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61回国会衆議院1969/11/21

大蔵委員会 第53号

発言数
118
登壇者
11
会派数
4
開催日
1969/11/21

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  今般、新たに就任されました奥村国際金融局長より発言を求められておりますので、これを許します。奥村国際金融局長。

奥村輝之大蔵省国際金融局長

○奥村説明員 今度、国際金融局長になりました奥村でございます。非常にふつつかでございますが、皆さん先生方の御指導を得まして、仕事に遺憾なきを期したいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)

田中正巳自由民主党

○田中委員長 この際、おはかりいたします。  先般、各地に委員を派遣し、税制、金融、専売事業及び国有財産の管理等に関する実情を調査いたしたのでありますが、その報告書が各派遣委員より提出されております。これを本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 国の会計、税制、金融及び関税に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢賢一君。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 税金の問題からまずお聞きしていきます。  この間、東畑税制調査会長が来て、いろいろ参考人として話をしましたが、第一番目にお聞きしたいのは、法人税制についていろいろまちまちである、四つに組んで動きがとれないというわけですが、新聞によると、自民党の中から法人税率は引き上げろという議論が出ています。それから大蔵省発表として――発表というか、新聞記事として、法人税率についてやはり何か手直ししなければいかぬ。一方、やはり設備拡張に対する景気過熱とかその他の問題があって――大蔵大臣がいるといいのですが、大蔵大臣は、これ以上国民総生産、GNPが一三%以上に伸びるのを何とかして押えたい、物価安定が最大の課題だと言っている。そうすれば、法人税率でかげんして、いろいろ人間回復とか民生安定のほうに回す、減税に回すというのはしごく当然だと思うのです。税制調査会でもまだ結論を出していないようですが、大体それについての見通しをお聞きしたいと思います。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 いまお話がございましたように、法人税率を上げたらどうかという議論が出ます考え方といたしまして、第一には、諸外国の法人税の負担に比べまして日本は相対的に低いという、少なくとも高くないというような議論、それから、かつて四十一年におきまして、当時の不況対策といたしまして法人税率の引き下げをいたしたわけでありますが、現在の日本の経済の状況を見る限り、その不況対策としての法人税引き下げということについてのそういう考え方はもう捨てていいのじゃないかということ、少なくともそのとき引き下げたものはもとへ戻していいのではないかという考え方、それからもう一つは、広沢先生おっしゃいましたように、法人だけがどんどん伸びていくということにおきましては、設備投資といわゆる社会資本の投資との間にバランスがとれないから、こういうものについて、むしろ景気調整というようなことでなくて、基本的に公のセクターとそれから私経済とのいわばシェアを振りかえるという意味で法人税を引き上げたらどうか、これは主として学者や評論家から出ている意見でございますが、そういうものがございまして、大臣は、かつて新聞などに出ましたように、基本的な仕組みについては来年は考えないのだということは申しておりましたが、それは税率を含めて一つも動かさないということではなくて、いわゆる配当控除にからみまして、利潤税だとか、あるいは現在のシャウプ的な税制がいいというような、制度の根幹を動かさないということでございまして、法人税の負担をどうするかというようなことにつきましては、あげてこれからの検討にかかる問題でございます。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうすると、企業税制の根幹に及ぶ問題は今後の課題である、これも引き続き大いにやる。当面は大のほうを上げて、中のほうというか、中小のほうを下げていく、こういうことには手をつけるということなんですね。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 その問題をも含めましてこれからの検討でございます。ただ、中のほうをますます下げていくというようなことがいいか、つまり多段階の、あるいは非常にたくさんな税率を大企業と中小企業との間に設けるのがいいかどうか、これは非常に議論があるところでございまして、明年度の予算の編成の過程でいろいろ財源問題の検討をいたさなければならない、その一環として法人税の引き上げということもいろいろ議論になっておるようでございますが、それらを踏まえましてこれから御審議願うことになろう、かように考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうするとちょっとあいまいになってしまうのですが、基本的にこの法人税率を全部引き上げるなんということになれば、やはり中小企業者の人は非常に、いまだって中堅企業が倒産しているのですから、こういう景気のいいときにそうなっているのだから、そうするとやはり中小を下げてそれから大を上げていくとか、御承知のとおりいろいろな議論が出ていますね。だから、そういう基本法でいくのかどうかということをお聞きしているのですが、ちょっとあいまいだから、どうぞ。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 法人税につきまして大きな格差を設けることは私どもは適当でない、かように考えております。中小企業対策として法人税を考えます場合におきましても、法人税率の差というものがそっくりそういう政策として一番いい政策かどうか。つまり、端的に申しますれば、非常に好況な企業も不況な企業も同じように二%なら二%、かりに百万円であれば二万円という程度の金をばらまくわけでありますから、そういうようなものがいいのかどうかというのは、これは慎重に検討を要することではないか、かように考えます。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 どうもわからぬですがね。とにかく大企業はもうかって設備拡張をやり過ぎるじゃないか。中小企業は、これは人手不足でもって省力投資するにもたいへんだ。あとで金融の問題が出てきますが、金融でもたいへん行き詰まっている、政府三機関のお金をどんどん借りたがっているということから、簡単にいえば、これは中小企業の近代化がよくなることが物価安定に大きく寄与することになる。政府でも言っているのだから。そうすれば、分けてやるということはしごく当然だと思うのですよ。さっき私が言った議論が与野党通じてあるのだから、それをはっきり分けるということで区別してやっていく。それでなければ、法人税の増税なんて言ったら中小企業はみんないやがってしまいます。そういうことではないでしょう。それははっきりしてください。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 法人につきましても税率はいま格差がございますが、むしろいま先生のおっしゃるような意味の中小企業の近代化ということにおきましては、中小企業につきましての機械について特別な割り増し償却とか、いろいろなことを考えておるわけです。大企業でありますと、いわば日本の先端となる日本経済の国際競争力のためにどうしても必要な、不可欠な設備投資について割り増し償却のようなことをいたしておりますが、中小企業につきましては、一般的に構造改善が行なわれるようなものについては広く網を広げて、ことし期限が来るものもございますが、そういう形で近代化を推進していくというのが、いま申し上げましたように、観光事業をやっている、あるいは料理屋をやっている人も法人でございますから、そういう人にまでなべて税率を安くするというのが必ずしも政策ではないんじゃないか、かように考えておるわけであります。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 近促法のことはあとで聞きますが、料理屋さんとか観光事業を持ってきて中小企業の法人税を下げるのは云々というのは、とてもじゃないけれども八つ当たりの議論で、やはり差を設けて、大企業については各国並みに税負担をとる。それから、祖税特別措置も大企業に七割方有利なんですから、そういうことを考えた場合には、やはり大法人税率の引き上げ、中小法人税率の引き下げ、これは世論だと思います。大体そういう方向に行きたいという答弁を賢明な主税局長からとりたかったのですが、これも言えないというのは驚いたことだと思うのですが、これはたいへんだと思うのです。  その次に利子配当の分離課税の問題ですが、やはり期限切れが来るわけです。それで、何年間も議論しているのですから、総理大臣が不公平だと言っているのですから、やはりこれは何らか税制調査会で結論を出さなければ来年の期限切れのときに間に合わないと思うのです。それが、これには触れないのだ、まだ利潤税だとか、擬制説、実体説でもって議論しているというんじゃ、これは何年たったって解決つかぬと思うのです。それについて、税制調査会で議論しているにもかかわらず、税務当局としてはどういうふうにやるのか、それを聞きたいと思います。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 利子配当につきましては、すでに従来からたびたび税制調査会の答申として、基本的には総合すべきものであるという答申をいただいておるわけでありますから、明年度におきましても基本的な姿勢としては、その方向が一貫して政府の、税制調査会の態度になっておると思うのです。明年それをどこまで具体化していくかというのがこれからの課題であろう、かように考えておるわけであります。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうすると、返答がないのですが、利子配当の分離課税については手をつけるのか手をつけないのか、ですね。ただ三年間延長するのじゃなくて、国民世論、与野党越えてのいろいろな動きについて、財界の要望にもかかわらず何らかの手をつけるのだ、たとえば暫定措置もやるのだというぐらいのことは言えるだろうと思うんですが、どうですか。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 おっしゃいますように、利子配当をそのままにしておいてはいかがかという世論は非常に強いことでございます。これは十分耳を傾けなければならない、かように考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 耳を傾けるだけじゃこれは実行にならないのでして、この間も東畑さんが言ったのですが、大衆の零細貯金については特別措置を講じて、それからあとについては相当手を入れる、こういう新聞記事がちゃんと出ているのですよ。だからそれを確認してもらえばいいのです。そういう方向に行くのだじゃなければ、今度の三月の期限切れをもって国会まともに通ると思ったら大間違いですよ。大荒れに荒れると思いますよ。荒れなければこれは国会議員の義務がつとまらぬと思うんですがね。それについての見通し、さっきの新聞記事の方向、大体そういう方向に行くのだということ……。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 私どもも法案を出すからには御賛同を得たいと思いますので、できるだけ勉強していかなければならぬと考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 その勉強というのが、一生懸命そういう方向に沿って行くのだというふうに解釈して、結果を楽しみにします。  その次に、中小企業の場合、たとえば洋服屋さんなんか見ますと、オーダーを縫う人なんていうのはたいへんな長時間労働で、月給はたとえば六万円ぐらいが一生ずっとそうなんです。これは原価計算したらたいへんなあれです。外国はオーダーは高いのですがね。つまり中小企業の原価計算が全然やられてないのですね。みんな生活費に食い込んでいるのですよ。そこでこの間、青色申告会の要求を只松委員が質問しましたけれども、やはり中小企業が原価計算できるように、生活費、報酬は法人と同じように、大会社と同じようにちゃんと保障されるように、全部そうなんだから、ということで事業主報酬という問題が出ています。先ほど大企業と中小企業と比べたのですが、中小企業はそういうふうに、簡単にいえばいじめられているのです。その要求が通らないのですが、それについてどう思われますか。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 原価計算ができるとかできないとかいう議論は、いろいろ考え方もあろうかと思いますが、いま先生のおっしゃるような、いわば余裕のない、蓄積のない状態におきましては生活費が即コストになるはずでございますから、したがってそういう意味で原価計算もできるわけでございます。われわれとしては、利潤があるかないかという問題にからんで、あるいは本来、自分が事業をやるということは、当然事業主としての利潤もあるかわりに損失もあるということを含めて事業をおやりになっているわけでありますから、自分が自分を雇うというような観念は、観念としては日本の民法では成り立たないことじゃないか、かように考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 この間の東畑さんの意見もそうですが、これはさっきの料飲店を中小企業と類推する言い方と同じで、それはとてもへ理屈ですよ。民法の問題なんていったらできなくなってしまいますよ。そうじゃなくて、主税局長は、最近いろいろなものを拝見しますと、だんだん理解ある態度を示しているのでしょう。そうすると、この問題は、たとえばバランスシートの上で経営者とその家族の生活費は事業主貸しということになっていますね。だから、生活費は奥とお店と区別がなくて、借りるという形になる。借りたという形になると、そのことについて、給料をもらったらじゃんじゃんかってに使えばいいのですが、給料をもらったと同じように生活費の部分までどんどん税務署から追及されるでしょう。それで長時間働いてその報酬に見合うものは全部認めておらないという、こういうことでは中小企業の近代化といったって口頭禅だと思います。そういう点について、事業主貸しといういまの言い方や何かについては、これは不合理だと思いますか、思いませんか。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 家計に取り組まれる、あるいは自分の家の経済に取り組まれる態度としまして、この程度のことで生活をおさめていく、したがってそれを自分の月々の働きとして観念すると言われる態度は、それは合理的なお考え方だと思いますが、それが原価計算になるとか、それが当然にいわゆる事業主給与として、おっしゃるような意味でのあるいは給与所得控除のようなものを認めろという意味でありましたならば、それは全然別のことで、やはり事業所得はどこまでいっても事業所得ではないかというように私ども考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 将来これについてはやっぱり企業税制全般と関連しまして、先ほど言われました大法人について根本的に考え直さなければいかぬ世界の趨勢であると思うのですね。それと関連して中小企業の事業主報酬の問題ははっきりと解決しなければならぬ問題です。中小企業は、事業主といったって、いろいろ形式論理で考えるけれども、ほんとは勤労者なんです。中小企業主、零細企業主というのは勤労者で、大企業の労働者以下なんです。そうすれば、やっぱりそれに対して税制上ぴしっとあれした原価計算ができるような、そういう方向へ税制上からも導いてやるというのが当然の義務だし、政府も重大政策で中小企業の近代化ということをいっているのですから、その問題についてやはり考えていかなければならぬと思うのですがね。全然一考の余地もなくてぼんぼんはねちゃうのじゃ、とてもじゃないがだめです。そういう点で主税局長がいろいろ言われている理解のあることを、外で言っていて国会で言われないということはないでしょう。どうですか。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 何か外でいろいろなことを申したようにおっしゃいますが、それは何か部分的な引用でございまして、私もその文章について拝見したことがありますが、真意は伝わっておりません。それはそれといたしまして、かなりの方々からそういう要望が出ておることも事実でございますので、この間東畑税制調査会長も申しましたように、その問題も、耳を傾けないということではなくて、十分そういうお話のあるごとも含めて是非を検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうですね。「イギリスには事業主給与制もあるし、たしかに事業主報酬は考えねばならぬ課題だと思う。」課題ですね。課題にしていただきたいと思うのです。私のさっき言った大法人の税負担はイギリスと並んで世界で一番安くて、一方猛烈な高度成長を遂げている。中小企業は長時間労働で、いまでも認められていないということになったら、やはり法人税率の段階と、それからもう一つはこの問題について十分考えなければならぬと思うのです。その点もしっかり私は約束してもらいたいと思うのですが、もう一つある。  東畑さんはこの間のときに、家賃控除とか勤労学生控除等々についてはまことに奇妙な議論をしています。それで、租税特別措置は全部個別的な控除じゃないか。きょう配ったいろいろなあれにも耐用年数が全部指定されています。まことに複雑難解な通達行政で租税特別措置ができ上がっている。ところが、この間聞いたんですが、都心部は家賃二万円です。2DKなくても、「こんにちは」と入ると奥まで見えて、四畳半で二万円なんです。子供を生むことはできないです。家主さんが認めない。人権じゅうりんだと思うのです。そういう人たちに家賃控除を認めてもらいたいというのは、租税特別措置の個別的なものに比べたらずっと恩恵があり、それから計算のしかたもやりやすいと思うのですが、いかがですか。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 そのときもお答え申し上げましたように、租税特別措置についていろいろあるとおっしゃいますが、これは企業なり事業なりの経営に沿って特別措置が考えられておりますので、したがいまして、その受け入れる基準なり、あるいは会社の事務処理の過程の中に流れ込ませて所得を計算する過程において、そういう特別措置というのがはまり込んでおるというのが現在の大部分の企業の特別措置です。ところが、所得税におきましては、生活費の問題、経費と生活費という問題がございまして、これはどこまでも標準化したものを考えていきませんと、税制で個々の経費を、それが経費であるか、あるいは生活費であるかというようなことになりますと、給与所得者の経費というのがそれ自体どういうものか論議のあるところでございますし、ましてその当否を税務当局が判断いたすということになると、二千数百万の納税者の一日の生活の実態を税務当局が、あなたのこの部分はけっこう、この部分はだめですというようなことになりまして、それは執行上もできない。したがって、その節も申し上げましたように、生活を標準化して、そういうものは基礎控除なり配偶者控除なり、全体としての家計の中から控除されるもの、それを標準化したティピカルなものを漸次引き上げるという形で解決していく問題ではないか、かように考えておるわけであります。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうしたら、控除そのものについて、たとえば医療費控除、お医者さんからいろいろな証明書をもらって医療費を控除する。それからこの間只松委員が質問したんですが、大家さんがもらう権利金とかその他の問題については、たいへんな大脱税をやっているでしょう。大家さんが家賃の領収書を出すわけです。領収書でもって見せれば完全に家賃控除だってできる。税務執行上困難だというのは、へ理屈だと私は思うのです。だから、やはりこの問題についても十分議論すれば取り組めるんですね。勤労学生控除でもいろいろ証明の方法があると思うのです。そうすると、税務執行上困難だといってただそのままでいくんじゃなくて、もう少し検討することが必要だと思いますが、どうですか。

