農林水産委員会 第16号
- 発言数
- 187 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/04/02
会議録
○丹羽委員長 これより会議を開きます。 農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田大作君。
○神田(大)委員 私は、この法律案につきまして、同僚からだいぶ質問があったようでありますから、私の聞きたい点を二、三お尋ね申し上げたいと思います。 この法律案でもって一番問題になると私が思うのは、農業振興地域整備地区として指定された場合に、これに基づいて、憲法によって保障されているところの私有権を侵害するというような、そういう疑いが出てくると思いますが、この点についてはどのようにお考えになりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
○池田政府委員 先生おっしゃいますのは、おそらく振興地域で、農用地につきまして農用地利用計画を立てるわけでございますけれども、農用地になりましたところにつきましては、農地の転用が規制される、あるいはその目的に応じた使用をするように、いろいろな勧告等の措置がある、こういうことに関連してのお尋ねではないかと思います。 この点につきましては、私どもは実はこう考えておるわけでございます。当然この農用地利用計画を立てました場合に、その関係住民の方は、いまの農用地の転用の制限ということで影響を受けるわけでございますけれども、これにつきましては、相当慎重な手続を実は法案の中で考えているわけでございます。詳しくは申し上げませんが、要するに、市町村に対して異議の申し立てができる。それで市町村が決定をいたすわけでございますけれども、それに対して不服がある場合には、さらに知事に対して審査の申し立てができ、知事が裁決をするわけでございます。こういうふうにかなりこまかい手続を実は考えているわけでございまして、関係者の利害につきましては、十分私どもは配慮をしているというつもりでございます。 それから、これは申し上げるまでもございませんけれども、もしかりに、それでもなおかつ知事の裁決に対して不服がある場合、これは当然裁判所に行政事件として訴えることができるわけでございます。裁判所がそれを取り上げまして、知事の裁決が適当でないという場合には、これは裁決の取り消しというようなことになるわけでございまして、私どもはそういう点でも十分調整が働いておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○神田(大)委員 私有権というものは、根本的に自分の土地をどのように利用する、宅地にするとか、あるいはまた農地にするとか、これは自由であろうと思う。これらに対しまして、そういう私有権の使用制限になるようなこの法律は、不服であるとか不服でないとかいう前に、私有権を侵害する基本条文である。こういう問題を私は心配するわけでありますが、それらに対して法律的にはどのようにお考えになりますか。
○池田政府委員 もちろん、これは実際に施行いたします場合には、当然住民の方に非常に影響いたす問題でございますので、事前に十分話し合い等、あるいは関係の方々の意見を聞くというような、そういうような手続を踏むように、私どもは十分指導いたしたいと考えておるわけでございますけれども、そういう問題を離れましての、いわば制度の問題としての御質問かと思うわけでございます。 実は、これは農地の転用を規制するということでございまして、本来農地につきましては、その使用につきましてのいろいろな制約があるわけでございます。これは私どもが申し上げるよりか、むしろ必要ならば農地局のほうから御説明したほうがいいと思うわけでございますけれども、農地というのはどういう形にしろ、全く自由に使うということに必ずしもなっておりませんので、当然ほかの用途に使う場合には転用の許可を受けなければならない、こういうことになっているわけでございまして、この法案におきましては、その農地を転用いたす場合に一つのワクをはめる、こういう形でございますので、私どもは、基本的に憲法等との関係で、私権の制限を新たに加えるということでは必ずしもないというふうに実は理解しているわけでございます。
○神田(大)委員 農地でない山林原野の場合、これもやはり農業振興地域に指定されている以上は、農業振興のこの法律で制限されることになって、これをほかに使用することを制限することになりますから、私は農地ばかりでなしに山林原野の場合も当てはまると思いますが、この点についてどう思いますか。
○池田政府委員 いまお話しのありましたような農地以外の土地につきましては、そういう制限がないわけでございます。ただ、市町村なりあるいは知事なりによります、本来の使用目的に沿った使用が行なわれるようにという意味の勧告なり調停というのがございますけれども、これは強制力がございません。
○神田(大)委員 そうすると、この農業振興地域の整備に関する法律案の目的の、農業地域としてこれを振興させる本旨に反しやしないかと私は思うのです。たとえば、広範な区域を指定した場合に、農地だけで山林原野は何に使ってもいいのだということになったら、これは法律の精神に反しませんか。その点どうお考えです。
○池田政府委員 確かに、御指摘のように、私どもは採草放牧地とかそういうものを含めまして、農用地とこういうふうに考えているわけでございまして、その本来の目的に沿った使用が行なわれるように、これはもちろんそういう方向に誘導しなければなりませんし、またそれに対する一つの手続、さっき申し上げました土地利用についての勧告なりあるいは知事の調停という制度がございますので、そういう方向に持ってこようということではございますけれども、それに強制力をつけるということは、先ほど先生が仰せられましたような問題もございますので、農地以外のものにつきましてはそういうようなことで、実際上その目的に沿った使用が行なわれるように、行政庁としては調停等の方法で誘導していくというのが限度ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○神田(大)委員 私は、これは重大な問題点だと思うのです。農地だけを規制して、山林原野がそのほかにあるということであれば、農業振興地域整備の法案は死んでしまう。ただ、現在の農地だけを農地にするのだというような指定ではなしに、これは山林原野を含めた農業地域の振興にするのだ、あるいはこちらは都市計画のほうへ入るのだということでもってやっていかなければ、農業の振興地域指定の法律案というものは非常に意味のないものになってしまうと思います。この点は非常に大事なことですが、そういうことで今後も農地だけで指定してやっていくつもりですか。
○池田政府委員 その点ちょっと私、明確に申し上げなかったかと思うのでございますが、この農用地利用計画の中に入りますのは、法案に規定がございますけれども、農用地という定義がございまして、いわゆる農地、耕地でございますとか、そのほかに採草放牧地というものが一応農用地等の中に入るわけでございます。あるいは混牧林といわれるものも入るわけでございます。しかしながら、完全な山林といいますか、林野といいますか、そういうものは、農業に使われるという限りにおきましては入るわけでございますけれども、農業と直接関係がない場合におきましては、これは林野まで取り入れるというふうには考えておらないわけでございます。私どもは、やはりこれは農業振興でございますので、農業振興のために必要な限りにおいての土地を対象にする、こういうことで考えておるわけでございます。
○神田(大)委員 たとえば、国有林野の場合もこの法律の中へは入らぬというような、そういう考えを持っておるわけですね。
○池田政府委員 そのとおりでございまして、国有林野を農業目的のために活用するということで、そういう限りにおいては入ってくる場合がございますけれども、原則的には入らないわけでございます。
○神田(大)委員 やはり私有権の問題についての転用の許可を制限するというようなことについて、異議の申し立て等の方法はありますけれども、日本の農地なり、あるいは宅地、あるいは山林というようなものが非常に値上がりをしておる現在において、永久にこれは農用地以外には使用できないというようなことでありますと、非常な抵抗があると私は思うのです。特に首都圏建設地域内とか、そういう今後工場団地として発展を約束されておるような団地の中に、この法律でもって農業振興地域として指定されることに対しまして、農民は、農地であれば一反歩二十万から三十万円である、しかしながらこれが宅地になれば二百万なりあるいは三百万円だというような場合に、そういうような大きな価格の開きのある土地を、農用地として縛られるということに対しましては、非常に問題があると思いますが、そういうことに対しまして、政府当局はどのような対策とどのような考えを持っておるか、お尋ねします。
○池田政府委員 確かに問題の点でございまして、私どもは、やはり地域の住民がこの農業振興地域の指定を受けることを希望するかどうか、そこいらも、いま申されたようなことを実質的に判断をするということになると思うわけでございますが、都市の比較的近くのような土地でも相当現在農業が行なわれておる、そういうような農業が行なわれておるような地域につきましては、この地域の線というものをはっきりいたしまして、むしろ無秩序な壊廃というものを防ぐ必要があるのではないか。また同時に、そのような地域については農業施策を重点的にやっていく、こういうことが適切であろう。こういうようなことから今回法案を御提案申し上げておるわけでございますけれども、私どもは、都市化の進展に伴いましていろいろ事情が変ってまいりますような場合におきましては、これは当然計画変更ということも実は考えておるわけでございまして、そういうような規定も入れておるわけでございます。 したがいまして、地域の住民の方々の考え方というのが中心になると思いますけれども、そういうようなことを十分尊重しまして、事情が変れば当然その事情に応じて処理をしていく、こういうことで、いま申されましたような問題の調整をはかっていきたい、こういう気持ちでございます。
○神田(大)委員 そういうような不利益なことが目の前にわかっておりながら、農地として指定されて、そういうことでもって農地の所有者が納得する場合もあるでしょう。しかし、納得しない場合もあって、私はここが非常に問題点だと思うのですが、これらに対しまして、それでは政府は、この振興地域に指定されました地域に対しまして、どのような経済的な援助あるいは施策等をする考えであるか、お尋ねしたいと思います。
○池田政府委員 確かにその点は非常に問題の点でございまして、従来、農政の見地から見た地域、農業を中心にして振興をはかっていくというふうな地域は、必ずしも制度としてはっきりしていなかったわけでございます。 これが成立をいたしましてはっきりしました段階におきましては、そのような地域に対して、従来行なわれておりますいろいろな事業、たとえば土地の基盤整備でございますとか、あるいは各作目ごとのいろいろな近代化の機械でございますとか、施設でございますとか、それらに対して助成事業がいろいろあるわけでございます。たとえば、果樹のいろいろな団地であるとか、あるいは野菜の指定産地でございますとか、あるいは畜産関係のいろいろな施設でございますとか、そういうものが従来事業としてあるわけでございます。もちろん、これは今後もさらに充実をされるというふうに私ども考えておりますが、そういうもの、あるいは本年度から始まります第二次の構造改善事業、こういうようなものは原則として農業振興地域に実施をしていく。したがいまして、農業振興地域以外におきましては、いま申し上げましたような事業は行なわれないたてまえになる。したがって、振興地域におきましてはかなり重点的な投資が、従来以上に行なわれるようになるというふうに私どもは考えておりますし、また、そういう線を極力強化していきたい、こういう気持ちでございます。
○神田(大)委員 私らの心配するのは、こういうような工場団地や住宅地として指定されるよりも、農業振興地域として指定されるために大きな不利益を来たすようなものに対しまして、ただ単に野菜団地として、あるいは畜産団地、あるいはその他のことでいままでと同じような政府の施策が行なわれるということだけでは、これはせっかく農業振興地域として整備しても意味をなさない、あるいは効果があがらない、こう考える。 たとえば、これらの基盤整備等に対しましても、政府はいままで補助金でもってこれを補っておるようでありますが、われわれは、このような基盤整備に対しましては、全額国庫負担でもってやれということを従来から主張しておりますが、思い切って、振興地域に指定された場合においては、基盤整備事業は、これを全額国庫負担でやっていくというようなそういう裏づけがないと、この法案が成立をいたしましても効果があがらない、こういうように私は考えておるのでありますが、その点どう考えますか。
○池田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、たとえば、基盤整備というような事業も農業振興地域に原則として行なわれる。したがいまして、たてまえとしては農業振興地域以外は行なわれないということでございますので、そういたしますと、たとえば、従来あります土地改良等のいろいろな事業のすべてが全額国庫負担、こういう仕組みに実はなってしまうわけでございます。これはやはりそういう土地改良等土地基盤整備の事業というのは、その実施をされました地域の農業者がその利益を受けるわけでございますから、そのもののすべてを国が負担をしてやるということは、たてまえとしてこれは非常にむずかしいわけでございます。 そういうことで、いろいろそういうことについて、もう少し助成あるいは政府のあと押しというものを強くしろという御議論の気持ちは私どもよくわかるのでございますけれども、いま申し上げましたようなことで、そういうような体制をつくるということは、実は実際問題としては非常にむずかしいわけでございます。
○神田(大)委員 私の言うのは、その農業団地に指定した場合においての効果をあげるためには、予算の裏づけなりあるいは事業の裏づけをはっきりさせる必要がある。というのは、今後日本の農業というものは、地価の上昇やあるいは工業の発展等によって相当はばまれてくるわけですね。しかも、将来住宅地としては相当の値打ちのあるものが農業用地として押えられてくる。そういう不利益をカバーするためにも思い切った施策をすべきだ、全額国庫負担でもって土地整備をやるというような思い切った施策をしない限り、効果があがらないと私は考えるのです。それについて政務次官、この問題は非常に大事な問題でございますから、政務次官としてはどうお考えになるのか、お尋ね申し上げます。
○小沢(辰)政府委員 おっしゃるような点も確かに考えられますが、この法律を見ていただきますとわかりますように、きのうも議論があったんですけれども、私どもは、市町村のほうから、下のほうから盛り上がった自主的な整備計画というものを、一方において農林省から、農業全体のいろいろな指針を与える意味の指導はいたしますけれども、自主的な計画というものをできるだけ尊重しようという態度をとっているわけでございます。しかもそれについて、いま先生が言われるように、制限をするとこう言われますけれども、これは勧告なりの程度のものにとどめて、きのうもなまぬるいという議論のほうがかえって強かったように私ども拝聴したのですが、しかし、それ以上の法的な罰則なり何かの強制力というものを持たしてないのも、先生がおっしゃるような点があるからわれわれはこういう法律の仕組みにしているわけでございます。 そうでありますから、強制的にこちらが農用地としての指定を中央で計画して、おまえのところは有無を言わさずそういうところなのだぞというやり方をしてない。むしろ自分たちが、こういうふうにしたいからという整備の計画をつくってきたものが自主的にまとまっていくという仕組みですから、国家権力で、何か他に転用すれば非常に有利なところを押えて、農業用地としてやらすんだという仕組みではないわけでございます。全部国がそういうようなところに、先生おっしゃるように、土地改良というようなものはできるだけ国が見ていったほうがいいと思いますけれども、いろいろ今後も重点的にひとつそういう予算の配賦なりなんかをやっていくと同時に、補助率のだんだん引き上げ等についても、こういうようなところには特別に努力をしてまいる、この程度でひとつお許しをいただきたいと思います。
○神田(大)委員 これはヨーロッパやその他の国の例等も見ましても、工業力がだんだん増大してまいりますと、農業というものは非常に不利な立場に追い込まれていくわけですね。そういう意味合いからいたしましても、せっかく農業振興地域に指定した以上は、それらに対しまして、農業を守っていくという立場に立って積極的な政府施策というものをより一そう行なわれなければ、この指定した意味はないと私は思うのです。ところが、従来のと同じだというようなことであって、中には、そのためにやはり不利益を来たす地域が出てくると思うのです。 〔委員長退席、安倍委員長代理着席〕 これは、いままでも政府は強制的にはやらぬと言うけれども、政府はこの法案が通れば、行政指導として必ずそういう積極的に農業振興地域として指定する方策をとることはもう明らかなんですから、そういう意味合いにおいて、これらの地域に対しまして政府の責任において施策を施す、従来より以上の施策を施すということは必要である。また、そうしなければ、実際問題としてこの法律をつくっただけでものにならぬと思うのですね。そのことについて、もっと政府は積極的な予算的な措置あるいは施策的な措置を考えてもらいたい、これを強くわれわれは要求するものであります。 最後に私は、大部分の人がこの地域指定を希望するが、中には、これはどうしてもだめだというような場合には、不服の申し立ての道があるようだけれども、これが行政裁判にまで持ち込んで、それを決定するというような事態が起きるということも予想されますが、これは土地収用法と同じようなことで、強制的に従わせることになると思うのです。これらについては、この法律を生かす意味において、今後非常に重大な問題になってくると思いますが、それらに対しましてはどのようにお考えになっていますか。
○小沢(辰)政府委員 それはもう土地収用のように強制力を持って発動するようなことは、この法律ではできませんので、いたしません。
○神田(大)委員 強制はしないということですね。 農業の長期見通しがこの間出ておりましたが、これら長期見通しによる農業振興地域の計画的な生産に対しましては、全国的な立場に立ってどのような考えを持っておりますか。各地域を指定し、そのものに対する団地指定の問題についてどう考えますか。北海道とか東北地域、関東地域とか九州、四国というようなものの農業地帯に対して、この農業の長期見通しの需要と供給の関係ではどのような考えを持っておりますか、お尋ねします。
○池田政府委員 私どもは、昨年の終わりに「農産物の需要と生産の長期見通し」というのを発表いたしたわけでございますが、これは国全体の数字でございます。 それで、これだけでは十分でございませんので、実はブロックごとくらいの生産の姿というものの見通しを、さらに次の段階では公表したいということで作業しているわけでございます。そういうものが出てまいりますと、大まかではございますけれども、農業生産の地域的な姿が出てまいりますし、そういう線に合うように、私どもはさらに、今度は県の知事が農業振興地域の基本方針というものをきめますわけでございますが、その中におきまして、やはりその県の将来の農業生産の姿というものを、当然明らかにしなければならないわけでございますので、そういう知事がきめます県ごとの農業生産の姿と、国が全体の立場から一応想定します農業生産の地域的な姿というものとをうまく結びつけようということで考えているわけでございます。
○神田(大)委員 ほかにいろいろ問題点はあると思いますが、一応同僚からの質問等もあったようでございますから、私の質問はこの程度にいたしておきます。
○安倍委員長代理 樋上新一君。
○樋上委員 土地を生産の基本的手段としている農業並びに農業者にとって、土地税制は常に重大な影響を持っています。特に今日の都市近郊の農業者にとっては死活問題となっていますが、これまで土地問題については、もっぱら都市対策、住宅対策に焦点が置かれ、近郊農業はその土地供給源として把握され、都市近郊農業の占める役割りが軽視されている傾向があるのですが、市街化の条件が成熟した場合、市街化区域内の農地の固定資産税は宅地並みに扱うとの方針が、国会における答弁並びに税制調査会の答申で示されていますが、市街化の条件整備とは具体的に何を意味するのか、お伺いしたいと思います。 〔安倍委員長代理退席、委員長着席〕
○松島政府委員 税制調査会の答申では、新都市計画法の施行に伴いまして、市街化区域内の農地で市街地としての環境が整備されたものについては、宅地並みに取り扱うべきであるという答申が出されておりますことは、御承知のとおりでございますが、ただ、市街化区域になったからといって、全部を宅地並みに取り扱うという趣旨ではございません。 それでは、具体的にどういう状態をもって環境整備が行なわれたかという問題でございますが、現在その問題について、私どももいろいろ検討を続けておりますけれども、一つには、たとえば今度の新都市計画法に基づきまして、市街化区域内の農地につきましては届け出で転用ができることになっておりますので、そういった届け出された方とか、あるいは区画整理事業によって住宅地造成が行なわれた場合とかというような、ごく限られた場合にしたほうがいいのではないかということで、その具体的取り扱いにつきましては、なお検討を続けておるという段階でございます。
○樋上委員 いま検討中ですね。 では、条件が整備しても、固定資産税、相続税を軽減する考えはあるのかないのか。
○松島政府委員 私どものほうは、相続税のほうは直接の担当ではございませんのでお答えできませんが、固定資産税のほうについて申し上げますと、いま申し上げましたように、市街化区域内の農地全部を宅地並みにするという考え方を持っておりませんので、その中にあります特殊な地帯で、宅地並みに取り扱うことが適当だと思うもののみに限定をいたしますので、特にそのものについて、特別な措置を講ずるということは考えておりません。
○樋上委員 農地等の譲渡に関する税制上の措置について、二十三条による譲渡所得についての所得税の軽減措置として、特別控除をする考えはございませんか。
○好川説明員 現状のところでは、市街化区域に入ってくるということで、特に相続税の評価を変えるというふうには考えておりません。一般的に、その付近の地域が地価が上がってまいりますと、それにつれて農地の評価も上がってくるということはあり得るわけでございますが、その地域に入ったということだけで、評価を高くするというようには考えておりません。
