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61回国会衆議院1969/05/15

地方行政委員会 第31号

発言数
266
登壇者
20
会派数
3
開催日
1969/05/15

会議録

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  地方公務員法の一部を改正する法律案に関し、参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選及び期日等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 地方公務員法の一部を改正する法律案に関し発言を求められておりますので、順次これを許します。依田圭吾君。

依田圭五日本社会党

○依田委員 先週の金曜日に、私は理事のほうから言われましたように、持ち時間を終わりまして、一応太田議員に譲りたいと思っておるやさきに、実はあのようなことが起こりまして、たいへん残念であります。きょうはその継続でありますから、ごく二点だけを、しかも分けずに一ぺんにお聞きいたしまして、大臣並びに局長の御答弁を願いたいと思います。  二つの質問をいたします。私は終始一貫、今度の法案がなぜ公務員制度審議会にかけられなければならないかという点を、大出議員と関連を持ちながら話を進めてまいりました。その延長上に出てまいりました二つの問題点であります。一つは、総理府設置法ですでに客観的にきまっております労働関係の基本という解釈をめぐりまして、大臣のほうは、それは離職の一形態である、ですからかける必要がないというお話であって、離職の一形態という新しい法概念を、三十一年法、四十一年法と変えまして、今回ことさらに設定をして、そういうようなことを言われるのは理解に苦しむという角度からの話が何回か繰り返されたわけであります。  そこで、私、あらためて質問したいのは、公務員制度審議会にかけられるのは、憲法二十八条、団結権労働三権だけであるのか、あるいはもっとその底にありまする当然二十七条の勤労の権利、これは資本主義社会の中で、勤労の権利と二十九条、財産権とが両々相まって二十五条の生存権を保障しておるわけであります。ですから、当然今回のこの定年制なるものは、二十八条だけに関連があるのか、あるいはもっと二十七条の勤労の大人権、いわゆる憲法以前の権利といわれる大人権、さらにその底に理念として横たわっております二十五条の生存権に由来するものではないか。この関係を明確にひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。  これから同僚議員の質問が続くわけでありまして、常にこの定年制問題がそこへ戻っていくわけであります。労働関係の基本なることばは総理府設置法にありまして、総理大臣あるいは自治大臣から一応の有権解釈は出されておりまするけれども、法律は国会で議決をしておりますから、客観的にすでに独立をいたしております。これは実定法上労働関係の基本ということばがないのであります。私は、教育基本法、原子力基本法、中小企業基本法、農業基本法、林業基本法、観光基本法、公害対策基本法等、関係の基本法を一応調べてみました。基本なることばは、これは非常に拡大解釈されておりまして、土台になるもの、底にある問題、文字どおり基本でありますから、日本語のことばの由来からいっても土台であります。労働三権であれば、その労働三権のさらに土台になる問題、これはすべてインクローズされる、包含されるという解釈に立って、これら七本の基本法が、それぞれの審議会等、法案の立法という手続を経て国会で議決をされておるわけであります。一々教育基本法のどの何条、原子力基本法のどの何条ということをここで申し上げていく時間はありませんけれども、そういう意味合いにおきまして、この問題は理解されなければならぬ。もちろん常識的には財政問題との関連がある。しかし財政は時限的な問題である。かつて県知事会が非常に熱心にこの問題をやったというのが昭和三十一年ごろであります。自来、県の税収入が多くなりまして、また財源の再配分等がありまして、それ以後は県財政が若干のゆとりが出てまいりましてからはこの問題が消えておるわけであります。いまは市町村段階においてこの問題が非常にうるさくなっておる。非常に声が大きくなっておるわけであります。非常に時限的な問題である。これは厳密な意味においては権利問題である。定年制の問題とは質的には無関係、現実の政治としてはそれはあるでありましょう。しかし、そういう答弁では納得がいかないという点を含めまして、この問題をひとつ御答弁願いたい。  第二の点は、これはしばしばドライヤー勧告を私は引用いたしてまいりましたが、ドライヤー勧告ではなくして、ドライヤー勧告によって現に公制審が設置をされ、また運営をされておるわけであります。総理の諮問事項の中に二つの諮問事項があります。一つは、「国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について貴会の意見を求める。」これは第一項でありまして、いままで議論をしてまいったわけであります。しかし、第二項があるわけでありまして、「ILO関係法律中国会修正により施行を延期された規定については、早急に貴会の答申を得たい。」これは倉石修正案あるいは国会の修正、両院で議決する段階の修正案、これらをめぐりましていわゆる未施行部分というものは当時すでに論議され、それが原因になりまして公制審がつくられている由来があるわけであります。現にこれは公務員制度審議会の中で正式に諮問をされ、討議をされてまいっておるわけであります。この中には、いわゆる団結権の問題に関連をしまして、管理職の範囲であるとか、在籍専従問題であるとか、チェックオフの問題であるとか、あるいは時間内組合活動の規制問題であるとか、休暇問題であるとかというような問題が取り上げられておるわけであります。これらは労働組合のほうから言わせると、確かに憲法二十八条、労働基本権に関係があるわけでありますが、その立場から議題に供せよという要求をいたしておるわけであります。また、ドライヤーも、そういう意味で勧告をいたしておるわけであります。しかし、いわゆる労働関係の基本ということばは実定法上ない。この総理府設置法で、国会できめられました客観的に存在をいたしております有権解釈といえども、客観的な説明をしなければならぬ、こう義務づけられておる。この労働関係の基本、これを解釈する官の立場からは、これらは全部便宜の供与だ。労働関係には関係がない、便宜の供与問題であって、これは官のほうから恩恵的に便宜に供与する問題であって、何ら労働関係の基本ではないという説明がされておるわけであります。これらの問題を私はこれがいいとか悪いとか言うのじゃない。これは当然やってもらわなければなりません。これは結論を出しておりますし、また、出さないものは出してもらわなければいかぬ。しかし、こういうように公務員制度審議会というものは、いわゆる二十八条の労働三権に関連をする問題は全部議題として討議されておるのだということを正式に討議されておるのだ、また、総理大臣は諮問を起こしておるのだということを申し上げたいわけであります。これは官の立場からすれば、労働関係には関係がないわけでありまして、それから公務員制度審議会の議事録を読んで見ますと、たとえば庁舎管理規則、あるいは役所のほうからいわせると労働三権には関係がない、しかし、組合側からいわせると、労働三権に直接に関係があるのだという、任用、勤務条件の中に入るのだという問題があるわけであります。これは接点に立っている、ボーダーラインに立っておる問題が無数にあります。これらの問題についても、すでに事実関係として公務員制度審議会の中では議題としてこれを討議いたしております。これらの事実から、なぜこの定年制という重大な問題を単に供与関係、離職の一条項だ、法律効果のみを規定しておる法律の離職という概念を導入いたしまして、これを材料に大臣がかけないのだという考え方については、どうしても納得できない。これについて二点だけをまとめまして御質問いたしまして、そのお答えによりまして再質問を留保しながら私の質問を終わりたいと思います。御答弁願います。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 公務員制度審議会の審議事項を御指摘になりましたが、総理府設置法に規定されておりますとおり、公務員等の労働関係の基本に関する事項、これはもう先ほどもお話がありましたとおり、労働関係の基本というものと、いまお話しになりました定年制の問題の関係であります。私どもはしばしばお答えいたしておりますとおり、定年制は離職の一つの態様でありますから、この意味において公務員制度審議会に諮問する必要はない、こういう態度を持っております。  いまお話しになりました定年制と勤労の権利、その他の事項を御指摘になりましたが、定年制の問題は、憲法にいうところの勤労の権利、あるいは生存権に抵触するものではないという解釈をとっております。したがって、前段に申しましたとおり、労働関係の基本の中には定年制は含まれていない。すなわち労働関係の基本というのは労働関係の仕組み、端的に申しますと、労働基本権を中心とする問題、こう政府は考えておりますので、重ねて申し上げますが、依田さんの御意見も拝聴いたしましたが、私どもは、やはり定年制の問題は公務員制度審議会に諮問する事項ではない、したがって諮問の必要はない、こういう態度をもって今回の定年制の法案を提出したわけでございます。さらに、もし私の説明以外につけ加えることがございますれば、政府委員がおりますからあわせてお答えいたしたい、こう思っております。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 お話のございました憲法におけるところの勤労の権利というものは自由権の一つでありまして、具体的に各種の勤労獲得の機会をすべての国民に保障するという意味ではなくて、勤労に関する国民の基本的な人権が侵されないという意味である、憲法制定の際におけるところの国会における政府の説明はそういうことになっております。定年制は、一つの組織におきまして一定の年齢に達した場合に、その組織での雇用関係を断つことを定めるにとどまるものでありまして、他の労働の機会を否定するものではない。したがいまして、そういう意味で憲法二十七条に触れるものとは考えない。すでに憲法に規定がなく、法律のみに基づきまして定年が定められておる例としましては、国家公務員でも、それはごく一部ではございますけれども、検察官とか自衛官とかいうものには定年制が定められておる。根拠としましては検察庁法なり自衛隊法等の法律があるわけでございます。そういうことでございまして、その点につきましては最高裁判所の判決等におきましても、定年制を定めるということにつきまして、それが権利を侵すというふうには考えられないという判決があるわけです。私どもそのように理解をしております。労働関係の基本という問題は、ただいま大臣がお答え申し上げたとおりでありまして、労働関係の規定のしかた、その仕組みというものを考えるその基本的なあり方というものをさしておるというふうに考えておりまして、公務員制度審議会の調査審議事項はそういうものであるということでございます。離職の一態様でありますし、また別なことばで言いますと、勤務条件の一つの態様でありますところの定年制に関しましては、直接これに意見を求めるということは調査審議する範囲外のことであるというふうに考えておるわけであります。

依田圭五日本社会党

○依田委員 私もこれで質問を終わりたいと思ったのですけれども、どうもまだあと一点だけ聞かなくちゃならぬと思います。というのは、野田大臣の御答弁はもうけっこうです。先ほどの御答弁も、これはもう私が金曜日の午前十一時から聞いているのと同じことなんで、離職の態様だからそういう解釈をしておるとおっしゃるだけでありまして、もうけっこうです。問題は局長のお話ですが、私の質問の第二点、これにあなたはお答えになっておらぬ。私が質問の第二点として聞いたのは、公務員制度審議会には総理大臣から二つの諮問事項がかかっておりますよ。一つは労働関係の基本であります。もう一つは未施行部分について早急に答申を得たいという、二つの諮問がかかっております。第一項のほうの労働関係の基本についてはもうさんざんやってまいりました。これは私は納得できません、離職の一態様だと言いっぱなしなんですから。第二項についてきょうはあらためて貴重な時間をいただきまして——私はこの前は五分ぐらいで終わって、九時までに太田先生に譲るということを理事から言われまして、そのとおりやっていくやさきでありまして、山口さんが終わった直後に、そういう話をしようと思っているところにああいう事態が起こったわけであります。ですから、ここで申し上げているのは同じ質問じゃない。第二項について、未施行部分、これはさっき申し上げましたように、庁舎管理規則であるとか、それから管理職の範囲であるとか、あるいはチェックオフであるとか、あるいは登録の手続であるとか、登録団体の規定のしかたであるとかいう問題は、これは労働関係のほうからは労働三権に関係があるという主張をするでありましょうけれども、有権解釈の立場に立つ、官のほう、要するに自治省、政府側としてはそういう考え方に立たぬ。これは便宜の供与にすぎぬ、労働の基本権には関係がないという解釈をあなたは一貫してとっておるわけだ。そういう案件が公務員制度審議会にかかっておるという事実、この事実はどういうことなんだ。これは定年制問題も同じように、あなたがどのような解釈をしようとも、やはり基本の問題として取り上げざるを得ないのではないかということ。そのかかっておる第二項は総理大臣が正式に諮問しておるのですから、けっこうであります。できるだけ早く結論を出してもらう。また出しております。しかし、同じ理論でもってやはり基本問題のカテゴリーに入るのではないかということを私は申し上げておる。  それから第一は、あなたは国家公務員は定年制が一部にあるとか、あるいはそういう解釈を憲法上しておるとかおっしゃっておるけれども、これはやはり二十八条だけでなく、二十七条、二十五条の生存権や勤労権、これはいわゆる三権の土台になる権利規定なんです。憲法条文解釈でこれは当然そうなんです。ですから、その問題について分限という制度が国家公務員にあるじゃありませんか。たとえば同じ地下鉄の労働者をとりましても、東京ではストライキができるけれども大阪ではできない。同じ郵便局の郵便配達の諸君にしても、郵便配達夫はできない。しかし郵便局の下請をするトラックの輸送会社はできるのです。これはILOの中でもすでに問題になっております。たとえば都市交通の労働者は、全体の輸送量のほんの一割程度しかやっておらない。にもかかわらず、それから労働三権が剥奪されておる。一部はありますけれども、事実上はもうないというようなこれらの問題ですね。これらを全部立証いたしましてそしてやっておる。また、公平委員会、いわゆる代償機関として人事院あるいは人事委員会という公平機関があるけれども、市町村においては公平委員会は事実上ない。ほとんどない。あっても、これは議会、要するに職員団体の関係のない議会が任命をする問題である。しかも人事院勧告の実施でわかるように、ほとんど完全実施をされておらない。代償機関とはなり得ないということは、すでにILOの中でもって議論をされておる。これは国際的な権威をもってあなた方に勧告をいたしておるわけであります。それらを全部ネグっているということについては、もう八十六条でありますか、このILOの勧告でさえ十三年かかってようやく日本では実施をしたということがいわれております。それくらいマンマンデーでありますから、これから立ち上がってゆっくり十年くらいかかって内容を整備していくということになるでありましょう。この公平委員会、代償機関でさえも満足でない。また労働組合の中でもそれだけの差別待遇をされておる。これらの事実からいって、私は局長の答弁は納得ができないわけであります。もう一ぺんだけあなたの御答弁を聞いて私の質問を終わります。もう大臣はけっこうであります。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 公務員制度審議会は、一つには、発足いたしました当面の問題に際しましては、ILOの関係の法律中の国会の修正におきまして、公布された規定の関係につきまして審議するということは、一つのILO条約施行に伴うあと始末といいますか、そういう意味もあって公務員制度審議会の審議事項の中に、特にそういう直接の目的で審議の対象になるということになっておったと思います。したがいまして、管理職の範囲とか、先ほどおっしゃいました専従職員の問題とかその他の問題は、すべて公務員の団結権なり団体交渉の関係なりというものと密接不可分の関係にあるということで公務員制度審議会の審議の対象とされた。したがって、それは労働基本権に直接関係のあるものというものでもあり、かつはILO条約施行のあと始末の問題でもあるということであったというふうに私どもは考えております。したがいまして、定年制の問題というものはそういうものではないということで、この点の区別と申しますか、違いがはっきり出ておるというふうに考えておるわけであります。

依田圭五日本社会党

○依田委員 ともかく、庁舎管理規則は全然労働三権に関係ない。これを公制審で正式に議題として討議して速記録に載っておる。何で定年制の問題が公制審の内容になり得ないのですか。  それから、あなたは労働三権に関係のあるあと始末である、こういうようなことを言われましたけれども、役所のほうからは、これはもう管理職の範囲にしたってあるいはチェックオフにしたって、いわゆる給料の天引きにしたって、つまり便宜の供与である。憲法二十八条、労働三権に由来するものではないということをさんざん言っておるじゃありませんか。組合のほうがそういうことを言っておるのです。あなたのほうはそういう見解をとっておらない。しかし正式に総理大臣から諮問されて、第二項で諮問されておるこの問題は、私は一貫して離職の条項を起こしたという点、過去の三本の法律が全部内容が違うという点、それを唯一の材料として公務員制度審議会にかけないという点、労働の基本問題に入らぬという点、どうしても私は納得ができない。  しかしもう時間がありません。他は先輩の諸君に譲りまして、これで一応質問を終わります。答弁については了解できないと思っております。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次に、太田一夫君。

太田一夫日本社会党

○太田委員 定年制についてお尋ねをするわけでありますが、その前に、ちょっと私、大臣に少しほかのことでお尋ねしておかなければいかぬような気がしておるのです。  いま交通安全なんとか運動というのがあるのですね。二十日まであるのじゃありませんか。その交通安全運動のさなかに、警察官が無免許、無謀運転、そして通行人殺傷事故、これは即業務上重過失罪を犯したわけでありますが、これに対して荒木国家公案委員長が閣議において最敬礼した、まことに遺憾千万でありましたといって釈明、おわびをなさったという新聞報道がなされておりますが、さもありなんと思うわけです。  そこで、野田大臣にお尋ねをしますが、そういうことがありますと、警察に対するあるいは交通取り締まり警官に対するところの国民の信頼感というものが一挙に薄らいでくるわけでございます。同じように、政府といたしましてもいろいろの問題を取り扱われる場合に、重大な問題というものは、よほど慎重に御配慮あって、どこかの一角にでも欺瞞だとか、あるいは法秩序無視だとか、便宜主義だとか、独善だとかいうようなことのないようにしないと、もしそういうことがあったとするならば、全部がくずれるということは、私は今度の警察官の無免許運転と死傷事故でつくづく感じたわけです。そうなると、百日の説法何とかとやらで、この五月十一日から二十日まである交通安全運動というのは、実にナンセンスになってしまったのであります。こういう国民の気持ち——世論といいますか、人間の感情と申しますか、それは単に国会外にあるわけではないのでありまして、中にもあると思うのです。それで立法府においてまじめな議論をしようとわれわれは考えておる。そのときに、あなたのほうの答弁ががんこ一徹だということでも困るのでありますし、独善でも困るのであります。少なくともぼくは、だれからもよくわかるという態度、気持ちというものを持っていろいろな審議に当たってほしいと思うのですが、大臣はどうなんですか。いまのこの状態に戻って、いま感じていらっしゃるお気持ちは、いままでいろいろなことを言ったことはある。たとえば、前の理事諸君がにらんでおるから、私は自分のことばが言えぬということでなしに、忘れた歌を取り返して、ほんとうの歌をあなたに歌ってもらわなければ困る。眠り薬を飲ましてみんな眠らしていてもいいから、ほんとうのことを言ってもらわなければ困る。今後ほんとうの信念から発することばでいろいろお答えをいただくことをわれわれは期待してよろしいですか。何かこの際特別の所信がありませんか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 いや、もう私は終始一貫して、自分で信じていることをお答えいたしております。  法の秩序を守るとか、あるいはいたずらに独善におちいるとかいうようなことは、厳に慎むべきことだと私自身も存じております。また太田さんの御趣旨ですが、私はそれだけ人格の修養ができておりませんから、あるいはたまに表現においてあるかもしれませんが、私の気持ちの中には、太田さんの御指摘されるような態度を持っていくということが、これはひとり議会とか国会とかいうんじゃなくて、全体の社会生活においてもそうあるべきだと思っております。今後も同じ心がまえで国会の運営、議事の進行その他についてその態度を持ちたい。結論においては、お互いひとつ信頼し合っていこうじゃないか、そういう姿勢と心がまえが必要だ、こういう御意思だと思いますが、私も全く同感でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 大臣、これから御答弁いただく場合に、もう少し正面を向いて、必ずしも私のほうを向いておらぬでもいい、向こうを向くのがいいというなら向いてもいい。私のほうを向くのがいやなら向かないでいいけれども、もっと胸を張って堂々と答えてくださいよ。何ということなしに、長野君がこわいから、あとでおこられちゃ困るとか、それ大石君が何とか言うだろうとか、きょうは渡海対策副委員長がいませんが、どうということでなしに、こちらを向いて言ってくださいよ。胸を張ってほんとうに言っていただきたいと思います。それはあなたの気持ちはわかりますが、まだ修養が足るとか足らぬとか、そんなこと言ったら、五十五歳で定年になっていく人なんか、まだ未熟なうちに、精神的な青年のうちに定年に達しなければならないでしょう。あなたの気持ちからいったって、五十五や五十七、五十代は鼻たれ小僧であって、七十になってからがどうやら一人前じゃありませんか。だからもっと堂々と答えていただきたい。  きょうは栗山人事局長さんが総理府からいらっしゃって、なるべく早く参議院のほうへ行かしてほしいというお話ですから、そちらのお尋ねを先にやります。  これは公務員制度審議会の問題でございます。これは依田さんもやりましたし、その前の大出さんもやっていることでありまして、重ねてお尋ねするのは恐縮でありますが、私はどうもわからぬことがある。そこで、もう少し俗語で答えてください、日本人にわかることばで。どうせここまで来たんですよ。そう遠慮することはない。  念のために、最初のところでちょっとお尋ねしますが、定年制法案というのは、一番最初、五十八国会で提案されてそれが廃案となった。廃案というのは何でございますか。大臣としてはどういうふうにお考えか。廃案とは何であるか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 これは提案されましたけれども、一回も審議が行なわれなかった、こういう結果だと思っております。そのときの事情は議事録か何か見ればわかりますが、どうも一回も審議が行なわれなかった。したがって廃案になったということでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 一回も審議が行なわれないから廃案になるのか、一回審議が行なわれたら廃案にはならないのか、どういうことですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 つまり、審議未了になったわけですから、これは廃案になったわけです。

太田一夫日本社会党

○太田委員 審議未了になると廃案しか道がないのですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 それはそのときの委員会の運営ですから、私が特別どうとかということじゃございません。廃案になる場合と継続審議になる場合がある。これは御承知のとおりです。これはそのときの委員会の運営ですから、私は別に、この問題を特別どうしたこうしたということと関係ありませんから、そのときの事情はわかりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は事情を聞いておるわけじゃない。どういう経過で廃案になりましたかと聞いておる。一々衝に当たっていらっしゃらないあなたに聞こうとは思っていませんよ。廃案とはどういう性格を持つものだと聞いておる。廃案とは生き返るものなりですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 廃案になれば、その案はつぶれてしまいますから、生き返るわけじゃないです。

太田一夫日本社会党

○太田委員 その場合に、最高機関としての国会の意思というものがそれに加わっておると御判断ですか。どうですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 これは、そのときに廃案になった案が、次々にまた再提案されることはたくさんございますから、必ずしもそのときの廃案がすべて消滅している——そのときは消滅しても次にまた出てくる。これは幾多長い間太田さんも御存じのとおり繰り返しておることでございますから、それはそのとき、その案の内容とか何かでなくて、廃案になったから全部消滅したのだ、しかしまた次に出てくる。この法案もそうでございますが、ほかに事例が多いのでありますから、それは廃案だから全部案が消滅した、こうは考えられない。その時点においては案が廃案になった、こういうことでしょう。

太田一夫日本社会党

○太田委員 廃案というのは、そうするとやぶに出たタケノコの抜いたのとは違うのですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 タケノコを抜くというのかどうか知りませんけれども、慣例上はそうです。私は慣例のことを申し上げたのです。

太田一夫日本社会党

○太田委員 やぶにタケノコがはえるのは、昨年とられたタケノコが、また同じものが出てくるのですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 同じものが出るか出ないか知りませんが、同じものは出ないでしょうが、新しく出てくるだろうと思っております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 タケノコは意思がない。天然自然の摂理であるタケノコは同じものは出ない。だが人間の意思の加わっている、謀略の加わっている法案というものには同じものが出てくる。それじゃ廃案じゃないのじゃありませんか。それはおかしい。その辺どうですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 どういうあなたの御意思かわからぬけれども、そういうことは廃案というか、そのとき出た法案が一応つぶれる、次にまた出てくる場合があるし、それはそのときの事情ですから、一々廃案というかどうかという解釈——われわれお互い国会におる者の常識ですから、特別厳密な意味の廃案かどうか、継続審議かどうか、これは議事課でも呼んで聞いていただきませんと、私はその点わかりませんね。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は法律的な技葉末節の法理論の解釈をどうとかこうとかということを聞いているわけじゃなしに、政治家としての野田大臣に、五十八国会で廃案になったというこの定年法案が、そのままの形でもう一回出てくるということについて、院の意思の無視じゃありませんかということを聞いているわけです。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 案が出て、その案が否決されるとこれは否定されたわけですが、否決もされていないし、もちろん議決もされていないというのですから、なかなかそこは解釈がむずかしいのじゃないですか。別にその案が否決されたわけじゃないのですから。結論においては、一応手続上その案が審議に至らなかった、こういうことじゃないですか。

太田一夫日本社会党

○太田委員 否決されたということと廃案とは違う。だから廃案というものをどう理解されていますかと、私、政治家野田武夫自治大臣にお尋ねをいたしておるのであります。だから国会の意思というものが加わっていた、意思が反映したものである、その意思であったということになるならば、その次に出るものはタケノコならずとも、姿がよく似てはいても、同じものではないはずですね。同じものが出るということはあり得ないじゃないですか。どうですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 廃案になった云々ということですが、これはいま申しましたとおり、別に国会の意思は決定してないわけです。手続上、つまり審議ができなかった。これは時間的な事情もあるだろうし、また、ことさらのほかの事情もあるでしょうが、いわゆる国会にかかって否決されたとか可決された、こういうふうなのははっきり国会の意思がわかりますけれども、審議もされぬで、国会の意思が全然あらわれていない、こういうことですから、廃案というのはどういう解釈かわかりませんが、これは特に時間切れなんかの問題は、審議の時間がなかったという場合は、これはまた再提案をするというのが慣例でございますから、国会の意思の決定によって云々だ、こういうことではないのですね。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは、まさに国会の怠慢だったから、審議ができなくて、同じものをもう一ぺん出したのだという怠慢論にあなたは賛成されるわけですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 どうしてそういうふうにあなたが言われるかわからない。怠慢というようなこととは違いますよ。時間的に物理的にできない場合がありますから、それは怠慢ではない。努力しようと思っていてもできないことがあるし、物理的にどうしてもそれができないことがあります。そういう言い方をすれば世の中は切りがないことで、私は怠慢だからどうだということは全然触れてもいない。ことさらにあなたがつけ加えられたことです。私はそう考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そうすると大臣は、時間の関係とか物理的な理由によって廃案になったのだとお考えになる。そのうしろに多くの反論があって、とてもこれは通らない、これは無理な法案だという、そういう認識が陰にあって、それが廃案への道をたどらしたのだというふうには全然お考えになっていらっしゃらないのですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 どういう意思でそのときに廃案になったか、私は当事者ではありませんからつまびらかでないのですが、それは陰でどういう動きがあったとかなんとかいうことは、これは私がここで断定するわけにいかぬし、判断の資料を持っておりませんから、それはちょっとお答えできません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは、今度同じものを続けて今国会にお出しになった理由は何ですか。もう一ぺんはっきり言って教えてください。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 やはり地方自治体に定年制のいわゆる条例をつくり、定年制の道を開くというのがきわめて妥当である、こう考えたから提案いたしました。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それじゃ、念のため伺いますが、市長会がいろいろなことを言ったということもあなたは御存じありませんね。わからない。ちょっと質問が十分でないようですが、市長会が非常に騒いだ。この前の地方自治法改正以来すでに市長会が騒いだわけですが、特に最近になって市長会が騒いだ。一番市長会が熱心でしたね。ここにもひとつ、四十四年三月二十五日付の全国市長会会長代理松尾吾策なる名前によって出された要望書がありますから、ちょっと読んでみます。「地方公務員法改正法案の審議促進に関する要望」「地方公務員法改正法案は今期通常国会に提出されて以来すでに三カ月を経過いたしました。われわれ全国市長の十有八年にわたる熱望と世論の圧倒的支持にこたえ、本法案を直ちに審議し、これが成立をはかられるよう強く要望いたします。」こういうのがあります。これは文字に書かれたもので、私はこれだけ一枚いただいたのでありますが、こういうことが非常に強く政府当局に働きかけがなされていた。あなたはそのことは御存じですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 それはいつごろのものですか。

