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61回国会衆議院1969/05/16

大蔵委員会 第30号

発言数
83
登壇者
11
会派数
3
開催日
1969/05/16

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ただいまの租税条約に伴う税法上の特例に関する法律案について、若干質問をいたしたいと思います。  まず最初に、いままで各条約は、相手国との間に締結をされた段階において個別に特例法を出してきたわけであります。それが今度はもう十五の多きに達したというようなことがあり、また、OECDにおいて租税条約に伴うそれぞれの措置等についていわばモデルができた。また、それぞれの特例法が非常に定型化されてきたというようなことで、今回これを一本の特例法にまとめよう、こういうことが税制の簡素化という道にも通ずる。こういう点は私どもも理解ができるし、わかるわけでありますが、そうなりますと、ここでこの問題を討議をすれば、あとの条約が出た場合等においても本委員会において法案として出されてこないというようなことになりますと、これから日本の経済も貿易自由化の段階から資本取引の自由化の段階というようなものを迎えて、経済交流というようなものが、国際的な立場において非常に密接にしかも発展をしていくということで、はたしてそういう場合に、この国際経済の交流というような問題と非常に関係の深い租税上の取り扱いというようなものが、本委員会の論議の対象からはずされる。また日本の場合も、世界で国をなすものは百二十カ国をはるかにこえているという状況で、これからどんどん経済の交流が進み、相手国の数もふえてくるだろう。そのうちまだ十七しか条約がないという段階、さらにそれが何十カ国にもふえてくる可能性というものが将来の見通しとして十分あると思う。そういうことを考えますときに、それぞれ租税の取り扱いについて条約が結ばれ、さらにそれが、この一本の法律をここで通したらあとはこの委員会にかかることもないということでは、本委員会の役割りというようなものからいって、やはり一つの心配が残るというような気がいたすわけであります。  そういう点について政府は、大蔵省はどういうように考えておられるのか、この点まずひとつお聞きしておきたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のとおり、従来は租税条約が外務委員会にかかりますと同時に、それらの特例法が大蔵委員会にかかってまいったわけでございます。それに関連をして租税条約の内容そのものについても御審議をいただくような結果になっておりました。そういう機会が、今後条約特例法を個別に提出しないことになると、なくなるのではないかという御指摘でございますが、形式的には確かに特例法の提出はないことになりますけれども、条約を結びました際には、外務委員会に条約を提出いたしますと同時に、大蔵委員会にも何らかの形で条約の内容を御説明をいたすようにいたしまして、条約そのものについての必要な御審議はいただけるように措置してまいりたいと考えております。むしろ問題は条約の内容でございまして、この特例法自体はほとんど形式的なものでございますので、そういう面からはむしろ必要に応じて条約についての御質疑をいただくということで解決をしていただいたらいかがか、かように考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いま御答弁なさった点は、当然そういうことでやってもらいたいという希望を強く表明するわけですが、それと同時に、むしろ問題はこの条約自体にある、なるほどそうであろうと思います。経済の関係というものも非常に高度化し、複雑化し、またいろいろな局面というものが出てくるだろうし、そういうものはやはり条約に反映されてくると思う。そういった場合に、いまわれわれがここで審議しようというこの一本の特例案だけでカバーしきれない事態というものもあるのではないか。税制も経済の変化とともにいろいろそれぞれの国で進歩発展を遂げるものでありますし、そういうものが個別の条約に反映されてくる。この特例法一本ではなかなかカバーしきれぬというような場合には、いま審議している特例法そのものを改正するというようなことも当然あり得ることだと思うわけでありますが、そういう点でここしばらくの間において、これは二、三年と切ってもいいし、五年と切ってもいいのですけれども、その程度の先行きの見通し、それからその間に締約される条約案、このようなものを、そのくらいの時点を切ってみてこの特例法で大体カバーしきれるのだ。あと何カ国か現に交渉中のものもある、そういうようなものを含めまして、この法律で当分やっていけるのだ、改正の事態というようなものはいまのところ想像されないのだというような見通しでございますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 現在この国会に審議をお願いしております四条約案のほか、条約交渉を行なっております国々が幾つかございますし、また将来、少なくとも早期に条約を締結する必要があると思われる国々も幾つかございます。それらの国との条約の内容をこの法律をつくるにあたりましてもいろいろ検討いたしましたが、現在予測いたしております租税条約の形といたしましては、この特例法で十分カバーができるという見通しでございます。ただ将来、非常に税制自体も変わってくるということは考えられますけれども、現在のOECDのモデルを中心にいたしました当面の租税条約につきましては、この特例法でカバーし得るという見通しでこれをつくったわけでございます。ここ数年間は、御指摘のようにこの法律に特に改正を要する事態は起こらないといまのところ予測いたしております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 それはいまの段階での予想でありますが、重ねてお聞きいたします。今度の特例法、さらにいままでの十五の各条約別の特例法、こういうところで、前の個別の特例法の場合には、たとえば定義というものにつきましてもかなり詳細な規定を設けておったわけですね。たとえば今度の場合は租税条約というものはどういうものであるとか、相手国の居住者の定義であるとか、限度税率という三つくらいに非常に限定をしている。しかし、たとえばノルウエーとの条約等ではいろいろ定義があるわけであります。その中には、「「一方の締約国の企業」及び「他方の締約国の企業」とは、」云々だとか、まあそれはそれでもいいのですが、恒久的施設というものについての定義というものなんかもあったはずだと思うのです。そういうものは全部ございませんが、これは条約を見ておったのです。いままでのあれを見たんですが、たとえば固定の施設というものはどういうものだというようなことについての、定義なんかも前に出しておられたように思うのです。これは必要ない、どういう角度でそういうことが言えるのかということについて伺いたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 恒久的施設その他につきましての定義は条約そのものにいたしておりますので、実施に伴う特例法では従来も別に定義をいたさずにそれを受けておりますので、その形といたしましては従来と変わりがないことになっております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 それはそれでけっこうです。私も条約のほうでの定義と税法のあれをいまちょっと間違いましたが、定義の問題はそういうことでいいとして、この特例法では前からもそうですけれども、配当、利子、使用料といういわゆるロイアルティーというようなもの、さらに地方税というようなものだけが想定されたような書き方になっているわけです。それだけではたして二国間における二重課税の回避とさらに脱税の防止という目的というものが将来とも達せられるか、そのほかの税については全然考えなくていいのかどうか、そういう点。これはいままでも確かにそういうことであったけれども、そういう二重課税を回避する、あるいは脱税を防止するということについて、あとの税の問題については必要がないのかどうか、将来ともそういうことなのかどうか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この特例法におきましては、条約そのものでは直ちに課税が決定できない部面を補足しているわけでございます。御指摘のように、投資所得につきましては、相手国の現行税率をお互いに制限するという立場で協定をいたしております。たとえばわが国では投資所得に対しては、原則として二〇%の税率を使っておりますが、それを一五%以下とか一〇%以下ということにきめております。ところが、条約といたしましては、一五%、一〇%ときめますと、今度は国内法で特殊な理由で特別措置などをいたしまして五%などというものが出てまいりますと、かえって条約に縛られて一五%なり一〇%の条約上の税率を使わなければならないということがございまして、一五%以下、一〇%以下という制限のしかたをしております。そういたしますと、論理的に申しますと、国内法でなくて、それを何々以下に制限するという条約だけでは適用税率がきまらないという問題があるわけです。国によっては二〇なら二〇の税率があるところを一五%以下に制限するといえば、当然特別の規定がなければ——一五%という解釈をしているところもございますが、わが国ではやはりその場合、国内法で適用税率を一五%の範囲内できめなければならないというような手続が要るように解釈しておりますので、従来から特例法を出しまして、一五%以下といっておるときには一五%を使うということを別に書いておるわけであります。そのほか事業所得でありますとか一般の所得につきましては、条約上規定しておるものがすべてそのまま国内法に優先して適用されるという結果になりますから、特にこの特例法で書く必要がなくなっておるわけでございます。  また、わが国の国内法におきましては、非居住者の課税につきまして特別に章を起こしまして、そこで恒久的施設の意味と課税の範囲等をきめておるわけでございます。その中に、たとえば所得の源泉地についての規定がございますが、この源泉地については、条約の規定があった場合にはその規定されたところによるものとするというような、あらかじめ条約を取り入れるような規定を置いております。  したがいまして、こういう税率をきめる関係以外の部分につきましては、条約そのもので国内法が当然修正されるという形で動きますので、そのために特例法では投資所得だけが中心のような形になっておりますけれども、これが租税条約としては国内法との関係で手当てを要する重要な部分であるということになっておるためのものでございます。したがいまして、ほかの部分は特に国内法に抵触しても国内法に優先いたしますから問題はない、かように考えております。ただ、新しい所得種類とか何かが出てまいった場合を考えますと、場合によっては将来そういう部分についても法律を改正して一部直す必要が出るかもしれませんが、いまのところの租税条約の形ではそういうことは現在予測できませんので、当分はこの形でまいると考えていただいていいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いままでの個別特例法では、制限税率というようなものも特別に定めておったはずですね。ところが、今度の法案の中ではそういうものを出していないわけですね。こういう点についての関係というのは一体どういうように措置されておるのですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 従来は個別の特例法がございましたから、その条約できまっておりました最高限の税率を引用して一五%とか一〇%とかいっておりましたが、基本的には国内法の税率のほうが高いという前提でございますから、したがいまして、制限をつけた税率をもって条約上の税率としょうという基本的な考え方を前提にいたしております。