大蔵委員会 第17号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/04/04
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 金融に関する件について、本日、日本銀行総裁宇佐美淘君に参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○田中委員長 金融に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。 なお、参考人として宇佐美日本銀行総裁が御出席になっております。 只松祐治君。
○只松委員 本年度予算案が成立をいたしまして、四十四年度の新たな会計年度が出発するわけです。これに関連いたしまして、きょうは若干大蔵大臣への質疑を行ない、それと日銀総裁への質疑をあわせて行ないたいと思います。参議院のいろいろな状況等で、大臣のほうは来られないので、したがって、逆な意味では、思い切り総裁は発言できると思いますから、日銀総裁独自のお考えをひとつお聞きしたい。時間が限られておりますから、私のほうの述べる意見はできるだけ差し控えまして、総裁の御意見を承りたいと思います。 本年度の予算案は、警戒中立型と福田さんはたいへんに自画自賛をしておられますけれども、一般にこれは景気刺激型だ、こういうふうにいわれておるわけでございます。したがいまして、この予算案が財投を含めて約十兆億円になるわけでありますが、施行されたらどういう作用を及ぼすだろうか、いわば本年度の予算と関連して景気の見通しについて御所信を伺いたい。
○宇佐美参考人 私どもは、ことしの景気につきまして、やはりいろいろ問題があろうかと思っておるのであります。しかし、予算案が通りましたので、——この予算案の規模につきましては、率直に申しますと、私どもは当初、これは予算について専門家でございませんので、内容のこまかい点はとにかくとして、大ざっぱにいいまして、やや予想よりも大規模というふうに考えたわけであります。しかし、その後の御説明によりますと、いろいろの点で提案は考慮をされておりますし、また、その運営につきましても、経済の動きにつれて弾力的にやるのだということでございますので、運営がよろしきを得れば、そう規模が大きいというだけでこれを云々するのもいかがかと思っております。したがって、この運営が問題だろうと思うのでございます。
○只松委員 運営というのは、いまいろいろ論争されております、かげりということばが使われておりますが、本年度経済の動向をどう判断するか、予測するか、当然こういうことだろうと思います。それを日銀総裁はどういうふうに予測されておりますか。
○宇佐美参考人 私どもは、現在の日本の経済をかように考えております。 依然として経済自体は拡大の方向に向かっておるというふうに考えます。ただいま只松さんがおっしゃったように、確かに問題はございます。ことにかげりというような——何ぶんにも今度の好景気は、この前の岩戸景気と同じように、もう四十カ月以上も続いております。その間にいろいろの経済が進められたわけでありまして、その間において、たとえば需要供給の関係において、このごろあまりいわれませんけれども、はたしていわゆるひずみというようなものが出てこないのかどうか。四年も続きますといろいろの問題がそこに起こってくるわけであります。そういう点をやはりこれからは非常に注意していかなければならぬ。経済の動きを最も注意して進めなければならぬと思っております。 幸いにも、日本の国際収支は、貿易の好調と、それから資本の流入によりまして、かなり黒字を続けております。最近一年を考えてみましても、平均しますと、一カ月に一億ドル以上黒字がある。総合収支でありますが、そういう状態でございます。また、外貨準備にしましても、この三月には三十二億ドルをこえたわけであります。ちょうど去年の三月末の日本の外貨準備は十九億ドル、さらに四月の末にはこれが十八億台に落ち込むという状態を考えますと、ほんとうに改善されたということが明らかでございます。 しかし、一方海外の情勢を見ますると、なかなかわれわれが楽観してもいいという材料ばかりではございません。欧州あるいはアメリカをはじめ、一方においてはインフレと申してもいいように、経済は上昇いたしておりますけれども、各国はその状況を非常に心配いたしておりますし、現に最近の英国、アメリカの国際収支などは非常によくございません。アメリカは、昨年一応国際収支が総合では黒字になったといいましても、貿易は非常な悪化でございます。資本の流入によってかろうじて黒字を維持しておるというような状態でございます。これの改善には非常な努力をしておるのですが、財政、金融両面からいろいろやっておりますが、なかなかよくならないというのであります。ついに昨日付けをもって公定歩合を六%に引き上げた。これはアメリカとしては非常に思い切った高金利でございますが、しかし、市中金利はさらにこれよりはるかに高いというような状態でございます。日本の公定歩合よりも、わずかでございますが、今回の引き上げによりまして、アメリカが高くなっておる。これはいままでの歴史において、一度日本よりも高くなったことがございますけれども、これはずっと昔のことでありまして、最近にない記録を示したわけでございます。イギリスのごときは八%という非常な高い公定歩合を示しております。日本の日歩一銭六厘といいますと、年率に直しますと、五分八厘四毛ですが、ほとんどの国が、ドイツ、イタリアを除きますと、各国は五分台ないし六分台、あるいは七分台というように高くなっております。いかに各国が国際収支なりあるいは自分の国の貿易に、あるいは国内の経済の動向に真剣になっておるかということがわかるわけであります。 こういう状態でございますので、日本もいまは好調でございますが、これからは非常に注意していかなければならない、かように考えておるのであります。
