農林水産委員会 第37号
- 発言数
- 246 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/06/17
会議録
○丹羽委員長 これより会議を開きます。 まず先般、農地法の一部を改正する法律案及び国有林野の活用に関する法律案、両案の審査のため、東北地方、近畿地方及び九州地方の各地に委員を派遣いたしたのでありますが、この際、派遣委員よりそれぞれその報告を聴取いたします。 第一班中山榮一君。
○中山(榮)委員 御報告いたします。 農地法の一部を改正する法律案及び国有林野の活用に関する法律案の現地調査第一班として、六月十二日から十四日までの三日間、秋田、青森の両県へ派遣され、秋田県においては、農地法改正に関する農業事情について、青森県においては、国有林野の経営及び活用の実態について、それぞれ調査してまいりましたので、その内容を簡単に御報告申し上げます。調査は、丹羽兵助君、兒玉末男君、樋上新一君、それに私の、派遣委員四名で編成され、米内山義一郎君が全日程に、秋田県においては内藤良平君及び鈴木一君、青森県においては田澤吉郎君、森田重次郎君、熊谷義雄君及び竹内黎一君が現地参加されました。 まず、秋田県について申し上げます。われわれは、まず秋田県庁において、小畑秋田県知事はじめ関係係官から県農業事情の概要と問題点及び要望事項につき説明を受けた後、県関係団体の代表から意見の聴取を行ない、さらに、山木郡二ッ井町において現地調査を行なってまいりました。 県当局の説明の中で、特に国に対して、農政推進の視点から東北地方を国民食糧供給基地としての地域的分担を明確にして、具体的施策を推進すること、倉庫整備資金の融通制度を存続すること、公設地方卸売り市場整備事業に対する補助限度額の引き上げ等々の強い要望がありました。また、近年農業高校の卒業者の就農者数が増加する傾向にありまして、とのことは、若い層が農業に希望を持ち始めたと思われますので、この期待を裏切ることのないようつとめたいとの明るい話題もあったのであります。 次いで、農地法改正案について、県農業会議副会長の田中昌君、県開拓農業協同組合連合会会長高階哲雄君、県町村会長加藤茂君の三名の方から賛成の意見が、日農県連合会書記長照井志知郎君から反対の意見が述べられました。 その内容は、賛成意見として、現行農地法は農業の現実から遊離した点が生じてきたこと、構造政策推進のためには、統制小作料、賃借権、小作地所有制限等の規制の緩和をはかって農地の流動化を促進する必要があることなどの理由から、この法律案に賛成する。なお、小作料の標準額を定めることの義務づけ及び減額勧告の拘束力について考慮してほしい旨の要望がありました。また、農地の流動化を含めた農業構造改善事業の積極的な推進をはかって経営規模を拡大し、生産性の向上をはかることを期待する趣旨からの賛意を表する旨の発言もありました。 一方、反対意見として、今回の農地法改正案は、現行農地法以上に農民の利益となるかどうか疑問であり、利益になるとすれば、一部のためのものになるにすぎず、あわせて、農民にあらざる農民に農地取得の資格を与えることにもなることから、反対である旨の発言もありました。 以上の説明及び意見に対し派遣委員から、農業就業人口が減少しながら農家戸数が減少しない理由及び三十ないし五十アール階層の農家の増加の理由、さらにやみ小作料の基準は地価収益のいずれにあるか、借地による経営拡大をはかっても地主の返還要求により一時的なものにならないか、開拓農家の減少理由は何か等について質問がありました。 これに対し、県当局及び意見陳述者から、秋田県においては、分家による農家新設、出かせぎ等があって、三十ないし五十アール階層が増加し農家戸数が減少しないこと、やみ小作料は都市近郊では地価及び収益の双方、純農村では収益が基準になっていること、老後の保障措置を講じてもらえば貸し手は返還を求めなくて済むこと、開拓者の離農の原因は、旧軍人、都市生活者であったものが、公職追放の解除、都市の復興により公職への就職、都市への復帰により離農したこと、また開拓地のみでは生活できず、出かせぎのまま離農することなどの意見が述べられました。 二ッ井町における現地調査におきましては、二ッ井町長ほか二名から、第一には、農地法改正案についてすみやかに成立することを期待すること、第二には、二ッ井町の林野中に占める国有林野の比率が高いことから、国有林野の活用を経営拡大のために、してもらいたいことなどの意見が述べられました。 また、派遣委員の質問に答えて、国有林野は、その利用を認めてもらえればよいのであって、売り払いまで受ける必要がないこと、経営拡大を促進するためには、農地法改正のほか、離農、転業を容易にする裏づけ施策の促進を期待すること、経営拡大は、容易でないが、上限制限の廃止によって、経営を拡大しようとする農家にとっては、伸びようと思えば伸びられることで、希望が持てるようになったなどの意見が表明されました。 以上が秋田県における現地調査の概要でありますが、次に青森県について御報告いたします。 青森県では、安江青森営林局長から国有林野事業特に管内国有林の概況と国有林野の活用状況の説明を受け、さらに竹内青森県知事より県下における国有林野の活用の必要性が開陳され、その早期成立が要請されました。 次いで青森県森林審議会会長神馬健造君以下六名の方々から意見の聴取を行ない、上北郡六カ所村において活用の実態について調査を行なってまいりました。 青森営林局管轄の国有林は、青森、岩手、宮城の三県にまたがり、国有林約九十三万ヘクタールと公有林野官行造林地約四万ヘクタールが四十八の営林署により経営されており、そのうち、青森県におきましては、約四十万ヘクタール、林野面積の六一二%が国有林となっております。 青森営林局は経営の重点を林道による奥地未利用林の開発、拡大造林による森林資源の充実並びに治山治水対策の拡大実施に置き、経営活動を行なっております。 特に、地元施策として実施してきた国有林野の活用の実績について申し上げますと、青森県において戦後から現在までに、未墾地、牧野、農地等の所属がえ及び林野整備等のために売り払いした国有林野は約四万二千ヘクタール、農林業の構造改善等のために活用の決定された国有林野は四千ヘクタールで、農業構造改善におきましては、草地造成のための活用が多く、林業構造改善におきましては、部分林による活用がその主体となっております。 県におきましては、国有林野の活用を積極的にはかることを農林業施策の重点として取り上げ、総合農政を展開するための大きなウエートを占めているものとして国有林野の活用をあげており、法律案成立後の各町村の受け入れ体制も十分にできているとしているのであります。 現在、青森県で立案されている国有林野活用計画によれば、草地を主体とする農地造成が約二万四千ヘクタール、林地の売り払いを主とする林地活用八万八千ヘクタール等、合計十一万二千ヘクタールとなっており、青森県国有林野のうち主として活用の対象となり得る面積十九万八千ヘクタールの過半数を占め、活用対象地が十分に生産力を発揮し得る状態になった場合、その生産所得は八十五億円にのぼるとしております。 次いで青森県森林審議会長神馬健造君、東通村長川畑義雄君、北部上北森林組合長杉山福一郎君及び岩崎村農業協同組合長堀内健市君から、法律案に対する賛意が、また、青森県林政民主化共闘会議事務局長岡本宮夫君及び七戸町農業協同組合常務理事成田勝男君からそれぞれ反対の意見が述べられております。 そのおもなるものをあげれば次のとおりであります。 賛成意見の第一は、国有林開放は単なる国有林の奪還ではなく、林野利用を主眼とした農山村振興政策の基本であり、土地基盤の問題を解決する手段であること。 第二に、国土保全に必要な国有林まで開放せよと主張しているのでないから、この法律案の実施により国土保全上憂慮すべきことは起こり得ず、むしろ、民有林を買い上げできるように制度を改正し、積極的に国土保全を推進すべきである。しかしながら、国は国有林経営について生産の増大、企業性の確保を主眼としているが、国の特別会計制度をもって土地産業に臨むのは無理であり、むしろ地元住民の土地に対する愛着のこもった保護管理により、初めて経済性を確保できること。さらに運営上の問題点として、既往の開拓地の整備が悪いことが指摘されているが、これは当時の社会環境に基因するものであり、一部有力者に占有される懸念は、通達による行政措置等にまかすよりも法による規制によってこそ排除できるものである。 第三として、立地条件からも、生活の基盤を農林畜産業に置かざるを得ない立場からしても、国有林の開放は必要であること。さらに、この法律案は開放について、その積極性を欠き満足とはいえないので、より強力なものにすべきであるなどの意見も述べられました。 以上は、この法律案を支持するものとして、早急に成立を希望する農山村民の声として受けとめてまいった次第でありますが、一方、このような意見と対立して、この法律案を廃案とし、所有権移転によることなく、国有林野の利用権の拡大こそ利権につながらない真の国有林野の活用であるとする意見も述べられました。そのおもなるものは、次のとおりであります。 第一は、現地調査の行なわれる予定の上北郡六カ所村の国有林活用の実態が述べられ、現在のような林業政策、農業政策では所有権移転によって土地は経済力のあるものに集中してしまう。むしろ、林業の全体的基本政策の樹立が優先さるべきであって、基本策のないうちにこの法案が発想になったところに問題がある。 第二は、代替地活用は自己の民有林を高く売り、国有林を安く手に入れるためのもので、利権につながる危険がある。また、法律案自体に抽象的な表現が多く、具体的なものは政省令にゆだねられ、政府の手でどうにでも改廃することができ、さらに、適正活用をうたっているが、罰則がないので有名無実である。さらに国有林野の活用は現行法令体系の中においても十分行なうことができ、民有林を含めて利用権の拡大について検討すべきであって、法律案は廃案とすべきであるとの意見が述べられました。 以上のような説明並びに意見を聴取したあと、上北郡六カ所村におもむき、沖付、発茶沢地区、第二平沼地区、酪農振興センター及び庄内開拓地の現地調査を行ないました。 沖付、発茶沢地区は所属がえ当時と大差のないような利用のしかたが目につきましたが、この土地につきましては、効率的利用を促進するための措置を早急に講ずべきものと考えられます。こうした未利用地は戦後の緊急開拓や馬産振興を目的としたものであり、その後の社会情勢の推移により現状に立ち至ったものと考えられます。その他の活用地は、その利用並びに経営状況等いずれも良好であり、農民の営農意欲も旺盛でありました。 以上をもって国有林野の活用に関する法律案の調査報告を終わりますが、秋田、青森両県知事から、土地生産基盤の整備事業は従来のように冬期施工のみでは、気象条件の制約から事業量に限度がありますので、総合農政実施に関連し、米作抑制に寄与するとともに、事業費の節減をはかるため、これを通年施工することとし、このため休耕せざるを得ない者については休作補償制度を確立するよう配慮してほしい旨、強い要請があったことをあわせて御報告申し上げます。 終わりに、このたびの調査にあたり、御協力を賜わった秋田県、青森県及び関係地方農政局並びに営林局その他関係者に対し、心からお礼を申し上げ、この報告を終わる次第であります。
○丹羽委員長 第二班、湊徹郎君。
○湊委員 第二班は、六月十二日から十四日までの三日間、大阪府と兵庫県に派遣され、大阪府においては、主として農地法の一部を改正する法律案について、そして兵庫県においては、主として国有林野の活用に関する法律案について、現地の実情を調査してまいりましたので、調査内容を御報告申上げます。 第二班の派遣委員は三ツ林弥太郎君、石田宥全君、柴田健治君、神田大作君、それに私を加えた五名でありますが、兵庫県では伊賀定盛君が現地参加委員として調査に参加され、また、西宮市及び芦屋市における調査には、地元選出の永田亮一君が出席されました。 まず、調査日程について申し上げます。われわれは、六月十二日、大阪市において近畿農政局長、大阪府農林部長から近畿農業の概況、大阪府における農林漁業の現況と施策の方向及び府下の農地転用の概況等について説明を受け、引き続き農地法改正案について四名の地元の関係者から参考意見の聴取を行なった後、堺市におもむき、農事組合法人百舌鳥礫耕園芸組合について現地調査を行ないました。翌十三日には、神戸市において県農林部長、大阪営林局長から兵庫県の農林水産業の概要、大阪営林局管内の概況、兵庫県下における国有林野の概要と活用状況等について説明を聴取した後、国有林野の活用に関する法律案について、六名の地元関係者から意見聴取を行ない、同日の午後から翌十四日にかけて、三木市農事組合法人蓮花寺酪農組合、三田市有馬酪農農業協同組合、同市寒坂地区の活用状況、西宮市剣谷樹園地造成事業、芦屋市打出劔谷国有林の活用状況等について現地調査を行ないました。 以上のような日程で調査を行なってまいりましたが、第二班の報告内容といたしましては、地元関係者の意見陳述に重点を置いて御報告申し上げ、各位の参考に供したいと思います。 最初に、大阪市で聴取した農地法改正案に対する地元関係者の意見陳述の要旨について申し上げます。 高槻市農業委員会会長入江仙太郎君は、都市近郊農業も生産性をあげないと存続がむずかしくなるので、方向としては経営規模の拡大が必要である。現行農地法はすでに硬直化し、耕作放棄や荒らしづくりが増加し、現状では農地が効率的に利用されているとは言えない。改正案はすでに発生している農協の請負耕作を是認しようとしているが、その意義は大きい。また非営利法人の権利取得による誘導措置も農業近代化に役立つものと思う。小作料については、都市近郊農業の作目は多様で、経営採算も相違しているので、その額をある程度当事者間の話し合いにゆだねようとする改正案の趣旨も妥当と思う。法改正に伴い、農業委員会の職務が重要となるので、その人的、財政的強化を要望する。と陳述し、全日農大阪府連執行委員北野元一君は、改正案の内容にどのようなことが書かれているかということより、地主や小作人が法改正の趣旨をどのように受けとめているかが問題である。法改正によって耕作権が弱められ、地主の土地取り上げが容易になるのだと受け取られているのが大きな問題と思う。現在は合意解約であっても、事情に通じている農業委員会が審査すれば不当な内容を改善させることができる。また、審査されるがために、あくどい内容の解約をすることが牽制されている。今後は農業委員会で審査されず、しかも自由に小作地の取り上げができるようになったと地主も小作人も思い込んでいるので、小作人に不利な解約や小作地の取り上げが増加するのではないかと懸念される。新都市計画に基づく市街化区域の設定は、地主に対して、宅地予定地だから耕作権の比重は軽くなったのだとの思想を吹き込み、小作地問題を一段と困難なものにしている。新都市計画法の施行に伴い、市街化区域内の農地転用は届け出でだけでよいことになったのは重大問題である。大阪府の場合、市街化区域内農地は全体の半分にも及ぶので、新都市計画法によって農地法はすでに骨抜きにされており、今回の改正は残りかすのようなものである。大阪府では二十年前の農地改革によって行なわれた小作地の買収、売渡しの取り消しを求める旧地主の訴訟はいまもなお続いており、その件数は数百件、訴訟されている農民の数は数千名に及んでいる。改正案は開放農地についても貸し付けができるようにしているが、これが現在の訴訟の結果にどのような影響を与えるか問題と思う。また、今後の訴訟拡大も予想される。大阪府のような都市近郊では農地法の改正によって小作地のふえることは絶対にない。経営規模拡大のためには、農業無視のニュータウンづくりや天下りの土地区画整理事業を食いとめることが先決と思う。改正案は小作地取り上げ、農地訴訟などによる農民の不利が拡大すると思うので改正案には反対である。と表明した。大阪市長会産業部会長・河内長野市長井上喜代一君は、大阪府の農業は都市近郊農業という特殊性から見て、改正案の意図する自立経営農家の育成という点について即効的な成果は期待できないと思う。しかし、改正案は現行農地法の矛盾を解決する方向へ踏み出したものとして一応賛意を表する。都市公害に対する農業委員会の調整機能の充実、市街地から転出させられる農家及び市街地内の専業農家に対し、固定資産税、相続税等の優遇措置を含めた保護措置の確立を要望する。市町村の行なう公共事業についても、国、道府県並みに、農地法上一切の許可を要しないよう特例措置をとられたい。と陳述し、大阪府農業会議会議員、大阪府立大学農学部教授梅森正行君は、農地法の改正には賛成である。むしろ法改正がおそきに失したため、改正案は実態の追認ということになっている。小作料の統制をはずしたり、不在地主の存在を容認しても、昔のような地主的土地所有制度の復活は考えられない。大阪府では相当以前からやみ小作、請負耕作あるいは農協等による集団耕作などが存在しているが、今回の改正によってそれらが追認されるということになれば、順法という観点からけっこうなことと思う。また、大阪府では藤井寺方式のような農協による集団請負耕作が行なわれており、これが普及は将来の課題とされているが、今回の改正はこの点についてプラスの作用をするものと思われる。問題は、これを受け入れる農協側の姿勢にあると思う。農協が相当の犠牲を覚悟の上で積極的に取り組まないと、所期の成果は期待できないであろう。府下の農地価格、労力事情等から見て、法改正が直ちに農地の流動化、経営規模拡大に役立つとは思われない。また、大阪府の不耕作地は八百ヘクタール、裏作放棄耕地一万ヘクタール程度とされているが、これも法改正のみによって農業上に有効利用される見込みは薄い。別途、長期的視野に立った行政措置が必要と思われる。と陳述いたしました。 次に、神戸市で聴取した国有林野の活用に関する法律案に対する地元関係者の意見陳述の要旨について申し上げます。 兵庫県農業会議会長植田八郎君は、山林面積が圧倒的に多い兵庫県において、農畜産業の振興をはかるには、林野の活用が不可欠である。また、都市開発その他地域開発のためにも林野の活用は必要なことである。本県における国有林野面積は三万四千ヘクタール程度で、その比率は少ないが、農業振興、地域開発を目的とする林野活用の一環として国有林野活用を適正に進めなければならない。これまでも次官通達により農業構造改善事業等への国有林の活用の道は開かれていたが、国有林野活用の適否は、多分に営林署長や営林局長の主観的判断によって決定される場合が多く、そのために地元住民の希望がくみ上げられなかった事例もあり、政治的圧力や金の力に屈した払い下げが行なわれ、いわゆる黒い霧問題を生む原因ともなっていた。これに対し、法案は活用の範囲と基準を法定する等の措置をとっているので、適正に運用すれば以上のような問題を除去することに大いに寄与するものと思われる。法案が払い下げ代金の二十五年の延納を認めている点も、資金面からくる農業経営への圧迫を除去することに役立つと思う。法案の早期成立を鶴首待望する。と陳述いたしました。兵庫県林政民主化共闘会議代表田中政一君は、わが国は森林国でありながら世界有数の木材輸入国であることと、毎年自然災害の多発しているという事実に着目すると、国有林野事業の果たすべき役割りと使命は重要であり、その活用については慎重な配慮が必要である。神戸営林署管内におけるいままでの国有林野の活用の実態を見ると多くの問題を残している。特に芦屋市打出劔谷地区の場合のように、国有林の活用と関連して、いわゆる黒い霧問題が発生している点を看過することができない。われわれは、国有林の活用そのものに反対するというのではない。姿勢が悪いと黒い霧問題を発生させるおそれがあるので、活用のしかたには慎重を期すべきものと思う。現在も次官通達によって活用が行なわれ、それによって特別の支障がない。それにもかかわらずあえて特別の法律を制定して、積極的活用をはかろうとする理由づけが明確でない。国土全体の利用計画を樹立し、それに即した地域ごとの利用計画を立て、これに基づいて国有林の活用をはかるということにすべきである。そうでないと、貴重な国有財産が一部の利権者の手中に入ることになる。法案には反対である。と陳述いたしました。御津町長八百亀治君は、本県内にある国有林野、特に県南部における国有林は小規模で、しかも散在し、かつ地味もよくないといわれているが、これらは、地方公共団体を中心に貸し付けまたは売り渡しを行ない、農業及び公共事業等に活用すべきである。特に、本県の農地は毎年千ヘクタール以上が壊廃しているので、経営規模拡大、移転受け入れ地として活用すること。畜産公害対策としての畜産団地用に活用すること。市民のレクリエーションのための緑地等を確保するために、地方公共団体に貸し付け活用をはかること等が必要と思う。活用にあたっては地元住民の意見を尊重し、適正な地代または売り渡し価格で、かつスピーディに事務が進められるよう期待する。国有林の積極的活用を望み、法案には賛成である。と陳述いたしました。兵庫県畜産会副会長宗行源治君は、兵庫県における国有林野は三万三千四百十三ヘクタール程度とされているが、このうち造成草地として利用された面積は、小規模草地改良事業で九十三・五ヘクタール、構造改善事業で百五ヘクタール、合計百九十八・五ヘクタールで、国有林の利用率はわずかにその〇・五八%できわめて低い。この国有林を当該地域の畜産団体または市町村が有効利用することができれば、畜産の経営規模の拡大に役立ち、労働生産性を高め、他産業に匹敵する畜産経営が可能と考えられる。畜産公害が発生して畜産団地の造成が要請されているので、その面から本国有林の活用が必要である。利権的払い下げ防止については、法案の中にも配意されているが、運用にあたってはさらに慎重を期されたい。活用されたものが、中途で用途変更の行なわれるようなことは避けるべきである。払い下げ価格、延納措置については、さらにその改善に配慮を加えられたい。と陳述いたしました。兵庫県労農会議議長、高徳正己君は、法案は、国土の総合的利用計画に基づいて国有林を活用しようとするものではなく、利権的な性格を持っているから反対である。現行の法制でも、必要なものについては十分な活用が行なわれ得るようになっているので、特別の法制化の必要性はないと思う。民有林を含めた林野の積極的活用を真剣に考えるべきであると思う。荒廃した奥地民有林を国が買い入れて経営することも必要であろう。土地利用区分を不明確にしたまま安易に活用すると、転用、転売のおそれがあり、黒い霧問題発生の温床ともなる。また、農耕用等に活用した場合でも、その後の営農指導、資金対策等に配意しないと、所期の計画どおり利用されなくなる事例が多い。と陳述いたしました。兵庫県森林組合連合会会長種継新君は、法案には賛成である。兵庫県の場合、三万三千四百十三ヘクタール程度の国有林が百八十カ所に分散しており、その面積は最小一ヘクタール未満、最大千五百ヘクタールといった狭小なもので、重点的経営地域ではない、特に県南部のものは狭小である、しかも地味が悪く造林不適地が多い、したがって、管理費が高く経営効率も低い。これらの国有林は大所高所からの判断に立つと、産業の振興、地域住民の福祉の向上のために広く活用すべきものと思う。農林業用としても集約的に活用できるものが多い。活用法が成立すると黒い霧問題や、災害が多発するおそれがあるから反対すべきであるとする意見もあるが、これらの問題については別途対策を考えるべきで、法案とは別の問題と思う。活用地の地価が上昇した場合、一定の差金を徴収することについて検討の要があろう。と陳述いたしました。 以上が両案に対する地元関係者の意見陳述の要旨であります。このほかわれわれの現地調査の詳細にわたって御報告申し上げたいのでありますが、時間の都合もありますので省略させていただき、この際、芦屋市打出劔谷の活用現地において、地元在住民の代表者などから、旧劔谷国有林を宅地化しないよう強い要請のありましたことを特に御報告申し上げます。 以上で第二班の調査報告を終わりたいと思いますが、われわれは今回の調査を通じ、京阪神メガロポリス周辺農業の現状と問題点、特に新都市計画法との関連における農地問題等について認識を深めますとともに、国有林野の活用問題については、今回の調査地のように国有林野率は少なくても、国有林野近傍に居住する農家にとってその活用は大きな意義を持っていること、社会経済の流動の激しい大都市周辺地帯等では後日に問題を残さないようにするためにも活用にかかる用途規制等に特別のくふうが必要であること、都市近郊においては国有林野の公益的機能の発揮が特に必要であること等の問題点をとらえることができたわけでありますが、これらの問題については今後における法案審議の際に十分検討されるべきであろうかと考える次第であります。 終わりに、今回の調査に対し絶大なる御協力を払われた大阪府、兵庫県両当局、近畿農政局、大阪営林局、その他関係者各位に衷心より感謝の意を表明し、簡単ながら報告を終わる次第であります。(拍手)
○丹羽委員長 第三班、安倍晋太郎君。
