文教委員会 第29号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/07/04
会議録
○大坪委員長 これより会議を開きます。 大学の運営に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。唐橋東君。
○唐橋委員 私の質問は、現在の大学紛争の原因、さらに、その現状、それに対する対策というようなものについては従来もしばしば議論されてまいりましたが、この法案を審議する場合にはこれをさらに深めて、その中でこの法案を見なければ、法案だけの審議というわけにはなかなかいかないのがこの大きな現在提出されている法案だと思うわけでございます。しかし、時間の関係もありますので、さらに本日はいわばつばをつける、このような理事会の申し合わせでもありましたし、時間もありませんので、総括的な問題について一つ、二つお伺いするわけでございます。 結論的に申し上げますと、この法案は、大学及び大学紛争についての基本的な理解に欠けておる。したがって、そのため問題の真の解決に役立たないばかりか、かえってこれを妨げるおそれが実に大きい。と同時に、その現実もまた出てきておるわけでございまして、私は、わが党の代表が本会議で政府に要望しましたように、現状においてはむしろ撤回すべきもの、そして撤回することがむしろ大学紛争を終結に近づけるものであるという、この現状の上に立ちながら質問をしたいわけでございます。 したがって、第一の質問は、ただいまも文部省のほうから「大学紛争の現状」、こういう資料が渡ってありますが、しかし、この資料を見てみましても、この法案が出てきましてむしろ紛争が拡大してきた。このことは大臣みずから認められておると思うわけでございますので、法案が出されて以降、この大学紛争の現状はどのように拡大してきたか、この点についてどのように認識されておるのかを、大臣からまずお伺いしたいわけでございます。——まず大臣が、この法案が出されてから紛争が拡大していると認めているのかいないのか。その内容等については局長でもいいけれども、このような重大な認識は大臣から直接お話し願います。
○坂田国務大臣 今日の大学の紛争というものの原因は、これはいろいろあるかと思うわけでございまして、一つには、一つの政治的主張を貫くために暴力をもってこれを行なう、ことに大学自治という美名のもとに大学をその拠点とする傾向が見られるというようなことも非常に大きい原因だと私は思います。同時に、大学当局みずからがこういうような暴力の横行に対してき然たる態度をとり得なかったというところにも原因があるかと思います。また第三には、大学それ自体が、社会の変化、世界の異常な変化に対して対応できていないというところにあるかと思います。あるいは大学自治と称しながら、実は国民の声あるいは国民の意思を踏まえた大学自治というようなことがとられておらない。ともするならば学部自治の弊害におちいっておる、そうして全学的意思の決定ができない、何か事が起きても、それに対して迅速果敢に対処するということができないというようなところにもあると思います。あるいはまた、学生の意識の変化が非常に大きいという点にもあるかと思います。あるいは戦前と戦後と違って学生数の量的な拡大、またそれに伴うところの質的な変化、たとえば年収百万円以下の家庭から国立大学に関しては六十数%も入っておるというようなこと、あるいは昔は、成績をA、B、C、Dとすれば、A及びBの上ぐらいの人たちが入ってきたわけでございますけれども、今日ではA、B、C、Dというようなところまでも入ってくるというようなこと等、いろいろ変化をしておるわけでございまして、そういう大きないわば変化がある。この変化というものに対して大学当局が対応できなかったということが基本的な原因であるし、それに加えて、冒頭に申しましたような、自分たちの政治的主張を貫くためにはあえて暴力をもってするというようなそういう勢いでございますから、今日何もしなかったにいたしましても、あるいはこの法案を出さなかったにいたしましても、ますますエスカレートするものだというふうに私は思っておるわけでございまして、これに、法案が出ました結果としまして確かに大学立法の反対がありますことは私も認めるわけでございますけれども、しかし、そういうような、ただ学生の言うことを聞くことだけによって適切な行動をとらない、あるいは適切な指導もしないというところにも、その学生運動をエスカレートした、あるいは大学紛争を激化させた原因があるかと思うのでございまして、一時はあるいはエスカレートするかもしれませんけれども、次第に——もしこの法案が皆さん方の御審議、御協力によって通過をいたしました暁には、自然と解決の糸口が見出されるものだと私は確信をいたしておる次第でございます。
○唐橋委員 紛争の原因等については、いま大臣から答弁が出ましたが、それらについては私は時間がないからはしょったのです。まあ大臣はお答えになりましたけれども、しかし、私がいまお聞きしたいのは、この法案が提出されて以来紛争がますます拡大してきておる。その拡大してきておる現状を大臣はどのように認識されておるのか。そして局長のほうからは、それらの内容を文部省としては具体的につかんでいるのかどうか、これをまず聞きたかったのです。新聞では「ただいま紛争中」となって「全国の大学百九校一覧」、これはずっと前の新聞でございますが出ておりまして、その中には紛争の原因としていろいろ分析されておりますが、いわゆる立法反対、こういうことが明らかに出されており、しかも現在まで紛争をしていなかったあるいは学生の政治活動が表面的になっていなかった、いわば平穏といいますか平和な学園、それが立法だけで大きな反対としてストライキにまで突入しておる。このような学校が続々と出ておる。その実態を文部省としてはこの新聞報道以上につかんでいなければならないと思うのです。まさかこの新聞報道よりももっともっと薄っぺらな認識や資料は文部省としてはないと思う。「大学紛争の現状」、こういうものが出された中において、私はさらにこれよりももっと詳しい、いま申し上げましたような、現在紛争が拡大しつつあり、しかもまたその原因が立法に関係しておるという現状をどのように大臣は考えておるのか、と同時に、その実態はどうなのか、その実態等については局長のほうからでもいいがお答えを願いたかったわけです。局長どうですか、どのような実態をあなたはつかんでおりますか。
