文教委員会 第7号
- 発言数
- 209 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/03/19
会議録
○大坪委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。唐橋東君。
○唐橋委員 私は、当面大きな問題になっております大学関係の質問、こういうのも予定したのでございますが、相当議論されておりますし、いま中教審の審議経過であり、あるいは各大学がいろいろ見解を出しておる途中でありますので、一応その点に触れないで、先ごろ大臣の所信表明がありましたので、大学関係を除いた教育の行財政の一般について問題点となるような点を質問したいと思います。 その第一点は、先日の新聞に閣議の内容が報道になっておりますが、高等学校卒業式の混乱に対して佐藤総理が文部大臣に指示をした、こういうような意味の内容があるのでございますが、もしそのようなものがあったとすれば、どういう指示を受け、そして文部大臣はその指示によってその後どのような行政的な措置をとったのか、この点をまず第一点としてお伺いしたい。
○坂田国務大臣 先般の閣議におきまして、ちょうど各地の高等学校におきまして暴力学生によって卒業式が行なわれなくなったという事態があったことは皆さま方も御承知のとおりでございますが、その点について、高等学校を三年間勉強して、そしていよいよ卒業するというそういう非常に記念すべき日にそういう事態があちこちで起こる。しかもそれがちょうど大学等で行なわれておるような一部の暴力学生と申しますか、生徒によってそれが乱されるということは、大部分の生徒あるいはその式に来ておりまする父兄の方々も非常に迷惑であるということで、これは教育の行政面から考えましても、学校当局はもちろんでございますが、これを指導しておりますところの地方教育委員会あるいはまた県の教育委員会等においても十分気をつけて、そういうようなことがないようにしなければならないことは言うまでもないことでございまして、その話題が出まして、そのことについて文部大臣もひとつしっかりそういうようなことがないようにしてもらいたい。また、おそらく四月から入学式も始まることであるから、そのようなときに未然にそれを防止するようなことを行政的に考えてもらいたいという意味のお話がございまして、私といたしましては、二十四日に全国の指導部課長会議が開かれる予定になっておりまするので、その席に私も、国会関係に出席を要求されなければ私みずから出向きましてお話を申し上げたいとも思っておるわけでございます。また、事務当局に対しましては、近く教育長会議を開いて、そして指導の徹底をはかりたいと、かように考えておるところでございます。日時等につきましてはまだきまっておりません。
○唐橋委員 これはあとでもいろいろ意見を申し上げながら大臣の所見をお伺いするわけですが、二十四日に指導部課長会議を開いて、そして文部当局としての見解を示すということであれば、その骨子となる方向、骨子となる内容をひとつお示し願いたいと思うのです。
○宮地政府委員 二十四日の指導部課長会議は、実は最近教育課程の改定につきまして中間的な報告が審議会からもなされました。そういったようなこともございまして、今度の高等学校の問題だけではございませんが、その機会に高等学校の問題も十分やりたい、こういうことでございます。 お尋ねの点でございますが、一応私のほうで事務的に考えておりますのは、各地で高等学校の卒業式におきますいろいろな形がございます。いわゆるトラブルが起こっております。それの実情はある程度電話等でも聞いておりますが、指導部課長から十分その様子を聞き、また、集まった指導部課長からこういう問題に対する考え方も聞くということを一応主にしたいと思っております。ただ、それにつきまして、大臣が先ほど申されましたように、文部省としても一ただ聞くだけに終わるということではございませんので、文部省からも話はすると思いますが、文部省がはっきりこうきめて、こうせよというための伝達的な会議のつもりはございません。
○唐橋委員 こうきめて、こうせよという内容は持ち合わせない、こういうことに受け取れるのですが、いまの話にありましたように、ただ事情を聞くだけではない。それならばやはり一応の指導方向はいまのような態度の中で当然出されるだろうと思うのですが それはまだ煮詰まっていないのですか。
○宮地政府委員 文部省からも、先ほど大臣お話しのように、大臣も直接出て話を聞きたいし、また大臣としてのお考えも申したいということでございますが、大臣からどのように申していただくといったようなことは、事務的にはまだ準備いたしておりません。
○唐橋委員 実はこの問題はやり方によっては非常に大きな問題をはらんでくると思います。高等学校の卒業式に関連して起こっておる一連の高等学校の状態に対して、私たちからいえば、何か軽々しい態度を文部省が示していくというようなことになれば、これはやはり非常に大きな問題になるので慎重に取り扱っていただきたいし、もしそのような内容を指示するとすれば、大臣が従来言われているように、当然国会内における各党派の意見等も十分聞いた上で指示していかなければならない、こんなような見解を持っております。 一応その見解は別として、もう一つお伺いしたいのは、やはり同じ閣議で、この高等学校の問題を荒木国家公安委員長のほうから発表になって、二十一都道府県で五十六校が紛争をしている、こういうような状態の発表が事実あったのですか。
○坂田国務大臣 それはございました。御報告は。
○唐橋委員 私は、それは非常にふしぎに思うのですよ。送辞や答辞でやじが出た、あるいはまた多少の混乱が起こった、あるいは意見が出た、こういうのは治安対策の当局がまず取り上げる事例なんですか。たとえばバリケードができた、あるいは混乱が起きて相当の治安上の問題になった、こういうならば治安件数として荒木国家公安委員長のほうから報告があってしかるべきなんです。ですが、この五十六校の内容の中には、いわゆる治安問題としての段階に行かないものが大部分だと思うのですが、それらのものを最高の責任者である文部大臣がとらえないで、いち早く治安問題として荒木国家公安委員長がとらえて閣議に報告する、このことに多大な疑問を私は持っているのですが、大臣としての所見はどうですか。
○坂田国務大臣 私は、そういうことを荒木国家公安委員長の立場で御報告になるのはそれなりの理由があると思うので、別にそれをどうとも考えないわけであります。と申しますのは、たとえば武蔵丘高等学校でやはり暴力学生がおどり込んだ事件、それによって卒業式が混乱をした、あるいはまた九段高校においてもそういうようなことがあった、それからまた場合によっては、そういうようなときに学校当局が警察官の要請をする場合もあると思います。また、事実どこかではあったと思うのです。そうすれば結局、警察御当局の御協力を得なければそういう暴力学生を排除することはできないわけでございまして、その意味において国家公安委員長が責任をお持ちになるということ、起こり得べきことに備えるという意味においては、そういう御報告もあってしかるべきものであるというふうに私は考えるわけでございます。ただ、それに対する文部大臣として、今後高等学校教育の面においても、あるいはまたその管理の面においても、どういうような指導をするかということはまた別な問題だというふうに私は考えるわけでございまして、ああいうような不祥の事態というものは国民の大多数が批判をしておる。高等学校で卒業式等に暴力生徒が乱入をして、そして大多数の平穏に卒業式を行なおうという雰囲気を乱す、このことは教育上考えましてもよろしくないことは申すまでもないことであって、そういうことを未然に防止することはむしろ私に与えられた責任ではないだろうかと私は思っております。それに対して何らの行政措置もし得ないというところに、国民の私に対する責任追及というものがあるのではなかろうかというふうに私は思うわけであります。
○唐橋委員 私の質問は、そういうことを聞いているのじゃなくて、この中にはなるほど治安問題としてとらえられるものもある。しかし、治安問題でないのですよ。そこまでいかない問題が多数あるのですよ。そういう件数をいち早く国の最高機関である閣議において、文部大臣がその状態を報告するならばいざ知らず、卒業式の式場内における多少のやじあるいは送辞、答辞の政治批判、そういうものまで一切含めて治安問題としてとらえる。さらに、この新聞の報ずるところによると、「反代々木系生徒によるものはうち二十七校で、過激な行動が多く、代々木系の十六校では答辞での批判が多かった。」こういうようにもう初めから治安問題としてとらえ、そして文部省を越えていわゆる治安関係の責任者が報告をしているというところに、教育に対するいまの政府の姿勢は非常に危険な姿勢がある。 もう一音言わせていただきますと、送辞や答辞でいわゆる学校教育の内容を批判したり、あるいは政治批判が出ても、それはあくまでも教育問題でしょう。治安問題にまで発展しないでしょう。バリケードや混乱があれば治安問題です。そういうものは文部大臣がいち早く把握しておく。そして今度は治安関係のあったものはそれは国家公安委員長のほうで把握するのは当然でしょうけれども、そういうことを言っておるのですよ。そういう中における文部省の見解、あなたは最高の責任者として、この五十六校に対する実態はあなたの手元に集まっていますか。どうです。
○坂田国務大臣 その前にちょっと唐橋さんにお答えしたいと思うのですけれども、今日の大学問題がこういうふうに紛糾した、それは確かに大学自体にもこの学生に対応するものが欠けておるということも私は認めるわけであります。それからまた、その他のいろいろの深い原因もわかるわけであります。しかしながら、最大の原因は何かというならば、暴力学生がむしろ学問の自由というものを侵そうとしておる。しかも、それはもはや学内問題じゃないんだという認識が東大の加藤執行部においてもされまして、そして警察官の導入ということに踏み切ったわけです。しかし、昨年の事態においては、大学当局はそういう考えを持っておらなかったわけです。しかし、私どもといたしましては、昨年の段階においても、すでに一部のそういうような暴力学生が自分の政治主張を貫くために大学を拠点とする、こういうようなことで、大学自治の名のもとにおいて暴力が横行するという段階は、やはり教育問題だけで割り切れる問題ではないんだ、こういうことであったわけなんです。そういうわけでございまして、その影響というものが高等学校にも及びつつある。そして御承知のように、民青系あるいは三派系というものが高等学校に一万数千人もおるということは、唐橋先生も御承知のとおりなんです。その人たちは大学と同じように高等学校のいわゆる教育の場というものを混乱させようとする一つの政治主張を持っておるわけなんです。そういうことから目をそらして、単に教育問題ということだけでこれを未然に防ぐということはなかなか困難である。やはり学校長がしっかりする、教育長がしっかりする。き然たる態度で、そういう暴力が行なわれた場合は、自分たちの力で排除できない場合は警察導入もやむを得ない、こういうようなことにならなければ、それこそ大学と同じように高等学校の教育の場が乱されてしまうと私は思うわけでございまして、やはりその背景を考えなければいけない。 五十六校の内訳については局長から答えさせます。
○宮地政府委員 いま先生が御指摘の五十六校というのは、荒木公安委員長が報告されたという内容で、これは三月十三日現在の時点で御報告されたものと思います。したがいまして、私どものほうで五十六校の報告を受けましたのがぴったり合っておったかどうか、ちょっと私もはっきりしませんが、大体この数字に近いもので、内容としても、ほぼ警察のほうのお調べと同じような内容の報告を府県から受けております。 それから、大臣がお答えになられましたものに関連いたしまして、ちょっと補足さしていただきますが、実は今回の問題につきまして、各地の高等学校に、生徒のそういったグループがございまして、そういった活動をする高等学校の生徒、いわゆる拠点校と一般にいわれておりますが、そういったようなところがあり、そういった動きがあるということで、治安当局が事前に調べられておったのではなかろうか。私、警察のほうから報告を受けておりませんが、そういった状況もあったのではなかろうかと思います。
○唐橋委員 大臣、何か全体的なものといまの学生運動というものを、いわゆる底辺にあるものと現象面のものを把握する、このこと自体は非常に大切なことなんですが、送辞の中あるいは答辞の中に出てくるほんとうに純粋な教育批判というものまで、すぐにこれは三派系だ、これは代々木系だ、こんなようなかまえの中において、先ほどの指導部課長を集めて指示するというような、治安対策だけに問題を持っていったら、ものすごい危険が出てくる。私のほうの県立の高等学校の場合、去年福島でもありました。そういう中には純粋なものもあります。ですから、治安でなくて、ほんとうに現在の高等学校の置かれている教育の非人間的なものを何とかしようじゃないかという、純粋なものがやはり学生の中に出てくる。それをいわゆる三派系だ、いわゆる代々木系だ、このようなとらえ方をしていくことは非常に危険だ。したがって、私が言いたいことは、このような高等学校の一つの状態を、国家公安委員長が調べた結果をそのまま受け取るなどということでなしに、大臣がまず教育の状態を把握して、そして閣議で報告をし、そして治安で必要なものは必要なものとして、その間の連絡を私は当然やってしかるべきだと思うのです。いつでも治安関係が出てくるのです。そして文部省はいつでもそのあとで伝達されている。このような状態は、文部大臣としては、私は文教の最高の責任者として認容していいと考えないのです。この結論だけを申し上げて、大臣の考え方を聞いて、次の質問に入りたいと思います。
○坂田国務大臣 これは、唐橋さんおっしゃいますように、卒業式の場合に多種多様の状況があるわけで、単に暴力だけではない、このことは私も承知をしておるわけでございます。でございますが、やはり私は高等学校の段階において、なぜ答辞や何かに学校当局のやり方についての批判が出てくるかというと、これは戦前も、われわれの中学校時代にもあったことで、また今日でもある可能性がある。また、現実にあるというわけなのでございまして、その点はまさに唐橋先生御指摘のとおりだと私は思うのです。そういうところは高等学校の教育のやり方としまして、やはり学校長と生徒とが話し合う機会というものを、三年間にたくさん持つということ、そういうことが好ましいやり方じゃないか。あるいは卒業式のやり方等についても、単に画一的な形式的なことだけではなくて、もう少し各学校等においてくふうされてしかるべきではないかというような気持ちもいたしておるわけでございまして、そういうような点について指導、助言をするのが私の役目かと考えるわけでございます。ただ、一方におきまして、少し強調し過ぎたきらいはあるかもしれませんけれども、三派系及び民青系の政治的な意図を持った活動というものが現実にあるということは、やはりわれわれとしてもその事実に目をおおうわけにはいかない。また文部大臣としても目をおおうわけにはいかないということでございまして、国家公安委員長からの御報告を受けたならば、そういう事例がどういう事例であったかということを、われわれのほうでよく事実を調査をし、そして適切な指導をやるということは、唐橋先生御指摘のとおりだと私は心得ておるわけでございます。
○唐橋委員 時間がありませんので、高等学校の問題ですから、この議論はいずれ他の機会にもう少ししたいと思います。 大蔵省関係の人が他の委員会の関係で時間の制約があるという連絡がありますので、大蔵省関係を含めてひとつお伺いいたします。 第一番には、あとで文部大臣の意見も聞きたいのですが、教育費を所得から控除していくということは当然なことだと私は考えるわけでございます。それで、いろいろな議論は省略して、少なくとも大学、高等学校を含めて正規の授業料、あるいは学校で正式にこれだけは納めてくれという教育費を、所得として課税対象にしておくということは、特に大学等では国立と私立との間に非常なアンバランスがあるわけでございますが、これを正常化する一つの政治的な、いわゆる教育的な見地も考えられますが、要は生命保険の掛け金でさえある程度控除されているにかかわらず、高等学校はもう義務教育化してきた、国民の五〇%は大学に子供を入れたい、こういうような中で、これを所得と見て課税されておるということに対する大蔵省の見解をまずお伺いしたい。
○安井説明員 最近の教育費の支出が相当な負担になっているということは、私どももよく存じております。税制調査会に対しましても、その点の御審議をお願いしたわけでございます。現に、たとえば公立の高等学校であれば三万円、それから私立であれば六万円ぐらいの控除はどうかという御議論も紹介いたしまして、御審議願ったわけでございます。しかし、税制調査会のほうの御結論として、昨年七月に長期税制答申をいただいたのでありますけれども、税制といたしましては、個別的な事情を一々しんしゃくするのにはおのずから限度があるだろう、いま申し上げましたように、公立と私立とでは違うという議論もございますし、また、それ以外にも寒冷地の控除とか、何かいろいろの御要望もあるわけでございます。むしろ基本的には、一般的な課税最低限を引き上げるという形で御要望に応ずるのが一番望ましいのではないか、かように税制調査会のほうの御検討の結果が出たわけでございます。したがいまして、長期税制答申では、基礎控除、配偶者控除は現行制度から二万円引き上げろという御答申をいただいたわけでございますけれども、扶養控除につきましては、現行制度より四万円引き上げろという御答申になったわけでございまして、そのような一般的控除の引き上げが結果として教育費控除の創設ということにもつながるのではないか。この答申を受けまして、いま御審議をお願いいたしております四十四年度の税制改正におきましては、基礎控除、配偶者控除はそれぞれ一万円の引き上げでございますけれども、扶養控除につきましては現行の八万円から十万円に引き上げるという改正案を提案して御審議を願っておる、かような状況でございます。
○唐橋委員 一般の控除の引き上げ、これは理論的にはわかります。そのことは個々の議論として省略していいと思うのですが、しかし、一般の引き上げと、いま目の前の教育費というものは必要経費、こういうものに見られないのですか。私は、教育費はあくまでも教育のために費やす必要経費として当然見ていいと思うのですが、税制調査会の答申は私も一通り読みましたのでわかりますが、大蔵当局としては教育費に対してどのような考え方を持っているのかということを私は率直にお伺いしたい。
○安井説明員 唐橋先生のお話のように、私どものほうも最近の教育費の支出の状況というのは検討もしてみたわけでございます。しかし、これが必要経費という議論になりますと、これは税制の議論で恐縮でございますけれども、所得を得るために必要な経費という概念に入ってこなければいかぬわけでございます。子供の教育ということが非常に重要なことであっても、それが事業を営んでいる方あるいは給与を取っておられる方々の所得を得るための必要経費という概念には入ってこない。むしろ、やはり生計費として課税最低限といいますか、どの程度の世帯から所得税を納めていただいたらよろしいかということの判断の一つの範囲になるだろう、かように考えておるわけでございます。
○唐橋委員 必要経費というのは私がちょっとことばが足らなかったのですが、そういういわゆる生活の基礎としての必要、こういうように私は申し上げたのです。一つの事業をやるための必要経費、こういうふうにあなたたちは税制上考えますが、そういう意味でなくて、ことばが足らなかったのです。この点については税制調査会の今度の答申がありましたが、大蔵省としては再度この点を問題として、そして次の税制調査会等にもこの点を相当審議していただく方針があるのかどうなのか。
○安井説明員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、長期税制答申の実現がまだ今回半分しか基礎控除についてできていないわけでございます。まずそれを一番優先して、課税最低限を引き上げていくということが必要だろうというふうに考えているわけでございます。教育費の問題も一般の生計費の概念の中に入りまして、いまの課税最低限で、必要な最低生計費というのがどの範囲かという議論がいろいろございますけれども、御議論としては私ども十分承りまして、今後直ちに税制調査会というわけにはいかないかと存じますけれども、一つの問題だというふうに認識はいたしております。
○唐橋委員 文部大臣、この教育費の控除については、当然文部省が文教の責任において、大蔵省なり税制調査会に対して、いまの教育費の性格というものをはっきりと理論づけて出すべきである、このような見解を持っておるのですが、いままでこの点については文部省も当然控除すべきであるという態度を堅持しながら、ことしもあるいは先年も大蔵当局あるいは他の関係当局に働きかけたと聞いておりますが、その現状はどうですか。同時に、今後の方針もあわせてお伺いしたい。
○坂田国務大臣 この点につきましては、唐橋さん御指摘のとおりに、私どもといたしましても、数年来大蔵当局に対しまして要望しておるところでございますけれども、今日まで実現ができておらないわけでございます。
○唐橋委員 今後文部省としてはどういうような方針でこれに取り組んでいきますか。
○坂田国務大臣 私といたしましては、やはりそのような考え方で重ねて努力を続けてまいりたい、そして実現をはかりたい、かように考えております。
○唐橋委員 では、通勤手当の全額免税はあってよろしい、このような考え方で大蔵当局の見解をお伺いするのですが、現在通勤手当は国家公務員の一応のベースがこうだということで頭打ちになっているのですが、それで間に合っているというような状態ではございません。このような実態は当然大蔵省でもつかんでいると思いますが、あくまでも通勤手当というのは必要経費として支給されている、それを課税している、こんなことは全く小学校の一年生でもわかるようなものだと思うのですが、これを課税対象にしない、全額免税の手当だ、こういうようになぜできないのか。
○安井説明員 通勤手当につきましては、御指摘のございましたように、現在雇用主から支給しております通勤手当につきまして、現物給与の一種といたしまして、一般に必要と認められる限度においてこの分だけを課税いたさない、かようにいたしておるわけでございます。その限度は現在三千六百円ということは先生御承知だと思います。私どもこのたてまえをとっておりますのは、この通勤手当の非課税という問題につきましては、人事院が毎年各事業所の通勤手当の支給状況を普遍的に調査しておるわけでございます。その結果、人事院のほうから勧告が出てくるわけでございまして、それを参考にいたしまして政府公務員に対する通勤手当の範囲もきまるようでございますし、私どもといたしましても、通勤手当の非課税の限度というものはその範囲内できめておくべきだろう、かように考えておるわけでございます。 先生にまた税金の理屈を申し上げて非常に恐縮なんでございますけれども、通勤費がサラリーマンといいますか、給与所得者にとりまして必要経費であるかどうか、これも議論のあるところだろうと思います。しかし、私ども外国の例を調べてみたのでありますけれども、アメリカもイギリスも通勤費は必要経費といたしておりません。西ドイツだけがちょうどたまたまわが国と同じように四十キロ以内まで通勤費を非課税にする。私ども日本の税制は、通勤費を非課税にするのではなくて、通勤手当として支給されたものを一定の限度内において課税をしない、かようにいたしておるわけでございます。少し理屈めいて恐縮でございますけれども、全体として遠距離通勤着が非常にふえて、それに対する通勤手当の支給の範囲も非常に広がってきたという状況になりますれば、当然それに応じて全額も上がってくるだろうと思います。また、そのような考え方をとっております背景には、やはり通勤距離が長くなるにつれまして、その他の生計費、たとえば家賃その他も都心と郊外とでは違うという状況もあるわけでございまして、われわれとしては、人事院のほうで調査いたしました範囲内で、一般に支給されているという限度内で通勤手当の非課税限度というものを定めておる、かような現状でございます。
