P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
61回国会衆議院1969/05/19

地方行政委員会 第33号

発言数
68
登壇者
12
会派数
5
開催日
1969/05/19

会議録

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 これより会議を開きます。  本日は、地方公務員法の一部を改正する法律案について、参考人から意見を聴取することといたします。  参考人は、全日本自治団体労働組合中央執行委員長栗山益夫君、全日本労働総同盟副会長菅原栄悦君、日本労働組合総評議会スト権奪還特別委員長宝樹文彦君、福山市長徳永豊君、学習院大学法学部教授山内一夫君、以上五名方々でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用中のところ当委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。参考人各位の忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いに存じます。  なお、議事の都合上、御意見をそれぞれ約十五分程度お述べいただき、その順序は栗山参考人、菅原参考人、宝樹参考人、徳永参考人、山内参考人の順序でお願いいたします。  それでは、まず栗山参考人にお願いいたします。

栗山益夫全日本自治団体労働組合中央執行委員長

○栗山参考人 まず冒頭に、当委員会がわれわれ関係者の意見を参考人として聞いていただきます態度に対して、心から敬意を表したいと思っております。  定年問題は、使用者の立場としては、労働力の減退した高年労働者を職場から機械的に排除して、若年労働者に切りかえ、平均賃金の引き下げと能率の向上をはかることでありましょう。しかしながら、国家や地方自治体の立場は、同時に労働者の働く権利や定年退職後の生活保障、雇用政策などの観点から判断されるべきものと思います。今国会に提出されている地方公務員の定年制は、事前に関係労働団体について協議することもなく、世界にも例のない法律や条例によって、労働者の参加なしに一方的に働く年齢の限界を定めようとすることでありますから、きわめて慎重に取り扱われることが必要であろうと思います。  今日、民間における定年制度は大企業に多く、中小企業になるに従って少なくなり、三千万雇用労働者のうち約千万人が定年制度の中で働いています。企業の数では五分の一程度でありましょう。しかし労働協約、就業規則で定められ、労働者の参加、協定で行なわれておるのであります。現在多くの自治体には退職勧奨制度があり、新陳代謝は円滑に行なわれております。すなわち民間における定年制と同質のものが慣行として行なわれているのであります。  首切り、解雇の条件は労働者にとっては最も重要な労働条件の一つであり、労働組合にとっては当然団体交渉、協約事項の一部であるばかりでなく、憲法第二十七条の国民としての勤労の権利と深い関係があり、民間においても幾たびか定年制による解雇が法廷で争われました。公務員に新たに定年を設けることは憲法違反のおそれがあり、契約違反の争いの余地があると思います。また、免職制度は、画一的な解雇方式をとらず、個人の能力に基づいて行なう分限制度をとっております。したがって、定年制の導入は、公務員制度の基本的理念に触れる重大な内容を持っています。  第二に、雇用政策としての問題であります。労働省調査によれば、雇用労働者は年々高齢化し、中高年の就業対策が重要な施策となり、定年問題についても調査研究を進めておるととろであります。ことに石炭をはじめ、多くの産業における合理化による解雇に伴って大量の労働者が失職し、その対策として政府は昭和三十八年以来、特に自治体に対し中高年労働者の雇用を慫慂し、また府県知事の指揮下にある職業安定所は、重要な任務の一つとしてきたところであります。最近、市町村などのような中小事業所においては、若年労働者の新規採用はきわめて困難となり、昭和四十二年に町村役場が新規に採用した現業労働者の年齢のうち四十歳から六十歳までの者が実に二四%、約四人に一人という中高年層の採用が行なわれました。  第三は、定年退職後の人たちの生活の問題であります。私は、制度としての年金や退職金が民間企業の平均と比較して必ずしも低いものとは思いません。しかしながら、公務員の場合は、一切の経済活動を封じ、公務に専念するという、民間とは比較にならぬきびしい服務規律のもとに働いています。また、年金の掛け金負担額もかなり多額であります。このことは、生涯を公務に専念させるため、国民合意の上に制度化されたものであると思います。昭和三十七年、恩給制度を廃止をして新たに共済制度が発足いたしましたが、この種の制度は長い年月をもってその功罪があらわれるものであり、現在では、あるべき姿と現実には、かなりの開きがあることを指摘しなければなりません。現在年金を受けている者は、年額約二十六万円、月にして約二万円、五十五歳以上で年金を受ける資格の発生している者は五六%、約半分ちょっとにすぎません。この事実は、高齢者が長い間の勤続、高い賃金、職場での地位が高いという一般的な概念とほど遠い実態を物語っています。高齢者の多くは、学校用務員、給食調理員、清掃作業員、道路補修夫など、現場で働く人たちに集中しており、ことに昭和三十七年の臨時職員からの約五万人に及ぶ大量切りかえ、それに石炭労働者の雇用など、中高年の採用者が目立っているからであります。今日の物価高、特に住宅や食糧など、生活必需品の年々の値上がり予想は一五%以上といわれている中で、再就職の道のない定年制の壁の前に立たされた十二万の人たちとその家族、それに近い数倍する高齢者の人たちの不安と恐怖は著しいものがあります。  第四は、国家公務員との関係であります。私は、今日の地方公務員制度は、任免、給与、その他労働条件の一切が国家公務員に準ずるたてまえとなっていると思うのであります。それにもかかわらず、定年制については国家公務員をさておき、地方公務員にまず制定することは、公平の原則にそむき、従来の方針を変えることになろうと思います。地方公務員に緊急な必要性がどこにあるのでしょうか。五十五歳以上の高年者の構成比率も、賃金の上昇率も、ほとんど変わりがありません。むしろ現状では、国家公務員のほうに高齢者の多いことを各種の統計が示しています。ある者は、条例で定年制をつくれることを法定して初めて国家公務員と同じスタートラインに立つと言っておりますが、国家公務員の場合でも、年齢などは政令や人事院規則にゆだねられるでありましょうから、このことは全く実情を知らぬ者に対する放言としか思えません。したがって、何と言おうと、取り扱いについて公平の原則にもとり、将来に禍根を残す政治的立法といわざるを得ません。  今日、日本では、家庭の中でも、職場においても、高齢者は疎外され、肩身の狭い生活を送っているのであります。厚生省は、最近、中央社会福祉審議会に老人福祉対策の一環として定年問題を提起し、検討を求めているところであります。労働省は、雇用対策としてその研究を進めているさ中であります。定年制問題は、いまや雇用政策、老人福祉対策としてその緒についたところであります。  現在の社会保障制度の中では、高齢の労働者にとって、首切りは極刑にもひとしいことであります。首切りを行なうには、少なくとも当該労働者にも、一般社会人にも、一定の説得力を持つ合理的なものでなければなりません。確かに昭和三十年代は、地方財政は窮迫し、定数削減による人員整理、その手段として高年層からの首切りが、やむを得ないものとして社会的にも容認されました。今日、政府自体も言っておるごとく、地方自治体の財政事情も好転し、雇用状態も著しい変化を来たしておるのであります。  また、特に青年労働者が、新陳代謝のため、制度としての定年制を求めていることも、私は否定はいたしません。しかし、私は青年たちとかなり対話をする機会を持っておりますが、青年層の求めているものは、市役所であれば、部長とか課長とか係長とか、上級の地位の交代を期待しているのであります。低い地位にある現業労働者との交代を求めているものではありません。階層別年齢別職員数の示しているごとく、これらの管理職は比較的若く、またこれの退陣は、定年制の手段によらずとも、責任者の説得による代謝が望ましい人事管理と思うのであります。  また、今回新たに制度化しようとする再雇用制度は、一見温情的に思われますが、現代の青年層には、およそナンセンスとしか思われません。定年で首切りを行なって再雇用するならば、首切りを行なう理由がないのではないか、単に賃金引き下げでしかないではないか。そして、このことは、社会保障制度審議会もこの制度の不可なることを示唆しております。私も、この制度は、職場の空気を重苦しいものにし、沈滞させるばかりか、公務員制度の根幹をゆるがすものとして賛成できません。  次に、条例で自治体ごとに年齢を定めることの可否であります。本来地方自治の本旨に沿うことではありますけれども、この定年退職制度は、労働者にとっては年金制度と深いかかわりを持っています。現行の地方職員共済、市町村職員共済などの年金は、掛け金及び給付ともに、統一した保険数理を基礎として画一的に計算されています。かりに、ある自治体は五十五歳、他の自治体は六十五歳という方針が定められたとしたら、現在の勧奨年齢のアンバランスでも問題がある中で、掛け金率について、計算の基礎の公平について強い反対の主張が行なわれ、混乱を起こすことは明らかであります。  いま国会に提出されている地方公務員の定年制は、あらゆる面から合理性を欠き、説得力がなく、いたずらに混乱を地方自治体に持ち込むものであることを指摘しました。また、定年制を法律や条例で制定することの社会的影響は甚大であります。何と表現しようとも、定年は労働力の限界を意味し、労働者をスクラップにすることを意味します。比較的高年層である市長、助役、収入役などの市の幹部が、みずからのことはさておき、部下職員に対する定年をしかせるよう奨励する今回の改正案は、その倫理性を市民に問われるなど、多くの問題を投げかけることになりましょう。今日その緊急性もなく、合理性も乏しく、しかも倫理性を欠き、メリットのないこの法案改正は、ぜひとも否決されるよう期待するものであります。  定年問題は、青年と高年の断絶、造反思想に拍車をかけていますが、今後の重要課題でありますから、労働力の減退の医学的解明、賃金体系、平均寿命、雇用政策、老人福祉対策など総合して、定年制審議会等を設置し、広く各界の意見を求め、国民合意の上に立つ指導理念をつくり、その中で公務員の定年年齢も論議されることが望ましいと思うのであります。終わります。(拍手)

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次に、菅原参考人にお願いいたします。

菅原栄悦全日本労働総同盟副会長

○菅原参考人 それでは、同盟並びに全官公を代表いたしまして、地方公務員の定年制に関する問題について、私の意見を申し上げたいと思います。  まず、最近における日本人の平均寿命はどのような状態になっておるかということを考えてみますと、昭和四十二年におきます男女の平均寿命は、男子におきまして六八・九一歳、女子におきましては七四・一五歳というふうに、非常な伸びを示しておりまして、このことは、戦後二十年間に平均二十年前後伸びたというふうにもいわれているところでございます。このことは、西欧先進国にも例を見ない短期間の大幅の延長でございまして、最近のこの日本の平均寿命の延長は、北欧やオランダに次いで、先進国の上位にあるというふうにもいわれておりまして、このことは、日本の社会が高年齢社会に移行しつつあるというふうにいわれるところでもございます。いわゆる人口の老年化ともいえるのではないかというふうに思う次第でございます。  また、六十五歳以上の人口の割合を世界的に見ますと、開発途上国におきましては三%前後、先進国におきましては、これが一〇%から一五%程度になっておりまして、これに対しまして、日本は、昭和四十年には六・三%というふうにいわれておりますが、これが昭和五十年、六十年になりますと、やはり日本も一〇彩程度の率を示すようになるのではないかというふうにいわれているところでございます。  また、人口の平均年齢におきましても、開発途上の国におきましては二十三歳前後、先進国におきましては三十五歳前後でございまして、日本では今日、昭和四十年を見ますと三十・四歳というふうに、これは年をふるに従ってだんだん高くなってまいりまして、昭和五十年、昭和六十年のときには、約三十四歳にまでのぼるのではないかというふうにいわれているところでございます。  また、家族構成を見てまいりますと、日本の家族構成は、大正九年には五人前後であったものが、昭和三十五年には四・五四人、四十年には四・〇五人というふうに、だんだん縮小されてまいっておりまして、昭和六十年には三人ぐらいになりまして、このことは西欧水準並みの家族構成になってくる、いわゆる夫婦と子供、あるいは片親と子、夫婦だけという家族構成、核家族の構成がだんだん増加してくるという傾向になってまいっているわけでございます。  また、人手不足の問題との関連におきまして、今日人手不足が非常に問題にされているわけでございまして、そういうことを考えまして、労働人口自体の中高年齢化というものが問題になっておりまして、この再生産に向けるいろいろな施策が考えられているところでございます。たとえば、十五歳で生産年齢に入った男子が五十五歳まで働く生存率といいますか、こういうものを見ますと、昭和二十二年にはこれは六七%でありました。それが、最近では八〇%まで高まっております。このことをまた、十五歳から六十五歳までということで考えますと、これを昭和二十二年の年度で対比しますと、四八%であり、それが最近においては七三%まで高まってきているというふうに、だんだん中高年齢の労働力というものが重要視されてまいっております。まあ、いわゆる人間の耐用年数が延長された、というふうにもいわれているところでございます。  スウェーデン等におきましては、これらの点を考えて、六十七歳が定年だというふうにもいわれております。いわゆるこの定年の延長は、最近非常に重要な課題となってきておるところでございます。また、これらの年齢層の労働力の活用におきましても、当然職場の再編成、技術の革新等と相まって、それぞれこれらの再雇用なり、活用が考えられているところでございます。  しかし、問題は高年齢社会にだんだん移行してまいりますときにおいて、この高年齢者の生活の保障をどうするか、ということが問題になってくるのではないかというふうに思います。仕事やあるいは病気、障害の治療や予防、あるいは老人クラブの結成、老人住宅の建築というようなことも、われわれとしては考えていかなければならぬ、こういうふうに考えるところでございます。  有名な老年科学者でありますレオ・ビネという人は、こういうことを言っております。「年をとったからといって、仕事から全部引退してしまうことは、惜しむべきことである。また、非難すべきことである。不吉なことである。」といってその著を結んでいるのでございます。  このように、いろいろの点を考えまして、政府がいま考えております地方公務員の定年制の問題を考えますと、非常に時代の進展に逆行した考え方に立っているのではないかというふうに考えるところでございます。言いかえるならば、時代は、だんだん人間の寿命が延長していく、そしてまた、中高年齢層が、いわゆる老人として仕事からはずれる、職場から離れるということではなくて、そういう老人がどんどん仕事をしなければならぬ時代になってきている。こういうときに、たとえば五十七歳あるいは八歳に定年を設けて、そうして締め出すといいますか、そういう施策は、どうもこれらの社会の進展から見まして、非常に逆の方向に行っているのではないかというふうに考えられるところでございます。  国家公務員並びに公共企業体におきましては、いまだ定年制が存在しておりません。存在していないにもかかわらず、何ら問題が起こっておらないというのが現状ではないかと思うのでございます。これをあえて、地方公務員にだけ定年制を条例化させようとするこの企図は、非常に地方公務員と国家公務員との身分上の不均衡を生ずるのではないか、というふうに考えるところでございます。  また、定年制は雇用条件に関する重要な問題でありまして、それぞれの団体、当事者間の団体交渉事項として取り扱い、現実に即した話し合いによる解決をはかるべきであると思います。したがいまして、画一的に法制化することには非常に問題があり、反対をせざるを得ないというふうに考えておるところでございます。  また、地方財政の逼迫、あるいは能率向上、新陳代謝、計画的な人事管理という問題で、いろいろいわれておりますけれども、しかし、これらの問題は、別途行政機構改革によってこれを解決する、あるいはいわゆる年功序列型賃金、こういうものの修正といいますか、改正といいますか、そういうものによってこの問題を解決すべきものであって、これを一律に定年制をもって解決しようということには、やはり問題があるように考えるわけでございます。  以上のような諸点を考えますときにおきまして、最もこの際重要なことは、退職後における老後の生活の安定でございますけれども、年金の問題が非常に大きなウエートを持ってまいります。というのは、ただいまの年金については、スライド制が実施されておりません。現在の消費物価高は、年に六%以上上昇しておりますが、地方公務員のそれに対する給与については、毎年のベースアップ等におきまして最低の生活が維持できますけれども、一たん退職してしまって、年金によって生活をしようとする場合におきましては、その年金に対する改定率が非常に低い。これは単なる一例でございますけれども、私の調べでは、それが三%ちょっとしか改定されておらないというようなことを考えますと、退職後におきましての生活は、非常に不安定でありまして、いわゆる年金の価値が年々低下していく。年をとるに従って、生活がだんだん不安定になっていく。こういう非常に重大な問題が含まれておりまして、このような問題を解決せずして、単に定年制というものを設けることは、非常に問題があるというふうに考えざるを得ないのであります。  したがって、もし政府が、これらの問題について定年制を設けるとするのであれば、以上申し上げた老人の中高年齢層における再雇用、あるいは労働の再生産に対する施策、あるいは年金制度のスライド制の問題等を、やはり具体化して、その裏づけによってこれらの問題を考えるべきである。最も重要なことは、やはりこれらの問題は団体交渉、話し合いによって解決をさるべきことが最も正しいのではないかというふうに思うところでございます。民間等におきましても、それぞれ団体交渉、話し合いによって、定年延長というものが解決をされているというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この点も十分に御考慮を願いたいというふうに考えるところでございます。  最後に、地方公務員の定年制の問題については、去る昭和四十一年三月二十八日の第十回公務員制度審議会におきまして、前田会長から、閣議の決定ということで総務長官から公務員制度審議会に諮問がありました、という話がございました。私は、そのことについては、一応総務長官から直接公務員制度審議会に出て、そうして趣旨を説明してもらいたい、という話をいたしまして、後ほどそのことについて総務長官がこの公務員制度審議会に出席をしてお話しをするということになっておりますので御了承願いたい、ということが提案をされておるのであります。当時の安井総務長官は、その後だいぶ時間がたちましてから参りまして、この地方公務員の定年制の問題について、いろいろ当審議会においては当面の重要な問題があってたいへんでございましょうけれども、ぜひ当審議会の御意見を承りたい、ということを公務員制度審議会において提案をされているのであります。これを受けて、前田会長から、この問題についての取り扱い方がいろいろ提案をされました。これに対して、使用者側委員から、この問題についてやはり慎重に取り扱うべきだという意見が出されましたが、結論的には、この問題は次回の公務員制度審議会において取り扱いをきめることにしましょう、ということになっているわけでございます。  このような経過を経まして、その後、公務員制度審議会は当面の問題がございましたので、ついこの問題についての慎重な審議をするということにはなりませんでしたけれども、私の見解では、依然としてこの問題は公務員制度審議会にゆだねられている、というふうに考えるところでございます。にもかかわらず、公務員制度審議会には、全然その後この取り扱いについて、はかることがなく、ただいま国会で審議をされているということにつきましては、はなはだ委員の一人である私といたしましても、不満なところでございます。すみやかにこの問題についての取り扱い方を、当委員会においても、やはりはっきりきめていただくことを、切に私お願いをいたしたいと思う次第でございます。  以上、私の意見を申し上げます。(拍手)