○村山(松)政府委員 現在大学紛争、これはこの法案にありますような定義によりまして、授業放棄、施設の封鎖、占拠といったような形で紛争が行なわれておりますものが七十校でございます。そのうちで大学立法反対というようなことで新たに紛争目的を掲げてやっておりますものが二十四校でございます。もっとも大学立法関係で紛争を起こしましたものは比較的短期の授業放棄等が多うございますので、五月二十三日、つまり提案の前日から今日までの延べ数で計算いたしますと、九十三校が大学立法反対というようなことでやっておるわけでございますが、そのうちで、現時点で封鎖あるいは授業放棄がなお継続しておるものは二十四校、こういうことになっております。
○唐橋委員 いまのような数字は、ここでは学校等についてはそれ以上お聞きいたしません。大学紛争の現状に加えていまのような実態をさらに詳しい資料を当然委員会に今後出していただくということで、この点に対する質問を終わりますが、ただもう一つ新たに、これは大臣の手元に各大学の教授団あるいは文化人団体あるいはその他弁護士関係の方々もおありかと思いますが、それらの各種の団体の方等も含めまして、大学立法に対して反対でございます、こういうようないろいろな建議書あるいは意見書あるいは請願書、陳情書が出ておるだろうと思いますが、それらの状態はどうでありますか。それを受けた大臣の気持ちと、その実情については局長のほうからひとつお伺いしたい。
○村山(松)政府委員 一般関係の大学法案に対する御意見、御批判については、現在集計してございませんので、大学関係者からの御意見、御批判だけを申し上げますと、現在大学立法に対しまして反対、あるいは慎重に、その他批判的な意見が出されておりますものは、延べ数にいたしまして百五大学に及んでおります。国立が五十三大学、公立が十大学、私立四十二大学、計百五大学であります。ちなみに四年制大学全体で三百七十九校ございますので、約四分の一強ということになります。これはいろいろな名義でなされております。中には学長や評議会といったような全学的な立場で御意見が出されているものもございます。それを申し上げますと、全体のうちで十八大学が学長あるいは評議会といったような名前での御意見を寄せられております。その他は一部の教授会あるいは教官有志といったような形になっております。
○坂田国務大臣 いま各大学の反対の数等につきましてはお話を申し上げたわけでありますが、その感想でございますけれども、私といたしましては、よくこの立法の趣旨等を理解をして、そして反対をするという形ではなくて、何だか大学立法というと、かつての大学管理法というものが頭にあって、そうして何か国家権力がおおいかぶさってくるのじゃないかというような、そういうような形、素朴な反対意見が非常に多いのじゃないか。もう少しこの大学立法の趣旨というものが解明されるならば、自然とわかっていただけるものだというふうに考えております。ただ、また具体的によく法案を読みまして、そして各条ごとにそれについての批判をしております東京大学等におきましては、十分これはある程度読みまして、そして反対をされておるというふうに承知をいたしております。
○唐橋委員 いまの大臣の答弁を聞いて、私は非常に残念に思うのですが、何か理解が不十分の中でこの反対が起きておる、こういう認識がおありのようですが、私は、少なくとも大学の教授が正式に陳情書を出される、その中にはやはり十分な法案の性格、それらのものを踏まえながら、法案の条項を検討して、そうして意見を出されておるというように私は見ておるのでございますが、大臣はそうでない。だとすれば、今後これらの議論を通じながら、国会の審議等もあわせ通じながら議論をしていけば、いまの反対の大学人の方方が了解できて、いわば賛成し得るという見通しを大臣はお持ちなんですか。理解が浅いので、理解していただければこの反対はないんだ、このような認識のもとに大臣はこの法案を考えており、と同時にこのような反対運動を考えられているのですか。
○坂田国務大臣 反対されておりまする大学の教官の中におきまして、この審議の過程において明らかにされることによって、十分この法案の内容等を理解することによってわかっていただくという方もあるかと思いますし、あるいはそれでもなおかつ自説を固守するといいますか、反対は反対だという方もあると思います。それからもう一つは、やはり率直に申し上げまして、いまの大学の管理者あるいは大学当局という名で呼ばれておる教官の中におきましては、学生たちに気がねをしてでなければものが言えないというようなことも実際上はあるわけでございまして、たとえば中教審の答申に対する見解にしましても、あるいはまた、大学立法に対する見解にしましても、これを全然名前を伏せて聞く場合と、そうでない場合とではだいぶ話が違ってくるというようなこともあり得るわけなんでございまして、その辺のところに、実を申しますと今日の大学の紛争というものの解決のむずかしさがあるのではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。
