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61回国会衆議院1969/03/11

法務委員会 第6号

発言数
124
登壇者
11
会派数
4
開催日
1969/03/11

会議録

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題として、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田太郎君。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 きょうは大臣の出席もありませず、また裁判所の事務総長あるいは刑事局長の出席もかなわないそうでございますので、また別の機会に質問させていただく点等は残して、簡単ではございますが、二、三だけ質問いたしたいと思います。  そこで、最初に政務次官にお伺いしたい問題が一つあります。この前の国会で、裁判官並びに検察官の特殊の職能にかんがみて、待遇の改善を諸外国等の例をあげて検討もし、それに対しての御答弁もいただいておりますが、その後この点についてはどのように取り運んであるかという点を、もし御存じならば政務次官から、まだ着任が新しいので、政務次官でつまびらかでない場合もおありかとも思います。その場合は、ほかの方からひとつお願いしたいと思います。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 裁判官また検察官の処遇の問題につきまして、いろいろとありがたいお話をいただいておりますが、これは職務の性質から申しましても、一般の公務員に比べて給与等におきましても優遇すべきものである、かように考えております。かといって、特別の給与体系をつくるということも、現在の法制のたてまえ、人事院のたてまえから申しまして、必ずしも適当でない。こういうふうな判断に立ちまして、現在は一般の公務員に比べて高くきめてありまして、これを公務員の給与の改善に伴ってスライドするという形でやっておるということで現在は処理をいたしておる、こういう次第でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 そういう御答弁だともう一言つけ加えなければいけないのですが、この前は諸外国の例を引いてお話も申し上げてあります。また、現実において現在一般公務員よりも高く処遇してあるということも知っておりますが、その点の御答弁もありました。しかし、それだけではまだ満足できないのです。考慮する、検討したいということになっておったわけです。したがって、いまの御答弁では、前回とちっとも前進がないわけです。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 遺憾ながら現段階におきましては、先ほど申し上げましたその程度でやっておるというわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 といたしますと、検討する考えがないということになるのですが、その点はどうでしょうか。この前の答弁と非常に違ってくるわけです。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 考えを放棄しているわけではございません。公務員の給与の体系の問題もございますので、これは十分に慎重に考えて処置すべき問題、このように考えておりまして、もちろん改善の考えを放棄はいたしておりません。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 当然大臣の御答弁から政務次官のその御答弁も引き出されたことと思いますので、考えを放棄はしていない。放棄はしていないが、前には進まぬということですか。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 なかなか表現のしかたがいろいろありますので、放棄をしてないということは、やはり依然として考えておるということです。ただし、いろいろな条件がございますから、簡単にはまいらない、こういうことを申し上げておるわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 これ以上お聞きしても、どうも前に進みそうもありませんので、今度大臣にお伺いいたします。そこで、どのような検討を進めておるかという点を次の機会に御答弁を期待いたしまして、この問題は次に移らしてもらいます。  そこで、まずこまかい問題でございますが、この裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の参考資料でございますね。六ページの、この秘書官の八名の欠員です。これはこの前、前回の国会ではありませんが、やはりその前の国会において、これはやはり寺田総務局長さんですかに質問した覚えがあります。そのときの御答弁によりますと、依然として八名の欠員のままであるはずはない。こまかい問題ではございますが、しかし、定員法の問題でございますから、この点について、依然としてまだ八名欠員であるという点について、御答弁願いたいと思います。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 高等裁判所長官の秘書官の問題は、私の記憶では法務委員会で山田委員からお話もございましたが、多分この前の国会じゃなかったかと存じます。前の前でなくて、多分前回あたりの国会ではなかったかと思いますが、その際、私が御説明申し上げました趣旨は、要するに、これは非常に特別の給与体系のものであり、個人的な信任関係のものでございますので、そういう関係から、これを埋めました場合、その者の将来というものについていろいろ問題がある。しかも、一方では、高等裁判所長官の任期が現実には非常に短いという点から、これの運用になかなかめんどうな問題があるのだということを申し上げまして、それならば、そういうなかなか埋まらないような定員はむしろやめにしてはどうかという御反問が当然あり得るところであるけれども、しかしながら、たとえば部外から、一例をとれば弁護士からお入りになったような場合に、弁護士のときにお使いになった方で、その方の高裁長官御在任中そういう秘書官を任用されることが非常にスムーズにいくというような例があり得るであろう。これは現実に最高裁の裁判官については、そういう例が多々あるわけでございます。そういう関係で、そういう場合のこと等も考えますと、裁判所法にはっきり規定していただいておりますものを放棄いたしますことには、とうてい踏み切れないという趣旨で申し上げたつもりでございます。先日、この国会に臨むにあたりまして、この前の速記録も十分検討いたしまして、私の答弁をまたよく読み直してみたわけでございますが、そういう趣旨で申し上げておるつもりでございます。ただしかしながら、決して放棄しておったわけではございませんで、そういうお話もございましたし、いかにもこれは外から見ても奇異にお感じになるということもごもっともでございまして、私どものいわば事務的な立場からすれば、いろいろ申し上げたいような具体的な事情がございますけれども、しかし、とにかくもそういう欠員が長く続いておるということは、やはり問題である、はっきりすべきではないかということは、内部的にもいろいろ議論があって、一年かかりまして、これは直接的には人事局の所管になることでございますが、私どものほうから人事局に連絡しまして、双方で検討を重ねまして、実は近い時期に——ほぼ結論に近づいておるわけでございます。たまたま本日すでに埋まりましたという御報告も申し上げられませんことはきわめて遺憾でございますけれども、そう遠くない時期に何らかの結論を見出すという方向で鋭意やっておりますので、いましばらく御猶予をいただきたい、かように考えておる次第でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 その点は了承いたします。  ついでにあわせてお伺いしたいのは、やはりこの参考資料にもありますが、執行官関係の統計も出ておりますが、この前は、執行官の汚職問題と関連いたしまして、現在の執行官の制度の運用、あるいは法規の改正、あるいは現在のあり方の弱い債務者の方々を守るという立場から改善をしてもらいたいという要望もいたしておりました。私の調査によりますと、大阪だったですか、一、二改善されたということも、先日耳にもいたしております。他のほうについてはつまびらかではないのでございますから、ただ質問しっぱなし、要望しっぱなしでは、国民の皆さんに対してもやはり責任のないやり方と思いますので、他のほうの実情がどのように改善されたかという点も、あわせてきょうこの機会に、寺田総務局長さんから御答弁なり、あるいは説明なりをしていただきたい。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の問題は、実は内輪で申し上げますと、民事局の所管になるわけでございますし、突然のお尋ねでございますので、私十分なお答えができるかどうかと存じますけれども、しかしながら、私の承知しております範囲で申し上げさしていただきますが、執行官の問題は、裁判所としては一番重要な問題の一つとして真剣に取り組んでまいっておるわけでございます。そういたしまして、いま大阪云々のお話もありましたが、まず第一に、庁舎ができます際に、新営庁舎には必ず執行官の部屋を設けまして、その監督が十分できるようにする。そして専任の監督者を設けますことは前々から申し上げておりますとおりでございますが、それが十分に監督ができるような処置を講ずる、そのためには旅費その他の手当もいたしてまいっておるわけでございます。それから本日御審議いただいております定員法でも、執行官関係の事務官は増員三十人というのを計上していただいておるわけでございますが、これは窓口のところの金銭の出納を裁判所で押えるということでございますので、執行官粛正には一番直接的なやり方であろう、かように考えるわけであります。執行官が直接金銭を授受いたしますことがいろいろ汚職の原因等にもなりますので、すべてこれを裁判所で取り扱うという趣旨でやってまいっておりまして、従来二年間で四十人、一年二十人ずつの事務官の増員でございましたのが、本年は三十人ということで、しかも、できますれば、東京というようなところにその制度を設けまして、そうして厳正にやってまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、執行官そのものの待遇につきましては、最近にも補助金が若干増額になっているようなわけでございまして、そういういろいろな施策を並行いたしまして改善に努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 この点は、いまの御答弁は、やはりありきたりな答弁にならざるを得なかったからそういう答弁になったと思うのでありますが、私も、この前は大阪の問題で一それからたしか東京の問題と、両方あったと思います。もう一つ具体的な事例もありますので、きょうは御質問はこれ以上はいたしませんが、今度民事局長が見えたときに、あらためてその具体的な事実から、弱い立場の人々を守る意味から、これはもう一度質問したいということを申し上げて、保留しておきます。  次に、きょうは短時間の予定だったものですから次に移らしていただきますが、裁判の渋滞によって多くの人々が迷惑していることは事実でございます。ことにこのたびのような大学紛争の問題等もあれば、これが裁判官の数が多ければ、あるいは検察官の数が多ければ、この大学の紛争の問題は処理できるという直線的な問題ではもちろんありません。しかし、それも含めて裁判の渋滞ということは、どうしても処置しなければいけない重要な問題です。したがって、ここでお伺いしたいのは、御答弁ができるかできないかはさておいて、司法試験ですね。その再法試験の問題は次にいたしまして、司法修習生の方々が、裁判官になりたいとかあるいは検察官の志望者が歩ないということも聞いております。少々は底上はしておるようでございますが、ここ数年のその状況を教えてもらいたいと思います。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 これはあるいは法務省のほうからお答えいただいたほうがいいのかもしれないのでございますが、研修所は裁判所が所管いたしております観点で、私のほうからひとまず説明さしていただきます。  ここ数年間というお話でございますが、大体四十年ごろから修習生の出ます数自身がかなりふえてまいっておるわけでございます。四百人を上回って、たとえば四十年の場合には、四百四十数名ういうふうな形になっております。それに伴いまして裁判官、検察官等の希望者も、少しずつはふえてまいっておるわけでございます。裁判官につきましては、四十年が七十二名、四十一年が六十六名、四十二年が七十三名、四十三年が八十五名と、こういうふうな数字になっております。検察官のほうは、大体五十名前後のところが多いように伺っております。この数が多いか少ないかという点でございますが、総数がふえましたわりには裁判官の志望がそれとパラレルにふえてないという点で、少しふえ方がまだ足りないのではないかという感じは持つわけでございます。ただしかしながら、昨年のごときはともかくも八十五名ということで、ここ数年に比べますと、かなり多い数になっておるわけでございます。それから本年の場合は、実は本日も研修所関係の試験をやっておりまして、その関係で事務総長参りませんで恐縮に存じますが、しかしながら、本年の見通しとしては、大体九十名ないし若干それを上回るのではないかということでございます。まだ最終的には希望が確定いたしておりませんが、九十名を若干上回りそうな見通しになっておるわけでございます。そういう点からまいりますれば、少しずつは改善してまいっておるということは申し上げられるかと思います。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 パラレルにはふえてないという御答弁ですが、いまの数の御報告を聞いても、非常に少ないと言ったっていいのじゃないかと思います。これに対してもっと増員をはかる対策は、どのような対策を講じていらっしゃるか、もう一度それについて御答弁いただきたいと思います。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 実は具体的に裁判官希望の増加をはかるかどうかということもそれといたしまして、司法修習制度のあり方というものについての問題を私どもとしては十分検討する必要があるのではないか、かように考えておったわけでございます。臨時司法制度調査会の意見書にも、御承知のとおりの意見が出ておるわけでございます。そういうところから、先年最高裁判所に司法修習運営諮問委員会という制度を設けまして、そしていわゆる法曹関係者、学者の方も入っていただきまして、これは実に熱心に数十回にわたって会議を開いていただいたわけでございます。その答申と申しますか、意見は出たわけでございますが、その際にも非常に各方面の御意見が対立いたしまして、一本の答申ということではなしに、むしろこういうことを検討することの可否という形の答申になっておるわけでございます。なお、これを実行に移しますにつきましては、各方面の意見を十分聞いた上で実行に移すべきだという答申になっておりまして、そういう点でなかなか法曹四者と申しますか、裁判所、検察庁、法務省、弁護士会あるいは学者、そういう方々のまとまった司法修習制度のあり方についての意見が熟さない現状でございます。これも先般お話のございました問題と同様で、いつまでもじんぜんと過ごすべきものでないことはもちろんでございますが、しかしながら同時に、かような問題は法曹の間で少なくとも何らかの意見の一致を見ながら進めることにおいて、初めて国民の批判にも耐えられるのではないか、裁判所が一方的にできることでもないし、すべきことでもないのではないかということで、いま今後の修習制度のあり方についての検討の問題につきまして、十分考えておるというような実情でございます。  