○安倍委員 第三班の御報告を申し上げます。 第三班は、六月十二日から十四日までの三日間、藤本孝雄君、森義視君、工藤良平君、永井勝次郎君、稲富稜人君及び私の六名をもって、宮崎、熊本の両県に派遣され、国有林野の活用については宮崎県で、農地法については熊本県で、それぞれ調査をいたしてまいりました。 まず、調査日程の概要を申し上げます。 六月十二日は、宮崎県庁において、黒木宮崎県知事から県政概要の説明と農政一般についての要望事項を聴取した後、松形熊本営林局長から国有林野の活用を中心とする管内概要の説明を、伊藤九州農政局長から九州農業の概要の説明を聴取しました。 次いで、国有林野の活用に関する法律案について、宮崎県林政共闘会議事務局国分利勝君ほか五名から意見聴取及び質疑を行ない、引き続き宮竹宮崎県国有林野解放期成同盟会長より同法案の成立促進の要望を受けた後、国有林野活用の現地調査として高岡町仁田尾地区の県営開拓パイロット事業を調査いたしました。 六月十三日は、国有林野活用の現地調査として、えびの町元大河平国有林の緊急開拓事業を調査した後、熊本県における農地法にかかる現地調査として、中球磨地区の県営圃場整備事業及び農業構造改善事業を上村において調査し、関係町村から陳情を受けました。 六月十四日は、農地法にかかる現地調査として松橋町の農業構造改善事業を調査した後、熊本県庁において寺本県知事のあいさつに引き続き、農地法の一部を改正する法律案について、熊本県青少年クラブ会長、農業自営者隈部忠宗君ほか五名から意見聴取及び質疑を行なったのであります。 以上が調査日程の概要であります。 右の調査日程に従い、以下、国有林野の活用に関する法律案については宮崎県の、農地法の一部を改正する法律案については熊本県のそれぞれの関係者の意見の概要と現地調査の概要を報告すべきでありますが、時間の関係もありますので、町法案に対する関係者の意見の概要のみを申し上げ、現地調査の概要は省略することといたします。 まず、国有林野の活用に関する法律案について、宮崎県における関係者の意見の概要を簡単に申し上げます。 宮崎県における国有林野の活用状況について県の説明するところによりますと、宮崎県の森林面積五十六万七千ヘクタールのうち国有林野の面積は十八万六千ヘクタールで三三%を占め、そのうち二万七千ヘクタールが水源涵養保安林等に指定されているのであります。国有林野の活用状況について見ますと、現在までに活用されているものは、農業構造改善事業、林業構造改善事業及び旧制度開拓事業等に八百五十六件、一万四千ヘクタールを数え、今後の活用見込みの県の希望は、開拓パイロット、草地改良等の事業に五十八件、二万ヘクタールを予定しているのであります。 このような国有林野の活用状況に照らし、活用法案に対する関係者の意見を徴しましたが、その概要は次のとおりであります。 すなわち、法案に賛成の意見を述べましたのは、宮崎県農業会議会長吉野房見君、宮崎県町村長代表高橋良則君、宮崎県酪農農業協同組合連合会会長坂元親男君の三名でありまして、反対の意見を述べましたのは、宮崎県林政共闘会議事務局国分利勝君及び宮崎県労農会議代表土井勝秀君であります。また、日本国有林労働組合九州地区本部副委員長湯谷幸彦君は、十数項目の要求事項を考慮し、慎重審議されるべきである旨の意見を述べました。 賛成意見のおもなる事項をあげますと、 一、農業経営の規模拡大のためには国有林町の活用以外になく、現行の活用制度は構造改善事業を対象とするもので、必ずしも円滑に推進されていない。したがって、立法によりなされることが必要であること。 二、掛帳経営の生産費引き下げは自給飼料率を高めることであり、宮崎県の畜産計画では、昭和六十年には二万一千ヘクタール不足し、そのうち国有林野一万七千ヘクタールの活用が必要であること。 三、活用の対象に個人をも加えること。 四、国有林野の活用ができないときは、部分林を設定し、分収率を固定資産税見合いの一官九民にし、里山は、市町村を信頼し、市町村に払下げること。 五、国有林野の活用の効果をあげるため、公社を設けること。 等であります。 反対意見のおもなる事項をあげますと、 一、過去に開放した土地が農業経営の不安定、低所得のため、出かせぎや離農を招き荒廃化している例が多いこと。 二、農政に山村のあり方が明確になっていないときに活用に出しても荒廃化し、山林地主に集中支配されることになる。むしろ、共用林野、部分林等現行制度を活用すべきであること。 三、国土の総合利用計画を樹立し、その中で民有林を含め、利用方法を策定すべきであること。 四、農山村の発展のため、国有林野事業の基盤を拡大し、地元住民の雇用の安定及び促進並びに地元還元等の施策を実施すべきであること。 等であります。 次に、農地法の一部を改正する法律案について、熊本県における関係者の意見の概要を簡単に申し上げます。 熊本県における、農地事情等の概況について、昭和四十二年十二月現在をとってみますと、県の総戸数四十一万戸、農家戸数は、十五万戸で三六%を占め、そのうち、専業農家は五万七、十戸で三八%、兼業農家は第一種四万二千戸、第二種五万戸、計九万三千戸で六二%と全国に比し専業率がかなり高くなっているのであります。したがって、農家人口及び農業就業者数の減少もわりあい少なく、農地面積の推移も三カ年に十五万三千ヘクタールのうち二千六百ヘクタールの減少を見ている程度であります。また四十三年における農地移動について見ると、農地法第三条の許可件数は一万八千件、三千ヘクタール、同法第四条、第五条の農地転用の件数は八千五百件、約六百ヘクタールで、全国に比し、本県はいずれも少ないものとなっております。 このような熊本県における農地事情を背景として、農地法の一部を改正する法律案について、関係者の意見を徴しましたが、その概要は次のとおりであります。 すなわち、法案に賛成の意見を述べましたのは、熊本県青少年クラブ会長、自営者隈部忠宗君、熊本県農業会議農地部会長倉光仁一君、自営者福田寛夫君及び 泗水町長増田義孝君の四名でありまして、反対の意見を述べましたのは、長陽村農協監事小浦昭吉君及び熊本県労農会議事務局長百武秀男君であります。 賛成意見のおもなる事項をあげますと、 一、農業を取り巻くきびしい条件の中で、自立経営農家が規模を拡大し、他産業との競争力をつけるためには、次のような点について農地法の改正が必要であること。 農地等の権利を取得する場合の上限面積制限を撤廃し、水田裏作ができるよう賃貸借の規制を緩和し、小作地の借り入れを容易にするため小作料の最高額統制を廃止し、当事者の契約にゆだねるとともに、小作地の所有制限を緩和すること。 二、農地法制定当時と今日では社会経済条件が変化し、やみ小作の発生等農地法が現実から遊離している。改正案が農地の効率的な利用をはかるという立場に立ち、小作料統制を廃止し、違反転用に規制の強化をする等、現実に即した改正を行なおうとするものであり、賛成である。 三、現行法は、ざる法化した権威のないものになっており、したがって、安心して小作に出せるよう規制を緩和し、一時離農しても帰農できるよう小作地所有制限を緩和し、耕作権の保護を緩和して悪質な離作料目当ての主張を防止する等、現実に即して励行される法律に改正されるべきである。 四、農業構造改善事業を実施する立場から、たとえば、山林原野を農用地として利用しようとしても、現行法による小作地所有制限や耕作権の保護に触れ、事業を円滑に遂行できない実情にある。したがって、これらを含めて農地法の改正が必要である。 等であります。 反対意見のおもなる事項をあげますと、 一、農地は、耕作農民がみずから所有するという農地法の原則は維持する必要があり、農地法改正案については、次のような問題点がある。 農地保有の上限面積を撤廃しても、農業経営が発展できる経済社会環境がなければ意味がなく、小作地所有制限の緩和は農地改革の精神を踏みにじるものである。農業生産法人の要件緩和は、企業的農業が発展する可能性のない現状では、外部資本の農業への進出を可能にするだけであり、耕作権の緩和は耕作農民の立場を弱め、農民の生産意欲を減退させる。 小作料の規制緩和は、小作料を高騰させ、また、部落代表的機関である農業委員会に紛争の調停仲裁ができるかどうか疑問である。 二、農業の近代化や構造改善が進まないのは、農業近代化のための充実した政策、公共投資等がなされないからであって、現行農地法が今日の農業の実態にそぐわないものになっているからではない。したがって、今日の時点において農地法を急いで改正する理由はなく、農地法改正には反対である。 等であります。 なお、現地調査を行なった中球磨地区の県営圃場整備事業の関係町村及び松橋町役場において農地法の改正案について意見を徴しましたが、県庁における賛成意見とほぼ同様の意見が述べられたことをつけ加えておきます。 以上が第三班の調査の概要でありますが、このたびの調査に当たり、御協力を賜わった宮崎県、熊本県、九州農政局及び熊本営林局その他の関係機関各位に対し、心から謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
○丹羽委員長 以上で報告は終了いたしました。 派遣委員各位の御苦労に対し、感謝申し上げます。 ————◇—————
○丹羽委員長 農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々栄三郎君。
○佐々委員 四条、五条に関連しまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。 今度の農地法の改正が耕作権の弱化、耕作権を弱くするということについては、もう疑いを入れる余地がありませんが、耕作権が強いときと耕作権が弱いという場合、この二つの場合を考えてみますと、特に私がいまお尋ねしたいのは、土地の所有権の譲渡の場合であります。公的な買収の場合、それからもう一つは私的な第三者への譲渡というような場合でありますが、そういう場合に、耕作権が強ければ、小作人のいわゆる取り分と申しますか、離作料、これが多いわけです。耕作権が弱くなればその取り分、離作料が少なくなるわけですが、私は、今度の農地法の改正によって、いろいろ耕作者が受ける影響力があると思うのですが、この点についてどういうふうにお考えになっておられるかということをお尋ねしたいと思うのです。
○中野政府委員 農地が転用されます場合の離作料の問題につきましては、地方によってかなり慣習的に違っております。二割のところもあれば、あるいは五割のところもある。これは地方の慣習になっておるわけでございますが、ただいまのお話のように、耕作権というものが非常に弱くなればその離作料は安くなるということは、筋としてはそのとおりだと思います。 ただ、つけ加えておきたいことは、過去にすでに耕作権を持っております者の権利と、それから、耕作権が弱まるといいましても、今後賃貸借があります場合とは、やはり法改正を境目にして違ってくるのではないかというふうに考えております。
○佐々委員 従来から耕作権を持っておる場合においては、弱くならないだろうというような御趣旨だったのですが、しかし、私はそういうようには思わないのですね。従来のいわゆる残存小作地のことにつきましては、後ほどまとめてお尋ねをしますけれども、やはりこの文書による和解解約、それから十年の期限を定めた場合、そういうようになれば当然これは弱くなるわけですね。したがって、私は、この法改正によって今後の小作契約、残存小作地以外の小作地については、もちろん残存小作地についても、やはり法改正というものが残存小作人の、いわゆる離作料という問題に影響を及ぼしてくるというふうに考えざるを得ないのですが、もう一度御答弁願いたい。
○中野政府委員 現在あります小作地につきましては、小作人と地主と話し合いがつかない限りは、地主にその土地を返す必要がないわけでございますから、制度としましては、十年すれば更新拒絶ができるとか、あるいは合意解約が知事の許可が要らないといいましても、現在の小作地につきましては、小作人が返さぬという以上はそれでよろしゅうございますから、差があると私たちは考えておるわけでございます。
○佐々委員 私、ただいまの御答弁にはどうも納得いたしがたいのですが、後ほどこの問題等について、またあらためてお尋ねをいたします。 その次の問題は、違反転用に対する処分、八十三条の問題でございます。この条文によりますと、三条それから四条、五条、七条、二十条、これに対する違反は九十二条によって処罰をされる。三年以下の懲役、十万円以下の罰金というふうになっておるわけなんですが、この問題に関連して私がここでお尋ねを申し上げたいのは、「土地の農業上の利用の確保及び他の公益並びに関係人の利益を衡量して特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、」許可取り消し、条件変更、行為の停止、原状回復を命ずることができるという、いわゆる違反転用に対する処分の規制の問題についてであります。ただいま述べましたような条文になっておるわけなんですが、この「土地の農業上の利用の確保及び他の公益並びに関係人の利益を衡量して特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、」許可の取り消しとか条件変更、工事停止、原状回復を命ずることができる、こうなっておるのですね。そういう違反をすれば、三年以下の懲役、十万円以下の罰金に処するという処罰規定があるにかかわらず、こういう違反転用についての原状回復等の義務の履行を命ずるという点において、非常に遠慮がちなんですね。いろいろ「利益を衡量」したり、「必要の限度において、」とか、あるいは「命ずることができる。」とか、しなくてもいいわけですね。こういうような非常に弱い規定になっておる理由は一体どこにあるのか。また、こういうような弱い規定で違反転用をきびしく取り締まることが可能なのかどうか、私はこれは非常に疑問を抱かざるを得ないのです。何かこう企業側に対して非常に遠慮がちな規制のしかたのように私は思うのですが、いかがですか。
○中野政府委員 今回の改正案におきましてこの条文を入れました理由は、現行法によりますと、先ほど御指摘のように、裁判所に訴えまして罰則をかけるというような手段はございますけれども、行政手段としましては、農林大臣にも知事にも何ら法律上のこういう権限がないわけでございます。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 そこで、現在では行政指導で、極端な場合には告発をいたしますけれども、相雑なものは大体始末書をとるとか、あるいは勧告をするとかいうようなことでやっておるわけでございます。 それでは、なかなか悪質な違反転用というのを取り締まれませんので、今回こういう条文を入れたわけでございますが、その場合に、形式的な農地転用の違反がある場合でも、いかなる場合でも、何でも「命ずることができる。」ということは、なかなか法律上も許されないということから、たとえば、ここにありますように、「農業上の利用の確保」といいますのは、その農地をもう一ぺん農地として原状回復しまして使ったほうがいいのか、あるいはそこの場所が工場等になるという前提で地盛り等もされまして、もう一ぺんつぶしてもとの地主に返しましても、もうそこで農業をやる意思がないというような場合には、もう一ぺん原状回復させるのも問題でありますから、その辺の両方の事情をよく見た上で、原状回復命令なり、あるいは許可の条件の取り消しなり、その他必要な措置をとりたい、こういうふうに考えてこういう条文にしたわけでございます。
○佐々委員 私はどうも、こういうきびしい罰則がありながら、原状回復等を命ずるについて非常に姿勢が弱いということを、特にこの条文を通読して感じるわけなんですが、これに関連をしまして、昨日お尋ねをしました電力会社の問題の件です。 いろいろお尋ねしたいことがあるのですけれども、一点だけお尋ねしておきたいのですが。電力会社が五条による土地の権利を取得いたしまする場合に、許可を得ずしてやった場合が、所有権の移動の場合、それから賃借権の設定の場合、私はこれはかなりあると思うのです。前回は局長は面積でお答えになったのですが、所有権の移動及び賃借権の設定の件数をおっしゃっていただきたい。それからあわせて、そういうような許可を受けずに移動いたしましたために、九十二条によって処罰をされた件数をひとつおっしゃっていただきたいと思う。
○中野政府委員 前回も件数のお尋ねがあるいはあったかと思いますが、われわれのほうでは、電力会社の電柱敷地というような統計のとり方をいたしておりませんので、申しわけありませんけれども、件数はわかりません。ただ、敷地そのものが十五坪とかあるいは三十坪とか、四十坪とかいうような程度のものを、ずっと竜線を引っぱってくるわけでございますから、この件数は非常に多いというふうに思います。
○佐々委員 処罰したことがあるかないか。
○中野政府委員 処罰につきましても、われわれのほうでは具体的に把握をしておりません。
○佐々委員 こういういわゆる独占資本に対する農地局の態度は、私は非常に弱いと思うのです。特に鉄塔なんか建てますと、あの高圧線が通るわけで、非常に危険でもありますし、こういう点について後ほどどなたか御意見があるかと思いますが、従来の電力会社に対する農地行政の態度というものは非常に弱い。これはやはり農民の立場から大いに規制していただく、それから成規の手続を踏むということ、それから所有権移転の対価、賃借権の賃借料なんかについても、やはり一方的に押しつけるということでなくて、農民の利益を守るという方向へ、これは行政指導していただきたいということを希望しておきたいと思うのです。 それから、もとの条文に返りますが、八十三条の二の三号ですね。これに、違反転用した場合に、工事請負人とか下請人にまで原状回復の義務を課することができるようになっておるのですが、なぜ下請や何かにそういう義務を課するのですか。これは元請に課せばいいんじゃありませんか。
○中野政府委員 この条文は原状回復だけではありませんで、工事の停止というようなこともやらなければいけません。その場合には、現に工事をしておる者にちょっと待て、こういうことでございますから、場合によっては、請負人にもそういう命令ができるということにしたわけでございます。
○佐々委員 それから八十三条の二の四号、詐欺その他不正な手段に対して、許可を受けた者に原状回復等の義務を課しておるわけですね。この詐欺その他不正な手段で工事をやった者に対して、やはり九十二条の適用があるのですか。処罰規定が適用されますか。
○中野政府委員 当然罰則はかかるわけでございます。
○佐々委員 次に六条、七条、いわゆる小作地の所有制限についてお尋ねをしたいと思います。 まず六条の問題ですが、今度の改正案によりますと、小作採草放牧地の所有を在村、不在村地主、ともに無制限として自由にした。これはどういう趣旨か。私は前回の質問で、四条の転用規制が採草放牧地にはないということについてお尋ねをしたのです。特に七十五条の二から六にわたる草地利用権の新設の問題に関連をして、こういう新しい草地利用権というものを認める以上は、やはりもっと採草放牧地について、むやみに所有して遊ばせるというようなことがないようにすべきだ、転用なんかについても規制すべきだ、これは畜産振興あるいは飼料対策という点からいって必要だということを私は申し上げたのですが、この精神を貫くといたしますと、すなわち、草地利用権の今度の新設という趣旨から申しますと、特に不在小作地を認めるということは、私はどうもこの趣旨からいっても納得できないのですが、いかがでございまいすか。
○中野政府委員 採草放牧地と草地利用権の関係について、先般先生からお話がございましたわけでございますが、われわれ今回採草放牧地につきまして所有制限をはずしました理由は、農地法なりあるいは農地改革の際の採草放牧地の役割りというのは、当時の農業に密着しまして、あるいは敷きわらをとるとか、あるいはそれを肥料にするとか、落ち葉をどうするというような問題で採草放牧地の役割りがあったわけでございます。 最近のような畜産の振興というような面から見ますと、そこを造成しまして草地化をするというような点に重点が置かれてきておりますので、この際、採草放牧地を有効に使いますためには、所有制限をしておきますと、なかなか山持ちも採草放牧地として村の農家に貸さないので、それでむしろ荒れておるということがございますので、積極的に貸せるようにしまして、採草放牧地として畜産振興のために使えるようにという意味から、こういうように考えたわけでございます。
○佐々委員 私の考え方からすると、不在所有を認めずして、不在の場合はむしろ国が買収して、そしてこれを採草放牧地として活用するというのが、これがほんとうだと思うんですね。その趣旨から反しておるのじゃありませんか、この規定は。
○中野政府委員 そういうふうにも考えられますけれども、むしろいまのままでありますと、山持ちあるいは採算放牧地の所有者が貸さないわけでございます。外へ出しますれば、農地法によりまして買収をされるということで貸さない。荒れたままほうっておくということを避けたいという考えから、先ほど申し上げたような御説明を申し上げたわけです。
○佐々委員 どうも私、納得できないんですがね。しかし、質問したいことがたくさんありますから、次に進みます。ただ私は、私の理解が浅いのかもわかりませんけれども、ずいぶん矛盾した規定があるように思うんですね。それは先ほど申し上げたけれども、第一条の問題にしても、前段では自作農主義をうたい、後段では借地農主義をうたっておるというようなことが感ぜられるんですね。その矛盾したもの、たとえていうと、上のほうは人間で下は魚、ちょうど人魚と申しますか、そういうような形の規定になっているように私は思うのです。そういう矛盾を、私は条文を読んでみますとあちこち感じます。ただいま申し上げたのも、私やはりそういうふうに考えられるわけです。 次に七条の問題でありますが、これは離農者の不在所有の問題ですね。条文によりますと、離農者が「政令で定める一定期間」、これはおそらく十年以上というふうに政令をきめられるように承っておりますが、その一定の期間以上所有していた農地については、その離農者及び一般承継人に限って、別表に定める面積までの不在所有を認めるということになったわけなんです。 まずお尋ねしたいのは、そういう形で不在になりました場合、不在のまま何年でも不在地主としての存在々認めるのか、あるいは一定の期限がついて、おるのかということについてお尋ねしたい。
○中野政府委員 期限という意味が、あるいは十年とか十五年とかいう意味では、そういう期限はつけておりませんが、本人と子供、親子二代というふうにお考えいただければ、大体それから推定されます年数は二、三十年というふうに考えられるわけでございます。
○佐々委員 親子二代ですね。三代はいけないんですれ。一代ですね。——そういうような二代に限るという根拠は……。
○中野政府委員 農地法の原則は、不在地主を認めないという原則は変えていないわけでございますが、ただ、昨今の事情から離農をしやすいようにする一つの手段として、例外としてそういうことを認めたわけでございますから、やはり何年かたてば、それが不在地主になって国が買収し得る一ということもあり得るわけでございますが、むしろねらいは、そういう十年、二十年貸しておる間に、やはりその土地は、もう都会に出てしまった者のものですから、残って農業をやる者に売るというふうに、われわれは大体考えておるわけでございます。
○佐々委員 それはあなたの想像ですね。これは孫子の代まで不在土地を伝えることができるんですね。そういうことは可能ではありませんか。
○中野政府委員 失礼しました。条文の読み方としましては、「その廃止の時の所有者から承継した一般承継人」と書いてありますので、その承継人から承継した者は入らないわけでございますので、そこで親子二代と申し上げたわけであります。
○佐々委員 そうしますと、いま条文によって親子三代というふうにあなたは回答せられたわけですから、それはそれでよろしいですが、そういう場合に、子の代になったときに、子が三代目に相続するというような場合、その場合は国が買収するのですか。
○中野政府委員 その本人が小作人に売らない限りは、国が最終的には買収することになるわけでございます。
○佐々委員 小作人に売るか国が買収するかいずれかだ、こういうわけですね。 次に、離農者が帰らずに不在のまま死んだ場合、その不在相続人は不在のまま不在地主になれるわけですね、この規定によって。これは間違いないですね。不在相続人がよそにおった場合でも相続できますね。そうすると、在村地主の不在相続人は不在相続できるのですか。在村地主の不在相続人、これはできるのですか。
○中野政府委員 それはでき産せん。
○佐々委員 できない。そうすると、不在地主の不在相続人が相続できるのに、在村地主の不在相続人が相続できぬということは均衡を失するのじむ、ありませんか。不公平じゃありませんか。
