地方行政委員会 第53号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/07/23
会議録
○鹿野委員長 これより会議を開きます。 地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。 本日は、過疎対策に関する問題につきまして、参考人として山形県知事安孫子藤吉君、島根県美濃郡匹見町長大谷武嘉君、岩手県町村議会議長会会長柴田嗣郎君、島根大学教授内藤正中君、長野県知事西沢権一郎君、福岡県山田市長松岡十郎君、以上六名の方々が御出席されております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。それぞれのお立場から、何とぞ忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ約十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員諸君からの質疑に対してお答えをお願いいたしたいと存じます。 なお、安孫子参考人には午前十一時、西沢参考人は十一時三十分に所用のため御退席になりますので、まずお二人に御意見をお述べいただき、委員からの質疑にお答えをお願いいたします。 それでは安孫子参考人にお願いいたします。安孫子参考人。
○安孫子参考人 今回の過疎問題に関する特別立法に関しまして、議員の各位が非常な熱意を込められまして御提案に相なり、御審議いただいておりますることは、私ども衷心から感謝を申し上げる点でございます。とかく過疎問題と申しますと、議論としては展開されておりますけれども、立法措置その他につきましては、いまだかつて十分だというわけにはいかないのでございますが、この点について御努力を賜わっておりまする点を最初にお礼を申し上げたいと存じます。 今回の特別立法に関しまして、私ども特に東北地方から見ました場合の問題点というものを若干申し上げまして、この点についての御考慮を賜わりたいというのが第一点でございます。 結局、この法律の適用がどういう市町村になるかということに関しましては、財政上の問題もあったと存じまするが、減少率一〇%、こういうことでこの案が提案されております。そもそもの案というものは七・五%であったというふうに私どもは聞いておるわけであります。ところが七・五%でございますと相当財政的な負担もあるというようなことから、大蔵省との関連におきまして一〇%というところに、関係者の方が非常に努力をされたのでございますけれどもそういうところに落ちついたものだというふうに私どもは承知をいたしておるのでございますが、さてその結果どういう事態になっておるかというと、これはおそらく全国的な各府県ごとの市町村の数をごらんになりますと一目瞭然でございますけれども、従来過疎問題といたしまして非常にやかましい、また社会的な問題を起こしておりまする東北地方でございまするとか、それから山陰地方−山陰におきましては島根は相当救われておりますけれども、お隣の鳥取というようなものは極端にまた救われない、そういう非常なコントラストがこの表の中には出てきておるわけでございます。 そこで、なぜ東北地方がそういうふうに救われないのかというようなことをいろいろ考えてみておるわけでございます。東北の状況を申し上げますと、ほかの地方におきましては大体二十、三十、四十という適用市町村があるわけでございますが、青森県の場合には今回は六つしか適用市町村になっておらない。岩手県は九つだけだ。宮城県は十九でございます。これはおそらく、これはほかの地域にもございますけれども、県内におけるところの集中化というようなものがある程度あるのではなかろうか。仙台市に対する集中、そのために各郡部の町村の人口が減っておる。ところが青森とか岩手というところは出かせぎが多い、こういうことでそういうことになるようであります。秋田が十四でございまして、私の県の山形が十、福島が十七、新潟県、大きい県でございますけれども十八、これが大体東北の適用市町村でございます。 いろいろなニュアンスはありますけれども、他ブロックを見ますというと、三十、四十、五十という適用がある。過疎問題について従来いろいろ悲惨な問題が報道をされ、また議論の展開になっておった原動力というものはそれは各地にございますけれども、一つには東北の問題とかあるいは山陰の問題とかあるいは南九州の問題、そういうようなことがこの原動力になっておるわけです。しかるにこの特別立法の適用市町村というようなものを見ますというと、その辺が全然触れにくいような状態になっておる。こういうことは、いろいろ理屈はあるだろうと思いますけれども、全体的な感じから申しますならば、私どもは非常にふに落ちない点でございます。そのよってきたる原因というものは一体何かというようなことを考えてみますと、おそらくは出かせぎが多い、そういうことが一つあるのじゃなかろうか。県内における都市の集中化というようなものが非常に行なわれておる地域、ここはやはりこの適用を受けるような、そういう状態になっております。たとえば岡山でございますとかあるいは広島でございますとか、あるいは東海、近畿、そういうようなところは相当この法律の適用を受ける市町村数が多い。それは要するに県内において人口を吸収する相当の力がある。そういうところにはこの法律の適用の範囲が広がる。ところが、絶対的にそうした産業構造がない、そうして外に出なくてはいかぬ、そうしてそれがその地域の社会生活でございますとかあるいは各種の産業の構成というものを根本的に破壊と申しますか変革をせざるを得ないような状態にある、それに対して地域の住民というものは非常に苦労しておる、そういう地域については適用の範囲が相当狭められておる。こういう事実を見ますと、やはりどうしてもこの点については議員の皆さま方の御配慮によりまして是正をしていただかなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるのが第一点でございます。 それならばそれをどういうふうにいま直すかということになりますれば、当初の原案のように七・五というものでやりますと、私どもの実感から申しますれば、大体東北地方はまあまあというところに押えられるだろう、私はこういうふうに実際的に考えております。したがいましてぜひ原案、最初の案のとおりに七・五というようなところに適用の基準を下げていただきたいということが端的な私の希望でございます。そうでございませんと、せっかく御努力をいただきましたこの特別立法というものが、全国的に見ました場合に非常に偏差のある、片寄った、そして全国的には問題に取り組んだ目的というものが達成せられないような、そういう結果を生ずる地帯が相当出ておる。でございますから、いろいろな基準というものは計数によってはじくわけでございますけれども、同時にまたそれに基づいて出てまいりました結論というものを、われわれの常識あるいは全体的な政治的判断から妥当するようなものにやはり基準というものも考え直していくということが行なわれなければ、立法の目的を十分に果たすものだろうとはいえないと思いまするので、この点についてはひとつ御配慮を願いたいというのが第一点でございます。 理論構成をいたしますと、これはなかなかむずかしい問題があろうかと思います。一つは出かせぎの問題がからんでおります。出かせぎの問題をこの算定の中に妥協案としては入れてどういう措置をするか。出かせぎについてはまた別途の法制を講じたらいいじゃないか、こういう議論もあるいはあろうかと存じますけれども、これはまたこの過疎問題につきましてもずいぶんと長い努力の結集によって今回御審議をいただいておるわけでございまするから、新たに出かせぎのためのこうした意味の特別立法というようなことになりますれば、これはまた相当の年月を要するのではなかろうか。せっかくの機会でございまするから、この際にそういうことをも含めましてこの点の修正をぜひお願いしたいものだ、こういうふうに思っておるわけであります。 それからまた、これもいろいろ議論が出てくる問題だと思いますけれども、大体今度適用範囲の多い県というものを見ますと、これはその県内において相当発展をする都市を持っておる、そういうところは比較的適用市町村が多い。そういうもののないところは適用市町村数が非常に少ないという大体概括的な数字が出ております。かような点から考えますと、絶対的人口減少県というようなものについての考慮というものも、やはりこの計数の中にある程度入れるということも一つの方法ではなかろうか、こういうことも考えられるわけでございます。これは国勢調査に基づくところの一つの計数だけに基づいてはじかれて、しかも当初の七・五というものを一〇にした、そういうことによって相当ひずみができておる。願わくはこれを一〇じゃなくして七・五というものに回復をしてもらいたい、これが率直な私の希望でございます。まあ、それができないということでございますれば、いろいろな、ただいま申し上げました出かせぎの問題、あるいは、同一県内における人口吸収力を持っておる地帯と、そういうものが絶対的にはないという地帯のそうした性格の差というものをも、ある程度ここに織り込みまして、そうして結論的には、まあ妥当であるという全体的な全国の市町村数が出てまいりまするように、私は、理届ということじゃなくて、全体の姿というものがいかにもおかしいじゃないかというところに着目をいたしておるわけでございまするから、その辺は、ひとつ議員の皆さま方におかれましても十分御検討いただきまして、私がただいま申し上げましたような全体的なバランスのとれたものに、しかも、従来過疎問題につきまして常にその悩みを訴え、その特別の立法についての要望を強くしておった、そうした地帯があまり救われないんだというような結論にならないように、御配慮いただきたいというのが第一点でございます。 あと、時間がございませんので省略をいたしたいと思いますが、もう一つ申し上げますことは、結局、この過疎問題ということは、非常に問題のむずかしいことでございまして、近代の社会の発展あるいは産業の発展というようなものにからんでの問題でございます。したがいまして、この特別立法というものはやはり当面ぜひ制定をしていただかなければならぬものでございますけれども、同時に、日本の過密、過疎の問題、まあ、最近の都市学者におきましては、やはりこうした社会においては平均的な、どこも均衡のとれた産業社会を形成するということが望ましいんじゃないかというような議論も展開されておるわけでございまするので、そういう方面に向かって、過密の問題と過疎の問題というものはうらはらの問題でございまして、これを同時並行的に基本的に扱っていかなければならない問題でございまするから、この特別立法で過疎問題はすべて解決したんだということじゃなく、さらに基本的な問題につきまして、国会の諸先生方がさらに一段の御検討と、立案等につきまして御尽力いただきますことを衷心から希望申し上げまして、私の与えられた時間での意見の開陳にいたしたいと存じます。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○鹿野委員長 次に、西沢参考人にお願いいたします。
○西沢参考人 過疎問題、過疎対策につきまして、たいへん御高配、御心配をいただいていることに対し、この席から厚くお礼を申し上げたいと思います。 なお、過疎問題に関しまして、私ども第一線で日夜取り組んで、苦労をいたしておるのでありますが、本日、発言の機会をお与えをいただきまして、これまた感謝にたえない次第でございます。 国においても、過疎対策ということを重視されまして、それぞれ特別立法等、制定されており、あるいはまた行政、財政処置等行なわれておるのでありますが、何といたしましても、過疎問題というのはやはり総合的に、また計画的に対処しなければならない問題であるというふうに存じます。したがいまして、やはり総合的な立法処置というものが必要であると思いまして、今回のこの過疎対策の法律案、このようなものをぜひ成立をきせていただくことが、過疎対策を大きく進めるゆえんであると存ずるのでありまして、こういった法律が制定をされるようにお願いをするという、そういう前提に立ちまして、以下、数点につきまして私の希望、意見を申し述べさせていただきたいと思います。 その第一は、過疎の定義と申しますか、過疎市町村をいかに決定するかという問題でありますが、この点につきましては、ただいま山形県知事から意見の開陳がございまして、私も同様でありますので、省略をきせていただきますけれども、ただ、若干つけ加えて申し上げたいことは、たとえば財政力におきまして四〇%を上回っておるけれども、人口は非常に急減しておるという、そういう地帯がございます。私の県で言いますならば、たとえば木曽の地帯などはそういう地帯でありまして、これは、何で財政力指数が上かというと、発電所があるという、こういうことでありまして、発電所のあるようなところは、これはいなかの恵まれないところでありまして、こういう、もう非常な人口の急減をいたしておるところは、やはり過疎対策というものをほうっておくわけにはいかないので、こういう地帯を何か救済はできないかということ。それからまた、市の中においても、たとえば私の県で言っても、長野市であるとか松本市という、そういう市の中においても、旧町村単位ぐらいに考えますと、過疎対策というものを進めていかなければならない地帯がございます。しかし、これはただいまのワクにはというか、網にはかからないのでありますけれども、そういうところ等を含めまして、後に私申し上げたいと思いますが、ボーダーライン地帯というのはたくさんあります。そういうところは、この法律において適用されないでも、県としては、あるいはその市町村として、ほっておくわけにはいかないのでありまして、そういうところの何らかの処置を講じていただきたいという、その問題と通ずるのでありますけれども、そういうこと等もあわせまして、この七・五%問題あるいは一〇%問題等あわせて御考慮いただければたいへんありがたいと思います。 それから、次は過疎債でありますけれども、これはたいへんけっこうな施策でありますし、私は、今回のこの過疎対策というものの中の最も大きな柱は、この過疎債であるというふうに思います。それで、辺地債という制度がありまして、これはたいへんけっこうな施策でございます。ただ、ワクが少ないので、こ辺の地債を多くしてもらうことによって辺地対策というものもできるんだ、あとこまかいことはどちらでもいいから、これを大きく太らせてもらいたいということを常に要望しておるのでありますが、これと同じでありまして、この過疎対策を進める上にも、過疎債というもの、これが大きな柱になるのでありまして、仄聞するところによりますというと、二百億あるいは三百億程度を予定されておるようでありまして、これはまあ相当なワクではありますけれども、しかし、ほんとうの過疎対策というものを遂行する見地に立ちますというと、どうもこの程度ではきびしい気持ちがいたすのであります。かりにいま予定されておる町村にこれを割り当ててみますと、過疎債が一カ町村三千万円前後になるんじゃないかというふうに思いますけれども、これでは、かりに橋を一つかけるとか、あるいは基幹道路を一本つくれば、もう終わってしまうというような、そういうことになるんじゃないかと思いまして、過疎対策というものは総合対策でありますので、これはひとつ思い切ってふやしていただくということをお願いをいたしたいと思います。それは、先ほど申しました辺地債の問題にも通ずるのでありまして、私は、ボーダーラインのところなどは、この辺地債を太らせてもらいまして救済をしていただくというようなこと等も、この過疎対策とあわせて、過疎対策と辺地対策というものは必ずしも一致はいたしておりませんけれども、ほとんど共通でありますので、こういうことをこの際お願いいたしたいと思います。 それからなお、この特別立法に基づく各種のいろいろ事業等が行なわれておるのでありまして、これを今回の過疎対策には、傾斜をするという、そういうことが言われておるようでありまして、これもたいへんけっこうでありますけれども、しかし、限られたワクの中で傾斜をするということになるというと、ほかのほうに当たりさわりができますので、やはりこの分だけは純増といいますか、ワクを大幅にふやして対処をするという、そういうことでないというと積極性がうかがわれないのでありますので、そういうことに御配慮をいただきたいというふうに存じます。 それから、集落の育成ということ、これが大きな問題であろうと思います。集落の育成という中には、これはいろいろございますけれども、特に新しく集落を編成するところに先行投資をするということも必要でありますけれども、また出たところのあと地をどう処置するかという、これがまた問題だろうと思いまして、この点がどうも欠けておるように思いますから、そういうこともあわせてこの集落の編成ということに積極性を示していただきたいというふうに思います。 それから、冒頭ちょっと申しましたけれども、県としてあるいは市町村としては、この法律によって救済をされない地帯、いわゆるボーダーライン的なものがたくさんありますけれども、そういうところに対する行政、財政処置等を通じて何かあたたかい手を差し伸べることができるように、そういうことを積極的にお願いをいたす次第であります。 なお、私の県におきましては、過疎対策というのが総合対策でありますので、総合の妙を発揮しようということで、いろいろな施策を集中をするということで、まとめたものをお手元に申し上げてありますけれども、またおひまのときにごらんをいただければけっこうだと思います。ただ、その中で一番問題になっているのは、過疎地帯における足の確保、いわゆるバスなどをどうするか、こういう問題でありまして、この法案によりますというと、かわって市町村がバス事業を行なってもよろしいというふうになっておるようでありますが、これは実際問題としてはたいへん困難であると思いまして、やはりバス業者に対して何らかの処置、助成をするということ、これは国も若干考えておられるようでありますけれども、そういうことが必要ではないかというふうに思います。 それから集団移住の問題でいま県としては若干予算を計上いたしまして、市町村計画に基づいて集団的に移住をする者に対しては県費を助成するという、そういう処置を講じておりますけれども、こういう点をバックアップしていただければたいへんありがたいというふうに思っております。 そのほか、先ほどちょっと申しました集落の編成に伴って村を出ていく、部落を出ていく人のあと地を市町村がまず第一段階として買い取る、それが多くなった場合には県が買い取るというような、そういう処置を講ずる必要がある。そうでないと、土地ブローカーなどが入る危険といいますか、そういう状態になりますので、そういう点、特に法的な処置を講ずることが必要ではないかというふうに思いますけれども、これは法的ばかりでなく、あるいは融資の面その他いろいろの行政、財政の施策等を通じてお願いできればたいへんけっこうであると思います。 まだ申し上げたいことがございますけれども、時間が参ったようでありますので、以上数点を申し上げましてお願いにかえる次第でございます。(拍手)
○鹿野委員長 安孫子参考人及び西沢参考人に対して質疑の申し出がありますので、これを許します。細田吉藏君。
○細田委員 主として安孫子知事さんにお伺いしたいのですが、今度の自民党の山中貞則君外十七名提案の原案では、人口減少率一という数字になっております。これはもうお話ございましたとおりでございますが、平均減少率〇・七五に下げろという意見が、わが党の中にもございますし、また野党の皆さんからもいろいろ寄り寄り相談の中で出ております。そこで、おっしゃる御趣旨はよくわかるのでございますが、これに関連いたしましてお伺い申し上げたいのは、私、山陰の島根県でございますが、人口流出の状況というものが、東北については少し中国山地やあるいは四国の南、九州の南よりもおくれておるのではなかろうか、つまり時期的にずれて人口流出があるのじゃなかろうかというようなこと、一部本などにも書いたものがございます。そこで、私たちは次の国勢調査、明年でございますか、国勢調査で今回の法案の中では補正をすることにしてあるわけでございますが、そういうことでかなり救われるのではなかろうかというようなふうにも考えておるのでございます。しかし、そうじゃない、東北については、やはり人口の流出状況その他一種のパターンが違うのだ、こういうお説もあると思うのでございます。御案内のように、この原案でございますと七百数十という市町村が対象になりますし、〇・七五ということになりますと、一挙に千三、四百というような町村になる。非常に救われるところが多くなる反面には、手当てとしては薄くなる可能性がある。予算はこれからのことでございますけれども、そういう面も考えなければなりませんので、またどこで線を引きましても限界点では問題があるわけで、〇・七五でも限界、〇・七四なんというものもあり得るわけでございますから、そこでそういう原案にしておるのでございますけれども、いま申し上げましたように、かなり救われるのじゃなかろうかという見方もしておるのでございますが、そういう点について、東北の実情について非常にお詳しい知事さんでございますので、単に山形の問題としてでなくて、東北の一つの型といいましょうか、そういうもの、そういう点について、もうちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○安孫子参考人 お尋ねの点につきまして、私も詳細に検討いたしているわけでございませんから、大体私の感じを申し上げます。 おそらく東北におきましては、山陰−鳥取はちょっと違うかと思いますけれども、あるいは南九州等と違いまして、やはり出かせぎという形においての一種の人口流出、これがやはり相当続くのだろう、したがって、この次の国勢調査というような場合に、それによって救われる可能性は私は少ないのじゃなかろうか。要するに九州あたりとは違いまして、山形あたりは、あるいは東北みんなそうでございますけれども、僻地は非常な豪雪地帯でございます。しかもまた農民の心理から申しますと、やはり耕地はどうしても死守していきたい、これを全部捨てて全部移ってしまうというような気持ちにはなかなかならないところでございます。したがって、どうしても出かせぎという形において、当面の経済の急変にやむを得ず対応していくという形は相当続くものだろう、こういうふうに私は思っております。したがいまして、一〇と七・五という問題につきましても、七・五の場合には、山形県の場合なんか考えますと、私どもが考えておりまする線に町村としてはちょうどよくアダプトしていくのじゃなかろうか、そんなに広がるものじゃないので、大体あそこはそうすべきだろうというところは救われる、こういうことです。 ただ、お話しのように、今度はちょっと御質問の要点からはずれますけれども、非常に全国的にふえるのじゃないか、そういう問題になりますと、これは理論的には私はなかなか主張しにくい問題だと思いますけれども、全国に人口の減少している県というものは二十幾つかございます。そういう県についてはある程度の率、一〇でない率を適用するとか、これは理論的に構成することは、なかなか理屈としては問題があるかと思いますけれども、そういう一つの妥協案といいますか、そういうようなものも私はあり得るのじゃないか、したがって、お尋ねの要点に率直にお答えいたしますれば、次の国勢調査の場合において東北は救われる可能性ありやいなやということにつきましては、東北の事情はほかの地域、特に豪雪地帯でない地域とは違う事情にございますので、そういう結果に私はならないのじゃなかろうか、したがって、この点については次の国勢調査まで待てということではなくて、そういうものをも吸収するような、そうした基準をやはりこの際おきめ願わなければ、常に過疎問題について苦労をし、努力をし、悩んでまいりました地帯の相当の部分がこの地方において救われないということは、いかにも私は忍び得ない、こういうことで申し上げておるわけでございます。 以上、お答え申し上げます。
○細田委員 西沢知事さんにちょっとお伺いしたいんですが、私ちょっと席をはずしておりましたので、あるいはお話があったかとも思うのでありますが、山形の知事からのお話の人口減少率の問題ですね。これはまあ中部−長野でけっこうですけれども、長野なり中部の状況でごらんになりますと、感じだと思うのですけれども、まあいいところかなというようなことであるかどうか。山形の知事さんを前に置いての話だからなかなか言いにくいところもあるだろうと思うけれども、率直なところを、わが県など、あるいは山梨とか、中部ではいいところじゃないかというふうに見ておるかどうかという点について、率直にお聞かせいただきたいと思う。 それからもう一点。いろいろお話がございましたが、特にこの法案の中で起債の問題だとか、あるいは補助率のかき上げの問題だとか、いろいろございますね。これだけはつけ加えてもらわぬと困るというものですね。特にお気づきの点があれば一これはやってみた上でまたいろいろ直さなければいかぬような点があとで出てくるかもしれませんけれども、いまのところは万全を期していろいろ立案されておるわけなんですけれども、現地で、特に過疎地域を持っておられる県で非常に御熱心にいろいろおやりになっておりますので、何かございましたらはっきりとおっしゃっておいていただきたいと思うわけなんでございます。まあ私が申し上げるまでもなく、いま与野党の中でこれはいろいろ話し合ってもおりますので、せっかくつくるなら御期待に沿うようなものにしたいという気持ちで伺っておるわけでございます。私はあるいはお話の中で聞き漏らしたかもしれませんけれども、ひとつおっしゃっていただくようお願いしたいと思います。