したがいまして、今回は統一法でございますので、それぞれの制限税率が違っておりますから、今回は特に定義で限度税率ということばを設けました。限度税率というのは、各条約において定められておる制限税率をいうのであるということを定義いたしました。従来一五%とか一〇%とかいう具体的な数字でいっておりましたものを、限度税率をもって税率とするという形に置きかえました。それですべてを総合することにいたしたわけであります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ここ一両年といいますか、特に一九六八年あたりから株式市場に外人の投資が非常にたくさん出てきた。むしろ今日の株高というのはそういうものが大きく貢献しておるのではないかということもいわれておりますし、数年前から見れば、おそらく外人の株式取得というものが十五倍以上になっておるのではないか。売りだけを見れば六億ドルくらいきている。差し引きしても、売り買い相殺しても三億ドルくらいは、むしろそれ以上増加をしている。こういうようなことで、今日そういう大きな問題があるわけであります。  また、租税特別措置法等で問題にいたしました利子配当所得等について、特別措置は撤廃の時期に来ているというようなことをいっておるわけであります。そういうようなことになると、やっぱり二〇%という本則にかりに戻ったといたしますれば、それぞれの国の配当等にかかる限度税率というものが、ちょっと見てみますと、大体一般配当は一五%というのが非常に多い。オーストリアが二〇%ということなんですが、そのようなことになりますと、これはやっぱり現実的に外人投資家というものがその適用を受けることになって、日本の法人あるいは日本の投資家から見れば、外人に限度税率が適用されるということで具体的にそのメリットが出てくる、こういうように考えられるわけですね。そういうように理解していいわけですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この租税条約におきまして、投資所得について制限税率を設けております趣旨は、本来個人、法人等の二重課税による負担増加を調整をするというところにあるわけでございます。現在の世界各国の税制、それぞれ違っておりますが、大体基本的に申しますと、自国内に本店の所在する法人であるとか自国内に居住する個人については、自国内の所得だけではなくて海外に渡って事業した場合の所得も全部総合して課税をする、これは当然取るたてまえです。同時に、その同じ国がほかの国の居住者なり法人なりが自分の国へ来て活動していれば、少なくとも自分の国での活動によって生じた所得は課税するというたてまえをとります。これは相手国を考えずに国内だけを考えた場合には当然のことでございますが、同じ立場の国がよそにありまして、その国から人が参ったりこちらから人が参ったりいたしますと、どうしてもその国にまたがって仕事をしたものは本国の税率による総体の課税と、相手国の税率による部分的課税とが重複するわけであります。そうしますと、国にまたがって仕事をした場合には税がその分だけ重くなる、それを調整するための措置でございます。したがって、日本でたとえば利子について一〇%というような軽減税率を使っておりますが、これはなぜこのような低い税率を使うかと申しますと、わが国に貸し付け金をしております場合にも、自己資金だけでやっている場合とは限らない。たとえば他から資金を集めまして投資している場合があるわけであります。そういたしますとその収益率というのは、たとえばかりに二〇%差益がある、それに対しまして源泉徴収でグロスに対して一〇%の課税を受けますとそれだけで五割の税になる。投資所得に対しては五割の課税になってしまいます。日本の場合でございますと、法人税が三五でございますから、これがもし二重課税を受けた場合に、かりに外国税額控除をしてやりましても一五%以上は引き切れないという結果になる。そういうことから投資所得につきましてはできるだけ低くしようというのが、全体の国のお互いの話し合いでございます。  したがいまして、国内の課税の場合の租税特別措置による軽減税率とは性質が違いまして、これは日本でたとえ低く課税されても、本国ではそれに対して本国の税率が適用になっておりますから、そのそれぞれの投資家については、この条約による制限税率があるために国内で投資するよりも得になるという結果にはならないわけです。そういう意味では、かりに国内の源泉徴収税率が二〇%に上がりましても、それによるはね返り効果というものはそこからは出てこないというふうに考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 その問題をたとえばアメリカならアメリカに例をとって、アメリカの企業かあるいは個人が日本の証券市場に投資をして配当を受ける。それは当然向こうに居住しておる人の場合ですね。アメリカに居住の者、日本の税制からいえば非居住者、そういう立場で一定の配当所得があったという場合に、向こうで所得があるものとの関係で向こうの税制を適用される。こちらでもここで配当を渡すときに源泉徴収もやるわけですね。だから、そういう具体例をとってちょっといまのところをふえん的にわかりやすく説明してもらいたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 かりにアメリカから日本に投資をいたしたといたします。それによって配当を——配当は配当控除や何かがあってちょっとややこしいと思いますので、利子で申し上げます。  かりにアメリカの金融機関が日本に貸し付けをいたします。そして利子を受け取ったといたします。そして銀行預金の預金コストが七割ぐらいと仮定をいたします。そういたしますと、その三割の利益に対しましてアメリカでは現在四八%の法人税が課税になるわけでございます。これは日本の国内に貸したものに対する利子に対しても四八%かかるわけであります。それに対して、今度日本ではその貸し金の一〇〇%に対して一〇%の源泉徴収をいたしますから、そこで所得に対しましては三三%の税が追加して課税になるわけであります。この三三%の税はアメリカで四八%すでにかかっておるところへ三三%かかるわけでございますから、それで八〇%以上の負担になってしまうわけであります。しかし、それは条約によりまして、日本で課税した分はアメリカの課税の範囲内において控除を受けることができますから、そこでその三三%に相当する税は日本における貸し付け金の利子に対する四八%の課税から引いてもらえるわけです。そこで三三%を国内の四八%から引いて国内の課税は一五%に軽減されます。それと日本国内の三三と合わせてちょうど国内の四八になるようにする。もしこれが日本で所得に対して四八%以上になるような課税、かりに二〇%の源泉徴収にいたしますと、資金コストが七割であるとすれば、その所得に対する課税は六六%になるわけであります。その場合にはアメリカではアメリカの国内税法による限度額しか引きませんから、そこで六六%全部は引いてもらえないで四八%引いてもらうだけで、一八%だけは引き切れずに残ります。そのために一八%だけが四八に加わって実は六六%の課税になる。その場合にはアメリカ国内で投資したよりも日本で投資したほうが損だということになる。そういう関係もございまして、利子所得につきましては一〇%程度の税率を使うというのが、いま国際的に一般化しておる状況でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 国税庁おられると思いますが、日本における外国人商社あるいは外国人、こういうものに対する課税の実態といいますか現況、こういうものについて一体外国人の投資筋が、たとえば配当所得なら配当所得についてどのくらい日本国として徴税実績があるか、こういうようなことが数字的にわかりますか。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 外国人に対する課税、大別いたしまして源泉徴収が適用になる分とそうでない分がございます。まず法人税源泉徴収適用のない部分について申し上げます。  昭和四十二事務年度、統計がちょっと古くなっておりますが、外国法人数が七百二件ございます。これにつきましての課税状況は、処理をいたしました法人、つまり更正をするとか、あるいは是認をするとかいうような税務上の処理でございますが、この処理をいたしました法人の申告額は百六億、それでこれにつきまして調査をいたしまして更正をした増差額が所得にいたしまして三億三千万、切り上げまして三億四千万になっております。税額にいたしまして一億余りの増差税額ということになっております。  それから、次に個人関係でございますが、四十二年分の所得税につきまして申告をいたしました件数が、これは税額のあるものだけについて申し上げますと三千五百九十四名、これにかかる総所得金額が百十三億ございます。これは源泉分と申告分とが重複いたしますので、税額については両方が入っているわけでございますが、三十一億の税額ということになっております。  それから、そのほかに総合した申告のない源泉だけの分があるわけでございまして、この分は、人員は事柄の性質上明確には出てまいりません。たとえば源泉徴収が同一人について二回、三回と行なわれるようなことになってまいりますので、人員は正確な数字は出てまいりません。税額についてだけ申し上げますと、同じく四十二年度分につきまして百六十二億の徴収税額ということになっております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 今度の法案によりまして、相互に相手国の租税の徴収というようなことについて条約上の義務を負う。こういうような問題について、相手国の租税の徴収を、相手国からこういう企業について取ってもらいたいというようなことを要請をされれば、当然それに応じなければならぬ、またこちらからもそういう場合もあり得る、こういう点はいままで実例はございますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 現在設けております徴収共助の規定は、租税条約の実施の上において条約を利用して税を免れたというような場合、租税条約を適正に実行した場合に課税が生じた場合の徴収共助だけに限っておりますので、現在までは実例はございません。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 先ほど冒頭にも申し上げましたように、これからまだまだたくさんの国とこういうものがない場合には非常に不便を来たす。また、日本企業の進出等についても問題になったり、あるいは外資導入といいますか、資本取引の自由化というような問題等についても問題が生ずるというようなことで、これからかなり二重課税防止に関する条約が結ばれる可能性というものは相当大きいだろうと思うのですね。数年前に韓国の問題がありまして、当時の主税局長も韓国に行かれた。しかし、これはどうにも向こうのかまえ方というようなこともあり、また、税制も非常に混乱をしておるというようなことからできなかった。  国際金融局長も来ておりますから、韓国に対して日本の資本がいまどのくらい進出をしておるのか、また、韓国における日本企業の活動というようなものがどうなっておるのかということを聞きたいわけです。  それと同時に、主税局長からは、特に日韓間の租税条約締結の可能性、そしてまた現実にどういう状態で——おそらく日本の商社がかなり不利な扱いを受けているのではないかと思われるわけですが、現況についてひとつお聞きをいたしたい。