それからなお、修習生から裁判官をよけいに採るということにつきましても、先般もある裁判所の所長が必ずしも妥当でないようなやり方で勧誘したというようなことにつきまして、いろいろ御批判をいただいた向きもあるわけでありまして、そういう点につきましても、私どもとしては、やはり裁判所としては裁判官になっていただくということについてのすすめ方についても、ある程度の慎重な考慮が必要なのではないか。結局のところは、先ほど政務次官からお話のございました待遇の改善ということによっておのずから裁判官のほうに来るというのが、一番好ましいわけでございますが、これもなかなかそう簡単にはまいらない。いろいろ裁判所というものの施設を改善し、あるいは執務環境をよくすることによって裁判官の地位に魅力を持つという方向に進めていくというほかはないのではないか、非常に抽象的な言い方でございますが、一応かように考えておるわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 私も絶えず申し上げておることでございますが、いまの日本の中において、大きいことを申し上げるようですが、国民の裁判官に対する信頼は絶大なものがあります。したがって、きょう御質問申し上げております問題は、国民の多くの方々が裁判の渋滞によって迷惑を受けておるという、この問題を何とか一日も早く解決する方向に持っていきたい、その目的のために次々と質問しておるわけでございますから、その点をひとつ御了解しておいてください。  そこで、次に移らせてもらいますが、このたびの国会で提出予定法案であった裁判所法の一部を改正する法律案、すなわち、簡易裁判所の事物管轄を拡張するという意向のもとにこの改正案が練られておったということを聞いております。また、当局のほうからも知らされてもおりましたが、この点について、これからまだ提出されるのか、あるいは今国会においては提出しないのか。これはやはり裁判の渋滞を防止する意味においても大切な問題でございますので、それを前もって駒伺いしておきたいと思います。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 これは法案の提出の問題でございますから、法務省から御説明いただくほうがあるいは筋かとも存じますが、実はこの法案を提出予定法案の中に入れていただきましたのは、裁判所からお願いして入れていただいたというような経緯もございますので、私のほうから便宜説明させていただきたいと思います。  御承知のとおり、前々から地方裁判所と簡易裁判所の事物管轄の調整問題につきましては、国会でもいろいろお話をいただき、また私どもも常に考えてまいった問題でございます。そうして先般も若干御説明申し上げましたように、日本弁護士連合会と連絡協議を進めてまいったわけでございまして、それがかなり停とんしておったわけでございますが、一昨年の九月くらいからやや動き始めまして、そしてことに昨年の秋にかなり具体的な進行を見せかけたわけでございます。従来は私どもの案そのものを弁護士会にお目にかける機会さえなかったわけでございますが、それがようやくにして昨年の秋に至りまして、その私どもの案をお目にかける段階までまいりました。そのときの日弁連御当局のお話等を総合いたしますれば、私どもの案のままでは無理としても、何らかの妥協的と申しますか、調整的な話し合いを進めれば、あるいは話がつく可能性があるというような感じを受けたわけでございます。もしうまくまいりますれば、法案の提出の期限が二月末でございますか、三月末でございますか、私ども詳細には存じておりませんけれども、何とかして間に合わせて法務省のほうにお願いに持っていけるのではないか。事務的な関係は、法務省のお立場としてはあるいは法制審議会その他の手続があるのかも存じませんので、その辺のところは私ども必ずしもどうと考えたわけではございませんけれども、裁判所の立場としては、少なくともことしの初めには何らかの、弁護士会との間の話し合いがまとまらないまでも、まとまるに近いところまでいく、そういうことになれば、あるいは法案を提出していただくということも可能ではなかろうかということで努力してまいったわけでございますが、遺憾ながら今日までその状況に至りませんで、そして御承知のとおり、弁護士会では近々に連合会の会長の選挙も終わり、そして役員も交代されるというような時期に際会してしまいまして、話し合いをつけるということは、この会計年度中には困難な状況になってしまったわけでございます。そういうことでございますので、これは私どものほうから申し上げる筋ではないかもしれませんけれども、裁判所としては、この国会に間に合うように妥結することは非常にむずかしくなったのではないか、かように考えておるわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 先日、専門家の岡沢委員からも御発言があったのを聞いたように覚えておりますが、やはりこの法曹界は、専門家御自身がおっしゃるわけですから、なかなか意見の一致というのはむずかしい。甲論、乙論どころか丙、丁とたくさん出てきて、なかなかまとまらぬものだ。そこでやはりある意味において当局側の指導性というものが要るのじゃないか。迷惑するのは国民のほうである。この点が一番の重要な点だと思うのです。ただ、その点の事実のあり方あるいは持っていき方の方法とかいうものも、もちろん当然要ることでしょうが、そこに目的観を国民に置いた考え方をしないと、悔いを残すことになります。これは岡沢委員の御意見に私も満幅の賛成を表しておる次第ですが、ことに強調しておきますから、これから後の動きを期待しておきます。  次に、簡易裁判所の問題についてもう一歩進めてお伺いしたいのですが、現在の簡裁は、大都市においては一庁で二十数人の簡裁判事がいらっしゃる。片方では専任の簡裁判事のいらっしゃらない、そういうところも全国で相当数あると聞いております。その実情、それから、したがって当然受理件数あるいは処理の件数等もそれに関連してくると思いますので、あわせて御答弁していただきたいと思います。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます前に、簡易裁判所と地方裁判所の事物管轄の調整の問題につきまして、先般は岡沢委員から御激励をいただき、またいま山田委員から御激励をいただいたわけでございまして、私ども常々裁判の促進方、また国民のほんとうに役に立つ裁判をすみやかに実現するということをやってまいったわけでございますが、一そう御趣旨を体しまして今後進めてまいりたい、かように考えるわけでございます。法務省にもその点について十分御理解いただいておると思いますので、今後十分連絡いたしまして施策してまいりたい、かように考えるわけでございます。  それから次に、簡易裁判所の裁判官の配置等の問題でございますが、御指摘のとおり、東京、大阪等では非常に多い裁判官の数が、ことにむしろ東京よりも大阪のほうが多いのでありますが、それに比べまして、単独では裁判官を配置しておりません庁、すなわち総合配置と申しまして、二庁に一人というような庁もあるわけでございます。それは実は事務量がきわめて少ないわけでございます。ちょっと一例をとって申し上げますと、事務量の〇・二以下、つまり一人前の五分の一以下のところが全体で、百数庁あるわけでございまして、パーセントにしますと約二割近いところでございます。全体でせめて一人前の半分くらいの仕事がございますれば、そこへ一人置くということもそう無理がなくできるわけでございますけれども、全体の二割、つまり五分の一程度のところへ一人置くということは、とうてい事務的に不可能でございますので、どうしてもそういうところは二庁で一人なりあるいは三庁で二人なり、そういう総合的な配置のしかたをするわけでございます。一つ一つ件数を読み上げますこともわずらわしいと存じますけれども、中には民事訴訟事件が十件程度とそれから刑事訴訟事件も数件というふうな庁が多々ございます。そういうところは、どうしても総合的な配置にならざるを得ない、こういうような実情でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 その御答弁から引き出される問題は、当然、臨時司法制度調査会の意見書にもありますように、簡易裁判所の設立の当時とすでに事情が非常に変わってきている、したがって、整理統合する必要があるということを指摘してあったと思うのですが、その点について、どのようにこの問題に対処していくのか。これもあわせて——ただ数さえ多ければいいという問題ではないということが、いまの御答弁の裏にあるわけです。裁判の渋滞を、早めていく、この観点に立ってみても、その裏にはただ数さえ多ければいいという問題ではないという意味も含まれておるわけである。したがって、これに対してどのように対処していこうとするのか、この基本的な方針というものが、どうもしっかりしていないような感じをしろうとなりに受けてきておるわけです。この点についてはどうですか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の配置の問題は、結局例の下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の問題でございますから、内閣から法案を出していただいて国会でおきめいただくということになるわけでございますけれども、それにつきましての裁判所としての考え方というものも、当然私どもとして持っておるわけでございます。これは、先ほど山田委員からは臨時司法制度調査会の意見というお話がございましたが、ただ、臨時司法制度調査会の意見で簡易裁判所の整理統合が取り上げられておりますのは、先ほど来問題になっております簡易裁判所の事物管轄の問題等とも関連いたしまして、そういういろいろ関連性を持った問題でございますから、直ちに意見書があるからどうということでもあるまいと存じます。しかしながら、それはそれといたしまして、現在、先ほど来申し上げておりますように、事務量のきわめて少ないところが数多くあるということは、やはり一つの問題点であろうと思います。ただ、これに対処しまして簡易裁判所の配置をどうするかということは、実は私総務局長になって数年になるわけでございまして、この問題にずっと取り組んでまいっておるわけでございますけれども、取り組めば取り組むほどむずかしい問題でございます。と申しますのは、一体裁判所というものは、事件の多いところに必要で事件のないところには要らないものなのかといえば、一がいにそう言えないのではないか。つまり裁判所がそこに厳然としてあることによって、いわば法の支配という象徴が出ておるという面もあるというようにいろいろ聞かされるわけでございます。しかし、むろんそれにもおのずから限度があるので、そうむやみに小さいところに置くわけにもいかない。ただ、東京のようなところでございますと、これはむしろある程度集約したほうが——新宿とか渋谷というのは、事件はかなりございますけれども、集めたほうがいい。しかし、北海道等に参りますと、事件は少なくても、それは距離的には相当不便なところがございまして、やはりそこの国民の一つの信頼と申しますか、裁判所に対する寄りかかりというもののためには、ある程度の配置が必要であるという面がどうもあるように、いろいろお話を承っておってなってまいるわけでございます。そこで、ただ件数が少ないから廃止をするということについては、かなり地元のほうでの御抵抗といいますか、御意見があるわけでございます。そこをいろいろ調整しながら、つまり適正な配置をする。現在必ずしも五百七十庁というものが適正に配置されておるというわけではございませんので、適正に配置し直すということは非常に必要なことだと思うわけでございますけれども、それにはおのずからやはり地元の御意向というものを無視して進めるわけにもいかない、十分地元とお話し合いを進めながら、しかも適正な結論を得たいというので、法務省ともお話し合いをしながら進めてまいっておりまして、現在まだ法案として国会で御審議をいただく程度までには熟していないというのが、実情でございます。しかしながら、これは一方では、次第にいろいろ人口の集中とか疎密というような問題がございますし、また行政区画そのものについてもいろいろ改善もございます。そういうものとも並行しながら、今後何らかの結論を得る方向に向かって努力しなければならない、現に進めてまいっておるわけでございますけれども、それについて国会の御審議を仰ぐ時期もくることであろうと、私どもとしては期待いたしておるような次第でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 質問もきょうはもう一点だけ残して終わる予定でございますが、参考資料としていただいた裁判の進捗状況、これは高裁、地裁、簡裁と分けて、四十年、四十一年、四十二年と、こうあります。やや進んでいるような統計の結果は出ておりますが、先ほどの寺田総務局長の御答弁のごとくあれば、こんな統計じゃないはずです。非常に複雑な事情もあるのも承知しております。しかし、複雑な事情もあるから、それで前に進まないのだ、遅々として進まないのだ、これではいつまでたったって解決はできないはずです。そうでしょう。そこで、複雑な事情を乗り越えていく決意と努力が要るわけです。きょうはこれ以上申し上げませんが、機会を改めて申し上げます。きょうは上つらをなでた質問で終わります。もっと深く突っ込んだ対策がなければならぬということは、きまり切っております。したがって、最後にその点をきつく要望申し上げて、次に一つお聞きしたいことは、裁判官以外の裁判所職員の方々の中に、忙しいために職業病というのですか、そういうものが、あれは蔓延ということばは使わないと思いますが、次々と出てきている。このたびも増員がありますけれども、この増員によってそれが解決できるものかどうか、その点についての見通しも、最後ですが、あわせて御答弁願います。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 裁判所の職員の職業病の問題につきましては、毎々国会でいろいろ御心配をいただいておりまして、私ども非常に恐縮しておるところでございます。いろいろこれにつきましては所管の人事局のほうで対策を講じておるわけでございまして、いま御指摘のございました増員という問題も、むろん非常に重要な一つの要素ではございますが、それと同時に、職員の管理と申しますか、職員の仕事のやり方という問題について、つまり継続して長時間やる場合とある程度の休みをとりながらやる場合とでは、相当に疲労度その他も違うわけでございます。そういう点につきましては、いろいろ私どものほうからも指示なり注意をいたしておりますが、御承知の裁判官独立制の問題もございまして、なかなか思うような方向にはまいっておりませんけれども、そういう方向で努力はしておるわけでございます。同時に、健康診断その他につきましても、いろいろの配慮をいたしておるわけでございますが、まだまだその点で不十分であろうと思うわけでございまして、今後一そうそういう方向に向かって善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 いまの答弁では、ちょっと気になります。不十分だということを承知しながらの法案になっております。これで解決できるかできないか、それは個人個人の差があり、執務のやり方の差がある、それはもちろん当然でしょう。ただ人数だけじゃないと言いたいのかもわかりませんが、しかし、人数も非常に大きな影響を与えることは、これまた当然です。これによってこれが解決できるのか、そういう見通しがあるのかというところをお聞きしておるわけです。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 定員の面におきましては、この年度としてはこれで解決できる、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、私が申し上げましたのは、いろいろ執務のやり方とか、あるいは健康管理のやり方とか、そういう点についても一そうの配慮をしてまいらなければならぬ、かような趣旨で申し上げたわけでございます。

