地方行政委員会 第51号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/07/10
会議録
○鹿野委員長 これより会議を開きます。 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。小川三男君。
○小川(三)委員 二十七日の委員会で、木原委員から質問中私が関連で根本名川遊水池の問題を質問したときに、位置、面積等については後刻資料として提出する。これは資料を受けましたが、溢流させる区域は、あらかじめ遊水池として計画的に溢流させるわけでございます、ここには国有地があって、民有地には溢流溢流させないという答えであったのでありますが、あなたのほうから出てきているこの遊水池は地籍としてどこなんですか。
○南部説明員 二十七日の先生の御質問に対しまして、一部溢流させるところがあるという御答弁を申し上げました。そのときに補償するのかどうかという御質問がございまして、溢流させた場合に対する補償はしないことになっておりますという御答弁を申し上げました。そのときに官地になっておるかどうかという御質問がありまして、その時点ではたしか私はつまびらかでございませんでしたのでお答えを申し上げてなかったように記憶しておりますが、もし民地であれば溢流させないというふうに申し上げたつもりはございませんけれども、もしそう申し上げておりましたらそれは間違いでございまして、補償のことは確かに補償しないということを申しました。溢流遊水池の位置は、地先で申しますと成田市の長沼地先でございます。位置はその図面に書いてあります一番合流点に近い付近のところでございます。
○小川(三)委員 じゃ、民有地に溢流させた場合には民有地に被害が起こるから、これに対する補償はどの機関が当たるのかという私の質問に対して、あなたのほうでは、国有地に溢流させるから、民有地に対して溢流させないから、したがって補償もない、こう答えているわけです。
○南部説明員 直接所掌しておりませんものですから、そのお答えがもしそういうふうに申し上げておりましたら間違いでございます。その後私が調べたところによりますと、現在の溢流の計画をしております地域は民有地でございます。民有地でございますが、この経緯を千葉県のほうから徴しましたところが、この溢流池はかつて河川敷でございまして、昔沼でございました。その沼地は古くから一部干拓を行ない耕地化するというふうな計画はあったようでございますが、千葉県からの御報告によりますと、戦前に、当時農地開発営団というのがこの干拓に着手したようでございます。ところが、その後営団が解散になりまして、引き続き農林省関係の事業として行なわれ、これを千葉県が代行して戦後に一応干拓事業を完了したそうでございます。しかし、この干拓事業が完了した状態でも、もともと沼地であったところでございますので、条件があまりよくないということで、その後いろいろ地元からの御要望もあって、昭和三十三年ごろから、当時利根川の直轄改修事業の河床のしゅんせつ土の処分地ということで、その沼地にさらに客土をいたしてさらに条件を改良いたした、こういう経緯だということでございます。 しかしながら、なおその辺はもともと低地でございますので、さらに河川の治水対策の促進が要望されまして、昭和三十三年ころから県の事業として中小河川の改修事業が始まっております。その改修事業の中で、当時溢流させる遊水池の計画が当初からございました。しかし、その計画につきましては、地元の方との折衝がいろいろ行なわれた結果、三十八年ころに、当時関係の方々との間で、そういう計画として行なうということについては了解が大体成り立ったというふうに千葉県から報告を得ております。
○小川(三)委員 あなたはこの間の答弁で、国有地があるから国有地に溢流させると言った。それは誤りであるということをいまあなたは認めましたね。あなたのほうでいう国有地というのは、ここに二町歩しかないのですよ。これだけしか国有地はない。これは重大なことです。それから、あなたはいま、何か千葉県からの報告と言っていたが、ここは全部長沼干拓ですよ。全部長沼干拓で、ここに百三十町歩、ここに二十一町歩、これが根本名川土地改良区に来て、あなたのほうで説明しているのは、これが溢流堤です。これからはんらんさせるのですよ。そうすると、ここの二十一町歩は全部冠水するのですよ。もし溢流する水量によっては、さらにこの十日川という川を越えて百三十町歩にも冠水する条件があるわけです。こういうずさんな計画のもとにあなたのほうでそんな答弁したってだめですよ。何年に干拓やろうが、少なくとも長沼干拓というのは千葉県の干拓の歴史からいったって最も古い干拓の歴史を持っている。しかも営々としてみんなやっているのですよ。しかもあなた、いまごらんなさい。これは美田ですよ。ここに溢流させるのですよ。これが土地改良区に来て説明している溢流堤ですよ、この赤線が。あなたのほうで言っているのとまるで違いますよ。ここじゃないですよ。あなたのほうは、遊水池はこれだと言ってきている。これはもっと上流ですよ。一体だれがこういう計画を基本的にやっているのですか。