○唐橋委員 いま大臣が、いわゆる文教の総責任者であって、そして大学教授に対するものの見方、考え方の一端でありましょうけれども、そのような認識を持って、大学教授の人たちは自主的な考えや行動ができないんだというような認識を持って、そして文教行政に当たるとするならば、これは重大なる問題だと思うのですが、それらは別にして、私は、それならばなぜあなたたちが進めておるこの大学立法を理解できないのか、そして反対しておるのか、その背景を私はひとつ出してみまして、そうして大臣の所見をお伺いしたいわけでございます。 その一つは、自民党の政務調査会の報告で、文教部会、文教制度調査会の合同会議というものの中間報告がございます。その中間報告の中で、はっきりと「学園紛争の当面の解決策」という基本方針が明示されています。その内容を読んでみますと——その前段は、東大紛争あるいは確認書に対する態度等、ずっとその経過が書かれておりますので、それらは省略いたしますが、出だしはこうなっております。「東大紛争の経緯をみるに、医学部の研修医制度反対という政治闘争に始り、全学共闘会議の暴力と、これに対抗する民青の暴力が学園自治の名のもとに白昼公然と行われたのである。民青が、学園民主化の名のもとに学園の治外法権化をはかり、大学の管理運営を彼等の手に掌握し、大学を革命勢力の根拠地たらしめんとする陰謀を企てていることは明かである。この際、学園内から暴力行為取締りに関する法律第一条に基く暴力の徹底的排除と、教育基本法第八条第二項に基く政治活動の徹底的排除が必要であり、これが学園紛争の当面の解決策であると確信する。」これが自民党の文教部会で決定してある「学園紛争の当面の解決策」、こういうようにあるわけでございますが、このような背景を持って、この上にいまの法案が出されているんだということは否定し得ないと思うのです。したがって、私はこの中でまず一つのものを出してみますと、「医学部の研修医制度反対という政治闘争に始り、」こういうふうに書かれているのでございますが、これは大臣も御承知のように、この東大紛争の発端は政治闘争であったのかどうか。医局の改革、こういうことがまず出発であった。この点については東大の教授が、いみじくもやはりはっきりと、あの当初紛争の出発において、私たちが政治闘争と見ないで大学改革運動としてとらえていたならばこのように混乱しなかったであろうということを公言しておるわけです。それを文教の最高責任者である大臣は、やはりあのような大学紛争の発端を自民党の考えのように政治闘争に始まっているんだというこのとらえ方、そしてそういうとらえ方の上にいまの法案が出ているんだというこの背景を持っているときに、大臣がいままでいろいろ質疑の中で、一応の手だてでございますとか、大学の自由は守るのでございますとか、このようにいかに弁解なされても全大学人は了承できないと思うのです。ここを私は非常に重要なものだと思いますので、多少大臣の所見もお伺いしたいわけでございますが、時間の関係もありますので、まず第一に大学改革の出発、あの自民党の文教部会でとらえているようにあなたもやはり政治闘争、このようなとらえ方をしているんですか。
○坂田国務大臣 だから先ほど私はその原因について触れて、第一には政治的主張を貫くためには暴力も辞さない、そして大学をそのよりどころとしておる、そういうところに大きい原因があるということを私は申し上げたわけであります。
○唐橋委員 ですから私は、最初紛争の原因について大臣がお答えになった、それと軌を合わせて私が読み上げたのと一致しているんです。だから私はさらにそれを突き詰めて、あの東大の紛争の発端を——私の聞いているのは、紛争の発端を初めからいまのように革命論議の中における発端であったのかどうか、これの認識が実に大切だと思うのです。やはり医局のあの紛争の発端が、いまのような各派のいわゆる革命的な論理による政治闘争であったのかどうか。
○坂田国務大臣 それがいろいろと組み合わせられてまざり合っておるところに今日大学紛争のむずかしさがあると私は思うのです。一つだけが原因だと思うところに間違いがあると私は思います。発端になりましたのは確かに研修医制度の問題あるいは医局員制度の問題である。あるいは医局に巣食うところのその古さと申しますか、改善さるべき多くの問題を内蔵しておったというところにもあるかとは思いますが、しかし、同時にまた、そういうような何かのきっかけがあるならば自分たちの政治的主張というものをそういう運動に盛り上げていこうという分子がおったということも事実であります。そういうふうに私は認識しておるわけでございます。それが粒良君の処分等、あるいは暴力事件等々が引き起こされ、さらにそれに対しての当局の処分のやり方、それに対する批判、あるいは警察官導入、いろいろ重なり合って東大全体が、医学部の騒動から全学が紛争におちいったというふうに私は理解をいたしておる次第であります。
○唐橋委員 東大の紛争と、私立大学では典型的に日大の紛争があるわけですが、日大紛争についてもいろいろの分析記録がございます。しかし、そういう中においてやはりはっきり言い得ることは、私がちょっと手に入れた日大の記録の中にも、だれしもが認めていることがはっきり書かれております。中を読んでみますと、「それはまさに思想ゆえの叛逆ではなく、日大八十年の歴史、とりわけ古田が会頭になって以来十年間にわたり暴圧されつづけてきた学生の蓄積された怒りによる総反撃であった。」いわゆる思想ゆえの叛逆ではない。そしてきっかけは御承知のように使途不明金の問題、これはあとでいろいろお聞きしたいと思います。東大の場合はいわゆる医局の問題です。そういうものを受ける側はどうであったか、こういうと、必ずそれが政治活動であるというようなとらえ方、そして直ちに自分たちの大学制度の中でどのような——いまは相当出されておりますが、出発からはそのような出し方、しない。大学の持ついろいろな改革の内容を当然初めから出してくれば、日大でいえば初めから経理というものをこういうようにすべきだ、こういうように出していくところに解決の非常な前進があったのを、受ける側のいわゆる大学側は、東大でもあるいは日大でも、日大の場合にはここにもビラがありますが、これはアカの陰謀だ、会計には不正がないのだ、このような総攻撃をかけておる。だからその混乱した中で漸次エスカレートして、思想的なものがいわゆる政治活動、政治不信、そういうものについていった。こういうように考える場合に、何かいま大臣の答弁の中で、私はいまのこの法案を貫いている根底、背景に、必ずこれは政治活動なんだ、だからこれは取り締まらなければならない、これだけに集中されていく発想、このことが私は非常におそろしい。そう考えるのですが、大臣もう一度この点についてどうお考えになりますか。
