大蔵委員会 第14号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/03/20
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 委員長より申し上げますが、政府委員は定刻に必ず出席するよう、厳重に注意いたしておきます。 租税特別法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。中嶋英夫君。
○中嶋委員 最近サラリーマンに対する税が非常に重いということで、ようやくその声は世論にも支持されるようになってきた傾向は、大蔵当局としても十分承知をされておると思うのであります。ただ、サラリーマンの税が非常に重いということの説明の際に、とかく最近の傾向は、農民に比べて重いあいるは商人に比べて重いということが大いに流布されているわけです。確かにそういう面はありますけれども、しかし、では日本の農民の生活あいるは経営の状態は他国に比較して富裕なのかというと、決してそうではない。中小企業の場合においても、非常にその基礎が弱く、しかも今後の見通しも必ずしも明るくない。きょうも本会議の席上で中小企業白書に関する質問が行なわれたわけでありますが、この点は菅野経済企画庁長官も認めておられる。そういう際に、商人あるいは農民、あるいは最近議論になっております医師、そういう関係でサラリーマンの税金が重いということで評価されてまいりますと、何となく恵まれない者の中での税金を向こう側に回せ、こちらを軽くしろというような、むしろ国民の中で、政治の恩典とかそういうものにもつと浴していい者の中で奪い合いをするような、そういう現象になったのでは困るのじゃなかろうか、こう考えるわけであります。その意味で、租税特別措置法の恩典をたくさん受けております大企業に関してこれだけの措置を必要とするのかどうか、こういう点をもっと掘り下げてみる必要があると考えるわけであります。 特に、交際費の関係がこれまた最近世上相当議論になっておるわけであります。きょう大蔵大臣が使ったことばでありますが、古くにぎやかな問題の一つだろうと思うのです。しかし、この交際費は本来販路を拡張する、拡大する、あるいは販売を促進する、いわゆる製品を宣伝していくという、こういう意味でその必要を認められてきておるのだろうと思うのであります。ところが、電力会社のような場合に、はたして販路の拡張のために交際費が必要なのかどうか、これは非常に疑問であります。いわゆる電力を買わないか、要らないか、そういう宣伝をしなければ電力が売れないというものではない。一般家庭では次々と電化製品に追われて、電力の消費量は増す一方であります。また、重化学関係においては、相次ぐ設備の拡張によって、むしろコンビナートをつくるから電力がほしい、そのために十分電力の消費が見込まれたものに計画的に発電所をつくっていく、建設をしていくという、こういう関係でありますから、いわゆる販路の拡張、拡大のために電力会社が特別の努力をするという必要はもうなくなっておるのだろうと思うのです、現行においては。しかも充実した、しかも安定した経営状態がずっと続いておる。こういう電力会社が、たくさんの特別措置の適用を受けておることについて、私は、まず非常に疑問を感ずるわけであります。 したがって、まず電力会社の租税特別措置を受けておる——特にまあ交際費関係などについて、交際費問題には非常に議論が起きますが、商事会社のように、明らかに交際費がなくては販路が拡大できない、あるいは海外進出もできない、こういう場合と、電力会社のように、販路の拡大に何ら労することなく電力の消費がどんどん増していく、こういうところとが同じ取り扱いでいいのかどうか。こういう点について、主税局当局なりあるいは国税庁当局は疑問を持ったことはないかどうか、この点をまず先にお伺いしたいと思うのです。
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、交際費の否認につきまして、一律に否認割合をきめているという点で、交際費が直接に収益の増大に寄与する度合いは業種によって非常な差があるのではないかという指摘は、これはもうそのとおりだと思います。現に、逆に土建業等になりますと、一般的な広告という形態がさして効果がないために、個別広告という意味の交際費が非常に大きいということはしばしば訴えられております。売り上げ千円当たりの交際費の支出額も、土建業あたりになりますとかなり高くなっております。そういう意味では、交際費を一律に扱っておる点について、かなりの疑問があることは事実でございます。事実、この交際費の否認が始まりました当初におきましては、そういう意味におきまして、実は、業種別に売り上げに対する否認割合というものを変えておったことがございます。しかし、この割合が、業種をかなりこまかくいたしましても、その業種の中で非常な個別の差があり得る。たとえば、薬屋にいたしましても、一般的な広告で売っている薬屋と、直接に医者、学者、大学等に販売をしている専門の薬屋とでは、まるきり広宣の支出が違うというような点がございます。そういう点から、非常な不公平が訴えられまして、結局最後に、従来の制度をやめて、交際費支出額の一定割合を否認するという形がとられまして、その後、否認割合をだんだん高めてまいったというのが経過でございます。 そういう意味では、確かに御指摘のような点があることは私もよく承知をいたしておりますし、最近また、業種別の扱いを要求する声も強くなっております。そういう点は確かにあると思いますが、実際、具体的な各会社間の公平が最終的にはかられるかどうかという点には、それに大きな疑問もなお残っております。そういう点があることは事実でございますので、いまのような制度がとられておると思いますが、交際費の否認が始まりました経過等から見ますると、御指摘のような点が問題点であることは事実だと思います。
○中嶋委員 国税庁長官にはあとでまた御質問いたしますから、そのときに御一緒に……。 業種別に差異を設けるかどうかの問題について、たまたま困難があるということの例として薬品界をお出しになったのです。確かに薬品界では、家庭薬品と、それから医家向けと申しますか、大病院、医療従事者のほうへ直接販売するもの、商店によっても、医家向けを重点にするところもあるし、双方をやっているところもあるし、家庭専門のものもある、あるいは富山の薬のような場合もありますね。確かにその点は一番むずかしい問題だろうと思います。業種の中でまた複雑さががある。しかし、電力会社の場合は、会社の数も幾つもないし、多種多様ではないわけですね。このくらいはっきりしたものはない。そういうものを一つ摘出してみて、それから考えていく。むずかしいのは私はあとにしたっていいと思うのです。そのときに何も、薬屋のほうに手が延びないから電力会社を先にやるのは気の毒なんていう状態かどうかです。問題は、長年の間毎年毎年相当の利益をあげて、安定した配当をしておるし、設備はどんどん拡張されている。キロ当たりの電力料金もどんどんコストは下がっている。財産はどんどんふえていく。しかも近代化していく。こういう情勢の中で、薬屋さんと一緒にして情勢を待つということはぼくはあり得ないだろうと思うのです。この点に対してもう一度お伺いしたいと思います。 それから同時に、国税庁長官のほうにお伺いしたいのは、電力会社の交際費が実際どのくらい使われておるのか。そのうちまた、損金不算入の額はどのぐらいになっておるのか、もしお答えいただければこの点もお答えいただきたいと思うのです。
○吉國(二)政府委員 御指摘のように、ある業種だけを特別抜き出すかどうかという問題はあると思いますが、現在の交際費の否認の考え方が、本質的には、法人税というものが、総損金、総益金というもので構成されておりまして、経費というものだけではなくて、損失も含めて積極的な収入から差し引いたそのネットの利益、純資産の量というものを利益と考えるというたてまえが従来からありまして、その中で、不必要な経費と認められるものを全部、寄付金を否認する、あるいは交際費を否認するということで進んできた経緯から考えますと、いま直ちにある業種について、交際費の使用度合いが少なかろうということで、一般的に規定している条項を特別にある業種をねらい撃ちしてやるということは、現在の段階ではちょっと不可能ではないかという感じがいたします、税全体の体系といたしまして。 将来の問題としては、先ほど申し上げましたような、もう少し具体的な基準を求めて個別化をはかるということも考えられるかと思いますし、ことに、否認額がすでに六割に達しておりますと、かなりその差は大きく出てくると思います。今後の研究問題としては一つの重要なポイントだろうと思います。
○亀徳政府委員 お答え申し上げます。 各個別の会社の交際費の額を申し上げますことは、実はちょっと、調査上知り得たことを何でも申し上げるというわけにいきませんので、その点はお許し願いたいと思います。ただ、ざっとした感じという程度でお許し願えれば、九電力全部合わせまして十数億程度の感じでございます。ただ、いまの制度が、資本金の一定比率と所得金額の一定比率をかけたものという算定基礎になっておりますので、損金不算入の比率は、まあそう高くございません。一〇%をこえるという感じでございます。 いま所得比率と申し上げましたのは、どうも寄付金とごっちゃにいたしまして、交際費の場合には資本金比率だけでございます。訂正さしていただきます。