山田太郎公明党

○山田(太)委員 では、この点もまた次回にもっと深くお聞きするつもりでございます。  きょうはこれで終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 関連質問を許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 一点だけお尋ねいたします。これは全司法新聞というのに載っております職員の定員に関する記事です。これは三重県の尾鷲という簡易裁判所ですが、ここに職員が二人しかいないのですね。この実情が詳しく書いてありますから、長いことはやめますけれども、そしてしかもこの尾鷲簡裁には家庭裁判所の出張所があり、交通違反に対する即決処分をやっておる。非常に事件がふくそうしているのに、二人しか職員がいない。そこで書記官は調書を書く時間がないので、家庭に持っていってうちの中で書いておる。日曜日などは半分しか休みがない。のみならず、熊野から填補の判事が来て裁判を開くときには、二人の職員がみな法廷に入ってしまって、裁判所の事務室はからっぽで、留守番がいない。しかたがないから弁護士の事務員をちょっと頼んで留守番してもらう、こういう実情です。詳細にその実情が報告されておるのであります。こういう裁判所があき家になってしまうなんというようなことでは、一般の民衆の訴えなんというものはどうすることもできない。何か用があって書記官室へ行っても、だれもいない。いるのは、臨時雇いの弁護士の事務員がかわりにそこに番をしているというような始末、こういうことが尾鷲の簡易裁判所の実情として詳細に報告されておりますが、これは一体このままなんですか。何かこういうことが裁判所行政当局では調査ができているのですかどうですか。できているとすれば、このままでいいのか、どうなさるつもりなのか、ちょっとそこをお尋ねいたします。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 いま猪俣委員からお話のございました問題は、俗に二人庁ということばで組合新聞等に出た問題でございますが、私どもといたしましては、簡易裁判所の小さなところでも必ず三人の職員は確保するようにつとめてまいっておるわけでございます。ただ、たまたまある一定の時点に二人になるという現象が起こりまして、それがいま御指摘のようなことになったわけでございます。尾鷲ももともと書記官二人、廷吏一名ということで、三名の職員がおったわけでございます。ただ、その中の一人の職員が人事の関係で他庁に転任いたしまして、そのあとすぐ埋めるべきものであったわけでございますが、その際に、現地としてはできる限り十分な資格を持ったりっぱな職員を採りたい、そういうことで、そうなりますと、どうしても年度末ということになるのが自然の場合が多いわけでございます。その異動のございましたのが八月末ごろの時点であったようでございまして、そのために約半年近い期間二人庁という現象が現出したようでございます。尾鷲につきましては、もうすでにあとの補充の職員の選考も終わっておりまして、四月にはもとどおり三人になるということに報告を受けておるわけでございます。  尾鷲の裁判所の件数をちょっと申し上げますと、民事訴訟事件は一年で十三件でございます。それから刑事訴訟事件は一年で五件でございます。そういういわば両方通じまして年間十八件、一カ月に一件とちょっとというところでございます。もっとも尾鷲の場合にはそのほかに略式事件がかなりあるようでございますので、そういう関係につきましては、職員等についても、あるいはその半年間について何らかの配慮をすべきであったかとも考えるわけでございますが、実情はそういうことでございまして、たまたま欠員の期間が少し長かったために、非常にいろいろ御批判を受けるということになったことは恐縮に思っておるわけでございますが、今後そういうことのないようにつとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この新聞の報ずるところによれば、いまあなたは支払い命令や略式命令が多いとおっしゃったが、書記官が書く時間がないから、廷吏が書いている。一体廷吏がこういうことを書いたりしていいのかどうか。そういう実情でございます。看守というか、廷吏というか、それがやっておる。職員がやれないものだから、廷吏がやっておる、こういうふうな実情ですが、こういう廷吏なんかも、やっぱり略式命令や支払い命令を書いていいんですかね。どういうものですか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 これはもう本来からいえば、略式命令、支払い命令というものの最終の責任者が裁判官であることは、明瞭でございます。ただ、それをたまたま書き写します者がだれであっても、その点は差しつかえないのではないか。つまり、あたかも判決をタイピストに打たせましても、しかしそのタイピストが判決をしたということではないのでございまして、そういう意味で、小さい庁では相互に協力をしてやってもらうということになっておるわけでございます。むろんでき上がりましたものを十分裁判官が点検をして署名する、よかうなたてまえでやってきておるわけでございます。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 裁判所職員の定員に関する法律について、きょうは一部質問をしておきたいと思います。  いま二人庁の話が出ましたので、そこからお聞きしておきたいのですが、いま現在二人庁は、尾鷲のほかに幾つありましょうか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 これは先般予算委員会でもお話がございまして、申し上げたわけでございますが、私どもとしては、二人庁というものを認めていないわけでございます。つまり最小限度三人庁ということで考えておるわけでございます。ただたまたまある一定時期、一定期間欠員があるという現象がございます。そういう庁が何庁あるかということを、いま全体の総数を正確には御報告申し上げられないわけでございますが、そう多い数ではないと考えております。また。それはたとえば四月には全部埋まるべきもの、かように考えておるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 二人庁という方針をとっているのではないということは、予算委員会でも述べておるのを私は知っておるわけですが、現実に二人庁になっておる。これがいま幾つあるか。いまどうも把握しておられないようですが、次回の委員会までに、現在実際上二人庁になっておるところが幾つあるか、調べて御報告いただけますか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 これは定員の立て方なり、実際の配置の点についてちょっと御理解をいただきませんと、なかなか御説明がむずかしいわけでございますが、裁判官とか書記官というような者につきましては、最高裁判所で定員の配置をいたしますし、また上級のほうの職員につきましては、最高裁判所で任命するわけでございますが、しかしながら、ある程度のところの職員、一般的な職員につきましては、定員も地方裁判所当局にゆだねておりますし、また実際の任命、異動等も、地方裁判所の権限でやっておるわけでございます。そういう関係で、本日ただいまの時点で二人庁が何庁あるかということは、なかなかそう簡単には調査できないのではないかと考えておる次第でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 どのくらいあれば調査できるのですか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 これは一々現地から報告をとるわけでございまして、そうしますと、その間にまた埋まることもあろうかと思いますが、報告を求めますれば、それでできると思いますけれども、やはりある程度の期間をいただかないとむずかしいのではないかと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 しかし、電話連絡その他で、この次の委員会に間に合うようにというようなことはできるのではありませんか。簡裁の数は大体見当がつきますから、できるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

