P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
61回国会衆議院1969/05/08

農林水産委員会 第27号

発言数
69
登壇者
7
会派数
2
開催日
1969/05/08

会議録

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 これより会議を開きます。  農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤良平君。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 私は、農地法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたしたいと思います。  まず、農地法の一部改正案が昨年国会に提出をされたわけでありますが、廃案になりまして、あらためて出されてきているわけであります。そこで、この農地法の一部を改正する法律案が提出される過程の中で、特に、その必要性についてどのようなことが主として検討されてこられたのか、これは内容に入ります前に、きわめて重要な問題でありますので、大臣の考え方をまずお聞きいたしたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 農地法の改正は、農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されなければならない、そうしてその流動化を促進する等、土地の農業上の効率的な利用をはかることをおもなねらいとして農地法の改正案を作成、提案した、こういうことでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 この提案理由の説明あるいは補足説明にもありますように、農地法の改正の主としたねらいというものは、農地の流動化によって——いま非常に農業構造が変化している、その状態の中で自立農家の育成というものをこの農地の流動化に求める、このことが主としたねらいではないだろうか、こういうようにこの提案理由の趣旨からいたしますと考えられるわけであります。  そこで、この農業構造の具体的な変化について、これまた大臣にその実態につきましてお伺いをいたしたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 御承知のように都市周辺が非常に農地が壊廃をされてきておる。その実態、またさらに過疎地帯における農村の振興問題、こういうような点をあわせ考慮して振興をはかっていかなければならない、こういうような考え方の上に立って、すべてが織り込まれておると信じております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 きわめてあいまいであるわけでありますが、農業構造の変化というものがどういう形の中で行なわれてきたのか。このことについては、ただ単に都市近郊の農業のみならず、現実には過疎地帯というものまでも発生をしておるような状況であるわけでありまして、これには、少なくとも農業を、すなわち日本経済的な観点からとらえてみる必要があると私は考えているわけであります。  したがって、この農業構造の変化というものが、ただ単に農業の立場からではなくて、むしろもう少し外的な要件の中でこのような状態が発生したのではないだろうか。こういうように考えるわけでありますが、この点に対する分析について、もう少し深く踏み込んで御説明をいただきたいと思います。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話しございました農業構造の変化は、確かに農業自体の変化もございましょうけれども、高度成長経済の影響を非常に受けております。たとえて申し上げますと、農村の人口はどんどん減ってきております。就業人口も、最近の統計では三・三%、今後の見通しとすれば四%くらい減るのではないだろうか。それから農家戸数も、就業人口の減り方ほどではございませんけれども、徐々に減ってきております。  その中で基本法制定以来構造改善事業を進め、あるいは機械化を進めてまいりまして、選択的拡大も進んできております。そういうようないろいろな事情から、日本農業の最近の事情は、高度成長経済の影響を受けまして、農業内外ともに非常な影響を受けているというふうに考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 私は、この農業構造の変化というものが、確かに農業自身のいろいろな技術の開発なり、あるいは近代化という大きな要素を持ちながら変化をしてきたということも、その一つだとは思いますけれども、しかし、現在のような大きな兼業化への方向、あるいはまた大量の人口の流出、こういったものは、非常に外的な要因というものが多いのではないかというように理解をいたしているわけであります。  そこで、現行農地法の果たしてまいりました意義と申しますか、ここで現行農地法を変えなければならないそのことについて——特に現行農地法の果たしてきた意義というものを、この際あらためて見直してみる必要があるのではないだろうか、こういうように思うわけであります。この点について、若干農地法の提案理由の説明等におきましても出されておりますけれども、その功罪について二三の問題ではっきりしていただいて、私は次の問題に入っていきたい、こういうように思いますので、お聞かせいただきたいと思います。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 農地法の功罪というお尋ねでございますが、御承知のように、戦前のいわゆる旧地主制度というものを、戦後の農地改革によりまして打破いたしまして、広範な自作農を創設したわけであります。二百数十万町歩ぐらいの小作地を政府が買い上げまして、これを耕作者に売り渡した。これによりまして、戦後の日本経済の復興というものに最大の寄与をしたというふうにわれわれは考えておるわけであります。この農地改革がなければ、はたしていまの日本の経済になっていたかどうかという問題もあるように、われわれは非常に高く評価をしているわけであります。そして昭和二十七年に農地法を、自作農創設特別措置法、農地調整法を統合いたしまして恒久法としてつくって、この成果を維持したいということできたわけでございます。その後十数年を経まして、先ほどからお話しございますように、農業内外の情勢が変わってまいりました結果、この零細な経営のままで固定しておいたほうが、はたしていいのかどうかという問題にぶち当たってきたと私は考えるわけであります。  そこで、最近の情勢を見ますと、やはり限られた日本の狭い国土の農地でございますから、その農地がより効率的に使われる方向に、土地の制度というものを持っていかなければならないのではないかというふうになったわけでございます。したがいまして、農地法に罪はないと思います。農業の事情が変わってまいりましたのに応じまして、農地改革の成果の上に立ってよりよくしていきたいというふうに考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 農地法の果たした役割りは、非常に多面的であったと思うわけでありますが、特にその中で、日本の農業生産力の発展に寄与してきた力というものは、非常に大きかっただろうと私も思っておるわけでありますし、さらに、農業者の社会的、経済的地位の向上という面については、これまた日本の民主化の中における重要な役割りを果たしてきただろうと思っておるわけであります。さらにもう一つ問題は、高額小作料からの解放というものが、やはり非常に重大な問題であったと思います。したがって、この農地法の果たした意義というものを、今後その成果を維持する使命というものが、私はこの農地法の中にはあるように思うわけであります。  このたびのこの改正案が、その成果を維持する使命として、十分にそのことを果たし得るかどうか、この面について私は若干の疑問を持たざるを得ないわけでありまして、この点について、これはひとつ大臣のほうから、農地改革の成果を維持する使命というものを踏まえて、この新しい農地法の改正というものを出してきたのか、この点をお伺いしたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 農地改革後二十年余を経て、現在では農業者の地位も向上いたしましたし、また、経済の発展に伴って雇用の機会もふえてきております。そういうような観点から考えますと、他産業に就業しつつ農業を継続しておる生産性の低い兼業農家が増加してきておることも、ただいまのお話のとおりであります。このために、農地の効率的な利用が行なわれなければならない、これが一つの問題でございまして、そこで、このような兼業農家の農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されるようにしていかなければなりません。  それには農地法を改正し、そして——私たちはいままでの農地法が、いま局長からも答弁がございましたように、いままでの農地法が必ずしも云々という意味でなくて、その果たした使命というものは、大なるものがあるということだけは認めておりますが、やはり何と申しましても、時代がこのような時代に変わってきておる。そこで、このような兼業農家の農地が、生産性の高い経営でより効率的に利用されるようにするために農地法を改正して、より高く生産性を高めていってもらいたい、こういうような考え方の上に立っておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 土地の効率的な利用ということをしきりに言われるわけでありますが、この点についてはいまから詰めていきたいと思いますけれども、零細農業から日本の農業が脱皮していく、そのために農地法の改正をして流動化をはかる、こういうことが一貫した考え方であろうと思うわけでありますが、後ほど、この兼業農家というものに対する考え方をただしていきたいと思うのです。  それでは、現在まで農地の移動が行なわれたおもな理由、あるいはまた農地の移動が行なわれた農家の戸数、そういうものの推移というものを私たちは見ていかなければならないと思うわけですが、この点に対して、傾向としてどのような傾向が出ているか、お伺いをしたいと思います。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 農地の流動化といいましょうか、農地移動の傾向についてまず申し上げたいと思います。  農地の流動化につきましては、所有権による移動と、それから貸借その他の移動があると思います。現在、農地法によりまして統制をしておりますので、所有権による移動は実績ではっきり出てまいります。賃貸借による移動につきましては、残念ながら統制がゆるんでおるといいますか、やみが非常にふえてまいりまして、把握しがたいという面がございます。そこで、一方農林省では、農業調査を毎年やっておりますので、その中での貸借の動き等から推定で申し上げたいと思います。  最近の四十二年では、北海道と内地では傾向がかなり違っておりますが、主として内地の問題について申し上げますと、所有権の移動と貸借の移動と合わせまして、七万五千ヘクタールぐらいあろうかと思います。その半分は売買、それから四分の一は賃貸借、あとの残りは小作地を返したとか、あるいは親が子に贈与したとかいうような傾向になってきております。その中で、手放しました農地の三分の一は五十アール、五反未満層が売ったり、貸したりしたものです。合計してみますと、約三分の二は、いわば経営の小さい農家が手放しております。それに対しまして、受け取ったといいますか、買ったり借りたりしたほうは、大体一ヘクタール以上層が、七万五千ヘクタールの半分を占めておるという傾向になっております。   〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕 特に、農業調査によります貸し借りの面では、その傾向といたしましては、下層から上層へ貸し借りの動きがだんだん目立ってきているように見受けます。  それから、所有権の移動につきましては、大体七反歩を境にいたしまして、七反歩以下の農家は売るほうが多く、買うほうが少ない。それからそれ以上は、その逆になっておるわけでございます。  そこで、いま申し上げました移動の面積七万五千ヘクタールというのは、内地の総耕作面積からしますと、数字にしてわずかに一・七%でございます。この数字が多いかどうかという問題がございますが、これは計算上の話でございますけれども、六十年たちますと、すべての農地が一ぺん動いたということにはなるわけでございます。その中で、離農した農家が手放しました農地は、七万五千ヘクタールのうちの一万六千ヘクタール。そのほか八千ヘクタールは転用や耕作放棄になっておるわけです。農地として移動したものは一万六千ヘクタール、それの約九割近くは五反未満の農家が手放しておる、あるいは貸しておる。特に最近では、零細農家が手放しております中の半分以上は貸し付けに回しており、所有権の移動よりも貸すほうが多いというような傾向になっておるわけです。  いろいろこまかく申し上げれば長くなるわけでありますが、そこで、どういう理由かということでございますが、取得するほうは自立経営になりたい、あるいは自立経営までにならなくても、やはり生計維持上面積をふやしたいという気持ちが、非常に多くの農家に現段階ではあると思います。と同時に、手放すほうの農家につきましては、兼業の安定化と関連が非常にあると思います。非常に兼業が不安定な場合には、なかなか農地は手放しません。しかし、第二種兼業になりまして、きちっとした会社、工場につとめるというふうになってまいりますと、だんだん手放していくというような傾向が非常に出ておるのではないかと思います。  簡単でございますけれども、大体概要は以上のとおりでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 いま計数的にお話しがありましたが、農地の流動化というものが、それぞれの立場で行なわれておるようでありますけれども、実際に政府が期待しているように、それが経営規模の拡大というものとつながっているかどうか、この点について、やはりもう少し分析をしてみる必要があると思っておるわけでございます。  特に、人為壊廃の面積というものが相当ふえておるようでございまして、この農地流動の中で、特に人為壊廃という問題をどのように私たちが理解をしていくべきか。農地法の改正でたとえゆるめたとしても、それが規模の拡大というものにつながるのか、あるいはまた宅地、工場敷地となって、人為壊廃という方向にさらに一段と流れていくのではないか、こういうことが考えられるわけであります。したがって、経営規模の拡大というものと人為壊廃への防止対策というものが、この農地法の改正でその役割りを果たし得るかどうか、この点についての考え方をお伺いしたいと思います。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたのは、農地としての取引の流動化でございます。それ以外に、先生御指摘の人為壊廃が非常に最近ふえてきておる。その中身は、御承知のように、畑の壊廃のほうが造成より大きい。もっとも最近、ここ数年は、水田の場合は壊廃より造成がふえてきておりますけれども、そういう傾向にあるわけでございます。  そこで、この流動化の傾向がどうなるかということでございますけれども、先ほど数字的に申し上げましたように、何しろ日本の農家の戸数は五百五十万戸前後でございますけれども、この膨大な農家が、毎年毎年生産を営んでおる中での流動化でございますから、そう簡単に流動化が急速に進むということはないと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、賃貸借の場合にしましても、あるいは所有権の移動にしましても、若干土地は上層のほうに動きつつあるというふうに思います。  その場合に、いま御指摘がありました兼業農家の問題がそこに入ってくるかと思います。現在の日本の農業生産の中で、兼業農家の占める地位というものはかなり高いと思います。これを全部切り捨てるというようなことはとうてい考えられない。それも、しかも農業内部の事情だけでなくて、農業外の雇用の条件、雇用の不安定さと申しましょうか、そういうものにもからんでくると思いますから、そう簡単にこの兼業は解消するとも思えません。したがいまして、徐々にではありますけれども、兼業化の安定を一方はかりながら、そして兼業が安定してまいりますと、やはりほんの二反、三反の土地を、昔の手の労働で耕作するというような傾向がだんだんなくなってまいりますので、そういう土地が、もう少し農業に専心したいという農家の方向に集まっていくであろう、こういうふうにわれわれ考えておるわけであります。しかし、こういう進み方が、急速に進むようなことはないと思います。少なくともいろいろな条件を考えながら、そういう方向に漸進的に持っていかなければならぬではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただその際、一つつけ加えておきたいことは、単にわれわれは自立経営農家で、個別農家が急に大きくなればよろしいということだけでは、現在の日本の農業の事情には合わないと思っております。一方では、現在各地で行なわれてまいっておりますように、集団的生産組織と申しましょうか、あるいは協業と申しましょうか、栽培協定から始まりまして、大型の機械を入れてきて、そして基幹オペレーターを雇っていくというような意味での規模の大型化ということも、同時に考えていかなければならないというふうに、われわれ考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そこで、この土地の効率的利用という問題についてであります。これは、目的でもそのことをわざわざ改正して加えているわけでありますが、この土地の効率的利用というものは、大規模経営になった場合に、そのことが土地の効率的利用ということになるのか。日本のような、いま局長がおっしゃったように、非常に零細な兼業農家をかかえているという場合に、土地の効率的な利用という面については、兼業農家であるがゆえに非常に効率が悪い、こういうことは一がいにはいえないのではないだろうか、私はこういうように思っているわけであります。  したがって、この提案理由の説明にもありますように、「農業の生産性を高め、国民食糧の安定的な供給と農業従事者の所得の増大をはかる」こういうことはどのことをさしていうのか。私は、少なくとも農業の労働生産性を上げていかない限り、日本の農業の生きる道はないと思う。特に、国際的に非常に激しく農産物の自由化というものが押し寄せておる現在の状態の中において、そのことが一つの前提条件となって問題というものが考えられているのではないだろうかと思うわけでありますが、その点についての、これは大臣のひとつ考え方をお伺いいたしたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 兼業農家そのもの自体の問題ではなくて、その兼業農家をいかに合理化し、そして、ただいまお話しのような生産性を高めていくか、こういう問題でございまして、この法案の目的というものも、いかに合理性を立てて、そして生産性を高めていくかということがその目的でございますので、御指摘のように、兼業農家がわれわれはいけないと言っているのでもなければ、兼業農家を打破するという意味ではなく、兼業農家そのもの自体をいかに合理的に、そして生産性を高めていくような方向に持っていくか、こういうような考え方が基本であることを御了承願いたいと思うのでございます。  先ほどからお話がございましたように、きょうここに来まして、この委員会の会場を見まして感じたことですが、かつての委員会の会場はどうだった、それはもう非常な効果をあげて、今日の日本の議会をここまで持ってきた。しかし、それでは足らなくなったから、こういう新しいものができた。これと同じように、こういうふうに持っていこうじゃないか、こういうような考え方であることを御了承賜わりたいと思うのでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 大臣、価格引き上げによる農業所得の改善の可能性というものは、すでにきわめて困難になってきた、こういうことを農林省は常に主張しているわけであります。私も、そのことは確かに一つの考え方だと思っているわけであります。しかし、それには前提条件がなければならないと思います。その前提条件とは何か。それは、労働生産性を高めて農家の所得を上げることだということになるわけであります。そういたしますと、今回出されたこの農地法の改正案というものが——もちろん私は農地法そのものだけによって、農業の労働生産性というものが高められるとは思っておりませんけれども、先ほどから質問してまいりましたように、農地の流動化というものが、この農地法の改正によって行なわれるかどうかというと、それは大きな期待を持つことができないのではないかと私は理解しております。  そういたしますと、この労働生産性を上げるためにはどうするのか。それは、現在ある既耕地の中でその流動化をはかるということだけで、日本の農民が救われるのかという問題です。この点について、私は大臣から大胆率直な御意見をひとついただいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 労働生産性、もちろんそのとおりでありまして、したがいまして、ただ既耕地だけの問題で解決をはかろうという考え方ではございませんので、それ以外の問題も当然同時に考えていかなければ、その生産性を高めていくという目的を達するわけにはいかないだろう、こういうふうに考えます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 それは大臣、たいへん抽象的におっしゃるわけでありますけれども、すでに具体的な法案が出ているわけでありますから、たとえば、先般通りました農業振興地域の整備法によって未開発の地域を開発していくとか、あるいは水の開発をはかるとか、いろいろな問題があると思います。ですから私は、そのことが相まって、農地法の改正というものと並行的に行なわれたときに、初めて効率的な効果というものが出るのではないか、こういうわけであります。これは、後ほど構造政策の内容を具体的に私はお聞きしたいと思っておりますから、そのときに聞きますけれども、抽象的ではなくして、労働生産性を高めるためにどうするのか、それは規模を拡大することだ、こう終始言っているわけでありますから、その規模を拡大することに、今度の農地法の改正案というものが多くの期待ができるのかどうか、できないとするならばどうするのか、そういうことを、この際大臣から明らかにしておいていただきたい。これができるならできる、こういうことでもいいわけです。これは、後ほどの論争で重要なポイントになりますので、そのことをお聞きしておきたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 労働生産性の拡大、したがってその基盤を拡大すること、こういうような点、また、借地による農地の流動化というような点も考えておるわけでございます。したがって、今回の農地法の改正というものは、たとえば、借地農というものを淘汰しようという考え方は決してないので、これからも当然あわせて育成していかなければなりません。  