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61回国会衆議院1969/04/24

内閣委員会 第19号

発言数
137
登壇者
10
会派数
3
開催日
1969/04/24

会議録

藤田義光自由民主党

○藤田委員長 これより会議を開きます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。浜田光人君。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 一昨日は質疑の中途で中断いたしまして、たいへん申しわけないと思いますが、引き続いて質問に入りたいと思います。  前回に続いての質問でありますが、非常に悪質検事とか検察行政に対していろいろな文書あるいは口頭等によって批判されている。ただ批判だけなら、言論の自由もあり、それはむしろ民主主義の面から見てけっこうなことだと存じますが、しばしば申し上げますように、こういうことが事実無根の上に立ってやられると、国民から不信の念を抱かれるようになる。それをおそれるわけなので、たとえばこの「20世紀」という月刊誌の中で池田さんは、非常にこの検察側に対して国会軽視とかさらに人権の冒涜であるとか、いろいろと問題点を指摘されております。  そこで、法務大臣に、池田発言といいますか、それには「立法府全体を軽視している許しがたい言動である。」さらに「名誉棄損であり人権の冒涜である。」これは過日、問題になりました新橋の「花蝶」の領収書をめぐってのいろいろなマスコミを通じてのやりとりなんですが、こういうことをあなたの部下といいますか、一検事がいろいろと発表しておられるのですが、この点は事実かどうか、調査されておられますか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 ただいま御指摘の問題は、池田さんのほうから、一検事が発表した雑誌の記事について自分が名誉を棄損された疑いがあるということで、その検事を相手どりまして検察庁のほうに名誉棄損の告訴が出されております。ただいまその告訴を受けて検察庁においてそういうふうな容疑が認められるかどうかということについて捜査が行なわれております。それからまた一方におきまして検察官に妥当でない行為があった場合にはその身分について審査するために、御承知のように検察官適格審査会というのがございまして、その適格審査会のほうにもまた同じような趣旨の申し出がなされておりまして、そちらのほうにおきましても、審議が行なわれているということに相なっておりますので、私どもといたしましては、そういう法律で定められた方法におきましていろいろ議論がなされることを希望しているわけでございます。ただ、それは希望でございまして、また別な方法におきまして、法律に抵触しない限度におきまして公務員の行為について不平、不満がある人が、そのことについていろいろな方法によりましてそれを訴えるというふうなことは、法律に抵触しない限りはあとは道義の問題と申しましょうか、良識の問題と申しましょうか、そういうような方法において処理されるということになるのではないかというふうに思っております。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 局長の答弁で、法律や、あるいは法律に定められた諸機関でいろいろやられておるのでということですが、前回も私指摘いたしましたように、幾らまじめに公務員が自分の公務執行に勇気を持ってやっておっても、こういうことをやられたのでは、国民が、ああ、そういう悪い検事がおるのか、あるいは公務員がおるのか、こう思って非常に不審を抱くのじゃないか、そういう点は一日も早く解明してその不審を除くようにしなければならぬ。当然の義務であるし、そうすることがいろいろ行政に国民を信頼せしめることになる、それをそういう機関、機関でやっておるのだから、それは法律上の問題として、行政なり、あるいは国民の不信感を取り除くとかこういうことはきわめて手を早く打たなければならない。たとえば、九大の井上教授が警察官は敵だと言ったら、あればけしからぬ、学長就任のオーケーをなかなか出さぬとか、これもまた新聞紙上でずいぶん話題になりましたが、その程度でもそうであるのに、私が一昨日示したように、べたべた悪質検事糾弾というようなビラを出している。しかも、これは現役代議士である、また、NHKの解説者の唐島さんも一緒に入ってこういうことを言っているのだよ。一般の国民が見たら一応、まことにこういうことがあるのではないか、こういう人がおるのじゃないか、こう思うんですよ。だから、こういうことは早く、おのおのの機関でやることもあるだろうし、あなたらみずからがそういう不信感を取り除くために手を打たなければならぬと思うんですよ。  そこで、口で言うとか言わないとかばかりじゃない、書類で出しておるのだから。善良な国民は何と思うかというところで、いわゆる池田さんが非常に検察人事に介入した、こういうことを言っておるわけだね。「検事正の人事を左右したとか公言してはばからないとすれば、われわれ事情を知るものは馬鹿げたこと」として一笑に付しておる。これも確かにそうだと思う。ところが問題は、善良な国民は何と思うだろうかそれを心配する、こう言っておられる。そうすると、ただ池田さんが個人的にそれを言ったにしても、それでも善良な国民はどう思うかということを心配すると言っている。それがさらに発展してこんなになったり、こういうパンフレットを配ったり、何万、何十万の国民に配っておるかもわからない、何十万の国民の目に入っておるかもわからない。それはどうするんですか。ただそういう機関でやっておけばいい、まかせておったらいい、こういうことでは何年たっても、結論が出なければ国民はやはりあれはほんとうだったのじゃないかとますます不信感を抱くことになりますよ、検察行政に。こういうことを私は非常に心配するんです。河井検事がどうとか池田さんがどうとかいうよりか、こういうことを堂々とやったのでは実際検察庁を信頼しなくなる。われわれ国政にタッチする者として、そうやりっぱなしでおられていい事柄ではないと思う。当然こういうパンフレットを読まれたでしょう、私の手にも入っておるのだから。私が読んでみても問題点というものは山ほどある、赤い鉛筆でマークしておるところが……。一つずつやっておると時間がかかりますから、こういうものを読まれて、大臣あなたはこの事柄に対してどう思いましたか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 いまのお話でございますが、先ほど刑事局長もお答え申し上げましたとおりにいま捜査中でもあり、また適格審査会にも書類が出ておるのでありますから、そういう機関においてすみやかに明白になることが一番いいわけでございまして、先ほどのビラまた記事等そういうものは、やはり捜査中のものでございますからお互い双方ともそういうことのないようにしてほしい。先ほど先生のおっしゃいますとおり、ああいうビラでございますとやはり善良な人には誤解を与えかねないものでございますから、そういうものはなるべく慎んでいただきたいと考えております。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 いま大臣が慎んでもらいたいと言われることは、こういう内容でなくて演説会などもやめてもらいたい、こういうように解していいのですか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 この事態はいま捜査中のことでございますので、そういう問題に関連する演説会があれば、そういうものはなるべくやっていただきたくないと思います。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 そういたしますと、法務大臣、あなた自民党の参議院議員であり、さらに閣僚ですが、この事件がありまして池田さんとそういうことについて話し合いをされましたか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 適格審査会に書類を、池田先生がお出しになる前にお持ちになりまして、そのときにお話を伺いました。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 そのときお話しになりまして、池田さんはこういう——あなたは読まれたということで回答されておりますが、読まれたことに対して、その信憑性についてどう言っておられましたか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 そういう雑誌の記事等のお話はございませんでしたが、適格審査会にこういう書類を出しますからというので、御持参になりました。別段詳しいお話は何もございませんでしたが、書類をいただきました。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 そうすると会ったけれども、ただいま御答弁なさったように、そういうことはやめてもらいたい、やるべきじゃないと思う——こう言われると、本人にはそういうことは一つも話しておらない、こういうことですね。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 そうでございませんで、池田代議士がおいでになりましたのは、その適格審査会にお出しになった書類をお持ちになりまして、こういうものを適格審査会に出します。それで御自身で御持参になりまして、別段そのほかのお話は伺いませんでした。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 引き続き質問を続けます。さっきも申し上げましたように、私たちのように、全くそのどちらへもどうだということでなくして、そのパンフレットを見ると、河井信太郎検事がものごとをでっち上げているようなことがたくさんうかがえるわけです。したがって、刑事にまだ関与しておるものが——そうですね。そうすると、善良な国民がこれを見たときに、私は検察庁や検事なんて何をやるところだろうか、こう思うと思うのです。  一番問題は、新聞にもよく出ましたが「『池田被告は私が領収書を公表した、などとぬれぎぬを着せて騒いでいるのである』と断言している。」当時、池田さんは浜町かどこかで当時の自民党の大物と一緒に井本検事総長と会食されたということで問題になっている。それを検事側があたかもでっち上げたようにこう言っておられるのだ。国民が見たときに、これはどうだろう、あれだけの日通事件を何かでっち上げたような、そういう印象を受ける。だからこの点について法務大臣はかわられたので、当時の田中前法務大臣にけさ会って、その当時のこともちょっと聞いてみたのですが、どちらがどうなのか、これはもう政治の場でも明確にしておかなければ国民に対して申しわけがないと思う。あとからなられた法務大臣でありますが、この点について池田さんは、「何を根拠にしてそのような断定をしたのか明らかに私に対する名誉毀損であり人権の冒涜である。」こう言っている。その点、いま人権のほうでもやっておる、さらに名誉毀損でもやっておるのだから、捜査の段階だ、こう言われるのだが、こういうことは日通事件のまだ前に堂々と「現代」にどちらも出されたりしておる。これはどうなるのか、捜査中だからというのであるが、昨年の十一月に堂々といろいろなものに載せておられる。だから捜査中だからどうだということはないと思うのです。したがって、このケースについては法務大臣、この件についての断定をしておるのですが、どっちの言い分が正しいのですか、河井信太郎検事と池田正之輔代議士と……。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 先生お持ちのパンフレットを私も内容は読んでおりませんけれども、先生もおわかりのとおり、いま双方告発されて捜査中でございますので、その結果を待つ以外にないのではないかと存じます。裁判の途中でございますから、私どもはあれこれ申し上げることは、何ぶん裁判の途中でございますので、差し控えたいと思います。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 しかし、その前に、昨年の十一月号の誌上でいろいろそれに関して見解を発表しておられるわけですよ。事件の内容にまで触れるがごとき問題を取り上げて発表しておるんだ。そうすると、いま捜査中だから云々と言われるが、本人を呼んでいただいて、河井検事を呼んでいただいて——河井検事はすでにこういう雑誌等に発表しておられるのですから、その点については、私は幾ら捜査中であっても言えると思う。言わなければならぬ、自分が誌上発表しておるんだから。だから、法務大臣はそう言うて見解なりその状態を言われないのならば、委員長、これは河井検事と池田さんの問題なんで、私は法務大臣や局長とやりとりをしておりましても、時間のむだではないけれども、ほんとうにかみ合わないと思いまするので、委員会の権限によって、ひとつ河井検事を本席に呼んでいただきたい、そうせぬと議論にならぬから。

藤田義光自由民主党

○藤田委員長 ただいま浜田委員から御提案がありました件は、何ぶんにも本人が最高検の刑事部の検事でございまして、きわめて激職にありますので、いずれ理事の皆さんと御相談の上、善処いたしたいと思います。そういうことで御了承願います。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 じゃ早急に次の理事会等も開いていただいて、それに対しては善処していただくことにして、この問題はそのときに質疑することといたします。  次に、やはり一昨日法務大臣に歯どめの問題について質問いたしまして、それに対しての所信なりそれはお伺いしたのですが、昨日からいろいろ新聞を見てみますると、やはり裁判制度に対して自民党のほうから委員会等もつくっていろいろ調査する、こういうことを新聞で伺ったわけですが、くどいようですけれども、大臣、あなたの三月二十五日の記者会見のときの発言と、この一両日自民党で特別委員会等も設置されようかという、これは関連があるかどうか、それについて……。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 自民党で裁判制度云々というのも、私も新聞で拝見いたしました以外は存じませんが、お尋ねの件は、もちろん全然関係のないことでございます。

浜田光人日本社会党

○浜田委員 全然関係がない。それじゃ委員長、私の質問は保留いたしまして、次の質問者にかわります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員長 大出俊君。

大出俊日本社会党

○大出委員 いろいろ承りたいことがあるのですけれども、その前に、きのうの午後に私どもの党本部が八十人ばかりの右翼団体の諸君に、客観的に見ると襲撃されたような感じを私は受けるのですけれども、この問題について各委員会で取り上げることに党としてきめておりますけれども、御答弁のいかんによっては各委員会の審議をとめようなどという意見もたくさんありまして、したがって、私は少し突っ込んで御見解を承っておきたいことがあるわけであります。  そこで、どなたがお答えになってもけっこうなんですが、警察官職務執行法の五条というのがありますが、これはどういうふうに解釈するのか、まず御説明いただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 一般的に申し上げますと、警職法五条は、まだ犯罪が成立しない前に警察官が一定の条件のもとにおいて、その犯罪となろうとする行為に対して警告を発したり、あるいはその行為を実力でもって制止することができる、こういういわゆる警察官の警備の権限を定めた規定であります。