寺田治郎最高裁判所事務総局総務局長

○寺田最高裁判所長官代理者 可能な範囲で調査いたしまして、御報告いたします。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それではこの次の委員会でまたお聞きしますから、お調べを願いたいと思います。  この裁判所職員定員法の一部改正案の提案説明で、労働事件が遅滞をしておるということについて一言も触れていないわけなんですが、一体労働事件の審理の現状は、満足すべきものであるというふうに裁判所は考えているのかどうか、迅速処理の点で。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 労働事件の審理の状況等につきましては、私どももいまの審理の状況が非常に満足すべきものであるとは考えておりませんで、むしろ何とかしてできるだけ早く審理ができるようにいろいろと日夜腐心をしております。そういう状況であります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 大体どういう状況でありましょうか。たとえば労働者の地位保全の仮処分、雇用関係存在確認訴訟の結審に至るまでの時間、あるいは証人尋問がどの程度の間を置いて入っておるか、こういうような実情を御報告いただきたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 端的な全国的な状況でございますが、やはり一番問題になりますのは、いま松本委員が御指摘になりました地位保全の仮処分でございます。ただ、私どもといたしまして、統計上の関係でございますが、必ずしもそれだけを分けて調査いたしておりませんので、それが主体になっております仮処分事件につきまして、これを地裁に例をとりまして、その既済事件の平均審理時間というものを本日用意してまいっておりますので、それをちょっと申し上げてみたいと思います。これは各年をとると非常によいのでございますが、いままでの統計の関係で、労働事件が戦後に新たにできた非常にむずかしい事件でございます関係もありまして、戦後何年かに区分いたしまして現在とっております。それでそれをちょっと申し上げてみますと、昭和二十三年から三十四年までの全国の地方裁判所におきます仮処分の既済事件の平均審理時間は、それが判決で終わりました場合は六・二カ月で、それから決定で終わりましたものは三・三カ月ということでございます。ところが、三十五年から三十八年までに至りますと、判決のほうが相当長くなりまして、判決で終わりましたものが一七カ月、それから決定で終わりましたものが四・六カ月というふうになっております。さらに三十九年から四十二年までの期間をとってみますと、判決で終わりましたものの平均審理期間が二〇・七カ月、決定で終わりましたものの平均審理期間が三・六カ月という数字が出ておるわけでございます。  これでもおわかりいただけますように、決定で処理いたします場合はかなり早い期間に処理できるわけでございますが、判決となりますと、むずかしい事件を判決に回すということもございまして、かなり審理期間が長くなっております。私どもも、何とかこれはもっと縮めるように最善の努力をいたすべきだ、そのように考えておるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 東京地裁の場合で申しますと、仮処分の場合でも、証人尋問の期日が三カ月から四カ月の間というのが普通だ。それから判決が出るまでは三、四年かかっておるということであります。それからひどい例を申しますと、東京信用金庫が仮処分の一審だけで八年、それから正路喜社、これはやはり八年、日本信託銀行に関するのがやはり八年、野村証券に関するのが五年。これでは仮処分とは言えないんじゃないか。一体裁判所は、どのくらいで地位保全の仮処分が出るのが望ましいというふうに考えているのでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 地位保全の仮処分と申しますものは、一般に何らかの理由によりまして使用者が解雇いたしました、その解雇の効力を争っておるというものでございます。働く者にとりましては日々の生活にも関連することでございますので、一刻も早く、この救済を求められました場合は、私どもは救済の措置をとるべきものはとるというふうにいたすべきであるというふうに考えております。したがいまして、早ければ早いほどいいということについては全く同感なのでございますが、ただ、ほかの事件と異なりまして、地位保全の仮処分の原因となっております解雇、この解雇の効力ということになりますと、勢い、これは松本委員もつとに御承知のように、いろいろむずかしい問題を含んでおり、事実の認定におきましても、間接的な証拠を総合的に判断いたさねばならないわけでございますし、また法律上の問題にいたしましても、学説、判例等相当に分かれておる面もございますので、それの審理にはある程度の時間がかからざるを得ない。そういたしますと、結局私どもといたしましては、できるだけ早い時間ということでございますが、現在の状況では、申し立てがございましてから何らかの判断をいたしますまでの間に六カ月ないし一年、というよりももっとかかるようでは困るんではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 少なくとも東京地裁では、六カ月ないし一年の間に結論が出る、そういうことはほとんどないようですね。こういう現状は、四十二年、おととしの十二月、五十七回国会でも私裁判所にお聞きをして、これは遺憾だ、そして改善したいということを、このときはあなたではなかったと思いますけれども、民事局長が言っておるのですけれども、その後裁判所は、改善措置を一体どういうふうにやっているのですか。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 東京地裁の、これはまだ正確な数字ではございませんが、昨年、昭和四十三年度の地裁の期間を見てまいりますと、判決で終わりましたものが三八・三カ月、決定で終わりましたものが六・八カ月というふうな地裁事件の審理期間を示しております。これは仮処分事件でございます。それを平均いたしますと一三・四カ月という数字に相なるわけでございますが、その平均の数字をそのように申し上げました趣旨は、実はその一つ前の年度、四十二年度のいま申し上げましたような計算をいたしました平均審理期間が、一六・三カ月ということになっておりまして、四十三年度におきましては、幾ぶんかではございますけれども、審理期間の短縮をいたしておるというような数字が出ておるわけでございます。前局長も、松本委員のお尋ねに対して、鋭意努力しているということを申し上げたということは、私も速記録で拝見しております。前局長が申し上げましたように、当初一カ部しかなかった労働部を、三十八年には二カ部にふやしました。さらに四十二年にはもう一カ部ふやしまして、現在三カ部で審理いたしておるわけでございます。なお、各部には裁判官を各四名ずつ配置いたしておるような東京地裁の現状でございます。実は御指摘のような重要な問題については、できるだけ裁判官もこれに多く当てて、早い審理、的確な審理ということをいたしたいのはやまやまでございますけれども、現在、ちょっと東京地裁全体の事件を申し上げてみますと、実は四十三年の新受件数は、二万一千三百九十件ということでございます。その中で、もちろん内数でございますが、労働関係の事件の新受は四百十三件ということで、件数だけから申しますと、実に二%にも満たない件数でございます。ところが、これに対しまして裁判部は三十五部あるわけでございますが、労働部はその中で三カ部を当てておる。しかも一カ部の構成員は四名をもって当てておるということで、現在の東京地裁といたしましては、できるだけのことはいたしておるということでございます。それ以上にさらに充実した裁判官とか部の、ということになりますと、これは松本委員も御承知のように、裁判官の補充源等の問題とも関連してくるのではないかということでございます。それから手続の面では——そのように人員のみのほうにたよっておるということはできないような状況でございますので、手続の面では、東京地裁は特に定期に三回労働部の裁判官が一堂に会合いたしまして、どのように早く的確に審理をするかということに日夜腐心いたしておるわけでございます。  例を申し上げてみますと、できるだけ審尋手続を活用する。いままでは地位保全の仮処分のような、非常に争点が多くて判断の困難な事件につきましては、判決手続、口頭弁論を開くということを原則にいたしておったわけでございますが、そういうことではとても時間がかかるので、事案の性質上にももちろんよりますが、できるだけ審尋手続を活用して、早い審理をやろうではないか。決定で裁判をするということになりますと、先ほど期間として申し上げましたように、非常に早い期間に審理することが可能でございますので、そういうことも試みておるようでございます。それから単独裁判官の制度を活用して、各事案によっては、単独裁判官が、できるだけ早く、口頭弁論を開くとしても、それによって審理しようではないかということを考えております。さらにまた立証計画表というようなものを、双方当事者の協力を得て作成いたしまして、どの争点に関する証拠はどれとどれであるか、また人証はだれによって立証するかというようなことを、あらかじめ一枚の表につくりまして、その計画によって審理を進めていくということをいたしておる状況でございます。そういうことによってある程度の成果をあげておるというふうに、私どもも報告を受けておるようなわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 地位保全の仮処分に労働者が勝訴をいたしましても、実際に復職、就業が保障されていない。それから賃金の支払いについても、地裁が命じても高裁ですぐ執行停止を出すというようなことがありまして、長期に裁判がかかるということと、その実際の効果がそのような形で阻止をされるということによって、使用者の中には、裁判で幾ら負けてもとにかく首を切ってしまえば得だということが、現実に言われておるのであります。一審で負けても最高裁まで争う。そして会社が最終的に負けて職場に戻ってくれば、また首を切る、そして負けてもまたやる、こういう実情のために、非常に労働者側の勝訴事件はふえている。また労働事件全体もふえておる。この実情を考えますと、裁判の結果が実際に労働者の救済になっているかどうかということについて、裁判所も真剣に検討しなければならないんじゃないかと思うのです。このいわゆる地位保全の仮処分というのは、任意の履行を期待する仮処分ということでありますけれども、実際に仮処分がきまれば、使用者が現実にその労働者を職場に復帰をさせて、解雇の前と同じような状態にして扱え、こういうことを裁判所は期待しておるわけでありましょう。その点について、意見を聞いておきたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 解雇されました場合に、解雇前の地位を一応本案の確定するまで保全するという仮処分が出ました場合には、地位保全に関する限りは松本委員の御指摘のとおりでございます。ただ、この仮処分は、松本委員も専門家であられますので十分御承知と思いますが、任意の履行に期待せざるを得ない面がございますので、会社がそれを任意に履行しない場合には、現在の裁判所の法制上はいかんともしがたい。欧米に見られますように、裁判所侮辱罪の制度とか、そういったものでございますればまた別でございますけれども、現在のところは、裁判所としてはいかんともしがたいものがあるわけでございます。ただ、地位を保全するとともに賃金の支払いを命ずるというような仮処分でございますと、これは債務名義になりますので、その賃料の支払いは強制的にこれを実現し得るわけでございますが、もしただ単なる賃料だけをもらったんでは、完全な地位保全にならない、やはり日々会社に出て職場でもとどおり働くということがなければだめではないかという御指摘でございますれば、まことにごもっともでございますが、現在のところ、私どもといたしましては、裁判所が裁判いたしたことは、その双方がこれを十分に尊重していただきたいということを訴える以外には手を持たないわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 ところが、現実には裁判所の期待どおりにはほとんどいっていない。裁判所は、使用者が首を切ったのは間違っている、法律に違反をしているというふうに結論を出しておきながら、ほとんどの場合がそれに従っていない。だから、使用者のほうは負けてもかまわぬ、とにかく首を切ってしまえ。幾らでもやっている。この実情について、裁判所は、みずからの仕事がそういういわばざるで水をすくうような仕事になっていることについて、一体どういうふうに考えておるのか。これを一体どう改善しようとしておるのか。そんなことについては何の関心もなく、ただ裁判をやっておるだけだ。私の仕事は裁判をやっておるだけだということで、結果については何の調査もしていないし、それから改善の方法も考えていないのかどうか。これを聞きたい。