したがって、自作農そのものがその経営規模を拡大するというような点もあわせて含まれておりますし、また、自作地を中心として、これらに借地を一部加えて行なうことを容易にすることが、ただいまおっしゃるような生産性の拡大、経営合理化、こういうような点にも当然終局的には合致するものであろう、このように考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 日本の農業がこれから規模を拡大をするという場合に、一体どのような形で行なうのか。もちろん、これは総合農政という形の中で、選択的拡大の方向を歩んでいくのだということが明らかにされているわけでありますけれども、その内容は、まだ具体的になっていないようでありますが、この農地法の改正というものは、いま大臣のおっしゃるように、現在ある自作農というものを中心にして、あとは農地の流動化、いわゆる賃借をゆるめることによって、農地がそういう人たちに集まっていくということを考えているのではないか。したがって、言いかえるならば、日本の農業が今後規模の拡大をはかろうとするとき、それは離農を伴う農業経営戸数の減少にたよる以外にない、このように考えているのではないか。  その前提に立って考えているとするならば、離農促進の対策というものが、より積極的に考えられなければならないと思うわけであります。もちろん、それは具体的にいろいろ問題がありましょう。これはまた後ほど指摘したいと思いますけれども、そういうことに求めていないとするならば、これまた大量の社会資本を投入して経営規模拡大をはかっていかなければ、日本の農業は成り立たないわけであります。大臣、その点はいかがでございましょう。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 たとえば、兼業農家というようなものがある。かつてはその兼業農家も、兼業なくして農業に携わって、そうして収益をあげておった。その所得を求めておった。しかるに、今日においてはその兼業農家たるものが、いろいろな機械の導入等によって生産性が高まっていっておる。こういうような点から考えましても、私たちの考え方というのは、現在の兼業農家を淘汰するのではなくて、その兼業農家がさらに協業化していくというような、そういう上に立って生産性を高めていかなければならないだろう。それを高めることによって、おっしゃるような所得というものをなるべく増大化していかなければならない、こういうように考えておるわけでございます。  そうなってまいりますと、おのずから労働力というものも少なくて済むという、こういういろいろな点から考えまして、総合した上に立ってこれらを合理化していくということが、すなわち、今回提案をした大きな目的であろうと考えるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 非常にむずかしい問題でありますけれども、日本の農業というものを考えてみた場合に、三十六年にできました農業基本法の中では、日本の農業のあるべき姿、それは日本の農家と都市との所得の均衡をはかる、その規模はこれこれだ、こういう一つのビジョンというものが示されて今日まできたわけでありますが、それは三十六年の希望どおりには完全にいかなかった。むしろ逆に、兼業農家が大幅にふえていくという傾向をたどっているわけであります。  そういたしますと、私がさっきから指摘をしておりますように、日本の農業というものは、兼業というものを日本農業の中における生産の一翼をになうものとして位置づけて、兼業農家の合理化をはかり近代化をはかって、いわゆる農外所得というものに求めていこうとするのか。だとするならば、一体残った農家というものはどういう形で労働生産性を高める方策をとるのか。非常にむずかしい問題でありますが、私は、そのことをある程度明らかにしていかないと、日本の農業政策というものが途中で挫折をするというような気がするわけであります。先般から私はそのことをしきりに言っているわけでありますが、離農なら離農を求めて、日本農業は、農業で食っていけるという者がやはり中心にならなければならないとするならば、それに対する対応策というものがおのずから出てくると思うのであります。そのことを、私は農地法改正の前提として考えてみたいと思うわけであります。どうでしょう。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田政府委員 農業問題の基本に触れるなかなか重要な問題であろうと思います。私ども、基本法に基づいて農業構造の改善ということで、自立経営の育成と協業の助長ということをいって、現在までその施策を続けてまいってきたわけでございます。現在及び今後の日本の農業を考えます場合に、私どもは、やはり農業に専心してしかも農業で相当な生活水準が得られる、平たく言えば、農業で生活できる農家というのは、日本の農業の一つの中核であることは間違いないことだと思います。  それで、基本法制定のときもいろいろ御議論があったわけでございますけれども、単に統計の面で申し上げますならば、当時あるいは三十八、九年ぐらいから、町村在住の勤労者と同じ程度の所得を農業であげられるいわゆる自立経営農家というのは、大体調査農家の九%でずっと続いておったわけでございますが、四十三年度の農業白書をごらんになられればおわかりでありますけれども、四十二年度におきましては、それが約一三%というふうに相当大きな数になってまいったわけでございます。これは私は、一三%という数字について決して楽観はいたさないわけでございますけれども、自立経営は一向にできておらないではないかという御意見に対しましては、ここ数年間のうちに、自立経営というものは日本の農村に相当定着をしてきた、相当強いものになってきたというふうに申し上げることができるだろうと思います。  ただ、どこの国を見ましても、経営規模の拡大というようなことは、そう数カ年で目がさめるような変化というものはないのが普通でございまして、通常の場合でございますれば、いまの日本の農業の進歩の状態というのは、ある意味できわめて望ましいというふうに私は言えると思いますけれども、農業をめぐる内外の情勢が、日本の農業の合理化あるいは近代化を非常に要請いたしておりますし、また、農業者自身がそういう意識を持っておるわけでございますから、そういう点から言いますと、やはりまだまだもどかしさを感ずるわけでございます。  それと同時に、兼業農家の問題もございましたが、私ども農林省としては一度も、兼業農家が悪いとかけしからぬとか、そういうふうには申し上げておらないわけで、日本のようにとにかく農家が、最近におきまして八万戸ぐらい減っておりますけれども、それでも五百四、五十万戸あるところで、農地面積というのは六百万ヘクタール足らずでございます。しかも、高度の経済成長によって、都市の勤労者の生活水準あるいは所得というのはどんどん上がっているときでございますから、そういう条件において兼業農家が相当ふえていくということは、これは私は自然の勢いであろうと思います。  しかし、自然の勢いであるからといって、それをほうっておくことは私は賛成ではございませんので、やはり兼業農家が、とにかく七、八割も現にございますし、それから、その人たちの農業生産というのも、これもまた相当のウエートを持っておるわけでございますが、しかし、主人公が工場に出て、老人や主婦が農業に働いて過労に苦しむというような問題も現にあるわけでございます。また、兼業農家がある程度荒らしづくりをしているという事実も間々見られるわけでございますから、そういういわば社会福祉の面からいいましても、農業生産力を高める意味からいいましても、やはり兼業農家の農業問題というのは、私はきわめて重要なことであって、その兼業農家が相当保有しております農地につきましては、一部分は、今回の農地法の改正によって賃貸が進むということもございますし、また他面は、賃貸が進むという形でありませんでも、自立経営農家が中核となり、場合によりましては兼業農家自体の組み合わせによって、集団的な生産組織といいますか、ある程度まで機械を利用した兼業農家自体の農業生産性の向上というのは、ここ数年農林省として相当ウエートを置いてやっておることでございますけれども、今後も十分進めなければならないことだろうと思います。  それで、兼業農家が大いに減ることについて、かりに農林省が政策を進めるといたしますと、私どもそういう意図はございませんけれども、やはり社会的な摩擦、混乱ということが必至でございますから、兼業農家の兼業所得を高めるあるいは雇用条件を改善するということ、これは農林省だけでもちろんできることではございませんから、各省全体の協力を得て、兼業農家の所得を高めると同時に、農林省自体の仕事としては、片方では自立経営育成、片方では兼業農家を含めて協業化の促進という形で今後の農政を進めていくべきだ。その点は、ここ数年農林省としてはわりあいはっきり申し上げて、私ども自身もある程度自信を持って進めておる政策でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 この問題については、たいへんむずかしい問題でございますけれども、先般、EECのマンスホルト提案というのが一応出ておりまして、これを見ますと、EECにおきましては相当思い切った農業の構造改革というものを計画しているようであります。そこで私は、この日本の兼業農家というものを排除するということは、確かに非常に困難であると思います。ですから、そのことを配慮に入れながら日本農業というものは、一方で自立農家を育成しながら、兼業農家を日本農業の生産過程における位置づけとして近代化をはかっていく、こういう二面作戦をとらなければならないと私自身は思っているわけであります。そのようなことをはかりながらも、なおかつこれが正しい農業政策のあり方かどうか、こういう問題につきましては、私は、やはり本格的に検討してみる必要があるのではないか、こういうように思うわけであります。  したがって、その場合に、いま官房長がおっしゃいましたように、たとえば雇用の条件、こういうものも非常に重要な問題になるでありましょう。あるいはまた、この農地の流動化の問題等につきましても思い切った優遇措置を行なう。そういうようなことがフランスあたりでは相当とられているようでありますけれども、これは本人が納得していけば、それらの問題については強制的な問題でないと思います。ただ問題は、国家的な財政の投入というものが伴っていかなければ、その点についての解決は非常に困難になってくるわけでありますが、将来にわたってこの問題についてもう一ぺん、ひとつこれは大臣のほうから御見解をいただきたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 先ほどのEECの御発表もそのとおりでございまして、農業の生産性を高めるために各国が農業の改革を行なっており、これは、わが国としても見のがすことのできない現実の問題でございます。こういうような点も相考えまして、現在の農地法、農振法両者を並行して御提出申し上げておるわけでございます。  御指摘の財政面をどうするか、こういう点については、たとえば兼業農家を一つ見ましても、これだけ日本に定着している兼業農家を、いま即時これをどうするかということは、非常な困難性が伴ってまいります。しからば自立経営をどうするんだ、より拡大していく、こういってみましても、なかなか現在のよその各国がやっておられるような、四十町歩にするんだ、五十町歩にするんだ、六十町歩をやるんだとかいうようなことも、これはまあ当然不可能なことでございまして、その不可能の中からよりよい農政を行なっていかなければならない。したがってその中に立った、狭い土地の中において生産性を高めていかなければならぬ、これが日本農業の現在の使命でございます。  したがって、御指摘の財政等も、即刻来年度からということもなかなかできませんので、長期にわたって財政面については十分なる手当てを加えていかなければならない、このように考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 このEECの農業計画を見ますと、たとえば、乳牛の場合に一人四十頭から六十頭、肉牛の場合に百五十から二百、鶏の場合には十万羽、こういうような規模が一つの目標として出されているわけであります。