法務委員会 第8号
- 発言数
- 201 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/03/18
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 公安調査庁の長官に伺いたいのですが、本国会が始まりましてから、予算委員会で長官は、共産党系の学生団体が大学の人民管理をしようとしているという趣旨の発言をしました。そのことに関係して、ちょっとお聞きしたいわけです。 きょうは、長官の到着が十五分近くおくれたために、委員会を開けなかったわけです。公安調査庁は、これは単に時間がおくれたということではなくて、自分の権限がやはり国会に基づいて民主的に法に従って運営をされなければならないということについての軽視ではないかと思うのです。公安調査庁は、そういう点、ほんとうに民主的に憲法に従った権利を尊重するということで動いているかどうか。最初に、きょうおくれたこととも関係をして、ちょっと答えてください。
○吉橋政府委員 ただいま松本委員からの御抗議でありますが、私のところへ先ほど連絡があったのは七分前であります。その前に、本日部内の公安局の総務部長会議をやっておりまして、それに出席しておりました。それで六分前に連絡がありましたので、直ちにここへ参った次第で、時間的には十五分おくれたということですが、まことにその点は申しわけないと思いますが、さようないきさつではせ参じたわけでございます。
○松本(善)委員 あとから法務省の内部で聞いておいてもらいたいが、ずっと前から法務省の政府委員室の人は、私のところに、長官に対する質問はどういうものかといって盛んに聞きにきているのです。内部であなたに伝わらなかったのはどういうことか知らぬけれども、よく調べてそういうことのないようにしてもらいたい。 それから、いわゆる全学連といわれている全国学生自治会総連合、この委員長が田熊和貴君、それから全国で五百五十余の自治会のうち七割以上を組織しているこの全国学生自治会総連合、これをあなたは日共系というふうに言っておるのですか。
○吉橋政府委員 いわゆる全学連というのは(松本(善)委員「簡単に答えてください。あまり時間がない。みんなきょうは忙しいのだから」と呼ぶ)全学連というのは、御承知のように旧三派、すなわち革マル全学連、中核派全学連、反帝全学連、いわゆるさような全学連を呼称している全学連がございます。そのほかに、いわゆる日本共産党が支持、支援しておられる全学連がございます。
○松本(善)委員 私の問いをちゃんと聞いて、その上に答えてもらいたいのです。私の聞いているのは、委員長が田熊和貴君、そして全国五百五十余の自治会のうち七割以上を組織している全国学生自治会総連合というのを、あなたは日共系と言っているのか、こういうのです。
○吉橋政府委員 そのとおりでございます。
○松本(善)委員 この全国学生自治会総連合には一貫した方針があると思いますが、それをあなたはどういうふうに理解をする。これは当然に綱領でありますとか、あるいは方針だとか、きちっと出ておると思います。この団体は一体何を目的としておると考えておるか。
○吉橋政府委員 これは日本共産党のほうでよく御存じ……。
○松本(善)委員 そんなことはここで聞けますかあなたが何と考えているかということを聞いておるのですよ。
○高橋委員長 お静かに、松本さん。
○松本(善)委員 そういう国会を侮辱するようなことを言うからです。
○吉橋政府委員 日本共産党が支持し、支援している全学連でございます。基本的な方針、活動等においても、支持、支援しているという全学連でございます。
○松本(善)委員 あなたも冷静に——国会での質問です。だから、何を聞かれておるかということをちゃんと聞いて、そしてそれに沿うように答えてもらわないと困るですよ。この団体が一体何を目標として活動しておるのか、どういうふうに考えて、何をしようとしておるのか、このことをあなたのほうはどう考えておるのか、これを聞いておるのです。共産党が支持しておるとかなんとかということは聞いてない。
○吉橋政府委員 抽象的にいえば、大学の民主化であります。
○松本(善)委員 この全学連の指導部は、どういうふうな選ばれ方で選ばれておるというふうに考えていますか。
○吉橋政府委員 全学連は、御承知のように、各大学の自治会を基盤として、自治会において各選挙されたものがその執行部を形成し、それが全学連に加盟して全学連を形成しておるのでございます。
○松本(善)委員 そうすると、大学の民主化ということを一口に言えば、そのことを目的にし、そして自治会の各団体から選挙によって選ばれた指導部が出ておる。こういう団体をいわゆる日共系というふうに呼ばれる根拠は、一体どこにあるのですか。
○吉橋政府委員 先ほども申し上げましたように、この全学連の歴史等を見ますと、昭和二十三年ころでしたか、いわゆる全学連というものが結成されて、その後そこからいろいろな派が分かれまして、それで三十九年でしたか、このいわゆる日本共産党が支持される全学連というものが再建されて、それで今日に及んでおるのが、この全学連でございます。
○松本(善)委員 あまり正確に答えてないが、どうも共産党が支持をしておるから日共系というふうに言う、こういうことのようですね。あなたの答弁は、そういうことですか。
○吉橋政府委員 いわゆる世間で反日共系あるいは代々木系というように、全学連を呼称しているのはほかにもありますので、それを区別する意味において、日本共産党が支持、支援しておる全学連というふうに一応規定づけておるのであります。
○松本(善)委員 共産党が支持をするとか、あるいはほかの各政党が支持をするという団体は、幾らもあります。たとえば国民協会を自民党は支持しておるが、そうすると、自民党系と、こういうふうに言うのか。すべての国民のつくっている団体を、一体政党がそれを支持をしていれば何々系というふうに言うのか。団体の構成というのは、委員長であるとか代表者をきちっと書いて、そして区別をしておるのが普通です。やはりそういうふうにするのが正確ではないかと思いますが、こういう国会でありますとか、それから公式の場でその団体を特定をするためには、日共系とかあるいは社会党系であるとか、そういうようなことを言わずに、委員長がだれである団体、こういう名称の団体、こういう正式の名称をもってするのが正当ではないかと思いますが、あなたのお考えはどうですか。
○吉橋政府委員 一応世間的にわかりいい意味でさように区別をいたしておるのでございます。
○松本(善)委員 世間的にわかりいいと言うけれども、公安調査庁をはじめとするところが日共系と言うので、報道機関も一応それを使っておる。このごろは、そういう言い方をやめてきております。やはり正確に言うのがほんとうではないかということを聞いておるのです。いままであなたが使った理由を聞いておるのではなくて、そういうふうに正確に言うのが、公式の場ではほんとうではないかということを聞いておるのです。
○吉橋政府委員 さような考えもございますので、正確な名称の区分については十分に考慮したい、かように思います。
○松本(善)委員 あなたは二月一日の予算委員会で、日本共産党系の学生団体は、大学の民主化を当面の対象にしているが、その真意は、大学の人民管理が真のねらいである。二月の十日にはさらに、大学の人民管理という意味は、日共系全学連の要求を主張し、ともに戦う学生、院生、教職員等の大学人による大学の管理を究極において目ざしている、というふうに述べました。これは大学を構成する教員であるとか、職員であるとか、大学院生、学生など、大学内の各層の意見を大学の運営に反映させる制度を確立をするということを、いわゆるいま申しました全学連は主張をしているわけですけれども、このことを大学の人民管理というふうに言っているのですか。大学を構成する各層の意見を反映をさせるということを全学連は主張しているのだけれども、そのことをさして大学の人民管理というふうに言っているのかどうか。
○吉橋政府委員 先ほど御指摘の衆議院予算委員会及び先般の参議院の予算委員会で、私が究極においては全学連は人民管理を目ざしているのだというふうに申し上げました根拠は、松本委員にも提出いたしました全学連の第十九回定期全国大会基調報告等を総合的に検討、分析した結果、さような見解を持ったものでございます。
○松本(善)委員 私が結論的に聞いたのは、できるだけ時間を節約しようと思ったのだけれども、そういう答えだと、もう一回聞いていかなければならない。あなたから資料をもらいました。しかし、ここは公式の場ですから、一体どこのどういう主張を総合すれば人民管理ということになるのか、それは何を見ているのか。そういうことが一つもないでしょう。全学連の方針の中に一つもありません。一体それをあなたは、どこの資料と——どこの何ページのどういう資料とどういう資料を通じて人民管理ということを主張しているというのか。それを詳しく説明してください。
○吉橋政府委員 ただいま申し上げました基調報告の内容において、個々の点を抜粋してさような結果になったわけですが、その一つとしては、反動勢力と人民、学生との対決は一そう鋭くなっているので、全学連が民主勢力の先頭に立って戦わなければならないという記述、あるいは人民と反動勢力との対決ということばを、この基調報告では随所に述べております。さらにまた、大学は広範な人民に奉仕すべきものであるというようなことを唱え、そのためには大学を民主化して、大学を民主主義のとりでにして戦う必要がある、などと主張いたしております。さらにまた、全学連の要求を支持し、ともに戦う教官を民主的教官あるいは良心的な教官と規定づけ、これらの教官と団結して全学連の方針に反対する反動的な教官を孤立化させ、教授会全体を全学連の闘争に引きつけていき、全大学人の団結を固めていくことを強調いたしております。さらにまた、全学連の支持する勢力によって大学の自治会の主導権を掌握した場合に、これを民主化した自治会と称しており、あるいは全学連の政治闘争目標を自治会の基本的な闘争目標とするために、自治会選挙を通じて反全学連諸派を一掃して自治会を民主化し、かくて大学運営の民主化をかちとるということを表明いたしております。これらを総合して判断いたしますと、彼らの言う大学運営の民主化ということは、結局主体的には同全学連を中心とする勢力が学内の運営管理の主導権を持つということの意味に解されますので、したがって、究極においてこれらの人々による大学管理を目ざしているということを、端的に人民管理と申したのであります。
○松本(善)委員 だから、私は一番最初に、全学連というのは一体何をしようとしておる団体かということを聞いたんですけれども、大学の民主化ということを目ざしておるという答弁でした。大学の民主化という方針をみんなが支持をするということは、けっこうなことじゃないですか。大学は民主主義のとりでになるということは、公安調査庁は反対なんですか。あなたの言うこと一つ一つやっても、反動勢力との対決、これは野党幾らでも言いますよ。共産党に限らず、社会党だって、場合によってはほかの党だって言いますよ。これは人民管理の主張になるのですか。大学が広範な人民に奉仕する、これもけっこうな話じゃありませんか。大学の学問というのがほんとうにみんなのためになるような大学にということは、これは当然な話でしょう。そういうことをみんなが支持をするということになるということ、これはいけないことですか。あなたの言ったこと、一つもいけないことはありませんよ。その結果、そのことを主張する人たちが指導部に選挙をされるというようなことになるのは、民主主義の当然の原則でしょう。どこがいけないですか。
○吉橋政府委員 民主化ということはここに盛んに出ておりまして、このとおりでありますが、私が申し上げたのは、いわゆる主体的にどこがイニシアチブをとるかということを申したのであります。それと、先ほども人民対反動勢力の対決ということばが随所に出ておりますが、ここでいう、ここの用語で使われておる人民というのは、いわゆる反動勢力を除いたものというふうに解されますので、端的にこれらの人々による管理、すなわち人民管理というふうに申したのでございます。
○松本(善)委員 反動勢力というのは、自民党の人でも、私は反動でないと言われる人はたくさんありますよ。反動勢力と対決するとかいうようなことばでそれが人民管理というようなこと、それは普通の常識では全然出てこないですよ。いわゆるあなたの言われる反全学連諸派を一掃するということは、いま大学を自分たちの主張はとにかく暴力で押しつける、全学封鎖だとかあるいは入試粉砕だとか、自分の主張は全部ゲバ棒で押しつける、この連中でしょう、この連中は全部大学から一掃する、そうでなければ大学の民主化はかちとれない、ほんとうに大学を学問と民主主義の場にすることはできない、これは当然の主張ではないですか。そういう勢力を大学から一掃するということに、公安調査庁は反対なんでしょうか。
○吉橋政府委員 その当否を私は申し上げておるのではございません。この基調報告の内容から推察して、さような結論を申したのであります。
○松本(善)委員 基調報告に人民管理ということが書いてあるならば、それはそのとおりですということを言うでしょう。どこにも書いてない。あなたの言ったことを幾ら総合したって、人民管理ということにならない。だから、私は一番最初に、あなたの言う人民管理というのは、どういうことなんだ。大学の運営にいろんな各階層の人の意見を反映させなければならない、これは全学連が主張しています、このことをあなたは人民管理と言うのか、こう聞いたのです。もう一度あらためて聞くけれども、人民管理というのは、一体どういうことになるのですか。
○吉橋政府委員 先ほど来申し上げておりますように、同全学連を中心とする勢力が学内の運営管理の主導権を持つ、そういうことであります。したがって、これらの人々による大学の管理を目ざしておる、かように申したのであります。
