大蔵委員会 第13号
- 発言数
- 260 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/03/19
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 関税定率法等の一部を改正する法律案及び通行税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 ――――――――――――― 関税定率法等の一部を改正する法律案 通行税法の一部を改正する法律案 〔本号その二に掲載〕 ―――――――――――――
○田中委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。上村大蔵政務次官。
○上村政府委員 ただいま議題になりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 最近における内外の経済情勢の変化に対応して、関税率及び関税の減免制度について所要の調整を行なうとともに、旅具通関の一そうの迅速化をはかるため簡易税率制度の拡充及び簡素化を行ない、また、最近における港湾の利用状況等にかんがみ開港等の指定を政令で行なうよう改める等の措置を講ずるため、関税定率法、関税法及び関税暫定措置法について、それぞれ所要の改正を行なう必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、関税率について所要の調整を行なうことであります。すなわち、関税定率法及び関税暫定措置法を通じて四百三十七品目の実行税率を変更するとともに、暫定税率の適用期限が本年三月三十一日に到来する七十八品目につきまして、その適用期限を一年間延長することとしております。四百三十七品目の実行税率の変更は、一品目を除きすべて税率を引き下げるものであり、このうち三百五十一品目につきましては、昨年三月の当委員会における附帯決議の御趣旨に沿いまして、協定税率が適用されない国の産品に対する関税格差の解消を行なうものであります。 第二は、関税の減免制度について所要の整備を行なうことであります。本年三月三十一日に適用期限が到来する重要機械類、給食用脱脂粉乳の免税等、関税の減免または還付制度については、その適用期限を一年間延長することといたしております。また、昭和四十五年三月三十一日までに輸出された貨物を原材料とした加工再輸入品に対する関税軽減制度並びに外国船によって採捕された水産物に本邦船舶内において加工等を加え、これを輸入する場合の関税軽減制度を新設することとしております。 第三は、簡易税率の改正であります。これは新たにアルコール飲料及び紙巻きたばこについても簡易税率をを定めるとともに、従来の対象品目の税率を十三区分から四区分に改めるものであります。 第四は、関税制度の改正であります。従来関税法に列挙しておりました開港及び税関空港の指定を政令で行なうよう改めるとともに、更正の請求及び不服申し立ての期限の延長を行なう等、若干の規定の整備をはかることとしております。 次に、通行税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、さきに国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を提案し、日本国有鉄道の普通旅客運賃の額の改定及び旅客運賃の等級の廃止について御審議を願っているところでありますが、これに関連して通行税法について所要の調整を加えるため、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容についてその大要を申し上げます。 第一は、現在、汽車及び電車の一等の乗客については、通行税を課税しておりますが、今回、日本国有鉄道の旅客運賃の等級が廃止されることに伴い、現在の一等車両を利用する乗客が支払うことになる特別車両料金につきまして、一〇%の税率による課税を行なうこととしております。 第二は、現在、二等の寝台料金については、その利用の実態にかんがみ、非課税とするよう通行税の免税点を定めておりますが、今回の運賃改正により寝台料金も改定され、現在の二等寝台を利用する乗客が課税されることになりますので、寝台料金の免税点を現行の千四百円から千六百円に引き上げ、引き続き非課税とすることとしております。そのほか、所要の規定の整備をはかることとしております。 以上が、関税定率法等の一部を改正する法律案及び通行税法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○田中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ります。 ――――◇―――――
○田中委員長 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中昭二君。
○田中(昭)委員 このたびの措置法の改正は、土地税制について、諸般の事情を考えて、高騰を続ける地価対策のためにいろいろな改正が行なわれたようでございますが、この土地税制の改正の基本的な重要課題等につきまして、総括的な御説明をお願いしたいと思います。
○吉國(二)政府委員 今回の土地税制の改正は、御承知のとおり、昨年政府に設けられました税制調査会が七月に出しました土地税制についての答申の中で、当面実施を要すべきものとされた部分を改正するわけであります。 この土地税制の答申ができますまでには、約一カ年半にわたりまして、特別部会を設けて慎重な検討が行なわれました。この土地税制に関する各方面の要望は多種多様でございます。あるものは、土地の高騰によって生ずる不労所得を重課すべきである、あるいは、公共事業の実施によって地価が上昇した場合には、その上昇部分は公共事業の結果であるのであるから、これを全般に還元すべきであるという考え方、あるいは逆に、現在の土地供給が非常に阻害されている面があるので、できるだけ土地の供給をふやし、仮需要を制圧して、土地価格の安定をはかるべきであるという考え方、まあ、いろいろあったわけでございます。事実、これらをすべて満たすような税制ということは不可能でもございますし、そもそも、税制によって土地問題を全般的に解決するということは自体無理である。やはり税制の働きは、補完的であり、補充的なものでなければなるまいという前提で、まず、当面実施できるという可能性のあるものから取り上げる。しかも、今後の土地制度というものに斉合性を予測し得るものだけを実施するという前提をとりました。 そこで、基本的な考え方といたしましては、今回は、保有課税につきましては、四十五年度の固定資産税の評価がえという問題と、さらに、今後土地利用計画等が確立された場合に、空閑地税等の対策を講ずることを予想しながら、今回はもっぱら流通面における課税というものを調整しようという措置にいたしたわけでございます。 その主たる観点は、供給を増加させ、同時に、仮需用を抑制して、全体としての土地の需給バランスを回復し、それによって地価の安定をはかるということを目的としております。 まず第一に、長期に保有した土地、五年をこえて所有しておる土地につきましては、これを譲渡した場合に分離比例税率の導入をはかりまして、負担を軽減するとともに、税負担の明確化をはかりました。従来は累進課税であり、総合課税でございましたので、とかくこの税を事前に算定することが困難であるがために、これが売り手市場の状況においては地価を引き上げておった傾向がございますけれども、分離比例課税とすれば、この点ははっきりいたします。さらに、累進課税でないことにしたために、土地の切り売りという必要性がなくなるわけです。まあ、そういうことから、できるだけ早く土地が供給されるように考えたわけで、したがって、分離比例税率も二年ごとに、国税においては五%ずつ引き上げ、地方税においては一%ずつ引き上げるという体制をとったわけでございます。 