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61回国会衆議院1969/07/02

大蔵委員会 第43号

発言数
48
登壇者
7
会派数
2
開催日
1969/07/02

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の昭和四十二年度及び昭和四十三年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、昭和四十二年度及び昭和四十三年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案並びに広瀬秀吉君外十一名提出の国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ただいま上程されました共済関係の二法案に対して、関連する諸問題について質問をいたしたいと思います。  まず最初に質問したいことは、共済組合の長期給付、年金制度の問題を論ずる際に最も重要な問題は、今日、高度経済成長下において、特に消費者物価を中心にした諸物価の値上がりというものが毎年続いている、こういう状況。さらに国家公務員あるいは公企体職員等の賃金のベースアップが年々行なわれる。そういう中で、いわゆる給与水準というものがきわめて上昇しておる。さらに生活水準もそれに見合ってかなりの上昇を見つつある。こういう中で年金受給者、いわゆる定額所得者、こういう人たちは、何らかの形で賃金水準、生活水準あるいは物価水準、こういうものの上昇に見合うところの恩給、年金の引き上げ、こういうようなものをやっていかない限り、いわば実質的にその年金額は引き下げられていく、そういうことになっておるわけでありまして、老齢退職後の年金だけにたよって生活しているというような人たちが、そういう事情の中で非常に苦しい生活を余儀なくされているという問題が非常に重要な今日的問題であるわけです。そういう中で、すでに恩給審議会等でもこの点について適正な措置をとるように、勧告も答申も出ておるはずであります。しかも、これははっきり記憶しておりませんが、二年ないし三年前に、調整規定というのが設けられまして、そういういま私が申し上げたような趣旨で、年金のスライド制をすみやかに実現する方向というものが法律にも明定をされました。そういう事情にあるにもかかわらず、今度出ました法案を見ましても、あるいはそれに向かってのいわば地ならしのような意味を持って今回の提案がなされたとも考えられるわけでありますが、しかし、そういういわゆる年金のスライドアップという問題についての制度化という方向にはっきり踏み出したのかどうかというような点が必ずしも明確ではない。そういうような問題について、これは恩給問題とも関係がございますし、共済の年金も、いままで経過的に見まして恩給に右へならえするというような面が非常に多かったわけでありますが、いずれにいたしましても、そういうことを早急に実現をはかって、明確な制度化の方向に持っていくということは、今日非常に大切なことになっておると考えるわけです。  そういう立場で、いま恩給局の次長も見えておりますから、まず恩給関係でどういう方向を目ざして、どういう作業を——恩給のスライドアップという立場において、そういう方向に向かっての作業の状況、また基本的な考え方、こういうようなものをまず最初にお聞きをしたいと思うわけです。

平川幸蔵総理府恩給局次長

○平川説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、恩給の年額につきましては、昭和四十一年におきまして恩給年額の調整規定というものが設けられたわけであります。御承知のように、それまでの政府の年金の改定のしかたは、いわゆる政策的改定と申しますか、そのときにおける経済的、社会的諸条件を判断いたしまして、その場における合理的な判断のもとにおいて政策改定をしてまいった。しかしながら、年金というものはそういうものではなくして、やはりある程度明確な指標を与えて、その指標が動いたならば、それに準じて改定をしていくべきだ、こういう御意見がありまして、それをいわゆる調整規定の形で法律化したわけでございます。  御承知のように、調整規定の内容は読んでいただければわかりますように、年金たる恩給の額は、国家公務員の給与、物価、国民の生活水準その他の諸事情におきまして著しき変動があった場合におきましては、変動後の諸事情を総合勘案いたしまして年金を改定すべきものである、こういう規定になっております。必ずしもその規定の内容自体は明確ではございませんので、たまたま恩給審議会が設けられまして、恩給制度全般につきまして御意見の答申をいただくということになっておりましたので、この調整規定の具体的な運用につきましておはかりしたわけでございます。  その結果は、先生の御承知のように、恩給審議会の答申の内容となってあらわれてまいったわけでありますが、簡単にその内容を申し上げますと、ただいま申し上げました調整規定の中の指標のとり方の示唆でございます。その御示唆はどういうことかと申しますと、現在のようにわが国の経済成長率が非常に大きいというような時代におきましては、指標といたしましては、物価のほかに国家公務員の給与もある程度参酌すべきである、こういう示唆をいただいたのであります。しかしながら、最低の要件といたしましてはまず物価を見るべきである。したがいまして、物価が五%以上上昇いたしましたときには、それに見合うすみやかなる年金の改定をなすべきである。なお、そういう改定を行なった後におきましても、国家公務員の給与と恩給との格差が相当著しいときには、そのある部分を補てんすべきである、こういう御意見をいただいたわけであります。  そういうことにわれわれといたしましては基本的な考え方をもちまして、この答申の趣旨をくみまして、本年度におきましては——実は昭和四十五年度が第一年度の調整規定の働く段階でございまして、実は本年度の予算におきましては、過去の経過規定と申しますか経過措置と申しますか、穴埋めの分をさしていただいたわけでございます。現在の恩給の基礎となっておりますベースは昭和四十年十月のベースでございますが、これは国家公務員の給与といたしましては昭和三十六年の給与に見合う、こういうことになります。そうしますと、昭和三十六年十月から昭和四十三年三月までの、いま申し上げました指標の上昇率というものを参照にしながら、今回のような改定措置を講じていく、こういうことでございます。したがいまして、われわれといたしましては、調整規定の発動としては来年度が初年度でございまして、本年度の分は過去の恩給水準が低位に置かれておりましたその水準を引き上げる、こういう形で改定をしてまいりたい、こういうことになっております。  なお、この問題につきましては、実は総理府に公的年金制度調整連絡会議というのがございまして、これは政府部内の会議でございますが、ここにおきまして諸般の年金を総合的にいろいろ検討いたしまして結論を出したい、こういう形で目下検討しておる最中でございます。  以上でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 大体お話はわかりましたが、そうしますと今度四十年を起点にいたしまして四四・八%引き上げるようにしたい、これは年齢差を設けない、こういうことになっておるようであります。  そこで、重ねてお伺いしたいことは、三十六年当時の、今回四四・八%を引き上げまして、それで仮定俸給表が、四四・八%を引き上げたものとして新しく今度つくられるわけです。その仮定俸給表というものが、現在の公務員の賃金水準との関係はどういう関係に立つことになりますか。来年から本格的な調整規定の第一段階ということでことしの措置はその前段階、いわば地ならし的な意味を持つ、こういうようにいま拝聴したわけですけれども、そこのところを明確に、ひとつ数字的に明らかにしていただければ幸いだと思います。

