法務委員会 第9号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/03/19
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 裁判所職員定員法の一部改正案について、数点お尋ねをいたしたいと思います。 日本国民のあげて求めている願いである沖繩の返還問題の中で、次のようなことをお尋ねをいたしたいと思います。最初に、総理の特連局のほうから事実関係を明らかにしていただきたいと思いますが、沖繩の裁判官、検察官、そして弁議士の方の数と、そしていわゆる法曹資格の問題等について、事実関係が明白でありましたならば、お答えをいただきたいと思います。
○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。沖繩の弁護士、判事、検事、合計いたしまして二百八名でございます。その中で本土の試験に合格しました者が十六名、沖繩の試験に合格した者が三十六名、それから大学の法学部の教授を二年以上やった方が百三十二名、それから五年以上判検事の職にあった者二十四名、合計しまして二百八名でございます。
○中谷委員 そこで、あと五、六分特連局の方おいでいただきたいと思いますが、最初に最高裁判所のほうへお尋ねをいたしたいと思います。いま特連局のほうから御答弁があったような事情でございますね。そうすると、沖繩が返還されるということは日本国民のあげての願いであるし、当然返還されなければならない。そのときに、いろいろな案があると思います。この点について、これは慎重に検討すべき問題だろうと思いますので、私のほうも軽々にこういうふうにということを申し上げる段階には至っていないと思いますが、この問題は、資格問題の中では一番大きな問題ではないかと思うのです。最高裁としては、現状どのような御検討をしておられるか、考えられる案としてどんな案を検討の素材としてお持ちになっているのか。まず検討しておられるのかどうか、どんな点を検討しておられるか、こういうことをひとつお尋ねいたしたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 沖繩の問題は現在の問題として最も大きなものの一つでございまして、私どもも、実はこの復帰の問題にかかります前に、現状における沖繩の裁判官なり法曹の方々が、できる限りりっぱな素質を持ってやっていただくということを陰ながら祈っておるような状況でございます。それに関連いたしまして、数年前から沖繩のほうの御負担で、あるいは中には当方の費用負担におきまして、研修所に聴講生的な形で入れますとか、あるいは裁判官、書記官等の研修をそれぞれの研修所で担当するとかいうような方法もいたしておりますし、また他面、こちらの研修所の教官あるいは裁判官等が先方へ参りまして、いろいろ指導もいたしておるようなわけでございます。そういうことでレベルアップにはいろいろ努力をいたしておりますが、まだ将来の具体的な案について検討する段階には至っておりません。
○中谷委員 そうすると、現在すでに検討を始めておられる。どこでどのような組織でというふうにお聞きすればいいのでしょうか。そうして、この案でいくというようなことはともかくとして、考えられる案というのは、どういうふうな案、そういうことまで御検討になっておられるのかどうか。いかがでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたとおり、具体的に最高裁判所なり最高裁判所の事務総局として検討するという段階までは至っていないわけでございます。ただ、総務局と人事局がいわばこれの関係部局になりますので、それぞれの局の内部においていろいろ勉強はいたしておりますが、検討と申しますよりは、まだ勉強の段階というふうに御理解いただいたらいいかと思います。
○中谷委員 これはむずかしい問題でございますので、政務次官の御答弁をいただきたいと思いますが、法務省として御検討をすでに始められておられると思いますが、検討の際に留意さるべき問題点、たとえば戦後二十四年にわたって異民族支配の中で非常な苦労をしてきたというふうな沖繩県民の人の気持ち、その中で、人権擁護のために判検事、弁護士として努力してこられたという問題、さらに本土との調整の問題など、検討にあたっての留意点というのが若干あろうかと思いますが、そういう点をもしこの機会に御答弁をいただければ、御答弁をいただきたい。同時に、この問題については、非常に問題がむずかしいので、なかなか検討といっても具体的な案が出ませんが、御検討になっておられるとすれば、法務省はどこでどのように御検討になっておられるか。これはいかがでございましょうか。もし、政務次官の御答弁でなくても、政府委員でけっこうですから……。
○小澤(太)政府委員 一刻も早く沖繩の祖国復帰、これは国民の願いでございます。それを控えまして、当然法曹の資格の問題は研究しなければならぬ問題でございます。したがいまして、いま最高裁から御答弁申し上げましたように、法務省におきましても研究の段階でございます。ただし、いまおっしゃったような現実を踏まえた問題と、それから日本の法曹の資格の問題と、両々検討を要するのでございまして、できる限りいろいろな要素を研究の素材として検討を進めるべきだ、かように考えております。やるとすれば、私どものほうの訟務関係でやってまいります。
○中谷委員 同じ質問ばかりにこだわっていてもいけませんが、最高裁のほうは一体——これは沖繩即時無条件全面返還と言う人もあるわけです。これはしかし、大体めどをつけなければいけませんですね。いつごろまでにこの点についての一応の素案を最高裁としてはお出しになる意気込みと申しますか、もくろみと申しますか、めどをおつけになっていますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは非常に大きな政治問題でございますので、私どもとしていつごろにそういうことが実現するのかということについての考え方を申し上げるような段階ではないと考えておるわけでございます。そこで、いろいろ新聞等でも、たとえば総理が訪米されるとかいうようなことを間接的に伺っておりますので、そういうことによりまして、いろいろ具体的に進行してまいる、その進行とにらみ合わせながら私どもの勉強なり検討も進めてまいらなければならない、こういう気持ちでおるわけでございます。
○中谷委員 次に、最高裁判所にお尋ねしたいと思うのですが、たとえばサンマ事件などというような有名な事件が沖繩にありまして、すでに局長御存じのとおり、沖繩の裁判官の方は、ああいう施政権下において、沖繩県民の人権擁護のために非常に努力しておられるわけです。ただ、沖繩の裁判官は、御承知のとおり、終身制でございますね。まさに沖繩と本土の裁判官との間の身分、制度等違いますが、私は真の本土・沖繩の一体化ということであるならば、単に沖繩の裁判官の研修をしていただくとかあるいは本土の裁判官が沖繩で研修のために講師で行かれるとかいうことを越えて、本土の裁判官の中に、いろいろな身分的な問題はありますけれども、こういうことは当然将来解消する問題なんですから、ひとつ沖繩の裁判官として沖繩の司法制度の発展と申しますか、整備のために御努力になるというふうなことも検討されていいのではないか。何か身分制度の壁があるために、非常にこの点についてはそういうふうな話も聞いておりませんが、総務局長、この点についてはいかがでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 いま中谷委員のお話の点も、非常にむずかしい問題であり、また重要かつデリケートな問題と存ずるわけでございます。そこで、いろいろな法的な問題もございますが、実際問題としてこちらの裁判官が向こうのほうに参るというようなことも、いろいろ検討の材料にもなっておるわけでございますが、ただ何ぶん現状のような状況では、これはいろいろそこに隘路があるわけでございます。むろん将来復帰いたしますれば、その点はもう私どもも全力をあげて沖繩の司法制度がうまくいくように、また現在の裁判官の方々の地位もそれほどお気の毒にならないように、いろいろな面から検討しなければならないということでもございますが、一体化と申しましても、何と申しましても、司法というものは御承知のように非常に重要な、かつデリケートな問題でございますので、そう行政の一体化のようになかなかいきにくい面もあるわけでございます。しかしながら、そういう面で今後ともできる限りの御協力と申しますか、私どもとしてもできる限りのことはいたさなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
○中谷委員 法務省はいかがでしょうか。官房長にお尋ねいたしましょうか。これはやはり身分上の問題はありますが、要するに一応本土の検察官を退任することになるわけでございましょうね、結局沖繩の検察官におなりになるとすると。というふうな問題になると思いますけれども、やはり一体化なり公正な検察の運営というふうなことは、予算あるいは資材というふうなこと以上に、人の問題だと思うのです。そういうような問題について、私はそろそろ検討をさるべき時期に来ているのではないかと思うのです。南通、いわゆる南方連絡事務所等に各省から出向いたしておりますけれども、司法はそういうふうに出向というわけにはまいらない、そういう点、ひとつ法務省として前向きに勇気を持って、やりがいのある仕事だと思いますが、御検討になり、またそういうことをおやりになる検察官が出てこられてもいいのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
○辻政府委員 ただいま御指摘の問題、たいへん重要かつ微妙な問題を含んでおると思うのでございます。先ほど政務次官がお答えいたしましたような状況で、法務省は検討の心がまえではおる段階でございますが、まだ具体的にどうこうするという段階には達しておりません。ただ、先ほど最高裁の総務局長が答弁いたしましたように、法務省におきましても、現段階におきましてはこちらから現在向こうの検察庁の職員の研修に行くとか、あるいは向こうからもこちらからの研修に参加するというようなことは、おいおいひんぱんに行なわれておりまして、現段階におきましては、沖繩の検察庁職員の技量のレベルアップという点については、たいへん目ざましい状況になっておる、かように考えておる次第でございます。
○中谷委員 じゃ、次の質問に移りたいと思います。 すでに資料として、昭和四十二年度における刑事事件の一般受理件数等についての資料はいただいておりますが、学生に対する大量起訴、ことに安田講堂事件等における大量起訴というものをかかえまして、特に大学紛争が激発しておる京都、東京、そうして大阪、その地方裁判所の問題というのは、緊急な問題ではないかと思うのです。そこで、資料的に事実関係をお聞きしたいと思いますが、現在東京地方裁判所には、いわゆる学生事件というのは何件係属しているでしょうか。ほぼ何件でしょうか。大阪はどうでしょうか。京都はいかがでしょうか。それをまずお答えいただきたいと思います。
○佐藤最高裁判所長官代理者 東京を申し上げます。三月十五日現在で、東京には千一件、これは既済は除いてございます。現在係属している数が千一でございます。それから大阪地方裁判所が、九十四件でございます。京都が二十四件。その程度でよろしゅうございますか。
○中谷委員 そうすると、昭和四十二年度を一つの例におとりいただきたいと思うのですが、昭和四十二年における刑事の一般事件、こういうふうな受理件数ということで、落ちているのと係属しているのとがはっきりしませんが、昭和四十二年当時においては、東京地方裁判所では係属している事件というのは何件くらいあったわけですか。四十三年度はどの程度あったわけですか。結局学生の事件によってどれだけふえてきたかということを知りたいわけなんです。そういうことをひとつお答えいただきたい。
○佐藤最高裁判所長官代理者 御質問の御趣旨に沿う資料を実は持ってまいらないのでございますので、正確にはお答えできませんが、一般的に申しますと、刑事事件の受理というものは、逐年若干ずつ少なくなっていくという傾向でございます。そこにもってまいりましてこのような学生の大量の起訴があったということで、減少傾向と差し引き考えましても、やはりこれはこの種の事件のために裁判所の係属事件というものはふえている、こういうふうに見ざるを得ないのではないか、少なくとも現時点におきまして、でございます。かように考えます。
○中谷委員 そうすると、先ほどの東京地方裁判所の千一件というのは、未済、既済を含めて御答弁になったのでしょうか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 未済のみ申し上げました。既済は除きました。