大出俊日本社会党

○大出委員 要するに簡単に言えば五条というのは制止、二条というのは質問と、こういうことになっていますね。そこで、警察官がおって、何がしかの事件が起こりそうであるという状態にあった、ところが格別の制止はしなかった、また明らかに凶器だと思われるものを持っておって、それに対して特段どういう目的でどうかという質問もされていないという状況だとすると、これは一体皆さんの解釈上どういうことになりますか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 いま具体的は案件については検察庁のほうへまだ事件がきておりませんから、私どものほうに報告がございませんので、具体的ケースについては適当な機会に考え方を申し上げたいと思いますが、一般論として申し上げますと、ただいまの五条の規定というのは、御指摘のように犯罪がまさに起ころうとするというような状況であって、その行為をそのまま放置しておけば人の生命、身体に危険を及ぼしたり、あるいは財産に重大な損害を及ぼすというふうなおそれがあって、緊急を要する場合というふうに判断した場合においてはその行為を制止することができるという警察官の警備の権限を規定しておるわけでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 私は何も具体的ケースをまだ申し上げているのではないですよ。一般論でけっこうなんで、警察官職務執行法の五条と二条あわせて考えてみて、そういう状態であった場合に事実そうであったとしたら、警察官に対してどういう責任があるかということを聞いているのです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 抽象論として講学的な立場から法律の解釈を申し上げることはもとより実益がありますし、また私申し上げる用意がございますけれども、具体的な問題としては警察官にどういう責任が生ずるかという問題提起でありますれば、法律の解釈の問題とあわせてこの運用の問題がからまってくると思います。問題は、具体的な場合に犯罪がまさに行なわれようとしているというふうに認めるだけの客観的な情勢があるかないかということと、それからそれがあった場合においても、その行為をしばらく放置しておくことによって直ちに人の生命、身体に危険が及ぶかどうかというふうな認定が可能であったかどうかというふうなこと、さらにまたそれを制止しなければならないような緊急性があったかどうかというふうな、証拠に基づいての認定というふうな、もろもろの客観的な現象あるいは事実に対する判断というものが先に立ちますので、そういう判断がその場合の状況として正当であったかあるいは妥当を欠いたかということによって、その現実の事態に対するその現場におった警察官の行為が正当であったか、あるいは必ずしも正当でなかったかという判断が分かれてくるのではないかと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 私が承っておるのは、たとえば一つの事件が起こった場合に、検察当局、いろいろ起訴理由その他を考えて問題提起をいたしますけれども、さてこれが、公判維持となると、各般の事件についてもなかなかむずかしいわけですね。したがって、そこまでのことはあとで言います。いま私が申し上げているのはそうではなくて、警察官職務執行法の二条ないし五条の条文が明確にあるわけてすから——これはもうだれもわかっていることでありますけれども、念のために読んでおきますが「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行なわれた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。」それから五条は「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があって、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。」これは例の博多事件の場合、過剰警備だ、何だというときに私は質問したと思いますが、たしか川井さんだったと思いますが、一体これは二条なのか五条なのかという質問をしたことがありましたね。  ところが、どこからどう考えてみても警察当局の皆さんが知っていたはずである一つの事件がある。知っていないことはない。八十人からの集団が四角に削ったアカガシかクロガシか知りませんが、カシの棒を携えて、幾つもの車に分乗して、ある目的地に向かう。その前を警察のパトカーがまさに先導しているようなかっこうで、警戒をしているのだろうと思うけれども、乗りつけてくる。これは何をするかわからぬから警戒していたのだとおっしゃればそういうことになるかもしれませんけれども、これは私もかつて総評本部におったとき同じような状況がありますけれどもね。だから少なくともそのことについては、そういう現象がある限りは知らぬことはない。明治神宮に二十幾つかの団体が集まっていろいろ協議をしていることについても知らないことはない。知っていて、しかも先導するがごとくあらわれて、しかもその現場に私服の方を含めて——私どもの部屋に写真がありますけれども、相当数の人たちがおって、そこで行なわれた。相手方のものの言い方、やりとり、いきなりつかまえて引きずり出すということから始まって、今度は、言うならば不法侵入ですね、そのことによって結果的に、一方はカシの棒など持っている、その建物の職員のほうは何も持っていないわけですが、そこで血が飛び散る、五針も縫うというような事件が起こって、警察官がそばにおられて、いま言った二条と五条があって、いずれにも該当する行為を行なってないとなったらどうなりますか。事実行為についても、後ほど検証していろいろやらなければならぬことはわかりますよ。だから、私は何のたれべえということを言っているわけじゃない。抽象的にものを言っているけれども、そうなったらどうなりますかということを一般的に聞きたい。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 抽象的というふうに仰せになりますけれども、具体的ななまの事件が背景になっておりますし、またその事件はおそらく二、三日中には刑事事件として検察庁のほうへ当然送致されてくることが予想されておりますので、おそらく検察庁におきましてはその際にただいま御指摘のような点にわたりましての詳細な事実の調べ等、判断を下すもの、こういうふうに考えております。したがって、いま抽象的にどうだということでございますので、抽象的ならばあるいは答えられるかとも思いますけれども、具体的なケースがすぐ来るというふうな事情を踏まえてみますと、いまここで法務当局の立場から抽象的でありましょうとも、そういうふうな場合にはこうなる、ああなるというふうなことは、なるべくならばひとつ申し上げることをお許しいただきたい。

大出俊日本社会党

○大出委員 あまり具体的にものを言っちゃってから答えてくれと言ったら、川井さんお困りになるだろうと思うから、あまり具体的にものを言う前に一般論としてどうなりますかということを聞いておるのです。私がこの写真を見て、現に知っているおまわりさんがいるんだから、しかも何もしないとなると、これは私も黙っているわけにいかぬ。だから、そこまでいかないうちにと思って、抽象的にひとつお答えいただきたいと言っているんです。一般論ですから、これは。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 この警職法という法律そのもの、それから警職法二条あるいは五条、ただいまお読み上げになりました規定は、犯罪を予防するという見地から、特に警察権を持っておるものに格別な権限が与えられている、こういうことでございます。もう申し上げるまでもないことだと思いますけれども、したがいましてその権限の行使にあたりましては、かなり慎重でしかも間違いのないような行動をとらなければいけないということは、いままでの類似の行為にわたりまして常に国会でもいろいろ御指摘を受けておることでございます。したがいまして、事件がどういう事件でありましょうとも、私ども警察当局じゃございませんが、横から見ておりまして二条並びに五条の運用につきましては、少し慎重過ぎるんじゃないかと思われるほど慎重な態度をとってこの権限を行使をしているのが実情のように見受けております。したがいまして、五条なんかの制止の権限は、なるほどそういう権限はございますけれども、この権限をまた警察官がフルに使いまして、先ほど申し上げましたような条件の判断とかあるいは状況の判断というふうなものを軽視してこれを振り回しますと、これはかなりまた別な意味で大きな問題が生じてくるのではないかというふうに考えておりますので、抽象的にと申されますけれども、二、三の条件で、さあどうだというふうに言われますと、私の立場からは右だ、左だというふうに明快に答えることはたいへん困難だと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 たまたま、学生諸君の昨年一月に起こった飯田橋事件あるいは博多事件等々の場合と全く逆のことをあなたはおっしゃるんですね。あのときに私があなたに質問した議事録を全部読んでみましたが、ここに全部ありますが、だいぶあなたのほうは時に応じて逆なことを言うんですね。過剰警備といわれるほどのことをやったときには、それなりの緊急性という判断があったんだということをしきりに言う。ところが今度は逆に、結果的にみけんに五針も縫う重傷ができて、新聞に出て、たいへんですよ、床なんかに血が飛び散って、五人も重傷者がおったわけですな。そういうことになっているという事実が現にある。ところがそこに、写真もいま持ってくると思いますけれども、そういう状況が現にあるという状態——これは起こったことはそれだけのこと。だけれども事政党政治をやっている、議会民主政治をやっている国において、しかもその国の政党の本部に、EC121機が撃ち落とされたということに対する見解をある党が明らかにした、それがけしからぬというのであらわれて、しかも警官の諸君がたくさん一緒に来て、その目の前でそういうことが行なわれるとなると、そこで被害を受けた人が、まあ世間一般から見てだれでも知っているという人でないからまだしものこと、これは私どもの党には浅沼さんの事件だってあるのですからね。あのときだって与党の皆さんのほうからすぐいろいろとおいでになったり、あるいはお見舞いをいただいたりしておりますけれども、これは政党政治のたてまえ上、そういう意思表示をいかなる党がやった場合であってもこれは同じだと私は思う。その基礎がゆすぶられる結果にしかならぬので、そのことをそう軽々しく取り扱える筋合いじゃないと思う。ところが、かつては公安委員長荒木さん等は、そういう問題があったら二〇番に電話しろ、そういうふうに答えておる。たまたま一一〇番に電話をしたら、麹町から機動隊が一個小隊おいでになった。こういう状態だからといって幾ら説明しても、現場検証もしないで帰ってしまう。しかも、麹町の署長さんが今度お見えになって、二階へ上がろうとしたら、まわりの方々がとめて上げないと言う。これはたくさん人が見ている。江田書記長が全部の職員を集めてすぐそのあとで調べている。写真もたくさんとっております。そういう形になっている。これは皆さんのほうで慎重にという気持ちはわからなくはない。わからなくはないが、これは捨てておけないです。これから言論という面で激しくおのおのの政党が思意表示をしなければならぬ場面が来るわけですから、そのつど何かものを言ったら、すぐそれに対してこういうことが行なわれるということになるとすれば、議会政治は成り立ちませんよ。  というわけで、大臣、いまおおむねのところは口にしましたが、詳細はこれからゆっくり申し上げますけれども、新聞でお読みになったでしょうし、検察官に対する指揮権を持っておられるわけですから、そういう立場に立たれて、昨日の事件について一体どういうふうにお考えになりますか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 まことに遺憾しごくに考えておりまして、警察から近く送致を受けると思いますので、その上は厳正なる態度で処置に当たりたいと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 これは川井さんにひとつ承りたいのですが、博多事件のときに、これは結論的に過剰警備だということになっておりますが、九大の刑法学者が現場においでになって、あとでいろいろものを言っておられることは御存じのとおりであります。それに対して、ウジ虫か何か知らぬけれども、荒木さんがものを言ったのもこれまた御存じのとおりです。しかし、結果的にあの状況というのは九大の教授がお話しになっていたとおりの結論、過剰警備だという言い方をしておりましたが、そういうことになってきている。ここでいろいろやりとりをしたのですが、あのときに私は念を押したのですけれども、あそこではだ着の下へ手を入れたという人間が皆さんの側にあらわれたのですけれども、これは警職法の二条でやったのか五条でやったのかということを強く私は言いましたが、二条であるということをあなたはたしかおっしゃったのですけれども、御記憶ございますか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 いま御答弁を申し上げる前に、ちょっと一言お断わりをしなければいけないのは、いま御質問の中に、法務大臣は警察に対して指揮権を持っているからというようなお話がございましたけれども、これは二十四年に御案内のとおり刑事訴訟法が変わりまして、今日法務当局というか、検事は警察に対して指揮権がございません。したがいまして、警察と検事は全く対等の立場で協力関係で犯罪捜査をするということになっておりますので、責任を回避するわけじゃございませんが、そういう立場でもっていま御質問の問題についてお答えをさしていただきます。