村井七郎大蔵省国際金融局長

○村井政府委員 韓国に対する日本の投資は、御承知のように韓国との間の経済復興といいますか、正常化というものが比較的最近行なわれた関係もございまして、いわゆる進出企業というものは現在のところ四件程度であると承知いたしております。そのほかに融資等で若干の相手国企業に対する融資が行なわれておりますが、これも金額にいたしましてさしたるものでない。むしろ投資環境が今後整備されていくに従いまして、これから累増していく傾向にはあるかと思いますが、現状ではさような状況でございます。数字的に申し上げますと、投資というかっこうで出ておりますのは、先ほど申し上げました四件程度というものについて申し上げますと、百万ドルに満たないという状況、これは出資金額でございますが、さような状況でございます。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 韓国に進出しております商社に対する課税問題というのは、昭和三十九年に韓国側で従来課税が明確になっておりませんでしたのを、法人税、営業税につきまして遡及的に課税をしてまいる、その点が一つと、それからその場合にかなり高い所得認定率を使ってきたということで非常な騒ぎになったのは御承知のとおりでございます。その後さらに個人所得税につきましても課税の問題が起こってまいりました。それから従来いわゆる協定によって借款をしておりましたものには課税をいたしておりませんでしたが、いわゆる一般的なプラントの輸出についても課税問題が起きるというようなことが次々に出てまいりました。これが非常に大きな問題になりまして、日韓閣僚会議等でも議題になったわけでございます。  ここで問題の点は、一つは、いろいろな租税行政の問題もあると思いますが、所得認定が非常に多いということ、それが実態に合っていないというような課税上の問題と、第二番目は、韓国の租税制度自体がかなり非居住者に対しては課税範囲を広くしているということ、この二点にあると思います。  前の問題は、その後いろいろ大使館等を通じ折衝をいたしました結果、漸次認定率についても一つの考え方がはっきりいたしてまいりましたし、為替換算比率の使い方等についても基準ができてまいりまして安定をしてまいりました。商社といたしましては、始終課税の基準が変わるということが非常に困るわけでございます。そこで実際の課税についての重さの問題は別といたしまして、課税の基準がだんだん安定してきたという点では一応の解決がついておるわけでございますが、第二番目の課税範囲が非常に広いという問題は、これはどこの税法でもそうでございますが、国内税法としては課税範囲をかなり広く取り込んでいるのが通例でございます。わが国でも、たとえば輸入されたものについてこちらに恒久的施設がある場合には、その所得計算については、向こうで購入した商品を輸入してきた場合には、その差益を計算する場合には、コストは現地の取得価格ベースでやるというようなきつい見方を税法上はいたしております。これと同じでございまして、韓国ではそれがまたもう少し広くなっているわけでございますが、国内税法ではいかなる形をとってもこれはそれぞれの国の自由でございますから、文句のつけようがないわけでございます。国際的な交流をする上においてそれが結局障害になっているという点から、各国お互いに経済条件を考えながら租税協定をやって自己制限をやる、それによって二重課税が起こらないようにすることによって経済交流を発展させるというのがいまの姿でございます。  そういう点では、第二番目の問題は、どうしても租税協定をしてそれによって課税範囲を明確にし、また制限をしていくよりほかに方法がないわけでございます。そういう観点から数回にわたっていままで協議を続けてきております。かなり歩み寄ってはおりますが、何と申しましても経済交流が一方的でございますだけに、現在の課税から見ますると、国際的な常識的な線まで一挙にまいりますと、韓国側の歳入減というのは非常に大きなものになりますので、その点からなかなか先方としても一時にそのような国際的な水準までの協定はしにくいという問題もございます。それらのことから現在なかなか話がまとまらずにおります。こまかい、一部の点を除いてはかなり煮詰まってまいっておりますので、できるだけ早く結論に到達したいということで努力している次第でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 まあ韓国の立場としては、日本から資金はどんどん導入をしたい。しかし、外交的にはそういう立場をとりながら、税制面においてはちっともわけのわからぬようなことばかり言うというようなことは、非常に問題があるだろうと思うのです。これはしかし、主税当局の租税だけに限った問題ではないし、これは外交問題でもあるだろうから、この点についてはどうこう言いませんけれども、しかしそういう形において、資本はどんどんほしいけれども、それに対する、いわゆる俗なことばで、目のあいた気持ちでそういうものを処理するという態度に欠けるということは、やはり非常に問題があるだろうと思うわけでありまして、この問題についても日本の側が非常な不利益な扱いを受けることのないようにこれは十分やっていただきたいと思うわけであります。  その点について、韓国自身の財政の問題あるいは経済発展の段階、こういうようなもので、なかなかむずかしい問題は当然あるだろうと思うわけですが、現状における韓国との間における租税条約の締結という見通しについては、どういうようにとらえられておられますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 私どもが条約の下地をつくります場合、いろいろと問題がございますが、日本の立場というものは非常に微妙な点は確かにあるわけでございます。たとえば、すでに最も進んだ国々、アメリカ等に対しましては、わが国がやや韓国に似たような立場にあるわけでございます。つまり資本の流入があり、経済の点ではむしろ向こうの経済の流入のほうが大きい、経済的な力の流入が大きいという点、そういう点から申しますと、OECDのモデル条約においても、投資所得等につきましてはわが国はまだ制限税率について留保いたしておる段階でございます。同じような問題は、開発途上国との間の条約になりますと、今度は逆に、日本がアメリカにとっていると似たような立場が日本にとってとられるわけであります。たとえば投資所得についてはできるだけ軽減はしたくない、投資所得についてもわが国の中で活動しているんだから、取り分はなるたけ多いほうがいいという立場をとってまいりました。すでに御承認を願いました条約の中でも、たとえば利子所得などにつきましては制限規定を設けずに双方の国内法だけでやるというようなことで、利子についてはついに制限した税率を設けないで済んでしまった条約も幾つかございます、インドとかその他の条約。そういうことでございますので、やはりできるだけ条約にのせて合理的な解決をはかっていくにいたしましても、わが国と相手国との経済的な立場というものを考え、一律の姿ではかえって条約の締結ができない場合には、少なくともいまの条件よりもより合理的であり、また少なくとも条約をつくった限りは安定した課税が行なわれるというところをねらって条約を締結する立場をとらざるを得ない場合もあると思います。  したがいまして、今後韓国だけではなく、東南アジア諸国との条約を進めます場合には、先進国にないような規定を置いて、それによって全体としての租税条約を進めるということも考えざるを得ない。それがいま開発途上国との条約の中にありますタックス・スペアリングというような規定があります。この規定は、相手国が経済何カ年計画というようなことで重要産業については数年間税を免除しているというような場合がございます。いまの条約でございますと、相手国で課された税をこちらで控除するということにしておりますので、相手側が課すべき税を免除しておりますから、その分はそっくりこっちで控除できなくなりますから、相手国がせっかく免除したのに日本が全部それを取ってしまうという結果になります。そうしますと、相手国が特別措置をやった効果がなくなりますので、非常にこの条約の締結がむずかしくなるわけであります。わが国としてはドイツに次いでこのタックス・スペアリングという制度、つまり相手国が特定の経済目的で租税を免除した場合には、その免除した部分は相手国で払った分とみなして税額控除するというような制度を導入いたしまして、これらの国には対処しているわけでございます。これについては国際的な二つの説がございまして、それは不当に相手に利益を与え過ぎるという考え方もございますが、開発途上国の立場を考えた場合には、そういう措置をとらなければ条約自体が締結できない、その結果いろいろな点で経済交流にお互いに混乱を起こすということになりますので、この方法を日本はドイツ等と一緒に踏み切っておるのでございます。  そういう点を考えますと、韓国についても先進国型の条約を無理に押しつけるということは、これはかえって弊害があると思います。いままでの開発途上国との条約等を勘案しながら、できるだけわが国についても企業の負担が二重にならないような限度で話し合いを進めていけば、近い機会に合意が成立し得るのではないか、かような考え方で進めておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 もう十一時半という時間の制限で大体時間が来たんですけれども、もうちょっとお伺いしたいのは、これから日本経済も非常に発展をして、特に外貨準備も三十億ドルの大台に乗せておる、それをもう越えておるというような現状から、外貨積み増しがあまりにも急速で急テンポだということになると、またいろいろ諸外国との関連においてももちろんぐあい悪い面も出てくるというようなことから、今後やはり後進国、開発途上国等に対する援助というものなんかが非常に強く言われておるし、すでにもうシドニーの会議においても、福田大蔵大臣も数年間において倍額援助額を増大するというような気前のいい、大みえを切っておられるわけです。そういう形を通じて非常に多くの国との経済交流というものが、さらにまた資本の進出というものになることは当然考えられるわけであります。大体租税条約をそういう中で、さらに貿易の拡大、発展というようなことでの交流というものを含め、資本の交流も含めて——交流というよりもあるいは一方的に出すほうが多い事態になるかもしれませんけれども、そういうようなことになると、やはりこういう問題についての租税の取り扱いに関する二国間の協定というものが非常に多くなるだろうと思うのです。  大体そういうようなことを考えてどのくらい——いま十七カ国くらい、今度外務委員会にかかった二国を含めて十九カ国ということでありますが、これはどの程度までいったら、交流のあるところは大体全部結ばなければならぬのか、そういう点はどういうように考えられておるのでしょう。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この条約締結の必要性という点は、御指摘のとおり経済交流がある限りはできるだけやったほうがいいという問題もございますが、これも相手国の租税制度いかんにかかっておるわけでございます。たとえば相手国の租税制度自体が、所得税あるいは法人税というような所得課税を中心にしないようなところでございますと、あまり租税条約の効果がないわけでございます。  そういう点から現在考えてまいりますと、ヨーロッパ諸国で重要な国として日本が今後早急に条約を進めなくてはならぬと考えられますのは、一つはスイスでございます。一つはオランダ。スイスは、御承知のとおり世界金融の中心地でもございますし、借款その他の実行上これが必要なこともよくわかっておりますが、それだけに利子の制限税率等についてもまだ問題が残っておるというようなところがございます。オランダは、日本の経済進出の拠点のような立場に立っておるところでございますから、こことも早急に条約の締結をすべきではないかと考えております。  東南アジアの諸国では、わが国と非常に経済交流の大きいフィリピン、それからただいまの韓国、台湾、インドネシア等がいまだ条約締結に至っておりませんが、この辺は今後も一番経済交流の大きいところだと考えられますので、これらの諸国とは現在もう接近を進めております。それぞれ何らかの意味で租税条約についての打診を行なったところがあり、さらに進んで内容的な討議をいたしたところもございますが、これらについてはこの数年中にはぜひとも条約締結をはかる必要があるかと思います。  なお、将来の問題といたしまして、中南米諸国との間にさらに協定を進める必要があるかと思いますが、中南米諸国が従来とっております条約等の形がOECD等と非常に違っております。そのために中南米諸国はほかの先進諸国ともなかなか条約が結びにくいようでございます。これも何らかの形で打開をはかっていって、将来の日本の経済の発展というものと合わせていく必要があるかと思います。そういう意味ではここ数年かなりの数の条約をさらに締結すべく努力する必要があると考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 最後に、これは銀行局、証券局両方に伺いたいのですが、いま第二次までの資本取引の自由化措置をやられたわけですけれども、しかし、もうすでに第三次の自由化の問題が非常に強い要請として各国から出されておるし、またそのことのメリット、デメリット等についても、外資審議会等でも指摘をいたしまして、また、日本の企業なりあるいは政府なりでとるべき政策、態度というようなものについても指摘をされているわけです。特に最近外人投資というような問題、あるいは外貨の問題とも関連して、商社にインパクトローンをどんどんとってもいいというようなある程度柔軟な態度もとられるようになってきた。  そういうようなことで、大蔵省所管の関係における資本取引の自由化に対する問題、たとえば外人投資の問題についてさらにどういう態度をとるのか。あるいは外資の日本に入ってくるものについて、特に金融機関というようなもの等が直接自由化の段階を迎えるというようなことだってあり得るし、もうすでに、いわゆる消費者金融が日本では非常におくれておるというようなことから、消費者金融を中心とするアメリカの銀行等が日本進出を虎視たんたんとねらっておるというような情報も現実にあるわけであります。そういう動きも現実に出ておる、こういうようなところから、いまわれわれが論議している問題も、利子だとか配当だとかあるいはロイアルティーだとかというものでありますし、そういう対策を今後どういうように考えておられるのか、どの程度まで進めておるのか、所管の問題についてお答えをいただきたいし、またそういうような立場から、この法案に対してあなた方の立場でどういうようなお考えを持っておられるか、この点を両局長からお伺いをいたしたいと思います。