○只松委員 順次あとで国際的な関係や何か聞こうと思っておりましたが、先にお答えいただきましたが、その前に、もう少し国内の問題をお聞きいたしておきます。 かげり現象といわれておるこの状況に対して、まあ、これはいつでもそうですが、両論出ております。政府機関をとってみましても、経済企画庁や通産省、特に大平さんなんか、なお警戒を要するというようなことで、在庫状況、それから機械の発注状況その他を指摘しておっしゃっておられます。ところが、大蔵と日銀当局は、わりと楽観といいますか、特に日銀の月例報告なんか、それほど心配したことはない、こういうふうな意見が強いように新聞では見受けるわけです。いまお聞きしますと、総裁は、警戒しなければならぬ、こういうことをおっしゃいましたけれども、事務当局の発表は、わりと楽観論が強いようでございますが、そういうところの違う論拠といいますか、楽観視しておられる原因はどういうところにあるか、伺いたいのであります。
○宇佐美参考人 私も決して楽観しているわけではございません。まあ楽観ということば自体がはっきりしないことばでありますけれども、決してこれを軽視してはいけない、かように存じまして、日本銀行としてはできるだけの方法をもって、いまのいわゆるかげり論のもとをなしておる経済の動向について調査をいたしておるわけであります。むろんなかなかたいへんな調査でございますが、確かにかげりと言えば言える動向がございます。決してこれがないなどとは申しておりません。 やはりいままでの経験でもそうでございますが、不況が来るとしますならば、在庫がふえていくということが一番端的に出てくるのではないかと思っておるのであります。その在庫の情勢でございますが、確かに計数的に見ますと、在庫率というものの計数を見ますると、だんだん上がってきていることは否定はできません。ただ、在庫というものは、在庫がふえたというだけでいろいろ議論をするのもいけないのでありまして、その在庫がふえた中に、簡単にいえばうしろ向きの在庫がふえたのか、つまり生産をしてもっと売れると思っていたのに、景気がどうも思わしくないので売れないというような意味の在庫がふえたのか。あるいはこれからうんと売れるんだ、しかしそれには売るための準備として蓄積をしておいて、そしてこれから売るんだという、前向きといいますか、そういうものと二種類あるので、在庫の計数だけで見るのはいけないのでありまして、この二つをどう見るかということでございます。そうして、いま在庫がふえておると言う方の議論は、端的にいいますと、在庫率が九七%にも上がっておるのだ、そうして、これは四十年の不況の前夜の数字だ、こういうふうに言われておるのでありますが、私どもは、その内容をよく見ますと、かりに総体がそうであっても、しかし、いろいろの特殊事情によってたまってきたもの、あるいは一時的の要因でたまってきたもの、たとえば暖冬異変などで繊維の一部のものがたまってきたとか、あるいは電気製品があたたかいために売れないとか、ストーブが売れないとか、そういうようなものは、これは毎年の例でございますが、寒かったりあたたかかったり気候というものはするものでございますので、そういう一時的の要因は、長くそれが尾を引いてその状態がだんだんひどくなるかどうかによって判断しなければならない。一時的の要因のものは、やはりそれはそれなりにさらに突っ込んで考えなければならない、かように考えております。そうするとまた、これから夏に備えておるクーラーであるとかいうようなものは、やはり在庫がふえたといっても、これは夏に相当売れるだろうというようなことをいろいろ加減しますと、ただいま申し上げました九七という在庫率も相当下がってくるのじゃないか。九〇くらい近くなってくるのじゃないか。こういうふうにこまかく統計を見たり、あるいはアンケート調査をしたり、また、現場に行っていろいろ聞いてみますと、いまの九七のうちにも相当引いて考えていいものが相当あるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。また、私どもは二月に各会社に向かってアンケート調査をいたしました。そうして在庫の情勢も聞いたのでございますけれども、しかし、非常に供給がふえて需要が減ってきておると見ておる者はそれほどではございません。秋ごろとそう変わっていないという報告が非常に多かったのでございます。 そういうような点からいいまして、しさいに見ますと、九七という数字だけをもって云々するのも早計ではないか。さらに、いつも景気が悪くなるときに一番先に在庫のふえるものは生産財でございますが、生産財の二月現在の在庫は八八・六というふうにかなり九〇を割っているようでございます。むろんこれは全部をしさいに調べたわけでございませんので、これだけをもって云々もできませんけれども、しかし、そういう観測もできる。また、企業家自体もそう心配していないというような点から、むろんこれからこれがどう広がるかは注意して見ていかなければなりませんけれども、現時点においては在庫がふえたからといって、これに対策を講ずる必要はないのじゃないか。ただ一番やはり目立っておりますのは自動車関係でございます。これはことにトラックなどは、少しうしろ向きと認められるような在庫ができております。 〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕しかし、これもさらにしさいに見ますと、自動車業界のうちで上中下に分けると、おのずからその間にも差がある。業界全体からいいますと、むろん非常に在庫はふえておりますけれども、しかし、政策的に転換をするというには、もう少し情勢を見ていいんじゃないか、こういうふうに考えております。 それからもう一つは、最近生産、出荷が少し落ちてきたんじゃないかというふうにいわれるのであります。これも確かに鉱工業生産などは落ちてきておりますけれども、しかし、これとてもいろいろの理由をよく見ますと、生産、出荷の伸び悩んでおりますのは、やはり昨年の九月から十一月にわたりまして、相当生産が上がったのであります。その見越し的の生産の反動が出ている面があります。あるいはまた、この暖冬で非常に冬物が余ったという意味において、そういう繊維の手じまいが早かったのではないかという点も考えられます。そういうふうに、むろん総体的に見まして、若干生産、出荷は伸び悩んでおります。おりますけれども、これもまだもうしばらく様子を見たほうがいいんじゃなかろうか。 さらに、商品市況でございますが、一番心配されました鉄などは、ここのところ輸出の伸びもございましてか、ずいぶん上がってきております。昨年の十二月ごろは非常に価格のボトムでございましたが、しかし、最近は五千円ないし一万円も上がっておる。