平川幸蔵総理府恩給局次長

○平川説明員 御承知のように、昭和二十六年度におきましては、恩給の給与と国家公務員の給与が完全に一致しておったわけでございます。ところが、公務員給与制度自体が非常に変遷がございまして、昭和三十三年までにおきましては、恩給の給与と国家公務員の給与は完全に一致しておったということになります。たとえばある号俸を国家公務員の給与にとりますと、その同じ号俸が必ず恩給法の仮定俸給の中にもあらわれておった、こういうことになります。ところが、それ以後国家公務員のいわゆる等級別俸給表というのができてまいりまして、いわゆる通し号俸的なものにはならなくなったわけであります。ところが恩給法は御承知のように一号俸から八十二号俸までいまだに通し号俸的になっております。これは明らかに国家公務員の給与と恩給の仮定俸給というものは一致しない、完全に一致しないということになります。したがいまして、正確な意味におきまする先生の御質問にはお答えできない、こういうことになるわけであります。  というのは、いま申し上げましたように、恩給のベースと現行の公務員給与のベースというものを、完全に並行的にパラレルに見るというわけにはいかないわけであります。ただ全般的なカーブといたしまして、どの程度の水準にきているかということを目安的に申し上げますと、大体昭和四十一年ごろの給与水準には達しているのじゃないかというように私どものほうでは考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いまのお答えは国家公務員関係だと思うわけですが、そうですね。  それで、公企体関係は今度やはり四四・八%、恩給法と同じ歩調で改定をされるわけですが、いまと同じ質問を、公共企業体関係では現在の職員の賃金水準に対して、年金算定の基礎になる仮定俸給のレベル、それはどういう差が見られる状況になっているか。もしわかったら金額も同時に、現在の公企体職員の給与ベースは大体このくらい、平均ですね、それから年金算定の基礎となる仮定俸給のレベルは幾らぐらいか、こういう比較もして、どのくらい差があるかということを数字的に明らかにしていただきたいと思います。

山口真弘運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○山口政府委員 お答えいたします。  ただいま恩給局のほうから申されましたように、公企体の職員につきましても大体同様な事情でございまして、恩給の給与の制度というものとそれから共済組合の仮定俸給というものとの沿革があるわけでございます。そういう意味におきまして、正確に両者間の相違というものをはっきりするということは非常にむずかしいわけでございます。ただ、先ほども恩給局のほうからお答え申し上げましたように、各般の事情を考慮して、今回は四十年度を起点といたします四四・八%の値上げということにいたしまして、おおむね四十一年ごろの給与というものにほぼ見合うようなものであろう、こういうふうに考えておるところであります。給与の違いの額はちょっといまわかりません。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 これは資料として恩給局にも、いろいろ通し号俸とそれからそれぞれいろいろな各省ごとに給与表なども幾つかに分かれて通し号俸にならない、こういう事情はわかりますけれども、目安として大づかみの線で、四十一年ごろの水準に今回の改定をすれば達するであろうということなんでありますが、四十一年当時、それでは国家公務員の全体の平均ベースはどのくらいであったか。年金ベースは今回幾らかということは大体わかったわけですが、そういう比較を数字的にもう少しはっきりしたものをできるだけ早急の間にこの委員会に私は提出をしていただくようにお願いをしたいと思うのです。委員長、それをお願いいたします。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 広瀬君のただいまの申し出については、さよう取り計らいます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 そこでスライドの問題、これは先ほど冒頭に申し上げたように、賢明な大蔵大臣も十分おわかりになっておられることと思うわけでありますが、国家公務員関係の担当大臣でもあり、また、公企体も結局は大蔵大臣の大きくいえば考え方によって動く、そういう関係にもあるわけでありますので、この問題の処理の方向について大蔵大臣としての明確な考え方をこの際はっきりさせていただきたいわけであります。  それと同時に、公企体の共済組合の関係で運輸省が担当するというたてまえになっておりますので、まず最初に、運輸大臣の代理として出席をされた村山政務次官からも、この問題についてこれからどう扱っていくか、どういう決意でこの問題と取り組んで、調整規定の趣旨を完全に実現して、また恩給審議会の答申にもはっきりこたえていく、そういう方向に向かってどういう決意を持っておられるか、この点をまず明らかにしていただいて、そのあと大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。

村山達雄自由民主党運輸政務次官

○村山(達)政府委員 お答え申し上げます。  このスライド制の問題につきましては、社会保障制度審議会からの答申があり、また、先ほど恩給局のほうからお話がございましたように、恩給審議会からも答申があったわけでございますが、何ぶんにもこの問題はなかなか財源がたいへんかかる問題でもございますし、しかも恩給審議会の答申におきましても、消費者物価その他の点ではかなりニュアンスが違っておる問題でございます。そういう意味で、現在内閣におきまして公的年金制度調整連絡協議会が持たれまして、この実施についていかにすべきかということで真剣に関係各省を通じて協議が行なわれているところでございます。われわれもでき得れば沿いたいとは思っておりますけれども、何ぶんにも、消費者物価の点はよくわかるのでございますが、その他の問題についてはできるならばそれが好ましいということだろうと私は理解しているのでございますが、できるだけそういうニュアンスをくみつつ、それらの御要望にこたえる方向で今後内閣におきます連絡協議会を通じまして十分検討してまいりたい、かように思っているわけでございます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 恩給審議会の答申の趣旨は私は同感でございます。ただ、広瀬さんのおっしゃられるスライド制ということになりますと、これはなかなか大問題だと思うのです。つまり、われわれはいま物価問題と取り組んでおるわけなんですが、何か物価問題の取り組みを放棄したというような味も残る問題でありますだけに慎重たらざるを得ない。また、いま村山政務次官からお話しのように、そのスライドした増加財源をだれが負担するかというような技術的な問題もあるわけですが、根本はスライド制というと、物価に比例して支給額をきめる、こういうことになり、物価政策上きわめてこれは機微な問題である、こういうふうに考えておるのであります。何よりも大事なことは物価問題の克服をはかることだ、これが基本的な考え方です。  ただ、それにしても現実の問題として物価の上昇ということがある。それに対して年金の支給を受ける者に対しまして、実質的な価値が支給されるような、その確保の道を講じなければならぬ、こういうふうに考えますので、その方法につきましてはどうしますか、これは連絡協議会もつくってあるわけでありますので、鋭意検討してみたい、かように考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 恩給局に、この問題について出された答申の文言をひとつ読んでいただきたいのです。