大出俊日本社会党

○大出委員 ちょっと待ってください。よく聞いてください。そう言ったのじゃない。検察官に対してと私は言ったのです。警察じゃない。そんなことは私も百も承知です。警察と検事の関係は刑事訴訟法にちゃんと書いてある。それを知らないで私は申し上げておるのではない。だから検察官にちゃんと申し上げておる。それは法務大臣に指揮権があるんじゃないですか。警察にと言っておるのではない。だからここで聞こえておるとおり、地方行政というところで公安委員長あるいは警察庁の方を呼んでやっているわけですから、大臣も先ほど、やがて送られてくるだろうからということを言っておるからそれはいいのです。たまたまきのうのきようで法務大臣相手にものを言うのは、私の党の関係、政党という立場から見て起こった問題を素通りはできませんから申し上げておるのですから、そういう意味で答えてください。決して警察と申し上げてない。議事録を見たらよくわかります。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 この前の事件のときに、私が御質問に答えて、警察官が警備の対象になった相手方のはだ着の下まで手を入れて調べた、そういう事実があるかないかは別問題として、あったとしたときに、その法的根拠について、それは警職法の二条の職務質問が法的根拠だ、私、こういうことを明確にお答えした記憶はございません。私の法律信念から言いましても、そういう結論にはなりません。ただ問題は、職務質問の規定は、挙動不審の者を認めた際に、あなたちょっととまれ、どこへ行くんだ、ふところに持っているものは何だ、こういう質問ができるようにその規定は書いてございます。その際に、答える必要はない、こう言ってさっさとその場から立ち去ることも法律上は自由でございます。ただ、その後における判例の動き方とか実務の運用を見てまいりますと、著しく不審な場合におきましては、その際に肩に手をかけて、まあしばらくここへとまって自分の質問に応じてほしいというようなことをしてもそれは合法だ、それからポケットが非常にふくらんでいるとか、あるいは格別変なものを持っているとかいうふうな場合に、外部からさわって、これは何だという程度のことは、法律上職務質問の法的根拠として許されるのだという趣旨のことが実務の判例上確立されておりますので、私がもし申したとするならば、職務質問すなわち警職法二条に基づいてこの程度のことはできるのだ、こういうふうに申し上げたと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 ちょうどこのときに川島広守さんとおっしゃる警察庁警備局長さん、それから法務省の刑事局長さんの川井さん、ここに議事録がありますが——どうも失礼しました。川島広守さん、警察庁の警備局長さんですね。これは間違えました。ここのところは訂正いたします。ただ、あなたはそばにおられてこれを否定されておられないのですから……。  そこで、もう一つ私が念のために博多の事件について承っておきたいということで、「九大の法学部長さんが行って見ておられた。この方の言っておることが載っております。この方は有名な刑法学者ですから、相当権威のある一級の方だと思うのです。そういう意味で承りたいと思うのですけれども、あそこで荷物検査、身体検査等をおやりになったのですけれども、これは警察官職務執行法の二条なんですか、五条なんですか、制止ですか、質問ですか。根拠はどこにあったのですか。」と私が聞いた。あなたは隣のほうにおいでになったのですが、川島さんが——警察庁の警備局長さんです。もう一ぺん明らかにしておきます。「一月十六日の午前六時五十分ごろでございましたか、着いたわけでございますが、先ほどもこれでちょっと御答弁申し上げましたけれども、学生四百名の中に相当数のいわばダンボールでございますとか、あるいは大型のボストンバッグでございますとか、いろいろなものがございました。そこで、お尋ねにそのままお答えしますと、根拠は警職法の第二条で、質問でございます。」と言い切っておるわけです。そこで、私は続けて、「質問だということになると、それは」——いまあなたが御答弁になったことですが、「答えなくたっていいわけですね。そうですね。連れていかれることもないわけですね。これははっきりしてくださいよ。そうすると、いやだと言ったらふんづかまっちゃってあけられちゃって、中には、はだ着の下まで手を突っこまれちゃったということになっているわけですね。だから、逮捕もしていないのに何事だといって法学部長さんがかんかんにおこっている。こういうことになった場合」井上正治さんの言っておられることをずっとあげたのですけれども、井上正治さんが言っておることは、「双方に行き過ぎがあるということも言えるんだろうけれども、この場合遠慮しなければならないのは、権力を持った警察隊のほうだ。逮捕もされていないではないか。」こういうふうに井上さんが、当時、ものを言っておられるわけですね。ここで私は、二条でやったのか五条でやったのかということを再度質問した。二条でおやりになったのか、五条でやったのか、制止か、そこにいろいろ問題があるので、もう一ぺん明らかにしていただきたい。ところが川島さんの答弁は、「博多の駅の問題は、私ども先ほども申しましたように、根拠は二条でありまして、したがって、御指摘のように、中に何が入っておりますか、あけて見せてくれませんかというような問い方を全部やっております。」できやしませんよ、四百人もずっと来たのを個別にするようになっているのですから。でもこう答えている。「中には見せてくださった方もございます。中には黙ってそしらぬ顔をして行ってしまった方も数人おったそうでございます。したがって、これは何もやっておりません。したがって、たしかその中に間違いがあるのじゃないかと思いますのは、私ども先ほどもちょっと申し上げましたが、現場で公安官になぐりかかった者とか、警察官に腕力を使った方もあるわけで、警察で四名逮捕したわけです。こういう人たちについては現場で一応身体捜検をやっております。」こう言っておるわけですね。  そこで問題は、となりますと、私はこのときに——さらにどうせあとから出ると思いますから先に申し上げておきますが、つまり、逮捕したっていったって、何で逮捕したのか。公務執行妨害でしょう。そこで私は、このときはっきりものを申し上げているのですが、「はだ着の下まで手を入れたということをやっているのですよ。これはたいへんな行き過ぎだと思っている。おまけにいま公務執行妨害に類するようなお話をされたけれども、断われる、引っぱっていけない、断わったら断われるのですから、それを強引に調べようとしたから警官を突き飛ばしたら、これは公務執行妨害だ。」こういう趣旨だとすると、この公務執行妨害も形の上では成り立つけれども、法律の根拠が違法行為であった。本人がいやだと言うのに連れていこうとした。だから突き飛ばしたということになった場合に、この公務執行妨害は成り立たない。つまり、根拠が違法であるから、その点私は明確にしたい。そうしたら川島さんは、答弁が非常にまずかったといって、「先ほどの私の説明が非常にまずかったのであれですが、正確に申し上げますが、博多の駅に六時五十分ころに着きました学生が、駅の構内で渦巻きデモをやったわけです。そこで公安職員の手でどうにもならぬものですから、警察官側に対して要請がありまして、それで出動したわけです。その渦巻きデモの制止のときに公務執行妨害が起こりましたので、いま言われたようにバッグのやり取りの問題で起こったのではありませんので、御理解願います。」と言って釈明をされた。これは、だからこの問題を例にあげるならば、私は過剰警備だといわれるものの見方、解釈は、当時からすでにあった。あなたのほうは、ああいうときにはこの公判維持その他もありましょう。だから、慎重だというのだけれども、ああいうときはそこまで含めて片っ端から事実やってしまう。だから、過剰警備だということが出る。  ところが、今回のように、集まっている場所がわかっていて、全部ヘルメットをかぶっちゃって、全部とんでもないものですよ。見ると、それをみんな手にして乗り込んできているというのに、しかも皆さんのほうで先導をせられた。しかも、そこに私服を含めてたくさんおいでになって、写真を見て何人も知っている人が、何度も見ているからたくさんいるのですよ。それが見ている目の前で起こっているのに、制止をしようともしない。そこに着くまでに一体何をするんだと質問をしようとしない。その棒を持たぬで行ってくれとも言わない。しかもいきなり行って、代表者が、館林君が出ていったら、おたくの方々が見ている前で、いきなり引きずり出して、八十名ばかりの中でそういう状態が起こっていて、結果的に今度は中に入れろ、上げろということになって、それを今度は制止したらなぐりかかるという乱暴が現場で行なわれている。それを担架に連れていかれるまで見ておられる。それで何にもしないという皆さんのほうの言い方というか、あるいは警察側が、こういう状態というのはあとで具体的に調べてみないとわからないという言い分が私もわからぬわけではないけれども、いままで皆さんがおやりになってきたケースからいうと、全く逆現象だというふうに考えるわけですよ。こういうことが一体あっていいのかどうか、私は疑問に思うのです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 私の法律解釈は、少なくともどういうケースの場合によっても使い分けるようなことは私はいたしませんし、またしないつもりでございます。  それから結果から見まして、警察官は犯罪まさに行なわれようとするとき、こういう場合には制止ができる、こう書いてございますから、その条文が万全に行なわれていれば、およそこの不測の変な事態というものは、まずまず防げて起きないのが当然だと思います。したがいまして、結果からいって、事件が起きたということになりますと、その当時警備しておった警察官は五条、二条の運用について適当ではなかったのではないか、一般論としては、必ずこういうふうな吟味が必要になってくると思います。ただ、具体的なケースでは、いろいろな事態がございますので、その場合に事前の制止が十分に行なわれなかったというのも当時の状況からいってやむを得なかったという場合もございましょうし、それからもう少し注意をすれば、そういうふうな場合においては事前の制止ができたのではないか、こういうような批判を受ける場合ももちろんあろうかと思いますので、個々の具体的のケースにつきまして、いろいろ万般の実情を調べた上で判断をするのが相当だと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 これはあとに尾を引く問題ですが、ここで警察当局でない皆さんにものを申し上げているのは、これは一つの大きな政治問題ですからね、ここまでくると。ですから、そういう意味で、法務大臣がここにおられるわけですから、そこで私はものを言っておるわけでして、事実関係はやはりある程度明らかにしないで大臣にものを言うのは御無礼だから、そういう意味でものを申し上げておる。  そこで、もう一つお聞きいたしたいのだけれども、解釈について、飯田橋事件のときに凶器準備集合罪の二百八条をあなたのほうは発動された。しかも、事前に全部相談されてきめておられる。これも間違いない。この議事録に全部あります。そこで私はあのときに、逆にたとえば角材をたくさん持ってきているにしても、飯田橋であって、目的地はどこにあったかというと、博多ですね、エンタープライズが来たのですから。そうなると、当時のこの刑法二百八条をここにつくったときの国会の論議その他から見ても、ここで凶器準備集合罪などというものを持ち出すべき筋合いのものでなかったという発言をここでした。ところが、そのときに法律は、でき上がればひとり歩きをするんだ、だから大衆運動なり、あるいは労働運動なりにこの種のものは適用すべきでないという附帯決議は知っているけれども、あわせてそのときの法務省の担当者は、それでもひとり歩きをしますということを申し上げてあるという答弁をされて、二百八条というものは適法に、この場合には該当するという主張も、あなたのほうはされた。これはだいぶ論議をしたのですがね、この席で。私はそのときに、当時の「法曹時報」等に国会の論議が全部引用されて解説がこまかくついて、いろいろな学者の意見も載っている。その中で、たとえば日本刀を三十本用意した。これは小松事件という当時の暴力団の出入り等が直接動機になってできたのですからね。それまではこの種のものはなかった。このときに三十本日本刀を沼津に送った。テキヤの親方を殺そうというので汽車で送った。人は三十人別に行った。東京、横浜で集めている。それは凶器準備集合罪は構成をしない。なぜならば、害を加えようとしても相手は沼津だから。では一体どの範囲で凶器準備集合罪は成立するかとえば、日本刀が三十本汽車で送られて沼津へ着いた、あとから人が三十人行ってそれを手にしたというところで凶器準備集合罪は成り立つのだというのが当時のやりとりですね。そうすると、いささかこれには無理があるんじゃないかということを私は申し上げたのだけれども、これは逆の例ですよ。目と鼻の先の明治神宮に、少し先の削ったカシの棒を持って、二十からの団体八十人が集まって、全部ヘルメットをかぶって、何かそろいのユニホームみたいなのを着ておられれますけれども、そういう形で合議をし、EC121号撃墜事件についてああいう態度をとるということについてはけしからぬというので、出かけていこうという話になっている。そういうことがあって結果的にこういうことになるということになると、学生諸君を飯田橋でいきなりなんということをあなたのほうでおやりになる世の中に、先導にパトロールみたいなおたくの警察のほうの車がついて、そうしてそれが客観的に見ればまさに誘導みたいだ。もちろんその気はないと思うけれども。そこで、そういうことが行なわれるということになると、これは一体世の中どうなっているんだということになる。そういうのをあなたのほうはいろいろな団体の動きを調べておられると思いますから、そういう方々の団体が具体的にいろいろなことをやってこられておることはよく知っているはずだ。目的を持っておやりになっている団体もあるのだから。にもかかわらず、それはそれで放任をしておくということになっていいのかという気がする。これは一般論ですが、そこらは一体どういうふうにお考えですか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 警備は警察の責任で、警察のやった警備をあとからいろいろな意味で、人権的にもまた刑法的にもむしろこれを批判していくのがわれわれ法務当局の立場であろうと私は考えております。そういう立場でお答え申し上げますと、よけいなことですが、飯田橋駅事件は、御理解なさっているところがわれわれの理解と少し相違があるのじゃないかと思います。あの場合凶器準備集合罪を適用いたしました検察庁の考え方は、やがてその汽車に乗っていってエンプラの現場においてだれかに危害を加える、こういう目的だということに加害の目的を認めたのではなくて、大学から出て約五十メートルばかり——たしか五十メートルくらいだったと思いますが、来たところで、警備の警察官が両側に並んで警備をしておった、その警察官になぐりかかってきた、こういうふうに事実を認めて、警察官に対する加害目的でもって凶器準備集合罪が成立した、こういう観点で公訴が提起されているわけでございますので、その一日、二日、あるいは遠いところにおる者に対して加害の目的でというふうに認定しているわけではございません。  そこで、今度は質問にお答えすることになるわけでございますが、具体的に、いま申しましたどこか公園のところでもって、凶器と目されるようなものを持った人が数十人集まっておった、こういうふうな事実を想定して考えてみましても、それらの者がいつどこでだれに対して害を加えるのだというようなことを、外形的な事実からある程度認定いたしませんと、公園に集まったところでもって直ちに凶器準備集合罪を適用するということは、法の解釈としても、法の適用としても困難ではなかろうかと私は思うわけでございます。  そこで、それではそれらの連中が具体的にその犯行を演じた場所まで来ないと認定ができないのかということになりますと、これはまたいろいろ情勢が変わってまいります。その公園からいろいろな事件を起こした現場まで来る途中の動向において加害の目的が認定できなかったかどうかというふうな具体的な認定の問題になってくるのではないかと思いますので、その間のところはまた具体的なケースについて慎重に勘案をしなければならないと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 いまお話しになったのは、川井さんが当時そういうふうに答えておるのですよ。議事録にございまして、ずいぶん長い御答弁、いまの三倍くらい答えておる。これも、私わからぬわけじゃない。その前に、川島さんが答えているのをあなたのほうでもう少し理論的に言っておられるわけです。いまの御答弁は少し簡単過ぎまして、前はだいぶ慎重にもっと長くお答えになっておりますよ。ただ問題は、私がいま取り上げたのは、だから、凶器準備集合罪を昨日の件に取り出せと言っているのじゃない。そういう意味じゃなくて、この場合私の言っていることも、きょうこのことが本筋でないから私も簡単に言っているんですけれども、つまり私が昨年の一月に——これは十八日の議事録です。お読みいただけばわかりますが、まず凶器とは何かということから、準備とは何かということから一々問題になるところですよ。また法学者のほうからいえば、公判の意味ということも含めて非常にむずかしい問題だというとらえ方をしておられるわけですよ、先例もありますし。そこで、私の言いたいのは、そうじゃなくて、あなた方がここで答えておられるのは、なぜ早くきめたかといわれれば、集まった人たちがゲバ棒みたいなものを持っている、警官がどこかで制止をする、そうしたら、警官がどうせとめるだろうから、そうしたらそんなものはたたき破って突破しろということをきめていた、外形的に見ると、そうするとこれがいきなり博多まで行く、その間問題がないじゃない、飯田橋の入り口に警官がいるという情報が学生に入っている、そんなものはたたきつぶしていけということになっている、つまり途中の当然やむを得ず警備をするそこにぶつかってきて、おたくのほうの、警察庁のほうの警備体制そのものにぶつかるという目的が明らかである、だから適用したのだということを言っている。私はそうじゃなかろうと、それはあなた方がいなければ問題が起こらない、いなければその事実は起こらずに、みな汽車に乗ってしまうんだ、そうすると警備のあり方として、そこに問題を求めるのじゃなくて、そこで大きな問題が起こるのだとすれば、その飯田橋の周辺にたいへんな被害を与えているわけですから、そうじゃなくて、乗っちゃうことは間違いないから、九州まで行くのですから、その間に方法があるのじゃないか、いきなり警備体制をしく方針をきめた、どことどこに、そこが向こうに筒抜けだ、筒抜けだからそれを踏み破れときめた、方針をきめたからそれは凶器準備集合罪の適用になるんだという言い方はなかろうと私は言っている。そうしたらあなたが、いま言ったことを含めて非常に長い答弁をされているわけです。だから私は、どうも過剰警備という結果になっているということなどをあわせて踏まえてみれば、きのうのような問題について動きが常時わかっているわけだと思う。この間も、成田委員長を刺すなんといって二人ばかり行方不明になっていると言うので、何でそんな警備をするんだと聞いたら、そういう情報が入っていますからということで私ども警備に来ているんですということを、御本人に私は直接聞いている。だから、私もある集会に、間違いがあってはいかぬと思って委員長のそばにずっとついていたこともある。そこまであなたのほうに情報が入っているのだとするなら、あそこに集まった人たちの目的がどこにあるのだということだって入っていなければならぬはずですよ。そうだとすると、それが現に起こってしまうまで放任しておくのかということになる。このことについて、これは事政党政治なんですから、これは左前になろうと、坂道をころがり落ちようと、現に野党第一党に間違いない。それが激しく政府のとった見解に対立した見解を述べたからということで一々なぐり込まれたらたいへんなことだ。これを不問に付してごらんなさい、あとで次々出てきたらどうします。河上さんだってかつてナイフで刺されているんですよ。浅沼さんは死んでいるのですからね。そうなったら、これは幾ら利害相対立する意見であっても、国民の中にその政党を支持する方々がいて、そこに政党政治は成り立っているわけですから、それを根底からゆすぶられるようなことになりかねないという事件だともいえる。事実明治神宮に集まっていることは皆さんが百も承知である。その前に民社党、公明党を歩いているのですから。そこまでわかっていて、しかも現場に関係の方々、警察官諸君がおって、それでこの事件が起こるということを私は黙っておられぬと思うのですね。大臣、いま写真が届きました。これをひとつ見てくださいよ。  これはおたくの警察官の私の知った人です。この方はこういうものを持っているんですからね。これは警察官、私服でございますけれども。これを見てください。玄関です。こういう棒を、それは長いのと短いのをみんな持っているわけですよ。しかも、これは不法侵入ですよ、入れろと強引に言うのだから。これを見てください、血を流して、こんなにけがしている。こういうのは放任できませんよ。ここにございますよ。意識不明ですよ。これは社会党員で、これはおたくの警察の方です。これはあまりにもひど過ぎますよ。棒でまっこうからなぐられたわけです。額を五針縫っているのです。そういうけがをしたのが五人います。軽傷者はずいぶんたくさんいますけれどもね。これは私は何と言われてもただごとではないという気がする。将来のために非常に困ると思うのですね。こういうのをみんな持っているわけですからね。それは単なる旗ざお——凶器の中に、使いようによって凶器である場合とない場合とあるということがあの中にありますけれども、これは明らかに、使いようも何も、そのために使うようにできている。  だから、そういう点を放任をして、いままで各所でその種の団体について、世上一般にいわれる、右翼団体といわれる方々の行動についてわかっておってそのままにしているという、これはどう言われても私は納得しかねるわけですが、大臣、それはいかがですか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 言論に対しましてそういう暴力をふるうということはまことに遺憾しごくである、最近そういうふうな風潮がありますこと、私どもも承知しておりますので、厳に、そういう事前防止ということにも検察庁としてもいろいろ考えておりますが、まことに遺憾しごくに考えております。