業種によって違いますけれども、そういうように鉄はかなり回復いたしてきております。また、繊維につきましても、確かに綿関係は悪いのでございますが、ほかのものは漸次回復しておるというような状態でもございます。 あるいはまた、設備投資の先行指標であります機械の受注などは、確かにこれまた伸び悩んでおりますけれども、しかし、いま機械工業の持っておる受注残高というものは、依然としてかなり高いのであります。八・六カ月分ぐらいはあるというふうに、高水準に出ておるのであります。さらに機械等につきましても、若干民需は伸び悩んでおりますけれども、外需、外国からの注文であるとか、あるいはそのほか官公庁の注文が依然として高いというようにも聞いておるのであります。 そのほか、いろいろの問題がございます。個人消費の伸びがこのごろどうもふるわぬじゃないかということもございますけれども、これとても非常に不振という状態ではございません。また、日本銀行券の増発の状況から見ましても、消費は依然として高水準と申してよかろうかと思います。 申し上げるまでもないのでありますが、個人消費と住宅建設、それから財政支出など、この三つを合わせますと、日本におきましてはGNPの七、八割をこれが占めておるのでございますが、個人消費といい、住宅建設といい、財政支出といい、かなり高いレベルでございますので、ことしの経済成長がそう落ちるとは思えないのであります。むろん、繰り返して申し上げましたとおり、いろいろな点でかげりと考えなければならないものはございます。ございますけれども、しかし、総体をながめますと、現段階においては警戒しながらしばらく情勢の動きを見るのが一番いい、かように考えております。 たいへん長くなりました。
○只松委員 あと二、三御質問したいことがありますので、ひとつできるだけ簡単にお答えをいただきたいと思います。 いまのそういう現状と、今度は関連をしてまいります年間成長率と申しますか、大体どのくらい経済を伸ばしていったらいいか。自由主義経済でございますから、多少のコントロールができても、どのくらい伸ばしていったらいいかという目標がなかなかさだかではない。去年あたりで八%ないし九%といわれたのが、実質一二%をこして一三%になったのですから。といっても、やはり金融政策その他からこれに多少の手心を加えたり刺激をしたりしなければならぬ。これも経済企画庁の当初の八・二%というような案から、近ごろは総理や福田さんが一〇%くらいがいいと言われている。総裁は一〇%というふうにきめるのは即断ではないか。こういうふうにいろいろなことが言われておる。私たちといたしましても、あまりに高い水準のいわゆる高成長というのは必ずしも好ましいものではないと思っている。ただ、なぜそういうことであるかという意見を述べると時間がございませんから、内容は申し上げませんけれども、まあそういうふうに思うわけです。 総裁は、いままで一応政府がとってきておったものよりもさらに引き上げたという、この成長率の目標に対してどういう御所見をお持ちでございましようか。
○宇佐美参考人 このごろ大蔵大臣あるいは総理大臣が将来の成長率についてお話しになったということを新聞の表題だけで拝見するので、前後にどういう会話が行なわれたのかわかりませんが、私としてそれについてとやかく申す材料がないのでございます。ただ、この五年間どれくらいがいいかといいましても、そのときの、たとえていいますと、国際収支はどうなっているのか、あるいは物価はどうなっているのか、そのほかもろもろの、いろいろな条件によりまして高くしたり低くしたりして、いわゆるそれがならしてみての安定成長ということでございますので、何%という数字にあまりとらわれてはいけないんではないかと思うのでございます。ただ勘で考えると、あるいは詳しい調査でなくてこれくらいがいいだろうということは、おのずから皆さんもお感じになっておるのだろうと思いますが、私の勘でいえば、まあそんなところでうまくいけばいいんじゃないかというふうには考えますけれども、日銀総裁の立場から何%ぐらいということはとても申し上げられないわけであります。そのときの情勢によって、現に日本でも最近は一二%というふうに高いのですが、その前は四%というような低い例もございます。またドイツなんか、非常に経済がうまくいっているといいましても、実質成長ゼロ以下ということもございます。なかなか三年、五年先までを見込んで何%というようなことは申し上げられませんが、しかし、ほかが非常にうまくいけば、これはやはり日本の潜在成長力というものもございますので、かなりいくのではないか、かように考えております。しかしそれも、ただいま申し上げましたとおり、数字であらわすというようなことは私はとうていできない、さよう御了承を願います。
○只松委員 数字というのは一つの目標といいますか、そういうものですから、これは当然物価の問題や何か全部関連をしてまいりますから、この一〇%がいいとか悪いとか——ただ、さっきちょっと言いましたように八・二%、それをさらに一〇%に引き上げてきた。成長目標をどんどん高めていく、こういう政策がいいとお思いになりますかどうかということを聞いているのです。
○宇佐美参考人 それも、日本が今日そういう高い成長をしたのは、外国などではかなり驚いております。その大きな理由の一つは、外国が非常に経済成長をして日本の物をたくさん買ってくれたというような、日本自体では何ともならぬ外部の情勢がそこに加味されてきております。ですから私は、こういう昨年からことしの初めにかけての海外の情勢からいえば、今度の経済成長はよかったと思っておりますが、しかし、海外の情勢次第では、やはりそれは高過ぎるということにもなろうかと思います。