○中谷委員 未済だけが千一件あるということでございますね。そういたしますと、これは見通しなんですが、東京地方裁判所のこの学生事件についての単なる見通しでけっこうですが、昭和四十年は刑事事件についての平均審理期間が五・七カ月、昭和四十一年、五・六カ月、昭和四十三年、五・三カ月、という資料をいただきましたが、このいわゆる学生事件の審理に要する期間というものは、どの程度と想像すればいいのでしょうか。いわゆる公安事件の——公安事件ということばをはたして裁判所でお使いになっているかどうか、私非常に疑問を持っているのです。また、裁判所が公安事件ということばをお使いになることはいいのかどうか問題があると思うのですが、いわゆるというふうに申し上げます。いわゆる公安事件というものの審理期間というものは、大体どの程度かかっているのでしょうか。そういう参考資料はございますか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 ちょっとお待ちを願います。資料を見ます。これは直接私どもいわゆる公安事件ということでとりました資料はないのでございまするが、よく言われます、長引く傾向のある、こういうことであえて対比いたしますと、それは一つはいわゆる公職選挙法の違反の事件があるわけでございます。それが被告人一人当たりが十三・一カ月くらいの平均の審理期間ということで、仰せのようないわゆる公安事件でございますると、どうしても争いがシャープに対立するという関係を前提にしてみますると、このような長引く傾向があるというふうに思いますので、直接の資料はございませんが、いま申し上げました十三・一カ月の公職選挙法の事件、こういうものが一つ参考になるのではないか、かように考えます。
○中谷委員 では、参考にして私もお尋ねをしていきたいと思います。そうすると、一般の審理期間のほぼ三倍弱ということになってくる。それだけの審理日数もかかっているわけでございますね。ただ事件を受理して落ちてしまうまで十三・何がし、審理回数も、それだけに三倍程度あると見てほぼいいと思う。そうすると、千件学生の事件が係属をしているということは、一般事件というふうな言い方がいいかどうかは別として、大体ほかの事件については、審理日数からいっても三千件ほかの事件がふえたと同じことだというふうな見方だってできるではないかというふうな感じがいたしますが、こういうふうな見方は、一応の見方としては成り立ちますかどうか、いかがでしょうか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 これも一つの数字上の問題ではございまするが、普通の事件の審理期間より長いのだという前提で考えますると、仰せのようなことも一つ考えられるかと思います。
○中谷委員 そこで、これは公安委員長の荒木さんにきょうおいでいただいたらよかったかと思うのですが、いずれにしても、学生の大学紛争の見通しというのは、なおとにかく激化していくだろうということ。そうすると、東京地方裁判所などに対する起訴というものも、さらにふえてくる。現在未済の千一件がさらにふえる可能性というものは、目に見えている。だとすると、これは端的に私はお答えをいただきたいと思うのですけれども、東京地方裁判所の刑事部で、大学関係の処理というのは、現状の千件という事件が、これは非常に困難な事件ですね。この現状で、スムーズな全体としてのその余の事件を含めたところの審理は可能な状態なのかどうか、この点いかがでしょうか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 仰せの数字は、現有勢力のもとでどうだということかと思いますが、現在東京地方裁判所の刑事部の裁判官は百名でございますが、そのままの状態でこの千件という事件も含めて処理することがどうかという問題になろうかと思いますが、それは端的に申し上げまして、非常に困難であるということだろうと思います。そこで現在、今年に入りまして発生しましたいわゆる東大事件でございますね、これをどういう形で処理していくかということにつきまして、担当弁護団と協議が重ねられておるということでございますが、それでその審理の形態というようなことも考慮に入れてまたこの問題は考えていかなければならないと存ずるのでございまして、私どもとしましても、この東大事件の五百三十八人でございますが、五百三十八名がどういう姿で今後審理されていくのかということで、その方針が定まることを実は見詰めているということでございます。
○中谷委員 刑事局長はもちろん非常に御専門なんですけれども、見詰めてはおられるのですけれども、けっこうなんですが、千件で、かりにことし、来年にかけてさらに大量起訴というようなことで千件が二千件近くなったというふうな場合には、一体これは事実上どうなるのでしょうか。それは仮定の問題ですし、そういうことがないことを望みますが、この千件という——安田講堂の事件でございますね、五百何件というのは。それを含めた千件という事件が、東京地裁に係属をしてきた。現有の裁判官で各刑事部に事件を割り当ててこれを処理していく、こういう御方針なんですか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 その問題でございますが、東大事件の五百三十八名、これの処理方針というものが近く定まると思いますが、その場合に、これをも含めましてこの種事件の処理ということにつきましては、おそらく現有勢力では相当無理ではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。そこで、しからばどのくらいこれに応援の体制をとったらいいかという問題が、次にまいると思います。それは応援をどのくらいとったらいいか、またどのぐらいできるかという問題とうらはらにもなるわけでございますが、そればこの五百三十八名の審理の方針と申しますか、それとまた密接な関係を持ってまいるわけでございまして、東京地裁のほうでその五百三十八名の審理の方針を立て、これをも含めた千件あまりの処理というものをどうしたらいいかということの案を立てることに照応いたしまして、私どもはその応援体制をとるということを考えていく、こういうつもりでいるわけでございます。
○中谷委員 審理は直接裁判官がおきめになることですが、考えられる審理の方針というようなものは、どんなものがあるでしょうか。最高裁として考える審理の方針というものについて——審理の方針というか、審理のやり方でございますね、というふうにお聞きしてもいいと思うのですが、どういうふうなことを審理の方針ということの中でお考えになっておられるのか、考えられる審理の方針は何か、こういうお尋ねをいたします。
○佐藤最高裁判所長官代理者 一番徹底して考える一つの考え方は、個別的に、起訴されております一名ずつ。ですから、それを個別的に審理していくということが、一つ考えられるわけでございます。それからもう一つは、これはグルーブに分けて、つまり訴訟指揮の関係、それから秩序維持の関係も見まして、一裁判機関で処理できる限度はどのくらいかということのほうからグループ分けをしていくということも、一つ考えられるわけでございますし、グループ分けのもう一つの基準といたしまして、共通な要素に従いまして、たとえば発生いたしました場所とかそういうものが同じであるとか、そういうような基準というようなものを一つ考えまして、それを基準としてグループ分けを考えていくということがあろうかと思います。東大事件以外の場合には、いま申し上げましたようなグループ分け、場所とかそれから時間とか、そういうようなことを一つの基準にいたしましてグループ分けをしていくというようなことが行なわれまして、またそのとおり審理が進んできているということが一つあるわけでございまして、東大事件においてどのようなことが考えられるかという御質問に対しましては、以上のようなことが考えられるのではないか、抽象的ではございますが、そう思っております。
○中谷委員 訴訟促進という観点から見て、個別的グループ分け、それからその他の方法、要するに統一裁判というふうなこともいわれておりますね。そういうふうな訴訟促進という観点から見て、従来のいろいろなこういう大量起訴の事件の教訓というものを、われわれは戦後二十何年かの間にかなり持ちましたが、どういう方法が適切であるか。いろいろな事件の個々の性格等もありますが、最高裁としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 まことに仰せのとおりでございまして、訴訟の構造ということを考えますと、証人審問権とかいうこと、したがいまして書証というものは当然には証拠にならないというようなことのほうから考えてみますと、一番徹底したのは、個別的なる一人一人の審理とも言えるわけでございます。英米などでは、むしろ弁護人のほうからそういう分離の要求が出てくるという現象らしゅうございますが、ただ今度量刑等の統一というような要請を考えますと、先ほど申し上げましたような場所的、時間的な基準というものをこしらえまして、そこでグループ分けをしていくということが、また一つ出てくるわとでございます。従前メーデーの統一公判というものに対しては、いろいろな反省が御承知のとおりあるわけでございまして、少なくともメーデーの二の舞いをしないようにということが、強くいわれているわけでございます。統一公判あるいは併合ということが、必ずしも当該被告人にとって利益であるかどうかということを、もう一ぺんこの際やはり考えてみなければいけないのじゃないかということもいわれているわけでございますので、非常に極端なことで言えば、個別、それからグルーブ分けということでございますが、そこには結局かね合いということが入りますので、現実の姿としましては、すべて個別で一人一人やっていくということがいいのか、ある程度グループ分けして併合してやっていくのがいいかというようなことが、実際的には問題になる、検討の対象になるというふうに考えるわけでございます。
○中谷委員 現在学生の事件が千件係属しておるのですが、かりにあと五百件学生の事件が係属したというような場合に、東京地裁として、率直に、いわゆる現状で刑事部としては機能を保ち得るのかどうか、国民の裁判所としての機能を保ち得るのかどうか。いわゆる俗なことばで言えば、お手あげの状態にあるのじゃないか、このことを私は憂えますが、これはいかがでしょうか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 私自身そのことを非常に憂えるわけでございます。刑事事件の処理を刑事部だけで、現有勢力でやるということについては、非常にそうなりますると困難であるということになります。でございますから、たとえば令状のほうの処理は民事の裁判官の応援を求めるということも、場合によっては考えなければならない。地方の裁判所、もっと小規模な裁判所におきましては、もうすでにそういうことが行なわれております。それから、さらには簡易裁判所の裁判官に令状のほうを担当してもらう。これも地方の小さな裁判所ではすでに行なわれておるわけでございます。ですから、民、刑を総合した東京地方裁判所というもので考えなければならない問題、さらに東京地方裁判所の属しまする東京高等裁判所の管内において、他の裁判所から応援するということは、当然次に出てくる問題でございます。さらに、それでもまかない切れないというようなことに相なりますれば、全国的なレベルにおいて支援体制をとるということも考えていく、かような段階で支援体制というものは考えられると思っておるわけでございます。
○中谷委員 総務局長にお尋ねをいたしますが、学生の事件が千件係属している。そのことが、東京地方裁判所の刑事事件全体の審理期間をどの程度遅延させるだろうかというふうな一つの予測でございますね。それからかりに千件にプラスアルファして五百件係属してきた場合、千五百件になった場合、それはどの程度審理が遅延するだろうか。そしてこれ以上審理が遅延するというようなことであれば、もはや裁判所としてはいわゆる国民の期待にこたえられないということであれば、もうとにかく何らかの手を打たなければいかぬという、そういう予測に立たなければいかぬ深刻な事態に来ていると私は思うのですが、そういう予測をお立てになっておるでしょうか。そういう点を憂慮して、そういう点を見通しておられるでしょうか、いかがでしょう。