○松本(善)委員 長官、先ほど言ったように、全大学の自治会の七割を組織し、その指導部は民主的に選出をされておる。これはあなた自身が認めておる。そういう学生団体がいわゆる主導権を握るということが人民管理だ、これに反対なんだ、公安調査庁がそういう態度で事を処理をすることは、憲法で保障された言論、集会、結社の自由に対する侵害になりませんか。そういうような民主的に組織された団体が、みんなの支持を受けてくる、こういうことに対して、人民管理であるとか、あるいは反対だとかいうような態度を、一体公安調査庁はとっていいものかどうか。
○吉橋政府委員 反対であるとかいうあれじゃなくて、事実をそのままに、この基調報告に基づいての事実を申し述べたのであります。
○松本(善)委員 あなたは人民管理に反対であるという主張ではない、こういうことですか。
○吉橋政府委員 そうです。
○松本(善)委員 それでは聞きますが、人民管理ということばは、この全学連の主張の中には、少なくとも公式の文書の中には、どこにもないということは認めますか。
○吉橋政府委員 そのとおりであります。
○松本(善)委員 それじゃあなたが予算委員会で答弁をした、全学連は人民管理を主張しておる、こういう答弁は、きわめて不適切な、間違った答弁ではありませんか。西郷法務大臣はあのときに言われたが、共産党内部の争いであるということを言われて、それは率直に取り消されました。公式の場です。国民全体の前で答えておる。どうなんです。公式の文書には一つもないことば、そしてあなたはそれについて、人民管理は別に悪いことではないのだと言わざるを得ないようになっておる。そういう答弁は、当然取り消さなければならないものだろうと思う。あなたは自分の答弁を冷静に考えてみて、これを維持しなければならないと思いますか。その維持をするということが、あなたの職務に忠実なことになると思いますか。率直に私は取り消すべきことではないかと思います。どう思いますか。
○吉橋政府委員 私は人民管理の当否を、これがいいとか悪いとか言っておるのではございません。それと先ほど来申しますように、究極において、ある展望においてこれを目ざしておる、さように申したわけで、さような見解を一応言ったのであります。
○松本(善)委員 あなたは固執をしておるけれども、あなたのここの答弁をほかの委員が聞いておっても、ちっともわからないですね。人民管理というものは、七割をいま組織しておる全学連が主導権を持ってくることが人民管理だ、そんなことを何で人民管理と言う必要がありますか。それがいいか悪いかということの判断をする必要もないということを、何で人民管理と言う必要があるのですか。内容はきわめて不明確じゃないですか。全学連がそれを排除しておるトロツキスト、そういうほうは、いま全共闘といわれておるところでやっておるのは、そういうことを言っておる。それを反対だ、そういうことはいけないんだ、全学連は批判をしておるのですよ。あなた、そのことを知っていますか。そういうことはいけないんだということを、全学連が主張しておるということを知っておるか。
○吉橋政府委員 いわゆる反全学連各派の中では、さようなことを主張しておる者もございます。
○松本(善)委員 そしてそれをいま田熊委員長を委員長とする全学連が、批判をしておるということを知っておるかと言っておるのです。
○吉橋政府委員 さような事実も承知しておりますが、先ほど来申しますように、私は、あくまで主体的にはこれらの勢力が中心となって運営管理するということを、端的にこの場で表現したのであります。
○松本(善)委員 その団体がまつ正面から否定をし、非難をしておる主張をその団体にかぶせるということが、一体誠実な公務員としてできることですか。はっきり言ってあげましょう。この連中を批判する文章の中で、全学連の「大学自治と学生生活をまもる第三回全国学生ゼミナール」での基調報告で、この連中の批判をしながら「大学の帝国主義的再編成に対して、これを粉砕し、大学の人民管理を実現することにあるのだから「バリケードを死守せよ」と叫び、広範な学友から、彼らの本質を見抜かれています。…… たたかいの中で、団結の破壊者、挑発者、分裂主義者を徹底して暴露し、広範な学生、教職員の団結で彼らを粉砕していかねばなりません。……」とはっきりと否定しているのですよ。はっきりとその団体が否定をしておる人民管理ということを、その団体が究極的には目ざしているのだと、何の根拠もなくどうして言うことができるのですか。あなたの説明で、どこに根拠がありますか。取り消すべきではないですか。
○吉橋政府委員 先ほど来申し上げておりますように、基調報告全般を総合判断をして、彼らのいう大学運営の民主化というのは、結局主体的には全学連を中心とする勢力が学内の運営管理の主導権を持つ——当否は別です、ということを意味するものだというふうなところから、究極においてさように申したのであります。
○松本(善)委員 それはわかりましたよ。あなたが人民管理と言ったけれども、非難をしている趣旨ではないのだ、それはあってもかまわないのだということを言っているのだということはわかりました。わかりましたが、そういうことばは適切ではないのじゃないかということを聞いておるのです。その団体が否定しておる。あなたが総合分析をしたというけれども、私は総合分析をした結果、全学連が人民管理を主張しているということが少しもわからない。むしろ逆にそれを批判をしておるのですよ。その事実をあなたに詳しく話をした、その事実を聞いた上で、あなたの答弁は違ってやしないか、そういう答弁は不適切ではなかったか、この国会で公式に答えることとして、きわめて不正確ではなかったろうか、言い直したほうがよかったのではないか、そういう考え直す機会を与えておると言っておるわけですよ。そういうことがあってもいいのじゃないですか。あなたがかつて答えた国会議員のいろいろの質問の中で、自分の考え方は多少浅かった、あるいは不正確でありたということであれば、改めるのが当然ではないか。私は、そういうことがあってもいいと思うのです。あなた、それはどうか、こういうことを聞いておるのです。
○吉橋政府委員 さような見解ももちろんございますが、私は、先ほど来申し述べておるような根拠から、さような見解を持っておるものであります。
○西郷国務大臣 ちょっとよけいなことかもしれませんが、先ほど来、松本委員のやりとりを聞いておりまして、大体松本委員御不満でありましょうが、公安調査庁という立場でものを言っておりまして、それがいいとか悪いとかいうことを言っておるのじゃないということもいまはっきりいたしておりますので、いろいろの点で解釈が違う、人民管理ということばが気にくわぬという御意向だと思いますが、それは公安調査庁の立場からそういうふうに判断をいたしておるのでございますから、いままでるる長官自身が説明したことで御了承をたまわりたいと思います。
○松本(善)委員 大臣にお聞きしょうと思っていたのですが、大臣からたまたまそういうお話がありましたけれども、総合分析と言われましたが、そのことから合理的には出てこないのです。大臣もあとから速記録を調べてもらいたいと思う。いまちょっと簡単に申しますと、反動勢力との対決でしょう。大学が広範な人民に奉仕するようにということ、大学を民主主義のとりでにするということ、これはみな反対すべきことではないのですよ。それから全共闘の暴力学生を一掃しよう、これも当然のことでしょう。こういうことを主張しておる。だから、人民管理ということにならないでしょう。そして人民管理の内容というのは、これは全学連が主導権を持つことになる、これを人民管理といっているのだ。それは大学の自治に対する干渉ではないか、それは言論の自由に対する干渉ではないかと言ったら、それの当否を言っているのではない、こういう答弁ですね。大臣、この経過をもう一度速記録をお調べいただいて、先ほどの公安調査庁長官の答弁が間違っているかどうかということについて、あらためて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○西郷国務大臣 いま現場におりまして、私は大臣としてそちらとのやりとりを聞いておりますので、速記録を調べる必要はありません。先ほど申し上げましたとおり、立場が違うのでございます。共産党と公安調査庁という非常に違う立場におきまして、御不満でありましても、いろいろ分析、類推をしてそういう結論を出しているのでございますから、必ずしも松本委員の御満足どおりやれとおっしゃっても、それは無理ではないでしょうか。立場、立場で判断しておりますので、当否は別でございます。
○松本(善)委員 最後に申しますが、私は何も自分の党の利益ということだけでありません。公安調査庁が誠実に職務を遂行しなければならないと思うのだ。私は根本的に公安調査庁の存在そのものに反対ですけれども、しかし、そういう立場からだけなら、ここで質問はしないのです。公安調査庁のあり方として、いまの法制の中で適切でないと言っている。法務大臣があらためて検討されることを要望して、私の質問を終わります。
○西郷国務大臣 松本さんの御意見は御意見として、立場上そういう主張をなさることは、私よくわかります。ただ、いまるる申し上げましたとおりの考え方でああいう人民管理ということばを使った。その人民管理ということばがお気に召さないということでございますけれども、いまのやりとりでおわかりのとおり、立場、立場でそういう判断をしておりますので、それは当否はまたいろいろ御批判を仰ぐわけでございますが、こういう程度で御了承をたまわりたいと思います。 ————◇—————
○高橋委員長 次に、第五十八回国会から継続になっております神近市子君外七名提出の死刑の確定判決を受けた者に対する再審の臨時特例に関する法律案を議題といたします。 ————————————— —————————————
○高橋委員長 本案は、第五十八回国会において提案理由を聴取いたしておりますので、これを省略し、直ちに質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
○高橋委員長 それではこれより質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。畑和君。
○畑委員 私は、ただいま議題となりました、正確に申しますと死刑の確定判決を受けた者に対する再審の臨時特例に関する法律案、略して死刑囚に対する臨時特例法案、この議案につきまして、提案者代表である神近委員に質問いたしたいと思います。きわめてプリミティブな二、三の質問でありますけれども、ひとつお答えをいただきたい。 まず、総論的に申しまして、この法案は非常に人道主義、ヒューマニズムに基づく法案だと思います。戦争直後、非常に混乱をした時代、しかも占領をされておった時代の確定判決を受けた死刑囚たちが、いまだに再審その他の請求等を次々と出しておりまして、いまだ死刑が執行されておらない。二十年近い間、獄舎に呻吟をいたしておるわけでございます。こういう特殊な時代に判決を受けた人たちに対して、何らかの再審の道を講ずる、いままで、もちろん刑事訴訟法にいう再審の規定はございますけれども、それは非常に厳格な規定になっておるというような関係から、しかもこうした混乱時代に判決を受けた人たちに対する判決が、あるいは妥当でなかったのじゃないかというような疑問がわいてくるのは当然であります。しかも、そうした長い間、いまだにそれに服し切れないで、あくまで自分が無罪であるということを主張し続けてきておる人たち、この人たちに、何とかあらためて条件を緩和した特例法を設けて、そうして再審の機会を得させたい。その結果がどうなるかということは、もちろんわかりません。しかしながら、そうした新しい見方で、ひとつ条件を緩和したやり方で再審の特例をきめて、そうしてひとつ再審の機会を得させたい、こういうヒューマニズムから出た提案だと思いまして、私も賛成の考えでおるわけでありますが、それにつきましても、一般の人たちが理解しにくいところがあるかもわかりません。そういった人たちを代表するようなつもりで、きわめてプリミティブな質問でありますけれども、二、三点質問いたしたい。 まず第一は、この出された法案の適用の時期の問題でございます。それというのは、この法案を拝見いたしますと、適用の時期は「昭和二十年九月二日から昭和二十七年四月二十八日までに公訴を提起された者でこの法律の施行前に死刑の判決が確定し、この法律の施行の際その刑を執行されていないものに係る再審の請求について特例を定めるものとする。」こう書いてあります。ここに明確に適用のされる時期が書いてありますが、これはどういう根拠でこうした時期を限定しておるのか、この点をまず承りたい。
○高橋委員長 提案者神近先生、お願いします。
○神近議員 この時期を選定いたしましたのは、占領という時期が、日本にとっては初めての経験であるところの異常の状態にあったということ、それから平和条約が成立しましたときに、平和条約十七条(b)項に基づく法律百五号というものをつくっているわけです。それは平和条約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律、これは、日本の軍国主義時代に連合国人が受けた裁判に対して、やはり疑惑を持っていたということが考えられる。そしてそれをやり直すという法令をつくっている。それに見合うというような意味で、駐留軍がいた間に行なわれた裁判がどういうものであったかというような疑惑を国民に対して解く、こういう趣旨でございます。
○畑委員 それに関連してお尋ねいたすのですが、実はそういった駐留軍の、米軍の占領期間中に、いろいろ日本の裁判について介入と申しますか、干渉ですか、そういったことがよくあったようなうわさは聞いております。私自身も弁護士を仕事としておりまして、そういったことをちらほら当時聞いておったこともございますのですが、明確なそういう事例は、実は承知いたしておらぬのでありますが、こういう法案を提案され、しかもその提案の理由の中に、説明を議事録で見たのでありますけれども、それらから判断いたしまして、提案者としても、そうした事実があったかどうか、それを承知されているかどうか、その点をひとつお聞きいたしたい。