○唐橋委員 人事院の決定やその他は私も了解しております。しかし、税制ですから、一般的な議論として、実質的にこれだけの通勤費がかかるのでこれだけ支給している、こういうのであって、決して必要経費以上に支給している、通勤の実費をこえるものを支給しているという状態はおそらくないと思うのです。これをやはり大蔵省はあると把握しておるのですか。人事院のいろいろな資料でなしに、税として一般的に、通勤手当の支給は実質必要とする通勤費をこえて支給しているとあなたたちはつかんでいるのか。
○安井説明員 先生の御指摘のように、私ども通勤手当が必要以上に支払われているとは考えておりません。ただ、人事院のほうの調査を見ましても、これは民間の給与の調査でございますけれども、通勤手当として全部を支給いたしております事業所は三七%程度でございます。やはり通勤手当そのものが一部支給あるいは限度を置いているというような支給のしかたをいたしておりますので、それに基づいて人事院のほうの公務員に対する通勤手当の勧告も出たのだと思いますし、私どももそれを参照にいたしまして、その控除をきめたわけでございます。
○唐橋委員 公務員の給与の問題は人事院で議論するのですよ。私がここで議論するのは、そのものを含めて、いま指摘されているように、実費に見合うものを全額支給しているのは三七%なんだ、あとは範囲なんだ、それよりも少ないものが支給されているんだ。こういう実態があるなら、当然これは課税対象から除いていいという議論がすなおに出てくると思うのです。こういう点を再検討していく大蔵省の見解はないのですか。あくまでも人事院の頭打ち、こういう給与体系だからこうだ、これ一点ばりなんですか。
○安井説明員 先生の御議論もごもっともだと思うのでございますけれども、私どもといたしましては、民間の通勤手当の支給状況を一般的に最もよく調べているのが人事院の調査でございますので、それ以外に何か非常によく調査できたものがあれば別でございますけれども、民間の通勤手当の支給状況に応じて、それの調査の一つの態様として人事院の勧告というものを取り上げているわけでございまして、それを見ながら通勤手当の非課税の問題に対処してまいりたい、かように考えておるわけであります。
○大坪委員長 関連して川村継義君。
○川村委員 いま唐橋委員から教育費控除の問題と通勤費の問題の質疑があっておりますが、先ほど大蔵省のほうでお話があった必要経費と教育費というものが、ことばをかえていうなら結びつかない、そういう意味では何か不明確なお答えがあったのです。 そこでお尋ねいたしますが、所得税の控除の中に生命保険料控除というのがありますね。これは一体どういう趣旨でありますか。
○安井説明員 生命保険料控除と申しますのは、生命保険というものが長期の貯蓄でございまして、しかも同時に不測の事故に備えて生活の保障をしているというようなことから、私どもといたしましては、税法としては所得税法に生命保険料控除という規定が入っておりますが、租税特別措置の一種だというふうに考えております。つまり、本来所得税の生計費を控除するというたてまえとは全く別の、長期貯蓄優遇といったような政策目的を持つ控除だというふうに考えております。
○川村委員 そうでしょう。そうすると、生命保険料控除というものは所得を生むための必要経費じゃありませんね。
○安井説明員 おっしゃるとおり、私ども必要経費として控除しているのではなくて、租税特別措置として控除しているにすぎないわけでございます。
○川村委員 法人に対して社交費、交際費の非常に大きな控除がありますね。数字は申し上げなくても御承知だと思う。これはどういう意味でありますか。
○安井説明員 交際費につきましては、法人がその事業を営んでまいります上に、たとえば販売促進であるとか、販路の拡張であるとか、こういったものに必要な経費として支出するものの中で、たとえば飲食であるとか、贈答であるとか、こういったいわゆる社用的消費の対象となっておるものを、逆に、本来ならば必要経費ではあるけれども、これを特別措置法の上で否認をいたしておるわけでございます。つまり交際費というものは会社の事業を営む上に必要なものではない、たとえば会社の役員がみずからの会社の営業と関係なしに支出したというようなことがございましても、これは初めから損金にはならないわけでございます。本来損金性を持ちます必要経費となります交際費につきまして、その中で飲食等を伴うものは、社用経費ということから現在一定の基準を越しましたものにつきましては五割を損金に入れることを否認いたしておりまして、現在御提案申しておりますのは、それをさらに一割ばかり引き上げまして、六割まで否認する、こういうような形になっておるわけでございます。
○川村委員 これは国税庁関係で毎年毎年七千億にものぼる交際費を問題としておる。ところがお答えのように、この交際費についての優遇措置は、必ずしも厳密な意味において会社が所得をあげるためのいわゆる必要経費として認めていない、こういうことでしょう。
○安井説明員 交際費一般の問題で申し上げますと、たとえば広告宣伝費とか、それから企業としていろいろ販売促進に使います費用の一環だというふうに私どもとしては考えております。ただ、それが社用消費として奢侈に流れておる、こういう批判がございますので、本来は企業自身が自粛すべきものだと思いますけれども、税制としても、その支出の抑制に効果があればということで、損金支出の五割を否認しているわけでございまして、大体本年度でも五百億円ばかりの増収となっているわけでございます。
○川村委員 キャバレーや料理屋で飲んだり食ったりするような飲食費、そういうものはあなたのほうも必要経費と認めていない。そこで教育費というものを——今日これはだれでもそうです。ここにいらっしゃる方はみなそうだと思う。子供を高校にやるあるいは必要によっては大学にやる。子供を育てるための教育費のいろいろな大きな負担ということをあなたは知っている。そうなると、何も所得を生むための必要経費ではないということで教育費を否認するものの考え方は私は賛成できない。生命保険料控除というような立場においても位置づけて教育費控除というものを当然考えてやってしかるべきではないか。いかがです。
○安井説明員 川村先生のお話のような問題、私どもも教育費が最近高くなっているということは先ほど唐橋先生に申しておりますように認識をいたしておるわけであります。税制調査会にもそれをおはかりいたしまして、どのように処置すべきかということを御検討をお願いしたわけでございます。その結果は、一般的な扶養控除の引き上げということで補っていくのが望ましいのではないか。先ほど申し上げました、たとえば高等学校あるいは大学にいたしましても、官公立の場合御要望がありましたものでも年間三万円あるいは四万円というような金額もあったわけでございます。扶養控除の引き上げということでやればそれもカバーできるであろう。これはやはり一番重要なのは課税最低限の引き上げであろう。特に高等学校を卒業いたしまして大学に入った者の教育費控除ということになりますと、現在の所得税法は、高等学校を卒業した者がつとめた場合には、翌年くらいから所得税を納めていただいているわけでございます。そういうことのバランスも考慮いたしまして、まず扶養控除全般の引き上げということで、つまりどの程度の生計費がかかる世帯というか、どの程度以上の所得のある世帯から課税をしていったらいいかということに対処するのが妥当であろう、かように考えているわけでございます。
○川村委員 どうも私の認識とあなたの認識が少しギャップがあるようですが、今度の所得税改正で扶養控除の二万円引き上げ、配偶者控除の一万円引き上げ、これはもう一般論として当然減税しなければならぬ。生活費には課税しないという原則に基づいて当然引き上げられてきた。平年べースで九十三万といっても、これも実はまだ課税最低限度としては安い、もっと引き上げなければならぬ、こういうのが世論でしょう。そこで扶養控除を二万円引き上げたから、その中に教育費の問題が含まっておる、あわせ考えるということは、それはできるかもしれぬけれども、その二万円という扶養控除の引き上げをそういう見方をするのは少し配慮が足りぬのではないかと思うのです。飲食費の引き上がり、生活費の引き上がり等を考えて、これは少なくとも当然そうすべきであって、教育費については別途やはり教育費控除というものを考えるということが、今日の所得税を考える場合の一つのあり方ではないか、私はそう認識している。あなたのほうがそのような認識で税制調査会に問題を持ち込むから、きちっとしたこういう国民全般が待ち望んでおる教育費控除というものが新設されない。これはひとつそういう意味合いで、きょうは関連質問ですからくどいことを申し上げませんけれども、もう少しこの辺のところをよく考えて教育費の控除新設ということについては積極的にひとつ取り組んでもらいたい。お考えをお聞きしておきます。
○安井説明員 先ほど唐橋先生にお答え申し上げましたように、税制調査会で審議がまた始まりました際には、おはかりをいたしたいと思います。
○唐橋委員 もう一つ非課税問題で地方公務員の互助会ですね。これについて現在まで掛け金を非課税にしてきた。それが今度の三月で期限が切れる。いままでは通達かあるいは申し合わせ等でこれをいわゆる控除対象にしていたが、今度期限が切れてくる、こういう時期になってきておると思うのですが、この期限の切れる前に明確に一つの方針を出して、そして従来のように非課税対象にしていくという基本方針を出していただきたい、こう思うのですが、これらに対する取り扱いはどんなふうにしておりましょうか。
○安井説明員 地方公務員の互助会というものがございまして、それの掛け金の社会保険料控除の問題でございます。これは昭和二十八年の税制改正の際に社会保険料控除が初めて所得税法上に規定されたわけでございます。その際、国家公務員につきましては国家公務員共済組合法がございまして、国家公務員共済組合法に基づく掛け金の控除ができたわけでございますが、地方公務員には同じような共済組合がなかったわけでございます。したがいまして、そのときにバランスをとる意味で条例の規定により地方公共団体がその職員に対して実施する共済制度に基づく掛け金、いわゆる互助会の掛け金を社会保険料控除にいたしたわけでございます。その後三十七年には地方公務員等共済組合法ができまして、その掛け金、給付の内容等も国家公務員と全く同じになったわけでございます。その際に、互助会の掛け金をそれ以外に社会保険料控除として認めるという余地は、理論的根拠はなくなったものと考えております。しかしその後、急にということもありまして、昭和四十年に全文改正の際に、地方公務員に関する互助会の掛け金は社会保険料控除とはいたさないということをはっきり政令で明定いたしたわけでございます。と申しますのは、条例に基づくといいましても、任意に加入する者もあれば加入しない者もある。また、給付の内容を見ましても、結婚のお祝いだとか入学のお祝いだとかいうものも入っているわけであります。もちろん大半は共済組合の付加給付的に動いているようでございますけれども、必ずしも内容が明確ではない。少なくともそのような社会保険料控除ということであれば、強制的に加入させて、その対象が社会保険料と全く同じものでなければならないわけでございまして、その中にいま申し上げましたような入学祝いだとか結婚祝いというものが入っているようなものになりますと、これは一般の職場におきます親睦団体の掛け金と変わらないわけでございまして、私どもとしては四十年から現在に至りますまで政令の附則で一年ごとに、整理を将来するということから、将来は地方公務員共済組合の付加給付に統合するということで経過措置として認めたものでございまして、今回これは私ども事務当局の考え方としては非常に消極的でございます。
○唐橋委員 内容をいろいろ申し上げる時間もありませんが、現在はなるほど結婚祝いとか出産祝いとかいうものも出ています。そういうものならばそういうものなりに控除の頭打ちをすればいいのです。しかし、なぜ全員加入にならないかというと、いわゆる共かせぎの者が多いのですよ。この互助会は、だんなさんが入っておる、家族の医療の場合五割だ、その五割を今度互助会のほうから出す、こういう形が基本なわけです。そうしていけば、これはあの法で示しておる共済制度と同じように考えられていい。何か一つの特殊な事例を立てて、国のほうでやっているのだからもういいのだというようないままでのやり方、あの政令を決定するときの議論と、それから相当年数がたって整備されてきた現在と非常に実態において差がある。私はもう一度これは調査すべき時期になっているのじゃないか、こんなように考えますので、一応年限を延長しておいて、もう一度実態と性格をはっきり把握した上において決定すべきではないのかというのが結論でございますが、それについてどうお考えですか。
○安井説明員 先ほど来申し上げましたように、本来ならば地方公務員等共済組合法ができましたときに処理すべきことだったと存じます。その後すでに六年、七年たっておりますし、さらに昭和四十年に政令の段階でこれをはずすということをきめましてから、毎年のように一年ずつ延ばしてきておるわけでございます。その間これが純化されるような努力を私どももお願いしてきたわけでございますが、いまだにできてないという状況でございますので、私どもといたしましては非常に消極的な気持ちを持っているわけでございます。
○唐橋委員 時間がありませんからその議論はまた別にしまして、もう一つ大蔵省のほうにお伺いしておきたいのは、学校教育法の中に「学校とは」ということで幼稚園まではっきりと含めております。しかし、地方交付税の単位、いわゆる「経費の種類」、そしてその単位費用の算定の中には、市町村の場合は「小学校費、中学校費、高等学校費」、そしてあとは「その他の教育費」、道府県の場合は小中高で「その他の教育費」として「盲学校、聾学校」を入れているのですが、学校教育法では、これが学校ですという単独の単位で認めているのです。しかし、交付税になってくると単独の単位で認めない。だから市町村あるいは都道府県の幼稚園の経営費は非常に薄いので困っているのですが、学校教育法では幼稚園はいわゆる独立の教育機関というのにかかわらず、なぜ交付税の中ではそれを認めないのか、これは私は非常に疑問に思うのです。ですから交付税関係としては大蔵省でありますが、あとで文部省の見解も聞きたいのですけれども、まず大蔵省の見解をお伺いしてみたいのです。
○首藤説明員 自治省の関係でございますのでお答え申し上げます。 幼稚園は、御指摘のように地方交付税上独立項目とはしておりません。しかし、これを見ていないわけではございませんで、「その他の教育費」の中において措置をしていますのは御承知のとおりでございます。これは標準団体、大体人口十万ぐらいの市の場合に、ただいま御審議をいただいております交付税法では四十四年度千九百万円余りの費用になろうかと思いますが、その程度のものを単位費用の基礎として積算を仕込んでございます。
○唐橋委員 では、自治省が積算の基礎に見ておるというならば、当然「その他の教育費」の中ではっきりと幼稚園というものをあげるべきだという考えを私は持っているのですがね。あげていないからこの単位費用というものが薄くなってくる。社会教育のような問題ならば、一括「その他の教育費」として人口何人につき幾ら、こういうように見てもいいと思うのです。ですが市町村の場合には人口何人につき幾らということで幼稚園という独立の機関に算定しているのですから…。
○首藤説明員 お説のような御意見もあろうかと思います。そうも思いますが、御案内のようにただいまの各市町村の実情を調べてみますと、幼稚園を設置いたしております密度が非常に違いまして、非常に多くの数を幼稚園でやっておる団体もございますれば、あるいは保育所といったもので実際の運営をやっておるというところもございます。そこで独立の費目を立てますのに、数値が非常にばらつきますので技術的になかなかむずかしゅうございますものですから、ただいま申し上げましたように「その他の教育費」の中に積算の基礎として入れておるわけでございます。ちなみに申し上げますが、標準団体で入れ込んでおりますのは大体どの程度かと申しますと、幼稚園の定数を見ますと、六百四十人ぐらいのものを標準にして入れております。ただ実情が非常にアンバランスでございますので、これよりも幼稚園自身が非常に多いところ、こういうところには密度補正という手段を使いまして、それを増額するというようなこまかな処置をとっておるわけでございます。
○唐橋委員 このことについてはあとで質問いたしますので、一応文部大臣のほうに質問を戻しましてお伺いしますが、その前に、法制局の方来ておりますね。お待ちだと思いますが、ざっくばらんに法制局にお伺いしたいのは、総定員法が非常に難航している。これは国会審議の状況で私からどうのこうのと申し上げる必要はないと思うのですが、これが成立するかどうかというのはいろいろ今後の情勢だと思うのです。私が質問したいのは、これは三月一ぱいですわね。他の法律は四月になって成立しても一応有効だ、こういうように法律の条文で生きてきますが、この総定員法だけは、三月中に成立しないで一週間なり十日なり一カ月なり切れた場合、国家行政組織法ですかで措置しておる人たちの身分はどうなります。法制上の見解をお聞きしたい。現在文教関係でも二千何百人か措置されておりますが、しかしあれは一年以内なんです。一年をこえてならないわけですね。現実として一週間なり十日なり一カ月なりこえた場合、この間の身分はどうなるのです。
○荒井政府委員 これは現在の定員が法律で定められるということを原則としておりますたてまえからいいまして、その法律の改正が行なわれないとなりますと、昨年の六月に政令で付加いたしました定員については、その設置の根拠を失うといいますか、その定員に関する規定に違反するという状態になると言わざるを得ないと思います。
○唐橋委員 ですから、いわゆる国家行政組織法で措置しているのは一年以内で、それが三月一ぱいで切れるわけですね。国会審議の状況で、もうきょうは十九日でしょう。二十日としてあと十日しかないわけだ。たとえ成立するとしても、四月十日になるかあるいは四月の二十日になるか、その場合は、当然順繰りにいったならばそういうような事態が生じないとは限らない。もし生じた場合には、これは大問題になると思うのです。その場合の法的見解をお聞きしたい。その人たちの身分はどうなるのかということをお聞きしたい。
○荒井政府委員 そのような事態は、たとえば昭和四十一年に、国立学校の職員の定員増を行なうというための文部省設置法の一部改正法案が国会に提案されておりまして、成立して公布されたのは四月五日であったというようなことがあるわけであります。その場合国会のほうは、いま唐橋先生がお尋ねになりましたようなそういう問題がまさにあるということを十分御認識下さいまして、これは昭和四十一年四月一日から適用するということばを改正で付加して可決されたということで、さかのぼってその場合は治癒されたことになると思います。
○唐橋委員 その法律と性格は同じなのですか。国家行政組織法によって、一年以内という身分の人がいるわけです。その人たちのことを言っているわけですよ。その人々はいま三月三十一日までしかぎりぎり行っても身分がない。それが国会の状況によって一週間なり十日間延びた。こういう場合に、その人たちの身分はどうなるのかということをたいへん私は疑問に思っているので、法制局の正式なる見解を——いままでだって、国家行政組織法で二年続けてやったということの前例はないのですね、一年以内なのですよ。そういう場合の身分はどうなるのですかという、身分の取り扱いをお伺いしているわけです。
○荒井政府委員 何らかの法的措置が講ぜられません間は、その法律違反だという状態は何とも争いようがない。しかしながら、たとえば改正法なりあるいは今回の行政機関の職員の定員に関する法律が遡及適用されるという事態になりますれば、その違法状態というのがさかのぼって治癒をされる。その間、たとえばその定員法上の根拠を失って分限免職をしなければならないのか、あるいはそういう場合の教育公務員法の適用はどうなっているのかという各種の問題、あるいは年金の問題はどうなるかといういろいろな問題が理論的には起こり得るはずでございますけれども、それについては国会は予算のほうでは四月一日にさかのぼって、たとえば去年の付加定員を含めあるいはことしさらに増員を予定しているというようなものを御可決になるとしますと、国会の御意思でその定員補正の面でそれを否認するような措置をおとりになることはまずないのではなかろうかというふうに考えますと、予算は四月一日から適用されるわけでございますから、また昭和四十一年の例の場合も、予算上の定員増は四月一日から認められているということもあって、国会で四月一日から遡及適用するということをお定めになったということもございますし、そういうことで欠陥は治癒されるということでございますので、そういう事態しか考えられないのではないかと思います。
○唐橋委員 総定員法によって四月一日から適用するという法の成立はできると思うのですが、ただ私がお聞きしたいのは、三月三十一日になった、そうすると、これは国家行政組織法の上から当然はっきりしているわけですよ。そうすると現在はいるわけだ、いて、その場合に法律的な適用はいいのです。しかし、現実としてその人たちは一週間なり何なりを、成立するものとして勤務させ得るのか、させ得ないのかということを聞きたいのです。
○安嶋政府委員 御指摘のとおり、昨年六月の緊急政令によりまして二千百五十二名の増員が行なわれたわけでございますが、この大部分はすでに充足されております。したがいまして、三月三十一日までにいわゆる総定員法が成立をいたさない場合には、大部分充足されております約二千人の教職員がこれは過員ということになりまして、国家公務員法上はいわゆる分限免職の事由に該当する、また給与が支給できるかどうかということにつきましても疑問が生じてまいります。しかしながら、この約二千人の増員は文部省関係、これは国立学校がほとんどでございますが、約十万人の定員に付加された約二千人でございます。したがいまして、この十万数千人の中で過員が何人であるかということを特定することは不可能でございます。したがいまして、過員はございましても、何人が過員であるかということを確定することは困難でございますから、これはやむを得ないということが一つございます。 それからもう一つは、いま荒井部長からもお話がございましたように、教育公務員特例法の規定によりまして、分限免職は大学管理機関の審査の結果に基づきまして文部大臣に上申されるということになっておりますが、このことを期待することは事実上不可能に近いと思います。 したがいまして、違法な状態が発生し、しかもそれに対していかんとも処置をしがたいということでございますので、私どもといたしましては、三月三十一日までにぜひ通過成立させていただくようにお願い申しておるわけでございます。
○唐橋委員 だいぶ時間が経過いたしましたので、次の質問に入りたいと思います。 いま学校公害関係が非常に大きな問題になっておりますが、この学校公害はやはり今後の施策としていろいろに出てこなければならないと思います。そういう中で、文部省としてはこの各種の公害を各学校各学校で、その地域の公害とあわせて、公害白書とでもいうべきものをまとめ、それと同時に対策というものが生まれてこなければならないと思うのですが、これに対処する文部省の具体的な方針、あるいはもしそういうようなものがまとまっておるものがあれば資料としてひとつ出していただきたい。こういうことで、学校公害関係の状況をお伺いしたい。