平川幸蔵総理府恩給局次長

○平川説明員 恩給審議会の答申の「調整規定の運用に関する意見」のあらましだけをちょっと申し上げます。「物価とくに消費者物価の上昇は年金恩給の実質的価値を低下させ、恩給受給者の生活に直接的な影響を与えるものである。したがって、少なくとも消費者物価が著しく上昇したときは、それに応じて恩給の実質的価値が維持されるようにその年額を改定することは、恩給年額の調整における不可欠の要件である。この場合、その運用については、五パーセント以上消費者物価が上昇した場合にはそれに応じて恩給年額を改定すべきものとし、」という文句が物価につきましてはございます。  次は、国家公務員の給与でございますが、「しかしながら、恩給受給者がかつて公務員であった者またはその遺族であることにかんがみ、国家公務員の給与の上昇を勘案して恩給年額の調整を図ることが考えられる。また、経済の成長に伴い国民の生活水準が著しく向上した場合には、ある程度恩給受給者にもこれを反映させ、その生活内容の改善を図るような恩給年額の調整を行なうことが考えられる。しかして、この調整を行なうにあたっては、消費者物価の上昇に応じて恩給年額の改定を行なってもなお国家公務員の給与水準と恩給との格差が著しく懸隔している場合には、それをある程度解消することにより調整することが望ましい。」  以上のようなことをいいまして、「他の公的年金制度その他国の諸施策との均衡を考慮することが必要であり、」と最後に付言しています。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いま大臣もお聞きになったと思うのです。大臣の答えの中では、また村山政務次官の答えの中でも、物価問題ということの考えしかないようであります。しかし、そうではないのです。これは調整規定そのものもそういうたてまえではない。賃金水準、それから生活水準その他物価事情をしんしゃくするということでありまして、物価の問題が当然これはこの問題についての重要な問題点になることも事実でありますけれども、しかし、それ以上にむしろ賃金水準との格差というようなもの、あるいは生活水準との格差というもの、そういうものを——考えようによっては、物価との関連は賃金水準もあるいは生活水準というものもあるけれども、物価という表現だけで考えられると誤解も生じます。しかも、私はやはり、今日政府が物価を安定さしていくということについてはやや熱意が足りない、ややではなくてかなり熱意が足りない。その証拠に、ずっともう物価が安定しないで絶えず値上がりを続けている、こういう実情の中にはっきりと感ずるわけでありますが、欧州の諸国などで、たとえばデンマーク等では物価が上がれば必ず賃金も上がる。その物価に完全にスライドさせる。年金等についても全部スライドさせる。だから、物価を上げないための政策というものがどうしても政治の最高の目標になるというような非常に強い——物価抑制に対して政府がしなければたいへんなことになる、どんどんインフレーションの進行になってしまうというようなことで、そういうシステムすらつくっているところもあるわけです。年金やなんかについては押えていくのだ、ある程度物価の水準ぐらいで少し押えようか、幾らか上げようかというような考えだけで何とかこれはもう押えて、そう声も大でない年金受給者はいいのだというような考えを持っていると、どんどん物価値上げをやっても、そう政府みずからがジレンマにおちいるようなきびしい条件にさらされない面が政府当局にあるというようなところから、こういうようなものについて、やはり先ほど申し上げたような三つの要素を考慮しながら考えていくということになれば、政府の施策のあり方というようなものもかなり正しくチェックされて、適正な物価政策というような問題が非常に大きな問題として正しい政策の展開にも結びつくという要請だってあると思うのです。こういうものを押えていけるという安易な気持ちがあると、物価政策に対してはどうしてもおざなりになってしまうというような面もあるのであって、大蔵大臣はもう少しそこらのところを認識を新たにされて、もう一ぺんかなり積極的な前向きな立場というものを打ち出していただきたいと思うのです。  それについては、当時の池田総理の本会議の答弁でも、スライド制というものを大いに考慮したいという発言——これはいま手元にその議事録がありませんけれども、そういう答えもしているわけです。それ以来非常にこの年金スライド問題というものが活発化した経緯もあるわけでありまして、そういう点でいまの大蔵大臣の答弁ではまことに不満であって、もう少し、少なくとも在職当時に恩給の積み立て金、納付金もし、あるいはまた共済の積み立て金もそのときの定められた率に従ってやり、そうすれば大体やめた後もやめた当時の生活水準の少なくとも——これは年金額の最高が七〇%ときめられておりますから、やめた当時と同じだけ出すということにはいかぬけれども、老人二人やめた当時に七〇%とか六〇%とかもらえれば大体かなりの生活ができるという期待権を持っておったのが、その後の物価の上昇、賃金水準の向上あるいは生活水準のはなはだしい格差ということでは、全く期待権が裏切られる感があるわけです。先ほどの答申の中にもありましたとおり、実質的に年金の価値がどんどん低下の一途をたどる。まさに老人に対して非常に冷たい政治だといって老人たちが怒り心頭に発するのも無理のないような状況の中で、私どもにも政府に対してもこれは要求されているところでありますので、社会保障全般とも関連がありますけれども、もう少しそういう点で理解のあるかまえをとっていただくように、もう一回ひとつ答弁をお願いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私がまことに理解のない答弁をしておるようなお話ですが、私の考えておる趣旨は、根本においては広瀬さんのおっしゃることとちっとも変わりはないのでございます。