○西沢参考人 お答えいたします。 七・五%と一〇%の問題につきましては、私最初に、安孫子知事からお願いを申し上げたことは私も同感でありますというふうに申し上げました。これは最初私どもは、七・五%で過疎地帯というものはきまるんだということがずっと流布されまして、それで表などもずっとそういうものができたわけなんです。それで私の県でいいますと、約五十三ぐらい町村がありますけれども、その五十三町村は、これで救われるんだという期待を持っておったというか、そういうことがありました。ところが一〇%になりまして、二十六ぐらいにたしかなるはずでありますけれども、約半分になりまして、ちょっと、何だそうであったか、それじゃ期待はずれである、そういうがっかりした点もありますが、といって、私がいまここで一気にこれを上げる云々ということを、あまりこれにこだわりますと、かえってその法案の前途にいろいろ問題を生じても困りますから、そこで私は、そういうのをボーダーライン層みたいに考えられまして、もしこれで救われない場合には何らかの方法をもってこの地帯も過疎対策をやらなくてはなりませんので、何らかの方法をもって救うようにしていただければたいへんありがたいというふうに私は申し上げたのでございまして、御承知をいただきたいと思います。 それから、いろいろ御心配いただいておりますけれども、その中で何が重点かというと、これは先ほども申し上げたのでありますが、過疎債という、これはたいへんけっこうな制度である。これがもう重点であって、これにたいへん期待をしておる。このワクを多くしていただきたいということ。 それから、いまの特別立法あるいは行財政でいろいろ処置を講ぜられておるけれども、それを傾斜するというふうになっておると思いますけれども、単なる傾斜ではほかの地帯が今度は手薄になるということでございますので、ワクをなるべくその方面もふやしていただきたいということ。 それから、いまやはり一番問題になるのは道路の問題だろうというふうに思いまして、極端にいえば、道路をよくすることによってもうほとんど過半数過疎対策は解決をするというか、特に辺地対策などはそれでもって解決をされるということになりますので、道路の問題。道路は道路整備五カ年計画がありますけれども、どうも私ども財源的に見ましても、いまの五カ年計画の内容というものは納得できない部分もあるわけなんですね。足りないところは県単事業でつじつまを合わせておる、そういうようなところもありますから、道路問題というものはもう少し財源的にも考えていただきまして、筋金を入れていただきたいということ。 それから、こまかい問題でありますけれども、先ほどもちょっと申しましたけれども、やはり過疎地帯、辺地の足の確保、バスですね。これはスクールバスについてはたいへん国も心配してもらっておりますし、ことしも交付税の中の基準財政需要額の中に取り入れてもらうということになりまして、これはたいへんありがたいと思いますけれども、スクールバスばかりでなく、一般の足の確保という問題について、私のところも、県で何がしかの助成処置を講じなくちゃならないと思います。ただ、いまの段階でストレートにバス会社に金を出すということは適当でないので、やはり市町村が金を出した場合に、その二分の一なりあるいは三分の二が適当でありますか、そういったものを何らかの方法でその市町村に補助するということが適当ではないかということで、いま県として検討をいたしております。 それから、先ほどもちょっと申しましたけれども、過疎地帯の部落再編成に通ずるのでありますけれども、村のうちでへんぴなところから平らなところに出てくるのもありますし、あるいは町村の外に出るのもありますけれども、そういった場合に、その所有した山林とかあるいは田畑等を市町村が一時買い取るということが適当であろうというふうに思います。私のところでは、山林などは多くなった場合には県で買い取るから、一時市町村で買い取りなさいということをいっておりますけれども、それらの手当て、処置等がまだ不十分ではないかというように思いまして、これは一部利子補給、一部は融資というようなことにおいて解決ができると思いますし、あるいはいま農地法の一部改正等も行なわれるようでありますから、そういうことによって耕地を市町村で所有することもできるようでありますから、そういうこと等を通じまして、移住先のところの先行投資等も必要でありますけれども、やはりあと地に対する手当てといいますか、そういうことをもっと積極的にやることが必要ではなかろうか。そこらあたりが重点といいますか、そういうように考えるわけでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
○安孫子参考人 ちょっと先ほどの計数を御承知と思いますが申し上げてみますと、ブロックで申し上げますが、当該ブロック内においての市町村数に対する今回の適用市町村の比率でございますが、九州では四〇・四%、四国では四一・三%の適用、山陽地方では三九・九%の適用、山陰地方では四〇・六%、従来過疎地帯といわれておるこういう地域については大体四〇%台だ。ところが東北は一七・四%、こういう差が出ておる。これはやはり無視すべきじゃない、こういうことです。 それからもう一つは、やはり東北は出かせぎという問題が直ちには解消しないだろうと申しました一つの根拠として申し上げますと、その県の人口に対する出かせぎ人口の比率を申し上げますと、青森が二・五八%、岩手が二・三八%、宮城は少のうございまして一・〇三%、秋田が三・〇六%、山形が二・四八%、福島が一・一九%、大体二%ないし三%が出かせぎ人口になっておる。ところが従来過疎地帯といわれておりまする西のほうを申し上げますと、たとえば島根は〇・七三%にすぎません。それから鳥取が一・一六%、徳島が一・〇五%、鹿児島が一・〇七%、宮崎が一%、大分が〇・九一%、熊本が〇・六七%、長崎が〇・八八%、佐賀が〇・五四%、高知が一・〇一%、愛媛が〇・六四%、香川が〇・六六%、いずれも一%以下でございます。しかるに東北地方は、いま申しましたように大体二%ないし三%、これが全人口に対する出かせぎの比率なんです。これは急速に変わるものじゃないというふうに計数的にも申し上げられるのじゃないかというふうに思いまして、御参考までに付加いたしました。
○鹿野委員長 なお、質疑者に申し上げますが、時間の都合上、まず安孫子参考人に対する質疑を先にしていただき、西沢参考人に対する質疑は、安孫子参考人が退席されたあとにお願いをいたします。塩川正十郎君。
○塩川委員 それでは安孫子さんにひとつお尋ねいたしたいと思うのですが、過疎問題。私は実は過密に悩んでおる地域の出身でございまして、過密の悩みも過疎の悩みも気持ちは同じだと思います。そこで、時間もございませんので、簡単にお尋ねいたしたいと思うのですが、過疎対策の一番基本は、やはり部落の、集落と申しますか、それの再編成であると思うのですが、その再編成の方向というものを、基本的にどういう方向で再編成していこうと考えておられるか。ということは、私の聞きたいと思いますことは、一つは広域行政を積極的に進めていくという方向でそういう各部落間の行政機構というものを合理化していく、集約化していくという方向なのか、あるいはまた、町村合併によるところの方向で進んでいこう、お気持ちの上でけっこうでございますが、こういうふうなお気持ちであるか、こういう点をまず一点お尋ねいたしたいと思います。 それから、次にお尋ねいたしたいのは、辺地債と過疎債、これがございます。そういたしますと、用途は、使途はそれぞれ根本的に違うと思います。が、しかし、過疎債で、この起債を一体どういう事業に重点的に使おうという御希望であるか、こういう点をひとつお聞きいたしたい。 それからさらに、過疎債で、これは知事会等でも意見調整をしておられると思いますが、総額どのくらいのものを希望されるかということ。それから、過疎債の返済ということは、なかなか自力でできるものではございません。したがって、交付税等によりますところの裏打ち、これはどの程度のものでなければ実際は返済の見込みがない、このように思っておられるか、概略それだけをお聞かせいただきたいと思うのです。 そのあとちょっと私は西沢さんにお聞きいたしたいと思うのですが、これはあとにいたしまして、それだけひとつお願いいたします。
○安孫子参考人 第一点のお尋ねでございますけれども、その前にちょっと私言い落としたことをつけ加えますが、今回のアンバランス——私から申しますればアンバランスですが、この中には、特にちょっと問題になっておりますのは、町村合併の問題がある。実は、私の県なんかは非常に大きな町村合併をやっておるのです。二百四、五十ありました町村を、現在四十四ということなんです。大合併主義をとりました。ところが、県によりましてはそんな進捗率ではないと思う。合併の規模が小さいところがある。ところが、大合併をやったところがこういう問題に逢着をいたしまして、むしろマイナスになっておる、そういう事実がある。これはやはり町村は相当の規模を持つべきだと私は思うのです。県がずいぶんと努力をいたしまして、従来二百五十もあったものを四十ぐらいにしておるのですね。ところが、その結果が、こういう法案が適用される場合にマイナスの作用であるというようなことは、これはぜひ避けていただきたいということも実は一つございます。 そこで、お尋ねの点につきましては、私の県では過疎地域は集結しなくちゃいかぬ、こう私は考えております。全体的にスローガン的にいえば、過密は分散をすべきであるし、過疎は集結をしなければ、これはとうてい行政の対象になりにくいわけでございまして、そういう点で、ある地域を選定をいたしまして、非常に散在しておる集落、この中にやはり中心的な集落というものがございます。それを中心とし、それに二つないし三つのサブ集落地帯というものを形成をいたしまして、そこに各種の施設を集中をいたしまして、そこへ漸次集結をしていく、そういうことによって過疎地帯の一つの適応する形態ができ上がるだろう、そういう方向を私としては進めておるわけでございますが、その際に、それは必ずしも町村合併とか、そういうようなものをやる必要はない。特に、私の県は大合併主義をとっておりまするから、現在の町村の行政区域内においてそういうものは可能でございます。したがって、方向といたしましては、過疎地帯については集結をする、そのための住宅の問題でございますとか、あるいは生業の問題とか、あるいは働く場所に対するところの道路の問題とか、そういうようなことは一連の施策として充実をすれば、そういう政策目標というものは実現は可能である。そういうことで、過疎地帯におけるところの人々も安定した生活ができるようにしていきたい。それは必ずしも町村合併というようなものに結びつけなくても可能である。これは地方地方の地勢的な条件とか産業の結びつきとかでいろいろ違うと思いますけれども、私の県では、大体そういうことで、結びつけなくても十分可能である、こういうふうに考えております。 それから、全体的に過疎債というものはどれくらいのものを希望するかという点につきましては、私まだ知事会としてまとめたものを承知をいたしておりませんので、あるいは西沢さんが御承知ならば西沢さんからお答えを願いたい、こういうふうに存じます。 それから、過疎債というものをどういうものに使うかということでございますけれども、実は、国で辺地債を制定する前に、県自体でもって相当の資金を出しまして、そうして市町村に対して、特に辺地について、ちょうどいまの辺地債と同じようなことでございますが、用途を制限しない、市町村が辺地を振興するについて、市町村長が最も適当と考える仕事を持ち出せ、これに対して県は長期の融資をするということを実施いたしました。それを実施しまして、二、三年して国でもって辺地債というものを出すことになったと私は記憶いたしております。その際に出てまいりましたものを見ますと、やはり道路関係が多うございます。それから、部落の中心の活動の場としての公民館的な、そういうものの建設でございますとか、それから学童のためのスクールバスでございますとか、そういうようなものが幾たびか出てまいりましたが、まず七〇%ないし八〇%は道路でございますね。これがやはり一番希望している項目でございます。そこで、今度の過疎債につきましても、法案にも大体の目標は書いてございますけれども、そういうものであろうと思いますが、やはり道路関係が多いのじゃなかろうか。 それから、私の構想をもっていたしますれば、辺地の再編成、中心的村落の育成という点から考えますと、そこに対するところの各種の文化というとちょっと言い過ぎますけれども、一つの公共施設の整備、そういうようなもの、そうして地域社会の人間がそれを中心といたしまして、今後われわれの地域社会をひとつ育てていこうというようなために必要とする各般の公共施設、そういうふうなものを、これはばらばらではなくて、辺地の中心的なところに集結してやっていくというための資金、そういうようなものがやはり妥当なものじゃなかろうかと私としては考えております。
○鹿野委員長 安孫子参考人に対する質疑者として、山本弥之助君。
○山本(弥)委員 安孫子知事は時間の関係で非常にお忙しいようでございますが、簡潔に御意見を承りたいと存じます。 お話のございました第一点の過疎地域の地域指定について、一〇%を引き下げるということにつきましては、私全く同感でございます。 なお、私どもの考えといたしましては、この過疎現象というのは過密とうらはらでございますので、急激な経済の成長に伴いまして、過密に伴って、市町村の努力にもかかわらず過疎という現象が出ておるわけでありまして、これに対して積極的に国として総合的な対策を講ずべきである。したがって、今後農業県として立っていかなければならない東北地方の県といたしましては、過疎対策としていわば事後処置というような考え方ではなくて、積極的に生産基盤、それと生活基盤を整備をするという対策を講ずべきではないか。その意味から言いますと、すでに過密地帯におきましては農村地帯も含めて首都圏あるいは中部圏、近畿圏というふうに積極的な施策が進められておるわけでありまして、いわば地域指定ということではなしに、東北等におきましては将来の農業県としてアフターケア的な過疎対策ではなくて、その生業で集落なりあるいは自治体が成り立っていくという対策を、いわば過疎対策という広い意味で推進すべきではないか、私はこういうふうに考えておるわけです。その意味からいくと、地域指定というような、あるいは一定の条件を具備しておるものを指定をするということではなしに、積極的にそういうところに対する国の施策を立法措置を伴いながら行なうべきである。いままでの部分的な、あるいは多少の補助金のかき上げの山村振興だとか辺地教育に関する法律だとか、それらの問題をそのままにしておいて、さらにこま切れ的な過疎対策を、補助金のかき上げという、あるいは過疎債ということでさらに法制的に複雑化するということにつきまして、私ども十分了承できない点もあるわけであります。しかし、できるだけ対象地域を拡大するということにつきましては、少なくとも人口の流出の平均でありますところの七・五という線まで低下すべきであるということにつきましては、知事の御意見全く私は同感でありまして、ことにある程度まで出かせぎその他という変態的な体制にある農村地帯を持つ東北といたしましては、行政面から言いますと、挙家離村よりもなお行政面で困難な点を多くかかえておる、そういうふうに私は考えられますので、私どもといたしましては、この地域指定を極力下げるべきであるという意見を持っておりまして、これは知事さんの御意見と全く同感でございます。 そこで、時間がございませんので、この機会に知事さんにお伺いしたいのは、安孫子知事は農業につきましても非常に卓見をお持ちのようでありますが、今回の国会におきましても、都市計画その他に関連いたしまして、農業振興地域の整備に関する法律というのも通ったわけでありますが、これはあくまで農業地帯のいわばすべてにわたる農業の振興ということを目的といたしておるわけでありまして、いわば土地利用の工業地帯その他の区分において、ある程度耕地を確保しようという政策であって、農村地帯の振興をはかるという法案でもないわけでありますから、こういった法案よりも、むしろ過疎対策といたしましては政府として積極的に政府の立法をもって農業地帯を中心とする過疎対策を、いまばらばらになっております各省の行政を統合いたしまして、自治省が中心になるということも必要かもわかりませんが、いわば内閣の責任において過密と一体をなす過疎対策に取り組むべきであるというふうに私ども考えておりますが、この点につきましての知事さんの御意見を承りたいと思います。
○安孫子参考人 過疎問題の解決というようなことは非常にむずかしい問題であることは、もう申すまでもございません。そこで最初に申し上げましたとおりに、この特別立法で過疎問題がピリオドを打つのだというようなことではないだろう、そうあってはならない、私はこう考えます。しかし、少なくともこの立法は一つの前進である、当面の問題を措置するための有効な手がかりであるというふうに評価をいたしております。ただ、この立法が成立を見たからといって過疎問題が解消したんだ、政府の打つべき手はこれで十分尽くしたんだ、こういうことにはならないだろう。やはりその問題は日本の産業構造の問題、それから今後における日本の産業配置の問題あるいは日本の農業をどう展開していくか、そういうようなものとからめ、そしてこの過密と過疎が極端に対立しておる日本の現状をどういうふうに打開をしていくかという非常に高い立場から、それからまた日本の将来の産業のあり方という問題から真剣に取り組んでいく、それによって過密の問題も解消するであろうし、また過疎の問題も解消すべきである。これは表裏一体をなすものである。過疎だけを取り上げるべき問題じゃない。むしろ私は過密の分散というものに相当力を入れるべきじゃないか。いろいろ叫ばれてはおりますけれども、実効的手段というものを欠いておる現状だと思います。この過密の分散というものがおのずからまた過疎の解消にもつながる問題でございますから、これは両者合わせて別々の問題じゃなく、一括してより高度の政治的な判断から、それから日本の将来のあるべき姿というものから判断をいたしまして解決されるべき問題で、これこそが政府の最も力を入れるべき問題だろう、こういうふうに私は考えております。 そこで過疎地帯における農業の問題でございますけれども、いろいろな立法措置が講ぜられておりますが、申すまでもございませんけれども、日本の農業の最大の欠陥は、経営規模の非常な零細性というものがやはり宿命的にございます。もちろん過疎地帯におけるところの地理的な条件、それから農業の観点から見た開発すべき地域というものはまだまだございます。そういう点に対するところの投資をやはりこれから相当やって、そして経営規模の拡大をはかると同時に作目についての選定を地域に適応したものにしていく、こういうことによって過疎地帯の産業の振興というものは、農業の振興はある程度私は可能だろうと思いますが、同時にまたそれだけで他の部門におけるところの所得の水準と、私は同じと言いませんけれども、まああまりひけめをとらないような、そうした所得を確保きせるというためには、やはり過疎地帯の一つの集落、中心的な村落、そういうようなところに相当労働力を消化すべき産業を植えつけなければ、やはり過疎の安定というものはあり得ないだろう。これはやはり過密の分散の問題にも関連してまいります。そのための整備、そういうことになりますと、道路その他の先行的に投資をしなければならぬ問題が幾多出てまいります。そういうようなものを実現することによって、過疎の問題というものを、あるいは過疎地帯における農業の振興というようなものも可能性を持ってくる。こういうふうに考えておりますので、御所見につきまして私も大体そういう考え方を持っております点をお答え申し上げまして、あるいはピントがはずれておるかと存じますけれども、お答え申し上げておきたいと存じます。
○鹿野委員長 安孫子参考人には御多用中のところ本委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 次に、西沢参考人に対して山本弥之助君。
○山本(弥)委員 長野県の知事さんにお聞きいたしますが、ただいま東北を代表いたしまして安孫子知事は、少なくとも過疎地域の指定につきましては一〇%は高過ぎるというふうな御意見がございましたが、西沢知事も大体同意見のようでございます。ただ、この法案の成立について非常に御関心があるようでありまして、そのことによって多少やむを得ないというようなお考えに承ったわけでありますが、いまのこれから審議しようといいます過疎対策の法案は、本年度につきましては、直ちに市町村において計画の策定を始めるということになろうかと思いますけれども、実際は来年度の予算を過疎対策としてどう確保するかということに重点を置かれておるということが事実であります。過疎対策としては、相当全国の過疎に悩んでおる市町村としては、法案としては非常に無慈悲な、一定のある線以上は救われるけれども、それに近い線は救われないというような体制になる法案でありますので、できるだけアフターケア的なところから積極的に過疎地帯をこの際防止するというたてまえからいきますと、広く過疎地域が指定されるということが好ましいんじゃないか。法案というものは一応できますと、改正といいましても、予算が伴うわけでありまして、予算の伴わない法案というのは、過疎地域の市町村といたしましては魅力がないわけでありますので、今後の予算を確保するという意味、あるいは政府が予算を確保することによって過疎地域に対する対策、いままで十全を期していない過疎対策に対して、積極的に取り組むということを推進する意味におきましても、過疎地域の指定区域を拡大するということが当面きわめて重要な問題であって、不十分だけれども、とりあえず法案は必要である。これは来年度予算に関連いたしまして、来年度の国会におきましても、予算措置等の伴う法案の成立を期するということも十分間に合うわけでございますので、もう一度、長野県の実情とも関連いたしまして、過疎地域の指定はこうあるべきだという知事さんの御所信を承りたいと思います。
○西沢参考人 お答えいたします。 安孫子さんの答弁と私のと食い違うというか、ニュアンスが何か違うようにおとりになったと思いますけれども、冒頭にも申しましたように、私も安孫子さんの説に対しては同感でありまして、これは根本的にはそうなんであります。ただ私の心配しますのは、これは七・五%あるいは一〇%等の問題がありますけれども、君らがそういうかってなことを言うのだったらこの法律なんか通らないよということになれば、これはたいへんだと思いまして、そこでこれでも大きな前進であるからということと、もう一つは七・五%にきめても、あるいは七%の地帯がまた問題になるという、そのボーダーライン的なところはどうしても問題になると思います。また、事実私ども県でもって過疎対策を進めていく上において、おまえさんのところは一〇%以下だから過疎対策は行ないませんぞとか、あるいは七・五%にきまっても、七%だから過疎対策は必要ありませんというわけにはまいらないので、これは何がしかの方法をもってその地帯の過疎対策をやらなくちゃならない。それから先ほども申しましたように、一〇%以上、二〇%も三〇%近くも減っておるところもあるけれども、財政力の指数がちょっと上のためにこれに当てはまらない地帯もある。私の県でいえば、それは発電所がある地帯である。片いなかというか、山の中に発電所があるという地帯は恵まれた地帯といえない。かりに財政力指数が上であっても、その地帯もほっておくわけにいかない。あるいはまた大きく市町村の合併が行なわれまして市の区域に入ったけれども、旧町村単位に見ると、やはりその地帯は過疎対策を講じなければならないという地帯がありますから、かりに一〇%にきまったといたしましても何らかの——国においていまいろいろな特別立法もありますし、それから行財政等の処置もやっておられますから、そういうものをそういうところへ傾斜していただいて、実質的な過疎対策ができるように御配慮いただきたい。このことを特に私はあわせてお願いいたしたつもりでありまして、安孫子さんの申されたのと私のとは根本的には違っておるというつもりはございません。 それから、ついででありますけれども、先ほど、知事会などにおいて、過疎債に対してどのぐらいのワクというようなお尋ねがありましたけれども、知事会において、過疎債を幾らにしてもらいたいという具体的な数字はきまっておりません。ただ、いま二百億あるいは三百億、その程度を考慮されておるということでありますけれども、これはたいへんありがたいことであるけれども、しかし、過疎債というのがやはり過疎対策の中心をなすものであるから、これはなるべく多くというか大幅にふやしていただきたいという意向はきまっております。知事会の中に過疎対策の特別委員会を持っておって、私もそのメンバーでありまして、そういうところで検討いたしておりますけれども、そういうことがきまっております。 それから辺地債と過疎債との交付税との関連においてのお尋ねがありましたけれども、御承知のように、辺地債も最初はいまの過疎債と同じように五七%程度交付税で見てやる、こういうことでありました。これはほんとうにありがたい起債でありまして、このために辺境地帯がたいへん喜んでおります。それが今度八〇%に上げられたので、これまたたいへんありがたいのでありますけれども、ただ、いまのところ、ワクが順次ふえてはおりますけれども、この程度ではどうも私ども満足できないので、この点をふやしてもらいたい。これは過疎債と通ずるのでありますけれども……。そこで辺地債と過疎債との交付税の中におけるところの取り入れ度が違いますけれども、これはできるならば過疎債のほうも辺地債並みにしていただければたいへんありがたいのではないかと思っております。これは要望でございますので、御承知をいただきたいと思います。