田代一正大蔵大臣官房審議官

○田代説明員 私、銀行局所管でございますが、銀行局の関連について申し上げたいと思います。  自由化の問題につきましては、御案内のとおり第二次自由化ということによりまして、ことしの三月一日から保険業につきましては第一類の自由化種目ということに指定になっております。それに対応する策といたしまして、御案内と思いますが、昨年の五月以来保険審議会におきまして今後の保険のあり方について、特に自由化との関連においてということで慎重審議が進められまして、去る五月十三日に保険審議会から答申がございました。今後はこの答申の線に従いまして、保険業の体質強化ということを通じましてこの自由化に対処するという体制を整備してまいりたい、かように考えております。  それから、次に銀行業でございますが、銀行業につきましては広瀬委員も十分御承知だと思いますが、銀行と申しますのは一国の信用機構の中心的な役割り、いわば国民経済の中枢神経というものにつながるということで、この銀行業の自由化につきましては、そういった性格から申しまして相当慎重に検討しなければいかぬという気持ちを基本的に持っております。ただ、これも広瀬委員御案内のとおり、銀行局におきまして一昨年以来金融の効率化、それに到達する手段としまして適正な競争原理を金融機関に入れ込むという立場で金融制度の論議、あるいは金融行政の展開ということをいたしてきているわけでございます。昨年御承認を得ました金融二法も、まさにこの線につながった問題かと思います。そういうことで着々と金融機関の体質というものの整備につきましては、また体質を強化することによりまして、一般産業界の経済の国際化というものに対応する金融界の姿というものを徐々に形成しているわけでございます。そういうことを通じまして金融銀行業につきましても、将来資本取引の自由化ということがあっても困らぬような体制というものを徐々に整備していく、かように考えているわけでございます。

坂野常和大蔵大臣官房審議官

○坂野説明員 証券業でございますが、御承知のとおり、数年前に証券の不況でかなりひどい状況になっておったものが、昨年四月以降新しく免許体制に整備をいたしまして、その後の証券市場の好況も伴いまして今日ようやくその営業基盤が固まりつつあるというような現状でございます。また、証券業につきましては、単に証券業者、証券会社の問題だけでなく、これは発行会社その他産業界、経済界に与える影響というものはかなり広範なものがございます。したがいまして、その二つの観点から証券業の自由化についてはなお慎重な検討を続けたい。  特に御指摘のように、これからの資本市場というものは国際化してまいるだろう、その際にその国際化された資本市場にたえられるようなそういう基盤をいまのうちに十分備えておきたいというようなことで、行政の主眼を証券会社の体質強化というような点に置いておるような次第でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 大蔵次官、資本取引の自由化の問題について、もちろんいま審議官が言ったような証券市場の国際化というような問題を含めて、もうすでに第二次の自由化で一企業の持ち株比率五%を七%に引き上げて、総体で一五%のものを二〇%に引き上げるということが出ておりますが、こういう方向というものは一体日本の将来の経済の発展ということ、さらに資本取引自由化によるデメリットとして指定されている身売りだとかあるいは乗っ取りだとかいうような危険性、あるいは自主技術の開発力というようなものがかえってドロップしてしまって、安易にそういうものを導入すればいいんだということなんかのデメリットもある。そういうような問題、さらに世界の大勢、さらにメリットの問題などを考えながら第三次の自由化の問題について、特に資本取引の自由化の問題について政策判断の立場にある次官の立場として、どういうようにこの問題を考えておられるか、この点だけ次官から伺って、きょうは質問を終わりたいと思います。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 実は資本取引の自由化その他につきまして、広瀬先生もよく御存じだと思いますが、たとえば欧州や何かへ参りますと、特にアメリカ資本その他が出て相当批判を受けておるという事実は耳に入っておるだろうと思います。事実上どういう真相になっておるか知りませんが、なかなかいろんな批判もある。要は、自国の国益というものを私は非常に重要に考えていかなくちゃならない。がしかし、その資本の自由化の世界的な趨勢というもの、そうして大局的に見た場合には日本の経済においては自由化傾向をとるほうがむしろいいのではないかというふうな考えを持っておりますが、そのやり方につきましては、国益を中心に慎重に検討をすべきものは検討していかなくちゃならない。けれども、趨勢は資本の自由化傾向をとるだろうし、また、その大勢というものは日本の経済にとって大局的にはよかろう、こういうような考え方を持っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 これで終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 今回、こうやって特例法が一本化されて、これから順次諸国家間とも条約が締結され、その場合もこうやって単純化といいますか、一本化が行なわれる、こういうことになるだろうと思います。こういうような場合に、外務委員会には当然条約案件がかかっていくでしょうが、この大蔵委員会には今後法案がかからない、こういうことになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。   〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 従来と違いまして、今後は一種の受け皿法律ができるわけでございますから、条約の審議だけを国会にお願いするという結果にはなると思います。しかし、大蔵委員会に法案の形では御審議願わないということになると思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 しかし、条約そのものは単に形式的に締結するだけで、実質上はやはり税制関係ですから、大蔵委員会が審議しなければならない。国際的な問題ですから、一応締結されたものについて、われわれ社会党も大体賛成をしている法案ですから、問題はあるいはないかと思います。問題がなければいいけれども、あとで若干お尋ねしますけれども、やはりいろいろ紛争になる点がある。そういう問題を大蔵委員会に全然付議しないということになると、多少問題が起こってくるのじゃないか。何らかの形でやはり大蔵委員会に関連さしたほうがいいのじゃないかと思いますが、そういう手続上の問題をどういうふうにお考えですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 委員会のいろいろなお考えにもよるかと思いますけれども、今後外務委員会に租税条約のかかります際には、何らかの機会をいただきまして、条約の内容等につきまして御説明をしていただき、また御質疑を受けるということに扱っていただければ、内容が何と申しましても租税問題でございますから、大蔵委員会で全然タッチしないというよりはそうしていただいたほうがいいのではないか、私どももかように思っております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いま主税局長のほうからも話がありましたが、思いつきではなくて、この委員会として、今後条約が締結されて、外務委員会に当該条約案件がかかるならば、その際には必ず大蔵委員会に説明し、報告をする、こういうことを義務づけておいたほうがいいのではないか、あるいは当然ではないかと思います。大臣おいでになりませんが、次官なりあるいは委員長、ひとつ委員会としてそういうことを、これは申し合わせになりますか、きめておいたほうがいいのではないかと思います。