太田一夫日本社会党

○太田委員 四十四年三月。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 これは市長会だけではなくて、六団体その他の意向もありましたが、しかし、それはもちろんそれらを相当参考にいたしております。長い間この問題が懸案になっておって、どうしても自治省といたしましては、現在の地方団体の実情に照らして、この案を提案して御審議を願ったほうがいい、こういうことを判断いたしまして提案いたしております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 今日は、少なくとも民主政治の時代でしょう。私は大臣にお尋ねをしたいが、民主政治だ。だから、あなたは、世論とか、各種団体とか、いろいろなグループとか、利害関係者の意見というものは十分これを把握しながら、認識しながら、その中であなたはいろいろのことをお考えになるだろうと私は思っていた。だが、市長会のおっしゃることもほんとうはあまり知らなんだ。それから、関係する地方公務員の意見もあまり知らなかったとおっしゃるならば、またこれは、人格崇高にしてまことにという、別な意味から私はそれなりに評価しますよ。しかし、あなたのいまのお答えを聞いておりますと、どうも、自分の判断で、内閣の独自の判断で今度お出しになった。昨年までの経過は知らない。こういうようにお答えになったのですが、その辺はどうなんですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 関係といいますか、特に地方公共団体その他の公務員の意見は相当聞いております。もちろん参考にいたしております。人の意見を、つまり他の声を全然聞かないでこれを提案した、決してそういうことではございません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そうすると、関係者の声は聞いていらっしゃるのですね。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 そうです。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そうすると、六団体の声というものはどういう形でお聞きになり、それから、最も関係深き自治労等地方公務員の職員団体の声はどういう形でお聞きになりましたか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 それは、おのおの私のほうの組織がございまして、その組織関係全部はわかりませんが、直接聞いたものもありますが、それらをいろいろ参考にし、しんしゃくして、結論においてはやはりこの法案を出したらいい、こういうことでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは、市長会とか六団体の関係はお聞きになったということにして、私どもは、特に今回は、その最も対象者であり、被害を受けるべき不利な立場に立たされる地方公務員の意見というものはお聞きにならなかったと実は理解をしておったわけです。いろいろの形でお聞きになったというならば、自治労等の関係団体の意見はどういうふうにお聞きになりましたか、それをもう少し御説明いただきたい。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 いわゆる関係団体、あるいは自治労等も直接聞いております。ただ、何回聞いたとかなんとかいうことは別ですが、ほとんど関係の意見、つまり団体その他組合の意見も聞いております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは念のために聞きますが、自治労の御意見も、あなたの代になってお出しになるにあたって、これは十分御聴取なさったものという理解でよろしゅうございますね。間違いございませんですね。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 そのとおりです。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は、そこまであなたが実際におやりになったということであるならば、またあなたの立場として理解できぬわけではありません。しかし、先回は、この法案を出すにあたって、先回の大臣はいろいろと説明したり、意見の聴取をされた。今度はそういうことはなかったと言われておりますから私は心配をしたのです。各方面の意見を聞いて、しかる後あなたが高所大所から判断されたというならばそれなりの理屈があるわけですね。  それでは総理府の栗山人事局長さんにお尋ねをいたします。  大出さんのときからずっと通して、公務員制度審議会になぜはからなかったかという、このことが言われております。いわば、私どもにとってみますれば非常に重大な問題だと思っておりますし、安井総理府総務長官の時代に、とにかく意見を聞く、すなわち諮問をされておるのでございますから、今回も当然諮問をされた後の答申があって、それからこの法律提案ということに順序としてなるであろうと思っていたのですが、その諮問とか答申という段階を一切カットしてしまって、省略して、そうして短兵急に出したということは、公務員制度審議会をつくった本来の趣旨に反するのではないか。この意見はとことんまであるのです。根強く残っております。わかりやすくこれをもう一度説明をしていただきたい。

栗山廉平総理府人事局長

○栗山政府委員 太田先生よく御存じのことと存じますが、公務員制度審議会の規定は、総理府設置法の第十四条の三に規定してございます。総理府設置法の第十四条の三の第二項には、こういう規定がございます。「審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じて、国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について調査審議し、」云々という規定があるわけでございます。問題はこの規定の解釈の問題だろうと思います。  そこで、先ほどからお話しになっておられますが、ここで一番問題にされております点は、「労働関係の基本に関する事項」というものは一体いかなることであるかという問題に尽きてくるかと存じます。そこで、この労働関係の基本という点でございますが、これは労働関係でございまして、労働条件ではないのでございます。労働条件といたしましては、御承知のように給与を初めとしまして各般の——おそらく退職に関係しての定年の問題もあるかと存じますが、そういう労働条件がいろいろあるわけでございますが、労働条件を決定するに際しての基本的労働関係、端的に申し上げますと労働三権、つまり団結権、団体交渉権、争議権といったような個々の労働条件をきめるにあたっての基本的な労働関係の原則、そういうものについての調査審議をいたすというふうに、この規定を了解しておるわけでございます。したがいまして、先ほどからお話がありましたように、重大なるものとは存じますけれども、労働条件の一つであるところの給与その他のそういう条件に属する点につきましては、個々における労働関係の基本というものにはなじんでこないというふうに了解いたしております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 あなたがそう理解されることは、私は別にとやかくのことを申すわけではない。けれども、客観的に、団体交渉権、争議権という二つの基本的な権利を否定されている地方公務員にとってみますならば、定年とか定年制といわれるこの問題は、ただ単に、幾ら今月の給料を上げるとか、何時間働くとか、どこで働くというような勤務条件ですか、労働条件ですか、そういう具体的な問題とははるかに異質のものではありませんか。それをあなたは、どうして定年制は単なる勤務時間とか給与のごときものだと理解をされたのでありますか。その根拠はどこにありますか。

栗山廉平総理府人事局長

○栗山政府委員 私が先ほどから申し上げておりまするのは、そういういろいろの労働条件あるいは勤務条件をきめるにつきましての根本原則、つまり、先ほど申し上げましたような労働三権というようなものによって、いわゆる団体交渉というようなことによってきめるのか、あるいは民主的な意思に基づく国権の最高機関の方針によってきめていただくのか、その他いろいろあると存じますが、そういうきめ方についての、つまり労働関係の基本です。この原則について審議会が調査審議をするということになっておるものでございます。したがいまして、労働条件といいましてもいろいろあると思いますけれども、こういう基本以外のもの、つまりそれを労働条件と申し上げまして、採用、退職、給与その他いろいろあると存じますが、先ほど申し上げましたような、この審議会の労働関係の基本というところには当てはまらないというふうに解しておるわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 審議会というものが幾つかありますね。審議会が多いとか少ないとかいわれておりましたが、必要によって次から次へと多くなってまいりまして、いまは数が相当多いようでございますが、審議会をなぜたくさんつくらなければならぬかということは、私どもはこう理解しておるわけです。民意の反映によって官僚の独善を防止するとともに、広く民間の知識と経験を活用して行政の民主化を促進させる。これが審議会に共通する設置の理由であると聞かされておるわけなんです。それならば民意の反映あるいは官僚独善防止というたてまえからいって私はこう思うと、あなたが考えられておるとするならば、かつて安井長官が四十一年三月十一日に諮問したことは——これは諮問したとか、あるいはお尋ねしたとかいろいろありますけれども、この四十一年三月十一日の安井総務長官が公制審におはかりになったということは、少しく間違いであった、こういうことになるわけですが、少なくとも審議会設置の理由からいうならば、これほど正しい方針はなかった。公制審に諮問した、意見を求められた、非常にいいことであったと思うのです。それをあなたは、重々御承知の上でありながら、労働三権をもって基本問題だと断定をされて、そしてそれに幅がないということは、私はいささか今日のこの紛争が起きている事態のもとにおいて、紛争解決に役立つのではなくて、一方的に力で押し切ろうとする意図がくみ取られてしかたがありませんが、お考えはいかがでございますか。

栗山廉平総理府人事局長

○栗山政府委員 ただいまのおことばのように、安井総務長官が審議会に御出席になられまして、お話しがあったことは事実でございますが、いまお話しのございましたような諮問であるかどうかという問題があることは別といたしましても、そういうお話しがあったことは事実でございまして、審議会として、これをどう受けとめるか、さっきのような労働関係の基本に入るか入らぬか、つまり権限と申しますか、調査審議の本来の使命の中へ入るかどうかというようなことを審議会がいろいろ御審議なさることに属するわけでございまして、安井長官がいろいろお話しになったということは、そのことは厳然たる事実でございますから、われわれそれがいいとか悪いとかいうことをここで申し上げるわけにはまいりませんのでございますが、とにかく、それにつきまして審議会が、今度審議会の立場とされまして、本来の審議会の目的に沿うものであるかどうか、あるいは関連しているものであるかどうか、あるいは関連は薄くとも、いろいろ意見の交換をすることになるのかということは、審議会が独自にいろいろおきめになることでございまして、私どもがこれにつきましてどうこう申し上げるわけにまいらないということを申し上げておきたいと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は、法解釈というものは、幾多の実例、実績の積み上げによって法解釈は確定をしていくと思うのです。安井長官は、少なくとも定年制について公制審にはかるべきだという一つの先例をお示しになったのであります。それが今度かけないというならば、間違いであった、それは軽率な行動であったという断定がひとつ必要です。それがあればこんな問題は起きないですよ。鹿野委員長も名委員長になれたであろうし、細田理事もあれほど悪名をこうむられぬでも済んだと思う。ということになるなら、なぜその価値判断とか、そのときの安井長官の行動に対して、あなたたちは判定を下し、あれは間違いであった、いまの立法精神からいって、あれはいささか勇み足、間違いであったから、今後二度と繰り返すべきではないのだ、大きなミステークであった——ミステークならミステークということを明らかにされなければならぬ。それはいかがですか。

栗山廉平総理府人事局長

○栗山政府委員 先生のお答えにあるいは私からそういうことは申し上げるべきではないかと存じますが、前回も申し上げましたように、内閣総理大臣の諮問という場合には、総理府におきましてははっきりした公文書をもちまして、総理大臣名をもってちゃんと明記をいたしまして諮問をいたしておるということを、この前申し上げたわけでございまして、従来のそういう点から申しますと、正式の諮問というわけにはまいらぬのではないかということを、ちょっと私のほうからつけ加えて申し上げさせていただきます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 人事局長さん、正式であったか半正式であったかということは別問題といたしまして、正式にこれを取り上げることをきめたことは議事録に残っている。そうでしょう、皆さんの目にもわれわれの目にも入っているでしょう、この問題が。それを判があったとかなかったとかいうことは、形式要件の問題として否定することは、当時の公制審を、何をやっておったかと、いささか詰問をされ、譴責をされるがごとき意味にとれますね。どうなんですか。それはいかがですか。

栗山廉平総理府人事局長

○栗山政府委員 当時の事情、先生も御存じだと存じますが、たしか安井総務長官からお話しがございまして、審議会として一体これは審議事項であるかどうかというような点をめぐり、あるいは正式の諮問なのかどうかというようなことについてのいろいろのことについて話をするということになっておったと記憶をいたしておりますが、それはそのままになりまして第一次審議会が終わってしまったという経過をたどっておるわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そうなんですね。経過はそのとおりだ。そのとおりで、あなたは事実を知っていらっしゃる。そしていま、現実に公務員制度審議会は雲散霧消しでパンクしておるのではない。存在しておる。でございますから、前の宿題というもの、未処理案件というものは、これはケリをつけるべきだと思うのですね。私はその後問題がケリがついておるのならこんな押し問答はしませんよ。最も権威あるわが日本国政府の行政府の各位に対し敬意を表し、常にその順法精神に対してわれわれは賛辞をささげ、そして、われわれもまた立法府の一員として高邁な立法議論を展開していこうと思いますけれども、そのときに、諮問をされた、意見を求められた、同意語だと私は理解をいたしますが、そうしたら、その問題は正式に取り上げられ、議事録に残っておって、結論が出なかった。異常な事態によって第一回の公制審はいわばパンクをしております。それが正常な事態に戻っておるとすれば、すみやかにその未処理案件は何らかの形でケリをつけられるべきである。そういうようになってくれば私はいいと思うのですが、あなたは、当時結論が出なかったから、結論を出さぬような無能な審議会なんか問題外だ、われわれの独自の判断でこの解釈は狭義に解釈し、諮問しなくてもいいものであると解釈し、出そうということになると、この公務員制度審議会をそでにした、はずしたということは、公制審という存在そのものに対する重大な侮辱でございましょうし、それをせっかくおつくりになって今日までいろいろとめんどうを見ていらっしゃる総理府としてもちょっとばかり法を守るという精神に欠けると思いますし、立法府としても、当時の立法精神から見て残念なことだと思うのです。大臣、どうでしょうね。そういう経過があるのですが、もうちょっとで結論が出そうだと思うのですが、もう一回この結論を出していただくように催促をされて、そうしてその結論、いわば答申を待って、どうしてもできなければできないということですがね。まとまる意見があるなら答申を得られてお出しになるという慎重さをなぜおとりにならなかったか、御所見はいかがでございますか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 これはしばしばお答えいたしておりますが、安井総務長官が、意見を一応聞こう、そのときに、あなたのお手元にもあると思いますが、この速記録の内容を申し上げて、おじゃまにならない程度で云々とか、定年はどうということでほんとうの意見をひとつお聞きしたい、これは事実でありますが、総務長官としても、やはり総理の諮問機関でございますから、いろいろな場合にそういうことを考えたということも、総務長官の態度としては決して間違っていない。しかし、その後この問題を公務員制度審議会で取り上げていないということが一つと、それからもう一つは、その後総理府をはじめ、いまお話しのありました法の解釈、審議事項としての内容、こういうことが現在といたしましてこれは本来の審議事項ではない、したがって諮問の事項として諮問をする必要はない、こういうように大体の解釈がまとまったのでございます。その意味におきまして、法案提出にあたりまして、公務員制度審議会に諮問をしない、必要はないという結論で、いまの段階に入っているのでございます。ことさらに公務員制度審議会の問題を、本来の諮問事項であるという解釈でございますれば当然のことでございますが、本来の諮問事項ではないという解釈に一致いたしましたので、そういう態度をとったのでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 本来の諮問事項でないという、本来の諮問事項という問題の見解に広狭両論があって、われわれは狭く考えることは、審議会をつくったその本来の趣旨に相背馳する、矛盾する、こういうふうに考えておりますから、公制審の問題について、基本的な諮問事項でないという議論があるとすれば、なるべく広く解釈されることが妥当であろうと考える。   〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕  そして、私はいまさら申し上げなくてもわかっておることと思いますが、大臣、あなたも職員団体の方等と意見の交換をされたというなら、こういう理由は御存じでございますね。なぜ当該定年制度の対象になる人たちの団体が反対するかというと、改正案の内容は、条例により定年を定めるとして、地方議会に一任していますが、団体交渉権などの労働基本権の確立のないまま、私たち地方公務員の意見が反映しがたい議会によって勤労の権利が奪われることは不当であり、反対であります。民間企業の定年制は、団体交渉、労働協約で、労働基本権が保障された中での制度であり、基本的に別問題であります、という見解を明らかにしておるのであります。私はここに、皆さんの考え方と今次の国会で混乱を起こしたいろいろな押し問答のよって生まれた原因と違いというものが存在しておると思うのです。片や雇用者であるはずの当局側は、何の理由か知りませんが、あとで申し上げるとして、何かの特別な理由によって、早く定年制をしけ、定年制をしけと、こういうふうに、地方自治法改正以来、定年制が違法と解釈されて以来、そのあくる日から始めておる。ところが、片方の職員団体のほうは、労働組合のほうは、もっぱらこれは基本的な権利を奪われるものだから困る、民間とは違うんだ、民間には三権が保障されているんだ、われわれは三権が保障されない代償として、基本的な労働条件の法定主義があるのだ、こう言っておるのであります。そのために審議会という場もあるのだ。この公制審は三者構成であります。そういうことになるなら、その場を通ってくれば、三権が完全に保障されてない団体といえどもわかるところは一応わかってもらえると思う。ことさら治にいて乱を求めたその根拠は何であるか。これは総理大臣にほんとうは答弁してもらうといいんだが、自治大臣、あなたから答弁していただきましょうか。だれでもいい、なぜ治にいて乱を求めたのですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 公務員制度審議会との関係につきましては、繰り返し大臣が御答弁になっておるとおりでございまして、審議事項にははまらない、そういうことでありますし、また、当時安井総務長官が、本来の審議のおじゃまにならない程度ちょっと御意見を伺いたいと言いましたことは、第一回の審議会におきましては十分取り上げられないままに終わっておる。したがいまして、本来の審議事項であれば、栗山人事局長がお答えになりましたように、本来の諮問事項としてずっと第二回以降に引き継ぐという考え方でございますが、そういうのでない、まあ安井長官が事実上の問題としてお尋ねをされたというようなことでございますので、これは直接関連のないものとして私どもは公務員制度審議会が取り扱ってないことになってしまったという考えでございます。また、その点につきましては、この前の国会におきましても御質問がありまして、総理大臣、自治大臣が、衆議院の本会議におきまして、政府としてもそういう意味で、審議会の審議事項ではなくて、政府としては、提案を政府の責任においていたすから、国会において十分御論議をしてくださるようにということを申し上げておりまして、政府の方針はその点で明確になっております。今回もその方針に従いまして提案をさせていただいた、こういうかっこうでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 だから、私は、治にいて乱を求めたあなたたちの心境は何だということをお尋ねしておる。かつては、政府の責任だとおっしゃるけれども、政府の責任でお出しになる閣法にすべきこの法案を、公務員制度審議会に一応意見を聞き、はかって、それからやろうとして慎重な手続きをとられた時代があった。ついこの間あった。今度は、総理が何とおっしゃった、かんとおっしゃった、ことばの片言隻語を問題にするのではないが、何も公制審は不必要だということをおっしゃっているわけじゃないと思う。公制審という制度を尊重するというのは、法を守るいまの日本国の政府の国務大臣として当然のことでしょう。でございますけれども、しかし、一つの方便として、いまは出したほうがよかろうという行政的な、あるいは政治的な御判断とするならば、それは前の行きがかりはこうであったけれども、これは行き過ぎであった、オーバーランであったのだという結論が必要じゃありませんか。安井長官は間違えたのだ、間違いでなきゃいけませんわ。まともなことであったら、少々回り道でも、なるべく問題の起きない方向をおとりになることがほんとうでしょうね。それを力づくでやろうと思えば、力づくの対決を求めたので、いろいろな理屈はあるけれども、力づくでやろうと思っているのだ、それでいいじゃないですか。もっともなことをおっしゃるから、では、安井長官のやったことについて、あなたたちはバッテンをつけていらっしゃるのですか、バッテンならはっきりこれはバッテンだ、だめだ、間違いだ、行き過ぎだったと、はっきり言っていただきたい。それはわれわれもそれなりにわかります。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 繰り返し申し上げておりますとおりでありまして、本来、公務員制度審議会の審議事項ではないということが基本にあるのでございます。そうして、前国会及び今国会におきましては、政府の判断と責任におきまして提案をすることが、そういう意味で扱いとしては正しいのだというような考え方もあったかと思います。また、前と違いますことは、前は、四十一年には提案を見合わせて公務員制度審議会に安井総務長官が御意見拝聴という形をとられたようでありますが、今回はそういう政府の判断と責任において提案をするということで、むしろ国会におきまして十分審議をしていただきたいという考え方を、政府の基本方針としてとってまいったのでございます。したがいまして、提案を見合わせた上での考え方を四十一年にとりましたが、今回は、繰り返し申し上げますように、公務員制度審議会の審議事項ではないから、政府の判断と責任において提案をする。そして、その内容につきましては、国会で御審議を願う、こういうことで考えて提案をしたのでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 だから、それは佐藤総理がおっしゃった幾多の意見というのは、それは議事録に残っておるのですから、政府の責任において出しましたから、ひとつよろしくすみやかに御審議をいただきたい、それはおっしゃったでしょう。しかしそれは、前提としては、公務員制度審議会にかけなくてもいいものだと思うからと、思うからという一つの前段の考え方がついておるはずでありますが、それはかけなくてもいいと思ったが、よう考えてみると、定年制というものは、給与や勤務時間とは違うな、たいへんなものだ、身分保障というものをそこでくずすことになるのだからたいへんな問題だ、そういうふうに理解されればやはり公務員制度審議会にかけたほうが、回り道をするにしても、十二万人首切りを一応民主的な手続によってやるということになるのでありますから、これはフェアである、公明であるということになると思うのですよ。そういうことで法解釈をことさら狭くして、一度はかけたのに、結論を得ないままにそれを政府の責任で出すといって、そのときそのときの風まかせのような御意見を述べられることは、十二万人首切りという現実の冷厳な事実の前に、われわれはこれをああそうですかなんと言えるものではない。また、政府側としても、それは十二万人首切りはしょうがない、法律がそうなればしょうがない、政府の責任と権限でやるのだ、そういう立場をおとりになるということもなかなかおっしゃりがたいことでしょう。これは大臣、いかがですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 ただいま行政局長からお答えいたしましたとおり、四十三年の前国会で、総理及び自治大臣がいわゆる統一見解として政府の態度を明らかにいたしております。つまり、この定年制は、公務員制度審議会にかけなくてもよろしい、本質的な問題は、そのときことばもあったかもしれませんが、政府の態度というものは明瞭にいたしております。私もやはりその政府の態度、方針に従いまして、公務員制度審議会に諮問する事項ではないという解釈に沿うて、今回は国会においてそれを御審議を願っておる。政府の方針に従ってやっておることでございまして、決して公務員制度審議会を無視するとか、また、その他特別の意思があってやっておることではないし、政府の方針はすでにもう統一見解が決定いたしておりますから、これに従うて私どもこの法案に対する姿勢をきめた、こういうことでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 まあ政府の方針に従ってとおっしゃるけれども、あなたは当該責任大臣として、公制審の問題だとか、この問題の及ぼす影響というものは十分理解し、認識されていらっしゃらなければいけないと思う。  一つ伺いますが、これをやると十二万人首切りにつながるという議論に対してはどうなんですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 いま太田さんから十二万人の首切りというおことばがありましたが、この改正案の内容に盛ってありますことは、もうすでに御存じのとおりでございまして、ただ地方自治体がそういう定年制を設けるために条例をつくっていい、つくらなくてもいいということでございまして、これに対して何ら政府が強要して定年制を——つまり条例できめるように道を開くだけであって、これを強要するものではないのであります。同時に、その場合は、やはり定年制によって離職された方々の前途を考えて、再雇用その他の道を開いていただくということでございまして、決して政府が強制的に地方自治団体に対して、定年制の条例をつくらなければならぬという態度はとっておりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そうすると、定年制というものをここに法定されても、離職の理由として厳然としてその場合において定年退職するものとすると義務づけられても、定年制に限っては、その他の項目とは違って、これはやってもやらぬでもいい、無意味なものであり、したがって十二万人首切りとは全然別個のものだ、十二万人首切りにはならぬものだ、そういうことですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 首切りになるとかならぬでなくて、そういう、つまり自治団体において必要と認めた場合にはその道を開く、必要によって、自治団体が判断の上にその条例をつくることができるという道を開いたのでございまして、直ちに全国の、つまり、何と申しますか、何人以上の幾つの人がみんなやめるのだということには直ちにつながらない。と申しますのは、しかも年齢その他も明示してはございません。これは自由意思にまかせる。これは相当余裕を持ちませんと、定年と離職という大きな問題でございますから、やはり地方団体の実情に照らし、また組合の意向その他もございましょうから、条例をつくられる地方自治団体におきましては、十分これらの意見を参酌してやられる、こういうことを推定いたしておりますので、この法案ができたから直ちにそれに関係する人はみんな離職するのだということではない、こう思っております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 直ちにということは、漢字が一字でかなが二字、この三字の意味する内容は、どれくらいの期間なんです。あなたのおっしゃる直ちには首切らない、首切りにはならない、直ちにとはどういうことですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 あなたが直ちにいま十二万人が首切られるとおっしゃったから、そうじゃない、おそらく定年制を設けない公共団体ができましょうから、これはあと五年か十年か二十年か知りませんけれども、設けるときにその道を開くだけでございますから、これは、全然、何と申しますか、強制的な意味を持った法律ではございませんで、その条例を設けることを得というだけでございますから、設けなければ何十年でもそのままである、これは自由でございますから、したがって、あなたは直ちにとおっしゃいましたが、私は直ちにそういう現象は起こらないだろう、またそれだけのいろんな実情を考えて地方公共団体はやるのじゃないか、こういう考えを持っております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは二十年か三十年やらないところもある、いわば条例をつくらないところもあるわけで、定年制そのものは本文に入っていても、これは全然つくらなくても、やらなくても、実行しなくてもよろしい、合法的である、こういう御解釈であると思いますが、それならそれで、そういう例外というものがあることは認めましょう。例外がないとしたら、何人の首切りになるのですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 そこで、いま申しました実情に照らして各地方公共団体の自主的な判断でやることでございますから、私ども今日のところでは、何人離職するかという推定はまだしかねます。できておりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 重大ではありませんか。これが馘首されるということになれば——馘首されるということばが妥当であるかどうか知りませんが、少なくとも離職ですから、その職を離れなければならない。解雇されるということになるならば、そのあと地方公務員共済組合法の長期給付の対象になる、そういうことでございましょうし、今度は共済組合からしてみれば、相当予算上の配慮をしなければならぬ問題でありますし、それから、全体の社会福祉の立場からいうならば、その人たちは食えるか食えぬかの問題でありましょうし、ですから定年の道を開くということは、まあ開いておけばいいわなあという、何か先行投資のごとくその辺の土地を買っておくのとちょっと違うのじゃないでしょうか。もしもこれがまじめに六団体から陳情があったというなら、六団体が陳情のとおりにやったら、それに対してみんな、あなたの言うとおりに突っ込んだら、何人離職しなければならないですかと聞いておる。それは、あなた、勘定ができておらぬということはおかしいじゃないですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○鎌田説明員 事務的なことでございますので、説明員から説明をさしていただきたいと思います。  今度の法律の構成、基本的な考え方といたしましては、あくまでも条例の定めるところによって定年制を実施する道を開くということに尽きるわけでございます。私ども、世上よく十二万人首切り、こう言われるために、はなはだ心外であるという気持ちを隠すことはできないところでございますけれども、この地方公務員法が施行になりまして、直ちにそれが直に全地方団体にそのまま適用されて、それで定年制がいや応なしに実施になるのだ、こういう誤解があるようでございます。これはそうではございませんで、先ほどから大臣が再々申し上げておりますように、あくまでも地方団体の人事管理上の必要に基づいて、必要と認めるときと場合におきまして、必要と認める条件によって定年制をしく道を開くということにとどまるわけでございます。  なお、十二万人、十二万人といわれるものでございますから、その根拠というものを私ども推定をしてみたわけでございますが、四十二年の私どもの給与実態調査の結果によりまして、全地方団体全職種の五十五歳以上の職員が十二万三千人ほどおります。それをあるいはおっしゃっておられるのかなという気がするわけでございます。ただいまお尋ねがございましたこの法律の施行に伴いどれだけの地方団体が定年制を実施するのか、あるいはまた、その場合において何歳で線を引くのかという点につきまして、率直に申しまして、これはすべて団体の自治にゆだねておるところでございますので、その数を現在正確に推定をして申し上げるということはちょっと困難かと存じます。   〔「定足数不足」と呼ぶ者あり〕

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は、大事なことですから、これは反則の委員会で聞いておったといってもまずいので……。  それじゃ、ちょっと定足数の充足する間に、たとえばあなたのほうは何歳にするかということは、自治体の自主にまかせると言うけれども、そうじゃないでしょう。指導方針があるでしょう。腹があるとするならば、その年齢ならば何人だということは、ひとつこの際明らかにしてほしい。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○鎌田説明員 定年の年齢につきましては、先ほど申しましたような考え方でおるわけでございますけれども、私ども衝に当たりましての率直な気持ちといたしましては、現在民間企業の場合におきまして五十五歳定年というのがなお圧倒的に多いわけでございますけれども、やはり雇用の趨勢なりあるいは民間におきまする定年延長の動きというものも考えまして、五十七歳ないし五十八歳というところが妥当ではなかろうかという意見を大臣からも申し上げておるところでございますけれども、そこでいまの論法で五十七歳以上の職員、全地方団体ということになりますと、同じ四十二年四月一日現在の数字でございますが、六万九千八百八十五人、五十八歳以上でございますというと五万一千人くらいになるかと思います。そういう数字として、一応全職種全団体の数字でございます。この中におきまして、先ほどからくどくお断わり申し上げておりますように、どの団体がどの線で定年制を実施するかということは、それぞれの団体の自主的に決定することでございますので、現在の段階において推計は困難であるということを申し上げておるところでございます。