次に、短期譲渡におきましては、保有している土地を五年以内に売り払う場合、この場合には、まあ限界をどこに引くかが問題ではございますけれども、一応短期の投機を目ざしたものとみなしまして、最低四〇%以上の累進税率による分離課税を実施するということにいたしたわけでございます。 なお、この法律の提案されました四十四年一月一日以後の取得のものについては、保有期間のいかんにかかわらず、短期譲渡とみなすという想定をしたわけでございます。 ここでこのような措置をとりました結果として、従来存置されておりました買いかえ制度が問題になったわけであります。御承知のように、従来の、個人の譲渡所得のうち、譲渡益にいたしまして約七〇%は買いかえによって圧縮記帳で課税を受けていなかったわけでございます。しかも、その買いかえの割合というのは、高額の譲渡益になると程度が多い。したがって、この買いかえ制度をそのまま置いておきますと、結局、せっかく譲渡促進をはかるための低税率の導入ということが意味をなさなくなってくる。そういう点から買いかえ制度というものをこの際廃止をするということにいたしたわけでございまして、事業用資産の買いかえにつきましては、すでにことし期限が来ておりましたのを、土地制度全体を検討する時期であるからというので、一年期限を延長していただきました。四十五年にこの期限が切れて廃止になります。それをそのまま廃止するとともに、新しい土地政策に即した買いかえ、あるいは国土計画に合致した買いかえというものは、むしろ土地政策の面から推進すべき点がございますので、そういうものに合致する買いかえは、別の観点から新しく設けるということにいたし、期限の定めのない居住用資産の買いかえの特別規定は、一年間の予告をもって、四十五年の初め、四十四年限りで廃止する。ただし、居住用資産を売却した場合につきましては、必ず代替の居住用資産を取得する必要性があるであろうというところから、特別に自分が居住した資産を売り払ったときに限り一千万円の特別控除を認めることにいたして、従来の居住用資産の最低限の必要性というものは確保することにいたしたわけでございます。 以上が今回の改正の主要な点であるわけでございます。
○田中(昭)委員 ただいまの説明では、総括的な説明でございまして、問題は、この土地税制は、いままで改善されましても、いろんな不合理な面、矛盾した面が出てきておるわけでございます。これはまた一つ一つ、こまかいことになりますが、当たっていきたいと思うわけですけれども、いまおっしゃったように、当面、改善できるものだけをやっていくというような点ですね。早期に宅地が供給されるというふうなことが背景になっておる、こう思うわけでございます。そういう観点からいきまして、買いかえ制度にしろそうでございますが、そういうものができて、それがかえって税制の上において矛盾を来たし、土地の早期供給を阻害しておるとか、いろんな社会問題を引き起こしておりますから、少しこまかいことまで入らなければ、この改正がそのまままた前車の轍を踏まないとは断言できない、こう思うわけであります。 そこで、極端な考え方になるかと思いますが、長期保有の土地建物等の譲渡所得の軽減をはかられたわけでございますけれども、これらの土地の早期な供給の促進を誘導するために、いわゆる分離比例税率ですか、そういうものがとられております。しかし、このことによって地価の上昇が緩和されない場合、すなわち、部分的ではございますが、五年以上たった場合にその地価が十倍も二十倍も高くなった――高くならないという保証はないのですね。そうしますと、私は、税制というものを、そういう長期的な立場に立って考えるということになれば、これに対して、こういう五年ときめてありますが、昭和四十九年、五十年までじっと売らずに持っておって、その後にそういう高い値段で売るということになれば、税金が少々かかっても手取りの金額は多くなるわけですから、そういうことも予想されます。そういうことに対するお考えはどのようなものがあったか、主税局長からと次官のほうから……。
○吉國(二)政府委員 御指摘のとおり、この土地税制だけで地価が安定するということを保証するものはないと思います。私は、いま申し上げましたように、この税制は、事業用資産の買いかえの時期とかその他で客観的に非常に急がれた、また、放置できないところに来たために、とりあえず進めていったことでございますので、今後この土地制度につきましては、急速に各般の措置がとられるものと期待しているわけでございます。その措置と結びついたときに、この制度がさらに有効に働くであろうということを期待しております。土地税制だけですべての効果を発揮するということを期待するのは無理だ、これは御指摘のとおりだと思います。ただ、いままでよりもより供給がふえ、仮需要が押えられるという面は、これは程度の差はございましても、お認めいただけると思いますが、これをもっと有効に働かすためには、土地の利用制度あるいは土地の利用制限といったようなものが加味されてきて、さらにそれを基礎とした保有課税が実施できる状態になるということが一番望ましいわけでございます。その条件が、こういう制度を早く実施したがために、早目に実現されることを私どもは期待をしている。その点では御指摘のように、これは単独でほったらかされた場合に、五年後に土地の値段が上がっておったという結果が起きないとは何人も保証できないと思います。
○上村政府委員 先生御指摘のように、この土地の税制の問題あるいは土地の問題ということは、もう非常な重要な問題になっておるわけであります。これに対しまして、これならばという的確な線が現在講じられておるかというと、そうじゃない。それかといって、それが放置できないということでございまして、諸般の施策と税制とをからみ合わせまして、何らかの処置をしなければならぬ。税制の役割りというものは、補完的な役割りではありますけれども、しかし、精神的におきましても大きな影響を持つものでもあるしというわけで、御案内のように、税調のほうの答申の線に基づきまして今回のような措置をした、こういうわけでございます。先生のような御心配は私は十分感じられる、こう思いますので、十分他の政策ともにらみ合わせながら、税制問題を常に検討していく必要がある、こういうふうに私は思っております。
○田中(昭)委員 いまお答えいただきまして、いわゆる的確なるものはできない、しかし、補完的な意味において進められていくだろう、こういうことですが、どうもそうではないじゃないか、かえって土地供給が促進されないじゃないか、こういう面を見出すために、私が先ほどから言いいましたように、実際の規定がどのように納税者に影響するかということを具体的にするために、こまかい規定のほうからお尋ねしていきたいと思うわけです。 まず、部分的になりますが、収用等によりましていわゆる千二百万円の特別控除がございますが、これはあくまでも年間を通じて千二百万円でとどめてあるようでございます。そうしますと、千二百万を多くこえるところのたくさんの土地を一ぺんに供給するようなばかはいないと思うのですね。どんなに供給しても、最高限度千二百万円までしか控除できないならば、そこに残るものは、やはりまた切り売りといいますか、そういう問題が起こるのではないでしょうか。
○吉國(二)政府委員 この千二百万円控除というものは、譲渡所得というものは一つ一つ独立のものではなくて、総体として譲渡所得になるという意味から申しまして、従来からも年間を通じてこれは千二百万円ということになっておったのは御承知のとおりでございます。しかも、この千二百万円控除が適用になるためには、買い取りの申し入れがあってから六カ月以内に譲渡したものだけが適用されるわけで、ごね得でがんばっておった連中は、千二百万円の控除は適用にならないわけでございますから、一つの収用対象として取り上げられたものを、切り売りをいたしますと、あとの部分は要件に該当しなくなってしまうという点から、この千二百万の控除というものは相当の力を持つと思いますし、それだけでなくて、従来は千二百万円控除をこえて一般の累進課税、総合累進ということになるわけでございますが、それを現在六カ月分離課税にいたしたわけで、その面ではますます切り売りをする必要性はなくなる。そういう意味で私どもは、これが収用の促進に資するものである、こう考えております。
