大蔵委員会 第27号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/05/09
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国税通則法の一部を改正する法律案及び広瀬秀吉君外十一名提出の国税審判法案の両案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 いま議題になっておりますこの国税通則法の一部を改正する法律案は、検討すればするほど問題の多い法律でありまして、私、きょうは一番最初の質問者でもありますので、できるだけ一般的な質問をいたします。しかし、非常に問題が多いし、私のところにまでいろいろな事例を送ってきておることを考えますと、できれば委員長並びに理事の皆さんにお願いをして、一般的な質問が終わったら逐条の御審議をしていただきたいということを冒頭にひとつお願いを申し上げまして、質問に入りたいと思います。 第一に、最近異議の申し立て等が年々増加する傾向にあるやに聞いておりますが、ここ数年間の申し立て件数、並びにそれの税務署の決定を取り消した件数、そのパーセンテージというものをひとつここでお知らせを願いたいと思います。
○亀徳政府委員 お答え申し上げます。 異議申し立て件数のここ五年ほどの趨勢を申し上げますと、三十八年が二万七千四百七十三件、三十九年が二万九千百二十件、四十年が三万二千三百七十七件、四十一年が三万六千六百三十六件、四十二年が三万四千七百七十八件でございます。 なお、ちなみにわかりよくするために三十八年を一〇〇といたしまして指数化いたしますと、三十九年度が一〇六%、四十年度が二八%、四十一年度が一三三%、四十二年度が一二七%、四十二年度が四十一年度より若干低下いたしております。 パーセンテージで申し上げましたほうがよろしいかと思いますが、これは歴年の数字も申し上げましょうか。——三十九年で申しますと、異議申し立てで取り消しまたは変更、ということは納税者の要求が一部通った、ともかく聞かれたという分でございますが、これが五一%、それから却下になりましたものが四%、それから棄却になりましたものが二九%、それから取り下げになりましたものが一六%。それから四十年度が先ほどの取り消しまたは変更が五一%、却下が四%、棄却が二八%、取り下げが一七%。逐次いま言った順序で申します。四十一年度が、四八%、次が四%、棄却が三一%、取り下げが一七%。それから四十二年が、取り消しまたは変更が四七%、却下が五%、棄却が三一%、取り下げが一七%。 おおよそ達観いたしまして、御本人が取り下げられたものが約二〇%弱、それから何らかの形で納税者の主張が通ったというものが約半数あるというふうに御理解願ってけっこうかと存じます。
○阿部(助)委員 年々このように異議の申し立てあるいは審査請求というものが増加の傾向にある。この原因は、どういうことが一番大きな原因になっておるか、どう思われますか。
○亀徳政府委員 先ほどの数字で申し上げましたように、四十一年、四十二年——四十二年は若干減っておりますので、ここで急激に上がっているという感じではございません。しかし、いずれにしろ多数の納税者の方々を相手にしての話でございまして、大体更正の処置をとればやはり異議の申し立てが出てくるというようなことでございまして、若干どうしても私たちの調査と納税者の御主張というものがいろいろな点で食い違うということは、何と申しましても避けがたい一面もあろうかと思います。ただむしろ、その異議の申し立ての件数もそうでございますが、こういった異議の申し立てが出ましたときに、敏速に納税者の事情と私たちの調査した中身とをよく突き合わせまして、やはり極力すみやかに問題を解決していく。そうしてまた端的に、納税者の方の御主張に正しい点があればわれわれもすなおにそれを認めて、すみやかに処理して問題を解決していくという心がまえが非常に大切だ、私はかように考えております。
○阿部(助)委員 問題が出た場合にすみやかに解決する努力、それは当然のことでありますが、私がお伺いしておるのは、このように大きな数字を出しておる、食い違うという原因というものがどこにあるか、こういうお伺いをしておるわけでして、その点での究明をしないと、問題が出ればなるたけ早く解決すると言ったって、これだけ多くの件数をいままで処理せざるを得ないというのはたいへんなことでして、私は、むしろこういう問題があまり出ないような税制、そして徴税というものがより望ましいと思う。そういう点で私はお伺いしておるので、これだけ大きな数、多い不満が出てくるという原因はどうかということをお伺いしておるわけです。
○亀徳政府委員 異議の申し立ての件数がより少なくなるほうがよりよいことは、先生おっしゃるとおりでございます。ただ、この異議の申し立ての中身はいろいろ千差万別でございまして、いまここで大体どういう範疇ということを——これは全部各税にわたった話でございまして、やはり私も極力こういった異議の申し立てが少なくなるような方向で処理したいと思いますが、ただ率直に申して、納税者の方々の中にも十分帳簿を整備しておられない、十分所得の正確さを立証する書面、帳簿その他をそろえておられないというケースもいろいろございますし、また、私たちのほうの調査にもやはり率直に申してミスもございましょうし、まあ極力今後こういうものが少なくなるような税務行政をやはり進めていきたい、かように考えております。
○阿部(助)委員 どうも私は納得できないのです。まあ病気の場合にも、病気になってからできるだけ早くなおすということも大切でありますが、それよりも先に、最近は予防医学というような形で、病気にならないように、初めからこういうトラブルが起きないようにするにはどうしたらいいかということを、それにはどういうところに、これだけの件数が出てくる一番大きな問題は幾つかあろうけれども、どういうこととどういうことがあるのだという検討が国税当局にはないのかということを、私は聞いておるわけです。
○亀徳政府委員 何といいますか行政運用の心がまえにも関連する問題でございますので、そういう角度から申し上げたいと思いますが、そういう見地からいいますと、やはりたとえば所得税で申しますと、いまなかなか帳簿その他が不備な方々もまだなおあるわけでございまして、極力やはり青色申告をされる方々を一そうふやしていく、また局によりましては広島あたりではよく青色学校というようなものをつくりまして、新しく青色申告をすることをすすめる、またその記帳の指導をするということで、極力この青色申告をされる方を片やふやすということに相つとめたい。また同時に、私たちの税務調査といいますか、指導といいますか、これは前回田中先生がいろいろ御質問になりました過程におきまして私もいろいろ御説明したのでございますが、やはり小さい納税者の方々にはなかなかこの税法というものが十分熟知されておらない、十分法律を知らないために受けるべき恩典を受けておられない方もいろいろございますし、だから私たちが単にただ調査をすればいいということでなしに、やはりまじめに申告しようという方々に対しては指導的な立場といいますか、むしろ進んで税法の中身、特典をお教えするというような感じでまじめな納税者の方を一人でもふやしていく。 まあ一番基本は、やはり納税者の方にもちゃんと帳簿をつけていただく、そして青色申告、正しい申告をしていただく、これが申告納税制度の基本でございますし、そういう方々を一そうふやしていく、また、そういう人たちへの指導というものを十分尽くしていくということが基本であろうか、かように考えております。
○阿部(助)委員 長官の話を聞いていますと、帳簿の不備であるとかいろいろ納税者の側にだけ問題を押しつけておるような感じがするわけでありますが、もう一つより大きな問題は、税の公平が期せられておるかどうか、たとえば特別措置があれだけの数を持っておるとかいろいろな点で納税者自身がほんとうに納得し、喜んで納税するという気持ちになれるのかどうかというあたりに、より大きな問題があると思うのでありますが、大蔵省当局ではそういう反省なしに、納税者が帳簿をそろえてないのだとか、あるいはそういう責任を一方的になすりつけていくようなお考えである限り、納税者保護だとかいろいろな美辞麗句を並べられても納税者は納得しないと思う。そういう点で、私はむしろ税法全体の問題ということにもう少し反省がなけば、この不服の問題、トラブルの問題、これは年々ふえるだけだ。皆さん、あるいは納税者の数がふえるからこういう件数もふえるだろう、こうおっしゃるかもわからぬ。それもあるかもわからぬ。だけれども、私がお伺いしておるのは、より根本的な問題として、そういう問題にももう少し真剣に取り組まないと、基本が狂っておったのでは、これは問題の解決にならないのじゃないかという点で、私は少し反省を促しておきたいと思うのであります。 次に、いままで協議団制度というものがあった。それを今度は不服審判所に変えていくということでありますが、変えるには変えるだけの理由と、そうしていままでの協議団制度の反省の上に立ってこれを変えていかれると思う。そういう点で、協議団制度の欠陥というものは一体どこにあったのか、それを今度はどう直すのかというためには、その協議団制度の欠陥というものの反省の上に立たれると思うが、その点をどういうふうにお考えになっておるのかという点をお伺いしたいと思います。
○亀徳政府委員 いまの御質問にお答えする前に、先ほどの点に若干阿部先生誤解をお持ちかと思いますので、その点をまず御説明申し上げたいと思います。 私、先ほど申し上げましたのは、やはりまじめに申告しようとしておられる納税者に対してのお話を申し上げましたので、当然私たちのもう一つの大きな柱といたしまして、意図して脱税しようとしておられる方に対しましては、あくまでも真実をつかむためにあらゆる方策を講じ、努力をしておる。また、それこそがまじめな納税者に対して正しく申告する意欲を高めるゆえんであると信じておるような次第でございます。 そこで、ただいまの先生の御質問でございますが、協議団制度のもとにおきましても、私たち最善の努力を払いまして、納税者の方々のいろいろな不満、問題点を極力そういう制度を通じて解決したいと努力してまいったのでございますが、ただ、いまの協議団制度の仕組みが、やはりこの異議申し立てに対して不満のある方がさらに審査の請求をされるという場合に、審査の請求の決定は、やはり国税局長が持っている。国税局長が審査の決定をする際に、協議団の協議を経て決定をする。したがいまして、協議団が、結局は国税局長の下と申しますか、国税局長の支配下にあるといいますか、やはり税務署長を直接指揮する国税局長の同じく指揮下にある。また、国税局の局長の下に、やはり税務署を直接指揮する直税部なり間税部なりというものが、やはり局長を補佐しておりまして、どうしても原処分庁側といいますか、直税部なり間税部の意見が強くて協議団が押されがちではなかろうかというような一般的な感じ、まあそういう面に対しては、事実極力あまり直税部その他に合い議しないでも簡単なものは済ませるようにという配慮を別途講じてはおりますけれども、何としてもそういう点が、結局同じ穴のムジナということばがよく使われるのでございますが、まあ同じ穴のムジナとも私必ずしも思わないのですが、そういうふうな印象をどうしても持たれがちであったということが、率直にいってあるわけでございます。 そこで、やはり極力そういう点を少しでも少なくしたいということで、むしろ審査の決定権というものを国税局長から切り離しまして、やはり独立のそういう不服の処理機関というものを設けて、それにそういった権限を与えるということがいいのではなかろうかということが考え方の発想でございまして、むしろ国税庁の付属機関として国税不服審判所というものをつくりまして、これが国税局長とは別個に、そういった異議の申し立てに対する処理をいたすということがいいのではなかろうか。いろいろ今度の改正案の中身はございますが、一番大きなポイントはそういうところにあろうかと、かように考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 協議団は、いままで局長の下にあったから独自性がなかった、こうおっしゃるのですね。今度はそれを切り離して独自性を持たせるんだ、こういうお話ですが、これは後ほどまたお伺いしますけれども、必ずしも長官のおっしゃるような形には、これはなっていないのじゃないか。もう少しあれするならば、いままでの協議団のその決定権をもう少し強めたら一体どうなんだろうか、そうすればその点での解決ができるのじゃないかという感じがするのであります。そのためには、独自性という場合には、権限の面、あるいはまた身分保障の問題というような問題が幾つかあろうと思うのです。そういうものを解決しようとしないで、新しくここで発足する理由は、いまのお話ではまことに薄弱であって、どうにもならない。一つも納得させるだけの答弁にはならないと思うのですがね。なぜ協議団の決定権の問題、身分保障の問題というものの解決をしようとなさらなかったのかという点をもう少し詳しく教えてもらいたい。
○亀徳政府委員 先ほど機構的な感じを申し上げましたが、もう一つ補足申し上げたい点は、今回の処理の体制は、一応国税庁の付属機関とはいたしますが、不服審判所長に、いままではすべての判断がやはり国税庁長官の通達で動く、しかしその通達そのものに対する批判なり何なりも不服審判所長でできる、あるいは今後重要な先例になるようなことも国税不服審判所長でできるというふうな考え方もとっておるわけでございます。 それから、現在の協議団は、現在の法制のもとでは、改正しない限りは、国税局長のもとでむしろ局長を補佐するような感じでありますので、独立性を持たすということは、いずれにしろ法改正が必要かと考えるわけでございます。ただ、現在の法制のもとでの協議団に、より力を持たせるということは、実行上実は私たちやっておるような次第でございます。ただ先生の先ほどのお話は、根本問題に触れるかと思いますので、この際御説明いたしておきたいと思います。 こういった制度を考えますときに、大きくいって二つの考え方があろうかと思います。思い切ってこれを司法関係の司法裁判所の系統の中にひとつ取り込んでいくという考え方があろうかと思います。すなわち税務裁判所といいますか、特殊の裁判所をつくる。したがって、完全にその面では行政機関から独立する。しかし、これは憲法改正の問題もございましょうし、なかなか問題が多いのではなかろうか。そうしますと、やはり行政機関の中の一部の、不服の処理機構という範畴の中でどう考えるかということになってこようかと思いますが、そういった範畴での割り切り方としては、実は最大限独立性を持たせるような配慮をいたしておるような次第でございます。
○阿部(助)委員 いまあなたがお話ししたのは、あとでお伺いしますけれども、いままでの協議団の場合でも十分にその活用をするならば、まだまだ納税者の期待にこたえただろうし、当初これをつくられるときの御意図からすれば、もう少し期待を持ち得るような可能性は十分あったと思う。ところが、この協議団の十八年間の歴史というものを振り返ってみますと、協議団の権限をだんだん弱めていくという、むしろ協議団の機能の崩壊の歴史だといっても、これは過言でないのではないか。そうしてそれは同時に、それを崩壊さした張本人はといえば、これは大蔵当局、国税庁当局であるといっても過言でないのではないか。たとえば、その審査をするにしても、一々上のほうにお伺いを立ててみたり、行ったり来たりする。まあ東京の協議団の中では、協議団の方々だけじゃなしに、キャッチボールだと、行ったり来たりして、決定と違うことを出そうとする。判定をしようとすれば、文句がくる。それで行ったり来たりする。大阪では二階と下とかでやって、これが行ったり来たりするものでありますから、エスカレーターであるというようなことばがあるほどに、これは当局、処分庁の干渉が強い。こういうことではほんとうに熱心にその仕事に携わり、納税者の権利を保護しようという立場に立つ人たちにとっては耐えられない場所になるだろうという問題がある。もう一つは身分保障がまことに貧弱である。そうしてこの待遇もまた決して十分であるとはいえないわけであります。こういう問題の処理をいままで怠ってきて、そうしてこれがだめだからということでは、今度できる審判所が今後うまくいくだろうという保証は何もないわけであります。 そういう点で、いままでの協議団の欠陥、なぜこうなったかという問題の検討を十分されたかどうかという点を私はお伺いしておるわけでありまして、こういう点での対策をいままで講じようとしなかったんじゃないかという指摘を私はしておる。その点で御答弁を願いたい。
