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61回国会衆議院1969/06/24

大蔵委員会 第40号

発言数
219
登壇者
12
会派数
2
開催日
1969/06/24

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の国税通則法の一部を改正する法律案及び広瀬秀吉君外十一名提出の国税審判法案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 通則法の一部改正の論議がずいぶん行なわれてきたのでありますが、いままで各委員の論議を聞いている中で、その機構の中身の問題、行政機構組織運営に関する問題は、ずいぶん論議をされたように思うのです。しかしながら、その不服審査の中身、手続の問題については、まだこの論議が十分に行なわれたとば思わないのであります。きょうは一応その問題について重点的に質疑をしてまいりたいと思います。  そこで、まず初めに、いままでの論議を聞いている中でどうもはっきりしないといいますか、そういうような行政機構上の問題点について、若干この法律の条文解釈の問題ともあわせてお尋ねをしてみたいと思います。それは九十八条、九十九条の関係なのですが、いわゆる裁決機関でありますこの国税不服審判所において所長が「裁決をする場合には、担当審判官及び参加審判官の議決に基づいてこれをしなければならない。」、だからこれは、「議決に基づいて」でありますから、議決によってやるのではない。「議決により」というのだったら、このとおりやらなければならないけれども、「議決に基づいて」ということになりますと、これはやはり審判所長というのが、行政権的には専決権といいますか、そういうものを持っておる。しかしながら、審判所という形態をとる以上は、そこにおいては多数決の原理といいますか、その合議制に基づいて行なう、こういうようなことから「議決に基づいて」という形をとったのだろうと思う。そうなった場合に、この「議決に基づいて」という解決は、議決というものに基礎を置くわけですから、それからかけ離れたものは違法だ、こういうことになろうかと思うのです。そのときに、もう一つの九十九条は、これはこの前論議をされましたが、「国税審査会の議に付し、その意見を尊重し」——まあ「議に付し、」というのは、意見を聞くために議に付するわけで、その結果を尊重する。これはどちらのほうが法律的に強い縛り方をするのかという論争がこの前ありました。そのときに、「議に付し、」そうして尊重をするというほうが強いのだ、「基づいて」というのよりも強いんだという解釈が、吉國主税局長からありました。荒井法制局第三部長もそれに類することを言われた。しかし、私は、この問題はなぜそういうようなふうになるのか、どうも意味がわからないのであります。  それは、「基づいて」というその規範的な意味というのは、審査会あるいは審議機関というようなものの権威というものを尊重するという意味においては、権威を高からしめるという意味においては、やはり「基づいて」という形にするほうがその権威としては強いんじゃないか。いわゆる「議に付し、尊重して」というのは、運用面から見た場合の拘束力の程度を示すものにはなるけれども、しかしながら、それはあくまでも専権を有する国税庁長官の指示権というものの訓示的な一面をあらわしているにすぎないのであって、どうも「議決に基づいて」というほうが弱くて「議に付し、尊重して」というほうが強いんだという解釈は、あとあと問題が残るのではないか、こういうふうに私は考えるのですが、この解釈について提案者である大蔵大臣はどういうとらえ方でお出しになっているのか。大臣の見解をお尋ねしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 村山さんのお尋ねを要約しますと、合議制の立場を尊重するのかあるいは専決制の意見というものをより大きく尊重するのか、こういう御質問かと思うのでありますが、精神としては合議制をとる、こういうたてまえなんです。それを法律的にどういうふうに表現するかということになると、私もあまり得意じゃないのですが、精神はあくまでもそうだ。ただ、合議制にいたします場合には、合議制そのものから迅速性を欠くというような欠陥がややともすると見られるということがありますが、その辺は運用において気をつけてまいりたい、こういう精神で法ができておる、かように御理解願いたいのでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 答弁にならない答弁をしておられるように思うのですが、いまの協議団の方式はどうなっておりますか、吉國主税局長。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 現在は、国税局長は協議団の議に基づいて裁決を行なうことになっております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 裁決をやる場合には、議決がノーだと出たときに、裁決でイエスということができますか、できませんか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 原則としては、「議決に基づき」と申しますのは、議決に基礎を置いてという意味でございますから、原則としては議決の方向に従うべきものであると思います。ただ法律的に申しますと、基礎を置いてという意味において、議決と異なる裁決はでき得るというのが、「基づき」という制度の解釈として一般化しておると私は思っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そうしたら「議に付し、尊重して」という場合がイエスだといった場合に、それはノーだ、こういうふうにできますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 先般私が申し上げましたのは、立案者としての考え方といたしましては、もとよりこの審査会の議に基づき、しかもこれを尊重するという趣旨であるということを申し上げたわけであります。そういう意味で私は私なりに考えますと、基礎としてやるんだけれども、それにはやはりこの審査会を尊重して基礎としてやれという趣旨であるという意味で強いと申し上げたのでございます。そういう意味で私は、「尊重して」というのはそれだけ拘束力が強いというつもりで立案をいたしたわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 拘束力が強いか強くないかを聞いているんじゃありません。「議に付し、尊重して」といった場合には、イエスというふうに議決がなされた、それをノーということが裁決の場合にできるのか、できないのか、これを聞いております。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 理論的に申しますと、「議により」ということになっておりませんから、その可能性はある、ポシビリティはございますが、「これを尊重して」という制度の趣旨から申しますと、プロバビリティはないというつもりでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そうしたら国家行政組織法上は、イエスだノーだということを長官が有権的に専決権として持っているのではありませんか。とするならば、法律用語の適用解釈としては、これは「基づいて」という解釈でも、そういうふうな表現でも、あるいは「議に付し、尊重して」という表現であっても同格じゃありませんか。私は、そういうふうに法律解釈というものはすべきだと思うのですが、荒井三部長、いかがですか。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 「国税審査会の議に付し、その意見を尊重してこれをしなければならない。」という表現で二つの用語を使っているわけでございますが、それはもちろん「議に付し」という要素と、それから「その意見を尊重する」という二つの要素でございますけれども、普通、合議制の機関の議決とそれから最終的に決定権を持つ機関との間について、いろいろな法律用語があるということを前回申し上げましたが、その場合に「議に付さなければならない」あるいは「議を経なければならない」というだけで言い放す言い方もあるわけでございます。その場合に、その議に付しさえすればいいんだ、あと結論は何もそれを参酌しないでいいということは毛頭ありませんので、「議に付さなければならない」あるいは「議を経なければならない」という場合においても、その合議制の機関の議決の中身についはそれを十分参考にし参酌して処分をしなければならないという趣旨がもうその中に内在しているというふうに理解されるわけでございます。この九十九条の第二項におきましては、それにさらにつけ加えて、その意見を尊重しろということをいっているわけでございますから、普通の合議制の機関の議決にかける——かけるという意味は、それを合理的に参考にし、それを十分くみ取ってやるという意味がもうそれ自体の中に入っている上に、かてて加えてその意見を尊重しろということを書いているわけでございますから、その「基づき」と書いた場合の程度の差はどうかという点は非常に微妙でございますけれども、それと同等であっても下ることはないという理解をするわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 では、一番強い表現は「議決により」というのが一番強い。これはいわゆる専決権を否定をすることになりますね。そうすると、「議決に基づいて」とかあるいは「議に付し、それを尊重して」というような表現のものは、これは法律の規制上は同格だ。ただ趣旨の中身についてどういうニュアンスを持っているかというそのとらえ方だ、私はそういうふうに考えるわけです。  その次に、意見を聞かなければならないとありますね。こういうのは反対に運用上の問題として諮問者の主体性というものが十分に確保されている。こういうようなとらえ方からしますと、「議に付し、その意見に基づいて」というのは、たとえば外務公務員法の表現の方式もあるわけですね。ですから、ここに出されている「議決に基づいて」あるいは「議に付し、尊重して」というような表現の方式があるけれども、それは現在、長官、国税局長に裁決権が与えられている現行法令と比較をした場合には、これは幾らか組織法上の権限というものをセーブはするけれども、しかし最終的にはセーブするものではない。気持ちの上では尊重してやるんだけれども、専決権というものは長官に依然として残っている、こういうことですね。そうなってくると、長官は一体どういうような執行の方針をもって対処するのか、こういうことになろうかと思う。法律上それは尊重しなければならないというのは訓示的な規定にすぎないということになってきた場合には、執行権者としてあなたはどのような方針に基づいてやるかということが、それが一つの歯どめになる以外にない、私はそういうように思う。その点はいかがですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 この法律が通過いたしました暁は、私はもっぱらその審査会の意見を文字どおり尊重してやりたい、かように考えております。  ちなみにこういったいろいろ文言を使いますのも、何度も主税局長から御説明申し上げましたように、やはり行政不服処理の仕組み、したがって国税庁長官が片や決定するとともに、こういった不服の処理もしなければならないという二つの仕事を長官としては持っているわけでございまして、その不服の処理の仕事を一括今回の不服審判所長に基本的にはまかせる。しかし、権限としては持っておりますから、こういった表現にはなろうかと思いますが、事実上この不服審判所ができました以上は、十分この意見を基本的にはもう——かりに通達をもちろん批判されるような意見がいろいろ出るかと思いますが、十分むしろそれにこたえる。また逆に、そういう意見が出ました場合には、通達そのものを改正するというような措置を講じてまいりたい、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこでもう一つは、審判官になりあるいは副審判官なり、調査官ですか審査官ですか、それから事務官というのですか、何か審判を行なう以外の事務を取り扱うそういうような職名のものを置かれるようだ。そこでこの前から審判官についてはこういうような者を充てるのだというようなことで、省令等のあるいは政令等の中身についての説明があった。ところがいま協議団を構成するその職員の実態面からながめてまいりますと、どうもその人たちが、協議官が審判官になるような仕組みにはなっていないようでありますね。せいぜいなれて副審判官、それから大部分は審査官、そういうようなふるい分けをしなければならないような行政職員の俸給別の定数表が出されておる。とするならば、その副審判官というのはどういうような人をもって充てるのか、審査官というのはどういうような人がこれに該当するのか、事務官というのはその職務内容はどういうふうになっているのか。現在の定員との関係においてこの点をはっきりしておきませんと、職場におけるところの切りかえにあたっての不満あるいは不安というものが非常に出てくることは間違いない。そこで、それらの行政機構上、現在協議団として働いている人たちをあなた方はどのような形に持っていこうとしておられるのか、それについて説明を願いたいと思います。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 法律の上では審判官、副審判官、審査官、それからいろいろ事務官というものがございます。現在は御存じのように、協議団本部長、それから主任協議官、それから平の協議官、まあ協議官の上には相当等級ごとの開差が実はございます。そこで、現在の協議団本部長その他とこれとを具体的に結びつけていいますと、たとえば東京、大阪のような相当審判官の多いところでは、首席審判官の下に、部長審判官とわれわれは呼びたいと考えておりますが、部長審判官、それから普通の審判官、それから副審判官、審査官といいますか、現在の協議団本部長が多分首席の次の次席、あるいは部長審判官という格づけになるのではなかろうか。それから現在の協議官が、高いほうの人は審判官あるいは副審判官、それから低い級別の人たちは、あるいは今度できます審査官というものに格づけされるということになろうかと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 現在、協議団の職員は、国税庁から国税局支部に至るまで合わせて四百九十二名ですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 予算定員は四百四十九名でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 それは違うでしょう。それは今度の国税不服審判所の官職別定数表が四百四十九名でしょう。だからいままでの分はどうなっておりますか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 私は、予算定員を申し上げましたので、先生のいまおっしゃいましたのは実員かと思います。それで四百九十二名が現在は四百八十三名に相なっております。  ちなみに、補足説明さしていただきますと、現在の協議団の中で、苦情処理といいますか、成規のこういう手続でなくして、一般的な税金の苦情を、これは期間を通過したとかいうことを抜きにいたしまして、いろいろ苦情の受付、またほんとに気の毒な場合には何らかの判断をして措置をいたしておりますが、こういった苦情処理の関係に現在三十五名前後従事いたしております。  ちなみに、不服審判所ができますと、この苦情処理の体制、苦情処理の仕事は不服審判所の仕事ではなく、一般の国税局、税務署段階で処理しなければならないということに相なります。したがいまして、その苦情処理関係の人を差し引きますと、今度の予算定員の四百四十九名近い人たちが現在審査の処理をやっているが、それとほぼ同様の人数をもって新しい制度の仕事に移りかわりたい、かような仕組みになっております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしますと、いまの税務相談ですね。これがいわゆる苦情処理といわれる中身ですか。というのは、いままで国税不服の申し立て関係と、それから税務相談というものにあずかっておったのが協議団の仕事だったと思いますね。それが苦情処理ということになりますと、不服の申し立て、異議の申し立て、そういうようなものも苦情処理だと思うのですが、いまおっしゃる意味の、私が尋ねておる税務相談という中身のものと苦情処理というものと同義語に解してよろしいのですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 その点は若干区分してお考え願いたいと思います。税務署では五の日を税の相談日といたしまして、いろいろ一般的な税の相談、たとえば譲渡所得関係についての課税関係はどうすればいいかというような相談を数多く受けております。おそらく現在八万件にのぼる相談を受けておりますが、これはむしろ一般の職員が常時通常ベースの仕事としてやっております。  私がただいま申し上げましたのは、非常にむずかしい事案で、たとえば期間が徒過してどうにもならぬけれども、もう一ぺん見直してみてくれぬかというよう事案が、そう数は多くはございませんけれども、若干ございます。  それからまたもう一つは、テレホンサービスというのを近ごろやっておりまして、特に東京局、大阪局——東京局あたりではたいへん人気がいいのでございますが、一々税務署へ行かれてはたいへんでございますので、電話でいろいろな質疑に答えるという仕組みをしてサービスいたしております。この東京国税局の六名でございましたか、これはほとんど昼めしも食えないくらいの忙しさで電話の応接をやっておりますが、これは全部協議官が当たっております。しかし、新しい不服審判所の中では、テレホンサービスのような仕事を不服審判所につけるというわけには相まいらないので、これは東京国税局の総務部に行きますか、局の仕事と割り切らざるを得まいかと思っておりますが、そのような人たちのことを考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そうすると、現在税務相談所として三十三人ですか、四十四、うち支部三十三、こういうような税務相談所というものに協議団の現員を振り分けているのじゃないのですか。われわれが聞いているのは、こういうような配置区分になっているように聞いているのですが……。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 先ほどちょっと八万というのが税務所の関係と申し上げたのは間違いでございまして、この税務署関係のやつは非常にあるのでございます。先ほどの八万は協議官として苦情処理に応じている件数でございます。ただ、八万といいますと非常に多いのですが、いまの電話での一一応接を一件ずっとやっておりますので、テレホンサービスの関係は約七万一千五百、七万をこえるこのテレホンサービスを中心にいたして、それぞれのまたむずかしい苦情の処理その他に当たっております。  それで、私が先ほど申したいわゆる五の日の税の相談というのは、むしろ税務署が、普通の職員が当然の自分の仕事の一つとして、五、十五、二十五という日をきめまして、いろいろ最近の税法がむずかしゅうございますので、一般の税法の面、あるいはたとえば相続税の申告のしかた、特に不動産関係の課税面が多いのでございますが、そういった面の相談に懇切に応ずるようにということで指導しておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 その三十数名というのが税務相談所のほうにくぎづけになっていることはないのですね。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 それは現在なっておりません。みんな大体局におりまして、それでいまのテレホンサービス並びにむずかしい苦情の処理に当たっております。ちなみに、そういった苦情の処理は庁でもやっております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしますと、いま実員としては現在員が四百八十三名だ、そのうち四百四十九名が不服審判所の職員定数になるのだ。そうなりますと、あと余ったのはどうするのですか。そこで、それのいわゆる配置計画の問題と同時に、副審判官というのは、どういうような人を副審判官として審判官の職務を代行させるのですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 副審判官を参加審判官に具体的に命ずるのは、やはり所長あるいは首席審判官が個々具体的なケースに応じて判断するかと思いますが、要するにたてまえとしては、副審判官も参加審判官としてその合議に参加し得るということで、副審判官のうちのやはり経験の深いまた知識の高い者がそういうものに指定されるケースが多いのではなかろうか。ただいまのところは一応抽象的にお答えするほかはないのであります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 やはり審判官というのが、学識、資格からいってこういうような資格を持っておる人がなるのだ。そうすると、副審判官もただ給料が高いだけでなるのじゃないでしょう。だからいまの級別俸給体系というものが、やはり年功序列型の賃金体系というものが一応あるわけですから、長いこと勤務しておったら給料は高いわけですね。そういうような給料の高い人が副審判官になるというふうにきめてあるのですか。そうではないでしょう。やはりそこには基準がなければ、ふさわしい人でなければならないはずだ。それは何も書いてないわけですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 率直に申して、今回の不服審判所の審査官を含めて副審判官、特に審査官というような手足をある程度使わなければいけないということは、理想としてはやはり通達の解釈、そういう面が中心として出ればよろしいかと思いますが、やはり現実問題としては相当事実認定の問題が多数出てくるのではないか。そういたしますと、やはり直接事実関係その他を調査しなければならないということで手足が必要になってまいります。したがいまして、こういった要員はやはり税務の長く経験のある、現在局あるいは税務署で働いておる人たちを主としては活用せざるを得ないということになろうかと思います。  審判官につきましては、広く民間の人からの活用も考えたいと思いますが、副審判官、審判官というクラスにつきましては、相当現在税務で働いておる人たちを大部分は起用するほかはないのではないか。またそういった人たちを不服審判所に持っていきますときには、十分識見、力量、そういう点を見きわめまして、でき上がった不服審判所が法の期待するとおりに運営できますように、適材を選んでこれに配置したい、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そうすると、現在協議官の人たちはスムーズに、新しい審判官なりあるいは副審判官なり、審査官なりあるいは事務官なり、そういうふうにうまく振り分けができるお見通しがあるわけですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 現在の協議官が全員不服審判所に移るものとは考えておりません。ある程度現在の協議官でまた第一線の署長あるいは課長に帰っていく人が出てまいりましょうし、また、現在第一線で働いておる人の中でやはり不服審判所要員として適当だと思われる人があらためて入ってくるという、双方入りくりがあろうかと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしますと、裁決機関である不服審判所の職員が執行機関である現業官庁のほうに転出する。それで、その執行機関からまた裁決機関へ将来においても人事の交流というものをやるわけですね。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 率直に申して、副審判官、特に審査官につきましては、人事の交流を基本的に考えざるを得まいと考えております。審判官以上につきましては、やはり人事交流が全くないというわけにはまいらないかと思いますが、基本的にはやはり本来のこの不服審判所を極力独立性を保たしめるという意味で、審判官以上の人は原則としては交流をしない。同時に、ここには民間の方々も入っていただきます。原則的には交流をしないようなことがいいのではないか、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 私は、裁決機関というものが行政の面で独立性を保っていく、執行機関からの独立性が保障されなければ審理、裁決の公正というものは期待できないと思うのですよ。そういうような意味において社会党は案を出しておるわけなんだが、しかし、かりに、政府原案を見ていった場合に、それじゃ運用の面において公正が保たれるように考えていきましょうということを言われても、いま人事の異動関係を一体どういうふうに考えるのだと言ったら、審査官なり副審判官というものは執行機関との間の交流をやらないわけにはいかぬ、審判官だけはできるだけやらないようにしたい、そういう程度の歯どめしか現実には考えられないわけですね。現実にその協議団の構成員になった人は、おれたちは協議官という仕事をやっているけれどもその中身は執行機関よりも身分的に左遷をされたというんですか、そういうような気持ちにとらわれている人が多いようにわれわれは聞いているわけです。そうなると、裁決機関に来る人の場合はあまり喜んで来たがらない。それよりも執行機関に残って管理職の地位にのぼっていこうというように考えておる人がおるだろうと思うのです。そうなると、いまは入れかえをやって適当な適任者を不服審判所に配置をした、現在の配置をした時点においてはいいでしょうが、それが何年かたっていくと、だんだんまたおば捨て山のようになってくるのではないかということや、あるいはまた人事の交流をやると、今度は国税庁のほうの行政執行機関のほうから左右されるというようになってきて、結局発足した当時は非常に新しい気持ちで取り組んでも、やがては官僚の行政機構の中に完全に巻き込まれてしまって、そして公正な裁決機関としての機能を喪失する心配があるのじゃないか、そうさせないという担保力はどこにもないじゃないか、こう言われたときにどういうように答弁しますか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 そういうようなお話もありますだけに、私どもは今回の特に所長、審判官の格づけを高めておるわけでございます。首席審判官は現在の国税局長と同格、所長はわれわれと同格という感じにあえてしているわけでございます。  ちなみに、審判所の主たるポイントは審判官というものが中心に運営されるわけで、副審判官それから審査官というものは手足であるわけであります。したがって、やはりこの機構が生きるためにはある程度の交流が必要だ、しかし、同時にこの独立性を保つという意味で、審判官についてはその格づけを高め、そして、そのかわり交流は原則としてないということが行政段階における最善の措置ではなかろうか、私はかように信じておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 格づけを高めるのはいいでしょう。