○中野政府委員 そこだけをお比べになりますと、まさにそういう矛盾があるわけでありますが、今回改正しようとしますのは、あくまで現存やっている農家が離農しやすいようにするという観点から考えたわけでございますから、そういうアンバランスはあるわけであります。 後者の場合は、農業上の利用という面から見て何らの影響がないものですから、差はあってもやむを得ないというふうに考えております。
○佐々委員 ただいまの問題、立法趣旨からいえばあなたの御答弁のとおりですね。要するに離農を促進するために、経営規模拡大主義で、村を去るというそれにかかっておるわけですからね。しかし、あまりにも政策的なんですね。それで理論的に考えても、これは手段、方便というか、そのために論理が無視されているという印象を受けますね、これは。そういう点で私は不合理なような気がいたしますけれども、しかし、私の意見として疑問点だけ申し上げたわけです。 そこで、私はこの問題に関連して政府にお尋ねをしたいのは、農林大臣は退屈しておられるようですから、ひとつこの辺でお尋ねしたいと思うのですが、政府がいままでいってましたのは、昭和四十年の後半から五十年代にかけまして、農業世帯主の世代交代が行なわれるという見通しを持っておったわけですね。現在の農家の世帯主の状況を見ますると、非常にこれは年が寄っておりますね。その年寄っておる人が、とにかく百姓をやめなければいかぬ。そして世代が交代する時期が四十年後半から五十年だ、こういっておる。そのときには農業経営者も若返るし、同時に、経営規模も拡大するだろう。あと継ぎがよそにおる人たち、息子さんが都会へ出ておるような場合には、結局いままでの法律によると、村へ帰らないと不在地主になるわけですね。だから、そういう場合には経営規模の拡大が、それをチャンスにしてできる、こういう見通しと希望を政府は持っておったはずだ。 ところが、今度の改正案がもし通過いたしましたならば、不在小作地というものはふえるけれども、そしてそういう形の経営規模の拡大はできるけれども、この法律の改正をしなかったら、むしろ所有権が移動されると私は思う。こういうような不在地主を認めるというような改正案ができたら、所有権の移動でなくて、いわゆる賃借権による経営というものが拡大するわけですね。これは農業の理想からいって、私は決しておもしろいことではないと思うのです。私は、この不和地主制を認めるというこの点に一つの難点があると思うのですが、これについてどういうふうにお考えになっておられるのか。
○長谷川国務大臣 時代の流れとでもいいましょうか、いまお話しのように、いまの若い方々の考え方というものは、従来のようた農業そのままの考え方で行こうとは考えておりません。したがって、新しい時代に沿った新しい技術によって農業というものを拡大していく、こういうことになることは当然だと考えます。特に、現代の若い人たちの考え方というものが、ほんとうにわれわれは農業経営によってより高く生活をするのだという意気込みから申しましてもそういうようなことになる。しかしながら、いままでのように地主が自分で耕していてもいなくても、草をはやしておいてもそのままほっておく。もしそれを貸すと、取り返すのがなかなかたいへんだから、草をはやしておくというようなことでは農地の活用はできません。 そこでこの改正は、なるべく農地を遊ばせない、有閑地としないで、そして高度に利用してもらいたい。それには、自分は農業を一たんやめるけれども、農地は自分の父祖伝来のものだから持っていたいのだ、そしてその耕作権だけをお預けする、しかし、土地そのものは自分のもので権利がある、耕作権だけは預けられる、いつでもまた必要なときには返ってくる、そういうようなことでございますので、私は小作にいたしましても、地主にいたしましても、かえって合理性を持った農業の経営が営まれていくだろう、こういうように考えます。
○佐々委員 私の質問に対するお答えとしては、どうも合格点は差し上げられぬのです。官房長ないしは農地局長からいまのお尋ねにお答えをいただきたいと思います。
○大和田政府委員 御指摘のように、昭和四十年現在で、経営主が五十歳以上の農家というのは三百五戸をこえますし、また四十年現在で、六十歳以上の農家が百六十一万戸というふうになっておりますから、昭和五十年を契機として、相当な世代交代による農家戸数の減少というのは期待できると思います。 いま御指摘のような問題だけに限って問題をしぼれば、あるいはもしも不在地主を経過的に認めるという制度をつくらなければ、耕作権のかわりに所有権が多少動き得るという余地がないことはないと私は思いますけれども、ただいまから昭和五十年以降まで、私ども座視して構造改善を見送るということはできないわけでございますし、また、かりに昭和五十年以降も世代交代がありまして、一時、経過的に不在地主という形で、所有権よりも耕作権に移るということがありましても、それはやがて耕作権から所有権という可能性も出てくるわけでございますから、私ども現在の農地法の改正といたしましては、やはりこういう形で経過的に不在地主を認めるということのほうが、構造改善にとってプラスであるというふうに判断をいたしておるわけでご、さいます。
○佐々委員 それは、あなた方はそう見られるけれども、私はそうは見ないのです。私は農地の流動化というのは、原則としては所有権の移動によるべきものだと思う。特に今度の改正案でいくと、たとえば、不在地主になって土地を貸す場合に、一つは小作料の問題です。これは私はあとで詳しく私の意見を申し上げたいと思うのですが、いわゆる高率の小作料になると私は思うのです。それから、いまの改正案からいきますと、賃借権が非常に不安定なんです。欧米的な借地農主義をとるのなら、やはり賃借権の安定というものと、それから小作料に対するある程度の規制というものは必要だと思う。そういうようなものを撤廃したところの賃借権の小作地というもの、特に不在地主の小作地というものが相当ふえてくるという形になると、これは日本の農業の発展という点からいっても、あるいは当該耕作者にとっても、私は非常にマイナスだと思うのですね。 だから、そういうような犠牲を払ってまでこの不在地主制を認める価値があるかどうか、この見解の違いがあると思うのですが、私は、こういう変態的な不在地主を認めるというやり方によって、日本の農業の発展という点からいって、あまりにも失うところが多いような気がするのですが、農地局長、いかがですか。
○中野政府委員 現在、年々土地が流動しております中身につきましては、かつて私も御答弁申し上げたことがあるわけでございますが、所有権の移動が、これは府県の話でございますが、大体半分ぐらいで、あとの半分は、賃借権の移動がその半分、残りは、賃借権を返すとかなんとかいう問題になっているわけです。この賃借権の移動は、大体やみの移動の推定でございまして、正式の許可を受けた移動というのは一割か二割足らず、あとは大部分やみでございます。そういうことを考えますと、先生おっしゃったように、これを非常に厳密にやって、それじゃ取り締まりを厳重にやるかというと、戦前のような地主、小作関係ではありませんで、むしろ農地を手放すといいましょうか、貸していこうという者は、これもやはり零細な兼業農家が多いわけでございます。 そういうことを考えますと、過渡的と申しますか、そういう措置としても、ある程度耕作権とそれから所有者側の考え方のバランスをとるということが必要ではないか。農地法にのっとるということを強くいいますと、農地法が硬直化いたしまして、やみになってだれも許可を受けにこない。そうすると、そういう契約は無効でございます。無効でございますから耕作権はゼロ、というとおかしいのですけれども、何ら権利がないというかっこうになりまして、かえって耕作者のほうが不利になるということで、現行法から比べますと、それは先生おっしゃるように、多少不安定の面がありますけれども、そういう点のバランスを考えて安定させませんと、今後農地法の秩序はくずれるのではないかというふうにわれわれは判断しているわけであります。
○佐々委員 いずれにせよ、私はこの不在地主制というものは、不労所得を得るものですからよくないと思うのです。いたずらにあなた方は経営規模の拡大に目がくらんで、こういう基本的な問題まで曲げてしまうというようなやり方は、私は賛成できない。 次に進みますが、この農業生産法人の構成員が法人に貸している小作地と、農協の組合員が農協に委託している小作地、農地保有合理化促進事業に貸している小作地、こういうようなものですね。こういうようなところに貸している小作地については、これは不在地主を認めるのですか。
○中野政府委員 お話のとおりでございます。
○佐々委員 それについては面積制限はないのですか、あるのですか。
○中野政府委員 面積制限をしておりません。
○佐々委員 そうしますと、私は今後ずいぶんこれは大きな問題だと思うのですね。こういうところへどんどん土地を預けて、しかもその面積制限がない。幾らでも、何ヘクタールでもここへ土地を預けて、そして不在地主になることができるというようなことになりますと、これはもう全く第一条の自作農主義というものをじゅうりんしていると思うのですね。第一条の自作農主義というものは、いさぎよく撤廃するほうが、私は筋道が合っておると思うのです、ここまでやるのなら。ここまでやりながら、第一条の自作農主義というものを守るとか耕作権を保護するとかなんとかいうことは、これはずいぶんおかしい話じゃありませんか。いかがですか。
○中野政府委員 こういう農業生産法人なり、農協の経営委託に預ける場合に、無制限にして制限しませんでした理由は、預かるほうが生産法人としてりっぱに農業経営をやれますし、むしろ農地を効率的に使うためには、そういう大きな協業経営なり、農協の委託経営なり、そういう形で規模の拡大がはかれるという面があります。 それからもう一つは、生産法人の発生過程を見ましても、最初は生産法人に貸しておるわけでございます。そのうちに出資に切りかえるということもございますので、先生御心配のように、全部が借地農主義的になってきて、そして自作農主義の農地法の原則からはずれるんだというふうには、われわれ考えていないわけでございます。
○佐々委員 今度の改正案では、いわゆる地主的土地所有というものが発生することは、おそらくないだろうというような楽観的な見通しを持っておられるのですね。しかし私は、現在の請負耕作の小作料、やみ小作の小作料などから考えてみて、こういうように無制限に不在地主制度を認めるというようなやり方をやっていきましたら、やはり土地に対する投資というような気分が起こってくる可能性があると思うのですね。やはり社会というものは変わりますから。現在でも、高い小作料で、百姓しなくて毛どこでも働くことができるというような気分もあると私は思う。しかし、こういうような高度経済成長の時代が、今後何十年も続くという保証は、あなたにもできぬと思うのですね。やはり周期的に不景気がやってまいりましょうし、町で働く場がないというような事態になってくると、農村の内部で土地の奪い合いという時代がまた起こってくる可能性があると私は思うのです。 そういうようなことを考えると、こういうような無制限な不在地主制を認めると、やはりそこに土地の投資によって、いわゆる農民の苦汗的労働というか、労働々搾取して生活しようとする人間が、私は生まれてくる可能性が起こってくると思うのです。そういうような将来のことをお考えになっておられるのか、現在のいわゆる労働力不足ということだけを考えて土地問題を考えておられるかどうか、私は非常に疑問に思うのです。
○中野政府委員 われわれも目先のことだけ考えているわけではございませんが、ここでこういうふうな制度をとりましたのは、先ほども申し上げましたけれども、むしろ大きな農業生産法人なり、農協なりが、その土地を自主的に管理をして、そして土地を売りたくない農家には若干の地代を差し上げる、こういうような形がしばらく続くのではないか。なかなか土地を手放したがりませんから、そういう面でこういうふうに考えたほうが、規模拡大につながるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○佐々委員 とにかく、繰り返すようですけれども、目前の経営規模拡大ということにあまりに血眼になり過ぎることによって、農地制度の根幹というか、筋というものが、ずたずたにされるような気が私はするのです。そしてそれが将来禍根を残すような気がいたしておるのです。これは小作料統制撤廃の問題ともあわせまして、この改正農地法の私は中心的な問題だと思う。同時に、この点がどうなるかという非常な関心を、全国の農民は抱いておると私は思うのです。 私は、農業委員会あるいは農業会議所の方々に対しても、非常に疑問を抱いておるのですが、この農地法が改正になると、非常に有利になるんだというような幻想を、農業会議所の方なんか抱いておるんじゃないかと思う。特に、末端町村の農業委員会なんかの人は、そういう幻想を抱いておるんじゃないかと思うのです。しかし、私がいままでお尋ねしたことによっても、農業生産法人の要件の緩和であるとか、すなわち、いままでの要件をなくして、雇用労働力をもって、そして幾らでもこういう法人をつくれば農業がやっていけるんだというようなやり方、何十町歩持ってもいいんだとか、何百人人を雇ってもいいんだというようなこと。しかし、現実を見ると、三町歩以上の農家の数というものは実にりょうりょうたるものなんです。九牛の一毛というか、一毛にも足らぬわずかなものです。だから、農村の末端の農業委員会の傘下の農民からいうと、農業生産法人の要件の緩和なんかしてもらったって、これによって恩恵を受けるものはだれもおらぬ。むしろ町の資本家、金を持っておる連中が、あるいは外国資本が農地を買い占めてやるというようなところに効果があるのですね。ところが、末端の農民の中の一部は、特に農業委員会なんかは、いかにもそういうことができると農民が利益になるのだというような幻想を抱いておる。 それと、不在地主の問題についてもやはり同じです。過日も私は申し上げましたが、いままで耕作しておる者は、地主がよそへ行ったりするときは、土地を優先的に譲り受ける権利を持っておる。あるいは第三者に地主は譲ることはできない。いままで耕作しておる者は、優先的に買い取る権利を持っておる。ところが、農業委員会の内部というか、その管轄内に、いわゆる賃貸借の小作人というものが相当おるのですね。そういう人たちの立場を考えると、小作人、地主あるいは自作農、この三者を包括した農業委員会として、また、そういう不利益を受ける人があるということを考えれば、委員会の制度としてやるべきじゃないと私は思う。農民の中にもそういう点で、私は現在の農業委員会なり農業会議所の動き方に対して、非常に不満を持っておる者があると思うのです。しかし、これはここで言ったってしかたがありませんから、不満を持っておるということだけを私は申し上げて本論に入ります。 二十条の農地または採草放牧地の賃貸借の解約等の問題でございますが、まず第一番にお尋ねしたいのは、二十五条の契約の文書化及び通知という条文がありますね。現行法では賃貸借の内容、これは期間とか、小作料の額等の写しを、農業委員会に提出をすることになっておる。ところが、改正案によりますと、写しを出さなくてもいい。ただ契約の内容を農業委員会に通知をしただけでいいということになるのですね。ところが、農業委員会の権限というものが、この改正案によっては非常に強くなるのですね。権限を強くしながら、従来写しを出さなくてはならなかったのを、写しを出さなくてもいい、単なる通知でいいというふうに改めようとする理由が私には納得ができない。むしろ従来以上の契約の内容というものを農業委員会が知る必要が、私は今度の改正によってあると思うのですが、この点、なぜこういうふうに改めようとするのか。
○中野政府委員 今回の改正案によりまして、その辺を緩和したというふうなつもりはわれわれございませんで、契約書の内容にいろいろなことが書いてありますと同時に、文書化をしていないものがかなりあるわけでございます。そういうようなことから、契約の中心にたっております存続期間、小作料の額、支払い条件などの重要な事項を農業委員会に通知をしておけば、それで足りるというふうに判断をしたわけです。
○佐々委員 それは私は納得できませんね。私はできないということだけを申し上げておきます。 次の二十条の問題でありますが、知事の許可を要せずして、十年以上の定めのある契約の更新拒絶が行なわれたときは、農業委員会に通知をしなければならないということになっておるのです。この通知の法的な効果は一体どういうものか。
○中野政府委員 賃貸借の移動につきまして、農業委員会としては状況の把握をしておく必要がありますし、農地法上のいろいろな紛争の防止にも必要でございますので、それを承知しておくという観点から、通知を農業委員会にさせるということにしたわけでございます。
○佐々委員 その通知の効力を聞いておるのです。通知しなかった場合、解約とか更新拒絶の効力がないのか。農業委員会に、知事の許可を得ずに文書による合意解約をしたとか、十年以上の期間の定めのあるものについて更新拒絶をしたということを通知するでしょう。そして通知をもし地主がしなかったら、これはどういうようになるのですか、したらどういう効果があるのですか、それを聞いておるのです。
○中野政府委員 これは通知でございますから、法律上罰則がかかるとかそういうことではございません。その合意解約は有効でございます。
○佐々委員 通知しなくても有効ですか、合意解約は。
○中野政府委員 そのとおりでございます。
○佐々委員 それならこのような規定を設ける必要はないのでしょう。
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、農業委員会が末端において農地のいろいろな行政に携わっているわけでございますから、常時状況を把握するという必要から、通知をさせるということにしてあるわけでございます。 〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
○佐々委員 私はこの点、農村の内部において非常に重要な問題だと思うのです。たとえば、こういう場合が想定されるのですね。地主が小作人に判こをつかせるのです。そしてしぶしぶながら判こをつくとか、それから全然別の判こをついていった場合ですね、地主が合意解約できたのだというようなことでそれを農業委員会が受理しますね、受理したらそれで効力が発生して、地主の意思が通るのですか。それを審査をする権限もないのですか。先ほどのお答えから推定すれば、通知は何らの効果もないようですから、こういう問題については、合意解約の小作人の意思が真正かどうかということをきめる権限はないというふうに言われるだろうと思うのですが、いかがでしょう。
○中野政府委員 お話しのとおりでございまして、合意解約によって解約が成立しておるわけでございますから、あと、農業委員会に別の判を押していったというようないまの設例の場合には、これはあるいは農事調停裁判の問題になるわけであります。
○佐々委員 そうすると、農業委員会に対する通知というものは何らの効力なく、また農業委員会は、その判こが真正なものかということについての権限もなく、結局裁判に訴えよ、こういうことですね。しかし、裁判に訴えた場合に、農業委員会が受理したということが地主側に有利に判定される材料になるんじゃありませんか。
○中野政府委員 これは単に本人が通知するだけでございますから、農業委員会が受理したとかしないとかいうことは関係ございません。
○佐々委員 この問題は、先ほど申したように、農村の内部のいろいろの実情からいうと、先ほどの調査報告の中にもありましたが、今度の農地法の改正が行なわれると、小作人の耕作権というものが非常に弱くなって、土地を取り返しやすくなるのだという空気が、この農地法の改正が通過しましたら農村に非常に広がります。そういう広がりということを前提にして考えますと、小作人というものは、判こをついて地主の言うとおり十年以上の契約にするとか、あるいは文書による解約というものに判こをつくとかいうようなことに、周囲の空気から追い込まれるのですね。そして錯誤とか、あるいは錯誤でなくても、しぶしぶながら判こをつくとか、あるいはまた地主は、がんこな小作人だったら、小作人の了解も得ずに、判こをかってについて農業委員会に持っていく。そうすると農業委員会が受理する。それを真正かどうか判断をする権限がないということになると、今度裁判になるといたしますね。しかし、農民というものはむやみに訴えませんから、ここまでの段階でもう合意解約というものが成立するとか、十年以上ということになって、知事の許可を必要としないというところに農民は追い込まれる、そして土地をとられるということに、周囲の事情からなってくると思うのです。かりに裁判に持っていくといたしましても、農業委員会が受理したということは、地主側に有利に判定される材料になる。 だからあなた方は、小作人の納得がなければこれはいいんだということを初めから強調されておる。されておるが、必ずしもそういうようなわけにはいかない。戦後長い間永久耕作権という形になっておった耕作権を、この法改正によって剥奪される、とられるというようなところに追い込まれるというようなことは、これは避けがたいように私は感じておるのです。ここに私はこの問題の重点があると思っておるのですが、どうでしょう、そういうおそれはないでしょうか。
○中野政府委員 戦前、戦争直後のように、地主と小作人の非常な対立がございまして、かつ、地主側の非常に力が強い段階では、先生のおっしゃるようなことがありましたものですが、農地調整法以来、農地法につきましても、耕作権を非常に強化したわけであります。 しかし、それから二十数年たちまして、小作人といいましょうか、そういう農家の地位も非常に向上してきておりますので、小作人のほうで、地主が取り上げるといいましても、いまおっしゃいましたような、別の判を押すとかなんとかいうことをしないというだけの力が相当ついておるというふうにわれわれは判断しておりますので、今回のような改正案に踏み切ることにしたわけであります。
○佐々委員 私は香川県ですけれども、香川県においては、現在の農地法のもとにおいても、地主の小作地取り上げという問題がずいぶんたくさん起こっておるということをあなた御存じでしょう。いまの農地法のもとにおいてさえ、そういう小作地の取り上げ問題が生じまして問題になっておるのです。現在係属中なんですよ。件数もずいぶん多いのです。今度農地法が改正になれば、えたりかしこしとそういう地主攻勢が起こってくるのですね。 あなたは、いわゆる戦前の小作人と今日の小作人とは違う、非常に農民の力が強くなってきておるというふうに言われるのですが、その点はこれを認めざるを得ません。認めます。昔のようなことはありません。ありませんが、農村の内部というものは、つまらない義理人情にやはり追い詰められるのです。法律が今度変わったのだ、あれは地主の所有権だ、しかも、今度法律が変わってそれが認められた、小作人の権利が弱くなったのだ、そういうような道義的な圧迫で農民は後退していくわけですね。こういう機微に触れたあなた方の配慮というものが必要だと思う。戦前、戦後何十年という問、土地に対して自分の汗とあぶらを流し込んでやってきた耕作権、それがいま手放さなくちゃならぬかどうかという境目に、この農地法の改正によって追い込まれるのです。それをあなた方が理解できないというのが私にはまた理解できないのですよ。必ずそういうような情勢が起こってくると私は思うのですよ。 だから私は、少なくとも残存小作地についてだけは、こういうような文書による和解あるいは文書による解約、それから十年以上の期限の定めをした契約について、知事の許可を必要としないという規定は、これから将来の契約についてはともかくも、現在までの小作地については、特に残存小作地については、適用すべきじゃないというふうに私は考えておるのですが、農林大臣のお答えをひとつお願いをしたい。
○長谷川国務大臣 いま私は聞いておりませんでしたが、いずれにしても、お話を承ると、本人が承知をしなければそれは行なえない、そういう合意性を持たなければならないのですから、私は、いまお話を承る上においては解約にはならない、こういうふうに承知をいたします。
○佐々委員 どうも、これもやはり点数は合格点を差し上げられぬのです。私はそういう上っつらなことを聞いているわけじゃないのです。農村の内部の実情からいって、今度の改正によって農民がそこへ追い込まれる、小作人が、そこへ追い込まれる、そういう空気ができてくるということを私は言っておるのです。どうですか。
○中野政府委員 ただいま大臣がお答えになりましたように、われわれとしましてもそういう趣旨で、いま先生非常に御心配でございますが、改正法案が通りますれば、その趣旨は十分徹底させたいというふうに考えております。