大出俊日本社会党

○大出委員 私どもの党に対するそういう問題——私どもの党というふうに限って私はものを考えてはいないのですけれども、政党政治というものが前提になると思うから、ものを言うのです。  そこで、いま私が例に申し上げました、かつての博多の問題あるいは都教組の、例の四月二日の最高裁の判決がございますが、その前の全逓の中郵局事件というふうなものを例にとられて、さっき浜田氏がものを言っておりましたが、ちょっとそれに触れておられたようです。  そこで、与党の皆さんのほうで調査機関をおつくりになるという動きが出てきているわけでありますが、その経過の中に、このいまの博多の問題、過剰警備の問題をあげられていて、立法の趣旨に沿わないという言い方になっておりますね。それから都教組事件等々についても、あおりそそのかす、あおりという行為ですね、それについて局限的にきわめて狭く解釈したということは、これまた立法の趣旨に沿わない。都教組事件というのは少数意見がついていますね。そういうような点をとらえておるわけですが、これは検察庁当局の皆さんの側は逆な立場でものごとを言っておられるわけですから、そういう意味ではあるいは与党の皆さん方のほうで調査機関をつくるということに同調されるのかもしれぬけれども。だから、私はそこにいささかいまの皆さん方の考え方の中に納得のいかない点がある。  そこで私は承りたいのですが、各種の労働事件あるいは各種の公安事件といわれるものの中で、皆さんが検察官を指揮する立場でおやりになっていることの中に、ものの考え方の中心点に、どうもいまの一般的な世情と違う面がある、つまり裁判官の認識と相違もあるだろうと思う。そういう意味で、皆さんが起訴理由としてあげられたことと違った形の判決が出てきた。その場合に、皆さんがその判決を別な立場で批判をされることは一向差しつかえない世の中です。学者だってそう、私どももそう、それはいい。いいが、出た判決について調査してなんということになると、これは穏やかならぬことになると思うのです。  そこでまず承りたいのは、いま労働事犯が至るところにありますよ。ずっと私ここのところ一、二年こまかく目を通しておりませんが、かつて私は予算委員会で質問したことがあるのですが、ほとんど同じ文章でお書きになるんですね。一審なら一審で出てきた結論に皆さん方の側が不服であるといって上訴される場合に、量刑低きに失し不当であると書いてある。ほとんどすべてこれは量刑低きに失し不当であると書いてある。もう判で押したように九州の鹿児島から岩手県の事件までみんなそうです。私は三十何カ所特別弁護人などで参りましたが、全部そうです。そういうことになってくると、確かに皆さん方は一つの統一された意思があるからそうなるのだろうと思う。だがしかし、その立場をあまり強調され過ぎると、出てきた結論に対して別なほうで裁判官はけしからぬ、こういう筋書きになったんじゃ、これは事件ですからね逆に。そこらのところにおいて、いま行なわれている——皆さんの立場から言いにくいことだろうとは思うけれども、やはり何かそこに一言言うておいていただかぬと、最高裁のほうが珍しいことを談話の形かあるいは声明かしれませんがお出しになっているのですが、逆な立場で一体どうお考えになりますか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 最高裁の大法廷の判決に対しまして、これは私ども検察並びに法務当局といたしまして文句なしにこれを尊重してその趣旨に沿ってこれからの警察活動を指導し行なっていくということは、これはもうみずから法を守る立場でございますからあまりにも当然のことでございます。ただ、重々もちろん御理解なさっておることでございますけれども、下級審の判決に対しましては、それぞれまた見解の相違もございますので、それらについて納得できないものにつきましては、妥当な範囲内において上訴をして争う、これまたわれわれに与えられた職責だろう、こう思いますので、下級審の判決と上級審の判決とに対しましてはおのずから態度は変わってきておりますけれども、四月二日の最高裁の大法廷の判決、すぐ前に私が主任検事として関与しました全逓中郵の大法廷の判決、もちろんその趣旨を尊重いたしまして、自余におきましてはその線に沿って運営をいたしております。今後もそういう覚悟でございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 大臣にひとつ承っておきたいのですけれども、四月二日、都教組の問題について、大法廷の判決が出まして、そのすぐあとで、人事局を持っているからだと思いますけれども、床次総理府総務長官のところから見解発表をしておりますね。これは閣議も全く無連絡でおやりになったんじゃないと思うのですけれども、御存じでございますか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 私、存じませんでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 どうもこれ、全く存じませんでは、私はいささか納得しかねるのですが、ほんとうに知らないのですか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 総務長官の仕事でございますので、私は全然聞いておりません。

大出俊日本社会党

○大出委員 私はその見解を聞いているのじゃなくて、総務長官がそういうことを言っているのだが御存じかと聞いているのですよ。それじゃ、法務大臣には全く関係なくて、かってにやるわけですか。いま川井さんが、法を守る立場だから当然だというふうにおっしゃったから聞いているんですから。どうも法を守る立場だから当然だという趣旨の談話ではないから聞いているのです。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 おそれ入りますが、質問の最初の趣旨、私も大臣もよくのみ込んでいないので、もう一回まず最初の質問を……。

大出俊日本社会党

○大出委員 ここにございますが、「新判決は合憲を確認」これはいいのですよ。ただ、これは全く合憲を確認したのじゃないのです、新判決は。つまり公務員法にいう争議禁止行為というのが憲法違反の疑いがある、しかし、その運用を憲法の趣旨に沿って行なえばいいだろうということなんですから、運用を誤ると違憲の疑いが濃くなると言っているんですね、新判決というのは。だから、それをいきなり床次さんのところで新判決は合憲、こういう言い方をされると、これもいささか引っかかる。新判決は、運用を誤らなければよかろう。つまり、憲法二十八条なら二十八条というものもある。もちろん十五条もありますよ。ありますすが運用を誤らなければ、違憲の疑いはあるけれどもいいんだというのが新判決の中身ですよ、簡単に申し上げているんだけれども。ここから始まりまして刑事罰、つまり先ほど皆さんの、検察官側が申し立てている、指令を出したとか、あるいは大会できめて決議をしたとか、あおりそそのかすに足る材料がいろいろある。それを局限的に解釈をされて、ごく悪質なもの以外は該当しないんだ、そういう言い方になっておる。それはまことに遺憾だというわけだ、この談話は。遺憾だけれども、たとえそれが刑事罰に問われなくても、公務員のストライキについては相変わらずいままでどおりの処分で臨むんだ、処分ができるんだということを総理府総務長官談話でものを言っているわけですね、これは。そうすると、どうも何か、新判決は出たけれども、新判決のいうところはいささかもって不納得である。不納得であるが、いたし方ない。だから、新判決ではこうだというけれども、従来どおり進みますという言い方になっている、新聞だからその限りでは真意はつかめませんが。というふうなことになているのを、法を守るという立場からいって、こういうことを言わせておくと、どこかで調査をして勤務評定をやって、判決をずっと裁判官個々について調べ上げて、判決例というものをあげろ、任命権はあるんだから、こうなると、これは最高裁といえども、異例な措置だけれども、このくらいの談話を出さざるを得なくなりますよ。そこのところを、中身の是非論を言っているんじゃない、少なくとも法務大臣は御存じかと聞いているのに知りませんとおっしゃられたんじゃ、いささかどうもおかしなことになると私は思うのです、同じ閣内ですから。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 先に私から……。  いま大臣ともいろいろ御相談を申し上げ、その当時を思い出してみたのですけれども、ただいまの新聞に載っておる総務長官の談話につきましては、私ども法務当局としては、別に事前に御連絡をいただいてお受けしたというようなことは全くございませんので、総理府独自の立場でそのような趣旨の談話を発表されたものではないか、こういうふうに考えております。  それから、こういう談話の趣旨がこのとおりであるとするならば、法を守るという立場からおまえたちの意見はないかというふうなおそらく御質問だろう、こう理解いたしますけれども、それは趣旨がよく理解できませんで、書いてある活字のとおりであるとしますならば、従来とってきた政府の見解と最高裁の見解とが食い違ってはなはだ遺憾で残念だった、私はこの程度の趣旨ではないか、こういうふうに理解いたします。

大出俊日本社会党

○大出委員 私も善意に解釈しましょう、それは。これは遺憾で残念だったが従うという意味において、その点は、あまりそこをやり合いますと、お互いに、やはりこの判決批判というのは、第三者としてあっていいけれども、事行政府ですからまずいですから、やはりそれに従うというところを、先ほどお答えいただいたところを中心に政府機関がお考えいただかないと、少なくとも行政長官ですから、総理府総務長官も非常にまずいことになる、三権分立をいたしておりますから。そうでないと、これはまたいろいろ政党の立場がございますので、与党の皆さんが多数を持っておられますから、みずから考えるところと違った形の判例、判決ができ上がることについて快からぬことはわかります。だからそういう意味で、私どもだって逆の判決が出れば快からず思うわけですから、これはあたりまえ。その限度をはっきりしておいていただかないと先々非常に問題になると私は思うわけです。そういう意味で、これは大臣にできる答弁かできない答弁かということはありますけれども、だいぶ世の中をにぎやかにしておりますので、「自民党と裁判批判の限界」という社説がけさの朝日新聞に載っておりますけれども、いま私が申し上げたようなことです。この調査機関などをつくって勤務評定みたいなチェックをする、判例チェックを一々やる、判決チェックをやる、そういうふうな点までいって、そのための調査機関はできる、任命権があるんだからというふうなところまで出てくると、これは法務大臣の立場で、私はそのことに関係がありませんと言って済まされる筋合いのものかどうかという点がどうしてもある。そこのところを大臣お答えいただきたい。どうお考えになりますか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 最近それに関連いたしまして、お説のとおり新聞に記事がいろいろ出ておりますが、まだ党のほうの意向がどういうところにあるのか、どういう目的であるのかというふうなところもきまっていないのではないかと思います。そういうことが具体化するようなことがあれば、われわれの意見も聞くと思いますが、そういうことが全然ございませんので、まだそういうところまでいっておらぬのじゃないかと私考えております。