○田中(昭)委員 それはあくまでも机上で考えるからそういうことになるのです。実際はそういう問題がたくさん事例があるわけです。何も切り売りするということじゃなくても、当然そういうことになりますよ。いままでも千二百万だった、今度も千二百万だということになると、そういうことを考えると、今度の改正は一歩前進したものじゃないんじゃないか。こういうことをこの問題について私はまず言っておきます。あとでまたいずれ出てきますから。 次に、いままでいわゆる長期保有というのは三年超、今度は五年超、こういうことになりますね。この三年超を五年超にしたというのはどういう考え方ですか。
○吉國(二)政府委員 これは先ほど申し上げました委員会におきまして、分離課税を導入することについて非常に大きな議論の対立がございました。片一方には、土地の譲渡益というものはできるだけ重課すべしという考え方が強くございます。 〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕 しかし、片一方には、重課すれば重課するだけ、売り手は市場においては土地の値段は上がってしまうという、また実際的な反論がございました。そこでいかに調整するかが非常な長い議論の対象になったわけでございますが、最後のところでは、投機というものを目ざして所有した土地とそうでない土地は、やはり考え方を変えていいのではないか。そこで従来の三年という程度では、いまの土地の騰貴状況等から考えると、いわゆる投機的保有と認定するには不十分であるというので五年程度に延ばして、そこで区切りをつけて、分離課税の導入を、――保有土地について分離低税率の課税を容認しようということになったわけでございます。いわばこの土地制度に関するいろいろの要求を調整する過程において、いまの三年では不十分であるというところから五年に延長したということでございます。
○田中(昭)委員 次官はよく聞いておっていただけませんか。初めの千二百万問題も、実際問題としてはそういう切り売りというようなことが行なわれるのです。いまの問題でもはっきりしたものはないのです。三年を五年にした。五年にすればよかろう、簡単にいえばこういうことのようでございますけれども、こういう点はもう少し何とか科学的な実際の何ものかを調査した実態調査の上に立ったそういうものでなければ、いままで三年だったものを五年がよかろうということで五年にした、こういうことでは、また今後譲渡所得があった場合に必ずこれが問題になるのです。こういうことはわかっておりますから、そういうふうにしていただきたいと思うわけです。そういう問題があるということを提起しておるわけです。 それから自己の居住している不動産を買いかえた場合に、一千万円の特別控除を受けてその適用があった場合に、その翌年と翌々年分はやらないというような規定がございますね。これはどういう意味合いからこういうものがつくられたのでしょうか。
○吉國(二)政府委員 従来の居住用資産の買いかえは、自分の所有している居住用の資産、貸し家であっても、場合によっては裸の土地つまりさら地であっても、それを自分の居住の用に供するために売って買いかえをした場合にはいいという制度をとっておったわけでございますが、このために、土地を売っても税金を回避するためにさらに他の土地を買ってしまうという結果が生じております。さらに極端にいえば、住宅改策とは申しながら、資産を持っている人だけの住宅政策だ、勤労者その他が自分の貯蓄で家を建てる場合には、税金を取られたあとで家を建てるわけでございますから、その意味では住宅政策としても片手落ちな点がございましたので、今回はそれをやめるということにいたしました。ことに一番問題なのは、自分が住んでいる家を売りながら、それを売って老後の暮らしに充てるというためにアパートに入るというような例でございますと、これはそのまま、買いかえではないので課税になってしまう。ところが。自分が売った家にさらに上乗せをして広大な屋敷をつくるということになると課税にならないという点が非常に非難されておりまして、そういう点から今回は居住用――さら地とかそういうことではなくて、自分が現に住まっている家を何らかの理由で売り払った場合に限って、最小限自分が住まう程度のものが買えるように一千万円という控除をつくり、手続の簡素化と同時に、最小限の住宅需要をまかなえる程度のものにとどめるということにいたしたわけでございます。そういたしますと、年がかわれば毎回千万円控除だということになると、これは極端なことでございますけれども、幾つか家を持っている人が、まず自分が住まって譲渡をし、翌年は今度は隣の家に住まってまた譲渡をしということで、三年間に三千万円の譲渡所得の控除を受けてしまうということも実際的に可能でございますし、買いかえについてはそういうことが実に多く起こっておったわけでございます。そういう意味で、少なくとも家を売って新しく家を取得した場合に、それを三年以内に売るというような事情は考えられないし、またほんとうにそうであった場合には、三年間くらいでは譲渡益はたいして出ないであろう。古い家を何軒も持っていて売る場合には、毎回大きな譲渡益が出ますが、自分が売って新しい家を買った、それを三年以内に売った場合には、そうたいした譲渡益は出ないし、最初からそれを目途として買った場合ではございませんから、その譲渡益の部分が幾らか課税されても、これは特に過酷でもないであろう。そうすれば、むしろこの一千万円控除を巧妙に使って大きな譲渡益の脱漏をはかるものを防ぐほうがいいではないかということで、三年間に一回千万円は適用するのであるという考え方をとったわけでございます。
○田中(昭)委員 いままでのことを総括しまして、最後に次官のほうからもう一回お答え願いたいと思いますが、これは初めにも申しましたように、今度の土地税制の改正が、土地の早期かつ多量な供給を阻害しないようにするという改正であった、こういうふうにも報道されておりますが、先ほど言いましたように、年間におきまして千二百万円の特別控除だけしかしないというようなことは、大量の供給を促進することから見れば反対じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○上村政府委員 ものの考え方からいいますれば、先生のおっしゃるようなことが起きるかもわかりません。たとえば広大な土地だということになりますれば、千二百万円だからその程度でというような考えは起きるかもわかりませんが、現在のいろいろな状態では、まあ大体千二百万円で切り売りというのは防止できるであろうというようなことに落ちついたと思います。もちろん先生のおっしゃるような意見、その他いろいろな意見が出ておるわけです。 なお、三年を五年にするという問題につきましても、これはまたいろいろな意見が出ております。科学的な基準ということになりまするとはっきり出てきませんが、大体三年では長期ともいえないだろう。それならばこの前に長期保有のときに三年としたのはどうだ、こういう意見になってまいりますから、これまた科学的な根拠といわれますとあれでございますが、いろいろな意見が出たけれども、税調その他において五年ということに落ちついたと思います。 それからいまの一千万円の件につきましても、先生のおっしゃるような見方というものももちろん考えられるわけですが、大体の現在の経済実情、そういうような状態からいって、この程度でよかろうではないかということで落ちついたと思うわけでございます。