○丹羽委員長 兒玉末男君。
○兒玉委員 農政局長にお伺いしたいのでございますが、この農振法で、今後五カ年の間において策定される農地全体の利用計画というのは、大体どういうふうな構想のもとに計画を遂行されるのか、まず第一にお伺いいたします。
○池田政府委員 お尋ねの趣旨は、農業振興地域が定められました場合に、その中で農用地として利用する土地というのは、農用地区域ということで定められるわけでございますが、これにつきましての考え方であろうかと思うわけでございます。 私どもは、やはり一般的な考え方といたしまして、そういう農用地というものをはっきりいたしまして、これにつきましては、宅地等への無秩序な壊廃というような事態をなくしたい。したがいまして、それにつきましては農地の転用を制限する、こういうようなことが一方で行なわれるわけでございますが、同時に、そういうような地域におきましては、当然その目的に合ったような条件の整備を行なうべきであるということで、特に土地基盤の整備というようなものを重点的にやりたい、あるいはその上に、いろいろな機械とか施設の整備をやって、本来の目的に合った利用が行なわれるようにいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。 したがいまして、そういうような観点から、農用地の中におきまして、その用途に応じましていろいろ区分をする。まあ区分の形は、いろいろこまかくなりますので省略さしていただきますが、そういうものをきめまして、それに応じた施設あるいは基盤整備を行なう、こういうような考え方でいるわけでございます。
○兒玉委員 大体、現在まで市街化区域なりあるいは工業用地等として相当数の農地がつぶされておるわけですが、農林省としては、どの程度今後農用地が他目的に転用されるという予想を持っているのか、この点お聞かせいただきたい。
○島崎説明員 今後の見通しとしましては、経済の成長率を今後どうするかというようないろいろな要因等もからんでまいりますけれども、従来の実績をもとにして推定いたしましたところ、昨年の十一月公表されました「農産物の需要と生産の長期見通し」のベースに即して申し上げますと、五十二年までに田畑合わせて約七十万ヘクタール程度壊発があるのではないかというふうに考えております。
○兒玉委員 経済企画庁の出しました新全国総合開発計画の試案によりますと、農用地は、昭和六十年には六百五十万から七百万ヘクタールが予定をされておるようでございますが、今回の農業振興地域によると、いま説明のあったように七十万ヘクタール程度農用地が転用される。この辺の数字が、私は多少食い違いを感ずるわけですが、どういうふうな考え方でおられますか。
○島崎説明員 企画庁で現在出しておられます数字はまだ試算の段階で、正式に発表されたものではございませんが、いままで聞いておりますところでは、六百五十万ないし七百万ヘクタールの中には、表現が農地ではございません、農用地となっておりまして、約百五十万ヘクタール程度の草地を含んでおるというふうに解しております。 そうしますと、残り農地としましては五百万ないし五百五十万という数字になりまして、先ほど申し上げました転用のほかに、農地の造成もある程度見込んでおりますので、ほぼ幅としてはこちらの考え方と企画庁の案とは一致するんじゃなかろうかというふうに考えております。
○兒玉委員 この新都市計画法の適用町村千三百五十三、そして大体農地の五九%、農家戸数の六二%程度が、この新都市計画法に基づくところの都市地域に指定をされるような構想がなされておるわけですが、この辺の関連はいかがでございますか。
○島崎説明員 御承知のとおり、現行の都市計画法におきましては、市町村の行政区域を単位としまして都市計画区域が定められております関係上、その中に含まれております農地面積もかなり多うございまして、約三百万ヘクタールということで、要するに総農地面積の半分程度が含まれておるという形になっております。 この六月に施行を予定されております新都市計画法におきましては、行政区域にとらわれませず、実質的に一体の都市計画として定める区域を単位に計画を立てるという考え方になっておるようでございまして、これは建設省のほうの試算として私らが聞いておりますところでは、かなり従来の面積を圧縮いたしまして、コンパクトな計画にするというふうになっております。その結果、都市計画区域内に含まれます農地面積もかなり少なくなる。さらに十年以内に市街化が予想されます、いわゆる市街化区域の中に含まれます農地面積といたしましては、約二十万ヘクタール程度であろうというふうな試算が建設省のほうでなされておりますので、先ほど申し上げました今後十年間の壊廃予想面積七十万の中にこの二十万も含まれるというふうに理解いたしておりますので、全体の農地の需給バランスとしては、その中で調整できるんではなかろうかというふうに考えております。
○兒玉委員 農政局長にお伺いしたいのでありますが、ただいまの説明でも、いわゆる都市計画区域とさらに工業用地関係、さらに農業振興地域と、こういうふうにかなりの面積というものが、総合的な立場から複合する点が相当あるんじゃないかと私は思うんですが、この辺の各省間の調整というのは、いまどの程度の作業が進んでおるのか、また、法案に予定されておる五カ年程度で考えられている振興地域の整備ということができるのかどうか、その辺の各省間の調整はどの機関でなしておるのか、この点お伺いしたいと思います。
○池田政府委員 ただいまおっしゃいましたような問題につきましては、たとえば私どものほうの法案で、農業振興地域の知事がきめます基本方針を農林大臣が承認をいたすわけでございますけれども、この承認をいたします場合には関係行政庁に御相談をする、こういう規定があるわけでございます。したがいまして、当然建設省なり通産省なりにも御相談をする。それからまた一方、たとえば新都市計画法におきましても、市街化区域あるいは市街化調整区域という線を引きます場合には、私どものほうに御相談があるということになっておるわけでございます。でございますので、そういう段階におきまして、それぞれの立場から十分検討した上で適切な結論が出るようにしたい、こういうふうに実は考えているわけでございます。 それから、今後の私どものほうの振興地域の指定の予定でございますが、いまおっしゃいましたように、大体五年間に指定をしよう、こういう考えでいるわけでございまして、そういう点は、たとえば、新都市計画法の附則第三項によりますいろいろな地域の指定というのは、本年度内に行なわれるというふうに私ども伺っているわけでございますが、そこに若干時間的なズレが確かにございます。ございますが、私どもはやはりなるべく早い時期に県の知事の基本方針というものをきめていただきたい、こういう御指導を申し上げたい。知事の基本方針がきまりますと、その中で農業振興地域に予定されますような地域が大体わかるわけでございます。それがきまりますれば、今後都市計画等きめていかれる場合に、それに対する私どものいろいろな準備ももちろん全部できるわけでございますので、いろいろ御相談をして実態に合うようなふうに持っていきたい、こういうふうに考えております。
○兒玉委員 経企庁のほうにお伺いしたいのですが、開発局長ですね。——これからの国土の利用計画ということで、新開発構想の資料の中にも載っているわけですけれども、特に私は、農業振興ということは、畜産なり果樹園芸を中心とした今後の農業が予想されるわけでございますけれども、経企庁としての土地利用計画なりこういうものは、大体今回の農業振興地域との関連はどういうふうな関連を持たしておるのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
○宮崎(仁)政府委員 経済企画庁といたしましては、昨年来新都市計画法の制定、それからこの農業振興地域の整備に関する法律の制定というような問題を通じまして、御承知のとおり土地利用というような面について、いろいろ法律上の調整問題というのがございました。私どもとしましては、これが全体として斉合性のとれた方向で進められていくということを希望いたしておりますので、新都市計画法の策定にあたりましても、関係各省間の調整にいろいろ力を尽くしたわけでございます。 その際、特にこの大都市近郊におけるいわゆる農業地域と市街化する地域との関係というのが非常に問題でございます。こういった点に関していろいろ議論の末、それぞれの法律ができ上がってきており、農業振興地域の整備に関する法律案をいま御審議をいただいておる、こういうことでございます。 それで、新都市計画法のほうは、昨年制定をいたされまして今年から実施をされるということになりますが、こういった形で、いわゆる土地利用計画というような面からいきますと、市街化区域については新都市計画法により、また、その周辺の農業地域については、今回の法律によってそれぞれ土地利用計画がつくられていく、こういう形によって全体としての土地利用の大きな方向づけというものはきまっていくということではないか。実際問題となりますと、これはいろいろとまたこまかい調整問題が出るかと思います。そういった点については、都道府県知事にこういった調整をお願いするということが、それぞれの法律のたてまえになっておりますので、そういった面の運用によってやっていただきたいと考えております。 なおまた、こういった土地利用の基本となるもう少し大きな、いわばマスタープランと申しますか、そういった点につきましては、私どもいま新しい全国総合開発計画をつくるということで作業いたしております。この中にそういった面についての方向なり、あるいは若干の施策の方向というようなのは書いてあるわけでございまして、間もなくこれも決定をされることになると思いますが、こういった上位計画に基づいてそれぞれ都市計画なり農村地域における土地利用計画というようなものが調整され、円滑に実施される、こういうふうになるものと考えておりますし、また、推進したいと考えておる次第でございます。
○兒玉委員 さらに開発局長にお伺いしたいのでありますが、今回の農業振興地域の設定にいたしましても、やはり基本的な問題として地価対策というものを考えなければ、せっかく農林省サイドで振興地域を策定しようとしても、農民の側がこの振興地域に指定されることを好まない、こういう傾向がやはり出てくるのじゃないか。非常に作業が困難になっていくであろう。その辺の地価対策との関係はどういうふうに考えておるのか、お伺いしたいと思います。
○宮崎(仁)政府委員 地価対策の問題は、建設省あるいは私どものほう、いろいろの方面で真剣に検討しておる問題でございます。ただいま申しました新しい全国総合開発計画ができましても、これを実施していくということになりますと、地価対策という問題に有効な手段が講ぜられない限り、なかなか思うようにいかないだろうというような問題がございます。 そういった点で、税制の問題あるいは土地の利用の全体的な計画化の問題、いろいろの問題が私どもの計画の中にも盛り込んでございますけれども、やはり基本的に私どもが考えておりますのは、現在の国土の利用のしかたというものが、非常に一部の地域に偏在しておるということも一番大きな問題であろう。そういう点から、今度の計画は国土全体を有効に利用していくという見地から、いろいろのプロジェクトを考えておるわけでございます。長期に見ますと、こういったような大きな意味での展開というのが、やはり基本的に必要であろうと思っております。 当面の問題として、制度的には、御承知のとおりいろいろの施策が現に提案されております。こういったものを早く実際問題として実施していくということが必要であろう。私どもがいまやっております作業でも、第三部に「土地問題」として、そういったところをある程度具体的な提案をいたしておりますけれども、計画策定後できるだけこの制度化につとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
○兒玉委員 農政局長にお伺いしたいのですが、この振興地域の策定と、現在土地改良法によるところの長期計画が出されておるわけですが、これはどういうふうな関連において行なっていくのか。これはきわめて基本的な問題と思いますが、その辺の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○池田政府委員 基本的には、私どもは昨年公表いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」の上に乗りまして、いろいろ今後施策を進めていく。この農業振興地域というのも当然そういう前提の上で、それに合うようなかっこうを農業振興地域を中心にして実現をする、こういう制度でございますので、そういうような形で考え方をしてまいりたい、こういう気持ちでございます。 これは私どもというよりか、むしろ農地局が直接ではございますけれども、土地改良の長期計画が、昨年公表いたしました生産の長期見通しとは必ずしもぴったり符号をしているわけではないのでございます。あれは、三十七年に行ないました見通しにうまく合うようなかっこうで計画が立てられているというふうに私ども実は理解をしているわけでございます。そういう意味では、これは農地局でも検討を始めているようでございますが、当然私どもは、この新しく公表されました長期見通しに沿って土地改良長期計画の改定が行なわれる、こういうふうに考えているわけでございまして、そういうような考え方で農業振興地域との調整をはかっていきたい、こういう気持ちでございます。
○兒玉委員 少なくとも農用地のこれからの策定というものは、国内のいわゆる国民食糧の基本的な供給地帯となるわけでございますが、そのいわゆる振興地域についてどういうふうな色合いによって、たとえばオレンジベルトとか、あるいは米作地帯とか、または畜産地帯とか、そういうふうな長期の具体的計というものは、どういうふうな作業で達成しようとするのか、明らかにしていただきたい。
○池田政府委員 私どもは、この法律が成立いたしました場合に、県知事が立てます県ごとの農業振興地域の基本方針、この中におきまして、それぞれの地域の農業生産の姿というものを明らかにすることを当然期待しておるわけでございます。それぞれの地域に応じました農業、たとえば畜産なり、あるいは米なり、あるいはその他の園芸作物なりを中心にした農業が行なわれるわけでございますが、その前提といたしましては当然、先ほど申し上げました全国的な生産の長期見通し、これと斉合性を保たなければいけない、こういうふうに考えております。 ただ、現在公表されておりますのは全国的な数字でございまして、それぞれの地域から見て、自分のほうがその中でどういう位置づけをされるのかが、必ずしも明らかではないという点がございます。そこで私どもは、さらにもう少しおろしまして、地域別にはこういう生産の姿が一応想定されるということを、実は次の段階では作業をいたすわけでございます。そういうものができました暁におきましては、私どもは県の知事さんにも十分御相談を申し上げて、全体としてそれに合うようなかっこうに、それぞれの地域の特色を生かしながら基本方針をきめていただく、こういうふうにしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○兒玉委員 この基本方針の策定の主体は、都道府県知事にしているわけでございますけれども、やはり私は、農林省が全体的な長期の見通し、生産供給、こういうものを立てなければ、地方自治体の段階において、このような長期の展望に立って計画を立てることがきわめて困難ではないかと思うのですが、この法律の精神どおりではたして策定ができるのかどうか。やはりこれは大臣が中心となって基本的な方向を打ち出し、それによって県がもろもろの計画を策定していく、こういう形が正しいのではないかと思うのですが、そのような関係はいかがでございますか。
○池田政府委員 実はその点は、昨日そういう趣旨の御議論がございまして、私どもの考え方を申し上げたわけでございますが、私どもはやはり基本的には、それぞれの地域の農業の姿というのは、それぞれの地域の農業者が当然きめるべきものである。ただそれは、当然将来のあるべき姿にマッチしたものでないと非常に困るわけでございますので、地域の住民の意向、あるいはそれを直接的に指導しております地方公共団体の意向というものを、まずいろいろ御検討を願うということが必要だと思うのですが、ただ、いまおっしゃいましたような点も確かにございます。 それで私どもが、いま申し上げましたような今後の生産の姿、あるいはそれを地域別におろした場合の姿というものを明らかにして、そして、その中でそれぞれの地域がどういう位置を占めるかということについて、十分御相談をして、納得の上で、こういう形が好ましいということをはっきりしたい、こういう気持ちでございます。 初めから国がそれぞれの地域の姿というものをはっきり打ち出したらいいではないかという御意見、これも非常に単刀直入でわかりがいいわけでございますけれども、やはり私どもは、地域のそういう御意向との調整を十分はかった上で出すのが一番いいのではなかろうか、こういう気持ちでございます。 しかしながら、それは決して私ども責任のがれをする、こういう趣旨ではございませんので、指導の段階では十分私どもの考え方は徹底をはかって、先生のいまおっしゃられましたような趣旨に近いいろいろな御指導は申し上げたい、実はこういう気持ちでございます。
○兒玉委員 これは多少飛び飛びになりますけれども、現在予定される農業振興地域なり、あるいは現在通産省の考えておるところのいわゆる工業適地、これらにつきましても、やはりそれぞれのセクトにおいて各省のいわゆる主張というものが競合して、せっかくの農業振興地域の策定というのがなかなか困難な状況になってくるのじゃないか。 たとえば、これは通産省にお聞きしたいのでございますが、現在筑後川の水の問題、工業用水としての問題が非常に提起をされておるわけです。工業適地というものはやはり工業用水というものを無視して考えられないわけですけれども、特にこの点は農業振興地域の水という問題と競合する点が非常に多いわけでございます。その辺はどういうふうな長期の計画と対策をとろうとしておるのか、この点をお聞かせいただきたい。
○黒田説明員 工業適地と農地の問題につきましては、通産省では工場立地調査法というのがございまして、それに基づきまして工場の適地の調査を行なっておりますけれども、その工場適地を決定する際に、あらかじめ農林省の方々と十分に相談をいたしまして、工場適地をきめさせていただいておるわけでございます。 工業用水の問題、たとえば筑後川の問題が出ておりましたけれども、わが国におきます主要五大河川の一つになっておりますが、水資源開発促進法に基づきます閣議決定によりまして、水系の基本計画というのができております。それに経済企画庁を中心といたしまして関係省、それから地元、利害関係者が集まりまして、そうして農業用水とか、あるいは上水とか、あるいは工業用水、そういったものにおける相互間の調整をはからしていただいておる次第でございます。
○兒玉委員 これは地域的な問題ですけれども、筑後川のこの工業用水の問題は、現在どういうふうな状況になっておるのか、お聞かせいただきたい。
○黒田説明員 筑後川の問題につきましては、昭和四十一年二月に閣議決定になっております。それによりまして水の配分計画がなされております。農業用水につきましては毎秒七トン、それから工業用水につきましては毎秒七トン、上水道につきましては毎秒九トン、そのように決定されておる、こういうふうに伺っております。
○兒玉委員 その点について、特に筑後川流域の農民は相当の抵抗を持っておるということを聞いておるのですが、その辺の調整はうまくできておるかどうか。
○宮崎(仁)政府委員 筑後川の水資源関係の問題は、水資源開発促進法によりまして、私どものほうが一応調整の役目でございますので、その関係上若干申し上げさせていただきたいと思うのです。 御承知のとおり、筑後川については、いま通産省からお答えがありましたように、四十一年に水資源基本計画をつくっております。しかし、これは御承知のとおり、あの地域における水需要について全体的にカバーできるというようなものではございません。供給計画のほうが実はなかなかその具体化がむずかしいという状況でございまして、とりあえず事業が実施し得るものだけについて一応水の配分をきめた、こういうかっこうになっております。 したがいまして、当面のところでもかなりの水不足、がございます。農業用水についてもそうでございますが、上水道、工業用水については特にそういった点がございます。したがって、速急に全体の計画をもう一ぺん見直しをいたしまして、そして、たとえば昭和五十年とかあるいはもう少し長い期間を対象にした基本計画の改定をやらなければならぬということでございます。いまいろいろと建設省、農林省、その他各省の出先の方々等の御協力によりまして調査を進めておりますが、地元におきましても、筑後川関係の利水協議会というような形でマスタープランの作成が現在進行中、こういう状況でございます。私どもはこういった調査の結果並びに地元におけるそういったような検討の結果を見まして、できるだけ早く筑後川の基本計画の改定ということで対処していきたい。 その際に、特に問題になりますのが、いま申しました農業関係と他の利用との調整問題、あるいは具体的な計画に伴いまして若干水産関係のほうの影響の問題等もございまして、その辺の調整を円滑に実施しませんと事業が進まない、こういう状況でございますので、できることであれば今年度中くらいにつくりたいということで、いま作業を進めておりますけれども、どの程度の時期までにまとめられますか、せっかく努力中ということでございます。
○兒玉委員 農政局長にお伺いしたいのでございますが、やはり水の利用ということか、農業振興地域についてもきわめて重大な問題があるわけですけれども、何といっても工業優先ということで農林省サイドは常に押されて、水の問題についても農民が常に犠牲になる。あるいはまた工場が進出をすることによって、この排水から出る農業への被害ということが予想されるわけでございますが、その辺の対策はどういうふうにお考えになっていますか、お聞かせいただきたいと思います。
○池田政府委員 私ども必ずしも、従来水の利用につきまして農林省が非常に立ちおくれているというふうには考えていないので、むしろかなり強力にやっているのじゃないかというふうに思っているわけでございますけれども、確かに実際の問題になりますと、いろいろ問題はあるわけでございます。 私どもは、今回のこの農業振興地域との関連で申し上げますならば、知事が基本方針を立て、それぞれの地域について振興地域の整備計画を立てるわけでございますが、振興地域の整備計画の中では、これは法律の上では特に明記はしてございせんけれども、当然農地の利用を考える場合には、その前提として水の利用についての考え方というものを明らかにいたさなければならないわけでございますので、そこいらにつきましても十分、前提としてのそういう水の利用についての姿というものを明らかにする、こういうような指導をいたしたいという気持ちでいるわけでございます。 最近におきます汚水の問題等いろいろ問題があるわけでございますが、これにつきましては農地局が直接やっているわけで、私、御答弁申し上げるのがはたしていいかどうかと思うわけでございますけれども、企画庁が中心になっておられます水質の基準等についても、私どもは、いろいろな機会に十分私どもの考え方を申し上げて、全体的な調整をしていただいているわけでございます。