○南部説明員 いま先生のお手元にあります図面の遊水池というのは、その中のいま先生がおっしゃいました二十一町歩に相当する分でございます。
○小川(三)委員 そうすると、民有地を溢流させるんでしょう。これはあなたは承認されますね。そうすると、溢流された稲なだは、冠水した場合に当然被害が起こりますが、この被害に対してだれが補償するのですか。どこの機関が補償するのですか。この点を明確にしておかなかったら困りますよ。
○南部説明員 先ほど申し上げました経緯の中で、千葉県の中小河川の当時の責任者である千葉県知事との関係の地元の方々との間で、溢流遊水池に使うという前提で合意が成り立ったということで、現在、私ども建設省の河川局のほうでは、河川管理者が補償をするというふうには考えておりません。
○小川(三)委員 冠水で農民に被害を与えても、だれも補償する機関というものがないのですね。補償しないという考え方ですか。そこで、地元では非常に不安であるのです。この間建設大臣が現地調査をされたのです。あなたは知っているでしょう。そのときに、建設大臣にどうしても質問しなければならないというのに対して、きょうは絶対に質問してくれるなと言ってそういう質問者を退けて、そうして建設大臣には質問させなかったという経緯がある。根本名川土地改良区の理事たちに対して質問の口を封じたのですよ。けれども、現状としては溢流するのですよ。そうすると被害は当然起こってくる。だれもこれに対する補償をしないということであったら、農民が非常な不安になるのは当然でしょう。これは一体だれが主管して——こういう計画をする以上は、当然溢流、冠水することは間違いないのです。しかも、幾ら冠水されても、稲のほうには水は入らないようにしますなんということはできようはずがないのです、はんらんしてくるのですから。その補償は大体だれがするのか、しないのか、その点明確にしておいてもらわないと、こんなずさんな法案でやられたのでは地元は迷惑ですよ。
○南部説明員 いま申し上げましたように、河川管理者として河川計画上遊水をさせ、現実にそういう事態が起こって被害があった場合に、それに対して河川管理者として補償するということは現在考えておりません。同じような先例といたしましては、同じ千葉県下でも、利根川の田中遊水池というもっと規模の大きなものがございますが、これらにつきましても同じような条件になっているというふうに聞いております。
○小川(三)委員 これに対しては、あなたのほうでは補償しない。自治大臣に伺いますが、あなたのほうでこの法案を主管して出されたのです。内部にこういうような事実があるのです。これに対して、自治省としてどういう処置をとられるか伺いたい。
○野田国務大臣 お答えしますが、計画の実施は建設省がやっておることは御承知のとおりであります。その損害の場合の補償問題につきましても、計画実施の官庁がどういうふうにしてやるかは私のほうでは直接なにですが、私も、いまの質問応答を聞いておりまして、そこのところを建設省でどう考えているか、私自身も疑問に思っているわけです。自治省として、この所管関係でどうするというお答えはできませんが、私のほうで建設省に、その点どういうふうかただしてみます。主管がやはり建設省になっておりますので、どうしてもその取り扱いは建設省でやることになるのですが、しかし一応私のほうでもただしてみます。
○小川(三)委員 ですから、この問題は、地元の協力体制というか、地元では溢流することはやむを得ない、コンクリートの堤防で溢流することはやむを得ないけれども、補償しなければ困ると言っているのですよ。河川の管理者が溢流させる計画をして、最初から冠水させ、水田に水をはんらんさせるような計画をしておいて、しかも当然起こるであろう被害がわかっていながら、これに対して、補償しないということであったら、地元は賛成する条件は何もないでしょう。
○南部説明員 当時、三十三年ごろ、治水対策の要望が強くて、河川改修をあの低地帯で行なうというときにいろいろな計画があったように聞いております。一つは、はんらんをさせないということになりますと、利根川の本川の水系の水位というものが非常に高うございまして、そういう非溢流方式でバック堤をつくっていくということは、むしろ相当に大きな耕地のつぶれができるというふうないきさつもありまして、いろいろ地元の方々との折衝の結果、いま申し上げますような経緯もあったことと思いますが、溢流させて遊水するということで地元の方も承知をされたというふうに聞いております。
