、申し上げておきます。
○中谷委員 局長さんにお尋ねしたいといいますか、政務次官の答弁で私もうけっこうなんですけれども、ここ最近の、全国各地において取り調べを受けて——有名な事件では、山口空将補のああいう自殺事件まである。ここ最近における、そういう取り調べによる自殺事件ですね、そういうふうな資料を一ぺんこの機会にお取りいただきたい。そういうふうなことは、私ぜひやるべき立場にあると思うし、そうして、ことに私は遺族のお気持ちというのも、この場合には相当尊重しなければいかぬ。そういう話はもうそっとしておいてくれ——実は私こういう質問をすることについても、その点については配慮といいますか、こういう質問をしていいのかどうかということは考えたのですけれども、たまたま自殺された同じ場所へ私はその日行っておったというようなことがあったので、とにかく冥福を祈るようなつもりで質問させていただいたのですが、適切な例、たくさんの例があります、続出しておるのですから。そういうものを取り上げてみて、ひとつ調査をさるべきではないか。これは遺族がそういうことはやめてくれというならば、調査しにくいし、遺族の気持ちも尊重しなければいかぬだろうと思いますが、そういうようなことで御調査あってしかるべきだと思いますが、この点について局長さんいかがでしょうか。
○上田(明)政府委員 最近警察の取り調べ後自殺されたという事件も若干存じておりますが、全部を統計的に集めるというのが一体どの程度可能か、私としては御答弁申し上げかねますが、わかる限り一応どのくらいあるかを調べまして、とりあえずは大阪の事件については、その警察の取り調べについて一体行き過ぎがあったのかなかったのかというようなことを、さっそく調査するように指示したいと思っております。
○中谷委員 刑事局長さんから御答弁要りませんけれども、私申し上げておきたい。というのは、先ほど何々会館で調べた、もう一人の人が同席しておった、それからこちらの調べた人は二人で、非常に時間も限ったというようなことで、そういう報告を結局大阪府警から受けられたわけですね。だからこういう問題については全く間違いがないのだというふうな御答弁が、率直に言って私は危険だと思うのです。その御答弁のとおりであったら私はけっこうだと思うけれども、そのことは危険だと思う。これは人権擁護局も調査すると言っておられる。警察御自身も、今後の問題として念には念を入れて、こういう問題を一つの教訓として——貴重なかえがたい教訓でありますね。人の命は地球よりも重いということを先ほど政務次官もおっしゃった。そのかえがたい貴重な、きわめてふしあわせなこの経験を、警察がおれのやったことは間違いがないのだというような立場ではなしに、ひとつ謙虚に反省と、そして検討と、今後の教訓にされることを私は希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○永田委員長代理 山田太郎君。
○山田(太)委員 きょうこれから質問申し上げたいことは、保護観察の件を中心にして、短時間ではありますが、いま、青少年の保護と人間的な成長をはかっていく育成の問題については、社会の非常に大きな問題でございます。そこで、一応最近ありました未成年の刑事事件について、それを中心としながら、短時間、保護観察のあるべき状況、あるいは世上取りざたされておる少年法の改正云々の問題もかね合わせて、少々質問を設定してみたいと思います。 そこで、いま有名になっておるのは連続ピストル射殺事件の未成年の犯罪でございますが、保護観察中においてどのような状況下にこれがあったか、あるいはもう一つは、保護観察中に犯された刑事事件というものが、今年度において、あるいは今年度の状況がなければ、昨年度それがどのような状況であるかということを、まず質問しておきたいと思います。
○鹽野政府委員 ただいまの御指摘の点についてお答えいたします。今回のいわゆるピストル連続射殺事件の犯人でございますが、これは東京保護観察所の保護観察中の少年でございます。保護観察の経緯でございますが、この少年は家庭裁判所に三回かかっております。第一回は昭和四十年の十一月に宇都宮の家庭裁判所に窃盗未遂事件でかかりまして、結果は不処分ということになっております。その後二回目は四十一年の十月に横浜家庭裁判所の横須賀支部に係属いたしました。これは、米軍の基地に侵入して若干の窃盗を働いたという容疑でございます。そのときには、家庭裁判所支部で試験観察という処置をとりまして、ある期間観察をしていたわけでございます。その結果、翌年の昭和四十二年の四月二十八日、横須賀支部で東京保護観察所の保護観察に付するという決定があったわけでございます。そこで保護観察が開始された、かようなことになるわけでございます。その家庭裁判所の保護観察処分の決定のありました日に、本人は東京の保護観察所に出頭いたしております。その際に、当然保護観察官が面接いたしております。そのときの状況を聴取いたしましたところでは、情緒不安定、拒否的な傾向が見られるというようなことでございました。その後本人との接触を保つことに努力いたしまして、六月十二日に二回目の面接をいたしております。