○亀徳政府委員 おことばを返すようで恐縮でございますが、確かにこの協議団と直税部との間で行ったり来たりがあるという、こういうような具体的な不満なり問題がささやかれておることは事実であります。だからこそ私たちは、極力協議団がある以上は、あまり主管部が干渉することを少なくするようにという指導をやっておりますので、先生のおっしゃいました感じの、だんだん悪くなったというのは、私たちといたしましては若干心外なおことばでございまして、むしろ主管部の干渉する割合を逐次すくなくする方向で内面指導して、最近では主管部に回して審理するという割合を全体の半分くらいに、ほとんどやっていたものを極力半分くらいにむしろ減らして、協議団独自の処理へまかしてしまうという方向に指導していたような状況で、むしろ私たちは——それは個別の話ではいろいろな不満が具体的にありましょうが、こういう計数的に見ました場合に、大きくは協議団の独自の判断を極力認めてやるという方向で指導してきたつもりでございます。 ただ、それでもなお不十分だ、したがって思い切ってここまで——やはり国税局長に協議団を付属さしておるということが、やはりまだまだ半分でも直税部のほうにいく、その間にはやはりいろいろ直税部の、まあ率直にいって強い圧力がある場合もあろうかと思います。ということをより一歩前進させるために今回の改正に踏み切った、かように考えておりますので、非常にぐあい悪くなって急遽あわててこういうことに変えるというものでは決してございませんで、逐次よくなったが、しかし、ここの最終のところはもう一歩やはり大きく踏み切らないといけないということで、税調の御示唆もあり、思い切ってこういうふうに踏み切って処理したい、こう考えている次第でございます。
○阿部(助)委員 あたたはいろいろおっしゃるけれども、ある程度あなたも認めておられるのは、処分庁の干渉があるということだけは認めておられる。ただそれを皆さんはなるたけ少なくしようと努力してきた、こうおっしゃるのだが、事実協議団は弱体化の一途をたどってきたということだけは、これは認めざるを得ないでしょう。
○亀徳政府委員 個々のどういうケースをお聞きになっておるか知りませんが、そういう一つのケースといいますか——全体の動きを見ますと、私さように考えておりません。 それから同時に、やはり一番重要なことは、おそらく人事問題であろうかと思いますが、こういった面で弱くなってはいけないということで、主任協議官とか協議官とかいうところにやはり直税部の有能な者、そういったような者も送り込んで、決して私たちとしては協議団を弱めるというような方向ではございませんで、やはりそこを弱めてはいけないという認識のもとにいろいろ人事その他も配慮しながら努力いたしておるような次第でございます。
○阿部(助)委員 やはり制度というものは、それなりの運営の方法とかいろいろな問題がありませんと、あなたの主観だけではうまくいかない。たとえば、今度は審判所ができる、審判所はこうしたい、こう思っても、それはそれなりの体制をとってやらないと、これはまた協議団と同じような形で弱体化され、問題が出てくるわけであります。 それならば、次の点をお伺いします。協議団はいままでは政令であったけれども、今度は七十八条の五項で、組織運営は省令で定める、こうなっておりますね。政令よりも省令のほうがより皆さんの自由になるということだろうと思うのですが、なぜこれを省令に格下げをしたのですか。
○細見政府委員 お答え申し上げます。 前の協議団令にいろいろ書いてあった事柄、つまり具体的には組織の問題でありますとか、あるいは審判にあたっての手続といったような重要な事柄は、全部ただいま御審議願っておりまする法律に盛り込まれております。その意味では、政令を法律に格上げしたということになっておりまて、したがいまして、残っておる問題、どんなことがかりに考えられるかというのを、この際例示的に申し上げてみますと、たとえば東京とか大阪、名古屋支部には次席の審判官を置こうとか、あるいはまたその場合、次席の審判官は所長を助けていろいろ部内の事務を取り仕切るというような問題とか、あるいはまた支部には管理課と審査官を置いて、管理課は庶務的なことをやる、審査官は審判官の命を受けていろいろと事務をやるというようなこと、あるいは地域を大体現在の国税局の管轄区域と同じにしようとかいうような事柄で、運営、組織に関する事柄の主要なものは法律になっており、そのごく微細な点について省令にまかせていくということであります。また、運営に関しましては、審理、裁決の手続等がすべて詳細に法律に入りましたので、この点につきましてはもうほとんど省令事項はないと思いますが、しいて考えますれば、たとえば過半数の意見で議をきめるというようなことが書いてないといえば書いていないので、省令にでも取り上げるかというようなことがありましょう。 それでは、なぜ従来政令になっておったかということでございますが、協議団令では所掌事務とか調査権限といったようなものが全部政令で定められておりましたので、その関係で規定の斉合性と申しますか、便宜と申しますか、そういう形で政令になっておったのでありますが、それが先ほど申しましたように、重要な事項は法律になり、微細な事項が省令になるというようなことになろうかと思います。
○阿部(助)委員 七十九条では「国税審判官の資格は、政令で定める。」とあるが、この政令の要綱はできておるのですか。
○細見政府委員 お答え申します。 考えられますことは、弁護士、公認会計士、税理士あるいは大学の教授、裁判官といったような国税に関する学識経験を有せられる方、あるいはまた、国税に関する事務に従事しておられた方のうちで適当な方、あるいはまた、こういう直接の資格でないまでも、これらと同等と考えられる方々を選ぶように政令に取り入れたいと考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 先ほどあなたは、政令から法律に大体格上げして、あとたいした問題は残ってないのだ、こうおっしゃるけれども、私はやはりこの「省令で定める。」ということは後退であると思う。そういう点でこれから人の問題というのは非常に重要であります。前に松隈さんがこの委員会で答弁しておられるのを見ましても——ちょっと読んでみます。松隈さんはこう言っておる。この協議団の制度のことですが、「制度というものは、人によって生きもし死にもするわけであります。したがって、協議官の人選が重要であります。最初は国税庁の職員以外からもこれはとり得るということになっておったと思うのでございますが、現実問題といたしますると、給与が安いといい人が来てくれない。やはりりっぱな人が運用しなければ効果があがらない。」こういうふうに言って、いろいろと人の問題の重要なことを強調しておられるのでありますが、まさにそのとおりでありまして、皆さんが七十八条の五項で組織運営は省令で定めるというならば、その省令の骨子、またこの七十九条の資格の問題、いま口頭でおっしゃったけれども、そういうようなものは大体そろえてこの審議の場に出してもらわぬと、私が先ほどから言うように、協議団はだんだん骨抜きになってきたじゃないか。皆さんはそうでないと言われるかもわからぬが、一般の世間はこれを後退してきたと見ているわけであります。そうすればそういうものにこたえて、この審議をする場合には要綱ぐらいはここに示して、そうしてこの法案の審議に入るのが当然のことだろうと思うのですが、その準備はないのですか。
○細見政府委員 おいおいこの審議の過程でいろいろなことを申し上げ、私どもが考えておることも申し上げる機会が多かろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、重要な事柄は大半法律に出ております。いまの資格の問題はわりあい重要なことでございますので、法律で特に「政令で定める。ということで、非常に具体的なことでございますので政令には委任されておりますが、それはあくまでも法律に基づいての政令でございまして、そういう意味で資格なり待遇なりの重要性というものはこの法律では十分考えておるつもりでございます。 そのほかの点で、大体いま申し上げたことに尽きると思いますが、なおございましたら御質問の過程でもお答えいたし、またこういうものが資料として必要だとおっしゃれば、そのつど私どもの考えを申し上げたいと思います。
○只松委員 関連して。いま阿部君が質問をいたしました中で、すでにできておるあるいは間もなくできるものがあるかもしれない政令、省令があれば、ひとつできるだけすみやかに御提出をいただきたいと思います、資料として。 それと、さっき言った中で、不服申し立て等の取り扱いの数、さっきも述べられましたけれども、数字をみんな控えられませんから、ひとつ資料として提出していただきたい。
○亀徳政府委員 ついでに不服——異議の申し立てと審査請求の件数の動き、その中身、さらにそれに不服で出訴した、こういった数字を取りまとめて提出いたします。
○細見政府委員 政令並びに省令の要綱はできておりますので、要綱でよろしければいつでも出せるようになっております。
○阿部(助)委員 それをぜひすみやかに出してもらいたい。本来ならやはり、協議官制度の問題をからめてみても、常識としてそれくらいなものはここへ用意するのがほんとうじゃないですか。この制度ができましても、国税庁に人事権と予算権を持たれておれば、独立なんということは言えない。そういうものであればまた、先ほど局長みずから認められたように同じ穴のムジナだ。それは大ムジナが上におったのではどうしようもないということになるのは当然のことなんです。そういう点で私はすみやかにこれを出していただきたいということを重ねて強く要求しておきます。 次に、私はあまり逐条にわたるつもりじゃなかったのでありますが、基本的な問題をお尋ねするために少し具体的な条文に入ります。八十条で行政不服審査法の第二章第一節から第三節まで、この手続を除くということになっておるのですが、これはどういうわけでここを除くわけですか。
○細見政府委員 納税者の方におわかりやすいようにと思いまして、こちらへ法律を持ってきたから除いたわけでございます。
○阿部(助)委員 もう一ぺん説明してください。
○細見政府委員 たいへん説明がまずくて申しわけございませんでしたが、この事項はこの通則法の中に取り入れてございますので、したがって引用しなくてもよくなった、こういうわけでございます。
○阿部(助)委員 この行政不服審査法の第二章第一節から第三節までを取り入れたというのはどこで取り入れたのですか。具体的にずっとあげてみてください。
○細見政府委員 網羅的にお答えができないのでございますが、時間をかしていただければ網羅的にお答えできますが、たとえば第七十五条から出ておりますいろいろな手続の関係機関の問題、こういうようなものは行政不服審査法の精神をこちらに持ってきて法文化しておるわけでございます。
○阿部(助)委員 私はそれをもう少しお伺いしたい。というのは、取り入れておるからこれを廃止したとおっしゃるけれども、中身は納税者の義務づけを強化したりいろいろやっておられる。これでは納税者の権利保護だなんというよりも国税庁の権限拡大になる。結論としては私はそういう感じがするので、幾つかの問題を聞こうとするのでありますけれども、それでは答弁にはならぬのですよ。私のほうから少し申し上げてもいいのでありますが、もう少しその点を説明のできる方はいないのです。
○早田説明員 お答え申し上げます。 これまで行政不服審査法に不服申し立てに関します基本規定がございまして、それの例外事項、たとえば異議申し立て期間を一カ月にする、これは行政不服審査法は二カ月でございます。これを一カ月にすると申しますように、行政不服審査法に対します例外規定だけがいわゆる特別規定といたしまして国税通則法にあったわけでございます。したがいまして、不服申し立ての手続全般を見ますには、まず行政不服審査法を原則といたしまして、これに通則法に書いてございます特別規定を全部読みませんと、納税者といたしましても不服申し立て手続の全貌がはっきりわからなかったわけでございます。要するに、一般的に行政不服審査法を原則といたしまして、その特別規定だけが国税通則法にあったということでございます。そこで、これは納税者にとりましても、また税に関します不服申し立て手続を見ようとなさる方にとりましても非常に不便でございますので、税務署長の処分があったときに第一次的に異議申し立てをする、それに伴っていかように今度審査請求をするか、その規定を全部国税通則法の第八章、今回改正しようとしております七十五条以下に取り込んで、およそ税に関します異議申し立ては、まず一次的にはだれにせよ、審査請求はどういう場合にはだれにせよという規定を七十五条以下、そこにございます部分ほとんど全部でございますが、こちらのほうに取り込んだわけでございます。 したがって、今回の国税通則法の改正後の姿を見ますと、現在の行政不服審査法とほとんど同趣旨の規定をこちらに全部取り込んでしまった。それから、従前国税通則法にございました、たとえば納税地の異動の場合の特別規定、こういうようなものもしかるべき場所にそのとおり取り込みましたので、今後におきまして納税者が不服審査の手続を見られる場合には、原則としてこの国税通則法を見れば一切の手続が判明するという形にいたすこととしたわけでございます。ただ残っておりますのは、特殊の部分だけ現在の行政不服審査法そのものにのるという形にいたしてございますが、そののります部分は不服申し立ての種類等の総則的な規定でございます。それから不服申し立ての教示あるいは教示がない場合の不服申し立ての手続、これがいまの行政不服審査法の第三章でございますが、こういうような特に取り込むほどのこともない部分は取り残してございます。 それが八十条に書いてございます「第二章第一節から第三節までを除く。」という部分で、この部分だけが行政不服審査法に残りまして、一般の納税者が税に関します不服申し立てをするについて必要な規定は、ほとんどすべて国税通則法に吸収いたしました。その間の整理をいたした条文でございます。
○阿部(助)委員 不服審査法で、三十三条では閲覧する権利がありますね。または「第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。」ということになっておる。これは新しい改正ではどこにあるのです。
○早田説明員 ただいま先生お示しの点は、新しい通則法改正案の第九十六条にございます。第九十六条に「原処分庁からの物件の提出及び閲覧」という規定がございまして、これは現行の行政不服審査法の規定に見合うものでございます。
○阿部(助)委員 それから前の不服審査法での場合においても、たとえば閲覧という場合にも実際はなかなかこの閲覧を許していなかったじゃないか、この点では非常に不満が多いようであります。第三者の利益を害するとかいう問題はとにかくといたしまして、そうでない場合も閲覧をなかなか許していないというようなことをやっておられた。また却下する場合の理由についても、却下をする場合に理由らしい理由はほとんど付していないじゃないかという点で不満がある。これは当然皆さん方のほうからの意見、また不服を申し立てた本人の意見というものが戦わされて、そこで結論が出るのが当然だと思うのでありますが、いままで自体もそういう法律で認めておるところの納税者の権利というものが侵されてきたという、この不満が納税者の側には非常に大きいわけです。 そういう点に対して、なぜ閲覧をある程度制限をし、理由を付すべきにかかわらず理由を付さないできたのかということを考えると、今度の場合もやはり同じようなことになってくるのじゃないかという感じがするのですが、その点はどうです。
○細見政府委員 その条文にもございますように、税の問題は非常にプライベートな、自分に幾ら所得があったとか、あるいはどういう取引があったとかいうようなことが出るわけでございますので、そういうものを第三者にプライバシーを害されないようにある程度制限することはございますが、原則として、審査請求者の正当な主張を裏づけるための資料の調査と申しますか、閲覧ということについて、この法律にもございますように、それを制限するというようなことは今後はないと思います。
○阿部(助)委員 四十一条で規定されておって、「裁決は、書面で行ない、かつ、理由を附し、」こうなっておるのですが、これはいままで理由を付してまいりましたか。
○細見政府委員 裁決そのものにつきましては理由を付しております。
○阿部(助)委員 その理由というのは、原処分の更正額のとおり誤りがないというのは理由ですか。
○細見政府委員 確かめましたところ、理由を書いて処理をしておるというふうに聞いております。
○阿部(助)委員 だからいま私が申し上げたように、原処分の更正額のとおりで誤りがない、これは理由になりますか。この理由というのは一体どういうことをさしておるのか、説明してください。
○細見政府委員 具体的にいろいろな場合がありますので一がいには申せないと思いますが、たとえば納税者側の主張と協議団の判定とが違う場合においては、理由は明らかにしやすいだろうと思います。しかし、協議団の主張が原処分庁の主張とほぼ同じものである、しかもそれが推計課税といったようなものに基づいておるような場合でありますと、特にあらたまった理由というのはなかなか書きにくいこともあろうかと思います。そういう場合は、たとえば原処分庁の推計は正当であるというくらいの理由にしかならない。これは場合によって違いますし、先ほど来長官が申し上げておりますように、方向としてはできるだけ納税者の方々に国税当局の判断の理由、あるいは相手方によく納得していただくための必要な説明というようことはより懇切にいたす方向で努力してまいってきております。ただ、件数も非常に多いものでございますから、一部そういう、理由として少し簡略にすぎるじゃないかというようなものも過去にはあったかと思いますが、そういうものはだんだん減っていく方向にある、かように考えております。
