内閣委員会 第6号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/03/11
会議録
○藤田委員長 これより会議を開きます。 宮内庁法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
○木原(実)委員 せっかくの機会でございますので、最初に宮内庁長官に皇室の御近況などについて若干お伺いいたしたいと思います。 この審議の対象になっておる問題で、新宮殿が完成いたしまして、事後の措置ということが改正案にございますけれども、それに関連をいたしまして、私ども心配をいたしますのは、せっかくりっぱな宮殿ができたわけでありますけれども、はたしてあれは陛下の居住性といいますか、お住いになるのにほんとうに快適なのかどうか、こういうことが気になるわけでございます。それにつきましても、最初に陛下の御健康はいかがでございましょうか。
○宇佐美説明員 両陛下の御近況についての御質問でございますが、両陛下にはきわめて御壮健でいらっしゃいまして、医学的に心配になることけ何もございません。ときにおかぜを軽くお召しになるとかということはございますけれども、きわめて御壮健とお見受けいたします。
○木原(実)委員 私ども、国会にお見えになるときに遠くからお見受けをするわけでございますが、やはりお年を召したなという感じを持つわけでございます。おそらく国民の中でも、最近は地方などにお出ましになる機会が少ないような感じもありますし、御心配の人たちがかなりあるのじゃないか。しかし、いずれにいたしましても、御壮健なのは何よりなのですが、しかし、次第にお年を召していらっしゃることはこれまた間違いのないことなのです。定期的に健康診断その他はお続けになっていらっしゃるわけですか。
○宇佐美説明員 健康診断と申しますか、侍医がおりますので、しょっちゅう予防的に伺っておるわけでございます。何が起こりましても小さなうちに処置ができるような体制はできていると思います。 それからまた、ただいま仰せのとおり、十年あるいは十五年前のお写真を見ますと、陛下にお供しているわれわれもずいぶん若かったと思うのでございまして、だんだんお年を召すことはやむを得ないことで、これに伴って、あまり無理のかからないように願いたいと思っておりますが、陛下はいつも、みんなが喜ぶならどこでも行くからと仰せになって、たいへんお元気でございます。
○木原(実)委員 年内にどこか地方に、公式にお出ましになる計画その他おありでございますか。
○宇佐美説明員 ただいまは、毎年ございますように、本年は富山県で植樹祭がございますので、五月下旬以降富山県の植樹祭と富山県地方の御視察。それから秋は長崎県で国体がございます。十月でございます。お差しつかえない限りお出ましになるというふうに考えておりますが、その他、恒例の那須の御用邸とか、葉山の御用邸その他にも随時おひまがあれば考えておるわけでございます。
○木原(実)委員 皇太子も御名代でいろいろ公式の場にお出ましになる機会が多いのですが、しかし、私どもがやはり心配いたしますのは、御苦労なさった方でございますから、お年を召すにつきましては、国民の要望は尽きないと思いますけれども、やはりそれなりの御配慮を申し上げるのが、特に周囲におられる方々の責任だと思うのでございます。それにつきましても、やはり皇太子が御名代で公式の場にお出ましになる機会というのが次第にふえているわけでございますね。これからもやはりふえていくということでございますか。
○宇佐美説明員 正式に御名代という意味でお出ましになるということは、外国にお出ましになる場合はいままでほとんどそうでございました。しかし、国内ではまだ正式に御名代という形は、ちょっとすぐ頭に浮かばないのでございます。皇太子さまは皇太子さまなりに、各地方にお出ましになっておるわけでございます。
○木原(実)委員 それにつきましても、何といいますか、ある段階でやはり次第に陛下は公式のお仕事と申すとあれですけれども、やはり分野を縮小されて、皇太子が、名代という形でなくても、陛下におかわりになってお出ましになる、そういう御配慮はお持ちでございましょう。
○宇佐美説明員 まあ陛下も御壮健でいらっしゃいますが、先ほど申し上げましたとおりお年もお進みになりますから、御日常あまりお疲れにならないように、あるいは、これはもうだれでも同じことでございますが、食事等も気をつけるということを通じて、おそばにおります者はいろいろ、できることはお願いいたしておるわけでございますが、いますぐ御名代を願わなければならないという事態はいままで起こっておりませんが、あるいは今後おかぜを召したときとか何かに、そういうようなことが絶対ないというわけにはいかないだろうとは思いますけれども、いまのところは予想いたしておりません。
○木原(実)委員 もう一つ、美智子妃殿下の御近況はいかがでございますか。御順調でございますか。
○宇佐美説明員 東宮妃殿下は、すでに皆さま御承知と存じますが、四月末もしくは五月上旬の御予定で御出産の模様でございますが、きわめて順調な経過をたどって、たいへんお元気でいらっしゃいます。
○木原(実)委員 それで、お住まいになっておる場所の問題でございますけれども、私はまだ拝見しておりませんけれども、たいへんりっぱな新宮殿ができているわけです。しかしいずれにしましても、最近公害の問題がやかましくなりまして、皇居を含むこの周辺も、東京の中でもかなりスモッグの影響が強い、こういう形に相なっておるわけなんですが、それらに対しての対策かなんかは皇居内でお考えになっていらっしゃいますか。
○宇佐美説明員 新宮殿は、申すまでもないのでございますが、公的な儀式とか行事をあそばすところで、日常御起居なさるという設備はまだないのでございます。御起居のほうは吹上御所のほうに、新宮殿の前に、もとの御文庫と称しました防空施設のようなものに四百坪ばかり足したものに日常お住まいでいらっしゃいます。そこから宮殿のほうに出て公務をなさるというたてまえになっております。それで、両方とも空気調節施設——東宮御所もしてございますが、だからお部屋の中は空気の問題はまずなかろうかと思いますが、皇居全体を見ますと、ちょうど約十年あるいは十一、二年前に、皇居造営審議会ができます前に調査いたしましたころは、あの辺は東京都下でも石神井ぐらいにいいほうであった。最近十年間に非常に悪くなってまいりまして、東京都全体の平均くらい、千代田区ではややいいかと思いますけれども、あまりよくない。これは測定器を中へ入れまして最近調査をいたしまして、スモッグの影響とかいろいろな点を調査いたしました。ですから新宮殿とか、お住まいにおられる間はよろしいのでございますが、外に出れば、これは皇居でどうするというわけにもまいりません。まあ木があれば幾らかいいかと思いますが、皇居の周辺というのが非常な多量の自動車が走って、ゴー・ストップが多いものでありますから、とまってからスタートにあたっての排気ガスというものはだんだん濃くなりつつあります。これは全体問題として研究をしていただかなければ容易に解決しないというふうに考えております。したがって、おひまがあれば、ときに那須とか葉山に行っていただきたいと、だんだんお年も召すので、われわれはなおそういうふうに思います。
○木原(実)委員 皇居の中には測定器は備えつけていらっしゃるのですか。
○宇佐美説明員 はい。つけて調査いたしました。
○木原(実)委員 これはいずれにいたしましても空気が悪くなっていることは確かなんで、最近公害二法のようなものができまして、新しく基準などをつくってこれから対策を立てようという段取りなんですが、どうもいまの政府のテンポですと、とてものことに陛下のお年をお存しになるテンポと合わせてこの辺の空気がよくなるということはまず期待できませんでしょう。そうなりますと、やはりそれなりにお部屋の中は確かに清浄な空気でと、こういう施設もありますけれども、日常お住まいになって、たいへんことばが悪いのですけれども、お堀の中に常時いらっしゃるわけですから、そうなりますと、たいへん空気の悪いところにいらっしゃるということにもなるわけなんです。これはかねてから一部には議論のあったところなんですけれども、どうですか、常時お住まいになる場所と、それから陛下が国事に関して、あるいはまた外国使臣との接見その他の行事等でお出ましになる場所とを別にして、比較的長時間、他の空気のきれいな御用邸等にお住まいになるというようなことは考える段階じゃございませんか。