○佐々委員 あなた方そういうふうな楽観的なことを言われるけれども、それなら農業委員会に、小作人と地主との間に円満に合意が成立したとかせぬとかいうことについて、もっとそれを確かめる権限を与えるとか、農業委員会の受理行為について、それを受理したものの法的な効力というものも、もう少しすっきりしたものにするとかいうことをやはりやらぬと、地主がぽんと出したらもうそれで、形式的に整っておれば合意解約は成立したのだというふうなことに認められるということになれば、これは裁判をやったって負けるですよ。そういうようなことが必ず起こるでしょう。そういうようなことについての歯どめが、この規定では少しもできておらぬじゃありませんか。
○中野政府委員 先ほどからも申し上げておりますように、通知の効力いかんという問題じゃございませんで、真正に地主と小作人が合意しておればそれでよろしいということでございますから、先ほど先生のお話のようなことにはならない。もしそういうことで変な判こを押した場合は、小作人が農業委員会に和解の仲介を申し出るとか、あるいは農事調停裁判ということでやる以外にな いと思います。
○佐々委員 少なくともこれだけのことはおわかりになりませんか。いわゆる残存小作地というのは、農村の実情からいい、あるいは耕作者本人からいっても、あるいは地主からいってさえ、これは永久耕作権だ、この残存小作地というものは今後長く、自分に落ち度がない限り、小作料を支払って落ち度のない限りは、いつまでもこの土地はつくれるのだという気持ちを持っておるのですね。そして自分の土地のように、これに対して土地改良をやってきて大事にしてきたのですね。これが残存小作地に対する農村の考え方ですね。 ところが今度は、この永久耕作権的な残存小作地というものが、この法改正によって十年以上と以内の期限を定めたら、十年たてばもう文句なしに取られるのだということになるのですね。それから契約の文書による解約というものは、判こをつけばこれまた返さなければいかぬわけですね。いままでは永久耕作権でずっとやっておれたものが、この法改正によってそういう立場に農民が追い込まれるという事実をあなたは認めるでしょう。判こをつかなんだらいいということをあなたは言われるけれども、すぐつく、つかぬは別として、そういうような状況に追い込まれるということは、あなたは認めざるを得ぬでしょう。どうでしょうか。
○中野政府委員 小作人が非常に追い込まれるような話ばかりをされるわけでございますが、われわれとしましては、両方対等に話し合いができるというふうに判断をしておりますので、小作人が判こを押さなければよろしいわけでございます。
○佐々委員 押さなければいいと言ったって、そこがあなたと私たちとのものの考え方が違う点ですよ。農村の中のことをもう少しあなた研究してごらんなさい。いまの農地法のもとにおいてさえ、土地を取られている農民がおるのですよ。あなたはそれを知っておるですか。判こをつかなければいいですよ。しかしついて、いまのような知事の許可を要すろような条件のもとでさえ取られておるのですよ。こんな法律の改正が行なわれたら、これはもうあなたが想像する以上に従来の小作人というものは、やはり土地を取られるという方向へいかざるを得ないんです。しかし、あとでも言われる方がございましょうから、この問題はこれだけにしておきます。 その次に、十年以上の期間の定めのある賃貸借と、十年以下の賃貸借についての知事の許可の要、不要についての区別を設けた理由は一体どこにあるか。
○中野政府委員 三年なりあるいは五年なりという短い期間ということになりますと、耕作権は安定いたしません。少なくとも借りて安心して耕作できるには十年ということを考えたわけでございます。また、貸すほうからしますと永久に、先ほど先生御議論のように永久に、一ぺん貸したものは返ってこないような状態になりますと貸す気になりませんので、その辺のバランスを考えまして、耕作権の安定とそれから貸しやすいようにというバランスを考えた上で、十年ということを境目にして、十年以上の場合には、十年たてば、返してもらうときには知事の許可が要らないということにしたわけでございます。
○佐々委員 小作人や地主は、十年以上あるいは十年以下のいずれを選択すると思いますか。どっちをしたいと思いますか。
○中野政府委員 どちらかに片寄るというふうには言えませんけれども、やはり当分、長い間貸しておこうという場合は十年以上貸すというふうになりましょうし、そうでない場合は、たとえ五年ということにしましても、この場合には、合意をしない以上は知事の許可が要るわけでございますから、それを覚悟の上でやるわけでございます。両方あるかと思います。
○佐々委員 これは私の考え方ですけれども、いわゆる後ほどお尋ねします許可基準についての解釈が、従来の自作農主義に立った許可基準の解釈によってやるか、それから経営規模拡大主義に立っての解釈によってやるかによって、これは変わってくると思うんです。従来どおりきびしい自作農主義に立った解釈でやりましたならば、私は賃貸人、地主はもう十年以上を希望すると思うんです。それはなぜかというと、十年以上にしておけば、とにかく土地は返ってくるわけですからね。しかし、逆に小作人の場合からいうと、これは地主と逆に十年以下を希望する、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょう。 それからもう一つは、あなた方としては今後どちらを行政指導するつもりですか。十年以上のほうを指導するつもりですか。
○中野政府委員 地域によりまして賃貸借の実情が違いますから、どちらを指導するかというふうなことは考えておりません。
○佐々委員 十年以上の賃貸借について、更新拒絶の許可を必要としないというこの規定は、借地法、借家法の改正規定と同じなんですね。私は農地について、借家法なんかと同じような線でいくのが妥当かどうかというふうに感じておるのですが、いかがでしょうか。
○中野政府委員 借地借家法は、知事が許可をするかせぬかというような問題ではございません。すべて私法上の契約での借地借家法でございます。その場合にも、建物を持っている間は土地は返さなくてもいいわけでございまして、たとえば、土地を十年借りておっても、難物が立っておる間は、それは返さなくていいということになっておるはずでございます。
○佐々委員 いずれにせよ、私の浅学かしらぬけれども、新しい借地借家法によれば、十年の期限を定めて、その期限が来れば瞬け渡しをする、それ以前の借地借家については、従来どおりに認めるというような規定があるように私は考えておるのです。だから私は、ちょうど今度の農地法の改正が、やはり借地借家法と同じようなやり方だと思うのです。だからそういう点からいって、農地が借地借家と同じような扱いを受けておるように思うのです。 それに関連しまして、私はもう一つお尋ねをしたいと思うのは、この借地借家法の新法というものが、これは小作料の問題に関連をしてくるのです。新しい借地借家については新法が適用されて、家賃、地代というものが比較的自由になっている。ところが、従来の借地借家については規制がある。ところが、新法ができた後は、従来の借地借家についてまでほとんど統制が廃止されたような状況になっておるというように私は聞いておるのです。小作料の問題に私いま入ったわけなんですけれども、小作料も、今後十年間は改正案を適用せずに、従来どおり最高基準額をきめてやるのだ、こういうような改正になっておるのですが、借地借家法の新法と同じように、この残存小作地の小作料も、借地借家の統制廃止と同じようなことになるというように私は思うのですが、どうでしょう。ちょっと小作料の問題に入りましたけれども……。
○中野政府委員 直接われわれは、借地借家法での地代の状況を調査しておりませんが、先生御指摘のように、新法以後は家賃、地代は自由になっておりますから、かなり差が出ております。そのために過去の分が影響を受けたかどうか、若干の影響を受けておるようでございます。しかし、やはり守られておるものは守られておりますし、それが二倍、三倍になっておるようなところもございますけれども、新しい家賃、地代よりはまだ低いように聞いております。
○佐々委員 いずれにせよ私はこの改正案の、合意、しかも文書による解約という制限はついておりますけれども、十年以上の賃貸借について、知事の許可を得ずして土地を返してもらえるという規定は、これは小作人の耕作権を非常に弱めるものだと思うのです。これはやはり私たちとしては賛成することができないと思います。 それから次に、二十条の二項の知事の許可基準の問題ですね。知事が、許可を必要とする場合に、どういうような場合に許可することができるかという基準が二十条の二項にきめられておるわけです。御承知のように、一つは賃借人が信義違反を行なった場合、第二は農地、採草地以外にすることが相当と認められる場合、第三は賃借人の生計、賃貸人の経営能力の比較で、賃貸人が土地を返してもらうのが相当と認められる場合、第四は農業生産法人の資格の喪失、構成員でなくなった場合、第五はその他正当な事由がある場合、これだけの条件があれば知事は許可をしてもよろしい、この条件に当てはまらなければ許可をしてはいけないということですね。従来の現行農地法のもとにおけるところの許可基準の運用については、いわゆる自作農主義に立って、この条項を適用して許可をされたというような場合がわりあいなかったように私は思うのですが、いかがでしょう。むしろ私は、知事がそう簡単に許可しない、農業委員会も許可しないというので今日まできたように思うのです。 ところが、今度農地法がこういうような形の経営規模拡大主義に方向転換、百八十度の転換をやりましたら、これは何もかもというと語弊がありますけれども、正当な事由の解釈にしろ、あるいは信義違反の問題にしろ、あるいはまたここにあるように、賃貸人がつくるのが相当と認められるような場合とかいうものも、やはり取り返したら、いままでつくっておる人よりも経営規模が大きくなるのだという場合には、簡単に知事が判こをつくような傾向になるのじゃないかということを私は心配しておるのですが、この許可基準についての解釈が、従来どおりの線で行なわれるかどうかということについて私は不安があるので、そういう不安を持つ必要はないならないというようにお答えいただきたいと思う。
○中野政府委員 最初のお尋ねの、最近の賃貸借の解約の状況でございますが、四十二年で大体四万一千六百件ぐらいございます。その中で許可されたものが四万一千四百九十八件、不許可が百三十八件で、大部分は地主、小作人の連署でございます。ほんの若干賃借人の不同意の場合がございますが、大部分はそういうように大体連署で、合意の上で持ってきておる場合が多いわけであります。 それから二番目の問題につきましては、小作人が権利を振り回すといいましょうか、そういうことのない限りは、現行の二十条の運用を変えるつもりはございません。
○佐々委員 そうすると、大体連署できた場合は許可した件数が非常に多いですね。私は、これは先ほどの問題にまた返るのですが、現行法のもとにおいても、地主と小作人とが連署して持ってくるという形で、なるほどその中には、小作人が気持ちよく返すという場合もあると思いますよ。思うけれども、そこに追い込まれて連署ということで持ってきた件数というものも私は相当多いと思うのです、現行法のもとにおいても。いかがですか。
○中野政府委員 むりやりにされたものがないとは私も申しませんけれども、大体は離作料について話し合いがついたら、両方で連署してくるというのが実態のようでございます。
○佐々委員 そこまでいくまでに、小作対地主の間で、やはり強引な取り上げという問題が行なわれているように私どもは理解しておるのです、農村の内情で。どうしても返さなければならぬ、ずいぶんがんばったけれども、もうしょうがないというような場合が非常に多いと思うのです。現行法のもとにおいてもそういうことになっておる。だから、今度の農地法の改正が行なわれると、さらにその数は増加してくると思います。 それともう一つ、本論に返りますが、件数はとにかくとしまして、従来知事の許可方針というものが耕作権保護主義、自作農主義というたてまえに立って、現在の耕作権を保護するというたてまえであの許可の権限というものを行使してきたという点については、これは間違いないですか、どうですか。
○中野政府委員 自作農主義のたてまえで現在もやっておりますし、今後も、先ほど御答弁申し上げましたように、耕作権の乱用というと語弊がありますけれども、そういうことがない限りは、そのたてまえは貫いていきたいというふうに考えております。
○佐々委員 従来は、とにかく県へ行きましても農業委員会へ行きましても、現在の小作地、これはやみ小作でない従来からの小作地については、やはり永久耕作権的な立場でこの小作権を保護してきたのです。ところが、今度経営規模拡大主義という線で知事が判こをつく、農業委員会が判こをつくというような状況になってくると、いま言うた許可基準の五項目の解釈について、小作人に非常に不利な解釈が行なわれるような気が私はしておるのです。 たとえば、こういうような規定があります。二十条二項の三号に、賃借人の生活、それから「賃貸人の経営能力等を考慮し、賃貸人がその農地又は採草放牧地を耕作又は養畜の事業に供することを相当とする場合」この条文を見ると、知事は簡単に許可の判こをつけると思うのですよ。たとえば、経営能力とかいうようなことをいっていますね。まあ家族数とかなんとかで、もう少しこっちの地主のほうが経営反別を多くするのが妥当だというふうに解釈すれば、これは判こをつけるのですね。しかしいままでは、そういうときでもそう簡単には判こをつかなんだ。しかし、今後経営規模拡大主義ということになってくると、この三号の解釈なんかが活用されて、小さな百姓は、兼業しながら百姓するよりは、むしろ大きな専業農家のほうへ土地を集めるのがいいんだというようなところから、やはり判こをつくような傾向になってくると私は思うのですが、これはどうですか。そういうことはないのですか。耕作者の生活保護という点から、やはりこれは従来どおりきびしく適用しますか。
○中野政府委員 この条文で賃借人の生計を考慮しというのがありませんと、先生おっしゃるようなことになりますけれども、両方勘案をしてきめるわけでございますから、単に地主が規模拡大になるからといって許可になることはございません。両方の生計、それから経営能力を見比べてやるたてまえは変えるつもりはございません。
○佐々委員 残存小作地について先ほどちょっとお尋ねしましたが、お答えの中から若干漏れておる点をお聞きしたいと思うのです。 残存小作地は、御承知のとおり、戦後五年の契約期間というふうな指導を農林省がなさったですね。だから、一時は五年間の期間の定めのある賃貸借をやったわけです。その後、これが期間の定めのない賃貸借になっておるというように思うのですが、いかがでございますか。
○中野政府委員 かつて五年間の契約の指導をしたわけでございますが、現行の農地法によりますと、そういう期間があってもなくても同じだというようなことから、現在は、その契約の指導を引き続き続けておるというようなことはございません。したがって、御指摘のように、いまは大体ほとんどみな期間の定めのない契約になっております。
○佐々委員 その場合に、もし地主、小作の間で期間が定められた場合ですが、やはりそれは期間の定めのある賃貸借でございますか。私がこれをお尋ねするのは、期間の定めがあるなしにかかわらず、期間の定めのない賃貸借、こういうように解釈しておるんだという説を私は聞いておるので、その点確かめておきたいのです。
○中野政府委員 現在の小作契約の中で、地主と小作が合意をしまして期間を定めておれば、それは定期賃貸借になるわけでございます。
○佐々委員 そうしますと、先ほどの問題にもまた返ってくるのですが、これは非常に今後の問題として大事なことだから、農林大臣にひとつ明確にお答えをいただきたいと私は思うのですが、これからの賃貸借についてはともかくとして、先ほど来申し上げておるように、いわゆる残存小作地として戦後の農地解放のときに残された土地については、従来どおり耕作権を永久耕作権的な立場から保護して、そしていま言うた二十条二項の許可基準の解釈についても、むやみにその地主の経営規模拡大のために、兼業農家からの土地の取り上げという問題について、知事が簡単に判こをつかないとか、それから正当の事由とか、あるいは、いわゆる信義則というようなものを不当に、従来と変わった解釈で、永久耕作権的な残存小作地の権利を、この農地法改正を一つの契機として、従来より権利を弱めるというようなそういう指導、そういうやり方というものはやらない、それを確約できるかどうか、その点をひとつ農林大臣からはっきりとお答えをいただきたいと思う。
○長谷川国務大臣 残存小作地の契約は、これは本人同士のことでございますから、私のほうから、あえてこれを規制しようなどという考え方は持っておりません。
○佐々委員 そうすると、こういうような法改正が行なわれても、従来からの残存小作地の小作人の権利は全く不動だ、ちっともこれによって影響を受けるところはないのだ、安心しておってよろしいのだということを確約せられますか。
○長谷川国務大臣 従来どおりでございます。
○佐々委員 そうすると、さらにもう一つお尋ねしたいのですが、私は文書による合意解約、十年の期間の定めのある賃貸借について、知事の許可を要しないということについては反対なんです。全般について反対なんです。反対ではあるけれども、一応この法案が通過したとしますね。そういう場合に小作人が文書による解約の合意の判こをついたとか、あるいは十年以内の契約を結んだとかいうようなことさえしなければ、従来と何ら変わりがないというふうに理解していいんですか。
○長谷川国務大臣 そのとおりでございます。
○佐々委員 それでわかりました。同時に、文書による解約、あるいは十年の定期賃貸借というような契約を、この残存小作地については除外をする、そういうものがあるとこれはわずらわしいので、残存小作地については除外して、ああいうものは置かないということについてはいかがですか。
○中野政府委員 るる先ほどから御説明しておりますように、小作人の力もついてきておりますので、法律の制度としましては、新旧同じような制度にしたほうがいいんじゃないかというふうに考えて、改正案を提出した次第であります。
○佐々委員 そうしたら残存小作地については、地主が十年にしてくれ、それから文書による解約に判をついてくれというようなことがあっても、そんなことをする必要もないのだ、従来どおり、今度の農地法の改正があっても譲歩する必要はないのだから、一切取り合うなというような指導をやるべきだと思うのですが、そういう指導をやりますか。
○中野政府委員 二十条の解釈について、従来どおりの方針であるという点を中心にしまして、十分趣旨は徹底するように指導をいたしたいと思います。
○佐々委員 最後の質問に入りますが、小作料の問題ですが、現行法の最高基準額については、和田さん、以前の農地局長ではなかったかと思うのですが、この方のお書きになりました「農地法詳解」という本の中に、こういう趣旨が書いてあるのですね。一つは、小作農の所得が都市の製造工業賃金と均衡すること、それから二つには、企業利潤を小作人に保証すること、こういう趣旨のもとに最高基準額を決定する、こういうことを書いてあるのですが、この新しい標準額というものは、やはり小作人に企業利潤とか、あるいは小作農がその小作代を支払っても、都市の製造工業の賃金労働者の賃金に均衡するような、そういうような考え方のもとに決定せられるのかどうか、あるいはまたそういう考慮は一切ないんだというようなことになるのか、この点をお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 今回の改正案の二十四条の二におきまして、「通常の農業経営が行なわれたとした場合における生産量、生産物の価格、生産費等を参酌し、耕作者の経営の安定を図ることを旨と」するということにしております。この趣旨は、趣旨としましては従来と今度も変えるつもりはございません。 ただ、問題が出てまいりましたのは、御指摘のような統制小作料のきめ方の場合に、実際問題としましてはそういうことで統制小作料を計算上は非常に低くしておりますけれども、実際はもっと反収が高いものですから、あまりにも地代が高過ぎる場合のほうが多くなってきたわけでございます。そこで、われわれとしましては、村の実情に即して小作人の取り分を、利潤まで含めましてとった上で、地代が幾らかというきめ方は、引き続き指導するようにいたしたいと考えておるわけであります。
○佐々委員 つまり、私がお尋ねした二つの件だけについてお返事いただいたらいいのですが、企業利潤に相当するものも小作人に認めるかどうかという点と、それから都市均衡労賃と匹敵する農業労働賃金を得ることができるようなそういう小作料にする、この二点を考えた上で標準額というものは決定せられるのかどうか、ちょっと私、先ほど聞き漏らしたものですから、もう一度……。
○中野政府委員 第一点の、経営者報酬を認める計算のしかたを指導するということもそのとおりでございます。それから労賃の評価の問題につきましては、単に都市均衡労賃で評価いたしますと、逆に地代部分が非常に高くなり過ぎるところもございますし、それから反収の非常に低いところは、都市均衡労賃で評価いたしますと、マイナスというと極端かもしれませんが、非常に低くなるところもございますので、地域の実情に即してできるだけ都市並みの賃金が得られるように指導いたしたいというふうに考えております。
○佐々委員 私は標準額でいろいろ質問したいことがあるのですが、省略しますけれども、そうすると、町村によって標準額が違いますね。
○中野政府委員 反収その他条件がいろいろ違いますので、標準額が異なってくることはあり得ると思います。
○佐々委員 標準額は大体どのくらいというふうにいま予想しておりますか。農林省としてどのくらいに指導するつもりですか。
○中野政府委員 現在まだ、標準額を幾らにするかというような面での計算はいたしておりませんが、先ほど申し上げました趣旨に従いまして、各地域の実情に応じまして、貸す側から見ますと貸しやすくなるし、借りるほうも、自分の労賃まで食い込むようなことがないというような水準での標準額を考えておるわけでございます。
○佐々委員 私としましては、この点非常に重大な問題ですから、たとえば、現在の小作料は四千何百円ですが、これに対して何割増しくらいになるとか、何倍になるというぐらいのところは、やはり小作料の統制撤廃ということがこの法案の重要な内容ですから、その点についてのあなたのはっきりした見通しを聞くということが、この法案の賛否の分かれるところにもなると思うのです。一つの条件ですよ。それを、いまのところ計算しておらぬ、先に考えるではぐあいが悪いのじゃありませんか。そこのところをひとつおっしゃってみてください。
○中野政府委員 反収の差がございますので、いろいろなことが計算されるわけでございますが、私がいま頭の中で考えておりますのは、地域によりまして違いますけれども、一俵から二俵、これは俵でいうのはおかしいのですが、八千円とかあるいは一万五千円、一万六千円というような標準額が、相当な地域で行なわれるのではないかというふうに考えております。
○佐々委員 その点はまたあとでお尋ねをします。 そこで、これは少しこまかい話になるのですが、ちょっとお尋ねをしておきたいのですが、農委は小作料の標準額を「定めることができる。」とあるのですが、これは定めなくてもいいのですか。
○中野政府委員 都市近郊とか地域によりましては、もう定める必要のないところもございますので、法律上は「定めることができる。」ということにしてあるわけでございます。指導としては、できるだけ大部分定めさせるようにいたしたいと思っております。
○佐々委員 そうしますと、農委が標準額をきめた場合、その標準額に違反した小作料の契約は、有効ですか無効ですか。
○中野政府委員 有効でございます。
○佐々委員 違反しておっても有効ですか。
○中野政府委員 これは地主、小作人の相対で契約する場合のめどでございますから、それでたとえば、その小作料がある村で二万円ときまっておりまして二万一千円で契約しましても、それは無効ではありません。
○佐々委員 これに違反した場合処罰されるのですか、されないのですか。
○中野政府委員 ただいま申し上げましたような考え方でございますから、処罰という問題はございません。
○佐々委員 従来は九十二条で、十万円以下の罰金、三年以下の懲役だったのですが、今度はその処罰もない、違反しても有効だということがわかりました。 その次にお尋ねしたいのは、小作料の物納は有効かどうか、これはどうですか。
○中野政府委員 改正案の二十一条にございますように、定額の金銭以外で定めることはできないとしてあります。ですから、物納はよくないわけであります。
○佐々委員 法律用語でおっしゃってください。よくないというのはどういうことですか。
○中野政府委員 失礼しました。二十一条で、「前項の規定に違反する定めは、その効力を生じない。」と書いてありますから、契約は無効でございます。