○兒玉委員 特に工場汚水の問題で、富山県なりあるいは大分県の大野川でございますか、相当水稲が被害を受けたという事実があるわけですが、こういうふうな水の利用ということについても、やはり鉱毒というものを流しっぱなしにして、結局農民が泣かされている。これに対していろいろな論争があるけれども、法的問題になってもなかなか解決がつかない。最終的に農民が泣き寝入りになるという具体的例も発生しているわけですが、こういうふうな工場排水等に対しても、相当適確な規制なり指導をしていかないと、今後重大な問題が提起されてこようと思うのですが、その辺はどういうふうな対策をとろうとしているのか、これは経企庁のほうにお伺いしたい。
○宮崎(仁)政府委員 実は、水質関係の問題は私の局の担当でございませんで、国民生活局の担当でございますので、的確なお答えがむずかしいと思いますけれども、ただいま御指摘のような工業用水等による汚染、これによっていろいろな被害、損害が生ずるわけでございますが、こういった問題が生ずる河川につきましては指定をして、水質保全法によって水質基準をきめていく、そうしてまた、工場排水法等によりまして、通産省のほうでそういった汚水を出す事業所についての監督をやっていただく、こういう体系で現在進めておるわけであります。 実際の問題になりますと、まだ技術的にもいろいろ問題があるようでありますし、さらに指定河川水系そのものについても、あるいは指定してないところについても問題が生じておるということもございます。あるいはまた、汚水の原因になりますところの事業の範囲といいますか、そういうものについての問題もあるということで、法律改正を現在準備中のようでございます。 いずれにしましても、法の整備並びにそういった行政の強化によってこういった問題に対処していく以外に方法がない。確かに御指摘のように、いままでのところ必ずしも十分というわけにはいかないと思いますが、これは、これからますますこういった面を強化されていくというふうに私どもは考えております。また、通産省等でも非常に御協力を願っておるというふうに承知をいたしております。
○兒玉委員 担当でないからわからないと思いますけれども、現在こういうふうな工場排水が、農業関係に甚大な影響を与えておる地域というのは相当あると思うのです。その総体的な資料は持ち合わせないかと思うのですが、どういうふうな把握をしておるか、お聞かせをいただきたい。
○島崎説明員 実は、私のほうも直接の担当でございませんが、一応持参しております資料によって申し上げますと、農地局のほうでは従来からそういうような問題について、鉱山とかあるいは鉱温泉、あるいは工場、都市の汚水等によって農地にどれだけの被害が起こっておるかというようなことで、いろいろ調査を進めてまいった資料がございます。 それによりますと、昭和四十年現在で約十二万六十ヘクタールの農地について被害が生じておるというような数字になっております。その後も新しい問題がいろいろ出ておりますので、逐次そういう問題のある地域について調査を毎年進めております。
○兒玉委員 そういう被害を与える地域に対する行政上の対策、措置はどういうことをやっておるのか、お聞かせをいただきたい。
○島崎説明員 対策といたしましては、やはり被害を及ぼす原因の除去というのがまず基本的な問題であるというようなことから、農林省の立場といたしましては、そういう問題がある地域につきまして、いろいろ被害の要因なりあるいはその水質の分析、調査等をいたしまして、そのデータをもとにしまして、あるいは水質審議会とか関係各省側に農林省側の要望を提示いたしまして、水質基準の設定に際して考慮してもらうというような形で進めておるわけでございますが、やはり原因者側のほうの協力をいただきませんと、根本的な除去はむずかしいというような状況でございます。 それから、起こってしまった被害につきましては、農業側としても除去の対応策等考えなければいけませんので、可能な限り、たとえば鉱毒等が従来蓄積されておりますような地区につきましては、客土事業等によってそういうものを除去していくという問題も、今後考えなければいけないというふうに考えております。 それから、これは将来の対策になるかもわかりませんが、やはり水路につきましても、オープンの方式を切りかえましてパイプラインにするというようなことも、新しい事業の姿として逐次導入していきつつある状況でございます。
○兒玉委員 特に工場排水というのは一番問題があるわけですけれども、これはまたあとで聞くことにします。 次に、農政局長にお伺いしたいわけですが、この農業振興地域に対しては、国の積極的な財政面の援助がなければなかなか事業の進行は困難だ、私はこういうように考えるわけです。特に基盤整備等についても国が全額負担をする、こういう思い切った措置がとられなければ、今後の農村における農業の近代化促進等は不可能だと思うのですが、その財政的措置についてはどういうふうな考えを持っているのか、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 農業振興地域に対する、特に土地基盤整備等の公共投資に対する政府の一つの考え方の問題でございますけれども、私どもは、当然こういう地域に対してこの種の事業を今後重点的に実施をしていく、こういう考えでございます。 さらに一歩進んで、これに対して、たとえば全額国庫補助でございますとか、さらに補助率のアップでございますとか、そういうことを考えるべきではないか、こういう御意見だと思うわけでございますが、これは私どもは、やはりそういうことになりますと、従来農地局でやっておりますその種の事業を全部国庫だけの負担でやるということになるわけでございます。これはやはり、当然その事業によりまして農業者が受益をするという見地からいいましても、全額を国庫で負担するというのはちょっと困難ではないだろうかという気がいたすわけでございます。 しかし、姿勢といたしまして、極力そういう補助を厚くしまして、たとえば、今後外国からの農産物の圧力というのは非常に強いわけでございますので、それに対処して生産性を上げていくという見地からいえば、そういうことが望ましいこともこれまた明らかでありますので、私どもはそういう線で今後努力をしたいと思いますが、全額はちょっと無理ではないか、こういう考えでございます。
○兒玉委員 せっかく農林省が振興地域を策定して、長期の国民食糧の供給地としての農業地域の整備をやるわけですから、当然基盤整備等について、国からの積極的な財政措置というものがなされなければ、今後の振興対策というものはなかなかうまくいかないのじゃないかと私は思う。その辺いかがでございますか。
○池田政府委員 確かに振興地域になりますと、今度は、従来都市近郊等で農地の転用等が行なわれて、また宅地等にそれが向けられる、それによって農家が実際的に非常に潤うというような形があったわけでございますが、そういうようなのが振興地域になりますと非常に制限をされる。そういう意味では、地域の住民としては非常に大きな負担を一面では負うわけでございます。 そういうことでございますので、それとのうらはらの関係で、私どもはやはりこの振興地域に対しては、私どものできます範囲で手厚い施策をやっていきたい、こういう気持ちでおるわけでございまして、これは今後振興地域の数がどうなるかということにもある程度は関係はあるかと思いますが、そういう振興地域として将来も農業を中心にやっていこうという決意を固められた地域に対しては、従来ございます事業はもちろんでございますが、今後さらに新たな観点からそういう事業の重点的な実施をやっていく、こういうことで私どもは考えておるわけでございます。まだいまの段階ではどうもその姿がはっきりしないという御批判は確かにあろうかと思うわけでございますが、それに対しては、私どもは全く最大限の努力をしたい、こういう気持ちでございますので、その点は御了解をいただきたいと思うのでございます。
○兒玉委員 くどいようでありますけれども、やはり国からのそういう積極的な施策がなければ、現在の農村の実情というのは、農地に対するところの観念が、いわゆる国民食糧を供給する農地ということよりも、資産的保有傾向というものが強いと思うのです。そういう立場から考えます場合に、振興地域に指定されますと、いわゆる地価上昇にブレーキをかける結果になるわけでありまして、地域の農民が相当国からの手厚い施策がなければ、むしろ私は、農業振興地域に指定されるよりも都市計画区域等に組み入れてもらうことを希望する傾向というものは、相当強くなってくるのじゃないかという印象を強くするわけでございますが、これらに対する基本的な対応策というものはどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 確かにおっしゃいましたような問題が、実際その地域の指定ということになりますと起こるわけでございます。特に私は、都市に比較的近いような地域では、そういうことに対する判断が、その地域の方々にとっては非常な関心事になろうというふうに考えておるわけでございます。それで、私どもはその姿というものは、極力われわれにできます範囲で具体的にしたいということで、実はこの法案が成立をいたしました場合には、そういうことについての趣旨の徹底には、最大限の努力を払うつもりでございます。 大筋の考え方といたしましては、先ほども申し上げたわけでございますけれども、今後農業施策の種類によって、これは必ずしも農業振興地域だけではなしに、農業をやっております限りはしなければならないという事業もございます。たとえば、一般的な営農指導でございますとか、あるいは植物防疫という見地からのいろいろな事業でございますとか、いろいろございますけれども、そういうものじゃない、相当な財政負担を伴うような基盤整備であるとか、あるいはいろいろな近代化施設というようなものは、私どもは農業振興地域以外には、たてまえとしてはもうやらない、こういうことでございますので、その反面農業振興地域に対して、相当従来より濃密にそういう事業が行なわれる。 一例をあげますと、たとえば第二次構造改善事業でございますけれども、もちろん本年度からは、従来の事業規模を三倍以上に拡充するということでございますか、これも農業振興地域に行なう、こういうたてまえで、私どもは、農業振興地域とうらはらの関係でそういう事業をやっていくということでございますので、これは、もしその地域の方が農業を中心にしてやっていこうという決意を固められた場合には、私は、やはりそれに伴う相当な恩典を受けることになるというふうに考えておるわけでございます。 これは地域のいろいろな条件がございますので、あるいは私どもが考えておる地域の一部が、もう農業じゃなくて他の方面で生きていこうという地帯もあることは、必ずしも拒否はできないと思いますけれども、そういう考えを十分徹底させまして指導をしたい、こういう気持ちでございます。
○兒玉委員 いまの局長の御答弁である程度理解できるわけですが、現実に現在まで行なってきた農基法農政のもとにおいて、構造改善等におきましても、地域農民の抵抗によって、構造改善政策というものが成功していない例等もたくさんあるわけでございます。 こういう現実から考えましても、やはり振興地域策定にあたっての相当積極的な施策といいますか、あるいはその振興地域においてどういう作目をつくり、その供給と需要の関係、あるいはその地域に生産する農産物の価格対策というもの等が相当がっちりとやられなければ、この振興地域の策定というものも、いま局長の言われたように、地域住民の意思尊重という点がうまくかみ合っていかないのじゃないか、こういう考えがするわけですが、そういう総合的な需要供給の関係、あるいは価格対策、こういうもの等はどういうふうに考えておるのか、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 一般的な問題といたしまして、農産物に対する価格政策というものの位置づけといいますか、特に農業の上で価格政策の位置というものは、いま非常に高いものであることは、いまさら申し上げるまでもないわけでございますけれども、農林省全体としても、これは今後も努力しなければならないわけでございます。 特に農業振興地域との関係で私どもの考えを申し上げますならば、私どもは、やはり今回のあれは単に農地の保全ということだけではもちろんございませんで、農業施策というものを計画的に推進をしていく。それは必ずしも、先ほど来いろいろ御議論がございます基盤整備だけではございませんで、その上のもろもろの生産、流通の施設というものも含んだ計画にいたしたい、こういう考えでいるわけでございます。 それと同時に、私はこの際申し上げておいたほうがいいと思いますのは、現在農協を中心にいたしまして営農団地という構想が実はございます。これはかなり前からある構想でございますが、必ずしも従来その実施が、役所が行ないます施策との関連で十分生かされていなかった点が実はございます。それを私どもは今後、こういう農業振興地域を指定いたします場合には、農協が行ないます営農団地というような構想とうまく調整をはかっていきたい。特に、本年度からはこの資金的な裏づけが行なわれまして、近代化資金で相当多額の資金も見ますし、金利の引き下げも行なわれる、こういうことでございますので、こういうものと役所のこういう振興地域の制度、それから役所が助成して行ないます構造改善事業、あるいはその他各原局が行なっております果樹に関するいろんな事業でございますとか、あるいは野菜、畜産関係の事業、そういうものをうまく調整をいたしまして、農業振興地域を中心にして、それが一体になって行なわれるような形、そういうものを実現したい。そういうことでございますならば、これは営農団地等でもそういうことを期待しているわけでございますけれども、生産と消費とをつないだ一体的なルートを確立する、こういうことにもなりますので、十分私どもは農民の方の期待にこたえられるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○兒玉委員 それから、いま局長が言われました農地保全ということが非常に大事でございますが、現行の農地法による転用規制というのが、骨抜きにされたような形になっている状況が相当あるわけですけれども、それでは振興地域内における農地保全について、今後どういうふうな具体的手を打っていこうとするのか、農地法との関連についてお聞かせをいただきたいと思います。
○小山説明員 農地転用許可制度は、優良農地を確保するということと、農業以外の土地利用との調整をはかるという二つの目的で設けられておりまして、これを適確に運用いたしますために農地の転用許可基準を定めまして、従来も厳正に行なっておるつもりでございますが、今後はさらに、農業振興地域の法律が成立をいたしまして、振興地域が設けられるということになりますと、一方で新都市計画法で市街化区域が定められるというふうなことで、両々相まって土地の利用計画が確立してまいりますので、振興地域に入りました地域については、それぞれの計画の内容に従って転用の許可を運用してまいる。したがいまして、振興地域の中に入ったときには、原則として転用許可は行なわれないという運用をしてまいることになるわけでございます。 それから、なおつけ加えて申し上げますと、今国会で審議をお願いしております農地法の改正案で、農地法違反の転用がありましたときに、現在の農地法では取引の効力がない、無効だという規定だけでございますけれども、今度の改正案で、必要な場合には改善命令を出せるというふうな規定も設けて御審議をいただくことになっておりますので、そういういろんな措置、手当てとあわせまして、今後とも農地転用の運用については、十分厳正に運用いたしてまいりたいというふうに考えております。
○兒玉委員 農政局長にお伺いしますが、いま農林省で考えておる振興地域の対象地域といいますか、現在の農用地面積の大体どの程度を指定をされようとしておるのか、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 これは、地域の農業者の意向を十分尊重いたしまして指定が行なわれるわけでございますので、どの程度が振興地域の中で確保されるかということは、その結果を見ないとはっきりしたことは申し上げられないのでございますけれども、私どもが明らかにこれは対象にならないだろうと思われますものを拾ってみますと、たとえば、市街化区域の中におきます農地でございますとか、あるいはそれに比較的近い都市化されたような地域におきましては、これは振興地域の指定が行なわれないというふうに考えられますので、そういう明らかに対象にならないというものを除外いたしまして、一応の計算をしてみると、現状におきまして五百七十万ヘクタールくらいになるのではないか、こういう数字があるわけでございます。 ただこれは、そういうもの以外は全部農業振興地域になるという前提での計算でございますので、実際の段階になりますと、これを相当下回ってくるのが実際ではなかろうかと考えておるわけでございます。
○兒玉委員 振興地域に指定されない地域の農業政策というのは、振興地域に指定された地域との間には、先ほど局長が再三答弁されておりますが、相当の格差が生じてくるのじゃないか。振興地域に指定されない地帯の農業政策というものは一体どうなっていくのか、この点が私は非常に問題じゃないかと思うのですが、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 先ほど申し上げましたことの反面のことでございますが、振興地域以外の地域で農業が行なわれている地域に対する施策は、やはりこれは事業の種類によって違いますけれども、格差が出てくるというふうに言わざるを得ないだろうと私は思います。 もちろん事業の性格によりまして、振興地域以外の地域でありましても、しなければならない事業は相当ございます。私どもも、たとえば農業改良助長法というふうなものでいろいろな普及員を置きまして、営農の指導を行なうというようなことをやっておりますけれども、これは農業振興地域以外にはやらないのだというべき筋のものでは、もちろんないというふうに考えます。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえば植物の病害虫に対する対策、これも同じようなものであろう。もしかりに農業振興地域以外はやらないということになりますと、そこから害虫が発生するというようなこともございますから、これもまた当然でございます。 その他一々申し上げませんけれども、そういうようなことで農業振興地域と同じように行なわれるものもありますけれども、やはり相当な財政支出を伴うような事業、今後相当長い期間農業が行なわれることを前提とするような事業は、農業振興地域以外ではたてまえとしては行なわないというのは、これはやむを得ないのではなかろうか、こういう考えでございます。
○兒玉委員 次に、今後の振興地域の指定にあたって、いわゆる農用地の利用計画、農業生産基盤の整備、農地保有の合理化のための権利取得の円滑化、農業近代化のための施設の整備、こういうことが指摘をされておるわけですけれども、私は、やはり今後農村においても、農業従事者の生活環境施設の整備ということはきわめて必要ではないかと思うのです。この点がいろいろと法案制定の過程において、特に農村地域におけるところの道路なり上下水道等の整備ということは、きわめて重大な関連があると思うのですが、この辺のことはどういうふうに考えられているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○池田政府委員 おっしゃいますように、私どもも農村におきます生活環境施設の整備というのは非常に重要であり、特に今後若い労働力というようなものを農村に確保するという必要があるわけでございますけれども、そういう人たちを農村にとどめておくためにも、やはりそういう点の配慮というものは、非常に重要であろうというふうに考えるわけでございます。 ただ、この振興地域の整備計画の中に、その事項を取り入れるかどうかということにつきましては、これは立案の過程でもいろいろ考え方があったわけでございますけれども、結論といたしましては、一応そこからははずしまして、私どもは今後、そういう事業をやっております各省と十分連絡をしていって、また、各省におきましても、そういうような観点から振興地域について生活環境施設の整備につとめるように御配慮をお願いしたいということで、この法案の二十一条にもそういう規定をうたっているわけでございます。 やはりこの制度の性格が、農業振興地域の整備ということでございますので、生活環境施設を含めました農村計画ということでは必ずしもないわけでございまして、そこいらにつきまして、あるいはいろんなお考えはあろうかと思いますけれども、私どもは、実質的には十分農業との関連を考えていかなければなりませんので、そういう面では計画には入っておりませんけれども、ほぼそれに準ずるといいますか、そういう趣旨が十分徹底されますように関係各省とも御連絡をして、実際にそういう点が遺憾なく行なわれるように努力をしたいという気持ちでございます。
○兒玉委員 これは小沢政務次官にお伺いしたいのですが、いろいろ聞くところによりますと、法案作成の過程におきましても、特に農村の生活の近代化、これは私は農業振興地域の策定と不可分の関係にあろうかと思うのですが、今後このような、「良好な生活環境を確保するための」云々ということが書いてありますが、この表現だけでは実際に私は弱いと思うのです。今後の生活環境整備ということが不可欠な条件であるとするならば、もう少し積極的な表現をとるべきだと思うのですが、政務次官の見解を承りたいと思います。
○小沢(辰)政府委員 御趣旨はもう私ども同感でございまして、大いにひとつ二十一条の規定を活用しまして、生活改善の問題については各省の協力を得て強力に進めてまいりたいと思います。 ただ、法案の性格そのものから見て、これを特に整備計画の中に、しかもそれぞれ所管が多岐にわたっておりますことでもございますから、こうした法案の内容では、国、地方公共団体の責務としての書き方をいたしたわけでございますので、その意味での限界はございますが、実際問題としては、おっしゃるようなお気持ちを体しまして、十分ひとつ努力をいたすつもりでございます。