ないのだが、これは軽々にそういうスライド制というような制度そのものを取り入れるわけにはいかぬだろう、こういうことを申しておるのです。趣旨はごもっともだ、しかし、方向としてはスライド制というのはかなり問題のある行き方じゃあるまいか。なるほどスライド制というのは、一面において非常に合理的な面を持っておりますが、しかし、われわれがいま当面している問題は、これは日本の経済をどうやって安定していくか、こういう問題なんです。インフレと取り組まなければならぬ、物価騰貴を克服していかなければならぬ。これに追随をしてさらにまたこの物価問題というものの処理を困難にするという行き方、そういうものに対しましてはよほど慎重なかまえをとらなければならぬだろう、こういうふうに考えるわけなんです。技術的に見ましても、先ほど申しましたようななかなかむずかしい問題も伏在しておる、そういうスライド制でありますので、この問題の考え方についてはよほど慎重に当たってみたい、こういうことを申しておるわけです。  くれぐれも申し上げますが、趣旨は私はまさにそうあるべきである、そういうふうに考えます。つまり、年金受給者のその受くべき実質的価値の確保、こういう問題につきましてはこれは真剣に取り組まなければならぬ、そういうふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 先ほどよりは大臣の考え方はわかったわけですが、慎重にやるということ、これもけっこうであります。慎重にやることもけっこうでありますが、慎重に慎重にということで、物価は一向に——低下の傾向でも現実に出てくるならばけっこうだけれども、なかなかそうはいかない。おそらく昭和四十四年度も五%をかなり上回る物価水準の騰貴があるだろうという予想も成り立っている。こういうような点もあるわけでありまして、経済の安定ということを特に強調されたわけですが、先ほども申し上げたように、どうも政府の熱意が足りないというのは、やっぱり物価値上げをやったらあともう押え切れない要求が出てくるのだぞというようなことがなくて、押えるところは不合理であってもあるいは気の毒であっても押えるのだ、こういうようなことがあると、物価安定、経済の安定ということをむしろサボってしまうという結果にもなりかねないのであります。政府みずからが物価上昇についてもっときびしい対策を打ち出し、そういう政策を展開するということのためにもこういう制度を置いて、しかもスライド制というのは下がれば、物価が下がり賃金も安定してくるというようなことになれば据え置きになるし、あるいは物価がどんどん下がってくるということになれば年金額を下げることだってできるわけです。年金がインフレ要因だ、これは生産をしないで国がやるわけですから、むやみやたらに上げたらそういう面も考えられるかもしれぬけれども、必ずしもそうではないわけであって、政府がそういうことで本腰を入れて物価政策に取り組むというようなものに向かってほんとうに熱意を示していくということのためにもこういうものを取り入れていく。制度的に上げればこれも上げなければならぬのだというような非常に俗論的な面があるけれども、これはやっぱり経済原則からいっても、そういう政府の自己反省というか自己規制というか、そういうものに物価政策の面においても結びついていく問題だというように考えるわけなんです。  その辺のところでさらに具体的に聞きますと、一体大蔵大臣はそれじゃスライド制というようなものは、これはもうとる気はないということなんですか。制度として何%、たとえばスライド制といえば、何%物価が上昇する、あるいはその他賃金水準なんかについて何%上昇して格差がどのくらいになったというような場合に、生活水準のレベルを数字であらわしてどれだけの差があるということはなかなかむずかしいけれども、それらの事情も勘案しながらそういう数字的なものをあげて、こういう場合には必ず上げなければならぬということをやはり法律の中に取り入れていくということになろうかと思いますが、そういうところまではいかぬ、こういう趣旨に了解していいですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 非常に機械的な意味に、狭義のスライド制、これに対しましては私は非常に消極的である、これはたいへんな影響のある問題だ、そういうふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 狭義な意味のスライド制ということについては消極的な立場だ。それじゃ広義な立場では、同様に気の毒であるということもわかっておる、それから実質的価値が下がっておるということもわかっておる。それに対してじゃどういう態度であなたは進められようとしておりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 スライド制というのが広い意味で年金受給者の受くべき実質的価値を維持すべし、そういう抽象的な考え方を表明するということでありますればそのようにしたい、こういうことであります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 恩給局に伺いますが、恩給局では審議会の答申を得て来年から本格的に調整規定の完全実施というか、そういう方向で、これはことばの表現は非常にやわらかな表現をしておりますけれども、やはりスライド制への指向というものの中から明年度で第一年度を踏み出したい、こういう気持ちの表現と先ほど見たのですが、そういうことでほぼ間違いないですね。