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員長代理 理事会にはかりまして……。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 いま只松先生から御指摘でございますが、大体そんなような慣行になっていくであろう、こういうふうに思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 理事会におはかりになってけっこうでございますけれども、私がいま言ったことをひとつ速記録でお調べいただいて、ぜひそういうふうにするようにしていただきたい。私たちが大蔵委員であろうとなかろうと、こういう法案は今後ずっと続くわけですから、ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。  それから、そういう手続問題を先にもう一つお伺いしておきますが、そういうふうに一本化されてまいりますと、いわば固定税率といいますか、一〇%なら一〇%というきまったものじゃなくて、多少幅のある、主税局長は受け皿と申しましたけれども、結局そういう税率というものがここできめられていく。そうすると国内法における、これは国際的にも当然そうだと思いますが、租税法定主義、こういう面から見るならば、一応それは受け皿としてきまっているわけですから、法律のワクをはみ出すわけじゃないといえばそれまでですが、しかし、ほかの所得税や法人税みたいにきちっときまっているものから見れば、いささか片手落ちといいますか、問題が生じてくるだろう。これも順次聞きますが、外国商社等の税の徴税がきわめて甘い、こういうふうなことが実際はあるわけです。その上にそういう幅を持たせるということになると、よけいいろいろな問題が出てくるのではないかと思いますが、どうですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 条約につきましては、わが国では条約の効力が発生すれば、それは国内法としての法律と同様の効果を持つという前提をとっております。したがいまして、受け皿と私申しましたが、この条約特例法は、その条約に定めました確定税率……   〔私語する者あり〕

渡辺美智雄自由民主党

○渡辺(美)委員長代理 静粛に願います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 確定税率を前提にいたしまして、その確定税率が国内法上の適用税率となるように定めておりますが、条約とこの法律が一体になりまして、租税法律主義の内容を満たしている、かように考えているわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 どうもうしろがやかましくて聞き取れなかったのですが、いまちょっと言いましたから、ついでに言っておきますが、いま税制の問題は非常に大衆化をしてまいりました。しかし、そういう中で、外国法人に対する課税というのはきわめて甘いといいますか、不十分といいますか、こういうようにいわれている。しかし、これは、日本国民とは違う、舶来尊敬の日本国民の甘い考え方、こういうことで表面上ほとんど問題になったことはありませんね。私は前ちょっと一ぺん言ったことがあるような気がしますが、外国法人の日本国内における徴税、課税問題というのは、それほど問題にならなかった。しかし、専門家の間では、とにかくちょっと行って、おれは外国商社だと言ってあれしたり、外国人だと言って英語でも少し使うと、国税庁のほうでも、もういい、よくわかりましたというようなことで、あまり厳重な調査をしない。これは定説になっておりますよ。何なら、専門家といえば税理士さんや何かにそう言って聞いてごらんなさい。少し外国的なにおいさえすれば大体済む。だから、そういうことと関連して、私は頭に思い浮かべていまここで聞いているわけですが、そういう点は、いや内国法人と少しも変わらない、こういうことでございますか。ほんとうは時間があれば、私はいつものように外国法人の調査官の数やら出張日数やら何やら全部お聞きをいたしまして、どの程度皆さん方が把握されているかひとつ聞きたいのですが、きょうはあとが詰まっていてあまり時間がないようですから、お答え方いかんによっては次回にまた聞きますけれども、簡単にその点を聞かせていただきたい。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 先ほど外国法人の数が七百あるということを申し上げたのでありますが、そのうち六百十二が東京局に集中いたしております。ほとんど圧倒的に東京ということができるわけでございます。このような情勢に対処いたしまして、東京国税局の調査部のうちには、特に外国関係の課税調査を専門とする部門を設けまして、そこには英語のたんのうな者を置きまして、鋭意調査に当たっているような状態でございまして、決して外国語が出てくると逃げ腰になるというような状態はないわけでございます。  ただ、外人課税と申しますと、たとえば非常に短期間の滞在者に対する把握が十分であるかというようなことになってまいりますと、事柄の性質上非常に困難な問題があるわけでございます。私どもといたしましても、外人の課税に遺漏のないようにというのは常に心がけておるところでございますけれども、年々調査官の数もふえまして、これの配分につきましても、外国人課税、外国人調査の充実というようなことも一つの柱として検討をしているところでございます。御指摘のような遺憾の点はないと思いますが、さらに将来ともそのような事態がないように格段の努力をいたしたいと考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 何人おいでになって、たとえば東京都でいいますと、大体前は二五%くらいだったですか、四年に一ぺんくらいだったが、いま何年に一ぺんぐらい商社を調べているのですか。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 調査官は、全国で人員にいたしまして、ざっと五十名くらいが外人関係の仕事に従事いたしております。ただ、地方局におきまして、その人員が必ずしも全期間を通じまして外人調査に従事しているわけではございませんので、これを換算いたしますと、四十人くらいになろうかと思います。  それから調査のあれでありますが、外人商社の数が年々ふえておりますことと、それから中身が入れわかる場合が多いものですから、日本の法人のように安定して何年に一回ということで算定するのはなかなか困難でございますけれども、感じで申しまして、おおむね四、五年に一回くらいというところであろうかと思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 一番最初申しましたように、きょうこの問題を詳しく論議しようとは思いませんが、いまのことばの端々にもちょっと出ておるように、きわめてあいまいですね。東京都内で法人の調査が二五%だったのは三、四年前の話で、いま大体三年に一ぺんくらいになっておるのです。それに対比して、外国法人は四、五年に一ぺん、こういうことだ。昔の内国法人よりももっと甘い、こういうことになるんですね。しかし、実際上は内国法人もそれは興ったりつぶれたりいろいろしますけれども、夜逃げしたりよほどのことがない限り、そう行くえ不明はないのです。ところが、外国の場合は、けっこう移動するのも多いのです。したがって、四年たっていなくなれば、極端にいうならば一ぺんも課税されなかった、そういうこともなきにしもあらず、こういうことになるわけです。したがって、少なくとも外国商社は一年おきくらいにすべきだと私は思いますね。そういうことで、とにかく外国商社に対する税の調査、課税というものは甘いのです。だから、ひとつこの機会に、きょうは税制の問題じゃありませんけれども、日本国内の法人と同じように、もう少し厳正な調査をし課税をされることを希望をいたしておきます。  話は多少それましたけれども、事ほどさように、外人関係というのは国際的な関係もありましてなかなか微妙ですし、むずかしいわけですから、先ほど申しました一〇%から幅を持たせる課税、それからそれに対するいろいろな運営というものに対しては、慎重なことはもちろんでございますけれども、あまり国民の不平を買わないように十分ひとつ配慮もしていただきたい、このように思います。  それから、今回こうやって一本化の法案を出されたわけでございますが、先ほど広瀬君も言いましたように、いま日本は一口でいえば中進国家だ、きわめて先進的な面もあるし、後進国的な要素も含んでおる、こういうことをよくいわれるわけです。これだけじゃありませんが、条約等を結ぶ場合に、日本の立場というものはきわめて微妙な面を持っておる。国際会議に出れば、後進的な面を主張して、いろいろ恩恵にあずかろう。アジアに帰ってくれば、アジアの先進国だと盟主みたいな顔をして、ひとつ日本についてこい、こういう顔もする。なかなか皆さん方の使い分けもむずかしいわけです。