もちろん、現在の経営面積からいたしましても、EECにおきましては平均が十一ヘクタール、日本の場合には一・二ヘクタールということが出されているわけでありますが、このように非常に開いている日本の農業というものを一体どうするのか。  いま私のところでは、久住、飯田の高原開発が計画をされつつあるわけでありますが、この規模を見ましても、たとえば乳牛の場合に二十頭、肉牛の場合に約五十頭、このような目標が立てられまして、粗収入約三百五十万くらいを計画しておるようであります。   〔仮谷委員長代理退席、委員長着席〕 これは軌道に乗った場合の一つの姿でありますけれども、このようなことを考えてみますと、三十六年にできた農業基本法の、いわゆる日本農業のあるべき姿といわれる未来像というものは、完全に計画というものを練り直さなければならない時期にきているのではないかと私は思っているわけであります。  このような国際的な農業の状態というものをながめてみるときに、それでは自立農家の目標というものは一体どういうことになるのか。もちろん個々の農家が、すでに七けたから八けた農業という農家も確かにあります。私も事実を幾らも知っております。これはしかしごく小部分であります。さっき官房長が言いましたように、自立農家は九%から一三%に伸びた、そのことも事実であります。しかしそれは、中間の層がそれぞれ分解をしているという事実もまた見のがすことはできないと私は思っているわけであります。したがって、やはり農業、食糧のにない手というものは自立農家が中心になって、それに日本の場合には、兼業農家の役割りというものを位置づけていくという状態というものを私たちが想定をするときに、自立農家の農業経営のビジョンというものをどこに置いて、国際的な舞台の中における日本農業を位置づけていくのか。私は、この農地法改正にあたってもそのことが前提条件になって、たとえば草地の利用権の設定等についても、そのことが明らかになれば、私は農民のこれからの経営の上において非常に重要な役割りを果たすだろう、こういうように思っているわけでございます。  そのことについては、非常に困難な状態でありましょうけれども、各国ともそういうものを出して、それに向かって構造改革をやろうとするならば、一昨年の八月でしたか農林省が出した、いわゆる構造政策の問題につきましても、私は、その点に対する大胆な政策というものが見当たらないような気がする。そこで、この際三十六年にできた農業基本法というものをやはり大々的に考え直して、新しい方針というものを出す必要があるのじゃないかという気がするわけでありますが、この点に対する御見解をいただきたいと思います。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田政府委員 先ほど申し上げましたように、自立経営農家を現在の段階で考えますと、町村在住の勤労者の世帯員一人当たりの所得にひとしいだけの農業所得を得られる農家ということで、水田でございますれば、水田単作ということでもございませんが二町五反前後とか、これは農業白書で詳しく御説明をしておるところでございます。ただ、一体五年先、十年先を見ましてそういう規模でいいかといいますと、それはやはり相当の条件が変化するわけでございますから、自立経営農家の所得水準というのも、他産業従事者との比較において確立されるわけでございますから、十年あるいは七、八年先を考えますれば、たとえば百七、八十万とか二百万とかいう数字におのずからなるだろうと思います。  それで私どもは、ヨーロッパその他の農業と違って、きわめて作目あるいは土地条件が違うわけでございますから、自立経営農家の型としてどのくらいのものを考えているかということは、現在明確にいたしておりません。一つの参考として申し上げますならば、昨年御審議をわずらわして御承認いただいた、いわゆる総合資金制度におきまして、大体そこまで五年ないし十年後に達せられる農業の型として、一応全国的に見ますと、水稲で四、五町とかあるいは乳牛で二十頭とか、そういうことを一応出したことがございます。  それで、自立経営農家というものを、将来長い目で見て一体どういうものとするかということは、実は先般も申し上げましたが、現在農政審議会に、今後の農政上留意すべき基本的な事項についてということで御諮問申し上げて、せっかく私ども勉強いたしておりますので、いまの問題も、私はその研究の中で十分取り上げて考えていきたいというふうに思います。  なお、十分御承知のことで私から申し上げる必要もないわけですが、マンスホルト提案で乳牛四十頭、あるいは小麦経営ならば八十ヘクタールないし百二十ヘクタールというものが一応のマンスホルト提案でございまして、あの提案をめぐって、現在フランス、ドイツ、イタリア等々において相当深刻な論議があるわけで、EECの農業の方向としては、ああいう合理化の道をたどらなければならないけれども、方法あるいは究極点においてあれでいいだろかということは、まだ全然未確定といいますか、これからの論議のようでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 私は、農林省に期待をいたしたいと思いますことは、すでに個々の農家におきましては、非常に意欲的な農業経営というものをやっているわけであります。むしろ農林省のこういった計画というものが、あとからおくれてついていっているというような気がするわけであります。もちろん、それらの農家というものは非常に進んだ農家でありますから、これを全体に普及するまでにはまだ相当な期間というものを必要とするでありましょう。しかし、現実にそのような農家があらわれつつあるという現実を踏まえて、日本の農業というものの絵をしっかりとかいていかないと、局部的な農地法の改正のみによっては、規模の拡大なり流動化というものが行なわれていかない、このように思うわけでありまして、その点については、これからの日本農業の歩むべき姿というものが、特に、たとえば生産単位で考えた場合も、単一経営の規模の場合には一体どういうことなのか、あるいはまた、さっき申し上げました兼業農家の場合に、部門協業とかいろいろな協業の形態を取り入れながら、どのような形で経営をしていくということが農業近代化の道になるのか、こういうことを総合的にいま出していかなければ、農民というものは非常に迷っている。いわゆる広野の羊にひとしいような状態にあるわけであります。このことを私はぜひ大臣に要請をいたします。すでに各国ともそういうような提案をなして、本格的な検討に入ろうとしている。日本の農業というものも、国際舞台にさらされなければならないという時期に来ている。そのときに、日本だけが十分の一や二十分の一の規模でいいのか、こういうことを私は真剣に考えてみたいと思うわけであります。  大臣、この点については、ひとつ思い切った農林省の対策というものをこの際出す必要があるんじゃないか。しっかりとひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 先ほども触れましたけれども、まさに他国がさらに農業の改革をやって、したがって、大規模農業の経営に移行しようとしている姿でございます。それでは、日本の農業はこれに並行して行なうのかといいますと、これはなかなか困難でございまして、たとえば、日本の一町歩で他国の二十町歩——この収穫そのものというか所得そのものというか、こういう点については、日本の農業技術がすでに物語っているように、これだけ狭い土地の中においても、生産性というものは、世界が驚異の的として日本の農業を見守っておる現状でありまして、さらに農地法を提案いたしまして、これだけ定着しておる兼業農家等を協業化して、そして農地の高度利用、生産性の向上、こういうことが並行してできるならば、必ずしも土地の拡大のみを目的とするものではなくって、その狭い中において、いかに生産性を高めていくかということが一つの問題でなければならないだろうと思う。  したがってわが国におきましても、わが国の狭隘なと言おうか、耕地の狭いと申し上げれば申し上げられましょうけれども、その中において合理化していくという、その合理化による生産性の高まりによって、他国との競争がここにあらわれてくるような方法をもっていかなければならないんだ、こういうように考えておるところでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 大臣は非常に心もとない答弁でございますが、私がこのことをなぜ主張するかと申し上げますと、たとえば、これはたいへん小さな問題もかわかりませんけれども、草地利用権設定制度の新設というような問題もあるわけであります。これはおそらく畜産ということになろうと思いますけれども、そういうものを公共の団体が大々的に開発をしていくという一つの手始めだと私は考えているわけであります。もちろん、この内容そのものについては、まだいろいろ問題がありますけれども、大きな意味で考えてみると、そのことを意味していると思うのですね。そういたしますと、さっき私が話を出しましたEECのマンスホルト提案にしましても、この十カ年計画の中で二十七兆円、七百五十億ドルというようなばく大な資本をこれから投入しようとしているわけであります。日本の場合には、日本の農業に対する現在までの投資率というものを見てみましても、非常に低いわけであります。したがって、日本の農業というものがそういう小さな規模でおくれているということがいえるわけでありまして、進んだEECの農業においてさえ、これからそういう大量の社会資本を投下しようとするときに、金がかかるからできないというようなことでやっていたのでは、日本の農業は依然としてじり貧という形の中で、結局外国食糧に依存をしていくという体制というものを脱皮することはできない。むしろ、そういうことにますます引きずられてしまうというように私は理解をしているわけであります。  したがって、この問題については、従来おくれている農業に対する社会資本の投下というものをより積極的に、数倍の努力によって行なわなければ、大臣が言うように、ヨーロッパは十倍、二十倍の面積をやっているんだから、それに追いつくはずがないじゃないか。それでは、追いつかないとするならば、国際競争をしきりに主張するあなた方が、日本の農業に対してどのような保護政策を行なうのか、その点について追及せざる得ないわけであります。その点について、それでは大臣どのような措置をとりますか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 各国が大規模でやっているものには追いつかないんだという意味ではないんです。小規模であっても追いつくのだ、こういうことを申し上げているわけですから、その点は御了解願います。小規模であっても大規模でやっているのと同様なる生産性を高めるというのは、日本独特の技術の向上と相まって行なっていく。それには、さらに日本の社会資本の投下というものは当然これと並行しなければ相なりません。そういうような上に立って、先ほど私は御答弁を申し上げたのでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そうしますと農林大臣は、この狭い面積で最高の収穫をあげながら国際競争にうちかっていこう、こう努力をされるわけでありますね。もちろん私も、日本の土地生産性というものが非常に高いということは理解をしております。世界最高であるということも理解しているわけであります。しかし、そのことをどんなにがんばってみても、やはり規模の拡大によって、労働生産性を高める以外にないという報告に基づいて、これから具体的な問題を出そうということは、農林省から再三出されているわけですが、それと具体的な肉づけをするのが、新たに出てきた農林大臣のつとめじゃないか。そのことをひとつ、この際大臣から明らかにしていただきたいと思うのです。