農林水産委員会 第43号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/07/01
会議録
○丹羽委員長 これより会議を開きます。 国有林野の活用に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井勝次郎君。
○永井委員 国有林野の活用に関する問題については、非常に政府も与党も異常と思われるほど執心のようであります。この法案通過の上は、一体どのような実効を期待しているのか、また、期待される内容を持っておるのか、この点についてひとつ明確にしていただきたい。目的とか何か法律の中に書いてあることはもう承知の上でありますが、どのような実効が期待されるか。
○長谷川国務大臣 この法案の活用については、もうすでに御承知でもございましょうが、基本的な考え方と申しますものは、国有林野の活用をよりよく、そうして林業基本法の中にもあるように、その規定の趣旨に沿うような、国有林野の所在する地域における農林業の構造改善、その他産業の振興、または住民福祉の向上のために、あわせて国土の保全を行ないつつ、国有林事業の使命達成とその調整を行ないつつ、適正かつ円滑な活用に十分配意をして今後まいりたい、こういうような考え方でございます。
○永井委員 国有林野が、企業の面から見て十全の運営になっていないということは、ある一面から見て私は妥当であろうと思うのです。それは単に企業的運営だけではなくて、公益性を持った運営でなければならないわけでありますから、むしろ本来的な国有林野の運営は、公益性に重点を置いて、そうして企業性は従になってもよろしいのではないか、それほどのウエートをもって運営しなければならない、こういうふうに考えておるわれわれの立場からすれば、企業オンリーの面から見て、そうしてこれはこういうふうに活用したらいいのではないかという見方が、部分的には出てくることもやむを得ない、こう思う。そのかわり企業性に重点を置いてやれば、森林の持つ本質的な公益性というものがおかされる心配があるわけであります。そういう関係の調整の上に立って、これは林野庁が管理運営するよりは民間に払い下げる、あるいは民間に貸付する、あるいは公益的な面に活用するというような方法でこれを利用したほうが、うんと活用効果があがるのだ、こういう見地に立って、私は、林野庁がみずから自分の財産処理について、積極的に自分の手では十分な活用ができないのだから、こういうことで出してきた案であろう、こう思うのであります。 そういう面から見ますと、一体農用地においてどう、あるいは林地においてどう、あるいは放牧地においてどうというような、ある程度の一つの具体的な展望を持っておられると思うのであります。そういう点について、私は林野庁長官から、この法案が成立した場合における実効的成果、それからそれがどのような性格において運営されるのか、その点をもう少し明確に、具体的に答弁をしていただきたい。
○片山政府委員 お答え申し上げます。 国有林野事業につきましては、先生御承知のように、大きくいいまして三つの方向でやっておるわけでございます。一つは、国土保全等公益的機能の確保をいたすために、第一種林を中心としてやっております。それからもう一つは、地元民のいろいろの福祉向上というようなことで、たとえば共用林等においての措置、これは第三種林ということで措置しております。さらに第二種林というのは、第一種、第三種を除いたいわゆる企業的に、経済的に、つまり木材生産を中心にして経営をやっていく、この三つの姿で運営をいたしておるわけでございます。そこで、ただいま御指摘の活用という面につきまして、国有林自身が持ってやったらどうだろうというふうな御質問のように承ったわけでございますが、われわれといたしまして、林業としての活用というような面につきましては、先生の御趣旨のような姿で、たとえば、民間がやってまいる場合でも部分林というような形でこれを推進していくことが、より妥当ではないだろうかということで指導をしておるわけでございます。たとえばたんぼとか畑とか、いわゆる農地そのものになるというものにつきましては、これは将来も考えて、当然農地として有効に利用されていくという場合に、林野庁としてこれを所有しておるというのはむしろ不適正であろう。ほんとうに畑である、ほんとうに田である、そういうことで、農民の方が相当土地利用を有効にされていくという場合には、これは売り払いあるいは売り渡し、そういう方法をとるのが至当ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
○永井委員 大臣の答弁なり林野庁長官の答弁の限りにおいてわれわれが了承するならば、それだけのことならば従来と同じことで、従来もそういうことをずっと進めてきたのでしょう。農用地についてはこう、林用地についてはこう、公益についてはこう、そういうことをずっとやってきた。さらには土地利用の問題だけではなくて、これは太っ腹に、自治体の合併その他について、市町村財政というものの助けとして、合併の引き出ものにこれをやるというふうに、おおばんぶるまいをやってきておるわけでありますけれども、そういう限りにおいては従来と何ら変わらない。また、法文の内容においてもそういう限度を出ておらないのであります。 そこで、特にこの活用法というものによって、農用地についてあるいは林用地についてどういうふうに大きく変わるのか、どの点が従来と変わるのか、そして、従来それが活用し切れなかった分野を新しくこの法律によって開拓できるのか、その辺の限界点を明確にしていただきたい。
○片山政府委員 国有林の活用につきましては、農用地等そういう活用につきましては、従来とも実施しておりますことは先生御指摘のとおりでございます。国有財産法、国有林野法、そういうものに基づきましてやっておるわけでございます。 ただ、最近の農林業を取り巻く諸情勢が非常にきびしい状態である。労務その他も非常に流出しておる。そういうさなかで農林業構造改善、これはますます必要性を高めておるとともに、地域の振興ということをはかることもまた非常に重要な問題として、あらためてこれは積極的に考えていかなければならないという諸情勢にあるというふうに考えるわけでございます。 そこで、今回の活用法案につきましては、従来やっておりますけれども、さらにその姿を、従来の通達という形に変えまして、いわゆる法律という国会の御審議をいただいたその姿の中でこれを実施してまいるということが、より妥当であろうということを考えておるわけでございます。 そこで、その内容の要点でございますが、かいつまんで申し上げますと、まず積極的に行なうべき活用のあり方、その相手方、これを明確にしてまいりたい。 それからもう一点は、その土地が適正に利用されるということが主眼でございますから、用途指定等を通じまして、かつまた、その用途指定に沿わない利用が行なわれるという場合には、買い戻しの特約も付するということも考えてまいらなければならない。 さらにまた、われわれのやっておる活用のしかたを公表して、公表の中でこれを推進していくということも第三項として入れてまいりたい。 第四番目につきましては、これを円滑、適正にするという意味から、延納の特約二十五年というものを入れてこの実施をはかってまいりたい。 大体、以上四点を中心としてこの法案を出しておるわけでございます。
○永井委員 そういたしますと、現在政府の行なっております総合農政というか、あるいは農業の構造改善というか、そういうものがいま経営規模の拡大という点で行き詰まっておる、壁にぶつかっておる、そういう一つの助けとして国有林がふところを広げる、そうしてそのふところを広げる条件は、従来よりは条件をうんと緩和して、外側のいろいろな要請が強いからそれに応じて条件を緩和して、できるだけ国有林を開放していこう、それに寄与していこう、こういう立場においてこの法案が発想され、あるいは成案された、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
○片山政府委員 先ほど御答弁を申し上げましたが、農林業の構造改善、これは農林省として推進していく一つの方向が出ております。その農林業構造改善、地域振興ということに視点を置いて国有林を活用いたすわけでございます。 その考え方は、あくまで土地の利用を高度化する、利用を合理化していく、そういう視点の中で判断していくわけでございますので、狭い土地の有効的な活用という面から、単なる林業だけという面からのみでなしに見ることも、これは必要ではないかということでございます。
○永井委員 この法案を見ますと、七条からなっております。七条からなっておりますが、第一条から第六条は従来どおり変わったところはありません。新しい法文として入ったのは第七条だけ。でありますから、国有林野の活用に関する法律案とこうたいへん柱は大きいけれども、中身は第六条までは同じこと、そして第七条が新しく入って、いろいろな代金の延べ払いとか担保とか、そういう点について入ってきたというだけの内容である、私はこういうふうに思うのです。 そういう法案の内容であれば、いままで国有林野をいろいろ開放してきた。たとえば農用地として開放した、開拓農民を入れた、こういう実績は幾たびか繰り返されてきたのでありますが、これはもう実績的に、実験的にある程度明確になっておる。開放した土地の二割くらいが成功していて、八割くらいは失敗の繰り返し、そうしてそこに入った開拓農民は生体実験みたいなひどい目にあって、食うや食わずのひどい状態になっておる。ひどい状態になるというのはあたりまえであって、平地のいい土地で農耕をやっても、現在はなかなか農業というものは他産業に比べて、生活水準を高めたり生活の安定をはかるということができない。そこで、経営規模の拡大というような架空なそういう夢を持たして、そこに定着させていこうというのがいまのやり方だと思う。しかし、低地でさえ満足に成り立たないのにそういう条件の悪いところを耕地としても、農用地として拡大解釈すれば別でありますが、それをシビアーに、耕地としてほんとうにここは適地かどうかという吟味をするならば、そういう部分は非常に少ないと思うのですが、それを今度非常に拡大して、一つは農業に対する寄与をする、一つは山地振興に対する寄与をする、こういうような非常に広範な目的から、今後この法案を運用していこうとする。 そういたしますと、これはもはや産業の領域ではなくて、社会政策的な領域まで拡大してこれを運用しようとする。こういうことになりますと、運用するほうはそれでいいかもしれませんが、そういうことではかない期待を持ってそこへ入った農民が、再びこれは生体実験的な、そうしてまた棄民、おば捨て山みたいな、そういうひどい状態になっていくことは明らかな筋道でありますが、そういうものに対しての過去の実績に対する反省と、今後におけるこの問題と取り組む一つの姿勢と、そういうものの間にどのような心がまえを持っておられるのか、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
○片山政府委員 過去の姿と、さらに今後の問題についての御指摘だと思います。 過去の姿としまして、所属がえをしたもの、また、先ほど先生御指摘になった市町村合併に伴う売り払い、あるいは林野整備による売り払い、そういうものがございます。それを要約して申し上げますと、現在まで林野整備並びに市町村合併に基づきまして売り払いました総面積は十七万八千ヘクタールございます。その姿を、四十二年度末でございますが、営林局署よりまして一応概査をいたしました結果は、大体その八五%、十五万一千ヘクタールは林業的利用に現在利用されております。ただ、一五%はその他のものに利用されておるということでございますが、これはそれぞれの市町村の財政その他の中で許可をいたしまして、そして承認をしておるというものでございます。 それから、所属がえをいたしましたものが、現在まで約三十九万ヘクタールございます。大体八五%がその中で売り渡されております。それから、不適地その他で返還されたものや、現在農地局でまだ保有しておられますものが一五%ございます。 なお、売り渡したものにつきましての利用状況につきましては、農地局のほうから答弁願いたいと存じます。
○小山説明員 国有林のほうから所属がえを受けまして、開拓あるいは入植農家の農用地にいたしました面積は、時代によってかなり活用の状況が違うように承知をしております。といいますのは、御承知のように、戦後の緊急開拓時代あるいはそれに近いころには、率直に申し上げまして、調査その他十分でない状態で入植をいたしましたというふうなことがあって、活用率必ずしもよくない例を間々耳にするわけでございます。 数字で申し上げますと、営農実績調査を私どもやっておりますが、四十二年度のこの調査の数字で見ますと、これは所属がえを受けたもの、あるいは農地法で買収をしたもの、これを別々に計算しておりませんですが、両方で込みにいたしまして活用率が八四%という数字が出ております。その後方式を改めまして、開拓パイロット方式にいたしました後十分に準備をしてやっておりますので、これは国営、県営ともに活用率は一〇〇%という状況になっております。
○永井委員 農地局長及び畜産局長から伺いたいが、この法案の通過後において、採草地として畜産局はどのくらいの期待をしておるのか。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 農地局は、農用地としてどのくらい期待しておるのか。——局長来てないのか。局長の出席を要求してあるのに、どうして出てこないのか。
○三ツ林委員長代理 いま、局長は参議院のほうに出ております。
○永井委員 それじゃ、両局長来てから……。
○三ツ林委員長代理 いま連絡しますから、そのまま……。 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
○丹羽委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○丹羽委員長 速記を始めて。
○永井委員 温厚な委員長から、委員会の規律をぴしっとするということでありますので、じゃ、来るということを前提にして質問します。 そうすると、長官にお伺いしますが、この農用地なり林用地、いろいろ処分の条件というのが、適地の条件というものが、さっき言われましたそういうものによって緩和されるわけですか。従来よりはずっと緩和する、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
○片山政府委員 現在、農地の選定基準というのはつくられております。そこで、今後活用法案をお慰めいただいた段階におきまして、その活用基準がどうであるかというのは、農地局あるいは毒産局と協議をいたしまして、さらにこれは林政審議会にかけることにもなっておりますので、そういう措置の中で万全な、先生おっしゃるような不適正にならないような形で推進してまいりたい、かように思う次第でございます。
○永井委員 われわれの常識からいえば、従来ならいろいろ期待をして林野の開放地に入植したり、いろいろ経営の拡大を有利に運ぶというようなことで期待を持ったかもしれないが、現在日本農業の当面しているこのきびしさ、困難さ、そういうことから考えれば、従来の基準よりはもっときびしく、そうして科学的に成立する条件というものをきちっと確立して、これならだいじょうぶだということでなければならない。ゆるめる方向ではなくて、これはきびしく、シビアーにしていく、こういう方向で基準というものが動くとすれば動かされなければならない、こう思うのですが、これはいかがですか。
○片山政府委員 農地並びに草地等の活用の基準でございますから、私から答弁するのも適当でないかとも存じますけれども、要は、その土地が最も有効に、かつ適正に利用されるというそういう視点から基準というものを協議し、きめてまいりたい、かように思う次第でございます。
○永井委員 林野は林野庁長官がその責任において、一人ではありませんが、林野庁が善意の管理者としてこれは国から委嘱されているものでしょう。だから、これがどういうふうに動いたら活用がより高まるか、あるいは土地生産性を高めるか、高度利用ができるかということは、林野庁長官がみずからの所管について、主体的な意見というもの、それからそれに対する考えというものを確立されていなければ、だれが何と言おうと、これは農地としてはだめならだめだと言うだけの主体性がなければだめじゃないですか。畜産局から、ここは草地としてほしいのだから、ああそうですか、農地局から、ここは農用地として適当だと思うが、ああそうですか、そういうふうに主体性なくて、注文どおりノーズロースに譲るというわけにはいかないでしょう。 ですから、従来の例から見たって、農業を取り巻く条件、畜産を取り巻く条件、それから国際競争に立ち向かっていく条件ということから言えば、ただ条件の悪いところに入れて、そうして悲劇を農民に与えるよりは、それに対してきちっとした姿勢で、最初から、ここは林地として活用したほうがより活用性が高いというような主体的なものを、ぼくは長官かきちっと持っていなければいけないと思うのです。いまの答弁は全く主体性のないような御答弁だと思うのですが、その点はどうなんですか。
○片山政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、一応の土地有効利用という観点からの基準を、中央において定めるということを申し上げたわけでございます。 具体的になりますと、これはこの前ですか、もう少し前の国会の審議におきまして設置法の改正をいたしまして、営林局単位に国有林野管理審議会というものをつくっております。したがいまして、その管理審議会に具体的の問題を通して、先生おっしゃるそういうものを審議していただきまして、その結果によって現在は実施しておるという形でございます。したがいまして、最近におきます構造改善事業に対しまして、国有林を活用願ったそのものは、非常に有効に活用されておるというふうに判断いたしておりますし、今後も、その管理審議会において十分具体的に審議をいただいて決定してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
○永井委員 そういう手続なり機関を経て進めるということはわかりますが、しかし常識的にいって、従来の既耕地のようなところでも離農者がどんどん出ていく、そうして国際競争はきびしくなっていく、そういう条件の中で新たに発足しようとする場合には、条件としては従来よりはもっときびしい条件でなければ成り立たないということは、これは常識的に私はわかると思うのです。もしそれが成り立つとすれば、それは社会政策的な面から、あるいは山村振興という、経済的な条件でない別な条件で緩和する以外には緩和条件はない、こう私は思うのですが、そういうものまでそろばんで計算できない。農業なら農業、林業なら林業という企業的採算性に立って、そろばんの置けないような条件がいろいろ入ってくるというならば、これは無限に拡大していくだろうと思う。そういうことになれば、この法律というものは従来とは性質が全然違ったものになってくる。 だから、私はこの法律は、条文そのものからいえば、内容からいえばたいしたものではないが、この法律を取り巻く政治的情勢、あるいは一般的な情勢というものはたいへんなものだと思う。この法律か通ったら、すぐその山が払い下げになると期待している。政治家なんかも、よし、これを通してここへ土地をこういうふうにして払い下げてやるというような予約活動がもう始まっているのですよ。これはたいへんな動きになっているのです。また、みんなもそういうことで期待をしている。 そうすると、従来のような条件でもこれは不満足だ、それをさらにシビアーにしていくということになれば、この法律を出す条件と、これを受け取る大衆、これを政治的に推進した与党の思惑とはずいぶんばらばらなものになってくる。そうしてこれが通った以上は、そういう政治圧力というものは、長官だけの考えや何かでは、これはとてもささえ切れない。押し流されてしまう。林野庁なんか鹿児島のシラスのようなもので、押し流されてしまうという状態でありますから、私はこの法律の審議の過程においては、一条一項といえどもゆるがせにすべきでない、これに取り組む姿勢と林野庁の善意な考え方というものを明確にしておかなければいけない、こう思うからお尋ねを繰り返すわけです。農地局からこう言われたから、畜産局からこう言われたから、地元からこう言われたから、こういうようなことでぐらぐら動きますならば、たいへんなことになりかねない政治情勢がこの法案を取り巻いているのだ、その中で審議されているのだ、こういうことの上に立って、私は重ねて長官のこれに取り組む明確なお答えをいただきたいと思います。