○岩間政府委員 学校の公害の実態につきましては、昭和四十二年の二月に高等学校以下の公立学校を対象といたしまして実態調査を行なっております。しかしながら、この実態調査はアンケート方式によってやっておりまして、主観的な意識調査でございますので、これをもう少し客観的な基準のもとにおきます調査を行ないたいということで、ただいまその基準の設定につきまして検討をいたしておるところでございます。 ただいま御指摘がございました四十二年の調査につきましては、これは資料がございますので、後刻お手元のほうにお届けいたしたいと思います。
○唐橋委員 本年度の予算の中で、各種公害の状況に応じて、いまのような各学校、各学校の全部の調査を完了する、その調査予算は取ってありますか。
○岩間政府委員 ちょっと私手元に資料がございませんのであれでございますが、たぶん取ってあると思います。
○唐橋委員 予算関係でわかる人はいないのですか。たぶんでは困るのですが……。
○岩間政府委員 百六十三万円ばかりの予算が計上されております。 〔委員長退席、高見委員長代理着席〕
○唐橋委員 全国にこの公害の問題が地域的に広がり、そしてその中における各種の教育弊害が出ている状態の中で、百五十万なり百六十万でほんとうに公害の実態をつかむ調査費として十分なんですか。私は非常にそこが疑問に思え、そしてこの問題を少なくとも本年度にはみっちりと公害調査をしてもらわなければならないという観点に立ちながらお聞きしておるのですが、そればかりの公害調査費で全国の学校の公害の実態が調べられますなんというような文部省の態度は私は了承できないのですが、これは大臣どうなんですか、全体の問題でございますから……。
○坂田国務大臣 学校公害は近年非常に社会的問題になっておるわけでございまして、これについての実態の調査というものはやはり正確に、慎重にやらなければならないと考えております。本年度百数十万円の予算の計上をしておるわけでございますが、おそらくこれは文部省自体としての費用でございまして、おそらく文部省自体が現地に行って調査するというようなことでなくて、各都道府県を通じてあるいは各地方教育委員会を通じて実態を調査する、それを集計をする、そして客観的な問題点をまとめるという第一段階の調査費用だと思うわけでございますが、詳しいことは局長から御答弁を申し上げます。
○岩間政府委員 本年度の調査費のおもな項目は、先ほども申し上げましたように、客観的な基準の設定に関する費用でございます。この前の四十二年の調査におきましても、一応公害の対象になりますような学校数と申しますのは約二千校というふうな調査がございまして、各都道府県ないしは市町村におきましても十分実態を把握していると思います。したがいまして、現実のそれに対する対策あるいは補助の問題につきましては、そういう資料をもとにいたしまして当面そういう対策を行なっていきたいと考えておりますけれども、先生の御指摘のございますような全国的な全体的な調査につきましては、基準の設定を待ちまして実施をしたいというふうにただいま考えておるところでございます。
○唐橋委員 これは要望的な意見になりますが、四十二年度の調査で千九百校、四・四%、ただいまは約二千校と言われたのは、これは事実出てくると思うのです。これが百五十万くらいの——たぶんいわゆる公害ですから各種の予算もあると思うのですが、文部省のこれに対する取り組みが非常に少ない、私はこのような考え方を持っているわけでございまして、これはほんとうに充実していただかなければならない問題であり、当面ほんとうに着手していただかなければならない問題であるということを指摘して、善処を要望します。 次の質問は、自治省関係から先にお伺いしたいのですが、地方公共団体の超過負担の問題は、これは年々問題になっているのですが、私の手元にも、自治省のほうから四十二年度の地方超過負担の実態調査というのを資料としていただきましたが、この総計を見てみましただけでも四百十一億円の超過負担額が出てきているわけです。しかし、これは毎回議論されながら解消のできない非常に大きな問題なんですが、私が手元にいただいた四十二年度の実態と、さらにあなたの手元には四十三年度が当然出ていらっしゃると思うのですが、相当超過負担が解消の方向になっているのですか。現実としては金がふえているのですか。その状態をまずお伺いしたい。
○首藤説明員 超過負担の問題につきましては、ただいま御指摘のとおりでございまして、多額の超過負担に地方団体が悩んでおるわけでございます。何としてでも解消いたしたいというような観点に立ちまして、ただいま御指摘の四十二年度におきましては、保健所の補助金等をはじめ六費目の調査をいたしました。四十三年度におきましては、保育所の措置費ほか五費目の代表的な費目につきまして調査をいたしたわけでございます。その結果判明をいたしました超過負担の実態の中には、御案内のように当然国が措置をしてこれを修正すべき分と、それから地方団体がそのときの都合で若干負担をいたしました分と、これが分かれるものでございますから、その前者の要措置分につきましては、三カ年計画でひとつ解消していこう、こういうことで大蔵省とも話を詰めたわけでございます。そのような結果で四十三年度の予算において措置をしました超過負担の解消額は事業費ベースで三百二十億ほどに相なりましたのは御承知のとおりでございます。四十四年度もなおそれを引き続き実施をしておりまして、全体で四百十七億、事業費ベースでございます。このうち公営住宅の用地費が百五億ほどございますが、それだけの額について計画解消をやる、こういう措置を現在論じておるところでございます。
○唐橋委員 その方針は了解できますが、結果として、私のお聞きしたいのは、現在の地方自治体が四十二年度、三年度、それから四十四年度と合わせて現実超過負担の解消になっているのかということなんです。それもあなたのほうの数字はどうなんですか。中の項目によっては、たとえば公営住宅建設費補助金というようなものについての負担額というのは多少減っていっておる、こういうような見通しもあるわけでございますけれども、しかし、ここでは読み上げません、あなたたちの手元にもある資料でございますから。これから総体として地方自治体が超過負担を解消していく方向になってきておるのか、このことなんです。
○首藤説明員 結論的に申し上げますならば、ただいま措置をしております額だけ超過負担が軽減をしておる、こういうことになっておるものと確信をいたしております。御指摘の点は、たとえば四十二年度には六費目で四百億であったとしても、その後たとえば人件費にはベースアップがあり、それから物価が上がり、こういうことで比率的に出ましたものがますますふえるという御指摘だと思います。そのようなベースアップでございますとか、物価の上がり分と申しますものは、四十三、四十四年度の国の予算措置におきましても、適正な率を見込むという措置をとっておりますので、全額の分が三カ年計画で消えていくということになりますれば、その分だけは明らかに超過負担が減少していく、こう見ておるわけでございます。
○唐橋委員 超過負担の問題は、いろいろこまかい点もあると思うのですが、それらの質問は省略しまして、文教関係で一番問題なのは、地財法の二十七条の三の都道府県が住民にその負担を転嫁してはならないという住民負担の禁止条項だと思うのです。これに対していろいろ問題があるのですが、一つは、市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費として政令で定めたものが、御承知のように人件費と、そしてあとは施設の維持修繕ですか、でありますので改築や新築が、市町村の場合政令に出てこないのですよ。ですから、それがやはり直接一つの盲点となっているでしょうか、建築費の場合、いまのようなものに対する住民負担というのが直接出てきているのですが、これに対する自治省の見解と、当然行政監督にある文部省の見解をお伺いしたい。
○首藤説明員 税外負担の問題でございますが、ただいま御指摘のように、法律上明文でもって禁止をされておりますのは高等学校の建築費、それから義務教育関係は給与費関係と建物の維持修繕費、これでございます。それで、小中学校等の義務教育につきましての建築費を明文でもって禁止をすべきではないか、こういう御意見があります。私どももこのようなものがあってよろしいとは決して考えていないのでございまして、なるたけそのような負担を住民にさせないようにかねてから行政指導いたしております。ただ、明文に書き込む段階に至っておりませんのは、やはり地元の事情等いろいろございまして、たとえばプールとか体育館とか、こういったたぐいのものの建築の場合に、いろいろその順番を云々するといったような問、題で、法的に禁止をするのは若干尚早か、このように考えて現在検討中の事態でございます。ただ、このようなものが存続をすることはもう絶対に望ましくございませんので、四十二年度の決算を分析をしてみましたところ、学校関係で約四十億ほどの税外負担が地方団体の決算に出てまいりました。そこで四十四年度の地方財政措置では地方財政的な補助、このような税外負担の解消に要します経費を財政計画にも計上し、それから交付税の基準財政需要額の中にも的確にこれを算入し込む。こういう措置を講じまして、なお強烈に地方団体に対しては税外負担にたよらないようにという行政指導をしてまいりたい、こう思っております。
○唐橋委員 都道府県の場合と市町村の場合と区別してお伺いしたいのです。 いま問題にしたのは、御答弁にもありましたが、市町村がいわゆる増改築、新築、そういう場合に、それほど努力しているならばなぜこれは政令の中へ入れて明白にし得ないのか、こういうことなんです。やはりここには「建物の維持及び修繕に要する経費」と、こういうふうになっているために、建築の場合はいいのだという一つの技け道的に考えられているのです。これに対しては、何といっても学校の建物ですから、大臣の考え方と自治省の見解を両方お聞きして、そこで一致したものが初めて実施されると思うのですが、その点についてもう一度お伺いして、大臣の所見もお伺いしたい。
○首藤説明員 御指摘のとおり、義務教育の建築費につきましての税外負担は好ましいものと思っておりませんので、できれば早急に、なるたけ早い機会に禁止という正式の措置をとりたいと思っておるわけでございますが、ただ現状におきましては、先ほども申し上げましたように若干時期尚早かと思われることもございますので、と申しますのは、地方団体もはなはだ貧乏をいたしておりますことが一つ、それから建物等をつくります際に、基準坪数だけではどうも間に合いませんで少しこの際といったようなことが起こりましたり、このようなことの実情がございますものですから、何よりも地方団体の財政力を強めて、十分な財源措置をして、取らないで済むような体制を固めて法的に禁止をする、このような順番をとるのが適当かと考えておりまして、鋭意研究中でございます。方向はできるだけ早く禁止をしたい、こういうつもりでございます。
○唐橋委員 大臣はどうですか。
○岩間政府委員 この問題につきましては、私も前に財務課長をやっておりましたころから、これはぜひ禁止の方向に持っていきたいということで、財源措置も自治省と一緒になりましてかなりやりました。あるいは市町村の教育委員会等に対しましても、口をすっぱくするほど指導してまいりましたが、先生御指摘のようになかなかなくなりません。そこで、法律上の措置も必要でございますけれども、私どもといたしましては、繰り返し繰り返しこれを徹底していくというふうな措置を続けてまいりたいというふうに考えております。
○唐橋委員 政令の中に入ってないから、なおそのような状態が漸進的な解消の方向に出ていないということは私は現実的にいえると思います。もちろん解消を段階としながらやがて政令を——あなたどうなんですか、でき上がってしまってから政令必要なんですか。これなんですよ、解消されてしまってからは、むしろ私は政令の必要は認めないのです。解消しないからこそ政令で認めて、そして地方財政の足りないところは交付税やその他でめんどうを見ていく。こういう基本方針が逆でないですか、どうですか、自治省の方針は。また文部省も、そういう点において自治省といままでこの政令の改正について十分交渉したことがありますか。
○首藤説明員 なくなってしまってから政令の必要がないじゃないかという御指摘でございますが、法的にはそうかもしれません。ただ現時点でなくなっておりましても、またぞろ財政が苦しくなりますとそういうことで取り立てるという、こういうことが禁止の事態になろうと思います。何よりも法律、政令で法的に禁止をいたします段階が、先ほど申し上げましたように若干尚早の事態もございますので、財源の措置を増強しながら、取らないようにという行政指導を強化していく、こういう道でまず税外負担の解消をはかっていく、こういう方針をとっておりますことは先ほど申し上げたとおりでございます。
○川村委員 一言関連して。 いま校舎建築等々の税外負担の問題について、実態は首藤課長がおっしゃっているとおりいろいろ問題がある。これは文部省がこの非常に大きな問題を、ほんとうに税外負担を解消させなければならぬという熱意がこれまであったら、皆さん方のほうから自治省のほうにもう少しよく相談をされてやれば政令改正ができたはずです。私のほうから自治省のほうに地方財政法の一部改正を何年間出しておりますか、毎国会出しておるのですよ。そうしていまの小学校のところに給与関係、維持修繕費、それに建物を入れなさい、高等学校の場合にも給与関係、そういうものを入れなさいと、高等学校は抜けておるのです。これはいま父兄に非常に大きな負担をかけつつある。そこでこういう建物をつくる場合、あるいはプールをつくるような場合、体育館をつくるような場合に、現実としては首藤課長が言われたように、どうも文部省が示しておるところの基準坪数というものが少ない。そこで体育館の場合を例にとりますと、ここにひとつステージ分だけは増加したい、広げたい。皆さん方が補助単価として算定される基準坪数にも問題はあるけれども、これは金がものをいうことですから、申請どおりというわけにいかぬでしょう。それは一つの基準があっていいと思う。その場合に、基準によって認可をされる。しかし、その自治体の学校がステージだけはひとつやりたい、あるいは講堂、体育館の暗幕設備はやりたい、こういうものを市町村が自己負担をするということはあり得ると思う。それは認めていい部分はありますよ。たとえばプールをつくる。ところが、プールをつくったら、そこにやはり手洗いの施設も必要になるでしょう、あるいは少し日よけになるような施設も必要になるでしょう。そんなものは皆さん方見てないのだから、それを町村が自己負担でつくろう。そういう費用はやはり現時点においてやむを得ず町村の持ち出し分として考えなければならぬ。こういう問題があると思うのですね。ところが、学校をつくる、早くつくらぬとだめだから、さあ父兄に幾らの積み立てをさせる、こういうあとかたが絶えないでしょう。それらを、皆さん方が実態をよく知っておられますならば、やはりいま唐橋さんが言っておられるように、政令できちっと小中学校の場合も建物の負担は父兄に直接させてはいけませんよ、高等学校の場合も給与関係を負担させてはいけませんよ。すっきりしたものを文部省が握っておられますと、おそらく強力に自治省に相談をなさって、自治省のほうがそういう政令等の改正をして、そのあと行政指導していく。そして、やるべき財政措置は交付税で見るとか、そういう手だてをするのが順序ではないか。首藤課長が言っておられるような、いまの実態はそうなんだけれども、その実態だから政令改正というものは時期尚早じゃないかというところにちょっと疑問を持つのですね。これは文部省も何か行政指導をされたような局長の話だけれども、どうも私どもはそうじゃないと見ておる。案外何かしらよそを向いて、自分の子供の教育のことだから、父兄が金を出すのはあたりまえじゃないかというような、前のある大臣さんのようなものの考え方でいったら困る。もう一つ、これは大臣からお考えを聞いておきましょう、大事なことですから。教育行政の筋道というものはやはりこういうところから生まれてくると考えなければ、大臣が一人で心配されねばならぬような問題が次から次へ起こりますよ。御所見をどうぞ。
○坂田国務大臣 川村さんの御指摘のことは、よく私どもわかるわけでございますが、これから自治省と十分相談をし協議をいたしまして、一日も早くこのようなことが起こらないように、いたしたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、それにはやはり段階があるということは御了承をいただきたいと思いますけれども、強く指導をしてまいりたいと思っております。
○唐橋委員 いま川村さんのほうからも出ましたが、市町村の場合は新築、増改築、都道府県の場合は人件費というものが抜けています。したがって、そのためにどんなような実態になっているか。これはもう私からくどくど申し上げるまでもなしに、一つのある県の職員録をちょっと見てみますと、県立の高等学校の職員録にはPTA負担がマルP職員となって載っておるのです。実際こうなってしまうのですよ。ですから、ほんとうに政会を改めなければならない。行政指導をしても、いま地方財政の中で、いろいろ口で言ってもだめです。政令を改正すれば、当然それは自治省のほうにはね返って、そして政令があるんだから交付税で見てくれ、このことが一番文部省としては必要なんだ。だから、そういうように政令をつくるから、その政令をつくった分は交付税で見なさいという交渉を自治省側にどれだけしてあったのかという実態をお聞きしたいのです。努力しますという大臣の答弁は、歴代の大臣みなやっていますよ。実際にいままでこの政令制定について自治省とどれだけ交渉しましたか。自治省のほうで文部省から強くそれを受けたことがありますか。
○岩間政府委員 建物の点につきましては、地方交付税の中で減価償却費を見ておるわけでございますけれども、その単価の改善、それから中身を改めるという点につきましては、従来からも文部省としては自治省にお願いして実態に即するようにいたしているところでございます。
○唐橋委員 自治省のほうでそういう交渉を文部省から受けていますか。
○首藤説明員 毎年の予算措置等を行ないます際に、私どものほうも文部省にいろいろと注文をおつけいたしまして、超過負担の解消そのほかの措置をとっていただくようにお願いいたしております。それから税外負担の解消の分につきましても、しばしばよく相談しておるところでございます。それで御指摘のように政令措置までには至っておりませんが、たとえて申しますと、教育費の税外負担は、昭和三十七年ころには二百四十億、三十八年には百四十億、このくらいの額があったのでございますが、まだ残っておることはよくございませんけれども、先ほど申し上げましたように、四十二年度では四十億程度にまで落ち込んできておる。行政指導としての効果は若干はあがっておるのではなかろうかと思っておる次第でございます。
○唐橋委員 いまもちょっと例に出しましたが、これは正式な県の教育委員会発行の職員録です。これを見てみますと、マルPというのがここでは六人おります。こちらでは五人おります。私はきのう宮城県に行ってみまして、宮城県の職員録を見ましたが、これは載っていない。現実に学校に行きまして、その職員いませんかというと、います。私の行った学校には三人、四人ずつみんなおりました。しかし、職員録に載っていない。私は、載せるほうはむしろ非常にいいと思うのです、それが実態ですから。載せないほうの職員録だったら、あそこにつとめている人たちの気持ちといいますか、同じ仕事をしていて、毎日見ている職員録に載らない職員の気持ちをひとつ考えてみてやってください。それと同時に、それより一歩前進して載った職員が今度はマルP職員、公然と行なわれているのです。その身分等については、厚生年金にしろ、失業保険にしろあるいはボーナスにしろ、旅費にしろあるいは退職金にしろ、そういうものは一切ないがままに置かれているのが実態なんです。こういうことは毎国会議論され、そして解消の方向に努力すると言っていますけれども、一つも解消していないでしょう。だから私は、県立高校の場合にははっきりとこの政令の中に人件費も入れて、そして交付税で見なければならない。こういうことを申し上げたいのですけれども、どうなんですか大臣、これは努力しますだけでおさめておかれるのですか。やはり大臣が努力して、このいわゆる都道府県立の場合は人件費を含める。それから市町村立の場合は新築、増改築を含める。これではっきりと努力目標を出して、そしてその努力目標の中から政令に取り組んで、そうして政令に取り組めば当然今度は交付税の交付額の算定に強くなってくると思います。そのことをやはりことしやり得ないのですか。その作業に入るという答弁できないのですか。どうですか、大臣。
○坂田国務大臣 まあ政令措置等につきましては十分これは検討させていただきたいというふうに思いますが、気持ちといたしましては、やはり前向きにこれを検討いたしたいというふうに考えます。
○唐橋委員 この超過負担の問題いろいろもっともっと議論したいんですけれども、大臣のいまの答弁で、ともかく検討する、こういうことでありますので、いまのような問題はほんとうに真剣に取り組んでいただきたいと思います。 それからもう一つ、これは公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の中で、御承知のように「「教職員」とは、」というのがございます。「「教職員」とは、」といえば、私から読み上げるまでもなしに、校長、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師(常勤)、実習助手、寮母、事務職員、こういう人たちが教職員となっている。そして市町村立学校職員給与負担法には、市町村立の小、中、盲、ろう、養護学校の校長、教諭、それから養護教諭、助教諭、養護助教諭、寮母、講師及び事務職員、こうなっていて、そこに抜けているのは実習助手、これが一つ抜けているんですが、この実習助手というものが抜けている理由を私は前々から疑問に思っているんですが、どういう理由で実習助手が入ってないのですか。
○岩田説明員 実習助手についてのお尋ねでございますが、義務教育諸学校、つまり小中学校につきましては、学校教育法の規定により実習助手を学校に設置する旨の根拠の定めがございません。 〔高見委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、高等学校についてはございますので、高等学校の定数標準法におきましては実習助手の定数算定の根拠を置いているわけでございます。
○唐橋委員 私の質問がちょっと悪かったと思うのですが、市町村立学校職員給与負担法というのは義務教育費国庫負担法を受けた法律ですね。義務教育費国庫負担法の法律を受けて、これだけの人たちのこれこれの職種にはいわゆる義務教育費国庫負担法を適用する、こういう規定と関連あると思うのです。その場合に、市町村立の小、中、盲、ろう、養護学校のいわゆる職員というものはこうこうだということで、高等学校の場合の実習助手、これはいまあげた標準法に実習助手は入っているんですが、この小、中、盲、ろう、校のほうには実習助手が入っていないのですが、これは実習助手というものは小、中、盲、ろう、養護学校には必要ない、こういう考え方で入れてないんですか。