○阿部(助)委員 だから、原処分の更正額のとおりであり誤りがないというのはこれは理由ですかと聞いておるのです。一体こんな理由がありますか。不満だからやったんじゃないですか。
○上村政府委員 いまの点につきましては、これは理由ではないと思います。それは判断の結果であろうというふうに思うのが常識かと思います。ただ、要するに裁判などで原審どおりだというような場合におきましては、その原審の理由を理由として採用しておるという場合もございますので、一がいに理由はないとはちょっと言い切れませんけれども、しかし、いま先生から御指摘の点、それは判断の結果であって理由ということはない、こういうふうに思います。
○阿部(助)委員 次官のお話しのとおりだと思います。裁判で、一級審で判決をした、二級審で原判決のとおりだという場合にはこれはわかります。しかしこの場合は、それで不満だから争っておる。それの一番最初のものが、原処分の更正どおりだからということは、次官も認められるとおり、これは理由にはならない。ところが、現実にこれはこう書いてある。ないなんということはないんですよ。ちゃんとあるのです。これはこうやって幾らでもある。それを、理由を付しておりますとか、閲覧をいままで最大限度許しておりますなどということは、これは少し議員を愚弄するものじゃないですか。事実はあるんです。現に私はこれは幾つか持っておる。そういうものをここでそういう答弁をされるのは、私は委員会を愚弄する、国民を愚弄するものだと思う。そういう点ではもう少しまじめに答弁をしてもらわぬと審議を続けられないじゃないですか。
○細見政府委員 先ほど来政務次官にもお答え願いましたように、いまの阿部先生の事例もありますので、十分中で納税者に納得のいくように指導を、従来もいたしてまいったわけでありますが、多くの中にはあるいは指導が徹底しない事例もあったかと思います。その点はそういうことといたしまして、今回その点を、いままでも行政的にそういう指導をいたしておったわけでありますが、それだけでは不十分であるということも考えまして、八十四条におきまして、それらの点について原処分の一部または全部を維持する場合においても理由をつけるというようなことにして、いま阿部先生から御指摘のあったような事例は今後は根絶を期したいというわけでございます。
○阿部(助)委員 それでは今後はそれに対して理由をきちんと述べるということを約束されたわけですね。これからつけられるということになるならば先へ移りますけれども、いままではどうも推計課税の場合等はほとんどこういう形でやられておるんですよ。これはたまたまあったのじゃないんですよ。そういう点でどうも国税庁のあり方に国民は納得をしない向きがあるわけであります。 次に、八十四条の第一項で、補佐人は許可を要する、許可があった場合に出席することができると、こうあるのでありますが、これは許可する基準というものはどういうものなんです。
○細見政府委員 補佐人ということでございますから、当然本人のいろいろ能力の足らざるところを補うとか、あるいは本人よりもより適切に税務の計算について表現ができるというような方が出てこられることが予想されるわけでありますが、行政不服審査法に規定もございますように、そういうことでなくて本人に陳述を求めたほうがいいというような事例もございますので、そういう場合には許可を要するということにしたわけでございます。
○阿部(助)委員 よくわからぬのですがね。この許可を要するには何か基準があろうかと思うのですが、どういう基準でこれを許可したり不許可にしたりするのかということをお伺いしておるのです。いまの答弁ではさっぱり要領を得ないですね。
○細見政府委員 先ほども申し上げましたよう、に本人に特に陳述を求めたほうがいいというような事態の場合に本人に来てもらって、補佐人でないほうがいいという判断をすることがございます。ただそういう場合は、したがいまして非常に例外的でございますから、原則として補佐人の立ち会いを断わるというようなことは考えておりませんので、ただ審理の進行の過程で、事実問題としてきょうは本人にしてほしいというようなことをいたす、そういう意味で許可ということばがあるわけでございます。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
○阿部(助)委員 そうすると、この許可は原則としては認めるということでございますね。 次に、八十七条の三項に、この後半のほうを読みますが、「同号に規定する理由においては、処分に係る通知書その他の書面により通知されている処分の理由に対する審査請求人の主張が明らかにされていなければならないものとする。」こういうふうになっておりまして、不服審査法の規定からさらに条件がきびしくなっておる、こう解釈せざるを得ないわけでありますが、こうきびしくしなければならないという理由はどういうことです。
○細見政府委員 御承知のように、白色申告者に対しましては、異議の申し立てにかかる決定の段階で理由を明らかにするように、政府側が、国税庁側がいたしておるわけであります。したがいまして、それに対する審査請求でございますから、理由を明らかにできる状態にいわば段階が成熟しておるということを考えまして、事柄が、一般の不服審査の事例以上に、より以上に具体的な資料に基づく判断が要る問題でございますから、そういう意味でこういう規定にいたしておるわけでございます。
○阿部(助)委員 これともう一つ関連をしまして、九十七条の四項の規定とあわせ考えますと、いままでの行政不服審査法の申したての場合と違って非常にむずかしくなっている。大体こういう不服を申し立てたりなんかするのは、大きなところはいろいろな専門家もおりましょうけれども、小さな納税者の場合には、そうむずかしい書類を作成するのはなかなかたいへんであります。そのたいへんな人たちに向けてこうむずかしくいろいろ義務づけをされたのでは、実際は不満があってもなかなか書類が出てこないということになる危険性がある。そういうものを意識してこれを入れておられるのではないかと、こういう疑問を持つわけであります。九十七条の四項とあわせて考えますと、どうもそういう書類を出させる、その理由や何かを突き詰めていけば、それを発展さしていけば、納税者の側に立証責任がかぶさってくるということになりませんか。
○細見政府委員 その点につきまして、この法律では十分意を尽くして規定を設けたつもりでございます。つまり、従来と違いまして白色申告者につきましても、異議の決定の段階で理由を付することにいたしております。従来は、御承知のように青色申告の更正決定に理由がついていただけでありますが、そういう意味におきまして、さらにその決定が不服であるといわれる方は、どの点が、つまり国税当局はどういう理由でどういう決定をしたかということがわかり得る状態になるわけでございます。そこでそれに対して具体的に、おれはここのところがなお不満なんだということをおっしゃっていただきたい、それについてどこが不満であるかというようなことがわからない、その主張を明らかにしていただけないということになれば、これは取り上げようがないから、その部分については主張が採用できませんよといっているだけでございまして、別にこれによって新しく納税者に負担をかけるというようなことはないわけであります。従来の行政不服審査が職権主義でやっております、その基本をとりまして、ただできるだけ相手方の言い分を聞く、争点主義により近い方向で問題を処理しようとしておるわけであります。
○阿部(助)委員 そこをはっきりしておきませんと——これはそうするとあなたの言い分から、いまの説明からまいりますと、立証責任は当人の側にはないということだけは確認しておいていいですね。
○細見政府委員 立証責任の問題でございませんで、このことは非常に当然のことを書いておるわけで、要するに主張の意味があるいは主張の根拠が明らかでないものは取り上げませんよということをいっておるだけでありまして、立証責任につきましては従来と同様、職権主義によりましていやしくも調査にあたって、異議が申し立てられておる限りは、それなりの理由というものを明らかにしてやっていただきたい。その場合税務当局あるいは協議団は、あるいは今度新しくできまする国税不服審判所におきましては、職権主義によりまして申し立て事項に限らず広く調査はいたしますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、従来からありますように納税者に不利な裁決はしないというたてまえは踏襲いたしますので、そういう意味で従来と納税者の立場がこの審判所法案によって変わったということはなくて、むしろ異議申し立てについて、白色申告者についての異議申し立て段階で理由が付されるという形によって、一歩納税者の権利が保障される方向に行った、あるいは少なくともこの審査請求が争点主義によってやりやすい、何が争点だということについて明らかにしやすい状態になったということは言えようかと思います。
○阿部(助)委員 まことに要領よく答弁されますが、それならばいままでの行政不服審査法で不服の場合申し立てるその記載事項と同じにしたところで、何も変わりがないじゃないですか。なぜこの八十七条の三項をわざわざこうやってやらなければならぬのです。これは一方的な判断で受けつけないということになっては納税者保護なんということは言えないじゃないですか。それならばこれは削除したほうがいいじゃないですか。
○早田説明員 ただいま先生御指摘の八十七条の第三項でございますが、これは確かに先生のおっしゃるように審査請求書の記載事項の書き方の問題でございます。八十七条の一項三号に「審査請求の趣旨及び理由」ということが書いてございます。納税者が審査請求されるについて趣旨及び理由、要するに私はどういう点が不服である、なぜであるという理由を書いていただく、ここまではこれまでの行政不服審査法と同様でございます。新たに第三項を設けましたゆえんのものは、審査請求書面の中に、ややもすると課税が不当であるから私はいやだ、それだけで、どこに問題があるかという点がわからない書面が非常にあるわけでございます。これは今回新たに不服審判所ができまして、従前のように非常に税務署なり国税局と近いところではございませんで、一応国税庁に不服審判所が設けられる、そこで納税者と税務署と両方からの意見を十分聞いて判断するというためには、やはり納税者が審査請求をされるに際しては、どこにどういう不服の理由があり、それはどういうことであるということをある程度はっきりさせていただかないと、不服審判所といたしましても税務署あるいは納税者双方の意見を聞きまして審理する際にも支障を来たすわけでございます。したがいまして、審査請求書をお出しになるときには、そういう処分に対して不服申し立てをされる趣旨なり理由というものは、はっきりお書き願いたいということを念のために第三項に書いた問題でございまして、言うなれば新たに三項は設けたと申しますものの、その考え方はこれまでの行政不服審査法と全く変わっていないわけでございます。同時に、この項の規定があるがために、これで証拠資料をあわせて提出せよというような問題ではございません。証拠の問題は証拠で別の問題でございまして、ここは審査請求書の書き方として納税者にどこに不満があるのかということを極力はっきり書いていただきたいという意味で、「明らかにされていなければならないものとする。」という、念のための規定を入れたわけでございます。
○阿部(助)委員 どうも審議のときは大蔵省、うまいことを言うのですが、九十七条の四項を見ますと、「審査請求人等の主張の全部又は一部についてその基礎を明らかにすることが著しく困難になつた場合には、その部分に係る審査請求人等の主張を採用しないことができる。」というような形で、この項目と八十七条の問題等を考えていきますと、どうも納税者に対する義務づけけがだんだん重くなってきてやりにくくなってくる、国税庁のほうはだんだんやりやすくなってくるという不満を持たざるを得ないのでして、こういうふうにやるよりももっと親切に、納税者があらゆる法律がわかっておるわけじゃない。特にこんなこむずかしい税法がわかるわけがない。そういうものをやる場合に、もっと親切にやるということならば話がわかるけれども、だんだんむずかしい法律、税法をつくっておいて、それでむずかしい手続をさせれば、泣き寝入りする以外にないじゃないですか。そういう点で、この法律は全般にわたって、どうも納税者保護なんということは、表面の理由で幾ら述べましても、中を見ると納税者にはきびしくなって、国税庁のほうだけが権限拡大するというふうに、これはどうしても解釈せざるを得ないのですがね。 そういう点で、いままでそれでやってきたのだから、いままでどおりやれないということはないでしょう。なぜ、こんな三項をつけなければいかぬのです。どうもその点、理解ができないのですがね。
○細見政府委員 いままでやってまいりました実務を法文に明らかにしてまいったわけでありまして、いままででありましても、どういう点がお困りなのですか、あるいはどういう点に不服を持っておられるのですかということは必ず聞いてやっておったわけであります。これをより公正に処理するために、その手続を規定として相互に書いたというわけでありまして、従来よりも新しい義務も課さなければ、新しいめんどうな手続を設けたというわけではございません。
○阿部(助)委員 何ぼあなたからその説明を聞いても、めんどうくさいことになったことだけは、これは間違いがないじゃないですか。何もめんどうくさくしたんじゃないとあなたはおっしゃるけれども、皆さんみたいに税法に詳しい専門家とは違うのですよ。その人たちにこういう規定をよけい挿入していけば、それは納税者のほうはめんどうくさくなったということになる、皆さんみたいに専門家じゃないから。これでもあなた、何も負担をかけたんじゃない、こうおっしゃるのですか。
○細見政府委員 負担をかけたことには私どもとしてはならないので、従来、事実上協議団の中において行なっておりましたことを、どういう過程をとって審理をいたしますということを、不服審判所という形で新しい組織ができる機会に明らかにしたわけで、阿部先生もおわかり願えると思いますが、どういう点が不満だあるいは不服だということもなしに裁くということは、これはできないだろうと思います。それは何らかの形でいままでも明らかにしておっていただいたわけで、その事柄を手続規定としてここに法文にあげて、そういうふうにして相互に主張を明らかにしながら、納税者側の主張、それから国税当局側の主張というものを相互に対比させながらより第三者的に判断していこう、その過程、手続というようなものを明らかにしたわけでございまして、これによって新しい義務を課したというより——ただ法文になっておりますのでいかにもいかめしくは見えますが、手続は従来の手続をここにもう一度書いたという域を出ないと私どもは考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 いままでのものをそのまま書いたというなら、八十七条の一項三号の「審査請求の趣旨及び理由」ということで、いままでどおりということならばこれはいままでどおりの規定だけで済ませればいいじゃないですか。あなたの言うのは矛盾しておるのですよ。いままでどおりでございます。こう言っておられるならば、いままでそれでやってきたのだしやれるのだから、いままでどおり、八十七条の一項でいろいろ書いてありますね。「審査請求の趣旨及び理由」というような、大体行政不服審査法と同じいままでの記載要件というものは全部この前に載っておるわけですよ。それをわざわざ項を起こして三項でこういうことを書かねばいかぬ、これは何らかの意図があると見ざるを得ないじゃないですか。何も同じことならばこんなものはやめたほうがいい。法律はいかめしいように見えるなんということをあなたがおっしゃるならば、なおさらこういうものはやめたほうがいい。どうなんです。
○細見政府委員 これは、およそ審査請求をされる場合におきまして、当然に明らかにしなければ審査機関が裁決をするということはできない事柄ばかりでございますので、そういう意味でここに書いておりますが、従来の簡単な規定でありましても、中身はこれらのことを当然に含んでおったものでございます。
○阿部(助)委員 だから、いままでそういうのを含んで「審査請求の趣旨及び理由」というのが載っておるのでしょう。そして今度もまたそれが載っけてある。そのほかにまたこれをつけるということは一体どういうことなんですかということなんですよ。わからないですな、あなたも。