○片山政府委員 先ほどもちょっと答弁をいたしましたように、これは現在農林省が推進をしている、たとえば農業構造改善であるとか、あるいは開拓パイロットであるとかいうそのものを円滑に進めるということでございまして、かつまた、大臣が常に答弁されております、農業もこれは企業である、企業の面から成り立つような形にしてまいるということでございますから、そういう面からの検討を十分尽くしてまいるということで処していくことは、決してその土地の利用上マイナスにならぬ、これはあくまで企業的に成り立つものだ、農林省の推進するものを積極的にやろうということでございます。
○永井委員 企業的に成り立つ条件ということでいうならば、既耕地の生産性の高いところでも、これは成り立っていかない条件に追い込まれている。そういうところから、新たに開拓して新たになにするというようなところは、より高度な土地条件、気象条件、自然条件、そういう取り巻く経済条件というものが高くなければ、とてもそれは耐えていけない、これは常識的にわかることでしょう。だから、今後取り組むそういう分野は、従来よりはもっとシビアーに、きびしいものにして吟味して、厳選していかなければだめなんだ、こういう考えに立つのです。個々の条件というものは、それはいろいろあるでありましょう。しかし考え方としては、それから条件としては厳選せざるを得ない、これが私は常識だと思うのですが、端的にそういう答弁ができないのですか。 私は幾つも例を持っていますよ。開拓のいかにずさんで、そこに入った者がいかに悲劇の実情に置かれているか。私は、先日宮崎県あるいは熊本県に参って現地を見ました。この地区だって、みんな一緒に入植した人たちがもう半分もいないのですよ。そうしてそこの土地生産はどのくらいあがっているか。えびの原なんか年間十万よりあがらないのですからね。だから、男の人はみんな阪神地区に出かせぎに行って、女だけがなにしている。それは統計の上から見たら農地になっているでしょう。水田になっているでしょう。あそこは採草地というのですが、傾斜地をくずして平らにしてやったら、牧草がはえないというのですよ。それほど地力がないのです。ですから、傾斜地なら傾斜地のままに牧草を植えなければならない。こういう試行錯誤をまだやっているんですよ。 それから、宮崎県なんかで知事もたいへん力を入れて、青年たちを入れて開放してミカンをつくりました。ことしは三年目です。三年目になってこれが出てきたときに、もうミカンを取り巻く市況は、市価が三割五分から下がっている。来年実るときはもっと下がるかもしれない。こういうことは、私は、いままで農林省がやったにいたしましてもだれがやったにしても、ずいぶん無責任だと思う。でたらめだと思う。北海道の開拓なんかひどい状態で、まだ同じことの繰り返しです。きびしい反省というものがないからこういうことが起きている。そういう考え方に立たずに、過去のいろいろやってきたことが、ただいま長官なり農地局から発表したように、成功しているんだ、成功しているんだという前提に立って、これを発展させるという方向においてこの問題と取り組みますならば、私はたいへんなことになると思う。 私は、この際きびしい過去に対する反省がなければならぬし、それはみんな担当の者はわかっておると思うのであります。それから、それを管理している林野庁長官は、あっちからこっちからむしり取られないで、林業というのは百年の大計ですから、百年の大計に立った土地生産の企業性というもの、農業と畜産とそういうものに立ち向かって、対決するだけの自信がなければ私はならぬと思うのであります。いかがですか。林野の関係については長官から、それから、まだ失敗を繰り返しておるのですが、そういう過去に対するきびしい反省に立つのか立たないのかということについては、官房長から答弁を求めます。
○片山政府委員 何度もお答えが重複するようでございますが、私は、やはりその土地がほんとうに有効に利用されるという、そのことがぜひ必要なわけでございますから、活用のあとにそれが利用されないとか、不適正になるとか、これは最も避くべき、先生御指摘のとおりのことだと存じます。したがいまして、そういう意味の厳重な、慎重な検討の中で進めてまいりたい、かように思う次第でございます。
○大和田政府委員 過去の開拓につきましては、御指摘のように戦後、特に緊急開拓等で入りました人たちは、相当苦しい状況にあることは事実でございます。私は、開拓農家で相当成功している者がある反面、非常にまずくいったという面があるということも、これは私どもとして率直にやはり反省しなければならない点だと思います。過去のうまくいった例あるいはまずくいった例等々をきびしく反省して、今後の施策を進めるべきものだと考えております。
○永井委員 私は、過去百年の経験というものは、単に百年日時がたったというだけではなくて、そこには何十万という人間が政策の誤りによって転落していった、死んでいった、こういう深刻な、なまなましい、人命を賭した経験の上に立った今日の実績であると思う。そういうものに思いをいたすならば、私は単に土地の条件だけではなくて、それを経営する人間の生活条件、そういうものに対して、ヒューマニズムの上から胸がうずかなければならぬ、こう思うわけでございます。それをいまのように、何か地域を拡大すればその問題が解決できる、こういうふうに安易に考えることが一つの大きな誤りである。そして、これを経済的な問題としてまじめに取り組まないで、林野の開放という政治運動として、この法案を取り巻く条件の中に大きな動きとしてあるこういうことに対しては、私は十分警戒をしなければならない政治情勢であると思う。そしてもしシビアーな条件をしいて、それでもなおかつ相当量、林野が林野として持っておるよりは、活用できる条件の残っておるところが非常にたくさんあるというならば、私は、林野庁が善意の管理者としてその責任を果たしていないものだ、こう思うのです。現在だって、これは現行法で幾らでも有効に活用できるところは活用させることに処理できる条件は置かれておる。その運用はできる。にもかかわらずこの法律によらなければ——かりに政治圧力でそういうものを出さなければならないのだというような取り組み方であるならば、私は、林野のいままでの施策についてきびしく批判しなければいけないと思うのです。われわれの常識からいうならば、そういう有利な土地条件というものはそんなに残っておるわけはない、こう考えるわけであります。でありますから、こういう問題によって、林野よりは農用地にしたらいい、採草地にしたらいいという、時の一つの流行のような看板だけを看板にして、そうしてとれるものはとっておけ、こういうようなことの動きのほうがよりいま強まっておると思う。 われわれは北海道でありますが、北海道の山地の実情からいえば、これは農用地としてりっぱな既耕地ですが、農用地として山村地帯では売買する価格はうんと低いのです。地目変更して、ここは木を植えてもいいという林地の地目をとれば値段が上がるのです。それはなぜかというと、いままでの農業というものが、成り立つ条件でないところへ農業をやってきたからです。こういうように試行錯誤でぐるぐる回って、ようやくまた最初の木を植えれば有利だという条件のところへ帰ってきておる。開拓地だって何だってみんなそうです。みんなといえば語弊があるが、大部分はそうです。この間回りました宮崎県でも、それから熊本でもずっと試行錯誤で、最後には木を植えたほうが有利だ、こういうところへ落ちついている実例を見ましても、それほどの経験をしなければそういう結論が出せないのかというと、私はそうではないと思う。これは指導が悪いからだ、そうして指導に当たる者が無責任だからだ、こう思うのであります。 そういう意味において、この法案に対する掘り下げたいろいろな問題については、これから他の同僚もいろいろ触れられることと存じますから、農地局長、畜産局長等への質問は後刻に留保いたしまして、一応先に進みたいと思うのであります。 そこで、いま国有林が危機であるという声が非常に多い。危機の実体が何かということについては、いろいろな見方があるでありましょうが、国有林の危機ということについて長官はどのようにお考えになるか。そうして、国有林が危機であるとするならば、危機の実体は何かというふうにお考えであるか、それをひとつ伺いたいと思います。
○片山政府委員 国有林の危機というものは何かということでございます。 いろいろの問題がございますが、まず第一に取り上げられますのは、特別会計という制度で終戦この方やってまいっております。その間、特別会計が赤字となったのが三カ年ございます。それは、二十九年の洞爺丸がひっくり返った十五号台風、それから三十四年の伊勢湾台風、それから四十年に起きました、これはそういう被害ではございませんが、いわゆる木材価格の低調に対して労賃その他が非常に上昇してきたこと等から逆ざやになった、この三カ年が国有林の赤字の年でございます。それ以外の国有林野の運営につきましては、順調な姿で林相も改良され、林道もつくられ、そうして生産力も高められた形で推移しながら黒字を保ってまいったわけでございます。 しかし、現在の段階で振り返りますと、国有林はその間増産体制ということをやりまして、林力増強計画というものをつくりまして、森林そのものの生長量を高めるとともに、当面の伐採量をもふやしながらやってまいってきたわけでございます。そこで、現在におきましては、国有林の伐採量というものは、端的に申しますと頭打ちの形に来ております。将来は相当の生長を期待はできるわけでありますけれども、現段階におきましては、残念ながら生産量というものをそう伸ばし得ない段階にまいったという状況でございます。 一方、労賃あるいは俸給その他を含めますと、これは社会情勢、経済情勢から考えましても、当然上昇してまいってきておるという姿がございます。これは、今後もそういうことは想定されるのではないだろうかというふうにわれわれは思います。一方、治山事業と申しますのは、終戦以来充実して、この量も飛躍的に増加しております。治山事業そのものは五カ年計画その他で、もうかったからやるという性格のものじゃございませんから、そういうものでやって、これはさらに増加をしてまいっておるわけでございます。そのような労賃、治山等を含みます国有林の特別会計というのは、今後非常にむだかしいところに来ておるということを、端的に認めざるを得ないと思います。それが第一点でございます。 それからもう一点は、経営を合理化して、そしてまた生産力を高める場合のやはり労務の問題でございます。労務の不安定の雇用の中で、あるいは山村から流出していくその中で、経営というものは安定はいたさないと思いますので、労務そのものも安定化に向かってこれは確保してまいらなければならない、そういう諸情勢がございます。 一方、第二次産業、第三次産業という高度の成長の中で、ただいま申しました一次産業であるそういう産業が、これはおしなべて共通であると思いますけれども、非常にきびしい諸情勢にある。そういう中から、国有林というものをいかに安定した形へ持っていくかという面から見ますと、先生先ほど申されました危機という表現がいいかどうか、そういう問題があろう。 そこで、われわれも長期の見通しに立ってこれを推進してまいりたいということで、現在国有林に対する答申の問題もございますが、それも含めまして安定した形をはかりたいということで推進し、かつ、検討をしておるわけでございます。
○永井委員 いま長官のお答えになりました問題点も、確かに私は危機の幾つかの条件であると思います。しかし、もっと掘り下げてまいりますならば、これを取り巻く産業界もいまたいへんな時代だと私は思うのです。国際的に大きな激動期にある。その激動期に対応するための国内の諸体制整備ということはなかなかたいへんだと思います。その中でも、林業というのは小手先で、あるいは資本でいきなり手ぎわよく処理できるというものではなく、長期の計画、長期年月を経なければこれに対応していけない。したがって、それだけに早く対応する体制というものを確立しなければいけないと私は思うのでありますが、いろいろな移り変わっていくものに対応する主体性、林野庁それ自体の主体性というものが確立されていないんではないか、それが一番大きな危機ではないか、こう私は思うのであります。 たとえば、これだけの大きな、全国土の七割近くが林野の面積であります。その中で国有林は三分の一を持っておるのでありますが、それだけの地積を持ちながら、これに取り組み、これを運営していくべき法律体系としては、全く原始的な状態に置かれておる。たとえば、国有財産法、国有林野法、国有林野管理規程、これは国有財産の管理、処分の見地からきめられたものであります。あるいは財政法、会計法、国有林野事業特別会計法、国有林野事業特別会計経理規程、これも国有林野の事業を主として見た財政経理の会計の問題であります。それから行政組織に関しては、農林省設置法とか農林省組織令とか、あるいは農林省組織規程、こういうものはあるが、これだけの大きな事業をやっておりながら、事業と取り組む一つの法体系というものは何もない。単に経理、会計の立場から、あるいは行政組織の立場からの法定はありますけれども、事業を運営していくものはない。 そして、それらの末端の問題はいろいろあります。ありますが、これらの命令なり、あるいは指揮なり、そういうものが上から下まで統一的に徹底するような組織になっておらない。たとえば、本年幾らの木を伐採するという計画を立てましても、その木は一体どこからどういうふうに具体的に出てくるかということは、長官も把握できないでしょう。造林なら造林をやるにいたしましても、末端でどういうふうにこれが実行されているかという実態についての把握はできないでしょう。これはやはり事業法という法体系がないからではないかと思います。 だから私は、いまこういう激動する中において、それに対応する取り組み方をするには、事業官庁である林野庁というのはもっと新しい体制に切りかえ、そして新しい体制の中で有機的に取り組む、そういう一つの近代的な体制というものを私は確立しなければいけないんじゃないかと思う。たとえば営林署、営林局、林野庁、こういうふうに横割りになっておるが、上から下までの縦の統一というものがここにできておらないのではないか、こういうふうに思うのであります。 そういう点からいって、いまいろいろ事業内容の能率化なり、合理化なり、あるいは林地の高度利用なり、そういうものをやるにいたしましても、私は根本的に、現状でいいというのではなくて、現状の諸欠陥というものをどう排除して、そうして新しい体制に脱皮して、新しい動きを摂取できるような機能を持った組織体制、運営体制というものを確立することが必要である、こういうふうに思うのでありますが、いかがでありますか。そういう一つの主体性が確立した中から中核が確立して、そこからいま言ったような、いろいろな問題というものの具体化が発展していかなければならないと思うのであります。 われわれは、林業というものは、もしことばで言うなら、危機ということばでは足りない、超危機である、こう思うわけであります。そういう点から、幾つかの問題点についてこれからお尋ねをしていきたいと思うのでありますが、まずこういうものに取り組む主体的な中核としての行政組織、事業主体、そういうものの確立がこのような状態ではだめだ、こういうふうに考えるのでありますが、いかがでありますか。
○片山政府委員 林野庁の主体性、例を引かれましたように、生産量一つ林野庁は把握していないんじゃないだろうか、こういう御指摘だと思いますが、私どもはいまの生産量の確保、そういう問題につきましては、全国森林計画というものをつくりまして、国有林、民有林、別々に一つの経営計画をつくって推進しておるわけでございますが、ただ、ここで申し上げたいのは、国有林に関する限りことしどれだけ切る、どこの地帯からどれだけ切る、これは明確な数字でやっております。先生おっしゃるように、どこかわからぬということはございません。その中で林相も改良し、生産を上げるという方向でやっておるわけでございます。 ただ、民有林につきましては、残念ながら強制力を発揮して、これを切りなさいということはできませんので、昨年お認めいただきました森林法の改正によりまして、森林施業計画というものをつくっていただきまして、それによって計画的な推進をはかるということを措置したわけでございます。その森林施業計画というものは、自主的に所有者がつくるわけでございますから、したがいましてそのための恩典の措置、所得税の軽減等のこともはかりましてその推進をはかって、計画的な生産にのせていきたいというのが指導の方向でございます。この計画ができた暁におきましては、計画的な生産が出てまいるということを期待し、指導しているわけでございます。そのような意味では、確かに民有林のどこどこでどれだけ生産されるかということは、残念ながら、想定はしますけれども、はっきりできるということを言い切ることはできません。ただ、そういう意味で森林施業計画を通して指導して、先生のおっしゃるような方向にやってまいりたい。 なお、組織問題に関連しての御質問がございましたが、御承知のように林野庁におきましては、職員部、業務部が主体となって、これは国有林のほうを担当いたしております。指導部が民有林関係を、県を通してやっておるわけでございます。今回の改正におきまして、農林局を通してやるということに改正を御提案申し上げておるのでございますけれども、指導部を通して民有林の行政をやり、国有林につきましては業務部、職員部を主体としてやっておるというのが現状でございます。 なお、事業法と申しますか、先ほど特別会計法なり国有林野法なりあるけれども、国有林の事業、こう私は解釈したのですが、国有林の進むべき事業というものが明確じゃないじゃないか、こういう御指摘だと思います。私ども現在の法体系の中で、一応われわれなりに解釈して国有林の事業を進めておるわけでございますけれども、現在の世界の姿を見ますと、世界林業会議というのが先生御承知のようにございます。それで、森林の受け持つべき役割り、林業として受け持つべき役割りというのが世界林業会議できめられております。 具体的に申し上げますと、まず水資源の確保、国土保全、これが第一の目的としてございます。第二番目が主要林産物の確保でございます。第三番目につきましては山を保健的に、休養的に、俗なことばでいえばレクリエーション的に、そういう保健、休養の場としての山のあり方というものを考えるべきである、これが第三点目でございます。第四点につきましては鳥獣の保護、これは世界的な問題になっておりますが、世界の鳥獣の保護というものは、国有林みずからが考えていくべきものだということであります。第五点としましては、野草その他の利用というものも大きな土地利用の観点から考えていくべきであろう。この五つが、世界林業会議におきまする森林並びに林業の進むべき方向ということでうたわれておりますので、日本の国有林につきましても、このような形の実施はどうであろうかということを、もう少し明確にしてやったらどうだということで、これはまだ林野庁内部の検討でございますが、進めておる段階でございます。