○佐々委員 その物納は処罰されますか。
○中野政府委員 「六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金」ということで処罰されるわけであります。
○佐々委員 ほんとうですか。ほんとうに処罰されますか。従来は九十二条で処罰されることになっておったですね。十万円以下の罰金、三年以下の懲役。ほんとうにされるのですか。物納は処罰されますか。法律をもう一ぺん見て確かめてください。
○中野政府委員 制度といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、九十三条で、「六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金」ということになっておる一わけであります。 現実の問題として、あらゆる物納を全部処罰するかどうかということになりますと、これはまた別の問題でございます。告発するとかその他いろいろなことがございますので、非常に悪質な者についてはそういうことがあり得ましょうけれども、すべてをやるということは、常識としてはないんじゃないかと思います。
○佐々委員 私は、いままでの例から見まして、処罰されたのは聞いたことがないので、従来から処罰されないんだと思っておったのです。それでいま念のためにお聞きしたのです。わかりました。 それから、その次は減額勧告権ですが、農業委員会は標準額に比較して著しく高額と認められたときは、省令で定めるところによって当事者に対して、減額を勧告することができる。農業委員会がこういう勧告をした場合に、それは法的な強制力はあるのですか、ないのですか。これは法律用語でひとつ答えてください。
○中野政府委員 法律的効力はございません。
○佐々委員 ないんですね。いろいろ文章はあるけれども、あまり効果のあるような条文がないですね。 そうすると、もう一つお聞きしますが、増額または減額請求権、これは裁判上の請求権ですね。それは小作人あるいは地主、どちらかが訴えることができるわけなんですけれども、局長はどう思いますか。小作人が減額請求権を固執するために、裁判に訴えるというようなことを簡単にやるというふうに思われるですか、どうですか。この条文はそういうふうに活用されるでしょうかね、裁判で。
○中野政府委員 二十三条の規定は、普通の場合は、地主が小作料を上げろといった場合が、先生のお話だと非常に多いと思いますが、小作人がそれに応じなければ、地主が裁判に訴えることになるわけでございます。
○佐々委員 小作人がまけてもらおうと思うときは、やはり訴えなければいかぬでしょう。そのときに、小作人が裁判にまで訴えると思いますか。
○中野政府委員 制度としましては、小作人が裁判まで訴えることになっておるわけでございますが、実際問題としてやるかやらぬかということになりますと、全部がやるというふうには思いません。
○佐々委員 標準額にしても、それから先ほどの減額勧告権にしても、それからさらにいまの増額または減額請求権の裁判上の権利にしても、これは私は有名無実だと思うのですね。特に、標準額なんというものは農業委員会に決定の権限を与えて、しかもその効力は、従うても従わなくてもよいというようなものですね。なぜこんなぎょうぎょうしい、麗々しい条文を書く必要があるのですか。統制撤廃するということで済むことを、なぜこんなに意味もないものを文章に書くのですか。これはわれわれをたぶらかすつもりですか。
○中野政府委員 現在の統制小作料が、われわれの努力によってきちっと守られておれば、こういう改正はする必要がないわけでございます。御承知のように、残存小作地を中心にしてある程度守られておりますが、新規の契約は全然守られておりません。でありますから、まず許可を受けた賃貸借の小作料ということになっていないわけでございます。 こういう実情を見ました場合には、新しい統制といいましょうか、ものの考え方をすべきではないかというふうに考えたわけでございます。単に小作料を撤廃して野放しというふうにはわれわれ考えておりませんので、一応一律的な統制を廃止した上で、できるだけ村の中の秩序を立てるために増減額請求権を認め、そうして標準小作料をつくり、勧告制度を認めて、いわば村の中の秩序を保っていく方向で耕作者の経営の安定をはかりたいということを考えておるわけでございまして、われわれは、決してこれをむだな制度だとは考えておりません。
○佐々委員 小作人は小作料についてどういうような発言をすることができるのですか。言うならば、飾り文句はいろいろあるけれども青天井ですね。はっきりいえば統制撤廃です。そういう場合に、小作人は適正な小作料にするためにどうして自分を守ることができるか。そういう方法がこの条文の中に一つもないように私は思う。あっても、いまの裁判上の請求権というように、もう実用的にはならぬのです。それから勧告権にしたって、農業委員会が勧告することができるといったって、してもせぬでもいいのでしょう。そうすると、自由に小作料を地主が押しつけてくるという形になると思うのです。こう言うと、あなたはそんな高い小作料じゃ小作人は土地を借らぬだろう、いまは労働力不足の時代だから、こういう論理を展開されることを私は予想しておるのですけれども、しかし、それも限界がありますからね。 だから、私は小作人の立場として、一体どういうふうに適正な小作料をきめるための発言の場所があるのかということです。私は小作料統制撤廃は反対ですけれども、一応これが通ったと仮定した場合に、小作人の立つ瀬がありませんから、できるだけそういうような小作人の立場を保障するような規定が必要だと思うのですが、いかがでしょう。
○中野政府委員 私が申し上げたかったことを先生が言われた面もあるわけでございますが、標準小作料というのはその辺の地主と小作人の話し合いのめどでございますから、この中に耕作者の立場も考え、また貸すほうの立場も考えた小作料というものをつくりますので、それを一つのめどにしていくわけでございますから、小作人が立つ瀬がないというふうにはわれわれ考えておらないわけでございます。 なお、残存小作地につきましては十年間統制を続けますので、これからの貸し借りでございますから、これは地主と小作人の話し合いで、妥当な水準がきまるというふうに考えるべきだと思っております。
○佐々委員 ちょっとお尋ねしたいのですが、こういうことはお考えにならぬでしょうか。小作人の立場を保護するために、小作料についての——これは小作料に限らぬ、賃貸借一般についてもですが、小作人の団体交渉権というものを法制化するとかいうようなお考えは、この改正案をあなたが練っておる間に、そういう構想が浮かんだことはありませんか。私たちはやはりそういうことを考えるのです。農民組合法とか、あるいはそういうような対地主の団体交渉権、そういう団体を認めるとか、あるいは部落ごと、村ごとに農業委員会単位にその結成を奨励するとか、そういうことを考えるのですが、いかがでしょう。
○中野政府委員 戦前のように、地主あるいは小作人の階級といいますか、そういうものが非常にはっきりしていて、事実上としてもいろいろな闘争事件があったわけでございますが、戦後は自作農になりまして、貸し借りといいましても農家同士の貸し借りでございまして、借りるほうが大きな農家が多かったり、あるいは貸すほうが小さな農家であったり、その辺のことがございますので、そういう地主対小作団体での交渉ということは考えられないのが、農村の実情ではないかというふうにわれわれ考えております。
○佐々委員 あなたが農業委員会というものをどういうふうに評価しておられるかということで、ややこの問題というのは見解が違ってくると思うのです。農業委員会の中に小作代表というようなものが入っておれば、私は農業委員会が標準額を決定する権限を持ってもいいような気がしますよ。しかし、いまの農業委員会を見ればわかりますように、町村長の推薦委員と、それからある一部は選挙委員ですけれども、これもほとんど無競争で出る。そうして出てきた人はどうかというと、現在顔ぶれを見ますと、地主的な色彩の人ですね。そういう人が標準小作料をつくって、一方の小作人側の代表、小作人側の要求というものを代弁する者が実際はいまあまりないんですよ。 だから、あなたが言われるような論理も、戦前といまと比べると違うことは私は否定はしません。けれども、現在の農業委員会の性格そのものから見ると、やはり小作料決定等について、小作人側の主張をする機関というものが、私は必要だという気がしておるのですが……。
○中野政府委員 現在の農業委員会の委員の専兼業別で見ましたり、あるいは規模別で見た統計をとっておるわけでございますが、大体中心になりますのは、五十アールから一ヘクタール、一ヘクタールから一・五ヘクタール、それから二ヘクタールまで、その辺で約七〇%を占めておりまして、必ずしも先生のおっしゃいましたように、農業委員会が地主的色彩を持っておるというふうには考えておりません。 それから、小作人の代表がいないじゃないかというお話でございますが、大部分は地主兼小作になっておりまして、純粋の小作農というのは、五百数十万農家の中の約十万戸程度でございますので、昔のように地主あるいは自作、小作というような選挙ということは、無理だというふうに現在は判断しております。
○佐々委員 私はいまの農業委員会の問題は、あとでと思いましたが、この際申し上げておきたいと思うのですが、農地法をこのように改正するとしますと、土地の取り上げ紛争というもの、それから小作料の問題が非常に起こってくると思うのです。 それで、現在の農業委員会の構成というものを、やはり小作代表、自作代表、地主代表というもので構成をする、それから紛争の解決も三人出すことになっておりますが、しかし、これも会長が推薦する三人ということで、これは地主側の人ばかり出てくるかもわかりませんから、やはりそういうような各層の代表を、仲介委員とするというようなことにするほうが私はいいように思うのですが、いかがですか。
○中野政府委員 たびたび申し上げておりますように、現在日本では、在村地主として一ヘクタール持っている地主以外には地主というのはおりません。あるいは先ほど申し上げましたように、小作人もほとんどいません。そういう状況の中で、そういう三つの階層を分けての代表のさせ方というのは、非常に無理があると思います。私たちは、選挙によりまして民主的に選挙されました農業者の代表が、農業委員になるというのでいいというふうに考えておるわけでございます。 なお、お話がありました和解の仲介の委員につきましては、事件の性質によりまして、どういう人を選ぶかということは、御指摘の点もございますので、十分検討をしたいと思います。
○佐々委員 小作料の最高基準額というものが撤廃された場合に、標準額でこれからやっていくのだということになるようですが、今後の農地の買収価格はどういうようにしてきめるつもりですか。
○中野政府委員 現在は、御承知のように統制小作料の十一倍ということになりまして、田は一反五万円、畑は二万円というのが政府の買収価格でございます。これは現実的には非常に低過ぎるということでございます。したがって、現行では政府の強制買収といいましても、なかなか不在地主になりませんので、ほとんど政府の買収がない状況でございます。 今度統制をはすしました場合の政府の買収価格の考え方といたしましても、やはり現在とっておりますような方法、すなわち、小作料を資本還元するという考え方は変えるつもりはございません。その場合に、普通の場合には、政府が大体買収します場合には、小作人が乗っかっている土地が多いわけでございます。その小作料を資本還元をした水準ということを考えておるわけでございます。
○佐々委員 いまのやみ小作あるいは請負耕作の小作料は、大体どのくらいでしょう。
○中野政府委員 請負耕作、やみ小作の小作料の水準は、全国まちまちでございます。都市周辺でありますと、四千円のところもございますし、八千円のところもございます。それから純農村に参りまして、土地の貸し借りといいますか、借り手の非常に多いところでは、やみでございますから大体物納が多いわけでございますが、米三俵、四俵というのがございます。千差万別でございますが、先ほど申し上げましたように、どうも平均的に見ますと、一俵ないし二俵というのがやみ小作の水準のように思います。
○佐々委員 私、佐賀県と新潟県の請負耕作の資料をちょっと持ってきたのですが、これによりますと——これはちょっと御意見を聞きたいのですが、耕作請負をする側と請け負わせる側の取り分が、農業法人とか個人の経営者、専業農家とかいう請負をする側の取り分が一で、請け負わせる側、賃貸人の小作料が二、こういうようになっているというのですね。これが一対三というような場合もあるのですね。こうなってくると、あなたの言う一俵とかいうような問題ではないのですね。こういうようなケースは特殊な例かもしらぬのですけれども、一対二とか一対三という小作料、こんなに貸し出している人の取り分が多くなったのでは、私は今後の借地農主義による経営は非常に困難だと思うのです。しかもそれに対する何らの規制も加えず青天井にする、こういうような形になっていって経営はできると考えますか。 その前に、いま私が申した数字が特殊なものかどうかということ。あなたの数字とだいぶこれは開きがあるのですね。
○中野政府委員 やみ小作といいましょうか、そういうものの水準は、私が申し上げたのは普通のように思いますけれども、いま先生御指摘の新潟なり佐賀の例で、一対三、一対二というのはあまりわれわれの調査ではないのですが、半分なんというのもかなりあるようでございます。 その場合には、一体水利費はだれが持つかといった場合には、たいてい地主側で持っているというような場合もございましょうし、肥料等は請け負ったほうが出す場合が多いわけでございます。その辺のものの出し方がかなり違っておる場合があるわけでございます。 それともう一つは、かなり高い反収、おそらく米でいいますと十俵、十二俵とれるようなところでありますと、現在の米価水準でまいりますと、経費を引きまして十分自分の労賃を評価して若干の利潤を見ても、そういう水準が出るような地帯があるわけでございます。そういうところでは、かなりそういう水準が出ていることもまた事実だと思います。
○佐々委員 小作料統制撤廃という問題は、そういうようないまの請負耕作をすっと見ても、これは相当の高率小作料になってくるのですね。農家の個人対の貸借の場合を考えると、借り主の側からいいますと、やはり経営規模が非常に小さくて、機械を入れようとするともっと広げなければいかぬというようなところから、あまりおもしろくなくても、やっぱり土地の借り入れをするという場合、高い小作料を払って、しかも機械をフルに動かすために、そういう高率な小作料を払うという形の請負をやっておると思うのですね。こういうケースが非常に多い。ずいぶんそこに無理が生じてきておると思うのです。 こういうのが、この農地法の改正が行なわれると小作料の統制が撤廃になるわけですから、一生懸命に働いても自分の労賃分にしかならぬ、そして地主のほうにたくさん金をとられるという形になってくると思うのです。農協なんかへの委託の場合どういうように考えておられるのか知りませんけれども、やはり農協が貸し主から委託を受けた場合には、機械の操作をする人とか、耕作する人とかその賃金部分をとって、あとはやっぱり貸し主のほうへ出すという場合が多いのじゃないか。それ以上に余分にとろうとすると、一般村民、農協以外の人たちが何か承知をしないということで、非常に高率な小作料に、農協とか生産法人の場合にもなってくると私は思うのです。そういう点で、統制撤廃が日本の農業の発展という点からいって、はたして健全なものになるかどうかということについて、私は非常に大きな疑惑を抱いておるわけです。 そこで、この際お聞きしておきたいのですが、改正農地法というのは、現在のやみ小作や請負耕作というものを追認をするのだ、こういうことをいっておられる。そうすると、やはりやみ小作なり請負耕作の水準で小作料が上がっていくということを、ある程度容認せざるを得ないと思うのですが、いかがでしょうね。
○中野政府委員 統制をはずしましたあと、現在の統制小作料の水準であります四千五百円には私もならないと思います。地域の実情に即して、もう少し上がっていくということは事実だと思います。ただ、先ほどお話がありました、貸し出し側の取り分が半分以上になるというようなことは、標準小作料のつくり方などによりまして指導いたしまして、そういうことが発生しないような形で、今後の賃貸借の秩序をつけていきたいというふうに考えております。その辺に、またねらいを持っておるわけでございます。 このまま放置しておきますと、やみ小作料の水準が高くなりっぱなしで、しかも、残念ながらわれわれ現行の統制が、もうできない段階にもなっておりますので、その辺を御了承いただきたいと思います。
○佐々委員 あなた方が統制を撤廃しておいて、どういうように指導せられるか知りませんけれども、法的な規制がなくて、健全な農業経営ができるようなところへ小作料の水準をとどめようとしたって、これは私は無理だと思うのですよ。だから、それはむしろ撤廃せぬほうがいいと思うのです。 次に、残存小作地の小作料の問題についてちょっとお尋ねをしたいのですが、向こう十年間、とにかく残存小作地については最高基準額制度を置くんだというような案になっておるのです。 ところで、私は先ほど借地借家法の問題についてちょっと申し上げたのですが、農村の内部で、残存小作地とそうでない、これからできる小作地とがありますね。そして、これからできる小作地については小作料の統制というものはない、そしてどんどん上がっていく。そういう中で、十年間最高基準額をきめて統制をするんだといっても、実際上それが実行されるかどうか、私はこれは非常に問題だと思うのです。周囲の小作料が上がれば、その残存小作地の小作料も、やはり影響を受けてどんどん上がっていくと思う。 それから、単に小作料が上がっていくだけでなしに、基準額の決定そのものにあたっても、大臣がきめる残存小作地の十年間の最高基準額の決定にあたっても、周辺の小作料というものがやはりこれに反映をして、いままでの——この間小作料が四倍に上がりましたが、ああいう上がり方どころでなく、もっと最高基準額そのものがどんどん上がっていくというような方向にいくのじゃないか。 そういうことから、私は、借地借家法の新旧の契約が、旧契約も新契約と同じように統制撤廃になったというような形になっておりますが、これと同じように、たとえ十年間というようなことを置いても、残存小作地の小作料というものは、他の小作料並みに水準が上がっていくというふうに思うのです。そうでないならば、一体それをどういうふうにして規制するつもりか。
○中野政府委員 少し古い調査でございますが、全国農業会議所の調査をいたしました小作料、この前四倍に上がりましてからあとの調査でございますが、農地改革前の小作地につきましては十アール当たり五千七百円、それから三十五年以降の小作地につきましてはもう一万六百円、かなり差が出ております。ということは、残存小作地につきましてはかなり小作料統制が守られておる。これも若干水準が高いわけでございますので、完全に守られておるわけではございませんけれども、大体守られておるというふうにわれわれ考えておるわけでございます。 それから、先ほど先生からるるお話がありますように、残存小作地については、農村の中ではかなりあれは違ったものだという認識が強いですから、われわれとしましても、今後この附則の運用にあたりましては、周辺の小作地の小作料が上がったからそれにつれてどんどん上げていくという考え方でありませんで、いまの統制小作料をもととしましてその後の事情の変化を織り込んでいく、それも毎年やるということでなくて、かなりの事情の変化の場合に、数年おきに改定をするというふうに考えておるわけでございます。
○佐々委員 残存小作地の小作料統制が守られてきたということは、私もいまからあなたに言おうと思っていたことなんですが、わりあい守られていると思うのです。しかしそれは、いままで小作料の統制というものがあったということが大きな力をなしている。そうでしょう。今後残存小作地以外のものの小作料統制制度が撤廃になって、ほかが青天井になってしまった場合に、はたしてそれが残存小作料に影響しないかというと、いままでと条件は違うから、確かに影響してくると思うのです。 そういうことを考えると、小作料の統制を撤廃したり、あるいは先ほど言った賃貸借の規制の緩和というのは、これからの経営規模拡大のために兼業農家が土地を貸すように、そういうような立法趣旨からこういう改正案が出てきているのですが、残存小作地にまでそういう影響が及んでくるとするならば、そういう立法趣旨からいっても、やはり残存小作地については、この小作料統制の撤廃はやらないというふうにしていいのではないかと思う。先ほど言った賃貸借規制の緩和にしても、これからの農地についてということがあなた方の意図であるとするならば、現在までのものにまでそれを適用するということは不必要なことです。 だから私は、先ほども残存小作地については賃貸借規制の緩和を除外せよと言ったが、それと同じ趣旨で、十年というようなそんな期限でなしに、これはいつまでも小作料を統制していくとか、あるいは、ある金額で政府がこれを買収して、それで農地証券というようなものでも地主に渡して、現在の耕作者にこれを売り渡すというようなことをやったほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○中野政府委員 現在統制下にありますから、それがきちっと守られておりまして、そうしてやみが一つもないという状況であれば、あるいは先生のようなお考えになるかと思いますが、すでに現在やみ小作料がかなり出ております中でも、残存小作地についてかなり統制が守られているという状況でございますので、そういうふうに改正をいたしましたから、急にその状況が変わるというふうには判断しておりません。十年間統制を受けるわけでございますから、大体守られるというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
○佐々委員 最後に一つだけ申し上げておきたいと思うのですが、農林大臣に御答弁を願いたいと思います。 いまの経営規模の拡大ということに、非常に執着というと失礼ですけれども、問題はそこにあるんですね。しかし、私は現在の日本の農業において、経営規模の拡大という問題が解決をすれば農村はよくなるかということを考えると、もっともっとほかに問題があると思うんですね。きょうの新聞なんか見ますと、農家所得がまた低減して減っていっておりますね。また、今後も農家所得は減っていくであろうといわれておるんですね。 それは農業以外にずいぶん問題点が多いと思うんです。たとえば貿易の自由化の問題、ずいぶんアメリカさんが農産物の受け入れを日本に要求している問題等もあります。それから価格の問題にしても、たとえば果樹の問題はミカンに象徴されますが、その他の問題にしても、キャベツとかあるいはタマネギなんか、ことしなんかは、もう冷蔵倉庫にタマネギなんか保管を頼んでおっても、現物は返してくれない、現物を向こうにとられてしまって、まだ保管料を持っていかぬと保管倉庫はこらえてくれぬというような状況ですよ。預けておいてもどうにもならぬ。去年に次いでことしもまたタマネギが安い。キャベツやタマネギをたんぼで肥にして捨てておるんですよ。私は、経営規模がいかに拡大しても、こういうような農業政策が行なわれる限りは、農家の生活というものは安定しないと思う。特に小作料は青天井にする、あるいは賃貸借の規制は緩和して不安定にするというようなもとで、ほんとうにそういうような形で農家の経営、生活というものが安定するかというと、私はとうていこれはむずかしいと思うんですよ。 農業について、経営規模拡大以外にもっと力を入れるのが必要だと思うのですが、それらについて農林大臣は一体どういうことをいま感じておられるか。あなたは農地法の改正案を通すことに一生懸命かもしれないが、こんな法律が通ったからといって、決して生活が安定するものではないんですよ。こんな高い小作料をとられて生活が安定するものですか。土地改良だっていまのようなわけにはいきません。これは力を入れなくなるでしょう。価格政策とか構造政策とかいろいろ言っておられるけれども、これからの農業政策について一体どういうことを考えておられるか、私は最後に大臣から御意見を聞いておきたいのです。
○長谷川国務大臣 私も、経営規模が拡大したから必ずしも農業が楽になるのだとは考えておりません。したがって、いま御審議を願っているのは、そういう意味で申し上げておるのではないのだと思います。 先ほどもお話しにあったように、一たん貸すと、あとはもう永久に返ってこなくなるというようなことがあっては困るのだとかいろいろなことがあるけれども、そういう心配がないように、もっと合理性を持った運営をやったならば農地の活用ができるだろう、こういうような点に重点が置かれていると考えられます。 今後さらに考えなければならない問題についても、いろいろな御指摘もございましたけれども、いま審議会のほうにもお願いしておりますし、また党のほうでも考えております。また、農林省当局としても十分考えて今後の運営といいましょうか、農地の経営方針というものをもっと安定した方向に持っていかなければならない、こういうような考え方を持って、いませっかくいろいろな角度から努力をしておるところでございます。