○早田説明員 この三項は、ただいまおっしゃいますとおり、これまでの考え方と別に変わるものではございませんが、先ほど申し上げましたとおり、審判所というものが中に入ってくるという点がいままでと一つ違うわけでございます。それから、やはりいままで審査請求の趣旨や理由が非常にはっきりしないものがあった。そのためにもう一度書類をお返ししてお書き込み願うとか、いろいろ手数もかかっておったわけでございます。これをこの際明文で書きまして、そういう点もはっきりいたしたい。あわせまして、ここで納税者の方が審査請求の趣旨と理由というものを明らかに書いてこられますと、これに対応して今度の制度ではすべて納税者に対しまして処分庁から答弁書が出る形になります。処分庁が答弁書を出しますに際して、やはり納税者のほうでどこに問題があるかということがはっきりしておりませんと、税務署のほうで書きます答弁書自身も非常に抽象的なものにならざるを得ないわけでございます。したがって、この審査請求が出まして、そのあとにおきます不服審査の審理手続を迅速にかつ合理的に行なうために、なるべく納税者も審査請求の趣旨や理由というものははっきり書いていただきたいということを訓示的にここに書いただけでございます。したがいまして、かりに、審査請求の趣旨及び理由を明らかにするものとするということに対しまして、納税者のほうで若干不十分な記載があったといたしましても、それによって直ちに審査請求が却下になるとか棄却になるとかいうものではございません。同時にこの規定は、納税者に対しても、先ほども申し上げましたとおり、証拠書類を出せとかあるいは証拠に見合うような記載をせよということでは毛頭ございません。どこに問題があるかということを納税者のほうもはっきりお書きを願いたいということをここでお願いしたわでございます。 それから、先ほどお話しございました九十七条の第四項との関係でございますが、この九十七条四項とただいまの八十七条の三項というのは関係がないわけでございます。八十七条の三項は、審査請求の記載方法をここで規定しておるだけでございます。九十七条の第四項と申しますものは、それと全然話が違うわけでございます。九十七条に至りますときには、納税者のほうが審査請求書類でなるべく具体的に書いていただく、それに対して答弁書を税務署のほうからも出す、両者お互いにその証拠資料等を出し合うというようなことで、不服審判所が事案を審判するわけでございます。この行政不服審査と申しますものは、証拠の出し方がうまい、あるいはそういう立証技術がうまい、そういうものの巧拙によって税務署が勝ったりあるいは納税者が勝ったりということではいけないのでございまして、これはやはりどこに真実があるかということを十分に発見しなければならない。したがって、審判所としまして、納税者の言っておられることがおかしければ審判所自身が調査するし、あるいはまた税務署側が申しておることがおかしい場合にはやはり審判所自身が自分で調査もするわけでございます。九十七条はその調査権限を規定しておる条でございますが、その場合に、審査請求をされた方が、正当な理由がなくして質問に答えない、あるいは検査に応じない、そういうようなことがありました節は、審査請求された方がその質問に応じないとかあるいは検査を拒否されたという限りにおいて審査請求人の主張を採用しないでよろしい。これも新しい条文でございますが、ものごとの取り運び方としては当然でございます。審査請求をされたときに、一体どこにどうあるんですかということで審判所のほうが調査に参りまして、その調査を拒否された、あるいは答えません、それならば審査請求をされる効果はないわけでございまして、また、それによりましてどこが真実かということがわからなければそれまでであって、その限りにおいて、その部分の納税者の主張は採用しないことがあるということを規定したわけでございます。したがいまして、これは規定はございませんが、考え方はやはりこれもいままでと同様のものでございます。
○阿部(助)委員 ずいぶんあなた一ぱいしゃべったけれども、さっぱりわからない。だからあなたは、これは訓示してみても同じなんだ、いままでと。同じものなんだったら、何でこんなじゃまっけなものを入れるのですか。はっきりしてください。簡単に、そう一ぱいしゃべらぬでもいいです。
○細見政府委員 手続を明らかにすることによりまして、相互に紛議を絶こういうのが考え方でございまして、従来事実上やっておったことが、だんだんと成文化していくといいますか、慣行化していくのに応じまして、それを規定し、そうして協議団に対する従来の不満にかえて、納税者のほうもこの点が不満だということを明らかにしていただき、また白色申告に先ほど申し上げましたように必ず更正の理由を書く、決定の理由を書くというようなことによりまして、そういう義務も国税当局側に課しまして、そういうことによって相互に何が争いであるか、争いをさばくにはお互いに相互の主張を明らかにし合ってやっていく。その過程において、いやおまえのやり方はいいとか悪いとかいうことが起こりませんように、できるだけ詳細な手続規定を書いたわけでございます。 先ほど課長からも申し上げましたように、これは訓示的な規定でございまして、これが一方納税者側に不当な義務を課すことがないということはたびたび申し上げておることでございますし、その運用にあたりましても、法の趣旨を十分生かしながら運用していかなければならないことは、当然考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 でありますから、同じことを繰り返してはいかぬけれども、「審査請求の趣旨及び理由」というものがちゃんとある。それでここへ、三項で明らかでなければならないというこの規定が、訓示的規定だとおっしゃるけれども、これで却下する——それがかりに不備、十分でなくても、却下することはない、こうおっしゃるのですけれども、それならば、この「審査請求の趣旨及び理由」というところをもう少し御指導なされば解決する問題じゃないですか。 それで、あなたおっしゃるように、両方ともが、民事の裁判で、両方の弁護士がそれぞれ趣旨弁明の書類を出す、裁判官が判定するというなら、これは専門家同士でありますから、これはわかるのですよ。だけれども、一般の納税者に、そんな皆さんが希望するように、出てきた書類でぴっしゃりものごとを判断しようなんということは、これはどだい無理なんだ。無理なのは承知の上でここへ入れるとすれば、それは法律としてはおかしなものなんだ。実行できないものは、あまり法律はつくらぬほうがいい。それならば、先ほどの三号の「審査請求の趣旨及び理由」ということで、これをもう少し懇切に御指導なさればそれで済むものではないか。それは何ぼあなたたちがここで説明しても、大半の委員の方は理解できないと思うのです。いまここで課長さんだいぶ苦労して長々と御説明なすったけれども、さっぱりわれわれ納得できない。訓示的規定だということなら初めからやめたほうがいい。その前にちゃんと「審査請求の趣旨及び理由」ということがあるのですから、そこを御指導なすったらどうかということを言っているわけです。
○上村政府委員 いま阿部先生の御質問はごもっともだと思うのであります。 これは実は「審査請求の趣旨及び理由」とある、そしてそれにつきまして第三項は述べております。たとえば第一項第三号における趣旨というものはどうするのか、あるいはそれにある理由というものはどうするか。また、それは明らかにされなければならないものとするというのでありますから、これはもちろんそうあってもなくてもいいものではありません。あってもなくてもいいものであればそれは書かぬでもいいだろう、こういうような御主張はごもっともなんであります。でありますが、この点は御理解を賜わりたいと思いますが、全体的な考え方といたしまして、今度のこの不服審判所というものを設置するというものにつきましては、世論が、要するに従来の協議団では裁決権を持っていない、要するに国税局の付属機関であって、そこにいわゆる裁決権というものは全然ない、執行機関の付属機関になっておる、これでは同じ穴のムジナではないか、だからこれについて非常に不満がある、こういう批判が強くなってきた。もう一つは、一つの執行機関の付属機関でございますので、国税庁の長官から出しておる通達と違反するということはほとんどできない。でございますので、通達どおりにやっていかなければならない。そうすると、結局そこに真の権利救済というものができるのかできないのか。こういう、いろいろな点もございますが、大きな二つの点が世論で批判を受けてきた。それで、政府としましても、税調のほうへも御相談をかけて、税調の御意見というものをしんしゃくいたしまして、今回の法律の改正案を御審議賜わることに相なった。 この動き方からいいますれば、今度のこの趣旨というものにつきましては、裁決権を認めていく、あるいはこの通達と違うということも、従来国税庁長官が出しておった通達と違うことで権利救済をしていく。これはいろいろな手続が一ぱい書いてありますけれども、そういうことで、一つの従来の世論に対しましてこたえていくという道をとった。けれども、先生も御案内のように、それでは、もしそういう趣旨からいうならば、むしろ準司法機関のようにしたほうがいいのじゃないか、こういうような御意見も出てきた。けれども、政府としましては、税調などの御意見が妥当であろうというようなことで、そういう趣旨にした。 こういういきさつを見ますと、従来よりもいわばこの不服審判所というものの権限といいましょうか、それが強くなってきた。要するに、従来よりも司法的といっては語弊がございましょうが、とにかくそういうような従来の裁判制度の原理原則というものをこれに入れようという考え方、だから挙証責任がどちらにあるのかという御論拠にもなるであろうし、また先生も御案内のように、現在司法裁判所におきましても請求の趣旨及び原因とありますが、これは専門家でも請求の趣旨及び原因というものはどの範囲かというのはなかなかむずかしいことで、要は、これこそ、およそ長年の司法制度によりまして判決あるいは判例とかその他学説とかというものが出まして、現実においてはどの程度ということはわかってきておりますが、およそわかりにくい概念であります。けれども、そういうことでございまするので、とにかくその概念を比較的明白にしていくほうがいいじゃないかというものの考え方というものは、私は、決して悪いことじゃない、いいことだと思うのでございます。がしかし、あってもなくてもいいのじゃないか、あってもなくてもいいのならやめておけばいいじゃないか、これはごもっともな意見です。けれども、少なくとも今度の審判所につきまして、従来よりも強い権限を与えるということになりますと、その権利救済の段階におきまして、当事者処分権主義というところまではいきませんけれども、一つの従来の司法部面でとらえておりまするところの権利救済というものを導入していこう、こういうような考え方のもとに、趣旨並びに原因というものにつきましてある程度明白にしてきたものだ、こう思うのでございます。それで、あってもなくてもいいというわけではない。それかといって、この規定を入れたからといって納税者に対して非常に不利というようなものをここでしたというわけでもない、こういうようなことであろうかと思うのでございます。 そういうようなことで、先生が御質問されていることはよくわかるしごもっともなことである。また事務当局がお答えしておるのも、この従来の成り行きというようなものも説明しておりますので、たいへん失礼かと思いますが、申し上げておきたいと思います。
○阿部(助)委員 あってもなくてもいいというのは、私ではなしに、いままでと同じことなんだとおっしゃるから、私はあってもなくてもいいとこう言ったのであって、せっかくの次官の答弁でありますが、どうもやはりこういうふうにやらなくても——いまお話しのとおり、専門家でもなかなかむずかしいものを要求したところでこれは無理だから、これはやめたほうがいいという意思を変えるようなところまで、私はどうも納得ができません。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 おそらく納税者はみんなこれは納得ができないだろうと思います。いずれ、私が皮切りで、これから各委員が質問されることでありましょうから、次の問題に一応移ります。 いまいろいろとわずかな何カ条かを指摘いたしましたが、どうもこういうのを見てまいりますと、先ほど申し上げたように、納税者の権利を守るのだと言うけれども、何か国税庁のほうの一方的な権限の強化にだけこれが利用されていくのじゃないかという疑惑を持つわけであります。いままでは同じ穴のムジナだといわれるが、今度は同じ穴のムジナから脱却しました、こうおっしゃるかもしれぬけれども、依然として人事権であるとかあるいは予算権を持っておられて、しかも同じ国税庁の中に置く機構が、今度は同じ穴のムジナではありませんというようなことを幾らおっしゃってみても、これでは国民は納得をしない。精一ぱい国民の権利——私たちは大体法律というものは国民を縛るためのものではなしに、役人のわがままを規制するために法律が必要だ、こう思っておる。ところが皆さんは、どうも役人に都合のいいような法律をつくる。日本は役人が法律をつくるからけしからぬのであって、役人に都合のいい法律をつくるところに日本は問題があるわけです。どうもそういう点で、皆さんのわがままがだんだん通っていくような気がしてならぬわけであります。 そこで、ひとつお伺いしたいのですが、国税庁は通達をいろいろ出される。公開しておるものもある。しかし、公開されない通達というものが幾つかある。一体この十年なら十年間で国税庁は公開しないところの通達を何本出しましたか。
○亀徳政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの御質問に対してひとつ十分御理解をいただきたい点があるのでございます。一般的に通達と申しましてもいろいろあるわけでございまして、一番国民の納税義務に関係する、いわば税法の解釈通達でございます。これは、もちろん経済事情は千変万化でございまして、しかも同時に、課税の公平、取り扱いの公平を期さなければいけないということで、やはり法律でどうしてもおおい得ない、しかし法律の範囲内ではあるけれども、その取り扱い、考え方を何らか補っていかなければならない、こういった解釈通達を出さなければいけない一面がございます。それからもう一つは、残念ながらいろいろ問題のある納税者の、たとえば脱税がまだまだいろいろあるというようなことで、私たちがいろいろ資料を集めその他をいたしまして、これはまさに国民のある意味においては私たち国税庁に対する強い要求が最近高まっているように思うのでございますが、やはり脱税、正しく申告していない部面を的確に把握していくという面で、実はむしろ私たち執行面でたいへん苦労いたしておるわけでございます。率直に申して、やはりこういう分野に非常に脱税がありそうだ、あるいはこういう点に注意していかなければいかぬといったような執行面の通達——これも大きな税務運営方針といったような全体の考え方は、これは毎年諸先生方にもお配りしておるわけでございますが、具体的なこまかいいわゆる執行面の問題というのは、これは広く公開——たとえばどこそこにこういうことがありそうだというようなこと、また、そういう点に注意しなければいかぬというような内部の執行面の点につきまして、率直に申して、もちろん秘通達があります。これは性格的にそういう性格を持っておるということを申し上げたのでございます。 やはり問題は、納税者の皆さんが申告する、あるいは課税上の問題に関する法律の解釈通達というものにつきましては、これは全部公開いたしておりますし、また最近、法人税の基本通達の改正に関連いたしましても、広く民間の御意見も聞きながらまとめていくという考え方をとっておるような次第でございまして、やはり納税者の方々の具体的な申告なり納税なり、その所得の算定ということに関連する解釈通達は全部公開いたしておるような次第でございます。それで、執行面につきましてそういった分野があるということは、また同時に人事その他についてもいろいろございますが、まあそういう点は十分御理解いただきたい、かように考えるのでございます。
○阿部(助)委員 私は、この十年間に何本そういうものが出たかと、こういうお伺いなんでして、いろいろお話があるわけですが、執行面とこうおっしゃるのですが、執行する場合に、何といっても税金というのは国民の権利義務に関する問題であります。職員に一そう奮励努力せよというくらいの通達ならば、これはようございましょう。しかし、私が存じておるのでも、知っておると知らないで権利に大きな影響を来たすようなもので伏せてあるものもあるようであります。そうすると、どこまでが執行面だけの問題であるのか、国民の権利義務にそれがどこまで影響するものなのかという問題を、通達で役人がかってにやることは、一方これは立法権の侵害になるおそれも十分ある。もしこれがどうしても国民全部に知らせられないというならば、少なくとも秘密会議にでもして大蔵委員ぐらいにはこれは示すべきだと思う。いろいろなこういう不満の問題が出てくるわけでありまして、この通達行政というものに対して国民は非常に不満を持っておるという点で、いままで出した通達は委員に配付しておるように先ほどおっしゃったが、公開していない通達をいままで委員に配付したことはありますか。