○只松委員 そこで、さっきもちょっとお触れになりましたが、外貨の準備高が三十二億ドルをこす。いまの調子で毎月一億ドルくらいふえていけば、間もなく四十億ドルくらいになるだろう、こういう見通しさえあるわけであります。これをめぐりまして総裁は、あんまりその程度のことで騒がないで、じっとためておったらいいという御発言もあったかのようにちょっと聞いております。私たちも、三十億ドルあるいは三十五億ドルになったからといって、それが必ずしも過大であるとか十分であるとかいうふうには思わない。では、いまの日本の経済構造なり貿易額に比して大体幾らが適当であるか。これも幾らがいいとか悪いとかいうことはなかなか容易ではないだろう。こういう三十二億ドルたまったという状況、あるいはもっとたまっていくだろうという状況下において、それではこの外貨に対してどういうふうに対処したらいいか。このままじっと積んでいく、あるいはもっと対外への投資なり何なりをふやしていく。こういうふうになったということは、日本の労働者が低賃金で一生懸命に働いておる、そしていい製品を安くつくって外国に売っておる、こういう基本的な原因があるわけです。そういうことを考えれば、もっと国民生活の向上の面あるいは社会公共のいろいろな施設への投資、こういうところに向けるべきだと思います。そこまでの論争はできませんけれども、総裁としてどういうふうにこれを使ったらいいとお考えですか。 〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕
○宇佐美参考人 先ほど何か、私が外貨がたまるのをじっと待っていて……(只松委員「それは新聞で」と呼ぶ)ですから、そういうことをちょっと……。 私は決してそんなに簡単に考えておりません。ただ、むしろ外貨が今日までふえたのは、大ざっぱにいいますと貿易で七割、資本収支で三割というようなことで、むろん貿易でふえた面が非常に多いのでありますが、しかしそれがふえた、輸出が伸びたということについても、先ほどから申し上げたとおり、海外の情勢必ずしも楽観はできない。また、高金利になっておりますので、資本収支の将来、これもなかなか簡単に楽観していいかどうか、慎重に考えなければならぬという前提に立ちますと一さらにまた、われわれとしては、東南アジアなりを中心にしまして、発展途上国に対しても援助をしなければならぬ。また、単に援助をするだけでなく、そうすることが将来の日本にとって必要なことだ。かように考えておりますので、たまった三十二億ドルを安易に考えてはいけない、かように考えておるわけでございます。これを一方においてさらにふやすことを考え、また一方においてそれだけたまったものをどういうふうに有効に使うかということでございます。確かに今日、こういうふうに輸出力がついたのは、労働者の力であることは私も率直に認めますが、決してそれだけではないということも同時に考えなければならない。 そういうことをいろいろ考えますと、簡単にいまたまっております中身を十分考えずに、また、将来これをどう使うかということについては、慎重に考えていかなければならない。生活の向上だけに使うというようなことは、やはり他の条件も考えながらいかなければならぬ、かように考えております。
○只松委員 これは私たちみたいなしろうとが言わなくても、こういうふうに外貨がたまってくる、ある意味で円の信用が高まってくる、こういうことになれば、たとえば金利を国内で引き上げようということになれば、逆にそこに外資が導入してきて、必ずしも意図したとおりにはいかなくなる。外貨の蓄積が多くなると、いままで十何億ドルというような少ないときとは違ったいろいろな現象も出てくると思うのです。やはり外貨が多くなったのにどう取り組むかというのは、なかなかいろんな問題を考えて処理していかなければならぬと思います。きょうは時間がございませんから、これで一応この質問は終わりますけれども、ひとつ十分御意見をまた別の機会にお聞かせをいただきたいと思います。 それから最後に、こういうふうに高度経済成長で経済全般の成長が高まってきている。しかし、日本では必然的に物価が上がってきておる。私はよく福田さんともインフレ論争をここでするわけですが、私がインフレということばを使うと、福田さんはたいへんおきらいでございまして、物価が上がったということならばという前提にして答弁をされるわけです。インフレというのは幾ら物価が上がったり幾ら通貨が膨張したときにインフレというか、これもなかなかしゃくし定木に、メートル尺みたいなものはないわけですからなにですが、アメリカあたりでは、日本より物価が上昇しておらないのにかかわらず、インフレの危険ということを政府当局も盛んに説いております。そういう面からすれば、日本はもっとインフレ問題について真剣に取り組んでいいのではないか。 日銀の通貨の増発にいたしましても、年々大体一七、八%前後の通貨が増発をされてきておる。年末を参考までにとりましても、四十年に対して四十一年は三千四百九十七億円、四十二年は四千九百八十億円、四十三年は六千三百億円というふうに、ずっと通貨が前年に比してふえてきております。これなんかも私は一つのインフレ促進の要因だと思う。あるいは国債も非常に大幅にふえてきております。その中で日銀が八千九百八十六億円お持ちになっております。 こういう面で私は、これは政府とは別な角度から日銀当局はインフレ問題については真剣に取り組む責任があると思うのです。こういう問題についてどうお考えあるいは対処されておるか。 あるいは、福田大蔵大臣は、四年前にここで財特法を改正いたしまして公債を発行さしてもらいたいという政府側の要望がありました。そのとき論議したことはけろりと忘れて、国債はとにかく当分発行を続けるというようなことを今国会で大蔵大臣は明言をなさいました。私たちは、これは発行すべきでないという論に立っておるわけであります。日銀総裁も、発行は当分続けていくべきだ、こういうふうにお考えでございますか、お答えをいただきたい。
○宇佐美参考人 どういうものをインフレと言うかというようなことについては、ただいま只松さんがおっしゃいましたとおり、なかなか定義はむずかしいのであります。まあインフレ的というほうがいいのじゃないかと思っております。 さらに、日銀券の発行にお触れになりましたが、私どもは、いろいろなデータをもって経済の動きを見ているわけでございますけれども、通貨に関しては、やはり成長通貨——日本の経済がだんだん拡大していく、成長していくということになりますと、やはりこれに伴う通貨が必要ではなかろうか、かように考えております。それをどういうふうにめどをつけるかということでございますけれども、一つは、たくさん問題はございますけれども、やはり国際収支というものが非常に大事になってくるのではないか、かように考えております。短期的に見ますと、確かに日本の国際収支は黒字になったり赤字になったりいたしておりますけれども、長期的に見ますると、やはり日本の国際収支は黒字と申してもよかろうかと思うのでございます。 