大出俊日本社会党

○大出委員 きまってしまってからでは困るので、チェックするのだという、これは倉石さんが総務会でお述べになった中身というのは、他党に介入して恐縮なんだけれども、そういう趣旨でなく私申し上げておるのですが、だからさっき例にあげた博多の過剰警備、都教組判決、そういうふうなものがまことにけしからぬということなんですね。つまり、実体法の姿なり立法の趣旨に沿わないということですね、これは。しかし問題は、憲法が一つあって、二十八条もあって、片一方公務員の争議行為禁止条項があってするわけですから、だから最高裁だって非常に苦労されて、違憲の疑いがあるということを表に一つ出しておいて、しかし運用上憲法二十八条というものとの関連で、それと逆な方向に運用しないということだからそれでいいのだということをいっておるのですから、そこまで配慮しておる世の中に、それはやはり不満であったにしても、それに対してまっこうから天下の大政党が——これは個々の方々の問題ではない。これまた政党政治の問題、いまの三権分立という議会制民主主義の時代、その趣旨の問題、そうなると、すでにいままでにここまで新聞がお書きになれば、圧力ともとれる、あるいはいま幾つも判決が出そうになっておるから、続いてどんどんこういうものが出てきては困るというのでものを言ったのだ、もし曲解をすればこれはゆゆしき事件です、そうなれば。ですから大臣、これは新聞に出るようになってから何日かたつのですけれども、真意のほどがどうか、まだどうなるかきまってないからとおっしゃるけれども、やはり言うべきことは、いま法務大臣という地位におありになるんですから、職責におありになるのですから、職責ということで言うことは言っておいていただかぬと、予算だとかなんとかいうことになれば大臣が提案者ですから、最高裁の長官じゃないのですから、問題は人事と予算という二つを握っておるのですから、行政府が。そうでしょう。そうすると、そういう観点でものを言えば、新聞の社説がこんなことまで書くようなことになるわけですから、これだって一つの大きな、その意味では圧力になりかねない。だから、そうでは困るからというので最高裁のほうは新聞発表されるというわけなんですね。これは事務総長談話でしょうな。しかも裁判官会議を開いておるわけでしょう。断固守ろうというんでしょう。だから、このあたりでやはり決着をつけるという意味で、その職責上言うのだという態度をやはり法務大臣がおとりになるべき筋合いであろう。党と最高裁、こういう形になっておるのですから、そこのところはやはりそうお考えになるのが至当だと考えてものを申し上げておるのですけれども、大臣、そこについての御見解はないですか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 党の意向も聞いてみたいと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 そうすると、これは人事権に介入するとか、つまり裁判判例を調査してそれをチェックするというところまでの意図があるとすれば、これは三権分立のたてまえからいって明らかに私は行き過ぎだと思いますが、御見解いかがですか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 そのとおりだと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 そこで、これは川井さんに過去のことを申し上げて恐縮なんですが、ひとつ御答弁いただきたいことがあるのです。この労働事犯という問題について、ストライキ権というものを根底にした長い間のこれは争いがあるわけですね、戦後の日本の民主主義の中に。そこで、かつて憲法十五条、つまり全体の奉仕者というものの解釈から、公務員というのは本来ストライキ権がないのだという思想に対しては、私も長く争ってきた一人です。私はILO百七十九号事件の原告で、政府の皆さんのほうは被告なんです。だから、いま言い分はたくさんありますよ。ありますが、その十五条グループ的なものの解釈で検察官の方々が起訴理由等を書いておられた。しかし、それを私は間違いだというふうに長らく言ってきた。憲法二十八条というものが明確にある以上は、労働者という一点、契約という一点でこれは本来的にストライキ権がなければならない。それに特殊な制限が加えられるということはあり得ても、それが前提でなければならない。最高裁の今回の判決もみんなそれが中心なんですね。これは川井さん、御記憶あるでしょう。その昔ジュネーブにおいでになって冒頭陳述で明確に、私がいま申し上げたように述べておられる。石田博英さんが労働大臣、高橋さんが法務大臣のとき、衆議院の予算委員会でそれを持ち出したら、皆さんの答弁が食い違っていたので、そんなこと言ったって冒頭陳述にあるではないかと言ったところが、それはあまり表に出さぬことになっている冒頭陳述だ。しかたがなくそういうふうにお答えになった例がある。しかし、もう今日まで来ると、この点は明確にしておいていただきたいのです。当時はマル秘であったとするならば、私が御無礼したことになるのだが、これは川井さんが法務省刑事局参事官当時の冒頭陳述なんですね。これは法務省刑事局参事官川井英良、お名前まで申し上げて恐縮ですが、こう書いてある。その冒頭陳述は文章をお出しになっているわけですね。私と違った見解をお持ちのはずの法務省が珍しく「憲法二十八条にいう『勤労者』に公務員が含まれることはわが憲法の解釈上の通説というべく」、二十八条にいうところの労働者である、勤労者であるということについては憲法解釈上の通説である。「通説というべく、したがって公務員もたてまえとしては労働三権の保障を享有するものといわなければならない。」こうお述べになっている。これは書きものです。しかし、わが国の特殊事情がいろいろあるということをいろいろ述べられて、十五条の二項の規定であるとか、憲法上全体の奉仕者という規定もあるというところから、公務員は国民全体の奉仕者という意味で一部の奉仕者ではないという宣言、ここから公務員法は労働三権に基づき特別の取り扱いをするというふうになっているのだということをお書きになって出しておられます。この根底がくずれますと、長い争いの結果、いみじくも表にお出しにならぬで——これは確かに発表しないことになっておったんだと私も思います。しかし、そういう場所で法務省がお出しになった。なぜ出さざるを得なかったかというと、ILOを中心とする国際的な雰囲気が、公務員は憲法十五条のグループなんで二十八条グループじゃないんだ、こう断定したのでは国際的な雰囲気と合わない。そこで皆さんのほうで、基本的に二十八条なんだ、だが十五条があるから特殊な制限を受けるのだということにされたんだと思うのですよ、このいきさつは。私は、戦後何年もたつのですからそれはそれでいい。それをいま踏まえておいていただきたい。そうしないと、労働事犯に対するいまの都教組判決でもそうでございますけれども、二十八条を裁判官はなんとかかんとか生かしておられる。だから公務員法に基づく、つまりストライキ権禁止立法条項について、その運用さえ誤らなければ、二十八条というのは現にあるのだから、運用さえ誤らなければいいのだという趣旨になっていることは、そのあたりにやはり論拠があるわけですから、そこらのところははっきりしていただきたいと私は思うのです。どうも昔のことを持ち出して恐縮なんですが、いかがですか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 ILOのドライヤー委員会に参りまして、ただいま御指摘のようにかなり膨大な文書を出して私みずから冒頭陳述を行なった。また、その中に御指摘のようなことが書かれておることは御指摘のとおりでございます。それは政府という立場並びに法務省という立場を踏まえ、さらにまた私みずからの労働基本権に対する考え方をある程度にじみ出さして行なったものでございます。  問題は憲法十五条に基づいて、二十八条の公務員の労働基本権をどの程度に制約ができるかということが大きな問題だろうと思います。中郵の判決あるいは今度の都教組の判決等に示された多数意見の見解というふうなものを十分踏まえまして、私のその冒頭陳述に示された労働基本権に対する私の考え方というふうなものをあらためてまた慎重に間違いのないように理解していくことにつとめたいと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 たいへんどうもありがとうございました。これは実はだいぶ川井さんのこの論法に私どもは救われた側なんです。ここまで言っていただけたということについて、ようやくここまで来たかという実は感じを持った時代がございました。それを実はあと戻りさせたくないという気がするのです。だから決して個々の問題をとらえて、自民党の皆さんが調査機関をおつくりになるということをとやかく言っているのではないのですけれども、やはり全体的な運動が背景にあったり、社会現象が背景にあったりするわけですから、しかも、それは国際的な視野でものを考えるという段階に来ているわけですから、そういう意味で何か倉石さんなんかも調査会をおつくりになっていろいろやってきた経緯があり、私も存じ上げ過ぎているわけです。わかっていますが、どうもそっちのほうにひっぱり過ぎていかれるようなことになると困る。またそれは間違いではないか、こういうことでこの問題を取り上げたということなんです。  大臣に最後に一つ承っておきたいのは、先ほどの私どもの党に対する問題、これはやはり政党政治の基本ですから、どうかひとつ前向きでこの点は、先ほど御答弁いただきましたが、あってはならないことで、それがどこの党であってもあってはならないということにこれははっきり位置づけていただいて処理に当たっていただきたいというふうに思います。  それからいま私が川井さんに申し上げているように、労働組合運動というものは押えたからといって、それだけで事は終わるわけではありませんし、国際的な流れですから、したがって、せっかく法務当局が長い間歴史を踏まえて、いま私が例にあげた、一九六四年ですから五年前、足かけ六年前です。ですからそういうふうになってきているという趨勢を、日本には労働裁判所が別にあるわけではないですから、そういうところなどもひとつお考えをいただいて、これまた党と最高裁というところの間にお立ちになって、行き過ぎがないように、先ほどから御答弁いただきましたが、処理をしていただきたい。こう私は思うわけであます。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 私も同感に存じます。

大出俊日本社会党

○大出委員 そこで設置法でございますけれども、どうも横道にそれてたいへん恐縮でございますが、この設置法に関連をして、刑務所の位置あるいは名称の問題で、もう何回か出てきているのでありますけれども、横浜刑務所というのがございますが、御存じだと思いますけれども、あれは何年ぐらいにできた刑務所でございますか。

安原美穂法務大臣官房会計課長

○安原政府委員 お答えいたします。  お尋ねの横浜刑務所は、建設は昭和十一年五月に現在地に新築移転したものでございまして、昭和四十三年の三月に拘置監を新築、増築いたしております。

大出俊日本社会党

○大出委員 そうしますと昭和四十四年でございますから、三十三年あそこにあるということになりますね。実は私もちょいちょいこの刑務所の周辺を歩くことが多いのですけれども、これはおいでになったことがおありと思いますけれども、うしろ側が山で、高台がございまして、そうしてそこにうちがぎっしり建ってしまいまして、当時は何もない全くの山でありました。ところが全部うちなんですね。そうするとそのうちのほうの側に行きますと、作業している中の様子などが見えるのですよ。それが一番こっちの端未決監というのですか、ございまして、何べんか所長さんにお目にかかったりしておりますから、私は中にも何べんも入っておりますが、そばのほうもびっしり家になってしまって、まさにまわりじゅう家だらけ。どんどんこれから発展する地域なんです。それだけに付近の住民の皆さんからいろいろな御意見が私のところにまいりまして、また横浜市などにもそういう意見が出ているのであります。中の建物も新築なんかをされたものですから。そうすると、ここにたくさん家ができちゃって、今度地下鉄があちらのほう、上大岡というところから走りますから、あの周辺というものは、これからマンモス住宅地になって発展していく場所のような感じがするのです。そうすると、いつまでもここに置いておかなければならぬものかという、こんなところはめんどうだからどけてしまえなんということを言う人もたまにはおりますけれども、大体の人は、いつまでもここに置かなければならぬものでしょうかということなんです。家を出ればすぐへいが見えるということですから、それらの皆さんの気持ちがだんだんどけろなんということにまとまっていってしまうと、正直いってまた私の仕事がふえますので……。  ところで、できることはそういう意味で少しやっていただけないかという気がいたします。と申しますのは、警備道路と通称言うのだろうと思いますが、高いへいがあって、そこに幅一間ぐらいの、一間ちょっとありますか、道路が走っている。これは国有地なんですね。したがって、つまり法務省所管の国有地なんだろうかと思いますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。

安原美穂法務大臣官房会計課長

○安原政府委員 最初に、いつまでも置いておくかというお尋ねでございまするが、実は、刑務所というものは、宿命と申しますか、最初は非常に閑静なところにおりますと、そこへだんだん人が集まってまいりまして市街地になる。そしてまたそこを追われていくという、フロンティアみたいな役割りをいたしておりますので、決して進んで市街地の中に入っていったわけではございません。そういう刑務所の施設が全国で四十カ所ございます。現に二十一カ所につきまして移転の要請を受けておるような状態でございます。そういうものを全部やろうとしますと、二百数十億の金が要るのでございまして、国家財政から申しましてもそう簡単にはいかない。そこで、施設が非常に古いとか、きわめて都市の発展を阻害しておるとか、あるいは行き先に適当なところがあるかというようなことをいろいろ考えまして、できるものから逐次やっておるという状態でございます。決してじゃまをして都市の発展を阻害するというつもりはないのでございますけれども、先立つものの関係もございまして、やむを得ないというところもございます。その点も御了解願いたい。特に、横浜は、昭和十一年の建物で、三十年たっておりますけれども、鉄筋コンクリートでございまして、まだ庁舎自体としてはこわさなければならぬということは、ちょっともったいないということもございます。できれば、いいところがございますれば、金が許されれば立ちのきたいと思っておりますけれども、そういう事情にあることを御了解願いたい。  それから、御指摘の道でございますけれども、確かに刑務所の国有地の道でございます。その道でございますから、できるだけ程度のいいものにはしたいと思いますけれども、これはまた、全国に刑務所ができまして、法務省は三千百ぐらい出先機関がございますけれども、そこで道を直せ、建物を直せと言われておりますが、限りある予算をどう計画的に使っていくかということでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 実は、私はいま承ってわかるのですけれども、足かけ六年ばかりの間に法務省の皆さんから設置法の改正案が出てきまして、場所の変更、名称の変更がちょいちょいございますから、だから、都市発展につれて、あるいは高度成長の波の中でだんだんだんだん逃げていかなければならぬ刑務所だなというような気がしておったのでありますけれども、ただ、いまの段階でいきなり騒ぎが起こってみても、周囲の住民から早急にどうというわけにはやっぱりどうもいかない筋合いのものだろうという気がするわけでございますから、それならば、万やむを得ないところまでくるまでは、周辺の皆さんとなるべく事がうまくいくようにやっておいていただかないとまずいなあという気がいたしまして、私は横浜市にも相談をしたのですよ。できれば、それはあまり歓迎すべきものであるわけじゃないけれども、しかし、歴史的に長くあった場所だし、国有地かもしらぬけれども、側溝もないわけですね。それで、何かあまり深いものをつくってはどうのこうのという話を聞きましたが、へいのすぐ下に三寸くらいのみぞらしきものがあるという程度で、何もない。こういうふうに流れておりますから、ここからこっちは民有地なんですけれども、へいにぶつかった雨水その他が全部そっちのほうに流れてしまう。これは特定の地域ですが、未決監のうしろになるところの道路と直角に曲がっている、タクシー会社などがある道路ですけれども、距離にすればかなりありますが、この周辺が雨が降ると、いつもどうにもならぬと言われているわけですね。そこで、少しそれに金をかけてやったらどうだと横浜市に言ったのだが、ところが、市当局も、やはり足りない予算でやらねばならぬ。いまお話ししたように、横浜という町はやたらに人がふえますので、至るところに道路をつくれ、暗渠をつくれ、開渠をつくれということですから、足りない予算を分け合っておりますけれども、そういう国がやるべきところを市が何とかというようなことになると、最近特に市会がうるさい。許さないわけです。市会の委員会で一々問題になる。ああいう本来国がやるべきところをなぜ市がやったかということになる。やむを得ずやってきたのですが、おこられおこられするから、最近やめているのです。そういう関係で、地域の方々が市会の皆さんにお願いをする。何人もの市会の方々が、いろいろな党派はありますけれども、おのおのごもっともだというので、市に話をする。しかし、そのブロックが党派的にはまとまっても、全体的に見ると、市会議員の皆さんは各区ごとに選挙区が分かれておりますから、おかしいじゃないかということにすぐなる。いろいろ努力はしてみたのですけれどもどうにもならない。そこで、おたくの所長さんに私はお目にかかって聞いてみた。地域の町内会の皆さんが困るじゃないか、困るじゃないかと言う。地域の町内会の役員のうちで、その担当の役員になった人は、歴代必ず何とかなりませんでしょうかというような話になる。私も実は、正直言って何とかしていただきたいのだ。だから、材料だけいただければやれますと実は申し上げたいのだという気持ちなんです。だとすると、確かにあるものが、ということになりますけれども、せめてそのくらいのことはしておいていただきませんと、その周辺から、少し早目に、まだ逃げないでもいいという時期にどけろというような話になっても困る。だから、そこらのところを、どけろどけろということになると、また持っていく場所いかんで問題が起こる。地域の住民の皆さんから問題が起こるのです。できればそういう問題にならぬうちに、そういうことは町の皆さんとうまくいくように御処理いただけないものかという気がするのですが、だいぶいろいろ言って恐縮ですけれども、刑務所の問題が出ておりますので、からめて申し上げたわけであります。

