大蔵委員会 第42号
- 発言数
- 152 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/06/27
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 国税通則法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
○平林委員 きょう私は、最終的段階になっておりますから、なるべく簡潔に、法案に関する質問をいたしたいと思います。 私がきょう取り上げたいのは、この国税通則法の一部を改正する法律案の中に第九十九条というのがあります。この九十九条は「国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、」あと字が続いておるわけでありますが、私の承知する限り、税法の中に通達ということばが使われたのはこの法律が初めてではないかと考えておるのでありますが、いかがでしょう。
○吉國(二)政府委員 税法におきましては、通達ということばを使う場がないために使っておりません。
○平林委員 そこで、この法律で初めて通達ということばが法律の中に登場してきたという意味では、私は、この条項を非常に注目をしておるわけであります。通達というのは、御承知のように、行政上におけるところの便宜の方法として行なわれるものでありまして、なぜここに通達ということばが生まれてきたかということが、私は、この国税通則法の一部改正法律案の中で一つの問題点になると考えるのであります。特に、初めて通達という用語が使われたことに対し、何かあなたのほうには意図がございますか。
○吉國(二)政府委員 ここに通達というものを引きましたのは、国税庁が行政をいたします場合に、その指導のために訓令として出す手続が通達でございます。で、この第一線の税務行政というものは、対外的には国税庁の意思統一という点でその通達に、すなわち訓令に縛られるということは当然でございます。しかし、その通達の具体的適用にあたりまして、具体的事案が適当でないという場合にどうするかという点は、従来は長官に一応上申をして、いろいろ通達の解釈についての具体的指示を得ておったということでございますけれども、今回裁決にあたりまして、審判所長が独自の判断で裁決をする場合には、むしろその通達というものに縛られない観点からものを行なう。しかし、それが縛られないということについては、国税庁の長官に対して具体的な申し出をするという構成をとることが、国民の権利救済という意味で非常に重要であるというところから、国税庁長官の訓令にかかわらず、解釈を異にした裁決ができる旨を明らかにしたという趣旨でございます。 なお、通達ということばは、国家行政組織法の中で訓令の一形態として認めているわけでございます。第十四条「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。」「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」という規定に基づきまして、通達というものを法律用語として扱うことは前例があるということで、これを引いたわけでございます。この通達ということばを引きませんと、いま世間で一番問題になっております裁決に対する信頼事項ということが明らかにできませんので、あえて行政組織法の通達というのを引いて事態を明らかにするためにここに規定したわけでございます。
○平林委員 私の心配しておる点は、税法上初めて通達ということばが用いられる。通達行政に対して今日国民は相当の批判がある。少なくともそれをほめる人はあまりいません。何といっても、これはやむを得ない事情かもしれませんが、通達行政に対しては鋭い批判がある。それが法律用語として九十九条に記載された真のねらいは、ここで通達というものが大きくクローズアップされる政治的なねらいが隠されていないかという点が心配なんです。このことを利用して通達に権威を持たせるねらいが国税庁自身にあったのかなかったのか、いまお話しになったようなことなのかどうなのか。これが私は一番問題にしている点です。
○吉國(二)政府委員 全く私がいま申し上げたとおりでございまして、国税庁の長官の解釈というものが第一線に示達されるかっこうが通達になっておりますので、具体的に国税庁長官の解釈と異なるということを言う場合に、通達という形で示されているものに対して、それと異なる裁決をする必要が出てまいります。これを明らかにしておきませんと、いま一番問題になっておる問題に対するお答えができないということからやっておるわけでございます。通達行政が非難されておりますことは私もよくわかっております。また、通達行政が非難されるゆえんというのは、その通達がもし法令の範囲を逸脱したようなものを規定しておるとすれば、これは非難を受けるべきである。あるいは中には法令以上のことを書いておるのではないかということから、通達行政が非難されておる面があるかと思いますが、通達そのものが成規の権限で正しい法令解釈のもとで発せられておる限りは、これは国税庁という組織体のいわば血管のようなものでございますので、この規定を欠きますと、先ほど来申し上げました私の趣旨が没却されるおそれがあるので、あえて通達ということばをここに使ったわけでございまして、決して通達による行政を強化する、あるいは通達がこれによって権威を持つとかいうことはさらさら考えておりません。これははっきり申し上げておきます。
○平林委員 将来の行政において、この法律がきめられたことによって通達は法律的に権威を持ったという解釈で運用することが、混乱を起こさないように、またそうした誤った指導がないように、私は、厳重に注意を申し上げておきたいと思うのですが、国税庁長官いかがですか。
○亀徳政府委員 われわれは決してここにこういう規定が入ったために、いままでの通達を強化しようとかいうような意図は全く持っておりません。むしろすなおな気分で、われわれの通達に問題があるということで不服審判所長が違った解釈をすることがまたあり得るのじゃないか、またそのときには、そのあれを尊重するというさらっとした気持ちで当然臨むべきであります。 ここで先ほど主税局長が申しましたように、通達はあくまでも税法の範囲を守って、それでは尽くし得ないところを尽くすというのにすぎないわけでございます。あくまでも税法を正しく執行していくことが基本でございますし、また、ここでいろいろな異なった解釈、場合によれば基本の通達をそのために変えたほうがいいというような場合には、あえて変えるべきであろうと思います。また、一般的な通達で、個々の解釈面で具体的なケースを通じてその意味を明らかにする必要がある場合には、こういう場合にはこういうふうな解釈で適用するということを別途流して、同じようなケースに違った取り扱いがないように、そういう点のまた注意もいたすということで、われわれはここに書かれたとおりにすなおに対処していきたい、かように考えております。先生御心配のような点はむしろ全くございませんので、その点十分御認識いただきたいと思っております。
○平林委員 それでは、たとえばここの「国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、」ということは、異なった解釈があり得るということを示すわけで、あるいはそれを想定している条項であります。この場合に、国税庁長官も通達はすべて正しいと思って、法令の解釈の正しいものをその範囲内において載せると言っておるが、間違った判断に基づく通達もあり得るということをこの法律が示すものと解釈してよろしいですか。
○亀徳政府委員 われわれの現在の段階の通達は、一応税法の範囲内で正しいものという考え方でやっております。したがって、いまの中に正しくないものがあるんだというふうには積極的には率直に申して考えておりません。ただ、いろいろ個々具体的なケースの適用の場合に、一般的に、そういった特殊の場合を想定しないでいろいろ通達を書いているという場合が、やはり神ならぬ身であろうかと思います。そうなると、やはりわれわれの通達を出したときの考え方にそういう点が抜けていたなということは十分あろうかと思います。そういうときはむしろ補完的に、こういう場合にはこうするということを明らかにしたほうがいいと思います。 いずれにしろ、われわれのやっていることにもちろん欠点がないわけではございません。その点はすなおに今後とも——実はこういう制度がございませんでも、いろいろな個々具体的なケースで、これは気の毒で一般の通達ではおかしいなということで、個々具体的にはこういうふうに扱ったらどうだということを、現在の段階でもいろいろやっております。それをむしろこういう仕組みを通じてでもわれわれが反省するもう一つのチャンスが第三者の目から見てもあり得るという、そこに今度の法律の一つの重要なポイントがあろうか、かように考えております。
○平林委員 国税庁長官は実際の行政を行なうわけですから主観的にお考えになるが、法律的な解釈としては、あるいは間違った通達が出されることがあり得るということを考えてここには書かれてある、こう理解してよろしいですか。
○吉國(二)政府委員 理論的に申しますと、通達の範囲が法令を絶対に逸脱しないということはあり得ないかもしれません。ただ、ここでいっておりますのは、ちょうど刑法で申しますといわゆる構成要件該当性、つまり刑法の規定に該当すれば直ちに罰則が適用になるかというとそうではなくて、それに対してはさらに道義的責任があるかどうか、あるいは違法性阻却の事由がないかどうかということが具体的ケースには必ずあるわけであります。それと同じように、通達は一般的に書いてありますから、通達の規定に該当しているけれども、ほかに別の理由があってこの通達は適用できないというケースがしばしば出てまいります。そういう場合に機械的に通達を適用するところに非難が多いと思います。そういう意味では、今度の不服審判所は具体的ケースにあたって、その通達が妥当性があるかどうかというところまでさらに判定をして、通達にかかわらず独自の妥当な解釈をもって個別ケースを解決するというところに、私は非常に大きな意味があると思います。 そういう意味で、誤った通達が出た場合には、もちろんこれはその通達自体を長官が訂正されるということになろうかと思いますが、大部分の場合には通達の抽象性、そこから出てくる具体的案件への妥当性の欠除という問題を的確に、機械的に適用せずに具体的ケースに応じた解決がはかれるというところに、私は非常に大きな意味がある、かように考えておるわけでございます。
○平林委員 私は簡潔にお尋ねをしておりますから、答弁もなるべく的を射てもらいたいのですが、問題は、第九十九条の「国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈」が絶対唯一のものであるという基本に立ってこの法律を運用してはならないということが言いたいのであります。場合によっては、通達の法令の解釈が行き過ぎている場合もあり得るのだ、法律はそういうことをおもんぱかって、二つの解釈があった場合、公平に取り扱っていく、どれが法令の解釈に正しいかという判断を次の百条の国税審査会において検討させる、こういうように理解すべきだと思うのですが、どうですかということです。
○吉國(二)政府委員 そのような場合を含むことは当然でございます。
○平林委員 私は、この法案の審議の際に、絶えず国税庁長官と国税不服審判所とが、ある意味では法令の解釈についてはお互いに対等の立場において議論をしてまいりませんと、国民の税に対する不服が公平にさばかれていかない。そこで、できるだけ国税不服審判所の地位といいますか権限というものを強化することが国民の権利擁護につながる、こういう解釈をとっておるのでありますから、実際運用においてもその方法がとられねばならない。そこでただいまのような質疑応答をやったわけであります。 同時に、法律用語として、通達に示されている法令の解釈とまた異なる解釈を、その法令の解釈が違うのだという判断を国税不服審判所長がしたときに、「あらかじめその意見を国税庁長官に申し出なければならない。」ということばがどうも私はひっかかるわけであります。なぜここのことばを「通知をしなければならない。」とか、あるいは「連絡しなければならない。」とかということばにできなかったのか。それは著しく不合理なものになるのか。国税庁長官と今回設けられる国税不服審判所の地位の対等性といいますか、運用を国民の側に立って行なうという気持ちをあらわす意味でも、「協議しなければならない。」とか、あるいは「連絡しなければならない。」とか「通知をしなければならない。」とかという表現によらずして、「申し出なければならない。」という形にしなければ全く運用ができないものかどうか。この点、私は問題があると思うのでありますけれども、いまここで直ちに修正というわけにはいかぬでしょう。問題は今後の運用にかかる。これは大蔵大臣、ここは文字は「申し出」だけれども、この点は「通知をしなければならない。」とか、あるいは「連絡して協議する」とか「調整をする」とかというように、なるべく不服審判所の立場、権威、地位を上げるように運営すべきだ、こういう考えですが、お気持ちはいかがでしょう。
○福田国務大臣 これはもともと平林さんのおっしゃるような趣旨で、権利擁護ということですから、権利擁護という趣旨が運用上もなるべく生かされるような方向で善処してまいりたい、かように思います。
○平林委員 もう一つの点でお尋ねしておきますが、不服審判所であります。 これは今日までしばしば議論をされてまいりましたが、この不服審判所の所長はじめ首席審判官、次席審判官、いろいろな構成がこれから行なわれるわけでございますけれども、この場合に実際いままでの答弁を総括いたしますと、たとえば弁護士とか公認会計士、または税理士の経験を有する者、そういう範囲内で有能な人材を選びたい、極力公正な審判官を採用するということが述べられてまいりました。ただ、さらに政府の答弁を総括しますと、どれだけ外部から採るか、半数といってもそれは期待できない、したがって内部から移ることもあり得るという答弁が重ねられておるわけであります。 私が心配をいたしますのは、しばしば指摘されてまいりましたように、内部から選ぶ場合、結局古手の税務署長が順番でそれに充てられるようなことになりはしないか。また弁護士、公認会計士といえども、もし希望者がなかった場合はどうするのか。希望者があった場合はどういう手順で選ぶのか。副審判官から登用されるということはあるかどうか、こういうようなことをもう少し発足にあたってはやはり考えておかなければならぬ。その点についてどういうお考えを持っておるか、ひとつ時間もありませんから簡単に要を得てお答えいただきたい。
○亀徳政府委員 基本的には、先ほど先生おっしゃいましたような有能な方々を極力外部からも選考していきたいと考えております。ただ、いろいろ希望者がありましたときには、これは競争試験というわけにはまいらない。やはり選考試験と申しますか、これは人事院で選考という手続がきまっておりますから、やはり選考試験ということに相なろうかと思っております。それから内部から、副審判官から審判官に上がる場合も当然あろうかと思います。それで、やはり従来の税の経験者を税務から移すという場合も事実上いろいろ出るかと思いますが、基本的には、前々からの答弁で申し上げましたように、特に審判官につきましては、単に古手を移すということじゃなしに、真にそういうことに向いた人を内部から移す場合にも選びたい。 それから、審判官に移す場合は相当高い地位に移りますから、税務署長に帰ったら逆に格が下がるということになりますから、おのずからそこでは一度なったらやめるまでそこにいるという感じが原則としては強くなろう。ただ事実問題を調査する審査官とかそれから副審判官の下のところというのは、ある程度人事交流というものをやることがかえって人事の生き生きとした、人柄を活用できるということになろうと思います。しかし審判官、こういうところは原則としてはやはり交流はないようにしたい。それから特に上のほうのところについては、やはり特に何らか外部の有能な人を持ってきたい。いずれまた人選につきましては、大臣の御指示も得ながら慎重に考慮していきたい、かように考えております。