○中嶋委員 主税局長のお答えで、何かねらい撃ちということはどうか、私もねらい撃ちはちょっと酷だと思うのです。しかし、いま私が電力会社の例をあげましたけれども、ねらい撃ちじゃないためには、他の業種もまだ問題があるところがあると思うのですね。たとえばガス会社などもガス器具の販売をやっておりますから宣伝は相当やっていますけれども、これもやはり暖房ガスとガス炊飯器くらいのものなんですね。ガス会社の販売量の中に占める割合というものはほんとうに小さなものなんですね。そういうもののために、販路拡張という理由はありますけれども、大半はガス、しかもそのガスも、もとはコークスガスで、コークスガスを薫蒸してそこから出たガスを都市ガスとしてわれわれに配給した。最近では液化ガスがどんどん混入されておる。製造も、運んできさえすればそれでいいというような、むしろタンカーそのものが炉と同じような状態、製造についても非常に単純化し、販売も非常に単純です。これまたいろいろな新しい住宅地などで、ガスを引いてほしいといって、町内会単位で運動を起こして引いてほしいという。さあガスを買わないか買わないかということじゃないのですね。ガス器具を売っているのはガスの消費量を上げるということになるのでしょうけれども、しかし、実際はガス器具が売れなければガスが売れないというような草創期のような段階は全然ないわけなんです。こういうようなものもあるのですね。あるいは金融機関の場合においてもあるでしょう。そういうようなものは決してねらい撃ちじゃない。 いわゆる血みどろの販売合戦、販路拡張のために必死の努力をし、そこに企業の生命がある、それがゆるんだらもうだめだという企業と、いま言ったように非常に安定し、しかも販路拡張あるいは販売促進のために努力をしなくても経営が維持し、しかも現に発展しつつあるという企業、こういうものとで差をつければ、決してある一社のねらい撃ちじゃないと思うのです。税制上の問題として取り上げてくるということが困難だとは考えられないわけですね。この点もう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 現在の交際費の支出額の認容限度が売り上げの一定割合ということになっておりますと、確かに御指摘のとおりでございますが、これは支出した交際費のうち、いまの資本金額の千分の二・五と四百万円の合計額を控除した残りの何割を否認するというやり方でございますから、そういう意味では、むしろ私どもの考えでは、企業が不必要な交際費はできるだけ節約するということが前提でないかということがあるわけでございます。御指摘のように、もし売り上げ金額に比例させておりますと、そういう業種はかなり違う問題が出てくると思います。資本金額がこういう特殊な公益事業等は非常に大きいために、その点で交際費の損金算入が甘くなっているのではないかというような点は、私どもも今回交際費の損金算入を制限した際にいろいろ検討してみました。資本金の問題も実はいろいろ考えてみたわけであります。今回の交際費の損金不算入の増加による増収額というものを考えますと、今回は一〇%の経費否認の引き上げということが一番適切であろうということでやったわけでございます。 今後の問題としては、資本金の問題もあり、あるいは四百万円の限度の問題といったような問題ももう少し具体的に検討していく必要があるのではないか。売り上げ金額に比例をさせるということになりますと、先ほど申し上げましたようにかなり困難になりますので、慎重な検討が必要だと思います。
○中嶋委員 その資本金対比の場合において、これは私は、先ほど来指摘したような企業はやはり投下資本が大きいわけですから、やはりアンバランスがよけい生まれると思うのです。ほんとうは増資したい、増資したほうが経営が健全になる、強化されるという場合でも増資が可能でない、やむを得ず借り入れ金ということでしておる業種と、国家的な産業界の大きな要請があるということで増資が容易に行なわれるところ、電力会社がその例だろうと思うのですが、そういうような苦しいほうがなお苦しさを増し、楽なほうがなお資本金が多いからといって交際費は相当に使う。いま国税庁長官から、九電力合わせて十数億というお話でありますが、中身はここには発表できないというお話でありますから、後ほど理事会のほうにお願いして、国税庁長官からいただけるものなら資料を私はいただきたいと思うのですが、私の手元にあります資料でいくと、ある一社だけで四億円をこえているのです。ですから十数億円とは思えない。それは十数億円が二十数億円の違いとなっても、数字の違いとしてはあまり大きくないけれども、額としてはたいへんな額だろうと私は思うのです。 そういう点、何か国税庁のほうでは、電力会社の関係についてあまり税関係の内容を、相手の規模が大きいというようなことでつまびらかにお調べになっていないのじゃないか、こんな感じがするのですが、いかがですか。
○亀徳政府委員 中身はわかっております。しかし、先ほどの十数億は間違いございません。
○中嶋委員 いま主税局長からお話しありました、いわゆるねらい撃ちでなく、いま言ったような、対資本金の比率においても、私が先ほど来申し上げたようなアンバランスがあるという例は、電力に限らず、ガスその他たくさんあるのですね。そういうものについて今後何か再検討するとか、早く何かの形で結論を出すとか、そういうお考えがおありになるかどうか。考えてみると、むずかしいですというようなさっきお話でしたから、何か先の見通しがないような感じがしますけれども、どうでしょう。
○吉國(二)政府委員 交際費の損金不算入の特別措置は、これまた二年延長いたしましたので、いずれまた二年先には期限が参ります。当面この措置が期限で終了するということは考えられないのであります。どうしてもこれを否認を続けていかなければならないと思いますが、その際に、制度として洗い直すチャンスは十分ありますし、また、そのときには適切な方法を考えるべき時期に来ていると思います。 この交際費については、いま中嶋委員が御指摘になったような角度と、同時に税制の上で、できれば会社に支出を節約させる方法がないかということをいろいろ考えておるわけで、おととしはそういう意味では前年よりも一〇五%以上の交際費を支出した場合には、その超過部分を全額否認するということで、逆に前年よりも交際費の支出を削減した場合には、その削減額の相当額を否認額の限度から除くというような措置をとったりいたして、いろいろくふうはいたしておるわけであります。私どもとしても、二年先といわず、来年もあるいは問題になるかもしれませんが、少なくとも二年間の間には、いま交際費の損金不算入の制度は完ぺきとは私たちも考えておりませんから、十分いろいろな検討をしていきたい、これはもう私どもとしては考えておるわけであります。
○中嶋委員 そういう検討される場合に考えていただきたいのは、私は、大体電力会社というものは官庁の交際費程度でいいのではないかと思うのです。あるいは地方自治体の交際費、それと同じでいいのではないか。こういう点、上村政務次官の見解をお伺いしたい。
○上村政府委員 私、中嶋先生の御指摘いろいろと承っておるわけですが、私はもっともな御意見だと思うのです。 交際費という問題につきましては、最近は世論もやかましいわけでございますし、また当然だろうと思うのであります。元来個別化をして、そして必要経費というような意味において処理をしていくという方向であるべきでございましょうが、何しろ交際費というのは、そうかっちりととらえようがないということで、こんな制度になっておると思いますが、しかし、先生がおっしゃいましたように、特定なものにつきましては、おおよそ常識ではっきりわかってくると思いますので、いま局長も申しておりますように、期間が来なければ検討しないという意味でなくて、私は、資料を集めながら検討を開始していくことがいい、こういうふうに思っております。
○中嶋委員 いや、私の伺いたかったのは、官庁並みでいいんじゃないかということですよ。要するに、交際費というのは、販路の拡張と販売の促進のため、それ以外に何か理由がありますか。交際費を認める場合の条件がありますか。もしあれば、それを主税局長のほうから伺いたい。
○吉國(二)政府委員 私どもは、基本的には、交際費が使われるのは販路拡張であると考えておりますが、税法の規定といたしましては、取引先その他企業と関係のある者との間に行なわれる交際、接待、金品の贈答という限定をしておるわけです。そういう意味では、たとえばその金品の贈答の中には、下請に対する割り戻しというものが規則的に行なわれない場合、つまり、これだけ入れれば何%返してやるぞというような規定があれば、割り戻しについて損金と見ますけれども、たまたま下請から来て、今期末非常に成績がよかったからつかみでやるというものまで交際費に入れているわけでございます。そういうように、企業が事業を遂行していく場合の外部との間の交際、接待、贈答というものが含まれておりますので、本質的には、私は、販売促進が企業の本質目的だとは思いますが、そのほかにもそういう性質のものが含まれていることは事実でございます。