しかし、いまあなたは、審判官が中軸になって不服審判を公正にやっていくのだ。しかし私は、現在の不服審判所に持ち込まれるであろう件数を想定し、それから不服審判所の官職別の定数表から見た場合には、やはり副審判官も参加審判官として用いない限り、九十名の数で処理をしていく、それが中心になって、副審判官等は手足として動いていくのだとおっしゃっても、実際上の業務の処理は不可能ではないかと思うのですが、それが可能だという説明をしてみていただきたいと思います。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 当然副審判官を参加審判官としなければならない事態が多かろうと思います。しかし、こういった問題の処理は、やはり基本的には、ある程度の交流はやむを得ないといたしましても、審判官以上については交流をしないという考え方でもっていくということで、私たちがこの不服審判所の独立性を保っていこうという考え方はいいのではないかと思っておるのですが、若干の副審判官が参加審判官になるからといって、その点をあまりぎしぎしおっしゃるお気持ちはどうもよくわからないので、やはり審判官の交流というものは原則としてないというところに独立性を保ちたいと私は考えておるわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 あなたは何か感違いしているのじゃないか。ぼくは人事の交流をやりなさいということを言っているのじゃないんですよ。やるべきでないという立場から言っているのでして、審判官も副審判官も、そのほかの執行部局に回したらだめだと言っているんですよ。だから、審判官を交流させなさいなんということを言っているのではないのですから、その点は間違わないようにしていただきたい。  私が言っているのは、現実の処理問題として考えたときに、税務職の審判官の数が九十名しかいない。そのほかに首席審判官なり次席審判官を合わせたら十一名、所長がもう一人ですか、そういうようなのはいるとしても、それくらいの人数では、それが中心になってさばいていくのだとおっしゃるけれども、副審判官を入れなければ処理ができないでしょうと私は聞いているんですよ。だから、参加審判官として審判参加をしなければ処理ができないような件数ではないのかということを尋ねておるわけですから、それに対してあなたは的確な答弁をしてもらえばいいのであって、審判官の人事交流をさせるななんということを妙なふうにとらえて反対解釈をしてもらっては困る。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 スタートいたしましてどういう姿になりますか、現在一万件ぐらいの審査請求がございますが、若干減る傾向にございます。それから毎々申し上げましたように、移行の過程において非常に混乱があってはいけないということで、現在未決の一掃に努力をいたしております。そういったことで若干この件数が減ってくる。また、先ほど来申し上げておりますように、今回の審判所の設置は、単に不服審判所の問題だけでなしに、税務署での異議の申し立てというものを迅速に処理していくということを含めて考えておるわけでございます。  それで、現在のこの予算定員の算定は、一応審判官を中心に処理してもまかなえるだろうという推定のもとに計算はいたしております。しかし、率直に申して、やはり副審判官の参加審判官としての指定を避けるわけにはいくまい。しかし、それが何名になるかは動き出してみないとちょっとわからないという事情はひとつ御了承願いたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 いま四百八十三名ですか、おる実員が、今度不服審判所になって、所長や審判官等は格づけもずいぶん上がりまして、そして四百四十九名という定員で今度は処理していこうというのですから、いままでよりも能率的にずいぶんスマートに処理をしていかれるようであります。とするならば、あなたが言われる、審判官を中心にして処理ができるのだ、ただ足らないところを副審判官で埋め合わせていくのだというのだったら、一体この四百四十九名でどれだけの処理をやろうということで、一審判官はどれだけの機能、能力を発揮するものとして積算をされたのですか。その数字を承りたい。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 これから起きる事件を推定し、一人当たりどれだけ処理をするかということはなかなか困難なことでございますが、やはり事実審、それから法律解釈、いろいろな事案が混在してまいりますので、処理する考え方としては、審判官、副審判官、そういう頭数を込みにして考えておりますが、一応四十五年度の審査請求の発生件数は一万二、三千件ではなかろうか、それを年間一人当たり調査処理する件数が四十件前後ではなかろうか、そういうことで一応所要の人数が三百五、六十名——これは具体的なケースによって審判官と副審判官がどういうからみ合わせでやるというようなこまかい作業をいたしましてもなかなか現実離れいたしておりますので、この積算のあれは一応頭数で考えておりますが、大体三百五、六十名要るのではないか。そのほかに、特に法律解釈や通達の見直し、そういった関係でいきなり中央に来るのもございましょう。こういった件数を便宜百四十件、これでこの分については年間一人当たり十三、四件ぐらい処理できるのではないかということで、中央の処理要員を十名というような積算の根拠はいたしております。  しかし、いずれにしろ、私は一番のポイントは、こういう積算で一応一月から三月までの三カ月間の予算を組んでおりますけれども、今後の未決件数の一掃の作業の進み方、また、税務署の異議処理の体制の整備のしかた、こういったことによって現状で間に合うかどうか、常に見直していかなければいけない、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 現在実人員が四百八十三名、四十三年度までの人数というのは四百九十二名おった、そして国税庁の協議団と国税局の協議団とに分かれて仕事しておる。それが年を経るごとに、異議申請なり国税の不服審判申し出というものは大体多くなってくるのだというふうに考えなければならない、傾向的には多くなってくる。それを今度は四百四十九名という定数で処理していこうというのですから、非常に能率が上がることになるわけです。能率が上がるということはけっこうなことですが、一面において今度は国民の権利救済という面から見れば、能率的に処理されて、もうおまえのやつは法律の条件を満たしていないからというので却下されたらたいへんなことです。だから、これだけでやっていけるのだ、いま大体一万二千件ないし一万三千件を一人四十件くらいずつ処理していくものとして積算をしたという話がありました。いままでよりも能率が上がるというのはどこに何があるのですか、どういうところを改善するわけですか、格の高い人が来たから能率が上がるということになるのですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 これはやはり先ほどのように、異議の申し立ての段階での処理をより的確にやるということで、若干不服審判所に上がる件数も減ってくるのではないか。それから残念ながらいままで未決、未決で年を繰り越しておりますが、今回は特別に税大の本科を卒業した者を、夏の定期異動まで協議団に応援させるということで未決の一掃に努力いたしております。そういった双方の努力をあわせて何とかやっていけるのではなかろうか。御案内のように、全体の公務員の定員が窮屈な中での作業でございますので、われわれも極力こういったところで問題の解決をはかっていきたい、かように考える次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 その異議申し立ての段階で努力をして不服審判所に持ち込まないようにするのだ、見直しをやるのだということでしょうね。  そこで、異議申し立てに至らないまでの間に、前もっておまえのところはこういうふうになるがという事前の指導というものをやったら、なお今度は少なくなるのではないですか。更正決定を打ってから処理するという方式ではなしに、その事前の指導によって、おまえのところはこういうような過少申告をしておるがどうだというようなことで指導をして、異議申し立てやその他が出ないような、そういうような方法で指導される場合には、異議申し立てということ自体も出てこないでいいような状態というものはつくれないのですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 現在でも、何でもやみくもに更正を打つというようなことをやっておりません。特に少額の方とかあまり問題のない方には、ある程度、税務署ではこう見ておるということで、やはり修正申告という形で問題を済ましておるケースも相当あるわけでございます。むしろそういう点を意識するという点よりも、現状では、たとえば三カ月の期間を徒過することによって自動的に審査の請求に変わってくるケースがありますが、こういったものは皆無を期したい。それからある程度税務署段階で本腰を入れて解決するかまえになりますと、おのずからその段階でおしまいになって不服審判所にいかないというケースも出てくるのではないか、私が努力をしたいと申すのはかような意味でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 一万二千件なり一万三千件というものは、努力をしてこのくらいの数になるのだ、こういう想定ですか。現在数と比較をしたときにどれくらい減らして考えておるのですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 一万二、三千件は用心をして若干よけい目に見ておるわけでございます。実はことしの五月末の件数で八千百五十五件になっております。それから前年同期の件数が一万三百九十三件になっておりまして、七八%という数字になっております。そういうことで総体には減る傾向がある、少なくとも計数では見られます。  それからちなみに、先ほど申し上げましたように、未決の一掃ということで、片や努力いたしておるということでございます。その点御了承願いたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 まだ滞留しているというのですが、一向に裁決に至らないで行き悩んでいるというのがどれくらいあるのですか。それを一掃するとおっしゃっているのですが……。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 現在未済で残っているのが八千件、先ほど申し上げましたのは未決で残っている件数でございます。それが前年は一万残っておりましたのが、現在八千百五十五件、こう減っておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そうすると残りの四千件余りが新規にまた積み増しというのですか新規申し込みの分だ、こういうように考えているのですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 片や八千件はどんどん処理してまいりますから、これに四千件ということでございません。これから処理していきますものと、それからまた新しく発生するものと差し引きして、四十四年度は大体一万二、三千件。また四十五年でございますが、四十五年は四十四年と同じではないか、こう推計いたしておる一わけでございます。大体八千件がそのまま残るわけではございませんで、むしろ八千件を極力なくすようにいま努力しておるわけでございます。それと新規の発生がございましょうから、なくなったものと新規の発生、通じて一万二、三千件になるのではないか、かように考えておる次第でございます。  それからちなみに、私の説明をもう少し補足させていただきますと、協議団に対する不服申し立ての四十二年度の発生件数が一万三千百十四件、それから四十三年度が減りまして一万一千三百二十四件、八六%に減っております。それでその問題をある程度処理しながら、これに新しい年度のものがつけ加わり、それから処理しということで、現在未決が八千、先ほど申し上げた数字だけ残っておる。したがって、これから極力未決のものをなくし、また新規のものが出るということで、未決一掃がうまく成功すれば、四十三年度の実際の発生が一万一千ということになりますと、一万二、三千の推計というものは決して無理な推計ではないということはおわかり願えると思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 その未決の状態で滞留している分がなお依然として八千件あると言いますが、減って八千件ある。その中で最高はどれくらいかかっていますか。未処理のまま、未決のまま、どれくらい最高は留保されていますか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 この中には、やはり訴訟とか査察にかかって、同時にあわせて審査の請求が出ているというようなケースは、片や訴訟の係続ということでなかなか解決つかない、こういう問題がいろいろございます。  それで、四十三年度末の八千四百九十三件の中でこまかく分けますと、協議団の段階でまだ解決つかない話と、協議団では一応結論を出したけれども、局長の段階でまだ裁決がおりてないというものに分けなければいけないので、実は八千四百九十三件と申しましたが、協議団の中でまだふらふらしているのは二千二百九十一件で、残りは局長段階で決定を待つばかりで、そうあとは時間がかからぬ。問題は、先生の御質問は、二千二百九十一件の協議団の中でまだひっかかって長期にわたるものはどうだというお話だと思いますが、一年超のものが九百三十四件、これは大体いま申し上げましたように、訴訟とか査察とか、そういうケースで、訴訟その他にひっかかっているものでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 私たちが問題にするのは、訴願前置主義、そういうような不服申し立て前置主義の立場に立って、そうして協議団のところはパスしたが、その間国税局長の裁決の段階で留保されている、あるいは国税庁長官のところで、それが一向に処理されないままになっているということになってきますと、行政のスムーズな進行という立場から、そういうような前置主義をとったものが、国民の権利が生かされないままに、そのまま放置をされているという姿で終わることを、これは一番警戒をしているわけです。そういうような点から見たときに、私はいままでの処理が、そういうように一割以上もまだ未裁決のままに一年以上たってもなお放置されているということは、これは国民の裁判を受ける権利を不当にあなた方が行政ベースで押えているということになるのですから、その点はどういう自己批判をしているのですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 二つ問題があると思いますが、一つは、協議団がせっかく議決をしているのに、局長の段階でとどまっているという問題は、おそらくその中には従来から申し上げております、いまの制度が協議団に裁決権を与えていないために、主管部が関与しているためだと思います。そういう点は今回は完全に除かれる、かように考えております。  第二段の、審査を経ないままに一年もたっている。これは非常に私どもも困ったものだと思いますけれども、ただ同時に、御承知のとおり、審査を提起いたしましてから三カ月を経て決定がない場合には直接出訴ができるわけでございます。その出訴権を行使しないで待っておるということは、やはりある程度いまの協議団にも信頼が置かれているということの証左でもあると思います。この間、協議団は遊んでいるわけではございませんで、いろいろこまかい折衝もし、調査もしておりますので、だんだんその事実が明らかになっているということを納税者自身御承知だと思います。そういう意味で出訴せずに待っておられるというケースもあると思います。  また、先ほど亀徳長官が申しましたように、一年以上も滞っておるものは、片方に刑事訴訟が起こる、いわゆる査察立件によりまして刑事訴訟が起こってまいります。一度決定をいたしますと、必ずそういう場合には審査請求が行政事件として起こるわけです。その場合に、刑事裁判というものが済まないと審査請求ができないという面がどうしても出てまいります。そういうもので残っているものもあると思いますが、しかし、審査中であって、なおかつ一年も残っておるというものについては、やはりそこに審査の段階でかなりの信頼が置かれておる証左でもあるかと私どもは思っておるわけでございます。しかし、それだからといって、せっかくの信頼を置かれているものをおそくしておくということは決していいことではないと思いますので、これは亀徳長官が申しましたように、今後大いに努力いたしていくものでなければならぬ、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 吉國主税局長が言われるように、そういうように善意にとれるものであれば何をか言わんやです。それが中身が一年以上たっても裁決に至らずに留保されていることに対して、それを申請をした人たちが回答を待っている気持ちの裏には、お金がないから裁判をやるわけにはいかぬ、裁判まで訴えるだけのものでない、早く行政当局が自分みずから姿勢を直して納税者の権利を回復するようにしてもらいたいということで、あえて裁判に踏み切らない者も大多数だと私たちは思うのですよ。そういうような善良な納税者の気持ちを逆用して、そして一年以上なにすることはそれだけ信頼性があるのだというような、そういうような答弁をあなたはすべきじゃない。それはまさに我田引水の解釈というふうに、私は実情を知らないものですから、そう言うのですが、そうじゃありませんか。どっちのほうが正しいのですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 これは主税局長が答弁いたしたとおりでございまして、まさに数字が示すように八千四百九十三件滞留しておりますが、協議団の段階にとどまっておるのは二千二百九十一、残りの六千二百というものが局長決裁のために主管部の意見もあるということで、こういった件数がまさに今度の改正で直るではないかということを申し上げたいのであります。これは主税局長が申したとおりであります。  それから、たとえば一年をこえる案件を見ますと、実は長いものの一番おもなものはやはり査察関連事案でございまして、やはり片や刑事事件が起きておる。それからもう一つは民事訴訟関連の事案とか、やはり大体は裁判にひっかかっておりまして、どうにもならないことを納税者の方もよく知っておられるケースで、主税局長が先ほど申し上げたとおりであると私ども思っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 しかしその中身、一割の九百件余りの中身で、国税犯則法の違反事項にかかるものが幾ら、それから民事裁判で争っておるものが幾ら、行政ベースの段階でなお事務的に処理ができないものが幾らという数字をわれわれに発表しないでおいて、それは主税局長の言うとおりでございますと言ってみたところで納得できませんよ。その数字を出しなさい。  それから大蔵大臣、何か執筆中のようでございますが、大臣、いま聞いてみましたら、八千件余りのうち、協議団のほうは通ったが裁決がなされないままに国税庁の長官なりあるいは国税局長のもとに留保されておるものが六千件余だということがいまわかったわけですね。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕  まさに主管部というのですか、国税局長あたりのもとにおける主管部というものがいかに強いものであったか。協議団というものがつくられておったけれども、事実上は三分の一程度しか正常に機能されないで、三分の二は執行機関がそれを押えるというような働きに回っておったということは、これは税法という特殊な現象はあるにしても、これを直すんだ、今度の法律で直るのだとおっしゃるけれども、実際問題として法律があるいは行政がそういう仕組みにあるからそういうようになるのでしょうかね。それとも、そういうような状態、まあ非常にスローモーな状態というものは、今日の行政の多様化に対応できない姿で硬直化しているところに問題があるのじゃなかろうかという気がしてなりませんが、いまの一局長、一長官の答弁を聞いておって、大臣どういうふうな御所見でございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 事実はいま村山さんのおっしゃるとおりでございますが、その原因、理由はいろいろあると思うのです。行政能率というような点もありましょうし、また制度上の問題もありましょうし、まあいろいろあって、そういうことになっておる。これを矯正しようという反省が、今度の国税不服審判所法に出てきておるわけなんであります。これによってともかく処分庁とその処分を反省する機構とが違うことに初めてなるわけなんです。そういうことを考えまするときに、今度の審判所法というものは非常な前進であり、いま御指摘のような問題もこれによって大きく解決されるであろう、かように確信をいたしております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 法律を一つ変えたらそんなにうまくいくものだったらまことにけっこうなことですが、これまであまりにも主管部が強過ぎて、そういうような協議団というような一つの審査機関なり裁決機関というものが有名無実な存在になっておったということを物語るそれは数字だと思うのですね。それが不服審査についての独立の不服審判所というものをつくる、行政的には付属機関ですが、そのようなものをつくったら主管部はこれに対していたずらな介入をしないのだということで、行政の処理がスムーズに公平にまいりますか。これから、国税庁長官が執行権者ですから、片一方は不服審判所長というのが新たに生まれて、そちらのほうで仕事はやるわけでしょうが、少なくとも執行者である国税庁長官はいままでとは違うのだということで処理されるおつもりですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 いままでは国税局長が、やはり主管部も、それはおかしいとかいろいろなことを言ったでございましょう。しかし、今度は国税局長と切り離して、全然別個の不服審判所というものができてやりますから、少なくとも国税局で横から横やりを入れる余地がない。また、私どももその個別の案件に一々文句を入れる余地が原則としてはなかろう。むしろそういう意味では、率直にいって若干心配な点が出てくるわけでございますが、そこは割り切っていこうじゃないかということでございまして、その点は従来とそういう意味では非常な改革だ、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしますとこれに対応して、いままでは地方国税局長が実質裁決権者として、その下には直接の自分たちの執行の部があるわけですから、そのもとで直轄部隊のほうが、いやそんなことを協議団がきめてきたってだめだということで押えておったわけですね、国税局長名で。だから滞留している。今度はそれがなくなる。国税庁のほうでは、そういうような意味においてはそれをチェックするものとして行政的に不服審判所が設置された。それに対応して国税庁の行政機構は変えないということを約束できますか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 不服審判所ができるだけでございまして、それに対応する機関は別につくる考えはございません。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこで次は訴願前置主義の問題、これはもういままでだいぶ取り上げられましたが、行政事件訴訟法の場合には不服申し立て前置主義をとらないわけです。国税通則法はとることになっております。しかし、前置主義というのは、行政上の不服申し立てをした後でなければ裁判が受けられないという、国民の権利を事実上押えることなんですが、それの合理的な根拠というものはいままで主税局長やあるいは国税庁長官から説明を聞きますと、国民の利益というのですか、これは時間的にあるいは手続がめんどうだ、あるいは努力を要するとか、あるいは費用の問題とか、あるいは裁判所の負担の減少の問題であるとかいうようなことや、あるいは大量の処置が繰り返し歴年あらわれてくるというような現象面から、そういうような前置主義というものをとらなければならないんだという説明を聞きました。しかしながら、聞いておりますと、どうもこれは国側の便宜による制度だという印象を私たちはぬぐい切ることができません。そこで、国民の権利をある点においては、そういうようないい点があることも事実ですから、私たちもいろいろそこについては選択制の余地というものを、どういうふうにして国民の権利として保障をするのかという問題を考えてみて、そして青色であろうが白色であろうが、異議申し立てをするかあるいは不服審判所に訴えるか、いずれかの道をとって、その次の段階で裁判所に出訴するという、行政の不服審査の段階を、二審段階になっているものを、一審段階に縮めることが国民の権利を守る上からもいいのではないか、こういうような発想のもとに社会党の法案を出したわけです。自民党の中にもいろいろ御意見がございまして、この際異議申請の段階だけは一応通ることによって、行政上の見直しという点も必要であろうから、異議申請だけは一応通ろうじゃないか。しかしながら、異議申請を一応通したら、片一方は行政不服審査機構のほうに乗っかっていくほうをとってもよろしいし、片一方は租税の裁判によって争うという道をとってもいいじゃないか。そこの選択制というものを納税者に権利として与えて何らさしつかえないじゃないかという御意見があります。私たちは、そういうような意見等は、問題のとらえ方においては基本的に相通ずる考え方だと思います。  そこで、法令の違憲性を争う場合あるいは通達の見解の合理性を争う場合には、不服申し立て制度を前置しなければならないということを考えてみますと、それはどうもそういうような場合には無用の長物になるのではないか。だから、不服申し立て制度それ自体の存置というものを肯定する場合には、それだけの合理的な意義というものが必要になってくる。とするならば、直接法令の違憲性であるとか通達の見解が違うとかいうような合理性を欠いているという問題を持ってくる場合には、あえて行政不服審査のフィルターを通って裁判に持ち込まなければならないという合理的な根拠がないのに、今度の法案の中身もやはり二審段階を通ろうとしておる。そこにさっぱり進歩しない姿があるのではないか。だから、あまりにも行政ベースで国側の都合によって税というものについて押え過ぎるところに、国民の権利との問題の食い違いがあるという気がしてならない。だから、せめて行政審査段階においては一審的な前置主義というもので処理したらどうだろうという考え方を私たちは持ちますが、福田大蔵大臣は、それはまだ早いというお考えでございますか、いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 それは争訟の案件によって考え方が違うべきだと思うのです。つまり青色、白色の問題なんです。青色につきましては、おっしゃることが適用可能と思いますが、白色の場合におきましては帳簿も何も整備されていない。これは一応ちゃんと異議申し立てという段階で整理をして、そういうプロセスを経て審査段階に入る二段階が必要になってくるのではないか。