○田中委員長 平林君、もう時間が参りました。
○平林委員 選考試験というか選考する場合に、おまえは弁護士であるからおまえはどうであるとか、おまえは公認会計士だからおまえはどうだというやり方と、それからたとえば税理士会、弁護士会あるいは公認会計士会から推薦を受けるやり方とがありますが、どちらを選びますか。
○亀徳政府委員 いまここで端的に申し上げられませんが、やはり希望する方もいらっしゃいましょうし、場合によればいまの推薦という形を利用するということも考えてもいいのではないか。いずれにしろ基本は、やはりそれに向いた方を適正な方法で選んでいきたい。かりに希望者がありましても、この人はどうだということを弁護士会なり税理士会の人に意見を聞くということがまたあり得るのではなかろうか。いずれにしろ全面的に、そういうどこから見ても間違いのない人を選びたい、かように考えております。
○平林委員 大臣、いまのお答えでお気づきだと思うのでありますが、私はそういうことがあり得るとかあるいはそういうことを考えているとかいうことを一歩進めて、この選考にあたってはできるだけ民主的な方法を選ぶべきである、そういうお考えで運用すべきであると希望しておるわけでありますけれども、大臣のお答えをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 この審判所が納税者の権利救済の実をあげることになるように、そういう趣旨において最善の方法を選びます。
○平林委員 私は、これは当初発足したときはあまり議論はないかもしれませんが、五年、十年とたっていった場合に、今日この委員会で非常に問題になったような運用が実際行なわれるということをおそれるわけであります。そこで、絶えず国民の批判、また議会における審議におきましてそうしたことを是正していかなければならぬ。そしてこの審判所の人事などにつきましても、いまわれわれが指摘しておるような傾向におちいるということも考慮いたしまして、それがないようなためにはたとえば国家任用試験というようなことも検討すべきであるということをこの際申し上げておきたいと思うのであります。 なお私は、実はまだ国税通則法に関してはたくさんの質問があるのであります。審議は私は全部尽くされたということにはいかない。しかし、お約束がありますから、またこれは適当な時期に引き続き行なうということにいたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
○田中委員長 田中昭二君。
○田中(昭)委員 補充質問の意味で質問の時間を与えてもらいましたが、時間が少ないようでございますから、いままで問題になっておらなかった小さい点でございますが、お尋ねしてみたいと思います。 今度の改正によりますと、いままでの協議団制度よりも悪いといいますか、いわゆる不服申し立てについて慎重に取り計ろうという点が少しおろそかになっておるのではないかと思う点でございます。いわゆる協議団の制度のもとにおきましても、審理を決定する場合には、協議官三人の協議によって行なうということになっておったと思いますが、その点の改正が今度は審判官の議を経てというふうに改正されておりますが、この点はどのような趣旨でそのように改正になったのか、お答え願いたい。
○吉國(二)政府委員 第九十四条に「国税不服審判所長は、答弁書が提出されたときは、審査請求に係る事件の調査及び審理を行なわせるため、担当審判官一名及び参加審判官二名以上を指定する。」こうありまして、さらに九十八条の三項におきまして、「国税不服審判所長は、前二項の裁決をする場合には、担当審判官及び参加審判官の議決に基づいてこれをしなければならない。」ということにいたしておりますから、従来政令、訓令等で協議官三名ということをいっておりましたが、今回は法律で三名以上、かつその議決に基づかなければならないという規定をいたしましたので、従来よりもより法律的にそれが担保されていると思います。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 そういう意味では、私は協議団時代よりもより法律的な担保が強くなっておるということを申し上げたいと思います。
○田中(昭)委員 いまの説明によりますと、三人以上の議決を経るということと、実際の仕事にあたって協議官が三人で合議してきめておるということの区分はありませんでしょうか。
○吉國(二)政府委員 従来協議団におきましても、協議団の議に基づいて裁決しなければならないというのが法律の要求でございました。そのあと合議あるいは協議の手続はいずれも政令あるいは訓令によって定めていたわけでございますが、今回むしろ議決に基づくということを明らかにいたしました。したがいまして、当然合議というものはそこに含まれておるわけでございます。さらに、その手続そのものについては、運営についてそれぞれ政省令等において明確に規定をしてまいるつもりでございます。
○田中(昭)委員 合議というものが含まれておるとするならば、私はそれで目的を達成するものだ、こう思います。 大臣にお尋ねしたいと思いますが、いわゆる納税者の不服について、その不服を解決するためには、私はその不服の原因をどのように把握するかということが一番大事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 もちろんそうだと思います。
○田中(昭)委員 そうしますと、いままでのこの改正案に対する質疑、答弁を見ておりますと、 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 その間違った原因が、現場でどのようなことが間違いを起こしたかということについての審理はあまりなされていない。また、このことについていろいろ要求しましても、わからないといいますか、たとえば現場の第一線の担当官についての質問もしてみたいと思ったのですが、そのことが達せられないというようなことは大臣としてどのようにお考えになるのでしょうか。
○福田国務大臣 今度の審判所はもちろんでありますが、その他訴願等に至るまで権利救済の制度そのものが納税者の不服の点をまず明らかにしなければならぬ、また、納税者のほうでその点を掲げてくる、こういうのが第一のスタートでございますから、これが中心になって議論が展開される。そうして真実は一体どこにあるのだ、これが発見されて最終の結論を得る、こういうことになる。これはどこが間違っているというと語弊があるかもしれないと思いますが、間違っているというよりは、どこに納税者の不服とするところがあるのかというところから問題はすべてスタートする、かように考えておるわけであります。
○田中(昭)委員 その納税者の不服がどちらに間違いがあるのかということが問題でないでしょうか。それが税法また税法の解釈、いわゆる通達等に全部明らかであるならば、当然これは不服申し立ての段階まで経ずして、課税処分庁との話し合いで解決していかなきゃならないという不服申し立てが全体の約半分近くある。この原因追及については、処分庁のほうは間違いでしたというだけで済ましていき、納税者のほうではそれに対してたいへん苦労をするという点ではなかろうかと思うのです。その点をよく認識いただいておると思いますが、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○亀徳政府委員 先ほど大臣から答えられましたように、具体的な納税者の不服を通じて真実がどこにあるかということを今後とも十分努力して解決していきたい。問題は、先生御指摘のように、やはり不服申し立ての中に納税者のほうの不備もございましょう、またこちらのほうの不備もございましょう。それで、率直に申していままでわれわれのほうで若干抜けておると思いますのは、不服申し立ての件数がどうだという件数の把握という問題ばかりで、その中身の具体的個別の中に一つの問題点を見出していくという努力が若干欠けていた点ではなかったろうか。ですから、かりに、一つ一つの不服の事案の中に案外に一般的なケースとしてわれわれが反省しなければならぬ事態が含んでいるのではないか。 したがって、今後私、特に注意いたしたいと思いますのは、計数把握という点もありますが、所長なり課長なり、やはり下の部下を監督する管理者の立場にある人が、単に計数管理の問題だけではなしに、やはり個々一件ごとの具体的な異議申し立ての中身を検討することによって、逆に税務行政のいろいろな問題点を反省していくという注意なり心がけが一そう必要ではないかという点を今後とも注意していきたい、かように考えております。
○田中(昭)委員 いま執行のほうの長官からそのようなお話がありましたから、大臣もおわかりいただいたと思いますが、その反省する点につきまして、いわゆる執行機関のほうが反省しなければならない点がございますね。その点に対して今後とも大蔵大臣の、それに対しては極力執行機関が反省できるように私は監督もしていただきたいし、激励もしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 そのとおりに心得てやってまいります。
○田中(昭)委員 では、約束の時間が来たようでございますから、これで終わります。
○田中委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○田中委員長 この際、国税通則法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主社会党を代表し、渡辺美智雄君外五名より修正案が提出されております。
○田中委員長 提出者の趣旨説明を求めます。渡辺美智雄君。
○渡辺(美)委員 ただいま議題となりました修正案について、提案の趣旨及びその内容を簡単に御説明申し上げます。 修正案の案文は、お手元にお配りいたしてありますので、朗読は省略させていただきます。 修正の内容は、次の五項目にわたっております。すなわち、第一に、原案では、不服審判所の組織及び運営に関する事項については、これを大蔵省令で定めることといたしておりますが、現行の協議団については、これを政令で定めており、またこれらの事項は、国民の権利義務に重大な関係を持つものであること等にかんがみまして、今回の審判所についても、これを政令で定めることに改めることといたしております。 第二に、現行法のもとにおいて、異議申し立ての補正については、行政不服審査法の規定がそのまま適用されておりますが、今回の国税通則法の改正によって、この規定は適用されないこととなります。しかして政府は、改正後の補正については、運用面において事実上の措置を講ずると申しておりますが、この法律が成立した暁は、制度の上においては何らその保証がなく、異議申し立てが不適法であれば、その程度いかんにかかわらず直ちに却下されるおそれが生じ、現在よりも納税者の権利救済の実が後退する危険性があるのであります。 したがいまして、この際、異議申し立ての補正に関する規定を新たに設けることとし、「異議申立てが国税に関する法律の規定に従っていないもので補正することができるものであると認めるときは、その補正を求めなければならない。」こととするとともに、この場合において、「不備が軽微なものであるときは、職権で補正することができる。」こととし、さらに、「異議申立人は、補正を求められた場合には、税務署その他の行政機関に出頭して補正すべき事項について陳述し、その陳述の内容を当該行政機関の職員が録取した書面に押印することによっても、これをすることができる。」ことといたしております。つまり口頭による補正の道を開いたのであります。 また、審査請求の補正については、原案では、不服審判所長が「補正を求めるものとする。」ことといたしておりますが、異議申し立ての場合と同様、その「補正を求めなければならない。」こととするとともに、職権による補正及び口頭による補正に関する規定を新たに設けることといたしております。 第三に、国税庁長官が、不服審判所長の意見の申し出に応じて、これに指示を与える場合には、原案では、国税審査会の「議に付し、その意見を尊重して」これを行なわなければならないことといたしておりますが、国税審査会の国税庁長官に対する拘束力をさらに強めて、裁決の公正を期する必要があると思われますので、これを国税審査会の「議決に基づいて」しなければならないことに改めることといたしております。 第四に、国税審査会の委員は、原案では、「国税庁長官が大蔵大臣の承認を受けて、任命する。」ことといたしておりますが、その権威を高め、第三者的性格を一そう強くするため、これを「大蔵大臣が任命する。」ことに改めることといたしております。 第五番目に、この法律の施行期日でありますが、原案では、この法律のうち、国税不服審判所関係を除いた部分については、本年四月一日から施行することといたしておりますが、現在すでにその期日を経過いたしておりますので、これを「公布の日から施行する。」ことに改めることといたしております。 以上、本修正案の趣旨及びその内容を御説明申し上げました。 何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○田中委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。 本修正案につきましては、別に質疑の申し出もありません。 —————————————
○田中委員長 これより国税通則法の一部を改正する法律案並びに本案に対する修正案を一括して討論に付します。 通告がありますので、順次これを許します。木野晴夫君。
○木野委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております国税通則法の一部を改正する法律案につきまして、原案及び修正案の双方に対して賛成の意を表するものであります。 この法律案は、現行の納税者の権利救済制度について、根本的な拡大充実をはかろうとするものであります。 現在、納税者の不服を審理する機関として、協議団があることは御承知のとおりでありますが、この協議団は国税局長のもとにあり、みずから裁決権を持っておりません。このために、ともすれば不服の審理の過程において同じく国税局長のもとにある主管部の影響を受けやすいという批判があり、また、個別事案の救済にあたって、国税庁長官の発した通達と異なる裁決をすることが困難であるのではなかろうかという問題もありました。原案は、このような協議団に対する納税者の不服を審理、裁決する機構を国税局長から切り離して、国税庁長官の直属機関として、国税不服審判所を設置しようとするものであります。これによりまして、国税不服審判所は、課税を行なう主管部と完全に切り離されることとなりますし、また、個別事案の裁決にあたりましては、通達には必ずしも拘束されないでこれを行なうこととなります。これは権利救済の面から見まして、大きな前進を意味するものと考えます。 なお、ここに私が特に強調いたしたい点は、国税不服審判所長が通達と異なる裁決を行なうことができるということでありまして、これは非常に大きな改正でありますし、また、税務の執行面に与える影響は大きいものがあるのではないかと思うのであります。納税者の日々接している税務署の第一線では、通達を金科玉条として考える傾向があります。また納税者も、あえてこれと争いがたい気持ちになっているのではないかと思うのであります。ところが、原案におきましては、個別事案によっては通達を適用しなくてもよい場合があり得る旨を法律ではっきりと示しております。これは、納税者が自己のケースにつきまして、法律をどのように解釈し、どのように適用すべきかをみずから考える習慣を育成することになり、納税者の権利意識を高める、こういった意味からも画期的だと思うのであります。 このほか、原案におきましては、迅速かつ公正な救済をはかるために、原処分庁からの答弁書の提出の義務づけ等、現在の行政不服審査法の原則を一歩進めております。また、国税審判官等の調査に協力しない場合の罰則は、審査請求人本人には適用しないというふうになっております。この点権利救済の面から一段と配意のあとが認められているのであります。 さらにまた、原案は以上に述べましたような不服申し立てに関する改正のほか、納税者側から多年の要望でありました事項、たとえば納税者が誤って過大に税額を申告した場合の更正の請求期間を、現在の一カ月または二カ月から一年に延長する措置、ないしはまた、納税者から十分な担保の提供があった場合等の延滞税の軽減をはかる等、細部についても広く納税者のための改善が織り込まれております。 この法律案の内容が、納税者の権利救済という観点から見まして、その立場によりまして、理想に対してまだ不十分であるという意見もあるかと思いますが、率直に申しまして、大きな前進であると思うのであります。私は、制度というものは、やはり現実的に即して着実的な努力を積み重ねていく、このことによって完成に近づいていく、こう思うのであります。その意味におきまして、この法律案は、そういった方向を目ざすものであり、また、そういった方向に大きな一歩を踏み出したものである、このように考えるのでございます。現在のわが国の行政、司法、こういった一般的な制度を前提とする限りにおきまして、私は、きわめて「適切で、前進したものであると」信じておるのでございます。 なお、渡辺委員の提案にかかりました修正案の内容は、審判所の権威を高め、独立性をはかる、そういったことによって、さらに納税者の権利の保護の観点から万全を期そうとするものでありまして、私は、右の原案とともに全面的に賛成するものであります。 以上をもちまして、私の原案並びに修正案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
