文教委員会 第15号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/05/07
会議録
○大坪委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。井上普方君。
○井上(普)委員 大臣にお伺いしたいのですが、きょう十一時十五分から何か急な用があるそうでございますが、一体何時ごろこちらにお帰りになる御予定でございますか。
○坂田国務大臣 四十分くらいで帰れると思います。
○井上(普)委員 それでは、私、帰ってこられましたら、特に大臣だけに聞かなきゃいかぬことがたくさんできておりますので、委員長におかれましては、ひとつその点、時間的な御配慮をお願いいたしたい、このように思う次第でございます。 先日——もう一カ月になりますか、前に、東大の工学部の受託研究ということを大臣にお見せいたしまして、都市工学科の受託研究の様子が、特に経理上にもあらわれていない。しかも、その研究自体が大学院生にやらしておる。のみならず、こういう委託者側からの予算的なワクもあるし、かつまた、目的も持っておるのでございますから、自由に研究ができないというような点を私は指摘いたしたのでございますが、その際、四十九件のうちに、文部省が知っておるのはわずかに二件、あと四十七件というものは御存じなかったということでございました。この点につきましては、私も非常に遺憾に存ずるし、学生諸君が、受託研究について、産学協同である、しかもそれが経理がうやむやに済んでしまってはっきりしていないという点については、これはもう学生諸君が言うのが正しいと思う。したがって、もうかれこれ約二旬を過ぎた今日、文部省は少なくもあのお示しいたしました受託研究についてどういう御処置をとって、その結果どうなっておるのか、ひとつお示し願いたいと思うのでございます。
○坂田国務大臣 先般受託研究の問題につきまして、お答えいたしましたとおりに、ただいま東大当局に対しまして調査を依頼しておるわけでございます。
○井上(普)委員 もうすでに三週間は過ぎておるのでございます。三週間を過ぎて、それは東大に問い合わせをしておるという段階というのは、ちょっと非能率的じゃございませんか、どうでございますか。
○坂田国務大臣 残念ながら実はまだ向こうから返事が参りません。なかなか大学というところは、御承知のとおりに、こういうような報告を求めましても、すぐそれに対応しまして役所みたいに実は出てこないわけでございます。まあ、こういうようなところにも問題があるかと思いますけれども、しかし、まあ一応事実は事実でございますので、もう少し督促はいたしてみたいと考えておるわけでございます。
○井上(普)委員 大学側に言ったところが、まだ言ってこないと言いますが、これは、大学と文部省の間に意思疎通がないのではないかという点が考えられます。それともう一つは、再三再四おたくのほう、文部省のほうでこれを催促いたしましたか。こんなところにお役人の、何と申しますか、非能率的なところがあらわれておるのだと私は思います。どうでございますか。
○坂田国務大臣 やっておるわけでございます。
○井上(普)委員 これだけ世の中が進歩しておるのですよ。そこにも直通の電話があるのです。直通の電話をここで回せば、すぐ東大にも通ずるのです。これだけ世の中が進歩しておるにもかかわらず、そんなスローモーションであっては、私ら次へ進んで質問しようと思いましても、質問できないじゃありませんか。局長、あなたどんなほうへ聞いたのですか、東大当局に対して。
○村山(松)政府委員 文部省と大学との関係は、大学の本部を通じまして、各部局末端のことを照会するというしきたりでございますので、文部省としては、東大の事務局にその旨を照会しておるわけでございます。事務局ではそれを工学部におろし、工学部では都市工学科におろし、調査が進められておるわけでございます。事実上の問題としては、ある程度文部省から、さらに部局にも連絡はいたしますが、報告を求め、報告をするという正規の関係としては、大学の本部を通じて報告も求め、督促も行ない、資料も求めておるというのが実情でございます。
○井上(普)委員 大臣、こういう非能率的に——私は大学問題について質問をしておるのです。しかも大学の研究態度について質問をしておるのです。こういうことが明らかにならずに、大学問題について、あなた方はもはや中教審の答申によって次の立法の準備をしよう、もう準備をされたということを承っておるのです。しかも近々には党首会談、野党の党首までも呼んでこれの協力を得るというような、片一方のほうではえらいスピードアップをされておる。ところが実態の調査になると、こういうようなおくれたことで、はたしてあなたがおっしゃっておられる立法をするといたしましても、それらの審議がおのずからストップされるじゃありませんか。片一方では、各党の党首会談まできょうあすのうちにも呼びかけられるというお話を承った。そういうふうに、片一方のほうにおいては、すなわち中教審の答申なんて、あんなくだらぬ答申を出されたら、それによって都合のいいところばかりおとりになって、片一方では与党の意のままに進めようとする。片一方、大学の内部の真実をわれわれは知りたいから実はお伺いしておるのです。ところが、これについては、何らおたくのほうからは資料も来ない、こういうことで一体審議ができますか。どうでございますか、大臣。
○坂田国務大臣 実は御承知のとおり、東大は紛争大学でございます。しかも一番長い紛争をいたしておることは御案内のとおりでございます。そこが、今日の大学が学生からも批判をされ、あるいは国民からも問われておるゆえんだと思うのでございます。今日の社会の体制に対応できない姿になっておるということだと私は思うのでございます。でございますから、私といたしましては、私に与えられました指導、助言の一つの範囲内におきましても調査を求め、そして東大白書と申しますか、そういうような面を国民の前に明らかにする必要があるというふうに思っておるわけでございまして、その点は井上委員と私全く同感なんでございまして、それを明らかにした上で、初めて新しい大学像というものが生まれてくる。閉ざされた大学から国民のために開かれた大学像というものが描けるかと私は思うわけでございます。ことに御指摘になっておりまする学問研究の体制あるいは大学における基礎研究というものをどう考えていくかということについて、われわれも考えております。また皆さん方においても考えておられることと思います。しからば東大当局は一体何を考えておるのか、そういう基礎研究というものをどういうふうに考えておるのかということについては、実を申し上げますと、まだ明らかにされておりません。そういうような状況でございまして、こういうような具体的な問題を一々引きずり出し、国民の前に明らかにしていくということこそ、私は大学の改革につながるものだと思っております。しかし、いま申し上げましたとおりに、まだ受託研究の内容等についての正式の報告を受け取っておりませんわけでございまして、この点についてはまことに遺憾でございますけれども、ありのままを、事実を申し上げた次第でございます。私といたしましても、一日も早くその調査報告がまいりまして、そしてそういうようなところにメスを入れなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○井上(普)委員 一応現在の大学の姿というものが浮き彫りにされたあとで中教審の答申がなされるべきであると私どもは考えておったのです。ところが、この中教審を見ましても——これは時間がございませんので、ひとつこの点は後ほどお伺いいたしたいと思うのでございますけれども、ともかく私らが知った範囲内においてもこういう矛盾があるじゃないか、だからこれを早く私らに答えていただかぬことには、大学問題を論議する上において大きい支障を来たすのです。特に学生諸君が言っておりますのも、御承知のように産学協同であり、軍学協同ということばすら使われてきておるでしょう。でございますので、私どもはこの産学協同の実態というものがどんなものか、ここにメスを入れなければならぬと思いますから、私は御質問申し上げておるのです。しかし、これはおたくのほうから係官を派遣して、そうして真剣に取り組めば、一日でこんなことはわかるはずなんです、文部省から行けば、私どもでもあそこへ行って聞けば大体金額くらいはわかります。そんなことさえやらずに、さあ党首会談だ、あるいはまた片一方の政府・自民党に御都合の——自民党とは申しませんけれども、文部省側にとって御都合のいいことばかり取り上げて、お年寄りが集まった中教審が出した答申によってもう法律をつくるというようなことでは、私は、大学の根本解決にもならないし、紛争の解消にもならないと思う。ただ一方において威嚇するだけじゃありませんか。こういう問題につきまして、私ははなはだ遺憾に存ずるのですが、いつまでにこの委員会に報告になっていただけるか、大体見通しを聞かしていただかぬと、次の質問に移れませんから、ひとつ御答弁願いたいと思います。
○村山(松)政府委員 全貌を調査するのはまだなかなか時間がかかりまして、いつまでという確たる見通しを申し上げることができないのはたいへん遺憾でございますが、中間的なものでもすみやかにつくりまして御報告申し上げるようにいたしたいと思います。
○井上(普)委員 局長、私は日本語をしゃべっているつもりです。あなたは日本人で日本語をわかっておるはずだと思うのです。いつまでにということを聞いているのですよ。すみやかにというのは、これは役人の逃げ口上かもしれませんが、すなおにひとつお答えください。
○村山(松)政府委員 文部省だけで調査するものであれば、はっきりした期日で申し上げますが、何ぶんにも相手方のあることでございますので、かりに期日を申し上げましても、相手方からまだ出ない場合もあり得るわけでございますので、すみやかにと申し上げたわけでございます。
○井上(普)委員 大臣、工学部全体といいましたら、それは膨大なものになるでしょう。また、医学部におきましても、製薬資本がどんどん入って、あそこの正規の受託研究の大体十倍近くはともかく製薬会社から出ておるのです。それを一々私は言っておるのじゃない。東京大学という膨大なるところの一工学部の、しかも一すみにある都市工学科のわずか四十九の受託研究について具体的に示せ、こういうことを言っておるのです。これさえもまだ、すみやかにとか、へったくれとか言いまして、いつまでにこちらのほうに御答弁願えるかということがわからぬようなことでは、文部省は一体何をしているのだ、大学当局何をしているのだと言わざるを得ないのです。いつまでに大体御返答いただけるのですか。すみやかにでは話になりません。
○村山(松)政府委員 都市工学科の分だけでございましたら、完全なものができるかどうか存じませんけれども、来週一ぱいくらいにできるのじゃないかと思います。
○井上(普)委員 来週一ぱいといいますと、あと十二、三日あるのですよ。それまでに政府は大学の臨時立法をお出しになると思いますが、その大体の見通しをつけられる段階である。そんなことでやられるから——ともかくもっと早くできませんか。 あと大臣おられる時間が非常に少ないので、きょうは四月の二十一日に文部省がお出しになりました次官通達についてひとつお伺いいたしたいと思います。 特に、この次官通達は依命通達といって、最後には「命によって通達します。」と書いて、そうして文部事務次官天城勲君の名前で通達が出ておるのであります。これは一応考え方によれば、大臣の非常に人情あふるる御処置であったかとも存じます。と申しますのは、この次官通達は後世に悪名を残す通達になるでしょう。この悪名を残すべき通達を、部下思いの坂田さんは、これはかつての剱木通達とかいわれるように、天城通達として将来残ってはいかぬという御配慮から、依命通達ということをわざわざ表題に書き、命によって通達しますと天城さんはこれを出しておられるのでございますが、大臣、依命通達というような二・二六事件の奉勅命令みたいなものをお出しになった御真意はどこにあるのでございますか、ひとつお伺いいたしたいと存ずるのであります。
○坂田国務大臣 通達のやり方については私よくわかりませんから、局長から御答弁申し上げたいと思いますが、この「大学内における正常な秩序の維持について」の要旨でございますが、最近の大学における異常な事態にかんがみまして、各大学は、学内の正常な秩序の回復、維持のために特に次の事項に留意して努力することということで、第一番目に、大学は学内の刑事事件に対して、警察と協力して適切な措置を講ずること、特に緊急事態に当たって警察が所要の措置を講ずる場合には適切な協力体制をとること。二番目には、大学の教職員は学内の犯罪行為を告訴、告発し、秩序維持に遺憾なきを期すること。三番目には、警察の行なう学内捜査に協力すること。四番目には、大学に凶器、危険物が隠匿されたり、みだりに宿泊等に利用されることがないよう適切な施設管理につとめること。五番目には、昭和二十五年の次官通達は、学内の暴力行為に対する警察権の行使を制限しようとする趣旨のものではない。したがって、学内の緊急事態に対し警察が必要な措置を講ずることは当然なことであること。六番目には、四月の二十八日前後には、四・二八沖繩闘争が計画され、それに備えて各地の大学を拠点として利用する動きも見られるので、学内の秩序の維持に万全を期せられたいこと。この六項にわたりまして通達を出したわけでございます。 なお、五番目の昭和二十五年の次官通達のことにつきましては、昭和二十五年の次官通達というものが一部に誤解をされまして、そうして犯罪が学内にあっても警察権の行使は行なわれない、言うならば治外法権の場であるというようにあやまって考えられておる向きもございますので、そうではないのだということをあっさり明らかにいたしたにすぎないわけでございます。
○井上(普)委員 私は、依命通達として出したのは一体どういう理由かということを聞いているのです。次官通達は大体が依命通達であることは知っております。しかし、二十五年の七月二十五日に出されておる剱木通達を見ましても、依命通達なんということは書いてないですよ。このたびは命によって通達するということを麗々しく書いたのは、総理大臣の命令なのか、大臣の命令なのかあるいはまた自民党タカ派と称する人達の命令なのか、大臣は一体それをどう受けて、文部次官の天城さんに後世汚名を着せまいがためのあなたの配慮か、こういうことを聞いているのですよ。内容を聞いてない。
○坂田国務大臣 昭和四十四年四月二十一日、各国公私立大学長殿、文部事務次官天城勲ということであるわけで、依命通達ということはカッコに書いてあるわけです。これはあたりまえの話なんです。
○井上(普)委員 本文にありますよ。記としるす前に、「とくに下記事項に留意のうえご努力をいただくよう、命によって通達します。」と書いてあるのです。
○坂田国務大臣 それはあたりまえのことだと私は思うのです。私が命令をして、そうして次官が通達を出したというわけです。これはあたりまえのことじゃないですか。
○井上(普)委員 いま、いままでの次官通達の形式とこの場合は違うのです。剱木通達を見ましても、各省の通達を見ましても、通達というものは、命によって通達しますという例はありません。だから聞いているのですよ。命によってというのは、あなたの御命令なのか。それはあなたの命令だと言わざるを得ぬでしょう。しかし、なぜ依命通達にしたか。命によってわざわざ通達するか。進駐軍の当時に、命によって通達するということを国の役人は盛んに書いたものですけれども、特にこの際命によって通達しますということを麗々しく掲げておる理由は何か、これを私は聞いているのです。
○坂田国務大臣 この通達を出しましたときの文部大臣は坂田道太である。その坂田道太の命令によってやった。責任を明らかにいたしたわけであります。
○井上(普)委員 それで大臣の下僚を思う心はよくわかりました。将来この次官通達なるものは歴史に残る通達になるだろうと私は思う。ために下僚が後世汚名をかぶらぬためにあなたはわざわざ依命通達という形でお出しになったことが、部下を思うあなたの心情はよくわかる。あるいはまた部下がこれに反抗したかもしらぬ。それを押し切ったのかしらぬ。知りませんけれども、とにかくその点につきましてはよくわかりましたので、大臣、時間が来たようでございますので、また後ほどこの内容につきましてひとつお伺いいたすことといたしまして、大臣への質問は終わります。
○大坪委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○大坪委員長 速記を始めてください。 ————◇—————
○大坪委員長 斉藤正男君外八名提出の日本学校安全会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○大坪委員長 提出者より提案理由の説明を聴用いたします。斉藤正男君。
