農林水産委員会 第44号
- 発言数
- 249 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/07/02
会議録
○丹羽委員長 これより会議を開きます。 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湊徹郎君。
○湊委員 私は、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案について、若干の問題をお尋ねしたいと思います。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 この法律は、前身であります肥料二法が昭和二十九年に制定され、当時統制立法的な性格を持っておったこの二法が、昭和三十九年に現在の法律に改められて五年経過したわけでありますが、この五年の間に、かなり各方面の事情が激しく変化をいたしてまいっております。一つは農業サイドの変化、二つは肥料工業サイドの変化、三つ目には国際貿易サイドの変化、いずれも予想を絶するようなテンポで変化が生じております。 したがいまして、制定当時と今日ではそういうバック、この法律の背景になっております事情が変化しておりますために、この法律の運用につきましても、当然新しいくふうが必要な面が相当出ておると思います。この辺の事情について、農林省の側及び通産省の側でどういうふうな認識を持っておられるか、最初にお尋ねをしたいと思います。
○池田政府委員 現在の法律ができました当時の、肥料を中心にいたしましたいろいろな事情は、私は基本的には違っていないと思うのでございますが、取り巻くいろいろな条件といいますか、事情は、いま御指摘がございましたように、かなり違っておる面がございます。 農業面から見てまいりますと、最近いろいろ米の問題が出ているわけでございますが、需給というものがややバランスを欠くような事態が、いろいろな面で出てきているというようなことがございます。それから生産面で見てまいりますと、生産性はかなり向上をしてきておりまして、特に目立つのは、機械化がかなり進んできているというような点は、かなり目立つ現象ではないかと思うわけでございます。もちろん、これは就業人口が相当大幅に減少してきているということとうらはらの関係にあるわけでございまして、機械だけではございませんで、それに伴っていろいろな農業技術の面で、省力化がかなり進んできていると思うわけでございます。 なお、肥料に関しまして若干申し上げますと、肥料の形もかなりいろいろ多角化してきていると申しますか、高度化成というようなもののウエートが非常に高くなってきている。それから単肥の形で見ましても、硫安よりかむしろ尿素のウエートが非常にふえてきているというような点も、一つの顕著な特色であろうと思うわけでございます。もちろん、こういうものは農業のいろいろな形、園芸、畜産等のいろいろなそういう部門が多様化してきているということと、いろいろな関係で関連をしていると思うわけでございます。 それから、国際環境あるいは肥料工業の面というお話でございます。後ほど通産省からまた詳しいお話があると思いますが、私どもの把握しておりますことを簡単に申し上げますと、やはり国際環境、国際面と申しますか、これは肥料の輸出の面でございますけれども、かなり各国で肥料設備が増設をされまして大型設備が出てきている。それに伴いまして供給力がふえまして、輸出競争というものがかなり激化をしてきているという状況であるように私どもは承知をしているわけでございます。また、国内の生産面におきましては、生産の大型化計画と申しますか、合理化計画も逐次着実に私どもは前進をしているというふうに見ているわけでございます。 なお、詳細につきましては通産省から御答弁があると思います。
○後藤政府委員 ただいま農林省からお答えございましたように、これは肥料工業サイドから見てまいりますと、今日までの新法施行後の五年間におきましては、内需関係は、大体二七%という非常に安定した伸びを示しておるのに対しまして、輸出のウエートが高くなってきました。この五年間に約二・二倍と非常に大きな伸びを示しまして、この結果わが国の肥料工業は、輸出に対する依存度というものが年々増大をしてまいりました。 四十二肥料年度におきましては、生産のうちの約五四%が輸出に向けられておる。しかも輸出は、先ほども言及をされましたとおりに、現在ニトレックスをはじめとする各国の輸出競争が激化いたしまして、したがいまして、化学工業の一環としての肥料工業は、そういった内需の充足、価格の低位安定ということを主眼といたしつつも、対外的には、その輸出産業的性格が強くなってまいりましたために、各国との国際競争の場にやはり耐えていかなければならないという状態になっております。 したがって、これは化学工業全般について申せることでございますが、おおむねこういった装置産業的な性格のものにおきましては、規模の大きいということ、大型の生産をするということがすなわちコストの低下、そういうものにつながってくる問題でございます。 したがいまして、肥料工業界に対します通産省の指導方針といたしましては、昭和四十年以後昭和四十二年までの間に第一次の大型化計画、つまり一日に五百トンのキャパシティを持つアンモニア工業の設備拡大と申しますか、大型化の合理化計画を推進いたしてまいりました。これが終わりまして、四十二年から今日なお続行中でございますが、パーデー千トンの大型の第二次の合理化計画を推進をいたしておりまして、おおむねその計画並びに実施は、現在のところ順調に進んでおると考えておる次第でございます。 こういった問題を通しまして、そうした国際競争に耐える、同時にまた国内の肥料の需給の安定、さらに価格の低廉を保持する、この二面的な性格を持つ肥料工業というものは、この新法下において順調に推移してまいった、かように認識いたしておる次第であります。
○湊委員 ただいま両省のほうから話がありましたような背景になっておる動きについては、おっしゃるとおりでございますが、これがこの法律の今後に対して一体どういうふうな意味を持つか、こういう点について次にお聞きしたいと思います。 さっき話がありました農業サイドのいろいろな事情の変化、特に農産物の需給のアンバランスといいますか、需給の乖離と申しますか、お米のように一方供給過剰になっているものあり、他方供給不足になっておるものもある。いずれにしろそういう価格の面からする所得の増加というものが、一つの壁に突き当たっておるような現況でございますから、したがって、当然今後生産性の向上、コストの低下、こちらのほうに相当力を入れるということになってまいりますと、肥料は昔、二十九年当時は、二五%くらい経営費の中でウエートを持っておったものが、今日、逐次ウエートそのものは低下をして、一一%くらいになっておると思います。しかし、基礎生産資材としては依然強く、一番大きなウエートを持つ肥料でありますから、そういう点で、今後所得均衡というふうな農政の基本的な目標から考えまして、生産資材としての肥料の価格、これをいよいよ低位な形で安定させていかなければいけないという必要性は、制定当時以上に増大している。 したがって、この法律については、今後ますます必要になってきているというふうに認識されますし、それから工業サイドから見ましても、さっき話がありましたように、かつて硫安が八三%近く、二十九年当時占めておったのが、今日は高度化成が主役を演ずる、硫安も逐次尿素のほうに道を譲る、こういうふうなかっこうで、需要構造、種類別の消費量もかなり変わってまいっております。また、反面輸出に対する依存度もどんどんふえて、四十二肥料年度で、先ほど話がありましたように五四%ということですが、今後五年ないし十年たてば、おそらく六〇%、七〇%、まさに輸出産業、こういうことになってくるだろう。 そういうふうになってまいりますと、勢い国際競争の非常に激しい現状から見まして、これはどうしても国際価格によって相当引っぱられる、影響を受ける。その結果、世界的な輸出価格、これは全般的に低下の傾向にございますし、低下以上に国際価格の変動、こういうことも心配されるわけであります。その結果、内需の確保あるいは国内価格に対する悪影響、こういう点も考えられますので、そちらの側から見ましても、この法案の必要性というのは、五年前にも増して非常に増大しているというふうに考えるわけでございますが、この法案の今後の運用にあたって、いま申しました点について、両省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お聞きをしたいと思います。
○池田政府委員 いま御指摘になりましたように、私どもは最近の農業事情を考えますと、やはり資材価格を低位安定させるということは、非常に重要な意味を持つというふうに考えているわけでございます。肥料はもちろんでございますが、その他農薬でございますとか、農機具でございますとか、最近の傾向といたしましては、ほぼ安定をしているというふうに私どもは理解しているわけでございますが、なお一そう努力をする余地があるわけでございます。 肥料につきましては、先ほどお話のありましたようないろいろな形、使用の形がかなり変わってきている。従来硫安というようなものが中心になっておりましたのが、尿素が逐次ふえてきている、あるいは高度化成がふえてきているというようなことがございますが、特に尿素が非常に大きなウエートを占めてきておるわけでございます。そういうような点から、私どもは、この法案の延長が御審議の上可決されましたならば、やはり従来は硫安だけが対象でございましたが、尿素もこの対象の中に入れたい、そうして最も重要な窒素肥料のこの二つにつきまして、万全の対策をとってまいりたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。 それとともに、通産省のサイドにおきます、特に生産対策を強化していただきまして、そうして価格の低位安定を実現したい、こういう気持ちでございます。
○後藤政府委員 お答えをいたします。 新法の今後の運用並びにその持つ使命につきましては、湊先生御指摘のとおりと存じます。先ほどお答えいたしましたとおり、肥料工業のサイドから見まするに、現在通産省といたしましては、第二次の大型の合理化計画、大型化計画というものを鋭意推進中でございまして、これは順調に進んでおります。現在のままで参りますれば、四十六肥料年度末に、パーデー五百トンないしパーデー千トン以上の大型化設備というものが、全肥料工業の約八〇%を占める。これは諸外国の例に比較いたしましても、そのころの西欧あるいはアメリカ等先進諸国の設備の大型化というものは、おおむね五〇%弱という概略の形になっておりますので、世界で最も最新鋭の能率化された肥料工業というものを擁するという状態になってまいると存じます。 輸出価格につきましては、先ほど先生御指摘のとおりに、国際競争というものはどの分野においても激しいものでございますが、特にこういった問題につきましては、この肥料関係につきましても、その例に漏れないところであると存じます。 現在肥料の輸出は、御承知のとおり、中共あるいはまた低開発諸国と申しますか、発展途上国と申しますか、そういった国々に対する経済協力の一環として借款を供与する際に、やはりこの肥料問題というのはたいへん重要な項目になってまいるわけでございますが、それ以外に、第三の一般的な肥料輸出、つまり、そうした中共との交渉ベース、あるいはまた東南ア方面に対する借款ベースというものと、第三のカテゴリーといたしましての自由なる貿易の形態におきましても、この肥料の輸出というものを伸ばしてまいる、これが生産力増強と相まちまして、そして肥料工業の体質強化ということをやってまいりますことが、すなわち新法の趣旨にのっとるところかと存じております。現在、その具体的な第三の民貿ベースの方式につきましては、輸出会議の化学肥料部会幹事会におきまして、きめのこまかい具体的対策を立案中でございます。 なおまた、別の観点から申し上げますならば、現在の化学工業の中に占めまする肥料工業のウエートは、総売り上げ高というものから見ますと約一割という状態でございますので、もちろんこの輸出競争の場におきましては、その当時の国際情勢あるいは各国との具体的な競争状況というものによりまして、価格がある程度フラクチュエートすることは避けられないところでございますが、これに対する一番大事な問題は、やはり化学肥料工業というものの体質の強化ということであると思いますが、現在の化学工業の一環としての肥料工業は、十分この競争に耐え得られるという私ども認識をいたしておりますし、将来ともさらにこの強化の方向に向かって、新法下において肥料工業を指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○湊委員 ただいまお答えをいただいたような状況のもとで、この法案に関連して、具体的な若干の問題を次にお尋ねしてみたいと思います。 この法案を出す過程でいろいろな問題があったろうというふうに思われますが、一つは、御承知のように昭和三十八年に商法の特例として、当時国際価格との穴を埋めるために、輸出硫安売掛金経理臨時措置法、こういう法律がつくられて、十年間の繰り延べ償却を認めることによって、当時日本硫安輸出株式会社が持っておりました赤字を逐次なしくずしにしていこう、こういうことできておるわけでありますが、現在の処理状況、つまり、償却の残高はどのくらいになっておるか、お聞かせを願いたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 旧肥料二法下におきまして、昭和三十七年十二月までにメーカーの輸出会社に対する売り掛け金となりましたものは、総計いたしまして二百十五億円というものでございまして、三十八年以降若干そのシステムが変わりましたので、新しく赤字が累増するという状態は解消されたのでございますが、その後、発生いたしておりますこの二百十五億円の売り掛け金につきましては、一部は各メーカーの引き当て金によって償却をいたしまして、残額の百七十九億円につきましては、三十八年六月に公布されました輸出硫安売掛金経理臨時措置法によりまして、各メーカーが十年間以内に繰り延べ償却をすることといたしまして、これを今日まで実施いたしてまいったところでございます。その後、各メーカーの努力もございまして、すでにそのうち百四十八億円を償却いたしまして、現在約三十一億円が次期に繰り越される赤字となっておる状態でございます。
○湊委員 次に、この法案についてですが、三十九年に制定当時もいろいろと各方面、関係機関、団体等から意見が出されておったわけでありますが、今度の五カ年延長について、先ほど話がありましたように、農業、肥料工業、さらには国際環境等が非常な変化をしておる。それから今後の動向についても、さっきこれまたお話しのような見通しであるということから、各関係機関や団体、特に肥料メーカー、それから肥料商、それから全購連等の農業団体からもいろいろな意見があったろうと思うのでありますが、大体この前制定当時の意見と同じような形なのか、それとも、ニュアンスはそれぞれ違ってはいるけれども、延長については、今回は各方面ともいずれも賛成だということなのか、そこら辺、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○池田政府委員 私どもは、当然この法案を御提出申し上げます過程におきまして、関係各省との調整、それからいまおあげになりましたような関係業界との思想統一というようなことをやったわけでございます。 結論を申し上げますと、メーカー、それから販売業者の大手でございます全購連、これらは、この延長につきましては全く賛成である、こういうことでございます。それから、販売業者の中の商人系の方たちの意見でございますが、この延長そのものは基本的に賛成である。ただ、若干前者とニュアンスが違う点が率直のところございまして、やはり流通というのは、本来的には自由なのがいいのだ、ただ現状におきましては、こういうような措置は必要であるというような感じでございまして、したがって、やはりこの延長というものは、おのずからある期間をまず頭に置いて、そしてそれ以降においては、できるならばやはり自由にするというような方向が望ましい、こういうような感じでございます。 いずれにいたしましても、本法につきましては全部賛成である、こういうことでございます。
○湊委員 さっき申し上げましたように、現在置かれておるいろいろな状況変化や環境条件から考えまして、私は、今後ますますこの法律が必要であるというふうに考えておるわけであります。そういう意味から、当然恒久立法化してもいいのじゃないかというふうに私は考えておるのでありますが、これを五年延長という形にした理由をひとつお聞きしたいと思います。
○池田政府委員 法律が臨時措置法でございますから、おのずからそこいらの限度があるというふうに考えるわけでございますが、やはり農業面のいろいろな状況、これは先ほどいろいろ御指摘のあった問題でございまして、農業の面でもかなりいろいろ動いているわけでございます。もちろん、資材価格の低位安定ということは、これは短期的なものではございませんで、相当長期に続くものだとは思いますが、いろいろ農業面の事情も動いているということが一点ございます。 それから、やはり国際競争というような点でも、これはかなりいろいろな動きがあるわけでございまして、一、二年で云々ということはないと思いますが、相当長い期間をとりますと、これも変化をする要素を含んでいる。特に肥料工業の面を見ますと、先ほど通産省から御説明がありましたように、現在第二次のアンモニアの大型化計画が進められている。これが一応四十六年を目標にしておるわけでございますので、それが完成されますと、かなり生産のほうの面の事情が変わってくる、こういうようないろいろな要素があるわけでございます。 そういうような要素が、いろいろ各方面でございますので、そういうものを勘案いたし、かつ法律の性格というようなものを考えまして、まず五年程度の延長というものが最も妥当な期間ではなかろうか、かように考えたわけでございます。
○湊委員 いまの問題に関連をして、先ほどメーカーあるいは販売業者、各方面の意見についてお聞きをしたのでありますが、公正取引委員会、これは当然独禁法の番人でございますから、この法案についてもいろいろな意見があったことと思います。 陰ながら聞いているところによれば、これは再延長は絶対しないというふうなことを、通産省なり農林省のほうではっきりしろとか、あるいは品目を今後無制限にふやしていってもらっては困るから、品目を大体限定しろとか、いろいろな意見があったように聞いておりますが、そこら辺、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○池田政府委員 確かに公取は、公取の立場からいろいろな御意見があるわけでございますが、やはり基本的には、現在の価格取りきめというようなシステム、あるいは輸出の一元化というようなシステム、これは公正取引の確保というような観点からいたしますと、いわば特殊なやり方でございますので、これにつきましては、限定的に運用したいというのが公取の真意であるわけでございます。これは私、公取の立場としてはある程度やむを得ない考え方であるというふうに考えるわけでございます。 いま御指摘をいただきました期間の問題、あるいは対象にいたす品目の問題等につきましても、確かに御指摘のような話があったわけでございます。しかし、いずれにいたしましても結論といたしましては、御提案申し上げております線につきましては、公取も十分に了解をいたしているわけでございます。
○湊委員 時間の関係上、次に今後における問題点の若干についてお尋ねをしたいと思います。 この法案は、大きくは三つのねらいを持っているわけであります。まず最初に、内需の優先確保、こういうことがこの法案の最大の眼目であろうと思います。それについて、さっきから話がありましたように、どんどん輸出への依存度がふえていく、今後ますます輸出産業というふうな性格を持ってくるというふうなことで、特にその場合、中共あるいは東南アジアの国々が対象になる。そういうことになりますと、いろいろ施肥の時期や何かで、同じアジアの国でありますから、日本と需要期もおおむね重なってくる。こういうことになると、輸出によって受ける国内肥料価格に対する影響、価格だけではなく、実際の内需確保という点について影響が出てきはせぬかという気がするのでありますが、現在まで五年間やってきて、りっぱに内需は確保された、今後も現在のようなやり方で内需の確保だけは、文字どおり優先確保できるのだ、こういう確信がおありになるかどうか、そこら辺をお聞かせ願いたいと思います。
○池田政府委員 内需は毎年わりあいにコンスタントに、大体三%程度でございますが増加しておりますが、輸出のほうは、さらにそれを大幅に上回る比率で伸びている、こういうような実態でございますが、生産能力が今後相当大幅に増加いたすわけでございますから、内需の比率は当然低下をしてくる、こういうことになるわけでございます。確かに、いろいろ需要期の関係で輸出と競合するというような面もございますので、私ども現状においては、やはりいまのような見通しを立てて、そしてはっきり内需が確保できるということを保証した上で輸出をやるというようなシステムが、なお必要であると考えているわけでございます。もちろん販売業者のほうで、農協組織であります全購連というようなものが非常に大きなウエートを占めておりまして、流通の秩序というものもかなり確立をしてきているというふうに私ども思いますので、そういう裏づけの上に立っていまのようなやり方で運用していくならば、これは全く心配はないというふうに考えておるわけでございます。 なお、現状におきましても、これはいろいろな事情がございますけれども、在庫量というのはかなり大きい、むしろ若干多過ぎるような状況でございますし、内需の確保というのは法律の最大の眼目でもございますので、それにつきましてはもちろん努力もいたしますが、私どもは、全く心配をいたしておらないわけでございます。
○湊委員 それで、今度は国内の問題でありますが、さっき通産のほうから話があったように、第二次の合理化計画、大型化計画が現在進行中である。おそらく将来は、六つか七つの系列に全部すっきりと統合され、しかも、その工場は臨海工業地帯ということで、おおむね太平洋沿岸にずっと工場が配置されるということになると、日本全体の、特に裏側の遠隔地、山村僻地等に対する供給体制について、現状のままで心配はないのかどうか、ここら辺をひとつお聞きしたいと思います。
○後藤政府委員 お答えをいたします。 御指摘のとおりに、第二次の大型化計画は順調に進んでおりまして、四十六肥料年度末これが完成いたしましたときには、世界でもナンバーワンの最新鋭の肥料工業の力というものが出てくる状態であります。 そこで、この大型化計画でございますが、たとえば裏日本方面におきましても、現在、日本瓦斯化学を中心といたしまするこの大型化計画が進んでおりますし、現在の流通状態と輸送状態等々考慮いたしまして、いかなる僻地と申しますか、そういう工業地帯と遠いところにおきましても、この内需が適時に適正量が確保されるという見通しについては、全く心配がないというふうに考えております。
○湊委員 次に、八月一日から新しい肥料年度に入るということで、この法律の二番目のたてまえであるメーカーと販売業者の自主交渉、これによって価格の取りきめをやる、こういうことになっておりますが、この実際の進行状況、それから、この法案がまだきまっていないわけでありますから、尿素は現在対象になっていないわけでありますが、実質的にはいままで行なわれてきたわけでございますから、硫安、尿素その他の肥料等についての交渉の現在の状況を、ひとつお聞きをしたいと思います。
○池田政府委員 これは形式的には、従来の価格取りきめが六月末まででございますので、ちょっと空白みたいなことになっておるわけでございますが、実質的にはかなり前から価格交渉を行なっておるわけでございます。 私どもが承知しております限りでは、大体思想としては統一がされている、法案が成立いたしますならば、直ちに正式なかっこうができる、実質的にはそういう話し合いが済んでおる、こういう状況のように私どもは承知をいたしております。
○湊委員 次に、この法律の一つの大きなポイントであります生産コストのいわゆるコスト調査権、この問題について、最近御承知のようにどんどんコンビナートが組まれる。原料としても、ナフサとか廃ガスとか、そういう利用が年ごとにふえておるという現状であります。そういう総合化学工業の中で、肥料専業というのじゃなくて、その一環、一部門として製造される。こういうことになってまいりますと、生産コストを現実に調べるにしても、なかなかむずかしい面が出てくるだろうと思われるわけであります。 その際、一つの原価計算の実績、これでもって調べるとか、あるいは理論値ではじき出すとか、いろいろおやりになっていらっしゃるのだろうと思いますが、いまのような状況に対応して、現在通産省がやっておりますコスト調査の内容についてお聞きをしたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 確かに先生御指摘のとおりに、現在石油化学工業はコンビナート化が進みまして、非常に複雑な状態になってまいっております。したがいまして、肥料もまたコンビナートの一部として組み入れられている場合が多い。したがって、単独工場として動いている場合が非常に少ないわけでありますから、原価調査の場合におきましても、肥料単独工場の場合に比べまして複雑化していることは、全く御指摘のとおりであると存じます。 現在、通産省がこの新法下におきましてやっております原価調査は、当省の通牒に基づきまして、硫安原価報告書作成規程というものに基づいて実施せられており、将来とも大綱はこれによってやっていきたい、かように考えておる次第でございますが、その原則につきまして、若干御説明を申し上げたいのであります。 まず第一に、アンモニアとか硫酸とかその製造部門に直接消費される原材料の費用でございますとか、あるいはこの肥料部門において働いております従業員の労務費等は、これは肥料単独工場の場合と同じように、コンビナートの一部として構成されている場合でも、十分明確に区分ができますので、この点は把握が十分可能でございます。 第二番目に、たとえば発電の部門でございますとか、あるいは用水――水の部門でございますとか、あるいは蒸気、これらの部門のように、工場全体として消費されておるのでありますが、消費電力量とか消費用水量等を、肥料工場使用分を他部門と区分して把握できるものにつきましては、その消費量に応じてこれを配分して把握しております。 さらに第三でございますが、このように消費量もしくは使用量に応じまして部門ごとに区分ができないもの、たとえば本社費でございますとか、あるいは金融コストでございますとか、そういうものにつきましては、各製品ごとに全体の売り上げ高と比較いたしまして、この売り上げ高比率によって配分をいたしております。 以上、三段階と申しますか、三つのカテゴリーに区分をいたしますと、現状におきましても、コストは正確に把握をいたしておる、かように私ども認識しておるわけでございますが、御指摘のとおり、石油化学を中心といたしまする化学工業は、機構的にも非常に複雑化してまいり、さらにまた新技術が次から次へと出てくる、いわゆる製造工業の部門の中におきまして一番革新の多い化学工業の一環としての肥料工業でございますので、今後新しい事態の進展に即しまして、是正すべき点がございますれば適時これを是正しつつ、正確なるコストの把握につとめてまいりたい、かように考えております。