○宇佐美説明員 陛下の御日常というのはなかなかお忙しゅうございまして、日本を訪問する各国の総理大臣とか外務大臣とか、政治家もたくさん一々お会いになっております。その他もたくさんございます。それから国内の場合におきましても、各省で表彰せられる方とか勲章をもらう方とか、実に多うございます。実は多過ぎるくらいだと心配しているわけで、常時おあけになるということは、今度各方面へ非常な御迷惑が出ると思います。内閣から出ます書類でも、認証あそばしたり、いろいろだいへんたくさんな書類が回ってまいります。ですから、あまり遠くにお住まいになりますことはなかなか困難な問題があろうかと思いますが、ときにあきましたときには、空気のきれいな葉山とか、今度もし予算をいただいて下田ができましたら下田とか那須に行って、少しでもきれいな空気を吸っていただくというふうに私どもは希望したいと思います。
○木原(実)委員 こだわるようですけれども、健康を害されたあとではこれはおそいわけでございまして、これはほかの国に例がないことではございませんで、イギリス等でもやはりお住まいの場所と、いわばビジネスをおとりになる場所が別々になっておるという例もございますし、そういうふうに日常お忙しければお忙しいほど、その辺は一つのビジネスとして整理をなさって、もう少しやはり近代的にする。住居と事務所が一緒だというと、口が過ぎるかと思いますけれども、やはり何か少し長い目で計画をお立てになる、そういう時期にきているのではないかという気がするのですが、やはり一緒のほうがよろしゅうございますか。
○宇佐美説明員 たいへんいろいろ御心配いただきまして、私どもとしても非常にありがたいことだと思います。戦前までの宮殿というのは、今度できましたような、儀式をなさる表の寝殿に続いてお住まいがあった、今回はそういうのはやはり公務——ビジネスと申しますか、それと日常のことはなるべく離したいということから、お歩きになって十分くらいの吹上の森の中にお建てしたわけでございます。あのころの計画としてはそれ以外にちょっとやりようもなかったわけでございます。わりあいに空気のいいところで、道路も整備されまして、毎日出られても支障なくおいでになれるようないいところがあればそれもけっこうだと思いますが、御意見はまことにありがたいことで、将来の問題としてひとつ頭にとどめておきたいと存じます。(「社会党としては珍しい発言だから、陛下にお伝えください」と呼ぶ者あり)
○木原(実)委員 私どもの千葉県に加納久朗という、故人になりましたけれども、知事がおりまして、これはかっての華族の出の方だそうでございますが、たいへんおもしろいというと語弊がありますが、持論がございまして、皇居開放論というのを、これは一部の新聞、雑誌等にも生前御発表になったことがあると思います。その当時は主として交通緩和のためにむしろあそこを開放すべきだ、それからまた日比谷公園などもたいへんみみっちいものになってしまったからやはり国民のために皇居内の緑を生かして使うこともいいのではないか、こういう議論の持ち主でございました。私は必ずしも加納さんと政治的立場を同じくしておりませんので、その議論にどうこうというのではございませんけれども、顧みますと、なかなか卓見であったと思います。しかも長官おっしゃいましたけれども、どう考えましてもこの周辺が老齢な陛下をお住まいいただくといいますか、そういう観点から見まして、これはよくなるということはないわけですね。そういうことになりますと、これはいまのままですと、長年お住まいになったところですし、おそらく宮内庁の関係 の皆さん方もあそこに一緒においでになるのが一番いいとお思いになるでしょうけれども、国民の目から見ますと、なかなか都市再開発の道は遠いし、ともかくこの周辺は悪くなる。たとえば交通問題でもそうです。あそこに皇居がでんとあるためにどれだけ中心部が渋帯をしているか、こういう問題も現実問題として出てきているわけです。それからまた空気の問題、これはもう長官おっしゃるとおりでございまして、これはおそらくどうにもならない状態がもうすでに来ていると思うのですね。それから周辺には、いろいろな議論がありますけれども、次第に高層建築がやはり建っていって、その辺にできた高い建物の中からは皇居の中が見える。こういうことになりますと、プライバシーの問題なんというものも出てくるわけです。そうなりますと、これはいずれにしろ、高いところからも低いところからも、あるいは空気の面から見ましても、どこから見ましても、皇居の環境というのははなはだよろしくない。しかも陛下がお年をお召しになっている。お忙しいビジネスをかかえていらっしゃる。これでいいんだろうかというのが、これは素朴な国民の疑問なんですね。おっしゃいましたように、いざとなりますと、陛下もやはり住宅難で、簡単なところでおいそれとあるかないかという問題もありますけれども、しかしいまはやはり考えるべき段階じゃないのか。私どもはそういう意味で新宮殿の建築については必ずしも賛成ではなかった。先見の明がなさ過ぎるのじゃないかという議論をいたしたことがございます。そういうことで、思いつきを言っておるのではなくて、ほんとうに——先ほど、社会党としては珍しい発言だと言われた方がありましたけれども、これはあまりにも陛下の近くにいる人たちが、かえってどうも陛下のあれに甘えていて思い切った措置ができないのじゃないか、こういう感じがするわけです。ですから、私もそれから先、具体的にどうこうという議論をしたくありませんけれども、そういうことを真剣にやはり考える段階に来ているのじゃないか、こういうことを申し上げたいわけなんですが、いかがでしょう。
○宇佐美説明員 陛下のお立場とそれから首都という関係というものがやはり私どもはまだ——非常に遠くに離れますと、いろいろ現状においては支障があるのじゃないかというふうに思うわけであります。ですから、思い切りが悪いと仰せになるかもしれませんが、そういう点もう少し考えなければならない、だんだん東京も郊外へ発展をいたしますから、どこまで行ったらいいのかということもあろうかと思います。そういう点も考えなければならないかと思います。 それから、空気汚染の問題も、実は皇居造営をする前に、いわゆる加納さんのような説も世の中にございましたし、空気のよごれの問題も若干起こっていたわけであります。そういうこともございますので、政界、官界、言論界、建築界とか都市計画とか、各方面の方々にお集まりをいただいた皇居造営審議会というものをつくりまして御審議を願ったわけであります。結局しかし、皇居はいまのところというのがほとんど全会一致の議論でございました。 交通問題につきましても、あそこに地下道を通してはどうか、いろいろございましたが、地下道を通し得るのは、場所によっては私どももよかろうと思いますけれども、しかし地下道の出口というのがいつも問題になるわけです。そこが特別な渋帯を来たす。ですから、皇居前の広場にも聞くところによりますと地下道を掘るという案があるそうでございますけれども、結局その出口をずっと遠くまで持っていかなければ整理がつかないということから、いまだに実現に至らないわけでありまして、むしろあれが大きなロータリーで交通渋帯を防いでいるという都市計画論者もあるわけであります。ですから、そういう意味で御意見はよくわかりますし、私どももこれ以上よごれてきた場合にどうしたらいいかということもございますが、何とか国民の世論でそういった空気汚染を、単に陛下だけの問題じゃないと思いますので、力を合わせてだんだんこれを少なくしていただくということをお願いいたしたいと私どもは思うわけでございます。御好意あるおことばにつきましてわれわれも将来のことはだんだん考えてまいりたいと存じます。
○木原(実)委員 まあこれ以上こだわりませんけれども、繰り返すようで申しわけないのですが、やはりお年を召しているということは間違いないようであります。そうしますと、話は別な話になりますけれども、日常のお仕事がたいへん忙しいということになりますと、日常のお仕事の中で、次第に皇太子に、それこそ御代理という一つの問題が出てまいりませんか。これは非常にむずかしいほかの問題になりますけれども、一定の年齢に達したときには摂政という問題でございますね、いかがでしょうか。