○斉藤(正)議員 このたび社会党から提出いたしました日本学校安全会法の一部を改正する法律姿につきまして、その提案の内容と理由を申し上げます。 まず内容といたしましては、現在義務教育諸出校の児童生徒の学校安全会の共済掛け金は、学齢設置者と父母が折半をして負担をしておりますが、昭和四十五年度から、この共済掛け金の負担率を設置者十分の七、父母十分の三としたいとするものであります。 理由といたしましては、私は児童生徒の安全ということについて現状を憂慮をする立場にあることを申し上げたいと思います。この理由の一つとして、最近の児童生徒の交通災害の多発があげられましょうし、いま一つは、中学校の理科、技術科、体育クラブ活動など、特に技術科の実習中や学校内外でのクラブ活動での事故がふえてきていることを重視したいと思うわけでございます。 したがって、私は将来においては、国家公務員、地方公務員や民間労働者が災害保障の諸法律で守られておりますように、児童生徒のこれら災害が、国家なり公共団体で全額負担をして補償をしていくという、社会保障の制度として考えたいわけでございますが、当面義務教育費の父母負担の軽減の点をも考慮をして、学校設置者の共済掛け金の若干の増により、安全会の制度の改善をはかりたいと考えたわけでございます。 当然私たちは、児童生徒をあらゆる危険から守る安全の確保が最も重要だと考えておるわけでございますが、さきに申し上げたとおり、児童生徒を災害から保護をする一方、万一不幸にして安全会法の適用を受ける際には、できるだけ父母負担でなく、社会の責任によって果たしたいという、制度としての一歩前進といった点からも当面の措置として提案をする次第でございます。 以上が提案の内容とその理由でございます、何とぞ十分な御審議の上、すみやかに、御決定をいただきたいと存じます。
○大坪委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○大坪委員長 文教行政の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。斉藤正男君。
○斉藤(正)委員 前回に引き続いて、高知県の教員異動につきまして若干の問題点をお尋ねしたいと思うわけでございますけれども、その一つは、本年度の人事異動にあたって、高知県教育委員会は、現職の高知市教組の委員長並びに現職の吾川郡教組の委員長並びに書記長を、何の前ぶれもなく管外へ転任をさせたわけでございますけれども、このことについては、すでに高知県教育委員会から文部省へその具体的な内容については報告がされていると思う。こうした現職の単位教組の責任者を、何の前ぶれもなく管外へ転勤をさせるということについては、非常に重要な問題であって、私はこれは明らかな不当労働行為だというように思うわけでありますけれども、初中局長はどのようにお聞きになっておられるのか。そして不当労働行為の解釈に基づき文部省としてはどのようにお考えになっているのか、まず伺いたい。
○宮地政府委員 お尋ねの点でございますが、高知市の教組の委員長の細川裕司教諭、これが高知市の潮江中学校から吾川郡の仁淀中学校へ転勤になった。それから吾川郡教組の委員長の関田教諭が吾川郡池川中学校から土佐郡地蔵寺小学校に転勤になった。また、吾川郡教組の書記長の井上教諭が吾川郡平和中学校から南国市鳶ケ池中学校へ転勤になった、この件についてのお尋ねと存じます。 私ども、高知の教育委員会にこの点を尋ねましたところ、高知県には、教職員人事異動につきまして、基本的な考え方、基本方針なり具体的な取り扱いといったような内規ができているようでございますが、その内規に照らしまして県内の人事異動を行なった場合に、それぞれ御当人から見れば、いろいろ満足な場合もございましょうし、またその異動が満足な感じで受け取れないといったような、県内の人事異動でございますので、具体的に異動を発令された者が、それぞれ主観としていろいろな感じを持つということはあり得ると思いますが、少なくとも教育委員会としては、いま申しました異動方針なり具体的扱い、内規の定めに従ってやったものであって、職員団体の構成員であるとか、あるいは職員団体のために正当な行為をしているのに、そういうことはよろしくないといったような観点から、いわゆる不当労働行為といったような観点から、この三名の人事異動をしたものでは毛頭ないということでございます。 やや具体的に申し上げますと、細川教諭は、高知市内に二十二年もつとめておられますし、その他の地区で、いわゆる平たん地勤務が二十五年以上にのぼっておる。ところで、異動方針によりますと、大体公立小中学校の教諭につきましては、勤務評定を重要な資料とするのは当然でございますが、おおむね僻地に三年以上、あるいは平たん地に七年以上勤務した、こういったような者については原則として人事異動の対象にするといったような考え方がございまして、この方は平たん地勤務ばかり長かったということで、準僻地校に転任されたという説明でございました。それから井上教諭につきましても、高知市勤務が二十年、通算しまして二十五年以上も平たん地校勤務でございましたので、異動基準に合致した人事である。関田教諭につきましては、この方は細川、井上教諭と若干違うようでございますが、前任校も準僻地校でありますし、転任先も準僻地校でございます。ただ当人は、この三月まで三年間組合のいわゆる専従職員でございましたし、専従職員の間に定員が埋められておりましたために、この四月から現場復帰になりましたが、前任校では定数が一ぱいであったので、学校運営上の観点から、地教委としても、いまの先生方を異動さしてまでその人をとるというよりも、現在の人を転任させないでそのまま置いてほしいという地教委の希望もありまして、関田教諭は別な学校に転勤したというふうに聞いております。
○斉藤(正)委員 高知県教委は、細川、関田、井上三君がそれぞれ単位教組の委員長であり、書記長であることを承知で転任をさせた。しかし、それは組合の役員をしていたからではない、人事の異動の基本方針に従い、主として勤務年数が対象になって転任をしたのだ、こういう見解をされておるようでありますが、しからば高知市内には、細川君のように二十年以上なお勤務をして、高知市に残っている先生方がたくさんある。こういう先生を異動させずに、なぜ細川君を異動させたのかということになってきますと、勤務年数が二十年以上という異動の基本方針はくずれてくると思うわけでありますが、その辺の事情についてはどのような報告を受けておられますか。
○宮地政府委員 いまの先生のお尋ね、そのとおりを私のほうは詳細に承っておりませんが、ただ、この細川教諭は高知市に二十二年もつとめられた。その他の地域も平たん地であって、二十五年半というものは平たん地に勤務しておった。ところで高知県といたしましては、少なくとも五十歳以上で平たん地の学校に引き続き二十年以上勤務している者は移ってもらう、いわば僻地の経験をしてもらう、四十五歳から四十九歳までの者でございますと、平たん地勤務が十八年以上であれば僻地の経験をしてもらう、といったような基準を持っておるようでございまして、この細川教諭はそれに該当しておる。私、それ以外に該当しておる方で動いてない方が何人あるかは聞いておりませんが、これはたとえば二十年以上ということで、二十五年も平たん地にいた方ですから、これは移る。しかし、二十年から二十二、三年、四、五年まで、まだ異動しないで勤務しておる者もあろうかと思います。それは細川教諭自身が、二十五年も平たん地におられたわけですから、二十年以上平たん地であれば僻地に行くのを——個々の一人一人が二十年きたら直ちにということ、これはそういうこともあるでございましょうが、二十一年あるいは二十二年というふうに平たん地が延びる方もあろうかと思います。これはただ御当人にとりますれば自分自身のことですが、県としては何千人の教諭を県としての配置をやるわけでございますので、個々の人につきましてはおおむねこの基準を原則として、多少の例外もあろうかと思います。
○斉藤(正)委員 多少の例外じゃなくて、高知市に二十年以上勤務して今度の異動の対象にならなかった先生方は三十数名あるわけです。私の記憶が正しいならば、三十三名確かに高知市に二十年以上勤務している先生方がある。これらが異動をされていないのに、なぜ細川君が、たとえば高知市に二十二年、他の平たん部に五年、二十七年勤務したからということだけで異動の対象になったかということについては、万人を納得させるだけの理由はないわけであります。細川君がそういう理由で転任を余儀なくさせられたということならば、当然高知市に二十年以上勤務しているほかの三十三名の先生方もその対象になってしかるべきだというように思うのでありますけれども、なぜ現職の高知市教組の委員長ということを承知でありながら異動をさせたかという点に問題がある。しかも民主的にきめられた規約により、全組合員の投票により、民主的な手続を経て選ばれた高知市教組の委員長、これを市外へ転任をさせたということについては、二十年以上勤務していた者で三十数名も動いていない人が一方にあることと対比したときに、明らかに組合の委員長であるからという解釈をされてもやむを得ないというように私は思うのでありますけれども、この細川君が高知市の潮江中学から吾川郡の仁淀中学へ移って、高知市教組の組合業務ができると御判断ですか、いかがですか。高知市教組の委員長が吾川郡の仁淀中学へ転任をさせられて、民主的な手続により、民主的な方法で選ばれた高知市教組の委員長の職が全うできるかどうか。できるとお考えでしょうか、できないとお考えでしょうか、いかがですか。
○宮地政府委員 いまのお尋ねのあとのことはあとで申すといたしまして、前段でございますが、実は私ども承知いたしておりますのは、高知市内勤務の教諭で異動しました者が百数十名あったように聞いております。そのうちに細川教諭も含まれておったということで、いま先生のお知らせの二十年以上の人が三十数名おられるということをかりにそのとおりであったと——私、承知しませんので、一応先生がおっしゃるとおりといたしましても、もうみんな二十年たてば全部動かしてしまうという人事のやり方もございましょうが、しかし、この細川教諭は高知市に二十二年もおられた、平たん地に二十五年もおられたわけですから、二十年で絶対に動かすということであれば、細川教諭自身がもう五、六年前に動いておられるべきであるといったようなことも、これは逆論として成り立とうかと思います。私も人事行政をやったことがございますが、基準として、二十年たった者は動かすという場合に、二十年たった者を全員動かし得る場合と、二十年以上である人の中から動かすということはやはりあり得ることで、その中に細川教諭が入っておられた。たとえば二十年というのを、十九年何カ月で、数カ月切り上げて、無理無理二十年たったということでやったとかいったようなことですと、いろいろ先生のおっしゃるような点にも該当するような推量もできようかと思いますが、私は、細川教諭は二十五年も平たん地につとめておられて、二十年以上を五、六年もオーバーしておられるわけですから、異動をさせたことについて、組合の委員長だからといってねらい撃ちをやったというふうに解されるのは、御当人の、多少不便な地域に行ったとか、あるいは組合委員長として高知市の中心部よりも多少離れたところに行って委員長として不便であるといったような気持ちから、不当労働行為であるというようなお感じをなさるのではなかろうか、決して不当労働行為ではないし、二十年以上の人の中に細川教諭が含まれておったということで、何ら不都合はなかろうと思います。 それから、高知市で委員長をしておった人が、高知市から離れたところへ行って県の委員長としての職務がつとまると思うかどうかということでございますが、これは専従の方とそうでない方でまたやり方も違おうかと思います。それから、職務がつとまるかつとまらないかということは、教員としての職務を中心に考えるか、あるいは委員長としての職務を中心に考えるか、その考え方によって、またいろいろな感じ方があろうかと思います。私は直接先生の御質問に対して、できるといえばできるとも答えられますし、いままでよりは不便になるであろうということであれば、それも言い得ると思います。でございますので、委員長としての職務が全うできると思うかどうかということに対しての直接的なお答えとして、イエスかノーかというお答えはちょっと私、できにくい。答えたくないという意味じゃなくて、どうも判断しにくいというふうに考えております。
○斉藤(正)委員 あんた、そういう感覚だからだめなんだ。各県教組、各郡市教組、各町村教組、それぞれ規約を持って、規約の中に構成メンバーを規定しているのですよ。高知市教組の規約は、高知市の学校に勤務する職員で構成し云々ということできまっているのだ。吾川郡へ行って高知市教組の組合員であることはあり得ないじゃないか。吾川郡に行けば吾川郡教組の規約があり、吾川郡教組の組合員になるのです。できるか、できぬか、それはやろうと思えばできる、学校勤務に重点を置くか、委員長の職務に重点を置くか、判断できぬなんて、何を寝言を言っておるのですか。高知市からよそに転任された先生が、高知市教組の組合員ではあり得ないのですよ。あんた知っていますか。日本教職員組合の規約があり、高知県教組の規約があり、高知市教組の規約がある。そういうことで構成メンバーはきまっているのですよ。吾川郡へ行って高知市教組の組合業務がどうしてできるのですか。何を寝言言っているのだ、寝言言っちゃいかぬ。やろうと思えばできる——できるのかね。イエスかノーか言ってください。それこそイエスかノーかだ。冗談じゃない、三つ子でもわかることだ、こんなことは。どうなんですか。
○宮地政府委員 私、ちょっと訂正させていただきます。(「ちょっとじゃない、だいぶだ。」と呼ぶ者あり)
○大坪委員長 静粛に願います。
○宮地政府委員 先ほど重大な思い違いをしておりましたので、訂正させていただきます。 先ほど御説明したときに、市教組の委員長と申し上げたのですが、とたんに斉藤先生のお声が高うございまして、急に私は市教組の委員長を県教組の委員長だったかなという感じがいたしましので、重大な思い違いであったので、その点は訂正させていただきます。 ただ、こういう組合の人に対して、不当介入ではございませんが、人事をやります場合に、高知市教組の委員長である。だからといって、その人に転任を、基準には合っても、どこまでも、高知市を離れれば高知市の委員長ができないということで、非常にその便宜をはかるということは、不当労働行為の逆の場合で、あまりに便宜をはかり過ぎることも、これは労使不介入の原則から、私はあまり適当なことではなかろうと思います。ですから、人事というものは公正に行なわれるべきでございまして、高知市の委員長をしておるからといって、その人が二十年以上の基準に達しておっても、委員長だけは別扱いであるというような扱いをしなければならないという理由はないと思います。
○斉藤(正)委員 そんなことは聞いていない。委員長、ちょっと注意してください。そんなことは聞いていない。高知市教組の……。
○大坪委員長 斉藤君、どうぞ立って質問してください。
○斉藤(正)委員 委員長から答弁を気をつけるように言ってくださいよ。私は、高知市教組の委員長が吾川郡へ転任をさせられて、吾川郡に勤務を持って、しかも高知市教組の組合業務ができるかどうかということを聞いているのですよ。それに答えていない。
○宮地政府委員 その点につきましては、先ほど私として重大な思い違いをしておりました。県教組の委員長ととたんに思い違いをして答えましたということを、先ほどおわび申し上げ、訂正をしたわけでございます。(斉藤(正)委員「それだけではわからない。」と呼ぶ)ですから、高知県教組の委員長と思い違いをして答えましたので、訂正をさせていただきます。高知市から他のほうへ行けば高知市の委員長にはなれないと思います。
○斉藤(正)委員 それで明らかになったわけでございまして、結局、高知市の教組の委員長である細川君を吾川郡へ転任をさせたということは、規約に基づく民主的な手続で選出された委員長を、組合業務のできない吾川郡へ転任させたのですから、これは少なくとも組合業務に対する大きな干渉であり、不当労働行為につながる、私どもはこう解釈するわけであります。 そこで自治省に伺いたいわけでございますけれども、地方公務員法五十六条「不利益取扱の禁止」という条項があるわけでございまして、「職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。」これが地方公務員法五十六条に規定をされているところであります。この地公法五十六条は、いわゆる職員団体である日本教職員組合あるいは各県教職員組合が労働法の適用から除外をされたために、ここに地方公務員法五十六条によって「不利益取扱の禁止」の条項がうたわれているというように私どもは考えておるわけでございます。もしこの点が間違いであるとするならば御指摘を願いたいと思うのでございますが、この地方公務員法五十六条の規定は、そういう性格のものだというように私は考えております。したがって、「職員団体のために正当な行為をしたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。」こういうことになっておるわけでありますが、いま文部省初等中等局長の答弁によれば、組合の委員長をやっていたからという理由で転任をしたわけではない。高知市内に、あるいは平たん部を含めて勤務年数が長いので転任をさせたのだ、こういう見解でありますけれども、少なくも現職の教組の委員長がこういう形で転任をさせられたということについては、私は釈然としないわけでございますけれども、自治省公務員第一課長、見解をひとつ伺いたいと思います。