もう一つは、物価、特に卸売り物価でございますが、これは最近ちょっと上がっておる傾向も見受けられますが、大体世界のうちでは卸売り物価は非常に低い、安定している国の部類でございます。 長期的に見ますると、そういうような点で、まず私どもの考えております通貨の増量というものは、まあこの辺でよかろうか、かように考えております。ただ、やはり、さらにこれ以上二〇%とか二五%というふうにふえてはいけないのじゃないだろうか、かように考えております。 その中におきまして、私どもは、やはり一番卸売り物価が、かりに安定しているとしましても、消費者物価がいかにも上昇が激しい。これは一つは直接国民生活に関係してくる問題でもございますし、国民生活の安定あるいは向上というためには、消費者物価はとにかく上がらないようにしなければならぬというふうに考えておるのでございます。ただ、最近の日本の消費者物価につきましては、心配をしながらも、金融面からだけではなかなか解決しにくい、いろいろの政策的の措置がこれに伴わないといけないのではないだろうか、かように考えておるのであります。政府もかなりそういう点は考えておられるようですけれども、率直に申しますと、さらに一段とひとつ考えてもらいたい、かように考えております。ただいま卸売り物価のこと、消費者物価のことを申しましたが、卸売り物価が安定的であるから消費者物価のほうはどうでもいいというふうには私どもは考えておりません。やはり消費者物価が非常に上がりますと卸売り物価もだんだん影響を受けてくるのじゃないか。そうしますと国際価格にも関係してまいりまして、貿易上も非常に悪い影響が起こってくる、かように考えておるところであります。 なお、そういう見地から見まして、何とかして日本銀行券の発行につきましても、常に各方面から考えて、それによって物価が上がったり国際収支が悪くなったりしないように適当に調節する必要があろうか、かように考えます。 それから公債でございますが、やはり私は公債はできるときにはなるべく減らしておいていただきたい、かように考えております。将来ゼロにするのがいいのかあるいはずっと少しずつ発行していったほうがいいのか、これはいろいろの考え方があろうかと思うのです。しかし、私どもは当面少なくとも五%にはなるべく早くひとつおろしてもらう。そうしませんと、財政の硬直化というようなことも必要のときになかなか直すこともできませんので、なるべく比率としては五%に早くおろしてもらいたい、かように考えております。そこまでいきましたときに、また情勢によって考えたらいいのじゃないか。
○只松委員 確かに普通の国家で公債を五%以上発行している国は、戦時だとかなんとかいうほかはないわけです。だからいまのことばは当然で、ひとつ側面からでもそういう御努力をいただきたい。 最後に、質問というより意見を申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、現実に経済活動をしておる財界あるいは働いておる労働者の賃金は、低いといってもインフレに対応して幾らかでもスライドして上がってくる。それでもなおかつ日本の労働者の賃金は低いと思いますが、しかし、こういうものと別個に、保険あるいは厚生年金やいろいろな形の年金、あるいは日本の国民は非常に貯金をしておりまして、年間二〇%の貯金、こういういわゆる拘束された金というのは、いま申しますように高度経済成長の中では取り残された部面になるわけですね。多少の利子はつきますけれども、あなたがえらい英断だと言われている大蔵省の試算によりましても、一九八〇年あたりは日本はアメリカに匹敵するような高度の国民所得を得る、こういうことを言っております。しかし、こうやって拘束された金というのは一向にそれにスライドしていかないわけです。むしろ逆に貨幣価値というものは下落をしていきます。ところが日本では、そういうふうに拘束された金はいま六十兆をこしておるわけですが、多いわけであります。これは金融政策というよりもむしろ政治の部面で、あるいは私たちの責任かとも思うわけでございますが、全然皆さんのほうでも無関係ではないと思う。たとえば、私は保険に対するスライド制というものをたびたび主張しておる。あるいは銀行に定期でお預けになっている退職者の退職金、あるいはばく大に積み立てられております年金、こういうものを何らかの形でもっと、お話しのように物価が二%上がれば年金もスライドしていくとか、あるいは五%上がればスライドする、こういう面もいまおっしゃった私たちの政治の部面でございますけれども、ひとつ金を扱っている日銀当局においてもそういう面について十分御配慮をしていただきたい、お考えをひとつしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○宇佐美参考人 どうもいろいろ御注意、ありがとうございました。
○田中委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 二時から本会議でございますから、残されました時間、わずかでございますが、この間に質問をいたしますので、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。先ほどの質問に対する答弁はきわめて丁重過ぎますので、私には簡潔でよろしゅうございますから、問題を二、三お尋ねします。 まず第一に、けさのニュースを私聞いておったのですが、アメリカの公定歩合が六%になった、日本の場合には五・八四%だ、だからこれは四十年ぶりに逆転をした、こういうような報道がNHKのほうでなされている。同時に、預金準備率の引き上げを〇・五%やって、連銀のいわゆる市銀に対するところの調整ワクを増大しろというようなことで、資金の凍結措置がとられている。日本の場合には、公定歩合が商業手形の再割引の分と、債券担保貸し付けの分と、並み手と三種類ある。アメリカの場合には商業手形一本しかない。アメリカの場合、短期証券のオペレーション政策をとっておりますから、三カ月間ぐらいのTBをオペレーションの政策として使っているというのが中央銀行のやり方のようであります。これからいうならば、日本の公定歩合というものは、三種類のうちまん中の債券担保貸し付けがアメリカの公定歩合と比較しやすいものではなかろうか。それを商業手形の再割引をもってアメリカの公定歩合と見合うものなりということで、まあこれは大蔵省、日銀両方で協議なさってああいうふうな発表をなさったのだろうと思いますからお尋ねするわけですが、そういうようなやり方をおとりになるのはどういう意味でありましょうか。その点をお尋ねいたします。