安原美穂法務大臣官房会計課長

○安原政府委員 御指摘の点でございますが、限られた予算の範囲でございますけれども、刑務所が付近の住民に御迷惑をかけてはいけませんし、年度当初でもございますので、御希望の点につきましてできるだけ考慮して、できるだけ実現するように予算の執行をはかりたいと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 いまちょっと聞きそこなったのですけれども、早急にはなかなかむずかしいのですか。

安原美穂法務大臣官房会計課長

○安原政府委員 できるだけ計画の中に入れるように努力いたします。

大出俊日本社会党

○大出委員 うしろ向きで申し上げたのではないので、町内会の皆さんからも苦情がだいぶあるものですから、そこでやむを得ず取り上げたというわけで、前向きでひとつお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、時間の関係がございましようけれども、少し承っておきたいのですが、例の在日朝鮮人の皆さんの帰国の問題につきまして、法務委員会等でいろいろ論議されておる。議事録は読んでおるのですけれども、局長、その上に立って、現時点で、一体これはどういうふうに対処をなさるのかという点を、質問が少しばくとした質問になって恐縮なんですけれども、これを克明にやり始めますと、コロンボ会議以来のいきさつがずっとあるだけに、またどうも法務委員会の二の舞いになってしまいますので、できれば法務委員会の二の舞いのようなことは避けたいというつもりで申し上げたいのです。  九月二十八日の例の書簡などもありますし、日本赤十字の田辺さんが法務委員会で述べられておるということも踏まえておりますが、そういう上で、どうも私は日本側にやはり事情があるのじゃないかという気がしてならないわけです。そこらのところを少しお話しいただけませんですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 法務委員会における経緯は御承知でありますということで、実はそれ以上つけ加えて申し上げることはほとんどないのでございます。三月三日に日本赤十字から、一番問題になっておりますところのいわゆる暫定措置が終わった後の、事後措置になった場合の朝鮮赤十字代表の入国手続に関しまして、いわゆる国際赤十字というものを通すという案を提案をいたしたのでございます。これに対しまして、三月十日に向こうから、それは約束違反だ、いわゆる第三者というものを加えることはけしからぬということを言ってまいったのでございます。それで、それからすでに一カ月と二週間たつわけでございますが、これに対しまして、日本側からはまだ何も言っておらないということで、これをどういうふうに取り扱うかということに関しましては、私の承知いたします限りは、まだ成案を得てないということでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 これもまあいろいろありますけれども、人道問題ということばが実は至るところに出てきておるのが法務委員会のやりとりなんですが、特に木村官房副長官がずいぶん苦労されていた経緯がありまして、私も一ぺん木村さんに詳しい質問をしたことがあるのですけれども、ただこれは二月二十日の新聞に、きょうにも交渉指示というので、木村官房副長官談、北朝鮮帰還の再開、こういう記事が載っておって、入国手続の簡素化という点が一つのポイントになっておったわけですから、それを国際赤十字というのを一つ入れて、ひとつ何とかしようじゃないかということで、政府側の気持ちはわかるのです。しかし、この下に同じ日に「韓国は再開阻止を訓令」などというのが載っているわけですよ。その訓令によってだいぶきついことを言っているのですね。こういうときに一々韓国がというのはあまりどうも感心しませんけれども、どうもそういうところあたりがいささかひっかかってくるような感じがするのですよ。特に最近、このEC121の問題がございまして、三十八度線の問題もありますから、そういう政治情勢の中だけに、あれから一カ月くらいになりませんか、もう一カ月になるでしょうね。ずっとそのままであるということが、せっかくここまで来ていて、どうもちょっと理解しにくいのですけれども、赤十字の田辺さんのほうは、その後何べんか書簡を出している。向こう側もどこかで合議をしようということですね。合意をするということで協議をしたいという言い方をしているようですね。そこらのところを、何かこのままでもう向こうが折れるまでほうっておくというならそのように、何かここで打開策をお考えになっているならそのように、いまの情勢上そういう進め方はできないのだというならそのように、その辺でひとつ、当面の情勢、ものの考え方、見方等管理局のほうからの御説明をいただいておきたいのです。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 先ほど申し上げましたように、日本赤十字から朝鮮赤十字に最後の返事を出したのが三月三日でございますが、向こうから参りましたのが三月十日でございます。それ以後、ただいま大出先生のおことばでは、田辺さんが何か手紙を出したと言われたように私は理解いたしたのでございますが、私どもの承知いたします限りは別に——お出しになったのかもしれませんが、お出しになったという事実は私どもは承知しておりません。それで、それをどうするかということをいま検討していることは先ほど申し上げたとおりでございます。  そこで、いささか私見になるのでございますが、これはやはり人道問題でもございますので、ぜひ早急に解決されまして、そして長い間とまっております北鮮帰還が一刻も早く始まるということが人道上の見地から望ましいと考えておるのでございます。  それから、ただいま大出先生のおっしゃいました韓国の抗議云々という新聞記事があるという点でございますが、私いま外務省におりませんので真相はどうかということは申し上げかねますが、しかしこの問題に関しまして韓国が非常な関心を示しておるということは事実であると思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 田辺さんの答弁によりますと、何回かやっているわけですね。最近のことはあれですけれども、これは九月二十八日の例の書簡ですね。まずそれがあります。その後電報が何べんもいっておるわけですね。そうして電報でいろいろとやりとりして、妥結の見通しがつくならば合意するということを向こうにまず言ってやって、そしてその確実な見通しを得るためにその後数次連絡をとったというわけですね。三月の三日の例の提案をしたときにも、渡航手続について具体的な提案をするそうだからということで、あなたのほうではその提案を受け入れて会談をしたいということ、それから具体的にはジュネーブでということなどもつけ加えてある。時期などは将来合議できめようじゃないか。したがって、会談することを予定しているという形のものの言い方をしてあるということですね。それから、会談をするということ、そのことについては、北朝鮮の側は大体合意をしているのだ。ただ問題は、最終的な仕上げといいますか、そこが大体わかっているのだ、簡素化をするというのが中心ですから。ナホトカだモスクワだという問題がありましたからね。そこで最後の仕上げのところで非常にこんがらかってきたということですね、田辺さんの言い分、ここにありますのは。当面の責任者は日赤だ、私どもだというわけですね。したがって、苦慮しながら私どもは真剣にいま検討している、こう言っておるわけですね。そうすると、日赤のほうが苦慮しながらいま一生懸命検討している。何か策をつくろうとして検討しているというのですね。そうすると、政府のほうは日赤の検討待ちということになるのか。ここまでくるともう少し政府のほうも芸があってもよさそうだなという気がするのです。管理令に基づく手続は手続として、向こうもそのことは認めないわけじゃないのだからね。ただナホトカだモスクワだ、一々出かけていくのは困る。第三者の介入問題は、これはこの間私もおたくのジュネーブの会議に参加された方に電話で承ったことがありますが、あのときには、第三者機関を入れるということは、田辺さんの答弁にもないことですね。だから、確かに向こうさんが唐突に第三者というふうに受け取ったということもわからぬことではない。だとすると、そこらのところをどう詰めるかというのが残りの問題だということになるので、日赤だけに真剣な討議をさしておくのではなしに、もう少し皆さんのほうでも、局面打開をする、最終仕上げをするという意味でも御配慮願えぬかという点が承りたいと思うところなんです。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 その点は先ほどから申し上げますように、検討はしておるのでございますが、まだ最終的な結論に達しておらないということでございます。  それから三月三日の日赤提案までにいろいろな経緯があったことも田辺副社長の御答弁のとおりでございまして、これは私どもも承知しております。その場合、ただ田辺副社長が会談をしたいとおっしゃっておられますのは、それはまた御承知のようにコロンボ、モスクワなどでかなり、何といいますか、苦い経験と言うと少し言い過ぎでございますが、苦しい御経験をされたわけでございますから、今度はもし会談する場合には詰めるだけ詰めて、そしてその会談というものはできるだけ簡単なものにしたい、こういうふうに考えておられる、かように承知しております。

大出俊日本社会党

○大出委員 この間理事の皆さんとお話しいたしましたように、実は私どもきょう質問をしてしまいたいという気持ちがありますので、これは事こまかくやりますとずいぶん長くなりますので、だからずいぶん大ざっぱなことで恐縮なんですけれども、法務委員会での論議も、いろいろな方がやっておりますが、ほとんど目を通して見てありますが、ただあまりにもどうも気の毒なんですね。横浜でございますから、私の周辺というのは特にそうかもしれませんが、横浜から横須賀、あちらへかけて朝鮮人の皆さんがたくさんおいでになるのですね、非常に多い。この間も横須賀から人がお見えになって、帰るつもりでわずかな商売をしていたものを売ってしまってアパートに移っておる、ところがその後さっぱりどうにもならぬということなんで、どこかつとめ口をさがさなければならないと思っている方があったり、帰るつもりだったものですから、帰れないのでそのままずるずる延びているのを、それこそ一日千秋の思いで出かせぎをするとか力仕事で日雇いをするとかやっているわけです。だから家族じゅう全く泣きの涙でいるんです。帰らないなら帰らないでやってこられたものをという気持ちになるわけです。だから、そういう意味で政治的な配慮、政治的な問題があることがわからないではないけれども、ここまでせっかく赤十字の皆さんも御苦労されて詰めてきたものだけに、国際情勢、韓国の動き、その他いろいろありますが、それにしてもここまでくれば、事務的に何とかひとつ決着をつけるというもののしぼり方があっていいんじゃないかという気がするものですから。どうも検討はしておるのですがという、これはいつまで検討しておるのだということになって、また何カ月たっても検討中だということでも困ると思いまして、したがって、そこらのところを、くどいようですけれども、これはひとつ法務大臣、検討しているのだといわれればそれ以上とやかく言ってもしようがないような気もするけれども、それじゃ事が済まないと思うんだが、人道的な問題という意味で。だから、この辺で大臣に、締めくくり的にこの問題で大臣の御判断は一体どうなのかということを承っておきたい。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 この問題、大出さん御承知のとおり、非常に難儀をきわめております。お話しのとおり両国の赤十字が窓口になっておりますけれども、私どもも側面から何とかこれを今後、実情もよくわかっておりますので、また御帰還の方が一応決定しておりますので、極力これを実行に移したいと思いまして、法務当局におきましても、従来の経緯は経緯でございますけれども、それにこだわりますとなかなか解決できませんので、新しい見地から何とか打開したいと思いまして、この間の案が出たのでございますけれども、また国際赤十字の事務総長もこの間こちらに来られまして、非常に好意をもって考えていただきましたので、私もほっといたしましたが、しかし万一にも現在の方法が行き詰まりますれば、便法を考えなければいかぬと思いまして、いま情勢をずっと静観いたしておる最中でございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 わかりました。せっかくひとつ前向きでこれもまた御検討いただきたいのです。  最後に一言で終わりますが、出入国管理法案なるものが出てきているわけでありますけれども、これは多少のひっかかりがこの法案とあるような感じがするのですけれども、こっちのほうの法案の扱いのほうは、いまどんなぐあいになっておりますか、皆さんのほうで受け取っております様子は。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 去る三十一日に国会に御提案いたしましたが、いま議運でいろいろお考えになっている最中らしくて、まだそれ以上のことを伺っておらない次第でございます。  なお、先ほど大出さんがちょっとお触れになりました帰還問題とこの法案との関連は全然ないわけでございまして、帰還問題は帰還問題といたしまして、両国の立場からぜひこれを実現したいというふうに努力しておるわけでありまして、これをもって別段関連はない、かように思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 この出入国管理法案なるものができますと、ビザなしに入ってくる二十四時間滞在の方々が七十二時間になったりいろいろありますね。これは何も大都市の大きな港にだけ来るわけではないのですね。これは出張所その他の関係等がこの中にありますから、全く関係がないわけでもない。そこで、実は法務委員会の関係の諸君のほうから、どうもこの出入国管理法案なるものが何とかなるまではちょっとこちらのほうで設置法の論議を進めてもらっては困ると、実は国対にやかましくいっておる関係もありまして、そうかといって、これは法案も手元にありますし、読んでもありますけれども、ここでこの論議をいま始めるわけにもいかず、したがって、議運でせっかく検討中だ、こういうわけでありますが、皆さんのほうで、これは国会のほうでやりとりすることだということになってしまえばそれきりだけれども、私のほうの予定もありますから、皆さんのほうで何とか決着を早いところ議運のほうでつけやすいようにしていただきたいものだという気がするのですが、いかがですか、何とか決着を早急につけていただけませんか。そうすればこっちも決着がつくのです。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 私もぜひ決着をすみやかにつけていただきたいと考えております。

大出俊日本社会党

○大出委員 それではこれ以上大臣に無理言っても、これから先は、国会運営は諸君のほうだと言われそうでありますから、せっかく決着をつけるように御努力をいただくということで終わりたいと思います。