○石見説明員 お答え申し上げます。 いま御指摘のございました地方公務員法の五十六条の規定は、お話がございましたように、職員が職員団体に入りまして法律の認める正当な行為をしたことを理由としまして不利益な取り扱いをしてはならないという規定でございまして、労働組合法の第七条第一号に定めるいわゆる不当労働行為の禁止規定とその趣旨を同じゅうするものであるというふうに考えておる次第でございます。 御質問にございました教員の異動が、はたしてここでいいます不利益な取り扱いに当たるかどうかということにつきましては、具体の事情を私たち存じておりませんのでお答えいたしかねるわけでございますが、この五十六条の解釈に限りましてお答え申し上げますと、一般的には、転任というのは不利益処分になるかどうか、転任の中でもあるいは降任をしてかえるとかあるいは降給をしてかえるという場合には明らかに不利益処分となるという場合がございますが、降任あるいは降給を伴わないで転任をしたという場合に、不利益処分になるかどうかということにつきましては、法律上は別段規定はございませんが、これにつきましては、御案内のように昭和二十六年の法制局の解釈意見があるわけでございます。 〔委員長退席、高見委員長代理着席〕 これによりますと、降任あるいは降給を伴わないような転任でございましても不利益な処分になり得る場合があるということを言っておるわけでありまして、では、どういう場合にここでいう不利益な処分になるかということにつきましては、たとえば公立学校の校長あるいは教員の転任につきまして、職務の性質とか学校の規模あるいは当該学校に対します社会的評価の程度、そういうものも、やはり不利益処分に該当するかどうかを判断する一つの要素にはなるであろうという法制意見が出されているわけであります。私どもといたしましては、この法制意見に従いまして、いままで転任についても、転任は少なくとも降任、降給を伴わない場合であっても、こういう総合的な点を勘案しまして不利益処分になり得る場合もあるであろうというふうに考えておる次第でございます。
○斉藤(正)委員 きわめて明快な見解を持っておられるわけでありますけれども、いやしくも規約に従い、その規約は民主的に手続をとってきめられたものである、そして民主的な方法で、全員投票によって選ばれた単位教組の委員長である。したがって、この単位教組の委員長に当選をされた細川君は、高知市におって組合業務を遂行するということが当然の任務であり、法で守られた一つの地位である。これがよその地域へ転任をさせられたことによって、先ほども初等中等局長の答弁にもありましたように、吾川郡へ行ったのでは高知市の組合業務はできないということになれば、高知市教職員組合はそのキャップを失い、当然組合運営に支障を来たす、こういうように思うわけでございまして、私は、やはり降任とかあるいは降格とかいうことよりも、別な角度から正当な人事ではない。こういうように解釈をするわけでありますけれども、もう一度この辺について自治省の見解を承りたい。
○石見説明員 再度の御質問にお答え申し上げますが、先ほども申し上げましたように、私たち具体の事情を存じておりませんので、はたして御指摘のございましたいわゆる転任処分が、ここでいいます不利益な取り扱いになるかどうかということにつきましてお答えいたすことは、ちょっと御遠慮したいと思うのでございますが、いずれにいたしましても、職員がその意に反して不利益な処分を受けました場合には、四十九条の二の規定によりまして人事委員長に対しまして不服の申し立てをし得る道を開いておるわけでございます。したがいまして、第三者機関としまして公正な立場でこの処分の適否の判定が人事委員会においてなされるものであると存じますので、ここにおきましては御質問の点につきましてのお答えはお許しいただきたいというふうに存ずる次第であります。
○斉藤(正)委員 課長の立場から即時に明快な答弁は遠慮させてほしいということでありますが、このことはわかるような気もするわけでありまして、明らかに不当労働行為でないと断定もできないし、不当労働行為だという断定もできないきわめて微妙な問題だというように、お答えの内容から受け取るわけでございますが、労働省の労働法規課長さん、お見えでございますけれども、労働組合法第七条、先ほど石見課長からもお話がございましたけれども、この労組法七条によりますれば、「不当労働行為」ということで「使用者は、左の各号に掲げる行為をしてはならない。」と明らかに規定をされ、その一として、「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。但し、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。」ということが規定をされておりますし、特に第三号には、「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、」というようなことも出ておりますし、いわゆる労組法適用の労働組合に対しましては明確な規定がされております。これを受けて、労組法の適用を受けないいわゆる職員団体等については地公法五十六条で規定をされたというように先ほど石見さんからもお答えがあったわけであります。民主的な手続をとり、民主的な方法で選ばれた単位教組の委員長が、組合業務を遂行できないよその郡市へ不意に転任を命ぜられたということは、この労組法七条の精神並びに地公法五十六条のたてまえからいっても不当労働件為に該当をするというように考えておるわけで点りますけれども、労働省は、労組法七条と地公比五十六条との関係から、いま問題になっております高知市教組の、専従ではありませんよ、専従ではありませんけれども、単位教組の委員長が組合活動のできないよその郡市へ不意転をさせされたということに対して、どういう見解をお持ちでございましょうか、七条との関連において伺いたいと思うわけであります。
○大塚説明員 ただいま御質問のございました帯働組合法の七条の問題でございますが、現在起こっております具体的な事例に関しましては、地方公務員法の問題でございますし、私どもといやしましてはこれに対してお答えをするのはちょっと筋が違うという感じを持つわけでございます。そこで先生の御質問は、むしろ問題を想定の問題と考えまして、そういうような事例が私立学校においてあったとすればどういうふうに考えるべき彗かという、いわば抽象的な問題として、御質問を考えさせていただきたいと思うわけでございます。 そのように考えました場合に、一体私企業において、当該企業における労働者の不利益な取り扱いをすることが組合法の七条でどういうふうに禁止されておるかといえば、それは労働組合活動をしたことのゆえをもってそういうふうにしたという一つのある特定動機、組合をいわゆる支配介入といいますか、そういう不当労働行為目的のために一定の行為をすることが禁止されておるわけであります。したがいまして、一号の関係で申しますならば、当該ケースがまず第一には不利益に当たるかどうかということが一つ問題になると同時に、その不利益を与えたことが労働組合活動をしたことのゆえをもってなされたかいなか、そういう二段の構成が必要になってくるわけでございます。組合法の場合でいきますと、さらにそれに七条三号の問題がございまして、そのいずれに該当しなくても、労働組合を支配介入するということの動機をもって行なわれるということになれば、これはまた第三号に該当するわけでございます。 いまのケースについて、組合の委員長に就任したという人をその選挙区外に動かす、これは企業の側から申せば、一般的に考えますれば、職員の配置転換という問題は、職員の適性なりその特徴を十分に利用する十分な人事配置を行なうということのゆえに行なわれるわけでございまして、一般的にいえば、企業が職員を配置転換をするということは、企業の管理運営に属する事項としてやり得ることだと思うのでございます。その場合に、そういうことをされたがゆえに当該労働者が私生活上あるいはそういう組合活動上何らかの不利益をこうむるという場合に、それを七条でいうところの不利益と見るかどうかということになれば、従来の考え方といたしましては、やはり一応そういう組合活動上の不利益あるいは私生活上の不利益も不利益というであろうということは私どもも考えております。ただ、そういう配置転換が業務上の必要性に基づいて行なわれるということになりますと、結果的にその人が不利益を受けたといたしましても、それはやむを得ないと見られる場合もございます。 具体的な命令あるいは判例等を調べてまいりましても、それと似たようなケースはいろいろございますが、その場合に、結局きめ手になりますのは、その配置転換を行なった企業側の必要性ないしはその配置転換のやり方というものが妥当であるか、あるいはその企業の必要上当然のこととして行なわれたものであるかどうか。それがたとえば全然必要がないにもかかわらず、組合の委員長になった人を選挙区外に動かした、それは配置転換の面から、企業の必要性の面からいえば全然必要性がないというような場合、明らかにその労働組合活動を理由としたという立証がなくても、反面のそういう何らの理由がない、そういう配置転換は不当労働行為意思が推測されるという、推測される材料にはなるわけでございますけれども、一般的には、理由が企業の必要性があって配置転換をするという場合に、その必要性が認められますと、裁判上も、ある程度私生活上あるいは組合活動上の不便が結果したとしても、それはやむを得ないというふうに判定される場合もございます。いずれにいたしましても、その辺の企業の必要性と当該労働者の受ける不利益というものの比較権衡の問題であろう。その中から判断されるということになるのではなかろうか。民間の労働組合法の関係で申せばそういうことになると思うのでございます。
○斉藤(正)委員 もう一度伺いたいと思うわけでありますけれども、確かに労組法の適用団体でございませんので、そのものずばりの御答弁は無理かと思いますが、そのことによって細川という特定の先生は少なくも高知教組の組合活動はできない。これはもう御理解いただけると思うのであります。したがって、数千人の組合員を持つ高知教組の組合長をなくしたわけでありますから、高知教組が受ける物心両面の打撃といったようなものは当然あるわけであります。それが何ほどかということになってきますと、具体的には非常にむずかしいわけでありますけれども、少なくも高知教組の最高責任者を異動によって失ったということについては、高知教組は不利益をこうむったというように私は考えますけれども、ただその点だけについてのお考えはいかがでございましょうか。
○大塚説明員 いまの御質問は、労働組合が不利益を受けたかどうかという御質問のように私は承ったわけでございますが、そのように委員長に当選した人がいわば立候補資格のない状態にされたということは、組合としての不利益をこうむったという評価がされる場合ももちろんあり得ると思います。と同時に、私が申し上げた不利益というのは、七条一号のほうは労働者を不利益に取り扱ってはならぬということでございまして、七条一号の関係で申せば、個人が不利益を受けたかどうかということが問題でございます。労働組合が不利益を受けたということになりますと、これはむしろ七条三号で、労働組合を支配介入するために組合に打撃を与えたというような意味からいきますと、七条三号の問題にはなり得ますけれども、一般的に不利益ということで申しますると、個人の不利益ということが問題になりまして、その場合に組合の委員長になった人がその資格における組合活動ができなくなったということは、その人にとっての不利益であるということは、従来判例等でも認められておるケースは多々ございます。私どももそのように考えております。
○斉藤(正)委員 そこで、労組法七条一号はお話のとおり本人の問題、それから三号へいきますと「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、」というようなことになっておりますから、組合が対象になるわけでありますけれども、私は、民主的な方法により民主的な手続を踏んで選ばれた委員長が転任をさせられたということは、一号は別としても、明らかに高知市教組の労働運動に対する不当な介入だというように解釈をするわけです。何となれば現職の委員長をすっ飛ばして高知教組の活動をできなくさしたのですから、これは後段、手続を踏んでまた後任者を選ぶでありましょうけれども、少なくも手続を経て選ばれた委員長が、組合活動のできないよその勤務校へ移たということについては、高知教組はこの三号に該当する。運営することを支配をされた、あるいはこれに介入をされたというように解釈をするのでありますけれども、労組法七条三号の関係か“はいかがでございましょうか。
○大塚説明員 いま先生のおっしゃるような組合の委員長が、いまの場合でいえば選挙資格のない地域、それから通常よく問題になりますのは遠隔の地に転勤を命ぜられる。東京で活動をしていた人が仙台に転勤を命ぜられるという事実、これは選挙資格の有無を問わず、事実上活動不可能になるというケースは民間労使関係におきましてもしばしばあるところでございますが、この場合も、考え方といたしましては、それは支配介入になるかどうか、分かれ道になるのは、やはりその転勤自体がそれ自体として合理性を持っておるかどうかということが一つの問題であろうかと思います。その転勤それ自体に合理性があるならば、その結果その人が私生活上あるいは組合生活上不利を受けるということがありましても、直ちにそれが支配介入のための行為であるということには汗らない場合がございます。もちろん、その辺は実態判断が非常に支配いたしますし、その判断する人の主観にも支配されるわけでございまして、ここで抽象的に申し上げると、非常にはっきりするような言い方にはなりますけれども、実態判断はまちまちであろうかと思います。要するに、論理的にいえば、それが支配介入のために行なわれた行為、つまり転勤それ自体としてはもう意味がない、合理性がないということになりますと、それは支配介入のためにやったのではないかということも間々あり得るわけでございますが、論理的にいえば、その転勤が合理性を持った転勤であるたらば、その結果組合活動上あるいは私生活上の不便をもたらしたとしても、直ちに不当労働行為にならないということにならざるを得ないわけでございます。民間の関係でいえばそういうことになります。
○斉藤(正)委員 いろいろな見解があって、いまこの場で黒白をつける、決着をつけるわけにはまいらないかとも思うわけでございますが、もう一つ伺いたい点は、これは、初等中等教育局長に伺いたいわけですけれども、結社の自由及び団結権の保護に関する条約、いわゆる八十七号条約というのがあるわけであります。これは昭和四十一年六月十四日に発効をいたしておるわけでありますが、この結社の自由及び団結権の保護に関する条約の中で、いろいろなことが盛られておりますけれども、特に私は第二条、第三条、第四条、第十一条、この各条項にわたって精査をしたときに、今度の事件はやはり結社の自由及び団結権の保護に関する条約に多分に違反するものだというように考えざるを得ないわけであります。すなわち、その三条の二項によれば「公の機関は、この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。」いいですか。「この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。」いかなる干渉も。さらに第四条に移って、「労働者団体及び使用者団体は、行政的権限によって解散させられ又はその活動を停止させられてはならない。」ということも書いてある。解散や停止は問題外といたしましても、特に三条二項の、いかなる干渉をも差し控えなければならぬということは、これはきびしいと思うのですよ。現職の組合長を、組合活動ができない他の都市へ転勤させたことは、「いかなる干渉をも差し控えなければならない。」という、この条約の精神なり条文と違反をしないかどうか、局長、いかがですか。