細見卓大蔵省主税局長

○細見説明員 やはり家賃ということになりますと、カテゴリーとしては生計費といわざるを得ないと思います。ということになりますと、生計費の当否を税務当局が判断するのは適当ではないので、たとえば二万円の家賃は生計費でありますから経費にはならないと思いますが、かりに百歩も千歩も譲りまして経費だというような議論をいたすにしましても、広沢先生であれば三万円の家賃は適当である、私であれば二万円はぜいたくだというようなことをどうやってきめるかという問題が必ず残りまして、それは一方では通勤費との間に逆相関があるとか、いろいろな議論は出ようかと思いますが、いずれにしましてもそういうものを個々に税で解決するというのはむずかしい。むしろ個々にそういう問題が解決できるのは、雇用の過程でどれだけの報酬を払うか、どういう家賃のところに住まなければならぬ人を雇っておるからどういう賃金を払わなければならぬという形で解決するのが筋ではないかと私どもは考えております。この問題につきましてはすでに税制調査会でも御議論願って、いまのところの大勢としては、やはりそういう個々のものを控除するのは適当でなかろうというようなことにおおよそ意見がまとまりつつあるようでございます。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 大蔵大臣が来ましたから、私の残されたわずかな時間は大蔵大臣に御質問するので、先ほどの勤労学生控除や家賃控除についてはあらためてまた十分議論したいと思います。  まず大蔵大臣にお聞きしたいのですが、円切り上げの問題です。いろいろ新聞にも出ておりますが、円切り上げになれば、メリットとして輸入がしやすくなってインフレを抑制できる。大臣は物価安定ということを今度の予算の基本方針にされると思うのですが、そうするとデメリットとしては輸出困難ということがあると思います。最近の輸出の状況その他から見ると、円切り上げについて必ずしもこれをむげに否定するとか、そうすべきでないとかいう意見があるのですが、大臣の御所見を承りたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいまの円の評価ですね、三百六十円対一ドル、これは二十年前にきまったわけであります。当時は日本経済に対してこれが非常に重い負担であったというふうに考えられておりましたが、逐次日本の経済も合理化され近代化され、また成長発展いたしまして、今日ではこれが大体適正であるというふうに定着をしておる、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。ただ問題がありますのは、いま多少円が強含みではないかというような見方をする人があります。しかし、この強含みであるということは、そういうふうにも見られますが、日本経済全体がただいま温室の中におるわけなんです。つまり厳重な為替管理、また輸出入の管理、そういう温室の中でとにかく円の価値が強いというような現象が逐次出ておる、こういう状態かと思いますので、裸にしたら一体どういう水準になるか。これはまたそこにかなり見通しのむずかしい点もあろうかと思うのであります。その裸にしてみるということ、その実験を経ないで、これが強いのだ、強過ぎるのだという判断を下すことはきわめて危険である、こういうふうに私は考えておるのであります。いまのところは大体適正な水準に定着している、強過ぎるという事態はない、かような判断であります。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 大体現在のは適正水準だから今後考えないという御議論だと思うのですが、もう一つ、物価安定の問題としていつも議論になるのですが、三年前から議論しておりますが、大企業は生産性が高いから物価上昇の原因ではない。それが中小企業、農業に及んでくると、人手不足のおりからそういうところが物価が上がる。大体政府はそうおっしゃっていますね。そうしますと、私は中小企業の近代化ということについては格段の努力をしないといけないと思いますが、中小企業の近代化について、たとえば最近の新聞では、中小企業の政府系三機関が非常に資金が逼迫している。これは民間資金からはみ出されて、中小企業はどうしてもそっちの政府三機関にいかなければならない。そうするとそこのところがなかなか窮屈になってしまってたいへんだという話が新聞に載っていたのです。これは事実だと思うのです。そうしますと、やっぱり中小企業にとっては、ことに零細企業の諸君にとっては国民金融公庫ですね、この政府三機関に対する資本金を増額すれば非常に有利になる。中小企業は安い利子で借りられるようになる。それから資金も潤沢になる。これが前の水田大蔵大臣と話し合った問題なんですが、そうしたら、資本金増額ということはそのとおりだとずっと言っていながら、全然まだ達成しないのです。資本金増額と資金のワクの増大ということについては、これは一番、全部に均等にいくわけですが、政府としてはどういうふうにお考えになりますか。物価安定の上から大事なことだと思いますが。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 中小企業の近代化は、これは物価安定対策上きわめて重要なことであるというふうに考えております。これは中小企業ばかりではありません。サービス業にいたしましてもあるいは農業にいたしましてもそうなんです。つまり、大企業では賃金が上がった場合に生産性の向上でこれを吸収し得るが、得ない低生産性部門の対策が物価対策の大きな柱になる、これはもうお話しのとおりと思います。その中で特に中小企業の問題を御指摘でございますが、これは税の問題もあります。金融の問題もあります。あるいはその他流通の問題、いろいろな角度からやっていかなければならない問題でありますが、いま広沢さんはそれらの広範な問題ではなくて、金融の一点からのお話ですから、その一点にしぼりますが、私はきのう、おとといと関西へ行ってきたわけであります。商工会議所の役員との懇談も持ったわけであります。また金融団体との間に金融懇談会も持ってまいりました。商工会議所といえば中小企業の方が多いわけでございますが、劈頭、年末金融対策に対して適正な措置をとったことに対して、私に対し感謝の意が述べられた、こういうような状態であります。総じまして、押し迫った年末の関西財界は平静に推移するという見方をいたして帰ったような次第でございます。そういう、金融問題につきましては量の問題があり、また質の問題がある。この量の問題としてはとにかくそういう状態。  質の問題としてどうかということになると、特に金利の問題であろうと思いますが、これは他の金利との権衡というような問題もにらまなければならぬ。これが他の金融機関の金利に比べまして高いのだというような状態でありますれば格別でございますが、いまの水準というものは大体金融機関全体の中において適正な水準であるという考え方をいたしておるわけであります。これを引き下げるというようなことにつきましては、借りるほうから見れば、その借りる当該個人、企業につきましては、それはいいかもしれぬ。しかし、その量的恩恵にも浴さない他のものとの権衡いかんというような問題もありますので、今後全体の金融情勢の推移を見て機動的、弾力的にやってまいりたい、こういうふうに考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうすると、今度は近代化の星と質の問題ですが、御承知のとおり中小企業近代化促進法という法律があって、共同化、集団化すれば資金量の八〇%が無利子なんです。これはたいへん魅力があって、そのために零細企業では反対しているけれども、業界全体としては近促法の適用を受けたいというので一生懸命なんです。中小企業の近代化というのは共同化、集団化して近代化する方針、これは政府の大方針だと思うのですが、そうするとやはり質的にこういう企業なら構造改善しても、共同化、近代化したほうがいいんじゃないかという場合には無利子、これは魅力があるのですが、無利子の資金量のワクをふやしていくことについて、大臣のさっきの御意見から見ますと、やはり質的にこういうような無利子もしくは無利子に近い三分の利子とか、そういう形で、この企業はこういう自主的な構造改善、共同化、集団化をやるのだからこれにはこれを認めるという、この考え方は合理的ですが、この資金量のワクをずっと格段とふやすというお考えはございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 それは財政上の見地からの都合もありますので、これを一挙に大幅にというようなことはなかなかむずかしいかと思います。しかし、あれは中小企業、特にその中でも重要な生活の中小企業につきましてはなかなかいい効果をあげつつある、こういうふうに見ておりますので、これは逐次充実していきたい、こういう考えは持っております。先ほど三機関に対して増資というようなお話でありましたが、その点には触れませんでしたが、近代化資金につきましてはこれを逐次充実さしていきたい、こういうふうに考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうすると、近促法については重点的にだんだんと大きくしていく。  それでもう一つ、こういう問題があるのですが、いまの大都市では交通難、それで道路を広げたいが、表は商店街の人ですから、お得意さんの関係からもどこかよそに行きたくない、みんな反対しているもんだから十年間全然道路が広がらない。至るところそうです。それで道路を広げるについては、やはりそのうしろ側にいる人は、都市再開発計画の権利変更計画で上にあげる。商店街を下に入れる。それでその上を公営住宅やなんかに使えばみごとに変わってくるわけです。高級マンションばかりが建たないで変わってまいります。  これについて、まず第一番目に建設省がなかなか苦労していると思うのですが、たとえば住宅金融公庫に特別の部を設けて都市再開発をやらなければならぬ。それで二十年賦とか、年賦の長い、そして据え置き期間がある、それから七分五厘程度、こういうことでもってやらなければ、強制収用すると裏側の居住者に言えないわけです。だからやはりちゃんと利をもって誘導する、利益誘導でもってみんなを納得さしてやっていかなければならぬ。だけれども、いま全然それができていないのです。それでにっちもさっちもいかないのが現状だと思うのです。そうすると、やはり住宅金融公庫にそういう措置を設けたりなんかするということは非常に重要だと思いますが、どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいま御指摘の点は、いわゆる過密過疎というか、そういう対策としてきわめて重要な問題になってきております。たとえば最近は防災街区というようなことで、たいへん市街地の整備、これが要望されておるわけです。その要望に対しましては、財政上の均衡という見地から許される程度の助成をいたしておるわけですが、その他建設省とも相談しながら、そういう街路の拡充に伴う商店街の対策、これらいろいろなことをやっておるのですが、これはこれからますます重要な問題になってまいりますので、くふうをこらしてみたい、かように考えます。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 くふうをこらしてみたいということですが、これは根本的に取り組まないと、交通難その他解決しないのです。  それで最後に、以上のようないい案が一ぱいあります。一石三鳥くらいの案が一ぱいあるのですが、財源がない財源がない、金がない金がないというのがずっと議論してきたあれですが、財源はあるじゃないか。大きな会社はうんともうかって、持っているじゃないか。そうすれば、大きな会社の法人税率がイギリスと並んで世界一安いんだから、大きな会社の法人税率は引き上げなければいけないんじゃないか。それから、利子配当分離課税や何か、ずいぶんたいへんな金が減免措置されていますから、こういうものも何らかの合算課税にしなければならぬ。来年期限切れじゃないか。こういう問題があるのです。大問題なんですが、そうすればそんなに苦労して、金がない金がないと言わなくて済むし、それから大臣は、物価安定を一番中心にして、成長率の伸びを鈍化させなければならぬのじゃないか、そう言われていますね。みんな心配しているのです。そうすれば、やはり大法人税率の引き上げ、これが一つ。これは一石三鳥になる、四鳥か五鳥になると思う。それと、利子配当分離課税の問題ですね。これは大臣いろいろのことを言われておりますが、税調ではいまがっぶり四つに組んでいるそうです。大臣がどっちに味方するかということはたいへん重要な問題なんです。この二つについてお答え願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 来年度の税制改正の中で、ただいま広沢さんの御指摘の二つの問題も特に重要な論点になっておるわけです。これを私がどういうふうに処置しようか、こういう考え方を申し上げることは、これから事務を執行していく上に非常に支障があるのです。たとえばこの間、私が経団連との会合において、法人税制の根幹については来年度は触れたくないような気持ちがするんだということを申し上げましたところ、税制調査会においては、大蔵大臣がそういうような発言をするなら、何もわれわれ調査会が慎重審議なんという必要はないんじゃないかというような激しい意見も出てきたような状態でありますので、私の意見といえどもここで申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいのでありますが、これはもういろいろな見方がいま出てきております。これらの意見が税制調査会でどういうふうに結集されてまいりますか、また国会における皆さんの御議論がどういう動向を示すか、これらを十分見定めた上で適正な結論を得る、満場一致で御承認くださるような結論が得られるように努力をいたしたいと存じます。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 大臣非常にいいことをおっしゃったのですが、いまどっちにも味方できない立場にある。そうするとこの前新聞で発表したあの記事はやはり取り消すわけですね。つまり、どっちにも味方できないんだから、財界が要望した、それで大臣が、いや、それについては了承したというようなことはない、やはりどっちにも味方しないのだ、財界にも勤労者大衆にも、どっちにも味方しないんだということで触れたくない、そういう大臣のお考えなら、そういう言い方なら非常にいいと思うのですよ。あと今度は税制調査会でがっぷり組んでどんどん押しまくってしまえばいいのだから。どうです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 いま政局が非常に機微な段階でございますことは広沢さんも御了知のことだと思うのです。それて場合によると――これは場合によるとです。これはどうなるかわからぬ。場合によると特別国会というようなことになるかもしれない。そういう際でありますと、かねていわれている法人税制の根本的改正というような問題はなかなか手がけにくいのじゃないかという感じもするのです。そういうことをこの前申し上げたので、そういう見解につきましては私はいまでもそう考えています。これが常のごとく国会が運営される、こういうようなことになれば、長期的な諸問題もこの国会で御審議願わなければならぬかとも思いますが、そういう政局全体をにらみますと、いま、さあここで根本的な改革というのはいかがなものだろうかなあと、こういう気持ちを持っておる、そういうことを申し上げたので、それは率直に申し上げまして私は今日においてもそう考えております。