保岡武久自由民主党

○保岡委員長代理 どうぞ質問を続行してください。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは続けますが、大臣いかがですか、五十七歳として六万九千八百八十五人、いわば約七万人、五十八以上とすれば五万人強、これがすなわち今度の整理の対象になるということは、大きな社会不安を呼び起こすことにもなりかねないと思うのですが、それをあなたはどう理解し、受けとめていらっしゃるのでございますか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、これはおのおのの地方自治体の判断でやることでございますから、五十八歳にした場合に五万何千人というものがこの対象になる、一応観念的にはそういうようなことがありますけれども、実際問題としてはやるところとやらぬところとございます。また、年齢につきましても、私は先般の大出委員の質問に答えましたが、特殊な仕事にはなかなか人が定着しない、そういう場合には、何も五十七とか八とか言わぬでも、まだもっと年の上の人まで働いていただいてもいい。これはおのおのの地方団体の実情でございますから、必ずしも、いま申しますとおり、五十七歳とか五十八歳とかいうようなところがもう絶対的の年齢層という考えは私は持っておりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 厚生省の八木企画課長さん、あるいは労働省の住職業安定局長さんがいらっしゃいますが、厚生省、労働省関係のお方にお尋ねをいたしますが、労働力という立場から見ましたり、あるいは老人対策という点から見まして、この五十歳代というもの、たとえばいまの一つの腹がまえとして考えていらっしゃる五十七歳ないしは八歳の線ですね、リミット、これを考えてみましても、なお二年なり三年なり五十歳代があるわけなんです。そういう点からいいまして、いまそういう定年制というものは非常に問題があるんじゃなかろうか、そんなところに定年というものをしく必要はないんではないか。何か定年というのは、昔は人生わずか五十年というときは五十五歳ということでいっても、じょうぶな人は五十五歳までよく働いてくださった、もう五十五歳で定年退職なさるならば一時金も出しましょう、恩給もつけましょう、これはひとつわかるわけでございますね。しかし、最近の寿命が、五十五まで生きた人たちは七十四、五歳まで男女とも生きられるという平均余命があるわけでございますから、そうして見ると、なお二十年生きられる能力があるのに、五十五、五十六、五十七、五十八というところを定年として見なければならない。いわばそれ以上はまともに働けないと断定することは、これは人間というものに対する評価としていささか問題があると思うのです。厚生省と労働省の見解はいかがでございますか。

八木哲夫厚生省年金局企画課長

○八木説明員 私どものほうは、定年制は何歳にすべきが妥当かどうかという問題ではございませんので、年金制度としまして老齢年金の支給開始年齢がどのくらいが適当か、老後の生活保障としてどのくらいが適当かということで、現在の厚生年金保険法では六十歳から支給開始ということになっております。ただ、これは二十九年の改正の際に、従来の五十五歳から六十歳に引き上げまして、制度としましては六十歳でございますが、いま経過措置の段階で、現段階では五十八歳から年金が制度的に支給されるということになっております。  それから、現実に厚生年金の民間労働者の場合の年金の受給年齢を申し上げますと、六十歳以降でかつ退職ということでございますので、民間企業の場合に五十五歳あるいは五十六歳という定年制がございますが、定年後また再雇用ということで働いておりますので、現実に年金を受けるという平均年齢は大体六十三歳くらいというのが実情でございます。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 御承知のように、最近労働力の需給関係が逼迫してまいっております。中学卒、高卒につきましては求職一人に対して求人が四倍以上というようなことになっております。そういうような状況下におきまして中高年の労働力を有効に活用するということは、申し上げるまでもなく非常に大事なことでございまして、労働省としましても、従来の若年者に片寄る求人傾向を改めて、中高年齢者でも十分若年者以上に働ける職種もあるわけでございますから、そういうような観点で中高年者の労働力を有効に活用していくというような考え方で労働行政を進めておるわけでございます。そういう観点から、御承知のように民間の定年制は七五%程度のものが五十五歳、最近それが五十六歳になり五十七歳になるというようなことで逐次定年年齢が伸びていくような実情にあるわけでございます。  何歳が適当かというようなことは、いろいろ諸般の事情を考慮して適当にきめるべきものだと思いますが、かりに五十六歳で定年退職になったとしても、なおそういう方が従来の職業経験を生かしてさらに職場で働き得るということは間違いないところでございますので、そういうような方々が、いずれにしましても適当な職場で能力を発揮して働く、こういうような体制で行政をやっておるところでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 平均余命が、たとえば五十五歳の場合の平均余命というのは女が二十二・五四年、男が十九・六六年ということは、即五十五まで生きた人は女について七十七歳半まで、男について七十四歳半まで生きられる、こういうことでございますから、五十五歳というか五十歳代というのは老人ではないと思うのです。私は老人というのは五十や六十のことではない。けれどもそうも言っておれないから、この際社会保障制度も不十分なときであるから、どこかで何かをつくるとするならば、これは六十歳くらいが妥当であろうということは一つの通説です。それをいま自治省では指導方針として五十七か八だと言っていらっしゃるが、少なくとも二、三年低いと私は思うのです。これは経済企画庁の「深刻化するこれからの老人問題」という本がございますね。その十一ページ以下にはこう書いてあるんですね。定年は深刻な問題となっている。「将来は少くとも六〇才くらいまで定年を延長することが望ましい。」こういうふうになっておるわけです。ですから、人生七十というのは古希ではなく、平均寿命だといわれておりますとおりでございますから、この際私は一つの線をかりに考えたとしても、五十五とか七とか八が出ることは人間に対する尊厳の冒涜だ。あるいはまた、科学的価値判断の誤りだ、私はこう思うのですが、その点は厚生省いかがですか。

八木哲夫厚生省年金局企画課長

○八木説明員 先生御指摘のとおり、昭和四十二年の簡易生命表でまいりますと、男子の平均寿命が六十八歳、それから女子が七十四歳ということでございますし、六十歳の場合の平均余命は男子につきまして十五・八九年、さらに六十五歳にまいりますと十二・五〇年ということで平均余命は逐次延びておる状況でございますし、できるだけ働ける間は働く、その後老後の生活保障を考えるというのが将来の姿ではないかというふうに考えられます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 厚生省にお尋ねするのは、経済企画庁が「深刻化するこれからの老人問題」という本の中で、これはお読みになったと思うのだが、定年制は六十歳くらいに延長することが望ましい、こういうふうに書いていらっしゃる。それについてあなたのほうの見解はどうだ。いまおっしゃったことはそのとおりでありますということでございますね。

八木哲夫厚生省年金局企画課長

○八木説明員 おっしゃるとおり、できるだけ働ける間は働くというのが、これからの方向ではないかというふうに考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そこで野田自治大臣、もう一回あなたに戻ってお尋ねしますが、働ける限りは働くというのは、人間として食っていけないのでございますから当然そういうことでございましょうが、それとは別に、一国の労働力需給関係という立場から見ましても、老年労働力というものは無視することはできない時代だ。あなたのほうが五十七とか八を定年ラインとすることは、定年制の一つの線と考えられることは、少なくとも、まだ働けるけれどもそれはおっぽり出そうということになるわけです。どうして働けるうちにやめろというのですか。あなたの提案説明というのはそこに触れて、何だか新陳代謝ということばを使っていらっしゃるが、水を入れかえするような意味でありますか、新陳代謝というのは。働けると言っておるのにやめてくださいとあなたのほうが道を開くというのはどういうことですか、具体的に新陳代謝とは。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 新陳代謝ということは、なるべく職場で若い方が意欲を燃やして働くようにする一つの風穴を通したいという意味で、私はいま一番大事なことは、ことばの使い方じゃなくて、幾つくらいが定年制の場合はどうかということ、これは非常に大きな問題だと思っております。  そこで、五十七とか八とか、いま指導的にそうだということを事務当局からも話しておりますが、私自身は心ずしもこれに拘泥しない。というのは、なぜ五十七とか八が出てきたかというと、民間の定年制が大体従来七〇何%、先ほどお話しのあったとおり五十五歳だった。これが漸次伸びております。これは事実であります。それから、ずっと聞いておりますと、勧奨退職のほうもやはり年齢、地域によって相当違いまして、五十五、五十七、八、六十のところもあるようであります。だから私は、いまもお答えしておきましたが、ことに職種によっては何も五十七でやめる必要はないし、また特別の職種によりましては、なかなか希望者も少ないという実情も出てまいりましょうし、また、非常にたんのうな熟練を要する仕事というものはまたそれ相応の考慮を払う。そこでいまの五十七とか八というのは、民間の定年制を基準として一応考えた概念的な年齢の層でありまして、私は今度地方団体が条例をつくられる場合は、おのおのその実情に照らして、五十七とか八というものを基本的に考える必要はなくて、そのいわゆる労働力の状態、たとえば若年労働者が非常に少なくてどうしても中高年の人が必要な場所もありましょうし、何しろ三千幾つの地方団体でございますから、一律にこちらから何年でどうだ——一応のいまの概念的な年齢の数は出ておりますけれども、これは実情に照らしてやることでございますから、いまちょうど太田さんが言われたとおり、六十歳まで働けるじゃないか、また、それは働いてもちっともその人の能力も衰えない、りっぱにいけるという地方団体は、私はそういう考え方でおやりになってもよろしいし、これは非常に大事なことであると同時に、これこそ地方団体の自由意思におまかせしていくものだと私自身は考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 ちょっとこまかく突っ込んで聞きますが、そうすると、あなたのおっしゃるのは、そのところの実態、実態に応じて六十につくってもよろしいということになるから、私はこれもその六十歳定年制というのが実施される場合もあり得ると考えておりますと、たとえばあなたのおっしゃるのは定年制をしいても、そのあと再雇用があるとおっしゃる。再雇用というのは定年後のことでございますね。再雇用というのは欲する者は再雇用される。欲しない者は再雇用されないことになろう。これは本人の自由意思だ。六十歳でかりに定年制をしいても、なおかくしゃくたる者がありましょうから、欲する者はすべて再雇用されるものだという立法精神でございますか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 すべて再雇用ということは、いま申しましたとおり、各種の実情に照らして、やはりそういう人が必要だとすれば、それは再雇用いたしましょうし、そういうところに一律一体に何歳がどうだというふうな観念的なことではなくて、実情に照らして、特殊な職種によってはこれはまた再雇用もできるし、そこは私が繰り返して申しますとおり、そのときの実情に照らして判断して条例をつくられたらいい、こう思っております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 これは長野さん答えてください。あなたでいい。そうしたら、定年例は幅広い、六十歳より上にやってもいいと私は考えておりますが、それならそれであなたの考えは明らかになった。再雇用というのは老後の生活保障の問題もありましょうから、欲する者、希望する者が再雇用されるのか、必要と認められる者が再雇用されるのかというのは、私は欲する者はすべてというふうに理解しておったのが、いまの大臣の答弁はちょっとニュアンスが違うような気がするのですが、いかがですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 再雇用につきましては、なおさらに就職をいたしまして、そして生活を安定さしたいという本人の要求と、それからまた、地方団体側におきましても、その人の再雇用を受け入れるという希望と申しますか、そういう意向とが合致した場合に考えられることだと私も思っております。  再雇用職員につきましては、一定の期間特定の業務について再雇用するという考え方を取ろうとしております。したがいまして、地方団体の側におきましても、それにふさわしい職種の職があります限り、再雇用を希望する定年退職者がおりますときには、方針としては再雇用につとめるという考え方で取り組むべきだと考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 明らかでないですね。そのふさわしい職種がある限りということは、たとえばあなたのほうは何十種類の職種を選定されているかしれませんけれども、そんなごみ集めの助手や、あるいはその辺の掃除係では困るからということになると、職業安定所と同じように、あなたはそれはだめだということになっちゃって、再雇用からはみ出す人がたくさん出てくるということになりますね。そういうことが想像されるのでございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 再雇用の希望がありまして、また地方団体側にも再雇用する必要を認めており、また再雇用してそれに従事する職があるということの両方の意思が合致するということが、一切の雇用の場合には当然必要な条件でございますから、そういうことにならざるを得ないと思っておりますが、同時に、従来から、地方公共団体の場合に、勧奨退職その他で退職しております者の行き先といいますか、そういうものを見ておりますと、やはりこの際ひとつ自分で営業したいという人も相当ございますし、また民間の企業に再就職の道を求めたいという人もございます。したがいまして、すべての人が定年退職をしまして、すべてまたその団体に再雇用されるということは必ずしも起こらないというふうにも考えておりますけれども、再雇用する、したい気持ちがありまして、そして地方団体としても再雇用を受け入れる用意がありますところでは、当然その再雇用というものができ上がる、こういうことになるだろうと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 だから、すべて定年に達する、そして条例ができれば、定年までの年齢に達したときに、その日の属するその月にやめる。それで、私は食っていけないから、また家内も食わせなければならないし、子供も学校にやらなければならぬし、お嫁にやらなければならないから、何か少なくても給料を得たいと言うても、自治体のほうにその適当な職種がないと判断されれば再雇用されないのですから、再雇用されるというのは希有な例である、非常に少ない人数しかないということになりますね。そうすると、これは定年というのは期限つきの離職——離職といったって、実に重大な、瑕疵も何もないのに、年齢がきたということだけで、その人が有能であろうが何であろうが、年齢というものによって一切の基準を引いてさっとさようならということですね。私はそうかもしれませんが、家内、子供を食わせていかなければなりませんから何かひとつお願いしますと言っても、君にふさわしい仕事はないよと言われればそれで終わりですね。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 定年退職をされた人が再雇用の希望を持つ方の場合、地方団体として考えるのは、私どもいま申し上げますとおり、適当な職のある限り再雇用につとめるという考え方で受け入れを整理していくというふうに指導してまいりたいと考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 もうちょっと明らかにしていただきたい。もしも九九・九%まで再雇用させるというのがこの立法の精神だというのなら、なるほどこれはあなたのおっしゃったことはよくわかる。希望する人の九九・九%までは何とかして再雇用に応ずる、こういう精神でございますと明言ができるのでございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 地方団体によりまして事情も条件もいろいろ違います。職場の種類、職制のあり方、あるいはその地域社会の状況に応じまして、再雇用職員を受け入れるにふさわしい職場の非常に多い場合もあると思います。そういう場合には再雇用が非常にしやすくなるということでございますが、また、その程度は地方団体ごとにそれぞれ状況は一様ではないと思いますけれども、できる限り私どものほうとしては、再雇用の希望者に対しましては再雇用につとめるような職種を用意することを指導いたしたいと考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 これは定年の道を開く、再雇用の道についてはまだ十分開拓されておらないというふうに受け取れますが、私は、少なくとも提案説明から見ても、この文章はよっぽどこれはじょうずに書いたと思うのでありますが、やはり職員の身分変動の最も重要な態様である離職につきまして、こういうふうにするのだ、重要な離職の態様である定年というものは実に重要なものである、それから人事の停滞に悩んでいるものが多いから人事の停滞を解消するためだ、いわば新陳代謝、これもありますね。それから、人事管理の適正を期する、これは別のことばでいえば、人事管理の適正ということは、使いやすい者を使いたい、こういうことでございましょうか。いろいろな意味において、別に言うならば、金の問題だ、金を節約する、予算の節約のために定年制をつくるというふうにもわれわれは考えざるを得ない。  そこで、ここに文部省の別府初等中等教育局地方課長さんがおいでになっていますから、ちょっとここでお尋ねしたいことがあるのですが、実は学校の先生をやっていて勧奨退職等なさったことに応じられた方々の生活状態を調べてみますと、保険の勧誘員が非常に多い。それも長くやれない。一通り親戚、友人をたずねたら二、三年で終わりだ。保険会社もまた心得たもので、それだけのことをやってもらえばあなたは用はないよ、さようならということで、これまた二、三年でほうり出す。そのあとには、学校の掃除用のバケツを売ったり、竹ぼうきをかついで学校を回るというようなみじめな姿の先生も多数あるわけです。  そこで、ちょっと文部省のお考えを聞きたいのでありますが、あなたのほうは、高名な荒木実力大臣以来、日教組とは話し合いをしないという方針をとっていらっしゃるようでありますが、定年制というものが今度考えられる場合におきましても日教組とは話し合いをしない、そういう方針でございますか。

別府哲文部省初等中等教育局地方課長

○別府説明員 お答え申し上げます。  文部省が日教組あるいはその他の教職員組合の代表者と絶対に会わないという態度を終始とってきたわけではございません。過去に昭和四十年から四十一年にかけて、中村文部大臣は、ドライヤー調査団の来日等の関係もございましたが、その当時日教組の委員長と三回にわたって会見をいたしてまいっております。そして、その際大臣から、こういうような労使の代表者が会見をするということは、労使間における不信感を除去してよき労使慣行をつくり上げていくというために会うのだと考える。そのためにもそういう雰囲気をつくり上げるために日教組に対して若干の要望をしたいということで、たとえば教育公務員の政治的中立の問題でありますとか、あるいは教育政策を進める場合、組合が実力でもってこれを阻止、妨害をするというふうなことはやめてもらいたいといったような要望をしたわけでございますが、それに対して組合のほうはさしたる態度の変化が見られない。さらには一〇・何々というストライキを計画し、組織の下部の組合を指導するという態度に出たわけでございます。そこで二回目あるいは三回目の会見の際に、中村文部大臣から、こういうふうに労使のトップレベルで会談するということは、先ほど申し上げましたように、まさに相互が胸襟を開いて話し合うというところに意味があり、そこによき労使慣行が成立するものだと考えるけれども、過去一、二回やった経験から見ると、非常にたくさんの代表者が出てまいりまして、事務当局でもよいような要望事項の一方的な解説に終わっている。これでは大臣が委員長と会っても意味がないではないか。今後はせいぜい二、三名程度の代表者で腹を割って話し合いをしたいという希望を申し入れていたわけでございますが、日教組から断わられまして、それを機会にその後の会見がとだえたわけでございます。  しかしながら、それ以後も歴代大臣とも、衆議院、参議院の文教委員会等でもこの問題がよく話題になるわけでございますが、日教組だから絶対に会わないという態度は自分としてはとらないところである、やはり文部大臣が日教組の代表と会うということ自体が非常にニュースになるような世の中だけれども、そういったことのないように、お互いに不信感を除去して会うことが教育界のプラスになるようなそういう形で会いたいと考える。日教組としても、従来中村文部大臣が要望したような事項について、ひとつ十分に考えてもらいたいという態度を終始表明して今日に至っているわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 あなたのほうのお気持ちは端的に表明されておると思うのですが、それを客観をしてみますと、相手の考えていることややっていることがずいぶんこちらの気に入らぬことがあるから、したがって話し合いをしたほうがいいと思うけれども、あまり話し合いしたくない。もし話し合いを拡大するためには、おれのほうの考え方というものにそちらは従いなさいというような、何か思想とか、あるいは考え方、認識の押しつけがあるような気がするのですが、何かそういうような意図でも持っていらっしゃるのでありますか。

別府哲文部省初等中等教育局地方課長

○別府説明員 先生のおっしゃるような気持ちを持っているわけではございません。また、大臣が委員長にお目にかかってはおりませんけれども、私ども事務当局、局長以下も、日教組の書記長その他の担当者とは常に接触を深めておりまして、最近でも日教組のそういう書記長以下の事務当局がお見えになりました際に、よく大臣との会見の話題が出ますけれども、組合側としても、過去のいきさつがある、そういう意味において、いま直ちに大臣に会わせろということは強く言うつもりはないが、徐々にそういうことで実現できるような雰囲気に盛り上げていくために、終始事務レベルにおける接触を今後とも深めたい、そういうことを申しておりますし、文部省といたしましても、それにつきましては異論がございませんので、日教組のみならず、他の全国的な職員団体とも常に事務的な接触は非常に深めておる状況でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 したがって、それは登録団体であるとかないとかいうような形式論によって差別をするとか、えこじになっておるということではなくて、荒木さんの時代は別として、今日文部省ははるかにものわかりがよくなった。そうして新しい時代が来つつあるのだ。特にいまのような定年制というものが導入されるとなると、地方の教職員は、一体どれくらいの年齢によってこれを該当せしめたらいいだろうかというのは重大問題でありまして、一般の自治労各位の場合とはいささか趣を異にしていると思うのです。そういうことがあるとするならば、何か中央においての文部省の見解というものも地方に反映することが望ましいのであって、まさか長野行政局長が、いやおれは、地方公務員ということになれば、役場におるのも学校におるのもあるいはバスに乗っておるのもみな一緒だから、みな五十六、五十七、五十八でいいのだ、一網打尽ということではないと思うのです。ですから、中央における日教組と文部省との間の何らかの意思疎通というのがあって、なるべくそれが拡大されていって、相互の信頼関係というものを取り戻しながら新しい時代に対処して、各種の政策が誤りないように行なわれることを望まれるのが私は至当だと思うのです。  それで、先ほどの例にもありましたけれども、実際学校の先生というのは、そう低い年齢で肩たたきされておるのではなくて、比較的高い年齢で肩たたきされているようですけれども、それでもなおかつ退職後の生活というのは一様にみじめな人が多いわけです。学校におれば先生、先生だったが、一たん退職したあとというのは、ほうきを売って歩いたりノートを持って歩かなければならぬ。行商屋に成り下がっている。あるいは人の最もいやがる生命保険の勧誘員になって、自分の最も親友に対して、何だかんだ言って、一口すまぬが入ってくれと言わなければならぬという立場になるということですね。ですから文部省も、そういう実態を考えて、教職に専念しろと言うなら専念し得るところのいろいろな条件というものを確立するように努力されることが必要だと思うのです。別にそういうことについては御異議はございませんか。

別府哲文部省初等中等教育局地方課長

○別府説明員 次代の国民を育成するという仕事をやっております教職員が、自分の仕事に在職中は全力をあげて専念できるような条件をつくるということについて、これが非常に重要なことだという認識は、先生の御指摘のとおりでございまして、私どもも常にそう考えております。在職中の待遇の改善はもとより、退職後のいろいろな処遇の問題につきましても、各地の教育委員会が当面の責任者としてやっておるわけでございますけれども、文部省といたしましても、十分配慮をいたしてまいりましたし、また今後もやっていきたい、こういうふうに考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 ではもう一つお尋ねしますが、定年制というものがしかれましたあと二、三年再雇用制度というのがあるとするならば、この再雇用制度のしかるべき職種というのはどんな仕事を想定をされておるのでしょう。文部省として御見解があったらひとつ御発表いただきたい。

別府哲文部省初等中等教育局地方課長

○別府説明員 従来の御質疑の経過をよく存じませんので、どういうふうにお答えしたらいいかよくわかりませんが、教員の場合、従来勧奨を受けて退職いたしました職員がいわゆる再雇用される場合には、正規の教員として全科目を教えるという立場の小学校の教師をやっておりました方が、退職後その教員の一番得意な学科を担当する。たとえば数学でございますとか、その他現在正規の免許状を持った教員が得られにくい教科の先生もおるわけでございまして、そういう教科の講師として新たにまた教壇にお立ちになるというようなケースが現在においても見受けられるわけでございます。そういうことは、定年制という制度が実施された後におきましても十分活用されるのではなかろうか、このように考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 自治大臣、どうですか。あなたもそういうことを考えていらっしゃるのですか、先生の場合。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 私も、さっき言った職種により、またその人の才能その他によっては、いまの文部省の御意見と全く同感です。

太田一夫日本社会党

○太田委員 長野さん、そうすると学校の先生は定年退職しても講師として教壇に立つのであって、ほうきを売り歩かなければならないとか、保険の勧誘をしなければならぬというようなみじめな境遇にこれから立つことはないのですね。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 再雇用制度につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、再雇用を職員が希望いたしました場合、それらの職員にふさわしい職があります限りは、地方団体といたしましても再雇用につとめる方針であることは、これは教職員あるいは警察、消防職員についても同様に考えていくべきものだと私は考えております。したがいまして、いまの文部省の方からの話がありましたように、教職員の場合には非常勤講師その他もふさわしい職だと思っておるわけでありまして、そういうものが必要な場合には、できるだけそれに再雇用していくように、私どもも文部省と一緒になりまして、そういう職場の開拓と申しますか、そういうことにつとめてまいりたいと考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 口先だけでなしに、私は再雇用制度というものに概念と青写真がないままに、いたずらに民間に再雇用制度があるから再雇用制度によって当面を糊塗しようとするならば、重大な社会不安を起こすということを申し上げておきたいと思うのです。とにかく、再雇用されたところで、給与そのものが半分程度になるとするならば、夫婦二人の生活がどうやらこうやらという人がたくさん出てくるでしょう。子供などはとても養育できない。それならば一時金なら一時金をたくさん出すからそれを使えばいいじゃないかという反論があろうと思うのですけれども、まだその保障もない。年金に至っては、年金というものだけで食っていくということはいまはできないのですから。そうしてみるならば、再雇用の給与というものは重大問題ですよ。これはひとつ十分な青写真をお示しになる必要があると思いますが、それを一応聞いておきましょう。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 関連。文部省にお尋ねしますが、できるだけ再雇用できるようにしたいというようなお話ですから、では現実にいま全国の学芸学部のいわゆる教員免許状を取得されて卒業する人たちが、四十六都道府県それぞれありますね、年間何人、それからまた四十六都道府県、それぞれたとえば各地域での教員の定数が減っているというような県もあると得うのです。定数が減少せざるを得ないというような県もあると思うのです。そうした場合の今後五年間くらいの職員採用の見通し、こういうものと比較をして、それでは再雇用の機会が一体四十六都道府県それぞれ具体的にどのくらいあるのか、こういった見通しはどうなんですか。そういう需給の見通しの青写真が明確でなくて、長野局長の言われるように、本人が希望し、また任命権者として再雇用の機会があり得るならば云々というようなことでは、全く具体的に再雇用の機会というのは保障されてないじゃないですか。そうなれば、先ほど太田委員が言われたように、いろいろなたいへんな職業について苦労されなければならぬということになるじゃないですか。五年間でけっこうですから四十六都道府県の需給の見通しを明確に数字をもって示してください。

別府哲文部省初等中等教育局地方課長

○別府説明員 私は初中局の地方課でございますので、教員の需給関係を直接所管をいたしておりませんので、その数字を明確にいま御説明するというわけにもまいらないわけでございますが、ただ一般論を申し上げますと、従来特に義務教育段階における小中学校の教員の需給関係というものが全国的にどうなっているかと申しますと、小学校では、先生御指摘のように、全国の主として国立の教育学部あるいは学芸学部、学芸大学といったようなところである程度計画的な養成をはかっているわけでございまして、全国的なレベルで見ますと、その学部の卒業生と全国で新しく教員に採用される小学校教師とは、ほぼとんとんになっている。中学校あるいは高等学校になりますと、これは各教科ごとの免許状を持った教員の候補者が出てくるわけでございまして、これは必ずしも国立の教員養成学部だけではなくて、一般大学あるいは私立大学等におきましても、そういう免許状の発行が現在行なわれているわけでございまして、免許状を持った人々は相当多数にのぼるわけでございます。現在その需給関係につきましては、教員の不足ということは全国的な規模ではないわけでございまして、各県とも教員の採用試験をやります際には数倍の志望者が参るという状況でございますが、これを地域別に見てまいりますと、特に大都市あるいはその周辺で人口が急増いたしております地域に小学校の正規の免許状を持った教員が非常に得られにくい。一方、いわゆる過疎地域といわれております人口が減っております地域では、子供の数もだんだん減りますし、それにつれて学級数も減りますので、教員養成学部を卒業して正規の小学校教員の免許状を持っていながらも、教員の採用数が非常に少ないので、その県においては教員になれない。そこで東京、神奈川あるいは大阪といったようなところは、東北地方とか四国、九州のほうで試験をして有資格者を採用する、そういった事柄が現在行なわれております。文部省といたしましても、ただそういう自然に需給のバランスが保たれるということだけでほっておいてはいけないという観点から、新規採用教員についてある程度全国的な需給関係を円滑にする方策をとる一方、現在教員として勤務しております先生方についても、たとえば県の区域を越えて他の府県に転任をしたいという希望を持っております者も全国的に見ればかなりの数にのぼるわけでございますし、その希望をかなえ、また一方では、教員の需給関係の調整に資するという観点から、現職教員の全国的な交流と申しますか、それにつきましても本年度から若干の予算を計上いたしまして、その推進をはかっておるというのが実態でございます。  数字につきましては、ちょっといま持ち合わせがございませんし、また直接の所管でもございませんので、この場では御説明ができかねます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 私はそういう抽象的なことを聞いておるのじゃないのですよ。現実に五十七、八歳になった、あるいは少し高い年齢でもいいということでありますから、五十九、六十でかりに定年退職ということでおやめになる。そういう高年齢の方が、たとえば島根県からわざわざ東京まで来て再雇用されるなんということが、これはあり得ぬわけですよ。ですから、問題は、四十六都道府県、小学校、中学校、高等学校、その需給のバランスが具体的にどうなっておって、それぞれの各都道府県あるいは学校種別ではこの再雇用の機会がどうなのか、こういった具体的な数字を出してもらわなければ、再雇用の機会があるなんて言ったって、これは絵にかいたもちだと思う。  ですから、あなたは担当官ではないそうですから、きょうじゅうでけっこうですから、文部省で担当官にいま申し上げたことの、四十六都道府県、小中高別の需給バランス、具体的に再雇用の機会がどの程度あるか、この数字を示していただきたいと思う。そうでなければ審議できませんよ。委員長にこれはお願いしておきますから……。いいですね、出してくれますね。