○宮地政府委員 いま御指摘になられました結社の自由及び団結権の保護に関する条約の三条二項の、いかなる干渉をもしてはいけないという干渉でございますが、いわゆる今度の転勤というものがはたして干渉であるか、干渉というのはよけいなことをするわけでございましょうが、よけいなことをしたのではなくて、先ほど労働省のほうからもお答えがございましたが、転勤が合理性を持っておるかどうか、あるいは企業としての必要性があるかどうかといったようなことで、私立学校に例をとって申されましたが、私どもは、これは先ほどから申しましたように、高知県としては人事異動の基準を持っておりまして、しかも細川教諭だけをしたというわけではございませんで、先ほど来申しておりますように、高知市内から異動した者は百数名もおりますし、また人事行政上、人事管理上の必要性に基づいて転勤をさしておるわけで、意味のない転勤をさしたわけではございません。十分な必要性、十分な合理的な理由に基づいて転勤をさしておりますので、三条二項に申します干渉というような意味のものではない。したがいまして、せっかく先生がおっしゃいましたが、その条約の趣旨に反するようなことではない、そのように考えております。
○斉藤(正)委員 先ほどちょっと触れましたけれども、二十年以上勤務していて、今日なお異動の対象になっていない三名の先生というのは、研究指定校だから動かすわけにはいかぬというのが三名。来年度ですか、本年度ですか、よくわかりませんけれども、全国体育研究会をやるので必要だというので残したのが三十名。この研究指定校に必要な三名、全国体育研究会に必要な三十名に比べて、高知教組の委員長のほうは全く問題にならぬ、高知教組の委員長なんて全然考える余地はないのだ、人事の異動の原則から飛ばして当然だ、こういうことなんですね。どうなんですか。ほかにもたくさん動かしているというから、動いていないのが三十三名あるのだ、こう言っているのですよ。その動かさない理由というのは、研究指定校であり、運動会に必要な人間だ、こういうのです。高知教組の委員長は、この研究指定校の三人の先生や運動会の三十人の先生よりも重要でない、こういうお考えでございますか、どうですか。
○宮地政府委員 それはいまの先生のお尋ねのように、組合の委員長は飛ばしてもいいので、いま先生のおっしゃいましたような三十何名の人は委員長の職務よりももっと重要だからといったような判断でやってはいないことを私は信じます。と申しますのは、私自身がやっておりませんので、高知県から聞きましたことで私がそのように信ずるわけでございます。先生のお尋ねのように差別待遇をしたわけではございません。ただ、くどうございますけれども、この人は二十五年以上平たん地にいるわけです。それは基準どおりに二十年たったときに、もう五年前に異動させてもよかったわけでございます。したがいまして、二十年で異動する人もあれば、この細川教諭のように二十五、六年たって異動する人もあり、もっと逆にいえば、細川教諭を二十年たった五、六年前になぜ異動させなかったかということもいえるかと思います。したがいまして、委員長なるがゆえに、先生のおっしゃいますような、不当労働行為であるといったような考え方は毛頭ございませんで、人事管理上必要であるということから転勤をさしている次第でございます。一面におきまして、同じ人が二十年もある場所にいるということは、人事行政上、これは人事の硬直ではないか、むしろ二十年もおらした場合にはそういう非難が起こるのが実情でございます。だから、先生のような観点から焦点を合わされて、無理無理不当労働行為だとおっしゃいますのはちょっと——私は、高知県の教育委員会がやりましたことをやはりもう少し正確に判断してやっていただきたい、このように考えます。
○斉藤(正)委員 そういうことを言うならこちらは反問したい、あなたは知らぬから。これ答弁できますか。たとえばある先生は二十三年勤務して、十一年僻地にばかりいる。ある先生は二十三年三カ月のうち十二年五カ月僻地にいる。ある先生は二十四年七カ月勤務して十七年二カ月、ある先生は十八年のうち十三年、ある先生は二十年のうち十七年僻地にばかりいる。そんなら、二十年高知にいたのは長過ぎる、二十五年平たん部にいたのは長過ぎる、山に行け。一歩譲ってそれはわかったとしても、それでは高知県はなぜこういう何十人、何百人という先生を僻地ばっかりに置くのですか。知っていますか、そういう実例を。当然南部の平たん地に出すべきじゃないですか。
○宮地政府委員 先生がおあげになられました方の具体的な事情がわかりませんが、やはり人事をやります場合に、県内に何千人と先生がおられます場合に、しゃくし定木に三年たったら全員がともかく動いた、あるいは五年たったら全員が動いたといったような人事行政は、これはあまりにも機械的だと思います。やはり僻地に行きます場合に、私どもは僻地の教育は重要でございますから、優秀な先生に行ってもらいたい。むしろ、御本人は不便でいやがられるかもしれませんが、おまえは非常にできるんだから僻地に行ってやってくれという気持ちで僻地に行かせる場合もあるわけです。また、自分は僻地が好きなんだ、もう立たん地の教育よりも僻地教育に一生をささげたいのだというような方もおられわけでございまして、先生がおあげになられた方々の具体的な事情がわかりませんが、こういう人事というものは、一方的に画一的にということではなくて、やはりそれぞれの実情を十分把握して人事はなされるべきものでありますし、また批評も、具体的にそれぞれの事情を十分調査した上で批評をすべきだと思いますので、先生がおあげになられました例が、私も十分わかりません。それで一般論をお答えいたしました。
○斉藤(正)委員 だから私は聞いているのですよ。特別な場合はやはりそういうことがあるというのでしょう。僻地が長いということも特別な場合がある。本人が好きで僻地のほうがいいという先生も確かにいる。それから、あまりにも僻地が長い、出してくれというのに出されない先生もいる。私が言っておるのは、出たいといっておるのに出してもらえない先生のことを言ったのだが、特別な場合があるというのでしょう。しからば細川君は高知教組の委員長という特別な役目にあるのだから、もう一年ぐらい高知に置いたって何が文句がある、何が支障がある。何十人、何百人という先生が、僻地に三年、平たん部に七年という常軌からはずれてたくさん行っている。それは特別の場合で、一律にはいかぬとあなたも言った。確かにそうだと思う。そんなら高知教組の委員長は特別な場合だ、組合の委員長だということで高知へ置いたって何のふしぎもないじゃないですか。ほかに研究指定校だ、体育の研究会だと、三十三名の先生が、細川先生と同じような条件にありながら動いていないのに、組合の委員長なるがゆえに飛ばしたと思わざるを得ないじゃないですか。どうなんですか、そこは。 もう一つ聞きますよ。高知市に一宮という小学校がある。この一宮という小学校は、ことし十四人の先生のうち、十一人かわっておる。校長、教頭含めて十四人の先生のうち十一人がかわっておる。これはどういうことですか。この事情を知っていますか。
○宮地政府委員 いまのお尋ねの高知市の一密小学校の人事異動の件でございますが、確かに御指摘のような問題がございます。一般論で申しますと、十四人学校の先生がおられた場合に、そのほとんどの十一名も動かすということは、私は一般論としてはあまりそれが好ましいことではなかろうと思います。しかしながら、この場合にいろいろ聞いて、私のほうも、多少普通の人事と違って十四名のうち十一名大量に異動しておりますので、詳細を聞き合わせましたところ、理由があったようでございます。この理由でございますが、この一宮小学校の管内では、地域全体がいわゆる——このことばは適切かどうか存じませんが、普通いわれます保守と革新と申しましょうか、そういったような形のはっきりしたところでございまして、そういう問題がその学校内にもやはり影響があって、教職員間でそのような対立意識が日ごろから見られておった。それに加えまして、当該地域は同和問題の顕著な土地柄であった。こういったようなバックグラウンドがあるようでございます。そこで事の発端は、これは先生も詳細御承知と思いますが、ある女教師が、子供に対して音楽の時間に笛で手をたたいたというのですが、暴力行為があったと伝えられておりますが、そういうこともございまして、県教委といたしましては、以上のような背景を頭に置きまして、まず重点を置きましたのは、気分を一新させたいということ。それと同和教育の経験者をそこに相当転勤さして、同和教育を充実してやっていきたい。こういうような観点からなされたようでございます。あまり申しますと時間がたちますのであれですが、一々一人ずつの先生の経歴も、私のほうは報告をお受けております。
○斉藤(正)委員 席を離れて図を示すために局長のところに行くわけですけれども……。 〔斉藤(正)委員、宮地政府委員に書類を示す〕 この黒いマルが高知教組に所属する先生方、赤いマルが高知教組を脱退しておる先生方。黒いマルばっかりどうしてこんなに遠くへ飛ばして、赤いマルばっかり近間に置くのですか、どういうことです。
○宮地政府委員 赤マルが高知市に近くて、黒マルが遠いという図をいまお示しいただきましたが、私、赤マルの地域が非常にいい場所であって、黒マルの地域がいわゆる不利益といったような場所かどうかあまり存じません。これはたまたまある考え方をもちまして、こういうふうな意図でやったんだろうというような臆測も、いまの図面からは出てくるかと思いますが、やはり人事を行ないます場合には、御本人の過去の経歴なり、あるいは今度転勤させる場所柄なり、いろいろなことが考えられて人事はなされるわけでございまして、高知市の近くだからというだけでそれがよい、高知市から遠いから非常に不利益であるといったような、画一的な判断では判断しにくいと思います。
○斉藤(正)委員 高知教組に所属しておる先生方が遠くへ飛ばされて、そうでない先生方が近間に置かれた理由というものは、遠いから僻地じゃないか、近いからいいところじゃないかというような判断はできないというのですけれども、ここにも書いてありますように、僻地一級、僻地二級、この僻地一級といったようなところに多くが飛ばされておるのですよ。そして高知教組を脱退しておる先生方は、大体高知市の周辺にいるんだ。だれが見たってこの赤と黒の分布はおかしいぞというのです。もしこれを見て、あなた方が全く平等な扱いで、不当な人事ではないというなら、あなたの頭が狂っておる。いいですか、これも赤ですよ。この図を見れば……。一宮小学校の経営について、いろいろなことがあったかもしれぬけれども、私はやはりこの人事は少し間違いだ、こういうように思っておるわけでありまして、これらも高知教組に所属しているがゆえに僻地に転任させられたという不当労働行為の代表的な一つの事例だというように思っておるわけであります。 時間が来ましたから、また参考人にいずれおいでいただいてお尋ねをする機会がありますので、この辺で終わりますけれども、この前も言いましたように、三月二十九日の異動の発表が三月三十一日に延びたということは、地教委が内申権をサボタージュした。そのために人事の異動がうまくいかなくて、二十九日発表というのを三十一日に延ばしたことは、これは明らかであります。そういうことから考えまして、たとえば先ほど言いましたように、現職の委員長や書記長を組合活動のできない郡外へ転任をさせたということ、あるいは一宮小学校の例にあるように十四人中十一名も転任をさせて、しかもそのうち高知教組に所属している者が僻地へ、脱退をしている者が隣村へというような態度は、私は高知県の教育行政がきわめて偏向性を持っているというように判断をいたしたわけでございます。いずれ明後日参考人を呼んでお尋ねをするわけでございますので、その時点でまた明らかにいたしたいと思うわけでございますが、いま言った現職の教員の組合役員のに任、一宮小学校の転任等々から特に私がもう一ペん確認をしておきたいことは、高知県の教育長は異動後の談話で、教育正常化の名のもとに、ことしほど教員の異動に対する売り込みの多かった年はなかった。 〔高見委員長代理退席、委員長着席〕 こういう談話を堂々と発表しているのですよ。私は、やはり大阪の例にも明らかなように、愛媛の例にも明らかなように、こうした教育長談話が出るなどということはきわめて異常な事態だというように考えておるわけでありますけれども、総括的に局長、こうした談話に対する見解を最後に伺いたい。
○宮地政府委員 私はいまおっしゃいました高知県の教育長の談話を承知いたしておりませんので、またいずれそれを見まして、なお先生がおっしゃいましたような不穏のような表現でもございますれば、当人からも理由を聞きまして答弁さしていただきたいと思います。 なお先生、先ほど一宮小学校で十一名の転勤者があり、組合員が僻地に行き、非組合員は僻地でないとおっしゃいましたが、おことばを返しまして恐縮ですが、その点私のほうで集めました資料によりますと、組合員のうち二名は確かに僻地に異動しております。ところが非組合員も同じように二人僻地に転勤になっておりますので、一応御報告いたしたいと思います。
○斉藤(正)委員 それは僻地なりが違うのですよ。あなたがそういうことを言うと、ぼくはまた食いつきたくなるのだが、僻地のあれが違う。高知市の近くの僻地、そこへ行っていることは事実ですよ。距離が全然違う。特に自分の居住地のある勤務校へかわるなどというのは、何も左遷でも不当労働行為でもない。本人の希望で行ったことです。そんなことはいいですよ。 最後に大臣、徳島大学の教育学部から文部省へ抗議文が来ていると思うのですけれども、大臣のところまでは行っていないかもしれぬ。あるいは初等中等局長にも行っていないかもしれぬ。どこかで握りつぶされているかもしれぬ。それは徳島大学教育学部に友愛同志会という特殊な会がございます。これは地元では徳島大学の中で保守系の政治団体のような形だといわれているのです。なお極言をするならば、自由民主党徳島大学支部といわれるほどのグループだともいわれているわけですが、この友愛同志会に所属している者を優先的に徳島県教委は採用している。友愛同志会に所属していない者は採用しない。こういう不文律か最近ずっと続いておるということをいわれておるわけでありますが、どうも四国というところは少しおかしい。教育正常化ということでいろいろ問題があったところでありますけれども、今日非常に変わったケースが多発しておるというように私は思っているわけであります。まず、そういう文書が文部省に来ていることを御承知であるかどうか。それから、もしそういうことであるとするならば、これはおかしいことであろうと思うのですが、大臣の見解を最後に承りたい。
○宮地政府委員 いまの事実問題を先に申し上げさせていただきます。徳島大学からは来ておりませんが、先生がかねて高知なり徳島の御質問をなさるということでございましたので、どういうことであろうかと思って徳島のほうへ問い合わせましたところ、そのようなことでございましたので、それでお答えになりますかどうですか、ちょっとその点、私から先にお答えさせていただきます。徳島県ではこの四月から教員の新規採用をいたしまして、徳島大学の新卒で採用された者は男子か七人おるようでございます。県教委の見解でございますが、採用は公正に行なっておって、個々の学生がどのような組織に属しているか、これは友愛同志会とか、あるいは社会党とか、自民党とか、共産党とか、いろいろなそういった組織に属しているかどうかは聞いてないそうでございます。したがいまして、その七人が友愛同志会に入っておるということが事実かどうか承知しないけれども、もしそれが事実であったとしても、県教委としてはそういう点を全然調べておりませんので、全く偶然の結果でありましょうという報告でございましたので、一応私のほうで聞きました点を先にお答えいたします。
○坂田国務大臣 ただいま初等中等局長からお答え申し上げましたとおりでございます。したがいまして、特に自民党だからどうだ、あるいは社会党だからどうだ、共産党だからどうだ、というようなことはないというふうに私は思うわけであります。また、人事行政としてはそういうことはやるべきではないと思います。四国の事情は、御承知のとおりに日教組を脱退した人たちがほかの地区に比べると非常に著しいのではないかと思います。しかし、また一面におきましては、いまの友愛同志会はともかくといたしまして、学力調査の結果といたしましても非常にいいというような面も出ているということでございますが、何を申しましても戦後の教育というもの、あるいは教育行政というものは、県の教育委員会を中心として、その地域住民の意思を反映しながらやっていくというたてまえに実はなっておるわけでございまして、従来のように、あるいは戦前のように、もう文部省を中心として、一括して、あるいは画一的にやるといういわば教育制度になっておりません。したがいまして、多少いろいろのでこぼこと申しますか、あるいはいろいろ違った形にあらわれてくるというのはやむを得ないと思いますけれども、しかし、やはり人事行政の場合におきましては、職員にとってこれは非常に大事な問題であります。また今度は地域住民に与える影響、あるいは子供たちに与える影響というものも非常に大きいわけでございます。この人事行政の公正と公平厳正ということは当然考えられなければならないのでありまして、いろいろあまりにも著しいへんぱな人事行政が行なわれるというようなことがあってはならないというふうに考えておりますので、その点については、やはりわれわれといたしましても全般として指導を行なっていかなければならぬ課題だ、こういうふうに考えております。