○永井委員 大臣にお尋ねしますが、いま長官が答弁したように、ずっと明治時代から国有林は国有林だけのことをやる。そうして民有林のほうにはあまり手を出さない。無関心である。しかし面積からいっても、それから日本の林業がこれだけ外材に荒らされている状況に対比しましても、今後努力しなければならぬのは、国有林だから、民有林だからという区別ではなしに、日本の全体の林業というものをどう増強し、どのようにこれを——ちょっと雨が降れば大水害になるということは、これを追及していけば山が荒らされているからということになると思うのです。そういう点から見ましても、これが災害の予防的な措置としての森林育成、そしてその中における林木の生産、こういうようなものを総合的に考えますならば、林野庁は直接に国有林を統制していく、管理していく、しかし、民有林に対しても間接的な管理、それだけの効果のあがるような、こういう法体系あるいは運営体制、こういうものを整えていくべきも——のではないか。 私有財産に対して介入は許さないということでありましても、これは世界の林業の実情から見まして、林業は公益性を持っておるのでありますから、単なる一私企業ではございませんから、いろいろな制約あるいは統制、こういうものが自由国家であるアメリカのような国にも、ヨーロッパの各国にもあるのであります。そういう点からいって、国が、いま言ったように、ただ森林計画、こういうものを上からぶっかけてやったって、これは末端で実行できるものではありません。下のほうから積み上げて、実際に全国画一なものではなくて、それぞれの地域、それぞれの条件に適応した森林計画というものを立てて、そして上からまた流して、そしてそういうものに対して普及員が指導する。あるいは今後における生産性を高めるためには、林業試験場なんか単に象牙の塔にこもっていないで、もっと試験場員は現場に出ていく、そしてそれを指導する、そして計画というものを現場で研究し、その研究成果というものを試験場に持ち帰る。書斎と現場、こういうものの交流の中で、もう少し生きた運営をはかるべきではないか。そういう非常に閉鎖的な、あるいは封建的な従来の運営体制から、もっと林野庁は脱皮すべきではないだろうか、私はこういうふうに考え、それに合わせた法体系というものを考えていくべきではないかと思うのですが、大臣のこれに対する所見を伺いたいと思います。
○長谷川国務大臣 申し上げるまでもなく、国有林は国土の保全ということが第一の条件でなければならないだろうし、したがって、その森林の持つ公益性というものも、当然これは機能を十分に発揮しながら、これと並行した運営というものが行なわれなければならない。したがって、ただいま御指摘のような生産性の向上を求めなければならぬ。それには奥地、未開発森林の開発等というような面もあわせて行なっていかなければならないし、林業の総生産と申しましょうか、こういう面に立たなければならないと思うのであります。 したがって、今回の法案が出たからといって、決してこれは無秩序に開放するべきものではなくて、開放するべきところがあるとするならば、当然その条件が十分備わったところでなければやる考えはありませんし、また土地を高度利用するために、その利用価値というものがこうなるのだから、どうしてもそれを講ずる必要がある、そういう場合があるとするならば、その土地を国が手放さなくても、いままでのような、たとえば部分林方式というような面もあります。あれと同様な方法で貸付方式をとってその高度利用に役立たせる、こういう点も考えられるのでありまして、決してわれわれは無秩序に、この法案ができたからこれを開放するなんという考え方は毛頭持っておりません。 過日も申し上げたのでございますけれども、日本というこの細長い国が、海の中にぽつんとあるこの島国が、森林に支えられておるというこの重要性、重大性、これは忘れてはならない問題でありまして、いかに国土保全という面が大きくこの中に役立たなければならないかということは当然なことでございますから、そういう点は十分に心得て、意を用いて今後の法の運営にはあたる考え方でございます。 民有林の点につきましてもそのとおりでありまして、もしも奥地において民有林の未開発地区があるならば、ぜひそれらは国有林のほうへ変えてもらって、そしてこれらを総合的な開発をしていくべきである。こういうように考えてはおりますけれども、なかなか民有林を手放すということもむずかしい問題でありましょうから、これらに対しましては、われわれは指導しながら両立できるような方向に向かうべきだというようなことも、先日林野庁の幹部の方々ともお話し合いを申し上げたわけでございます。
○永井委員 国有林と民有林との総合一貫性のある政策という立場に立っておやりになるというお考えと承りました。そうであるとするならば、単に生産分野の問題ばかりではなくて、たとえば土地の活用の問題にいたしましても、これはいまの常識的な——まあ一べついたしますならば、国有林の活用部分よりも、里山である民有林の活用分野というものが非常に多いのではないか。もし国土全体の活用という見地に立って、寸土も低生産から高い生産へ引き上げていくのだという見地に立つならば、私はこの際、国有林よりは民有林の無立木地帯で、そうして地価の値上がりをただ待って生産的な活動をしてない、こういう眠っておる、停滞しておる地域に対して活を入れて、これを農用地にする、採草地にする、こういうことも積極的に取り上げられなければならないにもかかわらず、そういう問題が全く没却されている。その点、民林との総合一貫性の問題はどういうふうに考えておられるか。
○長谷川国務大臣 民有里山の件につきましては、先日御審議をわずらわしました農地法等にも関連がございまして、いままでの里山の存在性というものが、このごろはその重要性というものが非常に薄らいできたということは事実であります。ただ値上がりを待っておるというばかりではなくて、いままでは薪炭林というような面に重点が置かれて里山というものが大いに活用されてきた。しかし、そういうような燃料的な重要部門というものが転換されてきた、こういう点もあるわけでございますから、これらをあわせまして、過日御審議をわずらわして通過を願った農地法等にもあるとおり、十分にこれらの活用をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○永井委員 それは、また次の機会にもう少し掘り下げることにいたします。 長官に伺いますが、林業基本法は企業的林業、それから森林法は公益的機能、こう相矛盾するものが一緒に同居しているわけでありますが、この間の調整というものをどういうふうに具体的につけておられるか、これをはっきりさせていただきたい。
○片山政府委員 林業基本法ができまして、その基本法にありますように、長期の木材需給の見通しと、それから森林資源の基本的計画というものを、基本法に基づきまして樹立いたしまして、閣議の決定を経ているわけでございます。その線に沿いまして、森林法に基づきまして全国森林計画というものを樹立いたしました。その全国森林計画というのは、国有林、民有林一緒の計画でございますから、さらにそれを分けますと、国有林につきましては、経営計画というものを樹立いたしまして、これは先ほど申し上げましたように、末端の営林署のどの個所までどうするという計画を明確にしまして、伐採、造林等をやっておるわけでございます。 民有林につきましては、地域森林計画というものを全国計画に基づきましてつくるわけでございますが、これは先ほど先生御指摘のように、上からの一つの計画でございます。したがいまして、それを打開する意味、あるいは地につける意味におきまして、これも先ほど答弁いたしましたが、森林法の改正をいたしまして、所有者が自主的にみずから計画を樹立しまして、それを認可して、そしてそれによって実行してまいるという形をとりながら、国土保全、森林生産並びにその他の諸施策を、あわせて実行してまいるということで実施しておるわけでございます。
○永井委員 長官にお尋ねしますが、中央森林審議会の答申を受けてからもう数年たちます。その中で重要な問題は、やはり経営と行政の分離の問題がどう始末されるのか、まあ聞きおく程度ということでほうり投げるのかどうか、その面はまだ結末をつけていないようでありますが、この点を明確にしていただきたい。
○片山政府委員 たしか昭和四十年に、国有林野の事業のあり方ということで御答申をいただいております。その内容につきましては、非常にこまかく分かれておりますが、大ざっぱに言いますと、組織機構の問題、財政の問題と合理化の問題、かように分類できるかと思います。これは大ざっぱでございますから抜けておるものもございますが、大きく言いますとその三つだと思っております。 そこで、合理化の問題につきましては、現機構の中におきましてもこれは十分やってまいっておるわけでございます。答申の内容に沿った姿でやってまいっておるわけでございます。ただ、組織機構と財政の問題、これはうらはらの問題で相関連してくるわけでございますが、答申におきましては、先生先ほど御指摘のありました行政と経営を分離した形でおやりなさい、したがって、公社化という表現ではございませんが、公社化が適当であろうというような内容の御答申であったと思っております。 そこで、機構、財政は相関連いたしますけれども、国有林野というものは公社化をして合理化すべきであろうという検討を現在慎重にやっておるわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、国有林野事業というものはどういう性格であるのか。公社化と申しますれば、ただいま申しましたように、やりは経営的の観点等から、独立採算というものが一応の姿として浮かび上がるのは当然でございましょうから、そういうものも含めますと、国有林野事業というものはどうなんだということをまず明確にすべきであろう。たとえば治山事業のあり方、木材生産のあり方等々、そういうものを明確にした中で、それとの関連を解決していくべきものであろうということで、国有林野事業そのもののあり方と関連して、現在検討しておるという段階でございます。
○永井委員 先ほど長官は、特別会計における赤字の問題をいろいろ言われましたが、公益性を強めていけば赤字が出るのはあたりまえであって、適正な支出ならば赤字はけっこう、いかに公益的に活動しているかということの一つの実証だと思う。林業基本法には企業性ということをいっておるのでございますが、企業性ということは、私はもうけることではない、合理的経営という意味だ、こういうふうに理解しております。こんな企業性などというように法文に入っているのは、この公社的、公的性格の官庁ではいま専売があるだけであって、国鉄も電電もみんなこういうことばはなくなっておるのであります。 そういう意味において、私は先ほど来申しましたように、林野庁のいまの行政、法体系では、統一的あるいは総合的な管理ができない。したがって、法体系をいま確立する非常に必要なときではないか。山の法律、人の法律、それから製品の法律、こういうものを明確にしながら、そうして将来に対する林業のにない手はだれかという対象を明確にしつつ、その中における企業的、経済的な活動、そういうものをもっと発展させていくべきである。 こういう状態の中で、林野庁の中における林産課というのは何をしておるのですか。これだけ外材がどんどん入ってくる以上は、これに対してもっと交通整理が必要だし、あるいは秩序ある輸入のしかたをしなければならない。それから林野庁なんかでも、全国に団地づくりをいろいろやっておるようでありますが、これは非常に冒険だと私は思う。通産省も関係しているのでしょうが、冒険だと思います。少なくとも私は、こういう情勢の中におきましては、林産課がある程度自分のところで配材を何割か握って、そして国内における生産体制を漸次近代化していく、合理化していく、そういう一つの呼び水として、もっと林野庁みずからが原料を握って、そしてそれに合わせた一つの合理的な体制というものを導き出していかなければならないのでありますから、そういう方向でもっと商売をやったらどうか。国内においては何割かを握って、外材についても、もっと別な部門を設けて輸入材を扱ったらどうだ。大商社がやっているのをただ黙って見て、そして指をくわえている、こういう状態で荒らされ回ってはどうにもならないと思う。 三菱が千葉県でいま専用の埠頭をつくろうとしておるわけでしょう。それから、兼松は埼玉の越谷にセンターをつくったでありましょう。各商社が外材の輸入を主体にした国内体制で足場を築きつつある。それは相当長期にわたる恒常的な体制である。それに対して先ほど長官は、生産体制はたいへん順調に進んでいると言いますけれども、私はちっとも順調に進んではいないと思う。 そこで、それに対応する国内の体制としては、戦争中、戦後、あるいは風倒木、こういう自然災害、そういうものの災害を受けたあとの取り組み方は、非常に弱いと私は思うのであります。この国土の七割を占めている、これをどう活用していくかという取り組み方に弱くて、そうして町村にとられていく、それから農業にとられていく、採草地にとられていく、みんな満度に取り組んで生かしておらないから、あそこがあいているじゃないか、ここがあいているじゃないか、こうやってより取り見取り削り取られていく、こういう状態がいまの林野の体制ではないか、こう思うのであります。 それにはもっと造林、人工造林なんかやらなければいけません。人工造林を独立採算の中でやれといったってやれっこありません。もっと一般会計から、戦中、戦後のあの公共性、公益性に照らしまして、国が注ぎ込まなければいけない。こんなに大量に入ってくる外材については、林産課がもっと商売をやったらどうか、そうしてそういうものに毒されないで、国内に資源ができた場合に対応する国内体制というものを整備していく必要がある。それには、まずいろんな角度から林野の事業に取り組む法体系を確立しなければ、いまのような漫然とした、ぼうっとした関係で、会計経理の法律だけの中で、そのほかには森林法があるだけ、そういう法体系でこんなものを運営できるものではない、私はこのように思うのでありますが、いかがでしょうか。
○片山政府委員 たいへん広範な内容でございますが、国有林、民有林、それぞれやり方としては違うと思います。しかし、総じて言えますことは、先生御指摘のとおり、確かにいまの林業の基盤整備が不十分でございます。したがいまして、生産体制もまた不十分でございます。 一例をあげますれば、この前も御答弁申し上げたことではございますが、民有林につきましての半分は薪炭林でございまして、その薪炭林の利用というのは、残念ながら、需要激減のために放置されつつあるというのが現況でございます。したがいまして、そういう少なくとも半分の民有林について、そのような不生産的姿でございますから、これは何としてもその基盤を整備し、造林をし、それを将来の木材需給にお役に立て、かつ国土保全をはからなければならない、これは当然でございます。したがいまして、そういう形で推進をいたしておるわけでございます。いろいろな意味で推進をいたしておるわけでございます。 一例を造林にとってみますれば、水資源の確保等を対象といたしましては森林開発公団にその責任を負わしめ実施してまいる、それからそれに類する薪炭林の改良につきまして各府県それぞれが公社を設立しながらそれを推進しております。そのほか補助金あるいは低利融資等によってその推進をはかっておるわけでございますけれども、その中の推進の速度といたしましては、残念ながら若干停滞してきているということがございます。したがいまして、その点を今後さらに推進してまいりたいということでございます。 ことし初めて実施いたしました里山開発事業というのも、その意味で実はさらに推進をしておるわけでございますが、その際、しかしその里山の低位利用の薪炭林がさらに高度利用の用材林あるいは他の用途、農用地等の他の用途にそれが適しておるならば、土地利用の合理化上これを推進すべきじゃないだろうか、農地法の改正もその趣旨によって実施しているわけでございますが、だからといって林業を度外視し、軽視しているわけではございませんで、半分もあるそのような姿のものを、何とか高度化に持っていくという推進をやっておるわけでございます。 なおまた国有林につきましては、やはり未開発林というのはまだ相当ございます。したがいまして、そういう問題を国有林の使命の一つとして推進して、その生産力を高めるということを国有林の基本的事業の方向としてやっておるわけでございます。そのような形で、先生のおっしゃる姿をさらに推進してまいりたい、かように思う次第でございます。
○永井委員 官行造林などは復活するお考えはありませんか。
○片山政府委員 官行造林は、先生御承知のように、当初発足当時、たしか大正九年ごろだと思いましたが、百行造林法ができまして、市町村の基本財産造成ということを目的といたしまして、市町村有林に官行造林をやってまいったわけでございます。しかし、その後時代の趨勢が変わりまして、水源林の造成というものを官行造林の一つの使命として法律を改正した際に、その水源林造成が国有林と必ずしも密着しない場所におきまして推進をしなければならない。逆にいえば、国有林のない地帯においても、そういう必要性があれば民有林にどんどんやっていかなければならないという諸情勢がございましたので、そのような意味から、その仕事を森林開発公団に移しまして、その円滑かつ適正な実施をはかるということでいまやっておるわけでございます。
○永井委員 私が先ほど尋ねました、林野の新しい体制に取り組んでいくには、法体系をまず確立する必要があるという質問に対して、はっきりしたお答えがなかったわけですが、ことに事業関係における問題について、もう一度明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○片山政府委員 先ほどもちょっと答弁いたしたわけでございますが、事業関係における法体系ということでございますと、私は先ほど国有林野事業という国の事業というふうに解釈いたしたために、現在検討中でございますけれども、五つの林業の目標というものを、国みずからがこれをやってまいるということから、国有林野事業法というものがそういうものを目的として考えられるかどうか、それを、現在林野庁内部でございますけれども、検討しておるということを御答弁申し上げた次第でございます。
○永井委員 その場合事業法の性格、これは地主的な性格で、ものを持ってそれをただ売り食いをしていくというような方向への性格になるのか、造林はする、いろいろな生産活動をする、そうしてそこに働く林業のにない手というものを養成し、その中に生活の向上ももちろんやっていくという、山と人と商品との総合一貫性のある法体系というものをつくるお考えなのか、単に立木なら立木を処分する、直営、直用はやらない、みんな特売をしていく、そういうようなことでみんな請負でやって、自分は山持ちで木を売って売り食いをしていく、こういうような性格になっていくのか、その辺、いまそういう法体系をつくるということに取り組む段階におきましては、国有林はいまどっちに向かって動き出すか、足を踏み出すかという、私は大きな分岐点に立っておる、こう思うので、その点について明確にしておきたいと思うのです。