○宇佐美説明員 いまの制度におきまして、いま仰せになりました摂政という制度ももちろんございますし、それからもう一つは、数年前に御審議いただきました天皇の権能の委任、代理という問題の法案もすでに御審議が済んでおるわけでございます。ですから、だんだんお年を召して、あまりそういうことを言いたくないのでございますけれども、まあこれは人間しかたのない問題でもございましょうから、何かそういうものが役立つときがあるのかもしれません。また皇太子さまも最近とても御自身お忙しいのでございますが、まあ公的なことでも、もし何かの御病気でお差しつかえが出た場合に、皇太子さまにお願いするということはあり得るかと思います。法制的にはいろいろなものが準備してございます。
○木原(実)委員 この問題についてはこれで終わりますけれども、やはり御健康のことと御年齢のこととあわせて考えまして御住居のこと、あるいは制度上のことはこれはまた別の問題になりますけれども、ひとつ近くにいる人たちがあやまちのないようにきちんとした展望を持ってやっていただきたい、こういうことでございます。 何か菊池委員から関連があるそうですから……。
○藤田委員長 菊池義郎君。
○菊池委員 皇族であって日本の国策に支障を来たすような発言をする方、たとえば三笠宮なんでございますが、紀元節に対しまして反論をおっしゃった。そういう場合において政府は非常に迷惑したんでございますが、あんな場合において、宮内庁としては大いにこれを押えるべきであろうと思うのですが、どういうわけであんなときに宮内庁としてはあの発言をそのままに放任しておかれるのか、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
○宇佐美説明員 具体的に宮さまのお名前をおあげになりましたが、宮さまの御議論は紀元節反対ということでなくて、日の問題であったように私どもは承っております。しかし、いずれにしましても、政治問題というものに皇族が公然と御発言になるというのは私どもは問題があると思いまして、私どものいたすことはいたしたつもりでおるのでございます。しかし、ああいう方が発言をあそばすときに、これは口を縫うわけにもまいりませず、ずいぶんわれわれとしても頭を痛めたこともございます。ですから、人間の思想というものは、ただ言ったからすく動くという——動かない場合もございます。ですからそういうことにつきましては、われわれもあの問題は一つの大事な体験として今後いろいろなときに考えてまいりたい、かように考えます。
○藤田委員長 ちょっと申し上げますが、総務長官がせっかく見えておって、木原委員が総務長官に質問を開始するところですから、またの機会に菊池委員の発言はしていただきたいと思います。
○木原(実)委員 それじゃ、総務長官が時間がないようですから、総務長官のほうに質問申し上げたいと思うのですが、例の下総の御料牧場、栃木県のほうに移転の計画が進んでおる、こういうことなんですが、これは話はいつあったのでございますか。
○床次国務大臣 新牧場の移転に関しましては、いわゆる成田新国際空港が決定いたしましたときに、同時にこれが移転することになったわけでございます。
○木原(実)委員 宮内庁のほうとしましては、それは政府のほうから話があってよろしゅうございますということになったのでございますか。
○宇佐美説明員 政府で新空港を将来の航空機の発達に備えていろいろ御研究の結果あの土地を中心としてやるということを御決定になって、そうして私どもに運輸大臣からお話がございました
○木原(実)委員 総務長官にお伺いしますけれども、いま工事が進んでいる、これは法案の説明の中にもあるわけですけれども、工事はいまどこをやっておるのでございますか。
○床次国務大臣 手続的に申しますると、成田の三里塚のほうを空港公団のほうへ渡しまして、そうして公団といたしましては、成田の敷地を所有いたしますと同時に新しい敷地に対しまして必要な施設等を充実して、そうしてでき上がりましたならば、これを宮内庁に引き渡す、そういう手続きなっております。いわゆる建築交換と申しますか、その方式でもって実施することになっております。
○木原(実)委員 その話はあとなんですが、いま工事を進めておるわけですね。いわゆる新しい御料地といいますか、交換をするためにその工事を進めているわけですが、たとえば用地の買収あるいはその工事を進めておる主体はどこなんですか。
○床次国務大臣 ただいま申し上げましたように、三里塚を引き受けましたところの公団が新しい敷地の整備をすることになっておりますので、公団が実施いたしております。
○木原(実)委員 それがおかしいのですよ。公団は、たとえば飛行場敷地内の代替地の農地の買収等は法律的にはできないわけなんです。新しい栃木県のほうの代替地の中には山林もかなり多いわけですけれども、当然やはり農地の買収等も伴っていると思うのです。これは違法なことですよ。
○床次国務大臣 公団におきまして土地を取得して、そうして工事をすることが認められておるわけです。
○木原(実)委員 その根拠はどういうあれですか、法的な根拠をひとつ示してもらいたい。
○床次国務大臣 農地法の施行規則にあります。
○木原(実)委員 公団は限定をされた目的がありまして、農地の取得等の場合には、たとえば県が代行してやるというようなことはあり得るわけですけれども、直接公団が農地の買収をしたりあるいはそういう造成をするということは飛行場以外のところについてはできないことになっているはずですが、いかがですか。
○床次国務大臣 農地法の施行規則の第三条の七号ですか「新東京国際空港公団が国の牧畜及びその附帯事業の用に供する施設で新東京国際空港の建設に伴い廃止されるものに代わるべきものの造成及び譲渡を行なうため当該施設の用に供する農地又は採草放牧地を取得する場合」というのが認められておりまして、仕事ができることになっております。
○木原(実)委員 それは改正になったやつですね。そうしますと、買収はその法が改正になった以降ということになるわけですが、そうすると、その費用は公団の費用でやっておるわけですか。
○床次国務大臣 さようであります。
○木原(実)委員 そうしますと、新しい御料地になる地域のたとえば山林あるいは田畑、そういう区分がわかりますか。——ちょっといま調べているようですが、私が伺いたいのは、いままでの御料地というのはたいへん地味の豊かな、長年つちかってきたところなわけですが、われわれも新しい現地を見ていないので、いきなりこういう法律案が出されまして、手続をひとつ頼むというようなことなんですが、どうも非常によろしくない、地味が非常に落ちるところじゃないかという心配があるわけなんです。それで山林の関係はどうなっているのか、田畑はどうなっているのかということをあれするのですが、宮内庁長官はもう現地はごらんになりましたか。
○宇佐美説明員 私はまだ参っておりません。
○木原(実)委員 これは長官、さっきのは御答弁はあとで願いますけれども、ちょっと私は無責任じゃないかと思うのです。いままでの御料地というものはたいへん歴史も伝統もあるし、それなりに機能を果たしてきたところなんですね。それが今度飛行場ができる、かわりなさい、こういうことで、よろしゅうございますということになったわけでございましょうけれども、はたしていままでの機能に十分かえられるものかどうかという見当も、われわれもつかないわけなんです。そうしてこの法案の審議としては、秋ごろには大体完成するからそのときはひとつ政令で移転の時期をきめるように頼むという、こういう国会に対する問題提起というのははなはだ無責任なやり方じゃないかと思うのです。手続上の問題もさることながらですけれども、それで宮内庁はよろしゅうございますというのも私はおかしいのじゃないかと思うのですが、長官御自身がまだ現地もごらんになっておらない。いかがでしょう。