○大坪委員長 井上普方君。
○井上(普)委員 実はさっきも理事さんからお話がありまして、半時間くらいで質問してくれ、こういうことだったのですが、極力やろうと思っておるのですが、いかんせん八分半しかございませんので、また午後に延ばしてもらいたいと思うのです。また大臣も四十分で来られる、こう言っておったところが、何と三十五分もおくれまして、私どもとしましてもまことに審議上時間が延びて困るのであります。 「大学内における正常な秩序の維持について」という通達が、特に「命によって通達します。」という異例なる通達であり、しかもそれが大臣によって、直接御責任があるというので出されたというので、ひとつお伺いいたしたいのでございますが、端的に一つずつお伺いいたします。 記の第一項後段に、「とくに、人の生命、身体に対する危害または財産に重大な損害を及ぼすおそれがあり、」その次からです。「その他警察当局が公共の安全と秩序の維持上緊急と認めて大学構内において所要の措置をとる場合には、適切な協力体制をとること。」こうあるのでございますが、「警察当局」って一体何でございますか。法的に何をさすのでございますか。
○村山(松)政府委員 「警察当局」とは、国の組織におきましては警察庁でございます。それから現場の警察組織といたしましては各県の本部、それからその管下に警察署がございます。東京都並びに大阪におきましては、各警察署を総括する警視庁というものが置かれております。これらを称しまして「警察当局」といってよかろうかと思います。
○井上(普)委員 そこで大臣、あなたのところが命令を出したのだからお伺いしているのですから、大臣が答弁していただきたい。いま大学局長から警察庁とかあるいはまた東京の場合は警視庁というお話でございましたが、警視庁のだれが適当とお考えになったときにやるのでございますか。認めた場合とは、だれでございますか。
○村山(松)政府委員 警察当局が警察行動をとる場合には、それぞれの法規にのっとってやるわけでありまして、たとえば警察官職務執行法がございます。そこで、事柄に応じまして警察当局の各職員の中で警察官職務執行法に定める、あるいは刑罰法規が発動するような場合には刑事訴訟法等の定める当該職員が具体的には警察行動の発動をすることになると思います。
○井上(普)委員 そこで私はお伺いするのですが、大臣、あなたにお伺いするのですよ。警察官職務執行法、こういうことをいまおっしゃいましたですな。警察官職務執行法に、公共の安全と秩序の維持上緊急と認めて出動できると書いてございますか、立ち入りすることができると書いてございますか、どうでございますか。
○村山(松)政府委員 表現は違いますが、警察法の一条にあると思います。
○井上(普)委員 あなた一条にあると言いますけれども、個々の具体的な行動については警察官職務執行法において厳重に書いてある。ばく然としたお答えじゃ困る。情報を得、そしてまたそれの判断をし、そしてまた行動するのは警察官なんですよ。特にこの点をひとつ明確にしていただきたい。しかも大学というところは、学問の研究をするために既成秩序というものを批判し、その現状を批判することによって将来への創造が行なわれるところであります。したがいまして、こういうようなことを入れるならば、将来これは時の権力というものが大学に入ってくる場合には、それを介助するおそれがある。悪名高き治安維治法十七条、委員長は昔のことでございますからよく知っておりますが、これの再現になりかねないと私は思う。といいますのは、警察官職務執行法を昭和三十三年に改正しようとしたときの議事録なり見ますと、時の社会党におりました、いまは民社党に走っております片山啓さん、門司亮さん、こういう方々がともかく人権問題だとして警職法改正には反対いたしたのであります。その警職法の要点になるところは、ここの同じ文句で、その他警察官が公共の安全と秩序の維持上緊急と認める場合には行動できるという文字に引っかかったのです。このことは大臣、あなたも十回当選されておるのだから、この点は十分御存じのはずです。また、わが党の猪俣浩三あるいはまたここにおられる川村先生とかあるいはまた矢尾喜三郎、中井徳次郎という方々は、これは戦前の弾圧を受けた、身をもって感じた方々がこもごも立って、公共の安全と秩序の維持、このことばによってわれわれはくくられたのだ、思想弾圧を受けたのだということできびしい追及をやり、この法律というものは流れたのです。警職法の改正案というものは流れたのです。この警職法の改正点というのは、「又は財産に重大な損害を受ける虞があって」を「財産に重大な損害を受け、又は公共の安全と秩序が著しく乱される虞のあることが明らかであって」と改めようとしたのです。そのときに警察官が出動することができるとしたのです。今度の場合に、この法律上からいいますと、警察官職務執行法によりますというと、これは先ほど局長が答弁されましたように一条の規定、第一条の規定というものはこれは警察法にもございます。しかし、個々の警察官は警察官職務執行法によって行なわなければならぬと思うのです。ところが、これはもうこの次官通達によりますと、「警察当局が」というあいまいなことばによって、あるいは署長がそう思ったらこれはできるのです。署長といえども警察官です。警視総監といえどもこれまた警察官です。その人が認定する。すなわち、警察官職務執行法の拘束を受ける方々が認定した場合には警察官が立ち入りすることができる、こういうことに相なるのです。これは重大なる問題なんです。特に昭和三十三年にこれが廃案になったいきさつから考えて、この条文というものはまことに法規を逸した文章だと思うのですが、大臣、御答弁をお願いいたしたい。
○坂田国務大臣 この「公共の安全と秩序の維持上緊急と認めて」、この項は、やはりあまり乱用されるというようなことはあってはならないというように私は思います。ですから限定的なものというふうにわれわれは理解しておるわけでございます。
○井上(普)委員 限定される。あなたは、乱用せられたらおそろしい、あるいはまた乱用せられたら困るとおっしゃいますけれども、これでございますと、警察当局が緊急と認めた場合はいけるのですよ。「公共の安全と秩序の維持上緊急」とするときにはいけるのですよ。その歯どめが一体どこにあるのですか。大臣、あなたが命令を下したこの次官通達なんだから、あなたが御答弁なさい。歯どめは一体どこにあるのです。あなたはいまそうおっしゃったから。——いや、大臣だ、大臣だ。
○村山(松)政府委員 この公共の安全と秩序の維持上緊急と認める場合というのは、大臣からも御説明申し上げましたように、きわめて緊急の場合に限るものと考えております。なお、この通達は文部省の責任において出したわけでありますが、この内容、趣旨、運用等につきましては警察庁と十分打ち合わせてやっておりますし、今後の運用におきましてもそのように留意するつもりでおります。 この点につきまして具体的な場合を想定いたしますと、たとえば現行犯の逮捕のための追跡の場合、あるいは大学の構内からまわりの市街地区に対してきわめて危険を及ぼすような場合、たとえて申しますと、たとえば先般の京都大学の入学試験にありましたように、大学の構内から石を盛んに投げる、それがまわりの市街地の民家等に飛び込んで危険である、こういうものを規制しようというような場合等々、きわめて緊急な場合に限るというぐあいに了解がなされておりますし、この場合にも、望むべくんば警察が一方的に立ち入るのでなくて、大学が適切な協力体制をとって、協力して学内外の秩序の維持に当たるということを主眼としておるわけであります。
○井上(普)委員 それじゃ私、午後休憩後にも質問いたしたいと思いますので、その警察との間に取りかわした文書をひとつお示し願いたい。文書がなければ歯どめも何にもありませんよ、口約束では。これは警職法にも立ち入りの権利というものは、警察官には公共の安全と秩序の維持上立ち入りする立ち入り権はないのです、いまは。よろしいか、警職法にはないのですよ。それをあなた方は、警視総監といえども、あるいは警察署長といえどもこれは警察官なんです。でありますからこの警察官職務執行法によって行動しなければならない。そういうことはこれに書いてないのです。ところが、この次官通達によって、法律にもない権限を警察官に与えようとあなた方はなさっておられる。警察官というのは国家権力の最先端におるものであって、いつも国家の意思によってともかく動く先兵であります。学問研究の自由を守らなければいかぬ学園に、警察官の判断によってこれが立ち入りすることができるし、出動することができるということはまことにゆゆしい問題であるし、かつまた、警職法改正が廃案になったいきさつからいって、この次官通達なるものは全く立法の精神というものを無視したものであるといわなければならないのです。大臣、どうでございます。あなたは、この際変なことばを使えば、警察に対しては、特に治安警察に対してはノーズロでいこうとするお考えですか。
○坂田国務大臣 大学の中もやはり刑事的ないろんな暴力行為等が公然と行なわれるべきところじゃないと思うわけです。治外法権じゃないわけです。ですから、その意味合いにおきまして、学問の自由というのはむしろいまは暴力学生によって侵されておる。その刑事事件、暴力行為等がまかり通り、大学構内で行なわれておって、むしろ学問の自由なり大学の自治がそのことによって侵されておる。こういうわけでございますから、そういうものを排除することはむしろ学問の自由を守ることであり、大学の自治を守ることであるというふうに私は思うわけでございます。
○井上(普)委員 私が聞いておるのはそんなことじゃない。一般の場合であっても、法律上は、公共の安全と秩序の維持上の立ち入り権というものは警察官は認められていない。それを聞いているのです。いまの事態とかそんなことと違うのですよ。あなたも十回衆議院議員をやっているのでしょう。三十三年には衆議院議員だったはずだ。どういういきさつで警職法が流れたかくらい知っているでしょう。これは事重大だから私は聞いているのだ。令状を持ってきたという場合は私は何も言いません。これを申しておるのは「警察当局が」ということば、しかもあなた方のお話によれば、警察当局とは何だといいますと、警視庁とか警察署とかそんなのが判断下す、こういうのでしょう。しかし、その判断下すのはだれだといったら警察官じゃないですか。そしてまた、情報を集める者も警察官であり、判断する者も警察官であり、立ち入りするのも現実に行動するのも警察官でしょう。すると、どういたしましてもこの警察官職務執行法に準拠しなければならない。その警察官職務執行法では、そういう権限は警察官には与えられていない。これはどういうことなんです。御答弁をお願いします。
○坂田国務大臣 ただいま例示を申し上げましたように、大学内において暴力が行なわれ、あるいは角材あるいは鉄棒あるいは火炎びんあるいは石というようなもので、今度は学外の市民に対して投石をするというような場合におきまして、警察当局がこれは公共の安全と秩序の維持上必要であるというふうに認めるというようなこと、それをさしているわけです。
○井上(普)委員 そういうことをさしておるとおっしゃいますけれども、私が聞いているのはそうじゃないのですよ。まあこれは休憩後にしようと思いますけれども、あなたは次の項目において、「大学内において教職員が犯罪があることを知ったときは、告訴、告発を行ない学内の秩序維持に遺憾なきを期すこと。」なんていって麗々しく書いてありますが、あなたは安田講堂のあれをテレビでごらんになったでしょう。私も見ておったが、そのときには——あなただって国家公務員でしょう。国家公務員は、刑事訴訟法の二百三十九条によって「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」とあるのです。何も教職員がすることはないのです。教職員も国家公務員でございますが、あなたがなぜやらなかったのですか。あなただって国家公務員でしょう。国家公務員がなぜ告訴、告発をやらなかったのですか。これは、あの時点において文部大臣が告訴、告発をすれば、大学紛争はますます火に油を注ぐとお考えになったからではありませんか。それをあげて、こういうところで教職員にそのことを行なわしめようとするのは、私どもには全く了解に苦しむのです。まずこの二点についてお伺いいたしたいと思います。
○坂田国務大臣 やはり大学の内部につきましては、そこにおります教職員の方がわれわれよりも犯罪の事実というものをよく知っておりますから、第一次的に、そこの現場におり、それを知っておる者がやるということは、当然かと考えるわけでございます。
○井上(普)委員 先の御答弁がないのでございますが、あとの答弁でも、あなたは安田事件のあとで総理と視察に行かれたのでしょう。現にあなたはその破壊の現場を見られておるのでしょう。それじゃ私は聞きますが、あなたの義務であるにかかわらず、なぜあなたは告訴、告発をやらなかったか。 〔「委員長、休憩、休憩」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時十三分休憩 ————◇————— 午後二時三十八分開議
○大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。井上普方君。
○井上(普)委員 先ほど来お伺いしておるのでごいますけれども、特に局長のほうから、「警察当局が」というおことばは、これは東京でいえば警視庁あるいはまた警察署、こういうようなお話であったのですが、署長あるいは警視総監が公共の安全と秩序の維持上緊急と認めて所要の措置をとる場合、適切な協力体制をとること、ということを次官通達で出されておるのです。しかし、先ほどの局長答弁によりますと、その根拠といいますと警察官職務執行法によってこの立ち入りが行なわれる、こういう御答弁なのであります。しかし、警察官職務執行法には「立入」といたしまして、立ち入りの権限には公共の安全と秩序に関する危害が切迫した場合においては、ということばはないのであります。ないのみならず、昭和三十三年、いわゆる警職法改正の際に、この警職法第六条に、公共の安全と秩序に対する危害が切迫した場合においては、その危害を防止するために警察官の立ち入りを認めようとしたのが改正案であったわけです。これが御承知のとおり物情騒然として、特に河野一郎さんのごときは国会からどこかへ雲隠れされたというぐらい情勢が逼迫した中においてこれが論議ぜられ、そしてこの法律は流れたわけなんです。そこであなたのおっしゃるこの次官通達の、警察当局が公共の安全と秩序の維持上緊急と認めて所要の措置をとるということは、これは警職法からいきますと、明らかに越権行為だと私らは考えるのですが、大臣もう一度ひとつ御答弁を願いたい。この法律論ですよ。現実論としてあなたはすりかえようとしておりますけれども、そはだめなんだ。それは明確にしていただきたいのです。
○村山(松)政府委員 私の答弁につきまして、私は、警察官の職務は警察官職務執行法だけで行なうとは申し上げていなかったつもりでございます。警察法を前提といたしまして、もちろん憲法その他最高法規がございますが、直接には警察法、それから刑事事犯につきましては刑事訴訟法、それから具体的な職務執行につきましては警察官職務執行法等々によって行なうわけでございます。したがって、通達によってそれら諸法律を破るようなことはとうていできないわけでありまして、通達はそれら諸法規を前提といたしまして、大学の秩序を守ることについて警察と大学との協力関係を要望しておるわけでございますので、補足して御説明申し上げます。
○坂田国務大臣 ただいま局長が申し上げたとおりでありまして、その法律以上のものをこれが言っているわけでも何でもないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○井上(普)委員 局長の御答弁はだいぶさっきと様子が違う。それは警職法第一条の目的のところに「公安の維持」ということがあります。さらには刑事訴訟法の何条にそんなことが書いてあるのですか。どうですか。