○小川(三)委員 溢流させて被害が起こってもけっこうだと言っている農民が常識としてありますか。そんなことは日本の農民の歴史の中にもどこの歴史の中にもありませんよ。利根の水位が高いということは、建設省は百も御承知のはずだ。したがって、利根川へ全部入れられないので、溢流させるということはあなたのほうの計画なんですよ。地元の農民が溢流させてやってほしいといって計画しているのではないのです。したがって、補償の体制というものがとれないということはあり得ないでしょう。ですから自治大臣、推進本部は運輸大臣が推進本部長ですが、各省まとめた推進本部として、この問題をきちんとして出さなかったら、地元農民はこの工事に対して賛成しませんよ。しかも改良事業で二十年間もこれから借金をしょって地元の農民はやらなければならぬ。二十年間も借金をしょっておりながら、さらにいつ溢流してくるかわからない。起こってくる当然の被害があることを知っていながら、これをほおかぶりして通されるなんというようなことはあり得ませんよ。そんな政治は政治じゃないですよ。行政からいってもそんなことはあり得ない。自治大臣、これはひとつ十分に責任を持って、運輸大臣なり推進本部としてのきちんとした見解を出してもらいたい。
○野田国務大臣 いまの小川さんのお話、よくわかります。推進本部ができておりますから、いままでの折衝の経過もあると思いますし、また、いまお話しのとおり、農民のほうもどういうふうにしてこれに同意されたか、その経過は、これはおそらく建設省も、それから千葉県も関係しておると思いますから、推進本部でわかると思いますから、一ぺんその点は相談しまして——私がここではっきりお答えができないのは、その経過がわからないものですから、いま小川さんのおっしゃるようにただしてみますから……。
○小川(三)委員 本来ならばこの法案はきょう通るべきじゃないのです。こういう内容に非常にずさんなものを持っているものはね。 それからさらに、これは建設省に伺いますが——きょうは公団は来ていないのですか。
○鹿野委員長 来ていません。
○小川(三)委員 工事の関係でこういう事態が起こっているのですよ。資材輸送道路として県道の工事をやっている。ところが、ここに電電公社が仕事を請け負わして作業をやっている。マンホールをつくっている。これに何の標示もない、さくもなけれど標識等もない。それに激突して死亡者が出ている。そうして、これに対しては千葉県が責任を負うべきだ、空港公団の責任だ、いや電電だ、工事をやっている大明電話という工事会社だ。被害者は死んでいるのです。ところが、それに対して責任の所在が全然明確にされない。これは、かりに今後空港建設のための工事が始まったとしたら、こういうような被害が至るところに起こってくるであろう。その場合に、私たちが責任を負いますというものが全然ないのです。いま警察が関係者を招致して取り調べているが、みんな逃げておる。私の責任じゃない——こういうことが現実に起こっているのです。ですから、こういうものについても、推進本部なりできちんとした体制を持ってやるのでなかったら、地元はやられっぱなし、被害の受けっぱなしで、だれにその被害の解決を求めていいのかという点が明瞭でないのです。こういう点もあわせて、いまの問題と関連してきちんとしてもらいたい。 それから、農林省の農地局見えてますね。あなたは、この間ここで参考人を呼んでやったときの丸朝園芸農業協同組合という組合があることは御存じですね。
○福澤説明員 聞いております。
○小川(三)委員 丸朝の組合長がここへ参考人として来て意見を述べているわけです。あれは農林省がなぜ丸朝園芸農協というものを掌握しなかったかといえば、あそこでは県からも国からも一銭の補助も受けてないのです。そしていまは日本一の出荷率を持っているのです。単位農協として種子の選別から始まって計画栽培、計画出荷、非常によくやっている。しかもいまは一千以上の農民が団結してそういう仕事をやっている。それに対して、いまこのまま飛行場を強行するなら、あの丸朝園芸農業協同組合は壊滅してしまいますよ。国の一銭の補助ももらわないで、営々として今日単位農協としては、日本一の出荷率を持っているものです。そういうものを農林省はつぶしていいのですか。そういう農協はないほうがいいのか。そんな指導はない。これに対して農林省として、丸朝園芸農業協同組合を守るのか。つぶしてしまったほうがいいのか。守るならどういう対策があなたのほうにあるのか、つぶすならこれはもう対策は必要ない。その点明確に、時間がないそうですから……。
