P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
61回国会衆議院1969/06/18

大蔵委員会 第39号

発言数
115
登壇者
6
会派数
3
開催日
1969/06/18

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の国税通則法の一部を改正する法律案及び広瀬秀吉君外十一名提出の国税審判法案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢直樹君。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 相当議論も進んでおりますので、私も席をはずしておった関係上聞き漏れがあるかもわかりません。また、ダブるような場合があるかもわかりませんが、ひとつ懇切に御答弁いただきたいと思います。  まず最初に、簡単に不服審査の処理状況についてお伺いしたいと思うわけでありますが、先日資料を提出いただいておりますこの異議申し立て、あるいは審査請求、あるいは出訴の分、三通りの扱い件数をいただいておりますが、その中で次第に異議申し立てというもの、不服審査がふえている、あるいは出訴の件数もこう見ますとふえてきております。したがって、その処理状況について、未決あるいは審理中のもの、こういったもので翌年に繰り越される分が相当数毎年毎年出てきているわけでありますが、具体的にそういった問題はどういうわけでそうなっておるのか、そういう点についてまず最初にお伺いしておきたいと思います。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 前回お出しいたしました資料の中で繰り越しの件数が入っておりませんので、繰り越しの数字を最初申し上げます。  異議申し立てにつきましては、三十八年度末が七千二百九十六件、三十九年度末が六千四十件、四十年度末が七千五百七十一件、四十一年度末が七千五百四十九件、四十二年度末が七千四百十一件であります。それから審査請求のほうが、同じく三十八年度から申しますと、三十八年度末が五千百七十件、三十九年度末が五千六百二十四件、四十年度末が五千五百八十七件、四十一年度末が八千百四十七件、四十二年度末が一万二百十四件。それから訴訟事件の未決の件数が、三十八年度末が五百十六件、三十九年度末が七百八十八件、四十年度末が千百六十七件、四十一年度末が千四百五十五件、四十二年度末が二千七十四件、かように相なっております。  それから、ごらんになりますように、大体異議の申し立てにつきましては毎年三万件以上出ますが、繰り越しの件数がほぼ同じということで大体同じように毎年処理しております。率直にいって審査請求がややふえ、また訴訟もふえているという状況になっております。  それから、全体の件数がふえましたのは、前回来いろいろ言いましたように、集団的なもの、それから総体的にやはり課税件数その他がふえておりますという関係でふえている面があろうかと思います。こういったふえる傾向が極力少なくなることが望ましいと私たちも考えておりますし、せっかくそういう方向で努力いたしたいと思っておりますが、全体が、処理すべき件数も片やふえているということで若干こういう形になっておりまして、今後ともやはり改善するように努力したい、かように考えております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 この件数が大体四十年度以降というものは、いま言った理由によってもあるでしょうが、三万件をこしておるわけですね。これは内容的にいえば同一という場合も中にはあるかもわかりませんが、全部が全部そうでない、新しい件数じゃないかと思われるのですが、その点はどうでしょうか。同じ人が何回もやっておるかということです。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 これは同じ人が何度もやる場合も——ちょっとそういう観点から調べたことがございませんが、大体新しい方のほうが多い。毎年きまっておれはやるぞという人はやはり少ないので、やはり対象の中身は変わりつつこういう姿を示しておる、かようなことではないかと思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 そこで、こういうふうに異議申し立てを受けた中でその大体半数近く、これがきのうもいろいろ指摘しておりましたように、全部取り消しないしは一部変更、一部取り消し、こういう処理の状況になってきているわけですね。ですから、これも一つ大きな問題だと私は思うのです。税務署において、原処分庁といいますか、そちらにおいて課税をやっていく上において、不服審査の申し立てがある、あるいは異議の申し立てがあれば、もちろんこの制度はけっこうだと思うのですが、こういうふうに訂正されるというわけですね。これについては、いまの課税のあり方について国民が相当な疑問を持ってくるのじゃないか。もちろんそれが、そういうあり方があるからこそ救済制度の意義というものも非常に高まっておるわけでして、それがいいの悪いのという問題ではないけれども、いわゆるいまの税務行政の課税のあり方について——こういう問題が、毎年毎年こういうふうに新しい件数がふえておるといういまの大まかなお答えでありますが、私もそうだと思う。そこで半数以上は救済される、その事実はいいとして、こういう徴税のあり方そのものが一つ問題になっておるのじゃないか。その点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか、まず伺っておきたいと思います。   〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 この原因は原処分庁サイドにもあろうかと思いますが、同時に、納税者の方々のほうにもなかなか帳簿を的確につけておられないという、片や納税者サイドの問題もありますし、なかなかむずかしい問題だと思いますが、いずれにしろ、全体の異議の申し立ての前提になります更正そのものの件数が、実は全体の三%に満たないわけでございますので、この異議の申し立てだけとりますとあれでございますが、全体の更正が昔のように相当多数やっておりますと、その中でこういう姿となりますと全体がどうかということになりますが、更正そのものが三%切れるような状況でございますので、その範囲内での話だとお考え願いたい。  それから同時に、その中でも一体こういうような、言ってみれば異議の申し立てが少なければ少ないほうがいいわけでありますから、その点はやはり納税者の方々も帳簿をつけておられない、若干の推計も加えていかなければいけないというところで更正をする。それから途中の段階で、必ずしも特に帳簿をつけておられない方は実質的にはある程度推計してやらざるを得ないときに、税務署のほうではこう見ておりますということで、事実上更正にまで至らないで、いわゆる修正申告を結局出されて話が済んでしまうというケースが実は相当あろうかと思います。また、かりに更正を受けましても、実はこういう資料があるということをまた納税者の方々が申し出られて、なるほどということで納得して異議を申し立てるという形で直すという場合がございますが、ただこの取り消し、変更が全部間違いで、ずさんだったことが原因だときめつけるのもどうであろうか。少なくともこういう事案はやはり帳簿のない方々がおもなものですから、それはあとで証明されるというようなことで直す。全部がずさんだからときめつけるのもどうであろうか。むしろ私たちとしては、こういう機会にやはり原処分庁がすなおに見直して、誤りはすなおに直していくということのほうが、こういう件数が多いじゃないかといって無理無理原処分をがんばらせるという結果になってもまずいのではないか。やはり私はこういう制度のたてまえからいって、虚心たんかいに誤りは誤りとして直す、また納税者の主張は認めて直すという慣行、ただだめじゃないかという観点からばかりむしろきめつけないで、こういったものは少ないほうがけっこうなわけでございますから、あまりそこが多いじゃないかということで、逆に自分の主張をどこまででも通していくということもまた弊害が出てくるのではないか、かように私は考えております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それは、確かに私が申し上げておるのは、何もこういう取り消しとか変更がないようにしろ、一方的にそう言っているわけじゃないのです。そういうふうに意味を取り違えてもらっては困るのです。もともとをいえば、やはりそういう課税をやっていく基本において一つ問題点があるから、こういうような異議の申し立てをしていかなければならない。全体から見たら非常に少ないと言いますけれども、確かにいま御指摘があったように帳簿を完備していないところもあるかもしれません。しかし、それぞれ税理士に頼んだりあるいは税務相談をやったり、そういうような形でこれは行なわれてきているわけですね。まだ浸透していないから、そういう面でどういうふうにやっていいかわからぬ、一応推計課税で決定してきたものについては黙って承認しているものもあるかと思います。きょうは具体案を持っておりませんけれども、一つ一つチェックしてやっていけばまだまだ件数はふえるかもわかりませんね。そういう意味において、まだこの数字は実際に不服を持っておる者がこれだけしかないのだという意味ではないと私は思うのです。ですから、やはり基本的な課税のあり方、青色申告制度にしていく、それも一つの方法だと思うのです。そしてお互いに明らかにしながら的確な課税をやっていくという方法もあるかと思います。  そこで、もう一点お伺いしておきたいのは、この異議申し立てをした中に、白色の分と青色の分との分け方はどういうふうになっておりますか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 いまちょっと、白色と青との区分をしてはとっておらないということで、総体の合計しかわかっておりません。しかし、総じて言いますと、やはり白色のほうが多いのではないか、これは感じでございますが、やはり多いだろうと思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 いまそれをとっていないというお話でございますけれども、やはり先ほど私が申し上げましたように、こういう異議を持ってくる納税者がたくさん出てくるということは、基本的な問題に問題があるわけですから、やはりそういったものは分析して——青色申告制度というようなものを設けた、いままた青色申告をやるようにということを奨励しておるはずなんですね。ですからそういう場合に、異議の申し立てがある場合はどちらが多いのか、白色が多いならば白色が多いとして、これはもう少し課税の段階において何らか改善する余地はないのかということは、当然スポットを当てて考えるべきじゃないかと思うのです。大づかみにとにかく異議があった分については検討してやろうという形ではよくないと思うのです。どうでしょう。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 異議の申し立ての分について、白色と青とこまかく分けてとっておりませんが、いわゆる更正決定の件数が、白色と青と比べてやはり白色が絶対多いということで私はいま言ったようなことを申し上げたわけですが、たとえば四十年分で申し上げますと、これは処理済み件数が約八万七千ありますうちに、青色申告者での更正決定が四千でございますから四・六%、それから白色では、処理済み件数が二十二万六千のうち二万二千で九・八%、絶対数におきまして青色申告の場合の更正決定の件数が四千に対して白色が二万二千という形でございますので、おそらくはこの異議の申し立ての形は、同じ比率ではございませんけれども、感じはおわかり願えると思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 大体こういうふうに出ておりますけれども、やはり白色のほうが多いという結論ですね。これは納税の義務で申告制度になっているわけですけれども、先ほども申し上げましたように、異議申し立てが相当出てくる、それを一応審査して、それぞれ却下する場合もあるし、あるいは棄却する場合もあるし、あるいは取り消しあるいは変更ということになってくるわけですね。やはり取り消し、変更が多い。そこに私は一番問題があると思うのです。全然部外から見た場合——部外といったら語弊がありますけれども、要するに、他の納税者、いわゆる給与所得だけの分については、源泉徴収で完全に取られている。そういったものについての異議申し立てというのは、事実認定なんかにおいてはほとんど皆無にひとしいのじゃないか、こう思われるのです。ところが、こういう白色の場合については、内容がよくわからないということもある、自主申告の形をとっておりますから。そういう場合においてはやはりこういうようなそごが出てくるというのは、その次元において、何かここにもう少しはっきりした、両者が納得するような課税のあり方というものが——片方は、一方的にといったら語弊があるかもしれませんが、推計課税でやっていく、片方のほうは資料に基づいて申告する、そのギャップがこれという形になっているだろうと思うのです。その次元において何らかもう少し明確な、両者の納得するような課税をしていく方法というものが考えられないか。毎年毎年同じように、四十二年度はこの表によりますと多少、二千件ぐらい減っておりますけれども、これは漸減しているという意味にはならないと思うのです。四十三年度はまだ出てないでしょう。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 まだ集計ができておりません。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 ですから、いま申し上げたように、要するに、その以前において何らか考えておるのかどうか、お伺いしたい。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 これはやはり基本的には、毎々申し上げますように、納税者のほうの数はふえていく、調査するほうの人員はちっともふえない。実はそういう体制で、私たちのこういった問題に対する基本は、先生もちょっとお触れになりましたように、やはり青色申告者でも課税最低限で申告義務のない方も相当おられるということは、やはり相当所得の少ない方も青色申告している、小さいからできないのだということではないのではないか。したがって私は、基本的には青色申告といいますか、やはり帳簿をつける。帳簿のつけ方その他結局簡易な方法でいいということにしておりますので、やはり基本は帳簿をつけていただく。かりに青色申告しておらないでも、大体の売り上げがどうだとかという原始記録をとどめておいていただくということが一番問題の解決じゃないだろうか。それで、調査する者も全く空にかけるわけにいきませんから、それなりに努力しながら、日々の売り上げを見たり、いろいろ苦労して推計してはおるわけであります。そこに若干いろいろな食い違いが出てくる。それをなくするためには、やはり記録を何らかつけていただくという方向に納税者の方もなっていく、また同時に、税務署員の教育あるいは訓練ということに片や相当努力していかなければいかぬ、この点は同時にまた私たちが反省しておる点であります。やはり調査技術、あるいはまた、いつも言いますように、財産権に触れる話でございますから、やはり人柄なり何なり、人間としての修養という問題を含めて努力しなければいかぬ、かように考えておるわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 その姿勢はよくわかるのですけどね。ところが、結局それは具体的にそれではどういうふうにあらわしてきているかということなんですよ。それが具体的な効果をあげていない証拠に、こういうふうに毎年大体同じ、あるいは漸増的な異議申し立てが出てきているということなんです。  そこで、私は再度申し上げますけれども、この異議申し立てをしたならば、そこにおいて取り消しとか変更というものが約半数できるということは、結局その次元においてお互いに胸襟を開いて話し合っているわけです。そういう形は、それだけをとらえていくならば、私は何も別に問題ではないと思うのです。それが先ほど申し上げたように、給与所得者のほうから見た場合には、源泉徴収を受けておる者から見た場合には、一々そこでそうやらなければはっきりしないのかということが問題であるから、やはり全体的に課税の税務行政の上から見てはっきりすべき点はないのか、もう少しそこを改善していくということにならなければ、この制度は設けても、それは当然のことだと思うのですけれども、その基本がはっきりしない以上は、件数はふえていくだけだ、そこに派生的にいろいろな問題が出てくるのじゃないか。こういうことが考えられるので、その点、もう少し具体的に進めている、こういうふうにやっているという何かないのかということをお伺いしているわけです。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 なかなかこの問題はむずかしい問題でございまして、片やサラリーマンの方々から見ると、営業者というかそういう面で抜けているのではないかという非難がいろいろあることは御存じのとおりであります。逆に、更正決定もゼロ、それから異議申し立てもゼロと、うまいこといってちっとも文句が出ないようにすっといくという姿が、逆に課税水準が低いということにもなりかねない問題があるわけで、なかなかそこは微妙でむずかしいところがあろうかと思います。  しかし同時に、毎々申し上げておりますように、調査の対象の選定とかというところは、やはりあまり課税最低限すれすれの低い階層の方々ではなくして、もっと所得のある問題のところに、申告が低いではないかというところに観点を置いて調査なりやるべきではないか。だから、あまり低い階層のところをがしゃがしゃ調査をするというのは、私たちの指導方針とは反している。むしろ、そういうところの段階は、通常は、かりに若干のあれがございましても、大体修正申告の慫慂、または修正申告を出される、あるいは話を聞けばあなたの申告でいいからということで、大半は済んでいるのだと思います。