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次に、宝樹参考人にお願いいたします。

宝樹文彦日本労働組合総評議会スト権奪還特別委員長

○宝樹参考人 地方公務員の定年制について、地方公務員の生活に直接関係する問題として、労働組合の参考人をお呼びいただいた委員会の各位に対し、敬意を表するものであります。  日本における労働者の基本権、特に国家公務員、地方公務員、公共企業の職員については、昭和二十三年、当時のマッカーサーの指令によりまして、労働基本権が奪われておるわけであります。自来、われわれ総評は、昭和三十三年以来、スト権奪還特別委員会というものを設置いたしまして、今日まで労働三権、及びその他の基本的諸権利の拡大のために努力をしてまいりました。このスト権奪還委員会の設置を契機にいたしまして、この十年間に日本の労働者、特に公務員、公共部門の労働者の権利は大いに拡大、前進しつつあるというふうに思います。  その一つは、昭和三十三年以来七年の歳月を経ましたが、ILOの八十七号条約の批准の問題があります。この批准の問題を契機にしまして、日本の労働者の結社の自由、交渉権の拡大、さらにストライキ権の正当性は、大きく現行法体系に影響を与えていると思います。また今日も与えつつありまするし、公務員制度審議会の発足も見たというふうになったのであります。しかも、この批准をめぐって多くの妨害があり、批准をおくらせた事実はありまするが、国際条約に従って日本政府は多くの糾弾を受けると同時に、逆にドライヤー調査団の来日、勧告を受けることになりまして、ILO自身は、日本の労働者の権利拡大のために、大きな作用をしてきたというふうに思うのであります。その結果、一方では国内の裁判問題としても、最高裁の判決として、全逓の中郵事件、あるいは都教組の事件というようなものがあらわれ、この五月には地方公務員、国家公務員に関する多くの起訴、裁判問題を取り下げた事実も現実にあらわれてきております。さらに一方では、公務員制度審議会の審議も、非常に順調に進んでおりまして、日本の官公庁労働者の基本的な権利の部分に関する多くの課題が、近い将来結論を見出すことになるだろうというふうに思います。  こういう流れの中で、今回提案されました地方公務員の定年制の問題は、公務員制度の基本に関するものであります。労働者の基本的権利という課題について制限をするということになれば、これは私自身は反対でありますと同時に、少なくとも、日本の労使慣行の中にあります従来から見ます慣行、習慣というものについて、これをできるだけ尊重をして、当事者間でものごとが解決をするという形態とは逆行するものであるというふうに思います。  また、日本政府が、一部の与党内部の反対勢力を押し切ってILOの八十七号条約を批准したのは、何といっても、その理由の中心は、今日の経済が世界経済の時代であるからでありまして、貿易・資本の自由化、これらの問題をとってみても、日本だけが孤立して、国内産業に対する保護の立場をとったり、あるいは国内の慣行だけをたてに特別の労働慣行を持つことは、長期的に見た場合、経済的に大きなマイナスを生ずることを考え、かつ、日本の特殊事情をいつまでも主張し得なかったからであることは明らかでありましょう。そういう見地からILOの条約や勧告というものを理解しなければならないと思いまするし、定年制に関しても、ILOの諸報告の中には、この種の問題が具体的に見解として出されておるのであります。一九六二年の六月、第四十六回のILOの総会において、モース事務総長が報告をしておりまするが、その内容は、老齢労働者の問題についてであります。特に参加百十数カ国の中で、日本の問題を特別に取り上げて報告をしております。その文章は、ごく簡単に言ってしまえば、日本において定年は比較的低く定められており、重大な問題を提起している、というふうに指摘しているのであります。  御承知のごとく、社会保障はILOで取り扱われておるのでありまするが、日本の場合、中小企業は別として、大資本労働者の場合は、五十五、六歳の定年が多く協定されているのが普通であります。これはILOの指摘のとおりに、世界の近代工業国家に見られない事情でありましょう。また、ILOにとってみれば、許容できないことでもあるわけであります。しかもこの年齢は、厚生年金受給資格年限の六十歳より、はるかに低いものであります。多くの労働者が、五十歳後半で第二の人生を送るために失業者として職をさがすことになっているのであります。これはまことに悲しい現実であります。老齢年金を画期的に緊急に増額するとともに、一方では定年もまた大幅に延長するということこそが、今日必要なことなのであります。これが日本の労働者に対するILOという国際機関の要請である、というふうに私たちは考えまするし、老人だから、高年者は能率が低いからということで、どんどん職場から追い出すことによって国際的に競争することは、結局貧困と悲惨を助長させる結果になるのでありましょう。  これは単に国際的問題のみでなく、日本の労働力の推移から、最近では資本の側としても、若い、賃金の低い労働者をどんどん雇用する時代は過ぎ去っていき、中高年齢層の労働力をさらに期待せざるを得ない事情になっているわけでありましょう。行政部門もまた同様であろうというふうに思います。  こういう事情でありまするから、定年制については、各企業とも延長の傾向にあります。出光興産や鐘紡などのように、定年制を廃止したところもあるのでありまして、本年の私たちの行なった春闘の中でも、マスコミ関係をはじめ、定年は幾つか延長されたものがあらわれておるのであります。  こういうことから見ましても、今日あえて地方公務員のみに定年制を採用するのは、逆コース法案であるといえるのではないでありましょうか。  特に私は、本日参考人として同席しておいでになります山内学習院大学教授、同盟の菅原副議長両氏とともに、公務員制度審議会の委員をいたしておるのでありますが、昭和四十一年の三月十一日に閣議で協議の上、総評の公務員労働者代表笹川総評副議長に対して、政府は、定年制について公務員制度審議会にかけることとしたので本国会には出さない、ということを回答しておるのであります。そして三月二十八日、安井総務長官から第十回公務員制度審議会に意見を求めることになりました。しかし、当時は、政府から早く国内法、いわゆる当時のたな上げ部分の結論を出せということでありましたので、私も出席し、山内委員も出席した公務員制度審議会の運営小委員会では、近い将来に持たれる運営小委員会で、地方公務員の定年制の問題についてはその取り扱いを検討しようじゃないか、安井総務長官の政府の要望にこたえようということになり、前田会長からこの運営小委員会の結果について公務員制度審議会の総会に報告をし、了承されたところであります。  ところが、この問題に入らなければならない段階に来る前に、政府自身は、御案内のとおりたな上げ部分、国内法の部分について強引に一方的に決定をすることになりました。したがって、この結果、前田会長自身、この審議会に責任を負うことができないということで、辞表を出すということになりました。事実上結果的には、昨年十月の二十四日まで審議会は中断されるという状態になりました。昨年の十月の二十五日再開されました公務員制度審議会の第一回の会合で、このこともありましたので、定年制の問題という重要な課題は、国会でそのまま審議するようなことなく、事前に前もって連絡してもらいたいということが、労働者側の委員からも発言されておったのであります。ところが、これらに対して何らの連絡もなく、十二月末国会に提案の手続がとられて、今日になっておるのでありましょう。  今次地方公務員の定年制の法案は、多くの問題をはらんでおりまするし、何ら地方行政の民主的発展のために益するところはないと考えられまするし、特に多くの職員が労働基本権を認められないまま、過酷な事実上の首切りを受けることになる法案でありまするから、ILOの国内法の例もありまするから、国会内で各党が十分御協議の上、審議中ではありますが、一時中断をするなり何なり、審議会にはかることが最も妥当な措置ではないかというふうに考えるのであります。  また、この種の問題については、国家公務員、あるいは公共企業体の労働者、職員には、事実定年制の問題は存在しないのでありますから、あまりものごとを急いで解決をするという形をとるよりかも、時期をかして、公務員制度審議会の活用なり何なりをはかるということは、政府自身が公務員制度審議会に問題を提起している経過からいっても、当然のことではないかというふうに思うのであります。  最後に、私ども最近総評に伝えられておる内容によりますると、最も遺憾な点は、この法案について、自治省は、何ら関係労働団体と十分協議をしていないということであります。欧米諸国では、すでに国の経済政策の基本の問題についてまで、労働組合と十分協議している段階に達しております。OECDにおける労働組合の参加など、最もいい例であるのであります。特に最近は、ILOとユネスコの共同決議の中にもありまするように、教育政策という問題についても、その国内に教育労働者の組織があれば、教育政策に関しても当然その国内の労働者と相談、協議をするべきが最もよろしいことであるということについて、ILO自身も見解を明らかにしておるのであります。まして、二十年間既得権として確立した退職の慣行を基本的に変更するという問題であれば、なおさら十分協議すべきであったし、この経過を経ない法案は、それだけで反対をしなければならないし、通過したとしても、各自治体でたいへんな騒ぎが起こることになりましょう。自治大臣も、みずから労働団体を説得し得ないものを自治体に押しつけるということは、おやめになったほうがよかろうというふうに思うのであります。  いずれにしましても、この問題は、日本の労使関係の基本に関する問題でありますると同時に、すべての問題について法律万能主義で律していこうという姿勢については、これは改めていただきたいというふうに思います。  以上、私の参考人としての見解を述べさしていただきました。(拍手)