○寺田最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、非常な問題の点でございますが、ただ千件という、その件数だけから申し上げますと、お手元の資料にもございますとおり、地方裁判所の刑事の第一審事件は八万件からあるわけでございますから、その八万件の中に千件ふえてみても、それは大勢に影響ないとも言えるわけでございます。しかし、むろんそういうものではないことは、重々承知しておるわけでございます。しかしながら、先ほど来刑事局長からもるる御説明申し上げましたとおり、このたとえば安田講堂の事件一つをとりましても、これが一体どういう審理の形になってまいるのか、これは私も直接の所管でございませんから、主として新聞で見ておる、あるいは刑事局長から聞いておるだけでございますけれども、すでに数人の人が判決になっておることは、もうすでに新聞に出ておるようでございます。そういう事実もあるようでございます。でございますから、安田講堂事件といっても、必ずしもそれが裁判所の負担に非常なウエートをもってかかってくると限ったものでもないわけでございます。しかしながら、むろん相当な部分はこれに相当な勢力をそがなければならないような形になるであろう。しかし、その場合に、一体これがどの程度負担増になってくるかということは、先ほど来刑事局長からるる御説明申し上げておりますとおり、どういう審理の形になってまいるのかということとも、きわめて密接な関係があるわけでございます。一番極端な例として、刑事局長申しております個々にやる場合、逆に全部一まとめにする場合、そういうことの形によりましては、場合によって他の裁判官の負担にそう響かないという形になる場合もあり得るわけであります。そういうことはむろん好ましいことではございませんので、何とかして、公正でなければならないけれども、迅速にやるような審理方式で進められますことを私期待いたしておりますし、また、現にその線で地裁当局は弁護団等ともいろいろお話しになっているようにも伺っているわけであります。そういう形がどうなってまいるかによって、東京地裁の受けますところの事務負担量というものが、やはりいろいろな形で変わってまいるわけでございます。ただ、私どもはどういう形になりましても、これに対して万全の支援体制、人的、物的、いろいろな意味で万全の支援体制をしがなければならないということは、事務総局としてかたく申し合わしているわけでございます。しかしながら、具体的な方法等は、何といいましても地裁当局が鋭意やっておられる段階でございますので、これを先ほど刑事局長が申しましたとおり見詰めまして、その方向とあわせて私どもなりに善処してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○中谷委員 憂慮するわけです。ただ、大学紛争による大量起訴というのは、当然昨年の年末からことしの初めにかけて予想せられたことでございますね。そういうふうなことについて、最高裁判所は大蔵省との交渉の中で、東京地裁にまかせてあるのだというかっこうですね。当然こういうことになれば、東京地裁は、非常に俗なことばを使いますが、お手あげの形になる。あとで質問いたしますけれども、応援というのは私反対なんですよ、よその裁判所でも忙しいのですから。和歌山の裁判所から裁判官をとられるということは、とんでもないことだと思います。私は、所管がえなんということは、たいへん困ると思うのです。そういうことを大蔵省との折衝の中でおやりにならなかったのですか。先ほどの局長のお話を聞いておりますと、人ごとのような話でして、当然東京地裁としては、極端な労働過重と訴訟の遅延がくることが目に見えていることなんです。そういうことを交渉されたか。今度の定員法の裁判所の御要求になった案は、どういうことだったのでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 私の先ほどの御説明、多少中谷委員の御指摘の点とずれておったようでございまして、まことに申しわけないわけでございますが、私は現段階の事務総局としてこまかい説明を申し上げたつもりでございまして、予算要求の問題でございますが、これは実は私、去年の八月以降予算折衝をいたします段階に、こういう大学問題が起こり、また大量の検挙をされ、起訴になるという予想は、必ずしもいたしておりません。しかしながら、そういうことは別といたしましても、御承知のとおり、裁判所には非常に大きな事件が係属いたしておりますし、そしてまた具体的に東大とか何とかということを離れまして、いろいろな社会情勢から見て、これは民事事件といい、刑事事件といい、やはり増加の傾向にあるということを十分念頭に置き、ま現在においてすでに負担が過重であるということも念頭に置いて、裁判官の増員あるいは一般職の職員の増強を要求してまいったわけでございます。むろんその点は非常に強硬に内閣とも折衝いたしたわけでございます。この点は実は前々からも御説明申し上げておるわけでございますが、内閣におかれても、少なくとも裁判官及びこれに伴う、補助職員、書記官あるいは家裁調査官、こういうものの増員の必要ということは、私どもとしては相当に御認識していただいておるというふうに考えるわけでございます。ただ、それにもかかわりませず、御期待に沿える程度の増員が入ってまいりません一番大きな原因は、やはり供給源ということにあるわけでございます。本年の場合も、要求いたしましたのは、ここに計上されております判事十五人というよりはもう少し大きい数字で要求していろいろやったわけでございますが、やっております過程に、いろいろ給源その他を詰めてまいりますと、結局判事の場合には十五人程度よりやむを得ないということで、いわば自発的にこれはある程度縮減せざるを得なかったわけでございまして、そういう点ではまことに不本意でございますけれども、これは何と申しましても、中谷委員御承知のように、弁護士からでも大量にお入れいただくという状況が出ますれば別でございますが、そうなりません限りは、やはり判事補から判事になってまいるというところが、現在では主たる給源でございまして、これにはおのずから十年間という制約もございまして、手っ取り早く間に合いませんので、いろいろいたしました結果、こういう数字になってまいっておるわけで、そういう点では、本来は、もし給源がありますならば、もう少し多い増員が望ましいということに考えておるわけでございます。
○中谷委員 特に今度のいわゆる東大事件の中で問題になるのは、勾留理由開示の請求、三百七十二人の被告人の諸君が申し立てたというようなことが報ぜられています。勾留理由開示については刑事局長のほうから一応御説明をいただきたいと思いますが、法によって勾留理由開示の申し立てがありまして、勾留理由開示をしなければならない期日というか、いつまでにということは明確に法に規定されておりますね。そういうことが、ごく例外の場合にそのことが守られなくてもいいというようなことのようですけれども、そういうふうなことは勾留理由開示の性格からいっても、私は非常に遺憾なことだと思うのです。一体こういうふうな勾留理由開示というのは、本来憲法にも定められている基本的な権利でもあります。それについて、法が予想しなかったというようなわけには、私はいかないだろうと思うのです。この点について、まず御所見を承りたいのですが、どういうことでございましょうか。現実に勾留理由開示の法に規定された期日内に勾留理由開示が行なわれているように私は承知いたしておりませんが、これについてはどうでしょう。
○佐藤最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、勾留理由開示の請求がございますと、理由の開示をすべき期日とその請求があった日との間には五日以上を置くことはできないということが原則でございます。ただしやむを得ない事情があるときにはこの限りでない、こういうことになっているわけでございます。でございまするから、仰せのとおり、できる限り請求があれば開示をするということがもちろん好ましい姿であるということであるわけでございます。
○中谷委員 具体的にはまさにやむを得ない場合に当たるのかどうかは別として、この勾留理由開示については、具体的にどういうふうに処理されているのでしょうか。 〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
○佐藤最高裁判所長官代理者 御質問の趣旨は、今回大量に請求がありました開示のことであろうと存じますが、三月の十三日から三月の十五日までに三百八十四人の開示の請求がございました。これをこの請求を受けまして、東京地裁といたしましては、開示に当たる裁判官は勾留状を発した裁判官が当たるという原則に従いまして処理する。それからなお、抱置所からの護送の問題ということが現実にございますので、それの制約も考えなければならぬ。さらに、法廷をそのために確保しなければならないのでございますので、できる限り在宅等の事件の期日を変更いたしまして法廷を用意しなければならぬということになりまして、十の法廷を使う。そうしてほぼ一日三十人くらいずつ十の法廷を使ってこれを行なうという方針を立てました。請求を受けましてからそういう体制をとるというまでに、日時を要したという事実はございます。そうして本日の午前から開示を始めておるという状況でございます。
○中谷委員 そこで、私は、この機会に次のようなことをお聞きしたいのです。勾留理由開示については、たしか刑事訴訟法が改正になりまして、勾留理由開示の意見陳述の時間だとか何かで、ずいぶん弁護人から見ると非常に迷惑な規定と私あえて申し上げたいのですが、できました。そして裁判官の中には勾留理由開示をあまり好まれない方もおられて、大きな目ざまし時計のようなものを持ち込まれておるというような裁判官も中におられるわけなんですが、しかし、現実に事実上勾留理由開示というのは、勾留の理由の開示を明確にされるという法の趣旨に従ったものですから、現実には勾留理由開示については、どの程度の時間が従来までの勾留理由開示については使われているでしょうか。たとえば、午前中から始めてあくる日まで二日間、二期目勾留理由開示の時間に使ったというような例も聞かないではありません。そういうようなのは、法のいわゆる規定から見ますとおかしいではないかということにもなるのでしょうけれども、そういう場合も裁判官のお立場としてはあり得るだろうし、また弁護人が——私なとが弁護人として勾留理由の開示の裁判をやった場合、たいてい三時間や四時間は勾留理由開示の時間として、裁判所で勾留理由開示についての真剣な御審理をしていただいたということだと思うのです。そうしますと、訴訟の促進というふうなことの中で、たとえば、この三百七十名を上回る勾留理由開示については、法の規定どおりやるのだ。従前は三時間くらい勾留理由開示のために使っておったのを、今度はほんとうに規定どおりやるのだというかっこうでおやりになるということについては、訴訟促進ということばによって非常に審理が強行される。要するに、逆にいいますと、その点において被疑者、被告人の権利が守られないおそれが出てくるのではないかと私は思う。訴訟の促進というのは、本来言うまでもなく被告人の人権を守るための大きな要請だろうと思いますし、そうだとすれば、一そう実質的な審理を受ける、より真実を発見してもらうということが、より一そうまた被告人の立場から言うところの裁判所に対する要請だろうと私は思うのです。そういうような点で、実際事実上きのうから行なわれた勾留理由開示については、どんな状況なんでしょうか。何か従前の勾留理由開示と違って、それこそ規定どおりに、もうわずかの時間で勾留理由開示が終わってしまうというようなことが行なわれているのではないでしょうか。この点いかがでしょうか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 本日から行なわれました開示については、具体的な事情を詳しくはまだ承知しておりませんが、弁護人がつかれて行ないました開示につきまして、これは被告人一名、弁護人一名でございますが、その開示法廷が四十分くらい時間を要したということをちょっと先ほど聞いたのでございます。それで、おそらくそのくらいの時間が使われているのではないか、こういうふうに推測いたしておるわけでございます。
○中谷委員 これは私は何べんも当委員会において発言をいたしましたが、学生の暴力行為というものを容認するものではない、また、学生の暴力行為というようなものは、どのような立場においても排撃さるべきだということを発言をしてまいりましたけれども、同時に、何か暴力学生だということによって、その学生の基本的な権利というものが奪われるというようなことがあってはならないということで、従前から機動隊の違法警備等の問題について発言をしてまいりました。 実はこれは誤裁判の問題にも関係をしますけれども、一つ看過することのできない記事を私は見ましたので、二十八日に国政調査がありますので、ひとつそれまでに最高裁においても御調査をいただきたい。裁判について国政調査が及ぶというようなことは決して考えておりませんけれども、この事実関係をひとつ御調査いただきたいと思うのです。朝日ジャーナルの三月二十三日号の「成田裁判の意図するもの」という、(千葉拘置所で、三里塚闘争被告団)というカッコづきで、鈴木建夫君という人が次のような投書を朝日ジャーナル一三二ページに出しております。どういうことかと申しますと、「二月二四、二五日千葉地裁で」——三里塚空港反対闘争で起訴された人だそうです。それでその鈴木という人と、もう一人の同僚のSという被告が「電車の遅れもあって一〇時一五分ごろ、地裁へ着いた。すでにそこにはおびただしい私服刑事が張込んでいた。開廷時間は少し過ぎたが、「いま、弁護士が裁判所の許可で別件で拘置中のS被告に接見中だ」というので、弁護士がいなくては法廷は始らないし、そのうち連絡があるだろうと待っていた。裁判所がマイクで呼びかけたので、ようすを見にいこうとした。その矢先だった。五、六人の私服刑事が私をとり囲み、手錠をかけ、無理やり地裁の地下の一室に連行した。」以下略しますけれども、要するに、「保釈条件に違反したので保釈金一五万円を役収し、」云々という決定を受けたということでございます。そこで、この点については、準抗告の申し立て等がすでに出ているようであります。けれども、これは裁判所の裁判官の決定にかかわる事項でありまするけれども、この投書の範囲から見ますと、とにかく十五分おくれた、そうして弁護士が別の事件について面会をしておるというので法廷に入れなかった。そうすると何か遅刻したというので、保釈条件違反だということで取り消した。当時から私服の方も非常にたくさん来ておったということで、異常なできごとだと私は思うのです。そういうことですから、私は、何も国政調査として裁判所の裁判官の決定についてとやかく申すわけではありませんけれども、見のがすことができないことだと思うので、この事実関係をぜひお調べをいただきたい、これをひとつお願いをいたしておきます。お調べいただけるかどうか、ひとつ御答弁をいただきたい。
○佐藤最高裁判所長官代理者 承知いたしました。