○坂田国務大臣 暴力もさることながら、今度は、大学それ自体が社会の変化あるいは学生の変化に対応できるような体制をとっておるかどうかというと、そうじゃない。東大のごときも、きょうの新聞を見ると、教育、研究の組織のあるべき姿についての御提案がありましたけれども、その当時ああいうものすらなかった。そういうところに実は問題があるので、大学の先生、大学の先生とおっしゃいますけれども、それは確かにある学問の専門領域についてはエキスパートでございますけれども、しかし、管理運営というようなことについてはたしてそれほどのエキスパートであったかどうか、あるいは専門家であったかどうかということが今日学生からも問われておるのであって、あるいは国民の側からも心配をされておる面であって、その辺をやはり大学が自主性を主張されるならば、大学自治というものを主張されるのであるならば、十年くらい前あたりから——各大学において全学的意思決定はどうするか、あるいは教育、研究はどうするか、あるいは企業とのいわば委託研究等についてはどういうような受けとめ方をするのだ、このビッグサイエンス時代にどういうような基礎研究の成果を社会に還元していくのだ、そういうような明確な考え方をお持ちでなかった、また全学的にそういうようなものも発表をしておられなかった、そういうところが学生の不満な点だと私は思うのです。医学部だってそうだと思うのでございます。そういうような問題も一つの原因になっておる。また、学生集団のあのような無謀なる暴力というものも原因になっておる、こう考えなければいけない。また同時に、それに対して指導、助言を十分果たし得なかったわれわれも責任を感じておる。あるいはまた予算措置ということについてもわれわれは反省すべきものも持っておる。ただし、予算予算とおっしゃいますけれども、また予算だけでものごとが解決する問題ではない。もうちょっと奥深い問題、原因があるというふうに私は思うのでございまして、大学それ自体の機能といいますか、あるべき姿というものがはっきりきまらないで、ただ予算予算というようなことではむだ金に使われる可能性も実はあるわけなんです。国民の税金をまかされて、そして大学自治と称して子弟を預かって教育をしなければならない、あるいは研究の成果を社会に還元しなければならないいわば責任が大学の先生に負わされておる。それを十分に果たしたかどうかということについて、私はやはり大学の先生みずからも反省さるべき幾多のものがあるのではないだろうかというふうに考えるわけであります。もちろん、われわれも反省すべきことがあるというふうに心得ております。 たとえば具体的な問題を申し上げますと、昨年度の臨床研修医の問題にしましても、無給医局員の問題にしましても、それが東大紛争の一つの発端になったということも考え合わせまして、確かにこれらの人に対して月一万五千円ぐらいの謝金ではあまりに低過ぎるではないかということで、本年度の予算折衝におきまして二万七千五百円、そしてまた無給医局員の一万五千円の謝金に対して三万五千円というものを計上いたしたわけでございまして、こういうようなことはやはりわれわれが気をきかして十分手当てをしていかなければならない問題だと思うのであります。この研修医の問題あるいは臨床研修制度の問題等についてはまだまだ改革すべき点があるかと思うのでございます。さしおりそういうような点も、やはりわれわれといたしましては気がつきましたからさっそく予算化をいたした。こういうわけでございまして、この点もひとつ御了承を賜わりたいと思うのでございます。
○唐橋委員 時間がありませんので質問は次回に譲りますが、要は大臣、私がいま取り上げましたのは、あなたたちが幾ら法案は大学の自治を守るのですと言っても、大学人のほうでは理解しない。理解しない原因は、大学人が悪いのでなくて、あなたたちが持っている背景、あなたたちの発想、そして法案の持つ欠点、こういうところにあると思うのです。それについては漸次質問をしたいと思います。 きょうは背景の一つだけ取り上げまして、質問を終わります。
○大坪委員長 この際、休憩いたします。 午後一時五十三分休憩 ————◇————— 午後四時二十九分開議
○大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 大学の運営に関する臨時措置法案について質疑を続行いたします。唐橋東君。
○唐橋委員 休憩前に続きまして質問いたしますが、休憩前には、大臣がいかにこの法案に対して、大学の自治を守っていくのだ、こういうような点を強調したとしても、大学人あるいは文化人はこれを了承しない。了承しない原因は、法文の内容等についてはあとで質問することにいたしまして、一つはその背景、根底に自民党の文教政策というものが大きく横たわっている。それを大学人やその他が見抜いているからだ。私はこのような観点で、自民党の「学園紛争の当面の解決策」というものについて大臣の所見をお伺いしたわけでございますが、その当面の解決策の中で「医学部の研修医制度反対という政治闘争に始り」というもののとらえ方、そして現在の学園をすべて革命勢力の根拠地たらしめんとする陰謀を企てている、だからこれに対処していくんだというとらえ方を根底とした立法である。このところに、最初質問いたしましたように、いままで政治活動あるいは紛争が起こっていない学校、そのような生徒、学校が急速に反対に立ち上がっているという根源がある、こう私は理解したわけでございます。それらについては、なお大臣の所見もお伺いしたいわけでございますが、五時には終わりたいと思いますので、質問を続行いたします。 いま申し上げました「学園紛争の当面の解決策」で、「この際、学園内から暴力行為取締りに関する法律第一条に基く暴力の徹底的排除」ということがあげられておるわけでございます。この方針のもとに、この前もいろいろと議論されましたが、出てきておりますのが次官通達であろうかと思うわけでございます。この次官通達については、東大あたりを筆頭に批判が出され、それに対してまた文部大臣が反論をしておるというような新聞記事まで、大きな問題となっておるわけでございますが、要は警察の学内立ち入りについて、警察側の判断を大学側の判断に優先せしめたというところに非常に問題があろうかと思います。したがって、この法案が制定された上に、私はそのような警察関係との危惧というものが必ず大きく浮かび上がってくるということを指摘せざるを得ないわけでございますが、法案の成立を願っておる大臣として、成立後における警察官の学内立ち入りについては、この前の次官通達もありますが、あのようなものをさらに強化していくというような心配を持っている現場は私は決して少なくないと思うわけでございますので、法案を根底とした今後の治安対策としての警察の学内立ち入りについてはどのように考えているか、これをお伺いしたいわけです。