藤田義光自由民主党

○藤田委員長 淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 さっき大出委員から質問ございました日本社会党本部の襲撃事件につきまして少しお聞きしておきたいのですが、実は私もきのうちょうど院内で執行委員会を開いておったときにあの事件が起こったらしく、事後に聞きました。かけつけて、けがをした本人たちとも会って状況をいろいろ確かめてまいりました。一、二の新聞では鼻血程度なんていって軽くあしらっておりますけれども、鼻血程度じゃありません。三人負傷いたしまして、私の担当の機関紙局の局員が、しかも三人まで通りかかったのにやられております。そのうちの一番ひどくやられておりますのは笠原君という十八歳のアルバイトの少年なんであります。これももうずいぶんひどい、頭を右のほうをなぐられまして、これは外傷ですが、左のほうは外傷じゃありませんが、診断の結果、接合部が開いているので、あるいは予後に合併の病気が起こるのではないかというので、これは入院しております。この人はやってきた連中に引っぱり込まれまして、二十分ほど暴行を受けたそうであります。そのすぐそばには警官もおったそうですが、手をこまねいて何もしていない、写真でもごらんのとおりなだめるような調子でおりましたけれども、ほとんど手をつけなかった。見かねて飛び込みましたあとの二人がけがをしております。一人は約五針くらい縫う傷を受けております。一人は下くちびるが切れて、これまたひどいけがをしておる。これは一つの政党が何か信念を発表し、声明をした場合に、当然議論すべきことならば議論してけっこうなんですけれども、直ちに暴力に訴えるという風潮は、最近のさまざまな事犯とあわせまして、軽視すべからざる重大なことだと私は考えておるのであります。特に私、感じましたのは、一番重い傷を受けました笠原君のおかあさんが、働き先からおそく参りまして、もう話を聞く前から涙ぐんでおりましたが、いろいろ心配したあげくに私に切々として訴えるのは、一体世の中はどうなるでしょうという訴えなのであります。大学へやれば大学へやったでああいうことになるし、このあと一体どうなるでしょうと、全くおろおろした形で嘆き悲しんでおったのを見て、私、胸迫る思いがしたのであります。これはもう単なる偶発事件じゃなくて、その底の非常に深いものを感ぜざるを得ない。しかも、このけがをした人たちは、あの状態を見まして、警察のほうからけがを受けた実情をいろいろ話してくれと言ってきたのですが、話したくないと言うのであります。何を訴えても意味がないから、われわれはもう警察の力を頼んで犯人をあげてみようとは思わぬ、あげるならばかってにあげなさい、こういう調子で、非常に不信感を持っている。こうした政治力に対し、あるいはいまの警察、政府の力に対する大きな不信というものが青年の中にかなり強くなっている。以前から感じておりましたけれども、今度私の身辺にこういうことが起こりましたので、つくづくこのことを痛感するわけなんです。法務大臣という当面の責任者の大臣は一体どうお考えになっておるか、御所見のほど承りたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 先ほど大出先生にもお答えいたしましたが、言論に対しまして暴力をふるうということは全く大きな罪悪でありまして、私どももほんとうに遺憾しごくに存じます。いずれ近々警察から送致されてくると思いますので、厳正な立場でこれに臨んでまいりたいと真剣に考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私、これは非常に大きな問題だと思うのであります。  それからさらにいまの設置法に関しまして、出入国管理の問題でございますが、これなども私かなりの数、入出国に対してさまざまな訴えを受けまして、入管のほうにはちょいちょいおじゃましているのですけれども、もう少し実態に即したお取り扱いができないものでしょうか。これはあのとおり終戦後に起きた事犯でもあり、また朝鮮自体がひどい戦乱の中にあったものですから、だんだん探ってまいりますと、確かにどうも入出国の事情が必ずしも明朗じゃないのです。密という字がつきそうなこともございます。これをただ法律一片でやりますと非常な悲劇が起こる。これは局長、大体わかっているだろうと思いますけれども、おばあさんと孫が別れたり、夫婦が別れたり、さまざまな家庭的な事情がからんで複雑な事情がございますけれども、これを冷たい法一片で扱いますと、何ともいえないような家庭悲劇を巻き起こしている例をしばしば見ております。これは法を曲げろとは言いませんけれども、法の陰に何か涙あっていいような気がすることがしばしばあるのです。その冷たさから、かえって若い時代がぐれていくようなこともしばしば耳にします。そういう点の御所見をひとつ承りたいと思います。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 私どもの仕事の運用で一番困りますこと、ないし大事にしなければいかぬことは、義理人情ということと法律のたてまえとどういうふうに調和さしていくかという点でございます。その法律の解釈、運用の結果、いま御指摘のような点がたまにはあったかもわかりません。しかし、何しろ人間のやることでございますので、全く完璧を期するということは不可能であると思います。ただ、私どもといたしましては、できるだけそういうような人間の本性に反することがないように努力しておるのでございまして、現に、いわゆる密入国者であって日本に特別在留を与えた者もいままでに二万七、八千人おるわけでございます。何が何でも片っ端から追い帰すというわけでは決してないのでございます。ただ、いろいろな観点から、どうしてもこれはお帰りを願わなければいかぬという方が相当おることも事実でございまして、もしも不法入国であっても、たとえば親子であれば、こちらに親戚があれば必ず置いておくということになりますと、いまの出入国管理法のたてまえが根本からくずれることになるわけでありまして、やはり結果的にある程度御本人の意図に反するというような取り扱いが出る場合があること、それはやむを得ない、御承認を願うよりしかたがない、かように考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これはやむを得ないこともございましょうけれども、態度なんですね。犯罪者を扱うような冷たい態度でやられますと、今後韓国並びに北朝鮮との友好の上にも相当大きな障害を来たしますし、特に政治的な意図があってそういうことをやっておるようにとられでもしましたら、これは国交回復の上にも非常な障害になると思いますので、やはり子供たちのことも多いものでありますから、そこにもし法でいけなかった場合は、法は法として何らかそこにもつと温情のある扱い方をしませんと、私はたいへんな禍根を将来に残すと思うのです。  そこで、特に法務大臣にお尋ねしておきたいのですが、最近における少年犯罪の激増ですね。だんだん悪質になってきますね。けさも何か報道されたところによりますと、十五になる子供の首がすっかり切られちゃったという事件が起こっていますね。どこに犯人がいるのか知りませんけれども、そういう凶悪犯の激増ということは、これは軽視すべからざることだと私は思うのであります。特に私、郷里から出ました少年が何か射殺魔なんという形でもう大きく取り扱われたことに対して、同じ青森県の人間として非常に申しわけないような気がするのでございますけれども、あの少年の背景をいろいろ探っていきますと、初めからああいう凶悪な少年じゃなかったことは事実なんです。また非常に浅い人生経験でああいう形になっていくというこの時代の風潮に対して、一体法務大臣どうお考えになっておられるか。これはただ処罰するとか法をもって処断するとかということ以外のやはり原因があると思いますので、これを突き詰めていきませんと、私は少年犯罪はなくならぬと思う。そういう点に対する大臣の御所感をお聞きしたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 この少年の非行につきましてはほんとうに心配でございまするが、最近の少年犯罪を見ますると、数ではそうふえてはいかない、横ばい状態にございますけれども、しかし犯した犯罪の種類がきわめて悪質なものが非常にふえておりまして、強盗、殺人、強姦というようなそういうふうな悪質なものが非常にふえておることは非常に憂慮されますが、いろいろお話しのとおり、これにつきましては、こういう当局だけでなく、社会全般の諸施策がうまく推進されて、りっぱな環境をつくらないと、短時間たとえ収容いたしましても、しゃばに出るとまたもとに戻るというような傾向がございますので、法務当局におきましても、少年院に収容した者につきましていろいろ考え、また、出ましたあとのことも、アフターケアのことも、新しい見解から、新しい方法を生み出さなければいかぬのじゃないかという考えで、いま少年法全般につきまして詳細に検討を加え、何とか早く新しい時代に即したものをつくる努力のまつ最中でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 少年というのは、やはりおとながかがみですから、おとなのまねをするのはあたりまえのことなんで、おとなが悪いことをしておって子供だけよくなれといってもよくなるはずはないのです。十八歳以下の少年お断わりなんという張り札をいろいろなところでしばしば見ますけれども、十八歳以上のおとながやって平気なことは子供はまねしますよ。したがって、少年犯罪ということを特別に扱うというのは、これはたいへん大事なことでございますけれども、この犯罪を生むようなおとなの犯罪に対してはさらにきびしくしないと示しがつかぬと私は思う。これは私の経験ですが、すぐそばに少年のそういう施設がございまして、いろいろ接見しましたけれども、非常におもしろい心理をやはり少年は持っているのです。監視されればされるほど盗みたくなるという心理がある。やかましく言われれば言われるほどやはり悪いことをしたくなってくる。これを普通の少年として扱っておりますと、やはりりっぱに成長するのですね。そういう実例を私幾つか見ております。  そういう形で、法一辺倒じゃなくて、特に少年にはそういうふうな何らかの背景をなす社会教育なり、あるいはおとなの世界に対するきびしい反省なりを加えませんとこの風潮はとまらぬという気がしてしようがないのです。少年犯罪だけを取り締まったのでは決してなくならぬと思う。あるいは凶悪な犯罪というのも、銃器などの取り扱い、これに相当問題があると思うのですが、そういう点でお気づきの点はございませんか。これは局長でもどちらでもけっこうでございます。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 少年犯罪の原因については、いろいろな角度から、政府も総理府のほうに早くから対策本部を設けまして、私ども参加していろいろな検討をいたしております。御承知のとおり、少年犯罪の悪質化の傾向というのはいまやもう世界的な傾向でございまして、各国ともに非常に苦労しておることでございます。  私ども担当いたしております刑事政策の分野におきまして、まずどういうふうな対策を立てていったら最もこれに有効な対処の方法ができるだろうかということにつきましても、かなり前からいろいろな検討をいたしております。その一環といたしまして、法律のあり方についてもいろいろな検討をいま加えておるところでございます。ただ、御指摘のように、原因は個人的な要因と、それから家庭的な要因と申しましょうか、さらにまた御指摘のように社会的な要因というものもあわせて考えられると思いますけれども、個々の事件を深く検討してみましても、それらの要因が複雑にからみ合って犯罪に走っているというようなことがうかがわれますので、これはひとり法務当局というような取り締まり当局だけが先走りいたしましても、なかなか問題の解決は困難ではないかということで、他の部局とも、特にまた、ただいま御指摘がございました銃砲等の所持の取り締り、あるいはその温床となっている暴力団体等の取り締まりないしは風紀犯罪等というようなものは、何といいますか非常に無制限になっているような傾向がございますけれども、そういうようなことも原因となってまた犯罪が起きているということも十分に実証できますので、そういうようなもろもろの面とも関連を持ちまして、そうして打って一丸とした全体としてのいわば国民的な運動というような面におきましても、何とかしてこの少年犯罪の制圧と申しますか防止と申しますか、そういうことについて万全の措置をとりたいというふうなことで、私の部局のところに特に青少年課という課を一つ設けまして、普通の犯罪と切り離しまして青少年だけをもっぱら検討し、またその対策、特に刑事政策的な面からの検討をさせるという課を設けて検討いたしておる段階でございます。  なお御指摘を受けまして、そういう面につきましても連絡をとって、今後さらにまた迅速に慎重に何とかその方法を考えて手を打ってまいりたい、こういう覚悟でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 銃砲火薬等の取り締まりについてもひとつ私お伺いしたいと思うのですが、最近のこういうたぐいの犯罪の中に米軍の持っている拳銃などがだいぶ出てきておりますね。私の県には三沢という大きな基地がございますが、あそこでもしばしばそういう例がある。一つなどは酔っぱらった米兵がタクシーをベースの中で呼びとめまして、そして自分で助手席に乗りまして、理由なしにその運転手を殺害した事件があります。これは委員会等でもいろいろ御審議を願って、遺族には応分の処置をしていただきましたけれども、だんだん調べてみますと、この兵隊はピストルなどの所持ができない兵隊なんです。かってにやはり置き場に入りまして持ち出して、それで犯した犯罪だということがわかった。聞いてみますと、どうも日本の銃砲火薬等の取り締まりに比べて非常に基地内の取り締まりはルーズになっている。だれでも持ち出す、金に困れば持ち出して飲みしろに置いてくるといったような例もしばしば見かけるのですが、そういう点はいろいろお調べになっていると思いますので、お答え願いたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 銃砲取り締まりは、御承知のように直接の担当庁は警察庁でございますので、私どもいろいろな事件を通じて特にその面についての、銃砲の的確な所持規制ということにつきまして、そのつど事件を通じてこういう点に格別の注意が必要だということを担当の行政当局のほうに申し入れをいたしております。その面につきましてもかなりいろいろな規制が今日行なわれております。  それから念のために申し上げておかなければいけないと思いますが、たとえ基地内でありましょうとも、御承知のとおり日本の国内でございまして、原則として日本の国内法が及んでいるわけでございます。したがいまして、基地内におきましても銃砲等の取り締まりにつきまして、基地という特殊な関係で合法的に銃砲の所持並びに使用が許される場合は別問題といたしまして、ただいまおあげになりましたような、所持することを許されていない者がたまたま所持をしておったとか、あるいはそれを不正使用しておったというような場合には、日本の国内法に基づきまして厳重な規制と処分ができることになっております。従来もそういう面につきましてそういう処理をいたしました事例がございます。なお、特にこの機会にまた担当当局とも連絡いたしまして、そういう面についての取り締まりあるいは規制というふうなものに一そう遺憾なきを期するように申し入れをいたしたい、こう思っております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 一応ごもっとものようなお話でございますけれども、基地の中の状況というのはそういうものじゃない。ここにおられた大出委員なんかとともに経験したことなんですが、これは政府といろいろ話をいたしまして、厚木の基地を調査いたしました。偵察に出ましたあの飛行機や何やらを十分に調査するつもりで入りましたが、軍命令で調査はできませんといえばそれっきりなんです。幾ら日本の法が中にありましても、軍の秘密だからしようがないというと手がつかぬのです。外部に出て犯罪になって初めてこれがわかる。基地内から持ち出した銃器等で犯した犯罪というのは、最近はどうですか。減っていますか多くなっていますか。その犯罪に用いた銃器ですね。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 具体的なその点の統計はいま持ってまいりませんけれども、急にふえてきたというようなことはないと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは引き延ばすつもりならその資料がほしいところなんですけれども、きょうはそうじゃありませんので……。  幾らこういう銃器の密輸入を強く取り締まりましても、国内におけるこういう基地からひそかに犯罪のために持ち出したということがあれば、これは底抜けなんです。もしふえないとしても、減っていなければ非常にあぶない。そういう点に対する具体的な御方針などございませんか。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 弁解になりますが、銃砲の取り締まり、いまの数字というふうなものは私のほうにはございませんで、これは警察庁のほうに連絡いたしませんとその辺のところは必ずしも十分になりませんので、いずれまた警察庁のほうと連絡をとって私のほうも数字を明らかにしてまいりたいと思います。ただ、具体的な犯罪になりまして、その犯罪の過程において使われた銃器がたまたま基地の中から出てきたものであったというのは、私のほうで犯罪を取り扱っておりますので、その犯罪のほうを集計していけばおのずからその増減の数字、統計というようなものは出てくると思います。そういうような関係になっておりますので、今日、直ちにいま私の立場からそのようなところを明確に申し上げる資料を持ち合わせておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そこで、基地内の取り締まりの方法ですが、これは警察のほうでやるとすればしかたございませんけれども、やはり犯罪の事実があがってきていますと、これはあまり見過ごしておくわけにいかないんじゃないかと思うのです。私はずっと長い間基地問題を扱っていますけれども、さまざまの問題が起こってきますよ。その助手席にすわって運転手を殺害した遺族の問題でも、賠償の請求を本国へいたしました。ところが通訳を通じて、これでもう賠償は打ち切りなんだから、これ以上要求するならばあなたは賠償の権利は失いますという厳重な申し入れがあった。どうも様子がおかしいから、私はその基地へ行きまして、本国の政府から送られた通牒というものの原文を見せてもらったんです。全然ないんですね。それが日本人のにせの通訳ですけれども、原文にないことを、誤訳というんじゃなくて、全くのつくりごとで書いて、本国はもうだめなんだから、私に頼めば幾らかとってやるというように、間でくすねる分別をしておる。とうとう横浜の司令部までいきまして、いきさつを明らかにして、それ以後通訳は二人つけるということになっておりますけれども、日本の国内法でやるといっても、やはり基地だけに国内法が十分に適用できないという例がずいぶんあるのですがね。どんなに出てきた銃砲をかたく取り締まりましても、そういう抜け穴を残しておいたんじゃ困ると思うのです。いろいろな犯罪をなくすくふうも必要ですけれども、具体的に犯罪を行なう凶器については厳重にやはり取り締まるべきものは取り締まりませんと、ますます犯罪は凶悪化しておりますが、その辺に対する将来の方針などを承りたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井政府委員 危険な凶器について場所のいかんを問わず厳重に取り締まりをする、それが必要だと思います。全く同感でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 特にこの際、ひとつ大臣に御要望申し上げておきたいと思います。  いま銃器の取り締まり案などでも、これは警察のほうとも関係があるようですが、閣僚として法務大臣にこの際お願いしておきたいのは、やはり青少年犯罪の悪質化の傾向に対して抜本的な措置をとられること。案外原因はおとなの犯罪にあるかもしれません。少年犯罪じゃなくておとなの犯罪にあると思うしまたおとなが反省しなければならないところに大きな原因があると思います。その点に対して、やはり真剣にお取り組みを願いたいということが一つ。  もう一つは、いま言っておきましたが、基地内における銃砲火薬の取り締まりに対して国内法がしかれているといっても、なかなかこれが実行できないような状況にございますので、ひとつ閣議の段階でその点は一日も早く万全の対策をとられるように御要望申し上げたいのですが、最後に御所見を承りたいと思います。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 私も全く同じような考えを持っておりまして、先ほど申し上げましたとおり、少年の問題は非常に重要な問題でございますので、法務当局といたしましてもこの改正を促進いたしまして万全を期してまいりたいと存じます。  また、銃砲の問題も、いまの時代にこれを悪用されてはたまりませんので、また最近少年のピストル事件等もございましたので、鋭意関係当局を通じまして取り締まりに当たっていきたいと考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 終わります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員長 永末英一君。