○中嶋委員 販売経費以外のものが含まれていると言うが、それ以外のもので、電力会社の場合に該当するものというのは、私はないと思うのです。たとえば取引先といったって、電力を消費する側のほうとの交際に——まあ家庭で電気を使っている人たちが東京電力から、おたくはよく電気をお使いになるから一ぺんお話ししたいなんということは聞いたことはないし、たくさん使うところは、これはもう最近は発電所をつくるときに、ある工場地帯をつくるので東電さん進出してくれと、計画のときから場所その他を考えてやっているわけですから、実際には、まあ買い手ですわね、買い手のほうの交際費というのはそうかからぬと思うのです。それを考えると、官庁並みでいいんじゃないか。公社、公団の交際費はどうなっていましょうか。
○吉國(二)政府委員 公社、公団の場合、これは非課税法人なものですから、私ども関知しておりませんが、いま実はうしろから言われまして、私の答えがはなはだ不十分でございまして、電力会社の場合の接待費の非常に多くの部分は、たとえばダム用地の買収とか、原子力発電をする場合の用地の設定、その場合のいろいろなPRとか、こういうことに非常に金がかかっておるようであります。それから新しい路線を引くとき、あるいは地下化をするとき、そういう場合のいろいろな折衝、こういう用地関係あるいは施設関係が非常に多いようで、つまり、いま御指摘がございましたように、買い手としての立場の接待、交際費が大部分を占めておると、私、実情を知らずに申し上げましたが、そういうことがあるようでございます。あるいは住宅公団等がどういうことをしておりますか、これは私も知りませんが、やや似たような状況にあるのかもしれません。
○中嶋委員 建設のための、たとえば地元折衝というのは、いま申し上げたように、公社、公団でもやっておるわけです。道路公団でもどこでもやっているわけです。それを交際費として考えるべきかどうかというのは、私は、非常に疑問があると思うのです。それが交際費となると、建設資金にそれは含まないのかどうか。とにかくダム用地——最近はダムよりだんだん火力発電のほうに移っていますから、最近の発電所はほとんど火力が主になっております。しかも油だきが主になっておりますけれども、しかし、それがダム用地の場合には多額の交際費がかかる。それは建設資金の中には入らないわけですか。あるいは固定資産として、それは表の中に入っておるかどうか。こういう問題はどうなんですか。
○吉國(二)政府委員 もちろん建設勘定の中に含まれているわけでございますが、これは償却させていく筋合いのものではないという意味では、交際費の否認をしてしまって、結果においては半分償却するということになると思います。大部分は、正確な意味で固定資産の原価には入らない、その部分は否認されておる、そういう結果になります。
○中嶋委員 ちっとも資料が——私が手元に持っておる資料を当局も持っておるわけです。ただ、何か徴税担当のほうとしては、個々の内容は公表しないことになっておるというお話で、私は大蔵委員会になれていないものですから、一ぺん理事会で御検討を願って、資料を明確にできるものならば、私はしたほうがいいと思うのです。その上で、いまのような交際費がほとんど建設資金に使われているのかどうか、つまびらかにしていったほうがいいと思うのです。この点、あとで理事会で、委員長のお計らいで御検討をいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○田中委員長 ただいま中嶋委員の資料の件については、後刻理事会でおはかりいたします。
○中嶋委員 じゃ、質問を終わります。
○田中委員長 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 これはまた大臣が来てから議論しなければならない問題ですが、「昭和四十四年度租税特別措置減収額の見積り概要」、これがおくればせながら本委員会に主税局から提出をされたわけです。まあこれであっても、いままでよりは少しは前進したと思うのですが、私は、租税特別措置の問題について、これも税法であるという立場から、去年からこの問題を取り上げて問題にしておるわけですけれども、いつも本委員会に、項目別に大体このくらいの減収見込みである、そういうものは提出される。しかし、はたしてそれがこの法律によって——法律を毎年改正をしておるけれども、この法律によって、はたしてこの減収額というものが見積もりと同じように出たのかどうか、それがふえたのか減ったのか、そういう実績というものは全然つかめないままに今日までずっと推移してきておるわけです。今日のように、経済が一昨年あたりから、さらに第何ラウンドになるかわかりません、第三ラウンドぐらいになるかもしれませんが、高度成長の段階で、非常に経済が好況で、かつ発展をしておる。そういうような中では、おそらくこの減収額というものが、年度当初に出された見積もりをはるかに上回っておるというのがほとんど大部分じゃないか、そういうように思うわけですね。したがって、これもないよりはいいのだけれども、ただこう見積もりましたというだけで、どういう理由で、どういう経済の動きによって、あるいはどういう統計によってかくかく見積もったというものがちっとも出ていないわけですね。 たとえば「利子所得の分離課税及び税率の軽減」こういうことで四十四年度の個人の受け取り利子総額を一兆六千八百四十二億と見込んだ。そのうち課税分利子を九千十二億と見込んだ。これに対して「分離課税及び税率の軽減措置の適用を受けるものの上積税率、課税の特例措置が廃止された場合の申告率等を勘案して昭和四十四年度減収見込額を四百七十億円とした。」これだけでは何のことやらわからないのですね。 そこで伺いますが、この数字自体にもやはり私は疑問があるのです。たとえば四十四年度の個人分の受け取り利子総額というようなものは、これはいつの時点でどういう統計からこれをとられたのか、これをひとつ伺ってみたいと思います。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、税務統計で実際の課税利子の動きその他がかなりおくれて出てまいりますが、この間申し上げたように、四十一年が実は去年発表になった。四十二年が最近わかったわけですが、この四十二年の実績をその後の金融機関別の貯蓄の伸び率というもので推計して伸ばすわけです。そして四十四年の利子を出した。そういう意味で、御指摘のようになまの資料というものは、見積もりでございますからもともとないわけでございますし、それから金融機関等の預金資料が、課税、非課税の利子が分かれております。結局全体の預貯金の利子を見ながら課税実績を伸ばしていくより方法がない、そういう点が答えだけ出さざるを得なくなった理由の一つでございます。この間差し上げました資料は、そういう中間は省略いたしてありますが、要点要点の数字はきちっと書いてあるわけで、あの数字は架空につくり出したものではないという意味で、その結節結節の数字は全部掲げたつもりでございます。
○広瀬(秀)委員 方程式を解くのでも、中間項を全部省略してしまって、作業をするプロセスなんかについてほとんど語らずに答えだけ出して、これが正しいのですよと言われたって、これは信用できないわけですね。これは大学の二次だって何だってみんなそれじゃおそらく零点のはずですよ。それでこの問題だけ、数字の点で私の見方が間違っているのかどうかわかりませんが、「国民所得統計年報」、これは一九六九年版で経済企画庁で出しておるわけですが、この四十二年度というところに、個人の財産所得の中で利子の分が一兆九千五百六十四億という数字が出ているわけですね。昭和四十二年度でこれだけ個人に支払われる利子の額があるということになりますと、受け取り利子が一兆六千八百四十二億だというのは、これはその後もおそらく個人の貯蓄はふえておりますし、貯蓄性向はますます高まっているわけですから、そういうことを考えれば、おそらく二兆円をこえることになっているだろうという推測は容易につくわけですね。それをあなた方のほうでは一兆六千八百四十二億と言う。ここに四千億の違いがあるのじゃないかと思うのですね。そうすると、この出した答えだってちょっとおかしいじゃないかというように考えられるのですが、いま私が引用したものと、あなた方がお出しになったこの一兆六千八百四十二億という数字はどういう食い違いで出ておるわけですか。
○吉國(二)政府委員 その資料を一ぺんあとで突き合わせてみたいと思いますけれども、いま私が申し上げたように、税務統計におきまして四十二年源泉徴収実績の総計から課税利子というものが出ておるわけであります。おそらく法人、個人の預金の分け方、これはかなり機関によって違うものが出るのじゃないかと思うのです。私どもは一応源泉徴収の実績から推計をいたしまして、それを伸ばしておりますので、あるいはその辺の差が入りくりがあるのかもしれぬと思いますが、現実に徴収をした実績の伸ばし方としては年々二割ずつ伸ばしておりますから、四十三年、四十四年、伸びとしては十分伸ばしたと私は思います。四十三年に国税庁で把握した現実の税務統計から伸ばしておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 そういう説明をされても、私はまだ答えにならぬと思うのです。少なくともこの四十二年度の数字として国民所得統計で企画庁が出しておる、それはどういう中身になっておるのか、税務統計とはどういう点で違いがあるのだということで、おそらく二〇%ずつ伸ばしたとすれば、四十四年あたりでは二兆三、四千億になるという感じにもなるわけです、これが正しいとするならば。四十二年度で一兆九千五百六十四億というわけですから、これを二〇%伸ばせば、四十三年でもう二兆一千億をこす。それがまたさらに二〇%伸びれば、おそらく二兆五千億くらいになるのじゃないかと思うのですね。そういう九千億というような大きな違いが出てくるということになりますと、この数字についてもほんとうに納得のいく説明をしていただかぬと、あなた方がお出しになった答え四百七十億なんというものはまるきり信用できない数字になってしまうじゃないか、こういう気がするのです。
