文教委員会 第13号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/04/18
会議録
○大坪委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 文教行政の基本施策に関する件について、大学における臨床研修に関する問題等の調査のため、本日東京大学医学部教授上田英雄君、順天堂大学医学部教授懸田克躬君の両君を参考人として、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 参考人の方々にはお忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとう存じます。 なお、参考人の御意見は委員からの質疑に対するお答えでお述べいただきたいと存じますので、さよう御了承いただきます。 ―――――――――――――
○大坪委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。井上普方君。
○井上(普)委員 昨今非常に大学問題が重要な問題になっておるのでございますが、大学問題が非常に大きい問題になりましたのは、政府の基本的な政策の一環としてあらわれました大学運営の方法の変化に始まって、これに対する反対運動という形であらわれたのが第一であります。その二つには、学生運動の方向である。先ほど申しました政府によるこの大学自治の介入という問題と、この二つが大きい問題と相なっておるのであります。学生の運動がこのように高揚いたしましたのは六五年以来でございますが、これは市民的な要求として、市民的権利に基づくものとしてあらわれてまいったのが第一点。第二点といたしましては、大学自治に対する戦前からの考え方の踏襲にあった。第三点といたしましては、学術研究あるいは科学技術の研究態度に対する疑問の表明があった。これに対する当局の反応の不十分さが、今日の学生運動の高揚を見、さらにはまた暴力的な運動の形態がとられるに至った、私はこのように考えるのであります。 そこでまず東大紛争が起こった一番の原因といいますものは、御承知のようにインターン制度を廃止すべしという要求が出てまいったことは御承知のとおりです。インターン制度につきましては――私もインターンをやったのでございますが、あれくらいくだらぬようなやり方はなかった。ビビッドな頭を一年間ブランクにさすような、こういう制度に対する憤激が、しかも人員、設備においてまさしく若年医師の労働力の搾取といった形においてあらわれたのが、あのインターン問題であった、紛争の原因であったと私らは考えるのであります。そこで、これにかわるべき制度といたしまして、登録医制度というものが政府原案として出てまいった。ところが、登録医制度というものにつきましては、これに対しては全国四十七大学でございますか、医学部のあるところから、実に十八校までが教授会において反対声明を出した。教授会において賛成表明をするところが全然なかったのであります。ところがこれを強引に、いわゆる有力なる先生方が与野党の有力議員を訪問いたしまして、そうしてこのインターン問題あるいはまた国家試験ボイコットの運動は、これはこの登録医制度ができれば解決するんだという説得をなさって、強引に成立に持ち込んだことは御承知のとおりであります。すなわち、政府の政策の一環に当時の医学界の方々が乗っかって、登録医制度を強引に成立せしめたところに原因があると私は思うのであります。 そこで一体、それでは研修医制度というものがどういうものであるかということについて、医師試験研修審議会臨床研修部会の部会長をやっておられます懸田参考人にひとつお伺いをいたしたいのでございます。と申しますのは、この研修医教育病院の指定をめぐりまして、当時衆議院におきましても、参議院におきましても、非常に論議がかわされたことは御承知のとおりであります。それにのっとりまして、この登録医制度というものを衆議院、参議院におきまして報告医制度に変えました。ところが、報告医制度をきめる際にいろいろと論議がなされたのであります。その際に、インターン制度というものが非常に不備な状況にあった。しかもインターン指定病院というものが人員において、設備において不十分なものがありましたので、これを厳重に、いい病院を指定するということを園田厚生大臣が表明せられたことは、私ども記憶に新たなところでありますし、また議事録にもはっきりと載っておるのであります。 ところが、まず医務局長にお伺いするのでございますが、研修医の教育指定病院の根拠、一般病院において百八つですか、あるいはまた精神病院においては十七の教育病院の指定をしておりますが、根拠は一体どういうところへ求められたのか、お伺いをいたしたいのです。
○松尾政府委員 お答え申し上げますが、臨床研修の指定病院を指定いたしますことは、医師試験研修審議会の意見を聞いてきめるということになっておるわけでございます。したがいまして、審議会におきまして、個別にいろいろな医療機関の中身をチェックされまして、その結果選定していただいたこれが結論でございます。そのときの一応のいろいろな目安というものがございます。たとえば一般ベッドにつきましては、あまり小さな病院では困るからということで、おおむね三百ベッドということを標準にし、かつ各診療科というものを網羅しておる、あるいは死体解剖、病理解剖というものが行なわれておる、その他十分な指導者がいなければならぬ。特に過去の例から見ましても、審議会におかれましては、指導医、指導者というものがしっかりしていなければ研修はできない、そういうところに非常に重点を置かれまして、個々の病院の指導者について審議会の各先生方が一々チェックをされまして、そしてその結果として、ただいま申されましたような病院の指定に落ち着いたわけでございます。
○井上(普)委員 医務局長はそのようなお話でございますけれども、われわれは、法律をつくる際には、国会における論議並びに大臣あるいは政府委員の答弁というもの、これが法律上の解釈として、法廷におきましても有力なる証拠になるはずです。この委員会の論議、大臣の答弁あるいはまた政府委員の答弁というもの、これが法解釈上の根拠になると私は考えるものです。そこで、園田厚生大臣はどう言っておるかといいますと、「教育病院の指定についても、いままでのいきさつとかあるいは役所の体面とかいうことは一切この際捨てて、もっと厳密に医師の定員数、ベッド数あるいはその病院の施設等を考えながら、ただ大きい小さいばかりでなく、そういう点を考えて指定をしていかなければならない。」と考えますということを御答弁になっておるのであります。医務局長は、審議会の意見を聞かなければならない、それによってなされた、こうおっしゃいますが、この研修指定病院の内容を見てみますると、医療法施行規則の十九条には病院の基準というものがあります。この点につきましては、昨年の六月までございましたインターン指定病院というものが、医療法上において基準に達しない病院をたくさん指定しておることにつきまして問いただしたところが、そういうようなところは、これまた厚生大臣の答弁で、そういったことを排除いたしますということを議事録に書いてある。ところが、このたびの教育指定病院の実態を見てみますと、医療法施行規則十九条の違反になる病院が、一般病院百八つのうちの実に三十八病院が医療法の基準に反しておると考えられる。それで、一つの例をあげて懸田参考人にお伺いするのでございますが、福岡県の麻生産業株式会社飯塚病院というのがあります。ベッド数が千五十九、医者の数が四十三、そういたしますと医者一人当たりベッド数は二三・五二になる。また、宮崎県立病院のごときは、六百四十一のベッドを持っておって医者の数が二十六、これで医療法施行規則十九条に違反しない病院とあなた方はおっしゃられるかどうか、ひとつお伺いいたしたいのです。
○懸田参考人 井上委員の御質問に十分なお答えになるかどうかわかりませんですけれども、私どもがその病院を教育病院として指定するということを考えたときの事情を一応申し上げておきたいと思います。 これはこの審議会が持たれます前に、全国の医育機関の者どもが集まりまして、そして私ども医育に携わる者の責任において、特にいま問題になっている臨床学生の教育の問題を考えなければならぬ。それから卒業してからの医師となった者についての修練の問題も考えなければならぬ。われわれはそういうものについても責任を持たなければならぬのであろう。インターン問題が、先ほどおっしゃいましたように実態として決してプラスするものとは思われないというような判断を私たちに下させた時点で、インターン廃止ということを私どもも考えたものですから、そういうときに、いま申しましたように、卒業してから医師となった者も十分の修練というものを一応持たなければならぬということを考えて、十分のわれわれの意見をわれわれの責任でまとめるまではわれわれだけで考えていこうじゃないか。その上でいろいろな方面の意見も伺いたいということで、医育機関の者どもが集まって考えたときも、やはり卒業してから試験を受けて医師となって、それからあとの勉強するところは、やはり教育病院というような性格を持ったものでなければならないと考え、それはかなり高度のものでなければならぬということを言ったわけです。これは私ども医学部長・病院長会議の前の段階で、医学部長会議と病院長の集まりというものが別々になっていた段階に合同で考えた案でございますけれども、そこでも考えました大体十の要項の中に、やはり教育病院で勉強するということをうたいましたが、しかし、これを非常に高度なものというふうに考えることは、望ましいことではありますけれども、また一方、そういうことから派生してくる問題も考えなければならぬであろう。医師がそこだけに集中するというような問題もわれわれ考えなければならぬというようなことが、全国で各ブロックごとに医育機関の責任者の者たちが集まったときに出ておりましたので、われわれ将来そういうことを考えるときには、地域的な問題も考えなければならぬのであろう。程度の高い病院でなければならぬ、十分な資格を持ったものでなければならぬということは当然でありますけれども、そのほかにもう一つ、そういうことで医師の偏在がいよいよ大きくならないようにという配慮をわれわれもしなければならぬだろうというようなことを申し合わせたことを覚えておるわけでございます。 研修病院の指定の場合には、この委員は、御承知と思いますけれども、その後結成されました全国医学部長・病院長会議でみなが集まりましたおりに、各ブロック、それから各専門というような点を考慮いたしまして、そこで選挙でこういう人を推薦したいということで推薦された者がありまして、その多くの方がこの研修委員になっているわけであります。委員の選出はそういうわけで、全国の者が集まった席で、ブロックごとに彼が適当であろう、また専門の配分から考えて適当であろうというように考えてやったわけでございますし、その審議会の中にはそれぞれの地方の事情も御存じになり、また専門の領域のことについても、ある程度以上のことについては個々の人についてどれだけの能力があるかというようなこともおわかりになっている方々が集まっていただいたわけで、私、偶然そこの座長というような意味合いの部会長ということにさせられたわけでございますけれども、別に私に能力があるとか、私がそういうことをじょうずにやるというような意味ではございませんと私は思っております。おそらく年長者ということでなったのだろうと思います。 そして、そこで皆さまに個々の病院をあげまして、そこで医師として責任を持っておられる各科の先生方の履歴も調べていただく。そして指導の能力があるか、それから病院について御存じの先生もあるわけですから、その病院はどういうものであろうかというようなことを伺いまして、そしてこれなら、まだまだ足りないところはあるかもしれぬけれども、やはり一応この点でその病院の程度と、それから地域性というようなものも考え、また、いまこれをノーという答えを出すことが、その地域に教育あるいは臨床の修練をする病院を育てるという意味でプラスになるだろうかどうだろうか。これによしという答えを与えておいて、それで期間を限っていることでございますから、その期間に充実しなければ取り消しということもあるわけですし、また、病院をあげましても、一つの病院全体としての機能のほかに、また各科ごとにそれぞれ優劣があるわけでございますので、そういう場合には、この病院については、この科は指導、修練をするいわゆる研修生というものを受けとめることはできるけれども、この科はちょっと無理だから、それは補充しないでほしいというようなこともしたらどうだろうというようなことを考えて、そして病院を考えたわけでございます。 そういうことでございますから、私、非常に不敏で、いまお話しになりました病院が全体として医療法の定めに当たっているかどうかということをいま的確にお答えすることはできませんですけれども、いまのような考えで選ぶ、そしておもな科についてはそういうことができるというような判断で皆さんの御賛同がありましたので、私はそれをしたというふうにお考えいただきたいと思います。
○井上(普)委員 医療法の二十一条には「病院は、省令の定めるところにより、左の各号に掲げる人員及び施設を有し、且つ、記録を備えて置かなければならない。」として、「省令を以て定める員数の医師、歯科医師、看護婦その他の従業者」ということが第一番に書いてあるのです。そして医療法施行規則第十九条には「法第二十一条第一項第一号の規定による病院に置くべき医師、歯科医師その他の従業者の員数の標準は、次の通りとする。 一 医師 入院患者(歯科の入院患者を除く。)の数と外来患者(歯科の外来患者を除く。)の数を二・五(耳鼻いんこう科又は眼科については、五)をもって除した数との和が五十二までは三とし、それ以上十六又はその端数を増す毎に一を加えた数」これが医者の定員であります。そうすると、あなたがお示しになりましたこの百八の病院のうちで、医療法に違反しておる病院というものが実は三十八ある。あなたが地域的な配分も考えなければならないと言っているのは、政策目的じゃありませんか。純然たる教育病院というのに政策を入れていいとお考えになっているのですか。どうでございますか。