○宇佐美参考人 アメリカの金融情勢と日本の金融情勢がそっくりそのままではございませんから、たとえば公定歩合、金利の動かし方につきまして、日本は日本としての従来の慣習もございますし、いろいろやっておるわけでございます。しかし、日本としましては、やはり三種類に分けたほうがいいのではないか、かように考えておるのでございます。
○村山(喜)委員 三種類に分けたのを一本にしなさいということを言っているのじゃございません。私は、比較をされる場合には一銭七厘の債券担保貸し付けの分がアメリカのTBに見合うものではなかろうか、こう言っているのです。そうじゃなしに、商業手形の再割引がこれに対比するのには最も好ましいとおっしゃるその考え方の根拠をお尋ねしておるわけです。
○宇佐美参考人 この内容につきましては、だんだん変化を来たしておるのでありますが、私どもがいわゆる日本銀行貸し出しという中におきまして、いま三つに分けたと申しましたけれども、量的にいってどれが一番多いかということでございますが、大ざっぱに申しますと、輸出関係手形が五〇%——これはかつてはそうでなかったのでありますが、現在では五〇%、それから証書貸し付けが一〇%、それからその他のものが四〇%というような比率になっておるのであります。そうして、その四〇%の中にいろいろのものがあるわけであります。
○村山(喜)委員 日銀貸し出しの中身は私も前もってお聞きしてあります。そこで、お話をされました中身は、大体貿易関係が五〇%、それから証券関係が一〇%、それから一般貸し出しの分が四〇%、こういうような内訳になっておる。しかしながら、その中で商業手形の分は、私が指摘をいたしました債券担保の貸し付けに比べたら少ないわけですね。だから、比較をする上からいいますならば、一般貸し付け約四〇%の中に占める債券担保の割合のほうが大きいのですから——商業手形の割合のほうが大きければ、私はいままでとられたやり方のほうが正しいとは思うけれども、そうではなしに、最近の傾向からいえば、この債券担保の貸し付けのほうの率が大きいわけなんですから、それと比較をするのが、アメリカの中央銀行のやり方の中身と比較をする場合には当然だ。同質の上において論議をしなくちゃいかぬと思うのです。そういう配慮が必要ではなかろうかと思いますが、この点は澄田銀行局長、いかがお考えですか。
○澄田政府委員 ただいま日銀貸し出しのウエートでの御説明がございました。ウエートの点は御指摘のとおり、日銀の一般貸し出しにおいて、商手の割引によるものは四五%程度でございますので、そのほかの一銭七厘適用のもののほうが若干ではありますが、ウエートが高い、こういうようなことになるかと思います。ただ、この点につきましては、これはアメリカの場合も、日本の場合も、また、それ以外の国の場合でもそうでありますが、商手の割引歩合というものを基準として公定歩合といっておるわけで、それで公定歩合というものが一般の考えのもとになって、公定歩合といえば商手の割引である、それが現在日本は一銭六厘ということで受け取られて、それがあらゆる金利の基準になる、こういうことになっております。したがいまして、ウエートの点、日銀貸し出しの内容というものよりも、それが基準になって公定歩合というものが観念されている。そういうところからアメリカの今回六%に引き上げられたものにかわるべき日本の基準公定歩合は一銭六厘である、私どもはそういうふうに考え、日本銀行もそういう考えで、同じ考え方をいたしておるわけであります。
○村山(喜)委員 テレビを通じてですから、私は金融政策当局がどういうような政策意図をもって発表したのかわかりませんけれども、実態から離れた比較論争はやってもらいたくないと思うのです。やはり何といいましても、なるほど歴史的に過程をたどっていくならば、あなたがおっしゃるように、商業手形の再割引の分がその中央銀行と市中銀行との主たる役割りであった。ところが、今日においてはそうではない。もう日本銀行自体がそういうような時代からすでに今日さらに成長をしているのではなかろうか、私たちはそう思う。最近は世界的に高金利の時代を迎えました。公定歩合があちこちでずっと高く引き上げられております。そういうようなことから考えてまいりますと、やはりこの点については日本だけが低金利政策をやっているんだというような印象を与えるように、私はけさちらりと画面を見ただけで感じた。これは中身に関する問題でもございますし、さっき総裁は、三本立てのやり方は変える意思がないというお話でございましたが、債券担保の貸し付けが一番多いのですから、これからはやはり思い切った、みなにわかりやすいようにやるくふうというものが私は必要じゃないかと思うのです。それにつきましては、ひとつ今後の問題として検討をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
○宇佐美参考人 ただいまのとおりで、そういう長年やっておる方法、あるいはまた、各国の例からやっておるのでございます。さらにこれを検討いたすことはよろしいかと思います。
○村山(喜)委員 そこで、日本銀行券の平均残高の対前年度比較の問題でありますが、結果論といたしまして、日本銀行券の膨張というものがコンスタントに、四十三年一月から三月まで一六・五%の増、それから四月から六月まで一六・九%、七月から九月まで一六・五%、十月から十二月まで一六・三%、四十四年、ことしになりましてから一六・七%、これは一月です。これを見てまいりますと、意識してこういうのをやられているのではなかろうと思いますが、日銀券の膨張率というものが、大体一六%から一七%の間にはさまって伸びていくような感じがしてなりません。これは、一体そういうような発行残高が伸びていく方式をとられているのかどうか。やはり経済の成長率との関係もありますし、あるいは財政の伸び率との関係もあります。GNPの伸び率の問題にも関係があります。結果論としてこういう数値が出てまいりました。 そこで、総裁にお尋ねいたしますが、先ほども只松委員のほうから物価問題のお話がございました。それとこの日銀券の増発の問題とは、ツケが回ってきたようなものだといつか言われたけれども、しかしながら、これについてはやはりそういうような経済の規模の拡大が続いている中で、増発をしなければならない必然的なものがあるのかどうか。これについて非常にコンスタントな姿でこういうふうに数字が出ておりますが、そういうような政策意図をもって進めていらっしゃるのかどうか、将来どういうような方向で運営をされようとお考えなのか、その点をお伺いいたします。