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次に、徳永参考人にお願いいたします。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 ただいま御紹介を受けました徳永でございます。  私は、まず、この地方行政委員会の委員諸先生が、きわめていろいろの方面から、地方行政の振興のために、平素御研究、御支援をいただいておることに対して、深く御礼を申し上げます。  福山市は、わずか二十四万の地方都市でございます。したがって、私がいまここで、地方の行政をやっておる責任者の体験論のみを主体に意見を申し上げても、全部の都市に向かない点もあるかと思いますが、長い間、私、三十年以来市長会に末席をけがしておりまして、しかも、この定年制の問題は、その前、昭和二十七年から、自来市長会においては常に熱心に定年制の制定の問題を政府にお願いをいたしておる。その間、どの都市の市長各位からも、定年制の問題について制度を設けることに公の場所で異論を聞かない、こういう経験を通して、私のいなかの市長の一人として考えておることも、あながち普遍性がないこともないと考えておるのでございます。したがって、むずかしい全国的な、ことに日本の社会をよくしよう、国民生活をりっぱにしようということについての諸種の問題は、いま各参考人がお述べになっておるように、たくさん残っておることも、われわれは存じております。しかし、それは別として、定年制は定年制として、またこれを一日も早く御制定を願いたい。地方行政の責任者が、自分らの都市に合うような定年制を条例によって設けることができるようにしていただきたい、ということについての念願は、これはすべての市の責任者に共通しておる問題であることを御認識いただきまして、きわめて大ざっぱな私見にすぎませんが、しばらくお聞き取りを願いたいと思います。  御承知のとおり、まあこれは私らの言うべきことじゃございませんが、日本の社会、経済の目まぐるしい発展は、特に地方の発展する中堅都市の行政の上に非常な変化をいま与えつつあります。そして、行政はだんだんに量も多くなる、質も変わってくる。いなかはいなかなりに、こり行政運営の上に、行政の内容が複雑、高度化してきておりますので、われわれとしても、これを市民の要望におこたえするためには、どうしていったらいいかということで、日々頭を痛めておるのであります。  そういう観点から、いろいろこの定年制の問題について考えますと、お立場はいろいろございましょうが、われわれ行政に携わっておる者は、それなりに苦労をいたしております。このように急激に環境が変わってきておることに対処するためにも、どうしても行政執行の体制を、それに見合うように考えていかなければならぬ。その方法の一つとして、好むと好まざるとにかかわらず、職員の増加をしなければなりません。そうすることは、行政事務の運営や事業の進展を適正に処理するために、まずどうしてもやらなければならぬことでございますが、さりとて、新規職員を採用するということにも、おのずから限度がございます。ときどき議論があることでありますが、職員の給与を犠牲にして、そして定年制を設けるということについても御議論があるようでありますが、それもお立場上御無理はないと思いますけれども、やはり市民の福利を増進するという大目的のために、われわれ地方公共団体はできておるのでありますから、そういう点について毛、その限度も考え、バランスも考えて、苦労しなければならぬのでございます。  しかして、一定の限界を考えていきますその限界といいましても、実にばく然としておるのでありますが、この職員の問題を考えますと、市の職員は、どうしても行政の上にサービスを本体とする。われわれの採用のときにも、公務員として市民に大いにサービスするということを誓うことになっておりますが、能率を進めていったり、また各般の措置を、適正な創意くふうをいたしてまいることですが、今日の問題で、どうしても人事管理という問題を市長の責任から離すわけにまいりません。したがって、地方自治を進める上において、どうしても人事管理の基本問題であるこの問題を無視して、人事行政は円満にまいりませんのであります。したがって、現在の地方公務員のいわば給与体系を見ましても、御承知のとおり、一応年功序列という型が中心になっております。したがって、このために漸次高齢高給者の増加、これは都市によってそれぞれ程度の差はございますけれども、どうしてもこういう現象を起こしております、これは避けられないことでございます。自然、われわれが地方行政をやっていく上に、人事管理を進めるためには、ここに定年制を設けることができない今日でありますから、勧奨退職という方法によって、円満に地方行政を進めていくのやむない事情になっておるのであります。  ところが、勧奨退職という制度は、地方行政に一応昭和二十五年に地方公務員法ができてから、この定年制というものを条例で設けることができないようになりましたので、この制度をとっておりますが、どうしても本人の意思を無視していくわけにまいりません。誠意をもってやっておるようでも、多少でも本人の意思を無視したかのごとき、強制したかのごときにおいがいたしますと、直ちにそこでトラブルの起こる問題になっておるのであります。したがって、われわれ地方行政の担当者といたしましては、担当職員がそういう問題について、できるだけ公正に円満にやってくれるようにということを願うこと切なるものがあるのであります。その結果、うまくいけばいいのでありますが、たまに一つの小さい問題でも、一、二の人について問題をかもすような退職勧奨をやったということになると、すぐこれが問題になります。したがって、最も公正であるべき人事管理について問題が起き、不公平の結果が起こっておると誤解を受けやすくなる。ひいては職場におけるモラルの問題がまた起こる。こまごま申しますと時間がかかりますが、そういう問題が、一人二人が、やめられるべき人がやめられなかったために、まことに、一つの空気が流れてきます。活気のある職場づくりにそれが自然逆行することもありまして、頭を痛めるのであります。  職員の新陳代謝の問題も、常にいわれることでありますが、これも時代によって、必ずしも新しい人がどんどん地方公務員として入ってくるということは、あるいは一進一退ということで一様にはいけないでありましょうが、最近は地方公務員の待遇が漸次改善されまして、実際のところ、地方の都市から見ますと、地方産業の中小産業よりかむしろ待遇がいいという状態にまで立ち至っております。そういう関係で、年々所要の職員を採用しようと思いますと、多数の、数倍の者がいま応募して来ておられる状態でございます。いろいろ新陳代謝の問題も御心配がありますが、私はやはり、明朗なる人事管理をやることによって進んでいくと思います。  結局、現在の地方公務員法によりますと、条例によって定年制も設けることができないというようなことから、地方自治団体における自主性の尊重ということを、われわれはよく市長会で申しております。行政の全般について、もう少し地方自治団体に自主性をもらいたいということを主張しておるのでありますが、そういうことの一端としても、地方自治団体の長が責任を持って市の職員の問題を管理していくということの方法を、いわば形づくる意味においても、定年制の運用ということが非常に大事だと思いますが、それが現行法上違法とされておるという状態では、まことにその点においても残念に思っておるのでございます。  そこで、われわれが特にこの問題についてお願いをいたしたいと思うのは、理由は抽象的でございますが、結局一まとめにして申しますと、職員の新陳代謝を通じて人事管理の適正化をはかりまして、明るい職場づくりをしたいということに帰着いたすのであります。先ほどちょっと述べましたが、かりに勧奨退職によってうまくいくときはいいですが、それがうまくいかないとき——都市によって事情はみな違うようでありまして、一律には言えませんが——いかないということになると、職員組合と理事者との間にトラブルが起こる。私らが地方行政を運営する上においていま一番頭を使っておることは、地方行政はどこまでも平和のうちに、民主的に、どちらも十分に述べ合って、平和に進めたいということが、今日の情勢上実は最も念願しております。したがって、そういう点から見て、人事管理の明朗化ということを、どうかすれば傷つけるような場合が起こりやすい今日の勧奨退職よりか、やはり、公務員でございますから、一定の年齢に達したならば一応職を引くという定年制を設けて、そして公務員になるときに、すでに人生の計画が立つというようなかっこうのほうが、むしろトラブルが起こるもとをちゃんと除去できると信じておるのであります。すなわち、明るい職場づくりのためにも、どうしてもこの定年制の問題は必要であると考えております。単にわれわれがこれを抽象的な理論で言うのでございません。現実に携わっておるわれわれとして、地方行政に条例をもって定年制を設けることができるような制度にしてこそ、行政の能率向上をうまく進めることができて、住民の期待にもこたえることができるのだと信じておるのであります。  以上の理由によりまして、いろいろ社会の情勢、行政の実態から見て、立場立場で諸種の理由づけになる理由はたくさんございます。しかし、これを総合的に考えて、建設的な前進を進める意味からも、定年制を考えていただいて、明朗な地方行政を進めさせていただくということが、われわれの心からなる念願でございます。  今日、一般企業におきましても、これはもう定年制の採用はほとんど常識化されておると言うてもいいのであります。これは決して中央の大きな会社だけではございません。われわれ地方の中小企業においても、定年制はおのずからしかれておる実態でございます。  さようなことで、それとこれとは多少性格が違うことでありましょうが——違うという意味は、やはり公務員であるということから考えてみても、一応のめどをつける定年制ということは、決して地方行政を暗くするものでもなく、むしろ明るい地方行政を進める上において、今日の時世上最も適当である、かように考えております。  以上、抽象的なことでございますが、さようなわけから、全国市長会においては、昭和二十七年以来今日まで、常に年々この問題は決議事項となったり、あるいはこの問題を取り上げられまして、陳情をいたしておるのでありますが、そういう点を特に御認識賜わりたいと思います。今日の国民生活になるだけトラブルの起きないように、むろん公務員生活も含めておるわけでございますが、そして明るい社会建設に進んでいきたいということは、地方の中都市の理事者はほんとうに心から念願しております。直接市の職員以外の問題でも、どうかすればいろいろトラブルの起きる問題が山積しておる今日でございますから、一つ一つさような原因となる問題を明朗に解決していただきまして、そして市民生活の向上をお願いをいたしたいと思います。  私どもの強い要望は、いままでの十七年間の事実によって御存じいただいておると思うのでございますが、どうぞ公務員法の一部を改正していただくことによって、われわれ地方の行政を担当いたす者が、おのがじし、それぞれ適当なる条例によって定年制の問題を解決して、明朗な市政運営をいたしたいと念願しておる次第でございます。何とぞ今回の議会で、ぜひともこの問題を御解決いただきますよう、市長を代表いたしまして、切に陳情する次第でございます。(拍手)

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 最後に、山内参考人にお願いいたします。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 私、この法案に賛成いたしたいと考えております。  その理由は、全く単純素朴なものでありますが、この法案によりまして定年制を採用する自由を、それぞれの地方公共団体に与えるということは、地方自治の本旨に適合すると考えるからであります。  現行の地方公務員法のもとにおきましては、地方公共団体は、定年制を採用したいと考えても、採用することができないというのが、自治省が累次の通達で示す公権的な解釈であります。この解釈に対しましては、反対論がないわけではないのでありまして、現行の地方公務員法を改正しなくても、地方公共団体は定年制を採用しようと思えば、採用することができるのではないかという解釈もあり得ると存じますが、それはともかくといたしまして、自治省の公権的解釈によりますれば、地方公共団体は定年制採用の自由を奪われているわけであります。  御承知のように、日本国憲法は、地方自治の本旨ということをうたっておりますが、地方公共団体から定年制採用の自由を奪うことは、地方自治の本旨に適合しないといわざるを得ないのではないかと私は思います。すなわち、地方公共団体がいかなる年齢層の職員でその行政を行なうかは、元来当該地方公共団体の組織権の問題でありまして、地方自治の一要素であると私は思います。もちろん、国家は、地方自治に対しましても、法律をもって制限を加えることができないわけではありませんが、それには、それを必要とする公益上の理由がなければならないと思うわけでありまして、しかるべき公益上の理由がないのにもかかわらず、みだりに制限を加えれば、違憲のそしりを免れないと思います。  ところが、定年制につきましては、その採用の自由を地方公共団体から奪う公益上の理由があるかといえば、私にはどうしてもその理由を発見することはできません。したがいまして、私は、公権的解釈を前提とする現行の制度は違憲と考えているわけでありまして、この法案が定年制採用の自由を地方公共団体に回復し、違憲の状態を解消しようとすることに賛成をいたす次第であります。  この法案は、定年制を定める自由を地方公共団体に与えるものでありまして、一律に定年制を定めるものではありません。したがいまして、この法案が成立いたしましても、地方公共団体は定年制を定めなくても差しつかえないわけであります。  定年制は、もちろん労働条件の一つでありますから、団体交渉の対象になるのは申すまでもないと思います。したがいまして、当該の地方公共団体が定年制を採用するかどうかについて、団体交渉しておきめになるのは、これまた当然だと思います。  なお、老年者の老後の生活安定につきましては、官民を問わず、一般論といたしまして、国会におかれまして十分な配慮をなしてくださるようにお願いをいたしたいと思います。  私の発言に対しましては、委員長さんから十分程度の時間をお与えになられましたが、私がこの法案に賛成いたす理由は、右に申しましたように単純素朴なものでありますから、これで終わりたいと思います。  ただ、定年制の採用につきましては、別途憲法十四条の定める平等権、または憲法二十七条の定める勤労権との関係において、憲法上の問題があるとの御指摘もございましたが、私は定年制の採用がこれらの憲法の規定に違反することはないと存じます。この点は、理由を述べないで、結論だけを述べるものでございまして、恐縮に存じますが、御質問があればお答えいたしたいと存じます。(拍手)

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 参考人の御意見に対しまして発言の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 最初に山内参考人にお尋ねをしたいと思うのです。  憲法の問題に触れられまして、特に地方自治の本旨とのかね合いで、この地方公務員法の一部を改正する法律案、いわゆる地方公務員の定年法案について、むしろ自治体が定年制の道を開くことのほうが憲法の趣旨に沿うものである、こういう趣旨のお話があったわけであります。当地方行政委員会でも、この憲法とのかかわり合いにつきましては、種々議論がなされたわけであります。特に御指摘もございましたが、憲法第十四条の平等の権利ですね。国家公務員に定年制度がないのに、地方公務員に対して定年制をしくことは、この平等の原則に反するのではないかという問題もありました。さらにまた、憲法第二十七条の勤労の権利を有するという問題。この権利が、はたして自由権であるか、社会権ないし経済権であるのかという点についても、いろいろと議論がなされたところであります。しかし、そういった問題は委員会でも議論されたことですから、省略をいたしまして、私は端的にお尋ねをしたいと思うのですが、特に憲法第十四条の平等の権利とのかね合いの問題であります。  山内先生は法律にはきわめてたんのうの方でありますから、お尋ねしたいと思うのですが、地方公務員法の第二十四条を見ますと、「給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準」の条項があります。そうして給与につきましては、職員の給与は「国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」とあります。ところが、これの第五項を見ますと「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当っては、」——したがって私は、定年はもし勤務条件だというならば、これに当たると思うのですね。この場合は「国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」とあるわけです。ここには民間の事業の従事者ということは一つもないのであります。したがって、地方公共団体の職員のいわば「勤務時間その他給与以外の勤務条件を定めるに当つては、」国と地方との権衡を失してはならぬという規定があるわけですね。これは憲法十四条との関係からいって、現在国家公務員に定年制がない状況にあって——裁判官とか特殊な方は別ですよ。しかし、一般職の国家公務員と一般職の地方公務員と対比する場合において、憲法十四条との関係から、国家公務員に定年制がなくて、地方公務員に定年制を設けるということは、明らかにこの地方公務員法第二十四条の規定に触れる、私はかように考えるのでありますが、その点に対する御見解をお尋ねをいたしたいと思うのが第一であります。  次に、菅原参考人並びに宝樹参考人にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  当地方行政委員会では、公務員制度審議会とのかかわりの問題がずいぶん議論をせられたのであります。幸い公務員制度審議会の委員のお一人であり、しかも運営小委員の職も兼ねておられます、山内先生も含めて三人の参考人の方々をお迎えできたことを、私ども非常にうれしく思っておるのであります。そこで、政府側が答弁をいたしてまいりましたことと、ただいまお聞きいたしましたことが非常に違う。まさに天と地といっていいほど違うのであります。この点の事実関係を明らかにすることはきわめて重要であると思いますので、この点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  昭和四十一年三月十一日、政府におきましては、定年制法案の国会提出を見合わせ、公務員制度審議会の意見を聞くということを決定をなされたのであります。その政府の決定に基づきまして、三月の二十八日、安井総務長官が、当時開かれておりました第十回公務員制度審議会に出席をいたしまして、発言をいたしましたことは、これは政府側も、それからただいまの参考人の方々も、一致してお認めになっているところである。ただ、そこで違いますのは、政府側の答弁は、ちょっと意見を聞いただけなのであって、決して公務員制度審議会に定年制法案のことを諮問したのではない、こう言っておるのであります。しかし、私どもは、公務員制度審議会の議論の過程でこの点について明らかにしているということをお伺いしておるのであります。意見と諮問は違うのか、いや諮問、意見ということについては内容は同じであるということが公務員制度審議会では議論されたと私ども聞いておるわけであります。したがいまして、政府側はちょっと意見を聞いたというのでありますが、公務員制度審議会としては、この意見と諮問を一体どう理解しておられますか。私どもの理解する範囲では、これは同じであるから諮問として受け取ったと理解をいたしておるのでありますが、この点ひとつ菅原参考人並びに宝樹参考人の御意見を承りたいと思う次第であります。  次は、この地方行政委員会で栗山総理府人事局長を呼びまして、種々議論をいたしました。その際に、この問題に触れまして、栗山人事局長は、政府が公務員制度審議会に諮問、意見を求めます場合はすべて文書をもっていたします、そして内閣総理大臣が出席をして述べるのがすなわち諮問であります、それ以外のはこの諮問ではございません、こう言い切っているのであります。過去の公務員制度審議会の運営の中で、総理大臣が出席をして諮問するのが諮問である、その他はすべて、政府が諮問ないし意見を聞くのとは形式が整っていないんだ、いま申し上げたように、文書を出して総理大臣が出席をしなければ形式は整わぬのだ、こういうふうに言っておられますことが、はたして正しいのでありますかどうか。この点はひとつ、山内参考人も含めまして、公務員制度審議会のお三人の参考人の皆さんの御意見を承りたいと思う次第でございます。  次にお尋ねいたしたいことは、菅原参考人がこの定年制の問題は公務員制度審議会にゆだねられているものと判断すると明確にお述べになりました。私どももかように理解をいたしておるのであります。しかるに政府側はどう言っているかと申しますと、ちょっと意見を聞いただけだというのは先ほど申し上げましたが、これにつけ加えまして、この定年制の問題は離職の態様の一つである、勤務条件の一つである、公務員制度の基本に関する問題ではない、したがって、公務員制度審議会の審議事項ではないのだ、かように言っておるのであります。この点、昭和四十一年三月二十八日に、安井長官が政府を代表して出席をしておる事実もあるわけでありますから、公務員制度審議会の側としては、政府側の言うように離職の態様の一つだ、労働条件の一つなんだ、したがって公務員制度の基本に関する問題ではないのだ、こういうふうに理解をされておりますのか。私はそうではないと思うのでありますが、この点の御見解も山内、宝樹、菅原の三参考人の皆さんのお答えをいただきたいと思う次第であります。  最後に、これに関係いたしまして、いま一点お尋ねをいたしたいと思うのであります。  宝樹参考人が、昭和四十三年十月二十五日、定年制など重要な事項は前もって連絡をせよ、こういうふうに、再開されたこの公務員制度審議会で、委員の側からの御主張があった。しかるに、何らの連絡がなかったことは、きわめて遺憾だとお述べになっておるのであります。ところが、政府側の説明を聞きますと、公務員制度審議会の意見を聞く必要はない、あの問題はあのとき——あのというのは、この運営小委員会が検討するということにして、その後公制審が例の国内法の改悪の問題をめぐってパンクをしたわけでありますが、そのときをもって終わったのだ、こういうふうに理解をしておる、そうして関係者の方々もその点は一致して認めておるんだ、こういうようなことを申しておるのであります。関係者の方々といえば、当然公務員制度審議会の皆さん方が関係者だと思います。したがいまして、この点につきましても、あわせてお三人の公務員制度審議会の委員の方々のこの問題に対する御見解を承りたいと思う次第でございます。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 最初のお尋ねでございます地方公務員法二十四条五項の規定と、いまの定年制採用の問題でございます。  確かに御指摘のように、国家公務員法には一般的な定年制はございません。そういうことを前提といたしまして、この法案が通過した後におきまして、ある地方公共団体が定年制を採用するということ、そのことが均衡を失するかどうかという問題になるわけでございますけれども、私、結論から申しますと、現在国家のほうで年齢の高い方がやめていかれるその実質との均衡をとるということを二十四条五項は要求しているんじゃないかというふうには思います。しかし、一般的な定年制を国家が設けていないから、当該の地方公共団体の定年制を設けられないんだ、こういうふうには私は考えないわけでございます。それは、それぞれの地方公共団体の自治という問題がございまして、ある地方公共団体が定年制を採用していなければ、他の地方公共団体が定年制を採用できないというふうな結論にも、そういう論理を推し進めていくと、なるように思いまして、その実質が均衡がとれていればいいということではないかというふうに私は思います。一つの目安でございますから、ある地方公共団体なり国が持ってない制度を、当然他の地方団体は持てないというふうにまで、この二十四条五項が要求しておるというふうには私は思わないわけでございます。  それから、公務員制度審議会の問題は、最初のお尋ねが諮問と意見を聞くということの区別。これは最初私は除外してお聞きになりましたから、ほかのお二方からお答えになったあと、また私申し上げたいと思います。