○田中委員長 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国税通則法の一部を改正する法律案について、原案反対の討論を行なわんとするものであります。 そもそも今日、民主国家における税法の運用にあたって最も重要なことは、租税正義の実現ということであり、租税法律主義の原則も、租税公平の原則というも、いずれもこの国民の抱く通念をよりよく実現する手段、方法であるということが言えましょう。納税は、国民にとって憲法の定める義務であり、租税は、近代国家における財政をまかなう根幹的財源であります。しかし、他面において、租税は、国民から公権力により、強制的にその富を奪うという側面、国民の財産権の収奪の側面を持っております。もちろん、それは富の再配分機能ともつながるわけであります。 したがって、徴税行政に当たる者は、税法の定めるところに従って、国民の担税力に応じつつ、適正公平を旨とし、納税国民の理解と納得の上に、その積極的な協力を得ることによって、納税義務の実現をはかるという租税民主主義的立場を拳々服腐すべきであります。一方、国または地方公共団体は、税の使途について、納税国民の意思を十分に反映しなければならないのであります。 しかしながら、現実には、戦後二十数年を経過した今日において、経済の急テンポの発展、社会生活の複雑多様化の進展の中で、税制はいよいよ複雑難解となり、経済の発展に比例する生活向上を願う国民にとって、生活水準は依然として低く、その停滞は、豊富の中の貧困を強烈に意識させ、国民の重税感は一そう耐えがたいものとなり、税金の使い道が、国民の望む社会保障の充実や、公害対策、生活環境の整備充実、生活向上などの面にきわめて薄く、国民の願わざるような軍備増強、大資本の利益を重点に使用される傾向が強まりつつあります。 かかる情勢を反映して、課税庁は、国民の願わざる方向において、増大しつつある財政需要をまかなう財源として徴税の強化に向かい、租税公平の原則に背反する数多くの租税特別措置の存在を思い、みずからの低い水準の生活に引き比べて、税金ははなはだ重く、かつ不公平であるという切実な感じを持つに至っています。 かくして、課税当局と納税者側との関係は、一種の権利闘争の場となりつつあるというも必ずしも言い過ぎではないのであります。権力に弱いといわれるわが国において、逐年権利救済を求める事案が増加しつつあることは、このことを物語っております。しかも、わが国の税制は、今日なお権力徴税主義の色彩が強く、納税国民の権利擁護、権利救済の面は弱いのであります。 かかる状況の中から、国民の税に対する不平不満は年ごとに増大し、内容的にも切実なものがきわめて多いのであります。したがって、かかる国民的不平不満に対処する権利救済制度を拡充強化する必要性は、今日まさに国民的課題となっているのであります。 現行の租税にかかる権利救済制度の致命的欠陥は、何といっても、異議、不服申し立てをした場合、課税処分庁及び同一行政系列にある上級庁が、不服申し立てに対する決定、審査に対する裁決を行なうという、いわゆる同じ穴のムジナ論に象徴されているように、その裁決の公正は確保されるに由なき点にあります。だから、真に納税者の権利救済制度を確立するためには、勇断をもって、租税行政系列から完全に独立した準司法的第三者機関をもって権利救済の機関としなければならないのであります。 われわれは、すでにこの立場において、国税審判法案を本委員会に提出して審議を願い、画期的な民主国家の理念に適合した納税者の権利救済制度を確立するものとして、総理府に中央国税審判庁を置き、各国税局に照応する地域ごとに十一の地方国税審判庁を配置し、これによって準司法的審判手続を通じて、公正な審判、裁決を行ない、もって権利救済の万全を期さんといたしておるのであります。 われわれは、わが党案こそ、真実に、今日における納税国民の権利と利益を公正に担保し得る最良のものと確信するのでありまして、この見地から、国税通則法の一部改正案を十分検討した結果、一部に現行制度より改善され、前進した部分のあることを認めつつも、権利救済制度を中心とする主要点について、その欠陥と不徹底、不十分なものであることを指摘しなければなりません。とうてい賛成できないというのもこの点にあるのであります。 以下、これらの点について指摘をしたいと思います。 第一に、租税不服審判所を国税庁の付属機関としたことは、同じ穴のムジナ論から抜け出ておりません。権利救済機関である以上、それにふさわしい組織構成と手続が整えられ、課税庁から完全に独立した第三者的準司法機関でなければなりません。長官通達と異なる解釈による裁決を行ない得るといたしましても、その際は長官の指示を仰ぐというに至っては、一歩前進という評価すら与えられません。 第二に、審査の手続が依然として職権主義的であり、書面審理主義に片寄り、権利救済を実現するための争訟に適合する民主主義的要件としての口頭主義、当事者主義をほとんど採用していないことは大きな欠陥であります。 第三に、第八十七条第三項の規定は、不服審判所が納税者の権利救済制度の確立にあるとするならば、かかる厳格な審査請求の要件を求めるべきではなく、同条第一項における審査請求記載事項を掲げることにとどめる程度で権利救済の実をあげるためには十分であります。あまりに厳格な要件の充足を求めることは、権利救済の趣旨を没却したものというべきであります。 第四に、通則法一部改正においては、不服審判官に対する除斥、忌避の規定を欠いていることは、公正な審査、裁決が期待されないと考える請求人の立場を軽視し、行政優位の思想からと思われるが、権利救済制度としてはまことに不適当であろうと思うわけであります。 第五に、不服審判所に審査請求した場合における国税徴収の執行不停止を貫徹しているのでありますが、権利救済を求める者が差し押えを行なわれた場合、たとえ換価処分には及ばずとするも、差し押えによる商取引上の回復しがたい信用失墜などを考慮するならば、裁決決定後納税するまでの間、適正な加算税を徴することもできるのであるから、明白に理由なき差し押えのがれのための審査請求と見えるとき、またはいわゆる繰り上げ請求該当事実があるときを除いて、審査請求人の求めにより差し押えをしないものとして何ら支障がないものであり、権利救済のためにはこの点を改善しない限りきわめて不徹底のそしりを免れないのであります。 第六に、審理を行なう際、担当審判官一名と参加審判官二名以上を指名することとしているが、審理を合議制で行なうことを規定していないことは、行政の能率化、処理の迅速化に急なるあまり、権利救済を求める請求人を納得せしめる慎重審理と権威ある裁決の要請を軽んじたものであり、当然合議制の原則を法定すべきであったと思うのであります。 第七に、不服審判所が行なう質問、検査などに対する罰則は、質問検査権の罰則が制定されるに至るまでの長い歴史に徴しましても重きに失し、わが党案のごとき三万円あるいは一万円というような行政罰、秩序罰たる過料程度で十分であると考えるのであります。 なお、この質問、検査については、一昨日でございますか、東京地裁において、税務署の検査を断わった不答弁罪に無罪という新聞記事も出ておりますように、何でもかんでも行って質問、検査を始める、そしてそれに応じなかったならば、すぐに罰則を適用するというようなかまえ方というものは違法を免れない、したがってそれに答えなくても、いわゆる罪にはならぬのだという画期的な判決も出ておるわけであります。こういうことも考慮をいたしまして、質問、検査の実施にあたっては、国民の税務署をこわがる、税務署に対する不信というようなことが、この取り扱いのしかたいかんにかかっておるというような重要な面も十分勘案して、これらについての改善、または第一線の職員等に対する的確な誤らざる指導をすべきであると思うのであります。 第八に、一部改正においては、審査請求をしたことを理由に、課税庁は請求人に対し差別取り扱いをしてはならない旨の規定を欠いております。これは現実に存在する実質的差別扱いが今日までの不服申し立てについても見られることにかんがみ、規定の必要があります。この規定を欠くことは、権力者に誤りなしという、現実に目をふさぐ独善であろうと思うのであります。 なお、訴願前置主義などの問題につきましても、これが最終的に出訴権を否定したものではないという立場において憲法違反にはならないという立場でございますが、それはそうでありましょうとも、さらに納税国民の選択というものにもつとウエートを置いて、租税行政がこれに適合し得るような、たとえば事前照会回答制度、あるいは事前救済制度というようなものの活用によれば、今日、訴願前置しなければならないという当局の答弁の中にもあらわれているような問題点は解消するというようなことにもなるわけでありまして、これらについても十分検討を必要とすると思うのであります。 以上の諸点を指摘をいたしまして、このゆえにわれわれは、政府原案について反対せざるを得ないのであります。しかしながら、わが党の国税審判法案に刺激を受けて、本改正案を提案されましたことは、わずかながらも前進を指向されたものということの評価を惜しむものではありません。さらに、幾つかの修正、先ほど提案された修正案にも応ぜられた、附帯決議も認められた、これについては賛意を表するものであります。われわれは冒頭に述べたごとく、今日考えられ得る最上なる法案を提出した立場において、一部改正の原案に対して賛成の立場をとるわけにはまいりません。 願わくは、課税当局が、真に今日における税務行政の民主的な正しいあり方を真剣に追求され、租税民主主義と納税者の権利救済に万全を期する心がまえを持って事に当たられるよう強く求めるとともに、一日も早くわが党提案の線まで権利救済制度を前進せしむべきことを要求をいたしまして、反対討論を終わるものでございます。(拍手)
○田中委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、国税通則法の一部改正案並びに五項目にわたる修正案について、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手) もちろん、後に出てまいります六項目の附帯決議を含めて、一体としての権利救済制度の前進に賛成せんとするものであります。 従来の協議団方式による矛盾と不徹底を克服いたしまして、税務上の争訟に関する裁決の公正を期するため、本案におきましては幾多のくふうが行なわれておるわけであります。したがいまして、改正案自身は、それ自体大きな前進であると私どもは評価をいたしております。加うるに、五項目に及ぶ修正案によりまして、さらに制度の前進、政策効果の拡大に大きな足跡を残すことができたものと思いまして、賛成せんとするものであります。 ただ、この際、画竜点睛を欠くうらみがある点を、二、三申し上げておきたいと思います。 その第一点は、内閣にこれは置くべきであるというわれわれの主張からでありますが、この場合には、同じ政府機関内で政府機関相互が争うことになるので、それは納得できないというような当局の御意見でございますけれども、私どもは、行政事件訴訟法の第六条にいう「機関訴訟」といった問題、あるいは納税者が中心になり、相手になって争うということを考え、タックス・コートの場合の事例等を考えまして、必ずしもそれが不可能ではないので、制度の趣旨を貫くためにはそういうことを考えるべきではなかったかと思うのであります。 第二の残念に思います点は、不服審判所長の大臣任命という問題であります。これは、国民心理に与える大きな影響を考え、また、五百人に及ぶ審判所の職員の士気高揚といったような問題を考え、また、問題の重要性を考えます場合に、当然大臣の任命にしてしかるべきではなかったかと思うのであります。これに対しましても、行政組織の斉合性を乱るものではないかとか、あるいは前例がないのではないかというような御批判が与えられたわけでありますけれども、私の見るところ、国家公務員法あるいは行政組織法にはそうしたあり方を禁止する旨の規定は全然ありません。のみならず、制度の根本の趣旨にかんがみた場合、そういう審判所長を大臣が任命したからといって、行政組織の統一性、斉合性を乱るものであるというふうに考えることは、少しおかしいのでありまして、また、前例もこれに似たような前例がないわけではないということもわかったのであります。しかしながら、最終的には自民党さん、政府のほうにもいろいろ御理解をいただいて、先ほど来お話のありますように、審査会の委員を大臣の任命にするとか、あるいは審査会の決議に基づいて国税庁長官は指示をしなければならないことに改めるとか、あるいは後に出る附帯決議の第三項に、そうしたわれわれの考え方に理解を示された点もありますので、そこに誠意の片りんを認めまして、遺憾ながら賛成することにいたしました。 さらに第三の点は、地方税の問題が一つあるわけでございますが、御承知のように、今日国民一人当たり九万円の税金を負担する、そのうち六万円が中央の税であるけれども、地方税が三万円あるわけでございまして、その地方自治体による違法、不当な処分に対する不服の審判、その救済という問題につきましても、われわれは、本来的には独立の機関をつくって、中央地方を通ずる救済を考えなければならぬということを考えておるわけでございますが、この点についても、そうした総合的な展望のない点、配慮のない点は非常に遺憾であります。 以上のような点がございますけれども、全体としてこの制度が非常に前進でございますので、われわれはこれに賛成することにいたしました。 なお、この国税通則法の一部改正を審議する過程において感じました点を二つだけ申し述べて、討論を終わりたいと思うのであります。 その第一点は、いわゆる大蔵官僚の独善ということについて、この際やはり反省をしていただきたいと思う点であります。本来、わが国におきましては、民主主義の世の中といいながら、官僚万能、特に大蔵官僚万能の弊風がややあるのであります。もちろんここにおいでになる上層部の皆さんを言うわけではありませんけれども、税務機構全体を考えるときに、何らか税務統帥権でもあるような考え方が一部にあるのではないか。税務統帥権が存在し、税をおれがかけるのだ、おれが税については一番詳しいんだというような独善的な考え方がもしあるとすれば、これは民主主義に非常に反することでありまして、こういう国民の税金の、これから大きな負担をかけていく問題であるし、たいへんな問題でございます。ぜひ国民に開かれた税制、国民が納得する税金ということにしなければならぬと思いますので、私は、審判所の提案並びにその法の修正を論議する過程において、ぜひそういうふうに、今後ひとつ留意していただきたいという希望を強く感じたわけでございます。 第二に感じました点は、今回のこの不服審判所法の問題は、国民の生命、財産といわれる、その生命、自由に次ぐ財産権の重大な問題に関する権利救済の問題でございます。したがいまして、非常に問題の重要性にかんがみまして、まことに真剣な討議が長期間続けられたと思いますし、その間において、与党、野党の間にはまことにみごとな協力が発揮されたと思います。議会政治の信用が非常になくなるというような今日の情勢において、国民不在ではなくて、国民のために国民の税金はどうあるべきか、また、それに対する不服をどう救済すればよろしいかということについては、私は、各党があげて真剣に討議をされたと思うのであります。そうして、修正案に見られるように、非常に画期的な修正が行なわれました。また、附帯決議にも盛り込んでおりますように、非常に各党の意見が、不十分ではございましたけれども取り入れられて、みごとな協力一致の態勢でこの問題の審議を終わろうとしていることであります。こういう形であれば、私は、議会政治の信用も大いに回復し得るのではないかと思いまして、非常に喜びを感じました。ぜひこういう問題の討議に示されたようなまじめな民主的なルールに従って討議が、今後も本委員会において繰り返されるように希望を申し述べまして、討論を終わりたいと思います。(拍手)