○佐々委員 いろいろお尋ねしたいこともありますけれども、以上で私の質問を終わります。
○丹羽委員長 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時三十一分休憩 ————◇————— 午後三時八分開議
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。米内山義一郎君。
○米内山委員 農地法の一部を改正する法律案の提案説明にあたりまして、農林大臣は、農地改革の成果を維持しながらと、こういう意味のことをおっしゃっておりますが、これは出発点になるわけであります。 農地改革についての評価の問題でありますが、この農地改革がわが国の農業に一体どういうふうな成果をもたらしたか、この点をまず大臣からお尋ねしたいと思います。
○長谷川国務大臣 農地改革は、御承知のように時代の要求でもあり、今日の農業の生産を高める結果を生み出した。私は、農地改革というものは、日本の農業には非常に効果があったと考えております。
○米内山委員 それは結果から見て、そういう効果のあったことはそのとおりでありますが、農地改革の意図したものは何であったか、その主要な問題点について、官房長からお聞きしたい。
○大和田政府委員 私どもの農地改革によりまして実現しようといたしましたことは、従来のいわゆる地主的な土地所有のもとで耕作権がきわめて不安定であったこと、小作料が高かったことによって、耕作者に十分の資本の蓄積ができず、したがって、生産力が伸びがたいという事情にありましたことから、その耕作権の強化をはかり、また、小作地を自作地に変えることによって小作料の負担を軽減させて、そこで農家に十分の蓄積を残し、経営拡大、発展の基礎をつくるということがねらいであったわけでございます。 あわせて、それにより農村の民主化をはかるということも目的の一つでございました。
○米内山委員 そうしますと、当初意図した耕作権の安定、確立ないしは農地法の原則である耕さざる者は土地を所有しないという原則を、今日否定していいような農業環境に変化したものと考えておりますか。
○大和田政府委員 農地改革の実施によって、戦前は大体小作地が日本の農地の半分程度でございましたけれども、政府による農地の買収、売り渡しによって、現在ではすでに小作地は全体の農地の五、六%程度に少なくなったわけでございます。自作農が日本の農業全体のきわめて著しい特色になったわけでございまして、農地改革によって実現しようといたしましたことの大体はすでに実現いたしました。 現在、農地法の改正を提案いたしておりますのは、農地改革の成果としてでき上がりましたこの日本独得の農地制度の基本を守りながら、しかも、たとえば耕作権の確立ということが強過ぎて、そのために、片方で経営を伸ばそうとする農家がありながら、なかなか土地が借りられない。あるいはまた、片方で農地の経営を縮小しようと思いながら、あぶなくて土地が貸せないというそういう状況によって、むしろ強過ぎる耕作権といいますか、あるいは硬直化した小作制度というものが、経営の拡大、発展をはばむようになったという、そういう事実に注目いたしまして、その点の改善をいたそうということでございます。
○米内山委員 経営の拡大、発展ということも、いまの事情から見ると、あるいはそれも一つの理由ないし根拠になると思いますが、今後さらに発展しなければならない日本の農業にとって、問題点が非常に多過ぎると思うのです。 と申しますのは、第一は小作権の不安定の問題でありますが、われわれこのたび、この農地法の調査のために秋田県へ行きましたら、陳述人の町村長会長さんという方が、実は私もこの農地法の改正を実に望んでおる、こう言う。町の町長さんですから在村地主なのか、自作経営なのか知らないが、町長をやっているとたんぼを耕しづらいというわけです。もし自由に返してもらえるならば、私は全たんぼを貸したいのだ、こうおっしゃるのです。そこから見るとそうだが、その土地を借りて、町長さんが退任したときどうするか。借りた間は自立経営になるかもしれないが、貸した町長さんが退任して土地の返還を迫ったとたんにまた転落しなければならぬ。こういう事情についてあなたはどうお考えになるかと言ったら、御答弁はなかったのですが、われわれは、別にそこで議論するつもりで質問したんじゃありません。実にこういう便宜的な、あまりにも便宜主義的な理解のしかたで、この農地法の改正というものを受け取っているような印象を受けたのですが、こういうふうな考えでいいのかどうか。 当然、賃貸借のあるところには小作料における利害対立があるし、土地を返せ、返さないということで紛争の起きることは予想されるのですが、今後の農村社会において、今度の改正案で意図しているように、単に離農者の土地の流動化だけを考えて青天井の小作料にして、どこに適正な基準があるかどうか見当もつかないような状態、そしてこの土地を取り上げやすいような法律制度をつくるということには大きな問題があると思うが、農林省としては十分これを考えた上でのことだと思いますから、これに対しての見解をお聞きしたいと思います。
○中野政府委員 先ほど農地改革の成果からいろいろ御質問がありまして、ただいまの問題まで至ったわけでございますが、われわれとしましては、単に賃貸借をゆるめて、兼業的な農家が貸しやすいということだけをねらって今度の改正をやっているわけではございません。 と申しますのは、先ほども耕さぬ者は土地を持てないというお話がございました。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 そのとおりでございますけれども、ただ、農業内外の情勢が変わってまいりまして、それでは、土地を持つ者は必ず耕さなければならないということになりますと、その農家の事情によりましては、必ずしも全部が全部耕しておったのでは、規模が零細で、なかなか生産力の発展も期し得ないということがございましたものですから、そういう農業の事情の中から規模拡大の方向を見出していく必要があるのではないか。そのためには、やはり貸しやすいようにするという面、それから協業化を進める面を加えていかなければ、従来のままの農地法では、結局農地法を守れない、やみの世界がどんどんふえてくるというところに非常に心配をいたしまして、しかも、そのままほうっておきますれば、とうとう農地法が安楽死するというところまで心配されるような事態になったものですから、いま申し上げましたような方向を入れまして改正をすることをねらっておるわけでございます。
○米内山委員 では、農地局長に重ねてお尋ねします。やみの小作関係がどんどんふえたというのですが、なぜふえたのです。すでにわが国には三大ざる法がある。第一は売春禁止法、第二は食管法、第三は農地法だ。こういうきちんとした法律がありながら、これをざるの状態にしておいて、それが心配だからということは、一体あなた方の役目は何なんですか。法律に基づいて農地を管理すべき責任を等閑視しておいて、ざるになった現実を法律改正で追認するというようなやり方でしょう。食管法だって同じことです。世の中が変わったかもしれないけれども、経済情勢も変わったかもしれないが、農林省の役人がそのように変質するということは、われわれから見れば心外なんです。 たとえば、この農地改革の意図するものは、いま大和田さんがおっしゃったけれども、われわれはそのころ農地委員の小作代表だった。農地改革というものは何のためにやるのかということを、われわれはあなたの書いたもので勉強した。こう書いてある。これを逐条審議すればあしたまでもかかるけれども、このうちのさわりのところだけ読んでみます。「かう云ふ様に、国の経済がすっかり弱ってしまっては、国の経済の運用が今迄と同じでよい筈はない。日本が建直るかどうかと云ふ危機においては、国の腐った部分を思切って切開するよりほかに途はない。国の腐った部分と云ふのは、三井三菱などの財閥が、自分達だけで国の経済を独占してみたことだけではない。日本独特と云ってよいほど、影響が強く深いものは、地主による土地の所有であった。」実にわれわれ若い者に対しては、魅力的な扇動的なものだった。いままるで世の中が変わったかもしれないが、農地改革の意図したものが、経済の拡大、発展において、地主制度の復活ではないとあなた方は強弁するけれども、小作制度の復活であることには間違いないと思いますが、どうですか。
○大和田政府委員 二十数年前に私が書いたものをお読みいただいたわけですけれども、そこに書きましたことは、私はそのとおりであろうと思います。 ただ、その後二十数年、日本の農業も経済も決して停滞をしていないで、農地改革が意図した方向に沿うて発展をいたしました結果、当時築き上げましたたとえば小作制度というものが、今後の日本の農業の発展にとってやはり一つの桎梏になったということが、私どもの一番大きな問題でございます。
○米内山委員 農地局長にお伺いしますが、不当な農地法違反の事件がきわめて多いわけです。そうしてあなた方は、こういう事実のためにはどうしても法律を改正しなければ対応できないということをおっしゃるが、法律が厳然としてありながら、なぜこれが執行されないのか、私はこの点をお聞きしたいのです。 たとえば、先般この法案審議にあたって、農林省がわれわれに資料として提出したものの中に、全国における農地法の違反件数というものが出されておる。その中に、いわゆる農地法の不法行為と申しますか、不法転用の問題と申しますか、こういうものが全国において非常に特徴的なんです。不法転用の問題とか不法の土地の取り上げというような違法のようなものは、私どもは都市化の進んでいる埼玉県とか、千葉県とか、神奈川県のような地帯におけるべきものであろうと思っておったら、青森県のようなところが日本一多い。全発生件数の一割は青森県がになっている。そうしてみると、法があっても、これを積極的にやる意思を持ってやっているかどうかにかかわると思う。あなた方はこの法を守るべき責任を持ちながら、現実にこういうことが行なわれていることを黙認してきた。これはあなた方の責任じゃなかったでしょうか。 さらには、同じ法律に基づいて未墾地取得というものがなされているが、本来ならば、国有林の開放などを強力に主張する青森県などにおいて未墾地の開放の必要があろうと思うが、こういうところではほとんどやっていない。そうして群馬県とか、あるいは山梨県のようなところには多い。 そうしてみると、一体今日の農地法はだれのために、何のために今日まで存在したかということさえ疑わざるを得ない。これは今後だって、この改正法案が施行されたって同じことじゃないか。今日のように、厳重に小作料を規制しておっても今日の状態なんだから、これを青天井にして適当な小作料をきめようなどということでは、容易におさまりのつくものじゃなかろうとわれわれは思うのだが、農林省はこれをどう考えておりますか。
○中野政府委員 役人としまして、現在ある法律を順守させるように、いろいろの指導をしていかなければならないことは当然のことだと思います。 ただ、私が先ほどやみ小作の問題に触れましたのは、現行農地法の耕作権が、新しい契約につきましては結ぼうと思っても結べないほど強い、一ぺん貸しましたら返ってこないというようなことが制度としてあるものですから、実際に農家同士の貸し借りを見ましても、それをやみで貸すということになってきておるわけでございます。 それでは、これを全部取り締まるかということになりますと、全国に何十万件とありまして、しかも、それが戦前のような、先ほどお読みになりましたような体制下のものではなくて、いわば小さい農家の取引が大部分でございますから、それを現行法があるからといって、全部摘発するということはなかなか困難ではないかというふうにわれわれ考えておるわけでございます。そういうことでありますから、制度をもっと実情に即してと申しましょうか、改正をする必要があると考えておるわけでございます。 それから、二番目に不法転用の問題についての御指摘がございましたが、これは注に書いてございますように、各県の報告によったわけであります。各県の報告の中身が、ある県では始末書程度で済ましたものは、報告の件数の中に入れてないというようなアンバランスがございまして、こういう表になっているわけでございます。必ずしも青森県が非常に強くて、ほかの県の行政の取り締まりが弱いということではないというふうに思っておるわけであります。ただ、都市近郊の転用の問題につきましては、かなり違反転用が目立ちますし、それについての行政指導も強く進めているわけでございます。相当なものがあるということは申せると思います。 それから、三番目の未墾地取得資金の問題につきましては、年によりまして県の借り方が非常にフレがある場合もあります。これは開拓パイロット制度をやりました場合の土地の取得についての融資と、それからもう一つは、主として果樹園が多いわけでございますが、自主的に山を買いまして、果汁園をつくるといったところの資金需要が多いわけでございまして、必ずしも青森県が少なくてほかが多いということではないと考えております。傾向的には九州、それから東北の資金需要が多いわけでございます。
○米内山委員 農地局長、ぼくは別にいままで無数にできた農地法違反事件を取り締まれ、処罰せいと言ったのではないのです。ここに至るまでの間にあなた方はいかなる努力をしたか、すなわち、どういう指導をしたか、どういうふうに指導のための予算上の措置をとってきたか。こういうものはどんどん減らす一方だったでしょう。どうでもいいというような取り扱いをしてきたから、末端の農業委員会の事務当局もこの指導の手をゆるめてきた、こういう傾向が全国的にあるのじゃなかろうかと思うが、この点どうなんです。
○中野政府委員 農地法が施行されまして、ずっとわれわれもその厳守を叫び、やってきたわけでございます。 ただ、三十五、六年ごろからの高度成長経済の中に入ってまいりますと、先ほど私がるる申し上げましたような事態になってまいりまして、それを全部前のままの態度でやるということにつきましては、かなり問題が出てきたということを申し上げたわけでございます。
○米内山委員 そういたしますと、今度の改正にあたり意図するものについて、私は具体的にお聞きしたい。 いままでは離農したい人、貸したい人があるが、借りたくともそのために借りづらい、そういういまの離農関係から生ずる土地の流動化を促進しようというんだが、今後五十年、百年はともかくとして、ここ十年、たとえば昨年十一月ですか、農林省が発表した農業見通しに基づきましても、昭和五十二年ごろまでにかなりの数の農家戸数が減るという。さらに水田においては、三十五万町歩くらい減るであろうというような見通しなわけです。 そうしますと、いまよりもそういう形においててこういう間に合わせの便宜主義的な賃貸借でやることは、その次における日本の農業の近代化のためにどういうふうに効用をなすものか、あるいはそれが非常なブレーキになるおそれはないかということについて、御考慮がないのですか。
○中野政府委員 今後の農業の見通しにつきましては、いま先生がおっしゃいましたようなことでございます。その中にありまして、それでは村から出ていく毛のをすぐ政府が強制買収をして、村に残った耕作者に売り渡すことができるかというと、なかなかそういう気持ちに出ていく農家はならない。土地はやはり村に置いておきたいというようなことがございます。 その辺のことを考えますと、正規の賃貸借がしやすいようにして、安定した耕作権を持って残った人が耕作するようにしなければならないのではないかということが一つございます。 もう一つは、そういう事態の中にありまして生産規模の拡大をはかる場合には、やはり協業的なことを考えなければなりません。その場合にも、やはり大きな規模で協業をやっていく。そうなりますと、やはり中核をなす農家が出てまいりますから、その中核農家を中核にした生産法人等が、安心して土地が借りられるという形にいたしませんと、いまのようにほっておきますと、結局荒らしづくりをやるか、請負に出すかということになってしまって、むしろ現段階でこういう制度をとって農地の上に秩序をつけませんと、逆に農地法が完全に安楽死と申しましょうか、そういう段階にまで立ち至るのではないかということを、われわれは非常に心配しているわけでございます。
○米内山委員 私の聞かないことまで答えるが、私は、別に離農する人からは強制買収しなければならぬという見解も持っていないし、主張も持たないのです。いわゆる、土地の移動というものは所有権の移動ですね。耕作の移動というものは、所有権と一緒のほうが理想でしょう。 そこで、地価の問題なんですよ。いまの地価も高過ぎるが、所有者の側には、これからまだまだだ、米は下がるが、土地の値段だけは上がるであろうという、一つのインフレを意識した考えが定着しております。そこで、強制買収でなくとも、適当な値段ならば売ってもいい、買ってもいいというようなことが、いまの段階で大量に成立する可能性がありますか。そうしてそれが成り立つならば、国は、農地の流動化を自作農主義で、いわゆる任意売買主義で、金は幾らでも流動する分に対して供給するという腹があってのお話なんですか。
○中野政府委員 賃貸借の面だけでの緩和を考えての改正、今度の案はそういうふうにはなっていないはずでございます。しかも、いま御指摘になりました農地を、出ていく人から買ってそれを残った者に売って規模拡大をはかるという点で一つの改善を加えましたのは、農地保有合理化法人も地域の実情に応じてつくる、そういう場合には、農地法上許可をいたしますという案を御提案申し上げているわけでございまして、農地の移動につきましては、所有権の移転の面、それから賃貸借での面、両方を考えているわけでございます。
○米内山委員 そこで、この問題は二つの問題があるわけです。小作料の問題と、土地取り上げの自由といいますか、耕作権は拘束され、制限され、弱くなり、地主のほうに優位性があって、小作人の権利というものはまるで軽視されるのが今度の改正案の一つで、現行農地法、農地改革の意図したものから見ると、これは革命的な変化じゃなかろうかと思う。旧法は、あくまでも耕作者に優位性がある。在村地主の土地所有というのは例外として認められている。小作料は法定されている。これが厳守されるならば、農地というものは高くなるはずがない。農地価格というものは高騰するわけがないのです。ところが、これを黙認、放任状態にして地価を高騰させて、農業経営に非常な圧迫を来たさせておるんだが、この問題を、いまのような青天井の小作料で、農業経営安定に役立つとお考えですか。定まるのか。いわゆる流通している地価の実勢価格ですか、この価格から金利に逆算して成立するのか、あるいは生産の粗収益ないしは所得に間に合うようにするのか。小作料というものは、いまのあなた方が考えているように、適当なというならば、どっちに片寄ってきまると思いますか。
○中野政府委員 今回の改正案のように小作料を持っていきました場合、どういうことでこの小作料の水準がきまってくるかというお尋ねでございますが、いま先生おっしゃいましたように、地価の資本利子という考え方では、農家の観念ではあるいはそういうことを持つかもわかりませんが、原則的にはきまってこないと考えます。むしろ、やはり粗収益が前提になりまして、それから経費を引いた残りが地代であるという観念。その残りが地代という場合に、経営者として何がしかの利潤をとる、そして残りが地代として帰属するという観念が大勢を占めるというふうに考えておりますし、われわれとしては、またそういう指導をしたいと考えております。
○米内山委員 そうしますと、あなた方が知らないといえばそれまでの話だが、現行のやみ小作の実態というものについて御調査がありますか。たとえば三石とれる地帯、円石とれるような地帯でどうとか、あるいは金納であるか物納であるか——物納さえあるわけです。一つの国の農地政策を担当する役所が、こういうふうな重大な法律をきめる場合に、統計資料等なくとも、これを実態調査をする方法は幾らでもあったはずなんだが、これに対して詳しい資料等はありますか。
○中野政府委員 やみでございますから、それを実態調査するといっても、なかなかむずかしいわけでございますが、個々の事例としては、われわれはかなりの調査をしております。それからまた、関係の機関等も調査があるわけでございます。
○米内山委員 その内容はどういう状態ですか。どういう実態なんですか。
○中野政府委員 先ほども佐々先生のお話のときにそういう御質問があったわけでございますが、地域によって非常に差がございます。都市近郊、それから農業中核地帯、あるいは山村によってかなりの違いが出ておりますが、一貫していえますことは、大体経費相当部分と、それから場所によりましては、相当な経営者としての報酬をとった残りが地代になっているというふうに見受けるわけでございます。
○米内山委員 それじゃこれだけ答えてください。その中の極端に高いところは、どういう地帯で、どのくらいの小作料になっておるか、安いところはどういう地帯か、どういう意味で安いのか、おおよそのところを……。たとえば、日本のたんぼでいうならば中田と申しますか、四百キロ程度の水田単作地帯におけるそういう小作料とか、あるいは山間部における土地の狭いところにおける小作料というようなもの——いまぼくが小作料と言えば、あなた方は小作料ではないと言うかもしれないが、請負耕作でもいいし何でもいいが、実際の地代として生産農民から支払われている額というものは、およそどのくらいになっていますか。
○中野政府委員 請負耕作そのものをやみ小作料と見るのは、先ほども御答弁申し上げましたが、なかなか問題がある場合があります。いろいろな経費を地主側が持っている場合があるし、それから観念といたしましても、どうも請け負うほうは経費だけをいただいて、あとはみな地主と申しましょうか、委託者に返すという観念を持っている地帯もあります。こういうところは非常に高いわけであります。 一般的な水準としてのやみ小作料というのは、先ほども申し上げましたように、都市近郊は一俵前後、それから農業中核地帯で二俵から二俵半というようなところが多いようでございます。
○米内山委員 大体われわれが見たり聞いたりしたところでは、青森県あたりでも、相場は一石というのが近ごろの相場なんです。規制しておいてもこういう高率小作料です。あなた方が、いまの農業経営の中で一石という小作料がかりにあったとしたならば、これは適正だと思いますか、低率だと思いますか、それとも高率だと思いますか。
○中野政府委員 一がいには申せないと思います。たとえば、十俵とれるところでありますと、統計調査部での経費は大体四俵半から五俵半というところでございます。これは労賃を見た上であります。都市均衡労賃として評価いたしましても七俵で、三俵残るわけでございます。その中での二俵半ということになりますと、耕作者のほうも、自分の労賃をまかなってなおかつ余剰があるということになるわけでございます。
○米内山委員 そうしますと、あなた方の意図するものは、はっきり昔のような大地主制度は復活しないけれども、小さい形におけるきわめて高率な小作制度の復活を待望しているのは、期待しているのは、やむを得ざるものと考えていると理解して差しつかえないですか。
○中野政府委員 戦前の二俵半ということになりますと、おそらくそれは耕作者の労働賃金も非常に切り下げたものでないとまかなえないような高率のものだったと思います。 ところが、先ほども申し上げましたように生産力も非常に上がっておりまして——よく、戦前もいまも小作料の水準は同じくらいじゃないかといわれますが、かなり生産力が上がっておりますので、その分は耕作者の側に帰属しているわけでございますから、一がいに二俵半が高いということはいえない地帯もかなりあるわけでございますし、それからまた、生産力が非常に低いところでは、そういう二俵半というような小作料水準は出ないというふうに思っております。
○米内山委員 どうもこれはたいへんな議論になってしまったと思うのですよ。二俵半が適当だとかなんとか言いますけれども、生産力は上がった、だから小作料を上げてもいいという考え方だったら、全く昔の小作人と同じじゃないですか。生産力に比例して小作料が上がってもいいということなら、実に非科学的なものの考え方じゃないかと思う。ここに一定の何か理論的な根拠があって、算定の基準があって、それを適正というならばともかく、生産力の低いところではどうとか、高いところでは一石でも適正だということなら、あなた方には数字的な根拠があっての話ですか。 特に、今後米価の上昇が期待できない場合に、こういうふうな小作料だけは青天井にして、農業経営が合理的にいくとかなんとかいうことは、ちょっとぼくらの思想では考えられないのだが、あなた方、それでいいいと思ってやっているのですか。