別府哲文部省初等中等教育局地方課長

○別府説明員 教員の需要がどの程度あるかということにつきましては、子供の数を計算いたしまして、多少の人口移動があるにいたしましても、それを推計すればある程度教員の需要というものが出てくるわけでございます。これに対して供給のほう、新しく教員に採用されることを希望する者、その数は非常に限定されたものではございませんので、現在全国の大学で教員の免許状を持った相当多くの卒業生が出てまいっております。また新規採用を行なう場合の試験にも相当多数の教員志望者が押しかけているという状況でもございますので、その需給のバランスを出して、どのくらい不足するからその不足する分を、いま問題になっております再雇用と申しますか、あるいは臨時の講師と申しますか、それで埋めるべきであるかというのはすぐには出てこないのじゃないか、このように私は考えるわけでございます

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 いまの御答弁、問題ですよ。出てこないといえば、教員については再雇用の機会がないということになるじゃありませんか。そんなことでは——この法律案にあらためて地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を書きかえておりますね。そんなことは全く意味がないということになるじゃないですか。ないならないではっきりそういう数字を出してください。資料を出してもらわなければ審議できませんよ。それでなければ再雇用は不可能ということになるじゃありませんか。

太田一夫日本社会党

○太田委員 自治大臣、どっちみち再雇用という制度は裏の制度ですね。定年制をしいて、その裏で再雇用とくるのですから、その裏側の再雇用の明細が明らかでないと、審議するということは相当困難なような気がするわけです。いま山口委員が言いました資料、教職員に関しましては、先ほどの課長さんのお話では、専門科目についての講師として教壇に立ってという一つの御提案はありましたけれども、それを具体化し得る資料というものをあなたのほうも共同してつくってくださるように努力していただけませんか。出していただけますね。

別府哲文部省初等中等教育局地方課長

○別府説明員 教員が退職後どのような職に再雇用可能かということは、先ほど来一つの例として講師の例を申し上げたわけでありますが、必ずしも講師に限ったことではないわけでございまして、最近教員の研究あるいは研修のために研修センター、研究センターといったようなものが充実されてきております関係上、その所員として老練な者が採用される。過去の経歴から見て、ある教科について非常に学識経験がある者を採用するということもございますし、いろいろな場合がございます。また事務的な面への就職ということも考えられるわけでございます。また一方、教員が何歳で退職するかということは、現在も勧奨の年齢が各県によって違っておりますし、またかりに定年制が施行された後におきましても、それは各県でかなりの差が出てくるのではなかろうか、そういう意味において、どの程度の定年制が実施されるのかということが必ずしも的確に推計ができない現状で、教員がどういう退職の状況になるのか、その後どういうところに再就職の道を開いていくべきであるかということを、的確に推計するバランスシートと申しますか、それはすぐには出ないように私は思うわけでございます。いま先生御指摘の教員の需給関係というものを将来五年間にわたってできるだけわかるようにしたものを、所管の課と連絡いたしまして調製いたすようにいたします。

太田一夫日本社会党

○太田委員 これは文部省もさることながら、自治省にも責任があるわけで、大いにりっぱな資料というか、われわれを安心させ得る資料をお出しいただきたいと思うのです。これは課長さん、教員というのは大体五十七、八歳が一番多いでしょう。労働組合の弱いところは低いですね。五十七、八歳までおりませんが、普通の組合のところは五十七、八歳までおりますよ。現在小学校あるいは中学校、高校と、六十歳以上の人は、これは四十年度の統計でございますが、二千人をこえる人がおりまして、五十八歳以上ということになっても約八千人おるわけです。だから、それだけ人がたくさんおるのでありますし、学校では父兄は何と言っておるかといいますと、円熟した先生ということばがあるのですね。円熟した政治家、円熟した行政官、円熟した教師——円熟した教師というのは幾つぐらいだというと、六十歳代でなければ円熟の境地に達しない。五十代は青二才。青二才のうちに定年制をしこうということはいささか私も行き過ぎだと思うが、円熟した教師というのは六十歳代というのが一般にPTA等において議論されておる話なんでございます。ですから、十分そういうことを考慮に入れながら、教職員の場合は何歳ぐらいがその対象になり得るものであろうか、そうしてその場合のあとの職種はこういうことを考えておるとかいうことについては、納得し得る資料をお出しいただきたいと思うわけです。これはできるだけ自治省も協力してもらわなければいかぬ。自治省は万遺漏ないあれだろうと思うが、出すことと通すことに責任があるのであって、あとのことはごめんそうらえではちょっといかぬと思うのです。  もうちょっとここでお尋ねしたいことは、この間、四十四年五月十二日でございますか、厚生大臣は中央社会福祉審議会に対しまして、老人対策を諮問されておるわけなんです。その老人対策を諮問された十項目の項目があるのですが、その第一に、現在の定年制が適当かどうかというのがある。その中の第六項目というのは、老人に働く場をどうして提供したらよいか、こういうことが諮問されておりますが、これは自治大臣御存じでございますか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 内容をよく承知しておりませんが、高年齢層の労働関係、それと定年制というようなことで大体そういうことがあったということは聞いております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 五月十二日という日はどういう日でしょうね。五月十二日というのは月曜日。当委員会においてかつてない珍しいことが起きた、珍事出来をいたしましたのが九日の金曜日でございますから、十二日といえば委員会はストップをして、まさに荒れるのかどうなるのか、空模様がはかり知れない、そういうときに、厚生大臣は中央社会福祉審議会という審議会を尊重して老人対策を諮問していらっしゃる。私は厚生省というのはさすがに人間の味方に立っていらっしゃるような気がしてしようがない。  そこで、その一番は、現在の定年制が適当かどうかという御諮問であります。これは間違いないでしょうね、厚生省の企画課長さん、お尋ねをいたします。

八木哲夫厚生省年金局企画課長

○八木説明員 老人福祉の一般的な問題につきましては社会局の老人福祉の関係でございますが、省内で、直接の課ではございませんけれども、そういう諮問をしたというのは承知いたしております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そういう諮問をなさったのでございますね。なさったということは、現在の定年制が適当かどうかという、定年制そのものにメスを入れていらっしゃる。自治省のほうは、審議会だなんて、定年制なんということを審議することはないよ、力で来いということでやっていらっしゃるわけですけれども、ちょっとそこのところニュアンスが違うんですね。老人に働く場をどうして提供したらいいかということも実に思いやりがある。これは局長どうですか。そういうことをやられたということをお聞きになったですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 そのことは詳しく存じておりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 これはいわば風まさに樓に満つる時代じゃないのですよ。少なくともあらしとなって吹いておるさなかにおいて、その論争の中心である定年制という問題について、厚生大臣のほうは、老人対策という範疇でありますけれども、中央社会福祉審議会に御諮問になった。これは一つの良識というものであろうと私は思います。よく時代を見ていらっしゃると思うのであります。そこで、厚生省のほうではこれから諮問して意見を聞こうとなさるのに、自治省のほうは、そういうことはいまさら諮問する必要がないのだという御見解、いわば政府の中において意見が分裂しておるということでございますね。この点はいかがでございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 定年制につきましてはいろんな考え方がありますことは御指摘のとおりでございます。定年制の延長の問題等も、もちろん現在民間等におきましていろいろ検討されておることも私ども承知をいたしております。そこで、そういう意味で、定年制も時代の進展といいますか、変化に応じましては、いろいろ定年年齢の定め方などを中心にいたしまして変わってくることもわかります。しかし、そうではありましても、定年制というもの自体の制度の必要性というものは、また定年制そのものの必要性として考えなければならない面があるわけでございます。組織の新陳代謝、人事の刷新、士気の高揚というようなことがこの地方公共団体の場合には非常に停滞をしておりまして、沈滞をしておるというような場合には、そこで刷新をはかりますために定年制をしくという必要のありますところには、定年制をしき得る道を開こうということでございます。民間におきましても、定年年齢等の検討はいろいろ議論があるようでございますけれども、定年制が必要がないという意見は私はほとんど聞いたことはないのでございまして、現にそれはほとんど大多数の企業においても行なわれておるところでございます。この定年制の内容をどういうふうに考えていくかというような問題については、御指摘のとおりいろいろ議論がございます。今回の改正法は、定年制の道を開くということでございまして、その点で、繰り返し申し上げておることでございますが、政府としては提案しておるということについて、御了承を得たいということでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は別にわざと変なことを言っておるわけじゃないのです。定年制というのは離職の形態として重要な問題だと私は理解しておるから、定年制そのものが、いま唐突としてというのじゃないのですが、一方的に、強引な力で提案されてくることに疑義を持ちながら、何がねらいだろうと、ねらいを皆さんが明らかにされることを欲しながら、ここで幾多の禅問答みたいな問答をさせていただいておる次第です。はなはだ恐縮ですけれども、定年制の内容について云々というような諮問のしかたじゃない。中央社会福祉審議会に出されたのは、現在ある定年制というものが適当かどうかという価値判断が一つ大前提としてある質問でございます。この結論そのものが、もしも現在定年制は不適当だということになれば、定年制そのものは民間にあろうがなかろうが、この中央社会福祉審議会の結論というものを参考になさるべきであろうと思うのです。政府の片方ではそういうことを考えておるが、片方では——やまたのおろちは、片方の首は細田さんの村のほうに行き、片方のあれは三木さんの町のほうに行くというふうに、巨大な怪物であったそうですが、まさにいまの定年制というものに対する見解というのは巨大なやまたのおろちです。これは私はちょっとおそろしく思うのです。このおそろしさというものをなるべく解消するために、皆さんに、一体いまの定年制というのはほんとうにすなおなものであるか、どういうものであるかという点をお尋ねしているわけです。中央社会福祉審議会の問題については、あとでもう少し聞かないと、いまお答えいただくのに八木企画課長さん少し資料が不十分なようですから、もう少しあとで答弁してください。  それから、この際経済企画庁の小川参事官がいらっしゃっていますので、一つだけ聞いておきたいのでありますが、国民生活審議会あたりは、深刻化するこれからの老人問題という視点から、老人問題というものをいろいろと取り上げていらっしゃるようでありますし、それから四十二年におつくりになりました中期経済社会発展計画の中にも、労働力の需給問題というのが分析してあると承っておりますが、いささか資料が足らないので、私のほうとしても、これはひとつ拝見させていただきたいと思いますが、きょうじゅうにでも何かプリントを、要綱か何かわかるのでもお出しいただくことはできないのでしょうか。いかがなものでございましょうか。

小川としやす経済企画庁国民生活局参事官

○小川説明員 お答えいたします。  経済社会発展計画及び中期計画につきましては、私どものほうの総合計画局でやっておりますが、帰りまして早急に資料をつくりまして、資料を出すことについて検討させていただきたいと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 労働省のほうは新雇用計画を四十四年の二月十九日か二十日ころに——雇用対策基本計画、この五カ年計画ではますます労働力は不足して事態に対処できなくなっておるというので、四十六年度から新しい雇用対策十年計画というものに取り組むために、新雇用計画を雇用審議会に対して諮問された、こういうふうに承っておるのであります。これには定年制の延長や主婦の労力化など新しい労働力開発の具体的な施策のあり方、こういうものが諮問されておるように承りますが、御存じでございますか。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 現在の雇用の動向、それに対する対策につきましては、雇用対策基本計画をつくって現状ないし将来の対策をつくっております。経済社会発展計画とのバランスも考慮しながらその計画がつくられておるわけでございます。いまほど先生御指摘のように、経済社会発展計画が再検討されるというような状況が一つございます。それと同時に、将来の労働力の需給関係、これはわれわれの予想以上に非常に大きな変化も考えられますので、総理府にございます雇用審議会に、そういう問題を含めて審議会の御意見を伺おう、こういうことにいたしまして諮問をしておるわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 その諮問しますについて、いまのお考えをさらにふえんされた、現在の実情を把握された資料でも何かありましたら、概要でよろしいから早急に出していただけないかと思います。  それから、同時に社会保障制度審議会の関係ですが、総理府の福田事務局長さんがいらっしゃいますからお尋ねしますが、これも四十三年三月ごろの答申というのがございまして、赤澤大臣に対しまして、定年制にまつわる年金制度上の御意見というのを答申されておるわけですね。この制度というものも、私は承るところによると、政府の、いま自治省の説明された再雇用者に対して年金を積み重ねる、こういうことをしたいということについてはあまり好ましい傾向ではないから賛成できぬということをおっしゃったと思うのでありますが、これもことばの上だけで聞いた話をやっておってもまずいと思いますので、当時の答申というものをここに明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 雇用審議会に対して諮問いたしておるのでございますが、これは御承知のように雇用審議会の今後の審議——雇用審議会には専門委員の方がおられまして、特に雇用問題に造詣の深い方の審議をこれからお願いしようということでございますので、特にどういう資料ということは雇用審議会のほうに提出しておりませんので、何かそこらあたり資料をどういうふうに調製したらいいか、お伺いできればと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 なければいいです。福田さん、どうですか。

福田芳助社会保障制度審議会事務局長

○福田政府委員 すでに御承知と思いますが、昨年三月一日の答申では、制度審議会としましては、定年制そのものの是非については審議会は触れないという答申をしております。これは定年制そのものは、社会保障制度そのものというよりも人事管理上の問題だと制度審議会では判断されたもののように解釈します。その際、そのように定年制につきましての是非については触れないが、定年制を採用された後における社会保障制度の扱いにつきましては、自治省の案に対しましては、もう少し考慮されたほうがいいのではないかといった意味合いの答申となっております。つまり、これもすでにもう審議があったかと思いますが、社会保障制度のうちでも厚生年金保険法にはすでに在職老齢年金制度という、在職中でありながら一定年齢の人には年金を支給するという方途もありますが、地方公務員についても、そのような方途を考えるのも一つの方法ではないかというふうな代案的な示唆をしております。何らかの示唆はしておりますが、定年制そのものについては、繰り返しますが、触れておりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そのことは触れぬでいいです。私、定年制を聞いておるのではなくて、年金の問題の答申の内容を聞いておるわけですから、そのとおりの原文を電子リコピーでもいいから、午後の会議の劈頭に出していただけませんか。それを一ぺん確かめてみたいと思うわけです。別に特別に新たにつくってくれというのではなくて、いままで答申されたものを見せてくれということを言っておるわけです。

福田芳助社会保障制度審議会事務局長

○福田政府委員 すでにこれは各先生方に国会に対する報告書として、制度審議会の事務局から毎年お渡ししておりますが、これの昭和四十二年度の報告書の五四ページにもその答申が全部載せてありますし、いま直ちにですと、ざら紙の写しを持っておりますから差し上げてもけっこうでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 ちょっと資料等整備の関係がありますから、私はもう長くやりませんが、本会議が近づいておるようですから、お願いいたします。

保岡武久自由民主党

○保岡委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十四分休憩      ————◇—————    午後二時二十四分開議

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。太田一夫君。

太田一夫日本社会党

○太田委員 先ほどお答えをいただきました当時の自治大臣赤澤正道殿あての社会保障制度審議会の四十三年三月一日付答申案は、これは資料等によりますと、「定年制の導入により当該地方団体は人件費等の上に明らかに利益を得、その利益はその団体に限られるのであるから、再雇用に伴う減収補填のために必要があるならば、これは退職手当の割増あるいは私的有期年金等その団体の負担において処理すべきである。これを他の団体とプールし、被用者の拠出を加えた地方共済の負担に転嫁することは全く筋を誤まるものである。」としてあるのであります。私はこの答申というのは、実はこのたびの政府御提案になりました定年法案における再雇用制度の、その核心である収入確保のいろいろな方法について退職年金を考えたりする等のことは、この答申から見ますと、明らかに筋を誤るものであるといわれております。これに抵触するわけでございまして、好ましいことではない。しかるに自治省は、政府は、本法案の骨子としては、年金を受けつつ、安い再雇用賃金によって生計費をまかなっていったならどうかという、こういう筋道で立てられておるわけであります。いささかこれに問題があると思うのでありますが、あらためて大臣の御所見を承りたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 大臣がお答えする前にお説明申し上げますと、公務員が退職をいたしました際に、従来でございますと、地方団体に再雇用という道を開くという特例を設けません場合には、通常は自家営業をいたしますか、あるいは民間企業に再就職をいたしますか、あるいはまた非常勤の顧問とか嘱託とかいうようなことで公的な職につくとか、こういうことをいたしているわけでございますが、そういう場合には、年金を受けながらそういう職についているという実情でございますので、そういうかっこうの者を、地方公共団体に再雇用の道を開きます場合には、これらの人々の実態をも考慮いたしまして、ちょうど民間企業に雇用されると同じような状況で地方団体に再雇用されるということにいたすことが均衡を得てしかるべきではないのかというようなことで、今度の改正法におきましては共済組合法の特例を開かしていただきたい。そういうことによりまして、定年退職をいたした者を再雇用いたします場合には、これは共済組合の法条の上では公務員でないものとみなしまして、年金のつきます者はそれで年金を受けながら働くことができる、こういうことにいたしたのでございます。その結果といたしまして、五人以上の事業場に雇用されるというかっこうの者は当然のことと考えられますが、そういう場合にはその人たちには厚生年金の適用がある、また健康保険、政府管掌の健康保険なりあるいは組合健保に入るということが起こるわけでございます。この点に関しましては、こういうような案をつくりますまでに、いろいろな関係方面とも相談をいたしまして、いろいろな検討をいたした次第でございますが、これ以外の方法につきましても、いろいろな問題や考え方がございましたが、一応現在のところでは、将来検討事項ということで考えていくようにいたしたいということで、この案にいたしたわけでございます。社会保障制度審議会におきましては、その点につきましての御指摘が、いまお読み上げになりましたが、確かにございます。ところでそういうようなことは、社会保障制度審議会の答申の具体的、専門的なことはいろいろ書いてございますが、結局はそういう意味で定年制をしくというために、社会保険制度におきますところの区画と申しますのは、公務員は共済制度によってそういうことが考えられておるのであるから、再雇用の職員といえども公務員だから、その国の共済制度の中で片づけていくべきではないか、それがはみ出してきてと申しますか、そういうことで厚生年金が適用になりましたり、あるいはまた健康保険に加入したりするということになると、区画が変わっていくということになるとぐあいが悪いということの御指摘でございます。そういう場合には、退職手当の割り増しをつくるとか、有期年金制度によって地方団体の負担によってまず考えてみたらどうかというようなことが一つはございます。退職年金の割り増しということは、定年制というものは退職管理を制度的に合理化する制度でございますので、退職年金の割り増しということは、勧奨退職等によりましても優遇措置を講じておりますが、そういうものは今後とも講じていくべきものだと思っておりますけれども、ここに御指摘のありましたところの私的有期年金ということになりますと、これは共済制度におきましてはそういう年金を統一したという考え方に立っておるわけでございますから、当然また地方団体ごとに私的有期年金的なものをつくるということも、これまたその点でいかがかという問題もございます。  それから定年再雇用の場合に限らないで、広く一般的に共済組合員のままで年金支給の道を開くということも考慮していいじゃないかという後段の御指摘がございますが、この点につきましては、共済組合員であるといいますか、地方公務員として在職しながら年金支給の道を開くということでは、いわゆる在職老齢年金とか、そういう制度が厚生年金等にあるわけでございますが、共済制度につきましてはそういう考え方はまだ導入されておりません。したがいまして、共済関係にそういう道を開くということになりますと、またこれが国共、地共それぞれ関連がございます。関係方面との間での意見というものがなかなか一致しないわけでございます。そういうこともございますので、今回の改正案については、この法律施行の際に現に在職する者が定年退職する場合に限って当分の間暫定的に共済組合員でない者としての年金支給をするというようなことにさしていただきたいということで、改正法案を整えさしていただいているわけでございます。もちろん、こういう社会保障制度審議会等の御答申もございますので、将来ともにこういう御指摘の点は十分検討いたしまして、なるべくすみやかにひとつ解決いたしまして、社会保障制度審議会の御趣旨にも沿うような方向で整えていくことでぜひとも努力をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。こういう点では、その段階で再雇用する道を開くということに実はむずかしさがあるわけであります。これが退職をいたしまして民間企業なりその他に就職をいたします場合には、当然そういう意味では公務員ではなくなりますから、厚生年金の適用を受けたり健康保険の適用を受けたりすることになるわけであります。私どもは、その点の民間企業に再就職する者と大体均衡を得たところでやっていきたい、こういう考えでおるわけでございますが、その理由はいま申し上げたところでございます。そういう点について社会保障制度審議会の御指摘があったことは、御指摘のとおりでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 だから社会保障制度審議会がそのような答申をしたということを、それは答申はそうであろうけれども、現状においては背に腹はかえられないから、いまの御提案になりましたような法の趣旨にのっとって、ひとつ他人の財産であろうけれども、暫時拝借をしたいというようなお話だと思うのです。しかし私は、再雇用制度というものは、少なくとも制度として存続しようとしてこれからこれを確定される段階においては、やはりその再雇用の賃金は幾らかという問題、これは軽視するわけにまいりません。一番大事な問題です。民間の再雇用なら、たとえば七割なら七割という賃金を保障する。七割の賃金を保障するということは、これは再雇用制度の一つのみそでありまして、民間は何も雇用政策として再雇用の道を開くのではない。いわば新陳代謝という財政上の必要によって定年制を設け、財政上の必要によって再雇用制を設け、財政上の必要によって賃金を七割程度に押える。場合によっては六割程度のものもありますけれども、そのように低賃金に押えたのであります。そうすると、いま老齢者はすべて職を離れると貧乏でございますし、とても食べていけないから、そのお情けにすがって六割でも七割でもいいから何か働かせてくださいというわけで、鞠躬如として不当な労働条件であることを承知しながらそこに働くのであります。民間の実情というものはそういうものだと思う。その再雇用というものを、人権を尊重し労働権を尊重して、生活を保障する非常にりっぱな大道であると考えられますと、これは私は少々間違いだと思う。再雇用というものは民間はあくまで便法ですよ。再雇用しなければ定年制の引き上げをはからなければならない、ないしは、再雇用しなければ高い給料の人を安い給料の人と置きかえるわけにいかないというところに問題がある。これはそろばんです。打算です。あなたのほうの再雇用というのは何ですか。そこを聞きますが、あなたのほうの再雇用の倫理は何でございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 再雇用は、先ほど来申し上げておりますとおり、定年退職をいたしました者が、なお家族その他を養う等もございましたりいたしまして、さらに就職の機会を得たい、また地方団体側におきましても、そういう高年齢者にふさわしい特定の業務というものがあります場合に、そういう業務について一定の期限を定めて再雇用をするということをいたしますことが両方の要求を合致をさせるものでありまして、また定年退職後民間等に転出するということも起こりますけれども、長年にわたりましてその地方団体に就職しておりまして、そして多年の知識と経験を持っており、また通じておる、こういう能力のある人の多年の経験というものを生かして特定の業務に従事してもらうことが適切ではないか、そういう両方の要求を満たす、そして高年齢層にふさわしい職に、そういう要求があります場合に再雇用につとめてまいる、こういうことを考えておるわけであります。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それはやり方の問題であって、再雇用制の理念というのは、老後の、退職後の生活の保障というものと高齢労働力の活用という問題でありましょう。だからそういう面からいっても、これは安ければよろしいというそろばん勘定ではないと思う。ところが結果的には、表面はそういう言い分になるが、裏から見ればそろばん勘定に堕してしまうと思う。だからその点はいかがですかという理念問題をお尋ねしておるわけですが、どうなんですか。ほんとうに老後の生活保障であり、老齢労働力の活用という面が強く打ち出されるべきものでございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 年金を受けながら再雇用されるわけでございますが、再雇用をされる職種につきましては、いろいろ職種が考えられると思いますけれども、その職務に限って一定期間雇用される。したがって、その職務の内容に応じた給与を支給するということに相なります。結果といたしまして、それは本人の生活保障の資となることも当然でございます。また同時に高年齢層の活用という雇用政策全般の要求にも沿いながら、地方団体としてもそれによって大いに貢献をしてもらう、こういうことに相なるわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 「深刻化するこれからの老人問題」と題する経済企画庁国民生活局編集によるところの見解によりますと、「これから増大する老人層の多くは健康で働く意思と能力のある者で占められることになるが、雇用についての現在の制度や慣行と産業構造の変動は、これらの老人に対し望ましい就労の機会を容易に与えようとしないだけでなく、逆にこれまであった自営業等による就労の機会さえもせばめる可能性がつよい。」というふうに端的にずばりと分析をいたしております。これから見ますと、これからの老人層の労働力というのは、りっぱな、健康であり、意思も能力もある者で占められることになるという現実的な動態の観察をしておるわけであります。これはあなたのほうから見ると、何か単純作業に従事せしめるというような内容の仕事、ポストの説明がありました。だから推測をいたしますと、この地方公務員法の定年というラインに到達した者は、以後は、いかにも隠居仕事、こういうような概念に含まれるような気がするのですが、非常に経済企画庁あたりと、あるいは労働省、厚生省の考え方ともそうでありますが、自治省とは、老人の見方、定年の見方、あるいは高齢者の見方、その能力とか、あるいは健康とか、日本の経済社会に占めるところのその比重とかいうものの見方が全然違うというような気がしてしようがない。これはいかがですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 先ほど来申し上げておりますように、定年制の必要は、地方団体によりまして必ずしも条件は一様ではございません。そして新陳代謝の必要性も非常に強いというようなところは、人事も非常に停滞しておりまして、士気も沈滞しておるような場合が多いわけでございましょうが、そういうところにおきましては、やはり新陳代謝ということが定年制をしく上での一番大きな一つの行政能率の同上確保という意味で必要な要請としてあらわれてくると思うのであります。そういうことでございますけれども、個人的に、あるいは職種によりましては、なお十分働けると申しますか、十分に働く能力がある人が個人的にもございましょうし、職種によってもそういうことが考えられる。職種の相違によりまして、いろいろとそういう相違も出てくるわけでございますが、そういうものにつきましては、やはりそれ相当なかっこうでいろいろな条件を勘案しながら定年年齢をきめてまいる。きめてまいることは、必ずしも画一的でなくても、そのほうが合理的であるというような場合にはそういうことで、定年制というものは、職種によっては異なることもやむを得ないというふうに考えておるわけでございますが、結局はそうやってある定年、これは個人的な能力の差というものももちろんございますから、ある年齢に達しましても、なお若い人たちに十分負けないように働く人もございます。しかし平均的にいいますというと、人間の肉体あるいは生命、精神力というようなものは、一定の年齢以上になってまいりますと次第にその能力が衰えてまいります。そうして地方団体でございますならば、そういう人によるところの仕事の上での貢献度というものと、その人の得る給与というものの格差が非常に離れてまいる。同時にまた士気の沈滞、そういうものが起こってまいるわけでございます。そういうことで、ある職種ごとに全部画一的ということではございません。それぞれの実態に即しまして定年をしいてまいる。そういう場合にも、なおかつやはり高年齢層にふさわしい職種であるならば、なお働けるという人も相当出てくることは当然予想されるわけであります。そういう人がそういう気持ちを持っており、かつ地方団体にそういう職があるならば再雇用につとめてまいりたい、こういうことを申し上げておるわけであります。それは、いわゆる俗なことばでいいますと、一般の行政職で例をとりますと、全く壮年者等と同じように立ち働けるというような状態ではない場合でもなお働ける。多年の知識や経験を生かしながら、あるいはまたその豊富な人生経験を生かしながら働けるというような人には、それは肉体的にも精神的にも多少軽度なものであれば働けるという場合もございますが、そういうような方々に対しまして、それにふさわしい職種を用意いたしまして、再雇用につとめてまいる、こういうことを申し上げておるわけでございまして、そういう意味では、年齢のとり方その他についても議論があると思いますけれども、それにふさわしいやり方をいたしてまいるということでございます。なおかつ、そうやって高年齢層を公共団体としても再雇用いたしまして、その知識能力をなお活用する道を開く、そうして本人に対しての生活保障の助けにもなる、こういうことを考えることは、政府全体で考えておりますところの高年齢層の就労対策といいますか雇用対策と、私どもはそれに沿っておるものだというふうに考えておる次第でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 ことばは長いけれども、長野さん、あなたのお考えになっていらっしゃることは、再雇用が全部に必ず権利化していく、再雇用が権利化し、収入の低下ということがないという保障があるならば、あなたのおっしゃることもいい。しかし、再雇用ということは権利化しておらない、こういう点から私は心配するのです。働かないと生活に困るという条件を持つ老齢者というのは、統計によれば六十五歳程度で五四%、七十歳程度で二六%、このように非常に多くの方が老年層になって働かなければならぬという必要性に迫られておるわけです。それを五十七だ、五十八だというのは、いかにも民間の五十五歳に比べれば高いじゃないか、これだけの理由によって五十七、八の年齢に定年制をしくということは、いまの高年齢層の労働力を必要とし、しかもなおかつ健康であり、能力のすぐれておるといわれる人間の国体条件の発展ということから考えたら、私は無理な制度だと思うのです。  そこでちょっと角度を変えますけれども、昭和三十九年九月一日の閣議決定によりまして、何か中高年齢者の雇用促進についての連絡会議をお持ちになり、その当時、自治省の官房長、行政局長御出席になりまして、そういう高年齢層の労働力の有効活用ということをはかることは肝要であるという確認をされたことがあるわけです。そのときも、おそらく自治省の行政局長といえば、いまの行政局長のあなたは変わらないと思いますから、そのときに御出席になったのでしょうね。そういう点についての意見の合致を見ていらっしゃるのでしょうね。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 そこへ出席したかどうかいま覚えていませんが、仰せのように三十九年九月一日に、「官公庁等における中高年齢者の雇用促進について」という閣議決定がございます。自治省としましても、その閣議決定の方式に従いまして、中高年齢層の雇用促進にはつとめてまいるように、地方公共団体に対しましてもそういう指導につとめておるところでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私は、政府というのは少なくとも単一政党の内閣でございますから、そういうような、あちらの省はこう考えた、こちらの省はこう考えたとか、ある一角においては東へいこうとする、ある一角においては西へいこうとするような相反する基本方向が存在しておるということは、私は信じられないと思うのであります。そこで野田大臣は前たから、前の大臣のことはあまり関係ないというふうな話が、この定年制に関してはありまして、私は私の信念で出しました、前のときは知らぬ、赤澤さんのときは赤澤さん、野田さんのときは野田さん、長野さんのときは長野さん、こういうようなぐあいに、表札が異なるごとに一切何もかも違う、こうおっしゃったのですけれども、それでは不統一のそしりは免がれないと思うし、大臣の言明というのが、今日のこの法案について、これはこう考えておるから御心配なくとおっしゃったことが、次に大臣がかわったら、そんなことは知らない、野田さんは自分の信念でお出しになったのだから私のあずかり知るところではないと次の大臣がおっしゃったら、一切がほごですから、それは困ると思うのです。困ったことだと思いますが、ちょっとその前に、長野さん、これはどう考えておりますか。あのときも、たしか問題になったような気がするのですが、炭鉱の離職者というのがあって、炭鉱の離職者というのは中高年が非常に多いですね。その四十歳ぐらいの人たちを相当多量に官庁がかかえ込もう、こういう申し合わせをされた。ところが、その人たちが恩給の年限に達するのは六十歳ですね。そうすると、四十歳で六十歳ということになると、二、三年でみんな恩給がもらえなくなるでしょう。これはどうなんでしょうか。それは配慮があるのですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 地方団体におきましては、御指摘のように、中途から採用になったという職員も相当ございます。平均いたしまして、地方公共団体の職員で、三十歳未満のところでも、相当高いパーセンテージで出ていく者もございます。また逆に、中途から採用されるという者もあるわけでございます。これは個々の団体によって、いろいろ状況が異なります。したがいまして、そういう場合には、もう数年待たなければ年金がつかないというような場合がございます。年金受給資格を得るか得ないかということは、定年退職後の生活保障の大きな支柱でありますから、そこでいろいろと考慮されなければならない問題が出てくるということは、これは考えられるわけでございます。そういうことでございますので、そういうときにおいて、事情まことにやむを得ないというようなことがございました場合には、私どもとしては、地方公共団体におきまして、そういう経過措置と申しますか、特例的措置と申しますか、そういうものをしきまして、それが全体の新陳代謝なり定年制というものをくずさない範囲においてのそういう経過措置ないしは特例措置というものを考慮せざるを得ないのは、やむを得ないことであろうかと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それはたとえば、かつて離職者といわれた人で、昭和二十六年以来入っている者もたくさんあるわけでありますが、それが昭和四十六年にならないと二十年には達しない、こういう者もすべて特例措置で救っていくのだ、すべてそういう特殊な谷間におち込んでおる人たちは特例措置で拾うべきものだという統一見解でございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 私どもとしては、そういうことをいたすことが、全体の制度が円滑に施行され、また合理性があると思われる限りは、できる限りそういうしんしゃくは加えるべきものであろうと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それは、あなたのほうでは、であろうというふうに考えたが、地方の条例のことは、地方自治の原則に基づいて地方の団体がおきめになることだから、またわれわれとしては手を出すわけにはいかなかったといって、次の何かの国会において、あなたは、それは当然しんしゃくをすべきことであるし、恩給年限に達するまでは定年にひっかけてはならぬと言ったけれども、それは政府としてはそう考えたが、それは拘束力を持たないから、地方の団体においては、条例においてそれを救えなかった、まことに遺憾に存じますが、やむを得ないことでございますという答弁になっては困ると思うのですが、その点はどうですか、あなたの見解は。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 地方によりましていろいろ状況の差がございますから、一がいに申し上げることもいかぬと存じますけれども、定年制の実施というものは、中途から起こる問題でございますから、そういう場合に、円滑な実施をし、そのほうが合理性があると認められるような場合には、経過的な措置をとりまして、なるべく支障のないようにしていく。そのことによって定年制の基本がくずれてしまうということになることは、これは絶対に避けなければならないと思いますけれども、そういうことでない限りにおきましては、なるべくそういう配慮が望ましい、こう考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 望ましいということは、させるということでございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 そういう経過措置をとることが適当だと思われる場合には、私どももそういう趣旨での指導につとめてまいりたいと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 責任を持ってということばをつけ加えてもよろしゅうございますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 定年制の決定につきましては、いろいろな要素によって考えていくという問題でございますから、一がいに私どもがここでどうあらねばならぬということを断定するわけにまいりかねるわけでございますが、終局的には、地方団体が定年制の採用そのものについても自主的にきめるわけでございます。定年制を採用しないところももちろんあると思いますし、職種によって年齢の高下その他の調節をはかるところももちろん出てくる、そういうようないろいろな条件がございますが、定年制を行なう場合に、そういう経過措置というものをとりますことが適切であって、全体としても合理的である、そうしてそのことが定年制の基本に触れるようなことにならないというようなことでありますれば、そういうことの経過措置をとることは、私どもとしては十分指導につとめてまいりたいと思います。しかし最終的には、それは地方団体が自主的にきめる、その点での限界のあることは、ひとつ御了承願いたいと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そういうことになれば、局長、定年制というものの道を開くこともできるという三十一年法の体系にお戻りになったほうが正しくはありませんか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 今回の改正案は、御指摘のように、三十一年の改正法案とは表現において異なっております。しかしながら、これは午前中に公務員部長がお答えしましたように、今回離職に関する規定を整理いたしますと同時に、「離職の事由、手続及び効果については、法律に特別の定めがある場合を除くほか、条例で定めるものとする。」というようなことで、条例で設ける必要があって、条例で設けようとする場合はこうこうだということを書いているわけでございます。実質の内容においては、従来と考えが違うわけではありません。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 前回の三十一年法案におきましては、そのほかに職員の職種の特殊性、そういうもの、あるいは退職年金と一時金の制度との関連について適当な考慮が払われなければならぬという規定が入れてあったことの御指摘かと思いますが、これらについての考え方は、従来と私どもは変わっているとは思っていないのでございまして、そういう意味での指導には十分つとめてまいりたいと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 変わっておらないといっても、スタイルが変わっているのだから、あなたがそうおっしゃっても、やがて法律が施行された後においては、前よりも定年制を設定すべく、強制力といっては何ですが、基準というものは非常に強くなる。三十一年法も四十四年法も同じだとおっしゃるならば——同じだと言い切れるのですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 定年制を地方団体が施行することを必要と認めまして、施行いたします場合に、その定年制をしき得るような道を開くという意味では全く同じでございます。そこでこの条例を、法律の改正法のことばでいいますと、「条例で定めるものとする。」と書いてありますが、これは条例で定める場合には条例で定める。定年制を施行、そういう必要がある場合には条例で定めるんだということを書いてあるわけでございます。必ず画一的に強制をするということで考えておるわけではございませんことは、繰り返し申し上げておるとおりであります。表現は確かに変わっておりますけれども、事柄の実質は、定年制を設け得る道を開くという意味では同じでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 じゃあ労働省の住さんに、新雇用計画等を御諮問なさいました気持ちについて、もうちょっとお尋ねしておきたいのですが、定年制の延長、あるいは主婦の労働力、新しい労働力開発の具体的な施策のあり方いかんという御諮問をなさっていらっしゃるのですが、この中にあらわれておる感じというものは、方向というものは、主婦の労働力は新しい分野として開発されるべきであろうと考え、それに対してどうでしょうか。あるいは定年制の延長というのは、五十五、五十六、五十七等による定年制を、六十ぐらいまでに持っていこうとする意図だと思うのですが、そういう意味が言外に含まれておるのだろうと思います。これは別に書いてあるわけではないし、明らかにしてあるかどうかは別でありますが、労働省としてはそんなような感じで御諮問なさったものではなかろうか。いかがでございますか。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 御承知のように、非常に現在の労働力の需給状況は逼迫しておるわけであります。若年労働力の争奪合戦というようなものも非常に激しい状態になっておるわけです。ところが一方、たとえば中高年の労働、婦人労働力であるとか、また十分活用と申しますか、労働者のほうで十分働き得るにかかわらず、求人者のほうで必ずしもそれを働かせていない、こういうようなこと等々もございまして、将来の若年労働力の不足は強まる一方でございますから、そういうようなことも考えまして、経済の発展に伴って労働力の需要というものは今後伸びていくわけでございます。そういうことを考えて、現在の十分能力を発揮してない労働力を、どのように能力を発揮させていくか、こういうようなことが今後の大きな雇用政策のポイントになると考えまして、そういう意味で、たとえば十年の期間を限りまして、その期間におけるいろいろな条件、情勢の変化を考慮しながら、たとえばくふうのしかたによっては、従来は仕事に人を合わしておったというような傾向もあったのでございますけれども、仕事を変えてみて、たとえば中高年の人が働きいいような仕事の手順等、いろんな研究すべき分野が多いのでございます。そういうようなことを含めまして諮問をされているものと考えております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 さすがに労働省は、労働ということに対しては理解がある。厚生省は何に理解があるのですかね。私はもうちょっと新しい時代というものに理解をしてほしいと思いますが、厚生省にちょっとお尋ねいたします。厚生省のほうは、先ほどちょっとお尋ねいたしましたが、中央社会福祉審議会に老人対策を御諮問になりまして、現在の定年制が適当かどうか、老人に働く場をどうして提供したらよいか等の十項目の諮問をなさいました。そこで私は、厚生省は専門家ですから、ちょっと具体的なことでお尋ねしますが、最近健康で有用なお年寄りが非常にふえている、こういうことを大学の研究しておる先生が盛んにいろいろなものに書いているわけですね。私どもこうずっと見てみまして、老人ずいぶん多いですね。なかなか健康にして有用な老人が多いのです。それで聞きますが、気短かという現象でございますね。気短か、短気、自己中心、わがまま、偏狭性、こういう性格は老年型でしょうか、何型でございましょうか。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 これは若い人でも非常に短気な人もおりますし、これはちょっと……。