平川幸蔵総理府恩給局次長

○平川説明員 私どもの考え方といたしましては、基本的には恩給審議会の答申の線に沿ってやっていくということでございますが、問題は、いわゆるスライド制というような表現が適当であるかどうかの問題なのであります。われわれといたしましては、これを調整規定ということで一応考えております。問題は、恩給審議会の答申の内容でございますが、見方によってはいろいろとられる節もあるかと思います。しかし、われわれといたしましては、基本的にはこの線に沿ってやりたいわけでございますが、ただ恩給審議会の答申もいろいろな条件を付加しておるわけであります。先ほど私がちょっと読みましたように、他の公的年金制度との関連あるいは国家政策との関連ということもうたっております。したがいまして、基本的にはそういうワクの中での調整規定ということで考えなければならぬと思いますけれども、趣旨としては恩給審議会の答申の内容に沿ってやっていきたい、このように考えておるわけであります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 私は、大蔵大臣に重ねて聞きます。たとえばここ数年来物価は大体五%程度は上がっておる。これは厳密にいうと四・八%だとかあるいは五・二%だとかいろいろあるけれども、大体一年に五%くらいずつ上昇する。賃金水準は少なくとも十何%かずつここ数年来上昇しておる。ことしの賃上げなどは民間、公企体、公務員等——公務員はまだあれですけれども、その平均値をとっても大体一四、五%くらいは上がっておるのじゃないかということです。こういう事態がずっと続いていくとした場合には、そういう前提を置いたらやはり毎年この年金のアップも考えていかざるを得まいという程度の考えはお持ちなんでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 これは実質的な価値の維持、こういうことにはどうしても努力をしなければならぬというふうに考えるわけであります。ただその方法をどうするか、これは国の基本政策というか、特に私どもが一番頭にありますのは物価の問題でありますけれども、物価政策との関連、これをどういうふうに見ていくかというような点があろうと思います。技術的なところになると、これはよほど慎重に考えなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。先ほどから申し上げておるとおり、いわゆる狭い意味のスライド制ということについては特に慎重に考え、対処しなければならぬ、さような考えを持っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 大臣、ばかにきょうはやけに慎重で、ふだんの大臣と違うんだけれども、いまぼくは前提を置いて、こういうここ数年来の物価の情勢、それから賃金の上昇というようなこと、当然そういうことは生活水準にもかなりの差が、年金受給者との間に出ているということを物語っているわけです。そういう状態でずっとここ何年か先いくということになった場合に、いま老齢退職者、年金で生活をしているという人たちが、われわれの恩給は毎年毎年政府によって減らされてしまっているということで、非常に低い生活でがまんしなければならぬという、老人のただ一つの生きる望み、楽しみというようなものが、毎年政府の政策の展開によって、これが実質価値が減じてきているという切実な実感をもって、何とかしてもらいたい、合理的な制度をつくってもらいたいという熱願を持っているわけなんですよ。そういうものに対して、大臣がいまおっしゃったような、いわば紋切り型の答弁です、そういうことでいいかどうか。私はいま前提を置いて言ったんだけれども、そういう場合ならばそれじゃどうするというところまで答えられませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 そういう場合に一体どうするかということを連絡協議会で、国の経済政策、また他の施策に対する影響というものも勘案しながら、ひとつ結論を出そう、そういう最中というのが現時点なんです。毎年毎年ということをおっしゃいますが、毎年毎年物価に比例してこれから改定を行なうということこそ、これがスライド制ということなんです。そういうふうな考え方につきましては、これはなかなかそう簡単に踏み切るわけにはいかぬ、こう申し上げておるわけなんですが、あなたのおっしゃる実質的に受くべき額が確保されるという方法、精神についてはそのとおりに考えております。それをどういうふうに具体化するかということが問題だ、こう御理解願います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 くどいようですが、いま最後のところで幾らかいいことを言われたんだけれども、実質価値が下がらないように、それだけは大臣として十分考えていく、こういう点はよろしいですね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 そのように努力をいたしておるのです。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 この問題はこれ以上論争するとまた長くなりますし、いまのところ大臣も、実質価値を減少させないということについては最大の努力をするという答弁でありますから、その点はきょうはこれだけにとどめておきます。  それでは次に、最近医療給付の問題をめぐって健保特例法の一部改正というようなことも国会に出て、これが延長国会における最大の問題点になっているわけですが、国家公務員、公企体共済、こういうところにおいても、短期給付についてもいろいろと問題があるわけであります。これは健保などと比較すれば、比較的恵まれた形にはなっているけれども、今日なお非常に問題が多い。特にやがてこういう医療保険制度というようなものは統合というような事態なども考えられるというようなことも、ぼつぼつそういう構想などもあちらからこちらから出されておるようなわけでありますが、その問題の中で短期給付、これは公務員や公企体における、健康保険と同じような性格を持つのが共済組合の内部における短期給付の問題であるわけです。  ここで、健保には国の負担というものが入っておるわけです。ところが、この公務員の共済の場合に、組合員と使用者である国あるいは使用者である公企体、こういうところがフィフティー・フィフティーで持っておって、いわゆる国からは出てない、国庫からは資金が出されてない、こういうことなんですが、この点について大蔵省として、何とかこれを健保並みぐらいには出してもいいのではないか、こういう気がするわけでありますが、この点はいかがでございますか。

海堀洋平大蔵省主計局次長

○海堀政府委員 現在、医療保険をいろいろな形でやっているわけですが、いわゆる国がその保険料の一部を見ておりますのは、国保とそれから日雇健保がございますが、このうちで国保というのは、被用者ではない。したがって雇い主がございませんので、そういう意味で国が保険料を、要するに被用者のない、雇用者のない保険でございますので、それを負担しているということでございます。それから日雇健保のほうは、これはもう御存じのように、日雇い者というなにが非常に低所得者であるというようなことから、特に国が保険料の一部を負担しているということでございまして、政府管掌健保については、制度的にそういう負担の関係はございません。したがって、他の保険につきましては雇用者と被用者がそれぞれ所要の負担をしているということでございまして、国家公務員共済につきましては、雇用者としての国以外に負担を特に国がするということは考えておりません。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 この問題も論争し始めると非常に長くなりますが、いわゆる使用者としての国、使用者としての公企体というものが負担をするのでありますから、健康保険法に基づく給付に対して国が二〇%の——いま一五%でございましたか、かりに二〇%の負担をしている、それと同じように一般財政から国庫としての負担をやはりして、幾ぶんでも公企体公務員の掛け金を増加させないように、あるいは下げていく、掛け金率を下げていく、そういう方向というものは全く考えられないことですか。何かどうも私どもから見れば、使用者である国ということは、もう国庫というのとはやはり違うと思うのです。そういう立場でこの問題を前向きに検討する考えというのは全くないわけですか。ないとするならば、その理由というものをこの際明確に、かくかくの次第でこうだという理由があればお示しをいただきたい。