○田中(昭)委員 もう一つ事務的なことになりますが、いままでの土地税制の問題で、これはほんとうに納税者いわゆる所得者のためにあるものであるかどうかということを、私たちもいろいろむずかしい規定の中からそう感ずるのですね。それで、主税局とか国税庁だけの計算と理論だけに終わったという面が今度の場合でもあるようでございます。といいますのは、短期譲渡の場合ですね。譲渡所得の金額の四〇%相当額と、その他の普通の所得税法によるところの課税を行なうとした場合の当該所得に対する税額の一一〇%と、いずれか高いほうの金額によってやるということなんですけれども、実際これを納税者がどう理解できるかというのですね。実際問題としてこれを第 一線で計算するとなると、どのくらいの能力と、またこういうことをなぜやらなければならないか――いつも第一線では事務量が多過ぎるというようなことを言います。そういうようなめんどうくさい、また、われわれが見てもわからぬような改正になっておるのは、どうも納得がいかないのです。第一線のいまの資産税係でこれをほんとうに計算さしたらば、一体どういうことを想像されておるのか、ほんとうにこれは問題ではないかと思うのです。これについては答弁は要りませんが、何か主税局長、御答弁したいようでございますから、それじゃしていただきましょうか。
○吉國(二)政府委員 実は短期譲渡につきましては、長期譲渡の最終税率が二〇%でございますから、従来の二分の一課税が長期譲渡である、二分の一にしないで課税していたのが短期譲渡であるとすれば、四〇%というのが基本税率であるべきであるという考え方があるわけであります。四〇%にいたしますと、分離課税にいたしますと、短期譲渡の大きなものは、従来七五%までいったところがかえって安くなってしまう。そこで分離課税にはいたしましたが、分離課税にしただけ下積み所得から離れるということになって、しかも一定税率ということになったのではかえって不公平になるので、一応四〇%を基本税金にいたしまして従来のものを計算をした場合には、上積み所得として譲渡所得が乗った場合に、その譲渡所得の部分の実効税率が幾らになるか、それより一割増しということで税額を計算して、いずれか高いほうをとるということにした理論は、確かにそのとおりだと思うのです。 御指摘のように、第一線がこなせるかという問題は、これは非常に第一線に迷惑をかけることになりますが、従来の実績から見ますと、短期の譲渡というのは大体件数にして五%以下でございます。さらに今度は、こういうことをいたしますと、短期渡譲はある程度の寝かし込みが起こってしまうだろうと思います。これはある程度やむを得ない。そこの短期のものに不当利得を与えては困るという非常に強い思想から五年にしたわけでございますから、これは少々寝かし込みはあってもしかたがない。といたしますと、件数はかなり少なくなるだろうと思います。そういう点で第一線がこなし切れる程度であろうと私どもは想像いたしたわけでございます。
○田中(昭)委員 いろいろな実績という問題もありましたから、私もそちらのほうから少しお尋ねしてみたいと思います。 大体今度の土地税制の改正で、土地が相当供給されて、譲渡所得がたくさんふえるのか。ふえるということは国民にとっては税金がふえるということですからね。それともこの改正は納税者に税金の軽減をはかったのか、増税をはかったのか、どちらでしょうか。主税局長と次官のほうから簡単に。
○吉國(二)政府委員 これは従来買いかえをしていた人から見ますると、一〇%でも課税が起こるという点では重くなるという面がございます。しかし、一般の課税を受けていた人から見れば、長期譲渡についてはいずれも軽減になります。短期譲渡については重課になるという結果になりますので、人により非常に結果も違っておる。それは税制を変えたためにきつくなった面もあらゆるくなった面もあり、譲渡所得が非常にふえることもこれは期待しておるわけです、土地の譲渡がふえることを期待しておるわけですから。しかし、そのかわり税率を下げておりますから、そこで税収が減るという面と、これは非常にむずかしい推算になりますが、まずとんとんであろうか。個別には増減あり、総体としてはとんとんではなかろうかという見込みでございます。
○上村政府委員 いま局長が申し上げたようなことになるだろうと思いますが、これはもちろん税制でございますし、この財源確保という問題につきましては、これはもう税制である以上私は重要な問題であると思います。ですから、これはふえるのか減るのかということは頭に入れなくちゃならぬ、こう思うのであります。それとともに、この土地税制の問題につきましては、現下の土地事情というものをどういうふうに解決していくかというような別な大きな目的もございまして、この改正措置を講じたわけです。結果はどうなるかという見通しにつきましては、いろいろ見方があるかと思いますが、大体とんとんにいくのじゃないだろうか、こういうふうに思っております。
○田中(昭)委員 実績と言われるから、実績があれば、このくらいふえるというのはこういうふうになるという積算の基礎ぐらい説明をしてもらわなければ困りますよ。ただ、とんとんだからとんとんだろう――とんとんということじゃない、とんとんだろうと、こう来たわけでしょう。土地の供給を促進するというそういう大義名分に立って、これだけ税金を安くするからこういう税収があがってくるということは、当然なされなければならないと私は思うのです。それが一点ですね。 税制改正の税収の増減を見てみますと、個人の分の譲渡所得によるところの減収というのは全然ないようですね。それに反して、法人分は初年度八億円、平年度で二十六億円。きのうも北山委員から話があっておりましたが、こういう数字を見ておりますと、故意に個人分について出さなかったのか、それともそういうことは問題なしに法人をうんと優遇するのだ、法人だけは優遇して株も土地も全部法人に持たせるのだ、そういう意図があるのか、どちらですか。
○吉國(二)政府委員 いま御指摘がございました法人の分は、新築貸家住宅関係の減収でございます。来年度と申しますか、四十四年度は御承知のとおり経過措置として適用があるために、実際にそれを推定することは困難でございますので、今回の経験を経ながら、来年度の計算というものを四十五年に実際行なわれなければならない、かように考えております。今度の制度は四十五年から適用になる。ことしはそれを計算しなかったということでございます。
○田中(昭)委員 そうすると、このその他の欄のやつは新築家屋だけで、平年度の分も全然あがってきていないということですね。
○吉國(二)政府委員 住宅対策の拡充というところは、住宅貯蓄とそれから新築貸家住宅の割増償却の拡充、これによる減収額があげてあるわけであります。
○田中(昭)委員 それじゃないでしょう。譲渡所得の収入の問題は――租税特別措置の拡充合理化等にかかっている項目は、住宅対策の拡充、公害対策の促進、原子力発電の推進、中小企業の構造改善等、その他となっている。このその他の中に入っているのじゃないですか。
○吉國(二)政府委員 その他の内訳は、ガス事業の特定導管設備の特別償却……。
○田中(昭)委員 それは幾らですか、それぞれ言ってみてください。
○吉國(二)政府委員 それが初年度におきまして法人税で一億二千五百万、外航船舶の特別償却が初年度で三億一千三百万円、耐用年数の短縮、これは一般的に今後やるわけでございますが、年間の途中になりますので四億五百万円、合計いたしまして八億四千三百万円、平年度におきましてはそれが二十五億七千九百万円となるわけでございます。
○田中(昭)委員 そうしますと、譲渡所得の収入についてはとんとんということで何も出てない。しかし、いままでの買いかえ制度が残っている以上、選択にした場合には当然出てくるのではないですか。四十五年から適用するといいましても、四十四年の申告において買いかえ制度も残っておるわけですから、選択すればいいわけですから、選択なさって申告した場合には、当然そういうものが出てくるのじゃないかと思うのですよ、これは法人、個人を通じて。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、買いかえ制度がまだ残っておりますから、どの程度課税を選択するか、この辺がちょっとわからないわけでございます。従来買いかえをしていた人が、税金が安くなったからひとつ課税を選択してしまおうかという例もあると思います。しかし、この場合は、従来非課税であったものが課税になるわけで、税率は軽減されておりますけれども、プラスが出てまいります。それから従来譲渡して課税されたままの人は、この際買いかえをもうあきらめてと申しますか、買いかえ制度の選択をやめて譲渡益の課税を受けるということになりますと、この点は減収が生ずるわけになりますが、それらは経過措置としてもきわめて不安定な状況でございますので、積極的に見積もらずに、来年度の見積もりに譲るということにいたしたわけでございます。