太田一夫日本社会党

○太田委員 私も今村さんおっしゃったように、若い人にも短気があるし、自己中心、わがまま、偏狭性等もあります。おっしゃるとおりにこれは中壮年型というものがこの型です。ですからおれはわがままだ、短気だ、自己中心だなんていうことがあったならば、おれは若いと見ていいですね。ところが老年型になるとどうなるかというと、理解力にすぐれ、推理力にすぐれ判断力にすぐれる、これが老年型なんです。これは立教大学の某教授のお書きになった本の中から出したのですが、私もそう思う。たとえば野田大臣なんか理解力、推理力、判断力がすぐれておるから、へたなことを言うと、この定年法というものが裏がわかっちゃうから、私はそう考えます、そんなことは知りません、知っておっても知らぬとおっしゃる。これはいまの推理力が発達し過ぎておるから、突っ込まれるだろうと思って、突っ込まれないよう用心をしていらっしゃる。これこそ推理力の一つのサンプルであります。りっぱな手本であります。年をとったからといって、理解力や推理力、判断力は衰えるものではなく、一番すぐれておる。こうなると私、年をとった人にほんとうに敬意を表します。少なくともこれから明治生まれで天下を掌握します。天下の大臣の仕事は明治生まれでやるでしょう。英語でMの時代です。Mの時代ということを考えないといけないのに、Sの時代、いわゆる昭和の時代という昭和生まれによってお役所を埋めようとする。長野さんが昭和生まれかどうか知らないけれども、この辺のところに大きな誤りがあると思う。  そこで私は厚生省にお尋ねいたしますが、老人対策の諮問には、そういう老人に対する評価というものが中心にあったと思う。いろいろなことを調べている間に、老人というものは尊重しなければいかぬ、隠居なさるという時代ではない、これは古い昔の時代だというふうに変わってきたのです。その辺の見解はいかがですか。

今村譲厚生省社会局長

○今村政府委員 お答え申し上げます。  老人問題について、さっき十項目と仰せられましたが、実は最近の社会情勢によって、老人の生活問題あるいは職業問題、家族生活の変化ということで、今後老人の福祉のためにどういう政策を持ったらいいかという一行だけのものでありまして、それに対して私が、いろいろな面から、こういう問題もある、家族の問題もある、あるいは職業の問題もある、いろいろ御説明申し上げたのが十項目ほどあった。問題はそれを審議会がどんなかっこうで、どのくらい分科会をつくっておやりになるか、これは月曜日に御諮問申し上げただけでありますので、今後の問題であります。もちろん、いま先生おっしゃいましたように、私どもは老人の福祉ということを考えておりますが、働けるだけ働く、あるいは引退して余暇を十分に楽しむということもこれは福祉でありましょうし、あるいは老人の医療問題をどうするかということも福祉の問題であります。非常に広範な問題であります。その一番最後に、一体老人の幸福とは何だという哲学みたいなものが当然あるんだろうと思います。これは審議会の中で心理学者も入っておられ、お医者さんも入っておられますが、イロハのイからもちろんいろいろ議論されると思いますけれども、ただおっしゃいますように、これがあれだということはそう簡単にすぽっと出るものではない。むしろそういう議論をしておる過程において最大公約数的に、いろいろな労働なり住宅なり衛生なりというふうな具体的な問題が積み上げられてくる。基本には哲学があると思いますけれども、いまおっしゃいますように、こういうものが老人の福祉の状態であるということは、一言にはなかなかそこまで言いにくいのではないかというふうに思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 いわばお役人さんなり政治家なりが、その狭き視野からと言ってはなんですが、それぞれの立場からものを考えるということでは間違いがあるだろうからというので、それぞれの審議会に御答申を求められるわけでありますから、私はそういうやり方は非常にりっぱだと言うのです。厚生省も労働省も経済企画庁も総理府も、みなりっぱであります。総理府もなかなかりっぱで、公務員制度審議会をつくった。ただ一つそれに反旗をひるがえしておるのが天下に名高き自治省でございます。だから私は自治省の考え方がわからないと言うのです。これはどう考えてみても、最後わからなくなってきた。労務問題の基本の理解力がないのは労働省の責任でしょうから、これは申しわけありませんが、ひとつ労働省は自治省の中に入ってきて、労働という問題についてもう少し皆をレクチュアして、洗脳といっては悪いが、教育のし直しをしませんと、これから労務関係においてトラブルばかり起こすのじゃありませんか。私は先ほどの文部省より、職員団体の自治労やその他とお話しになることは、すなおにお会いになりますから、これは敬服しますよ。りっぱだと思います。それはいいと思う。そういう点はさすがですが、その他のこと、この定年制をいと簡単にというか、いと強引に、そして融通がきかないですね、これに関しては。こういう出し方をなさったことは、労働の基本に対する認識が欠除しておると私は思う。欠除しておるけれども、あなたのほうはそうじゃない、そうじゃない、徹底的に同じ答弁を繰り返していらっしゃる。これは並行線ですね。大いに各省庁のそういう諮問等が行なわれ、老人問題とか定年制問題については考え直そう、何をしたらどうかという、こういう前提条件のもとに諮問を行なわれておるときに、自治省だけが勇み足をして、すみやかに定年制をしこうという考え方に立てこもっていらっしゃることは、ちょっと考え直していただきたいと思うのです。あすという日がないじゃなし、考え直してくださることを求めますが、私も時間はそういつまでもやっておるわけにはいかない。私ははっきりと皆さんが、この種の間違った取り扱いをして悪かった、あやまちを改めるにはばかることなかれ。私もここで協力いたしまして一応これで終わりますけれども、大臣、この労働の基本というのは、民間は労働協約で定年制をとるというのは、争議権の背景のもとに団体交渉でかちとるのですよね。その気持ちを考えて、労働者が一言の意見を述べるおりもなしに、一言の連絡もなしにやろうという考え方には、やはり何かしら独善的なにおいが濃いということを、私はあなたに考え直してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。これは答弁要りません。

大石八治自由民主党

○大石(八)委員長代理 次は門司亮君。

門司亮民主社会党

○門司委員 私は、まずこの問題に入る前にというよりも、むしろ基本的なものの考え方として、法制局長官に——法制局長官おいでにならぬとぐあいが悪い、先に聞かないと都合が悪いのです。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕  法制局長官見えましたので、最初に法制局長官にお願いをいたしたいと思いますことは、御承知のように、憲法の二十七条に労働の権利と義務と書いてあります。そうして、この法律を特に法制局の長官に私は聞かなければならないと思いますことは、単にこれは文理上の解釈だけでなくて、二十七条が憲法に制定された前後のいきさつです。これは、いま、当時の衆議院の会議録それから貴族院の会議録を読んでみましても、十分にわからぬところがある。そのことは、この衝に当時政府で当たられたのは、いまの人事院総裁の佐藤さんだったと私は覚えております。佐藤さんは人事院総裁ということで、どうもここへ来て答弁をすることは不適当だという、こういうあいさつがございましたので、その当時の事情をいま政府の内部で一番詳しいのは高辻法制局長官だ、こういうことで、ぜひ来てもらったわけであります。  そこで、問題になりますのは、当時、二十五条にあったのには、御承知のように、権利は書いてあるが義務は書いてなかった。この義務ということばを入れたのは衆議院の修正であります。それともう一つ、何かそこにちょっと、次のものに二字ばかり入っております。労働の権利の中に「休息」という文字が、これは衆議院の修正になっております。  そこで、当時、マッカーサーのほうからきた二十五条が二十七条となり、さらに、原案には労働の権利とこう書いてあった。このことをなぜ私は聞くかといいますと、いま、一応外国の憲法を見てみましても、ソ連の憲法の百十八条、ここにはかなり労働の権利について書いてあります。それからイタリアの憲法の四条には、日本のいまの憲法とほとんど似たようなことが書いてある。それからフランスの旧法にもちょっと私はあったような気がするのであります。新法を私よく見ておりませんので、旧法で見ると、あるように記憶いたしております。これはいずれも権利と義務ということばを使っておる。そうして、あの当時の会議録を読んでみますと、権利のところはいろいろ解釈がずっとされておりますが、義務の段階になって、政府の、金森さんですか、あの責任者の答弁というのがきわめてあいまいでありまして、まあ、ここで、権利に対して義務だということばが一般的に多いので、この憲法も前段に三カ所ぐらい権利と義務とくっついたのがあると思います、そういう意味で入れたのでございます、というような表現しかしていない。したがって、労働の権利と義務との関連が、その当時の審議の内容でどういうふうになっておったのか。これは衆議院の修正でありますので、法制局長官、そのときのことがおわかりだと思いますので、この際御説明を願っておきたいと思います。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 たいへんお待たせいたしましたことをおわび申し上げます。  ただいまのお話でございますが、おそらく、私、憲法制定の際、多少のタッチをしたこともございますし、確かにいま法制局の中でいえば詳しいほうだろうとは思いますけれども、先生より詳しいかどうか、はなはだどうも心もとないと思います。しかし、お尋ねでございますので申し上げますが、おっしゃいますとおりに、これは実は、提出された法案では二十五条一項になっておりまして、「すべて国民は、勤労の権利を有する。」というだけであったようでございます。さらにその前の案が、最近、いろいろ調査が進みまして、司令部内でいろんな案があったということも承知しておりますが、それは省きまして、それが衆議院における修正で、二十七条の一項に繰り下げられて、「義務を負ふ。」という規定が入ったことも事実でございます。  ところで、それがなぜ入るようになったかと申しますと、私の知る限りでは、社会党の当時の鈴木義男議員がこれを主張されたのが最初ではなかったかと、これは間違っておるかもしれませんが、そういう記憶でございます。わが国民の意識の現状では、義務を規定する必要があるんじゃないか。それから、それに関連してほかの委員の方から、全国民は働く場を与えられ、働く国民が安心して生活することができ、そうして働かざる者は食うべからずという経済の体制ができて、そういうような生活の体制が確立されてまいりましたのと相対応して、勤労に対する権利だけでなしに、より勤労の義務性をここに確立すべきであるという御議論がありまして、この憲法改正特別委員会で修正案が作成されて本会議に報告があった。その報告があった際の、したがって衆議院における最終的なお考え方、それは改正案の二十五条、新しい二十七条では、すべて国民は、勤労の権利を持つと書いたところで、勤労意欲ある民衆には勤労の機会を与えることを示唆いたしております。この勤労権は、ということを説明しながら、かように生活権の保障を規定する以上、他方に労働の義務を規定することが至当であるという意見に従って、原案に修正を加えて、「義務を負ふ。」という規定を入れることにしたのだというようなことが、この委員長の報告書の中に出ております。したがって、概して申しまして、ただいま門司先生が御指摘のようなことで修正が入っておる。  少し先ばしりますが、たとえばこの勤労権というようなことについての解釈につきましては、多少若干、当時必ずしも十分に把握していたかどうか疑問でございますけれども、ともかくも、勤労の権利に加えて勤労の義務が加わったというのは、いま申し上げたような経過でございます。

門司亮民主社会党

○門司委員 まあ大体そんなことが露かれておって、これは別に理屈がないのですね。人の名前を言うのは避けておきますが、発言された人の名前も私は記憶をいたしております。  そこで、問題になりますのは、権利と義務と書いた中で出てくる法解釈として、法制局では、この憲法に基づく権利というのが、いかなる権利に所属するかということですね。勤労とこう書いてあります。したがって、これが自由権に属するものなのか、あるいは基本権に属するものなのか、一体その点はどういうふうに解釈されておりますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 そこを、少し先ばしって申し上げるのもというところで多少におわしたわけでございますが、まさにその点は問題でございました。私の記憶によれば、この権利の性格として金森国務大臣が答弁された大体の傾向でございますが、それは、どちらからといえば、自由権的権利の性格を持つかのような御答弁がございました。当時私は法制局自体におったわけではございませんので、詳しいことを申し上げるわけにまいりませんが、法制局部内でも実は当時から、この権利の性格は一体何であるかという議論があったようでございまして、いわゆる社会権であるとか、あるいは自由権であるとか、いろいろ議論があったようでございますが、表にあらわれたところでは、金森国務大臣はこれを自由権として言っておられたようでございます。しかし、ちょっと先ほど触れましたが、委員長の報告では、いままでの金森さんの答弁にかかわらず、その性格を社会権的意味にとって説明をされているというところが一つございますし、それから現在私どもは一体どう考えているかということになりますと、これは金森答弁がございましたけれども、やはり社会権というふうに考えております。  ついでのことでございますが、一体裁判所はどう考えているだろうか、これはお尋ねではございませんでしたけれども、裁判所は、先生にはむしろ年次を申し上げたほうがよろしゅうございましょうが、たとえば昭和二十七年七月二十四日の東京地裁の判決、これはかなり前でございますが、「勤労権そのものは何等かの形における労働の機会の確保を政治上要請するにとどまり、特定種類の労働の機会を法律上の権利として確保するものではない。」というような判例や、それから大阪高裁判決、これは三十八年でございますが、それには「憲法第二七条第一項に国民は勤労の権利を有するというのは、国家は勤労を欲する者には職を与えるべく、それができないときは失業業保険その他適当な失業対策を講ずる義務があるとするものであって、国家は国民一般に対して概括的にそのような責務を負担し、これを国政上の任務としたのである」というふうな解釈を、裁判所のことでありますからどこの裁判所もそのとおりということは申しませんが、いままであらわれた限りではその解釈をとっております。内閣法制局も、先ほど来申し上げた先般の金森さんの御答弁ではございますが、そのような解釈をいまとっております。