○兒玉委員 次に、農政局長にお伺いしたいのでございますが、特に今後の振興地域の策定にあたっては、農地等の取得についても特別の配慮がなければいけないかと存じます。特に私は、税制面等の優遇措置ということはきわめて必要ではないかと思うのですが、これらの点はどういうふうな構想をお持ちなのか、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 この法案にもございますが、二十三条に、土地を農業委員会のあっせん等によって譲り渡しをしましたような場合には、租税特別措置法の定めるところによって、譲渡所得についての所得税の軽減というようなことをする、こういうふうな規定があるわけでございます。さらにまたその第二項でも、登録免許税の軽減の規定がございます。 私どもは、やはり今後こういうような農業振興地域におきまして、農地の流動化というものを促進しまして、経営の規模拡大をやるというようなことに特に配慮をしたいと考えておるわけでございますが、そういう面で、やはり税制面からのあと押しというものに期待する面があるわけでございます。ただ、まだ内容が実は確定をしておりませんのは、この法案が成立をいたしました暁におきまして、また税務当局ともいろいろ御相談をした上で、次の段階で租税特別措置法の改正等によりましてその実現をする、こういうことでございまして、現状におきましてはまだその内容が確定を実はしていないわけでございます。 しかしながら、私どもはやはりそういうような観点から、たとえば譲渡所得に対する基礎控除というようなものを、振興地域については他の地域よりよけい見るというようなことをやることが適当なのではないか、こういうふうなことで、従来も税務当局に御相談はしておりますし、また、今後そういう線で努力をしたい、こういう気持ちでございます。
○兒玉委員 特に私は、農業金融面の対策、あるいは金利または融資条件等相当思い切った措置をとらなければ、せっかくの振興地域の整備計画の実行ということはなかなか困難ではないかと思うのですが、金融面等についてはどういうふうな構想をお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○池田政府委員 確かに御指摘のように、補助事業等のほかに金融面のウエートが最近になって非常に高くなってきておりますし、そういう面の資金のワクを十分確保するというようなことは、必要であるというふうに私どもも考えておるわけでございます。 特にこの事業のための特別のワクというようなものは、実は考えておりませんけれども、公庫資金あるいは近代化資金等でも、特に本年度は、ワクとしましては非常に大きなワクを計上しているわけでございまして、そういうものが、私どもはこの農業振興地域を中心に融通の道が円滑につけられるように、関係当局とも十分連絡をして遺憾なきを期したい、こういう気持ちでいるわけでございます。
○兒玉委員 さらに、今後の振興地域においての農業経営の近代化をはかるためには、やはり生産、加工、流通面の思い切った施設の改善というものがなされなければ、名目だけの振興であって実を伴わない、こういうように考えるわけでございますが、今後の農業経営近代化のために、生産、加工、流通等についてはどういうふうな対策をとろうとしているのか、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 確かにそういうような点、従来からもこれは施策を進めてはきておりますけれども、私どもはやはり土地の条件の整備と同時に、流通関係あるいはそれに対応した生産の組織化ということが、非常に必要であるということを考えているわけでございまして、各作目によりましていろいろ形は違っているわけでございますけれども、従来行なっております事業をさらに拡充をするということを考えているわけでございます。 これは一例でございますけれども、実は私どもが真接やっております事業の中で、たとえば米につきましても、最近のようにいろいろ米の需給事情も変わってきておりますので、ただ生産をすればいいというだけではいかないということで、私どもは米の主産地につきましては、相当規模の大きい、いわば米の基地みたいなものをつくっていきたい。これは生産面のいろいろな設備、トラクターでございますとかそういったものの整備を、各団地といたしましてまとめてやるということのほかに、カントリーエレベーターというようなものをそれぞれのところにつくっていく、あるいはさらにそれを総合するようなコントロールセンターといいますか、そういうようなものをつくりまして、生産なりあるいは今後の出荷の基地にしょう、こういうようなことを考えているわけでございます。 これは一例でございますけれども、私どもはやはりそういうものを農業振興地域の中に積極的に取り入れていきたい。それによりまして、単に生産をするだけでなしに、それを消費に結びつけるような努力もしていきたい、こういうことを考えているわけでございます。
○兒玉委員 今後の地域策定にあたり、特にまた土地利用ということは、土壌なり傾斜、土層、水分等自然的な条件の整備と対応して、さらにこのような技術的な点の、いま局長が考えておられるような対策というものを、各市町村自治体において十分消化し得る能力があるのかどうか、これが一番大事なことだと私は思うのですが、この点はどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 その点につきまして、私どもも都道府県あるいは関係の市町村の方と計画の段階におきまして十分御相談を申し上げて、その点で行き詰まりを来たすというようなことのないように努力をしたいという考えでございます。 やはり地方財政の問題といたしまして、私どもはそういう事態に合うような収入の道といいますか、具体的には、これは自治省と御相談をいたさなければならないわけでございますけれども、たとえば、基準財政需要額というようなものを算定いたします場合の測定単位と申しますか、そういうようなものの中にも、こういう農業振興地域の育成に役立つような形が極力取り入れられるように、これは逐次御相談を進めていきたい、こういう気持ちを実は持っているわけでございます。
○兒玉委員 この整備計画というものは、大体どの程度の期間内に実行しようとするのか、また、これに対する手順はどういうふうな方法で進めていくのか、その点明らかにしていただきたい。
○池田政府委員 整備計画の一応の見通しといたしましては、大体今後十年間ぐらいの計画を考えているわけでございます。 今後の指定の手続あるいは計画の樹立ということでございますが、私どもは、先ほども申し上げましたように、これは条件が熟しませんと、すぐ指定をして計画を立てるというわけにいきませんので、やはり十分趣旨の徹底をはかって、地域の機運が熟したものから指定をしていく、こういうふうにせざるを得ないわけでございます。それで五年間ぐらいを考えておりまして、本年度は四百地区につきまして指定をいたしまして、そのうちの半分につきまして計画を立てるということを考えているわけでございますけれども、逐次スピードを上げまして、なるべく早い時期に指定を終わりたい。しかしやはり、少なくとも一応の期間としては五年ぐらいは考えざるを得ないのじゃなかろうか、こういう気持ちを持っているわけでございます。
○兒玉委員 この五年間に一応実行までの段階的作業を進めるわけでございますが、これが計画が確定して実施をされた場合の、いわゆる総合的な食糧なり全体的な供給量といいますか、需給関係はどういうふうに策定をされているのか、「お聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 国全体の計画といたしましては、昨年公表いたしました数字はやはり今後十年間ぐらいの姿ということで、まあその間にそう大きな違いはないのではないかという前提でやっているわけでございますけれども、経済は生きものでございますので、いろいろ事情は変わるということはあり得るわけでございます。もちろん、そういうような相当の経済事情の変化ということがございますならば、これは計画の変更ということもございます。私どももそれに応じた御指導は申し上げたい、こういう気持ちでございます。
○兒玉委員 小沢政務次官にお聞きしたいのでございます。これは先ほどちょっと質問をはずしたわけですけれども、特に振興地域の整備ということは、土地基盤の整備というのがきわめて重要な位置づけになると思うのですが、局長は、財政的な面について、基盤整備の国庫負担ということはなかなか困難だ、こういう答弁でありましたが、私は、少なくとも国民の食糧を供給するこの農用地の近代的な経営、そして活用という面からも、基盤整備に対するところの国のいわゆる全額国庫負担という積極的な施策がなければ、なかなか振興地域の整備というのは実行が困難だと考えるわけですが、これに対する政務次官の御所見を承りたいと思います。
○小沢(辰)政府委員 お気持ちはわかりますけれども、全額国庫負担は、とうてい私ここで、御同感でございますと申し上げるわけにまいりません。 しかし、先ほど来から局長が言っておりますように、できるだけこの振興地域については、基盤整備と構造改善事業、あるいはその他金融面についても、あるいはまた流通の円滑のための農免道の整備等についても、ひとつ重点的にやらしていただくということで、また一方、補助率についてもできるだけひとつ努力をしてまいるということにとどめさしておいていただきたいと思います。
○兒玉委員 農政局長、十分研究されていると思うのですが、西欧の先進国等においても、たとえばイタリア等の南部開発では、ほとんど基盤整備等は全額国がやっているという例も聞いているわけですが、先進国との比較から見た場合にいかがでございますか。各国でいまの基盤整備等についてどういうふうな例があるのか、もしおわかりでしたらお聞かせをいただきたい。
○池田政府委員 私も、はなはだ申しわけないのでございますが、各国の基盤整備の進め方等について十分承知していないわけでございますけれども、いま例をおあげになりましたイタリアの南部地域の開発、これはどうも私どもの理解では、イタリアの北部と南部とではいろいろな意味で格差が非常に多いわけでございまして、日本の場合に当てはめました場合に、たとえば北海道でございますとかあるいは南九州でございますとか、そういう格差と比べるとこれは比べものにならないくらいの格差であるというふうに、私どもは実は理解をしているわけでございます。 したがいまして、日本の場合に、これはたとえば金融その他の面でそういう地域に対するいろいろな優遇措置はあるわけでございますけれども、いまお述べになりましたような南イタリアに対するように——そこが全額国庫負担でやっているかどうか、私は実はよく承知していないのでございますが、かりにそうであるといたしましても、日本の場合にそれを当てはめるのはちょっとむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○兒玉委員 まだ相当この法案に対しては、具体的な条項等についても御意見を申し上げたいと思っておりますけれども、最後に、大臣がおりませんので、特にこれは次官に確認しておきたいと思うのですけれども、何といいましても、生産物のいわゆるコンスタントな供給対策、さらに流通、加工面の積極的な設備の改善、同時に、農畜産物の価格安定策、こういうものを強力に推し進めていかなければ、このような整備計画の実行ということは全く意味をなさない、こういうふうに考えるわけでございますが、こういう総合的ないわゆる流通、生産、加工、供給対策、価格安定対策ということについて、次官としてはどういうふうな御所見をお持ちであるか、お聞かせをいただきたい。
○小沢(辰)政府委員 生産、流通並びに価格対策が総合的に円滑に行なわれて、初めて農業の振興がはかられるわけでございますから、おっしゃるように、この三つの面については、特に振興地域につきまして私どもも今後一そうの努力をひとついたします。ただ、どちらかといいますと、価格政策に片寄り過ぎたきらいが従来はあったのじゃないか。したがって、生産、流通面に今後はさらに一そうの努力をしなければいかぬ、このように基本的には考えております。
○兒玉委員 農政局長にお伺いしたいのですが、現在の農村地帯の過疎現象といいますか、労働力が、いまの国土総合開発法に基づく開発計画というのが拠点開発主義であったために、いわゆる大都市集中の傾向が非常に露骨にあらわれておるわけですけれども、やはり今後振興地域の整備を遂行するためには、労働力の確保ということが私は不可欠の条件だと思うのですが、その辺はどういうふうな対策なり構想をお持ちなのか、お聞かせいただきたい。
○池田政府委員 従来地域開発の一つの手法といたしまして、拠点開発ということで従来の総合開発計画は一応立てられていたわけでございますけれども、これはむしろ人口が非常に多い地帯から他の地帯に誘導しよう、こういう趣旨であったろうと思うのでございます。ただ、なかなかそのとおりいきませんので、今回いろいろ計画の改定の段階で、道路でございますとか、その他のいろいろな通信施設でございますとか、そういうものの整備によってそれをうまくつないで、ややそこに近いようなことを実現していこうというのが新しい企画庁の考え方のように私どもは承知しているわけでございます。 いずれにしましても、そういう工業化を中心とした地域開発といいますか、工業化の進展ということに応じまして人口が相当流出をするということで、私どもの見通しでも、五十二年には農業就業人口は六百万と一応想定をいたしておりまして、現在の三分の二程度になる、こういうことでございますが、私どもはこれは人の数よりはむしろ質が特に問題なんではなかろうか、こう思うわけです。数としては六百万というのは決して少な過ぎることはない。むしろ私どもがかねがね期待しております農業構造の改善という点からいえば、農業の機械化が進み、あるいは経営規模の拡大が行なわれるということであれば、あるいは集団的な生産組織が確立をしていくということであれば、決してこれは少な過ぎる数ではないと思うわけでございます。 ただ、問題は質でございまして、御存じのように、基幹労働力の半ば以上が婦人である、あるいは相当老齢化しているというところが非常に問題なんで、私どもはやはり、今後質のいい労働力を確保するという点に特に配慮しなければならぬのじゃなかろうか。そのためには、やはり農業が魅力のある産業であるということになりませんとこれは実現できませんので、今後そのためには規模拡大等をはかる、あるいは先ほど来御議論のありました農村の生活環境施設を整備していくということが必要になると思うのでございます。 そういうことで、私どもは、そのための一助というとことばはあれでございますが、地域的なめどをつけていくということもあって、こういう振興地域の法案を御審議願っているということでございますので、そういうものが逐次実現をし、あるいは構造政策のいろいろな面の施策が実行に移っていけば、その点では決して私どもは悲観するには当たらないので、むしろ非常にその点明るいのではないだろうかという実は期待を持っているわけでございます。 そういうようなことで、具体的な施策としてもいろいろやっております。たとえば、いろいろな青少年育成の事業等もやっておりますけれども、最近の事態は、そういう若い質の高い労働力というものは、一時急速に減少したのが非常に落ちついてきているというので、これをもう少しもり立てていきたい、こういう気持ちでございます。
○兒玉委員 なかなか私は自信が持てないような気がするわけですけれども、本年度の農業白書によりましても、結局、農民の所得の実態というのが大体百三万円でございますか、そのうちの五〇%近くは農業外の所得によって生活が維持されているという状況から判断しました場合、この整備計画によって大体農業を主とする所得がどの程度まで向上される見通しを持っているのか、経済的な面からの見通しでお聞かせをいただきたいと思います。
○池田政府委員 こういう施策を行ないました場合に、一応目標を実現するめどとしてどういうようなことを考えているかというお尋ねであろうかと思うのでございますが、これは実はなかなかむずかしい御質問で、私どもはこれに対して的確にお答えするのが非常にむずかしいのでございます。(「むずかしいのではなくて、取り組んでいないのだろう」と呼ぶ者あり)取り組んではいるのでございます。 一応私どもの考えは、やはり基本法にもございますように、自立経営というものを育成していく。現在はこれは若干ふえてきましたが、まだ一三%程度、粗生産額でいえば三分の一程度ということでございますので、これは比較的手近な目標としても、私どもはやはり、そういう自立農家が生産額の半分程度は少なくともカバーするというような事態を、比較的近い将来に実現しなければなりません。それは、いろいろないま御審議を願っております制度が実現されれば、決して不可能ではない。少し楽観的だという御批判を受けるかもしれませんが、私どもはそういうふうに期待しているわけでございます。
○兒玉委員 まことにたよりない答弁です。 これは経企庁に聞くところでしたが、国土の総合的な土地利用計画というものと今後の農業振興地域との間に、相当競合もするだろうし、あるいはまた、これは建設省になるわけですけれども、いわゆる高速自動車道路網の整備ということが建設省の段階で提起されているようでございますが、そうなりますと、相当の農地が道路によって食われるということが予想されるわけでございますので、その辺の長期計画との関連はどういうふうな構想のもとにこれが処理されようとしているのか、お聞かせいただきたい。
○池田政府委員 どうも私がお答え申し上げるのがいいかどうか、非常に疑問でございますが、企画庁の担当者がおられませんので、私から御答弁申し上げます。 今後道路、特に高速自動車道というようなものが整備されました場合に、私はやはり、これは農業の姿というものにかなり大きな影響を与えるというふうに考えているわけでございます。従来比較的都市近郊において行なわれておりました農業の形が、かなり遠隔地までいくという、こういう形になると思いますので、これは農業にとっても非常にいい意味のプラスの面の影響があるというふうに私どもは理解をしているわけでございます。 そういう道路関係の用地のために、農地等も相当程度つぶされるわけでございますが、これは的確に積み上げた計算ではないようでございますが、従来の趨勢等から想定をいたしますと、やはり三十万ヘクタール程度はそういう関係に向けられるのではなかろうか、こういうようなことでございます。
○兒玉委員 先ほどどなたでしたか、そういうふうな総合的な計画によると、たしか二十万町歩程度がそういうふうにされるというようにお答えがあったようですが、その辺の数字の食い違いはどうですか。
○島崎説明員 先ほど申し上げました二十万町歩と申しますのは、新都市計画法におきまして市街化区域が設定された場合に、その市街化区域に含まれる分ということで二十万町歩ということを申し上げたのであります。道路等につきましては、市街化区域の外のほうにもずっと延長いたしますので、相当面積は広くなっておるということでございます。
○兒玉委員 終わります。
○丹羽委員長 以上で本案に対する質疑は一応終了いたしました。 午後一時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 ————◇————— 午後一時五十四分開議
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農地法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 この際、農地法の一部を改正する法律案について補足説明を聴取いたします。中野農地局長。
○中野政府委員 農地法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容の概略を御説明申し上げます。 まず第一に、農地法の目的に関する第一条の改正について御説明申し上げます。 現行の農地法は、農地改革の成果を維持し、いわゆる旧地主制に逆行することを防止するという使命をもって制定されたものでありますが、制定後今日までの十数年間にその使命を十分に果たしてきたものと評価されるのであります。しかしながら、最近における農業技術の進歩や社会経済事情の変化等から見ますと、さらに新しい時代の農業の要請にこたえ、農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されるようにすることが必要となっておりますので、農地法の目的に「土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整すること」を追加することといたしております。 第二に、農業生産法人の要件緩和に関する第二条の改正について御説明申し上げます。 現行の農業生産法人の要件のうち、その法人の構成員以外の者からの借入地面積がその経営総面積の二分の一未満であること、その法人の常時従事者たる構成員が議決権の過半数を保有していること、その法人の必要労働力のうち雇用労働力の割合が一定率以下であること及び出資配当率が一定の割合を越えないことという要件を廃止いたしまして、それらの要件にかえて、その法人の理事等業務の執行に当たる者の過半がその法人への農地等の提供者であり、かつ、その法人の農業経営に必要な農作業に常時従事する構成員でなければならないことといたしております。この改正は、集団的生産組織の育成と土地の効率的利用に資するためのものであります。 第三に、農地等の権利移動の制限に関する第三条の規定の改正について御説明申し上げます。 その一は、農地等の権利を取得する場合の上限及び下限の面積制限の改正であります。これは、近年における農業技術の進歩、兼業化の進行等の情勢の変化に対応して、農地がより生産性の高い経営によって利用されるよう配慮したものであります。 まず、現行法では農地等の権利取得の結果、農地についていえば、北海道では十二ヘクタール、都府県では平均三ヘクタールをこえることとなる場合には、権利取得者またはその世帯員が主として自家労働力により効率的に農業を行なうことができると認められるときでなければ許可できないこととしているのを改め、農地等を取得しようとする者またはその世帯員がその取得後において農業の用に供すべき農地等のすべてについてみずから農業を行ない、かつ、その農業に必要な作業に常時従事すると認められる場合には、面積及び雇用労働力についての制限をせずに許可できることといたしております。 次に、いわゆる下限面積制限については、現行制度では農地等の取得前における農地または採草放牧地の面積のいずれかが三十アール以上なければならないことになっておりますのを、その取得後五十アール以上の規模になれば、取得前の面積いかんにかかわらず、農地等の取得を許可できることといたしております。なお、地域の実情に応じて、都道府県の区域を分けてこの面積の特例を定めることができる旨の現行の規定は、存続させることにしております。 その二は、国から売り渡しを受けた農地等については、現行制度では永久に貸し付けることが禁止されておりますが、売り渡し後相当の年数がたちますと事情も変わりますので、これを改め、売り渡し後十年を経たものについては、その効率的利用がはかられるよう貸し付けができることといたしております。 