○田中(昭)委員 それでは事務的なところはそのくらいでやめまして、次に現実問題として、この前問題が出てきましたのですが、これは政務次官も御存じでしょうか。東京都が買うようにしておりました土地が民間業者からせり上げられて、そうして住宅建設が失敗に終わった、こういうことで困った問題が起こっておるわけです。このことについて、そのときに答弁された安井さんがおいでになっておるようでございますので、この問題について、詳しいことは要りませんから、皆さんや政務次官等にわかるように、大体私は心得ておりますから、要点だけを簡単に説明願いたい。
○安井説明員 いま田中先生からお話がございました事案は、二月二十八日の読売新聞に出ていたものでございまして、都営住宅用の土地を東村山で十六万平方メートルばかり、都のほうがこれの買収交渉を進めていたようでございます。それに対しまして、地主も一度は内諾をしていたのだそうでございますが、都以外の民間の業者が入ってまいりまして、今回の税制改正がございましたので、従来の改正前の法律によりますれば、収用の特例がございましたのと、それから今回は長期の保有土地に対する税負担が一割に下がったものでございますので、この二つの理由で、従来に比べまして民間の業者の買い値のほうが高いということの結果、従来の法律のものでございますと手取り金額は収用のほうが多かったそうでございますが、今回の改正後は税が下がったためにその手取り金額は民間の業者が買ったほうが多くなった。そのために東京都のほうが、これに対して買収がまとまりかけていたものがまとまらなくなった、こういう事案でございます。具体的な金額も読売新聞に出ていたのでございますが、多少違いもあるようでございますので、私どものほうで計算をいたし変えましたものを御説明いたしたいと思います。 大体十六万平方メートルでございますから、坪数で五万坪の土地でございます。これを何人かの地主が持っておる。東京都のほうはこれを坪当たり三万円で買おうといたしまして、民間の業者はこれを三万七千円で買おうとしたわけでございます。したがいまして、譲り渡し価格といいますか、三万円かける千五百坪あるいは三万七千円かける千五百坪は、収用といいますか東京都の場合には四千五百万円、民間の場合にはこれが五千五百五十万円になったわけでございます。この四十四年の所得税制で換算をいたしてみますと――他の所得が全くない場合というのを考えてみますと、収用の場合の税金が、現行税制のままでございますと三百八十万円、それから民間業者の場合にはこれが千七百万円になるわけでございます。したがいまして、手取りが収用の場合には四千五百万マイナス三百八十万、これは住民税も含めておりますが、四千百万ばかりになるわけでございます。これに対しまして民間の業者が買いますと、坪三万七千円で手取りが三千七百八十万になるわけでございます。したがって、その間に四千百万から三千七百万と税金が民間のほうが高いということのために、東京都、つまり収用側のほうが手取りが多いために、そちらに売ろうという気になったということのようでございます。ところが、改正案になりますと、税額が収用の場合に四百三十万、民間の場合に七百二十万でございますので、手取りが収用で四千七十万ばかり、四千万と簡単に申し上げますが、民間のほうは四千八百万になる、こういう事例でございます。つまり、従来でございますと民間のほうが低かったにかかわらず、今回の改正案によりまして、収用のほうの四千万に比べますと四千八百万になった、こういう事例でございます。 私、この間小川先生から御質問がございましたときにお答え申し上げましたのは、収用のほうの価格が四千五百万でございます。四千五百万でございますから、かりに税で一銭も取らない、かりに全く無税にするということでありましても、手取りは四千五百万にとどまるわけでございます。これに対しまして、民間側の業者のほうが五千五百五十万で買いますれば、つまり坪三万七千円で買いますれば、所得税が安くなったために手取りが四千八百万になるわけでございます。つまり三万七千円で買われますと、税制をいかに直そうと、手取り金額が民間のほうは収用側の四千五百万よりも三百万も多いわけでございますから、いかに手を打ってもこの問題のバランスはくずせないのではないか、こういうことをお答え申し上げたわけでございます。その後建設省とも御相談申し上げるということを申し上げていたわけでございますが、本来収用権を認めている――なぜ千二百万円控除を認めているかといえば、強制的に土地を買い上げるからでございまして、むしろ収用のほうがそういう民間側に先取りをされないように収用権を発動していただくとか、そういうような形で処理をしていく以外にはないのではないか。 それからまた、この場合のケースが非常に過渡的なケースでございまして、つまり今回税制が変わったために、本来は民間側でも坪三万七千円で買うといいましても、税負担がいままでの千七百万からわずか七百万に下がるわけでございますから、その差額くらい本来買う価格を下げてくるであろうということが将来は期待されるのだろうと思います。ただ過渡的であるためにその問題が出ずに、民間のほうは三万七千円で買うということを考えたのだろうと思います。さらに今回の税制改正が通りますると、おそらくは全体としての土地の供給の増加ということが高まれば、土地の値段も下がってくるであろうということから、むしろ収用にとってこれがマイナスになるというふうには考えない、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○田中(昭)委員 次官、いろいろ数字の説明はそれとしてお聞きします。だけれども、先ほどからずっとこの土地税制の改正のことで私が申し上げたように、改正する前の法律で売れば、いまいただいた資料では四千百十三万六千円の手取りになる。改正税法でいきますと四千六十九万五千円というふうに、所得は減るのですね。そして土地を供給しろ、土地を供給しろ、それからそういうことは過渡的なことだとかなんとかいろいろ言いますけれども、現実はそんななまやさしいものではないのじゃないか。現実に、下がるどころか三万円のものが三万七千円に上がったという事実があるじゃないですか。税法が改正になった場合に、一つ一つ具体的にどうなるか。いままでは四千百万の手取りになるから土地を提供してくれといいながら、地主が先祖代々持っておった土地を泣きの涙で提供するという約束があったものに対して、今度の改正によってなおそれをたたきのめすような税制、収入も減り税金もふえるというようなことは、私は捨ておかれないと思うのです。また、そのほか差額が八百万あるという問題もございます。ですから、だんだん問題に深入りしますと、数字の魔術でどこが論争の焦点なのかわからなくなるのですね。何べんも言いますが、いまかりに現在の税法では四千百万円の所得を得られる地主が、国に協力し、都に協力し、土地を提供した場合、改正税法によってなお収入が少なくなるというような税法の改正はやめるべきじゃないですか。そういう姿勢で政治が行なわれるとするならば、これは事、税金の問題だけでございません。土地の供給、建設省関係の住宅建設につきまして大きな問題を投げかけられた場合に、どう処理をしていくか。それはあとで話し合いで強権発動とかなんとかいいますけれども、そんな簡単に強権発動をされてどんどん土地を取られていくということだけを考えた場合に、あまりにも矛盾しているのではないか、こう思うのです。 ですから、まず第一点に、現行法でいった場合に四千百万が改正法でいくとそれよりも所得が減る、こういう問題について、税法上の問題でなくて、政治的にそういうものを国民に納得させられるものかどうなのか。また、これが政治的に解決できないというならば、全部建設大臣も呼んで来て、そのときに言ってあることもございますから、根本的に考え直してもらわなければいけない問題ではなかろうか、こう私は思うのです。どうか政務次官の率直なる御所見をお伺いしたいと思うのです。