○懸田参考人 お答えいたします。 地域性ということを申しましたのは、先ほど申しましたように、私どもとしても、医師の偏在がないようにということは国の政策かもしれませんが、医育者としても非常にそれに関心を持つわけでございます。しかし、それだけを考えたわけではございませんで、それぞれの地域にある学校を出た者が遠くへ行かなければ勉強ができないというようなことがないようにという意味の地域性を考えたというふうにお考えをいただきたいと思います。
○井上(普)委員 しかもこの医師研修制度についての大臣の見解というものは、医師の定員というものを十分に考えるのだ、設備についても十分考えて厳密に行ないます、こうおっしゃっておるのです。そしてまた、あなたは「ジュリスト」の昨年の九月十五日号に論文をお書きになっておられる。それによりますと、「もちろん、厚生大臣の指定する教育病院もそれぞれに研修教育計画ならびに病院のスタッフなどについての実状を公にすべきであって、臨床研修を志すものが自由に選択しうるようにすべきである。そして、大学病院であろうと教育病院であろうとを問わず、十分な条件をみたさないものは教育の場であることを否定されるようになるのは当然である。」ということをあなたお書きになっておる。地域性なんというのは一向に出てこない。これはまさに政策的な教育の場ですよ。あなたはこういう論文を「ジュリスト」という法律専門誌に書いておられる。これでもって医療法の違反病院についてあなたはどういうお考え方を、やはり地域性をまだおっしゃるおつもりでございますか、どうでありますか。
○懸田参考人 私、「ジュリスト」に書きましたのは、別に法律家としての意見を求められたのではございませんで、編集者と会いましたときも、どういうふうに考えているか忌憚のないところを書いてくれということでございましたので、私は、この委員として、あるいは一つの小さい大学の責任者として、学生を育て、卒業した人たちを育てていく、そういうときに、私どもの大学だけでは決して全部の卒業生を十分にやるためには関連病院というものを持ち込んでこなければ考えられないということを考えたりしていたものでありますから、そういうようなことを常に考えもし、人とも話し合いをし、学生とも話し合いを持っておるということを聞いて、私に書けと言われたのだということで、「ジュリスト」という法律関係の雑誌に書いたことが格別の意味があるというふうには私は考えておりません。もしもそういう意味があるのでしたら、もう少し慎重にしなければならぬだろうと思います。 その中に地域性のことが触れられていなかったということでございますけれども、地域というような問題は、あとでもしも御必要ならばお見せしてもよろしゅうございますけれども、全国の医学部長・病院長会議の前身の医学部長インターン問題小委員会と病院長インターン委員会というものとの合同でいたしました中でもやはりそういう問題について触れておりますので、ごらんいただければけっこうだと思います。それに書かなかったことは、私が何か政策的な、政治的な問題に関与して、そういうものの配慮からというふうにお考えいただくと、私としてはたいへん残念で、私が書きましたのは、先ほど申しましたような意味と、この指定にある大学、それに類似するような病院だけにはまるということになれば、若い医師が、それ以外にないという形になることは非常に心配だというしろうとの私なりの考えはあったということはもちろん申し上げなければなりませんけれども、それが高度の政治的な意図だというふうには私は考えておりませんです。私は、ただ一人の教育者として、それから一人の、医者を社会に供給する責任がある者として、私の考えを書いたというふうに考えていただくことができたら幸いだ。これが政治的なことでけしからぬというふうに仰せられれば、それはまた私としてはいたしかたのないことだと思うわけであります。
○井上(普)委員 懸田参考人は、「大学病院であろうと教育病院であろうとを問わず、十分な条件をみたさないものは教育の場であることを否定されるようになるのは当然である。」こうおっしゃっております。こういうようにあなた方厚生省が定めた法律です。医療法の施行規則に違反するような病院です。大体入院患者だけをとってみますと、これは概算いたしまして、医者一人当たりベッド数が十六、外来患者を入れるとまだまだ低くなるはずです。これを教育病院に指定しておるということは、私どもは納得がまいらない。そしてこの医療法上では罰則をきめておるのです。ただ人員については、これは罰則をきめておりません。しかし、その他の手術室とか処置室とか臨床検査施設とかエックス線装置であるとか、こういうような施設につきましては、これは罰則がきまっておる。そういうようなこの医療法の二十一条に違反する病院を教育病院に指定しておることにつきましては、これはいまの若い医者の諸君が、若年労働医師の搾取であると言うのに相通ずると思うといわれてもしかたのないことです。医務局長、あなたは全部医師試験研修審議会の臨床研修部会のほうにおまかせになったというふうなお話でございますけれども、法律上並びにこの研修指定病院というものをつくった際、この法律をつくった際の大臣答弁が、先ほど申しましたが、ここに持っておりますけれども、違っておるのです。法律は立法府においてつくりなさい、あとは行政官がどうでも左右できますというのでありましたならば、もう立法府というものは一体何を――一たん法律をつくれば、あとは行政官の思いのままだというのがあなた方のお考えなのか。どうなんです。
○松尾政府委員 私どもは、そういうような法律がきめられ、制度がきめられましたときに、やはりその審議の過程その他の御意見を十分尊重してやっていくというのがたてまえであるという点は基本に持っておるつもりでございます。ただいまのような事例につきましても、私、ちょうどこの審議会が始まっておるまん中ごろにただいまの職について参加をいたしましたけれども、そういう個々の事例についてきわめて熱心に、たいへんな御議論を重ねられましてきたものでございまして、私ども、やはり教育的な立場というものから専門の方々が御審議いただいておるという点については、むしろ私どものほうが先生方の御意見を尊重するというつもりで少なくとも私は臨んだつもりでございます。
○井上(普)委員 私が聞いておるのは、法的に合わないものをなぜきめたのです。おかしいじゃないですか、どうです。その点を私は聞いておるのです。審議会の委員になれば、それはいろいろ熱心に討議をされるのは、これはあたりまえの話です。義務ですから。ところが、こういうような病院を指定しておることについて、あなた方はどう考えておるのだ、それを聞いておるのです。
○松尾政府委員 医療法の標準に満たない施設がございますことは、私どももまことに遺憾だと存じます。その指定に際しましては、ただいま審議会の部会長の懸田参考人からお話がございましたように、やはり教育的な機能を持った病院をこれから育てなければいかぬということを非常に強く言われたことを、私は記憶いたしておるわけであります。そういうことで、いろいろ審議がありましたときに、たとえば不足しておる指導者がすぐ得られるかどうかということは、一般論でなくて、個々にそういう病院の照会等を通じ、具体的に一応の計画を、これならいけそうだというようなことを各先生方も踏まえた上で、やはり育成をしていこうというふうな方向にございましたために、私どももその御意見に全く賛成して指定したような次第でございます。 〔発言する者あり〕
○大坪委員長 静粛に願います。
○井上(普)委員 そうあなたおっしゃいますが、厚生大臣は、この審議の最中にこうおっしゃっておるのですよ。もっと厳密に医者の定員数、ベッド数あるいはその病院の施設を考えながら慎重に指定をいたします。百三十という数にはとらわれませんと、こういうことをおっしゃっておるのですよ。法律のこの解釈は、研究指定病院を指定する際には、国会の論議、大臣の言明というものを重んじなければならないでしょう。これが法的解釈の一つの大きい根拠になるのじゃないですか。どうなんです。
○松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、そういう御意見等のことを十分体して、その精神、特に教育にあたっての指導力という従来欠けておったものを十分考慮していくということは、私ども当然かと存じます。
○井上(普)委員 そうすると、医師法施行規則の第十九条の三「厚生大臣は、指定した病院が臨床研修を行なわせるのに必要な条件を欠くに至ったと認めるときは、その指定を取り消すことができる。」こうありますが、医療法上違反しておる病院は指定を取り消すのですか、どうですか。これが根源ですよ。
○松尾政府委員 医師法施行規則の第十九条の三に指定の取り消しの問題がございます。したがいまして、先ほど来のような育てていくというような考慮もございましたが、そういったようなものの改善ができなければ、これは当然取り消します。それからまた、先般もお答え申し上げたかと思いますけれども、こういうような指定を一度いたしましたならば、それがいつまでも、もうその条件がいかに変わっても続いていくということは妥当でないという御意見もございまして、そういう御趣旨も踏まえて、指定の期間を一応二年間といたしておりますのも、そういう内容が不備であれば次の指定はしないという精神であったわけでございます。
○井上(普)委員 指定を取り消すことができるんですよ、欠くに至った場合は。至ったということは、もうすでに欠格条件ができれば、直ちに指定を取り消すことができることになっているんですよ。(「それは行政判断だ」と呼ぶ者あり)行政判断とあなた方は言うけれども、当時の厚生大臣はどう言っているかというと、これはすぐに取り消す必要があるのだ、しなきゃならないでしょうが。これからやるというんじゃだめだ。
○松尾政府委員 先ほど来申し上げましたように、教育的な機能を持った病院というものが日本で十分に育っていなかったということが一つの背景にございまして、審議会でも、やはりこれは育成していかなければならぬというのが強い一つの方針で、いろいろな不備がある点は個々に相手に対して改善要件を示しながら御指定になったわけでございます。しかし、それがあまり教育的な要素において欠けるというふうになれば、先ほど来申し上げたように取り消すということを考えなければならぬと思います。しかし当然、この指定問題にあずかりました審議会の御意見は承った上で処理をしなければならぬと思います。
○井上(普)委員 育成していかなきゃならないというのは、これは政治的な考え方、政策的な考え方ですよ。懸田先生もおっしゃっておるように、これは教育の場であるのであるから、そういう十分な条件を満たさないところは、これは否定されるのは当然であるとおっしゃっているのですよ。いいですか。これから育成しなきゃいかぬというのは、そんなことはだれがきめたんです。
○松尾政府委員 この医師法が成立いたしましたときにも、やはり国会におかれましては、そういう病院の整備あるいは指導体制の充実ということにつとめろということを申されておるわけでございます。そのことは、やはり現状においてなお努力をして内容を充実していかなければならぬという実態をお認めいただいたものと私ども受け取っておったわけでございます。したがいまして、そういう確認もあり、審議会におかれましても、指定をしてどんどん、むしろ早く引っぱり上げようという配慮から、いろいろ条件をつけて指定をされたわけでございます。決して単に政策的な意味でやる必要があるということじゃなくて、むしろよき研修体制を早く確立したいという熱意から、審議会でいろいろ議論されたわけでございます。ただいま育成と申し上げたのは、そういうような現状というものに対応して考えるべきであるというふうに理解したわけでございます。
○井上(普)委員 これは教育的な立場にあるのです。でございますから、ここでいわゆる研修をする医者が、こんな医師法に違反したような病院であっても、医療法上違反したような病院であっても、教育病院に指定せられるのだというような考えを持ったらどうなります。 現に私がこれは予算委員会においてちょっとしゃべりますと、私がくにへ帰るというと、すまぬがひとつあなたの免状を貸してくれと言うてきた教育指定病院がありますよ。それがパート医と称して、あなた方が出しておるこの中にもパート医というものがたくさんあるんだ。免状ひとつ貸してくれ、月に一回来てくれれば五万円なり七万円出しますから免状貸してくれと言うてきたような教育指定病院があるんだ。これでもって整備ができるんですか。こういうような病院をあなた方は指定しているんじゃないですか、事実。実際、医者一人当たりベッド十六以上持っている病院が十七あるんです。この百八の総合病院の中であるんだ。地域性なんというのを考えられるということは、まことにもって不届きしごく。どうなんです、一体これは。指定取り消しするんですか、どうなんです。
○松尾政府委員 その中身が、なかなか改善されようとすべき条件についても改善ができない、しかもそれが見通しもつかないということであれば、当然これは指定取り消しということにならなければなりません。
○井上(普)委員 いつまでの見通しなんです。去年の六月に指定しておるんです。これをもらったのは二月なんです。いつまでなんだ。
○松尾政府委員 これは個別な病院の問題でございますから、慎重にその計画等についても個々に当たった上で判断をせざるを得ないと存じます。
○井上(普)委員 これはあなた方からいただいた資料ですよ、この二月に。
