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61回国会衆議院1969/05/14

文教委員会 第17号

発言数
199
登壇者
17
会派数
3
開催日
1969/05/14

会議録

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は地方教育行政に関する問題について参考人の御出席をお願いいたしております。御出席の参考人は、愛媛県教育委員会教育長毛利正光君、愛媛県教職員組合中央執行委員長佐伯嘉三君、前愛媛県教育研究協議会会長栗原重之君、高知県教育委員会教育長藤本孟君、高知県教職員組合執行委員長津野義宣君、以上五名の方々でございます。  この際、委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。参考人の方々には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。地方教育行政に関する問題について参考人各位より御意見を承り、もって調査の参考といたしたいと存じますので、何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いをいたします。  なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対するお答えでお述べいただくようにいたしたいと存じますので、さよう御了承いただきます。  質疑の通告がありますので、これを許します。河野洋平君。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 過日行なわれた文教委員会で、斉藤委員から、高知県の教員の人事異動あるいは愛媛県の教員の汚職に関する問題が取り上げられて、本委員会で論議が戦わされたわけでございます。そうした問題に関連をして、きょう参考人に御出席をいただいたことは、まことにありがたいわけでございますが、私、そうした問題に触れさせていただく機会をいただきましたので、若干質疑をいたしたいと思います。  元来この種の質疑は、初中局長等、文部省の担当者に質疑をすればこと足りると私は判断をいたしますけれども、きょうは参考人がわざわざ御出席でございますので、実際問題は、ひとつ参考人のほうから御答弁をいただきたいと思います。  まず最初に、高知県の問題について若干の問題をお尋ねいたしますが、高知県におきます僻地学校の数、それから僻地学校に勤務する教職員の全教職員に対する割合、これはかなり高いのではないかと思いますけれども、その辺のところを御説明いただきたいと思います。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 御答弁申し上げます。  高知県は、僻地は全国でも北海道に次ぐ多いところでありまして、全体の学校数の約五五%近くございます。これに勤務する教員は常に流動いたしておりますが、全体の約三分の一でございます。以上でございます。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 そういうことになりますと、僻地校と平たん地校との人事の交流というものが当然高知県の場合には非常に問題になってくるだろうと思います。この点が前回の斉藤委員の質疑でもいろいろ取り上げられておりましたが、この人事異動がいままで円滑に進められてきているかどうか、御答弁願いたいと思います。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 お答え申し上げます。  高知県の教育水準を向上させていく要素はいろいろございますが、その中で、ただいま申し上げましたように全国有数の僻地県でございますので、ともすると平たん地には教員が集中する傾向がございます。したがいまして、一般社会におきましても、高知市並びに都会の教員はりっぱな教員だ、山の教員は何かレベルの低いような一般の社会の観念もあったわけでございますが、とにかく県下全体的に機会均等の教育をするということがきわめて重要なことでございまして、戦後以来の二十数年にわたりまして、われわれは僻地、平たん地の交流、高知県におきましては僻地三年、平たん地七年という目標を掲げて交流をいたしてまいりましたが、いかんせん、なかなか市町村の御協力をいただくことができませず、特に高知市との交流がきわめてむずかしい。一昨年まではただ目標を掲げただけで、およそその実績がなかったわけでございますが、たまたま昨年度から一つの基準等を目安にいたしまして、積極的な交流をはかり、昨年度から高知市と他の僻地との交流がやや軌道に乗りかけたという状態にございます。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 教職員の人事というものは県教委が一方的に行なうものではなくて、地教委との合意によって行なわれなければならない点で苦労されておられると思うのですが、合意の得られることばかりではないだろうと思うのです。また、合意を得られた範囲で人事異動をしたところが、たまたま遠隔地へ転任せざるを得ないということが合意の上で行なわれることもあるし、合意を得られないままに行なわれることもあると思うのですが、いかがでしょうか。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 お答え申し上げます。  結論といたしまして、現在の法律のもとでは、地教委の内申を待って人事権の発動はせられるのでございますから、終局的に地教委の同意を得られないままに発動するということはございません。その点、いろいろとわれわれも意図し、考えるところがございましても、その県と市町村との調整をしなければならぬ。また、そうする努力を続けていくということが、現在の小中学校の人事の一番の問題点であり、苦労するところでございますので、われわれの意図するところがそのままずばり結果となって出てくるということはなかなかあり得ない現状でございます。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 どうもこの種の質問は、当該自治体の教育長さんに伺うということは適当でないような気もいたしますけれども、あるいは初中局長でもけっこうでございますし、教育長からでもけっこうでございます。ずばりと伺いますが、人事異動にあたって組合員と非組合員を区別したりあるいは組合役員について特別な配慮をするというようなことが行なわれているのかどうなのか、この点をお尋ねをいたします。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 お答え申し上げます。  私ども現場におきまして、人事を担当いたしております場合に、ただいまの御質問はきわめて基本的な問題だと思うわけでございます。すなわち、思想とか、門閥とかあるいはまた、その所属団体によって私どもは区別はいたしておりません。これは憲法、教育基本法に定められたところでございまして、戦後の民主教育を進めていく場合の基本でございます。また、現在の段階におきまして、組合のごく一部の幹部の職員の名簿は、われわれに自主的に提出されておりますが、他の組合員につきましては、これを判別する方法もございません。そういうことはまたわれわれ必要ではございません。以上でございます。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 斉藤委員との間の約束の時間にもうじきなりますので、もう一点。これは高知県の教職員組合の執行委員長さんがお見えでございますので、委員長にお尋ねをいたしますが、いまと同じような質問でございます。人事異動にあたって組合員と非組合員を区別することについてどういうふうにお考えになっておるか。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 津野義宣でございます。  人事異動にあたって組合員、非組合員の区別は行なってはならないということははっきりいたしております。しかし、高知県の過去十年間の人事異動の経過を分析いたしました際に、明らかに組合活動家のねらい撃ちというふうなケースが数々見られまして、異動直後の教育委員会に対する私たちの要求なり抗議の中には、具体的にこれを指摘したところでございます。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 組合役員の異動について、役員だから異動させない、異動しないほうがいいというような考え方は、それ自体が組合に対する支配、介入になるのではないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 お答えします。  憲法二十八条、労働法、地公法、こういう法的な面から考えましても、組合は団結権が保障されておりますし、人事委員会に登録された法人団体の県教組、そしてその支部運営に支障を来たすところの支部役員等の転出については、三十七年以降名簿を提出し、県の委員会に対してその異動についての配慮方を要請し、県の委員会もそれについては努力してきているところであります。しかし、その間吾川郡の組合長、書記長というふうな役員が郡外に転出させられたり、昭和四十四年四月一日、本年の異動におきましても、高知市組合長、吾川郡の組合長、書記長が組合の組織外に転出をさせられたということについては、法の上からも、組合の団結、運営の上からも不当であるということで、県教組としましては、地方裁判所に対して提訴を行ない、現在審理中の内容でございます。このことについては、県の委員会のほうとしても、出るところへ出て第三者機関の判定を待とう、その結果を尊重しようということが言明されている事実もあるわけです。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 いまの参考人の御答弁で、まあ、出るところへ出てそういう議論はしようということでございますから、その点については、私は、ここで衆議院という場で議論をすべきではないと思いますから、その点についての議論は私はきょうはいたしません。ただ、いま参考人の御答弁で私感じましたことは、組合長が——市町村単位で結成ができますね、結成しようと思えば学校単位でも結成ができるわけです。もし組合役員は異動させることが適当でない、あるいは異動させることができないということになれば、高知県全体の教育水準を適正に維持確保することについて非常に重大な支障を起こすことになるのではないかという気がするのですが、その点はどうですか。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 本年の例から申し上げますと、義務教育関係六千人の中のわずかに三名であり、このことによって郡市交流、僻地平地交流に阻害を来たすというふうなことは数的に考えても絶対にあり得ないと考えております。そうしてまた、高知市組合長の任務遂行の問題については、昨年度も、役員であり、本人の転出については最終的には留任ということで終わり、本年度は転出させられているという経過から見ても、県の委員会が従来労働の慣行あるいは法的な面について配慮した事実からして、私どもは、私たちの要求は正しいし、当然法内の団体としてこのことは守ってもらわなければならないと考えておるわけです。  それからまた、市町村段階の市町村教職員組合の連合体であり、そうしてまた細分をして各職場単位に組合をつくり、そうして、その役員の異動を拘束していくというふうなことになれば、異動がとまるのではないかという御質問かと思いますけれども、これは高知県教職員組合の実態と大きく離れた仮説になると私は考えます。県本部並びに各支部、これは地域支部といいまして、郡市単位にこしらえられておりますが、この支部役員については特に県の委員会に対しては重点要求として出してきたところであります。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 私ども衆議院は、国政全般について議論をいたしておりますので、私は、若干一般論のようなことを申し上げたわけでございますが、いまの御答弁の中でも、六千人の中の三人だからという御答弁はいささか納得がいきかねるわけでございます。  いずれにいたしましても、組合役員の異動というものについていろいろ制約があるとするならば、組合自体が県教委の組合役員に対する人事権を制約するということになって、これは現行法上非常に重大な問題だろうと私は思うわけでございます。私はこれ以上委員長の御答弁をいただかなくてけっこうでございますが、私どもは、やはり県全体、国全体のバランスということを考えて、そうした人事の適正な配置というものが行なわれるように、今後とも努力をしていかなければならぬというふうに考えまして、この点はどうかひとつ教育長さんにおかれましては、今後とも十分に注意、配慮の上、適正な人事をしていただきたいということを最後にお願いをしたいと思います。  そこで、愛媛からもおいでをいただいておりますので、愛媛——斉藤さん、もう一、二分いいですか。   〔斉藤(正)委員「私の権限ではございません。」と呼ぶ〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 河野君、どうぞ続けてください。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 最近愛媛県で起こった汚職事件、まあ、たいへんに私ども文教行政に携わる者にとりましては、聞きにくい、いやなことばでございますが、いわゆる人事汚職事件あるいは教科書採択をめぐる汚職事件等について、事件の概要、それと県教委のとった措置について簡単に御説明をいただきたい。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 最も清潔な場でなければならない教育界におきまして、御指摘のような不正事件が本県におきまして起きましたことは、全く遺憾でありまするし、県民に対して申しわけなく、また、皆さまに対しましても深くおわびをする次第であります。私どもといたしましては、この事件が起こりまして以来、関係者一同自粛自戒いたしまして、新たな愛媛県の教育界の確立のために私どもなりの努力を払っているわけでございます。  御質問のありました人事汚職事件でございますが、これは県の松山教育事務所長が、昨年の人事異動にあたりまして、その三年前に僻地に参りました職員、教師から金十万円也を受け取りまして、松山近辺の平地に勤務がえをしたというのが事件の概要でございます。  県のとりました措置といたしましては、この事件が発覚いたしましたのは昭和四十四年の三月十四日に召喚、逮捕されて取り調べに入ったわけでありますけれども、その前に、この所長は、従前から結核の既往症があったわけでございます。そういたしまして、昨年秋から再発になりまして、今年の一月十日に依願退職の辞表が一身上の事由で出たわけでございます。県の教育委員会におきましては、普通でありますならば休職等の措置をとるわけでございますけれども、本人が重要な職にある、しかも既往の病気があって、病気が肺結核というようなことと、いま一つは、年齢が満五十五歳に達しているというようなことから、本人のたっての退職願いの希望をいれまして、依願免の処置をとったわけでございます。  なお、このことに関連いたしまして、議会等でも問題になりまして、そのほかにも残念ながら本県にはいろいろ好ましくないことがあるわけでありますが、そのようなことから、三月末の人事異動等当面の重要な措置を終わりまして後に、五月一日に前教育長は解職になりまして、私が後任になったわけでございます。なお、任命制以来、本県の教育界確立のために御努力を願っておりました竹葉前委員も去る五月十二日に御辞任になったわけでございます。  なお、私どもといたしましては、いまさら申し上げるまでもなく、先ほど申しましたように、あらゆる方策を講じまして、今後かかることの再度起こらないように鋭意努力を払っておる次第でございます。  次に、教科書汚職事件でございますが、これは先ほど申しました教育事務所長も残念ながら関係しておるわけでございますけれども、昨年度の教科書の採択にあたりまして、ある会社から、先ほど申しました所長が十万円の金を受け取っておるわけでございます。もちろん、御承知のように事務所長は教科書選定に対しましては直接の権限はないわけでございますので、何がゆえにこのようなことを大会社がしたのか、私どもわかりかねるわけでございますけれども、なお、これと関連いたしまして、地教委でございますけれども、今治市の教育長が同様に同会社から同じようなことを受けまして、司直の取り調べを受けておる、こういう事情でございます。これまた県といたしましては、このようなことが再び起こらないように、それぞれの関係の向きに厳重な示達あるいは具体的な指導等も行なっておる次第でございますので、よろしく………。

河野洋平自由民主党

○河野(洋)委員 毛利教育長は、五月から新しくこの職につかれまして、非常に積極的に善後処置に取り組んでおられる由承っております。私どもは、ただいま御説明のありましたこれら一連の事件、その発生の原因というものは、関係者の方々の使命観と申しますか、道義的な感覚と申しますか、そういうものの欠除がこうしたところに出てきているのではないかというふうに考えておるわけでございます。どうかひとつ教育長におかれては、こうした点十分に御配慮いただいて、今後こうした事件の二度と起きませんように十分御配慮いただくようお願いをして、私の質疑を終わりたいと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 斉藤正男君。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 河野委員の質問とダブらないように簡潔に、愛媛から高知へ順次質問をいたしたいと思うわけでございます。  最初に愛媛県教育長毛利さんに伺いたいと思うわけでございますけれども、先ほどの河野委員の質問にもありましたけれども、松山教育事務所長篠原祐一氏が、一方では教員人事をめぐって収賄をし、一方では教科書採択をめぐって収賄をしている。まことに遺憾なことでありますけれども、この篠原祐一氏の辞職に関連をして、愛媛新聞等の記事あるいは愛媛県議会における教育長の答弁あるいは当時の教育委員長でありました竹葉さんの答弁等々から推察をするに、一月十四日の臨時委員会で、篠原が病気のため年度末の人事異動など激職にたえないから云々との退職理由の説明があったほかに、「気にかかることもあるので」とのことばがあった。病気という理由のほかに「気にかかることもあるので」。さらに県議会の質問に答えて、「いささか反省すべきことがあることが察せられたので」、こういう正式な議事録に載った答弁をされているのでありますが、結核という既往症があって、五十五歳になって、しかも年度末人事異動を前に本人のたっての願いであったので依願退職にされた、こういういまの答弁もございましたけれども、さきの教育長や教育委員長の発言がいま申し上げましたとおりでございますけれども、新進気鋭、愛媛県教育の正常化のためにあえて教育長に新任された毛利さん、この「気にかかることもあるので」とか「いささか反省すべきことがあることが察せられたので」とかいうことは、既往症ということではなくて、ほかに何か理由があったとしかとれませんけれども、一体この発言はどういう意味をさしていたのか。あなたが言ったのではありませんから責任はありませんけれども、いま教育長に就任をされて、このことばの含んでいる意味をどのようにお考えでございますか。他人の発言だから一切ものは言えないということなのか、あるいはどういうことを言っていたのか、感想を承りたい。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 感想ということでございましたけれども、私五月一日に新任されましたので、五月一日以前の問題につきましては、引き継ぎ等十分でありませんけれども、報告、引き継ぎを受けました範囲内にとどめさせていただきまして、主観を交えることは避けたいと思いますので、あらかじめ御了承をお願いする次第でございます。  問題の点は、病気その他の理由だけではなくて、議会答弁等によると、委員長が気にかかるとか、あるいは教育長が反省すべきものがあると察せられたという点は、何か他に意味があるのではないかということでございますが、議会等におきましても、率直に申しまして、委員長、教育長とも、私も議会に出ておりましたのでございますが、最初からこういう表現を使ったのではないのでございまして、何回かの本会議場におきますところの質疑その他の過程を経て、このことばが出たわけでございます。そこで、私、委員長には就任間もなくいろいろございましたので、この点のお気持ちを聞くことはいたしておりません。ただ教育長には、こういう経過を経て私新任されましたので、新たな立場で愛媛の教育の確立をやりますためには、できるだけいろいろな問題点は明らかにいたしまして、明朗な姿で——私どもが明朗な姿になろうといたしましてもなかなか問題はあろうかと思いますけれども、少なくとも本県教育界に明朗な空気がなお一そう高まるようになることを根本といたしまして私やりたいと考えておりましたので、率直にその点も村上教育長に聞いたわけでございますけれども、一月十四日の臨時委員会において依願免の措置をとる原案を提出した理由というのは、あくまで先ほど申しましたように既往の病気が発生した、そして五十五歳で退職間近い、相当期間療養を要しますので、本人もたってやめたいということがあったので、そのことを基準として依願免の措置をとったけれども、反省すべきものがあるということを先ほど申しましたような過程を経て議会で申した自分の気持ちというのは、当然そのような既往症がある者は、重要な職にある者においてはなおさらのこと、私的には大いに健康に留意して執務を十分やれるような体制にあるべきはずであるけれども、いささかお酒がお好きであるというような点、この機会にそういう点についても反省すべきものが本人にもあるのではないかということが頭に浮かんだので、そういうお答えをしたんだ、このように私承っておるわけでございます。これは前村上教育長のお気持ちを私が聞いたのをここで申し上げた次第でございます。   〔長谷川(正)委員「そんな態度だから汚職隠蔽、不法人事になるんだ」と呼ぶ〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 不正常の発言を禁じます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 毛利教育長としてはそういう答弁しかできないと思うのでありますけれども、既往症結核があったということは、何も一年や二年から始まったわけではない。五十五になるということは、生まれたときからいつになれば五十五になるかわかっていたはずだ。まさに突如として一月十四日に依願退職の手続をとったことは、司直の手が周辺に伸びてきて、これ以上松山教育事務所長の要職にとどまることは自他ともに許されないということから、せっぱ詰まっての退職届けであり、これをまた何とか擁護しよう、これを何とか守ろう、くさいものにはふただという愛媛県教育委員会の態度がこういう結果を生んだ。これは私が悪く推察するのではなくて、事実はまさにそのとおりであって、たまたま結核という既往症があり五十五歳という年齢に達しておったというのは、副も副もたいへんな副次的な理由であって、問題はそのようなことではなかったというように私はまあ了承をいたしておるわけであります。報道関係、教職員団体関係等に聞きましても、まさにそのとおりの解釈をしているというのが愛媛の常職であります。これ以上私はこの点について追及しようとは思いませんけれども、私はさように感じておるわけでございます。  その後、今治の教育委員長の太田何がしという人が、やはり教科書事件に関連をして収賄に問われておるわけでございます。先ほどの質問にもお答えになったとおりでありますけれども、この今治の教育委員長太田何がしという人も教育関係に長いこと関係をされた人だというように聞いておりますけれども、あなたの知っている限りで、教育関係団体の要職にあったということを聞いておりますが、概略でけっこうでございますから御説明願いたい。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 まことに申しわけないのでございますが、今治市の太田教育委員長の前歴、詳しくは存じておりませんので、御了承願いたいと思います。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 県PTA連絡協議会の会長を長くやられたというようなことも私は聞いておるわけでございまして、やはり愛媛県教育界の一方の大御所であったという点は間違いないと思うわけでございますけれども、こういう人たちがやはり汚職に関係をしていくということは、きわめて残念なことだというように私は思うわけでございますが、新任教育長、そうした前歴について御承知ないということでありますので、これ以上のお尋ねはいたしません。  そこで、毛利さんも非常に反省をされ、愛媛県教育委員会はもちろん、愛媛県教育界があげてえりを正そうとしているということで、当然なことでありますけれども、昭和四十年一月二十六日付で、文部省初等中等局長名の、僻地勤務者に対する特別昇給の通達が出ておりますけれども、これを毛利教育長は御存じでありましょうか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 聞いております。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 知っている。新任教育長ですから、この扱いについてこれからの抱負もあるかと思いますけれども、少なくも愛媛県においては、僻地に勤務したということでこの四十年一月二十六日付の特別昇給に対する文部省通達を実施をしていない全国でただ一つの県だというように聞いておるのでありますけれども、その点はいかがでございますか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 私の知っている範囲におきましては、御指摘のように文部省通達に反して僻地の特昇を実施いたしておるとは考えておりません。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 文部省の通達は、僻地勤務者に対して特別昇給をやれという通達ではないというようにお考えですか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 私どもの理解しておるのは、僻地の教職員に一律的に特昇を実施すべきだというようには理解しておらないのでございまして、勤務成績等も加味しまして、あるいは僻地の実態も加味しまして実施するという行き方をとってきておるわけであります。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 一律に僻地勤務者に特別昇給をやれとか、あるいは一律にやれと解釈しないとかということを私は伺っているわけではないのでありまして、少なくとも愛媛県においては、ここ数年来僻地へ勤務をされたということを条件にして特昇をやっていない、このことは事実だと思うのですけれども、いかがでございますか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 愛媛県におきましては中小の教職員が約一万二百余名であったかと思います。したがいまして、国は約一割でございますので、御承知のように千名余りになるわけでございます。本県におきましては一級地が大半でございまして、僻地勤務者は千八百余名であったかと思うのでございます。この千八百余名に対しまして三年間に全員やらなければならぬというようには私どもは理解をいたしておらないのでございまして、特に、他の県でも同様だと思いますけれども、一級地が本県非常に多いわけでございます。千八百のうちでたしか千三百何名かが一級地であったかと思いますが、これらの地域におきましては、西条市とか、あるいは松山市等から三、四十分で通える。東京都と比べますならばはるかに恵まれておるというような状況のところもございますので、県といたしましては、勤務成績の良好な者に重点を置いて僻地におきましても考えておるわけでございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 関連して。いまの僻地の特昇についてお伺いいたしますが、四十年の一月二十六日、文部省の初中局長の通達によって、おおよそ次の三点が通達されていると私たちはいま理解している。一つは、「へき地学校勤務教職員に対して特別昇給制度を実施していない都道府県にあっては、早急にご検討のうえ善処されるよう希望します。」もう一度申し上げますと、「特別昇給制度を実施していない都道府県にあっては、早急にご検討のうえ善処されるよう希望します。もう一つは、「単年度においては、へき地勤務教職員の三分の一以内について特別昇給を行なうこと。」第三点は、「特別昇給の対象となる教職員は、へき地学校に一定年数(おおむね三年程度)以上勤務した者で、勤務成績良好と認められる者であること。」この三点が初中局長通達の要点だと理解しておるわけでございます。したがいまして、これを全体的に見ますと、この特別昇給制度を実施しない県は速急にやってください。その内容は、単年度において三分の一ずつですから、おおよそ三年勤続すれば全員、勤務成績良好の場合は、いろいろこれは病気で欠勤とかそういうような者を除くという意味が他の都道府県で行なわれております。こういうように明白な通達が出ておるわけでございますが、それに対してはどうお考えになっていらっしゃいますか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 お答えいたします。  私、ただいまの三点の具体的な内容につきまして残念ながら詳しく存じておらないわけでございますが、前任者等から引き継ぎの場におきましては、先ほど申しましたように、文部省の通達に沿って勤務成績を加味して特昇を行なっておる、かように承っておりますので、御了承をお願いいたします。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 もう一点だけ。存じておりませんということなんですが、これは僻地学校勤務教職員に対して四十年の一月以降文部省が通達を出し、そしていま議論されましたように他の都道府県ではこれに対してほとんど実施しておる。いま出ましたように愛媛県一県だけだ、こういうような状態で、他の都道府県においてはほとんどこれが実施されておるわけですね。そうしましたときに、いままで長くこの事務に教育長さんはおつきになっていらっしゃったわけですが、その中で教育長の任務は初めてでしょうけれども、その前のお仕事は、全然こういう内容をお知りにならないお仕事だったのですか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 お答えいたします。  私、前職が企画部長、その前が農林水産部長、その前が商工労働部長だと思いますが、お話しのように三年間に全員に特昇が行なわれるように行なわなければならないというように私ども理解しておらないということを申し上げたわけであります。私の記憶では、過去三年間で愛媛県の特昇の三割近くは僻地で行なっております。しかし、これは全体が一万二百幾らでございまして、僻地勤務者は千八百でございますので、僻地には特昇の半分以上を回しまして優遇措置、そういう措置はとっておるのが実態でございます。