その三は、農地等の取得者に対してその土地を効率的に利用すべき旨の要請を強めることとし、通作距離等から見て、農地等の取得後においてそれを効率的に利用して農業を行なうことができると認められない場合には、許可しないことといたしております。 その四は、農業協同組合法の一部改正法案において、農業協同組合が委託を受けて農業経営を行なうことができることといたしていることに対応して、その場合に農業協同組合が農地等の権利の取得をすることができることといたしたのであります。なお、農業経営の委託に伴う農地等の権利の取得は、農業協同組合が委託を受ける場合に限り認めることとし、それ以外の場合にはこれを認めない旨の規定を設けることといたしております。 その五は、農業経営の規模の拡大、農地の集団化等をはかるため農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人が、農地等の権利を取得する場合には許可できることといたすとともに、その法人が農地保有合理化促進事業のために農地等を転貸する場合にも許可できることといたしております。 なお、以上のほか、農地等の権利移動の制限に関しましては、現行制度では小作地等はその土地の小作農等以外の者に譲渡できないことになっているのを改め、小作農等の同意がある場合には、その土地が農地等の買い受け資格を有する第三者に譲渡されることを認め、差し押えまたは仮差し押えを受けた自作地等については、その後それが貸し付けられて小作地等となっても、強制執行等によりその小作農等以外の者へ所有権が移転されることを認めることといたしております。 また、農地等の権利移動についての許可権限につきましては、実情に即して整備することとし、農地等の権利を取得しようとする個人が、その住所のある市町村内の農地等について権利を取得しようとする場合には農業委員会を許可権者とし、その他の場合、すなわち他市町村内の農地等の権利を取得する場合とか、権利を取得する者が法人である場合等においては、都道府県知事を許可権者といたしております。 第四に、小作地等の所有制限の例外を定めております第七条の規定の改正について御説明申し上げます。 その一は、一定の要件のもとに、住所のある市町村の区域の外にある小作地の所有を認めることといたしておることであります。すなわち、現行制度では住所のある市町村の区域の外にある小作地につきましては、その所有を認めていないのでありますが、農地の所有者及びその世帯員が耕作の事業に供すべき農地のすべてについて耕作の事業をやめ、他の市町村へ住所を移した場合に、それらの者が農業をやめたときに、住所を有していた市町村内にある小作地で農業をやめる前それらの者等が一定の期間所有していた農地については、北海道では四ヘクタール、都府県では平均一ヘクタールまで不在村者として小作地を所有できることといたしております。また、その農業をやめたときのその小作地の所有者からその小作地を承継した一般承継人についても、その小作地の所有を認めることといたしております。これはいわゆる旧地主制の復活を意味するものではなく、他産業に従事しようとする農家が他市町村へ住所を移しやすくし、農地が効率的に利用されるよう配慮したものであります。 その二は、従来農業生産法人が耕作の用に供している小作地につきましては、農業生産法人の常時従事者である構成員が所有する農地であって、その者の住所のある市町村内にあるものをその法人に貸し付ける場合に限り、小作地の所有制限をしないこととしておりますのを、農業生産法人の構成員であれば、その法人に貸し付けている農地については、その所在地がその構成員の住所のある市町村の区域内にあるものであっても、またその区域外にあるものであっても、小作地の所有制限をせずその所有を認めることとして、農地の効率的な利用に資することといたしております。その三は、農業協同組合が農業経営の委託を受けて耕作の事業に供している小作地及び農業協同組合の共同利用施設の用に供している小作地については、それぞれその所有者に対し、その小作地の所有制限をせずその所有を認めることといたしております。 その四は、農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人に貸し付けられている小作地につきましては、その所有者に対し小作地の所有制限をせずにその所有を認めることといたしまして、この法人が農地を借りやすくし、農地保有の合理化に資することといたしております。 その五は、都市計画法による市街化区域内の小作地につきましては、あらかじめ転用のため届け出をして取得したものは所有制限をしないこととなっておりますが、市街化区域の性格にかんがみまして、届け出の有無にかかわらず所有制限をしないことといたしております。 その六は、近年農業経営における採草放牧地のになう役割りが変化してきたことにかんがみて、小作採草放牧地につきましては、その所有制限を廃止することといたしております。 第五に、農地等の賃貸借の解約等の制限を定めております第二十条の規定の改正について御説明申し上げます。 現行制度では、農地等の賃貸借の解除、解約または更新の拒絶をしようとするときは、民事調停法による農事調停によって合意解約が行なわれる場合及び信託事業にかかる信託財産につき解約の申し入れ等が行なわれる場合のほかは、当事者は都道府県知事の許可を受けなければならないこととされておりますが、この規制を緩和いたしまして、農地等の所有者が農地等を貸しやすくするため、次の場合には許可を要しないことといたしております。 その一は、農地等の賃貸借につきその農地等を引き渡すこととなる期限前六カ月以内に成立した合意で、その旨が書面において明らかであるものに基づいて賃貸借の解約をしようとする場合であります。 その二は、十年以上の期間の定めのある賃貸借につき、その期間満了の一年前から六カ月前までの間にその更新をしない旨の通知をする場合であります。 その三は、水田裏作を目的とする賃貸借につきその更新をしない旨の通知をする場合であります。 第六に、小作料の規制を定めております第二十一条から第二十四条までの規定の改正について御説明申し上げます。 農業者の経済的、社会的地位が向上し、また雇用の機会が増大した現在では、当事者の自由な契約にゆだねても戦前のような高額の小作料が発生する余地は一般的にはないものと判断されること、最近において農業生産、農業経営が多様化してきたこと等の理由により、これらの規定を改正して、従来のような画一的な農地一筆ごとの小作料の最高額統制制度を廃止することとし、これに関連して小作料の規制に関する所要の規定を整備することといたしたのであります。 その一は、農業委員会が農地一筆ごとの小作料の最高額を定める旨を規定した第二十一条を廃止するとともに、この統制額に違反する契約については、その統制額を小作料の額と定めたものとみなすこととされている第二十二条を廃止し、これらの規定にかえて、小作料は定額全納で契約すべき旨及びこれに違反する定めはその効力を生じない旨の規定を設けることといたしております。 その二は、小作料の増額または減額の請求権の規定を設けることとしたことであります。これは、小作料の額が農産物の価格や生産費の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により不相当となったとき、または近傍類似の農地の小作料の額に比較して不相当となったときは、当事者は小作料の額の増減を請求することができることとし、増額について協議がととのわないときは、増額の請求を受けた耕作者はみずから相当と認める額の小作料を支払うことをもって足りることとし、減額について協議がととのわないときは、減額の請求を受けた土地所有者はみずから相当と認める額の小作料の支払いを請求することができることといたしております。そして、増額または減額を正当とする裁判が確定した場合には、すでに支払った小作料の額との過不足額に年一割の割合による利息を付して精算すればよいことといたしております。 その三は、農業委員会による小作料の標準額の設定及び小作料の減額の勧告の制度を設けることとしたことであります。まず、農業委員会は、その区域内の農地につき、たとえば田畑別、上中下別等必要な区分をいたしまして、その区分ごとの農地につき経営規模、経営能力等において通常の農業経営が行なわれたとした場合における生産量、生産物の価格、生産費等を参酌し、耕作者の経営の安定をはかることを旨として小作料の標準額を定めることができることといたしております。そして、その小作料の標準額に比較して著しく高額であると認められる小作料を定めた契約があるときは、農業委員会は当事者に対してその小作料の減額を勧告することができることといたしております。 その四は、以上のような小作料の規制についての改正を行なうにあたり、現存の小作地の小作料につきましては、その小作農の経営に急激な変化を与えることを避けるため、この法律の施行の日から十年をこえない範囲内において政令で定める日まではなお小作料の最高額統制に関する制度を継続することとし、その最高額の基準については、農林大臣が毎年検討を加えて、必要があるときはその変更を行なうことといたしまして、附則第八項及び第九項にこの旨の経過規定を設けることといたしております。 第七に、国からの農地または採草放牧地の売り渡しについて定めております第三十六条の規定の改正について御説明申し上げます。 これは、現行制度では市町村、農業協同組合等の団体に売り渡すことのできる土地は、共同利用することが適当な採草放牧地に限定されておりますのを草地としての土地の利用の効率化が進んでまいっておりますことを考慮いたしまして、共同利用することが適当な農地についても団体に対し売り渡すことができることといたしております。 第八に、和解の仲介制度について第二章に一節を設けることとしておりますので、この制度につき御説明申し上げます。 これは、農地等の利用関係の紛争が民事調停または裁判によらなくても簡便に解決できるように、当事者の双方または一方から申し立てがあったときは、農業委員会が和解の仲介を行なうことといたしたものであります。この和解の仲介は、農業委員会の委員のうちから農業委員会の会長が事件ごとに指名する三人の仲介委員により行なうこととし、都道府県知事の許可を要することとされる事項について和解の仲介を行なう場合には、仲介委員は都道府県の小作主事の意見を聞かなければならないものとしております。 なお、農業委員会が和解の仲介を行なうことが困難または不適当であると認めるときは、都道府県知事による和解の仲介ができることといたしております。第九に、開拓財産である道路、水路等の譲与に関する第七十四条の二の規定について御説明申し上げます。 開拓財産である道路、水路、ため池等につきましては、現在有償で売り渡すこととなっておりますのを改めまして、これらの財産の性格にかんがみ、その用途を廃止したときは、これを無償で国に返還することを条件として、市町村、土地改良区等に無償で譲与することができることといたしております。 第十に、草地利用権設定制度について第三章に一節を設けることといたしておりますので、この制度の概要について御説明申し上げます。 これは、畜産物に対する需要の増加に対応して飼料の生産基盤の拡大強化をはかるための制度であります。 まず、市町村または農業協同組合は、その住民または組合員の共同利用に供するため、牧草の栽培またはこれに付随して家畜の放牧を行なうことを目的とする土地についての賃借権を取得する必要があるときは、都道府県知事の承認を受けて、その土地の所有者等に対し、草地利用権の設定に関する協議を求めることができることといたしております。この場合に都道府県知事が承認できるのは、その土地が自作農の創設に供されるとするならば、国による未墾地買収の対象となり得る土地である等一定の要件に適合するものである場合に限ることとしております。 次に、この承認を受けた市町村または農業協同組合は、土地所有者等と草地利用権の設定に関する協議をすることとなりますが、これがととのわない場合等には、都道府県知事の裁定を申請することができることといたしております。この場合には、都道府県知事は、土地所有者等に意見書を提出する機会を与え、その土地の利用の状況、利用計画等を考慮してもなお草地利用権の設定を望む市町村または農業協同組合が、共同利用に供することのほうが国土資源の利用に関する総合的見地から必要かつ適当であると認めるときは、草地利用権を設定すべき旨の裁定をするものといたしております。 なお、草地利用権は設定の初めから通算して二十年をこえない範囲内で更新することができることといたしております。 また、草地利用権の存続期間が三年以上にわたるときは、その土地の所有者等は、都道府県知事に対し、草地利用権を有する者がその土地等を買い取るべき旨の裁定を申請することができることといたしており、草地利用権を有する者が正当な事由がなく引き続き二年以上草地利用権が設定されている土地をその目的に供しなかった場合には、草地利用権を解除することができることとしているほか、草地利用権の譲渡等の禁止の規定等を設けることといたしております。 最後に、第八十三条の二におきまして、農地等の無許可転用者または転用許可の条件に違反している者等に対し、農林大臣または都道府県知事は工事の停止命令等違反を是正するための必要な措置をとるべきことを命ずることができることといたしております。 以上をもちまして、農地法の一部を改正する法律案についての補足説明を終わります。
○丹羽委員長 以上で補足説明は終わりました。 引き続き両案を一括して質疑に入ります。 質疑の申し出がありまするので、順次これを許します。三ツ林弥太郎君。
○三ツ林委員 提案になっております農業協同組合法の一部を改正する法律案について、若干の質問をいたしたいと思います。 まず、総合農政推進の上において、農協の果たすべき役割りはきわめて大きいものであろうと考えますが、政府といたしまして、農協に対しどのような役割りを期待しているのか、まずお伺いいたしたいと思います。
○池田政府委員 総合農政の内容というものは御存じのとおりでございますが、非常に幅が広いわけでございます。私ども今後総合農政を進めていく段階におきまして、これはもちろん役所だけでできることではございませんで、関係団体あるいは関係農業者の御理解の上で進めていかなければならないわけでございますが、その場合に、私どもは当然農協が中心になると考えるわけでございます。 農協の事業は、御存じのようにいろいろ各般の事業にわたっているわけでございまして、私どもが現在総合農政ということを言っております内容もまことに広いわけでございますけれども、その中で、特に今後問題になると思われますのは、一つは流通段階の事業、特に販売事業等の面、あるいは農協の生産に関する事業、あるいは農家の営農指導といったらいいかと思いますが、そういったような事業の面が、特に今後大きな意味を持ってくるんじゃなかろうかという感じを私は持っているわけでございます。 大体、これは組合員の意向を反映してのことであると思うわけでございますけれども、最近の情勢に応じまして農協でも、たとえば営農団地の造成というような事業を進めているわけでございますけれども、私どもは、これは将来非常に大きな意味を持つことになるんじゃないかということで、こういうことについては、低利の資金を供給するというようなことを本年度から実施するわけでございます。 いずれにいたしましても、ほんとうの意味で農協の今後の役割りというのは非常に大きいので、政府としてはそういう農協の動きと対応して、極力仕事がうまくできるような御援助をするようなかっこうで政策を考えていく必要があるんじゃないか、こういうように考えているわけでございます。
○三ツ林委員 いま説明があった総合農政推進上における農協の役割り、こういうことが、今回の農協法の改正案とどういうふうな関連があるのか、ひとつ伺いたいと思います。
○池田政府委員 今回の法案の内容は、大きく分けまして私は二つあると思うわけでございますけれども、一つは、農協の経営の受託の制度あるいは農事組合法人に関する改正が一つでございます。それからもう一つは、農協のたとえば総代会の運用の問題でございますとかあるいは選挙の問題、その他いわば農協の一般的な管理に関する制度の改正、この二つが今回の法案の内容でございます。 前者につきましては、私はやはり今後農業構造の改善といいますか、経営の規模の拡大なりあるいは集団的な協業的な組織というものを育成していくということとの関連で、実はこういう改正を考えているわけでございまして、農地法の問題とも関連をいたしますけれども、それが将来非常に大きな意味をだんだん持つことになるんじゃないか、こういうことが一つございます。 それからもう一つは、農協の管理に関します制度の改善でございますけれども、これは御存じのように、従来農協の体質の強化ということで合併等を進めてきたわけでございますけれども、かなりの成果はあげておりますが、なお十分ではない。その場合の一つのネックといいますか、農協の地域が広くなったりすると、総会制度というようなものの運営が非常にむずかしいというようなことがありまして、そういうような面からの改正を要望する声が従来非常に強いわけでございます。もちろん農協が、さっき申し上げたような意味で今後総合農政の実質的なにない手ということで大きな役割りを果たす場合に、そういうような面で農協の基盤が十分でないということになると、これは非常に問題でございますので、私どもは今度、実情に合うようなかっこうでそういう管理面の改正を考えているわけでございます。
○三ツ林委員 次に、農業経営の受託についてお伺いいたしますが、農協に農業経営の受託の事業を認める趣旨について、また、特にその農業構造政策上の意味について……。
○池田政府委員 最近、農村におきます人口の減少あるいは兼業化の進展というようなことも非常に影響しておると思うわけでございますけれども、そういうようなことで、農協が非常に高能率の機械等を持ちまして、組合員から作業の委託を受けるというような事例が実はかなり増加をしてきておるわけでございます。そういう事例はございますが、それが組織立ったかっこうで生かされているというわけには必ずしも全般的には言えない状態にあるわけです。私どもは、やはり今後農業の構造改善を進めていく場合に、やはり農協が経営の委託を受けて農業経営を進める、そうしてそれとの関連で、いわゆる集団的な生産組織というものを育成していく、こういうことが非常に必要でございますので、こういうような一つのよりどころとしてこの委託の事業を考えておるわけでございます。 これがもしそういうことで、私どもの考えておるように軌道に逐次乗っていくということになりますと、これはやはり今後機械を伴った、いわば農業の構造改善された姿、これは相当大規模経営もございましょうしあるいは協業等もあると思いますけれども、そういうものの一つの拠点になるんじゃないだろうか、こういう点を一つ期待しておるわけでございます。 それからもう一つは、やはりそういうものが逐次、必ずしも農協がやる場合でなくても、周囲に波及をするということで、いわばそういう構造改善の一つの足がかりをつくる、こういうようなことで、そういう意味での成長を実は望んでいるわけであります。 と同時に、前にちょっと申し上げたこととダブると思いますけれども、やはり私どもは、現在の経営規模からいうと、相当協業というようなものを伸ばしていかなければならないわけでございます。その場合に、やはりそういうような高能率の機械を使いこなしていくというようなことになりますと、これは一定の技術なりあるいは経験なりというものが必要になるわけなんで、そういうものをいまの段階として逐次農村に培養していくといいますか、そういうような意味で、私どもは、農協の今回の経営の受託というものを実は考えたい、こういう気持ちでございます。
○三ツ林委員 いまの農協の農業経営の受託について、これの指導方針について伺います。ことに技術、管理、分配についてどうかということです。
○池田政府委員 新しい事業でございますので、私どもはうまくいくように適確な指導をしたいという気持ちでいるわけでございますけれども、その場合に、たとえば先生のいまおあげになりました点から申しますと、技術面におきましては、やはりこれは当然私どもがやっております改良普及制度というものとの連携を強化するということが必要だと思いますけれども、事業の内容としては高能率の機械化体系というものを確立する。これは必ずしも大型だけがすべてでないとも言えますので、実態に合ったようにそこいらを考えたいと思うわけであります。 最近かなりいろんな、米で申し上げれば、田植え段階とか収穫段階なんかでもいい機械ができてきておりますし、そういうものを取り入れまして、そうして部落段階におきます下部的な組織と連絡を保ちながら事業をやっていく、少し抽象的でございますけれども、こういうような方針で考えていきたいと思います。 それから管理につきましては、これは新しい事業でございますし、やはりその中の採算というものをはっきりしておかなければいけないということで、はっきりしたこの部門の、経営受託というような部門の確立をいたしまして、あとからいろいろ問題が起きないように指導することがいいんじゃなかろうかということでございます。 それから分配の問題でございますけれども、これは従来やみ小作といいますか、そういうような問題がございまして、いろんなかっこうがあるわけでございますけれども、今後そういうような意味の悪弊が出ませんように、私どもとしては、農協がやります場合には定額の受託料を農協が受け取る、そういうようなかっこうで指導する必要があるんじゃなかろうか。こまかい点は一応別にいたしまして、大筋につきましては、そんな方針で考えていきたいと思っております。
○三ツ林委員 次は、農事組合法人の問題ですが、今度の改正によって、農業経営を行なう農事組合法人は、農民の協同組織体であるという従来の基本的な性格を変更することとならないかどうか。
○池田政府委員 私どもは、今回の改正は、現在の農業の実態に合わせた改正であるというふうに考えておるわけでございますけれども、あくまでもこれは協同組織、協同組合の一つの種類でございますので、そういうような性格が変わるようなことは、これは絶対考えるわけにはいかないのでございます。 現在のような形でございましても、組合に参加している者がいろいろな事情の変化で農民でなくなるというような場合にも、それは農民とみなすという規定になっているわけでございますけれども、それは全体のそういう組合員の三分の一以下という点は堅持をしていくわけで、要するに、その農事組合法人の主体性が農民の手に握られるということを考えているわけでございまして、農民の協同組織体であるという性格自体は、私どもは基本的には全然変わらないというふうに考えているわけでございます。
○三ツ林委員 それから、農業経営を行なう農事組合法人とそれ以外の農事組合法人とで、組合員の資格が異なることとなるが、どういうわけか伺いたいと思います。