○宇佐美説明員 三里塚牧場を手放すにつきましては、政府からもかわりのものを差し出したいということがございましたので、私どもは現在の三里塚の牧場長がその牧場のほうの専門家でございますし、農林省にも畜産関係の方にもお願いいたしました。いろいろな、自分のほうに来てくれないかということもたくさんございました。千葉県内にも三、三カ所ございました。栃木県にも今度のを含めて二カ所ぐらい、それから静岡県にもございました。それが牧場として適するかどうかということは、なかなかしろうとではわからないわけでございまして、そういう点から、そういう専門の人の調査に待ったわけであります。これは地味の問題、それから牧草に対する地味、それから水が非常に重要な問題で、水があるかないか、いいか悪いかとか、いろいろございます。そのほかやはり三里塚牧場の職員が約百三十名でございますが、今度は経営改善もいたしますので、少し人数が減りますのですが、そういう人にしても約百家族くらいのものが移転をいたします。この人たちの子弟の教育からいって、あまりへんぴなところでは非常に困る。それから現在でも三里塚で家族が働いております。やはりそういった家族の働く場所が近いところにある、いろいろな条件がございまして、そういうものを徹底的に調べ上げて、現在の宇都宮の駅から約十五分、二十分ぐらいで到達し得るところに村のほうからも申し出もありますし、その土地は前に御料地でありまして開放された地域でもとへ返るような形にもなっている。ですから、その土地を知っているものは町内にもあるわけであります。そういうような関係から私はついに行けませんが、次長以下幹部が何回か行って検討いたしました結果、その十幾つかの候補地で一番いいという結論に達して選んだわけでございます。 ですから前とは——現在の三里塚が四百三十ヘクタールでございますが、今度のは買収いたしますところが二百四十ヘクタール、その他道路等の国有地十ヘクタールというような二百五十ヘクタールぐらいの規模であります。しかし、いままでやっておりましたサラブレットをやめますとか、トウモロコシ等の飼料を自分でつくっておりましたのを、人も減りますし面積の関係もあって、購入にいたしますとか、いろいろ内容改善をいたしまして、いままでどおりの生産や目的が達せられるであろうということで選んできたわけでございます。
○木原(実)委員 まあその話はあとでもう少し伺いますが、総務長官からそれでは先ほどの御答弁をひとつ……。
○床次国務大臣 面積は二百五十二ヘクタ−ルでありまするが、買いましたときの現地のありさまは畑が六十二・五町歩、山林百七十七町歩、宅地〇・五町歩、合計二百四十町歩、それを今度新しく開きますのに、耕地は七十二ヘクタール、放牧地六十二ヘクタール、建物敷地三十二ヘクタール、そういうふうな設計になっております。
○木原(実)委員 そうしますと、これらを全部一応公団が買収をして、公団が施設を含めて建設に当たっている、こういうことでございますね。そうしますと、これは直接工事を進めておる主体は公団であって、総理府としては財産上の移転に関しての責任といいますか、監督といいますか、その範囲でございますか。
○床次国務大臣 それではこの機会に財産の取得のあり方につきまして、そこが御質問の要点だと思いますので、少しややこしいのでありまするが申し上げたいと思うのであります。 まず成田の下総の御料地は大蔵省の普通財産といたしまして、これは二十二億でもって売却するという形をすでにとっております。それから第二段といたしまして、四十三年度におきまして新牧場の敷地等を買うのに必要な、国庫債務負担行為によりまして支払いの契約をいたしてよいという御承認を第二段として済ましておるわけであります。第三段といたしまして、今後の処置の問題でありまするが、実は今国会に別途提出してありまするが、特定国有財産整備特別会計法というのが出ております。法案の題名は少し長いですが、国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、この二つの法律案を改正しまして、ただいま申し上げましたような特定国有財産整備特別会計法という名前になって新しくなるのであります。従来でありますと国有財産法第十三条第二項の規定によりまして、国有財産を交換、寄付等によりまして財産を取得した場合は国会の議決を要するということになっておるわけでありますが、ただいま申し上げましたところの、新しい特定国有財産整備特別会計法におきまして、附則によりまして今回のものに対しましては国有財産法第十三条第二項の規定を適用しないという規定が設けられております。したがって、今回の新しい御料牧場の取得に関しましては国会の議決を要しない手続になっておる次第であります。
○木原(実)委員 その辺のことはよくわかりました。私どもも、国会の議決なし、あるいは相談なしにいきなり造成も行なわれておる、しかも主体がどうも、公団だということは見当がついておりましたけれども、はなはだあいまいだ、こういうところでわからない面が多かったわけですが、そうしますと総理府としての責任は宮内庁に引き渡すまでということなんですか。
○床次国務大臣 総理府は宮内庁の所管官庁といたしましての立場でもって予算等を計上しておりますので、その立場でもって関係しておる次第であります。
○木原(実)委員 そうしますと、これについての予算の支出その他の問題は、これは交換だから事実上新しい予算はないわけでございますね。
○床次国務大臣 売却に対しまして二十二億の収入がありました。その二十二億を今度公団に支出するという形になるわけでございます。
○木原(実)委員 そうしますと、大体秋ごろにできる、こういう説明が何かあったようですが、工事は進捗しているのでございますか。
○床次国務大臣 工事の進捗状態につきましては別の説明員から御説明申します。
○宇佐美説明員 ただいま総務長官が御答弁になりましたように、二十二億というのは実は四十二年度の国会の議決で予算外の契約負担の御承認を得たわけであります。ところが、公団のほうの準備ができません。契約するだけの準備ができませんでしたので、四十三年度に再び議決をいただきまして、本年じゅうにやるようにだんだん進捗してきておるわけでございます。 私どもといたしましては、新しい牧場の敷地が十分買収できるという見通し、それから、そこにこちらの希望するような施設ができるということでなければ、交換はしたくないというふうに考えております。ですから、物の交換でございますが、法律上物の交換の場合は一定の金額をこえますと予算支出の形をとるということで、二十二億を宮内庁の予算に組むということもあったわけでございますが、今度は特別会計に大蔵省のほうで一本に組むのでそういう種類のものを集めるということができたわけであります。したがって、その間皇室用財産と普通財産との関係でいまの御説明のあったような長い題目のあれの附則が必要なんだという問題になってきたわけでございます。
○木原(実)委員 宮内庁長官、あとでまた御質問申し上げたいのですが、総理府の長官にもう一つお伺いしておきたい。それば、この工事の見通しですが、秋ごろできるのですか。と申しますのは、先ほどもおあげになりました山林、田畑、この買収は全部終わっているのでしょうね。
○床次国務大臣 買収は全部終わっております。
○木原(実)委員 工事の見通しはいかがですか。
○床次国務大臣 ここに工事の予定表があるのでありますが、牧場移転可能日を大体八月二十日としてあるわけでありまして、大体今日までの各種の仕事の進行状況は予定どおりでして、最終と申しますか全部が十二月の十五日、その他畑等のたとえば開田あるいは鶏舎、豚舎というのが八月の十五日、大部分のものが八月十五日になっております。
○木原(実)委員 公団が飛行場建設に追われておりますから、これができないとどうにも肝心の成田のほうがまだできないという、そういうせかれたあれがあるのでしょうけれども、私どものあれでは、やはりいままでの御料地を新しく移すについては、これはあとで宮内庁の長官にお伺いしたいと思いますけれども、宮内庁にもいろいろ移転計画その他があってしかるべきだと思うのです。政府の方針だからといって、何もいままで——つまり、いままでの御料地に比べて新しい御料地がはたして均衡のとれたものかどうかについてもわれわれは非常な不安があるわけなんです。それらのことについてはあとでお伺いしたいと思いますけれども、それらのことを含めて、おそらくそういう計画をお持ちでしょうけれども、つまり納得のいけるような形ではたして移転ができるのかどうか、この辺が気になるわけです。いかがでしょうか。
○床次国務大臣 今日までの状況、私聞いている程度で、自身が見ておりませんけれども、きわめて順調に進んでおりまして、予定の日には完成できますように運んでおるようであります。