○岩田説明員 義務教育費負担法を受けて小中学校職員給与負担法の規定がなされているというお尋ねでございますが、私どもの理解では逆でございまして、市町村立学校給与負担法が先にございまして、それを受けて義務教育費国庫負担法ができておるということになっておるわけでございます。その場合に、市町村立学校職員給与負担法の中に実習助手の定めがございませんのは、先ほど御説明申し上げましたように、学校の職員の体制の根拠を定めましたところの学校教育法の規定におきまして、高等学校につきましては、その教育内容からいたしまして実習助手というものを明確に定めておりますが、小中学校につきましては、そもそもその学校教育法の考え方の中に実習助手を配置するという思想はあらわれておらないのでございます。でございますから、その基本の考え方がそういうことでございますので、義務教育の小中学校につきましては給与負担法の中に入れられておらないというように理解いたしております。
○唐橋委員 わかりました。 それでは小中学校に給食従業員、用務員、警備員、図書館司書は必要ありませんか。
○宮地政府委員 お尋ねの職員につきまして必要であるかないかということでございますが、一般的にこれが必要でないということはいえないと思います。したがいまして、必要でございますが、ただ、こういう職員が——もちろん職員としてそれぞれ必要な仕事に従事しておるわけでございまして、同じ職員で校長、教諭等と、いま先生がおあげになられました職員とで変わりはございませんが、一応学校の職員を、ある程度ぜひこれだけはいなければいけないという基幹的な職員と、まあおったほうがベターだという職員との間に、一応いろんな財政上その他の点もございまして、差と申しますか、区切りを設けるということも一つの考えではなかろうかと思います。したがいまして、先生のお尋ねの職員が必要であるかということであれば、必要でございます。ただそれについて、その他の校長、教諭等の職員と同じように法的に十分整備されてないじゃないかというお尋ねであるとすれば、基幹的な職員とそうでない者という考え方がそこに働いておる、そのように御理解いただきたいと思います。
○唐橋委員 どうも理解できないのです。というのは、公立高等学校の定数の場合には実習助手が必要だから入れてあります、市町村立の小中学校の場合には実習助手は必要ないから入れてないのです、こういうことなんです。それならば用務員のいない学校があるのですか。用務員は、規模の大小にかかわらず各学校とも全く必要だから配置されているわけです。必要の考え方からいえば、いま申し上げましたように給食をしておる学校は給食従業員や、あるいは学校の集団給食でございますから当然栄養士を必要とする。あるいはまた警備員というものを必要とする。いわゆる無人化の学校等においては当然必要とする。学校図書館法によって図書館が設置されている。それは学校の図書館の司書を必要とする。基幹職員であるとか基幹職員でないという説明は、どこでその線を引くのか。どの学校にもある用務員は基幹職員でないのですか。
○宮地政府委員 現在、先生が先ほど来おあげになっておられますいろんな法令は、一応それぞれの学校の教育水準の維持向上をはかるということを主眼として、教職員とはこういうものを一応申しましょうという規定が大体なされておるわけでございます。そういった意味から、もちろん学校の用務員が必要であろうということはわかるのでございますけれども、ただそれを義務とまでは言わなくても、ある程度義務づけたいといったような気持ちがその奥にある、そういうような場合、義務づけるまでは必要であるかないかといったような判断から、そうであるものとそうでないもの、それを私は基幹職員とそうでない者といったようなことばで申しましたが、そういう考え方でいろいろの法令ができておるというふうに考えます。
○唐橋委員 実際まだわからないのです。ほんとうにどこまでが基幹で、これは付属だ、これは文部省の見解でしょうけれども、給食をしている学校に給食従業員というものが——給食というのは学校の、いわゆる教育の一つの中身ですね。最も原始的な、ものを食べる作業に従事するのです。食というのは、スポーツと同じように基幹だというように思いますが、その給食従業員が基幹職員でなくて、寮母は基幹職員である、これが私わからないのです。時間があれですからそういう議論はここで繰り返しませんが、要は、これだけ学校給食が普及してきたでしょう。それからまた警備員の問題もしばしば議論されておるように、あるいは図書館でも、いま図書館を持たない学校はございませんよ。そうすれば栄養士なり給食従業員なり用務員なり警備員なり学校図書館司書というものは、基幹職員であるとか基幹職員でないとかいう議論でなしに、当然これは、先ほど申し上げました校長、教諭あるいは寮母、講師という人たちと対等の位置で、いわゆる義務教育費国庫負担法の対象人員に組み入れていくことこそが義務教育の趣旨である、こういう考え方で御質問申し上げたいのです。それに対しての取り組み、どうしても基幹職員でないからここに入れることができないという方針なのか、それともまた、今後この職員を給与負担法の対象職員としていくような方向に持っていくのか、それをお伺いしたい。
○宮地政府委員 先生のお説はごもっともと拝聴いたしておるわけでございますが、ただ、現在のいろいろ職員の定数法なりあるいは負担法等におきましては、やはり給食施設があれば給食の従業員も要るし、図書館があれば、小学校でも中学校でも図書館の職員が必要であるということは当然でございます。しかしながら、現在のいろいろな負担法なり標準法では、そのうち特にこれだけはぜひ置けといったある種の、先ほどの繰り返しになりますが、義務的なものがやはり背後に考えられて、その者だけはぜひ置けといったような考えから法律に規定いたしております。したがいまして、給食施設があれば給食従業員が要るのが当然ですが、全部のところに給食を義務的にやれとまで現段階で、その気持ちは十分ございましても、そこまで規定をすることがどうかといったような点がございまして、そういうような意味でいろいろな法令に書かれておる職員といない職員がある。それを基幹と申すのが語弊がありますれば、そういった基本的な義務的な意味を含めての職員と、そこまでは今日の段階ではいかぬという職員を区別されております。したがいまして、先生のおっしゃることは、もちろん私異論を唱えるつもりは毛頭ございません。十分わかるわけでございまして、将来の検討課題として十分取り組みたいと思いますが、ただ、そのように法律を直すということは、いま直ちにはいろいろな点からできがたいということを申し上げておる次第でございます。
○唐橋委員 たとえば図書館にしたって、学校図書館法で、これは義務設置でないけれども、実際それを設置しようということであの法律ができておる。学校給食法もやはりそのような趣旨でできているわけでしょう。そうして学校給食法が法律として施行され、それを実施していく場合に、しかもそれは義務教育で実施した場合に、これは義務でないから当分入れる考え方はないのだ、こういうことを言い得るのか。あの法の制定のときには、少なくも図書館は全校に、そして学校給食は全校に、でしょう。そういうねらいのもとにできている。ただ義務にしない理由は何かといえば、段階的に整備していきたいという考え方があって義務でないというだけのものだと私は理解しているのです。そうすれば、図書館に従事する職員も、学校給食に従事する職員も、先ほど申しましたが、どこの学校でも必ず必要とする。用務員も基幹職員でないというような考え方を一掃していただきたい。それが一掃できれば、いまのように義務教育費国庫負担法の改正に当然はね返ってきて、これらの人たちも含むということを文部省として努力すべきである。どうもいまの御回答では私は了承できません。最高責任の大臣がこれに取り組む考え方をひとつ明確にしていただきたい。
○坂田国務大臣 やはりこれは理想の問題と実態の問題とがあるのじゃないかと私は思うのでございます。でございますから、必ずしも唐橋さんのおっしゃるように、すぐさま入れるということは、ただいま私は考えておりません。しかし、これは将来ひとつじっくり考えていきたいと思うわけであります。どうもそれをただいま積極的にすぐ入れなければならぬ理由も、ずいぶんお聞きはいたしておりましたけれども、私としてはまだ理解ができないわけであります。
○唐橋委員 先ほど地方自治体の超過負担ということで、これらの職員の給与というものが市町村の問題になっておりまして、本年度の交付税の算定基礎の中には用務員、給食従業員、学校図書館の司書、こういう方も算定の基準になっておるということを聞いておりますが、その内容をひとつ御説明願いたい。
○首藤説明員 これは四十二年度からやったわけではございませんが、前々から用務員、給食員関係は地方交付税で若干名措置いたしております。四十三年度は用務員、給食員は、小学校の場合、標準の十八学級で用務員が二人、給食員が四人、こういう積算の基礎でもって措置いたしております。 それから学校司書の問題は、従前は措置いたしておらなかったのでございますが、今回一応義務教育費国庫負担法の対象になることになりますので、それになれば、その裏負担は適確に措置する予定でございます。
○唐橋委員 いま大臣は、いますぐには半額国庫負担の考え方はないと言うが、現実に他方においては、交付税の算定として、やはり同じ国の財政の中から出てきているのです。その基準は、いまもお話しありましたように、これは全校でなくて、たとえば学校図書館が新しくできた場合でも、中学校は二十四学級、小学校は三十学級以上、このように大きな学校だけが対象にされている。ですから、むしろ三十学級なり二十四学級の大きい学校だけが恵まれていて、最も中堅の一番多い学校並びに小規模の学校というものはますます財政的にも困難の中に置かれている。そういうものを是正していくためにも、同じ国庫の財源なんですから、交付税の財源と文部省の財源は、これは分けてみれば違いますけれども、しかし、これは国の財政として一括考えて決して間違いないと思います。そうして他方、交付税で見ていくことがはっきり出ているならば、私はやはり当然前進的に考えて国庫の義務教育の半額負担にすべきである。これを主張したいのですが、交付税で見ているからいいんですと、このような考え方を大臣はほんとうに持っていらっしゃるのですか。
○坂田国務大臣 私は、本質的に考えまして、地方交付税でまかなわれる面と、それから義務教育の国庫半額負担のほうでやっておるものと、両建てでいくのがむしろ自治体のあり方としても、また、義務教育諸学校というものが市町村立であるというようなことからいっても、柔軟性があって、各学校の態様も非常に違うところがありますので、基本的なあるいは基幹的な部面については、これは国庫負担法の対象とする、その他の問題については、やはり地方の実情に応じて、あるいはそれぞれの市町村の学校に応じて交付税でやるということのほうがいいのではないかというふうに私は思っておるわけでございまして、にわかに先生の御主張に対して、まだ積極的に賛成だというところまでは実はまいっておりません。しかし、大事な問題でございますから十分考えさしてほしい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○唐橋委員 大臣がそういうお考えならば、ここで議論はやめますが、大臣のような考え方でいくからますます学校の格差ができていく。地方自治体の財政の弱いところはますます弱くなる。交付税の基準でも三十学級以上、そんなものでしょう。ほんとうの教育の機会均等を考えていくときには、やはり半額負担でいけばほんとうの義務設置になってきますから、そこで初めて小規模学校もあるいは財政の弱い自治体もそれを設置することによって学校格差というものが解消されてくる、こういう考え方が私の基本にあります。大臣の考え方と私はその点において非常に違いますが、その点については、今後文部省の中においても検討していただきたいと思います。 それで次の質問は通学費の問題です。これは自治省関係にもからんでおりますのでお伺いしますが、いま遠距離通学費の補助が出ております。しかし、これは道路やその他の事業費の補助でなくて、年々継続的な補助になるわけでございます。そうしますと、単に補助を出すから、こういうことでなしに、これを受け入れる市町村が条例を制定して、この通学費補助を受け入れる市町村の負担分も各市町村において条例制定の中で明白に上積みをし、そうして通学費補助を出すべきだ。こういう考え方に立っておるわけですが、通学費補助に対する文部省の考え方をお伺いしたい。
○宮地政府委員 通学費につきましての補助は年々二億余りでございますが、法律に基づくというよりも、予算補助といたしまして実績に応じて補助しておるというのが実情でございます。これにつきまして、いま唐橋先生は、市町村自体に条例ではっきりきめさせて補助したらいいじゃないかという御意見のようでございますが、それも確かに一つのお考えかと思いますが、一応現在のところ、私どもといたしましては、条例でするかどうかといった程度のことは、市町村自体が地方自治のたてまえから判断されてしかるべきではなかろうか。そこまで予算補助をしたものに、条例でそのことをきめろとまで強く言うのはいかがであろうかというふうに考えております。唐橋先生のお考えを否定するわけではございませんが、一応現段階では以上のような考えでございます。
○唐橋委員 たとえばこういう実態なんですよ。通学費補助は、中学校の統合問題が出てきますと、地域的に非常に問題があって統合がめんどうである。そうすると、いわゆるスクールバスを出すのだ、通学費補助を出すのだ、こういうことで統合にまず賛成をしていただく。しかし、統合して今度二年、三年たってくると、現在の市町村の財政では非常に困難なものですから、バス賃が上がっても一番最初の年のままに据え置いてきたり、あるいは市町村長がかわると、またその額等や取り扱いが変わってくる。こういうところがやはり非常に混乱のもとになっております。と同時に、この点についての問題は、過疎地帯を私たちが調査いたしましたときに市町村長から非常に要望のあった点でもございますが、要はそういうものに対する補助が、一時的な事業費の補助の性格ではないのですから、やはり市町村の条例を制定するということが必要ではないか。そうしますと、何か政策的に変化はしてこないのです。と同時に、市町村の財政を条例で制定すれば、当然市町村の財政は、この補助を受け入れて、それに対して市町村負担はどれだけするのか、こういう明確な基準が出てくる。だから、自治省にお伺いするのですが、やはり条例制定の指導、条例は御承知のように自治体独自のものですが、こういう点は条例で制定しろということは幾らも法律の中には出てきますから、そういう中において条例制定を市町村に行政指導しても決して自治体の自主性というものを破壊するものではない、こういうふうにも考えます。ですから、この通学費補助というようなものについては、条例制定をして明確に受け入れ、そして市町村の負担分も初めてそこで明確にして、いまのようにバス賃が上がった場合の対処のしかたなり、あるいは市町村長がかわった場合の対処のしかたの変化というものをなくしていくということは、当然のことだと考えるのですが、自治省の見解はどうですか。
○首藤説明員 通学費の補助等に対応いたします地方負担の問題でございますが、これはスクールバスの運営費でございますとか、ボート、それから寄宿舎、それから先ほどから出ております通学補助、こういうものを全部合わせまして措置をいたしておりますが、年間約二十二億ぐらいになると思います。ただ、それを条例をもって強制をするかしないかという問題は、やはりやり方がいろいろあると思うものですから、私ども自治体の世話をいたします立場としては、できるだけ強制にはわたらないで、自主的にやっていただくように、こういう態度でおるわけでございます。
○唐橋委員 強制でないと思うのです。確かに地方自治体にこういう条例をつくりなさい、こういう点については、いろいろ法律で制定する場合に、地方自治体の自治権というものが問題になると思うのですが、年々継続的に補助金が出ていくのですから、それを受け入れる側で、先ほど申しましたように、条例で、その年その年かわったり、そんなようなことのないようにしていくことは、決して地方自治体の自治権の侵害ではないと思うのです。こういう考え方をもってひとつ条例を制定して、そしていま御答弁ありましたように、実態がまちまちだということ自体がおかしいのですから、文部省の補助はこれだけの遠距離児童に対して幾ら、こういうような考え方で基準があるのですから、それを受けて立つ市町村が条例制定をしても何ら支障はないし、そのことによってかえって整備されるというふうに考えておりますが、もう一度この点について、くどいようですが御答弁をお伺いしたいのです。
○首藤説明員 やり方がばらばらだと申し上げましたのは、スクールバスを運営しているところもあれば、ボートを出しておるところもある。寄宿舎をやっておるところもある。こういう意味で申し上げたわけであります。条例云々の問題につきましては、先ほど私どもが申し上げたように考えておるのでございますが、なお地方の実態等もいろいろ調べてみまして、検討いたしてみたいと思います。
○唐橋委員 次の質問で、養護学校の問題に入ります。養護学校の義務設置についてお伺いします。 学校教育法の七十四条に、府県の義務設置が規定されておりますが、御承知のように九十三条で義務設置の施行期日は政令で定める、こういうことになっておりまして、盲学校、ろう学校が政令で実施の期日が明確になりまして、現在都道府県で盲学校、ろう学校を義務設置されました。このことは特殊教育の一部門として非常に喜ばしいことだと思いますが、残ったのは養護学校だけなんです。なぜ早く養護学校の義務設置をしないのか、あるいはするようにいまどのように取り組んでいるのか、この点についてお伺いします。
○宮地政府委員 養護学校でございますが、養護学校を含めまして特殊教育に重点を置かなければいけないという考え方は、文部省もかねてより持っておりますし、また、坂田大臣御就任以来、そういった考えを一そう強めて、私どもも今後強力に推進していく所存でございますが、昭和三十九年度から各都道府県に肢体不自由、精薄、病弱の三種の養護学校につきまして、それぞれの三種の養護学校を少なくとも府県立一校以上設置したい、こういう考えのもとに、毎年十六校ばかりの増設を計画いたしておりまして、計画どおり十分進まないわけですが、それにしましても肢体不自由児の関係の養護学校は各県に一校以上の設置の実現を見ました。ただ、精薄と病弱につきましては、三十県前後の県でまだ未設置でございます。こういうような観点から、今後五カ年計画で未設置解消をしたい、こう考えまして、来年度からは従来十六校でありましたものを十八校に増加して、設置を推進するといったようなことで今日まできておりますし、今後の計画は以上のようなことでございます。したがいまして、いま御指摘の点も今後早急にやるように努力を重ねておる次第でございます。
○唐橋委員 いままで積み上げてきたこと、それから速急にしていこうというこのことは、現在までも私たち了解しております。しかし、盲学校、ろう学校が義務設置されて、現在までこれほど特殊教育が重視され、そしてこの委員会においても、予算の編成の前に特殊教育の振興が一つの決議として行なわれ、それが予算編成の中で当然はね返っていると思うのです。取られていると思うのですが、それを受けている文部省が、当然義務設置であるものを、政令で実施期日だけが残されている。そうしていま申しましたように、ろう学校、盲学校が義務設置されてから何年もたつわけです。そうしますと、いわゆる養護学校、その中にはおおよそ分ければいま御答弁のありましたように三つの形態が考えられますが、三つの形態をそのまま完全でなくてもやはり義務設置を規定しながら、これに取り組んでいくということが、私は文部省のこの面における予算を取る一つの手段としても、あるいは当然の義務としても必要だと思うのですが、今後何年ぐらいのうちに——五カ年計画というのもありましたが、ことしは四十四年ですよ。いつだったか剱木文部大臣から四十五年をめどというような、一つの目標というようなことの御答弁をいただいた記憶がございますが、現在、この義務設置を来年か再来年必ずそこでやりますという基本方針は出てこないのですか、どうでしょう。
○坂田国務大臣 この問題は、私は非常に積極的に取り組んでいきたいと考えておるわけでございまして、私のこの委員会におきまして述べました所信表明の中にも、特殊教育の振興ということを重視しておるわけでございますが、しかし、御案内のとおりに、やはり文部行政の中で一つの谷間であったわけで、盲ろう関係はかなり長い間、それぞれの教育は施されてきておったわけでありますけれども、その盲ろうにいたしましても、二重三重のダブルハンディキャップの人たちに対する適切な教育の方法というものはあまり見られなかったのではないか。それから精薄の問題、肢体不自由の問題あるいは虚弱児童、こういう問題は最近非常に世間の注目を浴びてまいりましたけれども、従来は、実を申しますと、ほんとうに日の当たらないところになっておった。時間的に申しましても最近の一つの大きな課題となってきておるわけであります。しかし、これは唐橋さんに御指摘されるまでもなく、私自身非常に意欲を持ちましてこれとは取り組んでまいりたい。直ちに法の改正をやるかどうか、法律をつくるかどうかの問題は別といたしまして、まず現実問題としてこのような計画のもとに実態をまずつくっていきたいということが一つの方向でございますし、また、たとえばダブルハンディキャップの人たちの教育の方法について、あるいはまた精薄光、肢体不自由者の方々の教育の方法、あるいはまた学問的な研究、あるいはまた、この人たちが社会人としてどのように適応していくかということについての職業指導等の問題については、実はまだ日本におきまして確立していないのじゃないかというような意味もございまして、実は特殊教育関係の総合センターもつくり、その中でその指導等をも実験的に、教育のやり方やあるいは職業につく方法等についても、いろいろな面から総合的に研究したいということで、今年度の予算におきましても、久里浜の敷地も大体きめまして前向きに進んでおるわけでございます。そういうような点等をも考えながら、文部省は御指摘の点について十分こたえてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○唐橋委員 大臣、この問題は大臣の積極的な意欲を了とした上において私は質問しているつもりなんです。したがって、盲、ろう——いまさらこの条文を読むまでもなしに、議論の段階ではないと思うのです。要は義務設置を法律が規定し、そして、ただあの法律を制定する場合に、一時にできないから設置の期日だけは政令にゆだねましょうという、こういうことになっており、しかもこの政令を受けて盲、ろう学校が義務設置になって、そしてあの人たちがほんとうの教育的な恩恵——恩恵というと悪いですが、恩典の教育を受けているわけです。残されたものは非常に困難な度合いがあったから残ってきたとは思うのですが、あと義務設置を政令できめるということが残っているのは養護学校だけなんです。そうすれば、積極的な取り組みであるならば、残っている養護学校の義務設置を政令で施行期日を明確にしていくという目安を立てることのみが、私は文部当局がほんとうに積極的に、大臣が積極的に取り組む任務だと思うのですよ。そうすれば、この義務設置の施行期日をたとえば四十五年度だとか、四十六年度には必ず実施したいという、このことこそが意欲的に取り組む大臣の仕事ではないのか。こう考えまして、再度この残された義務設置の施行期日に対する実施見通しをお伺いしたいのです。
○坂田国務大臣 その期日等をどういうふうな時期にするかということをきめました以上は、当然文部省として責任が生じてくるわけでございます。そしてそれに対する、たとえばこの特殊教育を担当される先生方の養成というものもあわせて考えていかなければならぬ。それからその先生方の教育の指導方法というものについても、われわれは自信ある教育方法というものも考えていかなければならぬというようなことでございまして、まことに御指摘のとおりではございますけれども、その準備のために多少の時日を要するということであるわけであります。私といたしましては、十分そういうような設置の期日等については前向きにひとつ考えてまいりたい。一日も早く私の口からそういうようなことが明言できるようにいたしたいと思うわけでございますが、ただいまのところはいま申し上げましたとおりでございます。