○松尾政府委員 当時からも再々申し上げますように、個々の病院について改善を要すべき点ということは、指摘をされておるわけでございます。大学側におきましてもまたそれに対して協力をすべきであるという御意見も付せられておったような次第でございますから、それぞれ努力はしていると存じます。しかしながら、これは先生御承知だと存じますけれども、なかなか現在、従来のように大学からのいろいろな指導的な人を補充するということができないという事情もございます。したがって、具体的な問題として、個々にやはり検討して結論を出すべきではなかろうかと存じております。
○井上(普)委員 個々に指導するというが、去年の六月からことしの二月まで、これだけあるんだ。改善の方策、一体いつやったんです。八カ月たっているんですよ。そして三月になったならば、ひとつ医者の免状を貸してくれ、月に二回くらい来たら月給払うから、というようなことを私らに言ってくる。こんな病院を指定しているんですよ、あなた方は。
○松尾政府委員 ただいま御指摘のような事例があるといたしましたらば、これは私どもとしても全く遺憾千万なことでございます。何よりも私どもが、全国の指定病院長会議を早々に開きましたときも強調いたしましたことは、やはり何と申しますか、名目的なものじゃなくて、ほんとうに熱意をもって研修をしてもらいたい、そのためにいろいろな通知等も病院に出してございますけれども、いたずらによけいな責任の範囲を越えたような受け入れをしない、あるいはいろいろと御指摘ありましたような診療能力といいますか、指導能力の弱いものは研修生を募集しない。こういうことで、ほんとうに責任のある方しか受け取ってくれるなということを強く指示いたしておるわけでございますけれども、そういった点がかりそめにも破られるような態度であれば、これこそやはり最大の失格条件ではなかろうかと考えております。
○井上(普)委員 この病院ですね、外来患者をとらなければならぬということも、あなた方のほうの指導要項があるが、そうしますと、それらを含めると百八の病院のうちで、私が推定するところでは少なくとも三十八の総合病院がこの条項に欠格するんです。いいですか、百八のうちの三十八だよ。 次、特殊病院について申し上げる。これは特殊病院は精神病院を指定している。これが十七指定しておるようですが、このうちで、これも厚生省が特殊病院の指定につきましては通達をお出しになっておる。この通達は「特殊病院に置くべき医師その他の従業員の定数について」ということで、医療法上に特殊病院については別に定めるということで、これは出しておるのでございますが、これによりますと、「主として精神病又は結核の患者を収容する病室を有する病院(以下「特殊病院」という。)に置くべき医師その他の従業員の定数については、医療法施行令第四条の四の規定による都道府県知事の許可に基き医療法施行規則第十九条に定める標準によらないことができることとなっているが、従前これが取扱については各都道府県の実情により許可基準が区々にわたり、ためにその定数において相当の不均衡がみられ、かかる特殊病院の適正な運営の上から支障を来している向もみられるので、今般、その運営の適正化を図るため左記のとおり都道府県知事の許可準則を定めたから、今後はこの準則により許可を与えるよう配慮されるとともに、特殊病院にこの趣旨を十分徹底せしめられたい。」こういうことをあなた方は出されて、そして「記 主として精神病又は結核の患者を収容する病室を有する病院に置くべき医師、看護婦及び准看護婦の員数の標準は、次のとおりとする。一 医師 入院患者の数を精神病にあつては三、結核にあつては二・五をもつて除した数と外来患者の数を二・五をもつて除した数との和が五十二までは三とし、それ以上十六又はその端数を増すごとに一を加えた数」これが医者の定員。「二 看護婦及び准看護婦 入院患者の数が六又はその端数を増すごとに一及び外来患者の数が三十又はその端数を増すごとに一」これが看護婦の定員です。あなた方は、こういう基準によって、都道府県に対して、開設するときはこういうようにしなければならぬということを言っている。ところが、この精神病院の指定を見るときに、驚くなかれ、医者一人に対して十六という基準をあなた方はきめておるにもかかわらず、ひどいのになりますと、ベッド数が六百三十三のところで医者は七人しかおらぬ。これは兵庫県立病院光風寮という病院、六百三十三の病院で医者が七人です。しかも、あなた方がきめておるところのこの臨床研修の運用については、外来患者を見なければならぬことになっているのです。こんな病院指定をしているのですよ。あなた、これはどうするのです。
○松尾政府委員 精神病院につきましても、精神科の医者の非常に不足という問題がございますので、なかなか十分な充足ができていないという点が、いまの御指摘のようにあることは事実でございます。基本的には、先ほど来申し上げたようなことで、これが指定になっているわけでございます。
○大坪委員長 井上君に申し上げます。懸田参考人は所用のため十一時五十分に退席されることになっておりますので、懸田参考人に対する質疑がございましたら、そのほうを先にお願いいたします。
○井上(普)委員 懸田参考人は精神科のお医者さんだと私は承っておる。そして、この精神科の指定については大きい役割りをお果たしになった。この兵庫県立光風寮六百三十三で医者が七人しかおらぬというのに、あなたはなぜ御指定になったのです。
○懸田参考人 ただいまのことにお答えしますが、ちょっと前に、先ほど一般教育病院たると大学病院たるとを問わず、条件に合わないものは指定されぬのは当然じゃないか、私、いまでもそういう意見は持っておるわけでございます。入っておるじゃないかということでございますが、それは教育病院を育てたいという考えから推薦したということはあるでしょう。しかし、これが政治的ということになるという御判断をいただいておるようでございますけれども、やはり私どもは病院を育てたい、いい病院をつくりたいという考えを持っているわけで、そういうような配慮がかえっていまのようなおしかりを受けるようになったとすれば、私どもも十分考えなければならぬと思っております。これは大学病院といえどもそうであるということは、研修審議会が始まります前に、大学医学部長会議ですでに申しておることで、私どもも論議の中でそういうふうなものだというふうに考えておりますから、たとえ大学病院であろうと、もしそうであるならば指定されることは――現実的にそうだということを申したので、いまもやはりそうは思っておるわけでございます。 それから、いま精神病院の指定に私が特に重要な役割りを演じたということですが、審議会の中では、精神科の専門は私と、それから秋元委員でございますから、その意見が皆さんの大きい参考になったということは当然だと思いますけれども、私どもこれを考えますときには、学会の人々の意見も聞きまして、そして北は北海道のはずれから南まで一つ一つの病院を頭に浮かべて、この病院はできるだろうか――いま、御承知のように精神科の医者は非常に足りません。こういうことをこの場ですからはっきりと申し上げてもいいのかと思いますし、あるいは言ってはならぬのかとも思いますが、精神病院では、実際に医者が非常に足りなくて、おそらく医療法にいう医師の数を実態として満たしていない病院が決して少ないものではない、これが実態だろうと思います。そういうところに医師が行けるように、そういうところにも医師がいて十分な医療を患者さんが受けることができるように、私どもも非常に熱意があるわけで、私どももそういうことを決しておろそかにしませんし、まじめに考えているわけでございます。そういうような考えでおるわけですけれども、そこに病院の指定をしますときにも、そういうような実態を踏まえながら、ここではあの先生がいるから、ここではこういう熱心な医師がいて指導してくれるからということで、形式的には――形式ということばが誤解を生まないように広く御了解いただきたいと思いますけれども、形の上では欠格するところがあるかしれませんが、それを十分補って余りあるあの医者がいるじゃないかというように、一人一人を思い浮かべてまで病院を考えて、そしてこの病院を指定したらどうだろうというふうに考えたわけです。光風寮の院長は、御承知のようにりっぱな方ですし、それから、そのほかにも(「じゃ、ほかはだめか」と呼ぶ者あり)いまそれが問題になりましたものですから申し上げたわけでございますけれども、そういうふうなことで、病院を指定していいだろうというふうに考えた。そういうことが軽率であったということでございましたら、私もやはり考えなければならぬと思います。 それからまた、教育病院が、私どもいま申しましたような意味で伸びていくように、だんだんそういう病院がふえるようにという考えで臨んでおりますけれども、しかし、これもそういうことを言いましても、やはり時間というものがあるのでございましょうから、そういう一定の期間を置いて、なおその実があがらない、足りないと考えるところでは、それぞれの委員の方の御意見を聞いて、こういう点が問題だと思うけれども、これを充実しますかというような問い合わせまでしておるわけでございまして、そういうことがどうしても満たされない、満たされる見通しがないということならば、これは審議会としても考えなければならぬと思う。それから審議会の委員の間からも、もうこれだけの期間がたったのだから、その辺のことを一ぺん審議しようという声も起こっておりますので、私どもは、それを進めたいというふうには考えているわけでございます。
○井上(普)委員 懸田先生、おっしゃいますが、医療法上違反しているのですよ。しかも大体十六人に医師一人、これも法律上書いてあるのですよ。効力もあるのです。ところが、一人当たり九十人の患者を持っておるのです、ベッド数を。その上で外来患者も来るのですよ。あなたのほうの精神科の患者のカルテを見ますと。外来患者を見なければいかぬということが書いてあるのです。こんなひどい病院をあなた方はよくこれまた指定したものだ。医務局長どうなんだ、この問題。
○松尾政府委員 そういう点から、懸田先生も言われましたように形の上からいえば確かに不備の点はあったわけです。その点は先ほど来も申し上げましたように、個々にいろいろと改善をすべき条件をつけて、つけました上でその条件が満たされるということを前提にした上で、指定をされたわけであります。したがいまして、そういうようなことで、いかに精神科が全体として不足であるといっても、その実態がどうしても改善ができないということであれば、先ほど来申し上げましたように、審議会の議を経て善処いたしてまいりたいと思います。
○井上(普)委員 あなた、あるじゃないですか。現に医者一人で九十人患者を持つという病院を指定しているのですよ、あなた方は。直ちに改めると言えないのですか。取り消すということは言えないのか。法律にもちゃんと書いてあるじゃないですか、どうなんだ。医師法施行規則の十九条の三にちゃんと取り消しまで書いてあるのです。これがあなた、取り消されないのか。
○松尾政府委員 法的に詰めればそのとおり取り消しということができるようになっています。したがいまして、先ほど来から申し上げておりますように、実態というものをよく判断をいたしまして、改善もできないということであれば、そういうふうに踏み切りますと申し上げたわけでございますが、ただ私からこういうことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、精神病院の指定にあたりましては、大学というものはそういうものについて一応の要件を満たしておられるとは思いますが、しかし、大学自体の持っておられる精神ベッドでは精神科の訓練が十分できないというようなお声がある。そして、ほかに特有の精神療養所というものを精神科の訓練のために持たなければならない。こういうことが専門的な御意見として出てまいりまして、したがいまして、いろいろな学会の方々、その他等がみな相談をされて、そういうふうにおきめいただいたわけであります。したがいまして、そういうような日本の精神科というものの訓練をどういうふうにやっていくかということを全く無視しただけでいいかどうか、この辺の教育的な判断というものもやはり十分専門家の御意見をくまなければなりませんので、審議会でも十分ひとつ御検討いただきまして、結論を得まして検討いたしたいと思います。
○井上(普)委員 現に法律に違反しているのですよ。あなたたちは通達まで出している。通達も出すし、これは法律的な効力も発しておるものなんです。今後はこの準則において許可を与えられるよう配慮せられたいということで、都道府県知事に対して流しているのです、あなた方は。いいですか、これに違反する病院は、あなた方は――精神病のごときはひどいじゃないですか。精神病十七の指定病院は全部あなた方のあれに違反しているものばかりです。ひどいところは医者一人当たり九十、四十四、三十四、五十四、五十四、四十一、四十一、五十六、あの秋元さんのところでも二十八なんです。精神科のお医者さんとして、学者の良心に対して、懸田先生、法律のほうが悪いのですか、それとも指定機関が悪いのでございますか、どっちでございます。
○懸田参考人 精神科のいまの医者の数の実態からいって、それから病床数を考えました場合に、アンバランスが非常にあって、実際に十分にこれを満たすことができない事情にあるというふうに私は考えております。学者の良心でどうだということでございますけれども、もちろんその点が満ち足りていないことは十分遺憾に思うわけでございますけれども、現実に患者があって、そうした病院がある。そこで診療が行なわれた場合に、私どもとしては何とかして、結局医者のオーバーワークになるわけでございますけれども、みなとにかく患者の治療を進めようということで努力して、ことに精神科は御承知のように人権に関する問題が大きいものですから、精神科の医師のそういう問題に対する関心は非常に強いので、もちろん内部でも問題になっておるわけで、私どもはその点でも非常に頭を痛めておることはもちろんでありますけれども、何とか精神科志望の医師をふやし、それを満たすことを期待し、それまではわれわれは何とか犠牲を払わなければならないことですけれども、そういうことに対して患者さんの治療におくれないようにしたい。そういうふうにお答えするほかはお答えできないのは非常に残念であります。