○木原(実)委員 おっしゃいますけれども、公団の仕事というのは、私も千葉の選出の者ですが、ほかの進捗状況必ずしも順調じゃないのです。順調にいっているところは一つもないわけです。それだから今度も秋ごろにできるというあいまいなことだと思うのですけれども、しかし、それにしましても、あいまいじゃ困るわけですね。別の観点で。というのは、これは長官も新しくおかわりになったお立場ですし、長官もまだ現地を見ていらっしゃらない。われわれも現地のことは何もわからないわけです。ですから、そういうあいまいなものを手続だけここで承認をしてよろしゅうございますというわけにいかぬという気持ちが実はするわけなんです。ですから私はお伺いしたいのは、きちんとした移転計画を持ち、それから期日の問題が多少ずれるのはやむを得ないにいたしましても、たとえばできたところから移っていくのか、あるいはこれが整わなければだめだとか、そういう移転計画が、これは当然宮内庁のほうでお持ちだろうと思うのですが、しかしそれに見合ってはたして順調にいくのかどうかということが心配なんです。 それにつけて、これは委員長にお願いしたいわけなんですが、お聞きのような、出ておりますこの問題それ自体は手続ですからどうということはないと思いますが、しかしこの中身については、御案内のように私どももそうだし、きょう御出席の両長官もまだ現地を見ていらっしゃらない。それでかりそめにも皇室の財産を移すわけですから、それでわれわれオーケーというわけにどうもいかぬような気がするわけです。そこで、これは委員長にお願いですけれども、当委員会としてぜひひとつ現地を見る、こういうお取り計らいをお願いしたいと思います。
○藤田委員長 木原委員の御発言の趣旨は了承いたしました。適当に処理いたしたいと思います。
○床次国務大臣 ただいま工事の進捗状態、非常に御心配のようでございまするが、公団のほうにおきましても、仕事の性質上特に念を入れて、その完成に対しましては確実にこれを実施するというふうに努力いたしておるようでございまして、大体八月中には全部仕事が終わるというふうな見込みのように聞いております。
○木原(実)委員 両長官に申し上げておきますけれども、たとえば三里塚の地元の人たちの感情としましては、これは飛行場に賛成、反対いろいろございますけれども、そういうものは別といたしまして、やはり三里塚牧場というものとのつながりが精神的にも非常に強いわけですね。ですから内心、牧場を、あんないいところを取り上げて、あんな栃木のじめじめしたあまり馬も肥えないようなところに持っていく気が知れない。世が世なれば知事も、そう言っては何ですが総理大臣も縛り首なんだけれども、情けない世の中になったな、こういうことが公然と言われているようなあれがあるわけです。ですから、事の性質、問題の性質がそういう面も含んでおるだけに、これは慎重にしてもらいたいという気持ちがわれわれにあるわけです。ですから、そういうふうに長い間つちかわれてきた皇室の関係あるいは精神的なつながりの問題、これからもそうだと思うのです。ですから、何か飛行場ができると代替地だ、それでばっばっとやるのはいいのだけれども、やはりその周辺の住民あるいは農民諸民の気持ちのようなものも十分にくむ、したがって移転計画を出すときにはきちんとした移転計画を出して、旧来なじんできた住民の諸民にも納得のいくような形で移るなら移る。内心、いまでも牧場が移ることについては、地元の人たちは、飛行場ができる、できないの問題にかかわらず反対が強いわけなんですよ。そういうことがあるし、それだけにやはり事の運び方についてくれぐれも慎重であってほしい。だから、工事のことにこだわりますのも、この期日の問題もそうですけれども、はたしてきちんとした形で移転できるのかどうか、こういう問題が残るわけなんです。形だけ整えていくというだけでは、これはまた新しく何かそういう面での国民の不信が残るのじゃないのか、こういう感じがするわけです。その辺ひとつお含みをいただきたい、こういうふうに考えるわけです。
○床次国務大臣 ただいまの御注意に対しましては、十二分に意を体しまして努力をいたしていきたいと思います。
○木原(実)委員 長官、もうお時間ならばよろしゅうございます。 宮内庁長官に、いま私が申し上げたことに関連をいたしましてもう少しお伺いをいたしておきたいと思うのですけれども、ありていに言いまして、いままでの御料牧場というのは非常にいいところだった。そういうことを言ってはあれですけれども、政府から話があったときに、喜び勇んで移転をしたいというお気持ちだったですか。
○宇佐美説明員 あの牧場は、伝えられるところによりますと天武天皇以来、徳川時代には幕府が管理して、明治に入りまして農林省に一時入りましたが、明治二十一年から宮内省、初めは三千何百ヘクタールという大きな牧場でございましたが、だんだん開放されまして、戦後にもまた開放いたしまして、残ったところが四百三十町歩、宮内庁の職員から見れば実に歴史的になつかしい牧場であると思います。しかし、それを皇室の御用として、皇室のいわゆる畜産物とか農産物とか、馬でございますとか外交団の接伴でございますとか、あるいは三里塚にはいろいろな見学者も参り、教育的にもああいう総合牧場というのは日本に一つだろうと思うのです。あとみんな専門牧場になってしまっておる。そういうものが文化的にも一つくらいありまして、牛も豚も知らない子供たちにも見せて、教育的にも意味がある。宮内庁が牧場を持つのはどういうわけだということをよく言われますけれども、私どもはそういう伝統を踏まえて、いろいろ地元のお役にも立つ——たとえば三里塚でも、種馬で種つけまでいたしておりましたが、そういう意味をやはり残していきたい。しかし一面、いろいろな文化の進展に伴いまして航空機の急激な発展で、日本国全体の問題として政府が取り上げられたならば、まあかわりの土地をいただいて、そういった伝統を少しは狭くなっても守っていきたいという気持ちはございます。 ですから、ある意味においてはわれわれも農民の方が農地を差し出される苦しみというものは、少なくともあそこに使われております百三十人の人からいうとずいぶんつらい問題だろうと思います。ああいう問題が起こりましてから、たとえば結婚の話も、やがてどこかに行くんじゃないかということでこわれた人もいる。そういうことを言えば切りがないわけでございますが、しかしやはり政府部内の機関として、国としてきめられた以上はこれに協力しようということでございまして、職員は何も言わずについてきてくれているわけでございます。ただ、地元に残りたい人もおり、あるいは新空港につとめたいという人もおりますし、それから宮内庁の本庁に来たいという人もございます。あきを見ながらそういう措置も少しずつしているわけでございます。 そういうような状況で、何と申していいかわかりませんけれども、伝統に立っております皇室のいろんな施設から見ますと、なごり惜しい感じはもちろんございます。
○木原(実)委員 三里塚の国際空港に反対をしておる農民諸君がいまの長官のお話を聞いたら、涙を流して喜ぶのじゃないかと思うのです。私は社会党員で社会主義者ですけれども、三里塚の空港に反対している大多数の善良な農民諸君は、やはり長官と同じような気持ちを持っている面があると思います。確かに時世の進展で飛行場も必要だといえば必要なんでしょうけれども、何もあそこにつくらなくてもいいのじゃないかという議論も成り立つわけです。それからまた、あれだけの牧場をつぶすのは、今日の土木技術をもってすれば簡単なことだと思うのですが、あれだけのものができるのにおそらく百年ではできませんですよ。だからこれは長官に申し上げてもせんないことですけれども、政府は一体何を考えているのかとわれわれ言いたくなるわけなんです。飛行場は必要だといえば必要なことで、これはもうわれわれ必要性を否定するわけじゃないのですけれども、あそこにつくることについては、ここで飛行場の議論はやめますけれども、これはいろいろ他にも問題があるわけなんです。何よりも国全体の、たとえば文化ということもありましたけれども、これは国内の中でも優秀なところですよ。これは皇室の一財産というだけのことではなくて、三里塚のあの周辺の持っている文化的な価値なんというものはつぶしてしまったらこれで終わりですよ。そういう一つの精神的な価値、文化的な価値もあわせ持っていたと思うのですが、しかしすでにそれをつぶしてしまえ、こういうわけなんです。