○吉國(二)政府委員 あとで実はその国民所得統計と引き合わせをしてみたいと思います。あるいはそれに郵貯の利子が入っておるのじゃないかと思いますが。そうしますと、郵貯利子はこちら非課税になっておりますから、そこで差が出ているのじゃないかと思っておりますが、これは想像で言ってはいけませんので、現物と引き合わせをして早急に差を御説明申し上げます。
○広瀬(秀)委員 元本ではなくて利子ですよ。あれは郵貯が何兆円あるか私も記憶しておりませんけれども、おそらくあの安い利率ですから、九千億もの差がその分として出る可能性というのは私は少ないと思うのですよ。これは主税局長がそういう答弁をされたから、よく突き合わせていただいて、かくかくのごとく信憑性があるのでございます、したがって、この答えはこのとおりになるのですということをやはり言っていただかなければいかぬと思うのです。それをひとつ二十五日までに——まあ二十五日には大体この法律案もこの委員会を通る段階になると思いますので、そういう点をひとつ明らかにしておいていただかぬとあと味の悪いものになりますから、お願いをしたいと思うわけです。 以下、各項目について一つ一つやっていけばいろいろそういう問題もあろうと思うのです。 したがって、これは国税庁にもお伺いをしたいのですが、昨年も私、議論をいたしました。これも本来取るべきものを減額してやろう、税をまけてやろう、こういう気持ちで、しかもそのまけるにあたっては、こういう政策目標を掲げてこれだけ減税をするということをわざわざ法律できめるわけです。そういうものですから、これは税法ですよ、税法というものはやはり厳格なものでなければいかぬと思うのです。積極的に取る税法だけは、これはもう徴収されてくるわけですが、いわば消極的な徴税といいますか、消極徴税、マイナス徴税というような意味がある。プラス徴税の面は全部数字で毎月どれだけ上がったかということが報告され、われわれにも報告されてくるわけですけれども、税法の特別措置法を審議して、まけてやった分については幾らまかさったことになったのか、幾ら減収になったのかということが出てこないのですね。それで国税庁に聞きましても、その実績を出すことは非常に困難だ、いまのたてまえでは困難だと言う。困難ではあるけれども、やっぱり税法である以上は、実際にこの税法を実施することによってほんとうにこれだけ減収になりましたということは、調べて調べられないはずはないわけですね。これは現状でどうだこうだという議論とは別に、考え方としてどうですか。政務次官どうですか。
○亀徳政府委員 税収の見込みは主税局がやっておるのですが、私のほうは税務統計でございますが、ともかく実際に徴税した具体的な結果を正しく集計するということで実際の徴税額が出てくるわけです。 それからまた、いろいろ引いたりなんかしたものはわからぬという点、どういう点かちょっとわからぬのですが、たとえばいろんな変動準備金をどれくらい利用したか、その利用総額は幾らか、あるいは引当金はどうだ、減価償却のぐあいはどうだ。これは全部網羅できてはございませんけれども、主要な項目については税務統計の中でいっております。 ただ、先生おっしゃいます減税額幾らというお話は、逆に言いますと、減税額幾らの見通しがむずかしいとともに、減税額というのは結局われわれのほうは実績がわかるわけですから、もしもそういう制度改正せざりせば幾ら取っただろうということは、これまた推計でございますね。したがって、われわれのほうは実績がわかる。しかし、ほんとうの減税額が幾らかというと、もしも改正せざりせば幾ら取れただろうかということがわからなければいかぬわけですが、これまた推計でございまして、これは神さまでもわからぬというか、とにかくその推計はよくわからぬと思いますが、私のほうはどうしても実績をともかく正しく把握するということがポイントなものでございますから、改正せざりせば幾ら取れただろうか、こういう計算は、これはやりましてもなかなかむずかしい点があるということを御理解願いたいと思います。
○吉國(二)政府委員 ただいま国税庁長官申しておりますのは、ものによって明らかにわかるものがございます。国税庁の統計にも載せてございますが、準備金、引当金、償却費につきましては、実施額を集計すれば、それによって減収額がはっきりわかるわけでございます。ところが、利子所得のような場合には、いま長官が指摘いたしましたように、一体どの程度限界税率の人の預金がまかっておるのかということが、これはあくまでも推計しか出ませんので、事前に推計したものと事後実績が出て預金の実態がわかってからでも、同じく推計にしかとどまらないという二種類あると思うのです。国税庁では大きな減収項目で、実績によって減収がわかるものは統計に、これは三年おくれでございますが、載せております。あとの分はやはり推計で、最後は推計を加えませんと結果がわからないというものになるわけだと思います。そういう意味では、国税庁の統計をできるだけ早くつくってもらいまして、わかるものについては、国税庁もあらかじめ電子計算機等に組み込んで計算しておりますので、これは税務統計でごらんいただきますと、大体大きなものはわかると思います。
○広瀬(秀)委員 かりに準備金あるいは引当金、償却費、こういうものならばわかるというわけですね。それすらもいままでこの委員会には出されないわけですね。それをごく最近の、たとえば四十二年なら四十二年でけっこうです。四十二年ならもう出ているでしょう。出ていませんか。四十二年に見通しをこれだけ出しました、それで準備金、引当金、償却費、これについてどういう実績になりましたということをそれじゃ言ってください。
○亀徳政府委員 四十一年の分につきましては、いまちょっと手元に持っておりませんので、数字は申し上げにくいのですが、お時間をかしていただけば電話でちょっと照会します。
○広瀬(秀)委員 それじゃ数字はけっこうですから、四十一年主税局からお出しになった見通し、見積もり、年度当初に出したものとこの準備金、引当金、償却費、それだけでもけっこうですから、数字を並べて対照してみてください。わかりましたか。
○亀徳政府委員 あとで資料として提出さしていただいてよろしゅうございますね。
○広瀬(秀)委員 それで、この問題は、非常に重要だと私は思っているのです。これは取るほうだけは取るけれども、まけてやるほうは幾ら高くなったってわれわれにわからない。審議している者にわからない。こんなばかな税法というものは私はないと思うのです。これは税法でしょう、政務次官。政務次官のこの点についての考えをひとつ聞かしてください。
○上村政府委員 いま国税庁長官並びに主税局長から申し上げましたが、私もいろいろ先生からの御質問、御指摘を聞きながら、わかっていいような気もしますし、また推理の状態が非常にありますから、非常にむずかしい部面もあるんじゃないか。おおよそのめどというものは、従来のいろいろな実績で押えがきくでしょうけれども、統計的にどのくらいだろうかという確率を持った推測金額ということになりますと、いま大体の見通しのつくのもありますれば、主税局長が申し上げておりますように、非常にあいまいな点もあるというような感じがするわけですが、おおよその見通しというものはついていいのじゃなかろうかという感じがしております、非常に申しわけございませんが。