○坂田国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、今日大学紛争がエスカレートしておる。そして学問の自由が侵されておる、大学の自治が侵されておる、大多数の学生が学ぼうと思っても学べない、教官が研究しようと思っても研究ができない。そういう状況でございますが、その一つの大きい原因というものは、各派に分かれた暴力学生による不法状況が横行しておる、こういうことかと思うのでございます。それに対して、これを排除する物理的力を持たない大学当局が、そういう不法状況がある場合、あるいは生命財産の危険がある場合、あるいは不当に教育、研究が阻害されておるというような状況に警察力を要請するということは当然なことであって、この法案があろうとなかろうと、そういうことが起こった場合に大学当局が進んで要請をして、そして学問の自由というものを守らなければならぬ、大多数の学生の教育、研究を守らなければならぬ、かように考える次第でございます。
○唐橋委員 一般論的にいえば、いまの大臣の御答弁で了承できるわけでございますが、実際東京経済大に起こったあのような状態、それはやはりこの前の次官通達から、学内における立ち入りが、警察側の判断は大学側の判断を越えてできるんだ、ここに私は警察側の問題があろうと思うわけでございます。したがって、大臣として、警察側の判断を優位としていくような事態が東京経済大では出ておりますが、そのような心配がないのか、この点についてもう一度お伺いしたいと思います。
○坂田国務大臣 大学が治外法権の場でないということは、もうどなたも御了承賜わることだと思いますが、しかし警察が、治外法権の場ではないからといって、あるいは不法状況があったといたしましても、やはりその管理者でございます大学当局とよく連絡を保ちつつやらなければならないのは当然なことであるというふうに私は思うのでございまして、たとえばこの前の東京経済大学のようなごときことは、やはり慎重さを欠いたということがいえるかと思うのでございます。
○唐橋委員 大学が治外法権の場でないというようなことは、大学構内に立ち入る警察官の行動として、過去の東大ポポロ事件において一審、二審並びに最高裁において十分論議され、判決が出ておる。このことは警察官と大学との関係について、いい指針といいますか行動の基準が出ておるだろうと思いますが、その東大ポポロ事件において、いまのようなことは明白に出ておるわけでございます。学校構内が治外法権の場でないということは当然のことでございます。ただ私が考えて、特に大臣がああいう通牒を出し、今後この法案の中において紛争解決をしていこう、こういうかまえの中で、はっきりと東大ポポロ事件において示されておるような警察官の行動基準というものを文部大臣として明白に警察側へも要請し、そして大きな紛争の原因にならないように当然すべきだと思うのでございますが、この次官通達を出す前あるいはあと、さらに現在法案を出される前後において、これらに関して警察当局と十分話し合ったような機会があるか、あるいは連絡をして、そのような事項について相談をしたというようなことがあるかどうか、その実情、経過等をお伺いしたいわけです。
○坂田国務大臣 従来、大学当局あるいは学生諸君の間におきまして警察に対するアレルギーがあった、この事実はいなめないことでございます。また、今日もそれは残っておると思うのでございますが、それが、どうも二十五年の次官通達ということが、あたかも治外法権の場であって、不法状況があっても入られないのじゃないか、こういうようなふうに誤解をしておる、曲解をしておるというような点がございまして、また、そのことが同時に、非常に集団的な暴力行為が行なわれて血の雨が降るという場合ですらも、その通達があるがために大学側が警察の要請をしない、警察の要請をしないがために死傷者、傷害が行なわれる、学生たちがけがをする、重傷を負う、こういう事態があちこちに、この一年ばかりの間に起こったわけでございます。むしろそういうようなことは、大学みずからが力がないわけでございますから、当然大学が、そういう非常な場合においては、生命の危険にさらされる、あるいは大学の一番根幹でございますところの研究室というものが占拠をされる、破壊をされるというような場合においては、これを排除するために警察力を要請するということは当然な措置である、こういうふうにわれわれは考えるわけでございます。いやしくも国立大学の場合におきまして、そのような不法状況がいまなお続き、かつ国民の税金によってまかなわれておりますそういう施設というものが破壊され、そのままに管理者がこれを見のがしておるということ自体が私は問題かと思うのでございまして、そういうようなときに適時適切な措置がとれるためには、やはり大学というものが治外法権の場ではないということをはっきりさせる、あるいは誤解を解くという措置が必要だという形であの次官通達が出たわけでございます。それだからというて、いたずらに大学に警察が入ってかってにするというようなことは、当然警察官の職務といたしましてやるべきことではないわけなので、その点につきましては、警察諸法規に準拠をいたしまして行動せられますることは、ふだん警察当局とわれわれ文部省と緊密な連絡をとりつつやっておるわけでございます。特に昨年来の東大の紛争問題に関しましては、実に緊密な東大当局と警察当局と文部省当局との連絡のもとに、相協力し合いまして、たとえば一月十八日、十九日のあの安田講堂の不法占拠の排除ということが行なわれたことは、皆さま方御承知のとおりだと思うのでございます。そういうわけでございまして、とかくそういうことは、お互いわかっておりましても、なかなか現場におきましてはトラブルが起こるものでございまして、この点につきましては、やはりわれわれも十分注意をいたさなければならないというふうに思うわけでございまして、警察側に対しましても、大学との問題に関しては学生側の反応等も考えて、ひとつ十分慎重にやっていただきたいということはかねがね申しておるところでございます。緊密な連絡をとっておるところでございます。