○村山(松)政府委員 緊急の必要という場合の直接的な例として申し上げましたのは、刑事訴訟法にいうところの現行犯逮捕のような場合を申し上げたわけでございます。現行犯を逮捕するような場合には、場合によっては令状がなくても他人の敷地に立ち入ってでも逮捕ができるという刑事訴訟法上のやり方がございます。そういう場合に直接には適用がある、かように考えます。
○井上(普)委員 その条文を読み上げてください。
○村山(松)政府委員 刑事訴訟法第二百十三条「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」という規定がございます。
○井上(普)委員 そこで問題になりますのは、刑事訴訟法に公共の安全と秩序の維持上緊急ということばがありますか、ないでしょう。このことばが正式公文上あらわれたのは昭和三十三年のこの警職法改正のときが初めてなんです。それをあえてここに出してきておるところに旧警察官職務執行法の復活の疑いありと私どもは思わざるを得ない。ここのところは大臣どうでございますか。
○坂田国務大臣 これは法律じゃなくて通達でございますから、もちろんその前の、先ほど局長から申し上げました諸法規のもとにおいてこういう執行がなされるわけであります。
○井上(普)委員 法律の範囲内というけれども、先ほど来申しますように、警職法の第一条には「公安の維持」ということばはあります。しかし、先ほど来特に事務折衝に当たられた局長のおっしゃるのには、これは警察官職務執行法によってやるんだということを言われておるわけです。刑事訴訟法にも公共の安全と秩序の維持上というようなことはないのでございます。それをあえてここで出してきておるのは私はどうもふに落ちぬ。これは先ほど来申します昭和三十三年の旧警察官職務執行法の復活であると考えざるを得ないのです。これを次官通牒によって大学に対して強要すると申しますか、むしろこれは警察に対してこういうことをお示しになった。しかも通達を出す際には警察と御協議になった、こういうお話でございますから、警察に対しては十分に相談して、大学当局とはあまり相談なさっておらないようでございますが、ともかくこういうことばが入りますと、警察というものは、あるいはまた役人というものは権限の拡大ばかり望むものでございまして、パーキンソンの法則ではございませんけれども、こういうことを入れますと、警察権力というのはまさに権力を増大してくるものだと考える。しかも片や大学というものは、御承知のように学問の自由と大学の自治を守らなければならない。その中において特に学問の自由というものを守らなければならないところにおいて、公共の安全と秩序の維持上警察が必要と思うときにはいつでも出動できる、こういうようなことになりますと、これはまさに日本の学問の破壊になるおそれがあると思うのです。したがって、私はこのことをあなた方に法律違反じゃないかということをお伺いしているのです。どうです。
○坂田国務大臣 これはあくまでも警察に関係の諸法規の範囲内において行なわれるわけでございますから、それを逸脱するものではございません。同時にまた、大学も治外法権の場ではございません。むしろ今日では大学というものが暴力の拠点になっておる、そして学問の自由あるいは大学の自治が破壊されておる。こういうことでございまして、大学内であるからといって、そういう暴力行為や不法行為というものが許されるべきではない。警察権がその法規の範囲内において立ち入ることは当然のことであるというふうに私は考えるわけでございまして、それは学問の自由というものを、現在の場合はむしろ守る立場だと考えてよろしかろうと思うのでございます。ちっとも学問の自由を侵すなんというような——そういうことをあまり考えられたがために、むしろ無法状態、違法状態あるいは暴力横行というものが今日大学になされておるのじゃないか、こう私は考えるわけであります。でございますから、昭和二十五年の通達というものが、むしろ治外法権であるかのごとき誤解を生んでおる。そうではないのだということをあらためてはっきりさせたというにすぎないということだけはひとつ御了解を賜わりたいと思うわけでございます。
○井上(普)委員 日本の学問の自由が侵されたということは、これは再三国家権力によって侵されたことは御承知のとおりです。特に森戸事件にいたしましても、あるいはまた河合事件にしても、あるいはまた加藤先生が引っぱられました人民戦線事件にいたしましても、すべて大学の関係者は治安警察によって弾圧せられたのです。外国のごとく宗教とかあるいはまた人種によって学問の自由というものが侵された例はないのです。したがいまして、学問の自由に対し国家権力が介入すること、特に警察権力が介入することを非常におそれておるわけであります。東大の意識調査というNHKの千二百人にわたる無作為抽出の結果を見ましても、去る六月の十七日に大河内学長が警官導入をやったためにわれわれは不法だと考えたという数が、ここにもございますけれども、実に七五%まではけしからぬという考え方で、実は立ち上がったわけなんです。これは御存じですか。 そこで私は特に大臣にこの際申し上げたいのは、鵜飼信成さんという方、あなたも御存じでございましょう。この方が、警察官職務執行法の特に六条、立ち入りの問題について、こういう見解を公述人として述べられておるのであります。「公共の安全と秩序を著しく乱すかどうかということは、単なる不確定な予測にすぎないわけでありまして、そのような予測に基いて、危険な事態の発生するよりもはるかに前の方の時点で人間の活動に干渉するということは、国家権力にとっても許されないところであると私は考えるのであります。しかしそれは人間の生命、自由、幸福追求に対する権利に基く自由なる活動にあまりに強く干渉することになり、近代憲法の原則、従って日本国憲法の原則に反することになるのではないかと思うのであります。」ということで、特に警察官の立ち入り権の問題については公共の安全と秩序の維持ということに強く反対されたのであります。 さらにはまた眞野さん、最高裁判所に十一年間つとめられました眞野毅さんはどう言われておるかといいますと、「この公共の安全と秩序のもう一つ上にある公共の福祉という言葉、これも同じなのであります。これをどういうふうに定義を下すか。無理やりに作ればできますが、しかしなかなかできるものでない。それでありますから、私、最高裁判所に満十一年近くおりましたが、公共の福祉ということについての定義は、判決のうちに一回も下したことはありません。公共の安全と秩序ということについても、最高裁判所の判例は一つも述べておりません。」「これほどむずかしいことなんです。こういう熟していない言葉を法律の中に取り入れて、それによってずうっといくと公務執行妨害罪というものが成り立つのが自然の順序になっておる。これがおそろしい。」「この法律を熟した、熟したと言われる裏面には、非常な青酸カリに劣らぬような猛毒が含まれておるということを理解しなければならぬと思うのであります。」と、こう述べられて、現在の警察官の教養においては、公共の安全と秩序の維持ということについて理解することができない、それほどの教養は持っていないということを眞野毅さんは国会において述べておられるのです。よろしゅうございますか。もう一度申しましょう。「もう一つはある具体的の事実が公共の安全と秩序を著しく乱すかどうか、著しいか著しくないかだけでも、相当警官は判断に迷うべきでしょう。こういうことは非常にむずかしいことだから、いろいろの事実を調べ上げて初めて裁判所で認定する、それだけでもむずかしいくらいの事件でありますから、とっさの間に現状のような教養の程度の警察官がそれを認定して誤まりなきを得ないか、これが非常に乱用に持っていかれるおそれがあるんじゃないかということを非常におそれる。たとえば旧憲法時代にありました行政執行法のうちにも、公安を害するおそれのあるものを検束するということがある。それがどういうように取り扱われたか」、この歴史をひとつ振り返っていただきたいということを眞野毅さんは強く強調されておるのであります。 公共の秩序を維持するという三百のために、このうしろにおられます加藤勘十先生も監獄にぶち込まれたんであります。それほど未熟なことばをここでなぜ使うか。しかも先ほど来申しますように、警察官職務執行法の改正にあたっては大きな論議を呼び、これが廃案になったいきさつというのは、大臣、あなた御自身が十分に知っておるはずです。その引っかかりは、公共の安全と秩序の維持ということばに引っかかったわけです。その当時大臣も国会議員をやっておられたから、その辺の事情はずっと御承知だと思う。こういうようなことを、未熟といいますか、最高裁判所の裁判官を十一年もやられた眞野さんでも使ったことがないことばです。しかも眞野さんは、警察官の教養をもってしてはこれは使うべからずということすら言われておるのです。また鵜飼信成さんは、これはまさに憲法違反だ、人権をじゅうりんすることばなんだということを、この警職法の六条改正について言われておったのでありますが、その警職法六条の改正と同じ文句をこの次官通達において認められておるわけです。ここに一つ大きい問題がある。これは法律上の問題ですよ。現実の問題とすりかえられては困る。しかも法律上からいいますと、法律の範囲内においてできるんだと言いますが、その根拠というものは、あなた、非常に乏しい。しかもそれに対して大学は協力すべしということをあなた方、文部大臣は命をもって通達をされた。言いかえるならば、三十回国会において廃案になったこの精神をあなた考えるならば、こういう文句は使えないはずだ。どうでございますか、大臣の御所見を承りたい。
○坂田国務大臣 先ほどお話しのように、戦前におきまして、いわば学説というものに対しまして国家権力が介入をしたということにおいて学問の自由が叫ばれ、国家権力の介入というものについて大学みずからが自分たちを守るために戦ってきたということはあるわけでございます。私もその事実を知っておるわけです。御指摘のとおりだと思います。しかし、戦後になりましてから主権在民のこの憲法下において、ことに基本的な人権というものがこれほどきびしく守られておる状況において、もはやそういう問題はむしろ影をひそめておる。ただ、これは外国人でございますけれども、イールズ事件のときにちょっと問題があったようです。その他以外にはちょっと私には記憶はございません。それくらい学問の自由というものは守られておる。むしろ国家権力がこれを守っているという形になっておるわけでございます。そういうことから申して、逆に今日学問の自由を脅かすものは何か。むしろ集団暴力学生、政治的主張を持った学生によってこの学問の自由というものが侵されておる。そうしてこれを排除するところの力がない大学自身が、警察アレルギーがあるためにこれを排除しない、決心をしない、そこに私は問題があるというふうに思うわけでございます。昭和二十五年のあの通達というものは、決してそれを排除しているものではなかったわけでございます。しかしながら、いかにもそれが治外法権下のごとき錯覚やあるいは誤解を生んでおる。しかもその警察アレルギーというものがなおかつ今日の多くの大学の教官の中にこびりついておるということ自体を改めなければならないのじゃないかという意味において、二十五年の通達の真の意味をむしろ明快にしたということでございます。しかし、このわれわれのいま御指摘のことばと、通達のこの文言というものは、先ほどから申し上げまするように、あくまでも警察関係の諸法規を逸脱するものではありません。また、逸脱してはならないものです。また、こういうような問題につきまして、やはりみだりに乱用されてはならないということは当然なことなんです。これはあたりまえなことで、何も学内だからあるいは一般市民社会だからの区別はないわけでございます。その警察官がいろいろこういうことで出動いたします場合に心がけるべきことであるし、また、大学というものは御承知のような状況でございますから、やはり大学当局と協力のもとに秩序維持あるいは暴力排除あるいは刑事事件等の排除等について慎重にやっていただきたいという意味を込めまして、この通達が出されたというふうに御了承を賜わりたいと思うのでございます。
○井上(普)委員 私は、お話を聞いておると、法律というものと現実というものをすりかえておる、そこに問題がある。と申しますのは、行政官は法を忠実に執行する、これが行政官のつとめでなければならない。しかも昭和三十三年に警察官職務執行法によって特に警察官の立ち入り問題について公共の安全と秩序の維持上必要なものは立ち入りすることができるという法案がわざわざ出されたのでございますけれども、これを廃案にされたといういきさつがある。そこから考えましても、この警察当局が公共の安全と秩序の維持上緊急と認めて大学構内において所要の措置をとる場合には協力しろという文部当局の考え方は、まさに立法を無視して、一たん法律が通れば法律の拡大解釈をしてもかまわぬという考え方にほかならないと思う。それじゃ大臣、この公共の安全と秩序の維持というまことにばく然としたことば、しかも眞野毅さんが言われるように、現在の警察官の教養をもってしてはそれを認定することはできぬとまで、最高裁判所の判事をしていた人が言われておるこのことば、これに対しての歯どめは一体どこにあるのだ。一体あなた方は法律的に現行法規によってできるのだと言いますが、現行法規はどれどれの何条何条によってできるのか、ひとつ明らかにしていただきたいのです。
○村山(松)政府委員 この通達は、もう自明のように、文部省の責任で国公私立大学に出したものでございますので、警察を縛るものでもなく、また警察の行動に何か授権をするものでもございません。警察の行動はあくまでも警察関係の諸法規によってなされるわけであります。そこで警察の行動の歯どめといたしましては、一番基本的なのは警察法の第一条でございます。個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するために、警察というものは組織が定められ、行動するわけであります。それから警察の責務といたしましては、警察法の第二条に、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」ここで、一項で積極面が述べられております。それから第二項に、行動の限界が明確にきめられております。読み上げますと、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」とございます。そのほかにもございますが、基本的には警察法第二条によりまして、警察の活動については厳格な歯どめがなされておる。その範囲内で行動することについて、文部省としては大学側の協力を要請したのが通達の趣旨でございます。
○井上(普)委員 あなたはおっしゃいますが、この警察官職務執行法の法律の目的というものを読んでごらんなさい。そんなことないんでしょう。この警察官職務執行法の第一条、「この法律は、警察官が」あなたがいま読み上げられた「警察法に規定する個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段」をこの法律で定めておるのですよ。「この法律に規定する手段は、前項の目的のため必要な最小の限度において用いるべきものであって、いやしくもその濫用にわたるようなことがあってはならない。」ということで、この警察官職務執行法は、警察法に規定するものを具体的に警察官がどういうことをやってよろしいということを羅列をしているのです。その中には、第六条の「立入」のところには、公共の安全と社会の秩序ということばが出ておったのが問題になって廃案になったのです。そこでこの警察官の立ち入り権というのは、この警察法に基づいて具体的に警察官が行動する指針として出されておる警察官職務執行法には具体例がないのですよ。ところが、このたびの文部省の通牒によると、これは明らかに公共の安全と秩序の維持のために警察当局が緊急と認める場合には出動よろしいということになっております。問題はここなんだ。だからこの通達はこれは違ってきておるのです。かつまた国が、いままでの大臣の御答弁の中にもありますけれども、昭和二十五年のポポロ事件というものを起こした、これも御存じでしょう。こういうような問題があるから私は聞いているんです。
○大坪委員長 井上君に申し上げますが、理事会での打ち合わせの時間がずいぶん超過しておりますから、結論にお入りを願います。
○井上(普)委員 それで私は、いま局長が歯どめであるとおっしゃった警察法第二条、警察法にはいろいろ書いてございます。それと、具体的に警察官が行なう権限というものがこの警察官職務執行法の中にあるんだ、これに違反しているんじゃないかということを私は聞いているんです。どうなんです。
○坂田国務大臣 それは明らかにこの警察法及び警察官職務執行法その他の法令に基づくわけでございまして、もちろんその範囲内のことであるわけです。