唐橋東日本社会党

○唐橋委員 普通の特別昇給制度とこの僻地勤務教職員に対する特別昇給制度というのは、別に考えてほかの都道府県では実施されているわけなんですよ。そういう意味で、私は、斉藤委員の時間ですから、関連ですからこれ以上質問はいたしませんが、私がいま申し上げたような内容であるということは、私も間違いないと思うのです。間違いございません、この通達の内容は。ですから、このような通達の内容であったとするならば、今後速急に実施される意思おありですか。今度は責任ある教育長の立場に立たれたのですから。   〔発言する者あり〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 長谷川君に申し上げますが、発言者のすぐそばですから……。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 本県におきましては、人事管理にあたりましては勤務成績を重視しております。したがいまして、特昇その他の問題を問わず勤務成績を基準として実施いたしておりますので、一律的に何年間にどうするとかいうようなことは適当でないという行き方をとっておるわけでございますので、こういうような問題を、私がかわったから直ちに急変させるということは、行政のあり方としても問題でございますので、十分に検討をさしていただきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 初中局長からちょっと発言を……。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 愛媛県の教育長さんを弁護するわけではございませんが、新任早々であまり御質問の点まで十分事情をまだ部下からも聞いておられないようでございますので、そういう意味で、いまの斉藤先生の御質問に対しまして、私のほうが受けておる報告につきまして御答弁申し上げます。  文部省から昭和四十年一月二十六日に初中局長通達を出しております。その骨子は、いろいろありますけれども、僻地の教職員の特別昇給につきましては、いま唐橋先生御指摘の点が大体要点でございます。  ところで、愛媛県でございますが、愛媛県は、これに基づきまして、特別昇給対象者といたしまして、僻地学校に三年以上勤務した者は、進んで僻地学校へ勤務した者、僻地の級地は特に考慮をしないという点はございますが、そういうことでやっておられます。その実績を申しますと、ただ、この通達にもございますが、僻地学校に一定年数、おおむね三年程度以上勤務した者というふうに通達は言っておりますが、その前に、そういうことに該当して勤務成績良好と認められる者である。ただ三年たてば、まあことばはよくないかもしれませんが、あまり勤務成績がよくない、悪くいえばなまけておっても、三年たてば特昇という機械的なものではないということを通達にも言っております。そこのところを愛媛県では、その他の県と比べまして勤務評定というものを相当厳重に加味しておられるという点は多少違いますし、僻地の級地は特に考慮しないという点も多少違うようでございます。しかし実施いたしております。  もっと、多少ふえんいたしますと、勤務実績を考慮して、三カ月、六カ月、九カ月、十二カ月の短縮をいたしておりまして、三カ月短縮が二〇%、六カ月短縮五〇%、九カ月短縮二〇%、一年短縮一〇%、こういうようなことで、僻地の者を対象としていたしております。これは特昇の全体の五〇%が僻地の者に行っておるという形にはなっております。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 いま初等中等局長の補足説明があって、毛利教育長もおわかりだと思うのだけれども、私どもは、いわゆる一般特昇と僻地特昇とがあって、僻地に勤務をしたというのは、一律ではないけれども——一歩譲れば、一律ではないけれども、僻地に勤務をしたということで特昇の条件になるということが、この通達のねらいであるし精神だ。あなたのほうでは、そういうことは考えずに、僻地へ勤務をした者もいわゆる一般特昇のワク内として特昇をやっている、こういうことになる。それが僻地へたまたま行っている人が勤務良好であって該当をした、こういう解釈しかできないわけなんです。僻地へ行ったがゆえに特昇の該当になるという解釈は全くされていない。したがって、特昇財源は一般特昇財源として全部使ってしまって、僻地特昇としての優遇措置はとっていない、こういうように理解をしなければならぬわけでありますけれども、そのとおりでよろしいか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 先ほどもお答えいたしましたように、愛媛県におきましては、文部省通達をあのように理解いたしまして、一律に三年間にすべてやってしまうという方針はとってない、勤務成績を相当加味して特昇を行なっている。しかし、結果的には、先ほど申しましたように、特昇財源の半分あるいはそれ以上のものを僻地に回しておりますので、人数からいたしますならば、僻地勤務者は一割余りでございますので、御指摘のような僻地勤務に対する特昇の趣旨は十分生かしておる、かように理解いたしておる次第でございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 いずれまた、この問題につきましては関係者からも伺ってただしてみたいと思うわけでありますが、僻地教育の振興、僻地が多いということで、異動方針にもあるし教育方針にもあるようでございますが、これは当然だと思うわけでありますが、私が奇異に感ずるのは、本年度の異動で新任校長が八十七名ありますけれども、このうち二十四名はいわゆる教育委員会の管理部門から転出をされた方々であって、教育委員会に関係をし新たに校長になられた方々が、大方針である僻地教育の振興という立場から僻地の校長になられるならわかるのでありますけれども、いずれも平たん部のしかも大規模の学校へそろって栄転をされている。八十七名中の二十四名が異常な率であることも疑う余地もありませんけれども、特に僻地教育の振興を唱えている愛媛県教委が、一人も僻地に派遣をせずに平たん部に校長として就任させているというようなことは、看板に偽りありといわれてもしかたがない。私は静岡でありますけれども、静岡などでは、たとえば、いいことでありませんけれども、付属からあるいは教育事務所からまず僻地といわれているところへ行って、その実を示すということになっているのです。一体これはどういうことなんですか。これで僻地教育の重視ということがいえるのですか。私は明らかに看板に偽りありといわざるを得ないと思うのでありますけれども、いかがでございますか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 八十何名のうちで二十数名の事務局職員が校長に出ましたゆえんは、このような不正事件がありまして、新しく県並びに教育事務所の体制を強化いたしたい、長きにわたることは何かと問題もございますので、そういう趣旨から例年よりも多くの管理主事を交流いたしたわけでございます。一々私、二十数名の者の前歴その他存じませんけれども、概括的に理解いたしておりますのは、管理主事の多くは校長経験者あるいは教頭で、当然数年間事務局におりますれば校長に出るべき能力等を持っておる方々でございます。しかも、これらの方たちは相当大規模のところがふさわしい経歴等もございまするし、やはり人事の公正ということを考えますれば、私ども、僻地の教育の重要なことは御指摘のように十分理解して努力しておりますけれども、結果的にはそのような事情から御指摘のようなことになったんだと理解いたしております。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 大きな学校の校長が大校長で、僻地の小さな学校の校長が小校長か、答弁願いたい。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 大きな学校の校長が大校長ということを申したわけではありません。過去の経歴その他から考えまして公正な人事をやりまする場合にはそのような結果になったんだろうという理解をいたしておるということでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 新教育長にしては考え方が非常におかしいと思う。過去の経歴その他からいって、やはり管理系統にいた職員は大きな学校へ出すのが当然だ、僻地の小さな学校にはそういう有能な、あなたの考え方からいえば有能な校長を派遣する必要はない。そうか。

毛利正光愛媛県教育委員会教育長

○毛利参考人 県の管理主事が有能な校長候補であったり、あるいは校長であっては、ほかには優秀な校長さん、あるいは校長さん候補がないとは、私の知っている範囲では理解いたしておりません。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 先ほどの答弁とまた違うのでありますけれども、過去の経歴その他からいってふさわしい学校へ出した、それがたまたま平たん部に多かった。こういうのでありますけれども、僻地教育を振興するという大前提に立てば、そういう方々こそ、大規模な学校の経験もあり、管理主事なり指導主事の経験もあるというような方々を僻地の学校へ送ってこそ、私は、僻地教育の振興もできるし、大方の納得もいくというように思うわけでありますけれども、見解の相違ということになれば、またそれまででありますけれども、教育長の考え方にはきわめて遺憾の意を表明いたしておきます。  時間がありませんので後ほどまた伺うとして、栗原愛媛県教育研究協議会会長に伺いたいと思いますが、愛媛県には、全国にもめずらしい愛媛県教育研究協議会というのがあるそうですが、その結成の動機と現状について伺いたい。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 栗原でございます。  愛媛県教育研究協議会は昭和三十五年の九月に結成されております。これは、その以前の勤務評定闘争が本県におきましては非常に熾烈に行なわれまして、教育界が相当混乱をいたしました。その結果、県教組を離脱する教員がふえまして、その数が相当の数に伸びてまいりました。ところが、県教組は離脱いたしましたけれども、それぞれの教員が個々ばらばらで十分な研究、連絡もできませんので、その不便をかこちまして、各町村単位その他小さい単位で研究会のようなものを組織しておりましたのですが、どうしても全県的な単一組織にする必要があるという機運に向いてまいりまして、さっき申しましたように昭和三十五年の九月に全県的な組織として愛媛県教育研究協議会が生まれたわけでございます。現在は会員数が約九千七百五十くらいです。そういう状態でございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 教科書採択をめぐる贈収賄関係で司直の手にかかっております贈賄側の牧野何がしという男がおりますけれども、この男と愛媛県教育研究協議会との関係は、役員その他の関係で御承知でございますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 知っております。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 どういう関係にございましたか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 牧野種三郎氏は初代の愛媛県教育研究協議会の会長でございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 初代の愛媛県教育研究協議会の会長であって、何期くらい会長をおつとめになりましたか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 ちょっとはっきりいたしませんが、二期くらい……。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 おわかりにならなければけっこうでありますが、少なくとも牧野なる大阪書籍の駐在員は、愛媛県教育研究協議会の創立者であり、初代会長であり、しかも連続三期を愛教研の会長をやった男だということは聞いておるわけでございますけれども、この愛教研加入の条件として、愛媛県教職員組合員でないことが事実上条件になっておる、こういうことを聞いておりますけれども、例外として、愛媛県教育研究協議会の会員になって、その後愛媛県教職員組合に加入した人はあるけれども、愛媛県教職員組合の組合員であって愛媛県教育研究協議会の会員になった者は一人もない、ないというよりもなれないという事実があるのでありますけれども、この点いかがでございますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 お答えいたします。  愛媛県教育研究協議会の加入の方法としては、別にそういう組合員ははいれないというような規定もございません。ただ、いま御指摘のように事実上どうかという点をお問いになっておるのだろうと思いますが、加入の場合にそういう制限はついておりませんけれども、ただ紹介者を通してという条件はございます。加入としてはそういう状態でございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 私はここに愛媛県教育研究協議会加入申入書というものを持っておるのでありますけれども、「私こと会の趣旨に賛同し入会申し込みをいたします。年月日、在職校名、職名、氏名、印」その隣に「愛媛県教育研究協議会長殿」とあて名がありますけれども、さらに続いて、「右紹介者、在職校名、職名、氏名、印」なるものがあってこの紹介者は愛媛県教育研究協議会の会員であって、しかも入会申し込みをする者が愛媛県教職員組合に所属していなければ紹介をするけれども、愛媛県教職員組合に所属しておれば紹介をしないという不文律が成立しておって、愛媛県教職員組合員は絶対愛教研へは加入できないという操作がこの紹介の名において行なわれておりますけれども、結果的には愛媛県教職員組合の組合員は愛媛県教育研究協議会員になれない仕組みになっておるということを事実の上からはお認めになりますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 紹介者が必要であるというような規定は最初にはなかったと思うのですが、いつの申し込み書からそういうふうになったのか、私、そのあたりつまびらかにいたしておりませんが、事実それはどういうふうになっておりますか、そのあたりもつまびらかでございません。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 すでにおやめになっておる関係でありますけれども、新しい研究協議会会長が生まれるまでは、あなたはまだその職責におありになるのか、いまも会長なのか、その点はいかがでございますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 三月末日をもって現職を退職いたしました。愛媛教研の、愛媛県教育研究協議会の会員たる資格を失っておりますので、現在は会長ではございません。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 それにしてもうかつな答弁をされておりますけれども、協議会会則第五条に、(「入退会)本会の入会は、会員の紹介によるものとし、退会は本人の届け出によるものとする。」、入るときには会員の紹介がなければ入れないということが第五条に明記されておるわけですよ。いつの間にそんなことになったか知りませんとか、そんなことでは前会長としてちょっとおかしいと思うのですが、ちゃんと五条に書いてある。そして加入申し込み書も紹介者の名前が書いてある。そして運営上は、この紹介者が、愛媛県教職員組合員であれば、絶対紹介しないという申し合わせになっておる。そうすると、愛媛県教職員組合の組合員は、愛媛県教育研究協議会の会員になれないということは明らかである。こういう事実は、いま答弁がおかしかったのでありますけれども、五条に明らかに紹介者が必要だということが書いてある以上、当然だと思うのですけれども、私は規約上はそんなことはないけれども、事実上はそうなっておることをお認めになりますかということを聞いたのですが、その辺いかがでしょうか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 さっき私が申し上げましたのは、いつの間になったかというのは、申し込み書の形式のことでございます。内容はそうなっておることは、前からわかっておりました。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 第五条でこういう規約があれば、申し込み書に当然紹介者、在職校名、職名、氏名印がなければ、会則を受けた申し込み書にならぬじゃないですか。申し込み書がいつそうなったか知らぬということはおかしいと思うのです。会則を受けて申し込み書ができておる。どうですか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 創立当時の申し込み書にはなかった、こういうことでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 創立当時のことは逮捕された牧野さんに聞かなければわからないけれども、あなたはことしの三月まで会長だったのです。そして一万名になんなんとする愛教研の会員を統括し、その長としておさまってきた人です。それがいつの間になったか存じませんということじゃ、私は答弁にならぬと思う。別に詰問したり、しかっておるわけじゃございませんけれども、そういうように私は思う。それはそれでけっこうです。  そこで、この会則第七条第三項、いろいろな事業の目的が書いてありますけれども、「会員の福利厚生並びに相互の親和団結」ということが書いてありますけれども、会員の福利厚生、たとえば教職員互助組合なるものが全国ほとんどございます。あるいは共済制度がございまして、火災共済、生命共済、交通共済等をそれぞれの組織はやっておるわけでありますが、この「会員の福利厚生」と書いてある中で、いま私が申し上げましたような、たとえば互助組合、火災共済、交通共済あるいは生命共済等は、どのような運営をされておりますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 愛媛県教育研究協議会の中には、そういう組織はございませんのですが、教職員の互助会というのはございます。それにたよってやっておるようなわけでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 もう一つ伺いますけれども、「教育関係機関、団体との連携」というのが五項にありますけれども、この教育関係機関とは何ですか。団体とは何ですか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 他の教育研究団体といたしまして、愛媛県は従来全国的な組織を求めまして、日本教師会に加入をいたしましてともどもにやっております。それからその他日教連のほうとも提携をして、常に全国的な立場で愛媛県の意思を反映するように努力をいたしてまいりました。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 この教育研究協議会は、職員団体としての届け出がされておるのかどうですか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 未登録でございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 そうしますと、会議あるいは出張その他出張欠勤等の届けは、どういう届けを出されて活動されておりますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 会議の出張でございますか。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 そうです。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 会議の出張は出張でやっております。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 出張は間違いないですよ。その出張の内容ですね。義務免で行くのか、あるいは公務で行くのか、あるいは欠勤で行くのか。そういう扱いはどのようにされておりますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 全県的な様子は私はつまびらかにいたしておりませんが、郡市教育機構のところどころによって、その処置があるいは違うかもしれませんが、研究団体でございますので、たいていその会議の場合には研究がつきものになっておりますので、研究出張という形がほとんどであろうと思います。ところが、そういう研究出張にならない場合には、あるいは職免の処置をしておるところが多いのじゃないかと思います。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 あなたは少なくとも三月まで会長をやってきたのですから、職員団体としての未登録である団体の、そうした運営についての細部については、私はかなりつまびらかでなければならぬと思う。たとえば日本教師会との連絡提携、あるいは教師連合との連絡提携等々に対する出張会議等々については、かなり規制をされるものがなければならぬというように思うわけでありますが、しかし、いずれにいたしましても、会長さんにしては少し内容を知らなさ過ぎて、質問しようもございませんけれども、最後にもう一点伺います。  私のところへこういう手紙が実は来ているのであります。全文を読むと長くなりますから割愛いたしますけれども、要するに、「篠原前所長らを責める個人攻撃になるような収拾はまずい。そんな篠原問題よりも、愛媛県では個人の意思や気持ちに関係なく、愛教研に入れられてしまう。このほうが問題だと思う。なるほど表面上は愛教研に入るのも県教組に入るのも自由ですが、実際は個人の意思に関係なく、愛教研に入らなければ研究もできないような仕組みになっており、愛教研に入っていなければ人事面での不利益は免かれず、(県教組に入っていれば出世できないということは、末端の教員まで驚くほど浸透している。)また特に松山教育事務所管内などでは、県教組組合員が一人もなく、全員が愛教研会員だけの学校が大半を占めているようなところでは、県教組に入ることは精神的村八分のような状態になり、愛教研に入っていても意欲はない。ただ入っているにすぎないのだ。こういう意味の手紙が実は来ているわけでありますけれども、あなたはこの手紙を、私いま一部分読み上げましたけれども、どのようにお感じになりますか。