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、もちろん、国際性というものを十分この中に取り入れた日本農業が行なわれなければならぬ。したがって、日本は日本なりの農地の拡大といいましょうか、それをなるべく行なっていくようにしなければならない。自立経営が行なえるような方法、したがって兼業農家等においても、つとめてこれらを協業化して生産性を高めていくような方法、省力化していくような方法、こういうことを申し上げておるのでございまして、決して、日本は小さいんだからそのままでいくんだという意味でなくて、そういう中に立った肉づけというものを十分やっていかなければならないんだ、こういうふうに考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 その点、もう少しはっきりした答弁を聞きたいわけであります。そう申しますのは、たとえば、この食管の赤字問題にいたしましても、三千億という状態になってきた、そこで、自主流通米ということで政府の扱う米をだんだん減らしていって、赤字を少なくしていこうという考え方ではないだろうかと私は思うのでありますが、そういうようなことを考えている状態の中で、新しい日本の農業というものを想定しながら、社会資本の投下というものはそう大量にできないだろう。そういうことでは、日本の農業はじり貧になる。そうではなくて、やはりこの際思い切って新しいビジョンを打ち出して、それに伴って、農林省の対策というものを大胆に打ちだす必要があるのではないか。私はその決意を大臣に伺いたいと思うわけであります。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 せっかくのお尋ねでございますけれども、ヨーロッパ並みな、日本の国の九倍も十倍も土地を持っており、人口が少ない国々の農業と比較して、日本がこれと同じような方向でどうだというようなわけにまいりません。であるから、要は総合的な農政を行なっていかなければならない。したがって、そういう総合農政の上に立って、思い切った施策を講じていくのがやはり日本農業の育成の道であり、それが生産性向上の道である、こういうように考えておるのでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 いま総合農政の話が出てまいりました。私はそれを聞くつもりでございませんでしたけれども、農林大臣がわざわざおっしゃいますから、それじゃその点をひとつ詰めてみたいと思うのです。  私がさっきから再三言いますように、日本農業が、自立農家というものと兼業農家というものと両面かかえていなければならないという状態に立つときに、現在の兼業農家の場合には、労働力が非常に老齢化している、あるいは婦人労働になっている、こういうことがさっきから指摘されているわけでありますけれども、そのことも事実であります。しかし、特に機械の導入、あるいは農協あたりが生産組合をつくりまして、機械設備の主体になって、トラクターやコンバイン、あるいは動力噴霧機等を入れて、相当大量に耕作をやっておるという状態の中において、この兼業農家の農業というものも比較的定着してきつつある、こういうように私は思っているわけであります。ところが、その兼業農家というものも、おそらく単純な作目というものに私は限定されるだろう、こういうように思うのです。単純な作目とは何か、おそらく米だということになるわけであります。ですから、米の生産というものは、いま言ったような兼業農家が、近代化のもとに相当部分を担当できるのではないか、こういうように理解しているわけです。  したがって、総合農政というものをやる場合に、どこが一体主体になるのか、どこに視点を当てるのかという問題になりますと、私は、そこに自立農家育成というものも一つ方向として出てくるのではないだろうかということが考えられるわけでありまして、その点に対して、総合農政ということばが出てまいりましたから、これは官房長のほうでけっこうですけれども、具体的なこれからの方向というものを示していただきたいと思います。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田政府委員 総合農政で私どもが申し上げておりますことは、農業生産というものは、おおよそ需要に即して行なうべきことではないか。したがって、米についてはある程度まで生産調整が必要だろうし、今後需要の伸びる畜産物等については、大いに増産をすべきではないかというのが第一点でございます。  それから第二点は、これは先ほどもお触れになりましたけれども、どうもここ二、三年の農産物価格の動きを見ますと、いままでのように七%とか一〇%とか農産物の生産者価格が上がるというようなことではなくて、その全体の上がり方はきわめてゆるいものに今後なるのではないか。したがいまして、いままでのように米価を中心とした価格政策に重点を置くということではなくて——価格政策を軽視するという意味では毛頭ございません。農産物の価格の安定ということは何よりも大切なことでございますから、そういう点で価格政策は今後も重視すべきでございますけれども、価格によって所得を見るといいますか、所得補償としての価格政策についての重点は別のものに移して、むしろ生産対策あるいは構造政策に重点を置くべきでないか。あるいはもっと正確に言いますれば、価格政策がひとりで農政の責任を背負うような形になっていたのをやめて、価格政策、構造政策、生産政策等々がバランスをとって行なわれるべきではないかというのが第二点でございます。  第三点は、農業者の側から申し上げてもそうでございますが、特に物価問題あるいは国民生活の安定という面から、農政というものは単に生産領域だけに跼蹐することをやめて、流通改善あるいは消費の改善というところにもつと目を向けるべきではないか。これは私どもの反省を含めて、農政の方向をこの三点に置いて総合農政と申し上げておるわけでございます。  いまお触れになりました兼業農家を組織化して、集団的な生産組織で作物を栽培する場合に、何が一番適当であるかといえば、それは私は米であろうと思います。米はいわば技術が平準化し、高度化し、また牛を飼うことに比べますれば、ある意味ではきわめて単純な労働でございますから、そういう集団的な生産組織によって米がつくられるということが、私は今後の一つの問題であろうと思います。ただ、先生も米はそういう兼業農家を中心とした生産組織でつくればいいので、自立農家は米をあまりつくらないで、それ以外のものをつくったらどうかというところまではおっしゃらなかったと思いますけれども、自立経営農家が米をつくることは、これは自然でございましょう。  ただ、自立経営農家と兼業農家を中心とした生産組織の違いは、集団的な生産組織は、米以外はあまり有効な方策ではないかもわからない。しかし、自立経営農家は米ばかりでなしに、果樹でも畜産でも、相当高度な技術水準でやれるという違いはあるのではないかというふうに思います。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 私は、いま総合農政の考え方として、総合農政というものが、すべての農家をひっくるめてやるということを考えているのか、自立農家というものを中心にして考えているのか、こういうことがやはり一つの大きな柱だろうと思うのです。ですから、そういった意味でいま私は、兼業農家がだんだん機械化され近代化されて、老齢者でもあるいは婦人労働でもできるので、それはやはり一つの単純な、いわゆる米作というものに集中するのではないかという予想が成り立つというふうに申し上げておるわけでございます。もちろん、自立農家も米というものを柱にして、いまいう裏作、ここに出てきておりますように裏作を賃貸借で借りるとか、あるいは牧野改良という意味で草地の利用権を設定して開発をはかる、これは一つの例ですけれども、そういうようなことが起こってくるのではないかというように予測をするわけであります。  そういたしますと、この総合農政の視点というものはおのずからそういう方向にいくのではないか。総合資金制度の中でも八百万円まで貸すということですから、これは相当大きな規模にならなければならぬと思います。そういうようなことを考えてみると、私はこれからの総合農政の方向、具体的な内容というものは一体どうなるのか、こういうことを実は聞いているわけでありまして、そのために、それでは今度の農地法の改革というものが、私は規模拡大なり、そういう方向にどのような役割りを果たすのかという視点でとらえてみたい、こういうように思っているわけでありまして、その点についての考え方をお聞きしたいと思うのです。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田政府委員 農地法の改正との関連は、農地局長からお話し申し上げるといたしまして、まあ総合農政ということばを使うことが適当であるかどうかは別といたしまして、私どもの農政の心がまえとしては、私どもの農政の及ぶ範囲は当然全農家でございます。  ただ、申し上げたいことは、全農家であるということをばく然と考えて農政を行なってはいけないのではないか。農政の中で一つの大きな問題は、農業のにない手として今後の日本の農業生産力を代表する、とにかく農業を一生懸命やって、農業だけで食える農家をできるだけ多くつくるということが一つと、あわせて、それだけで農政が終わればこれはきわめて簡単でございますけれども、大多数の農家はそうではございませんから、兼業農家を含めて、兼業農家の所得あるいは農業の生産性、そういうものもまた別途に大いに力を入れて農政を行なわなければならない。その自立経営農家と兼業農家とのいわば接点が集団的な生産組織ではないか、そういうふうに思うわけでございます。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 総合農政と農地法改正との関連でございますが、先ほどから大臣、官房長から総合農政の方向についてお答えがありました点と、農地法の具体的な改正ということとの関係を若干申し上げてみたいと思います。  まず、いままで御議論がありましたような方向に沿って、今後の農地の移動といいますか、権利移動の統制を改めていきたいということが一つでございます。  そうして二つ目は、やはり規模拡大をいたします場合に、所有権の移動と同時に借地での移動ということも考える。そういたしますと、これは先ほど大臣がお答えになりましたけれども、やはり日本の自作農経営を大きくしていく場合に、自作地にプラス借地が加わっていって規模が大きくなるという問題があると思います。その辺を農地法改正では、いまの借地権でありますと、なかなか一ぺん貸すと返してもらえないというようないろんな事情がございますので、新規の賃貸借につきましては、その辺の緩和をはかりたいということを考えておるわけでございます。  それから、先ほどから非常に長い間議論がございました協業といいましょうか、兼業化を含めて協業の問題でございますが、これと農地法との対応の問題を若干申し上げたいと思いますが、いまの集団的生産組織の中身は、いろいろ各地によって形態が違うと思うのです。その一つは、栽培協定をやりまして品質統一をする、この段階では、まだ農地法とは直接関連ができていないと思います。ただ、そういう集団の中に中型機械なり大型機械が入ってまいりますから、全員が働かなくてもいいという段階になってくると思うのです。そういう面をとらまえまして、先般御審議いただきました農協法の改正でも、農事組合法人の要件を若干変えております。農地法におきましても、農業生産法人のものの考え方を、いままでの現行法でありますと、どちらかといいますと個人の自作農そのままの延長というふうに考えたわけでございますけれども、機械化が進み、技術が進歩してまいりますと、協業をやります全員が必ずしも働かなければならないということではなくなってきておるわけであります。