○山本(弥)委員 もう一点知事さんにお伺いしたいと思うのでありますが、今回の法案そのものは補助金のかき上げと過疎債が中心になっておるわけであります。過疎債につきましては辺地債並みにという御意見は承ったわけでありますが、この補助金のかき上げの対象につきまして、さらに知事さんとしてお考えがあるかどうかという点が一点と、それからもう一つ、補助金なり辺地債だけでは過疎地域の市町村の自治体としての伸展をはかるということは、実際はなかなか容易なことではないと私は思っておりますが、知事さんは都道府県の関係雑誌に長野さんなんかと一緒に座談会をしておられるわけでありますが、いわばこういう過疎地域の体制をどういうふうに伸展の方向に向けていくかということについて、簡単でけっこうでございますから、知事さんとしての抱負を承りたい。この二点をお伺いしたいと思います。
○西沢参考人 過疎債、それから辺地債も共通だと思いますけれども、その用途につきましては、その地帯における公共投資あるいは先行投資的なものを重点にして、なるべく弾力的に、何に使ってもよろしいということはちょっと極端だと思いますけれども、メニュー方式のようなものにしていただいて、これに該当するものであれば使ってもよろしいという、そういう幅広いものにしていただければたいへんありがたいというふうに思っております。これは、辺地債についても、そういうことを自治省などにも強く要望しておるのでありますが、過疎債につきましても同じだと思います。 それから過疎対策。いろいろありますけれども、要するに過疎地帯というものを、極端にいうならば、近代化するといいますか合理化するといいますか、そういうことが過疎対策である。しからば近代化ということは何かというと、生産面もあるでありましょうし、そのほか社会保障あるいは教育の面等、いろいろあると思いますけれども、そういったもの等を全部総合いたしましてその地帯を近代化する、そこで暮らす人が人間らしい生活を、ときにエンジョイできるような、そういう環境をつくってやる、そういうことであろうと思います。それには、道路をはじめといたしまして、医療の問題であるとかあるいは教育の問題等、いろいろありますけれども、そういうものを集中的にそこへ持っていくということであろうというふうに思います。これは、言うはやすいけれども、実際問題としてはなかなか困難であります。やはり何としてもその市町村が立ち上がるという、そういう意欲といいますか、そういうことが必要でありまして、それをバックアップするという、そういう体制でなければいけない。私の県では、とりあえず全県下に八町村を指定いたしまして、それをモデル地区として、それぞれ八つの町村がカラーを出して、上から画一的なものを与えるのではなくて、下のほうから盛り上がるところのものをわれわれのほうでバックアップしていこう、そういう体制がよろしいのではないかということで、意欲のあるところ、熱意のあるところ、そういうものを八町村指定をいたしまして、そこで過疎対策というものの見本を示そうということでいまやっておりまして、いろいろバラエティに富んだものができると思いますけれども、いずれにいたしましても、冒頭に申しましたように、近代化するといいますか、そういう方向へ持っていこうということでありまして、それにいま国なり県の施策を傾斜する、集中する、こういうことであろうと思います。その中において一番問題になるのが財政の問題でありまして、それの中心をなすものが過疎債であるというふうに判断をきれますので、そういうふうに申し上げたのでありますが、過疎債一本で過疎対策が全部解決するなどというふうには思っておりませんけれども、盛り上がる意欲、それに対するバックアップというものによって近代化していくということであろうと思っております。
○鹿野委員長 西沢参考人には御多用中のところ本委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 次に、大谷参考人にお願いいたします。
○大谷参考人 本日、過疎地域の振興の問題につきまして、国会の諸先生方に格別の御理解をいただいておりますことを、衷心より厚くお礼申し上げたいと思っております。 過疎といえばまず島根県、島根県の中でも匹見町というほどに、過疎では匹見は全国にうれしくない名前をはせておりますことを、まことに恥ずかしく思っておるわけでございますけれども、しかしながら山村の問題で、死角になっておる、政治、行政の日の当たらないところに、このような問題が大きく、あたたかい日を当てていただくというような時節になりましたことも、都市問題がやかましくなっておるその対極の問題であるというところにあろうかと思います。いろいろ人の話を聞きますと、高度成長経済における一卵性双性児である、一つの卵から出たふたごであるというふうなことをいわれておるし、あるいは高度成長経済の恥部であるということもいわれておりますけれども、いずれにしましても国民総生産五十一兆円という世界第二位の実績をあげたことは、私は日本の山村におけるこうしたような問題が起きておる若年労働力の流出のおかげであるということを、山村町村として声を高らかに胸を張って言える問題であろう、私はそのように解釈をしておる者の一人でございます。特に私のところの場合だけを中心に申し上げますけれども、四十年度の国勢調査におきまして二六・九%の人口減少率を見たのでございます。あわてまして、きっそくどういうところに原因があるかということを追跡をいたしますと、三十八年豪雪においてはなはだしいところで半年、もっと便利のいいところにおいても数カ月というもの豪雪の中に閉じ込められて、働く意欲を持っていても、それだけの体力、精神力を持っていても働くことができ得なかったという問題。さらに三十八年豪雪というものが無防備の中に来て、そのまま根雪になって、五月のときまで雪があったというふうに、非常にショックを与えたこと、さらに引き続いて四十年あるいは四十一年の連続災害、こういうようなものが起きましたので、このような天災の連続するような地域よりは、中国山脈を越えた山陽側におけるいわゆる太平洋メガロポリス地帯における高度成長経済の姿を見ましたり、あるいはテレビというようなマスコミを通して、自分の生活と都市における繁栄の姿あるいは働いている所得の数字等を見ますと、やはり何か自分の生まれ故郷を越えていくことのほうに——現在の若い人たちあるいは若い人たちを中心にした、挙家離村もそうでございますが、そういうふうな、近いところにそういうところがあったということでございます。そのことが要するに山陰型の挙家離村を伴う過疎現象であろうかと思うわけでございます。先ほど出ました東北の出かせぎの問題は、自分の農業経営が規模が大きいという問題、家族関係とかあるいは地縁の関係、歴史的な問題等ございまして、何かその中に自然にどっしりとした農村という一つの重みを持っておりますけれども、山陰型といいますか、つい山を一つ越えればもう高度成長の繁栄がかいま見えるというような状態で、そういう山陰型の過疎現象あるいは東北型の過疎現象という違いが出ておることであろうと思います。 私たちのところで申し上げますと、先ほども出かせぎの率が出ましたけれども、東北では二ないし三%であるけれども、島根は〇・七であるということでございました。しかしながら出かせぎによって入ってくる金は、いろいろマスコミを通しますと、第四産業といわれるほどの、米作収入に匹敵するだけの所得が入ってくるわけでございます。われわれのところはそうでないし、また同じ出かせぎに伴います六カ月の失業保険の適用の問題についても、東北にはかなりゆるやかなる適用が認められておるのにかかわらず、われわれのところでは、村の中で、町営で林業をやっておりますが、その失業保険の適用の問題でも、かなり県の担当の課長さんと論議をしなければ失業保険の適用がいただけないというような、そのような状態でございますので、一がいに言えない。やはり過疎現象というものは、その原因あるいは地理的な条件によっていろいろ複雑な様相をなしておるということが言えると思うわけでございます。 特にわれわれが心配でたまらないことは、出かせぎをしておるのでなくして、挙家離村に出ましたところの過疎現象のあとに残された耕地が、全く残された農家の人たちの経営拡大の中に結びつかないわけでございます。それは挙家離村した者は必ずしも成功者だけではございません。土地を離れた者の弱さというものは身にしみるので、その残存耕地というものは、まず自分が出ておりますのでつくらない、その次には人に貸さない、売らない。私はそのことを寝てかかると言っておりますけれども、全く寝てかかった状態でございます。これでは山村の耕地がスプロール現象を起こしまして、日本の国土が荒廃をするということでもございますので、本年度は挙家離村をした農家を追跡をいたしまして、少なくとも町がその管理をするようにしようという考え方を持っております。それがよくマスコミやその他に出てきますように、ススキのかなたの中に廃屋が並んでいるような写真が出て、われわれの町民から、そっとする風景が出るので、あのようなことに協力してはならないといっていろいろしかられておりますけれども、事実があるのでこれもやむを得ないと思っております。 このような状態の中におります私といたしましては、四十二年度に匹見町の町政振興基本計画という五カ年計画を立てまして、それで何とかこの対策をとろうという考え方で、町が責任を持てる対策、あるいは農林団体、産業団体等が責任を持つところのいわゆる誘導施策の問題、こういう二つに分けてその対策をとってまいりましたけれども、それはやはり国や県の恩恵を受けない自主独立の、自分だけの力によるところのものでございますので、大きな力にはなっておりませんけれども、しかしながらいま匹見町におきましての町政振興の基本的な原則は、やはり匹見町が立てました四十二年度におきまする基本計画でございます。ここに資料がございますので、あとに残して帰りたいと思っております。 さらにまた山村振興法が出ましたので、山村振興法第二次の年に適用を受けまして、いま三年目でございます。しかしながらこの山村振興法もようやく四年目を迎えておりますけれども、適用町村の多い関係上、いろいろな国の御援助の道が、当初の計画より減少しております。当初は一町村建設省関係については五千万円、農林省の関係については三千万円といわれておりますけれども、私らのところで四千六百万円程度がいずれもいただけることになっておりますけれども、それが実際手続をとりますと建設省関係が一年八百万円そこらしかいただけないということになると、四千六百万円もらうのが四カ年で三千四、五百万円、現在指定を受けておる町村に至ってはもっとはなはだしい金額ではないかというほどになっておるのでございます。したがって山村振興法によって山村が振興するということは、われわれの考え方としてはいききか困難性があるやに思っております。 いずれにいたしましても、町といたしましては、国の援助措置のある山村振興計画と町が自前で立てました振興基本計画との二つを車の両輪のごとくにして振興をはかっていこうという形で、いまどろんこになって町政を運営しておるわけでございます。その中で、やはり資金がないから困るというような面から、私は緑の工場といって、造林事業を行なっております。島根県におきましては一町村一工場というようなキャッチフレーズのもとに、いわゆる縫製工場その他の小さい企業の誘致をなされておりましたけれども、担当の課長と県に出向いて相談をしたところが、おまえのところは国道が一ミリも通っておらぬ、鉄道が一センチも通っておらない、そのような山の中でもって、しかもでこぼこの県道では、企業誘致をしたところで行くものはおりやしないというようなことでございましたので、むべなるかなと思って、現在は造林事業を中心にしております。一千二百ヘクタールという実行面積を行なっておりまして、昨年度におきましては、森林開発公団の全国一位という成績で表彰も受けましたけれども、これすらも将来の資金造成といいますか、財産造成の意味でやっておることではなくして、町民にただで金を配るわけにはいきませんし、また製炭者その他が職業がないというような場合について、町の公有林が二千九百ヘクタールございますが、この二千九百ヘクタールの造林事業と、また働く人たちはおるけれども町有林がないときについては、部落の部落有林あるいは山林所有者の方々の了解をいただいて、三者契約によるところの造林事業を行なって、町有林を含めて一千二百ヘクタールの実行面積を行なっておるわけでございます。そうして百人ばかりの常用をいたしております。 また、将来の分収金はかなりな巨額な金額が入ります。おそらく二十五億以上の金が町の中に入ってきますけれども、われわれは四十年先、四十五年先にはもうこの世の中におりませんし、いまの子弟がわれわれの恩恵を受けて、喜んでわれわれの意思を受け継ぐというほど私は期待もかけておりません。 しかしながら働いておる人たち、あるいは山林労務者がおるから山が美しくなっていくんだというような意味からして、働く人たちの企業年金制度を行なっております。このことはある生命保険会社と組みまして、企業年金制度で一人月額千円で、一万二千円の年額でございます。その半額を町費で助成して、五十万円ばかりの計上をしている。いま一番年の若いのが、十八歳の青年が労務者になっておりますが、これが六十五歳の定年のときには月に三万五千七百円の年金が十年間もらえることにしております。そうすると、国の年金がそのころは少なくて二万円ぐらいになるといえば、匹見町という山の中で六十五歳になったときの青年は、五万五千円をもって左うちわでやっていけるんじゃないかというふうな意味で、非常に喜んでいただいておりますと同時に、また青年帰郷のUターン現象すらも出ておる現状でございます。そのことは、造林事業というような息の長い問題と取り組んでおるものにつきましても、何かこの辺について、現在農林金融債とかその他等ございますけれども、もっと長期で低利な融資の道を開いていただいて、特に山林が荒廃をしておりまする現在において、やはり山村の振興といものは造林という産業を中心にしていくことが日本の国土を緑に返す、豊かな空間をつくることこそが大切な使命であると考えますので、そういう面で、そういうような事業ができるように格段に御配慮をいただきたいと思っております。 何ぶんにも匹見町は三百平方キロという広い面積でございますので、山村振興法の適用を受けまするときにはっきり割り切って、私はいわゆるへそ地区をつくろうという提唱をしておるわけでございます。そのことは、三カ村集まった村でございますので、旧村の役場所在地を中心にして半径二キロの円を開いて、それがへそであるということで、その三つのへそをじゅず状に近接の都市につないでいって振興をはかろうということで、その他の、いまのへその地区からはずれたところは後背地として農林業の振興に助成をいたしましょう、公共投資その他のような形における施設投資は一切へその中に行ないますよということで、現在そのようなことで了解を得てやっております。その中でも特に、現在役場の所在地がございますところに、先般、豪雪山村開発総合センターというものがりっぱにできたわけでございますが、それすらも近接のある町村役場の職員が、豪雪センターとは農民が冬ごもりをするところか、あるいはじゅうたんの上を農民は恐縮しておそるおそる歩いているというふうな皮肉なことも新聞に出たとか出ないとかいうふうなことでございますけれども、百姓の人たちが、町民が、じゅうたんの上を歩けないほどの卑屈感は持っておりませんし、また冬ごもりをするようなところではなくして、先般も農家の年寄りの方たちにも来ていただいて、泣いて喜んでいただいておるというのが実情でございます。 そういたしますと、過疎地域の振興の問題についても、やはり拠点を与えてやって、その拠点の開発に資するところの、その拠点と隣接の都市との間の道路整備をしてやることが大切であろう。現在いわれております広域市町村圏の問題あるいは生活圏の構想の問題等、みなそういうふうな考え方であろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、へそ地区とか、あるいは核集落であろうが核地区であろうが、名前はともかくといたしましても、その村の中心になる、開発の拠点になるようなところをつくっていかなければ過疎対策も山村振興もならないものだというふうに私は思っております。 人口の減少とか、そういうことについては申し上げません。 ただ、現在どういう面が困っているかということを申し上げますと、第一点は交通、道路の問題でございます。都会へ行くほど道路は整備をきれておって、住民にかかるところの負担は非常に軽いわけでございます。山へ行くほど道路は悪くして、またその負担率が非常に高い。われわれといたしましては、銀座であれほどの地価が上がるんなら、銀座のところをしっかりと地元負担金をかけるべきであるのに、銀座には一つも道路整備に対する地元負担金はかけられない。山のようなところについては地元負担金がかなりかかるというようなことはあまりにも——私はたまには上京したときは銀座を歩きますけれども、その辺のいわゆる地元負担、受益者負担についていききか公平が欠けたような感じを持つのも、山村町村である私のひがみかもわかりませんが、そういうふうな状態でございます。 さらにもう一つの問題は、道路とは、ウサギが通る道路とかあるいはそろばん道路だとか、でこぼこ道路だとか砂漠道路とか、いろいろなことをいわれておりますけれども、私はやはりアスファルトをされた道路こそがほんとうの道路であろうかと思います。そういたしますと、やはり隣接の都市とその村の中心であるへそとかあるいは核集落とか、そういうふうなところには少なくとも国の御援助によって、まず優先的にその間の舗装道路を一本だけつけておくということが必要であろう。今度の措置法等を見ますと、幹線道路の指定を受ければ知事さんが責任を持って事業をおやりになるというふうなことでございますが、それはその地域内のことでございますので、地域の中の中心の集落と隣接の都市とがそういうような形で結ばれるように、その辺に格段の御配慮をいただきたいと思うわけでございます。道路はやはり住民生活の庭であり、生産の動脈であり、生活や文化における必要欠くべからざるところの一つの導入路でございます。しかも、道路を整備することによって都市からはずれたところの距離を縮こめることはできないけれども、道路整備によって経済的な時間距離の短縮はできるわけでございます。 私どものところで現在自動車を持っておるものが、昨年の春に調べましたところが、農家が五・一戸で一台の自動車を持ったわけでございます。ところが、先般御存じのように石見交通というバス会社がございますが、それが連続三日のストライキを繰り返しをされたというような関係で、ちょうど上京するまでに調べたところが、二・六七戸で一台の自動車の普及の状態になっておるのでございます。そのことは、いなかの過疎地帯におけるバス企業というものは成り立たないということでございます。成り立たないからといってストでいろいろ迷惑をかけると、住民は金があるとかないとかでなく、自衛手段として、自分の生活は自分で守るよりしかたがないということで、山を少し奮発をして売って、その金で自動車を買うということになるわけでございます。したがって、自動車を持たせること、あるいは自動車を持っていただければまず挙家離村はしないというふうにわれわれは考えておるわけで、台がきれいになって、自動車が入れば、あそこの家は挙家離村はしないのだというふうに解釈をするほどに、自動車の普及ということが山村住民をそこに定着きせるところの一つの生活上の必要欠くべからざるところの用具になっておるわけでございます。したがって、いまそういうような人たちの利便をはかる上におきましても、やはり道路の整備ということ、いわゆる舗装道路による整備というものは必要であろうかと思います。一番遠くへ行ったのを調べてみますと、南に向けて鹿児島に行ったのがございます。東へ向けては名古屋まで行っております。匹見町という山の中での自動車を持った行動半径というものはそれほど広い広がりを持っていることからいたしましても、山村における道路という問題は簡単でない、非常にウエートの高い、喜ばれるものであるということを御認識いただきたいと思うわけでございます。 さらにもう一つは教育の問題でございますけれども、現在若年労働力が出ております関係上、子供を生産する能力の薄い者ばかりがおります関係上、学校に非常に難儀な問題が出ております。中学校が三つ、四つありまして、そうしてそこで寄宿舎を持っておりますけれども、その寄宿舎の維持費につきましても純町費を五百万円ばかり超過負担として継ぎ足しをしなければならない。小学校が十三ございますけれども、三百平方キロの中にございますので、はなはだしいところは生徒が四名で一校というのもございます。六名で先生一人の分校場もございます。それなら統合すればいいじゃないかという問題でございますが、統合することは簡単でありますけれども、統合することによってその集落を崩壊に追い込むということは、やはりがんばっている住民の心理の上からいきましても、力ずくでやるべきではないというふうな意味で、われわれはそのように考えております。 教育の問題については、私はほかの新聞にも出しましたけれども、いなかの町長はちょうどチャボみたいなもので、卵をふ化することが上手であるから、しっかりふ化をしろ、戦争中はああしたような、兵隊さんにしっかり出し、あるいは戦後において労働力を全部出したわけでございますけれども、しかしせっかくふ化したものが、出てみればみんなヘビであって、都会という池の中からなかなかいなかのチャボの巣の中に帰ってこないというような意味からしますれば、私は何も山村の町村長はふ化能力のいいチャボではないわけでございまするし、また農山村がふ卵器であってはならないと思うわけでございます。 そういうような意味からいたしましても、やはり人間尊重ということばが叫ばれる限りは、やはり都市と同じような豊かな恩恵を受けられるように山村地域の開発ということが行なわるべきであろうと思っておりますし、あるいは教育の問題につきましても住民とひざを交えて、納得したところで教育の統合、学校校舎の統合というようなものを行なうことにいたしております。あるいは保育所等も行なっておりますが、保育所には六百三十万円出しております。教育の小中学校の関係と保育所だけで一千百万円という超過負担を行なっておるわけでございます。 さらにまた国民健康保険の運営にいたしましては、直営診療所を二つ持っておりますけれども、一つは無医地区でございます。それすらも直覚診療所の赤字が六百万円ばかりございます。これらの問題も、健康保険については関係ございませんけれども、国民健康保険は健保をはずれた方々で、要するに成人病という長い、一挙にはなおらないような病気の方々がみんな国保の対象者になられるということで、今後、将来における国民健康保険の運営というものは非常に悩みの種でございます。 それから農林業の振興の問題等につきましては、別な機会に私は申し上げたこともあるわけでございますけれども、現在の農協と森林組合が別々でございます。役員はほとんど同じでございます。