○田中委員長 田中昭二君。
○田中(昭)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国税通則法の一部を改正する法律案の原案に反対、そして同法案に対する修正案に賛成の意を表するものであります。 今回の国税通則法の一部を改正する法律案につきましては、納税者の権利救済を主眼とするものであり、現行の協議団制度より一歩前進するものといわれますが、結局国税の執行機関の範囲内の付属機関としての改正にとどまることは、同じ穴のムジナといわれてもしかたがないのであります。 政府が真に納税者の権利救済をはかろうとするならば、国税庁と対等の独立した救済機関を設置し、さらにまた、憲法に保障された納税者の出訴権を制約するような租税の不服に対する前置主義を取り除かなければならないのであります。その基本的問題をないがしろにしていることは、一歩前進するどころか、権利救済の根本精神に反するものといわざるを得ないのであります。よって、この原案に反対するものであります。 次に、権利救済を前進させるためにとられた修正案並びに附帯決議についても、現状では不満でありますが、将来それが実施により一歩前進することになるので、修正案並びに附帯決議には賛成の意を表するものであります。(拍手)
○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決いたします。 まず、渡辺美智雄君外五名提出の修正案について採決いたします。 本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案は可決し、本案は修正議決いたしました。 —————————————
○田中委員長 ただいま議決いたしました法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党を代表し、倉成正君外八名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。只松祐治君。
○只松委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党を代表いたしまして、ただいま議決されました本案に対する附帯決議の趣旨説明を行ないます。 本法案は、国民の権利救済に関するきわめて重要な法案であります。五月七日上程以来、約五十日有余に及びまして、与野党全員の熱心な質問を行なってまいりました。社会党は、これに対しまして対案を出して、並行審議等を行なってまいりました。 本日、ここに質疑を終了いたしまして採決を行なったわけでございますけれども、なおかつ、必ずしも十分な質疑が行なわれたり、あるいは与野党の完全な意見の一致がなされたわけではありません。したがいまして、この法案の施行にあたりましては、このあとで述べます附帯決議にもありますように、ひとつぜひ今後の執行にあたって十分な配慮をしていただきたい。また他日、本委員会におきましても、足らない部分の質疑等もあわせて行なってまいりたいと思っております。 それから、与野党一致の附帯決議をここで行なうわけでございますけれども、とかく附帯決議といいますと、この法案作成の過程、いわゆる立法府においてはわりあい高く評価をされますけれども、執行過程いわゆる行政府の段階におきましては、法案となりませんのでわりあい軽んぜられる、こういう傾向が強いわけであります。しかし、この法案が実体法である、国民にきわめて直接影響力を持つ法案であるということをひとつ考えられまして、行政府におかれまして、この附帯決議を必ず実行するよう強く要望いたしまして、趣旨の説明をいたしたいと思います。 第一に、国税不服審判所は、裁決権を保持する点において、現行の協議団よりは確かに前進した制度というにやぶさかでないのでありますが、なお、依然として国税庁の付属機関であり、ことに、通達と異なる裁決や税務行政の先例となる裁決をするときは、国税庁長官の指示を受けなければならないというような拘束があり、権利救済機関としては、決して十全とはいえないのであります。 しかしながら、国税不服審判所が、やはり権利救済機関として、真に納税者の信頼と裁決の公正を期し得るためには、国税審判官等はつとめて民間の有能練達な適格者から起用し、また、執行機関との間の人事交流はなるべく避けるなど、国税不服審判所の人事構成及び運用については、その独立性を強めるように留意すべきであります。 さらにまた、本案審議の過程において、各委員から熱心に論議されたように、政府は、今後における社会、経済の進展に即応しつつ、国税庁から独立した租税審判制度の創設、出訴と不服申し立ての選択等についても、絶えず真剣な検討と努力を行なうべきことを要望するものであります。 第二に、政府は、国税不服審判所の運営にあたっては、次の点に十分配慮を行ない、納税者の権利救済の実現について万全を期すべきであります。 その一つは、裁判を受ける権利は、憲法上保障された国民の権利であり、訴えを提起したために、いかなる差別的取り扱いを受けないことは、きわめて当然のことであります。不服申し立て制度は、裁判に前置された制度であり、権利救済制度としては、裁判と軌を一にするものでありますから、納税者がこの当然の権利を行使したがために、税務当局から差別的取り扱いを受けるようなことがあってはならないのであります。政府は、この点につき、厳に適正な運営を確保するよう、税務官署の末端に至るまでこれを徹底させるべきであります。 その二つは、質問検査権の行使にあたっては、権利救済の趣旨に反しないよう十分配意すべきであります。特に、国税不服審判所の職員は、その調査があくまでも権利救済を主眼とし、新たな脱税事実の発見のためではないことを厳に銘記の上、納税者の正当な権利救済の実現につとめるべきであります。 その三つは、納税者が審査請求にあたって自己の主張を十分に行ない得るためには、その前段階において、税務当局の処分または異議決定の理由が十分に明らかにされることが必要であります。したがって、税務当局は、その処分または異議決定において付する理由をできる限り詳細に記載するようつとむべきであります。 第三に、国税不服審判所長は、国税庁長官が大蔵大臣の承認を受けて任命することとなっておりますが、その地位の重要性にかんがみ、大蔵大臣は、みずからが任命するのと同様に、積極的に取り計らい、実体的には大蔵大臣が任命したと同様にすべきであります。 第四に、本法の目的を達するためには、判官等が、執行機関より独立して、その職務を厳正に行ない得ることが肝心であります。このためには、政府は、国税審判官等の身分、処遇等について十分に配慮すべきであります。 第五に、協議団から国税不服審判所への移行に伴い、現在の協議団の職員はきわめて不安な状況のもとにあります。したがって、本人の意に反する一方的配置転換や退職強要など、不利な取り扱いを受けることのないよう、十分に配意すべきであります。 第六に、現行法及び改正法においては、不服申し立てがあった場合に、必要があると認めるときは、申し立てによりまたは職権で、徴収を猶予し、または、滞納処分の続行を停止することができることになっておりますが、処分の執行を停止しないことにより生ずる不服申し立て人の有形無形の損害を考えるときは、なるべく運用面において、この点を緩和し、できる限り処分の執行を停止するよう措置すべきであります。すなわち、納税者の不服に理由があると推測されるときには、支障のない限り、徴収を猶予し、または滞納処分の続行を停止することとし、納税者が自己の正当な権利を安んじて主張し得るよう、十分に配慮すべきであります。 以上が、本附帯決議案の趣旨及び内容でありますが、ぜひ御賛成を要望いたします。 なお、本附帯決議案文につきましては、お手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきたいと思います。(拍手) ————————————— 国税通則法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、政府は、国税不服審判所の人的構成及び運用についてその独立性を強めるよう留意し、今後における社会、経済の進展に即応しつつ、国税庁から独立した租税審判制度の創設、出訴と不服申立ての選択等についても、絶えず真剣な検討と努力を行なうべきである。 二、政府は、国税不服審判所の運営に当たっては、次の点に十分配慮を行ない、納税者の権利救済の実現について万全を期すべきである。 (1) 納税者がためらうことなく自己の主張を行ない得るために、いやしくも税務当局が不服申立人を差別的に取り扱うようなことのないよう、厳に適正な運営を確保すること。 (2) 質問検査権の行使に当たっては、権利救済の趣旨に反しないよう十分配意すること。特に、国税不服審判所の職員は、その調査が新たな脱税事実の発見のためではないことを厳に銘記の上、納税者の正当な権利救済の実現に努めること。 (3) 納税者が審査請求に当たって自己の主張を十分に行ないうるよう、税務当局はその処分又は異議決定において附する理由をできる限り詳細に記載するよう努めること。 三、大蔵大臣は、国税不服審判所長の任命についての承認に当たっては、自らが任命するのと同様に積極的に取りはからうべきである。 四、本法の目的を達するため、国税審判官等がその職務の執行を厳正に行ない得るよう、その身分及び処遇等について十分に配慮すべきである。 五、新制度への移行に伴い、現在の協議団の職員が不利な取り扱いを受けないよう十分に配意すべきである。 六、納税者が自己の正当な権利を安んじて主張しうるよう、納税者の不服に理由があると推測されるときは、支障のない限り、徴収を猶予し又は滞納処分の続行を停止する等運用上十分に配慮すべきである。 —————————————
○田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 おはかりいたします。 本動議のごとく附帯決議を付することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
○福田国務大臣 ただいま御決議がありました附帯六項目につきましては、十分尊重いたします。 なお、これらの趣旨につきましては、国税庁の末端まで浸透するようにいたしまして、納税者の権利救済に遺憾なきよう善処いたします。(拍手) —————————————
○田中委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○田中委員長 次に、国の会計及び税制に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 この一般質問もだいぶ前に予定されておりましたのが、一カ月ばかり延び延びになりましてあれでありますが、時間の制約もありますので、いろいろお伺いしたいのでありますけれども、簡潔にお伺いをいたします。 いま第一にお伺いしたいのは、韓国に対する米穀の貸与についてであります。主管は農林省ということになっているようでありますが、本件は、外国に対して国有財産を貸し付ける、しかも今度の場合には非常に長期で無利子で現物返済といった、全く新たな前例を開いておるのでありまして、農林当局の措置だけではこれは片づけられない問題だ、こう思います。そこで、きょうは大臣がお見えでありますので、大蔵大臣に主としてお伺いしたいと思うのであります。 大臣、この今回の対韓貸し付けの経過を見て、何か法律上疑義というようなものを全然感ぜられなかったのでしょうか。
○福田国務大臣 これは法制当局とも十分検討に検討をいたしたわけであります。検討の結果、食糧管理法の規定に基づきましてあのような措置ができ得るという結論に到達いたしましたので、食糧管理法を適用いたしまして、あのような措置をとったわけであります。
○阿部(助)委員 土地建物などを貸す場合、国内でやる場合はまあ問題ないと思うのですが、こういう消費財である国有財産を、十年据え置き、三十年返還というような、しかも現物返済というような問題は、これは日本にはいままで例はなかったと私は思うのですが、外国等にはこういう例があるのでございますか。
○福田国務大臣 外国の事例というのは私、詳しくは承知はしておりませんけれども、しかし貸与ばかりではない。アメリカのごときは相当大幅な食糧を無償で交付し、これをもって援助とする、こういうようなことをやっております事例はあるわけでございます。
○阿部(助)委員 アメリカが戦後のガリオアフアンド、エロアファンドなどということであれしたことも承知しておりますけれども、こういう形で貸し付け、こういう長い間でしかも現物返済というようなことは私ちょっと例がないのじゃないか、こう思うのであります。こういう条件というものが向こう側から要請されたことだろうと思うのでありますが、食糧などという場合にはどうもちょっと私にはふに落ちない点があるわけであります。対韓貸し付けという政治的な側面をいまここで取り上げませんが、これがやはり国民的な常識からいって、何か大きくかけ離れておるのじゃないか。特に先ほど来申し上げますように、非常に長い期間である、対価がない、また現物返済というようなものはどうも国民的にはちょっと理解しがたい問題のように思うのですがね。
○福田国務大臣 食糧管理法では、その食糧管理の目的といたしまして、「需給及価格ノ調整並ニ配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」こう書いてある。需給の調整という問題がこの食糧管理法の精神の中にあるわけなんであります。 いま御承知のように、米がたいへんな過剰な状態であり、古々米の処分というようなことにつきまして頭を悩ましておる際でありますので、まさに食糧管理法の所期するところの需給の問題という大きな問題に当面しておる時期である、こういうふうに思うのであります。その食糧管理法の中にそういう趣旨も受けまして、「政府ハ政令ノ定ムル所ニ依リ主要食糧ノ貸付又ハ交付ヲ為スコトヲ得」こういうふうに書いてある。この規定を発動する、まさに時宜を得た処置である、かように考えておるのであります。