なるほど基幹になります、たとえばだんなさんの労力は兼業で外に出る、奥さんが働くということになってきたわけでありますけれども、それさえ、たとえば愛知あるいは岐阜にありますような大型の集団的生産組織になってまいりますと、むしろ農業から足を洗うといいましょうか、土地の提供者になってくるという段階まできているわけでございます。しかし、その土地はなかなか放しにくいという問題もございまして、その法人の中に土地を提供するだけで構成員になるというようなところまで、農地法では今度考えているわけでございます。  それから四番目には、先ほどちょっと先生もお触れになりましたけれども、裏作が非常につくられなくなってきたわけでありますけれども、畜産、特に酪農経営を進めていく上におきまして、裏作の活用ということが、厳密にいえば農地法違反的な性格もあるかもしれませんけれども、すでに期間借地的なものもふえてきておるわけでありす。それに対応いたしまして、従来の賃貸借に関する農地法の規制に、裏作についてはかなり例外を設けて、もっとゆるやかにしようということにしております。  それから、先ほどこれもお触れになりました草地利用権を新しく設定いたしまして、規模の拡大に資したいというふうに、総合農政の進め方と対応いたしまして、いろいろな面での改正を考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 たいへん時間がたちますけれども、基本的な問題でありますからもう少し詰めたいと思いますが、この農地法の今度の改正によりまして、たとえば賃貸借の解除、解約、更新等が非常にたやすくなるとか、あるいはまた上限を撤廃するとか、あるいは下限面積を上げるとか、小作料の最高額統制の撤廃とか、いろいろな問題が出てきているわけであります。このような措置をとることによって、ある部分で農地の流動というものが行なわれるということも事実でありましょう。しかし問題は、それ以外の要素というものが、この土地の流動化というものを相当阻害しているのではないか、こういうように思うわけであります。  たとえば、地価の非常に急激な高騰ということもその一つでしょう。あるいはまた、農民の土地に対する資産的な保有、これは農民だけではなくて、一般的にもそれはいえると思いますね。まず物価が上がりますから、土地を持っておるということが一番いいということから、やはり土地に対する資産的な保有の傾向というものが非常に強くなってきている。あるいはさっき申し上げました、兼業化による生産体制の推移というものが大きな壁になってくるのではないかと思っているわけでありますが、これに対するやはり根本的な農林省としての考え方というもの、対策というものが当然出てこなければならない。非常にむずかしい問題でありますけれども、この点についての考え方をひとつ伺いたいと思います。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 農地の流動化が除々にしか進まない理由は、いま先生の御指摘がございました地価問題もございます。それから、農家は土地を持っていたいという気持ちも非常に強いと思うわけでございます。それから、やはり先ほども私、触れましたけれども、兼業化の不安定さということもあるかと思います。その辺はいろいろな面から、たとえば、先ほど官房長も答えておりましたけれども、各省の協力を得まして、兼業農家の兼業面での安定ということもあわせてはからなければならないと思うわけでございます。  その問題が一つと、それから、もう一つ地価の問題につきましても、農業生産の面からは、これが安定し上がらないということがいいと思います。そのためにどうするか。いろいろ直接統制の方式もございましょうけれども、これは守られません。ということになりますと、やはり前通常国会に提案して通りました都市計画法とか、今回の農業地域振興法等でも、土地の利用区分を明確にいたしまして、ここの場所は農業をやるのだということになりますと、転用含みでの思惑というようなことがなくなりまして、地価も冷えてくるということも考えられるわけでございまして、少なくとも土地の利用区分というようなことを前提にしてものを考えなければいけないという段階に来たというふうに考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 都市計画法との関係については、先般都市計画法の連合審査の際にも、この問題はたいへん重要な問題になった事項でありまして、たとえば、都市計画区域の中に入ったところと、いま言ったように農業地域として指定されるところと、非常に大きな問題が出てまいります。要は、やはり農業用地として急激な高騰というものをどのように押えていくのか。これはやはり転用の問題等もずいぶんあるのではないかというように思っているわけでありますけれども、転用の制限等につきましても、これはもちろん運用でありますけれども、運用でも非常に問題があるような気がするわけでありまして、こういう点については、一体現行のままでいいのかどうか。あるいはそのことを強化することによって、それでは農民の保有している土地というものが、都市の場合の土地と非常に極端な格差ができる、こういう場合に、はたして農民的な立場で見た場合に、いいのかどうかという問題もあろうと思うわけです。非常にむずかしいわけでありますが、この点についてもう少しお聞きしたいと思うのです。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 地価の高騰が、都市周辺を中心にしまして、農業の中間地帯まで転用含みで相当上がっておるということは事実でございます。そこで、先ほど私が申し上げましたように、これは実施の段階といいましょうか、運用は、都市側からの要求それから農業生産の確保という面でのぶつかり合いになるものですから、非常にむずかしいと思いますけれども、少なくとも法律でそういう土地利用区分をやっていくというのが、日本では初めてなわけでありますから、農業サイドから見ましても、農地局を窓口にいたしまして、土地利用対策室をつくりまして一生懸命取り組みたいということで、現在準備を進めておるわけであります。  特に、その場合の農地転用の運用の問題につきましては、すでに御承知のように、市街化区域については届け出るだけでよろしい。そこでも秩序ある都市化をやってもらいたい。調整区域は、原則として入ってきてもらいたくないということを考えておりますから、従来あります農地転用の許可基準の運用方針は、そういう区域では非常に厳重にやりたいというふうに考えております。  そうしますと、さっきも触れましたけれども、農地の地価がかなり冷えると思います。そうしますと、これはいま先生触れられましたように、そこでの地域の農家は、おれの土地は上がらないのではないかという気持ちがある。農家は農業者であると同時に土地所有者でございまして、その辺の心理状態はまさに御指摘のとおりだと思います。また、日本での今後の農政の進め方について、一番むずかしいことがそこにあると思うわけでございますけれども、やはり優良な農地を確保し、そこを農業生産の場としておくということになりますと、土地の値段は低いほうがいいというふうに基本的に私、考えるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 地価の問題については、農業経営を行なう上において、農産物価格の生産費というものを下げる上においては非常に重要な問題でありますから、なるべく下げていかなければならない。ところが、下げれば流動化が行なわれない、こういうかっこうになってまいりますから、非常にむずかしいわけであります。そこで結局、現に手放される農地というものが、経営規模を拡大しようとする農家に譲渡あるいは賃貸借がうまくいくようなかっこうをつくらなければならぬわけであります。これはやはり個々の農家同士、あるいは売却する者と買う者との間においては、いま言った周囲の地価の問題等もありますからなかなか容易でない。そこで初めて、私はここに政策というものが出てくるというように思うわけであります。  その場合に、たとえば構造改善に寄与するという意味で奨励金をつけたり、あるいは離農者の所得に対して補充のための年金をつけるとか、そういう具体的な問題というものがここであわせて出てこなければならないのではないか。そういうことを一時的にやることによって、農地の流動化というものが行なわれていくだろう。これは財政負担というものがもちろん伴うわけでありますけれども、そういう形で農地として固定化していく。そういたしますと、取得するほうは非常に安くそれを手に入れることができるし、一方譲るほうにおきましても、いわゆるそういう奨励金なり助成金によって一時的にカバーしていける。こういう措置というものがあわせて私はとられなければならないと思うのでありまするが、この点について、これは将来の問題でありますけれども、すでに農民年金については検討されているようでありまして、これは大臣のほうから具体的にそういう問題を出していただいて、ここでこの農地の流動というものが円滑に行なわれる措置というものをとる必要があるのじゃないだろうか、こういうように思うわけであります。これは、もちろん流動化というものを期待するという前提に立った場合にですが、そういうことを大臣からひとつお聞きしたいと思うのです。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 ちょっと大臣がお答えになります前に、事前に説明をさしていただきたいと思います。  先ほど御指摘がありましたように、現在の農地の取引は、売買にいたしましても貸し借りにしましても相対で、しかも非常に偶発性といいましょうか、地片の取引でありますからそういうことになっているわけでございます。そうなりますと、必ずしもその移動が、規模拡大の方向にばかり向かうということではございません。その辺は、最初に御説明申し上げました農地移動の現状からも判断されるわけでございます。  そこで、今度の農地法の改正で一つ考えておりますことは、前回提案しまして廃案になりました改正案に加えまして、地域の実情によりまして農地保有の合理化促進事業をやる法人、これは市町村なり県の公社等を予定しておりますけれども、これが農地を取得したり借りたり、あるいはそれを売ったり貸したりすることができるという場合に、農地法上初めて不耕作者に許可を与えるということにしたわけでございます。そういうことを一方では考えておりますし、先般の地域振興法によりましても、振興地域の中では、農業委員会が農地の移動につきまして規模拡大の方向になるべくあっせんをするということで、すでにことしの予算でも予算化をしているわけでございます。  ただ、先ほどからるる先生が御指摘になりましたように、零細な農家を追い出すということではございませんけれども、土地を手放したいという者に対する援助をどうするかという問題は、これからの問題だと思います。その場合に、一時的な奨励金をあげるとか、あるいは年金でいろいろめんどうを見るという方法ももちろんあるかと思います。その辺につきましては、農林省をあげましていま検討をしている最中でございますので、その点御了承いただきたいと思います。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 御指摘の点、農地をふやしてそして自作農の増大をはかっていく、こういうようなことにつきましてはいまお話がございましたように、農振法の中にも、「農地保有の合理化のための農用地等及び農用地等とすることが適当な土地に関する権利の取得の円滑化に関する事項」こういうようなことによって、その点については十分意を用いてあると考えております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 大臣、その点については、具体的に円滑に行なわれるように助成措置等を、いわゆる譲る者に対して行なう、このいう解釈でよろしいんですか。