十年もたてば、つまらないものをつくって日本の歴史に一つの汚点を残し、あとに残ったものは騒音とよごれた空気だけだったという可能性が非常に強いわけなんです。ですからいまでも私どもは飛行場ができることについては反対をしておりまして、できることならば、飛行場のほうは他のどこかに適地をさがして行ってもらいたい、こういう気持ちなんで、これはひとつ長官のほうも御了解を願えるのじゃないかと思うのです。できることならば宮内庁も一緒に飛行場には反対をしていただきたい、こういうことが実は落ちなんです。伊能先生もいらしゃいますけれども、そういうことです。もう緑は東京周辺にもなくなりまして、これからおそらく四月、五月、よく外国の使臣の方たちも招かれてなごやかな緑園の宴などが張られたところなんですけれども、そういうものもことしか来年で終わりになってしまいます。そうしますと、どうも運輸省なんていうのは何をやっているのかと言いたくなるわけなんです。それはともかく、それにつけましても、やはり移転をするということになればできるだけのことをしていかなくてはならぬと思うのです。どうも政府がきめたから、政府がつくってからというお仕着せだけ着たのでは、これからしばしばあるわけですから、その辺について若干お伺いをいたしておきたいと思うのです。 新しくできる御料地については、いままで三里塚でやっておった機能がそのまま大体向こうへ移るという前提でございますか。いろんな仕事を三里塚でやっておりましたけれども、それがほぼそっくり栃木県のほうに参る、こういうことでございますか。
○宇佐美説明員 新空港のことについてるるお述べになりました。私もちょっと少し言い過ぎたこともあるかもしれませんが、とにかく政府機関として決定いたしました以上は、私どもはやはりりっぱなものにしてもらわなければいかぬ。公団が代替のものをつくって土地を買収し、施設をする。それを二十二億かけてやる。二十二億については大蔵省自体もこまかく査定をしたものでございます。それで契約をいたしますが、われわれもある程度の見通しがつかなければ契約なんかできない。さっき申し上げましたとおり、物を交換する以上、こっちは無傷のりっぱなものであります。どうなるかわからないものと交換はしたくないということで、公団にも私どもは強く申しましたし、いま仕事をお進めになって手抜きがありましたら受け取りませんぞというぐらいに総裁に申し上げているわけでございます。そういうわけでございまして、大きさは四百三十町歩でございますが、受け取るほうは二百五十町歩ばかりです。 内容をいまお尋ねになりましたが、先ほども申し上げましたように、サラブレッド、いわば競馬馬の育成というものが一つの技術としてあそこにございまして、うまくいい馬が生まれますと収入も相当あったわけでございますが、競馬馬までやる必要はないんじゃないか。ですからあとは御料馬とか儀式用に使います馬、これはなかなか入手困難でございまして、特殊な訓練もしなければなりませんから、そういう面はいままでどおりいたします。その他、豚とか牛とか乳製品とかいうものは大体いまと同じ規模で考えておりまして、羊だけは頭数を倍にしたい。それは実は園遊会とかいろいろなときに非常に御好評でとても足りないのでございます。それだけはふやさしていただきたい、こういうふうに考えております。それから前は、先ほどもちょっと申しましたが、こういう家畜の飼料、トウモロコシとかその他を自家製でつくっておりました。しかしこれはもう買えばいいことでございます。ですからその面積が減ります。牧草地は、これはなければ成り立ちません。そういうことから牧草地は残しております。やはりある程度の学生の見学とか外交団の接待とか、いままでやりましたことはできるように計画をいたしておりますし、それからいままでのずいぶん古い牛舎とか鶏舎とかいうものがございますが、この際やはり近代的なものをいろいろ研究してもらいまして、そして地方の農民の人がここに来ても幾らか参考になる、われわれ自体も努力して地元にも貢献ができるようなやり方をすべきではないかということで方針を立て直しておるわけでございますが、生産あるいは家畜頭数等につきましては、大体いま申し上げたような計画でございます。
○木原(実)委員 新しい御料地の地味の関係はどうですか。専門家がお調べになって専門家の意見を聞いたということでございますけれども、われわれが聞くところによりますと、これは現地を見ていないので私自身も判断ができませんけれども、どうもやはり湿気も多いし、必ずしもいいところじゃないという話も聞くわけなんです。おそらく、いまのところに比べれば、あれだけのところは、なかなか同じような条件というのはないのはわかりますけれども、それにしても、牧畜をやるにいたしましても少しよろしくないんじゃないかという意見も聞いておるのですが、どうでしょう。
○宇佐美説明員 私もよくわかりませんが、牧畜をする意味において気候的に千葉とどっちがいいかという議論があるようでございます。議論があるという意味は、むしろ栃木のほうがいいかもしれない。山手へ寄りますほうが少し寒さがきびしいときがあるということです。私もよくわかりませんが……。 それから湿地ではございません。鬼怒川に沿うておりますが、台地でございまして、今度買収して困りましたのは、財産がわりにこまかく土地を持った人が多かったということでございます。
○木原(実)委員 一般に皇室の財産の処分その他はいままでも何回か行なわれてきたのですが、どうもそのたびにいろいろな話が出まして、開放すべきところはやはりきちんと国民のために開放するという措置があっていいと思うのですが、どうも何かずさんなんじゃないかという話は、この委員会でも一、二問題になったことがあります。したがって、その辺をわれわれはおそれるわけなんです。地味も大体いいところがある、こういうことなんですが、いままでおやりになっていた仕事を整理される面と、それから残していく面と、新しくやる面と、こういうことになるんでしょうが、これは結局専門家の判断に基づいていく、こういうことでございますね。
○宇佐美説明員 大体の方針というのは、専門家の意見もございましょうが、われわれといたしましても、宮内庁の牧場としての任務、将来の目標というようなことはやはり織り込まなければなりません。そういった専門家とともに相談してやっていくわけでございます。
○木原(実)委員 あわせて聞いておきますけれども、ほかにたとえばカモの御猟場その他が東京近辺にもあるわけですが、これらについての処分あるいは何かそういう計画はございませんか。
○宇佐美説明員 カモ場の処分ということにつきましてはいまのところ特に考えておりません。埼玉と新浜と二カ所ございますが、それぞれ今後だんだん付近に住宅ができたり工場ができたりしてまいりますので、将来どうなるか。新浜のほうでは一度新聞にもだいぶ出ましたように、世界有数な鳥の集まるところであり、何とか残したいという論もあるようでございます。これはいますぐ問題にすべきようなところはございません。
○木原(実)委員 話がちょっとそれて恐縮ですが、話が出ましたついでに伺いますが、新浜はあのまま継続していくということでございますか。御案内のようにこれもあれも守ったのはどうも社会党の加藤シヅエさんであったり山階さんであったりするのですけれども、これは開発といえばきりがない。しかしまたあれだけのものを新しくつくるということになるとたいへんなことであります。その際に、宮内庁というのは受け身の立場か何か知りませんけれども、必ずしも御方針がわれわれの前に明らかでなかった。多少とも成り行きまかせという点があると思うのです。そうなりますと、これは今度の御料地のこともそうですけれども、たとえば新浜にしましてもやはり早晩また問題が出ると思うのです。そういう場合に、これはもうそうたくさんカモ猟場なり御料地があるわけではございませんので、やはりそれらの御料地のきちんとした方針のようなものをこれまたお立てになる時期じゃございませんか。どうでしょう。
○宇佐美説明員 もちろんわれわれも将来の見通しを立てていろいろ検討しているわけでございます。新浜でも山階さんなんかよく御連絡に見えていただいておるわけです。ただ宮内庁が正面立ってはち巻きしてやるわけにもまいりませんけれども、意見のありますところはその担当の者とよく連絡をとっておるわけでございます。あの付近がだんだん埋め立てになりますが、一部残るという計画で、いま数年うちにははっきりしてくるというふうに考えます。片一方の越谷のほうは別段特にいま問題はないと思っておりまして、漸次整備すべきものは整備しつつございます。