○湊委員 時間の関係上、輸出の関係等につきましてもこまかくお聞きをしようと思っておったのでありますが、割愛いたしまして、最後に、実は補助政策についてお聞きをしてみたいと思います。 これは世界じゅう、かつて西ドイツも肥料助成措置をとって、最近やめたようでありますが、イギリスは現在もなお、肥料法という法律に基づいて肥料補助金を出しておる。その出し方も、農家に対して直接出したり、あるいはメーカーのほうに出したり、あるいは直接現物を支給したり、あるいは輸送補助をやったりというふうな、いろいろなやり方があるようでありますが、特に、一番最初に申しましたように、価格政策による農業所得の増加というのが、遺憾ながら去年あたりから頭を打っている現況からすれば、やはり今後の方向として、基礎生産資材である肥料等についても、何かの措置が必要であろうというふうに思われるわけであります。特に、過般の米価の決定に関連して二百二十五億の金を出すときに、これまた肥料等を主にする生産資材、これを安くするという意図でもって出した経緯もこれあり、こういう補助政策、特に今後国際価格が安くなってきますと、その安くなった国際価格と国内価格との値開き、これも年ごとにどうも増加するような気がしてならないのであります。 そういう国際、国内価格の調整という意味からも、何か一くふうあってしかるべきじゃないかというふうな気がするのでありますが、そこら辺についてのお考えを、ひとつお聞きしたいと思います。
○池田政府委員 発展途上国につきましては、そういうような奨励的な補助金が出ている例があるように承知しておりますが、英国の場合はちょっと事情が違うわけで、かなり工業の進んだ国としては、比較的珍しい例であると私どもは思っているわけでございます。どうも三割程度の補助に相当する肥料補助金が出ているようでございます。 日本の場合に、価格もだんだん頭打ち的になってむずかしい事態になってきているというようなことから、むしろ資材費の中で大きなウエートを占める肥料等についても、補助を考えたらどうかという御意見のように拝聴したわけでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、私どもは、日本の肥料の価格というものは、世界の諸国に比べて決して高くない、むしろかなり低位にあります。しかも、それが合理化等が進みまして逐次また下がるような方向に、私どもも努力をして、ある程度そうなってきているわけでございます。経営費の中のウエートから見ましても、これはかなり下がってはきておるわけでございます。 そういうような点、それから一方におきましては、これは補助金支出の技術としてもなかなかむずかしい点がございます。確かに二百二十五億につきましては、そういうことを考えて現在内容を検討中でございますが、これは非常に異例中の異例ということを大蔵大臣が言われておりますが、そういうこともございますし、私どもは、なかなかむずかしい問題であるというふうに実は考えておるわけでございます。
○湊委員 以上で終わります。
○三ツ林委員長代理 永井勝次郎君。
○永井委員 ただいま湊委員の質問に対しまして、化学工業局長から肥料の生産コストは正確につかんでおる、こういう発言でありました。その点について質問したいと思います。 かつての肥料は有権的にコストを検査できる、こういう法律のたてまえでありましたときにも、コストは正確につかめなかったのであります。また、最近においては肥料メーカーが、もう硫安だけの原価査定は困難である、またバルクライン方式もむずかしい、こういうことをメーカー自体がいっている。それなのに、化学工業局長はコストを正確につかんでいるんだ、こういう話なんですが、私は、こういう大きな装置設備の中で、その中から肥料も出る、ほかの化学工業のいろいろなものも出てくる、そういたしますと、一体肥料に対して投下資本はどれだけしているのか、あるいは運転資金がどれだけあるのか、あるいはその設備をどういうふうにほかの関係と分けるのかというようなことはなかなかむずかしい、せめては投下資本だけでも明らかにせい、こう言いましても、それもできなかったのであります。 したがって、たとえばコスト計算をずっと見ますと、旭化成なんか見ますと、旭のところの肥料については、非常に宣伝広告費というのが多いのです。どうしてこういうふうに多いのかといって追及をしたら、旭化成では旭味を生産しております。肥料はもうそんなに広告は要らないのです。ところが、その旭化成における広告費の分配を、びんに入った旭味と俵に入った肥料と数量で分配しますから、旭化成で使っている広告費というものは肥料が全部かぶっていく。こういうことになるのでありまして、そういう計算で正確につかんでいるというなら正確につかんでいるかもしれませんけれども、われわれがいままでずっとなにしてきた過程では、コスト計算なんてそんなに簡単につかめるものではない。有権的にやったってわからない。いま両者の話し合いできめるというときに、そんなに正確につかめるものでないし、メーカー自体がそれは困難だ、肥料だけ抜き出してコストを査定することは困難だといっているのに、どういう方法で、どういう方式でそういう正確なコストをおつかみになったか、ひとつお示し願いたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 私、先ほど若干用語が不的確でございましたが、確かにいま永井先生御指摘のとおりに、各企業ごとにつきまして、そういう細部のこまかい点につきましては、非常に微に入り細にわたった明確なるコストへの反映というものは、これは生産品種ごとに若干ずつ違ってまいります。その点、私、正確にと申し上げましたのはそれほど正確でなくて、おおむねその辺のところでひとつ御勘弁が願いたい、こういう意味で申し上げたわけでございますので、その点、私からもう一度事情を釈明させていただきます。
○永井委員 いまのところは、政府みずからがコストを示して価格をきめるのでない、全購連とメーカーとが話し合いできめていく、そこに政府も入ってできるだけ公正なと、こういう非常に幅のある、ゆるやかな取り運びになっておるわけでありますから、その面においてできるだけ需要者の側に立って、そしてこれは独禁法をはずしたわけですから、行政指導でやる以上は、行政指導による不利益が農民にかぶらないようにするという、こういう心がまえでひとつやってもらいたい。われわれは正確に握っているんだという大それた考えでやられては困る、こう思うので、一応申し上げておきます。 そこで、これは大型化が進んでいるわけでありますが、第二次合理化計画が完成します年度末における大型化率は全体の約七二%、こういうことであります。そうすると、やはり大型化されない部分が二八%内外は残る。いまスクラップ・アンド・ビルドをやっておると思うのでありますが、そういう大型化されない部分が残る。その部分は、たとえば硫安でいえば、回収硫安とか副生硫安とかそういう部分として残るのか。どういう形のものが大型化以外のアウトサイダーとして、生産体制はどんな形として残るのか、それを伺いたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 大型化計画は、ただいま先生七二%という御指摘でございましたが、その後また新しく計画を提出いたしてまいったのを若干追加いたしておりますので、おおむね八〇%近く、四十六肥料年度末でなると存じます。 それで、残りました部分の約二十何%というものは、主として塩安の関係、ソーダ関係というものになって残ってまいるのではないか、かように存じます。
○永井委員 私の統計は、これはメーカーのほうからとった資料です。最近持ってきたので、これは間違いないと思う。メーカーのほうから持ってきたのですからね。しかも、現時点というんでなくて、七一年という合理化完成年次のなんですが、どうですか。そういう小さな数字の問題は別として、大体のなには。私はこれはメーカー側からとった資料ですから、間違いないと思うのです。
○後藤政府委員 永井先生のお持ちになります資料の中に、宇部アンモニア関係が入っておりますかどうか存じませんが、最近新しく宇部アンモニアという大型化の関係の計画が出てまいりましたので、それを含めますと八〇%近くなるわけでございます。
○永井委員 これは宇部アンモニアも入っておりますし、それから日本瓦斯化学とアメリカのカリアとの合弁の問題、こういう問題等もみんなこれは入っておるわけです。アラスカ分も入っておるのです。
○後藤政府委員 お答えいたします。 永井先生御指摘の七一・七%でございますか、七一・七%という数字は、おそらく私どものここに持っております、現状の大型化アンモニア能力としての三井東圧、昭電、日産、宇部の六百トン、住友、アラスカ、これを加えた現状に、さらに今後つけ加えまして、おおむねパーデー千トンという三井東圧、三菱化成、日本化成、鹿島アンモニア、旭化成、日本アンモニア、これを累計いたされましたのが七一・七%かと存じます。それで、その点は符合するわけでございますが、これにさらに最近新しく、宇部アンモニアというのがまた三社共同で千三百トン計画、それが加わっておるわけでございます。 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
○永井委員 その点はあとで詰めてまいりましょう。 そこで、この法案が通りましたら、特定肥料として硫安と尿素を加えた政令を出す、政令を改正するということを、先ほど湊委員にお答えになったと思うのですが、これはいつから政令改正をやるのか、同時にやるのかどうか、明確にしてほしいと思います。
○池田政府委員 これは、この法案が成立をいたしまして施行されますときに、同時にそういうふうにいたしたい、可及的すみやかにやりたい、こういうことでございます。
○永井委員 アンモニア、窒素系の肥料が、もうずっと前から、十年くらい前から、だんだんと硫安が減って尿素にかわってきている、あるいは高度化成にかわってきている。こういう趨勢で、まあ硫安というのはだんだん縮んでいくという状況の中で、いままで硫安だけを押えてほかのものを野放しにした。これは対象にしなかった。そして、いまごろになって初めて特定しよう、こういうことは、そこに何か根拠があるのですか。いままで放任してあった根拠について明確にしていただきたい。
○池田政府委員 硫安は歴史も非常に古い肥料でございますし、生産量も非常に従来は多かったわけでございますが、その後逐次尿素がふえてきたわけでございます。用途もほぼ同じ用途でございますし、それから窒素の含有量が違うわけでございますが、硫安をきめていればおのずから尿素の価格というものは、こういう価格であるべきであるという計算が換算してできる、こういうことで、まあしいて尿素までしなくてもいいというような感じがあったと思うわけでありますが、やはり硫安の価格をきめます場合に、当然これは生産面におきまして、同じ会社が硫安をつくり尿素をつくっているという事例が非常に多いわけでございます。生産費を把握いたします場合にも、当然これは関連をいたしてくるわけでございますので、従来も参考的な意味では、これは必ずしも法律に根拠を置くものではございませんが、参考的には尿素の生産費調査もいたしておったわけでございます。 そういうようなことで、やはり生産費を的確に把握するという点からいえば、法律に根拠を持った、しっかりした調査をやることが望ましいということが一方ではございますし、また、現在のように地位が全く逆転をしてきているような状況でございますと、これはむしろウエートの大きいものを別に置いて、ウエートの小さいものを基準にするということも妙な話でございますから、これはやはり両方を対象にすべきであるということで、いろいろ思想統一をいたしました結果、今回そういう線に踏み切ろう、こういう方針を固めたわけでございます。
○永井委員 正しくいえば、もう七、八年前からそうでなければいかぬのに、七、八年ゆっくり考えて、いまようやくそれに踏み切った。おそきに失しますが、やらないよりはいい、こう思うわけであります。 そこで、国内需要優先の法のたてまえでありますが、価格の関係あるいは数量の関係に影響するいろいろなファクターの中で、輸出も一つの条件でありましょう。しかし、また国内の需要の面においても、工業原料として振り向けられる関係が漸次多くなってくる、この関係もウエートが高まってきておる、こう思うのです。肥料はそう伸びない、ほかのものはどんどん輸出も伸びていく、工業関係の原料も伸びていく、こういう中における肥料の価格を、そういうものからできるだけ遮断して、長期安定の価格というものを確立していくということはたいへん必要なことだ、こう思うので、それらに対する配慮はどういうふうに考えておるのか、農林省と通産省と、両局長からひとつ伺いたいと思います。
○池田政府委員 確かに長期安定ということが、安定だけではなしに、むしろ下げていくという方向で安定をはかるということが非常に必要でございまして、私どもはそういうような見地から、やはりそれにはそれなりの裏づけをしないと、逐次いろいろ体制は整備されてはきておりますけれども、そういう裏づけをすることが必要である。そのためには、現在のような法律のやり方というものをもう少し延長することが必要でございまして、はっきりした需要の見通しを立て、その中で内需をどの程度確保するか、それをはっきりした上で輸出の数量をきめていく、こういうシステムをあくまでも貫くことが必要でございます。 その上に立って、これはやはり最も事情に通じております生産業者とそれから流通販売業者との間の話し合いを通じて価格をきめていく。その場合に、政府が必要な資料の提示等を行なう形が一番現状に合った方法ではないか。その価格取りきめをいたす場合にも、でき得るならばなるべく長期の価格取りきめをいたすというような方向で、従来もそういう線で考えており、御指導も申し上げているわけでございますが、なるべく長期間の価格取りきめを行なう、こういうことが必要である、かように考えておるわけでございます。
○永井委員 大型化を進め、そして国内の生産体制としては寡占化が進むわけでありますし、そして行政指導で独禁法をはずしていく、こういう条件でありますが、そこには、先ほど湊委員からも触れられましたように、やはり公正な取引、とにかく自由主義経済という体制の中で一つの企業を正常に発展させるという刺激剤が――こういう特別なワクではなくて、きびしい国際競争をさせるということが原則だ、それが有利だというたてまえになっている以上、特別な、特殊な条件でない限り、これは大いに競争させたほうがいいと思うのであります。ただ、中共その他の貿易関係については、一応交通整理をする必要がある、こう思うのであります。 そこで、大型化をして増産体制が国内にできた、しかしその販路としての対象はこれから伸ばしていく、国内においては工業の分野だ、海外においては輸出だ、こういうことになります。輸出市場は、非常に国際競争が激しくてむずかしい問題であり、不安定ないろいろな条件がありますが、その中でも特に中共は、ことしの成約なんかを見ましてもなかなかむずかしい。ことしだけでなく、毎年むずかしい条件があるわけであります。増産体制ができても、その製品のはけ口の大部分は不安定条件に置かれている。輸出関係なんか、ことにむずかしい中共が、輸出の約半分を占める。あるいは今後は六割も拡大するのではないかと思われる。そういう中共が対象だということになりますと、それに対する不安定ながら一つの展望がなければならないと思うのでありますが、その関係についてひとつ伺いたいと思うのです。これからのコストは、やはり操業率がどのくらいかということが大きく響いてくる問題でありますので、その点をひとつ、不安がないのかどうか伺いたい。
○後藤政府委員 お答えいたします。 大型化の第二次の合理化計画、これが完成いたしました暁におきまして、おおむねその操業率は、最低の場合でも八〇%を下回ることはないというように予定いたしております。 それで、現在の輸出の状況でございますが、確かに趨勢といたしまして、先生御指摘のとおり、輸出の相当高いパーセンテージは中共向けでございますが、現在相対的に見ますると、特に日本が地理的にいい条件を占めております東南アジア諸国、特に発展途上国向けの需要は非常に大きいということでございますので、この上とも私どもといたしましては肥料工業の、国内におきましては大型化、その規模の利益、スケールメリットというものを追求いたしまして、コスト引き下げに努力いたしますと同時に、その生産をふやしました分につきましては、これによって国際競争にうちかって、そうして東南アジアを中心といたしまする発展途上国へ出していくということによって、内外相まって肥料工業の体質改善と申しますか、国際競争力の強化ということに尽くすことが、この法律の本来の趣旨にものっとるゆえんかと考えておる次第でございます。 そこで、輸出市場を大別いたしますと、先ほども湊先生の御質問にお答えいたしましたとおりに、おおむね中共と、それから、主として借款を供与いたしております発展途上国と、さらにその他の市場というように大別できるわけでございますが、特に対中共関係は非常に複雑なる情勢と申しますか、現在この市場で競合いたしまするのは、ヨーロッパのニトレックスの勢力でございます。現在の見通しにおきましては、日本の国際競争力というものが、地理的な有利な条件と相まちまして、決してニトレックスに劣ることはない、かように考えております。 それから、借款を供与いたしておりまする国々、インドネシアでございますとか、パキスタン、セイロン、ああいった国々につきましては、今後ともその借款の内部に経済協力的な見地等を加えまして、この肥料の輸出というものが結びついて出ていくようにいたしたい。 その他の国々につきましては、これは一般のきめこまかい輸出増進の努力によって、この輸出を伸ばしてまいりたい。 かようにいたしまして、生産能力の増強ということと輸出市場の拡大ということをもちまして、肥料工業は十分に国際競争に耐えるようなりっぱなものにしていくということが、今度国内的に振り返ってみまして、本法の主眼の第一にあげられております内需の確保、その低位安定ということにもつながる問題かと考えておる次第でございます。
○永井委員 日本にとってこそ輸出の比率が半分以上、六割にもなっていくという割合でありますけれども、世界の肥料の貿易市場における日本は、大型化完成時の七一年末においてさえ六・数%という割合で、西欧九カ国、アメリカ、東欧各国、こういうところの世界市場における肥料のウエートというものは相当高くなっておるわけでございます。 そういうことからいえば、競争力といっても、これらの強大な国と戦っていかなければなりません。 しかし、有利な立地条件のところがいろいろあろうと思います。ことに、いまスエズ運河の航行がとまっておる。そういうタイミングを十分考えてまいりますならば、もう少し――ただ業界が大型化するのだ、それで競争力を強化するのだということだけは、これは金を投じたり何かすればできますが、商品を売りさばいていく、あるいは国際競争の市場において戦っていくというためには、単にそういう関係だけではない。一つの政治的な関係であるとか、あるいは外交的な面であるとか、あるいは販売努力であるとか、いろいろな要素が加わってこなければいけないと思うのでありますが、いまの日本の肥料を伸ばすとすれば、これはアジア地域、せいぜい行って向こうはインド以上には伸びられないと思うのですが、そういう地域におけるいまの肥料を売り込んでいくという戦略は、どういうふうななにを持っておられるか、ひとつ明確に伺いたいと思います。問題点を項目別でいいです。
○後藤政府委員 お答えいたします。 中国に対しましては、これは先生御指摘のとおりに、諸般の政治的な努力、あるいはまた行政面でのいろいろ業界の指導のしかた、あるいは業界自体の努力といったもののやはり総合的な方法によって、今後も一そう伸ばしていく以外にはない、かように考えております。 それから、その他の借款供与国、これにつきましては需要は十分にあるようでありますので、今後日本の国力の増大――国民総生産におきまして、自由諸国におきまして第二番目というような、こういうふうに国力が強くなってまいりましたのに伴いまして、アジアにおける指導的なと申しますか、先導的な地位に立つ経済的ポジションの日本国として、経済協力的な見地とあわせて、やはり肥料をこの借款の中に組み入れつつ供与して、かたわら輸出市場の開拓につとめていく。さらに、これをきめこまかく申しますならば、いろいろな農業の指導あるいは技術指導というようなものと、やはり肥料の輸出というものと結びつけていく必要はあろうかと存じます。 その他につきましては、これは先ほどもお答え申し上げましたように、新規市場の開拓でございますとか、それからさらに、やはり官民合わせました努力による輸出というものを、きめこまかに、これは他の商品と同じように促進してまいる以外に方法はないかと存じます。
○永井委員 農林大臣にお尋ねをいたします。 何といっても中共は肥料の大きな市場であります。まだまだ拡大できる余地のある地域であります。しかし、いまの取引状況からいえば――取引は経済の問題でありますから、安く、そして大量に、サービスもよく、こういういろいろな経済の領域における競争だけならば、これは十分いろいろな目標が立ちます。戦術が立ちます。こうやってひとつがんばってやろう、こういう目標が立ちますけれども、中共貿易の場合はそれだけではない。経済の競争だけではなくて、政治的要素が非常にたくさん加わってきます。 また、中共と日本との貿易については互恵平等でありますから、日本から肥料を向こうに売ったら、向こうからやはり何かを買わなければいけない。何かを買うという、買い付けるものがだんだん少なくなった。米は要らないという。肉をというと、これは口蹄疫の汚染の心配があるからといって拒否する。こういうふうにして、買うものは買わないし、ほしかったらキャッシュで買いにこい、こういう政治的要素の強い地域に、そういうやり方をやられたら、これは肥料なんかなかなかそっちのほうへは出ていかない、こういうことになるのではないかと思うのであります。 何といっても肥料はこういうふうにして大型化する、増産体制をとっていく、そしてその仕事の領域は重化学工業に傾斜し、そこを引っぱり役として、日本の高度経済成長を遂げようとする段階においては、化学工業は非常に重要な産業である。かれこれ考えますと、もう少し中共等に対する政治的配慮というものが政府によってなされてしかるべきでないか、こう思うのでありますが、それらの問題について政治的にどういうふうな展望を持っておられるか、それから、互恵平等の貿易という領域においてどういうような配慮があるか、これを伺いたいと思います。
○長谷川国務大臣 もう中共とのいろいろな民間取引につきましては、私から申し上げるまでもなく御承知のとおりでありまして、先ほどお話のありました本年度の肉の問題にいたしましても、口蹄疫という病菌のために取引ができないから、その分を船上煮沸していただこうではないかというように、私たちは、別に何らもうこれは政治的の意図を持たずに、十分に納得づくでいけるような方法をもって、いろいろお話を申し上げたのでございましたけれども、この実現はとうとう不可能でございました。したがって、今後互恵の問題をどう持っていくかというと、当然われわれは、民間ベースであろうとも大いに中共との取引は拡大して、そして今後に備えなければ相ならぬというようにも考えております。 国内の硫安工業がだんだん大型化していく、市場は、中共というような関係も現在はありますけれども、これが何年先まで続くかという展望は、なかなか疑問視しなければならない問題が残されていくであろうと考えております。したがって、硫安の製造に対する今後の販売というか、輸出先の拡大等は、さらに他に求めなければならない。 問題はたくさん出てきておるだろうと考えますが、先ほど局長からも、輸出の拡大政策についてはいろいろの答弁があったようでございます。したがって、今後におきましても、中共対わが国との取引は、もう互恵の精神そのままをもって取引を拡大していく考えでございます。
○永井委員 話を変えまして、大型化の前提としてスクラップが進むわけですが、そのスクラップ関係は、これはつぶしてまいりますと、百億近い帳残の問題があって、その金をどうするか、始末をどうするかということが、いま業界では悩みの種だ。これは税制の適用を受けようとすれば、アンモニアがトン当たり二千円からのコスト高になるというので、これに対しては何らかの政治的措置はどうだろう、こういうことがいわれているわけであります。 これには、いろいろ長期資金の問題、あるいは金利に対するいろいろな措置、こういういろいろなことがありましょうけれども、これらに対してどういうふうなお考えを持っておられるか、伺いたいと思います。大型化の前提となる弱小企業のスクラップについて、それの持っているものをつぶしてしまえば、そこで赤字の問題、経営のなにが残る。そういう残ったものの始末を大型化がかぶれば、生産のコスト高になる。そういうものをコスト高にならないように、見合うべき大幅な長期、さらに多額の資金というものが要望されておるという関連を、どういうふうに今後扱われるか、伺いたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 確かに大型化の過程におきまして、スクラップ・アンド・ビルドで、大きいのをつくっていく、片一方において小さいのを廃棄していくという問題が、あわせて並行的に行なわれなければならないわけでございます。 このスクラップしていく分の負担をどうしていくか、こういう問題でございますが、これは、主としてやはり企業努力と相まちまして、スクラップ税制の対象という現在の方向を、さらに強化してまいるという以外にないかと存じます。 それから、さらにまたこれは建設、廃棄、これがあわせ行なわれていくわけでありますので、企業の総合的な力をつけるという意味におきましては、あるいは開銀の融資でございますとか、あるいは北東公庫の融資でございますとか、この分について特別の配慮を加えて、この企業というものを養成、強化の方向に進めなければならないかと考えます。