栗原重之前愛媛県教育研究協議会会長

○栗原参考人 愛媛県教育研究協議会が主催をします研究会がたくさんございますのですが、そういうような場合にも、別に組合員であるからという差別は全然いたしておりませんし、愛媛県全体の研究会がございますが、その県全体の研究会の中にも組合員がちゃんと入って、授業もしますし、あるいは研究発表もするし、実際に愛媛県全体の教員としてやっておりますので、そういうふうに言われること自身が私自身は心外でございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 心外だと言われても、事実こういうのが来ているのですからね、あることは間違いないのであって、やめられたあなたですから、これ以上お尋ねはいたしませんけれども、少なくも愛教研の会長をおやりになったあなたは、退職後も愛媛県教育振興のためには欠かすことのできない人材だと思うわけであります。正常化とは何であるか、十分御理解をいただいて、今後とも御精励をいただきたいと思うわけであります。  佐伯愛媛県教組委員長に伺いたいわけでありますけれども、愛媛県の教職員組織の実態についておわかりになったらお知らせをいただきたい。教職員が何名いて、愛教研の会員が何名であって愛教組の組合員はどのくらいでございましょうか。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 お答えいたします。  愛媛県の小中学校の教員数は約一万二百名でございます。そして愛教研の会員は、私どもが把握いたしておりますところでは九千五百名程度、そして愛媛県教員組合に属しておるのが大体八百五十名程度、若干数字の合わない点もあるのですけれども、ここは調査上何か問題があるのじゃないかと考えております。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 約八百五十名の愛教組の組合員は、昭和三十三年、いわゆる勤評でありますけれども、この昭和三十三年以来、教頭にも校長にも一人も任命されていない、私はまさかと思うのでありますけれども、そういうように聞いておりますけれども、このことは事実でございますか。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 お答えいたします。  その前に、現在の組合員数が八百五十名ということでありまして、つまり昭和三十三年当時には何千名かおったわけです。だから八百五十名の中で教頭、校長に一人もなっておらないということではないわけです。それで、昭和三十三年以来、教員組合の組合員であった者が教頭には一人もなっておらないし、もちろん校長にもなっておらない、事実であります。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 昭和三十三年以来の愛媛県教職員組合に結集されている先生方、一割にも満たないのですから、あのあらしの中で組合にとどまり、今日までおられるということは、よほど容易ならざることだと私も推察はできるわけでありますけれども、いずれにしてもこの中から一人の教頭も出ていない、一人の校長も出ていないということは、私には、エチオピアかホッテントットならいざ知らず、日本の国でどういうことだと全く合点がいかなくて驚いておるわけでありますけれども、全く間違いありませんか。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 間違いありません。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 もう一つ伺いたいわけでありますけれども、愛媛県教職員組合の組合員で、かなり優秀だと自他ともに評価をされている先生、しかも僻地の級地は問いませんけれども、僻地勤務が九年にもなっている。しかし今日まで特別昇給を受けたことが全くないというような先生があるということも、これまた聞いておるわけでありますが、こういう事実がありますか。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 僻地に九年の者もおりますれば、二十年間で十七、八年間僻地に勤務しておる、つまり私どものことばでいいますと、僻地のたらい回しということでありますけれども、そういう者がかなりおりますが、それらはいずれも組合員であるなれば一切の特別昇給からは除外されております。これは間違いない事実であります。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 先ほど教育長の説明を聞きますと、文部省通達の解釈はとにかくとして、とにかく僻地に勤務している先生方、いわゆる僻地特昇という形でないにしても、該当者はかなり多いということがいわれたわけでありますけれども、愛媛県教職員組合の組合員なるがゆえに、九年間僻地勤務しても特昇の対象にならぬ、あるいは二十年間で十七、八年も僻地勤務しているのに特昇の対象になっていない、考えられないことだと思うのでありますけれども、この国会の場でございますから、さらにはっきりしたいのでありますが、二十年間で十七年も十八年も僻地に勤務していながら特昇の対象になっていない、ほんとうですか。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 間違いありません。  なお、僻地四級とか五級とかというところは、私どもの県でありますと非常に小さい離島とか、あるいは交通のきわめて不便な山奥とかいうところでありますけれども、昨年度はそういうふうなとても困難な地域につとめており、しかも客観的に見てさしたる理由もないのに、特別昇給どころか反対に昇給延伸を受けた事実もあります。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 お話を承っておると、戦慄すべきものがあるわけでありますけれども、逆に情実昇給といいますか、同一学歴、同一年齢、同一勤務ですでに七号の差がついている職員がある、しかもその人たちは前歴が管理職部門に籍を置いた皆さんであるというようなことも聞いておるわけでありますけれども、同一学歴、同一年齢、同一勤務で七号も差があるということが実際あるのですか。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 お答えいたします。  一般的にいって、県の教育委員会の事務局におったり、またはそこから転出した者についてはかなり特別昇給が激しく行なわれておるということは、愛媛県の教師であればだれでも知っておることであります。その中できわだって特別昇給をやっておるというのが一名おりますが、これはかつて松山教育事務所の管理主事をやっておりまして、現在松山市内で校長になっておる者でございます。間違いありません。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 一方では愛媛県教職員組合の組合員なるがゆえに僻地に十七年も十八年もつとめても特昇の対象にすらならぬ、むしろ昇給延伸さえ食らっているという皆さんがあるのに、松山教育事務所に籍を置き、松山市内の有数な学校に職を奉じ、校長になったというようなことで七号も違うという事実、片やマイナスもマイナス、どん底に落ちておる、片やプラスもプラス、えらい頂点へ行っている。差し引きすれば十何号も違うというような結果になるこの教育行政というのは、私はおかしいと思うのだけれども、これにいろいろ端を発して愛媛県教職員組合は、昭和三十四年定期昇給延伸に伴う人事委員会への措置要求をなされたことがあります。しかし、このときから、いろいろ検討をされた県教委は、その指導のもとに地方教育委員会が提訴を取り下げるための様式のひな形を学校長あてに送って、当然な提訴であるこの延伸停止の提訴を取り下げるべく強要した事実がある、こういうように聞いているわけであります。定期昇給をとめられた、人事委員会に提訴をした。ところが県教委が指導をして、地教委を通じてその提訴を取り下げろといって、書式のひな形までつくって提示をした。こういうことを聞いておりますけれども、まさかと思います。こんなばかなことをやるわけはないと思うのでありますが、そういう事実があったのかどうか。もしあったとしたならば、そのひな形とはどういうものであるのか御提示を願いたい。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 お答えします。  その前に、個々の教師が不利益な処分だと判断した場合に、人事委員会に審査の請求をしたり、あるいは基本的な人権が侵害された、そういうふうに判断した場合に人権擁護局に提訴をしたり、裁判所に提訴をしたり、あるいはまた議会や理事者に対して各種の要望を含めて請願行動をするというのは、これは民主主義の社会では基本的人権として固有の権利だと思うのですが、そういうものが愛媛県の教育界では極度に侵害されておる。あとで申し上げますけれども、私どもが運動として請願署名運動をよくやります。そのときに愛媛県の学校の先生方は、十分運動は支持する、だからカンパはするけれども署名だけはこらえてほしい。つまり署名をして、それが当局に知れるとひどい目にあうということなんですね。だから金は出すけれども署名には一切協力できない、そういう実情にあるわけです。  その一つの具体的な例として、先ほどお尋ねのありました教員の提訴取下げについてという公文書がここにあります。それを写してありますが、これは愛媛県の津島町の教育長の渡辺秀雄さんという方。同じような文書が宇和島市でも出されております。これは昭和三十八年の二月十一日に管下の各小中学校長に出された「津教発第七十八号」という公文書であります。「標記については昭和三十三年度より昭和三十六年度の間において未払賃金請求、定期昇給実施の措置要求、懲戒処分取消審査請求、昇給欠格条項緩和の措置要求、転任処分取消審査請求書が該当の教員より県人事委員会又は松山地方裁判所へ提出されていましたが、これについて全部取下げをして戴きたいと思いますので、校長におかれては左記の教員について取下げるよう勧告し至急別紙様式により本人が作成して宛名の人事委員会又は裁判所に直送するよう御配意を御願いします。この場合校長は取下げを事実提出したかどうかを確認し当委員会へ報告すること」、こういうことで教育委員会が校長に命じて、おまえのところの学校には、これとこれとこれとの教員がこういう提訴をしておるから、これについてはこのようにして取り下げさせろ、こういうような指導をしていることは事実であります。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 大臣、眠っているのではなくてお考えになっているのだと思うのだけれども、初等中等教育局長もよく聞いてくださいよ。これは非常に重要な問題だと思うのです。個人の人権を行政の圧力によって抹殺しよう、こういう公文書を堂々と出して、おまえさんの学校にはこういう、こういう教員がこういう提訴をしている。これを取り下げるように勧告をせい。しかもこの教員についてはこの様式を使え、この教員についてはこの様式を使え。注意書きのところにこういうことが書いてある。「取下書は私用の用紙に自筆で書くこと(書式をがり刷等で共同印刷し署名捺印したのは不可、公用のけい紙を使ってはいけない)」全く個人が個人の意思でやったということを形式上出せというようなことで、一律に刷ったものはいかぬのだ、公用のものはいかぬのだ、こういうことをいっている。印刷なんかでやるばかはないのですよ。ところが、こういう注意書きまで出すという用意周到さは、陰謀であり謀略であり策略である。全くあきれ果ててものが言えないと思うのでありますけれども、(発言する者あり)

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 静粛に願います。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 まあその事実があったことがいま明らかになって、私もがく然といたしたわけであります。  長くなりますので打ち切りたいと思いますけれども、教科書汚職あるいは転任汚職、よってきたるものは深く広く強いというように私は現地へ行っても感じました。本日参考人においでをいただいて、よくその感を強くしたのでありますけれども、佐伯さん、一口には言いあらわせないと思いますけれども、この汚職の原因はいかがなものでありましょうか。