○木原(実)委員 もう一つ、新浜のことについてですが、これはいまのところああいう形で千葉県のほうも何か施設をやる、こういうことですけれども、あそこのカモ猟の利用の度合いはどうですか。以前に比べて利用度は非常に少なくなっていますわ。
○宇佐美説明員 御承知のとおり禁猟解禁の時期が少し短くなりました。お正月をはさんでおりまして、外交団なり国会とか内閣とか、お召しの者が猟をいたしまして、だいぶ忙しい日程になってしまいますが、利用度が減ってはおりません。いままでどおりいたしております。
○木原(実)委員 それじゃもう二、三お尋ねして終わりたいと思いますけれども、新浜につきましては、確かにまだ利用度が減っていらっしゃらないということですが、これはもう少し長期計画をお立てになりませんと、いまはああいう形でおさまりますけれども、ともかく四方から開発が進んでおりまして、これまた、やはり下総御料牧場と同じような運命に、早晩さらされるのは目に見えておるような感じがいたします。ここ三年、五年はおそらく現状を維持されるにしましても、こういう状況でございますから、これはぜひ要望として申し上げておきたいわけですけれども、そうしないと、いまのうちにもっと思い切って、たとえば自然公園のようなものにするとか、もう少し国民と一緒にある公共性のあるものにしていくほうがあそこを持っておる本来の機能を生かしていく道じゃないか、こういうふうにかねがね考えておりますが、これは意見として申し上げておきたいと思います。 ところで、最後になりますけれども、そうしますと、下総の御料牧場の全体の移転計画はまだ宮内庁としては、お持ちになっていらっしゃらないとういことでございますか。先ほどから期日の問題、それから新しく向こうでお始めになる仕事の内容は概略お伺いをしましたけれども、全体としての移転計画、たとえば八月十五日前後にでき上がった部分については部分的に移転をする、あるいはその残余についてはたとえば年内に移転をする、こういう形でいくのか。あるいはまた全部でき上がって年度内一ぱいに移転をするとか、いろいろ移転の方法があると思うのですが、その辺はいかがですか。
○宇佐美説明員 先ほど申し上げましたとおりに、契約では年度内にぜひいたすということでございますが、先ほど総務長官のおっしゃいましたとおりに八月十五日とか、二十日ということはわれわれにもございます。それはいろいろな意味がございまして、要するに移転していく人たちの家族の立場からいうと、学校の問題が重要な問題でございまして、どうしても何か学期の切れ目というような希望も出ております。これももっともな話だと思いますが、それからもう一つは、牛や馬の牧草をまく時期というものが九月に入ってすぐ始まる。そういう意味からいいますと、生きものを収容する厩舎と申しますか、牛舎と、それから職員の官舎、それに要する水とか、電灯とかいうものはどうしてもまずできていなければ困る。その他あと若干の建築物とか、障壁であるとかいうものは十月とかその先までなってもやむを得ないと思います。でございますから、そういった一つの実際問題生きものを持っていくために必要な時期というものはあると思います。ですから一挙にいけるのか。あと始末もございましょうし、なかなか、普通の家庭のようにトラックへ積んで一斉に引いていくというわけにまいりませんと思いますが、大体の目標はそういうことで間に合わしてもらいたいというふうに考えております。公団のほうもやれるという考えでおるようでございます。
○木原(実)委員 そうしますと、その時期はおおむね全部移転が完了するのは年内というくらいでどうですか。
○宇佐美説明員 年内というふうに考えております。
○木原(実)委員 あわせてお伺いしておきたいわけですが、その時期については公団のほうも急いでおることでしょうし、あるいはいろいろな移転計画はむしろ公団のほうが宮内庁に聞きたいのじゃないかと思うのですけれども、移転が完了するまで、御承知のように現地では空港の問題をめぐっていろいろなトラブルが続いておりまして、激しいことになっておるわけですけれども、従来宮内庁のほうは全部問題が解決するまでは、御料地については公団の測量その他空港に関連をして測量を許すようなことはしないとか、あるいはまた現地のトラブルがあるのに警官を御料地の中に入れるというようなことはしない、こういう話を何回か私どもは聞いてまいったわけですけれども、それは移転が完了するまではそういう御方針で現地のトラブルの外に立つ、こういう御方針でございますか。
○宇佐美説明員 私どもは政府の方針で三里塚の牧場を公団のほうに渡すということはそのとおり了承いたしておるわけでございますが、しかしいろいろな現地の空気から申しまして、皇室をまつ先の何か旗じるしに立ててやるようなことは絶対に困る。このことは陳情にみえた方にも申し上げましたし、内閣をはじめ運輸省にも公団にもはっきり申しております。ですから、反対者が一人もいなくなることはもちろんないと思いますけれども、大体みんなが動くということにならなければわれわれも動けない、率先してやるという体制は、皇室が全部問題をしょってくるというようなことは困るということをはっきり申し上げてきたつもりでおります。今度契約いたしますと——実は法律上のことはなかなかむずかしゅうございまして、理解するのに時間がかかったわけでございますが、結局大蔵省と宮内庁と公団、三者契約ということになってまいります。その場合に皇室財産のままでは契約できないという法律解釈であるそうでございます。ですから、一応皇室用財産をはずして大蔵省の普通財産ということになりますけれども、しかしわれわれが移転できるまではこれを借りる。要するに八月になりますか、あるいは十二月になりますか知りませんが、そういう問題とからんでくるわけでございます。ですから、皇室財産をはずさなければならないのはおかしいじゃないかと申したのですが、法律上そうしなければ成り立たぬということでいたしますが、そのかわりこっちは借りまして、宮内庁の承認がなければそれを大蔵省なり公団が手をつけることは絶対にやらないという約束でやろうというつもりでおります。ですから移転をするまでは、牧場としての機能に支障のある場合には両者ともお断わりをする。引っ越しをするまではちゃんとその姿でいきたいというふうに一応考えております。
○木原(実)委員 これで終わりますけれども、いまおことばを聞きまして、私ども何回かそういうお話を承ってまいりました。これは運輸省のほうからも、公団のほうからもそういう話を伺いました。ただ残念なことには、そういう方針であったのにかかわらず、代替地と称しまして、御料地の一部が工事を始められている。こういう事情であるようでございます。これは私どもはなはだ不本意なこととしてあらためて運輸省や公団なりに見解をお聞きしたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
○宇佐美説明員 その点は実は根本名という地区であると思いますが、これは樹林地帯で、もと中に一部耕地がございました。トウモロコシをつくっておりました。それをやめてしまいましてほとんど使いません。ですから伐採だけさせてほしいということでございましたので、一応皇室用財産をはずしたわけでございます。ですからその先は大蔵省がどうされるかということになるわけです。その他にも御要望がございましたけれども、その地区内にもこちらが使っている水のもとがございます。そこに関係ある土地は言ってございません。そういうわけで、トウモロコシをやめてしまったあと使うあてもございません。たとえば、そのほか地元の方も、今度、早く造成してもらいたいという方の陳情も出ておるのでありますけれども、たとえば軽種馬、いわゆるサラブレットをやめたあとはあいてしまうじゃないかということもございましたが、そこには、最近若い羊を厩舎に入れておりますのでそのところはすぐはできません。そういうわけで、私どもも将来全然使う予定のないあいたところをいつまでも押えていていいかどうかということは若干問題があると思いますけれども、しかしそこはやはり国会の御審議もございます。われわれもよく見ながらやりたいと思います。とにかくスタートしてしまいまして、いろいろ御意見があるのにそんなことを申し上げておしかりを受けるかもしれませんが、引っ返すに引っ返せない状態にございます。よろしく御審議をお願いいたします。