門司亮民主社会党

○門司委員 どうもその辺が、この法律を見てみますと、あとで答弁は要求いたしますが、おおよそ定年制というものの定義の中には三つあるわけなんですね。これはいま自治省はどうお考えになっているかわかりませんが、その前段で法制的に聞いておきたいと思いますが、かりに労働の権利というものからくるものの考え方の中で、定年制の一つの形態としてわれわれが見なければならないものは、いまのお話のようにこれが自由権であるというように解釈をする、あるいはこれが社会権であるというような、あるいは基本権であるというような、いろいろな解釈が私はあろうかと思う。しかし、そういういろいろな解釈の上に立って、かりに定年制というものが認められるということになりましても、結局定年制には御承知のようにおおよそ三つの型があって、一つの型は普通定年制という形、これはいま長官が言った定年制というものについてはそういう自由権であって、したがって、これは自由権というよりむしろ社会権に属するほうが私は近いと思うのですけれども、社会保険というものが充実しておる場合には、いわばこういう普通定年制というようなことが考えられるというようなことに私どもは解釈したいと考えておる。それからもう一つの問題は、要するに強制定年、これはもうそういうことは一切おかまいなしに、年齢がきたらそれでやめるという、何らの配慮をしておらないという一つの型のいき方、それからもう一つは自動定年といいますか、定年はあるが、しかしその定年についてはまだあとに多少の再雇用の道とかなんとかいうようなものが考えられるというようなこと、大体その三つの型がいまあると思うのですが、その三つの定年制の型の中で、いまの自由権というように見てくれば、これが一体どこに当てはまるかということであります。あるいは社会権というような形に見てくれば、さっき申し上げましたように普通定年型という形で定年制はあるが、しかしその本人の生活環境には何も影響しない、それでよろしかろうというような形でこれが受け入れられる。強制定年の場合は、これはもう再雇用の道などはございませんので、結局どうにもならない。こういうふうに考えてきますと、いまの社会権に属するか自由権に属するかということは、この問題を決定する非帯に大きな問題であります。もしこれを先ほどから言われておりますように普通定年制だというように認めれば、日本の社会保障制度はそこまでいっておるかどうかということが一つの問題であります。それから強制であるという考え方を持てば、これまた本人の意思を一切考えないでやるという、おおよそ本人の持っている自由権とは違うという形の解釈が出てきやしないかと思う。第三の型——今度の提案は第三の型によく似ているというよりも、むしろこれをとっていると思うのです。自動定年という形をとっていると思うのです。したがって、この案の内容の中には、再雇用を認めるということになっておるわけであります。ところがその場合に問題になりますのは第一と第三の場合であって、第一の場合は全く生活が他の方法で保障されておる。第三の場合は他の面で保障されないで、再雇用の道が開いてあるという形が出ておるわけであります。  そこで問題になりますのは、いまの長官の答弁でもまだはっきりいたしませんが、一体これはどちらと解釈されるかということであります。これは自治省に聞いてもいいと思いますけれども、自治省のほうでは自分の都合のいいように解釈するでしょうから、法制局の立場からこれをどう解釈されるかということであります。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 あるいはいままでに門司先生の分類の中身が話が出ていたのかどうか私は存じませんが、いま伺った限りで、普通定年制の型と強制定年の型と自動定年の型というふうにおっしゃったようでございます。私、どうもいまいきなり伺って、どういうところに区別の重点を置いていられるのか、もう少し私が予備的知識があればわかるのでございましょうが、率直に申し上げて、どこがポイントであるか実は了解しにくくて困っておるところでございます。しかし先ほど来申し上げましたように、勤労の権利というものがまず自由権という考え方で政府当局の説明が始まっておった。しかしそれは大体修正されたものが委員長の報告にあらわれ、また裁判事例として出、また法制局が現在考えておるというのは大体そちらの傾向であろうとおっしゃいましたように、これを社会権だと考えております。そこでこの法案の定年制がいずれの型に属するかというようなことになりますと、先ほど申し上げましたようなことで、どうもにわかに自信のない結論を申し上げることになってしまいますので、そのいずれであるかということは御答弁を控えさしていただくようお許しを願いたいと思いますが、何かその面で変わった言い方での御質問でもあればまたお答えさしていただきたいと思います。要するに、どこにその三つの区別の重点を置いてお答えしたらいいかということに迷っておるということで、その点はあしからずお許し願いたいと思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 私が聞いておりますのは、さっきの長官の答弁で、金森さんは明らかに自由権だと言っているのですね。会議録にははっきりそう書いてありますね。その前後は多少あります。前後は多少ありますが、ことばの中にははっきりそう書いてあります。ところが、これを社会権として認めるということになりますと、そこに私は、もし型の中に入るとすればどこに入るかということの疑問が出てくるのですよ。これは社会権というのは、一つの形の上からいいますと、何といいますか、個人の自由意思と離れた一つの問題が考えられはしないかということであります。そこから労働の権利があり、さらに義務があるということばがその辺のことばで——どうも私はあの会議録を読んでみましても、金森さんが自由権だと言われたところに多少疑問を持っているのです、あとのやりとりの中から読んでみますと。こんなところでこんなことを言われたのはおかしいなと思うようなところがありますけれども、これは二十年も前のことですから、いまさらただしてみてもしょうがないと思うのですけれども、どうしてもわからぬのはそこであって、社会権であるとこれをはっきり言い切ってしまえば、これはその社会権に対する労働の権利あるいは義務というようなものが必然的に生まれてきて、普通定年といいますか、でよろしいのではないか、当てはまるのではないか、いわゆる定年制というものを一応認めて、しかしそれはいつでもやめられる、ある程度の幅を置いていつでもやめられる。これはあとの定年のしかたは別でありますが、外国の例を見てみますと、いろいろそういう御議論がございます。何歳から何歳までという定年には幅のあるものがある。それがこういう規定がとられておって、本人が社会保障で困らないと思うから、自分でその期間の中ならいつでもやめられる、こういう規定のある外国の例がございます。ところが今度の場合はそうではなくて、さっき申し上げました第三の自動定年の式がそのままここに書いてあるのであります。定年は一応何歳とするが、あと臨時雇用をして何年か使うというようなことが書いてあるのでありまして、そうなってまいりますと、金森さんの言われた自由権というものとの違いが少し私は出てくるような気がするのですね。自由権であるならば、当然第一の型に当てはまるのじゃないか、私はそれならそれでよろしいと考える。その辺の意見を実は法制局の長官に私は聞きたかったのでありますすが、その点はどうですか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 門司先生のおっしゃいますのは、自由権と考えるか、あるいは社会権と考えるかによって、定年制のあり方にどういう影響を来たすかというようなふうに思うわけでございます。だんだん伺っていてそういうことだと思いますが、われわれから見ますと、勤労の権利というのが自由権と見るかあるいは社会権と見るか、そのいずれと見るかによって、この定年制というものが憲法との関連において、たとえば許されるか許されないかというような問題になりますと、これは自信をもってお答えできるのでありますが、こういう制度の趣旨からいってどの形がいいかということになりますと、これはいろいろな形が私はやはり考えられると思います。したがって、そういう性格からいって、定年制のあり方がこうでなければいけないということは、やはりだんだん御質問の趣旨はわかりましたけれども、これは私のほうから断定はできないと思います。要は、かりに社会権と見た場合に、本件の定年制というものがその社会権との関連において憲法上どうであるかということになりますと、この法案はわれわれが当然責任をもって審議し、内閣の閣議でもって決定をして国会に提案しておりますので、そういうことであれば自信をもってお答えをいたします。これは結局、勤労の権利というものの現在的性格から考えまして、少しでもその辺に問題を生ずる余地はないということを申し上げることになりますが、御質疑の趣旨からいいますと、それで御満足だと思いませんが、そういう性格からいってどういう型がいいかというのは、私どものほうからいいますと、そこまで申し上げることは少しどうかと思います。これはもし必要があれば自治当局からお聞きを願いたいと思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 政府の法律案の責任者ですから、自信がないとは言えないでしょうからね。自信のないものを出しましたとは言えないでしょう。私は、どう考えてもその辺がどうも不明確になっておるということです。さっき申し上げましたように、定年制の型というのは、私は大体三つの型にしぼられるのじゃないかと思います。これは世間の通例でそういう形になっております。そこで、どうしてもこれが金森さんの言った自由権だと見れば見られないこともない、あるいはこれを社会権と見ればこの法律でよろしいのだというような、どうもその辺が何だか私には少し割り切れないのですよ。もう少しこの面は明確にしておかぬと労働省にあまり聞けないのですよ、実際は。  ここからくる問題と、したがって、もう一つの問題は、権利と義務の関係、定年制というものが一つの勤労の義務というものについての限界をこれで押えているわけなんですね。自由権だとすれば、やはり当然こういう定年制なんというものは設けることがいいかどうかということ、これは法制局長官のほうがよく知っている。私が考えているのは、あの審議のときにはっきり言っている。ところがこれが自由権だというふうに解釈してくると、その次の義務の問題と衝突しやしないか。あなたのように社会権だ、これから先はちゃんと生活保障ができているのではないか、だからこの辺でやめてもらっても人間の生きていく基本権には差しつかえないのだ、そして社会がその責任を持っているということなら、それはそれでいいかもしれない。しかし自由権であるということを自治省の大臣か何か言われたのではないのですか、この委員会で。そんなことありませんでしたか。私はそういう記憶があるのですが、これは労働の自由権であるということ、自治省、そう答弁しているでしょう。そこは自治省がそういう答弁をしているということになると、この点はどうしても明らかにしておかぬと、いまの高辻さんの答弁と全く食い違っておるということになるのですよ。それできょう高辻さんに来てもらったのです。その辺、ひとつもう少し意見をそっちでまとめてくれませんか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 お答え申し上げます。  どうもいまそばで聞いておりますと、それらしきこともあったようでございます。それはあらためて申し上げさせていただきますが、これはフランクに、私も、言ったらしようがないからそれをあくまでも守ろうということをいたすつもりはございません。確かに門司先生おっしゃいますように、よくお調べのように、この勤労の権利の性格いかんという問題は、これは確かに最初よくわからなかったというのがほんとうだったと思います。それでいろいろ御質問があって、そして、むろん金森さんの御答弁の全部を覚えているわけではありませんが、どちらかといえば、やはり自由権的な性格のものとしてお答えしておったことは明らかなことでございます。そういうことで、これは法制局長官というよりも——当時の憲法担当大臣でありましたので、おそらく自治省もそれに敬意を表してそういう趣のお答えがあったかもしれないと思います。しかし同時に、この性格は確かにいろいろ議論をされ、憲法がそういう意味でも解釈上の定着をするまでにやはり時間がかかったと思いますけれども、その間にもいろいろ議論があり、先ほどの、立法者としての国会の衆議院における委員長報告には、すでにそこには社会権的なニュアンスの説明文がございますし、それから何よりも、その後の裁判判例ではこれをれっきとした社会権的に取り扱っております。そこで私どもはさらにそれをあえて否定をして、そしてあくまでも自由権であるというふうに突っ走るのも一つの手でございましょうけれども、それはやはりこういうものでございますので、社会権と見るのがふさわしいのではなかろうかということで、まことに内輪の不統一を暴露して申しわけございませんが、私はそういう線に立って申し上げたわけでございます。現在そういう、最高裁の判例ではございませんけれども、地裁ないし高裁におけるそういう解釈が出ておりますことでもございますし、ひとつそういう線で解釈ができますように、自治省にも実は何かいままでの経緯があるかもしれませんが、これは法制局のほうに預けていただいて、そういう線でひとつお答えさせていただきたいと思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 私は、この問題を審議するにあたりまして、基本的の問題として確かめておきたいというので、私自身も憲法の二十七条のくだりをずっと、貴族院と衆議院との会議録を全部一応読んでみましてそういう疑問が出てきたのですね。ところがたまたま自治省では、これは自由権だという発言をいたしておりますので、これは少しおかしいということでお聞きをしているわけでありますけれども、その辺の事情がもう少し明確になりませんと、私はこの種の問題については、権利と自由と書いてありますところに、こういう法律を出すものじゃないという解釈を実は持っているのです。一つの社会権であるとすれば、それは出す時期がある。いまのような十分社会保障制度の行き届いていないとき、ことに年齢層から見て、いま自治省が考えておりますのは非常に若いのであります。これは自治省で調べてもらえばすぐわかるのだけれども、外国の定年制の年齢を見てごらんなさい、五十五だの五十八だの、どこの国でありますか、ほとんど全部といっていいほど六十歳をこえて、あるいは七十三歳、七十五歳なんということですね。さっき申し上げました幅のあるものについては、六十歳から七十五歳くらいまで幅がある。そしてやめても自分で十分に生活の保障ができるというときに、いつでもやめてもよろしいというこういう形のものができております。そういうことを考えてまいりますと、どうしてもここで自治省のいった自由権に属するものだということでこの法律を審議するということは非常に私はむずかしいと思う。法制局としてはやはり、さっき言いましたように、あなたのほうが大体責任者ですから、これは何といっても政府の法制局長官というのは法律の作成には全責任をとっているわけですから、あなたのお考えと自治省の大臣のお考えとが違うというような法律は、この際やめてもらいたいと思うのです。実際はここで審議する前に、そこでまとめて審議してもらいたいと思うのです。そうすれば私ども審議のしようがあると思うのです。これは非常に大事なことです。  そこで、労働省に来ていただいておりますけれども、したがってここから出てくる労働の権利というものに対する見方が具体的な問題としてどうなるかということであります。これがかりに自由権であるとするならば、法制化することは誤りであります。やはり本人の自由意思という形態をとるか、もう一つの形態は、少なくとも当該担当者と、被害者というと悪いのでございましょうが、対象になる人たちとの間の話し合いの中からこれがきめられるというなら、まあ私はよろしいと思う。今日の労働基準法その他の中にこういうものは書いてないのですね。定年制がないわけじゃありません。幾つかの職種に定年制がありますけれども、これは少なくとも大学の教授であるとか裁判官であるとかいうような特別職の諸君に対しては一応定年制を設けております。しかし一般の勤労者に対しては、労働法のどこをひっくり返してみても定年制を設けなければならぬというようなことは書いてありませんし、またこういう労働の基本権が自由権である限りにおいては、そういうものを設けるべきではない。それはお互いが話し合いの中で、そして自分の意思に基づいてきめる筋合いのものである。本人の意思に反して法律でこれをきめなければならぬということは私には考えられません。したがっていまのお話をひとつ、ほんとうに社会権であるのか、こうした自由権であるのか、もう少しあなたのほうの意見のまとまるまで、委員長どうですか、これを一応たな上げしておいてもらいたいと思うのですが。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 ただいまの門司先生のお話でございますが、勤労の権利というものの性格が何であるかということは、おまえの考えはどうかといえば私どもお答えするわけでありますが、これは政府が決定するしろものではむろんないと思います。しかし先ほどからお尋ねにありますように、いままでの経過を見まして、つまり憲法議会の経過を経まして、あえて言えば解釈の定着と申しますか、いろいろな議論、またいろいろな学説もあり得ると思いますけれども、私どもが本件に関して考えますのは、最高裁の二十七条についての判例はまだ出ておらないと思いますが、ただいま申しましたような裁判所の考え方、これを私どもは誤りだとは思えません。やはりそういう考え方に二十七年、三十八年——先ほど御紹介申しました考え方、これは司法府でもとっております考え方でございますし、再々申しますように委員長報告にもそういうことが立法者の意思としても出ておりますので、私どもはそれがこの勤労の権利の性格を考えるについて最も正当な考え方と考えていいのではないかという考えに立っております。ただいま門司先生は、自由権であればこの定年制というものは相いれないのではないかというようなお話でございました。これは自由権とした場合にはたしてそうなるかどうか、決定的にそうなるかどうかはやはり疑問だと思いますけれども、先生は、社会権として考えればこういう考え方もあり得るかもしれないというような余地を残されているようでございます。ところで、先ほども申し上げましたように、いままでの御説明の中に自由権として申し上げていたくだりがあるとすれば、これは金森さんが言っていたことでもございますし、そういう一つの考え方もあったというふうな意味におとりをいただいて、そして、ただいまも自治大臣とここでお打ち合わせをしておりますが、法制局の審議に当たった当局の考え方に預けていただいて、その考えでいくようにするということをおっしゃっておられますので、ぜひそれを統一見解としてお聞き取りを願いたい、こういうふうに思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 実はこの問題を私は非常に重要視しているのであります。なぜ重要視するかというと、この大臣の説明書を見てみますと、一般の企業にみなあるから、こう書いてある。しかし一般の企業にあるのは法律じゃありませんよ。みな話し合いでこしらえているのでしょう。労働省に聞いてみても、こんな定年制を設けなければならぬという法律はどこにもありはしない。設けてもよろしいという法律はどこにもありはしない。これはあくまでも労働者の自由権に属するものとしてお互いの中で話し合いをして、そしてこれがきめられているということですね。ところが大臣の説明書によると、一般の企業にもあるのだということになりますと、いま申しましたようなことを言わざるを得なくなる。とにかく全然形態が違うということですね。一般のこういうのにありますのは、事実上の問題として私がさっき申しました第三の型、第一、第二の型でなくて第三の型をいっているのであります。実際は日本では第一の型は不可能であります。これは公務員の諸君がかりに年金制度がありましても、年金だけで生活ができないということになれば、自分の都合のいいときにというわけにはなかなかいかない。しかしこれにもやはり一つの定年制というものがしかれておりまして、そういうことが全部配慮されている。そしてその年齢に達すれば、自分が安心して生活のできるという年齢と例の定年制との間の間隔がなくなればいつでも自動的にやめていくというのが、先ほど申しました幅のある一つの定年制の考え方であります。何年に達して、何年までの間に自由におやめなさい、それはあなたのほうでかってにおやめになってけっこうですよ、いわゆる退職を拘束しないという、一つのここに権利と義務が書いてありますからね。退職を妨げない、それは自由におやりなさいというのは、これは第一の型でよろしいということです。しかしそれには社会保障といいますか、それが完備しておらなければ、そういうことはなかなか出てこない。しかし、いまここで求められておりますのは、この第一の型でも第二の型でもありません。第二の、強制的に何でもかんでも定年が来たらやめろ、再雇用は一切しないのだというような型ではないようであります。そして、第三の型と言われております、いわゆる自動定年制をとっておるようでございます。これは三つに分類するとそういうことになると私は思います。そこで、どうしてもそこから出てくる問題として、この大臣の説明書と考え合わせてみますると、ここにはっきり書いてあるでしょう、これは。地方の企業体その他にあるようなことがはっきりと法律に書いてあるのであって、したがって、問題になりますのは、そういう地方の企業体その他にいろいろなものがあるから、これを法律に定めるということになりますと、これが一般の労働者にどう影響するかということですね。だから、私はこの問題は、基本的に申し上げてまいりますと、率直に言うけれども、こういう法律はやめて、そしてむしろ労働組合との間に話し合いを進めて、そうして問題を円満に解決しなさいということのほうが、法律できめるのなら、それのほうがこれはよろしいと思う。私は、労働省に聞けばそうおっしゃると思うが、これは労働省どうお考えになりますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 先生御指摘のごとく、民間におきましては、労働条件全般につきまして、労使の話し合いによりまして、いわゆる団体交渉によりまして、労働協約を締結をして、それによってきめるということに、たてまえとしてなっておるわけでございますが、それに対しまして、たとえば国家公務員あるいは地方公務員等につきましては、法律によりまして労働条件の基準をきめる、あるいはまた地方公務員につきましては条例によってきめるというようなたてまえになっております。ILO等の議論におきましても、たとえば法律によって労働条件をきめるというようなところにおきましては、争議権との関連におきましても、法律保障があれば、争議権の禁止というものも場合によってはあり得るという考え方をとっております。そこで、労働条件という角度から見ますというと、民間は労使交渉、団体交渉によってきめる、公務員等につきましては法律、条例等によってきめるというようなことが日本の法制のたてまえでございますとともに、世界的にもそういうものも非常に例が多いというふうに私どもは理解をいたしております。

門司亮民主社会党

○門司委員 問題は、いま労働省からの答弁ですけれども、労働者の持っておる基本的の、さっき申しました権利と義務というものの間から生まれてくるものについて、特殊な職業でない限り、労働者に対して、一体、法律、条例だと言われるけれども、法律、条例できめてよろしいかということであります。特に私はこの機会に、これは一番あとで申し上げるほうがよかったかもしれませんが、聞いておきたいと思いますことは、法律、条例と言っておりますけれども、法律できめようとするということについては、さっき申し上げました労働の自由権である、あるいは社会権である、いずれの権利にいたしましても、憲法で明らかに労働者の持っている一つの権利であると書いてあります。労働の権利です。その中で一番大きな問題が、何といっても働く期間であります。賃金も問題でありましょうし、待遇も問題であることには間違いない。しかし働く期間というものは、その人に対する最も大きな労働の権利をなくする一つの問題でありまするから、したがって、この公務員法を制定いたします場合においても、これは分限令には入れられない、分限ではないということになったのです、実際は。これは労働者の権利に反する、したがってあらゆる権利を喪失するのだということで、分限令には入れられない。したがって、自治省も先ほどの答弁では、分限ではないということを答弁しておるようでありますが、分限でないとすれば、問題はどこにあるかといえば、結局本人の自由権に基づくものを束縛することが法律でできるかどうかということなんですね。これは社会権にいたしましても、自由権をそこなうでしょう。私が法制局長官に聞いても、そこのけじめがはっきりしないのです。法律できめられるかどうかというようなことは、これはどっちかにぴたっときまっていれば、それならこういう法律でよろしい、法律はこういうことでよろしいということは言えるかもしれません。私はどう考えても、自由権の中から考えてみると、法制化することは生まれてこないのですね、実際は。たとえば今日の労働法をこしらえるときにもそういう意見でなかったかと私は思うのです。もしそれがほんとうにさっきのお話のように、自由権であるとしてのものの考え方なら、当然一般の企業にもこういう制度があり得たと私は思うのですよ。それからまたかりに、それは法律で何歳ということはきめなくても、労働基準法の中に一つの労働条件としてこういうものが入れられたと思うのです。入れていないというところは、結局はやはりこれは一つのそうした見方ではないというたてまえをとっておるということです。そういうふうに私は解釈すべきじゃないかと考えておる。  そこでいまの労働省の意見ですが、民間の——民間というか、一般企業に定年制がしかれておることは事実でございます。しかし、これはほとんど全部と言っていいほど労働協約以外に何もないでしょう。民間は労働協約でできるが、少なくとも政府あるいは国家公務員、地方公務員は協約の中ではできないというどこにか根拠がございますか。協約でやってはならないという問題がどこにかございますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 御指摘のごとく、民間におきましては、労働条件その他につきましては労使の間の協議、普通団体交渉になるわけですが、それによりまして合意されれば、労働協約という形によって規律をされる、こういうのが一般になっておるのでありますが、国家公務員等につきましては、たとえば労働条件の非常に大きな問題であります賃金、給与というものにつきましては、国家公務員は、たとえば給与法によりまして決定される。ただし給与法の決定につきましては、人事院という第三者機関がありまして、これが民間賃金との比較、生計費等の計算をいたしまして、勧告をし、それを受けて給与法の改正が行なわれるといったようなことになっております。労働条件全般、まあ勤務の期間等も労働条件の一つだと思うわけでございますが、そういう労働条件につきまして、民間とそれから国家公務員、地方公務員と違います点は、法令によってそれをきめていくというところ、と同時に、その法令というものは、国会という国民の代表、国権の最高機関で御審議を願ってきめられる。その法律で定められるということになっておりまして、したがって、民間とそれから国家公務員とは、その労働条件、賃金といったような勤務条件のきめ方が違っておる。そうしてそれが適当な制度であるということが一般的に認められるというのが現状でございます。ただその中間におきまして、たとえば国鉄とか専売とかいったような公共企業体におきましては、団体交渉によってきめるけれども、最終的には公労委というような第三者機関がきめていく。その仲裁裁定が出た場合の取り扱いというものも法律の規定があるというような、中間的なきめ方というものもございますけれども、大きく分けますと、民間と、国家機関あるいは地方公共団体の機関の労働条件のきめ方の原則は、団体交渉によるか法令によるかという分け方になるということでございます。

門司亮民主社会党

○門司委員 お話はそのとおりだと思いますよ。しかし、人事院を設けたのは何のために設けたのですか。これには何もないのです。条例できめればそれでいいのですよ。全く第三者もなければ何も介在を許さないのです。法的に、これは地方の公平委員ですか、等に聞けなんということはちっとも書いていないのです。これは条例できめれば、それでよろしいのです。これはほんとうに形の上からいいますと、地方の公務員の諸君はものも言えない。だれにも相談しなくてもよろしい。長が出して議会が承認すれば、それが自動的にこういくんですね。緩衝地帯がどこにもないのですよ。問題はそこにあるんですよ。百歩譲って、こういう条例をきめるとなれば、労働条件としては非常に重大な問題ですから、個人個人にとったらえらいことなんです。首切りをちゃんと法律なり条例できめられることですから。地方にも公平委員会あるいは人事委員会というような機関がちゃんとあるんですね。この法律だけをこのまま読んでみますと、そこには何も関係ない。そういうところに問題がありはしないか。定年制をきめる場合には、ほかの労働条件と同じような取り扱いをするというようなことが考えられるが、ここには何にも書かないで、議会でこれをきめればいい。これは、いわゆる地方の公平委員会とかあるいは人事委員会の規則でもなければ何でもないですね。そして、条例は個々の法律と同じ効力を持つということですね。私どもそこに不安があるし、公務員の諸君も、自分たちの救済の余地は何もないんだというようなことで、ものが片づけられてはたいへんだと思うのです。  それからもう一つ労働省に聞いておきますが、先ほどから法制局といろいろ議論しておりますように、この権利がどこに所属するかということが明確にならないと、法律をこしらえようにも私はなかなかむずかしいと思う。そこで、労働省は一体これをどういうふうに見られますか。自治省は、間違っておっても何であっても答弁のあったことは事実でありますから、私はそれでよろしいと思うが、労働省はこれをどう見ますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 憲法二十七条の勤労の権利を有するという、その勤労権というものの性格がどうであるかという憲法解釈になりますと、政府部内の最高の権威を持っておられます法制局長官がお答えになりましたので、私どもとしてそれ以上に申し上げる能力もございませんし、余地もないかと思うのでございますが、ただ、二十七条におきますそのような規定の精神を受けまして、労働省の行政の面におきましては、たとえば職業安定法であるとかあるいは雇用対策法、失業保険法、失業対策法といったような一連の雇用対策のための立法を行ないまして、それとまた事実上のいろいろな制度、たとえば雇用促進のための融資の制度あるいは職場適応のための訓練の制度あるいは移転就職者のための住宅の供給の制度、そういうようなものをやっておりまして、そういう一連の政策が、ただいま法政局長官のおっしゃいましたこの二十七条の解釈をもとにいたしましても、その精神に即した施策であるということは、はっきり申し上げることができると思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 いままでにいろいろなお話もありましたけれども、問題の焦点は、これが社会権に属するか自由権に属するかというような解釈がつけば、おのずから私は話がしやすいのであります。しかし、これがどっちだかわからぬようではなかなか話がしにくいものですから、さっき委員長に申し上げましたように、もう少し時間をかしてもらいたい、というよりもむしろ、政府に少し時間を預けて、はっきりした答弁をしてもらいたい。われわれは、あてがわれたというと語弊がありますけれども、提案されたものを審議する立場でありますから、審議をするのには、やはりある程度納得がいきませんと、審議の過程であいまいであったけれども、何かしらぬがこれで通ったんだというようなわけにはまいらぬ。いままでは法制局長官が全責任を負って一応国会に提案された。それは国会まででありまして、これからこの法律が国民に作用する責任はわれわれにあるのであります。したがって、われわれはその間の事情が十分でなければ法律をきめるわけにはいかぬということですね。何も法制局長官をいじめるわけじゃありませんけれども、おのおのの立場がそういうことである。したがって、私どもの審議の過程で、いま労働省から御答弁はございましたけれども、これらの問題は一つの社会保障の問題であって、そしてそういう問題が十分行き渡っておる時期であるならば、ある程度ものの考え方もできるが、まだそれはほんとうにはっきりしておらないのでありまして、十分とは私どもは言いがたい。そういう時期にこういう法律が、しかも一方的にきめられる。救済の場所はどこにもないということであります。第三者にも実は話しておりませんし、いま法律全体ができてしまいますと、あるいはこれは労働条件の範疇に入るんだということで、人事委員会に諮問するとかあるいは公平委員会に諮問するとかいうような技術的なことは、おのおのの自治体でやればできると思いますよ。そんなことは、いままでの自治法を読んでみましても、どこを見ても、やろうと思えばやれる道は開かれるかと思いますが、しかし、そういうことはこの法律の内容からは出てこないのであります。  そこで、話はもとに戻るようでありますが、この問題についての基本的なものの見方としてその次に出てくる問題は何であるかといえば、こういう法律をこしらえた場合に、これが一般企業にどういう影響を持つであろうかということです。これは一応労働省に聞いておきたいと思います。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 私どもが承知いたしております限りでは、定年制というものが国家公務員、地方公務員等につきまして従来なかった。もっとも裁判官とか検察官とかいうものにつきましては定年制があったわけでございますが、官公庁と民間とを比べますと、定年制というのは民間において古くから定着した制度であったというふうに考えております。私どものほうで把握いたしました実情からいたしましても、中小の規模におきましては必ずしも定年制を持たない企業もございますが、大企業におきましてはほとんどすべて定年制を持っておる。ただその定年制が、従来五十五歳というのがほとんど全部であったのでありますが、最近の労働力の需給の事情といったようなものから、五十五歳から五十七歳に上げる、八歳に上げるという傾向が最近とみにあらわれてきておるということでございます。どちらかといえば定年制というものは民間先行でございまして、官公庁のほうが、比べてみればあとから行っておるという感じでございますので、これを定めましたから、直ちにそこで民間にどういうような影響を与えるかということについては、あまりないのではないかというふうに考えられます。

門司亮民主社会党

○門司委員 いまの労働省の答弁ですけれども、民間が先行したといいますけれども、国家公務員、地方公務員になかったということは、これは政府の説明書か「要望」の中にも書いてありますが、退職時の条件が実際は民間よりもずっといいのです。そこで、そんなに強制的にやめさせなければならないという必要はあまり感じなかったのではないですか。これは議論があまり長くなりますので、いたしませんが、もう一つ聞いておきたいと思います。  地方公務員にこの法律ができる。そうすると、国家公務員に対して労働省はどうお考えになりますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 たいへんむずかしい御質問だと思うのでございますが、地方公務員のこの制度におきましても、法律で一律に定めるというのでなくして、定めようとする場合は条例で定められるということだと理解いたしておるのでございます。地方公務員を全部一律に定めるというものではございません。国家公務員につきましては私ども所管ではございませんけれども、現在のところ定年制の必要は考えていないというふうに聞いております。