そういう考え方から今度の御提案をしておるところの法律案はできておる。私はまたそれが、現在の青色制度、白色制度という二つの類型のある税の体系から見て、どうも実際的じゃないか、さように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 私が申し上げるのは、大臣こうなんですよ。異議審査の段階は一応通りましょう。通っても、それを行政不服審査に基づいて処理をするのを選ぶかあるいは裁判を選ぶか、納税者の自由にしていい制度を考えたらどうか。これは自由民主党の一部の委員の人たちの意見でもある。私たちはそれとは逆に、異議申請をとるかあるいは不服審査の方法をとるかは、そこの段階でおまかせして、その段階で済んだら裁判に持ち込んだらいいじゃないか、こういう考え方です。だから若干ルートは違いますが、二審段階を一審段階に、前置主義を省略するということにおいては、これは変わりありません。そういうような意味で見返しという意味の——行政みずからが見返るという意味も含めて、しかも数字その他も整理するという意味も含めて、それは一審段階においてそれだけの整理をして、そして行政不服なり裁判なり争うていいじゃないか。そういうんだったら、わざわざ二段階にする必要はないじゃないかという気持ちなんですが、どうなんでしょうか。この二審級の前置主義というものは、今日の段階においてはあくまでも必要だというようにお考えですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 白色の場合には必要だと思うのです。ただ青色のように、税務のやり方として進化したという案件につきましては、こういう一審前置でいいのじゃないかという考え方になるわけですね。白色の場合は、どうしてもその第一の段階においてまず事案の整理をしてみるということが必要である。これは白色につきましては、御承知のとおりの計数等の整わない事案でございまするから、自然そういうことが必要になる。そこでこれは行政段階でも二段階になる、こういうことになるわけであります。それが適当であるという見解でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 この点については両党あるいは他の党も含めて、一審級の前置主義にするか二審級の前置主義にするかは協議をしているわけですから、あとに問題を残しております。ただ異議申し立ての処理の問題で、先ほども国税庁長官から、異議申し立ての段階でできるだけ不服審査に持ち込まないような、そういうような処理がうまくできたら努力するんだというお話、税務署で原処分をした担当官が、異議申請をしたらまた異議の調査担当官に——自分で処分しておいて、そしてまた今度は異議の調査担当官になった小さな税務署ですよ。原処分の担当官であり、今度は異議申し立てがなされたら異議申し立ての調査担当官になった、こういう例が過去においてあるのです。それから税務署に異議申し立てを処理する専門の担当官制度というものが十分に確立をされていないようですね。そうするならば、何か異議申し立ての処理についても、処分をやった人が、また異議申し立てを受け付けて、今度はまたその処分をみずから見直すのだというのは、それは理屈に合うでしょうが、そこら辺をもっと、納税者の気持ちというのですか、合理的にそこら辺を処理する機構というものはあなた方がみずからつくられるべきではないかと思うんだけれども、それは今度この法律が通る、通らないにかかわらず、当然行政の近代化というのですか、そういうような不公平な処理感を与えるような行政機構はなくしていくのだということで努力をされると思うのですが、いかがですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、過去は、自分で更正をし、また、その異議の申し立てがありました場合に自分でまた見直すというケースがございました。人間弱いもので、どうしても自分のやったことには拘泥するという、そういう制約があろうかと思いますので、異議の申し立てがありましたら、むしろそれの上級者と申しますか、別な人間に見させるという仕組みにしたい。それからまた、大きいところはやはり異議専担者というものを設け得る余地が出てくるのではないか、そういう点を、これはいま先生が御指摘のとおり、この不服審判所ができるとできないとにかかわらず、やはりそういうものが公正ではないかということで、この法案の成否等にかかわらず、先生がおっしゃいましたようなことで直したい、かように考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 いま長官がそういうようなことをはっきり約束をされるわけですが、大臣としても、大蔵省の設置法に基づいて執行権を委任をされておる立場から、いまのままでよろしいですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいま国税庁長官からお答えをいたしたようにいたします。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 次は、納税者の権利の問題を引き続いてやりたいと思いますが、九十二条です。「審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、」これはやむを得ません。「その他不適法であるときは、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求を却下する。」この「その他不適法である」という考え方の中身ですね、概念規定、これは一体どういうふうにとらえておりますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 不適法であるということは、審査請求ないし異議申し立てを法律上なし得ないものであるといり場合を想定するわけでございます。具体的に申し上げますと、期間徒過はもちろんでございますけれども、たとえば審査でございますと、異議前置を要するいまの法律のたてまえにかかわらず異議前置をしていない場合、それから減額更正、つまり納税者の申告よりも低い更正をしたのに、更正に対して不服だと出す、これもありえないことでございますけれども、そういう場合、それから不服申し立てはしたけれども、その当時すでに別の処分としてその対象案件が取り消されておったという場合、つまり訴訟でいえば訴えの利益がない場合です。それからこの法律でもいたしておりますが、審査請求を認められていない案件、たとえば通告処分に対して審査請求をした、こういう場合、それからいわゆる法律上の処分でない、事実上の催告を争うといった場合、これらがいわゆる不適法、つまり法律上審査請求なり異議申し立てが認められない案件であるということが明らかである場合、これが不適法である場合という意味でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 それは行政不服審査法の中に定める不適法の概念と同じですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 全く同じでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしますと、それは形式的な要件を欠くものと、内容的な要件を欠くものと二つですね。そのときに実質的な不適法の中身のものである場合はしかたがないとして、形式的に手直しをし治癒した場合にはそれができるような——形式要件の不備からくるものについての救済補正をした。それは社会党の案には、「補正することができるものであるときには、」これを立てて救済しようというとらえ方。ところが、政府の案は、「不適法であるときは、」それはもう却下するんだということで突っぱねて、そういうようないわゆる補正をすることを命ずる、あるいは手直し、治癒するということで救済をしようというものは思想的にない、こういうことですか。だから、その立場から見ると、できるだけわれわれは取り上げるべきだと考えているのだけれども、政府案のこの文章からいえば、そういうふうなものは法文上はないわけですね。いかがです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 九十一条に、「国税不服審判所長は、審査請求が国税に関する法律上の規定に従っていないもので補正することができるものであると認めるときは、相当の期間を定めて、その補正を求めるものとする。」ということをいっております。この「法律の規定に従っていない」というものが、すなわち不適法と同じものでございますので、不適法であっても補正し得るものであるときは補正をさせるという意味で、社会党案と全く同じ形をとっているわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしました場合に、この不服審査の中でこの要件を満たしていないということで却下する。却下されたことについての有効性の問題については裁判で争い得るけれども、内容については争い得ないということになりますね。だから、却下されることによって行政上の救済の措置も受けられないし、却下されたことによって裁判の上における権利の回復も認められないという事例が出てくるんじゃないですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御承知のように、現在の法律解釈では、行政処分で却下を受けました際には、納税者は本案についてさらに出訴することができることになっております。この本案の審査の要件でございます訴訟要件の一つとして、訴願前置であればその前置を経てくることが訴訟要件になっておりますけれども、却下の裁決があった場合には、本案の訴えを起こしますと、その本案に入る前提条件といたしましてその訴訟要件を審査するわけでございます。その場合に、実体的に却下が正当である、却下の手続が間違っていないという判定が下りますと、これは本来訴訟ができないものでございますから、これは問題になりませんが、もしも、現在の制度で申しますと、国税局長なり国税庁長官の却下の処分が間違いであるというときには、裁判所は直ちに本案の審査に入るということになっております。つまり適法なる審査請求がなされた、それに対して行政上の判断が行なわれたということになりますと、それは審査請求を経たことという解釈になるわけでございます。これは昭和三十六年の最高裁の判決に明確にしてございますとおりで、一般の行政法の学説もすべてさようでございます。  したがいまして、納税者は却下を受けた場合でも、本案の訴訟を提起して却下が間違っておれば本案の救済を受けられる。これはもういまの段階では間違いない事実でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 大臣が退席をされるそうですから、これだけは大臣に承っておきたいと思うのです。  四十三条関係で、審判の資料収集にあたりまして、申し立てによりあるいは職権に基づいて、事件関係人または参考人に審問をし、鑑定人に鑑定を命じ、あるいは物件の所有者等にその提出を求めて、あるいは関係のある事務所に立ち入ったり、さらに質問をし、検査する、そういうような権能が与えられておりますが、その権能の行使を確保するために罰則で五十七条、五十八条によりまして、三万円以下の過料あるいは一万円以下の過料、こうしているわけです。だから、言うならば、不服審査を申し出た者は、その理由のなにを証明ができないということで取り消されるにとどまるわけですが、政府案では第三者に、審査機関のそういうようなことに答弁をしなかったり、そういうことに対して罰金という形で刑法上の処分をすることができる。救済機関である場合にそういうような刑法上の措置でやるということは少し行き過ぎじゃないか。それより、何といいますか、社会党の案にありますように、秩序罰として処理をするという程度で、まあ過料程度の処置が正しいのではないか。罰金というそういうとらえ方では間違いではないかと思うのですが、それに対する大蔵大臣の考え方をお尋ねをいたしておきたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 ちょっと技術的な問題を先に私から御説明申し上げます。  この三万円以下の罰金を新しく国税通則法に設けたという点、それが新しく設けられたものであるかどうかという点から申し上げたいと思うのでありますけれども、御承知のように、現在の国税通則法は他の税法を前提にいたしておりますので、従来協議団等が調査をいたします際には、所得税法、法人税法あるいは各間接税法の質問検査権の規定が適用になりまして、それによりまして罰則も同じく適用になってきたわけでございます。行政不服審査法でも、国税通則法と同じように固有の罰則は持っておりませんが、これは各案件の基本法にある質問検査権を行使するというそのたてまえをとり、その場合の罰則がいずれも適用になるというたてまえをとっていたわけでございます。したがいまして、今回も、もし国税通則法に特別の罰則規定を設けない、あるいは質問検査権を設けないということにいたしますと、従来と同じように、各税法の質問検査権の規定並びにそれに基づく罰則が適用になるわけでございます。そういたしますと、各税法の罰則の規定は、納税者本人が質問に答えなかった場合、あるいは虚偽の答弁をした場合にも、やはり罰則が適用になるわけでございますが、わざわざ審査を請求して、直してほしいと言っている人が、たまたま自分が不利になってもかまわないから答弁をしない、したがって、結果は負けてしまって審査の請求が通らないということになった場合に、それにまた罰則をかけるのはちょっと酷ではないか、むしろ自分が質問検査に対してそれを拒否したために、自分の出した審査請求がいれられないというだけでもともとではないのかということから、本人の罰則をはずすという意味で、今度新しく質問検査権を規定すると同時に、罰則は本人並びに本人に近い代理人あるいは特殊関係者を除きまして、第三者にだけ従来の罰則と同様のものを規定するということにしたものでございます。  なお、各税法に比べて罰金が低いではないかという御指摘もあるわけでございますが、何と申しましても国税通則法は一般法でございますので、一般法の規定で、かえって、たとえば従来三万円しか罰金がかからなかった質問検査拒否犯に対しまして、審査請求の段階になったら第三者も重い罰金をかけられたというのではどうも不適当であろうということで、各税法中で一番低い罰金を適用することにいたしたというのがその経過でございます。  以上、これが事務的なお答えでございます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいま三税局長からお答え申し上げましたように、いろいろこれはむずかしい考え方があると思いますが、税法及びこれと類似の法体系の中の権衡ということを考えますと、軽微の罰金を相当とする、そういう結論に到達したわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 大臣、社会の法益を害する場合には罰金という刑罰で処することが必要でしょうが、本人はわざわざ不服審査の請求をして、不利益なことをあえて言う必要もないんだからというので、本人は処罰をされないんですよ。第三者だけはほかの直接税や間接税の強制的な徴収権に伴う権限行使と同じように罰金を課せられるというのでは、これはやはり片手落ちだと思う。やはりそういうような問題については、違反行為の本質論から見て、直接に社会の法益を害するものではないのですから、単なる義務に対する違反行為になるような行為に対して、過料程度で済ませるべきではないか。何でもかんでも、ほかの税法のほうには罰金刑なりあるいは懲役刑というような刑罰があるから、それとのつり合いをとるのだというのじゃなしに、これは一つの救済機関なんですから、救済機関の中でやる場合もそういうような強制的な権限を行使しなければならないというのであっては、せっかく納税者の権利を認めようというのから、私は、確かに行き過ぎた行為だ、こういうふうに思いますが、大臣、この点についてはやはり原案を固守されますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 これは所得税法や法人税法、それから国税徴収法、いろいろ税法体系の中の一こまなんです。そういうところから考えまして、いろいろ議論のあるところだと思いますが、これは軽微な罰金を相当とする、こういうふうに考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 大臣も時間ですから、一言申し上げますが、それは所得税法なり法人税法は取るほうです。取るためにはそういうような権限はやむを得ない。しかし、これは救済をしようというのでしょう。それと同じような体系のものなんだというとらえ方は間違いです。私はその点だけ申し上げておきます。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕  いまのこの審査請求人または原処分庁以外の第三者に対する審理のための質問、検査等についての罰則の問題ですが、大蔵大臣は、他の税法との関係があって軽微な罰金ということで処理をするようにしたということでありますが、この内容は、先ほども申し上げますように、刑罰というのは違反行為の本質の上から考えて直接に社会の法益を害する場合に課せられるものなんです。ところが、秩序罰であるところの過料は、違反行為の本質としては直接に社会の法益を害するものではないが、まあ義務違反になるというような行為について課せられるものだ。こういうような原則的なものの見方からした場合には、制裁行為としていまのような罰則で強制をしなければ審査機関としての実効をあげることができないのかどうかですね、そこら辺に非常に問題がある。だから単なる義務違反にすぎなければ、それに協力を要請するという意味における措置であるならば、軽微な過料ということで秩序を保持する、これが基本的な考え方でなければならないと思うのですが、法制局はこれについてどういうふうな考え方で提案に至るまでの政府原案にオーケーを与えたのですか。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 国税通則法で書いております点は、行政不服審査法に対する特別法ということであるわけであります。行政不服審査法の基本的な考え方は行政不服審査の手続を定め、その「不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」ということをその第一条第一項でいっているわけでございます。ですからそれは権利救済をはかると同時に、行政の適正な運営を確保するということは、国税通則法の場合でいいますと、正しい税法の執行が確保されるということが行政不服審査法のねらいであるわけでございます。その行政不服審査法の三十二条を見ますと、「前五条の規定は、」——この前に五カ条ばかりの規定がありまして、行政不服審査を進めるための特別の手続といたしまして、証拠書類あるいは証拠物の提出の次に、参考人の陳述及び鑑定の要求であるとか、物件の提出要求であるとか、検証であるとか、審査請求人または参加人の審尋というようなことを書いておりますが、こういうような規定は「審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。」ということをいっております。たとえば有斐閣の六法全書で見ますと、「他の法令に基づく調査権」といたしましては、すなわち国税徴収法百四十一条から百四十七条、所得税法二百三十四条というものを引いているわけでございます。所得税法の二百三十四条で見ますと、国税庁、国税局または税務署の当該職員は、質問、検査の権能を有するということで、その当該職員とは何かという点で見ますと、それは所得税法の正しい実現をするために権限を有するところの職員であるという解釈がされるわけでございます。その中には、たとえば審査請求にあたって所得税法で規定している内容どおり、正しい税法の実現がはかられなければならないという意味で、その審査の事務に当たる職員というのも所得税法の執行の一環をになっている職員として当該職員の中に含まれるということでございますけれども、そういう「他の法令に基づいて有する調査権の行使」というものは、行政不服審査法が一般的にそれを容認している。そういう一般的な規定の上に乗ってその正しい法律の執行が権利救済と同時にあわせてはかられなければならないというのが行政不服審査法の考え方で、その場合には各個別の法令に基づく罰則というものの適用もあるのだというのが行政不服審査法の基本的な考え方であるわけです。  その場合に、権利救済をはかるのに第三者のほうの陳述等も求めなければならない、その物件の検査等もしなければならないということで、その場合における第三者の地位というものはどういうものであるかというと、それは、正しい税法の執行ができるように協力すべき義務というものは、基本的には国民の納税義務の一環として、たとえば源泉徴収義務であるとかあるいは税法上の質問、検査等に応ずる義務というのが広義の納税義務であるというふうに解されるといいますか、納税に関連する義務だという意味でその正しい税法の執行に協力していただかなければならぬという点、それを担保する手段として一般に税法として罰則というものを設けているということで、それはたとえば統計法なら統計法というようなものを見ますと、国民は指定統計なら指定統計というものを作成するにあたって、その当該職員の質問であるとかあるいは検査であるとか、その要求に対してちゃんとまともに答えなければならぬ。こういうものはやはり国民の行政に対する協力義務として規定されておって、それに対する違反については罰金等の刑で担保をするというような仕組みができております。こういう行政不服審査の段階における協力義務というものも、広い意味で正しい法律の執行ができるように国民としては協力すべきだということを前提にして書かれているそういう行政不服審査法を前提として、それに対する特別法として今回の国税通則法ができているということで、今回は、先ほど主税局長も述べられましたように、個別の各税法上の罰則を直ちに適用するのはきつ過ぎる点がある。それを統一法的な意味で今回百二十六条に規定をし、その場合に、行政不服審査としては過剰になる部分、すなわち不服申し立て人そのものについては罰則を用いる必要性がないという意味ではずすというような措置をいたしましたけれども、基本的には行政不服審査法の考え方はそういうものであるということを前提にして今回の通則法の関連規定は設けられたということでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 行政の権力行使によって国民に強制をする。その中における執行上から不利益だということで救済の申し立てをする。その救済の申し立てが審判所というところで行なわれる。その審判手続上の秩序を維持するための制裁、法的秩序を保持するための制裁という立場から見た場合には、秩序罰たるところの過料というものが適当だ。それを税の強制執行をやって取り立てるために必要な、いわゆる執行官に与えられた権利というのですか権限というものと、行政不服審査の上から見た場合のその権利、権限との間には明らかに差があっていいのではないか。差がある証拠には、その願い出た者については、これは何も処罰をされないわけです、答弁をしなくても。第三者は、答弁をしなかったからといって本則と同じような罰金という刑罰に処せられるのではかなわぬですよ。だから必要最小限度のものを強制すべきであって、それでもなお実効が期し得ない場合に初めてそれよりも罪の重いもので強制をする、こういうことにしなければならないのに、そういう特質を忘れて、第三者に対してそのような強制力を発揮しようというのは、これは何か意図的なものがあるようにわれわれは受け取るのですがね。この点は上村政務次官どうですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のように、審査請求の場合と一般の課税調査の場合とは意味が違うではないかという点は確かだと思います。ただ一般の課税調査の場合には、憲法上の国民の納税義務というものを実現するために、本人はもちろん納税者と取引関係にある者は、その取引についての内容を明らかにする義務がある。それをもって初めて課税の公平な実現が期し得るということで、本人の質問に対する担保、また第三者の質問に対する答えの担保といたしまして罰則をきめておるわけでございます。その場合には、本人を調べることによって税が決定されるという意味では、本人も当然罰則は必要であります。  審査請求になってまいりますと、本人の税金をきめるというのは、本人がすでに税金がきめられておって、それが高過ぎるという要求をしておるわけでございますから、それに対して調査をして、質問して答えなければ高過ぎないんだという結果になればいいのであって、その意味では、本人は確かに立場が違います。ところが、第三者は、本人の税金が幾らであるかということをきめる場合に、全く課税決定の場合と同じ立場に立っておるわけです。たとえば審査請求で、この間も申し上げましたが、百万円の仕入れはございません、こう言ったといたします。あるいは百万円の売り上げが別に見つかったけれども、それに対してはこれだけの仕入れがあるんですという主張をいたしたといたします。その場合に、第三者に調べに行って、その仕入れに相当するものをそれでは確認するという場合に、第三者がそれを答えないということになりますと、本人の仕入れの部分が認められなくなるおそれがある。その場合、本人の申し立ては成り立たなくなってしまうわけであります。第三者はその仕入れの事実を認めますと、自分の売り上げが漏れていたものがばれてしまうということで当然拒否をする。この関係は課税決定をするための調査と全く同じである。そういう意味で、今回は、本人については、確かに立場が違いますから罰則をはずして、結局主張を認めないということで置きかえる。第三者につきましては、課税決定の場合と審査決定の場合と全く同じ関係に立つということになるという意味で、従来の罰則をそのまま使った、こういう関係になると思うのです。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 いま村山先生がいろいろとおっしゃっておられる、私は一つの考え方であるというふうに思っております。だがしかし、政府が御提案申し上げて御審議を腸わっておるものの考え方というものにつきましては、各委員の御質問も、この点については多くございました。これについて主税局長あるいは先ほどは大蔵大臣も御答弁申し上げて、私もこの点につきましては、自分の見解なりお答えをいたしました。  と申しますのは、大体権利関係におきまして、私人関係で処分し得るのとそれから処分し得ない権利がある。最も処分し得ない権利は何だといいますれば、刑罰権、これはちょっと私人関係ではし得ない。そうなりますと、この課税権と申しましょうか、この納税義務に対するところの国の課税並びに徴収権というものは公権のものであって、そして私人関係ではこれは処置しにくいものである、こういう点から申しますと、その原理原則は真実発見主義、こういうものがその争いの中におきまして生じてくる。また、その原理原則というものが支配しておる。これは諸外国においてもそうですし、日本の法制もそうなっておると思うのであります。しからば黙秘権を認めておるというのはどういうことか、あるいは不利益変更禁止の規定をやっておるのはどういうことか、こういうことになる。真実発見主義をうんと貫いていくならば拒否権ということも考えられませず、そしてまた、不利益変更禁止ということもおかしい。