農協はいわゆる流通の中にあぐらをかくとか、あるいは森林組合は睡眠組合だとか、いろいろな悪口も出ておりますが、いずれにいたしましてもそれらの団体が、地域によれる産業団体が地域の産業の振興の上に役立つようにするためには、ああいうようなこだわりを持たずして、農協と森林組合が共通の役員の中に、一つの考え方の上に立って村の振興をするということになれば、もっとよりよく合理的に効果のあがるような運営ができるのではないかというふうに私は思っております。しかしながらこれらも法の関係上なかなかできませんけれども、私をして言わしめれば、金融機関を持っておる右の看板は農協で、左の看板は森林組合を掲げておいて、組合長は農協の組合長、常務は森林組合長というふうな形でもでき得るものでございます。そのでき得ることができ得ないような状態の中にあることを非常に残念に思っております。いずれにいたしましても、山村の狭い中におけるそうしたような総合運営ができるように、またそういうような配慮の道もあけていただきたいと思うわけでございます。 ただ、問題は、先ほど長野の知事さんもおっしゃいましたように、要はそのところにおる住民の意欲といいますか、意識いかんがやはりほんとうの過疎地域の振興、あるいは山村の振興につながる問題だと思っております。とかく山の中におる者は、パール・バックの「大地」の農民心理ではございませんけれども、どうも自立心よりは依頼心が強いし、人を信頼するよりは疑心暗鬼のほうに傾きやすいわけでございます。したがって、義務の履行の問題よりは権利の主張が先になるというようなことはいなめない事実でございます。 私もこの間から町内のいろいろな会合をのぞきます場合に、過疎現象を起こしておるところの人たちに、皆さん方が一番悪いことをひとつこれからやめていただきたいということを訴えて、そのととは、まず住む気がない、自分の村の中に、匹見町の中に住む気がない、住む気を起こしなさい、もう一つは学ぶ気がない、もっと世間のことを学んで、井戸のカワズであってはいけないから学びましょう。そうして住む気を持ち、学ぶ気を持ったならば、立ち上がってひとつやる気を起こしましょう。——要するにこれを三種のせぬ気といいますが、三種の神器ならいただけるけれども、三種のせぬ気はいただけないから、どうかひとつそういうことのないように、新しい三種の新気でひとつやりましょう、する気でいきましょうということで、大いにやろうということで、たまたま豪雪センターもできましたので、いろいろな会合を通してそういうふうに住民意識の高揚をはかっておりますけれども、たまたまそういうような声にこたえていただいているような現状であるわけでございます。 いずれにいたしましても、山村における特に過疎問題という難儀な問題は一挙に解決できる問題ではございません。あるいはその対策はばんそうこうのこう薬ばりであるとか、あるいはびほう策であるとか対症療法であるとかいわれておりますけれども、それなら根本的な解決がすぐない限り、あるいは現在の問題は解決が不可能である、非常に困難な問題だからといって山村をこのままに放置しておいていいという問題ではなかろうかと私は思うわけでございます。二十一世紀の繁栄というものは、都会だけのものではなくて日本国民全体の者が受けるべきものであろうかというふうに思っております。豊かさへの挑戦というようなことばがこのごろ出ておりますけれども、ほんとうの豊かさへの挑戦ということは、過疎問題を挙党あげて各会派の皆さま方がいろいろな感情を越えられて取り組み合っていただいて、ほんとうにわれわれ山村の者がその意欲にこたえて存分に足をふんばって、過疎対策ができるように過疎立法を実現していただくことこそがきわめて大切であるというふうに思っておるわけでございます。 まことにぶしつけなことばかりを申し上げて失礼でございますけれども、豪雪センターをこしらえましたその銘の中に、どんなに見ても聞いてもしゃべっても、それはしたことにはならない、したことだけがしたことになるということばを私は入れたわけでございます。どんなに見たり聞いたりしゃべっても、したことにはならない、したことだけがしたことになる。私たちは過疎の問題についてどろんこになって真剣に立ち上がっていこうと、また全国の中の七百七十六の町村の中で私は最右翼のりっぱな過疎の村づくりをしてみせるという意欲に燃えている者の一人でございます。どうかそのひなびた山村におります私の心を裏切らないように、われわれのその勇気を、われわれのその気持ちを生かしていただくように、過疎立法がぜひ実現いたしますように皆さま方の格別の御尽力をお願いを申し上げて意見を終わりたいと思います。(拍手)
○鹿野委員長 次に、柴田参考人にお願いいたします。
○柴田参考人 私は、ただいま御紹介いただきました岩手県の町村議会議長会の柴田でございます。 本日は、衆議院地方行政委員会で過疎問題について参考人として意見を述べる機会を与えられまして、まことに光栄に存じます。 まず、本県の過疎現象として県の総人口の動きを見ますと、現実に減り始めたのは、昭和三十七年ごろからで、前年度に比較して三十八年には約三千人の減、三十九年には約六千人、四十年には約二万八千人をピークに四十一年には約一万五千人、四十二年には約四千人、四十三年には六千四百人と減り続けております。これを市町村別に見ますと、三十五年と四十年の国勢調査で比較いたしますと、六十三市町村のうちふえた市町村数は十一でありますが、減った市町村が大半で五十二を数えております。うち減少率五%以下が十八、五%から一〇%までが二十四、一〇%以上が十カ町村であり、町村によっては極度に過疎化現象をあらわしております。いずれにしても、三十五年から昨年の四十三年十月までに、町村にあっては約八万人の減であり、市部においては一万七千人の増を見ておりますが、総体として約六万三千人ほど減った勘定になります。 さらに、こうした人口の動きを社会的増減で見ますならば、転入と転出の差し引きにおいて昭和三十六年以降毎年のように約二万人が減少し、四十二年には一万八千人を数えております。これらには中学校、高等学校の若い労働力が約一万人を数え、さらに統計上にあらわれない季節出かせぎ者が約三万人に達し、年間約五万人が県外に流出しておるものと見ております。こうした若い、特に男子の流出によって、総人口において県内総人口の女性化が強められ、四十二年度においては女性人口が男性より約五万人ほど超過しておる現況でございます。これが人口の自然増加の低下と相まって若い労働力が県外に流出することから人口の再生産が停滞し、過疎化に一そう拍車をかけることになりまして、一方県内総人口の老齢化をたどるなど、これが今後生産活動に大きく影響するものと憂慮にたえないところであります。 こうして毎年のように約五万人を数える労働力が県外に流出することは、余剰労働力と見られ、それだけ、農村地帯においては兼業農家がふえて、一面自立農家の育成に役立っているかのように見えますが、しかし、兼業農家の多くは出かせぎという不安定な魅力のない職種につかざるを得ないという出かせぎに伴う暗い社会問題や、また子弟の教育に悪影響を及ぼすなど、また、中学校、高校の新規卒業者がいなかから大都会にあこがれて出たものの、ほとんどは下積みの職場につくことから、一年後、二年後には職を転々と変え、最後には悪の道に入るなど、ゆゆしい社会問題がひそんでおります。 私は、何とかして地場産業を興し、通勤型の就業の機会を多く与えるような施策が過疎対策の第一歩ではないかと考えているものであります。ただ出るものは出た方がよいというのではなく、地域開発を一そう進めて、国土の均衡ある発展をはかる方向に過疎対策があるべきではないかと考えるものであります。 次に、過疎地域対策特別措置法案の内容について意見を申し上げたいと存じます。 まず、自由民主党並びに関係団体が、法案の作成に鋭意努力され今国会に提案されたことに対しまして、深く敬意を表するものでありますが、本法案の目的を見ますときに、人口流出後の過疎地帯の残留者対策に終始している感を強うするものであります。これでは、おくれる地域はいつまでもおくれ、国土の均衡ある発展を期せられないのではないか、やはりこの法案の目的は、ききに申し上げたように地域開発を積極的に進め、人口流出の歯どめ対策となるよう、この際これまでの地域開発関係法律、たとえば山村振興法、離島振興法並びに低工法などを多少整理してこの法案に組み入れ、地域開発法案としての性格を持たせるよう関係各省庁等の御協議を深めるよう望んでやみません。 次に、第二条の対象市町村でありますが、法案によると、本県が九カ町村、東北が七十五、北海道が七十一であるのに、九州が二百十七、中国が百四十六、四国が九十三、これら三地域で四百五十六市町村と、対象総合計の約六割にも達しております。この法案の恩恵が西日本のためという感を強ういたしますが、これは西日本の人口流出が昭和三十年ごろから始まっておるのに、本県をはじめ東北地方の流出が昭和三十六年ごろから動き始めたことからくるズレと見られますが、東北といたしましては減少率を七・五%に引き下げ、さらに対象事業実施地域範囲を地域社会を構成する住民の生活圏域の単位である旧市町村に引き下げて、きめこまかな対策を講ぜられるよう希望してやみません。 次に、一口に過疎対策といっても、関係各省庁にまたがる事業が多いことから、内閣に関係閣僚を網羅した過疎対策本部を設けて、窓口の一本化をはかっていただきたい。これは、これまでも指摘されておりますように、わが国の行政機構が縦割りになっておるため各省庁のセクト主義が強く、実効をあげていない弊害を是正するためにも、また、今後過疎対策を国策として強力に打ち出すためにもこの際何らかの総合調整機関を設置し、法案成立後の過疎対策が真に実効のあがる体制をとられることを期待するものであります。こうした考え方に立ちますと、第六条の自治大臣の関係行政機関の長の協力規定があまりにも弱く感ぜられます。自治大臣が過疎対策本部の決定に従って関係行政機関の長に協力を求めたときは、各省庁が計画の実施に必要な予算措置をはかることを義務づけるぐらいの内容を法案に盛り込み、各省庁が一致協力して、過疎対策に本腰を入れる強力な行政機構が確立されるよう期待してやみません。 次に、第三章には、過疎地域振興のための財政上の特別措置が規定されておりますが、このうち八条には国の負担または補助の特例として、義務教育諸学校施設費国庫負担法による小・中学校の統廃合のための建築、児童福祉法による保育所の建設、消防施設強化促進法による機械器具等の購入または設置等に対し高率補助の適用をうたっておりますが、これでは不十分で、少なくとも、へき地教育振興法第三条各号に掲げる費用をはじめ、農山村の生活水準を高め、生活環境整備をはかるため、いろいろな事業が考えられましょうがそのうちでも最も大切な水道法第四十四条にかかげる簡易水道にかかる費用を是非追加してそれぞれ三分の二の高率補助とし、さらに先ほど申し上げましたとおり、この法案が真に地域開発法案にふさわしいものにするためには、どうしても農林漁業構造改善事業にかかる費用をはじめ、道路、港湾、漁港等に対する費用も本条に組み入れて、高率補助の適用範囲をもっと拡大していただきたいのであります。 次に、第九条には過疎地域振興のため地方債をもって財源とすることを規定しておりますが、さらにこの内容に、市町村が積極的に地域開発のため工場の誘致をはかり、安定的な雇用の増大をはかるため先行投資として取得した用地並びに施設、または社会環境施設整備のための簡易水道事業、その他青少年向きの慰安施設等も地方債の対象とし、さらにこれら地方債にかかる元利償還に要する経費については地方交付税に算定される基準財政需要額の算入率が、法案では五七%となっておりますが、これを七〇%ぐらいに引き上げて過疎市町村の財政負担の軽減をはかっていただきたいのであります。 御承知のように、今国会で地方交付税法の一部が改正され、辺地債に対する導入率が八〇%に引き上げられたと聞いております。この過疎債と辺地債の性格または位置づけをどうするか、私も十分勉強しておりませんが、辺地債がいわゆる奥地山村を対象にきめこまかく取り上げているのに、過疎債はむしろこれらを含めて過疎市町村全域にわたって総合的な基本構想による事業を対象にし、さらに過疎市町村の財政負担の軽減をはかることを大きな目的とするなら、法案の五七%では過少であり、少なくともこれを七〇%ぐらいまで引き上げて、過疎市町村に対し愛の手を差し伸べていただきたいのであります。 また、これまで地方債を財源として建設した小・中学校等の施設が、過疎対策として統廃合された場合、かつての地方債の元利未償還額をいまだにかかえている場合には、未償還額を地方交付税の基準財政需要額で算定し、災害に準じたような高率の算入率とされるようぜひこの際お願い申し上げたいのであります。 次に、第十条では国の資金の確保等について定めておりますが、私たちの立場で見ますと訓示規定にとどまって非常に弱い規定に見られますので、国が道路五カ年計画で見られますように総合的な過疎対策五カ年計画を閣議で決定し、これを国会に報告する等、総合的な資金の確保について、もっと明確に打ち出す強力な規定とされたいのであります。 次に、第四章では、過疎地域振興のための特別措置として、第十一条に市町村道などの基幹道路の整備をうたい、都道府県が負担し、さらに高率補助の適用をはかるなど、まことにありがたい措置だと考えておりますが、これらの措置に準じて、私は集落の再整備事業を第四章でぜひ取り上げてもらいたいと考えております。 一口に集落の再編成といっても、現行法では何一つ補助の道もなく、その多くは末端市町村で行なうことになりますと、関係住民、市町村にとって大きな負担であります。私は、おそらく市町村の財政では不可能だと考えております。いま本県の沢内村でもこの事業の計画に取りかかっておりますが、住民並びに村費負担で、思うように計画が進まないと聞いております。この際、これらの事業を第四章で追加し、これに伴う農道、林道、土地改良事業等の新設または改築など、移転後の残務整理についても都道府県がめんどうを見るような取り扱いとされるよう望んでやまないのであります。 次に、第十二条の医療の確保でありますが、これまで市町村の仕事とされていました診療所、定期巡回診療及び公的医療機関の協力体制の整備に都道府県が積極的に乗り出し、これまで過疎市町村が多年にわたって悩んでいる問題が解消されるような規定ですが、しかし、現実問題として、過疎地帯に定着することをきらう医師そのものをどう確保するかが非常に重要な問題と考えられます。 過疎地域の医師の確保のためには、まず、国立医科大学の定員をふやし、あわせて、国が私立医科大学に財政援助の道を開いて、過疎地域向きに、一定期間交代でもけっこうでありますから、派遣医師の優遇をはかりながら確保する何らかの対策を講じないことには、第十二条の規定が空文に終わることを憂慮するものであります。 次に、法案の内容からやや離れますけれども、現行の地方交付税制度は、その算定基準の多くを人口数でとらえております。今後過疎地域においては人口の流出が、当分、相当の期間にわたって続くものと私たちは見ております。したがって、人口減少によって地方交付税の減少が必至でありますが、これから集落の再編成、小・中学校の統廃合、老人対策、消防の常備化、都市と同一水準の社会環境づくりなど財政需要が切迫いたしておりますので、これまでの段階補正等を一そう強化するなどの何らかの特別措置を法案で明記されるよう願ってやまないものであります。 私は、最後に、過疎と過密現象は不離一体で、一卵性双性児だという見方もありますが、せっかくこのように過疎対策のための立法措置を講じても、過密地帯への人口流入を放置するようでは片手落ちではないかとも考えるものであります。 もちろん、資本主義経済下にあって集中と集積による利益が経済の法則とされ、賃金の低いところから高いところに人口が移動することはやむを得ないとしても、今日の過密地帯の弊害を見ますときに、政府はもっと工場等の地方分散を行政の力で誘導するよう強力に打ち出すことを期待してやみません。法案の租税特別措置法による特例にとどまらず、政府は、新産業都市の特定地域に限定せず、過密地帯から地方に分散する工場等の便をはかるため工場用地、住宅用地、道路港湾を整備し、さらに長期低利の金融措置をはかるなど、あるいは工場等が使用する電力料金を一定の期間、その半分は政府がめんどうを見るぐらいの積極的な姿勢があってもよいと思うものであります。これがまた東北地方のように、これから開発のいかんによって明るい希望の持てる地域にとっては、ききに申し上げたとおり、この法案をして地域開発的性格を持たせるように、さらに過密の弊害を解決することをこの法案に盛り込む方策を打ち出されるよう衷心よりお願いを申し上げるのであります。 どうも岩手、東北の立場ばかり申し上げたようでございまして、たいへん失礼いたしたわけでありますが、どうか諸先生各位の御理解をお願い申し上げまして、御参考にもなれば全く私の光栄といたすところでございます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○鹿野委員長 次に、内藤参考人にお願いいたします。
○内藤参考人 昭和三十年代の日本経済の高度成長とのうらはらの関係で、この過疎問題が提起されまして十年以上経過してまいりました。あるいは昭和四十年の国勢調査の結果が明らかになりまして、一般の人々に過疎という問題が意識され始めましてから五年を経過しようとしております。この時点にありまして、今回議員提案の形でこうした特別立法が出されましたこと、いってみればおそきに失した、こういうことも言えるわけでございますが、私、それなりに大きく高く評価したいと思いますし、また、こういったものを第一歩といたしまして、出発点としていただきまして、そしてすみやかなる成立あるいはさらに拡充強化をお願いしたいわけでございます。 そういうふうな立場から、二、三運用につきましての意見なり、あるいは補強していただけるならば、そういった点を御考慮願いましてと、こういう期待を込めながら意見を述べきしていただきたいと思っております。 第一点といたしまして思います点は、ただ単に問題を人口の急激な減少、こういう点に置きまして、人口の過度の減少を防止するということが第一条の目的でうたわれております。そうだといたしますと、出ようとする者を引きとめることがおもな目的であるかのようにうかがえてくるわけでございます。いま必要なことは、むしろ残った者、踏みとどまってがんばろうとしている者に対しまして、どのように積極的に対処するかという、こういった基本的な態度というものが必要になってくるような気がいたします。そういう角度での前向きなものとしての運用を期待するわけでございます。 そのためには、十年間はこれで何とかというふうな時限立法的なものからさらに進みまして、二十一世紀の日本列島のビジョンの中で、いま過疎が問題になっておりますような、農山村がいかなる位置づけを持ち、どのような役割りを果たすか、こういうふうな点につきまして、国全体としての明確な展望を描いていただく。たとえば新しい全国総合開発計画なり改定されました経済社会発展計画の中にも、過密に対して過疎ということばはいわれております。しかしながらその位置づけ、役割りというものがあまり明確でないといってもいいのじゃないかと思うわけでございます。そういうものをより明確な形で踏まえ、そしてそれとのかね合いで、この過疎地域に指定されました市町村の具体的な計画がつくられまして、当面する施策が打たれることが望まれてくるわけでございます。いいかえますと、これからの日本経済の発展の中で食糧供給とかあるいは労働力供給、こういう重要な課題をどこでどのようにまかなうのかということ、このことについての十二分なる配慮というものが必要になってくると思います。そうだといたしますと、先ほどから問題になっておりますような地域指定の問題でございますが、人口減少率の年率二%を一〇%にするとかあるいは七・五%というふうな問題も、財政的なかね合いで、確かにこれは大きな問題になってくるわけでございますが、むしろ、より積極的に農山漁村全体を日本列島の中でどう位置づけるか、ことばとしての大規模プロジェクト、食糧供給地帯ということじゃなくて、もっと明確な形で位置づけ、そしてそれに対する一大振興の基本的な施策としてこの法案をさらに補強するような形で御提案を願いたいと思うところでございます。 第二番目の問題点といたしまして、財政特別措置によります市町村財政の援助を通じます、いってみれば生活環境づくり、生活に関連いたします施設づくりがここでは主たる内容になってくるようでございます。総合対策ということばはあるわけでございますが、それにもかかわらず経済対策あるいは生産対策というものが弱いことは否定できないわけでございます。また、ただ単に弱いだけじゃなくて、この過疎がいわれるような地域は、私どもが理解しております限りでは、農業生産の面では限界生産地域である場合が非常に多いわけでございます。そこで米作転換がいわれ、あるいは生産者米価の頭打ちがいわれる、こういった総合農政推進の現状の中では、山村の米づくりをどういうふうに考えたらよいかということ、あるいはさらに集落の再編成ということが問題になってまいりますが、再編成後の農業経営の中で、通いづくり、通勤耕作ということがはたして経営的にペイできるかどうか、非常に気になってくるところでございます。それだけに生産対策というふうな経済対策というものにつきまして、もっともっと強い措置というものが期待されなきやならないのじゃないかと思うわけでございます。効率主義を基本といたします総合農政とのかね合いの中で、安心して夢を持って日本国民が食べます食糧を供給できる、そういった農林業に従事できるような配慮というものをしていただきたいと思うわけでございます。 第三番目の問題点といたしまして、いろいろな施設整備の場合に、広域的な経済社会生活圏の整備の体系への組み入れということが強調されているわけでございます。道路その他につきましては、この点は十二分にわかるわけでございますが、施設を新しくつくる場合とか、あるいはつくられましたものを広域的に利用するということになってまいりますと、先ほど匹見町の大谷町長も言われておりますように、学校統廃合がすぐあがってくるわけでございます。そうだといたしますと、簡単に広域的な利用という観点だけで、あるいは行財政の効率的な運用という点だけでこれを考えてまいりますと、かえってそのことが地域の過疎化を促進する危険性、可能性をはらむのじゃなかろうか。この点は自治省が現在やっております広域市町村圏構想の場合にもすでに具体的にこの計画がそういう形でつくられてくる。基幹になりました集落なりあるいは市の場合には非常にけっこうでございますけれども、その周辺にあります過疎がいわれておりますような市町村の場合には、かえって施設が新しくつくられない、こういった逆の、マイナスの問題点が出てくるのじゃないかと思うところでございます。確かに自動車で六十分の距離とは申しますが、六十分の中身はこれはいろいろでございまして、ある場合には六十分以上を必要とするような場合もあるわけでございますから、そういった広域的な配慮という点につきましても、もっともっと根本的に御検討願いたいと思うわけでございます。 それから第四番目に申し上げたいことは、これは県が一応方針を示します。そしてこれに対しまして、市町村がそれに基づきましてこれを計画し、そして自治大臣が助言と調査を行なうということになっておるようでございます。問題は、市町村の計画策定段階にありまして、一応議会の議決を必要とするようになっておりますが、これに加えまして、ぜひとも住民代表によります協議会のようなものを設立していただきまして、この中で十二分に住民の意向を反映させていただくような、そういう御配慮をぜひともお願いしたいと思います。そうでなければ、上からの補助金とりの、あるいは起債をとるための計画だけが優先いたしまして、むしろ住民自治ということ、あるいは住民の主体的な積極的な開発意欲というものが阻害されるような実態が出てくるのじゃなかろうかということを痛切に感ずるところでございます。最近の広域市町村圏構想の調査あるいは計画づくりその他を振り返ってみましても、市町村長でさえも、このなぜということ、あるいはどうしてということが十二分に理解されないままであの調査がなされている、あるいは自治省に対しまして地域指定の申請が行なわれているということを二、三耳にいたしますにつけまして、とりわけて過疎対策というものが、ただ単に補助金をとってまいりまして施設をつくるとか建物をつくるということ以上に、そこに住みます住民に生きる力、生産と生活に取り組む姿勢を確立するというところに最大の力点がなければならないはずでありまして、またそうした住民があってこそ初めて、ほんとうの意味での過疎地域の振興ができるわけでございます。そうした住民の意向が十二分に計画に反映できるような御配慮をぜひともお願いしたいと思うわけでございます。 以上、四点にわたりまして、私が考えておりますことを申し上げさせていただいたような次第でございます。御参考にしていただけますれば非常に幸いだと思っております。失礼いたしました。(拍手)