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 当然にこの条約の場合も、OECDのモデル条約云々と、こういうことになっておりますが、具体的にその国と締結する場合にはなかなか問題が生じてくるわけです。ただ、一般的にいって、今後後進国家とのこういう条約の締結というものが多くなるのじゃないか、いわば日本が先進的な立場に立つ条約の締結というものは多くなると思うのですが、その見通しなり、あるいはそういう面に対するお考えというものをお伺いしたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のように、現在までに主要な先進国とは条約の締結を進めてまいりました。むしろ今後は開発途上国を中心にした租税条約のほうに移らざるを得ないと思います。ただ、この点で御指摘がございましたように、開発途上国はそれぞれの問題をかかえておりますので、従来先進諸国間、つまり同程度の経済条件にある国々の条約を前提としてつくりましたOECDのモデル条約では対処できない面が各国とも生じてきております。昨年国連の経済社会理事会でこの問題を取り上げまして、OECDのモデル条約に相当するような開発途上国間との条約のモデルを検討したらどうかという会議がございました。はたせるかな、その会議では両者間の意見がなかなかまとまりませんで、結局問題点を指摘したにとどまってしまいましたが、今後もその問題が継続していくと思います。もちろんこの租税条約は、それぞれの国の歳入というものも問題になることではございますけれども、事業を行う企業者というものが渉外関係で重い負担を負うために経済交流が妨げられるというのを防ぐというのが第一義だと思います。そういう意味では開発途上国が条約締結によって歳入を失うにいたしましても、それを補うに十分な経済発展というものが、それを通じて起こってくるというところに利便を見出すべきものではございますけれども、その点は理解しながらも、やはりそれぞれの国の条件から申しますと、歳入をできるだけ得たい。それは逆に申しますと、租税条約を通じて、いわば先進国が一部歳入を譲るようなかっこうにもなるわけでございますから、先進諸国間でもお互いにそれを競い合ってしまうことになりますと、全体を通じた租税のあり方がくずれるということもございますので、確かに各国が集まって一つのモデルをつくるということは、非常にいいことだとは思いますけれども、そのモデルを待っておりますと、なかなか条約が進みませんので、やはり各国がそれぞれやっております方向を見つめながら、開発途上国に対する条約のあり方というものをある程度統一的に考えまして、それによって交渉を進めていきたい、かように思っております。  いままで、わが国では開発途上国とかなり多くの条約を結んでおりますが、そういう意味では開発途上国に共通の一つのタイプが漸次でき上がっております。それをあまり逸脱しない線で、条約締結の意義を強調しながら、条約の交渉を進めていくことが必要かと考えておるわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いま言いましたようなことは、アメリカに対しては日本が有利といいますか、有利な立場をいままではうまくやってきた。しかし、後進国中心の条約体制に移っていきますと、これはアメリカに対しても、必ずしも有利ではない。それから後進国家に対しましても、必ずしも有利ではない。したがって、そこの対立点が生じて、どこですか、韓国、フィリピン、台湾ですか、何かまだトラブルが続いておりますね。やはりこういう状態が、アジア各国とも具体的に交渉を進めていく上に出てくるであろう、一般的ないまのようなモデル条約ではどうにもならない、こういうことになる。それから先ほど私が言ったように、条約そのものは外務委員会にかかって、実質上そういう問題を審議する。しかも一〇%の幅をここである程度きめてしまって、いわばあなた方がかってにといっては何ですが、行政機関だけで実質処理をしていくというのは、直接国内法や税のように目に見えるものではないから、国民は関心が薄いし、あるいは目が届かないかもしれぬけれども、しかし国益としてはやはり重要な関係を持ってくると思う。  そういう問題を含んでおるので、手続問題を若干初めにお聞きしたわけですけれども、いまの幾つかのトラブルを起こしておる国家の状況を御報告願って、その上で——そういうものは今後も出てくるだろうと思いますが、そういう予測についてひとつお話を伺っておきたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 先ほど広瀬委員の御質問の中で韓国について申し上げましたが、韓国におきましては、従来経済交流が始まりましてから租税関係がどうなるかということがあいまいでございましたのが、三十九年に初めて遡及課税を行なうということが起こってまいりました。そのために非常に混乱を起こしました。もちろん課税の内容にも、私どもが見ましても問題があるかという点もございますし、租税関係が不明確であるという点が一番通商を行なっていく上には問題があるわけでございますので、その点を中心にして、具体的な課税問題については大使館等を通じて折衝いたし、また、それらの制度を安定させるためには条約を締結するということがどうしても必要だという点から、条約交渉を進めてきたような次第でございます。  同じようなことが実はフィリピンにも起こっておりまして、フィリピンにおきましても、国際運輸課税、船舶輸送による所得の課税問題、それから商社の課税問題につきまして基準が統一していないという点で不安定がございます。そういう面からフィリピンとも条約交渉を進めて、それを通じて問題点を明らかにしながら、実際の課税問題についても具体的な解決がはかれるような方向で交渉を進めております。  インドネシアが昨年、従来課税をしていなかったのを遡及して課税する問題がまた起こってまいりました。インドネシアの税制は一定の認定でできるような税制でございますので、その認定率等についてやはり問題があるというようなところから、これも大使館を中心にして交渉いたしました結果、かなり満足すべき結果が出たわけでございますけれども、しかし、これが永続する可能性というものがまだないわけで、またいつひっくり返るかもわからないということで依然として不安がございます。そういう不安をどうしても条約を締結しないと払拭できませんので、いろいろ困難な問題がございますが、できるだけ交渉に導いていくという努力をしていかなければならないのではないかと思います。  いまのところ、これらの国々で具体的な課税問題については、一応の安定は得てまいっております。しかし、いずれの国も国内情勢というものが、かなりいろいろな問題がございますから、いつ何どきこれがまたくつがかえるかもしれないということを考えると、いま申しましたように、条約締結という方向をできるだけ早くとりたいということで努力をいたしておるわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 資本主義国家間との、あるいはそこの中における個々の会社、これとはいままでの、いわばOECDのモデル条約の形で何とかやっていけはせぬか。しかし、社会主義国家間との間にも順次国際関係が深まる情勢になってきますね。ところが、社会主義国家は個人企業というものを直接認めておらないし、それから国内の税法のあり方というものも資本主義国家の税法、法人の利潤なんというものは認めておらないわけですから、社会主義国家間との、いまクレジットの長期資本の輸出、機械の長期の延べ払い程度ですけれども、もっと別な形には進んでいくだろうと思いますね。そういう場合にほんとうはどういう考えを持っておられるか、若干聞こうと思ったのですが、時間もなくなりましたから伺いませんが、われわれはそれに対する配慮をやはり十分しておく必要があるだろう、そのお考えだけをきょう聞いておきたいと思います。これは政務次官からでも……。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 只松先生の御指摘のように、この租税条約の関係につきましては、相手国その他の税体系あるいは税のあり方というものが非常に大きな土台であることはそのとおりであります。けれども他面、いま御指摘のように一つの通商をする、要するに経済の交流をはかっていくという面からいいますれば、これは租税条約というようなものが好ましい体制であるということも考えられますので、諸般の事情、すべての問題に十分対応し得るような姿勢のもとに常に準備を進めていくという体制でいきたいと思っております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 時間がありませんので、きょうはこれで一応やめますが、最後にひとつ資料をお願いしたいと思います。  現在のわが国の海外投資、それから海外進出に対する各国別の状況といいますか、それを把握されている限りにおける資料をいただきたい。