佐伯嘉三愛媛県教職員組合中央執行委員長

○佐伯参考人 お答え申し上げます。  やはり人事権が乱用をされますと、どうしても教師は自主性を失い、はつらつとした教育活動が期待できなくなると思います。そういうふうな自主性を喪失した教育界は、やはり根本的に教育そのものの考え方がくずれ、教師自身の人間性も長い間では変化をするのは当然だと思います。そういうふうな沈滞をした精気のない教育界でありますと、どうしても子供たちの教育というよりかは、自分の立身出世をはかるためにいろんな手段を考えるというのは、これはまた当然の帰結ではなかろうかと思います。特に愛媛県の教育行政においては、僻地と平たん地との交流において何らの基準がないわけであります。つまり一度僻地へ赴任をさせられますと、いつ帰れるかわからない、こういう不安な気持ちになるわけでありまして、僻地にやられた教員は、赴任したそのときから、どういうふうな手を使って平たん地へ帰ろうかということを考えるのは必定であります。ということは、単に人事異動のみならず、僻地の教育が勢い沈滞をし、低下をしているという結果を招くものと思いますけれども、逆に今度は、僻地へ行かない前から僻地へ行かないような手段をやはり講じるわけであります。そのためにはどういうふうなことをしなければならないかということは、愛媛県の教員だったらみんなよく知っています。そしてその中で特に教育委員会に対して教育委員会が少し耳の痛いような意見を言ったり、校長と教育上の問題で議論したりすると、みせしめのようにやられる。大ぜいの中で二人、三人みせしめをやれば、あの教員を見てみろというたら、もうそれだけで、ほかのことは何も言わなくても大体ほかの教師には通用するわけです。  そういうようなやはり教育の非常に沈滞した状況が私は汚職を生む原因になると思いますし、また、現在摘発されておる汚職というのは愛媛県の教師なり県民であれば氷山の一角ということで、もっともっとたくさんあるし、もっと大がかりなものがあるということはよく知っておると思います。だからどうしてもこの際僻地と平坦地との人事の交流の、やはりみんなが納得する基準をつくるということ、そしてせっかく僻地へ行った場合には、ぜひ個人の生活が破壊されないようにせめて特別昇給でもってでも生活を保障する、ということは、そういう具体的な措置があってこそほんとうに明るい教育界になる一歩ではないだろうか。単に綱紀粛正であるとか、えりを正すとか、そういう抽象論議だけでいまの愛媛県の教育界がよくなるとは決して考えませんし、そういうことばだけはもう十年間使い尽くされてきたわけです。だからそんなことを幾ら言っても愛媛県の教師は信用をし安心するとは私は考えておりません。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 斉藤君に申し上げますが、予定の時間が非常に迫りましたから、速度をあげてお願いをいたします。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 長くなりますので、ありがとうございました。  津野高知県教組委員長に伺いたいと思います。  本年度の人事異動をめぐっていろいろなことが言われておりますし、いろいろなことがあった。私も現地へ短時間でありましたけれども伺って、その一部は調査をしたわけでありますが、弾圧と合理化の手段にされた高知の人事異動を評して、ミサイル人事とさえ表現されていると聞いております。仲裁機関である県人事委員会に提訴した件数が年々累積をしているように聞いているわけでありますけれども、昭和三十四年、いわゆる勤評実施以来、高知県教職員組合が仲裁機関である県人事委員会に提訴した件数はどのぐらいになっておりましょうか。年次別にひとつお知らせ願いたい。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 お答えします。  件数を申し上げます前に、この不当労働行為を含む不当異動の実態の原因についてちょっと触れておきたいと思います。  私、昭和三十三年当時高知県教育委員会の事務局の職員をいたしておった関係上、具体的に県の委員会の人事管理にタッチしております。その当時は内申どおりの異動は任命権者としてはできないわけです。内申を待って異動をやりますけれども、内申どおりにはできないし、県下義務教育関係六千四、五百の教職員の十分な実態を知らなければならない。こういう場合には教職員団体、職員団体の代表の意見を十分聞く。その中で教員個々の実態を把握し、内申を待って県の委員会としては発令をする。こういうことで三十三年までは一件も人事委員会提訴ということはなされておりませんでした。しかし、私どものような、まともに県の教育委員会を民主的に進めなければならないと考えておった者たちが一斉に現場に追放されて以後、昭和三十四年以降、この人事異動は一方的に内申行為に押されたのか、あるいは県の委員会の独自判断等も含めて夫婦別居、親子別居あるいは室戸岬から足摺へというふうなまさに航空路人事が強行されておるわけでございます。  その件数は、まず三十四年に三十七件、三十五年に百四十七件、三十六年に六十六件、三十七年に百十五件、三十八年に三十三件、三十九年に四十九件と、四百四十七件に及びました。これは人事異動の中で特にひどい、まさに残酷な異動というものにしぼられた件数であります。しかしながら、この四百四十七件の提訴については一回の審理も開かれることなく仲裁がなされておらなかった。  しかし、四十年の二月二十三日、高知県教育委員会と高知県教組との間にいわゆる和解協定が行なわれまして、今後組合員なるがゆえの不利益異動とかいうものは行ないません、不利益に扱いませんという協定の内容によって全部取り下げました。しかし、四十年以降やはりこの異動が行なわれておるわけでございます。  四十年には、提訴件数が五十二件、四十一年五十二件、四十二年八十二件、四十三年百八件、四十四年三月末人事異動につきましては、現在先生方から提出中で五月の二十日前後に提出することになろうかと思いますが、大体百二十件くらいが予想されるわけでございまして、合わせて八百五十件くらい、人事委員会提訴件数が出ておるわけでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 いまもちょっとお話がありましたけれども、続発する不当人事に対する人事委員会への提訴が続いておって、昭和四十年二月二十三日、勤評和解協定、略称二・二三協定なるものが県教組と県教委との間に結ばれた。その内容はいかようなものでございますか。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 簡単に申し上げますと、人事委員会提訴をしているいわゆる行政処分、免職を除く停職処分、戒告処分、減給処分、それから人事異動の提訴関係等を含めまして県教組関係一切の争訟事件を取り下げる。そのかわり経済的な不利益、いわゆる昇給延伸等を含む経済的な復元を行ないますということで、県の委員会と高知県教組との間に協定が結ばれまして、履歴上は処分取り消しにならずに調停済みという履歴書の捺印で処理されている内容でございます。  なお、私どものように勤評不提出等で校長降任が私を含めまして二十七名いるわけでありますが、この者につきましても提訴を取り下げましたが、校長復元ということは現在まで七件ありまして、二十人が残っているわけでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 どうも私どもの常識では判断のできない提訴件数であるし、また二・二三協定なるものが結ばれたあとでも相変わらずこういう事例が繰り返されている。私は合点がいかぬわけでありますけれども、本年の人事異動にあたって三月の十一日、十二日及び十八日、この三日間の県教育委員会との交渉において確認された事項というのがあるように聞いております。この確認事項につきましては、資料によりますと、「最終の人事交渉として、三月十一日−十二日、かねて申し入れてあった「一九六九年度人事異動の基本原則の確認に関する申し入れ」の確認交渉が行われた。渡辺教育次長は、逐条審議、字句訂正まで行なって、別項の確認事項が整理された。」そして「別記の「交渉の経過をふまえて努力する」旨の回答書を得た。」こういうことになっておるわけでありますけれども、この三月十一日、十二日及び十八日の確認事項というのはどういう内容であったのか、要約してもけっこうでございますから、教えてください。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 まとめて申し上げたいと思います。  基本事項を含めまして、具体事項も付加されておりますので相当膨大な内容になりますので、初めに基本的態度の問題で確認を求めたわけですけれども、これは当然のこととして県の委員会も、教職員の人事異動は、県教育委員会が教育効果を高めるために行なうものであり、教育の不当な支配あるいは組合並びに組合員に対する制裁などのために行なわれるべきではない、当然これはそうだ。したがって、教職員の教育権とか生活権は尊重することは言うまでもない等の問題、あるいは教員の人事について、特に県の職員の人事との関係等につきましても、県の段階においては諮問委員会が設置され、そして県職員団体代表に対して県部局側から諮問があるというふうなことに対して、県教組側はないというような問題についても申し入れをしておるわけですけれども、これらについても今後努力するというふうな事柄、あるいは人事異動についての自治省見解、四十一年九月十九日の内容ですけれども、人事異動に関することは当然交渉の対象になるという内容については、自治省見解は尊重するというふうなことの確認、あるいは具体的の問題で、本人の希望とか、あるいは健康状態、親子夫婦等の別居はなるべく解消に努力するとか、あるいは僻地勤務者の転出については十分尊重して、僻地から僻地への異動は行なわないように努力していくとか、あるいは本日河野委員さんから御質問のありましたような不当労働行為については行なわないとはっきり確認をしておるわけですけれども、最終的にこういうふうな確認事項を文書にする段階になりまして、渡辺次長さんのほうからは、いろいろ市町村委員会等との問題もあり、一々いままで確認した内容を文書にすることはできないということで、四十四年の三月二十三日に回答書が教育長名で参っておるわけで、具体的には尊重すべきものは尊重し、配慮すべきものは配慮するように努力するという抽象的な文句で回答が参っておるわけでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 時間がありませんので先を急ぎますけれども、私が現地へ行ったときにも伺ったのでありますけれども、いわゆる新聞発表等を含めて異動の発令は三月二十九日を予定していたけれども、それが二日延びて、三月三十一日に発表が延びた。こういうことでありましたが、教組側から考えた場合に、この二十九日の予定が三十一日になった理由は那辺にあったか、お考えを伺いたい。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 お答えいたします。  三月二十八日のいわゆる高知新聞紙上で、私どもはその具体的な内容はわかりませんけれども、高知市の教育委員会、西隣の吾川郡町村教育委員会連絡協議会、東隣の南国市、土佐・長岡郡の町村の委員会協議会、この県教育委員会中央事務所管下の教育委員会の代表から申し入れがあった、具体的な内容はわからぬけれども、基本事項内容についてあった、こういうふうに聞いておるわけです。それに対して県の委員会が回答しなければならない、しかもこの申し入れが県の回答いかんによっては、了承できない場合には、各委員会は異動内申をストップするということもあったかのように聞いております。事実ストップされまして、異動発表がおくれておるわけでございます。県の教育長のほうからは、あとで私どもの代表に対して、今次人事異動については最後の段階でごたついたのでおしかりを受けることもあるが、今回力の限りを尽くしたつもりであるというふうに言われておるわけであります。しかし、私たちがその後、私が本委員会に出席いたします直前に入手しましたところの資料によりますと、その申し入れ内容の一つとして、高知県教育委員会は特定団体と話し合いをしておるというふうに聞いておるが、それはいままでの確認事項と違いはしないか、あるいは昭和四十三年三月三十一日、いわゆる四月一日付昨年の異動の是正は行なわないと確認をされておるが、それは守られているか等の内容が出ておるわけでございます。このことはわれわれ異動される側の教員としては絶対に承服できないわけです。理由としては、特に昨年人事異動後いろいろな諸調査の中で、本人の生活事情、身体上いろいろあって当然是正すべき内容のもの、あるいは夫婦が教職員である場合にわざわざ別居されているケースについて、夫婦を同居さすような異動に是正をしていく、当然やるべきことが、県の委員会と市町村委員会との中で是正はやらないというふうに確認が行なわれておったという驚くべき事実が出ておるということについては憤激をしておるわけでございます。やはり異動のおくれた理由として考えられるのは、この市町村委員会、特に中央管下市町村委員会の県教委に対する申し入れによって県の委員会との間の折衝が長引いて異動がストップし、二日間発表がおくれたというふうに確認をいたしております。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 先を急ぐので、なお関連して伺いたいのですけれども、次の項目へ入りますが、いわゆる今回の人事委員会への提訴の問題を含めて、高知市教員組合の組合長である細川先生、吾川郡の組合長である関田先生、同じく書記長である井上先生、これらの現職の郡市の組合の幹部が不意転をさせられておるわけでありますけれども、交渉の段階で知事部局では、役員の資格を失う人事は行なわないと約束をされ実行されている、いわゆる高知県職員組合においては知事と県職との間にこういう確認が行なわれているという事実、さらに昭和三十六年度末、すなわち昭和三十七年三月、組合役員名簿を異動期に県教委に提出をし異動の参考にするという約束が慣例化しているというようにも聞いているわけでありますが、一つは知事部局と組合役員との異動の確認事項、一つは教組が昭和三十七年三月以来名簿を提出して教育委員会との話し合いをしてきた事項、これらの内容についてどのような内容なのか承りたい。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 簡単にお答えいたしますと、第一点は、県の職員組合は、先ほど申し上げましたように、人事異動については諮問委員会が職員団体代表と県部局代表との間で持たれておるわけでございまして、その諮問委員会でも検討されるわけですけれども、やはり職員団体の役員については、その所属する組織外へ転出さすということはやらないという協定になっておりますが、昇格等の関係があって本人が転任を希望し、そして級を昇格さすというときには、組合に話があって、組合が了承の上でこの役員をその地域から転出さしていくというふうなことになっているわけでございます。県の委員会はこれに対しまして、県の教組の支部の役員を県職労の役員と同一に扱うことはできないといわれておりますけれども、同じ地公法下の教職員組合、県職員団体が不当に差別されることは誤りだというふうに考えております。  それから第二点につきましては、昭和三十七年三月三十一日付で異動が行なわれました際に、高知市の東隣の土佐・長岡郡教職員組合の役員七名が全員その郡外に転出されたということがありました。そこで私たちは、県の委員会に対しまして、この不当労働行為について追及をいたしました。確かに県の委員会としても十分承知をしておらなかったこともあるということで、今後は名簿を提出することによって確認を行ない、そうして尊重していこうということは、県の課長段階において確認をされておった内容でございます。その後やはり一昨年段階で、今度は西隣の吾川郡の副組合長が郡外に転出をしたという行為も出ておりまして、そのときも抗議をいたしておるわけでございます。本年四月一日付異動におきまして、先ほど質問がありましたように、細川高知市組合長、関田吾川郡組合長、井上吾川郡書記長がそれぞれの組織外に転出されておるというふうな経過をたどっているわけでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 後ほどまた教育長にも伺うわけでございますので、事実を究明しただけでこの点は終わりますけれども、不当と思われる異動には、いわゆる僻地のたらい回し、僻地から僻地へ、また僻地へというようなもの、また僻地へずっと留任をさせる、長年僻地へそのままとめ置くというような例が多々あるというように聞いております。三つでけっこうでございますから、たらい回しの例を一つ、留任の例を一つぐらいぜひひとつお伝え願いたい。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 第一点は僻地から僻地でございますけれども、一件だけということでございますから、本年度起こりました事例では、高知市に自宅を持つ者が高知県の西の端の有名な足摺岬のある土佐清水市に九年間転出をしておりまして、当然現在の平地、僻地の交流方式からいえば高知市周辺に帰るべき人間が、今度の異動ではまたわざわざ愛媛県境の土佐のチベットといわれる檮原村の一番僻地に転出をさせられたという事例も出ております。また当然平地に帰さなければならないケースであって不当留任になっているケースとしては、御主人が国家公務員で高松、御本人は、時にはガスぶろのせんを締めることを忘れるような老母と子供さん二人をかかえ、夫婦別居の上で苦労していた女先生が、四国山脈の一番北の端の僻地三級地に転出をしておるわけです。この方はこういう特殊な事情、まさに残酷きわまる異動にもかかわらず、県の委員会としては、公務員として当然忍従すべき範囲だということで不当留任になっているケース、あるいは女先生で、主人と子供を置いて別居して一人で任地へ行っておりましたけれども、どうしても家庭事情で帰らなければならぬということで、一昨年高知から通勤をして片道三時間、午前四時に起床して五時に出勤をして帰宅が八時、こういうふうな特別困難な通勤をしいられているというケースも留任となっているということが出ておるわけでございます。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 斉藤君に申し上げますが、予定の時間が参っておりますから結論にお入りください。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 結論めいたことを伺いたいと思うわけでございますけれども、一宮小学校というのがございまして、十四名中十一名が異動になったということで私もびっくりいたしましたが、聞いてみると、暴力教師のような先生がおって、かなりひどい仕打ちを子供にした。ころんだところを足でける、音楽用の横笛で張り倒すというようなことがあったということでありますけれども、これに関連をしたことで、地方自治法に基づき高知市議会に調査特別委員会が設けられて調査された、あるいは調査中だということを聞いておるわけです。高知市議会が正式な特別委員会を設けてタッチしている問題でございますので、私はその内容には触れようとは思いません。この十四名中十一名の異動の中で、過日の文部省に聞いたわけでありますけれども、高知県教組に所属をしている六人の先生方が一宮小学校からはるかに遠い高知の周辺部へ転任を命ぜられた。特例はありますけれども、高知県教職員組合に所属していない四人の先生方は、高知市からさほど遠くない、ごく近まわりに転任をさせられておる、こういう事実を私は知っておるわけでありますけれども、一体高知県教職員組合として、組合員は遠隔の地へ、組合員でない者は近いところへという転任に対しまして、どういう理解をされておるか。そしてまた、その十四名中十一名の転任なんという非常識な人事異動は、何によってこういう結果を生んだのか、簡単にひとつお答え願いたい。

津野義宣高知県教職員組合執行委員長

○津野参考人 簡単にお答えいたします。  問題はやはり教育的に暴力行為そのものをどう扱っていくべきか、教師は子供たちにどう理解さすべきか、どうあらねばならないか。これをもとにして、一宮小学校の教育をどのように高めるか、あるいは同和教育をどう進めるかという観点で、職員一体となって討議し取り組もうではないかということで、この問題が起きました四月以降、一宮小学校では一生懸命になってやっているわけです。ところが、卒業前になりまして、校長さん、教頭さん、あるいは暴力行為を起こしたといわれている先生なんかも休職されたということで、ほとんど首脳部が出ておいでぬという中で、組合員教師を中心に一生懸命一宮小学校の教育効果向上のために、あるいは同和教育推進のために討議をしておるわけです。ところが、結果的に異動を見てみると、やはり組合員は遠距離に、組合外の先生方は近距離にという結果が生じています。特に私たちとして指摘しておきたいのは、平地、僻地の交流、あるいは僻地三年、平地七年という交流方式から見て、たとえば中田教諭の場合には、高知から百二十キロ離れたところの東の佐喜浜小学校に六年間おりましたが、六年間の別居、遠距離の学校から高知市に帰ってわずかに二年、中内教諭の場合には、高知から八十キロも離れたところの僻地で十一年経過して、高知へ帰ってわずかに二年、本年四月一日には八十キロ離れた室戸へというふうな異動が行なわれておるということは、交流方式からいっても明らかに間違いであり、意図的に飛ばしたということになりはしないかと指摘せざるを得ないわけでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 後ほどまた関係議員からの御質問もあるかと思いますので、津野委員長には以上の質問で終わりますけれども、最後に藤本高知県教育長に伺いたいわけであります。  あなたは三月三十一日の異動を行なったあとで新聞発表を談話の形式でされておるわけでありますけれども、「教育正常化の旗印のもとに問題がふたたび現われた。」再びあらわれたというなら、前に一ぺんあらわれているはずなんですね。教育正常化の旗じるしのもとに前に一ぺんあらわれた問題は何であったのか、再び現われた今回の問題は何であるのか。この際、あなたのことですから、明確な答弁がいただけると思いますけれども、伺いたい。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、私が申しました話の中から断片的に取り上げられましたので、何だかお答えしにくいような御質問でございますが、新聞に出ておりますのは、私が原稿を読んだのでもなく、異動の全部にわたって長時間に、自由に話した中を新聞記者がいろいろの表現でとらまえておりますので、表現そのものは私が言ったものずばりではございません。私が申し上げましたのは、教育の歴史を振り返って、三つの屈折がある。一つは終戦まで、それから戦後勤評まで、勤評から現在まで、三つのように私は思うということを言ったのです。  私は戦後の教育の反省に立って、勤評以後、教育の正常化というものが行なわれておる。その教育の正常化ということについては異論はない。しかし、今度の異動を契機にしていろいろの問題が起こってきたのは非常に遺憾である。それで今度もまた問題が起こってきたから、みんな留意して、ひとつ問題が起こらないようにしなければならぬじゃないか、というのは、前に起こったというのは、終戦後のことでございまして、終戦後から勤評まで反省すべき問題が起こっておった。またそれを修正すべき、いわゆる教育正常化時代にまた問題が起こりはしないかということを、注意申し上げたわけでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 終戦から勤評までを一区画として、その三十四年の勤評闘争、これが機会に正常化ということばが使われたのが一回、再びというのが今度で、いろいろな問題、こう言われておる。いろいろとは何か。いろいろあると思うのだけれども、ただいろいろでは、これははっきりしないと思うので、あなたがどんぴしゃり、これは高知の教育正常化のためにえらいことだぞとお考えになった、その問題は何でございますか。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 お答え申し上げます。  これは地方のことでございまして、先生方に今度の問題を詳しく申し上げるということはなかなかむずかしい問題でございます。また私自身もいろいろと表現したもので、警察官のように調べ上げて、こうこうだという問題ではございません。要するに教員の異動について強い運動が行なわれたり、あるいは先ほど津野委員長の話にも出ておりましたが、一部のところに内申権の保留というような問題が起こりましたのは遺憾であるということであります。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 地教委が内申権をサボタージュした。これがきわめて遺憾なことであったという教育長の御答弁があったわけでございますけれども、まさに「教育正常化の旗印のもとに問題がふたたび現われた。」というこの表現は、かつてのものは勤評当時のこと、そして今度のことは地教委の内申権のサボタージュというふうに私は解釈をするわけでありますが、なお続いて「今回ほど教員みずからの売りこみが活発化したことはない」、こういう新聞記事ですから、明確にはわかりませんけれども、記事が出ているわけです。教員自身の売り込みとは、一体どういうことなのか、私は理解に苦しむわけでありますけれども、教員自体が県教委へ売り込みに来たのか、地教委へ売り込みに行ったのか、校長に売り込んだのか、この辺が明らかでないわけでありますけれども、いずれにしても、教員みずからの売り込みが活発化したことはいまだかつてないことだ、こういう意味のことは間違いなく言っておられるのですけれども、その実態はいかがなものであったのですか。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 いろいろでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 いろいろだというならば申し上げたいのでありますけれども、先ほど津野さんからもお話がございましたが、土佐・長岡郡地教委連絡協議会、吾川郡地教委連絡協議会、高知市教育委員会、これが中央教育事務所管内かと思いますけれども、この三地教委から県教育委員会に対し申し入れがなされ、県教育委員会はこの申し入れに対し回答を出されている。この三郡市地教委連絡協議会から県教委に申し入れた内容というのは、要約していうと、どういうことでございますか。(「いろいろだよ」と呼ぶ者あり)今度はいろいろじゃ済まぬぞ。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 六項目もございまして、要約して申し上げる性質のものではございません。別々のものでございます。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 そこでどういう内容であったかを伺っているわけです。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 一つ一つ申し上げるのですか。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 そうです。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 速記を始めて。  非常に膨大なものですか。膨大なものでしたら、あとで書面で……。  斉藤君に申し上げます。かなりたくさんだそうですから、あとで書面でとるようにしてもらったらどうですか。時間を非常に要するようであるし、あとの委員会の段取りがたくさんありますから。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 それはそれでけっこうです。実は私、持っているのですよ。私だけが承知していたのでは、これは本委員会でせっかく参考人にお出かけいただいて審議をするには、いわゆる文教行政の調査にはならぬということで、お尋ねしたかったわけでありますけれども、発表しにくいものであることは事実です。明らかに地方教育委員会が県教育委員会に対し、県教育委員会が独自に持っているいわゆる人事の任免権を侵害する、これにどうかつをかけたと言われてもしかたのない文章であるわけでありまして、私は、先ほど教育長が言われておる、再び教育正常化という名のもとに問題が起きてきたというところは、まさにこの土佐・長岡郡、吾川郡、高知市教育委員会が連名で申し入れをしたこと等々に関連をする問題であろうというように思うわけでございます。なるほど内申権は地方教育委員会にありますけれども、任免権は厳として県教育委員会にあることを御承知の藤本教育長、この申し入れに対し、かなり困惑をされ、しかも内申権のサボタージュによって発表を二回おくらせさざるを得なかったということも、また事実であろうというように私は思うわけでございます。ひとつき然たる態度でこの人事に対しましては臨んでいただきたい。あくまでも不当な権力の介入を排除をするというたてまえが当然なことであろうと思うわけであります。一方的な教組の申し入れや要求は不当であるけれども、地教委の要求はのまざるを得ないというような態度で、たとえば教員個々について行き先まで指定をして内申をするなどということは、内申権を逸脱したものであって、まさに任免権を侵害したものだと私は思わざるを得ないわけでございますので、この点は十分御留意をいただきたいと思うわけであります。特に売り込みが激しかったという私の質問に対し、いろいろありましたということになりますと、これはもうあらゆる方面へあらゆる方法で売り込んでいるとしか考えられない。幸いにして愛媛のような、あるいは大阪のような汚職は出ておりません。私は土佐人の気性を、骨っぽさをここに買っておるわけでありまして、歯を食いしばってもとにかくそういうことはやらぬ、僻地へ五年いようが十年いようが金で身分は動かさないというような態度が高知の先生方に充満しているというならば非常にけっこうでありますけれども、金に弱い人間であります。また立身出世は当然な欲望であります。もし間違ってこの売り込みがきいて買ったということになれば、どのような結果になるかはおのずから明らかだと思うわけであります。どうぞひとつこういう点に御留意をいただきたいと思うわけであります。  最後に、たとえば先ほど申し上げました三組合役員の異動等については、私は不当労働行為に該当する、地公法五十六条の関係からいっても、ILOの勧告からいっても、あるいは憲法の精神からいっても、これは十分慎重な配慮をなさなければならぬものだというように思っております。あなたは自信を持って不当労働行為ではないということを現地でも私に言明をいたしました。ここでお尋ねいたしましてもそのような答弁はされると思うのでありますけれども、現に私がどうしてもお出かけをいただきたかった高知県地方教育委員会連絡協議会の会長さんは、ついに参考人としての御出席を拒否されております。そのこと自体も私はきわめて残念であり、不可解に思わざるを得ないわけでありますので、どうぞ高知県教育振興のために、高知県教育正常化のためにひとつ十分勉強をいただきたいということを希望として述べて、私の質問を終わります。