○池田政府委員 今回の農事組合法人に対します改正で、当初参加しておりました者が、いろいろな事情の変化、兼業の進展というようなこともございましょうし、あるいは機械化が進んで必ずしも全部農業に従事していなければならないというようなことでなくなったというような、いろいろな事態の変化があるわけでございますけれども、そういう上に乗りまして今回の改正を考えているわけでございます。 御承知のように、農事組合法人に二種類ありまして、一つは共同利用関係の法人、もう一つは農業経営をやる法人、こういうことでございますが、共同利用の法人は、これはあくまでも農業上の、農業的な共同利用でございますから、農民以外がそれを利用するということは、実は考えられないわけでございます。でございますから、あくまでもその組合員は農民でなければならない。 ところが、今回の改正の、農業経営を行なう場合の農事組合法人につきましては、いろいろな事情の変化で農民でなくなった。そうすると、それを厳格にいたしますと、従来農協に預けておりました農地を、あるいは取り返すとかなんとかいう事態が、ほうっておけば起きるわけでございます。そういたしますと、これは農事組合法人の経営が非常に基盤がゆらぐ、こういうことにもなりますし、農民の主体性を確保しながら、現状に合わせた例外的な措置ということで、三分の一の範囲内ではそういう者も組合員として認める、こういうことにしているので、私どもは、やはり二つの法人の性格の相違がそういうことになったと考えておるわけでございます。
○三ツ林委員 また、今回の農地法及び農協法の改正案においては、農業生産法人の要件よりも農事組合法人の要件のほうがきびしくなっているわけでありますが、どういうわけでありますか。
○池田政府委員 農地法におきまする生産法人と農協法におきまする農事組合法人の要件はもちろん違うわけでございますが、私どもは、これは基本的にはそれぞれの観点の相違というふうに実は考えているわけでございます。 というのは、農業生産法人のほうは、これはあくまでも農地法の体系の中で農地の効率的な利用といいますか、要するに、集団的な生産組織を育成するという観点から、農地を効率的に使うというための主体として実は考えられている制度でございますので、その本来の目的が達せられる範囲内におきまして、実態に合わせて要件の緩和をしようというのが、今回の改正案だと私は理解をしているわけでございます。要するに、経営の主体性が農民的な形で確保されていれば、農地法のワクの中では一応目的を達せられる、こういうふうに考えるべきであろうと思うわけでございます。 それに対して農協法のほうは、多少欲張っているかと思うのでございますが、やはりあくまでも生産協同組合ということで、いわば農民の生産組合であるという性格を貫きたいという希望がございますので、現状に合わせてできるだけの緩和はしたわけでございますけれども、やはり多少そこに立場の違いがありまして、協同組合的な色彩をより多くとどめているといいますか、そういうような違いがあるわけなんで、私は、やはりそれぞれの法律の主たるねらいからくる違いというふうに理解していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○三ツ林委員 次に、総代会についてお伺いいたしたいと思いますが、今度総代会の権限を拡大する理由というのは、一般的にはわかるのですけれども、役員の選挙、選任を総代会で行なえるようにすることは、組合の運営を非民主的にするおそれがあるように思うが、ひとつお尋ねいたします。
○池田政府委員 御指摘の点は、確かにいろいろ議論があるところであろうかと思います。私どもの今回の改正は、最近におきます合併農協の実態、あるいは合併の促進というような観点で総代会の権限を拡大する、こういうことでございまして、それはそれとして、役員の選任、選挙まではちょっとどうかという御意見かと思うのでございます。 これは協同組織としての形式的な純粋性からいえば、確かにおっしゃるとおり別の御意見があり得るだろうと思うわけであります。しかし、御存じのとおりわが国の産業組合以来、農協の歴史というのはかなり古いわけでございまして、その間総代会制度というものがとられてきて、むしろその総代会制度がうまく運用されるならば、かえって形式的な民主主義といいますか、総会制度というよりか、より実質的にむしろ組合の意向が反映するという面があるのではないだろうかという気が実はするわけでございます。あまり地域が広くなりまして組合員が多くなりますと、総会を開いてもなかなか出てこない。一応形は非常に民主的でございますが、実質的には一部の人たちがむしろ中心になる。それが総代会でありますと、かなりいろいろな趣旨の徹底といいますか、話し合い等が行なわれるということにもなるわけで、形式を主にするか実質を主にするかということではないだろうかという気がするわけでございます。 私どもは、今回いろいろ実地のほうの検討をいたしまして、農協の要望等も十分考えまして、実は今回のようなことに踏み切ったわけでございまして、ただ、実際の段階では、運用を誤りますと非常に問題が出てまいりますので、その点は十分留意していきたい、こういう気持ちでございます。
○三ツ林委員 いま説明がありましたけれども、念のために申し上げるのですが、総代会の権限を拡大しますと、組合と組合員との関係が薄くなる、希薄化するということになるんじゃないかと思うのですが、これについてひとつ……。
○池田政府委員 運用を誤りますと、確かに御指摘のようなことも起こり得るわけでございますので、私どもは、そういうことにならないような制度的な歯どめといいますか、それと実際の運用ということでいろいろ考えなければならぬと思っておるわけでございますが、制度的には、総代の定数の最底限度を今回引き上げるという措置を実はとっているわけで、この点が一つでございます。 あと、実際の段階では、やはり総代会制度がそういうふうに強化されますと、実際に総代会の前に、たとえば部落の中でいろいろ思想統一をするとか、そういったようなことが非常に重要な意味を実は持ってくる。そういうようなことについては、これは農協中央会等ともいろいろ御相談しなければならぬと思っておりますけれども、その点は十分指導していかなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
○三ツ林委員 それから次に、一会員一票制の特例についてのことですが、協同組合の原則の一つとされてきた一人一票制を、今回連合会等について修正しようとする理由について伺います。
○池田政府委員 協同組合原則ということの非常に大きな一つの柱としましての一人一票制というのは、昔からそういうことできたわけでございます。それに対して今回、必ずしも一人一票でないということになるわけでございますけれども、これは、従来の協同組合の考え方からいきますと、多少どうかという御疑問は確かにあろうと思うわけでございます。 この考え方は、最近の経済の実態といいますか、要するに、昔に比べて経済の組織というものがかなり複雑になってきている。むしろ、あまり形式的な点を主張すると、かえって実質的にいろいろ問題が出てくるというようなことがございますので、合併等が進みまして非常に大規模になっている組合員と、非常に小規模な組合員、それを全く同じに扱うのはかえってなかなかしっくりいかないというようなことも実はあるわけでございます。 そういう実態の上に乗りまして、さらにこういうことに踏み切った経緯といたしましては、実は三年ほど前でございますが、国際協同組合同盟というのが国際的な協同組合の協議体としてあるわけでございますけれども、そこの大会で、やはり同じような要請で、一人一票制の例外というものが認められたという経緯がありますので、私どもも、そういうようなことで実は今回踏み切ろう、こういうことになったわけでございます。
○三ツ林委員 一会員一票制の特例を設けることになりますと、大規模の農協の発言権が過大になる、そういうおそれがあると思うのですが、これについてひとつ……。
○池田政府委員 これも確かに運用のいかんによるわけでございまして、非常に運用を誤りますと、いま御指摘のような問題がやはり出てくる場合もあり得ると私ども考えるわけでございます。 そういうことで、実はこれの実際の指導方針といたしまして、ある程度しっかりした基準をきめて、指導方針といいますか、むしろ政令で一定の限度をきめまして、行き過ぎがないようにする必要があるのではないだろうかということで、たとえば、一会員に与えます議決権の数の最高限度というようなものを定款できめる、そういうようなことで行き過ぎを押えていく、そういうような措置も実はあわせて考えていきたい、こういうことでございます。
○三ツ林委員 それから連合会の会員に、連合会がある場合において、その会員たる連合会の議決権数を算定するにあたっては、その会員たる連合会を直接または間接に構成する農業協同組合の連合会構成上の関連度に基づかなければならないとなっているわけですが、どのような意味でありますか。
○池田政府委員 実は、確かに法文として非常に熟していないことばを使っておりますので、私ども若干気になっている点なんでございますけれども、これはどういうことかと申しますと、たとえば、全国連というようなものを考えました場合に、普通であれば県連が会員になる、その下に単協があるというのが普通でございますけれども、場合によりましては、さらに郡連があったりいろいろな組織の形があり得るわけでございます。その場合にもしかりにそういうような三段階になって初めてその下部の組合員につながる組織と、かりに二段階で下部組合員につながる組織がある場合に、同じ票の扱いにすることは、どうもやはり実質的に若干問題があるのじゃなかろうかという点がございます。 そういうような段階がかりに一つよけいふえるというような場合には、やはりその間の関連度というものが若干低下をする。こういうようなことで、その低下をした度合いに応じまして、数の数え方に差をつける、こういうことがむしろ実態に合うのではないか、こういうようなことで、はなはだ熟しないことばでございますが、そういうようなしかたにいたしたいと考えておるわけでございます。
○三ツ林委員 次に、信用事業についてお尋ねいたしますが、組合員の世帯員または地方公共団体以外の非営利法人に対する貯金担保貸し付けについては、員外利用分量の計算上組合員とみなすこととして、一方地方公共団体貸し付け及び金融機関貸し付けについては、員外利用分量の計算の対象外としているように、両者の取り扱いが異なっているわけですが、いかなる理由によるものであるか。
○池田政府委員 これは、両方のいわば性格の相違というふうに私ども考えておるわけでございます。たとえば、組合員の世帯員に対する貯金担保貸し付けということになると、これはやはり実質的な意味から組合員と考えていいのじゃなかろうか。特に、これは貯金担保の貸し付けでございますので、貯金を従来認めております関係とうらはらの関係で、一種の貯金の払い戻しみたいなものにもなりますので、同じ扱いにすべきであろうというふうに考えるわけでございます。 一方、金融機関等に対する貸し付けでございますけれども、この性格は、実は従来のいろいろな法制で、余裕金の運用というふうに扱っている制度と、今回の農協法のように貸し付けというふうに扱っている制度と二つあるわけでございます。それで、貸し付けというふうに扱いましても、実質的な意味はむしろ余裕金の運用というふうに考えるべきではないか。そして余裕金の運用ということになりますと、これは組合員の利用というふうに考えるべきではないので、全く別のことでございます。もしかりに組合員の利用というふうに考えますと、またそれに対して一定の割合で員外利用ができるということになるので、これはちょっと筋からいっておかしいというふうに考えております。 実は、ただ形式的に同じようなことでなぜ扱いを変えているのだろうかという疑問があるわけでございますけれども、私どもは、そういう性格の相違からそういうふうになったというふうに考えておるわけでございます。
○三ツ林委員 今度の信用事業にかかる改正は、いずれも員外利用の範囲の拡大をはかったものでありますが、この措置により農協信用事業の本来の目的たる農業面における貸し付けが阻害されるおそれはないかどうか。 またあわせて、農協信用事業のあり方についての所信を伺いたい。
○池田政府委員 農協の信用事業については、いろいろな御意見があるわけでございます。内部的な御意見もございますし、あるいは外から、どうも行き過ぎがあるというようないろいろな御意見もあるわけでございます。 私どもは、やはり農協の信用事業というのは、本来の筋からいたしまして、あくまでも組合員のためになるようなかっこうで行なわれるべきでございますので、やはり貯金だけではなしに、貸し付けの面で組合員の需要には極力応ずるというふうなかっこうに持っていきたいということで、今回の改正は、やはりこれも実態に合わせるということで、員外利用等の範囲を広げたということでございますけれども、あくまでも原則は組合員貸し付けが主でございますので、そのようなことで実際上の問題が起きないように、私どもは実は指導方針を具体的にきめていきたい。たとえば、金融機関に対する貸し付けでございますと、預金残高のたとえば二割以内とか、そういった一つの指導方針をきめて、実は御指導申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。 ただ、農協の信用事業のいま申し上げましたような組合員に対する貸し付けというのは、最近の傾向でございますけれども、逐次私どもは改善をされているというふうに考えるわけでございまして、貸し付け割合も逐次ふえておりますし、また、金利等も若干ずつではございますけれども下げてきているということで、役所のほうといたしましては、近代化資金の制度と相まちまして、その有効利用ということを考えておるわけでございます。 また、いろいろ農協の問題で、ある組合では若干不正事件等の問題が出ておるということもありまして、私ども実は頭を痛めておるわけでございますけれども、そういうことの主たる原因が、内部管理体制がどうも非常に十分でない、総合チェックシステムといいますか、そういうものが十分でないということがあるので、従来そういうことを中心に指導しておりますけれども、なおまたこれはもう少し努力をするようにいたしたいというふうに考えております。
○三ツ林委員 次に、ちょっと参考のためにお伺いいたしたいのですが、国のほうでは昭和三十六年以来合併というのを進めてまいりましたが、その結果はどうなっておるか。また、未合併のものについてはどのように考えておるか。 それから次に、いままでに合併した規模で、今後の農業の推移から見て十分と考えるかどうか、の三つをお伺いいたします。
○池田政府委員 農協合併助成法ができまして、また期間の延長等が行なわれまして、実は数日前に、四十三年度限りで制度が一応終わったわけでございます。その間に合併はかなり進んで、私どもの当初の予定からいたしますと、当初の計画の一〇〇%ではございませんけれども、大体予定の九五%程度が行なわれたというふうに考えておるわけでございまして、ここ数年は合併の数も実は非常に減ってきております。 これはなぜ減ってきておるかと申しますと、現在残っておりますのは、いろいろ問題の多い農協、あるいはもうすでに相当地域が広くなっておりまして、合併の必要のない組合等でございまして、今回の制度改正でいろいろ管理上の形を変えました場合には、またさらに若干そういう面のネックが除かれまして進むということも考えられますけれども、私どもは、かなり農協の合併は進んだというふうに考えておるわけでございます。 現在の農協をあれしてみますと、まだ地域なり組合員数、あるいは担当職員の数というような点で、必ずしも十分でないものがございますけれども、まず当初考えましたほぼそれに近いようなものが、実は合併を見ておるわけでありますので、なお今後は、実地の指導でもう少し促進をしたいと考えておりますが、大体そんなふうな印象を持っておるわけでございます。
○三ツ林委員 最後に政務次官に、今後の農業協同組合に対する指導監督を含めて、農林省の方針をひとつ承っておきたいと思います。
○小沢(辰)政府委員 御承知のとおり農協は、生産面において、あるいは流通面において、あるいはまた営農団地の構想を中心とする新しい総合農政の推進の上から見ましても、非常に重要な役割りを果たすべきだし、また、果たしていると私は思っているわけでございます。しかも、最近農協におきましては、その運営の基本構想というものを明らかにいたしまして、積極的な姿勢を示しておられますことは、まことに喜ばしいわけでございます。 私どもは、何といってもこの農民の自主的な団体である農協というものをできるだけ指導、助成をしまして、これが中心になって、またわれわれ農林省とともに、今後農政の推進をはかっていく上に一そう協力をしてもらうことを期待しておりますから、われわれとしては従来以上に農協に期待を持って、積極的な指導と助成をしたいと考えております。
○三ツ林委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
○丹羽委員長 湊徹郎君。
○湊委員 私は、農地法の一部改正に関連をして、基本的な幾つかの問題について、政府の見解をお尋ねしてみたいというふうに思います。 農地法の改正は、今日まで幾たびか問題にされながらいまに至ったわけでありますが、その背景になっております事情を考えますと、御承知のように、戦後農業をめぐる諸情勢の変化はたいへんなものでございます。 顧みますと、幾たびか一つの節みたいな点、たとえば、昭和三十年の未曽有の豊作にささえられながら、それ以降農業の足場がある意味で固まってきた。さらに三十五年からは経済の高度成長、こういうことで、それにささえられながら非常なピッチを上げていろいろな面が変わってきた。そして昨今、御承知の米が余ったという問題に象徴されるように一つの大きな転換の時期を迎えた。 その場合に、国際的に見ましても、貿易資本が自由化される。特に関税あるいは輸入割り当て、こういうふうな形で、今日までいろいろな輸入規制の措置をとってきたのだが、これについても一つの限界というものをわれわれは感ぜざるを得ない。 結果的にいえば、国際競争力を農業に付与して、世界に向かって負けないような農業の体質をつくる以外に方法がないのだということ、同時にまた国際分業という観点から、特に東南アジアの農業等とのかね合い等も、国として真剣に考えなければいけない。その結果国内においては、一体国内食糧の自給のめどをどこに置くか。裏を返せば、海外に対する農産物の依存度の限界をどこに設けるか。その場合、日本の貿易構造や経済体質全体から考えて、対外的な支払い能力にもおのずから限度があるので、そういう外貨の効率的な使用という観点からも、農産物輸入についてある程度の限度というものを考えていかなければいけないというふうな事態になってきたことは、御承知のとおりであります。 それとともに、国内においては経済の高度成長発展、これはおそらく世界も目をみはるようなスピードで進んできた。その結果、産業間の生産性と所得の格差が非常に目につくようになった。それにからんで地域格差の問題も起き、過密過疎の問題も起きて、それと同時に若い労働力がどんどん都会に流出して、就業構造も大きく変化をしてくる。同時に、経済が伸びると生活が変わる。生活が変わると消費の構造も当然変わるということで、農産物に対する国民の期待、希望、これも質的に変化をする、どんどん高度化をする。そういうふうな内外の情勢に対処して、一体農政としてはどこに目標を置いて、どういうふうな政策を具体的に展開するか、こういうふうな事態になってきたわけでございます。 それに対応して、政府は、やはり基本的には農業の生産性を向上して外国に負けないような体質の農業をつくるところに目標を置く。このことによって国民食糧の安定的な供給と、同時に、農業をやっておる農家の方々の所得の増大、この二つを基本眼目にしながら総合農政をひとつ展開していこう、それには総合的な視野と長期的な観点が必要だ、こういうことで過般来「農産物の生産と需給の長期見通し」等も発表されたわけでございますが、特に構造政策につきまして私ども率直に反省をいたしますと、これこそが必要だと政府も考えておりながら、予算的に見ましても、またそれを裏づける構造政策関連立法につきましても、ほとんど手が打たれていなかったというのが率直な反省であろうと私は思います。 特に予算的に振り返ってみますと、基本法ができる前とあとと、政策手段ごとに中身を洗ってみた場合に、はたして構造政策の名にふさわしいような予算が農林予算全体の中で何%占めておったか。分類のしかたにもよりますけれども、私の調べたところでは、たかだか五%前後というのが実態でございます。それから関連立法は、今国会に出されておりますように、さあこれからひとつやろう、こういうことなのであります。 そういう総合農政、特にその基軸をなす構造政策、その中で農地法は一体どういう意味を持ち、かつ、どういう役割りを果たすのか、この辺の基本的な考え方をまずお尋ねをしてみたいと思います。
○中野政府委員 最近の農業の展開にあたりまして、いま先生がお話しになりましたこと、私たちもそのとおりだと思っておるのです。特に、今後生産性を向上させて、国民に安定的かつ安価に食糧供給をすると同時に、農業所得を向上させていくということを考えます場合に、構造政策が非常に重要であるというふうに考えております。 その中で、農地法の役割りというお尋ねでございますが、何といいましても農業経営の中で土地というのは基本をなすわけでございます。これをいま申し上げましたような方向で進めていくためには、どうしても経営規模の拡大をはかっていかなければならないということになるわけでございますが、その場合に限られた農地、これが流動化されていかなければならない。そういう方向で農地法を直していくのがやはり構造政策の基本といいましょうか、最も重要な柱の一つだと私たち考えておるわけであります。
○湊委員 農地法は、御承知のように戦後制定された当時、旧来の地主制度、同時にそれは小作制度でありますが、これを廃止することによって自作農主義のたてまえを貫いていく、同時にその裏打ちとなる耕作権の確立をはかっていくのだ、こういう基本線で進められてきたのでありますが、当時の考え方といたしましては、まず農地改革をやって、その基盤の上に民主的な協同組合組織を育てることによって、農地改革から農業改革へさらに躍進をはかるのだ、こういう気がまえで、これはいわば当時、戦後における農政の牽引車的な役割りを果たしてきたわけであります。そういう意味で、いままで果たしてきた農地法のメリット、これは非常に大きなものであるというふうに私は考えます。それと同時に、先ほど申し上げるような内外の情勢変化に対応するためには、過去の制度がむしろある意味で桎梏化してきておるような面も非常に多い。 そこで、今日の時点におけるデメリット、過去のメリットと今日の時点における現行農地制度のデメリット、これを政府はどういうふうに評価なさっていらっしゃるか、その点をお答え願いたいと思います。