村井七郎大蔵省国際金融局長

○村井政府委員 どの程度国別に出せるか、地域別まではいまのところ自信はございますが、なお国別までやれるかどうか、私たちちょっと念査いたしまして御連絡いたしたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 田中昭二君。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 この租税条約と国内の法令との関連から、このたびの租税条約特例法はどういう目的でつくられたものか、それをまずお聞きしたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 一般的には条約は国内法と同一の効力を持ちますので、国内法と抵触した分は条約が優先して適用されるという意味では特別の法律を必要としないということになるわけでございます。世界各国でも条約をそのまま国内法として使っておる国がたくさんございます。ただ先ほども御説明いたしましたが、条約の中に確定的な税率を定めずに、一定の税率以下に課税を制限するという条項がございます場合には、その制限の範囲内で国内法としては幾らの税を課するかということが明らかでないという点がございます。これを補足するために、条約の制限税率の範囲内において税率を定めるというのがこの特例法の主たる目的でございます。先ほど申し上げましたが、たとえば制限税率であるという意味から申せば、国内法の税率がそれより高い限りにおいて、その制限税率が有効な税率になるという解釈をとっておる国もあるようでございます。わが国においてはその点法律で明らかにするほうがよりいいのではないかということで、アメリカと条約を結びまして以来この形で個別に特例法をつくってまいりましたが、そういう性質でございますだけに、特例法の内容というものは形式から見るとほとんど同一でございまして、ただ税率だけがそれぞれの国との条約で異なっておるという結果になったわけでございます。  そこで、その基本的な条件としては、制限税率をそのまま国内法の率にするという基本原則が確立している限り、今回法律でいたしましたように、それぞれの条約に定められた税率を限度税率と定義をいたしまして、そして条約が締結されたならばそれに定められた限度税率をもって国内税法上の適用税率とするという一般的な法律をまとめてきめておけば、今後個別に法律は必要でなくなる、それで目的も十分達し得るし、税制の簡素化にも資し得るということになりましたので、従来の特例法を全部統合いたしまして一つの法律にいたしますとともに、今後締結されまする条約はすべてこの特例法によって動いていくという形をとらしていただくように提案をいたしたわけでございます。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 わが国の条約の締結方針ですが、その中で投資所得の制限税率が一五%とか一〇%というようなものをとっておりますが、それはいろんな国別にどういうふうなバラエティーになっておるか、その内容をお聞きしたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この一五%、一〇%と申しますのは、一般の配当についての一五%はOECDのモデルにある税率でございます。親子会社間の税率といたしましてはOECDでは五%にしておりますが、わが国ではこの点を一〇%ということで留保いたしております。それは一つは、わが国では御承知のように配当には軽減税率を使っております関係で、五%にしてしまいますと、源泉徴収税率と法人税率を合わした課税率が一般の法人税率より低くなります。そういたしますと、支店を出した場合に比べて子会社を出した場合のほうが有利になってしまうという結果が出てまいりますので、そこで留保をして一〇%という課税率にいたしておるわけでございます。先進国との間の条約はこの一〇%、一五%でほぼ一貫をいたしております。開発途上国との関係では、たとえばパキスタン、インド等におきましては制限税率の規定を設けませんで、それぞれ国内法どおり、これは先方がどうしても制限税率に応じないというような事情もございますし、そういうことで制限率を置いておりません。それからブラジル、セイロンも同じでございます。それから開発途上国でも、シンガポール、マラヤは同様一五%、一〇%という数字で進んでおります。  それから、利子につきましては大体一〇%で統一をいたしておりますが、カナダが古い条約でございますので、当時日本が一五%を主張していたころの一五%という税率を使っております。これはいずれ改定をしなければならないと思っております。それからパキスタンは利子については制限税率を非常にきらいます。そういうことで三〇%という税率を使っております。それからインド、シンガポール、ニュージーランド、タイ、マラヤ、セイロン、これらはいずれも制限税率を使用することに同意がございません。これについては制限税率を設けずに、それぞれ国内法どおりの課税ということになっております。  それからロイアルティーにつきましても、これはOECDのモデル条約では居住地国課税ということで源泉課税はゼロというたてまえでございますが、これも日本は留保いたしておりまして、一応一〇%という線で進んでおります。先進国との間はいずれも一〇%でございますが、カナダだけは一五%、それから開発途上国のほうは、むしろ日本から技術を導入するという点を考えて、パキスタン、シンガポール、マラヤ等は免税というたてまえをとっております。それからインド、ニュージランド等は制限税率を置かない、国内法どおりということになっております。  これを通じて申しますと、開発途上国についてはそれぞれの国の実情に応じてかなりの差がございます。先進諸国に対してはほぼ同じ、一般配当については一五%、親子会社の場合に一〇%、利子、ロイアルティーについては一〇%ということで従来は一貫してまいりました。ただ将来の問題といたしましては、ロイアルティーについてはすでにOECDのモデル条約でゼロといたしておりますし、利子についてもかなり低い税率を使っている国が多くなってまいりました。将来の問題として日本の今後の技術導入あるいは技術輸出等を考えますと、今後の政策としてこのままでいいかどうかは一つの問題だ、かように考えております。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 この条約を結んでおります国が十七カ国ですか、これに新しいものを入れると二十一カ国になると聞いておりますが、いま先進国と開発途上国とに、制限税率にそういう差がある。その差を設けた理由、それをもう少しわかりやすく具体的に——いまお話しの中にはカナダなんかも入っておりましたが、そういうものに対してはどういうふうになって、具体的に開発途上国に対しては、向こうの事情があるからこうこう、わが国においてはこうこうだからこうなんだ、その点だけでようございますから、少し……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 一般的に申しまして、各国とも同じような立場をとっておりますが、国内の法人、つまり自国の法人あるいは自国居住者については、国内、国外を問わず全所得について課税をするというたてまえです。それから外国の居住者、つまり自分の国にとっては非居住者の場合には、その自国内における活動から生じた所得については課税をする、部分課税をする、こういうたてまえであるわけでございます。その国がお互いに交流をすると、そこに二重課税が起こる。その二重課税を排除していくにつきましては、同じような経済条件の国であれば、極端なことをいえば、居住地主義で一貫すればそれで済むわけです。一つのやり方として、そういう行き方は、お互いに合意ができれば、お互いに本店主義で取り合おうじゃないかということになれば、これは問題は解決してしまう。しかし、やはり自分の国の施設を使っておるということで所得を受けておる場合に、それを非課税にするというのもおかしいということから、今度これはできるだけ所得源泉というものを制限して、明確な源泉のあるところについてはまず源泉国が優先する。しかし、その源泉の範囲をできるだけ制限をして、その制限をした外のものについては居住地主義で課税をするというやり方が、いわばOECDの考え方でございます。その源泉があるもので、源泉地国が優先して課税する場合でも、できるだけ二重課税を排除する意味で源泉地の課税は低く押えるという考え方が、おそらくOECDのモデル条約の基本になっている。ところが開発途上国では、その国の主要な所得の一部に海外からの事業の所得というものが相当大きく入っているという事情がございます。したがって、その所得源泉について相当重く課税しなければ自国の歳入に相当な欠陥が生ずるという事情がございますので、そういう国では、たとえ二重課税が起きても自分のところはできるだけ課税を留保したいという強い欲求がございます。そのために、たとえばいまの投資所得などについては、結局においては投資所得に高く課税をいたしますと、力関係で利子率が高くなってしまうとかあるいはロイアルティーの価格が高くなってしまうという結果で国内の経済にははね返りが起こるかもしれませんけれども、それでも国内の財政収入としてはそのほうが有利であるという判断から、どうしても軽減税率に対して同意しないという傾向が出るわけであります。それが反映いたしまして、開発途上国では投資所得に対する制限税率には一般的にかなり重い国内税率を課しておりますが、これについては軽減税率を渋るということが一般的でございます。これがいわば開発途上国との条約で先進国と非常に違った形をとってしまう原因だと私ども思っております。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 なかなかむずかしくてよくわかりにくいのですが、いわゆる制限税率一五%、一〇%以上としている国、そこを、あとで資料でもいいですから出していただいて、それにちょっと説明を加えていただきたい、こう思っております。  次は、いまの配当の場合の一五%と親子間の一〇%という税率ですが、これはどうも企業だけ優遇しているように私は感ずるのですが、そういうことはございませんか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 これは配当については一般的には一五%でございますけれども、親子会社間については特殊な配慮が必要なわけでございます。つまり子会社をつくるか、支店を進出させるかというのが、これはそれぞれの企業の考え方によって違うわけでございますが、その場合に、子会社を出した場合の負担と支店を出した場合の負担が非常に違うということになると、租税上の問題から子会社形態を選択することが多くなるとか、あるいは支店形態が多くなるとかということが起こるわけです。ですから、条約をつくります場合にも、その親子会社の関係については、支店との均衡をはかるような課税方式をとらなければならない。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 そこでOECDにおいても、親子間の会社については五%の軽減税率を使うのだというモデル条約をつくったわけであります。それによって、支店を出して直接法人税を課せられる場合と、法人税を課せられてそれを配当した場合に、その配当にさらにかかる税率というものをできるだけ少なくして、支店間とのバランスをとろうとしております。ところがわが国の場合は、配当については軽減税率を使っておる。この軽減税率を使っておりますが、国内においては、そのかわりに従来認められた配当控除を軽減税率に相当する分だけ縮減しておりますから、国内に配当する限りは実は特例でも何でもないということになりますけれども、その配当控除や何かの関係のない国外に出ていってしまう配当については、明らかに法人税が低いわけであります。その法人税をいまの二六%にさらに五%程度の課税をしたのでは、支店を直接出してまいりまして日本の一般税率である三五%がかかる場合に比べますと、税金が安くなってしまう。したがいまして親子会社に関しては、わがほうとしては、支店との権衡を考えるという意味では、むしろOECDより重く一〇%の課税をしないと不均衡になるということで、一〇%の課税をしているようなわけでございます。したがいまして、一般の配当と親子間の会社の配当の課税の制限税率が違うというのは、先ほど申したような支店との権衡という関係で出てまいります。わが国がそれがどうしても五%で困るといっている理由は、逆に今度は私どもの国の税率の特殊性ということから出てきているわけであります。かようなことになるわけであります。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 わが国はOECDのモデル条約の制限税率に関してだいぶ留保した点があるようですね。その内容はどういうふうになっておるかということが一点と、それからわが国が西欧諸国と同じくOECDの原則にのっとっていくことが国際協調の実をあげるのじゃないか、このように思うのですが、いかがでしょうか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 確かにOECDのモデル条約というのが各国が集まってつくりました条約でございますだけに、内容も一番統一がとれておるという点は事実でございます。日本でも、このOECDモデル条約ができて以来、できるだけこれに近い形で条約をつくることがいいというふうに考えて、その方向で進んでおりますが、OECDのモデル条約の前提としては、大体経済条件が似通った先進諸国間の条約を考えているわけでございます。そういう意味でなお問題の点がございますので、わが国としても、留保している点があるわけであります。  それは、一つはロイアルティーにつきまして、先ほど申し上げましたように、モデル条約でゼロ、つまり居住地国課税ということで、源泉地では課税をしないというたてまえをとっておりますが、わが国としてはこれはなおまだそこまでいき切れないということで留保いたしまして、一〇%という課税をなお現在は各国間の条約で主張いたしておるわけであります。それから親子会社間の五%というのは、ただいま申し上げましたような理由で留保いたしまして一〇%ということでやっているわけでございます。もちろん今後わが国の経済の伸展状況によりましては、よりOECD条約に近づくということも考えられるわけでございます。