○唐橋委員 警察側との十分な関連、特に学校側の判断を優先せしめるという立場を今後は特に要望していかなければならないと思いますので、この点は要望して次の質問に入ります。 次には、いまの自民党の多くの条文の中に、「教育基本法第八条第二項に基く政治活動の徹底的排除が必要であり、」こういう条項が明らかになっているわけでございます。この第二項というのは、申し上げるまでもなしに「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」という学校の中立性を規定しているわけでありますが、この条項に対して、いまのような方針で臨むとしていくならば、いろいろな問題において非常に大きな問題が出てくる、こういう重要事項だと考えるわけでございます。したがって、それについて一、二点お伺いしたいのですが、一つは学問の自由あるいは学問の発展というものは、現在の体制あるいは現在の学問、そういうものを批判し、その上を乗り越えていって初めて私は学問の進歩、科学の進歩があると思うのでございます。そう考えますときには、批判というものこそが学問の進歩であると考えるのですが、これに対しては大臣どう考えますか。
○坂田国務大臣 おっしゃるとおりに私は考えておるわけで、そのゆえにこそ学問の自由というものが認められておる、憲法で保障されておるというふうに思いますし、教授というものがいかなる政治的信条を持とうと、あるいはいかなる学説を持とうと、国家がこれを憲法で保障しておりまする意味合いのものは、いま仰せになりましたことだ、かように了解をいたしておるわけでございます。
○唐橋委員 そうしますと、現在までの大学の中で、この八条二項を特に破り、そしていわゆる政治教育をしていたと文部省は考えておるのですか。この点は、いまの大学のいわゆる学生の政治運動、それから大学、学校のいわゆる政治教育、この関係を私は明確にしていかなければならないと思うので、いままでの大学の中で、この条項に触れるような態度をとっている学校、教授は実際ありましたか。
○坂田国務大臣 おっしゃっているところが少しわからないわけなんでございまして、教授が自分の一つの学説というものを講義をする、あるいはそういう教授をするという自由は保障をされておるわけでございます。
○唐橋委員 教授がいまの学問の自由の上に立って、現在の政党のあり方、政策、そういうものを批判する。学生もまたそれに対して十分研究をして、研究の場合には集団になる。こういう点は当然あっていい、こういうわけで私は考えているのでございますが、それらもすべて政治活動と見、そして現在のいわゆる体制に反するもの、現在の政治の方向に反するもの、これはすべて政治活動であるので、徹底的に排除しなければならない、このような傾向がもし出たとするならば、それこそ学問の自由、発展を阻害する。こういうような最大の問題が発生すると思うのでございますが、そういう点が今度の法案の中にも非常に危険視されて、そして各学者あるいは大学人が反対しているのでございますが、自民党のこの条文にある、二項に基づく政治活動の徹底的排除が必要であるというようなこの考え方、これは一歩誤ればいまのところに進んでいく、私は非常に心配しているわけでございますが、この自民党の方針について大臣はどう考えますか。
○坂田国務大臣 この法案には、実はいまお尋ねのことは何もないわけでございまして、このないことをもっていかにもあるかのごとく考えて、そして先生と同じようなことが盛られておるということで、いま大学の先生たちが反対をしておるということを私は先ほどから申し上げておるわけなんです。ですから、もう少しこの法案というものを、よく趣旨を理解していただきたい、かように申し上げておるわけでございます。 それから、学者がそれを講義することはけっこうなんですが、それを何か政治運動としてプロパガンダしたりなんかするということまで一体許されるかどうかということはまた別の問題であると私は考えるわけでございます。少なくとも大学の自分の講義としまして、そういうようなことを学説として主張するということにつきましては、憲法はこれを保障している、こういうことでございます。
○唐橋委員 私が最初に申し上げましたように、学者、文化人がこの法案に対して抱いている危惧というものは、いわゆる自民党のいまあげたような文教政策が背景になっておる、これをはっきりつかんでいるわけでございます。したがって、どのように法案の上においていわゆる大学の自由を保持するんだ、こういうようなことを言ったとしても、自民党の文教政策の中で、基本法のいわゆる政治教育、その問題にまで触れている、こういうところに私は問題があるということを指摘し、大臣の所見をお伺いしたわけでございますが、この点は今後大学の学問の自由において最も重要な点でありますので、特に「徹底的排除」というような中において拡大解釈されて、学問の自由を侵されない、このことが大臣としての責務であろうと思いますので特に私は取り上げ、大臣の所見を求めながら要望しておきます。 次には、背景の二番目としてあげたいのは、歴史的な中において、休憩前の大臣の答弁にも、過去の大学管理法、こういうものとは違うんだ、こういうような考え方がありました。大学管理法については過去にも提出されまして、そうしていろいろ議論された。しかしこれとは違うんだ、こういうことなんですけれども、いま各大学が受け取っておりますのは、十年来文部省の宿願であったんだ、大学管理は。それをこの際、紛争というものをきっかけにして、そうして大学管理法に持っていく、外堀を埋めるんだ、この考え方がある。どうしても私は大臣の率直な見解の中で表明していただかなければ了解し得ないと思うのですが、過去の大学管理法の発想、それと現在の発想の違い、そういう点はひとつ明確にお答え願いたいと思うのです。