○鹿野委員長 次に、松岡参考人にお願いいたします。
○松岡参考人 私は、福岡県の山田市長の松岡でございます。過疎地域対策につきまして参考人としてお呼びいただきまして、私どもの立場における意見をお聞きをいただきますことを非常に光栄に存じ上げておる次第でございます。 私どもの場合は、前の五人のお方から述べられた諸点とはいききか違った意味におけるところの過疎化の問題点でございます。と申し上げますのは、すでに御承知のとおり炭鉱地域でございまして、その過疎化の要因が炭鉱の閉山という特殊の原因によって醸成されたことでございます。昭和三十一年に石炭鉱業合理化の臨時措置法が発足して以来、御承知のとおり相次いで閉山が起こりまして、特に私どもの地域の福岡県の筑豊地帯におきましては、なだれ閉山の現象が相次ぎまして、ますます市町村の疲弊度が濃くなってきたようなわけでございます。お手元に配付してあるかどうかと存じますが、人口の段階だけから申し上げますと、昭和三十五年の国勢調査が三万百四十人であったのでございますが、四十年度の国勢調査におきましては二万二百三十五人、実に人口の減少率は三二・九%に達しておるのでございます。私どもは昭和二十九年に市制を単独施行したのでございますが、その当時はやはり三万五、六千おったものでございます。わずか五年にして三三%の人口減少というものが起こった。この要因は先ほど申し上げましたように、炭鉱の閉山による炭鉱従業員の市外流出がその最大の原因であるわけでございます。現在人口の動態はやや横ばいのふうではありますけれども、来年の四十五年の国勢調査を考えた場合には、さらにその人口の減少が考えられるわけでございまして、二万台を割るであろうというふうに予想するのでございます。そういたしますと市制の維持すら困難になるであろう。そういたしますと、現在五百六十五の市のうち、市の人口規模、財政規模からいっても最下位でございますが、国内的に見て市制施行以来の、あるいは市制から町制への転落というかってないようなことも起こりはしないかということすら、非常に悪い予想でございますけれども、考えるのでございます。人口規模においてそうでございますが、財政規模におきましても〇・二一ないしは〇・二二、これは四十一、四十二、四十三年などもそのような状態でございます。財政規模、人口規模ともに全く手のつけようのないような現在の市政の運営であるわけでございます。地図に書いてありますように、福岡県の中部に位しておりますが、筑豊炭田の一番奥まった地帯にございまして、現在はっきり申し上げまして大きな壁にぶつかりまして、どうにもしようがないというような状態をさまよっておる現状でございます。 表に書いてありますからしてこれはもう省略いたしますが、この中で特に著しく目につくものは、やはり炭鉱の閉山によりまして人口が激減いたしまして、そのあげくは財政収入の面におきまして固定資産税あるいは人口の激減に伴う市民税、電気ガス税あるいは鉱産税その他一連の市税の激減を見まして、それが大きく市の財政に悪影響をもたらしておるような現状でございます。かてて加えまして、その結果特別財政需要の面におきましては生活保護費の激増あるいは失業対策事業、学校教育費、そうした生活貧困に基づくところの特別財政需要が激増いたしまして、財政収入と財政需要の面がきわめてアンバランスな悪循環を繰り返しつつ現在に立ち至っているような状態でございます。 財政面で、本年度の一般会計予算を計上しておりますが、現在八億九千万円の予算でございますが、今後生活保護費の補正を予想しておる三億円あるいは学校の鉱害復旧費二千六百万円、その他人事院の勧告に基づく人件費千七百万円、そうしたものを加えますと十億をはるかにこす予算になりますが、これすら財源の引き当てが見当たらぬために未計上の状態にあるわけであります。しかし、いずれも義務的な経費の性格でございますので、年間途次におきまして補正計上いたきなければなりませんが、先ほど言いましたようにその財源引き当てに非常に苦慮いたしておるような、そうした財政事情にあるわけでございます。 私のほうの市は、昭和三十年ころまでは約二十三の炭鉱があったのでございますが、炭鉱の合理化によりまして現在わずかに二つの炭鉱になっておるのでございます。その二つの炭鉱すら第四次の石炭政策の答申によってあるいは近々に閉山が予想されるのでございますが、そういたしますと市内においての炭鉱は全部閉山ということになってきまして、従来市がただ一つの経済基盤としてよっておりましたそのささえ柱を失うことになりまして、市全体が経済面において市民もろとも非常に大きな困窮のどん底におちいらざるを得ないというような悲境に直面しでおるような次第でございます。 この産炭地域の疲弊をいろいろ救済するために、政府並びに国会におかれましては非常に従来から憂慮していただきまして、いろいろなこれがための施策を講じていただいたことは先生方よく御承知おきのとおりでございます。まず産炭地域振興臨時措置法、これによりまして産炭地域の疲弊を大きく取り上げ、救い上げようということからその法律の制定を見まして、特に産炭地域振興事業団法の制定を見まして、事業団によって企業誘置のための団地造成あるいは水資源の開発あるいは進出する企業に対する資金の融通、そうしたことを昭和三十六年度から取り入れていただきまして、これはかなりの効果をあげていただいておるのであります。それに伴うところの租税の特別措置等もいろいろ効果をあげておるのでございますが、全体的に見ましてまだその緒についたという感じでありまして、これによって大きく産炭地町村が浮かび上がってもとの状態になりつつある、あるいはなっておるということは言い得ないのでございまして、私どもの目から見れば、かつて繁栄を重ねておった炭鉱のころから見ますと、まず一〇%から二〇%程度の進捗度であろうというふうに考えておるわけでございます。団地は数多くできまして、相当の企業も進出してまいっておるのでございますけれども、炭鉱のように多くの人を雇用する企業はないのでございまして、他の炭鉱で三菱鉱業なんかありましたが、一山五千名の従業員を収容いたしておりまして、家族を加えますと約一万三、四千名だったのでございます。それが閉山いたしますと、ごっそりそうした一万有余の人口が減ってしまう。そうすると、かりにどんな大きな誘致企業が参りましてもそのような、しかも成年の男子を雇用するような企業というものはとうてい考えられないわけでございまして、百人、二百人程度の従業員を擁する企業がきても、先ほど言いました前の炭鉱の時代の繁栄ということはとうてい考えられないような現状でございます。しかしながら徐々にその時点まで引き上げるための努力は払われておるのが事実でございます。あるいは炭鉱の閉山のために同時多発の失業群があるのでございます。これは一般的な失業対策事業あるいは、これは法律としては廃案になっておりますが、炭鉱離職者臨時措置法、これは現実に炭鉱離職者がその地域に滞留しておるために、予算措置だけによって炭鉱離職者緊急就労対策事業が現に行なわれつつあるのでございます。これは非常に経済効果のある事業で、市町村としては歓迎しておるのでありますが、これとても、承りますれば昭和四十五年度までの予算措置で、昭和四十六年の三月末にはこの予算措置も切れるかのように承っておるのでございます。これでは、現実に炭鉱離職者が私の市だけでも約七、八十名おるのでございまして、その本人の生活ないし就労上の問題もきることながら、現在ほとんど筑豊地域の市町村は、一般的な公共事業はこの失対事業ないしは緊急就労対策事業によって処理されておりますので、非常に大きな波紋がくるであろうということは予想されますし、こいねがわくは予算措置でもけっこうでございまするからして、この緊急就労対策事業はそのまま継続してほしいというようなことをお願い申し上げたいのでございます。 それから、これは通産省所管の石炭特別会計の中の処理でございますが、産炭地域開発就労事業ということで、炭鉱地域におけるところの開発と炭鉱離職者を仕事につける開発と就労という二本立てをもって、四十四年度から新らしい事業が行なわれるようになっておるのでございます。その地域の開発に直接的に貢献し、かつはまた炭鉱閉山によって生ずる新しい離職者ないしはその地域に滞留しておるところの失業者等を吸収して、この地域の開発に大いに役立たせるようにしようという意図の事業でございます。労働省のチェックの段階にありまして、県営事業あるいは市町村誉事業として順次認可を受けつつありますが、これは先生方御承知のように、単価三千六百円でございまして吸収人員もおのずからワクがございますし、国が三分の二の補助、市町村三分の一補助となっておりますが、設計の段階におきまして積算いたしてまいりますと、実質的には地元の三分の一というのはぐっと超過負担が多くなってまいっておりまして、いろいろ事業の性格ないしは地元負担の問題等についてなおかつ研究を要する点が多々あるのでございます。地元負担につきましては特別交付税あるいは起債によってこれはまかなうというように受け取っておりますが、地元といたしましても、そのような方法によって事業をやっていただかなければ、地元負担が大きいために、将来の事業の運営に一つの憂慮が持たれるわけでございます。 それからいま一つは、やはり石炭の特別会計の中で処理されておる産炭地域の振興のための臨時交付金、これは年間、四十四年度十億円でございます。炭鉱市町村が、大体北海道を含んで八道県、百市町村ございます。平均すれば一市町村当たり一千万円でございますが、それぞれの年度における閉山のトン数によっての配分基準がなされておるのでございます。たいへんありがたい制度でございますが、これはもう立法措置ではなくして予算措置としての処理でございます。これは来年度以降におきましては、この交付金の増額ないしはその基準の配分のいろいろな考慮等をお願い申し上げたいのでございますが、いずれにいたしましてもこの石炭特別会計の中におけるところの処理でございまして、いずれも立法措置ではなくして予算措置においての事業でございますし、産炭地域の市町村にとりましては非常に大きな福祉にかかわる事業であるし、また交付金でございますが、今後ともその処理の方法ないしは交付金の増額等についてよろしく御配慮をお願い申し上げたいのでございます。自来、この炭鉱閉山が非常に相重なる時期におきましては、本地方行政委員会におかせられましても非常にこのことを憂慮いただきまして、たとえば私の市にも両三回程度委員会の先生方お越しになられましてつぶさに実情を検討、審議されまして、国として出されるいろいろな点について、先ほど申したいろいろなこともありますが、御配慮願っておるのでございますし、その効果は現在出ているのでありますけれども、またその緒についた——悲しいことでございますが、その緒についた程度でございますし、今後とも国の格別の御援助をお願い申したいものでございます。そのほか特別交付税についての配慮、あるいは一般的の公共事業における補助率のかき上げ等、それぞれの点において御配慮をいただいているのでございます。受けるほうの地元といたしましては、誘致企業の優遇条例であるとか、また土地の造成あるいは譲与、譲渡あるいは資金の融資、いろいろ誘致企業に対するところの優遇措置を講じているのでございます。また非常に疲弊の度の濃いことに対処しまして、市政の振興の基本計画等も立てまして、この建て直しのための努力を一生懸命にやっている次第でございます。もちろん国、県も私どもの計画の線に沿っていろいろと援助をされつつありますが、何と申し上げましても、私ども自身でつくるところの計画が出発点になりまして、それによって国、県が制度的にまたは財政的な面でいろいろ援助をしていただかなければなりませんし、やはり自分自身の地域の持つしっかりした基本計画がまずもって出発点であるということは言うまでもない次第でございます。 そこで、今回私どもお招きいただきました過疎対策の特別措置法との関連でございますが、先ほど言いましたように、炭鉱地帯につきましてはいろいろ従来から財政的にもあるいは制度的にも援助の手を差し伸べていただいているのでございますが、今回の法案との関連におきましては、はなはだ欲ばったことを申すようでありますけれども、やはり従来のいろいろの立法措置による援助と今回の特別措置法との抱き合わせ措置——虫のいいようなことを言うようでございますけれども一を考えられる範囲において適用していただきたいと思うのでございます。他の法律によって処理されている分が除かれるということになってきますと、この過疎対策特別措置法によるところのいろいろな炭鉱地域の市町村に対する援護措置というものが骨抜きになりはしないかというふうな気持ちを持っているのでございます。過疎債の対象になるところの集落を結ぶところの市町村道、農道、林道、あるいはそれ以下九項目あげてありますが、炭鉱市町村は一般的に申し上げまして、ここに書いてあるところの診療施設あるいは保育所、消防施設、公民館、いろいろな集落整備のためのいろいろなもの、これは大体従来の稠密地帯であるために整備済みの地域でございます。一応整備されております。したがって過疎対策の特別措置法によるところの過疎債を適用される事業は、炭鉱地帯の場合においてはいろいろ適用対象事業を考えているのでございますが、かなりのものがすでにでき上がった形においてございますので、もし願うならば、この炭鉱地帯において特殊なものとして考えられる事業があるとするならば、しかもその事業が従来講ぜられていた立法措置によって適用されないものであれば、この過疎債の特別の立法措置によって救済していただけないだろうかというような考え方を持っておるものでございます。やはりこの過疎化の一番大きな要因が人口の激減というものでございますからして、人口流出防止のための措置ということが最前提になってまいりますし、炭鉱地帯におきましてはその人口流出を防止し、あるいはその炭鉱業にかわるところの企業の誘致ということからして、鉱工業の樹立ということが大きな目標になっておるのでございます。そういたしますと、この法案が一応ねらいとしておるところの農山村におけるところの対象、少なくとも農林水産業という対象のほかに、鉱工業的なものをこれに加味していただくことができないものであろうかというふうなことを私ども考えておる次第でございます。鉱工業をこの地域に起こす上について必要な地元の事業等があった場合に、その負担に対する過疎債の適用というようなことがお考えいただけないかどうかということを、皆さま方にお願い申し上げたいのでございます。 私ども炭鉱地帯の者、力を合わせて地域の振興にこん身の努力を現在払いつつありますが、なかなか一たん失われた基盤というものは立て直すのに非常に難渋をきわめておるのでございまして、先ほど言いましたように、私どもの場合、現在の二万の人口が、あるいはこれを割って市制の維持すら困難じゃないかというような実情にございますし、そうした点を考えた場合におきましても、この過疎対策特別措置法というものが非常に大きな意義を持ちますし、また期待をもかけておるような次第でございます。今まで五人の方が述べられたお考え、立場とはやや事情が違いますけれども、特に炭鉱市町村という特殊の点からする事情でございますし、お取り上げいただきまして、こうした地域に対する過疎対策特別措置法の適用ということについての御配慮を格別にお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。以上。(拍手)
○鹿野委員長 これにて参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————◇————— 午後一時三十五分開議
○鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 参考人の方々に対しまして質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、質疑の際は、参考人の氏名をまずお示し願います。細田吉藏君。
○細田委員 大谷町長にお伺いを申し上げたいと思います。 たいへん過疎問題と正面から取り組んで、いろんな方面にわたって大きな効果のある政策を推進しておられることを私かねがねから承知をいたしておりまして、きょうのお話もたいへん私ども感銘を受けたようなわけでございます。 そこで、もうあまり伺うこともありませんが、若干あなたの苦心談みたいなものをさらに少し伺ったらと、こう思います。 最近、匹見町あたりでは若い人たちがだんだん少なくなる。結婚というような問題がなかなかたいへんだと思うのです。嫁とり婿取り、まあ婿に行く人はないかもしれませんが、嫁取り、これらの点につきましても、いろいろ町長さんとしてやっていただいておるようでありますが、御苦心のところをお聞かせいただけばと思います。 それから、過疎地域の観光開発というような問題について、先ほど森林の造林のお話も出ておりましたが、これらとも結びつけて、観光開発というようなことを今後考えていくことが必要ではないかというふうにも考えられますし、またいろいろおやりになっておると思うのでございますが、この点についても若干お伺いしたいと思います。 それから、挙家離村した場合の農地、あるいは宅地もあると思いますが、土地の問題でございます。これにつきまして若干のお話もございましたが、端的にいいまして、この法案で何とかしてくれ、こういう意味なのでございましょうか。この点、どういうふうに国会に対して御要望になるか、こういう点を伺いたいと思います。 その三点だけひとつお願いいたします。簡単でけっこうでございます。
○大谷参考人 お答え申し上げます。 第一点の嫁の問題でございますけれども、これはやはり匹見町におってはなかなか嫁がもらえないとか嫁の来手がないということで、私も三十組近い仲人をやった、また、経験者といいますか、それだけのキャリアを持っておりますけれども、非常にむずかしいことは、農家のあと取りには働きのいい嫁がほしい、農家の娘さんをやるほうは、うちの娘は農家には嫁にやらないという、まるで逆なことを言われるわけでございます。匹見町におきましては、結婚をしました場合に、たんす一さおを送ることにいたしておりますけれども、ひのえうまの明けましたときには、年に二十さお用意したところが、二十さおが不足して困ったという悲鳴で、この調子ならうまいこといくと思っておりましたが、まだ本年度は一さおか二さおでございます。昨年度七さおしか例がないというようなことで、実際問題として匹見町の中で在町して嫁が来るという問題は非常に困難でございます。それが中心地であります場合にはまだ何とか話ができますけれども、それからさらに中心地からはずれた、いわゆる僻地集落に行きますだけに嫁の心配ができない。したがって、今週の週刊誌に、あれほど乱暴なことを言うておるわけではございませんが、都会に出て、都会の娘をひっかけて帰れと町長が言うたが、あれはほんとうかと、ゆうべしかられたわけでございますが、別にそういう意味じゃございませんけれども、合意の上ならやむを得ないじゃないかということを言うただけで、それがおもしろおかしく伝えられたものだと思います。それから、そういうようなことがございますが、やはり町は前向きで後継者対策をやるということは、農家の次男あるいは長男、そういうような方に嫁を心配する、あるいは娘だけの家庭には働きのいい婿を心配するということが本来の、ほんとうの後継者の対策であろうかと思いますので、そういうものにさらにこれから努力することは続けてまいりたいと思います。 もう一点は、さような僻地は間々水資源が豊富であるということと、またそういうような渓谷に水資源が豊富であるために、眠っておる観光資源というものがあるわけでございます。たまたま匹見町には匹見峡という西中国山地国定公園というのが本年の一月十日に国定公園の指定をいただいたわけでございますが、この開発の問題にいたしましても、いろいろ中央で観光診断をいただいておるわけでございますけれども、将来の六十年の構想の観光開発ならば、少なくとも大きなレジャーセンター的なものを考えるなら十万平米ぐらいの面積が要るということで、匹見町にはその適地はございません。したがって、匹見峡のような渓谷型の国定公園は、やはり小さな自然を結びつけていくことが必要であろうかと思っております。たまたま国立公園協会の理事長であります千家先生に観光診断をいまお願いを申し上げておるので、その診断をいただいた後に前向きで取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。また国定公園になったというような意味で、先般もある委員の方のところへお教えを受けに行ったわけでございますけれども、国定公園になったら国と県が一切めんどう見るというふうなことにはならないんだ、町長であるおまえが動いただけしか観光開発にはならぬのだから、指定を受けたときにはずいぶんの馬力で動きおったけれども、指定をもらったときに眠っておってはつまらないというので、この聞えらくハッパをかけられましたので、これらの問題は全くそうだということでございますけれども、やっぱり過疎のところにおける観光開発は、匹見町の住民に、都市の人たちが来ていただくことによって若い人に希望を与え、また都市の人たちとの若い者同士の交流という機会も出てくるわけでございます。また、さらには豪雪センターというような中に宿泊施設を持つことによって、かなりな宿泊の余力もございますので、そういう面においての観光開発は今後大いにやるべきである、またそれがなければ明るい村づくりというものはでき得ないじゃないかというふうに思っております。 それから挙家離村後における残存耕地というものは、午前中にも申し上げましたように、全くあとの残存農家の中に結びつかないと同時に、またその耕地の所有者の方々も、現在の農地法によりますと農協に信託することはできるわけでございます。しかしながら、土地の所有者の考え方をいろいろ聞きますと、農協にまかせるということについてはいききか抵抗をお感じになっておって、町ならまかしてもいい。しかし町でそれを預かることができ得ない。したがって、農地法その他によって、そういうふうな公共的にそれを活用する、あるいは村の牧野の改良の面にするとか、あるいはまたいろいろな利用の幅もあるわけでございますから、そういうような面については農地法で町がそういう管理ができるような道を開いていただけるならば、残存の耕地というものは残っておる農民の中に裨益する形で役立っていくということにわれわれは考えておりますので、農地法の改正の面でひとつお考えいただきたい、さように思っておるわけでございます。
○細田委員 次に柴田さんにお尋ねをいたしたいと思います。 柴田さんの御意見、いろいろ現在出ております法案に対する御批判、肯綮に当たったものが多々あると存じておるわけでございますが、ただ自治大臣の主管云々という問題につきまして、多少私は違った見解を持っておるのです。ということは、内閣に過疎対策本部を置くというような御意見ですね。そこで国がむしろ中心になって全体の計画を進めて上からやっていくという考え方、これはたくさんの地域立法その他にございます。今度、私も提案者の一人ですが、こういう形をとりましたのは、どうも上からそういうしかけになっておるものは案外マンネリズムで、形はいいのですが往々にして実はあがらないということが多い。そこで、むしろ過疎対策というものはきめこまかくやらなければいかぬ、それから場所によっても非常に違う、そこで下から盛り上げていく、積み上げていくという形にする。それから所管大臣として、内閣といいましても、これは総理府になったり経済企画庁になったりする。内閣総理大臣といいましても、総理大臣がやりませんからね。それで実際には、これを自治大臣と比べてみますと、自治大臣のほうが非常にめんどうを見るというか、いろいろな面を持っておりまして、起債をはじめとしまして交付税を持っておりますし、言うならば自分のところのまかないでやれる対策がいろいろ打てるという力を持っておる。形式的には内閣がやるというのがいいように見えますけれども、いまの何でもかんでも各省に所属しておるものは内閣だ、総理府だという形そのものをむしろ変えていくべきではなかろうかという感じを私どもは持っておるのです。これもやってみなければわかりませんけれどもね。私どもはそういう考え方でこれは考えておるのです。ただおっしゃっておるお気持ちとしてはこれはわかるのです。自治大臣でうまくいくだろうか……。ですから、いい面ももちろんあるだろうけれども、もっと国全体の責任を明らかにして、国がもっと積極性を持たなければならない。これは内藤先生からのお話もございましたが、その点はここに十分盛られておるかどうかという点においてはもう少し検討しなければならぬという点ではわかるのですが、私どもはそういう気持ちというか、いままでいろいろやったものの反省の上に立って一応こういうように立案されておる、こういうことでございまして、これはお伺いというよりも私どもの見解を申し上げたようなことになったわけですが、どっちにしても、あなたのおっしゃっておる気持ちというものは今後運営の面に生かすなり、あるいはこの法案ができ上がるまでにいろいろ考えて取り入れなければならぬ、こう思っております。これらの点について何か御感想があれば承りたいと思います。 それから最後のところで、集落の再編成について、これをもっと大きく取り上げてこの法案の中へ盛り込むべきだというような御意見がございましたね。これはもう少し詳しくというか、あなたのお考えになっておるところを、たとえばでけっこうですが、過疎の対象にしろとか、あるいは何に対してどういうふうにしろとか、あるいは災害などで部落の移転なんかについてはいろいろな例がございますね。一部落全部やられて、そこにもう一ぺんつくるとたいへんな金がかかるから、これは国が相当な金を出して、県も出して、そして別なところに部落を移すということが災害のときにありますね。ああいうかっこうにしろということなのか、その辺お感じを聞かせていただきたい、こう思います。