○中野政府委員 先般の提案理由の説明にもございますように、戦後農地改革をやりまして、旧地主制を払拭するといいますか、そういうことをやりました結果、耕作者の地位が非常に安定をいたしまして、かつ、農業生産力がそれによって上がって、戦後の復興は、この農地改革に負うところが大きいというふうに思っております。そういうように自作農を中心にした農業を維持していこうということで農地法を制定して、土地制度についての基本ということにしてきたわけですが、その役割りは、ただいまも申し上げましたように、戦後の農業の復興、発展というものに最大の寄与をしたというふうにわれわれも評価をしておるわけです。 ただ、いま先生お話しのデメリットと申しますか、こういう問題につきまして考えてみますと、いま申し上げましたように、非常に効果があったわけでございますが、先ほど先生が御指摘になりましたように、農業の事情がちょっと変わってきております。特に、最近の高度経済成長の影響が農業内部の問題に、それから外部に対しても、非常な影響を与えてくる。私が申し上げるまでもなく、一方では兼業化が進みますし、それから、村労働力がどんどん外へ出ていくという影響もございましょうし、それに応じて地価が上がってくるというような問題もございます。それから農業内部では、いろいろ農林省も力を入れておるわけでございますが、いろいろな施薬をやってまいりまして、機械化それから大現模化等も徐々には進んできております。 そういうことになってまいりますと、農地改革の成果を維持するというだけの農地法でいいのかということになりますと、かなりいろいろな問題が出てきたというふうにわれわれは考えておるわけでございます。特に、先ほどの御議論にもありましたように、今後の経営規模の拡大という方向で、土地を有効に使っていこうという観点からいたしますと、いまの農地法がいろいろな面で阻害をしている要因があるのではないか。もちろん、いま申し上げました規模拡大の方向というのは、農地法があるために全面的に阻害されておるということだけではございませんけれども、農地法制度という面から見ましても、かなり阻害要因が出てきておるというふうにわれわれ考えておるわけであります。
○湊委員 次に、先ほどから議論になっております新しい時代の要請といいますか、最近における特に著しい情勢変化に対応して、農地制度の今後の基本的なあり方に関連して、二、三お尋ねをしてみたいと思うのであります。 第一番目は、所有ということと利用ということの関連でございますが、庁は確かに金持ちと申せば、小金をためて銭を持っておるとか、あるいは土地持ちだとか、まあ持っていること自体に主たる意義があったんでありますが、あらゆる面において、特に戦後、その所有というものと利用、ことばをかえて申すならば経営と労働、そういうもののウエート変化、特に一般社会においては、所有と経営の分離ということがいわれて久しいし、現にそういうふうな状態になってきております。 特に、大きく言えば、戦後の日本経済の発展も、戦前ならば、国土が狭い、資源がない、人口が多い、これは、まあ宿命的な日本の悪条件であると頭からきめ込んで、つまり国の立場でいえば、金もなければ資源もない、こういうことで、日本は代表的な貧乏国であるというふうに先入観的に思っていたのが、戦後の条件変化によって、逆にその条件を生かすことによって日本の発展は可能である。物はなくても、金はなくても、それを使い得る能力と技術とそれだけの知恵があれば、このとおり国というものも発展できるのですよというお手本のようになってきた。そこに日本の経済発展の基礎的な条件がある、こう思いますし、企業や何かを見ましても、自己資本も二割を切っておる。ほとんどは借金に依存する。要するに、銀行から借りたものでも何でも、じょうずに金を使っていけば、てまえ自身は持たずとも、ここまで経営として伸び得るという実例をわれわれに提供しているというふうなことで、所有よりもむしろ利用、もっともっとこの利用という点に重点を置いて、あらゆる制度の運用というものは考えてしかるべき時代になっておるんではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。 特に、戦後行なわれた農地改革、その軸になっておる自作農主義というのは、長年の間渇望して、何とか土地持ちになってみたい、こういう小作人の皆さんの期待にこたえてやったわけです。さて、土地はおれのものになった、それによって行なう経営も、同時に毎日毎日の働きも、これを一体にして使っていくことによって生産意欲を刺激し、それによって増産効果を期待しよう、こういうところに戦後の農地改革の意味があった、こういうふうに思うのでありますが、先ほど申し上げるような形で、所有よりむしろいかに利用するか、こういうふうにいまの時代の流れが変わっておる。こういうことになりますと、それに対応するようなやはりものの考え方、同時に制度、そういうものをやはりつくる必要があるだろう。私は、今回の農地法改正を、一つはそういう観点から理解をいたしておるわけであります。 その場合、第一条の目的に、「土地の農業上の効率的な利用を図る」こういうことが明記されてございます。それに関連してまずお聞きをしたい第一点は、かつて農地改革が、先ほど申し上げまますように、その後の農政の牽引車であった、機関車であった。それを先頭にしてもろもろの農業立法が行なわれ、農業政策が進められてきた。こういう点から考えると、総合農政によって新しい転換をはかろうとする今日、いわば総合農政の起爆力といいますか、牽引車たる役目を農地法が果たすような、そういう内容を持った農地法であってしかるべきではないか。そういう点から考えると、いささか積極性が乏しいんじゃないかというふうに感じますが、その点が第一点。 第二点は、その中身になりますけれども、自作農主義と並んで、ただいま申し上げましたように、農地利用の効率化をはかるために利用関係の調整をやっていくんだ、こういうことを基本目的に加えたわけでありますが、その中身は、たとえば、借地農経営というものを一つはめ込むことによって規模拡大に資しようとか、あるいは通作距離等による権利移動の許可規制をやって、消極的にその取得の制限をやっていこうとか、あるいは草地の利用権の設定によってその目的に資しようとか、その程度のことであって、積極的に目的に掲げたような農地利用の効率化をはかるためには、もっともっとそういう意味の内容があってしかるべきじゃないか、こう思いますが、その点についての見解をお尋ねいたします。
○中野政府委員 農地法の第一条の目的を改正いたしまして、従来いわれておりました自作農主義に並んで、土地の効率的な利用という観点を入れてまいりましたのは、先ほど先生からお話しがありましたような考え方をとっているわけでございますが、その場合に、今度の改正案が積極性が乏しいではないか、中身が足りないではないかというようなお尋ねでございます。 ただ、その場合にわれわれ考えますのは、この制度、農地法というのは、いわば日本の農地、土地についての基本的な制度であります。そこへ積極性というものを入れてくるといいますと、どうしても事業法的なものになってくるわけですが、それは別に考えられることではないかというふうに思います。 ただ、この農地法の中でも、そういう規模拡大の方向に向かって必要な面からのいろいろな形の改正を加えております。先ほど御指摘のありましたようなことのほかにも、たとえば、前回提案しました法律案にはありませんでしたけれども、今度は、たとえば第二次構造改善事業の具体化との関連もございまして、農地の規模拡大なり集団化のために必要な、農地保有合理化事業を行なうような法人にも、農地の取得なりその転貸を認めようという面も入れてきておるわけであります。それから、草地利用権の問題は御指摘にありましたけれども、今後の畜産振興という面からも、こういうものを積極的に入れていきたいという観点で、いわば、先ほど最初に御指摘ありました、従来の農地法が、所有と経営と労働三位一体になっている法律の中で、新たに所有と労働あるいは経営とが、だんだん分離していく傾向が出てくる。それをむやみにやりますと農地法廃止につながるわけでありますけれども、その辺を秩序をつけながら、やはり機械化なり技術の進歩に対応した農地法というものにしていきたいというふうに考えているわけでございます。いわば農地法というのは、そういう将来の方向に向かっての条件の整備を、いまやる必要があるのではないかというふうに考えております。
○湊委員 次に、先ほど局長からも、積極性というのは、やはり事業法じゃないのだからおのずから限界があるのだ、基本的な土地制度というワクの中で、かなり積極的に中身については考えたのだというふうな趣旨のお話がございましたが、もう一つは、そういう土地制度というものの総合的な観点からの一つの検討といいますか、具体的に申しますと、いろいろな土地制度があるわけであります。きょうの午前中の質問にも出ておりましたが、農地以外に特に工場用地、住宅用地、そういうものとのかね合いで、率直な話、農地はいろいろな影響を受けておる。それから山林の問題もある。そういう全体の土地制度の総合的な関連性について、この農地法はどの点にどういう考慮を払っておるのかということが第一点。 それから、ネックになる問題の大きなものは地価対策でありますが、特に資産的な保有というものじゃなくて、これは生産手段として保有するのだ、生産手段として農地というものは利用し生かしていくのだ、そういう観点にだんだん比重を移す必要があるわけでありますが、そのためにも、地価対策というものには多かれ少なかれ触れざるを得ない。その地価対策との関連をどう考えておるかということが第二点。 第三点は国土全体の土地利用、国土政策。過般国土総合開発計画の改定等もございましたし、それに対応して農業振興地域の立法も出ておるわけでありますが、それとの関連について伺いたい。 第一点は各種の土地制度との関連、第二点は地価対策をどの程度考慮しておるか、第三点は国土政策との関連、この三つについてひとつ見解を承りたいと思います。
○中野政府委員 非常に広範な日本の土地問題といいますか、そういう問題についての御質問でございますので、私だけで答えられるかどうか、ちょっと問題があるかと思いますが、いまの宅地問題、あるいは工場用地その他の都市側との関連の問題につきましては、前国会で通りました都市計画法、それと農地法との調整をしているわけでございます。もうすでに御承知のように、今後十年以内に市街化する地域につきましては、農地転用の規制を届け出制に変えるということを片一方でやりますと同時に、残りました調整区域は、これは原則論でございますが、われわれとしましては農業が振興されていくべきところだと考えておりまして、農地法としましてもその転用規制の運用としましては、非常に厳重に取り扱いたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、二番目の地価対策の問題につきましては、直接今回の農地法によりまして、地価を統制するとかどうということは考えておりません。ただ、農地法をいかに改正いたしましても、やはり農地は農民が使うものでございますから、少なくとも不耕作者が土地を投機的な目的のために取得するようにしないという原則は、堅持したいという考え方をとっておるわけでございます。それが間接的には、先ほど申し上げました土地の利用区分の明確化——都市計画法との関係なりあるいは農振法との関係も含めまして、土地利用区分が明確になりますと、思惑的なあるいは転用期待的な感じがなくなってまいりますので、間接的ではございますけれども、今度の農地法の改正なり農振法なりが、地価対策にある意味での貢献をするのではないかというふうに考えておるわけでございます。 それから、最後にお尋ねの国土全体の中での土地利用の問題につきましては、すでに政府のほうで新国土総合開発計画を立案しておるわけでございますか、農林省といたしましても農林業の土地利用について、当然それと全般的な調整をはかりながら進めていかなければならない。と同時に、農振法の具体化とも関連をいたしまして、土地の面からいたしますれば、土地改良長期計画につきましても改定を現在検討しておるわけでございます。そして、限られた国土でございますので、できるだけ有効に使われる方向で、土地改良長期計画にいたしましても農振法にいたしましても、運用をはかるべきだというふうに考えております。
○湊委員 ただいまの問題は、問題自体が大きゅうございますし、今後いろいろこまかく具体的にひとつお聞きをしていきたいと思いますが、そのうちの一つでありますが、構造政策を進めていく上に一番ネックになっておる、いわば阻害要件、それは農地の資産的保有、こういう考え方が非常に強い。その結果財産として持つ。これを生産手段として使うというふうな形になっていない。そういうふうに持っていくためには、やはりそういう役割りを果たすのも農地法の一つの役目ではなかろうか。 そういうふうに考えると、その根っこには地価の問題がある。そこでもう少し積極的に、戦後の農地改革、戦後の農地法によって行なわれたあの改革が革命的な効果を持ったと同じように、いま頭を打って一種の転換の時期にある農政を進めるためには、やはり勇敢にそこら辺に首を突っ込まないと、やはり農政の軸としては不十分ではなかろうか、こういう意味を先ほど申し上げたわけであります。これはひとつ今後の検討課題として、政府においても御研究を願いたいと思います。 そこで、次にいささか内容に入って幾つかお尋ねをしたいと思いますが、農地管理事業団法案が四十年、四十一年と二回廃案のうき目を見、この前の五十八回国会に出した改正農地法案も廃案になった。そこで第一点は、今度出された改正案が前回とどういう点が違うのかということと。それから二番目には、これまで三回流産になった経過にかんがみて、一体政府は問題点や何かをどのように反省をしてきて、どういう点に特に検討を加えてきたのか、そこら辺の経過をひとつお聞かせを願いたいと思います。
○中野政府委員 農地管理事業団法案を考えました場合には、農地法は現行法のままで管理事業団をつくりまして、その管理事業団については農地法の特例を設けていくという考え方で、そしてその管理事業団を中心に、経営規模の拡大の方向に農地の移動が方向づけられないかという案であったわけであります。ところが、残念ながら二度廃案になりまして、そのあとわれわれといたしましては、廃案になりましたけれども、やはり今後の農業の規模拡大という面から考えますと、どうしても構造政策は強力に進めなければならないということから、もうすでに一昨年になるかと思いますが、省内にも構造政策推進会議というものを設けまして、一体どういうふうに持っていったらいいだろうかということを種々検討したわけでございます。 そこで、その検討の結果といたしまして、われわれ案として考えました際に、もはや、管理事業団なら管理事業団だけで農地法の特例を設けていこうということでなくて、農地法そのものにやはりメスを入れまして、新しい農業の発展の方向に沿うような農地法にすべきではないかというふうに思い至ったわけでございます。したがいまして、単に管理事業団に特例を設けるという考え方から、農地法を全面的に直すという方向に持ってきたわけであります。 その際に、先ほどからも御論議がございますように、農地法の考え方を、自作農主義に加えまして土地を効率的に使う方向で、農地のいろいろな権利統制その他の規制をはかっていきたいというふうな考え方から、権利移動の統制なりあるいは小作地所有制限の緩和、それから賃貸借関係の種種の緩和といいますか、そういうものなり、草地利用権の設定なりということを、制度として考えたほうがいいのではないかというふうに考えたわけでございます。そこで、そういうような考え方から昨年提案をいたしたわけでございますが、これも残念ながら廃案になりました。 その後一年間考えてみまして、われわれ、農地法の前回考えました基本的な考え方は変更する必要はない。しかし、先ほどもちょっと触れましたけれども、その後第二次構造改善事業がだんだん具体化されてくるというような問題、それから都市周辺にいたしましても、畜産公害その他の問題が出てまいりまして、そういう都市周辺の農家を、都市計画との関連もございまして、もう少し純農村地帯に誘導していく必要か出てくるということもございまして、農地保有合理化促進事業というもの、これはまだ構想の段階で、農地法でこれを仕組むわけではございませんけれども、こういう地域地域の実情に合った市町村なりあるいは県の公社なりができまして、それが農地の保有合理化促進のためのいろいろな事業ができる場合に、農地法上許可ができるということを一つ加える必要があるのではないかということか、前回と今回の違いの一つでございます。 それからもう一つは、これも都市計画法との関連があるわけでございますが、前回の国会で都市計画法かできました際に、市街化区域の中は、届け出をすれば小作地の所有制限ははずすということになっておったわけでございますが、よく考えてみますと、市街化区域という性格にかんがみますと、土地所有者が届け出をしようがしまいが、それによって所有制限をするかせぬ、かをきめるという必要はなかろうということで、届け出を要らないということにしたわけであります。 それから第三点は、現行法におきますと、自作地を申し出があれば政府が買い取るという規定がございます。それを、前回の法律案ではやめるということにしておったわけです。これは、そういう自作地を政府が買うところまで出向かなくてもいいのではないかというような考え方からそういうことにしたわけでございますが、昨今、米の需給事情の変化あるいは過疎地帯の進展といいますか、過疎地帯ができてまいりますと、その過疎地帯の再開発というような問題を考えましても、ある場合には、過疎地帯等で離農していく農家の土地を貰ったほうがいいではないかということもございますので、やはり農地法としましても、自作農から申し出があれば、政府が買い取るという規定を残しておいたほうがいいではないかということで、再び現行法に戻しました。 それからもう一つ直しました点は、これはちょっといままでとは違うわけでございますが、戦後開拓行政を二十年間進めてまいりまして、政府が未墾地を買収しまして入植農家に農地を売り渡したわけでございます。農地は売りましたけれども、その農地の中に道路や水路やため池等が国有地のまま残っております。ところが、現行農地法でありますと、これが町村なりあるいは土地改良区に渡すためにも有償なわけでございます。道路や水路を有償では、いなかの町村等ではなかなか引き取りにくいという問題がございますので、その用途を廃止する場合には、これを国にもう一ぺん無償で返してもらうという条件をつけまして、市町村なり土地改良区なりに無償で譲与をするということを新しく入れたわけでございます。ちなみに、こういう道路や水路等は約三万ヘクタールほど残っております。その管理を適正にするためにも、こういう規定を改正案に盛り込みたいと考えたわけでございます。 以上の四点でございます。
○湊委員 基本的な考え方は変わってはいないのだけれども、その後の情勢に対応して、四点についてこの前出した改正案とは違うんだ、こういうお話があったのでありますが、そのうちの第一点の、農地保有の合理化を進めるために非営利法人によって仕事をやっていく。これは前の農地管理事業団の申し子みたいな感じがするのでありますが、その考え方、発送においては、これは全然別なもんなんですか。農地管理事業団法的な考え方をさらに前進さしたもんなんですか。その点ひとつ。
○中野政府委員 考え方としましては、いずれも経営規模の拡大あるいは農地の集団化等を目標にしておるわけでございますから、同じだと思います。 ただ、管理事業団の場合は、これを全国一本の公的機関でやっていこうということを考えたわけでございますが、なかなか北海道あるいは近畿地方というふうに、いろいろな問題を考えてみますと一律にはいきがたい。それからまた、村でのそういう経営規模拡大に対する意欲にもかなりの差があるということからいたしまして、今回は第二次構造改善事業の具体化とも関連をいたしまして、そういうことをやっていこうという町村あるいは県一円の公社をつくりまして、規模拡大のために農地を買い入れて売り渡すとか、あるいは借りて貸すとかいうようなことをやっていきたいというふうに考えたわけでございまして、全然別のものではございませんし、また、管理事業団のように公的機関をつくってやっていこうということではなく、むしろ地域の実情にまかすという点が、どちらかといえば違っている点でございます。
○湊委員 それでは次に、今回の改正案について、各界からいろいろな意見が出されておるわけでありますが、食管制度の根幹とは何ぞや、こういうことが幾たびか議論されたごとく、農地法のいわば根幹というのは自作農主義にあるのだ、その大原則を今回修正するもので、これについては、農地改革の成果の否定につながるもんであるというふうな意見もございますが、この見解についてどういうふうに考えますか。
○中野政府委員 先ほどからの質疑応答でも申し上げておりますように、私たちといたしましては、今回の改正案によりまして自作農主義を破壊するとか、あるいは自作農主義を変えまして借地農主義に切りかえたんだというふうには考えていないわけでございます。 と申しますのは、一方実体的に見ましても、もうすでに日本の農家の八割以上は純粋の自作農でございます。これが経営規模の拡大をはかるという場合に、所有権を取得して農地の規模拡大をはかる場合ももちろんございましょうし、あるいは借地によって規模拡大をはかるといいましても、それをもって借地農主義に切りかえるというふうにもわれわれは考えていないわけでございますし、それから、特に従来のままの三反なら三反あるいは五反なら五反という零細な農家の経営をそのまま維持するということでは、なかなか構造政策も進んでまいりませんし、特に、安価に安定的に食糧を供給するということを考えました場合には、規模拡大が必要だということから考えますと、やはり自作農主義を堅持するといいましょうか、その理念の上に立って、それにあわせまして土地を効率的に利用するのだという精神を入れていきたい。これは比喩的なものの言い方でございますけれども、いわば効率的な自作農主義を堅持していきたい、こういうような考え方を基本にして改正を考えたわけでございます。
○湊委員 いまの点でありますが、特にこの農地法と農業基本法との関連になりますが、御承知のように農業基本法では、一つは自立経営というものを育てていこう、自立経営の育成、こういうことをいい、もう一つには協業経営の助長、こういうことをいっておるわけであります。それとのかね合いでこの農地法を読んでみますと、自立経営というのは大体自作農主義をたてまえにしていくべきものだ。しかし、きちんとした自立経営イコール自作農主義というふうなことではなしに、そこにプラスアルファというか、借地農経営というものも含めて、ほんとうの意味の自立経営を育てていったほうが効率的にはいいんじゃなかろうか。それが、いま農地局長がお答えになった効率的な自作農主義の意味かと私、拝察したのでありますが、それは同時に、家族経営というものを基軸にしていくんだ。むしろそういう意味からすると、農業生産法人あるいは農事組合法人、さらには農地保有合理化事業を行なうための非営利法人、さらには農協、こういうものが生産協同体的な役割りをしながら、これによっていわゆる集団的生産組織、協業経営、これを伸ばしていくためにこそ今度のような改正が必要なんだ。だから、自立経営育成のためには、どこまでも所有権そのものの流動化をはかりながらやっていくのが主軸であって、それから協業経営や何かを育てるためには、今回のような一つの借地経営というか、そういうタイプをつくることによって、効率的に経営そのものの規模を拡大するんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