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 その裁判の結果がどのようになっておるかということについては、私どもも非常な関心を持っておるわけでございます。ただ、先ほども御指摘ございましたように、審理そのものが非常におくれておりますし、事件が日々新たに出てまいっておりますので、端的に申し上げれば、そちらのほうの対策等に忙殺されてそこまで十分手が回りかねておる状況でございますが、松本委員御指摘の点も十分に検討いたしまして、今後はそちらのほうの、裁判の結果の追跡調査と申しますか、そういったことを通じまして、私どもの裁判所における判断ができるだけ尊重されるように、いろいろな機会を通じて呼びかけていきたい、このように考えておるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 現在は、全国的なそういう追跡調査はされていませんか。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 現在のところ、まだそこまで手が回りかねておる状況でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それはぜひ早急にやってもらいたいのですが、どのくらいでできましょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 これの追跡調査をするということになりますと、やはり一定の、どういう調査の方法をとるかということを十分にまずサンプル的な検討をいたしまして、それに対する予算措置等を講じました上で全国的な調査をするということになりますので、相当の長期計画にならざるを得ないのではないかと考えます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私が言いますのは、裁判官をふやしてほしいというようなことが簡単に言われるだけで、根本的にどうして事件がふえておるのか、そこを一体どういうふうに直したらいいのかということについて、裁判所はもっと真剣にならなくちゃいけないのじゃないかということを言っておるのですよ。それはたいへん長くかかるということで済ませる問題じゃないと思います。少なくとも私は、この法案の審議がされておる間に、この次の委員会でも、あるいはどうしてもできなければその次の次でもいいですが、追跡調査の方針と、いまの現状をどういうふうに変えていくかという大綱くらい示してもらいたい。裁判所の首脳の間でこの現状満足すべきものでないと考えるなら、一体どういうふうに改善していくかという方向くらいは示せると思うのです。そのことができるかどうか、お答えいただきたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局民事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 御趣旨はごもっともでございますが、追跡調査ということでございますと、やはり全国的な問題でございまして、せっかくいたしますからには、十分のこともいたしたいと存じますし、私ども実は審理の経過等につきましては、必要に応じてそれぞれのほうの事件について報告を徴しておりますが、ただ、全事件についてそういたしておるわけではございません。その辺のところを勘案いたしますと、もう少し時間をかしていただいて検討させていただきたい、このように考えます。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 松本君、これはできるだけのことをやってもらうことにして、手数がよほどかかるような問題になりますから、理事会で一ぺん根本的に相談した上で、正式に要求するならするということにしたらどうですか。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それではこれは理事会でもやりますが、ただ根本方針ですね、あるいは立法が必要であるかとか、それから追跡調査はどのくらいのことをやったらいいかというようなことは——完ぺきを期するといったら、それはなかなかたいへんかもしれません。しかし、当面、目の前で全部の数字があがらなくても、これは何とかしなければいかぬというようなものはわかっておるのですから、それに対応する程度のことはできるはずだと思うのです。可能な限りの努力をしてもらいたいと思います。  そうして、労働省から来ているのでついでに同じことを聞きますが、労働委員会の救済命令が出ておる場合、これの結果がどういうふうになっておるか、実情を御報告いただきたいと思います。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○大塚説明員 従来の労働委員会の出しました命令につきましての細部の調査はございませんけれども、一応概要を知る程度の調査は、毎年中央労働委員会が出しております年報がございます。それである程度の状況はわかるかと思います。その調査によりますと、特に初審命令といたしまして各地労委が命令を出したもの、これがそのまま地方裁判所あるいは中労委に対する再審査申し立てあるいは行政訴訟がないままに確定したものにつきまして、それがどういうふうに履行されておるかという状況をあとから調査をいたしまして、それの全国的な集計をいたしております。これは三十八年からしかやっておりません。それまではそういうアフターケアの問題等は非常に弱かったわけでございますが、それ以後の数字がある程度わかっております。その数字によりますと、三十八年度にはその年度に確定した命令二十五件、それから不服を申し立てられないままに確定したのが二十五件、それから三十九年度三十二件、四十年度二十八件、四十一年度二十四件、四十三年度三十七件、計百四十六件、全体のケースをつかまえました。そのうちで、この中に救済命令を含んでいる、棄却あるいは却下になったというものを除きますと、八十九件ございます。その八十九件の中で、履行されなかったものとしてつかまったのは八件でございます。その八件のうちで、労働組合法の規定に基づきます過料に処せられたものが二件でございます。あとの六件はそういう取り扱いをされておりませんが、内容を調べてみますと、たとえば経営不振のために履行不能になったというもの、あるいは事実上たとえば解決してしまう、貸し付け金問題で争って、貸し付け金を貸せというような命令が出た、ところがその後、その貸し付け金の根っこになっている賃金問題が片づいてしまったというので、そういう必要がなくなったというようなたぐいの、事実上解決しているというような形で、あとの六件は解決いたしております。実態として守られていないというのは、いまの救済命令を含む八十九件の中で二件というような実態が報告されておる。それからそれ以外に、労働委員会の命令がそのまま確定しているにもかかわらず、これに違反をしたということで労働委員会が裁判所に通知をした件数でございますが、過去四十二年までに通知件数は十五件程度でございます。それからまた裁判所に地労委の決定に対しまして行政裁判に持ち込んだ場合に、労働委員会が緊急命令を申し立てた件数でございますが、これが四十二年までに全体として九十件ございます。その中で、緊急命令が出されたにもかかわらず違反をしたものとして通知されておるのは、十七件程度でございます。程度と申し上げましたのは、一つ一つ当たったわけでございますが、多少あるいは調査漏れがあるかもしれませんので、必ずしも絶対的には申しかねますので、大体十七件程度というふうに申し上げているわけでございます。  大体違反の状況というものは、いま申し上げたような状態でございまして、全体の労働委員会の命令に対する形式的な違反ないしは救済命令を出したものの文言に対する違反というものは必ずしも多くない、むしろ少ないというふうに一応考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、救済命令が出た八十九件のうち二件だけが違反であるという趣旨のことをさっき言いましたが、八十七件はみな実際にその職に戻って仕事をしている、こういうことまで調べましたか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○大塚説明員 この調査によりますと、一応命令といたしまして職場復帰を命じたものは、八十九件のうち違反状況のない八十一件でございますね、これについては命令どおり実行されておるということでございます。ただし、先生がおそらく考えておいでになろうと思うことを先回りして申しわけないのでありますが、私どもの実は問題にしておりますのは、一応はそこで解決し、命令は履行される。しかし、その後の問題といたしましては、労使の間で話がついて円満退職したとか、そういうようなケースが必ずしもないわけではない。その数字ははっきりはいたしません。しかし、そういうものがあるのではないか。救済命令の内容は復職だ。そうすると復職して、たいていバックペイというかっこうになるわけです。そうすると、ポストノーティスというかっとうが普通の救済命令のかっこうでございますが、そういうものにつきまして一応は守られるけれども、そのあとでまた事実上は金で解決していくというような問題が、結果が出たものについて、別件といいますか、別のケースとして起こってきているというような問題が一つある。  それからもう一つは、そういう決定に至らない、いわゆる解決といえば解決でございますが、和解というケースが非常に多いわけでございます。全体の取り扱い件数の中の約七割ないし八割は、和解で解決しておるわけでございますが、その和解もいわば金で解決する場合がかなり多いということから申しますと、その解決のしかたというものはいろいろ問題があろうかと思う。ただ、その和解等につきましても、従来これにつきましての問題点として、たとえば和解が乱用されることによって法の筋を乱したような解決が行なわれることは厳に戒めるべきだということで、労働委員会の内部でもかなり慎重に扱ってきておりますし、いまの状態から申せば、和解を全く否定するということもできないという問題がある。それから解決後の問題として、そういう問題があった場合に、労使がいわば話し合いで、特に不服を申し立ててこない、あるいはまたそれを重ねて命令違反であるとして特に委員会ないしは当該機関に申し立ててこられないというような実態がございますると、ある意味ではそこに一つの現実的な解決がはかられておるという問題もございます。そこで、それをさらに別件として問題にすれば労働者側がそれを問題にしてくるということになれば別でございますが、そのまま解決しているものが幾らかあるというふうに考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 和解ということになりますと、大部分が金を労働者がもらって実際上はやめていくということになるんだと思うのですけれども、それが救済命令が出た件数の中でどのぐらいになっておるかということは、いまわかりますか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○大塚説明員 和解の件数でございますが、最近の数字を持ってきておりませんので四十年の数字になりますけれども、四十年におきまして、初審で、申し立て件数五百七十二件に対しまして、和解取り下げで解決した件数が三百六十六件、七六%。それから再審のものにつきましては、六十九件中五十六件で八〇%というような数字で、大体その数字は動いておりませんので、現在もおおよそ七ないし八割というふうに考えておるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それから救済命令が出るまでの時間、あるいはそれが出ましても中労委へいったりあるいは行政訴訟になったりして確定するまでの時間について、調査したものがあれば、報告してほしいと思います。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○大塚説明員 不当労働行為事件の審査の処理日数でございますが、これは過去毎年一応労働委員会が調査いたしまして、確定したものにつきまして平均日数をとっております。最近の三カ年を御報告申し上げますと、四十一年の数字では、全国で初審としてきまったものの件数が、総平均で二百五十一日かかっております。四十二年が二百三十日、四十三年が二百七十八日というような状況でございます。それから再審査につきましては、総平均が四十一年四百四十二日、四十二年三百八十八日、四十三年四百十八日というような日数がかかっております。これは現在統計として出ておる数字でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それは、中労委へいったり行政訴訟になったりしたのも含めての話ですか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○大塚説明員 再審査と申しますのは、中労委にいったものでございます。それから初審というのは、中労委にかからないで地労委で決定するのに要した日数でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それでは、労働省にそういう関係の統計的な資料をあらためて提出をしてもらいたいと思うのですが、その点はお約束いただけますか。