○片山政府委員 国有林野事業の内容で、売り食いをしていくのかという端的な御質問でございますが、先ほど私、御答弁申し上げましたのは、五つの目標を一応考えて検討いたしておるということを申し上げたのですが、その中の一つとして、現在やっております木材生産ということをうたっておりますが、この木材生産というのは、何も木材伐採を意味しているわけではございません。木材生産というのは、あくまで造林をし、育林をし、そして不良な林相を改良し、かつ開発してない奥地林を開発する、すべてそういう総合したものを私は生産ということばを使ったわけでございます。当然育成も入ります。そういうものを総合して生産ということばを使ったわけでございます。したがいまして山の経営は、あくまで伐採というのはその成果でございますから、果実でございますから、そうでなしに、その山の果実を大きくし得るような総生産の増大というのに目標を置き、かつ生産性の向上というものに目標を置き、かつ基本法で定めておられます従事者の所得の向上ということを目標に置いてやっておるわけでございます。 したがいまして、国有林におきましてもそのような意味におきまして、労務というものを安定確保してまいる、地元の労務も含めまして、これを確立してまいらなければならない、かように思っておる次第でございます。
○永井委員 林業のにない手はだれであると考えていられますか。
○片山政府委員 林業のにない手ということでございますが、私たちの現在具体的に指導している姿といたしましては、民有林につきましては、非常に個々の零細な所有者が多うございますから、その個々の所有者それ自身の経営は、いかに合理化したにしましても、流通その他を考えた形においては不適当であろう、山の経営の合理化を推進する上においても不適当であろうということから、一つの経営単位というものを考えることが必要であろう。したがいまして、そのような意味におきまするにない手といたしましては、森林組合等が非常に適当な姿ではないだろうかということで推進をいたしておるわけでございます。 国有林自身といたしましては、先ほど申しました地元の労務、地元の地域振興等も含めました姿におきまして、地元関係と十分な、密接な連絡をとって実施していくということが必要であろう、かように考えております。
○永井委員 この人の関係については、時間が足りませんから後日に譲りたいと思います。 大臣にお聞きいただきたいと思うのですが、一体この林野のあり方が、世界各国においてどのような状況になっているかということは、先刻御承知だと思いますが、ヨーロッパ全体としては公的所有が林地の四七%を持っておるのです。東欧請国では九四%です。西欧諸国の平均は三四%です。これは、西欧は長い歴史の中で、農地その他のいろいろな用途別分化がもう成立して、固定的な条件になっているから非常に少ないのだと思いますが、それについても三四%、アメリカは七三%が公有であります。公的な所有になっている。それからスウェーデンなんか、山村振興といったって口先だけではなしに、いま盛んに国有林と私有林との交換計画を大々的に進めておりますし、山からあがった利益金は、粗収入の何%という割合をきめて、これは造林基金として繰り入れている。それから労働対策としては、林野みずからが住宅を建設して、借家をつくって、そうして山林局の労働者とか常用労働者に対しては、一定日数、一定賃金というものを確保して、そこに定着させていくというようにしている。各国の列をずっと調べましたが、一々ここであげませんけれども、林地の所有が公的所有に大部分がなってきておる。そうしてその方向にどんどん動いてきている。こういうことが世界の趨勢である。 それは、自然がだんだん荒らされていく、そうして災害がだんだん大きくなっていく、それから、私有にすれば必ず短期の収入というものを見込むわけですから、木を切るというようなことが先行しまして、森林の持つ公益性というようなものがおろそかになってくるという一つの苦い歴史から、こういうふうな方向に動いてきておるのであります。もちろん、われわれは土地の利用においてそれを活用する、農用地は農用地として活用するということについては、これはやらなければなりませんし、活用できるところは活用しなければなりませんが、それはあくまでも科学的基礎に基づくもの、あるいは経済的計算に基づくものであって、政治的な圧力や、政治的な一つの選挙対策とか、それから山村における過疎対策とか、そういった社会政策的なもの、そういうものが無限大に拡大してくるような形における扱い方というものは、これは百害あって一利なし。山を崩壊させるのは簡単に崩壊させられます。しかし、これを回復するのはたいへんな時間を要します。百年の計といいながら、百年の具体的な手段を持っておらない。そういうことをしておらない。非常に短見的なもののやり方をしようとしておる。 こういうところに私は危険を感ずるのですが、この世界の趨勢に対して日本は逆行しようとするのか、あるいはそういう趨勢であるとするなら、その歴史も一つの事実として、われわれが他山の石として、また国内におけるいろいろな過去の実績に照らして、その上に立っていまの時点でどうするかということをはっきりしなければならないときである。農林大臣として短い期間在職いたしましても、その間に国の山を崩壊させるようなことの足あとは私は残していってもらいたくない、こう思うのですが、いかがですか。
○長谷川国務大臣 お話にもございますように、戦争中の乱伐、過伐、またこれらに対するところの手入れ不足、こういうようなものがいまだ回復することなく、したがって現在のような輸入増大、これをたどっており、さらにまた、御指摘もございましたように、奥地の開発という点がまだ十分でないということだけは私も認めざるを得ないだろうと思います。こういう点についての未開発地帯の開発というところに、もっと重点を置いてそれを行なわんとするならば、いま林業というのは、御承知のように一年、二年の問題ではないのでございますから、ある一定の計画の上に立った後には、輸入材というものは国内でもって全部まかなうことのでき得る事態が来るであろうというようにも考えます。 各国の例がいろいろだだいま出ましたけれども、わが国におきましても、政治的に国有林を払い下げしておるとか、そうして乱伐させるとかというようなことでは、国土というものは完全に維持していくことは私はでき得ないと考える。したがってこれらにつきましては、その森林の持つ公益性というものの機能を十分に生かさなければなりませんので、また再び申し上げるのでございますけれども、今度この法案が通ったからといって、決してこれが無秩序にそういう面に使われるようなことは、私は絶対にさせませんと、はっきりと申し上げておるわけでございまして、一つの目的と一つの秩序あるその上に立った高度利用でなければ相ならぬ。あわせて、民間の持っておるところの林野というものを、薪炭林等もいかに並行して生かしていくかという、こういう点に重点を置いて進ませる考え方であります。 諸外国等のお話も十分に承りました。われわれもそうなければ相ならないだろう、わが国においてはなお一そうその感を深くいたしましたということを申し上げておく次第であります。
○永井委員 いま日本の林業は一つの転機にあると思います。それは単に国有林の活用法案というこの枝葉の問題ではなくて、基本的にそうい段階に当面しておる、こう思います。それから林業を取り巻くいろいろな経済情勢、こういうものも非常な激動期にある、こう思います。そういうような意味において成長がゆっくりしている、取り組み方もゆっくりしている、こういうようなところから、私は林業の面においては、もっといろいろな角度からみんなが関心を持って論議しなければならない、こう思うのでありますが、農林委員会におきましても、林業の問題は総合的にあるいは各論的にこれを十分に分析討議するという機会がなかなかない。ちょうどいいこういう問題の機会であり、一つの転機にある時期でもありますから、私はこれは政党政派の問題ではなくて、日本の林業がどうあるべきか、土地の条件ばかりでなくて、生産的ないろいろな諸施策においても、もっと国家投資というものがなければ、なかなか通常の条件まで引き戻すことができない、こう思うので、きょうは中途はんぱになりましたけれども、そういう意味で質問はまだ三分の一ぐらいより終わっておりませんから、これは後日に留保いたしまして、私はきょうはこれでとどめておきたいと思います。 そこで、先ほど質問を残しました点について畜産局長と農地局長から、この活用法が実施された場合において、一体どのくらいの面積をそれぞれの地域において期待しているのか、その期待量をひとつ伺っておきたいと思うのです。
○中野政府委員 土地改良長期計画を立てました際に、われわれ総合調査をいたしました。その際に、農用地造成としまして開拓パイロット事業によります対象地域は、地区面積にして五十五万ヘクタールございました。それを道路等をとりまして、造成したいと考えましたのは約四十二万二千ヘクタールあるということでございました。その中から土地改良長期計画で十カ年計画を立てて、三十五万ヘクタールの造成をするということにしておるわけでございます。この中で国有林が幾らあるかという場合に、まだこれは調査の段階でございますが、その調査担当者の希望というのは、五十五万ヘクタールのうちに約八万ヘクタールあったわけでございますが、これが全部そういうふうになるわけではございません。 そこで、現在までの活用の状況を参考のために申し上げますと、四十三年度までに開拓パイロット事業によりまして、国営なりあるいは県営事業によりまして、林野から所属がえを受けまして現に活用しておりますものは、約六千五百ヘクタールでございます。これは、先ほど申し上げました全体の開拓パイロット事業の六・五%程度の面積に当たります。したがいまして、今後の見込みは希望としてはかなりあるわけでございます。具体的には、地区計画を立てる場合に地元の営林局、それから農政局と相談して、順次きめていくということになるわけでございます。
○太田政府委員 ただいま農地局長から答弁があったのでございますが、私のほうも土地改良の総合計画調査によりまして、全体として草地開発可能面積を調査いたしたのでございますけれども、これによりますと約八十五万ヘクタールということに相なっております。そのうち国有林の占める面積が約二十万四千ヘクタールということに相なっております。ただし、御承知のとおり現在実施しております土地改良長期計画におきましては、十二万三千ヘクタールを四十九年に五十二万三千ヘクタールにいたしますということで、四十万ヘクタールの草地造成をいたすことにいたしておるのでございまして、ただいままでわりあいに順調に進んでおりますが、国有林として約八千ヘクタールが草地造成に使われておるのでございまして、農地局長も申されましたように、具体的にこの国有林二十万ヘクタールのうちどれだけが今回国有林野活用法案の施行によって利用されるようになるかということにつきましては、なお今後の進み方に関連いたすわけでございまして、いま具体的にこのうちの幾らが云々ということは申し上げかねる次第でございます。
○永井委員 草地についても、適地問題についてはいろいろ論議がありますが、後日に譲りたいと思います。
○丹羽委員長 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 ————————————— 午後二時四十四分開議
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。工藤良平君。
○工藤委員 私は、先ほどの質問と関連をいたしまして、国有林野の主として林業経営の主体につきまして、いろいろとお聞きをいたしたいと考えるわけであります。 現在の国有林野の経営というものが、独立採算を迫られるあまりに、国有林経営の最も主要な役割りであります国土の保全、あるいは国民の生命や財産を守るという重要な使命というものが、侵されてきつつあるのではないかということを実は心配をいたすわけであります。したがってきょうは、それらの問題に論点を集中いたしまして、長官にお聞きをいたしたいと考えているわけであります。 過去の災害の実態というものを見ますと、特に二十八災といわれる二十八年の災害前後までは、大河川による災害というものが非常に多発しておったというように考えているわけでありますが、特に近年に入りましてから、山地の崩壊あるいは中小河川の水害というものが頻発をしておるように感ずるわけでありまして、林野庁としての過去の災害の歴史といいますか、そういう点に対する把握についてまずお聞きをいたしたいと思います。
○片山政府委員 過去の災害につきましては、先生御指摘のとおり、大河川のはんらん等が非常に大きくあったと思います。最近におきまする傾向につきましては、御指摘のとおりの山地災害が非常に多いということも、そのとおりだと思っております。その災害の状況が山地に移行したということでございますが、問題は、われわれ気象的にも十分把握しているわけではございませんけれども、集中豪雨というのが局所的に非常にあるということが、山地崩壊の非常に多い原因であろう、かように思っているわけでございます。 そこで、林野庁といたしましても、三十五年に治山治水緊急措置法というのが通りまして、いままでで四回の改定になるわけでございますけれども、昭和四十三年を初年度といたしまする治山治水計画の中で治山計画というのがございますが、従来五カ年計画では、千八百七十億が治山計画の五カ年の総ワクでございましたが、これを途中でございましたが、四十三年から切りかえまして、三千五百億の予算にふやしまして、山地災害等に万全を期したいというふうに改定をいたしているわけでございます。この中で国有林の受け持つ内数があるわけでございますが、前回におきましては三百七十億が五カ年の国有林の総事業量でございますけれども、今回におきましては、それが三千五百億の内数といたしまして七百億というものを事業費として拡大いたしまして、治山の万全を期したいというふうに措置しておるわけでございます。 それから、もう一つは保安林でございます。山の保全の対象といたしましては保安林制度というのがございます。現在国有林におきまする保安林は、総面積に対しまして約二四%と記憶いたしております。全山林面積では、民有林が保安林の指定が少ないために、平均いたしますと一九%くらいにしかなっておらぬはずでございますが、国有林は二四%の保安林を持っております。約四分の一持っております。しかし、この保安林につきましても、保安林整備臨時措置法というものの延長をいただいておりますので、その間におきましてさらに保安林の拡充計画をつくっていま実施中でございます。そういたしますと、一応の目標といたしますと、国有林といたしましてはその面積に対して、保安林は四三%になるであろうという計画のもとにいま推進しておる。 以上のような観点から、国土の保全をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○工藤委員 災害を防止するためには、もちろんその直接的ないろいろな条件というものが当然必要になってくるわけでございますが、それと同時に、これを未然に防止をするという意味から考えてみますと、いま長官がお話しのように、特に国有林の占める役割りというのは非常に大きいだろうと私は思っているわけであります。もちろんお話しのように、治山治水の計画というものが進められております。その点については敬意を表したいと思うわけでありますが、ただ私は、この災害というものをとってみた場合に、治山と治水というものを非常に重要に、これはもちろん不離一体のものとして見なければならないと思っているわけであります。 そこで、まずお聞きをいたしたいわけでありますが、従来の大河川の災害というものが、ここ十四、五年の間には非常に少なかった、こういうことについて、その減少してきた原因というものについてどのように把握しておられるか、その点についてお聞きいたしたいと思います。むしろこれは建設省のほうが妥当ではないかと思いますけれども、さっき申し上げましたように、治山と治水というものは不離一体のものでありますから、これは当然林野庁としても把握しておられるだろうと思いましてお聞きをするわけであります。
○片山政府委員 大河川の被害、はんらんが非常に少くなっている、その理由いかんというお話でございます。確かに現在の大河川の復旧その他、これは建設省御所管でございますから、そういう面でますます充実した姿で実施されていることが一つの理由であろうと思いますが、さらに、洪水の調節ダムというようなものの建設の中でこれらが進められておるというところに、非常に大きな原因があろうかというふうに推察をいたしている次第でございます。
○工藤委員 そこで、この洪水調節ダムの建設について、特に近ごろ代表的といわれます幾つかの防災ダムがあるわけでありますが、この洪水調節のダムの建設によって、大河川の災害の減少ということがその最も主たる原因だろうと私も思うわけでありまして、もちろんこの災害というものは、そういった洪水調節ダムをつくるということ、河川の改修が行なわれること、こういうことが直接的な災害を防止していくたいへん重要な要素だということは、十分に承知できるわけであります。 そこで、私、具体的にこの問題を検討してみたいと思うわけでありますが、たとえば木曽川の丸山ダム、これは計画高水量が毎秒六千六百トンであります。これに対しまして、いままでこのダムができましてからの最高洪水量が四千九百七十六トン、こういうような実態が報告をされているわけであります。あるいは鬼怒川、あるいは利根川、天竜川とそれぞれ幾つかのダムが代表的にあるわけでありますが、これを見てみますと、計画高水量に比較をいたしまして最高洪水量というのは、ほとんどその六〇%から七〇%程度の状態にあるわけであります。ですから、このダムというものができますと、確かに洪水を調節できる、こういうことが直接的な大きな要因だろうと私は思っているわけであります。ただしかし、場合によってはこの洪水調節ダムというものが、調節の機能を全く果たしていないという事態が発生をいたしますと、これは重大な災害となってくるわけでありますが、そういう事態がここ数年の状態を見ましても、ある地帯では起こっているわけであります。これは多目的ダムの建設にあたっていつも問題点になる事項でございまして、こういう点について、計画高水量と最高洪水量との間の調整の問題について、林野庁としてはどのように把握をされておるか、これはやはり治山の関係からいたしまして非常に重要だと思いますので、この点について、基本的な考え方というのをお伺いいたしたいと思います。
○片山政府委員 ただいまの御質問、ダムの流量の調節問題の御質問でございますが、これは私、林野庁として御答弁するのはどうも適当じゃないような気がいたします。流量調節の所管をいたしておりませんので、御答弁がちょっとむずかしいと思います。 ただ、林野庁として考えますのは、そういうダムがつくられた場合に、その機能を十分発揮するためにはどうあるべきか、山の姿はどうあるべきかというのは、林野庁としては当然考えておくべき問題だと思っております。したがいまして、そのダムが日ならずして埋没するような、そういう土砂流を起こすようなことのないような山腹の保全、またその山腹を保全することによって山自身が保水能力を保つ、そういう山の性格から、そういうものに相関連した中で万全を期してまいりたい、かような指導をいたしておるわけであります。