海堀洋平大蔵省主計局次長

○海堀政府委員 医療保険の制度は、公務員については共済の短期給付、それから国民健康保険、それから政付管掌の健康保険、それから組合管掌の健康保険といろいろございますが、結局そういう医療保険につきまして国庫負担をどういうふうにするかという考え方でございますが、これは結局国の財政力とかその緊要性というようなものを考えつつきめていかなければならぬのだと存じます。したがいまして、現在とっている制度というものは、雇用者のない国民健康保険と非常に負担能力の弱いであろうと考えられます日雇健保につきまして、国が国庫としての立場から負担をしているということでございまして、その他につきましては雇用者と被用者が適宜負担をしていっていただいているということでございまして、政策論として絶対的に国庫としての国が負担してはいけないという問題ではなかろうかと存じますが、相当大きな国庫負担を要する問題であるとともに、各組合間のやはり権衡というものがございますので、国家公務員共済だけにつきまして直ちに国庫としての国が負担をするということは適当ではないというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 大臣もいまお聞きになったと思うのですが、国民のうち非常に多数を占めている健保法に対しては国庫から金を出す、しかし、公務員や公企体は使用者としての国、使用者としての公企体というところで、フィフティー・フィフティーで組合員と同じような比率で出しているから、それで相済みであるということでは、国が国庫という形の中で出すということについては何も国の責任というものはない、国庫金を支出する理由というものは、いまの主計局次長の答弁では必ずしもその理由が明確じゃない。やはり私はそういう面についても二〇%なりの資金というものは一般財政から国庫金として支出をしてやっていいのではないか。なかんずく今日、かつての結核にかわるような勢いをもって、成人病あるいは高血圧というようなものなんかの医療給付が非常に増加をしている。そういう面については、かつて結核予防法で特別に国が金を出してきたように、疾病の傾向としても非常に国民病的なものにその傾向が入れかわってきているというようなものに対する国の責任についても考えていくならば、そしてそれぞれの単位共済においての支出というものがそういうものに非常に濃密に支出されるような傾向が見られるということも考えて、ここらあたりはもう少しやはり理解のある態度というものが検討できないものか、これは大臣からひとつ……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 この健康保険の場合は、社会保障的な考え方に基づきまして特例的に国庫の支出をいたしておりますが、これといま問題になっておる共済組合、公務員等の問題を同一に論ずることはどうかという感じがします。とにかく国は使用者として、また公共企業体も使用者として半額の負担をしておるわけでありますから、この負担がかなりものを言っておるのじゃあるまいか、そういうふうに思います。これがいま問題になっておる日雇健保と比較して論ぜられるということは、ちょっと私も理解がいきかねますが、二分の一負担というところあたりは適正なところじゃないか、そういうふうに考えます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 社会保障の面が健保には非常に強いということでありますが、これは共済だってやはりそういう面というものは全く否定できない面があるわけです。それと五〇、五〇を負担するという場合には、やはり国庫の負担が二〇%は入っているということになればあと残りは八〇%です。八〇をフィフティー・フィフティーで分けるといえば四〇、四〇になる。ところが、最初から組合は五〇ということに、そういういまのお考えではなるわけでしょう。そうなれば、非常に負担が重いということにもならざるを得ないわけですよ。そういうところまで考えてもらって、この問題についてもひとつ検討していただきたいと思うのです。これは全く筋の通らぬことではないと思う。  次に、予防給付という——これは新しいことばかもしれぬけれども、病気になってからその対症療法に使う金を見てやろうというのが中心だけれども、これからは共済制度という中での医療の給付を考える場合に、やはり予防給付的なものにも目を開いていくということは非常に重要なことだと思うわけであります。たとえば僻地の巡回診療だとか家族の健康診断をやる、あるいは栄養剤の支給をやる、各種の予防注射などは銭をとらないとか、あるいはちょっとぜいたくかもしれぬけれども、人間ドックとかいうようなことについて、こういう施設を強化拡充することによって、そういう面についての予防給付的な要素というものを強めていく、こういうことについてはいかがですか。

海堀洋平大蔵省主計局次長

○海堀政府委員 現在の医療保険制度におきましては、予防給付というものは行なわないたてまえになっております。これはどうするかという問題は、単に共済組合の短期給付だけを取り上げて問題にするというわけにはいきませんので、各医療保険全体を通ずる問題として将来検討すべき事項ではなかろうかというふうには考えております。しかし、現在直ちに共済組合だけにおいてこれを取り入れるということは、他の医療保険制度との均衡上非常に問題があろうかと存じます。  ただ、現実問題としましては、一部の組合におきましては、福祉事業としてあるいはそういう栄養剤の配付だとか健康診断とかいうようなことをやっておりますので、そういう方向につきましてはこれをできるだけ拡充していくということが望ましいのではなかろうかと存じます。ただ、医療保険そのものの制度として取り入れるということになりますと、これは医療保険制度全般の問題として慎重に検討しなければならぬだろうというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 公企体関係なんかで、特に国鉄などは今日事故が多発しているというような中で、事故のあるたびに、たとえば貨車の競合脱線が起こったといっても、職員がたるんでるというようなことをすぐ総裁も訓示を出される。これは若干非科学的過ぎるような面もあるわけなんだけれども、しかし、輸送量がどんどん増大するにかかわらず人間はふえないというようなことで、逆に減っていく、そういう中で予防医学的な健康管理というような問題、こういうようなものを含めて、いままでの考えを相当転換させて、そういう面での強化充実というものを絶えずはかって、これはまた機関助士廃止の問題、二人乗務是か非かというような問題でも、たとえば高血圧、成人病というようなことで非常に危険度がある。もしそういうようになったらそれこそたいへんなことになる。乗っていてたとえば心臓麻痺を起こす、あるいは高血圧で倒れるなんということになったら、これはまさに救いがたい大事故にも発展する可能性もあるというようなことで、そういう問題なんか非常に必要性を増しているように思うのです。こういう点について公企体関係の担当者としてどういうように考えるか。