○神近議員 これは新しく発見した事例ですけれども、「判例時報」というのの二月十一日号に出ております。神余正義という判事補、これはなくなった人でありまして、この人の日記がこの二月十一日号に出ております。その中に、二十三年の七月十日に裁判官訴追委員が大阪に行くのです。それで事案は非常にこまかい事案で、執行猶予になるような事案で、それで何のためにこの人たちはわざわざ東京から来たのだというような、大阪地裁では考え方をしていた。ところが、この人たちが会議に入る前に控え室に入ってきて、実はGHQの命令で来たんだから、悪く思わないでくれということを言っているという事例が一つ。それからもう一つ、福岡事件という事件の中に、一人はほとんど何の理由もないと思われる人が入れられて、やはり死刑の判決を受けているのですけれども、その人の裁判のときの状態が何かに書いてございます。これは西武雄という人の場合ですけれども、この人は、非常に第一審は納得のいける人柄のいい島村という裁判長であった。それが判決の直前というか、当日に、池田という裁判長になって、そして一回の尋問もなく、いきなり判決を行なわれた、そういうことがあります。そしてこの第一審の冒頭に池田裁判長がかわってきて言うときに、本件は戦勝国人災害による強盗殺人事件であるから、かねてから占領軍司令部にお伺いを立てていたところ、本件は当裁判所で裁判することになったが、占領軍の命令によって結審を急がなければならないので、弁護人も被告人も協力してほしい。駐留軍の命令であって結審を急がなければならないから、弁護人も被告人も協力してほしい、こういうことを言っております。そしてこの池田裁判長は、この結審直前に交代しまして、一回も尋問がなくて判決を出すのです。記録によって読むからいいと言ってやるのです。そして裁判になって、この宣告をするときには傍聴席に、これは射殺された一人が台湾の人であったために、台湾の人が法廷一ぱいに入っていた。そして判決を言い渡すと、そのうちから十人を裁判所の公判廷に呼び入れて、ともかく二人だけを死刑にしたのだからひとつがまんしてくれと言いますと、みんな死刑にしろ、死刑にしろと騒ぐので、この人が困って——全員死刑にしないと司令部に訴えるぞというようなことを台湾の人たちが言うのです。それで、そのとおり、あなた方の御希望どおりに高裁に具申いたしますから、今日のところはがまんしていただきたい、この二人だけの死刑判決でがまんしていただきたい、こういうことを言っています。それからもう一つ、さっき申し上げた神余判事補、これはなくなった人ですから日記が出ておりますけれど、その中にまだほかのことが書いてあります。大阪造船の事件です。大きな問題だけはGHQで処理しまして、大阪地裁に回ったのは執行猶予になるような事案だけだというようなことが書いてあります。こういうようなことをいろいろ考えると、そのときの裁判というものが、どんなものであったかということがわかるような感じがいたします。
○畑委員 確かに私もそういったような事例も、若干聞いております。自分でも事件の促進その他駐留軍報告事項だといったようなことで、裁判官から聞いたこともございます。そういうことで、当時ともかくいろいろな点で駐留軍が裁判にまで干渉してきたという事実も、ないではないと思うのです。その点も、今度の立法の一つの大きな理由だと思うのであります。 ところで、その次にお聞きいたしたいのは、一体この法案が成立をいたしまして実施をされるということになりました場合、はたして何人ぐらいの人がこの再審の特例法によって救済をされ、結果はどうなろうと、ともかくこの新しい特例法によって再審を受けられる機会を得られるのであろうか。おそらくそう人数は多くないと思うのです。結局その当時確定判決を受け、死刑の判決を受けて、しかも今日まで生き延びて壁の中で無実を訴えておるのでありますから、そう続くはずはないのであります。ところで、その人数がどのくらいになるだろうか。提案者のほうで大体見当をつけたこと、調べたことがございますか。その点お聞きしたい。
○神近議員 この法案をつくる前に大体事務局から伺ったと思いますけれど、七人でございます。福岡事件というのが二人。それから免田栄という人が一人。それから有名な平沢貞通。それからほかに竹内景助という人、これはなくなりました。牟礼事件と呼ばれますものに佐藤誠という人がおります。あと二人は大体私には見当がついておりまして、事務局にお尋ねしようと思ったのですが、機会がなかったのです。
○畑委員 けっこうです。大体見当はつきました。
○高橋委員長 けっこうだそうですから、神近先生もう……。
○神近議員 大体わかっております。
○畑委員 大体わかりました。とにかくほんとうに十指の間に入るというような程度でありまして、人数としてもまことに少ないのです。そうした人がいままでずうっと無罪を主張し続けているということは、やはりただ命が惜しいということだけではないと私は思うのです。こういった混乱した時代、しかも訴訟法が変わったりなどして、裁判官、検事も、また弁護士も、おのおのまだそういった関係の新しい訴訟のやり方、民主的なやり方、こういった問題にも非常に習熟をしていない時期であったという点もあろうと思うのです。駐留軍の介入等もあったということもありましょうが、いろいろな点でやはり不安定な時期だったと思うのです。そういった時期に判決を受けた人がそれだけ無罪を訴えつつ今日まで生き延びてきておるということでありまして、これの再審をするというのはなかなかたいへんな仕事ではあろうと思いますけれども、しかし、まあ全国から見ればたかが知れている数の事件でありまして、こういった人たちにひとつ光を与えてやる、希望を与えてやるということが必要だと私は思うのです。 ところで、こうした人はいろいろ無実の罪を主張しておるのですが、一面、とにかく自白をして、最高裁まで行って判決を受けて、それで死刑だということになったのに、それが無実というのはおかしいじゃないかというような素朴な疑問等があるわけです。何も自分で悪いことをしていないのに、ぺらぺらしゃべる必要はないだろう。しゃべったからには、やはり自分でそういうことをやったからに違いない。われわれは法律家ですから、必ずしもそうは思いません。自分でもいろいろなことを経験していますから、実際に判決を受けて、どうも無罪と思うけれども、どうしても最終判決で確定して有罪になったという例なんか私自身も経験しておりますが、しかし、一般の人から見ますと、そういう感じも受けるわけです。その点、一般の素朴な人たちの疑問に答えるような資料がございますか。その辺ひとつ御見解を承りたい。
○神近議員 さっきちょっと戸惑いましたが、人数の点で補足いたします。事務当局の確認は得ておりませんが、二十五年の八月七日に広島で起こりました強盗殺人事件、これの益田得治というのが当たるだろうというように考えております。それからもう一人、これは確認できませんが、山本広子という女の人、これは頭脳がちょっと変な人らしいのですけれど、この人が当たるのじゃないか。これは確認されていない二つの事例であります。 それで、いまおっしゃったことにつきまして、猪俣先生からも御返事がいただけると思いますけれども、日本では法の安定性ということがいつも裁判官の頭にはあって、これを変えるということは、弁護士方の話によりましても、非常にむずかしいようでございます。これはいろいろ勉強してみますと、日本が一番がんこで、自分たちの判決というものを強く握って、そしてあと幾ら材料があってもこれを変えない、これを取り入れないというような、法の安定性というものが役人同士の間に非常に強い、これが強過ぎるというふうに、私どもしろうとから見ていると考えられるのです。イギリスなんかでは、その点は人間の権利、人権を守るというところが非常に強くて、そして再審が非常にたくさん許されるということがあるそうですけれど、日本ではそういうことが非常に強い。これはどういうところに理由があるのか、私はまだよくわからないのですけれど、役人だけの間で、検事と判事との間で、法の安定というものがあり得るはずはないと思うのです。私は、国民の納得した裁判が平穏に行なわれるときに初めて法の安定性というものが生まれるというふうに思うのですけれど、役人方の間では、自分たちの間でだけこの法の安定性というようなことを考えていらっしゃるんじゃないか。たとえばこの再審の問題だって、全国的にあれだけ多くの方々がこの再審を請願しておいでになる。それがいままでほうっておかれたというところに、私は、日本の封建性というか、法制のまだ未完成のところがあるんじゃないかというようなことを考えるものでございます。
○畑委員 わかりました。確かに私自身もそう思う。法の安定性というのに非常に固執をしておるのが、いまの現状です。しかも、日本の再審の制度が、これはなかなか条件が厳格だというふうに私思うのでありまして、その点ひとつ猪俣委員に承りたいのですが、それに関連をして、今度の特例法で一番の中心は、第二条の規定だと思うのです。いまの刑事訴訟法の四百三十五条第六号、旧刑事訴訟法の四百八十五条第六号、この中の「明らかな証拠」あるいは「明確ナル証拠」というのが、今度の特例法の場合には「相当な証拠」「相当ノ証拠」というふうに読みかえるということになっておりますから、結局この点が「明らかな証拠」と「相当な証拠」ということで、非常にゆるやかになっている。そうなると、いままでの制度では再審の開始決定にまで至らぬものが、この条文によって比較的容易に再審の開始決定までこぎつけ得る。そのあとは別に新しく裁判をやってもらわなくちゃならぬわけでありますけれども、そういうことだと思うのですが、その点はいかがでございましょう。
○猪俣議員 先ほど榊近委員が答弁されましたように、在朝法曹と申しますか、裁判所側、検察官側は、法の安定性というようなことを強調される。これはやはり日本の刑事訴訟法がずっと形式的権威主義を法の安定性というふうに考えて、今日まだその頭が抜け切らぬのだと思うのであります。私どもも法の安定性なるものを考えないわけではありませんが、しかし、現行の日本の刑事訴訟法の再審の門は、非常に狭過ぎる。これはもう相当の心ある学者、弁護士その他一般の宗教家の間で、近ごろ再審制度に関する主張といたしまして、非常に高まってきておるわけであります。ただし、私どもは、この法的安定性というものを一挙にくつえがすような法案は考えなかったのでありまして、その意味におきまして、この法案を限時法にしたわけであります。時を限ったわけであります。そして、いま言ったように占領中の、しかも死刑の確定判決を受けた者というふうに、非常に限定したわけであります。これはいまの法の安定性ということを強調する人の精神も考えまして、私どもはこれをかような現時法にしたわけであります。時と、及び死刑者であり、しかもそれが確定しているということで、非常にしぼったわけであります。これらのものにつきましては、法の安定性と矛盾しないと思うのです。これらのものについて再審の窓口を開くということは、真実発見が大事か、あるいは法の安定性が大事かという大きな命題にぶつかるのでありますが、われわれは、かかるものについては真実発見が第一でなければならぬ。そういう意味におきまして、英米法における実質的証拠主義というものを採用いたしまして、そして現行法の「明確な」というものを「相当」とかえたのであります。これを要するに、新証拠が原判決に影響を及ぼす蓋然性があればいい。明白でなくとも、ある程度の蓋然性のある証拠が出たならば、それを相当の証拠として再審を開くというような考えが第二条に織り込まれておるわけでありまして、こういたしますと、いまの再審の道が相当開かれる。 これは本法案の対象にはなりませんけれども、有名な白鳥事件の村上国治のごときに至りましても、いま再審請求が出ているのでありますが、あれなんかは、まあこの法案の対象外で、二十年の実刑判決ですから死刑ではありませんが、もし村上君が死刑になっておったとするならば、まさに明白なる証拠でなくとも、相当の証拠、つまり白鳥警部の体内から出た弾丸と幌見峠で撃った弾丸とが同一のものということが唯一の物的証拠となって再審が難航している形でありますけれども、しかし、これが違うという鑑定がすでに科学警察研究所で十数年前に出ているにかかわらず、検事はこれを法廷に提出しなかったことが、最近わかりました。こういうものが出てきますと、これは本法案のもとならば、当然再審しなければならぬことに裁判所は拘束されると思います。この「明確な」ということと「相当」ということとでは、法律上の証拠の価値判断が非常に違って、結局相当の窓口が開かれるというふうに私は考えているわけであります。
○高橋委員長 畑さん、まだ機会は幾らでもあるわけですから……。
○畑委員 これで終わります。いま説明を聞いてわかったのですが、再審の制度そのものをむしろ変えたいくらいでありますけれども、それは法の安定性もあってなかなかできない。しかも、これによって再審の窓口だけでも開かれる人がいま七人くらいの人数だということになりますれば、それに対して、そうした特例をきめて再審の窓口を開いてやるということは、非常に適切だと思います。これは人道主義に立脚した提案であると私も考えますので、ひとつわれわれの総意で、できるだけこの法案を全員で可決に持っていきたい、私はそういう希望を付言いたしまして、以上で私の質問を終わりたいと思います。
○猪俣議員 ちょっと提案者から。本案のいまの質問は終わったのでありますが、なお質問者があるならば、質問をしていただきまして、審議をすみやかに遂げられることを希望したいのです。質問者がなければならないように処理していただきたいと思います。