菅原栄悦全日本労働総同盟副会長

○菅原参考人 ここに議事録もございますが、先ほど諮問と意見の問題について御質問がございましたが、私どもは当時、この安井総務長官が公務員制度審議会に参りましてお話を申された内容を検討してまいりまして、また、そのときに私たちが受けた印象としては、確かに意見を聞きたいということをおっしゃっております。しかし、そのことは、公務員制度審議会としては、たいへんな荷物がふえてきたということで、みんな、これはたいへんなことになったぞ、当面する問題もあるのに、またこれをやらなければならぬかということが、期せずして、出席された各委員の考え方ではなかったかというふうに思います。したがいまして、こういう内容の意見を受けまして、最後に前田会長から念を押して、あらためてこの定年の問題は、次期の公務員制度審議会において、近い将来持たれる運営小委員会でこの取り扱いについて検討したいということで、ここに宝樹参考人もおいでになりますから、その小委員会においてどういう取り扱いがされるようになったかということにつきましては、宝樹参考人から十分お聞き願いたいと思いますが、少なくとも私どもといたしましては、意見と言いましたけれども、これは諮問されたものだということが大方の委員の考え方ではなかったか。したがって、この問題については、次の委員会でやりましょうということになりまして、私どもとしては、単にちょっと意見を聞くという簡単なものではなくて、重大な問題が当審議会に課せられたというふうに受け取ったのでございます。  それから、諮問と意見という問題でございます。公務員制度審議会においては、ことばがいろいろな場合で使われます。意見と言ったり、諮問と言われたり、いろいろ言われます。確かに、公務員制度審議会における最初の総理大臣の諮問事項については、書面という形で出されまして、それを総理大臣が読み上げました。読み上げて、なお書面がわれわれの手元に出されたのでありますけれども、少なくともその場合におきましては総理大臣は読み上げた、口頭といえば口頭、しかし資料が出された。総理大臣が出された原稿がわれわれに回ってまいりましたので、そういうことを含めて、それが諮問だというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、たとえ紙に書かれたものが出されなかったといたしましても、これははっきりした内閣総理大臣、政府の諮問であるというふうに受け取った次第でございます。  以上でございます。

宝樹文彦日本労働組合総評議会スト権奪還特別委員長

○宝樹参考人 最初の、意見を求められたのか諮問を求められたのかということでありますが、この内容は、別に公務員制度審議会で、労働者側の委員が特に安井総務長官に要請したものではないのでありまして、安井総務長官が御自身おいでになって、そして審議会にみずから発言した内容であるということが第一点ですね。  そして、諮問であるか意見であるかということについては、これは当然のこととして、運営小委員会の中では、地方公務員の定年制の問題は公務員制度審議会で審議をするということを、はっきりきめておるわけなんですね。ただ、会長が言っておりますように、当時はILOの条約批准に伴うところの、たな上げ施行部分というものについて審議をすることが緊急を要するものであるということでいわれておりますので、したがって、定年制の問題について審議をする時期、それから方法、こういうものについては、近い将来に運営小委員会でやろう、こういうことになっておるわけでありますから、私たちは当然諮問を求められたということでありますし、この地方行政委員会で栗山人事局長がそういういうことを言うのは、私は、全然当たっておらない。この問題は、過日十二日の公務員制度審議会でも、栗山人事局長におきゅうを据えてありますから、これは間違いないのであります。  それから、もう一つの、文書でという問題と、総理大臣がじきじき御出席なさってという問題についても、過日この地方行政委員会で栗山人事局長はそういう答弁をしておるということは明らかになりましたので、過日十二日の公務員制度審議会で、この問題も審議会は明らかにしておる。文書である、口頭であるということについての諮問の形式は、必ずしも公務員制度審議会に限らず、社会保障制度審議会とか、労働基準審議会とか、そういういろいろな審議会の中でも、文書によるもの、あるいは口頭によるもの、いろいろあるんだということで、文書であるとかないとかということについて、そういう詭弁は当たらないのだということは、明らかにしておるわけでございます。これは私ども労働側が言っておるのじゃなくて、むしろ公益委員の皆さんのほうからも、そういう意見が出ておるわけなんであります。したがって、内閣総理大臣がじきじきというこの課題については、総務長官は閣僚の一員でありますから、私たちは直接じきじきに言われたというふうに考えております。そういう意味で、文書、総理大臣というこの問題も、十二日の日に、栗山人事局長の発言は遺憾であるということでありまして、次回二十六日の公務員制度審議会で、いま私が述べたような趣旨に従って、当時の議事録をもう一回検討して、きちんと結論を出すということになっております。次回の公務員制度審議会は二十六日であります。したがって、もう一つつけ加えますと、二十六日の日にその取り扱い方について公務員制度審議会は審議するということでありますから、これはひとつ再度念を押しておきたいと思います。  三つ目の、労使関係の基本に関することの部類に属するかどうかというお話でありますが、内閣総理大臣に建議をしなければならない内容は、国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について調査、審議し、及びこれらの事項に関して内閣総理大臣に建議するということになるわけです。これについて、憲法二十八条にいいますところの団結権と団交権と争議権という、この三つの問題だけでは公務員制度審議会はありません。公務員制度審議会で審議する内容の中には、当然のこととして、公共部門の労働者に関係する任用の問題、労働条件の決定機構、あるいはその他の保障制度、さらに進んで言うならば、国家公務員の政治活動を禁止している課題について、こういう問題等全般について公務員制度審議会は審議するということについては、当然のことなんですね。政治活動の問題についても、公務員制度審議会は審議するということになっておるのであります。したがって、労働関係の基本に関する事項というのは、団体交渉権、団結権、争議権という三つだけではないというふうに考えていただくならば、この問題は当然労使関係の基本に関するものであるというふうに私たちは解釈しているわけです。  それから、地方行政委員会で、第一次の公務員制度審議会がいわゆるパンクしたときに、地方公務員の定年制の問題は、もう公務員制度審議会とは関係なくなったんだということは、もうこれはいま申し上げたことで、全然お答えする必要はないと思います。過日十二日にも論議をしておりますし、次回二十六日にも、あらためてこの扱いをどうするかということは、公務員制度審議会で審議をされるわけでございますから、栗山人事局長出席している席上でそういう決定をしておるわけでございますから、人事局長の地方行政委員会において、パンクしたなんということについては、これは事実が相違しておるわけですね。公務員制度審議会自身が現在審議している、その事実で回答になろうかと思います。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 いまの公務員制度審議会とこの法律案の関係でございますが、御指摘の問題、確かにこの前の公務員制度審議会で議論になったのでございます。その経過等については御指摘のとおりでございますが、私、それらの点について私の意見がどうであるかということは、ここで私は申し上げたくないと思うのです。私自身は、この定年制を採用する自由を地方公共団体に与えるということの可否を、きょうは意見を申し上げるというつもりで参りました。で、それは私の独断かもしれませんけれども、私はそういうふうに理解してまいりました。公務員制度審議会が当初、安井総務長官の意見を聞くということをどうとらえるかということは、やはり公務員制度審議会全体で結論を出してからお答えをするべきでありまして、私はやはり、個人個人の意見をここで申し上げるのはどうも適当ではないと思いますので、お答えしないというふうに申し上げたいと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 山内参考人にお尋ねしたいと思うのですが、本来、定年制を設けることの可否という、その意見を述べるおつもりで参った、こういうことであります。したがって公務員制度審議会がどう扱うかということについては意見を述べたくない、こういうお答えでございましたが、しかし過去にあった事実がどうであったかということにつきましては、私は御承知になっておる範囲でお答えいただきたいと思うのです。将来、公務員制度審議会が、これを再び扱うときにどういう意見を持つかというようなことは、これは公務員制度審議会を開いて相談していないからお答えできぬというということは、私は筋が通ると思いますが、過去の事実については、これは明確にお答えをいただきたいと思うのです。そういう意味からお尋ねをいたしたいと思うのですが、結局、ちょっと意見を聞いたのだ、自治省を含めた政府側はこういっておるわけですね。しかし公務員制度審議会の経過を見れば、必ずしもそうなっていない。運営小委員会を開いてこの扱いを検討することにし、そうしてその後いろいろな事情があって公務員制度審議会は中断になって、そうして引き続いて、第二次と申しますか公務員制度審議会が開かれて現在に至っている、こういうわけであります。したがって当時、宝樹参考人は、政府が諮問した事項だと受け取った、菅原参考人もそのようにお答えになっておるわけです。したがって公益委員の一人であります山内参考人、特に運営小委員でもおありになったそうでありますから、この点の当時の解釈はどうあったかということについては、少なくともこれは運営小委員会として当時相談しておきめになった事項でありますから、明確な御判断があっていいはずだと私は思う。この点はひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  それからさらにお尋ねいたしたい点は、宝樹参考人、菅原参考人も、定年制は従来の経過からいって公務員制度審議会にゆだねられているものと理解している、こういうことであります。この点も、理解のしかたでありますからどうかということでありますが、これはやはりお答えいただける問題じゃないか。将来どうだということじゃないのでありますから、現状認識の問題でありますから、ひとつお答えをいただきたいと思う次第であります。  それからさらに、総理大臣が出て文書で読み上げるものが諮問であって、その他は諮問でないというようなことが十二日の公務員制度審議会で問題になったそうであります。したがってこの点も、昭和四十年以来公務員制度審議会が続いて、現在も続いているわけでありますから、この公務員制度審議会の諮問の扱いとしては、この、総理大臣が出て文書で読んだものが正確なのかどうかということについては、これは経過の中で明らかになっておると思いますので、この点もひとつ山内参考人の御見解を承りたいと思う次第であります。  それからさらに、私は栗山参考人にお尋ねをいたしたいと思うのであります。私は特に地方公務員の方々、特に住民サービスに直接かかわり合いのある職種、清掃でありますとか、あるいは学校の用務員さんでありますとか、あるいは県道あるいは市町村道を営々として修理をしております道路修理工夫の方々、こういう方を見ますと、比較的年配者の方が多いのが実情だろうと思うのです。  それからさらに、栗山参考人が数字をあげてお述べになりましたが、昭和四十二年に町村の、中でも現業で新規に採用になりました方が、率では二四%も四十歳以上六十歳の方がおる状況だというようなことも、確かにそうじゃないかと思うのですが、もし定年制が五十七、八歳という形で制定された場合に、このような住民サービスに非常にかかわり合いの深い職種に対して、若年労働者を求めることがはたして可能なのかどうだろうか、そういう中で、もし定年制が実施された場合に、こういった住民と関係の深い仕事がおろそかにされる心配がないものだろうか、この点をお聞かせをいただきたいと思うのであります。  さらに、問題は共済との関係の問題であります。確かに御指摘になりましたように、五十七歳で定年制をしくAという市がある、Bという市では定年を六十歳でしいた、そうした場合に、市町村共済というものは全国の府県なり市町村というものが資金をプールしてやっておるわけでありまして、そういうものがこの再雇用を行なった地にのみいわば回っていくというかっこうになるわけでありますから、定年制の年齢の段階においても、あるいは定年制をしかない町村ということを考えた場合には、非常にアンバランスになる可能性というものがある。したがって、共済本来の姿というものが破壊されることがあるのではないか。特に、少ない給料の中から共済に対して相当な掛け金を出している全国の都道府県あるいは市町村に働く職員の方々が、再雇用の問題をめぐって、みずから積み立てた共済の掛け金というものが地方団体によって非常にアンバランスに使われるということについて、一体どのようなお気持ちを持つものであろうか、この点もあわせてお聞かせをいただきたいと思う次第であります。

菅原栄悦全日本労働総同盟副会長

○菅原参考人 なぜそういう諮問だというふうに強く印象を受けたかということについて、議事録をお読みすればもっとはっきりしてくるのではないかというふうに思います。当時の前田会長の、会議の始まっての議事録を簡単に読み上げますと、「それでは会議を開きたいと思います。きょうは、あらかじめ二つの点で御協力をいただきたいと思いますが、その一つは前回石川委員からお話がありまして、きょうの会議の時間を九時からということにしたわけですが、したがいまして大体十二時ごろをめどにいたしたい、このように考えます。これが第一点です。」第二点として、「それから二点は」と、こうなって、「例の地方公務員の定年制の問題につきまして、閣議の結果この審議会に意見を聞きたいという申し出があり、私は総務長官からその申し出を受けました。つきましては、私としては総務長官に出席を求めまして、その旨を皆さんにも説明していただき、それについて総務長官は出席するということになっておりますが、出席の時間がまだ確定しておりませんので、それも御了承いただいて、長官出席と同時にその問題にも触れたいと思います。」こういうふうに最初の段階ではっきり言っておるわけです。これを受けて、あとで総務長官が出席をして、それで当審議会に、御苦労さんですけれども、ぜひこの点について当審議会の意見を聞きたい。ですから単に意見というのではなくて、前田会長が問題が重要だと考えたから総務長官に、あなたが出席してとにかく説明をしてくれと申し上げたと思うのです。そういう意味で、当審議会としてはやはり単なる参考意見というよりも、もっと重要な諮問を当審議会はされたというふうに考えて、ですからこの委員会の最後の段階でも、再び前田会長がこの問題の取り扱いについて報告をしているという点から考えまして、どうしてもこれは当審議会に対して諮問をされたということが妥当、普通の考え方ではないかというふうに思います。  以上でございます。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 どういうようにお答えしていいのか、結局お尋ねになったのは、やはり事実の評価の問題だというふうに私は思うのであります。その評価を私が公務員制度審議会の一員としてここで言うということは、私はやはり公務員制度審議会の統一性からいって望ましくないと思います。公務員制度審議会は、やはり一つの自主的な判断というものを合議制でやっておるわけですから、ここで私の意見をさらけ出して言うことは、やっぱり将来の公務員制度審議会の一体制をどうもそこなうように私は思うのです。法律の評価もありますし、それを総務長官なり何なりの方の言われたことばの評価もあると思いますが、そういう評価をここで言うのは、審議会の一員としてどうもやっはりまずいと私は思うのです。私がきょう伺ったのは、やっぱり公務員制度審議会の一員ではなくて、法律の専門家の端くれとしてお呼びいただいたのだというふうに思いますから、その点についてはお答えしたくないと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 どうもたいへん弱りました。私どもが国会でこの重要な法案を審議する場合に、一番の重要な点は、昭和四十一年の三月二十八日、安井総務長官が公務員制度審議会に一体どのような形でこの意見を聞かれたのか、それが公務員制度審議会ではどう受け取られておるのかという事実関係、これを明らかにすることがこの法律を審議する一番のかなめだと私は思っておるわけです。そういう意味で、本日せっかくお三人の公務員制度審議会の委員の方、肩書きはそれぞれ別な肩書きがついておりますが、そういう趣旨もありまして、おいでをいただいたのでありますのに、この点はたいへんどうも遺憾に思う次第です。  そこで私は、宝樹参考人にお尋ねしたいと思うのです。二十六日に公務員制度審議会が開かれまして、そして栗山人事局長が地方行政委員会で述べられた点、あるいはこれに関連して公務員制度審議会が今日まで議論をしてきた経過、そういう点を総合してこの取り扱いを論議をするとお答えになりました。とすれば、この地方公務員の定年法案が公務員制度審議会でどう扱われてきたのか、これに対して公務員制度審議会としてはどう受け取っていたのかということが、当然二十六日の公務員制度審議会では触れられて議論になるべきだと私は思うのです。そうでなければ、栗山人事局長の発言の問題を取り扱うのには片手落ちになるわけですから、したがって、いま私が申し上げたような意味で、栗山人事局長の発言、そして公務員制度審議会と定年法との関係、これについて、その取り扱いを御論議いただく、こういうふうに御理解をしてよろしいでしょうか、お尋ねをいたしたいと思うのです。