○柴田参考人 お答え申し上げます。 第一点でございますが、私は決して、自治省におまかせし自治大臣におまかせするということが不十分である、あるいはまた十分な期待が寄せられないというふうな意味で申し上げたのではないわけでありますが、この過疎問題の重要性ということ、さらにまた今後の日本の国土の均衡ある発展、さらにまた健全な第二の国民を育成するというきわめて重要な意味を持つ、使命を持つ法案でございますので、それに対しましては従来各省長官のセクト主義というものが、多くはございませんけれども、ときおりそのような弊害があらわれてたいへん残念に存じたことも過去において私は聞いておるわけでございます。そういう意味で、ただいま先生がお話しになられましたようなそういうことを十分含んで、この法案の執行の機構の問題については十分なる配慮のもとに立法されておられるという御趣旨に対しては、私は深く敬意を表するものでございます。 また第二点の集落の再編成のことでございますが、岩手県におきましては御承知のとおり沢内村がモデル地域に指定を受けまして、その再編成にとりかかっておるわけでございます。しかしながら、言うはやすく行なうはかたしで、たとえば基幹道路をつくるにいたしましても、また各住家を建築いたす場合にいたしましても、さらにまた水道施設、放送施設、またいろいろな地域の農業、酪農方面での機械器具の導入等、いろいろな新しい家財道具から新しい農機具等、一切の準備をしなければなりませんし、それに融資の制度はございますけれども、なかなか村としても容易でない。また住民としましても非常に負担が大きく、負債をかかえるということが今後非常に憂慮されることでございます。したがいまして、そのような集落の再編成というような場合には、過疎法案において思い切ったやはりあたたかい手を差し伸べていただいて、先祖伝来の大事な土地を離れるわけでございますので、そういう面にはひとつよろしく御配慮をお願い申し上げたい、このように考えておるわけであります。 以上、はなはだ簡単でありますが、終わらしていただきます。
○鹿野委員長 山口鶴男君。
○山口(鶴)委員 時間も制約されておりますから、まとめて三人の参考人の方にお尋ねしたいと思います。 まずお尋ねしたいのは、過疎とは何かということだと思うのですが、私は単に人口の流出それ自体が過疎ということじゃないと思います。もちろん人口流出というのは大きな要素であり、人口流出によって要するに従来の地域社会のパターンが維持できなくなる、いわばコミュニティーが崩壊する、共同社会生活というものが崩壊をしていく、これがいわゆる過疎現象ではないかと私は思います。 そういう意味で、今朝来東日本の過疎のパターンと西日本のパターンの相違がいろいろ議論されました。具体的に言えば、人口減少率一〇%かあるいは七・五%かという議論にもそれがあらわれているわけでありますが、西日本に比べて東日本は五年程度おくれているのじゃないか、あと何年か推移すれば、東北を中心とする東日本も西日本と同じような過疎状態が現出し、人口流出が行なわれて、そしていわばこの立法も同じような形で東日本にも適用されていくのではないかという考え方とは、私は若干違った考え方を持っておるものであります。と申しますのは、山びこ学校で有名な佐藤君というのが島根地域を視察をして、島根大学の学者の皆さんともいろいろ論議をしたそうですが、山陰地区のいわば過疎地域は平均七十アールの水田とそれから山林、和牛を持っている。ところが山形の山村では水田が三十五アール、畑が三十アール、そういう状態で、山形では挙家離村になるかというと、そうではなくて、あくまでも土地にしがみついて、いわば出かせぎに出ていく。そして七十アール平均の水田を持っている山陰地域に挙家離村、急激な人口流出というものがあらわれている。これはやはり東日本と西日本、時期的なズレということばかりではなくて、経済的、文化的、歴史的な相違というものがあるのではないか。それからあえて言うならば、山陰の場合は山陽地域に新しい新産都市が出現をしている。比較的、挙家離村していくのにもあるいは人口が出ていくのにも、近いところに出ていく先がある。しかし東北の場合は、結局出ていく先はどこかといえば東京が大半である。そして名古屋を中心とする中部圏であるという状態。地理的にも非常な相違があると思う。ですからそういったことを考えていきました場合に、私はこの出かせぎをやはり相当考慮すべきだという議論も相当根拠があるのではないかと思うのです。共同社会、コミュニティーが崩壊しつつあるという点を考えれば、一年の大半男子の人たちが家を離れるということでは、消防の維持もできないでしょう。そういう意味では共同社会は崩壊していると思うのです。ですからやはり出かせぎという現象も人口流出という現象も、コミュニティーが崩壊しつつあるという現状を見た場合には、やはり同じように考えてしかるべきではないのか。そういう意味では、現在の自民党さんの用意せられた法律というのは、そういった東日本と西日本のパターンの相違、歴史的な相違、地理的な相違というものを無視しているのではないか、そういう点では少し欠陥があるのではないかという感じがいたすのであります。そういった考え方に対して内藤先生、それから柴田さん、お二人にひとつ御見解を承っておきたいと思います。これが第一であります。 第二は、大谷さんにお尋をいたしたいと思うのですが、非常に御苦労いただいております姿も私ども拝見したことがございますし、心から敬意を表します。ただそこで経験の中からお話しあったことでお尋ねしたいのでありますが、集落の再編成を行なう、あるいは挙家離村が行なわれた地域、住居も荒れ果て、農地山林も荒れ果てている、それに対して町が管理をいたしまして国土保全に力を入れているというお話を聞いて非常に感銘いたしました。過疎対策の重要な柱の一つとして学校統合とか、あるいは保育所の問題とか、あるいは道路の整備という問題があるようですが、そのほかに私はこういった荒廃した農地山村の維持を、国土保全のたてまえから一体どう対処していくかという問題、それからあわせて部落の再編成ということをやはり重要な柱にしなければいかぬと思っているわけであります。こういう点に対して、今回自民党が用意された法案は非常に欠陥があると存じます。これに対する大谷さんの御意見を承っておきたいと存じます。これが第二点。 第三の問題は、柴田さん、内藤先生にお尋ねをいたしたいと思うのですが、まあお二人の参考人のお話をいろいろお伺いいたしまして、生産対策と申しますか、産業振興という面で非常に欠けている面があるという御指摘でございました。また新全国総合開発計画あるいは経済社会発展計画、こういうものとの関連と申しますか、これとの関係の位置づけというものが足りないのではないかという問題、そういう意味ではきわめて対症療法といいますか、そういった局限された措置に限定されているという点は問題ではないかという御指摘もございました。私ども社会党も同じような批判を持っております。党といたしまして法案の形では用意いたしませんでしたが、法案要綱の形で、より農山村の生産対策、産業振興に重点を置いた過疎対策を打ち立てるべきだという考えを持っているわけでありますが、こういった考えから申しまして、自民党案についてはこういう点で不備だということを実はお話し合いもいたしておるところでございます。 そこで端的にお尋ねをしたいと思うのですが、お二人ともいろいろ不備な点を御指摘されました。特に柴田さんからは、一〇%では東日本では十分でない、せめて人口減少率七・五%ぐらいまで広げるべきだ、こういう御意見もございました。さらに、内閣が総合的な対策として積極的に取り組むべきだという御指摘もございました。これらを総合いたしまして、現状のままの自民党さんが用意せられた法案が通ることがよろしいのか、そうではなしに、御指摘のようにこれらが不備であります場合は、これは今国会で通らぬでもやむを得ないとお考えでありますのか、少なくともこれぐらいの点は修正されなければやはり十分ではない、こういうお考えでありますか、その点ひとつ端的にお答えをいただきたいと思う次第でございます。
○内藤参考人 私への質問、二点ございましたので、これにつきましてお答えしたいと思います。 第一点は、出かせぎとのかね合いでどういうふうに考えるか、山びこ学校の佐藤さんのお話も出てきたわけでございますが、平均七反と申しますのは、全県の耕作規模でいきますと平均七反になってまいりまして、過疎が問題になるような地域の場合、やはり五反以下が圧倒的でございます。そのあたりが問題になってくるわけでして、私どもの知っております一般的な出かせぎの事例を振り返ってみますと、出かせぎに出ていって、また農業に帰ってくる農民の場合には、比較的上層だといってもいいのじゃないかと思います。しかしながら、この場合でも一家のにない手である主人公なり、あるいは主帰が出ていくということで、おっしゃいますように冬の間の部落のいろんな世話だとか、あるいは家庭の問題、子供の問題、いろいろな問題が出てくるわけでございまして、やはりこの点に対するどういうふうな考慮があるかということになりますと、ただ単に人口減少で一律に縛るよりも、そういった面についての御配慮があって当然しかるべきじゃないかというふうにも考えております。 それから第二点の生産対策というふうな問題点でございますが、やはり基本は国の農政の根本そのものにかかわる点でございまして、その点につきまして、私も農政のあり方につきましては一応の異論を持っております。しかしながら、過疎立法を策定する過程の中で、そのこと自体をいま問題にいたしましても、これはちょっとどうにもならない節がございます。したがいまして、むしろこの立法にお力をいただきました議員の皆さま方のあれによりまして、現在国が持っておりますマスタープランの中に過疎があるということだけじゃなくて、過疎地域の農林業を今後どういうふうに持っていくか、あるいは日本の高度経済成長なり、あるいは二十一世紀の日本列島のビジョンの中で、どういう位置づけ、どういう役割りを果たせるかということは、今後の改定の中で明確にしていただくということが私は非常に必要になってくるのじゃないかと思うところでございます。そういうふうなマスタープランとのかね合いの中で、さしあたりましての人口減少に対処する。今回の場合は議員提案の特別立法という形がとられております。したがって、いろいろな問題点があろうかと思います。一〇%までとった場合と七・五%までをとった場合と、大蔵省がどういうふうにおっしゃるのかよく存じ上げません。存じ上げませんが、できることならばやはり広げるということが望ましいといってもいいかと思います。しかしながら、すべてが達成できないならば、じゃ御破算にしていいかといいますと、やはりそれは問題が残ってくるわけでございまして、さしあたりまして今回議員立法として御提案いただきましたものが第一歩、橋頭堡。第一歩、橋頭堡で一〇%、しからば第二歩として七・五%というふうなこと、今後の改正が非常に困難だというようなことも午前中では御意見ございましたけれども、そのあたり私よく存じません。存じませんが、やはり第一歩あるいは今後のための橋頭堡としまして、このたびの御提案に対しまして私たちも全面的な同意をするわけでございます。しかしながら、まだ案としまして十分固まったとは言い得ないような節もあるように伺っておりますので、できますことならばそういったいろんな面におきましての補強をしていただく、あるいは運用面での御配慮をいただければ、こういうふうに思う次第でございます。 以上でございます。
○柴田参考人 お答え申し上げます。 御質問の第一点でございますが、西部と東部との過疎化現象において、歴史的、社会的、地理的な観点から、同じ過疎化のコミュニティの崩壊においてもやはりそこにいろいろな差異があるのではないかという御質問でございますが、私もその点は同感でございます。それはたとえば東北、岩手の場合を申し上げますと、従来が過疎の地帯でございます。面積は四国四県に匹敵いたしておりますが、人口わずかに百三十九万、従来が過疎であり、従来過疎であった地域のあらゆる面のおくれというものは現実として残っておるわけであります。その非常に低い地域から、同じかりに一割なら一割の人口が転出するということは、これは豊かな地域における一割の人口流出と比較してみましたならば、その内容においてはるかに深刻度が違うというふうに私は見たいのでございます。したがって、先ほど御説明がございましたように、岩手の場合にはほとんど東京方面あるいは阪神方面、中京方面というふうに遠方に出かせぎにも出てまいりますし、また青少年の就職もみなそちらのほうに参っておるわけでございますし、その点特に私は岩手の東北の特性というものを御認識いただくようお願いを申し上げるわけであります。 それから第二点でございますが、生産対策を織り込んでいただきたいということをお願い申し上げたわけでありますが、やはり都市並みの魅力ある環境づくりということが私は重要な過疎対策の条件ではなかろうかというふうに感じるわけでございます。というのは、何も東京に就職しなくてもいいたとえば高校卒業生がおるといたします。この卒業生は都市に魅力を感じて出てまいります。しかしながら、先ほど申し上げましたように職を変え、最後には非常になげかわしい状態におちいるということも間々あるわけでありますが、地方におって都市並みの文化水準にあり、環境にあって、そういう生活ができるということが非常に大切なことではないかと存ずるわけでありますが、それにつけても生産体制、工場誘致等、その他諸般の施策をもって、十分豊かではないにしても都市に準じた高度な文化生活が営めるような環境づくりのために、私は生産対策が織り込まれてしかるべきではないかということを申し上げたわけでございます。 なお、この法案のことにつきましては、これは先ほど島根大学の先生がお話しになりましたように、橋頭堡として、さらに私は御要望申し上げました諸点を修正していただくなり、あるいは政令、附帯決議なりの線でこれをできるだけひとつお取り上げいただいて、そうしてまずこの歴史的な法案が日の目を見ることを希望申し上げるわけでございます。 終わります。
○大谷参考人 お答え申し上げます。 私は日本の過疎の問題をとらえます場合に、人口の流出ということで考える。農山村の人口が都市に向かってどんどん流れている傾向というのは徳川時代からある。特に明治にはあるし、おそらく国会の諸先生方も笈を負うていなかからそれぞれ目的を持っておいでになった方々ばかりでございます。そういう点から申しますと、やはり人口の流出が問題ではなくして、その地域をききえているところの若年労働力が群をなして村から出ていくというこの大きな人口の流動、大群をなした人口の流動が過疎であるというふうに思っておるわけでございます。したがって、そういうようなことになりますと、おっしゃいましたように耕地の荒廃の問題が出てきますし、あるいは施設の機能が喪失して、学校を統合しようにもやれないじゃないかというような問題が出てきますけれども、しかしながら、現在の辺地債その他等の適用を受けて、われわれが努力しました中にもどうにかまかなっておったのが、今回の過疎の振興特別立法を見ますと非常に優遇措置が出てきているわけでございます。したがって、一挙に問題が解決するとはわれわれは思っておりませんし、また山村の町村長の能力の問題あるいはそれを消化する執行体制の問題、あるいは予算が何ぼでもついたらそれをこなせるかどうかという問題にも、おのずから地域によって限界のあることでございますので、やはりそれぞれの法案の中に述べられているものを段階的に処理していくことのほうがより効果が高いというふうに思っております。 さらにまた、若年労働力の流出の問題は、一面から申しますとその村の税源の流出ということになるわけです。したがって、やはりこの責任は国にもあるわけでございます。学校の例を申しましても、小学校から中学校の義務教育を終わるまでは、地元負担が半額で施設を持ってほとんどやってきておるわけであります。ところが全く都会の企業がそれに対して負担を負わずして、卒業したところが一万七千円何がしかで募集手当だけ出せば労働力が手に入るというのでは、私がふ卵器であるということを言わざるを得なくなるわけでございます。したがってそういう面を大所高所からお考えいただいて、やはり国も半分の責任を持とうというのが三分の二の責任を持とうというふうなうたい方にもなっておるので、われわれは段階的に処理をきせてもらって、それで困難な問題は、また関係町村がそれぞれのところで良識を持った訴え方をして改善をするというふうになることだと思いますし、私はそういう考え方を持っております。ただ問題は、どこまでも今国会で早急に成立がなされて、われわれ期待するようなことが早い時期になるようなことだけを願ってやまないものでございます。どうぞ先生よろしくお願いいたします。
○山口(鶴)委員 先ほど内藤先生からお話がありましたが、特にこの過疎対策に取り組む姿勢の問題として、単に補助金獲得あるいは起債獲得ということではなしに、住民自治という立場を踏まえて、あくまでも住民の意向というものを尊重しながら仕事を進めていくということが重要ではないかという御指摘につきましては、私ども文字どおりそうだろうと思います。あくまでも住民自治の立場に立ってこの問題の解決のために立ち向かうことが必要だろうと思っております。そこで率直なお尋ねをいたしたのでありますが、わが党としましては、この人口減少率七・五%というのは、東日本のパターンをやはり救うべきだという観点でありますが、この問題、さらにはこの補助金の問題につきましては、集落再編成という問題をやはり対策の重点に据えるべきじゃないか。そういう意味ではこれに対する補助金の導入も必要ではないのか。さらには生産対策という問題を織り込む必要があるのではないか。それから過疎債の問題につきましても、辺地債並みの少なくとも八〇%まで財政需要に織り込むべきではないかとか、これらの問題を提起をいたしております。私どもといたしましては、これらのわが党の考え方が十分自民党さんにおいて了解いただけるならば、与野党を通じてこの立法に賛成していこう、こういう態度でありますことだけを申し上げておきます。
○鹿野委員長 次は細谷治嘉君。
○細谷委員 一括して御質問いたしますので、それぞれからお答えいただきたいと思います。 最初に内藤教授にお尋ねいたしたいのでありますが、私は、過疎という定義は先ほど来ありましたが、地域部会で定義された大体あれでよろしいのじゃないか、こう思っております。そうだとするならば、この過疎対策というのは、現在の過密対策以上に政治の責任が大きいのではないか、こう思います。いってみますと、昭和三十五年以来進められました高度経済成長政策の必然の結果として、資本主義から起こる貧困の問題として起こったのが過疎、過密であり、その集中的な政治の問題点というのが過疎にあらわれておると思うのです。 そこで、先ほどもお答えがありましたけれども、この種のものを昭和四十四年の今日、議員立法という形できわめて対症療法にも当たらない程度の法案という形でお茶を濁すということはまことにけしからぬことだ、こう思っております。これはあくまでも政府の責任であって、政府みずからが積極的にこれに取り組むべきものである。したがって、過疎対策といえる程度の立法を政府が出すべき筋合いのものである。アメリカ等では議員立法というのが主体でありますが、日本はそうではありませんで、政府提案の法案というのが主体となって国会が動いていくわけでありますから、当然政府の責任として出すべきものだと思うのでありますが、これについて内藤先生どうお考えなのか、これを承りたい。 それから内藤先生と柴田会長さんにお尋ねしたいのでありますが、今度の法案は、いってみますと過疎債というものができまして、それが中心でありますけれども、それは交付税でその負担を軽減をしてやるということでありますが、いってみますと地方財政というコップの中で相撲をとっておるような法案だ。もっと国が責任体制を明らかにすべきものであって、国税三税の三二%ときまっておる、その分け前を地方団体が争ったって一向過疎対策にアプローチすることはできないのじゃないか。いってみますと地方団体への責任転嫁、こういうことになるんではないかと思うのでありますが、どうお考えなのかという点であります。 それから第三は、内藤教授が広域的利用、これはけっこうでありますけれども、その広域的利用の裏側には必ず過疎というものが逆に生まれるのだ、こういうことであり、そしてこの計画というのは、県の計画のワク内で市町村計画というものがつくられるわけでありますが、住民代表の参画が必要だ、こういうふうにきわめて草の根民主主義に基づいた、住民を主人公とする政治を描かれて、そして国のマスタープランの中で過疎問題というのは適正に位置づけられなければならない、こういうふうにおっしゃっております。これはたいへんけっこうでありますけれども、おことばを返してたいへん失礼でございますけれども、先生のことばは、どうも国会に法案が出ておるので、本心をおっしゃっておらないのではないか。私は端的にいいますと、先生のおことばからいきますと新全総計画、五月三十日にきまりました新しい全国総合開発計画、それに基づく府県をこえた広域行政体制あるいは広域生活圏という、県と市町村の中間に位するようなそういう体制、これについてもやはり格差を拡大し過疎を生むという先生の議論にもなるわけでありますし、また自治省が考えておる広域市町村圏というのも、やはり先生からいいますと問題が一面存在する。あるいは建設省が考えておる地方生活圏構想というのについてもやはり問題が当然生じてくるわけでありますので、理論的に考えますと、先生の基本的な考えからいきますと、この法案を通してもらって、そうしてこの上にほんとうの意味の過疎対策を漸進的に築き上げていただきたいという理屈がどう見ても生まれてこないのではないか、こう私は想像するのであります。いってみますと、先生のおことばというのは、裏を返していいますと、これは対症療法にもほど遠いものであって、もっと草の根民主主義に基づいた抜本的な過疎対策というのが講ぜられるべきであるというお考えではないかと想像するのでありますが、いかがかということであります。 それから柴田さんの御意見の中で、集落の再編成を新しく章を起こして、ここにかなり焦点を置いた法案に修正してほしいという御意見であります。私も、集落の再編成を除いた過疎対策はあり得ない、こういう考えに立っております。具体的な援助のことについては具体的にいろいろ述べられたわけでありますが、そういう問題と同時に、何といっても集落の再編成はたいへん重要だと思うのであります。これは大賛成でありますが、これと柴田さんのおっしゃった、旧市町村単位でこの問題を考えていただきたいというおことばがありました。これは先ほどの陳述の中で七・五%以上の減ということに関連して旧市町村単位、合併前の市町村というふうに理解したのでありますが、こういう問題と、その集落の再編成とはどういうふうに関連づけられておるのか。これをひとつお伺いしたいと思うのであります。 それから大谷町長さんに、たいへんおもしろいお話を承ったのですが、最近は造林をやっておる、企業年金制というのを設けた、これはたいへんけっこうな構想であろうと思うのであります。過疎を防ぐ意味において国に先がけて、去年あたりからことしにかけてかなりの自治体で児童手当制度というのが創設されました。国においては四十五年からということのようでありますが、過疎対策の一つの柱として、なけなしの金をつぎ込んで児童手当制度を創設されておるようでありますが、これと過疎対策について町長さんはどう評価なさっていらっしゃるのか。同時に、企業年金制等についておたくのほうの資料がございましたら、そういう資料を提出していただけたら幸いだ、こう思っております。 最後に、松岡さんにお尋ねしたいと存じますが、松岡さんは昭和三十年以来の石炭合理化、このあらしにもまれもまれて、たいへんしらがもおふえになったようでございますが、私は端的にいいまして、今日まで十数年間やってまいりましたいわゆる産炭地域の振興というものは、ずばり言ってみますと結核患者に仁丹を飲ました程度のものではなかったか。少し極端でありますが、あるいはアリナミンくらいになっておったかもしれませんけれども、いずれにしても、どうも地域開発立法というものはたくさん昭和三十年代からつくられましたけれども、一つとしてこの地域開発立法はたいへん役に立った、きめ手になったという開発立法は残念ながらないわけであります。その開発立法によって格差が縮まったというような例もありません。むしろそういう開発立法によって生き返ったのではなくて、経済の自然原則に基づいて集中的に過密が生まれた、こういうことであろうと思うのであります。 そこで、結核患者でありながら仁丹を飲んできて、そうしていっかよくなるだろうと思ったけれども、一向よくなるどころか、病はますますあつくなってきつつあります。先ほどのおことばですと、これもまた産炭地域振興臨時措置法とこれとが重なり合って適用されるとたいへん助かるのだがというおことばでありましたけれども、ゼロは幾つ加えてもゼロでありますし、仁丹を幾ら飲んでも結核はなおらない、こういうことではないかと思うのでありますが、これについてどうお思いなのか、先ほど来話がありましたけれども、どうも長いものにまかれろ主義で、おぼれる者わらをもというような心境では問題はとても解決しないのではないかと思いますので、重ねて質問いたしたわけです。 以上です。