真実が出てくれば、安ければ安いでいいし、高ければ高くやるべきものだ、こういう思想になるわけでございますが、近代の考え方における基本的人権という思想がずっと入ってまいりまして、先生も御承知のとおりと思いますが、そこで、少なくとも、いかに刑罰権行使の場合におきましても、自己に不利益な供述を強制し得るということは、これは非人道的な問題じゃないかということで拒否権の問題が起きますし、また、一応行政官庁が決定しておって、黙っておればそれで済むものを、先生もおっしゃいますように、不服救済制度によって申し立てた、それによって逆に不利益になっていく。真実がこう出たからということでいったならば、不服救済制度の本質にも反するであろうというようなことで、不利益な変更禁止という原則は成り立っておる。そういう点からまいりますと、第三者関係においてどういうふうに真実発見に協力させるか、そしてどういう点で、それに協力し得ない場合におきまして罰則を科するかという問題でございまして、結局、ここにどの程度に科するのか、これは具体的な妥当性になるだろうか、あるいは法全体の体系上正しいであろうか、こういうことになると思うのであります。  そういう点から考えますと、先ほど法制局の部長がお答えになっておるように、行政不服審査法の精神からいき、そういう特別法の関係にこの通則法がなっておるということになりますれば、要するに、いろいろの諸般の事情を考えて、結局この程度の罰金刑ということで規制していくほうが妥当であろう、こういうことになるかと思うのであります。こういうことが、結局先ほど大蔵大臣もお答えをいたし、政府が御提案申し上げておりますところのものの考え方というのは、以上かと思うわけでございます。  村山先生は、またいま一つの新しい御見識をお示しになっておられる。これはいろいろな立場立場で、何もその考え方がどうということには相ならぬと思いますけれども、政府の考え方としましては、以上のような次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 提案をしておって、それをくつがえすわけにはいかぬから、やはりそういうような方向に沿うた説明をされるのだろうと思いますが、これは、私たちの考えるのが大多数の考え方というのですか、均衡のとれた考え方だと思うのです。まあ大蔵省の官僚の諸君は、やはりつり合いのとれた罰則ということで強制をする側に立つわけですが、われわれは強制をされる国民の側から考えてみたら、どうもふに落ちない。行政権というものがあまりにも最近は強過ぎて、憲法上の規定というもの、これが保障している基本的な人権さえも侵害するような行為が間々あるわけですから、できるだけ合理的に処理ができるようなふうに改正すべきである。これについては、またそれぞれ検討が行なわれるでありましょうから、これ以上申し上げません。  そこで、その次に入ります。七十八条の国税不服審判所は省令に規定づけられ、七十九条の四項によって国税審判官の資格は政令できまる。この問題については、これはだれか触れられたようでございますが、百条の審査会も政令できめる、こういう形になっておるようであります。とするならば、国税不服審判所というのは、組織及び運営、支部の名称及び位置というものは省令できめるのだ、こういう仕組みになってまいる。これは省令できめる、あるいは政令できめるという中身の考え方の問題は、どこに基準を置いてこういうようなきめ方をしようという提案をしているのですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 政令にするか省令にするかという判断は、法律自体に相当主要な部分が書かれておりまして、実質的な法律に相当するような内容はすべて尽くされている場合は省令をもって当てる、かなり抽象的な規定でありまして、法律の部分的な意味を持つ場合に政令をもって規定するという考え方で分けているわけでございます。不服審判所につきましては、審判所長、首席審判官、支部その他については、いずれも法律で、組織法系統あるいは通則法でこまかく規定をいたしておりますので、あと規定をする事項というのはきわめて限られたものであるということから省令にいたしましたが、審査会等におきましては、審査会そのものがかなり抽象的な規定だけで置かれておる関係で、これは政令において定めたほうがよろしいということ、たとえば国税不服審判所につきましては議決の内容からすべて法律で規定してございます。そういう意味で政省令を分けたわけでございますが、絶対的な基準というものがあるわけではないと思いますけれども、軽微な当然の事項を規定するという意味でこれは省令にいたしたというのが私どもの判断でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 この条文をこうして精読をすると、いまの説明ではちょっともの足らないですね。ということは、不服審判所というのは、これはその職務内容から見まして、いわゆる合議制の制度にしたほうがいいんだという考え方があるわけでしょう。あるとすればそういうような事項も、議決は過半数の意見によって処理するという手続規定等はこれも省令段階でなしに——実際の職務と責任内容というその要素の上から見た場合には合議制が適当なんだとするならば、合議制をとる以上はそれは多数決によるとか、そして、それについてのいわゆる所長の権限というものは監督権と指揮権との上においてどういう関係にあるんだということを打ち出さなければ、あなたが六月の十八日の日に、裁決権に関する限り完全に独立をし、解釈権もあるんだということを言うたことを私はノートにしているのですが、その点からいうた場合に、それを省令にまかせるということになりますと、これはせっかく審判機関としてそういうような納税者の権利を保障するんだということで出発をするのが、どうも格が落ちてくるといいますか、省令ですからね。事実上の区分原理というものから見て、どうも中身を見た場合に、すべての権限というのが所長にあるという行政組織理論というものが先行をして、こういうような表現に持ってきたのではないだろうかという気がしてならないのです。その点そうでないのですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 先般申し上げましたように、裁決権の独立ということは、法律そのものに国税審判所長が裁決するということを明らかにしておりますし、審判所長が裁決する場合には、担当審判官及び参加審判官の議決に基づいてこれをなさなければならないということを法律で明らかにしているわけでございます。議決と申しますれば、常識的には多数決というのが当然でございます。それは手続として省令で多数決であるということを書くということは、いわば当然の規定をするということの意味で、そういう趣旨から申しますと、いわゆる合議制を中心にした裁決権の独立という点は法律ではっきり規定しておりますので、あと省令で書く部分というのはいわば文例と申しますか、そういうような意味の議決は多数決によるのだというようなこと等になるわけでございます。省令にまかしたがために非常に専決的なものが生ずるということは、私どもとしては元来全然考えておりません。そういう意図ではありません。ただ他の法令の場合に審査会については大体政令できめております。行政組織法系統ではこういうものは省令になっておる例が多いものでありますから、そういうバランスから省令にしたわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 一応行政上のヒエラルキーの原則に基づいて、所長の下に首席審判官になりあるいは次席審判官、そして審判官というような形がとられて、そのときにいわゆる職権を行使する場合の独立性というのですか、権限というものについての保障規定は何もないですね。独立して審判官が審判をするのではない。やはり議決に基づいて所長が行なうことになるのですから、所長がオールマイティで、審判官などというのは一応合議制の機関にすぎない、そういうような法体系になっておるわけですから、その中で職権行使の独立性というのですか、職務に関しては指揮監督権がないというような規定は、社会党案にあるのだけれども、政府案には全然ありませんね。ですから、その問題等を考えてみたときに、組織及び運営、支部の名称というものはいいでしょうが、そういうような中身の問題についてやはり省令で規定するというのではなしに、職権行使の独立性、合議体に持っていくとか、あるいは審判官の保障というような立場から見てまいりますならば、少なくともやはり政令でそういうようなものについては措置をするという問題のとらえ方をすべきではないか。それが、国税審判官の資格は政令でやるけれども、審判所の組織や運営についてはそれを省令でやる、こういうような取り扱いをすることが、みずから創設をしようとする審判所の地位を不当に低くしていこうというような意図があるのではないかと言われてもしようがないのではないかと思うのです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 その合議制ということ自体に含まれる合議の独立ということは当然これは考えられることでございますし、たとえばその合議制を行なう場合にどういうものに命じなければならないかということは、九十四条で法律で明らかに、国税不服審判所長が担当審判官と参加審判官の参加を定める、定めればそれが合議によって決定する、それに基づいて決定をするという構成は、すべて法律の上にあらわれておりますから、省令、政令がどうだというのはかなり法技術的な問題であると思いますが、私どもが国税不服審判所を低からしめる意味で省令に持っていったというのでは決してないのでありまして、一般の他の組織の細目、運営上の事務手続等は、通常設置法の系統でも省令ないし訓令に譲っているものが多いということから、同様の扱いをするというつもりでやったわけでございます。  そういう意味では、昔の協議団令というものが政令であったということは確かでございますが、当時は協議団というのは、審査の裁決は、国税局長が「協議団の議決に基づいてこれをしなければならない。」というようなことがあるだけで、協議団の組織そのものにつきましては、すべて協議団令に譲っていたので、これは省令ではいけないと思います。ただ今度の場合は、協議団令に書いてあるようなことは、すべて法律に書いてしまったわけでございますから、すべてその下に属する軽微な事項だけを省令に書くということで省令にしたわけでございます。これもやはり法技術的な問題ではなかろうかというふうに思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 まあ、それはいいでしょう。  そこで、あと二点ほど詰めていきますが、第一点は、質問検査権の沿革を私も調べてみて、どうもふに落ちない点があります。現在、所得税法第二百四十二条、これによりまして罰則規定がある。一年以下の懲役、二十万円以下の罰金という措置がございますが、それと国税犯則取締法の場合の条項と比較してみますと、十九条の二ですが、検査拒否犯というのがあります。間接国税について拒み、あるいはこれを忌避し、あるいは妨げる、その場合には三万円以下の罰金。これは物品税等の二十一品目について、検査官が来て検査をする、そのときに検査を拒否した場合には、間接国税に対する検査拒否犯という犯罪項目がありますね。これに対して、いや私のところは、そういうような企業の秘密でございますから、見せるわけにはまいりませんというようなことで、拒んだり、あるいは妨げたり、あるいは忌避した場合は三万円以下の罰金だ。そうしておいて、答弁をしなかった、質問検査権を拒んだ場合には、国税徴収法等によって、あるいは所得税法等によりまして、一年以下の懲役、しかも二十万円以下の罰金。どうも税法そのものが、これは行政実例からどのようになっているかわかりませんが、物品税を納入するような事業所というのは、大きな事業所ですね。たいがい大企業、こういうようなところには、非常に罰則が軽くて、庶民、大衆、なんじ国民というところには、おまえたちは悪いことをするやつだということで、その罰金も罰則も非常にきびしく税法の上においてはなされている。こういうふうになってまいりますと、その行政罰の適用されている今日の状態というものを、種類別にわれわれ国会のほうにも示してもらわなければならないと思うのですが、行政罰がどのように適用されているかということについて調査をしたものがありますか。それと憲法三十八条の一項との関係が当然出てくるわけですから、その行政手続という問題についての見解というものをまとめておいてもらわなければならないと思うのです。それぞれ解釈が違うようでもありますし、われわれとしては、先ほど申し上げましたように、秩序罰にすべきだという立場から、この問題についても、もう一回その点を確認しておきたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 直接税、間接税によって罰則の程度が違うということ、それも御指摘のとおりだと思います。国犯法で三万円以下の罰金という規定を書いておりますのは、国犯法におきましては、直接税におきましては、刑事裁判を前提とした調査をいたしますから、これは憲法上の理由がございまして、罰則を置かないということになりますが、間接国税につきましては、いわゆる通告処分というものがございます。その通告処分をいたしまして、履行しない場合には告発をいたしますが、その前提として通告処分であるということから罰則があるわけでございますけれども、その場合には、間接国税一般のいわば通則でございますので、間接国税でも軽微な、たとえば印紙税等につきましては、一件一件について犯罪が成立するということから罰則が三万円以下ということになっておりますので、ちょうど今度は、国税通則法で三万円以下を取りましたのと同じように、三万円というものを罰則にしてしまったという経緯があるようでございます。  したがいまして、御指摘のように法益の強さによって、それぞれの税法の罰則というものが差がつけられているのは事実でございますし、ある程度これも沿革的なものがあるということも事実だと思います。罰則をそろえようということも一時問題になったことがございますが、単に罰則をそろえるというだけで、従来あった各税法の罰則を重くするというようなことは不適当であるということで、沿革的なものが大きな差を残しておる事実も認めざるを得ないと思いますが、やはり一つの刑罰をきめる場合に、単に従来あった刑罰を他の関係で引き上げるということはなかなか困難であるという事情から、こういう多様性ができたことは事実だと思います。ただ、行政上の違反事件に対する刑事罰の実例というのは非常に少ないことを申し上げておきたいと思います。実際上拒否犯で罰則を課した例というのは、これは国税庁長官から申し上げますが、非常に少ないということを申し上げておきます。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 実は先生から初め行政罰云々というお話ですが、われわれ行政罰としては大体加算税の数字を準備いたしてまいっておりますが、罰金というのは刑事罰と考えておりまして、いま手元にありますのは、これは税法違反事件で、あるいは必ずしも先生御質問の趣旨に合っておらないかもしれませんが、これは査察でいろいろ刑罰を付された件数でございます。先生の御質問の趣旨は、いわゆる所得税法違反の数字でございますが、その数字をとりあえず申し上げます。  これは法務省の調べたものでございまして、区別が男、女、法人、こうなっておりますが、たとえば直接税で申しますと、所得税法では男が二十二名起訴されて、十九名刑罰を受けております。それから法人税法関係では男が七十八名告発されて、七十三名が有罪の判決を受けております。それから女が六名告発されて、六名刑罰を受けております。法人が七十二件告発されて、六十九件刑罰を受けております。間接税その他がございますが、必要に応じまして、これは資料としてお出しいたします。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 具体的な税の執行の中身の問題に入りますが、行政不服審査法の三十三条の閲覧請求によりまして、文書を見せてくれということで持ち込んでいっても、それは第三者の利益を害するということで、税務署はなかなか見せてくれませんね、そういうような関係のものは。そこで異議申し立てをする場合等においても、いろいろ具体的に書類等を見せてもらう場合に、中身は見てみても利用できないようなものしか異議申し立てをする人には見せないでおいて、そして異議申し立てをしなさい、あるいは訴訟をしなさいといっても、事実問題として、不当な処分を受けた人の場合の利益を守ることができない。いわゆる更正処分の内容が知らされないような形になってきますと、これは公正な裁判を、あるいは審決を求める場合に、非常に問題が出てくると思うのです。そこで今度は、三カ月を経過した段階で、処分の理由を明らかにするんだ。こういうようなことになってまいりましたが、その処分の理由が明らかだといっても、その処分の理由の中身が明らかでないようなものになったんでは、これは話にならないわけなんですね。だからそこら辺は、事実問題をどういうふうにこれから処理していくかということになってくるわけですね。だから、いろいろ私も判例を調べてみました。そうしたら、その判例の中身も、更正処分に十分な理由が付記されていなくても、それはよろしいというのと、いや、いなければだめだというのと、両方あるわけですね。だから争う以上は、やはり国のほうもなぜこういうような更正の措置をとったんだという理由を明確に示してもらわなければ、いや、国の積算は間違いだということを立証しなければならぬわけでしょう、この申し立て人のほうは。だから、そこら辺でフェアプレーで争うというそれをとらない限り、資料をお互いに隠しておって抽象的に、おまえのところはたくさんもうけ過ぎているから、標準に照らし合わせて少な過ぎるからこれだけの課税をしたのだというようなふうに一律的にやられてしまったんでは、これは納税者の個別的な性格というものが没却されるわけですから、一体どこまで理由付記については、今度は納税者の権利を保障するという立場で、実効ある措置をとろうとしておられるか、その点を法例の上からの根拠とあわせてひとつ示していただきたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 今回の法令的な点を申し上げますと、八十四条の第五項に、「異議申立てについての決定で当該異議申立てに係る処分の全部又は一部を維持する場合における前項に規定する理由においては、その維持される処分を正当とする理由が明らかにされていなければならない。」ということで、これを明らかにすることにいたしておるわけでございます。もちろん直すときには理由はもう要らないわけであります。  それから、八十九条の第二項に、いわゆる「合意によるみなす審査請求」がございますが、その中に、「前項の通知に係る書面には、異議申立てに係る処分の理由が当該処分に係る通知書その他の書面により処分の相手方に通知されている場合を除き、その処分の理由を附記しなければならない。」三カ月経過をいたしまして、審査請求ができるという教示をする場合には、その理由を明らかにしなければならない。もちろん青色申告の場合は、すでに理由が付記してございますから、これは除いておるのでございますが、白色については、理由を明らかにしなければならない、ということになるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山喜委員 その理由の付記の内容、これが具体的に、そして根拠が理解できるように記載をするものとして解されなければならないわけですね。それがいま守られておりますか。守るために国税庁としては何かの通達その他で指導なされていらっしゃるとは思うんだが、それはどういうような状態ですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 今回の通則法の改正で、白色についても決定をするときに、その理由を示せというのは、これからの問題でございますが、すでにある問題は、先生もいまお引きになったように、青色申告者ついて更正をする場合に、理由を付記しなければならないという規定があることは、御存じのとおりでございます。青色申告の理由付記につきまして、なかなか税務署も調査する人員も少ない、納税者も多いということで、その理由を書くにもどの程度書くかという点で一ころ非常にたいへんなときもあり、若干それが簡単に、非常に簡素過ぎる点がありまして、いろいろ問題になったことがあるわけでございます。青色申告者につきましては、一定の帳簿をつけた人については、その帳簿に即して更正をしなければならないという法の趣旨から見て、更正をする場合に、どの点が問題なんだ、あるいは売り上げに問題がある、あるいは仕入れに問題があるんだ、あるいはリベートが抜けておるんだという、おもな争点なり問題点は示すようにしなければいけないのではないかということで、青色申告者に対する更正の場合の理由付記については、相当具体的にその理由を書くように指導いたしております。おそらく青色申告でない白色者の場合には、帳簿もないというところで、青色申告者の場合と違いまして、いろいろ問題点があろうかと思いますが、少なくとも更正の争点というものを明らかにするようにしなければならないもの、かように考えております。  ただ、こういった問題につきまして、たまたま最高裁の判決の中で、一つの少数意見ではございますが、その少数意見の裁判官の方が、やはり理由付記の問題というものは、詳しければ詳しいに越したことはないけれども、行政経済上の立場から、おのずから限界があるし、やはり納税者の方が具体的に争点並びに争点額を知るということとが、最小限必要ではないか。この争われた問題は、売り上げ脱漏十九万円ということで、十九万円というだけではだめだという裁判官、抽象的な標準率でどうこうというのではなくて、やはり争点の十九万円という売り上げが脱漏しておるということを具体的に指示しておるんだが、その程度の理由でいいではないかというのが、少数説を書かれた裁判官の意見でございます。第一回目に負けたものは、若干先生がごらんになったように、青色申告者に対して標準率でやっておるという問題、それから理由の付記が非常にあっさりしておるということで、完全に負けたわけですが、第二番目の点も最終的に負けておりますが、少数意見としていまのような点が触れられておるということでもおわかりのように、やはりその辺が一つの限界というような問題があるということは御認識いただきたい。まあしかし、いずれにしろやはりこれは納税者の方もどういうところが問題なのかということが具体的にわかるようなことでなければならない。また、そのように指導いたしたいというふうに考えております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 いずれにいたしましても、それは中身がわからないで一律主義で利益率を算出をして、それで売り上げ高にかけてきてやるような、そういうような方式をとられたのでは、これはたまったものではないという実例等が出てくるのです。それでいま長官は少数意見のところだけ取り上げて議事録に残そうとしておるようだけれども、それはちょっとおかしいので、多数意見はこうなっておりますというのを掲げなければだめです。だから、これについては納税者のほうでそういうような中身を知った上で反論をしなければどうにもならないわけですから、それを知らしめていく、フェアプレーで争うという立場をとるような、そういうような審査のやり方でなければ私はよくないと思う。これは附帯決議なりあるいは今後やらなければならない問題として残しておかなければならない点だと思います。  そのほかに個別的な問題でいろいろお尋ねをする材料をここに持っておりますが、これは保留いたしまして、一応一般的な質疑については私の分は終わることにいたします。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後四時十四分開議

田中正巳自由民主党