○工藤委員 もちろん、これは所管外ということで済ませばそれで済むわけでありますけれども、私はやはり山を治めるという立場から総合的に考えてみると、そういう災害が起こった際に、たとえば、まだこれは実態を把握していないと思いますけれども、昨日の雨で南九州にずいぶん大きな被害が出ているわけでありますが、これらの問題一つを考えてみましても、やはりその災害のよって来たる原因というものを私たちは科学的に分析をし、さらにそれをいかに防止をするかという具体的な施策というものが必要になってくる。それはダムをつくったり河川を改修したりすると同時に、やはり治山の問題についても、相当大々的な、長期的な計画というものが必要になってくるだろうというふうな、私はそういう把握の上に立って、この特殊な水害というものについての科学的な分析というものが、当然農林省、林野庁としても考えてみる必要があるのじゃないかという立場から、実は言っているわけであります。 これはすでに御承知だと思いますけれども、天竜の美和ダム、これは計画高水量千二百トンでありますが、これに対して、三十六年六月二十七日伊那谷の水害の際には、美和ダムに毎秒七百四十二トンの洪水量が流入した、こうなっているわけであります。これは計画高水量からいきますと約六〇%程度なんであります。ところが、本来からいうと、その毎秒七百四十二トンの水が流れ込んできて調整をやった場合に、六〇%の調整ですから十分にこたえ得るわけですけれども、残念ながらその天竜の美和ダムは、一摘の水も調整できなかったという結果が一つの大きな災害を生んだという報告を、私どもは他の文献で知るわけでありますが、こういうような原因というものを、一体山を治める林野庁としてどう考えるか。これは具体的な問題としてなぜそういうことが起こったのか、当然私は考えてみる必要があるのじゃないか。 あるいはまた四十年の八月の熊本県の球磨川の水害、これにつきましても、これはもちろんダムが上流にあるわけでありますが、この調整は、非常に科学的な電子頭脳を使った調整をやっておるようでありますけれども、そのような状態でも、いわゆる下流の人吉市につきましては非常に大量の水害が発生した、こういう事態が起こっているわけでありますが、こういう問題について、具体的にどのように把握をし、科学的に分析をしていらっしゃるか、特に山を治めるという立場からどのような検討がなされているか、お伺いしたいと思うのです。
○片山政府委員 ただいま丸山ダムを具体的な例といたしまして御質問でありますが、丸山ダムそのものの建設の姿というのは、実は私、把握しておりませんのでお答えできませんけれども、ただそれを通して、先ほど御答弁申し上げましたように、その丸山ダムが有効に活用されるための森林のあり方ということにつきましては、われわれは百年の確率雨量をもって山腹保全に対処しているということでございます。
○工藤委員 どうもこれは論争がさっぱり前に進まぬのですが、これから話の道筋として、論争していく場合に、やはり国有林野の持つ性格というもの、これはさっき永井委員に長官が答弁をしておりましたように、やはり国土の保全、生命、財産を災害から守るという立場が非常に大きな第一の目的であるということも話していらっしゃったわけであります。そういう意味から、過去の災害、そしてまたいま頻発しておる中小河川の災害や山の崩壊、こういった問題をどういうように林野庁としてとらえているのかということを、実は私は詰めてみたいわけであります。そういうことを詰めてみて、どこに欠陥があるのかという上に立って、初めて治山なりあるいは治水の対策というものも当然出てくるのではないか、こういう科学的な分析は必要だ、こういうように考えているわけでありまして、したがって、そういう災害の起こった原因というものを林野庁自身としても、相当やはりこれは科学的に分析をしているのではないかというように私は理解をしているわけですが、そういう機能というものは持っていないわけでございますか。
○片山政府委員 災害のいろいろな原因その他につきましては、私のほうも試験場もございますし、役所の機構としましても十分調査をしておるわけでございます。ただ、最近におきまする災害の状況は、先ほども申し上げましたように、非常に集中的に雨量が多いというところに実はその原因があるわけでございます。 そこで、災害についての対処といたしましても、われわれとしては、従来は復旧治山と申しますか、いわゆる崩壊したものを復旧するというものに中心が置かれてございましたけれども、最近の諸情勢の中で予防治山、こわれてはいないけれどもこわれる可能性がある、そういうものに万全を期しがたい諸情勢があるというものについて、予防治山という工事を進めておるわけでございます。 なお、そういう形の進め方の中では、当然建設省所管の河川中心のいわゆる保全対策、私のほうは山腹中心の保全対策というものを相関連させまして、中央におきまする連絡会議、地方におきましても、県を単位としまして地方連絡会議等を、実は具体的な姿において進めて、その中で実施しておるというのが現況でございます。
○工藤委員 長官は先ほどから、頻発する災害の原因というものが、非常に集中的に局地的に雨が降る、こういう状態がいまの災害というものを起こしているのだということを再三おっしゃるわけでありますが、これは、自然科学の先生なりいろいろな論文を私ども見てみましても、特に三十年当時ごろまでは非常に多雨の時代だったが、むしろいまは寡雨、雨が少ない、こういうような時代に入ったというような見方を実は私どもは読むわけでありますが、この点についてはどうでしょう。いま多発しておる災害というのは、むしろもっともっとほかのところに原因があるのではないかということ、これはあとからも指摘をしてまいりますけれども、こういうふうに私は思っておるわけでありますが、その点どうでしょう。
○片山政府委員 現在、日本の雨量を考える場合に、これは世界と比較しても非常に雨量が多い。日本全国平均が、私の記憶ではたしか千六百から千八百ミリぐらいが日本の年間雨量だと思っております。しかし、そういう年間の雨量という日本の特殊な諸情勢がございますが、そのもの自身が災害の問題にはならないわけでございます。それが多少変わりましても問題にならない。問題は、短時日の間に非常に集中して降るというところに災害があるわけであります。私たちはそういう意味で、短期間における集中豪雨というのが、やはり災害の中心であろうというふうに認識しておるわけでございます。 ただ、先生のおっしゃいました雨量が少なくなってくるというのは、私は寡聞にして具体的の資料を持ち合わしておりませんけれども、日本の雨量全体は確かに多いけれども、それは年間平均して多いのであるというふうに考えておるわけでございます。
○工藤委員 よその国に比較して日本の雨が多いとか少ないとかいうことじゃなくて、歴史的に見た場合に、三十年前後を境にして、私さっき申し上げましたように、大河川のはんらんというものが非常に多かった。近ごろはそうじゃなくて、中小河川とかそういう地帯に集中するようになってきた。もちろんそれは、ダムをつくったりあるいは大きな河川の改修というものが相当進んだということが、非常に大きな要因だろうと思います。しかし、さらに雨というものを統計的に見ても、多雨時代から寡雨の時代にどうも入ってきたような傾向がある、こういうこともいわれているわけであります。 〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 それなのに、なぜこのような災害が頻発するのかということを、私たちはやはり見ていかなければならない。年々雨量が非常に多くなってきた、こういう状態における対策というものと、寡雨の時代に入ってきた、しかし、なおかつ災害が起こるというのは一体どこに原因があるのか、こういう見方というものを私はする必要があると思うのですね。そういうことを私は指摘しているわけで、その傾向というものをどのように林野庁としてはとらえているのか。 なお、雨というものは自然の現象ですからわかりませんけれども、しかし、そういう傾向というものを歴史的に見た場合に、それに伴う山の対策というものも必要になってくるのではないかと私は思う。その点の分析はどうですか。
○片山政府委員 詳細な御質問でございますが、まず第一点の、雨が三十年を境にして少なくなってきておるのじゃないかということ、これは私、統計をこまかく見ておりませんので存じませんが、あるいはそういう傾向が先生の御指摘のようにあるのかもしれません。しかし、ただいま申しました一時的の集中豪雨というものは最近非常に多いのではないかということ、これは私はそのように考えております。 それから、三十年を境にして河川は非常によくなった、被害が少なくなったというお話でございますが、これまた私はっきりした資料で申し上げるわけではございませんが、たまたま森林におきましては、終戦後の乱伐関係、山の荒廃、造林未済地、そういうものが解消したのは大体三十年前後でございます。そういうことがあずかって力があるかどうか、私、調査してお答え申し上げているわけではございませんが、森林としての荒廃を一応なくしたのは三十年前後でございますので、そういう点があるいはあずかって力が多いのじゃないかというふうにも考える次第でございます。
○工藤委員 そこで、近ごろ特に頻発しております中小河川のはんらん、あるいは局地的な災害、こういうものについて、確かに集中豪雨とか、そういう面も各所に起こっておりますけれども、それ以外の要因というものは一体どこにあるのか、そういう点についてどのように把握していらっしゃるか、お伺いしたいと思うのです。
○片山政府委員 これは今後開発を進める場合、非常に慎重にやらなければならない問題だと私は思いますが、だんだん開発が進んでまいりますと、従来山林であった場合に、多少の土砂崩壊でも、森林の状態であった場合にはそれは被害と考えられないものが、いわゆる開発をされ、人家がふえますと、ちょっとした崩壊でも被害として当然考えざるを得ない、また考えるべき情勢になるということはあり得ると私は思います。 したがいまして、そういうような意味から、保全対象地域が従来にも増して非常にふえてきているというところに、やはりそういう被害のなかなかなくなってこないという原因もあろうかというふうに推察する次第でございます。
○工藤委員 いま一部御指摘がありましたように、たとえば、宅地造成とかあるいは観光開発とか、いろいろな産業の発展に伴いまして自然のバランスというものがくずされてくる、そういうところから災害というものがさらに大きな災害を生む、こういうような事態というものがいまの傾向として指摘できるのではないだろうか、私はそういうように見ているわけであります。ですから、そういうような状態が新たな現在の状態として出てきておるとするならば、やはりそれに対する対応策というものが当然考えられてこなければならない、こう私は思うのです。 そこで、それではそのような対策について、一体原因の追及なりあるいは実態の把握、こういうものはどのような形で行なわれていくのか、この点についてお伺いをいたしたいと思うのです。
○片山政府委員 保全対策でございますから、建設、農林両省の中で進められておるわけでございますが、林野庁といたしましては、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、保安林の拡充計画というのを緊急措置法に基づきまして現在計画して推進しておるわけでございます。これら保安林の種類は十七もございますから、それぞれの目的で拡充いたしますが、特に水源涵養、いまの保全機能、いわゆる涵養機能、それと山地崩壊防止、そういうものに視点を当てまして、保安林というものを開発すればするほどそれに対する対処をしなければならないということで、いま推進しているわけでございます。 具体的に申しますと、現在は、先ほど申しましたように、一九%の全森林に対する保安林の割合でございますが、われわれの計画でいきますと、それを二七%程度に伸ばすという計画でございます。もちろん、その中では国有林が一番の重点になりますから、先ほど申しましたように、その中で四三%を、国有林の面積に対してはそこまでふやすというふうな形でそれに対処していく、こういうことでございます。
○工藤委員 林野庁としては、そのように頻発する災害については、保安林を整備強化をすることによって林野庁としての任務を遂行していきたい、こういうようなお話のようでございます。もちろん、そのことについてはそのとおりだと私は思っているわけでありますが、現在この保安林について種類別に、これは大まかでよろしゅうございますが、どのような分布の状態になっているか、その点、おわかりになればお伺いをしたいと思います。
○片山政府委員 先ほど申し上げましたように、保安林は十七の種類の保案林がございます。しかし、その中でわれわれが一番重点と思っておりますのが水源涵養保安林、それから土砂流出防備保安林、それから土砂崩壊防備保安林、この三つが一番重点だと思っております。 その面積は、全体の保安林面積が、現在のところ四百八十七万ヘクタールでございますが、そのうちその三つの保安林の面積が四百六十五万ヘクタールでございますから、九四、五%はこの三つの保安林で占められているわけでございます。 そのほか、あとこまかいものを名前だけ申し上げますと、飛砂防備保安林、防風保安林、水害防備保安林、潮害防備保安林、干害防備保安林、防雪保安林、防霧保安林、なだれ防止保安林、落石防止保安林、防火保安林、魚つき保安林、航行目標保安林、保健保安林、風致保安林というように名称はたくさんございますが、面積的にいいますと四、五%ということでございます。
○工藤委員 この保安林につきましては、先ほどお話がございましたが、将来にわたってこの保安林というものはさらに一段と拡充しなければならない、こういうような考え方であろうと私は思うのでありますけれども、この点についてさっきもちょっとお話がありましたが、具体的に今後どのように拡大をされていくか、その御計画があればお聞きいたしたいと思います。
○片山政府委員 保安林の整備臨時措置法に基づきまして、三十九年までの間に十カ年で保安林の整備をやったわけでございます。そうしまして、四百七万町歩の保安林を造成いたしたわけでございます。三十八年度末そうなったわけでございますが、さらに十カ年の法律延長をいたしまして、その中でさらに拡充してまいりたいということで目標を定めたわけでございます。その目標は、六日六十六万町歩まで伸ばそうということであります。三十八年度末までが四百七万町歩でございましたが、六百六十六万町歩まで今後伸ばしていきたいということでございますので、それを全森林面積に対比いたしますと、先ほども触れましたように、二七%が保安林になるということになります。その中で国有林の保安林は、国有林面積に対しまして四三%になる、民有林につきましては、民有林面積に対して一九%の保安林になる、したがいまして、全森林につきましては二七%になる、こういうことで推進をいたしておるわけでございます。 ところで、三十八年度よりどれだけふえたかということでありますが、現在のところでは、先ほど申し上げましたように四百八十七万ヘクタールが保安林になっているわけでございます。したがいまして六百六十六万まで、できればわれわれは四十五年度を目標にして達成していきたい、かように思っております。一応法律の適用内において実施してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
○工藤委員 そういたしますと、あと六百六十六万ヘクタールに達するまでには相当な面積が必要になってくるわけでありますが、これは四十五年の目標年次までに大体完了できる、このようにお考えになっておられるわけでありますか。
○片山政府委員 法律は四十九年までになるようでございますけれども、われわれの現在の計画としましては、調査はすでに今年度で済みました、どこを保安林にすべきかというのは。したがって、その配備の完了を四十五年度を目標に置いて推進しておるわけでございますが、なお若干年度的にずれるかもしれませんが、一応四十五年度を目標に設定してまいりたい、かように思っておる次第であります。
○工藤委員 その保安林を拡大していく場合に、新たな保安林の指定を行なう場合の条件というのは一体どういうことになりますか。これは私、林業関係はあまり詳しくございませんので、ひとつ教えていただきたいと思うわけでございます。
○片山政府委員 保安林におきましては、非常に種類が多いわけでございますが、大きくわけまして崩壊を防止していく保安林、それと水資源を確保し涵養していく保安林、いわゆる水源涵養保安林、この二つに大別されると思います。 そこで、水源涵養保安林の指定の考え方でございますが、これはあるブロック的の地域を限りまして、その地域で将来水需要がどうあるであろうということをまず想定いたしまして、それに対して保安林によって水源を確保する。先ほども申しましたようにダム等もございますが、そういうものを含めまして、では山で水を確保していくのにはどれだけあるべきかということを一応計算いたします。その計算の中で、保安林はこれだけすべきであろうということを想定いたしまして、その保安林の確保をまず国有林から一応重点的に配備して、そして民有林にも御協力をいただくという形で設定いたしております。 それから、ただいまの崩壊防止等につきましては、これは具体的にその山に入りまして、これはあぶないというようなことを具体的な地勢調査から決定してまいる、こういうことでございます。
○工藤委員 拡大のほうについては、そういうようなかっこうで広げていくと思うのですが、保安林を解除する場合の条件、これはどういうことになりますか。
○片山政府委員 保安林を解除いたします条件としましては、法律にきめられておりますように、公益上の理由が一つでございます。それからもう一つは、保安林の機能が必要がなくなった場合、これが二つでございます。そういう形で保安林の解除の問題には対処しているわけでございます。
○工藤委員 後ほどいろいろこの解除の問題についてはお聞きをしたいと思いますけれども、保安林を解除した場合に、今度のような災害が、たとえば伐採をしたそのあとで、非常に集中的な豪雨なり水害が起こった、こういう場合に、非常にむずかしい問題でしょうけれども、たまたま解除が一年おくれていれば、その災害というものはある程度防止できたのではないだろうかということもあるいは起こるかもわからない。そういうような状態というのは、なかなか把握しにくいわけでありましょうけれども、そういうように保安林を解除した場合に損失が起こった、こういう場合には、具体的にその補償というものはどうするのか、過去の災害の際に、林野庁としてそのような補償というものが行なわれてきたかどうか、その事例があれば、そのことについても実はお伺いをいたしたいと思います。
○片山政府委員 一般に保安林を解除する場合、たとえば公益上の理由等もございますが、問題は、保安林を解除したことにおける影響でございます。そういうことから考えますと、保安林の解除に伴います水の問題等に対しましては、原則としてわれわれは代替施設をつくることに要求をいたしておるわけでございます。 ただ、こういう問題のときは、その代替施設が非常に少なくなるだろうと思いますのは、従来未開発の姿の中で、ほとんど平地林的な姿の中で水源涵養を目的とした保安林というものの指定が現実にございます。それがだんだん開発されまして、その地帯が、たとえば住宅地なら住宅地になるというような場合に、保安機能というものが、さらにそれにかわりましてその地帯以外に保安機能を持たせるということもあり得るわけでございます。そういうようなことから、その地帯における保安林の必要性、そういうものがなくなるという場合が具体的にあろうと思います。しかしその場合でも、その解除することによって保安機能がなくなる、それによって影響を受けるというものにつきましては、それに対しましても代替施設をつくらせてまいるということで対処しているわけでございます。
○工藤委員 この保安林解除の場合に、いろいろな関係者等の利害というものがからむ場合があるのではないか、こういうように思うわけでありますが、そういうような事例というものはございませんか。
○片山政府委員 確かに保安林の解除をする場合に、解除される人と解除する人との立場からいろいろ意見がございます。したがいまして、そういう場合には、現在の行政といたしましては、県を単位とした協議会を通しまして一応議論をしまして、その中で意見を集約して、県知事の意見もとりまして、そうして保安林解除に対処しているということでございまして、おおむね円滑にいまのところ推移してきておるわけでございます。例外を除きまして円滑にやっております。 ただ一つは、そういうことで保安林解除の告示をいたしますから、その間におきまして異議のある者があるということもございますから、そういうものにつきましては、先生御承知のように公聴会というものを通してやっておるわけでございます。