○大坪委員長 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○大坪委員長 速記を始めて。
○井上(普)委員 十七の病院全部違反しているんですよ。法律が悪いのか、指定したほうが悪いのかどうかは別といたしましても、この法律というものは一応現在守られなければならぬ問題なんです。これに対して、全部違反しておる病院のこれ以上の研修制度に対して反対する学生さんの態度はあたりまえでしょうが。こういう病院しかないところで研修さすことは、一体どういう医者ができるかと思って私は寒心にたえない。法律が悪いなら法律を変える、法律を変えてから指定すればいいじゃないですか。こういうことを無理に算段してやっていったところに問題がある。あなたは座長だとおっしゃいますから、私はこうやかましく申すのです。それでこの研修しておる指定病院、少なくとも一応成立しておるのでございますから――私はこの研修病院というようなものはそんなものはやめてしまっていいと思う。しかし、一応つくっておる以上は、これに違反する病院は全部あなたの責任において、しかもあなたは座長であって精神科の泰斗だ、こういう指定病院十七全部取り消す御努力をなさいますかどうか、最後に伺います。
○懸田参考人 精神病院については、お話をよく伺いまして、一つ一つもう一度実態を見てみたいと思います。そして私どもとして良心に従った行動をとるということを申し上げておきたいと思います。
○大坪委員長 懸田参考人に申し上げます。 御多用中のところ御出席をいただき、たいへんありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
○井上(普)委員 医務局長、実はいままでは医者のことばかり申しましたが、看護婦の定数につきましても医療法の施行規則できめておるわけですね。そうしますと、それに違反する看護婦が足らない教育指定病院というのが百八のうちで四十一あるのですよ。 〔委員長退席、久保田(円)委員長代理着席〕 完全に外来患者を見ないという場合でありましたならば二十一、ベッド数だけから割り出しますとそういうことになる。外来患者を見るということになると、そのほかに二十あるのです。四十一の病院が教育指定病院において看護婦が足らない。足らないというよりは医療法上違反しているのです。人員においてそのとおりなんです。施設においてはまさに思い知らされるものがある。一体何です、こういうような病院を指定して。あなたが答弁できないのだったら大臣呼んでくださいよ。
○松尾政府委員 看護婦のほうの点も、計算いたしますと、若干少ないところがございますことは御指摘のとおりでございます。ただ、看護婦の数等につきましては、患者実数でもって割り出していかなければならないわけでございますけれども、そういう計算上のことは別にいたしまして、御承知のとおり看護婦の不足というものが非常に大きく起こっております。したがいまして、いずれもやはり充足には努力をしておりますけれども、実態といたしましては、そういう不足が出てまいります施設もありますことは、これはもう事実でございます。 〔久保田(円)委員長代理退席、委員長着席〕 私どもは、やはり先ほど来申し上げておりますように、特に私ども指導能力ということを中心にして研修指定が行なわれてきたわけでございますけれども、やはりそういう医療環境と申しますか、補助者のほうにおきましてもきちんと充実していることは当然望ましい問題でございます。したがいまして、教育指定病院ということであれば一そうその充足に努力するように、私どももやはりしっかりした指導を続けてまいりたいと存じております。
○井上(普)委員 これはこれから努力するとかいう問題じゃないのですよ。普通であればもうすでにそこで医者が研修するようになっているのです。国家試験通ったらすぐに。そうでしょう。 そこで上田先生にお伺いするのですが、あなたも研修指定の委員でございますね。それであなたは、この私が申しておりますことにつきまして、どのようにお考えになりますか。
○上田参考人 医師試験研修審議会の委員の一人でございます。主として内科の経験者として選出されましたけれども、共同の責任も、責任といいますか委員会のファクションを果たさなければいけないと思います。 内科の方面については、その各病院の内科の医師の経歴、業績とか、そういうものを各人に出させまして、そしてその規定は大体卒業十年以上、それから大学の講師とか助教授をした人は、一応それも一つの基準にした。それから学会活動をしている。そういう方が二人以上いるということにしたわけです。いまお話しの医療法上の人数は充足しているという条件の上でございますね。 それから御存じのように、またあとで問題が出るかもしれませんけれども、学位制度その他が問題になっているときに、実際に医師の診療能力、そういうものを研修問題を含めまして医師は一生勉強していかなければならぬと同時に、ある程度の専門の方面の臨床の教養を高めるための努力を各学会でしておるわけです。各学会の自主的自立的に認定医というようなものをいま考えておりまして、御存じのように麻酔科、小児科、皮膚科、脳神経外科、そういうものはすでに発足しておりまして、内科学会も去年の十月からそういう課程をきめて指導医を認めておるわけです。ところが、こういう卒業後の二年の研修については、内科医に求めるような高度のものでなくて、と申しますのは内科学会の認定医のほうは一つの病院に四人以上そういう指導医がいなければならぬ。しかもその四人は消化器、循環器、血液、呼吸器という専門が分かれなければいかぬのですが、この場合には、いま全国的な意味でのものは二人そういう内科学会で認めるような専門医がいればいいということで指導体制を見たわけです。それから総合病院と、それからもう一つは、特に内科では患者さんを見て、どういう理由でそういうような経過をたどってどういう治療方法が効果があったかということを調べるために、死後患者さんに剖検させていただく、そういう剖検率が内科学会では五〇%でしたが、こういう臨床研修の教育指定病院では少なくとも三〇%以上ある、それを死後検討して将来の教育指針に供する。また、そういうような剖検ができる熱意のあるような病院でなければまじめな高度の教育はできないという意味で、そのようなことを基準にしてきめたわけであります。 あとの一般的なことは、先ほど懸田委員が述べたようなことを一応了承した一員であります。
○井上(普)委員 私は、この病院が各科によって――総合病院の各科に、すなわち、この病院であったならば内科、この病院であったら外科というように、それが教育指定しておるのであればあなたのおっしゃる話もある程度納得します。しかし、これは違うんですよ。病院そのものを指定しておるのですよ。病院そのものを指定して、そうしてこういうような医療法上の違反の病院がたくさんあるのです。どうでございますか。
○上田参考人 いま申したように、すべての科が専門各学会が要求するようなレベルのものをそろえるということはきわめて困難である。そこである科では、泌尿科の先生のりっぱなところがある。そこでは研修医としてのことをしながら、たとえば二年のあとに三年ドックすれば、つけ加えれば、泌尿科の専門医的な受験の資格ができる。そういうようなことをしておって、この厚生省の教育指定病院では、全部のものが専門医になるということを要求した基準では選んでない。つまり望ましいのですけれども、そういうことではしておらないわけです。
○井上(普)委員 先生、あなたはそういうようにきめたとおっしゃいますけれども、各科各科によってこれは教育指定をきめておるのじゃないんですよ、この病院は。その病院全体について、総合病院として教育病院として指定しておるのですよ。ここを間違わぬようにしてくださいよ。それで、先生おっしゃいますけれども、三〇%の剖検例がなければ――私も医者なんです、私も内科をやったのです、無給医局員を八年やっているのです。それで剖検例が三〇%以上の病院がこの中で一体幾つありますか。麻生産業病院のごときはできますか、また宮崎県立病院のごときはできますか、例の三〇%も。
○上田参考人 これは三〇%という点は非常に厳密にとっておるわけです。それで事実これは、こういうことが進みましてから急に各病院が設備をよくし、人員もよくし、それから剖検につとめるようになりました。内科学会では初め五〇%という指示を出したが、初めそれに適するのはきわめて少なくて、関西のほうのある大学病院は五〇%に達しないような病院もある。それも猶了期間を置きましたら、半年か一年間にそれに適格になったものが二倍くらいになったのですね。いまお話しの厚生省の教育指定病院としても、三〇%はこれは非常に厳密にとっております。それだけ申し上げておきます。
○井上(普)委員 私は、上田先生にお伺いする時間が少ないようなので、あと一問にいたしたいと思いますが、ともかくいま宮崎県立病院は七百から六百四十一のベッドなのです。医者の数が二十六人です。こういうところで三〇%の剖検例ができると常識上お考えになれますか。これは医者の数にしますと一人にベッドが三十以上ですよ。先生も内科、私も内科でありましたから、一人が少なくとも大学病院におきまして患者の数もせいぜい八人以上持てば、朝の八時から夕方の十時までは飛んで歩いてきゅうきゅういって働くのが実態でしょう。それにこのごろは夜はともかく病理解剖をやらなければならぬというようなことも出てきておるのです。ともかくこういうように人数の少ないところで、それはうその報告じゃないですか。
○上田参考人 この報告は剖検数が二十体以上、剖検率が三〇%以上ということは厳守しております。それから、先生私よりお若いのですけれども、私などもベッドを持ったときは五つか六つでやっとだったということは、その当時は中央検査制度、そんなものはないのです。中央検査室、中央放射線室もないのですから、外来でも入院患者でも自分で全部やらなければならぬ。ところが、いまは検査室に出せばほんとうに楽にデータが出てくる。病院に戦後のアメリカ式のいいところが輸入されたわけで、そういう意味でやりやすくなった。ただ私は、それだから二十持てるという意味じゃありませんけれども、その点は能率化しているのだ。 それからもう一つ、病理のほうは病理学の人に委託してやっているので、内科医がやるのじゃない。出張してきてもらいまして――だからいま病理学者が不足して困っている。そっちへしわ寄せがいっていますけれども、そのほうは十分できております。
○井上(普)委員 最後に、あとでまたお伺いすることにしますが、宮崎県なんかは――大学で病理の医者がおるのは鹿児島か、熊本かあるいは博多でなかったらおらぬのですよ。それが出張してくれるか、病院でやらなければいかぬのです。こんなところでできると思いますか、人数が少ない医者のところで。これをあなた方が――どうもお話を聞いてみましても、私はまゆつばで聞かざるを得ません。 と言いますのも、いまも懸田先生もお話しになりましたし、厚生省の役人も言っておりますが、ともかくこの研修医指定病院についてこういうような矛盾がある。ともかく非常に医者の数が――医者とベッド数だけ比べましても、これは医療法上違反の病院を御指定になっている。看護婦におきましては四十一、二くらいの医療法上の違反の病院。これは法律が悪いのですか、それともまた指定したのが悪いのですか、学者的な良心でひとつお答えを願いたいのです。法律が悪ければ法律を直さなければならない。こういうような病院を指定しておるところに無理があるのです。だから今度の研修医というのは、若干医師の労働力の搾取であるといって反対するのは、私は当然だと思う。先生のお考え方を承りたいのです。
○上田参考人 事実、私たちは各病院から出した資料をたしか七日間以上かけて各専門別あるいは全般的な相関的な意味で調べてこういう成績になったのでありますが、そういう医療法上の人員ということは多少不十分な知識だったのです。ですから、そういう意味で医療法上の医師の人員に合うように病院の指定を改善していかなければならぬと考えます。 それからもう一つ、日本のいろいろな従来の伝統とか経済力とか社会情勢その他で、最高級のものをやるのは非常にいいのですが、それは必ずしも容易でない。国家も教育者をふやしていけと私らも要求しているのですけれども、なかなか一どきに全国で千人近い講師を増すことはちょっとできない。それでいろいろ問題があるということ申し上げたのです。 もう一つは、確かに私たちもこれから病院を厳重に査定すると同時に、一方では、その間の期間若い医師は選択権があるわけです。この病院はこういういいところがある、自分は将来こういう方面へ行くからこれを選びたい、地域的なことも多少ありますけれども、こういう病院が育成されるまでは大学病院を使ってほしい。ただし、私は国立大学にいるものですから申し上げるのですけれども、国立大学は卒業後の医師の教育な対する法律上の義務はないのです。義務という意味はたてまえがない。大学院の学生はあります。大学院の学生は一つの教室に対して二名かそこらの費用とか指導者はありますけれども、卒業後の医師に対する教育の人員は配慮してない。ただ、われわれとしては、そういう地区のりっぱな病院を育成するまで中間的にそれを受け持っていこう、国民の医療のため、国民の幸福のために受け持っていこうという立場でやっている。それだけにまた若い医師もそういう判断をしながら、半分ぐらいは国立大学に集中しているけれども、御存じのようにいま医科大学は四十六あって、それに分院などを加えますと五十幾つある。そういうところでいま調節しているということだろうと思います。