○井上(普)委員 しかし、範囲とおっしゃいますが、警察当局というのは一体何だと言いますと、あなた方は、東京においては警視庁であるし、あるいは本郷でありますと本富士警察署が判断するんだ、それはだれがやるんだと言ったら警視総監並びに本富士の警察署長です。それも警察官なんですよ。それもこれも職務執行法というものを忠実に守らなければならない、しかもこれを逸脱をしてはならない義務があるのです。第六条の「立入」、あるいは第四条の「避難等の措置」のところには、公共の安全と秩序の維持上きわめて必要なということばはないのです。入れようと政府はしたのだけれども、世論の総反撃を食らって法律案が廃案になったという事実があるのです。三十三年には。だからこの通牒というものは間違っておる、いまの法律上おかしいじゃないかというのを私は聞いているんです。それを現実問題とすりかえぬようにしていただきたい。法律の範囲内においてやる——私は、大学が治外法権であるということは、そうも思っておりません。思っておらないけれども、一般の場合、一般のところと異なって、こういう大学の中にこういう権限と申しますか、を入れさせようというところにあなた方の無理があるのです。これを私は聞いているんですよ。だからこの通達をお取り消しになりなさいと、結論として大臣に申し上げる。どうでございますか、これは間違っておるでしょうが。重大なる問題を含んでおるのです。しかも大学というのは、戦後学問あるいは思想研究の自由というものを侵したことはないと言いますけれども、ポポロ事件のごとく、治安警察が大学構内に入ってやったという事例もあるのです。これに対して各学者は学問の研究の自由のために全部立ち上がったととをあなた方は思い起こすでしょう。ここは私は申しておるのです。大臣、どうなんです。
○坂田国務大臣 むしろ現在は、学問の自由を侵しておる者、あるいは大学の自治を侵しておる者は…… 〔発言する者あり〕
○大坪委員長 静粛に願います。
○坂田国務大臣 むしろ警察力を導入するとか何かという国家権力の介入ということでは起こってないのであって、むしろ一つの政治的主張を暴力をもって貫こうとする、そういう学生集団が大学というものを拠点として考えておる。ところが大学自身はそれに対する力を持っておちない。排除する力を持っておらない。その場合においては、むしろ学問の自由及び大学の自治というものを守るためにこそ警察力を当然導入すべきであるにもかかわらず、昭和二十三年の通達というものが、あたかも大学は治外法権であるかのごとく、あるいは警察力の要請はできないかのごとく考えられておった。そこに今日大学の問題というものが、非常に紛争がエスカレートしてきておる。こういうわけでございますから、この二十五年の一つの誤解というものを明らかにする、解くということが非常に必要であるという意味合いにおいて今度の通達をいたしたわけでございまして、そのことは何も現在の警察法なりあるいは警察官職務執行法なりあるいはその他の刑事訴訟法等の法律というものを逸脱したものとは考えておらないわけでございます。
○大坪委員長 結論に入られることを望みます。
○井上(普)委員 大臣、あなたは現在の警察官職務執行から逸脱していないとおっしゃる。しかし、事実この中には立ち入り権についてはないじゃありませんか。しかも昭和三十三年にはそれを入れようと当時の政府はなさったけれども、世論の総反撃を食らって廃案になったといういきさつがあるのです。そこに私は大きい問題があると思うのです。だからもう一度明確なる御答弁を承りたいのですが、この次官通達はともかくといたしまして、この次官通達は現在の諸法規の中において厳格に行なうつもりでございますか。拡大解釈は一切いたしませんか。どうですか。
○坂田国務大臣 そのとおりでございます。
○井上(普)委員 最後に大臣にお伺いしますが、通達の第二項において、「大学内において教職員が犯罪があることを知ったときは、告訴、告発を行ない学内の秩序維持に遺憾なきを期すこと。」こうありますけれども、逆手をとって申しわけないのですが、先ほど来申しましたように、あなたは佐藤総理と安田講堂の視察に行かれたんでしょう。そうして刑事訴訟法の二百三十九条でございますかでは、国家公務員は犯罪が行なわれるときにはこれを告発しなければならない義務があるのですね。あなたはなぜ忠実にそれを行なわなかったのですか。あなたはやる必要があるのでしょうが。なぜやらなかったんです。
○坂田国務大臣 私は、あくまでも大学というものは第一次的に自治を尊重するという立場を従来持ち続けてまいっております。したがいまして、まず第一にはやはり大学当局みずからがやることであるというふうに考えております。
○井上(普)委員 大臣のお考え方は、大学の自治を尊重するというお考え方で進まれたと思うのです。私もそう思う。そしてあの紛争の中において大学が自主的にこれを解決すべく努力をされておることをあなたもお知りになっておるから、文部大臣というものは大学に対して指導する権限があるにもかかわらず、安田事件を告発しなかったのでしょう。ということは、結局大学当局がいま新しい大学像を求めて苦悩しておる最中じゃありませんか。まさに苦しみにもだえもだえておるのが現在の大学の姿だろうと君は思う。そのために、ここにも私は持っておりますけれども、東京大学においては八十島委員会という大学改革準備調査会というものをつくって、精力的に調査研究をして新しい大学像を求めておるこのときに、こういうような国家権力が介入する憂いのある次官通達を出したり、あるいはまた中教審のこの答申によって立法されようというのは、私どもはどうもふに落ちないのであります。ここに中教審の答申の原本というのがあります。これはイギリスのケンブリッジ大学の総長が四、五年前に書いた本と何ら変わりはないですよ。こんな古くさいものを持ってきていまの大学にあてはめようとするところに問題がある。時間がないようでございますので、中教審に対する質問は後ほどまた機会を得てやりたいと思うのでございますが、この中教審の答申を見ますと、「大学および政府の文教政策の範囲内の問題を取り扱うこととした。」といって、現状分析をやっておる。しかし、現状分析を私どもが見ますときに、これは何ら実態をつかまえていないと言っても差しつかえがない。具体例が全然出てきていない。私はいままで二回にわたりまして工学部、医学部のほんの一端の研究体制の矛盾あるいはまた教授内容の矛盾——いままで講座制というようなものによっかかっておったこの矛盾というものが爆発したんだというとらえ方をするのです。これに対しての反省というものがこれには全然あらわれていないし、かつまた、今後の新しい大学の基本問題になんということを出されておりますけれども、実際にはとられてない。ただ国家権力によって、紛争中の大学はかくすべしということばかり、すなわち、力にたよる政策のみをこの中教審は出しておるにすきないと私は思う。 もう時間もございませんので、大臣に最後に申し上げたいのでございますが、坂田道太という男はいま歴史の審判を受けておる方なんです。ここに歴代議長のお名前がありますけれども、この中にはお名前さえ知らぬ力もある。しかし、大学の学問の自由を抑圧する、大学の自治を抑圧するこの当時の権力の座におった文部大臣というものは、歴史の上に必ずきざみ込まれるものであります。あるいは鳩山一郎にしても、あるいはまた荒木萬寿夫にいたしましても、いつも歴史の上には学問の弾圧者として名前が出てくるのであります。あなたがその端を、この次官通達を皮切りに開いた。坂田道太という名前を惜しむのあまり私は申しておる。どうかあなたは大学の自治、学問の自由というものを尊重するために、もう少し大学当局の御意見なり、あるいはどうすれば大学の自治、学問の自由というものを守ることができかということを慎重にお考え願いたいと思うのです。先日も衆議院の本会議においてあなたが御答弁になったときに、いわゆる自民党のタカ派なる諸君からわあわあとやじが飛んで、あなたは顔面蒼白になったことを私は見ましてお気の毒な次第、こう思うのでございます。あなたがいま自民党のタカ派の諸君に従わんか、これは学問に対するあるいは大学の自治に対する大きな長官となり、歴史にあなたの名前は汚名をかぶることに相なると思うのです。どうかひとつあなたは日本の大学の学問の自由、研究の自由のためにいかにすればいいかということを真剣にお考えになって、そうして不当なる国家権力と申しますか、政党の圧力というものをはねのけて、学問の自由と研究の自由のために邁進せられんことをお願いいたしまして、私の賛同を打ち切るのでございますが、大臣の骨所見を承りたいと思います。
○坂田国務大臣 ちょっと井上さんと残念ながら意見が違うわけなんです。というのは、私は学問の自由を守るためにこそ暴力を排除すべきであるというふうに思っております。戦前はあるいは国家権力の介入ということによって学問の自由というものが侵されておったかもしれないが、現在はむしろそうじゃない。足元の学生たちの暴力によって、あるいはその大学以外の学生の暴力によってまさに学問の自由が侵されつつある。そうして自治能力を失いつつある。これを解放することこそ国民のための大学である。私はむしろ国民のために大学を解放しなければならない。逆にいうならば、この学生たちの暴力行動、脅迫、つるし上げによって大学教授の研究の自由も、学ばんとする学生の自由もまさに危機に瀕しておる。これに大学自身がこたえないようであったならば、一体大学人というものはほんとうの意味の学問の自由というものを知っておるのかどうか、私は反問いたしたいのでございます。そういう意味合いにおいて、学問の自由を守るために、大学の自治を守るために、そうしていわば学問の自由を侵そうとしておる暴力排除のために最小必要限度のことはやはり国としてやるべきである。文部大臣としてはそれをやらなければ国民に対して責任を果たしたことにはならないというふうに私は思っておる次第であります。
○大坪委員長 岡沢完治君。
○岡沢委員 質問いたします前に、私、けさの理事会では二時間時間を与えてもらうという約束でございますが、四時には文部大臣は退席されるということで、三十分しかございませんので、できなかった質問については次回に私の質問を許していただきたいということを委員長にお願いして質問を始めたいと思います。
○大坪委員長 委員長十分含んでおきます。
○岡沢委員 最初に文部大臣に、現在の時点における大学紛争の実態、紛争校の現状等についてお尋ねいたします。
○坂田国務大臣 大学局長からまずお答えをいたさせます。
○村山(松)政府委員 紛争と申しましてもいろいろな段階がございますが、紛争の一番典型的な形でありますところの授業放棄、俗にいうストライキでございます。それから施設を占拠、封鎖をしておる、こういうものにつきまして申し上げますと、五月二日現在で国立三十二校、公立四校、私立七校、計四十三校が授業放棄または施設占拠、封鎖という状況の紛争をやっておるというのが現状でございます。
○岡沢委員 その紛争校の全大学に対する比率については、国立は七十五校でございますから三十二校ということで出てまいりますけれども、公立あるいは私立と比較して考える意味で、紛争校と存在校との比率をまずお尋ねいたします。 それから紛争の態様についてももう少し詳しく、入学式が行なわれた学校あるいは現になお新入生に対する授業が行なわれていない学校等も分けて、できる限り詳しくお尋ねいたしたい。 あわせまして、NHKの報道等によりますと七十数校という数字が出ておるようでございますが、食い違いがあるようでございますから、その辺の食い違いの根拠等についてもお尋ねいたします。
○村山(松)政府委員 比率で申し上げますと、国立の三十二校は七十五校に対しまして約四〇%に該当いたします。それから公立四校は、公立全部で三十五校でございますので約一〇%強ということになります。それから私立は二百六十五校に対する七校でありますので、大体二、三%というきわめて低率になっております。 それから紛争の状況をもう少し詳しく申し上げますと、最も極端に全学的に授業が中止状態になっているもの、これが国立入校、公立二校、私立二校、計十二校ということになっております。それから全学的に立ち入りができないというものが国立三校、公立一校、私立一校、計五校でございます。それから期間で申し上げて、授業放棄が半年以上に及んでいるものは、現在国立で二校、これは東京大学の全学じゃございませんで文学部が半年以上の授業放棄を続けております。それからもう一つは東京外国語大学でございます。それから私学が一校、これは日本大学でございます。計三校が半年以上の授業放棄状態が続いているのであります。 それから入学式の状況でございますが、中止をいたしましたものが国立六校、公立一校、私立二校、計九校であります。それから延期いたしましたものが国立十二校、私立五校、計十七校であります。それから何らかやりましたけれども混乱がありましたものが、国立十三校、公立一校、計十四校であります。混乱というのはどんな混乱があったかと申しますと、たとえば会場を変更するとか、あるいは開式の時刻がおくれたとか、それから各学部で分散実施をしなければならなかったとか、開いてみたけれども妨害があってきわめて短時間で終わったとか、そういうものでございます。 それからNHKその他報道機関で、大学紛争について数を入れて報道がなされております。これはたとえば一部で学生が大学当局者に対して団体交渉を申し入れたり、団体交渉をやったという程度のものまで広げますと、かなり多くなるわけでありまして、そこら辺を文部省では、授業放棄の宣言をし、かつ実際に授業放棄をやりあるいは施設を占拠、封鎖しておるというふうに、かなり紛争の状況を物的に、具体的に押えて数を出しますから少数になっておる、それが食い違いの理由だと思います。
○岡沢委員 いまの数字で明らかになりましたように、国立の場合実に四〇%、公立の場合一〇%そして私学の場合二、三%、非常に大きな差があります。一般的に考えますと、国立大学が、授業料、施設、教官の中身等を考えました場合に、最も恵まれた学校だといえるかと思います。その国立大学においてこうして圧倒的に紛争校が多いという理由あるいは背景について、文部大臣はいかがお考えになりますか。
○坂田国務大臣 端的に申し上げますと、あまりにも身分保障というものが手厚くされておるということのために、自分の社会的責任というものについての自覚が欠除しておる、あるいは非常に薄いということをあげなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。私立の場合でございますと、紛争が起きましてもとにかく入学試験をやらなければならない。もし入学試験を一回やらなかったらもう大学は存立の危機になる。同時に自分の身分というものがあぶなくなる。そういう危機意識というものが私立大学には強いわけでございます。したがいまして、たとえば具体的に申しますと、早稲田大学にしましても慶応大学にしましても上智大学にしましても、相当激しい学生運動が行なわれたわけでございますけれども、一定期間を過ぎますると、その復元力というものを内蔵しておりまして、その力によって立ち直るという例がこれを証明しておるかと思うのでございまして、ただいま局長から御報告を申し上げましたように、いま七十五の国立大学のうちの三十二校、四〇%というものが占拠され、封鎖されあるいは授業ができないという状況にある。しかも入学をいたしました新入生、つまり合格をいたしましてこれから勉強しようという合格者のうち、三〇%に及ぶ一万九千六百十三人というものがいま自宅待機をしておる。この点について、私はもう少し国立大学の先生方というものは、国家公務員としての、あるいはまた教育者としての、あるいは管理者としての、あるいは研究者としてのいろいろの多面的な責任を負っておる人として、自分の大学をどうすべきか、また学内が暴力学生によって占拠をされたり、封鎖をされたわあるいは器物を破損させられたりしておる場合においては、き然たる態度でもってこれを排除するという意識を持ってもらいたいと考えるわけでございます。
○岡沢委員 いま大臣は、国立大学の教官に対して教育者として、あるいは管理者として、あるいは研究者として、あるいは国家公務員としての職務の自覚についての御警告がございましたけれども、国立大学は国が設置者であります。国民の税金によってまかなわれている大学であることは言うまでもありません。また、政府を代表する国立大学の管理の最高責任者は文部大臣だろうと思います。文部大臣御自身の責任あるいは歴代文部大臣を出しておられた政府の責任等についていかがお考えになりますか。