○内藤参考人 たいへん手きびしい御質問でございましたけれども、四点私に御質問いただきましたので、順を追ってお答えしたいと思います。 第一点、御指摘のとおり私自身も三十年代での日本経済の高度成長の、いってみれば裏返し、あるいは拠点開発方式がとられている過程の中での、拠点にあらざる地域で、いうならばこういうふうな過疎という問題あるいは人口現象が起こっていった。そういったことから振り返ってみますと、いってみますと三十年代におきます政策矛盾の吹きだまり、こういうふうなことばでこの過疎問題を理解してもいいのじゃないかと思います。それであるならば当然御説のように、議員立法じゃなくてという順序が出てくるのじゃないかと思います。私自身も当然政府みずからが、いうならばこの過密過疎というふうな三十年代を総決算し、反省する過程の中から抜本的な対策ということを期待するわけでございます。しかしながら当面いたしまして、昭和四十年以降過疎という問題が出てき、あるいは地域部会の報告で過疎問題が一般的に指定され、そうして市民権を得たにもかかわらず、いまだ政府みずからが出そうとしない段階の中では、議員立法として今回こういうふうな順序もある意味におきましてはやむを得ないじゃないかというふうに考えております。 それから第三番目の問題点でございますが、過疎債発行、その他地方財政におきます問題点の御質問をいただいたわけでございます。申し上げるまでもなく、自治省がせんだって行ないました過疎地域の一般的な地方財政の点検調査、これは島根県の匹見町の場合も入っておりますから、大谷町長から詳しくお話もあろうかと思いますが、一般的に申しますと、これは平均以下の、非常に自主財源の乏しい地域でございます。そういうふうな地域にありまして高率補助あるいは借金をやる、起債を獲得する、さしあたりましては処理できるかもわかりませんけれども、しかしながらこの高率補助とはいえ、地元負担はゼロというわけじゃございませんので、そのあたりに確かに問題点が残ってくるわけでございます。この点、たとえば離島振興とのかね合い、すでに同じようなケースで離島の振興がはかられてきたわけでございますが、離島の場合にこの地元負担能力というものが確かに問題になってまいりましたし、そのことが調達できないがゆえにやりたい事業、施設もできなかったということを承っております。そういうことが、あるいはという危倶もないでもないわけでございます。あるいはまた、そういった非常に自主財源の乏しいところでございますので、この過疎対策を軸にいたしましての強力な施設整備、あるいは建設事業を軸とします計画が優先的に進行いたします場合には、それ以外の行政分野に対しましてのしわ寄せがあるいは起こりはしないかという危惧も同時に持っているわけでございます。したがいまして、でき得ることならばそういった形じゃなくて、地方財政全体の抜本的な制度改正というものがどうしても必要になってくるわけでございますが、しかしながら過疎地域に対しましても同時に何らかの形での財源が与えられるような措置というようなものも考えられていいのじゃないかという気がしております。しかし、このこともまた大問題でございまして、さしあたりましては間に合わないのじゃないかということを考えております。 それから第四点といたしましての広域行政と過疎とのかね合い、これは非常に重要な問題点になってくると思います。なぜ過疎が起こるかという問題の中に、二十八年の町村合併促進法に基づきますあの町村合併との関連、町村合併が行なわれ、そして新市町村の建設が推進されました時点というものは、ちょうどいってみれば日本経済の高度成長の過程とうらはらの関係である。かつての旧村の場合には、役場があり農協があり、そして学校があり郵便局がありという形であったはずでございますが、新市町村になった以上は、そういったものがすべて広域的な形で町のセンターに集められてくる。結果的には、旧村の役場所在地あるいはそこからさらに離れた部落におきましてまず人口減少が起こってくるということもやはり事実として言えるのじゃないかと思うところでございます。 あるいはまた、最近市町村議会にありましては、財政的な要因その他から、議員定数を減少きせるという動きもございます。あるいはまた農協合併その他によりまして、かつては全員参加の総会を開いておりましたけれども、それが技術的に持てなくなったという形で総代会を開いてくる。いりてみれば間接方式なり、あるいは間接方式をとります場合にも議員定数減その他によりまして窓口が非常に少なくなってまいります。このことはやはり行政と住民とを結びますパイプが相対的に細く弱くなる。細く弱くなるだけじゃなくて、ある意味におきましては住民自身が行政から疎外されるということも、これは行政のほうが疎外したということじゃなくて住民のほうが行きにくくなる、あるいはまたいろいろな意味で身近な形でめんどうを見てもらえないというような、疎外感を持つようになってきたということも一つあるのじゃないか。あるいはそういうものにあずかって力あると申しましたら語弊がございますけれども、有線放送というものが一定の近代化施設としまして過疎対策の中でも考えられてくるわけでございますが、しかしながら有線で何でもかんでも下へ流していくということが、たとえば町村の行政担当者、あるいは農協の場合も同じでございますが、直接部落へ行きまして住民とじかに話し合うということがやはり少なくなってくる、そういうふうなことが現在問題になってきているんじゃないかと思います。 そうだといたしますと、これ以上の広域行政が行なわれた場合にはということが一つ問題点になってくるわけでございます。大きいことはいいことだなんというふうなこともございますけれども、しかし大きくなるということになりますと、やはりそこでは薄められるということが同時的に出てくる要素じゃないかと思うわけでございます。広くなり大きくなりましても、道路整備が順調にでき、そしてモータリゼーションが徹底的に普及するならば、住民の自発的な意思によりまして、遠くなったものを近づけることはできるかと思いますけれども、まだまだ地方の町村の場合には、特に過疎が問題になるような農山村の場合にはそこまでいきかねている現状じゃないかと思うところでございます。その限りにありましては、最近問題になっております広域市町村圏構想というものは確かに一つの問題点が出てくるわけでございます。 しかしながら今回の過疎立法を広域市町村圏とのかね合いで考えてまいりますと、もし広域市町村圏構想のほうが優先いたしまして、先にできてしまいまして過疎があとからついていきますと、当然広域的な計画の中での過疎町村での具体的な計画の位置づけということが出てまいります。そこに一つのひっかかりがあるのじゃないかという気がするわけでございます。しかしながら一面、この広域市町村ではすべてを広域的に処理するという形で、二つ以上の町村で新しい施設整備その他のことをやっていくわけでございますが、過疎の対策をする町村の場合でございますと、町村独自で幾つかの仕事ができるというメリットが出てくるんじゃないか。そうしますと広域市町村圏ではむしろ過疎化を促進される可能性がある。そういった町村にありましては、今回の過疎立法で少なくとも救いが出てくるような気もいたします。ただし、そういった問題を考えるにあたりましても、やはり一番重要になってまいりますことは集落の再編成をどうスムーズに進めるかということで、これが私基本的な一つのポイントになってくるような気もしております。 要するに抜本的な過疎対策、もちろんこれは私ほんとうに本心から望んでいるわけでございますが、さしあたりましてそのことに対しまして期待というものが早急につなげないというふうな状況、これは私なりの考えが誤っているかもわかりませんが、そういうふうな状況の中では、今回の形を第一歩、こういうふうに私理解きせていただいております。 以上でございます。
○柴田参考人 お答え申し上げます。 私に対する御質問は二点でございますが、第一点は、ただいま内藤教授がお話しになられましたこの過疎債が中心であり、その過疎債に対して財政面の措置として地方交付税、これは同じ地方財政計画のワク内の支出ということで、より別の方法はないかというふうなお話でありましたが、私も原則として内藤教授の御意見に賛成いたします。でき得るならば、地方財政計画の別ワクにしていただければこれに越したことはないわけでありますが、ただ地方財政計画に対する大蔵省の見解として、昨年も一昨年も御承知のように財源調整の措置をいたしておるわけであります。このような財源調整の恒久的な措置というふうなことのないようにしていただいて、それだけのワクをひとつ地方財政のほうに流していただくように、国が吸い上げてしまわないようにお願いをしたいと思うわけでございます。 それから第二点でございます集落の再編成と旧市町村単位との関連性でございますが、これは集落の再編成を実施する場合に旧市町村単位で実施するのが最も現実的に妥当性があり、可能性があるということを私は考えておるわけであります。それの相互関連によって、集落の再編成に際してはやはり旧市町村単位ということがきわめて現実的であるということを私は申し上げたわけであります。 以上であります。
○大谷参考人 お答えを申し上げます。 私の町でやっておる造林事業の問題でございますけれども、造林をやる場合にたいてい考えられますことは、要するに資源造成あるいは財産造成ということが第一点に考えられますけれども、私の村でやる、また私の考え方というものは人を対象にした造林事業、人のほうをよけい大きく考えておるということでございます。 現在町有林が二千九百ヘクタールございます。その上にもって町が行ないました造林が千二百ヘクタールございます。それから苗圃に毎年二十万本杉のさし木を立てております。そういうことと、二千九百ヘクタールの中ですぐ処分可能なものを入れますと、土地を含めて八億五千万円ございます。土地が私のところで一ヘクタール大体五万円ぐらいでございますので、一億五千万円引いてもなおかつ七億というものの財産造成が大体なされておるわけでございます。それはやはり山林労務者が造林をしてくれたからこそできた問題であるので、その人たちは今後三十年たった、あるいは四十年たったときに、賃金をもらうことだけはできますけれども、将来の恩恵を受けることができないのが第一点でございます。さような意味で、現在それぞれの県において共済金制度といってわずかなほんのスズメの涙ほどの一日三百円程度のものが出ますけれども、それでは匹見町の山林労務者を定着きせることができないというような意味から、企業年金制度を入れまして、最低が、民間保険会社と組みますので、年間一万二千円でございます。その半額を町が差し上げて、それで造林の作業員は半額を八カ月のうちに出しなさいということで、組合と相談をして、町のほうがおおむね五十万円ばかり出しておるわけでございます。そのことは、昨年度から国有林が毎年六十ヘクタールの造林をしております。国有林の賃金はおおむね町の造林賃金より一割高いわけであります。一割高くして、そうして春闘をやられますと大体四月にさかのぼって上がってきます。ところが、われわれのところは森林開発公団の関係がございますので、森林開発公団は春闘をかけるわけにいきませんので、一年だけ違うわけでございます。おおむね国有林の賃金の今年度の分が来年度町有林の賃金になる、こういうふうなことでございます。そういうような面を加味して、さらに人を対象にしたことでございますので、企業年金をひとつやろう、こまかい金は出しませんよということで出しているわけでございます。そうして、その年金制度は定年が女で五十五歳、男は六十五歳として、その年になったときに十カ年間ほど、それぞれ年齢によって全部違います、違いますけれども、年金を出すということでございます。もし年金にならない場合、あるいは女の五十五歳、男の六十五歳に満たないときで退職をきれるような場合については、それを積んでおる金を出すわけであります。したがって、山林労務者からの立場からいいますと、自分の積んでおいた金が倍になって返ってくる、端的に言いますとそういう形になる。それほどいいものはないじゃないか、またそれだけの恩恵は、七億近いものがすぐ処分可能の、土地を売らないでも七億くらいの金になりますので、そのくらいのことは出していいじゃないか、こういうことで議会でも一言の反対もなくして快く認めていただいたわけであります。そういうような意味で造林というものを、町が財産造成をするという立場でなくて、町民に対してしあわせをつくっていくために賃金を払う場、働く場をつくろう、要するに工場が来ないから、新しい工場にかわったものとして働く場を町が提供しよう、そういうことをやっておったところが、たまたま昨年度から二十五名の女工を使う縫製工場が偶然来ていただいて、実は非常に喜んでおるわけでございます。さらにそれをもっと拡大してほしいというのが婦人会とか、あるいは女子青年の中でUターンして帰ってきた人たちから出ておりますので、適当な対策を講じたい、さように思っておるのが現状でございます。 ただ問題は、児童手当の問題等についても実は考えないこともございませんけれども、やはり現在の世相上といいますか、私のところの例を申しますと、三十歳以上の女の人で妊娠をしておる例というものは全く見当たらないわけでございます。そのようなときにはたして児童手当——現在の日本の人口が、人口爆発を起こしやしないかというようなときに児童手当というようなものは私は出すべきでない、もっと、やるなら現在おる生徒に対して何かを、あるいは教材費全額補助とかというような形になるようなことはいいわけですけれども、児童手当をつけてまで——これは山村の村長、しかも先ほど言いましたようにふ卵器である私がそれほどまで応援する必要はないというので、児童手当の問題については考えておりません。そういう実情でございます。
○松岡参考人 細谷先生は私どもの先輩でございますし、この間の事情についてはよく御存じのことであります。御承知のとおり石炭鉱業合理化以降の諸現象につきましては、先生は結核患者に仁丹程度のものしか与えられてないのではないか、そのような感じを私自身も持っております。万身創痍のからだに張りこう薬程度のものであったと、いまでもそう思っております。国のいろんな施策というのが、全く効果はないとは申し上げませんが、ただそのテンポなり。あるいは崩壊のスピードに対応する建設の、立て直しのスピードがとても追いつけていけないということは如実に言えると思うのでございます。また私どもその崩壊の経過におきまして、いろんな国の立法措置あるいは予算措置が出まして、非常にそれを歓迎し、また血まなこになってこれと取り組んでいろいろ検討を試みたのでございますが、とにかく法律措置が行なわれた当初は、なるほど関係当事者は一生懸命にこれと取り組んでやりますが、やや時間がたつと、きらされたようなかっこうになってきて、当初の熱意というものが失われる。単にこれは産炭地域の臨時措置法だけでなくして、たとえば新産地域の問題やあるいは低開発地区の問題とかいうものも、大体大同小異ではないかと思うのでございます。したがって、私ども関係者は一生懸命にやっておるけれども、幾ら踊っても、側が笛を吹いてくれないという現象があるのでございます。ひがみかもしれませんけれども、あるのでございます。ただ石炭問題にいたしましても、石炭鉱業の立て直しというのが大看板で、それに伴うもろもろの現象は、悪く言えばきしみのつまみたいな存在で、どうも表舞台に立ってもきわめてバイサイドと申しますか、そば役の役目しか果たし得ない。あれよあれよという間に、努力するにもかかわらず転落崩壊の一途をたどっていくというような現象がいままで続いてきたと思うのでございます。したがって、私どもは現地におきましては、先生のおっしゃるとおりにわらをもつかむような気持ちで、いろいろな立法措置あるいはその職があればやはりそれに飛びついて少しでも前向きの姿、少しでも上を向いていくという努力は払わなければならないわけでございまして、今回の過疎対策につきましても、従来の立法措置あるいは予算措置等と抱き合わせの形において、併合の形においてでも、何らかの形においてそれが適用されれば、それをも自分のものにしたいというような意欲は当然持たざるを得ないと思うのでございます。やはりそうしたことからいたしますと、どの法律にいたしましても、どの措置にいたしましても、立法当初の法意というもの、あるいはその当時の心がまえというものが継続的に持続されて、しかもそれは効果的な方法に持っていかなければ、どのような法律措置がとられても、予算措置がとられても、しまいには何だかしりつぼみになりはしないかということを私自身の経験から懸念いたすものでございます。少し言い過ぎかもしれませんけれども、やはりこうした法律措置につきましては、当事者の熱意の継続、したがって国会においても、一たんめんどうを見たものは引き続きこれを長い目で見ていく努力、心がまえ、これが大切だろうというふうに私の経験から痛感いたすものでございます。以上。
○細谷委員 柴田さんに一点だけ。先ほどの質問で集落再編成の問題についての御構想はわかったわけですが、そこでひとつ突込んだ御質問ですが、先ほどのお話で、やはり通勤型の収入確保というのが過疎対策の第一なんだ、こういうおことばがございました。最後のほうで、工場等が来やすいような、過密から分散へのいろいろな制度上の措置を必要とする、こういう御意見もございました。そこでお尋ねしたいのは、この集落再編成をやっていく場合にも、やはり収入ということが必要でありますから、やはり食住一体、こういうことが必要でありますね。どこかで収入を得なければいかぬ。それは工場誘致に期待するのか、あるいはあなた岩手県でありますが、模範的な過疎対策を進めておる町村があるということを、一カ月ぐらい前の新聞等でも拝見いたしたわけでありますが、やはり工場誘致万能主義というのが今日までの地域開発の失敗の一つの原因であったわけで、たとえば農業、林業あるいは酪農なり、いろいろなものについて、もっと付加価値の高い、地場産業といいますか、そういうもの。とにかく原料を供給するだけで付加価値というのは全部都会に吸い上げられちゃうというのが行き方ですから、少し頭を使えば、そういう付加価値を地元の産物で生かしていくことができるんじゃないか。そこに食住一体の新しい集落再編成というものの基盤がつくられるんじゃないかという気がいたすのですが、この辺をどうお考えなのか承りたい。
○柴田参考人 お答え申し上げます。 この集落再編成の目的は、衣食住の一体性にあるということはごもっともであり、最大の条件であろうかと思います。通勤型のいわゆる農業、あるいは工場誘致をして通勤型のサラリーマン、この二つの行き方があろうかと思いますが、やはり地域によって近くに工場が誘致できましたならば通勤サラリーマン。それからそうでなく、より農業あるいは酪農あるいは果樹等のいわゆる通勤型農業、これは沢内で実施しておる型でありますが、この集落から車で耕地へ参りまして、そこで生産に従事する。さらにこの加工等の付加価値の問題でありますが、たとえば農産物、林産物等の加工、山菜とかキノコとかいうふうな山のものは、そういうふうな面で加工いたしまして生産をいたしておりますし、またそれ以外の農産物につきましても、でき得るならばもちろん工場において加工をして出したいという気持ちを持っておるわけでありますが、現実の問題といたしまして、なかなかこれは容易ではないと思いますが、特産物についてはその可能性が出てまいると思われます。
○鹿野委員長 関連して、華山親義君より発言の申し出があります。これを許します。華山親義君。
○華山委員 岩手県の町村議会の柴田会長さんにお伺いしたいのでございますけれども、私非常にこのごろ心配いたしますことは、企業の合理化というものが国の事業について進められようとしております。よく赤字路線廃止ということがいわれておりますけれども、昨日も私は他の委員会において国鉄当局に聞きましたが、国会におきまして、党派を問わず、この問題に関心を持ち、これを阻止したいというふうに思っておりますけれども、昨日の答弁では、従来の方針を改めたようなことはございません。お伺いしたいのでございますけれども、この赤字路線の廃止ということが進んだ場合に、過疎地帯について悪い影響が出ないかどうかという点が一点。 それからもう一つは、たばこ専売の事業でございますが、これが合理化の線を出しております。いろいろの点で合理化の線が出ておりますけれども、その一つに、葉たばこが大集団的栽培にならなければいけないということを言っております。岩手県は有名な葉たばこ地でございますけれども、山の中に葉たばこが現在植えられているのかどうか。私の土地の模様等見ますと、たばこは従来から山の中に植えるという観念が強い。もしもこの合理化が進んだならば、岩手県等におきまして、山間の産業であるところのたばこの栽培というものが衰微して、これが過疎に結びつくのではないか、その点が第二点。 第三点は、米の問題でございますけれども、これは事実だけを伺いますが、私の生れた山形等を見ますと、山の中にとにかく小単位の小さな田があります。また集団といいましても、相当傾斜度の高いところに田がございます。それらのところはこれを集団化するということができない、合理化するということができない。そういうふうな面で、過疎地帯は米という問題について取り残される面がないかどうか。こういう点を会長さんに伺いたいと思います。 もう一つ、内藤教授にお伺いしたいのでございますけれども、現在産業の合理化の面におきまして、山形県等の実態を見ますと、かつて発電ができるということから、山の中に、あるいは山の中の人が通勤のできる範囲に、相当大規模の工場が戦前からあった。ところがこれらの工場は、条件が悪い点もありましょうけれども、次第に太平洋ベルト地帯の大会社に合併が進められてきた。そしてそれが進む間に、今日も問題になっておりますけれども、これらの工場は撤去され、あるいは縮小されるというふうな傾向にあります。したがって、こういうふうな傾向は今後も進んでくるのではないか。そうすれば工場の誘致どころか、むしろ通勤可能な工場が、立地条件の悪いところからはなくなってきて、過疎の問題と逆行するような傾向が出てくるのではないかということを私心配をいたしておりますが、その点につきまして、先生の今後の見通し等につきましてお伺いいたしたい。
○柴田参考人 お答え申し上げます。 第一点の、赤字路線が廃止されたならば過疎はいよいよ激化していくのではないかという御質問でありますが、私も全く同感でございます。岩手の場合、特に赤字路線の廃止につきましては、地域住民一同重大な関心を示しておるわけでございます。御承知のように岩手の赤字ローカル線におきましては、駅の間隔が非常に遠うございます。したがってこれから開発される地域も多く含んでおりますので、そのような意味で、いま直ちに廃止されたのではたいへんな衝撃を受けるわけでございます。 それから第二点の、たばこの専売に関する集団栽培等の合理化の動きでございますが、御承知のように葉たばこの栽培というのはたいへん人手を要する作業でございます。米と比較いたしましても数段手数がかかるわけでございまして、家族栽培でなければ採算はとても合わないというのが、現実でございます。したがって集団栽培に主力が置かれて、山間の栽培を認めないというふうなことにでもなりますならば、これは葉たばこの栽培についてはいわゆる労務者の不足と申しますか、非常に人手が足りなくなって、思うように生産が進まないのではないかというふうな感じを受けるわけでございます。 それから米の問題でありますが、特に岩手の場合、県北地域がたいへん零細反別が多うございます。山間僻地が多うございますので、どうしても収量その他の条件も悪く、また人手もそれだけあらゆる面で原価が高くついておるわけでありますが、このような集団化、合理化されてまいりますならば、おそらく取り残されるものと思われます。そういうときにこそ集落の再編成で、通勤型農業という米づくりの形に持っていかなければならないのではないかというふうに感じておるわけでございます。 以上であります。