○大坪委員長 谷川和穗君。
○谷川委員 私は、将来の委員会運営について一言この場所で申し上げたいと思います。 本日私は懸田参考人に対しましても質問をいたしたいと存じまして、委員長あて質問の通告を事前にいたしておったわけでございます。さらに私の発言につきましては、委員会開会に先立ちまして理事会において認められておったと私は感じておったわけでございますが、本日は残念ながら懸田参考人に対して私が質問申し上げる機会を失ったわけでございます。どうぞひとつ委員長におかれましては、今後の委員会運営については理事会における決定に従って委員会を運営していただきたい、かように考えている次第でございます。 参考人に申し上げます。大学紛争は非常に大きな社会問題になっておるわけでございますが、特に東大においては医学部紛争を契機としてこれだけ大きな問題になり、すべての方々が心配をいたしておるようなことでございます。こういう時点におきまして、私ども臨床研修医制度は文教行政の基本施策にかかる直接大きな問題であるという意味で、本日お忙しいところをおいでいただきまして、まことに感謝いたしておるわけでございます。私は特に上田参考人に対しましては、国立大学の大学病院運営というような、どちらかといいますと具体的な問題から二、三お伺いをさしていただきたいと存じます。 まず第一に、一般の市中病院と、それから大学病院特に国立大学病院というものは同じものかどうかという点でございます。最近一部にいわれることばでございますが、三分間の診療に三時間かかったというようなのは、三時間待たされるということでございます。そういうことは国立大学病院も、かぜ、腹痛あらゆる患者さんが来られても、健康保険証を持っておいでになれば、みな患者としてお認めになっておられるんだと思うのですけれども、こういった入院、外来患者が非常に多くなってきておって、そのために国立大学病院が研究とか教育とかいう、ほかの市中病院と違った機能を果たさなければならないそういう機能が、言うならば動脈硬化を起こしておるような現象があるかないか、この辺について一点お伺いをいたしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。 国立大学病院の運営については、このたびのような紛争を東大のみならずほかの大学でも起こしておりますので、大学病院の基本問題がどうあるべきかというようなことについて非常に真剣に考えておりまして、いまお話しのような国立大学病院の目標は何なのかということを検討しております。いまやはり教育が第一、特に学部学生の教育が第一でございます。その次には、それに関連した、将来の高度の教育をするにはその教師が新しい医学知識ないし進歩のための研究をしなければいかぬというので臨床研究、これは治療の開発にも結びつきますが、研究が第一と考えております。診療は教育と研究のためにも――これは、ただことばは非常に悪いのですが、三者並立でありますが、やはり診療は並行してやるという考えでございます。ただ、学部の学生の教育の場合に、入院患者はいろいろ精密検査をして重い病気が一般に入る。それについても、私は軽い病気というんでなくて、実地医家とかその他の人が紹介して入るのが筋だと思う。救急部門はもちろん置いてありますけれども、そのほかは大体そういうような紹介で入るのがほんとうだと思います。 その次に外来でありますが、外来はいま東大でも二千五百人から三千人くらいになっておる。理想像――初めの東大の外来の設計は、一日九百人か六百人くらいの設計をしたものですから、薬局でも案内人でもたいへん困っている。そこで、これは私は減らさなければいかぬ。その減らし方には、やはりアポイントメント制というようなことが望ましいのじゃないかというふうに思います。ただ外来を全廃することはできない。と申しますのは、医師として短時間に患者を、たとえばこのごろのように血液をとって尿をとって診断するというんでなくて、その人を目で見て、手でさわって、聴診器でわかるような、あらましの診断ができる教育をしなければいかぬ。そういう意味で、いま東大では一日やはり千人前後の外来は必要なんじゃないか。ただし、千人というのは三分の一になりますね。ですから朝何時から何時までとするか、あるいはアポイントメント制にしてやはり、外来は制限して、それであるいはやや重目の人を実地医家などから紹介でやるというふうに進むべきものと思います。軽い患者はそうすれば来ないで済むという考えでございます。 そのほか、国立大学病院としては、そういう面と、もう一つは地方の大学ではメディカルセンター的な意味がある。つまり近郊でも千葉とか群馬などでは、心臓の手術とか特殊な手術ですとその大学病院がその地方のそういう高度な治療を受け持たなければならぬ面がある。ただし、それはあくまで入院患者についてでございますね。東京のような多いところは、そういうことは少ないというふうに考えております。
○谷川委員 ただいま先生は、大学病院の中の問題について特にお触れになり、各大学病院と外の病院、あるいは関連病院とか提携病院とかいろいろな呼び名があると思いますが、その辺の関係をもう少し改善して、たとえば大学側から積極的に医師を外へ派遣して、それでそういう関連病院とか提携病院になるたけそういう形の患者は集めておいていただくということはどうなんでございますか。考えられたことはございませんか。
○上田参考人 いまの御指摘のことはたいへん鋭い御質問でございまして、いままで大学に若い医師が集中してしまうというのは、よその病院へ出ても、十分な臨床研究もそれから勉強もできない、一日じゅう診療に追われてしまう。そういうようなこともありますし、設備も悪い、それから指導医がいない。それが悪循環になってしまいまして、たとえば東京などですと、ある病院に科長くらいまでは派遣する。ところが若い医師まではとても集められない状況である。それを人事の交流とか、あるいはその病院の経営者に、これは大事なんだということをよく説明して財政上の援助を受ける。そういうことで連絡病院を育成するのが、いまのような混乱を救う一つの道である。それで、これにはたとえば文部省関係と厚生省関係のいろいろ交流なども、もう少しスムーズにいけば人材も喜んで外へ出ますし、いい人を抜てきして、どこへ行くということができると思うのです。これには悪いことが一つある。いままでの関連病院というのは就職の関連病院だったのですが、それはもうこの際廃棄して、教育上、研究上そういうような医学を国民に奉仕させる、そういう意味の病院にしていかなければならぬ。そうすれば、先ほどお話しの患者もそこへ行きますし、またそこでスクリーンして、そこでどうしてもできないものは高度の大学病院に行くというような、そういうこともありますし、基幹病院と関連病院――関連病院ももっと教育的な関連病院、それにはがんセンターとか心臓センターとか、そういうものが特殊施設として入るわけですね。そういうものは考えていかなければならぬと思います。
○谷川委員 先ほど、井上委員の質問に対しまして上田先生のほうから、国立大学病院の場合には、大学院の制度の中にある学生はともかくとして、その他の学生の場合には卒後教育については的確な配慮がまだなされていないのだという意味の御発言がございました。卒後教育の問題についてちょっとお尋ねをいたしたいと存じますが、最近医学部の学生は卒後の研修のために自分の出身の大学病院に非常に多くの数残留する傾向が高まってきたように思うのでございます。その点について何かもっと制度を考えないと、そうしないと、いま一番大きな問題になっておるような十分な卒後教育を効果的に行なうことが困難になる。それは大学病院の持っておるいろいろな問題として残っていくような感じがしますが、その点についていかがでございますか。
○上田参考人 いま御指摘のとおりに、一時は国家試験をボイコットするために国立病院その他へ行かないという趣旨を言っておりましたが、国家試験がいまは卒業してすぐ受けられるということで、国家試験のボイコットは医師法改正以来一応なくなったわけです。しかし、大学にいまでも集中するのは、先ほどお話ししたように、現状ではほかの大学以来の病院の指導者なり設備が比べると不十分であるということと、先ほどの、逆からいえば関連病院の育成がまだ不十分であるということが一つあるわけです。 それからもう一つは、従来の慣習上、希望すれば何人でも国立大学病院は採用しておったわけです。これはいろいろなことがありますが、希望者もいるし、自分の大学の人がおもに入りますけれども、そういう人たちの希望をかなえたいということですが、これはいつかなるたけ早い時期に改善しなければいかぬという意味は、研修する人でもこれは診療に寄与しておるわけです。これがいろいろ無給医局員とか臨床研究医などの問題になるのですが、ある程度診療に寄与しながら勉強する。大学を卒業して会社へつとめた人でも、すぐにはものにならないけれども、教育をしながら俸給を与えておるのですが、そういうような立場で卒業後の若い医師を見ていかなければいかぬということは、教えるだけというのじゃなくて、その人がつとめておれば、患者を診察し、病歴をつくったり検査をするという意味で寄与しているので、せめて半分くらいの正規の職員の診療そのものへの寄与がある。そういう意味で非常勤職員なり一定の俸給を与えていく方向に進めるべきだろう。それがただ無制限にということはあり得ないので、たとえばいま国立大学病院が、一クラス百名で四百人の学生がおる。それでその上の三年、四年には臨床実習をさせなければいかぬ。ベッドサイドティーチングとか、外来を見せるとか、いろいろやるのですけれども、そのためにも、大体百人の学生を一クラス収容すると千のベッドが要る。千のベッドを実際に、先ほど井上委員が言われたように、一人で五人とか六人持つのであれば、どれだけ診療医が要るか――いま診療医ということばで助手や無給医局員まで含めておりますけれども、それがどのくらい要るかという算定をいま各大学でしておるところであります。これの算定の数が、いま東大では助手が六百人くらいいるのですが、それが三百人くらいさらにふえればいい。ただ、その三百人はあくまでピラミッド型にして、下の人の初級の医師とそれから上級の医師と、そういうものを考えながら診療にどれだけ人が要るか、その中のどれだけがいまお話しした無給医局員的な立場であるかということで、非常勤職員でありながらその定員を考えていくという方向で解決しようと努力しております。その問題は、昭和四十一年に、東大の病院長をしておられた三木という方が算定基準をつくりましたが、その人数と、われわれがいま新しいピラミッド型的な教育しながら診療に寄与していく、それだけの定員を考え、人員を算出しつつございます。これもなるたけ早く出して、その人員が早く埋まりますように先生方にお願いする予定でありますが、そういう努力をしております。
○谷川委員 私どもは、現在の大学病院を含めました病院経営の中で、特に国立病院、厚生省関係の病院も含めた国立病院の経営が、必ずしも近代化されていない点があるのじゃなかろうかという感じを持っております。したがって、たとえば看護婦の労働時間にほんとうにメスを入れて検討をする努力、あるいは患者一人が病院に入って投薬されて出てくるまでの所要時間、その他病院の中のいろいろな問題で、もっともっと合理化されてよろしい面があるのじゃなかろうか。こういう問題につきましては、私は、むしろ経営を土台に考えた私立の病院よりも、やはり国の医療機関というものは思い切って改善、改革によってその方法の近代化を考えるべきだと思います。 そういう問題は別にいたしまして、人の問題について一点、特にいま私どもが問題にいたしております臨床研修医制度にからんでお伺いをいたしたいのでございますが、坂田文部大臣がかつて自由民主党の文教制度調査会長をやっておられましたときに、特に医療研修謝金を大幅に上げること、それをもってすべて医療問題の解決ということにはならないけれども、しかしその辺からまずとにかく突破口をつくるべきだというお考えに立たれまして、そういう施策を打ち出されたことがございます。また、現在それによって文部省が動いておると私は判断いたしております。したがって、医師法改正に基づく臨床研修医制度をほんとうの意味で軌道に乗せていく、この問題について何か格別に上田教授、現在現場を担当しておられる方といたしまして、お考えになる点がございましたら最後に一点お伺いいたしたいと思います。
○上田参考人 いま若い医師が不満に思っておりますことは、これは少し言い過ぎるかもしれませんが、医師の間に差をつくるということを非常にいやがるのでございますね。以前もいまもありますが、大学院制度がくずれたことの一つの原因は、卒業した者の中で全部大学院を希望できればいいのですけれども、半分くらいしか希望できないということで、コンペティション等があって、お互いに全部志願をやめようというような時代もございました。そういうことを離れましても、井上委員が言われましたような、初めは登録医、それから専門医的なことを二年やれば、内科専門医とか何か標榜できるようなことをやる。それも国民の代表である議員の皆さん、あるいは医育者も考えて、それはやめてくれ、登録医もできるだけやめてくれ。それで報告する者はするということが残ったのでありますが、この報告をするということ自身に対しても学生が非常な抵抗を感じて、報告される者とされない者があるということが一つ。それからもう一つは報酬を含めまして指導者が十分でないということを言っているわけですね。私はこの医師法が悪い――悪いというとあれですが、何かそういうような実施が困難な点をだんだん改善していって、この前皆さんにしていただいたような附帯決議を実現していただけば、これが健全に育成していくのだろうと思うのです。それでいま申しましたような卒業後二年の、一応これが報酬をある程度、今度は二万七千五百円ですか、最低の生活あるいはもう少しふやしていただきたい。それからその上に積み重なる、二年の上に二、三年の教育をすれば、外科とか内科とかの一応の医学界で認める専門医になれるのです。専門医になる必要もないのですけれども、履歴書を見たり何かで外に出たときに、これは外科の教室に五年いてやったのだから認める。せめてあと二、三年で、その大学病院で必要な診療医、それを先ほど診療協力謝金と言っておられた。いま三万五千円くらいにしていただいたのですが、こういうものを与えていただいて、しかもそういうものはあまり人数が少なくても困ると思うのです。そのかわりあまり野方図なものは要求しませんが、それだけの人数をある意味の非常勤職員の定員として確保して、額が大学卒の初任給ぐらいになれば、それは改善していくと私は信じております。これには今後の皆さんの御援助をお願いしたいと思います。