○唐橋委員 だいぶ時間もおそくなりましたので、予定した問題はもう二、三残っておりますが、この質問で終わりたいと思います。 義務設置については、期日は明確にできないが積極的に取り組んでいこうという大臣の答弁を了承して、ほんとうに恵まれない子供たちの教育機関の整備を一日でも早く整備するように要望いたします。 最後の質問は、学校医、学校歯科医、学校薬剤師の設置の問題でございます。 問題の焦点は、相当これは設置され、そして実績をあげていると思いますが、私がお伺いしたいのは、普及はしておる、しかしその間における市町村の格差がものすごく大きいのではないか。仕事の分量においても、そしてまた待遇においても、ものすごい格差があるのじゃないか。この格差をなくして、ほんとうにこの学校医、学校歯科医、学校薬剤師の設置の趣旨を実現させていくのには、どのような行政指導を文部省としてしておるかということをお伺いしたい。
○木田政府委員 いま唐橋委員御指摘のように、学校医、学校歯科医の設置あるいはその職務につきましては、学校保健法の規定がございまして、それによって一応の整備の段階まではきておると思っております。お話がございましたように、県立の学校で見ましても、あるいはまた市町村立の学校で見ましても、これらの学校医、学校歯科医等の年間を通じました学校での職務の日数等にはかなりの隔たりがございます。高等学校の場合、都道府県立の学校で最低が三日でございます。最高は二十八日という数字が出てまいります。これらは結局、学校保健法の規定によりまして、学校で学校医がなすべき職務の種類、あるいはそれを現実にどのように果たしていくかという当事者の考え方、あるいはその特別の場合の必要等によって、こういう数字の隔たりが出てくるものと考えております。しかし、学校保健法の規定によります所定の身体検査あるいは健康相談等の事務の中身を考えますと、最低のところに出ておりますような数字ではどうしても目的を十分に達していないのではないかというふうに考えておりまして、逐次、この学校医におきますこれらの関係職員の指導日数、指導時間等をふやしていけるような指導を関係者、県の担当職員等と一緒に考えておりまして、現在こうした数字が出ておりますものですから、保健体育審議会の関係分科会で、いまの実態に即した指導の基準というものをいま検討してもらっておるところでございます。 待遇の面につきましても、かなりの隔たりもございますけれども、これは結局、非常勤でそのときに御委嘱申し上げるという形態の職員でございますから、その待遇も、出席回数にある程度応じたような開きが出てまいります。実際に御協力をいただきました仕事の日数との関係、時間との関係等の相関でも出てくると思うのでございますが、平均いたしまして、たとえば小学校ですと、最高年額六万円、最低五千円という数字が出てまいりまして、これらの数字を見ておりますと、まあ一日お願いをして千円という程度の規模になっておるようでございます。 私どもは、この勤務の基準になりますもののめどを法令の規定で中身としてはありますが、事業量としてどの程度に考えるかという作業と相まちまして、この辺の基準というものの指導を進めていきたい、このように思っておるところでございます。
○唐橋委員 まあ、児童生徒の健康管理で非常に重要なこれらの仕事に従事されている方々の御苦労はわかるのですが、いま実態をお聞きしたように、一回千円ですね。千円でお医者さん来ませんよ。ちょっとした職人でも、一日やればまあ二千円、三千円というのが普通でしょう。ですから、一つは、やはり行政指導の中で待遇の改善ということ、これが一つ。 それから、いま御答弁ありました中でも明らかなように、所定の目的を十分に果たしておる日数、あるいは取り組み、そういうものが足りないという実態がやはりあなたたちのほうにもわかっているわけですね。そうすれば、それをどういうように底上げしていくか、このことが当然の問題だと思うのです。ですから、努力するということでなしに、もっとこの待遇改善と同時に、これらの方々のいわば活動を十分にしていただく一つの運営、組織というものについてもう少し具体的な取り組み、あなたたちの指導の方針をお伺いしたいのであります。
○木田政府委員 学校保健のあり方につきましては、御承知のように学校保健法に規定がございまして、それによりましてなすべき一応の基準が明示されておるわけでございます。その基準に従いまして、学校の設置者であります市町村、都道府県、それぞれの当事者が努力をしておるわけでございます。私どもは、やはりその基準的なものを常に考えながら指導していくということが文部省の任務だと思っております。現在、こうした指導日数のぱらつきあるいは給与のばらつき等の現状に立ちまして、保健体育審議会で、実際にその仕事量の基準を、学校でやるべきものとして何日程度を考えるべきであるかというようなこと、その仕事の度合い、学校の中で処理すべきものの限界というようなことについて、あらためて御検討をいただいておるところでございます。その審議会の基準というのによりまして、また設置者、府県、市町村の当局者に指導をはかっていきたい、このように考えています。
○唐橋委員 耳鼻咽喉科をやはり学校の医師の中に加えていただきたいという要望が関係団体のほうから出ていると思うのですが、これに対するあなたたちの取り組みはどう考えていますか。
○木田政府委員 学校医の中に必要な専門医がほしいということは当然起こってくることでございますが、お医者さんの配置そのものに一つ基本的な問題があるものでございますから、全国どこの学校にも同じような割合で学校医の配置、その活動を期待するということは事実上困難な状態にございます。文部省といたしまして措置をしておりますものは、一応のこれらの学校医等の勤務が学校の設置者のなすべき仕事ということで考えていきますけれども、なお僻地等の場合に学校医が近在にいないということのために、特に僻地学校に対します医師の派遣につきまして別途の補助指貫をとってまいっておることは御承知のとおりでございます。その僻地学校に派遣いたしますお医者さんの数といたしましては、五人ほど予算の中で積算をしておるわけでございます。しかし、これもやはり一つの国の基準でございますから、現実にどのように配置をしていくかということについては、多少のばらつきが起こってくることもやむを得ないことでございます。一般的に市町村で処理をいたします、あるいは県立の学校で処理をいたします学校医につきまして、その配置すべき学校医の基準も、専門医三人の積算を一応してあるわけでございまして、それはこの耳鼻咽喉の方であろうと、これは積算だけの問題でございますから、それぞれの地域で必要とする職員の必要回数を委嘱するということがあり得ていいことだと思っております。ただ、基準的なものといたしまして、その耳鼻咽喉という専門を全部の学校にいま基準として考えるという指導をいたしましても、実際にはその配置の上から問題があるということだけは御了解いただきたいと思うのです。
○唐橋委員 二、三予定したものが、残りますが、時間ですから一応終わります。
○大坪委員長 午後三時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時二十八分休憩 ————◇————— 午後三時四十四分開議
○大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。岡沢完治君。
○岡沢委員 最初に文部大臣にお尋ねいたしますけれども、現在の時点において、大学の正常化に関して、文部大臣としてとるべき処置あるいはとろうとしておる処置、具体的にお尋ねいたします。
○坂田国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。 昨年来の大学紛争の一番激しいものとして東大があったわけでございますが、昨年より加藤執行部におきまして紛争解決に対して非常な努力をされて、本年になりましてから、一月の十八日、十九日には機動隊をも導入して占拠学生を排除するというような異常な措置をとられました結果、まだ一部には、医学部であるとか、文学部であるとかあるいはまた駒場等におきましては、授業再開ということにはまいっておらないようでございますが、しかし、東大全体といたしましては、昨年の事態から考えますと一歩前進をし、そしてただいま申し上げましたような学部以学の学部におきましては授業再開をし、かつ、ある一定のスケジュールのもとに四月、五月、六月ころまでには卒業の見込みありというふうに聞いておるわけでございます。また、東大の改革ということにつきましても、これまた一月の中ごろから、加藤執行部の諮問委員会でございますけれども、大学改革準備調査会というものを設けまして、各専門委員会を設けまして、その答申も得、本来的な大学のあり方についても検討をいたされておるように聞いております。また、発表になっておるわけでございます。ただ、これはあくまでも準備調査会でございまして、本格的な東大の再建計画については、新しい総長を選んで、そしてそのもとにおいて国民のための大学、これにこたえる東大の姿というものをつくり出そうという意欲が見られるわけでございます。また、東大のこういった措置に対しまして、各大学におきましても、むしろ勉強しよう、学問をしよう、研究をしようという一般の多数の学生あるいは教授たちを守るために、その学問の自由を守るために、自分たちの手で暴力を排除できない場合においては、警察権の導入もまたやむを得ないというような気分が、大学の管理を扱っておる責任者の間にも非常にゆるやかな速度ではございますけれども、醸成せられておるのではないかというふうに思うわけでございまして、その結果として、たとえばわれわれが非常に心配をいたしました一期校の入学試験の実施につきましても、私どもは相当の不祥な事態があるいは起こるのではなかろうかと思って心配をし、また私といたしましても指導、助言を続けてまいったのでございますが、幸いにいたしまして、若干の事件はあったわけでございますが、全体といたしましては、私たちが最初心配しましたような事態が起こらずに済んだことを、皆さま方とともに一安心をしておるような状況でございます。ただ、二期校の試験が二十三日から開始されるわけでございます。数の上から申しますると、一期校よりもこのほうの大学が多うございます。そういうわけでございまして、これにつきましても一期校と同じく深い指導、助言、また慎重なかまえでもって、全国の各大学とも連絡をとりつつ国民の期待にこたえたい、かように考えておるわけでございます。ただ一部、たとえば千葉大学の工業短期大学部におきまして、自衛隊員の入学をめぐりましてトラブルが起こっておることはまことに遺憾なことであると思っておりますが、全体といたしますると、昨年の段階と本年の段階では相当に教官の意識の変化があったのではないかと見ておるわけでございます。 ただ、長期的な問題に関しましては、ただいま第二十四特別委員会におきまして御検討を願っておるわけでございます。しかも、その第二十四特別委員会の課題は、繰り返し申し上げるようでございますが、第一には一般教育の問題第二番目には学生の地位の問題、三番目にはそれに伴いますところの管理運営の問題、第四番目には紛争の処理に関する問題この四つの課題については、四月の中旬ごろには中間答申が行なわれるのだと期待をいたしておるわけでございまして、その学生の地位の問題については、中間草案が発表されて、ただいま世間の方々の間でこの草案についていろいろ議論がございますし、また、各大学におきましても、これに対しましての批判も出てまいっておるわけでございます。また、各新聞の論説等におきましても、この草案をめぐっていろいろ議論がなされておるようでございますが、新しいこれからの大学、またその上における学生の地位、管理運営というような問題をどうするかということが広く世間におきまして、大学当局はもちろんのこと、いろいろな方面において議論がなされるということは、私はきわめて大切なことであると思うわけでありまして、そういうような議論を踏まえて、それに率直に耳を傾けつつ、この中間草案というものがさらにそれらの意見を総合されまして、修正すべきところがあるならば修正をされ、そして本答申に盛られて、われわれの期待するような答申がなされるように願望いたすわけでございます。 また、それは当面の大学問題の課題でございますけれども、さらに根本的な、基本的な大学というもの、国民のための大学というものにつきましては、それを包みます大学問題特別委員会というようなものをもさらに設けまして、相当時間をかけて検討をしなければならないのではないか。そういうふうになってきておるわけでございまして、ただいまのところは、私は中教審の第二十四特別委員会の中間報告をまちまして、必要とあらば立法措置を考えたい。また、立法せずして、むしろ現行法で指導、助言についてこういうような指導、助言をやるべしということでございましたならば、その点につきましても十分これに耳を傾けて、私の参考にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡沢委員 文部大臣として詳しくいろいろ所信をお述べになりましたが、尽きるところは、各大学において正常な教育環境を回復して、学生は教育を受け得るような環境に、教授は研究と教育ができ得るような環境に戻すということに尽きるかと思うわけでございますが、それと関連して、大学一般に風靡している警官、警察アレルギーの問題あるいは自衛官、自衛隊に対するアレルギーの問題等を中心にお聞きしたいと思いますけれども、最初に文部省以外でお越しいただきました大蔵省あるいは防衛庁に関することに結びつけて質問をさせてもらって、文部省プロパーの問題はできるだけあとに回したいと思いますが、最初に、国立大学における国有財産の被害という観点から質問をしたいと思います。現存学園紛争によりまして国立大学で財産上の被害を受けている大学はどことどこで、その額はどのくらいかということを冒頭お尋ねいたします。
○安養寺政府委員 お尋ねの国立大学の紛争等によります財産の被害状況でございますが、本日ただいまの時点におきまして、損害をこうむったと考えられますのは十六校、その他いろいろ被害がありまして不明というようなことで調査中のものが十四校ございます。 被害の額でございますが、いろいろ原因も違いますし、紛争の状態も違いますので、こういうことのあった際にはさっそく調査をし報告を求めるということで大学等に指示してございますので、鋭意その被害状態の確定を取りまとめているわけでございますが、一応この場でこの程度と申し上げられる学校は大体次のようなものであります。東京大学におきまして四億五千七百万円強、東京教育大学におきまして八百五十六万円強、電気通信大学におきまして千百十七万円強、京都大学におきまして一応現在では二千三百万円程度、その他は先ほど申しましたように鋭意その結果を確認中でございます。
○岡沢委員 この問題につきましては大蔵委員会でも私はお尋ねをいたしまして、安養寺会計課長からも御答弁があったわけでございます。その当指、被害は十五校とおっしゃいました。国有財産の被害があるのはきょうは一校ふえているようでございますが、きょうおあげになりました非常に数少ない大学の被害実態しかおつかみになっておらない。この際、お尋ねをいたしますけれども、国立大学の国有財産については管理責任はどなたにあるのでありますか。私は具体的に伺いますが、文部大臣にあるのか、学長にあるのか、大蔵大臣にあるのか、あるいはそれぞれ競合してあって、その権限の守備範囲はどうなっているのかということをお尋ねいたします。
○坂田国務大臣 大学の学長にあると思っております。
○岡沢委員 学長に全面的にございますか。文部大臣にはありませんか。
○坂田国務大臣 文部大臣から委任をしているという形でございます。
○岡沢委員 国立大学の財産は、もちろん国有財産でございますから、総括的には、最終的には大蔵大臣にあろうと私は思いますけれども、しかし、学校教育法その他の規定からいたしまして、国立大学の場合は文部大臣が管轄権を持って所轄すると思います。文部大臣はなるほど学長に委任はしておられるかもしれませんけれども、文部大臣の責任ということについて、大臣自身が単に委任した学長にあるという御答弁については私は満足できないのです。文部大臣自身が国立大学の設置者として、国立大学は国が設置者でありますが、設置者が管理権を有するということは法律の規定であります。学長に全面的に委任をして、実態上、いま会計課長がお答えになった以上のことは、文部大臣掌握しておられないと思うのでありますけれども、それではたして責任が果たせるか。ここでこの際大臣自身にお尋ねいたしますが、東京大学の国有財産は幾らございますか。大臣からお答え願います。
○坂田国務大臣 大体東大のあれは七百億くらいということでございます。
○岡沢委員 この前大蔵委員会におきましては、会計課長は六百五十一億とおっしゃいました。五十億の違いはたいしたことはないとおっしゃるかもしれませんけれども、一つの大学について五十億の違いがある、やはりそういう把握しか大臣がしておられないということは、国有財産を預かる国務大臣の一人として、しかも所管の大臣としての職務に対する忠実性ということを疑わざるを得ないのじゃないか。今度の大学紛争、もちろん責任はいろいろございますけれども、やはりそれぞれの者がそれぞれの責任を果たすということに欠けるところがあったということも一因ではないか。私が大蔵委員会でも指摘したことばでございますけれども、カリフォルニア大学のアーサー・ターナー教授のことばに、教授は教えるため、管理者は管理するため、学生は学ぶためにある。これは非常に極端な言い方かもしれませんが、端的にいえばそういう一面は否定できない。また、われわれ議員は審議を尽くすためにあるという言い方もできるかと思います。それぞれがそれぞれの職分、職責を忠実に果たすということにおいて国の発展も平和も、あるいは繁栄もあり得るのではないか。そういう点から、大臣が東京大学のことも、お聞きになってやっとお答えになる、しかもそれが五十億の差がある、いささか残念なわけであります。この点について大蔵省のお考えを聞きたいわけでございますが、その前に、いま会計課長の御答弁で、東京大学だけで四億五千万に及ぶ被害があるという御報告があったわけであります。これの求償措置、被害の弁償を国民にかわって求める措置について、どういう処置をおとりになったか、あるいはおとりになる方針か。申すまでもなく、これは国民の財産であります。これが被害を受けたということに対する、管理者としてのお立場からおとりになった処置をお尋ねいたします。
○安養寺政府委員 東京大学におきます損害の補てんにつきましては、一つはお尋の外でございますが、加害者と目される学生その他の人たちを、東京大学長名をもちまして告訴をいたしております。お尋ねの物的な損害賠償の件につきましては、加害者に対する損害賠償の責任を迫及するのが筋合いでございまして、現在そのための加害者の特定その他について鋭意大学を督励をいたしまして、調査をいたしております。そういう段階でございます。
○岡沢委員 大学紛争、いわゆる安田講堂の俗にいう陥落がありました以後、これは大蔵省の方であったか、文部省の方だったかは、私ちょっと記憶いたしませんけれども、すみやかに国費で復旧をして、大学の業務に支障を来たさないようにするという御発言がございました。一面もっともなような御発言でありますけれども、国民の国有財産が破壊された場合に、当然のこととして、また国費でその償いがなされるということについては、いささか国民感情からして納得できないものがある感じがいたします。これは私の出身の大阪の例でございますけれども、府立の阪南高校で卒業式の妨害をした学生がございますけれども、それによってわずか七十万の被害が生じたことに対して、府民の財産を預かる府の教育委員会としては、ほっておけないということで、加害者と目される学生たちに刑事的な意味で告訴の手続をするとともに、専門家であります弁護士に委嘱をいたしまして、求償権の行使について訴訟まで起こすという準備をしているという報道がなされました。教育委員会に確認をいたしましたら、そのとおりだということであります。私は同じ措置が四億五千万の被害——しかもこれは加害者を見ました場合には、高等学校の場合まだ未成年の生徒でございますけれども、東京大学に関する限りは、最も知的水準の高かるべき学生が、しかも成年者が多数でございますが、計画的にあるいは広範囲に国有財産を破壊しておる。これに対する措置としてはいささか妥当性を欠くといいますか、府立阪南高校に対してとられた大阪府の態度と比較いたしまして、いささか納得できないものがあるような感じがいたしますが、これに対する文部大臣の御見解を聞きたいと思います。
○坂田国務大臣 東大の四億五千万にわたる破壊、これを行ないました加害者に対してこれを追及することは当然の措置だと思うわけでありますけれども、御承知のような状況で、その加害者がだれだれであるかというようなことも実はなかなかわからないというような点もあって、ただいま文部当局あるいは大蔵当局、その他法務省あたりとも相談をいたしまして、何とかしてこの加害者に対してこの責任の追及あるいは賠償責任というものを求めたいというふうに考えておるような次第でございます。
○岡沢委員 先ほど国立大学十六の学校における国有財産の被害がある、その中でお述べになったのはわずか四校で、あとの十二校の被害額の調査はなさっておるのか、あるいはできないのか、やる意思はないのか、文部省としてあるいは第一線の大学の状況についてお尋ねします。
○坂田国務大臣 先ほど会計課長からお答えしましたとおり、ただいま調査を依頼しておる、報告を求めておるという段階でございます。
○岡沢委員 紛争がいま突然に起こったわけではないのであります。それでは、調査を求めておられるというおことばでございますけれども、全くわからないのですか、一部はわかっておるけれども、まだ追加があるという見込みなのか、その辺についての把握はどうですか。
○安養寺政府委員 日ごろ、こういうことがあってはならないことでございますが、あった場合においては、法規の各条章によりましてすみやかに被害の個所を確認し、それぞれ定められた個所に大学の管理者がその詳細を報告するということになっております。そういうことが現実にございましたので、昨年来各関係大学を督励をいたしておるわけでございます。先ほど申し上げました十六校、これにつきましては、ただいま大臣からお答えいたしましたように、鋭意財産なり物品の被害の確認を各大学に督励いたして急いでおります。大体この程度だというのは、われわれの事務的な資料としてございますけれども、まだいろいろ点検を要するというような段階でございますので、調査中と申し上げているような次第でございます。
○岡沢委員 これは大蔵委員会でお尋ねして、会計課長からお答えをいただいたところでございますが、東京大学の場合、四十三年度の予算は二百三十七億ということであります。ところが去年一年間、それでははたして東京大学において実際の教育が行なわれたか、研究が行なわれたか、授業が行なわれたかということを考えますと、私がここで申し上げるまでもなしに、大きな問題があろうかと思います。六百五十億の財産を管理する管理者が、文部大臣によりますと委任をしておるという逃げの答弁でございますけれども、はたして管理の責任を尽くしたか、国民の血税を年間二百三十七億使っておりながら、実際にそれに値するだけの効果をあげておるかどうかということについて、私は、国民を代表さしていただく立場からいいますと、まことに遺憾な感じがするわけであります。アーサー・ターナー教授のことばに従って解釈すれば、東京大学の場合は、教授は教えず、管理者は管理せず、生従は教育を受けず、しかも二百三十七億の予算を食うだけではなしに、六百五十億の国有財産の中から四億五千万の被害を出しておる。それに対して国民の側からしてどういう要求といいますか、発言ができるのか。私は、税金を納める立場からした場合に、これでは税金を納める気にならないという国民の感情は当然だという感じがするわけでございますが、文部行政の責任者、そしてまた国立大学の所管をされる文部大臣としてのこの点に関する御見解を聞きたいと思います。