○宇佐美参考人 私どもは、ただいまおっしゃいましたような比率に持ち込もうと思ってやっているのではございません。ただ、日本の経済がコンスタントに伸びておるという意味からいいますと、もしそれが異常に変化してきた場合には、これはその原因がどこにあるのか究明しなければなりませんが、まずそういう伸び方をしておる。さらにその伸び方もこまかくいいますといろいろでございますけれども、やはり経済が伸び、あるいは所得が伸び、そのほかいろいろの条件によりましてこれが起こってくるわけでございます。何か意図してそういうふうにやっているということでございますが、経済が進んでおる状態がそういうふうにコンスタントに伸びておると私どもは考えておるわけであります。 ただ、最近非常に困っておるのは、非常にフレが大きくなっておりますし、たとえば年末あるいはまた期末等には非常に大きく動きますので、必ずしもその平均残高というものが正しくあらわれているかどうかは問題でございますけれども、大ざっぱに申しますと順調に、そう異常にふえておるとは思っておりません。
○村山(喜)委員 そこで、四月の新年度を迎えまして四十三年度の財政資金の対民間収支の割合を見てみると、三千四百億円ぐらいの大幅な散超になって終わりました。そうなってまいりますと、四月という月は特にまた交付税の概算交付等もある月でございますから、資金がゆるむ月なんですが、その四月に国債発行を大体八百億円くらい実施するように計画がつくられているようであります。それにしましても、前年は同じ四月に千百億円発行しておりますから、前年よりも三百億円なお少ないのです。そういうような中で、日銀に対する民間の設備資金等に対する需要というものは相変わらず根強いものがある。この際やはりこの平準化策も講じなければなりませんが、民間の資金がだぶつくような状態が出てくることが四月の場合には予想できるわけでございます。 そこで私は、日銀が基本方針として、何ら政策変更を加える必要がないという態度をとられたのは賢明だと思いますし、また、そうあってしかるべきだ。しかし、今後の金融政策は、財政の運用だけでなしに金融と財政が一体となって運営がされなければならないとは思いますけれども、とにかく資金がゆるむ四月のこの上半期の始まりにおいて、どういうような方向でこれから運営をしていこうと考えておられるのか、その点を御説明をいただきたいと思います。
○宇佐美参考人 ただいまお話しのとおり、四月になりますと財政の支払いが非常に多いわけでございます。したがいまして、私どもはこれを処置するのに、第一は、やはり日本銀行の市中銀行を中心にした貸し出しをできるだけ返してもらう。同時にまた、それだけではいけませんので、資金がどうせまた六月になると窮屈になりますので、その間の措置といたしまして、私どもは政府短期証券を売りまして、その資金をしばらく預かっておくということをいたします。それからまた、ただいまお話のありましたとおり、これは只松さんにもお答えしたんですが、やはり国債はなるべくひとつ余裕があったら減らしていただきたいという根本的な考えから、四月にはただいまお話しのとおり減額をして、そうしてそれに充てるというようなことで、この四月、五月、六月をならしていきたい、かような措置をとっておるわけでございます。
○村山(喜)委員 そのならす方法は、やはり日銀貸し出しの調整と、それからオペレーション政策ということですか。
○宇佐美参考人 大体そういうことでございます。
○村山(喜)委員 そこで私、総裁にお尋ねをしたいのは、日銀貸し出しが中身がこのごろは変わっておるわけではありますけれども、相変わらず一兆五千億台を下らない。一向に減らないわけですね。四十一年度よりは減っておりますけれども、四十二年度、四十三年度、ほとんど変わりがない。これは将来こういうような貸し出しがふえるのは望ましいことではないと私は思いますし、これは減らしていかなくちゃならぬと思います。やはりそういうような方向の中で努力を願わなければならないと思いますが、その目安をどこら辺に置いて運営をされるつもりか、その点をお伺いしたいと思います。
○宇佐美参考人 ただいまお話しのとおり、総額は減ったりふえたりしております。私どもが現在とっております政策は、三十七年以来とっておるのでございますが、なるべく主力はオペレーションでやっていくというふうにやってまいりたいと思っておるのでございます。しかし、それだけではいけませんので、貸し出しをやっておるわけでございますが、その内容は、もう御承知のとおり非常に変わってきております。一般貸し出しはだんだん減ってきておるようなわけであります。 ただ、たとえば都市銀行だけを考えますと、やはり、日本銀行の関係はとにかくとしまして、総体に見まして、都市銀行のオーバーローンの状態は、遺憾ながらあまり改善されておりません。その大部分はコールをとったりあるいは金融機関から借り入れをしたりして、それに日本銀行からの借り入れという状態で、残高としてはあまり改善を見ておりません。しかし、経済自体は非常に大きくなっておりますので、全体の比率からいいますとやはり改善はしておる、かように考えております。今後は、このごろ銀行に対しましてポジション指導などといっておりますが、やはりそれも、ただいま御質問の点もからめまして、銀行のポジションはひとつなるべくよくしてもらいたい、せめて、こういう状態のときは急激によくすることはできなくても、悪くしないようにしてもらうという方針で指導しておるところでございます。