長谷川四郎自由民主党農林大臣

○長谷川国務大臣 もちろんその点については、まだ十分検討ができ上がっておりませんので、その点は十分検討する考え方でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 このことは並行していかないと、所期の目的を達成することはできないと私は思うのですね。ぜひこれは早急に具体的な内容を明らかにしていただきたい、こういうように思うのであります。  それから、これは後ほど私、質問しようと思っておったのですが、いま農地局長のほうから、農地保有合理化促進事業を行なう法人、これは何かの団体をさしているんだろうと思いますけれども、出てまいりました。これは後ほどお聞きをしたいと思ったんですが、出てきましたから、ここで横道にそれますけれども、この農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人というものは、どういうかっこうになるわけですか、具体的には示されていないようでありますけれども。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 農地保有合理化促進事業につきましては、農地法の改正案の三条の二項で、どういう事業をやるかというのが、一応抽象的でございますが書いてございます。それは、「農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化を促進するため、農地、採草放牧地又は開発して農地とすることが適当な土地」未墾地でございます。そういうものを「買い入れ、又は借り受けて、これらの土地を売り渡し、交換し、又は貸し付ける事業をいう。」ということで、この事業の内容に関しましては、かつて国会に提案いたしまして、二度御審議いただきました農地管理事業団法案のものの考え方と同じでございます。  ただ、今度の場合は、こういう機運が全国的にいまあるかないかということになりますと、必ずしも全国一律ではございません。ところが、すでに各県から御要望等聞いておりますと、たとえば、都市周辺におきましても市街化区域の中におります農家が、農業を続けたい、しかし、もうそこでこれ以上やれば都市公害を起こすというようなことがございますので、もっといなかのほうに行って農業を拡大してやりたいといった場合に、だれがあっせんするかという問題でございます。そういう個々の農家の問題でございますので、やはり県の段階であっせんしたほうがいいんではないかというようなことで、すでに埼玉あるいは神奈川等でも、そういう公社をつくりたいという申し出がございます。  それからまた、これは少し過疎地帯的な地帯でございますけれども、未墾地の中に農地が介在しております。未墾地はだれが買ってもよろしいわけでございますが、農地は買えません。しかし、そういうものを合わせまして、かなりまともな経営のやれる牧場をつくりまして、そういう農家に売ってやるような仕事をやりたいという県も、鹿児島等からきておるわけでございます。  そういうような問題もあり、それからまた、いま具体案がつくられつつあります第二次構造改善事業におきまして、従来の基盤整備事業と施設近代化施設事業のほかに経営整備事業というのを考えるということで、その中身は、いま私が申し上げました規模拡大の方向へなるべく土地を持っていきたいという、そのためのいろいろな事業を考えているわけでございます。  そういうことをやりますのは、具体的には市町村あるいは県の公社になるかと思います。そういうものにつきまして具体的に農林大臣のほうで、県から申請をいただきまして指定をいたしまして、その事業の中身をはっきりさせておきませんと、そういう公社がたまたま土地ブローカーのようになって、農地の先行取得というようなことになっても困りますので、そういう事業をはっきりやるということで、具体的な指定は農林大臣が個別指定をしたいというふうに考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 そうしますと、この団体というのは、かつての農地管理事業団のような統一したものではなくて、それぞれの自治体でそういう事業団等をつくる要素があるので、それについては画一的なものではなくてやる、こういうことになるわけでありますか。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、組織その他につきましては、その地域の実情に応じてやるということでございますから、全国一律どこの町村でもこういう事業を町村がやれということではございません。しかし、第二次構造改善事業具体化をし順次進んでまいりますと、そのそれぞれの指定されました地域については、規模拡大のための土地の移動に関する事業をやることになるわけでございますから、相当の町村がそういう事業を始めるということになるかと思います。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 わかりました。これはまた後ほど逐条の際にお伺いしたいと思いますので、後に回します。  さっきの続きで、農地の流動化の問題でもう一つお聞きをしたいと思うのですが、経営規模の拡大を促進するために、いま私は二つ申し上げたのですが、三つ目として、農地の取得に関する金融制度であります。これについて条件を緩和し、あるいはワクをふやしていくという必要がありはしないかと思うのでありますが、この点に対する現在の利用状況なり、あるいは将来に向かっての農林省の考え方というものをお伺いいたしたいと思います。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 現在、政府のほうで農地取得資金につきましてめんどうを見ておりますのは、農林漁業金融公庫から土地取得資金を貸し出しておるわけでございます。それの最近の傾向を申し上げますと、順次融資ワクをふやしてきております。たとえば、四十一年は二百二十億程度でございましたけれども、四十四年度の予算では二百九十億ということになります。この数字は、全国の農地取引の移動量に対して、三割程度はこの資金によっておるということでございます。  それから、ちょっとつけ加えさしていただきますと、この資金の貸し出し条件は三分五厘、二十五年ということでやっております。  今後とも、土地の移動には金が当然要るわけでございますから、この資金の活用、融資ワクの拡大等を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 この融資制度の問題については、特に単価の問題が、農地の高騰によりまして、個々の農民にしてみれば十分にその目的を達成し得ない、こういうような状態が生まれておるようでありますが、この点について、今後引き上げていくという条件というものを満たしてやらなければならないと思うのでありますが、その点についてはどうでしょう。