○中谷委員 そこで総務局長さんにお尋ねをいたしますが、東京地裁の問題はさることながら、いわゆる書記官の労働量というのは一体どの程度が適切なのかとか、現在の全国の書記官の疲労度というのはどの程度なのだろうかということについて、科学的な御調査というものがあってしかるべきだと私は思うのですが、そういう点についてひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。率直に申しまして、たくさんの役所がありますけれども、私は、裁判所の職員ほどよく働いている職員はないと思っているのです。ですから、そういう疲労度というようなことをやはり測定をしていただくことが、私は、書記官諸君の生活権の擁護というか、地位の向上にもつながってくる問題だと思う。こういう点についての御調査は、いつごろどういうかっこうでおやりになりましたか、お答えをいただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 書記官の事務量がどのくらいが適正であるかという問題は、科学的にやりますということもなかなかむずかしい問題でございます。たとえば戦前と比較するというようなことでございますと、比較的比較が容易でございますけれども、これは少し妥当でないので、戦前は非常に労働過重の場合もあったようにも聞いておりますので、そういうものと比較するということはなかなかむずかしいかと思います。数年前に、最高裁としてのある程度の実態の調査をいたしたことがございます。いまそのこまかい資料をここに持ってきておりませんけれども、ただ私どもとしては、要するに事件の増というものがどういうふうになってまいっておるか、それによって平均負担件数というものがどうなっているかということを、絶えず見てはおるわけであります。そういたしましてその負担件数というものの動きをにらんではおるわけでございます。ただ同時に、一方増員というような問題になりますと、これは裁判官とある程度一つのセットをなすものでございます。端的に申し上げまして、やはり裁判官がふえますれば、それだけ事件の進行も早くなり、訴訟も促進され、したがって書記官の諸君の労働も激しくならざるを得ない、それで増員も必要になる、こういうような因果関係があるわけでございます。かりに事件がふえましても裁判官がふえませんと、特に民事事件のような場合には、御承知のように次回期日が非常に先になる、そうしてつまり事件がおくれるということになるわけでございまして、事件がふえたということだけが直ちに書記官の事務量と結びつくわけでもないわけでございます。事件の回転が悪くなる、訴訟が遅延する、したがって国民に御迷惑をかける、こういうことでございますので、一般的には書記官の事務量の調査ということもさることながら、裁判官の増員というものとにらみ合わせながら書記官の増員をはかっているというのが、実際の実情でございます。
○中谷委員 ちょっと私と観点が違いますね。私のほうは、書記官の労働量といいますか、その労働に基づく疲労度、そういうものをやはり科学的に調査をすべき段階に来ているのではないか、こういう提案であります。ことに私は、全国の書記官の中にも、そういうことに協力してくれる人はずいぶんいると思うのです。公害、交通難、それから騒音、住宅難というような非常に悪い生活環境の中で生活している、そうして役所に行って非常に強度な労働に従事をする。公害とか交通難というようなものは、すべての国民が負うておる被害かもしれませんけれども、裁判所の書記官の諸君がそういう中でどれだけ疲労しているのだろうかというふうなことは、国立の衛生研究所その他等もあるわけなのですから、そういう点について、疲労度というようなことも私は増員につながっていくと思うのですが、これはぜひひとつお取り上げいただけませんでしょうか。そういうことは、団体交渉とかなんとかいうかっこうで組合と当局との間でおやりになるのじゃなしに、私は、むしろ裁判所の職員の労働条件の向上というものを考える立場から、これはひとつ提案をいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは従来も、いわゆる定期検診というふうな機会にいろいろ医者にその状況を調査させまして、その結果に基づいてやっておるわけでございますが、ただいま中谷委員の御提案は、さらにもう少し突き進んだ御提案のようでございます。これは直接には人事局の所管かと思いますが、十分に人事局とも打ち合わせまして、いまのお話しのようなことについて、何らかの方法を検討してまいりたいと存じます。
○中谷委員 要するに、最近ふえておるのは、病人じゃない不健康な人というのがふえておるわけなのでございますね。それが私、非常に裁判官の中にも多いと思うのです。書記官の方でも、検診をすれば、別に結核でもないけれども、不健康という人がふえている。そういうふうなことが、長い間に命を縮めている。だから、いままでの裁判官にしろ、書記官の方にしても、ずいぶん長生きされたけれども、私は、こういう状態が続いたら、あまり長生きができないのじゃないかというくらいに思っているわけです、長期展望の上に立って。ですから、そういう点に立っての疲労度の調査ということは、別に膨大な何百万という予算も要るものではないわけですから、ことに東京とか大阪とか和歌山とかというふうな、特に事件がふくそうしておるような裁判所をおとりになって、そういう調査をぜひされることを私はあらためてお答えをいただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 その点、十分人事局と打ち合わせいたしたいと存じます。
○中谷委員 そこで、書記官の問題なんですけれども、人事局はおいでになっておられないわけですね。そうすると、どなたでもけっこうですが、お尋ねいたしたいと思いますのは、書記官の資格をお持ちになって、そうして現実に事務官としてのお仕事をしている、こういう方は、現在どのくらいおられるでしょうか。 〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕
○寺田最高裁判所長官代理者 私、手元にちょっといま数字を持っておりませんが、まあ御承知のとおり、裁判所の仕事というものは、非常に法律的な仕事でございますので、書記官の資格を持った者に事務局の仕事を担当してもらうことも必要な場合もございまして、そういう関係で事務局の中に書記官の有資格者がおることは間違いございません。ただ、ちょっといま数字は手元に持っていないということでございます。
○中谷委員 そこで、裁判官の給源の問題というのは非常に困難な問題があると思うのでございますけれども、裁判所の事務官という方は、もうこれも非常に特殊なお仕事をしておられると思うのですけれども、事務官の方の場合は、他から求めようと思えば、書記官を他から求めるに比して、困難の度合いは私はかなり低いと思うのです。そうすると、これだけ書記官が足らないということになってまいりますと、書記官の資格を持っている事務官を書記官として配属というか、もう一度書記官としての仕事をしてもらう、そういうふうなことは、この段階においてお考えになるべきではないかというふうなことを私自身も感じますが、いかがでございましょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、給源の問題は、裁判官について一番困難でございまして、それに比べますれば、書記官の場合は幾らか容易でございますし、また、事務官の場合は、書記官に比べてさらに比較的容易だということになろうと思います。確かに御提案のような、現在の事務官有資格者を書記官のほうへ回して、事務官を埋めるということも一つの方法だと思います。ただ、従来、書記官の増員というものは、一応裁判官とセットして、つまり裁判官の増員と並行してふやす、こういう形をとってまいっておるわけでございます。つまり裁判官の単純なる補助職ではございませんけれども、裁判官と書記官とで一つの部を構成する、一つの裁判体を構成する、こういうことになっておりますので、裁判官と切り離して書記官だけの増員をするということは、従来やってまいっていないわけでございます。そういうところに一つの問題がございますが、いまの御提案の点については、十分検討してまいりたいと考えております。
○中谷委員 それから速記官の問題について私御質問したいと思うのですけれども、速記官制度といいますのが発足をしてから、もうすでに定着をいたしましたけれども、まだ取り入れて日が浅いと言ってもいいと思うのですが、この速記官の諸君と話をしてみた場合、自分の将来についての非常な不安というのを持っていると思うのです。当然のことだと思うのですね。たまたま国会の速記の方のおられる前で恐縮ですけれども、速記の方は、一時間も速記されたことは絶対ない。こんなことは、当然人間的力量の限界としてはとても考えられもしないことです。ところが、機械で事情は違うのかもしれませんけれども、裁判所の速記官の諸君は、ひどいときには三時間くらいぶつ通しで法廷の立ち会いをされているわけですね。そういうようなことが、現実に、いわゆる職業病の発生につながっている。そういうようなことの中で、一体いつまで、四十過ぎてもそういう速記官の仕事がつとまるんだろうか、五十になったら自分はどうなるんだろうかということは、速記官の諸君は不安を感じています。速記官の将来、これらの諸君に希望を与えるための方法というのは、安心して働ける速記官に対する処遇というのは、どういうようなふうにお考えになっているのか、この点はいかがでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 御指摘の問題は、非常に私どもとしても重要な問題としてかねがね検討しておる事項でございます。前段にお話しになりました速記時間の問題でございますが、これは大体私どものいまの考え方では、一週間に二時間ないし三時間、平均いたしますと二時間半余りになるかと思いますが、つまり実際に速記をいたします時間は三時間以内程度というふうに考えまして、その余の時間はそれの反訳というふうに考えておるわけでございます。ただ、その三時間を、いま中谷委員もお話しのように、ぶっ続けてやります場合と、たとえば三十分交代で六回になりますか、そういうふうにいたします場合とでは、疲労度が非常に違うということは申し上げるまでもないことでございます。私自身も、実は、中谷委員よく御承知のとおり、大阪で裁判長をやっておりましたときに、ずっと速記官の諸君と仕事をしてまいったわけでございます。私、そういう点で、常々速記官の諸君に、大体三十分で交代していただく。つまり、たとえば主尋問が終われば、反対尋問は別の速記官にやっていただく。証人が一人終われば、次の証人は別の速記官にやっていただく。こういうことで話をしまして、速記官の方から、そういうふうにしてもらいたいという意見の場合もございますし、また逆に、きょうはいろいろな関係で自分が引き続いてやらしてほしいという申し出のある場合もございます。そういう点で、できる限り速記官の諸君の意見とも調整して、しかしまた訴訟指揮その他の点で差しさわりのないようにしながら進めてまいった経験を持っておるわけでございますが、できることなら、お話のように、なるべくある程度ずつ区切って速記官の諸君にやっていただくことが好ましいということを、私どもとしては、全国の裁判官の各位に、そういうふうに指導、と申しますれば少し強過ぎるかもしれませんが、お願いをしておるわけでございますが、ただこれも、ある程度は裁判官の専権のようなこともございますし、また実際問題として、その日の法廷の状況、あるいは訴訟の進行ぐあい等によって、交代のしにくいこともあるようでございます。しかし、それは万難を排して、やはり交代でやっていただくということが、いろいろな健康維持その他の点から好ましいということで、将来とも——これは前にもたしかこの席で申し上げたかと思いますが、強力にそういう方向に各裁判官にお願いをしてまいりたいと考えておるわけでございます。 それから、そのあとの速記官の将来の待遇の問題でございますが、これは幸いにして、まだいまの諸君が非常に元気な方が多いわけでございますので、そうして級別定数というほうでは、むしろある意味では書記官の諸君から羨望されるような一つの定数になっておる面もあるわけでございます。これは技術者でございますから当然の面もございますが、そういうことで、そういう速記官としての待遇の改善ということについて、今後とも努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○中谷委員 結局週三時間ということは、ある点では意味があるけれども、ある点では意味がなくなっておるのじゃないかと思うのです。要するに、寺田局長さんが寺田裁判長として御審理していらっしゃるときのことを私はよく覚えておりますが、大阪なんかの場合は、なるほど寺田裁判長のもとでそういう交代というものがあったかもしれませんが、速記官のごく少数しかいない、いわゆるその余の地方裁判所ですね、民事のほうでも速記官が入っておる、刑事のほらでも速記官が入っておるというような場合には、そんなことは、とても夢みたいな話で、考えられないわけなんです。というふうなことになってきますと、やはり最高裁としては、個々の裁判官にまかせるのではなしに、速記官としての一日一回の仕事の分量の限度は二十分だとか、あるいは三十分だとかいうふうな限度の基準というものを、私はやはり指示してやっていただかなければいけないと思うのです。国会の速記者の方が何分というのも、これは長い経験の中から、そういうふうなことが人間の能力、それから正確性というふうなものの中から出てきた制度だろうと私は思うのですが、速記官については全然そういうことがない。最高裁としては、一体何分までが限度だ、それ以上はとにかくもうむちゃくちゃに仕事しているのだというようなことは、やはり基準というものがなければいかぬと思うのです。三時間も仕事をしているのですから、三十分というようなことをいえばまたかなり訴訟も混乱するでしょうけれども、限度というのはこの程度だということは、この機会に検討をされて指示さるべきではないか。局長は一体どの程度にお考えになっているか。先ほど局長のお話では、三十分が限度だと思われるので交代をさしておったということですが、三十分くらいが限度だということになれば、三時間ということになると、これは非人間的な労働をしいていることになりますが、そういう基準について、もう少し明確にされる意思はございませんか。