それで、やはりわれわれが重点を置くのは、同じ所得税を納めている方々の中でも大きな階層それから一見申告は低いけれども、実はビルが建った、何が建った、どうもおかしいというようなところに相当われわれの力をかけて努力しなければいかぬ。こういうところから異議の申し立てが出ても、これはむしろその過程を通じて真実を明らかにするということであるべきで、そういった際に、異議の申し立てが出るのは困るとかいう筋合いではないのではないか。  ですから、一番の問題は、この異議の申し立ての中でも、こまごましたものについて更正といってこういうことが起きるのか、もっと大きい問題点のところを調査をして、それについての異議申し立てが出るのか、そういうところの内容の分析なり何なりは今後十分尽くしていかなければならないところかと思っております。われわれの指導ぶりも、問題、事案にただ形式的な調査日数、きまったあれにとらわれることなく、やはり大きいところはとことんまで真実をつかむ努力をしていくということを、会議その他で私は常々主張しておるわけであります。小さいところについてあまりがしゃがしゃこちらとしてはやりたくないという気持ちでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 そういうお話が出ましたからついでにお伺いしますけれども、それでは、この三万数千件にわたる異議申し立てば大体どういうレベルのものか。いまもお話があったように、大きなビルが建った、これは相当資産のある方だと思うのですが、それにしてはいま申告している納税の額では少な過ぎる、大体こういうところじゃないかという推計課税をやる、そこに問題が出てくる。そういうようなこともいま申した大きい分に属すると思うのです。そうすると、異議の申し立てということに対しての分析は、いま大中小に分けてどこら辺が一番大きいのか、その点はどうでしょうか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 私は、やはりそういった点を掘り下げてやるべきだという感じで、ただいまの数字で、ちょっとそこまでこまかく実はとっておりませんが、今後そういった点を分析して処理すべきだ、また処理させたい、かように考えております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 これは、納税については言わずと知れた憲法第三十条ですか、納税の義務を課してあるわけですから、当然これは公平な課税がなければならないことは明らかです。しかしながら、私がなぜこういうことを言っているかというと、結局、税務行政の不服というものについて内容がこういうふうにいろいろ出てきておりますね。これによってやはり不信を抱かせるということなんです。これが一番問題だと思うのです。ですから、その次元において、決定するまでに、何らかの方法で両者が納得していくような課税の仕組みはないか。以前には何か事前協議というのですか、そういうようなこともあったけれども、これはいろいろな弊害があるということで、もうお話があったとおりやめられた。それは事前協議というものはやっぱり問題があると私も思います。しかしながら、問題があるからといってそれはやめてしまった、あとはこっちが一方的に推計課税をやって決定して、異議があったら言ってください、それで話し合いましょうというようなことをやっていると、これはいつまでたったってこの問題というものは切れない問題になってくると思うのです。その点を私はいま指摘申し上げているわけです。  先ほどの青色にしても白色にしても、これの区別をまだはっきり分析をしておつかみになっていらっしゃらない、あるいはいま異議申し立ての内容分析というものが十分できてないということは、税務行政の指導に当たる面としてのスポットというものがこまかく当たってないんだ。これは基本的にこういう大きな、最後までいけば訴訟事件になってくるということまでになるような事案が出てくる以前の、一番基礎になる問題を解決していこうという姿勢があいまいじゃないかと私は指摘したいわけです。その点について、十分今後は分析して考えていっていただきたいと思います。ただ、前の事前に話し合うということが、そこになれ合いというか、いろいろな弊害を生むというようなことはよくわかるのですが、それは、たとえば文書等でこういうふうに申告があったけれども、こういうふうにあなたのところは問題があるんだ、更正決定をしてからやっていくという形をとりますね。そういうことで統計が出てくるわけですけれども、そういう方法でも文書でとれないのか。それで理由も明らかにすべきだ、そういう点はどうですか。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 確かに先般も申し上げたのでございますが、アメリカのやり方は、調査官が調査をいたしますと、まずその調査の結果に基づいた決定を三十日レターという形で出すわけです。納税者がそれに不服がなければサインをして返す、それで確定をする。それでサインをしておかないと、自動的にいわゆる上級者、コンファランスという日本でいえば協議会に当たるものでありますが、それが調べまして今度は九十日レター、この九十日レターに対してサインをすればそれでおしまい。サインをしないと、あるいは不服があれば直ちにタックス・コートに出訴するか、あるいは税金を納めて司法裁判所に出訴するというやり方でございます。このやり方は、日本の更正決定という形に比べるとかなりやわらかい感じがするわけです。調査担当者がみずから出ていく。これはアメリカ、イギリスの行政制度が、いわゆる日本のような旧大陸法系的な官庁制度をとってない。権限のある調査官がその権限で相手方に意思表示ができるという体制をとっているわけですから、そういう形になっているわけです。日本でもそういう意味では最初の更正なり決定は実はそういう性格を持っておりまして、したがって、異議申し立てというものは、できるだけ軽い気持ちといってはいけないですけれども、非常に厳格に考えずに文句を申し立てるというふうに運用していきたいというのが私どもの気持ちなんです。  ちょっと長くなりますけれども、御承知のとおり、わが国に申告納税が取り入れられました直後は、これは更正決定の渦でございまして、大体納税者の八割くらい更正決定をやった。それに対しましてほとんど八〇%ぐらいの異議申し立てが出まして、そのために申告納税制度自体が危機に瀕しておったという事実があります。そこへシャウプ博士が参りまして、これを何とかしなければいけないということで、青色申告制度を持ち込んだのですが、それを持ち込んだときに青色申告にすぐ移れたかといいますと、なかなか移れなかった。国税庁としては十数年来青色申告に対して、記帳の指導あるいは記帳の緩和をしていままで来たわけでございます。その間にいわゆる白色の問題が非常に大きく残っている。とにかく申告をして更正がこうたくさんあるという状態では、申告納税というものは永久に進歩しないんじゃないかということで、先ほどお話がございました事前協議という形でお知らせ——更正決定という形ではなくて、お知らせという形を出しまして、そのお知らせで何とかこれに従って申告させればそれでよろしゅうございますという式の、相当思い切った手段をとったわけです。それが後にいわゆる納税期待額の通知というようなことでだんだん変わってまいりました。しかし、その間にあって申告をするくせといいますか、慣習というものは実際にでき上がってきたと思います。中身は別といたしまして、申告書を出さなければいかぬということはほぼ確立したわけです。一方においては、申告納税期待額についてはいろいろな面で弊害が出てきたことも事実です。また、申告納税期待額をこちらで出しておきながら、あとで何らかの理由で査察の調査などやってしまうと、税務官庁で一応これだけ期待いたしますといっておきながら、あとでふやすということはおかしいではないかというような議論も出てまいりました。そこで漸次これを切りかえてまいりまして、申告納税期待額をやめるということにいたしましたのが昭和三十二年かでございます。  そういう形で調査も次第に事後調査に切りかえた。事前調査というものをだんだん事後調査に切りかえていくという形に直しつつありますが、同時にまた、せっかく申告期に納税者が税務署といろいろ話し合って申告をするというこの制度はできるだけ残しておきたいということで、申告指導というような形で、お知らせはいたしませんが、納税者の帳簿なり何なり持ってきて書き方も教えていくということで、実は毎年三月になると、たいへんな人数が税務署に来られるという形で、そこで申告指導という形で、具体的にこれで申告なさいというようなことは申しませんが、あなたのほうは計算するとこうなります、経費というものはこういうものは引けないということを説明いたしまして、できるだけ申告が出るように努力してまいる。そういう意味で申しますと、ある意味ではお知らせをやっておった時期は三十日レターに近いようなことをやっておったのでありますが、むしろそういうことを言わずに、事前に申告が出る形にだんだん進んできたということは事実であります。あと申告の内容が事後調査の結果も正しい姿になるのが理想でございますが、いまその過渡期だと思います。その過渡期に、更正というものがお知らせ時代に比べるとふえたと考えられます。それに対する異議申し立てというものをもう少しやわらかく運用できるということは私ども非常に考えておるところでございます。  いま税務署などに参りますと、よくこれも御経験かと思いますが、こういう決定をしてもらったがどうしても納得できないのだという説明をいたしますと、とりあえずとにかく異議申し立てをしてください、一カ月以内——いま一カ月でございます。一カ月以内にもし出さないとだめになりますからという指導をかなりいたしております。そのために、初めはいわゆる対抗的な意味でなくて、異議申し立てを出してつないでおいて、その間に事情を両方で説明し合うということが実際ではかなり行なわれておると思うのです。  そういう意味で、私は、この異議申し立ての処理というものをできるだけ気軽く、国民が近づきやすい形でやっていくという形で、いわば更正決定がアメリカで受け取られておりますところの三十日レターのような感じで運用されるということが一つの考え方ではないか、かように考えております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 亀徳長官、そういうような前向きの姿勢でこれからの指導に当たっていく、移動的にはいまもやっておるところがあるでしょうが、移動的な相談、納税指導というのですか、そういうことも具体的に進めていくことも一つの方法ではないかと思うのですが、その点どうですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 移動的というのは税務署で出張っていくということですね。これはまだなかなか、皆さん帳簿をつけていただきたいと申しましても、おいでにならない、来にくい方もおられるようであります。三月十五日の確定申告時期には、特に地方では村役場などに出向いていくこともございます。署でも大体一日から十五日近くまで日割りで、何日においでいただければいろいろ談合するということは現にやっております。また、こういう形を当分残しておくというのがいまの実情に合ったあれではなかろうか。  それから先ほど申し上げましたように、異議申し立ての中にも非常に零細な話と、それから調査して相当確信を持って的確に話をつかんでおるというようなことは、双方で話し合ったあとどうしようということにあまりなじまない話があります。そこはやはり個々内容に応じて処理しなければならない、かように考えておりますが、しかし、非常に記帳能力その他の少ない方々とかあまり問題のない方々につきましては、極力こちらの調査の見方その他もお話しし合って、大体必要のときには修正申告を出していただくということで大半の問題は片づいておるのではなかろうか。しかし、先ほど来申し上げておるように、ほんとうに問題のものはそういう話し合いというのではなしに処理せざるを得ない。そういうところは十分分けて処理しなければいけないと思いますが、大筋につきましては、大体そういうようなあたたかい気持ちで処理すべきものだ、かように考えております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 この問題ばかりで時間を食ってはたいへんですが、要するに、先ほど指摘申し上げましたように、そういう積極的に納税の指導に当たっていく、税務署にやってこいというのでなくて、もう少し出張っていってそこで親しくひざを交えながら納税指導をやっていくとか、あるいはさっき言ったように、事前に協議するというのがぐあいが悪ければ、文書だけで通知していけばそこらにいろいろ問題があった弊が相当除かれるのではないかということで、そういうことはできるだけ両者が——更正決定して不服審査まで持っていくという事案が多くなってくるというのではなくて、その次元において納得した納税あるいは課税ということができていくようななにをひとつ御検討願いたいと思います。  それから、もう一点だけ聞いておきたいのは、結局異議申し立てがあった場合に、やはり原処分庁においては異議申し立てを受けても、そこが結局更正決定したところですから、勢い、何としても自分の更正決定というものを、人情的に考えていっても、どうしても守ろうという考え方になるのですね。そうじゃない、一応推計課税したんだから、来た納税者に対しては十分話を聞きますということも理論的には言えると思うのですけれども、やはり実際の実務の上からいきますと、そういう姿勢にならざるを得ないと思うのです。そういう場合、この中で相当、半数以上が取り消しとか変更になっておりますので、ある程度は聞かれておると思いますけれども、棄却だとかあるいは却下された分については、そのほとんどが——ほとんどというか数字的にいえば大部分が審査請求のほうに回っているんじゃないか。この表から見た場合に、そういうふうに考えられるわけです。数字的に見ると、大体この四十二年度だけ見ましても、それが大体見合っているわけなんです。あるいは一部取り消しも中にはこっちに来ているかと思いますけれども、そういう意味から、やはりこの異議申し立てを受ける者は、実際に課税調査対象に当たって更正決定した人ではなくて、もっと税務署内においての第三者的立場に立つ者がその意見を聞いてやる、こういう姿勢でなければならないと思うのです。それは人員の関係上、あながちそういう別の者をがっちり設けて、いつもそういうものをやっていこうという体制には出れないかもしれませんが、少なくともそういう配慮があってしかるべきだと思います。その点どうですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 実は昨日の御質問で、私その点解明したかと思いますが、いままさに先生のおっしゃった点をわれわれも反省しておりまして、自分でやはり更正して、それを異議を出されたときに、どうしたって自分で処理したものですから、自分の立場というものに固執していくということになりがちではないか。それで私は、今度の不服審判所の設立は、同時に原処分庁の異議の申し立ての見直しの問題を含んでおる。今回はただこの制度をつくればいいという問題ではなくて、やはりこの納税者の不服を一体どう処理していくかという全体的な立場で問題を解決すべきじゃないかということで、この法案とは一応関係ございませんけれども、税務署の段階では、そのための特別の人を別に確保しておくことができないくらい小さい署もあるわけです。そのときには必ずその見直しは別な人間にやらせる。しかもそれは、できれば調査力のもっと上の者に見直しさせる。それからまた、若干余裕のあるところは専担者を設けるということも考えていいのではないかという方向で、いままさに先生の御指摘のような方向でこの異議の申し立ての見直しの体制を直そうではないかということを議論しておりますし、これはこの制度の成立を待たずしても可能なことでございますので、やはりそういう方向で改善していきたい、かように考えております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それでは、次に移りたいと思います。  きのうも私、関連質問いたしましたのですけれども、税務争訟についてです。これはきのう申し上げましたとおり、現在の不服申し立て制度はいいとしても、税務争訟において不服申し立てを経ずに直ちに出訴することができないということ、こういうことはどういう理由に基づくか。きのうは、前置主義でいくんだということをおっしゃっていられるんですが、あながちそれは前置主義ということも悪いことではない。これはきのうも私、申し上げたんですが、それはいいと思うのですけれども、しかし、それだからといってこれを経なければならないという明確な理由というものはどうもきのうのお話では伺われなかったわけですが、その点について答弁をいただきたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 訴願前置主義というものが一つの行政監視的なものから生まれているということも事実だと思います。御承知のように、行政事件特例法ができましたときに一この間、参考人の陳述がございましたが、一定の処分についてはやはり訴願前置主義をとることが必要であるという見解があったわけです。その当時、行政事件特例法ができましたが、税務争訟的なものは訴願前置主義を残すべきであるということで制度ができたことは御承知のとおりでございます。今回この改革をいたしますに際して、それを直すかどうかという点がいろいろ議論になったわけでございますけれども、それにつきましては、一つはいろいろ実態を洗ってみますと、税務争訟の事案というのは、九五%近くが事実認定にかかるものであるということがございます。この事実認定にかかるものになりますと、やはり一番密接な関連にある実態調査も、手足がそろっておる税務官庁というものが見直しをするということによって、事実関係を明らかにすることは、非常に何と申しますか能率的である。それを処理した上で、本式の訴訟に出ていくということが必要ではないか。しかも、それをもし選択にするということになると、大量的、反復的に出てくる税務争訟について、その中で区別をされるということもこれはおかしいではないか。やはり一応制度としてスクリーニングをかけるということがいまの段階では必要ではなかろうかというのが一つの理由であったと思うのであります。  