○吉國(二)政府委員 今回の改正におきましては、過去の税制の矛盾、行き過ぎを直す面もございます。新しくバランスをとり直した面もございます。したがいまして、その変わった面だけをごらんになりますと、そういうことが出てくる面があろうと思うのです。従来の収用は、千二百万円控除した上に従来の二分の一課税をさらに二分の一にするというような非常に大きな特典を与えておりましたが、これが一般の譲渡に比べてあまりにも不均等であるという批判が前からございました。今回は一〇%という特殊な分離比例税率を適用することにいたしましたので、そういう二分の一課税という制度はやめにいたしました。それが若干ながら税収の増加として出てきたということでございますけれども、その具体的な例は、すでにきまっておったものが重くなるというところに問題があったかと思います。ただ、これは過渡的のものでありまして、ここにいる人たちが四十四年度に買収されるものでございますから、旧法を使えば負担も重くならないわけでございますが、ただ民間業者が買った場合は、経過措置によって四十五年から実施されるものを適用した場合に、民間業者に譲った場合の税金が安くなるというほうは実現する。その結果従来どおりの税法を適用して収用いたしましても、民間業者の安くなった分だけは防げない、さっき御説明申し上げましたとおり。そこに過渡的な矛盾が出たということは、これは否定できないと思います。 ただ、ここではっきりあらわれましたように、この税制改正によって今後土地に対する買収価格というものが考え直されていくであろうということは言えるわけでございまして、この税法がまだ実施されない前の過渡的現象として矛盾が出てきたということは、これはもうやむを得ない事実だと認めますけれども、その趣旨から申しますと、今後税制改正をする場合に、従来行き過ぎていたものを直す限りは、すべてそこに負担の増加が起こるということは、これはお考え願わなければならないわけで、特別措置を整理すれば必ずそこには増税が起こるわけでございます。それをもし避けようとすれば、特別措置の整理というものは一切できないというように言わざるを得ないわけでございます。(田中(昭)委員「矛盾するじゃないか」と呼ぶ)矛盾はたくさんございます。矛盾を直せば増税になる。それは覚悟していただかなければならぬ……。
○田中(昭)委員 私は覚悟しますけれども、国民は納得しますか。
○上村政府委員 田中先生の御指摘、いまのお話で土地の供給を進めていくという点から考えますれば、今度の改正によっていわば負担が重くなるということであります。負担が重くなるということでは供給をやめていこうじゃないか、こういう考えは実はいまお聞きしてごもっともだと思うのですね、実際問題として。それで、ほんとうは政策目的の点に重点を置きますれば、こういうことは私はおかしいと思うのです。しかし、一つの税体系からいいますと、いま局長が御説明申し上げましたように、一つの理論体系を進めていく場合におきましては、ある程度の矛盾が起きてくるかと思うのでございますが、これはまあ税制上の一つの問題であろう、こう思っております。いまの御指摘につきまして、非常に私も考えさせられる点がございますが、ひとつそれじゃどういうようにこれを扱っていくかということになりますと、結局ある程度の税制上の理論というものを展開していくことになりますと、どうもそういう矛盾が生じてくるというような点を思いまするが、非常にむずかしい問題かと思いまするけれども、そこは両方の調和と申しましょうか、そういうところで踏み切ったのだろうと思いますけれども……。
○田中(昭)委員 それは税体系はわかりますよ。主税局長がおっしゃるとおり、それはわかります、この問題だけではございませんから。きのうから委員会でずっと聞いておりましても、診療報酬にしろ利子配当にしろ、ああいう現実の問題が、きのうの段階で診療報酬の実態調査も発表されないとか、なぜそういうことにならなければならないか。政務次官は税体系でしかたない、それでいいと言うのですか。私は、そういうことならば、何のためのこういう国会審議か、また話を聞いてもらって、わかった、わかったけれどもどうしようもないというようなことでは、一歩も前進しないのじゃないでしょうか。税体系を認めて、そうしてそれに対して政策的な判断を下すといった問題でございましょう。それじゃまずこの土地税制の改正について、初めから皆さんが大蔵省で配った書類を読んでみてください。土地税制の改正は、いま言ったように、いままでの矛盾も改善しながら、そして実行できる面から政策的なものを加味して国民のためにやっていく、こういうことが全然逆じゃないですか。 またこの問題は、税制の問題だけじゃなしに、いまの国の住宅建設、こういう問題、大きな政府の約束ごともあるわけです。現実にそういう税制を改正したために、三万円のものが三万七千円に値上がりして、民間業者、悪質な不動産業者からどんどん横取りされていくというような現実をどう解決していきますか。いかなければ、この土地税制のできたことによって、そういう矛盾、国民が困ること、政府も困ることをそのままにして、この土地税制改正を通すほうがおかしいじゃないか。結論だけ言います。
○上村政府委員 実は私は、土地税制の問題につきまして、先ほど主税局長からも詳細口頭で御説明申し上げましたが、土地の供給というものが一つ大きな問題、土地価格の安定という問題もある。が、しかし税制だけでこの土地供給を一〇〇%になり得るかというと、税調の御意見のように、これは補完的な性質のものであるというわけなんです。ですから、これを真に土地の供給並びに価格の安定というような問題を志向するならば、他の諸制度との間のいろいろな総合的な観点において志向しなければならぬ、こういう思想であるわけです。でございますので、今回の御審議賜わっております土地税制の改正の方向というものにつきましては、これは私は非常に進歩である。けれども、これだけでは十分でない。また、先ほど局長も御説明申し上げましたように、従来多少批判があった点につきまして、多少手直しをやった。それがいま御指摘のようなところにちょっとあらわれてきた。これは私は、いま政策目的からいいますれば、非常に考えさせられる点があるけれども、税体系全体からいいますればやむを得なかったであろう。しかしながら、土地の供給あるいは土地価格の安定化というものにつきましては、ほかの方法もあわせて、そしてその所期の目的を達する、こういうふうな意味におきまして、私は、今回その点につきましてはやむを得なかったであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
○田中(昭)委員 こういうことでは、この審議は私は進められないのですがね。片方では税体系をくずさないと言う、それで土地税制の目的としてはそういうことで進んでおる、こういうことになりますと、全然審議も何も進まないじゃないですか、私が言うまでもなく。いままで矛盾があった、今度改正したらまた矛盾が出てきた。過渡的な矛盾とかいろいろ理屈はつけますけれども、そういうものをほうっておいて、年々政府のほうで住宅建設も進めていかなければならない。しかし、土地税制では、それを進めていかれないような結果になっている。どこにどう解決の方法を求めますか。ここで安井さんも小川さんに対する説明の中で「土地価格の値上がりというものを防ぐことができるならば、住宅建設にも、地価の点でお役に立つだろう、こういうふうに考えております。」こういうことだけれども、実際問題として、地価の値上がりを防ぐどころか、このことによって値上がりしているじゃないですか。