○木原(実)委員 るる申し上げましたけれども、私どもは何も皇室をたてにして国際空港の反対を貫こうなんということは考えていないわけです。しかしそれにしましても、これだけはひとつ長官も胸にとめておいていただきたいのですけれども、ともあれあの周辺の農民諸君は、これは私よりも伊能先生のほうがよく御存じなんですけれども、ともあれ三里塚があるということを精神的な一つの寄りどころにし、誇りにして生活をしてきた人たちが多いわけですね。それだけに今度のことについても、これは飛行場のよしあしということよりも、やはり切れないものがあるわけなんです。それに対して工事を始めるのだということで、かなりな反対を押えながら強引な形で工事がまさに始められようとしている、こういう姿があるわけであります。 そこで三里塚牧場、下総御料地を改めて新しいところに移転をされていってしまう、これは現地の農民諸君にとっては最後の何か寄りどころが切れていくということなんです。人間お互いパンだけでは生きていけるわけではございませんから、どんなにりっぱな飛行場ができましても、これは地元の住民にとりましては悲劇ですよ。地元の政治家もいらしゃいますけれども、そういうやはり悲劇の上に、これはまた皇室が一歩引いていくのだ、こういうことだと思うのです。それだけに、これからもおそらく飛行場ができ上がっていく過程の中で、三里塚という名前のついたいろいろな問題が、まだ未解決の問題が残って、これから問題が出てくると思うのです。その間にもとりわけ皇室に縁故の深かった農民の諸君が、文字どおり血みどろになって嘆き悲しんでおる、こういう姿だけは、これは機会があれば陛下の耳にも入れておいていただきたいと思うのです。 私はいまの官僚政治のやり方や、誤った飛行場政策については別の機会に鋭く批判をしていきたい、こういうふうに考えておるわけですけれども、そのことを申し上げまして質問を終わりたいと思います。
○藤田委員長 浜田委員。
○浜田委員 ただいま木原議員のほうの質疑の中で、現地視察の件で委員長の取り計らいについて発言をいただいたわけでありますが、ぜひ、本議案を採決する前に、現地を視察して、その後に採決に入っていただきたい。したがって、日時等の設定につきましては、理事会等で決定してもらうように、強く、提案とまではいきませんが、委員長の取り計らいをお願いしておきます。
○藤田委員長 申し上げます。 ただいまの浜田委員の御発着に関しましては、理事会におはかりして善処したいと思います。 先ほどの関連で、菊池委員。
○菊池委員 宇佐美長官にお伺いいたしますが、宮内庁というものは高い見識と構想、理想を持って皇室を御指導し、天皇の補佐役としてその全力を尽くさなければならぬことはもちろんでございますが、第一次大戦、第二次大戦を通じて、世界では十五の王室が滅びております。要するに国民の心をとることのできなかった結果であるということは言うまでもないのでありますが、エチオピアの皇帝などは、毎朝自分で出てきて、そうして人民の苦情を聞いているというくらいに民主的にふるまっておられる。それでもってエチオピア皇室思想が万代の安きにあるということがいわれておるようなわけでございます。 それで宮内庁としては、天皇の補佐役として、もっと民主的に陛下を補導していかれるということが必要であろうと思うのでありますが、どうもいままでの伝統的のやり方があまりに厳粛でありまして、どうも民衆、国民となじみにくいような点があるのではないかと思うのでございます。それでただいまの御料牧場にいたしましても、その収獲はどうなるかわかりませんが、収支償っておりますかどうかわかりませんが、皇室としてはいろいろな施設に対し、あるいは貧民窟とか病院などに、御下賜金などを賜わることもありますけれども、御料牧場なんかでは、国民の心をとるために、すべからく牛でも鶏でもたくさん飼って貧民窟にも配るぐらいなことをやってもらいたい。そうすればどれぐらい国民が喜ぶか、わからない。全国が沸騰するだろうと思います。そういうことの構想を練って考えていかれたらいいのではないかと思うのでありますが、こういう点についてひとつお考えをいただきたい。
○宇佐美説明員 御質問の趣旨は私どもも実に大事なことでございまして、いろいろな点で思いを新たにしなければならないことがたくさんあろうと思います。そういう意味で、新宮殿をつくりますときも、なるべく広く、国民がはいれるように、またその前のお庭はなるべく多くの参賀なんかができるように、両方最大につくれということでなかなかむずかしい条件がついたくらいでございますが、われわれもそういうことを大事に考えましていたしましたし、それから、東御苑に自由に入るというようなことで、そこに一つの国民との間の親和の役に立つというような面でいろいろなくふうをいたすわけでございます。ただ先ほど木原委員から仰せになりましたように、だんだんお年ではございますけれども、勤労奉仕なり、それからいろいろな褒賞者とか大会に集まる人とかいうものに対しての拝謁というのはふえるばかりでございます。非常に多うございます。勤労奉仕なんかはほとんど毎日でございます。そういう方に親しく会っておことばをかけてねぎらっていらっしゃるわけでございまして、それは、まあ外にお出になりましたときはもちろん、中でもそういうことが毎日行なわれておるわけでございます。ですからむしろ、私どもはいろいろな意味からいうと、もうそろそろ数を減らさないと御健康上ちょっとどうかと思うくらいに、多くの人が参っております。そういうわけでございますが、ただ仰せになりましたことはわれわれの常に考えていかなきゃなりませんことでございます。 それから皇太子殿下も同様に、お若いだけありまして、地方へお出ましになりますと、いろいろ御視察のほかに、青年を集めて、夜まで懇談をなさるとか、たいへんな御努力でございますし、東宮妃殿下なんかも、地方の盲学校の生徒がお迎えしておりましたら百何十人に一々握手をなさってこたえておられるというようなことで、いろいろ御苦心になっておるわけでございます。私どももなお仰せのようなことについては、今度ともつとめるようにいたしたいと存じます。
○菊池委員 世界でもって日本の皇室が一番財産が多いといわれております。皇室の経費の不足は国会でもって決議してこれを補っているわけで、皇室のお入り用な金は幾らだって出すというわけで、これに反対する議員はほとんどいないくらいでございます。皇室の財産が多ければ多いほど、どうも国民の信用がなくなってしまう。会社の株を持つ、それから牧場を持つ、いろいろでありましょうが、なるべく皇室の財産は減らして、これを国民の税金でもって補うということにすれば、国民の親しみもそこにおのずからわいてきますし、われわれの皇室である、われわれの天皇であるというような気持ちでもって国民は皇室を尊崇するでありましょうが、あまりに財産が、皇室のうちで世界一なんということになりますと、これは決して国民の心をとらえるゆえんではないと思う。 それで宮内長官といたしましては、皇室財産をもっと減らして、そうして不足は国家が負担するというような形に切りかえるべきであるとわれわれは考えておりますが、長官のお考えはどうでございましょうか。
○宇佐美説明員 いまさら私が申し上げるまでもなく、新しい憲法ではすべて皇室の財産は国有とすということで、あのときに全部国有に移りました。ですから、若干のお手元のお身回りのものしかないということになっておるわけであります。現在ございます皇居あるいは御用邸、京都御所等は全部国有財産でございまして、国費をもって維持しているわけでございます。ただ皇室の用に供してあるというだけのことで、国有財産でございまして、陛下の財産でございません。いわゆる私有財産という意味でございますれば、世界で一番財産のない皇室であると思います。それで、憲法八十八条でありますか、すべて皇室の経費は歳入歳出予算にあげると書いてありますので、毎年内廷費、宮廷費、皇族費は全部御審議をいただしてわるわけでございます。私有財産というものは、、まずほとんどないようなものでございます。
○藤田委員長 次回は来たる十三日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時七分散会