○寺田最高裁判所長官代理者 私、先ほど申し上げましたのは、必ずしも三十分が限度という趣旨ではないわけでございます。私はたまたまそういう特殊の事件を担当しておりませんでしたから、普通の事件でございますと、大体三十分もあれば主尋問なら主尋問が終わるわけでございます。国会の場合は話の途中でも自由に随時交代されておるわけでございますが、こういう状況までいきますれば非常にいいわけでございますが、裁判所の場合は、御承知のとおり速記率というものがございまして、いわゆる全部速記ではございませんので、そういう点で、証人の数と速記官の数との関係もございます。したがいまして、途中で交代して自由にやるというほどの余裕はないことは、御承知のとおりでございますしそういうことでございますので、大体主尋問なら主尋問が終わって反対尋問に入るときに交代するとか、あるいは一人の証人が終わったときに交代するというくらいが、一つのめどとして、訴訟の進行にもじゃまにならないし、また同時に速記官の疲労の点でもいいのじゃないか、こういうことでございます。ただ、いろいろ私が聞いております範囲でも、同じ人でも、その日によって違うようでございます。また、証人によりまして——実は私は非常に早口で申しわけないわけでございますが、比較的早口の証人とそうでない場合とでも、やはり速記官の疲労度が違うようでございますしそういう点は、具体的なケース、ケースでやはり裁判官が十分な配慮をすべきものである、かように考えるわけでございます。その限度なり基準というものをきめてはどうか、これは実はある程度会同等の機会にはいろいろ話し合っておるわけでございます。ただしかしながら、これを最高裁からいわば通達で示すとかいうようなことがはたして適当かどうかというところに私どもあれをいたすものでございますから、いろいろそういう方向で十分考えていただきたいというふうにお願いするというような形で従来やってまいっておるわけでございますが、いま中谷委員のお話もございましたので、その点また十分検討して、いろいろ考えてまいりたいと存じております。
○中谷委員 いまの話は、別に裁判所の訴訟指揮とかなんかを干渉するとか影響を与えるお話ではないと私思うのです。ですから、なるほど局長お話しになったように、時間と、それから仕事の翻訳をして、要するに速記を起こして、何ページになるくらいの仕事量かというふうな——要するに早口で言う人とおそ口で言う人というような、いろんな角度からの基準というのは、やはり早急にきめていただきたいと思います。そういうふうな基準をきめるにあたってのいわゆるきめ方というのは、どういうふうにおきめになるのでしょうか。たとえばそれは裁判官の方がそういうことをきめることの適格な資格をお持ちになっているかどうかについて、私、若干疑問があるわけです。疲労度の問題だと思いますから、医学的な知識だとか心理学的な専門的な知識というものは要るのだろうと思いますが、そういう基準をぜひきめていただきたい。それについては検討するというお話ですが、基準をおきめになる点については、どういうふうな段取り、方法でおきめになるかをひとつ御答弁いただきたい。
○寺田最高裁判所長官代理者 御承知のとおり裁判所には裁判所書記官研修所というものがございまして、そこに速記研修部というものがあるわけでございます。その速記研修部では、かなり専門的に速記につきましていろいろな研究をいたしておるわけでございます。教官もおりますし、いろいろ各方面からのデータを集めまして研究いたしておりますので、そういうところと十分打ち合わせをいたしてまいりたい、かような趣旨で先ほど来申し上げておるわけであります。
○中谷委員 これは御答弁は要りませんが、速記官というものを仕事の上で採用して、そういうものが制度化しているというのは、役所としては裁判所だけでございますね。他のたとえば人事院だとかそれから通産省だとか、そういうところには速記官という職種はございませんでしょうね。
○寺田最高裁判所長官代理者 国会がどういうことになっておりますか存じませんが、行政庁ではおそらくないのではないかと思います。
○中谷委員 そこで、新聞にはずいぶん大きく常々報道されます、神戸の地方裁判所で速記官の諸君が職業病になったということで、関西のほうの新聞には非常に悲惨な状態の写真が出ていたのを私は見ました。また、現に公務災害認定等の問題等も、若干起こってきているわけです。だから、私は、この速記官の人のいわゆる書痙病、前にも私発言をいたしましたが、この問題については、裁判所以外に速記宮という職種がないわけだから、いわゆる人権を守るべき裁判所の中で速記官の諸君に職業病が生ずるというようなことは、私は非常に残念なことだし、遺憾なことだと思うわけです。だから、今後こういうふうな職業病防止という観点からも、速記官の疲労度については徹底的な調査、研究を、これはひとつ相当なお金をかけてもやってもらわなければいかぬ、お金をかけてもらわなければならぬ、このように思いますが、この点はぜひともお約束をいただきたい。
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまのお話、御指摘のとおりだと思います。私どもとしても、速記官の中に病人が出ますことは、それが公務災害であるかどうかはそれぞれのケースによって異なると存じますけれども、その点はともかくといたしまして、いずれにしても病人が出るということについては、十分に慎重に考えてまいらなければならないわけでございます。先ほど来健康診断というようなことを申し上げましたのは、実は一般の職員のことで申し上げたわけでございまして、速記官等につきましては、これと切り離しまして特別の調査と申しますか、診断と申しますか、そういうことも数年来やってまいっておるわけでございます。そういう機会にいろいろからだのふぐあいというようなものを発見いたしました例もあるわけでございます。そういう方法も従来とってまいっておるわけでございますが、今後とも健康管理については十分な配慮をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○中谷委員 全司法という組合が実施をした何か四十二年——一昨年ですから資料として古いと思いますが、何かタイピストの人に対して実態調査をしたというようなことがあります。その資料を私入手をいたしましたが、それによりますと、タイピストの人のうち八五・二%が、片腕、目、手首などに何らかの異常を感じているというようなアンケートなのです。だから、私は問題を指摘いたしたいのは、タイピストについては、たとえば銀行だとかその他の役所にもタイピストの方がいるわけだから、この点についてのいわゆる追跡調査というか、職業と職業病との関係というものは、他の役所でもかなり調査をしているのだろうと思うのですが、速記官の問題については、これは裁判所の責任でやらなければやるところがない。これはぜひやってもらいたい。タイピストの問題について私が申し上げたいのは、次の点です。和歌山のことしか知らないけれども、和歌山の裁判所のタイピストなんというものは、ずいぶん判決書を打つので忙しい状態であります。一体事務量という問題で、このタイピストについて、裁判所はどうもよその役所に比べて忙し過ぎるんじゃないかと思いますが、一体どの程度の枚数をもって事務量としてお考えになっているのか。その他、要するに各職種についてそういった適正な事務量というものを、ひとつ別の機会にでも、明確にしていただきたいと思いますが、タイピストについてはどうですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 タイピストにつきましては、大体一日八枚程度ということを基準にいたしております。これはほかの方面の民間なり官庁と比へまして、大体見合った数字——民間におきましてはもう少し多いところもあるようでございますが一と考えております。
○中谷委員 ちょっと、聞き間違いじゃないでしょうか。一日八枚——何字で一日八枚ですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 打ち上がりの紙でございます。つまり原稿ではございません、打ち上がりの紙としてでございます。
○中谷委員 こまかい話になりましたが、一枚何字ですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 私、字数は正確に存じませんが、普通の和文タイプの一枚の大きさでございます。
○中谷委員 御答弁ですからけっこうですが、それが基準でございますね。ちょっと信じられないほどの——私は、むしろもっと仕事はしているような感じがいたしますが、そうすると、それ以上の仕事をしているということになりますと、オーバーワークということになるわけですね。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは、私自身も現に事務局でタイピストを使用いたしておりますから、よく承知いたしておりますが、事務局の場合などはもう少しよけいに打つ場合もございます。しかし、裁判書きはなかなかむずかしい文章でございますので、事務局とは一律にいかないようでございます。それから時期的に繁閑の差がございましょうし、時によると超過勤務までやってやる場合もございましょうし、そうなりますとかなりの枚数になろうかと思いますが、しかしながら、大まかな基準としてはそう大きな違いはないと考えております。
○中谷委員 あとお尋ねすることは、二つばかりあります。裁判官の宿舎の整備状況についてお答えをいただきたい。と同時に、裁判官の宿舎の整備状況は、私は必ずしもよくないとは思うが、書記官の宿舎についての整備状況は、どうなっているんでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 裁判官の宿舎は、現在全国で約千六百あまりございます。裁判官の総定員員は二千五百でございますから、それとの比率をとりますと六割強くらいかと存じますが裁判官の中にも、自宅を持っておるとかその他で安定しておる者が、約九百弱あるわけでございます。そういう点から申しますと、裁判官に関しましては、数の点では九割近くになっておるわけでございます。ただしかし、これはいわば全国平均をとりました数でございますから、御承知のとおり、ある程度配置定員というものは流動いたしますために、一方で官舎が余っておって他方で官舎が不足するという現象が起こる場合がございます。したがいまして、総数での比較では九割でも、現実にはまださらにもう少し足りないということでございます。それからもう一点、裁判官の官舎に関しましては、戦前のものあるいは戦後の非常に物資の乏しい時代のもの、あるいは非常に資材の不足の時代の小規模のものがございまして、つまり現在の裁判官の宿舎としてはいかにも貧弱であるというものが、実はかなりあるわけでございます。そういう点で、これは一般の住宅政策も同様かと存じますが、裁判所としても、ともかくまず数をそろえようということで大車輪でやってきました関係で、質的な面がややおくれておりまして、現在もっぱら質の向上という点に重点を置いて施策しておるのが実情でございます。 それから次に、一般の職員の宿舎でございますが、これは現在約二千六百あるわけでございます。ただ一般の職員の諸君は、中谷委員つとに御承知のように、比較的転任ということが少なくございます関係で、わりに公団住宅とかあるいは都営住宅、市営住宅というようなものを早い目に手に入れて安定される方が、裁判官に比べてかなり多いわけでございます。そういう点で、一般的な住宅安定者というものがかなり多い数になっておるわけでございまして、そういう点では、その点だけのパーセントから申しますと、これも経理局の調べでは、九割近いということになっておるわけでございます。ただしかし、その安定と申しますものの中に、潜在的ないわば不満を申しますか、本来官舎があるものならばほしいという者もかなりあるわけでございまして、そういう点ではまだまだ相当な数を必要とするというような状況でございます。ただ、現在一年に三百戸近くくらいは一般の職員のために官舎がふえつつありますので、数年のうちには改善されるのではないか、かように考えております。
○中谷委員 年次計画で数年のうちということですが、そうすると、いつまでに何戸というようなことになりますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは私のほうの直接の所管でございませんので、正確に申し上げられないかと思いますが、大体三百戸くらいずつとしてまいりますと、五、六年くらいでいま必要と考えられておるものは全部いくことになる計算ではなかろうかと存じます。ただし、必要数そのものがある程度変動するものでございますので、その点はっきり申し上げにくい事情もあるわけでございます。