○福澤説明員 丸朝園芸組合につきましてのこまかい話を私は存じておりませんけれども、当然そういうものをつぶしていいということは考えておりませんので、できるだけそういうものを両立させる形でやっていくというふうにお答えするほかありません。その点につきましては、県の農林当局とも十分連絡をとりながら、丸朝園芸組合の方々が、十分新しい方法でやっていけるような方法を考えていくように、国としても処理をしていきたいと思っております。
○小川(三)委員 これでやめますが、新しい方法を丸朝園芸農業協業組合についてあなたのほうで講ずると答えられたのですが、新しい方法というのは、一体どういう方法なんですか、あなたのほうで言っているのは。推進本部が言っているのは、畑地かんがい一本でやっているのですよ。もうとうに自力で畑地かんがいをやっていますよ。それ以上に新しい方法、奇想天外な方法があるのか。
○福澤説明員 新しい方法というのではございませんが、丸朝園芸組合の方々とよく話し合いをして、その人たちの要望も受け入れるような形での両立のしかたというものを考えていきたいと思っております。
○鹿野委員長 関連して山口鶴男君の質疑を許します。
○山口(鶴)委員 ただいま小川委員から具体的な問題について質問があったわけでありますが、率直に聞いておりまして、前回の委員会の答弁と、本日の委員会の答弁が、建設省の調査官の方はたいへん違っておるわけでありまして、そういった不明確なままでその場しのぎの御答弁ということは、私ども非常に遺憾に存じます。ただ問題が具体的な実施に関する問題でありますので、今後十分検討いただかなければならぬ点もあるかと思います。特に推進本部は、本部長は運輸大臣でありますが、この法律に基づきまして策定する空港周辺地域整備計画は、市町村長の意見を千葉県知事が聞いて、その上で自治大臣が決定をする、こういう形になっております。したがいまして、この整備計画の実施に伴って具体的に起きますところの問題点、たとえば小川委員があげました根本名川改修問題に伴いまして民有地に溢流するという問題、これを補償するかどうか、さらに丸朝園芸農業協同組合に対する育成方法、これは本来であれば、本法案の審議中に、政府に明確に御見解を示していただくことが当然だとは思いますけれども、しかし今日までの経過もありますので、その点は私どもも大いに譲歩いたしますが、少なくともしかるべき機会に、今国会中に、整備計画の実施に伴う具体的な、本委員会で指摘された問題点につきましては、こういう形で責任を持って処置いたしますという御答弁を得ることを要求いたします。委員長において善処願いたいと思います。
○鹿野委員長 承知いたしました。 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○鹿野委員長 これより討論を行ないます。討論の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
○山口(鶴)委員 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の討論をいたします。 私どもが反対をいたします理由の第一は、今回の新東京国際空港、いわゆる成田空港の性格の問題であります。 安保条約あるいはこれに伴いますところの地位協定、これによりまして、私どもは軍事目的にこの新東京国際空港が使用される懸念があるということを当委員会においても表明をいたしたところであります。特に現在、民間の国際空港として使用されております羽田空港の実態を見ますと、米軍機はもちろん、さらにはMACのチャーター機が毎年三千回ないし四千回と離着陸をいたしておるわけであります。これに対しまして、新東京国際空港は軍事目的として一切使用することはあり得ない、こういう答弁がかって中曽根運輸大臣からあったのでありますが、条約の面から私どもが指摘をいたしましたところ、七月八日、愛知外務大臣がこれに対する統一見解をお示しになりました。それによりますと、MACのチャーター機、米軍機、こういうものにつきましては、成田空港は民間の国際空港なので、日米合同委員会で米軍側の使用自粛を申し入れ、できるだけ使用しないように最善の努力を払うという答弁があったわけであります。しかし、これを検討いたしますならば、自粛するように申し入れる、最善の努力を払うということでございまして、それ以前に運輸政務次官あるいは航空局長が答弁をいたしました、安保条約の施設提供、ノーチェック使用の原則からいって、米軍関係機の締め出しはむずかしい、こういう答弁を現実的には裏づける統一見解だということにならざるを得ないと思うのであります。したがって、自粛するということでありまして、米軍機あるいはMACのチャーター機を拒否する、こういった断固たる姿勢は、現在の政府からは見出すことはできないのであります。 