藤本孟高知県教育委員会教育長

○藤本参考人 御質問ではなかったようでございますが、多少遠い高知県のことで議員の皆さま方に誤解が生じはしないかという感じがいたしますので、少しお答えさしていただきたいと思います。  確かに異動の末期におきまして問題が起こり発表がおくれたということは、きわめて遺憾でございます。それが市町村の委員会等が関連する問題でございまして、これはどこまでも県といたしましては指導の立場にあるものであって、どんな意見があろうとも私どもの指導が徹底しなかった、どこまでも県の責任だと考えておりますが、ただ先ほど斉藤先生がおっしゃいましたように、全部の委員会が偏見を持ったりあるいは問題があったということではございません。私どもの中央管内の各委員会にも、良識を持ったりっぱな教育長並びに委員会でございますが、ただちょっと、いろいろの委員会の申し入れと、またそれの指導のしかたにいろいろ問題がございまして、こういうようなはなはだ遺憾な状態になったわけでございまして、私どもの市町村の委員会が悪いということではございませんので御了承いただきたいと思います。  また、私どもの委員会といたしましては、いずれの圧力にも屈するわけにはまいりません。どちらから圧力をかけられても、断固中正な教育をいたしていきたい、こういうように思っております。  以上であります。

斉藤正男日本社会党

○斉藤(正)委員 ちょっと資料の要求で……。  先ほどもちょっと触れたのでありますけれども、昭和四十年二月二十三日付の協定書なるものがあります。地教委と結んだ協定書ですか……。さらに四十四年三月二十六日付の三教委の申し入れ書があります。さらにこれに対して四十四年三月二十七日付の三地教委あての県教委の回答書があるはずでございます。これは本委員会の資料としてぜひ御提出を願いたいと思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 関連して一問だけ。この三月の教員の人事異動に高知県民として非常に意外に思ったのは、高知県の社会教育課長に文部省から役人が来たことです。高知県の社会教育をしてもらうのに何も文部省から役人に来てもらう必要はないわけです。そこで理由としては、文部省には人が余っておったのであるのか、あるいは高知県に人がないからぜひ文部省からよこしてくれといって県の教育委員会から申し入れがあったものか、あるいは自民党の文教政策で、社会教育の面で安保体制を堅持する社会教育を推進をしてもらおうと思って文部省に言って、社会教育課長を派遣したのか。この点について、これは高知県の社会教育課長を文部大臣の配下からよこしたのか。こういうふうな地方の教育委員会に社会教育課長を派遣するということが、社会教育上いいことか、悪いことか、その点から判断をして御答弁を伺いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私、つまびらかにはいたしませんが、一般的に申しまして、各県におきましてやはり優秀な人材を中央から求めるということは現にやっておりますことでございます。おそらく高知県の教育委員会におかれましても、社会教育の担当の優秀な者を派遣してもらいたいという申し出があったから、こちらからいろいろ選考しまして差し向けたものであると私は思っております。  詳しいことは初中局長がおりますから、初中局長から正確なことを……。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 いまお尋ねの件は小畠哲君のことだと存じます。同君は文部省社会教育局視聴覚教育課に長く勤務いたしておりましたが、その後四十一年に大学に転勤を命じております。ところが、高知県といたしましては、文部省と申しますか中央との交流ということは一つの考え方としてよいことである、と申しますのは県内だけで人事をやると——適任者がないということでもないけれども、広く全国的な社会教育行政をやった専門的な者を中央からとりたいという考え方がございます。そこで社会教育課長かあるいは総務課長か義務教育課長か、三名のうちどれか一つぐらいは文部省と交流をしたいという御要望がございました。適任者は、社会教育課長としての適任者として小畠君が適当であろうというふうに考えまして、県の照会に対して返事をいたしました。県としては、それで社会教育課長に任命したいということにいたしました。決して私のほうから天下らしたとか、ぜひとれとかいったようなものではございません。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきましてありがとう存じました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)     —————————————