○中谷委員 官房長にこの機会ですのでちょっとお尋ねしいたしますが、検察官の官舎、宿舎です、これのいわゆる年次計画というものはどういうふうになっておるのか、お答えをいただきたいと思うわけです。というのは、私、また自分の目の前にあることを申し上げて恐縮ですけれども、和歌山地方裁判所で評判になっているのは、和歌山地方検察庁の検察官の裁判所の近くにある宿舎なんです。これは見ていただいたらわかりますが、官舎というふうなしろものじゃございませんね。実にとにかく見るも哀れなところに住んでいる。それは建物があるから、結局つぶすわけにもいかぬので、あそこに住んでいるのだろうと私は思うのですが、まさに戦後建てたバラックといってもいいような建物が立っている。こういう老朽廃したような建物にいつまでも住まわしておくのかどうか。そういう点もあわせて、老朽廃した建物は一体どういうふうに処理をして、どういうふうに建設計画を立てるのか、私はお答えをいただきたいと思います。
○辻政府委員 突然の御質問で、詳細な資料を持ってまいりませんでしたので、私の理解いたしておるところに従って概略を申し上げたいと存じます。検察官の宿舎、特に検事の宿舎でございますが、これは量的に申しますと、ほぼ九五%程度のの充足率を示しておると思うのでございます。これはもちろん先ほど来のお話にありましだように、必要といたしております者に対する充足率でございますが、これは全国的に見ますと、九五%程度はいっておると思うのでございます。数の点におきましてはほぼ満足すべき状態に達しつつあるのでございますが、ただいま御指摘のございましたように、問題はその官舎の質でございます。地方によりましては、官舎の数はあるけれども質がきわめて悪いというのが問題になってきておるわけでございまして、これにつきまして、法務省におきましては、まず宿舎の整備を地域別に年度計画で整備をいたしております。私どものほうは、たしか五年ほど前から、まず寒冷地の北海道から始めまして、地域的に予算の各所修繕費を重点的に投入いたしまして、宿舎の整備をはかっておるのでございます。それから、なおまた他の方法といたしましては、老朽宿舎の敷地が国有地であります場合には、場所的に適当な敷地の交換をするというようなことによりまして一つの財源をつくり、そこに新しい官舎をつくっていくというようなことも、地方地方の実情に応じ、整備をいたしておる次第でございます。
○中谷委員 官房長にもう一つ、私はこの機会にお聞きしておきたいと思うのです。これは本来給与のときにお聞きすべきことだし、裁判所のことの際に検察庁のことをお聞きするのは恐縮なんですけれども、関連して一点だけ……。というのは、先ほどから書記官の待遇改善の問題、あるいは定員の問題、労働量の問題、事務量の問題でいろいろ私は聞きましたけれども、私は率直に言いまして、検察事務官の立場というのはひどいといいますか、労働条件が、捜査というああいう特別な仕事だろうとも思いますけれども、ひど過ぎると思うのです。たとえば和歌山の地方検察庁が、昨年からことしにかけて、付属小学校、中学校の汚職事件の捜査をやりましたですね。正月の一日、二日休んだだけですね、事務官も。そして夜のとにかく十一時、十二時までの勤務というのが、二カ月ぐらい続くわけでしょう。とにかく正義のためにということでそういう捜査をせざるを得ないということになればそれまでですけれども、私はだから検察官に超勤手当がないのも非常におかしいと思っておるくらいですが、事務官についての超勤手当というのは、充足率どの程度にこれは一体なっているのか。これは定員法のときお聞きして恐縮ですけれども、あの和歌山の問題については、結局超勤手当の十二月、一月の充足率といいますか、それは一体何%ぐらい満たされたか、これをこの機会にお答えいただきたい。
○辻政府委員 ただいま御質問の点も、具体的な資料を持ってまいりませんでしたので、概略を申し上げます。検察事務官の超過勤務手当の超過勤務いたしました時間数に対する支払い率と申しますか、充足率、全国的に見ますと、ほぼ五〇%ぐらいのものではないかと思うわけでございます。これは毎年予算要求の際には、特に重点を置きまして超過勤務手当の増額方を折衝いたしておるわけでございますが、各省庁統一査定という方針もございまして、なかなか期待するほど伸びがないわけでございます。現状は、ほぼ五〇%までは達しておると存じております。
○中谷委員 では、最後に一、二点お尋ねいたします。裁判所の書記官の問題とか、速記官の問題とか、いろんなことについて待遇改善の問題を言いましたけれども、かなりといいますか、非常にほかの役所から比べますと民主的な面もあるということで、私は高く評価をしているのです。職場結婚なんかも非常に多いわけなんですね。これは私は非常にいいことだと思っているのですけれども、一つお尋ねいたしますが、若い書記官とタイピストの人だとか、速記官の方と裁判所の女の雇いの方だとか、だいぶあちこちで結婚しているわけですが、現在夫婦共かせぎでおりまして、そして別居しているというのが、一体何件ぐらいあるのでしょうか。夫婦の裁判官、いまおられるかどうか知りませんけれども、そういう裁判官の方については非常にいきなお取り計らいを最高裁いつもおやりになっているようですけれども、裁判官でない職員について、夫婦別居しているというのがかなりあるということを聞いておりますが、そういう御調査しておられますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 その問題は、実は私直接の所管でございませんのと、十分それを人事局と打ち合わせてまいっておりませんので、ちょっとこの場で申し上げるような資料を手持ちいたしておらないわけでございますが、お話がございましたその点、よく調べまして、また何らかの方法で御連絡申し上げます。
○中谷委員 それから予算の分科会で私がお尋ねをいたしました例の二人庁の問題ですね、これはどうもやはり最高裁というのは、二人庁については承知していないのだ、地方の所長の責任だといっても、地元の所長というのも、やはりそういうことを言われると困ると思うんですよ、率直に言って。二人庁というのを解消するための具体的な措置ですね、これについては、ひとつどういうふうにお考えになっておるかを簡単に、すでに同僚委員からも質問があったようですから……。
○寺田最高裁判所長官代理者 二人庁の問題につきましては、先般予算委員会で中谷委員からお尋ねがあり、また重ねて当委員会で松本委員からお尋ねがございましたので、ある程度の調査はいたしました。予算委員会で中谷委員に申し上げましたように、まあ二種類のものがあるわけでございます。 その一つのほうは、お話しになりました。尾鷲でございまして、これは全く一時的なものでございまして、その一時的なものがやや長期にわたりましたことがいろいろな批判を受けたわけでございますが、ただ、その後いろいろ調べますと、現地としてもかなり填補その他の方法で事務の負担の過重にならないような配慮は、ずいぶんしておったようでございます。ただ、たまたま先般御指摘のありましたような時点においては、填補のないところに法廷が開かれたというところに問題があったようで、これはきわめて遺憾な事件でございますが、これはきわめて例外的なものでございます。 それから予算委員会でも申し上げましたように、中谷先生のおひざ元の本宮でございますが、これは先般も申し上げましたように、訴訟事件が一件もない。そしてその後の調査によりますと、昭和四十三年度では、略式だけで三十件、年間でございます。一年三十件でございます。そういたしますと、一月に三件弱、一週間に一件にもならない、こういうことでございますために、まあ地元の所長としては、かえって職員が、退団と言っては困るかもしれませんけれども、やはりある程度三人を置くというのはどうかというふうな考えであったようでございます。それで私のほうといたしましては、三人配置できる計算で地元のほうへ配置しておるわけでございますが、そういうことでございます。しかしながら、先般来予算委員会でも当委員会でもお話がございましたので、十分現地と連絡をとりまして、そしてまた現地の職員の諸君の意向も十分確かめまして、そうして善処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○中谷委員 二人庁の問題は、やはり事件数だけでは割り切れない問題があると思うのです。そういうことが裁判所の本来の仕事かどうかということは別としましてて、ああいう過疎地帯の中における法律相談というようなこと、家事相談に類したようなことでも、とにかくかなり地元から信頼を受けておるという問題もあります。特にそこへ赴任させられる人の立場に立ってみますと、ああいうふうにいなかだからと思って行くと、物価が都市よりもとにかく何割方か高いわけですね。そういうような問題もあるので、特に二人庁問題というのは、待遇改善の問題としても、ひとつぜひとも緊急な私は対策というものを講ずべきであるというふうに考えます。 それから、次から次へとたくさん質問があるんですけれども、次の方もおられますので、最後に最後にと言って少しも最後にいきませんといけないので、ほんとうにやめますが、東京大学などの卒業の問題というのは、これは非常にむずかしい問題になりましたね。入試中止もさることながら、学生の卒業の問題というのは、非常にむずかしい問題になってきた。そうすると、司法修習生の司法試験というのは、すでに終わっていますね。そういうことで、司法修習生の採用について、卒業延期などの問題とのからみ合いで、最高裁としては特に何か特別な御措置あるいは御方針をお持ちなんでしょうか。要するに、資格試験なんだから、別に大学を出ていても出ていなくても司法修智生になればいいんだといってしまえばそれまでですが、そうもいかない問題もある。ですが、これは御採用の日時、入所の日時等は予定どおり、既定方針どおりでいく。そうして逆にいいますと、入所してしまった人は、東京大学を卒業しないで、卒業延期ということになれば、結局どういうことになるんでしょうか。卒業しないっぱなしということになるんでしょうか。その辺最高裁判所としてどういうふうにお考えになっているのかをお答えいただきたい。
○寺田最高裁判所長官代理者 これまた人事局の所管の問題でございますが、いま大体司法修習生の希望者が、五百十人ばかりあるようでございます。その中に、東京大学の方は、これは大学院も含めてかと思いますが、六十人ばかりおるようでございます。それで、その諸君の問題でございますが、大学を中退して修習生になってまいります場合には、これは法理論的に申しまして、大学卒業ということが司法修習生の要件ではございませんから、当然採用になるということは疑いがないわけでございます。しかしながら、大学も卒業したいと向こうへ引き続き通学されるということになりますと、それは司法修習生と相いれないことになりますので、その時点では採用することはむずかしいのではないかと思います。しかしながら、いろいろ新聞その他によりますと、そう遠くない時期に卒業するということになるようでございまして、そうなりますれば、その時点で採用が一応可能ということになるわけでございます。その際に具体的にどういうふうにするかということを、いま鋭意人事局で検討しておるわけでございます。おそらく数日中には何らかの結論を出す方向になってまいるのではないか、私どもそう考えておるわけでございますが、現在の時点では、ただいま申し上げた程度でひとつ御理解いただきたいわけでございます。
○中谷委員 最後に、大臣に一点だけお尋ねしておきますが、要するに、常に問題になるのは裁判官の給源の問題でございます。そこで、司法試験について、これは法務省の御管轄でございますので、ひとつ抜本的な改革——まあそれが抜本的な改革じゃなしに、改悪になっても困るのですけれども、もう数年来たいへんな論争もありましたので、私もその具体的な意見がありませんけれども、とにかくもう少し採用人員を、合格者の数をふやしてもいいんじゃないかと私は思うのですけれども、ひとつそういう点についても御検討の対象にされませんか、どうか。そうでなければ、裁判官が足らない、書記官の方が足らないといって、いつまでたっても——修習生の数がきまっておればとにかく裁判官のなり手がないということはさまっているようなものなので、いかがなものでしょうか、長い間大臣にお尋ねせずにおすわりいただいて恐縮ですが、最後にその点だけをお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
○西郷国務大臣 いまの点は非常に重要な問題でございまして、私も就任以来非常に何かいい方法はないかというふうに考えておりますが、やはり現実問題といたしまして、これは根本的に検討していきたい、さように考えます。また、お話しのとおり、合格者をふやしたらという話で、私も同感なんでございますけれども、内部の意見を聞いてみますと、やはり厳格にやって、質を落としたくないというような非常にきびしい考えを持っております。それも傾聴すべき意見でございますからへ今後とも、しかしながら重要な問題でございますから、いかに対処するかは真剣に考えていきたいと考えております。
○高橋委員長 松本君。
○松本(善)委員 前回でも多少この法律案について聞いておりますので、続いて聞いていきますが、いま問題になりました二人庁については、どの程度あるかということをお調べいただきたいということを前回言ったわけですが、その調査はできましたでしょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 一応調査いたしました。
○松本(善)委員 それをおっしゃっていただきたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 私どもがつかみました範囲では、現在二人庁の数は二十二庁でございます。