広沢賢一日本社会党

○広沢(賢)委員 そうすると、これは国会の会期の問題に関連してということになるのですが、利子配当分離課税というのは来年三月期限切れになるのです。そうしますと、これは会期中、長くじっくり議論するというのですが、三月ですから、私たちも必死になってこの問題については国民の要望に沿うように、税の公平、大衆生活安定の財源を確保するためにがんばらなければいけないと思っています。そういう点がございますから、やはり何らかの十分な準備をされて、満場一致に持っていけるようないい結論に持っていかないと、非常にこの三月末の国会というのは荒れると思うのです。  以上申しまして、私の質問を終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 まず、金融問題について二、三お尋ねをいたします。  先ほど広沢君が質問しましたことに関連してお尋ねいたしますが、円は大体実情に合っているのではないかというようなお答えがあったと思います。しかし一部には先物買いが行なわれたり、あるいは西独で円市場を開場したり、いろいろ動きが出てきておりますね。こういう情勢に対してどういうお考えをお持ちでございますか。感触でけっこうです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 先ほど申し上げましたように、円につきましては、これは強含みだという見方をいたしている向きがあるようでありますが、私はこれは裸にしてみなければわからぬ。いまいろんなささえがあって初めてそういう強含みというような点も出てきておりますので、それはそのささえをはずした場合に一体どうなるのだ。それも見ないでこの円の切り上げを論ずることはいささか性急に過ぎるのではあるまいか、さように考えておるわけです。  何よりも私は、先立つものはやはり自由化というような問題ですね。これはタイミングもありましょう、段階もありましょうと思いますが、そういう問題にまず取り組んでみて初めて円の評価というものをしてみたいというふうに考えておるわけです。しかし、いま為替の管理と、それから貿易のある種の品目に対する抑制、こういうことが日本経済をささえておるわけでありますが、貿易のほうについてはただいまのお話しのように自由化を維持していきたい。それから為替管理の問題、これにつきましても、資金の受け入れの面においても自由化を前向きに進める。また資金の輸出の面においてもこれを進める。  ただ私が非常に注目し、関心を持たなければならぬのは、そういう趨勢ではあるにかかわらず、短期資本の移動につきましては、これはきわめて慎重な態度をもって臨まなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。イギリスにおきましても、あるいはフランスにおきましても、通貨の切り下げを迫られるというような状況に追い込まれた。あるいはドイツがマルクの切り上げをしなければならないというような圧力を受けた。これは何が原因かといえば、要するに短期資本なんです。短期資本の流動に対しまして自由放任の態度をこれらの政府がとっておったということに理由があるだろうと思います。この点につきましては私はあくまでも、自由化の潮流の中ではありまするけれども、慎重に対処していきたい、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 西ドイツと違って、連立ではなくて自民党一本の単独内閣ですから、内閣の中に、円の切り上げだ、いや切り上げしないというような対立が生まれるわけはありません。福田さんのお考えが中心になって運営されることだと思います。しかし、いまのような相当大幅な自由経済のもとにおきましては、これまた日本だけの考えや思惑だけでは、ある面ではどうにもならないという事態も、いまの短期資本の流動等で出てくる可能性もあるわけです。きょうあたりの新聞を見ても、日銀等でそういうものの対策が検討されておるということでございますけれども、ひとつ慎重な配慮をお願いするわけですが、幾らそういう検討をしたり配慮をしても、マルクの次は円だということが、何か合いことばまではいきませんが、いろいろ言われております。しかし、言われてもいますぐどうということはないだろうと思いますが、多少展望を持った――長期将来ではありませんが、展望を持った段階においても、円の切り上げやそういうことは一切必要ない、こういうふうにお考えでございますか。そういう客観的な諸情勢によってはそういうことも考え得るというふうにお考えでございますか、どうでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 いま申し上げましたように、現在の円の強含みは、これは諸外国と比べて特殊な事情によってささえられておる強含みである、こういうふうに見ておるわけであります。それは為替管理並びに貿易の保護施策、こういうようなことにあると思うのですが、それらをはずしてみないと、一体強いのか弱いのかというようなほんとうの評価は出てこない、こういうふうに見ておるわけであります。この自由化の問題にいたしましてもかなり時間のかかる問題でありますので、当面、円の価値につきましては、結論的に申し上げますと、これは変更する必要はあるまい、かようにきわめてかたい考え方をとっておる、かように御了承願います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 非常に重要な問題ですから、多少論議いたしましても、変えるとかなんとかおっしゃらないだろうと思います。  これはこの程度にいたしまして、次に、金融問題でたくさんの問題がありますが、いま一つの問題点は、私たちから見た問題点ですが、金融機関がもうけ過ぎておるという面がありはしないか。もともと私たちは、税制その他の面から、そういうことをたびたび質問したり意見を申し上げております。そして実質、いま貸し出しの規制や、あるいはいろいろなそういう面も含んで、公定歩合も引き上げられましたし、貸し出し金利も引き上げられた。が、一向に預金する側の預金金利というものは引き上げられておらないわけでございます。しかし、いま検討をされておるというようなことがいろいろ巷間伝えられております。政府のお考えはいかがでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 どうも九月期の決算なんか見てみますと、依然として大銀行の利益は相当のもののようであります。それを預金者にどうやって還元するかという問題があるのでありますが、これは結局貸し出しの金利を下げるかあるいは預金の金利を引き上げるか、こういうことになるわけでございます。そこで、どういうふうにしたらいいのだろうかということは考えておるのですが、今回は――この間私から事務当局に対して検討を指示したわけでございますが、預金金利の自由化、こういう方向を打ち出しておるわけであります。これを一律にいたしますと、これは小さいところに非常にしわが寄るというようなことにもなりますので、一定の最高限度の預金の利率というものをきめまして、その範囲内における自由化という方向でそういう問題に対処していったらどうだろうか、そういう考え方で具体案を進めるようにいたしたいと思っておるのです。ただ、これとても急激にこれを具体化いたしますると、これは非常な反動という弊害面も出てきますので、この実施は慎重にやらなければならぬけれども、とにかく経理上可能なところにおきましては、それに応じた金利というところでやっていくというようなこと、そういうようなことを通じまして、ただいま只松さんの指摘したように問題、これにこたえていきたい、かような考えであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いま自由化とおっしゃいましたが、自由化すれば――いまでも預金獲得競争は非常に激しいわけですが、そういうことになりますと当然に、銀行のことですからそうでたらめな競争はないかと思いますが、それでも金利はせり上がっていくという形になるだろうと思う。一般に六%を限度としてこの金利引き上げというものが論じられてきているわけです。その限度までは自由化した場合にはやむを得ないとか、あるいは低過ぎるとか、そういう点についての大蔵省として、あるいは政府当局として目安のようなものをお示しになりましたことがありますか、あるいは今後なりますか、どうでございましょう。   〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 自由化という問題につきましては、臨時金利調整法、これで金利の統制をいたしておるわけです。いままではこの法律によりまして大蔵省告示が出まして、そしてこれは、一年定期は五分五厘でありますとか、あるいは半年定期は五分でありますとか、あるいは三カ月定期は四分五厘でありますとか、事こまかにこれをきめてきたわけでありますが、今回はこの告示を改正いたしまして、最高限の金利だけをきめる。その範囲内におきましては各行が自由にこれを行なうことができる、こういうふうに制度改正をするのです。  ただ、制度改正をして、その際一挙に、いま御指摘のように最高限を六分まで持っていくかということになりますと、これはかなり今日の状況では混乱が起きる模様であります。ですから、ただいまそういう制度改正の問題につきまして関係者との間に意見の調整をしておりまするが、かりに意見の調整がまとまりまして告示の改正を行なうということになりましても、さしあたりは現状で推移する。この新しい制度に対する理解が定着をする、また皆さんがこれについて協力をするというような環境が生まれました際に、この五分五厘という問題をどういうふうに扱うか、これを考えていきたいと思っておるのです。ですから、ただいま結論的に言いますと、六分というような考え方を、いまお話がありましたが、外部に示したことはありませんし、またいま直ちにこれを、六分というような考え方を示す、あるいはそれを推し進めるという考え方はいたしておらないのであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いま直ちにはないというようなことをおっしゃいますけれども、巷間も相当六分といって――これはいままでの日歩建てが年利建てになるということ等も関連してでございますけれども、これは一ぺんニュース記事として抜かれたということじゃなくて、もう経済面を見るとほとんど六%というのは流布されておりますね。こういうのはどこからか、大臣が意見を述べられたり指示されたりでないにしても、大蔵事務当局の意向が大体そういうところにあるのか、何らかの形で出てこないと、ここまで一般的に流布されてこないだろうと私は思います。そしてこういうものが一般的に流れてまいりますと、大体そういうところに行かざるを得ないといいますか、きまるわけでございます。大臣のおことばにかかわらず、私は大体そういう方向に進むのではないか、こういうふうに思うわけであります。いますぐではなくても、世論なりそういうものが固まってくると大体六%、私たちの意見としてもむしろ六%以上に――まあ長期的なものや政府保証債や国債やいろいろな関係が出てまいりますから、そういうものとの関係をどうするかということも出てきますけれども、少なくともいまの金融機関のもうけ過ぎというものはやはり預金者に還元すべきだろう、そういう面からすると六%以上というのが妥当だと思います。したがって、一般論としてそういう世論や何かの動向、一般論として六%やむを得ない、こういうお考えか、それとも、いや当面だけで、あとのことは絶対言えないということになるのか、一般論的なお話はいかがです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 いま一般論として制度的な改正を行ない、金利問題に取り組む大蔵省の姿勢を示す、そういうことにいたしたいと思っておるのですが、これが具体的適用につきましては関係者の理解、協力、これがどの程度まで得られるか、また世論の動向はどうか、十分にそれらを洞察いたしましてやっていきたい、こういうふうに考えておりますが、いまほんとうに私が率直に申しまして、何分に、これをどういうタイミングでするのだということについては考えを持っておりませんです。