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺美智雄君。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 政府案並びに社会党提出の国税審判法案の両案に対しまして、質問をさせていただきたいと思います。質問の順序といたしまして、一応政府案、社会党案、政府案というふうな形になろうかと存じますが、御了承をいただきたいと思います。  今回の改正案は、御承知のごとく、いままでの協議団の同じ穴のムジナ論というものを脱却をして、ほんとうに公平な立場で審査請求が行なわれるようにしようというのが主たるねらいであると思うのであります。  そこで、私はまず社会党案を拝見をしたのでありますが、政府案と同じようなところもあるし、変わったところもあります。社会党案では、国税審判庁というものを準司法機関といたしまして大蔵省から切り離して別に総理府に設置をするという案であります。私は社会党案を一覧いたしまして、この案はたいへんよいところもある。しかしながら、現状からいってこの案はそぐわないところも多いという印象を受けておるのであります。いずれにいたしましても、去年の春、社会党の皆さんがたいへん御苦労をなさってこの法案を国会に提出になったというその熱意と努力に対しましては、同僚の国会議員として心から敬意を表するものでございます。それと同時に、この社会党の国税審判法というものが国会に上程をされて、政府側においても国税通則法の改正をして、できるだけ皆さんのおっしゃるようなことを、しかも実情を踏まえながら合わしていきたいというような一つの起爆力といいますか機動力になったということもいなめない事実であろう。そういう意味で、この法案が提出れた意義というものは大きいと私は高く評価するものでございます。  そこで、実際問題として総理府に準司法機関を置いて、中央審判庁と地方審判庁とに分ける。中央審判庁については法令の解釈その他を主として取り扱う。事物管理を異にすることによって中央審判庁と地方審判庁とに分ける。政府案のほうは中央審判庁も地方の支部の間にも、事物管理を異にするというようなことはないようになっておるのであります。ところが私は、ここで一つの疑問を持つのでございますが、事物管理を異にする、こういうようなことでこれは中央審判庁に出すか地方の審判庁に出すか、一体だれがこれを判断をするのであるか、まずそういう疑問であります。事物事案を異にするとは一体何であるか、こういうことが明快に分けられるのかどうか、この点についてお尋ねをいたしたいと存じます。  事物管理を異にするものによって分けるというのだが、その案件によってなかなかそう簡単に分けられない問題が多いと私は思う。一つの審査請求の中でも、事実問題だけの争いもあれば、法令だけの争いもあれば、法令の解釈をめぐった争いもあれば、法令の解釈をめぐったものと事実の争いがミックスされたものもあれば、別々に幾つかの争い点があってその中にはいろんな要素を含んでおるものもある。こういうようなものを一体だれがどういう手続で分けるのかという実務の立場からいたしまして、私は、理論的にはある程度わかるのでありますが、実際問題としてわかりづらい。したがって、事物管理を異にするというのは具体的にどういうことであるのか、まずお尋ねしたいのであります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 お答えを申し上げたいと思います。  ただいま渡辺委員からわが社会党の法案に対しまして非常に評価をなさった御意見を承りまして、私ども提案者として非常に喜びにたえないところであります。  そこで、審判請求をどこへ出すかという問題についての御質問でございましたが、私どもは、国税庁長官のした処分に対する審判の請求は中央国税審判庁に対して行なう、国税局長、税務署長、税関長、または登録免許税に関する登記、登録機関のした処分に対する審判の請求は所轄の地方国税審判庁に対して行なう、かようにいたしておるわけであります。ただし、その処分が形式的には税務署長のした処分ではあるけれども、処分書に、その調査が国税庁の職員によってなされた旨の記載がある場合、及びその不服が国税庁長官の通達が法令に適合しないことを理由とするものである場合におきましては、すべて中央国税審判庁に対して行なうのだ、かように法律ではいたしておるわけであります。  それではだれが選ぶか、これは当然審判請求人が判断をし、選ぶわけでございます。事物管轄を異にする、——地域管轄は比較的わかりやすいにしても、事物管轄の面ではなかなかわかりにくいではないか、こういう御指摘もございました。確かにそういう面もあろうかと存じます。しかし、異議申請あるいは不服前置というような段階を経て、あくまでやはり審判所の判断を仰ごう、受けよう、こういうような人たちについては、ある程度租税に対する知識等もありますし、そういう点ではまた本職の専門家の税理士というようないわゆる租税代理人、こういう人の補佐なども期待をされるわけであります。そういう面からいえば、何とかこのような形でやっていける、このような自信を持つわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 ただいまの広瀬議員のお答えによりますと、それは代理人と専門家の意見を聞いて、その人の意見に従ってやったらばできるではないかというようなお話でございますが、実はこの異議申し立てというのは、往々にして税務署の更正なり決定というものが、一件についてでなくして、同じ申告書の中で数件にわたることが多いのであります。その中には事実問題もございますし、法令の解釈上の問題もあるというような場合、これは事実問題と法令の問題とを切り離して別々に中央審判庁とそれから地方審判庁に出すということもなかなかできないであろう。それからまた、これは事実問題であるのか、法令の解釈であるのかというのがなかなかわかりにくい事案がございます。たとえば修繕費であるか、資本支出であるかというような問題になりますと、事実問題か法令の解釈かということが非常にわかりづらい点がございます。そういうものはまあ申請人にまかせるというようなことになりますと、せっかく事物管理ということをいたしましても、実際にはこれは申請人の恣意によって、中央審判庁にいってみたり地方審判庁にいってみたりして、非常に混乱をするのではなかろうかというような気が私はするのであります。政府案のほうはこれは事物管理を異にするというようなことはない。したがって、これは一審、二審というような形で異議申し立て、あるいは審査請求、出訴というようなことになっておりますので、この点は見解の相違でございますが、現在の実情からいって、政府案のほうが現実的でないかという気がするわけであります。それ以上のことは申し上げません。  その次に、訴願前置の問題でございますけれども、これは社会党案も政府案も、いずれも訴願前置ということになっております。裁判所への出訴は審判所を経たあとでなければならない、政府案のほうも審判所を経たあとでなければならないというようなことになって、これは同じでございますから、私はこの案については、あとから政府案に対して質問いたしますが、もっと改善してはどうか。  それからもう一つは、社会党に対しまして、これはやはり訴願前置ということを自分のほうでうたってあるのでありますから、訴願前置をどこまでもはずせというようなことについては、もっと現状の段階では歩み寄りの場所があるのでなかろうかというような気がいたすわけであります。それから異議申し立ての問題につきまして、社会党案では青色申告、白色申告ともに、異議申し立てを経てから審判を請求するかそれとも直接審判請求するか、どちらか選択せよというようなことになっておるわけであります。政府案のほうは、青色申告については異議申し立てをやってもよし、直接審判請求をしてもよしというようなことになっておるのであります。ただ白色申告については、これは異議申し立てをしたあとで審査請求をする、こういうことになっておるわけであります。これは見解の相違でございますから、一長一短、私はあろうかと思います。ただ白色申告の場合には、御承知のとおり、白色申告の更正決定というものについては、最初から理由をつけて更正決定の通知を出すということには現在なっておらない。したがって、その制度から直していかないと、この審査請求を出すについても、納税者のほうにもなかなか理由がはっきりつかめないというようなことで、直接最終審といいますか、終審的な、行政段階としては終わりの審査請求に持ち込まれるにかかわらず、全然整理されないで審査請求に持ち込んでこられるということは、これは審査請求を複雑にする、あるいは審査請求の件数というものをいたずらにふやす、こういうことにならないか。現在は異議申し立てという制度で六万件ぐらいのものが出されますが、審査請求という段階になりますと三万数千件ということに半減するという実情であります。しかし、社会党案のように、これは直接審査請求してもよいというような道を開きますと、いま言ったような理由の説明がないためにしづらいというような問題もございましょうし、それからもう一つは、かりに理由がなくとも、何でもかんでも審査請求に持ち込んでくるというようなことになってまいりますと、これは非常に件数が膨大にふえる、こういうことにならないか。社会党案が裁判所への出訴という問題について前置主義を置いたということは、やはりある程度整理すべきものは整理をして、そうして出訴をするというようなものの考えから発想をしておるのでなかろうか。私は、こう思いますと、やはり審査請求の問題にいたしましても、青色、白色ともに直接審査請求していくよりも、一応白色は異議申し立ての段階である程度整理したほうがいいというような気がいたしますが、その点いかがお考えでございますか。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 お答えをいたします。  いま渡辺委員御指摘のように、私どももいわゆる訴願前置という問題について、明確にこの訴願前置主義を廃止するというようなことを言っておらないわけでありまして、私どもの法律の第一条をごらんになっていただきましても、「この法律は、国税に係る行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に対する不服について、独立の国税審判庁が審判を行なうこととする制度を設け、もって納税者の権利利益の救済を図り、あわせて税務行政の適正な執行に資することを目的とする。」ということでありまして、権利救済というものを画期的に増強をする、権利救済の面を強く出すということを画期的に出したわけでありますが、それと同時に、税務行政の適正な執行というものにこの法案全体が資するのだという立場を、最も調和的にという気持ちで出しておるわけであります。そういうような角度から、最初から準司法機関として非常に第三者的性格が強く、独立の権限を行使し得る救済機関というものを設けるということにしたわけでございまするけれども、その前段階において、異議申し立てというようなものが非常になじむ、白色及び青色とそういうような区別こそ置かなかったわけでありますが、こういうものの段階を省略して出訴できるというようなこと、あるいは直接に審判庁だけに持ってこさせるというようなことを強制をしないで、そこのところは選択制というような形にしておるわけであります。  確かにいま渡辺委員、御指摘のようなこともあるいは考えられるかもしれないわけでありますが、新しい制度をつくる際におきましては、やはりいろいろな場面というものが想像をされ、また、こういう危惧があるというようなことが、これは必ずあると思うわけであります。しかし、そういうことで新しい法律体系というものを発足さしてみれば、案外にそういう点はだいじょうぶだったというようなことにもなる場合が非常に多いわけであります。そういう危惧はあるにいたしましても、選択制といっただけで、あるいはまた、青色と白色というものによって非常に整理されないまま審判庁にくるというようなことで非常に問題が複雑化し、あるいは余分な手数がかかったりというようなおそれも絶無とはいえないと思うのでありますが、実態に即した権利救済ということを中心にして問題を考えるのだという私どもの立場から申しまするならば、それは審判庁の法の適正な運用の中で適確に処理し得るものだ、こういう気持ちを抱いておるわけであります。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 ただいま広瀬議員から説明がありましたが、詰めて言いますると、社会党案は現在政府案の二審級的な前置主義というものを簡素化して一審級的なものにしたい、そのためには選択制をそれに導入をしたい。そして不服申し立て前置主義というのは、経過的な段階としては、今日実効性を持っているものとして考えていくべきだ。そういうような意味において迅速性、簡易性というようなもののメリットを持っているわけですから、それを生かして不服申し立ての前置主義というものを残した法案の提出をいたしていることを御了承をいただきたいと思うわけであります。その点が政府案と違う点であります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 考え方としては私も非常にわかるし、納税者の権利を尊重するというものの考え方は、私もたいへん賛成をするところでございますが、ただ現実の実情というものを見た場合において、非常にひいきの引き倒しになるのではなかろうかという気がするのであります。  その次の審理の方式というような点につきましても、一見いたしますと社会党案は、裁判類似の手続によって審理を進める。そして審理の際に審理調書というものをこしらえる、こういうふうなことになっております。一方、政府案のほうは、行政不服審査法と同様な手続で審理を進めていくというようなことになっておるわけであります。ここの違いは、たとえば審理調書というような問題につきましても、必要に応じて調書をとるというようなことももちろんございましょうが、一々その審理の段階で納税者及び税務署を呼び出して、それに対する答弁記録というものを、全部こまかく裁判類似の手続で調書をとるというようなことになってまいりますと、それは正確でいいかもしれませんけれども、非常にかた苦しい、ほんとうに準司法機関ですからやむを得ないのかもしれませんが、納税者にとってはちょっとなじみにくいというような点も、裏返しにすればあるのではないか、こう思うのであります。したがって、審理方式については、もう少し審理の手続等を簡略化するというようなことが考えられないか、こう思うのでございますが、その点いかがでございますか。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 もっともな御指摘かと思います。しかし、私どもは国税審判法を出すにあたって先ほども申し上げましたように、準司法機関、独立の第三者性の非常に強い機関において国税の不服に関する審判を行なうのだ、こういうことが最大のねらいでございますし、そのことのためには——いままでの制度というものが処分庁と裁決をする決定をする機関がやはり同一の行政系列の中でやられる。しかも協議団はあるけれども、これまた国税局長の指揮下にあり、ましてや国税庁長官の出す法令審査的な機能と申しますか、そういうものについてはこれは全くできないというような状況にある。そういう中でやはりたくさんの、六万件あるいは審査請求段階にくるのも三万件というような非常に大きい納税者大衆の不満、こういうものに対して最初からこれが全部裁判に移されるというようなことも、これも行政の能率的な立場、適正な運営というようなものからいって、なかなかぐあいが悪い。時間もかかる、あるいは手続が複雑に過ぎるというようなことで、なかなか権利救済として実効をあげ得ない、こういうようなデメリットもある。実際の租税裁判というものが非常に長期間にわたるというような実例も多いわけでありますから、そういう両方の立場を踏まえて国税審判庁を中央、地方に設けるということになったわけでありますが、このような形の中で初めて、納税者としては裁判所に持っていくよりはもっともっと簡単な手続で、費用も時間もかからないでということで、この権利救済の趣旨にわれわれの法案が非常にかなうものであるというように考えておるわけであります。  もちろん、御指摘のような点もあろうかと思いまするけれども、私どもは、やはり調書の問題というようなことなどを含めまして、この証拠申し出の順序であるとかその他きわめてこまかい問題をだいぶ政府案以上に書いてございます。そういうことで何か印象といたしましては、何しろそういう新しい制度をつくるわけでありますから、非常にかた苦しい、何か近寄りがたいというような印象を受けるかと思いますが、何と申しましても、裁判というものに対して一般の納税国民が抱いているようなかた苦しさというものは、この制度を発足さしてそういうレールの上に乗っていくならばかえってなじみやすいものになっていくだろう。裁判ほどはかたくない、しかも時間も費用もかからぬ、こういう有利な点というようなものが、そして迅速に、しかも国税庁、いわゆる処分庁の行政系列というものと全く離れて公正な裁決というようなものがどんどん積み上げられていくという実績の中でその問題はおのずから解決をされていくし、また、この制度を選ぶ国民の立場に立っても、最初はそういう気持ちがあるにしても、これに必ずなれて適正な運営というものが行なわれて、もうたいへんなんだ、あそこへ持っていったらえらい複雑でかた苦しくてどうしようもないんだということは事実の経過の中で必ず解消し得るもの、国民から非常に親しまれ、しかも権利救済においても十分の実をあげ得る制度である、こういうようなものになっていくであろうということを信じておるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 まあ社会党案というものは、どこまでも権利救済ということに主眼を置いて法案がつくられておるという、そのようなお気持ちはよくわかります。ただ、先ほど言ったように、ひいきの引き倒しになったのでは困るのであります。ここで裁判に持っていくことは非常にややこしくなるからなるべく国税審判庁という社会党案の中で処理をしたい、こういうお気持ちがあることは間違いございませんね。  そうしますと、この機構の問題に移ってくるわけでありますけれども、政府案というものは、政府のほうから裁判に訴え出るというふうな道は実はないのであります。しかしながら、国税庁から切り離して準司法機関として総理府に置くということになってまいりますと、大蔵省の意見、つまり国税庁の意見と総理府との意見が合わない、それで総理府に置いた国税審判庁はこういうふうに決定した、国税庁のほうは別なことで譲らないという場合は、納税者がかりに納得をしても、国税庁から下級裁判所に訴え出る道を当然開いてあることと思いますが、その点は間違いございませんか。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 私どもの法案に対して、非常に権利救済の面が強いのだということを言われるわけですが、その中でたった一つ、この行政庁のいわゆる出訴権というものを認めたことによってそのいわゆる権利救済の面が逆に今度はスポイルされるのではないか、阻害されるではないかという非難もあえて排除して、処分庁の訴えの提起というものをわが党案の第八十六条の二に明確に書いてあるわけであります。このことは私どもとしては、結局行政庁が総理府に置かれるこの審判庁の裁決に対して不満があるという場合に、国税庁側から裁判所に持っていくという道を開いておく必要もあるということを認めておるわけであります。ただし、その場合には、総理府に置かれる国税審判庁が裁決をした「その裁決を取り消さなければ著しく公益を害すると認めるときに限り、その裁決の通知を受けた日の翌日から起算して三月以内に、裁判所に出訴することができる。」こういうことを明定しておるわけでありまして、このことが逆に権利救済という面をかなりダウンさしたものであるという非難もありますけれども、やはり第一条の税務行政というものの適正な運営に資していくという立場から、こういう行政庁の出訴権というものも認めるに至ったという関係になっておるわけであります。しかし、それに対しては厳格な条件をつけて、いわゆるその裁決を取り消さなければ著しく公益を害するんだというそういう場合にだけ限られるんだ、こういう要件を付して出訴権というものを法定したわけであります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 理論的にはよくわかるのでありますが、著しく公益を害するかどうかというような実際の問題になってまいりますと、それが一つの法会の解釈の例になる、あるいはそれを認めた場合には非常に不公平な問題が起こるというようなことで、なかなかこれは実際問題として、国税庁でも五万の職員を持っておりますから、これは承知しないだろうと思うのです。そういうようなときに完全に押えられるかどうかというところに非常に私どもとしては疑問を持っておる。  それから、行政庁がそういうふうに出訴をしていくということになれば、一つの権利救済が一そう長時間にわたってごたつくというようなことにもなりかねない。したがって、やはりここで政府案というものを多少修正をして、それは国税庁の中にかりに置くとしても、現在審査会というものが設けられることになっておる。したがって、審査会の委員は長官任命というようなことになっておりますが、この長官任命というものを変更して大臣の任命にする、それから審査会の「意見を尊重して」長官が指示するというふうなことでなくして、審判所と国税庁が対立をしたというような場合には、審査会の「議決を経て」あるいは「議決に基づいて」長官が指示をするということになれば、事実上ともかくその審査会に権威を持たせれば、これは何もわざわざ裁判所まで訴えなくても国税庁のほうも往生——往生するということばは適当かどうか知りませんが、国税庁のほうもまあそれでやむを得まいということであきらめるということになると、納税者のほうは助かるわけですね。  したがって、そういうふうなことをわれわれとしては国会において考えていかなければならない。ただ単にここで、われわれお互い同士、学者じゃないのですから、論戦だけをして終わりになるということも意味のない話であって、そういうりっばな御提案がなされたのですから、そういう御提案の考え方というものを大きくわれわれも取り入れて、しかし、できるだけ現状に即して、それは政府案を一部手直ししてでも皆さんの言わんとするところをなるべく取り入れるようにしていく、私は議員として努力をしたいと思いますが、そういう際にはひとつ御協力をいただけると思いますが、いかがですか。また、その腹のほどを少し聞かしてもらいたいと思うのですけれども……、

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 先ほどの答弁にもう一つ追加をいたしますと、国税当局がいわゆる公益を著しく害すると認める、そういう限定をつけても、その解釈そのものは非常にむずかしい面もあるし、また、たくさんの国税庁職員もおる、なかなかそういう面からの不満というようなものもあるだろうということも御指摘されたわけですが、いずれにいたしましても、国税当局が、これは国会もあることですし、わが大蔵委員会もあることでありますから、そういう中で何でもかんでも、ちょっと長官通達と違うことが出ればすぐ裁判所に行政庁側として出訴していくというような、そういうことは行政庁として大いに慎んでいただきたい。また、そういうものはやはり国税庁の良識において乱訴するというようなことはないであろうということをわれわれとして期待をしているということを、先ほどの点に少し不十分さがございましたので、つけ加えておく次第であります。  いま御質問がありました点は、こういう形における答弁としてはなかなかむずかしいことを質問していただいたわけでありますが、私どもは少なくとも、このわが党の国税審判法というものが、今日の段階においてやや理想的に走っているとかなんとかという批評はありますけれども、東大の金子教授は、原案、国税通則法の一部改正の立場に立ちながらも、両案はむしろ接続の関係にあるというようなことも言われておるわけであります。そういうような点からいえば、まだ時期が早いのではないか、条件が整っていないのではないかというようなお気持ちが、参考人の金子さんの中にもあったと思うわけでありますが、現状の中で、いろいろ今日まで長い期間、この問題について国民大衆から要望をされておったものがようやくここで実現をするのであって、時期は必ずしも早くないのだ。しかもこの程度のことはやろうと思えば、みんなが決断をして新しい納税者に対する救済制度というものに十分ウエートを置いた行政の統一とか、あるいは税務行政の大量回帰的であるというような性格、そういうものを踏まえてどうこうというような論評もあるけれども、今日の段階においてなおかつフィットするわれわれの案だという自信を持っておるわけです。  したがって、一歩下がって国税審査会の場合に、不服審判所長から国税庁長官に指示を求めるという残滓が残っているわけです。協議団と国税局長との間ほどではないが、すなわち協議団には独立性がまるきりないのだということから、若干よくなったとしても、やはり最後のところへいくとそういうものがある、これについてどうだということであります。しかも国税通則法の一部改正では「尊重して」ということはあるけれども、尊重してないというのは——これこそ私どもが先ほどの御答弁の中の「公益を害すると認めるとき」以上に、いままでこういう行政機関がいろいろな審議会や委員会などを設けてその答申を得ても、それを尊重するというたてまえにはなっておるけれども、なかなか尊重せぬというようなものは、今日の行政レベルにおいて非常に多かったという事例を私ども見過ぎておるわけであります。そういうような点からいいまして、いま渡辺委員がおっしゃったようなことは、少なくとも次善の策としてはやはりそういう方向に、少なくともその「議決に基づいて」とか、あるいは「議決により」とかというようなことで、国税庁長官の通達と違う場合でもその時点においてそれがくずれたならば、国税庁長官が新しい通達を出しかえればいいのですから、それで何かまた新しい権利救済にもつながる。しかも行政の民主化という、国民の要請にも十二分にこたえられる、国民も非常に満足することにもなるわけですから、次善の策としてはそういう方向で行くべきだということについては私も同感だと思うわけであります。  以上です。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)議員 簡単に申し上げますが、修正への意図が那辺にあるのかという、社会党の案を捨て政府原案に賛成をせよと言われるような、そういうものであるならば、残念ながらわがほうとしては国税審判法案を提案しているわけでございますから、その基本にかかわるような問題について、そうでございます、御協力を申し上げるということを申し上げるわけには参りません。それで簡便な内容のもの、これは文章表現の上において当然直すべきだというようなものについては、与野党が一致するものについては、積極的に自由民主党のほうがわがほうに協力をいただく意味において修正をしてもらいたい、そういうように考えております。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 ともかく修正云々というような具体的な問題に入ってしまったわけでございますけれども、私は将来、準司法機関としてアメリカのタックス・コートに似たようなものをつくるということにおいては、別に反対でなく大いにけっこうなことなのであります。そういうようなことの一つの先べんを社会党案がつけてくれたということについての御苦労は高く評価をするということで、先ほども申し上げたとおりであります。したがって、それはこうしてお互いに四角四面で話をしておってもらちがあかないことでありますから、いずれ懇談をさせてもらいたい。そうして皆さんの意のあるところも十分に将来御懇談を願うということで、それはその程度にとどめておきたいと存じます。  それからもう一つ、不服申し立てと徴収との関係というようなことにつきまして、社会党の案を見ますと、執行不停止を原則とするが、審判請求人が滞納処分による差し押えをしないことを求めた場合には、請求について明らかな理由がない場合を除き、処分庁に対し差し押えをしないことを命ずることとしておるのであります。これはやはり権利救済というふうな観点から考えますと、たいへんよろしい考え方であると私は思うのであります。政府案のほうも、この執行不停止ということを原則としておりますが、執行は不停止ではあるけれども、じゃ停止する場合というものについては非常に限られておる。ただ、徴収の猶予を認める、担保を提供した場合には差し押えを場合によっては解除するというようなことで、非常に執行不停止がどこまでも貫かれておる。社会党のほうは、納税者から要求されて、そうしてしかもその要求がもっともだというような場合は、これは差し押えないというようなこともいいじゃないかというのでありますが、私はただいたずらに白色申告と青色申告と一緒くたにして差し押えをしないことを認めてやるということは、非常に乱訴の弊害を呼ぶというように思うわけであります。したがって、ある条件をつけてこれは社会党案というものを尊重していきたい、かように考えておるわけであります。  なお、政府案においては更正の請求期間を現行の二カ月から一年に延長するというようなことや、差し押えがなされた場合の延滞税というものについて減免するというような六十三条四項の規定がございますが、そういう規定は社会党のほうは審判法という法律だけで出してきておりますので、規定をされていない。この点は政府案のほうが現在よりもよくなることですから明らかにまさっておるということが言えると思うのであります。  なお、この政府案について、不利益処分の禁止ということがうたわれておるわけでございますけれども、社会党案では審査請求したことによって差別取り扱いを受けないということが五十四条に書かれております。つまり、社会党案の五十四条を見ますると、「国税庁、国税局、税務署、税関その他の行政機関の職員は、納税義務者が審判の請求をしたことのためにその納税義務者に対して差別的な取扱いをするようなことがあってはならない。」ということが書いてあります。この納税義務者に対して差別的な取り扱いをしてはならないということは、具体的にはどういうようなことをおさしになっておるのか、この際お聞かせをいただきたいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 まず審判の請求と国税の徴収との関係につきましては、私どもは執行不停止ということについては、原則的に第三十六条第一項においてうたっておるわけであります。第二項において、いま渡辺委員御指摘のように、「審判請求人が、審判の請求の目的となった処分に係る国税につき、滞納処分による差押えをしないことを求めた場合には、」「政令で定めるところにより、処分庁に対し、その差押えをしないことを命じなければならない。」その際、いま中略で申しましたが、当該審判の請求について明らかに理由がないと見られるとき及び国税通則法第三十八条第一項各号、繰り上げ請求、こういうようなことで、いわゆる乱訴ということで審判請求を求めてきた。すなわち、理由がないんだ、しかし社会党の案でこういうものが出ている、だから、何も理由がないのに審判請求だけ出しておけば繰り上げ請求をされないというような気持ちで出している、出している間は差し押えをしないでくれるんだ、こういうようなことを利用してやろう、それだけの理由でやるという場合には私どももちゃんと押える。