○松本(善)委員 その資料をあとでお渡しいただきたいと思います。 それからもう一つ前回お聞きしておいたのは、労働事件が非常に遅滞しておる、地位保全の仮処分が、ひどいのは八年もかかっておる、裁判の結果が尊重されていない、こういう問題を指摘をし、この労働事件の結果がどういうふうに実現されているかという追跡調査の件と、そういう裁判の遅滞についてどうするかということについての大まかな方針、間に合う限りでこの次用意してほしいと言ったのですけれども、それについてはいかがですか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは先般民事局長から御説明申し上げたのでございますが、民事局長は参議院の予算委員会に呼ばれておりまして、便宜私から御説明申し上げたいと思います。 現在、年間の労働事件が大体千件余り、手数百件あるわけでございますが、その中で東京の占めます比率が、かなり多いわけでございます。したがいまして、東京と大阪とに重点を置いて何らかの形の抽出的な検査をするということをしてはどうであろうかということで打ち合わせまして、東京地裁の民事代行ともいろいろいま連絡をとっているわけでございます。それにつきましては、弁護士会とも十分お打ち合わせして、そして御協力を得なければなかなかむずかしいことなので、そういう点につきまして、いま、具体案をつくりまして、東京地裁なり弁護士会とも御相談申し上げようかという話まで進んでおるように私、承知しておりますが、いま民事局長が参りましたから、民事局長から補足さしていただきます。
○矢口最高裁判所長官代理者 いま総務局長から申しましたように、ごもっともでございますので、ぜひ私どももやりたいと——ただ、まずサンプル的に少しやってみませんと、どういう形で調査をしたほうがいいか、直接代理人を通じたほうがいいか、あるいは事件の御本人に直接やったほうがいいか、いろいろな問題がございますので、その辺急いで検討をしてやっていきたいと考えております。
○松本(善)委員 それからこの法律案の提案理由の中には、裁判所の職員の労働過重の問題は一言も触れられていないわけでありますけれども、一体裁判所はいまの職員の数で別に労働過重でも何でもない、こういうふうに判断をしておるのですか。その点についてお聞きしたいと思うのです。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは事件を適正迅速に処理いたしますためには、どうしても裁判官以下が一生懸命働かなければならないということで、それは別の面から見ればたいへん私どもが忙しいということになろうかと思います。
○松本(善)委員 そうすると、結局、裁判所の職員は、現状のままではやはり労働過重であるということでありますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは労働過重ということの意味合いにもよると思いますけれども、やはり私どもが増員の必要があると考えておりますことは、結局われわれの負担を調整したいということでございます。
○松本(善)委員 ことしの人員要求について、組合が要求した人員というのは何人でありますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 私、ことしの要求自体については必ずしも組合の諸君と数においてあれいたしておりませんけれども、昭和四十二年の八月に全司法の中央委員長から長官あてに出されました要求書というものがございます。一昨年でございますから、いわば昨年の予算要求のためということになったかもしれませんが、実は昨年の要求が終わりましてからあとで受け取ったわけでございますが、その数字では三千百三十七名ということになっております。
○松本(善)委員 裁判所のほうで最初に要求した人員、幾らほしいのだということを要求した人員は、幾らでありますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 五百七十三名でございます。
○松本(善)委員 そうすると、その要求どおりにはことしもいかなかったわけでありますね。——そうすると、前回私は労働事件についてお聞きしたわけでありますが、仮処分について八年もかかっておる。そしてしかもそのことについて民事局長のお話で、必ずしも労働事件だけがえらい不均衡というわけでもないということになると、これは裁判所の裁判のあり方でありますとか、裁判所の職員の労働条件の問題は、かなり根本的に考えなければならない問題なのではないかと思います。この点については、私は毎年財政法十九条との関係で聞いておるわけでありますけれども、最高裁の裁判官会議がこれについては最終的な責任を持つはずであります。一体裁判官会議では、どういう議論になっておるのでありましょうか。事務総長から御説明をいただきたいと思うのであります。
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所の予算につきましては、御指摘のとおり、最高裁判所の裁判官会議が最終的な決定をいたすわけであります。当初要求をいたしますときと、それからこの予算の折衝というのが時々刻々に情勢が変わりますので、随時裁判官会議に報告いたさなければならぬわけなのでありますが、しかし、そのいとまもないときには長官に裁判官会議が一任する、そういう方策もとられることがございます。しかし、重要問題につきましては、必ず裁判官会議を招集していただいて、そこで十分折衝の結果を説明いたしまして、そして事務局としての考えも申し述べて、そこで決定していただく、こういう順序になります。それから、大蔵省の予算原案がきまりましてからは、これは逐一裁判官会議に報告する、こういう順序でやっております。
○松本(善)委員 事務総長、私がお聞きしておるのは、そういう手続ということではなくて、毎年申しておりますが、またこの委員会でもことしも問題にしたわけでありますけれども、たとえば労働事件の——前回事務総長はおいでにならなかったからもうちょっとお話ししますが、労働事件の仮処分で東京地裁で八年もかかっておる。それから証人尋問の期日が三カ月から四カ月かかっておる、こういうような事態が起こっております。そういう事態を解決するためには、やはり人をふやすということについてのもうちょっと真剣な努力をしないと、職員も労働過重になれば、裁判も公正に迅速に進まないということになるわけで、そういう事態になっておるということについて、裁判官会議では一体どうしたらいいのだろうかということを十五人の裁判官が御相談になったことがあるのだろうかどうか、この問題については、政府には要求はしたけれども、しかしそれは要求どおり満足されていない。毎年そうです。毎年そうなっておるのについて、裁判官会議としてはどうしたらいいかというようなことを、一体議論になったのかどうか。それはやむを得ないものとしてのむべきものであるということになったのかどうか、こういうことを聞きたいのです。
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所にとりましては、人員の充実ということが非常に大事な問題でありまして、これは常に裁判官会議も非常な関心を持っているところであります。当初要求をいたしますときには、理想的な形を描いて一応の予算要求をいたしますけれども、いろいろな事情の推移に伴いまして、ことに最も大事な点は給源の問題で、裁判部門におきましては、裁判官にせよあるいは書記官にせよ、裁判部門の人員の補充ということは、急速にはまいりません。それで折衝が進むにつれて、それではどのくらいまで十分に充員の見込みがあるか、そういう見込みを立てまして最終の決定をいたすわけでありますが、しかし、常に裁判所としましては、御承知の二重予算権、そういうものを念頭に置きまして、そう軽々しくあれを発動すべきものではありませんが、場合によっては二重予算もやむを得ない、そういう心がまえでやっておりまして、裁判官会議においてもよくそのお話が出るわけであります。
○松本(善)委員 裁判所がそういう心がまえでおるということは毎年伺うのでありますけれども、毎年要求してはその要求が入らない。一体裁判所は水増しで要求をしておるかという問題を、いつも聞いておるわけです。だから、そのことが何年も何年も続いておることについて、これはもうしようがないのだということで、裁判官会議の中ではそういうことになっておるのかどうか。こういうことを、そういう議論になっていないというならなっていないでけっこうなんです。その問題が議論になって、各裁判官はどういうことになっておるのかということをお聞きしたいのです。
○岸最高裁判所長官代理者 やむを得ないから引っ込める、そういう弱腰では決してございませんです。そのときのいろいろな事情、ことにこれは政府、内閣の決定には裁判所は拘束は受けませんけれども、国家全体の方策、方針、そういうものをもにらみ合わせて、しかしながら裁判所はまた特別なものでありますので、できる限りのものを確保する、そのためには場合によっては二重予算をお願いするということも辞さない、そういう覚悟でやっておりますので、それで毎年毎年減るんじゃないかと言われますけれども、個々の——来年度あたりは、他の官庁には決して劣らないくらいの純増を認められておりますので、その程度まで努力したら、二重予算の発動をするところまでは、それには及ぶまい、そういった結論になるわけでございます。
○松本(善)委員 私はそういう考えがおかしいのじゃないかと思いますのは、現に一方では仮処分で八年かかっております。仮処分の証人尋問で、三カ月か四カ月なければ証人が入らないといっております。民事局長のお話では、それは必ずしも不均衡ではないというわけです。そうなったら、いまの裁判はまことに異常な事態ですよ。それについて、最高裁は国民に責任をとることができるのかどうか。ほかの官庁と比べてよけいふえたとかどうとか、そういうことは、私は基準ではないと思うのです。いかがでしょうか、事務総長、そういうものではありませんか。
○岸最高裁判所長官代理者 仮処分の八年というのは、私は具体的な事実をちょっと承知しておりませんので、お答えが的をはずれるかもしれませんけれども、現在の仮処分訴訟というものは、いわゆる仮処分でなくて、訴訟化しておる。そういう意味で、普通の口頭弁論とあまり違わないような手続をやっておるようであります。しかし、いかにも八年というのはちょっと長過ぎるということは、これはもう事実そのとおりでありますが、どこの裁判所でどういう事情からそういうことになっておるかということは、ちょっとこれはこまかい具体的なことを存じませんが、もし何でしたら民事局長から……。
○松本(善)委員 それはさらに研究をして、もう一度私は、最高裁の裁判官会議で、この国会で論議になっておる議事録をやはり配って、真剣に検討してもらいたいと思うのです。 もう一つ聞きますが、それはもう一方は裁判の遅延と同時に職員に対する労働過重として出てきているわけです。私の知っております資料では、全司法の東京地裁支部の職業病対策委員会が健康調査カードというものを出しております。何らかの異常を訴えておる者が、四十二年四月には八〇%です。四十二年十一月に七三%、四十三年六月に八四%、こういうふうに健康の異常を訴えておる。裁判所の職員が健康の異常をこれだけ——ほとんど八〇%ですよ、これが健康の異常を訴えているという事態を、裁判所は正常だと思うのですか、この点お聞きしたいと思います。
○寺田最高裁判所長官代理者 健康管理の問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、常にいろいろな方法でもってその実態の把握をいたすようにつとめておるわけでありますけれども、ただいまの数字自体は私は存じておりませんが、組合のほうからもお話があれば、それを十分伺いまして、そしていろいろな方法で検診その他を実施し、また職業病の認定等につきましても、十分最近もいろいろいたしておるような実情でございまして、全体を通じましてなお一そうの健康管理に配慮してまいりたいということは、先ほども申し上げたとおりであります。
○松本(善)委員 私の調べた資料では、その公務上の認定を一名もしていないと聞いておるのですけれども、そういうことでございましょうか。
○寺田最高裁判所長官代理者 これは非常な間違いと申しましては失礼でございますが、そんなことは決してないわけでございまして、むしろ相当多くの者が公務上の認定をされておるわけでございます。一々数字を申し上げるのもやや煩瑣になるかと思いますが、三十九年から四十三年を通じましても百をこえております。それからきわめて最近、本年に入りましてから、速記官の中に三人ほど公務上の認定をされた者があるというふうに承知いたしております。
○松本(善)委員 それでは、それはさらに調べた上で、どういうことであったのかということをまたお聞きしたいと思います。 それから労働時間ですが、裁判をするために非常におそくなっている、したがいまして、普通の勤務時間外に仕事をやらざるを得ないというのが、一体どの程度になっていますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 勤務時間の点は、いま御指摘のように、二つの問題があろうと思います。一つは、長さの問題でございますし、一つは、いわば働くべき時間に働いて、休むべき時間に休むという問題であろうと思います。そのいずれもきわめて重要な問題でございまして、私どもとしては、やはり昼休みにはちゃんと休み、休憩時間には休憩をとるということを極力やるように裁判官に呼びかけているわけでございます。ただしかしながら、これはなかなかいろいろな進行の状況でそうまいらない場合があるようでございます。これは国会におかれても、そういう事例がときどきあるようにお見受けするわけでございますが、裁判所におきましても、私自身の体験でも、もう十分ぐらいで尋問が終わるからと言われると、どうしてもついそのまま尋問を続ける。そしてそれが三十分なり一時間になり、一時を過ぎる、こういうふうに休憩時間を無視してしまうということが、まれに起こるわけでございます。そういう点は、私どもとしては、極力そういうことがないように、やはり休憩時間には休み、執務時間中に処理が終わるようにつとめておる次第でございます。