なお、この間、参考人の陳述にもございましたが、それじゃ法律問題と事実問題を分けたらどうだという議論も税制調査会の中でもございました。そこで、具体的な事案についていろいろ検討いたしますと、どうしてもそこは分けられないということになってしまいまして、それじゃやはり事実問題が九五%近いことは明らかなので、それに従って従来の前置主義をとっていくのがいいんじゃないかという結論になったわけであります。この間、金子参考人も申しておりましたが、金子参考人は、別の観点からいままであった訴願前置主義をはずした場合にどういう影響が起きるかはわからないけれども、更正というものは可逆的と申しますかもとに戻らないという性質がありますので、ここは安全を踏んだほうがいいんじゃないかというのがいまの現状から見て考えられますということを、金子さんは言っておられましたが、訴願前置主義をとるについては、税制調査会でも非常な議論があったわけでございますけれども、いままでの慣例なり、あるいはまた税務ほど数は多くはございませんが、行政争訟で数の多いものを順にとってまいりますと、全部がまだ前置主義をとっているわけでございます。そういう点から見ると、いまの制度をこの際まだはずすのは早いんじゃないか。おっしゃるとおり、これを選択にするということも十分考えられる道ではございますが、今回は、この点はやはり全体の争訟の遂行ということを考えて、前置主義を置くべきであるという結論になったわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 いただいているこの資料によりましても、争訟事件の事案というものがすごくふえてきておりますね。もちろん審査請求も先ほどお話がありましたようにふえてきているわけです。ということは、やはり納税者にしてみれば、早く一応自分の主張を聞いてもらってそうして解決したい、これは偽らない気持ちであって、何も争いのための争いをやっている人はないと思うのです。しかしながら、それがいま言うような前置主義ということだけで基本的な問題まで制約をしていくということは、やはりこの際考えていかなければならない問題じゃないか。一応は現段階ではこうしたというものの、一方、現在の趨勢から考えて、当然もう一歩前進した考え方をもっていくべきである、こういうふうに私は思うわけです。もちろん行政事件訴訟法の八条の第一項によりましても、「処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。」として、あとただし書きがあります。ただし書きは、いまいう国税通則法とかそういうものに設けられて、別に何かあれば前置主義だという意味なのです。しかし、その基本的な行政事件訟訴法の精神というものは、憲法の精神にのっとってそれを考えておるわけです。ですから、全然それはどこへやってもいいのだ、納税者のいいようにしろ、いわゆる自由選択ですね。そういう方向に一足飛びにということもどうかという考え方があるならば、どちらでもいわゆる自由選択です。やりたい方向へやっていくという制度もこれは設けるべきじゃないか。特にこの問うちから非常に問題になっております憲法三十二条の問題について、これもその精神が前置主義という一つの制度をとることによって何らかの制約がそこに、裁判上訴訟事件になった場合においても、相当強い圧力といったら語弊があるかもしれませんが、一応問題点が残っていく、そういうことになっているわけですね。いま一応はと申しておりましたけれども、それでは将来にはその方向で考えているのか、こうお伺いしたいわけです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この国税不服審判というものが新しくできまして、この審判の結果がだんだんとあらわれてくるにつれて、国税の不服というものについての類型もだんだんはっきりしてくるだろうと思います。昨日御指摘がございましたように、主要な判例については、個人の名前を明らかにしないでも、何らかの形で公表していくというようなことも行なわれると思いますし、それから先ほど来御指摘のように、納税者の申告体制、税務署の更正決定の体制というものもこの不服審判所ができるとかなり変わってくると私は思います。やはり何と申しましても、従来と違った独立の審判所で審決されるとなれば、そう言っては悪いのですけれども、慎重の上にも慎重を期した更正決定が行なわれるということにもなると思います。そういう時期をだんだんと経て、将来司法裁判所に直結する時期もまた考えられると思うのです。ことに司法裁判所自体が、いま租税事件については、実を言いますとかなり悩まされておるというのが実情でございます。このごろは租税係の判事さんという方もだんだん専門家ができつつあるようでありますが、おまえのところの事件が来るとほんとうに困っちゃうと言われる判事さんが私の友だちでもずいぶんいるわけです。そういうのが実情であります。  そういう意味で、裁判所がこういうふうに税務争訟事件がふえていけばおのずからそこに専門家を生み出して、量的にも質的にも整備ができていくと思うのです。それらと見合いながらこの問題が解決されていくのがやはり将来としては筋道であろう、こう私は考えているわけです。過渡期と申しますか、いまの時期では時期尚早であるというのが実際の判断であるということを申し上げておきます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 これについてはいろいろな意見があるわけですけれども、たとえば異議申し立てについても、異議申し立てはやめてそのまますぐ審判所に持ち込めるようにしよう、こういうのがありますが、私はやはり当事者同士がまず最初に話し合って解決できるものは解決していく、これは残しておいてもいいんじゃないか。そしてまた、国税不服審判所ができ、そこを通していく、これも残しておいていいんじゃないか。確かに、先ほど申し上げたように、納税者にとってみれば、早く聞いてもらって早く解決したい、こういう意図ですから、これをなくしてしまえという意味じゃないのですよ。当然あるべき姿としてこういうものは残すべきである。だからといっていまの、一応は数字的ではありますけれども、数字の趨勢が示しているように、審判所の請求事案が非常にふえているという事実、そうして異議申し立ての件数についてはあまり変わらない。四十一年と四十二年だけを比べてみれば多少、二千件くらい減っている。四十三年はどういう形で出てくるか、ちょっとわれわれにはわかりませんけれども、あまり大差ないのじゃないかと思われます。そして先ほど言いましたように、訴訟事件については相当ふえているわけですね。こういうことから考えていっても当然そういうことは考えに入れなければならないし、あるいは法律上の問題を——きのうからずっとその問題が続いておるわけですけれども、憲法上の問題から考えていった場合は、確かに前置主義という一つの制度をそこにはめ込むことによって一応自由選択のなにが阻害されるという問題が出てくるわけですね。それじゃずばり裁判所にそれを持ち込んだからといってどういう弊害があるのですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 これは的確にどういうということを言えないけれども、自由選択にした場合にどれくらいが直接訴訟に行くかという推定が成り立たないものですから明確には申し上げかねると思うのですけれども、先ほど長官が言いましたように、訟訴件数がふえていると同時に未決件数はもっとふえている。つまり、訟訴の処理能力をだんだん越えつつある、民事事件、行政事件としてはですね。行政事件のおそらく四割以上はいまや税務争訴事件ということになりつつあるわけです。そういうことから申しますと、いまの司法制度、これを改革するということもいろいろ問題になっておりますが、これまた非常な問題になることは御承知のとおりです。また裁判官をふやすと申しましても、いま司法修習生の相当部分がほとんど弁護士になってしまう、裁判官、検察官の補充難という問題もございます。そういうことから考えますと、ここでかりに税務争訟が倍になったとしても非常に大きな問題になるし、これが他の民事事件に及ぼす影響も非常に大きいと思います。現在民事裁判に参りましても、税務関係でも訴訟提起から終結まで大体二年半、平均でかかっておりますから、この調子で参りますと、いま未決がどんどんふえている状況では、この事件の長引き方というのは相当になってくる。これは単に訴訟事件だけではなくて、他の一般の司法事件にも影響を及ぼしますので、ここで訴願前置主義を自由選択にするというのは、理論的には考えられることでございますが、いまの全体の権利保護、一般の国民の権利保護のシステムとして考える場合に、租税事件についてここでもう少し前置主義を置いておくということは、法律的にというよりも、法社会学的に必要な問題のように考えられるわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 課税処分というのは、課税の基準の認定が複雑だとか専門的であるとか、そういう一応の理論はあるわけですけれども、しかしながら、そうだからといって、よく指摘されておりますように、三十二条により「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」という、その基本的な国民の権利というものが阻害されていいものであるかという気がする。したがって、そういう複雑であるとか行政上の問題については、いまお話がありましたように、税務にたんのうな司法官を置くとか、そういうことも漸次ふえてきているという話ですけれども、そういうことでそれは解決できていく問題であって、単なる、そういうような状況だから解決できないのだという考え方であれば、基本的な憲法に保障された国民の権利は侵害されるということを言わなければならなくなってくるわけでございますね。ですから明確に、いまそういうようにしたならばそれが困るんだ、ただ複雑怪奇になるから困るんだというだけだったならば、人員をふやすとか、その段階まで持っていかなければならぬ。また、いまや準司法裁判所的にという意見もあるわけですから、何らかそこにひとつ、あくまで法を曲げて考えていくのじゃなくて、生かしていく方向で考えていかなければならないと思うのですよ、そうじゃないですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 私は、広沢委員のおっしゃることもよくわかるのでございますけれども、また憲法三十二条の精神というものは、基本的にはいわゆる行政裁判所的な終審を禁じておるというふうに解すべきものだとは思いますけれども、しかし、できるだけ早く司法の解決を受けさせるということもこれは憲法の精神としてはふさわしいということもよくわかります。要するに、いま申し上げた点から申しまして、そういう機が熟する時期というのはいずれば来る。ただ、いまの時期にすぐにやった場合に、司法裁判所自身がそれはたいへんなことになるという意識を持っていると思います、そう申し上げちゃいけないのですけれども。そういう意味でいわば訴願——訴願というのは古いことばでございますが、訴願手続自体を合理化して、できるだけそういうものを迅速にやっていく、また現在審査請求をして三カ月放置してあれば直ちに出訴権を与えてあるわけでございますから、そういう意味ではかなり出訴に近い立場にあるわけでございます。それらを勘案いたしまして、漸次全体の体制をそういうことに持っていけるように、現在たとえば社会保障関係、労働保険関係、恩給法関係、戦没者遺族等保護、それから国家公務員法、特許法、農地法、道路運送法、比較的件数が多いものはいまだに前置主義をとっておるというのも、おそらくそういう全体の配慮があるのではないか。それでも社会保険などはせいぜい年間四千件ぐらいでございますけれども、税務の場合は御指摘のように三万件もございますから、やはりその点もう少し時日をかす必要があるのじゃないか、これが率直な気持ちでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 とにかく審査請求をする人にとってみれば、要するに早く解決したい、しかし、どうせずんずんもんで、ついには訴訟になるということになったら、非常に長い期間かかっちゃうわけですね。先ほど御指摘があったように、訴訟になってから二年、長くて二年半ぐらいかかっているのだ。ではその間にずっと異議申し立てから始まって、これをやっておりますと、それこそ忘れるくらい長い時間がかかっちゃうのじゃないかということも言えるのじゃないかと思うんですよ。だから、それは行政段階のそちらのほうの考え方を基準にしていくか、国民を基準にしてものを考えるかということですね。そこに大きな観点の違いがある。こちらが繁雑であるとか、あるいは人手が足りないとか、あるいはいろいろな問題があるということは、それは行政段階において整理して考えていけばできることであって、主税局長もいまおっしゃっていらっしゃるように、将来においてはそっちの方向に向いていくのだ、そういう意味なんですか、そうあるべきが一番いいと、こうお考えになっているのか、その点をもう一ぺんはっきりさせていただきたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 非常に大量であり、反復的であるという点は、確かに制度を充実していけば解決する問題であると思います。それから事実認定が多いという問題も、この二十年間の申告納税の進歩ということを考えますと、遠い将来でなくともかなり問題は解決してくると思います。そういう際にはやはり司法に対して直接訴えができるという方向も私は筋道だと思っております。まだそこの段階まで立ち至るにはやはり時間がかかるのではないか。また、私は行政の都合だけ言っているわけでなく、行政、司法の仕組み全体と国民全体の訴訟の利益という問題、それがやはり国家制度全体として考えた場合に、行政事件訴訟というものがかりに八割方前段階で済むということであれば、ほかの争訟を考えれば全体を勘案していまの段階ではこの程度にとどめておいて、将来ますます努力をして、全体がそういう形になっていくように考えるということは、やはり漸進的な解決として考えるべきことだ、私はかように思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それでは、一応この問題については基本的な問題でありますので、政務次官にひとつお尋ねしておきたいと思います。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 いま主税局長が申しておるとおりだと思います。それで、行政の立場を主とするか、国民の立場を主とするかというお尋ねでございますが、これは国民の立場を主とすべきものである。また、政府原案もその立場でおるのですが、これは大蔵大臣もしばしば御答弁を申し上げておりまするが、現実の場合におきまして紛争を早期に、もちろんこれは正確に、適切に処理すべきことは当然である。それだからといって、年限がいつまでかかってもいいというわけにいかない。権利救済は適正な措置であるとともに、きわめて早い時期に処理をするということが必要だ、そういう立場から現状の立場を見、また税務争訟の実態を見ると、いまの前置主義を置いたほうがいいのだ、こういうような見解でございまするので、決して行政ということの都合によってという意味でなくて、国民の立場というものを考え、現在の行政機構その他をにらみ合わして段階的に持っていくべきものであろう。また、いま広沢先生がおっしゃいましたが、私は、整理ができてきちっといくならば、これはもうストレートに司法裁判所の裁判を受けていく、こういうことがけっこうであろうと思いまするが、しかし、現在の実情としましては、この前置主義をとっていったほうが国民のためにけっこうであろう、こういうふうに思われるわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 そこで政務次官、私もそれらの点については先ほど来申し上げているとおりなんです。別に前置主義がいかぬと、こう言っているわけではないのであります。しかしながら、権利救済を早期にやろうという、これもいいわけなんですが、そういうことによって、先ほど申し上げたように、中には訴訟事件もふえてきているのだということになれば、それをずっと通ってやっていると、早期解決なんということはできない分もたくさんあるというんですよ。ですから、基本的な憲法で保障された権利を生かす道というものを当然ここに行政段階で考えなければいかぬということなんですね。ですから、そういういま言う自由選択の道というものを設けていく。ただ言えることは、異議申し立てにしても件数が三万何件。ところが、今度審査請求にしたら、それから三分の一ぐらいに減っているわけです。訴訟にしたらそれからまただいぶ減っているわけですね。十分の一ぐらいに減っておる。そういうふうなことから考えていっても、何も自由選択にしたからといって、一がいに全部裁判所へ持っていくということは考えられないのです。これは国民は早く解決したいという意思があるから、当事者同士が早く話したい、それは率直な意見としてそうだと思うんですよ。ですから、異議申し立てというものは必要ないじゃないか、異議申し立てというものを残していくから、税務署内においてだれか人をかえてもう一ぺん見直すのだとか、いろいろなことの批判も出てくるわけですけれども、やはりそれは当事者同士が先に話し合うということも一般理論として通用することであって、決しておかしいということではない。そうしてこれを見ていけば、相当処理されているという事実から見て当然だと思う。ですから、前置主義も置くけれども、いま言うように事案によっては国民の自由選択で直接出訴できるという道は当然現段階において生かすべきである。これは将来においてはそうだという一致した御意見のようですから、あえて私はこれにこだわりませんが、ひとつ前向きで考えていっていただきたい、こう思うのです。  次に、更正決定の課税処分をやる場合、まず申告者に理由とか金額を明確にする、どうしてこういう更正決定をしたのだ、これを明確に与えてあげるべきじゃないか。一応金額的に、通知書で更正決定これだけというものが来る、その金額を見てびっくりして税務署にかけ込む、これが実情なんですね。そうじゃなくて、やはりあなたのほうはどこに問題点があるのだというちゃんとした通知を更正決定については明確にすべきである。