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 文教行政の基本施策に関し質疑の通告がありますので、これを許します。岡沢完治君。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 この前の委員会に引き続いて質問をさせていただきたいと思います。坂田文部大臣の顔を見ますと、先週は非常にお元気そうに見えたのです。ところが、きょうは朝からだいぶお疲れであったようで、一回り小さくなられたような感じで、御心労のほどは察しますけれども、私の御質問に誠意のあるお答えを願いたいと思います。  最初に、中教審の答申を受けての大学立法の問題でございますけれども、御承知のとおり今国会の会期は二十五日で終わるわけであります。きょうから約十日間しかございません。また本委員会も、きょうを含めまして定例日はあと四回であります。しかも明後日の十六日は天皇の園遊会の予定等もございまして、やはり時間的な制約があると思います。こういう時点で、伝えられますような大学立法を政府としてはお出しになるのか、お出しになるとすればその提出の予定の日程はどうかということを冒頭お尋ねいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 御承知のとおり、四月の三十日、中央教育審議会から「当面する大学教育の課題に対応するための方策について」という答申をいただいたわけでございます。さっそく私といたしましては、この中に示されましたことにつきまして、行政措置としてやれる面、それからどうしても立法措置でなければやれない面というものを仕分けをいたしまして、事務的にいま詰めておるわけでございます。ところが、その一部につきましては、やはり立法措置がどうしても必要ではないかというような状況でございまして、この点、もし立法するとするならばどういうような形になるかというようなことについても、あらゆる場合に対処できるように準備を進めろということを命じておるわけでございます。でございますから、今度の国会がぎりぎりでございますが、国会のことでございますから、どういうような事態が起きないとも限らないわけでございまして、しかしわれわれといたしまして、もし今国会でやれるということでございましたならば、法律を立案いたしまして国会に提出をしたい、おおよそのめどといたしましてはこの二十日ごろをめどといたしておる次第でございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 いま大臣から二十日という御答弁がございましたが、会期は二十五日までで、あと五日、しかも二十日でございますと、文教委員会の定例日は二十一日と二十三日しかございません。申し上げるまでもなしに、文教行政というものは、ある意味では国家百年の大計という見方ができるかと思います。こういう重要な、あるいは基本的な課題と結びつく法案を会期末の句々の間にお出しになるその真意が疑われるわけでございますし、いま大臣の御答弁で、中教審の答申を受けて、行政措置でやれることを立法措置でやれることと分けて検討しているというお話がございました。それじゃ具体的に、答申の中でどの事項は行政措置でやれる、立法措置を必要とするものはどれどれだ、もちろん大綱でけっこうですが、大筋だけをお答えいただきたい。それから、立法措置でやるべきことについては、やはり今度の伝えられます大学立法の中に全部を盛り込まれるつもりか、立法措置を要する場合でも、一部をピックアップして取りあえずお出しになるつもりか、その辺の点をお尋ねいたします。   〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 ただいま申し上げましたように、この国会というものが会期があることも承知をいたしておりますけれども、また、形式的に申し上げますると、会期というものが延長があるということも可能であるというわけでございます。そういうわけでございまして、あらゆる状況に対しまして対処できるような準備だけはいたしておるということでございまして、まだこの提出をするというふうに最終的に政府として決定をいたしておるわけでございませんことをまずお断わりを申し上げておきます。   〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕  それからまた、中教審の示されましたものについて、行政措置でやれるものと立法措置でなければやれないものというようなところについては、ただいまその仕分けをやって準備を進めておるわけでございます。  御承知のとおり九日に党首会談が行なわれ、またきのうから公明党、そしてきょうは民社党、あした社会党というふうに、各党の大学問題に対する基本的なお考え方というものを十分承って、できますならば、その基本的な考え方というものも織り込みながら立法をしたい。と申しますことは、立法し、提出をいたします以上は、ぜひともこの国会を通過させたいというのが、政府といたしましても、文部大臣といたしましても当然の考えであるわけでございまして、その意味合いにおきまして、ただいま各党の御意見を承っておるわけでございます。したがいまして、こちらがあまり案を持ちましてお願いするということははなはだ失礼かと思いますので、その点につきましては詳しいことは御了承いただきたいと思います。  ただ申し上げておきたいことは、何と申しましても、大学というところは、今日国立大学七十五のうちに三十二校が紛争と申しますか、一部封鎖あるいは占拠され、あるいはせっかく合格をいたしました、入学をいたしました新入生が、ほとんど三〇%にわたる人、国立大学で申しますと一万九千人でございます、自宅待機を余儀なくされておる。こういう事態を考えました場合に、やはり一日も早く授業再開を行ない、あるいは教育の正常化ということにいかなければならない。また、そういうふうなことに対して私も責任を感じておるわけでございまして、その点について十分自主的にまず大学の解決というものを求めることは当然だと思うのでございますけれども、事態がここまで参りますと、もう来年の入学試験というものが六月から準備をするのが普通でございます。そういうようなことで、このまま大学自治だからといって何らの措置も国としてなし得ないというようなことがあったのでは、国民に対して申しわけがないのではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。そういうわけで、自主能力はだんだん失いかけておると申しますか、あるいは失っておると申しても差しつかえない大学すらあるわけでございますが、しかし、第一次的にはまずやはりこの重病人の回復というものを待つ、また自主能力に期待するという態度で進むべきだと思います。どうしてもいけない部面についてだけわれわれは手助けをしなければならないのではないか。その手助けという措置は何かというならば、やはり私は東大のこの前の収拾、解決の一つの経験、あるいは苦悩の中から生まれました収拾策というものが一つ考え方ではなかろうかと思います。この点につきましては中教審でも指摘をいたしておりますように、権限を集中する、学長がリーダーシップをとる、そういうような形をまずとらせる。これは単に今日紛争大学だけに限られるべきものでなくて、将来閉ざされた大学から国民のために開かれた大学と変わっていく、あるいはそういう国民のための大学というものを打ち立てなければならない、その中においても学長のリーダーシップというものがとられるべきものである。あるいは学長を中心としたプランニングボードと申しますか、あるいは企画室と申しますか、あるいは補佐機関と申しますか、そういうようなものを通じて、いろいろ広報委員会であるとか、学生の意思の反映をもたらすような、そういうコミュニケーションをやらせる広報委員会であるとか、あるいは教学の関係の特別補佐官あるいは副学長というようなものであるとか、あるいはまた管理運営に対する一つの専門家の副学長あるいは特別補佐官、あるいは学生の問題に対していろいろ学生の意見を聞くという担当の特別補佐官であるとか、そういうような学長を中心とした一つの権限集中が容易に行なわれるような体制というものが考えられるということが一点でございます。この点は、できれば指導、助言の強化によってある程度行なえるのではないか。ただこれが紛争校で、紛争収拾ということについてはむしろ第一次的には大学にやらせるけれども、どうしても紛争が長引いて六カ月たっても収拾がつかない、九カ月たっても収拾がつかないという場合においては、文部大臣も一緒になって、大学当局とともに第三者機関の意見を聞いてそういうような措置ができるようにするようなことについては、やはり立法措置が必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  あるいは上智大学におきまして一時閉鎖ということをいたしました。そうすることによって入学試験もできますし、学生たちの頭も冷やしますし、そして圧倒的ノンセクトの人たちの意思表示によってストライキ解除をいたします。そして半年間のロックアウトというものを解きまして、現在授業再開をやっております。この一つの経験というものを織り込んだものをやる場合においては、私立大学についてはやれないことはないと思いますけれども、国立大学については、いまその法的根拠はないといわれておるわけでございまして、この点については、やはり法律改正の必要があるのではないかというふうに私どもは考えております。  そういうものを積みまして、一体学生の処分はどうするのだとか、あるいは教官に対する処分はどうなんだ、いろいろこれは問題はあるかと思います。しかし、その点についてはまだ最終的にきまったわけではございません。各党間の御意見を承りまして、できるならばそういう御意見等もくみ入れながら立案をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 文部省大臣の答弁、懇切丁寧でありがたいのですけれども、時間の関係、特に政府委員等も各委員も昼めし抜きでございますので、的確な御答弁をお願いいたします。  中身の問題はあとで触れるといたしまして、この中教審の答申と政府の考えております新立法につきまして、大学紛争の大部分を占める国立大学、その国立大学の国大協が反対の声明をいたしております。また、日本における学術団体の最も権威的な存在といわれる日本学術会議も、公式にこの新立法の方向については効果を疑うという意味も含めて反対だという趣旨の意思表明があります。まず中教審自体が、大学問題の解決については当事者である大学自体の自覚と反省に基づく積極的な態度がなければその目的を達せられないということをうたっております。また大臣も、たびたび本委員会におきましても、大学紛争の解決については大学自身の自主努力というものが第一次的に考えられるべきだということをおっしゃっているわけです。ところが、問題の紛争校の大部分を占める国立大学がそういう態度である。しかもまたこの大学問題あるいは文教問題というのは、冒頭に触れましたように国家百年の大計であると同時に、国民合意的な基礎がなければ——特にいま大臣がお触れになりましたが、開かれた大学ということを考えました場合に、国民的な支持がなければ立法の効果というものは達せられないと私は思うわけであります。  そういう意味からいたしましても、当事者の国立大学も反対、学術会議も反対、野党につきましても、大臣も党首会談に御列席のようでございましたが、紛争解決のみを、あるいは紛争処理のみを前提にした立法については各党おしなべて反対のようであります。こういう雰囲気の中で、こういう客観情勢の中で、しかも先ほど指摘しましたように会期末あと残すところ十日もないという時期に、こういう基本的な法案をお出しになって、はたして有効適切な効果が期待できるか、その辺についての文部大臣の所信を伺います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私はまだ最終的にこの国会に出すということをきめておらないということはひとつ御了承いただいて、それから御理解をいただきたいと思うのでございますが、御承知のとおりに今日七十五のうち三十二の国立大学で紛争が起きております。ところが、二百六、七十の私立大学のうちにおいてまあ七校が紛争をやっております。それから公立大学もわずかに四校。国立大学と私立大学とを比べました場合に、その教育条件というものはどうかと考えた場合、はるかに国立大学のほうが恵まれておる、こう私は思っております。にもかかわらず、こういうような三分の一の国立大学が、こういう国民の税金を一番たくさん使っておる国立大学において紛争が絶えない。しかもまた、せっかく入学した者の授業ができない。あるいは東大におきましては四億数千万円の破壊活動をやっておる。こういうことを考えました場合に、やはり私は、国立大学の教官自身があまりにも自分の身分保障というものが厚いがために、親方日の丸であるがゆえに、国民の意思の反映というものを踏まえたところの大学自治というものを考えていないのではないか、そういう反省というものがないのじゃないか。この段階になって、ただ大学自治、大学自治であるから一切の手助けすらもこれを断わる、一切の指導、助言すら断わりさえすれば問題は解決するという、そういうものの考え方こそ今日若い学生から問われておるのではなかろうかというような私は気がするわけでございます。したがいまして、私たちの法案というものはあくまでもその紛争終結に関する法案でございますが、同時に、開かれた大学へ通ずる一つのどうしても通過すべき関門であると私は考えております。同時に、これだけをやるのじゃなくてこれ以外に、あわせまして指導、助言といたしまして管理運営の問題あるいは教職員のあり方、学生のあり方、自治会のあり方等々について一緒に、指導、助言と今度の法制と歩を進めていく、そして半年後においては基本的な問題というものもあわせて考える。そしてそのあわせて考えたものの中に、今度考えましたたとえば御指摘のような管理運営の問題等について権限を集中するというようなことは、その基本的な大学像の中においても当然考えられるべき問題である、取り入れられるべき課題である。こういうふうに私は考えておるわけでございまして、この全貌というものが表に出ましたならば、国民の大多数の方々は御理解がいただけるだろうというふうに思います。  しかしながら、いま国大協にいたしましても、あるいは学術会議にいたしましても反対をいたされておるわけでございまするが、その国大協の人たちが、自分たちが七十五の大学の学長であって、そして三十二の大学が紛争をして国民に対して申しわけない、どうするかという具体的な案というものを何ら示さないで、ただ反対反対ということにはどうしても私には了承ができないわけでございます。また学術会議におきましても、いろいろのことを発表はされますけれども、責任を持って具体的に新しい大学像、この二十年間変化してきた社会に対応する大学はこうあるべきであるということを十年前、二十年前に一体日本学術会議が発表したことがあるかと私は申したいわけでございます。その意味合いにおきまして、今回この答申されました中教審のものというものは、初めて大学問題に対して具体的な提案をされた唯一のものであるというふうに私は考え、評価をいたしておる次第でございまして、この中教審の答申に対して忠実に尊重してまいるということが私は必要かと思うわけでございます。ただ、やはりこういう重要な問題でございますから時間をかけるということにつきましては、先生と私は同感でございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 文部大臣は思い切って国立大学、学術会議を御批判になりました。それだけの正しいあるいは御勇気があるなら、国は設置者として国立大学を指導、助言できる立場にあるわけですから、どうして堂々と国立大学協会の考えは間違いだとはっきり御表明にならないのか、あるいはその間違いであることを職権上指導、助言を通じて御指摘にならないかということを疑問に感じます。また、そういたしましても、いかに御批判になりましても、結局大学改革あるいは大学紛争を処理する当事者は、第一次的に国立大学当局であるわけであります。その学長をもって構成される国立大学協会が新立法反対、中教審の考え方に批判的ということは悲しい現実であります。その穴埋めをどうするかということについて、やはり文部大臣としては積極的な御姿勢があってしかるべきではないかということが一点です。  もう一点、これはわが党の基本的な考え方でございますけれども、大学問題の解決については、部分的な紛争処理というよりも、これからのあるべき大学像、大学の改造というような中心的な課題を離れて、枝葉末節的な紛争処理に走るということは、先ほど来繰り返しておりますような文教行政の基本あるいは国家百年の大計ということを考えた場合に、ことばが悪うございますが、本末転倒という感なきを得ない。ことにいままで指摘いたしましたような時間的な問題あるいは客観情勢を考えた場合に、何を好んで、いま効果もそれほど期待できない、いま当事者である国立大学の姿勢一つ見ましても、期待できる見込みの少ない新立法について積極的なのかということについて若干の疑問を持つわけです。ただ文部大臣は、いまの各党との折衝の過程を踏まえられまして中身については慎重にお避けになりました。しかし、この十日付のサンケイ新聞によりますと、各党の幹事長、書記長の座談会が掲載されております。それによりますと、文部大臣の所属されます自民党の田中幹事長は、暴力は取り締まる、そのための立法化はしない、現行法でやるというようなことをおっしゃっておられます。そうすると、暴力取り締まりのための新立法ということは考えておられない。佐藤首相も、暴力取り締まりの治安立法はしない、現行法で対処するという方針だということを幹事長は座談会で述べておるわけでございますけれども、新立法の中には、いわゆる暴力取り締まりのための新立法は考えてないというふうに理解してよろしゅうございますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 法律といたしましては、その取り締まりというものは書いてはございません。また、書こうとは思っておりません。現在の法律でやり得るものだというふうに考えております。この間の九日の党首会談にも私は出席をさせていただいたわけでございますが、社会党さんにおきましても、民社党さんにおきましても、公明党さんにおかれましても、同様に現行法でびしびし暴力学生は排除する、こういうようなことでは一致をいたしました。そういうようなわけでありまして、今度の法律にはそういうことは考えてはおりません。しかしながら、学内における暴力行為というものはこれは排除すべきであるという考え方は貫かれておるということを申し上げておきたいと思います。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 それでは、国立大学における紛争の現実についてお尋ねをいたします。  現在施設を占拠されておる大学、あるいは施設の破壊されておる大学、あるいはバリケード封鎖されておる大学、あるいは学長あるいは学長代行者のきまっておらない大学、あるいは乱闘行為等が行なわれておる大学等についての現状を明らかにしていただきたいと思います。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 紛争と申しましてもいろいろな段階がございますが、御指摘のように授業放棄あるいは施設が封鎖という程度のものを押えますと、本日現在で国立大学三十校になっております。先ほど大臣が御説明いたしました三十二校から二校減っておりますのは、山口大学あるいは大阪教育大学等で封鎖占拠等が解除されて授業が開始されておるという事態がございますので、若干減っております。内訳をその状況で申し上げますと、全学的にとまっておる大学というのが八校ございます。それから立ち入りもできないというのが三校ございます。それから半年以上もそういう状態であるというのが三校ございます。それから本年四月以降に紛争状況が新たに発生あるいは拡大したというのが十二校ございます。それから新入生の授業状況というような角度から申し上げますと、現在まだ新入生の授業開始が行なわれていない大学が十七校ございます。十七校分の新入生の数で申し上げますと、約一万七千二百人、先ほど大臣が御説明いたしました一万九千よりちょっと減っておりますのは、紛争校が減った関係でございます。これを入学者総数六万六千に対比いたしますと二六%、なお三分の一近い新入生が授業を受けられないで自宅待機状況になっております。それからなお、乱闘とか暴力行為とかいうのは、必ずしもそういうものが継続的にあるわけではございませんので、これらの大学においては、何か積極的にやろうとすればそういうことが起こる可能性があるということでございます。たとえば先ほど、東京工業大学におきましてはノンセクトの学生が紛争を収拾いたしたいということで全学集会を開きまして、過激派によって占められておる自治会執行部の解任の決議等をやり、漸次授業放棄の解除、授業再開という方向に自主的に持っていこうという集会をやっておりますところへ、過激派である全学共闘会議系統の学生が乱入いたしまして、その結果若干乱闘になり、負傷者が出た、こういう事件がございます。こういう暴力事犯というのは、紛争の経過の中において何か収拾努力をやる、あるいはセクト間で主導権争いをするというような時点で随時にあらわれるわけでございます。  以上が、大体概況でございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 いま局長のお答えになりました数字を見ましても、現に立ち入りもできない国立大学が三校ある。全面的な機能停止している学校が八校。大学の立ち入りもできないということは、おそらく暴力学生が大学を占拠しているのだと思うのでございます。これは明らかに建造物侵入罪に当たる。不退去罪に当たる。施設の破壊については建造物の損壊罪と器物損壊罪、暴力行為等処罰に関する法律、あるいは威力業務妨害罪その他の犯罪に当たると思うのでございます。そしてまた、大臣自体が現行法で取り締まれるとおっしゃる、しかも新立法はこの面に関しては考えていないとおっしゃる。ところが、現実には三十校にわたって実際の教育研究の機能が停止されておるし、大学全体を見ました場合に、百五十万の学生の中の一割にも満たない、むしろ多くて二、三万と見込まれる暴力学生のために、大部分の学生の教育を受ける権利、あるいは教授の教育をする権利、研究の権利、自由が破壊されておる。現実は、現行法でやれるとおっしゃりながら、違法状態あるいは不法状態、あるいは教育行政の基本的な課題が解決されていないと見ていいと思うのです。ほんとうに現行法で取り締まれる、こういう違法状態を排除できるとお考えになっておられるのか。なっておられるなら、なぜなさらないのか、その隘路はどこにあるのか、大臣にお尋ねいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 大学というところのやはり特殊性と申して差しつかえなかろうと思うのでありますが、従来とかく大学人あるいは学生というものは、警察アレルギーというものがあったわけでございます。しかし、昨年以来漸次その大学のアレルギーというものも現実の面からなくなりつつあると私は思うのでございます。でございますから、すぐ直ちにこの暴力が、きょうやってあしたからなくなってしまうというふうにお考えいただくならば、そうはなりません。そう御期待いただいてもこれはむずかしいというお答えしかできないわけでございますが、いましばらく時間をかけていただくならば、このような不法な状況というものは現在の法制でもやり得るというふうに考えます。  しかし、そこが大学というもののむずかしいところだと私は思いますのは、ただそういうような暴力があるから、一般市民社会におけるような暴力行為、不法行為等が行なわれておるから、権力だけでもってこれをぶっつぶすならばやれる、排除ができるというふうに思ったならば、それは間違いであるというふうに私は思うのでございます。それと同時に、いま申しまするような最小限度の私の考えておりますような立法あるいはそれに伴うところの強力な指導、助言、勧告の行政措置というものが合わさって初めて大学というものの正常化、秩序維持というものができる。しかもその時間というものはやはり相当時間がかかるというふうに思うわけでございまして、現在の法律は何にもしない、あるいは行政指導もしないという形で、単に権力だけでもって大学内の暴力を排除しようとしても、それは私は無理だというふうに考えるわけであります。それに対しまして、行政指導及びそれの最終的な立法措置、最終的な、あるいは最小限度の立法措置がなければ指導、助言も有効に働かないし、同時に国家権力のこの警察の導入というものも威力を持ってこない。したがって暴力は排除されない、教育の正常化はできない、こういうふうに私は思うのでありまして、一つを欠いてもだめだというふうに思うのであります。したがいまして、最小限度の立法につきましては、先生のおっしゃるような新しい大学というものについての管理運営ということをやらざればだめだとおっしゃいますけれども、それをやる前提としては、一応現在の紛争解決に対する最小限度の立法措置及びそれに伴うところの行政措置というものをひとつ御理解賜わって御賛成いただかなければ、なかなか先生の理想の大学像というものは現実の問題として生まれてこないんじゃないかと、失礼ながら実は考えておるような次第でございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 法務省の刑事局長がお見えでございますが、法務省の専門的なお立場から、現行法で、大学にいま横行しております違法状態あるいは犯罪行為というものを有効に取り締まれるとお考えになりますか、あるいは特別の立法が必要とお考えになりますか。また、先ほど指摘しましたように、現に違法状態がありながら実際の違法状態が排除されていない現実を見ました場合に、なぜ排除できないか、その辺の隘路について、あるいは原因について法務当局としてお考えになっている点をお尋ねいたします。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 ただいま文部大臣から申されましたように、学園の中における暴力行為につきましては、刑罰法令としては現行法令の有効な活用によっておおむねまかなえるんじゃないかというふうな気がいたしております。これは過去約一年半における暴力行為の事件を取り扱った体験からいたしましても、そういうことが一応いえるのではないかというふうに思っております。  それから二番目に、暴力行為というものは刑罰法令だけがありましても、十分に取り締まりができるわけではありませんで、御承知のようにその刑罰法令を運用するための手続法規とか、あるいは犯罪というものは警察官ないしは検察官だけではどうにもなりませんで、やはり国民の側における協力が十分に期待できるというところでもって初めてこの暴力というものが十分に取り締まれるというふうに思っております。  そこで、大学の中における暴力につきましては、取り締まり法規としては現行法で一応十分だと思いますけれども、その他の面におきまして、たとえば特に大学当局の捜査当局への協力というふうな面におきましては、私は非常にまだ問題があると思います。たとえば犯罪があれば告訴をするとか、告発をするとか、被害の申告をするとか、あるいは令状を持って捜査に入ればそれにいろいろな面から協力をするということが私は当然の態度だろうと思いまするけれども、過去に取り扱った事例から申し上げますれば、その面においての協力というのは、はなはだ残念でございますけれども、きわめて不十分だったということがいえると思いますので、その辺のところが、ただいま御指摘になりましたように、現実に客観的に暴力行為があるのにそれが十分に取り締まられていないという、その原因をどう思うかということに対してお答えできる一つのポイントではなかろうかというふうに思いますので、もとより捜査当局におきましても犯罪の探知とその取り締まりのために万全の対策を立て、また現行法の活用について十分知恵をしぼってまいりたいと思いますけれども、一方におきまして、また管理当局その他一般の国民の方々の暴力排除ということに目ざめた上に立っての、万全の捜査当局への協力ということを希望してやみません。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 いまの川井刑事局長の御答弁と関連いたしまして、私は新聞で拝見したのでございますけれども、荒木国家公安委員長が、例の四・二八事件の取り締まり対策と結びつけて、現在の大学紛争がここまでエスカレートした原因の最たるものは、国立大学の教職員を中心とした方々が、国家公務員に課せられた刑事訴訟法二百三十九条二項の犯罪に対する告発義務を履行していないというところにあるのではないか、という見解を閣議で発表されたようでございますが、文部大臣、これについてはどういうようにお考えになりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 国家公安委員長のお考えというものはそのとおりだと思うのです。教官の人たちというのはいろいろの面があると思うのです。確かに学問研究の研究者としての一面と、それから国家公務員として社会あるいは国民に奉仕をするという面と、それから学生を精魂を傾けて人間的に教育をする面と、それからまた教官が学部長になり学長になった場合あるいは事務取扱になった場合には、大学を代表して大学を管理運営し、教育研究をさせ、そして国民に対して責任を果たす。こういう簡単に申し上げましても四つの部面を持った一人の人間だと思うのでございます。その中の単に研究者としての面だけが強調されて、国家公務員としての社会的責任であるとか、管理者として、学長としての責任であるとかというようなことについてのきびしい自分の置かれておる地位と申しますか、そういうものが非常に欠けておったと私は思うのでございまして、そういう大学を預かっておる学長としての、あるいは大学を構成しておる中核たるべき教授会や評議会のメンバーの方々の、そういう犯罪行為や暴力行為に対するき然たる態度というものが確立をしておらないというところに、大学紛争というものがエスカレートしてきておる。この回復なくしては、またこの回復と同時に現行法の警察力への御協力ということなくしては、現在の大学内におけるところの暴力の排除というものはできないというように私は思います。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 文部大臣、口ではそうおっしゃるけれども、現実に国立大学で違法状態が、これはむしろ違法でないものは少ないくらいに起こっておる事態を前にして、告発をした大学、告訴をした大学というものをほとんど聞かないのであります。刑事訴訟法上の官吏としてあるいは公吏として、国家公務員としての義務の履行について、これは訓示規定かもしれませんけれども、法令違反的なあるいは職務怠慢的な行為が行なわれておるわけでありますから、大臣としては当然指導、助言の範囲内で国立大学に対してこの二百三十九条二項の精神を実行に移すべきだという通達なり行政指導をなさるべきだと私は思うわけでございますけれども、これを実行なさる御意思はございますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私はやはり、先ほど申しましたような立法措置なりあるいは行政指導の一連の大学問題解決への方策というものとあわせて考えていかなければ、有効適切に働かないのじゃないだろうか。何らのきめ手がないままで私がいわゆる通達を出し指導、助言をいたしましても、ナシのつぶてでいらえはない、答えは出ないというふうに私は考えるわけでございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 私は、大臣もわかっておられながら——大臣のいいところかもしれませんけれども、大学の自治をできるだけ尊重したい。もちろんわれわれも大学の自治を破壊する気持ちはございません。しかし、大学の自治というのは学問の自由のために許されている。文部大臣は研究の自由ということ、他の国家公務員あるいは管理者、教育者としての教職員と分けてお話しになりました。教育の自由にこそ大学の自治も許される、それ以外の場合は当然国家公務員として、あるいは管理者としての責任と義務があるわけですが、それを全く果たしていないと申し上げてもいいのが大学の教職員の一部の方々の行動であろうと思います。それについてやはりもう少し強力な指導、助言は、研究の妨害とか大学への干渉ではなしに、当然国の設置者を代表する立場としての文部大臣の義務でもあろうかと思います。それを十分に果たしておられない。そこに荒木国家公安委員長の御発言あるいは法務省の刑事局長の御答弁の真意がある。もちろん文部大臣は有能な国務大臣であられることは重々承知いたしております。その辺のことはわかっておると思いますけれども、やはりそこらに弱さがあるのではないか。それこそはっきりした勇気が要る、勇断が必要ではないか。私の承知しております範囲でも、各大学の教職員の方々が、私はこれは間違った過保護だと思いますけれども、監禁状態にありながらも、これは実際は話し合いをしておったのだと、犯罪を自主規制するようなことをしておられる。しかし、これは決して正しいあり方ではない。やはりこれは間違いだ。やはり犯罪は犯罪として、学生の間違いは間違いとして、教育者としての立場だということを、指導、助言の範囲内でも、文部大臣として明らかに国立大学の教職員に指示されるということが必要ではないかと感ずるわけであります。  この辺について、私は今度の立法の構想を聞きました場合に、暴力排除こそいま一番大学紛争の緊急課題として要求される問題であると感ずるわけです。何とか教育環境を整備いたしまして正常な教育、研究が行なわれるような大学に取り戻すというのが文部行政の基本だ。そのために新立法をなさるというならまだわかるのですけれども、暴力のためには立法は必要ないとおっしゃりながら、あえてこの会期末の、しかも先ほど来指摘いたしましたような客観情勢の熟さないときに、何か無理じいに一部分をピックアップして立法なさるという姿勢は、ちょっといただけないという感じを禁じ得ないわけです。  ただし、時間の関係で昼めし抜きで委員の方々も政府の方々も……(発言する者あり)それじゃ関連をいたしまして、いま文部大臣、学長の職務内容にもお触れになりました御答弁がありましたので、九州大学の井上教授の学長事務取扱の発令がおくれている理由についてお伺いいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 先ほどの問題も全然やってないわけじゃないので、この間、実は昭和二十五年の文部次官通達に関連いたしまして、例の「大学内における正常な秩序の維持について」という通達を、四月二十一日付であります。その二番目に、「大学内において教職員が犯罪があることを知ったときは、告訴、告発を行ない学内の秩序維持に遺憾なきを期すこと。」ということは、もう御承知でございましたろうから申し上げなかったわけでございますが、その井上正治法学部長の問題、これはまだ井上正治がどういうようなことを言うたか、その真意についての調査を依頼いたしておりますが、それに対して何らの回答がございません。したがいまして、その真意を正式に知ることができないということで発令を見合わせておるということであります。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 一つの見解として、教授の研究の自由、これはもう最大限保障すべきだ。ところが、先ほど大臣がお答えになりました学長あるいは学長事務取扱、一つの教職員の部面のうちいわゆる行政長官的な、あるいは行政官的な立場の場合は、いわゆる大学の自治、学問の自由と離れて、その適格性が論議されてしかるべきだという意見があるわけであります。ことに九州大学は国立大学、多数の教職員と国有財産、そしてまた国家予算を消費する重要な管理能力を要求されるポストだと思うのでありますが、この学長事務取扱の適否については、その人の思想とかあるいは行動によって教授としての地位を云々することは許されないと思いますけれども、いわゆる管理者的な学長あるいは学部長としての適格性については、別の角度から判断されるべきだという見解について、文部大臣はどういうふうにお考えになりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 一応われわれも、そういうふうに考える方もあると思いますけれども、同時にその方が教職にある方である、つまり教特法において厚く身分保障がされておるというところに、やはりおのずと限界があるのではなかろうかというふうに思います。だからといって、それでは教職員たる者、あるいは国務公務員たる者、あるいは管理者たる者、どんなことでも言っていいかといったら、そういうものではないのじゃないか。学問の自由はけっこう、あるいはその方の学者的ないわゆる論文や学説等について憲法がこれを保障しておる、何人といえどもこれを自由にやるということはできるけれども、しかし今日大学の先生というものがこういう厚い身分保障がなぜあるかということを考えるならば、一般市民社会より以上のモラルあるいは良識の府であるという一つの前提に立ってこれが許されておるわけであって、いやしくも今日一般社会ですらも非常識といわれることがまかり通るということがあっては、これはもはやその前提というものがくずれてしまうわけでございまして、私は学問の自由云々についてとやかく申しておるわけではないけれども、一般常識人としてどうなのか。しかも高い良識と理性というものの府にある者としては、私は一般的に世論でもいろいろのところからやはり批判はなさるべきことではないだろうか。したがって、そういうような地位にある者は、おのずとその言動というものについては慎重でなければならないというふうに思います。これはモラルの問題だと私は思うわけでございまして、中教審の第一章の後半におきまして、教職員に対するあるべき姿ということについての見解を申し述べております。この言動等について十分注意すべきであるということを指摘しておるところは、まことにそのとおりだというふうに思うわけであります。もちろん中教審におきましては、大学の教官もそういうことを反省しなければならぬけれども、文部省自身も、これまで大学をそういうふうにほったらかしてきたというところの責任は関わるべきであるというようなおしかりも受けておるわけでございまして、その点についても、私は文部省といたしましてやはり反省をすべきものだというふうに考えております。井上教授の問題については、そういう考え方を持っておるわけでございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 時間の関係でこれ一問で終わりたいと思いますけれども、いま文部大臣からも文部省自身の反省のことばがございました。私はこの問題、ちょっと大臣に言いにくいのでございますけれども、いわゆる文部大臣が歴代自民党の国会議員であるということと結びつけまして、いまの大学紛争の原因、これは中教審なんかもきわめて多方面から多岐にわたって諸原因を指摘しておりますけれども、一つの理由として、大学生が大学に来るまでに受けた中学校、高等学校の教育、それと日本教職員組合の教育内容あるいは倫理綱領、それと文部省との不毛の対立と申しますか断絶と申しますか、そういうことも一つの原因をなしておるのではないかという分析も可能かと思います。また、教育の中立性あるいは教育行政の基本ということを考えた場合に、はたして政治的な立場をこれは否定できないと思いますが、自民党に所属される、与党に所属される国会議員が常に文部大臣として君臨されるということに対する、これはまた、ある意味ではいわれない国立大学の反発かもしれませんけれども、権力との対決というような思想等に結びつくということも考えないわけにはいかないのじゃないか。この辺で、憲法上大臣は半数までは国会議員以外から選ばれ得るわけでございます。端的に申し上げまして、法務大臣とか文部大臣とかあるいは科学技術庁長官とかいうような方々は、むしろ党派性を脱却された、世のその道の権威者が選ばれる、文部大臣個人としては私申し上げるわけではございませんが、そういう点もこの辺で考えていいのではないか。これが学生運動全体の文部省との対決というふうな原因をかもしておる一因を考えました場合に、この辺でお考えをいただいてもいいのではないか。この辺で文部大臣を与党の国会議員から選ぶことの功罪について、文部大臣個人の御見解でけっこうでございますからお伺いしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 教育というものは、その目的とするところを十分達成するためには、党派的な、やはり中立性を保ち、権力的な介入を排することが肝要と考えられるわけでございます。党人であり、現職の国会議員である文相ではございましても、十分この点を念頭に置いて職務に忠実でなければならぬと考えておる次第でございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 時間がきましたから終わります。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十二分休憩      ————◇—————    午後三時三十五分開議