さらに申し上げますならば、地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律によりまして、検査権もございません。さらに航空法の適用を除外することによりまして、アメリカから羽田、そして沖繩の嘉手納、それからベトナムへ戦闘目的のために飛び立つ、こういうことが現に行なわれているわけでございます。したがいまして、成田空港ができました場合、アメリカから成田へ、さらにはアメリカの施政権下の軍事基地へ、それから戦闘地域へ戦闘作戦行動に飛び立つという可能性は十分あり得るということになるわけでございます。さらに百二十八条の適用除外によりまして、軍需品輸送の禁止もできないわけでありまして、堂々現在羽田に軍需品が輸送せられると同様に、将来成田空港が設置せられた場合は、この民間の空港だという成田の空港に軍需品が堂々持ち込まれる可能性というものを残している、このことはきわめて重要な問題だと思う次第であります。次に、この法律の内容についてでありますが、まず第一に私どもが指摘をしなければならない点は、この法律が自治体の自治権を侵害しているという問題であります。空港周辺地域整備計画の決定は、千葉県知事が関係市町村の意見を聞いて計画案を作成する、自治大臣は主務大臣と協議をした上で計画を決定する、こういうふうに定められております。同様な奄美群島振興特別措置法によりますならば、奄美群島振興審議会の議を経て自治大臣は振興計画を決定すると定められております。すなわち、奄美群島振興特別措置法につきましては、少なくとも民主的な手続が保障されておりますが、この空港周辺整備特別措置法にいうところの空港周辺地域整備計画の決定にあたっては、このような民主的な手続が保障されておりません。このことは明らかに市町村また千葉県、これらの自治体の自治権を侵害するおそれが多分にある点を、私どもは指摘をせざるを得ないわけであります。 内容の具体的問題の二点といたしまして私どもが遺憾に思いますのは、この法案が自治体の財政を圧迫し、住民福祉を犠牲にするという問題であります。 本来自治体は、住民サービスのための固有事務に専心することが自治体の任務であることは言うまでもありません。しかるに今回の空港周辺整備に関しまして、膨大な公共投資を行なう責任が県、市町村に課せられるわけであります。本来国の責任で行なうべき国際空港の周辺整備の実施が、県、市町村という自治体にいわばしわ寄せされるのであります。そしてこの負担額は、千葉県におきましては七十八億円、関係市町村におきましては五十七億円の巨額に達するわけであります。そのほか土地改良事業等の負担を考えますならば、別に三十八億という負担もあるわけであります。今回の法律によりまして、いわば補助金のかさ上げによりまして、二十七億七千万円の負担が軽減をせられることになるわけでございますが、その内訳は、県が二十億円、市町村が七億でございます。特に財政力の貧困な市町村に対しましては、わずか七億の減額にしかならない。この点は大きな問題点であると思います。しかも、たとえば騒音防止につきまして、新しく学校を新築するという場合、一〇%の市町村負担というものは依然として残るのであります。 現在、全国的に行なわれておる新産業都市建設、これを見ますと、工場誘致条例その他によって、当該市町村は財政力が強化されるよりもむしろ独占のための公共投資に自治体の財政をぶち込むことによって、当該市町村の財政を大きく破壊せられておるわけであります。したがいまして、成田市につきましても、今回の法律によって財政力が強化されるよりも、むしろ成田市をはじめとする関係市町村の財政が大きく破壊され、本来行なうべき住民サービスのための固有事務が犠牲にせられ、住民福祉が圧迫せられるという危険性が大きくあることを指摘をいたしたいのであります。 第三の問題点は、空港周辺整備事業の具体的な問題点であります。特に、根本名川の河川改修が問題となりましたが、本来この飛行場の排水は当然太平洋岸に流すべきものであると考えます。しかるに芝山地区に反対が強いために、利根川にこれを落とすというのであります。利根川の治水上全くこれはナンセンスの問題というべきでありましょう。そればかりではありません。特に計画がずさんでありますために、先ほども当委員会で問題になりましたが、溢流いたしました水が民有地にはんらんする危険性もございます。これに対する補償措置も明確ではありません。これも大きな問題点であろうと思います。 さらに、騒音対策の問題がございます。騒音対策として一部住宅の移転でありますとか、学校、病院等の騒音対策が一応計画せられておるようでありますが、その内容はきわめて不備であります。さらにSSTというような超音速大型ジェット旅客機が就航する場合を考えました場合、このジェットエンジンは従来のジェットエンジンのおよそ三倍もの強力なエンジンを具備するといわれております。