○阿部(助)委員 そこで、いま食糧管理法に言及されたわけですが、食糧管理法は、これが制定された時点で、こういうような外国へ米を貸すなどということは想定をしておったと思われますか。私はそういうことはないのじゃないか。だから、法律の制定の趣旨、法律の趣旨からいって問題があるのであって、たまたまそこに貸し付けという字句があったということだけで、これはいろいろ拡張解釈されるには私は問題があると思う。 私、まずお伺いしたいのは、この食糧管理法が制定をされたときの経緯は、戦争のときでありますから特にそうでありますが、こういうことを想定してなかったのじゃないかと思うのです。そういう点で少し拡大解釈し過ぎるのじゃないかという感じがするのですがね。
○福田国務大臣 おそらくこれが制定されたころはむしろ今日とは逆の状態でありまして、食糧の需給からいえば非常に窮屈な時期であった、かように考えます。しかし、当時から食糧管理法には需給という広い立場でその調整の機能を果たすということを規定し、かつ「主要食糧ノ貸付又ハ交付ヲ為スコトヲ得」ということまできめてあるわけなんです。当時外国ということはおそらく頭になかったかと思いますけれども、需給の見地から外国に貸し付けを行ない、または交付をするということが違法な措置であるというふうには考えておりません。
○阿部(助)委員 違法かどうかという問題よりは、そういうものはやはり政府がそう飛び離れた解釈をするのではなしに、幸いに国会も開かれておることでありますし、米を出すなら出すということで、やはり国会の議を経るということが必要なんではないかという点で私はお伺いをしておるわけであります。貸し付けの場合にも両国の約束が——これが条約であるかどうか、これはまた問題があるわけですが、契約書が成立をするその前の日に、政令を一カ条つけ加えたというようなことでやられるのは、どうも政府があまりにも独断過ぎるのではないか。そういうことがこれからどんどん行なわれてまいりますと、結局は国会というものは軽視されてくる。たまたま条文に「貸付」という二字があったことを、これを引き伸ばしていくということになると、何かたいへん失礼な言い方だけれども、三百代言的な解釈ででも何ででもこれはできるということになってくれば、国会というものは全く存在価値がなくなっていくのではないか。私は、米を出す出さぬということはさておいておるわけです。ただ、こういう拡大解釈をすることは国会軽視であるという点でお伺いをしておるわけですが、大臣、いかがですか。
○福田国務大臣 この食糧管理法が制定されたその当時、外国に米を出すということは、おそらく私は想像はしておらなかったと思います。しかし、食糧管理法の需給機能というものそのものから考えて、「主要食糧ノ貸付又ハ交付ヲ為スコトヲ得」というようなたてまえをとっておるわけであります。いま環境が非常に違いまして、需給がゆるんできた。そういう際にこの条項を援用する、こういうことにつきまして、一向疑義は感じないのであります。ただ、当時と客観情勢が非常に違って、当時は外国ということが想像されなかったけれども、今日はそういうことも考えられるということになってきた点で、若干阿部さんが感触を持たれる、これは私も理解できますが、違法な措置をとっておるのではないということだけは確信を持って申し上げられます。
○阿部(助)委員 大臣、私は、違法だから追及するという考えでものを申しておるのではなしは、こういう制定当時の趣旨と、全く予想もされない事態、こういう新しい事態にはやはり新しいやり方としては、国会にかける、国会がない場合にはあとで承認を求めるというぐらいの、国会を尊重するという民主主義のルールを踏まれるのが当然のことなんであって、それをいまのような解釈で、違法でないからというだけでは——この違法、違法でないというのも、突き詰めれば、まだ論議すれば論議するあれはあります。けれども、私はそれを強く言うのではなしに、やはり国会にかけるべきだという感じがするのでありますが、いま大臣がそうおっしゃると、大体条約、国と国との約束というようなものは、特にこういうものを貸すとか借款だとかという場合に、これは私はいつかここで質問をしたいと思っておるのですが、どこまでが政府間だけで国会の議を経ないでやれるものなのか、どこまでが国会へかけるべきものなのか、そういうものをもう少し明確にしておかないと困るのじゃないかと私は思う。 大臣、そうすると、これは食糧庁長官と韓国の役所と話をきめて出しておるわけですが、食糧庁長官というものにそれだけ大きな権限というものが与えられておるのですかね。
○福田国務大臣 食糧長庁官は、食管法の番人というか、その管理運営の責任者であります。その食糧庁長官は、食糧管理法の規定に従って行動しておる。国会で定められた法律のもとにおいて行動しておる。韓国に対して米の貸借を行なう、これは食糧庁長官がまさにその権限を持っておる、かような見解であります。
○阿部(助)委員 ただいま、いまの質問の半分お答えになったのですが、条約、国と国との取りきめの場合、どこまで——これは大臣にお伺いしたほうがいいですか、どなたかほかの方にお伺いしたほうがいいのかわかりませんが、どこまでが国会の議を経なければいかぬのか、そういうものは何かけじめというものがあるのですか。実は、憲法調査会のいろいろな論議の際も、これを見ますと、そのことは自民党の国会議員の方々からも意見が出ておるわけですよね。そこで、どこまでこの国会へかけるかということがだいぶ論議はされておる。だけれども、あまり明快ではない。また、末川さんあたりの説をとりますれば、すべて国と国との約束ごとはやはり国会にかけるべきだというような説をなしておるようであります。それで、その限界というものがなければならぬ。実際を言うと、よほど大きなものでない限り、何もかも国会を素通りして約束されていくということになっては、民主主義のルールというものは確立されないのではないかという心配があるので私はお伺いしておるのですが、その限界は一体どこにあるのか。どなたか、外務省の方でも答弁をお願いしたいのですが……。
○小林説明員 本件につきましては、ただいま大蔵当局から御説明がございましたとおり、いろいろ問題点がございましたので、外務省も大蔵省あるいは農林省、それから特に法制局の方面と十分審議いたしました結果、結局本件の貸し付けは、お米の需給調整をはかる上で、食管法及び施行令に基づいて、政府部内の権限のある者が韓国側当局と貸借契約を締結することのように行なえるという結論に達しまして、書簡交換による必要はないという結論に達しました。 そこで、三月の十二日に行ないましたところの書簡交換は、先ほど申しました権限がある両当事者間の契約成立に件いまして、単に契約内容の円滑かつ適時の実施を重ねて担保したという意味で、この書簡交換を行なった次第であります。
○阿部(助)委員 私の質問に焦点を合わせないでかってな答弁をしておると、いろいろ時間ばかりとって困るのですが、私はそんなことを聞いているのじゃないのです。大体どこからどこまでが国会にかけなければいかぬのかという、何か線があるのかないのかということなんです。一般論としてですね。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 それじゃ速記をとって。
○阿部(助)委員 やむを得ませんが、民間借款と称するような形でこれからもどんどん日本が外国に金を貸していくということが行なわれる。はたしてこの民間借款というのが民間同士の話し合いでいくのかどうか、これは国と国との問題であるのかどうかというような問題は、いずれ機会を見てお伺いすることにいたしまして先に参ります。 農林政務次官にお伺いするのですが、韓国が日本からこの米を借りていった、そしておそらく韓国の国民に販売をするのだろうと思いますが、その代金の使途というものは日本政府は絶対関与しないのですか。
○小林説明員 関与しておりません。
○阿部(助)委員 今日は余っておると言うけれども、国民の財産を外国に貸し付ける、貸したというような場合には、やはりこれは使い道とか、どういう形にそれが使われていくかというようなものはある程度話し合いができ、やっておるのが普通ではないのですか。
○小林説明員 公式の話し合いでは関与してございません。ただし、私どもといたしましては韓国側から、本件の米の収入については韓国政府といたしましてできるだけ韓国の農業振興、それから食糧増産の関係の事業に使われるという情報をとっております。
○阿部(助)委員 この米が向こうへ参りまして加工されて、何かノリで巻いたあられといいますか、米菓になって日本へ逆戻りするというようなことはないのですか。
○小林説明員 お答え申し上げます。先生御承知のとおり、向こうへ送りましたお米とそれからかきもちになるお米と全然種類が違いますので、そういうことはないと存じます。
○阿部(助)委員 いろいろお伺いしたいのですが、最後に、向こうへ持っていった米がだいぶいたんでおるというようなことでありますが、これはクレームは提起されておるわけですか、されてないですか。
○小林説明員 食糧庁のほうに連絡がございます。しかし、クレームと申しますか、抗議ということで連絡がございます。
○阿部(助)委員 連絡というのはどうなんですか。
○小林説明員 やはりクレームであります。
○阿部(助)委員 クレームが提起されておるのですか。そうすればやはりかわりの米を送るとか、あるいはその分だけ返還のときに差し引くというようなことで解決をされるわけですね。
○小林説明員 私どもが食糧庁から御連絡を受けておるところによりますと、現在協議中でございまして、その話は韓国側と円満に進んでおるというふうに伺っております。
○阿部(助)委員 この米は全部韓国へ行っておるわけですか。
○小林説明員 どういう御趣旨でございましょうか。
○阿部(助)委員 たとえば、この米の行き先は日本から積んで全部韓国へ行って韓国の軍隊へ食わせるのか、国民にも食わせるのかわかりまんが、それは向こうにまかしてある、こういうことですね。ところが、これが韓国にだけ行っておるのか、たとえばこれはベトナムにおる韓国の軍隊に食わせるためにべトナムへ行っておるというようなことはないのですか。もう少し具体的に申しますと、四月二十四日、鹿児島を出帆したポウハンという船六千七十トン、これはベトナムに行っておるというようなことはないのですか。
○小林説明員 私は、そういうことは承知しておりません。ただいままでの報告によりますと、全部韓国向けの船の配船で米を届けております。
○阿部(助)委員 日本の船と韓国の船で運んでおるようでありますが、日本の船は全部調べてわかりました。何月何日どの港を出て韓国のどの港に入ったというのは全部あるのですが、韓国の船には、こっちを出たのはわかるのですが、向こうに着いた日取りは必ずしもわからない。ことに一、二非常に時間がかかっておる。またうわさによると——これはうわさでありまして、によると、ベトナムに行ってきたと、韓国の船乗りがそう言っておるという話もあるわけでして、そういうことになりますと何かこれが、日本は余っておるということで出したということになるかもしれませんが、韓国の国民の食糧不足ということだけで行っておるのだろうかどうかという、私たち国民、特に米をつくっておる農民等にとってはやはりいろいろなうわさが新潟あたりではあるわけであって、これだけ余っておるとは言うけれども、国の重大な財産でありますし、皆さんのほうでもこれの使途とかいうものについてもう少しきびしく見る必要があろうかと思うのですが、いかがですか。
○小林説明員 外務省といたしましては、いま先生のおっしゃいましたことについては承知しておりませんが、先ほども申し上げましたクレーム米等もございまして、韓国側も日本の食糧庁と連絡の上、受け取りました日本の米についてチェックしておりますので、そういうような機会を通じて御趣旨にも沿うように、使途についてはできる範囲内において確かめたいと考えます。
○阿部(助)委員 私、きょう一番お伺いしたがったことは、国会に出すのは出すでそれなりに——今度沖繩にも出されるようですし、きょうの新聞を見ますとインドネシアにも貸与されるやに出ておるわけであります。だけれども、法律というのは弾力的な解釈も必要なときもありましょうけれども、それにしても基本はやはり国会にかけるべきだという主張を持ちながらお伺いしておるのであります。大臣がこの前外国に会議で行ったときも、これから日本の対外援助というものはますます大きくなるだろう、こうおっしゃっておる。私もそう思う。だけれども、そういう場合、やはり政府間だけでなしに国会の場を通じて国民も納得するように、そういう形でできるだけ国会の議を経るべきだという観点で、国会のさなかで、しかも政令に一条、取り急ぎ閣議決定して政令を公布した、そしてその次の日にこういう約束が結ばれたというような形でのあり方について、国民もおそらく不満を持っておるだろう、私自身も非常に不満があるということでお伺いをしたわけであります。そういうわけで、いつかこの民間借款という問題、もう少し掘り下げてお伺いしたいと思います。 最後に一つ、これは今度の米価決定に際して、政府のほうで二百二十五億の稲作対策費でありますか、これを出される。しかもその配分は過去三年の供出の実績というようになっておるようであります。この金の性格や出し方やらについて論議をするとたいへん時間がかかるので、そのことはきょうはさておきますが、過去三年の実績ということになると、新潟県の場合のように二年連続して大災害を受けて、そうして作は全部流れてしまって、ひどいところになりますと二年連続して災害を受けた、その災害復旧がいまだでき上がらなかったばかりに三年間ほとんど供出がない。しかしそこは、いずれ今度はもとどおりのたんぼになって米をつくるというような地帯があるわけですね。そうすると、過去の実績だけを形式的に当てはめられたんでは、この地帯の農家の人たちはたいへん困ってくる。米の上にかさ上げであるとか、昨年の米のバックペイであるとかいうことになれば、これは別でしょうが、政府はそうでないとおっしゃるだろうし、そうすれば、この配分には災害地激甚の指定を受けたとか、そこで線を引くのか、あるいはまた天災融資法の適用を受けたというあたりで線を引くのか、その辺は私、わかりませんけれども、何らかのこれに対する手当てというものが当然あろうかと思いますけれども、これは政務次官のほうが担当でございますから、そちらからお伺いしたい。
○小沢(辰)政府委員 この二百二十五億円は、私どもとして稲作の特別対策事業費ということで、一般会計からいただいて支出をするという考え方でございます。したがって、あくまでも稲作特別対策事業費である。しかし、これが市町村を通じて個々の農家の方々の肥料、農薬、あるいは機械等の購入、整備等についての補助になるように、個々の農家に渡るような配慮をしたい。しかもその基準は、いま三カ年間の実績と言われましたが、この三カ年間の実績を一つの基準にいたしまして、算定の場合に、大体一俵なりあるいは六十キロ当たりなり、百五十キロ当たりなり、一体どういう基準になるかということを算定した上で、算定の基準として、過去三カ年の平均の供出量というものを基準にとろう、こういうことでございます。 そういうことでございますから、三カ年間全然供出がない。その原因のいかんを問わず、そういう場合には、非常に私どもも困難するわけでございますが、しかしおっしゃるように、長い間米作に従事し、戦中もあるいは戦後も米の確保について協力を長い間なされた方が、たまたまこの二、三年の異常な災害によってそういう供出ができないで、いろいろ苦労をされた方々に対しては、今度の二百二十五億の措置が、いわば激変緩和の措置であり、同時にまた、農林大臣もあの決定の際に明確に申し上げておりますように、長い間のそうした食糧増産に対する農家の方々に対し、何といいますか、たいへん御苦労をしていただいたということに対する報償というような意味もあるという、農林大臣としては談話を発表しておられるわけでございますので、そうした趣旨をいろいろ考えまして、また財政当局とも相談の上、もちろん今後の検討に待つべき問題ではありますけれども、善処していきたいと考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 これで終わりますが、次官、ずいぶんいろいろとおっしゃってあれですが、結局大臣、これはいままでも稲作をやっておったし、これからもやるだろうというところに対しては、災害地のいろんな面を配慮して前向きに検討される、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○小沢(辰)政府委員 私どもは先ほど言った趣旨でもございますから、おっしゃる点については、前向きに検討をいたします。