只松祐治日本社会党

○只松委員 大臣個人なり大蔵省としてはさまっておらないようでございますが、世論がそういうふうに、六%というものを一般論として認めておるという世論の動向はお認めになりますか、どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私は、世論の動向というか、そういう向きにおきましては、幾らかこの際上げたらどうだという空気が強く持たれておるという感じはいたします。しかし、これはまたさらに金融機関のあり方というような問題、金融機関の協力、そういうような面も考慮しなければならぬ、こういうふうに考えますが、それらを慎重に見きわめまして、混乱なく順調に推移されるという見きわめを得た上で、最高限の新しい設定については取り組んでいきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういたしますと、何らか改定が将来行なわれる、あるいは自由化されるということになりますと、政府関係の公債とかあるいは政保債あるいは金融債というような、こういうものも何らか変更をしなければならない、あるいはそれじゃ既発行のものに対してどうやっていくかといういろいろな問題も出てくると思いますが、かりに今後金利が自由化される、あるいは上がってくるということになれば、当然にそういうものの金利に対しても考慮をする、私たちから見れば変更するということになるわけですが、当局から、皆さん方からすれば、そういうものについて考慮を払うということになりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 いま申し上げましたように、この金利自由化の方向は打ち出すんです。しかし当面はこれは最高五分五厘、これでスタートしてみたいというふうに考えております。将来いろいろな状況を勘案いたしましてこの五分五厘を上げるという際におきましては、他の金利という問題もあわせ考えなければならぬという時期になろうと思いますが、今日はとにかくまあ五分五厘でスターとする、こういう段階でありますので、長期金利につきましてこれをいま改定する時期ではない、ただいまはそういうふうな段階であるという認識でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 この問題だけにあまり時間をとってもなにですからやめますが、金融問題の最後としてついでに聞きたいのは、日銀総裁がいろいろ取りざたされております。きょうあたりの日経等を見ると、佐々木さんに政府は内定したというような報道がされておりますが、日銀総裁は更迭される、あるいはまた人事はそういうふうに見てよろしゅうございますか、まあ参考までに聞いておきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 これは総理が訪米前に大体方向を出しておいたほうがいい性格のものです。そう考えておりました。しかし訪米前の総理大臣は沖繩問題、こういう問題で頭が一ぱいである、そういうようなことで結論を出さないままに渡米をいたしておるのです。帰ってから結論を出そう、こういうことになっておりますので、帰国後はなるべく早い機会に結論を得たい、こういうふうに総理大臣も考えておるのでございます。これはあくまでも総理大臣人事でありまして、私はそれを補佐するという立場でございますので、総理大臣が帰ってこないと何とも申し上げかねる問題でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 まあ大臣の腹のうちということで、聞きたいのですけれども、やめておきます。  次に、これも総理が目下交渉中の問題でございまして、なかなかお答えにくい面もあろうかと思いますが、しかし私たち国民にとりましては、ただ単に沖繩領土の返還という問題ではなくて、こういう経済面や何かについてもいろいろ知りたい面がありますので、ひとつお聞きをしておきたいと思います。ほんとうは私たち社会党としては、臨時国会なり予算委員会等を開いていただいて、あらゆる沖繩の問題について論議をしたかったのですが、なかなか皆さん方のほうでお聞き入れがなかったということで、この論議をする余地がなかった。きょうもなかなか、おそらくそういうことでお答えがないんじゃないかと思いますが、しかし繰り返して言いますように、国民はそういうことを聞く権利がありますし、知りたいわけでございますので、ぜひお答えをいただきたいと思います。  そのまず一つは、今回、もうすでにいろいろ中間的に発表されておりますが、日米共同声明に盛り込まれる経済的な諸問題について、当然にこれは大蔵大臣所管事項としていろいろ下相談なり御相談にあずかられたと思います。そういうことについて、おわかりになっている範囲のことについてお教えをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 今度の訪米につきましては、私どものほうで直接関連することは少ないんです。しかし、話題に出そうな問題につきましては私どものほうからも意見を申し上げてあります。  それは、一つは自由化の問題であります。それから、これは私の所管外でありまするが、私の考え方として繊維の問題、それから返還に伴う財務処理というか、そういうような問題、つまり通貨の交換の問題でありますとか、そういう問題があるいは話に出るかもしれないというようなことで私の所見も申し上げてあります。しかし、総じてこれは外務大臣の領域の問題でありまして、私が直接責任を負って打ち合わせるという問題は、まあなかったと申し上げたほうが率直かもしれません、かように存じます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私たちがお聞きしたいことも大体そういう点でございます。繊維関係、残存輸入制限の問題、資本の自由化、沖繩資産の買い取りあるいは沖繩に現在あるアメリカ系列会社の今後の動向というような問題がいろいろ問題になってくる。現に沖繩の施政権の返還、その他軍事基地の問題等とともに、取引とまではなんですが、そういうものと関連してこういう問題が高く認識され、論議されておりますね。したがって、一般国民もさることながら、繊維問題に繊維業界その他もたいへんな関心を持っておると思う。交渉の過程でございますから、国内での大臣の発言も何らかの関連を持ってくるでしょうから、決定的な形じゃなくても、しかし少なくとも新聞や何かにいろいろ論議されて、繊維業界や財界もそういう問題について要望を出しております、そういう範囲内において、大臣の述べられた御所見なりあるいはお考えをひとつ聞きたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 自由化につきましては、これは私ども日本としては積極的な姿勢で取り組むべきである。これはアメリカから言われたからこうするということじゃなくて、日本の国益として、またこれからの日本の経済が、ここまできた、黒字日本とまでいわれる日本として、また資源の乏しい日本国としては、どうしても貿易立国という立場をとらなければならぬ、そういう際に、世界で保護貿易主義という傾向が出るということは致命的にわが国に支障のある問題である、そういうことを踏んまえて大局的な立場から議論を展開せられたい。もちろん、これは個々の問題につきましてこれを実行する、それには準備もあるし段階もあるし、またタイミングも見なければなりませんけれども、基本姿勢だけはこれは堂々とそういう方向で対処していくべきである。  それから、資本につきましても同様、わが国は、ここまで進歩してくればもう受け入れの面につきましても、あるいは資本の輸出の面につきましても同じような考え方でやっていくべきだ、こういう意見具申もいたしております。  繊維につきましては、私がIMF総会に出席の際、アメリカの朝野の人といろいろ会談をして、この問題についての日本側の考え方、また先方の考え方、こういうものを聞いております。それらの情報を提供しておるのであります。  それから資産の問題につきましては、これは施政権返還後の問題でありますが、もしそういうような話が出たら、この大方針がきまった後に公正な立場でとくと話し合いをいたしましょうという程度でよかろう、こういう意見具申をしておきました。  それから商社の問題、これも財務処理の問題同様、お互いフェアプレーでいくということで、総理大臣とニクソン大統領の会談でございますから、その程度でいいのじゃないか、問題はフェアプレーだ。そういうふうなお話を私としては申し上げておるわけであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 どういうのがフェアプレーになりますか、あれですが、たとえば繊維規制の問題につきましても、沖繩返還という国民の強い要望がある。それから核基地との関係、いろいろそういう問題が出てきますが、通常いままでの国際間に見られないような、日本が低姿勢といいますか、譲歩した形の交渉というものが行なわれておるやに聞きます。したがって、経済界や何かは、そういうことについてあまり後退した姿勢で交渉してもらっては困るということで、皆さん方政府当局にも要望書が出ておる。そういうことを、新聞でしかぼくら見受けられないわけですけれども、見受けるのです。とかく沖繩返還交渉ということで、そういう施政権あるいは基地の問題に国民が目を奪われておるその間に、日本国民が本来持つそういう通常の国際交渉や、あるいはそういうベースで行なわるべきものが、沖繩返還にこと寄せて、日本が後退した姿でそういういろいろな取りきめを行なっていくということは、私は好ましいことではないだろうと思うのです。  しかも、こういうことはどういう形で協定を結ばれたりお約束をなさるのか知りませんけれども、やはり国際間のことですから、一ぺんそういう取りきめや何かを行なうと、やはりそういう関連産業というものはあとあとまでもいろいろな規制を受けていく、こういうことになりまして、それこそ、さっきから繰り返しておっしゃっておる貿易立国の日本にとりましては、たいへん長期にわたって、黒船みたいな打撃とは申しませんけれども、沖繩を返還させるということにこと寄せて向こうはそういうものを取ろうとしております。逆に日本から見れば失うことになると思います。もちろん大蔵大臣だけの所管事項ではありませんけれども、そういう面における大蔵大臣なり大蔵省関係の発言というのはきわめて強いわけなんですから――佐藤総理は大綱としてお取りきめになってくるだろうと思うのです。その大綱の中にも、私いま言いますように、多分に懸念される面があります。しかし、今後、繊維規制におきましてもジュネーブで、あるいはほかの問題についても、日米間の事務レベルで交渉が行なわれる。そういうときには必ずどこの部面にも大蔵省の局長なり関係職員というものは参加しておるわけですから、ぜひひとつそういう面については、当面の基地やらあるいは施政権というような問題だけに目を奪われないで、やはり私たちが、国民が生活しておるわけですから、その生活全般あるいは産業、貿易その他全般について堂々と主張をしていただきたい。対等の姿勢でもって取り組みをしていただきたい、こう思うわけなんです。そういう点についてひとつ重ねて御所見、御所感を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 巷間にややともすると、沖繩の領土の返還とそれから経済問題、つまり自由化の問題とか繊維の問題とか、それが取引の材料としてひっからまるというような見方をしておる向きもありますが、私は全然そういうことはないというふうに思います。つまり、交渉の段取りを見てもこれははっきりするので、第一日目、これは沖繩返還の話をいたしておるわけですね。それがきまる。そのあとで今度は第二日目の経済諸問題の話、こういうことになっておるのです。何のひっからまりもない。経済問題は経済問題として処理されるというふうな手順が組まれておるわけであります。何の関連もないのです。ただ、お話しのように、経済交渉にあたりましては何も卑屈な態度をとる必要はございませんし、これは堂々と日本の国益を踏んまえてやらなければならぬ。しかしその国益というものはどういうものであるか、こういうことにつきましては大所高所の判断も要りましょう。要りましょうが、国益を踏んまえて堂々の陣を張っていけばそれでよろしい、こういうふうに考えておりますが、おそらく総理大臣もそういう姿勢で会談に臨んでおる。繰り返して言いますが、この二つの問題がひっからめて取引されておる、こういうことは何らありませんから、その辺は御安心のほどをお願いいたします。

只松祐治日本社会党

○只松委員 福田大蔵大臣がそういうふうにお考えになり、言われてもマスコミが、結論的には皆さんに味方する資本の系列下にある、その一般の商業新聞でさえもやはり、ひっからめられてやられておる、こういう論評なりニュースを流しておるわけです。したがって、皆さんを支持されておる財界でさえも、そういう点について十分配慮をするように要望書なり声明書というものを出しておるわけです。だから、大臣のおことばにかかわらずそういうものが一般的にあるわけですから、いまワシントンで交渉しておるのに大臣から総理に訓令というわけにもまいりませんから、そういうことを言っておるわけじゃありませんが、今後事務レベルなり何なり具体的に進んでいく場合に、いまの気持ちで対処して、もちろん卑屈というようなことでなくて、取引というようなことにも国家百年の大計を考えて、ペリー提督の黒船みたいなことをこういう段階でしていただかないように、特に要望しておきたいと思います。  たとえば、そういうものの一つのあらわれとして、沖繩にたくさんの系列会社が百十社くらいありまして、沖繩返還後も――現在アメリカの領土として沖繩は使われておるわけですけれども、いわゆる本土並み――私たちか言っている日本本土並みじゃなくて、アメリカの本土並みに取り扱えというようなことが主張されておるし、佐藤総理の訪米にあたって在沖繩の商工会議所の会頭がアメリカの商工会議所の会頭に訴えたり、あるいはワシントンに出向いてこわ談判したり、いろいろやっているニュースがやはり流れておりますね。こういうもののさらに具体的な例として、ガルフという石油会社がこの返還を見越していま石油精製工場の建設を要望してきております。こういう一般的な問題について、あるいはそのガルフ石油等の問題について御存じであるかどうか。あるならばそのお考えを承りたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私はガルフの話につきましては何ら聞き及んでおりません。ただ一般的抽象的に申し上げられますことは、いまあそこにアメリカの商社がたくさん出ておるわけです。その権益とも申すべきいまの現状をどういうふうに返還と調整をするかということは、これは一つの問題点であるわけです。いわば通商航海条約的な角度の問題かと思います。これは外務省が中心になって、これから話し合いをすればいい問題だと思います。  それから、一番困るというか、問題になりますのは、いま御指摘のようなかけ込みというか、七二年になったら日本に返るのですが、それまでにつばをつけておけというような動きが出る可能性なしとしない。それに対して早急に手当てをしていくという必要はあろうかと思います。これはおそらく外務省あるいは通産省、それぞれ抜かりなく手配をする、こういうふうに考えておりますが、ガルフの話につきましては私は聞いておりません。