それによって異議申し立てあるいは不服審査を請求しようとする者においても、その点についてはこうだという理由が明確になってくるのじゃないか。ただ金額だけであったならば、大づかみですからわからない。その点についてどういうふうに考えておられるのか、ひとつ……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、従来の考え方また世界各国でもそうでございますが、課税決定というものは、相手方つまり納税義務者それから課税標準、税額、納付期日を明らかにするということが基本になっております。ことに賦課決定をとっておりますイギリスとかフランス、ドイツにおいてはいずれもそうでございます。わが国でもそういう立場をとってきておりましたが、御承知のようにシャウプ勧告のときに、青色申告者についてはまず帳簿を調べた上でなければ更正決定をしてはならぬという制限をつけました。同時に、その帳簿の記載を義務づけ、かつ調査を受認さしておるということから、その不十分な個所についての理由を付さなければならぬということを義務づけたわけでございます。そういう意味で、青色申告書を出す人間についてそれだけの丁重な手続をとるということにいたしまして、それが当時青色申告書の恩典と称せられたものでございます。  これに対してシャウプ勧告では、白色申告者については推計課税という制度を税法上取り入れるべきだということをいいまして、それが御承知の推計課税という規定になったわけでございます。さらに、税務争訟が行なわれた場合、税務署の主張が妥当と認められるときには、裁判所は先に納税者に証拠の申し出をさせることになっておるという、いわば英米法で申しますバードン・オブ・プルーフを納税者にかぶせるというような制度もとったのであります。そういう意味では、白色申告者は帳簿の記載というものを本来義務づけられているはずでございますけれども、それは履行できない。また、場合によっては税務調査を拒否する場合もあり得る。そういう場合に推計課税が可能であるというたてまえから、一般の青色申告以外の決定については通常の決定で足りるというたてまえをとってまいったわけでございます。  しかし、今回の改正で、納税者に異議があるという場合には、当然その異議について説明するわけでございますから、それにさらに異議がある場合には当初の決定はこうであったんだぞ、こういう趣旨であったんだということを明らかにして、審査なりあるいは訴訟なりに備えることができるように、異議申し立てをいたしましてその決定をするときには、原処分の理由、並びにもし異議申し立てをしてから三カ月を経過してもなお決定がないという場合には、その三カ月の期日が経過した際に、これに対しては審査請求に移すことができますという教示をいたしますとともに、原処分の理由はこうでございましたということを明らかにするような制度に改めたわけでございます。そういう意味で、白色申告者にとっても世界じゅうにない一つの前進をしたと私どもは考えておるわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 確かに今度の改正ではそれが出ておりますけれども、私はそれよりもう一歩手前の話をしているわけです。要するに更正決定をするということは、こちらのほうにおいて推計課税をしていくには確かに基準があるわけですね。そこに申告との大きな違いがあるということは、こういうところに違いがあるんだ、だから決定したんだという理由を付さなければならぬ。異議申し立てをした段階で、不服審査の段階においては弁明書ですかあるいは答弁書、こういうものをこしらえて出すことになって、閲覧の問題とかいろいろな問題は先に残っておりますけれども、要するにそういうことができることにはなっておりますよ。しかしながら、その争いになってからそうしていくのでは、先ほど言ったように、不服審査にいってからの事案だって一年以上たっているのがたくさんあるのです。ですから、そうじゃなくて、この問題についてはこうだ——確かにあとの条項には、今度は、こちらが異議申し立てをする場合には理由書を付さなければならない、こうなっていますね。これも同僚の委員から御指摘があったとおりでありまして、理由書についても程度がどんな理由なのかということになってくる。しかし、更正決定が金額だけであったら、どこにその問題があるかということを納税者自身がよくわからない。先ほど亀徳長官からも指摘があったように、帳簿をあまりつけていない者もあるんだ。あるでしょう。そうなったら、なおさらのことさっぱりわからない。だから、理由もきちっとした理由じゃなければ却下できることに今度はなっている。棄却ですか却下ですか、とにかくできることになっている。こちらはこういう考え方でこれだけの金額と、申告するほうはこまかく書いて、こういう理由だからこれだけの申告をしますということを出してあるわけですから、それについては、あなたはこういう項目についてはこうだけれども、これはこうだということを、やはりこちらで処分していく上においてはやっていくべきじゃないか。そしてその争いの点が明確になった上で異議申し立てをしていけば、その点について解決が早い。また別の条項——何条でしたかちょっと忘れましたが、条項にもありますとおり、その更正決定あるいは異議申し立てをして、その納税者に不利益になるような変更はできないことになっておりますね。ですから、そういうことによって調べて、間違った、もっとかけるんだ、推計課税よりもっと上になるんだ、そういうことは、どういう解釈になるかわかりませんが、一応はない、その事案についての解決だと私たちは認識しているわけですね。そういうことになれば、なおさらのこと更正決定の段階において納税者に通知する場合にはっきりすべきじゃないか、こう思う。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御承知のように、更正決定をいたします場合には、納税者の申告した所得金額に対して所得別に更正をいたしますから、そういう意味では納税者が申告した、たとえば不動産所得が幾ら、事業所得は幾らということを書いておれば、それに対して、あなたの事業所得は幾ら、不動産所得は幾らということを明らかにするわけであります。そういう意味では、それぞれ相手方がどこを決定されたかということはわかるわけであります。ただ納税者のほうも申告をするについてはまず明確な基礎がなければいかぬ。その基礎が明らかでないということのために推計課税をされるわけですね。そういう意味で、税務署のほうの課税と相手方の所得と比べるという場合に、比べる基準がないということが一つあると思います。そのことは税務署の調査内容自体を書かなければならぬということになるわけで、非常にむずかしい問題になってくると思います。そこで、異議申し立てがあれば、その異議のある人に対して、こういう調査をしてこういうことになるんだということを明らかにすることはできますけれども、一般的に税務署がそういった通知を出すのは、どうも定型化しにくいという点もあると思います。そういう趣旨から、各国並みといってはいけないのですけれども、各国では課税標準と税額だけを通知しておる。各国がそういう体制をとっている基本には、納税者というものは、納税義務というものから自分が基礎的な資料を持ち、自分の所得に対しては証明する義務があるという考え方をとっていると思います。英米法においてはいずれもいわゆる挙証責任——日本の民訴でいう意味の挙証責任じゃありませんが、立証責任と申しますか、英米法でバードン・オブ・プルーフは納税者にあるという前提をとっているわけであります。したがって、税務署が決定すれば、納税者はみずからそれは間違いだということを立証するのがたてまえだということから、税務署は理由を示さずに相手方が理由を示す。でなければ、賦課課税をとっている国で脱税に対する罰則があるわけはないわけであります。もし税務署に課税の調査の義務がある、立証責任があるならば、税務署が決定しておきながら脱税ということはないわけですね。やはりそれは納税者が、申告制度じゃなくても正確な資料を整えて、正しい所得を計算し得る義務があるというところに前提があると思います。  そういうことから、各国とも第一次的な通知には理由を付していないのが通常でございます。私どもは、税務の実際をいうと、白色申告の更正決定も多いというようなことも一つにはあろうと思いますが、それはやはりそれだけの根拠のあることでもある。したがって、再調査の段階でこれを明らかにするというところで、これはある意味では大きな前進だと思っておるわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 何も外国のまねばかりする必要はないのであって、こっちはこっちで考えたらいいと思うのです。要するに、そうすると異議申し立て書をつくって異議申し立てをしますね。そういう場合のその理由はこういうことですか。その決定金額については私は納得できないんだという理由でいいんですか。そうすると、更正決定したほうは、申告者のほうが不明確な申告をしておった場合は、この点が不明だ、この点が不明だという一つ一つ指摘をして、だからここにこういう推計課税ができるんだということを示してやらなければ、それについての異議申し立て書に詳しい理由をつけてこい、こんな理由じゃだめだという却下の対象になるような——「却下する。」と書いてあるのですから、そういうことに見られない場合もあるわけなんですね。ですから、これはやはり自分が計算したほうが——あんたはそこが間違いだよということだけでは、だからこうするんだ、なぜ、ということになるわけですから、それまでに、こういうわけだからということを示してやるほうが、異議申し立てについても審査請求についても早期に問題の点が明らかになり、そして解決していく道になるのではないか。更正決定を先にきちっと、こういう理由によって金額はこうするんだ、こう示してやれば、当然その納税者もそれに気がついて、それに対する理由はこうです、資料が抜かっておりましたということで、異議申し立ての段階でも相当の書類ができるんじゃないかということも言えるわけなんですね。ですから、異議申し立てでそこで争っている期間、あるいは証拠書類が整っていないでごたごたしているうちに三カ月たっちゃった。それじゃ不服審査へ持っていく分というものは原処分庁の段階で審査請求に持っていくんだ。これは違う、却下するんだ。分け隔てすることにも、これまた疑義や問題が出てくると思うのですが、そういう点はどういうふうに処置するおつもりですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 異議申し立てにつきましては、現在も理由というのは、その決定内容に承服できない。自分の所得はこれだけないということを明らかにしておれば、異議申し立ての理由として扱っておるわけでございます。今度の制度では審査請求につきましては内容を明らかにいたしますから、それに対応して理由は書けますけれども、異議申し立ての段階では、それに対応する理由があれば十分であるということで扱っておるわけであります。それぞれ税務署がやりました行為に対する批判という意味でございますから、理由のないものについては、その金額が自分としては納得できないということでたてにとるというふうに現在も扱っておりますし、今後もそういうふうに考えるべきだと思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それじゃそういう簡単な理由でも異議申し立ては成立するということでありますから、よくわかりました。  しかし、私はここで一つ申し上げておきたいのは、あくまでも決定する側にやはり理由を示すべきであるということですよ。これは争いが起こってからお互いに書類を出し合ってやっていくなんということじゃなくて、ほんとうはこちらの納税者側も理由をはっきりすべきでしょう。あたりまえの話ですよ。それじゃ更正決定する側においての理由を明らかに言うべきでしょう。それはもう当然のたてまえなんです。お互いに見込みだけを立ててけんかしましょうよ、そういうことをやっているのではおかしいと思うのですよ。ですから、その点は意見として申し上げておきます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 速記を始めて。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それでは次に、先日も参考人の方には意見を付しながら申し上げたのですが、このたびの協議団の制度をこういう国税審判制度に変える、一歩前進であるという御意見もありました。確かに前進的な面も見られるところはあります。しかしながら、基本的に問題がどこにあるかということをまず明らかにしておきたいと私は思うのです。その点について、こういうふうに今度の改正になってきた、協議団制度を改めなければならない一つの基本的な問題は何項目かあると思いますから、明瞭にまずお答えいただきたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御承知のように、協議団はシャウプ勧告におきまして、不服申し立ての処理は処分庁以外の者が第三者的立場で行なうのがよろしい。しかし、民間団体のような第三者機関は、これは排斥すべきだということをいったわけでございます。そのときにコンフェリーということばを向こうは使ったわけです。これは向こうでいう協議官、この協議官は、先ほど御説明いたしましたように、相手と協議をするということで、調査者と別に上級の能力のある者がまた納税者と話し合って決定をするという趣旨であったわけでございます。つまり、人をかえるという趣旨であったのでございますが、そこを一つ新しい機構をつくるんだからということで第三者機関としての協議団というものを設けよう、これには民間からも採用して、税務職員ではあるけれども、民間の学識経験者を採用しようということで法案がつくられたわけでございます。その際には、ただ何と申しましても、その当時は審査の決定権は当該決定をなしたものにあるという前提をとっておりましたから、国税局の付属機関にして、決定権は与えない、裁決権は与えない。構成員は民間人も公務員として採用する。それから審理は合議制とする、いわゆる協議というものをそこに取り入れたわけです。相手と協議するんでなくて、お互いが協議するという構成をとりまして協議団ができたわけであります。  そのときの考え方としては、毎々申し上げますけれども、当時の審査機構としては日本で初めてそういう特別な機関を持ち込むということではかなり進歩的な制度だったと思うのでありますが、その後いろいろ協議団を運営してまいりますにつれまして、一つの問題としては、当初予想したよりも審査事案は事実事案が多い。したがって、調査というものを相当含まなければならないということになってまいりました。調査能力のある者を漸次入れかえてやっていくという体制ができてきたわけであります。  同時に、今度は主管部がこの調査内容等について関与する——関与するということはございませんが、批判をするという体制がどうしても生じてきたわけでございます。「国税局長は、協議団の議を経て決定する。」という最初の規定がございましたが、協議を経ればいいのであって、やはり主管部がおかしいと思えばその主管部の意見で協議の内容が変わってしまうということもあったわけであります。これでは同じ穴のムジナというのはまさにそのとおりではないかということから、国税通則法制定の際に、「議を経て」を「議決に基づき」と改めたわけであります。これによって主管部の関与という問題はかなり減小してまいりまして、協議団自身も仕事になれてまいりました。民間から採用した人も、調査というものにも十分たんのうな存在となってきてかなり成果をあげてきておると私は思います。  ただ基本的に、そこの裁決権がないというところにまだどうも問題が残るんじゃないか。昨日も春日委員から御指摘がございましたが、「基づき」というのは必ずしもそのとおりではないんだということにもなるわけでございます。さらに、国税局長が裁決権を持っているということから、国税局長もやはり国税庁長官の通達に行政上監督機構として縛られるということで、通達の範囲を逸脱できないという結果になるという点、二つがからみ合いになりまして、どうもこの点でまだすっきりしない点がある。民間の批判もそこに集中してきているということ、この二つの点でございます。いわゆる審査機構の中に新しい機構を取り入れるけれども、その機構は裁決機能を持ったものでなければならないということと、それから裁決権を包括的に法律上委任をする関係では、場合によっては通達と異なる決定をなし得るという権限を持つということにしようというのが、今回の改正の主要点であると思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 時間がありませんので、これから端的にお答えいただきたいと思います。たくさんあってきょうは全部済みそうにありませんし……。  まず、いまの協議団の制度にしても、あるいは国税不服審判所の制度にしても、どちらにしてもとにかく納税者の権利救済ということですね。ですから、そういう立場に立った場合は、原処分庁とそれから異議申し立てあるいは不服審査請求をした人というのは対等の立場においてやらなければならない。いわゆる第三の機関として独自性を持っていなければならない、これが一番の問題点であったと私も思うわけです。したがって、いま御説明にあったように、その主管部が相当協議団の中に入り込んで、その意見が相当ウエートを占めているという面は、確かに、私もいろいろ事実について調べてみましても、そういうことになっておりますね。しかし、それだから今度は国税庁長官のもとに——図表もいただいておりますが、そういう形にしていけば、それでは裁決権は確かにあるけれども、きのうも指摘がありましたように、一つのワクをはめてあるわけですね。最終の裁決権というものはあるけれども、先例となるような問題とかあるいは法令の解釈云々の問題については、どうしても国税庁長官の指示を受けなければならぬ、こういうことになっておりますね。じゃ、そういう解釈は始終受けなくても、裁決しようという段階で一応指示を受けるという形になっているけれども、もしも指示を受けなくて裁決をしてもいいものか悪いものか。指示を受けて、それが、裁決はどうしてもだめだということになってあるいは訴訟になるかもしれません。そういうことになる場合もあり得るかと思いますが、いまの解釈によれば、あるいはまたこの問の参考人の意見の中にも、国税庁長官の権限というものは、事実認定の事案が多いからそこまで及ばないであろうという意見もあったわけです。