○亀徳政府委員 執行面に関する秘の通達につきましてはお許し願いたいと思います。執行の全体の考え方は、いつも運営方針をお渡しいたしております。それから、もっと具体的に申し上げたほうがいいかと思いますが、たとえば法人税の取り扱い通達は全部公開いたしております。公開しておりますから、一般に、全体にこの法人税その他の通達は市販もされておるというような状況で、国民の納税義務、所得の計算、そういったことに関するものは公開いたしております。執行に関するいろいろの内部の問題につきまして網羅的に出せという御要求はお許し願いたいと思います。
○阿部(助)委員 私は、行政当局が立法権を侵すおそれもあるということでこれは申し上げておるのですが、国民にやはり大きな関連のある問題もあろうかと思うのであります。 じゃ一つ具体的にお伺いしますが、これは公開してあるのですかどうですか。たとえばおとうさんの屋敷の中にせがれがうちを建てた。これは親子だから、そうはっきりした貸借関係とか売買契約であるとか、あるいはまた贈与契約だというようなものもあまりはっきりしていない。しかし、これは場合によれば遺産のときにそれを処理するとか、いろいろあろうかと思う。こういうのに対して通達が出ておるのじゃないですか。
○亀徳政府委員 いまおっしゃいました具体的な通達がはたして秘であるかどうか、私いま承知いたしておりませんが、いまお伺いした範囲の話はやはり当然広く納税者の方が知っておかれたほうが公平だろう、かように私は考えます。
○阿部(助)委員 だからこれは公開してあるのですか、この通達は。
○亀徳政府委員 私は公開しておると思っておりますが、いま突然の個別の御質問でございますので、確かめまして御返答させていただきたいと思います。
○阿部(助)委員 たしかこれは公開していないでしょう。だから、こういう知っておらなかったために税金を取り上げられるというのもある。と同時に、またいろいろ問題になっておる通達もある。では、それが行政の行き過ぎであるのかどうかというものはだれが判定をするのです。
○亀徳政府委員 基本的には私は解釈通達は公開すべきものであると考えております。ただいまうしろの直税部長からのあれによりますと、現在はいま言った内容は進んでやはり納税者の方に指導するようにという指導をやっておるという報告を受けております。
○細見政府委員 一言補足申し上げますと、通達そのものについて、内部的に具体的な事例に当たって通達を機械的に適用することが問題があるとか、あるいは通達そのものに、考え方を変えなければならないというような事例が今後出てまいります場合は、いまここで御審議願っております国税不服審判所が国税審査会の議を経ることになっておりますが、長官の指示を受けてこれを改めることができるようになっておりますし、一般的に申し上げれば、なおそうした国税庁がとりました措置について納税者の方として法律の精神に反した取り扱いであるということになれば、これをさばくのはもちろん司法裁判所が法律の原則に基づいて、通達が間違っておるのはこれを改めさせるということになるのは当然だと思います。
○阿部(助)委員 それは裁判所までいけばそのとおりなんですよ。だけれども、われわれ国会議員としての任務はどうなんですか、あってもないでもいいのですか。
○細見政府委員 そこは行政と立法との非常にむずかしいところでございまして、あまり唐突なお答えも適当でないかと思いますし、またしかし、あまりそれは何でもというわけにもまいらないと思います。そこはやはり行政と立法との微妙なところであろうかと思います。
○阿部(助)委員 その微妙なところで国民が泣かされてはかなわぬのでして、だからそういうものはここで、国会には示すのがやはり義務だと私は思う。 もう一つ、それでは具体的にお伺いしますが、三十八年に木村長官時代に、具体的に——私の想像するところもまじえて言います。これはおそらく民商に対する取り締まり関係といいますか、きびしくしろということの方向でとられた通達だろうと思います。しかもこれは皆さんのところの直税部のいま課長をやっておる植松さんという方が受け取った、こう言って、おる。こういうようなものはやはりある意味では弾圧的なものだというふうな受け取り方をしておる方々も多く、やはりいろいろと問題がある。こういうようなものはやはり出すべきだと思うのですが、これは出しますか。
○亀徳政府委員 ただいまおっしゃった点は、むしろ先ほどの私の解釈面の話と執行面の話を分けてお考え願いたいと申し上げました後半の問題でございまして、いろいろ各地の状況は違いますが、われわれがいろいろ調査し、やっておりましたときに、非常に非協力的な事態あるいは調査の激しい妨害、ああいった事態にもぶつかりながら私たちは仕事をしておりますので、そういった面の執行面の通達はまさに公開すべき性格のものではない、かように考えております。しかし、基本的な私たちの姿勢は、あくまでも税務の公正な執行ということを貫きたい、かように考えております。
○阿部(助)委員 これは執行面だからとおっしゃるけれども、やはり国民の権利義務に関する非常に大きな問題は、執行面ということだけでは片づけられない問題があるわけでありまして、私は、ほんとうはこういう通達をここへ全部出してもらわぬと、この審議は進めるわけにいかぬのじゃないか。今度の改正は、先ほど来私、申し上げるように、皆さんは頭のいい人たちで、いろいろうまいことを言っておるけれども、やはりこれは国税庁の取る側の権利権限だけが強化されたというような感じがしますので、もう一度これを最後にお伺いしますが、その前にもう一つお伺いしたいと思います。 法制局の方、来ておりますか。——法制局の方にちょっとお伺いしますが、憲法の三十八条では、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」こうある。刑事訴訟法の百九十八条には「被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」とある。私たち警察へ呼ばれていきましても、警察は黙秘権のことをちゃんと親切に話してくれますが、憲法の規定で認める権利は、税務行政の場合、これは適用しないのですかね。
○荒井政府委員 お答え申し上げます。 憲法三十八条の第一項で、いま述べられましたように、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と規定しておりますのは、司法上の人権保障に関する規定である。そうしてその趣旨は、自己の刑事責任を問われるおそれがある事項について供述を強要されないという趣旨で、刑事責任に関する不利益な供述ということに関する規定だというふうに学説も判例も見ているわけでございます。それは憲法の前後の規定から申しましても、三十三条から四十条に至るものは、逮捕の要件でありますとか、抑留、拘禁に関する規定でありますとか、あるいは住居の不可侵、拷問、残虐刑の禁止、あるいは刑事被告人の権利、あるいは遡及処罰の禁止、あるいは刑事補償というような一連の司法上の人権保障に関する規定だという憲法の規定の配置等の点から見ましても、そういうふうに解されているわけでございます。それで、それはその行政目的を達成するためであって、必ずしもその本人の刑事責任を追求するというための手続でないという、行政の段階で本人に質問をするということについて、この憲法三十八条第一項が、それに対する答弁の拒否というようなものを禁止するというわけではないし、刑事訴訟法の、御指摘になりました百九十八条の規定というものも、刑事手続の場合におけるこの憲法三十八条一項の規定をさらに拡張して立法されたものだといわれておりますけれども、これは行政手続には当然その適用はないものであるというふうに解しております。 それから、税務行政の場合に、そういう質問権の行使についてどのような規定でそういうようなことが担保されているかという点を申し上げますと、たとえば所得税法の二百三十四条の第二項におきまして「前項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」ということをいっているわけでございます。それはすなわち、その本人の刑事責任に関する答弁を求めるとかいうような問題ではなくて、課税なら課税という問題について、正しい法律の執行ができるようにという意味で質問をするという趣旨で、その答弁をもって刑事責任を問うという趣旨のものと解してはならない、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないというふうにいっているわけでございます。国税の場合に、脱税犯でありますとかあるいは手続犯であるとかいうようなものがございますけれども、そういうものは、国税関係の法律の体系のもとにおきましては、国税犯則取締法というもので国税犯則という定義をし、国税犯則取締法第一条の規定によって質問をする、それに基づいて脱税の訴追等を行なうという体系になっております。その場合には、憲法でいいますような自己に不利益な供述を強要するための罰則というようなものはない。先ほども申し上げました所得税法二百三十四条の質問検査権というようなものにつきましては、所得税法の二百四十二条で罰則があるということでございますけれども、国税犯則取締法の規定による質問というものについては、そういう間接強要というようなものはないという体系になっております。
○阿部(助)委員 何かいろいろお話しなすったのだが、これも一般にはわからない御説明でございまして、結論は、刑法上の問題は黙秘権があるけれども、税法上の問題は黙秘権がないということのようでございますね。そうすると税金の問題は殺人犯よりも国民の権利は縮小されている、こういうことになるじゃないですか。学説がどうか、判例がどうか、私知りませんけれども、常識論からいって、殺人、強盗、強姦よりも、この税務署との問題の場合には国民には権利がない、だから税務署のほうは警察や検察庁よりおっかない、こういうことに結論がなってしまいますね。そういうことでございますか。
○荒井政府委員 お答え申し上げます。 いま申し上げましたのは、いわゆる税法上の質問、検査という場合を申し上げましたので、国税犯則取締法の規定による質問、検査というものが行なわれた場合は、自己の刑事責任にかかわる問題の追及がされておるわけでございますから、それについて供述を拒むという理由はあるわけでございます。だから、それは刑事責任を問われるようなそういう不利益な供述を強要することはできないということで、いわゆる税法上の質問、検査というのは、各税法に書いておりますように、犯罪捜査のために行なわれる職権行使ではないのだ、それは正しい法律を執行する、納税義務の実現を期するという行政目的のための調査である、それによって直ちに刑事責任を問うということは、いわゆる各税法上の質問権ではできないわけでございます。それに対して、国犯法上の質問、検査ということになった場合に、供述を拒否するという理由は、もちろん憲法上の根拠に基づいて可能であるわけでございます。
○阿部(助)委員 それでは具体的に聞きますが、百二十六条に「第九十七条第一項第一号若しくは第二項(審理のための質問、検査等)の規定による質問に対して答弁せず、」こういう場合にはあとで「三万円以下の罰金に処する。」ということになっておるのですね。この場合、質問に対して答弁しなかった場合に処罰規定があるんですよ。そうすると、この処罰規定は憲法で保障された黙秘権をこの場合には認めないで処罰するということになってしまう。それは憲法違反ではないのか、こういうことなんです。
○荒井政府委員 今回の国税通則法の一部改正法案で、その百二十六条にただいまお尋ねのような規定がございます。その点につきまして、その「質問に対して答弁せず、」ということに対する罰則があるではないかということでございますが、これは先ほど来まさに私が説明いたしておりますように、そしてまたこの法案の九十八条第五項に書いておりますように、この九十七条第一項に規定しておりますところのこの国税審判官等の権限というのは、犯罪捜査のために認められるものではないので、答弁をしたから本人の刑事責任を追及するというものではないわけでございます。それは国税通則法の法案の九十七条にも国税審判官の職務権限を書いておりますけれども、審判官というものは国税の審査請求にかかる事件の調査及び審理を行なうという職務権限しかございませんし、そしてその審査の裁決というものを、それにあたっても不利益変更ができるものでもありませんから、たとえば本人の脱税に対する刑事責任を追及するというような権限はそもそも持っていないわけでございます。ただ、正しい税法の執行がなされなければならないという観点からこういう職務権限というものが規定されて、それによって正しい税法の実現を期するという、そういう公益的な理由、公共の福祉の要請に基づいて認められる権限を単に行使して、それによってその本人の刑事責任を追及するというようなことはそもそもできない。そういう職務内容の人が行なうもので、それによって脱税の摘発をする、刑事責任を問うということは絶対にあり得ない、そういう意味で、憲法三十八条の問題というものには全くかかわりがないということでございます。
○渡辺(美)委員 ちょっと関連質問いたしますが、いまの法制局の部長のお話だと、刊事責任を追及するものでないから検査あるいは答弁拒否、そういうものについての保護は別にないんだ、こういうようなお話ですね。そうすると、たとえば査察事件の例を一つとってみると、査察事件というのは、大体摘発をして犯則事件として処理するというのが目的ですよ。そうすると査察事件で令状を持って所得税法違反とか、法人税法違反とか、そういうようなことで摘発をしてきたときは検査拒否あるいは答弁拒否、こういうものは罪にならない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○荒井政府委員 それは査察事件としての調査というのは、渡辺先生御承知のように、国税犯則取締法の規定に基づいて行なわれるわけでございますけれども、国税犯則取締法第一条の質問あるいは検査というような権限の行使につきましては、同法には罰則規定はございません。
○渡辺(美)委員 長官にお尋ねいたしますが、査察事件のときに、あなたは不利な供述をしなくてよろしゅうございますというようなことですが、そういうふうなことを査察官なり、その場に当った執行者の官吏が納税者に告知をしてやっておりますか。また、そういうことをやらない場合でも、査察事件等について一切検査拒否あるいは答弁拒否というふうなものは罪にならないというような取り扱いをやっていますか、ちょっとお尋ねします。
○亀徳政府委員 ちょっと私も突然の御質問で、正確を期するために、かつて査察課長をしておりました直税部長をして答弁をいたさせます。
○川村説明員 査察事件の取まとめをいたします場合に、質問てんまつ書をとりますが、そのてんまつをとりますときには、相手方に、自分に不利益なことは供述する必要はない、黙秘権があるということは一応言いました上で質問を続けていくことになっております。
○渡辺(美)委員 てんまつ書をとるのは、相当あとの時期になってとっていることが多いですね。ガサかけたようなときにはそういうようなことを言った話を私は聞いたことないのですよ。ずいぶん査察内容を知っていますが、もしあなたのほうでそういうふうな取り扱いをしておるとすれば、大部分の査察官は通達違反だな。そういう実例がないというならば、たくさんこれはお示ししてもいいのだけれども、これは非常に問題があるところだと私は思います。あいまいなところが非常に多いのです。査察事件をかけた場合は、これは国税犯則取締法でいっているから、それはそういうふうに扱っておると言うが、実態は必ずしもそうじゃない。ところが、査察事件でなくても、法人税法あるいは所得税法違反で令状をもらって捜索した例がたくさんあるのですよ。ないと言うならばそれは実例をお示しいたしますが、そういう場合はやはり査察事件と同じ取り扱いであなた方のほうはおやりになっているわけですね。
○荒井政府委員 ただいまの点は執行の問題でもございますけれども、所得税法の規定に基づいて令状をとるということは、所得税法のどの規定を読みましても書いてございません。令状をとる手続そのものが国税犯則取締法に書いてあるわけでございます。ですから、令状をとって調査といいますか、質問、検査をするという場合におきましては、その国犯法の規定によって、相手方のほうは憲法三十八条第一項の規定によって供述の拒否ということはできるというものの、刑事訴訟法の百九十八条が規定しておりますのは、憲法三十八条の第一項の規定の趣旨をさらに前向きに展開して、その供述の拒否ができることを告知しなければならないということを書いておりますが、これは立法政策の問題といいますか、現行の国税犯則取締法の規定としては設けられていない。しかし、趣旨としてはそういうことをすることが望ましいというのが現在の状況であろうと思います。
○阿部(助)委員 これは問題でありますし、少し残しておきたいと思いますが、もううちの代議士会だそうですから、あとでまた質問さしてもらうことにして、終わります。
○田中委員長 暫時休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後三時五十五分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 金融に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。只松祐治君。