○井上(普)委員 ちょっと最後に上田さんにお伺いしたいのです。上田先生、あなたは医師法上の人員の不足を御存じなかった、うとかった、こうおっしゃいましたね。医療法上においてこういうような法に違反したような病院が、すでに精神科は全部、それから総合病院におきましては大体三十八あるわけなんです。あなたは研修医指定病院の審議会の委員として、これを取り消すように御努力になりますか、どうでございましょうか。
○上田参考人 実態を調べまして、なるたけ早くそういうような改善がいくように委員の一人として努力する考えでございます。つまり半年か一年の間に改善するところもあるかもしれない。それからいろいろな不十分の程度、それをよく資料その他で調べまして、それに努力する考えでございます。
○大坪委員長 上田参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 ――――◇――――― 午後二時三十分開議
○大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する質疑を続行いたします。井上普方君。
○井上(普)委員 厚生大臣もお見えになりましたので、医務局長からお聞きのことだと思いますが、昨年の東大の紛争の最も初めになりました医師研修制度につきまして実は質問をいたしておるのでございますが、医師研修制度の教育指定病院というのは、厚生省は総合病院において百八、精神病院において十七つくっておるわけであります。ところが、この百八の研修指定病院のうちで、医療法第二十一条に違反する病院が大体三十八、医者の数において不足いたしております。それから看護婦におきましては、百八のうち四十四、看護婦が不足しておる病院が指定になっております。十七の精神病の特殊病院におきましてはいずれも、次官通達によって医療法の準則をきめておるのですが、これは全部違反しておる病院を指定されておるのです。これに対して、研修医制度そのものにつきましては私は反対の立場でありますけれども、一応法律が通った以上、私もこの研修医制度が円滑に進むことを望むものでありますが、しかし、これだけ大きい問題が、しかも園田厚生大臣は当時どう言っておるか。この点につきましても、前のインターン指定病院においても実はこういう問題がありましたので指摘いたしましたところが、教育病院の指定につきましてはもっと厳格に医師の定員数、ベッド数あるいはその病院の施設等を考えながら指定してまいりますという御答弁があったわけなんであります。そしてまた、医師法施行規則十九条の三には、指定した病院が臨床研修を行なわせるのに必要な条件を欠くに至ったと認めるときは取り消すということに相なっておるのです。ところが、この規則によるところの必要な条件というものも、これまた厚生省はきめていない。でございますからして、この法律をつくるときには厚生大臣は先ほど申しましたようなこういう言明をなさって、法律をつくってしまえば、行政官僚が思いどおりやっておるのが実態といわなければならないと思うのでございます。 そこで、そういうような病院、すなわち医療法二十一条に違反するような病院については、私はこれを取り消す必要があると思うのですが、大臣いかがでございますか。
○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、研修病院の指定は慎重に、十分条件を満たしたものでなければならないことは当然だと思います。したがいまして前大臣も、現に指定をされている病院よりも今度はさらに厳選をする、こういうお答えであったろうと思います。(井上(普)委員「違います」と呼ぶ)違わないと思います。そこで、そういう趣旨を体して医師試験研修審議会に諮問されて、その答申によって指定をされたと思いますが、その結果は、現に指定をしておりましたものよりも数が少なくなっておるという点だけから見れば、前よりも厳選というのに値したものかどうか知りませんが、前よりも厳格であった、厳格な洗い直しをやって指定されたんだと思いますが、いまおっしゃいますような病院がまだ全部で八、九十あるようでありますが、審議会で条件つきで指定をして、早くこれこれの要件は満たせという条件で指定をしているものが、いつまでたっても条件が満たされないとか、当時審議会を通るときには条件に合っておったけれども、それが条件に満たなくなっている、そういう状態が長く続いて、改善をする見込みがないというようなところにつきましては、さらに審議会に諮問をして、施行規則の命ずるところによって取り消しをしなければなるまい、かように考えております。
○井上(普)委員 大臣、この法律がこの指定をいたしましたのは昨年の六月の十七日です。私が手に入れましたのは厚生省からいただいた書類です。これが二月の二十日なんです。八カ月たって実はそういうような状況なんです。この中にも医師数を書いてございますけれども、実はパート医というのがあるのです。パート医というのはどういうのかといいますと、御存じないでしょうけれども、たとえば私は医師免許状を遊ばしておる。その免状を貸してくれ、月に一回か二回か来れば月給を差し上げるからどうかひとつ免状を貸してくれというようなことを、私自身に言ってきた病院すらあるのです、この教育指定病院で。厳格にいうならば、そういうのは勤務医になりません。そういうような内容を含んでこの指定が行なわれておるのです。しかも、先ほど上田英雄教授をお呼びいたしてお伺いいたしますと、これも研修指定の審議会の委員ですが、そういう医療法上のことは知りませんでしたとおっしゃる御答弁なんです。この法律を知らぬ人が審議するなんというのは、この審議会をつくった際に、厚生省は実に大きなミスをしたと思うのでございます。しかも一例を申しますと、入院患者十六に対して一人の医者というのが大体の標準になっているのです。ところが、兵庫県の光風寮ではベッド数が六百三十三あって医者の数が七というところを指定しているのですよ。これは精神病でありますが、精神病につきましては、特殊病院といたしまして、次官通達でこの医療法の準則として厚生省のほうは出しておるのです。しかも審議会の委員が、私はそれを知りませんでした、医療法も知りませんでしたというような無責任な人たちにこれを審議さした責任は厚生省にあると思いますけれども、これを追及することを私はやめまして、ともかくこういうような実態をすみやかに改善しなきゃならない。また、そうしなければ、ここで習った医者が、医療法というものは守らなくてもいい、かような医者ができる可能性がある。でございますからして、すみやかにこれを現時点において審議会にかけなきやならないのでございましたならば、今月じゆうにでもおかけになって、そして適正な方法をおとりになる御用意ありやいなや、ひとつお伺いいたしたい。
○斎藤国務大臣 よく調査をいたしまして、必要に応じて所要の手続をとることにいたします。
○井上(普)委員 大臣の御答弁で所要の手続とおっしゃいますが、早急におやりになるかどうか、ひとつその点をお伺いいたしたい。
○斎藤国務大臣 早急に調査をいたしまして、ただいま申しますように、必要とあらば所要の手続をとることにいたします。
○井上(普)委員 厚生大臣はすみやかにひとつそういう手続をおとりになっていただくことを私は期待いたすものであります。 続きまして、この医師研修制度、報告医制度をつくる際には、これまた衆議院の社労委員会におきまして、報告医とそうでない者との間に差をつくるか、行政的に差別をするかということを実は申したところが、そういう差別は一切やりませんと申しておったのでありますが、聞くところによれば、全国の衛生部長会議あるいはまた国立病院長会議等々で、公務員に採用する際には、医師研修を二年間やった者でなければ採用しないというようなことを厚生省は行政指導をしたとか承るのでございますが、その点いかがでございますか。
○松尾政府委員 少なくとも私の知る限りにおきましては、そういう発言をした覚えはございません。
○井上(普)委員 そこでもう一点お伺いいたしたいのでありますが、実はこの医師研修制度をつくる際には、あらゆるところにおいて研修をさせるというお話であったのであります。ところが、東京の墨東病院におきまして、実は八名の研修医をあそこで要求いたしました。これは棚原先生のおられるあの東京女子医大におきまして、研修医の制度に対して猛烈な反対運動をやった八人で、ストライキまでもやりましたが、これが女子医大の医局から追われまして、墨東病院で昭和四十三年五月から研修いたしておったのであります。そして十月一日に国家試験に合格いたしました。ところが、こういうことをやっておりますと、当時の墨東病院には正規の職員の間に欠員ができてまいりました。それで正規職員に採用してくれと言いますと、採用まかり相ならぬということでボイコットを食らいました。そして昨年の十一月の八日、八名が研修医の願書をこの墨東病院に出しますと、十一月の中旬病院長が交代いたしました。新しい病院長は女子医大とコネクションが強いようでございますが、この八名の前歴を知った。すなわち、研修医制度に対して反対をする中心的な分子であったという理由のもとで、八名を研修医に採用することを拒否いたしておるのであります。医務局長、御存じございませんか。
○松尾政府委員 私、まだそういう事実があったことは存じておりません。
○井上(普)委員 これは明らかにレッドパージだということで、すなわち、昨年の報告医制度をつくる際には、こういう差別は一切いたしません。そして指定病院においては志願する者は全部採用いたしますと言っておる。墨東病院にはほかに研修医はおらないのです。ところが、ともかくこれを全部レッドパージをやったという事実があるのでございますが、あなたはまだ知らないとおっしゃいますから、これ以上申し上げるのは私よしますが、この点こういうような差別をあなた方はやるおつもりがあるのかないのか、局長どうでございます。
○松尾政府委員 私どもは、すでに御承知かと存じますけれども、臨床研修の医者としての資格を持った人が、その責任において実習をしながら勉強するという基本線から見まして、職員サイドとしてこれを受け取って研修さしてくれということを基本方針として伝えておるわけでございます。したがいまして、私どものいままでの方針からいえば、そういうことがあるということは期待できないような感じを受けるのであります。
○井上(普)委員 そうすると、欠員がある場合には職員サイドで採用するということですね。
○松尾政府委員 やはり職員サイドとしてそれを取り扱ってほしいということであります。
○井上(普)委員 ところが、都立の病院では、これは厚生省の行政指導によるものであって、そういうことはできないということを実は病院長が申しておるのであります。これに対してあなたは適切なる御処置をおとりになるおつもりがありますか。
○松尾政府委員 ひとつよく事実を調べてみます。
○井上(普)委員 まあ、お知りにならぬことで、こういうことを伺ってもしようがございませんが、駒込病院においてもこういう事例がございます。あるいはまた東京の広尾病院においてもございます。豊島病院においてもこういうことがございます。そしていずれもが厚生省の行政指導によってそういうことができないということを申しておるのであります。ところが、行政指導上そういうようなことをやっていないとおっしゃっておりますが、その点もう一度、行政指導上そういうことはやらずに、欠員があれば職員として採用するということをひとつここで明言していただきたいと思います。
○松尾政府委員 ただいまあげられましたような東京の病院の実態は私も存じておりませんけれども、ほかのたとえば指定機関におきましては、正規の職員として雇っておる例も事実ございます。なお、定員というような問題が公的機関の場合にございますことは当然でございますが、とりたくても欠員がないとか、あるいは十分にそれらを満たすだけの定員がないという場合もあり得ると思います。それでございましても、たとえば非常勤というような形であっても、職員と同じような形にしてほしい、こういうことで従来指導いたしてまいっておるわけでございます。したがいまして、定員があってほんとうに希望があっても、ほかの理由でとらなかったかどうかわかりませんが、私どもは少なくともほかの理由から見てそういう誤解を受けるような指導はした覚えはないつもりであります。十分よく調査させていただきます。