○高橋委員長 きょうの予定は畑さんだけで、あとまたいろいろ質問する人もあるようですから、次の機会に譲らしていただきたいと思います。 ————◇—————
○高橋委員長 それでは次に、内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷君。
○中谷委員 大臣がお見えになっておられないようですが、質問を始めていきます。犯罪者予防更生法の改正案に関連をいたしまして、次のような問題をお尋ねをいたします。犯罪者予防更生法、それから犯罪者予防更生法施行法、それから地方更生保護委員会の決定等に関する規則、地方更生保護委員会事務局組織規程等がございまして、さらにこの犯罪者予防更生法との関連において行刑累進処遇令があって、仮釈放審査規程があって、仮出獄及ヒ仮出場二関スル取扱手続というふうなものがあってというふうな法のたてまえになっておると理解をいたしますが、行刑累進処遇令それから仮釈放審査規程というのは、現在なお生きておるわけでございますね。
○鹽野政府委員 ただいまいろいろの基本法規をおあげになりました。おおむね御指摘のとおりでございます。ただ、仮釈放審査規程等は矯正関係の規定でございまして、私保護関係を担当しておりますので正確にはお答えできませんが、おおむねそれに準拠しているというふうに考えております。
○中谷委員 矯正関係の方は、どなたかおいでになっておられませんか。
○鹽野政府委員 ただいま来ておりません。
○中谷委員 それでは出席していただきましょうか。——ちょっと時間がかかりますか。それではあとでその質問をすることにして、要するに質問はこういう点から続けていきます。 犯罪者予防更生法の一部を改正して、地方更生保護委員会の委員定数を増員したということですね。実際の現在の時点におけるところの仕事というのは、件数その他でどの程度あるわけなんですか。
○鹽野政府委員 御指摘のとおり、今回の犯罪者予防更生法の改正の第一点は、委員の増員でございます。現在は八カ所の委員会に委員が、合計四十四名おります。これを八名増員いたしまして五十二名にしようというのが、今回の改正案の第一点でございます。 そこで、委員会事務関係でございますが、これは主としてたいだま御指摘の仮釈放関係の審理、決定という仕事をいたしております。そのほかに、委員会の管内の保護観察所の業務に対する監督という仕事もいたしております。その主として行なっております仕事が仮釈放関係の仕事でございますので、その内容についてさらに若干御説明いたしますと、お手元に差し上げてございますこの法案の参考資料という数枚の刷りものがございますが、この資料の一番最後のページ、九ページでございます。ここに現在の状況と増員する場合の状況というものが対比してございます。したがいまして、下の旧委員数というのが現在員でございます。たとえば関東で申しますと、現在九名であるものを三名増員して十二名にする。それから近畿にきつましても三名増員する。それから中部——これは名古屋でございますが、一名増員する。それから北海道に一名増員する。こういうふうに八名の増員を配置いたしたい、こういうふうに考えております。 それは、一番下の欄に仮釈放等の事件数が載っております。関東が一番たくさんございまして九千九百二十八件、これは四十二年の一年間の数でございます。したがいまして、これを九名の委員が担当いたしますので、一名が年間千百件余を担当しておる、かような状況でございます。これは若干の差はございますが、今回増員しようとする近畿その他についても、このような非常に大きな事件数を負担しておりますので、これの増員によって審理を促進し、充実させようということでございます。
○中谷委員 そこで、たとえば関東では旧委員数が九人で九千九百二十八件、この内訳はどういうことになるのでしょうか。面接の、審理等によるものが一体何件なのか。いわゆる面接以外のもの、これはごく少数だろうと思いますが、何件なのか。具体的に——じゃ、それからお聞きいたしましょう。
○鹽野政府委員 ここにあげてございます件数は仮釈放関係の事件数でございますので、これはすべて委員が面接いたしているわけでございます。実際問題といたしまして、このほかに仮釈放の取り消し等の関係の事件があるわけでございます。仮釈放になりまして、その後仮釈放期間中の行状が悪い、あるいは再犯を犯したというような場合には、委員会の決定で仮釈放の取り消しをする、かようなことになりますので、そういう事件数があるわけでございます。ここに掲げましたのは、仮釈放の、出すほうの事件数だけを掲げてございまして、取り消し関係の事件数はここには掲上いたしておりませんが、年間約三千件ございますので、これで合計が三万一千六百七件になっておりますので、これを合わせますと約三万四千件という件数を年間に担当している、かようなことに相なるわけでございます。
○中谷委員 そうじゃないのです。私は、そこを聞いておるのじゃないのですよ。九千九百二十八件という仮釈放関係の事件がございますね。これの審理については、法は原則として面接をしなければいかぬことになっておるでしょう。ですから、結局面接をしておるのは、このうちの何件——要するに、増員というのは、そういうことで事務がたいへん増大してきたということなんでしょうから、面接は何件なんですかと、こう聞いておるのです。
○鹽野政府委員 お答えいたします。仮出獄関係が面接を必要とするわけでございます。それから仮出場、これは御承知のとおり、拘留刑あるいは労役場留置処分を受けた者の仮出場関係、それからこれは件数は非常に少ないわけでございますが、婦人補導院から仮退院する事件、これは数件ございますが、こういう件数もございます。それから少年院仮退院の事件、これは少年院から途中で仮退院になる、こういう関係でございます。これらの事件数を合わせまして約三万一千四百四十八件、かようなことになるわけです。
○中谷委員 いやいや、そうじゃないです。ちょっと待ってください。私は、こういうことを聞いているんですよ。その審査には、面接をして審査される者と、たとえば、重病人その他あるいは関連事件等ですでに面接を必要としない者については、面接をしない。要するに、どの程度審査というのか、実質的な時間を費やしてしておられるのか。だからこそ、委員の増員の必要性があるんでしょうということで、面接は何件、たとえば関東の九千九百二十八件のうち何件面接をしていますかと、非常に素朴な質問をしているんですよ。
○鹽野政府委員 思い違いをいたしておりまして、申しわけございません。御指摘の点、よくわかりました。現在仮釈放の関係で、ただいま御指摘のとおり、特別の事由のある場合は面接を省略することができるという規定がございますが、現実問題としては、面接が省略されている事件はございません。すべて面接しているわけでございます。
○中谷委員 なるほど、そうすると、この面接にあたりましては、大体委員は結局一名の委員でとにかく面接をされるわけですね。そうすると、一体どの程度の時間をおかけになって面接をしておられるんでしょうか。たとえば、平均ではなしに、もう短いのは何分くらい、長いのはどのくらいと、そういうような統計はありますか。
○鹽野政府委員 さような関係の統計はございません。ただ、一般的に申しますと、大体平均四十分程度かと思います。しかしながら、非常に複雑な事件等につきましては、面接に長時間かかると思います。一回の面接に二時間以上かかるというようなケースも、あるように聞いております。
○中谷委員 そうすると、面接をするのは、時間は四十分程度の面接時間をお使いになっておられる。その以前に、仮釈放を許すかどうかについてのいろんな事前の審査、要するに書類、そういうものはどこから上がってくるわけでございますか。
○鹽野政府委員 仮釈放の審査手続を簡単に御説明いたしますと、まず、少年院でも刑務所の受刑者でも大体手続が同じでございますので、まず受刑者につきまして御説明をいたしたいと思います。 受刑者が刑務所に入りますと、刑務官が受刑者についていろいろ調査いたしまして、身上調査書というものを作成いたしまして、その調査書を本人が釈放後に帰住する地を管轄する保護観察所に送るわけでございます。保護観察所は、それを受け取りますと、帰住地の本人の帰る場所の環境を調査するという仕事をするわけでございます。これは、実際問題としては、御承知の保護司にお願いしてやっております。環境が必ずしもよくないという場合には、早期に環境の調整ということも行なわれるわけでございます。そうしてそのような環境の調査調整の報告書が、保護司から観察所のほうへ戻ってまいります。そういたしますと、それを観察所からもとの収容されておる刑務所に送りますと同時に、これを担当の委員会にも送るという手続が行なわれるわけでございます。したがいまして、刑務所のほうは、自分のところでつくりました身上調査書と、それから保護司から保護観察所を通じて参ります環境調査調整報告書というものが、手に入るわけでございます。その間にだんだん刑期が進行いたしまして、矯正教育の効果もあがってまいるという段階になりまして、御承知のように、三分の一の刑期を過ぎてしかるべき時期になるというところで、刑務所のほうから仮釈放の申請というものが地方更生保護委員会に対してなされる、こういうことになります。そして地方更生保護委員会の審査が始まる、そういうことでございます。 ただいま御指摘のその段階における資料は、最初の刑務所でつくりました身上調査書、それから環境調査調整報告書、これは六カ月ごとに何回もやることになっておりますので、二通も三通も集まるということも、しばしばあるわけでございます。それから刑務所から出てまいりました仮釈放の申請書、この三つは必ず手元にあるわけでございます。まずそれを検討いたしまして、さらに必要のある場合には、観察所等に調査の嘱託、依頼をする、こういうことで、観察官あるいは保護司等が各種の調査をして資料を委員会に送る、こういうことになるわけでございます。 そこで、それらの資料を書面審理をいたしまして、本件について問題点がどういうところにあるかということを大体把握いたしまして、その段階で面接に出かけるということになるわけでございます。そこで先ほど申しましたように、それぞれ必要な時間をかけて面接をいたしまして、その結果、従来問題とされていたところが解明されるという点もございましょうし、また面接の結果、新しい問題点が出るというような場合もあるわけでございます。また地方に帰りまして、関係資料を調査する。さらに必要な場合には、観察所等に調査を依頼するというようなこともございます。またさらに、これは最初の段階で行なわれることもございますが、刑事裁判記録を取り寄せて検討するということも、しばしば行なわれるようでございます。これは御承知のとおり、重要事件につきましては、本人の成育歴とか、犯罪の動機、犯状、それから本人の裁判時の気持ちというようなものが裁判記録にはよくあらわれておりますので、仮釈放の審査につきましても有力な参考資料になり得るわけでございます。さような書面調査あるいは新しい調査依頼等をいたしまして、いろいろな資料を入手いたしまして、そこで結論の出るものは審査会の合議にかけて結論が出る。さらにまた問題点が残っておるというようなものにつきましては、再度の面接が行なわれ、そして同じような手続が何回か繰り返されまして結論に到達する、かようなことでございます。
○中谷委員 そこで刑務所のほうでは、身上調査に関する書類をおつくりになるというわけでしょう。身上調査に関する書類をおつくりになる根拠は、仮釈放精査規程というのでおつくりになるのじゃないのですか。この点はいかがなんでしょうか。違うのですか。
○鹽野政府委員 これは、本人が入所したときに本人から聞いてつくっておるようでございます。 ただ、規程の根拠は、矯正局長が参りましたから、矯正局長から……。
○中谷委員 矯正局長にお尋ねいたしますが、仮釈放審査規程というのがございますね、いま仮釈放の質問をしているのです、犯罪者予防更生法の関係で。この仮釈放審査規程と犯罪者予防更生法との間には、どういうかかわり合いがあるのですか、ないのですか、お尋ねをいたします。
○勝尾政府委員 お尋ねのように、仮釈放審査規程というものが昭和六年にできたわけでございます。犯罪者予防更生法はその後に制定されたものでございますけれども、私のほうの実際といたしましては、内容的に、犯罪者予防更生法が制定されてから、この規程の内容というものは、新しい予防更生法に乗せて動かし得るという考え方で、現在のところは、この仮釈放審査規程は新しい犯罪者予防更生法のもとでも一応生きておるというふうに理解をいたしております。
○中谷委員 要するに、仮釈放審査規程というもので審査をおやりになって、そうしてそれがとにかく更生保護委員会のほうにいく。だから、審査規程というものは非常に大事なものですね、受刑者にとりましては。そこで、問題点は、すでに局長、中谷委員こういうことを聞くんだなということで予想しておられるんだろうと思いますけれども、きょうは聞きたいのはこの一点だけなんです。 なるほど、昭和二十四年に犯罪者予防更生法ができましたね。実は私、昨年犯罪者予防更生法の質問のために関係あると思われる法規を見てみたのです。そうすると、仮釈放審査規程というのがちゃんと生きておりますね、昭和六年。これは、こんなことで仮釈放の審査をやられたらたまったものじゃないのではなかろうかというふうにも、私は思うわけです。たとえば仮釈放審査規程——これから聞いていきましょうか、仮出獄及ヒ仮出場ニ関スル取扱手続、これも現在生きておるわけですか。
○勝尾政府委員 生きております。