山口真弘運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○山口政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、疾病の予防に対する重要性というものがますます高まっておりますことは御承知のとおりであります。特に公企体の職員は国鉄、電電あるいは専売、いずれも現業でございまして、現業の職員にとりまして、特に予防の面を強化いたしまして、そして職員がつつがなく働くことができるということが必要であろうというふうに思っておるわけであります。そこで公企体の共済組合におきましては、現在これにつきましては保健経理といたしまして、組合員や家族の各種の予防給付だとかその他の事業をいたしておるわけでございまして、この点につきましては現在でもかなりの効果を発揮しているものと思っておりますが、今後この点につきましてはますます拡充して職員の健康の保持ということにつとめなければならぬものと考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 この問題もあとからもう少しやるかもしれませんが、そういう方向というものはこれはぜひひとつ前向きに検討していただきたい重要な問題点であると思うのです。これは大臣もひとつよくお聞きいただいたと思うので、含んでおいていただきたいわけです。  それから家族療養費の問題ですが、これは今日給付額は半額の五〇%だということになっております。御承知のように、国民健康保険、いわゆる国保というのは、たしか四十一年度で全部家族の七割給付ということがもう実施済みになっておると思うのです。そういうような状況を踏まえて、現在の家族五割給付という線を、少なくとも国保並みに引き上げていく段階もう迎えているのではないか、こういうように考えるわけですが、家族給付についてそういう差を、これは健康保険の問題ともからむわけですけれども、そういう一歩でも二歩でもいい方向に向かって前進をさしていく。悪いところに合わせるのじゃなくて、いいほうに絶えず合わしていく。これは医療保険の制度全体を通じての心がまえの問題にもなろうと思いますが、そういう立場で考えられて、家族療養給付というようなものについていまの五〇%を国保並みくらいでもとりあえず上げていくという方向について、大蔵当局、それからこれは公企体のほうでもいろいろ短期の財源の問題等もあるでしょうけれども、そういう方向についてのお考えをこの際お聞きいたしたいと思います。

海堀洋平大蔵省主計局次長

○海堀政府委員 先生も御存じのとおりに、現在国保は七割、要するに世帯主以外も七割になっていますけれども、そのかわりに世帯主自体も原則として七割ということになっておるわけであります。ところが、被用者保険である保険、要するに組合管掌の健保あるいは政管健保、それから共済組合、それから公企体の組合というような被用者保険につきましては、すべて本人は一〇〇%の給付に対しまして、家族は五割の給付ということになっておるわけであります。したがいまして、これもまた一部分だけをどうするというわけにまいりませんので、やはりそれはそういった被用者の医療保険全般の問題として検討していかなければいけないということに相なろうかと存じます。ところが、現在御存じのとおり、政管健保につきましては相当な赤字をかかえまして、それの解決に鋭意努力しているというところでございまして、財源措置あるいは保険料の関係等を考えますと、なかなか困難な問題ではなかろうかというふうに考えております。ただ現在、医療給付の家族の療養費の付加給付としてある程度付加金を出しておりまして、五割を多少こえた負担を組合がしているということになっております。これは付加給付として行なっているものが、本人負担が下がってしたがって五割を多少下回るということになっているかと存じます。