○広瀬(秀)委員 非常に不満足な答弁なんですが、大臣が来てからさらに詰めた議論をしてみたいと思うのです。 昨年の答弁でも、いろんな推計も入ったりいろいろなことがあると言われるわけですけれども、これは国税庁で若干の手間ひまはかかるだろうと思うのです。あるいはこれを厳格にやるということになると、かなり人員をふやさなければならぬということもあるだろうと思うのですが、しかし、やはり税法としてはそこまできちんとしたものをつかまない限り——これは政策減税であるということがよく言われるわけですが、大体ほんとうにこれをやって、どれだけ減収になった、したがって、これぐらいの減収になったということによって、どれくらいの政策効果があったろうということを、そういう数字の中からまた判断も変わってくる場合もあるわけですね。やってみたけれども、たいして減収額になっていない、——これは隠れたる補助金だともいえるわけですが、そういうようなことが何一つつかめない。政策効果の判定というようなことも、そういう面からいえばこれはきわめてばく然たるものであり、言うなれば腰だめでずっとやってきている。政策効果はあるんだ、あるんだといいながら、常に見通しだけ、推計だけということで実績が一つもつかめないというようなばかなことは、やはり税法として非常に問題の多いことだし、しかもこれが公平の原則を害しているということ。しかも、政策目標もいつでもはっきり出てこない、これがあいまいだということ。それから非常に時限的にやろうといいながら、慢性化し長期化し既得権化して、一たんつけたらはずのはもうたいへんな困難があるというようなものになっているということで、言うなれば、この税法はまさに国民大多数の庶民大衆からはもう怨嗟の的になっているわけです。そういうところから、これは国税庁だって、さっき長官言いましたけれども、やれないということはないと私は思うのです。第一線で、この租税特別措置法の第何条をこの企業に適用した、それを一つ一つチェックをしておけばいいのです。それがなければこれだけよけい取れたはずだということは、その段階でチェックできるのですね、みんな調べてやっているわけですから。それは全部調査できないけれども、そうすれば、租税特別措置法を適用したのは、それほどの納税者全部にわたって適用はないと思うのです。租税特別措置を適用したというものだけチェックをして、 これがなかったら幾らになるはずだという計算も、ちょこちょことやってみれば、これは第一線でできないはずはない。そういうようなものを集計してみれば、これはできるだろうと思うのです。利子所得なんかの場合には、かなり銀行にも協力を願わなければならぬけれども、事業者が、五人使っても十人使っても源泉徴収の事務をちゃんとやっているのと同じように、銀行のところで源泉分離をやっている、これが本則でやったら幾らだというようなことなんかは、その程度の協力くらい、一ぺんくらいやってみたらどうかと思うのですが、これは絶対にやれませんか。
○吉國(二)政府委員 いまの利子の点は、さっきも申し上げましたけれども、たとえば総合しないためにどれだけ税が減っているかという、その利子を受け取っている人の限界税率がわからなければ、幾らまかっているかわからないわけですね。二〇%の分を一五%にしている、源泉徴収税率だけをまけている点は、これははっきりわかる。それから上が一番問題でございまして、そこはほんとうに推計しか方法がない。それから第一線は、計算をきちっとして、厳格に租税特別措置の適用状況は監視をしております。したがって、いいかげんに租税特別措置の内容が乱用されているということはないわけで、その点、御指摘のとおり、全部合わせればわかるわけでございますが、ことに貸倒引当金などは、青色申告者にしても納税者の約七割近くが適用しているようなことで、非常に数が多いわけでございます。しかし、これは何といっても圧倒的に一般的な引当金であるだけに、国税庁としては統計項目に入れてとっておりますが、これはたいへんな作業でございます。あといろいろなこまかい、百三十八とは申しましても、あれは似たような措置を合わせて百三十幾つでございますので、一項、二項というふうに法律で分かれているものを区別いたしますと、もっと多くなるわけです。これを全部実績をとるということはなかなかむずかしいわけでございますが、さっき言われたように、おも立った措置で、比較的、調査課所管なら調査課所管で調べればわかるようなものは、私ども個別には努力して、実績に近いものを把握して、毎年度見積もりを出すときには毎年見積もりがえをしておりますのもそのためでございますが、減収額としては非常に近いものであるということは確信を持って申し上げられるわけでございます。 毎年その点は実績をできるだけ——完全でないためにここへ持って出られないという点がございますが、確率的に見てほぼ間違いない程度の実績は押えて推計をしておりますので、これはもっと具体的に見せろというお話かと思いますけれども、推計のしかたその他についてはまたおいおい御質問の点にお答えいたしますが、かなり努力はいたしております。減収見込みが毎年それなりに変わってまいっておりますが、それぞれ実績で修正をしておるということは、どうか御了承願いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣お見えになりましたから、予算委員会でお疲れのところ恐縮ですが、いま租税特別措置がずっと非常に長期になっているものもあるし、また、その政策効果というものを期待してやったのだけれども、それもかなりあいまいなものもあるし、しかもわれわれが審議しているときに、輸出の振興なら振興ということで、一体これにどれだけ、年度当初に、ことし昭和四十四年度ならば五百四十九億の減収がこの項目でありますと、こういう見通しだけはいつも出る。しかし、はたして年度を一年経過してみて、五百四十九億の減収にとどまったのか、あるいはそれを上回ったのかというようなこと、そしてどういう根拠によってこの上回った、下回ったというようなものが示されたことがない。実績というものを一つもつかめない。そうだとすれば、金額もはっきりしないもので、この見通しはあるけれども、はたしてそれが実績はどうなったかということがわからないで、その政策効果があったのないのという判断はできないじゃないか。しかも、これは税法なんだ。税法である以上、取り立てる税金はきちんと報告もされるけれども、まけてやるものについては、もうどれだけまけたんだかもわからないというようなことではいかぬじゃないか。税法としての権威がないじゃないか。全く腰だめで租税特別措置というものは運用されてきているということにならざるを得ないじゃないかということで、やはり実績というものがどういうようになっているかということについて、もっとはっきりしたものをつかんでこの国会にも報告をし、審議の材料にも、素材にもすべきじゃないかということを要求しているわけです。 したがって、そういう方向について大臣は努力される。これはいろいろ技術的につかむことが、いわばまけてやる分ですから、目に見えないいわば消極的な税法ですから、そういう問題はありますけれども、そういう技術的な困難、事務的な困難というようなものを克服しても、やはり税法である以上そういうことについて、もっと前進的な立場で何らかの措置をして、本委員会にも報告ができるようにしてもらいたいということでいま論争をしておったのです。大臣のひとつ明確な御所見を伺いたい。
○福田国務大臣 お話しの筋はまことにごもっともと思うのです。問題は、技術的にかなりむずかしい点がありやしないか。それからいまの税務官庁の事務能力、これにも相当大きな影響もある問題かと思うのです。しかし、お話しの筋はごもっともでありますので、事務当局でできる限りの検討をするように要請してみようと、かようにお答え申し上げておきます。
○広瀬(秀)委員 この点は昨年から私もしつこくやっているのです。ですから、どうかひとつ長官も、いま主税局長もお聞きになったわけですから、われわれに満足といかないまでも、いままでの見通しだけということでなしに、経済がこういう発展をたどったということで、おそらくこのくらいになったであろうというようなことでもけっこうですし、わかるものについては実績をできる限り早い機会に——二年も三年も前の、四十四年の税法を審議しているのに四十一年がやっとこわかるかわからぬかというようなことでは困るのであって、できるだけ早い機会にそういうものをお出し願うというようなことについて、ひとつ十二分に国税庁長官も努力をしていただきたいと思うわけであります。 通産省来ていますから、この輸出の振興関係で、輸出割増償却制度について、どのくらいの適用商社の数があるか、ここらの数字をひとつ聞きたいのです。
○鈴木説明員 現在のところ詳細な数字はわかりません。
○広瀬(秀)委員 およその概算でもいいから……。
○鈴木説明員 およそ日本の商社の数が数千ございますけれども、そのうちの大部分が対象になっておると考えます。
○広瀬(秀)委員 いまこの貿易商社、輸出業者というのは、経理状況なんかも非常に——昨年、特に昭和四十三年度などは輸出が空前に伸びた年でありますね。そういう中で経理状況といいますか、そういうものも非常に好転していると思いますが、いかがですか。
○鈴木説明員 先生のおっしゃるように、概して好転しておると思われます。
○広瀬(秀)委員 輸出に伴う利益も非常に大きくなっておるだろうと思うのですね。そういう中でこの輸出割増償却というものが適用されておるわけですが、これは輸出増強という名によって正当化されるのかもしれないけれども、考えてみれば、どんどんもうかればもうかるほど内部蓄積なんかも十分やれるようなものに、こういう輸出振興のものが税制の面でもさらにメリットをつけていくという形になっておると思うのですね。この割増償却をやる資産というのは、これは限定があるのですか。その輸出をやるために直接必要なものであるとか、あるいはそれと間接的なものであるとか、そういうようなものの制限があるのかないのか。何でもその商社がつくったものについての償却資産全体に適用されるのか、この点お伺いしたい。
○吉國(二)政府委員 輸出割増償却は、御承知のとおり、一般割増償却でございます。全償却資産について割り増しをするという制度になっております。