そういう場合には執行停止というものはやらないんだ、執行不停止にするんだということでありますが、そういうものがなければ、真に権利救済の理由があり、書類が審判庁に適法に受け付けられ、そうして審理が続いているという場合に、権利救済を求めながら、一方においては取り返しのつかないような、たとえば差し押えされたというような場合には、結局最後は納税者が勝ったという事例が出ても、差し押えによって失われた取引関係における信用、取引ががた落ちになったというようなことは避けがたい現実としてあり得ると思うのです。  そういうようなことで、権利救済という立場から、そういう特別な、かってな乱訴にわたるような、理由もないのに出した、差し押えをのがれるために出したというようなことがはっきりする場合はだめだけれども、そうでない限りはやはり審判請求人の権利を保護するという立場を貫徹させる意味において執行不停止をやめて執行停止をする、こういうような形に持っていこうという趣旨でありまして、乱訴という場合まで保護する意味では全くないわけであります。その点御了承をいただきたいと思うわけであります。  次に五十四条に、国税庁その他行政機関が、いわゆる審判の請求をしたというために納税義務者に対して差別的な取り扱いをしてはならないということを私どもわざわざ書いたわけであります。しかもこれは今日、いろいろな税法関係あるいは租税法における権利救済の問題に関心を示すあらゆる団体などが、この問題については党案を非常に評価をしてくれておるわけであります。そのことは渡辺委員も十分御承知のことでございまして、質問の中からもその点はよくくみ取れるわけであります。具体的にどういうことがあるかという御質問でありますが、たとえば私ども青色申告をやっている人あるいは白色申告の中小零細業者という人たちのところに参りますと、異議申し立てをする、あるいは審査請求をするというようなことについても、ときどき、その異議申し立てをしたためにいままで三年に一ぺんか四年に一ぺんぐらいしか調査に来なかったのに、異議申し立てをしたばかりに、いままでずっと優良な納税者でしたのに、一ぺんどうもおかしいというので異議申し立てをしたら、とたんにその翌年また厳重な調査をやられたというようなことなんかがあるわけであります。しかもかなり意地の悪い調査をやられたということで、根掘り葉堀りほんとうにいやな思いをした、こういうことでは、やはり長いものには巻かれろで、税務署にはおとなしくへいへい言っておったほうが得なんだというような事例に私ども現にぶつかったこともあるわけであります。そういうことが、今度は独立の総理府に置かれる第三者機関としての、準司法機関の国税審判庁まで持っていったというようなことで、そういうことでわれわれを敵にして戦うならば次は覚悟しておれというような、国税庁長官も非常にその点を気になさっておるようだけれども、現実にやはりそういうものが絶無であるという保障は何にもないわけであります。そういうことで、権利救済制度を設けながら、やはりこういうものを設けておかないと、権利救済のせっかくの機関を——見えざるうちにいわばしっぺい返しを食うようなことをされたのではということで、せっかくの機関を利用する人も利用しにくくなるということもあるものですから、いわばこういうことを書くこと自体、本来ならば当然のことなんだから書かないでもいいわけでありますが、あえてまだ現状ではこのことが非常に威力を発揮する規定である、こういうように考えましてこの条文を入れたわけであります。そういう具体例、ほんのわずかしかあげませんでしたが、おわかりいただけるのではないかと思うわけです。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 たいへんよろしい御意見を承りましてありがとうございます。  実はそういう実務の点からいたしますと、そのような事例がないということは私もないと思います。あり得ると私も思う。ただ問題は、そういうことを法案に書くことがいいのか、あるいは執行通達にきちんと書かせるべきなのか、議会として附帯決議等で国税庁からしっかりと約束を取りつけることがいいのか、そこらの点になってまいりますと、いろいろ御議論があろうかと思いますが、その趣旨には私も賛成したい。特に憲法にも請願についての差別取り扱いの禁止規定があり、請願法にも同じようなことが第六条にきまっておるし、あるいは労働組合法にも、労働組合を結成したことによって特に不利益な取り扱いを受けないということが書いてあるし、あるいは地方公務員法、国家公務員法、こういうものにも書いてある。そういう点から見て、はたしてこの審判法に書くことがいいのかどうかということは別としても、そういうことを徹底をさせるというその御趣旨は私は大賛成であります。  それからもう一つ、前にさかのぼりますが、不服申し立てと徴収との関係について、乱訴が行なわれない、つまり通則法三十八条に繰り上げ請求という規定がございます。これは、ある納税者が納税期限までに完納されないというおそれがある場合においては、納期前であっても繰り上げで完納させるための条項であります。それには、御承知のとおり、納税者の財産につき強制換価手続が開始されたときとか、あるいは納税者が死亡した場合においてその相続人が限定承認をしたときとか、あるいは法人である納税者が解散をしたときとか、あるいは納税者が納税管理人を定めないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときとか、あるいは「納税者が偽りその他不正の行為により国税を免れ、若しくは免れようとし、若しくは国税の還付を受け、若しくは受けようとしたと認められるとき、又は納税者が国税の滞納処分の執行を免れ、若しくは免れようとしたと認められるとき。」というようなことがあって、このとおりぴしっといけば何も弊害はないじゃないかというような御意見もあろうと私は思います。しかしながら、非常に異議申し立てというものが多い。六万件も異議申し立てがあるということになると、六万人の異議申し立て全部についてはたしてその人はそういう状態にあるかないかということも監視しなければならぬということは実務的にきわめて困難なことであるということも言えるわけであります。しかしながら、昭和二十六年から三十七年まで、要するにシャゥプ勧告によって税制改正が行なわれた際、青色申告者については何の制約もせず、青色申告者が異議申し立て、審査請求をした場合は、それが決着がつくまで差し押えをしないという実績があったわけであります。それを三十七年の国税通則法の改正で一ぺん取っ払ってしまった。取っ払ってしまった理由はどこにあるか。私は当時国会議員でなかったからよくわかりませんけれども、いずれにしても青色申告は相当普及をされて、たくさんの人々が青色申告者になった。前には青色申告が少なかったから、青色申告から異議申し立てする人も比較的少なかった。ところが、大部分の者が青色申告するようになって、異議申し立ても審査請求も青色申告は非常に多くなった。それが全部執行不停止ということでは困るじゃないか、差し押えもしないということでは困るじゃないかというようなところから、私はなくなったものだと思います。確かにその点も国税庁側が言うことに私は実務の上から意味がないとは申しません。したがって、皆さんのような意見を取り入れ、なおかつ、いままでの実績を考えるならば、青色がふえたということからしでいままでどおり青色であればいいというのではなくして、青色を三年以上継続してずっと認められておるとか、あるいはそのほかにいま言ったような国税通則法第三十八条に定める繰り上げ請求の条項に該当するようなおそれもないというような場合は、差し押えを猶予してやるというようなこともあってしかるべきである。したがって私は、これらの点は今後とも、社会党案の一部でございますが、この趣旨が生かされるように努力をしていきたい、かように思うのであります。  最後に社会党案に一つ質問をいたしますが、社会党案では準司法機関をこしらえる。準司法機関には権威を持たせようとするのでございますか、どうでございますかと聞くことはやぼでありますが、第三者機関で決定させるのですから、それには非常な権威を持たせる、権威を持たせるためには真実をつかむ。真実をつかむということが私は根本ではないかと思う。真実をつかまない権威なんというものはあるはずがないのであって、真実をつかませる、こういうようなことをお考えになっておると思いますが、その点いかがでございましよう。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 準司法機関であるというような立場からいいまして、一体社会党案は職権主義なのかあるいは口頭主義なのか、そういうような問題がときどき出されるわけであります。私どもは準司法機関として非常に独立性の強い審判庁をつくるわけでありますから、したがって、この中である程度審判庁がいわゆる準司法的なと申しますか、民事訴訟的な当事者主義あるいは口頭主義というようなことをかなり認めていくことが権利救済としてはかなうけれども、しかし、いま渡辺委員が指摘したような面も当然考えていかなければいけない。真実を発見し、真実に基づいての公正な審判というものが得られるのだというような立場からいえば、かなり職権主義的なものもこの中に入っておるわけでありまして、どっちに片寄っているかといえば、権利救済というものを最重点に置いた私どもの制度でありますから、できる限り裁判におけるいわば口頭主義あるいは当事者主義というようなものをかなり色濃く強めておりますけれども、職権審査というようなものも捨ててはおりません。そういう点がこの条文の中にも各所にありますし、審判官による質問検査、あるいは物件の提示を求めるとか、あるいはそれをとどめておく問題であるとか、あるいは鑑定人に鑑定をさせるとかいうような幾多の問題について、そういう問題を審判請求人あるいは事件関係者というような人たちにもそういう質問検査に応ずるようにしているというようなたてまえをとっておるわけであります。  ただし、その場合におきましても、私どもは納税者の権利救済であるという立場を貫徹させるために、罰則も設けておりますが、その罰則の場合においては、いわゆる行政罰、秩序罰といわれております過料、こういうものにこれは緩和をいたしておりまして、通則法の一部改正においては罰金ということでありますが、それを行政罰、秩序罰という程度のものにいたしておるということで職権主義というものと権利救済に結びつく口頭主義あるいは当事者主義というようなものとの調和をはかっておる、こういう立場でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)議員 ちょっと補足いたしたいと思います。  御承知のように、国税不服審判所の定数は四百四十九名ということでありますが、社会党案によりますと、国税審判庁の定員は千七名ということで、審判官のみならず調査官あるいは事務官、こういうような者を政府原案の二倍程度設置いたしまして、万遺漏のないように手配がしてあるのでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 たいへん人数をたくさんそろえて、その点では見かけはたいへんりっぱなものだと思います。しかし問題は、権限がないということ、質問権、検査権というふうな権限があっても、その裏づけがなければ真実はつかめないのじゃないか。この点について私は政府案も実はきわめて不満なのであります。政府案では検査権、質問権について、本人については何ら答弁の拒否あるいはうその供述、そういうことをしても罰則は適用しない。関係者及び取引人、参考人、そういうものについては三万円の罰金をかける、こういうことになっておる。社会党案のほうは三万円の過料ということになっておるわけで、なお罪が軽いということであります。私の見解によれば、これはいずれも罪が軽過ぎてこれでは真実がつかまえられないのじゃないかという疑いを持っております。この点はこの法案の一番の目玉ではなかろうか。だるまでも目玉の入っていないだるまというのはあまり値がないのであります。画竜点睛を欠くというようなことばもあるそうでありますが、いずれにしてもどこか一本くぎが抜けている。抜けているところはどこかといえば、私はここだと思っております。  これは御承知のとおり、現在協議団令という政令があって、各国税局に協議団というものがつくられておる。これはともかく国税局長の指揮下にあります。しかしながら、いまの審判所と同じように、やはり協議官が協議をして、その協議に基づいて国税局長が決定をするというようなことをやっておるのであります。現在異議申し立てあるいは審査請求が一番多いのは何か、どういう税法が一番多いかと申しますと、所得税と法人税でおそらくこれはもう九割以上でないかと私は推定をいたしております。その点いかがですか政府側、現在の異議申し立ての六万数千件というもののうち、税目別にいえば法人税、所得税あるいは相続税で全体の何割を占めていますか。大体大まかなところでけっこうですから……。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 大体やはり所得税、法人税が非常におもでございます。それで四十一年で申し上げますと、全体が約七千五百のうち所得税が約三千九百、それから法人税が千八百、合わせて五千六、七百というものは所得税、法人税。したがいまして、異議申し立ての……。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 ゼロが一つ違うのじゃないか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 私、ちょっとぼんやりしておりまして、たいへん申しわけございません。おっしゃるとおりでございまして、いま繰り越しのところを見ておりました。その年度に新規発生いたしますものは、毎々先生六万とおっしゃいますが、大体三万をこえる数字で審査請求が一万、こういう感じでございますが、一番新しいところでの数字で、四十二年度で新規発生が三万四千八百五十九件でございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 それは審査請求だろう、異議申し立てですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 異議の申し立てです。そのうち所得税が二万一千七百二十六件、法人税が八千六十七件、その他の税目が三千四十三件、徴収関係が二千二十三件ということで、所得税、法人税で三万四千のうち約三万、常識的にいえばほとんど所得税、法人税で大体占められていると申してもいいのではなかろうか、かように考えております。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうしますと、検査権、質問権というものは、所得税、法人税、相続税等では検査拒否やあるいはうそを言ったりいろいろなことをした場合は、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金、こういうことになっておると思います。協議団はそれぞれの税目によって検査権、質問権を行使しておる、こう思いますが、その点間違いないでしょうか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 仰せのとおり、当該対象税目に関する法律に規定されるところによって質問検査権を行使しておるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうしますと、大体新規発生の異議申し立て件数の九割というものは法人税、所得税である。これは間違いない。そこで、協議団はこれを調べ直す場合において、一応本人も呼び出します。本人にもうそを言ってはいけませんということになります。それから本人と取引がある人、その人に対してもうそを言ってはいけません、こういうことになります。そういうようなことでいろいろ異議申し立ては税務署でやるのですが、税務署はそれをやる。審査請求になった場合については、協議団は審査請求の問題についても同じようなことをやる、こういうことになります。ですから、協議団は質問検査権については税務署と対等な同じ権力をもって調査に当たるということになってまいります。ところが、今回はそうでなくなる。いままでは税務署で異議申し立てをすれば、もちろん税務署は見直し調査ですからいままでと同じ権力でやる。審査請求で三万件のうち一万件があがってくるということになりますと、それについて協議団は税務署と同じ権限で調査質問というものをいたします。それで結局は、それでも解決がつくあるいは納得するというものが大部分で、数百件しか出訴はないということになっておるのが現状であります。  ところが、今回は社会党案によると過料だ、こういうふうなことになります。ちょっと石原刑事課長にお聞きいたしますが、過料というのは前科になるのですか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 過料の場合にははいわゆる前科にはなっておりません。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 国税庁は、罰金三万円ではとてもだめじゃないかという話をいたしましたところ、いや、罰金の額は少ないけれども、これは前科者のレッテルを張られますよ。したがって、前科になるのがこわいから、結局あまりうそを言わないんじゃないか、検査を拒否しないんじゃないか、こう言うのであります。過料の場合は、同じ三万円でも今度は前科にならないということになると、ちょっと過料ですから三万円払えばどうということはないというわけです。  そこで私は、問題が一つ出てくる。と申しますのは、この審判所というものは真実を究明しなくてもいいのかどうか。真実をつかむということが一番大切なのか。納税者の権利を守るということと真実をつかむということと両方大事なことであるけれども、真実をつかまないで納税者に不利になることはないか、こういう問題であります。  たとえて一つの例を申し上げますと、私なら私が物品販売業をやっておる。おまえは売り上げ漏れがあるといって、五百万円を追加して千五百万円の所得だといって税務署から更正を受けてきた。私は青色申告でありますから、直接国税審判所にこれは審査請求をするということにいたします。おおそれながらまさに売り上げ漏れはあります。売り上げ漏れは多少ありますが、実は五百万円なんというものはありません。売り上げで五百万円くらいありませんというんじゃなくて、所得で五百万円はありません。売り上げ漏れは実はもっとあります。一千万円以上売り上げ漏れがあります。しかし、実は私には仕入れ漏れがあります。売り上げ高だけを落としたわけではありません。仕入れと売り上げと両方を私は落としました。したがって、所得としては五百万円などふやされる理由はどこにもありません。百万円かせいぜいそこらです。売り上げ漏れが一千万あって、仕入れ漏れがともかく八百万くらいありますから、まあ経費もかかっていますから、経費も落ちておりますから、私の所得はふえたとしても百万かせいぜい百五十万くらいです。こういう申し立てをしたといたします。そうすると審判所は、おまえはそう仕入れ漏れがあると言うけれども、税務署では売り上げ漏れがあると言っているが、もっとあるんだな。もっとあります。だれとだれにあるか。この人とこの人に売り上げの漏れがありました。仕入れはこういう人から仕入れて、これは仕入れも漏れております。どうぞひとつお取り調べを願いたいと持ち込んでこられるわけだ。そうすると、審判所は関係者を呼び出します。私は渡辺商店でそれをやられたんですから、毛利商店から仕入れたものですから、毛利さんひとつ来てくださいということで、毛利さんに審判所に来てもらう。あなたは渡辺商店に対してともかく八百万円品物を売ったそうだが、幾ら売っているんだ。いや、私はともかく売っているのはたくさん売っています。五千万円ぐらい売っておりますが、五千万円以上はありません。それは結局五千万のものは全部ぴったり取引は符合してみて合っている。八百万円だけ合わない。これは実はお互いになあなあで、その分だけお互いに落とそうじゃないかといって落としたわけですから、合うわけがない。そこで、ともかく自分が、いや実は渡辺商店に八百万円売ったんだけれども、私のほうの帳面にも載っかっていないというと、とたんに八百万の六割くらい税金がかかってきます。これは重加算税もきますから、七割くらいになる。そうすると五百六十万くらいの重加算税、税金を取られなければならない。そこで毛利商店の社長は考えた。過料の三万円を払うべきか、税金の五百六十万円を払うべきか。いずれが得であるか、こういうことに当然なるわけであります。  もともと税法というものは、各税法の中で騒ぎが起きるものは課税標準であります。課税標準は大体所得であります。その所得は、ストレートで起きるということはあまりない。因果関係があるはずであります。取引があって、そのところから差額が起きて、それが所得になってくる、こういうことになってまいります。そうすると、どうしても関係者を調べなくては真相がつかめてこない。そういうときに、私は第三者に迷惑をかけることは気の毒だから、ともかく罪を重くすることはけしからぬよという気持ちはわかりますけれども、脱税をしておる第三者に対して迷惑はかけられないから、気の毒だから、ともかく過料で真相を調べるんだといっても、なかなか真相を調べることはできない。その点については、三万円の罰金も実際はうそに近いと思っております。少なくともこれはほんとうに真相を調べるということになれば、異議申し立て人が、私を助けてください。私はそんな五百万円の所得はないんだ。事実ない。だからほんとうのことを全部申し上げます。ほんとうのことを申し上げたにもかかわらず、それが救われないということになれば、はたしてそれが権利救済——ともかく自白した者の、正直に言った者の権利救済が認められないということに私はなるのではないかという気がいたしますが、その点いかがお考えですか。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 けさほど来私もこの問題を政府側に追及をした点であります。しかしながら、いま質問者のその言われんとするものとはまた逆の立場において私は追及をいたしました。そこで、これは憲法三十八条一項の国民の権利と行政手続上の問題との関連性だと思うのであります。  そこで、一体犯罪容疑がかかってくるような者を調べられる、調査する上において質問をし、検査する権利というものが出てくるのですから、その場合に取り調べを受ける者は、自分が犯罪の罪をしょわされる危険性があるという場合には黙否して権利を擁護するというのは当然です。自己保存の権利として憲法上認められているわけであります。それを今度はいまの説によりますと、権利を救済するためには罰則を強化する必要がある。それは三万円という罰金は弱過ぎる。やはり所得税法上に規定があるように、一年以下の懲役、二十万円以下の罰金というものにすべきだ。あるいは真実を告げさせるためにはそれ以上にやるべきだ、こういうふうになってきますと、それは性悪説の上に立って、人間というのは悪いことをするやつなんだ、そういう考え方に立てばそういうようないわゆる処罰することによって真実を告げさしていくということになると思うのであります。その点はわれわれの見解とは基本的に食い違う点でございます。  そこで、憲法三十八条一項と行政手続との上においていろいろな説がございます。渡辺委員のような考え方に立つ学者もおありのようでございます。私たちは、いま質問検査権というものが、懲役刑あるいは罰金等の罰則によってその執行権者、いわゆる国の行政権を行使する者の権利が非常に強められておる。それに対応して納税義務者の権利保護というものの規定が非常に少ない。保護規定のほうが少ないという現状をいかに改善していくかということをやらなければならない段階に来ていると思うのであります。そういう立場からいいますと、これはやはりそういうような法益、全体の法益をそこなうような場合にのみ適用すべき罰則をもって処理すべきではなくて、やはり秩序を維持するという程度における処分行為にとどめるのが正しいのであって、政府原案は行き過ぎているというふうにわれわれは考えるのであります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 村山議員のお話を聞きますと、ともかく憲法に自分に不利益な供述はしなくてよろしいということが書いてあるのだから、そういうような点も考えてということになってまいりますと、私は所得税法、法人税法、そういうふうな行政罰というものは、一切その質問検査等についてはいかぬという理屈になるのではないかと思います。  それからもう一つは、この法案は御承知のとおり異議申し立てをした人、審査請求をした人、その審査請求をした本人に対してはうそ八百を言っても罪になりませんよ。今度はそこががらっと変わってしまうのです。異議申し立てをした人には不利益処分をしないのですから、あなたは税務署でうそを言ったら罪になりますが、審判所でうそを言ってもけっこうですよ。ところが、ほんとうのことを言わなければ、先ほど言ったような例で、自分が不利になる場合がある。私は仕入れ漏れもあります、つかまったけれども、売り上げ漏ればかりじゃありません。仕入れ漏れもあるのですと言ったときに、仕入れ漏れば認めませんといったのでは、その人は救われません。仕入れは経費に入れておるのです。税務署は一応売り上げ漏れをつかんで持ってきた。しかし、これには仕入れ漏れも売り上げ漏れもあるのだからそれを見てください。経費として差し引いてくださいと言うときに、今度は相手先が、それは自分が脱税しているからおれは知らぬよと言われたからには浮かぶ瀬がないのです。審査請求人がかわいそうなんです。だから私は、それはちょっとおかしいじゃないか。いままでのように本人にもうそを言ってはならぬということになるべきだが、今度は本人に不利益処分もしない。だから、うそ八百を言っても審査請求が棄却されるだけで、正式な罪にはなりませんというのですから、どうしても真実を知るためには傍証を固めなくてはならない。  したがって、私は刑事訴訟法においてもそうだと思うのでありますが、たとえばこれは石原課長にお聞きしたいのでありますけれども、裁判で結局その本人はうそを言っても罪にはならない。そのかわり本人の特殊関係がある親族、何親等とかきまっているそうでありますが、そういう者も、これはうそを言ってはだめだが、答弁をしなくても罪にならないという規定がどこかにあるはずであります。しかしながら、いわゆる本人とそういう血のつながったある一定の関係にある者以外は、知っていることをしゃべらなかったり、あるいはうその証言をしたりするような場合は相当重い罪になる。それは真実を担保するためです。本人にはそのかわり自由にしてやる。そのかわり傍証を固めなければならぬから、第三者についてはやはり罪を重くする。私の記憶では、偽証罪というのは三カ月以上十年以下の懲役ということが偽証罪になっていると思うのでありますが、どういうわけでそういう重い罪をつけてあるのか、そこらの観点から、この政府案の三万円の罰金というものがその量刑として適当なものであるかどうか、御所見を承りたいと思います。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 私ども法案に関係いたしまして国会に参りますと、大体重過ぎるのではないかというようなおしかりを受けるのでございますが、きょうは逆でございまして、いささか戸惑っておりますが、御承知のように、行政法規の際に罰則がつきますときには法務省の刑事局で審査いたすことになっております。