○中谷委員 それで、これは生きておるとすれば、ひどいものですよ。こんなのが生きておると言えるのかどうか。「別記第四号書式」でございますね。すでにもうごらんいただいておると思いますが、そうでございましょう。仮出獄及ヒ仮出場ニ関スル取扱手続の「別記第四号書式」、ごらんいただいたでしょうか。——私のほうで言いましょう。「第四号書式」「思想犯仮出獄証」票ですね。「刑名刑期」その次に、裏面は「思想犯仮出獄者心得」「正業ニ就キ善行ヲ保ツ可シ」それから「旅行ヲ為シタル場合ニ於テ住居ノ地ニ帰著シタルトキハ速ニ其旨ヲ保護司ニ届出ツ可シ」というような、「思想犯」などということばのものが出ておるのですね。こんなものが生きておる。これは一体ほんとうに生きておるとおっしゃっていただいていいのでしょうか。仮釈放の関係において、矯正局長にまずこれをお尋ねしたい。
○勝尾政府委員 私が生きておると申し上げましたのは、その後の新しい更生法等によりまして、当然に動かなくなると申しますか、廃止になっているというものは除きまして生きている、こういうぐあいに申し上げたわけであります。
○中谷委員 官房長にお尋ねしますが、思想犯などというきわめて忌まわしいことば、要するにわれわれより若干年上の人については、それマルクスの本を読んだといってほうり込まれ、それアカだというてはとにかく刑務所にぶち込まれた、そういうふうな苦い経験を持ったものが、まだ現行法規集の中に生きておる。じゃ一体法務省の法規集の中に、局長のお話では死んでおるけれども生きておる、生きておるけれども、死んでおる、いつ息を吹き返してくるかわからぬ、こんな法律がなおどの程度あるか、官房長は御検討になったことがありますか。
○辻政府委員 ただいま具体的にはあれでございますが、各局におきまして、それぞれの部内の執務規程のこまかい通達までに至りますいろいろな書式、訓令、通達集その他を逐次編さん、整理いたしております。かような面におきまして、整理のできました局におきましては、きわめてアップ・ツー・デートな判例通達集等もすでにでき上がった部局もございますが、たまたま先ほどの矯正関係の部局におきましては、その整理がまだ行なわれなかったというふうに理解する次第でございます。
○中谷委員 戦後は遠くなりにけりですよ。大臣にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、仮出獄及ヒ仮出場ニ関スル取扱手続、それの「書式第四号」によりますと、「思想犯仮出獄証票」などというものが麗々しく現行法規集の中に生きておる。こんなことは、人権を守るための法務行政としてはあってはならないことだと、私は思うのです。大臣、こういうものはすみやかに廃止すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○西郷国務大臣 たいへん古い法律でございますために、いま御指摘のとおり、そういう表現は感心しないと思いますが、その他につきましても検討いたしまして、適当な時期に改めたいと存じます。
○中谷委員 そこで矯正局長にお尋ねしたいのですが、刑務所に行っている人間は、とにかく一生懸命につとめて、一日も早くいわゆる仮釈放の処遇を受けたいというような気持ちなんですね。ところが、先ほど局長のお話では、仮釈放審査規程は生きておるのだとおっしゃった。その仮釈放審査規程に続いておるものの中に、仮出獄及ヒ仮出場ニ関スル取扱手続などでも、思想犯という化けものみたいなものがひつついておる。そこで仮釈放審査規程、刑務所でおやりになる審査規程の中で、第二条「身上関係ハ左ノ各号ニ付之ヲ審査スヘシ」「遺伝 健康状態 精神状態」四が「思想及信仰」「責任観念及協同心 経歴及教育程度 労働能力 収容後ノ行状 作業賞与金及領置金 其ノ他ノ参考事項」というように、第二条身上関係は相なっておる。 そこで、一つずつお尋ねしておきますが、まず私が言いたいのは、第二条第四号の「思想及信仰」というふうなものが、仮釈放審査規程の中にあっていいものかどうか。思想及び信仰、たとえば仏教徒だとか、キリスト教徒だとか、マルクス・レーニン主義者だとかあるいは何だとかというようなことが、身上関係の仮釈放審査規程の中で生きておる。先ほど局長のお話によると、これは昭和六年の規程ではあるけれども、現になお生かし得るのだとおっしゃった。私は、これは憲法違反だと思う。一体、こういうのはどういうことに相なるのでしょうか。
○勝尾政府委員 お尋ねの件につきましては、現在身上調査書と申しますか、仮釈放の申請関係の手続のフォームがございますが、その中には、思想といったような欄は現在はございません。信仰につきましては、仏教とかそういうものを持っておるかどうかという程度のことは聞いて、自分は仏教を信仰しているというようなことを言えば、その程度のことは書いておりますが、思想関係のことは、欄も、またそういう記載も、現在はございません。
○中谷委員 憲法十四条の問題でございましょう。だから、法務省というのは、憲法感覚の一番鋭いところの役所でなければならぬはずです。そういうような評判をする人もあるし、またむしろ逆だというようなことを言う人もおりますが、いずれにしても、仮釈放審査規程というもので——保護委員会があってやっておるけれども、実際は刑務所からの申請の書類で大体は決せられるのが事実なんでしょう。仮釈放審査規程の中に「思想及信仰」というようなことが書いてあったら、だれだってぞっとしますよ。こんなものがいまだなお第二条第四号に残っておるわけ、大臣、一体どのように思われますか。
○西郷国務大臣 これもやはりさっき御答弁いたしましたとおり、古いものでございますから、適当な機会にこれは全面的に整理しなければいかぬ、さように考えております。
○高橋委員長 中谷さん、これは根本的な国政問題にも関係するから、一ぺんゆっくりやることにして、きょうの直接……。
○中谷委員 この話からいかぬと……。
○高橋委員長 それは根本問題だから、もっと詳しくあなたやりなさいよ。そしてきょうは直接のあれに関連して……。
○中谷委員 そうすると、お尋ねしますけれども、身上関係というふうなことについて仮釈放に適するかどうかというのは、幾ら委員の数をふやしたって、仮釈放において許すか許さないかというところの新しい感覚に基づく観点がなければ、私はいけないと思うのですよ。こんなものを——とにかく仮釈放審査規程といって、「精神状態」そのことばはいいことばですよ。しかし、昭和六年のこのときには——私もこの仮釈放審査規程についてのあとう限りの刑事政策の本は四、五冊読んでみました。当時においては、ある意味においてははなはだ進歩的なものだといわれたという評価を、私も知っています。もちろん当時の時代の流れの中において「思想及信仰」というものが取り上げられていることは、いまもなお非難さるべきだと思いますけれども。私は資料要求をいたします。身上調査書にはどのようなものが記載せられておるのか。身上調査書の現物をひとつ持ってきていただきたい。その上で私はあらためて質問をやりたい。だから、私は質問を留保さしていただきたい。身上調査書をすぐ持ってきていただけますか。書式があるんだったら、それでいきましょう。——そうすると、身上関係の記載欄はともかくとして、要するに第二条の中での見どころというのは、一体どの点を局長のほうでは、委員会においても見どころとされるか、あるいは矯正局のほうにおいても見どころとして身上調査を上申をされるのか。だから、私はもう一ぺん言います。幾ら委員がふえたって同じことでしょう。一ないし十のうちのどれを一番見どころにしておられるのか。総合判断ではありましょうけれども、それをお答えいただきたい。
○勝尾政府委員 行刑当局といたしましては、まず所内における行状でございます。したがいまして第八ということでございます。それから本人の知能、健康状態、これについて行刑当局としての責任を持てる資料を一応は持っております。それから第九番目の作業賞与金等については、釈放後の生活の問題が直接結びつくことでございますので、作業賞与金及び領置金。この三つを行刑当局としては重点的に考えております。
○中谷委員 そのすると、当法案の関係の局長さんのほうにおいては、見どころとしては第二条については、いま矯正局長おっしゃったと同じようなことに相なるわけですか。
○鹽野政府委員 おおむねさようなことになるわけでございますが、犯罪者予防更生法にこの関係の規定がございます。すでに御承知かと存じますが、三十条の第一項に仮釈放の「審理は、本人の人格、在監在院中の行状、職業の知識、入監入院前の生活方法、家族関係その他の関係事項を調査して、行う」という規定があるわけでございます。これは調査のやり方といえば調査のやり方でございますが、おのずからこれが行状に響いてくると思います。現在どういう場合に仮釈放を認めるかという問題は、御承知のとおり、仮出獄につきましては、刑期の三分の一を経過したというのが法律要件でございます。そのほかに、御承知のとおり、刑法の規定で改悛の情があるということがございます。そのほかに再犯のおそれがないこと、それから仮出獄で出ることについて社会感情がこれを認めるというような観点もあわせて検討して、会議の結論を出しているわけでございます。
○中谷委員 いや、答弁が先ばしっていただいたわけです。仮釈放審査規程の第二条の関係ではどうなるのですかということを聞いたのですから。 では、もう一度矯正局長さんにお尋ねしますが、第三条の関係ではどこが見どころになるわけでしょうか。特に法の三十条を担当局のほうではお引きになりましたから、三十条との関係においてでも、ひとつこの第三条の関係での特に見どころというのを言ってください。
○勝尾政府委員 第三条の関係につきましては、これは収容者に関連することで、私のほうで正確な資料を持っておりますので、委員会のほうの参考としてこれらの事項について記載をするわけでございますが、やはり委員会のほうの関係を考えますと、行刑当局といたしましては、一から四ということでございます。「犯罪時ノ年齢 刑期犯数 犯罪ノ性質、動機及情状」これらの点について、行刑当局としては慎重に、できるだけしさいに記載をいたします。
○中谷委員 それでは時間もなんですし、質問をこの程度にしますが、そうすると、担当局長にお尋ねいたしますけれども、特赦、恩赦等の場合でも、特に問題になる、社会がその事件についてどう思っているか、社会感情というものも配慮されるのだとおっしゃいましたけれども、それは法の三十条で申しますと、「その他の関係事項」というところに入るわけでございますか。特に担当局長のほうでは、法の三十条としては、職業の知識とか、入監入院前の生活方法とかいうようなことが、法の三十条には出ているわけです。二十四年の混乱時代の法律ですから、こういう点が非常に問題があったと思うのですけれども、そうすると、仮釈放の審理にあたって問題に現在しておられるのは、三十条に記載してあることもさることながら、「その他の関係事項」というような点のほうにウエートが移ってきている。そうなら、犯罪者予防更生法の三十条の審査の基準というものも、この機会に整備する必要があるのではないか。この点いかがでしょうか。
○鹽野政府委員 御指摘の点でございますが、必ずしも審査の中心が「その他の関係事項」に移ってきているということもなかろうと思います。しかしながら、社会感情関係の調査ということになりますと、この「本人の人格」云々という各事項には直接当たりませんので、その点の調査は、関連事項ということになるであろうと思います。
○中谷委員 では、最後に大臣に一点だけお尋ねしますが、仮釈放の審理というものが適正、かつ、公正、かつ時代の動きに即応したものでなければならないということは、私当然だろうと思うのです。それはもう増員ということ以前の問題だろうと私は思う。そういう点になってみますと、どうも仮釈放審査規程を読んでみましても、三十条を読んでみましても、審査の基準というものが、現在のこの大衆社会状況というか、高度に発達した経済社会の中における犯罪者の仮釈放の基準として適切なのかどうか。私この二十四年当時の法案の審議のときの会議録も読んでみましたけれども、どうもわれわれが現在考えていることと違う点に力点が置かれて審議もされているようだ、こういう感じもするのです。これらの問題について法三十条というものがあるのですけれども、私はひとつ適切な運用基準というものを確立してもらわなければいかぬという点を要望いたしたいと思います。 それから委員の増員増員とおっしゃるのですが、委員というのは、主としてどんな人が委員になるのですか。
○鹽野政府委員 委員でございますが、現在の委員の構成を簡単に申し上げますと、現在四十四人でございますが、そのうちの大部分は更生保護関係の出身者でございます。数で申しますと、三十一名までさようでございます。それからそのほかは矯正関係の出身者、それから検察官出身者も若干ございます。それからそのほかに行政官と申しますか、そういうような系統の方も若干名おられます。
○中谷委員 平均年齢は……。
○鹽野政府委員 平均年齢の調査は、いたしておりません。
○中谷委員 どうせお年寄りの方が非常に多いのじゃないかと思うのですが、私は、年齢などにかかわりなく、非常に新しい感覚をお持ちになった方もおられると思うので、そのことをとやかく言うわけではありませんけれども、もう一度申しますけれども、仮釈放審査規程なるものを拝見をした感じと、いま一つは法の三十条、この仮釈放の審理という、この基準になっている条文を見た感じでは、こういう何かもし非常に古い感覚で仮釈放というふうなものが取り扱われた場合には、必ずしも実態にそぐわないものがあるのではないかという感じも受けるわけでございます。ひとつその点についての大臣の御所見を承って——委員長は法案審議については私の質問はこの程度にしてはと言うけれども、どうもそういうわけにはいかぬので、もう一点だけ質問があるのです、犯罪者予防更生法について。この点について、まず大臣の御見解を承りたい。
○西郷国務大臣 まことにごもっともな御意見と存じますので、時代に即応するように検討してまいりたいと思っております。
○中谷委員 もう一点だけ。ちょっときょうはこの点は質問をどうしようかと思いましたが、やはり質問をいたします。
○高橋委員長 根本問題……。