○田中委員長 田中昭二君。
○田中(昭)委員 きょうは大臣に対する久しぶりの一般質問でございますが、時間がたいへん短いようでございますから、ひとつ率直にお答え願いたいと思います。 まず、わが党の行ないました税制総点検に対しまして、大蔵大臣どのような御感想なり御意見なりお持ちか、お聞きしたいと思います。
○福田国務大臣 けさ実は新聞で、公明党調査による総点検の結果というものを拝見いたしました。膨大な調査のようなんで、よくもあれまで調査されたなというふうに存じまして、その調査の御労苦に対しましては、深く敬意を表しております。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
○田中(昭)委員 私もこの仕事に参画しました一員といたしまして、これが今後国民に及ぼす影響並びに大蔵省、特に国税庁等に及ぼす影響等も考えまして、論点を進めていきたいと思いますが、相当膨大な量になりますから、きょうはさしあたって、わが党のこの発表に対して、大蔵省からの見解が出ております。この見解について大臣は御存じでしょうか。
○福田国務大臣 存じません。
○田中(昭)委員 大蔵省の見解として出たものを、大臣が御存じないとするならば、私は新聞の誤報であるとは思いませんし、その関係筋から、そのことにつきましてお答え願いたい。
○吉國(二)政府委員 先ほど御指摘をいただきまして、さっそく新聞を調べてみましたところが、サンケイ新聞の中に、「公明党の所得税調査は誤解が多い」というたいへん不適当な見出しがついて出ておりますが、その中に、大蔵省が公明党の税制総点検について、二点問題にしておるというようなことを書いております。 その一つは、大蔵省の資料、これは毎々ごらんいただいております、主要参考資料の中の一部をとりまして、その中で、個人所得の総額と、納税者所得の総額を比較した部分がございますが、これを捕捉率というふうにして書いておられるのは、これは捕捉率ではないのであって、個人所得のうち、課税総所得金額が幾らになるだろうかという範囲の問題である、幾ら捕捉されておるかという問題ではないということをいっておる部分が一つございます。 もう一つは、必要経費につきまして、サラリーマンと医者その他事業者を比べまして、同じ収入金額であるのに、サラリーマンに比べて、ほかの人の必要経費が非常に多く引かれておるという比較が出ておるけれども、いわゆる必要経費というものは、お医者さんなどの場合は、看護婦を雇う費用であるとか、薬代であるとか、機械の償却代であるとかいう、いわゆる普通の事業でいうコストがかかっておるわけでありまして、そのコスト部分というものを除いたところで比較をしないと、正確な比較にならないのではないかというようなことを言ったという事実が書いてございます。 これは私も、だれが言ったという問題ではないと思いますが、あるいは新聞記者が参りまして、こういうことについてどうだとだれかに聞いたことに対して、そういうことを言ったことがあるかもしれないと思います。それを正式に主税局として、見解を表明したという事実は全くございません。これはおそらく新聞記者が参考に聞いたことを、もししいていえば書いたんではなかろうか、さように思っておるわけでございます。その点御了承いただきたいと思います。 現物を私自身がまだ拝見をしていないような状況でもございます。もし正式に見解を発表するとすれば、当然局議等で、また、党の問題に関する問題でもございますので、大臣の御意見をちょうだいいたした上で、正式な見解ならそういうふうな発表をするはずでございます。これは、あくまでも個人が新聞記者に参考として聞かれたことが見解として発表されてしまった結果になったんではないか、まあ、かように考えます。
○田中(昭)委員 大臣、いま税法の立案者であるところの主税局長のほうからそのようなお答えをいただいたのですけれども、まず大蔵省の見解として、公明党の税制総点検に対して反論している。それは、一個人が言ったとか言わないとかという問題もありましょうけれども、いま主税局長の立場からは不適当であるということでございましたが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○福田国務大臣 まだ新聞でけさ見たばかりで、その反論だ何だという段階じゃないんじゃないかと思います。間違っておるところがあれば、これに反論をする、これは私は必要だと思います。しかし、出たばかりであって、これはどういうものであるか、これは判定するにいたしましても、これまた膨大な調査を要するわけでして、まあ、いま主税局長からお答え申し上げましたことは、新聞を見て、あるいは新聞に出る概要を話を聞いて、どういう感じだというのをだれか個人が話したという程度のことじゃないかと思いますから、そうかどを立てる段階にはまだ至っておるまい、かように存じます。
○田中(昭)委員 私のほうからかどを立てたわけじゃございませんで、それは、国民が承知するものはやはり報道機関等によって承知するんじゃないか。大臣は、けさの新聞を見ていないからとおっしゃったから、いま主税局長から新聞に書いてあることを大体言ってもらったわけですけれども、それで、そのことについては、まあかどを立てないつもりだから、不適当な見解だと主税局長が言われた、このように私は解釈しているんです。ですから、その点については、大臣がいま主税局長からお聞きになったんでございますし、やはりそれをお聞きしなければ、私が大臣にお尋ねする意味がないんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○福田国務大臣 まだ、いまここで答弁したのを聞いておっただけであって、ほんとうにまだ私は、あれはどういうもんだろうというのを、主税局長あるいは国税庁から報告を聞いたわけでもなし、受けた感じを聞いたわけでもなし、どうも私からこれに対する見解を求めると言われましても、なかなかむずかしいんじゃないか、これはひとつお察しのほどをお願いいたします。
○田中(昭)委員 それで、確かに私のほうがこれをつくるには、八カ月間の実態調査並びにすべてのいままで世間で出ております参考資料、それから専門の主税局の資料もお借りして、そうしてやっているわけでございます。そのことは、まず私のほうから参画者として申し上げておきますから、まあ、いい悪いは別にして、大臣に認識していただきたい。 そこで、そういうものに対して、大蔵省の見解として、あるだれかが、はっきり大蔵省の見解として、公明党の税制総点検に反論するということは不適当ではないか。いまも主税局長からは不適当だということを言われた。そういう経率な見解というものが新聞に出るようなことは、私は不適当ではないかというように思うのですが、どうでしょうか、大臣、その点は。
○福田国務大臣 私が大蔵省を代表いたしましていま敬意を表したばかりでありますから、それによって御了承を願います。
○田中(昭)委員 どうも、私のお聞きするのが、大臣の何かにさわったようでございまして、なかなか口が開かないようでございますけれども、それじゃ、そういういろんな批判もあるでしょう。 そこで、いわゆる誤解だということの起こってきた原因、いま主税局長は内容に入られて、いわゆる捕捉率の問題を言われたわけですが、所得に対する捕捉率の調査というものが、実際問題として実態調査の上にも出てこないんです。ということは、私はこんなに収入があって、少なく捕捉されておりますよ、こういうことは、実態調査しても出てこないということは、大臣、認めていただけますね。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、私らとしては、実態調査並びにいままであります資料、また特に大蔵省の資料であるならば税法については間違いないと、こういう意味でいわゆる各業種目の所得に対してどのくらい課税をしておるかという数字が出ておるわけなんです。いわゆる課税範囲ということばまで入っているんです。所得に対するその所得の課税範囲ということを、私はそれを捕捉率と——捕捉率でありませんけれども、捕捉率を見出すのにはほかにないとするならば、私は、正確な資料である大蔵省の資料によったことはかえっていいことではないか。それに対して、誤解だ何だということになれば、そのこと自体が、それはもうほんとうに自己相違といいますか、それは苦しい窮解じゃないですか。ほんとうにもう苦しい窮解であり、曲解である。自分のやったことをそうでないと言うようなことと同じじゃないか、こう思うのです。 必要経費にしましてもそうです。サラリーマンの必要経費については、大臣、その新聞の報道によりますと、サラリーマンの必要経費は、せびろとかくつとかいうものが必要経費になりません、こう書いてあるんです。ですから、そのいわゆる誤解という点はまあ差しおきまして、では、サラリーマンに対する必要経費、また、必要経費に相当する給与控除というものの内容について、簡単に言ってしまえば、サラリーマンの必要経費とは何でしょう。
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、わが税法におきましては、給与所得について必要経費というものを規定はいたしておりません。しかし、全体の所得税法におきます体系といたしましては、各種所得につきまして、原則として、その収入金額を得るに必要な経費というものが必要経費であるという規定をいたしているわけでございます。これはいわば、まあ租税原則になるかしれませんが、年々産出される国民所得というものを一つの課税の限度と考え、その中で、家事関連その他の経費というものを、これは国民所得の中から消費されるものでありますが、その部分としてどの程度をしんしゃくすべきかということにつきましては、いわゆる基礎控除その他の課税最低限に属する控除、あるいは負担力をしんしゃくしたいろいろな控除というようなものでしんしゃくをいたしますけれども、基本的には、国民所得を形成する各種所得要素が課税対象の基本になるべきだと思います。そういう意味から申しますと、年々の産出物、国民総生産から資本減耗引き当てを控除した残りのものがいわば観念的な課税対象になるわけでございまして、そういう意味から申しますと、機械の減価償却であるとかあるいはいわゆるコストとかいうようなものが控除される必要経費として観念されるわけでございます。そのほかに、いわゆる家事関連費は必要経費ではないというのが、いまの所得税法のたてまえでございます。 したがいまして、給与所得者に対しての必要経費というものは、従来の税法では、特に収入を得るに必要な経費という規定を設けずに、むしろ総括的に給与所得控除というものの中に必要経費に相当するものが含まれておるというような考え方で控除をしてきたというのが実情でございます。事業所得にいたしましても、必要経費としては、自分が着る衣服であるとか、その下着というようなものは、これは必要経費でないことは明らかでございますので、そういう意味から申しますと、給与所得者の必要経費というのは、職場において勤務をするにもっぱら必要な経費ということになってまいります、これがなかなかむずかしいところでございます。ことに学者の場合の研究費、書籍購入費というようなものがどの程度必要経費になるかにつきましては、種々争いのあるところでございますけれども、これが具体的に類型化されていないところに、収入を得るための必要経費として基準をきめがたい。むしろ総括的な給与所得控除をもってこれにかえるという考え方が出てきたゆえんかと思います。したがいまして、給与所得者の必要経費というものをほかの所得並みに想定するとすれば、給与を得るに直接必要な経費というものになるかと思うのでございます。
○田中(昭)委員 いまお聞きしまして、それは収入を得るために必要な経費だというようなことは、私もしろうとじゃありませんし、何べんも聞いております。サラリーマンの必要経費として、いま局長も言ったように、職場で仕事をすることに必要なものが必要経費なんだ、こういう考え方があるわけです。職場で仕事をするために必要な衣服とかそういうものが必要経費です。そういう見解だったと思うのです。ところがこれの判定がむずかしい、こういうお話もあったようなんです。そのようなむずかしい判定のものに対して、ただ大蔵省の見解として、いわゆる衣服とかくつとかいうものがサラリーマンの必要経費にならないということが、主税局の頭の中にあるとするならば、これはサラリーマンの必要経費というものを考え違いしているのじゃないか、このように私は思うのですが、いかがですか、大臣。職場で必要な衣服とかそういうものは必要経費だという考え方が常識でもあり、またいまも言われたわけなんですが、けれども、その判定はむずかしい。そのむずかしいものに対してはっきり、被服とかくつとかいうものは必要経費ではありませんと言明をする。これは行き過ぎじゃないでしょうか。
○福田国務大臣 いま主税局長が言っておられることは、おそらく事業所得の場合にははっきり必要経費というものが算定できます。しかし、その際その必要経費の中に、働くための作業衣の費用をどうするか、あるいはぞうりの代金をどういうふうに見るかというようなことは考えておらぬ、そういう事情がサラリーマンの場合にもあるというようなことを申し上げたんだろうと思いますが、観念的にはあり得ると思うのですよ。あり得ると思うのでありますが、しかし、これは一体判定できますか。くつに例をとりますれば、どこまでが家計の負担になるべきものであり、どこまでが会社の負担になるべきものであるか、これはできないと思うのです。そういうことから、給与控除というような名案が出ておるわけでありまして、その給与控除の問題に着目をする、こういうのが大蔵省の考え方なんです。サラリーマンの必要経費を具体的にどういうふうにするかといっても、われわれには知恵はないのです。
○田中(昭)委員 約束による同僚議員の質問に差しつかえてはならぬと思いますから——この税制総点検につきましては、いま大臣も言っておりますように、自分もまだ全然見てない、こういうことで論議が進められません。このことにつきましては、また別な機会に十分検討していきたい、こう思いますから、一応この問題については留保いたしまして、次の議員の質問に譲りたいと思います。 以上です。
○田中委員長 只松祐治君。
○只松委員 本委員会は法案がたいへん多いので、他の委員会のように、一般的なわが国の国政について論議する機会がなかなか少ないわけであります。きょうも私は二時間ぐらいはいろいろ、いまから論議するようなことをお尋ねしたい、あるいは意見を戦わしてみたいと思っておったのですが、今朝来御承知のような状態でだんだん時間がなくなりまして、もう一時間もないわけであります。したがって、十分論議が尽くせますかどうかわかりませんが、大臣のほうからも率直な見解を述べていただきたいと思います。 私がきょうお聞きじょうとするのは、わが国の防衛に伴う財政あるいは経済全般、それから税制、そういう問題全部について——予算委員会等では概括的な論議がなされたり、あるいは外務委員会や内閣委員会等で若干のちょこっと触れるような論議があります。しかし本格的に、わが国の防衛問題と産業経済あるいは財政、税制等の問題から見た論議が行なわれないわけです。私は、これはきわめて大事なことだと思うのです。日本経済の今日の発展というのも決してこれと無関係ではない。むしろきわめて重大な関係を持っておる。日本経済の発展の一つの大きなファクターは平和憲法にある、こういうふうに私たちは確信いたしております。したがいまして、短い時間の中でありますが、きょう論議が終わらなければ、また他日も行なってみたい。大臣の率直なお考えを聞かしていただきたいと思います。 それに入る前に、近ごろ中期経済の展望とかいろんなことがいわれております。あるいは今朝来の新聞を見ましても、そういう経済の展望あるいは明年の経済試算で、たとえば去年は八・二%でしたか、ことしも九・何%ということですが、実際上は一三%前後の実質経済成長率を示しておる。たいへんに大きな食い違いを来たしております。こういうのは政府があまり控え目に見ているんだから、もう少し正直にしたらいいのじゃないかというような意見が述べられております。そういうことやなんかと関連して、八%だ、九%だというような、いままでの政府がある意味で公式に発表しているような形でなく、去年も一三%でした、ことしもいまの状態ではおそらく一三%以上の経済の実質成長率じゃないかと思いますが、当面の経済の成長あるいは中期経済の展望、そういうものについて、これは簡単でけっこうでございますが、ひとつお考えを聞かしていただきたい。