○只松委員 時間がないようでございますから、前置きはやめましてずばりお聞きをいたしたいと思います。 御承知のように、前々から国際的な通貨危機の問題は表面上鎮静したような形に見えておるけれども、これは本質的なものではないということを私たちはたびたび指摘をいたしておりました。また、そういう質問も繰り返していたしてまいっております。しかし、それほどのことはないだろうというような観点から、福田さんも大蔵当局もそういうお答えに終始しておった。しかし再び、というよりもあるいは三たびですか、国際的な通貨危機の問題が生じてまいりました。まあ現状では直接はフランあるいはマルクですから、西独あるいはフランス、個々の国の問題のように見受けられますけれども、決してそうではなくて、ポンドあるいは欧州のEEC諸国の関係あるいはひいてはドルの問題、こういうところまでに波及してくる。そういうことになれば、当然にわが国にもいろいろな影響を及ぼしてくるということが明らかになってまいりました。こういう事態に対して、大蔵大臣はいまどういうふうにこの事態を見ておられるか。まず、その情勢分析と申しますか、ひとつ所見についてお伺いをいたしたい。
○福田国務大臣 どうも他国の経済情勢についてその判断を申し上げるということはきわめてデリケートなことであって、申し上げにくい点が多々あるのでありますが、最近のヨーロッパの通貨不安、これはドゴール大統領の国民投票の敗北によるフランスの通貨不安というところで始まっておるわけです。フランスの状況の推移を注視しておったのでありますが、これがフランスは一応大統領選挙待ちというような形でやや安定をしてきたように見受けられます。かえって非常に安定をしておったドイツに問題が起こってきておるようであります。つまりヨーロッパ全体にわたり何となく巻き起こった通貨不安、その結果マルク買いが起こってきておる。そのマルク買いが非常に多量に行なわれる。その資金がユーロダラーに求められる。そういう関係でユーロダラーの金利が異常な高騰を示し、一〇%近くまでなんなんとしておる、こういうような形勢であり、また一部はポンドの売りというふうになってあらわれておるのであります。 さようなことで、フランは当面平静を取り戻しておるようでありますが、マルクが一体切り上げをしないでいくのか、切り上げが行なわれるのかというのがいま焦点になってきておると見ております。私どもが外部から見ておって、さだかにはわかりません。わかりませんけれども、ドイツの国内においては切り上げを行なうべしという議論、また切り上げをなすべからずという議論、二分をされておる。また、ドイツにおける国論が二分をされておるという点もまたスペキュレーションの種をまき散らしまして、さらにマルクに対する買いが強化されるというような形勢です。いま世界じゅうの金融界は、マルクは一体どういう措置をとられるのであろうか、マルク単独の解決にいくのか、あるいはマルクと並んで他の通貨の切り下げ措置もこれと並行するのかということを見守っておるというのが現状か、こういうふうに見ておるのであります。 情報の伝えるところによると、ドイツのキージンガー首相が、今夕ラジオ放送を通じまして、何か重大な意見の発表をするというようなことがいわれておりますが、どういうことに相なりますか。ただいまのところではそういうことで、私どもはこの通貨問題の動きを注視しておるということでございます。幸いにわが国といたしましては、日本銀行総裁が、BIS、つまり国際決済銀行の定期会合がありまして、それに出席するために過日日本を出発しております。たしかあした会合がスイスのバーゼルにおいて行なわれる。この会合には各国の中央銀行の総裁が参集をするということに相なりますので、これも一つの大きな注目の場である、かように見ておるのであります。 いずれにいたしましても、先進通貨国の一員といたしまして、世界の通貨の動き、これには重大なる関心を持たざるを得ない。いまあらゆる情報を総合しつつ注視しているというのが現状でございます。
○只松委員 まあ他国のことであります。単に金融財政面からだけでなくて、経済全般あるいは基本的には政治問題と関連をしてまいりますから、そう即断はなかなか福田さんといえどもできないと思います。しかし、これの及ぼしてくる影響というのは、必ず日本にも相当大きなものが来ると思います。 それから、たとえばフランの切り下げかどうかは六月一日の大統領選挙、あるいはまたマルクの場合は九月の総選挙、その前後には何らかの決定的な問題が生じてくる、こういうことがいわれております。これも確かなことだろうと思います。ほんとうは、時間があれば、そこいらの問題を論議して、次に問題を進めたいところでありますが、そういう時間がありませんから、次には結論的な面を二、三お聞きいたします。 こういう状態で、何らかの形で大統領選挙後かあるいは西ドイツの総選挙後かその前か、あるいはたとえば今晩どういう発表になりますか、ほんとうは福田さんの今晩発表するのは一体どういうことだろうかという想定もひとつお聞きしたいところですが、そこまでも時間がありませんから、そういういろんな問題が起こってくると仮定いたしまして、為替相場を再調整していく、こういうことはもう絶対に必要なことである。ただ時間の問題として、いつするかということは問題がありましょうが、いわれておるわけであります。福田大蔵大臣といたしましても、この為替相場の再調整、すなわち戦後二十年たつ、IMFができて二十年を経過しておる、その間に敗戦国であった西ドイツあるいは日本、こういう国家が非常な経済成長を遂げてきた、あるいは戦勝国家であったイギリスとかフランスとか、こういう国家というものの経済成長がそれほどではない。いわゆる二十年前と現在とは、世界的に、あるいは欧州だけとってみましても、各国の経済の現状というものはたいへんに異なってきている。それが依然として二十年前のIMF体制のもとにある。当然にこれは一つの問題として為替相場の再調整ということがそういう面からも必要になってくると思います。福田大臣は、そういう点について、いかがお考えでございますか。
○福田国務大臣 私は、現在の世界情勢を見まして、いま大きな声となっておりますのは、通貨不安国が通貨の安定しておるドイツに対しましてマルクの切り上げを要請するというその空気であります。これは私は、理論的に申し上げまして筋がどうも通らないやり方ではないか、そういうふうな感じがいたします。まあ何らかの再調整は必要かもしれません。しれませんけれども、その調整の必要というのは何だ、こう言いますると、不安をかもし出しておるところの国がその姿勢を正すことである。では、だれがいま不安なんだといえば、英国でありまたフランスである。それらの国々が、経済の運営がうまくいってない。その結果、国際収支が非常に窮迫しておる。そういうことから、それらの国の通貨、ポンドなりフランというものが流出する、そして安定した国であるところのドイツに集まる、マルク買いとなる、こういうことなんです。ですから、おくれた学生が優等生に、おまえ勉強やめろ、やめろと言うにひとしいような態度なんです。そうじゃなくて、おくれた学生が一生懸命勉強しましょう、こういう姿勢にならないとこの問題は解決しない。かりに不安定の国が通貨の切り下げを行なう。これは一時はいいですよ。まあ三カ月、あるいは半年、これは輸出に有利な形勢になりましょう。しかしながら、これが長続きしないし、させるためには非常に強力な賃金、物価の抑制の政策というものが並行しなければならぬわけでありますから、これがはたしてできるのかできないのか。できれば不安にならないのか。不安になるゆえんのものはそこに問題がある。それらの国々が、その問題を克服しないで、優等生たるドイツに対して、切り上げをさしてその競争力を押える。これは私は筋が通らない行き方ではあるまいか、そういうふうに思います。 したがいまして、私がどういうふうに考えるかといえば、私の考えは、ドイツのマルクの切り上げなんかを要請すべきものじゃない。不安国、経済通貨の不安をかもし出している国が、まずその姿勢を正すということこそが、この通貨問題の安定をはかるところのきめ手である、それが根本だ、そういうふうに考えておるのでありますが、しかし、政治というものがあり、タイミングというものがありますものですから、現実の動きはどういうふうに発展していくか、これはわかりません。わかりませんが、基本的な考え方としてはそうでなければならない、かたくそう考えております。
○只松委員 私は、一つの基本的な原因はアメリカの経済にあるだろうと思います。いわゆるドルの問題だ。そこまで、これまた時間がありませんからあれですが、それと関連いたしまして、金価格を引き上げるということも当然にいずれの時期か私は問題になってくるだろう、ならざるを得ないと思いますが、その点についていかがお考えになりますか。
○福田国務大臣 金価格は、私は、この際これを変更するということは、かえって通貨不安を激成するというふうに考えます。さようにいたすべきものではない、私どもが意見を求められればそういうふうに答えます。また、当面ですが、金価格を動かすというような動きは私はこれを認めておりません。
○只松委員 そういうことでいろいろ問題があるわけですが、日本への影響はどういうふうにお考えになりますか。 ついでに全部聞いておきますが、円の為替レートの問題もこれは当然に、いますぐじゃありませんが、考えなければならないだろう。その前提とする論拠を申し上げられないのはたいへん残念ですが、そういうこと。 次には、マルク債を発行しようといま日本はいたしております。したがいまして、これがいま発行したがいいか、いつか、マルクが切り上げられるということになれば、そういう時期もいろいろ問題になってくる、こういうことでありますが、こういうことをどういうふうにお考えになるか。やめるか、あるいはそのまま続行するか、そういうことを含んでの日本への影響をどういうふうにお考えになりますか。
○福田国務大臣 わが国といたしましては、まずわが国がマルク債権、マルク債務というものがあります。それへの影響いかん、こういう問頭が第一点であります。マルクについきましては、債務のほうが多いので債権のほうがかなり少ない、こういう状態でありますので、全体といたしますると、マルクの切り上げが行なわれるといたしますと、これはマイナスにそれだけなるわけです。それだけ負担がふえる、こういうことでありますが、しかし、内容を分析してみますると、債権、債務のうちで政府債務、政府債務権、これは大体とんとんで損はありません。ところが、民間の中、長期の債務、これはインパクトローンだとか、いま御指摘のマルク債だとか、そういうものがかなりあります。これが幾らか損失を受ける、こういうことになります。短期債務につきましてはそう心配はない。これは商社が手早く手当てをしておる、こういう状態でございます。 それから第二は、日本の貿易上の見地の問題でありますが、一つは対独貿易、対独輸出はやはりよくなり、また対独輸入はやりにくくなる、こういう結果になりますが、これはいずれにしても額が小さいものですから、そう大きな影響——プラスの影響でございまするけれども、そう大きいものではない、こういうふうに言うことができると思います。 それから、世界市場において先進工業国としてわが国とドイツは競争者の立場にあるわけでありますが、この面においてわが国が多少有利な立場場に立つ、ドイツが日本に比べますと不利な立場に立つ、こういう結果になるわけであります。これはもとよりマルクがはたして切り上げになるのか、ならないのか、いま全然わからないことでありまするけれども、かりに、ほんとうにかりに切り上げになった場合にはそういう影響がある、こういうことであります。 それから、今度は世界通貨全体の調整の中において、わが国の円に対するところの影響はどうかというのですが、これは切り下げ国が出るというふうな場合には、わが国の貿易には、切り下げ国との関係はいまドイツで申し上げたような切り上げとは反対の現象になるわけですが、いま問題になっておる国々は私ども日本としてそう大きな交易状態にもありませんので、私はそう心配することはなかろう、こういうふうに思います。 円の価値、これにどういうふうに影響してくるか、こういうことでございまするが、ドイツが切り上げたというようなことになると、非常に強力な基盤を持った通貨、ドル、マルク、円、この中でドイツが切り上げになるのですから、残るのが今度は円とドルだ、こういうことになり、円はいままでより以上に強い立場に立つ、こういうことになろうかと思います。しかし、さればといって円の切り上げが必要になるかというと、私はそうは考えません。私は、円の価値は現行の三百六十円一ドル、この体制をあくまでも堅持していくという方針でございます。
○只松委員 大臣の時間の関係で全く中途はんぱの質問しかできませんでしたが、国際金融局の人は見えておりますか。——若干補足をしてお尋ねをしておきたいと思います。 いま大臣が答えられた中で、まず最初に戻りますが、事務当局が収集されておるいろんな状況というものを、どういうふうに収集されどういうふうに分析されておるか、いま国際通貨危機、特にマルクとフランを中心とした状況についてお答えをいただきたい。
○奥村説明員 この問題は大臣が先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、問題は経済的な実態、これは非常に長期的なものの見方をした場合には根底にあって、それが動かす要因になると思うのです。ただ御存じのように、いろいろな取引がございまして、中には投機的な取引もございます。中には実利に基づく取引もございますし、これがいろいろなうわさをもとにしまして、現に起こっておるようにマルクを買う、フランを売る、あるいはポンドを売る、こういう形になっておるわけでございまして、きょう、あす、あさって、あるいは一週間という問題につきましては、市場の実勢というものがこれを支配するわけでございます。そういう意味におきまして、軽々しくこの問題について私どもが予断を加えるということは、国際的な問題もあり非常にむずかしい問題だと思います。ただ情勢は、取引の実態から見まして、昨年の十一月の状態に非常によく似ておりますので、時々刻々の動きをよく注視してまいらなければならぬというふうに考えております。
○只松委員 日本はわりあい貿易その他がうまくいっておりますから、それから西欧から距離が離れておりますから、注視しておかなければならないというようなのんきなことが言えると思う。しかし、この問題は決してマルクやフランあるいは西欧だけにとどまる問題ではない。いずれ資本主義体制全般の問題としてこの問題は対処していかなければならない、こういうきわめて資本主義体制そのもの、あるいは直接にはアメリカのベトナム戦争をはじめとするドル信用度の問題、こういう問題が基本に横たわっておるわけであります。こういうことを抜いて、単にフランスやドイツや英国の経済や通貨問題、こういうふうにだけ見ることはできないだろうと思います。ほんとうはそういう問題をどういうふうにあなたのほうで把握され認識されておるか、こういうことをいま聞こうと思っておったわけです。そういう本質的な問題についてどういうふうにお考えになっておるか。 それから、きのうだけで八億ドルくらいマルク買いが行なわれて、しばらくの間で三十億ドルからマルク買いが行なわれておるこういう状態、きょう幾らになっておりますか私たちはまだ知らないわけですが、きょう、あす、あるいは来週とこの状態が続いていくということになれば、これは昨年の三月のゴールドラッシュ前後に世界各国がたいへんあわてていろいろのことをやりましたね。金市場の閉鎖だとかあるいは二重価格制を採用したとかいろんなことをやりました。こういう事態にまで発展しかねないのではないか、こういうふうに思うわけであります。そういうその間の情勢というものをあなたのほうでどういうふうに——いまみたいに抽象的によく注視しておかなければならない、こういうことではなくて、もう少し事務的にでけっこうですからお聞きしたがったんです。わからなければわからないでけっこうでございますが、わかっている範囲内でひとつお答えをいただきたいと思います。
○奥村説明員 昨年の三月と今回との問題、それからドルを含めての世界の主要通貨の問題について御質問があったと思うのですが、私どもは今回の通貨の不安というものはドルとは直接の関係がわりあいに薄い、むしろヨーロッパ通貨、ヨーロッパの数カ国、一、二の通貨の相互間の問題であるというふうに考えております。これは、ことしの相場の状況を見ましても、あるいは金市場の状況を見ましても、おそらく客観的におわかりをいただけることであろうと思います。そういう意味において、ドルの問題には今回は直接及んでおらぬというふうに私どもは考えております。(「大臣の答弁と違うじゃないか」と呼ぶ者あり)