○工藤委員 普通の場合には問題ないということですが、例外がときどきあるというように受け取れたわけです。その例外というのは、どういうことがございますか。
○片山政府委員 いままで私の体験の中では、地元の人その他が意見調整をはかりますと、大体その中で推移してきておるわけでございます。例外と申しますのは、この前の北海道におきます長沼の問題が例外に当たるのではないか、こういうように考えております。
○工藤委員 特に利害関係の伴う問題については、これは非常に重要な問題でありますので、実はあまり詳しくは触れたくはありませんけれども、私どもは、やはり十分に保安林を確保していくという立場に立ってこれらの問題については対処しなければならぬ、こういうように考えておるわけであります。さらに、この保安林の問題については、これからの治山治水の面からいいましても非常に重要な役割りを果たすということになりますし、ますます拡大しなければいかぬので、その計画もいまお聞きをしたわけであります。 そこで、特に私は、これから水の需要というものは相当増大をしていくだろうと思う。これは農業用水一つとってみましても、あるいは工業用水、発電用の水、あるいは都市用水というようなことを考えてみた場合に、この需要は非常に増大をしてくる、このように考えるわけであります。ところが、現在の水の需要の状態というものを分析してみますと、非常に水が足らないという状態がいま出てきておるように思います。ですから、この問題については、これからさらに大きな意味でこの水の総合的な開発というものが必要になってくるだろう。その中における国有林野の役割りといいますか、そういう面についてどのようにお考えになっているか、まず基本的にこの点をお伺いいたしたいと思います。
○片山政府委員 水のますます活用さるべきことは先生のお話しのとおりだと思っております。いま私の手元にある昔の——昔と申しますか、前の資料でございますが、現在、年間降雨儀というものはどれだけかというふうに把握しますと、私は、六千億立方メートルと一応調査されたものを見ておるわけでございます。その中で、蒸発するのが三分の一は蒸発していき、あとの三分の二の四千億立方メートルが大体年間流出量となっておる。その年間流出量の中で、半分の二千億立方メートルが洪水によって流れておるのが現状でございます。あとの二千億立方が通常の利用形態になっております。 したがって、やはり洪水的な姿の防止の問題が、大きくやはり今後の問題としてあろうというふうに私は考えますがゆえに、特に国有林について保安機能を持たせる森林をもう少し充実させるということの方向を、木材生産以外の大きな因子として私は推進している一つでございます。
○工藤委員 いま御答弁をいただきましたように、確かにこの水の開発というものが、建設省を中心にいたしました多目的ダムの建設とかそういうダム建設によりまして、一時的に集中的に降った雨をせきとめて、それを平常時に使うという措置がとられているわけでありますが、もちろん、これだけではどうすることもできない条件というものがやはりあるのじゃないか。それが森林の保水の条件というものをいかに保っていくか、強化をしていくかということだろうと思うのであります。 それと同時に、特に昨年、一昨年と二年非常な干害にあったわけであります。そこで、たいへん多い雨というものをせきとめるということと同時に、逆に昨年、一昨年御承知のようにたいへん異常な干害が起こった。これも現在調査をしているわけですけれども、昨年、一昨年の九州のあの干害の状態を見てみますと、南九州はさほどでなかった、中部から北部にかけての地帯が非常に多かったというように思うのですけれども、ここら辺は、山林の形成されている全体的な条件というものがどのようにからみ分りているのか、一応やっぱり科学的に分析する必要があるのじゃないか、こういうように思うのですけれども、それらに対する分析等が、林野庁のほうで行なわれていればお聞きいたしたいと思うのです。
○片山政府委員 たいへんむずかしい御質問ではございます。具体的なその場所ということのお答えはなかなか困難だと思いますが、多少抽象的になりますけれども、それが有林地、いわゆる森林地であった場合と裸地であった場合の水の流れの差異はどうなるかというのをわれわれの実験地、これは群馬県の宝川にございますが、そこで実験をした結果をちょっと御説明申し上げたいと思います。 有林地であった場合は表面流出は二五%、二五%は表面を流下するであろう、これは雨量なり地形で非常に違いますけれども、一応平均しますと二五%は表面流出するであろう、それから三五%は地下に保水するであろう、こういうふうに一応なっています。その残りは、樹冠にあるとか森林の中に保水するとかいろいろいたします。要は地上流下が二五%程度であります。これに対して、無林地の場合はどうであるかと申しますと、表面流出は五五%、即座に流出していくであろう、それから地下浸透は五%程度であろう、このように一応調査されております。 おしなべてこのようにはいえませんけれども、宝川等の試験地におきましては以上のようなことでございますので、森林の保水力というものによっての調節というものは、相当期待できるとわれわれは思っております。
○工藤委員 いま御説明のように、森林の保水力というのは相当大きな力を持っているのだ、こういうことが科学的に証明されるわけであります。したがって私は、このような科学的な調査に基づいた今後の対策、これは当然必要になってくると思うのです。 そういう意味で、私は今度のこの国有林の活用、もちろんこの活用によってすべての国有林を開放するというわけではないでしょうけれども、そういう意味から、そういう面で一番活用しやすい——活用しやすいというのは、保水、災害防止という意味で、そういう意味である程度国の施策によって活用できる要素というものを持っているその国有林というものを、いかに守っていくかということが、私は災害という立場から見た場合に非常に必要性というものを感ずるわけであります。 そういう意味から考えてみまして、水の需要に対する国有林の役割りというものが、今後一そう強化されなければならぬ、そうしなければ全体的に日本の水というものはたいへん重大な時期に直面をするのではないだろうか、こういうように私は思っているわけでありますが、その点について、特にこれは建設省あるいは経済企画庁が水の担当でありますけれども、林野庁としては、これらの計画にあたってどのような緊密な連絡がとられ、どのような打ち合わせというものが行なわれておるのか、その点についてもお聞きをいたしたいと思います。
○片山政府委員 山の保全、山の木材生産等につきましては、当然林野庁として、先ほど簡単ではございますが御説明申し上げたようなことで推進いたしておりますが、もちろんそれに対しましては、木材需給その他山の保全等を通しまして経済企画庁とも十分連絡をいたしますし、かつまた、保全対策の一環として建設省、農林省との関係も、先ほど申しましたように、それぞれ基本的な打ち合わせと現地の打ち合わせを相兼ねまして、打ち合わせておる次第でございます。
○工藤委員 これはちょっと話が横道にそれますけれども、今度のこの災害とも若干関連をしてくるかもわかりませんが、私は、先般シイタケの不良種こまの問題を実は取り上げたことがあるわけなんです。あのときにいろいろ調査をしておったわけですが、その際に、シイタケの雑菌が非常にふえておるわけであります。その傾向というものは、だんだんやはり南のほうからその雑菌の繁殖率が高くなってきておるわけであります。その調査の際に、非常に重大な問題だとして私は見てきたわけですけれども、南九州から大分県の県南にかけまして、マツクイムシが非常に繁殖が激しくなっておる。これはやはりシイタケの雑菌が繁殖していく傾向と全く同じように、南のほうからだんだん侵食が激しくなってきておるということを、私は実際にそれを直接指導されておるある学者の方から聞きましたし、私も現実にそういう調査を通じまして見て歩いたわけであります。 今度の災害は、その実態はわからないと思いますけれども、南九州のこの水害にあたって、国有林地帯がその上流には非常に多いようですが、このマツクイムシの状態というものはどのように把握をなさっているか。特に、保安林の維持管理という面から考えてみましても、私は重要な問題だと思っておるわけですが、これはちょっと横道にそれますけれども、保安林の維持管理という意味からも、ちょっとお聞きをしたいと思うのです。
○片山政府委員 マツクイムシのお話でございますが、これは種類的にはたくさんあるようでございますが、大体三つの虫でございます。大きく分けますとキクイムシ、ゾウムシそれからカミキリ、この三つが大体マツクイムシと称される虫の内容でございます。 そこで、マツクイムシの一番被害の多いゾウムシあるいはキクイムシは、樹皮と林部との間の形成層のところを食い荒らしていくわけでございます。そうして枯らすわけでございます。したがって、表面にはなかなか出てこない。内部を食い荒らしていくのが実態でございます。 その発生を見ますと、山を乱伐しましたちょうど終戦直後から発生をし出したわけでございますが、波が非常にありまして、一時は下火になったわけですが、最近また少しふえまして、今年はまた下火になっておるというような形でございます。 ただ、それの防除法でございますが、これは終戦以来やっております原始的な姿としましては、皮をむいて、そのむいた皮を焼きなさい、これを防除法の唯一のやり方としてやってまいったわけでございます。非常に手数のかかるものでございましたけれども、それを実施してまいったわけでございます。最近薬剤等の開発ができまして、薬剤をかけて枯らすということも相兼ねてやっておりまするものですから、その辺は非常に円滑に、あるいは非常に対処しやすい形になってまいったわけでございます。 そこで、一番問題は、海岸保安林あたりにそれが飛び火したり何かすると非常に重要でございますから、それについては、むしろかかったからどうするという前に、予防措置の薬剤を開発いたしまして、そのような形で未然に防止するということも、あわせやって対処しておるわけでございます。
○工藤委員 それらの防除についてはどのような形で、林野庁直接やるわけでありますか。それとも、何か他の外郭団体にやらせるとか、そういう措置をとっていらっしゃるわけですか。
○片山政府委員 これは大きく分ければ二つの方法でございますが、一つは、特に激甚な地帯については、農林大臣がその町村の指定をいたしまして、それで国みずからが国の経費でやっておる、これが一つでございます。 〔藤本委員長代理退席、三ツ林委員長代理着席〕 それからもう一つは、多少それより被害の少ない地帯に対しましては、補助金を交付いたしまして、そして県を通しましてこれを実施しておるということでございます。
○工藤委員 これは、私は内容についてはあまり詳しく承知しないわけですけれども、農林水産航空協会というのが、この薬の散布とかいうような仕事をやっているということを開いているわけでありますが、これは林野庁との関係はどのようになるわけでございますか。
○片山政府委員 農林水産航空協会の活用でございますが、これは国有林関係で、いわゆる枯殺剤で雑草を枯らす、そういうものを散布する場合、あるいは野鼠が非常に繁殖しまして、それに対して毒入りのだんごをまくとかいう場合、最近におきましては、この前の岩手県の大火がございました際に、やはり航空機をチャーターいたしましてやっておるわけでございます。 ただ、その際に航空協会との関係でございますが、航空機は計画的にしないと非常にむだが多い。あっちにまくのに、非常に遠方からそれを飛行機で運んでいくということも非常に不便でございますし、また経費もかかります。したがいまして、これは農業もそうでございますが、農林業合わせました姿で、航空機をいかに有効に活用するか、合理的に活用するかということの使用計画を立てまして、そして実施してまいるということで、農林水産航空協会と連絡をとりながらやっておるというのが実情でございます。
○工藤委員 もうちょっと聞きたいのですが、そうすると、林野庁だけでこの協会と連絡をとってやっているということじゃなくて、農林関係の薬剤散布とか、そういう場合にその協会を使ってやっておるということなんですか。
○片山政府委員 林野庁といたしましては、先ほど申しました国有林が中心で、国有林がその事業上必要とする内容の計画を航空協会に出すわけでございます。航空協会といたしましては、農業関係その他それ以外のいろいろな航空機利用の要望があるだろうと思います。これは実態は私はわかりませんが、あるだろうと思います。そこで、それらの利用計画に対して最も合理的な配置、利用を航空協会が立てる、こういうことでございます。
○工藤委員 この問題について、実は薬剤散布だけではなくて、治山工事用のいろいろな資材やその他のものを運搬しているというような事実があるという話を、私どもは耳にしているわけでございますが、これは、やはり効率的な運用という意味から、そういうことがその目的に合致するのかどうか、たいへん大きな疑問が持たれているわけであります。具体的に説明せよということであれば説明をしてもいいと思いますけれども、林野庁のほうでも把握していらっしゃると思いますので、あえてこの指摘はいたしませんけれども、そういうことからいたしまして、この農林水産航空協会というのは、その目的はどういうことになっておるのか、その点をもう少しお聞きしたいと思うのです。
○片山政府委員 先ほども申し上げましたように、航空機のある程度年間的に考えられる利用といたしましては、枯殺剤あるいはネズミを退治する毒だんご、こういうものは計画的にある程度見込んでおるわけでございます。しかし、先生の御指摘の治山事業等に対する航空機利用というのはほとんどやっておりませんが、ただ例外といたしまして、非常に山の奥地で治山の堰堤工事を急にやらなくちゃいかぬ、しかしその開設のための資材を運ぶためには道をつくらなくてはいかぬ、その道をつくるのに非常に年月もかかるし費用もかかる、そういうことがあって初めて資材を運ぶのでは非常にまずいという場合に、これは特に例外として、非常に少ないと思いましたが、やった記憶がございます。
○工藤委員 そうすると、その航空協会には飛行機なりあるいはヘリコプターというのは、大体何機程度保有していらっしゃるわけですか。
○片山政府委員 実はその航空協会というのは、航空協会自身が飛行機を持っておるわけではございません。それぞれの会社がたくさんございますが、それぞれの会社が航空機を持っておって、その運用の調整をはかるための航空協会でございます。 なお、その会社それ自身が、どういう会社がどれだけ持っているかというのは、現在のところ、私、手元に資料がございません。
○工藤委員 そうしますと、この航空協会を通じて、それぞれの飛行機を持っている会社に発注をしていく、こういうことになるわけですね。
○片山政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
○工藤委員 そうしますと、それは最も効率的な方法によって、しかも、この国有林を保護していく上においてきわめて適切な措置としてとられる場合に、そのことを協会を通じて林野庁としては委託をしていく、こういう形になるわけですね。
○片山政府委員 こちらとしてはその使いたい場所、それからこういう目的でお願いしたいという計画を出すわけでございまして、それを航空協会が、ほかの航空会社の保有している台数、いろいろなものとの関連で、さらに私のほうで申し込んだ以外に、農業その他のいろいろな利用計画がございますから、それを合理的に利用するような計画の中で、私のほうにもまた連絡がくるわけでございます。その連絡に基づきまして関係会社と契約をする、こういうことでございます。
○工藤委員 年間どの程度の契約が協会を通じて行なわれているか、大体おわかりになりますか。
○片山政府委員 数字を実は持ち合わせてまいりませんでしたけれども、先ほどの説明がもし誤解があってはまずいのですけれども、協会は調整をいたすわけでございます。したがって、契約はあくまで会社とわれわれがやる、こういうことでございます。ただいまのその会社と契約しました総額等につきましては、実は手元に持ってまいりませんでしたので、またあらためて御連絡申し上げるということではいかがでございましょうか。
○工藤委員 薬剤散布の場合には、さほど大きな——どの程度のものか想像つきませんけれども、そういうところを通じてやる場合に、林野庁としてはどのような予算を使っているか。あるいは、さっきちょっとお話が出ましたように、治山工事の資材を飛行機で運搬するということになりますと、相当な経費になると思いますけれども、そういうようなことが、経済的な効率という面から考えた場合に、たとえば、道路をつくるということは非常に困難だ、あるいは河川で運搬をする、それと飛行機との関連は一体どちらが経済的なのか、そういうようないろいろな問題があると思うのですね。ですからそういう面で、一体林野庁としては、この国有林の保全のためにどうしても必要なそういう措置というものは、もちろん私どもはわかるわけでありますが、それがどのような形で、しかもどの程度使われているのか、これはやはり私は知っておく必要があるのではないだろうかと思いますので、もしいま手持ちがなければ資料として、年間どの程度使っていられるか、ぜひひとつ御提出をいただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、その点について、長官のほうから御答弁をいただきたいと思います。
○片山政府委員 ただいまの点は調査をいたしまして、先生のところに御報告いたしたいと思います。
○工藤委員 それでは、それらの問題については、また後ほど調査の結果に基づいて時を改めたいと思います。 次に、水源林の造成計画につきまして伺いますが、今後水源林としての造成の政策上の重点といいますか、どのような計画で進められるか、その点について御説明をいただきたいと思います。
○片山政府委員 先ほども御答弁したのと重複するような気もいたしますが、保安林の整備計画を六百六十六万ヘクタールというふうに拡大いたすわけでありますが、そのほとんどの主体が水源林造成が中心になろうと思います。もちろんそれに崩壊防止もございますが、水源林の面積は非常に大きくなるわけでございますので、それがほとんど中心になろうと思っております。 その考え方といたしましては、先ほども御説明申し上げましたように、その地帯における水需要はどれだけであろうかということを、われわれなりに想定いたします。また、ダムその他の建設によってそれがどれだけ確保されるであろうかということも、あわせ調査いたしまして、さらに将来の水需要を想定した場合、先ほど申しました安保林のいわゆる森林保全機能、あるいは水資源を確保する機能というものを考えまして、その需要に合わせるような保安林の配備計画を実は想定したわけでございます。それは地域的に、そういう一応の想定の中でつくってございますが、それに基づきましてその保安林の拡充をはかっていく。その場合に国有林をまず中心に考え、かつ、あわせ考えるべき民有林についても御協力いただく、こういう形で推進しているわけでございます。
○工藤委員 その場合に、たとえば具体的に申し上げますが、筑後川のマスタープランをつくりますね。そういう場合に、所管は経済企画庁ということになりますか。そうしますと、それに建設省、農林省が一緒に入りましてこのマスタープランができ上がるんだろうと思いますけれども、材野庁として、こういうような筑後川なら筑後川のマスタープラン、水計画のマスタープランをつくる場合に、水源林を中心とした林野庁の計画というものは、どういう形でその計画の中に入っていくのか、その点ちょっとお伺いしたいと思うのです。