○坂田国務大臣 私といたしましても、こういう事態になりましたことに対しては、その責任を痛感しておるものでございます。何とかして一日も早く国民の期待にこたえて、直接われわれが関与しておりまするこのような国立大学の紛争というものを解決しなければならないというふうに考えておるわけでございます。 また、従来われわれ文部省のとってまいりました態度にいたしましても、あるいは大学自治という一つの美名のもとに、われわれが当然国民に対して果たさなければならなかったであろう指導、助言等について、あまりにも消極的過ぎたのではなかろうかという気さえしておるわけでございまして、法律の囲範内におきまして、十分効果があるような指導、助言をこれから続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡沢委員 私はこの際、文部大臣も十分御承知のことではありますけれども、現在の国立大学の紛争あるいは一般の大学紛争に関連して、われわれも国会に席を置く者として教育基本法十条の精神、いわゆる教育行政、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」これが事実上は全く空文に帰しているということについて、ともにこの解決の努力を誓うべきだと思います。 次に、先ほどの井上委員の質問にも関連をして、問題になりました四月二十一日の新次官通達に関連してお尋ねいたします。 この次官通達に対して東京大学の加藤総長は、「今回の通達によって大学の態度を変更する必要はないと考える。」「警察の学内立ち入りについて、大学の判断に警察側の判断を優先させることには賛成できない。」とはっきりとこの通達を批判されております。これに関連して保利官房長官は、「もってのほかの発言であり、大学側は広く検討の上、通達を受け入れることを望む。東大はどこの監督下にある大学だろうか。外国の大学ではなく日本の大学なのだから文部省の通達を受けつけぬというような態度は誤りである」という意味の御発言をなさっております。これについて、東京大学だけではなしに、御承知のように九州大学は、一学長代行の見解ではなしに、大学全体として次官通達に反対の意思表示をなさっております。また、日本学術会議も公式声明をもって次官通達に反対の意思表示をなさっております。次官通達に対する学術会議の声明の最後の分を読んでみますと、「本会議は、科学を行政に反映させるという日本学術会議法の精神に基づき、科学者の立場から、これに強く反対せざるを得ない。」これは公式な発表であります。大臣もこの委員会においてもたびたび言明になり、あるいはまた、先ごろ発表されました中教審の答申の精神を貫くものも、やはり大学紛争の解決は大学自身の自主的な解決の努力を第一に期待するという精神だろうと思うのです。この次官通達に関連をして当事者の最たるものである大学側が、あるいはまたその大学を代表する立場にあるという見方もある意味ではできます東京大学、あるいは九州大学等がこぞってこれに反対の意思表示をされ、学術会議が公式に反対声明をされておる。これでは次官通達の有効な実施と効果的な効力の期待はできないと思うわけでございますけれども、これに対する文部大臣の見解、ことに通達の拘束力というものに触れてお答えをいただきたいと思います。
○坂田国務大臣 この通達に対しまして、新聞等の報ずるところによりますると、一斉に反対声明を出したようでございまするが、率直に申しまして、なぜオウム返しにこういうような反対声明を出されるのか、政府に対して反対声明さえしておれば、それで大学自治というものが守れる、あるいは学問の自由が守れるというのか、全く内容があるのか、内容をよくわかってああいうことをやられるのか、それとも形式的にあるいは慣習的にそういうことを繰り返されるのかということを実は私自身はなはだ疑うものでございます。 しかしながら、考えてみますると、この二十年間あるいはいな、戦前からこの警察官アレルギーというものがあり、そしてその根深い原因というものは戦前においてあった。事実国家権力が介入した、いわば学問の自由というものが守られなければならないのに、それに介入をしたというこの事実、また、それによってこうむったところの傷あとというものがなお今日の段階でも傷がなおっておらないということを考えましたときに、やはり相当時間をかける必要があるのじゃないか、もう少しわれわれもしんぼう強くかからなければならないのじゃないかというふうにも一面においては考えるわけでございます。でございますから、一片の通達でもって直ちにそれが切りかえられるというふうには私は考えておりません。しかし、この新通達を機会に、自然とそういうような誤った、あるいは誤解されたようなものの考え方、あるいは警察アレルギーというものはなくしていかなければ、真の意味における大学の自治というものも、あるいは学問の自由というものも今日守られないのではないだろうかというふうに思うわけでございます。東大の場合につきましては確かにそういう声明はございます。声明はございまするけれども、しかし、東大がやってまいりました十二月から一月、二月、三月あるいは今日までの状況につきまして、多少われわれと完全に意見が一致しておるというわけにはまいらぬところも多々ございます。しかしながら、大筋といたしましては、この通達に示されたような暴力が行なわれておる場合については、これを排除し、あるいは警察官を導入し、一月二十日の入学中止以後におきましても、おそらく八、九回警察官の要請を行なっておるようでございます。たとえば四月二十八日におきましても、文学部におきまして五十名でございましたか、三派学生がまた安田講堂に立てこもろうといたしました。その場合に直ちに学長は機動隊の要請を行ないまして、これを排除したという事実から考えますと、東大の場合におきましては、声明の意味をよく善意に解釈すれば、われわれはこういうふうにやっておるじゃないか、事実をもってということのように受け取れるわけでございまして、それ以上のことはやらぬでもいいじゃないか、そこには私たちといたしましては歯がゆい面もあるわけでございまして、まだ文学部も医学部も——ことに医学部は、東大の紛争の一番発端になったその医学部の問題というものがまだ解決をしておらない、あるいは駒場においては、授業は少しはやっておりますけれども、完全に行なわれておらない。そして来年の入学試験のめどさえまだついておらない、いわば紛争校なんであります。こういう事態に対してまだああいうふうな声明を出されるということについては、はなはだ遺憾だというふうに考えておるわけでございます。
○岡沢委員 懇切丁寧な答弁ありがたいわけですが、時間が十四、五分しかないわけです。 文部大臣のいまの質問に対する答弁は、前半と後半とだいぶ違うようで、前半はきびしく大学側の態度を御批判になりました。後半はえらい同情的といいますか、見解でございます。しかし、文部省と大学との断絶と申しますか、これもある意味では大学紛争の一因である。よくいわれますように教職員側と学生との断絶、これは世代の断絶もありますけれども、今回の紛争の背景についてはいろいろ考えられますけれども、しかし一つは、やはり文部省とあるいは教職員、あるいは日教組のイデオロギー的な対立、あるいは断絶というものが一因をなしておるという見方もできると思いますだけに、解決についての具体的な措置として重要な意義をおそらく持つという意味においてお出しになった次官通達についても、こうしてはっきりと文部省と各大学あるいは学術会議との見解の相違、あとで触れます中教審の答申に対する見解の相違というようなことについても、やはりこれをどうして埋めていくかという努力を現実にすべきではないか。先ほど文部大臣は国立大学の態度について批判されましたけれども、国立大学の場合、設置者は文部大臣、国なんであります。指導、助言の立場にあるわけなんであります。次官通達に対して公式にこういう反対の声明をしておる大学、あるいは個人の学長等に対して、文部大臣はその穴を埋める話し合いの努力、あるいは指導、助言というようなことについて、やはりもう少し考えてもらうべき必要があるのではないかと考えますが、時間の関係で次の質問に移ります。 都立大学の自衛官入学に関連いたしまして、先月十八日東京法務局長が明らかに違憲であるという立場に立った勧告がなされました。その後の都立大学のこの問題に対する措置、あるいは文部省のおとりになった措置等についてまずお尋ねいたします。
○村山(松)政府委員 都立大学の自衛官入学受験拒否問題につきまして、東京法務局の人権侵害としての勧告が出ましたので、即日都立大学にその旨勧告文を添えて、勧告どおり是正の措置をとるように指導、助言を文書でいたしました。これに対して大学では検討するということでございました。翌日、たまたま公立大学長との懇談会がございましたので、直接学長に対しましても、口頭で同じような助言をいたしまして、同じく検討する、ただむずかしい問題なので時間をかしてもらいたいというようなお話がございまして、その後今日まで、具体的にどのような措置をとるかという連絡がないままに経過いたしております。
○岡沢委員 私は先ほど大学紛争の原因の一端について触れましたけれども、一つは法が厳密に履行されない、小さい違法を認めてきたというところにエスカレートの原因もあろうかと思います。今度の法務局長の、自衛官入学拒否に関する憲法違反の判断、画期的な思い切った結論だろうと私は思うのです。こういう公的機関による明らかな憲法違反の断定があったにもかかわらず、それを放置しておくということが、あるいは暴力肯定の思想にも通ずるのではないか。法を無視した違法状態を是認する、あるいは助長する一因になるんじゃないかということを考えました場合に、すでに勧告から一カ月近い期間が経過しているわけでございまして、大臣自身も、この勧告のなされたあとの記者会見で、大学当局が何らかの形で自衛官の受験をやり直すか、あるいは責任をとるべきだという意味の御発言をなさっておられます。御承知のとおり都立大学でございますから、公立ではございますけれども、地方自治法第二百四十六条の二の「事務の違法不当処理に対する内閣総理大臣の監督権」さらにこれを受けました地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十二条の、文部大臣のいわゆる措置命令がございます。十分御承知だと思いますけれども、きわめて必要だと思いますので、ちょっと読んでみます。「文部大臣は、地方自治法第二百四十六条の二の規定にかかわらず、地方公共団体の長又は教育委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適性を欠き、かつ、教育の本来の目的達成を阻害しているものがあると認めるときは、当該地方公共団体の長又は教育委員会に対し、その事務の管理及び執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」今度の場合は、法令の違反だけではなしに、あるいは単に執行の不当ではなしに、憲法違反ということが責任ある官憲からはっきりと指摘されたわけであります。こういう状態があるのに、現在まで文部大臣がこの明文の規定に従った措置をとっておられないということについて、いささか疑問を持つわけでございますけれども、文部大臣がどうしていままで放置されたか、あるいは今後このままの状態で放置されるつもりか、その辺のところをお尋ねします。
○坂田国務大臣 いまの問題につきましても考えているわけでございますが、とにかくいままで学長そのものに対しまして、何らかの意思表示があるものというふうに、われわれとしては期待をいたしておるわけでございます。いましばらくお待ちを願いたいというふうに思います。
○岡沢委員 法制局がお見えでございますので、先ほどの文部次官通達に対して国立大学が全く反対の意思表示をしておるというような問題も含め、通達あるいは通牒、あるいは談話、説示というようなことを文部大臣としてすでに何回かなさっておられますけれども、これの拘束力、あるいはいま申しました自衛官入試拒否についての法務局長の勧告に対して、何らかの措置を都立大学等がとっておらないということについて、法制局として何か御見解がありましたら、お尋ねいたします。
○真田政府委員 お答え申し上げます。 まず一般論といたしまして、各省大臣が発する通達の拘束力はどうかということに触れてみたいと思うのであります。 通例は通達を出しますにつきましては、その根拠としまして上級官庁としての指揮監督権をうしろに控えまして、それの作用として出すわけであります。ですから通例の各省大臣が地方庁あたりに対して出す通達は拘束力があるということになるわけでございます。つまり指揮監督権の作用のあらわれであるというふうに見えるわけでございます。それから文部省の、文部大臣がお出しになります場合には、やや趣が違いまして、御承知の文部省設置法の文部大臣の権限として、大学については指導、助言しかできないというふうに制限が書いてございますので、その範囲内の権限の行使のあらわれが今回の通達である。かように御理解をいただきたいと思います。したがいまして、法律上からいって拘束力があるかということになりますと、これは遺憾ながら拘束力はないということをいわざるを得ないというふうに考えます。 それから都立大学の自衛官受験拒否の問題でございますが、先般法務局長から当該措置は違憲であるというふうな判断で、しかるべき措置をとれという勧告が出ました。これも前回お答えしたかと思いますけれども、やはり勧告でございますので、ぎりぎりの法律論からいえば拘束力はない。ただ、公的な機関が法律に基づいて判断をして勧告をしたのでございますから、非常に権威のあるものであって、当然勧告を受けた側も、これを尊重して善処するであろうということを法律は強く期待をしておるということがいえると思います。
○岡沢委員 いまの法制局の見解に対しまして、一般的な大学に対して指導、助言の範囲の権利義務しかないということはわかりますよ。しかし、国立大学の場合は、設置者としての文部大臣、国の代表者としての文部大臣の場合も法律の効力が同じであるかということが一点と、それから御承知のとおり国家公務員法第八十二条で、法令違反あるいは職務上の義務違反及び怠慢、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合について、懲戒の対象にして、免職、停職、減給、戒告の処分をすることができることになっております。都立大学は地方公務員ではございますけれども、自衛官の入学拒否については国立大学でも起こっておりますが、今度の大学紛争等におきまして、先ほど井上委員が指摘いたしましたけれども、刑事訴訟法上の二百三十九条の官吏の告発業務というものが全く無視されておる。いわゆる職務上の義務を履行していない大学の教職員——大多数という評価すらもできるかと思いますが、こういう場合に、この国家公務員法第八十二条に照らして、法令違反あるいは職務上の義務違反という問題が現在の大学教職員に考えられないかという点についてお尋ねいたします。
○真田政府委員 文部大臣の大学に対する指導と助言は、これは国立大学であろうと、公立大学であろうと、私立大学であろうと同じであります。国立大学であるから拘束力のある命令ができるかというふうには読めないというふうにわれわれは解釈いたしております。 それから次の国家公務員である国立大学の教員あるいは職員が、国家公務員法違反、国家公務員法に定める懲戒事由、法令違反とか職務怠慢があったときに懲戒できるのではないかという御質問だと思いますが、国家公務員法に定める事由に該当すれば、もちろん懲戒事由として懲戒の対象になります。なりますが、ただ、国家公務員である国立大学の教員につきまして、あるいは地方公務員である都立大学——公立大学の教員につきましては、例の教育公務員特例法の規定がございますので、手続上制約がございます。つまり休職なり、懲戒なりの処分は、大学管理機関の申し出に基づいて行なうというふうになっておりますので、実定法上、手続上の制約がかぶってまいりまして、その申し出がなければ任命権者といえども懲戒をすることができないというしかけになっております。ただ、実体法上の、手続ではございませんで、実体法上の懲戒事由に当たるのではないかということであれば、これは当該条文に該当する限り、懲戒事由が成立するというふうに解されるわけでございます。
○岡沢委員 まだ私は、大学における暴力行為を現行法の厳正な履行によって、執行によって防げるかというような問題、中教審答申に対する大学側の反応と新立法との関係、あるいは文部大臣の学長任免権の限界その他につきまして質問をする予定でございましたけれども、約束の四時がまいりましたのでこれで終わります。次回ぜひとも私に引き続いて質問を許していただくことを、委員長に重ねてお願いして終わります。 ————◇—————
○大坪委員長 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 文教行政の基本施策に関する件の調査のため、参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、日時、人選及び手続等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次回は、明後九日金曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二分散会