○永井委員 私は、農民には安い肥料を販売しなければいけない、それからメーカーも赤字を出してはいけない、両者それぞれの領域において努力して、それぞれ国益に寄与する、こういうかまえがなければならぬと思うのでありますが、メーカーのほうは、とにかく二百十五億からの赤字蓄積を持っていた。それを三十一億前後の赤字残にまで、ここ七、八年の間に帳消しができたわけです。そうしてその間には、これだけの売り掛け金については、特別立法によって償却を十年延ばされた、あるいは租税特別措置法によってこれは損金に落とすとか、いろいろな措置が講ぜられた。それから、それらに対しては金融の関係では特融を受けた。もう至れり尽くせりでいま、ずっとやっておるわけですね。そうしてまたこのスクラップ・アンド・ビルド、これはそれぞれの業界においては、当然生存競争の中でやらなければならぬ。それをまたいろいろめんどう見るという、そういうおんば日がさで温室育ちにしますと、何かといえばこっちへくるということになるので、きびしい競争の中でもっときたえていかなければならぬ。 そういうきたえていく基礎がある。いまスエズ運河がとまっておる間に、アジアにおけるわが国の肥料の基盤をここで確立しなければいけない。こういう企業努力とそれに対する政治のバック、そういうものが結んで、単に一企業の利益だけでなくて、もう少したくましい、東南アジアに対する経済戦略というものの上に立った計画と行動がなければならない、こう私は思うのですが、いかがですか。またいろいろなことをやる、何でもやるということでは困るのではないかと思うのですが、どうですか。
○後藤政府委員 お答えいたします。 化学工業全般というものは、やはり世界の国際競争力における位置から申し上げたほうがいいかと存じますが、現在、日本の近代的な化学工業というのは、ここのところ約十年間に、無から出発をいたしまして、そして特に石油化学というものが中心になって、現在、とにかくその生産量におきましては、アメリカに次ぐところの規模までいったわけであります。非常に規模が大きくなりましたが、体質の一番の弱さと申しますのは、何と申しましても技術が借りものであるという点、基礎的な技術につきましては、ほとんどが外国からの導入技術によっております。今後、これは独自の技術というものを進歩させまして、何と申しましても化学工業におきましては技術が命でありますので、それを進めていく。 同時にまた、もう一つ日本の化学工業の持っております特色というのは、現在輸出が重化学工業化したといわれましても、その輸出ウエートにおきまして、いわゆる重工業品、重いもの、かたいもの、たとえば機械、鉄鋼、造船というようなものに比べますると非常にそのウエートが低い。こういう状態で、今後日本の化学工業というものは、見かけだけでなしに体質をしんからじょうぶにするということが非常に必要なわけでございます。 肥料工業もその一環でございますが、さらにまた現在、この法律に明確にうたってございますように、肥料工業は、一番基礎的な、農業の基礎生産資材としての内需の確保といい、その低位安定というもう一つの使命を持っておるわけでございますので、この化学工業全般を、そういった非常に今後のきびしい国際情勢の中で体質を強化し、大型化していくということと、さらにもう一つの、国内的な配慮も十分にあわせ加味しなければならないという肥料の特性から申しまして、もちろん先生御指摘のとおりに、甘やかすと申しますか、過保護になるというような状態は、これは当然避けるべきでございますが、その辺のところがやはり緩急よろしきを得た施策というものが、今後の化学工業、ひいては肥料工業というものを伸展させる上においてたいへん重大なことだ、かように考えております。
○永井委員 私は、日本の化学工業が後発である、そうしてその製品は、国際競争において先進国と争わなければならぬ、したがって、急速に成長し、急速に競争力を強化するため自力では十分でなければ、その企業を健康に育てるためのいろいろな栄養補給というものは必要で、その点はけちけちすべきでないと思う。しかし、そのようにして健康に育ったならば、その果実は国内の農民に、あるいは、これは基幹産業でありますから、それぞれの関連産業への貢献という、一つのしっかりした展望を持って一貫的にやらなければいけないと思う。 従来の肥料産業に対するやり方から見れば、何かていさいをつくるとか――もうここで百億なら百億の金を思い切ってつぎ込めばいい、二百億をつぎ込めばいいというのを、ちびりちびりやってみたり、そうして単に赤字を蓄積さしておいて、どうしたらいいだろう、どうしたらいいだろうと頭をかかえておっても問題の解決にならない。そういうときの決断なりそういうときの展望がないから、これは公共のためにやらなければならぬという決断がないから、そういう遅疑俊巡する。私は、そういうことで、ずいぶんこれは企業の正常な発展を妨げてきておる、こう思うので、やるときはやる。しかし、それは一企業の利益のためにやるのではないのだ、そういう一つの制約と一つの指導があれば断固としてやるべきだ。 ことに、いまスエズ運河がとまっていて、これはたいへん好機である。そういう条件もありますし、中共においては毛沢東と劉少奇との国内における政治的対決というのが、これは農業問題から発展してきている。したがって、毛沢東がやはり国内を安定させるためには、何といっても農業生産を高めていかなければならぬという政治的課題をいま中共は持っておる。したがって、農業生産の増強を即効的に上げるというのには、肥料以外にはない。肥料はのどから手が出るように私はほしいときだと思う。だからといってこっちが大きくかまえていたって、これはなかなか伸びるものでない。そういう一つの情勢をファクターとして、こちらが積極的にそれに臨む経済戦略というものを立てていかなければだめだ。 それには、やはり中共に対しては政治の問題だから――経済の問題で解決できるのなら、これは経済競争でいいですけれども、そうではないのだ。決済の問題一つ考えましても、あるいは互恵平等の問題一つ考えても、あるいは今後における日中の政治的な問題を考えましても、何といったってこの日中貿易は、政治的な背景がもっと融和されてこなければならない、私はこう思うのであります。 きのうあたりの新聞で見ますと、何か愛知外務大臣はアジア地域の外交官を集めて、中共に対しては政経分離、従来の方針を変える必要はない、こういうようなことを言っておるようでありますが、そのようなかまえであっては、私はなかなか明るい条件に打開できないと思う。何も土下座してなにをしなければならぬというような土下座外交とかなんとかいうものでなくたって、もう少し私は国際的な視野に立った目を開かなければ、アメリカのほうばかり向いてアジア外交をやっていたんでは、産業も何も伸びるものじゃない、私はこういうふうに思うのであります。 そういう意味において、私はもう少し肥料等の面については詳しくお尋ねしたいと思ったのですが、美濃君の質問時間もあり時間がございませんから、インドネシアに対するこれからのプラント輸出の問題であるとか、あるいは国内における肥料と原料の問題であるとか、あるいは化学工業の原料のオフガスの問題、ナフサの問題、天然ガスの問題、そういう問題等も若干触れたいと思いましたが、省略をいたします。 最後に、そういう立場において長谷川農林大臣から、外交官を集めた政府のいろいろな話の中では、従来のきびしい政経分離という態度を変える必要はない、そういう一つの進言だということで報道されておるのでありますが、国務大臣としてそういう事柄について知っておる点がありましたらいろいろお話を願いたいし、また、アジアにおけるこれからの緊張を、わざわざ深めていくようなことをする必要はみじんもないのではないかと思うのでありますが、これに対してどう考えるか、最後に締めくくりでひとつ卓見を示してもらいたいと思います。
○長谷川国務大臣 別に卓見もございませんが、いずれにしてもわが国は、ただいま中共に対しましての取引は、政経分離を中心とした取引を行なっておるということは、私が申し上げるまでもございません。 したがって、アジアの中にある中共の問題でございますので、今後大いに融和策をもって、そうしてお互いが、お互いの国の事情をわかり合いつつ、他の国々に対して内政干渉をしてもらわないような方法をもって、取引の拡大をしていくということは大いに希望するものであり、今後われわれはそれをなさなければならない、こういうふうに考えております。
○丹羽委員長 美濃政市君。
○美濃委員 私は、端的に二、三の問題をお尋ねしたいと思います。 第一の問題は、窒素性肥料で年々、私の手元の資料によると、硫安で一トン当たり三ドル、それから硝安ではトン当たり大体二ドル、輸出カルテル競争が高まっていくわけですが、これは肥料工場の大型化とあわせて、こういうものすごいカルテル競争をして、どこまで輸出競争を続けようとするのか。そのことは国内農民に――ことしあたりも明白に言っておりますけれども、あらゆる農産物の生産パリティだけは上げない。片や、これは肥料だけではないと思うのですが、聞くところによると、テレビとかあらゆるものに輸出カルテルというものが国際間に激化してきているようですね。こういうことをすると、口では国内農業生産を確保するとか、あるいは自給力を保つのだとかいうけれども、実際農民は高い肥料を使わされるわけですね。 四十三年度はまだ出ておりませんが、四十二年度において、硫安一トン当たり国内価格と輸出価格の差は十四ドルですよ。具体的にいうならば、国内価格はトン当たり四十八ドル三十八ですね。輸出は三十四ドル三十四ですよ。その差は十四ドルですね。こういう不正常な問題をどういうふうに処理しようとしておるのですか。輸出もけっこうですけれども、輸出が悪いとは私は言いませんけれども、こういうものすごいカルテル競争が激化していく。一番高いのはフランスと西ドイツのようであります。この資料は大体私は間違いないと思っているのですが、硝安で、西ドイツの国内価格と輸出価格の差が、四十一年において四十ドル五十三です。四十二年度はまだ手元に資料がありません。尿素におけるフランスの輸出価格と国内価格の差が三十四ドル六十三です。これが年年激化してくるわけですね。これも競争しようと考えておるのか、ほどほどに考えておるのか、どういうことなんでしょうか。
○後藤政府委員 お答えいたします。 確かに御指摘のとおり、これは特に肥料だけではございませんが、世界的な生産能力の向上というものが出てまいりますと、おのずから輸出競争というものは激化されてまいります。 これに対抗いたします手段といたしましては、何よりもまず、これはそのときそのときの流動的な相対的な情勢によるわけでございまするが、相対的なやはり価格の引き下げという問題、あるいはまた国内的に体制を固める、いわゆるそれが法的には輸出カルテルの形をとって、外国と対抗するという形をとってまいるわけでございます。 そこで、確かに先生御指摘のとおりに、現在におきまして硫安、尿素ともに、国内価格よりも輸出価格のほうが、日本の場合におきましても下回っておることは事実でございます。しかしながら、ただいま先生が特にお示しになりましたように、ベルギー、フランス、イタリア、イギリス、西独等々の各国の状況と比較いたしましても、いずれも国内価格と輸出価格との間には差があるわけでございまして、現在それを個別的に硫安、尿素を並べてみましても、むしろ日本の輸出価格は、他の国に比べて特に安いということはないわけでございます。 また、国内価格の点につきましても、現在需要者農民に供給されております硫安、尿素を主といたしまする肥料も、諸外国に比べましてこれは決して高いのではなしに、むしろ一番これが低位にあるという状態でございます。これは申し上げるまでもございませんが、輸出価格と申しますのは、これは新法下におきまして、国内価格と違いまして、そのときどきの情勢によって、やはり相手方の出方を見ながらきまっていくわけでございますので、おのずから波動はあるかと存じまするが、現状においてはいまの状態でやむを得ない、かように考えております。
○美濃委員 大臣にお尋ねしますが、これは農政との競合が起きてくるわけですが、これはどうお考えになりますか。 それからもう一つ、たとえば先ほど永井委員も指摘しておりましたが、窒素性肥料の販売は、輸出が五三・六%で内需より多いわけですね。そこで、非常に多くの肥料を輸出しますと、これは内需にかぶる影響は大きいわけですね、国内で使うよりも輸出が多いのですから。これは農民にしてはかなわぬと思う。 と申しますのは、このはね返りを西欧諸国は巧みに避けておりますよ。中国の輸入は、いま一番肥料が多いのですが、中国はいま綿の生産が六百五十万トン、その国内農産物と競合しないものを西欧は買い付けてやっておりますが、日本は中国から綿は買っていないでしょう。そうすると、そういうダンピングをして――ダンピングといいますか、ものすごいカルテル価格で肥料を売って、それで買うものは国内農産物と競合するものを買い付けるという、こういうへたな輸出を日本はやっておると私は思うのです。西欧諸国は巧みに中国にかなりの肥料を輸出しております、日本と競争して。中国は一億二千万ヘクタールですか、蒙古開発でかなりの広い面積です。ですから、ものすごい肥料を使います。それに競争して売り込んでおるわけですから、綿を買っておるわけですよ。自国の農産物と競合しないものを、しかも相当要るものを買っております。六百五十万トンの綿の生産ですから、西欧、EECの綿は中国綿だと私は見ているのです。これは調査をしておるのです。 ところが、日本はそうなってない。こういういわゆるカルテル価格で国内価格を高くして、そうして安く売っている。この安い肥料でつくった穀物類、いわゆる米を二十万トン買うとか、買わなければ取引が成立しないとか、とにかく国内農業と競合するものを日本は買っておるわけです。これは非常に国内農業の、いわゆる最近総合農政、総合農政といいますけれども、国内農政とは相矛盾する輸出政策だと私は思うのです。輸出が悪いというのじゃないのですよ。しかし、西欧諸国は巧みにかわしてやっておるわけですね。競合しないものを中国に要求して、それを買い付けておるということです。これはどういうふうに農林大臣はお考えになりますか。こういう問題はこういうことでいいのかどうか。
○長谷川国務大臣 先ほどからもいろいろお話がございましたように、なぜ硫安工場というもの、尿素工場というものが大型化していくか、何でもないのです。これはコストをいかに引き下げるか、国際価格に匹敵し、国際競争にいかに勝ち抜くか、こういうことであって、逆に、日本の内需価格というものをいかに引き下げていくかという問題なんです。これは輸出が多くなるから、逆に内需にそれがかぶらせられるのだという皆さんのおっしゃりようですが、それはたいへん大きな間違いで、逆であることだけはこれははっきりしているのですから、お間違えないように考えてもらわなければなりません。大型化していくに従って生産費コストが下がる、そして内需の価格を引き下げ、そして輸出という国際競争にうちかっていこう、こういうことでございますから、その点だけはお間違えにならないように……。日本の農民がこれをかぶるなんという考え方を持ったら全くの大きな間違いですから、議員さんとしてそういうことは困ります。ほんとうにどうかひとつそういうお間違いのないように御了承賜わりたい。 また輸入、輸出の面につきましては、中共とのお話でございますが、わが国におきましても、なるべくわが国に競合しないものを持ってくる、また、わが国で生産しても生産に引き合わないものを持ってくる、こういうようなやり方をしておるのでございまして、西欧諸国とわが国と中共との国民生活という、その実態というものに相違がある。ヨーロッパ諸国の国民生活の実態、中共対わが国の国民の生活の同様性、同一性、こういうような点にも大きな相違のあることを、ひとつ御了承賜わらなければならないと思うのでございます。したがって、今後の政策がどうかとおっしゃるのでございますから、今後におきましても、日本国内において生産して引き合わないものでなければ、わが国は輸入をするというようなことはしておらないのでございまして、そういうような点に重点を置いて、今後も取引を行なってまいりたいと思うのでございます。
○美濃委員 しかし、現在これだけの価格差がある。そうすると、これはどういうふうにしてやっておるのですか。この価格差は国が補給金でも出しておるのですか。将来の大型化は別といたしまして、現在国内価格に、これだけの輸出カルテルがはね返っていないということは、私はあり得ないと思うのですがね。はね返らぬのでしたら、どこで収支の採算をとるのですか。輸出と国内価格とにこれだけの差があって、どこで調整をとっておるのですか。これは政府が見ておるのですか、補給金で。どうなんですか。
○長谷川国務大臣 ですから各国の内需、国内に肥料を供給するその価格を見てもおわかりのように、世界各国を見て、わが国の肥料販売価格がいかに安いかということがわかると思う。したがって、価格の構成は、これはただ政府がきめるのではなくて、買ってくださる、その販売の大半を占める全購連、生産者相寄りまして、そこで初めて妥当性というものを見出しまして、これが国内の販売価格に最も妥当であるという価格を見出しまして、そして国内販売をやっておるわけでございますから、輸出が拡大されていくから、それが内需にかぶるなんということは間違ってもない。輸出が拡大されをことによって内需という国内の販売価格がますます安くなっていく、こういうことだけは御了承賜わりたいと思うのでございます。
○美濃委員 時間の関係で、あまりここを並行線で何回もやっておれませんが、しかしそれは詭弁ですよ、大臣。いいですか四十二年で、硫安が内需はトン当たり四十八ドル三十八ですよ。輸出が三十四ドル三十四ですよ。これだけのカルテルを内需の価格にかぶせないで、企業採算がとれるなどというのはおかしいです。それはほんとうにそう言うなら、私は、この問題はとことんまで調査しますよ。かぶっておると言うなら話はわかるけれども、かぶっておるんだから何とかせなけりゃと言うなら話はわかるけれども、かぶってないと言ったって、現実にそんなことでどうして肥料会社の収支がとれるのですか。これだけの価格の差で……。
○長谷川国務大臣 詳細にわたって、局長から答弁させます。
○後藤政府委員 お答えいたします。 先ほどもお答えいたしましたとおりに、輸出価格と国内価格というのは、あらゆる物資を通じまして、大体国内価格よりも国際価格、輸出価格のほうが安いというのが、一般物資のこれは通例である、かように考えます。 肥料につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、諸外国の例に比較いたしますと、日本の国内価格は、他のすべての各先進肥料生産国に比べまして最も安く、輸出価格におきましては、これは一番高位にある、高い、こういう状態でございます。 確かに先生御指摘のとおりに、国内価格と国際価格というもの、特に肥料の場合につきましても、その間に差があることは確かでございますが、先ほど農林大臣からもお話ございましたとおり、化学工業、特に典型的な肥料工業というものにおきましては、規模を大きくするということがコストを下げることにつながり、コストを下げるということが、これは輸出向け、国内向けを通じまして、やはり価格を低位に引き下げるということにつながってくるわけでございます。したがいまして、肥料工業全般といたしまして大型化、合理化をいたしまして、そうして企業の体質を強くするということが、輸出競争力を強くし、ひいては国内的にはやはり農民、需要者側に安い肥料を供給するということにつながってくる問題かと存じます。 したがいまして、現状におきまして、確かに先生御指摘のとおりに、国内、国際の輸出価格に差のあることば確かでございますが、諸外国ほどはなはだしくはございませんし、また、特に輸出価格と申しますものは、これはどうしてもそのときそのときの情勢に応じまして、相手側あるいは並立する競争者側との相対的な関係に立ってまいりますので、決してダンピングその他とかそういう問題ではございませんので、御了承願いたいと存じます。
○美濃委員 どうも答弁をそらすのですね。私は企業採算の中で、どういう価格調整でこういう価格形成ができるかということを聞いておる。高安については言っておりません。現実にあるのですよ。私も指摘しておる。したがって、国内価格と輸出価格の差も、私は諸外国より高いと言っておるのではないのですよ。一番高いのはフランス、西ドイツです。各国がこういうふうにやっておる。こういう不自然なものとどこまで競争していくのか、限度があると思うのですよ。いつでも農産物の価格を論ずるとき、価格だけではだめだと農林大臣、あなた言うでしょう。カルテルも限度があるんだから、こんなことを無限大にやっていていいと考えておるのですか。たとえば、フランスが四十ドル出血して輸出してくれば、それにどこまでも対応するんだ。これは合理化だけでは間に合わぬのじゃないですか。 将来の展望も、大型化すれば安くなるというのは、企業の原則として私は理解します。しかし、大型化をやったその工場が、大まかな償却ができて、そして償却によって借り入れ金が払われて、利子負担等が軽減されるまでの五年か六年という時期というものは、そんなにコストが下がるものじゃありません。古い工場の帳残を償却して、そして新しい工場の金利を払って、大型化したからといってそんなに短年度に顕著に出ないです。そんな企業は見たことがないですよ。しかし、五年、十年たてば、それは大型化したものが将来は間に合う。だから、私は大型化は悪いと言っているのじゃないのですよ。大型化することはしてもらわなければならぬ。それはそれでいいのですが、日本が大型化しても、西欧諸国も大型化する。大型化して、結局年々硫安においては大体三ドル、尿素において二ドル、カルテルがこの価格を下げている。特に、御指摘になったように、国内価格については、輸出価格の安い国ほど、特に尿素あたりは高いですね。日本は四十一年価格がトン当たり九十四ドル九十二で、西ドイツが百二十四ドルです。こういう点も資料はそろっておるのですよ。 しかし、こういうことをどこまでの限度でやるのか、無限大でやるのか。よく農林大臣言うように、農産物価格も、価格対策だけではだめだと言うのだが、カルテル輸出にも限度があると思うのですよ。こういう競争だけにうつつを抜かして、国内の農民、需要者はどうなってもいいというのか、どうなんですかという限度を開いておるのです。
○長谷川国務大臣 先ほどお話し申し上げましたように、それでは輸出価格というものを引き上げるか、国内価格をそのままに置いていこうというような考え方になってまいりますと、キャパシティを縮めていきさえすれば、生産費も高くなるし、結局外国への輸出も不可能になってくるのですから、キャパシティを縮めていくというか、たとえば、いままで千トンの計画がある、それを五百トンにする、さらにまた三百トンにする。大体三百トン生産と五百トン生産というものの電力の使い方というものは、同じくらいのわけでございます。私はしろうとでよくわかりませんけれども、そういうような上に立ってやりますと、キャパシティを大きくしていくということは、生産コストを引き下げていくのにはどうしてもそうしなければならない。しかしながら、いまあなたのおっしゃるように、輸出価格が安くなったじゃないか、だからこれをかぶせているんだということ、これだけはひとつ御理解賜わらなければならないので、決して輸出価格が安くなったから、それを国内の需要者にかぶせているんだという方法はとっておらない。国内需要というものの価格を引き下げよというのには、どうしてもそういうふうなやり方をしていかなければ、下げることができないわけでございます。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 これは、私もしろうとなんですけれども、かつてそういうようなものについて皆さんと同じ意見を持った。十七、八年前の話ですけれども、そういうようなことをやったときに、そういうデータが出まして、実際に行ってみてそういうようなことを痛感したことがあるから私は申し上げるのでございまして、私ども、きょうここに来るからといってそういう話を聞いたわけでもございませんで、自分が研究したというか、そういう皆さんと同じ意見を持った。もっとはなはだしかったときがある。輸出価格が非常に安くて、国内価格がもっと高かったときもあります。そういうようなアンバランスというか、そういうようなばかなことはないじゃないかという考え方で行って、生産過程をだんだんと探っていってみると、そういうようなことを私は見出したこともあるわけでございます。言いわけするのでも何でもございませんので、申し上げたように、非常に不合理なようには感じられますけれども、国内の需給価格というものを安くしようというのには、どうしてもそういうような方法をとっていかなければ、これはかっこうは同じことなんですけれども、こういうような電気をもととした工業というものは、価格の引き下げはそうでなければできない、私はそういうふうに考えております。 しかし、せっかくの御意見でございます。これらに対して、今後国の予算内においてどうするかという問題は、別途考える必要があるだろう、このように考えます。
○美濃委員 時間の関係で、これが一番私は大きな問題だと考えたのですが、以上で質問は終わります。特にいま質問申し上げていることは、肥料の価格体系の問題でありまして、法案の中身とは直接関係はございませんから以上でやめますが、一点だけ農林大臣に申し上げておきます。 私は、何としてもこれだけ価格差が出た、肥料企業がこれだけ輸出価格と国内価格の価格差を起こしておいて、国内価格と輸出価格との間で企業収支の調整をとっていないんだ、国内価格は安いんだ、輸出価格は別なんだ、これはいただけません。何べん言われてもきょうの場合私はそれでは納得できませんから、いずれあらためて伺いますが、私は、きょうの大臣の答弁は――これは私の感覚ですからお許しをいただきたいと思うけれども、それがほんとうにそう思っておるのだったら、もう一ぺん、大臣自身もしろうとなどと言わないで、価格形成かどうなのか、輸出を含めた肥料全体の製造原価がどうで、それ々外国に国内と同じ価格に売るという平均化して売った場合には、国内価格はどうなるという計算をしてみてください。国がこれだけの価格差を補給でもしているというのなら別だけれども、企業採算収支の中でこれだけの輸出カルテルを行なって、国内価格にかぶっていないんだというものの考え方は、きょうの場合は、私はすなおにそうですかと聞くわけにいきません。ですから、これはひとつよく検討して、こういう仕組みになっているものをきょう結着をつけるというわけにもいかぬですが、こういう体系でいいのかどうかということは、私どもは、やはり政治の問題として真剣に検討しなければいけないと思うのです。 意見を付しまして、きょうは終わります。