その点は明確にしておかぬと、やはり格が上がったか下がったかの違いであって、何ら主管部——税務行政の最高の監督の立場にあるのが国税庁ですから、その責任者の付属機関的な形に審判所もなるということになりかねないと思うのですが……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 これを付属機関といたしましたということは、内部部局ということではなくて、裁決権を独立的に対外的な意思表示ができるということにするというところに眼目があったわけでありますから、自分の裁決権の範囲内においてはこれは全く専決し得る。この間、金子参考人が申しましたように、事実認定はすべて独自の立場で裁決するという権限がある。さらに解釈権につきましても、その解釈権を、これが通達と異なるものであるということを解釈して、そして申し出をする権限というものは実は国税不服審判所長にある。国税不服審判所長のイニシアチブによって長官がそれを審査会にかけるという結果になるのである。そういう意味では、裁決権に関する限り国税不服審判所は完全に独立しておると言うことができるということになるわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それはここに明文がありますからわかるけれども、その九十九条の二項においては、やはり国税庁長官の指示を受けなければならぬとなっておるわけです。しかし、事実認定事案と通達と異なった解釈をする場合、先ほどおっしゃっていたように、これは一つの事案を分けて考えられない、両方含めたものなんだ、これは分析がむずかしいものだということになれば——確かに私もそうだと思うんですね。その中に、事実認定の中で通達と違うような解釈をしなければならないという事案が出てくる。そして先ほどの統計にありましたように、訴訟事件が多くなってきておる点から見てもその点は明らかだと思うんですね。だから、ここで裁決しようという場合は国税庁長官の指示を受ける、審査会に諮問してやるわけですけれども、一応審判所としては当たるところは長官の考え方になるわけですから、その指示を受けて裁決するという場合は異なった裁決をさせられるものなのか、あるいは当然審判所で裁決しようとした、それが基準になってそのとおりいくものか、その点をもう一ぺん明確にしておかなければならないと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 法律にございますように、申し出をしてもそれが審査請求人の利益になる決定であり、しかも国税庁長官がそれを認容することが適当であると認めるものは、これは国税庁長官は何らの指示もいたしませんから、当然その内容に従って裁決がされる。そこで国税庁長官が指示をする場合というのは、国税庁長官がその内容を不適当と認めた場合に限られるわけでございます。その場合には不服審査会にかけるわけでございます。審査会は完全な第三者機構でございますが、これが意見を出せば国税庁長官はそれを尊重する。この「尊重して」という意味は「基づく」よりも強いと、きのう申し上げました。法令的には確かにそこに何らかの判断の余地があるようにしておりますが、考え方はそれをそのまま実行するという考え方でございますから、審査会のきめた線に沿って指示が行なわれる。そこに関する限りは、その指示によって裁決権が拘束されることは、これは法令上当然のことだと思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 確かに、審査請求人の利益になる場合といった場合はそれは裁決のとおりだ、別に審査会にかける必要はない、これはよくわかるのです。しかし、利益になる場合だったら別に問題は起こってこないいわけなんです。ただ法だけの解釈で争わなければならないといった場合だけに限る。ところが、そうじゃない証拠に訴訟ということになるわけです。ですから、訴訟まで持っていかなければならない段階に来た場合は、請求人の利益というものがくっついているものだと思うのです。その点が問題になってくるわけですね。その点をもう少し明確にしていただきたいということと、時間がありませんので重ねてほかの件も聞きます。  第三者の機関として独立した機能を持たすべきである、こういうことなんですが、そうなりますとこの審査会においても、これはメンバーについては学識経験者云々とありますね。ですから、これが非常に民主的な、どちら側の意見も、公平妥当な意見を採用するということで審査会のメンバーはこうなっています。しかしながら、この学識経験者というのはやはり法令的なものが主体になってくると思うのです。通達であるとかそういうものが主体になってくると思うのです。先ほど言ったように、審査請求人の利益というものと両方がくっついているわけですから、そういう場合はやはり単なる法令的な学識経験者というんじゃなくて、事業の上においての問題点が出てくるわけですから、そういったメンバーも含めるのかどうか。たとえば米価審議会においても生産者の代表、消費者の代表、あらゆる意見がそこで交換されてそこで終結が行なわれておる。お互いに利益を主張し合ったとしても、やはり帰着するところは、十分論議を重ねていけばその時点においてはこうしなければならないという結論が出てくる。あるいは少数意見かもしれませんが、結論は出てくる、こう思うわけですね。その点どうでしょう。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 前の点から申し上げますと、法律でいっておりますのは、「国税不服審判所長の意見が審査請求人の主張を認容するものであり、かつ、国税庁長官が当該意見を相当と認める場合を除き、」とありますから、法令的に申しますと、審査会にかかる事案というものは、逆に、納税者の意見を認容しない、この通達でいいのだということにはなりませんが、これは通達とは変わっておってもこいつはやはりいかぬのだというのが一つだと思います。それから納税者の意見を採用するものであるけれども、その採用するのが通達に反しておる。しかし、その反しておることはいいんだという意見に対して、国税庁長官がこれは通達どおりであるべきだと考えた場合、この二つの場合になると思います。納税者の意見をしりぞける意見が出てきたという場合に、国税庁長官がそれは反対だと言うかどうか、その辺は問題があるかと思いますが、通達に違反するという点についてはおそらく審査会にかけると思います。その場合に審査会が客観的な意見を出せばそれに従っていく。  そういう意味では、学識経験者というのは大事になるということにつながってくると思いますが、私どもは、この学識経験者というのはもちろん法令の専門家である方も必要である。それから所得税法、法人税法の対象になるようないわゆる所得というもの、営業利益とかそういうものに関する専門家、会計の専門家でもありましょうし、事業の専門家でもある人、しかも高い学識経験を持った人も当然集める。単に法律の専門家だけとは私どもも考えていないわけでございます。やはり所得内容について的確な判断を下し得る人、しかも法令審査にたえ得る人ということが条件であろうかと思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それではもう一点、時間がございませんのでお伺いしますが、審判所の性格ですね。これはある程度人員的なものできまってくると思うのです。やはりいかなる機構、法があっても、人によってその法は運用されるものですから、第三者機関としての一つの独立性を持ったものにしていこうということになれば、やはり協議団が発足したときのように、当時は五〇%、五〇%、そういう協議官の内容というものにはなっておった、そういうことですが、その後最近においては、いろいろお話を伺っておりますと、これは民間から採用された協議官はほとんどかわられたかあるいはおやめになった方もいらっしゃるようですね。ほとんどがこちらの異動でそちらに行っているということが一つ問題があると思うのです。確かに裁決権は所長にあるとかあるいは機構的にはりっぱな形にできたとしても、やはり大蔵省あるいは庁のほうから、あるいは署のほうからという、いわゆる行政機関のほうから全部そこに行くのだということは、やはりこの性格が主管部の意見というか、そういうふうな意見のほうにおちいりやすいのじゃないか。やはりこれは半半にしていくというような問題にしていってはどうであろうか。二十五年に一ぺん採用試験をやったきりその後やっておらないわけですから、だんだんそういう性格に変わってきたからこそ、この協議団のもともとの性格も変わってきたのではないか、こういう懸念を持つのですが、どうでしょうか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 確かに協議団をつくりましたときには、協議団専門の人を採ろう——当時法律判断が一番多いと思っていたものでありますから、主として大学を出た人、法学部を出たような人を試験して採用したのでございますが、相当な人数も採りました。当時は税務職員が戦後急激に膨張した時期で、職員自体も足りなかったことも事実で、一般の職員も、戦後税務職員が三倍くらいになりましたが、ほとんどが一般から募集をした人であったわけなんです。その一環という面もございましたが、やはり特殊な業務であるというので法律的な専門家を採った。しかし、先ほど申し上げましたように、実際やってみると九五%が事実問題であるということから、交流を通じて——そういう人たちが税務調査というものに相当通暁するように努力したことも事実でございます。それで入れかわりがあった。しかし、現在も相当最初から採用した人がりっぱな協議官として残っていることも実情でございます。  そういう点から考えますと、今後も民間の人を採るという考え方は当然生かしていかなくちゃいかぬと思いますけれども、同時に、それだけの前の経験等を生かして的確に考えていくべきだろう。ことに交流問題は、先日長官から申し上げましたように、審判官、副審判官の職階というのは、他の同じ税務職員よりもかなり高くなっております。そういう意味では可逆的な異動というのはなかなかできない。一たんこっちに来ますと、やはり地位がいいし、仕事の内容も非常に高くなってまいりますから、そこに専念するという傾向はことに審判官の場合強くなる。そういう意味で従来のように協議団の、こう言ってはまたしかられますけれども、協議団よりも主管部に行きたいというような空気が若干あるというようなことは今後なくなるのじゃないか、かように思っているわけでございます。これは長官にむしろお答えいただいたほうがいいと思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それじゃもうこれで最後にいたします。まだたくさん残っておりますが、重要な問題ですので、これは突っ込んでやりたいと思っていたのですが、ただ大ざっぱなことを聞くことになります。  要するに、いま言う民間に道を開いて、審議が協議という合議体の制度をとっていく上においては、やはりそういった民間からも入れていくことが、第三者機関としての性格をより明確にするものであるという考え方を持っているのです。その点はいままで道は開かれていると言うけれども、二十五年以後全然やっていないわけですから、その点はもう少し明確にお答えいただきたいということと、それから、現在の協議官は審判官ということになって組織が改まるわけですね。ところが、いまの協議官も相当おりますけれども、相当事案が繰り越し繰り越しで残っていくし、一年数カ月もかかって残っている事案もあるし、残る事案のほうがふえているような傾向にあるのです。それをいま形はすっきりしたものになるけれども、実際にそういう審査が停とんしていくことになりはしないか。むしろ現在まで相当現地にも行き、あるいは協議にも加わった人たちが、やはりそこに現実に残ってやっていく制度にしたらどうか。審判官だけしか審理にはいれない、特定の副審判官だけしか合議体の中で合議にはいれない、ここにも一つの大きな問題があると思うのです。その点についてお答えをいただいて、後日残った問題については何らかの機会にまた個別的にも明らかにして、是正すべきものは是正していただきたい、こう思うのです。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 いかなる制度ができましても、人の問題なんです。諸先生からも今回の法案につきましていろいろと御質問がございましたし、また、その点は十分こちらも考えていくわけでございますが、人の問題というのは非常な問題だと思います。だからこそ、今回におきましても大蔵大臣に相談をして、そしてきめるというように、一つ大蔵大臣がかんでおるわけでございます。そういうようなことでございますので、御趣旨をよく体しまして、真にこの制度が生きるように、しかも最初のすべり出しでございますので、この人事の関係につきましては十分配慮してやっていきたい、こう思っております。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後一時五十九分開議

田中正巳自由民主党

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹本孫一君。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 最初に、私はまずまとめて三つ一緒に伺います。  一つは、本年度における租税負担は国税、地方税合わせてどれくらいになるかというところが一つ。  それから二番目は、これに関連をいたしますが、最近における民商の動きはどういうことになっておるか。御承知のように、動きの激しいところもあるし、そうでないところもあるでしょうが、全国的に見てどういうことであるか。特にまた、最近問題として取り上げなければならぬような問題があるのかどうかということが次。  さらに、これと関連をいたしまして、大臣がいませんから政務次官にひとつ伺いたいことですけれども、それは租税白書というようなものを出してみたらどうかということです。御承知のように、租税につきましては、公平の原則に反する反しないといったようなことから始まりまして、非常に問題が多いわけであります。ところが、私も十分調査しておりませんけれども、大蔵省関係についてはまだ、国民大衆に対して行政のあり方を親切に解説する白書は一冊もないというようなことではないかと思うのでございます。租税不服審判所の問題を積極的に取り上げられた前向きの姿勢から判断するならば、問題が起こってどう審判するかということも大事でございますけれども、その前に、国民の納税意識を高めるとか、あるいは現在の租税制度のあり方を十分周知徹底せしめるとか、そういうことの努力が特に必要ではないかと思うのです。そういう意味で、本委員会また予算委員会、本会議等において論ぜられておる問題が租税に関してはいろいろありますが、その問題意識の上に立ってひとつ国民に親切な租税白書、それは納税の面、徴税の面、いろいろな角度から見た白書を出すということを真剣にお考えになってみたらどうかと思います。そういう意味で、この三点について最初にお伺いをいたしたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 国税、地方税を通ずる租税負担率は、現在の予算で計算をいたしますと、一九・七%ということになるわけであります。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 額はどうですか、国税、地方税。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 額は九兆三十六億ということでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 一人当たりの負担額はどのくらいですか。国税が六万、地方税が二万何ぼということですが……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 国税は五万九千九百九十七円、約六万でございます。地方税が二万七千八百四十三円ということでございます。合計で八万七千八百四十円で、それに対応いたします一人当たり国民所得は四十四万六千八百二十九円ということになっております。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 最近の民商の動きでございますが、民商側のいうところによりますと、昨年三月末で十一万ぐらいの会員が四十四年三月は十二万くらいに伸びたといっております。われわれも、総じて若干伸びぎみであろうかと思っております。  最近各地での動きはまあ非常にニュアンスの差がございまして、若干柔軟になってきたところがございますが、逆に東北、北海道、四国——四国でも特に松山あたりではたいへん激しい動きになっておるところもございます。先生御存じのように、いろんなケースがございまして、調査に参りました際に、多数会員が取り囲んで調査を妨害する、また、いろいろ質問をしても返事をしない、いろんな形でたいへん妨害を受ける事例がございまして、率直に申して税務執行上たいへん困ることが多いわけでございます。しかし、私たちの立場といたしましては、やはり課税の問題というものは、そういう集団的なといいますか圧力があるからそこに手を加えないということではなしに、やはり公平に処理していく。そのためにいろんな抵抗が、率直にいってあるのでございますが、いろんな困難を克服して対処していきたい。また、こういう動きがあんまりひどく広がらないように、私どもとしては、十分やるべきことはやるというきぜんたる態度で対処していきたい、かように考えております。  それから、政務次官がまたまとめておっしゃるかと思いますが、PRの問題は、確かに先生のおっしゃるように非常に大切なことでございまして、昨年末以来サラリーマン・ユニオン、サラリーマン同盟あるいは「税金酷書」というような問題、それに関連しましていろいろ税制面ばかりでございません、やはり執行面についてのいろいろな批判が数多く出ておることは御承知のとおりでございます。ただ遺憾ながら、先生も御指摘になりましたように、九・六・四論議あるいは十・五・三というような標語によって代表されますように、場合によれば収入金額と所得がごっちゃになった議論をされるとか、非常に基本的な点においての理解が不十分だという点が率直にいってございます。