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  著作権法案及び著作権法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。藤波孝生君。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 お許しをいただきましたので、著作権制度の全面改正についての質疑に入らしていただきたいと存じます。  まず、この問題は、詳細にわたっていろいろ審議を進めていけば、たいへん膨大な質疑の時間を必要とすると思うのでありますが、冒頭に大づかみにお伺いをして、いずれ委員会で小委員会等のことも考えていただかなければならぬと思いますので、大まかにひとつ基本方針についてお伺いをしてまいりたいと思うわけであります。  著作権法は、文化に関する基本法とも申すべきものであって、明治三十二年に制定をせられまして以来、数回の改正を経てきておりますものの、きわめて小さな改正でございまして、基本的な改正を見ずに今日に至ったわけであります。それだけにこの間、時代の進展に伴って、いろいろ改正をしなければならぬ面も多々あろうと思いますし、そういう意味では改正は歓迎すべきものと思うわけでありますが、反面にまた、この改正につきましては、いろいろな観点から慎重を要する面もたくさんにあると思うわけであります。  最初に文部大臣からお伺いをしたいと思うのでありますが、今回の全面改正にあたって、特に全面改正に踏み切った基本的な理由をお伺いをいたしておきたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、現行法の著作権法は明治三十二年に制定され、もうすでに六十余年経過をしておるわけであります。言うならば数度改正はございましたけれども、実質的な改正が行なわれておらない。ところが今日、非常に著作物の利用手段が高度に発達をした時代を迎えておるわけでありまして、あるいはまた視聴覚というようなものが非常に発達をしてきておる。そういうようなことから、この要請にこたえるような著作権法にしなければいかぬというふうに考えまして、政府としましても、これがために準備をいたしてきたわけでございます。著作権法は、著作者の保護ということを第一義とするものでなければならないことは申すまでもございません。これは著作権法案を立案するに際しまして最も基本的な考え方であると思います。それと同時に、むしろその保護の内容を定めるにあたりましては、著作物は利用されて初めてその存在意義があることにも十分留意をしなければならないと存ずるのであります。著作権に存続期間がありますのも、一定期間経過後にはこれらの文化的所産を今度は広く国民に開放し、自由に利用させようという考えによるものでございますが、著作権の存続期間中でありましても、著作物の利用についての権利者の立場、使用者の立場、さらには著作物を享受する国民の利益を全体として調整、調和させなければならないと思うわけでございます。今回の制度の改正にあたりましては、このような考え方から、法案第一条に掲げましたように、著作者の保護を第一義的な目的としつつつ、その保護の内容が全体として調和のとれたものとなるよう苦心をいたしたつもりでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 改正の基本的な理由はお伺いをしたわけでありますが、著作権法は申すまでもなしに著作者の権利を保護する、いまも大臣の御説明にありましたように、著作者の権利を保護して、文化の振興に寄与する、同時に著作物の利用が阻害をされるようなことがあってはならない、こう思うわけでありまして、著作者の側から見ればこれを保護して、文化の進展に寄与する、またこれが活用を大いにはかって文化の停滞を招かないように配慮する、両面からの取り扱いが必要であると思うわけであります。そこで今回のこの根本改正にあたりまして、著作者の権利を保護するという側と、これを活用する側、著作物の利用をはかる側との調整をはかるというのが一つの目的だ、こういうふうにいまお話がございましたが、どのような原理で、どのような基本的な考えでこの調整をはかっていこうとするのか、大臣でも長官でもけっこうでありますが、文部省のお考えを承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 先ほど大臣からお話ございましたように、まず第一段は著作者の権利の保護を厚くする、こういうことでございます。そういうことからいたしまして、同時に著作者の権利につきましては国際的な保護の関係にあるわけでございますので、国際的保護の水準というような点も十分考慮しまして、これらの権利の適正な保護をはかる、こういう考え方に立っておるわけでございます。  具体的に少しく申し上げますと、たとえば著作物の例示を整理する、どういうものが保護される著作物であるかということをはっきりさせる、あるいは著作者の権利というものは具体的にどういう権利があるかということを明らかにする、それから特に従来から懸案でございましたレコードを用いてする音楽の放送、演奏について著作者に原則的に権利を認める、こういうこと。あるいは先ほどお話ございました保護期間等につきましても、国際的水準ということを考えまして、著作者の生きている間、それからその死後五十年というようなふうに延長いたしまして、その保護を厚くするという考え方に立っておるわけでございます。また、著作物の利用に関連を有するところの実演家あるいはレコード製作者あるいは放送事業者、こういう者もあわせて保護するために、新しく成立いたしましたいわゆる隣接権条約というものの制度にならいまして、著作隣接権という新しい制度を創設した、こういうようなことでございます。  それから著作者等の利益と公共の福祉との調和をはかって著作物が利用されやすいようにし、またそれが公正に利用されるようにするというようなことで著作権の制限の規定を整備いたしまして、たとえば教育目的のための使用とか、あるいは報道目的のための使用等、著作者の利益を害しない範囲内において著作物の利用を容易にする、こういうような規定を置くということでございます。  それから三番目は、そういう権利を立てましても、これが実効あるものでなければならないわけでございますので、その権利の侵害された場合の救済制度を整備するとか、罰則を強化するとか、あるいは著作権に関する紛争の簡易な解決をはかるために著作権等の紛争に関するあっせん制度というような規定を設けるというような点で、先ほど大臣のお話のございました基本的な考え方に立ってそういうような整備をいたした、こういうことでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 いまお話のありました著作権の客体、いろいろ例示せられておりますもの、これは現行法と今回根本的に改正をしようとしておるものと、例示部分は全然変更はないのか、もし変更した部分、改正をしようとする面があったら、ひとつ御説明を願いたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 原則的には特につけ加えたというものはございませんが、たとえば舞踊または無言劇の著作物、いわゆる舞踊の振りつけの著作物というようなものは現行の規定では明らかでございませんが、それを例示に加えるというような点、その他たとえば文書と書いてあるところを小説、脚本、論文というように内容を例示いたしましてはっきりする、こういうような点がおもなる内容でございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 いまの御説明にありました例示のいろいろな客体は、国際的に見て過不足はないのか、その点についての御説明を承りたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 国際的には、日本が加入いたしておりますところのベルヌ条約という規定で著作物の例示が掲げられております。その条約と関連しながら日本の状態に適応したような表現で示しておるわけでございまして、原則的にはベルヌ条約に定める著作物と内容的には同様でございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 続いて、著作権制度の改正の作業をお進めになっておられたわけでありますが、その経緯について若干承っておきたいと思います。  著作権法の改正は、この法律の性格にかんがみて、また権利者、利用者の利害が対立をする、そういった性質のものでありますから、内容ももちろんでありますけれども、手続においても相当慎重を要するものだと私ども考えるわけであります。今回の改正案をまとめ上げる作業の中で、当局はどのような配慮をしてこの作業を進めてきたか、経緯を承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 昭和三十七年に文部省設置法の改正がございまして、文部省に著作権制度審議会が設けられたわけでございまして、この著作権制度審議会に対しまして昭和三十七年五月に、著作権法の改正と隣接権制度創設の基礎となる事項についての諮問を申し上げたわけでございます。諮問を受けられまして、審議会は昭和三十七年の五月から四年間にわたりまして、小委員会等を設けまして、総会、小委員会を通じまして二百八十回にも及ぶ会議を開催して検討を重ねられたわけでございまして、昭和四十一年四月に審議会の答申があったわけでございます。その間、小委員会の審議結果の中間報告、それから小委員会の最終報告の段階等におきまして、この公表を行ないまして、関係団体の意見を聞いたわけでございます。文部省では、さらにこの答申に基づきまして四十一年の十月に文部省の文化局試案という形でこれを法文化いたしまして、著作権及び隣接権に関する法律草案というものを一般に公表したわけでございます。一般に法律につきましては閣議決定を見るまでは公表されないのが例でございますが、特にこの種の法律は広く一般の国民に影響するところも多いという考え方、あるいは広く関係団体の意見を公正に反映したい、こういうことで法律の草案を公表して、関係者の意見を求めたわけでございます。この草案を基礎にいたしまして、それに対してつけられました各関係団体の意見を参考にしながら、内閣の法制局において審議をされまして、さらにその審議の結果、一応の案をまとめたものを四十三年の一月に著作権法の全部を改正する法律案というような形で関係団体に示して、そして関係団体からも意見を聞くということで、昨年の四月には一応著作権法案の閣議決定を見たのでございます。  この法案は、諸般の事情で第五十八回国会には提出されなかったわけでございますが、法案についてさらに関係団体の意見を聞く、こういうような段階でございまして、その間、それぞれの公表がありましたあと、直ちに説明会を行ないまして、関係団体以外の方々にも十分趣旨を知ってもらって、それらに対する意見を聞きながら、今回最終法案として今度の国会に提出を見た。こういうようにいたしまして、審議会の審議と、それに対する関係団体その他一般の意見を十二分に考慮に入れまして今度の法案を作成した、こういうことでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 もう一回念を押しておきたいと思うのですが、著作権法の改正は、単に理論的に究明をされるだけでなしに、今日の国内の実情を十分に踏まえて関係者の利害が調整をされる、こういう形のものでなければならぬと思うわけであります。そういう意味では相当慎重にお進めをいただいてきたと思いますけれども、まだまだ関係各業界はいろいろな意見、不満を持ち、今回の改正案についても批判の意見を持って今日この審議を見守っておるのが実情ではないか、こう思うわけであります。だから、まあ慎重にいろいろな世論、特に関係団体の意見を聞き尽くしたというけれども、どれだけ時間をかけても尽くせるものではないと思うのです。その間にほんとうに関係団体の意見を聴取するという姿勢でそれらの作業を進めてきたのかどうか、私どもは若干の危惧を持たざるを得ないと思うのであります。その辺の作業の経過をさらにひとつ詳細に御説明をいただければありがたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 先ほど申し上げましたとおりで、著作権制度審議会におきましての審議の段階におきまして、小委員会の中間報告、小委員会の報告、それから最終答申、こういう段階がございますが、その各審議の段階におきまして関係者からの意見の提出を求めたのでございます。同時に、特に問題のございました応用美術とか映画とか、隣接権制度あるいはレコードの二次使用等の大きい問題につきましては、数度にわたりまして関係の方々に直接審議会においでいただいて御意見を伺う、こういうようなことがあったわけでございます。  それからまた、先ほど申し上げましたように、小委員会の報告があった段階におきまして説明会をいたしたわけでございますが、その説明会の段階におきましては、それぞれ関係団体の人もおられるわけでございます。そこでいろいろと意見をお伺いし、また趣旨を説明するということでございまして、改正草案あるいは第三次案というものにつきましてもそれぞれ御意見を求め、さらにそのような文書だけではわからないときには直接来ていただいてお話を伺う、こういうふうにいたしておる次第でございます。  また、審議会の中にも、これは学識経験者として御参加をいただいたわけでございますが、それぞれの関係の方々もおられるわけでございまして、そういう意見が、学識経験者という資格においてではございますが、間接的に審議会の意見の中にも反映されておるというような状況で、私どもは法案を作成する段階におきましても、わからないところあるいは御意見のあるようなところは特にまた関係の方に来ていただいて御相談をしながらつくる、こういうような努力を重ねたつもりでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 いまお話に出ました著作権制度審議会の答申でございますが、今回のこの抜本改正については審議会で十分審議をはかられて、その答申を尊重して文部省としてはおつくりになった、こう私どもは理解をいたしておるわけでありますが、今回のこの改正は大体答申を綱羅したものである、こういうふうにいってよろしいか。もし答申と今回の改正案と相違している面がありましたら、ひとつ具体的に御指摘をいただきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 著作権制度の基本になりますような、たとえば保護期間その他基本的な考え方等については答申のとおりに法案化をいたしておるわけでございます。しかしながら、法案作成の段階におきまして法律上の問題とか、あるいは法律草案作成後におきまして、ベルヌ条約改正のためのストックホルム改正会議がありました等で、それらの状況等をながめまして若干の修正をいたしておるわけでございます。  その修正は、技術的な点その他相当ございますが、おもなる点を二、三申し上げますと、第一の点は著作者人格権の点でございます。これについて審議会の答申では、著作者が死んだあと死後の人格権の保護につきまして、いわゆる経済的利用権としての著作権の保護期間が終了するとともに著作者の死後の人格権も消滅する、つまり経済的利用権としての著作権と著作者人格権との権利の期間が同一である、こういう考え方をとられたわけでございます。しかし、著作者人格権と著作権との性質が若干違っておるということ、それから現行法においては、著作者の死後の人格的保護について、財産権としての著作権の保護の期間と同一にはしていないというようなこと、あるいは文芸家協会その他の、人格権が財産権とともに消滅するというのは困る、こういうような権利者の御要望等もございまして、この法案におきましては、著作者死後の人格的利益の保護につきましては、少なくとも配偶者と二親等内の血族の生存中、孫またはきょうだいの生存中——おおむね著作者の死後五十年ぐらいに相当するであろうと思われますが、その生存中はこれらの者と、さらに著作者が遺言で指定した者が、死亡した著作者の人格的利益を保護することができるというようにいたしたこと、さらに刑罰による死後人格権の保護につきましては、現行法も特に年限を限っておりませんので、現行法と同様に期限なく、無期限に保護するというように、著作者死後の人格権についての保護の態様についてこれを書いたということが第一点でございます。  それから第二の点といたしましては、嘱託による肖像写真というのがございます。これは人に自分の写真をとってくれといって頼んでとった肖像写真につきましては、現行法では嘱託者本人が著作権を持つということになっておりますが、審議会ではそれをやめまして、著作権は写した写真家に属するけれども、その利用については肖像本人の許諾を要する、そして同時に、本人が写真を利用することは自由にできるようにする方途を講ずべきである、こういう答申があったわけでございますが、嘱託による肖像写真についてのみこのような措置を講ずるということは適当ではない、また写真家側からの強い意見もございまして、このように措置しなくても特に実害が生ずるおそれはないだろうということで、嘱託による肖像写真についても特段の措置を法律には規定しなかったというのが第二点でございます。  それから第三点は、実演家の保護をはかる著作隣接権制度というところで、答申では、著作隣接権条約の内容とほぼ同様で、実演を録音、録画するという場合、その同一目的の範囲内であれば、それを増製することについては、一たん録音、録画を許諾した以上は増製権はないというような答申内容でございましたが、現在演奏歌唱というものは、現行法では著作権で保護しております等の事情を勘案いたしまして、著作権法と同様の、録音、録画という増製権をも実演家にも認めるというようにいたしたというような点でございます。  それから、先ほどちょっと申し上げましたが、舞踊の著作物について、振りつけでございますけれども、ベルヌ条約では、これを文書等といいますか、舞譜に固定する、そういう固定を要件として保護するというようなことがございまして、それによりまして、審議会でも、舞譜等に固定しなければ舞踊の著作物は保護しないというようなことをしておりましたのを、条約の考え方もストックホルム会議によってだいぶ変わってまいっておりますので、こういう舞踊については固定を要件とすることなく、固定しなくても舞踊の振りつけを保護する、こういうように直したというような点がおもなる点でございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 答申と今回の改正案についてのおもな相違点を承ったわけでありまするが、その中に映画の著作者についての考え方、これは答申では、映画の著作者については特に法文で例示することにはなっていないし、また映画については監督等の著作者に公表権を認めない、こういうふうな形に答申はなっておるわけであります。改正案を見ますると、映画の著作者を「製作、監督、演出、撮影、美術等を担当」する者として、それぞれ例示がしてあるわけでありますけれども、また後者については公表権を認めるが、映画の著作権が法律の規定によって映画製作者に帰属するときは著作者は公表に同意したものと推定するといったような、若干映画の著作者についての取り扱いが答申とは相違しておるように思うわけであります。どういう見地からそういうふうな運びになったのか承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 映画の著作者についての例示でございますが、答申では「映画の全体的形式に創作的に関与した者」を著作者とする、こういう抽象的な表現として特に例示はしない、こういう答申でございました。しかしながら、映画の著作者の中では、やはりはっきりしてもらいたい、たとえばどういうものなんだということを明らかにしてもらいたいということで、先ほど申しました文化局草案で監督その他といたしたわけでございます。そういたしますと、監督でない撮影監督とか美術監督、そういう人はおれたちはどうなんだということで、ぜひ例示してもらいたいというような話が強く出てまいったわけでございます。それで問題は、やはり映画の全体的形成に創作的に関与した者を著作者とするという態度は答申と同様でございますが、一般の方々がこれをわかりやすくという意味で具体的に例示をいたしまして、「制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」こういうようにいたして、内容を明確にするということでございます。  それから映画については、著作者に公表権を認めないという答申であったわけでございます。これは映画の著作物は、本来公表を前提として製作されるものであるから、公表権を認める必要はないのではないか、こういうことでございました。しかしながら、映画の著作物についてのみ公表権はないということを積極的に書くのはどうであろうか、こういうような考え方で、原則としては公表権は認めるけれども、映画の著作権が法律の規定によって映画の製作者に帰属するというようになったときは、著作者は、公表に同意したものと推定するということで、原則は公表権を認めるけれども、実質的にはそういう規定を設けて公表権が不当に利用されないようにするということで、理論と実際とを調和するように法律の上でいたした、こういうことでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 もう一点、著作物について。放送のための技術的な手段として固定された影像及び音の固定物は、映画の著作物としては取り扱わない、こういった答申の線があるわけですが、改正法ではこれらも映画の著作物として保護するという形で入っておるのですが、これは基本的にどういう考え方でこういう相違になったか、承っておきたいと思う。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 放送のための一時的固定と申しますのは、いわゆるビデオで一時的にこれをおさめていく、そういう場合においては、著作者の録音、録画権が制限されるという考え方で、ベルヌ条約のブラッセル規定でそういう規定が置かれたことでございます。そうして実際、たとえばテレビ放送があって、それをビデオにとったそのものが一体何であるか。これを見たところでは、これは映画と同じである。しかし、それは放送するために一時的にビデオどりをしたものにすぎないということで、その目的からすれば、これはかげろうのようなものであるということで、これはそういう映画とする必要はないのではないか、こういうような意見で、放送事業者によって一時的に固定されたビデオテープのようなものは映画扱いをしない、こういう答申があったわけでございます。ところが、先ほど申しましたベルヌ条約のストックホルム改正会議に行きましたところ、そういうものは国際的に見ますと、やはり映画扱いにするというような考え方のほうがより多いようでございました。それを特に映画にしないということになりますと、法文の作成上非常に技術的に複雑になりますので、そこで放送事業者による一時的固定物も、それが映画の著作物としての特質を備えている限りは、これを映画扱いにするというようなことで、一時的固定という関係での実演家等の権利については別途措置をするというようなことにしたほうがより妥当ではないかというような考え方で、さように措置したわけでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 法律その他の刊行文書の国等が作成した翻訳物の取り扱いでありますが、これは答申では全然触れていないのでありますが、改正法案では、この法律による保護を受けないということになっておるのであります。この辺はどういうふうな基本的な姿勢で保護を受けないという明示をしたのか、承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 外国の法令等を日本語に翻訳して出す場合に、たとえば外国の憲法・法令集を宮澤俊義訳というように出す場合と、あるいは外国関係の著作権法令集を文化庁の著作権課で出す場合、二つあるわけであります。そういうようなもののうちで、国が作成した翻訳物というものは、これはやはり本来著作権の存在しないものにして広く利用に供するほうがよろしい、ただし個人がつくったそういうものは、やはり保護の対象にすべきだ、こういうことがストックホルム改正会議で議論になりました。そしてそういう国または地方公共団体の機関が作成した法令等の翻訳物、編集物等は著作権を認めなくてもよい、こういうようなことがストックホルム会議できまったわけでございます。これは本来そういうものをなるべく自由に利用したほうが国家公共のためになるというような考え方で、審議会の答申の段階では特に議論されなかったものでございますが、そういうストックホルム会議での状態その他その本質的な性格からして、やはり著作権を認めない方向で考えたほうがいいということでつけ加えたものでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 次いで、さっきからいろいろ話が出ております、今回の著作権制度の改正とベルヌ条約などとの関係についてお考え方を承っておきたいと思います。  著作権は、国際的な保護体制の中にあるわけですから、これは一国のかってを許されない。世界各国の保護水準を常に念頭におきながら、それぞれの国での保護体制というものを整えていかなければいかぬ、こう思うわけであります。そういう意味では戦後もずっと各国とも根本改正に取り組んで、非常に慎重な審議を経て、それぞれ各国とも著作権制度を持っておるわけでありますが、日本の場合に、明治三十二年以来、根本的な改正というものは今回初めて行なわれるわけでありますが、著作権についての条約関係及び各国の保護水準のものさしとなる条約への加入状況、どういう運びになっておるのか、考え方を承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 著作権の保護につきまして、世界的に大きい条約が一つございます。一つはベルヌ条約、もう一つは万国著作権条約でございます。  ベルヌ条約は、主としてヨーロッパ諸国を中心といたしまして一八八六年、明治十九年に創設されまして、無方式——登録とか著作権表示とか、そういう方式なしで、著作物ができたら、そのことによって保護する。そして同盟国相互にそういう著作権の発生、享有を確保する、こういうことを原則といたしまして、現在世界で五十九カ国が加盟をしておるわけでございます。ベルヌ条約は、創設以来大体二十年ごとぐらいに改正が行なわれるわけでございまして、そのベルヌ条約に加入いたしますと同盟国になるわけでございますが、その保護の基準というのは二十年ごとぐらいに改正される。その改正条約に入るかどうかということによって、その入った改正条約によって拘束される、こういうようになっておるわけでございます。現在加盟国が五十九ありますが、そのうちで四十二の国は、昭和二十三年に改正されましたブラッセルの改正条約に加入をいたしておるわけでございます。  なお、先ほど申し上げておりますように、一昨年七月に最新の改正条約、ストックホルム改正条約が成立して、日本はこれに署名したわけでございますが、日本は現在は昭和三年のローマ改正条約に加入したままになっておるわけでございまして、この昭和二十三年のブラッセル改正会議には、日本は当時占領下でございましたので招集を受けなかったというようなことも若干は関係いたしますが、そういう五十九カ国中四十二カ国が加入しておるところのブラッセル改正条約にはまだ未加入であるという状況でございます。  一方、万国著作権条約というのがございますが、これは著作権の発生、享有に登録とか著作権表示などの方式を要求しておるアメリカを中心とする米州諸国と、それから先ほど申しました著作権を方式なしで、無方式で保護するところのベルヌ同盟の諸国とを結ぶかけ橋で、ブリッジの条約として一九五二年、昭和二十七年に成立した条約でございまして、現在は五十七カ国が加入しておる、こういうことでございまして、日本は一九五六年、昭和三十一年に万国著作権条約に加入いたしたのでございます。  ベルヌ条約は、いま申し上げましたように無方式で著作権の発生、享有を相互に保護するということでございますが、保護すべき著作物は同盟国の国民の未発行の著作物と同盟国内で最初に発行された著作物でございます。そして同盟国はベルヌ条約上保護すべき著作物については内国民待遇、それぞれの国民に与える保護と同様の保護を与えるということと、それから条約に書いてあります基準の保護は与えなければならない、こういう二つの点が重点になっておるわけでございます。  それから万国著作権条約上わが国が保護すべき著作物は、締約国の国民の著作物と締約国内で最初に発行された著作物でございますが、先ほど申し上げましたように、アメリカ等では著作権の保護のためには登録を要するわけでございますが、万国著作権条約によりまして、日本の著作物がアメリカ等のそういう方式を要する国で保護を受けるためには、コピーライトのCにマルを打ったcと著作権者と最初の発行年を著作物に表示する、そういうことによって方式国においても保護を受ける、こういう関係になっておるわけでございます。ただし、ベルヌ条約国同士の間ではベルヌ条約だけで保護を相互にする、こういうようになっておるわけでございます。  なお、韓国とか北鮮、中共、ソ連等は著作権に関する条約には加入せず、わが国とは条約関係にはない、こういうことでございます。  それからもう一つ、先ほど申しました著作隣接権というものの国際的保護につきましては、一九六一年、昭和三十六年にローマで創設されまして、実演家とレコード製作者、放送事業者、著作権の利用に関連する人々といいますか、三者の権利を保護するという条約があるわけでございます。この条約には現在加入している国は英、独、スウェーデン等の十カ国でございまして、わが国は未加入であるということでございますが、この条約は、そういう締約国相互で、そういうものの権利を保護すると同時に、そういう実演家なりレコード製作者なり放送事業者の保護はどうあるべきかという一つの基準を示すものとして、それにのっとって各国が保護をするように、そういうパイロット的な役割りを果たす条約といわれておるわけでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 著作権の国際的な性格から見て、著作権制度の改正にあたりましてはベルヌ条約などとの関係を抜きにして、今回はこの議論はできない、こう思うわけであります。制度の改正にあたりましてはベルヌ条約ブラッセル改正条約、隣接権条約などへの加入を前提としたものであるのかどうか。これが今回のこの改正案を審議する一つのポイントになると私ども考えるわけでありますが、基本方針として条約との関係をどのように考えておられるのか、文部省の考え方を承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 著作権の内容を定めるにあたりましては、国際的水準というものを常に考慮いたさなければならないわけでございまして、現在の著作権法の国際的水準であるところのベルヌ条約ブラッセル改正条約に定めるところの内容というものを今度の著作権制度の改正におきましても特に考慮の中心に置いたわけでございます。しかしながら、著作権制度の改正という問題を考える場合に、ただ条約に入るために制度を改正するというよりは、日本の著作権制度として何が最も適切であるかということを考慮する。その際には国際的基準であるところのブラッセル改正条約の内容は大いにこれを参考としなければならないけれども、要はわが国の著作権制度として何が最も適切であるかということを中心にして審議され、また法案を作成したわけでございまして、そういう考え方で今度の法案を作成したわけでございます。そしてもし結果としてそういう条約に入り得るような状態になるならば、そういうものに入るべきである、こういうのが基本的な考え方でございます。これらのブラッセル改正条約に加入するためには、著作権の保護期間を原則的に生存間と死後五十年にするということがまず第一の要件でございます。それから第二の要件といたしましては、レコードによる音楽の著作物の放送、公の演奏等について著作権が全面的に及ぶ、そういう国内法制にしなければならない、こういうことになるわけでございます。  保護期間の点につきましては、この法案ではブラッセル改正条約の内容に適応した内容になっておるわけでございますが、ただ、レコードによる音楽等の著作物の公の演奏について、原則的には著作権が及ぶことといたしてはおるわけでございますけれども、わが国におけるレコード使用の実情を考慮して経過規定を設けまして、政令で定めるもの以外の公の演奏については当分の間従来どおり出所の明示を条件として自由利用を認めるというふうにいたしておるわけでございます。そういうような点で、全面的に認めるとするところのブラッセル改正条約と、その権利の及ぶ範囲を政令で限定するようにしてあるところにやはり若干の相違があるわけでございまして、この法案のままで直ちにブラッセル改正条約に加入するということは困難ではなかろうかとは考えておるわけでございますが、できればなおという感じもございまして、外務省とも協議の上慎重に検討するようにいたしたい、かように考えております。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 もう一回さらに突っ込んでお伺いをしておきたいと思うのですが、今回のこの制度の改正によって文部省はブラッセル改正条約あるいはストックホルム改正条約に加入するつもりを持っておるのかという意思の問題ですね。それは今度の改正によってできるできないということもありましょうけれども、その前に、するつもりでおるのかどうか。そしてもう一つは、これから法案の審議に入っていくわけでありますけれども、国内の体制をそれで整えたことになる、こういうふうにお考えになっておられるのか。その辺についてさらに具体的にひとつ承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 ブラッセル改正条約との関連では、先ほど申しましたように二点についてブラッセル改正条約の内容に適合しなければ入れない。入れないということは、基本的にはそういうものに入りたいという意思は持っておるわけでございますけれども、これを無理に入りますと、外国人の著作者については条約によって保護されるということになりまして、政令で定める以外の公の演奏についても外国人の権利が及ぶことになって、日本人には及ばないというような内外人不平等の関係ができるわけでございます。そういうことで、この国内体制の内容というものを十分入り得るようなところまで持っていかないで早急に入るということは危険であろうと思うわけでございます。基本的な考え方といたしましては、できればそういうものに入りたいという希望は持っておるわけでございますが、同時に、それが国内体制としてそういうブラッセル改正条約の内容に適合するようにできるかどうか、こういう問題との関係においてなお慎重に検討しなければならない、こういうようなことでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 若干その辺に問題が残っていると思いますが、ベルヌ条約ブラッセル改正条約に加入しない場合に、わが国に及ぼす影響というものはいろいろな角度から考えてみなければならぬ、こう思うわけであります。その場合に、世界の主要国が五十九九国加入しているブラッセル改正条約にわが国が加入をしないということになりますと、わが国の国際的な評価がいろいろな面から問われるのではなかろうか。戦後二十四年たって日本の文化というものが新しい角度から世界で脚光を浴びておる今日、国際的地位についての評価問題を私どもは考えますと同時に、国内の著作者が外国で差別的に取り扱われるというような不利益が生じてくるのではないかということを心配するわけであります。したがって、する意思があるのかどうか、国内体制を整えたのか、その上に立ってこの改正案を国会へ提出したのかといった点は、私どもにとりましては最も大きな関心の的になっておるわけであります。その辺について、外国で差別的な取り扱いを受けるのではないかといったような問題、それから外国からの日本の文化に対する評価の問題等についての文部省の考え方を承っておきたいと思います。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 わが国の国際的威信と申しますか、国際的信用と申しますか、そういう点から申しますれば、言うまでもなくベルヌ条約、新しいブラッセル改正条約に加入することが望ましいということは御説のとおりだと思うわけでございます。  次に、それではもしもベルヌ条約改正条約に加入しない場合に、わが国の国際的評価という問題は別にして、わが国の著作者なり著作物が外国において保護に欠ける点がありはしないかという問題でございます。これには二つの場合がございます。第一の場合は、イギリスとかドイツとかフランスとかイタリア等は、現在すでにブラッセル改正条約に加入しておるわけでございますが、これらの国はローマ改正条約に入って、それからブラッセル改正条約に入っておる、こういうことでございます。日本がもしローマ改正条約にとどまっている場合には、一体イギリス、ドイツ、フランス、イタリア等はどういう保護を日本人の著作物に与えてくれるだろうかという問題でございます。それについては、理論的にいえば、日本とたとえばフランスが共通に入っているのはローマ改正条約だけであるから、フランスは日本人の著作物をローマ改正条約の程度で保護すれば足りるのである、こういう考え方があり得るわけでございます。フランス等はこの前のストックホルム会議でもそういう主張をいたしたところでございます。ところが、イギリスなどの国の考え方は、その国が入っておる最も新しい条約によって保護するのだ、たとえばイギリスの場合は、ブラッセル改正条約で、ローマ規定に入っておる国の著作物を保護すべきであるというような考え方を表明しておるということで、国際的にはっきり、どの条約で保護するかという点ははっきりしていないわけでございます。  そこで最悪の場合を考えた場合に、たとえばフランスがローマ改正条約による保護しか与えないという理論をした場合に、日本人の著作者がフランスでの保護を要求した場合に、それは君のところの保護はローマ改正条約による保護しか与えないぞということは、理論的には言うわけでございます。しかし、実際問題として、日本の著作物を区別して、日本の著作物はこれだけローマ改正条約の程度の保護しか与えないということは非常にめんどうでございますし、取り扱っていない、こういうことでございますので、理論的にはそういう主張はございますが、実際問題として日本人の著作物がフランスで不利な取り扱いを受けるということはないのではないかということでございます。  それからもう一つは、日本はローマ改正条約にとどまっておるわけでございますが、たとえばアルゼンチンとかメキシコ等の国は、ローマ改正条約には祈っていないで、いきなりブラッセル改正条約に加入しておるわけでございます。そうすると、アルゼンチンやメキシコ等ブラッセル改正条約だけに加入してローマ改正条約に入っていない国と、ローマ改正条約にとどまっておる日本とは、一体条約関係があるのかないのか、こういう議論があり得るわけでございます。  そこで、いやもう共通の条約はないんだから関係はないと見る、あるいは関係あると見るかという点、この点につきましては、先般のストックホルム改正会議におきまして、ベルヌ条約のいずれかの改正条約に入っている場合においては、それぞれベルヌの同盟国であるから、やはり相互に保護し合う関係があるんだ、こういう解釈が確立して、これは報告書にも載っておるわけでございます。したがいまして、アルゼンチン、メキシコ等、ローマ改正条約に加入することなく直接ブラッセル改正条約に加入した国と、ローマ条約だけにとどまっているとした場合のわが国との間にも何らかの保護関係はある。かような解釈が確立しておりますので、特にアルゼンチン、メキシコ等で日本人の著作物が保護されないというようなこともなかろう、こういうようなことでございます。  したがいまして、この問題は、理論的にはいろいろ心配な点があるわけでございます。あるいは解釈上疑義を生ずるところがあるということはもとよりでございますけれども、実際問題として特に困る、不利益を受けるということは、まずないであろうと考えておるところでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 どうも御説明は御丁寧でありがたいのですが………。  ごく簡潔に承りますが、日本はいま、そうすると、その同盟国としての保護を受けられる立場におるわけですか、お伺いいたしたいと思います。ひとつ簡潔に。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 日本はローマ改正条約に入ってベルヌ同盟国でございますから、ベルヌ条約に入っておる、いずれかの改正条約に入っておる国において、日本の著作物は保護されるし、日本においてはその同盟国の著作物も保護しなければならない、こういう関係にあるわけでございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 いろいろ承ってまいりました。これからのいろいろな審議の中で、まだ具体的にこれは一項一項追ってまいりますと、それぞれ権利者と利用者とのいろいろな利害の対立といいますか、調整を必要とする点もありましょうし、それぞれ例示せられた部門を一つ一つとりましても、いろいろな問題が内包しておるように私どもは思われるわけでありますが、詳しい論議はまた後ほどにいたします。  今回の法改正によりまして、現行法規で法のもとに著作者の権利及び実演家の権利は、今度の改正でどのように拡張されるのか、またどのように制限をされることになるのか、しろうとにもわかるようにひとつ御説明いただきたいと思うのですが、その概要を最後に承っておきたいと思いますので、御説明をお願いいたします。