○中谷委員 犯罪者予防更生法に関して根本問題で質問をいたします。恩赦について——犯罪者予防更生法にこれは関係ありますね。この恩赦について、いろいろな批判がありました。どんな批判がありましたでしょうか。大臣のお口から、明治百年恩赦というのはこれは実施されたわけですが、どんな批判が主としてありましたでしょうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○西郷国務大臣 あれを実行いたしましたとき、趣旨等がやはり徹底しないためかと存じますが、いろいろの御批判もあったことを耳にしておりますが、その中で、一つは選挙違反者の救済じゃないかというようなこともいわれておったようでございます。その他いろいろの御批判があったと思いますが、きわだって申されたのは、その点じゃないかと思います。
○中谷委員 同僚委員のほうからも質問があるようでありますので、社会党としてもやはりこれはお尋ねをしておきます。大臣の御所見を承りたい。個人的には非常に言いにくいけれども、あえて申し上げます。法務委員長さんが日曜日の日、愛媛県の県連大会で白石さんという元県会議員さんのために大いに談じておられる。そのことが新聞の報道に出ております。その内容については、産経新聞ですが、次のようになっているわけです。まあ全部は読み上げません。こうなっている。恩赦というのは明治百年を記念したものだ。だから白石君については「少々の反対があっても一カ月以内に実現をする。もしそうでないなら……」あとはちょっと読むにたえませんというふうなことを言っておられる。こんなことは、大臣として、審査会の委員長はきょうは御出席いただけなかったのだけれども、どういうふうに思われますか。審査会というものがありますね。それで一人の人間の復権問題について、おれは一カ月以内に実現するのだ。これはここに新聞がありますから、大臣お読みいただいてもけっこうです。実は私この部屋に入ってきたら、たくさん持ってきた人がおる。そういうようなことについて、私は言いにくいことだし、聞きにくいことだけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。 それといま一つ、選挙違反についてはとにかく、復権恩赦については特急で、その他の違反の恩赦については鈍行というふうなことが、新聞でいわれておりますね。担当局長にお尋ねしたいのですけれども、現在一体どの程度の恩赦の申請が出て、それがすでに審査会で恩赦の恩典に浴した内訳は、どういう事件が何件なのか、それだけひとつお答えください。
○高橋委員長 いまの事実ははっきりした上で答弁をしてもらいたい。産経の記事がうそですから、私さっき編集局長に抗議を申し込んで、取り消しの要求をしております。皆さんに選ばれた法務委員長、そういう軽率なこと申し上げません。うそです。詳しくはいずれ申し上げてもいいのですが、そんな問題になるようなことじゃありませんし、だから、産経の記事は全然でたらめであるということをここで私から申し上げて……。
○中谷委員 ちょっと待ってください。じゃ、私のほうからこういうふうな質問をいたしておきます。 委員長のお話しのように、そのことが事実に反するのだということであれば、私は非常にけっこうだと思う。ただしかし、「少々の反対があっても一カ月以内に実現する。」というふうなことを、仮定としてそんなことを発言した人かおったとするならば——委員長が言ったとは言わない、委員長は自分は言わないとおっしゃるから。そういうことを言った人がおるとするならば、これは一体法務大臣いかがですかという、仮定の問題として私は大臣の御見解を承っておきます。
○西郷国務大臣 いま中谷さんの御質問につきましては、委員長からも御意見がありましたが、仮定だというふうなおことばがついておりますけれども、法務大臣として所管に関する事項でございますから、仮定のことでいろいろ御意見を申し上げることは適当でないと思いますが、私もそういうことでございますれば、委員長からも御意見を承り、実際に私はその新聞を拝見しておりませんので、それを拝見してみたいと思っております。
○高橋委員長 中谷君、架空な事実に基づいて貴重な時間を浪費されては困るわけで、私は、法律にきめたとおりのことをやらなければならない。法律軽視の風潮である。法律無視の風潮が横行しておる。一つはゲバ棒、一つは恩赦令というのが、はっきりしたものを事務的に行なわなければならぬのに対して、妨害運動をなすがごときはナンセンスもはなはだしいものだ。したがって、事務的にこれは法律どおり行なわれるのであって、したがってこれは一カ月もその上も今後延びるようなことがあったら、事務怠慢だというふうなことで、一カ月以内に必ずやるだろう。それがやれないくらいだったら、腹を切ってもいいようなものだけれども、腹を切らぬで済むには、やめてもいいというようなことを言ったけれども、これは党大会で、内輪で四、五十人集まってわあわあ言うらしいから、先制攻撃でぼくが安心しろと言ったのであって、法律どおり早くやってくれなければいかない。法律にきめたことをやっちゃいけないというような妨害行為をすることはナンセンスであって、法律軽視だという意味で言ったのであって、法律どおりやってもらいたいということをこの際私からも言いたいし、そういうふうな意味のことを、法律どおり、恩赦令どうりやってもらいたいということを言った。
○中谷委員 私自身も、同僚議員からの関連質問もあるようですから、この程度にしておきますが、高橋委員長は、これは架空のことなんだとおっしゃるのだから、私もこれ以上しつこく言うのは何だけれども、開き直って言えば、架空であるかどうか、こんなことはわかりはしないですよ。このとおりであるかもわからぬ。だから問題は、あえてこんなことを仮定の問題として言った人がおれば、これは不適当なんでしょう。大臣として、こんなことは法務行政の最高責任者として——本人も不適当だと言っているのですよ。御本人もこんなことはいけないことだと言っているのだから、大臣が不適当だということを言えないというのは、おかしいじゃないですか。要するに、一カ月以内に私は実現してみせるというふうなことを言っているとすれば、不適当でしょう。そういう言い方をしておかしいのでしょう。そんなことを言う権限というものは、われわれにはないわけなんでしょう。法務行政というものはそんなものではないでしょうと大臣がおっしゃったら、私は何もこれ以上申し上げることはありません。いかがでしょう。
○西郷国務大臣 私の立場がございますので、さように慎重に、これは先ほどお答えいたしましたが、言うべからざることを言うこと、また適当でないことを言うことがありますれば、それはもちろんどういうことにいたしましてもよくないことであると私は思いますが、事実に関連してのことは、いまここでお話を伺っただけでございますから、法務大臣として、事実調査せぬであれこれ申し上げることは、差し控えたいと思います。
○高橋委員長 新聞報道の正確なのは、愛媛新聞というのと読売新聞に出ているのが、これは正確です。私の言ったことを、産経は全然間違っているから、これは読売と愛媛新聞という地元の新聞を調べてみてください。調べればわかりますよ。読売は比較的正確です。
○中谷委員 これ以上お尋ねはしませんが、読売新聞愛媛版、正確だとおっしゃる新聞には、「高橋英吉代議士、白石春樹前県議の恩赦は一カ月以内にきまる、そうでなければ、法務委員長である私は代議士を辞職して申し開きをする」こういうふうにおっしゃっている。こういうことが適当かどうか——私ばかりこう言っていても何でありますから、同僚議員が関連を求めていますから、それが正確だというなら正確だということで、同僚議員のほうは質問していただきましょう。犯罪者更生保護については、きわめてきょうの御答弁、私不満ですので、また同僚委員の質問が終わったあとで、質問させていただくかもしれませんけれども、私はこの程度で質問を打ち切ります。
○松本(善)委員 関連して。この問題は、犯罪者の予防更生ということがほんとうに公正に行われておるかどうかということは、これはたいへん重要なことであります。恩赦が公正に行われるかどうか、あるいは仮釈放が公正に行なわれるかどうか、私たちはこの問題を、単に党利党略というようなことで取り上げているのでは決してない。法務行政が、こういうことがなまはんかに、いいかげんに済まされていったのでは、国民の不信というものはますます大きくなり、その関係者が高い地位におればおるほど、そうである。だから、お聞きするのでありますが、その前に、やはり事実に基づかなければならないので、委員長にちょっとお聞きしておきたいのでありますが、先ほど来御発言でございますけれども、いま中谷委員も読み上げましたけれども、やはり活字にするには、新聞社といえども、全く事実無根のことを新聞が書くということも、われわれ考えられないのです。それは不正確なこともあり得る、これはある程度わかります。しかし、この間の駐米大使の発言、下田発言にいたしましても、新聞記者の責任に全部してしまった。これはけしからぬということで、外務省の記者からも抗議がいっている。やはりすべて全く事実無根ということなのかどうか。もしそうならば、新聞記者が責任をとらなくちゃならぬと思います、全く事実無根であったならば。そういう意味で、私の知っている範囲の新聞では、「白石氏の恩赦は一カ月以内に決まるだろう。そうでなければ法務委員長の私が許さない。もし実現しなければ代議士を辞任してでも県民に申し開きをする」という趣旨のことを述べたと報道されておるのであります。これは全く事実無根なのか、それともそれに近いようなことをどういうふうに言われたのが、それがこう報道されたのじゃないかということをおっしゃっていただきたいと思うのです。
○高橋委員長 職をかけてということを言いました。言ったことを言わぬというような男らしくない高橋英吉ではありません。いまの、法務委員長として許さないというようなことは言いません。白石問題について大いに説明をいたしました。その中に、法律どおりやってもらっておるんだから、恩赦令というものがあって、当然これは許されるべきものであるから、ここ一カ月以内くらいでむろん恩赦になるだろう。もしそれがならないくらいだったら、腹を切ってもいいようなもんだろうけれども、しかし腹を切るわけにいかないから、だから衆議院議員くらい辞職するくらいの覚悟でいるから、皆さん安心しなさいよと言いましたよ。それは内輪だから、みんな心配しているから、なるかならぬか、妨害運動があって心配しているから、その妨害運動というのは、法律軽視の思想であり、およそナンセンスだから、それの成功することはないんだ。事務的に公平に行なわれるから、法律どおり行なわれる。恩赦令どおり行なわれるから、一カ月以内くらいでやられるだろう。それがやれぬくらいだったら、私が腹を切ってもいいくらい、辞職してもいいくらいだから、諸君、安心しろというふうに同志諸君に言った。それくらいは言いましたよ。だから、それは愛媛と読売にやや私の言ったことを正確に伝えております。読売はちょっとニュアンスは違うようだけれども、そう言っている。法務委員会の問題でもないし、私が法務委員長としてとやかく言う必要もないわけで、国民の一人としては、妨害運動が行なわれておると同様に、妨害の自由があると同様に、私も要請の自由、援護の自由があるから、それはどこまでもやりますよ。ぜひ早くそれはやってもらわなければいかぬという考え方は持っているけれども、圧力をかけたり、法務委員長としてとやかく公式の行動に出たことはないし、そういうことを言ったことはありません。
○松本(善)委員 それでは法務大臣にお伺いをいたしますが、問題になりました県議を失格した白石氏、県知事選で総括主宰者として公選法違反で一審、二審有罪ということで、明治百年恩赦を受けるために上告を取り下げて有罪が確定しているということで非難を受けているわけですけれども、この白石氏の恩赦の問題は、どうなっておりましょうか。
○西郷国務大臣 中央更生保護審査会に受理されております。
○松本(善)委員 それはいつごろ法務大臣に意見具申がある予定ですか。
○西郷国務大臣 そのことは更生保護審査会がいつやりますかわかりませんので、その点はお答えしかねるのでございます。
○松本(善)委員 一カ月以内というようなことがありましようか。
○西郷国務大臣 なるべく早く審査をやりたいというので非常に御勉強になっておると思いますが、やはり案件が多いので、相当時間がかかるのではないかと私は見ておりますが……。
○松本(善)委員 かりにも選挙違反を助けるための恩赦だ、先ほど法務大臣もそういう批判があったということを言われております、そういうような非難を受けることのないような犯罪者の更生保護あるいは恩赦という、こういうふうな法務行政が行なわれるべきではないかと考える。いささかもそういう非難は受けない、法務省のやっておることは、これは公正厳正なんだ、だれが見てもうしろ指をさされるようなことはないという法務行政でなければならないと思います。法務大臣、それについて所見を伺いたいと思います。
○西郷国務大臣 いまの御意見と全く私も同感であります。
○松本(善)委員 終わります。
○中谷委員 同じことですが、いま大臣に誤解のないようにお願いをしておきたいと思うのです。急いでやっておるというのは、いわゆるこの復権令、政令第三百十五号の復権令に基づく特別復権について、とにかく審査を急ぐ趣旨であって、いやしくも委員長がとにかくその点は言ったんだ。一カ月以内に責任を持つとか持たぬとかいうふうな、特定の人間のものだけを鈍行でなくて、特急で行くとか、急行で行くというふうなことであっては、とんでもないことですよ。私はそれが一点。あたりまえのことだけれども、念のために私はお聞きしておきたい。 いま一つ私がお聞きしたいのは、いわゆるこの復権令の、明治百年恩赦にあたり行なう特別恩赦基準の七の、特別復権の基準というのがありまするけれども、何も選挙違反だけ先やれ、交通違反とかその他はあとでもいいんだというようなことは、この条文からは出てこないでしょう。何か一部の人はそういうことを言っている。選挙違反はとにかく特急だ、その他のものは鈍行でいいんだというふうな、そんなばかなことは絶対にない。国民に対するとにかく法の保護というのは、あらゆるものについて厳正かつ適正、公正でなければならぬ。早くやるというのは、すべての審査について早くやる。そうして許すべきものは許し、許すべからざるものは断じて許さぬ、こういうものであるということですが、それは大臣あたりまえのことですけれども、念のためにお聞きしたい。