村山達雄自由民主党運輸政務次官

○村山(達)政府委員 公共企業体におきましては、大体現在のところ財政上のやりくりをいたしまして、家族の療養については付加給付を実施しておりますから、事実上五割よりも厚い給付になっておる、こういうことであります。年々財政上のやりくりで付加給付の率を上げるように努力しておる、こういうことであります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 これは政治の姿勢における基本問題にもなろうかと思いますが、この間、防衛費の問題で本委員会で大蔵大臣にも同僚只松委員から質問したわけですが、軍事関係の費用というのは国民総生産に対して〇・八四くらいが現在である、大体この辺のところを目安にして、これを大きく伸ばしていくというようなことは考えないということも言われておるわけでありますが、そういう中において、ヨーロッパ諸国あたりの社会保障に国の財政資金をつぎ込む比率というものは国家予算の中で二〇%前後、大体そういう水準にある。毎年毎年社会保障費を増額してきたということを言われるでありましょうけれども、大体これがせいぜい一四%程度だと思うのですが、そういうことになっておる。したがって、そういう経済の高度成長ということも、とどのつまりは何を目標にして経済の成長をやるかといえば、やはり人間の生活の豊かさ、生活の向上、そういう生活の向上という中には健康であるということが絶対的な条件になる。そういう面で非常に手が抜けておる。国の財政資金の出し惜しみがまだ見られるということを考えまするならば、やはり社会保障全体についてもう少し金を出していこう、経済成長の余沢というものは、社保面に金を出すことによってほんとうにもっとよりよく国の財政の使命である資源の再配分であるとか富の再配分であるとかそういうものにまず金が使われるであろう、このように考えられるわけです。  そういう意味からいえば、やはり国保の問題で確かに——給付も一方は十割である、一方は七割であるということであるけれども、まず給付の問題では前進をしてきた。それがほかの医療保険におけるよりも前進をしたということになるならば、少なくともそれを合わせて、そうして次の段階では国保においても本人十割給付が実現するように、そしてやがては本人、家族を含めて社会保障全体のワクの中ですべて十割給付になるような、いわば医療費はただであるというような事態を迎えて、初めて政府のいう福祉国家への道というものが現実のものとなるだろう、こういうふうに思うわけです。したがって、一歩でも前進したところがあるならば、やれる限りそこに近づける、そして次の段階にはこういうものに移ろう、こういうような前向きの社会保障の前進、そして先ほども数字をあげましたけれども、先進ヨーロッパ諸国並みの社会保障の財政における比率というところまでできるだけ早く持っていくという立場からも、この問題はぜひひとつ前向きに取り組んでいただきたい、こういうように考えるのですが、大臣の御所見いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私もそういう気持ちです。ただ、国民の生活を向上させ、しあわせにするというためには社会保障だけということだけでは貫徹されない。いまわれわれが当面しておる大きな問題は、これは社会保障という名前では呼ばれてない社会資本の蓄積、こういう問題があるわけです。公害の問題がどうだ、水の問題がどうだ、あるいは下水の問題がどうだ、あるいは住宅の問題がどうだ、こういう問題にも国は大きな努力を払われなければならぬと思います。それが社会保障制度をバランスをとりながらこん然一体として国民の生活の安定につながっていくわけであります。その辺のバランスということが問題だろうと思うのです。  西欧諸国では、いま相当財政の中で高い比率の軍事費を負担しているのですが、わが国はそういう状態ではない。残りのものは民生費にみんな向けられているわけです。民生費の中のバランスがどうなるか、一番おくれているのはこれはわれわれの共同の投資たる社会資本の立ちおくれということにあると思うのであります。そういう方向にいま財政は大きな活躍をしておるわけですから、社会保障の問題につきましては、これとの斉合性、均衡というようなものを考慮しつつ、さらに前向きで努力をいたしていきたいというのが私の考えでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 きょうは大臣も十二時までということですので、大臣がいる間に、あっちにいったりこっちにいったりでたいへん恐縮ですけれども、大臣に質問したい問題で、短期の問題はそういうことで前向きに大いに努力してもらいたいという、きょうは問題提起の程度にとどめておきます。  またもう一回長期の問題に戻って、年金の問題については、先ほどからだんだん議論をしてきたわけですけれども、その中で、年金支給者からいま強い要求が出ているもう一つの問題は、年金についての税金の問題をもうちょっと大蔵省考えてくれたってよさそうなものではないかという考えがあるわけです。年金は、御承知のように、長い間掛け金もかけ、そしてその老後における生活を保障しようというもの、からだがじょうぶで毎日勤労をして、所得を確保するという者と違うそういう者、しかも今日のようにだんだん年金の実質価値が減ってしまうような中で、何とかせめて税金だけでもこれを対象以外にするかあるいは特殊な取り扱いをして——それの所得だけしかない人も一般の所得と込みにして、あるいは一般の元気で働いて所得を得ている人と同じ所得として税制面で扱うということについては、もう一つ何か考えて、特別な取り扱いをしてくれてもいいではないか、こういう希望が非常に強いわけですね。これについては、やはり国全体における老人対策という問題の中でも、非常に老人に対する思いやりのある政策——長いこと働いてもう老後は安らかに、はうところまではいかないにしても、老人を最後の死に至るまで働かせるような冷たい政治じゃなくて、老後のある期間はやはり安息の期間、老人らしい生活、安楽な生活のできる期間というものを保障するためにも、これから所得税を取るということが非常に抵抗を感ずる問題でもあるというようなことから、この面についても何らかの配慮ができないか。私は、全部これははずしてしまえというところまでいまの段階で主張するつもりはないけれども、やはり何らかの配慮をして、この分を別個に、一般の所得と切り離して是正を考える、税制における減免措置というようなものを考える、こういう方向というものはとれないものかどうか。これは大蔵大臣はもうその道の権威者であり、現在の大蔵大臣として、そういう年金老齢者というものの切実な願いに対して何らかお考えありませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 私の考えでは、来年は所得税の課税最低限を少なくとも百万円に持っていきたい、こういう考えを持っているのです。最低限百万円という場合に、恩給受給者で、恩給生活者で百万円をこえて所得があり、課税の対象になるという人が、さてどのくらいあるだろうか。これは非常に少ない方ではあるまいか、こういうふうに私は見ますが、それはそれといたしまして、特別の課税ができるか、課税特例ができるか、こういう問題になると、これは考え方として非常にむずかしい問題じゃあるまいかと思います。  老人対策につきましては、老人対策として総合的に、まあいろいろな施策を進めていく。ことにこれから老齢人口がどんどんふえようといたしておるこの日本社会における老人問題というのは、非常に重要な問題になりますので、まあいろいろな角度から対策を進めていきますが、さあ税ということになると同じ額の所得があるその中で、恩給受給者が特例が必要だ、これに対して特別の考え方をするというのは少しむずかしいところにくるのじゃあるまいか、そんな感じがしますが、なおよく考えてみます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 私、先ほど所得税だけを言ったわけですが、税金は所得税だけではなしに、特に地方税における住民税というようなものも含めての話と理解をしていただきたいわけです。そういうことになりますと、年金をもらいながら何反歩かの田畑の耕作を老人夫婦でやっているというようなことになると、けっこう税金の対象になるものがまだ非常に多いわけであります。特に地方税の住民税の課税最低限が非常に低い段階にある。所得税との間に約三十万の違いがある。六十二、三万円のところだというようなこともありまして、税金の問題でもそういう希望というものは非常に強いわけです。先ほど言ったように、何といっても、もう一定の老齢を迎えた場合には、経済をどんどん発展さしていくということも、やはり人生というものがせめて老齢に達して若い人と同じように働けなくなるというような時代には、やはりあくせく働いて税金を納めてやっていくというようなことではなしに、安楽な老後、安心して、病気の心配もなく、経済的な心配もなく、安息の生活、そういうものを送らせてあげようというようなことが、老人対策の基本でもあるし、そういう面での税金のあり方というようなものも、やはりそういう中で基本をそこに置いて考える余地はないのかという問題を提起したわけです。この点については、これは税法というものが、国民公平の原則をたっとぶというようなことからいえば、しゃくし定木にいけば非常に問題があるところではあるけれども、そういう配慮こそ国民の常識にもかなうし、租税正義あるいは民主主義の原則にだってかなうわけであって、公平を害するというようなことが、力もありよけいもうかるところにより有利な税制面におけるメリットがついているというような今日の租税特別措置とは違った、国民にこれこそ受け入れられる問題点でもある、こういう積極面に着目して特別な措置というものを考えられる余地はあるだろう、私はこういう気持ちでおるわけであります。  いま、ちょうど十二時できょうはやめようということでもございますので、大臣も用があるようですから、きょうは問題を提起したという程度にとどめておきますが、この問題についても十分ひとつ御検討をしていただきたい、こういうように考えるわけであります。  委員長、あとたくさん質問しなければならぬことが残っておりますが、理事会の相談もございますのできょうはこれで終わりますが、もう一度、残りの部分について質疑を留保いたしまして、きょうはこれで終わらしていただきます。      ————◇—————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  社会労働委員会において審査中の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会の所管と関連がありますので、社会労働委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来たる四日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時一分散会

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