門司亮民主社会党

○門司委員 いまのお話ですが、必要があるとかないとか言われるし、これは法律はできても条例だから、こう言われるのですけれども、条例であるということは法律にそのとおり書いてある。だから、私どもそのつもりで議論しているのです。問題は、地方の自治体の公務員についてこういう条例がかりにもできてくると、いまの日本の法体系から見ますと、すべて地方の公務員は国家公務員に準ずるというのが大体たてまえなんですね。そこで私は聞いているのであります。労働省の所管としてではないのだ、これは人事院だといわれるかもしれない。しかし労働省は何といっても一つの所管ですからね。そして、これができてくれば、いずれ労働省所管になることは間違いないのであります。したがって私は聞いているのでありまして、何もここで法律をこしらえたって、地方でこしらえるかこしらえないか地方の自由だ、これは私はそのとおりだと思いますよ。それを侵されてはかなわぬです。私はそんなことを言われることがおかしいと思っておるのですよ。いまの自治体の仕事に国が、人事権その他に対して命令したり、あるいは指揮したり監督したりすることはできないことなんです。法律できめようと思ってもきめられないことなんです。これはどういうことなんですか。いまの憲法のたてまえからいけば、きめようといってもきめられないでしょう。地方の公務員は全部何歳で首切ってしまえなんということは法律できめられますか。これは自治体の運営の最も大事なところであって、憲法の九十四条には明確に「行政を執行する権能を有し、」と書いてあるのです。「行政を執行する権能を有し、」という九十四条の規定は、明らかに自治体の独立性を認めているのであって、政府は、よけいなことですけれども、ときどきこの憲法を侵します。同じ九十四条に「その財産を管理し、」ということがあるのだけれども、ことしは何か交付税をたな上げするような、あるいは大蔵省にこれを貸されて、そしてしかも年度を越えて返済することができるというようなことは、これは明らかに憲法を侵していると思うのだけれども、この間そんな法律ができましたが、労働省もその点はひとつ考えていただきたいのです。いまお話しのように、法律できめることではないんだ、これは自治体がきめることなんだというのはあたりまえのことなんです。それ以外にきめようがないじゃないですか。ところが、国家公務員のほうは地方公務員にどう作用しているかというと、すべて国家公務員に準ずるというような取り扱いを従来してきているのでしょう。にもかかわらず、先に地方公務員のほうができて、直接にはいかなくても、制定することができるという法律をこしらえるのですから、道を開くわけです。その点を労働管理のたてまえから一体どうお考えになるかということです。これはやがて国家公務員にもこしらえることがよろしいとお考えになるのかどうか、率直にその辺を話しておいてください。あとはまた問題があれば人事院総裁の佐藤さんにも来ていただかなければならぬと思いますけれども、労働省としてはどうお考えになるかということです。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 どうも問題が私の直接の仕事からだいぶ広がった、範囲の広い御質問でございますので、私からお答え申し上げるのは適当でないのじゃないかというふうに考えるのでございますが、確かに、たとえば給与の決定等につきまして、人事院勧告がございますと、地方公務員等の給与につきましても国家公務員に準じて定めるというような実際上の取り扱いを閣議決定等においてやりまして、そういう波及効果といいますか、実際上の慣例、慣行ができておるということは御指摘のとおりでございますが、労働条件全般について必ずしもそうであるということも言い切れないのではないかと思われます。  それからまた、そういう国家公務員のいろいろなものが地方公務員に影響を与えるという点は、確かに傾向としてあるのでありますが、逆に地方公務員がこうなったから、それじゃ国家公務員もということになるかどうか、これはたとえば定年制につきましても、民間を見ましてもいろいろなきめ方がございます。たとえば非常に重勤労働者のような場合の定年制、それから事務の場合の定年制と、またそれぞれ違うかと思いますし、それからまたそういうような業務の性質のみでなく、その企業体なりあるいは組織体の労務構成がどんなようになっておるかというような面、それからまた、たとえば地方公共団体のように住民の税金によってそれがまかなわれるというような社会的責任の面、そういうような実態からいたしまして、それぞれの適当な定年ということになるのではないか。これが適当であれば、その制度自体としてそれぞれ合理的な理由があるというふうに考えるのでございまして、一律に、これは私見でございますが、地方公務員にしいたからといいますか、条例でできてきたから直ちに国家公務員もいくのではないかということにつきましては、私どもは現在そういうことにはならないのではないかというふうに見ております。

門司亮民主社会党

○門司委員 労働省の答弁は聞いておりましても、実際はあまりぴんとこないのですね。地方の公務員は月給が税金でまかなわれて、国家公務員は何でまかなわれておるのですか。税金以外の何か収入が国家にありますか。そういう答弁はあまり聞きたくないのでありますが、私どもが聞いておりますのは、そういう制度が普及されることになると、これまた一つの大きな問題があると思うのです。同時に、今日の地方公務員と国家公務員との間には実際問題としてかなり交流があるのです。そういうこともありますし、それから地方の役所に行きますと、同じ役所の中でまだ、国家公務員に所属する人とそうでない人とありますね。警察などは階級的でありますけれども、警視以上は全部国家公務員ですし、それ以下、警部以下はみんな地方公務員なんです。これは警察官だから別な扱いをするといえばそうかもしれない。しかし麻薬の取り締まり官にしても、中央から行っておる役人もおりますし、県庁の役人もおります。それからあなたのほうの労働関係でもそうなんです。やはり国の公務員もいるし、地方の公務員もいる。同じような机で同じような、行政事務の担当は多少違いましても、同じ労働行政というものに携わっておる地方公務員と国家公務員との間に差別があるということ自体、私どもはあまりいい傾向ではないと思うのです。したがって、地方公務員にできれば、これは必然的に国家公務員にもこしらえなければ均衡がとれないじゃないかというのが私どもの一つの考え方なんです。その点を労働省としてどうお考えになるか。労働省自身だってたくさんあるでしょう。労働省の地方に出ておる役人がおるでしょう。おれたちは国家公務員だからそれでよろしいのだ、おまえたちは地方公務員だから何歳になったらおやめなさい、こういうように同じ役所の中で差別をされておるということはよくない。私どもは、なるたけ国の出先はやめなさいと言っておるのですが、現実はそうなっていないのですね。そこでこれはどうしても地方公務員だけだというわけにはいかない。もしこれが地方公務員だけだということになりますと、地方の政治に非常に大きな影響を与えるということですね。この辺をどうお考えになるかということを聞いているのであります。さっきのように税金でまかなわれるなんて言われたって、国家公務員だってみんな税金であることは間違いないのです。その筆法からいけば、国家公務員のほうを先にこしらえてもらわなければいけないのですね。だからその辺、労働省はどうなんですか。あなたのほうで御答弁ができないということになれば、佐藤さんに来てもらう以外にない、あるいは大臣に来ていただくということになるのです。現実に一つの机で二人並んでいるのですから、そこに差別があってはならないと思うのです。それをひとつ明確にしておいていただきたいと思います。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 私がいま申し上げました国家公務員につきましての定年制についての見方でございますが、これは地方公務員につきましての定年制の問題をきっかけにいたしまして関係各省がいろいろ協議をされたわけであります。そういう際にも、国家公務員について現在のところそういう考えはないというのが主管の省庁の意見でありましたので、一応申し上げたのでありますが、おっしゃるように労働条件というものにつきましては、民間におきましても官公庁におきましても、ものの考え方といたしましては公平感と申しますか、お互いに隣同士といいますか、似たような種類の労働をやっている人たちが同じような待遇を受けるということに強い関心が払われるというのが通常の状態でございます。したがいまして、その結果非常なアンバランスが出てくるということになれば、それは問題はあり得ると思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 これは労働省も少し真剣に考えてもらいたいと思うのですがね。ここで私ども議論いたしておりますのは、この法律は何といっても労働者の生存権だ、労働の権利というのじゃなくて生存権の、生きていけるかどうかということの問題を決定する一つの要素を持っているのですね。要するに、一定の年齢が来れば解雇、馘首だという要素を持っているということですね。そこで労働者にとってはかなり大きな問題なんです。かなり大きな問題というよりも、これより大きな問題はないと私は思うのですね。ところがそれが、同じところで仕事をしておって、一方には適用されない、一方には適用される。そうして、その仕事の内容その他については地方住民に直接影響があるものであることには間違いないのであって、私はそういう点を考えるからいまお聞きをしているのであって、一体そういうことがいいのかということ。ただ抽象的に、国家公務員には必要がなく地方公務員には必要があるというこの議論だけなら、いまの答弁のようなことでよろしいと私は思いますよ。ところが実際は、地方に行くとそういうものでないから聞いているのでありまして、したがって、どうしてもその次に出てくるものは、やはり国家公務員にもやらなければ何だか現地でうまくいかないということになりはしないかと思うのですね。気持ちの上でもそうなるということですね。その辺、労働省の意見を聞いているのであります。国家公務員の諸君が地方に出ていっていろいろ仕事をしているのと、地方の公務員との均衡がとれるかということですね。これは均衡のあるものでなければ、必ず運営はうまくいきませんからね。だからその辺を労働省としての意見をこの際承っておきませんと、この法律を、さようでございますかと、地方公務員だけを考えるわけには実際はいかないのですよ。あなた方も地方へ出てごらんなさい。みんな同じ役所の中で同じようにやっているでしょう。  だから、念のために私は聞いておきますが、自治省に聞いておくけれども、いま国から派遣されている職員は地方の自治体にどのくらいおりますか。数字がわかるなら、この際はっきりしておいてもらいたい。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○鎌田説明員 事務的なことでございますので、私から説明させていただきます。  昨年末現在の府県の課長以上のポストが約六千五百ございます。それでいわゆる中央の各省から出向の形で参っております職員が約七百余りございます。その七百余りのうちで、自治省から派遣に相なっておりますのが約百七十ございます。  以上でございます。

門司亮民主社会党

○門司委員 いまの数字は課長以上ですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○鎌田説明員 課長以上のポストでございます。

門司亮民主社会党

○門司委員 私は何も課長以上を聞いているわけじゃない。課長以下の人もたくさんいるでしょう。課長以下のほうが多いでしょう。課長さんのほうが多いという理屈はないと思う。課長以下の人を入れればかなりあると思いますが、大体その数はわかりませんか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○鎌田説明員 ただいま手持ちの資料で申し上げた次第でございまして、そこまではございません。

門司亮民主社会党

○門司委員 だから、いま労働省お聞きになりましたように、課長さん以上が七百人もいるんだということになると、一課が、ごく最小限度にしてもどのくらいになりますかな、あるいは課長さんが一人おられまして、あと全部地方の公務員をお使いになっているということになると問題ですがね、これはたいへんなことになるのですが、とにかく、ここではおそらく国家公務員の課長さんでありますから、その所属されている人も私は国家公務員だと思いますが、七百人の課長クラスの人がおいでになるとすると、かなりたくさんの国家公務員の人が地方に出ておられるということは明らかになりますね。そういたしますと、それらの諸君との均衡をどうするかということ、これはほんとうの行政の問題ですからね。だから私は聞いているのでありまして、労働省、それではっきり国家公務員にはこういうものはこしらえませんということが言い切れますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 どうも私の権限以上の御質問でございますので、的確にお答えはできないと思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 あなたは労政を受持っておいでになるのですから、労政の責任者ですから、最も大きな労政の一つである雇用関係の問題ですね。これは失業は失業のほうでやってくれ、雇用は雇用のほうでやってくれということになるかもしれませんけれども、しかし少なくとも労政局長さんであることに間違いはない。私は基準局長さんに来てもらおうかと思ったんですけれども、労政局長のほうが幅が広いということであなたに来てもらったのでありまして、基準局長さんに来てもらうと基準局のことだけしか言わぬだろうということで……。  どうしてもよく言い切れないということになれば、委員長、ひとつ大臣にでも来てもらっていただきませんと、非常に大事な問題ですから。これはいままでの質問の中にも全部あったと思いますけれども、地方公務員だけが定年制がしかれて国家公務員にはないということは、地方公務員の諸君の一つの大きな反対の理由でもございます。また社会的にもそういうことでよろしいかということでありまして、したがって、この点だけはひとつ明確にしておきたいと思いますので、委員長、いずれ大臣に来ていただいて御答弁を願いたいと思います。  それから、その次に聞かなければなりませんことは、いまの憲法問題については、どうですか、意見をまとめてくれぬかね。そうしないと実際話はなかなか進みにくいのですよ。私はこれからそれを基準にして問題を聞きたいと思っておりますので、これは委員長、どうですかね、話のまとまるまで待っていても私はいいんですがね。そう長くはかからぬだろうから……。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど私としてはきわめて明瞭に申し上げたつもりでございますが、この勤労の権利の性格いかんということでございましたが、これは門司先生よく御存じのとおりに、憲法議会では自由権ということではないかということで、われわれの先輩である金森国務大臣は、どちらかといえばそういう線からのお話があったことは確かでございます。しかし重ねて申し上げますが、この趨勢ができました後に衆議院の本会議に対する委員長の報告であったと思いますけれども、この報告の中では、どちらかといえば経済権的色彩を持ったものであるような説明がございました。その後、学説はどちらかといえば私は経済権と考えているほうがはるかに多いと思います。それからまた裁判例としましては先ほど二つの例を申し上げましたが、これはまた経済権であるように、経済権とはむろん書いてありませんが、経済権的性格を有するもののような説明がございます。私は先ほども申し上げましたように、その判例なり、その委員長の報告なり、この線を誤っているものとは思わない。むしろただいまでは、この憲法解釈の定着とあえて申し上げることは不適当かもしれませんが、憲法解釈にも確かにいろいろな説がございましたが、いまやこれは経済権と見るのがふさわしいであろうということを申し上げました。これについては、さらに門司委員から、自由権ではあるまいかというふうなことで、そういう御答弁がいままでに出ておったということを私はつい知りませんで、私の思ったとおりをかってに申し上げましたが、ただいま自治大臣とここでお打ち合わせを遂げた結果、いまのような説明を統一的な見解としてお聞き取りをお願いしたいということを先ほど申し上げました。学説を実は政府が決定することはできません。これは言うまでもございませんが、私どもの一応の見解はどうかといえば、ただいまあらためて申し上げておりますように、これを自由権というような性格のものであるというよりも経済権的性格のものである。言いかえれば「国民は勤労の権利を有するというのは、国家は勤労を欲する者には職を与えるべく、それができないときは失業保険その他適当な失業対策を講ずる義務があるとするものであって、国家は国民一般に対して概括的にそのような責務を負担し、これを国政上の任務としたのである」、いまこれは判決の中のものを読んでおるわけですが、説明のしぶりはいろいろありましょうとも、法律的にはそのようなものであろうということをはっきり申し上げて、それが統一的な考え方である。これはまた法制局長官としては、事法制の問題に関して責任を負う立場にございますので、私がそう申し上げ、また自治大臣もそれに御同調願っておりますので、そのように御理解を願いたいと思います。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 門司委員からの御質問であります憲法上の勤労の権利の問題でございますが、ただいま法制局長官から御答弁いたしたことが政府の統一見解でございますから、それで御了承願いたいと思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 大臣から前言を取り消されたような意味のおことばがございましたので、一応私どもはそれ以上追及することも、法制局長官の言われたものを、いや、そうであるといって、私どものほうからこれをやるわけにもまいらぬかと思いますが、問題は、そういうきわめて重要な問題から定年法というものは発足してくるのです。したがって、先ほどから労働省に申し上げておりますように、法律できめる、あるいは条例できめるという筋合いのものではないんだ。これは何といってもこういう経済的社会的の環境が十分になったときにきめるということが正しいのであって、ここに外国の例があります。私、大体おも立った国十二、三のものを一ぺん集めてみましたけれども、中には、この問題でさっきから申し上げておりますように、幅を持たしておく、この間とこの間は自由におやめなさいということで、全く本人の自由意思にまかせるというようなこともありますから、聞いたわけでありますが、しかし一応の統一見解として、これを経済権あるいは社会権だというようなことにお認めになったとすれば、問題の出てきますものは、先ほどから申し上げておりますように、型からいえば大体普通定年の型だと私は思います。これは私の解釈ですからわかりませんよ。三つの型がある。あなたのほうでは四つも五つも型があるんじゃないかとお考えになっておるが、私は定年制については、先ほどから申し上げておりますような三つの型に大体当てはまるんだ。それで、何度も言うようですけれども、幅の広い自由裁量の中で、何歳からはいつでもやめてよろしい、こういうようなこと。そしてそれにはあまり干渉しない。自由意思でやめてもらうということ。それからその次には、さっき申し上げました強制定年。これは何でもかんでもやめてしまえばあとは使わないというような形が一つとられる。これは私はよくわかりませんが、こういう例は私はあると思うのです。たとえば裁判官などについても、満任期になっておやめになった人は、これはまた裁判官にしないのですね。これは要するに強制退職の形ですね。これは退職したらあとは再雇用しないというたてまえをとったものですね。こういうものがないわけじゃないのです。あるのですよ。ところがいまこの法律が出ておりますのを見ますと、第三の型の自動定年のように見えるのです。一応自動的に退職はすることになる。しかし、あと再雇用をするというようなことになっているのです。要するに強制定年の場合はもう再雇用しないというたてまえになっておるのだが、今度の場合は自動定年として、定年がくる、したがってここでやめなければならないが、あとは再雇用するというような形が出てきておる。しかしこの再雇用という形がどういう形であるか、あるいは定年はきたけれども、一応これを延長する。再雇用でなくて延長するというようなことが第三の範疇に入ると私は思います。そうしてこの法律は、さっきから申し上げておりますように、実は第三の型をとっているわけであります。そこで問題になりますのは、先ほどから申し上げました社会権であるあるいは経済権であるということになると、いささか問題がここに触れてきやしないかという気が私にはするわけであります。  そこで、あまり長く質問を申し上げることもいかがかと思いますが、それはそれとしておきまして、今度は自治省のほうに少しお聞きをしたいと思いますが、自治省がこの法律をお出しになって、そうしてこの案の内容ですが、案の内容に、分限ではないという形をとられておる。しかし問題は、定年退職としての問題であって、ほとんど分限に近い問題だというように解釈をすることができると私は思うのですが、これは全然分限ではないというように考えられますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 定年退職は、現在のところ分限の規定におきますところの免職といいますか、そういうものとはやはり性質が違うわけでありまして、一定の年齢に達しました場合には職を退くということでありまして、その点は分限の事由に該当いたしまして免職されるということとは性質が違うわけであります。しかしながら、広い意味におきまして、職員の身分に関する規定でございますから、その意味では分限の一つのあり方だということもできると思いますが、狭義の意味の分限免職とは性質が違うと考えております。

門司亮民主社会党

○門司委員 私は、この定年制の問題が分限とは違うのだという見方が成り立つかどうかということについても、実はいささか疑問を持っているのです。それは分限の中にあります三項ですかに、その職について適性を欠くというようなものについては、これは分限の中に入っているのですね。この場合定年制のおもな理由は、やはり年をとってその職に耐え得られないという見方でしょう。いわゆる適性でないということでしょう。そうすると分限の三項とこれは同じじゃないですか。どこか違うところがありますか。だから分限でないとおっしゃるところに問題がありはしないかと私は思う。分限だというとたいへんなことになるから、分限でないのだという解釈をされておりますけれども、実際は分限の三項とたいして違いはないのだ。いわゆるその職に耐えられないということでかえられるのだ。年をとり過ぎたからその職に耐えられないというところに実は問題があるのだ。年齢で人間の能力を決めることができるのかという一つのものの考え方にわれわれはあるわけです。分限でないと言われますけれども、分限の拡張だと解釈したほうが私はいいと思うのですが、自治省はこれをどうお考えになりますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 先生のお話と私どもも大体近いのでございますが、この分限におきますところの免職等の規定は、個々の職員の勤務の状態その他の実態からくる問題でありますから、つまり言ってみれば年齢のいかんにかかわらない問題でございます。ただ定年制は、個人の能力差はもちろんございますが、また職種によりまして、その必要といたしますところの能力というものにも差がございますから、必ずしも一律には申せませんけれども、それぞれの職種におきまして、一応一般的に、一定の年齢に達しました場合に新陳代謝をはかったほうがよろしいと考えられる一般的な年齢によりまして、その年齢に達しました場合には退職をしてもらうという制度をこしらえるわけでございますから、その点では年齢が主として中心になるわけであります。そういう意味で全然無関係だというわけではございません。特に高年齢に達します場合には、往々にして、またある意味ではこの分限規定に当てはまるような、そういう勤務の状態になっておる人も起こり得るわけでございますから、そのほうがケースが多いかもしれませんから、一般的には全然無関係だとは言いませんけれども、やはりそういう意味で狭義の分限免職とは質の異なるものだ、広義の意味では分限に関するものだということは、先生のおっしゃるとおりだと思いますが、その点は異なるものだというふうに考えております。

門司亮民主社会党

○門司委員 私はどう考えても分限の一つだと思うのです。そうして御丁寧に、この分限の中によく似ていることが書いてありますのは、分限の場合は、降職するとか、あるいは罷免するとか、こう書いてあるのですね。この場合は明らかに降職するのです。職を下げるということですね。給料も下げるということですね。これは分限がそのまま移動すると思うのですよ。年をとったからおまえは分限令にひっかかるのだ、こういうことじゃないですか。それをことさらにそう書くということになるから、これはひとつ新たな項を起こしてということに、自治省は知恵を出されたと思うのですが、これを分限令でないと言われることには私はいささか疑問がある。これは分限令にちゃんとそう書いてあるのです。その適格性を欠いたらその職を降職することもできるし、あるいは減給もできるし、あるいは免職することもできる、そう書いてあるのですね。その点はどうなんです。そうあまりていさいのいいことを言わないで、分限令なら分限令だというようなことにならぬですか。分限令でないというなら、これは撤回してもらわなければ困る。むやみに人の能力を人間の年ではかるということは非常に危険です。ほんとうに危険です。何も年が仕事をしているわけじゃあるまいし、年をとったから、おまえさんだめだ——だからこれはどうなんです。私はその辺に一つの大きな疑問があるのです。分限令でないというのですから……。分限の一つだと、いまそういうことを言われたので、いままでずっと分限令じゃないということを言い張っていた。どう考えても分限令にひとしいということがいえるのです。そういうふうに解釈しておいてよろしいですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 先ほど来申し上げますように、分限免職と定年退職というものはどうも性質が違うということは、繰り返し申し上げるとおりでございます。ただ、広い意味で、職員の身分にかかわる問題でございますから、広義の意味の分限には該当する、私はそう考えております。

門司亮民主社会党

○門司委員 私は分限に関係するというよりも、むしろ分限に属するものだというふうに考えたほうが間違いがないのです。  もう一つこのところで聞いておきたいと思いますことは、地方公務員法の中でいままで実はこの条例を設けなかったということですね。これは一体どこにその最大の原因があったかということです。実際この法律が動き出してからことしはもう二十二年たっておりますよ。その間に、三十一年と三十二年に出されたことはありますけれども、そのときはいろいろ問題があった。そこで、私が聞いておきたいと思いますことは、条例で定めるといって、地方に一応の委任はされますが、その条例に定めるということについて、実はどういう指導をされるかということでございます。これも、この前のいきさつから申し上げますと、あなたのほうの役所の人が、だれか書いておったですな。この前だれか、依田君かだれか質問して御答弁されておったようでありますが、新潟の北村知事が、おれのところは、定年制がいいというなら、四十五歳できめるなんて言ったことがあるものですから、そういうことがあっちゃたいへんだということでおそらく変えられたといわれておりますけれども、どういう点で、何歳ぐらいで、どういう形で指示をされようとするのか。私も知っておりますけれども、あらためてここでひとつ聞いておきたいと思います。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 地方公務員法が制定されましたときには、御指摘のように、定年退職というものの考え方は、この法律のどこからも見出すことができないわけでございまして、当然にそういうものを予定していたかといえば、予定していなかった、考えてなかったということになるかもしれませんが、客観的にはそういう規定がなかったということでございます。  そういう規定がない場合に、職員の退職というような規定を考えるということは、地方公務員法全体の体系からして、やはり一定の根拠が必要ではないかという考え方、それが多年政府の見解として考えられてきたわけでございまして、そういう意味で定年制の道を開くという場合には法律上の根拠が必要だということで、当然には地方公共団体におきまして定年制を実施することはできないのだということで、昭和二十六年、地方公務員法が実施になりましたときに、それまで定年制を条例で設けておりました地方公共団体の条例を廃止せざるを得ない、こういうことに考え方ができて今日に至っておるわけでございます。したがいまして、定年制を施行いたします場合には、そういう意味で法律に根拠をつくるということが必要だという考え方に沿いまして、まず改正案を提案をしておるという形でございます。  ただ、この法律が成立いたしました場合に、どういうふうに指導していくかという問題でございますが、これは先ほど来大臣も繰り返しお答え申し上げておりますとおり、地方団体におきましてそれぞれの状況が異なるわけでございますから、画一的に定年制をしくということではございません。定年制をしく必要のありますところにおいて定年制がしき得るような道を開く、こういうことでございますし、また職種によりまして、定年制を必ずしも必要としないという職種につきましては、同じ団体におきましても、すべての職員に画一的に定年制をしくというようなことはないというふうに考えられるわけでございます。  そこで、自治省として考えます場合には、一般的に、先ほど来申し上げますように、多少抽象的になりますが、新陳代謝を促進する必要がありますとか、人事の刷新、あるいは士気の沈滞をなくするようにする必要があるような状況における場所において定年制をしくという場合に、一般的に条例の制定のしかたでありますとか、あるいは条例で規定すべき内容としては、定年の年齢でありますとか、定年の事由の発生の時期でありますとか、手続でありますとかというようなものは、一般的なものとして参考に示すということはこれはいたさざるを得ないだろうと思っておるのであります。  ただ、定年年齢につきましては、具体的にそういう意味で個々の団体における状況が異なりますから、必ずしも同一的なことは考えられないわけでございますけれども、民間の定年制等の推移にかんがみまして、従来いわれておりました五十五歳定年ということ、なお民間企業におきましては五十五歳定年のほうがまだ多いように聞いておりますけれども、定年制の今後の趨勢等も勘案いたしまして、平均的に考えましてもまあ五十七、八歳ぐらいが適当ではないだろうか、また職種の状況によりましてはそれを上回ることも、そのことのほうが人の確保の問題あるいは労務の能率の維持というような意味でかえって合理性があるという場合には、そういうことも考えてまいらなければならない、こう考えております。

門司亮民主社会党

○門司委員 だいぶ長く説明してもらいましたけれども、率直に話してもらいたい、五十八だとか六十であなたのほうは指示をするつもりだというようなことを。  それからもう一つは、受けるところもあれば受けないところもあるだろう、これはあたりまえのことだ。これはさっき申し上げましたように、自治省が法律をこしらえて、何でもかんでもこれでやれと押しつけることはできますか。私はそういうことは非常に困難だと思うのです。だから、それはあたりまえのことを長くお話しをされて時間を食いつぶすだけで、皆さんに御迷惑だと思いますし、委員長も御迷惑だと思いますから、率直にひとつ話してもらいたい。  私が聞いておるのは、いままで大体五十八くらいで、あと二年というと六十になる。そういうようにするつもりならするつもりだということをはっきり言ってもらわなければならぬ。なぜ私がそういうことを聞くかというと、民間で五十五といいますけれども、ここにいろいろ外国の例をたくさん書いてありますが、実際は公務員の定年制というのは、アメリカは七十歳なんです。イギリスが六十五で、西ドイツが六十五で、フランスが六十で、イタリアが六十五ですね。これはなぜこういうことになったかということですね。先ほど労働の権利ということで議論いたしましたけれども、労働者に対する一つの権利というものは、使用者側から言わせれば、労働者の権利はある、あるが、しかし能率その他が落ちてきて定年制を必要とするという議論が、一つ使用者側からは出てまいります。労働者の権利としては、やめたい、もうこの辺で休息したい、いつまでも使われてはかなわぬ、これはある意味では労働者の権利といえようと思う。そういうものが両方にあるわけです。それの調和をはかっていこうとすると、先ほど申し上げておりまするような、その後の生活をどうするかという社会的なものがここに配慮されてくる、そういう複雑な情勢になっております。したがって、いま日本の慣行であります五十五歳というようなものは、およそ諸外国の公務員の例からいけば通用しない慣行であります。それから、民間にあります五十五歳というのは、これは定年制をきめます一つの要素としては、おのおのの事業体によって、職種において、それ以上年をとってくると非常に危険である、たとえば自動車の運転手なんか六十までも——六十でもあるいはやっておる人があるかもしれませんが、あまり年をとり過ぎて注意力が非常に散漫になってくれば危険だ、それから肉体を非常に使わなければならぬ仕事も、これも体力が衰えてくれば、ある程度早く一定の年齢をきめてもよろしいということがあり得ると思うのです。したがって、地方の自治体におきましても、やはり定年制を施行するなら、その辺をどう配慮しておるかということを、自治省、この機会にひとつはっきり言いなさい、どのくらいの年齢を考えておるかということを。そうしないと、そういうものは地方がやるのだ、おれのほうは法律さえこしらえればいいのだということになると、私は非常に大きな問題が——この次に聞く予定にしておりますけれども、どういう指導をされるつもりか、はっきり言えないですか。いまのように職種でいろいろあるというなら、職種でおやりになればいい。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 先ほど御説明いたしましたように、職種によって必ずしも画一的に考えるわけにはまいりませんが、一般的に考えました場合には、五十八歳くらいのところが相当ではなかろうかというふうに考えております。