したがって、その騒音ははかり知れないものがあろうと思います。この騒音に対しまして地域住民が悩むということは必至である、かように考えざるを得ません。 さらに、道路計画の問題でありますが、成田空港から東京の都心に短時間で行くための計画と称して、湾岸道路あるいは東関東自動車道が計画をせられております。しかし、その実態は、湾岸道路につきましてはいまだ机上プランの段階を脱しておりません。東関東自動道車道につきましては、政府側の答弁によれば用地すら一坪も買収していないではありませんか。こういうことでは、これらの道路計画は全く夢の計画であるといわざるを得ないと思うのであります。 次に、空港としての機能の問題でありますが、当初計画の二分の一に縮小せられました。欧米の 一流の空港が千七百ヘクタールないし三千ヘクタールという広大な面積を持っておるのに比較いたしますならば、成田はわずか千六十ヘクタールの面積しか持っておりません。したがって、四十八年にかりに完成をいたしましても、十年もたてばこの空港はもう満ぱいになり、新たに空港を設備しなければならぬ、こういう状況でございます。政府の、そうして空港公団の空港政策というものは、まさにその場しのぎの政策というべきでありましょう。 最後に、指摘をいたさなければなりませんのは、この成田空港の計画がまさに地域住民を無視して、強引に一方的に進められているという問題であります。地域住民が、特に土地を愛する農民の方々が、これらの計画に反対することは当然といわなければなりません。私は現地へ参りまして、地域住民の話を聞いたのでありますが、下総の農民の方が成田へ参りまして、成田地域の土を握ってはらはらと涙を落としたそうであります。まさにこれは沃野であり、このような沃野をつぶされることに反対することは当然だということを、下総の農民の方々が一様に申したそうでありますが、このようなことをもっていたしましても、反対運動の皆さんが結束して反対をすることは当然であろうと思うのであります。しかるに政府、公団の姿勢を見ますと、これら反対同盟の諸君とは対話をしない。航空部長の言をもってすれば、まさに反対同盟と対決して、警察権力の援護によって、強引にこれを実施しようといたしておるのであります。このことはまさに誤りであります。 私どもは、このような観点から、今回政府が提案をいたしましたところの新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案は、空港の設置に関する政府の姿勢も問題であると同時に、これが軍事目的に使用せられる危険性があるし、さらにその法律案の内容につきましても、地方自治体の自治権を無視し、地方財政を破壊し、地域住民を犠牲にする、こういう観点から絶対に賛成をすることはできません。 以上、社会党を代表いたしましてこの法案に対する反対の意見を申し上げた次第でございます。
○鹿野委員長 林百郎君。
○林委員 私は、日本共産党を代表してただいま提案されております新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に反対の討論をいたします。 反対の第一の理由は、本空港の性格の問題でありますが、それは米軍との地位協定との関係で、安保条約のもとではいつでもアメリカの公な使用に供さなければならないのは当然でありますが、そのことが軍事的使用に道を開くことになることもまた明らかであります。今日日本の空が米軍の使用によって奪われており、米軍専用の軍用空域の関係で東京周辺の空は、この千葉県の北総方面以外にはあいていないという事情があります。すなわち、日米地位協定付属文書で日本の空は米軍機に最優先権で与えられており、東京周辺の上空はブルー14と呼ばれる米軍専用空路が、南は大島近辺から横須賀、東京、大宮、宇都宮、日光に至る南北を結ぶ幅十マイルの壁として関東平野を従貫しております。これは東京西方一帯にある横田、ジョンソン、立川、厚木などの米軍飛行場群との関係で設けられた軍用空域で、民間航空機は立ち入りがほとんど禁止されており、日本の航空管制の全く及ばないいわゆる空の治外法権地帯といわれております。さらに関東上空はブルー14に沿って通称ヨコタエリアと呼ばれる広大な空域が米軍専用管制区域となっております。また、埼玉県入間川、茨域県霞ケ浦の百里など航空自衛隊基地の軍用空域もこの地域にあるわけであります。日本の空の交通は、米軍と自衛隊の軍事優先として使用され、民間機はその往来の間を縫って飛行しなければならない状態に置かれております。政府が富里から三里塚に強硬に新空港を建設しようとしたおもな原因が、このような日米安保条約と米軍の地位協定に基づく米軍優先、軍事優先の空域の関係が一つの要因だったことは明らかであります。