○吉國(二)政府委員 確かに御指摘のケースではそうでございましょうが、従来三万七千円では通常は売らなかった土地が、今度の土地税制によって売れるようになったという現実、さらに、おそらく今後は買い手のほうも税が下がったということで三万七千円では買わないと思います。そこに流動性がついてきた点は、たまたまこの収用との引き合いがあって、片方のほうに寄ってしまったということが問題ではございますけれども、そこにいままで売らなかった土地が同じ値段で売られてきた。三万七千円という民間のオファーで売られてきたという現実、これが流動化を促進する税制の目的に沿うものであることは事実だと思います。もちろんそれだけ流動化が進んでくれば需給のバランスというものは変わってまいりまして、その付近でも一般の購入価格が下がるということは、これは当然予測されると思うのでございます。これがこの土地税制の効果なんで、その効果の点が妙な形であらわれたという点は、御指摘のとおりだと思いますが、これは収用価格その他のバランスの問題としては、従来の税制によって収用価格と一般価格とのバランスができておったものが、そのバランスがくずれるという点は、これはあると思います。それが一つの従来の収用税制の問題点であったことも事実でございますが、ここのバランスがくずれたということは、これはまあやむを得ない。現に、四十四年度でございますから、この収用で売り払った場合の譲渡所得の計算は、旧法のままで行なわれるわけであります。四千百万円の手取りであっても、なおかつ新しい税法を適用した一般業者の買い取り価格のほうが手取りが高くなるという結果は、それだけいわば土地の流動化を促進するという効果が目に見えてあらわれているということを意味する面もあると思います。この収用土地価格と一般の土地の価格の開差というものは、この税制が実施され、一般化すれば当然縮まってまいると思います。それは土地の価格が下がる方向で縮まってくることを期待するわけでございます。 〔倉成委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕
○田中(昭)委員 いま主税局長は三万七千円で売れませんとおっしゃったのですけれども、やはりそうはっきり言えますか。これだけではなくて、ほかにもいろいろな問題が出てきましょうし、これは記録に残っておりますから、それじゃ、今後の実際の土地の売買がどういうふうに動くかによって、私は責任を追及しますよ、そういうことをおっしゃるのでしたら。ここだからそういうことをおっしゃるのですよ、いつも問題になりますように。現実はそういう不動産業者の人たちがその裏目裏目をかいていままでやってきたじゃないですか。ですから、はっきりそういうことは言えないと思うのです。 そういうことを言っておりましても、ひとつも私の質問は先に進みませんので、もう少し確かめておきたいのですが、あのときに、建設省と打ち合わせをするというようなお話がありましたね。それはどういうふうな打ち合わせをなさったのですか。
○播磨説明員 ただいまの問題でございますが、建設省といたしましては、一方におきましては住宅五カ年計画も完全に実施したい、道路にも治水にも五カ年計画がございますが、こういった事業を計画どおり完成したい。そういったときにはやはりどうしても用地の問題が一つの大きなネックになっておるわけでございますが、今回こういうふうな税制の改正を行ないますと、確かにそういった事業の進捗の面におきまして、従来非常に有利に取り扱われておりました面が消えるという問題はあるわけでございますけれども、一方におきまして、やはりどんどん土地の値が上がっていく、そのことが単に一般に対する影響ばかりじゃなくて、公共投資の効率そのものを非常に減殺しておるという傾向がきわめて顕著にあらわれてまいっておる現状でございます。そういったことで、大局的に考えまして今回のこういった改正に同調いたしたわけでございます。 そこで、こういうふうな変化に対応いたしまして、私どもといたしましては、今後どういうふうに対処するかという基本的な考え方の問題でございますが、ひとつ公共事業等を実施いたしまする起業者の立場といたしまして問題を考えてみなければいけない。そのときには、ただいまの東京都の公営住宅の問題なんですけれども、従来の起業者はとかく税制上の恩典に寄りかかり過ぎた点があるのではなかろうか。別段強制収用をしろというつもりはございませんけどれも、やはりこういった住宅計画が一団地の住宅経営を都市計画といたしまして決定するとか、そういった正規のルートに乗せて仕事をやっていただきたい。都市計画法も新しく変わりまして、かなり民主的な方法で手続がきまるようになっております。そういったことでございますので、新法によりまして正式な手続をとって進めていただきたい。 もう一方は、じゃまをする側に入りました宅建業者の側の問題があります。税制ばかりに限りませんで、六月から新しい都市計画法が施行になりますと、やはり宅建業者のほうにおきましても、従来の考え方とは全然頭の切りかえをやっていただきまして、りっぱな町づくりにじゃまにならないように、できれば積極的に協力していただけるように指導しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。今回の場合も、東京都のほうでせっかくお話がある程度ついておったわけでございますから、都市計画決定なり何なりの公の手続をとっておいていただければ、あるいは業者もじゃまに入らなかったのかもしれませんが、その辺にやはり両方の食い違いがございまして、こういったおかしな結果になったわけでございますけれども、今後はこういったことが起こらないように、起業者の面あるいは宅建業者の面、両方にわたりまして十分な指導をやってまいりたい、かように考えておるのでございます。
○田中(昭)委員 きょうはあとの参考人の出席の関係の時間もありまして、これ以上入ることはできないのでございますが、ただいま建設省の御意見もありましたが、そのとき大臣も御出席なさって、自分のはっきりした態度をきめる、こういうような発言もありますし、具体的にそういうような問題が起こった場合に、予定地内にどのような規制を行なうかというような問題もそのとき出ております。それからまた、収用権の積極的な発動とかいうことも言われておるようでございます。これはひとつそのときの質問者である小川委員に、建設省のほうから書類にしてちゃんと報告してもらいたいと思うのです。こういう話ができたならば――話し合いができないかどうか、全然報告が出ていませんので、そういうことをお願いします。 最後に、この特別措置の各項目が整理統合されておるわけですが、今回この特別措置に対しまして、新規の特別措置の要望が各界から二百項目出ておる、こういうことを聞いております。そのおもなもの、また土地税制について関係のあるもの、現在のこの改正にあらわれてない要望事項といいますか、そういうものを二、三項目お話しいただきたい、こう思うのです。――もう時間がありませんから、そういう二百項目についてひとつ資料としていただきたいのですが、どうでしょう。資料をいただければ説明は要りません。