○内藤参考人 お答えいたします。 かつての時代に、山地にも工場があった、そうした場合に考えられますのは、そこに加工に値するような原料があるというのが一番大きな理由じゃなかったかと思うわけでございます。しかしながら、原料立地とか労働力立地という形での工場はいまやまきに非常に少なくなってきた。そのことがやはり農山村にありまして工場誘致する場合に問題があるところじゃないかと思うのですね。われわれの島根県にありましても、労働力立地という形で、特に労働集約的な企業を誘致してきたわけでございますが、この過疎が問題になり、人口流出が進む過程の中で、これも非常に困難になったという事態があるわけでございます。したがいまして、御説のように、工場の誘致どころかということも確かに考えられてくる。しからばこの過疎対策によりまして道路交通を整備して、むしろ近い大都市にあります、あるいは都会にあります工場への通勤が十分考えられるではないかということにもなってくるわけでございますが、工場への通勤といいました場合、都会にありましては一時間やそこらでございますとまだまだ近いということでございますけれども、農村にありましてはむしろ遠い。そうなればかえって道路交通が整備されることによりまして、同じ通うならもっと便利なところへというふうな移動も進んでいくような気もいたします。したがいまして、むしろ基幹的な産業といたしましては、農山村のことでございますから、農林業を軸にした形での発展というものが最もまっとうな、オーソドックスな形での発展じゃないか、またそういったものに対しての一次加工をどういう形でやっていくかというふうな問題がつながってくるのではないかと私は思っております。 〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
○華山委員 先生にお伺いしたのでございますけれども、今後産業の合理化が大企業化、大企業化ということになってまいりますと、私の見てきた工場というものは、大体そこでかつては発電が安かったからできた工場なんです。いまでは発電が安いということの利益がなくなったわけです。そういたしますと、ああいう雪の多い、通勤の困難な、そして原料の運搬費のかかるそういうふうな工場、ことに重化学工業になりますと、コンビナートという利益が得られない。そういうふうなことからどんどん、少数ではあるけれどもそういう、山間と私、申しません、山間から通勤可能な工場でも次第に太平洋ベルト地帯に移っていく傾向になるのではないだろうかということをお聞きしたわけでございますので、たいへん、なんでございますが、どうでございましょうか。
○内藤参考人 これは工場の業種によりまして一がいには言えないと思います。したがいまして、華山議員の御出身地、山形でございますか、そこにありました工場、特に電力というものを前提にいたしまして立地した場合、電力料金いかんということや、あるいはおっしゃいましたようないろいろな条件、それから日本全体の産業の再編成という形になってまいりますと、当然私、おっしゃいますような問題点が進行していくだろうというふうに考えます。
○華山委員 ありがとうございました。
○細田委員長代理 折小野良一君。
○折小野委員 時間の関係もございますので、参考人お一人に一問ずつ御質問を申し上げたいと思います。 まず大谷さんにお伺いいたしますが、御意見たいへん興味を持って拝聴いたしました。その中に、学校の統合によってむしろ集落を崩壊せしめる、こういうお考えをお述べになりました。一つの見識だというふうに私ども拝聴いたしました。そしてまた一面には、新しい村の振興のためにへそをつくる必要がある、そういうお考えもお述べになりました。そのへその中心にはやはり学校というものも一つ考えられていいのじゃないかというふうに考えます。それからまた学校の統合という問題は、いわゆる教育の効果というような問題もからんでおると思うのでありますが、現在の情勢において過疎の状態というのはなお進んでいくであろうと思うのでありますが、そういう今後の見通しの中で、学校統合というものを具体的にどういうふうにお考えになっておるか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
○大谷参考人 お答え申し上げます。 御指摘のように、学校の統合を強力に進めれば集落の崩壊に拍車をかけるという一方の考え方があると同時に、へそ地区を設けて、まん中の地区への整備はやりますということで、何かその辺うらはらのような考え方でございますけれども、現在小学校が私のほうに分校を入れて十三あるわけでございます。その十三ある学校の中で、現在集落の統合再編成の対象にしておるある部落がございます。その部落の学校生徒が現在四名でございます。その集落の戸数が六戸でございますけれども、しかし先に学校の統合を出しますと集落の崩壊に拍車をかけますので、集落の統合とさらに学校の統合とあわせて行なうことで、いま内密に話を進めておるわけでございます。そのことは、六戸の中で一戸も反対があってはならない。それはどこまでも自主的に御相談をしていただきたい。そのためには、一方で県営住宅を申し込んでおります。これは五戸建てで、大体一戸が五十平米あるわけでございます。五十平米あると、それの四倍の用地を地元で出せ、こういう話を進められておりますので、町といたしまして、その六戸のうちで三戸が自動車を持っており、したがって自動車の車庫の用地、物置きの用地、そういうものを考えて大体五十平米の五・五倍ぐらいな用地を手当てをして、それでその家賃を聞きますと、ブロックでかわらぶきでございますけれども、おおむね四千円、いまただの家におる人たちが、町が奨励して県営住宅を建てて、四千円の負担をすることは困難であろうかと思いますので、町は当分の間その半額を出すということで、先般その代表の方五戸を集めていろいろ相談を申し上げております。それはやはり多くて六戸ということになると、一番悪い例を申しますと、その六戸の中でだれか死ぬということになりますと棺おけが出ないわけです。死んだ当家の人と、それから三軒は、私のほうでは野普請とか坪打ちとかいいますが、やはり火葬をやれば火葬の準備が要ります。あるいは土葬すれば土葬の穴掘りで少なくとも三戸は必要だ。寺のお使いが一戸要るわけだ。そうすると、六戸を割った場合——私は十月割れたらだめだと思うのですが、それを、割れた集落を認めておるというところに大体問題があるわけですね。最悪の、葬式が営めないじゃないかという、そういうようなことはわれわれが座視しておるわけにはいかないので、積極的に相談を進めて、金のかかることもやむを得ないので、今回の過疎の立法の中にはそういう問題についてもいききか配慮の道が講ぜられておりますが、町といたしましては、先ほども申しましたように、造林等による面についての財産造成もいたしておりますので、そうしたような方々に半額助成していく。もう一つは、そういうような六戸ぐらいのところで集落を営まれておりますと、冬はほとんど雪踏みで一日が暮れておる。間では、池の水路漏水の問題でいついつは出てこいというので、少なくとも十日間はそうしたような勤労奉仕といいますか、部落の最小限度の生活を維持するための、共同生活の維持のための、要するに金にならない日があるわけです。それがまん中の、へそ地区といいますか、各集落に出てきますと、ほとんどが金になる。しかも保育所等があるところの周辺で、でき得れば舗装された道路のところに持ってきて、あるいはいまの県営住宅を建てますと、足手まといになる子供は保育所に預けることができて夫婦ともかせぎになって、奥地におるよりは現金収入の道に近づいて、生活にももっとゆとりが出てくるということが考えられる。また、極端にひどいのになりますと、へたにすすめておって、一挙にその町という器を飛び越えて都会へ出られることもあり得るわけで、これはやむを得ないことでございますが、そういうような意味で集落の統合、再編成とあわせての学校統合も考えて、それでどこまでも地元との間の納得ずくといいますか、気長の納得でなく、もうじゃんじゃんこちらから出かけていく。機会があれば道のまん中に立ってでも説得をする。それであとは話のまとまったものを聞かしてもらう。また、呼びつけられれば喜んで行く。そういうような形において説得、説得、説得で対話を深めていこうという考え方でございます。 ただ問題は、そうしたような辺地集落の学校教育の六年生の者が今度中学校に行きます場合に、三校ございますから全部寄宿舎の中に入れます。そうすると、学力はおおむね一年違っております。端的に申しますと、学力が一年違っておりますけれども、寄宿舎の通年制の中に入れておりますと、進学する場合には、奥地のほうから出てきた寄宿舎生のほうがかえって進学率がよくて、学校周辺の者はテレビばっかり見たり、遊んでばかりおるので、その子が学校に行かないという問題がございます。ただ問題は、学校教科云々という問題ではなくして、もっと——私のほうの試みで、現在百五十人の中学生徒の進学の中で、残る者は一人か二人しかおりません。ほとんどがみんな進学と就職で出て行って、ことしの例を申しますと、五七%ぐらいの進学で、あと二名くらい生徒が残って、みんな就職でございます。ただ残念なことは、その進学の生徒の中でも百姓をしておる家庭の生徒で優秀な者は、学校の先生が、おまえは普通課程へ行けという指導をきれます。農家の後継をとるべきところの者が、そういうふうに優秀である場合については普通課程へ行け。百姓をするだけの土地とかそういうものを全く持たない子弟は、成績が悪ければ、おまえは農林高校へ行けという指導が現在の中にあるということでございます。 〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、そういうような中において、それで教育効果という問題にはいききかなりかねるわけでございますが、しかしながら、やはり教育という国が責任を持つ効果をを同じように均等に与えるということについては、われわれも大いに責任を感じておる一人でございますので、教材費の問題については一切節約はしない。交付税の対象額はそのまま教育長に予算が頭でワクがいって、教育予算についてはあまりさじはかけないというふうなことで、積極的にそういうふうな配慮をいたします。何ぶんにも十三もある小学校を、将来においての考え方で中学校を一校にして小学校を三校にしようというのがわれわれの隠された一つの計画でございます。それを初めから打ち出すと、住民の反対を受けますので、先ほど申しまするように教育効果の問題とあるいは集落の統合、再編成あるいは統合の問題、そういうようなものをからみ合わせて、時間をかけて気長に対策をとって、やはり教育効果のあるような形において、また国民に与えられたる平等の教育環境を与えるようなことについて、今後さらにそういう努力をする。現在におきましては、方便的にやむを得ない措置として、われわれは教育長に相談し、そういうことをしておるのが実情でございます。
○折小野委員 次は柴田さんにお伺いいたします。 東北の一つの代表的な形で、いわゆる出かせぎという問題があるわけなんでありますが、この出かせぎのつかみ方というのは非常にむずかしいのじゃなかろうかというふうに考えております。したがって、先ほど安孫子さんからも出かせぎ人口というようなものがございましたので、何らか統一的な考え方でつかんでおられるのだと思うのでございますが、柴田さんのほうでお考えになっております出かせぎ、これはどういうような条件でつかんでおられるのか、あるいはどういう定義づけでこれをつかんでおられるのか、お教えをいただきたいと思います。
○柴田参考人 お答え申し上げます。 出かせぎの算定のしかたでございますが、これは県の企画部の統計調査室におきまして、安定所のはうからの資料をもとにいたしまして、なお各市町村長からの出かせぎ相談所がございますが、それらの総合的な基礎資料を集めて調整をいたしておるわけでございます。その数のとらえ方であります。
○折小野委員 それでは内藤さんにお伺いをいたします。ひとつ学者という立場からお話をお伺いしたいと思います。 先生は、いわゆる挙家離村型の過疎地域にお住まいなんですが、先ほどからのお話に出ておりますように、過疎にはいろいろなパターンがございますけれども、東北の出かせぎ型というのがまた一つのパターンだと思います。全体的に過疎というものをつかまえていく場合に、いろいろなパターンを調整をいたしましてつかまえていくということになってくるだろうと思います。現在のこの法案にいたしましても、先ほど来東北の方々からは、東北の実情がつかまれてない、こういうような欠点があるというような御指摘があったわけであります。先生の立場からいたしまして、この挙家離村型の人口流出と、それから出かせぎという形のものと、これをどういうように把握したらいいのかあるいは人口がそのまま出ていくやつは、これははっきりその数でつかまえられるわけでありますが、出かせぎというものをどういうふうに評価したらいいのか、そういうような点についてお考えがございましたらお教えいただきたいと思います。
○内藤参考人 西日本のほうは、挙家離村というふうに一がいにお考えいただきますとちょっと問題が出てくると思います。大谷町長も言っておりましたように、むしろ若年労働力の流出というふうなものが人口減少では大きな中身になってきております。出かせぎの問題にいたしましても、たとえば一年の半年なら半年の間、集落の生産と生活の基盤がそこでは一時的に機能を停止をするという事実においては同じことが言えるだろうと思いますね。ただ何と申しますか、戸籍の面においてあるいは住民台帳の面におきまして、その実態がとらえられていないというところに問題点があるのじゃなかろうかと思いまして、そのあたりをどういうふうにからみあわせるか。過疎という実態を、やはり生産と生活の基盤あるいはいろんな村落そのものを維持するための諸機能が、人口が減少しあるいは流出することによって維持が困難になるものと、こういうふうに考えてまいりました場合には、出かせぎの場合にも一定の意味、一定の影響があることは確かでございますね。そのことをどういうふうに地域指定の場合に反映きせるかというところは、今後の大きな研究課題になっていくのじゃないかと思います。半年村におるから、だからいいということにはならないように私は思います。
○折小野委員 最後に松岡さんにお伺いをいたします。 お配りいただきました資料を拝見いたしますと、なかなか市の運営たいへんだと思っております。特に財政面の運営でございますが、ここにございますように、これはことしの予算でございますか、生活保護費が半分しか予算に組まれていない。人件費もまた半分しか組まれていない。しかし生活保護費にいたしましても人件費にいたしましても、これはいずれ組まなければならない。今後の歳入増というものも、これはあり得ましょうけれども、いずれにいたしましてもこれは市の財政が大きく赤字につながるということになってくるのだろうと思っております。こういう面が如実に過疎地域あるいは前の産炭地域の今日の実情として一番困っておる問題だろうと思うのでございますが、端的に山田市の場合に、現在累積赤字がどの程度あるのでしょうか。あるいはそれの将来の見通しなのでございますが、それが解消されていく見通しがあるのでありますか。あるいは今後ますます赤字は累積をしていくであろうと、こういうような暗いお見通しなのでございましょうか。現在からのお見通しの一端をひとつお知らせいただきたいと思います。
○松岡参考人 私、市政を担当して四期目になるわけでございますが、市政処理の第一の方針は、健全財政の確立ということが一番のねらいだったわけであります。特に、小さい自治体において、また財源に格別のものを持たない場合には、赤字を出した場合には、これは全くその破綻は救えない状態になるというような危惧から、どんなことがあっても赤字を出してはいけないという私の財政処理方針に基づきまして、極度の緊縮方針をとっておる。かといって、そのために行政水準であるとかあるいは住民の福祉というものをレベルダウンしちやいけない。そうしたかね合いもありますけれども、とにかく生活水準ないしは行政水準を落とさない姿において健全財政を維持する、これは一番むずかしいことでございますけれども、やはり財源に市税と地方交付税と、そのほかに幾ぶん公営競技、つまり競輪施行の団体になっておりまして、これは一部事務組合でございますが、それから得る収益金あるいは一部の市有財産処分、これは市有林でございますが、そうした考えられる財源を網羅して、そして年間の財政支出というものをバランスを考えてやっておりますが、過去十カ年の財政処理においては、まだ一度も赤字を出したことはないのでございます。それではよほどけちけちして何もやらないかということになってきますが、先ほど言ったように、行政水準だけは落としたくない。したがって一般的な公共事業等はやりながら、今日まで処してきたと思うのでございます。昭和四十三年度決算も、大体千九百万程度黒字繰り越しをやっておるのでございます。だが、ことし四十四年度は、そのお手元にありますように、生活保護費で約三億円、それから学校の、石炭業による鉱害復旧費、これは純支出の市の負担二千五百万円、あるいは人勧に基づくところのベースアップ千七百万円、これだけはいかようにしても財源の把握ができないのでございます。とすれば、勢い、これは許されることでないかもしれませんけれども、どこかで財源に水増ししなければならない、地方交付税か何かは別といたしまして。いままで十二年間黒字を出し続けてきたものを、ここで一たん赤字を出すと、これは先ほど言ったように済度し得ない状態になりはしないかという非常な懸念を持っておるのでございます。そこで、別途私のほうは将来のいろいろな問題に備えまして市の基金を持っておるのでございます。市の救援金を積み立てております。これは主として市有林の伐採積み立て金でございます。約六千万円持っておるのでございます。また別途、諸積み立て金を一億円程度持っております。市会議員あたりは、しようがないからタケノコ生活で売り食いせいということでございますが、これは市民の総意に基づく蓄積金を一般会計に充てるということは、これはとうてい私はしのび得ないし、できないことで、ことしの九月ないしは十二月には補正の余儀なきに至りますけれども、基金をつぶしてそれを一般会計にするというようなことはできるだけ避けて、いわゆるあとう限りの財源処理——いろいろな財政面の収入は、調定において低目に見ておりますけれども、筒一ぱい見ることによって財源をカバーしなければなるまいと思っておるのでございます。筒一ぱい見るということは、あるいは結果的には水増しになるかもしれません。けれども、かといって水増しになっても、いま言った市民の財産であるその諸積み立て金あるいは基金をつぶして売り食いの予算を立てようというふうな気持ちはないのでございます。過去は何とかかんとかやりくりしながら一応の見通しを立てて処理してきましたけれども、四十四年に関する限りは、恥ずかしいことながら、お手元にあるようなことで、思案投げ首という段階でございます。いままでは赤字を出さずにききえてきたという現状であるわけであります。
○折小野委員 どうもありがとうございました。終わります。
○鹿野委員長 小濱新次君。
○小濱委員 時間の制約がありますので、私は内藤教授に二点だけお尋ねしたいと思います。 一つは離島対策ですが、過疎化の波は離島にも押し寄せております。これに対し昭和二十八年七月に、全国離島の総合開発を目ざして離島振興法というものが施行されました。これはもう御存じのとおりであります。すでに十五カ年間を経過しておるわけであります。ところがこの法律の適用を受けたのが数えるほどの島にしかなっておりません。ほとんどの島がその恩恵を受けていないわけであります。島民は旧態依然とした、そういういろいろの問題がございますけれども、不便な生活を送っておりますが、こういう現状について先生の御意見あるいはまた御希望等がありましたならばお聞かせいただきたい。これが一点でございます。 もう一つは老人対策でございますが、いろいろと伺っておりまして、やらねばならない仕事はたくさんございますけれども、農村の若者たちが都市へ都市へと流れていっております。あとに残された老人とか主婦が田畑を耕している。そうして細々とした生活を送っているという現状でございます、私も農家の出身でありますが。厚生省の推計によりますと、六十歳以上が本年は千七十四万一千人、全体の総人口の一〇・五%、昨年に比べて三十七万七千人ふえている、こういう状態になっております。この農家の老人が相当の高齢になるまで田畑に出ている、こういう姿を見受けるわけであります。こうした方々がいまのような農村の現状で、農山漁村の現状から、老人が余生を豊かに楽しく過ごすということは考えられないわけであかます。言うならば老人の精神生活の安定といいますか、いろいろとしてやりたいことがたくさんあるわけです。こういう点の充実をきしていかなければならないと思いますが、この過疎地域の老人対策についての先生の御意見、それからまた政府に対する希望等がおありでしたならばお聞かせいただきたい、こういうように思いますが、お願いいたします。
○内藤参考人 離島振興の適用範囲につきまして私詳細を存じ上げておりませんですけれども、非常にきびしいということは伺っております。したがいまして追加適用の場合も非常に限られている。で、この場合どうするか。あれもおそらく時限立法だと思っておりますが、この離島の場合にもやはり人口流出が起きまして五〇%をこえ、そして財政の面での一定の基準に合した場合に、私どもが知っております限りの離島の場合ですと、ちょっとすぐひっかかるような気もいたしますですけれどもね。その辺のからみ合いをどういうふうに考えていくか。離島振興法さえも適用できないようなところ、よほど、たとえば瀬戸内の場合で、ああいう町村で海水浴だとかあるいはその他の観光開発で一定のフットライトを浴びているような離島の場合でございますと、繁栄への方向があるかもわかりませんですけれども、そうでない場合にはやはり私、相当大幅な人口流出というものがそこでは予想されるのじゃないかという気がするわけです。たいへん失礼でございますが……。そういたしますと、ある意味におきましては、今度のこの立法措置によりまして特別にお手当てしていただけるのじゃなかろうかという気がするところでございます。 二番目の老人対策。現状の中で行なわれておりますことは、老人福祉施設という形で一種のホームをつくる、五十人とか六十人収容のお年寄りのための施設をつくるということが主体になっているようでございまして、今回のこの特別措置によりましても、おそらくそういった形での福利厚生施設というものが進んでいくんじゃないかと思います。しかしながら、建物や形ができればそれで御老人に満足していただけるか、しあわせになるかといいますと、そうならないところに大きな問題があるわけでございまして、たとえばヘルパーのような制度、これをもっともっと強化拡充するような方向、したがいまして、でき得ることならば建設事業に対します起債とかあるいはその補助率アップに加えまして、役場職員、人的資源に対しましての助成のような措置でございますね、そういったサービス行政に対します助成措置が期待できるといたしますと、老人対策だけじゃなくて万般の問題、とりわけ過疎といった場合には、むしろその地域から人間が減るということ、建物がなくなる、お医者さんがいなくなるということに加えまして、やはり心の中での過疎というふうな問題が非常に大きなものになってくるのじゃないかと思います。そうした場合の相談相手、話し相手というふうな形、あるいはきめのこまかい町村での行財政、行政サービスができるような配慮というものがありますと、私、建物に加えまして鬼に金棒というような気もいたします。さらに農民年金が農村ではたぶん問題になってくるはずでございます。国民年金とのかね合いでいろいろ問題があるようでございますが、離農促進という配慮だけでこれをやってまいりますと、やはり問題が出てくるように思います。六十なら六十で一応年齢あるいは肉体的な条件から農業ができなくなった場合の言うならば保障措置というような形での御配慮というものが別個の形でいただければ非常にいいのじゃないかという気がしております。 以上のようなことを、思いつきのような形で恐縮でございますが、御返答にさしていただきます。
○小濱委員 ありがとうございました。
○鹿野委員長 参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手) 次回は明二十四日午前九時五十分から理事会、十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十五分散会