只松祐治日本社会党

○只松委員 通産省で知っておられますか。

栗原昭平通商産業省鉱山石炭局石油計画課長

○栗原説明員 ガルフの沖繩進出の問題につきましては、昨年の一月、実は沖繩政府の免許をとっておりまして、その後CTSと申しますか、石油の輸送中継基地の建設には着手いたしております。さらに、その時点におきましても製油所の建設の計画を持っておったようでございますけれども、最近の時点におきまして具体的に、十万バーレル程度の製油所を建設したいという計画を発表いたしたというふうに承知いたしております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いまちょっとお聞きのように、すでに中継基地としては相当膨大なものが建設途上にある。さらに製油所も建設許可を得ておる。つくるかつくらないか、いまから問題になるようでございますけれども、かりにこれが建設されたといたしますならば――沖繩県民は百万しかいませんし、それほど工業も発展しておりません、こういうところに膨大な石油会社ができるといたしますと、当然に日本あるいは東南アジア各地へのアメリカの石油関係進出の大きな基地になってくる。日本国内ではいま石油業法で規制されて、そう無制限に製造できるわけではありませんし、また製造された石油には二十八円七十銭、市価の約六〇%近い課税というものがなされておる。しかし沖繩でこれがかってにつくられてかってに流されるというようなことになれば、日本の石油業界というのは相当の混乱を来たしてまいります。やはりこういう問題も、返還をするということに確約になれば、返還後対処するだけではなくて、当然に返還後の問題としていまから対処していく。アメリカの民間会社ですから、アメリカの政府というわけにはいかぬと思いますが、そういう点はアメリカの政府なり何らかの機関を通じて、こういう問題に対しても対処をしていくということが必要だろう。こういうことを野放しにしておいて、ただ施政権あるいは軍事基地の問題だけをきめて、沖繩が経済的な日本あるいは極東進出の一つの拠点として使われるということになれば、表面上の軍事基地施設や何かのことも私たちは私たちとしての問題がありますが、経済的な問題としてはより多くの問題を沖繩に残す、こういうことになる。   〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕 こういう問題につきましても――きょうは限られた時間でございますから、個々の会社やあるいはそういうものについての内容の論及を避けますけれども、こういう関係のものは返還後も米国本土並みという形でホワイトハウスに押しかけるということでございますから、当然に起こってきておるわけであります。こういう問題は、おそらくこういうこまかいことまで総理の段階で取りきめはないだろう、そして当然にいまからの問題として各所管あるいは政府間のそういう問題の折衝が起こると思います。ぜひひとつ十分な配慮をしていただきたい、こう思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 只松さんの御指摘の問題、これは非常に重要な問題だと思います。先ほど申し上げましたが、かけ込みの問題ですね。七二年にならなければ沖繩施政権は返ってこない。しかしそれまでの間はアメリカのほうに施政権がある。その緩衝期間というものをどういうふうにしていくか、これは非常にむずかしい問題がありますが、かけ込みが七二年以後の問題に対して大きな支障を与えないようにという配慮につきましては、すでに政府においても十分考えております。最善の努力を尽くす、かようなふうに御了承願います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 これも、時間がなくなりましたから御要望だけにとどめておきますが、前回言いましたように、これから一般的な施設の返還あるいはこちらに譲渡といいますか、そういうところにあっても、一般的な基地とそれから民間施設、それから基地の中においても発電所とか何とか民需に必要なもの――あるいはミサイルや何かは当然撤去してもらわなければなりませんが、いろいろ問題が分かれてくるだろうと思う。こういう問題につきましては、沖繩県民なり日本国民のためにどうプラスをしていくか、あるいは必要なものであるか不必要なものであるかというような、日本側からの観点に立っての取り上げ方をしていただきたい。アメリカ側がアメリカに持って帰るのはめんどうくさいし、撤去費用、撤収費用もたくさんかかるから、まあなんだけれども日本が買ってくれ、引き受けてくれとか、こういうことであってはならないと思う。そういう点もひとつぜひフェアプレーで堂々として、何も沖繩を返還してもらうからそれにこと寄せて不必要なものや何かまで全部引き受けてしまうというようなことではなくて、これも具体的作業が進めばもう少し具体的な意見を申し上げたいと思いますけれども、基本的態度はそういうことでひとつぜひ臨んでいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 それらの問題はいずれこれから七二年までに処理しなければならない問題だと思いますから、十分に国益ということを考えまして、誤りなく善処いたしていきたいと、かような考えでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 次に、明年度予算について若干お伺いをしておきたいと思います。これも政局のいまの微妙な状況でなかなか方針も固まっておらないだろうと思いますが、ひとつお答えをいただきたい。当然に皆さん方のほうとしては権力を握っておられるわけですから、まあ選挙の基本的な論争点にもなろうかと思います。  その前提として、私はいつも、日本の経済の成長率というのは世界で一番高いと、こうおっしゃる皆さん方に、それは高過ぎるのではないか。何でいまの五年、十年、二十年の間に、日本国民というものがこうあくせくとして働いたり、十何%も経済を成長させなければならないのだろうか。それは確かに、一般庶民的な感覚や何かは、急速に伸展したがいいし、あるいは経済成長率が高いがいい、こういうことで一般日本国民はごまかされておるわけですが、そういう感覚があるのはやむを得ないとして、やはり国家を指導していく、日本の五十年、百年の大計を考える人間、ことに福田さんは次期総裁を目ざしておられるのですからよけいにそういうことをお考えいただかなければならないわけなんですけれども、あまりにも高成長過ぎはしないか。やがて何らかの形で、その高成長過ぎるといいますか、それは逆効果なりいろんな面が出てくる。単に高度経済成長のひずみというような問題ではとどまらない問題を私は提起するだろうと思う。おそらく福田さんもそういうお考えで、この前聞いたときも基本的には賛成ですというようなお話、それから二、三日前の新聞を見ますと、一〇%程度にスローダウンさせたがいいんじゃないかというようなことで大阪かどこかで談話を述べられたと、こういうことが新聞で出ておりましたけれども、私も、ぜひひとつ明年度予算編成その他にあたって、あるいは明年度だけじゃなくて、日本のいまの経済の異常な伸展のさなかにあって、勇気を持って、一挙に西ドイツ程度、七、八%程度までに落とすといろんな影響が出てくるでしょうが、とりあえずは一〇%程度に、やがては七、八%程度にスローダウンをさせていく必要がある、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 御説まことにごもっともと承りました。私も全く同感でございます。つまり、六〇年代というものを回顧いたしますと、昨年までのこの九年間におきまして、平均いたしますと一一・二%ぐらいの成長になるわけでございます。先進諸国の倍をこえるような勢いであります。特に、六〇年代といいましても六〇年代の後半がその勢いが強いわけで、ことしの年末までを総合しまして、この四年間平均一三%成長というようなところになろうかと思います。こういう高さでは、たいへんどうも日本の前途は憂うべきものになるのではないか。六〇年代、いわば量的成長でございまするが、この量的成長がかもし出しておる諸問題、あるいは社会資本の立ちおくれの問題でありますとか、あるいは過密過疎現象、公害の問題、あるいは生産性のおくれている中小企業、農村の対策の問題、そういうことを考えましても、もうこれだけの高さの成長では幾ら対策をとりましてもこれは及びもつかないのです。  それからさらに、純粋な景気政策的な面から考えましても、この高さを続けますといろんな隘路が成長自体に出てくる。あるいはいまの勢いでいくと五、六年で日本の経済が倍になる。倍になった場合にこれをささえる経済環境が整うかというと、なかなか整わぬだろう。物は倍になりましても、五、六年の間にさあそれの輸送機関が整うか、倍になるか、あるいは流通諸施設が倍になりますか、あるいは原材料の手当てはどうなるか、そういうことを考えると、この高さでは五、六年で倍になるどころか、もう一、二年にして日本の経済は壁に突き当たる、こういう事態に至るだろうと私は思います。この七〇年代というものは、何とかしてそういう量的成長重点の考え方から転換をいたしまして、いつか竹本さんが強調されましたが、質的成長というか、国内均衡というものに重点を指向してまいりたい、かように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 まあ釈迦に説法でございますが、過去四十年から四十四年、ことしの九月までの鉱工業生産指数だけ見ても一九三・六%ということになっておる。約倍。いまからかりに一四%程度実質成長していきますと、算術だけでながめても五、六年ちょっとで倍、名目一七、八%になりますと四年少しで倍、こういう形になりまして、これはたいへん異常な事態になってくる。  俗っぽい話一つとりましても、自動車だけどんどんつくりましても道路をつくらなければ、日曜日あたりたとえば湘南に行くといたしましても、新幹線で一時間足らずで来る。普通の電車でも二時間足らずで来る。ところが自動車で行くと、小田原から熱海まで続いておって、それを抜けるだけで片道三時間ぐらいかかる。東京まで来るには五時間ぐらいかかる。こういうことで、何が近代的やら非近代的やら、何がレジャーやら、疲労やら、とにかく倒錯した社会でわけがわからなくなって、ただ自分が自動車を運転してレジャーしているような気持ちになったり、あるいはマイカーに乗って何かそういう気持ちになっているだけで、人からながめればばかの骨頂、こういうことでありまして、そんなことなら汽車でちょっと帰ってくれば二時間足らずで来る、こういうことになる。  こういう倒錯した現象というのはやがてあらゆるところにそういうものを生んでくる。だから学生でも、学生運動のああいう現象面だけ見て、ゲバ棒をかついでいるのはけしかるとかけしからぬとか、火炎びんを投げるのがどうとかこうとかいうことだけでは、私は本質的な問題は解決しないと思う。きょうはそういう問題じゃありませんからしませんけれども、やはり人間自体が考える思考方法でも倒錯した、何が善なり悪なり、何が正義なり不正義なりわからない、こういう社会というものができてきつつある。そういうことまで、いまのような異常な高度成長が続けばなる。異常なだけじゃなくて、これは要するに私たちが言う資本主義の一番悪い面の放任経済でございますから、強い者が勝つ。  こういうものの今度は農村面をちょっととってみますと、去年まではとにかく早くお米をつくれ、たくさんつくれというので土地改良資金を出している、あるいは早場米奨励金を出す。早く出すと早期供出に伴う減税措置を行なう。特別措置、農民に唯一の措置でございます。ことしになったら、それは余り過ぎる。個々の百姓はそういうものに対して何らの責任はない。米を一生懸命つくれと言うからつくった。そうすると、ことしになったら早く出すとけしからぬ、おそく出せ、おそく出したらおそ出し奨励金を出そう。このごろの新聞に、農政は農民の農じゃなくてナッシングのノーだということがちょいちょい載っておりますけれども、まさにそのとおりだろうと思います。農村においてこういう現象。  都市においても貿易や何かの若干の伸展で、まだ最大限の矛盾というものが露呈されてきておりませんけれども、そういう現象が出てきておる。次期総裁を目ざしておる福田さんですから、明年度予算編成にあたってはぜひひとつそういう点を十分肝に銘じて、選挙を控えておるから単に放漫財政あるいは人気取りの政策ではなくて――私は、自民党がたとえ少々減ってみたところで、政権を取るに足らない政党までは転落はしないと思う。したがって、いまの段階にやはり勇気を持って皆さん方はそういう政策を行なうことが、長期的に見て、そう言ってはなんだけれども、自民党が政権を維持することになるでしょう。私たちは一日も早く自民党政権が倒れることを要望するわけです。しかし国民に対してはこういうでたらめな経済政策というものを許しておくわけにはいかない、こういうように思います。ぜひひとつそういう観点から明年度の予算編成についての御所見を承りたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 明年度の予算の編成は何とかして年内編成ということでやってみたいと思いますが、御承知のように景気動向が非常に機微な段階にありますので、予算の規模、内容等につきましては、これは十二月ぎりぎりの時点、つまり予算の総締めくくりの時点において一挙に結論を出していくという方向でやっていきたいと思います。  予算編成の基本的なかまえといたしましては、単に四十五年度の日本をどうするかという考えでなくて、長期にわたる展望を持ちまして、とにかくまず第一に何といっても経済の成長を息長く続かせたい、落ち込みのないようにしたい。それに対して財政はフィスカルポリシーというか、そういう面において貢献するようにという気持ちをとりたいと思います。  それから内容につきましては、歳出は、何といっても社会資本の立ちおくれの問題、過密過疎の問題、物価政策の問題、低生産性部門の処置の問題、特に農業を一体どうするかというような問題、それらの問題がありますから、それらと重点的に取り組みましてやっていきたい、かように考えます。  それから公債につきましては、これはいまの経済情勢からいいますと、どうも発行額をやはり既定の路線に乗って縮減していくという考え方をとるべきかと考えております。  税制につきましては、税制調査会がいま鋭意検討しておりますが、その検討の結果をまって結論を出すようにいたしたい、かように考えております。  いずれにいたしましても、あなたはいまでたらめというようなことを言われたが、でたらめなことは絶対にいたしておりません。しかしそれ以外の御発言につきましては大体賛成であります。選挙だからというようなことは毛頭ありません。国益中心に取り組んでいきたいというふうに考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そこで、でたらめということばを別にいたしまして、基本的にお認めをいただきますならば、これだけ景気のいいときですから、こういう景気のいいときに国債を大幅に減らしておかなければ、不景気になればまたすぐ増発されることになる。やはりこの刺激政策の一つの象徴的な問題である国債、こういうものはぜひひとつ勇気を持って減らしていただきたい。  それから、自分が一銭でも金をもうけたいのは幾ら金を持っている人でも人情の常で、もうけ足りないということはないわけですから、いろいろな減税措置やなんか要望されますが、山中私案という形で、法人税を二%引き上げて農民に回すというような提案もあるようでございます。これは一つの案、一策だろうと思います。こういうふうに自民党の中でさえも――山中君は税金に非常に詳しいから、どこから財源を持ってきてどうするかということを考えた場合に、一つのヒントとしてああいうことが浮かぶわけです。これだけ異常に鉱工業生産が上がってくる。しかし農村のほうは逆に米作を減らせというような形で、いわゆる生産性を落としていかなければならない。ほかの野菜や何かは生産性が上がるかもしれませんが、そのために思い切った税制の改革というか、税制に手をつけるということが必要だろうと思う。ぜひひとつ、さっき広沢君もいろいろ言いましたような税制について――この前の税小のときに東畑さんには私は意見を申し上げた。きょうは時間がありませんからそういうことを申し上げることはできませんが、ぜひひとつそういうことをお考えいただきたい。  自動車新税についても、初めは何か消極的だったのですが、やむを得ないならばというようなことがありますが、本年は直接税が六五%をこして六七、八%になる、その中で所得税が五〇%をこしてくる、こういう状況においてはやはり新しい財源を何とかつくっていかないと、所得税だけを減らすということはなかなか容易ではない。皆さんすぐ財源ということをおっしゃるわけですが、私は、田中さんが打ち上げたからおれはいやだとかなんとか、そんなけちな考えはないと思いますけれども、そうじゃなくて、いいものはいいものとして、そういうものはもう少し勇気をもってやっていって、七〇年代への足がかりをつけるというような予算編成をぜひしていただきたいと思います。  そういう意味で、二、三申し上げましたそういう税制や何かについて、新規税制に手をつけるかどうか、ひとつお考えを承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 予算編成の前でありますので、いろいろな方がいろいろな意見を述べられます。それは私どもにとりましてたいへん参考になるわけであります。ありがたく思っておりますが、結論的にはこれは税制調査会でひとつ御議論を願いたい。その結果を見、また当委員会における御論議等も拝聴いたしまして、なるべく妥当な結論を得るというふうにぜひいたしてみたいものだ、かように心がけております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 最後に、予算全体の規模について、去年の伸長率は一五・八%ですか、これもさっきから言うように財政を刺激する大きな原因です。国がふえれば地方も大体それにならう。二、三日前、サラリーマンユニオンの人と各党代表の懇談会があったときに、各政党には、ぜひひとつ予算規模を縮小してくれ、私たちの税金を下げる意味においてもそうしてくれというようなお話がありましたが、この予算規模の問題について、パーセンテージでぴしりと五%、一〇%ということはなんでございますが、去年のように一五・八%、年度末には補正予算まで加えると一六%ぐらいになるのじゃないか。私はこれも一〇%程度になるように押えるべきだと思いますが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 予算の規模は、これはまあ来年の景気の動向なんかをにらみ合わせてきめなければならぬ問題であります。しかし傾向的に言いますと、四十四年度の予算は前年度に比べて一五・八%アップということになっておりますが、どうも一五・八%という増加率ではおさまり得ないような趨勢です。それはなぜかと申し上げますと、地方交付税がかなりふくれ上がる。おそらくこれは三〇%とかなんとかいうような状態になるだろう。この問題は、何かの調整が考えられて少し増加率がダウンするのだということになると問題なんですが、つまりいわゆる当然増が九千億、膨大な額であります。その中で実に四千億円は地方交付税というようなことになる、この増加率が三〇%になる、こういうことでありますから、これが全体の予算のワクの増加率というものをかなり押し上げる力になるのじゃあるまいか、そういうふうに思っておるわけですが、これからの問題です。いま四千億についてもどうこうという固まったことを申し上げられないわけですが、従来の行きがかりでいいますと、どうもそういう増加率というものは多少増率の傾向にあるのじゃあるまいか、そういうふうに思います。しかし問題はその内容だと思うのです。これが景気にどういうふうに反映するかという内容の問題でありますので、ワクについてもしかるべき考え方をとらなければならぬ、これは当然でありますが、同時に内容におきましても、景気へのはね返りいかんということについては細心最大の努力をしてみたいと思っております。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 竹本孫一君。