○坂田国務大臣 この点は、もう岡沢さんから御指摘になったとおりでございまして、私も国民に対して責任を負っております文部大臣として、まことに申しわけなく思っておる次第でございます。しかしながら、現在の大学の問題は、その紛争の原因が非常に根深いことも岡沢先生御承知のとおりでございまして、大学の秩序を回復するということにつきましても、各大学とも非常に苦悩しておるという状況でございます。財産管理という面だけから考えまするならば、まさに仰せのとおりだと思うわけでございますが、その財産の管理を全うする能力等について、あるいはそれを全うする大学管理運営のあり方について、種々改善すべき点があるということ等を考えましたときに、国民の税金を納めておられる方々に対して、どういうふうにしてその責任を果たすかということについては、文部大臣は文部大臣として、また学長は学長として、あるいは大学の中におきましても、学長からそれぞれ委任を受けました部面についての責任者としての人たちはその人たちの責任として、やはり考えていかなければならないのではないかというふうに思うわけでございまして、結局は、やはり冒頭に申し上げましたような種々の改善策を通じてでなければ、ほんとうに国民の期待にこたえるようなことにならない実情にあるということを申し上げて、あるいは御答弁にならないかもしれませんけれども、私の気持ちを申し上げた次第でございます。
○岡沢委員 法制局はお見えでございますか。——法制局おられるから、私は特にこの際文部大臣に申し上げてみたいのでございますけれども、文部大臣は、学校管理の責任は、第一義的に学長にあるというおことばが、先ほど御答弁としてございました。しかし、学校教育法第二条によりますと、「国立学校とは、国の設置する学校をいう。」第五条には、「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。」国立大学の場合、設置者が国であることはもちろんでありますから、その設置者であります国が学校を管理し、またその経費を負担する。むしろ、学校教育法からいいますと、第一義的な責任は文部大臣にあるのではないか。同じ学校教育法の五十八条によりましても、「学長は、校務を掌り、所属職員を統督する。」というのであって、財産管理その他についての直接の規定は少なくとも法律に関する限りは見当たらないと思うわけでございます。法制局として、国立大学における国有財産の管理の責任体系、責任分担についての見解を聞きたいと思います。
○真田政府委員 お答えを申し上げます。 ただいまお尋ねの国立大学における国有財産の管理という面でございますと、学校教育法なり国立学校設置法の傾向と少し違った面の規定が働くのだろうというふうに思えるわけでございます。お示しになりました各条項は、学校の学校としての運営と申しますか、教育行政の面についての設置者のほうの国の責任、それは文部大臣の所管でございますから、文部大臣の責任という面をとらえての規定であると存じますが、国立大学における国有財産の管理の面は、先ほど大蔵省の方から、あるいは会計課長からお話しになりましたように、それは物的な管理でございまして、国有財産法あるいは物品でございますれば物品管理法によって規定されるというふうに思われるわけでございます。国有財産法なり物品管理法の関係では、御存じと思いますけれども、各省各庁の長がその所管に属する国有財産なりあるいは物品の管理をしなければならないということになっておりまして、さらにそれぞれ両方の法律に委任の規定がございますので、文部大臣、つまり国有財産法でございますと、行政財産たる文部省所管の財産、つまり国立大学の不動産の管理に関する事務を委任できる、物品についても同様でございます。それぞれ文部省で訓令を出しておられまして、国有財産については学校長に、それから物品の管理に関する事務につきましては経理部長に委任をされておるようでございます。その限りにおきましては、管理責任それ自体は受任者のほうに移っておるというふうに解されるわけでございます。ただ委任でございますから、委任者は委任しっぱなしで全然関係ないと解釈するというわけではもちろんございませんで、やはり委任をしたということに伴いまして、それをしっかり監視していく、指揮監督といえるかどうか、大学の場合はやや疑問がございますけれども、やはり適正な管理が行なわれるように見張っておるというような関係になるのではなかろうかと思うわけでございます。
○岡沢委員 そうすると、私のほうの解釈、間違っておったかもしれませんが、大臣が管理を委任しておるということも、むしろ法的には間違いじゃないかというふうにも聞こえるわけでありますが、その点はどうかという問題と、大蔵大臣はどの範囲の責任があるかということについてお尋ねいたします。
○谷川政府委員 先ほど文部大臣、法制局の真田部長からお答えいたしましたように、学校につきましては、国有財産法の第五条によりまして、各省各庁の長が所管するというふうになっておりまして、文部大臣でございます。ただし、これまたお答えがございましたように、九条によりまして、部局の長に委任することができるとなっておりますから、文部省から委任をしている、この関係は先ほどお答えになったとおりでございます。大蔵大臣は第七条によりまして国有財産を総括するという立場にございます。
○岡沢委員 責任関係はわかりましたけれども、文部大臣は大学に対しましていろいろ指導、助言の権限があるようでございますが、この指導、助言の範囲内に大学の財産管理等も含まれるかどうか、その辺の解釈についてお伺いします。
○坂田国務大臣 教育行政の場合においては、指導、助言ということでございますが、ただいま国有財産法の規定による見守りといま法制局でお答えになったような意味の監督というふうなものが私にはあると承知をいたしております。
○岡沢委員 そうすると、むしろ文部省設置法第五条の十八にいう大学等に対し、その運営に関して指導、助言するという範囲内よりも、むしろ委任の関係から強い規制を出し得るというふうに解してよろしゅうございますか。
○坂田国務大臣 そのとおりであると承知いたしております。
○岡沢委員 そうすると、なおさら財産関係につきましては、現在の国立大学の学長その他それに準ずる人たちの国有財産に対する管理者としての責任が忠実に履行されていないということ、これは一般的な感情だと思いますし、また、客観的な事実としても認め得ると思うのでございますが、これについて文部大臣としては、適切な指導なり見守りなりあるいは委任者としての注文なり要求なりをなされるべきだと思いますが、その辺についての文部大臣の見解をお伺いします。
○坂田国務大臣 そのとおりだと考えております。
○岡沢委員 この問題につきまして、やはり文部省設置法の第五条によりますと、「国立学校の施設を復旧整備する」という規定もございますし、結局、破壊された国有財産でございます国立大学の諸施設については、設置者である国が国民の税金によって復旧整備されることになるだろうと思います。これは先ほど指摘しましたような国民感情からいたしまして、勉強もしないで税金だけ食って、おまけにこわされたものを国民の血税でまた復旧する、どうしても納得できないだろうと思います。国民の納税意欲にも影響すると思いますので、この辺についての大蔵省としての見解、徴税するほうの立場、あるいは国有財産を総括的に管理される立場としての大蔵省の見解をお聞きします。
○谷川政府委員 せんだっても大蔵委員会で御質問がございましたので、お答えをいたしましたが、私どもも封鎖が解けました直後、一月の下旬でございますが、被害状況の調査のために東京大学へ参りました。安田大講堂をはじめといたしまして、火炎びんで一部延焼しております工学部列品館、法文教室、法学部研究室など、被害の大きかった施設を見て回りました。想像した以上に破壊のひどい状況を見まして、私は実に腹の底から怒りが込み上げてまいりました。これは許せない。国民の税金でまかなわれております大事な国の財産をこういうふうに、破壊のための破壊だと思いますが、めちゃくちゃにされて放置されるならば、秩序などというものはない。当然にこれは加害者、暴力団学徒の集団でございますか、加害者から償ってもらいたい、このように身をもって感じました。先ほど申しましたように、国有財産の総括をいたしますのは大蔵大臣でございますから、その立場におきまして、私は、その場で文部省の方、大学の方に、すみやかにそういった諸般の措置を講じていただきたい、それから被害の状況も御連絡いただきたいと要請を申し上げた次第でございます。先ほど文部省の会計課長が御答弁申し上げましたように、加害者に対する損害賠償につきましては、ただいま諸般の手続が進められていると御報告を受けております。そこで、私どもいろいろ考えておるのでございますが、先ほど文部大臣からも御答弁がございましたように、大学当局といたしましては、ああいう紛争が起こりました場合には、秩序の回復ということがまず第一に考えられなければならぬと思うのでございますけれども、財政法の九条にもうたってございますように、国の財産は良好な状態におきまして管理しなければならない義務が管理者には課せられております。したがいまして、暴徒の鎮圧なり学内の秩序の回復ももちろん大切でございますけれども、国の財産の管理につきましての姿勢がかりにくずれるということがありましたら、これはたいへんなことだと考えております。それからまた、せっかくりっぱな施設がありながら、いろいろなことで大事な入学試験も借料を払ってよそでやらなければいかぬということになりましたら、これはたいへんなことだと考えております。したがいまして、先般来財務局の幹部の会議なり通達を通じまして、第一線の者に対しましては、管内の大学当局と密接な連絡をとりまして、いま申しました国民の税金でまかなわれております国の財産の管理の姿勢につきまして大学御当局にもう一度御確認をいただきまして、先ほど来御議論になっておりますような紛争が起こりました場合にはどうして対処すべきか、大学当局と一緒になって考えていくように、そうして場合によっては助言もし、示唆もいたすようにという指示をいたしておる次第でございます。
○岡沢委員 いまの谷川次長の御答弁には私も全く同感なわけでございますけれども、会計課長の御答弁等を聞きますと、国立大学の紛争校の被害の実態についてはきわめて不十分な把握しかされてない。それもきのう起こった事件をきょう質問するというなら、その御答弁で私は満足いたします。すでに大蔵委員会でも御質問申し上げ、また、紛争校三十校の中でも現在静まっておる大学もあるわけでございますから、被害の実態もつかめない、加害者もわからない、また追及しようという御努力の姿勢も見られない。これは第一義的な責任は学長にあるといたしましても、先ほど来の問答で明らかになりましたような委任者としての、あるいは設置者としての文部大臣の立場から、もう少し国民の財産を守るという意欲があってしかるべきではないか。この問題について、他の面での指導、助言もまた聞きますけれども、文部大臣としてどういう職責を具体的にお果たしになったか、どういう指示を、あるいは委任者としての要求を、あるいは通達を一般大学に、あるいは個々別にでもけっこうでございますが、処置をおとりになったか。具体的にとられた処置の内容、あるいはこれからおとりになろうとする方針等について大臣の所見を聞きます。
○坂田国務大臣 まず第一には被害の状況を調査することだと思います。それから私は具体的に加害者に対する賠償責任を追及してまいりたいというふうに考えております。何か具体的にあったら会計課長から……。
○安養寺政府委員 日ごろ私ども、管理者である学長、大学当局へいろいろと御注文を申し上げておるわけであります。先ほども申し上げましたように、不幸にしてかかる事態がございました際には、即刻とるべき措置というものはきめられてもございますし、また、その督励も十分にいたしておるわけであります。何せ学園の中での紛争の経過が複雑でございます。本部の事務機能が全くもしくは大半停止もしくは喪失しておるというような事態、あるいは紛争がございましたその処理がいろいろめんどうなこともございまして、先ほど来御指摘のような、金額について責任あるお答えをいまだ把握しかねておるという状態でございます。まことに遺憾だと思いますが、紛争全体につきましての把握をなおざりにしておるつもりでは決してございません。いろいろとそのつど指示を個別の大学にいたしますほかにも、再三にわたりまして会計部課長会議等におきまして、いろいろ連絡すべき事柄、防止すべき事柄あるいはその時点において暴力排除を含めいろいろ部下職員をしてなさしめる事柄等々について指示をいたしてもございます。なお御趣旨を体しまして督励をいたしたいと思います。
○岡沢委員 時間の関係で、この問題についての質問は終わりたいと思いますけれども、小学校でガラス一枚割っても父兄を呼んで注意をし、弁償させる。この姿勢が、やはり国立大学における国有財産を預かる善良な管理者としての責任じゃないかと思う。小さいことのようでございますけれども、そういう秩序、大事なけじめの欠除ということが紛争の一つの原因でもあろう。こういう点につきまして、各大学の第一線の管理者の物に対する責任を初めから、こういう問題からも取り組むようにぜひ文部大臣も御指示をいただきたい、また互いに責任を感じていただきたいと思います。 次は、国立大学の学長の任免と結びつきまして、大学に対する文部大臣の現行法上の権限について大臣はどういうように把握しておられるか、お尋ねします。
○坂田国務大臣 私に与えられました権限は指導、助言ということのみだと考えております。
○岡沢委員 その指導、助言の中には大学人事に関する指導、助言にも含まれると解されますか。
○坂田国務大臣 御承知のとおりに、学問の自由という目的を遂行するために大学の自治が厳としてある。その大学自治の中核は何かというならば、一応大学内の学長や学部長の選考は当該大学管理機関が持つということがたてまえであり、それが慣行であると思います。したがいまして、最終的には任命権は文部大臣にあると思いますけれども、しかしながら、憲法で保障されております学問の自由であるとか、あるいはイデオロギーの自由であるとか、そういうものが異なるからといって、それによって、成規の手順を踏んで上申してまいりました事柄につきまして、人事につきまして、それ以外のはなはだしく公務員としてあるいは教育者として不適当であるということがない限り、やはりこの慣行を尊重していくというのが一応人事に関するたてまえではなかろうかというふうに思っております。
○岡沢委員 そうすると、教育公務員特例法によりましても特別の身分に対する保障があるようでありますけれども、大臣のお答えの後半を推測いたしますと、イデオロギーその他で差別してはいけないけれども、たとえば学長ならば、教育公務員特例法の第四条には学長の選考について「人格が高潔で、学識がすぐれ、且つ、教育行政に関し識見を有する者について、大学管理機関の定める基準により、」選任されるという規定がありますが、たとえばここでいう教育行政に関して識見がないような人が学長としてかりに選考されたような場合には、文部大臣としては、それに対する指導、助言はなし得るというふうに解してよろしゅうございますか。
○坂田国務大臣 具体的に申しますと、その識見がないというのが、どのような範囲までないというか、どの範囲からはいいというかというところは非常にむずかしい問題かと思うわけでございまして、その辺は具体的な問題が出てこないと何ともお答えのしようが実はないわけでございます。しかし、形式論理から申しますと、先ほどお答えしたところでございまして、客観的に見て、まただれから見ても、この人は教育者として、あるいは管理者として、公務員として不適当だということが非常に強い方に対しては任命しないこともあり得る、こういうふうに解しておるわけでございます。
○岡沢委員 そうすると、最終的には、場合によっては任命権者としての拒否権を持つという解釈と解してよろしゅうございますか。
○坂田国務大臣 あり得ると思います。
○岡沢委員 それでは具体的にお尋ねします。 九州大学の井上正治氏がこのたび学長事務取扱ということで教授会の決定を見たようであります。この人につきましては、私も予算の分科会で荒木国家公安委員長に対して質問しまして、取り消しにはなりましたけれども、荒木国務大臣自身が具体的にこの井上教授に対して口をきわめて非難された発言がございました。また事実、この井上氏は公開のテレビの席におきまして、警察は敵だということを公言されております。しかもまた、そのことばをお取り消しになった事実を私は聞いておりません。これにつきまして高辻法制局長官も、警察の責務を無視し、法の精神に反する発言だということをお答えになっておられます。荒木国務大臣は、そうした大学教授は国立大学から排除すべきだろうという趣旨の御答弁もございました。私は、九州大学の最高の責任者にこういう方がお着きになるということについては、適格性について妥当だという判断を下す国民のほうが少ないのじゃないか。九州大学を特別に高く評価するわけではございませんけれども、きわめて影響力の大きい国立大学の一つだろうと思います。そこを代表する学長事務取扱の地位にこういうことを公言する方がお着きになることについては、どう考えましても教育公務員特例法にいう「教育行政に関し識見を有する者」ということにはならないのではないか。もしこの人を任命されました場合には、この方の識見が公に確認されたことになり、警察は敵だという考え方がむしろ国民に対して妥当性を帯びるということを認める結果になるのではないかという感じすらするわけであります。ここで警察官の職責とか、その公的な性格について云々する気持ちはございませんけれども、私たちは、少なくとも警察官は国民の基本的な人権を守るためにこそ存在をしましても、国民の敵に回す存在ではないというふうに解したいわけでありますけれども、これについての文部大臣の見解を聞きます。
○坂田国務大臣 私は、基本的に教授の地位と申しますか、身分の保障というものは普通の公務員よりも強く保障されておると思うわけでございます。しかも、その強く保障されておるのは何がゆえかというならば、一般の市民社会における公的な規制はもちろんのことでございますが、法律に違反する違反しないということとは別に、国家公務員として、あるいはまた教育者として、研究の教授として高い深い道徳的規範というものが要求をされておる。そういうものが前提になって、そういう強い保障というものがなされておる。また、学問の自由というものが守られてあるということによって、いかなる思想、いかなるイデオロギーを持とうとも、そのことを憲法が保障しておるというふうに思うわけでございまして、そういう意味合いにおいて、九州大学の井上教授の発言等についてはいろいろ問題があると思うのでございます。しかしまあ、最近の週刊誌であるとか、あるいはまたテレビ等におきましても、その取り扱いにおいて、設問者のやり方いかんによって、ちょっとしたことばだけを取り上げますと、非常にいま御指摘のような問題も起こり得る場合があるわけなんで、私はやはり人の身分に関する問題については、週刊誌その他に出てきた片言隻句だけでその人の人格やあるいは言動というものをすぐ単純に批判すべきものではないんじゃないかというふうに思うわけでございます。特に文部大臣といたしまして、最終の任命権の、先ほど申しましたような客観的にだれが見ても明確な判断というものをしなければならない者といたしましては、その人の言動等についても、あるいは行動等についても、多少時間はかかりましても、事実を調査した上で判断すべきものだというふうに考えておるわけでございまして、いまここで私は井上教授のことについてのどうだこうだということについては発言を差し控えさしていただくお許しを得たいと思う次第でございます。
○岡沢委員 私は、文部大臣の御答弁は、それはそれで正しいと思います。また、教育公務員全般について、特例法の精神からする教育公務員の特性と申しますか、教育を通じて国民全体に奉仕するその職務と責任の特殊性から、一般の公務員以上の身分上の保障があるのだろうと思います。ことにまた大学の自治あるいは学問の自由という立場からいいまして、教育公務員の中でも大学教授の地位、あるいはその学長の選任については慎重な配慮があって当然であるということは私も同感であります。また、大臣が御指摘のように、片言隻句をとらえて、特にまたその思想性のゆえに拒否権を行使されるということは妥当でないという解釈には私は異議がございません。しかし、現在公開の席で、テレビを通じて、憲法上も法律上も当然第一義的に国民の基本的人権を守ることを責務とする警察官を敵だという御発言は、警察官全体に与える士気、あるいは国民の警察官に対する信頼、あるいは警察官の存在そのものに対する誤解、その他与える影響がいささか大き過ぎるだけに、片言隻句だからこれは問題の対象外だというふうにもし簡単におとりになるとすれば、私は間違いではないか。地位が、西日本を代表する国立大学の学長事務取扱といいましても、学長を代行されるわけですから、やはり慎重な配慮があってしかるべきだ。もちろんこれは拒否権の問題と、指導、助言——第一義的には大学の管理機関においての御配慮があってしかるべきだとは思いますけれども、しかし、当然のこととして、これを文部大臣が任命権者としてかりにお認めになった場合、私は、ある意味では、一方で現在の現行法上重要な職責を合法的に与えられている警察機構そのものに対する大きな挑戦でもあるだけに、別な反面から、軽々な取り扱いをしてもらっては判断を誤られることになるのではないかというような感じがいたしますので、慎重な御配慮をお願いいたしたい。 私は、井上教授は刑法の先生であるだけに、その著書等も存じております。学者としての識見については敬意を表したいと思いますけれども、そしてまた、たとえば井上教授が、九州大学の軍用機墜落事件に関連して、安保が違憲だというような御発表をなさっておる。このことは私は一つの見解として必ずしもそう問題にすべきではないと思いますけれども、少なくとも警察官を敵だ、警察を敵だというようなことをことばにして公開の席で公言されるという問題は、これはやはり私は公的な立場からの御配慮をわずらわすに足る条件ではないかというように考えますので、意見も交えて、私のこの問題に対する質問を終わらしていただきたいと思います。 ここで防衛庁に長くお待ちいただくのは気の毒だと思いますので、自衛官の入学に関連する、学校、特に国立大学の取り扱いについて、これはもう各所で問題になりましたが、私はまさしく憲法違反であり、あるいは教育基本法の精神に反すると思うわけでございますが、この機会に重ねて文部大臣の所見を聞きます。