○中野政府委員 先ほども申し上げましたように、小作料の水準がきまりますのは、粗収益から生産費、物財費と労賃、そして経営者の利潤を引いた残りが地代になるということでございます。この原則は、いまも今後も変えない、また、変えるべきではないと私は思っております。 その際に、地代にどれだけ帰属させたら適正かといった場合には、かなりその地域、地域の生産力の差が問題になってくるというふうに先ほど申し上げたわけでございまして、計算の数字的な根拠はないということでなくて、そういう基本方針で指導いたしたいということを、先ほどから申し上げておるわけでございます。
○米内山委員 それじゃいまのわが国の、これは水田に例をとるのですが、平均反収の場合、あなたの算定方式で賃金をとり、利潤をとり、地代に振り向けられるものは一体何ぼになるのか。あるいはジャガイモをまいたりなたねをまいたり、種代もとれないようなものをやったときには、小作料は逆にただになって、地主から何ぼかの配当をもらうのですか。
○中野政府委員 ものの貸し借りでございますから、地主側から地代をもらって耕作をしてやるということは普通ございません。ただ、都市近郊では財産管理のために、金を出して土地を管理してもらっているというのは若干あるようでございますけれども、そういうことはないわけでございます。
○米内山委員 それではこの法律によって、こういう賃貸借契約によって毎年どれぐらいの土地が流動化していって、五年ないし十年後には、そういう形の小作契約といいますか、小作地というものは、どのぐらいになるというような見通しを立てておられますか。
○中野政府委員 前回も申し上げたわけでございますが、現在、年々流動しております土地は、所有権での移動が、大体内地全体で七万五千ヘクタールございますが、それの半分ぐらいでございます。残りの半分のうちのまた半分が、やみの移動も含めましての耕作権の移動でございます。 その傾向が、農地法が改正になりますと、急に何倍になるというふうにはわれわれも考えておりませんけれども、貸し借りが正当にできるということになってまいりますと、徐々にではございますけれども、賃貸借の面での貸し借りの移動がふえてくるというふうに判断をしております。
○米内山委員 それは田畑においてどういう比率で、日本の総耕地の中の何%くらいが、この法律改正の結果として有効に、あなた方のいう経営規模の拡大につながるような形で小作契約が結ばれていくと思いますか。
○中野政府委員 ただいま七万五千ヘクタールと申しましたから、日本の内地での耕地面積が約五百万ヘクタールでございますから、一・五%程度でございます。その傾向は、最近貸し借りの分がふえてきておりますが、ここ五年間くらい、所有権の移動につきましては、内地の場合には大体四万ヘクタール前後で変わっておりません。 したがいまして、農地法が改正になったからといって、それがすぐに倍になるということはないといまも申し上げたのでございますが、やはり正規に貸し借りができるということになりますれば、これが徐々にふえてくるというふうに考えておるわけでございます。
○米内山委員 日本の全耕地から見て、とるに足らないいささかなものを流動化しようとして、いわゆる農地法の根幹である、目玉である耕作者の優位性を、地主優位性に逆転させたり、法定小作料主義を青天井にするということは、きわめて重大であり、かつ、責任を持たなければならぬことだと思うのです。こういうふうなつまらぬことよりも、もっと根本的なことが農政上あるのじゃないですか。これはまるっきり規模を拡大する上に役に立たない。無益のものとは言わないが、弊害のほうが多いと思うのです。 こういうふうなものは、ちょうど出発点においては小さいものだ。わずかですよ。だが、これはやがて拡大していく。一国の農業の性格というものを考える場合に、土地をだれが所有するかということで、およその農業の性格は定まるのですが、これはいまの話を聞けば微々たるものですよ。これはアメリカシロヒトリという虫のように、春先は葉一枚に黒く固まっているが、やがてはこれは拡大して、大被害を出すものだということをわれわれは心配するわけです。何もこれからの農業経営というものは、安穏でいくという確信を持っておる人はいないのです。特に、今度の米の問題を中心として、日本の農民は非常な不安定農政に対して深刻な不信感を持っておる。こういうときに、農民が苦しみながら土地を借りた、返さなければならない、こういうふうな賃貸借のあるところには、将来必ず紛争が起きるのです。 そうすると、昔は大地主とたくさんの小作人の戦いというものはかなり激烈に行なわれたが、地主というものはそろばんずくで、ある意味においては経済的打算で争議を解決したが、小地主というものは、この土地を返してもらわない限りわしの暮らしは立たない、これを取り上げられればわしは死ぬというような損得を度外視した、いわゆる生か死かの深刻な戦いになるのです。そうして、これは調停になり訴訟になる。耕作農民は、地主が弁護士を頼んだとき、とてもついていけないものなんです。いかに農村が民主化したといっても、こういうものが日本の農村に再び発生しないという保証はないのです。 そうして、農村というものは、非常に地縁的であると同時に血縁的な関係がある。そうしてそういう小さな紛争が村全体、部落全体の争いになるのです。そうしたならば、構造改善だあるいは基盤整備だというように、一人一人で片づく問題は農村には少ない。多少の利害の違いがあっても、みな力を合わせなければできづらいことばかり残っておりますが、こういうふうな一匹、一匹のシロヒトリが大きい毛虫になったときは、農村に非常なる困難を派生するおそれがある。 われわれは村で生活した経験上これを心配するわけです。あなた方は、村で基盤整備や農協をつくるための指導などは、現場でやったことはないでしょう。土地改良を一つ進めるにしても、三分の二の同意があれば強制的にやれるというものの、同意を得ない限りは、成功する仕事も失敗に終わるものなんです。農村に、こういう過去に起きた紛争の新しい種をいままくということは、私は非常に問題と思うのだが、あなた方はこういうことについて、よく実態について考えたことがありますか。
○中野政府委員 地主、小作人の関係につきましてのるるのお話でございますが、その辺、いろいろわれわれも考えてみたわけでございます。ただ、今後の人口の流動の見通しにいたしましても、十年先には農家戸数は四百五十万戸、そして就業人口も六百万人に減るということになっております。その減っていく先は、安定した兼業に従事をするというのが大部分だと思います。 そういたしますと、戦前のような地主、小作人関係でありませんで、むしろ農村に残って借りて耕作するほうが強くなっていく。規模の大きい農家の方向に土地が借りられる。やみ小作につきましては、現在、もうかなりそういう傾向が出ておりますので、いま先生のお話のように、紛議が農村の中で絶えないというふうな想像を、全国的にする必要はないのではないかというふうにわれわれは考えているわけでございます。
○米内山委員 それでは農村の実態について、あなたは直接担当者だから聞くが、土地改良事業をやりますと、換地処分などにおいて非常な紛争が多い。そのときは、常に弱い者が権利をじゅうりんされている実例が、青森県などにはきわめて多いのですが、こういう苦情が農林省などに来ることはまれなのですか、ないのですか。弱い者が常に不当不利な立場で、悪い田の配分を受けたりして泣き寝入りしている事実は、農村にはかなりあるものです。農民がもう一人前になったのだ、今度は借りた人が強いのだということは、これはちょっとあなた方言い過ぎじゃないか。
○中野政府委員 現在、土地改良にいたしましても、そういうものに参加いたしますのは、小作人のほうが第一優先順位があります。ただ、換地処分の場合は土地所有と関連がございますから、全員参加して土地の換地処分もきめるというたてまえになっております。 その中で、御指摘のように、おれの土地はこの場所でなきゃいかぬ、道路沿いにしてくれ、あるいは耕作に便利にしてくれということで、農地の換地処分につきましてもめごとがあるということは、われわれも承知しております。しかし、それだからといって、その場合に力の強いのが大きな地主——いまは大きな地主はおりませんけれども、そういう地主的な人であって、そうでない者が弱いというふうには、必ずしも断定できないのではないかというふうに思います。やはり農村内部での相談をして、納得いくような処分にならなければならないというふうに考えております。
○米内山委員 どうも、あなた方と農村の実態についての認識があまりにも違うので、話がかみ合いません。しかし、小作制度を復活するということは、日本農業の進歩的な方向だとは私は思わぬのですが、大和田さん、これもやむを得ざることなんですか。これは進歩的な行き方なんですか。
○大和田政府委員 先ほどもお話しいたしましたように、現在日本の農地の九四、五%は自作地でございまして、日本の農家の大半といいますか、ほとんど全部は自作農あるいは自小作農でございます。その人たちが経営を伸ばす場合に、土地を買って経営を伸ばす場合ももちろんございましょうし、そのために公庫資金という長期低利の資金も、相当多額に用意をいたしておるわけでありますが、土地を買うだけで伸びられない、土地を借りて伸びるという農家も当然あり得るわけでございますし、私どもは、それも経営発展の方向として十分尊重すべきだというふうに思います。
○米内山委員 それでは、話の角度を変えます。大臣は適地適作で農業の経営規模を拡大すると言うのだが、もうかるような経営でなければ、小作料も安くないし、貸す土地があったって借りる人もないはずだ。 そこで、一体何をやればもうかるのか、どういう農業をやる人は、借りて小作料を払っても経営規模を拡大したいか。この作目にどういう都合のいいのがあるか、ひとつお知らせ願いたい。
○長谷川国務大臣 どうも作目は、私がここで、青森県の何というととろは何がいいだろうと言うわけにはなかなかまいらぬだろうと思います。したがいまして、作目は、お互いその土地に固定して、今日までの自分の体験から生み出して、何が最もいいか——科学なんということばはありますけれども、体験が生み出しておる。それがまた、すなわち科学的に生み出しておるのだろうと思います。 したがって、そういう面で今後適地適作、そういうぐあいにして生産に当たってもらいたい、こういうような考え方であります。
○米内山委員 官房長、大臣は、専門家でないのであまり詳しくないようだが、実は私、一番困っておるのですが、四十年間農民運動をやっておって、村へ行くと、代議士、これから何をやればもうかるのかと聞かれる。去年、おととしまでは、あれがいいだろう、これがいいだろうということは言えたが、ことしになってからは、ちょっとこれはわからなくなった。委員会のとき官房長から聞いて答える、こういうことを言っているくらいですが、なたねがいいか、豆類がいいか、麦類がいいか、リンゴがいいか、ミカンがいいか、どういうものをやれば、高い小作料を払って、地主の都合のいいときは返さなければならぬ土地を借りて、果樹をつくればいいのか、クリをつくればいいのか。桃クリならば三年でなるというが、カキならば八年かかる。十年目に返せというときには、実も取らないで返さなければならぬ。一体土地の流動化、経営規模の拡大などと言うが、根元は何がありますか。
○大和田政府委員 ただいま大臣からお答えがありましたように、具体的な土地において最も有利な作物は何かということを、ここでお答えするわけにはまいらないことは当然だろうと思います。 ただ、農家それぞれの知恵で、とにかく有利なものを現実につくっており、それに基づいてここ十年、五年の間に、相当作物の構成が変わってきたことも事実でございますし、また、いわゆる農業生産の選択的拡大ということで、私どもも需要の強い作物について農家が安心してつくれるように、価格政策その他についてできるだけの努力もいままでやってまいりましたし、今後もその方向で政策を積むべきだというふうに考えるわけであります。
○米内山委員 私は、そういうばく然としたことではなくて、七つも八つも並べなくてもいい、二つ三つでもいいから、これだけは責任持っておすすめしますというのを教えてください。あなた方いかに総合農政と言ったって、これがなければおかしい。農民の知恵とか、くふう研究、そういうことだけでは、一体農政というものは何のためにある。日本の農業の進むべき方向を明らかにすることは農林省の責任じゃないですか。おかしいじゃないですか。まるで風船玉に乗って宇宙旅行やるようなことを言っているんじゃないか。農民をルンペンにしてしまって、行く方角を失わせてしまって、総合農政だなんて一体何事だ。それでは、大臣にもう一ぺん聞きたい。この間武道館の要求米価貫徹大会で、自民党の政調会長という人間が、百姓は税金はわずかしか納めない、しかるに国の予算の中で七千五百億という大金を使っておるのだというようなことを言ったのですが、農林省は、これを受けてその考え方で政治をやれますか。農業政策よりも以前に間違いがあるのじゃないですか。税というものは、もうけている者からよけい取って、おくれている者に盛り上げてやるのが税でしょう。高い山をくずして谷を埋めるのが税の原則なんだ。谷底から土を掘って、山の上へたんぼをつくるというような農業政策はないはずなんだ。こんな工事をやったら、たんぼは一反歩百万円もかかる。こういうふうな、ものの考え方の本質を離れていま農業政策を進めようとするから、農民は、自民党のために攻撃を受けておる、こういう理解しか持てなくなる。 だから、社会党の農民部で、この間の根本さんの演説をテープにとって、一巻千円で売り出したら、もう一万本も注文がある。これを複製されたら、どのくらいの本数になるかわからぬのです。これは政治の危機でもあるし、自民党の危機でもある。この点を明確にしないで、農民すべてを風船玉で宇宙旅行させるような、夢だけ見せるような農業政策をぺらぺらしゃべる、これじゃ、いつまでたったって日本の農業はりっぱになるものじゃないし、農民生活も安定するものじゃなかろうと思う。 まず一点は、何をやればいいか。また、どこに農民が希望を持てばいいのか。三反歩や五反歩の借地で経営規模拡大なんということは、これはやらないよりましかもしれないが、問題の解決にはならぬのです。星を取ろうとして屋根に上がれば、それは地上よりは星に近いかもしれないが、問題の解決にはならぬのです。根本的な農政の問題を明確にしてから、農地法の一部改正などもお考えになったほうがいいと思う。大臣、いかがです。
○長谷川国務大臣 私は、農耕地を拡大するのが目的で、農地法というものを今回改正するのではないのだと思うのです。むだのないように農地を使おうじゃないかというような点、そして休みたい方があるなら、その休みたい方は、あくまで自分の所有にしておいて、そうしてペンペン草をはやらかしておかないで、それを高度に利用して使ってもらおうじゃないかというのであります。 したがって、今後の農政といいましても、米内山さんが知っているとおり、現在でさえも、リンゴそのものが過剰になったという意味で値段が下がっておるという問題じゃないのだと思うのです。やはり一人一人の国民食糧というものが全く変わってきた。消費者の要求するものが変わってきておる。でありますから、やはりそれに合った農業を営んでもらう、そうしてそれに合った、先ほどいう品目に変えてもらう、こういうようなやり方をしていかなければならない、こういうふうに私たちは考えておるのであります。 農地法の一部を改正したら、そこへ何をつくればいいのだ、それはいま私たちも鋭意検討を進めております。したがって審議会もつくり、また、総合農政というときに、どういうふうにやったらいいか、たとえば主産地形成をやるにしても、どういうふうな方法でやったらいいかというような点についての大きな面からできたものは、私は今後あらわれてくると思います。しかし、何といっても、同じ県でありながらも、同じ土地にありながらも、土地というものはなかなか一定なものではないのだと思うのでありまして、したがって、そういう中において、自分たちの品目というものはおのずからそこに選択をしていかなければならないだろう。 要は、現在国民が一番要求するであろうその要求するものをつくってもらうよりやむを得ないのじゃないだろうか、こういうふうに考えるのであります。いまのお米につきましても、お米がいま御承知のとおりでございまして、それではこのままでいって許されるかどうかという点も、考えてもらわなければならないだろうと思うのであります。 われわれが政治をやっておるのであって、その政治の責任を追及される場合にも、そのときにはこのように考えてこのような方向に向かいましたという答弁が、将来にわたって幾らでもできるような方途を切り開くということが、当然私たち政治を行なう者の義務でなければ相ならぬ、このようにも考えております。 したがって、今後いましばらくの間でございますけれども、全国的にどういうものが需要が多くなっていくだろうかというような点については、ある一定の指示を与えていく考え方でございます。
○米内山委員 これは事ますます重大であり、かつ、質問もこれから佳境に入ると思うのだが、実は、しりに火のついていることをお尋ねしているのです。農業はいまに始まったことじゃないのです。そうして、今日行き詰まったからあしたのことを聞いている。別にからかうつもりでぼくは質問しておるのじゃないですよ。何がいいか三つ四つ教えてくれと言っても、いまの段階で確たることを言えないということは、これは重大なことだ。全く指導のない農政だと言って差しつかえない。これは重大なことですよ。 そこで大臣、こういうことを予想しています。実は、われわれ青森、秋田を回ってきたが、ある村で水田千五百ヘクタール余り、これは大体反収五百キロですから七千五百トンの米がとれる。いままでの出荷実績が十一万俵ないし十二万俵、農協の倉庫には現在九万俵満庫になって米が入っている。二、三日前に食糧事務所から、この農協には四十三年度産米が、ことしは四万俵この倉庫で繰り越すであろうと、こう言う。そうすると、ことしさらに十二万五千俵ぐらいとれて、九万俵ぐらいは倉庫へ入る可能性のない米が出るわけです。農協の諸君は米価の問題も一段落して、今後どうしようかということでここへ考えついた。検査してかますへ詰めて売り渡ししない限り金が取れない。金が取れない限りは、近代化資金についても、組合の掛け売り金についても利子を取らなければならない。農家はこれを負担したければならない。こういう事態は、おそらく五百万トン近く余るというのだからかなりな部分になるのだが、もうぼつぼつ秋の収穫の準備もしなければならないと思うのだが、こういうことはもうしりに火がついているが、農林省はこれをどういうふうに対策を立てていますか。
○長谷川国務大臣 お話しのような状態にならないような方向でやらなければならない。したがって、いまお米の問題でございますから、お米の問題に限りましては、できるだけ倉庫そのものに対しましても、いろいろなくふうをこらしていまやっておるわけです。どちらの方向へどういうふうに回すかとか、倉庫をどういうふうな方向に、あとの積み込みができるようにやるかということに対しましては、いま鋭意いろいろくふうをこらしております。いよいよだめなものはだめなような措置をしていかなければなりませんし、そういったことは思い切った措置を考えていくつもりでございます。
○米内山委員 この問題は、売れる売れない、まずい、まずくない、古米になる、ならないの問題よりも重大じゃないかと思うのです。これから助成金をやるから倉庫を建てろといっても、これはもう問に合うものじゃない。 それからもう一つは、農村の実態というのは農林省の逆ばかりいっておる。たとえば、秋田県の知事さんはわれわれに何とおっしゃったかというと、政府には悪いけれども、作付転換をすすめる気持ちは私にはみじんもありませんと、はっきりおっしゃった。なお、稲の量的な、質的な増産には全力を尽くします、こうおっしゃっている。五年前から一チーム二十人、二十三人のチームで七百五十キロ以上の反収をあげた者には、一チームに二百万円現金で賞金を与えるという約束をしてこれを実行してきた。一年目、二年目、三年目まではだれももらえなかったが、四十二年度には一チーム、四十三年度には六チームもらった、千二百万円とられたがうれしかった、こう言うのです。こういう勢いで、米以外に間に合うものを与えないから、倉庫が割れるといったって、腐るといったってこういう実態があるのです。 そうすると、一体秋田県知事の考え方が間違いなのか、農林省の考え方が間違いなのか、われわれも実は判定に苦しむ。これは長谷川さん、こういう事態をあなた方は一体どう考えて、農業の現実をどう考えてやっていますか。これから審議会にかけてなんというものじゃない。もうしりに火がついている。いかがです。
○長谷川国務大臣 私は、知事さんの考え方は間違っておったとは申し上げません。りっぱなものだと思います。 したがって、今日そういう結果をもたらした原因がどうだったかということにもございますので、そういう点について、価格政策ばかりではなくて、今後は構造あるいはまた生産、こういうような政策に転換をすべきものは転換をして、そして総合的に開発をしなければ相ならない、こういうふうに考えておるのでございまして、私は、いま秋田県の知事がおっしゃったように、幾ら全量政府が買い上げるといっても、まずいものまでつくってはいかぬ、ただ生産だけが目的じゃなくて、消費者が好むうまい米をお互いがつくろうではないかとおっしゃったことは、言われるとおり、そのとおりで、実にりっぱだと私は考えております。
○米内山委員 秋田県知事がりっぱだとすれば、農林省は間違いだということになる。あなた方は米をよけいとらないように減反を奨励しているとき、開田も進めるし、さらに反収も上げようという県知事がりっぱだというなら、あなた方はめちゃくちゃだということになる。それを白状しているようなものです。 さらに、土地の流動化、小作制度を復活させないと、農地が荒らしづくりになるということを便々とあなた方はおっしゃるけれども、一体わが国の水田の裏作の麦作がどうなったか。一反歩や二反歩都市近郊で草がはえていると、この土地売りますという看板になるが、そういうわずかばかりの農地より、何十万町歩という冬作をやめ去って、草こそ便々とはえているかどうかわからぬが、国内で生産さるべきものがほとんどなされない。そのために農家の冬作業がなくなって、出かせぎをせざるを得ないというような悪循環さえ生じている。一枚、二枚のたんぼに荒らしづくりが起きるということよりも、こっちのほうが重大だと思うのです。過去において生産をあげておった裏作が、何十万町歩というような、あるいは百万町歩こえるかもしれないものが荒らしづくりか、つくられないでいる事態についてどうお考えになるのですか。
○長谷川国務大臣 何回申し上げても同じことでありまして、でありますから、今後は構造政策、生産政策のほうへ大いに転換して、そういうことのないような方途に持っていくというのがわれわれの使命である、こういうふうに申し上げておるのでございます。
○米内山委員 どうもこれは困ったね。すべてがこれから始まるというのですか。もう一切御破算にして、これから分別して審議会にかけてから日本の農業政策を始めるという意思なんですか。現状をどうするというのです。リンゴの問題もあるし、ミカンの問題もあるし、すべてのものが来るところまで来た現状において、何をやればいいかということをみじんも方向を示さないで、これで一体農林省、農林大臣というものは農民に顔向けがなるものだろうか、はっきり言ってください。大和田さん、あなたの知恵ならごまかすことばも二つや三つあるだろう。
○大和田政府委員 私ども昨年の十一月、「農産物の需要と生産の長期見通し」を出しまして、いわばの強いもの、生産を増強してしかるべきもの幾つかの農産物をあげたわけでございます。ただ、これは全体としての見通しでございますから、具体的に農家なりあるいは村なりが、農業の生産活動として実践するための指標としては、きわめて抽象的なものでございます。 したがいまして、現在地方農政局単位で、生産の見通しの作業をせっかく続けておるところでございまして、これができましたならば、県単位あるいは県内の農業地域別に、できるだけすみやかに農産物の生産の見通しを立てて、私どもできるだけ農業団体等によって自主的な生産と出荷の計画化を進めて、全体としての供給過剰の問題をできるだけ回避しながら、農業生産を伸ばすために努力いたしたいと思います。
○米内山委員 あなた方の考えの一つとして、農業の構造拡大といいますか、協業経営ということばをよく言われる。小さい経営者を集めて、そうして経営規模を拡大して近代化をはかるというのだが、これはどういうところに思うように伸びない理由があるとお考えですか。その原因がはっきりしないと対策は立たないわけです。基本法がしかれて、協業経営とか共同化ということを唱えてからもうかなりになるわけです。ある程度、この広い国に千か二千はあるかもしれないが、できてはくずれ、新しいものができては混乱するというような実態の中に、一つの重要な問題があると思うのですけれども、何かありませんか。