○片山政府委員 ただいまの保安林の整備計画をつくりますのは、そういう一つの方向、考え方を林野庁が示しましたものに基づきまして、県に一応作成してもらっているわけであります。 ところで、県におきますいろいろな関係との連絡につきましては、先ほども申しましたように、地方に連絡会議を設けてございます。具体的に申しますと、県の土木関係、林務関係、あるいは営林局関係、地建関係、そういうものが、具体的な場合に連絡をしながらやっている組織でございます。 そういうことで、県自身の一つの、こちらの方針に基づく具体的計画を積み上げまして、そしてただいま申し上げましたような、保安林整備計画を林野庁として決定をいたして推進しておるということでございます。
○工藤委員 次に、さっきから災害の問題を私しきりにお聞きをしているわけでありますが、特にさっきから長官からもお話がありましたように、近ごろ中小河川のはんらんという問題で、集中的な局地的な大雨というものがそういう状態をつくり出しているということ、さらには、さっき申し上げましたように、宅地造成とか観光開発というものがさらに被害を大きくしていく、こういうようないろいろな要因が亜なり合いまして、災害というものが、ますます人間の財産あるいは生命を奪うという状態が頻発するという状態になっているんだろうと思うのですが、特に中小河川の場合に、さっきも申し上げましたが、産業の発展というものが被害を大きくしているという、そういう要素がある。 それに伴って、もちろん被害を防止していく対策というものも非常に重要になってくるわけでありますが、これは私はある先生の資料から引き出してきたわけなんですが、破壊防止、破壊を防止していく対策ですね、これはもちろん治産とか治水というものが中心になりましょうけれども、それと破壊的投資のバランスシートを見ると、産業開発のほうの倍率というのが非常に高いという資料が出ているわけであります。これについては、私はこれからの水対策を考える場合に非常に重要な要素になるのではないかというように考えまして、興味深く見たわけでありますが、この点について、林野庁としては、それらの問題をどのように把握していられるか。 もう少し具体的に言いますと、破壊防止的投資のほうは、昭和三十年を基準にいたしまして、当時国土保全の予算というものを四百四十三億円出しているのでありますが、それに災害復旧、環境衛生あるいは厚生福祉、こういうような破壊防止的投資というものを出しているわけであります。それと同時に、破壊的投資というのは、道路あるいは都市計画、そういう生活基盤というものが大きく変わってまいります。それがいわゆる災害を起こしていく——災害を起こしていくということはどうかと思いますけれども、そういう破壊的要素を含んだ投資というものが行なわれている。そのバランスシートというものは、近ごろ非常に極端に逆になっている。 こういうようなことをその方は指摘をしているわけなんでありますが、この点に対して、林野庁としてはどのようにお考えなのか。このようなバランスシートがますます大きく拡大をしてまいりますと、いま言ったように、相当大量の資金をつぎ込んで、あるいは国有林というものを確保して対策を講じていかなければ、ますますいまの災害というものを、局地的なものからさらに全体的なものに広げていくという要素も出てこないとも限らない、このように私は思うのですが、その点についての考え方を、まずお聞きしたいと思うのです。
○片山政府委員 先生のただいまのお話の、開発と保全とのバランスがあるべきであろう、これは私たちもそのとおりだと思っております。ただ、それがどのような姿の具体的の数字になるのかというのは、なかなかむずかしい問題だと思います。 ただ、ある事例をとって考えますと、先ほどもちょっと触れましたが、森林であるならば、多少の被害というか、土砂くすれがあっても、それはそれなりとして被害になり得ないものがある。しかし、たとえば宅地化した場合に、多少の同じような土砂くずれであっても、それは宅地としては大きく影響する、こういうことがあり得るだろうと思います。したがいまして、そういう場合の措置としては、十分今後は気をつけていかなければならないだろうとわれわれ自身も思います。所管であります建設省におきましても、宅地造成等規制法その他がそういう意味でつくられ、守られているとわれわれは理解しているわけであります。
○工藤委員 いま御説明がありましたように、バランスシートが非常に大きくくずれていくということは、私たちはやはり少しでもそれを防止していく措置をとらなければならぬ。これは、やはりいま言ったように、保安林を中心として水源林等を強化していくということになると思うのですが、そういう措置をとりながら全体的な利水をやる必要がある。 それと同時に、近ごろの傾向として、山林の荒廃というものがやはり相当大きく影響しているのではないだろうか。こういうこともさっき長官からもお話があったわけでありますが、山林の荒廃による山くずれ、あるいは土石の流出、あるいは流木、こういった森林施策上の災害というものも、実は非常に大きな要因になっているのではないか、こういうように思うわけでありますが、この点について、特に国有林所在地における災害の件数、あるいは林野庁として災害見舞い金の支出というものをなさっておるようでありますが、これらの実態について、おわかりになれば御説明をしていただきたい、こういうように思います。
○片山政府委員 現在、森林の中における荒廃地は、残念ながらまだあるわけでございますが、全体として二十三万八千ヘクタールまだ荒廃地がございます。その中で、国有林は約四万九千ヘクタールでございます。民有林が十八万九千ヘクタール、これがいま荒廃している面積でございます。森林面積に比しますと、約一%弱でございますけれども、こういう面積がございます。 したがいまして、これを対象にいたしまする緊急な復旧計画といたしまして、先ほど申しましたように五カ年計画を大幅に改定いたしまして、これを、少なくとも人的被害と考えられるものを重点にいたしまして、まず復旧していこうという計画でございます。
○工藤委員 いろいろと御質問をしてまいりましたけれども、災害の問題についてはここら辺で締めくくりたいと思うのですけれども、なかなかむずかしい問題でありますから、特にこれから治山対策として、どのような施策というものが行なわれなければならないか。これは、もちろんさっきからの再三にわたる説明で尽きておると思いますが、特に林野庁として、災害を防止し国土の保全をはかり、人間の生命やあるいは財産を守っていくためにやらなければならない緊急対策というものは一体何か、こういう問題について、ごく率直に幾つかの特徴をあげまして、特に次の年度以降に重点的にやらなければならない事項、それらについて考え方を明らかにしていただきたい、こういうように思います。
○片山政府委員 先ほど御説明のものと重複するようでございますが、抽象的でございますが、大きく分けますと三つでございます。 まず、先ほど申しました復旧治山、こわれている山を復旧する、これがまず大きな目標の一つでございます。 それからもう一つは、これも触れましたように予防治山、現在こわれてはおらないけれども、荒れてはおらないけれども荒れる傾向がある、それが荒れた場合においては相当の人的あるいは家屋その他のそういう被害を受けやすい、こういうものに対しては、それが崩壊しておらない事前において対処すべきだという予防治山、これを第二の重点といたします。 第三番目といたしましては、水源確保を目的とした保安林の整備事業、これも先ほど触れましたように整備して万全を期したい。 大きく分けますと、その三つを重点としてやっておるわけでございます。
○工藤委員 そこで、この三つの重要なこれからの施策を進めていく上におきまして、このたび出てまいりましたこの国有林の活用法というものがどのような役割りを持つのか。この点については、逆にこの目的等からいたしますと、農林業の改善のために国有林の活用というものをはかる、このようなことになっているわけでありますけれども、いま三つの問題を中心として進めていく場合に、その調整というものがやはり非常に重要なことになってくるのではないか、こういうように私は実は思っているわけであります。この活用の目的といま申し上げました三つの、林野庁がこれからの治山を進める場合の調整というのは、一体どこに重点を置いていったらいいのか、この点についての御意見を伺いたいと思います。
○片山政府委員 国有林の活用は、農業構造改善であるとか、地域の振興であるとか、そういうものを目途といたしまして、土地の利用の合理化をはかるというのが活用の目的でございますから、そのような形で対処するわけでございます。 ただ問題は、いま国土の保全等を当然の使命とする国有林野事業との調整はどうするのかということでございますが、具体的には、そういう保安林あるいは保安林に準ずるようなものは、おそらくその活用外になるというふうに、私は調整としてはなり得ると思います。ただ、たまたま例外として、それ以外に活用の方法がないというものがもしありとすれば、その場合には、先ほど申しましたように、それにかわる保安林というものがはかられた上でなければ、これは解除もできませんし、利用もできない。したがって、原則は保安林は除かれるべきである、こういうように考えております。 なおかつ、国有林の使命としてそういう保安林の拡充ということも考えておるわけでございますから、国有林自身の保安林を拡充するとともに、民有の保安林も買い入れて、そしてその整備をはかっていくということも、保安林整備臨時措置法というのがございますので、それによって推進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○工藤委員 この活用にあたりまして、このたび新たな法律を出してまいったわけでありますけれども、農林水産委員会の調査室が出しております資料の中にもありますが、現行制度の中でも、現在までそれぞれ国有林の活用というものが行なわれてきたようでございますが、この現行法における国有林の活用というものにどのような不都合があったのか、したがって、この新しい国有林の活用法案を提出することによって、その不都合というものは解決をされる、このようになるのか、そこら辺の関連を実はお聞きをいたしたいと思います。
○片山政府委員 従来も活用は、われわれとして土地利用の高度化の推進上対処してまいったわけでございます。しかし、御承知のようにその対処のしかたは、次官通達という通達の中で処理をしてまいったわけでございます。 今回の法案として出しましたのは、そういうわれわれが積極的に活用すべきものは何なんだ、対象は何なんだ、その相手方は何なんだということを明確にしていただきまして、それによって円滑適正な活用をはかってまいりたいということからお願いしているわけでございます。 内容といたしましては、御承知のようにその基準、方針等を公表いたしますとか、あるいは適正に利用されるという前提において、もしそれが不適正に利用されるのであれば、用途指定をして買い戻しをいたすとかいうことをあわせ明確にしてまいりたい。 なお、先ほど永井先生のお話にもございましたように、特に変わっておると申しますのは、延納二十五年の特約ができる措置が、あわせ規定されたということであります。
○工藤委員 従来は次官通達で活用というものがはかられてきた。したがって、それを法律的な根拠に基づいて具体的に活用がはかられるような措置をしたい、こういうような御答弁のようでございます。従来の活用の中で、たとえば公共の用に供するという立場で払い下げをする、こういう事態が起こっておるようでございますが、公益事業あるいは公共の用の目的ということで活用がはかられてきたはずのものが、実はその目的以外のものに使われていたとか、そういうような事例が点点と出てきておるようでございますが、これらの把握について、林野庁としてはどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○片山政府委員 国有林の活用の大きな面積といたしましては、先ほどもお話し申し上げましたように、市町村合併促進法あるいは林野整備等におきまして、約十七万八千ヘクタールを出しておるわけでございます。それは林業的利用で出しておるわけでございますが、それがそのまま守られて運営されておるというのは、われわれの調査では八五%でございます。一五%、これはそれぞれ転換の許可を受けておりまして、市町村の財政の問題とかいろいろからんでおりますが、そういうことで転用されたものがございます。それからもう一つ大きな問題として、所属がえをいたしましたのが三十九万ヘクタールございます。その中で売り渡ししたのが三十三万一千ヘクタールで、約八五%が売り渡されております。残りの一五%は、不適地であるとかいうことで返還をしたもの、あるいは農地局が現在持っておられるものでございます。こういうことを先ほども申し上げたわけでございますが、それが活用いたしました面積の大部分でございます。 いま先生御指摘の公共、公益事業用というようなことでございますが、これは道路であるとか、そういう問題で転換したものでございますから、私のほうでは、少なくとも不自然な形で利用されているとは思っておりませんが、万一そういうものがありとすれば、その目的に利用されるように指導しておるのが現状でございます。
○工藤委員 私はこの国有林野の活用の問題については、この目的にはっきりありますように、農業生産の拡大、それは言いかえますと農家の所得の増大、こういうようなことを中心にして国有林が開放され、活用されていくという趣旨だろうと思うのですけれども、それをそのまままともに受ければ、これに対して何ら反対するものではないわけであります。国有林の国土保全という意味が、さっき長官からお話がありましたように、復旧治山あるいは予防治山、水源確保、こういった意味でそれらの目的が十分達成せられる中で、なおかつこの農業構造の改善なり、あるいは農家の所得を改善をしていくという意味に使われるとするならば、何ら問題はないわけであります。 ただ、非常に重要な問題は、それがごく一部のものであっても、この活用の中においてきわめて不純な、あるいは目的外に使用してきたという事実があるとするならば、それに対する政治的な不信なり、あるいはこれらに対して非常に不純なものを私たちは感ずるわけであります。この問題をはっきり解明をし、それらの事実があったとするならば、その事実を国民の前に明らかにしながら、この活用法に対して私は慎重を期していかなければならぬ、こういうような気がするわけであります。 私どもの周辺におきましても、いろいろと公共の用ということでわざわざ全国民的な財産である林野が開放されて、それが一部の人によって不正に利用される、こういう事実を知るわけであります。そういうことになりますと、これは全体的な、これからのこの法の運用につきましても重大な汚点を残すことになる。そういう意味から、従来行なってまいりましたこの次官通達に基づいた活用、それを今度の法律によってどの程度それらの問題を防止できるのか、私はその点が一番心配になるわけであります。これは第何条と何条に基づいて、従来ありました問題点は十分に対策が講じられるということであればいいのですけれども、法文そのものについても非常に抽象的でありますから、その点の心配が残るわけでありますが、もう一ぺんその点に対する基本的な考え方を私はお伺いしたいと思うのです。
○片山政府委員 過去において農地になったものが、その後それが未利用であるとか、あるいはほかに使われておるという問題に対しましては、これは終戦直後農地になったものが、社会、経済の状況からそういうふうに追い込まれてきたということは、われわれそのように思い、かつ、今後の活用につきましては、その用途が、全然当初の目的と変わった姿になるということは喜ぶべきことではございませんから、厳重にこれは注意をしてまいらなければならないというふうに考える次第でございます。 その意味におきまして、今回の法案の少ない条項の中に、用途指定というものをいたしまして、その用途指定した利用をしなかった場合、怠っておる場合等につきましては、これは国が買い戻しをする、第三者に売る場合でも、買い戻しの登記をいたしまして必ず買い戻すという形の条項を入れたわけでございます。 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
○工藤委員 今度の法律でそれらの問題が十分に解決できるということでありますが、従来は、現行制度のいわゆる次官通達で国有林の活用がはかられてきたわけであります。これを見ますと、その対価、あるいは活用の目的、あるいは対象者というものがある程度明確になっているわけでありますが、それが明確になっているにもかかわらず、具体的には全然別の使用目的なり、あるいは所有権が全然別の人に変わっていっているという事実があるわけであります。 これは、具体的にここに私は書類を持っているわけでありますが、熊本営林局関係の事件でございますけれども、市町村に払い下げられたものが、いつの間にか第三者であります住友生命保険相互会社に転売されておるとか、あるいは福岡市天神の玉名興産株式会社に転売されておる。登記書までここにあるわけでありますが、これは比較的新しい事実であるわけであります。こういうものが公然と行なわれるということになると、私はこの点を一番心配するのです。林野庁としてはこういうことをいままで放任してきたのか。目的外に使用し、しかも所有権まで現に移転をしておる。この点は、次官通達でなくて法律ができたから、いままでのものはもちろんきびしく取り締まれますよということで、それはそういう法律ができた以上そうなるかもわかりませんけれども、現行法の中ではそれはできなかったのか、こういう逆論も出てくるわけであります。そういうことをきちんとしておかないと、せっかく通したこの法律がまたざる法になってしまう。 この前の話ではございませんけれども、食管法と、農地法と、売春法が日本の三大ざる法であるということを米内山先生が言っていましたけれども、あとで農林大臣は、これはたいへんいいことを聞いたなんということを言っていましたが、私はこの国有林活用法案なんというものも、三つのざる法に全く負けないようなざる法にならぬとも限らぬと思うのです。 そういたしますと、やはり現行法の中でそのような事実が——ここにも書類が、登記書の写しまであるのですけれども、そういうものが現実に行なわれているとするならば、こんな法律を幾らつくってみても同じじゃないか、私はそういう気がしてならないわけであります。この点について、長官、ひとつきちんとした考え方をお伺いしたいと思います。これは、大臣がおれば大臣からもお聞きしなければならぬと思うのですけれども、次官がおりますから、あとでまたはっきりした答弁を聞きたいと思いますけれども……。
○片山政府委員 先生御指摘のように、終戦後の農地を非常に拡大しなくちゃならないというような諸情勢の中で転用したようなものが、経済情勢の中で、これがそのまま使われないということは確かにあったと思いますし、また、われわれも反省もいたしております。 なおまた、いま御指摘の市町村に売り払ったもの、先ほど私、数字で申し上げましたように、八五%は大体林業的に利用されておりますけれども、一五%程度は転用されておる。その中の一つであろうかとも思いますが、問題は、当時市町村の基本財産の造成という目的でわれわれは払い下げたわけでございます。しかしそれが、市町村の財政の運営が主体になったと思いますけれども、他に転用をして、たとえば学校を建てるとかそういうものにあるいは使われたんじゃないか。まだ具体的な実例を把握しておりませんので違うかもしれませんが、一般的に言いますと、基本財産造成としてやったものがそういうふうに転用された、転用せざるを得なかったということがあったと私は思います。 そこで、今後の方向でございますが、今後はわれわれは、ただ基本財産造成というような形で売り払ったりするという形はとらない予定でございます。あくまでもその土地がどういうふうに具体的に、合理的に利用されるんだ、そのものをはっきりつかみまして、その中で用途指定をして売り払っていこう、貸付をしていこう、こういうことでございますから、そういう点については今後とも十分注意しながら、ただいま申しました方針によって万全を期したい、かように思う次第でございます。