それからその後間もなく所在不明になりまして、観察所といたしましては鋭意各方面に所在の発見に努力いたしたわけでございますが、ついに所在の発見に至る前に、四十三年の一月に外国船に乗り込んで密出国をはかるという事件を起こしまして、また三回目に家庭裁判所にかかります。その結果、同年の二月十六日東京家庭裁判所で決定がされたわけでございます。その決定は、不処分という決定でございました。したがいまして、前の保護観察処分が続く、こういう状況であったわけでございます。その後、その不処分の決定の日に本人がまた出てまいりましたので、その際に担当の観察官並びに東京保護観察所の次長が面接いたしております。大体状況は前とあまり変わりないというような状況であったようでございます。その後本人の就職がきまりまして、本人との面接に努力を続けまして、さらに担当の保護司も定めまして、保護司も本人に面接し、あるいは保護司から本人の雇い先に出かけていくというような努力も続けましたが、またまた所在不明になってしまったわけでございます。これからまた続きまして本人の所在発見に努力をしたわけでございますが、ようやく兄のところを通じまして本人と連絡がつきまして、昨年の八月十二日に本人は再び保護観察所に出頭をいたしております。そのときには、本人は、当所の係官から実情を聞きますと、何か非常に興奮しているような状態であったということでございます。そこで、その後も引き続いて観察所のほうに出頭するようにという指示をいたしましたが、本人はそれから観察所に出頭せず、その所在も再び明らかでなくなる、こういう状況になります。その間に今回の連続射殺事件というものを起こしてしまったという状況でございます。
○山田(太)委員 もう一問お伺いしておりましたのは、保護観察中に所在不明になり、そうしてその所在不明中に刑事事件等を引き起こした、その状況も、アウトラインでけっこうですから、答えてもらいたいと思う。
○鹽野政府委員 保護観察中の少年で所在不明になります者は、総数の約六%ぐらいでございます。これは御案内のとおり、大都会地の場合に比較的その率が高いということが一般的に言えるようでございまして、東京の保護観察所管内だけで申しますと、これよりやや率が高くて、七%を若干上回るというような状況のようでございます。 それから保護観察中に再び非行に走ったという問題でございますが、ただいま御指摘いただきました所在不明中に非行におちいったという統計がただいまないのでございまして、一般に保護観察中にどの程度の者が非行におちいるかということを申し上げさせていただきたいと思います。保護観察中に非行を犯しまして保護処分、つまり保護観察処分という処分を取り消される者が、全体の一二・七%という状況でございます。それから取り消されないままに、保護観察は続いていたけれども、しかし、保護観察の状況を見ると、必ずしもその成績が芳しくないという者もございます。そういうようなものをひっくるめまして、保護観察所で少年を保護観察処分として扱ったけれども、その結果が必ずしも思わしくなかったという全体の数は、ほぼ二四%ぐらいに達している状況でございます。
○山田(太)委員 そこで、次いでお伺いしたいことは、この保護観察中に住所不明になり、あるいは所在不明になり、刑事事件等を起こした、その点はつまびらかにしてないというお答えでございますが、やはりここに一番の大きな問題点があるのじゃないかということが、これは常識的に考えても考えられるわけです。したがって、所在不明になるその原因の中に、いまの保護観察のあり方というものが問題になるんじゃないか。これは当然想定されることです。そこで、この保護観察がいま現在いかようにしてなされているか、たとえば保護観察官あるいは保護司等のあり方というものが、ここに問題になってくるのじゃないか。あわせて予算等の問題もあるでしょうが、この実情は、どういう点がそういう所在不明のまま置かれていくのか。私の知っている範囲でも、私の知人にもやはり保護司の人もいます。しかし、それが病気になって、そのままになっておるという場合も見受けております。ここで、先に時間を急ぎますから、この保護観察を受けている人の人数と、それから保護観察官の人数と保護司の人数、それによってどのような処遇がなされ、それが所在不明の事態を引き起こす大きな原因になっている点はどの辺にあるのかということも、あわせて聞いておきたいと思います。