○広瀬(秀)委員 これは若干問題があると思うのです。アメリカの上院分科会が報告書を出した。その中で、アメリカの援助というようなものが、これは大臣に伺いたいのですが、非常に不経済的に、さらに不法に使われているというようなことがいわれておるわけですが、日本の場合に、これは民間ベースの輸出あるいは海外投資というようなことについて輸出振興特別措置が行なわれておるわけですけれども、こういうようなものが、やはり海外の投資損失準備金などをつくることによって、ここで指摘されているようなもの、これは政府資金関係のことでありましょうけれども、海外との取引あるいは海外投資というような民間ベースにおいても、やはりこの上院外交委員会に特別な調査会が設けられて、報告されたようなそういうものとの関係というようなものは絶対にない、そういうように理解していいわけですか。大臣。
○吉國(二)政府委員 政府ベースで行なわれます海外援助がいろいろ問題を起こしているということを指摘されておりますが、この割増償却等は、御承知のとおり、輸出をいたします商社なり製造業者がそれだけ償却を多くするということで、企業の体質改善を通じて企業の輸出競争力をつくろうという趣旨でございますので、経済援助のように相手方に特殊な利益を与えたり、その与える階層が非常に違うとか、そういった種類の問題は民間ベースでは起きないと思っております。
○広瀬(秀)委員 大臣は参議院の予算委員会に行かれる間においでになったようですので、大臣に対する質問を先にいたしたいと思います。 先ほどの本会議で、同族会社の留保金課税の特例について武藤委員から質問がありましたが、それは、大小について差別をしていないと言うけれども、資本が何千万あるいは何億というような大きいところでは、同族会社は大体まずないと見ていいと思うのですね。だから、そのことはどうこうではないのですが、今日の段階で七十数万に及ぶ同族会社はいずれも零細、小零細と見ていいわけです。ここで留保金に対して課税をするということは、やはりそういう小零細なものが内部留保を充実して大きく発展していくという立場からいって、さらに一般の株式法人の場合などにおいては、内部留保についてはもう税金がかからないというのに対して、これはわざわざ百万円くらいの基礎控除を置いてこれにかけていく、法人税をかけたほかにそういう特例まで設けてよけい取る。まさにこれは、小さなものいじめという感がどうしてもぬぐい得ないわけですね。したがって、これについての再検討、さらにこれを廃止すべきだという要求を私ども持っておるわけですが、百万円というのももう二、三年前にやったわけですから、最近の情勢からいって、これをさらにかさ上げするというようなお考えというものはございませんか、大臣。
○福田国務大臣 先ほど本会議でもお答えいたしたのですが、どうもこの問題、長い間の議論の焦点になっておるわけですが、同族会社が内部留保する、それはつまり、それを配当とした場合には所得税がかかるわけですね。その所得税を免れてしまうという結果になるわけであります。そこで個人事業者との間に著しい不均衡を生ずる、こういうことになるわけです。これは御理解いただける問題じゃないか、かように考えるわけです。ですから私は、考え方として、同族会社は普通の事業会社と違うのだぞ、この考え方は、はっきりそういう認識を持っていただきたいものだと、こういうふうにお願いをしたいのです。 ただ、御指摘の百万円のかさ上げでありますとか、あるいは適用する税率の問題でありますとか、こういうことについては、そのときの状態に応じて考えていっていいと思います。しかし、この考え方の基本を変えるというのは、これはどうもむずかしい問題じゃあるまいか。きょうはこの辺でひとつ答弁とさせていただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 そういう面については十分前向きに検討されるということですし、時間もあまりないようですから、それ以上きょうは申し上げません。しかし、いずれにしても状況によってというようなことではなしに、この問題も早急にひとつやっていただきたいのですが、これはあとで答弁いただきます。 それから、この際ですから、もう大体租税特別措置の審議もあと一日、二人くらい残すだけでございますから、ここらでひとつ大臣の率直な見解を聞いておきたいわけです。利子配当所得に対する課税の特例、社会保険診療報酬の所得計算の特例、こういうもの、特に後者の場合には七二%の概算控除というものが、実態調査の結果は、五一・二%であるとか、あるいは五〇%を切っておるものがある、そういうような結果も出たようであります。これらの問題について、来年これが期限が切れるということで、これが廃止の方向なり、あるいは改廃、整理の方向というものをどういうようにお考えなのか。これは、この委員会で大臣が答えられる最後のひとつ答弁だと思って、すっきりした答えをお願いしたい。
○福田国務大臣 いまの利子配当、これはお話しのように、来年三月一ぱいで特例の期限が到来する問題でありますが、医療報酬のほうは、これは期限の問題のない問題であります。 前の利子配当についてまず申し上げますと、私は率直に申し上げまして、まだこれはどういうふうにするのだという固まった考え方を持っていない。これから国会でも済みましてからよくひとつ勉強してみたい、これが率直なところなんです。ただしかし、これは特例措置でもある、期限も来年は到来するということでありますので、これをどうするかということにつきましては、白紙で十分慎重に考えてみたい、かように考えておるのであります。 それから、診療報酬の問題につきましては、この間も申し上げたとおりでありますが、これはいきさつがありまして、つまり、診療の点数、単価もこれとひっからまってこの制度が出てきたという、なかなかやっかいないきさつがあるわけなんであります。そういうことで、どうも単純に税の理論だけで片づき得るかどうかというと、客観情勢はなかなかそうもいかない。しかし、累次の税制調査会の答申もある、また、本委員会においてもいろいろな意見が述べられておる、そういうことは、私はよく承知しております。それらの各方面の意見を承知し、頭に置いた上で、また実態の調査、それから医療費の本体のほうの行くえ、そういうものともにらみ合わせながら検討してみたい、かように考えておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 非常に消極的な慎重過ぎる立場で答弁をされているわけなんですが、きのう税制調査会長の東畑先生もいらっしゃいました。東畑先生も、この問題については十分検討して御趣旨に沿うようにやりたいという表明をされておるわけです。そこで、まだいまのところ白紙の状態だと言うのだけれども、これを廃止の方向に向かって検討をする、そういう気持ちもないわけですか。来年度期限が来るのですよ。それで、ことしもう税制調査会が続けられるわけです。その税制調査会にこの問題をまっ正面から投げかけて、大蔵省としての考えを固めて税調にはかっていく、どのようになるかは別としてですよ。廃止に一歩でも近づき得るような形というものが出るのか出ないのか、前進するのかしないのか、そういう方向を聞かしていただきたい。
○福田国務大臣 これは臨時特例である、こういうことをたてまえといたしまして検討いたします。
○広瀬(秀)委員 時間がありませんから、それ以上お聞きしませんが、積極的にひとつやっていただきたい、こういうことを強く要望しておきます。 次に、交際費課税の損金不算入の問題でございますが、交際費というのは、一体事業にとってどこまでがほんとうに常識的に経費性を持ったもので損金に算入できるのかということでは、やはり四百万円という基礎がある。それに資本金の額に応じて、今度はいわば定率的に千分の二・五というものを認めておる。その両者を合算したら、それをこえた交際費の支出は一〇〇%否認してもいいのじゃないか、そういうように思うわけなんです。四百万円というものがもうあるのです。中小企業なんかでも四百万あれば、現在の物価情勢からいっても、また、これはもう何ぼ使ったって、企業の立場から言わせれば、当然の経費なんだ、販路を拡張し、業況を好転させるための必要経費なんだ、こう主張されるかもしれないけれども、やはりそういうものが今日の社会のゆがみを交際費の支出などを通じて拡大する、そういう社会的な側面も見られるわけですね。いわゆる社用族というようなことばがジャーナリズムにもてはやされてから久しいわけです。これがやはり主として交際費というようなものの中で行なわれているということを考えますならば、いままで超過分の五〇%否認しておったやつを六〇%にしようというわけですから、これはこれなりに一つの前進です。その点は認めます。しかし、もう少し一段とそれを強化をして、一〇〇%に近づける、一〇〇%損金算入をしないという方向に近づけていく、こういうお気持ちはありますか。 それから、今度たとえば富士製鉄、八幡製鉄が合併される。これが世界的にも有名なんですが、日本では第一位になるわけです。資本金が約二千億ぐらいになるのですが、これで大体どのくらいの交際費が使える勘定になるか、これは主税局長からお答え願いたい。