宝樹文彦日本労働組合総評議会スト権奪還特別委員長

○宝樹参考人 おっしゃるとおりでありまして、栗山人事局長、たいへん公務員制度審議会の従来の経緯と離れた発言を地方行政委員会で行なっておりまするから、そういう発言の議事録も全部公務員制度審議会に明らかにした上で、公務員制度審議会としては、地方公務員の定年制の問題についてどう扱うかということについて、二十六日にやりたいと思います。むしろ、公務員制度審議会では、地方公務員の皆さんの定年制の問題を審議するということになって、その取り扱いをどうするかということで、いろいろ扱いについて相談をしないうちに国会で進んでしまっておるわけでありますから、そういう意味では、非常に公務員制度審議会自身もたいへん迷惑をしているという形になっておるということであります。

栗山益夫全日本自治団体労働組合中央執行委員長

○栗山参考人 現業の関係の採用の問題。先ほど私も申し上げましたように、昭和四十二年には、町村では四人に一人ぐらいは四十歳から六十歳という中高年層を採用している。これは町村で若い人が得られない、どうしてもそういう中高年の労働力を採用しなければならぬということと、もう一つは、政府自体が、労働省のほうができるだけ使えと、こういう指導をしておるわけですから、そういうものに呼応して採用されたと思うのであります。特に、農村部では、もし定年制ができますと、おそらく、こうした住民に直接サービスをする部門の現業労働者は採用困難になる、そうして住民サービスが低下することは明らかだと思うのであります。  二番目の共済の問題ですが、これも、私が、現状でも非常に問題をかもしているということを申し上げまして、ある自治体では勧奨退職の年齢が非常に若い、あるところでは、二、三年上だ、そうしますと、いまの共済の数字は、五十五歳でやめた際に、掛け金と給付率というものはどうなるかということで基準ができているわけであります。ところが、ある自治体で五十五歳、あるところは六十歳、六十五歳、こういうことになりますと、そこの自治体の職員から見ると、かりに六十歳のところは、いま約四%程度の負担をしておりますが、本来いいますと、二・五%でも済むわけであります。長い間掛け金をし、受給年数が減るわけでありますから。そういう点で、自治体間の問題、職員の不満というものができて混乱が起きるのではないか。再雇用の人に対する自治省あたりの考えでは、年金をもらいながら低い給与で、それと合わせると大体もともとになるからたいへんいいのではないか、こういうことを考えているようでありますけれども、年金というのは、実は、われわれ労働者が半分は出資し、積み立てているわけです。ですから、安い給与で使う埋め合わせを労働者が出した資金でまかなっていく、こういうことはたいへん問題があると私は思うのであります。そこで、これは先ほども申し上げましたが、社会保障制度審議会などでも、いろいろな関係から、これは最も不適当である、こういうことを答申されているとおりであります。  以上でございます。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 太田君。

太田一夫日本社会党

○太田委員 相済みませんが、五人の方に一つ、二つずつお尋ねをいたしたいと思いますので、順序にお願いを申し上げます。最初一人ずつお尋ねいたしますから、よろしくお願いいたします。  山内教授にお尋ねを申し上げるのですが、地方自治の本旨というたてまえから、定年制をとれないのは違憲の疑いがあるという御議論でございます。それをさらにふえんいたしますと、今後、地方公務員というのは、給与の決定、これも国家公務員に準ずる必要はないのであって、地方で自由にやってやるのが地方本旨に沿う、こういうことに相なろうかと思うのであります。それからもう一つは、公営企業の従業員等の場合も、公営企業は、公営企業法によれば、一応企業の収支の状態も見て、という一つの条項もありまして、給与等は非常に押えられておりますけれども、地方の自治体が上げようとしてやりますと、すぐに自治省のほうは、それは相ならぬという、こういうおしかりをこうむっていらっしゃるのであります。こういう一例からいいまして、地方自治の本旨という点から、いまの定年制を認めないのは違憲だというたてまえから言いますと、給与、労働条件ということは、中央の自治省が、国家公務員だとかあるいは中央の御都合によっていろいろのことを言うことは、これまた違憲である、違憲の疑いが非常に大きい、こういうふうに理解すべきことであるという御議論でございましょうか。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 原則的にはおっしゃるとおりじゃないかと私は思っているわけです。ただ、地方交付税法というか、そういう地方財政の全体的な配慮からいって、あまり高い給与をきめると破産するぞというような意味での警告として自治省がいろいろアドバイスするということは、その限りにおいてはわからぬわけではありませんけれども、私はやはりその当該の地方公共団体の能率に応じて給与を決定するというのが地方自治のたてまえであろうというふうに思います。  そこで、先ほども御引用になりましたところの地方公務員法二十四条五項という問題でありまするが、これはあまり均衡を失するといろいろな問題が出るから均衡を失しないようにという一つの訓示的な規定がそこに入っておりまするが、そういう規定も、やはりその均衡を失しないというのを非常に厳格に解しないで、それぞれの当該の地方公共団体の公行政の能率に応じてきめていくというのが私はたてまえだろうと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 山内さんのお話は、地方自治というのを自由主義的な立場からとらえていらっしゃるように思いますが、それなりに理解をいたしていける筋のお話をなさったのです。これは再質問はいたしません。  福山の徳永市長さん、ちょっとお尋ねしますが、明るい職場をつくるために定年制をしいたがよかろう、それから時世上、今日の時世というものから必要になっておると考える、それから公務員は一つの人生計画が立てられるじゃないか、こういう点で定年制が必要だ、世間の中小企業等にも定年制があるから、いま常識ではないか、こういう御議論のように思います。それにつけ加えて、市民生活の向上と行政能率の向上ができると思う、こう目的をお示しになりましたが、市民生活の向上と行政能率の向上という、定年制をそういう意味で、明るい職場ができるとか、いろいろな意味でやりますと、どういうぐあいに市民生活が向上し、どんな意味において行政能率が向上するのでございましょうか、これをちょっとお尋ねしたいと思うのです。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 お答えいたします。  市民生活の向上と定年制の問題は、定年制がしかれるということによって、早く言えば定年を、現在では勧奨退職をもって定年制にかえておる現状でございます。したがって、さっき申し上げましたように、勧奨退職をへたをやるとそれでトラブルが起きます。トラブルが起きる問題はできるだけわれわれは地方行政において何に限らず、大小に限らず少なくしていきたいというのがわれわれの念願であります。したがって、何かについて市の職員とそれから市の理事者との間にトラブルが起こることはできるだけ避けていくことによって市民の、市の行政に対するいわば信用を維持すること、市に安んじて行政をまかす気持ちを市民に植えつけるということはきわめて大事なことでございます。そういう意味において、市民生活の向上、精神的な向上をすればやはり物質的にも市は明るくなっていきます。  なお、その次の能率の問題ですが、いわばそれもいま申し上げた理由にやはり関係があるのでございますが、結局市職と理事者との間に、常に平和に信頼関係が確立していくということは、市の行政を進める一番大事な市の職員のいわば力を十分発揮することができますから、それによって市の行政の能率向上を来たす大きな精神的柱になっております。  理由は、いろいろこまかに考えればございましょうが、いま御答弁申し上げるのは、そういう点でお答えいたします。

太田一夫日本社会党

○太田委員 市長さん、重ねてお尋ねして恐縮でございますけれども、トラブルが起きないようにしようということで、定年制という法律にすれば画一的にやめてもらうことができる、こういうことであろうと思うのですが、やめてもらいたい人というのは、いまおっしゃることによりますと、別に給料が高いからやめてもらいたいということでもなさそうでございますから、早く言うと老廃しておるから、能率が上がらないからやめていただく、間に合わないからやめていただく、これが主たる原因のように承りますが、そういうことであるなら、いまの分限条項によるその職にたえざる者という条項で、肩たたきでなくてやめていただくということはとれないのでしょうか。そうすれば、役に立つ人は六十でも六十三でもその職にとどまるということになれば、それこそ明るい職場ができると思いますが、いかがなものですか。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 御答弁申し上げる内容はたくさんあるかもしれませんが、いまの他の条項、職にたえざる条項を適用したらどうか、そういう問題で退職をもし勧奨するとしたら一そうトラブルが起きるもとでありまして、それはとうていたえません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 市長さんのお考えが、哲学というか、そういうところにあるわけでございますね。一切めんどうくさいことをやめて一つの線を引けば、その線がゴールだから、ゴールに来ればやめたほうが手数がかからない、トラブルと申しますか、手数のかからないということでございますね。これははっきりするわけで、わからないわけじゃない。もうけっこうでございます。  宝樹参考人にお尋ねいたしますが、あなたのおっしゃった中で、法律万能を戒むというおことばがありました。自治省がその関係労働組合と協議もしないというようなことは重大な運営上の誤りをおかしておる、したがってそういうことでこの定年制をしけば自治体において大きな騒動が起きるであろう。いわば法律万能で何でも押し通そうということは危険な思想であるということをおっしゃったのですが、その辺の、危険だとお考えになっていらっしゃる気持ちをもう一回お答えいただきたいと思います。

宝樹文彦日本労働組合総評議会スト権奪還特別委員長

○宝樹参考人 日本の労使関係の問題についてはいろいろ審議を国内でもされておりますし、ILOのドライヤー報告の中に出されておりまするが、日本の労使関係が法律万能的な形で、労使関係の中における信頼感が欠如しているということは、一番中心のこととして指摘をされておる項目であります。そういう意味で、定年制というような問題については当然のこととして、その国内に七十万も八十万も組織しておるところの組織体があるとするならば、当然そこと相談あってしかるべきだ。これは地方議会で今度制定をするときに、また、それがむしろ眠っておる子の目をさますようにいろいろ混乱が起きることについては、これは決して好ましいことではない。日本の労働問題に関する労使関係の内容というものは、何でもかんでも争議権というものを一律に禁止してしまえばそれで全部事足れりという解釈が逆にストライキの激発を招いておる。そうして労使関係の中にあるストライキを禁止しておる条項なんかにしてもむしろ空文化されていくという、こういうあり方についての日本の労使関係の根本はお互いの信頼感、話し合いの舞台が欠けておるということだというふうに考えますから、そういう意味では、これは今日日本の特に使用者としての政府、この立場から慎重でなければならないだろうというように思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 菅原参考人にお尋ねいたします。  団交で定年というような問題は解決すべき問題だという一つの基本の理念をおっしゃいました。こういうようにいろいろと公制審等の取り扱いをめぐっても政府のやり方には不満足であるという御見解の御発表でございました。  そこで、私ちょっとお尋ねしますが、再雇用が具体化しておらないとおっしゃる。再雇用というのは定年退職したならば、そのあと二年か三年、一年限りの契約で再雇用をしかるべき職場にしようとおっしゃる。われわれも委員会でこれを議論しておりますと、十人の中で一人か二人は再雇用されるであろうけれども、七人か八人は再雇用のチャンスはないだろうという気がしてしようがないのでありますが、おっしゃるとおり再雇用の具体化ということが明らかでないままに今日に至っております。そこで民間では、定年制というのは労働協約上の大問題でありまして、これはストライキをかけて戦っておることでございますから、おっしゃるとおりに団交で解決すべき問題であります。それで、あなたのおっしゃった団交で解決すべき問題だというのは、中央においては中央の職員団体労働組合と統一当局との間の話し合い、地方においてはそれぞれの市町村当局と、そのまた職員組合との話し合いがあって、その話し合いが一応まとまった段階で法律に制定するなり、条例をつくるなり、こういうことにすべきだということでございましょうね。同時に、その場合には再雇用の保障というのを明らかにした上でという条件をつけて、こういうことでございますか。

菅原栄悦全日本労働総同盟副会長

○菅原参考人 私たちは終身雇用を主張しようとしているのではございません。したがいまして、あくまでもこういう労働条件の問題については、そういう意味から、地方の労使の話し合いによって労働条件の一環として決定をすべきだ。ですから極端に申しますと、五十五歳でその組合と市当局が定年制をきめるというならそれでもよろしい、これは極端な例でございますけれども、ただ、少なくともいま自治省が指導要綱として出されておりますものを考えますと、五十七歳あるいは八歳というようなことでは、いまの平均寿命がどんどん伸びていくときに、あまりにそういうことをきめることは低過ぎる。少なくともこれから十五年たちますと、諸外国並みになってしまう。先進国並みになってしまう。いわゆる六十五歳以上の人々が人口の一〇%以上を占めるようになる。こういう状態を考えましたときに、いま五十七、八歳というような定年制をしこうとすることは、どうもそういう意味から、将来のいろいろな展望から見て、あまりにも低過ぎるし、またそういう段階を考えると、まだ早いのではないか。もう少しこれについては生活の安定、老後の保障、こういうものを考えてやるべきじゃないか、こういう主張でございます。ですから、いま御質問のあるように、定年制を設ける、設けないかは自由でございますが、法律で設けることは、先ほど言ったように憲法二十七条との関係等いろいろございまして問題があるから、そうすべきじゃないじゃないか。あくまでも労使の団交によって、あるいは話し合いによってきめるということであれば、そのほうがかえってトラブルが起きないじゃないか。先ほどもいろいろ御質問あったようでありますけれども、もしこれが、このまま国会で強行するようなことになりますと、また地方において、地方議会で制定するにあたって、組合との間にものすごい戦いといいますか、闘争が起こってくるということは、かえって紛争を、この問題を複雑化し、かえって先鋭化していくのではないだろうか、こういうことを考えまして申し上げた次第でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 明快に、よくわかりました。  そこで栗山さん、あなたは当該関係者、首切られる十二万人の代表ということになろうと思うのですが、十二万人首切られるということに対して、自治省、政府当局の説明では、いや、十二万というのは五十五歳以上という線で一応出した数字で、いささかためにする宣伝であるのだ、したがって十二万人なんて首切りはありませんと言って、首切り当局者のほうは否定をしていらっしゃる。そこで、私はあなたにこの際ちょっとお尋ねしたいのですが、身分保障制度というものがくずれつつある、今度の法改正のもとにおいて次々にくずれるということ、何かしら身分保障がくずれる、労働条件の保障がくずれていくということを、お互い労働者が身をもって第六感的に感じたときには、この定年制制定の条例に対する抵抗というものは、私は無限大なエネルギーが注がれて、たいへんなことになると思うのです。七〇年は騒乱の年でございますと世間で言っておりますから、新聞記者諸君に言わせると、七〇年にはいろいろな思いがけないことがあちらこちらに起きるだろう。これは即、その中の一つとして、定年制条例化反対の戦いというのが三千三百の地方からあがってくる、こういうことも想像できるわけで、私はたいへんな将来の危機といっちゃ何ですが、地方自治の危機を逆に感ずるわけでございますが、そういう点について何か御感想ございますか。