いまのところは、大筋はOECD条約にのっとり、一部留保した部分についてはその特別の税率で条約を進めるということによって交渉を進めております。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 今度新しく条約を結ぶ六カ国ですか、これはどことどこですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 現在条約を締結いたしまして御承認を願っておりますのは、オーストラリア、イタリア、ベルギー、アラブ連合、この四カ国、それから、イギリスとインドにつきましては、従来の条約を改定いたしまして、今国会においては六カ国についての条約の御審議を願っている。六カ国でございます。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 先ほどから問題になっておりますが、韓国との租税交渉ですけれども、これは二、三年前からいろいろ懸案になっております。このことについて、主税局長も何回も、前任の局長も行かれたようございますが、その行かれましたときの内容をお聞かせ願えればお願いしたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 現在進行中の条約でございますので、具体的には両国間に問題が起こるかとも思いますので、抽象的に申し上げますと、先ほど申し上げました後進国と申しますか開発途上国の共通の問題でございます歳入の確保という面が韓国では非常に強いという印象を受けております。特に韓国では法人税では、ある年度においては日本商社の課税額が二、三%にのぼるというような程度のウエートを持っております。したがいまして、韓国としては国内法による課税というものを非常に大きく制限する条約には、なかなか同意ができないという事情がございます。韓国の国内法の形は、実は日本の国内法と非常によく似ております。わが国も、条約がなければ相当大幅な課税をやる体制になっているわけでございますが、それは国際的に見れば、その常識からいえば、少し幅が広過ぎるわけで、主要な諸国とは条約を結んでその幅を制限しているわけでございます。そういう意味から申しますと、韓国が国内法どおり課税をすればかなり重い課税になることは、これは事実でございます。しかし、それでは経済交流がうまくいかないし、結果においては、それを見込んだ取引というものが行なわれて、韓国国内の経済に対して、高いコストのものが入ってくるのではないかという点がございます。そういう点からいろいろ相互に交渉をして理解を深めつつあるわけでございます。その点で両者の立場をできるだけ歩み寄らせて、少なくとも無条約の状態よりははるかにいいという結果を得るようにということ、それでなければ条約を締結した意味が両方ございませんから、そういう点で、むしろお互いの立場を明らかにするというようなことにつとめてまいったのが、いままでの数回の交渉でございます。  で、かなりドラフト化も進んでまいりましたので、煮詰まった段階になっておりますが、いつ合意ができるかという点につきましては、私どもまだいまのところ明確な見通しを持たずにおりますが、今月にもまたもう一回交渉をいたしたいということで予定を進めている次第でございます。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 これは韓国はお隣の国で、いろいろ経済交流もございまして問題があると思いますが、その問題を解決せんがために主税局長何回も行かれたわけですから、そういうことこそ私はある程度、こういう状況でございますというようなことを、当委員会並びに理事会等でも話していただくことが、一つの認識を深めることになるのじゃないかと思う。これは参考までに申し上げるのです。  政務次官、この韓国に対する租税の問題ですが、見通しはむずかしいようでございますが、次官としての見通しをひとつ……。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 主税局長から、実は各先生方の御質問につきましていろいろとお答えをいたしております。なお、韓国の租税条約につきましての締結に際しましては、先生も御承知のとおり、できるだけ早目にできることならしたいという考えでございましょうが、しかし、先ほども局長が申し上げておりまするように、いろいろな問題が横たわっておりまするので、こういう問題をも解決をしていく。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 それが次第に煮詰まっていきつつあるかと存じますけれども、現在国家間でやっておることでもございましょうから、心がまえとしましては、先ほど局長が申しましたように、とにかく次第に煮詰めるものは煮詰まりつつあるが、しかし、いまいつこれが締結できるかということはまだ申し上げる段階ではない、こういうふうに申し上げたいと思います。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 次に、これは一般的な風評から申し上げるのでございますが、外国から見れば日本は、外国人が日本に来た場合には税金はないのとひとしいんだ、そういうような感覚であるとかそういう実態であるとかいうことを聞くのです。この租税条約と直接関係はございませんかもしれませんが、いわゆる日本は無税国にひとしいということを聞きますが、これに対する見解を聞きたいと思います。主税局、国税庁のほうから……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 私はよく聞くのは、香港は自由貿易国であって、あそこでは何を買っても安いということはよく聞きますが、日本がそうであるというのはあまり聞いたことがないのです。間接税等につきましても、御承知のとおり外国旅行者につきましては、旅行者免税という制度をつくりまして、外国人の便宜のためにいろいろ免税ショップ等の承認もいたしております。そういう関係では、カメラを買うとかあるいは各種の物品税のついたところの物品を買うのに非常に便宜を与えておることは事実でございますが、これは各国ともやっておることでございますので、おそらくそのことではないと思います。  外国人が来た場合の課税というのが、短期滞在者あるいは芸能人等についての課税問題について、あるいは言われているのかもしれないと思います。この短期滞在者につきましては、現在条約で一般的には百八十三日ルールというのがございまして、その百八十三日ルールの中では、短期滞在であれば課税しない。ただ芸能人に対しては、営業所得についてはこのルールは適用しないということになっておりますから、一応課税をすることにいたしておりますが、この芸能人が来る場合にもいろいろの形態がございまして、往復の旅費とかあるいは宿泊料を負担するだけだというようなことで課税にならないものもございます。実際に課税した例も相当ございますので、私は必ずしも、日本が無税国という評判があることは聞いていないのでございますけれども、そういう点があれば大いに改めていかなければならぬと思っております。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 外人の調査につきましては、先ほども申し上げたところでございますが、東京局に専門の部門を設けまして、課税に遺憾がないように鋭意努力しておるところでございます。法人につきましては、先ほど四、五年に一回の調査ということを申したわけでございます。実は外国法人の特色といたしまして、休業の法人が非常に多いわけでございます。これは休業がはっきり定義づけられませんので、何割ということをちょっと申し上げにくいのですが、感じでお許し願うとして、過半が休業ではないかと思います。そうすると形式的に見まして四、五年に一回ということは、実質的に見ましてそれの半分以下、まあ二年に一回くらいという感じ、実質に動いている法人につきましては二年に一回という感じで調査をいたしております。また個人につきましては、給与所得者は別でございますが、営業所得については五割、その他事業につきましては二割という一般の日本人に比べましてもかなり高い実調率を保持しているところでございます。  ただ御指摘のように、あるいは外人課税の本質といたしまして、短期の滞在者あるいはほんとうの不良外人というようなものにつきましての課税、これはなかなか実行上むずかしい面がございます。それでこれも先ほど申し上げたのですが、調査官がことし三十名ほど増員になりまして、あっちにもこっちにも振り向けたいところはたくさんあるわけでございますけれども、ただいま検討中でございますが、外国人関係も一つの振り向ける候補の一部門として考えておるところでございまして、今後ともさらに遺憾のないように進めてまいりたいと思います。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 いまの主税局長の言われたこともわかるのですけれども、主税局長も東京国税局長で第一線にいらっしゃったのですからおわかりでしょうが、いろいろ陰で聞きますと、外国人の日本の資産を所有している姿というのは大きいのじゃないですか。いま国税庁のほうからも説明がございましたが、これは休業しておると言いますが、休業しておるからあやしいのですよ。逆ですよ。法人でもそれは一ぺん休業してまた始めると新しくなるとか、そういう技術的な問題からいっても、そういう休業しておるようなやつが問題をかかえているんですね。私が一、二聞きましたところでも、これは相当な不良外人ということになるかもしれませんが、相当の日本の資産を有しつつある。そういうことが国内の納税思想というようなものと、それから先ほど言いましたような日本は無税国であるというようなことも、それは局長御存じないと言われたけれども、それはそういうことを書いたものもございますし、よくそこは、ただ法律をつくるということだけの感覚じゃなくて、実際その法律が具体化されてどういう実態になっておるか、日本を守るといいますかそういう立場に立っても悪いところは是正していかなければならぬじゃないか、こういうふうにも思うわけです。  一つお聞きしておきますが、わかりますかどうか知りませんが、大体日本におります外国人というのはどのくらいの国の人がいますか。それから外国人で一番大きい資産を所有しておるのはどのくらいのものなのか。それから先ほど国税庁のほうから発表になりました外国法人の問題にしろ、申告額とその調査した結果というものはわりあい少ないですね。そういうものではないのじゃないか、こう思うのです。国内の法人でも査察調査したものについては三倍も五倍も十倍にもなっておるような法人がたくさんある。そういうものと比較すれば外国法人は少ない。それは全体的な数字ですからそうかもしれません、極端な例をとれば中にはそういうものもあるかもしれませんが、先ほど申し上げました外国人というのはどういう国の人たちがおるか、それから所有資産が一番大きい人はどの程度持っておるか、わかりましたならお答え願いたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 一つ申し上げておきますが、この外国人課税と申します場合は、いわゆる条約あるいは国内法でもそうでございますけれども、外国法人または個人で申しますと、非居住者の課税の部分を外国人課税といっておるわけでございます。そういう意味で数が限られておりますけれども、外国人が国内法人をつくる、あるいは居住者つまり一年以上住所地を持ってここで仕事をしている場合は一般の国内の法人であり、また国内の課税を全く全面的に受けるわけでございます。その点ではあるいは御指摘がありました外国人で税が抜けておるというのも、むしろ国内法人になっておるものにあるのではないかと思います。最近の査察の状況等をごらんになりますと、いわゆるそういう意味の国内法人をつくっておる外国人については相当きびしい課税が行なわれていることも、最近においてはあるということを御承知だと思います。そういう意味で外国人、いま国税庁から統計を申し上げると思いますが、それは外国法人ないしは外国人である非居住者の数字を申し上げることになると思いますから、あらかじめ……。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 御質問の第一点のどんな国の人がいるかということでございますが、この数字の性質を先に申し上げますと、これは税法上の居住者であるとかあるいは非居住者というような区分にかかわらず国籍についてとった統計でございます。ただ韓国人と台湾人につきましてはそのような統計をとっておりませんので、除外したところで申し上げたいと思います。  そこで、昭和四十二年分の所得税につきまして申告書を提出しました者でございますが、これが四千九百六十八名おりまして、そのうち二千五百六十九名がアメリカでございます。ちょうど約半分になるわけです。それからその次がイギリスで五百八十一名、次がインドの三百二十六名、ドイツの二百七十二名というようなところがおもだったところになっております。それから、次にこれを法人関係について見ますと、これは外国法人が七百二ございまして、そのうちアメリカが三百六十三、五一%になっております。それから香港が八十、イギリスが六十六というのがおもだったところであります。  それから、第二点のどのくらいのものが最高額かということにつきましては、ただいまちょっと資料を持っておりませんのでお許しを願いたいと思います。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 それを資料を提出していただけますか、最高十位くらい……。

大島隆夫国税庁調査査察部長

○大島説明員 個別の内容につきましては、公示の制度にひっかかっておるものはよろしゅうございますけれども、その他のものにつきましてはやはり問題があろうかと思います。公示の限度内に入っておりますかどうか、いまちょっと自信がございませんので……。

田中昭二公明党

○田中(昭)委員 けっこうです。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次回は、来たる二十日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十八分散会

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