門司亮民主社会党

○門司委員 すでに皆さんからいろいろ議論されておりますように、地方公務員と国家公務員と違うのは、地方の自治体には職種が非常に多いのと、就職年齢が非常に高いのがあるわけでありまして、したがって先ほどから御答弁のありますように、そこにはどうしてもそういう問題が出てくる。就職年齢の非常に高い職種があります。たとえば学校の用人さんでありますとか、あるいは東京でやっておるようなし尿のくみとりであるとか、衛生関係の職員というのは就職年齢がわりあい高いのです。そこで、かなり年をとっても保障はされないというきらいが多分にある。だから、おのおのの職種、それからおのおのの地方の自治体の考え方が違いますから、これらの点については、ただ漫然とした五十八歳だというものの考え方でなくて、その辺をどうされるかということをひとつ考えておいてもらいたい。  委員長から時間があまりないからというような御指図もございますので、委員長にさからうわけにはいかぬと思いますが、私が聞いておきたいと思いますことは、かりにこの法律ができて、そうして地方の自治体がこの法律のとおりに定年制を議会できめるきめないは地方の自治体の自由である。ところが、ここで私が最も心配をいたしておりますのは、自治行政を非常に大きくゆがめやしないかと考えておりますのは、今日の地方の自治体の行政の状態であります。たとえば、非常に赤字が多くて再建団体に指定をされておる、そういうところに現在では高給の年をとった人がおって、それをなかなか首切れとは言いにくい。しかし、この法律ができた以上は、この法律を強制されはしないかという懸念が私にはある。私はこれは自治省が必ずやると思う。そうして、その中から地方の自治体がいやおうなしにこの法律の適用を受けるような形が出てきはしないかということになりますと、非常に大きく自治を侵害する一つの問題になりはしないか。これは自治省から言わせれば、再建団体として全部自治省がめんどうを見ておるのだから、年をとった人で給料の高い人くらい首切ってもいいじゃないかという理屈が生まれるかもしれません。生まれるかもしれないが、それは法律で強制すべき問題ではないと私は考える。こういうことはやりませんか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 非常に大事な御質問でございますから、私から一言お答えしておきます。  年齢の問題でございますが、これは一応五十七歳とか八歳とかいうことを事務当局は答弁いたしておるようで、先ほど私は太田さんにお答えしておったのですが、現在の民間の定年制の年齢五十五歳が七〇%とかいいますけれども、漸次これは年齢が高くなっておることも事実でございます。先ほど来の御意見もありますように、現在の高年齢層の労働力というものは、やはり活用すべき段階に入っております。そこで、特にいま門司さんも御指摘になりましたが、地方団体三千幾つございますから、画一的に何歳がいいという強力な指導というものは私はすべきじゃないと思う。つまり、その自治団体の実情に照らして、常識的にやはり条例をつくられたらいいじゃないか。いろいろ意見を聞きにこられた場合には、民間の実例はこういうことだとか、あるいはそういうことは御相談があった場合話すことはあるにいたしましても、強力に五十七歳とか八歳とかいうことを指導するということは、やはり地方団体の実情というものを無視した画一的な考え方でどうか、こう思っております。ことに職種は非常に種々雑多でございまして、これが何歳くらいまで働けるかというのを、いま中央から大体三千幾団体の団体に向かって指導いたしましても、実情に合うか合わぬか疑問です。したがって、これはどうしても地方公共団体が一応の常識の線と実情に照らして判断の上きめてもらいたい、こう思っております。  それから第二に、再建団体のお話がございましたが、私は、もし幸いに御審議の結果この法案ができ上がりました場合には、当然自治省からいろいろ地方団体に向かって内容の説明その他いたしますが、再建団体であるから定年の年齢を早めようとか、おそめようとかいうようなことはすべきではない。これは一番大事なことです。先ほど申しましたとおり、各地方団体の実情に照らして、常識的に、また合理的な判断の上において各地方団体がきめてもらいたい、こういう考え方でございます。私はその方針でこの問題の取り扱いをいたしたい、こう思っております。

門司亮民主社会党

○門司委員 こまかいことをかなり聞きたいのですが、あまり時間がございませんので、またあとへ返って、法制局長官にひとつ伺いたいと思います。  さっきの憲法の問題でありますが、憲法の問題から前段だけをいろいろもう少し聞きたいのでありますけれども、時間がございませんのですぐ後段に移りたいと思いますけれども、憲法の二十七条に書いてありますように、労働者の義務——退職の年限がきたときには自動的に労働者はやめなければならないというのが義務であるかどうかということですね。いわゆる五十八歳なら五十八歳という年齢がきます。そこで退職年限になりますね。これは一方に、さっき言われましたここに問題があるのでありますが、自由権であるか、社会権であるか、経済権であるかというところに問題の所在があるのでありますが、これは今後議論せねば私はいかぬと思う。したがってこの場合、たとえば定年がきたときには労働者は当然やめるということが、労働者のいわゆる憲法の規定している義務であるかどうかということについて、どういうふうに解釈をされるか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 定年制、先生の分類によれば自動定年というところになるのではないかというお話がございましたが、法律の解釈はそれといたしまして、憲法の二十七条の勤労者の義務になるのかならないのかというのが御指摘の問題のようでございますが、憲法の規定は、実はそういうことを頭に置いてそれが役務であるとかないとかいうことではなしに、むしろやはり先ほど来のお話がございましたような、この憲法自体における経過をたどって、権利に対して義務というような点をやはり強調すべきであろうというような、ある程度ばく然とした考え方ではございましたでしょうが、そういういわば高度の見地といいますか、そういうような見地から出ておりますものですから、いま先生がおっしゃいますような、定年になったらやめることになる、その義務が憲法からくるかと言われれば、それはそうではないであろう。憲法にいう勤労の義務というのは、もう少し、そういうこまかい場合のことではなくて、やはり憲法的レベルの問題、権利に対する義務ということもありましょうし、それから権利については社会権というようなことからいいますと、勤労を欲する者には職を与える。そうして勤労の意欲を持ちながら職についていない場合には失業保険の支給をするということによって、満足ではなくても生活を保障すべきである。しかし、勤労の義務というものがあることからいって、そういう意欲のない者にまでそういう保護を与える必要はないといいますか、そういうような権利と義務というものを相対応して、勤労についてはやはり勤労の意欲というものを特に強調し、それがない者については権利を保障するといってもそうはいきませんぞというような気持ちのことでございますが、そういうニュアンスの問題だと思うのです。したがって、ただいまお尋ねの定年になったら憲法上の義務からくるかといえば、それはそうではあるまいというお答えをするのが正当であろうと思います。

門司亮民主社会党

○門司委員 どうもあまり筋の通ったような通らぬような答弁です。社会権であり自由権であるという場合にはいろいろの問題があるが、自由権の問題に対してこういうワクをはめることがいいかどうかということは、非常に大きな問題になるということを避けられたと思うのですが、そうして社会権だというようなことに避けられたと思うのですけれども、自由権であるということになると、もう少し議論しなければならぬことになると思う。ところが、自治大臣もそうではないということで話し合われて、キツネにつままれたような気がするわけです。  そこで、問題になりますのは、さっき言いましたこれは義務であるかどうかということ。ところが、この義務であるかどうかということは、実は制定当時あまり議論していないのです、正直に見ますと。さっき言いました、たしか棚橋小虎君かだれかの質問に答えて答弁されておると私は思いますが、そこで問題になりますのは——ところが外国の例にはあるのです。ここにイタリアの例がありますが、イタリアの例は大統領命令であって義務だ、こう書いてあるのです。そういう点でこれが義務だということになるとえらい問題になるのでありますが、しかし解釈についてはこれ以上は、時間もございませんから私は質問をやめます。  最後に、ひとつ自治省に聞いておきたいと思いますことは、この人たちの取り扱いです。これを特別職とするということに考えられておるようでありますが、特別職という範疇は、一体自治法あるいは公務員法のどこから出てくるのですか。特別職という規定は法律の中にありますよ。しかし、こういう形でやめた人が特別職になりますか。これは臨時だから特別職だというのですか。この辺をもう少し見ておいてもらいたいと思うのです。どういうことになりますか。特別職ということに直ちにこれは加えられますか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 定年によって退職しました職員を、一定の期間を定めまして特定の業務に雇用するというようなことは、一般職の範疇では一般に包括的に行政事務に携わるということの責任というか任務を持っておるわけでございますから、そういうことと違った職務の分類をすることが適当である。のみならず、そういう特定の業務に対しまして最も実態に即するように勤務をするということが、高年齢者を処する取り扱いとしても適当じゃないかということもあわせて考えますと、やはり地方公務員法の体系におきますところの一般職、特別職という分類からいたしますと、特別職にするのが適当であるというふうに考えたわけでございます。

門司亮民主社会党

○門司委員 いまそう言われて、私は法律のどこに条文があったかよく見つけなければなりませんが、私の記憶では、特別職というのは助役さんであるとか収入役さんであるとか議員であるとか各種委員会の委員であるとかいうのがみんな特別職です。そのほかに特別職として書いてあるのは、臨時雇いだとかなんとかいうようなものがその範疇のずっとあとに書いてあると思います。そこで、これを特別職という名前をくっつけるのは、あまりにも大げさ過ぎはしないか。事実上は、やめてもらって、給料をあげて、そうしてなおかつこれを特別職というのは、何かしらん一段高いところの職種であるような印象を与えて、名前だけのえさをくっつけるようなことではいけないのではないか。むしろ地方公務員法のたてまえからいって、この特別職というのをずっと読んでごらんなさい、あなたのほうが局長だからよく知っているかもしれないけれども、私はまだ条文を見つけなければならぬのだ。ここに臨時が書いてあるのですね。それから特別にある期間を定めて雇い入れた者というようなものが書いてあるのです。だから、むしろこれは特別職というようなことにしないでやったほうがいいんじゃないですか。だからこれは特別職ということになりますと、多少私は議論が出てくると思うのです。特別職に対する取り扱いというものが当然出てきますから、これはどういうわけで特別職にするのですか。まさか議員さんと同じ待遇にするわけにもいかぬでしょうし、教育委員だとか公平委員だとかいうようなわけにもまいらぬでしょうし、特別職の概念についてもう少しはっきりしたお答えはできませんか。どうもこういうことがよかろうと思ったからこれを入れたというのは、何かえさをぶら下げておくような形で人をつるなどは、法律のたてまえからいくとあまりよくないと思うのですが、どうなんです、これは。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 一般職と特別職に分けて地方公務員の取り扱いをきめるということは地方公務員法のたてまえでございまして、一般職については御案内のように、定数におきましても一定のワクがございます。服務につきましても服務規律に従うということになりますし、勤務条件にいたしましても、一定の勤務時間ということで、そういう意味の厳重な服務の管理が行なわれるわけでございます。特別職は高年齢層でもありますし、そういう特定の業務について特定の期間を定めて雇用される場合ということで、なるべくはその実態に即して自由と言っては語弊がありますが、弾力性のある運用をしていくことが適当ではないかという考えでございます。そうなれば当然に一般職からはずれる。一般職からはずれれば特別職に入るわけでございます。特別職と申しますと議員とか長とかいうことだけではございませんで、御指摘がございましたように臨時の職員も特別職でございますし、非常勤の顧問とか嘱託とか、そういう者に準ずる者も特別職でございます。そのほかには消防団員も特別職でございますし、それから、失対事業で紹介を受けて雇用した者、そういう者も特別職になっておるわけでございます。一般職以外のものは特別職でございますから、特別職だから何か特別職という好印象を与えてどうこうするというわけでは決してございません。要するに、一般職というワクに入れてしまいますというと、一般職にはおのずからそれに応じた服務規律、勤務条件というものがすべてきまってまいります。そういうことではやはり高年齢層の特定の業務に一定の期間従っていくという取り扱いとしては弾力性を欠くということでございますので、一般職以外の場合なら特別職、こうせざるを得ないということもあるわけでございます。

門司亮民主社会党

○門司委員 これはいろいろ議論がありますけれども、いま読んでみると法律にそういうふうに書いてある。さっき言いましたように臨時とも書いてある。そうすると、こう解釈していいのですか。特別職であって他のずっと配列してあるものと全然違うんだ。臨時だ、臨時雇いだというように解釈しておいていいのですか。そうしないと、処遇の問題で内容が変わってきやしませんか、単に特別職だということだけにしておくと。だから、この場合は、臨時なら臨時だ、しかしこれは、一般かどっちかといわれれば特別職だ、こういう解釈だという。これは臨時という字をここに入れたのはそういうことじゃなかったのですか。臨時雇いというのはおかしいから、とにかくこれを特別職にしよう、特別の範囲に入れよう、二つの区分の関係でこれを入れた。私は、それから考えると、当然こういうことでなくて、臨時雇いとしてということのほうがはっきりすると思うのですよ、法律のていさいから言うと。非常勤職員でもないですね。一般職員でもない。しかし仕事は前と同じ仕事をやる、多少給料は安くなるかもしれないけれども。だからここは明確に、臨時なら臨時だという形で、したがって雇用の期間は一年とか二年とかいうようなものに定めた。そこから出てくるんじゃないですか。それでなければ、臨時でないというんなら、特別職でやるというのなら、ここに特別職のような形をとるべきだと思うのです。これは定員外の職員だということも考えられないことはないですね。定員外の職員と考えるのか、あるいは臨時職と考えるのか、どうお考えでありますか。あなたのほうからいえば臨時と考えたほうがいいんだ。定員外の職員というわけにはいかぬでしょう。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 特別職というようにいたしますのは、一般職でございますと、いまお話しございましたように、定数のワク内でなければいかぬとかいろいろな問題が起きますが、この場合の特別職は、そういう意味の一般職の中の定数の問題はないということでございます。臨時、非常勤とここに書いてございますのは、委員会の委員とか審議会の委員等の場合の特別職の問題が書いてあるわけでございます。一般職でも臨時任用とか条件つき任用とかいう特定の期間における臨時職員的なものもあるわけでございますが、この再雇用職員につきましては、特定の業務に期間を定めて雇用するという意味での特別な雇用の形態をとるということに相なりますので、一般職という範疇に入れるのは適切ではない、こういうことでございます。臨時というよりは一定の期間を定めて雇用する。雇用された内容は、職務に従いまして勤務時間も通常の勤務時間を必ずしもとる必要はないという場合もあり得ると思います。したがいまして、そういう意味では一般の職員の職というよりは、高年齢層にふさわしい職というものをこれからも開拓をいたしまして、そういうことで弾力性のある運用がはかれるようにしていきたいということでございまして、何と申しますか、臨時職員ということではなくて、そういう期間を定めて雇用する、その職務の内容に応じまして、勤務時間あるいは勤務条件というものもおのずからそれにふさわしいように考えていくということがいいのではないか、こう思っております。一定の期間の中身におきましては、常勤的にずっと勤務する者もおりましょうし、勤務時間が多少少なくてもいいものも職種によっては出てまいる、こういうふうに考えております。

門司亮民主社会党

○門司委員 何が何やらちっともわからぬですね、いまの話を聞いておっても。だから、これを明確にしておかぬと、地方公務員の身分というものについてはいろいろ法律上の制約があったり、あるいは法律上の義務が生じてくる危険性があるんですね。だから、その場合に、これは臨時だからいいのだ、あるいは日雇いだからいいのだというようなことができるかどうか。この場合は相当な年齢の人たちですから、かなり業務には熟達した人だといわざるを得ない。したがって、退職されたあとの仕事としても、事務的には新しい人のやるようなごく簡単な仕事だけでなくて、私は相当重要な仕事をされるようになりはしないかと考える。また、そうすることが一つの考え方であろうかとも思います。そうなると、権利の問題と義務の問題が生じてきまして、これを特別職のような取り扱いでいいかどうかということの疑問があるから聞いたのであります。  これ以上聞きますと、ちょうど委員長との約束の時間になっておりますので、申し合わせの時間をあまり延ばすこともいかがかと思いますが、最後に念を押してはっきりさせておいていただきたいと思いますことは、この法律が動いていく過程において自治省はどういう態度をとられるかということが私は非常に心配になるのであります。その点はどういうことかといいますと、ここでこういうことを申し上げますといかがかと思いますが、よほど慎重にお考えを願いませんと、地方の自治体に必要以上のトラブルを起こす危険性があるということであります。  そこで、この法案の取り扱いにつきましては、幸いにして議長の裁量で私ども質問をする機会を与えられましたので、ある程度自治省の考え方もわかったわけでありますが、しかし、自治省の考え方がわかったからといってこれに賛成するわけではございませんで、先ほどから申し上げておりますように、憲法上の問題から申し上げましても、どこから申し上げましても、この法律にはもう少し検討の余地がありはしないかということを私どもは考えております。  それから、同時に、これが自由権でないということになってまいりますと、社会環境というものが、はたして定年制を設けるに相応した時代になっておるかどうかというようなこと等についてもやはり考えなければならない。それから、よくても悪くても、法律でこれがきめられて、地方にこれがおりてまいりますならば、条例は法律と全く同じ効果を持つのでありますから、ただ条例と法律が違うだけであって、その効果は全く同じであると解することが私は正しいと思うのであります。したがって、地方公務員に法的の拘束力を持つ法律をこしらえるわけでありますから、十分ひとつ審議の過程ではこれを考えてもらいたい。したがって、先ほどお話しを申し上げましたように、運営にあたっては私は非常に心配するのでありますから、ひとつ委員長も、労働大臣にぜひ出てきていただきまして、そして不均衡な行政の行なわれないようにぜひしていただきたい。これを地方公務員にいま急に実施するということは非常に危険があると私は思っております。それは、地方の自治体の仕事というものは法律で簡単に割り切るようなわけにはなかなかまいりません。これ以上私は申し上げませんが、審議の過程において、かりそめにも途中で、この間あったような打ち切るようなことだけはやめてもらいたい。十分ひとつ審議を尽くしてもらいたいと私は思う。  もう一つの問題は、私どもが執拗に申し上げておりますのは、これは下におりるのでありますから、ここでこしらえたからそれでいいという法律ではございません。この法律を実効あらしめようとするならば、どうしても地方の自治体が受けて立ってくれなければ何にもならぬのでありまして、地方の自治体が受けて立ってくれるためには、ここでほんとうに審議するだけはし尽くしていただかないと、地方の自治体で必要以上にトラブルが起こるということであります。いたずらに法の成立を急いだおかげで、地方の自治体に混乱を巻き起こすような愚かな策は、私は当委員会としてはとるべきではない。少なくとも審議だけはひとつ十分に尽くさしていただきたいということをお願いを申し上げまして、きょうの質問はこれで終わりといたしまして、あと労働大臣がおいでになりますならば、また少し憲法上の解釈と同時に話を進めてまいりたいと思います。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次は細谷治嘉君。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 理事の指示によりますと、きょうは六時までということでありますので、わずかでありますけれども、きょう時間の範囲内で御質問し、明日引き続いて質問をいたしたいと思います。  最初に質問いたしたいことは自治大臣にでありますが、公務員部ができましたのは、大臣、いつごろか御存じでありますか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 係がおりますから御答弁いたさせます。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 四十二年八月一日からでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 この公務員部ができるにあたりまして、参議院において、さらに四十二年の八月十八日の当委員会におきまして、公務員部の基本的な姿勢と申しますか、そういうものについて三つの原則が確認をされております。大臣その三つの原則御存じでありましょうか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 ここに資料を持っておりますから知っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 御存じでありましたら、ひとつ大臣からその三つの点を述べていただきたいと思う。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 第一点は、任命権者と職員団体との間に問題の生じた際には、常に公正な立場にあって仕事を進めたいこと。  第二点としての公務員部の使命の大きな一つは、地方公務員の適正な待遇改善、適正な人員の確保、公務員の個人的な権利の擁護、これらを通じて適正な近代的な人事管理を行ない、地方公務員が安心してその職務に奉仕し、もって地域住民の福祉を増進することができるようにする。  第三点の懲戒処分等については、個々の具体的な問題について強制にわたるような指導等は絶対しないつもりである。こういうことになっております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 この三つの点が参議院においても、衆議院においても、公務員部設置にあたりまして文章等も理事会で詰めまして確定を見たものであります。いま大臣が述べました点は大体そのとおりでありますけれども、参考のために当時の議事録を読んでおきたいと思う。  「第一点は、自治省内に公務員部を新設し、公務員に関する事務を強化するにあたって、地方公共団体の労使双方に対して常に公正中立の立場で行政指導を行なうべきである」、これが第一点であります。  「第二点は、最近の地方財政の窮迫などの事情から、地方公務員の人件費総ワクを節減することが各地で見られますが、公務員部は、これら財政事情のいかんを問わず、地方公務員の待遇改善、定員確保、権利保護のために絶えず行政上注意を払って積極的に発言し、行政指導を行なうべきである」、こういうことであります。  「第三番目は、最近、公務員の賃金に関連いたしまして、人事院勧告の実施にからんで全国的な闘争が年々激化する傾向にございます。このような場合、地方公共団体においても中央の労働問題から直接影響を受けることから紛争、争議の状態に入ることがございますが、公務員部はこれらの紛争について地方自治体の自主性をおかすような介入、指導を行なうべきでない」、こういうことであります。  大臣、このことばは再確認してよろしゅうございますか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 再確認してけっこうです。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 ところで、いま私が当時の議事録から三点を朗読いたしたのに対して、自治大臣は再確認をいたしたわけでありますが、この姿勢に基づいて公務員部は対処してまいっておると大臣はお考えになっているかどうか、お伺いいたします。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 公務員部はいま御指摘になりましたその態度を保持してやっております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 その態度を堅持してやっておる、こういうことでございますけれども、現実には地方団体に対して自治省の権力がいろいろな面で介入をしておる、これが現況ではないか、私はこういうふうに思うのであります。たとえばこの第一点の問題、公正中立に対処していく、あるいは権利保護等については積極的にやる、あるいは介入をしない、こういうことでありますけれども、随所に、自治省が指導という名において介入しておるんではないかと、こう私は思うのでありますが、大臣はそう思いませんか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 地方公共団体について、不当な干渉をするということは、これは根本的に誤っておりますから、そういうことはやってないと思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 この同じ年に、地方公務員災害補償法というものがつくられたわけです。その災害補償法をつくる際に、法律を上回って現に実行しておるいわゆる付加給付、そういうものは当面認めていく、こういうのがこの法律成立の際の自治省の答弁であったわけでありますけれども、現実にはその付加給付をなくするようにやられておると私は思うのであります。  さらには、新聞等にも書いてございます地方公務員の給与研究会というものに、経営者の代表だけを加えて、そして直接の労働者代表は加えない。しかも新聞等には、そのねらいというのは指定市等、国家公務員より上回っているところを押えるんだ、こういうような目的で給与研究会というものが自治省に置かれた、こういうふうに書かれておりますが、これは事実でないですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 地方公務員災害補償法ができますときに、確かに付加給付問題というものがございました。それにつきまして、いまのお話でございますとやめるように指導しておるというお話でございますが、ちょっとその点は、私どもはそういうふうなことをいまここで確かめるわけにまいらないのでございますけれども、後刻また調べまして御回答申し上げたいと思います。心当たりは、少なくとも私に関する限りはございません。  それから給与問題研究会でございますが、これは給与問題が、いろいろな問題が実はもう御承知のとおり山積をいたしておるわけでございます。これにつきまして、かねてからよりより自由に討議をして研究をするというようなことで、いわゆる学識経験者と申しますか、そういう御関係の方方を、ごく小範囲ではございますけれども、お願いをいたしまして、いろいろな問題の御研究、御審議を願っておるのはそのとおりでございます。ただし、その目的は、上回っている指定市等のいわゆる富裕団体と申しますか、そういうところの国家公務員より上回っているところを押えるためにやるということではもちろんございません。要するに、地方公務員の給与というものを考えます場合に、どういうあり方が一番いいのであるかというようなことを、第三者の学識経験者の方々でございますから、各方面の知識、経験を集めていただきまして、御検討を願い御研究をしていただいておるという状況でございます。私どもは、それによって特にどういう結論が出なければならないというふうにも実は考えておりません。と申しますのは、こういう結論をぜひ出してほしいというようなことを申し上げておるわけではございませんで、現在もなお研究をしていただいておるというところでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 災害補償の付加給付について押えたという証拠はありませんか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 いま申し上げたとおりでございます。心当たりはございませんが、なお、そういうお話がございますとあれでございますので、よく調べましてからお答え申し上げさせていただきたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 公務員課長が労使の紛争に深く立ち入ったという例はございませんか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 直接具体的な紛争に深く立ち入ったということは聞いておりません。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 岩手県とか青森県とか山口県で深く介入したという事実があると私は思うのですが、御存じないですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 心当たりはございませんが、岩手県と申しますのは、一度、私の記憶では、大船渡という市がたしかあるわけでありますが、大船渡市で何か懲戒処分にした、その懲戒処分にいたしましたときに、その処分の撤回でございますか、緩和でございますか、そういうことの話が市長と職員団体の間にあった、そういう点についての法律上の問題を聞かれたので、行政処分というのは、一回行なわれた場合には、それに重大な瑕疵がある、その他の事情で維持できないというような、無効に近いようなものでない限りは取り消すべきではないという、一般的な解釈を公務員課の担当官がいたしたということは聞いております。それ以外のことは直接には聞いておりません。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 山口県の実例は御存じないですか。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 私は聞いておりません。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 御存じないようでありますけれども、公務員課長の領域外のことにまで——いま問題は勤務条件等の問題が含まれておるから関係が全くないとは申しませんけれども、領域外のことまで走り回ってくちばしを入れているという証拠は御存じないですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○鎌田説明員 下関市の水道事業の再建をめぐりまして、給与の切り下げの問題で労使間に紛争がございました。それで私が本人から聞きましたところでは、労使双方から本人にあっせんの労をとってもらいたい、そういうことであっせんの労をとったということは聞いております。

長野士郎自治省行政局長

○長野政府委員 いま私があげた例は、私は、時間がありませんからこの問題についてあまり具体的に突っ込んだ御質問は申し上げませんけれども、どうも公務員部というのは、四十二年にできましてから定年制というものに血道を上げるというか、何とかして地方公務員を押えつけよう、こういうことでやっきになっておる。こういうことで、どうも公務員部というのはいろいろな客観的な資料を集めて、地方公務員の、大臣が約束されました三つの原則に基づいて動いておらない。大臣が確約した基本的姿勢にそむく点が多々ある。こういうふうに申し上げなければならないと私は思うのであります。したがって大臣は、その逐一を御存じないことは私も理解をいたしますが、この基本的姿勢は、この委員会なりあるいは参議院の内閣委員会で確認されようがされまいが、自治省として、あるいは行政局公務員部としての当然あるべき基本姿勢ではないかと思うのであります。そういう点でひとつ大臣が、この三つの原則、たてまえというものは最後まで貫くように十分な指導と善処をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。

野田武夫自由民主党自治大臣・北海道開発庁長官

○野田国務大臣 いま細谷さんの御指摘になりました公務員部のあり方、これはすでに当時確約もいたしております。またお話しのとおり、これは当然の姿勢、態度だと思っておりますから、私はやはりこの当然なる姿勢、態度を堅持して今後の指導に当たりたい、こう思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 六時二分になりましたから、あすに譲ります。

鹿野彦吉自由民主党

○鹿野委員長 次回は明十六日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会

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