○只松委員 本論は国税通則法があるわけで、その間の質問ですから、私は論争しようとまでは思いませんけれども、いまやじがありましたように、大臣のお答えとも多少違っておるようですし、私たちはそういう認識はしておらない。本質的には資本主義体制の問題としてこれをとらえていかなければ、おととしの十一月にやった、去年の三月にやった、今度また、こうちょいちょいあって、びほう的に問題が処理されてきておりますけれども、それが常に安定したかのようなことをいわれてくると、また混乱をしてくる。おそらく今度ある程度の処置で済むでしょうが、また夏過ぎになりますか、秋になりますか、必ず問題というのは起こってくる。本質的にはおそらく西ドイツの総選挙後にいろいろな問題が起こってくるだろう、こういわれております。そういう中で結局、たとえばマルクを切り上げるとドイツの農村にどういう影響が起こってくる、あるいはフランを切り下げるとフランスの農村にどういう影響が起こってくる、この程度のことは新聞の解説等にも出ておりますから、私がここで言う必要はないと思いますけれども、単に通貨の問題や、その何カ国かの問題だけではなくて、したがってフランを切り下げたり、マルクを切り上げたりすると、農村全般なりあるいは政治の問題にも波及してきますね。それからEEC全体の農業生産の問題なり、あるいはまあフランを切り下げればフランス農村にはインフレが忍び寄るだろう、こういうこともいわれておりますように、全体的な問題として受けとめていかなければならぬ。EEC全体となりますと、これは当然に英国にも問題は波及していく。ポンドに波及してまいりますと、これはドルにも波及していくことは当然で、あなたの言うように、ドルはほとんど影響ないだろうと見るのは私は表面的な見方だろう、早計に過ぎる。きょうは私はそのことを警告といいますか、違うということだけをひとつ言っておきたいと思うのです。日本はいま幸いに好況の中にありますから、あなたみたいな形である程度答弁ができるかと思いますが、ひとつ厳重に注意してこれに対処していかなければならないだろう。そういう観点から、今度は大臣にお聞きしました二つ目の問題の中で、さらに具体的にお伺いいたします。 為替相場の再調整という問題の一つに、変動為替相場を採用する、あるいは現在一%の幅を持っておる為替相場を五%なり一〇%なりに変動を認めて、いまの危機的要素を食いとめていく、いろんなことがいわれたり考えられておるわけでございますが、その再調整をするとしたならば、あるいはしないとしてもそういう中間的なといいますか、そういうものが私は考えられなければならないんではないかと思いますが、そういう点について、どういうふうにお考えになりますか。
○奥村説明員 変動相場制度の議論がもう一年余にわたって議論されておるわけでございます。先ほど大臣が答弁申し上げましたように、為替相場の変更というものは政治的にも非常にむずかしい。御指摘のあったように、一国の経済、農村その他に及ぶまで、一切の経済に影響を及ぼすわけでございますから、経済的にも政治的にも非常にむずかしいわけでございます。そういう中にあって、やはり一番大事なことは、与えられた為替相場をもって経済の節度、これによってうまく運営していくということが大事である、こういう議論があるわけでございます。私どもは過去一ドル三百六十円という相場でもって、今日まで成長政策をとってきたわけでございます。これはやはり国内の経済運営の節度、これに重点を置いてまいったわけでございます。大臣が申しましたように、 一番大切なことは、為替相場の変動を安易にやる、あるいは変動に訴える、変動させるということでなくて、みずから規律ある経済の運営に努力していくということであろうかと思います。 そういう点に立って考えますと、政府ではございませんが、一部学界、アメリカの学界等で主張せられあるいは権威筋において議論せられております変動相場制度というものは、日本として一体どう考えるべきであろうかということになるわけでございますが、私どもは現在ございますIMF体制というものは、平価の上下一%、この中に為替相場の変動を限定する。これを維持するために国内の経済政策というものを運営していくのだ、この考え方がやはり正しい。したがって、五%とか、一〇%とかというふうな為替変動幅の拡大ということは非常に問題がある。経済節度を維持させないというような体制を導き出すところに問題があるというように考えております。こういうふうな議論は一体現実にどういうふうになるか、これからまあ何か機会があるかも存じませんけれども、私どもとしてはそういう制度については賛成をいたしがたいというふうに考えております。
○只松委員 きょうは論争しませんからお聞きだけしておきます。 次に、そういう中で、日本への影響ということから、さらに日本がこういう問題にどういうふうに協力をしていくか、こういう問題が当然に出てくる。あるいは日本が、さっき大蔵大臣が言ったように、ドルもある程度不安ですから、こういう問題が起こってきているわけです。円が相対的に強くなってまいります。そうすると、諸外国から円に対するいろいろな攻撃といいますか、やきもちといいますか、いろいろな問題が提起されてくるだろうといわれております。こういうことに関して、たとえばいまの外貨が、三十二億ドルが三十一億ドルぐらいになったんですか、三十億ドルが多いのか少ないのか、これもいろいろ論議がありました。私たち必ずしも多いという前提に立たないわけです。しかし、これが多過ぎるからというので、少しぐらい減らしたほうがいいんじゃないかという議論が大蔵省内部にもあるといってはなんですが、考え方があるやに聞いております。そういうことで、対外援助のワクを広げていくとかいろいろなことを大蔵当局でも考えられておるやに聞いておりますけれども、こういうことを含んで、この問題にどう対処していくか、あるいは直接には対外的にこういう問題で協力していくということのために、日本はどういう施策を行なっていくか、目下検討中であるか、あるいはある程度の案があるならばひとつお示しをいただきたいと思います。
○奥村説明員 まず最初に御質問がありました通貨不安あるいは赤字国、こういうものを助けるための協力の問題でございますが、これはやはり私どもは、現在の主要国際通貨を安定させるためには、できるだけの協力をしてまいりたいという考え方で現在まで臨んでまいりましたし、これから先もそういう考えでおるわけであります。フランスに対しましても、昨年二十億ドルの中央銀行借款の成立いたしましたときに、私どものほうは五千万ドルというものを中央銀行からフランスに供与することにしたわけであります。その中でまだほとんど使われていなかったというのが最近までの状況でございます。 次に、協力だけではやはり問題があるのでございまして、各国の経済節度というものをさらに進めてもらうように私どもはあらゆる機会に提案をしなければいかぬ、そういう主張をしなければいかぬということで今日まで臨んでまいりました。フランスもイギリスも、その点については十分な努力を今日まで続けてきたと私どもは考えております。また、アメリカも最近はそういう努力を続けてきたわけであります。先ほどユーロダラーのお話が出たわけでありますが、ユーロダラーの金利が上がりましたのは、やはりアメリカの国内における財政金融政策の引き締めというものがああいう形をとってヨーロッパにあるドルをアメリカに吸引したわけでございまして、もしもアメリカが経済政策を引き締めなければ、ユーロダラーは一〇%になるというような状態にはなかったであろうと思います。 次に、円の切り上げの問題についてお触れになったわけでありますが、私どもは円がこれからますます強くなるということを期待しているのでありますけれども、やはり日本としては、外資導入を考える際におきましても、あるいは輸入の自由化を考える際におきましても、まだいろいろと問題があるわけであります。そういう際に、外貨準備がある程度たまったからということでいい気持ちになるというような状態ではございません。一ドル三百六十円というものは、大臣が申しましたように堅持をしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。 次に、大蔵省は外貨を減らしたほうがいいと思っているかという御質問があったわけでありますが、私どもは昨年から、外貨準備というものを国民の皆さま方に見ていただきます場合に、外貨準備というのは最も流動性ある国の短期債権でございますが、これを考える際には銀行の持っております短期債務、債権もございますので、銀行の持っております正味の短期債務というものとあわせて見ていただこうではないか。もっと具体的に申し上げますれば、外為会計とかなんとかという政府の中央準備というものは幾らふえましても、銀行のほうで債務がふえていけばこれは意味がない。現在の経常収支の好調というものを前提といたしまして、やはり日本としてはこういう際には債務を減らしていく、一方では外貨がふえる要因もございましょうが、債務を減らしていく、あわせてみまして日本の資産、負債状態が健全になるように持っていきたいというのが私どもの気持ちでございます。 国際経済は黒字国と赤字国と両方から成り立つものでございますので、そういう大きな立場から見れば、日本が外貨をむやみにため込む、ものすごいスピードで外貨をため込むということは、やはり赤字国にとっては赤字国の赤字をふやす、あるいはよくしない要因になるかと思いますが、私どもは、現在の貿易規模から見まして日本の外貨準備はそれほど多過ぎるものではないと思っておるわけであります。ただ、スピードがあまり大き過ぎる、あるいは借り入れ金によって日本の外貨準備がふえるということについては、これは全体のバランスシートを見ながらどっちに持っていくかということをよく考えなければいかぬ。外貨がふえたので外国にどんどん投資していってもいいとか、この際無理やりにでも外貨を消費したほうがいいとか、こういうような考えは毛頭私どもは持っておりませんので、こういうふうな状況、今後変動する世界経済の前途というものによく思いをめぐらしまして、いかにして日本経済を外貨面からして安定した状態に持っていくかということにいろいろと腐心をしているわけであります。
○只松委員 これで質問を終わりますが、期せずして大蔵大臣もあなたも、各国の経済節度、そのことは当然に賃金や何かその他にも全部及んでいくわけですが、緊縮財政、そういうことを要請されておる。そういうことになれば勢い貿易の縮小過程といいますか、そういう点も通らざるを得ない、そういう方向に向いていく、アメリカにもそういう方向がなきにしもあらずであろう、そういうことになれば日本の貿易も決して楽観は許されない。こういう事態に私は貿易面一つとってみても、この通貨危機の現象というのは日本におそかれ早かれ影響を及ぼしてくるだろうと思う。したがいまして、これは決して遠い西欧やあるいは他山の石ではなくて、日本も真剣にこの問題に取り組まなければならぬ、こういうふうに思います。大蔵大臣は帰られましたけれども、ひとつ大蔵省当局の皆さん方も、あまり対岸の火災視したり、抽象的に見ないでもう少し真剣に——そういってはなんですが、フランス、西ドイツは上を下への大騒ぎで真剣に取り組んでいるんですね。近隣のEEC諸国あるいは英国、アメリカあたりも一生懸命になっている。日本の大蔵省として私は少しのんき過ぎると思うのです。だからもう少し真剣に取り組まれるよう要望いたします。 大臣がおりませんから次官からでもお答えをいただいて、一応私の質問を終わりたいと思います。
○上村政府委員 いま只松先生からいろいろの御指摘がございました。先ほど大臣から、あるいは次長からいろいろと御答弁を申し上げておりますが、一そう注意をいたしましてやっていきたい、こう思います。 ————◇—————
○田中委員長 引き続き、国税通則法の一部を改正する法律案及び国税審判法案についての質疑を続行いたします。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 先ほどお昼ではんぱになりましたが、法制局にお伺いした件であります。 この百二十六条の「質問に対して答弁せず、」こういう場合に罰則を付してあるわけでありますが、私はこれはやはり憲法上問題があると思うのですが、国税庁当局としてはどういうお考えでこれを入れられたわけですか。
○吉國(二)政府委員 ただいまの各種の税法におきましては、納税者あるいは利害関係人に対して質問、検査が行なわれた場合に、これを拒否した場合に罰金の定めがあることは御承知のとおりであります。これは現在の税制におきましては申告納税がたてまえでございます。国民としては納税の義務を負っているわけでございます。納税の義務を果たすためには、当然にその基礎となるべき帳簿書類等についての記録が必要であり、またこれを検査するということがなければ、申告納税の担保とすることができないわけでございます。そういう意味で質問、検査という権限を税務官庁に認めているわけでございますが、同時に、それを拒んだ場合、国民の納税の義務から発するものとしてこれに対して罰則を科しておるというのがたてまえでございます。 従来の協議団の制度におきましては、協議団も一般の税務官吏と同様でございますので、検査拒否あるいは質問に対する拒否というものについての罰則は同様に適用があったわけでございます。今回の不服審判所を設けました場合の審判官は従来の税務官吏と性格を異にいたしますので、これにつきましては一般税法の質問、検査権並びに罰則の適用はございません。また、これは前に御質問があったかと思いますけれども、国税不服審判所というものが権利救済の制度ではございますけれども、行政の段階において権利救済を行なうというものではございますので、本質的には各国と同様に真実を発見するという職権主義を基礎にいたしております。したがいまして、従来の協議団の場合と同様に、真実の発見のための調査、検査を行なう必要がございます。この場合にその質問、検査に対する応答については同様な拘束がなければその実効が果たせないわけでございます。ただし、今度の審判所で違うところは、本来は不服を申し立てた者が権利者でありますから、不服申し立て人自身が質問、検査を拒否したり、あるいはこれを避けたりいたしました場合には罰則の適用はいたしませんで、ただその主張するところがいれられないというにとどまるわけでございます。このことは不服申し立て人と同じような地位を持つ不服申し立て人の親族あるいは使用人等についても同様でございますが、不服申し立人と関係のある利害関係人の立場になりますと、これは一般の調査の場合と全く同様でございますので、これにつきましては一般の税法と同様の罰則を設ける必要があるわけでございます。そういう趣旨でこの罰則は設けられているわけです。
○阿部(助)委員 吉國さん、先ほど私の質問のときにおられなかったので話を聞いておらぬのじゃないですか。百二十六条にこういう「質問に対して答弁せず、」という場合、罰金の規定がある。憲法でも刑法の場合においても黙否権というものがあり、刑事訴訟法でも私たちが警察へつかまっていっても警察官がちゃんと教えてくれる。さっきも話したけれども、不利になることは言わぬでもいいですよと言う。あなたのいまの説明からいきますと、真実を発見するためにはやむを得ぬのだ、それならば普通の裁判所は真実を発見しないでもいいのですか。
○吉國(二)政府委員 現在の黙否権は刑事被告人と申しますか被疑者に対してその人権を擁護するために設けられておる規定でございます。一般に税務の調査というものは被疑者を調査するものではなくて、一般の一種の公務の執行でございまして、この公務執行に対する不協力というところから出てくるわけでございます。いわゆる刑事上の罰則とは、刑事上の黙否権に関するものとは性質を異にしているわけでございます。
○阿部(助)委員 刑事上だ行政上だと言っているけれども、受ける本人が罰金を取られるという点ではそう変りはない。これはやっぱり被害なんですよ。本人の不利になることなんです。それで大体憲法が新憲法になったけれども、刑法は改正されても税法は改正されていない、古い考えで、古い税法で取っておるのじゃないですか。したがって大蔵当局、税務当局、やっぱりこれは前の旧憲法時代の頭でものを考えておるのじゃないかと思うのです。なぜ新しくこんなものをここへ挿入したのか、殺人罪よりも普通の納税者のほうが残酷に取り扱われるなんていうのは、これはどうしても理解できないのですがね。刑事上の犯人よりもこっちのほうが重く残酷に取り扱われるという点は、私は納得できない。真実の発見というのは裁判所だって真実の発見ですよ。真実を発見しようとしてつとめておる。なおかつ人権を擁護しなければいかぬということで、あの憲法の規定が設けられておるわけでしょう。それにこの納税者の権利を拡充するとか、保障するとかいう先ほど来のお話がありますけれども、この一事もってしても皆さんの考えは今度の改正は全く改悪であって、納税者の権利をますます縮小して税務当局の権限を拡大するのだ、こう私は言っておるわけですが、この規定はまさにその代表じゃないかという感じがするわけです。