たまたまああいう「酷書」が出され何が出されて、それにすぐ対応して白書を出すという感じはいかがかということで、さしあたりはそういう形ではなしに、極力テレビ、ラジオあるいは新聞、いろいろな情報機関を通じて積極的にPRしていく。また同時に、「税金とそのゆくえ」というパンフレットを従来出しておりますけれども、少し税金の使い道の問題、それからもちろん税の仕組みの問題はそうでございますが、たとえば一例申しますと、何に何兆円というような若干空な話が——空ではございませんが、もう少し身近な説明も必要ではないか。だから、たとえば小学校に一人お子さんが行けばたしか六万七千円でしたか、それから中学校に行けば八万円近く、高等学校に行けば九万円という、数字はいま手元にないのであれでございますが、大体そういう数字でございます。ですから、いろいろな議論があるときに、税は一方で取られるだけだという議論があるのですが、片やそういう相対のギブ・アンド・テークのかっこうではなく、もっと目に見えない、みんなが意識しない形でいろいろ国からサービスを受けておるわけでございますから、それをもう少し具体的に認識してもらう努力も足りないのではないかということで、そういう点をもう少しかみ砕いて、そういう「税金とそのゆくえ」の中に書くとか、ただそれのパンフレットの配付先なり何なりという点については、もっとくふうをこらすべきではなかろうか。先生おっしゃいました税金白書というような問題も、当然今後の課題として考えていかなければならない問題ではなかろうか。  いずれにしろ、やはり先生おっしゃいましたように、なかなか税金というものはわかりにくい問題でございますので、それをいかにわかりやすく正しく国民の方々に理解してもらうかということで一そういろいろくふうをこらし、努力をしていかなければならない、かように考えております。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 竹本先生から、この際大蔵省としても税金白書というようなものでも出して、いろいろな税金に関して問題点もたくさん提起されておるし、大きな変わり目にもなっておるし、非常に世論の関心も厚くなっておるから、ひとつ全体につきまする大蔵省の認識なり見通しなりいろいろな判断なりというものを、税金白書というような形式で訴えてはどうかというような御意見かと思います。私は、きわめて適切な御意見であろうというような感じを持つわけでございます。ただ、これを出すまでには、先ほど長官が申し上げましたように、いろいろと内部におきましてもこれに対する準備、また、いろいろな段階というようなものもあるかと思いますけれども、私は前向きに検討いたしていく必要があろう、こういうふうに思っておるわけでありますので、いろいろと内部関係ともよく相談をしながら、前向きに検討いたしていきたい、こう思っております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 政務次官から前向きの御答弁をいただいたわけでありますけれども、さらに念を入れて要望をしておきたいのでございます。  この問題は、議会政治というものが大体租税制度から起こっている。説明するまでもございません。代表がなければ租税なしというところから始まっているわけですから、一番大事な租税の問題について、白書の白書が要るといわれるくらい政府が白書を出しているときに、一番大事な税金の問題について基本的な理解を深めるための白書はまだ考えてもいない、まあこれから考えようということのようでございますけれども、これはあまりにもなまぬるい考え方ではないか。ぜひひとつこれはもう少し積極的に、今年度からやるならやるというぐらいのところで目標を置いてやってもらいたい。  それから、いま政務次官の御答弁では、内部的な調整あるいは準備に非常に骨が折れるように受け取れる御説明でございましたけれども、私は、そんなにむずかしく考える必要はないと思うのです。大蔵委員会においても、それぞれ専門的な論議が深められ、戦わされておるわけでございますから、大体問題点というものはもうきまりきっておる。それらの問題にどういう答えをするかということは、あるいはそれぞれの政党により、あるいは事務当局により、あるいは政府側の考え方によって、違う点があるかもしれませんけれども、少なくとも問題点は大体はっきりしておる。その問題点について、政府はこう考えるが野党はこういう意見があるというような意味で、それぞれ問題を整理して、国民の前に税金に対する理解を深めるための白書を出したらいかがですかと、こう聞いているのですから、特別新しい博士論文を書くわけでも何でもないのだから、いま大蔵委員会等で論議されているその問題点を、もう少し国民の立場に立って整理して出していただいたらどうか、こういうことでございますから、そう準備その他にむずかしい問題はないのではないか、やろうと思えばことしから出せるではないかということを思いますので、重ねてその点を伺いたい。  なお、政府の白書で一つわれわれが遺憾に思います点は、いわゆる問題意識、これは政府の立場だけでなくて、野党はこういう点を問題にしておるが、こういうふうにわれわれは考えるのだという、その問題点を浮き彫りにしたようなものを出してもらう。ただ事務的に、読んでいると眠たくなるような文章を長く書かれても、これは意味がないと思うのです。ことに、税金の問題というのは非常にむずかしい問題でございますから、はっきり問題点を整理したものを出してもらえば、これはまたある意味においては興味しんしんでみんなが読むのじゃないか、こう思うわけであります。すなわち、問題意識をはっきり持った、そういう白書にしてもらいたい。時期の問題と内容の問題について特に私は注文をつけて、重ねて御答弁を伺いたいと思うのです。  なお、先ほど、「税金とそのゆくえ」といったパンフレットの文章の問題とか、配布先の問題とか、問題になりましたけれども、これもついでにもう一つ申し上げるわけでございますが、そういう努力が足りない、足りないからいろいろ問題が起こるのだということを私は言いたいのです。たとえば大蔵省の所管の中でも、専売局がたばこの宣伝のためには一体どれくらい努力しているか。きょうはこまかいことは言いませんけれども、その専売局がたばこの売り上げを上げるためにやっている努力の半分は国民に税の正しい理解を持ってもらうためにやられることが必要ではないかと思いますが、これもあわせて伺いたい。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 PRなり発表のしかた、問題点を意識しながらという点が、実は先生おっしゃるようにポイントでございまして、私は、やはり二つの方法でいくよりしようがない。実は、私もこの間、自分のことを申して恐縮ですが、たとえば日経に、私の意見というような形で、ある程度私の私見をまじえながら言う場合には、若干問題点を浮き彫りにし、勇敢にものが言える。しかし、これが一つの形になりますと、今度は大蔵省の内部でやはり減税論だ、増税論だということになって、だんだん浮き彫りする感じが薄れてくるということで、きまった、あまり形式的なことにすると、先生のおっしゃるおもしろみの話と違って、非常に平凡な形になってくる。そこが、残念ながら、相反する面があろうかと思います。  しかし、いずれにしろ、税の問題というものを、私たちの気持ちといたしましては、相当広報予算によって「税金とそのゆくえ」その他のパンフレットをつくりまして、相当広い範囲でお配りし、また、特にわれわれが最近力を入れておりますのは、一般の宣伝もともかくとして、やはり教育といいますか、子供のころから——昔は租税の義務、兵役の義務、こういうふうなことで、たいへんそういう点が強調されたのですが、いまのカリキュラムの中に納税の義務ということが残念ながらあまり強調されておらないという問題点を指摘いたしまして、実は中学校の教科書のカリキュラムの中に租税の義務をはっきり入れてもらう。また、それの一つの教材といいますか、教科課程の中にはっきり取り入れてもらうということが最近やっとできたような状況でございます。  そういった段階からいろいろ教科書の作成、それからまた、今度はそれを踏まえて、私たちは近ごろ、夏に学校の先生とかそういう方々に集まっていただきまして、租税の問題、税金の問題というものをいろいろ御理解願うような計画を立ててやっておるということで、私は、先生のおっしゃる税金白書の問題当然ひとつ前向きの検討をしていきたいと思います。逆に言いますと、税金白書をつくったからそれで万事終われりというものではない。同時にやはり、先生まさにおっしゃった問題意識をある程度持ったものの言い方は、若干個人の見解という感じで言わないと言えない。そういう意味で、私もいろいろな機会にそういう発言をあえてやることはございます。そういう形、それからまた、いま言った租税教育とかそういった問題、あらゆる観点をとらえてPRをしていくということが必要ではないかと考えておりますし、また、そういう方向で努力していきたい、かように考えております。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 いま竹本先生から、出すとすればいつだ、時期的な問題そういうふうないろいろなお話がございましたが、私は先ほど申し上げましたように、先生のお考えは私も同感でございます。いまいつというふうに確約的にこの際御返事をするという段階でもございませんが、ごもっともな御意見だと思いますので、前向きに至急検討していきたい、こう思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 先ほどお話が出ましたサラリーマン・ユニオンだとか、同盟だとか、いろいろ動いておる。御承知のように、ここで問題になっておるのはほとんど税金の問題だ。ほかにもありますけれども、主力は税金の問題だ。あそこでいろいろ言われていること、新聞で読めば十・五・三だ、九・六・四だというようなところから始まって、なるほどもっともなことを言っている。一体政府はどんなことをしているのか、あるいは大蔵委員会は何を考えているんだというのが、国民の率直な感情じゃないかと思うのです。そういうことにこたえる意味においても、やっぱり国民の理解を深めるような租税白書というものを早急に出されることが、徴税当局の立場からいってもきわめて必要なことじゃないか。われわれは、われわれとしてまた別の角度から、現在の租税が公平な原則をどこまで貫いておるか、またいろいろの立場で、いろいろな角度から論議を深めていくいいきっかけができるじゃないかということでございますので、ひとつ御検討を前向きに願いたいということであります。  第二の問題は、全く問題は変わりますけれども、この国税通則法の一部改正の施行期日の問題はどうなるかということであります。なお、それとあわせて、今度の不服審判所がいよいよできるということになれば、いろいろな準備過程がたいへんむずかしい、あるいは大事な問題になるだろう。午前中にもいろいろ議論が出ましたけれども、その審判所をつくっていくについての準備はどういう形、どういう段取りで、どのくらいの期間の中で進められる予定であるかということも、ひとつあわせて伺いたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この法律案の施行期日は、予定は昭和四十四年四月一日からということにいたしておりますが、国税不服審判所に関する分につきましては、昭和四十五年一月一日から、これは御指摘のように準備その他の点がございますので、一月一日からにいたしているわけでございます。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 これは法案の成立を待たずして、どういう段取りで進めるかということを申し上げることは、ちょっといまの段階ではいかがかと思いますので、具体的な御説明はちょっと困難かと思いますが、この法案がこの会期中に成立することを強く望み、期待しておるわけでございます。それが成立いたしました場合に、実は一月一日というのは、極力早目にして、ぎりぎり、相当無理があっても一月一日ということで、本来は異動時期でもございませんので——実はそれの実現のためには、いろいろたいへんなことが多いのでございます。同時に、他方民間といいますか、部外からもたぶん選考によらざるを得ない、選考方式によるわけでございますが、どのくらい来ていただくかということのめどもまだついておりませんし、なかなか双方からみ合わせてむずかしい問題でございます。大体現在の協議団におられる方で適任の方もおられますし、また、それをそっくりそのまま移すというわけのものでもございませんので、民間からも採るし、また、部内職員の練達、適任者を相当活用するということも実際問題として考えなければならぬかと思いますので、そういうめどをつけつつ、いろいろ準備をしていかなければならないということで、準備がたいへんなことでございます。  いずれにしろ、やはり法案が通りますと、準備委員といいますか、これを設立して中心になって進めていく、また、できたらその中に入ってもらう人を何人か準備委員ということで母体になっていただいて、具体的に推進していく。それで私たちも側面からそれを助けるということで、その具体化に努力していかなければいけないだろう、かように考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 この点は、あとでまた少し詳しくお伺いをすることにいたしまして、少し本論のほうで一つ二つ触れたいと思いますが、もうすでにたびたび議論になりましたので、ここで意見を戦わせるというよりも、最終的にはっきり伺っておきたい点だけ聞きたいと思います。  たとえば、第九十九条において、国税庁長官が指示権を持っているという問題であります。この問題は、国税不服審判所の裁決権の独立性を確保するという意味からいえば、非常に遺憾であるということについては、すでにしばしば、しかも力強く御指摘があったわけであります。でありますから、議論をするというよりも、私の意見を申し述べて、結論だけ聞きたいのですけれども、この不服審判所の所長には、どの程度の人を任命される考えであるか、キャリアはどのくらいのものだということをひとつ伺いたい。  それから、相当りっぱなキャリアを持った方を審判所の所長にして、そしてこの制度の根本の趣旨が、たびたび強調せられておるように、第三者機関によって権利救済をやろう、ことばは悪いかもしれませんけれども、国税庁の独善ではなくて、国民に窓を開いてその声を聞こうという、出発点がそういうことになっておるのですから、そうしておいて、審判所長にその人を得るということは、期待する以上を今度は、その審判所長に大いに権限を与えるというか、大いに信頼をするという形でなければ制度が死んでしまう。これは、まじめな官僚である主税局長や国税庁長官のお人柄から見て非常に心配されるところです。指示権なんという制度を考えられたということは、一応事務的に見れば、きわめてごもっともな意見だと思います。しかし、政治的に見れば、これは国税庁の過剰防衛だ、行き過ぎである。そういうことをやれば、せっかく窓を開いたのに、また窓を締めるのと同じですから、ほとんど意味をなさない。  でありますから、私の結論は、不服審判所長に信頼ができるだけのキャリアを持った人物を選ぶという方針がはっきりしているならば——昔から文官任用令というものは、そういう意味だそうですね。用いてまかせるのだというのだそうですね。用いてまかせなければ任用にならない。だから、あなた方の今度の制度は、一体用いてまかせないのか、用いてまかせるのか、用いてまかせるだけの人物を選ぶということであれば、こんな無用の心配はおかしい。これは事務当局の良心的な考え方としては一応理解できる。しかし、それはあくまでも事務的な考え方であって、政治的な問題を考えてみるならば、こういう制度をつくって、窓を国民に開こうといっておきながら、その窓をまた別の角度から締めてしまうということは、一体何をやっているのかよくわからない。そういう意味で、ほんとうは九十九条は、政治的センスから見るならば削除すべき問題であると思いますが、これもひとつお考えを聞きたいということであります。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘の点、さような御意見も一応はあるわけでございますが、ただ問題は、その考え方自体は、御承知のように税制調査会の答申でございまして、私どもがかってにつくったわけではないのでございます。(竹本委員「大蔵省の責任において出しているでしょう」と呼ぶ)しかして国税庁の中に付属機関として審判所を設けることにつきましては、再三申し上げておりますように、今回の考え方が準司法機関的な第三者機関というところをねらったわけではなくて、あくまでも行政不服制度の範囲内において最も進んだ制度を考えるというところにあったようであります。毎々申し上げますが、わが国の行政不服審査制度におきましては、抗告争訟については、常にその行政権限を有する最高の人間のところでとどめてあるというのが原則でございます。そのほかにその行政行為そのものを批判する第三者を置くということは、これは全く準司法機関としての法律判断をする結果になりますので、そのところで準司法機関まで踏み切るか踏み切らないか、そこが税制調査会でも一番議論になったところであります。  しかし、現在の司法組織から申しますと、準司法機関をつくったといたしましても、いまの三審制を排除することはとても困難である。したがって、重複的な制度をつくるよりも、やはり行政不服段階で処理すべきではないか。さようなことに相なりますと、やはり国税庁のいまの課税権というものは、国税庁長官に法律上の委任を受けておりますので、国税庁長官は、行政行為並びにその補正をする任務に当たっているわけでございます。そういう意味では、国税庁長官が形式上の責任者であるという点から、国税庁の意思が二つに分裂するのを避けるために、そこの調整をはかる必要があるのではないか。しかし、御指摘のように、せっかく第三者に門を開いたということになれば、それに対して国税庁に有力な諮問機関を設けて、その裁定に従って国税庁長官がみずから決するという最終的なジャンクションをつくっておくことが、制度としての正当性を保つゆえんではないかということで、御指摘のとおり、「その意見を尊重して」と書いてございますのは、いわばそのままでということなのでありますが、形式上は国税庁長官の行政通達と、それによる裁決、それが裁決に適しないときには、行政判断でみずからこれを修正する、反省機能を持ったものとすることが適当ではないか。