栗山益夫全日本自治団体労働組合中央執行委員長

○栗山参考人 いま国会で論議している段階というものは、いわば定年制度をつくるということ、それから多分に地方に対しては定年制をつくるように、従来の経過から見ますと、自治省当局は強力な指導をするだろう、こういう状態でありますけれども、地方で条例でつくる、あるいは年齢を入れるということになりますと、小さなところの市役所では、線の引き方では、だれとだれとだれがことしは首を切られる、こういうことになるわけですから、これは非常に陰惨な状態が私は起きてきて、たいへんな混乱が起きると思うのであります。地方議会の議員の方々も相当年輩の方も多いですから、住民なりいろいろから陳情などあれば、それらの点はかなり緩和されると思いますが、たいへんな状態が起こるのではないかと思っております。  それから、これは条例でつくったあと、われわれとしては、かりに六十歳というのができて、いつ変えられるかわからぬ、年齢が低められるかもしれない、こういう不安が絶えず伴ってくるわけでありますから、絶えず心がまえていなければならない。われわれは被害者のほうでありますから、加害者のほうが気をゆるめない限りは、いつでもそうした緊張した気持ちで生活をしなければならぬ、こういうようなことで、多分に条例制定の際には、いま勧奨退職でうまくいかないところほど非常な困難な状態が起きてくるのではないか、こういうふうに私は思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 最後に栗山さん、もう一言だけお尋ねいたしますが、先ほど山内さんがおっしゃいました、定年制というものを認めない限り、それは地方自治の本旨に照らして違憲の疑いがあるという学説を御発表になりました。あなたは、いまの定年制をしくということになると混乱が起きるということは、憲法を尊重するというあなたたちの常日ごろのことばからいうと、憲法にいま現在定年制がないのが違憲なんだ、定年制をしけば憲法に従うということになるならば、その憲法に順法、憲法を尊重する立場からいうなら、定年制というものに対して敬意を表さねばならぬ、賛成せねばならぬ理屈になると思いますが、定年制をしかないのは地方自治の本旨から違憲の疑いがあるという学説を、あなたのほうはどこかでお耳に入れられたことがあって、心のどこかに残っているという事実がございますか。どこかそういう学説をほかにお聞きになったことはございますか。

栗山益夫全日本自治団体労働組合中央執行委員長

○栗山参考人 私は寡聞にして、まだそういう話を全然聞いたことがございません。ただ地方公務員法が制定をされるときに、私も当時のGHQなどにかなり参っていろいろ議論をいたしましたが、アメリカの翻訳ということもありましょうが、当時、いまの憲法から見て定年制を設けることは違憲ではないかという話を逆に聞いておる。そういう経過から、当時は占領下でもありますから、違憲というようなものは取り入れるべきでない、こういうような判断で、アメリカ式の個人能力主義的な、そして新陳代謝のできるような制度をつくったというふうに聞いております。学説としては、一切そういう話を聞いたことはございません。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次は折小野良一君。

折小野良一民主社会党

○折小野委員 いろいろ御質問がございましたので、私は一つだけお伺いをいたしたいと思っております。  それは、ここに定年制を制定しなければならない、あるいはしようということで出しておられる、この基本的な理由は、現在のわが国の賃金制度の中におきましていわゆる年功序列型賃金体系をとっておる必然的な結果である、そういうふうに私は判断をいたしておるわけであります。端的にいいますと、年をとってまいりますと、ある程度仕事の能率は落ちるでありましょう。しかし、それ以上に給与が非常に高くなってくる、そうすると仕事の能率と給与との間のバランスがくずれてくる、相対的に高くついてくる、こういうようなところに定年制を設けたいという一番大きな理由があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。  そういう立場から、一番最初に栗山さんにお伺いをいたします。職場の中におきましては同じ仕事をやっておりまして、若い人でありましたならば、たとえば二万円の給料で同じ仕事をやっておる、そして机を並べて、今度は六万円の給与の高い年齢の方がやはり同じ仕事をやっておる、こういうところにいろいろな問題が出てくるというふうに考えます。こういうような現実を自治労という立場においてどういうふうに消化なすっておられるのか、これを一点お聞きいたしたいと思います。  次は菅原さんにお尋ねをいたします。年功序列型というような、こういうような今日までのわが国の賃金体系というものが、もうすでに時代に逆行しておるんだ、こういうような御意見がございました。ところで、民間を含めまして、一般的にこういうような賃金体系の一つの傾向と申しますか、今日から将来にわたっての一つの傾向、こういうものにつきまして、おわかりの範囲内でひとつ御説明をお聞かせをいただきたいと思います。  それから最後に、徳永市長さんにお伺いをいたします。定年制の提案の理由につきましても、人事の渋滞とか、あるいは新陳代謝をはかる、こういうようなことがいわれております。そしてまた、市長さんの先ほどの御説明にも人事管理の明朗化、こういうことをおっしゃっておるわけでございます。もちろんこれにはいろいろな理由があろうと思っておりますが、私はむしろ、根本的な理由は財政上の理由なんじゃなかろうか、こういうふうに判断をいたすわけであります。市長さんのお話の中にも、年功序列型の賃金体系というものについてのお話もございましたが、むしろこういうような給与体系を改める。こういう方向に市長会あたりで強く運動をなさるということのほうがむしろ基本的に必要なことじゃなかろうか、私どもはそういうふうに考えるわけでございますが、こういう問題についての御所見をお伺いをいたしたいと思います。

栗山益夫全日本自治団体労働組合中央執行委員長

○栗山参考人 お答えをいたします。  いま御指摘がありました、同じ仕事をして、たとえば若い人が二万円、年配の人が六万円、こういうことで職場の中では、先ほども私申し上げましたが、おかしいのではないかという意見があるわけであります。自治労としては、一つの賃金に対する考え方として、労働組合でありますから、まず文化的な生活といいますか、そういうものができる賃金であること、もう一つの原則は同一労働、同一賃金、同じ仕事をしておる者は同じ賃金であるべきだ、こういうことを掲げておるわけであります。しかし残念ながら、いまの日本の民間給与との関係で人事院は勧告をしております。民間は御承知のように年功序列賃金、その影響を受けての公務員の年功序列型というものができ上がっております。  それからもう一つ問題点は、いまの年金制度、退職金制度というものが最後の本俸で支給をされる、だからどうしてもやめるときには高い条件になっておらないと年金も非常に少なくなる、あるいは退職金が少ない、こういう問題点がありますので、われわれの中でも同一労働、同一賃金を主張しながらも、同時にいまの年金制度や退職金制度というものを変革をしなければ、自治労としてはたいへん問題が残る。考え方としては、いま申し上げたような考え方を自治労自体は賃金の政策として持っておるということであります。

菅原栄悦全日本労働総同盟副会長

○菅原参考人 年功序列型賃金の民間における例等、御質問でございますけれども、いまどこの組合がどうというはっきりした記憶はございませんが、大体、電気関係の企業あるいは労働組合の中には、いわゆる同一労働、同一賃金の原則を取り入れまして、職能給を加味した年功序列型賃金というふうにだんだん変わってきておるのではないか。それから、これは民間というよりも国鉄の場合でございますけれども、これは単に年功序列型賃金ではございませんで、職能給を加味した賃金がいま実際とられつつある。したがって職種によってその賃金の格差というものが、幅というものがおのおのきめられておりまして、したがって頭打ちという問題が出てきておりますことも現実です。しかし、この問題は常に労使の間で問題になっておりますけれども、少なくともそういう年功序列型賃金という点から見ますと、国鉄の賃金は職能給を加味した賃金が現在とられておるということが言えるのではないか、そういうふうに思います。したがって、そういう点で現在の地方公務員の賃金の問題についても、年功序列型賃金そのものが大きな弊害を与えておるということで地方財政を苦しめるというならば、やはりそういう面の賃金の形態についてどうあるべきかということを基本的に考えた上で定年制という問題について考えたらどうか、したがって、実は定年制の問題とこの問題とは別な問題だというふうに私は考えておりますので、付言しておきたいと思います。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 お答えいたします。  定年制をしくことによって、その大きな理由は財政的な理由ではないかという点のようでございますが、なおそれと関連して、年功序列型を根本的に改正するほうにむしろ市長会は力を入れたらいいのではないか。そこで、まず前の問題で、定年制をしく理由のおもなものはいろいろございますが、人によって、都市によってある程度違うと思います。しかしだれにも通ずることは、やはり人事の刷新、新陳代謝を明朗にしてトラブルが起こらないように、入る人は、この都市につとめたら何ぼになったら定年に達するのだということをきめてつとめていただくようにしたほうが、結局勧奨退職によってやめるということをやっておることが認められておるならば、それをかえって明朗に、いわゆる条理をもってしたほうがベターだ、こういうことがみんなの一応の意見であります。争いの起こるもとはできるだけ避けていくということであります。  それから基本的な問題として、年功序列型を改正したらどうか。これは私は、この定年制とは別個の問題として、ごもっともだと思います。その点も確かに定年制をしく制度の原因にはなっておりますが、やはりこの年功序列型の給与制度というものは悪平等の問題を起こすのではないかと思います。これは、こういうことばを申し上げておしかりを受けたら私はいつでも訂正しますが、悪平等の原因がここにそれとなくみんなの頭に働いておるのではないか、だから、むしろ力のある人は年をとっても働いてもらいたいというのがみんなの頭であります。だから、ただ年功序列型だけでいくということはどうかと思います。ところがそれをいま改正しようとしますと、私の最もきらいなトラブルがまた起きますから、これをぼつぼつ、しかるべく是正しなけれならぬと思っております。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次は小川新一郎君。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 最初に山内さんと栗山さんに御意見をお伺いしたいと思います。  今回の改正の問題では、一つの最大の問題は、一定の年齢に達するからと、こういう理由で職を奪うということは、憲法によっているところの基本的人権を侵すものではないかという見解が自治労あたりから出ております。いままで、その憲法でいうところの第二十二条、これは職業選択の自由である。二十五条でいうところの生存権、二十七条でいう勤労の権利、これは一つの大きな問題でございますので、私どももこの席上、お二方の御意見をお伺いいたしまして、それぞれの説得力のあるところを、どういう点があるのか、これはいま反対、賛成いろいろ意見が出ておりますので、この点についてまずお尋ねしたいと思います。  その次に、宝樹さんにお尋ねいたします。私はまだ議員になって日が浅いので、先輩方のように、前の四十一年とか三十年代の論争というものをよく存じておりませんので、宝樹さんは長い間公務員制度審議会のベテランとしていろいろとこの問題と戦ってこられた方でございますので、いまこの大きな問題を審議してまいった過程の中で、あなた御自身、このことだけは要求しておきたい、このことだけは一言だけでもいいから政府に言っておかなければならぬという問題がおありだと思いますので、その点、まことに端的な質問でございますが、お尋ねしたいと思います。  その次には、これは菅原さんにお尋ねいたしますが、日本の社会福祉政策がこれからどんどん進んでまいらなければならぬし、進むのが当然でありますが、そういう社会福祉というものが進んで、老人年金とか、あるいは厚生年金というものとか、こういう老後の問題が解決された暁には、こういう定年制の問題が取り上げられてしかるべきであるという意見もございますが、この点についての御見解をお尋ねしたいと思います。  最後に市長さんにお尋ねいたしますが、全国市長会においては賛成と反対があると思うのでございます。たとえば、私は端的にお尋ねいたしますが、社会党から出ておる市長さんあたりは一体どういう御見解を市長会で言っているのか、この点ですね。先ほど市長は、すべての方というようなことをおっしゃられておりますが、市長会で、こういう定年制の問題があなたのおっしゃるような意向に一〇〇%進んでおるかどうか、これは素朴な質問でありますが、お答え願いたい。  第二点は、あなた御自身の福山市で、この法律がたとえば成立したときには、すぐ条例をおつくりになりますか。また、条例をおつくりになるとするならば、一体何歳くらいの方を対象となさるのか、一番御熱心な徳永市長さんでございますので、実践面においてはどういうお考えをお持ちなのか。また、特別職の再雇用という問題が出てまいりますが、福山市においての実態、どういう職種におつかせになるのか、再雇用というのはあなたの市では何年くらいさせるのが妥当とお考えであるか、この点についてお尋ねして、私の質問を終わります。

栗山益夫全日本自治団体労働組合中央執行委員長

○栗山参考人 私は憲法違反だというふうに考えておるわけでありますが、しかし、一般的にはいろいろな御意見があろうかと思うのであります。しかし、民間におきましても、定年制がないときに採用されて、その後定年制がつくられた。これは秋田地裁での事件でありますけれども、憲法違反ではないかというので提訴されまして、秋田地裁では、そういう意味合いから、憲法の条項を引用しながら、そして団体交渉権とか勤労権の問題を引用して、いわゆる定年制はよくないという判決がありました。しかし、これは残念ながら高裁では敗訴をいたしておりますから、判例として決定的なものではありませんが、しかし民間でも各所でそうした問題で争いが起きているということは、やはりわれわれの意見に賛成する人が多い、裁判所もまたそれを取り上げた、こういうことがいえると思います。私は、民間の場合と違って、憲法に最も忠実でなければならぬ法律ということになりますと、やはりそうした疑いがあるような問題をこの際制定することは問題がある、こういうふうに思い、私は憲法違反ではないかというふうに考えておるのであります。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 定年制と憲法との関係につきまして、地方自治の本旨ということを別にいたしますならば、いまおあげになりました職業選択の自由と勤労の権利、この二つだと私も思います。職業選択の自由というのは、御案内のように自由権という考え方で、何人もどういう職業を選択するかということはその人の自由の問題だ、まあ公共の福祉上の制限はありますが、そういった制限がない限り自由に選択をさせるということだと思います。それから、勤労をする権利というのは、憲法制定議会のときは、たしかこれは自由権だというふうに金森国務大臣は言われたように私も記憶いたしておりますが、現在の考え方はもっと自由権的なものに進みまして、勤労する機会を国は積極的につくり出していくという責務を持っておるというふうに考えて、それが一種の社会権あるいは経済基本権というような人もあるかと思いますが、そういった二十世紀的な権利であるということは、大体学説もそう考えている人が多いのじゃないかというふうに私は思います。職業選択の自由というのは、相手方に対して終身雇用制を主張する権利として考えられているのじゃなくて、お互いが雇おう雇われようというふうなこと、それから、どういう商売をしようということを国家は制約してはならないという消極的な権利ですから、いま定年制との関係におきましては、職業選択の自由との関係で違憲の問題を考える必要は私はないんじゃないかと思うのです。問題は、やはり勤労する権利との関係の矛盾だと思いますけれども、しかし勤労する権利というのも、やはり雇い主がそれを解雇するという自由を、それぞれの企業主、それぞれの雇用者を完全に制約するという意味で勤労する権利というのを憲法が考えているというふうに考えている学説というのは、私は少ないんじゃないかと思います。やはり結局において国として全般的に就労の機会、勤労によって生活設計を立てる機会を与えるという一般的な責務として考えて、それがどうしても到達できないというときは失業保険法とかあるいは失業対策法、そういうようなことで与えていく、最後は国がお金を出して生活することを可能ならしめるという、国の全般的な責務として理解しているということが、私は学説の普通の考え方だと思います。そういう見地に立ちますれば、定年制ということが直ちにいまの二十七条の勤労する権利に触れてくる、こういうふうには私は考えておらないわけです。  先ほどちょっと、先生じゃないですけれども、私は定年制を施行しなければ憲法違反だとは言った覚えはありません。公共団体に定年制を採用するかどうかの自由を与えないことが憲法違反の疑いがある、こういうふうに申したのですから、そこのところをもう一回申し述べておきたいと思います。