○井上(普)委員 それでは、いまの厚生大臣並びに医務局長の御発言を私は善意に解釈いたしまして、法案の成立当時の議事録をよくお読みになって、どういう立法の趣旨であったかということを十分お知りになっていただいて、今後の行政指導をやる際に差別のないようにしていただくことを心から念願いたしまして、厚生大臣と医務局長に対する質問を打ち切りたいと思います。 そこで文部大臣、実はこのように非常に問題を含み、かつまた、研修医制度が成立してからもう十カ月たっておる現在におきましてもこのような実態であります。それで学生諸君がおこるのはあたりまえというのは私一人ではございますまい。しかも、この研修指定病院に動いて指導的役割りを果たした連中はだれかといえば、先ほどお見えになっておった上田教授、懸田教授及び豊川教授であったわけであります。すなわち、このような方々が全国の医学部の病院長あるいは学部長に対しまして圧力をかけて成立したのがあの医師法の改正であったわけであります。当時これらの方々は新聞社の論説委員を回って、論説にこの研修医制度の早期成立を書けというようなことまで説得し、与野党の幹部の方々のところにまでこれを訴えて実に政治的に動いてまいったわけであります。といいますのは、ここに政治といわゆる純粋なる学者の言動というものが食い違ってきておる。こういうところに私は今日の特に医学部の紛争の大きい原因があることを指摘いたしたいのであります。 ところが、昨年の三月二十八日に当時の大学局長であった宮地局長に対しまして――二月の例の十七名にのぼるところの処分を東大医学部がやったことは御承知のとおりであります。そしてこの処分をめぐりまして医学部は大きくゆれ動いたことも御承知のとおりであります。ところが、私はその当時におきまして、大学の自治という立場において実はこのことにつきましては質問をすることをはばかったのでありますが、当時の宮地局長は、岡本議員に対しまして、あの処分は正当である、これは妥当なものだという発言を大学局長としてなさったのであります。私は三月二十八日に質問いたしました際には、当時粒良なる学生があそこにはいなかった、九州へ行っておったという新聞記事を拝見して、誤認に基づくものではなかろうか、どうなんだといって伺いますと、これは大学から申してきたので正しい、こういう答弁をされたのであります。しかし、御承知のように高橋晄正、原講師によるところのあの文書が発表せられた。発表はしたけれども何ら大学教授がこれに反応を示さない。反応を示さないどころか、むしろ逆に圧迫を加えている。こういうことからして学生諸君ももはやかんにん袋の緒を切らしたという形で卒業式のストップをやり、また入学式のストップをやらざるを得なかった。これに対してもまだ東大の大河内総長は反省の色を見せず、当時医学部長、病院長、これらは四十二年十一月以来学生と一切交渉を断ってホテル住まいをしながら電話連絡で外部との交渉をやっておった。当時私の知っておるある教授のごときは、徳島からわざわざやってきまして東大のそこに電話いたしますと、あなたはほんとに三好先生でございますか、ならあなたの解剖の教授はどなたであります、病理の教授はどなたでございますという人定までしながら、実はきょうの八時にあなたの先生のところの電話番号を知らしてほしい、きょうの何時ごろ電話いたしますからそこへお集まり願いたいというように、秘密会談によって実は全部糊塗してまいったのであります。学生とは全然会おうとしない。すなわち、教育的な人間的な接触というものが全然ない。こういうところに一つはこのたびの紛争の大きい原因があるし、しびれを切らして六月十五日の安田講堂の突入となり、六月十七日の大河内総長の機動隊導入となり、全学的なストライキになった。あわてて六月二十八日には、粒良君がひとつ文書で申し出るならばあの処分は撤回してもよろしいというようなことを申し始めた。それでますます学生諸君がおこったがために、ついに全学のストライキにまで突入し、八月十日の例の告示となったのであります。そして夏休み中もテントを張り、九月にいってようやく赤旗があの大学の中にひるがえり始めたという実態を考えるときに、私はどうも大学教授、特に上田、豊川両氏の責任たるや重大である。また、大河内総長の責任も重大である。教育的配慮が全然なされずに、人間的な接触もなかったがためにあのような事態におちいったと私は断ぜざるを得ないのであります。こういうようなことを考えてみると、この大学紛争の一連の流れをながめてくるときに、いわゆる大学当局なるものが一体教授会にあるのか、評議員会にあるのか、総長にあるのか、これはまことに疑わしい、どこにあるのかわかりませんが、しかし、ともかく文部省は一役を買って、当時の宮地大学学術局長は、この処分は妥当なものであるといって国会において発言せられておるのでございます。宮地さんはお見えになっておられますか。――あなたの御発言は、あの当時においておっしゃられましたが、その後まことに不穏当であったといま御反省になっておられますか、どうでございます。
○宮地政府委員 ただいまの御質問は、三月二十八日に先生から御質問がございましたそのとき、私、実はきょう出てくるようにというお話でございましたので、ゆうべ速記録を取り寄せまして見ましたところ、たしか岡本先生の御質問に対してお答えしたと思いますが、その点を井上先生がおっしゃっておられるのだろうというふうに言っておりました。速記録を調べてみましたら、岡本先生ではございませんで、まことに失礼ですが、三月十四日、田邊誠委員の御質問に私が答えておった個所でございます。そこで、あまり長くなりますからかいつまみますと、当時問題になりましたのは、病院長が病院で外人を案内していたときに、その後処分をされた人々等が上田病院長のあとに来て交渉をしたいという話があったわけです。それから後、医局長に対して暴行を働き、相当長時間にわたって医局長を監禁した、また、強要して医局長に心ならずも謝罪文を書かせた。こういったような事件で、大学といたしましては、医学生として医学を志す者は、まず医学の教育そのものもさることながら、病院内で、患者が周辺にいるというところで騒ぐ、また暴行をする、そういうことは医学を学ぶ学生として、将来医者になる資格に欠けておるといったようなことで処分をされたというふうに私どもは報告を受けておりますので、したがいまして、この処分に対してどうかというお尋ねでございましたので、いろいろ学校と学生が十分話し合うということは必要と思います、ただ処分だけが能ではございませんが、大学としてとられた処置そのものは、私としては、処置は決して安易に行なうべきではないと思いますが、やむを得ない処置として大学がとられたことは当然の措置であろうかと思います。こういった趣旨の答弁をいたしております。このときは豊川医学部長、上田病院長にも状況をいろいろだだしました。それから当時粒良君のアリバイがどうであるというようなことも新聞等にも載ってもおりました。したがいまして、その点も確かめましたところ、本人に意思を聞こうと思っても本人が出て来ないんだ。したがって、その後それは確実な証拠がないのに処分をするのは適当でないということで、大学はこの処分を取り消されておりますが、当時としての豊川、上田両教授のお話では、自分らとしてはできる限りの措置はしたということでございます。したがいまして、私はお尋ねに対しまして、大学のそのような報告を受け、大学を信ずる以外に文部省としてはございません。したがいまして、やむを得ない措置ではあったけれども、大学がとられた措置は不当とは思いません。当然なことであると思いますという旨を答えた次第であります。
○井上(普)委員 この処分をめぐりまして、実は教育的な処分でなかったこと、すなわち、病院内において騒いだといいますが、暴行を働いてめがねをこわしたのは、当時の春見さんだといわれておる。事実私も春見さんが出しておるめがねの領収書を実は拝見したこともあるのです。そして、大学当局と学生との間に全然対話がなかったということが一つ。それから紛争中にやったということです。これは大学の慣行上ないことであります。そして教育的な処分といいますけれども、教育的な処分じゃなくしてねらい撃ちをやった。こういうようなのが例の十一月二日のお別れのときの告辞のはずであります。こういうようなことからして、この処分そのものが非常に不都合であるということであの紛争がますます激化したことは、大臣御承知のとおりであります。 とかくゲバ棒を主体にものごとを見がちでございますけれども、特にこういう点についての大学当局のやり方というものは、戦前のいわゆる帝国大学時代の慣行をともかくやってきて、新しい憲法あるいは教育基本法に基づくところの市民的権利というものを学生に認めていないところに、この紛争の発端があると私どもには考えられるのであります。こういう東大医学部の態度というものは、しかもその後豊川、上田両教授が病院長、医学部長をおやめになって、今日まで五回も執行部がかわっており、まさに無責任時代の最たるものといわなければならないと私は考えるのであります。それにもまして、その当時から問題になりましたのは大学における古さ、時代の進運に沿わない古さということが学生諸君の間から猛烈なる反対が出てまいったことは御承知のとおりであります。特に医局制度、講座制というものが大きくクローズアップされたことは御承知のとおりであります。 一体講座制というものはどういうものか、医学部の実態を申し上げて大臣の御所見を承りたいのであります。大学に医局という制度がありますけれども、この医局というものは、学部学生、大学院生の教育、卒後教育を担当いたします。そうして外来、入院患者の診療にも携わります。研究と研究指導も行ないます。学位論文の指導も行なうところでありますし、医局員の人事管理をやるところでもあります。高橋晄正という講師の分析によると、医局というものはまさにタコ部屋であるとすら申しております。そうして医局制度というものは、先ほど申しましたように臨床研修の場ではありますけれども、もう一つほかの大学とか市中病院の手配師になっている。そしてまた、これが学閥を形成し、かつまた教授権力の増強に役立っておるのであります。医局員におきましては、芸者のように医局置屋論というのがいま叫ばれておりますけれども、生活の場とも相なっております。このように大学になぜこういう医者が集中し、市中病院に出て行かないのかということを大臣もお考えになっていただきたいと思うのであります。 そこで、ひとつ大臣に資料として私申し上げたいのでありますが、これは東大の木本外科、いま胸部第二外科が一つの講座としてありますけれども、すなわち二講座二診療で一つの外科の医局を形成いたしております。ここには教授二、助教授二、講師五、助手二十六、計三十五名おりますが、これを見てみまするというと、すなわち大学で給料をもらっておる人たちは昭和二十五年の卒業者が一名、二十六年のが四名、二十七年が三名、三十一年が一人、三十四年が四名、三十五年、三十六年は一名ずつ、三十七年、三十八年の卒業者は五名ずつとなっておるのであります。計二十六でございます。ところが無給者で、すなわち無給医局員でベッドを持ちながら、すなわち診察をやりながらやっておる人たちは、昭和二十七年が一へ二十八年の卒業生が四人、二十九年が二人、それから三十年卒が三人、三十一年が三名、三十二年が二人、三十六年が二人、三十七、三十八年は一人ずつ、三十九年が三人で、四十二年が一人、二十三名無給医局員としておるわけであります。そして無給者でベッドを持っていない人たちが二十二名おりまして、さらに全部外勤者で医局へいつでも帰れるという人が三十七名おるのです。そしてまた一応永久就職をしたと見られるけれども、これまたいつでも帰ってこられるという人が十八名おるわけであります。医局を離れた人というのは三十六名、すなわち助手以下の医局員の卒業後十九年生を筆頭に百二十六人この医局におりまして、この十九年間に入局した者は百六十二名、医局と一応関係が断たれたのは三十六名です。しかも卒業後十四年生までを見てみると、たった四人しか医局を退局した人がおらない。 大学を卒業したが、これほど大学にいつまでも残っておるのは一体何か、これは一つには医者の無気力ということもございましょう。もう一つは、大学病院と一般病院との格差があり過ぎるということでしょう。ほかには研究の場所がないということも一つでしょう。あるいは医者の待遇の問題もありましょう。それからいわゆる先ほどの上田教授あるいはなにが申されましたように、関連病院の人事権というものを教授が握っておるというところにも問題があるわけなんです。でございますから、日本の医学のほんとうの進歩を考えるならば、この無給医局員というものを一般市中病院に追い出すと同時に、二十六名で二つの診療科目をやっていくということは、これは不可能に近いことでございますからして、定員化を進めなければならないと思うのでございますが、遺憾ながら文部省がいままで無力であったがためにこういうことがなされていないのです。先日も無給医局員について大学学術局長に質問を小林委員がやられますというと、約七千名とおっしゃっておられましたが、実は八千人です。国公立大学の無給医局員は、医者のうちの五二・七%が無給医局員なんです。そしてそれが診療に従事しておるのです。研究に従事しておるのです。こういうような矛盾を含んでおるこの大学病院並びにこの講座制に対して、大臣はいかに考えてこれを改革しようとするのか、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