○吉國(二)政府委員 ただいま申し上げましたように、この規定が改悪でないことは、現在の協議団の制度においてもこの罰則の規定は適用があることからも明らかであると思います。被疑者についてはあくまでも、刑事被告人になっても、最後まで判決があるまでは無罪の推定をしておくというのがいまの憲法の考えであると思いますし、また、従来のいわゆる糺問主義的な手続に対して被疑者を保護するという考え方からできておるものだと思いますが、納税の義務並びに申告納税というものにつきましては本来その資料を秘匿すべき理由がないわけであります。もしこのような罰則を設けないということになれば、現在しきりに問題になっておりますサラリーマンと一般納税者との不均衡を是正することは困難になるわけでございます。やはり真実の帳簿その他を提示するというところに申告納税の義務は確立されているものと考えられるわけでございます。それを怠った場合に罰則があるということは、これはどこの国でも同じことでございますし、また、現在提出されております国税審判法におきましても同様に罰則の規定があることは御承知のとおりでございます。
○阿部(助)委員 それは罰則があるのですか、何条ですか。
○吉國(二)政府委員 第四章罰則、第五十七条に書いてございます。
○阿部(助)委員 どの法律ですか。
○吉國(二)政府委員 これは国税審判法でございます。
○阿部(助)委員 協議団の罰則は違う……。
○吉國(二)政府委員 協議団は税務官吏としての地位を持っておりますので、各税法の罰則が適用になるわけでございます。
○阿部(助)委員 どうもあなたの答弁はよくわからない。こういう罰則ではなしに、権利を認めないということでここは十分なのではないですか。
○吉國(二)政府委員 ただいま御説明申し上げましたとおり、不服申し立てを行なっている者並びにその親族、その使用人等は罰則の適用はございませんで、これにつきましてはその拒否を行なった場合にはその主張をいずれに裁決をすることができるということになっているだけでございます。この罰則はつまり不服申し立て人の相手方その他の関係者が帳簿、記録等の提示を拒んだというような場合に適用があるわけでございます。
○阿部(助)委員 刑法と行政執行の場合と違うような話を先ほども法制局の方もされたわけでありますが、この質問は一応これでとめますけれども、私はこれはやはり納得ができないですね。殺人犯であろうと何であろうと、刑事上の問題ですら不利になることはしゃべらぬでいいというような民主憲法の規定があるにかかわらず、こういう形で質問に対して答弁しないというだけで処罰をするなんということには私は納得ができないのであります。 次に、先ほど来質問をしてまいりましたが、どうもよくはっきりした答弁のない点でもう少しお聞きしておきたいと思うのであります。改正案は納税者にいろいろめんどうな手続を要求しているのでありますけれども、行政不服審査法の趣旨は、簡易迅速な手続によって、広く国民に行政庁の違法または不当な処分に対する不服の申し立ての道を開いたのではないか、私はこう思うのでありますが、そういう点でこの法律は矛盾をしておりませんか。
○吉國(二)政府委員 今回の改正法において非常に手続がめんどうになったという点はないと私は思っております。従来と同じような手続をできるだけ簡素に行なうということにいたしているわけでございまして、特にむずかしくなったということはないのではないかと思います。
○広瀬(秀)委員 関連。 ちょっとワンポイントずれた形なんですが、関連して質問をいたしたいのですけれども、先ほど主税局長言われましたように、また午前の答弁でもございましたように、行政不服審査法の規定というものは大体この国税通則法に今度は取り入れた、こういうことであります。これはやはり、いまの罰則の問題をめぐって行政不服審査法には物件の提出要求をすることもできる、あるいは検証、あるいは証拠書類等の提出、参考人の陳述及び鑑定の要求とかいう、こういう条項が全部あるわけであります。そういうものに対して何らの罰則規定も実は不服審査法にはないわけですね。そういうようなもので、取り入れた取り入れたと言っているけれども、この国税通則法の審議にあたって、やはり行政不服審査法とこの国税通則法の該当条文との比較という、比較対照表がこれはどうしても必要だと思うのです。これをひとつぜひ出していただければ——これはやはり出してもらわぬと審議に非常に不便を来たしますし、また今日、行政不服審査法でやっておる国税に対する審査あるいは審査請求、あるいはその裁決の要求というようなものについて、われわれの正しい判断がなかなかむずかしいと思うのですね。そういうような点で、その問題についてひとつ資料提出の要求を兼ねて、どのようにお考えになっておるか、この点をお伺いいたします。
○吉國(二)政府委員 御指摘の点は非常に重要な点だと思いますので、詳細な対照表をつくって提出いたしたいと思います。 なお、不服審査法に罰則がない点でございますが、これにつきましては、同法三十二条に、調査権その他に対する規定でございますが、「前五条の規定は、審査庁である行政庁が他の法令に基づいて有する調査権の行使を妨げない。」という規定がございます。もしも不服審査法がそのまま税務に適用される場合を想定いたしますと、当然にこの権限が行使されることになりまして、現在所得税法、法人税法等に定められております調査権の行使が可能になるわけでございます。その場合にはそれに基づく罰則も適用になるというたてまえで、行政不服審査法はいわば上位の法律でございますので、そのもとになるそれぞれの官庁の権限法がそのまま動いてまいるという前提をとっておりますので、一般的に規定したために罰則がない、かように考えているわけでございます。
○広瀬(秀)委員 出すということだけ了解。
○阿部(助)委員 どうもあなたは午前中おられないものだから、繰り返すのも時間ばかりかかって私はかなわぬのですがね。あなたが答弁に立たれなければいかぬならしようがないけれども、国税庁長官もおられるのだから、要領答弁していただければありがたいのす。 あなたは煩瑣にならないと言うけれども、午前中さんざん、もう三十分も四十分もかかってやったのですがね。八十七条の三項、こんなものはやめろ、こう言っているわけです。じゃ、なぜこれは煩瑣にならないかという——これは異議の申し立てや不服の要求をする人には煩項ですよ。これでも煩瑣にならないとあなたはおっしゃるのですか。
○吉國(二)政府委員 この審査請求につきましてその請求並びに理由が明らかにされるということは、これはむしろ当然の事理でございまして、理由なしに訴えをするわけはない。訴訟におきましても訴訟の請求とその原因は、これを明らかにしなければ適法なる訴えにはならぬわけでございます。もちろんそんな煩瑣なことを言っているわけではございません。従来も審査請求をする以上、その理由とその趣旨は書くのが当然でございまして、それを法令上明らかにしただけでございます。なお、これをもとにして答弁書が提出されるということになれば、なおさら不服の理由を明らかにしていただく必要があるわけであります。これはむしろ当然の事理だと私は考えております。
○阿部(助)委員 じゃもう一ぺん初めからやり直しますが、いままでの協議団に対する場合には、これはありませんでしたね。
○吉國(二)政府委員 いままでの規定は、ここまで詳しくは書いておりません。
○阿部(助)委員 いままで大体それでやっておいでになったんでしょう。協議団、多少性格は何ぼか違うけれども、前のほうの一項の「審査請求の趣旨及び理由」というのは、この前もあった、今度もついておる。そうすればこの規定だけよけいになった、煩瑣になったということじゃないですか。
○吉國(二)政府委員 不服審査法におきましても、審査の書類が提出になった場合に、その不備がある場合には補正命令を、相当の期間を定めて補正を命ずることになっております。その補正を命ずるということは、要するに趣旨、理由がはっきりしてない場合に行なうわけでございまして、趣旨、理由を書いておくというのは当然のことであって、何らこれを新しく加えたということではない、従来も同じ運用がされておったということは私ははっきり申し上げられると思います。
○阿部(助)委員 いままでやっておったならば、いままでこれでやっておったわけでしょうが。この行政不服審査法にもちゃんとあるでしょう、十五条にあるでしょう。これと同じことだというならば、ここに麗々しく「主張が明らかにされていなければならないものとする。」こういうものを入れる。そしてその前の一項の三号にはいままでのように「審査請求の趣旨及び理由」というものはついておるわけです。ただそれの指導や何かをよくやればこれはいいのではないかという話し合いを午前中にしておったわけですよ。けれども、何がしかここでこうつけられれば、なかなか国民全部が皆さんのように税法を御存じのわけじゃない、そうすれば非常にややっこしくなり、むずかしくなるということで、ますますこの不服を申し立てる窓口が狭くなりはせぬかという感じがするわけでして、その点を午前中からやっておったわけでございます。やはりこれをつけ加えればこれだけのものがめんどうくさくなったということになると私は思うのです。いままでと同じだということならば同じでいいと思うのですよ。
○吉國(二)政府委員 いまも申し上げましたように、請求の理由その他について補正命令を出すというほうがかえって不親切である。要するにどういうことを書けばいいのかということを明らかにしておくということは、これはむしろ親切であるわけでございまして、従来の規定がむしろ不備だったと私は思います。審査請求をする以上、理由を明らかにしないということはあり得ないはずでございます。もちろんこれは理由が明らかになってないから却下というようなことではないのでございます。むしろ往復の手数を省くよりは明らかに最初から書くという一つの基準があるということは、むしろ納税者のためになる。煩瑣な手続を加えたということにはならないと思います。なぜかといえば、請求の趣旨と理由ということは書くべきことになっているわけでございますから、何らそれに新しいことはつけ加わっていないわけでございます。それを書き方を丁寧に書いたということでございます。
○阿部(助)委員 それは、そうすると、一項の三号「審査請求の趣旨及び理由」こういうのがあるでしょう。これはちゃんと書くのでしょう。これをちゃんと詳しく書けばいいじゃないですか、そんなもの。
○吉國(二)政府委員 そのとおりに書いてあるわけでございます。その三項というのは、いまおっしゃったとおりの趣旨を書いただけでございます。
○阿部(助)委員 これは同じことを何ぼでもやらなければいかぬが、私もしんが疲れますが、同じことをこっちと両方へ書いたということですね、いまの説明は。
○吉國(二)政府委員 そこにいわば法令技術の問題かもしれませんが、理由及び請求の趣旨を明らかにすること、こう書くのを、二つに分けて書いた、こうお考え願ってけっこうだと思います。
○広沢(賢)委員 関連質問をちょっとしますが、この「審査請求人の主張が明らかにされていなければならない」のでしょう。「ものとする。」というのでしょう。いなければならない、これが一つの条件ですね、審査請求人の。そのあれを受けまして却下という九十二条に、その「審査請求が法定の期間」云々のもの、「その他不適法であるときは、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求を却下する。」のでしょう。却下するのです。先ほど却下しないと言ったけれども、却下するのです。そうすると、ここに別立てで書いて、それで「主張が明らかにされていなければならない」その主張というのは、たとえば八百屋さんがこれこれこれと問題になった点を書いていくんじゃなくて、その主張というのがとにかく根拠になるんです、どうしても理由にずっと。そうすると、根拠、主張ということをずっと入っていくと、それはやはり相当のいろいろのものを知っている人じゃなければ、税金の専門家でなければ書けないようなものを書かなければ、不適法でもって却下されるのじゃないか。これは煩瑣であり、重大問題です。その点どうですか。
○吉國(二)政府委員 請求の理由が正確に書いてあるということであれば、これは却下になるわけはないわけでございますが、理由に該当しないようなものが書いてあれば、これは却下されてもしかたがない。しかし却下する場合には補正を命じて、その補正をするということで、却下は何ら目的としているところではございません。したがって、この規定があるからといって、その理由の書き方が不十分だというような却下はもちろん将来もやるわけはないわけでございます。
○広沢(賢)委員 そこのところですね、一番重要な問題なんです。そうすると、普通の人は、一つの例をあげますと、八百屋さんが、自分は前年の所得をこんなに上回って更正決定された。おかしいと思う。ところが、どうしてそうなったのだかということはわからない。そこで私のところに聞きに来た。それでこれはこれということを全部問い合わせした。問い合わせて初めてその人に東京都庁から移転の収用の営業補償を受けた。営業補償については、これは所得税に入るのかどうかということは彼にはわからない。だれだってわからないです、相当の専門家じゃないと。そうすると、そういうことがわからないで、なぜだろうというので、ことに白のおやじさんなんか、そういう人たちが多いです。そういう人に対して親切にやるのでしょう。ところが、請求して「審査請求人の主張が明らかにされていなければならないものとする。」ということが書いてあって、これは挙証責任だ。挙証責任がこっちにあって、それが審査請求の一つの条件になって、今度不適法であるときは却下するというのでは、これは前よりはとても悪いというんです。そういうことを言っているんです。
○吉國(二)政府委員 これは制度全体をごらんいただかないといけないと思いますが、審査請求の前に、白の人であれば、異議申し立てをしているはずでございます。異議申し立てをした場合には、白の人に対しても、異議の棄却をする場合、あるいは三カ月経過をして審査請求ができる時期になれば、その旨を通知する際には、処分の理由を明らかにすることを今度は要求いたしております。これは従来なかった規定であります。つまり白の人は、いままでは当初処分の理由が明らかにされていなかったわけでございます。これを今回は異議申し立てをする、それによって裁決をすればもとよりでございますし、裁決がない場合でも三カ月経過した場合は処分の理由を書いて出しますから、したがって、あなたの所得が多いというのは、こういう営業補償があったからであるということは当然書くわけでございます。そうすれば、それをもとにして、いや、私は営業補償は受けていないという主張があれば、それでけっこうなわけでございます。 したがいまして、全体をごらんいただきますと、この審査請求にいくまでには、異議申し立てがございます。その異議申し立てに対する決定の際に、処分の理由が明らかになるようになっているわけでございます。自分の所得の内容が、税務署から通知されるということになるわけでございますから、それに従って不服の理由を書いていただけばいいということなんでございます。ですから、今回のこの規定が複雑になったということではなくて、むしろ税務署のほうがたいへんな犠牲を払って民主的な行動をとろうというのが、今回の改正であるわけでございます。 また、挙証責任と言われましたが、この規定は主張を書くだけでございます。間違っておると思うと書いてあればいいわけで、そこの証拠の提出などは何ら義務づけておりませんから、挙証責任あるいはバードン・オブ・プルーフというような問題は、ここには何ら関係のない事柄でございます。
○広沢(賢)委員 そうしますと、これはますますおかしいのですよ。つまり挙証責任じゃないのだ。それでは挙証責任でなければ「主張が明らかにされていなければならないものとする。」というときには、先ほど阿部委員が言ったとおり、八十七条に全部、これは私はおかしいと思う——おかしいと思うということではなくて訴える人はいないのですから、私はこれこれの点がおかしいと思う、たとえば所得が、いってきた営業補償について課税するという所得の中に入れるというのは私はおかしいと思うというだけでいいのでしょう。それだけでいいのだったら、こういうような文面は、「主張が明らかにされていなければならないものとする。」なんと書けば、みなびっくらこいちゃって、これは挙証責任だ、主張の根拠だとなりますよ。だから、八十七条でいいんじゃないか、前どおりでいいんじゃないか、こう言っているのですよ。
○吉國(二)政府委員 最初から、どうもこれが非常に、何と申しますか、改悪であるとお考えになってお読みになりますと、そう見えるかもしれないのでございますけれども、私どもはやはりこれは請求の趣旨、理由というだけでは、かえって納税者はわかりにくいのではないか、つまり理由はこういうことであって、その理由にはこういうことが不服なんです、この点が不服なんですという主張を明らかにしていただくべきであるということをいっているわけでございます。いわば請求の趣旨と理由を書けという、あの項目に対する説明書きであるとお受け取りいただきたいと私は思うのでございます。
○広沢(賢)委員 阿部委員はきょうはこれでやめるそうですから、この点はいろいろほかの方にずっと聞いてみて、どうも「主張が明らかにされていなければならないものとする。」と、ばしっと規定されて、みなびっくらこいているんだから、それは誤解をこうむるんじゃなかろうかということを一回いろいろと相談して、それでそのあとまた質問したい、直すなら直すということにしたいと思います。
○田中委員長 次回は、来たる十三日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時九分散会