その結果は、本空港もまた明らかに米軍の使用に供せられる軍事的使用に道を開くに至ることは、これらの事情を勘案すれば当然であります。このような性格を持つ空港設置の具体化のための本法案にわが党は反対をするものであります。 反対の第二の理由は、本法による財政上の特別措置の具体的内容についてでありますが、この具体的な措置によりましてもなお膨大な負担が地元自治体に負わされるという点であります。関連市町村が周辺整備のために必要とする予算は、参考資料で概算しただけでも、特別措置で負担減額を行なってもなお四十九億円にのぼり、これは関連市町村の歳入の二・七倍という多額の負担になるわけであります。また、千葉県として必要とする予算は約五十八億円にもなり、この額は千葉県の四十二年度の普通建設費の年間決算額のほぼ一割に匹敵するものであります。 このような多額の負担は依然として地方自治体の負担になるものでありまして、これが地方自治体の財政を大きく圧迫するものであることは明らかであります。 空港建設に伴う人口増加に対処するためのいわゆる成田ニュータウンの建設について、地元の負担率を見ますと、地区内の下水道が八〇%、ごみの焼却場が九三%、公民館が九四%、保育所が八九%、幼稚園が八一%、小学校が七三%、中学校が六九%消防施設が六一%など、地域住民の生活に欠くことのできない施設はほとんど地元負担で行なわれることになっております。また市町村の負担はほぼ四十三億円にのぼっておりますが、この額は実に成田市の四十二年度歳入の五・三倍にのぼるのであります。しかも本法案による負担軽減額は、現行法で市町村が負担しなければならない額に比して、この措置によりましても地区内の下水道ではわずか四・八%の是正、ごみ焼却場で一・一%など、きわめて微々たるものであります。地域住民の生活に欠くことのできないこれらの施設を建設する責任を、地方自治体にその負担能力をはるかに越えて義務づけることになるわけであります。空港建設によって重大な被害をこうむる地域住民の生活と営業に対する補償がほとんど顧みられないのみか、地方自治体にこのようなばく大な財政負担を負わせることについて、わが党としては反対するのであります。これは本法案によってもなおこのような数字が出てくるのでありますので、わが党は反対する第二の理由としてこの点をあげるわけであります。 第三の理由は、農民の土地と生活、営農を守る上からとうてい承認できないという点であります。予定敷地内に所有地を持つ農家だけでも約八百戸に及んでいる。しかも専門家の計算によりますと、超音速の大型ジェット機の騒音によって全く人の住めなくなる成田市の遠山地域を中心とした部落を入れますと、面積は約二千四百三十ヘクタール、千二百四十八世帯、五千五百人の住民が、直接間接立ちのかざるを得ないと推定されておるのであります。さらにこれが、四千メートルと二千五百メートル滑走路の直下になる山武郡の芝山町を含めると、その範囲は五千ヘクタールになろうという計算も出ておるわけでございます。一方、代替地として国が準備している土地の面積は、約五百ヘクタール程度です。しかもこの問題点は、場所がまだ具体的に、現在の住居との関係で決定されておらないということと、小規模土地所有者の営農が保障されていないという点であります。たとえば代替地として考えられている五百ヘクタールのうちの印旛沼を干拓した部分は、少なくとも三年は営農ができないといわれております。空港用地となっておる農民のために準備されているのは特に沼の中心に近い部分であり、干拓して堆積した土の下のアシなどの腐敗による沈下がひどいことが予想されております。したがって八年から十年ぐらいの間は水田としても使えないのではないかと、農民の声が出てきております。しかも国の財政措置との関係で、所有権は八年間は農民のものにならないといわれております。代替地の条件は、水田の場合は印旛沼干拓地を見ますと、現所有地の一・五倍、一応こういう数字が出ております。しかし畑地の場合は、現在の所有地面積が二町歩以上の人には七反五畝、二町歩から五反までの人には約五反、五反未満の人には七畝の比率しか出ておりません。農民の要求を見ますと、自主流通米等の動きや、都市周辺であることから畑地を多く望んでおるのでありますが、畑地の場合もいま言ったような僅少な比率であるし、所有権はすぐには移らない。また移転促進のための農地を宅地転用しないまま家が不法に建てられているというような、こういうこともありまして、土地の管理が農民に実質的に移らない、所有権が移らないということで、農民の間から非常に大きな批判の声が上がってきているわけであります。 