○坂田国務大臣 いま井上さんからるる大学における医局の実情についてお話を承ったわけでございます。私といたしましても、いろいろ就任以来この問題と取り組んでまいりましたけれども、なおいまお話を聞いておりますと、いろいろ複雑であって、もう少し検討をし、分析をしなければならないのじゃないか、実態が私どもが考えておるのと井上さんたちが考えておられるのとずいぶんまだ開きがあるようにも思います。あるいは問題のウエートの置き方等につきましても、あるいは私たちのほうが間違っておったのかもしれません。そういう面があるわけでございまして、十分今後大学全体を考えますことはもちろんでございますが、特に東大の紛争の発端となりましたのは、まずこの無給医局員の問題、あるいは臨床研修医の問題から発展しましたし、そうしてまた、先ほどるるお話がございましたように、紛争がエスカレートしたことも事実でございますけれども、あとほどになりますと、単にこれとはもう別個に運動が動き始めてきておる。あるいはまた、これを一つの材料として一つの政治運動をやろうという動きも出てきておるわけであって、その辺のことはなかなかむずかしい問題だと思うのでございます。 しかし、たとえば昨年の報告医制をきめました医師法改正、あの当時われわれも野にあったわけでございますけれども、あの当時はとにかくインターン制度というものが間違っている、それにかわるべき何ものかを出さななければいかぬ。しかし、いま考えてみると、そのインターン制度を含むその奥底に先生御指摘のような医局の問題、あるいは大学の対応のしかたの問題、あるいは徒弟制度的な因襲等々の原因がひそんでおったと思うのでございますが、とにかくインターン制度に何か別にわかるものとしてということで、インターン制度よりも、まだベストとは考えないけれども、ベターな案として国会でもこれが審議をされ、そうして報告医制度というふうにきまったわけでございます。先ほどお話がございましたように、豊川さんや上田さんたちが政治的に非常に動いたとおっしゃるわけでございますけれども、それもそれなりにインターン制度自体について、やはりベターな案としてお考えになったのだろうと、それを実現するためにいろいろ御主張になったというふうに私は思います。 それから医学部処分の問題も、いまから考えると御指摘のとおりでございますけれども、先ほど初中局長がお答え申し上げましたとおり、当時としては、むしろ教授会、評議会自体が合法的なものとして了承した、そういうわけでございまして、やはり私は大学自体に本質的に、また医局自体に本質的に病根が横たわっておるということは認めざるを得ないのじゃないか。これを改革するにはやはり現象的なものだけではなくて、その根底に横たわる問題を分析し、そうしてその問題点を抽出し、しからば一体それに対してどうするかということを考えていかなければならぬわけでございます。私といたしましては、まだその実態を把握していない。率直に申し上げてそう言ったほうがほんとうだと私は思うのでございます。ただ、講座制の問題にいたしましても、はたして講座制それ自体にあるのかどうか、講座制さえ変えれば、いままでおっしゃったようなものはさらりと割り切れて、すっきりと近代化して、もううまくいくのかというと、必ずしもそうではないのではないかというような気持ちは私は持っております。しかし、これにつきましては、やはり基本的な問題でございますから、もう少しひとつ検討をさしていただきたい。 しかし、何を申しましても、臨床研修医の待遇あるいはまた無給医局員の待遇が、従来のような謝礼ではあまりにも低過ぎるということで、これだけはひとつわれわれとしても責任を持ってやろうじゃないかということで、本年度の予算にかなりの増額をいたしたわけでございます。このことをもってすべて解決したとは思っておりません。しかし、その一つの原因はやはりこういうようなところにあったという深い責任をも一面においては感じておるわけでございます。その地われわれの今後解決すべき幾多の点があろうかと思いますが、その点につきましては、ひとつ皆さん方の御意見等を十分承りまして、これにこたえてまいりたいというふうに思っております。 定員の問題につきましては、おそらく局長もお答え申したと思いますけれども、昨年の六月の調査によりますと、総数一万六百五十人。ところが、そのうち診療に従事しておる者は七千百二十九人となっておりますが、その診療に従事しておる者もいろいろあると思うのです。何かもう定職を持ってやっておる、一月のうちにわずかだけ出てくるというような、そういう診療のやり方もありましょう。そのうち、全くほかには何にもやらないで、これを本務としている者のあれが三千人というのを、この間大学局長から御説明申し上げたわけです。その後何か先生から御指摘があったかと思いますが、一応私どもはそういうふうな把握をいたしております。
○大坪委員長 ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○大坪委員長 速記を始めて。
○井上(普)委員 医師法の改正のときに、文部省当局は、医局制度あるいはまた講座制という問題につきましていろいろと研究しております、こういう答弁があったのです。そしてあの医師法の改正の際には、これは衆議院は全会一致で附帯決議を実は出しております。その附帯決議は衆参両議院とも出た。それは学位制度、専門医制度、大学院制度あるいは医局制度というものを十分検討すべきであるということをやられておるのでありますが、文部当局としては、この点どういう検討をやられて、どういう結果を目下つくりつつあるのか、ひとつお伺いいたしたいのであります。
○村山(松)政府委員 専門医の問題は、これは医師の職業に関することでございますので、どちらかといえば厚生省が主体になってお考えになってしかるべきものと思います。それから学位と大学院というのは医学教育の問題でございますので文部省の事項でございます。事は大学制度の基本に触れる問題であり、医学部の特殊性もございますが、各学部を通じた大学制度の問題として共通の面もございますので、これらの問題はあげて中央教育審議会の審議にお願いをいたしておるわけでございます。 それから医局の問題は病院の管理運営の問題に相なるわけであります。そこで病院には、医局の問題を含めて、大きい問題複雑な問題、いろいろございますので、これはひとつ根本的に検討してみようということで、医学経験者をお願いいたしまして大学病院運営改善に関する調査研究会というものを持っております。公立学校共済組合の関東中央病院長をしております美甘先生を委員長といたしまして検討を進めております。そこで検討は検討といたしまして、さしあたりやらなければならぬ緊急の課題もあるわけでございます。それは主として指導者あるいは医師、看護婦の不足の問題にいかに対処するかということでございます。これに根本的に取り組みますには、やはり大学医学部、病院のあり方というものが前提となって、その中における病院の問題ということになるわけでありますが、根本的な課題の解明はかなり時間がかかりますので、いずれにせよ不足は充足しなければならぬということで、医師につきましては、昭和四十二、四十三年度の両年度で講師二百人を増員いたしております。それから昭和四十四年度につきましては講師六十五人、助手十人の増員を考えております。それから看護婦につきましては、これは国立大学の病院は医療法の基準には達しておるわけでありますが、大学病院の使命から見ますと、それでは不十分でありますし、また、人事院の勧告等による夜勤の改善などをするためには現在では不足でございますので、これも五年間に千三百人くらいはふやしたいという目標をとりあえず立てまして、現在約三百八十人の増員を考えております。とりあえずの問題といたしましては、根本的な課題の検討と並行いたしましてその程度のことをやっております。それから臨床研究医あるいは臨床研修医の待遇の改善につきましては、先ほど大臣から御説明になったような配慮を加えておりますし、大学病院の施設、設備の改善につきましては、それぞれの大学の要望を聞きましてできるものから取り上げておる次第でございます。
○井上(普)委員 口を開けば文部大臣も総理大臣も、中教審で教育問題を解決すると言われるが、医学部の改革を中教審ができますか。一人入っておる。どなたかと思いましたら東竜太郎さんなんていう文化財の方であります。また大学病院運営改善に関する調査研究会というのは美甘さんなんです。お歳幾つですか。こういうもうすでに第一線を引いて十年もたつ方々にお願いして、はたして新しい感覚のものができますか。この間私が大学設置審議会について質問したら、大臣も、もう少し若いエネルギーを入れるのに同感だとおっしゃったけれども、こんなところにもそういう古い方々を入れてきて、はたして新しい制度というものができるかどうか。大臣どうお考えになりますか。
○坂田国務大臣 やはり先般来私もお答えいたしましたように、もう少し若い方々の意見を聞かなければならない。中央教育審議会の運営方法につきまして考えまして、たとえば参考人を呼ぶというようなことも取り入れておりますし、若い方々の意見も相当取り入れておるわけでございます。第二十四特別委員会の中にも若い人を入れまして、それからちょうどこの六月がことしの任期でございます。そのときにはいろいろなことを考えて新しい出発をしなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。やはり社会の変化に対応する体制をこちらもとっていかないと社会に適応するところの大学あるいは医局制度というものは生まれないのではないかという御指摘は、私も同感でございます。
○井上(普)委員 大臣は、先ほども講座制について廃止してはどうかというようなお話がございましたけれども、大学が徒弟制度を生み、閉鎖的であるということも、これも御存じでございましょう。大学紛争の学生さん、院生あるいは研究者が非常に不満を出しておりますところの講座制というものについてはどうお考えになっておりますか。たとえば先ほどお見せいたしました東京大学の第二外科、胸部外科、これは一つに合併しておりますけれども、そこでは診療研究は、心臓外科もやっておる、血管外科もやっておる、循環器官の外科もやっておる、食道器の外科もやっておる、肝臓門脈外科もやっておる。あるいはまた小児外科というもの、あるいは電子外科というものというような、あらゆる方面をやっておるんですね。それであるにもかかわらず、やはり先ほど申しましたように教授が一、助教授が一、助手三、講師二という形で研究体制が行なわれておる。こういうような、しかも講座制と診療科との関係がこれまた問題になってきます。現在は講座主任が診療科主任を兼ねておりますけれども、一人の教授が研究と教育とさらには診療というものまで責任を持ってやれるかどうかということは、真剣に考えなければならない問題です。少なくとも研究と診療は、これは分離しなければならないのじゃないかと私は考えるのでございますけれども、分離いたしますといたしましても、どういたしましても定員の増加ということをやらなければなりません。ところが、いまお話しのように無給医局員が大学病院の中の五二・七%を占めておるこの実態、この人たちがおらなければ診療ができないという実態です。それが先日も申しましたように林医師という無給医局員が爆発でなくなっても、これに何ら国家的に補償する道がない。こういうことがたくさんあるわけです。しかも医者というものは常に病人に接触しておりますから危険な職業なんです。それで一つ例をあげて申しますと、実は東京大学の外科の手術場は十八あるのです。十八の中で定員が教授一、助教授一、それから講師、助手合わせて七名なんです。でございますから現在の無給医局員、これがボイコットいたしますというと、実際は七つ以下しか、すなわち五つの手術場しか使えぬというのが実態なんです。すなわち麻酔科は麻酔科の定員が七名ですから。そうなりますと、あとをつくってはおるけれども、手術場はこれは十二、三遊ばせておるのです。そのデータがここにあります。こういうような実態で無給医局員におんぶしなければ診療ができない。研究もできない。大学の機能が麻痺する。学生に対する教育も、これもできないという実態があるわけなんです。それを怠ってきたのが、何をいいましても文部省であると言わざるを得ないのであります。東大病院におきましては、特に助手諸君、院生諸君、これが無給医であるがために診療に従事しないという動きすら出てきております。ために麻酔科は定員七名でやっておりますから、現在は大きい手術でございますと、麻酔というものは二人がつかなければなりません。オーバーワークになっております。実際五つしか動いていないのです。こういうところに一つの大きい医学部紛争があるわけで、医学部紛争は、東大の収拾はつきましても医学部の紛争と収拾は解決しないでしょう。この件についての大臣の見通しと申しますか、どうすれば一体こういうような問題を解決できるか、あなたのお考えを承りたい。まだ私は分析ができておりませんと率直に申されましたけれども、これは定員増をやらなければ実際問題として解決できないということをあなたは真剣にお考えになって、これのために努力するかどうか。それと同時に、いわゆるあの総定員法との関係においてこの問題をどうお考えになるか、ひとつ御決意のほどを承りたいと思います。
○坂田国務大臣 先ほど申しましたように、やはり分析してその実態を知らないと、今後のことがはっきり申し上げられないわけでございますけれども、しかし、やはり講座制がどうか、あるいはいろいろ長年の慣習はございましょう、因襲はございましょうけれども、もしその講座制の運用というものに抜本的な改革があり得るとするならば、現在の人員に多少加えることによってやり得るのではないかという一つの見方もあります。しかし、それでもできないということであれば、たとえば定員法がああいうようなことではございますけれども、そういう当然の医学部あるいは病院あるいは医局の抜本的改正に伴ってこれだけの医師は、あるいはこれだけの教授は、これだけの助手は必要であるということが出ますれば、それを私は当然要求してとれるものだと思っておるわけでございます。
○大坪委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後三時四十二分休憩 ――――◇――――― 午後三時五十分開議
○大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上普方君。 〔「定足数が足りないじゃないか」と呼ぶ者あ り〕
○大坪委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後三時五十六分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