○工藤委員 私はこの問題は、この法律を論議する場合にたいへん重大な問題だと思っているわけであります。それはなぜかといいますと、さっきから再三申し上げておりますように、国の財産である国有林というものが、やはり国土を保全する——もちろん、それは最も有効的な利用というのは当然でありますが、災害からいかにして人間の生命、財産を守るか、そういう重大な任務を帯びておる国有林というものが、やむを得ずいま言った市町村の財政なりあるいは地方の公共利用のために、譲渡せざるを得ないという形で林野庁がこれを譲った、そのものが目的外に使われる。一方には農民が、おれは構造改善のために農業経営をふやしたいのでほしいんだ、こういう者がありながら、現実にそれらのものが観光業者や、あるいは全然別の方向に使われていき、それがさらに災害を生むという結果にもなっているわけであります。そういうことを私どもがまのあたりに見るときに、この法案の通過にあたって一番心配になるのは、三大ざる法にまた一つ加わって、四大ざる法になるという可能性がいまから心配されるからこそ、しかも、これは非常に広大な、いま高騰しつつある土地という問題に開運をした事項でありますから、これは利権の伴うものであります。そういうことを心配をしながら、私はこの法案に対する態度というものを、実はいまいろいろと論議をしているわけであります。 そういった意味から、林野庁がこういうようにいろいろな条件のもとに何十万町歩という林野を払い下げてきた。その中で不正に利用され、あるいは他に転売をしていったという事例が一体幾らあるか、どの程度把握しているか、私はその点をある程度明確にしながら、この法案に対する最後の態度をきめたいと思うのです。どうでしょう、その点についてある程度把握しているとするならば、概略でもよろしゅうございますから明らかにしていただきたいと思います。私はいま、たった一件しか出しませんでしたけれども、そのほかにもたくさん私どもは聞いているわけであります。もちろん、これは全国に広げますとたいへんな問題だと思っているわけであります。
○片山政府委員 当初の目的のように利用されずに利用されているということは、確かにわれわれも調査いたしております。しかし現実に、どういうものが具体的にどうなったという総合した調査については、現在取りまとめ中でございますので、その段階で御報告申し上げたいと思います。
○工藤委員 この点は、もう少し一つ一つの事例について私は林野庁に申し上げて——この席で出しなさいというふうなむちゃなことは言いません。ただ、現行の法律に基づいて、次官通達か何か知りませんけれども、とにかく開放していったわけですね。やはりその結果というもの、どのように使用されて、現在どういう現況にあるかということは、林野庁としては当然把握しなければならない事項じゃないでしょうか。その点の実態はどうなんですか。それをはっきりしておかないと、この今度の法律が通りましても、一応文章には書いているけれども、一ぺん開放したものは、それから先は知りませんということでは、これは話にならないわけです。 もちろんこれには、さっき申し上げましたように、それ以外のものに使った場合にはもう一ぺん買い上げるとか、いろいろなことは書いてありますけれども、現状をどこまでつかまえているかということは、私は重要な要素だと思います。その点どうでしょう。過去どのような措置をとってこられたか。
○小沢(辰)政府委員 ただいまおあげになりました熊本の例につきましては、さっそく調査をいたしますが、おそらく町村合併促進法による、その後のいろいろな経過からそういう事態が起こったものと思われます。 私ども、この法案を御提出申し上げるときにいろいろ検討いたしましたのは、国有林の活用というものを、行政措置によってある程度やってまいりました。これは地元の要望にこたえて、できるだけ農業関係の振興のために、あるいはまた地元の福祉のためにということでやってまいったのでございます。したがって、そういうような行政措置である程度できるのじゃないか、だから法律まではという議論があったのでございます。しかし、先生がまさにおっしゃいましたように、行政措置のようなかっこうでやっていればこそ、そういうような事例が起こったときに、その使用目的に合致していないようなものを取り上げたり、あるいはまたこれを禁止したりするようなこと、あるいは行政措置であるがゆえにこの法律上の目的がはっきりしていない、そんなことからいろいろな問題がむしろ起こるのではないだろうか。 したがって、国有林活用法というはっきりした法律を御提案申し上げて、この目的にそぐわないような活用は一切しない。同時に、ただいまおっしゃいましたような例が起こらないように、用途指定を厳重にするか、あるいはまた買い戻しの条件というものを、登記によって第三者にも対抗できるように明示をいたしましたり、いろいろな点を法律上の制度としてきちんとしていくことが、むしろ先生おっしゃるような御趣旨に沿うゆえんではないか。こういうような意味で、この法律の、むしろ従来にも増して有効適切である法律の機能というものを、御理解いただきたいと思います。 今後、おっしゃるように活用をはかっていく場合には、当然第一義的には全体の国土保全との調整を考える一方、御心配のようなことのないように、この点はこの法律案を御協賛いただければ、法律の規定を正しく運用するのが私ども行政官の任務でございますので、そういう点では、より一そういままでより厳重になりますし、目的に沿うようにもなりますし、また、先生のおっしゃったような弊害が起こらぬように必ずなる、こういう確信で御提案を申し上げておるわけでございまして、むしろ先生の御意見等を考えますと、それなるがゆえに本法案の必要性を御認識いただけるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
○工藤委員 私は具体的にお聞きをしているわけで、抽象的にはいま次官のおっしゃるようなことでいいと思うのです。ところが、法律案そのものも、たとえば第六条ですが、「第三条第一項の規定による国有林野の活用を受けた者は、当該活用の目的に従つて、当該活用に係る土地の利用を適正に行なうとともに、その利用の増進に努めなければならない。」と、こういう抽象的な文章ですね。ですから、私はやはり従来活用してきた現状というものが、非常に重要になると思うのです。これがやはりいままでの林野庁の姿勢なんです。これがいままでの農林省の姿勢なんです。私は一件だけ言いましたけれども、そのほかにもたくさんあるわけですね。国立公園の一部がある特定の人に、いつの間にか旅館に貸されているとか、こんなものは公共じゃないのです。そんなことがたくさんあるのですよ。 そういう現実を見せつけられると、私はこの法案の適用については、非常に大きな不信が残るということをさっきから言っているわけなんで、それだけのきちんとした覚悟を持って、この法案を提案されるなり実施されるというなら、これは論蔵のしようもありますけれども、従来そういう、実際には次官通達でやらなければならないようなきびしい国有林活用の規定がありながら、今度はこれを使ってよろしいと、こうなるわけですから、私はむしろいままでよりもちょっとゆるくなるんじゃないか、逆にそういう感じを持つわけなんです。いいですか、その点どうですか、もう一ぺん……。
○小沢(辰)政府委員 私は、決してゆるくなるとは思わないのでございます。 ただ、第一条に書いてありますような本法律の目的にするような面では、あるいは従来よりは広くなるかもしれません。しかし、それがむしろこの法律の目的でございます。しかし、子の目的以外のものについては、従来よりはうんと厳重に——うんとといいますか、徹底的に厳重になる。第五条におきましてその面が、はっきり法律上の制約が出ているわけでございますから、その点は先生御心配のようなことはなく、むしろよくなるということで御賛成をいただきたいと思うわけでございます。
○工藤委員 さっきからしきりにこれにこだわっているというのは、これはもちろん、私が知っているこの何件かの問題ですべての国有林の活用というものを律するということは、これはまた私は危険、だと思っています。自分でもそう思います。何件かあったから、これは全くいけませんよ、こんなことは全くゼロにしなさいという、私はそんな飛躍した議論はしたくないわけであります。しかし、やはり農民感情として、現実にそういう問題が何件かありますと、やはりそこには大きな政治的な不信なり、そういうものが起こってくるわけであります。 ですから、さっきから私が指摘しておりますように、やはりいままでのこの活用についても、活用で払い下げたわ、それから先は一切監視の目も何にもない、こういうことでは、それが目的外に使用されようとだれに転売されようと、何ら手のつけようのないという実態があったということですね。これが全然なかったということであれば、それはいいですよ。その点どうですか。
○片山政府委員 従来の実績と申しますか、先生御指摘の問題はいろいろございます。ただ、従来国有林を売り払っていった、あるいは所属がえをして売り渡していった、子の中で実はいろいろなケースがあるわけでございます。 一つは林野整備法というのがございます。これは国有林として持っている必要のない山、たとえば孤立の小団地であるとか、あるいは国有林としてはむしろ経営上放すべきであるというようなものを売り払っていった場合がございます。こういうものは、その後それぞれいろいろの利用に使われておるということはあろうかと思います。これは、別にこうしなければいかぬという条件を付したものでもございませんから、そういう売り払いをしたものもございます。 それから、先ほど申しましたように、市町村合併として、基本財産造成なんだよといって渡したものが、市町村財政そのもののいろいろな問題から、これが当初の目的でないものに使われた、それがまた転売されていった、これがあろうかと思います。 そこで、それ以外の売り払いにつきまして、それも含めまして、今後の問題としましては、そういう過去のものを踏まえまして、土地にほんとうに合ったものの利用ということと一緒に、その利用をしなかった場合は、買い戻しますよということを明確にした。これは、そういう過去のいろいろな問題を踏まえましてやったわけでございます。 もう一つは、今度は所属がえの問題でございます。所属がえと申しますのは、ある一定期間国有林から所属がえをいたしまして、その中で開墾の時期等を明示させまして、その中で今度は成功検査というものが行なわれて、初めてそれが農地として運用されていくわけでございますけれども、その場合に、買い戻しの特約というのは実はないわけでございます。しかし、これは農地法によって、少なくとも第一種農地というそういう姿の中で、これは結局転用の問題になりますから、許可の問題になりますが、これは十分注意をしていただいて、そうして所期の目的を達成するように、これは農地局のほうから監督指導をしてもらうということに相なり、その中で指導をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
○工藤委員 先ほどから、特に私は災害の問題をめぐりまして、国有林町の占める役割り、こういう点についていろいろと御質問をしてきたわけであります。特にこの新しい国有林の活用法案について、まだ私としても納得できない非常に不安な面も残ってくるわけであります。これはやはり将来、法の活用にあたりましては相当慎重に、しかも、計画的な実施計画というものももちろん私は必要になってくるだろう、こういうように思うわけであります。 最後に、この点については大臣がおると一番いいのでありますけれども、先ほどから再三指摘をしておりますように、この国有林の活用法というものの一番大きな心配は、利権につながるということがあってはいけない、それをいかに防止するのか。ほんとうに農業構造改善のために、農民の所得の向上のためにこれが有効に使われるとするならば、私はそれにはそれなりの意義があるだろうと理解をしております。 ただ、過去の実績等からいたしまして、その点に対する心配というか、いつの間にか観光開発に変わる、それが災害を増発していく非常に大きな要因になってくるとするならば、たいへん重要な問題だと私は思っているわけでございまして、そういう意味から、特にこの国有林野の、これからますます水の需要が大きくなり、さらに災害が頻発しようという時期において、私はこの問題については相当慎重に、しかも総合的な計画性のある、いわゆる治山の対策というものが必要ではないか、こういうように理解をするわけであります。先ほど資料の要求もいたしましたけれども、機会があれば、また後日さらに詳細な問題については議論をいたしたいと思いますが、きょうは、災害をめぐります治山という問題から、この活用法に対する問題点を指摘してみたわけでありまして、この点については特に最後に長官、それから政務次官のほうかうもう一ぺん、この問題に対する決意のほどを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○小沢(辰)政府委員 まず先生の御指摘の、本法案成立後目的外の使用に流れたりいたしまして、いわゆるこれが悪用されることのないようにという御注意、これはもう私どもも全く同感でございますので、先生の御意見を十分体しまして、一そう厳重に行政上の取り扱いをいたしてまいりたい決意でございます。 第二点の、災害防止のための国有林あるいは林野行政全般の点についての配慮でございますが、確かに中小河川のいわば水源に相当するような、あるいは山地になりますような地帯について、あるいはまた砂防の面から見まして、まだまだ全国的にたくさん、私どもが危険と思いながら手のつかないところもございます。そういう意味で、先ほど長官も答えましたような、いろいろ事務的にも努力をしてまいりますが、これはもう大臣とも特にお話をいたしておるところでございますけれども、治山関係あるいは砂防関係の予算を、やはり思い切って増額するように努力いたしまして、ぜひ災害の発生をあらかじめ防止するように、また、地すべりの危険な地帯については万全の措置をとっていくように、一そう努力をする決意でございますので、御了承いただきたいと思います。
○森委員 この際、この活用法の審議に必要な資料を要求したいと思います。 まず第一に、現行国有林活用の種類別とその手続並びに今日までの実績。これは、内容を申し上げますと、自作農創設特別措置法及び農地法、これが一つ、それから国有林野整備臨時措置法、それから新市町村建設促進法、それから農業基本法、林業基本法に基づくもの、それからもう一種類あったと思うのですが、その種類別の現状、手続、これをひとつ資料として。 それから、資料はたくさんございますので、できるだけ整理をしてお願いしたいわけです。 一つは、基本的な問題で、森林資源に関する基本計画及び策定の方針並びに全国森林計画、これが一つ。 次は、木材需給の長期見通しと策定の根拠。 それから、次は木材需給量の推移と中期見通し、特に国内材供給量の推移。これは国有林と民有林別、素材換算で三十五年以降の年次別のものがほしい。 それから、次に四十三年における外材輸入量及び金額、並びに外材輸入のNL別推移、針葉と広葉とに分けて。 それから、外材輸入専用船の会社別保有量と造船計画並びに外材輸入船原用の港の整備状況。 それから、外材の輸入商社別の輸入量、額、年次別推移。 それから、輸入木材チップのNL別数量と価格、これの年次別の推移。 それから、立木伐採量の年次別推移。これは国有林と公有林と私有林と、この三種類に分けてください。 それから次に、伐採あと地面積、人工造林面積。これは国有林と民有林別で、年次別推移。 次に、国有林、民有林別、道路までの距離別、齢級別森林面積、蓄積。これは三十五年以降の年次別推移がわかれば出していただきたい。 それから、民有林行政としての助成措置と補助基準の内容。 それから、木材関連企業の倒産件数の年次別推移とその原因。 それから、林業雇用労働者の年齢、性別構成、年次別推移。これは国有林と民有林に分けて、並びに新規学卒者の林業就労動向年次別推移。 それから、保安林整備の年次計画と実行。これは国有林、民有林別。 それから、国による民有保安林の買い上げ実績と今後の予定。 山地の荒廃による災害件数。これは年次別に。 それから、荒廃地発生と復旧の推移。これは国有林と民有林に分けていただきたいと思います。 それから、国有保安林の解除実績。これは保安林の種類別の解除目的と現況。 それから、新治山五カ年計画の概要と新旧計画の対照表。 それから、国有林のNL別、齢級別面積とその蓄積、並びに国有林の地種、林種、林相別面積、蓄積、成長量。これは三十五年以降。 それから、特に活用に関係して、四十四年四月一日現在の地方産業経済のために特別に利用される国有林野面積。これは各営林局別に。 それから、国有林の面積と蓄積と成長量と標準伐採量並びに実伐採量。これはNL別。 それから、用材、薪炭材別、これは三十五年以降年度別推移。 あとまだ三つほどあります。 一般競争契約による販売価格と予定価格との値開き率。それから、各局別の三十五年以降の年次別を出してください。 それから、国有林材の総販売量に占めるパルプ材販売量の割合、北海道、内地別に。 それから、終戦後今日までの国有林野の活用の目的刑、年次別実績、件数と面積。これの現況。 それから、四十四年四月現在の国有林野活用申請中の件数と目的別の面積。これは文書、口頭により営林署に出されたもの全部を出してほしい。 それから、全国国有林解放対策協議会が要求している国有林野活用対象地の地種別、林種別面積、NL別蓄積。具体的にどういう形で出ておるか、私のほうで明らかでないのですが、国有林の活用状況として出されておる具体的な内容について、わかれば資料として提出いただきたいと思います。 大体以上でございますけれども、審議の過程の中で、さらにきょう工藤君から資料要求される予定でありましたコンサルタント会社の構成と内容、それから今日までの実績、それからその予算はどうなっておるか、このコンサルタント会社の内容が全部明らかになるような資料。以上資料要求いたします。
○片山政府委員 たいへん膨大な資料でございまして、大体のところはできると思いますが、しかし、運輸省関係の港湾の問題とか、あるいは需給の問題の長期見通しの中で、現在林政審議会にはかっておるものもございます。したがって、そういう問題等もございますので、全面的なことはなかなか困難かと思いますが、できるだけの資料をそろえて御提出申し上げたい、かように存じております。
○森委員 実はいま申し上げましたようなことは、林野庁は大体整備しておられなければならない問題ばかりであります。一、二新しいものもありますけれども、できている資料がほとんどだと思うのです。できてなければ、林野庁は何をやっているかということになろうと思います。 さらに、もう一つつけ加えて申し上げたいのですが、国有林で処分されたもののうち、現在ゴルフ場に転用されているものについて、これは個所別、所有者別処分年度、ゴルフ場の名称及び面積、当初の処分目的、途中からゴルフ場に変わったけれども、当初の目的はどうであったか、当初からゴルフ場ということで処分したのか、これが一つ。 もう一つ、国有林野の自然公園法による地区区分、国立公園、国定公園ごとの特別保護地区第一種、第二種、第三種特別地域、普通地域の面積。これだけ追加して資料として提出願います
○丹羽委員長 次回は明二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十二分散会