中野和仁農林省農地局長

○中野政府委員 単価の問題というのは、一人当たりの融資の限度でございましょうか。それとも一反当たりの単価がどれくらいという——それでは、その両方のことにつきまして申し上げたいと思います。  去年、土地取得資金の運用方針を変えまして、いままでは一戸当たり百万円であったものを二百万円、法人につきましては八百万円まで引き上げたわけでございます。ところが、それじゃ反当幾らまで貸すかという問題でございます。これにつきましても、かなり地価の値上がり等もございますので、あまりに高い、たとえば百五十万とか二百万というような農地を取得することについて、はたして政府の資金を貸すがのいいのかどうかという問題もございますので、先般も行政指導で統一をいたしまして、各県の農地としての取引がやられて大体それで引き合うといいましょうか、そういう面での上限の基準価格というのを各県に設定させたわけであります。そうしますとたとえば北海道ではたんぽは三十万まで貸す。もちろんそのたんぽが四十万であれば、あと十万は貸さぬという意味でございます。それから一番高い東京、神奈川あるいは大阪等では、大体八十万までは貸そうではないか。それから農業中核地帯におきましては、大体五十万から六十万というところを県で上限を押えたほうが、農業としての農地の取引としてはいいのではないかということで、現在運用をしておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 この点については、同じ県にいたしましても施設園芸等をやる地帯と水稲地帯とか、あるいはたいへんな僻地とかそれぞれ違いますので、ぜひその実態に応じた、購入しやすいような便宜をひとつ十分にはかって、農民が土地を取得できるような措置というものを講じていただきたいと思っているわけであります。  それからもう一つ、この流動化の条件といたしまして、これは自治省の方見えておると思いますが、この農地の流動化に伴う税金の問題でありますが、これに対して、今後さらに優遇措置を講じられていかれる考え方があるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思っているわけであります。

降矢敬義自治省税務局長

○降矢政府委員 農地の流動の問題につきまして、現在不動産取得税の関係におきまして、いわゆる農業生産法人に現物出資する場合は非課税になっております。  それからもう一つは、租税特別措置法の取り扱いに準じまして、農地を一括生前贈与する場合におきましては、結局最後は相続というかっこうになることを予定いたしまして、途中の贈与による不動産取得税は取らないでずっと納期限を延長してまいりまして、最後に相続になりました場合には納税義務を免除するという取り扱いにしております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 その点で、これはたいへん事務的になるわけでございますが、この一括生前贈与の場合の措置でございますが、これについて、事務的に三年ごとに申告しなければならないことになっていますね。申告しない場合には、申告しなくなってから二カ月以内にこれが消える、こういう形になっておるようでありますが、たいへん事務的になって申しわけありませんけれども、個々の農民にしてみれば三年ごとに申告をするということは、ややもすると非常にうっかりするわけであります。免許証の切りかえなら、毎日運転をしておりますからさほどうっかりすることはないのでございますけれども……。ですから、県庁のいわゆる県税事務所あたりでは、三年ごとにそれを本人に通知をしてやらなければ忘れてしまうということから、いっそこの問題については、生前贈与をやったときに租税特別措置としてこれを免除するということができないのか、あるいは三年ごとの申告というものは、本人がなくなってこれが消える、こういう場合にのみ届けをする、こういうことはできないのか。この点について、これは非常にささいなことのようでありますけれども、事務的に繁雑でありますので、そういうことについてひとつお伺いをしたいと思うのです。

降矢敬義自治省税務局長

○降矢政府委員 ただいまの三年ごとに届けを出すという方式でありますが、これはいわゆる贈与税のほうと同じように合わしているわけでございます。で、問題はおそらく二つございまして、いわゆる贈与税のかからない、贈与税の課税標準に至らないものと、それから贈与税が当然かかるというような二つがございます。私は、おそらく片方の贈与税の対象になるものにつきましては、も一つと手続を簡素化したらよかろうと率直に思っております。  ただ、贈与税のかからないものでも不動産取得税がかかるものはございます。これは三年ごとに出していただかないと、事務のほうとしてもどうなっているのか全然わかりませんので、しかも同時に、これは贈与税のほうには全然関係がない問題でございますから、したがいまして、手続を二つに分けまして、片方のほうは、つまり贈与税の対象になるようなところはもっと簡素化いたしまして、同時にまたいまも御指摘のような、おそらく気がつかないでおるというようなこともあると思いますので、そこは私のほうも十分指導いたしまして、どうせ対象の数は現在のところはそうたくたんはございませんので、指導させるようにいたしまして、御趣旨のような方向で検討さしていただきたいと思っております。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 それでは、ぜひその手続については簡便な方法をとっていただくようにお願いをいたしたいと思います。  そこで、今度は、具体的問題に入ります前に、もう一つだけ大きな問題をお聞きをしたいと思いますが、構造改善事業と規模拡大という問題について、私ちょっとお伺いをしたいと思うわけであります。構造改善事業が、これから第二次構造改善事業の実施段階に入ろうとするわけでありますけれども、この構造改善事業によって規模の拡大、そしてまた改善後における労働力の配分、こういう問題について具体的にどのように把握をしているか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思うわけであります。

中澤三郎農林省農政局参事官

○中澤説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、構造改善事業を三十七年から実施いたしまして、三年実施事業でございますので、三十七年から八、九と、初めて事業が終わったのが三十九年でございます。したがいまして、その後三十八、九と新たに実施した事業地区もございまして、全体的には、先生いま御質問なされましたような事柄に関しまして、十分把握はしておらないわけでございますが、御存じのように、三十七年から実施いたしました七十地区につきましてパイロット事業というものを実施しております。この事業につきまして、三十八年と四年後の四十一年の時点で比較した数字がございます。それで全般をはかるというわけにはまいりませんけれども、申し上げてみたいと思います。  経営規模の拡大につきましては、いろいろの情勢が熟さないというようなこともござますけれども、実施地区の実情から申し上げますと、主として経営規模の拡大が行なわれたのは、未墾地の開発による部分が多うございます。それからまた、構造改善の事業でございますので、基盤整備とか機械の導入によりまして労働力が余るというような計画は当然立てられまして、また、結果としても余るわけでございますが、大体稲作を中心にしてプラスアルファ部門と言っておりますが、御承知のような果樹とか畜産というような拡大部門につきまして、労力がかなり消化されている。そのほか稲作だけ、このような地区につきましては、労働力がどちらかといえば外部に流出している、こういうような状況でございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 特に、この構造改善事業の地域の実態というものを見ますと、外部に流出をするということのほうがウエートが大きいのではないだろうか、こういうように私は実態を見まして感ずるわけでありますが、その点について具体的におわかりになりますれば、傾向だけでもけっこうでありますが伺いたい。いまちょっとお話は聞いたのですけれども……。

中澤三郎農林省農政局参事官

○中澤説明員 事業を実施した地区全般におきまして、これは事業実施地区以外を含めました全国的な労働力の流出傾向というものに、もちろん逆行したようなところがございませんで、各地とも基幹的な労働力の流出がある程度出ております。それが内部にとどまるほうが多いのか、あるいは外へ出るほうが多いのかということでございますけれども、それを端的に示す資料は実は持っておりませんけれども、全般的に、全国的な傾向と比較いたしますと、構造改善事業を実施いたしました地区の兼業化率といいますか、労働の流出率といいますか、そういうものは全国平均よりは低いということがうかがわれ得るというふうに判断しております。  ただ、その場合におきましても、先ほど申し上げましたように、稲作を中心とする地帯、稲作を基幹作目としている地帯と、それから果樹とか畜産を基幹作目としている地域を比較いたしますと、稲作を中心とする地域のほうにその傾向が強い、こういうふうに見ておるわけでございます。

工藤良平日本社会党

○工藤委員 あとの日程もあるようでございますので、これから具体的内容に入りたいと思うのですけれども、委員長、あとの日程の都合はどうでしょう。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

国会会議録検索システムで原文を見る ↗