○三ツ林委員長代理 稲富稜人君。
○稲富委員 すでにほかの委員から質問もありましたので、いささか別な角度から同じ問題について、二、三質問いたしたいと思います。時間もありませんので、簡略にお尋ねいたします。 最初にお尋ねいたしたいと思いますことは、二十九年に肥料二法が国会を通りまして制定されましたときに、五カ年間という時限立法であった。それが三十四年にさらに五カ年間延長され、今度はまた新法によって五カ年間という時限立法とされて、それをまた五カ年間延長される。どうも五カ年、五カ年というもので常に区切られておる。何がために五カ年、五カ年というように時限立法として区切るのか。これはやはり肥料政策に対する見通しが誤っておるのではないか、足らないのではないか。何がためにその五カ年間という年限を切られるのであるか。さっきもお話があったように、何がために恒久的なものにすることを考えられないのか。この点を簡略にお答え願いたいと思います。
○池田政府委員 この法律の内容は、御存じのとおりでありますから、申し上げるまでもありませんが、この法律がとっております内容というのは、たとえば輸出に対するカルテルの形、それから価格取りきめの形というのは、一般の取引方法から見れば、やはり特殊な取り扱いのものでございます。でございますから、それはそういう必要があって、はじめて認められるという性格のものであると私どもは理解をしておるわけでございます。 それが、未来永劫そういう形が認められるかどうか。未来永劫というのは、ちょっとことばが適切でございませんが、相当長期にわたってそういう制度をとらなければならないかどうかということは、これはにわかにはきめられないわけでございます。そういうようなことから、現状の置かれている条件を考えまして、まずそれが妥当するというふうに考えられる期間の、いわばめどを一応とるということが、私どもの考え方であるわけでございます。そういう点から、五カ年延長ということを御提案申し上げている次第でございます。
○稲富委員 それでは五カ年後の見通しは、どういう見通しをされておりますか。今回五カ年延長されれば、五カ年後の見通しは……。
○池田政府委員 肥料の生産面におきましては、大型化計画がさらに進捗をいたしまして、生産量が大幅に伸びる。それから内需面では、これは三%程度の伸びというのは、そう変わらないであろうという感じを持っておるわけであります。 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 問題は、輸出関係が非常に不明確な要素が多いわけでございますが、私どもは、やはり輸出量を大幅にふやしていかないと、先ほどいろいろ御議論のありました点にも関係をいたすわけで、国内の価格の安定という点からも必要であろう、こういう感じを持っておるわけでありまして、現在の状況が非常に大幅に変わるとも考えておらないわけでございますけれども、にわかに五年先の状況を断定するわけにもいかないのではなかろうかということで、とりあえず五カ年間の延長ということで、御提案申し上げておるわけでございます。
○稲富委員 あまり時間が長くかかりますので、次に入ります。 最近におきまするこのアンモニア系の窒素肥料の需給関係を見ますと、非常に輸出がふえているという実情で、これはどちらかというと、先刻もお話があったようでありますが、むしろ輸出産業としての伸びが非常に顕著なものがあると私は思うのであります。ところが、これが一つの輸出産業的な傾向になりますと、これは国際市場における価格というものが非常に影響を及ぼして、その結果、この国際場裏で輸出価格を争わなければいけない、こういう問題が起こってくると思うのであります。 私たちが今日の国際価格を見ましても、この内容を見ると、日本の価格のほうがよそのよりも高い。はたしてこういうような状態で、将来国際的な一つの肥料産業というものが伸びる見通しがあるのであるか。そうとするならば、国際市場におきまする価格というものがもっと低下して国際場裏に進出し得るような、こういうような方途をまた講じなければいけないのではないか、こういう点をわれわれは考えるわけでございますが、この点はいかがでございますか。
○後藤政府委員 お答えいたします。 確かに肥料工業は、輸出産業としての性格を今後とも強くしてまいる。また、その性格が強く出てこない限り、この法律の主眼といたします内需面に対するよき効果というものも、期待できないという状態にあるかと存じます。 そこで現在、先生御指摘になりました、他の輸出国に比べまして日本の輸出価格が一指高いというのは、これはもっぱら日本の地理的な条件というものが大きく幸いしておるかと存じます。御承知のとおり、現在肥料生産国で輸出余力を持っておりますのは、これはヨーロッパにおきまするニトレックス、これがかつては中共にダンピング攻勢をかけましたし、あるいは東南ア市場等にさらに進出しようということで、日本と競合関係に立って、現在もまた立っておるわけでございますが、これにつきましては、地理的条件、フレートの問題が、特にこういう肥料のようなバルキーカーゴーにつきましては効果的に働く。そういう意味で、日本は有利な立場に立つ、かように考えておる次第でございます。
○稲富委員 肥料産業というものの設備というものが、従来日本から輸出しておったところでも、あるいはその他の国においても、非常に機械が優秀になってくる。現に、御承知のとおり韓国におきましても、肥料産業というものが非常に優秀な設備によって経営をされようとしておるという状態であります。 こういう点から考えるときに、日本の肥料産業というものの生産あるいはそのコスト等を十分考えなければ、国際場裏においては争えないような状態になるのではないかということを考える場合に、肥料産業というものを国際的な産業としてひとつ伸ばそうという場合に、現在の状態でいいのであるかどうかということは、考えなくてはいけないと私は思うのですが、これに対してはどういうふうな指導なり、どういうような国としての考えを持っておられるか、この点を承りたいと思うのです。
○後藤政府委員 お答えいたします。 御指摘のとおりに、韓国あるいはまた台湾におきまして、これは総体としての潜在需要の比較的少ないという点もございますが、日本にとりましての輸出市場としての魅力と申しますか、さらにこれが伸びていくという状態は、これは今後期待できないかと存じます。しかしながら、現在日本の周辺を見回しまして、たとえばインドネシア、パキスタン、セイロンあるいはまたインド等、非常に膨大な潜在需要を持っておりまして、なかなか肥料工業というものも大規模な化学工業でございますので、一朝にして国内需給をまかなうというような生産能力ができてくるとは考えられません。 したがいまして、現在私ども計画いたしております昭和四十六肥料年度末の大型化計画、引き続きましてそれに続く相当期間というものは、まだまだ現在の方向を伸ばしていって、日本としては輸出市場に事欠かない。しかしながら、その際には官民合わせまして、業界の努力もさることながら、政府の適切なる指導によりまして、輸出市場を十分に確保するという、きめこまかい施策が必要かと存じます。
○稲富委員 そうしますと、やはり国際市場において、日本の肥料がもっと低価格になることもあわせて考えられ、また、そういう傾向にいくんだということも予想されるのだと思いますが、いかがでございますか。
○後藤政府委員 これは化学製品全般についての傾向でございますが、この傾向といたしましては、規模を大型化する、それによってコストを下げる、それで輸出価格並びに国内価格ともにその価格というものを下げていく、コストの低下というものがそちらへはね返っていくというのが通例でございます。したがいまして、肥料におきましてもやはりその特例ではない。したがいまして、今後とも国内価格並びに輸出価格、もちろん輸出価格を下げるということは、これは国際競争力に直結するわけでございますが、こういう方向に日本の肥料工業は進むと存じます。 しかしながら、これはやはりどこまでも、それならば無限にそうなっていくかということではございませんで、たとえば、タンカー等の例につきましてもそうでございますが、むやみに大きくするだけじゃなしに、二十万トンタンカーというものがいま大体普通になっておりますが、三万トン、五万トン、十万トン、二十万トンと累増いたしておりますが、これが五十万トン、百万トンになっていくということはございません。現在、私どもの承知いたしております範囲におきましては、やはり一日千トンというアンモニアの製造能力、このキャパシティあたりが、大体現在時点において見通せる最高の限度ではないか。 したがいまして、私どもと申しますか、日本が考えております大型化計画の最終年度でございます四十六年度末を想定いたしましても、大体それに向かって、千トン前後のところで各国とも進んでおるわけでございます。将来もこの程度のところが――もう情勢はどんどん変わりますし、技術は日進月歩いたしますので、変わってくるかと存じますが、現在の時点におきます見通しといたしましては、やはり千トンから千五百トンというところの大型化計画というものが最適な規模であろうか、かように考えております。
○稲富委員 それで、私どもが憂慮いたします点は、これは先刻美濃委員から質問いたしておったのでございますが、輸出産業としての肥料が国際市場において、やむなく安い価格で競争しなければできないことになってくる。 そうすると、それによって生じまする、かつていわゆる出血輸出といわれたこれが、日本の国内肥料にはね返ってはこないか、国際場裏で安い価格で争わなければできないことが、逆に国内の内需の面において、農民にその負担がかかりはせぬかという点が一番憂慮される点で、この点が先刻からも議論になったところであろうと思います。われわれが一番憂慮するのもそこなんです。この内需の方面においては、十分品物としては量は保たれるだろうが、価格にはね返りがある。この点に対しては、そういうことはないとおっしゃっているのでございますが、どういうような結果になるのであるか、この点をひとつ納得のいくように、まず御説明願いたいと思うのです。
○後藤政府委員 お答えいたします。 現在におきまして、国内価格と輸出価格との間に差が若干あることは御高承のとおりでございます。それで将来、この大型化、合理化、こういうものが価格にはね返ってまいりまして、そして輸出価格、国内価格ともに下がっていく形になっていくということは確かだと思います。 しかし、やはりこれは無限ということはございませんで、やはりある程度限界があるのではないか。輸出価格におきまして非常に熾烈なる競争が行なわれるということは、今後も環境のシビアーなことは、私ども予想しなければならないのでありますが、たとえば、中共に対する日本の競争相手でありますニトレックスにおきましても、私どものいろいろ情報を得ておりますところによりますと、やはり価格というものは、これ以上もう下げにくいというような情勢になっておるように承知いたしております。したがいまして、おのずからそれはある程度限界がある。国際競争というものはほとんど進んで、幾らでも下がっていくという性質のものではない。規模の拡大、合理化にもおのずから限度がございますし、それから輸出競争の価格面における彼我の競争というものも、やはりおのずから限度があるわけでございます。 最も妥当な現在の線としましては、現在の計画を推進いたしまして、そして従来効果をあげてまいりましたように、国内価格におきましても、やはり年々の低下ということを強く推進いたしてまいりたい、かように考えております。
○稲富委員 農林大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、要は、わが国の農産物の価格というものが、やはり生産コストを下げるということは非常に必要であると思う。それがためには、当然起こってくるのは、やはり肥料の価格が下がるということが最も必要なことで、農民が一番不安に思うのは、肥料の内需価格というものが、はたしてどれだけ下がるだろうかということです。 これに対して、積極的に農林省としては、この内需の肥料価格が下がるような方途をとる必要があると思うのでございますが、これに対しては、農林省としてどういうふうな措置をとろうというお考えがあるか、承りたい。
○長谷川国務大臣 今後の農業に対する一番重要な問題だと思うのでございまして、私たちも生産資材である、その中で最もウエートを置くその肥料という面につきましては、つとめて今後はそういう面に重点を置いて、そして価格の引き下げとか、あるいはこの肥料措置をいかに国が行なうかというような点等あわせ考えて、そして今後の生産政策に当たらなければ相ならないだろう、こういうふうな考え方を持って進むつもりでございます。 これらの問題も、近いうちにいろいろの議を経て、問題がだんだんと煮詰まってくるだろうと思いますけれども、御指摘の点は十分頭の中に入れて、今後の措置を考えてまいりたい、こう思います。
○稲富委員 時間がありませんので、いろいろ問題はありますけれども進みますが、問題は、いま大臣も相当の決意をもって、内需の肥料価格が上がらないような、下がるような方途をとるというようなお考えでございますが、少なくとも肥料が輸出産業として非常に伸びる、それは非常にけっこうなことなんです。しかし、それがかりそめにも国内需給の肥料価格に影響しないような、かえって安くなるようなことが、あわせて計画をされなければいけないと思うのでございますが、これに対しては、ひとつ農林大臣として特に御配慮、御努力願いたいと思うのでございます。 さらに私がお尋ねしたいと思いますことは、最近運輸省は、通運におきまして、通運料金の改正の基本方針を固めたということを発表いたしております。これによりますと、改正通運料金は、業界が申請している四十二年度通運全収入の二九・三%の引き上げを認めた場合は、値上げ率は現行通運料金の平均八〇%にも達し、物価への影響が大きいので、平均五〇%下回る方向で改正するというのが運輸省の方針のように承るのでございます。 しかしながら、この通運料金を値上げすれば、これは肥料の価格等に影響することは当然でございます。これほど重大な問題にもかかわらず、運輸省では物価対策閣僚協議会にははかる必要はないのだ、こういうことのもとに、運輸省はただいま通運料金の値上げをやろうというような計画のようでございますが、これは非常に重大な問題でございます。少なくともこういうような通運料金の値上げは、これは肥料だけではありません、当然物価に影響するものでございますから、農林大臣としても十分関心を持って対処してもらう必要があると思うのでございます。これに対するひとつ考えを承りたいと思うのでございます。
○池田政府委員 私、大臣の御答弁の前に現状をちょっと御説明申し上げたいと思いますが、確かに肥料の国内価格の低位安定ということをはかる上で、そういう流通関係の経費というものは、非常に大きな意味を持っているわけでございます。生産業者の販売価格あるいは卸売り業者の価格、さらに小売り業者の価格とあるわけでございますが、最近の傾向を見ますと、若干小売り関係の流通経費がふえてきている傾向がございます。 そこで、いまお話しのような通運料金の問題でございますが、これは私どもも、その内容の詳細は存じておらないのでありますが、いま御指摘になりましたような申請が出されておるというふうに私どもも承知をいたしております。もしかりに、そういうようなままで実施されたというふうなことで計算をいたしますと、硫安一袋当たりで見ますと大体十円ぐらいの値上がりになる可能性がございます。かりに五〇%の値上がりということになりますと、八円ぐらいの値上がりになり、大体一%前後の値上がりでございます。 そういうことでございますので、私どもは、やはり極力肥料の価格の安定をはかるという趣旨から、若干の値上げはやむを得ないにいたしましても、最小限度にとどめていただきたい、こういう考え方を持っているわけでございます。現在は、関係業者間でいろいろ話し合いが行なわれているようでございまして、私どもはそういう結果が妥当なものに落ちつくことを期待している現状でございます。
○稲富委員 大臣、ただいまお聞きになったとおりでございますが、運輸省としては物価対策閣僚協議会にもはからないで、それを進めていこうというような心組みがあるやにも新聞は報道しております。そういうことは、やはり農林大臣としても黙っておられる問題ではないと思うのでございますから、こういうことに対して、運輸省がそういう考えを持っておるとするならば、これはひとつ農林大臣としても、物価に及ぼす影響が大きいのだから、つんぼさじきに置かれないような態度で臨んでいただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
○長谷川国務大臣 各個々の業者間でのいろいろな話し合いは進むにいたしましても、御承知のように農林物資の輸送につきましては、従来から二年ごとに切りかえまして、そして運賃の据え置きをやってきておるわけでございます。これらもよって来る原因、そういうものは物価対策にあるわけでございますので、今後これらの運賃の問題に対しましては、十分に折衝もいたしますし、抜き打ちを食わせられないように用意をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
○稲富委員 最後に、一音お尋ねしたいと思います。 かつて硫安輸出株式会社が非常に赤字を持っておった。これは、御承知のようにたな上げになっております。その後この硫安輸出株式会社が持っておりました赤字は、いかなる状態に置かれておるのであるか、この点をこの際承りたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 肥料二法時代に、三十七年十二月まで累積されました輸出赤字というものは、二百十五億円でございました。これは、その後二十八年一月以降の措置によりまして、一部を各メーカーの引き当て金によって償却いたしまして、残額の百七十九億円につきましては、御高承のとおり、昭和三十八年六月に公布施行されました輸出硫安売掛金経理臨時措置法によりまして、各メーカーごとに十年間の繰り延べ償却をいたしてまいったわけでございます。現在におきまして、すでにそのうち百四十八億円が償却済みになりまして、現状におきまして、約三十一億円の残が残っておる現状でございます。
○稲富委員 この償却は、肥料価格に影響を及ぼしているようなことはありませんか。この点どういうふうな解釈をしていらっしゃるのか。
○後藤政府委員 肥料価格には影響いたしておりません。
○稲富委員 それでは私の質問を終わりますが、ただいま申しましたように、肥料の価格安定の問題に対しては、今後農林省といたしましても真剣に取り組んで、少なくとも農民の生産費を下げるような方途に進むことが、今後の農政確立の上に必要だと思いますので、十分ひとつ農林大臣としても対処せられんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○丹羽委員長 斎藤実君。
○斎藤(実)委員 本法は、三十九年に旧肥料二法を廃止されて、内需の確保、あるいは価格の安定、輸出体制の一元化というふうな目的で制定されたわけでありますが、この五カ年相当肥料事情というものもやはり変化をしてきております。 したがって、この法律が、私が先ほど申し上げましたような目的にどういうように対応されてきたか、農林省並びに通産省にまず見解を伺いたいと思います。
○池田政府委員 私どもは、この法律の運用によりまして、かなりの成果をあげたというふうに理解をしておるわけでございます。 具体的に申し上げますと、この対象になっております硫安価格につきましては、五年間に六十円、八%程度の引き下げが行なわれたわけでございまして、肥料の価格の低位安定ということに、非常な寄与をしたというふうに実は考えておるわけでございます。 なお、輸出等の面でございますが、これはその間非常に生産量がふえまして、また輸出量も非常に増加をしたわけでございまして、そのことが輸出の振興、あるいは肥料工業の健全な発展、あるいは内需の価格にも非常にいい影響を及ぼしたと私どもは考えておるわけでございます。
○後藤政府委員 お答えいたします。 通産省といたしましても、やはり肥料工業サイドにたいへんいい効果を及ぼした、かように考えております。 第一に、価格についての長期協定が行なわれますために、肥料工業の合理化の目標をはっきり立てることができたということ、第二番目に、需給見通しの策定によりまして、長期の合理化計画による構造改善が円滑に遂行して今日に至ったということ、第三に、輸出の一元化体制がとられたことによりまして、国際競争場裏における輸出競争に耐え得る比較的有利な地位が保てた、また、国内サイドにおいては過当競争というものを避けることができた、この三点に要約できるかと存じます。
○斎藤(実)委員 いま五年間で六十円の値下げが行なわれたという答弁でございました。しかし、輸出価格については、四十一年の中共への安い輸出以来大幅な値下げを見せているわけですね。昭和四十一肥料年度には対国内価格が七七・四%、四十二肥料年度には七一%となっておるわけです。 そこでまず、国内価格と輸出価格とがこのように大きな差が出ているのはどこに原因があるのか、これについてお答え願いたいと思います。
○後藤政府委員 国内価格は、生産、需要両業者の話し合いによって、この法律の制定下においてきまっており、その場合に、きわめて妥当でない場合には、所管大臣からチェックするというぐあいになっておりますが、輸出価格におきましては相手次第、さらにまた競争国の出方の問題がございまして、若干それが波動いたすという情勢は避けられないかと存じます。
○斎藤(実)委員 この安い値段での輸出が、国内価格の決定にどういう影響を及ぼしているのか、これは非常に大きな問題だと思います。特に、本法の目的である合理化、そのメリットの還元が国内価格に十分反映されているかどうか、私ども非常な疑問に思うわけですが、この点についてお答え願いたいと思います。
○後藤政府委員 国内価格に及ぼしております影響につきましては、先ほど農政局長からお答えいたしましたとおり、新法施行下において、累年値段が引き下げられておるということでございます。
○斎藤(実)委員 国内価格は五年間で六十円値下げになった。これは、やはり国内の肥料が安く買えるということが農民の非常な希望なんですが、今後この一元化あるいは生産の確保という意味で、本法がこれから実施された場合に、どれくらいの価格が値下げになるかという問題について、どう考えておられますか。
○後藤政府委員 先般来お答えいたしておりますとおり、現在、第二次の大型化合理化計画を実施中でございます。その結果によりましてスケールメリットというものが出てきて、それでコストが下がり、それがひいては価格に反映するということは明らかでありますが、同時にまたこれはほかの要因、たとえば、労務費とかあるいは輸送費とかいう点のほかのファクターも入ってまいりますので、必ずしも五年後における価格の状態を、現状において具体的にお答えすることはできないかと存じます。 ただ、趨勢といたしまして、その合理化の効果というものは、コストが下がってくることによって価格に反映していくということは、お答えできると思います。
○斎藤(実)委員 どれくらい値段が下がるかちょっとわからないということでございましたけれども、一応五年間で六十円値下げをされたという実例もあるわけですから、やはり政府として、五年間でこれくらいはというめどなり、あるいは計画なりがあってもしかるべきではないか。再度御答弁願います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 価格の問題は、これは非常にほかの経済的諸要因等が複雑に影響いたしてまいりますので、その点、具体的に何円下がるかということを、現状においてお答えすることは困難かと存じます。
○斎藤(実)委員 では次に移ります。 現在の法体では、硫安のみを対象とした運営が行なわれているわけでありますが、今回の改正と並行して、尿素もこの法体の対象となるようになっておるわけであります。 そこで、政府が価格の決定の際提示する尿素の製造原価については、どのような方法で調査をしようとしているのか、この点についてお伺いしたい。
○池田政府委員 現在、硫安について生産業者から報告を求めまして、また必要に応じまして政府が直接チェックをするという方法をとっているわけでございますが、それと同時に、尿素につきましても同じような方法で、従来参考資料として調査をいたしておるわけでございます。これを、今回法律の根拠に基づく調査に直すわけでございまして、実態におきましては、そう変わらないものであると私どもは考えているわけでございます。
○斎藤(実)委員 尿素の件についてはわかりましたけれども、その他のアンモニア系の肥料、たとえば高度化成等について、今回も価格取りきめの対象からはずされているわけでありますが、その理由と、また、これらについてどのように対処されるのか、お答えを願いたい。
○池田政府委員 これは成分がいろいろな肥料から成り立っているわけでございますので、非常にバラエティがあるわけでございますが、主要な肥料について価格がきまれば、おのずからその成分によって換算して算定される、こういうことでございますので、直接法律の対象にする必要がないわけでございます。
○斎藤(実)委員 次に、内需の確保についてお尋ねをします。 アンモニア肥料の輸出は年々増大をしておるわけです。四十二年度の肥料年度においては、大体五四%程度が輸出されているようです。今後の長期的な見通しについても、通産省の試算によれば、四十六年度には六〇%強が輸出に回るというような見込みを聞いておるわけです。 このように見てまいりますと、肥料産業はもはや国内産業に対する生産資材の供給産業ではなくなって、輸出産業の観を呈している、そういうふうに私どもは考えるわけです。政府は、今後の肥料産業をどのような方向に持っていくのか、方針をお尋ねしたい。
○後藤政府委員 お答えいたします。 輸出のウエートが、全生産量の中で、現状並びに将来におきましてふえていくという傾向にあるかとは存じますが、肥料工業は、あくまで国内の内需確保と輸出産業との両面の性格を持ってまいるものだと考えております。
○斎藤(実)委員 特に輸出については、東南アジアが相当なウエートを占めているわけであります。これらの輸出先とわが国との時期が季節的に競合する関係上、場合によっては内需に非常に影響を及ぼすのではないか、こういうふうに考えるわけです。政府では、国内需要を十分確保するという答弁でありましたが、これに対して具体的にもう少し説明していただきたいと思います。