○西郷国務大臣 いまの私の答弁のことばじりでおしかりを受けたようでございますが、これははなはだ私の不本意でございまして、いかなる意見が世間にあろうとも、当然、法務省としては厳正にこれをやっていく、これは当然の任務でございますから、さような態度で今後ともやることと思います。
○高橋委員長 山田君。
○山田(太)委員 先ほどの中谷議員並びに関連で松本議員からの質疑がありました、この明治百年の特別恩赦の問題でございます。これは、私といたしましても、考えようによってはゆゆしき問題である。したがって、現在までにこの特別恩赦を許可したその内容と、それから件数、これはもう当然おわかりになっていることと思いますから、これについてまず冒頭にあたって御答弁を願いたい。
○鹽野政府委員 きょうは恩赦のお尋ねがあると思いませんでしたので、詳細な統計は用意してございませんが、私の記憶で申し上げることをお許しいただけますならば、現在まで中央更生保護審査会が受理した明治百年恩赦関係の恩赦の申請は、約二千件でございます。そのうち、現在まで処理したものが約千件でございます。半分処理しているという状況でございます。 その内容をお尋ねでございますが、どういう御趣旨であるのか必ずしも的確に把握いたしかねますが、罪種で申しますれば、七割ぐらいが公職選挙法違反であろうかというふうに思います。
○山田(太)委員 この処理した千件のうちの七割が公職選挙法違反。その公職選挙法違反をもう少し内容を区別して、たとえば買収あるいは供応等と形式犯と分けてみたら、どのくらいの数になりますか。
○鹽野政府委員 ただいま申し上げましたように、正確な統計を用意しておりませんので、きわめてこまかい数字は申し上げられないのでございますが、いわゆる形式犯的なものは、非常に少ない数であろうと思います。
○山田(太)委員 いわゆる形式犯的なものは少ない数である、ここが大きなポイントだと思います。したがって、先ほど大臣の仰せになったように、この明治百年恩赦が世上いろんな批判があった。その中でも、ことに選挙違反者の復権をはかった恩赦であるという世上のうわさが、現在までのところでは事実となってあらわれてきておるわけです。先ほどの委員長に関しての新聞紙上をにぎわしている一カ月以内に云々などということがもしあったとしたならば、これはもちろん大問題のことでございます。政治不信につながる問題でございます。一番国民が心配しているのは、この明治恩赦が、先ほども申し上げたように、選挙違反者の復権をはかっているんじゃないかということに一番疑惑の眼を注いでおったわけです。われわれもその一人でございます。ところが、いまの答弁にありましたように、それが如実に数字となってあらわれてきておるから、一そう国民の皆さま方の政治に対する不信に通じていくことは、如実の事実となってあらわれます。この点に対して西郷大臣はどのような見解を持たれるか、御答弁をお願いしたいと思います。
○高橋委員長 いや、ちょっとぼくの名前が出たから、私も一言申し上げたいんだが、一カ月以内に恩赦が実現するだろうということは、法律の命ずるところの手続を法律の命ずるとおりに正しく行なってくれれば、一カ月内ぐらいで決定するはずであるということを言っているわけで、これは、法律の命ずるところによって事務的にやるんだから、その事務の渋滞とか遅延とか来たすようなことがあっては、これはたいへんだという意味を言ったわけなんで、一カ月はそういう意味ですから、それはひとつ誤解のないように……。
○西郷国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、約二千件のものを受理いたしました中央更生保護審査会においては、慎重に検討なさっておると思いますので、その結果につきましては、私もあれこれは申し上げられないわけであります。
○山田(太)委員 大臣は、何を答弁なさっているか、自分でわかっていないのじゃないかと思うのですがね。この国民の政治不信に対して、大臣はどのような見解を持たれるか。結果がこうなっておるが、大臣はどのような見解を持たれるか。こんなごまかしたようなうやむやな返事じゃ、大臣の答弁にはならぬじゃないですか。
○西郷国務大臣 そういうごまかしとかなんとかという考えは、毛頭ございません。まことに慎重に御答弁しておるのでありますが、先ほどお尋ねのように、いま保護局長が申しましたとおり、すでに受理いたしましたものの七割は選挙違反である、そういうことでございまして、私も初めてといいますか、七割もあるかというふうに思ったのでありますが、それが、いまお尋ねのように、世上伝えるところと同じじゃないか、そういう御質問でございますが、これはそういう結果になったわけでありまして、私があれこれ言うべきものじゃないと思います。
○山田(太)委員 それ以上の答弁は大臣はようなさらぬようでありますが、では次に移ります。 この恩赦の処理ですね、二千件受理し、そのうち千件を処理した、そのうち七割は形式犯以外の、いわゆる世間でいえば質の悪い選挙違反とも申せましょうか、そういう人々が七割を占めておる。この点について、この受理と、それから、その処理が、法の命ずるままにそれを処理しておられるかどうか、それを明確にする用意がありますか。
○鹽野政府委員 法が示すとおりの処理という趣旨が、ちょっとわかりかねますが……。
○山田(太)委員 先ほど同僚の中谷委員から質問がありましたように、選挙違反だけを早く処理するという政令ではない。したがって、その政令の命ずるままに選挙違反だけを先に取り上げて処理しておったのじゃ、これは当然法の命ずるままではない、そういうことを申し上げたのです。法の命ずるままに、ちゃんと順序に従ってそれがきちっと処理されておるかどうかということを国民の前に明らかにする用意があるかどうか。これがもしできないとあったら、たいへんです。
○西郷国務大臣 中央更生保護審査会におきまして厳正にやっておるのでございますから、そういう御心配はないものと私は思います。
○鹽野政府委員 選挙違反を優先的に審査いたしまして、その他のものをあと回しにするというような取り扱いは、審査会においてはいたしておりません。ただ、先ほど来やや問題になっておりますが、たとえば選挙違反の場合にすべて受理順で審査をしているかどうかということになりますと、必ずしもすべてが受理順で審査をしているということではないのでございます。これはどういうことかと申しますと、審査会の御方針といたしまして、選挙違反で恩赦にかかるという場合には、先ほど来御指摘のとおり復権するわけでありますが、さような場合に、もしも審査した結果、恩赦相当という結論の出る事件が、順番で審査しているためにたとえば次の選挙なら選挙に間に合わなくなってしまう、せっかく審査の結果は恩赦相当という結論になっても、その結論の出る時期がおくれたためにさような結果におちいるということは、できれば避けたいというのが、審査会の委員さん方のお気持ちでございます。私ども事務当局は、申請の書類にさような点があらわれているものにつきましては、先に審査会で検討を始められるように考慮するようにという指示を受けておりますので、すべてが受付順に検討されているということではないのでございます。
○山田(太)委員 いまの局長の御答弁は、受理順ではない。したがって、選挙違反の復権の時期の問題等々も考え合わせて検討を進めていく、要約すればこういう御答弁です。間違いありませんね。——したがって、結局するところは、結果から見れば、選挙違反を先に取り上げるという結果になっているということを言われておるのじゃないですか。それと全く同じじゃないですか。言い回しが変わっただけじゃないですか。この点についてどう釈明なさいますか。
○鹽野政府委員 必ずしも選挙違反だけを先に取り上げて処理していくということではないのでございます。
○山田(太)委員 もう一ぺん言わせなければいけませんね。先ほどの局長の答弁は、選挙違反を特別先に取り上げるわけじゃない。しかし、受理順ではない。選挙違反の場合は復権の問題があるから、その点を加味して処理をしていくようにしております、ということは、選挙違反を先に取り上げるということと同じじゃないですか。これに対しては答弁しにくいことと思います、そのとおりぼくは反すうして言うただけだから。これは否定できますか。
○鹽野政府委員 審査会にかかっております事件は、いろいろな種類があることは御承知のとおりでございます。したがいまして、選挙関係のもございます。それからそれ以外のもございます。それらにつきましては、原則としては受理の順序で審査をしていくというのがたてまえでございますが、いま言ったようなケースにつきましては、それを先に取り上げるということもあるということを申し上げたわけでございます。
○山田(太)委員 そこで大臣にお伺いします。いまお聞きになっておったとおりです。また、同時に、法のもとに国民は平等でなければならない、これは大原則です。したがって、原則は受理順に審査を進めますが——いまの局長の答弁ですよ。しかし、復権の問題がありますので、それを早く取り上げるときもある、こういう御答弁です。これは一つは法のもとに平等でないという懸念がある。もう一つは、選挙違反を先に取り上げたというその結果は、この数字の上にも歴然とあらわれている。したがって大臣としてはこれからの——済んだことはどうでもいいという意味じゃありません。これは国民一般の方々にたいへん大きな政治不信を巻き起こす原因になると思います。そうでなくてさえ、明治百年恩赦は選挙違反を中心にした恩赦であり、そして選挙目当ての、復権を目ざしたものであるとさえいわれておる。したがって、いままでの答弁で国民の不信がますます濃厚になることは、歴然としております。そこで、このいままでのやり方をそのまま踏襲していくのか、大臣として悪いところは悪いと改めるのか、その点について大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。
○西郷国務大臣 御承知のとおり、この中央更生保護審査会というものは、独立して委員の方々のお考えで運営していらっしゃるものでありまして、法務大臣があれこれ指図がましいことはいたすべき筋合いのものでないのでございます。したがいまして、私がいいとか悪いとかいうようなことは言える筋合いの委員会ではございませんので、私としては、今後とも中央更生保護審査会の委員の方々の賢明な御判断によってりっぱに運営されるものと信じております。
○山田(太)委員 法の正常な運営をはかるべき法務大臣が、ただ中央審査会は私の権限内じゃない、独立した機関であるからといって野放しにし、何の助言も与えないということをおっしゃるのですか。
○西郷国務大臣 御承知だと思うのですけれども、そういう独立した、またりっぱな委員の方々で構成していらっしゃるものでありまして、いいにつけ、悪いにつけ、法務大臣があれこれ申しますことは、非常に誤解を生じますし、差し控えるべきものであるというふうに私は考えております。
○山田(太)委員 それじゃ、いまの大臣の御答弁を反すういたします。よかろうが悪かろうが、法務大臣は何にも言わぬ、そういう答弁です。
○西郷国務大臣 非常に悪くとりますと、無責任きわまることを言っているじゃないかという御見解かもしれませんが、そうではございませんで、その審査会の立場と申しますか、位置と申しますか、それが法務大臣の指揮監督の下にあるというものではなくて、厳然と独立してやっておる審査会でございますから、私があれこれ口を出しますことは、非常に誤解を生じ、また差し控えるべきものであるというふうに、謙虚に私は考えておるのでございます。無責任に、よくても悪くても野放しでいいじゃないか、そういう考えではございませんで、りっぱな方々の構成しておられる権威ある審査会でございますから、私はりっぱにやっていかれるというふうに期待をいたしておるのでございます。
○山田(太)委員 これ以上大臣の答弁も望むべくもありませんので、今度は中央審査会の責任ある答弁をあらためていただくことにいたします。しかし、法務大臣として、先ほどの御答弁の中には、大臣としてどちらかといえば無責任に聞こえる、そういう答弁があったということは、私は残念に思っております。 そこで、時間も過ぎておりますので、これからの法の正常な運営をはかる意味において、大臣の姿勢をもっと検討すべきじゃないかということを一言要望しておきます。 そこで、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案について、先ほども恩赦法について質問を続けてきたわけではありますが、この犯罪者予防更生法の委員会ですね、この構成メンバーについては、先ほど御答弁がありました。そのメンバーの中で検事の方がいらっしゃる。この検事の方は、いわゆる世間でいう充て検という立場ですか。その検事の方は何名、どこにいらっしゃるのですか。
○鹽野政府委員 三名でございます。場所は、関東の委員会と近畿の委員会と中部の委員会と、各一名ずつでございます。