○福田国務大臣 交際費と申しますけれども、会社の活動のために必要なる支出である、こういう性格のものであろうと思います。ですから、企業会計としては交際費は損金だというたてまえで、税法もできておる。それを特別措置法でくずしていく、こういう考え方にいまなっておるわけなんです。交際費だからこれは全部が全部否認さるべき、そういう性格のものではなかろう、そういうふうに私は思いますが、しかし、いろいろ交際費の使用の現実については批判もあります。そういうことをとらえて特別措置というものが今日ある、こういうふうに思いますが、ことしはとにかく六〇%否認しましょうということになった、しようとしているわけでございますが、この実績を見まして、そうしてまだこれでもどうも社用乱費というような傾向が強いというようなことでもありますれば、また私は考えるということにしたらどうであろうか、かように考えておるのであります。せっかく税制調査会でも六〇%という線を出していただいておりますので、四十四年度段階は六〇%にする、それからその実行の状況を見て、そのあとのことはまた考えてみる、かようにいたしたいと存じております。
○吉國(二)政府委員 かりに富士製鉄と八幡製鉄が合併をいたしたとしますと、資本金が約二千二百億円前後になるかと思います。したがいまして、交際費の限度額は約五億五千万円ぐらいということになると思います。
○広瀬(秀)委員 これから王子系四社が合併をするとか、いろいろそういう大きなものも出てくるわけです。そういうような合併のメリットという中でも、これはもう五億の交際費を使うというようなことが、われわれこれは貧乏育ちのせいかもしれぬけれども、五億の交際費がはたして使われるのだろうか。しかも、それをこえた分——おそらくこえているのだろうと思うのです。そういう使い道というものが許されていいのかどうかという感じを抱く。それから、これは大臣、ひとつことし六〇%にしたんだから、さらにこれは強化する余地というものは私はあるだろうと思うので、そういう方向で十分ひとつ、私どもの言う前向きで検討をさらに進められるように強く要望しておきます。 それから、自己資本充実という形でいろいろな租税特別措置が行なわれてまいりました。しかしこれは、この租税特別措置の問題が政策効果がおかしいじゃないかという一つの問題にもなるわけでございますけれども、自己資本比率は年々、ここのところこういう経済の好況にもかかわらず、しかも内部留保、減価償却というようなものはどんどんふえているにもかかわらず、自己資本比率はちっとも改善をしない、こういうような状況です。一番新しい資料によりますと、今日では一七・五%ぐらいですか、そういう状況なんです。かつては二〇%、これは資本金、階層別でも若干違いますけれども、全産業総平均ではそういうことになっておる。ちっとも改善されていないですね。かえって悪くなっている。こんなものは自己資本比率の改善というようなことをやったって、こういうものでは何の役にも立たない。もっと経済の状況あるいは会社経理の状況というようなものについて別な手が当然必要なんであって、こういう税制についてはその政策効果というものは期待できないのだという感じにはなりませんか、いかがですか。
○福田国務大臣 いろいろ会社の自己資本の充実については努力しているわけなんですが、一向効果があらわれない、お話しのとおりであります。これはどこに原因があるかというと、日本経済の成長のスピードです。私はそう見ておるのです。経済が成長する、成長発展するためには設備投資を必要とする。設備投資をするその資金は何に求めるか、これは株式増資ですね。増資にこれを求めるいとまもない。こういうことで借金借金でいく、この風潮、これが自己資本比率というものを悪くしておる第一の理由である。それからもう一つ、これは税の問題もひっからまってくると思うのですけれども、配当しようとする。配当すると税のことも考えてその倍ぐらいな資金を用意しなければならぬ、こういうことになる。だから、法人税の税の仕組みということもこの問題に大きく関係をしてきておる、私はこういう観察をしておるのです。 さあ、しかしそれじゃそれを直すに一体どうしたらいいのかというと、これはなかなかそう簡単ではない。法人税制の基本に触れてくる問題でありますが、とにかくいろいろそういう資本比率というか、資本構成の好転を妨げている諸原因を、あらゆる問題、角度から再検討しまして、そしてその対策を立てていく、かたがた資本市場というものの育成につとめていくということかと思うのであります。
○広瀬(秀)委員 現在、資本構成是正のための課税の特例ということで、四十四年度五十五億の減収があるだろう、こう見積もられておるわけですね。これは一%、自己資本比率をよくしたというものに適用があるのだと思うのですが、この適用条件は主税局長、どういうことになっておりますか。現実にこのあれがあることによって改善が促進されているというようにお考えですか。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、これは自己資本比率が一%以上向上した場合に、それにさらに一%を加えた割合を税額に乗じた金額だけ控除するという制度でございます。したがいまして、努力をして自己資本をふやせば、支払い税額ばそれだけ減るというインセンティブでございますが、これが現実にいま働いている姿を見ますと、御承知のとおり、この自己資本の計算をいたします場合に、社債につきましてはこれを借り入れ金から除外して計算をいたすことにしております。したがいまして、一時借り入れ金を返して社債をふやすということが、この制度によってかなり行なわれたようでございます。そのためにかなり借り入れ金が減ったという意味で資本構成の是正が行なわれた面は、これは現実に証券局でいろいろ接触調査をした際、かなり明瞭に出ております。ただ、株式資本そのものをふやすという点では、これだけのインセンティブでは、体制はあまり十分ではないという感じはございますけれども、景気のよくなったときにできるだけ借り入れ金を返して内部留保でやっていこうという傾向を助長した点は、程度はございますけれども、確かに認められるように思います。
○広瀬(秀)委員 大臣の時間をあまりとってもと思いますから、大臣にもう一つだけお伺いしたいのです。 土地税制について今度はかなり大きく改正したわけですが、こういうことで、はたして——見方によっては、今度の措置自体でかえって供給が阻害されたりするのではないかというような議論もあると思うのです。それ以上にむしろ、今日土地を値上がり益を予想して持っている、それで軽減税率で一〇%、二〇%というような比例税率などもつくって、長期保有の土地の流動性を促進しようというわけですけれども、かりにそんなことをやっても、土地そのものが今日の段階で年率二〇%ぐらいずつ上がっているというようなことで、この程度のもので、そういうメリットがあるからというので土地を手放すよりは、まだ二〇%上がる、その土地価格の高騰のほうが、それを待っておったほうがよほど利益だ、こういうようなことにもなりかねないわけであります。もちろん、この土地の供給というものをあるいはふやし、国民大衆に容易に土地が手に入るように、しかも価格があまり値上がりしないように、あるいは仮需要を押えるとか、いろいろな政策目的があるわけですけれども、むしろそういうものよりも、土地をじっと持って利用もしないで遊ばしておいて、空閑地にしておいて値上がりを待っておる。やはりこういうものに対する空閑地税というようなものの設定のほうが、むしろ——もう土地を持っているということを投機の対象、値上がりの対象にして、その値上がり益をたんまり受けようというような人、しかもそれを遊ばしておくというそういう者に対して、むしろ道義的な反省も促す。そして、そういうものを手放していくというような形、やはりある程度そういう意味での強制というものをしていくためには、空閑地税の創設というようなことが必要じゃないかと私は思うのです。そういうものによってむしろその供給が促進され、値上がり防止にも役立っていくというようなことになるのじゃないかと思うのです。そういうような意味から、こういうものについてのお考えをひとつ率直に聞かしていただきたい。
○福田国務大臣 私は、今度の税制は非常におもしろい結果をもたらすのではあるまいか、そんな感じを持っているのです。現に、私どものところへもずいぶんそういう接触があるわけです。いつ通りますか、ほんとうに通りますか、そういうような照会ですね。これはもう確かに、今度は、いままで分割売却をしておったのを一括売却にいたしますとか、とにかく待ってましたというような気持ちがずいぶんみなぎっておる、私はそういうものを感じます。 それはそれとしまして、空閑地税だ、こういうお話でございますが、私はその考え方は理解もでき、また同じような考え方を持っております。しかし、さあ、これを公平に実行するということになりますと、そういう方法は非常にむずかしい問題かと思うのであります。固定資産税的な一般的な課税方式でありますと、これはやっていけないことはないと思いますが、しかし、反面において、今度は必要な土地に対してこの課税をするのだというような、こういう批判が一方において起きてくるということも考えておかなければならぬと思いますが、個人個人が所有するその土地についてどこまでが必要であり、どこまでが不要な土地であるか、これは実際現実に当てはめてみると、非常にむずかしい問題ではないかと思うのです。しかし、その御趣旨の点は、私もそういうふうに思いますので、いい方法があればという気持ちで今後勉強してみます。