さらに、成田用水の計画を見ますと、国や公団のほうでは、水がなくなるからこれは必要だ、約四千町歩のかんがい用水として必要だ、こういう説明をしているのでありますが、この水がなくなるという原因をよく調べてみますと、これは第一に、空港建設に伴って地下水が大量にくみ上げられている。第二は、用地内の御料牧場あとの森林が伐採されている。第三は、用地外の御料牧場あとの森林伐採が行なわれている。第四は、県有林の伐採が行なわれている。これらによる水源の枯渇が、水がなくなる大きな原因になっているようであります。本来これらの森林は水源涵養の保安林としての役割りを果たしていたのでありますが、これがまさに乱伐されるのでありますから、地域住民にとっては重大な影響が与えられるのであります。ことに営農上重大な影響が与えられるのであります。ところが、この土地改良事業に対して二十四億にのぼる地元負担が計上されておるのでありますから、農民にとってはこれは全く泣きつらにハチという形で、農民の営農を財政的負担の上からも大きく圧迫することになるわけでありまして、私たちはこの農民の土地と生活と営農を守るという点からいっても、本空港には賛成できませんし、また、本空港を設置するための具体的な措置としての本法案には賛成することができないのであります。 以上の反対の理由によりまして、私たちは本法案に反対するばかりでなく、三里塚に国際空港を設置すること自体に根本的に反対するものであります。 わが党は、一九七〇年六月二十三日を期して安保条約終了の通告を行なうとともに、その後一年を経過することによって安保条約を終了させる。このことは安保条約の十条に日米両国の合意事項として規定されておるのでありますから、この当然の権限を行使する。それによって米軍を撤退させるとともに、国内における米軍の広大な基地を返還させ、横田、立川、厚木等の広大な空港を返還させることによって、いわゆる国際空港問題を地域住民や自治体に犠牲を負わせることなく根本的に解決できる、この方途をここに提案をいたしまして、私の反対討論を終わりといたします。
○鹿野委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。 本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鹿野委員長 起立多数。よって、本法律案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○鹿野委員長 この際、山村新治郎君、折小野良一君及び小濱新次君から、三派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。山村新次郎君。
○山村委員 私は、この際、自由民主党、民主社会党及び公明党の三党を代表し、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。 案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、新東京国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の整備にあたり、次の諸点について留意すべきである。 一 空港周辺地域整備計画に基づく毎年度の事業の施行に際しては、関係地方公共団体と緊密な連絡をとり、適切な財政、金融上の措置を講ずること。 二 新東京国際空港の建設ならびにこれに関連する事業の実施にあたっては、関係地方公共団体の意見を通じ、地元住民の意向を十分に反映するよう努めること。 三 新東京国際空港と都心とを結ぶ交通の円滑な処理を図るため、高速道路の規模等については万全の配慮をするとともに、ひきつづき東京湾岸道路の整備を図る等必要な措置を講ずること。 右決議する。 以上であります。何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。
○鹿野委員長 本動議を採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○鹿野委員長 起立多数。よって、山村新治郎君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。野田自治大臣。
○野田国務大臣 政府といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を十分審重いたしまして善処いたしたいと存じております。 —————————————
○鹿野委員長 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○鹿野委員長 次回は明十一日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時六分散会