○中野政府委員 いまの先生のお話のとおりだと思います。 われわれは、今度の改正で借地といいましょうか、賃貸借のような感じを与えておりますので、農地法を借地農的に切りかえているというふうによく言われるわけでございますが、やはり現在の農地移動の状況から見ましても、今後とも所有権の移動が主軸をなすということは間違いないと思います。ただ、それだけではなかなか進まないという問題があり、かつ地価との関連も考えますと、やはり何でもかんでも土地を買って資本を寝かせるのがいいかどうかという問題もございましょうから、あわせてそういう借地的なものを加えたという考え方でございます。 と同時に、いまお話ございましたように、自立経営を個人だけでとはわれわれもちろん考えておりませんで、いわば零細なといいましょうか、規模の小さな農家が協業的なものを進めていくという場合に、農業生産法人制度にいたしましても、あるいは農協の経営委託にいたしましても、そういうことが行きつく先まで大体考えまして、今度は生産法人の要件の緩和なりその他のことを法律の改正に盛り込んだわけでございます。
○湊委員 次に、今回の農地法改正案で、特に農地等の権利移動の制限緩和であるとか、あるいは小作地所有制限の特例措置、あるいは小作料統制制度の廃止というふうに、従来の規制をかなり大幅に緩和することによって、ただいま申し上げたような目標を達したい、こういうねらいのようでありますが、これについて地主制が復活する心配があるんじゃないか、土地が耕作しない第三者に集中的に集まるおそれがあるんじゃないかというふうな意見もあるわけであります。 私は、これは当然、かつての地主、小作制度、封建制度というふうな一つの固定的な社会、生産力がほとんど停滞をして、単純再生産を繰り返しておるような社会に対応した一つの制度であるから、昔と同じような意味で復活するおそれはないと思うのでありますが、ただ問題は、先ほどから話があったように、宅地あるいは工場用地等とのかね合いで、都市的な土地所有、極端にいえば投機的な土地所有、こういうものにつながるおそれがないかどうか、その点について多少懸念を持つのでありますが、見解はいかがですか。
○中野政府委員 ただいまお尋ねの問題は、不在地主は認めないという現行の農地法の原則に対しまして、離農者といいましょうか、農業をやめて他産業に従事しようとする農家の所有地につきまして、一定の制限を設けまして不在地主になることを認めるというようなことはいたしておりますけれども、先ほども申し上げましたけれども、農地法の原則であります耕作をしない者が新たに農地を取得することは絶対認めないんだという趣旨は貫いておりますので、そういう面から、投機的に土地を買いに来る者によって、日本の限られた農地が荒らされることはないとわれわれ判断しておりますし、また、農地法の運用もそういう方向で厳密にやっていかなければならないと思っております。
○湊委員 もう一度お尋ねをしますが、特に最近一市街地やその周辺で地価はどんどん上がっている。ウナギ登りに上がっております。その原因の大きなものは、先ほど申しましたように工場用地になる、あるいは宅地になる、その結果農地が無秩序につぶされていく。こういうふうな農地壊廃、これは結局農業そのものにとっても条件を非常に悪くしているばかりでなしに、極端にいえば不動産ブローカー、こういう者の投機的な土地取得を誘発しておる現況だと思います。それがひいては農地の価格上昇につながる、こういう現象が至るところに見られます。 今回、この規制を緩和するということによって、私が先ほど申し上げましたように、農地というものの資産的な取得ないし保有、こういうもの、さらには地価の上昇、こういうことを助長する結果になりはしないか。また、それをチェックするような措置というものについてどう配慮しておるか、その点を具体的にお答え願いたいと思います。
○中野政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、農地法を今回改正をいたしましても、第三条の第二項の第二号によりまして、耕作をしない、耕作の事業を行なわない場合には、その人が幾ら土地を買いに来ても、農地の取得の許可はいたしませんということにしてございますので、先ほど先生お話しの、都市周辺での地価の値上がりが、それによって全部なくなるということを申し上げているわけではございませんけれども、農地法の原則はそれで貫いておるわけでございます。 あとは、これは先ほどもあるいはちょっと触れたかと思いますけれども、やはり都市化するところとそれから農地として残っていくところの区分を明確にいたしますと、おのずから農業地帯につきましては、転用含みでの地価値上がり期待も減ってまいりましょうし、特に、振興地域法が成立いたしまして実施されてまいりますと、この法律にもありますように、農用地の区分が明確になってまいりますと、そこでの農地の価格は、農業財産に合うような価格に順次なってくるかというふうに考えているわけであります。
○湊委員 次に、最近御承知のように兼業農家が非常にふえて、すでに約八割が兼業である。問題は、兼業の中でも特に出かせぎ兼業で、非常に悲惨な実例を私どもしばしば見聞しておる。その結果、農政という観点から見まするならば。所得全体も、農業所得そのものよりも農外所得、特に兼業所得、こういうものによって農家の所得がカバーされておる。 こういう点からすれば、今後ともやはり専業農家を育てていく、自立経営を育成するということと同時に、兼業農家に対しても農政上やはり配慮をしていかなければいかぬというふうに思うのでありますが、今度の改正案は、そういう兼業農家に対してどういう配慮をなすっておるか、お伺いしてみたいと思います。
○中野政府委員 農林省といたしまして、自立経営の育成と同時に、膨大な兼業農家があるわけでございまして、それを切り捨てるとか、そういう考え方は持っておりません。それも包摂いたしまして政策を進めていっておるわけであります。その場合に、いま御指摘の農地法上の配慮といたしましては、二つの問題があるかと思います。 一つは、兼業農家といえども農業の生産の場に残りまして農業をやっていくという場合、これにつきましては、やはり集団的な生産組織を進めるという面から、農業生産法人の中に包摂していくというような考え方で協業を進めていくということでございます。 それからもう一つは、もう農業にはそうウエートを置かない、むしろこの際、土地は売りたくないけれども、貸しやすくなるのなら貸したいという兼業農家もふえてきております。そういう農家につきまして、これは追い出すという意味ではありませんで、先ほどもちょっと触れましたように、貸して東京なら東京へ、都市に出ていくという農家について、それが貸しやすくできるようないろいろな法改正をやっておるわけでございます。一つは、制限的な不在地主を認めたこともそうでありますし、あるいは農業生産法人に土地を提供して、そして自分は労力は提供しないということも認めまして、その場合も、小作地の所有制限はしないということにもしておりますし、農協法等の改正との関連もありますけれども、農協に経営委託した場合には、小作地の所有制限はしないというようなことも考えておるわけでございまして、そういう面の配慮を加えたわけでございます。
○湊委員 いまの問題に関連をして、最近の実態として、農村では委託耕作あるいは請負耕作、いろいろな名目で一種のやみ小作といいますか、もぐり小作といいますか、そういう現象が、農地法では、厳密にいえば許可が必要なわけでありますが、許可を受けないで、まあ専業農家に耕作をおまかせをする、しかもかなり高い小作料を払っておる、こういう事例を耳にしておるわけでありますが、こういうふうな不安定な耕作関係では、これはとてもじゃないが農業の近代化あるいはほんとうの経営の規模拡大というものははかれまいと思います。そういうことに対応するために、今回賃貸借を軸にして農地を流動化していこう、こういうことになったんだと思います。 いま申すような委託耕作あるいは請負耕作、これはもうすでにかなり広範に出ておる問題でありますが、これに対してどういうふうに今後対処していこうとなさっておるか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○中野政府委員 農地法におきます賃貸借の規制が非常にきびしくて、よくいわれるように、一度貸しますと、知事の許可がなければ二度と返してもらえないということになっておるわけであります。そういうようなことから、最近での新しい小作関係というのは、大体これはやみ小作になったり、それから請負耕作といわれる場合もございましょうし、あるいは委託耕作といわれる場合もございます。こういうことになってまいりますと、考えてみますと、借りているほうは何ら耕作権はないわけです。貸しているほうはいつでも、ことしは貸したけれども来年は返せということもできるわけであります。こういうことでは、農業経営をやっていく上におきまして安定を欠くということは、先ほども御指摘があったとおりでございます。 そこで、一つといたしましては、われわれとしましては現状に即するように、新しい賃貸借契約につきましては、もう少し地主側と小作側といいましょうか、借り手と貸し手のバランスの上に立ったような考え方を、賃貸借の現行の規制を緩和いたしまして、そういう考え方を入れていきたいということが一つ。 それからもう一つは、委託耕作等につきましては、農協が組合員の——これは全国全部そういうことを農協がやるわけではありませんが、大型機械を入れまして、それからまた組合員で預けたいというような農家もおるわけでありますから、委託耕作をやるという場合は法律上認めるわけでございますが、それ以外の委託耕作あるいは請負耕作的なものは法律上認めないことにいたしまして、できるだけ先ほど申しました賃貸借の規制の緩和をいたしました上で、その線に沿って一つの秩序ある農地の賃貸借関係というものをつくっていきたいというふうに考えております。 ただ、それじゃ改正いたしましたらすぐにやみ小作が全部なくなるかというと、それはよほどの努力をいたしましても困難だと思いますけれども、このまま放置いたしますと、耕作者の地位というのはなくなるという観点から、先ほど申し上げたようなことを改正案に盛り込んだわけであります。
○湊委員 簡単に申せば、従来のやみ小作やもぐり小作的なものは、できるだけ賃貸借の制限緩和によって正規のものに今後誘導していきたいというふうなお考えのようでありますが、この賃貸借に裏づけられたいわゆる耕作権については、これは考えようによってはもろ刃の剣のような感じがする面があるわけであります。矛盾した面が確かにある。 と申しますのは、経営規模を今後どんどん拡大していきたいという人に対して安定的な利用をさせる、できれば土地改良もやっていく、大型機械も入れていく、揚排水の施設もやる、こういうことになると、これは弱い耕作権ではこれこそ不安定で、そういう基本的な設備の近代化、合理化はできっこありませんし、そのためにはそういう耕作権というものは強くしていかなければいけないという一面がある。同時に、今度あまりこちんとしたものにすると、放していただきたい人でも放せなくなってしまう。放しやすいようにしていくためには、耕作権というものは一方でゆるめなければいけない。ブレーキとアクセルと一緒に踏まなければいけない、こういう運用上の問題が実際あると私は思いますが、その耕作権というものを、この制度の上でどういうふうな手綱さばきをやっていこうとなすっておるのか、そこら辺をお聞かせ願いたいと思います。
○中野政府委員 いまのお話は非常に巧妙といいますか、比喩的に申し上げましても、そういうようなことでわれわれ考えたわけでございまして、たとえば、現在の賃借権でありますと、先ほどもちょっと触れましたように、それを解約する場合には知事の許可がもちろん要ります。その場合にも、貸したほうと借りたほうとの経営能力を比べてみて——経営能力といいましょうか、家庭の事情等も見まして、賃借人が返してもだいじょうぶだという場合のほかはなかなか返してもらえないということになっているわけです。それは、なるほど耕作権は強いわけです。この辺農地改革のときに、在村地主に一町歩残したものの耕作権を強化したということで非常に意味があったと思います。しかし、借地の面での流動化をはかろうというふうに考えますと、あまりにも強過ぎますと、先生もお話しになりましたように貸し手がないわけです。 そこで今回の改正案では、一つには、もはや新しい契約について、貸し借りする当事者について合意があれば、もう許可は要らないんじゃないか、許可制にかけなくてもいいんじゃないかということが一つ。それから十年という長期の賃貸借の場合には、その十年たった場合に更新拒絶する場合にも、やはり知事の許可が要るという必要もなかろうというようなことを考えまして、両者のバランスをもう少し考えた上でやりたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、逆にあまり賃借権をゆるめますと経営が不安定というようなことになるので、われわれとしましては、今回の改正案でちょうどバランスがとれたようなかっこうではないかというふうに考えております。
○湊委員 いまの問題に関連して、例の借地、借家権、これと耕作権はある程度バランスというものも考えなければいかぬと思いますが、そこら辺についての御配慮はどうですか。
○中野政府委員 農地法上の賃借権につきましては、先ほど申し上げましたような改正を加えておりますけれども、民法での賃貸借に対しまして、農地の耕作権といいますか賃借権を非常に強化したということから、一つには、登記がなくても第三者に対抗要件があるという現行法はもちろん存置しておりますし、定期契約につきましては、期限が来ても黙っておりますと法定更新になる、その他いろいろな規制はそのままにしております。ある面では都市の借地権あるいは借家権よりも強いのではないかというふうにも思っております。いずれにしましても、民法のように弱い賃借権にまた戻そうというふうにはわれわれ考えておりません。
○湊委員 次に、小作料についてでありますが、現在は一筆ごとに最高額を統制しております。その統制制度を今回廃止するわけでありますが、これについては、一種の高額小作料というものが今後復活する心配があるんじゃないかということがいわれております。これについては、今度の法改正の中でも農業委員会を中心にして、標準小作料といいますか、小作料の標準額を地域の実態に即してきめていけるようにするんだ、あるいは目に余るような場合は減額の勧告制度を設けるんだ、あるいは農地にからまる紛争についての和解の仲介制度をつくっていくんだ、いろいろなことが考えられておりますけれども、現在の農業委員会に対しては、反面いろいろな批判がまたございます。 そこで、この制度運用の衝に当たる農業委員会、これをどういうふうに現在お考えになり、また今後の農業委員会の運営についてどういうふうに指導なすっていくのか、また、統制小作料を廃止することによって現在の制度で完全に弊害をチェックできるとお考えになっておるのかどうか、そこら辺をお聞かせいただきたいと思います。
○中野政府委員 今回の改正によりまして、農業委員会の権限が若干変わったというか、そういう面がございます。むしろ、考え方によりましては農業委員会の責任というか、そういう面が強くなったと思います。そういう面で、いま御指摘のような批判のある農業委員会もいままでございますけれども、逆に農業委員会の自覚が持たれるのではないかというふうに思います。 制度といたしましては、農業委員会は現在選挙制度になっているわけでございますから、選挙によりまして民主的に選出されるという制度そのものは、変える必要はないのではないか。よく一部には、これを市町村長の諮問機関にしたらどうかというような御意見もございますけれども、その必要はないのではないか。ただ、運用といたしましては若干問題があるようなところもございます。それにつきましては、農地の面からいいますれば、農地法の改正を機会に、もう一度研修等をやらせますとか、あるいは待遇の面で——これは農政局の所管でございますが、専任職員その他の委員会の経費を強化していくとかいうようなことを考えていかなければならないと思います。 それから、第三点の統制小作料を廃止した場合の影響でございますが、御承知のように、現在の統制小作料は全国一筆ごとに統制がありまして、標準で四千四百七十六円程度になっております。ただ、これは残存小作地、農地改革のときからの小作地については過半守られているわけでございます。最近の小作地につきましては、もちろん農地法の許可を受けておりませんし、やみ小作料になってこれはかなり高いわけでございます。しかし、戦前のように生産力が非常に低い段階で、ちょうど二石のうち一石近くが小作料であったということではありませんで、現在のかなり高いやみ小作料の水準にいたしましても、借りている人間が経費も自家労賃もまかなって、相当程度の利潤を得た上で貸し手のほうに地代を払っておるというふうにも思えますので、新しい契約につきまして統制小作料を廃止しても、もちろん水準は高くなりますけれども、そんなに戦前のようなことになるというふうにはわれわれ考えていないわけでございます。
○湊委員 次に、農政の中でもいろいろ問題がございます。選択的拡大のチャンピオンである畜産ですが、ごく最近乳価の問題もきまりあるいは豚肉価格の問題もきまった。いろいろございますが、実際畜産の振興ということで、かなり政府も重点を向けてきたことはわかるのであります。しかし、これも実態から見るとまだまだ力の入れ方が足らぬというふうに私は考えております。その一番基本的な問題はえさの問題であります。特に今回の改正案では、飼料基盤をしっかりと固めていくという意味で、草地の利用権の設定という新しい制度がつけ加えられておるわけであります。 そこで第一点は、畜産における土地利用を進めるために、この草地利用権という考え方、これだけではたしてどの程度の効果が期待されるものか。特に、実際に大規模草地あるいは場合によっては里山開発、いろいろやっていきます場合の大きなネックは、権利の調整の問題であります。国有林の活用もございますし、公有林の活用もございますが、しかし、それ以上にむずかしいのは、民有地の非常に入り組んだ現在の利用関係をどう調整するか、こういうことであります。そのために、この草地利用権の設定ということは相当なてこの役目になるように思いますが、はたしてこれだけで十分だとお考えになっておるのかどうかということが第一点。 それから、第二点は所有者といろいろ相談をしてなかなか話し合いがつかないときに、都道府県知事が裁定をする、こういうことになっておるのでありますが、この裁定の効果といいますか強制力、それから憲法上この点については疑義がないのかどうか、その二点をお伺いしたいと思います。
○中野政府委員 飼料基盤の造成をしていきます場合に、草地利用権の設定だけで十分だとは考えておりません。むしろ草地造成の財政措置が必要でありましょうし、そういう面での振興が当然必要でありますけれども、農地法上制度としてそれを助けるといいましょうか、少しでもそれに役立つようにという面から、草地利用権の設定ということを新しく考えたわけであります。 それから、所有者がいやだといった場合に裁定した場合の効果は、知事が裁定しました条件によりまして賃借権が設定されたものとみなすということになっておりまして、それで当然賃借権が農協なり市町村に与えられるということになるわけでございます。 それから、憲法上疑義がないかどうかというお尋ねでありますが、この法律にございますように、現在でも、現行法で未墾地買収の制度がございまして、今度の草地利用権も、もしその未墾地を買収しようと思えば農地法上できるというふうな土地であり、ほかにもかえ地はないということであり、しかも、使いますものが市町村なり農協なり、いわば住民なり組合員のための共同利用ということでございますので、非常に公共性が強いというふうにわれわれ考えております。それからもう一つは、今度の知事の裁定なり何なりにいたしましても、借り賃は正当にきめますし、補償する場合には補償金も払いますので、財産的な補償もやっておりますので、憲法上疑義はないというように考えております。
○湊委員 各条項ごとのこまかい点は後日に譲ることにしまして、最後に政務次官にひとつお答えを願いたいと思いますが、ただいままでいろいろ申し上げましたように、この農地法については、総合農政、特に構造政策という観点から非常に重要な柱であると私どもは認識をいたしております。 そこでいろいろな、今後規模拡大につながるような政策効果をねらうために手続規定が設けられておりますが、基本的には農地の権利移動をどういう方向に持っていくかという一つの運用の基本的な点が大事だと思いますし、それから、先ほどからるる申し上げましたように、構造政策全体の中の位置づけ、ほかの政策との関連、こういうことについても今後十分御配慮を願わなければなりませんし、三番目には、ほかの土地政策あるいは国土政策というものとの関連についても今後お考えをいただく、同時に、末端運用にあたっては、これはもちろんとても政府だけの力でいくわけじゃございませんから、都道府県あるいはいまの農業委員会、これが文字どおり一体になって動かしていかなければ効果はあがらないというふうに考えますが、以上の質疑を通じて申し上げた点を総合して、ひとつ政府の基本的な態度といいますか、決意といいますか、運用に対する基本方針を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○小沢(辰)政府委員 先生のいろいろ御所見を承っておりまして、特にこの農地法の改正案が期待される成果をあげるためには、どうしても、仰せのとおりかかって制度の運用にあると私は思います。 したがいまして、ただいま御意見がありましたようないろいろな、構造政策あるいは他の国内の総合開発、土地利用政策との関係、あるいはまた末端の指導というような点、十分私どもは認識をいたしまして、またその必要性を痛感をいたしておりますので、最大の熱意と努力を傾注して、この効果が遺憾なく期待できますように、運用にあたりまして万全を期したいと考えております。
○湊委員 以上で終わります。
○丹羽委員長 次回は明三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三分散会