行政不服審査というものは、国民の権利救済という面と、同時に、やはり行政の自主的な反省作用、両者をあわせ持つものであるという面をここに調整してあらわしたという趣旨でございます。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 制度的には、ただいま主税局長が説明されたとおりでございます。  ただ、私はむしろ、先ほど先生おっしゃいましたように、特にこの審判所長に具体的にどういう人を持ってくるか、それからまた、事実その持ってこられ、いろいろ問題が起きたときに、具体的な姿をもってその尊重の事実を国民の前に示すということがやはり一番意味があることではないか。そこで、ともかく行政庁の中の一つの不服の処理機関という制約の中で、実は最大限の措置をしたわけでございますが、やはりそれが有終の美をなすためにも、私は、特に所長、主たる審判官の人選ということが非常に大切なことだと思います。政令にもありますように、いま、だれをという段階ではございませんが、大学教授あるいは判事、検事、そういう方々をも含め、広い範囲で、ほんとうに国民の納得のいく人に所長になっていただきたいし、また、そのもとでの実際の運用というものが、こういう体制ではありますけれども、やはりほんとうに第三者的な機関としてこれが動くという実を示すことこそが、これの法案が通ったあとの大切なことだとかたく考えておる次第でございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 実は私は、この不服審判所の構想というものは、行政事務当局がお考えになったものとしては非常な努力であったと高く評価しているのです。高く評価して敬意も払っておるわけですけれども、その立場からしても、むしろおかしいということを言っているんだ。したがって、そういう意味からいうと、お二人の答弁は何だか私の聞いていることと問題がそれていると思うのです。  準司法機関がいいか悪いかという問題はあとでまたやるとして、私が伺ったことは、簡単にいえば、一つは、いかなる程度のキャリアの人を持ってくるつもりでありますかということが一つ。そのキャリアが相当豊かな経験を持たれた尊敬すべき紳士が来るということになれば、あとは、文官任用令の話をしたように、用いたらまかせるべきだ。ただ、まかせるということがこの制度をつくった根本の趣旨ではありませんが、それは政務次官から伺いたいのだけれども、そうなると、事務当局からいえば、過剰防衛になるような御心配をされることも、むしろ良心的なあり方として敬意を払ってもいいが、政治家的にいうならば、せっかく開いた窓をうしろからまた締めてしまうような行き方は、過剰防衛になり、むしろ制度を殺してしまうので、九十九条というものは要らぬのではないか。特にいま主税局長もお話しになったように、大体審査会の意見は尊重しますということなら、なおさらのことだ。もうそういう変なものを書いて、せっかくつくったものにみずから墨を塗ってしまうようなかっこうの悪いものにしなくても、むしろ用いて、まかせるというすっきりした態度でこの制度を出発させたほうが、より多く納税の民主化の効果をおさめることになりはしないかという政治的な判断を伺っているのです。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 先生おっしゃるように思います。ただ、私は、実際上の運営につきましては、いま先生がおっしゃるようなことであり、また、長官も言われたようなことでありますが、しかし、現実にこの裁決の最終の責任でしょうか、行政庁としての、これは長官が負うんだ、   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 こういうような線で、結局「尊重」となり「指示」ということばが入ってきたのだろうと思います。けれどもが、現実の要請では、第三者機関として、そうしてりっぱな人間を置くなら、何もそこに指示だとか尊重そんなことはあとからまた窓をふさぐようなことではないか。ごもっともでございますが、責任の最終者はだれだというような意味におきましてこういうことばが入ってきたのであろう、また、税調などもこの点を指摘しておる、こういうふうに思うわけでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 まあこれは政治的判断を要する問題ですから、政治的レベルで解決しなければならぬ問題で、政務次官にお伺いしたのです。ほんとうは私としてはもう少し議論を深めてまいりたい問題でございますけれども、時間もありませんからこのくらいでやめますが、せっかく制度をつくるならば、最後に妙な墨をつけて、制度の新しい前進的な意義をみずから没却するようなことは、きわめてまずい手ではないかと思いまして、はなはだ遺憾に思うということだけ申し上げておきたい。  それから、先ほど主税局長が言っておられました問題に関連いたしますが、御承知のように、私ども民社党といたしましては、不服審判所というものは内閣総理大臣に直属する行政委員会的なものにしたい、あるいはさらに公正取引委員会みたいなものにしたいという考えも持っておりますし、それも準司法機関としての取り扱いをして、三審制度のうちの第一審は省略すべきであるという意見を持っておるのです。きょうはそれを議論を深くいたしませんけれども、そういう意見を持っておりますから、主税局長はこれに反論を加えて議論を展開しておられるわけでございますけれども、結論的に私は、内閣総理大臣のところに置いても、あるいは大蔵大臣のところに置いても、あるいは国税庁長官のところに置いても、それは確かにそれぞれ利害得失があると思います。思いますから、きょうは議論はいたしませんが、さらに、それは何か考えられないものであるかのごとき口吻を主税局長がときどき漏らされるので、一体行政事件訴訟法の機関相互間の紛争についての第六条というものは何のためにあるかということについては、主税局長はどういうお考えであるか、そこだけ伺いたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 私は、準司法機関的なものが不可能であると申し上げているのではないのでございまして、わが国の実定法秩序では、行政行為に対する抗告争訟的なものは準司法機関的なもので処断するということがありません。行政委員会で準司法機関があることは当然でございますけれども、その準司法機関というものは、私人間の権利関係を確定するとか、いわば始審的な行政行為を司法的な手続で進めるという、行政の分野に属する事項を司法的な手続によって慎重にやるという、行政、司法混淆の組織としてアメリカから継受したものだと思うのでございます。したがって、一つの行政権限を有する行政機関がやった行政行為を、他の行政機関が批判をするという意味の純粋の、これこそ準司法機関だと思いますが、その制度はまだわが実定法にはない。そういう意味では、いまの実定法体系ではちょっと乗りにくいということを申し上げたわけであります。  第六条の機関訴訟というのは、たとえば地方団体間の直接の争訟、権限争訟とかあるいは地域裁定の争訟とかというようなことを前提としておると思いますが、一つの行政機関を他の行政機関が批判して、それに対して、批判された行政機関がまた争訟を起こすということになりますと、これは準司法機関の意味もなくなると思うのでございます。もし準司法機関にすれば、もうその批判を受けた行政機関はその裁定に服するという前提でなければならない。したがいまして、総理府に置いて、それに対して批判を受ける側の行政機関が不服申し立てを裁判所に申し立てるというようなことになりますと、これは本来行政の統一をはかる内閣の統制力自体にも関する問題であります。ですから、先生の御指摘のような、全く新しい意味の準司法機関をつくって、行政行為に対しても、行政段階としては最終的な裁決をする機関をつくるという考え方は成り立ち得ると思うのでございますが、これはまだ日本の行政、司法体系ではなじんでない形である、したがって、そこに踏み切るのはちょっと無理であるということを申し上げたわけでございます。いま議員提出で出ております法案では、その点、批判される行政機関と批判する行政機関との間に機関訴訟があるというような構成になっておりますが、これはおそらくわが国ではちょっとない形ではないかというふうに考えるわけでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 まあ主税局長の御見解が、不可能ではないけれどもなじんでいないというような御説明ならば、これは納得できる。しかし、うっかり聞いていると不可能であるかのごとく過大広告をされるから、その辺をはっきりさしておきたいということであります。もちろん、われわれ野党でございますから、いささか理想に走り過ぎる点もあるでしょうし、行政の複雑さについての理解が足らない点もあるかもしれませんので、これはまあわれわれ自身も十分検討いたしますが、私は、法理論上不可能であるということにはならぬと思うから聞いたのだけれども、そういうようないまのお話があったから、この辺で次に進みます。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕  次には、第八十三条の異議申し立ての決定の問題でございますけれども、異議審理庁の構成メンバーには税務署長は入るのですか、入らないのですか。この点だけ……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 異議申し立てでございますので、税務署長の決定に対する異議申し立てのときは税務署長ということになります。それから国税局長がやった処分に対する異議申し立てであれば国税局長、まれに国税庁長官が一、二権限を持っておりまして直接決定いたします場合には国税庁長官ということになるわけでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 そうすると、異議審理庁の構成メンバーに、署長は一定の場合には入るということですね。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この場合の異議審理庁は官庁そのものでございますので、構成員というよりも税務署長そのものが異議審理庁になるというたてまえでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 それから、入るというかやるというか、その辺がちょっと首尾が一貫しない点がありはしないかということなんです。今度の制度は、まあ協議団も発展させて不服審判所に持っていくというところまで大きな前進をしようというときに、税務署長の問題について、税務署長がやはりやるのだ、さばくのだというようなことになると、せっかくの制度が、先ほど上のほうから台なしになりはしないかと言ったけれども、これは末端で税務署長の段階では画竜点睛を欠くというか、大いに逆行している点が出てきはしないかという点の疑問を持っているわけですが、この点はどうです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 行政不服を審査いたします場合に、直ちに上級庁にいく従来の訴願の形をとる場合もあります。それから一応当該官庁の反省を促して、誤謬のある場合にはこれを訂正する作用を営ましめるという意味で、当該官庁にもう一回再審査を考えさせるという制度と、二つあると思います。ことに税務署長の場合は減額更正という手段がございますし、税務署長がみずから認めれば、異議申し立てがなくても減額更正を行なったりあるいは更正処分の取り消しを行なったりするわけでございます。その機能をまず第一義的に、簡易に発揮させる意味で異議申し立てという制度を従来から置いたわけでございます。その限りにおいては今回のこの改正は上級庁の審査決定、いわば上級庁は従来はこれを第三者と考えていたわけでございますけれども、上級庁そのものも下級庁を監督しているという意味では同じ穴のムジナだということになると、その上級庁の監督機能に基づく裁決を第三者的なものに持っていって、そこでできるだけ客観的な裁決をするようになるのが今度のねらいでございましたので、その前段階である簡易な当該決定庁による修正ということを除外することは、かえって納税者の迅速な救済に遠ざかるのではないか。現に異議申し立てで三万件がほとんど処理されておるという状態でございますので、異議申し立てを今回残したのはそういう趣旨でございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 まあ最初の段階であるという点と、行政の反省のチャンスを一つ多くするという意味合いにおいては一応わかるのです。わかるけれども、われわれは権利救済的な感覚が強いものだから、そういう意味からいうと、何らか異様な異質物が夾雑しているような感じを受けるという意味において不十分というか不徹底な点がありはしないかという点を指摘したわけです。  次にもう一つ、第九十七条に規定する証拠書類の問題ですけれども、これらの証拠書類というものの物件の範囲をどの程度に考えているかという問題が一つ。  次には、審理に必要なる期間中は審判官が当該物件を留め置くことということになるわけでしょうけれども、中小企業の経営者の立場から考えると、その留め置かれる期間や方法のいかんによってはたいへん事業をやるのに妨げになるあるいは妨害される。まあやむを得ない面もありましょうけれども、あるいは場合によっては必要以上の犠牲を負わせることになりはしないかという点で、その帳簿書類の範囲というものについても一つのワクがあるのかどうか。また、留め置く期間等についても現実にどのくらい、将来はどのくらいになるのかということについてどういうお考えを持っておられるか、中小企業の迷惑という点を考慮に入れてひとつ御答弁願いたい。  なお、これに関連いたしまして九十七条第五項の規定では、これは犯罪捜査とは違うんだと確かに書いてある。そのとおりだと思いますが、そうすると犯罪捜査と違うという点がどういうふうに違うかという点については、やはりこれははっきりさしておかないと業者としてはどこまでやってこられるかわからないというわけでございまして、犯罪捜査と違うということはどういうふうに違うのか、立ち入り検査権を認めるのか認めないのか、それらの限界はどの辺に引いておるのかということについて具体的に承りたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 まず帳簿書類でございますが、当然にこの審査請求人との関係する取引というものを記載した帳簿書類というのが前提になると思います。  それから、物件を留め置くという点は、これはあくまでも本来強制処分ではございません、間接強制ではございますけれども強制処分ではない。正当な理由があればその留め置く期間を当然制限をし、また、場合によっては留め置かないこともできると思います。正当な理由なくて拒否したときに拒否するという拒否権が成立をするわけでございますから、これはあくまでも一般の行政常識で解決すべき問題であるかと思います。それから、理由なく留め置くについては罰則もございません、そういう意味では任意の処分でございますから、正当な理由があれば当然これは取り戻すといいますか、それは困ると言うことができるという前提でございます。  それから、一項、二項の職員の権限につきましては、これは犯罪捜査のために認められたものではないという趣旨から申しますと、刑事訴訟上の証拠能力を持たないという意味を持ちます。同時に、ある意味ではこの中には罰則を付しているものがあります。これは間接強制になりますので、もしこれが犯罪捜査に用いられるものであれば当然にいわゆる自白強制になるわけでございますから、本来許されないことでございます。あくまでも行政上の判断のためのものであり、刑事裁判において証拠能力を持たないという前提をとっておるという趣旨でございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 要するに私が質問している意味は、中小企業の経営者にとって不当あるいは必要以上の迷惑がかからぬように、法の運用の面では特に格段の注意をしてもらいたいという要望でありますから、その意味で受け取っていただきたいと思います。何かありますか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 そのように実施していきたい、かように考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 次に伺いたい点は、地方自治体の課税の問題、あるいは事業税にしても固定資産税にしても、それをめぐる紛争、争いの問題については現在どうなっておるか。それからこの法はいかなる解決を与えようとするのか、あるいはそれに対してこれがあまり役に立たぬとすれば、将来どういうあり方を考えていこうとするのか、時間がないからまとめて一緒に伺います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 道府県、市町村の場合は上級庁がないというような関係で異議申し立ての手続によっておるわけでございます。これについて国税不服審判所と同じような制度を設けるべきではないかという意見は、税制調査会でも非常に多くあったわけでございます。ただ遺憾ながら、三千市町村につきましてこのような制度をつくることは、実際上市町村の規模等から申しましても無理があるわけでございます。また一方、市町村の重要な税目でございまするところの法人税、法人あるいは個人に対する住民税、それから事業税等につきましては、その課税標準については原則として国税の課税標準を採用することといたしておりますので、むしろその課税標準に対する異議というのはまず国税については起こり、その決定があればそれに基づいて地方庁が直すという関係もございます。そういう意味では、間接に不服審判所がこれを是正する機能を持つということから、今回は地方制度については手をつけないということにいたしましたが、通則法のその他の改正部分でございます更正の請求の期間の延長とか異議申し立て期間の延長でございますとかいう制度につきましては、地方税法におきまして国税通則法と平仄を合わして修正をいたしております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 いまおっしゃったように、国税をそのまま持ってくる場合はそれでいいが、そうでない場合があるでしょう。