○大和田政府委員 基本法実施以来、協業の助長ということで私どもも力を尽くしまして、いわばさいふを一つにいたしますところの協業経営が約五千、それに至らないで、いわゆる集団的な生産組織が、稲について一が四千ほど現在できておるわけで、協業の助長というのは、私どもはいろいろな形で、地方独得の形で相当な勢いで進んでおると思います。 ただ、それがなかなかきわ立って進んでおりませんことの理由といたしましては、さいふを一つにする協業経営は、五千の数の中身を申し上げますれば、部分共同が大体九割程度で、全体の共同は一割くらいでございますが、できたり消えたり、できたり消えたりしているものが相当多くあるわけでございます。 これは一つは、大型の機械がまだなかなか日本に定着しておらないという技術的な理由もございますし、それから、農業の特色として、農家は自分の計算で、自分の頭で、できるならば農業経営を営みたいというふうに思うことも真実でございます。そういう問題もございますし、また、日本の従来の伝統からいって、企業者報酬といいますか、マネージャー報酬といいますか、生産組織を指導する人たちについて特別の報酬を出すことを、なかなか一般の農家が納得しないという事情もあって、中心となるべき農家がなかなか定着しないという問題もございます。 そういうふうに経営の面、技術の面、いろいろ問題があるわけでございますが、全体としての流れから見ますと、そう目立った動きはないけれども、私は、協業の方向が少しずつ出てきておるというふうに言ってよかろうと思います。
○米内山委員 大和田さん、この間からさいふを一つにしたということばを好んで使われるようだが、日本じゆうにさいふを一つにした共同経営というものがありますか。私の知っているのでは、ずいぶんさがしたがたった一つしかない。それに類似したものは三、四カ所あった。共同経営といっても、組合の金庫は一つだが、毎戸のさいふは別々なものでしょう。 そうするといろいろな問題が起こるのです。土地を出資して、そうして作業なり機械を共同でやったときに、個々のさいふの要求というものはそれぞれにたいへんな違いがある。たとえば、共同経営を出発したときに、提供した土地の地代を幾らにきめるかというところにまず問題があるのです。これを高くきめますと、働いた労働日に対する配当は減るのです。これを高くしますと、二町歩出した人は、二十万円もとれると出かせぎに行くのです。機械を使っている間は少ない労働力でいいが、田植えの段階になると手不足になります。そういうふうに、地代を中心にした共同経営には重大な阻害があるし、毎戸の経済的な要求というものも違う。たとえば、夫婦間に子供がなくて、働ける養子をもらってきて嫁をとるという人もあるし、八人も子供のある世帯もある。そうすると、片一方は飯米も余るし、片一方はかせいでもかせいでも不足がある。わが国に共同経営が成立しないという根拠の中に地代問題があるし、社会保障制度の不備があるのです。こういう基本的な問題を抜きにして、あなたのようなさいふを一つにするという、おとぎ話みたいな、夢みたいなことで、共同経営というものは絶対に伸びるものじゃない。だから、さいの川原の石積みのように、新しくできると古いのがくずれていくというのが実情じゃないでしょうか。 だから、農業の近代化を進めようというならば、農林省の中だけの総合農政じゃなく、政治全体の中の総合農政、税制の問題も大事でしょう。貿易関係も重要でしょう。こういうことに触れずして、あなた方は総合農政ということを口にし、そうしてさいふを一つにした理想的な共同経営なんということはちょっとおこがましい。農村の実情から見てナンセンスだ。私はそう思うのだが、それでもなおかつあなた方はこれに確信を持ちますか。
○大和田政府委員 さいふを一つにする協業経営というのは、いわば比喩的に申し上げましたので、正確に言えば、比喩でも、金庫を一つにしたと言うほうが正確でありましょう。私ども、そういう金庫を一つにした完全な協業経営というものが決してやさしいと思いませんし、また、役所の行政としてそれを相当強力に進めることが、なかなかむずかしいということも承知いたしておるわけでございます。 したがいまして、私どもがやっておりますことは、そういういわゆる協業経営というものを強力に推し進めるというよりも、むしろ集団的な生産組織という形で、農作業の協業化ということをまず前面に出して、現在行政をいたしておるわけでございます。金庫あるいはさいふを一つにした協業経営というものが、そんなに簡単にうまくいくとは考えておりません。
○米内山委員 何をやっても引き合わないという農林省に対して、これ以上追及する腹はありません。 そこで農林大臣、ひとつ新しいことを申し上げます。もっと農産物の国産奨励を積極的になさったらいかがかということです。秋田県知事が、県庁内にいろいろな栄養士さんもいるだろうし、食品の知識のたくさんある方もいるだろうが、これらの人を集めて、米でパンをつくるくふうをせよと命令したそうです。その根拠は、われわれ子供のときに玄米パンというものがあった。米と麦で、できたならば米だけでパンをつくって、一般学校給食に向くように、市販にも向くように、それができなかったら、麦との混合比率で、どこまでいってどういうふうなものをつくればいいか研究せよと命令したら、できたのであります。大体麦と米、玄米をいってから粉にするそうですが、実にすばらしい、おいしいものができた。委員長もわれわれもごちそうになってきた。池田さんは、貧乏人は麦めしを食えと言ったけれども、あれならば、三割ないし五割の麦をまぜたパンを国民は喜んで食えると思う。ものはアイデアなんです。いまアイデアばやりです。秋田県の知事さんのこの考え方は、実に着実だと思う。 くだものの過剰生産だって、農林省にそういうくふうと積極的なそれを進めるという指導性があれば、できるはずです。たとえば、ミカンが余った余ったという、リンゴが余った余ったというが、特にリンゴの場合は、ナイフを使って四つに割って食うが、あれをつぶしてジュースにして飲めば、一回に三個分くらい飲むわけです。コカコーラなんというつまらぬものが、国産のサイダーを制圧するくらい売れている世の中に、飲んでおいしい生ジュースがなぜ国民に売れない理由があるか。そこに政治が不足だからだ。飲めば薬になるようなもの、この過剰生産に農林省がアイデアを添加したならば、リンゴもミカンもがぶがぶ飲むようになって、まだ不足のはずだと思うが、ここらあたりに農林省は気がついていませんか。
○長谷川国務大臣 消費の拡大をいかにはかるかという点については、いろいろの一面についてかなり交渉もしておりますし、今後の消費をどう持っていくかという点については、研究もしております。しかし、なかなかそうはいかない、いまのお話はごもっともなお話でございますけれども。 たとえば、学校の給食にいたしましても、文部省ともかなりにわたって、こうもいたしたい、ああもいたしましょうというような話もいたしておりますけれども、文部省は文部省としてのまた立場がございますものですから、PTAがどうでこうでというようなお話もございまして、なかなか消費の拡大は、いまおいそれというわけにはまいりません。何といっても粉食というものをこれだけ奨励し、そして定着しているのですが、またその反面、ごもっともだと思いますけれども、現在の日本の状態からいって、消費の拡大をはかるためにはかなりの努力を要するし、また、しているつもりでございます。
○米内山委員 官房長、大臣は何もしゃべらないで下がってしまったが、いわゆるくだものなどをもっと大量に消費に乗せるためには、いわゆるジュースなどにして、もっと豊富に、衛生的に供給する方法はあると思うのです。ドイツはそうなんです。ドイツにもコカコーラの看板は一ぱい立っているが、ドイツ人というのは飲みませんよ。そしてドイツ人はくだものというとブドウ酒を飲む。その次にはスグリといいますか、その生ジュースを飲む。ですから、ドイツではリンゴよりも多いのです。一番消費の多いのはブドウで、その次は日本でいうスグリ、グースベリーです。だから、ぼくは非常にこれは健康的だと思う。コカコーラも売ってはいるが、あんなつまらぬものは飲まないというのは、ドイツ人のえらさだと思う。コカコーラを飲めばビタミンCが補給されるとか、元気になるというならともかく、食いものというものは、単に口ざわりがいいというだけでは意味がない。 人間のからだと食物というのは、ストーブと燃料の関係と同じではない。ストーブと燃料の関係ならば燃えてあたたまればいいけれども、食物というものは、悪いものを食ったって何にもならない。食ったものは、血になって肉になるというような関連がある。いいものを食わせれば健康なからだができる。食品添加物から何の役にも立たないものまで、自由主義だなんていうことでやっている間に、薬屋が日本一の金持ちになるような世の中をつくった。これは厚生省だけの責任じゃなくて、農林省にも大きな責任がある。人間の健康の根源をなすものは食物なんです。 それで、いまミカンのほうだって同じでしょうが、リンゴも品種改良といっている。いま青森県あたりでは、リンゴの高つぎによるフジだとか何だとかいう高級リンゴをつくろうとして、六年、七年は生産も戻らぬ。それで、これまでの紅玉とか国光というものは買い手がない。日本じゅうどこのいなかの駄菓子屋の菓子も虎屋のようかんのようになったら、虎屋のようかんの意味がない。くだものを菓子と心得て、千疋屋だけで売らせて高い金を取ろうというような考えが間違いだ。所得マニアということばがあるが、これはあなた方の指導から出たものだ。所得マニアというのは、ことばをかえれば銭ばかということなんです。命がほしいか金がほしいかというときに、わしは金だと言ってどろぼうに殺されたやつのようなものだ。こういうように、目先の金だけを求めなければならないような農村にしたのはあなた方の罪なんです。こんな男にだれがした、これは長谷川さん、あなたにもその責任がある。 そこで、男長谷川にここでリンゴの問題、ミカンの問題に対しては、虎屋のようかんのようなリンゴをつくっても、そうなればやがては日本じゅう同じ結果になるのだから、いわゆる加工の問題、消費の問題について、新しい観点に立った政策をぼくは考えてもらいたいと思うのだが、そういう勇気はありますか。
○長谷川国務大臣 たとえば、過剰のリンゴにいたしましても、夏ミカンにいたしましても、何とかそういう方向にやりたいということでいろいろな話が来ておりまして、そういう面についての助成も、こういたしましょう、そういう工場を建てるのにはこうもいたしましょうというお話はかなりしてやっておるつもりでございまして、そのおことばのように農林省はやっているつもりでございます。 ただ、米内山さんのアイデアを農村へ行って言っていただきたい。私たちだけが聞いてもなんですが、私たちも伺っておきますけれども、そういうアイデアをひとつ農村にお帰りになったら、十分聞かせてやっていただくところに政治のうま味があるのじゃないでしょうか。もちろん、われわれはその責任を回避しているものではないけれども、ただ農林省だけの責任だということでなく、それだけのごりっぱなアイデアがあったら、これを地方にお帰りになって聞かせてやるというのが、政治というものの妙味じゃないでしょうか。どうかそのようにお願いいたします。
○米内山委員 世の中が進んでくれば、人間に思考力がなくなるのかどうかわからぬが、物の不足が苦しいのか、物が豊富になって幾らかの余剰が出たのが、国家として、国民として悲しむべきことなのか、その認識をひとつはっきりしてもらいたい。戦争直後のあの苦しいときの悲しみと、いまわずか二年くらい米が余ったことの苦しみと、まず、ここらあたりをひとつ大臣どうですか。
○長谷川国務大臣 決して苦しいとも思っておるわけじゃございません。要は、つくったものは全部無制限買い入れでやっておるのですから、苦しければやらないはずでございます。苦しくてやっておるのじゃありません。 しかし、こういう事態を見たときに、われわれはそれをこのままえさにしていっていいか悪いか。農民の考え方がそうであるなら、これはやむを得ないかもしれない。しかし、農民もそれを決して好んでいるわけではないでしょうし、政治を行なうわれわれも、このまま見過ごすわけにはまいらないでしょう。こういう点から、私たちは作付の転換も、やむを得ない部分としてはやってもらわなければならない。ただし、御無理を申し上げているわけではございません。また、その反面にはいろいろ、米内山さんも知っているとおり、カントリーエレベーターというようなものを五千ヘクタールの水田群に対して助成するとか、いろいろなものをできるだけ補助して、そして生産は生産で高めていく、生産コストを引き下げてもらう、こういうことも行なっておるのであります。 リンゴの例もいまおっしゃるとおりであって、たとえば、紅玉にいたしましても、国光にいたしましても、デリシャスにいたしましても、かつてはあれほど歓迎されたものを食べなくなってきたという理由は、やはり何といっても時代がそう変わってきているのだから、時代に沿った作目をつくってもらうということ。これは何をつくればいいんだということばかりは言えないので、つくる方々もお互いに考えるときが来たのではないでしょうか。 こういうような考え方に立って、われわれは指導する面は十分に指導し、助成する面は十分に助成して、その目的を達しなければならないと考えております。
○米内山委員 リンゴは、バナナの自由化と直接関係いたします。いろいろそういうふうなことを抜きにして、リンゴはまずい——うんとうまいリンゴですよ、紅玉なんというのは。人の嗜好が変わったというよりも、政策が変わった結果そうなってきた。だから、貿易政策まで考えながら日本の農業をやってもらわないと、だめになるということを言うわけです。 それから大臣、いま北東北のほうは非常に天気が悪い、冷害夢みなんです。農林省は半分くらいは喜んでいるんじゃないかと思うようなあんばいです。一体この冷害を防止するために、現在農林省は何か対策を立てていますか。気象関係の長期予報は、確かに悪いような予報になっているが、一体どうします。
○大和田政府委員 ことしの長期予報、それから実際の気温の動き等から見ますと、実は昨日も地方農政局長会議をやったのでありますが、数日稲の生育がおくれている。非常に冷害としてたいへんだ、たいへんだという段階ではないけれども、相当注意をしなければならないということでございます。 したがいまして、私どもも相当前に長期予報をもらいましたときに、地方農政局を通じて県に対して技術指導をやりましたし、また、その後の天候の推移に従いまして、最近も農林省の各技術部局が寄り集まりまして案を練りまして、地方農政局を通じて、県庁に対して十分注意するように通達をいたしたわけでございます。
○米内山委員 では何とおっしゃっても、とれないことを喜ぶような顔つきをしているようです……。 そこで大臣、日本の農業はこれから大々的に山登りをする段階じゃなかろうか。平地の離農者の土地を流動化して経営規模を拡大するというよりも、まだ何百万町歩もある土地資源というものを、現在のような科学の進んだ社会において、ヨーロッパ並みに農業に使えないという理屈はないはずです。特に山村部へ行くと、一番近いところには、炭やたきぎをとった雑木林があるわけです。これはもはや需要がない。かといって、山林地主はこれを伐採し、整地をして杉山をつくろうというような経済環境にもないのです。労力も不足です。そうして、三十年、四十年しなければ金が入ってこないものに、どうしても一般的には手がつけられない。こういう里山を中心にして開発する。飼料対策なしに進められた日本の畜産というものは、いかに農学的に不合理なものであり、不安定なものであるかということは明らかなんです。 いろいろなことをやることも大事だが、日本の農業を大々的に山登り——ハワイの真珠湾を攻撃するとき、「ニイタカヤマノボレ」という暗号でいったそうだが、日本農業山登りぐらいな勇ましい号令をかけて農業の近代化、同時に、あなた方が基本法制定以来やってきたように、国民の生活水準が高まれば、当然畜産物の需要がふえるという前提にあるならば、輸入飼料だけでやる、言うならば、アメリカの賃金の高い国の原料を輸入して、アメリカよりも所得の低い国民に大量に乳肉製品を供給しようということにも間違いがあるし、国内の資源を活用して、日本農業を大々的に山登りさせるという構想が、自民党の何部会かにあって、五年間に十何兆とか金をかけるということを二、三日前に新聞で見たが、やはりそれぐらいな構想があるのですか。大臣からそれをちょっと聞いておきたい。
○長谷川国務大臣 畜産関係もさることながら、いま公害問題等が起きてきて、養豚、養鶏、こういう点にもなかなかむずかしい面が出てきておりまして、そういうような点から意を用いまして、どうしてもそういう山登りをするといいましょうか、そういう方向に向かって今後のこの種の経営を行なわなければならない、こういうような考え方の上に立っていろいろな施策を加えておりますし、草地の改良等におきましても、そのとおりであります。 畜産という点につきましても、ただわれわれは輸入をするのが目的ではないのでございまして、そういう面をなるべく国内で需給を間に合わせたい、こういうような点から、予算にもあるとおりの方向づけをして、今年も大いにその点について進んでおることを申し上げておきます。
○米内山委員 ここらできょうは終わりますが、最後に農地の壊廃問題なんです。 というのは、最近東京周辺に、ずいぶん砂利などをとって、農地が不当に転用され壊廃しているのが多いといわれている。それからまた、そういうふうなことを通して、岐阜県ですか、出納長などが逮捕されたというような事件もありますし、農地のそういう問題について事件があるわけです。 その中で、最近砂利の需要が多くなり、河川敷からとることは困難になって、古い河川、すなわち川の堤防の外側と申しますか、耕地の下から砂利をとることが非常に盛んになってきている。東京都下、厚木周辺でもそうですが、その際十メートルもそれ以上も直に掘りまして、それが沼のようになって危険も伴い、隣のたんぼもくずれていくというのですが、それが全く放任状態になっている。これには、いわゆる農地のそういう管理をする市町村の農業委員会も、県の農業会議も、県の農地課も何ら手を打たない。そうして事態が進んでしまってから、掘った業者だけが悪者だというふうな責任のがれをやっている。それをやって業者を処罰してみたところで、事態は回復されない。 そこで、砂利採取法といいますか、この問題は農林省と通産省とに関係がある。この問題について、両省の間の法律のかみ合わせが悪いのか、どこにこういうようなことが放任されている原因があるのか、まず、農地局長からひとつ御答弁を承りたい。
○中野政府委員 砂利の問題につきましては、先生御指摘のような事態があちこちで起きております。そこで、通産省のほうでも昨年お考えになりまして、砂利採取法を新しくつくられたわけでございます。 それと農地との関係ということになるわけでございますが、その法律をつくる過程からも、いろいろ通産省とわれわれは相談をしておりまして、あの法律が実施されましたあとは、通産省のほうの砂利採取法で採取計画の認可というものがございますが、それと農地転用との関係を、都道府県の段階で十分事前に、農地部局と砂利採取の監督をしている部局とが相談をいたしましてやるという原則を立てて、事前の調整をいたします。そして、いまお話しのように何メートルも掘るというような事態がございますから、それにつきましては必ず埋め戻しの条件をつける。それからまた、過大な面積を大量に一ぺんに許可はしないで、たとえば一年間掘る場所だけを許可するというようなこともやっていきたいということで、十分連絡調整をやっているわけでございますが、順次いまのようなやり方が浸透しますれば、砂利採取法と農地転用との間の調整ができてくるというふうにわれわれ考えております。
○米内山委員 そこで、これが小さい場合はその程度のことでいいかもしれませんが、いま青森県から農林省に対して、二百四十ヘクタールくらいの砂利採取のための農地転用の申請が出て、事前審査をなさっているわけです。青森県というのは地質の関係からいって、山岳部には、山の石を砕いても良質の石は少ない地帯でありますので、何としてもやはり川の砂利に依存しなければならないという実情もあるわけであります。しかし、いまのようなやり方で二百ヘクタールも、いかにそれが地域開発やら新産都市建設のために重要な資材であっても、砂利採取のために美田が壊廃される、その反面、条件の悪いところを開田しているというようなことは許されるはずがない。 これに対して、農林省はいままで何ら対策を示していない。答弁するときはじょうずに答弁しますが、一つの法律でも二つの役所にまたがるときは、昔の殿さまの歩いた道路と同じで、国境の峠を行くときは、かごからおりて歩かなければならないような不自由な、いわゆるなわ張り主義というか、割拠主義というか、そのために、産業ないし国民のこうむる迷惑はきわめて大きい。この問題について通産省でも、砂利という資材が必要ならば、もっと具体的に、埋め戻しを条件に許可しますというよりも、埋め戻しできるような指導が必要だと思う。 たとえば、個々の業者は資力が乏しい。それで掘って金をとるときは勇ましいが、掘り尽くしたあとは倒産だ、逃げたといったら、それはあとに沼が残る。あとは野となれ沼となれだ。こういうことに対しては、積極的な指導性を持つ必要がある。これは通産省だけの問題ではないし、農林省だけの問題ではない。こういう具体的なことについて、たとえばそこの企業を合同化するとか、そうして砂利一立米から何ぼかとって、あらかじめ事前に埋め戻しの財源というものを確立し、そのための資材を整えてやるというようなことがあれば、この資源もあまり抵抗なしに、損害をせずに開発ができる。実はこの砂利の資源価値というものは、場合によっては黒ものよりも面積当たりの生産価値は多い。付加価値の高いものです。それを、ただ山師的に乱掘して土地の壊廃を来たさせておるということは、実に見のがしておかれない問題だとわれわれ思う。農林省なり通産省においでを願っておりますが、これに対する対策なり見解をお尋ねしておきたい。
○中野政府委員 ただいま御指摘の問題は、青森県の十和田市から、二百八十八ヘクタールほどの転用をしたいという申し出が、東北農政局まで来ておるわけであります。 それにつきましての態度といたしましては、先ほどちょっと抽象的に申し上げましたけれども、これを農林省側として、一度に転用許可を認めるというつもりはございません。やはりその業者の能力、それからその砂利の一年間の需要等を考えまして、その一年分を許可をすべきではないかと私は考えております。 と同時に、いまお話しのように、埋め戻しにつきまして先生のお話も非常に参考になりましたので、その点を頭に入れまして、厳重な監督、指導をいたしたいと考えております。
○倉部説明員 砂利の問題につきまして、米内山先生から御指摘がございましたように、最近著しく建築用のいわゆる骨材といたしまして、非常に重要な役割りがあるわけでございまして、そういった意味で砂利の採掘というものが盛んに行なわれておるわけでございますけれども、一方災害問題があわせて起こっておるわけでございまして、昨年そういった事情から、非常に規制力の弱かった旧砂利採取法の改正が行なわれまして、新しい砂利採取法が昨年八月二十九日に施行されたわけでございます。 通産省といたしましては、この新しい砂利採取法に基づきまして、各県と相談いたしながらこの運用の拡充をはかっておるわけでございますが、ただいまお話のございました青森県の十和田地区の問題につきましても、県あるいは農林省とも十分連絡をとりながら対策を進めておるわけでございますが、いま御指摘がございましたように、砂利採取業者の大部分は零細な業者でございますので、埋め戻しの問題につきましては、特に実効があがるような対策をあわせて考える必要があるということで、いまお話がございましたように、そういった業者の協業化と申しますか、共同化と申しますか、これは非常に有力な方法ではないかと考えるわけでございます。 そういった意味におきまして、幸いことしの五月二十一日に、これらの業者によりまして協同組合ができておりますので、今後農地法の転用許可の問題とも関連いたしまして、動向を見ながら、ただいまお話がございましたような協業化の方向につきましての指導ということも、検討してまいりたいというように考えております。
○米内山委員 大臣、いろいろ御質問申し上げ、たくさんの御答弁をいただきましたが、一番大事な、農民はあしたどういう農業、どういう作目をやればいいんだということについては、繰り返しの質問に対しても御答弁をいただけなかったことを、私の最大の遺憾事にして質問をやめます。
○三ツ林委員長代理 次回は明十八日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会