○鹽野政府委員 まず、保護観察中の事件でございますが、これは一口に保護観察と申しますと、先ほど来申し上げております少年に対する保護観察のほかに、少年院仮退院者に対する保護観察、あるいは仮出獄者に対する保護観察というような、いろいろの種類があるわけでございますが、全体で申しますと、昨年の統計がまだ正確に集計ができておりませんので、若干古いので恐縮でございますが、四十二年の統計で御説明させていただきます。保護観察の常時継続中の事件は、四十二年末で十万六千件に達しております。そのうち少年の保護観察というものは、そのうちの六万四千人余りということでございます。そして、これに対しまして、保護観察を担当する側の数でございますが、これは保護観察所は、御承知のとおり、全国に四十九カ所置かれております。そこへ配置されております保護観察官の数は、六百八十四名でございます。ただし、それの中には、課長というような管理者が含まれておりますので、常時保護観察の事務に当たるという者は、概数で約五百名程度であろうかと思います。したがいまして、少年だけを見ましても、六万をこえる対象者に対して実際の保護観察を担当する観察官は五百名前後、こういうことで、割り算をしてみればわかりますように、観察官一人で全体としては約二百、少年だけを見ますと百三十件ぐらいになるでありましょう、という数でございます。 そこで、次が保護司の問題になります。これは、保護観察官と協力して保護観察の実務を担当するという職責を持っております。この保護司は保護司法によりまして、定数は五万二千五百名というふうに法律上定められておりますが、なかなか適任者を得ることが困難だというような事情もございまして、最近では、実員は四万八千名前後になっているようでございます。したがいまして、十万余りの対象者に対して四万八千の保護司ということになりますので、保護司一人の担当という面から見ますと、保護司が一人で対象者二人ないし三人を担当していただけばまかなえる、こういうような数になっているわけでございます。 そこで次は、保護観察のやり方の実情でございますが、まず保護観察の処分が定まりますと、対象者は観察所に出てまいりますので、最初は保護観察官が、これに面接いたしまして、はたしてどういうふうな点を重視して保護観察を実施するのが効果的であろうかということを見定めるわけでございます。これは観察所によって、若干その取り扱いは違っているようでございます。たとえば、東京都の保護観察所あたりでは、保護観察の当初約二カ月間を保護観察官が直接保護観察に当たる、こういう方針をとっております。したがいまして、二カ月の間に対象者と何回も面接をいたしまして、大体この少年はこういう方面に注意していけば更生できるであろうという見通しをつけた上で、担当の保護司を指定いたしまして、保護司のほうに事務を引き継いでいく、こういうことになっているわけでございます。そこで、担当の保護司の保護観察のやり方でございますが、これはいわゆるケースワークでございますので、事案によって各種各様でございまして、それぞれの少年に向き向きの形で保護観察を実施していくということでございます。一番注意しておりますのは、本人と接触を続けるということでございます。本人を月に何回か保護司の宅あるいは保護観察所に出頭させるようにする、場合によりましては、保護司が本人の家庭、あるいはまた住み込みの場合には雇い主のところに出向いて、事情を見てくるというようなこともいたしております。そうして、本人の動向と申しますか、平素の行状が手に取るようにわかるように努力するということが、実は保護観察の第一歩であるわけでございます。さらに、具体的な個々の取り扱いといたしましては、保護観察に付せられましても職がないという者もございますので、就職のあっせん等に努力してやる。あるいはまた、保護観察に付されたけれども住む場所がないというようなものについては、住居を考えてやる。場合によりましては、更生保護会に寝泊まりできるように手配をする。あるいはまた、健康を害している少年というような場合には、医療の関係について医療保護をやるというように、それぞれの対象者に向き向きの保護観察の方法を考えていくというのが、実情でございます。 そこで、今回の事件を例といたしまして、どこに問題があるかというような御指摘がございましたが、ただいま申し上げました実情から申しましても、保護観察官の数が十分でないということは一つ言えると思います。この点につきましては、毎年若干ずつ増員を得て、逐次充実させているわけでございます。それから、先ほど申しましたように、対象者と保護観察をする者との連絡が密接にできているということが一番必要でございますので、本人がともすれば保護観察から脱出してしまうという対象もあるわけでございまして、そのような場合に、その行くえを早くさがし出すということが必要なわけでございます。これは一つの観察所の管内だけで住居を移しておりますれば、まだ比較的簡単でございますが、近ごろ交通も非常に便利でございますので、遠いところへ出かけていってしまうということがしばしばございます。さような場合には、保護観察所相互の協力態勢によって所在の発見に努力するということをいたしているわけでございます。これも職員の手不足とか、あるいは保護司さんにお願いいたしても、御承知のとおり、保護司の方は、ほかに本来の職業を持っておられますので、そういますぐに所在の発見に努力するということもできない場合もございましょうし、若干その点にまだ不十分な点があるように考えられます。私どもといたしましては、各庁間の連絡、共助という面につきまして、さらに努力をしてまいりたいと思っているところでございます。 