大塚達一労働省労政局労働法規課長

○大塚説明員 現在手に入っております統計資料は、お届けするようにいたします。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 次官にお聞きしたいと思うのですけれども、いま質疑の中でもお聞きいただいたと思いますけれども、裁判にいたしましても、労働委員会にいたしましても、労働者の権利の救済についてたいへん不十分な点があるわけです。時間も非常にかかりますし、それからその結論が実際に実現をするという点でも非常に不十分である。裁判所にもその対策について研究してここへ出してほしいということを申しましたけれども、政府としてもいまの現状を決してそのまま見ておくわけにはいかないものではないかと思います。これについて、政府としてどういうふうにされるかという所信を伺いたいと思います。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 御指摘のとおり、仮処分等がこんなにおくれますと、実際の効果がないということは明らかでございますし、大事なことでありますので、前向きに検討すべき事柄だと、かように考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 きょうの質問は、これで終わります。      ————◇—————

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 次に、内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 矯正局長来ておられますか。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 矯正局長はちょっとやむを得ない用事があって、来ておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 だれが来ておりますか。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 矯正局の倉見保安課長が来ております。それから平井局付検事。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣お見えになりませんし、矯正局長もお見えになりませんので、それでは事務的のことしか答弁いただけないと思いますが、政務次官おいでになるから、あわせてお考えをいただきたいと思うのです。  これは、私が昨年の五月二十四日に当法務委員会で質問をいたしました白鳥事件、村上国治の仮釈放の問題であります。ちょうど昨年の五月二十六日に仮釈放の期限が来るのであるから、これを仮釈放してはどうかという質問でありまして、当時の勝尾矯正局長が詳しく意見を述べられております。実はこの法務省の矯正局のお考えが村上国治を救う会の人たちに非常に希望を与えまして、自来全国的な救援運動になっているわけです。私も、昨年の八月要請を受けまして、網走刑務所まで行ってまいりました。刑務所長及び担当官にもお目にかかり、村上国治にも会ってまいりました。刑務所の担当官は村上を非常にほめておりました。模範囚だと言っておりました。これは法務省の勝尾局長の答弁にも出ておるわけです。犯罪者の処遇令で三級から二級に昇進したというのは、その意味であります。そこで、なお帰りには札幌の地方更生保護委員会をたずねまして、小泉委員長に会ってまいりました。そのときの委員長の答弁は、刑務所のほうからまだ何らの上申もないから委員会としてはそのまま活動しないでおるんだという御答弁であったのでありまして、これは勝尾矯正局長の御答弁でも、この仮釈放の上申は一〇〇%刑務所のほうから出るんだという御答弁がありましたので、そういう慣例になっておる。それから本人の申し立てもありましょうが、刑務所がやる。その刑務所の上申がまだないというような話でありました。  ところが、最近ここに二つの新しい事実が耳に入りましたのでお尋ねするわけでありますが、昨年網走の刑務所では、刑務官全員会議を開きまして、全部の一致した意見で村上国治は仮釈放すべきものだという決議をいたしまして、これを地方更生保護委員会に上申したという事実が、私の訪問後起こってきておるわけであります。だから、その当時小泉委員長が私に答弁したことはなくなって、刑務所からそういう上申がされている。しかも条件つきだ、四十三年の年内に釈放することが適当であるという期限を付して上申しておるわけであります。しかるにかかわらず、それに対して何らの処置も委員会はやっておらぬという点が一つ。  それからいま一つは、いまこの事件は札幌の高等裁判所に再審の申し立てがなされまして、再審すべきやいなやについて再審開始決定の裁判が行なわれておるのでありますが、ここに新たなる証拠があらわれてきた。これは実は私は年来当法務委員会におきましてもしばしば指摘したことでありますが、検事が公益の代表者という立場を忘れて被告に有利な証拠を出さない。松川事件などもまさにそのためであります。これは根本的に刑事訴訟法を改正しなければならぬのでありますが、それをしばしば私は要請しておりますが、今日まで何らの処置もとられておらぬ。やはり同じこの再審裁判におきまして、科学警察研究所というところで、十数年前に事件当時唯一の物的証拠とされておりまするピストルの弾丸を鑑定している。つまり共産党の村上国治らが実弾射撃をしたという幌見峠から出てきた弾丸と射殺されました白鳥警部の体内から出てきた弾丸とが同一のものであるという主張によって、これが唯一の証拠として彼は有罪判決を受けているわけです。弁護団は、これは違うんだというあらゆる立証をしているけれども、当局者は採用しなかったのでありますが、今度初めて警察庁の一機関でありまする科学警察研究所ですでに十五年前に、これは違うんだ、幌見峠から出た弾丸と白鳥警部のからだから出た弾丸とは違うんだという鑑定ができておった。それを検事は出さぬのであります。それが今度ようやく明らかになりまして、再審裁判所の札幌高等裁判所が提出命令を出しまして、科学警察研究所からその鑑定書があらわれました。いま裁判所に非常にショックを与えておりまして、四月には再審決定されることも明らかであります。こういうことが、新たに事実としてあらわれてまいったのであります。これが立証されますならば、彼は無罪であります。唯一の証拠であります——彼は一切今日まで否認し続けてきておるのですが、白鳥警部から出た弾丸と幌見峠の弾丸が同一であるという鑑定だけを裁判所は採用して、有罪として今日まできたのです。それが国家機関でありまする科学警察研究所では、十数年前に違うものであるという鑑定をしておるのです。それを一切検察官は提出しなかった。あらためてこれが出てきたわけであります。私が昨年八月網走に参りまして以来、こういう二つの新しい事実が出てきたわけであります。  そこで、この仮釈放の権限は札幌の地方更生保護委員会でありましても、やはり指揮監督権は法務省にあると思うのであります。この小泉という委員長は、検事上がりの委員長だそうであるが、相当頑強であって、これは神近委員から関連質問をしていただきたいと思いまするが、神近委員が最近電話でもってこの委員会に連絡をしたところが、どうも村上国治は仮釈放するとまた犯罪を犯すおそれがある、それだからなかなかこれは容易じゃない、こういうようなことを言うておるというのであります。五年間つぶさに彼を観察してまいりました刑務所が、全官一致して仮釈放すべきであるという上申をしているにかかわらず、この委員長はそんなようなことを言うている。私が訪問したときも、全記録を全部読まなければ判定がつかぬということを言っておりました。それで、全記録を読むには一、二年かかるのだというようなことを言っておった。一体こんなことでいいものだろうかどうか。これは法務省としてもひとつお考えいただいて、地方更生保護委員会ともう少し緊密な連絡をとっていただきたい。もしこのままの姿で再審になりまして、そして被告が無罪になりましたら、どういうことになりますか。もう彼は十六、七年自由を拘束せられて刑務所におるわけであります。そういうことに対しまして、どうも札幌の地方更生保護委員会の態度というものは、私どもは不可解です。一体法務省は、こういうことに対して適切なる指導ができないものであるかどうか、またこういう新しい事実を御存じなのであるかどうか、これをお尋ねいたします。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 委員会は、法務省の所管といたしましては保護局の所管でございますので、私からお答えをいたします。  札幌の地方更生保護委員会で白鳥事件の仮釈放の問題を審査しておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございます。御承知のとおり、仮釈放の審査は、大部分が施設の長、この場合で申しますと刑務所長の申請に基づきまして審査が開始されるわけでございます。審査の内容と申しますか、どういう基準で結論に到達するかということにつきましては、これはもう御承知のとおり、刑法の規定によりまして、まず形式的には刑期の三分の一以上執行を受けたということが必要なわけでございます。そのほか、刑法の規定にございますところでは、改俊の情があるということが必要になっているわけでございます。その場合に、行政官庁の裁量によって仮釈放を許すことができるということになっているわけでございます。施設の長の申請によりまして審査を進めるわけでございますが、刑務所と別に地方更生保護委員会という制度が設けられておりまして、その委員会で独立してこれを審査し、判断する、こういうたてまえになっているわけでございます。これは御承知のとおり、仮釈放、仮出獄ということになりますと、裁判で確定した刑の執行をどうするかという問題でございまして、司法裁判の運用に密接な関係がございます重要な仕事でございます。したがいまして、こういうような独立の機関によりまして、適正に、また最も公平に結論を出すことが必要であるということで、こういう委員会制度を設けまして、委員会によって決定をしていく、こういうたてまえになっているのであろうと存じます。したがいまして、委員会といたしましては、いま申し上げましたような事情、さらに先ほど御指摘のような個々の事案につきまして、仮釈放をした場合に再犯のおそれがあるかどうかというようなことも、一応審査の対象となります。それからその仮釈放について、社会の受け入れ方というようなことについても、審査をしてみなければならないのでございます。御指摘のこの事件は、先ほど来仰せのとおり非常に重要な事件でございまして、委員会といたしましても慎重な態度で審査を進めているところでございます。先般も予算分科会でこの問題の御指摘がございましたが、若干の日数はかかっておりますけれども、この事件の内容等から見ますと、必ずしもこれで長過ぎる、何か停滞しているんじゃないかというふうには、すぐ見ることはできないのじゃないかというふうに私ども考えております。  それから法務省が何か手当てをすることはできないのか、そういうことをしたらどうだという御指摘でございますが、ただいま申し上げましたように、仮釈放の決定を最も適正に、また最も公平にするために委員会制度というものを設けておりますたてまえから申しまして、具体的な事件につきまして、法務省からその事件の処理をああしろ、こうしろということは許されない、妥当でないことだと思っております。私どもは、委員会が慎重に審査を進めているというふうに考えて、これを現在見守っているという状況でございます。  なお、先ほど御指摘のお話の中に、北海道の小泉委員長が検事出身であるという趣旨の御発言がございましたが、これは事実と違っております。小泉委員長は元来更生保護関係の出身者でございますので、その点だけ訂正さしていただきます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたの答弁を聞くと、法務省とは全く何の関係もないような御答弁ですが、私が昨年地方更生保護委員長に会ったときに、地方更生保護委員長はそんなことを言っておらないのです。十分本省と連絡をとってやっています、本省の指導によってやっていますと言っているのです。あなたの答弁と違うんだ。また、そうだろうと思うんだ。人事権は法務省が持っているじゃないか。これに対して何らの指導もできないし、何の連関もないというものじゃないと思う。それでは地方の更生保護委員会が全く生殺与奪の権を握っているということになってしまう。  いまの人心の問題ですが、彼が服役いたしております網走刑務所のある網走市は、こぞって彼の釈放は適当であると——私は昨年八月視察に行ったときも、わざわざ市長が歓迎会を開いてくれました。また、彼の生まれ故郷の人たちも、村会でこぞって議決しておる。だから、社会に与える影響と申しましても、最も直接的な関係のある人たちが彼を信任し、その釈放を願っておるのであります。こういうことに対して、政務省は何ら関係がないような御答弁、私ははなはだふに落ちない。札幌の地方更生保護委員会で、そんなことを言っておりませんよ。本省と緊密なる連絡をとってやっていると言っているのですから、あなたの答弁は違いはせぬか。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この委員会制度は仮釈放等の非常に重要な業務を処理するために設けられた制度でございます。したがいまして、法務省が特定の個々の事件につきましてこうしろああしろということは、委員会制度の本来の趣旨に反することでございますので、さようなことはいたしていないのでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 だからしようがないのだ。事務官の答弁というのはだめなんだ。ぼくら法規のことは、あなたから説明を受けないでも、ちゃんと研究していますよ、そんなことは。そうじゃないのだ。実際の行政指導をどうやっておるかということをお尋ねしているのです。それは法規上は、ああいう委員会があるとすれば、その委員会が権限を持っているというのは当然のことだ。そんなことは私どもも知っていますよ。あなたの説明を聞かぬでもよろしい。そうじゃないのだ。実際の運用は、この札幌の更生保護委員会では、本省と緊密なる連絡をとってやっていますと言っているのだ。それが実際どうだかということを私は聞いているのですよ。そんな形式的な答弁は必要ない。そうじゃないのだ。実際は私が質問しましたら、すぐ法務省の役人が札幌や網走へ出ていっているじゃないですか。それは知っていますよ。また、それが当然あるべきことだとぼくは言っている。矯正局長の昨年の答弁は、非常にあたたかみのある答弁をした。それで彼を救う会の人たちは非常な希望を持っていたにかかわらず、今日までとにかく何ら見るべきものはない。裁判記録を読まなければ判断ができないなんということは、ぼくは言い過ぎだと思うのだ。委員長の態度というものは——そんなことはたいへんですよ。十何年もかかっている裁判記録を全部見るなんて、二年や三年かかってしまうじゃないか。そういうことではいけないということ。やはり上級官庁として、命令、指揮はできないかもしれませんが、適切なる内部の行政指導というものがあるべきじゃないか、これが私の質問の趣旨なのですよ。あなたは事務官なんだから答弁できなければよろしい、大臣に聞きますがね。政務次官、こういうことはどうですか。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 猪俣先生のおっしゃることはよくわかりますが、たてまえといたしましては、局長の御答弁申し上げましたとおり、個々の事件について仮釈放を許可するということは司法作用に非常に大きな関係がありますので、その判断を委員会の専権にゆだねておるということは、おわかりいただけると思います。これに対しまして法務省からとかくの指図をするということは、むしろかえっていけないのじゃないか、こういうような判断に基づきまして、私どものほうからあれこれと指図はいたしておりません。さような次第でございます。  しかし、いま仰せられたように、いろいろ手続が進んでおるようでございますので、地方更生保護委員会では慎重にいまやっているところだと思います。私どもは慎重に、しかもすみやかにそのことができますように期待をいたしておるような状況でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 私は、昨年八月北海道に参りましたとき、高等裁判所の裁判長にも会ってまいりました。裁判長も熱心に検討をいたしておりました。非常に理解ある態度を示して、快くわれわれに会って、詳細に説明してくれました。そして裁判所にこういう新たなる証拠が出てきたわけです。こういうことは、法務省は一体おわかりになっておるのか、おらぬのか。これは松川事件と同じように、検事が被告に有利な証拠を出さぬで隠してしまっておる。これは別な問題としてまた私はあとで大臣によく聞きたいと思っておるのですが、一体そういうことを法務省は御存じであるかどうか。裁判のことについてお調べになっておるかどうか。そういうことがわかっておるとすれば、適当に更生保護委員会とやはり連絡をとらなければならぬのじゃないか。これは政務次官、どうお考えになりますか。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、ことに、いま高裁におきましては再審の請求に基づいて審理をしております。いまお話になりました弾丸の同一性の問題については、裁判所から何らかの判断が示される、そういうことが期待できる段階でございます。これと関連いたしまして、地方更生保護委員会の判断を私のほうから指図するわけにはまいらないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それでは終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 松本君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 更生保護委員会がつくられましてから二十年になるわけですけれども、この仮釈放制度の運用につきまして、どういう長所と短所があるかということについて、概括的にお話しいただきたいと思います。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 先ほど猪俣委員の御質問に対してもお答え申し上げましたとおり、仮釈放の仕事は、裁判の運用に非常に密接な関連のある重要な事項でございます。したがいまして、最も適切に、また最も公平に結論を出さなければならない仕事でございます。ただいまの制度のように、独立した委員会によりまして、その委員会の独立した判断によってそれが決定されるということは、きわめて妥当な制度であろうというふうに考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務省として、更生保護委員会に対して、仮釈放をするについての基準その他の通達を出しておるかどうか。出していれば、その内容を説明してもらいたい。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 法務省と委員会との関係でございますが、こまかい基準というようなものは出しておりません。ただ、一般的に仮釈放の場合に考慮すべき事項ということで、先ほどもちょっと申し上げましたが、仮出獄の場合には、これは法律上の要件でございますが、刑期の三分の一を過ぎているということを確認すること。それから改俊の情があるということを認める。そのほかに、再犯のおそれがないかどうかということ。それから社会感情が、その受刑者の社会復帰と申しますか、社会に戻るということについて、これを受け入れるかどうかというような事項について審査をして結論を出しなさいという趣旨の、きわめて抽象的な、基準と申せばこれが基準でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務省としては、地方の更生保護委員の会同を催したり、いろいろ一般的な指導はしておると思うのですけれども、大体どういうことをやっておりますか。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 年に大体二回でございますが、全国の委員長を集めまして、委員長会同というものをいたしております。その内容は、いろいろ委員会にも行政事務がございますので、それらについての指示、協議等をいたしております。そのほかに、これは昨年いたしたのでございますが、委員長でない委員を集めまして、委員協議会というものをいたしました。これは委員会が御承知のとおり全国八カ所に分かれておりますので、委員はできるだけ処理の差異のないように、なるべく不公平のないように仮釈放が行なわれるということを努力しておるわけでございますが、何ぶんにも全国八カ所に分かれておりますので、統計を見ますと、必ずしも全部がすっかり同じというわけにはいかないわけでございます。これらの問題を調整する必要もあろうと思いまして、昨年の暮れごろに委員協議会というものをいたしまして、委員長でない委員を一人ずつ集めまして、そこで仮釈放審議の問題について協議をいたしたのでございます。これは法務省側から特別な指示をするということではございませんので、テーマを出しまして、委員相互に意見の交換をするという方法をとったわけでございます。委員のあとでの感想によりますと、ほかの委員会のものの考え方というものもわかって非常に参考になったということで、私どもも、きわめて有意義な会同が行なわれ得たというふうに考えた次第でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そういう会同その他では、仮釈放制度の運用についてのいろいろの意見の交換もされるであろうし、それからその実例その他についても法務省は集めている、調査をしておるのではありませんか。こういう場合はこうだと、そういうことはしていませんか。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 いたしておりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 矯正局のほうに聞きたいのですけれども、いま保護局長が言いましたような、基準といえば基準といえる仮釈放についての基準、そういうものは刑務所長はもちろん十分承知をしておることでありましょうね。