宝樹文彦日本労働組合総評議会スト権奪還特別委員長

○宝樹参考人 お答え申し上げたいと思います。  特に、公務員制度審議会は官公労働者の労働基本権の問題を審議いたしておりまするから、そういう立場で申し上げてみますると、占領中の、いわゆるマッカーサー元帥が指令を出して、そして昭和二十三年に官公庁労働者のストライキ権を全面的に禁止したことは、あの占領下におけるところの特異な問題でありまして、今日国際的なILO等条約の問題を中心にしましても、あるいはここ五、六年というものは、欧米の各国でも慣行法上官公庁の労働者のストライキ権は容認されておりましたけれども、最近新しい動きとしましては、欧米の各国が、全部官公庁労働者の争議権を含む権利というものをひとしく法律的に認めてきております。そういう立場から考えますると、日本の三百五十万の官公庁労働者の争議権というものを根こそぎ奪っているのは、これは私たちは憲法違反であるというふうに、それこそ考えるわけでありまして、そういう意味からいいますと、最近の欧米各国が官公庁労働者の争議権を認めるということの潮流というものは、一体底辺に何があるかといいますると、国営企業が大型化しているということが一つ言えます。公庫、公団、公社というようなものが、わが国の場合にもいろいろ出てきます。そういう意味で企業が大型化して、るということと同時に、もう一つは、官公庁の企業の中にも、技術革新などによって、民間の労働者と官公庁の労働者を区別することができない、そういう潮流が現実に出ております。たとえば昨年の二月に、アメリカで電信電話の労働者が十九日間ストライキをやりましたが、全部自動化で、ダイヤルを回せば全部かかってしまうわけでありますから、十九日間アメリカの全電通がストライキをやっても、政府、国民は少しも痛くなかったという現実があります。これは技術革新による新しい潮流でありましょう。日本の場合も全電通という組合が、おそらく第四次五カ年計画というものが行なわれまして、昭和四十七年くらいになりますと、日本中の九六%くらいの電話が自動化になってきますると、おそらく日本の場合にも、昭和五十年くらいになると全電通という組合がストライキをやっても影響がなくなるということになりましょう。そういう技術革新という面からいいましても、官公庁労働者と民間の労働者との差というものは縮まってきています。それから、昔はお役所、官庁ということを言っておりましたけれども、最近はそういう考え方が、国際的にもなくなってきております。逆に官公庁労働者の賃金が低くなってきておりますために、官公庁労働者が民間企業の労働者よりむしろ条件は悪くなってきている、こういう傾向からいっても、官民というものの差がたいへん薄れてきております。したがって、公共の福祉論ということばや全体の奉仕者論ということば、特別権力関係という解釈ですね、こういうようなものが国際労働運動の舞台で、官公庁労働者に対して、民間労働者と特別な扱いをするという解釈が薄れてきているわけですね。それが昭和二十三年以来、日本国政府の立場はそういう形でまいりましたが、最高裁判所で東京中央郵便局の事件に出されました判決のように、官公庁の労働者、民間の労働者ひとしく団結権団交権、争議権というものは保障されているのだ、憲法二十八条によると。こういう解釈がなされましたのも、これは国内だけの解釈ではなくて、そういう国際的な一つの潮流が現実に存在するということでありましょう。東京都の事件もその例であります。来年の九月にILOが、大正八年創立以来五十一年目にして、初めて官公労働者のための公務員合同委員会というものを開きまして、国際的に官公庁労働者の争議権、団交権、団結権の基準をつくろうとしております。五十一年前にILOが創立した戦前の時代には、国際的、国内的に見ましても、官公庁労働者の比重というのは非常に少なかったわけですね。二%か三%くらいしか官公庁労働者の組織はありませんでした。しかし最近は、特に第二次大戦後はアジア、アフリカにおける多数の独立国が誕生をしたりしまして、これらの国々の労働者の中心はほとんどが官公庁労働者の組織が中心であり、産業水準が低いために、したがって、今日創立以来五十一年目にしまして、ILO自身が今度初めて官公庁労働者の権利の問題を正式に取り上げるということも、これはたいへん皮肉なことでありますが、ILOが日本の問題をいろいろ審議しているうちにドライヤー調査団、ああいうものが来たりしまして、日本の問題が中心になって、いまILOの舞台で官公庁労働者の権利が審議される。私は、日本政府も、早急に現在の公務員制度審議会の審議が行なわれている中で、どういう態度を日本政府はとるのか、官公庁労働者の権利の問題について具体的に結論を出すべきではないか。特にILO八十七号条約の第九条の中には、軍隊と警察はその国内の立法政策上の問題として労働基本三権というものを定めてよろしい、しかしそれ以外は、団結権というものを認めなければならない、結社の自由ですね。したがって昨年の十月、ILOから、日本政府は監獄職員を労働組合をつくらないように結社の自由を禁止していることは、八十七号条約に違反をしないかという質問を受けているわけです。したがって日本の場合の公務員制度審議会も、いま警察、監獄職員、消防職員の団結権はどうするかということで入ろうとしているわけであります。ただ、そういう広い解釈に立っていただきたいというふうに思っておるわけであります。  特に本件の定年制の問題に関して言いますれば、特に先生のおっしゃっている労使関係というものからいいますると、地方公務員は、いま定年制の問題を審議しておりまするが、郵便労働者の全逓の場合でいきますと、六十歳以上になりますれば、勧奨退職もありますけれども、大体話し合いで、困難というものはほとんどないですね、実際に見まして。特に特定局長の場合は、自分の局舎を持っている局長は六十七歳が基準になっておりますし、それから自分の局舎を持っていない国有の局舎になっているところの局長というのは六十三、そういうのもあるわけですね。おそらくわが郵政部内の六十七歳というのは一番長いのではないかと思いますけれども、そういう特別な局長だけは六十七歳で、一般の者になると五十五だとか六だとかいう、こういう形になるのも、少しくでこぼこがあるような気がします。労使関係というのは、やはり権利は認めて、その権利を乱用しないようにお互いに労使関係の話し合いの中で解決していき、新しい近代的な労使関係というものを打ち立てることを私は労働者として期待をしたいというふうに思っております。

菅原栄悦全日本労働総同盟副会長

○菅原参考人 ただいまの御質問では、いわゆる老人年金、老後の福祉対策が完成してからでないと定年制をしくべきではないという御質問だったと思いますけれども、私の申し上げておりますのは、ちょっと内容が違いまして、いわゆる完成してから後でなければということを言っているわけではございません。  少なくも、第一点は、定年制の問題は法制化によって定めるべきものではない。あくまでもそれは雇用条件の問題であるから、労使あるいはそういう話し合い、あるいは団体交渉の中で、定年制というものを必要であるとするならば、定年制をきめてやればいいじゃないか、こういうふうに申し上げたのです。  第二点は、かりにこういう問題が論議をされる場合においては、少なくとも定年制という問題が論議される場合においては、その定年制後における年金等の、あるいは退職金等による老後の生活の安定というものがやはりはっきりと確保されなければ、軽々に定年制だけで云々する、たとえば人事の刷新とかいろいろのことをいわれておりますけれども、そういうことではいけないんだということを私は申し上げているところでございます。ですから私は、終身雇用制ということを何も主張しているわけではない、こういうことでございまして、あくまでも定年制を定める場合のやり方と、それから定年後における老後の生活の安定ということを、それぞれやはり関連あるものとして考えながらこれらの問題をきめていく必要がある、こういうことを言っているわけであります。  ですから私といたしましては、たとえば明治三十六年に、ある日本の会社が五十五歳という定年をきめた。これがいつの間にか一般的なことになってきた。五十五歳になれば、昔は恩給が支給されるということで、定年制というようなことがいわれた。今日では明治三十六年と違って、一般に国民の寿命というものは相当伸びてきているというときに、五十七歳、五十八歳をもって定年制をしく、そしてなお再雇用として一年区切りで三年間で再雇用をするのだ、それも給与を三割か四割切り下げて、年金と併給させることによって給与を確保するのだといいますけれども、これは年金制度の悪用なんですね。こういう非常に矛盾したことをやろうとしておりますので、こういう問題は私は反対せざるを得ない、こういうことでございます。  以上でございます。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 お答えいたします。  最初の、全国市長会のいわばこの問題についての賛否の態度はどうかという趣旨ですが、社会党の籍を持っておられて市長になっておられる方もむろんおられます。私はその社会党の市長がどう言われたとか、保守党、中立系の市長がどう言われたとかいうことを申し上げることは差し控えます。というのは、おのおの雑談で言われることですから、これは責任あるところで申し上げることではございません。ただ私は、この行政分科委員長を仰せつかっております、その職務を行なう間に、公式の場所でもまた私的の場所でも、私に対して、定年制を設けることは反対だという御意見を聞いたことはございません。  第二の問題として、直ちに福山市で条例をつくるかという問題ですが、これは今度の案が、拝承するところによると、条例をもって、いわば文章はともかくも、二十七条の二に、定年制を設ける、それによって離職できるということですが、定年制を設けることを得る、設けようと思えば設け得るという趣旨に拝承いたしておりますから、直ちにすぐ何年何カ月の間に自治省から定年制をせいということではないようでございますから、だから私だけの考えでは毛頭これはいけません。大体定年制を設ける趣旨そのものが、市長があんまり職権をふるうてかれこれきらいな者は追い出すというようなことがあってはいけないという趣旨もあると思うので、やはりこういう条例を設けるということになれば、市民の代表の議会の人ともよく相談し、また大事な市職員の組合ができておりますから、そういうところにも相談して、誠意をもって話をするならば、どういう条例をいつつくったらいいかということはおのずから解決する問題じゃないかと思っております。  それから三の問題で、これは再雇用の問題ですが、これも結局再雇用の制度は、働く意欲があって、だれも、自他ともに許す職員は引き続いて定年になっても働いてもらおうという趣旨でありますから、どの職種でもいい、どの職業でも、労務を主体とした職員でも、そういう人はまた働いてもらう。また一般職においてもそうであります。だから、そういう点でどういう職を特に再雇用の対象にするかということは、これはもういいものはいい、やってもらおうという趣旨でございます。  それから何年ぐらいということ、これは法令がきまりましたら、その法令の趣旨によって、できるだけこれを円満にやっていきたい、かように思っております。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次は林百郎君。

林百郎日本共産党

○林委員 最初に山内参考人にお尋ねしたいのですが、山内参考人は、地方自治体に定年制の自由を与えないことが憲法違反になるのではないか、こういうように考えるという御意見なんですが、言うまでもなく地方自治体に対する憲法の規定は、地方自治の本旨に基づいて地方自治体の組織並びに運営は法律で定めるとあるわけですね。この地方自治体の本旨というのは、それは言うまでもなく憲法の諸条項、それから憲法の中にある民主的な諸理念、こういうものに沿った自治体の組織並びに運営についての法律の取りきめをしなければならないというわけですね。だから、先生のおっしゃるように、定年制の自由を与えな、から憲法に違反になるということは、それは非常に片面的な御意見で、問題は、その自由を与えられるべき定年制が、かりに定年制をしきたいという立場に立つ方々でも、また法律学者であればあるほど、その定年制というものが地方自治体の組織並びに運営の本来の原則的な基準であるべき憲法の諸条項に違反しないようなものであるかどうかということを検討されなければ、定年制の自由を与えないことは憲法違反だと簡単に言えないではないかというように私は思うわけです。  そこで、先生は定年制をおしきになってもいいようなお立場のようにお聞きしたわけですけれども、しかしかりにそういう立場に立つにしても、私は、この問題については二つの側面からさらに先生の御意見は検討されてしかるべきであると思うのです。一つは、先ほどから問題になっておりますように、これは労働者としての基本的な権利ですね。働きたいという意欲を持ち、しかも働く能力を持つ者が条例によって一方的に離職させられる。しかも、国家公務員法にはまだそのような制度はないときにそういう制度を設ける。しかも、さらに進んで再雇用制度に入ってみれば、再雇用されるときの賃金は非常に低賃金である。場合によっては、従来の労働の対価として当然支給されるべき年金や退職金をその再雇用の低賃金を埋めるために使うなんという、こういうことは労働基本権からいっても許されないことではないか。従来の労働の対価に対して与えられるものを、再雇用の賃金が安いからといって、それを埋めるために使う。よそへ行って就職すれば、それはそのままもらえるわけです。だから、そういうような問題もありますし、さらに再雇用された者の労働基本権は一体どのように保障されるのだろうか、たとえばアットランダムに首を切られた場合に、それに対するどういう救済の方法があるのだろうか、こういうことをやはり検討されなければ、いまわれわれが審議している定年制のこれが、労働基本権あるいは国民が文化的で幸福な生活を追求するという権利とどのような関係を持つかということの解明にならないと思うのです。だから、先生の御意見を出すには、この点について十分な説得力のある解明がなされなければならないという問題が一つと、それからもう一つは、定年制の対象になる人が多く、先ほどの委員の質問にもありましたけれども、住民に直接奉仕する現業部門の人が非常に多いわけなんです。技能や労務職員が非常に多いわけです。これは日常直接地域住民に奉仕しサービスする部門ですね。たとえば環境衛生だとか、あるいは料金の徴収だとか、あるいは交通事故の相談だとか納税の相談だとか、こういう日常地域住民に直接奉仕する部門ですね。ここに定年制という制度が持ち込まれ、この定年制が、いつ解雇されても行政不服の申し立てもできないような状態に置かれているということになれば、この面における地方自治体の地域住民に対する奉仕という面が非常に傷つけられる危険が十分感じ取られるわけなんですね。要するに地方自治体の本来の機能である地域住民に奉仕するという部門が犠牲になって、国の要請に基づく業務が地方自治体の中心に据えられる、そういうことがあるかないかという面もやはり検討されてから先生の御意見を出されなければ、非常に片面的な御意見のように、はなはだ恐縮ですけれども、私は感じますので、その点をひとつ御再考あってしかるべきではないかというように私は考えます。いま国会でこのように論議がされ、そして二百何十万の自治労の労働者の皆さんがこのように激しく抵抗しているその原因がどこにあるかということですね。この多面的な御検討をなさらないと、ただ憲法で規定されている地方自治体に自治権の一環である定年制を持たせないことが違憲ではなかろうかということだけでは、この問題に対する学者としての御意見としてはわれわれははなはだ不満に感ぜざるを得ないので、ここで御質問をしておきます。  その次に徳永さんの御意見について質問をしたいのですが、あなたの御意見をお聞きしますと、地方自治体の明朗だとか、トラブルは避けると言いますが、あなたの御意見を率直に聞いていますと、それは理事者として明朗になりたい、理事者としてトラブルを避けたいということで、あなたの明朗さとあなたのトラブルを避けることを強行していけば、今度は職員のほうははなはだトラブルが多く、はなはだ明朗を欠くという面をお考え願わないといかぬじゃないかと思うわけです。ということは、一般の民間の労働者も含めて……。(「質問じゃない、意見だ」と呼ぶ者あり)いや質問ですよ、重大な質問です。その点をお考えにならなければ、そういう理事者が理事者側の立場からのみ明朗だとか、いかにも自治体全体を代表しているような御意見で明朗を要望するとかトラブルを避けると言われても、職員の側にとってははなはだ迷惑なことになると思うのですね。自治体を構成している圧倒的な部分は職員なんですから、この職員の労働意欲、仕事の意欲を積極的に導き出すかどうかが自治体の明朗性をつくり出すことになり、自治体のトラブルを避けることになるわけです。ところが今度のような、このような、まだ働きたい——おそらく五十五、六歳の定年制をしけば、まだ働きたいという人は、七〇%以上は働きたい、働かなければ老後の生活ができない、こういう人たちだと思うのです。そういう人たちを条例をしいて、そうしてトラブルなくして離職させるということは、これは職員の側からいえば、むしろ非常に老後の深刻な不安を導くことになるし、また再雇用というような、非常に低賃金の、それから労働の基本権が保障されないような人が、しかも自分より先輩の人がみじめな姿で戻ってきて、賃金は後輩の半分しかもらっていない、足りない分は年金で補えなんというかっこうで職場にいることが、はたして職場の明朗になるかどうかということなんですね。そして一方では自治省から差し向けられた天下り人事の者が、定年制になれば、おれは定年になりそうだからといってどんどん中央へ戻っていく。そんなことが決して職場の明朗性なんか呼び起こすものではないのですよ。だから、あなたがほんとうに職場の明朗性を導こうとするならば、むしろこの職員の方々と十分話し合って、職員の人たちの生活の保障を十分あなた自身がお考えになって、そして民主的な職場にして、そこから職員の皆さんの積極的な意欲を導き出すということが本来の自治体の明朗性の確立だと私は思いますので、そこをどうお考えになるのか。職員の側に立ってものをお考えになって、それを十分取り入れられることこそが職場の明朗性あるいは自治体の明朗性を確立する第一歩だと思いますけれども、その辺をどうお考えになるか、お聞きしておきたい。  それから栗山さんには、かりに五十五、六歳のところでこの定年制の基準がきめられたとしますと、どのくらいの人が離職させられて、その人たちの家族構成はどのくらいで、平均賃金はどのくらいで、あるいは退職金はどのくらいになるのかというような数字がもしお調べになってあったら、ここで参考までに聞かしていただきたいと思うわけです。それから、かりに五十五、六歳で定年制がしかれるとして、その年齢の方でさらに働きたいという人、働きたいと望む人が一体どのくらいのパーセントを占めるだろうかというようなことですね。そして、いままで勧奨に応じられなかった人はどういう部門でどういうような人がいたか。かりに定年制がしかれるとすれば、一番の被害をこうむるのは自治労の職員の皆さんですから、この人たちが五十五、六歳で定年制をしかれるとすれば、どういう影響を老後の生活に受けるだろうか。何人くらいが離職させられて、その人たちの家族構成はどうで、老後についてはどういう考えを持っておられて、その人たちの平均賃金はどのくらいで、退職金あるいは年金がつくかつかないか、つくとすればどのくらいの年金、あるいは退職金は平均どのくらいのものだろうかというようなことで、もし数字が準備してあったら御説明願いたいし、なければまたあとでいただけばけっこうです。  以上です。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 先生のお尋ねというか、御意見のように、むろん地方自治の意思を制約すること、そういう法律を排斥するという考えに立ちましても、やはり地方自治の意思の実質が憲法の諸条項に適合しない限り、それはその自治意思を制限したというだけでとがめるということは、やはり御意見のとおりだと私も思います。  ただ、この定年を採用するということが、ほかの憲法の条項、具体的にいえば先ほど申し上げました勤労する権利というのに触れてくるかどうかということ、私はそこに尽きるのではないかと思いまするが、私は先ほど申し上げたように、定年制がそれに直接触れるというふうに思わないわけでございます。むろん定年制のきめ方いかんによってはそういう問題もあるいは起こるかと思いますが、合理的にきまってくる限りにおいては、私は勤労する権利というものには触れてこないというふうに思うのでございます。地方公務員というのは公行政のにない手でございますし、一般住民の福祉を能率をもって推進していかなければならない立場でございますから、かりにある方があくまで地方公共団体で働きたいという意欲を持っておられましても、それにふさわしい能力を持っておられなければ、やはりそれを排除していくというのが公行政の責任だというふうに私は思います。それで、それについてはおのずからやはり年齢というものの高さからくるところの能率の低下ということは、否定しがたいことではないかと思います。われわれ大学教授ですら定年があるわけでございますから、やはりその職場に対して能力を発揮できる力を持っているということは必要だと思います。ですから、私は定年制が合理的に決定される限りにおいては、憲法の他の条項には違反しないと思いますし、その前提に立ちますれば、現行法がその自治意思を制約していることは違憲だ、こういうふうに私は考えております。しかし、先生のおさとしもありまするから、もう少しよくは考えてみますが、いまのところは私はそういうふうに思います。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 お尋ねの件で、要点だけお答え申し上げます。  むろん仰せのとおり、私は理事者として本日は私の愚見を申しておるのでありますが、市政を運営するのには理事者だけではできません。理事者、議会、なお市政の明朗化、自治体の明朗化をやるということになれば、市民全体の意見もつぶさに聞きながら総合的に考えていかないと、むろんりっぱな自治制は運営できぬと思っておりますので、理事者だけの考えで定年制をしけば、明朗な市政運営ができるとは考えておりません。職員も入り、議会も入り、市民全体の世論も総合しながら進めていくという考えに立って常に考えております。