○池田政府委員 私どもは、内需の確保ということについて非常に重点を置いているわけですが、これは全体の年間の需給見通しを立てまして、そして生産量が幾ら、内需が幾ら、したがって輸出が幾らという数字を明らかにしているわけでございます。それを、時期的な点も配慮してきめているわけでございます。 そういうことでございますから、輸出量がふえましても、内需の確保に支障があるということは、全く私どもは考えておらないわけでございます。
○斎藤(実)委員 それでは、この生産及び消費の主体が、硫安から尿素に移っているわけです。そこで安定法は、尿素を加えるということが提案されているわけですが、国内消費の主体は、だんだんだんだん高度化成にきているわけですが、安定法に高度化成を加えるということは考えておられるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○池田政府委員 これは考えておらないわけでございます。 その理由といたしましては、先ほども申し上げたことに関連がございますが、高度化成というのは、いろいろな成分からなっているわけでございますので、基礎になります肥料の価格を取りきめておけば、おのずからそれによって価格がきまる問題でございますので、特に対象として入れる必要はない、かようなわけでございます。
○斎藤(実)委員 尿素の国内の消費量、あるいは化成肥料の国内消費量はどうなっておりますか。
○池田政府委員 四十二年度の肥料年度の数字で申し上げますが、硫安は百十五万トンぐらいでございます。それから尿素は百十万トン、それから高度化成は百二十六万五千トン、これはいずれも硫安換算でございます。
○斎藤(実)委員 そうしますと、化成肥料が相当大きなウエートを占めているわけですが、なぜ今度の安定法に高度化成を加えなかったのか、再度御答弁願います。
○池田政府委員 これはただいま申し上げたわけでございますが、高度化成というのは、いろいろな要素から成り立っている肥料でございまして、単一の性格のものではないわけでございます。 したがいまして、硫安というような基礎的なものをきめておけば、それによっておのずから価格が算定をされるという性質でございますので、法律の対象に入れる必要がない、かようなわけでございます。
○斎藤(実)委員 価格の面についてですが、生産者、消費者の代表、これは全購連でしょうけれども、生産者と全購連の間で、法によって国内価格が取りきめられているわけでございますが、この両者の間で取りきめた価格どおり消費者価格が下がっているかどうか、これをまずお尋ねしたいと思います。
○池田政府委員 これは、逐年下がっている次第でございます。
○斎藤(実)委員 一応これは下がっているというような答弁でありますけれども、実際農家で購入する肥料の価格はそれほど下がっていない、こういう事例があるのですが、この点はどうですか。
○池田政府委員 各段階別の価格には、若干動きの差異がございます。先ほど私どもが申し上げておりますのは、生産業者が販売いたす価格について主として申し上げておるわけでございますが、卸売り段階は大体それと同じ傾向でございます。小売段階になりますと、若干その下がり方が鈍くなる、こういう傾向がございます。 これは、いろいろ流通経費あるいは労務費等がふえてくる、こういうような原因であろうと理解しているわけでございます。
○斎藤(実)委員 昭和四十四年度の肥料価格ですが、この取りきめはどういうぐあいになっておりますか。
○池田政府委員 これは、関係者間で折衝が行なわれているわけでございますが、まだ正式な形ではきまっていないわけでございます。
○斎藤(実)委員 私は、生産者と消費者団体の取りきめた価格どおり、やはり消費者価格が下がらなくてはならないというふうに考えるわけですが、そういうふうに消費者価格が下がるという保証か何かありますか。
○池田政府委員 末端価格が下がるということが最終の目標でございますから、当然そういうふうに私どもも指導をいたし、それが実現するような努力をしなければならないわけでございますが、何ぶん労務費、あるいは、先ほどいろいろ問題になりました通運関係の費用といったようなものの動きもございますので、いまの段階で、はっきりこういう形になるということは申し上げかねるわけでございますけれども、そういう努力を、今後も積極的にいたしたい気持ちでございます。
○斎藤(実)委員 法によって取りきめられた価格よりは、実際販売価格のほうが安いという事例があるわけです。ですから、生産者と全購連の取りきめた価格は、独占価格的なてこ入れ価格ではないか、こういう問題が出てきておる。これに対して、やはり何らかの対策を考えなければならないと思うのですが、どうですか。
○池田政府委員 これは理想といたしましては、全購連とメーカーの間で取りきめられました価格に、適正な手数料なりその他必要経費を加えたものが、小売り価格になるというのが好ましいわけでございますけれども、先ほども申し上げておりますような事情で、若干その下がり方が鈍くなる。 三十八年から四十二年の数字で申し上げますと、メーカー段階では、たとえば硫安では六%程度下がっているわけでございますけれども、小売り段階では四%程度の下がり方ということで、若干鈍くなっているわけでございます。これは、私どもはやはり関係業者を指導いたしまして、極力流通の合理化をはかるという線で、同じような割合で小売り価格が下がるように指導いたしたいと考えているわけでございます。
○斎藤(実)委員 次に、この輸出関係についてお尋ねします。 四十二肥料年度では、生産の五〇%以上が輸出に回されているわけですが、わが国の輸出市場は東南アジアが大半である。特に、中共については相当輸出をしているわけでありますが、毎年この交渉については難航しておる。この中共に対する大きな輸出のウエートというものは、これは動かしがたい。この中共に対するいろいろな、こういう難航あるいは交渉に手間をとっておるという問題について、やはりこれは政府として何らかの手を打たなければならないと思うのですが、この点についてどう考えておられるのか。
○後藤政府委員 御指摘のとおり、中共が輸出市場の非常に大きな部分を占めることは事実でございます。また、毎年の交渉がいろいろ難航と申しますか、非常にむずかしいということも事実のようであります。今後ともこれは大きな、やはり政治的なファクターがひとつ入ってくるかと存じますが、いろいろ政治的、経済的諸般の努力をいたしまして、そうしてなるべくすみやかに、輸出市場としての大事な中共市場を確保いたしたい、かように考えております。
○斎藤(実)委員 次に、アンモニア肥料工業の合理化計画についてお伺いしたい。 肥料工業界におきましては、昭和四十二年度からアンモニア工業の第二次大型化計画を実施中であるが、この計画の具体的な内容を明らかにしていただきたいと思う。
○後藤政府委員 お答えいたします。 現在は第二次の大型化計画ということで、昭和四十二年一月の通産省の省議の決定に基づきまして、おおむね一日千トンの生産能力を持つということをめどといたしまして、若干の動きはございますが、現在三井東圧、三菱化成、日本化成、旭化成、鹿島アンモニア及び日本アンモニアの六計画がすでに工事に着手いたしております。そのほかにも、現在申し出て目下検討中のものがございますので、目標年度である昭和四十六肥料年度末には、新営の第一次、第二次の大型化計画による工場が、全生産において約八〇%の比率を占める状態になる、かように考えております。 計画とそれからその進捗状況は、現在までのところきわめて順調に推移いたしております。
○斎藤(実)委員 先ほどの対中国向けの輸出については、本年度ある程度数量が確保されたわけです。今後やはり長期的な見通しに立って、その対策をあるいは見通しを考えなければならないと思うのですが、今後この対中国向けの輸出については、基本的にどういう態度をもって交渉されていくのか、政府の方針をまずお伺いしたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。 中国が広大な面積と、それから非常に膨大な人口を擁し、特に、その主力が現在農業生産に置かれているということは、御承知のとおりであります。わが国といたしましても、これは将来ますます大きくなっていく市場であるという見地に立ちまして、今後とも官民あわせての努力を続行いたしたいと考えております。
○斎藤(実)委員 今年度の生産者米価の据え置きで、やはり農家にとっては農業資材、特に、肥料を安く購入できるということは農家の大きな希望であり、絶対必要な問題だと思うのです。したがって、やはり先ほど答弁がありましたように、五年間で六十円で、しかも今後どの程度下がるというはっきりした見通しもありませんし、私はこの点が非常に問題だと思う。やはり農業資材、特に肥料については、農家の負担を軽くするという意味で、政府ではっきりとした見通しなり計画というものが立てられなければ、農民としてまずいと思う。そういう意味で、この点はどうも納得できないのですが、再度御答弁願いたいと思うのです。
○後藤政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、五年後の国内価格の見通し、どれだけ下がるか、これは非常に複雑な経済諸要因が加わってまいりますので、現在時点におきまして、それをはっきり具体的に数字をあげて申し上げることは、非常に困難かと存じます。これは肥料のみならず、あらゆる諸物価につきまして、これもいろいろな見方が出てまいるわけでございますので、この点は非常にむずかしいことかと存じます。 ただ、合理化、大型化計画というものの円滑なる進捗によりまして、完成いたしました暁には、このコストの引き下げ、したがってそれが輸出価格、国内価格にはね返って、価格の低下を示す、この点だけははっきり申し上げられると存じます。
○斎藤(実)委員 以上で質問を終わります。
○丹羽委員長 他に質疑の申し出もありませんので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。 ―――――――――――――
○丹羽委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○丹羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 なお、ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○丹羽委員長 午後二時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時四十三分休憩 ――――◇――――― 午後二時五十七分開議
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 真珠養殖等調整暫定措置法案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 真珠養殖等調整暫定措置法案の審査に資するため、本日、本委員会に、農林中央金庫専務理事田尾正君及び日本真珠振興会常務理事高橋泰彦君の出頭を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ―――――――――――――
○丹羽委員長 ただいま農林中央金庫専務理事田尾正君及び日本真珠振興会常務理事高橋泰彦君が参考人として御出席になっております。 参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。 参考人の御意見は、議事の都合上、委員との質疑応答の形で述べていただくことといたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤波孝生君。
○藤波委員 提出をせられました真珠養殖等調整暫定措置法案について、御質疑を申し上げたいと存じます。与えられました時間はごく限られておりますので、大臣または水産庁長官から簡潔にひとつお答えをいただきたいと存じます。 わが国の真珠養殖業が戦後急激に伸展を遂げてまいりまして、真珠に対する世界各国の旺盛な需要を背景にして、年々輸出の伸長を見てきたわけであります。わが国の水産物輸出総額の一八%を占めるところまで参ったのでありますが、急激に不況の状態におちいってしまった。非常に残念な結果を今日見ておるわけであります。 そこで、この業界が不振におちいった原因なり、また業界の今後の見通しについて、農林省はどのように把握をしておるか、まず冒頭にお伺いをしておきたいと思います。
○森本政府委員 今日の真珠の不況に至りました要因でございますが、簡潔に申し上げますと、岡内におきましてやや生産過剰の気味がここ一、二年ございます。そういう関係から、価格に対して海外業者がやや不安を感じるというふうな面、並びに最近における真珠の生産事情からいたしまして品質がやや低下傾向にある、そういう点から海外業者が買い控えをするという傾向が強くなってまいりました。また、従来は海外におきましても、いわゆる消費地在庫ということでかなりの在庫を保有しておったようでありますが、ただいま申し上げましたような傾向とも関連をいたしまして、そういった在庫を漸次縮小して、日本側に在庫の保有を転換するといったような傾向が強くなってまいりました。 そういうところが現象的な原因でございますが、根本といたしましては、需要に対しまして生産の調整が対応してやられるような体制が必ずしも整備していないといったところが、根本の事情ではないかというふうに見ております。 最近は、真珠の不況にやや回復の兆といいますか、底入れの兆といいますか、そういうことがあらわれております。しかし、まだ基本的には回復を順調にしていくといったようなことではなしに、当分は現在のような状況を続けていくものというふうに思っております。 将来のことにつきましては、いろいろな調査の資料等によりますれば、海外における末端の需要が、必ずしも減退しておるわけではないということでございますので、日本側の生産に対する調整を強化する、また需要喚起に対する策を講ずるというふうなことで、需給均衡を早急に回復してまいるというふうなことをやっていきますれば、真珠業界の安定的な発展が期待されるのではないかというふうに考えております。
○藤波委員 ここ当分の間の輸出数量の見込み、また、その需要に対応する生産数量の見込み、どの程度のところが適正なものであると水産庁は考えておるか、御所見を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 ここ一、二年の状況でございますが、四十二年の輸出数量は一万八千五百貫ということになっております。ここおそらく二、三年は大体かような輸出量の推移をたどるものと考えております。もちろん、この四十二年の数量は、四十一年ないしはそれ以前に比べましてかなり落ち込んでおりますけれども、輸出量としては、当面最低のラインに来ておるということで、それよりは大きく落ち込むということはないんではないか、ほぼ輸出量としては一万八千五百貫くらいが、ここ二、三年続いていくものというふうに思っております。
○藤波委員 その輸出の見込みに対応して、生産はどの程度のところが適正な数量であると考えておられるか、数字を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 御承知のように、現在いわゆる過剰在庫というものが存在をいたしますから、そういった過剰在庫をここ一、二年の間に解消してまいるというふうなことで生産数量についても調整をしてまいる、自粛をしてまいるということが必要であろうかと思っております。四十三年の浜揚げは三万一千貫ということになっております。四十四年もまずその程度。四十五年になりますれば、生産に対する従来の調整、自粛もかなり効果を出してくるということで、四十五年が浜揚げ高としては二万五千貫というふうに考えております。 ただ、この数量の中には、いわゆる下級真珠、すそ玉というものも入っておりますので、こういった浜揚げ量の中から六千貫程度のものはやはり下級真珠の処理ということで、市場には出さないような措置がとられるのが適当だというふうに思っておりますから、そういったものを控除いたしましたものが実際の供給量ということになっていく、私どもの需給の一応当面の見通しないしは目標としては、さようなことを考えております。
○藤波委員 不況におちいってから、水産庁としてもいろいろな角度からその対策を講じてきていただいておるわけでありますが、不況の克服のために水産庁はどのような措置を講じてきたか、また、今後どういった施策を講じていこうとしておるのか、この機会に承っておきたいと思います。
○森本政府委員 従来、こういった不況が一、二年来始まりましてからやってまいりましたことは、先ほど来申し上げておりますように、需給の関係がやや供給過剰の傾向を呈しておりますので、生産に対する自粛措置というものを、関係団体に指導いたしましてとってもらっております。四十二年度、四十三年度、それから四十四年といったようなことで、かなり強力な生産自粛の措置がとられております。また、調整保管ということで、過剰在庫を市場に出さないような形で保管をしてまいるということについて、私どももできるだけ援助をしていくということでございます。 なお、いわゆる体制整備といったような関係で、関係業界がいろいろな形で業界内部の体制を整備していく、たとえば輸出水産業組合といったような形で、加工業者がいろいろな共同行為をしていくような手段がとれるように、それから原材料部門におきましても、核の段階あるいは母貝の段階においてそれぞれ調整をするということで、こういった需給関係に応じた業界の調整の体制を整備することに、それぞれ手段を講じ、指導を強化してまいったのでございます。 当面の私どもの助成の対策といたしましては、さしあたり、先ほど来申し上げておりますような調整保管ということをやっておりますが、これについては、業界の金利負担等も相当かさむというようなことで、私どもとしても、そういったものに財政的な援助をするというようなこと、あるいは下級真珠の処理に対しましても、若干の財政的な手当てをするというふうなことを当面考えておりますが、やや将来のことになりますと、何といいましても今日のような事態を招きましたので、やはり需要に対する生産の調整を十分やれるような体制をつくる、また、現実にそういうことをやってまいるということが必要であります。また、従来から問題になっておりました、いわゆる密殖による品質の低下、これが真珠の将来に対して非常に大きな問題でありますから、さようなことをやれるような体制をつくって現実に実行してまいるというふうなこと、種々従来からいわれてまいりました真珠対策のそれぞれの諸手段につきまして、それができるような体制をつくり、また、業界がそういうふうなことをやってまいることについて、私どもとしても強力に指導していきたい、そういう考えでございます。
○藤波委員 いろいろな施策の中で、その一つは、調整保管について水産庁も強力に指導し、業界もそれを受けとめて進めてきておるわけですが、現在調整保管をしておる真珠を、今後どういう形で処理していくかということが、これからの不況克服の中で一つの問題として浮かび上がってくると思うわけであります。水産庁は調整保管の真珠の処理についてどのような考え方を持っておるか、承っておきたいと思います。
○森本政府委員 当面、御承知のような四十三年産真珠、また、ことしについても若干の調整保管の真珠を持っておりますが、原則的に申し上げますれば、こういうものを市場からある一定の期間たな上げをしていくということが趣旨でありますので、とりあえずは、現在持っておりますものは四十四年度末までは市場に出さないような形で保管をしてまいるというのが適当な措置だと思います。 ただ、最近のような市況の関係、需給の関係がございますので、一部は業界の中でも品薄のものも出てまいるというふうな情勢もございますが、そういうふうなことが今後どういうふうに進展をしてまいるかというふうな需給の実態をにらみまして、多少はそういった原則に対する例外的な扱い、あるいは弾力的な扱いというようなことも必要になってこようと思いますが、なお当面の需給関係を見て、そこいらの点は対処いたしたいと思っております。
○藤波委員 生産地の各地で、真珠養殖の漁業協同組合が赤字をかかえて瀕死の状態に入っているという形がたくさん見られるわけでございますが、一般に漁業協同組合の救済措置については、昭和三十五年に漁業協同組合整備促進法が成立をして、非常に整備が進められてきておるわけでございますが、この法による救済措置というものをそのまま乗っけることはむずかしいとしても、何かそのような方法はなかろうかということを私ども考えるわけでございますが、そのまま乗っけることはまず不可能なことなのかどうか、水産庁として考え方を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 真珠関係の漁協に対しまして、いわゆる漁協整備促進法の適用ができるかというお話でございますが、御承知のように、四十二年の三月末までが政令の指定日になっておりまして、それまでに大体そういったところの漁協の指定を終わって、現在そういうものに対する残務というとおかしいのですが、指定いたしましたものについてのそれ以降の措置をやっておる段階であります。なお、そういったことをやりますところの整備基金も、いずれは近く仕事が終わるということで、縮小過程に入っておる段階であります。 したがいまして、あの法律によりまして、いま言いましたような対策を講じていくということは、現在の段階ではむずかしいのではないかと思っております。
○藤波委員 実情をよく検討して、組合に対する何らかの助成措置を講ずる考え方はないか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。 〔委員長退席、湊委員長代理着席〕
○森本政府委員 整備促進法との関係は以上のとおりでありますが、重ねてのお尋ね、御指摘でございますので、私どもとしては、真珠漁協の実態等につきまして、もう少し調査を深めまして検討をいたしてみたいと思います。
○藤波委員 真珠養殖の法律としましては、真珠養殖事業法が母法としてあって、昭和二十七年に真珠貝及び真珠養殖を助長する目的でつくられておるわけであります。 今回の不況の中で、真珠不況を克服をするためにいろいろな手だてを考える中で、この真珠事業法を改正して、生産を助長するというところから、計画的に需要に見合う品質のいいものをつくるというところに持っていったらどうだという議が、各方面から起こったわけでありますが、事業法の改正という当初の形が、真珠養殖等調整暫定措置法案という形で提出をせられてまいりました経過並びにそのゆえんを、ひとつ御説明いただきたいと思います。
○森本政府委員 私ども検討の過程におきましては、現在の真珠養殖事業法の改正というふうな法律の形式を想定いたしたこともございます。しかし、現在提出をいたしまして御審議をいただいております法案の内容を見ていただきますればおわかりになるかと思いますが、当面のかような不況の事態、いわば特別の事態に対応するための特別措置をきめるというふうな性質のものになっております。そういう点がやや真珠養殖事業法とはなじみにくい点であろうと思います。 それからまた、現在法律の内容そのものが、組織関係のものが非常に多いというふうなこともございまして、法律のていさいとしても、特別立法とするほうがおさまりがいいというふうなこともございまして、御審議をいただいておりますような法案の形式に落ちついたわけでございます。
○藤波委員 この法案を、不況を克服してまいるために実施に移していくとして、その中で一番実質的に問題となるところは、密殖改善計画をどのように進めるかということであろうと思います。そういう意味で、密殖海域の指定はどのような方針で行なおうとするのか、また、目標とすべき養殖いかだの適正な数をどの程度に押えていこうと考えておるのか、密殖緩和のための具体策について方針を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 海域の指定は、私ども真珠養殖事業審議会並びに関係都道府県の意見を聞いてやってまいるという考えでありますが、とりあえず現在持っております考えでは、養殖いかだ一台当たりの漁場の面積が五百平方メートル未満であるところの浦湾を中心にいたしまして、当該浦湾の漁場条件を考慮して指定をしていったらどうかという感じでございます。 また、実際にどういうことをやるのかという点でございますが、密殖緩和のために密殖の海域の範囲というのをきめる、また養殖いかだの適正な敷設の限度というのを定めてまいる、また緩和をしていく手段をとる期間を定めてまいるというようなことで、いわゆる密殖改善計画というのを定めて告示をし、それに基づきまして関係事業者が、共同でその限度を守っていくための行為を行なうように指示をする、一口に言いますと、さような手順なりあるいは手段によって密殖の緩和のためにやってまいりたいというふうに思っております。
○藤波委員 その場合に、実際に問題になるのは、いかだの台数というよりも、いかだ一台当たりに垂下せられる貝数がむしろ問題になるのではないかというふうに考えるのでありますが、その辺を、密殖緩和の中でどのようにこれを取り扱っていくのか。調整組合が責任をもってその辺も取り調べていくことになるだろう、こう思うのでありますが、水産庁としてどのように考えておるか、考え方を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、密殖の緩和の措置としては、いかだの台数の限度をきめる、それを越えないような形で守っていただくということでございますが、御指摘がございましたように、どの程度の員数を下げるかということも、また密殖防止等ともこの点については関係が出てこようかと思います。そういうことは、具体的に浦湾の事情をよく見まして、必要がございますれば、さような点についてもよく見て、関係業界を指導していきたいと思います。