倉見慶記法務省矯正局保安課長

○倉見説明員 仮釈放の申請の基準といたしましては、法務大臣の古い訓令がございますが、先ほど保護局長が御説明いたしましたと同様に、犯罪、行刑成績、それから出てからあとの就職等の見込みを十分見て、特に中における行刑成績、累進処遇の上級者であることを基準にして、申請するかしないかを訓令通達されております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 保護局と矯正局でその基準を異にしているというようなことは、もちろんあり得ないわけですね。

倉見慶記法務省矯正局保安課長

○倉見説明員 ございません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 網走の刑務所長が村上国治氏に対する仮釈放の申請をしたということについては、もちろん法務省に報告があったのだと思いますが、いかがでしょうか。

平井清作法務省矯正局付検事

○平井説明員 お答え申し上げます。現地の所長がいつ、どういう理由で仮釈放の申請をしたかということは、本省としては問わないたてまえになっております。つまり報告を徴さないたて支えに立っております。先ほどの保護局長の御答弁にありましたとおり、その点については、現地の所長の専権にゆだねるという方針で、私どもは間接的に聞き及ぶという場合が多いわけでございます。したがいまして、村上国治の仮釈放について、いつ、どういう理由で申請をしたかということは、詳しくは存じておりませんけれども、昨年の秋ごろから仮釈放の審理が始まったというふうに聞いておりますので、多分そのころかそれよりちょっと前に申請が出されたのであろう、かように認識しておる次第であります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 矯正局としては、網走の刑務所長の仮釈放の申請についての職務の執行については、これは正当に職務が執行されているというふうに考えているわけでしょうね。