○坂田国務大臣 この法案で申しておりますることは、むしろ大学それ自体が自主的に紛争を解決しよう、解決する、その努力を手助けをするということを主眼として取り組まれておるわけでございまして、あくまでも大学側の自主的解決ということに協力をするということでございます。大学管理法というような一つの法律でもって全国のたとえば国立大学を一律にかくかくしかじかあるべし、こういうふうにきめてしまう、画一的にやるというようなことを実はこの法案には書いてないわけでございます。こういうようなことがとられるとするならばとられますよ、権限集中ということをやろうとお思いになるならばやれますよ、また、みずからそういうことが可能である。しかし、その権限集中のやり方についてもいろいろな方法があるし、それは大学自身がお考えになってしかるべき問題でございます、こういうことでございます。たとえば執行機関をどうするとか、あるいは審議会をどうするとか、あるいは副学長をどうするとか、あるいは特別補佐官をどうするとか、あるいは広報委員会をどうするとか、あるいは学生との対話、あるいは意見をくみ上げるコミュニケーションをどうするとか、そういう自由裁量の道というものは大学自体にまかせられておる。しかし、こういうようなことはやれますよ。また、かつては東大収拾の際においては、東大みずからもそういうような措置をとって、そして今日九学部も授業再開し、六月には卒業生も出しております。こういうようなことをもしお考えになろうと思えばなれるのです、こういうように非常に自由裁量の道を開いておるわけでございまして、その点が非常に違う。ただ、最終的にもうどうにもこうにもいかなくなったときに教育、研究を停止するという措置、これはできるようになっております。そういうようなところが非常に強いとおっしゃれば私もそれはそのとおりだと思いますけれども、しかし、教育、研究それ自体ができないものを、実際学生たちは勉強ができない、研究もできない、先生たちの研究もできない、そのまま半年も一年もほったらかして何にもせずにおくことができるだろうか。私はやはり国民に対する責任といたしまして、そういう場合にはどうかするという道が、最終的には文部大臣にやれるということぐらいはなければ、国民に対する責任を果たしたということにはならないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○唐橋委員 文部大臣がいま申されましたように、大学にまかせてあるのだ、最終的に必要があればやるのだ、このような考え方を表明されておりますが、現場の受け取り方は逆なんですね。法律ができれば、いままでの文部行政の過去の歴史から見て、これは必ず強化される。必ずいわゆる大学の自由を侵される、こういうのを私は過去の歴史の中からいろいろ指摘し得るものがあり、と同時に、この過去の歴史の上に立っていまの大学人、文化人は反対しておる。いま大臣が言うような気持ちで過去の文教行政が一切とられていないところに問題があるわけでございますが、もう一度、この法案がたとえば成立した場合に、それならどのような考え方をもって施行するのか、この点をはっきりしておかなければいまの大臣の考え方は徹底しない。むしろ文教行政の歴史の中において示されたように強い方向だけに進んでいく、やはりこう私は受け取らざるを得ないわけでございますが、それに対しては大臣どうですか。
○坂田国務大臣 これはもう私はひたすら大学みずからが自主解決あるいは自治能力をほんとうの意味において持たれることを期待するのでございまして、たとえいまは自治能力を失いかけた瀕死のような重病人ではあるけれども、その重病人ですらもこちらからあまり干渉がましいようなことをやらないで、しかし、こういうような手だてはありますよという、そういうサゼスチョンをやることによって彼らみずからが立ち上がる、一面においては七条みたいな研究、教育を中止する、同時にその場合は休職にする、必要な職員だけがこの収拾に当たるというような冷酷無情のような面もありますけれども、これこそ私は親心だと思うので、ほんとうにみずから立ち上がるところの力を与えるものじゃないか。したがって、この法案のねらいというものは、願わくは七条というようなものを使わないで、六条までの段階において今日の紛争というものが解決する、解決させる、またしてもらうという一つの願いが実は込められておる。そういうことをひとつよく唐橋先生も御理解をいただきたいのでございまして、私は、これを機会に、突破口として、あらゆる大学のこまかい問題についても一々干渉するというようなことは毛頭考えておらないので、むしろ、この国立大学の場合においては、あまりにも身分保障が手厚いがために、あるいは人事交流等が行なわれなくて学部自治のエゴイズムであったがために、世間の風波にちっともさらされていない。いわば非常に甘やかされた状況に国立大学があった。つまり親方日の丸であったがゆえにそういうようなことになっておる。その大学に対してほんとうにたくましい自主性というものを持ち得るような力を与えてあげようという願いがこの法案に込められておるということも、ひとつ御了承をいただきたいと思うので、願わくは七条以下の問題まで入らないで、六条までの段階において収拾をしていただきたい。また、それもやろうとお思いになるならば可能であるというふうに私は確信をいたしておるわけでございます。