○広瀬(秀)委員 空閑地税というような問題についても、ぜひこれはひとつ真剣に考えていただきたいと思うのですね。一〇%、二〇%の軽減税率を設ける、短期のものについては四〇%にするぞということで、譲渡益にはそういうことにするぞということで強制するのも、何ほどかの効果はあるかもしれない。しかし、遊ばしておいて、土地の値上がりを待ち、投機の対象にしていくという、そういう考えの者に対してある程度反省させる。土地というものは本来社会公共のものだ、そういうもののために使うんだ、これは憲法における原理でもあるわけだと思うのですね。土地というものが、そういうことで今日の日本の経済の、特に物価値上げというようなものについての非常に大きな原因になっている、あるいはまた公共事業なんかについても非常に阻害要件になっている。そういうようなことを考えれば、国民全体の福祉のために土地は使わるべきものなんだ、利用さるべきなんだということを強制し、その人たちに反省させるというような、空閑地税というものはそういう意味があると思うのです。そういうものも十分考えていただきたいと思う。主税局長もその点よくお考えいただきたいと思うわけです。 それから、大臣に最後に伺いたいのは、租税特別措置がたくさんありますが、これが地方税にそのままはね返って、地方でも住民税等にやっている。しかもその額も推計で八百三十九億、こういうことになっている。国税である所得税を住民税と切り離したというようなことで、この租税特別措置を地方税にまではね返らせる、そのまま、国でこういうものをやっているんだから、地方でもそういうことをやりますよ。そういうことを遮断したっていいんですね。所得税と住民税というものを遮断しましたね、それと同じような考え方で遮断して、何ら差しつかえないことじゃないかと思うのです。しかも最近は、地方の財政も幾らか楽になったというようなことで、国に六百九十億も金を貸すというような事態ではあるけれども、こういうものを、少なくとも国でやったからそのまま地方でもやらなければならぬという、そこのところは遮断をしていいだろう。そうすれば地方の開発、あるいは地方の自治体における行政水準の向上、あるいは生活基盤の整備というようなものも、もっともっと進むだろうと思うのですね、こういうものを財源にすることによって。そういうことをはね返らさない、遮断するというような方式を、私はとるべきだと思うのですが、いかがですか。しかも地方税においては、いわゆる応能負担じゃなくて応益負担、受益者負担、受益に基づく負担というようなものが非常に前面に出て論議をされる。そういうようなものだとすれば、租税特別措置ほど受益原則からいってもおかしいものはないはずですよ。そういうことからこの点についての大臣の考えをお聞きしたい。
○福田国務大臣 一つの御議論と思うのです。まあ、国と地方はこれは別個のもので、地方の自治、これは国としては尊重しなければならぬ、これはもう当然のことでございますが、しかし同時に、これは地方財政法にも書いてあるとおり、地方は国の政策に協力するたてまえ——いま問題になる租税特別措置というものは、国において積極的な政策的意図をもって打ち出している施策でございますから、これに地方が協力せぬでいいかというと、もし地方がこれに協力すれば、国の意図する政策効果というものはより以上に出てくる、こういう関係になる。また、そういうことから、必ずしも自治だといって、その中央への協力を拒否するということのみにこだわる必要はない。 そういう議論の問題もありますけれども、問題は現実手続の問題なんです。もし法人税が全体でこの会社は幾らときまっておるのを、今度地方に行った場合に、その中から特別措置は幾らだ幾らだといって引っぱり出してまた計算をやり直す、これはたいへんなことじゃないかと思うのですね。そういうようなことで、実際国税の特別措置がそのまま地方税にも適用されておるという結果になっておるのじゃあるまいか、そういうように思うわけであります。理屈は理屈だけれども、実行をさてどうするかということになると、これはきわめてむずかしく、かつ、これを実行すれば非能率ないろいろな問題を巻き起こす、こういうふうに考えておるのであります。
○広瀬(秀)委員 どうも大臣の言うことは、その点についてはまことに私、不可解でして、地方自治の本旨、そういうものから考えましても、住民の自治だ、しかも住民はやはりその自治体から利益を受けるということで、たとえば配当所得があったという人が、国の所得税において減税を受ける、地方において地方自治体から利益を受けるというようなことについては、何も変わりはないわけですね。国の場合には政策目標、貯蓄の奨励というようなことがあってやってきた。地方においてそこまでやらないでも——所得税でやられて、しかも今度は道府県民税、市町村民税にそれを及ぼし、あるいは事業者なら事業税にも響いてくるという二重、三重のメリットを何も与えなくたって、その国の政策目的というものは達成されるわけで、地方自治の本旨からいっても、また受益原則というようなものからいっても、これを及ぼすことはまことに筋の通らぬ話だ。少くとも遮断して、そして地方自治体にむしろ財政的な力をつけて、生活環境基盤というようなものをもっともっと充実させて、行政水準を引き上げていくというようなことでやってしかるべきだと思うのですよ。 たとえば、価格変動準備金というようなことでも、あるいは試験研究費の税額控除とか合理化機械等の特別償却とか、輸出割増償却でも、輸出振興なんか全面的にこれは地方税にはね返るようになっておりますし、それから社会開発の促進等についても全面的にこれが適用になっている。こういうものについて、これを何らかやはり整理をして、遮断をするというものをもう一ぺん洗ってみたっていいんじゃないかと私は思うのです。論理的にどうしてもこれはやはり地方税で見てやったほうがいいんだという理屈がきちんと立つならば別です。もしその立つ理屈があるならば、ここで説明してもらいたいのです。
○吉國(二)政府委員 ただいまの御指摘でございますが、ことに法人税でございますが、御承知のように法人住民税は法人税割りということになっておりますので、法人で所得を計算して法人税を出して、それに何%という税がかかるということになりますと、全部改算をしないとやり直しができない。これはまた非常な手数でございます。一方、そういう意味では、法人税でも特別措置のうち免税、つまり税額控除という形で適用しておるものにつきましては、地方税でこれを排除しておる例がございます。自己資本の充実の場合の税額控除だとか、あるいは合併の場合の税額控除とか、これらはむしろ逆に、それを入れるとやっかいでありますから、控除する前の法人税を対象にする。かなり技術的な面も強く働いていると思いますし、また御承知のように、現在地方税では、事業税にいたしましてもいわゆる所得課税になっておりますから、国と課税標準が著しく異なるということも、これはやはり問題があるという点もあると思います。 それから、御承知のように、実際上法人税とは申しますけれども、三分の一は地方の収入として交付税で交付されるわけでございます。こういう意味では同質的な意味でやはり地方税のほうも一部は国の施策を、それが通じて企業の体質を改善し、国民経済を発展させるとすれば、地方自治体にも結果においては収入がふえる結果にもなるわけでございますので、そういう意味では、もちろんものによっては排除してもいいものがあるかと思いますが、そういう全体の技術的な点から申しますと、いま申し上げましたように税額控除といったようなものに関しては十分考え得ると思いますけれども、その他のものについては実際上はなかなかむずかしい、かように思うのであります。
○広瀬(秀)委員 そういう答弁じゃなしに、これはもう一ぺんひとつよく考えてみてください。地方独自でどうしてもこれはやらなければならぬというのは、四十四年度の見込みではね返りの分が八百三十九億だ、こう出ています。これは国の租税特別措置がそのまま適用されていく。しかも一たん所得税や法人税に適用されたものが、これが直ちに事業税もまけられていく、さらに県民税も市町村民税もまけられていく。二重、三重に不公平が拡大していくという面がその面でも出てくるわけです。だからよけい問題になるし、不公平感というものが強まるわけです。そういう面と、それから受益者が地方自治においては大体同じようにすべての人が、学校教育の問題でも、あるいは上下水道の問題でも、そういうものによって恩恵を受ける。受益をする、利益を受けるというものは大体同じだ。しかも税負担においてそういうきわめて不公平があるということになると、たいへん問題が大きいと思うのです。だから、その点十分ひとつお考えをいただきたい。地方独自で、これはもう非常に特殊な政策目標を追求するために設定されるものまでいかぬとは言いませんけれども、そういうものもある程度あり得ることは私どもわかりますが、そのまま国のものがはね返って二重三重に減税が行なわれるという、そういうことについてはここらあたりで一ぺん考え直し、洗い直しをしてこれを整理するということを、大臣、お考えになりませんか、どうですか。
○福田国務大臣 広瀬委員の御意見ですから、ひとつよく私ども勉強します。
○広瀬(秀)委員 あとまた同僚委員も二十五日にやることになっておりますし、大臣もまた予算委員会に帰られるというので、きょうの私の質問はこれで終わります。
○田中委員長 次回は、来たる二十五日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十三分散会