○坂田国務大臣 今日いろいろの大学におきまして、自衛官が入学をしよう、特に夜間の大学で勉強をしようというのを、多くの場合におきましては、話し合いをして、本人も説得をされて、あるいは納得をして、そして入試を受けないという形にはなっておりまするけれども、どうもその辺に、ある大学、たとえば東京都の都立大学等においては、評議会において、入学試験を、さらに紛争を激化するおそれもあるから自衛官の入学というのは困るというようなことを議論をされて、そうしてそういうようなことから本人も説得をされたというようなことも事実あるようでございます。しかも、その入学を希望しておる自衛官というものが受けておるということが、普通ならばわからないはずにかかわりませず、入学事務についてアルバイトをした学生がその内申書を見てわかったというような不手ぎわもあったやに聞いておるわけでございまして、そういうような紛争を激化するというようなことだけで基本的な、憲法で保障されておる能力に応じて教育を受ける権利があるというこの基本的な権利を認めないということは断じて許すべきことではないと私は考えるわけでございます。特にたとえばアメリカにおいては、黒人の一人の学生が入学をするということについては、その州の警察あるいは軍隊でだめな場合においては、連邦政府の軍隊まで出動させてこの一人の黒人の入学というものを守ってやるというような、そういうアメリカ憲法を守ろうという強い気持ちがあるわけでございます。にもかかわらず、日本において学生の威圧におそれて大学当局みずからがそういう憲法を守るき然たる態度、基本的な学ぶ自由というものを求めて来ておる自衛官に対してこれを拒否するというようなことがありといたしまするならば、これは非常に私はゆゆしい問題であるというふうに思うわけでございまして、私といたしましては、こういうような事例が各地の大学に波及をするというようなことのないように、きょう全国の国立大学に対しまして通達を出して、その注意を喚起し、き然たる態度で憲法違反にならないように、学ぶ自由というものを、いかなる職業であれ守っていただきたいという意味の通達を出した次第でございます。
○岡沢委員 この問題につきましては大臣と私とは全く見解が同じだと思いますが、大臣はアメリカの憲法をお出しになりましたけれども、アメリカの憲法を出すまでもなく日本の憲法で、これは十四条あるいは二十六条のほかに、九十九条で国務大臣もわれわれ国会議員も憲法を守るということは大きく義務づけられているわけであります。また、教育を受ける権利が基本的人権であることはおそらく否定できないだろうと思うのです。憲法の第三章を通ずる全体の概念からいたしましても、われわれはこの問題は単に一自衛官の入学拒否というとらえ方をすべきではないというように感じます。き然たる態度をとる、通達を出したとおっしゃいますけれども、私は、今度の学園紛争全体を通じまして、やはり間違ったものに対する適切な措置を欠いたというところにもエスカレートの原因がある。是非善悪を明らかにする、あるいは理非曲直を正す、筋を通すということが大事ではないか。だからもしそういう憲法違反な行為によって当然許すべき入学を許さない、受験を許さないというような処置をした管理者に対しては、私はそれ相当の処分があってしかるべきではないか、ましてその妨害を誤って実力でするような学生に対しては、私は刑事上も、あるいは物理的な損害を伴った場合には民事上も、あるいは学生の身分の上でもはっきりとした、いわゆる間違いに対する制裁という筋を通すということがきわめて大切ではないかというふうに感ずるわけであります。これについて混乱を生ずるというようないわば他の理由によって、問題のすりかえだと思いますけれども、憲法違反の行為をなした、あるいは今後なす学校が出た場合、あるいはすでになした学校がたくさんございますけれども、これに対する処分について、処置について文部大臣としてどういうふうに考えておられるか、お尋ねいたします。
○坂田国務大臣 やはり私は、憲法違反の事実が起こりまして、そして入学をしようという自衛官が拒否をされたということが明らかになりました場合においては、当然その責任の学長に対しまして適切な措置がとられるべきものだ、先生のおっしゃるようなとおりに私は考えております。また、大学当局といたしましても、おそらくそういうようなことが明確になりました場合においては、当然自分の責務を、出所進退を考えるべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
○岡沢委員 そうしたら、いまのお答えは、憲法違反な行為をした該当者には適切な処分がとられるべきだとおっしゃいましたが、文部大臣としてはとるという御趣旨と解してよろしゅうございますか。
○坂田国務大臣 そのとおりでございます。
○岡沢委員 私は、大学紛争の原因を考えました場合に、いろいろ正すべきそれなりの理由があるような感じはいたします。しかし、その場合であっても、目的のために手段を選ばないということが許されないのが私は民主主義の基本だろうと思うのです。まして今度のこの自衛官の入学拒否の問題は、目的も間違っておる、手段も間違っておる。こういう行為に対して適切な教育上の処置あるいは刑事法上の処置がとられないということが、彼らに対して誤った自分らの行動を逆に正当化さすような錯覚を与える原因にもなるし、大学紛争のエスカレートの一因をなしておるというふうに感じますだけに、き然とした処置をおことばどおり実行していただきたい。また、それについて適切な指導、助言——こういう場合こそ私は文部大臣として憲法違反の行為に対する事後処置としての制裁よりも、予防が大事ではないかというふうに感じますので、ぜひ具体的な指導、助言の適切な、タイムリーな処置をお願いいたします。 もう一つは、やはりこの自衛官の問題の場合、先ほどの警察官に対する井上教授の発言が、警察官全体の士気に与える影響、あるいは警察機構に対する挑戦というような意味で非常に重要視すべきと同じように、自衛官の入学拒否をすることによって、自衛官に対する国民の信頼という問題、あるいは自衛隊内の隊員の士気に与える影響、またひいては国家にとっての安全防衛についての大きなマイナス面ということも否定できないのではないか。そういう面からの配慮も文部大臣として、国務大臣の立場からもなされてしかるべきではないか。それから、従来自衛官のいわゆる国内留学的な措置がとられてきたようでございますが、それが拒否されることによって自衛隊の質の問題せっかく国民の血税を三次防だけで見ましても二兆をこえる予算を使うわけでございますが、そのせっかくの国民の税金を注ぎ込んだ自衛隊あるいは防衛の機能がそれによって低下される。私はさらに大きくこの自衛官の大学入学拒否による影響というのは考えられるわけでございまして、そういう面に対する配慮からも、御指摘の憲法違反も含めまして、これは全く誤った現在の各大学でとろうとしておる措置に対して、指導、助言の対象にすべき最も緊急の課題ではないかというふうに感じますので、意見を述べてこの問題に対する一応の質問を終わります。 次は、東京大学の、先ほど大臣がお答えになりました東大大学改革準備調査会が去る三月十七日にいわゆる大学法廷という、これはまあ俗稱でございますが、学生の処分に関する試案を発表いたしました。これは中教審の答申の精神ともだいぶかけ離れがあるような気がいたします。さらには法律上の問題点もあると感じますので、この点に対する文部大臣と内閣法制局の見解を聞きたいと思います。
○坂田国務大臣 冒頭に私がお答えを申し上げましたとおり、これは加藤執行部の諮問的な意味における大学改革準備調査会の専門委員会の実は報告でございまして、今後これらの問題については学内においてもいろいろ御討議がなされるものだというふうに思うわけでございます。それで、私といたしまして、これについて、あそこはこうだここはどうだというようなことをやりますことが適当であるかどうかということを考えるわけでございますけれども、せっかくのお尋ねでございますので、申し上げてみたいと思いますが、この前提となりましたのは、やはり加藤代行の出しました提案あるいは確認書、それに流れる考え方というものが一応基礎にあるように見受けられるわけでございますが、私、今度のこれをつぶさに実は読んでおりません。しかしながら、加藤代行が最終的にまとめました一月二十八日の解説書を読んでみましても、処分のところにまいりますと、どうも少し首尾が一貫しない。たとえていうならば一月十六日のストライキが解除になった時点までの学生の器物破損、ただいま問題になりましたような加害者に対しては何にも処分をしない。しかし、一月十六日後においては処分の対象にするというような事柄があるわけでございまして、刑事上の問題を引き起こしておる者が、一月十六日の前までは何らそういうようなものはやらない、そしてそれから後はやるというようなことも、実はどういうふうに考えておられるか、私には一向わからないわけでございまして、そういうような意味から、今度の処分制度の改革というものについて、大学法廷を設け、二審制度でございますかというようなこともうたっておられるわけでございますが、これもドイツあたりにはそういう昔からの伝統もあるように聞いております。また、フランスにおきましても、二審ではないかもしれませんが、今度のフォール改革案においてはそういうような学生参加の処分というようなことも考えられておるようでございますけれども、これはまだ世界にもあまり定着していない問題でございまして、今後のまさにわれわれが検討すべき課題じゃないだろうかというふうに思うわけでございます。あるいは私の解釈が間違っておるかもしれませんけれども、大まかに申し上げますと、加藤代行の考え方としては、とにかく大学に学ぶ者はおとなである、そして今日の大学というものは、もう一般社会と同じような小社会なんだ、それにはかりにも師弟関係ということだけでなくて、ぴしりとした一般市民社会の規制をそのまま行なうべきじゃないかというようなことが前提にあって、そうして教育的処分というものは考えないというようなことでもってこれが書かれておるのじゃないかというふうに思います。私、まだこれをよく読んでおりませんので、局長からでももし何なら答えさせていただきたいと思います。
○岡沢委員 局長の御答弁はよろしゅうございますから。ただ、いま大臣の御所見につきましては、現在の段階で直接御批判をなさる立場でもないかと思います。ただし、東京大学の場合に、一月の基準日を定めて、それ以前の処分を行なわないことに対してはかなり御意見があるようであります。私は、そういう御意見こそ、指導、助言の範囲内の行為として、これは教授の任免ではないわけなんで、私は文部大臣の当然指導、助言の対象としていい、またすべき御見解だと思うのであります。私は先ほど来繰り返しておりますように、間違った学生に対して、その間違いを正す意味からも、教育者の義務として、間違った者に対する処分というものが適正に行なわれることは必要な条件だと思うわけでございますが、処分を放棄するようなその態度に対して、大臣の指導、助言の範囲内でぜひ適切に行使していただきたいということを意見として申し上げますとともに、いまの大学法廷試案については、御自分で読んでないとおっしゃいますから、そのとおりだと思いますが、つくられた動機等につきましても、おそらく試案作成者の真意とは離れた御解釈のようでございます。私は、この大臣がおっしゃったような、学生の地位を、いわゆる教授と教えられる者という立場を離れた取り扱いをしたいというのであれば、それだけ責任の追及もあってしかるべきだと思いますけれども、まあ学生に対する責任という点を、むしろ教育者の責任ということを放棄したような感じがいたしますし、具体的な中身について私はいまお尋ねしているのではなしに、むしろ学校教育法第十一条、学生、生徒の懲戒については校長及び教員だけが持つ、あるいはまた学校教育法施行規則の十三条の第二項、第三項等によって、特に退学とか停学とか訓告の処分は校長がこれを行なう、校長だけが持っているような権限をこういうふうな制度によって行なうことは可能かどうか。全く法的に間違った試案であれば、むしろ早くそれを正してやるというのも指導、助言に入るかという意味でお尋ねしたわけであります。この辺につきまして法制局の見解を聞きたいと思います。
○坂田国務大臣 その前にちょっと。実は、やはり私の指導、助言の一環といたしまして、十二月二十九日に入試中止をきめました際におきましても、御指摘の点についてあらかじめ加藤代行には指導、助言をいたしておるわけで、それから一月十七日の段階におきましては、いまの懲戒の部面、そうしてまた団体交渉の部面については相当強くこれを申し伝え、また御考慮されたしというようなことを申しておるわけでございます。さらに法制局の見解も出し、単に法的に違法であるとかあるいは違法でないとかいうことでなくて、文部省として、一体大学の管理者あるいは教育者として、大学のあり方として適当かどうかということにつきまして、文部省見解というものも例をあげましてそれを指摘し、注意を喚起いたしておるわけでございまして、その一番大事な点は、この処分の問題についていたしておるわけでございますことを申し添えたいと思います。
○真田政府委員 いわゆる大学法廷の構想についての法制局の見解はどうかというお尋ねでございますけれども、私どもも実はきのうの新聞で一般報道として承知している程度で、詳しいことはもちろん承知しておりません。のみならず、聞くところによりますと、あの構想はいまの段階における一応の試案といいますか、提案といいますか、今後の検討のたたき台のようなものであるというようにも聞いておりますので、今日の段階におきまして、私がここで法制局としての意見を述べるということにつきましては差し控えさしていただきたいと思います。 ただ、念のために申し添えておきますと、例の確認書について、法制局で文部大臣あてに意見書を出したことがございます。その中で、確認書の第何項でございましたか、新しい処分制度についてという項目がございまして、その中に今後の処分制度については学生側と学校当局側とで話し合ってきめるんだという節がございました。その点に関しまして私のほうで、それが学生側と大学側との話し合いの結果、話し合いがまとまらなければ処分ができないというような趣旨を含んでおるものとすれば法律上はなはだ問題であるというように、意見書に書かしていただいた個所はございます。 もう一点、確認書の中のずっとあとのほうの項目で大学の管理運営に関してという項目だったと思いますが、それに関連いたしまして、私のほうで、少なくとも現行法に照らす限りは、現行法で定められている管理機関以外の者が管理運営の意思決定に参画するということをルール化するということは、やはり法律上問題であるというふうなことを申しておいた点がございます。御参考までに。
○岡沢委員 ちょっと質問がもとに戻って恐縮でございますけれども、防衛庁の麻生人事教育局長がお見えでございますので、先ほど自衛官の入学拒否につきまして文部大臣にただしましたけれども、防衛庁側としてこの入学拒否をいかに考えておられるか。私は、先ほど自衛官全体に与える士気の問題あるいは防衛庁の機能、質の問題への影響等についても触れて意見を述べましたけれども、こういう点に関連した防衛庁の見解も含めてお答えいただきたいと思います。
○麻生政府委員 先ほど文部御当局からお話がありました都立大学の夜間部の入学試験に伴いますところの、三人の自衛官が学校当局の自衛官の受験は認めないという方針に基づきますところの措置によりまして受験ができなかったということは、先ほど先生からお話がありましたような、憲法第十四条なりあるいは第二十六条なりあるいは憲法の順守を規定いたしました第九十九条なりの規定から考えまして、いわゆる教育の機会均等というものを自衛官なるがゆえに与えられないということになるわけでございまして、われわれといたしましては非常に残念な遺憾なことであるというふうに考えておるわけでございます。現在大学の夜学に通っております者が約二千七百四十人ばかり自衛隊におります。これらは昼自衛隊の勤務に服しまして、その勤務時間のあと、自己の意思によりまして自己の負担で夜学に通っておるわけでございまして、勤務に支障なく勉学ができるような措置を与えておるわけでございます。その自衛官に対しまして、いわゆる自衛官なるがゆえにということで、すべての国民にひとしく与えられておりますところの教育の機会均等という国民の基本的な権利というものが侵害されたということは非常に残念なことであると思われるわけでございまして、この事態というものは今後再び絶対に生じてはならないというふうに考えておるわけでございます。そうした見地から、文部当局に対しましてもいろいろこうした事態の発生することのないように善処方をお願いしておったわけでございます。本日その趣旨を徹底するための通達が出されたということを聞きまして、この趣旨が末端におきまして励行されることを私どもといたしましては特に要望しておる次第でございます。 なお、自衛官が夜学に通いまして大学の教育を受け、それによって人間形成ができていくということは、やはり自衛隊は自衛官によって構成されるわけでございますから、個々の自衛官がりっぱな人格者として完成されていくということは、とりもなおさず自衛隊の健全性というものにこれは影響していくわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、この夜学の自衛官につきまして、勤務を第一義とは考えますけれども、本人の向学心というものを尊重いたしまして、できるだけの便宜をはかっておるわけでございまして、今後従来どおりにこの夜学というものが継続できることをわれわれとしては切に希望する次第でございます。 なお、自衛官のこうした就学の機会が与えられておるということは、やはりよい自衛官が自衛隊に集まってくるということになるわけでありまして、良質の自衛官を確保できるということになるわけでございます。 またさらに、幹部の自衛官の大学院入学につきましては、やはり装備の近代化、高度化に伴いまして、修士課程以上の知識なりあるいは研究能力というものが必要になってきておるわけでありまして、一般大学においての大学院におきまして、幹部の自衛官なりあるいは技術研究に従事するところの技官が大学院に入学ができないということになりますと、やはり自衛隊としてはこの装備の近代化あるいは高度化に即応するという体制というものをなかなかとっていきにくいわけでございます。また、大学院に行けないということになりますと、良質の技官あるいは自衛官の応募というものがそれだけ減ってくるということが大いに懸念されるわけでありまして、われわれといたしましては、この面におきましてもぜひとも大学院に従来のように入学していけるように処置していきたいというふうに考えておるわけでございます。この点につきましても、文部御当局に御協力をお願いしておる次第であります。
○岡沢委員 自衛官の入学の拒否に関してはこれで質問を終わって、ただ資料として、過去の自衛官の入学拒否の実態、あるいはいまお答えになりました自衛官の大学入学あるいは就学の状況等につきまして、調査の可能な範囲の資料の御提出を求めて、この問題の質問を終わります。 次に、憲法二十六条には、これはもう大臣自身も十分御存じの国民の教育を受ける権利が規定されております。この国民の教育を受ける権利、あるいは大学教授の教育をする権利あるいは研究をする権利、これを何人かが妨げる自由あるいは権利があるのかどうか。この辺について大臣はどう考えられるか。あるいは俗にいわれる大学のスト権、労働者に憲法上あるいは労働法上与えられているような団結権、団体交渉権、団体行動権というようなものが学生にあるのか。あるいは何らかの条件が満たされた場合には、先ほど申しましたような教育を受ける権利が侵害されることを認めるべきなのか。この辺の見解を聞きます。
○坂田国務大臣 お尋ねの点でございますが、これはもう学問の自由という意味はまさにその点にあるのであって、同僚の教授からも、あるいは学生からも、あるいは国家権力からも、その他いかなるものからも守られなければならない権利であるというふうに思うわけでございます。今日は、その足元の学生の暴力によってその学問の自由というものが妨害されておる、こういうことでございます。これは大学のあり方としては許すべからざることであるというふうに思います。それからまた、大学というものは、やはり構成をしておりますのは教授であり、あるいは学生であり、事務職員であるわけでございますけれども、しかしながら、おのずと学生は学生の地位があり、教授は教授の地位がある。同等、同質の権利というものが学生に認められるということはあり得ないというふうに私は考えるわけでございまして、およそ団体交渉権みたいな意味のものはあってはならないと思うわけでございます。
○岡沢委員 しかし、現にあたかもスト権があるかのごとき、授業を受けたい学生の教育を受ける権利が阻害されておる。これは現実の事実としてお認めになるだろうと思います。この点はお認めになりますね。
○坂田国務大臣 そういうものが侵されて、一般の大多数の学ぼうとしておる学生が学べない、一般の多くの教授が研究しようとしても研究が行なわれないということは事実でございます。
○岡沢委員 いま大臣自身もお認めになりましたし、これは公知の事実として、各地の大学において現実に教育を受ける権利あるいは教育をする権利、研究の権利が阻害されておる。あるいは入学試験を受ける権利すらも阻害されておるということは、客観的な事実として残念ながらお互いに認めざるを得ないだろうと思います。教育基本法第十条には、これも大臣御承知のとおり、教育行政の基本として、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」という規定がございます。まさに暴力学生の行為というのは不当な支配だ。従来考えられるような権力の支配とまた違った意味で、現実の最も大きな大学の自治あるいは学問の自由に対する挑戦として、不当な支配が現に存しておる。そのために、先ほど大臣自身もお認めいただいたような教育を受ける権利、教授の教育をする権利、研究の権利が阻害されておる。こういう実態に対して、私が冒頭、現時点において文部大臣としておとりになるべき措置ということをお尋ねした範囲内ではありますけれども、重ねてこの教育基本法第十条の教育行政の基本が侵されているということに対して、大臣としてはいかなる措置をおとりになろうとしておられるのか、お尋ねいたします。
○坂田国務大臣 やはりいまお話しになりましたように、憲法が保障しておりまする学問の自由という、その目的を遂行するためにこそ大学の自治というものが手段としてあるわけでございますが、その大学の自治というものが、昔はむしろ国家権力からこれを守れば、それによって学問の自由というものが行なわれるということにあったわけでありますけれども、今日の段階、特に第二次大戦後の状況におきましては、国家権力がその学問の自由を侵すということよりも、むしろ学内、学外の暴力行為あるいは不当な支配によってその学問の自由が侵されておる。とすれば、まず大学の管理者あるいは学長という方々が、かつてその学問の自由を守るために、それこそ自分の職を賭して戦われたと同じような意味合いにおいて、そういう認識を持って、この学問の自由というものが現在においては学生の暴力によって脅かされておる、こういう強い認識を持たれて、そうしてこのことを排除することなくしては大学というものは存在し得ないのだというようなくらいの意欲を持って、自分たちの手でそれができない場合は、警察の導入またやむを得ない。そうすることによって大多数の人たちの学ぶ自由を守り、あるいは研究の自由を守らなければならない責任があるのではないか。そういうき然たる態度というものを大学当局は持ってほしいということを私は期待するわけでございまして、このことにつきまして就任以来指導、助言を繰り返してまいっておるわけでございますが、幸いにいたしまして、昨年の段階とことしの段階では、そのことは相当に変化しつつあるように見受けられるわけでございまして、たとえば東京大学におきましても、一月十八、十九日の段階において、東大始まって以来の機動隊の導入をみずからの自主的判断に基づいて行なって、そして安田講堂に占拠いたしておりました暴力学生を排除したということは、新しい一つの芽が出てきたのではないか。あるいは大学当局の警察官アレルギーというものも漸次変化してきており、おぼろげながらではありますが、あるいはその速度はきわめておそいかもしれませんけれども、その他の大学にも及んでおるというふうに思います。たとえて申しますと、外国語大学においても警察の導入を要請いたしまして、二期校の入学試験をやるための万全のかまえを示しておることもその一つかと思います。また、冒頭に申し上げました京都大学あるいは大阪大学等におきましても、表面には警察への要請は出ておりませんけれども、何かあった場合にはそういうことの要請もあえてするというような態度が考えられておったということを内々聞いておるようなわけでございまして、こういうような風潮が全国の各大学に及んでまいりますれば、まず第一に大学当局の決意、き然たる態度、暴力を排除するということがいま当面の課題であるということでございますならば、それから先はおのずと大学のあり方というものが生まれてくると思うわけでございます。しかし、私がここで申し上げますようにさように簡単なものでないのであって、やはりこの問題についてはいろいろ複雑な事情もございますし、あるいは法制上の不備もあるかとも思われますので、ただいま第二十四特別委員会におきましても御検討願っておるわけであります。したがいまして、この四月中旬ごろの中間答申を待ちまして何らかの措置をいたさなければならない、かように考えておる次第でございます。