竹本孫一民社党

○竹本委員 私は一、二の問題について簡単にお伺いをしたいと思います。  先ほど来議論がありましたけれども、金利の自由化の問題でございますが、金利の自由化ということは資本主義の経済の根幹をなしておる。したがって、経済が自由化をいわれる場合に金利の自由化がいわれることは筋として当然だと思います。  そこで伺いたい点は、重複を避けたいと思いますけれども、ほんとうに自由化をするつもりなのか、ワクをはめた範囲の中で自由化をするのかということが一つ。  時間がないのでまとめて伺います。もう一つは、自由化をした場合には上がるほうに向かっていくのか下がるほうに向かっていくのか。特に中小企業等の立場を考えた場合いろいろ問題がありますので、自由化をすればどちらへ向いていくであろうという前提あるいは見通しのもとに自由化をするのであるか、この二つの点をひとつお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 まず、ワクの中の自由化か野放しの自由化かとおっしゃいますが、利率の最高限をきめまして、その中における自由化ということをただいま構想いたしておるわけであります。そういう措置につきましては、ただいまは激変を避けるという考え方のもとに、最初の段階では定期預金五・五という現状でスタートいたしたいと思っておりますから、金利が上がるか上がらないかという点についてはさしたる影響はないと思いますが、これがかりに五・五の天井が将来引き上げになったという際におきましては、多少預金金利水準が上がるという傾向を持ってくるのではあるまいか。多少ですよ。そう、さしたることはないと思いますが、そんな感じを持っておるのであります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 やはりここでワクの中での自由化ということでございますけれども、先に二番目のほうの問題からいいますと、かりに、たとえばいまお話しの定期預金の金利が六%といわれる、そういう場合等を考えてみますと、ワクをはめ、あるいは天井をつくると、いまの情勢からいうと全部がそこまで上がってしまう。自由化ではなくて、ただ引き上げだけに終わりはしないかという点を私は非常に心配をしますけれども、その点、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私どもの判断ではそうはならぬだろう。やはり銀行によりまして経理内容というものがありまするから、そのらちを越えて高い金利をつけるということは許されない。そういうようなことを考えますと、高いところへみんなしわ寄せしていくのだという状態にはなるまい。また行政指導というものはかなりやってみたいというように考えておるわけであります。預金金利というものが適正な競争原理として働くという機能、これを重視いたしまして行政指導をしてこれに当たっていきたい、かような考えであります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 本来ならば、いろいろ考え方があると思うけれども、経営の内容のいいところは金利を上げて預金を獲得しなくても、むしろ逆に金利を下げていくんだ、そしてまた、したがって貸し出しの場合の金利も下げてやれるんだ、そういう方向へ追い込んでいくのが一番いい自由化だと思うのです。しかしその実際の見通し、可能性というものはやはり少ないんじゃないか。そういうことができる銀行も、預金獲得競争等のためやはり上げるほうへいってしまう。いまの日本人あるいは日本のムードからいうと、いい銀行で安い金利で預かってもどんどん預金がふえるんだという方向にはないんじゃないか。したがって、ワクをきめればその一番の天井まで全部が上がってしまう。自由化をすればむしろたくさん金利をつけてコストを高くして、したがって貸し出しの金利もまた高くなる方向へだけいくというような、むしろ心配する方向にだけ走るような点を私は非常に心配をするわけですけれども、もう一度その点についてはっきり答えていただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 これはやってみないと実際はわからぬと思いますが、傾向的には多少預金金利が上がる傾向を持つのではあるまいか、そういうふうに見ておるのであります。まあしかし自由化でありますから、自由化ということによりまして銀行間の競争原理が大きく働いて、銀行の合理化、近代化、これに大きな刺激を与えるということになることを願っておるわけでありますが、これがやっみてどうも適正でない方向に動いておる、弊害面が出てきておるというようなことでありますれば、また適当な行政指導をしていきたい、かように考えておるわけであります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 私は結論を申し上げておきますと、やはりこれは多少ではなくしてワク一ぱいには上がるということもありますし、よき意味の自由化のメリットというものはあまり出ないんじゃないかという点を心配しておりますので、そのデメリットのほうの補正の政策手段を用意されてやらるべきではないかという点を特に要望いたしておきます。  それから、一時問題になりました中期預金の問題はその後どういうふうになっておるか、またいまどういうお考えであるか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 中期預金につきましては非常に慎重な扱いを要するという考えでおります。つまり、これは長期金利の体系と深いつながりを持っておる問題で、この長期金利問題とあわせ考え、また結論を出すべき問題であるというふうに考えておるのでありまするが、今回の自由化の措置は若干それとからまりを持ってくるということは争えないかと思います。ただ、ただいまの時点では告示を改正する、つまり制度的な改正をいたし、大蔵省の考えておる預金金利政策の方向は示しますが、現実にはスタートは最高五分五厘というようなことでスタートいたしますので、長期定期、二、三年定期問題にはこれは影響するところはなかろうと思います。しかし、将来五分五厘が上がるということになりますればまた二年定期が出てくるというような環境が出てくるのではあるまいかとも考えております。ただいまのところは、二、三年定期それ自体は長期金利問題と非常に深い関係がありますので、軽々に結論は出せない、こういう所感であります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 次に間接税、物品税等の問題について一口伺いたいのですけれども、税調でもいろいろ御意見があるようですし、本委員会においてもいろいろ御意見が出ておりますけれども、大体の方向として、二兆三千億、三七%程度の間接税の直接税との割合を今後はふやす方向に持っていかれる大臣のお考えであるか、減らすほうに持っていこうとするお考えであるか、あるいはまた大体六、四でいまの程度ということになるのか。これは将来の税制のあり方を考える場合にいろいろ問題があろうと思いますので、まず基本的にはいまの六対四といった比率をふやすべきかあるいは現状か、あるいは変えて直接税中心にするのかといった点についてのお考えをちょっとお伺いします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 これは短期的な考え方と長期的な考え方に分けてお答え申し上げなければなりませんが、長期的な考え方といたしますと、間接税の比率をふやしていきたいというふうに考えておるわけであります。それは間接税を増加することによりまして直接税の負担軽減をはかっていきたいということであります。しかし当面は間接税を増徴するということは非常にむずかしい。これはいま物価問題に取り組んでおるまっ最中でございます。物価問題の角度からいいますると間接税は直撃的な影響を持つという性格でありますので、その長期的な考え方を今日の時点において推し進めることは適当でない、こういう考えであります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 ふやすかふやさないかということについてはいろいろ考え方がありますし、またわれわれ革新的な立場から考えてみましてもどちらにでも議論は成り立つと私も思っておるわけです。ただ、所得がこんなに年々ふえている、そのためにインフレも出てきているといったような傾向の中では、どうしても直接税の比重が大きくなるのではないかというふうにも思います。しかし徴税技術その他いろいろ考えまして、間接税のほうにウエートをもう少し置きたいというお考えもよくわかりますが、問題はその置き方でございます。きょうは特に物品税の問題について一、二伺いたいと思いますけれども、三千億円の物品税については税の性格をどうきめるか。戦争のときにできた税金だとか奢侈品にかける税金だとかいっておったものが、その後だんだん変質をしたり発展をしてきたりしたようでございますけれども、今後の物品税というものはどういう性格に位置づけていくのかという点についての考えをひとつ伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 物品税につきましてはいろいろの要請があるわけです。これを増徴せいということをいってくる人はいまのところ少ないというか、ほとんどありませんが、財政論からいいますると、先ほど申し上げましたとおり長期的な考え方として考えられなければならぬ間接税のシェア、その中の一つの有力なる税源である、こういうふうに考えております。しかし多数の人がいってきますのは、この際物品税は軽減すべきである、またこういう新しい物品税創設の動きがあるがこれは抑制しなければならぬ問題である、そういうような声であります。概観いたしまして、私はこの段階においては物品税にはなるべくさわりたくない、こういうのが本音でございます。  今後、物品税をどうするか。これは長期展望ということを申し上げましたが、その一環として、物品税は財政目的に奉仕するような方向でその内容等をきめていかなければならぬ、つまり国民経済全体から見て、これが広くいくということについてはそう歓迎はできないというものにつきましてこれを適用するという現在の税の仕組みは当面は変える必要はない、そういう考えでよろしいというふうに考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 来年度の税制改正では、物品税の引き下げや入場税の免税点の引き下げというのはもう見送るという方針が大蔵省できまったようにいっている向きもありますけれども、そういうことでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 税の問題につきましては、これはすべて税制調査会の答申をまって最後的な意見をきめるということであります。ただいま私がこれは触れたくないと言うのは、私の気持ちだけを申し上げておるので、最終的な結論は税制調査会の答申、また国会における皆さんの御議論等を伺いました上で進めていきたい、かように考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 最終的方針は税調を中心にしてということでございますが、今度は私のほうの意見として、物品税のこれからのあり方について、いまのままではあまりにも一部の品物にだけかかって、七十品目ですか、そういうことで不公平があるということもよく指摘されております。私は、補完税的な意味で問題を考えるには、その補完税らしいとらえ方があると思うのですけれども、その点についてこれからの税調でもいろいろお考えになるし、大蔵省でもお考えになるだろうと思いますが、私はやはり全般に、かける場合には広くかけるべきではないかと思う。