それからさらにもう一点つけ加えさせていただきますと、保護観察と申しますのは、本人を社会内で生活させながら、これを指導し、援助し、あるいは監督して更生をはかっていくということでございますので、初めから保護観察に服す気持ちのない対象者、あるいは保護観察に服せしめることが非常に困難な対象者というものは、観察側で非常な努力を尽くしましても、必ずしも思うような効果をあげ得ないという場合がしばしばあるわけでございます。この点は、私どもはお医者さんの診断と治療という面に似ているのではなかろうかというふうに考えております。診断が的確でございましても、それに続く治療が十分でなければ、思わしい効果をあげ得ない。また逆に、治療に一生懸命努力いたしましても、最初の診断が見込み違いであれば、その治療も効果をあげ得ずして終わる場合があるということでございます。今回の問題の事件につきましても、いま振り返って過去の経過を考えてみますと、診断にも若干問題があったのではなかろうか。保護観察を担当した者が、本人との面接、接触ということについて非常な努力を重ねましたのに、本人は保護観察から脱出しよう、脱出しようという気分が非常に強くありましたので、その点について担当の観察官、保護司は非常な苦心をし、また努力を続けましたけれども、こういう結果におちいってしまった次第でございます。 〔発言する者あり〕
○永田委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○永田委員長代理 速記を始めて。山田太郎君。
○山田(太)委員 与党議員の不誠意な出席、これを今後のこともありますので、法務委員長にことに強力に申し込んでおきます。いまやっと二名来て、次にあと二名おいでになるそうですが、元来ならこれで成立する委員会でありません。もう一度強力に委員長に今後の善処方を希望しておきます。
○永田委員長代理 よくわかりました。
○山田(太)委員 では質問を続けてまいります。このように腰を折られた与党議員の不誠意の出席によって、私もやむなく先を急ぎます。そこで、また他日に譲るといたしましても、いまの局長の答弁を聞きましても、現在の保護観察状況が、結果においては全国では六%の住所不定である。また、東京等においては七%の住所不定である。そしてその中から連続ピストル射殺事件等が世上をにぎわす。この一件だけではありません。その他にも、多くこの住所不定の保護観察者の中から刑事事件等が起きている。それについての統計すらもないということは、保護観察行政の不誠意といいますか、まだまだやるべきことが非常に残っているということを、御答弁を聞いておっても、この面においても証明していると思います。したがって、少年法の改正云々が取りざたされておりますが、一点局長にお伺いしておきます。この青少年の問題は、少年法改正によって、年齢を下げたりあるいは刑罰主義を重んじる傾向になるやに新聞等では報道されておりますが、保護局長としてこの点について、青少年の将来の育成に対してどのような考えを持っておられるか。法務省の局長の一員として当然答えも予想されるようには思いますが、しかし、保護局長の立場として、これが妥当であるかどうか、その点の見解を伺っておきたいと思います。
○鹽野政府委員 少年法改正の問題につきましては、従来から法務省において検討を進めているところでございます。 〔永田委員長代理退席、委員長着席〕 その内容は、ただいま御指摘のように、年齢の引き下げあるいは検察官の先議、そういうような問題が中心となって議論されていたのでございます。しかしながら、少年法改正の問題は、それのみならず、いろいろな問題が含まれていると思います。たとえば少年に対する処分の多様化というようなことも、一つの大きな重点であろうと思うのでございます。全体の少年法改正につきましては、目下検討中でございまして、所管は刑事局でございまして、私全体の問題についてお答えいたすことはできないのでございます。たとえばその中の処分の多様化というような問題につきましては、少年問題の解決のために非常に役立つ改正ができるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○山田(太)委員 いまの局長の答弁では、これは論点がぼかされてしまっておる。ただことばの羅列に終わってしまっております。いまのは保護局長として、法務省の一局長としての立場からとも思いますので、政務次官からその点についての見解を述べておいてもらいたいと思います。
○小澤(太)政府委員 少年法の問題は、最近の少年犯罪の現状からいたしましてこれに改正を加える必要がある、このような判断に立ちまして、三十六年だったと思いますが、一応法務省の試案というようなものを提示いたしまして、これをたたき台にして、裁判所あるいは法曹の意見あるいは学者の意見等がかわされておるような状態でございます。内容についてはもう御存じだと思いますが、ただいまの二十歳を、あるいはヨーロッパの立法例等に照らしまして十八歳に下げる必要がありはせぬか、あるいはその間、少年と青年という中二階をつくる必要がありはしないか、こういうような試案になっておりますし、あるいはそこでまた、検事先議のたてまえをとるべきではないかというような問題点がたくさんございまして、現在裁判所等と意見の調整をやっておるような次第でございます。しかし、少年の保護ということ、また育成ということが、これに対する行刑処分といたしましては、重大な問題でございます。また、その判断をどこでするか、裁判をどこでするかという問題等いろいろございますので、前向きの方向でいろいろ検討いたしておるという段階でございます。