○松本(善)委員 私の聞いておりますのは、つとめておるということではなくて、どの程度になっておるのか。それば人間の努力では済まない、個人の裁判官だけの努力では済まない程度になっておるのであれば、これは別途に人の問題であるとか、法廷をふやすとか、いろいろなことを考えなければならない。だから、それは一体どの程度になっておるのか。通常は、ちゃんと時間内にやっておるのか。一体どの程度が異常な態様ということになっておるのだろうかという事実を聞いているのです。そういうことを調べていなければ、いないということでもけっこうです。
○寺田最高裁判所長官代理者 一々具体的に調査いたしておりませんが、全体的には異常な状態にはなっておらないと了解いたしております。
○松本(善)委員 これは、私のほうの調べたのでは、必ずしも全体として正常だということではないようであります。これはやはり最高裁として具体的に調査をされるべきだ。そしてこういう現状になっておるのを黙って見ておっていいのかどうかということを、国民に問うべきなんですよ。裁判はこんなに長くかかっております、裁判所の職員はこれだけ働かなければならなくなっております、これは裁判所の人員をふやさなくてもいいのかどうかということを国民に問うというのが、二重予算の権利ではないかと思うのです。これは大蔵省との折衝の切り札というような、そんなけちなものでないのではないか。国民に対して、裁判所はこれでいいのかどうかということを言う制度なのだと思いますけれども、制度の趣旨について、事務総長、いかがですか。
○岸最高裁判所長官代理者 二重予算の趣旨は、まさにそのとおりであります。裁判所の予算の概算要求は、他官庁と違いまして、大蔵大臣にするのではなくて、内閣に対してする、そういうことからも、裁判所は、国民に対して責任を持ちながら裁判の運営を考えていかなければならない、これはまさにそのとおりであります。われわれも、二重予算というものをそういうふうに理解して、日ごろやっておるわけでございます。
○松本(善)委員 裁判官の給源の問題がたびたび出ておりますので、その点について伺いたいのでありますが、裁判官の給源ということが常に問題になりますが、これは単に給与であるとか待遇とかの問題ではないと思うのです。裁判官であるとか法曹になろうという人は、少なくとも主観的にはいろいろの人の考え、立場は違うかもしれませんが、とにかく正義といいますか、そういう要求を持っているはずであります。そういうような法曹になろうとしている人が、弁護士にはたくさんなる、しかし裁判官になる人が少なくなっている、ふえていないということは裁判所司法のあり方の問題ですけれども、国民から司法が信頼されているかどうかという根本問題になるのではないかと思うのです。そういう観点で、裁判官の給源がもうしょっちゅう議論になるということは、裁判所としては——これは検察庁にしても同じことですが、決して名誉なことではないはずです。それは制度の問題ではないと私は思うのです。裁判官というのは、ほんとうに国民の権利を守っていく、ほんとうにその職業の自覚といいますか、そういうものの信頼が高ければ、私はこんな議論はしょっちゅう起こらないと思います。そういう問題については、裁判所はどう考えておられますか。
○寺田最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、裁判官の希望者が少ないということが、給与の面のみであろうとは私どもも考えておりません。これは、いろいろな機会に裁判所でも調査したことがございますし、また弁護士会におかれても調査された事例がございます。その弁護士会で調査された事例で、弁護士志望の動機というところに、裁判官を忌避すると申しますか、裁判官にならなかったということの中で、四〇%以上が転任の問題をあげているわけでございます。でございますから、給与の問題にしぼって考えるわけにはまいらないと思います。しかしながら、そういう転任というようなものを含めまして、一つのそういう広い意味での待遇ということが、やはり裁判官志望を少なくしている原因であることは間違いなかろうと思います。ただ、これにつきましては、やはり広い方面から検討して、そうして将来のあり方を考えなければならないということで、御承知のように司法修習運営諮問委員会というものを裁判所に設けまして、数年間にわたっていろいろ御討議いただいたわけでございますが、おそらく御承知だと存じますけれども、なかなか意見の一致を見ないでそのまま終わったような状況でございまして、今後ともこの問題は、各方面の御意見を十分伺いながら慎重に施策をしてまいらなければならない事項であると考えているわけでございます。
○松本(善)委員 私は、この問題について、ある高校生からこういうことを聞いたことがあるのです。裁判というのは、松川事件でありますとか、あるいは青梅事件であるとか、あるいは八海事件であるとか、えらい長くかかって、しかもずいぶん誤りがある、一体信頼できるものかどうか、これは全く普通の高校生なんですが、そういう疑問を持つような事件がもうたくさん出ている。これは司法研修所の教育についてもそうでありますが、裁判所が間違いをおかすというのはほんとうに少ないというような信頼が、いまあるとは思えないのです。かなり間違うものだというふうに考えられている。そういう実情を率直に検討して、司法研修所の教育などについても、事実認定のしかたについても、裁判というもののあり方を根本的に反省しなければならない時期にきているのではないかと思います。そういうことが給源の問題とも関係することではないかと思いますけれども、事務総長の見解を聞きたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 ただいまおあげになりましたような幾つかの事件について、長年月を要して、そうしてあのような結果になった。これは、その事実をとらえてみますと、いかにも裁判はたよりのないものだといういう印象を与えることがあったとは思います。しかしながら、そういう事例は裁判全体から申しましてもごくわずかで、やはり裁判も人間のすることでありますので、あやまちはこれは絶対にないとは言えない。そのために訴訟法の上訴の制度もあるわけなんでございます。そういうわけで、そういう点でまあそういう若干の例だけで日本の裁判全体が信用できないというふうに結論することは、私としてはちょっと承服いたしかねるわけであります。全体から見ますと、やはり日本の裁判は公正に行なわれているというのが、一般の見方ではなかろうかと思いますが、ただ、特殊の事件、非常にむずかしい事件、これはいろいろな要素がからんで、事件が複雑になって、そうして長い月日を要するもの、したがって、やはり真実から遠ざかっていくという、そういう危険もあるわけでございます。したがいまして、最近研修所等におきましも、この修習の方針として、単なる法技術を教えちゃいけない。ほんとうにいわばトライアルな、ほんとうに裁判官としてどういうふうに事実を見るか、証拠に基づいてどういうように見るかという実際的な面に力を注いで、そうして、現に口頭審問のやり方とか、あるいは模擬法廷、そういうものも加えてやっているわけでありまして、ただ抽象的な法技術だけから裁判官をつくるというような、そういう考え方は、もう過去のもの、現在としてはそういう方向に向いております。
○松本(善)委員 それは、日本の裁判が全部間違っておるという極端なことを言うわけではないが、かなり重大な事件について、死刑ということを間違って裁判をする人が何人もいるということが問題なんです。私は、事務総長が立場上、そういう答弁をされるのはわからぬではないが、やはり給源の問題が毎年その問題になるということは、これは裁判所の恥なんですよ。それを制度的に変えたら直るというようなものでは、私はないと思う。そういう点で、根本的にさらに裁判官会議で検討をされたい。日本の裁判のあり方の問題、戦後二十何年になりますが、そういう問題として、根本的にやはり検討さるべき問題ではないかということを申し上げておきたいと思います。 最後に、法務大臣にお聞きしておきたいのですけれども、一昨年のこの裁判所職員の定数に関する職員定員法の一部を改正する法律が出ましたときに、附帯決議がついております。どういう附帯決議がついておるか、法務大臣、御存じかどうか、お聞きしたい。——法務大臣、直接御存じなければ、知らないと言っていただきたい。
○西郷国務大臣 まことに恐縮でございますが、内容をよく覚えておりませんので……。
○松本(善)委員 たいへん遺憾なことだと思うのでありますが、裁判所の予算でありますとか——「裁判は国民の権利義務の顕現に関する重大な事柄である。したがって、その迅速適正な処理は、国民の強く要望してやまないところであるが、事実はこれに反しいまなお十分ではない。」と一昨年そういっているのです。「その主たる原因の一つは、予算の不足に基づく裁判官その他の裁判所職員の定員の不足と裁判所の施設の不備にあると思われる。よって政府は、すみやかに、裁判所関係職員の増員ならびに施設について必要な予算の増額措置を講じることについて、格段の努力と工夫を行なうことを要望する。」法務大臣は、これはそのとおりやりますと言っているのです。この法案の審議で一番問題になっている点は、ここであります。裁判所に対して、この点について二重予算の問題で毎年問題になっております。私どもは、この附帯決議がついたことによって、決してこれだけでは解決しないという考えでおりました。いまもう一度この法案が審議されるにあたって、法務大臣が、その責任者である法務大臣が、こういうことについて知らないでおいでになる。一体こういう態度で、責任を持って裁判所の職員の労働条件の問題でありますとか、あるいは裁判の遅延の問題であるとかということを、真剣に考えておるのかどうか、私はたいへんに疑問に思わざる得ないのであります。法務大臣の所見を聞きたいと思います。
○西郷国務大臣 先ほど覚えておりませんでという御答弁をいたしましたが、法務省当局としては知っておるわけでごいまして、これは五月十八日でございましたので、私は就任前でございまして、うかつに内部で聞いておりませんのでああいう御答弁をいたしましたが、法務当局では事務的にはこれはよく承知しております。
○松本(善)委員 事務的にいま見せられて知っているということでは、そういう問題ではないと言うのですよ。この法案について何が問題になり、どこが問題になのかということを、少なくも法務大臣は、そんなこと、それはうかつに知りませんでしたということでは私は済まないと思う。毎年毎年委員会で論議になっている中心点は一体何かということについて、それこそ法務大臣、当然に私は知っておいでになるのが当然だと思う。この点については、努力をするということを政府が約束しているでしょう。一体どういう努力をし、しかし、ことしはこうだったということについて、法務大臣が説明できなければならないはずではないかと思うのです。いかがでしょうか、法務大臣。
○西郷国務大臣 当然に、こういう国会の御決議がございますので、それを尊重してやるのはお話しのとおりでございますが、不幸にして私は、就任のときにそれを聞いておりませんためにおしかりを受けましたが、今後ともそういう点十分気をつけてやっていきたいと思います。
○松本(善)委員 質問を終わります。
○高橋委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○高橋委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 すでに質疑の中で明らかにいたしましたけれども、私どもは、日本共産党を代表いたしまして、この法案に反対をするわけでありますが、反対の趣旨は、質疑の中でも明らかでありますように、裁判所が、この国民の権利をほんとうに守るという裁判をする上で、確信を持って裁判所の予算でありますとかあるいは賃金でありますとかということについて、国民に明らかにしなければならない。そのことが、財政法十九条ではっきりきめられておるわけです。二重予算の権利というものが、はっきりあるわけであります。それについて、毎年毎年にわたってこの権利を行使しない。そうして実際は、いま職員の労働過重を招来をしたり、あるいは裁判の遅延が生まれておる、こういう事態があるわけであります。この法案では、若干増員されて、その点について幾らかの前進があるということは理解ができますけれども、根本的に解決をするものではない。いまの事態は、まことに異常なんであります。そういう意味で、私たちの党は、この法案ではたいへん不十分である、これでは国民の権利を守ることもできないし、裁判所の職員の労働条件の向上をはかることもできない、こういう意味で、この法案に反対をするという意思を表明したいと思います。
○高橋委員長 これにて討論は終了いたしました。 これより直ちに採決いたします。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○高橋委員長 次回は、来たる二十五日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会