○山田(太)委員 そこで、これは素朴な私なりの考えでございますが、検察官の役目は、当然起訴、求刑、法に基づいて確信をもって求刑をするわけでございます。したがって、先ほどもお断わりしたように、これは素朴な私の疑念でございますから……。そこでこの仮釈放、すなわち刑の中途において仮釈放を決定づける委員会の構成メンバーとして、充て検としてではありますれども、検察官がこの立場におるということは、通常の人間の心理的な立場としてこれは常識で考えられることですが、あまり妥当じゃないのじゃないか、そういうふうに考えるわけですね。保護観察所とかあるいは刑務所長、そのような関係の人ならばこれはまた別でございますけれども、検察官が起訴し、求刑するという立場、ここに心理的な面からいっても一〇〇%妥当とはいえないんじゃないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
○鹽野政府委員 御指摘の点でございますが、まず検察官というものは、求刑はもちろん法廷でいたしますが、必ずしも処罰するということだけを考えている職責ではないと私どもは考えております。それはそれといたしまして、仮釈放の審査につきましては、これは裁判の言い渡しによって確定した刑、あるいは少年院の場合には保護処分というものの執行を受けている人を、その執行の途中で仮に施設から釈放するということでございまして、裁判の運用というものに非常に深い関係があるわけでございます。したがいまして、その面で私ども委員会の運用を見ておりますと、その中に法律家がある程度入っているということが一面望ましい面があるのでございます。 それからいま一つは、刑務所あるいは少年院にいる者を仮釈放するということは、ただいまの考え方では、いわゆる施設内処遇からいわゆる社会内処遇へ移して、そしてしばらくして完全な自由の身になるということで、犯罪者の更生保護をめざした一連の手続だというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、この仮釈放を審議し、決定するにつきましては、刑事政策的なものの考え方が非常に強く打ち出されるわけでございまして、さような基本的な考え方でこの事務が処理されなければならないと思うのでございます。したがいまして、そういう刑事政策の専門家と申しますか、技術者と申しますか、そういう意味で更生保護関係の仕事に長く携わっていた者、それから刑務所関係の仕事に長く携わっていた者、それからそれと並んで検察関係、検察の目から刑事政策を見てきたという人が入っているということもまた必要な場合がありますので、数の面におきましては先ほど申しましたように現在三名でございますが、それはそれなりに、一部は刑事政策の専門家として、また一部は法律の専門家としてそれなりの使命を果たしている、かように考えているわけでございます。
○山田(太)委員 引き続いて同じ素朴な質問で恐縮でございますが、この三名ということですね。充て検が三名ということ、これが関東と近畿とそれから中部、この三カ所だけに配置されているというのは、やはり件数等々の点を配慮してのことだと思いますが、ただそれだけの理由ですか。
○鹽野政府委員 三カ所に現在配置されておりますが、特にそこだけというふうに指定して考えているわけではないのでございます。
○山田(太)委員 では、どういう——先ほどの御答弁の意味と、ちょっとすんなりとつながらないわけですね。検察業務に携わった人もいる。これは一応わかります。だけれども、三カ所に、こことこことここだけに指定しただけではない、その点の脈絡がわれわれにすんなり入るような説明をしていただきたいと思います。
○鹽野政府委員 御指摘のとおり、現在の状況を見ますと、事件数等の面から見まして、この関東、近畿、中部というところが事件数もたくさんございますので、こういう場所に検察官出身の者を配置するということは、それなりに意味があると思いますけれども、ただ、従来からの例を見ますと、必ずしも常にこの三カ所であるというふうには限っていないのでございます。
○山田(太)委員 局長は自分で答弁なさりながら、その自分の答弁に納得されますか。なぜ検察官が——私の言うのは、そうでなくても、いま大学紛争問題等々で検察官の不足を来たしておるときです。また、先日の刑事局長の答弁だったですか、いつまでたっても、司法修習生の検察官志望者は依然として五十名前後をこえない。これは日を改めて大臣に裁判官並びに検察官の処遇改善の問題についてお伺いしたいと思います。さきの国会で大臣の答弁がありましたが、その後に具体的にどのように進まれたのか、これはきょうはお聞きしません。どうせ的確な答弁をいただきかねると思いますので……。そこで、いまこの検察官が非常に多忙であり、少ない中に、充て検がある。ついでに思いついたのでちょっと聞きますが、この前、去年の暮れだったと思いますが、充て検の詳細をお聞きしたときに、明快な答弁が得られなかった。官房長、もしその点つまびらかならば、ついでに御答弁願いたいと思います。
○辻政府委員 いわゆる充て検でございますが、御承知のとおり、充て検と申しますのは、法務省設置法の十七条におきまして、当分の間、特に必要があるときは、法務省の職員のうち、百三十三人は、検事をもってこれに充てることができるという規定に基づくものでございます。現在はこの百三十三名のワク内で充て検があるわけでございますが、なぜかようなものがあるかという点につきましては、しばしば当委員会でも説明いたしておりますように、法務省の所管事務につきましては、民事、刑事の基本法の立案であるとか、検察に関する事項があるとか、検察庁の管理に関する事項があるとか、あるいは訟務に関する事項があるとか、あるいは司法制度の立案研究ということであるとか、要するにこの事務を行ないますには、いわゆる判検事、弁護士の法曹資格を持った者でないと、この事務が十分にできないという基本的な性格のものがございます。かような点から、判検弁護士の資格を持ちました法曹がこの法務省の職員になる必要性があるわけでございますが、現実の問題といたしまして、これをやはり弁護士から求めるということは、きわめて困難な実情にございます。そういう事情もございますので、判事、検事からこの職務に充ててきているというわけなのでございます。それではなぜ判事、検事という形を持ってきておるかといいますと、現在判検事の俸給と一般職の公務員との給与に相当の格差がございます。かような関係もございまして、現実の必要性から判検事に法務省に来ていただくわけでございますが、その場合に判事、検事という資格でこれを採用していく、かようなことになっておるのでございまして、現在この充て検を使わしていただいておりますのは、御指摘のように検察庁もたいへん多忙でございますので、必要欠くべからざる部署にこれを配置していくわけでございます。将来法務省におきまして、新しい制度の上級職試験にも合格いたしました者が漸次成長いたしまして、年次的に法務省の必ずしも法曹でなくてもよいという管理職のポストにつけ得る年数と実力を持ってきました暁には、かような特別の部署につきましては上級職採用者が充てられるものと私どもは理解をいたしておる次第でございます。
○高橋委員長 山田君、国政の根本問題はまた機会があるから、きょうは直接の問題だけをひとつ……。
○山田(太)委員 ここでいまぽきっと折ったのでは話にならないのでね。いまの答弁は、この前の答弁と一緒なんです。それは法規ではっきりしています。私の聞きたかったのは、その充て検の内容の詳細です。用意がなかったら今度でけっこうです。
○辻政府委員 全般的な配置の状況は詳細にわたりますので、事務次官と公安調査庁長官、これは全然別でございますが、それ以外のいわゆる課長以上のポストについて申し上げますと、現在法務本省、公安調査庁を含めまして課長以上のポストは五十九ございますが、そのうち四十一が、いわゆる法曹資格を持っておる有資格検事になっております。残りの十八は、法曹資格を持たない課長以上のポストの人が就任しておる、かような状況になっております。
○山田(太)委員 委員長のお話もありますので、これはもっと聞きたいところですが、きょうは委員長のことばを尊重して……。ただこのことについて要望しておきたいのですが、いま検察官の不足のときに、先ほど官房長がおっしゃったように、いわゆる有資格者でなくてもできるような立場につける道を開くこと、昇格の道を開くこと、これがいまの時点において一番大切であるということを要望しておきます。 そこで、仮釈放のことについてちょっとお聞きして、もう一時半になりますのできょうは質問を終わりたいと思いますが、先ほどの同僚議員への答弁の中に、仮釈放は、刑務所においては——たとえていえばですよ。一例です。身上調査書でもって行なう。しかも刑期の三分の一以上ならばもうその資格が与えられる。そこで事実においては、ほとんどといっていいほど三分の一の刑期を終えてから仮釈放になるという人は少ないと聞いておるのですがね。この点が一つ。それから刑務所の場合、入所するときに、法律に暗い人に対してもこの仮釈放の点がはっきり本人に明示されてあるかどうかということが一つ。もう一つは、その身上調査書といえども、その中の内容の一部はお伺いいたしましたが、これは数字でぴちっとあらわれるようなお話じゃなかったわけです。散文的な、抽象的なことばでございます。その抽象的なやり方によってこの仮釈放の判断が下されておるじゃないと思うのです。何かの基準がなければ、これは公正を欠くおそれがある、しろうとなりに考えても。その基準というものを、先ほどの同僚議員への答弁のような散文的な抽象的なことで済ましておるのだったら、これはたいへんなことです。やはり何かの基準で、点数制とかなんとか、そういうものがちゃんとあるのじゃないかと私なりに考えるわけですが、この三点について。
○勝尾政府委員 判決の確定者が刑務所等に入所してまいりますと、三日から五日の間刑務所における行動の基準と申しますか、守らなければならない事柄、いわゆる受刑の心得といったようなものを本人にオリエンテーションをいたしております。それからさらにパンフレットをつくりまして、その中に仮釈放のこと等の法律の条文、それから行状等がよかった場合には仮釈放になるということを印刷したものを各収容者に配付をして、見せております。そういう意味におきまして、入所者に対する仮釈放の周知と申しますか、これをはかっております。 それから次に、仮釈放の期間の問題でございますが、御指摘のように、刑法では三分の一ということが書いてございます。ところが、この三分の一が現実に動いておるかどうかという点になりますと私の承知しているところでは、おおむね三分の二から五分の四というのが実情であると思っております。この点につきましては、やはり判決のある意味では実質的な面の是正といったような面もありますので、その辺の問題については行刑当局だけではきめられないという問題も含んでいるんじゃないかと思っております。それで、実際の運用は、三分の二から五分の四というのが実情でございます。 それからなお、行刑施設では、三分の一の相当日が参りますと、まず第一回の仮釈放の審査会というものを施設で開きます。それからさらに地方委員会に、だれだれが三分の一経過したということを通知いたしております。さらにその後、おおむね月に一回、仮釈放の審査の会議を開いております。 それから最後のお尋ねの具体的な基準の問題でございます。この点につきましては、本省の保護局長と矯正局長のほうの連名の通牒が出ておりますが、これはやはり内容的には抽象的でございます。行状がいいことだとかあるいは作業の成績がいいとかいう、いわゆる抽象的な基準でございます。そこで、各第一線の行刑施設ではどうしているということにつきましては、これは非常に苦労をしております。どういう方法が最も適当かということになりますと、中央のほうでこういうやり方で採点をするようにということを決定するだけの、私のほうのそこまでの自信のある研究がまだいたしておりませんので、これは各現場の状況をそれぞれ見ておりますと、ある施設では点数的なものを加味してやっていくところもございますし、それから点数というやり方ではなしに、作業の成績等のあがり方のカーブを見るとか、これは各現場において、それぞれの施設でくふうをしているというのが実情でございます。 しかしながら、そういうことでうまくいっているかというような問題でございますが、この点につきましては、行刑施設のほうとして一応責任の持てる内容と申しますのは、所内における処遇ということに限られるわけでございます。その所内における処遇をいろいろ評価する際には、御承知のように刑務所には、保安課、作業課、教育課、医務課、あるいは分類課等、収容者の処遇に分担をこまかくやっておりますが、それぞれの課の責任者全員をもって、一人の収容者について、それぞれの担当部門の角度からの意見を述べて、そこで一致したところで上申をする、あるいはしないとかいうことをきめているのが実情でございます。
○山田(太)委員 そこで、最後に要望をしておきます。 この問題はまた次回に質疑応答を続けていきたいと思いますが、いまの答弁の中で心配なのは、公平でない点が出てきやしないか。悪意でなくても、意識しないで公平でない点が出てきやしないか。こういうことは、やはり刑務所に例をとれば、刑務所の所々によって違うということが大きな問題です。 もう一つは、パンフレットを配っておるといっても、一人一人によってやはりそこにおのずから了解点の差があると思います。罪は憎んで人は憎まずということがあるし、やはり人間性を尊重するという立場からいっても、これは最高に公平でなければならない。したがって、ある意味においては、もう人権尊重の最高の立場から、期待権ということさえも考えていいのではないかとさえ思うわけです。 この点は要望にとどめておきまして、きょうは質問を終わります。
○高橋委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○高橋委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時三十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