○山田(太)委員 先ほど申し上げたように、きょうは与党議員の出席が少ないということによって、質問の腰を折られてしまいました。したがって、最後に一点要望と質問をあわせて、腰を折られたまま終わります。 そこで、先ほど政務次官の答弁にありました年齢引き下げの問題、これは諸外国等においては、現在これを引き上げるという方向にある。これも専門家からも聞いております。それに逆行せんとするいまの状況と判断されます。したがって、まだまだ現在の保護観察処分等に関係して、もっと誠意ある処置がとられておるならば、住所不定の七%、あるいは全国でいう六%、こういう中から、このたびのようなとうとい人命が次々と失われてきた——これは何と抗弁してみたところで、保護観察の不行き届き、不徹底、これが一番のポイントでありまして、厳罰主義で臨めばこれが解決するという問題じゃないという点は、自明の理でございます。したがって、要望申し上げたいことは、この厳罰主義におちいりそうである少年法の改正云々の問題の前に、もっと予算等も——いま保護司はもう実費だけです。また、年齢も非常に高齢な年齢の方が非常に多い。青少年の実情とマッチしない保護司の方々も非常に多いということを、これは誠意ある働きをしても、そこに年齢の断絶ということはいかんともしがたいことです。したがって、もっと法務省として、この保護観察についての予算の増額、また保護司の増員、あるいは年齢の引き下げ、当然保護観察官の増員等々、人間対人間としての真の保護観察行政が行なわれてしかるべきだ、このように要望もし、また、政務次官として、このいまの私の要望並びに質問についてどのように対処されていこうという所存であるか、それをお聞きして、きょうの質問を終わりたいと思います。
○小澤(太)政府委員 少年の犯罪の状況、あるいは数字は違っておるかもしれませんが、刑事犯の中の凶悪犯が、おとなを含めまして大体一・八%、少年が二・六%、その中で十九歳というのをとってみますと、五・六%という数字を示しておるわけです。ここに少年犯罪の特異性というものと、それから年齢の問題なども出ております。したがいまして、これをただ年齢を引き下げて厳罰主義にするという意味じゃございません。最近の子供の心身の発育の状態、社会の複雑な問題、こういうものとあわせまして、どこに年齢を置くのが適当であるか、あるいは中二階をつくるのがいいかとかいうような根本的な問題を判断をしておるわけでございます。もとより少年に対しましては保護育成というのが重要な任務でございまして、これを社会人として十分に社会生活ができるように持っていこうという、その要素は依然として変わらないのでございまして、そういう点も踏まえまして、司法あるいは法曹あるいは学者、いろいろの意見を取り入れてやりたい、こういうような考えで、法制審議会等におきましてもこれを十分に検討しておるわけであります。したがって、先生のおっしゃるように、少年に厳罰をもって臨むという考えは、毛頭ございません。これを合理化しようということで進めておるような次第でございます。
○山田(太)委員 もう二点ひとつ答弁していただきたい。予算措置と人員の増加と、そうして問題はやはり保護育成というものを主眼にしなければいけないんじゃないか、そういう点の答弁です。
○小澤(太)政府委員 お答えが漏れておりまして申しわけございません。もちろん先ほど局長から御答弁申し上げましたように、保護観察官が一人で大体二百人、保護司にしますと、平均すると大体二人ということになっておりますから、大体全国平均でいえば手が足らないというわけではないと思いますけれども、実際にはなかなか全国平均ではまいらない、こう思います。したがいまして、保護司の御活躍を願うことも、活躍しやすいような措置を講じなければならぬと思います。また、年齢の点を御指摘がございましたが、この保護司の仕事というのは、社会正義感に燃えたあたたかい心持ちの持ち主が奉仕的にやっていただておるのがたてまえでございまして、勢いそういう方が、自分の生活のための努力よりも、そちらのほうに奉仕できるような立場の人が多いわけでございます。したがって、年齢等につきまして、やや御指摘のとおり不満な点がございます。これはただ予算をふやすというだけで解決する問題ではございませんけれども、予算上の措置もなお行ないまして、今回の少年のような事例が今後起こらないように、私どもとしても努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○山田(太)委員 じゃ、委員長終わります。
○高橋委員長 次回は、来たる二十五日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十八分散会