栗山益夫全日本自治団体労働組合中央執行委員長

○栗山参考人 御質問の趣旨、五十五歳以上の人の市町村の年金受給金額については、組合自体が調べたものがあります。それから退職年金については地共済、都市共済、市町村共済別に、昭和四十一年、四十二年というのがあるわけです。先ほど申し上げましたように五十五歳以上で年金を受ける条件にある人、すなわち二十年以上勤務しておる人というのは約五六%ぐらいしかおらないわけでありますが、地共済ですと、昭和四十二年の数字ですが、退職者の中の年金受給者の割合は四二%で、平均退職年金額が年額二十六万六千円、それから都市共済のほうがちょっと高くて二十九万一千円になっております。町村のほうは賃金も低いわけですから、十九万一千円。これは二十年以上の人ですから、必ずしも五十五歳以上だけを集めたものではありませんが、五十五歳以上で、広島、鹿児島と三重県を調べたのでありますが、年金額が広島の場合は二十五万七千円、鹿児島は二十八万四千円、三重県が二十九万五千円。これはたまたま多少特別高い人がおったりいろいろなことで、たとえば部長がやめたとか、いろいろな数字が入っておりますから違いますが、月額にしますと、いずれにしても二万ちょっとということにしかならないわけであります。その点は先ほども言いましたように、中途採用者が非常に自治体に多いということで、年をとっておりますけれども勤続年数が短い、こういうことから年金の受給資格のない、したがって退職金もおそらく、いまここで数字を持っていませんが、現実には百八十万程度が平均値になっているのではないかと私は見ております。割り増しとかいろいろなことがありますから、多少問題は……。後ほどまた数字は先生の手先にお届けをしたいと思っております。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 安井君。

安井吉典日本社会党

○安井委員 時間がだいぶ過ぎているので簡単にやれという自民党の理事からのお話ですから、この際協力をいたしまして、定年制反対の立場の栗山、菅原、宝樹参考人に対する質問は割愛いたします。  まず、山内参考人の先ほどのお話に対するお尋ねでありますが、いまの地方公務員法は違憲であると断定をされたわけであります。法律の専門家のあなたときょうこの場で論争をするということになりますと時間がかかりますから、きょうはやめますが、ただ、この点だけひとつ明らかにしていただきたいわけであります。  先ほどの御説明では、自治体の固有の権限であるべき定年制制定権を制限をするような立法は違憲である、こういうふうなおっしゃり方であったと思うのですが、いまの地方公務員法の中には、地方公務員に自治体が定年制をつくることはいけないとは書いてないわけです。この点はいままで政府が国会の答弁の中でしばしば言われていたわけで、その点が明確でないから今度明らかにするのだ、こういうことです。ということになりますと、あなたがさっきおっしゃったのは、定年制を地方公務員につくってはならないという規定が違憲だ、こういうふうにとってよいのか、ところがそれはそういうことになってないわけですよ。いまの法律は定年制はつくってはいけないとは書いてありません。そういうおつもりであなたはおっしゃったのか。あるいは、いままでは定年制を置いてもいいのか置いて悪いのか、その点の明文がないので、自治省はいわゆる通達等の解釈でずっとこれまでやってきたわけであります。つまり法律に明文がないのに役人の法解釈だけでずっとやってきた、そのことが違憲であるとあなたはおっしゃりたいのか、そのどちらかについて、いま法律にはっきり明文がないのですから、ないものを違憲だとおっしゃることが大体おかしいようだし、そうだとすれば、法解釈論だけにゆだねてきたということが違憲だとおっしゃるのか、どうでしょうか。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 私の申しましたことを要約すれば、定年制を採用するかどうかの自由を奪うことが違憲のそしりを免れないだろうという実質を言ったわけです。ただ現行の地方公務員法には、御指摘のように、定年制を規定してはいけないという規定はないわけでございます。自治省が解釈論として、明文には書いてないけれども、地方公務員法はその自由を奪っているんだ、こういう解釈を立てておられる、その前提で今度の法律案が出たのだと私は思いますが、私は通達でやっていることが違憲だというふうに申し上げたのじゃなくて、そういう解釈を前提とした現行の制度は地方自治の本旨に適合しないのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。ですから解釈はあらためてできるのだということになれば、私はそれはそれでもいいと思います。しかし公権的な解釈をみだりに変えるということもなかなかできがたいことでございますし、何回も通達は出ておりますから、その前提といたしますれば、政府の解釈というのは、地方公務員法は、明文はなくても定年制採用の自由は地方公共団体にはないのだということで考えるよりほかありませんが、その点はやはり改めるべきであるということを私は申し述べたわけでございます。  先生の御質問に的確に答えているかどうかよくわかりませんけれども、もし答えていなければ重ねて御質問いただきたいと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 あまりかっきりとしたお答えになっていないように思います。だから一片の自治省の役人の解釈論だけがまかり通っているという事態に対する疑問をあなたがおっしゃっているのか、それとも現在法律の上にはっきり書いてないのですから、違憲であるもないも、地方公務員に定年制をやってはいけないなんと法律は書いてないわけですよ。そういう条文がないのですから。ない条文、まぼろしの条文を違憲とおっしゃっているのか、その点私どうもはっきりしないわけです。ですから、その問題についてはもう少し時間をかけて議論をしなければならないと思いますから、先ほど非常に明確にお話がありましたので、私は一つの大きな疑問としてその点を申し上げておきたいわけであります。  そこで、山内参考人はいままで長い間、政府の法制局の重要な位置を占めてこられたわけです。その長い法制局のおつとめの中で、いまの違憲論という認識をおやめになるまで終始、それからまたやめてからもずっと抱き続けられてきたのかどうか。つまり、役所の中で重要なお立場にありながら、いままでずっと——地方公務員法というものがこれまでずっと来たわけですよね。その間にどういうふうにお考えになって今日まで来られたかということと、それからもう一つは、政府の法制局の中はよく御存じなわけでありますが、あなたの御意見が政府の法制局の通説なのか、そうでないのか、この点ひとつ伺いたいと思います。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 それはどうも私のお答えする限りとは違うんじゃないかと思いますですね。私が法制局時代にどう思っていたかということは私の個人的な問題でありますし、いまここで申し上げているのは、この問題に対する当否の意見を申し上げているわけですから、私はそれをお答えする必要はないと思いますね。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ただ、じゃあなたのお考え方はお答えを拒否されましたから、それはもうこれ以上追及いたしませんけれども、法制局の通説は、これはいまの法制局長官に来ていただいてお聞きすればわかるわけですけれども、ちょうどいままでずっと重要なお立場を占めてこられたあなたでありますから、お聞きしてもその点をお答え願えると思うのですが、どうでしょうか、通説かどうかということ。

山内一夫学習院大学法学部教授

○山内参考人 通説かどうか確かめ合ったことはありませんです。しかし私は、それは法律というのはやはり自分自身の意見を持つ、それをいろいろ討論して法制局では意見を集約しているわけですから、私はいまの高辻長官と意見の違ったことはずいぶんありますが、私の考え方が通説かどうかということは確かめたこと自身がありませんですから、何ともお答えしようがないわけです。ただ私は、先生せっかくお尋ねですから申し上げますが、やはり官職を離れましていろいろものを見れば、それから違った考えが出てくることも事実でございますし、前に考えたことがいまそうでないと思っていることもそれはございますです。その程度のお答えを申し上げるよりしようがないと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 きょうは、学習院大学教授としてお越しをいただいたわけでありますから、それじゃかつてのことはお聞きいたしません。きょうはいたしませんが、あすあるいはその後の審議におきまして、法制局のはっきりした見解をこの委員会として確かめる必要があると思います。その点だけはひとつ理事の皆さんにお願いをしておきたいと思います。  そこで、福山市長さんでありますが、全国市長会の意見の中身についてさっきもちょっとお話があったんですが、私のところにもずいぶんいろいろな市長さんが見えるわけでありますが、賛成の人も反対の人も、どちらもたくさんいます。反対の人も、これはずっと経過的にだいぶ長い——一番最初の決議がありましたのはいつごろですかね。ずっと以前の決議の中できまっているんで、あとから入ってああいう一定の場で、いまさら反対だというのもおかしいし、ただまあ表向きにはそう言わないけれども私は反対です、こういうふうに言われる人も相当おります。この点はっきり申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、私は定年制賛成ですという人も見えます。ところが、その賛成の方でありますけれども——この間この委員会において強行質疑というのが行なわれて、それがまた市長さんのおきらいなトラブルになって、一たん差し戻しになって、さらにまたもう一度強行質疑打ち切り、採決とか称せられるものが行なわれて、これは大問題になりまして、議長裁決という形で問題が処理されました。おきらいなトラブルがもう二へん起きている。もう二へんで、三べん目は私はもう絶対にあり得ないと思うのです。ところで、そういう段階に、私は定年制はぜひやってもらいたいと思っておりますという市長さんが私のところに見えた。その国会の様子を見て、私は定年制は——その市長さんの理解は、何歳で定年というように法律で書いてくれるんだと私は思っておりました。ところが、法律に書かないで、これは条例ということになりますと、これは地方議会に持って帰りましてたいへんなことです。私も市議会にそれを出してやらなければいけないということになりますと、これはもうたいへんな事態が起きます。そういう二度のことをやられちゃ困るし、特に国会がああいうふうな混乱を起こしたあとでありますから、あれが地方議会の中にそのまますっと移し込まれるということになりましたら、これは重大問題です。だから、こういうような段階では、やはり国会がお手本を示したのが地方議会にそのままいくわけですから、何とかスムーズに審議をしていただきたいと思います、あくまで強行で問題を処理するというふうなことは困ります、こういうようなことをこぼしていった市長さんがいます。さっき太田委員が栗山さんに質問をしたときにも出た話でありますけれども、四十六の都道府県、三千数百の市町村、そういう中に、この間国会で行なわれたようなあんなでたらめな姿がそのまま移し込まれたら、私はこれは重大な問題だと思うのですよ。その市長さんはどこまで考えていられたかどうかわかりませんけれども、来年は一九七〇年で全国的にそれこそ大きなトラブルが起きる可能性があるところへ、地方のすみずみまでそういうトラブルを持ち込まれるということは困ります、そう言われるわけであります。トラブルが一番おきらいだということを繰り返し言われました市長さんでありますから、国会の審議についてそういう注文をつける立場ではないともちろん言われるとは思いますけれども、私はその市長さんのお気持ちについて、全国市長会の決議としてお伺いするわけじゃありませんけれども、何とかスムーズな国会審議を続けてもらいたいという御意向が漏らされましたけれども、その点はどうですか。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 お答えします。  私にはたいへん分の過ぎたむずかしいお答えでございますから、ごく簡単に申し上げますが、いま賛成の市長さんが来て、私は法律の中に何歳と書くんだと思うておったが、それが書かずに条例でつくるということはたいへんだというようなことをおっしゃった市長さんがあるということでありますが、あるいは多数の市長の中にはあるかもしれません。これは定年制はそのうちできると思うて、内容をほとんど研究されていない市長さんもおられます。したがって、そういうことはあまり大きな問題ではなくて、定年制がしかれるということさえいけば、あとはひとつ、何回も申し上げましたように、議会と職員組合と理事者とが十分に誠意をもっていけば、そうむだなトラブルは起きないと私は思うのであります。その点をどうぞ……。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いま最後にお伺いいたしました国会のほうもスムーズにやってもらいたいという御希望があったのは、それはどの程度の御希望なのかどうかということです。

徳永豊福山市長

○徳永参考人 国会もスムーズにやってもらいたいということを申し上げたかと思いますけれども、それはそれだけのことでありまして、十分に論議して円満に解決をしてもらいたいということであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 終わります。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 参考人の方々には長い時間にわたりまして貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  次回は明二十日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