倉見慶記法務省矯正局保安課長

○倉見説明員 刑務所長の裁量権に基づきまして、適正な申請であると思っております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 刑務所長が確信を持って法務省の仮釈放についての基準に基づいて申請をする場合は、多くの場合に更生保護委員会の判断と同じことになるのが普通であると思いますが、実際上、更生保護委員会が却下をするとか、違った結論になるという場合があるかと思いますが、それはどういう場合でありましょうか。実例をお話しを願いたいと思います。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 施設の長の申請に対して、委員会がこれを容認しないという事例は、もちろんあるわけでございます。大体、先ほど矯正の保安課長の御説明の中にもありましたように、仮釈放の基準と申しますか、その点につきましては、施設側の考え方と、それから委員会の考え方と、原則的にはそれほど違いはないのだと思います。ただ、施設側は受刑者を収容して毎日接触しておりますから、その面で仮釈放の適否を判断する場合に刑務所における本人の行状というものが一番強く働いてくるのはやむを得ませんし、またそれは妥当なことであろうと思います。しかしながら、委員会におきましては、それだけでなく、これから刑務所から本人を社会に復帰させようというわけでございますから、刑務所内の行状が非常によくても、出たらすぐ再犯にでもおちいるというような何かきざしが見えるというようなことでもございますならば、これはたいへんな問題でございます。それから本人が社会に帰って社会生活をするということになりますので、本人の帰っていく社会が、本人をどういうように受け入れるかということもまた問題でございますので、そういう社会に出てからどうであるか、社会の受け入れ方はどうであるかということを、委員会では頭に置いて検討するわけでございます。その結果、抽象的に申しますと、その基準と申しますれば、その基準はそれほど違いはないと思いますけれども、実際の終局的な判断は、若干違う場合があるということになるのではなかろうかと思います。全体の事件を見ますと、大体受刑者の場合、仮釈放の申請があった場合に、正確な統計をちょっと持っておりませんけれども、八五%ぐらいは認められる、残りの十数%が認めない、こういうふうな状況のようでございます。しかしながら、仮釈放の申請は一回だけではないわけでございまして、長期囚につきましては二回目の仮釈放申請があるという場合もございますので、最初の申請を却下したからといって、常に満期までいるケースになるというわけではないのでございます。ただ、請求を認めるのか、却下するかという従来のパーセンテージを見ますと、八五%ぐらいが認められているという結果になっているようでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 刑務所が長期の行状を判断をして、そしてこれは仮釈放相当ということで申請する以上は、再犯のおそれがあるということがわかっておれば、これは申請しないんじゃないだろうか。長い受役者の行状を判断をして刑務所が申請しておるにもかかわらず、更生保護委員会が再犯のおそれがあるというふうに判断をするというのは、どういう場合なんでしょうか。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 どういう場合ということで具体的に例を示すことは非常に困難かと思いますが、たとえば、いま問題になっている事件とは非常に違うのでございますけれども、暴力事犯というようなものにつきまして、本人が刑務所から出た場合の復帰する受け入れる環境が非常に悪いというようなこと、これは刑務所のほうにもその関係の資料はいっておりますから、矯正当局はそれなりにそれらの資料を読みこなして結論を出していると思いますけれども、その問題を委員会のほうであらためて検討いたしますと、その点がなおきわめて不満であるということで、この段階ではまだ仮釈放の時期ではないという結論が出る場合というような例があるのではなかろうかというふうに考えます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 先ほど同僚委員が聞きました村上国治氏のことについてお聞きしたいのですけれども、この場合に再犯のおそれがあるというふうなことを理由にしているということを風聞するわけでございますけれども、そういうことは事実でございましょうか。更生保護委員会がまだ決定をしない理由について、法務省として聞いておられるかどうか、お聞きしたいと思います。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 委員会では目下審理中でございまして、私ども先ほど申しましたように、できるだけこれに関与しないほうがいいという考え方をとっておりますので、再犯という問題が強く取り上げられているかどうかということは、私は承知いたしておりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 先ほどの保護局長の御説明によると、受け入れ環境の問題などでいろいろ問題があるというようなことを言われたわけですが、一応お話はわかるようなんですけれども、この村上国治の場合には、生まれ故郷の比布の町長が身元引き受けをする、町をあげて受け入れる、こういう状態になっておる。北海道の中でもみんなそういうことを議決しておる地方議会も出ておる。こういう状態で、受け入れ環境というようなことで再犯のおそれというのは、とうてい考えられない事態なんですね。私ども考えて、刑務所長が確信をもって申請をしたものが、受け入れられないという理由が想像ができないのですけれども、これがいまだきまらない。刑務所長のほうでは、年内に、去年の内に釈放するようにということが、行刑上の立場から申請されたと思うのです。それが受け入れられない理由というものは、何か特別のことか——普通ならば、これは大事な事件ですから、刑務所長も慎重に検討をして申請したと思うのです。それが受け入れられるというのが普通だと思うのですが、それがいまだに延びているのは、何か理由がなくてはならない。どこに理由があるのかということを、われわれはたいへんふしぎに思うわけです。保護局といたしましては、そういう点についてはあまり関心はないのですか。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 その点につきましては、仮釈放の審理の手続でございますが、全体として、多くのケースは、審理を始めてから二カ月あるいは三カ月で結論が出るというケースが多いわけでございます。しかしながら、中には六カ月くらいかかっておるのもございますし、さらに長いのは一年くらいかかっておるケースも、ときにはあるのでございます。この事件は、非常に重要な事件でございますので、私どもといたしましては、たしか審査を始めたのが昨年の十月ごろというふうに存じておりますので、それから若干の日時は経過しておりますけれども、この事件の審理がきわめて遅延しておるというふうに、一がいにいうわけにもいかないんじゃなかろうかということで、委員会の審理の状況を見守っておるわけでございます。先般予算の分科会でも、この点御質問が井上委員からございました。そのときにもお答えしたのでございますが、委員会としては、おそらくこの事件をただ審理もしないで延ばしておるというふうなことはあり得ないというように私ども考えております。審理をできるだけ促進して、充実した審理を進めるということに努力しているというふうに考えておりますので、私どもとしても、その審理がなるべく早い機会に完結して結論が出るということを期待している次第でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 行刑上の考慮からいいますと、やはりよほどのことがない限り、刑務所長の判断というものは尊重されなくてはならないんじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。その期間にいたしましても、結論にいたしましても、やはり刑務所長が直接現場の行刑に携わっていてそれを判断したことを、よほどのことのない限り没にしないというやり方が正しいと思うのですが、保護局長の御見解を聞かしていただきたい。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 御指摘のとおりだと存じます。委員会には、御承知のとおり、施設の長の申請による場合、そのほかに職権によって審査を開始するという手続があるのでございます。実際には、御承知と存じますが、職権による審査というものはほとんど行なわれていないのでございます。これも、やはり受刑者は刑務所の中に収容されておりますので、その施設の長がその受刑者の状況を一番よく知っておりますので、あえて委員会のほうから議を持ち出して審査を始めるということが差し控えられておる結果ではなかろうかと思いますので、御指摘の点は仰せのとおりだと存じます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この刑務所長のほうは、去年一ぱいというふうに出しておりますので、長過ぎるというふうには思わぬというお話だけれども、もう三月になるわけです。いつごろまでに結論を出すかということは、やはり早くやるほうがいいんじゃないか。法務省としても、いつごろまでにやるかということを問い合わせて報告していただくというわけにはいきませんでしょうか。

鹽野宜慶法務省保護局長

○鹽野政府委員 実は先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、委員会が鋭意審査を進めているというふうに承知いたしておりますので、この問題に法務省側から審査の途中に何らかの照会をするというようなことは、なるべく避けたいというふうに考えていた次第でございます。しかしながら、先般の予算の分科会で、かなり長い月日がかかっているので怠慢があるのではないか、またそれをほうっておくのは、法務省としても怠慢ではないかというふうな御指摘がございましたので、私どもといたしまして若干検討をいたしたのでございますが、率直に申し上げますと、北海道の委員会に対して、現在までどの程度の審査が進んでいるかということを照会いたしました。それは審査中でございますから、審査の内容には法務省としては触れない。ただ、手続がどういうふうになっているかということを照会いたしたわけでございます。その結果、私が十月ころから審査が始まっているというふうに考えておりましたところが、大体当たっておりまして、十月から審査が開始されております。面接は、これは松本委員すでに御存じかもしれませんけれども、施設へ委員が行って面接を行なっておる回数は、昨年一回、今年になって一回、二回ほど行なわれております。そのほかに合議でございます。合議は、最終の合議のほかに、審理の進め方、問題点の解明というような点で何回も合議が行なわれることがあるわけでございまして、本件のようなケースにつきましては合議の回数も相当に及ぶことは考えられるのでございますが、合議も最近までに十数回行なわれております。それから外部に対する調査案件件数と申しますか、回数と申しますか、そういう点も十回程度調査が行なわれているという状況でございまして、現在なおさように鋭意審理が続けられているという状況を大体了解することができたのでございます。  それから御指摘の見通しの問題でございますが、これは私どもとしても、実は委員会に対していつごろ結論が出るかということは、非常に聞きにくい点であったのでございます。しかしながら、大体の見通しがわかればということで、内容に触れない限度で知らせてもらえるならということで照会いたしましたところが、結論といたしましては、やはり現在いつごろというふうに具体的に述べることは困難である。ただ、なお委員会といたしましては、本人に対する再度の面接ということもしたいと考えている。それから、それに伴って若干のなお調査しなければならぬ問題点も出てくるということが予想されるので、なおある程度の日子がかかると思う。しかしながら、委員会としても鋭意審理の促進に努力しているところである、こういう回答をもらったのでございます。さような次第で、委員会といたしましては、ただこの事件を放置して時が過ぎているというような状況ではないのでございまして、私どもが当初から考えておりますように、できるだけ努力をして審理を進めていくという状況でございますので、この事件の審理が長いか短いか、いろいろな問題もございましょうけれども、やはり委員会の審理の成り行きというものをしばらく見守っていただきたいというふうに考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 政務次官に一般的にお聞きするのですけれども、行刑というのは拘束が長ければ長いほど効果があるというものでもなかろうと思いますが、できるだけ受刑者を可能な限り早く社会に復帰させるのが、行刑の根本ではないかと思います。次官の考えをお伺いしたい。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 全くそのとおりでござまして、社会復帰が一日も早くできるということ、また教育的な意味、これは非常に大きな要素だと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 やはり一般的な話でありますが、いま問題にいたしました村上国治の場合に、事件そのものが無実であるということで争いもされておりますが、それは一応別といたしましても、刑期が二十年で、実際上は未決を含めて拘束期間十六年をこしておる、こういう場合は、常識的に考えて、やはり特別のことがない限りは社会に復帰をさせるというのが普通の考え方ではなかろうかと思うのですが、次官のお考えを伺いたい。

小澤太郎自由民主党法務政務次官

○小澤(太)政府委員 一般論としては、仰せのとおりだと思います。ただ、個々の事件につきましては、一般論がそのまま適用されるというわけではございません。

高橋英吉自由民主党

○高橋委員長 次回は、来たる十四日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十四分散会

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