○藤波委員 密殖緩和のいろいろな具体策を講じていく中で、最も配慮しなければならぬ問題は、業界の実態として一つの大きな特徴は、零細な家族経営者が非常に多いということであります。真珠養殖事業者を特に見ますと、その密殖の海域と思われる地域において一番特徴があらわれておる、こう言えると思うわけであります。 例を三重県にとってみますと、人数で二千六百十人のうち千六百八十一人が、いかだの数で十五台未満という零細ぶりであって、さらにそのうち五台以下が八百人というたくさんな数を数えておるという実態でございます。 したがって、これから密殖の緩和だとか、海域の指定だとかいうことで進めてまいります場合に、これらの非常に零細な養殖業者をどのように扱っていくかということは、これはたいへんむずかしい問題だと思います。扱い方によっては、生活権を脅かしていくというようなことすら考えられるのでありまして、今後の密殖改善計画の中で、特にこういった共同行為の指示をいろいろ行なっていく中で、零細な経営者をどう扱っていくかということについて、水産庁の考え方を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 御指摘のように、生産調整をしてまいります際に零細な業者をどう扱うか、これは慎重に考えていかなければならぬことであろうと思います。 原則としては、生産を調整してまいりますときには、やはり現在のいかだ、あるいは最近のいかだの台数に対して、一定の生産調整の率をかけていくといったようなことになるのだろうと思うのですが、そういうふうなことにいたしますと、零細な業者はそれほどいかだを保有していませんから、甚大な影響を受けるというふうな場合もあろうかと思います。したがいまして、あるいは均等割りを加味するとか、また調整数量については、一定数量を限度とするといったようなことを考えるとかいうふうな方法によりまして、零細業者が甚大な影響を受けるというふうなことのないように、きめのこまかいやり方を、これから研究をしていきたいと思っております。
○藤波委員 たとえば具体的に、いかだの台数五台以下のものについては、これを例外と認めるというような考え方はないか、その御所見を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 御指摘のように、一定台数以下は調整数量は割り当てないといったようなことも一つの方法かと思います。
○藤波委員 何台以下のものについてはその例外とするといったことを、具体的にまだ定められておりませんが、重ねて承っておきたいと思います。
○森本政府委員 たてまえは、調整組合ができまして、あるいはその連合会ができまして、そういったところの一つの調整規程の内容になるというふうなことでございますので、最終的には、さようなものをもってきまっていくべきものというふうに思います。 ただ、私どもとしても種々相談に応じ、あるいは指導するというふうなこともございますから、あらかじめ腹を固めておかなければならぬということでございましょうが、いまのところは、具体的な台数まではめどは持っておりません。
○藤波委員 今後改善計画を進めていく中で、ぜひとも水産庁としては、そういった行政指導を強く進めていただきたいということをお願いいたしておきたいと思います。 真珠養殖事業のこの不況を克服してまいりますために、今回提出をせられております暫定措置法案が一つの大きな柱となって、業界の安定をはかり、将来に向かって大きな希望になるということは、私どもも十分拝察できるわけでありまして、一日も早く成立することを期待してやまないものがございますが、ただ、こういった改善計画を立て、密殖緩和をはかっていくという形は、あくまでも一つの柱であって、それに付随していろいろな角度から、水産庁が業界の立て直しについて助成措置を講じていくということが大切であろうと思います。すでに従来も措置せられてきたことにつきましては御説明がございましたが、特に真珠業界の場合は、とにかく生産をするのに一年から三年かかるという年数の長さでありますとか、あるいは年に一回の採取であるとかいったことを考えてみますと、何といっても業界を動かしていくのは長期の金融だということがいえると思うわけでございます。そういう意味では、一挙に不況におちいってしまいましたために、従来五百億とも六百億ともいわれております真珠業界のかかえております金融問題は、非常に深刻なものがございます。きょうは農中からもお見えでありますが、特に農中が中心になってめんどうを見てきていただいている業界でありますが、伸びよう伸びようというときには、ずいぶん思い切って金融が世話せられているにもかかわらず、一たん不況におちいりますと、むしろ貸してあるものも引き揚げようということで、やっと首がつながっておって、もうほんとうに首つり寸前のところで農中の催促を聞いているというのが、実は業界の実態でございます。 そこで、何とかしなければならぬというので、調整保管とからみ合わせて、漁業信用基金協会設立の構想が打ち出されたのでありますが、これも現実の動きとうまくマッチいたしませんで、その構想が消えたという形であります。これは調整保管が思わしくいかなければ、出資金が集まらないわけでございますから、そういったからみ合わせがむずかしかろうというようなことからですが、今後どういう形でこの金融を進めていくかということは、業界においても非常に深刻な問題になっているわけでございます。母貝あるいは真珠養殖に対して、さらにまた流通機構の面に対して、今後思い切った長期の金融対策を講じてまいらなければ、ほんとうの起死回生の政策とならないのではないだろうかというふうに考えるのでありますが、水産庁としての考え方なり対策なりを承りたいと存じます。
○森本政府委員 御指摘のように、当面の不況の過程におきまして、金融問題がきわめて大きく浮かび上がってまいりました。私どもとしましてもできるだけ金融について、こういう際でありますので、真珠関連産業に対する金融の便宜を関係機関としてはばかってもらうように、従来要請をして今日まで来ております。また利子の関係、あるいは中金に対しますところの資金手当てといったような面におきまして、政府としてもできるだけ財政的な関係から努力するということでやってまいりました。 しかし、金融面におきまして相当な資金が貸されておりますが、そういった不況の深刻化とともに、金融面の問題がなお十分解決をされていないというふうな形になっておろうかと思います。将来におきましても、そういう金融の円滑化という面につきまして、できるだけあっせんその他の努力をしてまいりたいと思っております。 なお、真珠に関係をいたします金融の制度といたしましては、先般来御審議をいただきました漁業近代化資金の分野におきましても、真珠養殖関係の金融がその大きな部門として取り上げられてまいるということであろうと思います。そういうこともございますので、公庫資金あるいは近代化資金、また一般の系統資金等を通じまして、関係業界に対して円滑な融資が行なわれることを期待をしておるわけであります。
○藤波委員 近代化資金の質疑の中でも、率直にお願いをいたしましたように、とにかく真珠業界は現実に不況の状態でありますから、現実にいま信用度がないわけでありますから、いろいろな制度がございましても、現にない信用度の中での貸借の関係に入るわけでございます。したがって、よほど農中なり公庫なりの業界に対する理解また将来に対する思いやりというものがなければ、なかなか業界が立ち直れないということは、御賢察のとおりでございます。どうかひとつ、この法案がすみやかに成立をして、業界の安定をはかることが一日も早く行なわれますことを念願をいたします。 と同時に、そういった特に金融を中心として、あるいはこの法案の中にあります改善計画の実行の中で、現実に困っております業界、あるいは零細な生産者といったものを、どう扱っていくかということにつきましては、十分な御配慮、施策の進展をお願いをいたしまして、与えられた時間がまいりましたので、私の質疑を終わりたいと思います。
○湊委員長代理 次に米内山義一郎君。
○米内山委員 わが国の独特といいますか、独自の産業ともいえる真珠が、いま重大な、破局的な段階に入っているわけでありまして、それに対して、いまの世の中では例を見ないような不況カルテルというような方式で法律制度を整えて、これを再生させようというのでありますが、どうも私はこの程度の対策で、わが国の真珠というものの体質か直りそうな気がしないのであります。そういう観点から、若干御質問を申し上げます。 わが国の養殖真珠の開発者と申しますか、創始者である初代の御木本さんは、これからいい真珠をたくさんつくって外国に輸出し、欧米の貴婦人の首にぶら下げて、欧米の貴婦人の首をぎゅうぎゅう締めるんだ、こういう勇ましいことを言われたことを、われわれはかなり前に印象深く聞いておるのであります。真珠というのはその商品の性質上、いわゆる財宝的なものでもありますし、そのころわれわれは真珠というものを見ますと、何か妖女を見るような美しさがあったと思いますが、近ごろの真珠というものは、何と申しましょうか、もはや財宝的なものじゃない。欧米の貴婦人の首を締めるどころか、犬の首を締めるにも足りないような、そして業界みずからが首を締められる結果になっていく。この本質的な問題をわれわれは考えなければならない。どうにもこうにもならなくなってから、その場限りの対策でいくならば、問題の解決にならぬのであります。往々にしてこういうことはたくさんあるのであります。特に、同じ農林水産物資でも、たとえばマグロのカン詰が生産過剰になったというときならば、これは生産調整等もできるが、こういうふうな財宝的なものに対し、こういう窮余の策ともいうような対策を立てなければならぬのだから、よほど行き詰まった結果じゃなかろうかと思うのであります。 しかも、いろいろこれを考えてみますと、どうも無理があるようであります。いまの同僚委員の御質問の中にもありましたけれども、真珠生産業者といいましても非常にその中に違いがあるわけであります。たとえば、三十台未満の家族労働によってやっておると思われる零細な形態は全体の八四%、そしていかだの数は三七%にすぎないのであります。三十台以上の層というものは形態では一六%で、いかだの台数は六三%に及んでおる。さらに上層の二%というものは五百台以上の、言うならば大メーカーである。生産過剰というものは、全部を含めての話でしょうが、問題にしなければならないのは、私は大きい部分を生産調整の対象にすることは当然だろうと思う。ところが、いま水産庁では、このカルテルをやり、生産を調整するにあたって、零細なものと大きいものとの間に明確な指導方針もないままに、業界が独自にきめるであろうというような指導性の乏しいやり方では、第一そこから私は問題か起きるのじゃないか、この法律の効果があがらぬのじゃないかと思います。 新しくできる生産調整組合は、これはもちろん一人一票主義でありますから、総会でやればおそらく当然そうなるべきだろうが、なかなかそこに問題があると思う。それから、いかだの台数の制限にしましても、いかだは大きいものだから、海では確認できるが、それにぶら下がっている垂下のネットの数というもの、あるいは貝の数というものは、実際問題として確認困難なものである。 こういうふうな技術的な問題等考えてみましても、何かこれは別な対策、あるいは金融対策のためにこういう措置に出ておるのか、私は実は疑わしいのであります。おそらく現状のままで、いまある法律、昭和二十七年に制定されておる真珠養殖事業法、これは真珠がもっともっとたくさんとれるというときの法律なんです。この法律の体制のもとでは、金融機関もこれ以上金を貸せないのは当然です。特に、農中の水産業全体に対する金融の中における真珠養殖に対する融資というものは、一般沿岸漁業者や何かから見ますと、非常に片寄った融資だと思われているのでありまして、当然そういう結果か出る。私は、何か見せかけのために考えついたものじゃなかろうかという気がしてならぬのであります。 特に、この実施の面において、零細な生産者にまでカルテルを及ぼすのか及ぼさないのか、これを明確にせずして、この生産調整組合というものは、業界の一致した体制になるものじゃないとわれわれは常識上思う。この点について、水産庁はどのようにお考えになっておるかをお聞きしたいのです。
○森本政府委員 先ほども申し上げましたように、生産調整の中には真珠養殖事業者が全員入っていただくということでございますから、たてまえとしては、真珠養殖事業者が全体として調整に参加をするということになろうかと思います。 ただ、調整のやり方としましては、先ほど来御議論がございますように、零細事業者が同一の比率でもって調整をやってまいるということになれば、経営上相当な支障を生ずるというふうな場合もありましょうから、そういった零細な事業者に対しましては、調整上の特例を設けるというようなことで、その間の調整をはかってまいりたいというふうに考えております。
○米内山委員 今後の適正な一年の生産量はどのくらいかということを推定することは、これはかなりむずかしいことだと思うのですが、一万五千貫ぐらいが適正だという説もあるのでありますが、先ほどの長官のお説とはかなりな開きがあるのでありますけれども、この点についてどうお考えでありましょう。一万五千貫程度ならば不足だとお考えになりますか。
○森本政府委員 先ほども御説明をいたしましたように、現在の状態は過剰な在庫をかかえておりますから、その過剰在庫を解消するというようなことを前提にいたしまして生産の関係も見ていかなければならないというふうな関係になっております。 したがいまして、さような状態におきましては、一応単年度に生産せらるべき数量としては、二万五千ないしは二万六千というふうな数字を想定いたしております。もちろんこの中から、先ほど言いましたように、下級真珠といったようなものが出してまいりますから、そういうものが市場に出回らないような形で処理をしてまいるというふうなことが、同時に行なわれることを想定をいたしたいと思います。
○米内山委員 現在の過剰在庫の状態について、お伺いしたいのであります。それはどういう形で在庫されているか。特に、国内においては調整用ストック、その他業界にあるストックもあるでしょうし、海外にもすでにかなりなストックがあるということを、実は私、先般ヨーロッパへ参りました際に、真珠関係心業界の方から聞いたのであります。しかも、そのヨーロッパにある在庫のかなり大きい部分は、ユダヤ糸の商社によって持たれている。それが主としてヨーロッパにおいてランニングストックになっているので、国内のストックは、言うなれば当分の間はデッドストックであることを免れないだろう、こういうふうなことを実は聞いておるのですが、その実情というものはどういうことでございましょう。この点をひとつお尋ねしたいと思います。
○森本政府委員 調整保管の状態についてのお尋ねがございました。現在の在庫の状態は、約六千八百貫という形になっております。そのうち約七百貫以上のものは、三重県におきまして単独で集荷をされ保管されておる。あとのものは全国段階といいますか、全真連のほうで調整保管をしておる、そういう形になっております。
○米内山委員 実は法案を見ましても、数量を調整するということと、品質をよくしなければこれからは市場が伸びないという趣旨なんです。そうしますと、現在調整保管における真珠というものは、どちらかというといいものじゃなかろう。 〔湊委員長代理退席、委員長着席〕 いいものはすぐ市場に出るだろうし、非常に程度の低いものが大量に保管されているのではないかと思うのですが、調整保管の真珠というものは、一般市場に流通しているものとほぼ同じようなものでございましょうか。
○森本政府委員 調整保管をいたします真珠は、全真連のほうで一定の標準をきめまして、その標準に該当するようなものを集荷し、調整をいたしておりますので、特に一般のものよりも悪いものを保管しておるというふうな関係にはなっていないと承知しております。
○米内山委員 これまで調整保管について、昨年はもう一万一千五百貫ですか、調整目標、保管目標を立ててやったが、これに対して実績はきわめて低かったようであります。本年度におきましてもやはり同じような目標が立てられ、四十四年度予算の中で措置がとられているようであります。これを見ますと、一万一千五百貫を対象として、一匁を九百七十四円、その八〇%を仮渡しする、その仮渡し金の総額は八十九億六千万、そうして予算措置をとっている利子補給額は二億一千万、こういうことにことしはなっているわけですが、前年度は、なぜこういう措置がとられたにもかかわらず、これの半分も調整保管されなかったのか、今年度においては、やはり目標どおり大量の過剰品が保管されるでありましょうか、この点についての見通しをお伺いしたい。
○森本政府委員 予算を編成いたします当時には、四十三年の状況は、かなりな浜揚げの玉もあるだろう、また市況の関係からいって、相当量調整保管に持ち込まれるであろうというふうなことで、全体をひっくるめまして二万一千五百貫程度の調整保管を想定し、それを基礎にして御指摘のような予算措置を講じておるわけでありますが、昨年の秋からの浜揚げの状況は、夏季におきまして異常な海況があったというようなこと、また、わりあいに巻きの薄いものに対しては、翌年に浜揚げを繰り延べるというふうなことで、当初推定をしておりました生産量よりは、約三千貫ぐらいはその生産量の減が出てまいりました。また、さような数字をはじきます際に、私どもが見ておりました輸出の見込み、これは相当かために見ておりましたけれども、四十三年の実績が判明をいたしますと、相当大事をとって見ておりました輸出見込みよりは、若干実績としては上回っておる。こういったようなことで、そういった推定の基礎が多少違ってまいったということ、並びに、昨年の秋の浜揚げの状況時におきましては、一般の市況の底入れ感というものが出てまいりまして、加工業者なりあるいは輸出業者も、従来、極度に縮減をしておりました在庫に対して、多少は手戻しをするといったような形で、浜揚げ真珠に対する需要が出てまいったといったような諸要素が重なりまして、予定をしておりました調整保管数量には満たない、相当それよりも下回るというふうな状況になってきた次第でございます。
○米内山委員 金融問題でございますが、水産庁がわれわれに出しました資料によると、真珠養殖業の生産額は三百八億、こういうことになっておりますが、別な資料によりますと、この真珠養殖業に対する金額、これは関連産業も含むだろうと思いますが、金融機関の貸し出し残高が五百億円に及んでいる、こういうのであります。うち、農林中金が三九・二%で百九十五億四千四百万、こういう資料かあるわけでありますが、この点につきまして、私は、農林中金の専務さんお見えでありますから伺いますが、どういう経過でここまで、この真珠産業に対する農中の貸し出しがふえているのか、今後はどういうふうな経緯をたどるのか、真珠養殖業に対する今後の農林中金としての融資対策というようなものを承りたいわけであります。 実は、私ども見まするに、真珠がこのように危機を生じたるほど大きく生産が伸びた理由の一つには、もうかるから真珠をやるということよりも、非常な農中の金融か刺激になっているともいわれているわけでありまして、特にきょうは振興会の会長さんが見えておれば、私は楠見さんから実はお聞きしたかったのでありますが、常務の高橋さんでありますから、私はその質問はやめますが、実はこういうことさえ言われている。会長の楠見さんが非常に真珠をお好きであられる。したがって、真珠審議会の委員も何期にもわたってやっておられる。そういう時期に――まあ、確かに真珠は外貨獲得のための花形産業であった時代もありますが、いずれにしてもものには限度があるわけであります。いかに世界が景気がいいからといってみたところで、毎年三万貫近い真珠が市場に出回るならば、もうこれは財宝の価値を失うのは当然であります。よしんば質が粗悪なものでなくても、当然のことであると思います。 こういうことで、見通しも見さかいもなくここまで危機を招いたのは、私は、主たる責任は水産庁と農林中金にあるのではないかと判断しておるのでありまして、その点、農林中金からいままでの経過について、正しいと思ってやった、正しい方針としてやってきた、今後これを修正するのか、ざらに今後もこの真珠産業の体質を強化するために、農林金融の重要な使命をになう中金としてどのような方針で臨むかを、この際明らかにお聞きしたいと思うのであります。
○田尾参考人 田尾でございます。 ただいま先生から、私のほうの真珠に対する融資が多過ぎるという御指摘をお受けいたしました。まことに恐縮に存じておる次第でございます。 私のほうが真珠業界に対して金融を始めましたのは、多分昭和三十年か三十一年ごろだったと思います。そのころの真珠業界はきわめて安定した成長をたどっておりまして、真珠の玉の市況の安定化をはかるために共同販売をさせるという、そういうところから、私のほうの真珠業界に対する接触が始まっております。 その後、大体順調にずっと仕事は進んでいたと思いますけれども、それと並行いたしまして、沿岸漁業がだんだん手詰まりになってまいりますに従って、沿岸漁業者の目が養殖漁業のほうにだんだん向いてくる、そういう傾向があらわれてまいりました。勢い真珠養殖事業というふうなものに対する資金の需要が、非常に旺盛になってまいりました。非常に特殊な産業でございますから、私のほうも十分注意はしながらやってまいったつもりでございますけれども、何しろ御承知のように、なかなか統制をすることのむずかしい事業でございますので、現在は、御指摘のように、かなりの金額に私どもの融資高もなっております。 先年来、真珠業界がかなり不況になってまいりまして、業界各方面総力をあげて生産の調整をいたしておりますので、最近数年は、先ほど来お話がございましたように、余った玉のストックをいたしますとか、生産を規制いたしますとか、そういう大きな方針に沿いまして、引き締めぎみに私どもも運転資金をめんどうを見ておるような次第でございます。どうぞ御了承をお願いいたします。
○米内山委員 質問を終わります。
○丹羽委員長 角屋堅次郎君。
○角屋委員 今回、真珠養殖等調整暫定措置法案が提案されまして、先ほど来同僚議員の質問が展開されてまいりましたが、私もこれに引き続きまして、重要な点について御質問申し上げたいと思いますが、せっかく長谷川農林大臣も御出席でありますので、大方針については、ときに答弁に立たれまして、ひとつ基本的な問題は御答弁を願いたいというふうに思います。 私はまず、この真珠養殖等調整暫定措置法案というこの法案の作成過程を考えるのでありますが、御承知の、昨年秋に本委員会が、特に真珠不況打開のために、主産地県である長崎と三重の現地を、真珠プロパーのために訪れるという異例の措置をとっていただきまして、真剣な論議が展開された経緯がございます。私は、それらの真珠不況打開のための対策等に関連をいたしまして、真珠養殖事業法の改正という問題の取り上げ方ではなしに、現在及び将来の真珠の安定成長というためには、かつての生産増強に基本を置いた真珠養殖事業法の法律はこれをやめまして、いわば真珠の基本法ともいうべき、生産、加工から流通まで、全体をにらんだそういう法律をつくるべきではないかということをかねてから提唱してまいりました。農林省といたしましては、真珠養殖事業法の一部改正ということで取り組まれてまいりましたが、現実には、最終的に真珠養殖等調整暫定措置法という法案にまとめられたわけでございます。 そこで、昭和二十七年以来現実に存在をしております真珠養殖事業法と、今回の真珠養殖等調整暫定措置法案、これとの関連の問題、あるいは漁業法等との関連の問題をどう理解をしたらいいのかということが、やはり基本的な一つの問題でございます。私は、おそらく農林省のここ当分の考え方としては、真珠養殖事業法のほうはしばらく眠らしておいて、そしてこの真珠養殖等調整暫定措置法案による、いわゆる生産調整というのを強力に動かしていこうという考え方に、あるいは立っているのではないかという感じがするわけでありますけれども、この既設の真珠養殖事業法と、真珠養殖等調整暫定措置法案が通りました場合の、両者の併存関係というのには、若干立法的にも矛盾があるわけですが、どういうふうに運営をしていかれる考え方であるのか、これは水産庁の長官でけっこうですが、御答弁を願います。
○森本政府委員 先ほどもちょっとお答えを申し上げましたが、私どもの立案の過程におきましては、真珠養殖事業法の改正という形で検討しました。かなりなときまでそういう形で検討してきたのでございますけれども、ともかくも、現在の不況を解決してまいるという対策を早急にとらなければならないということが非常に差し迫った問題でございまして、それに対します手段として、生産の調整なり、あるいは品質の改善なりといったようなことが、早急にひとつ片をつけなければいかぬということがございました。そういうことで、法律の形式といたしましては、真珠養殖事業法とは別立てで、特別の立法をするということになってまいりました。 したがいまして、私どもとしては、両者が併存し得るものという感じでおりますが、取りあえずの緊急な、この不況を解決するための措置を、この法案が通過をいたしますれば、できるだけ早急に準備をし、次々に手を打っていきたいと思っております。 なお、そういった異常時の対策のみでなしに、真珠産業の安定的な発展をはかっていくための抜本的な諸手段ということにつきましては、なお検討を将来に残しておる分野もございます。そういうものは、何といいましても政策の基本にかかるような分野が非常に多いのでありますから、時期的にもある程度検討に時間を要するというふうなことで、将来に残しておる分野もございますが、さようなものは、さらに引き続き検討いたしまして、先生がおっしゃるような、真珠についての基本的なかまえというものが十分できるというふうな段階になれば、それらを総合的に考えまして、形式的にもいかような形にしていくかということを、十分考えてみたいという心境でございます。
○角屋委員 私は、事業法関係と暫定措置法関係のこまかい点にまで触れて論及しようと思いませんけれども、たとえば、事業法の第三条の施術数量目標の公表ということは、昭和三十年以来やってきているわけです。今度生産調整をやっていくという場合、いわゆる暫定措置法による生産調整のこれからの運用と、事業法第三条による施術数量目標の公表の問題との調和は、実際の運営上はどういうふうに考えられるか。御承知の事業法では、これは施術数量でありまして、生産調整の場合には、たてまえとしていかだを中心として考えていこう、そういう点になるわけですけれども、こういう両方の法律が現実に存在してきた場合に、双方の調整をどうするのか、あるいは運用をどうするのかという一点をひとつ伺っておきたいと思います。
○森本政府委員 御指摘のように、事業法のほうは施術数量、それから生産調整のほうは、主として施設といったようなことになるわけでございますが、いずれにいたしましても、最終的にねらっておりますのは、真珠の生産数量をできるだけ需要にマッチしたような形で調整をはかっていくということでございますから、両者の間に十分連携を保ちながら、私どもとしては両方を運用していったらどうかという感じでございます。