永末英一民主社会党

○永末委員 昨日東京地裁で松川事件に関する国家賠償訴訟についての判決が下りまして、その判決は、結局公訴遂行のしかたについて検察官の側に真実義務にそむく点がある、違法か少なくとも過失があるものであったことは明らかである、こういうような判決をいたしまして、賠償を支払えということになりました。松川事件の内容あるいはその真実につきましては、一般の国民は裁判所の判決以外に知るところはないわけでございますが、ただその裁判所の判決が二転、三転しつつ最終的には無罪になり、そしてそれに関係づけて国家賠償の請求があり、そのことが一応地裁段階では判決が下りました。  さて法務大臣、これが始まってから最初の無罪になる判決が下るまでも十五年ほどたっておる。それから、国家賠償を訴えてから五年たっておるわけですね。そういうことを含みつつ、法務大臣どうされますか。あなたのほうの訟務部長は、これは控訴したいというがごとき新聞発表をしておりますけれども、どういうお気持ちですか。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 昨日ああいう判決をいただきましたので、法務省といたしましてもこれに対する態度をきめるためにいま検討しておる最中であります。できるだけ早く法務省の態度をきめてまいりたいと考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 法務大臣は裁判所と検察庁の両方の上に立っておるわけですから、なかなか微妙な立場であろうかと思います。ただ一般の国民の側からいたしますと、ともかく三十八年には、いろんないきさつがあったけれどもわが国の裁判所は無罪判決をやった。それから五年以上たちまして一応国家賠償の判決があった。これはいずれもあなたの所管の裁判所がやっているわけですね。それをもう一ぺんあなたのほうの所管のほうでそれを控訴される、また何年か続いてまた同様の判決があるというようなことになりますと、国民全般から見ますと、わが国の裁判制度について何か非常な疑惑を抱かすことになりやしないか。未来のことはわかりませんが、つまり判決の内容は検察側としては争わざるを得ないと私も思いますよ。ともかく違法か少なくとも過失があったと裁判所が認めたのですから、そんなことを日本の検察庁がやっておるということになっては大問題、争われると思います。しかし、また五年も六年もかけて過去の事実——大体人間が生きておるというのは忘れるから生きておるのであって、やったことをみな覚えておりましたら精神分裂かノイローゼになっておかしくなっておると思いますが、しかしそれをやはりそれぞれの証拠に基づいてあとづけてちゃんと白日のもとに示すということは、たいへんな努力だと思います。しかし、そう思いますにつけましても、もし控訴されるといたしますとまた時間がかかって、そのことによってまた別の問題が起こってくる。だから法務大臣が、たとえばこの判決の内容について検察庁側に立ってそういう判決ではうなずけないと思われる点もありましょうが、今度は国務大臣として全体的な一つのかまえ、すなわちこの裁判に関係のある人々は二十年以上もこういう状態に置かれた。いまは二十年ですけれども、まだまだそれが続いていく。一応青天白日の身になっておりますけれども、最終的な決着のためにはなおなお続いていく。一体、日本の裁判所というものはそんなに時間をかけないと内容がわからぬものかということを、国民は非常に疑惑を持っておる。これはあなたの態度できまることだと思いますが、これには期日がありますから、一体いつごろ控訴かいなかを決定されるか。あるいはまた裁判所のことですから、法務大臣ではどうにもなりませんけれども、時日をかけていいものだとお考えになるかどうか。二点についてお伺いいたします。

川島一郎法務大臣官房訟務部長

○川島説明員 私から一応お答えを申し上げます。  仰せのようにいろいろな問題がございますので、まず控訴するかどうかということは相当広い範囲にわたって利害を考慮しなければならない問題だろうと思います。また、御承知のように、この事件の内容は検察庁、警察庁といったような役所の所管事項にも関連いたしますので、そういったところとも十分協議を遂げて決定する必要があるわけでございます。したがいまして、いま直ちにというわけにはまいりませんが、事の性質上あまり遷延することは好ましくありませんので、なるべく早く決定したいというふうに考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 当該責任者の訟務部長はそうお考えですが、法務大臣、もし控訴されたとして、また五年も六年もかかってもいいとお考えになりますか。国務大臣として聞いておるのですよ。

西郷吉之助自由民主党法務大臣

○西郷国務大臣 永末さんの、まことにむずかしい問題でございますが、しかし非常に大事なことでございますので、いま訟務部長が申しましたとおり、慎重に検討を加えまして最終的な態度をきめてまいりたいと考えております。

永末英一民主社会党

○永末委員 まだ方針がきまっておりませんからその程度しか出ないと思いますが、日本の裁判制度そのものについてやはり国民が受けておるいろんな感じがあると思うのですね。ひとつ法務大臣としてその点も勘案しつつ慎重にやっていただきたい。  それから入国管理の問題について伺いたいのです。横浜に入国者収容所がございます。大村にもございますけれども。この収容所には、退去強制令書の執行を受けた者、これを送還するために一時これらの者を収容する施設だと聞いております。いま言った横浜入国者収容所には何人入っておりますか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 三十八名でございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 その三十八名の犯罪の種類がわかっておりますか。累犯もたくさんありましょうが。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 刑罰法令に違反したものが二十五名、それから不法入国によるものが四名、不法残留が九名、こういうことになっております。

永末英一民主社会党

○永末委員 この入国者収容所組織規程によりますと八条で、横浜入国者収容所に関するいろいろなことについては大村の収容所に関する規定が準用されておりますが、その中で、被収用者の仮放免に関する事項というのがございます。仮放免というのはどういうときにやるのですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 これは収容の必要がない場合に行ないます。

永末英一民主社会党

○永末委員 収容する必要がなくなったら仮放免ですか。つまり、入っておる者は強制送還すべきものでしょう。だからわが国の外へ送還する必要がないということになるんでしょうね。それはどういう場合なんですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 そうじゃございませんで、たとえば退去さす場合でも国費でさす場合がございます。これが普通でございますが、そうでなくて、国費ではなくて、自分のお金で帰る、自費退去するものがございます。自費退去の準備をするには収容所の中におりましてはパスポートの手配、あるいは切符の手配、お金の手配、あるいは自分の身の回りをたたむ手配というのができませんので、それで出す、それから、最も常識的な場合は、非常な病気になりまして、収容所の中におった場合には困るという場合に、収容所外のしかるべき病院に移るということもございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 昨年仮放免になったのは何名おりますか。それは全部、いまおっしゃった病気は別として、自費でわが国から退去したかどうかお知らせ願いたい。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 昨年の仮放免の数は、ちょっと、いまわかりませんが、あとで調べまして御報告いたします。

永末英一民主社会党

○永末委員 いまおる三十八名について長いものは何年になりますか。ちょっとお知らせ願いたい。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 ただいまおります三十八名の中で、一番長いものが一年九カ月でございます。その次の人が一年八カ月、その次のものが一年六カ月、こういうふうになっております。

永末英一民主社会党

○永末委員 この仮放免はあとでお知らせ願いたいのですが、もう一つこの四条の二項の八号、これは大村の関係ですが、横浜にもあと準用されております。送還不能の被退去強制者の放免に関する事項というのがあるのですね。つまり送還不能、こういうことをみなされた場合には放免する、こういうことがあり得ることになっておりますが、そういうことをやったことがあるかどうか、お知らせを願いたい。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 一回だけございます。昭和三十八年の六月にそういうケースがございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 それはどういうケースですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 これは昭和三十一年に中共引き揚げ船興安丸というのに乗って帰ってきて、日本人だということで舞鶴に入港した人があったのでございますが、私どもの調査では、どうしてもそれは日本人とは認められないということで収容しておったのでございます。しかしながら、収容期間が非常に長くなったということ、どこにも退去を強制させる行き先がないということもございまして、そうしてこれを特別放免した例がございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 その人は何年ぐらいその収容所におったのですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 約六年でございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 先ほど、現在の収容者で一番最長は一年九カ月ということですが、昭和三十八年の放免者は六年ということです。これは一時ということですね。一時というと、いまのように送還不能であるかどうかを何年かの段階で判定を下さなければならぬだろうと思いますけれども、先例は六年といいますと、つまりその程度おらなければ強制送還不能であるかどうかの判定は下さぬということですか。それ以前にも判定は下し得るというお考えですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 ただいまの人は結論的には無国籍でございまして、したがって、どうしても退去強制をしようにも行く先がないということになったのでございますが、現在収容しておりますこの横浜の三十八名という人は、それぞれ行く先があるわけでございまして、しかもその大部分の三十一名の者が中国人でございます。そんな関係で絶対に送還できないという先ほど御指摘の五十二条第六項の規定を適用するかどうかということは、その必要がないということでございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 中国の場合は戦前の中国と一九四九年以降の中国とは変わっていますね。しかも中華人民共和国とわれわれと国交がないわけである。したがって、もし自費で帰れない者があった場合にはきわめてこの送還がむずかしくなりますね。そういう事情は十分お考えですか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げました中国人の被送還者の退去強制事由該当者のうち刑罰法令違反者は二十五名という中で二十二名が台湾省出身でございまして、中国大陸いわゆる本土出身者が三名、こうなっております。  そこで入管側といたしましては、ぜひひとつこういうような人を引き取ってもらいたいということで国民政府側に交渉しておるのでございますが、これが日本におきますところの台湾出身の中国人のいわゆる法的地位の改善の問題ということとからみ合いまして、必ずしもスムーズにまいりません。そこで結果的に長く収容所に入ってもらっておるという気の毒なことになっておるわけでございまして、私どもとしましては、いっときも早くこういう人たちが円満に本国へ引き取ってもらえるように、帰ることが実現するように期待しておるわけでございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 その台湾と申しましても、台湾のほうは、わがほうの政府との間の条約では、台湾政府が持っている施政権の範囲というものは、わがほうの政府として一応限界がございます。そういう目から見ますと、中国大陸がふるさとみたいになっておって、一応国籍の所在になっておるような人々に対しては、台湾に帰れと言うわけにはいなかいでしょうね、違うわけですから。台湾政府が全部カバーしておるなら別ですよ。そうすると、やっぱり中華人民共和国政府と何か連絡をしなければならない。そんなことを実際やれますか。

中川進法務省入国管理局長

○中川(進)政府委員 御指摘のとおり、わが国と中国政府ですか、この間の国交はございませんので、直接北京政府を相手に引き取り交渉というようなことはできませんし、やったこともございませんが、ただ、華僑総会というものがございまして、この団体が中に入りまして、そういう理事長のあっせんと申しますか、世話をしておるということはございます。

永末英一民主社会党

○永末委員 それで先ほどの答弁が残っておりますが、昨年度仮放免になった者、そしてそれが確実に行き先へわが国を出国をしていったか、これをひとつあとでお知らせを願いたい。  終わります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員長 次回は明二十五日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十一分散会

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