その場合は一体どうするのか。それから、そういう問題も含めて今後はどういうことを考えようとしておるのか、親切なる御答弁をお願いします。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 確かにそのほかにも固定資産税あるいは料理飲食等消費税というように執行の非常にむずかしい税目があることは事実でございます。それだけにこういう制度をつくれという御要求が非常にあることも事実でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、都道府県となればかなり整っておりますけれども、市町村段階になりますと、市町村の機構そのものの中にこれだけのものを抱くだけの余裕がないという面もございます。そういう面で、将来この制度ができてからの運用その他を考えて地方として独自の考え方を検討するということで、現在のところはまだ結論が出ておりませんのが実情でございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 政務次官にお伺いしたいのですが、大体この日本の税制のあり方について、財源の問題にしてもその他の問題にしても、たとえば減税の問題にしましても、百万円減税を中央ではいっていても、地方では八十三万円とかなんとかいうことで常に差別されるというか軽視されている。また、今度の不服審判というようなことで権利救済の問題についても、あるいはすでに御説明があったのかもしれぬけれども、国の税についてはこういう救済方法を講じていくというならば、それと同じように重大な一部分をなしておるところの地方税については、いまお話がありましたように、いろいろ事情が違いますから全部右へならえとはいかないけれども、それこそ両三年内にこういうふうなあり方を考えていきたいということで、一緒に提案されるか、少なくとも一緒に御説明があってしかる、べきだと思いますが、そういう点はどうですか。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 私は、御指摘ごもっともだと思うのですけれども、実際上はいま主税局長が申しましたように、なかなかいろいろな事情でちぐはぐになっております。将来は、私は同じような観念のもとに処理すべきものであろうというふうに思っております。  特に先生も御案内のように、この税金関係はいわばきわめて権力的な要素の深い権利でございます。ある意味におきましては、要するに刑罰権のような、おのおのの個人その他では処分ができないところの私権とはまるきり違った様相を来たしておる。そういうのは結局当事者間で話し合いがつけばいいというような私権紛争の処理の原理では解決ができなくて、全部真実発見主義ということになる。真実発見主義ということになると職権主義というものが入ってくる。職権主義というものが入ってまいりますというと、これは結局権力的な要素が非常に入ってきておるわけでございまして、この処理を誤りますというと、先生の御指摘のように、非常に国民から批判を受けるという点であろうと思うのでございます。考え方につきましては、先生のおっしゃるとおりでございますが、できるだけその点はいまおっしゃるような前向きの線によって検討を進めていく性質のものだ、私はこういうふうに思っておるわけであります。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 私が申し上げておるのは、誤解のないようにお願いしたいのですけれども、地方税についても問題が重要だから、そしてまた、これは問題が複雑でありますから、同時にこういうふうにやるということの提案ができれば一番いいけれども、かりにできない場合でも、地方税は忘れておるわけではありません、両三年内にはこういうふうにしてこういうラインで問題の解決に取り組みますということぐらいは同時に説明があってしかるべきではないかということを言っておるのですから、そういう点を十分御留意いただいて、先ほどの租税白書の問題と同じようにひとつ前向きにこれも取り組んでもらう。何も触れない、あるいは問われなければ何も言わないという形では困るということを言っておるのですから、ひとつ正しく問題に取り組んでいただきたいと思います。  時間がなくなりましたから、最後に一言、二言聞きたいのです。先ほど審判所の準備の問題について聞きましたが、今度はそれに関連をして二、三伺いたいのですけれども、四百四十九名というのは協議団の人がそのまま移るというのか、定員だけが移るというのであるか、それを伺いたい。  時間がありませんからまとめて聞きますが、今日の協議団の形式的な定員と実員とはギャップがあるのではないかと思うが、その場合、そのギャップについては四百四十九名はどうなるかという問題、そのギャップはどのくらいあってどうなるのか、その辺を伺いたい。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 四百四十九名がそのまま右から左に移るという意味ではございませんで、定員をやはりふやさない、予算定員をふやさないといいますか、同じ人数で発足するという意味でございます。もちろん私たちといたしましては、もう少し陣容を整えたいという気持ちがございまして、率直に申して、当初の予算要求はもっとだいぶ大きくお願いしていたわけでございますけれども、全体の公務員の定員をむしろ五%削減しようという方向でございます。そういう情勢の中で財源を出してそれを必要なところに若干でも分けようという、はなはだ制限された話でございまして、全体の国税庁の定員自身が、たびたび申し上げますように、課税納税者数の増加、法人数の増加ということで実はなかなか対応に苦しくて、国税庁全体の調査関係の人員もふやしていただきたいという中で、結論的には四十六名国税庁全体としてふやしていただいたのですが、その中でことしもやはり査察ということも大切だというので査察官を三十名ふやす、調査官を三十名ふやすというような必要性のもとにむしろ筒一ぽいということで、残念ながらスタートは同じ四百四十九名でスタートせざるを得ない。それと全体の仕事のやり方、異議の申し立ての段階で極力問題を整理するということで、ともかくこれでスタートしてみようではないかということで踏み切ったわけでございます。  それから現在の実員は四百八十三名おります。したがって、四百四十九名の差三十四名が定員からオーバーしているかっこうでございますが、現在、協議団はこういった審査請求の処理のほかに苦情処理、あるいは期間を徒過したり何かでいろんな形でやはり苦情というかっこうで処理せざるを得ない。そういう苦情処理の仕事をやっているわけでございます。それで今度不服審判所が成立いたしますと、不服審判所の中で苦情処理ということを——苦情を処理する仕組みではございませんので、従来やっておりました苦情処理の問題は庁なり局なり署なりに移さざるを得ない。そういう関係で、ある程度その要員も移す、その人間がほぼ三十数名ということになるのではないか。したがいまして、実質審査請求の問題を現在処理している人間が大体四百五十名程度とお考え願っていいかと思います。したがって人員的には——先ほど御説明したように具体的な人間が移るという話ではないわけでございますが、人員的には大体同じ人間で対処するということでございます。ただ経過的に未決案件が残りますとスタートするときにいろいろ——未決のものもこの法律で当然不服審判所に申し出たものとして見るということになっておりますが、やはり極力未決を早目に一掃しないと新しい機関に移るときにいろんな混乱があるのではないかということで、現在極力その未決の一掃にあわせて努力いたしておる実情も説明させていただきたいと思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 極力以外はよくわからなかったのですが、問題は三十四名の人は苦情処理とかなんとかの形で現在は協議団におる。不服審判所に大部分が移るけれども、三十四名はどっかへ、首切りにはならぬだろうけれども配置転換という形になるのですかどうですかということを伺いたいことが一つ。  それからあわせて、民間からの人材の起用とか簡抜とかいう問題があるのかないのか。またあればその三十四名プラス民間から抜てきした数だけ、こういうことになるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 三十四名程度が審査の請求じゃなくて不服の処理に現在当たっておるわけでございます。その人たちの仕事は当然局、署に移らざるを得ないということでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 それと同時に人も移るわけでございますね。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 先生のお話は、何か協議団のあれがそのまま移るというお話でありますが、今度あらためて、たとえば内部の職員から今度の不服審判所に移る人だけに限って申し上げますと、やはり適材適所というか、現在協議団で審査請求の仕事をしている人で移る人もございますし、また署長になったり課長になったりして第一線に帰る人もございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 いずれにしても三十四名は定員をオーバーしているでしょう。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 そのオーバーした分は大体不服苦情の処理ということで移るわけでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 人も事務も……。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 そうでございます。  それから、民間からは何名というようなことは、ちょっといま申し上げにくいのですが、極力適材を選んで任用していきたい、かように考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 何だかまだ長官の答弁、少しばく然とし過ぎていると思うのだけれども、いよいよ発足をしようという前になって——まだ審議が長引く予定ですから、もう少しこれは具体的に、オーバーするものの、もちろんいまの全部が機械的に移ったりするわけじゃないでしょう。いろいろその前に人事異動もあるわけでしょうから、いま問題にして言っているのは、私は主として定員のことを言っているのですが、具体的に人事のことについてはからまり合いがあると思うのです。たとえば大蔵省は七月には定期異動がある。この七月の定期異動の問題は、この種の審判官とか審査官とかというようなものを含めてやられるわけでしょうね。それはどうですか。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 正規の発令は一月一日でございますから、そこでまだ確定するというわけには相まいらないと思います。ただし、大体この人は残ってといいますか、新しく移行しても残るような人のめどなり見当はつけていかなければいけないと思っております。ただ総じて、いま先生の御質問、そういう形で御説明すれば、さっき言った不服苦情処理の人は移りますが、ある程度民間からも採りますから、現在審査請求をやっておる人が署に帰る分のほうがそれだけ多いということには計算上相なろうかと思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 具体的になり過ぎても困りますけれども、一つは民間から人材抜てきというのは実際問題としては給与の問題もありましょうし、あるいは専門的な知識や経験の問題もありますから、観念論で言うように簡単にはいかないということも私よくわかりますが、これはひとつ方針として、可及的に民間に門戸を開いて、税のあり方の民主化の問題として取り組んでもらいたい。この点については政務次官にもお考えを承りたい。  もう一つ、国税庁長官のほうに伺いますが、今度は、いま協議団におって不服審判所の審判官とかなんとかになりますね。そういう人はいわゆる横すべりするのですか、それとも少し格上げをして向こうへ持っていくような形をとるのかという問題が一つと、それから今度は格上げされたりして向こうへ持っていかれた場合に、そういう人たちがカムバックするあるいは交流するといった場合に、その点がこれからそちらに行く人に一番、一身的な、個人的な立場からいえば心配になる点だろうと思うが、そのカムバックはどうなるのか。いわゆるおば捨て山になるのかならぬのかということですね。せっかく制度をつくりましても、そこに行ったら最後カムバックはきかない、あるいは一号俸くらい上がってみても、それで終わりだということになれば、いい人は行きやしない。結局先ほども議論が出ておりましたけれども、りっぱな人を集めることができなければこの制度は死んでしまいますから、その人を集める決定的な条件として職員の任用の基準はどうか、またそこへ持っていかれた人の交流といいますか、カムバックはどうなるのか。そういう点について、これはいまの協議団におる人たち四百何十名の人たちの立場に立って考えた場合に、必要以上の不安がないようにいかなる配慮をされるつもりであるかということであります。  なお、これに関連して、労働組合は労働組合としてあるわけでしょうから、われわれは総定員法のときにも一つの附帯決議といいますか、あるいは質問を通じてその点を心配のないように、民社党としては一つ一つきめこまかく明らかにしてまいりましたが、今回の場合には組合とも相談をされるのか、あるいは今度の場合にもそれについて総定員法で行なった程度のきめのこまかい配慮をされるお考えであるかどうかという点についてお伺いをしたい。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 人事の関係につきましてできるだけ民間人の登用をして、そして今回の制度の真の目的とまた使命を達成できるように配慮してはどうかという御意見だと思います。この件につきましては、大蔵大臣も過般御答弁申し上げておりまするが、適任者はできる限り多く任用をいたしていきたい、こういう方針でございます。

亀徳正之国税庁長官

○亀徳政府委員 まあ具体的に、相当内部の職員を活用しなければいかぬかと思いますが、そのときに必ず機械的に一号上げるとかなんとかという措置をとるかどうか、まだ最終きめておりません。ただ向こうの首席審判官になりましたときには、ちょっと給与の特殊なことで恐縮ですが、特別調整額、月給に一二%つける、一六%つける、こういうのもいまのたてまえより少し四%ぐらい高いものがつくように配慮してございます。そういうぐあいにして、移ってとにかく給与の面で不利にならないような特別な措置をすでに講じております。さらにその上に一号特別昇給して移すかどうか、これまた今後の研究問題かと思います。  それから、カムバックの問題でございますが、これは毎々申し上げますように、ある程度カムバックをしないといい人が行かない、先生おっしゃるように。同時に、これがあまり人事の交流が激しいということは、この新しい機関の独立性といいますか、ということにまた問題があるということでなかなかデリケートであり、むずかしい問題でございますが、まあ基本的なかまえとしまして、やはり相当事実審理という問題もあるのではないかということで、審判官、副審判官、審査官、こういうふうにいろいろ分けておりますことは前々からの御説明でおわかりだと思いますが、副審判官、それから審査官というクラスの人事交流は極端であってはいけませんけれども、やはり人事交流はあるというたてまえにせざるを得なかろう。ただ審判官につきましては、やはり相当高級のあれでございますし、一番中心的なあれでございますから、従来の協議官と比較いたしまして、むしろ原則的にいえば交流がないといいますかあまりない。しかし、それも一切ないということにするのもどうかと思います。だからまた交流もあり得ると思いますが、気持ちの上ではやはり交流の期間を、少なくともそこに働いておる期間を通常の転勤のベースよりずっく長くするとか、それから人によってはもうそこで終身——終身といっても死ぬまでという意味じゃありませんけれども、働いてもらうというケースがより多くなるということはあろうかと思います。またこの制度上、若干そういうことを意識してやらざるを得ないのではないだろうか。しかし同時に、先生がおっしゃいましたように、おば捨て山であっては決してならない。むしろ部内の人を活用するときには極力有能な人を送り込むということに努力したい、かように考えております。  それからもう一つ、人事の問題を組合と、だれそれをやるとかやらないとかいうことは、特に私たちの職場の特殊性からやはり避けるべきではないか。しかし、一般的に今度の審判所は法案ができましたら一体どういうような仕組みになるとか、それからいま先生申されたように、審判官、副審判官、審査官ということでいまの人事交流の問題、待遇の問題、そういう一般的なことはある程度やはり説明して、みんなに認識しておいてもらうように努力したい。かように考えておりまして、個々の人事につきましては、私のほうはいつも身上申告書というものを個別にとって、やはりその実情を十分こちらで承知して、そして適正に人事をするということで処理したい、かように考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 これで終りますが、制度をつくるということはたいへんむずかしいことでございますけれども、その制度をうまく運用するということは特にむずかしい問題でございますし、いまの人事の問題等もからんでおりますので、万遺憾なきを期してやってもらうということを特に希望をいたしまして、質問を終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 速記を始めて。  次回は、来たる二十日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時十八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