○福田国務大臣 いま政府の長期計画としては国土総合開発計画というのがあります。これは二十年にわたる長い展望のもとに立って、日本社会は大まかにいってどうあるべきかということを検討した、その結論なんです。それは長い先を考えてのことでございますから、具体的の経済の年々の仕事とはそう直接的には結びつきません。これは方向として結びつきを持つということですが、もう少し現実的な政府の施策との結びつきのあるのは経済社会発展計画であります。 この経済社会発展計画は、ちょうどいま三年目になりますか、これが発表されてから三年目になる。ちょうどいま中間の段階でありますが、いまお話がありましたように、この展望と実績の間にたいへんなそごが出てきておるわけであります。これはやり直さなければいかぬということに考えておるわけであります。このやり直しの作業をいま進めておる段階でございます。いずれ作業が進みました段階でまた申し上げる機会があるかと思いますが、いままでのものをやめてしまって全然置きかえるのか、新しい計画をつくるのか、あるいは修正というような形にいたしますか、その辺までまだきまっておりませんが、いずれにいたしましても、実質的には経済社会発展計画を修正する、これをまた指針として今後の施策を進めていく、かようなことに相なるだろうと思います。
○只松委員 いまの政府のいろいろな長期的な経済計画をやり直す、修正する、しかしこれはいまの状態からしますと、政府からいえばいいほうにといいますか、低く見積もっておったのをもう少し高く、こういうことのやり直しだろうと思います。 私は、こういうふうに経済が順調に伸びてきておる一つの大きな要因というのは、もちろんその底には日本の国民がきわめて勤勉である、あるいは皆さん方が社会保障制度を進められないで、それに関連して貯蓄率が高い、そういうこと、いろいろな要素があります。しかし、そういうものの要素の一つに、軍事予算がきわめて低い、こういうことがあろうかと思います。あるいはそういう防衛関係の予算が低いから、産業構造の中でも軍需産業というものが、アメリカからはもちろんでございますけれども、イギリスや西ドイツ、そういうところから見て、きわめて軍需産業面が低い、こういうことが言えると思います。よく戦前は日本はいわゆる富国強兵といわれましたね、福田さんはこれに対しては反対だったと思いますが、アメリカは別な意味で、いま戦前の日本のような富国強兵の形だと思います。日本の現在の経済というのは、そういう戦前の日本の経済構造やあるいは現在のアメリカの経済構造と違いまして、そういう軍需産業の占める部面というのはきわめて低い、あるいは国家予算から見ましても七%前後で、私たちから見ればけしからぬということですけれども、皆さん方から見るならば、きわめてまだ防衛予算が低い、こういうことにあると思います。大臣はそういう私たちの考え方に対していかがなお考えですか。
○福田国務大臣 わが国は先進諸国に比較いたしまして、非常に高い成長率であります。ことにこの三カ年のごときは、先進諸国の三倍という高さの経済成長を遂げておるわけですが、その原因はいろいろあると思いますが、いま御指摘の防衛負担というものが日本においては非常に低いのだ、つまり軍事消耗にわれわれの生産物が充てられない、再生産のための施設に国の経済力、財力、そういうものが集中しておる、そこに大きな理由がある、かように見ております。
○只松委員 大臣も私の考え方と大体同じようでございますが、生産されたものが直接国民に消費される、国民生活を向上させるという面と、貿易で外国へ輸出している、それからいまおっしゃった設備投資なり再生産のための目的に投下されていく。賃金もわりあい低くて、私たちがいつも言っているように、西ドイツやイギリス等の半分、いわゆる低い。そういうことで、必ずしも国民の所得というものは高くない。貿易はわりあいに順調である。いま一つは、いまおっしゃったように、資本の再生産のための投下というものが非常に大きい、こういうことであろうかと思います、日本の経済の大きな特徴というものは。そういうことが、今日の異常な経済成長といいますか、経済の発展をもたらしてきておる原因ではないか。したがって、こういう日本のいまの平和憲法のもとにおいて、防衛費、軍事費、軍需産業を押えて、日本の経済を発展させてきておるこの体制というものは、私は絶対に変えてはならない。方向転換をしてはならない。このことは、いま一二、三%前後でずっと経済が大きな成長を続けていっておりますが、今後この国民所得を上げていくか、あるいはどうやって貿易をまた増大させていくか、あるいは資本投下を何%程度にやっていくか、こういういろいろな個々の問題もありますが、そこまでの時間がありませんから、そういう論議はきょうは多少しようと思ったが、できません。 ただ、全体として私は、いまの一口で言うならば平和経済といいますか、いわゆるアメリカや、戦前のそういう富国強兵の軍需型経済というものに絶対におちいってはならない。しかし、これはよほどうまくやらないと、私はあとで若干聞きますが、ちょうど臨軍費が可決されまして、急速に日本が軍国主義化をいたしまして、軍事関係の予算がふえてきたというふうに、沖繩なら沖繩の返還を契機としてそういうもののたがをゆるめると、危険な状態が、これは政治のやり方一つで再び日本にも来ないとは限らない。ひとつ私はぜひいまの平和経済——一言でいうならば、大臣はどういうふうなおことばをお使いになるかどうか、平和経済というのはいやであるかどうか知りませんが、とにかく私たちから見れば、この戦後現在までとってきた平和経済の方針というものは変えてはならない、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 諸外国の防衛費と国民総生産の関係を見ますと、アメリカが九・八%、フランスが五・三%、西独が四・三%、イギリスが五・七%、イタリアが二・九%、こういうふうになっております。わが国はこれに対して〇・八四%、こういう低位にあるわけであります。大体ずっとこういう趨勢で推移してきたわけですが、これが日本の経済の異常な高度成長というものに大きく寄与している、これは私はあなたの御指摘のとおりだと思います。この基調は変えたくない。軍事というか防衛費にあまり多くが注がれて、再生産に向かう投資が制約される、こういう行き方はよろしくない、この基調ですよ。福田がああ言ったから、〇・八%が少し変わったからけしからぬ、こう言われては困るが、しかし、この基調は変えたくない、かように考ええております。
○只松委員 防衛庁長官があとでお見えになりましてからにしますが、一・五が望ましい、あるいはそれはいきなりできなくても、そういうふうに努力するとか、いろいろなことを言われる。これもいわゆる韓国のように非常に経済規模が小さい、あるいは成長率が低いというようなところと、日本のように相当経済規模が大きくなってきている、経済の成長率が非常に大きいところ、いま先進諸外国のパーセンテージを引き合いに出されましたけれども、こういう国家、あるいはいま私が言う韓国や何かのように、もっとおくれた国、こういう国家との単なるパーセンテージの引き方というのはたいへん危険だろう。 いま一つは、防衛のあり方は、平和憲法のもとにありますからいわゆる専守防衛といいますか、防衛だけを専心心がけておりますね。攻撃というものがない。攻撃兵器というものは非常に高価なものにつくわけですが、こういうものがないわけですね。したがって、日本の陸上自衛隊は中国を除いてアジアにおける最強のものであるともいわれておりますように、防衛面における強さというものは相当のものがあるわけです。ただ攻撃用の大型兵器がないから、わりあい国民総生産に対しましても、あるいは国家予算に対しましても低くて済んでおるという特殊な現象もあろうかと私は思います。したがって、日本のこの防衛という問題をよく見詰めてかからないと、ただ一般的に普通の、いわゆる専守防衛でなくて攻撃用も——ここにきのう内閣委員会で発表されましたように、参考のものですけれども、徴兵までも行なう、こういう想定をした日本の防衛とは違うわけなんですね、日本の現在のこの自衛隊のあり方というものは。したがって私は、〇・八四%が諸外国なんかから見ると低いけれども、日本のそういう平和憲法のもとにおける、あるいは高度の経済成長を遂げていっているもとにおいては、必ずしもそう低いものではない。あるいは年々の防衛予算の累増というものを見ますと、相当大幅にこれはふえてきております、予算そのものがふえていますからね。だから、そういうことは基本的なお考えをお聞きいたしまして、私もまことに意を強うするわけでございますけれども、ただそういう数字だけの面ではなくて、日本の防衛の特殊な状態というものもさらにぜひ御考慮をあわせてしていただきたい。 そこで、これも参考までに聞いておきますが、防衛庁は一・五%にしたいとかなんとかいう要望もありますが、私は〇・八四が正しいあるいは〇・八が正しい、〇・九が正しいと言うのじゃありませんけれども、大蔵当局としては少なくとも現状よりもあまり上げることは望ましくない、こういうふうにお考えでございますか。それとも防衛庁が言っておるように、一%あるいは下五%程度のものがやむを得ない、こういう事態もあり得る、こういうふうなお考えでございますか。
○福田国務大臣 わが国はもうわが国でその防衛に責任を持つべきである、かたくそう考えるわけであります。わが国の防衛を他国に依存をしておるというような現在の状態については、これを逐次改めていかなければならない、かように考えておるのです。もちろん、わが国は何と申しましても憲法上の制約もあるわけであります。その制約下に置くことは当然でございますけれども、いわゆる自衛力漸増という方針を堅持いたしまして、逐次外国依存の体制から脱却をしなければならない、こういうふうに考えておるのです。 ただ、その際にやはり財政との関連が出てくる。それをどういうふうに考えるかというと、基本的には先ほど申し上げましたように、いまのこの財政の基調あるいは国民所得に対する問題というような基調的な変化をする必要はない、こういうふうに考えております。わが国の経済力は今後展望しますとかなり充実してきます。この充実した経済を背景とする財政の規模もまた拡大されていくだろう。その拡大された財政の中において自衛力の漸増という方針を進める、こういうことになる。パーセンテージをどこが適宜妥当であるということは、そのときの財政の状況、また国民経済の状況、そういうものを判断してきめなければならぬと思いますが、とにかく自衛力漸増という問題は、これは進めなければならぬと考えると同時に、その自衛力漸増をこなし得る財政力というものを逐次整えていくことが可能であろう、かように考えております。
○只松委員 いまの御発言にいたしましても、自衛力漸増、次期総理を目ざされる福田さんとしてのこれはきわめて重要な発言でございます。ほんとうはこういう中身をもっと突っ込んでいきたいのですが、さっきから言うように時間が限られておりますから、そこで具体的にそういう問題の一つをお尋ねしますが、たとえば自衛力漸増あるいは四次防、こういうことばも出てきておりますが、関連して日本の軍需産業のあり方、育成といいますか、どうやっていったらいいか、こういうことが当然に問題になってまいります。 軍需産業というのは御承知のように、私が申すまでもなく、一ぺんすべり出せばなかなかとどまるものではない。業者としては一時的に戦車や飛行機や何かばっとつくってばっとやめられたんじゃかないませんから、長期的な安定あるいは軍事費の増大の継続を当然に求めてまいります。いろいろな圧力をかけてまいります。あるいはまた現在の、たとえば四十一年度の軍需予算の発注高を見ましても、その六二%が二十五社に限られております。こういうふうに軍需産業というのは特定のものに片寄っています。アメリカの場合でも、約一〇%近くに及ぶ国民総生産高の中の軍需生産というものも六十何社に限られた、片寄っておりますね。こうやって特殊の会社が政府とくっついた産業を伸ばしていくといいますか、そういうことになります。あるいはこの価格の形成にいたしましても、いろいろな不純な形成というものが出てまいります。あるいはいまの第三次防にいたしましても、四百九十億円の技術開発費の中の三百三十億円が民間へ流れる、こういうことになっております。時間があればこういうことの一つ一つをお答えをいただいて論議をしようと思ったのですが、時間がないからまとめてぱらぱら言っておるのです。 こういういろいろな部面を見ましても、この軍需産業の育成というものは、昔は軍需産業を育成して戦争をすれば技術開発がされて、日本の国家の産業が繁栄するのだ、こういうことをいわれておった。しかし、さっきから大臣もお認めになって、私も言っておるように、現在のような日本の異常な発展は軍需とは無関係だ。軍需産業を発展させなくて、軍事的な技術開発をしなくても日本の産業というものがこうやって大きく繁栄するのだ、技術が開発されるのだということが平和産業の中で明らかになった。しかし、なおかつ軍需産業というものはそういうことを主張しながら政府に予算の増大を求めてまいります。その買い上げは一方的に政府が行なうわけですから、きわめて権力と密着してくる。こういういわゆる軍需産業に対して臨む場合に、権力者としては、当面の政治を握っておる者としては、よほど慎重であらねばならぬ、警戒をしていかなければならない。そういう軍需産業の育成や何かについて、ほんとうは財政、金融あるいは税制、そういう個々の部面からもずっとお尋ねしようと思ったのですが、大臣の今後のそういう軍需産業に対する総括的なお考え方を聞いておきたい。
○福田国務大臣 軍需産業につきましては、まず私は考えなければならぬことは、わが国の防衛当局は使用する装備その他の軍需資材、これはまずわが国においてこれを整える、こういう考え方をとりたいと思うのです。なるべくこれを国内において調達する。経済的というかコストの関係とか、技術の関係とか、やむを得ないものはしようがありませんが、しかし、特別の事情がないものは国内において調達する。それから国内において調達をする場合におきまして、軍需産業というものが一つの勢力化しまして、また、これが防衛力の増強に対する圧力というふうになってはならない。この点もまた配意をしていかなければならない、かように考えるわけであります。これが実施に当たる者はもとより防衛庁でございますが、大蔵省としてもそういう心がまえで当たっていきたい、かように考えます。
○只松委員 自主防衛ということをおっしゃいます。自主防衛の一つのまた大きな柱は軍需産業の育成ということに必ずつながってくるわけですから、その場合に金融で特別に措置する、あるいは軍需品をつくるのに一般のものと同じように特別措置を適用して税制面の優遇をする、こういうことは私は極力避けていかなければならないと思います。ひとつぜひ大臣におかれましては、そういう軍需産業なるがゆえに、あるいは軍需産業だけにそういう特典みたいなものを絶対に与えないように御努力をしていただきたいと思いますが、お考えを聞きたいと思います。