○村山(喜)委員 最近株価は有史以来のたいへんな値上がり、片一方、公社債市場のほうはなかなかうまくいかないという状態でございます。非常につり合いのとれない形が続いている。それに対しまして、公社債の流通金融を日銀が旦証金を通じてやっておられる。それだけの措置をしなければ、なお公社債市場というのは下り坂になっていくということでしょうか。買いささえを必要とするような状態、これはやはり問題が、基本的に従来言われてまいりました間接金融重視の政策が改まっていない。直接金融の道をつけなければならないのに、そういうような公社債市場が発達をしていないということが、そのまま今日なお依然として続いているということが証明できるわけですが、これもいわゆる改善策をどういうふうにお考えになっているのかということをお尋ねをしたいわけです。 それに関連をしまして、前に日本証券保有組合がございました。一月十一日に解散をして四百三十億ほどの利益をあげた。それがいま資本市場振興財団のほうの基金に繰り入れてはおるようでございますが、共同証券の分については、余剰利益というものをやはり公社債市場の育成あたりに振り向けるというのが、基本としては正しいのではないかと私たち考えておりますが、これは日銀の金を借りてやっているわけですから、そういうような点からいいました場合に、どういうふうに日銀としては指導なさるおつもりであるか、その点をお答えをいただきたい。
○宇佐美参考人 ただいまおっしゃいましたとおり、私どもは、株式市場と同様に、何とかして日本の経済を安定的に成長さすには、公社債市場をよくすることがぜひ必要だと思って苦慮いたしておるのでございます。しかし、公社債市場は非常に発達がおくれておりまして、なかなかすぐに思うようにはまいらないところでございます。公社債市場育成がやはり私どもはぜひ必要だと思っておるわけでございます。 ただいま共同証券をどうするという御質問でございますが、これは御承知のように、最近株式市場が非常によくなってまいりましたので、共同証券が買い上げておりますものを非常に多額に処分をいたしまして、その保有株券はかなり減ってきております。また、日本銀行をはじめ市中銀行から借りておる金も、処分の結果、非常に返せるようになっておるわけであります。したがって、その会社自体は株式会社でございますので、株主が当然考えるべきことではございますけれども、同時に、その成り立ちなりその経過から考えますと、やはり公共性を重んじた解決をしなければならぬと私は考えております。しかし、それを具体的にどうするかということは、保有しております株券もまだかなり残っておりますし、これから会社自体としてもひとつ十分研究してもらうと同時に、われわれとしてもこれをやはり公共的見地からも考えてまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
○村山(喜)委員 時間がありませんので、もうこれでやめますが、日銀から金を借り、あるいは日銀資金に依存をして出た利益というふうにわれわれはとっております。そういうような立場から、四百億余り、保有組合にしましてもあるいは共同証券にしても利益が出ている。われわれに言わしめるならば、本来ならばもうかる必要のないこういうような機関がもうかって、大衆投資家はもうかろうと思ってもなかなかもうからない、そういうような仕組み自体が非常におかしな存在だと思うのでありますが、いずれにしましても、それを公共の利益になるように使っていくというのがたてまえだろうと思うのです。私はその際、いま申し上げましたように、公社債市場というものが非常におくれているというような点を考えてまいりまするならば、その資金自体はたいしたことは——まあその買いささえをするだけの資金量にはならないと思いますが、そういうようなものに目を向けてもらわなければならないのじゃないか、そういうような立場から御指導をいただきたいと思うわけであります。
○宇佐美参考人 ありがとうございました。御意見を謹聴いたします。
○田中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 宇佐美参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席いただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。御退席いただいてけっこうです。 —————————————
○田中委員長 この際、福田大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
○福田国務大臣 連日、皆さん御苦労さまです。 アジア開発銀行の総会が、来たる十日、十一日、十二日、この三日間にわたって開催されます。各国も大蔵大臣が出席されるところが多いのでありますが、まあアジア開発銀行でございますので、わが国から私にぜひ出席をせられたい、こういう要請があります。 ついては、国会は皆さん非常に御多端のおりでございますけれども、まあひとつそれに出席をさせていただきたい、かように考えます。来たる火曜日八日に出発いたしまして十四日の月曜日に帰ってまいりたい、かように考えますが、留守中何かとまた皆さんにお世話になると思いますが、よろしくお願いいたします。
○只松委員 いま大臣のほうから釈明というかあいさつがありましたが、まあそう言ってはなんですが、呼ばれて来るのではなくて——いつも税法その他の、一応三月一ぱいで審議が終わりますと、新しい予算を迎えての大臣の考えについて聞いたり、一般質問をいたしておるわけであります。それだけではなくて、いまごあいさつがありましたように、しばらく外国へ行かれる。しかし、大蔵委員会にはまだ法案が残っております。そうすると、やはり無理に呼ばれて来るのではなくて、普通ならやはりこういうふうだということで、一般質問を受けるなり所見を述べられておいて、留守中頼むということだろうと思うのですよ。まあお見えになりましたから、私はそれ以上しつこくは言いませんけれども、大蔵委員会ひとつおれの留守中何も言わないけれどもよきにはからえ、その間ひとつ審議して法案を通すなら通しておけというようなことでは、ぼくらはなかなか審議を——そうでなくても、与野党御承知のような無協約状態にあるわけですから、その上に大臣も一つも出てこないで、かってにというわけにはぼくはいかない。 これ以上言いませんが、よくその間の事情を御勘案くださいまして……。
○福田国務大臣 何とぞよろしくお願い申し上げます。
○田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十九分散会