○唐橋委員 まあ大臣が非常に誠心を吐露して、理解をしてもらいたい、こういうわけですけれども、御承知のようにきのうの新聞には朝永博士ら六学者が声明をしておる。しかもその声明は立法を中止してくれ、こういうことです。学術会議はこれまた反対です。そうすると、幾ら大臣が理解をしてくれ、理解をしてくれ、こういうことをしたって、相手側は理解し得ないのです。そして中止を要請する。反対を表明する。それを押し切ってやっていく。ここに私はいまの文教の困難さと同時に、大臣の文教行政の一番むずかしさがあると思うのでございますが、いわゆる背景といいますが、底流といいますか、そういう問題についての質問はこれで打ち切りますので、最後に、実際問題として、いま申し上げましたように全大学人が反対でございます。学者も反対でございます。大臣がここで、ほんとうに親心なんです、こう言っても全然かみ合っていない。それで日本の大学再建がほんとうにできるのか、大学人が立ち上がっていく、それを見守りながらほんとうに助けていくという文部行政であるならばいいが、そうは受け取っていないのですから、要すればこれは幾ら大臣がこの中で力説しようとも。私は最後に、一番最初申し上げましたようにこの問題の解決というものは非常にむずかしいし、と同時に、相手の意思をほんとうに大臣としては尊重する以外にない。日本の全文化人が反対する立法、これは私が一番当初申し上げましたように、これは撤回する、そして大学人とひざを交えて再建を語っていくしかない。これは私がやはり当初申し上げた撤回の意思の真意でございますけれども、このように相手側がほんとうに了解していないのですよ、大臣が幾らここで言っても。これについては大臣、ほんとうにどう思うのですか。
○大坪委員長 関連して鈴木一君。
○鈴木(一)委員 一言だけ関連してお伺いしたいと思いますが、法律を出さなくても、こういう法律をつくらなくても、自主的に大学のほうで解決するような指導、助言というか、そういうものが非常に私は足りなかったと思うのですね。何でもかんでも法律をつくればいいというわけでもないし、この法律の効果は必ずしも大臣が考えているようなものでは私はないと思うし、自民党の中だって、こんな法律なんか通ったってたいしたことないんだというふうなことを言う人もおるくらいなんですね。ですから、できれば法律によらないような解決策というものを、指導、助言の立場にある大臣が考えたことがないか、また考えられないか、この段階で。そういう点について大臣の考えを聞きたいと思います。
○坂田国務大臣 当事者の大学の先生方が非常に御苦労になっておることもわかりますし、あるいは一面において心配をされておることもわかるわけでございます。しかしながら、今度は大学を取り巻いておりまする一般国民、大多数の国民というものの意見はどうかというならば、一体大学の先生は何をしておるのだ、一年間授業もしないであの学生の暴力の横行を許したままで、自主解決、自主解決、大学の自治、大学の自治とおっしゃるが、はたしてそれじゃ何も処置しないで一体大学紛争は終結できるんだろうかということは、むしろ皆さん方もそれはよくおわかりになるのじゃないかと思うのです。そしてまたそのことが、それに対して有効適切な対策も持ち合わせておらないというところに、学生自身がいま問いかけておるのじゃないかと思うのです。その場合に、政治家として、あるいは文教行政に当たる者といたしましては、単に当事者の人たちが、病人がこういう薬は苦いからいやだとか、手術はいやだとか、いやだいやだと言っているからそういう手術はしないでいいかといったら、やはり手術はしてあげて、そして健康体に回復さしてあげなければいかぬのじゃないか。多少の反対があったって、御病人のおっしゃることはわからぬわけではないけれども、われわれは国民の一つの立場に立って、この国立大学の学生、教官のあり方、あるいはそういうものに対してものを申すということは当然なことであって、いかにもある領域についての学問分野については確かにノーベル賞をもらわれる人もございます。また今後ノーベル賞をもらうような学者がたくさんいまの大学の先生の中にあると私は思うのです。しかし、その方が必ずしも学長として非常に有能な人であるかどうか、あるいは管理能力を持っておるかどうかということは、また別なことであって、国民の側から見るならば、こういうようなお金のむだ使いをして、と思うのが当然じゃないかと私は思うのです。その場合何もしないで自主解決、自主解決といって、大学の自治だからといっていまの国立大学の先生方にまかせておいて、はたしてこの大学問題の収拾というものは一体あり得るだろうかというふうに考えました場合に、この程度の最小限度の立法というものは必要である。しかし、この立法だけがすべてを解決するかぎりではない。それと同時に、鈴木さんの御指摘のように指導、助言を通じまして、あるいは国民世論の背景のもとに、大学側の協力を求めつつ最終的な大学の収拾に当たらなければならぬのじゃないか。また同時に、私は、これから先は国民のためのあるべき姿の大学というものもお互いが模索し、またそれを示し、あるいは各大学もお考えになって、そういうようなことが相まってはじめてこの紛争解決への道が開けてくるのではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、この法案だけですべてが解決するというような、そういうようには私は考えておらないので、鈴木さんの御指摘の点も私は十分わかるわけで、できますならば法律によらずして指導、助言のみによって、あるいは暴力の排除はいわば現行法を十分発揮いたしまして、そして暴力排除に対しては断固たる措置をとるというようなことだけでいけそうなものだとかつては思ったわけでございますけれども、ただいまのところは、むしろそれだけではもはや収拾はつかないのじゃないか、それにあわせて必要最小限度のこの程度の立法はむしろプラスになるだろうというのが、私のいまの心境なのでございます。
○唐橋委員 せっかく人事院から来ていただいたんですけれども、条文に入ってからまず第一に、休職される場合の不利益処分関係、そういうのが当然この条文の中に出てきますので、それらについて人事院にお伺いしたいと思ったわけなんですが、ちょうど質問時間も来ましたので次回に譲りたいと思います。次回は条文とさらに具体的な問題、日大問題、教育大問題、これらの点について時間の範囲内で質問したいと思いますので、これできょうは終わらせていただきます。
○大坪委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会