○福田国務大臣 これは先ほど申し上げました、なるべく外国のものは買わないようにする、国内においてこれを調達するという方針をどうしてもやっていきたいと思うのです。そういう考えから見まして、どうしても国内でこれに助成を与えて開発をしなければならぬというようなケースも出てくると思うのです。そういう場合はやっぱり、あなたのお話ではありますが、特別の助成措置ということも考えなきゃならぬ場合も出てくるかと思います。しかし、只松さんのおっしゃるところの意味合い、含蓄はよくわかります。そういう含蓄は旨としてこれをやっていかなけりゃならぬと、かように考えております。
○只松委員 いま前段として申し上げましたように、一ぺんこうやって癒着し始めますと、それからそういうのに援助や何かしてその産業を育成し始めますと、これはあとほったらかすわけになかなかいきませんから、結局めんどうを見なければならないということで、だんだん癒着ということになってくる。よほど歯どめといいますか、しっかりしておらないとずるずるそうなってくる。この圧力は強いですから、日本も戦前に例がありますし、ぜひひとつその点はお考えいただきたい。 では、せっかく官房長官や防衛庁長官もお見えなりましたから、そういう関連する面に問題を移したいと思います。 官房長官のほうが時間がお早いようでございますから先にお尋ねをいたしますが、さきに愛知外相が訪米をされました。その場合にロジャースと会談をされて、日本の防衛力の増大、いわゆる自主防衛の確立、したがって日本の防衛費の増大、こういうことを要望されたというような新聞記事が出ておりました。まあ外務委員会やほかの委員会でも若干そういうことの論議があったように聞いておりますが、何かそういうことがありましたのでしょうか。
○保利国務大臣 外務大臣が訪来されましたのは、とにかく沖繩県民並びに本土のわれわれ国民の願望を政府を代表して、端的に一九七二年度中に本土と沖繩を差別しない状態において施政権の返還を求める、望むという日本政府の意向をお伝えをいたし、そしてアメリカ側も日本のその願望というものに対してはよく理解をしてくれた。これからそれを足場にして話が始まるわけでございます。したがって、沖繩の施政権返還が実現しようと実現しまいと、日本の防衛というものは日本政府がこれを考え、国民が考えていくべき問題です。何か沖繩の返還とからんで云々というようには、総理の頭もそうではない。日本の防衛は日本国民並びに政府が考えるべき問題であるという立場、見解をとって、沖繩問題の処理に当たろうとしていることは、只松さん大体御理解いただいておるかと思います。
○只松委員 総理がやがて訪米をされるわけでございますけれども、その際にはある程度の——沖繩は極東の防衛のかなめでございますから、何といっても現在のところ、きわめて重要な防衛上の戦略拠点。これが日本に返還をされるわけですから、当然にアメリカ側としては、特に日米安保条約というものがあるということを想定すれば、沖繩を返せばそこに何らかの新たな、いわゆる現在の第三次防という次元のものではなくて、あとで防衛長官にお聞きしますが、防衛長官あたりは第四次防ということばもすでに使われておりますけれども、新たな日本の防衛構想というものを持っていかなければならないのではないか。そうしないと、なかなか話というものも具体的に進まないんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。そういう青写真といいますか、プログラムといいますか、そういうものが進んでおるかどうか、進んでおればひとつ総理にかわってそういうおおよその話でけっこうでございますから、お話しできる段階ならばひとつお話を、あるいはそこまで進んでなければ考え方だけでもけっこうですから、お聞かせいただきたい。
○保利国務大臣 何とかこの秋には佐藤訪米が実現できるようにということで、いまそれぞれの当局で準備を進めておるわけでございますけれども、日本の防衛計画、防衛方針、これは日本を代表する総理大臣でございますから、日本の安全をはかっていくためにはどういう見識を持っていかれるか、これは総理大臣の見識の問題だと私は思っております。もちろん、防衛当局においては防衛当局の任務達成の上からいろいろ勉強もされておられると思いますが、そういうものを総理が携行していって、こういうものだというような扱い方ではない。これはもう非常に高度な、やはり日本の安全に対する総理大臣の考え方というもの、これは総理大臣自身がその見識を持って臨まれるというものであろうか、私はそういうふうに考えておりますから、したがって、いまお話しのように、何次計画とかかん次計画といったようなものをさげていかれるというようなことではないと思っております。
○只松委員 時間がありませんから、詰めた話はやめまして、次に、沖繩が返還されると、沖繩にいろいろな施設がありますが、そういうものの一つに軍事的な施設がたくさんあります。この軍事施設が有償であろう、無償であろうというような論議がもうすでに起こってまいりまして、他の委員会では論議が行なわれております。官房長官として、いわゆる政府の責任者として、これもきっぱりしたお答えはなかなか困難な面もあろうと思いまするけれども、およその方向といいますか、まあ全部が全部無償である、あるいは全部が全部有償であるということではないと思います。有償の場合もあり得るとかおよそのお考えでけっこうでございますから、ひとつその方向をお聞かせいただきたい。
○保利国務大臣 この間外務大臣が訪米されましたときにも、そのお話はあんまり具体的な話題としては出ていないようでございますが、これはそれぞれ考え方もあろうと思いますけれども、とにかくいまアメリカの施政権下にあって、アメリカがあれだけの軍事基地を持っている。それに基地並びに基地に関連する諸施設、かなりの投資をしておるわけでございまして、みなただくれというような、そんなみみっちいことじゃ私はしょうがないのじゃないか。相当困難な問題でございましょうけれども、これは返還する、しからばどうするか、こういうものについてどうするかということが——それはしかしみなただもらうのだというようなことじゃ事は片づくものではない性質のものじゃないか。払うべきものは払うべきだ。どういう方法によって、どういう手段によって払うかというようなことが両国折衝の非常にむずかしい一面でもあろうかと思います。
○田中委員長 官房長官、けっこうです。
○只松委員 有田防衛庁長官にお伺いします。 いろいろお聞きをしたいのですが、きょう大蔵委員会で午前中国税通則法の一部改正案をやりまして時間がなくなりまして、そういうことではたいへん恐縮でございますが、また別な日においでいただいて、ゆっくりひとつ財政、経済、金融やそういういろんな面から防衛問題を論議さしていただきたい。きょうは時間がありませんから、さっきそういう点、幾つか大蔵大臣にお聞きしたのですけれども、そういうのを省略いたしまして、いま官房長官にお聞きいたしましたようなことから話を進めたいと思います。 いま有償の場合もあり得る、こういうことを官房長官が言われたわけでございますが、それについて何か具体的に防衛庁のほうでこうこうこういうものは、軍事基地はこうするのだ、あるいはナイキハーキュリーズはこれは買うとか、そういう点についてある程度検討を進められておりますか。まだそういう段階ではありませんか。
○有田国務大臣 沖繩が返還されますと、第一義的には日本の領土となるわけでございますから、自衛隊が国土防衛の責任を持たなくちゃならぬことは当然だと思いますけれども、それから先具体的にどうなるかということは、まだそういう折衝とかいう段階に入っていませんから、ナイキハーキュリーズがうちのほうにかわってくるのだとか、そのままいくとかいうようなことは、まだ何も具体的には話を進めておりません。
○只松委員 沖繩が返還になりますと、当然に自衛隊は沖繩を独自に守っていかなければならないという問題が生じます。沖繩を独自に守る。それからいわゆるアメリカの極東戦略、アメリカが一応撤退をいたしましても、やはり極東戦略の重要なかなめとしてこれを使用するでございましょうから、当然にそこにいろんな問題が出てくる。しかし、現在およそのところ想定されるものは、沖繩に陸上では混成一個師団、海上では一地方隊、それに哨戒機など、あるいは空軍が一飛行隊、三十機近くの飛行機が必要になるだろうと聞いております。さらにナイキハーキュリーズや何かミサイル兵器を譲り受ける、それを維持していく。現在百二十基あるといわれておりますが、これをそのまま使うならば、日本全土にあるナイキと同じ数のものが沖繩に備えられる、こういうことになると思います。そういう具体的な構想というものはある程度はできているようでありますか、いかがでありますか。
○有田国務大臣 先ほど言いましたように、まだ具体的にどうのという段階にはなっておりません。ただ、日本のいまの本土と同じように、一義的にはわが自衛隊が沖繩を守るという責任がございますから、これは当然だと思います。したがいまして、陸上部隊もある程度は置かなくちゃならぬ。また、海上自衛隊もやはり沖繩周辺、領海並びにその周辺を守っていく体制を整えていかなくちゃならぬ。空軍も同様でございまして、ナイキハーキュリーズとかホークだとかそれはどうだということは、それは沖繩自体を守る、そういうものでございますから、それは日本でやらなくちゃならぬということになれば、わがほうもやらなくちゃならぬということになりますけれども、その辺のところがまだいまから話し合いを進めていかなくてはならぬ問題で、これをどうするかというようなことは、わがほうとしてはまだ具体的には考えておらない、こういうことでございます。
○只松委員 内閣委員会で四次防について明年から作業を開始しなければならない、こういうことをお述べになったようでございます。四次防としての作業は明年度からか知りませんが、さっき官房長官ですから大まかなお答えで、政治的な問題というふうにお答えになりましたが、総理がやはり訪米される際には、おそらく新たな構想といいますか四次防といいますか、こういうものを何らかの形でアメリカ当局と話さなければならないだろう。そういう問題について、四次防の具体的な作業は明年からということになるか知りませんが、大まかな、佐藤訪米に携行する素材といいますか構想というものは、四次防について——いまおっしゃったように、沖繩をどうするこうするというこまかな問題は別として、大体のことはお考えになっておるようでありますから、当然にそういう防衛構想というものは必要だと思いますが、そういう点についてお話をいただきたいと思います。
○有田国務大臣 これは総理が訪米される用意だとかそういう性質じゃなくて、日本もここまで経済力も伸びてきたのだから、みずからの国はみずからの手によって守るという体制をつくっていかなくてはならぬ。ついては、具体的なことは四次防の計画に乗っていくわけでございますけれども、やはり方向としてはわれわれとしても常に考えなくちゃならぬというので、将来のいわゆる自主防衛ということばを使っておりますが、——率直にいっていままでは、いずれかというとアメリカに依存して、武器だって向こうから貸与を受けるというような形で自衛隊が進んだのですが、この辺でひとつ自分らの力によって、これを少なくとも通常兵器による局地侵略に対してはわれわれがやっていこう。もちろん日本には憲法の制約もあります。また、国民感情の上からいって許されないものもあります。そういうものがありますから、もちろんそういうものは安保条約によってこれを堅持していかなくちゃなりませんけれども、通常兵器による局地侵略に対してはわれわれの手によって備えなければならない。こういう姿勢で今後の作業も進めなくちゃならない、かように考えております。
○只松委員 自主防衛という抽象的なことばはそれだけで簡単なものですけれども、これはさっき大蔵大臣にも多少お尋ねしておったのですが、防衛費という金の問題ですね。大蔵大臣は、現在〇・八四%程度の国民総生産に対する比率でありますけれども、時間がありませんから繰り返しませんが、そういうことをできるだけ堅持をしたい、防衛庁当局は、あなたは大体一・五%とは言わないけれども、とにかくそのくらいが望ましいというようなことをおっしゃっておりますが、そういうことになれば、これは日本のようにいま高度経済成長でものすごいスピードで経済が拡大発展しているというときに、一%とか一・五%とかいうことになりますと、これは膨大な予算になってくるわけであります。これはたいへんなことになるわけですから、大蔵大臣がおっしゃったようなことで御了解をあなたのほうではいただけるのか。いや、それは大蔵当局けしからぬ、おれのほうではたくさんの金が必要なのだ、自主防衛はできやしないじゃないかということで、最低一%以上一・五%くらい確保しなければだめなんだというお考えですか。
○有田国務大臣 私は、国民総生産の何%というようなことは結果的にくることでありまして、初めからそういうことをきめて防衛計画を立てようとは思っていません。少なくとも、先ほど言いましたように、四次防計画を具体的にやりますときには、いわゆる積み上げ方式といいますか、たとえば陸海空三軍の中を見まして、海上自衛隊があまりにもおくれておるじゃないか、やはりその均衡をとる意味におきましても海上自衛隊をもっとふやさなくちゃならないとか、いろいろなそれぞれの立場から積み上げ的に検討しまして、その結果予算の要求をやり、四次防計画の要求をやるわけでございます。それは大蔵当局のいろいろな見解もございましょう。その結果何%になるかということが出てくると思いますけれども、そういうことは民生のいろいろな問題があるからそれに支障を来たさない、この限度であればやれるという結果的なことでありまして、初めから何%ということを考えてやるわけではないのであります。
○只松委員 時間がなくなりましたので、いまから本論に入るところをここでやめなければならぬのはたいへん残念に思いますが、一つ最後に大蔵大臣に、官房長官も有償の場合があり得る、こうおっしゃいましたけれども、これもいまからよく計算しなければならぬと思いますが、私もこれは有償で多額になった場合には、臨軍費ではありませんが、一つの軍事予算の増大のきっかけになる可能性もあると思います。そういう面からもこれはよほど慎重に扱わなければならぬという考えを私は持っております。おおよそ幾らぐらいになるか、また、それはわからぬけれども、幾らぐらいまでならば出せるのか。ある新聞によると発電所程度だろうということを大蔵大臣がおっしゃったという記事が出ておりますが、そういうお考えもあるのですか。 それからまた、だいぶ先ばしった話になりますが、沖繩に現在流通しているドル通貨等の問題についてはどういう対策をおとりになるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 ただいまはお話のような問題は具体的に何一つとして話し合いにはなっておりませんです。 それから、当方として少しいろいろ勉強もしてみたいと思うのですが、これも軍事施設全部が向こうの手にあるわけでありまして、これは内部に立ち入るすべもないというような状態であります。いずれそういうことが向こうのほうの手から明らかにされる時期があると思います。そういう基礎的な資料をとらえた上いろいろ考えてみる、こういうことになりますが、ただ官房長官がいま申し上げました有償のものもあり無償のものもあるというお話でありますが、私としてはなるべく日本国の負担は少なくしたい、こういう姿勢でやっていきたい。 それから、いまの通貨の問題、これもいずれ処理しなければならぬ問題です。問題でありますが、これもどのくらいのドルがあそこで流通いたしておるのか見当もつきません。これは小笠原の場合もあり、奄美大島の場合もありますから、そういうような先例等を考慮して適正に処理するという考えであります。
○只松委員 時間がありませんからこれでやめますが、一番最初に述べましたように、こういう問題は当委員会としても近ごろとしては初めてでございますので、ぜひこういう問題につきましても論議をもう少し深めさせていただきたいと思います。また他日こういう問題についてひとつ質疑を行なわせていただくことをお願いいたしまして、本日は、私の質問はこれでもって終わりたいと思います。
○田中委員長 次回は、来たる七月二日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十六分散会