安達健二文化庁次長

○安達政府委員 まず、著作者の権利といたしましては、著作者の権利を著作者人格権と著作権、こういうようにはっきり分けまして、そして著作者人格権という内容といたしまして、従来は、著作者の氏名称号を変更し、隠匿し、または著作物またはその題号に改ざんその他の変更を加えてはならないという一般的禁止規定だけであったのでございますが、著作者の私法上の権利といたしまして、著作物を最初に公表する権利、公表するかどうかを決定する権利、著作者名を表示するかいなかを決定する権利——実名でいくか、匿名でいくか、無名でいくか、そういう著作者名を表示するかいないか決定する権利及び著作物、題号に変更を加えられない権利、同一性保持権というような内容を整備いたしたわけでございます。  さらに、著作物に直接には手を加えないが、著作物の名誉声望を害する方法で著作物を利用することも著作者人格権の侵害となる。たとえばヌード劇場の宣伝用の看板に美術の著作物として作製された裸体画を掲げるというようなことは、著作物には直接手を加えないのですが、その著作者の名誉声望を害するというようなことで、やはり著作者人格権の侵害となる、こういうように規定した点でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、著作権の内容を整備いたしまして、たとえば美術の著作物等につきましては原作品によって展示する権利、あるいは映画の著作物の頒布権、配給権でございますが、そういうものを法律上はっきり認めた。  それから、翻訳とか編曲、翻案等をいたした場合に、その翻訳、編曲、翻案等をされましたその原作となった著作者が、その翻訳、編曲、翻案等を利用するについて、原作者もまた権利を有するということを明らかにした。  それから、先ほど申しました、従来は適法に録音された録音物を用いてする著作物の放送演奏には、著作者の許諾を要しないということであったのを、原則的にはこれらの録音物を用いてする音楽等の著作物の放送演奏に著作権を全面的に認める、こういう原則を確立したというようなことでございます。  それから、著作権の保護期間につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現行法は、著作者の生存間と死後三十七年でございますが、これを生存間及びその死後五十年というように引き上げたことと、それから写真の保護期間は、従来は発行後十二年ということであったものを、今度は公表後五十年というように大幅に延長したということでございます。  それから、著作権の制限という点から申しますと、たとえば新たに図書館における複製、図書館でコピーをとってもらう、そういう場合の図書館等における複製、あるいは放送で学校教育番組の放送の場合、あるいは学校その他の教育機関においての複製、あるいは試験問題としての複製、あるいは点字による複製、あるいは時事の事件の報道のための利用、そういうような点について、著作権の制限を加えまして、著作物の利用を円滑にする。こういうようにいたしたわけでございますが、もちろん、その場合におきましても著作者の利益が不当に害されることのないよう利用の要件を厳格にいたしまして、たとえば教科書に載せる場合にはその補償金を権利者に払う、あるいは著作者人格権の保護という観点で通知をするというようにして、著作者の利益が不当に害されないよう留意をしておるところでございます。  それから、実演家の権利につきましては、従来は演奏歌唱だけが著作物となっておったのでございますが、法案は、演奏者、歌唱者等のみならず俳優とか舞踊家等、その著作物を演ずる者あるいは芸能的な行為を行なう者、曲芸者、そういうような者あるいは音楽の指揮者、演劇の演出家というようなものを実演家として保護する、こういうようにいたしたのでございますが、実演家には、その実演を録音、録画する、あるいはその録音物、録画物を増製するあるいは放送する権利、そういうものを与えたのでありまして、たとえば公開上映中、公開上演中の演劇等を無断で録音、録画されたり放送されないということにはっきりしたわけでございますが、同時に、商業用レコードを放送または音楽の有線放送で用いた場合には、実演家に二次使用料を支払うというようにいたしたというような点でございます。実演家の保護期間は、実演が行なわれた年の翌年から二十年というようにいたしております。  それからレコード製作者につきましては、レコードの複製権のほかに、商業用レコードの放送及び音楽有線放送における使用についての二次使用料の請求権を認めた、これも新しい内容でございます。  それから、従来は放送事業者の権利というものは著作権法上は全然認められていなかったわけでございますが、放送事業者は、放送が行なわれた翌年から二十年間、放送を再放送するあるいは放送を録音、録画する、あるいはテレビジョン放送を拡大装置を用いて公に伝達する、たとえばアイドホールでテレビ放送を拡大して見せる、こういうようなことについては放送事業者に権利を認めた。したがって、こういうことが放送事業者に無断ではできないというようにいたしております。こういうように新しく放送事業者の権利を著作権法で認める、こういうことの内容でございます。

藤波孝生自由民主党

○藤波委員 時間をちょうだいいたしまして、今回の改正案についての文部省の基本的な御所見を承ってまいったわけでありますが、さっきも申し上げましたように、戦後各国がこの改正に取り組んでおる姿勢を見ますると、非常に時間をかけて国際条約等との面もいろいろな面から勘案をしつつ、しかも国内の権利者と利用者との調整をはかって審議にあたってきておることを私ども見ておるわけでございますが、そういう意味では、本国会に提出をする時期ももっと早く出して、この国会でひとつしっかり審議を願いたいという姿勢が必要であったと思うのでありますが、四月も半ばを過ぎてから御提出になったというようなこと、これはまとめるのにいろいろ時間がかかったと思うのでございますが、審議をするわれわれといたしましても、いろいろな角度からひとつ十分審議を尽くして取り組んでいくということが大切であり、りっぱなものを審議を尽くして、残して、坂田文部大臣、今長官という非常に文化の水準の高い大臣、長官をいただいたときの所産として後世に残したい、こんなことを考える次第であります。  そういう意味で委員長、ひとつお取り扱いにつきましては、これはいろいろな角度から問題は出尽くしておると思いますけれども、国会は国会の場で国会独自の見識を持ってこれをいろいろ討議していかなければならぬ面も多いと思いますので、ひとつ小委員会の設置等、あるいは適宜参考人の招致等お取り扱いについてひとつ委員長の慎重なお運びをお願いいたしまして、私のとりあえずの質疑を終わらせていただきます。(拍手)

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長 次回は明後十六日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会

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