一部のものにだけ物品税をかけておるということになると、その特定の商品について、特に市場を開拓したような場合の企業努力といったようなものを一生懸命やったものに、そこでかければ税収があがりそうだということで税金がかかってくるということになると、ただに不公平であるだけでなく、そういう意味でのまじめな企業努力に水をかけることになる。そういう点を、今後お考えになる場合には十分考慮に入れていただきたいということが一つであります。  それからもう一つ私希望をしたいことは、補完税のとらえ方の問題にも関連いたしますけれども、全般的に広くそうした対象を選んでいくという場合にも、これからしばらく待っておればその企業はさらに伸びるであろう、あるいは輸出の問題なんかの場合には、特に海外市場に大きく伸びるであろうといったような問題が考えられる場合には、単なる税収目的ということだけでなく、あるいは補完税としての見地だけでなくて、やはり産業政策なりあるいは輸出政策なりというものを当然織り込んで考えるべきだ。まあ間接税というものは本来そういうものでないという議論も一応成り立つと思いますけれども、しかしそれにかけることによって、結果的には、これから大いに伸びようとする輸出産業の基盤をむしろぶちこわしていくといったような場合には、産業政策あるいは貿易政策といったものを加味して、しばらくそれに軽減措置を講ずるかあるいは全然対象外にするか、別途の考慮があってしかるべきだ。何だかいまのところはそういう点についての政策的配慮というものがなさ過ぎる。ただ、物品ですから、物品をとらえていくということだけの税金になり過ぎていやしないかという点を感じますけれども、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 物品税はいろいろな品目がありますので、それを一つ一つ見ますといろいろな御議論もあろうかと思いますが、いま竹本さん御指摘の諸点、一つの問題点としてとらえるわけにはまいりませんが、それらを総合いたしまして、そしてこれは物品税の課税対象としてしかるべしという結論のもののみをいま取り上げておるわけでございますが、なおそういう諸点につきましては十分注意をしてまいりたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 これはそういう個別な問題その他、あらためてまた本格的に論議をする機会もあろうと思いますので、きょうは時間がありませんからこの程度にいたしたいと思いますが、ただ、いま申しましたように輸出産業的な分野については特定、特別の配慮があってしかるべきではないかと思いますので、この点について慎重な御配慮を要望いたしておきたいと思います。  最後に、もう一つだけでございますけれども、御承知のように円の切り上げの問題がいろいろ議論になっておるわけですけれども、私の結論は、円はいま切り上げるべきではないという意見でございますが、それをあまり騒げば騒ぐだけまた世界の関心を集めてたいへんなことだと思います。しかし、この辺で円の切り上げをやるべきだという意見がすでに日本にもあるようでございますけれども、大臣のお考えを明確に承っておきたいというのが一つ。  それからもう一つは、これに関連いたしまして、切り上げなければほかの手で海外からの圧力にどうこたえるかという問題で、いわゆる自由化、資本なり貿易の自由化をさらに徹底しろという意見がこの際強力に出てくるだろうと思います。もちろん海外投資の問題も出てまいりますけれども……。私はインフレの問題を中心に考えた場合に、日本のこのインフレ傾向というものがこれだけどうにもならないような勢いで押してきておるといったのを押える方法として、やはりこれは一ぺん自由化のあらしで押えていく以外に手はないんじゃないかということをまじめな意味で考えます。  円の切り上げには根拠もないし、日本としては反対だということになるだろうと思いますけれども、その点を伺い、同時に、切り上げない場合にはどうするかということについての、これは海外の諸国が納得するような説明が要るだろうと思いますが、その一つとしての資本や貿易の自由化をさらに強力に進める、これも当然考えられる問題でございます。それを一つのてこにして、日本の何といっても資本主義のいいところというものが――私は資本主義経済に批判を持っておりますけれども、それなりにいいところ、いい役割りがあるだろうと思うんだけれども、それが今日では温室経済といいますか、過保護といいますか、いろいろ政府の行き過ぎた政策的配慮によって逆にマイナスを蓄積しておる、こう思いますので、日本の過保護のうみを一ぺん出す意味においては、思い切って自由化ということも必要な措置かもしれない。そういう意味で、ちょうど一石二鳥で、日本の過保護による非能率というものを一ぺん一掃する。同時に海外の要望にもこたえるという意味で、この際一石二鳥の立場で、この自由化の問題についてはもう少し真剣に取り組むべきではないかと思いますが、これについての大臣の御見解を承りたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 結論的に申し上げますと、いま円の切り上げを考えるべき時期ではない、さように考えております。いま円の切り上げということがうるさい問題になっておるというお話でございますが、これは、私はこの間アメリカからヨーロッパをずっと一回りしてきて、国際経済社会においては円の切り上げというのはそううるさい問題ではございません。むしろ日本国内でそういう議論があるという、奇異な感じがいたすわけであります。その切り上げは考えるべき段階でないという理由は、先ほど申し上げましたとおり、いま多少強含みというような印象も与えておる円ではあるが、この円は過保護の状態下において、温室的な中においてそういう現象を呈しておるのであって、裸にした場合においてどういうことになるか、これは予断は許さない、こういうことから慎重に考えなければならぬと考えておるわけでございます。  いまそれに関連いたしまして自由化という話がありました。これは確かにこれに対する外圧というものがあります。しかし私は、その外圧があるから自由化するというような、そういう考え方はとりたくないのです。これはみずから進んでこの道を選ばなければならぬという日本国である、こういう考えであります。もちろんこれには準備も要りましょう。それからタイミングも見なければならぬ、段階も経なければならぬ。なければならぬが、大きくこの自由化という大旆を掲げて、積極的にこの問題と取り組むということが国益に合致したものであり、今日これから成長を続けていかなければならぬ、これを安定的にやっていかなければならぬという日本といたしますと、まさにこの問題は日本経済が踏み越えていかなければならぬ大きな試練の道でもある、こういうふうに考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 これで終わりますが、自由化を大旆を掲げてという大臣のお考え、よくわかります。もちろんこれには準備の要るものは準備をしなけばならぬものもあるでしょうから、その点は準備をしながらということに当然なるわけでございましょうけれども、日本の従来の政策の態度というものは、ほんとうの意味でとにかく、先ほどの金利の問題もありますけれども、自由化をすべきところにはあまり自由化をやらないで、自由化をやればむしろ日本の経済全体からいえばマイナスの出るようなところには自由化が進むというような傾向があるのではないかという点がありまして、本来それを本格的に議論をしたいととろですが、時間もありませんので、要望といたしましては、日本の経済の、高度成長だけによっておりますけれども、ほんとうの内部的な構造、蓄積その他いろいろ考えれば、やはり体質的にそんなに日本の経済が世界で一とか二とかいわれるほど強いものであるかどうか。現在当面のところは大いにけっこうな話ばかりになっておるけれども、しかし内部的な矛盾というものを考えてみると、まだまだ問題がたくさん残されておる。そういう意床でのほんとうの資本主義経済のメリットの面といいますか、いいところというか、そういう長所の面をほんとうに生かす意味においても、大きな切開手術が必要だろうと思いますので、そういう点については、いま大臣の述べられたような形で真正面から取り組んでいただきたい。  それから同時に、先ほども私は金利の自由化の問題にも一口触れましたけれども、自由化によって非常にデメリットの出る分野がある。そういう問題については、やはり資本主義経済の矛盾を押えるとか補正するとかいった立場で慎重に考えてもらうべき問題があるのではないか。要望だけ申し上げまして、終わります。(拍手)

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 速記を始めて。  申し上げます。ただいま参考人として、商工組合中央金庫管理部長赤塚正君が出席しております。  石田幸四郎君。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 まず最初に、時間の点もございますので簡単なほうからお伺いをいたします。  労働金庫の問題でございますけれども、今回私どもの地元の新聞である中日新聞に、労組の書記長が労金から二百万詐取して逃亡した、そういうようなことが報道されたわけであります。これは前年度に、私が当委員会におきましてやはりこの労金の問題を取り上げたわけでございます。そういうような状態から見まして、こういった労金からの詐欺事件というものがしばしば出ております。おそらく一年のうちに二つか三つはあるんじゃないか、そういうような状態ではないかと私どもは思っております。  まず労働省のほうにお伺いしますが、大体こういったものはこの二、三年のうちにどのくらい発生しておるか、数だけでけっこうですから。――労働省の方、来ておられないようでございますから、大臣にお伺いをするわけでございますが、この労金の融資方法につきましては、いわゆる組合員個々の希望を組合が一括しまして、そうして組合が労金から融資を受ける、こういうような方法、いわゆる集団方式、集団主義といいますか、そういう方式をとっておられるということを私も聞いておるのでございますが、私は、こういった詐欺事件の発生の原因は集団主義にあるんじゃないかということを、実は前回も銀行局長にただしたわけでございます。銀行局長の答弁は、いろいろな事務の簡素化とかあるいは営業に関する経費の問題であるとか、こういうような点から集団主義をとらざるを得ないというようなことを言われておりましたが、しばしばこういった事故が起こることを考えてみますと、やはりその温床は、人自体ということもありましょうけれども、集団主義の方式に一番大きな問題点があるのじゃないか、こう私は考えておるわけでございます。前回、銀行局長にこの集団主義の再検討を要望しておいたのでございますが、しかしまた今回こういう事件が発生しております。また、二カ月前には三重県でも同様の事件が発生しておるということを聞いております。そういった点から、当然集団主義ということは改正をされなければならないのじゃないか、これが存続をいたしますれば、なおこういった事件がさらに発生するであろうと容易に予測できるわけでございます。そういった点について大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 労働金庫でときどき新聞ざたになるような事実がありますが、私もこれは非常に残念に思っております。何とかして労働金庫が他の金融機関同様適正に運営されなければならないと常々思っておるところでございますが、何ぶんこれは労働金庫という特殊性がありまして、私ども大蔵省としてもさることながら、労働省にウエートのある監督方式をとっておるわけであります。そういうようなことでありますが、なお大蔵省としてもさらに労働省と緊密な連絡をとりまして遺憾なきを期していきたい、かように考えております。  不祥事件の原因が一体どこにあるかということは、これはケース・バイ・ケース、いろいろなところに問題があると思うのでありますが、団体主義、これが原因であるかどうか、私もはっきりした認識を持っておりません。吉田審議官からお答えをさせます。