○岡沢委員 文部大臣は大分私の尋ねようとすることは御了解はいただいておるようでありますけれども、やはりもとの教育基本法の十条に返りまして、「不当な支配に服することなく、」ということを受けまして、教育行政の基本は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目ざして行なわれるべきだということが明記されておるわけでございます。ところが現実には、この諸条件の不備のために、先ほど来指摘しましたように、一般学生あるいは大学に入ろうとする学生、あるいはその他の国民全体が非常に大きな被害を受けておる。その対策として大臣自身も暴力の排除ということを御指摘になりました。しかし、大臣のおことばの端々にも警察官導入もやむを得ないというおことばがあるわけでございます。私は、大学は本来暴力に対しては無力だし、また無力であるべきだ。警察官の導入をおそれる、あるいは間違いであるという考え方のほうが間違いじゃないか。もちろん、不当な権力の干渉に対してはき然たる態度をとるべきだということについては私も異存はないわけでございますけれども、現在の学生暴力あるいはいかなる暴力も、これは大学の自治と無縁であるばかりではなく、むしろ大学自治を破壊するものだ、むしろこういうものを排除するのに無防備な大学が警察官を導入するのはあたりまえなんで、やむを得ないという考え方自体のほうが私はむしろ間違いだという感じがするわけでございます。そのことがいわゆる警察官アレルギーとなりまして、いざという場合には警察官の援助を受けながら、その危機が去りますと塩をまくというような現実が大学で現に行なわれておるわけです。これでは警察官の立場に立った場合たまらないのではないか。こういう何と申しますか、エゴイズムと申しますか、かってな偏見、これがやはり私は学生運動をエスカレートさせた一つの理由ではないかというように感ずるのでございます。したがいまして、先ほど申し上げました井上正治教授の警察官は敵だということばとも関連いたしまして、大学の、これは学生だけではございません。教授も含めて大学全体に、あるいは日本のいわゆる進歩的な学者といわれる人たちの間にびまんしております警察官アレルギーにつきまして、文部大臣としてはどういうふうにお考えになるかお尋ねいたします。
○坂田国務大臣 私も岡沢さんと同じなんで、あたりまえのことがあたりまえに行なわれていないというのが現状であります。そのあたりまえなことがあたりまえのこととして受け取られておらないところに実は問題があるというふうに思うわけでございます。したがいまして、無防備な大学というものが、当然警察力を導入すべきときにそれを入れなかったという責任のほうが、入れた責任よりもむしろ重大だというお説には、私も実は賛成でございます。ただ、経過といたしまして、現実というものもやはり考えていかなければならないのでございまして、それだからといって、それじゃ昨年の段階で大学当局とは無関係に、法の命ずるままにあたりまえのことはあたりまえのこととしてやってはたしてよかったかということについては、やはり理屈は理屈でございますが、同様に現実というものも見ていかなければならないのであって、東大が一月の十八、十九日にとりましたあれを契機として、しかもそれは東大みずからの自主的判断において要請した。これをきっかけとして、漸次警察官アレルギーというものをなくし、そしていまの先生の、あたりまえのことをあたりまえのこととして大学人がこれから先学問の自由を守るためにき然たる態度をおとりになることを実は希望する次第でございます。
○岡沢委員 大臣が私と同じような見解にもしお立ちになるとすれば、たとえば大学入試事務に関連して警察官の援助を受けたというだけで、神戸大学、岡山大学で入学事務の協力を拒否した教官があるわけです。こういう教官の態度は、私は、原因も間違っているし、行動も公務員としての義務に違反していると思うわけでございますが、こういう教官に対する処分についても、私は指導、助言の範囲内で行なうべきだと思いますけれども、見解を聞きます。
○坂田国務大臣 神戸大学のことは私ちょっとまだ詳しくは存じませんけれども、岡山大学のことは承知をいたしておるわけでございまして、警察官に守られて入学試験をやらなければならぬということはどうしても自分は忍びない、したがって休暇をもらって出て来なかったというような事実があったようでございます。このことはまことに重大な入学試験を行なっておる岡山大学の教授として全く常識を逸した行動ではないかというふうに私ども考えまして、さっそくこれを調査いたし、その報告は——まだ聞いておらないそうでございますけれども、調査をいたしておるわけでございます。
○岡沢委員 私は、近代国家というのは力にかわるに法の支配——これは理性の支配といっていいかと思いますが、理性、知性の支配、それの表面的に制度化されたものが法だと思いますが、法の支配に服するということは最小限の規範だと思うのです。しかるに最も理性的であるべき大学において暴力が支配しておる。このことの排除ということは、これは大学の改革、その他の基本的な、長期的な問題とは切り離して、法治国家、近代国家として当然なすべき義務だし、国務大臣としても、所管の文部大臣としても、この問題については単に御決意の表明だけではなしに、具体的な処置、たとえば文部大臣の通達あるいは国民に対するマスコミを通じての見解の御発表等を通じて、私は当然の義務としてもう少し積極的なあるいは明快な御発言があっていいのではないかと思う。先ほど来繰り返しておりますように、国立大学の学長事務取扱になろうとされる人あるいは国立大学の教官で、常識的に考えましても国民のひんしゅくを買うような、あるいは法治国家の原則に反するような、あるいは憲法の精神に反するような言動をなす方がおられるのを放置しておくということ自体、私は逆に先ほど来繰り返しておりますような、目的のためには手段を選ばないというような風潮、あるいはむしろ暴力を礼賛するような結果を生むのではないかと思いますだけに、たとえば大学内でゲバ棒、ヘルメットを持つこと自体、刑事上の犯罪になるならないは別として、これは間違いだということを文部大臣として指導、助言の範囲内の行使として各大学に御通知をなさるというようなことも一つの方法ではないかと思うわけでございますが、その辺についてどういうふうにお考えになりますか。
○坂田国務大臣 私も全く同じような気持ちを持っておるわけでございまして、いずれ二十三日から行なわれます二期校の受験が終わりました後におきまして、いまお述べになりましたようなことをも含めまして、私としてとるべき指導、助言を各大学にやりたいというふうに考えておる次第でございます。
○岡沢委員 ここで警察官アレルギーとも結びつくわけでございますし、また東大の確認書とも結びつけましてお尋ねをしたいのですが、警察官は刑事訴訟法上、犯罪があれば捜査官としてそれを捜査するのがその責務だろうと思うのです。これは刑事訴訟法上も明記された義務であります。また、職務上捜査に関連のある者は捜査に協力する、これは訓示規定でございますけれども、という刑事訴訟法上の規定があります。これにあたかも反するような確認書の文言、あるいは現実に各大学でとられておる措置、これは明らかに法の精神にも反するし、また警察官の職責を妨害するものだというふうに感じますだけに、これについての大臣の見解を聞きます。
○坂田国務大臣 私は、法に基づきまして捜査するような場合に大学側が協力しないということは適当でないと思います。
○岡沢委員 適当でないと大臣お思いになりますが、現実に捜査に協力しないばかりか、むしろ妨害をしておる。また実際問題として、大学の要請がなければ警察官が入らない。そのために大学の内部におきましていわゆる内ゲバ的な行為によって死傷者あるいは財産的な破壊、数え上げればきりがないような刑事上の犯罪が行なわれておる。一方で、いま私が指摘しましたように刑事訴訟法第百九十六条では、「検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、」私は当然財産の管理者としての公務員もこれに入ると思うのでございますけれども、「被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。」という規定があるのです。捜査の妨げにならないということが消極的な大前提である。私が先ほど来指摘いたしましたような、国有財産の管理者としては、管理者としての責任上、財産上の損害があった場合に当然告発、告訴をする義務もあろうと思いますし、また憲法の基本的人権の規定からいたしまして、生命、身体、財産に対する侵害に対しては、管理者としてあるいは教育者としての職責を果たすべきだ。その場合に、暴力あるいは違法な行為に対しては、みずからの力を持たない大学当局としては当然警察力の庇護にたよるのはあたりまえのことなんで、これを懸念すると申しますか、きらうという風潮自体のほうが間違いである。先ほど大臣も御同感をいただきましたけれども、しかし、そのことはあたりまえなことでありながら、現実には各大学におきまして、教授の間でも学生の間でも、これは単に三派系だけでなしに、民青系だけでなしに、一般学生の間にも警察官アレルギーがびまんしていることは、残念ながら事実でございますから、この事実の誤りであることを大臣としては公に声明なさるべきではないか。それがまた忠実に職務を遂行する第一線の警察官に対する国務大臣の責任ではないかというふうに感じますけれども、重ねてこの点についての御見解を聞きます。
○坂田国務大臣 私も全く同感でございまして、一般的な風潮といたしまして、御指摘になったようなことがあることも事実でございますから、私は、大学の管理者として、また学長としてき然たる態度で、そういうふうな場合において、法が無視されておるというような場合には、あくまでこれを是正し、あるいは暴力を排除し、あるいはまた警察導入をお願いをした場合においては、その捜査に協力を願うということを強く求めたいというふうに考えておるわけでございます。これも先ほど申し上げましたとおりに、確認書には誤解されるいろいろの問題がありましたけれども、事実の問題としましては、東大の加藤執行部においては、十八、十九日にも機動隊を入れましたし、それから十六日の段階において、一部に伝えられておりますような、令状を持っていった者に対してこれを拒否したというようなことが伝えられておりましたけれども、加藤執行部といろいろ話し合いをしました結果は、そうではなくて、むしろ大学当局と警察当局との現場の間においては十分な打ち合わせのもとに、あの当時爆発物やニトログリセリン等があるというようなことにかんがみて、その前提として不退去罪を背景として退去命令を出す、あるいは研究の場が侵されておること、侵されようとしておる破壊活動に対して、それを停止することを勧告し、あるいはまた、そういうようなことを聞かなかった場合は機動隊を入れるという措置をとって、十六日の三派と民青との間の流血の惨は免れた。そして十八日、十九日に機動隊を入れた。こういうことを考えますと、確認書におきましてわれわれが心配いたしました幾つかの事例につきましても、東大の場合においては一歩前進をし、われわれの疑いを晴らすようなことを事実でもって示した。その後も、御承知のように六回も警察官の導入をいたしておるわけでございまして、こういうような措置が各大学において行なわれるということがもうあたりまえであるということになりますると、ずいぶん大学が変わってくるのじゃないだろうか。そして御指摘のような、いわば学問の自由と、学ぶ学生の平穏な授業再開あるいは教育というものが行なわれてくると思うわけでございます。とにかく現段階においては、まずもって大学から暴力を追放するということについて、われわれ文部当局も、それから警察、各大学当局もき然たる態度でもって当たらなければいけないのではないか。文部省と大学とがいたずらに対立するというようなことではなくて、文部省と大学と、場合によっては警察御当局と御協力申し上げて、大学の秩序を維持し、教育の正常化をはかり、そして平穏な学問の自由と、研究、教育が行なわれるようにしなければならない責任が大学側にもあるし、また、国民に対してそれに指導、助言をいたす責任を持っておりまする文部大臣にもある。かように考えておる次第でございます。
○岡沢委員 大体大臣の見解に私も共鳴できるわけでございますけれども、残念なのは、実際はそれが現実化してない。大臣の御希望なり御配慮と現実の大学の姿とは、まだまだズレがあるということが問題だと思います。私は、大学の自治とは何かというきわめてむずかしい問題でございますから、これを真正面からお取り上げになることはむずかしいかもしれませんが、少なくとも現在の暴力団学生の行為は、大学の自治とは無縁のものであるばかりか、むしろこれを破壊するものである。かりに大学の自治の観点から警察官の大学構内立ち入りについて、慣習的に治外法権であることは当然のことだと思いますけれども、無条件に立ち入るということが遠慮されるような歴史があるとすれば、それは大学の自治を守るためにあったわけなんで、いまの暴力学生を排除することは、むしろ自治の破壊者を排除するためなので、従来の警察官を大学構内に入れぬことの慣習とは全く関係のないということを、はっきり文部大臣として天下に公にされるということが、やはり当然のことではありますけれども、当然のことを明らかにする必要性はまだあるような感じがいたします。現在大学の自治に対する、あるいは警察アレルギーに対する誤った傾向が強いだけに、その必要性と価値はあると思うのでございますが、そういう措置をおとりになる御見解はございませんか。
○坂田国務大臣 きょうはいろいろお教えをいただきましたが、私も同感することが非常に多いわけでございます。十分そのおっしゃる御意見を尊重いたし、また、それを具体的に私といたしまして近くあらわしたいと考えておる次第でございます。
○岡沢委員 私は、きわめて素朴な感じでございますけれども、小学校の先生とおまわりさん、警察官が尊敬されない社会というのは健全な社会でないという感じがするわけであります。願わくは大学と警察とはお互いに尊敬され、あるいは感謝される仲であってほしい、それが当然だし、そうあることを望みたい。そういう面で、私は、現在の大学と警察、あるいは大学と自衛官が対立しておるという現状の打開については、御見識の高い文部大臣として適切な措置をぜひお願いいたしたいと思うわけであります。 最後に、学校教育法が施行されましたのは昭和二十二年であります。その当時は、大学はわずかに四十九校、国、公、私立合わせまして四十九校、その大学が現在は、四十三年度でございますけれども、短期大学まで合わせました場合、八百校をこえておる。学生の数も、昭和二十二年当時十二万九千七百名余りであったのが、現在は四年制大学で百二十七万、短期大学で二十五万、合わせますと百五十万をこえる学生になっておる。学校教育法でいう大学の概念というのは、すでに実態に合わないと思うわけであります。こういう大学の概念なり規定なり、あるいは大学に対する国民感情なりあるいは実質の中身なりが実態とずれておるというところに、やはり大学紛争の一因もあるというふうに考えました場合に、たとえば学校教育法の大学に関する定義づけ等も改正を要する対象ではないか、また、その必要があるんではないかということも含めまして、大学の財産管理等につきましては、冒頭質問いたしましたように、全く無責任と国民側から見て指摘されてもしようのないような実態であることも含め、あるいは管理機構、これは大学の教授内容とか研究内容とか全く離れまして、管理機構の不備というのは残念ながら指摘せざるを得ないと思うわけであります。私としましては、学問の自由、自治とかあるいはその基本的な学問のあり方というような問題を離れて、現在の大学の実態に照らした場合に、管理機構、責任体制を明らかにする意味から新しい法律的な措置も必要な時期に来ておるんではないかというふうに感じますけれども、これに関して大臣の御所見を聞きます。
○坂田国務大臣 確かに昭和二十二年はまだ旧制大学のときだと思います。新制大学が出発いたしましたのは二十四年でございますから、その当時できました学校教育法というものについては、確かに今日の量的、質的変化の大学に対応しない部面があるのではないかというふうに、率直に私は認めざるを得ないと思います。このことにつきましては先ほどからお答えを申し上げておりますように、二十四特別委員会におきましても、学生参加ということ、あるいは学生の地位ということに関しましての管理運営の問題等にも御答申を願えるものと期待をしておるわけでございまして、そういうことについても、もし現行法等について整備しなければならないところがあるならば、それを整備するというようなこともあるいは出てくるかと思うわけでございます。また、われわれのほうでも三十七、八年の中教審の答申の中におきましても、この管理運営について、たとえば教授会と評議会の権限をどうしたらいいかというような問題あるいは大学の種類を大学院を中心としたような大学、あの当時はたしか大学院大学だったと思います。それから一般の高度の職業教育の大学あるいは教員養成の大学というような種類分けをする、目的、性格に応じた種類分けをする必要があるのではないだろうか。また、管理運営等につきましても、やはり大学の教授というのは教育については経験も豊富であるし、あるいは専門的知識を持っておられるかもしれないけれども、どうも管理運営ということについては未経験であるし、不得手であるし、何か研究に没頭してこられた人が選挙によって学長にされたとたんに、その管理運営のABCが始まるような状況で、しかもまたその評議会にいたしましても、学長はその議長であって、最終的な決定ができないような、リーダーシップをとれないような状況もあることも考えて、やはり管理運営についての副学長制というような点についても当時の答申にもあるわけなんで、こういう点については、今度の大学改革あるいは中教審の答申等を待ちまして適切な措置を考えてみたいというふうに私は思っておる次第でございます。
○岡沢委員 教育というのは、単に教育者と被教育者だけのものではなしに、教育を通じて国民全体に奉仕するという精神を教育者のほうも学生の立場からも考えるべきではないか。東京大学を例にとりました場合に、四十三年の一年間ほとんど教育らしい教育もせずに、国民の貴重な二百三十億にのぼる税金を使いながら職責を果たさなかった。これは単に学生が授業を受けられなかった、あるいは入学希望者が入試を受けられなかったという問題、あるいは国有財産としての東京大学の器物が四億五千万円被害を受けたということ以外に、国民に対する責任ということは私はやはり無視できないんじゃないか。また、今後の大学のあり方、大学の改革を通じましても、単に学生のための大学あるいは教授のための大学、大学のための大学ではなしに、国民のための大学だという趣旨からも、その辺の責任をお互いに明らかにする——別に過去をせんさくしてことさらに個人をいじめるというのじゃなしに、お互いに自由に対する責任、権利に対する義務と同じような意味で、二百三十億の国民の貴重な税金を使った立場から、かりに十分な講義なり研究なり授業ができなかったとしました場合に、それに対する何らかの謝罪あるいは責任の所在を明らかにする態度があってしかるべきだと思うのです。この辺について、東京大学、これは一例でありますけれども、文部大臣としては指導、助言の範囲内で、国民に対するおわびの処置についての具体的な指示をなさる、あるいは文部大臣としての責任について国民に対して話しかけられる腹づもりがあるかどうか。あるいはすでにこういう処置をとったという具体的な処置があったらお聞きをして、質問を終わります。
○坂田国務大臣 東京大学を一つ例にとりましても、二百三十億の税金を使い、しかもほとんど一年間学問研究もせず、教育も行なわれず、そして四億五千万の損害を与えておるということに対する大学当局の責任、また、それを安全に指導し得なかった私の責任というものを私は痛感いたしておるわけでございます。国民の皆さん方に対して申しわけなく思っておるわけでございます。その反省の上に立って今後東大をどう再建していくかということに頭を悩ましておるわけでございます。単に東大だけでなく、東大に似通った各地の大学においても同様のことがいえるように思うわけでございまして、一日も早くこの暴力を追放し、また教育を正常化し、そして国民のための大学をつくり上げていかなければならないと思いますが、私は、その基本といたしましては、今日大衆化した大学、国民のための大学というからには、税金を払っておるこの国民の意思の参加といいますか、国民の意思の反映を踏まえた大学自治でなければ真の意味の大学自治ではないのではないか。いまもって一般社会とは城壁を隔てて、そして内部において近代化すればそれでよろしい、そして内部できめたことはオールマイティーである、批判は許さない、こういうような風潮がまだ残っておるわけでございまして、こういうのは国民のための大学ではない。いま御指摘のような国民のための大学であるからには、その研究の成果を社会に還元する使命が大学にはある、あるいはまた人材を国民の中に送り出す責任が大学にあると私は思うわけでございまして、閉ざされたとびら、閉ざされた門が国民のために開かれなければならない時代に遭遇しておる、こういうふうに思うのでございます。従来象牙の塔という形において、社会とは隔絶した一つの社会を構成しておった点に今日の大学が国民から問われておるところがあるのではないだろうかというふうに私は思うわけでございます。こういうようなことを大学当局も謙虚に反省をされて、国民の批判にこたえ、社会的責任を果たしていただかなければならないというふうに考えております。 聞くところによりますと、東大当局におきましても、そのような社会的責任を感じられまして、過日の評議会においては、加藤代行も退官を含めての責任をとりたいということを申し出ておられるやに聞いておるわけでございます。そういうわけで、大学は大学なりに責任の所在を明らかにし、国民におわびを申されるつもりではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。私もその最終的な指導、助言を尽くし得なかった責任を感ずるものでございます。
○岡沢委員 私は、暴力学生、これはもちろん第一義的な加害者であり、あるいは間違っていると断言してもはばかりませんけれども、しかし、彼らの年齢、環境等を考えました場合に、逆に彼らが戦後の教育あるいは社会環境の犠牲者だという見方もできるかと思います。それだけに彼らの犠牲あるいは社会の犠牲、国民の犠牲を含めまして、この大きな貴重な代価を払ったこの大学紛争を逆に災いを転じて幸いにするという方向で、建設的な新しい大学のあり方、正しい大学のあり方を模索して、ともに文部大臣も献身していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○大坪委員長 この際暫時休憩いたします。 午後六時休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