○角屋委員 たとえば、漁法法との関連の問題を考えてまいりますと、御承知のように漁業権の切りかえは、真珠の区画漁業権の場合には、三十八年九月一日に大半のものの切りかえ免許が行なわれまして、一部が三十九年一月一日及び四月一日に切りかえ免許が行なわれたと承知をしております。そうしますと、真珠の問題を含めていわゆる次の漁業権切りかえというのは昭和四十八年になります。真珠の場合の区画漁業権は、十年間という形に漁業法の改正で切りかえられたわけですが、現実に漁業権としての正式の行使権を持っておる、その行使権を持っておる者に、やはり今回の暫定措置法を通じて、生産調整を強権的に行なおうというやり方をとるわけであります。 そうすると、漁業法とあとからできる暫定措置法の法権力の価値判断というものをどう理解をするのか。この法案との関連を見てみますと、この法案ができます際に、漁業法等についても、それらに関連をしての法改正を伴っておるというふうに私ども承知していないわけであります。私は、先ほど事業法との問題について一点だけ触れましたけれども、事業法についての多くの問題点には触れませんが、いわゆる現実に漁業権を持っている、行使し得る正当な権利を持っている者が、生産調整によってそれがやはり制限を加えられておる。この間の関連は、法的にはどういうふうに理解すればいいのか。
○森本政府委員 漁業法によりまして免許を受けた養殖業者が、いかような養殖事業を行なうか、その事業の実施のやり方につきまして、今回の法律に基づく生産の自主的な調整といいますか、調整組合による生産の調整といいますか、そういうものがかかってまいる、漁業権の免許を受けた人の事業のやり方について、この法律に基づく生産調整が行なわれてまいる、こういうふうな関係と理解をいたしております。
○角屋委員 私は、今後本法案がかりに通過をした場合に、調整組合ができ、調整組合連合会ができ、あるいは密殖改善計画ができ、あるいは合理化カルテルなり、あるいは不況カルテルなりによって推進される場合に、アウトサイダーの関係の者ばかりでなしに、当該組合に入っておる者についても、そういう計画は、漁業権を正当に持っておる、しかも既得権として、従来こういう実際の経営をやってきたという立場から、法廷に持ち込まれて論争が行なわれるということになる場合には、十分これは論議の対象になり得べき性格のものだというふうに予想するわけです。これは、そういう点まで深く触れてここで議論するのはやめますけれども、いずれにしても、現行の事業法、漁業法の関係と暫定措置法との関係には、三位一体の関係にぴしっと整えられておるというふうに、率直にいって私は理解できない、こういう見解を一つ持っておるわけであります。 先ほど来、不況対策の問題がいろいろ議論をされてまいりましたが、私は、質問を重複しては申し上げません。申し上げませんが、四十一年以来の深刻な不況、そしてその中で、一体政府や農林省が、今日まで不況打開のためにどれだけのあたたかい施策をやってきたのか、こういうふうに顧みますというと、法的な問題がようやく四十四年の今次通常国会に、私どもの必ずしも十分満足し得ない生産調整に力点を置いた暫定措置法として出てきた、あるいはことしの四十四年度予算の中に、二年来叫ばれてきた調整保管に対するところの利子補給が約二億円程度認められたという以外に、実際に積極的な不況打開の対策が今日まで行なわれてきたかということになると、おじょうずにもそうだというふうに私は申し上げることはできないと思うのであります。 今度のこの生産調整の暫定措置法を発動しようという段階になって、実は真球業界は数年来痛めに痛めつけられて、金融でも苦慮し、あるいは案外、中堅から大手にまで不況の波はひしひしと押し寄せて、そして、そういうところにも倒産まで出てくるという深刻な事態を経過してまいりました。先ほど来調整保管の見込み数量というものが、本年度予算で一万一千五百貫。ちょうど私どもが去年議論しておる時分には、一万二千七、八百貫という議論をしてまいりましたが、ことしは六千貫くらいいくかと思っておったところが、四十三年には、御承知のように一千貫足らずに終わった。この点について、なぜ六千貫程度と見ておったのが一千貫未満に終わったのかという鋭い分析というものが必ずしも行なわれていない。われわれが水産庁に聞いても、業界に聞いても、大体六千貫くらいは四十三年には上積みせざるを得ないだろう、こういうふうに承知をしておった。これが非常に意外なほど少ない一千貫未満にとどまった。一体この原因はどこにあるのか。もちろん私は、私どもの出身県であります三重県の状況等から判断しても、海況の影響等もあって浜揚げの成績というのは必ずしもよくない、こういうことももちろんございます。それと、非常に打ちひしがれてきて、いわゆる調整保管ルートに乗せるよりも、仮渡し金が渡されるよりも、むしろ、若干上回った金額で買いに来る人々に売って急場をしのがざるを得ないという、そういうやはり苦しい状況というものが介在をしておる。 同時に、先ほど農林中金の問題に触れられたが、去年の調整保管の場合には、一昨年よりもさらにきびしい金融サイドからの調整保管の方針が出てくる。それではとても引き合いができないという、そういうやはり生産者自身の判断もあって、ここに六千貫程度といっておったのが一千貫未満にとどまるという事態になったのではないかと思う。一体そういう点についてはどういうふうに判断しておられるのか、もう一度御答弁を願いたい。
○森本政府委員 先ほどもお答えをしたのでございますが、一つは、御指摘がございましたように、昨年の海況なりあるいは薄巻きのものを翌年に繰り延べるというふうな生産段階におきますところの事情の変化、こういうことで三千貫程度のものは予定よりも浜揚げが少なかったということがございます。また、輸出のサイドにおきましても、かなり調整保管数量を、最初推定をいたします際にかた目に見込んでおったのでございますが、それがややかた目な見通しよりも上回っておるというような結果になったということ、また、昨年の後半から若干市況についても底入れ感というものが出てまいりましたので、加工業者なり輸出業者が、在庫その他の関係で買い気が出てまいるというふうなことで、御指摘のように、調整保管よりは直接他に販売をするといったような傾向があらわれたというようなこと、諸要素が複合いたしまして、当初御承知のような見込み数量に対しまして、現在お手元にありますような数量にとどまったというふうに私ども見ております。
○角屋委員 この点は、全真連の高橋さんのほうにも若干聞いておきたいのですけれども、ことし一年おくれ――率直にいって去年からすべり出すべきであったと思いますが、一年おくれに調整保管の利子補給がつくことになった。予定は一万一千五百貫であった。去年、四十三年は六千七百五十八貫程度、約半分程度にとどまった。業界としては、この原因は一体どこにあると考えておるのか。先ほど、この調整保管数量の今後の取り扱いの問題について、水産庁長官は、本来ならば本年度末までは持っていきたいところだけれども、しかし、諸般の情勢から若干取りくずすというようなことについても、弾力的に考えてみなければならぬ情勢がございます、こういう意味の答弁がございました。そういう六千七百五十八貫四十三年で調整保管をしておりますものを、来年度に向けて、業界としてはどういうふうな取り扱いの意見が今日強いのか、そういう点についても、簡潔にひとつお触れをいただきたいと思います。
○高橋参考人 お答え申し上げます。 まず、調整保管の数量が予定よりも若干狂いました点についての御質問でございますが、客観的な情勢の分析については、ただいま水産庁の長官がおっしゃったことと違わないと私ども思っております。 ただ、もう一つの問題は、全体としてはそうではございますけれども、なぜ全真連の調整保管という事業に乗っかってこなかったのかという点については、長官の御指摘になった原因のほかに、やはりいろいろな、私どもの当時想定した基準が、ややきつかったというような反省、そういったような問題も若干あったと思います。 なお、現在調整保管しておりまする玉の処分については、予算面から申しますと、先ほど水産庁の長官からお答えいただきましたように、一応本年度末まで保管をそのまま継続していきまして、来年度はほぼその半数の三千四百貫程度の調整保管にいたしたいということでございまして、私どもも大体その方針でおります。 しかし、来年度に移る前に、今年度中にどうするかということでございますけれども、これは意見が二つございまして、一つは、ことしの秋の相場になるべく影響をさせたくない、これ以上値段に影響させたくないという趣旨で、この調整保管玉をそのまま年度末まで持ち越したいという意見と、利子の負担の問題はもちろんございますけれども、やはり考え方によりましては、調整保管をしているというそのこと自体が、いろいろ相場の上昇を妨げているというような実態もございまするので、そこら辺の判断は、今後における輸出の情勢いかんによって、その二つの意見のどちらにするか、どの程度にするかということを、行政当局とも相談しながら善処いたしたい所存でございます。
○角屋委員 長官も高橋さんも、私の聞きたいポイントの点は少しお茶を濁されたのです。というのは、ことしの浜揚げまでにやはり一部出したいという意見も相当強いわけですね。水産庁は、そういう場合には総合的な判断をして、浜揚げの前に一部取りくずしということもあり得るというようなことは考えておられるわけですか。
○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、原則としては来年の三月一ぱい持つべきものと思っておりますけれども、何ぶんにもこういうものは生きものでありますから、そのときどきの需給事情なり、あるいは業界の判断というようなものについても気を配らなければなりませんが、何といっても根本は、市況に対して圧迫を加えないということが調整保管の本旨でございますから、そういう本旨にもとらないという限りにおいて、弾力的な措置を検討するということもあり得るかと思っております。
○角屋委員 結局、ことしの新年度予算でつきました真珠調整保管事業費二億一千五十七万九千円という点については、予定の調整保管数量が相当に下回ったために、せいぜい七、八千万円で済むということになっている。予算上相当数のものが残る。私は、予算上相当数のものが残るのを、これを財源としてどうせいという議論をするつもりはありませんが、とにかく、予算上一億以上のものが残るということは現実の姿であります。 そこで、先ほど来の需給見通しの問題について、いわゆる総生産量をどの程度にするのか、あるいは輸出をどの程度に見込めるのかというふうな議論が数字的にも行なわれてまいりました。米内山さんと同じように、私も去年の秋ヨーロッパを、地元の関係もあって真珠によほど注意をしながら回ってきたのでありますけれども、来年の三月には万博が大阪で開かれるという、いわば国際的な行事が日本で行なわれるという時期でもございますが、言うまでもなく真珠は、国際的には日本が独占的な性格を持った産業であります。しかも、これは世界にパールとして知られている。 いままで海外の啓蒙宣伝、市場拡大というものは、主としかジェトロを中心になされてきたと思うのですが、現実にアメリカ、スイス、西ドイツというところが販路の最たるものであります。私、このスイスとか西ドイツというのは、国民性から見ても、あるいは山紫水明の自然環境から見ても、やはり真珠の売れやすい環境があるのかもしれぬという感じがしたのですけれども、そういう真珠の清楚な装飾品が喜ばれるということを念頭に置きながら考えますと、北欧のような社会保障の非常に充実しておるところにもっと需要が伸びないのか。私が行ったときに、スウェーデンの大使が、あちらで見本市をやろうと思ったのだが、真珠業界のほうも非常に苦しい状況なので、積極的に相談に乗ってくれなかったという話をちらっと聞いたこともございました。 そういう点で、先ほど水産庁長官は、大体これからの輸出は一万八千五百貫、その程度にいくのだろうというお話のようでしたけれども、もっと積極的に、やはり良質のものを、新しい市場も開拓しながら努力をする。業界はいま力がありませんから、政府なりあるいは政府を通じてジェトロが積極的な努力をする。また業界自身も総合的な立場から、力に相応してこれに真剣に取り組む。あるいは万博を機会に、一体真珠についてどういう啓蒙宣伝をやるのかということになると、水産庁に聞いてみると、万博は特に念頭に置いてないということである。そういうことで一体いいのかどうか。いま不況である、声を大にして生産調整、生産調整といわれておりますけれども、同時に真珠産業の特性から見て、もっと海外市場の拡大面について、政府は本格的に考えてやられてはどうかという感じが率直にいってするわけであります。これは非常にわかりやすい問題でありますから、大臣からひとつ答弁してください。
○長谷川国務大臣 これはただ、いまお話しのように、実際業界が不況になった、業界が傍観しているというわけではないと思う。しかし、それを指導するのはわれわれ農林省でもやらなければならぬ。これは一体となって海外宣伝に当たるというような、非常に大きな問題だと思います。したがって、今後もこのような事態が起きる前に、真珠がどういうふうな状態になっているか、このままの生産でいけばどうかということは、業界の方方はもうすでにわかるのでございますから、そういう面を役所に持ってきて、そして何といっても輸出というものが非常に大きなウエートを持っておるのですから、海外宣伝という面に、おっしゃるように重点を置いてかかるということが、当然なことだと思うのでございます。 でありますから、私たちは今後そういう面には十分目を向けて、宣伝の活動にはともに尽くしたい、こう考えます。つくったのだから役所で宣伝しろ、国がやるのがあたりまえだというような考え方でなく、生産者そのものもそういう考え方を持って進めなければならない、こういうふうに私は考えます。 もう一つ、万博の件でございますが、万博に対しましても、ここでどうこうということはできませんが、これらの宣伝ポスター等々については、業界の方々もこれらに向かって大いに目を向けていく必要があると思う。われわれもできるだけそれには御援助申し上げたいと思います。
○角屋委員 若干、法案の重点項目についてお尋ねをいたします。 第一条の目的のところに、「この法律は、当分の間、」という書き出しで始まっておるわけでありますが、この「当分の間、」というのは、私ども承知しておるところでは、公取が時限立法を強く主張された。いろいろ折衝の結果、最終的に「当分の間、」という形の第一条の目的の表現で落着をしたというふうに承知しておるわけです。この法律の今後の効用というもの、これは大体五、六年ぐらいを考えておるのか、あるいは十年ぐらいを考えておるのか、あるいはいまは若干働くと思いますが、将来は細々とそのまま法律としては存在していくという形を考えておるのか、この法律の効用というものをどういうふうに農林省としては考えておられるわけですか。
○森本政府委員 この法律は、先ほど来申し上げておりますように、不況時における対策ということでございます。また、需給の関係が不均衡であるというふうな時期におきまして、それに対処する手段、方法を考えておるということでございますから、抽象的で非常に恐縮ですけれども、そういった事情が続く間、この法律を使ってまいるということで、「当分の間、」というのはさような趣旨に解釈をいたしております。 したがいまして、何年間というふうなことはいまここで申し上げるわけにはいかないかと思います。しかし、何といいましてもそういった異常事態というのをできるだけ早急に解決をして、通常な事態に持っていくということも法案の目的でありますから、なるべくはこの数年の間に、こういったような事態が解消してまいるというふうなことを私どもとしても期待をいたしておるということでございます。
○角屋委員 第十一条の単位組合の事業として、第一号に安定事業の項目があり、第二号に品質改善事業の項目があるわけですが、これは、いわゆる不況カルテルあるいは合理化カルテルという性格のものとしてとらえることが可能だと思いますけれども、私は、この第十一条の第一号、第二号というものに二つに明確に分類をして、そして第十二条で調整規程にあらわす。真珠産業の業態と性格というものが、ここまでは不況カルテルである、あるいはこういうものは合理化カルテルであると、ようかん切ったように、真珠産業の実態と特性から見ていえるのかどうか、私は、第一号、第二号の中間的な取り扱いをしなければならぬ性格のものも、現実の今日の真珠の不況あるいは各地域における実態というものを想定します場合に、こういう明確な分け方でいけるのかどうかという点に、率直にいって疑問を持つのであります。その点はどういうふうにお考えでございましょう。
○森本政府委員 もちろんこの一号と二号、一号のほうはいわゆる不況カルテル、二号のほうが合理化カルテルというふうに俗に呼んでおるわけでございますが、原則的には、そういった事態に対する認識のしかたあるいは手段、方法等については、一号と二号が分かれ得るというふうに思っておりますが、御指摘がございましたように、たとえば第二号の合理化カルテルの場合にも、低品質の真珠を廃棄するなりその他の処理をするというふうなこともございます。それから第一号におきましても、やはり過剰な部分についての廃棄といったようなことがございます。これらはある意味では相関連をしておるよなう事柄になろうかと思いますので、御指摘がありますように、さい然と一号、二号で手段、方法あるいはケースが分け切れるというふうには言い切れない分野があるというふうに私どもも考えます。
○角屋委員 たとえば、第一号の不況カルテルに書いてある条項で、第二号の合理化カルテル、品質改善事業で当然考えていいというようないかだにつけておる貝の数、これは第一号にはそういう趣旨のものはあらわれておるが、第二号にはそういう趣旨のものはあらわれていない。しかし、品質の改善をやるというのは、やはりいかだに実際にどれだけの貝をぶら下げておるかという問題が非常に関係がある。こういうふうにきめこまかく見てくると、一体ようかん切ったような調子でいいのかどうか。 先ほど廃棄の関係については、品質改善のほうは、「低品質の真珠若しくは真珠貝の出荷若しくは廃棄」こちらの不況カルテルの場合は、「過剰な部分についての廃棄その他の処理をすべき数量及び当該処理の方法に関する制限」ということで、趣旨からいうと、場合によっては、低品質のものばかりでなしに、もう少し、若干ボーダーラインよりも上のものも含むかもしれぬという趣旨にもとれるわけですけれども、それは別にして、いまいった品質改善事業のほうにも当然入っていいんじゃないかというふうなものも、不況カルテルにあらわされているけれども、合理化カルテルには出てこない。そこはやはり実態から見て、現地は学者じゃないのだから、ここのところは不況カルテルでやるのだ、こちらは合理化カルテルでいくのだ、そんな調子にうまくいくのですかね。その中間的な性格のものが当然存在し得る、また存在させなければ真珠の業態に合わない、こういうふうに思うわけであります。これは時間の関係もありますから、再度答弁を求めることはしません。いずれまた同僚議員その他からさらに審議が行なわれると思いますから、私は、そういう私の見解を述べておきたいと思います。 この調整規程の第十二条に関連をいたしまして、第十三条で、農林大臣が調整規程の問題についての認可をする条件が書いてありますね。その条件の四項目のうち、第三号の「不当に差別的でないこと。」これは後ほどの総合調整規程のところとも関連しますけれども、この調整規程の第十三条第三号の「不当に差別的でないこと。」この号は、先ほど来生産調整をやる場合の大手と零細、そういうものの生産調整の運営をかけ算でやるのではなしに、一定のいかだの台数のものについては、やはり考えるというふうなことに該当するものが、ここの「不当に差別的でないこと。」ということの項目に含まれておると私は思うのですけれども、この表現そのものが適切であるというふうに私、必ずしも感じませんが、そういう式の先ほど来の質問は、この条項に関することではないか。その点いかがです。
○森本政府委員 私どもも、この条文が形式的な公平といいますか、そういうものをいっておるのでは必ずしもございませんで、零細な事業者に対して生産調整を行ないます際には、やはりそういった業者の方を規模の大きい方と一緒に扱うという場合においては非常に大きな影響を受けるので、最低保障といったようなものを採用する必要があるというふうな場合に、そういう人に対してはそれ相当の扱いをするということが、実質的な公平を確保する意味になるというような場合におきましては、当然この条文によりまして解決がつくものというふうに思っております。
○角屋委員 この点に対しては、私は先ほど来藤波、米内山両委員から質疑が行なわれてきた、いわゆる十五台以下にするのかというそのラインの引き方は、若干の検討を要する点がありますけれども、これは特例的な取り扱いをするということは、当然必要であるというふうに思いますし、それが実質的な公平な取り扱いであるというふうにも思うわけですけれども、そういう点については、きちっと私どもはしておかなければならぬ問題の一つだと思います。 それから、第十七条の制裁という点で、「過怠金その他の制裁を課することができる。」というふうになっておる問題と、第十八条の、検査員を定款の定めるところによって置くことができるという条項ですが、具体的運営としては、制裁の具体的方法をここに項目的に書いてありますが、どの程度のことを考えておるのか、あるいはどの程度指導しようとしておるのか、あるいは検査員というのはこれは必置事項でなくて置くことができるというふうになっておりますけれども、これは水産庁は、大体真珠関係県二十数県にわたりまして、調整組合が一つの県に一つできる場合もあるし、二府県以上にまたがって一つの調整組合ができるように法文上なっておりますけれども、おそらく二十近くの調整組合ができるだろう、こういうふうに想定をいたしますが、その場合の法運営上、大体どの程度の検査員というものを想定をしておられるのか、あるいはそういう検査員を想定するとしたならば、一体こういう事務、人件費的なものについては、これは業界自体で自主的に考えていきなさい、われわれのほうはそういうことについては考慮の余地はございません、こういうことであるのかどうか、そういう予算的な問題について、一体どう考えておるのかという点について答弁を願いたいと思います。
○森本政府委員 第十七条の制裁でございますが、ここに書いてありますように、端的な例としては、過怠金を課するというふうなことがございます。あるいはその他の方法ということになりますと、たとえば調整規程を守らなかった相当悪質な違反に対しては、次期の調整の割り当ての際に、そういう制裁的な考え方で処理をするというふうなものも含まれるのではないかというふうに思っております。 それから、検査員の経費についてのお尋ねでありますが、現在の予算におきましては、端的にこの検査員に対しまして経費の助成をするというふうなことはございません。ただ、真珠母貝の処理等につきまして、その事務経費に対して予算的な措置をいたしておりますが、検査員のさような行動に対しても、そういったものが及ぶという関係になろうかと思います。もちろん将来の問題としては、私どもとしてもどの程度単位組合に検査員が置かれ、また、どういう経費の関係になるかというふうなことをよく調べまして、所要の対策を検討したいと思います。
○角屋委員 だから、私はこの暫定措置法案という法をまとめるのにきゅうきゅうとして、今日ようやくまとまったということで、これに必要な予算的問題あるいはその資金問題というふうなものまでは追っかけるいとまがなくて、わずかに調整保管に対する利子補給程度だったというところに、やはり問題があると思うのです。 たとえば私が、いまおられませんが、仮谷さんあたりと苦労して漁業災害補償のことをやりました。あれもやはり業界の自主的な運営でやろうというたてまえになっておりますけれども、そういうものにもやはり運営上の事務、人件費等についてはある程度の配慮をする。あるいは農業共済の場合は、自主的なという形ではないけれども、もっと官製的な性格がありますけれども、しかし、これにはちゃんとした事務、人件費に対する経費の負担を国がめんどうを見る。同じような性格のものと考えてまいりますと、特に生産調整というのは好き好んでやるのじゃなしに、耐えしのんでやらなければならないというそういう意味の調整組合あるいは調整組合連合会、こういうものについて、賦課金その他でもってめいめいが出してやれというのは、いささか血も涙もないといわざるを得ないのであって、これは当然、こういう問題については検討をし、そして速急に予算的な措置を講ずべきである、他との均衡を失すべきではない、こういうふうに私ははっきり思うのであります。 第十九条の従業員に対する配慮として、「単位組合の組合員は、調整規程に従いその事業活動を制限するに当たつては、その従業員に不利益を及ぼすことがないように努めなければならない。」訓示規定だけであります。一体支障が来る場合にどうするのだ。訓示規定だけに終わっておる。具体的なプランがございますか。生産調整を行なう過程で、従業員に不利益を及ぼさないように努力をしてもらうけれども、具体的に不利益が来ざるを得ないという事態になった場合に、どういう配慮を農林省として考えていこうというのか。これは訓示規定だけではだめでしょう。どうです。
○森本政府委員 各種の組合の規定にかような条文がございますし、また実質問題としても、生産調整を行ないます際に、従業員に対するあたたかい配慮をしなければならぬということは当然でございますので、私どもかような条文を設けた次第でございますが、それぞれ組合員が調整規程に従ってやります際におきましては、具体的にいかなることをするか考えていただくということでございまして、私ども、いま端的に申しまして、具体的にかくかくするというふうな腹案は持っておりませんが、実際の調整活動が進みます段階におきまして、さような問題が起こってまいりますれば、行政庁としてもそれに対応するあり方について、十分ひとつ考えさせていただきたいと思います。