吉田太郎一大蔵大臣官房審議官

○吉田説明員 先ほど先生がおっしゃいましたように、いろいろの問題もあろうかと思います。また同時に、いまのやり方をやっておるということがそれなりに現状に向いておるという面もございます。先ほど先生もちょっとお触れになりましたように、事務の簡素化でございますとか、あるいは個人個人ではなかなか信用を得にくいという場合に、組合を通じて得るほうが信用供与を受けやすいというような点もございます。ただそれにはいまのような問題もございますので、やはり仕事のやり方の問題といたしまして、そういうことをチェックするような方法をこれから検討していかなくてはいけないというふうに考えております。現在労働金庫のほうといたしましては、そういう場合に、たとえば実際に借りておられる個々の労働者の方に、組合を飛ばして、実際残高がどのくらいになっておるかという残高証明の方法というようなこともこれから励行していくというようなことが、さしあたりは一番そういう問題を防ぐ方法ではなかろうかというように考えております。これからの問題としては、そういう指導をやっていくことによりまして、団体主義のやり方の弊害をできるだけ少なくしていくという方向で努力してまいりたいと考えております。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 労金の問題についてあえてこの委員会でお願いをして取り上げておるわけでございますけれども、こういった労金の問題、それから農水におきまして農業協同組合の金融の問題、これも非常に事故が多発しておるわけでございます。こういった面についての金融のそういういろいろのやり方、こういったものが問題があることを私はしばしば指摘してきたわけでございます。特に農協につきましては、これは全国的に私どもの県会議員を動員しまして会部調べてみました。そうしますと、農協の一つの組合について、年間でいろいろ指摘事項を受けることが百五、六十あるわけでございます。そういう中で必ず金融の問題が入っておる。そういうような点からおきまして、労金あるいは農協、漁協、こういった零細金融のいろいろなシステムについて、当然これは大蔵省として十分御検討あってしかるべきじゃないか、こういうような意味で、きょうはこの問題を特に取り上げてまいったわけでございますので、ひとつ十分御検討願いたい、改善の方向で前進をしてもらいたい、このように御要望をいたしておきたいわけでございます。  では、本題のほうに入りますが、この問題を明確にするために、事件の概要を幾つかここで申し上げておきたいと思います。これは商工中金の金融をめぐる問題でございますが、いずれもいままで新聞等に個別に発表された事件であります。  たとえば昭和商工振興協同組合の問題、これは本年の二月七日に毎日新聞に掲載をされております。どういうケースかと申しますと、ここの代表理事なる者が市中の小中企業者三十九人を組合員としてこの組合をつくったわけでございますが、このねらいは、いわゆる個人に融資を受けることはできないわけですが、五人以上の協同組合をつくって県知事の認可を受ければ融資を受けられる、そういう形からこの組合が結成されたわけであります。ところが、組合自体の認可の問題あるいは融資のときの組合に対する調査の問題こういうものが全く不備でございまして、この山本某なる者は十五カ月間にわたって前後三回、実に二千三百五十二万円を詐取して、そしてこの人は昨年の七月ですか、肺ガンで死亡してしまったわけであります。ところが、この組合の実態を調べてみますと、参加者の中には架空の者もありますし、あるいはいろいろな組合に加入している二重加入、こういうような問題もあり、決算書もないという、全くのでたらめの状態の組合でございます。  さらにまた、瑞陵商工協同組合というのがございますが、これは理事がこの組合には八人おるんでございますけれども、そのうちの四人が現在逃亡しておるわけでございます。この組合員四十名の中の実態は、架空が十四人、無資格者が十人、行くえ不明六人が含まれておりまして、これはおそらく一千万以上の焦げつきが残っておると思います。しかも、残ったまじめな組合員がその責任を逆に中金から追及されて、中には生活苦のために一家ガス自殺を遂げた、こういうような悲劇も起きているわけです。  それから次のは、一宮商業発展振興協同組合というのがございますが、これもやはり理事八人中五人が逃亡中、架空名義、無資格者が相当数ありますが、この組合におきましては、一次借り入れ金が第一回千五百万、これについてはそれぞれの組合員の配分を受けておりますが、第二回の一千万、第三回の同じく一千万は、この逃亡中の五人の理事が借り入れし、詐取して逃げてしまった、こういうような実情にございます。したがって、残された理事の人たちが、商工中金に再度実情を調べてもらいたい、こういうようなことを言っておりますけれども、商工中金は受け付けない、こういった事件であります。  四番目には、これは港商工振興協同組合というのがありまして、組合員の名義を悪用して、宮崎某なる者がやはり商工中金から融資を受けて着服をいたしておるわけでございます。これがいろいろなことで事件が表ざたになりまして、名古屋の港署で逮捕されたわけでございますが、この関係者の被害が約一億円にのぼる、こういうようなことが言われております。  それから五番目、名春商工振興協同組合、こういう組合がございますが、組合として四千万を借り入れておるけれども、現在一千五百万ほど焦げつきがある、こういうような問題がございます。また、この問題はいろいろに発展をしまして、こういった金融のいろいろな責任転嫁の問題から、浜口某という代表理事が殺人事件を起こしまして、相手を猟銃で射殺してしまったというような事件が起きまして、これまた大きな社会問題になり、また他の理事が商工中金から肩がわりするよう勧告を受けて困っている、こういうような問題なんでございます。  私、ここに組合員の名簿を持っておりますけれども、いまこの連合会は解散して、ございません。しかしながらこの連合会のいろいろな組合の理事諸君に電話をして聞いてみますと、私はそういう組合に加入した覚えはない、これは某政党の支持団体でしょうというような発言をいたしておるわけです。私はこれは直接電話で確認をしたわけですが、そういうような状態でございまして、私はこのままこの問題を放置しておくわけにはいかない、こういうふうに思うわけでございます。  したがって、まず第一に商工中金の方にお伺いしますが、この資金の貸し付けにあたって組合の実態調査を現実にどのようにしておられるのか、こういった問題をお伺いしたいと思います。商工中金の現地のほうへ聞いてみますと、県の認可のあるものであるからそのままそれを信用して融資した、このように言いますし、県では、組合の認可については県の責任であるけれども、融資は商工中金で調査すべきが当然じゃないかというようなことを言うておりますけれども、いままでどのような調査をなされてこれらの組合に融資をされておられるのか、その点をまず明確にしてもらいたいと思います。

赤塚正商工組合中央金庫管理部長

○赤塚参考人 申し上げます。  組合金融につきまして、県が組合設立を認可したからうちのほうでは無条件に貸すということではございませんで、融資は当然金庫の調査と判断によって行なわれるわけでございます。ただ、小口転貸の場合は、特に組合が非常に零細でいろいろな書類の作成にもふなれでございますので、個個の転貸先までは一々全部回っているわけではございませんで、主としてそういう小口の場合には組合の管理機能、管理力というものを調査いたしまして、その信頼のもとに御融資をする、こういうことになっております。したがって、少なくとも組合のそういう内容につきましては、金庫で一応貸し出しの判断に十分な調査をやらなければいけないわけでございますが、本件は、一連のものはいずれも名古屋の店で実行したわけでございまして、その辺の調査に、現在反省いたしますとやや粗漏な点があったということは、われわれも反省いたしているわけでございます。  以上でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 調査に粗漏があったと言いますけれども、実際問題としまして、私のところの市会議員が名古屋の商工中金に伺いまして、実情も聞きましたですけれども、この問題については、これこれこういう特定の商工組合の借り入れ金が焦げついておるではないか、またその内容というのはきわめてずさんではないか、こういった協同組合に調査をしないで貸しているのは何事か、こういう追及をしたときに、そこまで来ればもう某政党のある代議士に聞いてもらう以外にしょうがないというような、きわめて不穏当な発言をしておられるわけです。ということを見ますと、これは特定政党から商工中金に何か圧力でもかけられて、どうしてもやむを得ず貸し付けたものかどうか、そういうふうに疑いたくなるのですが、その点はどうですか。

赤塚正商工組合中央金庫管理部長

○赤塚参考人 いまの、支店の職員がお答えしたことは、事実でございますとたいへん不穏当な御返事だと思うのでございますが、一般的に、あらためて申し上げるまでもございませんけれども、金庫は金融機関でございまして、もとより不偏不党の立場でございまして、特定の政党のために特に配慮を加えるということは断じてございませんので、いまの職員の御返答は、そういう点からいいましてたいへん不穏当な発言だ、かように思います。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 もう一点お伺いしますが、こういったずさんな、調査もしない、十分行なわれないで融資をされた結果、数多くの金融面の事故を起こしてございますけれども、こういったそれがさらに発展しまして、ガス自殺であるとか、あるいは殺人事件まで引き起こしているわけですが、そういった問題について、一体商工中金としては現場の支店に対してどのような処置を行なったのか、その点を明快にしてください。

赤塚正商工組合中央金庫管理部長

○赤塚参考人 こういう多数小口転貸全般につきましては、非常に合理的な金融の方法ということで業界全般からも好評をいただいておりますし、また延滞というような事故も比較的少なく済んでおるわけでございます。本件につきまして、特にそういうような刑事事件等も起きておるわけでござますけれども、支店に対しましては、これはこの件に限りませんが、役員としての連帯保証債務につきまして、法律的には現在残っております債権金額につきまして当然追及する権利をわれわれは持っておるわけでございますけれども、半面役員という立場で保証しておることでもありますし、また中には、実情によっては役員という立場を十分自覚せずに保証印を押したという方もあるようでございまして、そういう個々の事情に応じまして、やはり場合によっては減免をするということも一般的に行なわれておるわけでございます。つい先般もこの件につきまして支店からいろいろ相談が参りました場合にも、そういうような趣旨で保証の責任の追及、それからまた転貸した組合員の転貸債務の追及等につきまして当然事務的に進めるにしても、そういう個々の事情を十分勘案して、行き過ぎのないようにといいますか、そういう指示をいたしたわけでございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 銀行局のほうにお伺いしますが、こういうような実態調査も十分にしないで起こっている事故、またいまも申し上げましたように代表理事の中に、名簿にはあります。しかしそれは三文判でもなり得ることでありまして、だれかがかってにやったということも考えられる。そういうようなところから起こってきたこの一連の事故について、その組合の理事の人たちは全部それでもなお、名簿の上に名を連ねた以上は責任を負わなければならないのかどうか。こういうようないろいろな事故について今後どのように処理すべきだと銀行局のほうはお考えでありますか。

吉田太郎一大蔵大臣官房審議官

○吉田説明員 いまのような、先生の御指摘のような事実が実はことしの春くらいからかなり世間をにぎわしてまいったわけでございます。それでことしの夏ぐらいから私ども、商工中金とも相談いたしまして、こういう事故が今後起こらないようにということで鋭意検討を進めてまいりました。しかし、これはむしろ制度の問題というよりは、実態的には商工中金の職員の仕事のやり方をさらに改善していくという以外にはないということでございます。  内容といたしましては、まず組合というもの――商工中金はこれはやはり組合の上に立った金融機関でございます。何と申しましてもやはり組合というものを基礎として機能を発揮していかなくてはならないわけでございます。その組合の実態把握に十分つとめていくということに特に努力していただくことが第一点であります。それからさらに、組合の中でその転貸先が、いままでは組合を信用しておりましたが、それを、さらに必要な場合には商工中金がその転貸先もよく調査していくというようなこと。あるいは融通手形というようなものが混入するおそれがある場合には、そういうものを十分に注意すること。それから転貸が形だけではなくてほんとうに行なわれておるかどうかを確認すること。こういう四つの点につきまして、特にこれをよく励行していくようにということで通達を出し、あるいは支店長会議で出すというように指導いたしております。  ただ、さっき先生のおっしゃいました、役員の中で形式的に連帯保証をしておるが、実体的には必ずしもそうではないのだというようなケースが一つはあろうかと思います。これは実態的にははなはだお気の毒な事情もあろうかと思いますが、法律的に申し上げますならば、やはり連帯保証というものの法律的な効果といたしまして、残りの役員に債務の履行をお願いするということはやむを得ないところだと考えております。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 時間がありませんから大蔵大臣に最後にお伺いいたしますが、いま申し上げたほかに、商工中金としましての資金調達は、いわゆる政府の出資のほかに、一般組合からも、たとえば債券を買ってもらうとかいうような形になっておるのでございますが、その実態は、新しい組合が融資を求めた場合に、その融資の際にどれだけの債券を買ってもらいたいというような形が多くとられているわけです。これがまあ実際の姿だと思います。いわばこれは歩積み両建てみたいな形になっているわけでございますが、これはどうも私どもとしては、新しく金融を求める組合それ自体のいろいろ困却している状態から見て感心しない。これはひとつ政府資金をもう少し潤沢にしていただいてやる以外に方法がないんじゃないか。いまの問題と、それから政府資金のさらに増加というものがどの程度見込まれているか、この二点だけ最後にお伺いしておきたい、こう思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 中金が融資先に対して中金債を売り込む、これが行き過ぎがあっては困るだろうと思います。行き過ぎのないように注意をしてまいります。  それからもう一つは政府資金の問題、これも、従来とも心がけてはおるわけであります。今度の年末の金融に対しましても、わずかではありまするけれども中金にも資金を供与する、こういうふうにいたしましたが、また予算におきましても出資をやっておるわけでございまして、中金は中小企業金融機関として大事な役割りを果たしておりまするから、今後ともその大事な役割りが完遂できるように、できる限り協力してまいりたいと思います。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 最後に要望だけ申し上げておきますが、申し上げましたように、現在名古屋ではいままでの商工中金の金融をめぐっていろいろな事故が続発をいたしておるわけでございます。こういったことが金融機関に行なわれるということは、金融機関自体の信用もさることながら、やはり他のまじめにやっている商工組合等に非常に大きな影響を与えておりますので、ひとつ厳重に大蔵省で監督を願いたい。これだけ申し上げまして終わりにいたします。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十七分散会      ――――◇―――――

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