本国税通則法につきましても審査いたしまして、先ほど先生のおっしゃったように罰金三万円にしたわけでございますが、その理由について御説明申し上げたいと思います。  結局、審査手続の公平をはかる面におきまして、担当審判官が行なう調査を拒否したりあるいは妨げるということは相当悪質な行為というべきではないだろうか。要するに、先ほど先生もおっしゃいました真実発見という面から、刑罰というのはそれの間接強制のつとめをなすわけでございますが、その点から考えますと刑事罰でなければならないであろうという点をまず考えたのでございます。  その次は刑量でございまして、これを御指摘のような所得税、法人税あるいは相続税等のいろいろな懲役刑をつけるかっけないかということでございますが、まず第一に申し上げたい点は、国税通則法はいま申し上げたような三つの法律以外のあらゆる税法の分についてもかけられるわけでございます。そういたしますと、現実には先ほど来御議論がございましたように、異議の申し立てが所得税法あるいは法人税法に関係するものであるというふうになりましても、法律の体系といたしましては、やはりあらゆる税法を見通しましてその上できめなければならないであろう。そうなりますと、一番少ないものより高めるというわけにはいかないのではなかろうかというふうに考えたのでございます。その面で、一番下限にございますのは取引所税あるいは印紙税でございますが、それが罰金三万円でございます。そこをまず目安にいたしました。その上で法体系としての権衡を配慮いたしたのでございますが、先生御指摘のように、本人につきましてはこれは何もしていないのでございます。所得税法、法人税法あるいは相続税法その他の税法につきましては、本人に対しましても検査拒否等につきましては罰則がかかるのでございますが、この体系におきましては、社会保険審査会法でございますが、その体系と同じように本人に対しては罰則をかけていないという面から考えますと、そう重くはいかないだろう、せめて三万円程度でやむを得ないのではないか、かように考えたのでございます。  しかしながら、それでは担保できないのではないか、特に相当ひどい妨害があったときにも三万円というのではおかしいではないかという御疑問が生ずるかもしれませんが、個々の国税審判上の担当審判官といえども、これは公務員でございますので、これに対しまして公務の執行を妨害するという程度にいたしますれば、公務執行妨害で保護されるという点もございますので、法務省といたしましては、罰金三万円がこの段階においては適当であろう、かように考えまして、政府案ができ上がった次第でございます。  もう一点、先ほど御質問の中にございました偽証罪の関係でございますが、これは刑事訴訟法の証人尋問に関係するところであろうかと思います。先生御指摘のように、刑事訴訟法上の権限に基づきまして、裁判所におきましては証人尋問ができるわけでございますが、その際、親族に関係する者につきましては証言拒絶権というものを認めまして、そのものにつきましては証言拒絶することができる、こうなっております。それ以外の分につきましては、うそを言った場合には偽証罪でもって処罰されるのでございますが、法定刑は御指摘のとおり三カ月以上十年以下の懲役でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 先ほど、そうなれば所得税法なり法人税法上の罰則規定というものも否定をする考え方に通ずるのじゃないかとおっしゃるのですが、それは基本的にはそういうような考え方でございます。しかしながら、現実に行政罰の執行の状態についてけさほど私も聞いたのですが、行政権に基づくそういうような処分の実例というものは非常にまれでございます。だから、言うなればそういうような懲役あるいは二十万円以下の罰金によって、おまえたちを処分するぞという一つの威嚇的な作用というものが存在していく中で、行政の秩序というものを維持していくというようなねらいがあるのだということをその実績の結果は示しているものだと思うのであります。日本の所得税法なりあるいは法人税法、これは渡辺委員は権威者ですが、質問検査権の沿革を調べてまいりますと、やはり国家権力を握っているものの行政権と、やはりそれによって徴収をされる納税義務者との間の長い間の権利の葛藤の歴史があって、その中で徐々にその罰則が強化されながら、そういう締めつけられる体制というものができ上がっているということがなにしておるのですが、特にシャウプ勧告のありました昭和二十四年以降が罰則が強化されておるということ等を見てまいりますと、この問題については、刑事罰については、自己に不利益なものの供述は強要されないというのに、行政処分については黙否権を使った場合でも処罰をするのだというような取り扱いはまことに私たち不合理だと思うので、もっと合理的な行政処分のあり方について研究して検討し直すべき段階に来ているというふうに考えます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これはもう平行線ですからこれ以上社会党に御質問をすることはやめますけれども、私は、要するに協議団よりも権威を持ったものはそれでは何になるのだ、協議団は検査権、質問権というものを持って第三者のことも調べることができる。今度は社会党が過料、政府案は罰金だということで、ほんとうに審判官が真実をつかめるのか。社会党のように千人もいるのならどうか知らないけれども、四百何十人、これはかりに二千人いたところで、もともと裁判所で争ってきて一年以下の懲役だといわれてきても、なかなかほんとうのことをつかめないで上へ上がってくるのだから、上へ上ってきて、今度はとたんに、いままでは一年以下の懲役だ、二十万円以下の罰金だといっても、今度は三万円に下がってくるということになったら、なお真実はつかみづらくなってくるのではないか。手足はない、権力の背景はない、その結果はどうなるかというと、いま審査案件等の大部分は事実関係の問題であります。御承知のとおり、国税審判所というものは、これは確かに長官通達と違うような決定も場合によってすることができます。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、それは法令の解釈をめぐる問題、重要な先例となるような問題であります。ところが、現実の審査請求事件というものは、大部分が事実関係であります。そうすると、ほんとうの真相というものを審判官はつかめない、善良なる納税者の善意に期待する以外に道はない、これでは準司法機関といえるだろうか。裁判所になれば、証人が出てうそを言ったり何かすれば三カ月以上十年以下の懲役ですから、正しい証言というものはある程度担保される。今度、いままでは一年以下の懲役だったものが三万円以下の罰金になってしまったら、正しい証言が確保されるのだろうかという実は疑問を持つのであります。それが確保されないということになるとどういうことになるか、これはたいへんなことになるのです。それはどうしてかというと、結局審判官がわがままな審判官で、いやかまわないやということで決定すればばたばたこれは決定してしまいますよ。そういうことになれば納税者に有利に決定されるかもしれない、あるいは納税者の主張どおりに決定されるかもしれない、事実関係はどうせあまり調べられないのだから。しかも事実関係については長官の指示を仰ぐ必要はない。金子教授がこの間言いました。長官指示というものは、いま言ったように、通達が法令違反の疑いがある、あるいはまた重要な法の解釈の先例になるというものについてのみ、これは長官指示を仰ぐのだが、事実関係については、反対解釈をすれば、命じていないのだから、仰がなくてもいい、こういうことに解釈できます。この点は国税庁長官いかがですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 そのとおりでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そういうことになれば、審判所は、九割以上の事実関係の争い、これは全部審判所の権限で決定をする。審判所が、審判官等が良心的な人ならば、自分に権限もないし、言っていることがどうもうそっぱちみたいになれば、突き進んでそういうことを調べようとしないで、結局国税庁の言いなりになる、国税庁のいったとおりにきめてさえおけば無難だろうという可能性が非常に多いということを私は一応指摘をしておきたい。これは重大問題で、いまさらの段階で修正をするというわけにもいかぬでしょう、各党も賛成してくれないでしょう。しかしながら、これはほんとうの税法学としてこれらの点は一ぺん研究をする必要があるのではないか。  刑事課長に申し上げます。あなたには一番下の税法をとったのだと言うけれども、確かに税法におけるところの調査に対する非協力の場合の罰則というものは、所得税法、法人税法、相続税法は一年以下の懲役または二十万円以下の罰金でありまして、国税徴収法が十万円以下の罰金、酒税法、通行税法が十万円以下の罰金または科料、取引所税法、印紙税法が三万円以下の罰金または科料、社会保険審査官及び社会保険審査会の検査拒否の場合が三万円以下といって一番下になっておる。私は、こういうふうに高い罪の税法は、そういうものをくぐり抜けてきても争いがあるから、一番高いところにきめておいて、実際にそれを適用する場合にはそれぞれの税目に合わせた適用をしたらいいのではないかというような気がするのであります。ひとつ今後ともこれは御研究をいただきたいと思うのであります。  そこで、社会党案の質疑をやめて、政府案の質問に入りたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 倉成正君。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ちょっと社会党案について一点だけ質問したいと思います。  制度の問題については、同僚の渡辺委員から詳しく御質問がありました。しかし、いかにりっぱな制度をつくっても、これを運営するのは人にある。先ほど提案者の村山議員から、国税審判庁の定員千七名、これは十四条に書いてございますが、第九条の五項で、「審判官は、国税に関し学識経験のある者のうちから、」というふうに書いてございますけれども、適格者としては具体的にどういう人を考えておられるか、なるべく具体的にひとつ御説明いただきたい。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 私どもも、いま御指摘になった問題については非常に問題のあるところであろう、この国税審判法が実質的な効果をあげることは、やはり一にかかって有能な、しかもりっぱな審判官が得られるかどうか、ここにあるということを十分承知をいたしておるわけであります。しかし、今日の現実の中では、たとえば弁護士であるとか税理士であるとか、あるいはまた国税に関して相当な見識、知識というようなものを持っておる人ということで、しかもなるべく民間からできる限り数多く登用をしていただく、こういうように持っていくということでございまして、待遇等につきましても、できる限りよき待遇を審判官に与える、さらに一般職にするかあるいは特別職にするかというような処遇の面等についても、十分配慮をしていきたいということを考えておるわけであります。  現実にどういう人をということになりますと、やはり大体政府の政令の中に盛り込まれるであろうということで、本委員会に資料を提出してもらいましたけれども、その辺のところに落ちつく。しかしながら、気持ちとしてはできる限り民間から採ってもらいたいということ、さらに将来、こういう制度が定着するということを前提にいたしますれば、最初から、たとえば司法官であるとかと同じような形で、やや規模は小さくなるにしても、国税審判官というものに対する資格試験、国家試験というようなものなど考えながら、しかもまた、今日租税学というものが非常に若い学問であるというようなこともいわれておりますし、研究も学者の間でも十分ではないというようなこともありますから、そういうようなものを含みながら、もっと学問としての租税に対する租税学というようなものを大学等においてもさらに充実してもらうように、そういう中から有能な、資格試験を突破して、こういうものに審判官として一生をささげたいという人たちを、国家試験の資格試験というようなことなども考慮しながら、審判官を充実していくというような気持ちを持っておるわけであります。  具体的にといいますと、先ほど申し上げたようなことになろうかと思うわけであります。

倉成正自由民主党

○倉成委員 広瀬提案者のお気持ちはよくわかるわけですけれども、社会党案はできるだけ準司法的に、行政機関から独立したものでなければならないということから、やはり具体的にということになりますと、弁護士とか税理士とかいうような人たち、また、特別な学者というようなことになろうと思うのですが、現実にははたして得られるかどうかということに私は非常に危惧を持っておるわけです。その点は、広瀬議員も同じお気持ちだと思うのです。しかも千七名、これは全部が審判官ではありませんけれども、非常に膨大な人数、税務に関するいろいろな学識経験者というのはそうざらにあるものではございません。しかも待遇について一体具体的にどうお考えになっているか、ひとつ身分の保障——これは裁判所と同様に忌避とか除斥とかいろいろな規定がありますけれども、また内閣総理大臣の任命であるとか、非常に重い要件になっておりますけれども、これらの身分保障は一体どうお考えになっておるか。待遇、身分保障、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)議員 待遇、身分保障については、特別な考えを私ども持っていないわけでありますが、身分保障、待遇の面において、いずれにしてもこの国税審判庁というものが非常に重要な行政機関であるという立場から、しかも準司法機関として審判請求に対して権威ある裁決を行なう機関だというような立場から、処遇の面についても十分その名誉と職責にふさわしいものが与えられることを期待をしております。特別職というような形で、特段の身分保障という問題については、ほぼ政府原案程度のものでございます。なかなか具体的に人を得るということがむずかしい面は、御指摘のような面もあろうかと思いますが、やはり最高の私どもの期する審判官を得るように、この法案が通過するならば、これはもう関係行政機関あげて努力をしてもらいたい、こういう立場でその点を考えておるわけです。

倉成正自由民主党

○倉成委員 時間もございませんから、これ以上申し上げませんけれども、社会党案で一番ウィークポイントというのはこの点でなかろうかと思うのです。幾らいい制度をつくっても、人がいなければ、これはさっぱり動かないわけです。  それから、将来の展望に立っての御希望はよくわかるのですけれども、行政はなかなか希望だけでやっていけるものではない。現実に一刻もこれを停滞させることはできないということになっていくと、やはりいろいろな面でもう少しこれは現実に合わせる必要があるのじゃなかろうか。たとえば、さきの渡辺委員から御指摘のあった国の機関訴訟の問題についても、やはり論理的な帰結としては、当然国の機関の訴訟、国の機関同士が裁判所で争うという非常に不手ぎわなことになろうかと思います。ですから、これをもう少し一歩進めると、いわば地方裁判所を省略して、アメリカのタックス・コート的なものに持っていく。そこまで踏み切れば論理が一貫するわけですが、何か非常にハムレットのように少し悩み過ぎておられる、この苦悩が、この法案の中に非常にあらわれておるような気がするわけでありまして、私は、日本の税制あるいはその他の前進の一つの考え方としては、非常に高く評価するものですけれども、やはり現実にこの案をそのまま今日の組行政織の中に実行していこうというときには、いささか問題があるような気がしたわけでございます。これは、意見だけを申し上げておきまして、一応終わります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 それでは、政府側に簡潔に質問をいたしますから、簡潔にひとつ御答弁をいただきたい、かように存じます。あんまり回りくどく逃げ口上とか申しわけその他をされますと、また長くなりますから、イエス・オア・ノーでけっこうですから、簡潔にひとつ、三十分くらいで仕上げたいつもりですから、御尽力をいただきたいと存じます。  まず、異議申し立てをする場合は、いままでどおり税務署に異議申し立てをしなければならぬということになるわけですね。そうするというと、いままでの国税通則法では、異議申し立てについての異議申立書の記載事項というようなことは書いてない。書いてなくて、これは行政不服審査法が準用されておった、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 そのとおりでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうしますると、今回は第八十一条に「異議申立書の記載事項」というものが書れるようになりました。たとえば「異議申立てに係る処分」、これはどこそこの税務署から何年度の所得についてこうこうこういう処分を受けたというようなことだろうと思います。その次は、二番目として「異議申立てに係る処分があったことを知った年月日」「異議申立ての趣旨及び理由」「異議申立ての年月日」、こういうことを書かれることになっておりますね、記載事項は。これが書いてないものは、不適法な異議申立書ですか、それとも不適法でない異議申立書ですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 ここに書いてない事項を書かれても、それは必ずしも不適法ではないと思います。書いてなければ、もちろん要件でございませんから、問題ないということでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 それじゃなくて、ここにこれだけのものを書きなさいということを列挙してあるわけでしょう。書いていなければ不適法ですか。それとも不適法なものでないと見ますか、こういう質問をしておるわけです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 これは法律上の要件でございますから、これが欠けておればやはり不適法な、いわゆる法律に従っていない異議申し立てということになります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そういうことになるだろうと思いますね、私も。そうすると、たとえば自分の名前が書いていない。これは当然却下ですわね。こんなことはわかります。しかしながら、異議申し立てをする場合に、たとえばいっその更正決定の通知を受け取ったか、いつ異議申し立ての提出をしたかというようなことは書かないことが往々にしてあるのです。先日税務署から更正決定を受けました、幾ら幾ら、つきましては、これについては高過ぎるから異議申し立てをいたします。その日付も書かずに税務署に持っていって置いてきたという場合は、当然これは不適法になります。不適法になりますと、その次の八十三条というところで、期間の経過したもの及び不適法なものはこれは却下するということが書いてあります。異議申てが却下されてしまいますと、よほど特別な例外を除いては、これは審査請求をすることもできません。これは裁判所に出訴することもできません。そこで、異議申し立てが却下された場合は審査請求ができないということは、間違っていますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 却下が不適法であるということで審査請求をすることはもちろんできるわけでございます。ただ、実際その申し立てが不適法であって、適法に却下されていれば、それはあと審査請求はできない、これは当然でございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 刑事課長、出訴できますか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 ただいまの御質問に関する限りは、主税局長の答弁のとおりであります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 たとえば具体的に言うと、皆さん一高、東大で頭がいいから私は太刀打ちができないのですが、異議申し立てを受け取った日が書いていない、提出した日も書いていないということは不適法ですから、これは却下の要件にかなっていると私は思います。これはかなっていませんか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 そのままであればかなっているということになります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 刑事課長、これはかなった却下なんですね。名前まで書き込んでいなければこれはもっとかなうだろうけれども……。異議申し立てに更正決定を受けた通知の日も書いていないし、提出した日も書いていない。法律の構成要件ですから、ここまで書いていないので却下になった、却下することができるのですから。それは裁判所に提訴できますか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 やはりその却下の要件が不適法であれば、裁判所への救済を求めることができる。結論的におきましては、自分のほうはわかりませんから、それで裁判所に出訴いたしますが、その却下が適法に行なわれているということになりますれば、裁判所への請求は、また却下されるか、あるいは棄却されるか、このいずれかになるだろうと思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、却下された者が却下取り消しの訴えを裁判所にできる、こういう意味ですか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 形式的には両方できます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 しかし、訴願前置主義という立場をとっておるから、両方できるというのは、私はよく意味がわからないのですが、不適法であるために却下された。これにかなっていないのだから、法律に合っていないことをやるのだから、そのために異議申し立てを却下された、この人が審査請求はできないということを主税局長は認めておる、そのとおりだと私は思う。裁判所も、もちろん不適法なために却下されたのですね。明らかに不適法であるというならば、当然却下になると私は思う。それでも、内容にまで立ち入っていろいろ審査できますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 もう少し正確に申し上げますと、異議申し立てが不適法として却下された場合、その場合には審査請求を行ないまして、その却下を争うことはできると思いますが、それに対しては審査請求は、一応その異議の却下の内容が適法であったかどうかを審査するという結果になると思います。適法であれば、これまた却下されるという結果になると思います。裁判におきましては、同じように審査請求を却下された場合に、それで出訴いたしますと、訴願前置主義ということから申しまして、これは訴訟要件を構成いたしますから、裁判所においては、まずその却下が適法であったかどうかを審査するわけであります。もしも却下が不適法であるということになれば、その場合には適法な審査請求が行なわれていたものであり、かつそれに対して審査庁の判断があったという前提がございますから、審査請求を経たものとして直ちに本案に入って判決ができる、これは通説でございます。不適法であれば、これは本来訴訟に適しないものでございますから、審査請求そのものが不適法である。裁判所が審査しても不適法であり、却下が正当であるということになると本案に入らない、これは当然でございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これは大事なポイントなんです。いま吉國さん、なかなかうまい言い回しをやっておりますが、どうせ直すのですから、もっとざっくばらんにおっしゃってけっこうなんです。私が例示をいたしましたように、明らかに不適法な異議申し立てをした。たとえばここに記載要件が、いま何度も例を繰り返しておるように、更正決定を受け取った日も書いてない、提出した日も書いてないということは、法律には書かなければならないと書いてあるんだから、これは適法だとはいえないと私は思うのです。それは適法ですよとあなたが言ってくれるならいいですよ。しかし、これは不適法でしょう。更正決定の通知を受け取った日も書かない、それから異議申し立てをした日も書かない、これは適法か不適法か。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 それは不適法であることは明らかであります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 不適法であるから、このままストレートに解釈すれば当然却下になりますね。却下になった場合は、この却下を理由として審査請求できますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 却下が不当ということであれば審査請求はできますけれども……。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 いや、いまの場合なんです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 これは直ちに出訴できるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 ちょっとそこ、あいまいですよ。出訴でなくて審査請求ができますか。いまの案件なんですよ。ほかのことは間違ってないんだが、要するに更正決定を受け取った日も書いてない、それから異議申し立ての日も書いてないために却下になった。却下になったことを理由として審査請求ができれば、前置なんて問題は全部なくなってしまうのですから。審査請求できますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 審査請求は、異議申し立てを経ていないということで、いたしましても却下されてしまうという結果になるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 できないということですね。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 できないと申しますか、いたしましても不適法なる訴えでございますから却下されます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、結局、両方とも却下になったものは——明らかに不適法なんだから、その点は間違いなくこっちが悪いんだから却下になった。そのものは、たとえば内容については正しければ、これは出訴できますか。事実の審理に入りますか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 出訴するかしないかは、出訴者の自由であろうと思いますが、実質的にはやはり要件に満ちていなければ本案に入らずにまた却下になると思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、結局本案に入らないということは、審査請求が却下されているから、審査請求を経ていないという理由で本案に入らないのですか。