○角屋委員 まあ砂利をかんだ答弁とは言いませんけれども、たとえば、石炭の今日の非常に深刻な事態の中で、石炭産業の再建なり安定のために相当な予算をつけて、あるいは離職者に対しては、再訓練をやるとかいろいろなことを配慮しながらやっておられるわけでしょう。そこまで真珠産業のこの条項に基づくものについてめんどうを見るかどうかの議論は別として、訓示規定だけでよろしいというものではない。現地の状況からいっても、海岸地帯で真珠だけにたよっておるような地帯は、非常に深刻な様相を呈しておる。ハマチ養殖とかいろいろな複合経営でやっておるところは、まだ危険分散ができるのだけれども、非常に深刻な地域がある。そういう問題に対して、訓示規定だけで事終われりということには断じてならないと私は思います。 それから、連合会の事業の二十三条に入りたいと思いますが、これは真珠は一府二十数県にわたるといいましても、生産量は相当にアンバラがあるわけでしょう。私は、調整組合というけれども、総合調整的なものも含めた配慮で、三重県のような場合は、生産量その他から見てもやっていかざるを得ないという性格だと思うのですよ。真珠のいかだその他の少ないところでは、調整組合というのは比較的苦労はないかもしれないけれども、そういう調整組合、調整組合連合会と簡単に形式的に言っているけれども、調整組合も、たとえば三重とか、あるいは愛媛とか、長崎とか、あるいは大分とかいう場合と、わりあいに養殖の数量の少ないようなところでは段々があるわけですね。そういう全体的な運営と指導をどう考えておるのかという点について、考え方を聞きたい。
○森本政府委員 確かに、真珠の地域的な分布を見てまいりますと、もちろん最近におきましては、二十数県に拡大をしております。しかし、なお三重県が約半数を占めるというふうなことでございますので、御指摘のようなことになろうかと思いますが、いずれにいたしましても全国の連合会は一つということで、それに対して二十数県が参加をするという形になろうかと思います。もちろん、そういった各県の規模の大きさといったようなものに対しましては、選挙権なりあるいは議決権について、二十六条で多少の配慮をするというふうなことで運営上の規定を設けておりますが、半数を占めるような三重県の組合においては、単に三重県の見地ということでなしに、全国における真珠産業のあり方といったようなことを考慮に置かれて調整の活動をされるということでありましょうから、さような考え方に基づいた方針なり諸活動が、全国の連合会に対して相当大きな影響力を持つということは、事実上考えられるところでございます。
○角屋委員 次に、二十七条の経費の賦課、二十八条の手数料。結局、政府がほとんどめんどうを見ないという今日の現状においては、経費の賦課か手数料に財源の相当部分を求めなければならぬということに相なるかと思うのですけれども、これは具体的には一体どの程度のことを指導としては考えておられるわけですか、簡潔にお答え願いたい。
○矢崎説明員 経費の具体的な額そのものの問題につきましては、目下具体的に検討を進めておりますので申し上げられませんが、現在、およその感じとしてわれわれ考えておるものといたしましては、平等割りとしまして一人およそ年間千円程度、それから、そのほかにいかだ割りとしてたとえば一台当たり十円程度の額によってまかなわれるんじゃないだろうかというふうに考えております。
○角屋委員 大臣に、いままで尋ねてきたことについてちょっと御質問申し上げておきたいと思うのです。 さっき言った十八条の検査員の問題に関連した所要経費の問題、あるいは生産調整に伴うところの第十九条の従業員に対する配慮の具体的な考え方の問題、さらにいま言った第二十七条の経費の賦課、第二十八条の手数料、こういうものに関連をして調整組合、調整組合連合会、あるいは本法に基づく運営というものについて、最初スタートはから手形でスタートをさせようというわけだけれども、一体大臣は、これは来年度といわずなるべく早い機会に、必要なものについては均衡を保ちながら予算的にも考えるという方針でおられるのか、あるいはこの条文の考え方で、予算的に本年まだついていない段階の形で明年度もいこうとするのか、この点については、ひとつ大臣の見解を明確にお答えを願っておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 いろいろお話は承りましたけれども、とりあえずこの案によってスタートをし、そうしてやってみた結果において、いろいろな支障が出てきた場合というようなことがあるとするならば、またわれわれのほうでもいろいろ考える必要があるだろう。とりあえずこれによってスタートをすることが、まず先決問題じゃないだろうか、こういうふうに私は考えます。(角屋委員「将来の問題だ、とりあえずを言っているのじゃない」と呼ぶ)ですから、これをやってみて、そういうような点について、いろいろ先ほどから御論議のあったような点に支障の出る場合は、またあらためて農林省としても考える必要があるだろう、こういうふうに考えます。
○角屋委員 そういう大臣の御答弁では私は非常に不満です。本年度はとりあえずから手形で出発するけれども、来年には当然他の同種のものと関連して均衡を失しないように考えたい、これが大臣答弁なんですよ。 そこで、第三十二条の除名の条項と関連をして、除名になった場合は、第二十条の関係が当然生ずることになると思うのですけれども、つまり除名になればアウトサイダーという形においての組合協約の交渉及び締結の対象の側に回る、こう解釈をされると思うのですが、運営上はどうなるのです。
○森本政府委員 条文の関係は、御指摘のようなことになろうかと思います。組合協約の対象になると思います。
○角屋委員 第五十一条の関係で、第三項のところに、「組合員及び組合の債権者は、何時でも、」云々というように続いておるのですけれども、ここでいう「組合の債権者」というのは、具体的にはどういうことを考えておられるのですか。
○森本政府委員 通常の場合は、組合に対して融資をしておる金融機関ということであろうと思います。
○角屋委員 第五十二条の関係で、第一項のところに、「理事は、通常総会の今日の一週間前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び」で、その次のところに、「剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、かつ、これらの書類を主たる事務所に備えて置かなければならない。」ここに「剰余金処分案又は損失処理案」というような文言が出てきておるのですけれども、先ほど来の議論の経過等と関連をして、しかも第五条の第一号のところで、この組合というのは「営利を目的としないこと。」という原則に立っておるわけですが、ここで想定される剰余金処分とかあるいは損失処理とかというのは、どういう前提に立っておられるわけですか。
○森本政府委員 通常は、御指摘のようにかような性質の団体でありますから、剰余金が発生するというような事態はまず少ないと思いますけれども、賦課金なりあるいは手数料なりを若干徴収をするということでありますから、それに見合った諸経費が収入に対して少ないというふうな場合には、剰余金が発生する場合もあり得るだろうということで、かような規定を設けております。
○角屋委員 第七節の事業活動の規制に関する命令等の第七十四条、第七十五条、第七十七条、この三条を一括関連をして御質問したいのですが、言うまでもなく第七十四条、第七十五条は事業活動の規制に関する命令の問題であり、第七十七条は養殖いかだの新規敷設の制限命令の条項であります。これについては、真珠養殖事業審議会への諮問、そして命令については、農林省令でこれを発するというふうなことであり、しかも、これらの問題を発する前に聴聞を実施するというふうな関連になっておるわけですけれども、第七十四条のところで、これは第七十五条にも関連いたしますが、例とえば中間のところに、「若しくはその方法によることがその事態を克服するのに適当でないと認められる場合において、」という条項がございます。これは第七十五条の場合にも、「若しくはその方法によることがその事態を克服するのに適当でないと認められる場合において、」ということが同じようにございますが、これは具体的にはどういうケースを想定しておられるのですか。
○森本政府委員 全体の考え方としましては、調整組合におきましてその組合員に対する調整活動を行なう、それによって必要な事態を改善してまいるということでございますが、たとえば、調整組合のアウトサイダーがおりまして、それの事業活動が、全体の真珠の不況といったようなものを克服してまいるのに支障を及ぼす、あるいはまた組合における調整活動が必ずしも十分にいかないといったようなことによりまして、必要な事態の克服ができがたいというような場合を想定いたしておるわけであります。
○角屋委員 第七十六条の都道府県に関係することですが、区画漁業の免許にあたっての配慮条項がございます。ここでいう都道府県知事の区画漁業免許における配慮条項というのは、これはいわゆる今度の具体的な場合でいえば、昭和四十八年の免許切りかえのときにおいての配慮条項であって、途中においては、免許切りかえという時期でない場合はこのことは発動しないという考え方であるのか、あるいは免許切りかえの通常以外のときでも、第七十六条は配慮条項として発動し得るのか、その点いかがでございます。
○森本政府委員 一斉切りかえの際に、一番こういった免許問題が出てまいりますけれども、途中におきましても、新しいものについての申請があるというふうな事態もあり得るわけでありますから、一斉免許までの途中の段階におきましても、この七十六条という条文が、効力を持つということはあり得ると思います。
○角屋委員 重ねてお伺いしますが、それは区画漁業の免許の新規の場合、つまり第七十七条では、同じように新規ということがありますが、新規の場合にのみ考えられるのか。新規もしくは変更ということがない限りは、第七十六条は発動し得ない、こう考えていいわけでしょう。
○森本政府委員 御指摘のとおり、途中におきましては、新規または変更のケースであろうと思います。
○角屋委員 第七十七条の養殖いかだの新規敷設の制限命令、この制限命令については、条文の途中で、「その命令の有効期間中に限り、政令で定めるところ」ということで、「養殖いかだの新たな敷設の制限又は禁止を命ずることができる。」というのは、これは先ほどの質問と同じようですけれども、「制限又は禁止」というのは、切りかえ以外のときに可能であるということにはなり得ないと思いますが、これはどういうふうに解釈をされるわけですか。要するに、現に区画漁業権を持っておるという者に対して、農林大臣の命令の発動しておる有効期間中に制限もしくは禁止ができるのかどうか。「新たな敷設の制限又は禁止」と書いてありまするから、新たな敷設でない限りにおいては発動し得ない、こういうように理解するわけですが、その点、明確にお答えを願いたいと思います。
○森本政府委員 これは事実問題として、事実関係として、新しいいかだを設けるということを制限するのでございますから、免許を受けて、その免許を受けた範囲において新規のいかだを敷設するというふうなケースにおきましても、その事実の行為を制限していく。要するに、免許を受けた漁業権の実行の行為としてのいかだの敷設に対する大臣の命令であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○角屋委員 第八節の監督の条項で簡潔にお聞きしたいんですが、第八十六条の必要措置命令、そして第八十七条の役員等の解任命令、あるいは第八十八条の解散命令、これがそれぞれ農林大臣として可能なようになっておるわけですけれども、たとえば、役員等の解任命令あるいは解散命令をやった後の措置については、どういう指導をやられるわけですか。
○森本政府委員 役員の解任命令の後におきましては、新しい役員を所定の手続で選んでいく。それから組合が解散をいたしましたならば、なお調整を要する事態であるということであれば、新しい組合の設立を指導するということになろうかと思います。
○角屋委員 時間の関係もありますから、第三章の養殖いかだの密殖改善に関する措置というのは、これも重要項目で、先ほど来関係同僚委員の御質問がありましたが、この密殖改善計画というのは、大体水産庁が考えておられるのは、三重、愛媛、長崎、大分、高知――仮谷さん自分の鼻をさしたけれども、高知は実態をよく知りませんが、あるいはあるのかもしれませんが、大体八つから十くらいのところを考えておられるのですか。対象の候補にあがっているのはこういうところである、しかし具体的にはまだきめていないのだがということがあれば、やはりこういう機会でありますから、候補にはこういうところがあがっておるということを、少しく御説明願ってはどうかと思います。
○森本政府委員 大体の考え方は、いかだ一台当たりの面積が五百平方メートル以下のところが、こういうものに該当していくであろうという感じを持っております。ただ漁場の条件によりまして、そういったものが五百平方メートルを中心にして上下にフレるというふうな場合もあろうかと思います。 したがって、それに該当する最近のそういった資料をとって、もう一回それぞれ精査をすることになりますが、現在手持ちの資料では、先ほど言われましたような、三重県とかあるいは長崎県とか、その他二、三の県の浦湾が想定をされるのではないかというふうに思っております。
○角屋委員 私は、いかだ一台当たり海面の五百平方メートルという機械的やり方は、これはおそらく水産関係の専門的立場からも議論の存するところだと思うのです。いかだといっても、貝を何ぼつるかという問題と無関係ではないはずですし、具体的運営では、やはり科学的根拠に基づいての密殖改善計画を当然考えなければならぬと思います。 そこで、現実に生産調整が昭和四十三年に三割、あるいは昭和四十四年には四十二年に比較して四割、こういう生産調整の段階の中で、いかだは所有しているけれども、実際上運営されておらぬという実態が生じておるところが当然考えられます。このいわゆる実態というのは、現にそう核をしておるそういう実態をいうのだと思うのですが、その点はどうなんですか。
○森本政府委員 現に使用をしているいかだということであります。
○角屋委員 そこで、密殖海域を指定し、密殖改善計画を立てるというと、非常に簡単でわかりやすいようですけれども、御承知の真珠の場合は、養殖の場合には避寒漁場もあれば仕上げ漁場もあるというふうに、たとえば、私どもの地元の三重を考えても、三重から石川県に持っていくとか、その他の県へ持っていくというようなことがしばしばあるわけです。そういう場合に、一年じゅうあるいは養殖期間中一定のところにすぱっとおさまっているのではなしに、時期的に移動がある。そういう場合の問題も含めて、密殖改善計画を具体的にはどう取り扱うのかということは、そうこの条文だけの簡単な問題ではないと思うのですが、この点はどうなんです。
○森本政府委員 先ほど言いましたように、現実にそこにいかだが浮かび、また養殖が行なわれるわけでありますから、その点は、あまり取り扱いとしては変わりはないのではないかという感じがします。
○角屋委員 これは、養殖の海域の使用状況によってはそう簡単な問題ではない。長官も三重県の農林水産部長をやられたけれども、そう簡単な答弁だけではいかない。 いずれにしても、そういう養殖の海面利用の実態というものを十分頭に入れて、密殖改善計画をどう運営するかということは、実態に即してやらなければなりませんが、調整組合を考える場合に、いまの関係と関連するのですけれども、三重県で調整組合の会員である、同時に石川県に行っても調整組合の会員である、これは当然起こり得るわけですね。どうですか。
○森本政府委員 起こり得ると思います。
○角屋委員 そこで、大臣にわかりやすい問題をお尋ねいたしたいと思います。 生産調整問題がこの立法の主たる目的でありますけれども、ざっくばらんに言って、さっきのように調整保管が千貫程度しか集まらぬ。あるいは若干の品薄に対する需要があって、調整保管を少しはき出してくれぬかという要請も出ておる。そういう点から見ると、この立法を考えた当時の緊迫感というものが、少しやはりギャップを生じてきておるという点を私は否定できないと思う。 それはともかくとして、この密殖改善計画を立てる、あるいは不況カルテル、合理化カルテルによって生産調整をやるという場合に、特に密殖改善計画の具体的運営では、単なる生産調整を一定のプログラムで強引に進めていけばいいのだということにはならない。細々でありますけれども、農林省の場合は、農業では農業構造改善、あるいは林業では林業構造改善、あるいは水産でも第一次の漁業構造改善というのをやってきた。またこれから第二次の後期のものを立てようとする。やはり密殖地帯というのは、密殖の社会的背景や経済的背景があってそうなっているのだが、これは一つが五百平方メートル以下になっているから減らせ、こう言って簡単に押しつけるだけでは、これは現実の政治ではないはずなんですね。つまり、漁場の改善あるいはまた漁業振興というものとタイアップしてこういうものの指導がなされないと、現地は快くこれを受け入れるという体制になりにくい場合が私は出てくると思う。単なる機械的に構造改善は構造改善、密殖改善は密殖改善、生産調整は生産調整とばらばらに行なっていい問題ではないでしょう。真珠産業の安定的成長という立場から、生産調整が必要であるということをわれわれが認める場合においても、生産調整という量的な問題の強制だけで終わってはいけないはずである。 一体、そういう真珠の具体的な安定的成長の中で、その地域の水産業者が生きていく方途というものと関連して、どういう具体的なプログラムで進めるのか、この点をひとつ農林大臣からお答え願いたい。
○長谷川国務大臣 大体おことばのとおりだと私は思います。したがって、やはりそれには政府としても漁場の再開発をやるとか、浅海漁場の開発、改善事業をやるとか、こういうような点は、現在もすでに予算にも盛ってやっておるわけでございますが、そのほかにさらに考えなければならないのは、いまおっしゃるように、密殖地帯は密殖地帯でやれるだけの余裕があるといおうか、それだけのものがそういうような結果にもなってきているのだろうと思うのであります。 ですから、われわれはそういうような点等も十分考えておりますし、さらにまた漁場というか、魚礁を改善するというようなところにも、来年からは意を用いなければならないだろう、こういうような考え方をもって、来年度の予算との関連は考えておるつもりでございます。
○角屋委員 要するに、私が言わんとするところは、やはり量的な制限を、必要に迫られて強制するというだけでは政治ではない。たとえば、三重県でおそらく爼上にのぼると想像される英虞湾というものを考えてみると、これは相当長い間、英虞湾の漁場改良ということが現地から強く要請されておるわけです。新しく海と水湾とをつなぐような水路も開設すべきだというふうなことで、神奈川の農業土木試験場の水産部門でもいろいろ検討しておるところなんです。だから、そういう漁場改善というふうな面についても、前向きにやはり取り上げるべきものは取り上げる、あるいは真珠の生産調整にかわって、沿岸漁業で取り上げ得るものは積極的に取り上げるという総合対策をやらなければ、これは何ら意味がない。そういう点は、先ほどの調整組合、調整組合連合会の全体的な本法に基づく運営、それに対する予算的配慮がないじゃないかという私の指摘と同時に、いま不況対策で頭が一ぱいで、量的調整に追われて、そういう配慮が、水産庁もなければ農林省もない、こういうふうに私は言わざるを得ないと思うのです。 先ほど来、金融の問題がいろいろ議論されましたので、農林中金からも来ておられますが、私は金融の問題については多くを尋ねることを省略いたします。水産庁の長官も、漁業近代化資金の法案が通った、これでもう水産の面は相当ウエートを置いて考えたい。私は、そうウエートを置いて考えられておるとは必ずしも思わない。実態からいえば、いろいろ注文はございます。あるいは農林漁業金融公庫の真珠面への役割りというものを考えてまいりましても、これはもう数年来数億程度にはなってまいりましたけれども、従来は非常にシビアーでありましたし、また、設備資金というような制約もありましたし、ほとんど利用されておらなかった。五、六百億という真珠金融が動いておる中で、いわゆる制度金融というものがほとんど役割りを果たしていないということは、このままでいいのかどうかという点については、やはりそれぞれの業態の実態に即して、長期、低利の金融というのを第一次産業は非常に望んでおるわけですから、この辺もやはり前向きに検討してもらわなければならぬ。 同時に、開拓の問題については、戦後の開拓の中から、いわゆる非常に悪条件の金融についての借りかえというようなこともやりましたが、私は、三重県の約百億近くの非常に焦げついたような金融事情、深刻な実態というものを考える場合には、今後の金融問題は、単に金融を豊富円滑にやるとか、あるいは必要なるものを適時にやるというばかりでなしに、もう少し、非常に焦げついておるような、そういう深刻な性格を持った金融について、条件のいいものに借りかえるという面についても、十分配慮しなければならぬと思うのです。最近、三重県では金融事情について実態調査をやって、県庁にすでに資料が上がってきておる段階ですね。水産庁はこういう実態を十分受けて、今後そういうものを十分考えていこうという姿勢にあるのかどうか、これをお伺いしたい。
○森本政府委員 先ほどもお答えを申し上げましたように、真珠問題と金融問題はきわめて密接な関係がございまして、私どもとしても、そういった金融対策ということを検討しなければならぬということでやってまいりました。 しかし、今回金融のいろいろな問題が起こってまいりました根本の問題は、やはり真珠についてかような事態を起こした、つまり、生産の調整が十分できなくて、需要に対して生産が過剰になってきた、価格も下がってきた、輸出もある程度不振を呈するようになってきた。そういったいろいろな市況なり、業界の体制なりというものが、金融に対して十分の信用力を持たないという点が、根本の問題ではなかろうかと私どもは考えております。したがいまして、金融の制度的なことを考えるということも一面大事ではありますけれども、各種の金融機関から十分金融を受けられるような体制にしていくということが、やはり金融対策としても根本のことに属するのではないかということで、生産調整の手段、あるいは密殖改善の手段というものを整えようというふうに思っておるのでございます。そういうことが整備をいたしますれば、やはり根本的な金融に対する姿勢というものが業界の中から出てくる、受信力も出てくるというふうに思っております。 なお、金融についてのいろいろな対策を考えなければならぬということで、私どもここ一、二年来腐心をしてまいりました。近代化資金もその一つでありますが、なおそういった検討は、実態がいま三重県でも精査をされておるということでございますから、さようなものも十分ひとつ拝見をいたしまして、必要な検討は続けてまいりたいというふうに考えます。
○角屋委員 同じ農林省の中で、不況というふうな場合、過去に幾つかの手を打たれてまいりましたね。たとえば、昭和三十三年の繭糸価格安定に関する臨時措置法、あるいは二割の生産調整に対するいろいろな財政的援助というふうな例を、私は国会に出てきた最初の年次でありましたから記憶に新たでございまして、たとえば、桑園整理奨励補助金ということで、例の繭価の非常に暴落をした昭和三十三年には三億九千百七十八万九千円、三十四年には三億六千四百十七万六千円というふうな形で、いわゆる二割の生産調整をやる場合には三、四億の金を出しているのですね。あるいは、同じような年次ですけれども、三十三年、三十四年以降、これは金融面では、繭糸価格の安定に関する臨時措置法で、三十四年には二百七十五億というものを、資金運用部からの借り入れによって、いわゆる金融面の充実をやっておるというふうな手を打っているのですね。 また、林業関係に見れば、私が出た早々の当時でございましたけれども、木炭出荷調整対策費ということで、熱エネルギーの変革に伴いまして、木炭の関係は非常に苦しい状況だというので、三十四年以来――現在だんだん木炭は減ってまいりましたので、少なくなりましたけれども、当初ピーク時には、二、三千万円の金を出してきておるのです。 そういう例があるように、真珠が不況だということは、農林大臣も、農林省も、水産庁も盛んに言われる。事実そのとおりである。しかし、一体具体的に政府が今回の立法以外に財政的なてこ入れとして、あるいは助成として、何を昭和四十一年来やってきたのかということになれば、私は見るべきものはないとざっくばらんに言いたい。もちろん金融を考える場合に、企業の体質と体制を整備すべきだという基本的な考え方は私は否定しない。しかし、そういうことは百年河清を待つような状態で、現状は、今日まだそうなっていない。したがって、そういうような問題について、十分これから積極的に考えていってもらいたい。 私は、ここであえてさらに質問はいたしませんけれども、単なる量的な生産調整ばかりでなしに、価格安定対策というものについて独立の機構を持つのかどうか、われわれはそういうことについても前向きに検討すべきだと思います。いま量的調整に追われておる、価格安定は本来ペイするための基本的条件である、そういう問題についてどう考えるのか。畜産物については、畜産物価格安定の事業団がある。繭糸価格についても安定事業団がある。水産にあってはいけないのか、あるいは真珠にあってはいけないのかということになれば、必要があれば当然考えるということで、これは検討すべき課題であると思うのです。 私は、そういう問題も含めて、今後長期安定的展望の中で、真珠の不況打開から第一歩を踏み出してもらいたい。そういう意味で、この真珠養殖等調整暫定措置法だけで問題がすべて終わるわけでないし、これはほんの一部をになうにすぎない。時期的にも若干ずれている印象さえある。これは、この内容にもずいぶん検討すべき点があるし、予算的な問題ではほとんどから手形であるということも、基本的には問題である。 最後に、そういう点も含めて、大臣から、真珠の不況打開から今後の長期安定のための基本的な見解を結びとして承りたい。
○長谷川国務大臣 今回の真珠養殖等調整暫定措置法というのは、先ほどお読み上げになったような転換策とは違うのでございまして、再びジャンプする一つの土台づくりというような問題とわれわれは考えております。したがって、これからさらに世界各国に向かって雄飛するのには、品質のよい、お客さまの好むといおうか、歓迎されるようなりっぱなものをつくってもらわなければならない、こういうことが私たちの目的でございまして、これでその養殖業をやめろとか、転換しろというのでは絶対ないのでございます。 われわれも、いま角屋さんからも御希望のあった点は十分に心得ておりますし、やらなければならない問題であって、業界ひとりでもって雄飛しろ、飛躍しろというわけじゃない。われわれもともに一体となって、世界に向かって日本のパールを売り出すことには何の異存もございません。そのような考え方で今後進むことを明らかにしておきます。
○角屋委員 以上で終わります。
○丹羽委員長 参考人各位には、長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 次回は明三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十七分散会