それとも、その内容について不適法だから本案に入らないのですか。裁判官でないからあまり聞いたってしょうがないけれども、まあ一応参考までに。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 やはり手続を条件にいたしましていたすものですから、門前払いということが一番当たるのでございますが、まさに門前払いになるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これが実は問題なんですよ。これは結局よくあることなんです。よくあることというのは、たとえば納税者は無知ですから、いろいろ書いてあっても、ただ私の税金は百万円です。税金は高過ぎます。六十万ぐらいにまけてくださいということは言えるのですが、ともかくいつ通知を受け取ったとか、きょう出す日付を書かなければならぬということは忘れてしまう。忘れて出すというと、それは不適法だ。不適法なものは却下の条件になる。それで不適法なために却下をされれば、これは審査請求をしても却下になるし、裁判所に持っていっても却下になる。内容は間違っていないのだけれども、手続が間違ったばっかりにだめだ。これの一番いい例が期間の問題ですね。期間の経過したものは、これはまさにそのとおりになる、これは当然なんです。法律がそうできておるのですからやむを得ないのです。しかし、やむを得ないといっておっては納税者にかわいそうだからこそ、そこで税調の答申でもそこの点は触れているのです。税調の簡素化部会の第三次答申のところで、「異議申立て」というところがございます。そこで——ここは読み方がちょっとあいまいな文章になっておるのですが、結局はこういうことが書いてある。   異議申立てについては、現在、申立ての趣旨  及び理由を記載した文書によってこれを行なう  ものとするほか、その審理・決定手続について  も、審査請求に関する規定が準用されている。   ところで、異議申立てについては、申立ての  趣旨及び理由が充分整理されていないような場  合にも、納税者の税法に対する知識水準に応  じ、形式的手続にこだわることなく見直し調査  に応ずる等、納税者の個別性に応じた審理を行  なう必要があると認められるので、その調査・  審理手続については、細かい規定を設けない方  がよいであろう。ただし、異議申立ての事績を  明確にすることは、納税者及び税務当局の双方  にとって必要であるので、異議申立ては文書に  よりこれを行なうべきであるとする従前の建前  はそのまま維持することとする。   また、異議申立てを審理するために必要な職  員の権限については、その見直し調査的な性質  にかえりみ、特別の規定を設けず、各税法の質  問検査権の規定によるものとする。   なお、異議決定による不利益変更を認めない  ことについては、権利救済制度の趣旨から、今  後も、同様とする。  ここで一番問題なのは、主税局はこれをどう読んでいたか、この読み方。あまり「細かい規定を設けない方がよいであろう。」ということをどう読んだのか。「細かい規定」とは何なんだ。おそらく「細かい規定」というものを、税務署のほうは記載要件だというのは、いままで準用になったものを明らかにここに出してきたんだから、これは別にこまかい規定をつくったわけではなくて、準用なんかではない、そのまま却下だぞということも言えましょう。それから補正命令のようなものについては、いままではちゃんと補正命令があった。今回は補正命令というものは、異議申し立てについてはなくなってしまった。たとえばいままではどういうふうなことをやっておったかというと——この点は明らかに改悪なんです。これはどうしても直してもらわなければならぬ。いままでは異議申し立てをする場合には、不服審査法が準用になっておりますから、たとえばいま言ったように、「審査請求に係る処分」とか「審査請求の趣旨及び理由」とか、受け取った年月日とかなんとかいろいろ書けということが書いてある。ところが、たまたま書かないで出す人がある。そういう場合には「補正」という条項があって、「審査請求が不適法であって補正することができるものであるときは、」不適法で補正することができるというのは一体何ですか。不適法なものは補正できるわけがないと普通読むでしょう。法律にかなわないものをどうして補正できるのだ。これはいま言ったように、たまたま更正決定の通知を受け取った日を書かなかった。これは法律には書けといっておるのに書かない。だからこれは違法であるけれども、それは直せるわけだ。あとからでも直せる。そういうような「不適法であって補正することができるものであるときは、審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない。」こういうことがいってあったわけです。したがって、いま言ったように、私が言ったようなことが、納税者は税法の知識にうといから、いろいろ漏れておることが多い。それをたてにとってばさりと却下ということでは、この法案というものは非常にこれは後退をしたことになる。したがって、やはりこれはめんどうなようでも補正命令というものはきちんとつけさせる、あるいは補正命令をつけない場合は、やはりただ単に不適法なものは却下するというのではなくして、補正のできない、また補正をしない、そういう不適法なものは却下するというのならば、私は税調の答申の内容にも合うし、これは非常によろしいことだ、こういう所見を持っておるのでありますが、これに対する、国税庁長官、主税局長、どちらでもいいから、えらいほうの人から先に所見を述べてもらいたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 主税局長がえらいわけではございませんが、法案の提出をいたしました関係で申し上げます。  御指摘のとおりだと思います。今回この異議申し立てについて、特に補正命令を置かなかったと申しますのは、従来から税務署におきましては、異議申し立てがあった場合に、要件が欠けておるときには必ず補充をさして、実際上そういう手続をとっていたわけであります。そういう意味では、今回の税制調査会でも、できるだけ税務署段階はめんどくさい手続をやめて、事実上そういう異議申し立ては気やすくやれるようにしようという趣旨であったために、ここは補正命令を省いたわけでございますけれども、御指摘のように、もしも危険があった場合には困るではないかという点がございますならば、やはり不服審査法と同様の補正命令を持ち込んでかっこうはつけておいたほうが安全であるという点はあると思います。私どもは、国税庁の従来のやり方をある程度良識を持ってやってくれるという前提で、めんどうな手続を省きましたけれども、その趣旨は全く他意はないわけでございます。  御指摘のような点があれば、納税者の安心感という点もあると思いますので、その点を改めるにやぶさかではないという感じを持っております。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 いまの点でございまするが、これは重要な政策の問題に入ると思います。それでいま御指摘のとおりなんです。答弁は、この前一度主税局長はこの点に触れておるかと思いまするが、従来税務署内においては直ちに却下ということではなくて、事実上補正命令といいますか、補充をいたす機会を与えておるということになりますが、条文の関係上からいいますと、きわめて不適法である、それならその次に却下という規定になりますから非常に危険性を持つ、この点は十分貴重な御意見として考えていきたい、こう思っております。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これはまあよく皆さん認識してもらえばいいのですが、従来やっていたから今後もやるだろうというそれは間違いですよ。なぜ間違いであるかというと、従来は不服審査法が準用になっておったのです。今度は不服審査法をこの法律で排除しているのです。いいですか。いままでは税務署でやっていた。それは不服審査法を準用していたからやらなければならない。法律がきまっていたからやったのです。今度はこの法律で不服審査法は準用しないということになったのです。その点間違いありますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のとおりでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そういうことですから、これはやはり従来やっていたから今度もやるだろうということは間違いだということを認めてもらえば、私はそれでいいのです。やはりこれを直していただくということになろうかと存じます。  それから、審査請求の問題でありますが、この審査請求のところでもやはり却下とそのなにの問題が書いてあります。これはどっちが言い回しが正しいかということについて、私も非常に疑問があるのですが、九十一条の補正と九十二条の却下という同じことが書いてあります。  九十一条で「国税不服審判所長は、審査請求が国税に関する法律の規定に従っていないもので補正することができるものであると認めるときは、相当の期間を定めて、その補正を求めるものとする。」ということですが、これも私はいままでよりも後退である。異議申し立ての問題については、いままではやらなければならないということを、今度はアウトにしたのですから、えらい後退である。それは直してもらうこととして、これはこのままでいいのかというと、「補正を求めるものとする。」これは法律の解釈なんですが、法務省か法制局になると思うのですけれども、「補正を求めるものとする。」「補正を求めるものとす。」「補正をしなければならない。」この三つの違いはどこにありますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 「補正を求めるものとする。」ということは、国税不服審査判所長に対する指示でございますから、国税不服審判所長は、当然補正を求めなければならないということになるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 「補正を求めるものとす。」というのと「補正を求めるものとする。」というのは、純然たる同じ意味ですか。私は、法律用語としてそういうふうに教わった覚えはないのですがね。「ものとする」というのは原則的なものであって、「ものとす」というのは絶対的なものだ。何々するものとするということは、これは原則的にそういうことにすべきなんだ、別にしなくても義務違反にはならない、こういうふうに私は解釈をしておるのですが、その点いかがでしょう。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 公務員は当然法律を守る義務がございますから、これを求めるものとするというものを当然公務員は順守しなければならないはずでございます。そういう意味では、不服審査法の規定とやや表現が違っておりますが、精神は全く同じものでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 「補正を求めるものとする。」ということと「補正を求めなければならない。」ということとは同じことですね。「補正を求めなければならない。」ということは、それ自体そのとおりやらなければ義務違反になりますけれども、「補正を求めるものとする。」ということは、万一求めない場合があっても、そのこと自体は義務違反ではないという私は解釈なんですが、私の解釈は間違っているでしょうかね。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 先ほど申し上げましたように、公務員の法律順守の点から申しますならば、法律の規定に違反するということは義務違反である。表現としては「求めなければならない。」というほうが強いということは確かだと思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 強い弱いの問題、もちろん強い弱いということはあるでしょうが、私はやっぱり法律用語というものは——私は軍隊で教わったのですよ。軍隊内務令という本がありまして、あそこに「何々とす」ということと、「何々とするものとする」ということとは違うのだ。片一方は絶対的なものであって、片一方は原則的なものだというふうな、俗論かもしれないが、そういうことを教わったことをうろ覚えに覚えていたので、ちょっとお尋ねをしたわけです。したがって、ここは非常にあいまいな解釈ですから、やはり異議申し立ての場合の補正、却下と歩調を合わしていただくというようにしていただきたいということを要望をしておきたいと思います。  その次、軽微なものは、人事院規則でこういうことが書いてあるのです。補正の問題について人事院規則一三の一というところで、「不利益処分についての不服申立て」という規則があるのですが、そこの第五条の補正というところで、こういうものは補正させなければならない。ただし、不備が軽微で、事案の内容に影響のないものは職権で補正することができる。これは親切にやってやりましょう、納税者の人が間違っておることは明らかなんだから、受付番も税務署でちゃんと押してあるし、期限内にも入っておるから、提出の日が書いてなくても受付の日をもって期限内であることは明らかであるから、その程度のことは直してあげましょうとか、ちょっと字が間違っていたら直してあげましょうという程度の補正は、軽微で内容にあまり影響しないということで職権で補正をしてやる。こういうようなことは答申の精神でもある。答申のほうでも、納税者の税法に対する知識水準が低いとは書いてありませんが、「知識水準に応じ、形式的手続にこだわることなく」というのは、そういう気持ちが入っておるのじゃないかということであって、それらの点については私は御一考をいただきたい、かように考えるのでございます。  それから、記載事項の範囲の問題でございますが、記載事項というものがいろいろ書いてありますけれども、この記載事項の「趣旨及び理由」趣旨についてはその範囲と主張も明らかにしろ、納税者のほうに対しては全部これを明らかにしろ、これも何しなければならない、これもしなければならないと書いてあるんだ。役所のほうは「ものとする」とかやることが「できる」とかうまいことを書いてあるのですよ。納税者のほうは義務ずくめで押しつけておいて、じゃ納税者のほうも「するものとする」と書いても同じじゃないか。それはやはり違うから、納税者のほうは「ねばならぬ」、自分のほうは「ものとする」「できる」、これはやはり私はちょっとおかしい。したがって、この記載事項の問題等については、これはその趣旨及び範囲——一番ここで問題になるのは範囲なんですよ。範囲ということが実際は非常にむずかしい。範囲を書かなければならぬ。たとえばおれは税金が高い、これは趣旨だ。どういうわけで高い、そんなに売り上げがない、これは理由だ。幾らにすればいいんだ、これは範囲であります。申告百万、更正決定二百万、それが全部範囲なのかどうか。範囲というからには、百万で申告を出しておる、したがって百六十万にしてくれというのか、百七十万にしてくれというのか、百二十万にしてくれというのか、わからないじゃないか、範囲がわからないじゃないか、こういうことについて、その範囲とは申告額と更正額との間であるのか、あるいはそれ以外の独自なものを示さなければならないのか。それらの点の見解をひとつ教えていただきたい。これは実ははっきりしたものを示すのは納税者にとって非常にむずかしいのです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 もちろん、審査請求というものは、自分の申告した金額とそれに対する更正処分の金額との間に問題があるわけでありまして、範囲というのはその間に入るものであることは明らかであります。その「範囲を明らかにするように記載するものとし、」また「明らかにされていなければならないものとする。」これも「ものとする。」になっているわけでありますが、おそらく御指摘の点は、これがはっきりしてないと却下になるんじゃないかという御心配だと思いますけれども、これはもう通説のいっておりますとおり、この審査請求の趣旨及び理由についての不明確な点は、これはまさに本案の対象であるべきものでございますので、趣旨及び理由が不明確であることによる却下ということは不適法であるというのが確立した解釈であります。したがいまして、ここは不明確に書いてあっても、それを理由に却下はできないというのが現在の通説でございます。  したがいまして、これは親切に書いてある。これは再三私が申すのはそういう趣旨でございまして、そういうできるだけ手数を省くためにこの規定を置いて、同時に、それが一つのシステムといたしましては、今回の改正では異議申し立ての際に処分の理由を明らかにいたしますから、その処分の理由に対応してここで不服の範囲とか理由が書けるであろうという趣旨でこの三項が置いてあるわけでありまして、これを理由に却下することはできないというのが私どもの考えであり、行政法の通説であるわけであります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすれば、百万で申告して二百万で更正を受けたものは、百二十万にしてくださいと書かなくてもよろしゅうございますね。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 具体的な数字がなくても、それを減らしてほしいという趣旨が書いてあれば、当然その内容については審査において明らかにすべき問題であるということになります。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 たいへんありがとうございました。たいへんりっぱな御回答をいただいて、これは忘れないように、国税庁長官、政府代表でやったのですから。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 しっかりそのとおりいたします。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 たいへんいい答えをいただいたからどんどん飛ばします。  それから、この審判官ですね。審判官はやはり人が大事ですから、この人は民間人をどの程度お入れになるつもりなのか。任期があったですかね。これは私は任期をつけるのがいいんじゃないかという気がするのですが、その点はいかがでございましょう。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 たびたび申し上げますように、極力民間からも採るように努力いたしますが、いま何名採るとかいうことは、これは実際やってみなければわかりませんことで、極力そういう方向で努力するということで御了承願いたいと思います。  任期の点は、これはよしあしで、こういうものはおのずからきまってくるような点もありますし、直ちにいま任期を何年ということはかえってマイナス面があるのではないか。これは動き出しましていろいろ考えてみる余裕があろうかと思います。ただいま任期をどうするという答弁は差し控えさせていただきます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 みんな税務署出身者ばかりで固められてしまったのじゃ、ましてあなたの子分で、そしていままでそういうことをやってきた人だけでやられたのじゃこれはやはり困るのです。ですから、やはり民間人も入れてもらう。それから民間人を入れるについては、いい人もありますが、生涯なんていわれるとやはり困るので、任期をある程度つけてもらったほうがいいのじゃないか。そういうようなこともひとつ今後の研究課題にしてもらいたい。  それから事実審理の関係で、かりに関係者の脱税あるいは本人の脱税が見つかった場合は、これは不利益処分はしないということで、これは税務署へ通報はするのですかしないのですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 これは先般も御質問がございましたが、一般的に、公務員が犯罪ありと思量するときには告発すべしという規定がございますが、その範囲内においては当然その規定に従うべきであると考えておりますが、一般的には、一々調査内容を国税局に通報する義務はないということでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これは犯罪捜査の国犯法と違いますから通報の義務はないかもしれぬ。しかし、先ほど私が言ったような問題ですね。本人との取引関係があって、その人の正当性を確認するためには、相手を調べなければその人の正当性が立証できないというような場合は、本人には不利益になるのじゃなくて、本人には有利になるのですから、こういう場合は当然私は通報をして税務署の協力を求めるべきであろう。たとえばこれは裁判だってそうだと思うのですよ。偽証をしておる、こっちはほんとうの証言をしてもらえば無罪になるのに、うその証言をされておる。裁判官が見て、検察官が見て、あの人はこういう事情でこれは明らかにうそだというような心証を得れば、それは警察を使ってその偽証をしておる人をやはりある程度調べるというようなことをやっておるのじゃないですか。それによって本人が有利にこそなれ不利にならないのだから、そういう場合にはやはり運用よろしきをやる必要があると私は思うのですが、その点いかがでしょう。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 非常にいい御意見だと思います。もちろん、調査の本質は本人の権利保護という意味でやるわけでございますけれども、御指摘のように、他にその本人を有利にする課税関係が結果として生じてくれば、それを当然課税関係に取り入れるのが正義であるという意味では運用よろしきを得たほうがいいという御意見はごもっともだと思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 代理人のところで、代理人はこういう「弁護士、税理士その他適当と認める者」これはいままでずいぶん議論が出ておるようです。そこで「適当と認める者」が、ともかく何とか商工会とか××商工会連合会とかいうものが特定な人を定めて、それに反復的に代理人になってくれなってくれというような場合は、それは何々組合の従業員として参与されている人でも、同じ行為を反復して継続してやれば当然税理士法違反で取り締まるんでしょうな、国税庁長官。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 そのような行為を継続してやりますと、やはり税理士法違反の問題が出てくるかと思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 これで終わります。  国犯法の処分については不服申し立てができないということをここでいっておるのでありますが、ともかく国税庁のお話ですと、国犯法の処分というのは通告処分だけだ、こういうようなことが言ってあるわけでありますが、間違いございませんか。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 御指摘のとおり、国犯の結果といたしましては、通告処分を行ないます場合と、それからそれに基づいて告発をいたす場合とがあるわけでございますが、通常処分という概念からいたしますと、通告処分のみが処分である、かように考えております。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすれば、国犯法の領置や差し押えに対する異議申し立て、審査請求はできるということになりますか。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 私、ただいま申し上げましたのは、国犯の最終的な処分として、最終的な処理の態様としての処分を申し上げたわけでございまして、国犯法で与えられました権限としてのいろいろな処分、これももとより処分でございますから、これにつきましての異議の申し立てはできないと思っております。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすると、国犯法でのいろいろな臨検、捜索、差し押え、検査、そういうふうなもの一切についての異議申し立てはできない、審査請求はできない、こういうふうに解釈して間違いないですか。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 さようでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 しかし、それはともかく、通告処分などは結局処分した罰金または税に相当するものを納めなければ告発します、納めればよろしいが、納めなければやりますよ、ということだからそれはしないのだ、こういうふうな思想だと私は思うのですね。  それでは、いいですか、直税の場合において、たとえばこれこれについて修正申告をしなさい、修正申告しなければ告発するというようなことも言われていますね。そんなことは直税なんかでしょっちゅうやっています。あるいは査察にかけたけれども、国犯法でやったけれども、これは告発をしないで重加算税をぶつけて終わりにするということもありますね。ないですか、あるでしょう。そういうふうなものに対して異議申し立てができるかできないか。あるいは告発をしたものについて異議申し立てができるかできないか。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 国犯法を使いまして強制捜索をいたしまして、その結果、更正決定というような一般的な税法上の処分はいたします。しかし、それはあくまでも税法上の処分でございまして、国犯法上の処分ではございません。したがいまして、更正決定につきましては異議の申し立てができるわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 一方においてはその更正決定をしておいて、片方において告発するということはありませんか。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 更正決定は税法上の権限に基づく処分でございます。それから告発は国犯法に基づいて行なうわけでございまして、全然別個の法律に基づいておるわけでございまして、両方の処理を並行して行なうことはもちろんあり得るわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 そうすれば、告発をしてあっても、その更正通知に対しては審査請求、異議申し立てはして差しつかえない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 さように解釈していただいてけっこうでございます。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員 国犯法の問題については、私はいろいろ疑問な点がたくさんあるのですが、きょうはもう時間がないからやめます。よく勉強しておいていただきたい。この次、刑事課長と査察部長にひとつ来てもらって三時間ばかりやらしてもらいますから、勉強しておいてもらいたい。予告編はこれで終わりということで、私の質問を終了いたします。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次回は、明三十五日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十四分散会

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