○吉國(二)政府委員 土地関係でおもな要望と申しますのは、一つは買いかえを全部残していく、選択制にしてくれという要望がございます。これは先ほど来申しますように、買いかえを残して低税率の課税をするということになりますと、これは単に軽減をしたにとどまってしまってぐあいが悪いということで見送ることにしたわけであります。 それから、居住用の資産の千万円の控除というのが小さ過ぎる、東京都内なら五千万円くらいだという、地域によって差をつけてくれという要望がございましたが、これはまた税法上地域によって差をつけるということは、非常に公平上問題がございます。そういう点でこれも見送ることにいたしました。 それから、短期譲渡の税金も重過ぎるではないか、短期の分も同じように軽減していいのではないかという御意見もございましたが、これは先ほど来申し上げましたように、非常に多くの意見が交錯した中で落ちついてきた問題で、片一方には譲渡益は極端に重課しろ、全部取ってしまえという意見もあったくらいでございますので、これは調整して、そこはごかんべん願うということにいたしたわけでございます。 それから、一般的な他の特別措置の要望の中で一番大きかったのは、為替損失準備金というのがございます。これは最近の国際通貨の不安定を前提といたしまして、取引額に対して一定の割合の準備金を積んで、為替損失が生じたときに備えるというもので、これは為替損失そのものが非常に偶発的な損失でございます。偶発準備金をつくること自体、税法上問題があるということと、また、通貨によっては準備金を積む必要のないものもある。基準通貨でございますとか、たとえばマルクなんというのは、これは準備金を積む必要が当面認められない。ところが、取引先のいかんによっては、そういう強い通貨ばかりの取引ばかり扱っているものもあり、逆に弱いといわれている通貨を扱っているものもあるわけでございますから、同じ準備金を積んでいながら、実質は非常に性質が違うという結果になる。そういうことからこの準備金というもの自体の合理性が疑わしいということで、これを見送ることにいたしました。これが非常に大きかったと思います。 さらに、従来からある要望といたしましては、景気変動を調整するための準備金、投資平準化準備金、これはスウェーデンの制度をもじったものでございますけれども、これも実質的に見ますと、過熱時に投資を抑制する効果というものはない。単に留保して不況時にそれを使うという面はございますけれども、好況時には投資を抑制する結果にならない、一方交通のものになるおそれがありますので、わが国のように、過熱の問題が常に起こっておる、停滞の問題はむしろ例外的であるという国には、全く反対の効果しかないということで、見送ることにいたしました。 その他の措置というのは、きわめてこまかいと申しますか、個別の企業、極端にいえば数個の企業に適用になるようなものまで含まれておりますので、こまかいことまでは申し上げないで、大筋だけ申し上げました。
○田中(昭)委員 最後に、いまそういうような土地税制、いろんな問題が出まして、あとでこういうような問題が出ますと困りますから、そのほかの特別措置のいろいろな各界の強い要望があっている二百項目、今後審議する上においても私たちも勉強したいし、そういう各界の要望がどういうふうに出ているか、勉強していきたいと思いますから、その資料提出について政務次官のほうからお答えがあれば、それで終わります。
○吉國(二)政府委員 税制調査会で実はそういう新しい要望を審議してもらうために取りまとめて出した資料がございますが、それは大体網羅しておると思いますので、それを御提出いたしたいと思います。
○毛利委員長代理 渡辺委員。
○渡辺(美)委員 簡単に約四十分ばかり御質問を申し上げます。 税制調査会で答申を書いたわけですが、私はこの税制調査会の委員の中に、土地税制というふうなものを扱っておりながら、土地を一番持っておる人の顔ぶれが少ないと思うのですが、一体日本の土地というのはだれが一番持っているのですか。――まあわからぬようですが、これはやはり国家が一番持っている。国家が持っている土地というのは、要するに土地税制の対象になるような土地はないんだから、国家の代表はそう入る必要はないのです。その次は一体だれが土地を持っているか。これは農民ですよ。おそらく国家の土地を除いた残りの土地ということになると、その土地の八割くらい、それ以上は農民だ、私はこう思うのです。それで、土地税制というのは、簡単にいえば、農民に重大なる関係がある税制だ。したがって、農業団体からは再三再四、税制調査会のメンバーに入れてほしいということを、たとえば農協中央会あるいは農業委員会あるいはその他の農業団体から、入れてほしいということを言っておるが、不動産関係の代表者の方は入っておりますけれども、農業関係の団体からそういう強い要望が年々あるにかかわらず、なぜ委員に入れないのか、その理由をまず御説明願いたい。
○吉國(二)政府委員 農業関係の委員としては、御承知の小倉委員が農業関係といえますかどうか、東畑委員長自身も農業関係の専門家でおられます。そのほか市町村長の代表という方は、町村代表は大体農村を代表しておられるということになっております。
○渡辺(美)委員 そういうことは私はこじつけだと思います。小倉さんなんかはまあこれは政府代表みたいなものですよ。土地を持っている人の代表じゃない。少なくとも農業委員会なりあるいは農協中央会なりそういうようなところから相当の人を入れるべきだ。いままでどうしても農業団体というのは税金に弱い。なかなかわかりづらい。わかりづらいから、あとになって気がついてみると、これはてんかん持ちじゃないけれども、とんでもないことになっておるというようなことが非常に多いのです。したがって、今後私は、できちゃったことはしかたがないが、こういうものについては、農業団体の人を調査会の委員に入れるという方向で検討するようお願いしたいのですが、いかがですか、政務次官。
○上村政府委員 渡辺委員がおっしゃるのは、私も同感なんです。それで私も、そういう重要な分野に属する人、しかもだれが見てもその代表であろう、いいであろうというような人を入れるような線で今後検討していくのがよい、こう思っております。
○渡辺(美)委員 政務次官からたいへん前向きのお答えがありましたが、大臣代理で出ておられるのですから、ひとつぜひともそれは政府の責任において実現をしてもらう、これはしてもらえるものと確信をしておりますし、またしてもらいますから、よろしくお願いいたします。 それからその次ですが、私は税法というものを読んで全くわからない。非常にわかりづらい。ことに私は毎年毎年言うのだけれども、政令委任事項が非常に多過ぎる。ちょっと読んでみると、政令の定めるところ、政令の定めるところといって、具体的なところはみんな逃げているわけです。政令を出してもらわないと、ほんとうのこと、審議しろといわれたってできないのが普通なんですよ。いままで大蔵省の関係の法案というのは、往々にして、ある意味ではそういうような慣例があったのでしょう。もう一つは、法案を非常にたくさんかかえておって、せとぎわにならなければなかなか煮詰まらない。そこで政令を全部書き出すというのはなかなかたいへんだ、こういうふうに大蔵省の実務上の点もわれわれは理解するにやぶさかではありません。しかしながら、ただ忙しいから、そうだからといって、少なくとも国会で審議をする場合において政令案要綱も出さないということは正しいやり方ではない。これは前々から所得税、法人税の問題においても、法案を出すときには必ず政令をつけて出しなさいということをわれわれは再三言ってきたつもりであります。一時はそういう傾向に幾らかなってきたかと思うと、またどうも大蔵委員会だけはそいつが守られていない、このことは私としては非常に不満であります。率直にいって不満であります。われわれ与党ですから、実際政府のお役人さんからいろいろなことを、いやこれはこういうふうに政令できめるつもりです、いやこういうふうになにするつもりです、政令でそういうふうにきめるつもりですということをさんざん聞いております。聞いて、それで納得してきているつもりです。私は、これは政令案が出ないから反対だということを申し上げるわけではありませんが、しかし、そういうやり方はよくない、少なくとも今後改める方向でやってもらわなければ困る、こういう点、政務次官いかがですか。
○上村政府委員 この法案の御審議だけ得まして、また政令段階というのは法案の趣旨に沿っておるわけでございますが、現実においては非常に重要な点が多いかと思うわけでございます。そういう点からいたしまして、政令段階は法案の成立と同時にいく場合と、多少おくれて具体化しますからおくれていく場合とございますけれども、法案の御審議を賜わるに際して、固まっておる政令というものにつきましては、当然おっしゃるような方向で処理すべきものかと思っておるわけであります。
○渡辺(美)委員 実際この税法なんていうのは政令がないとわからないですよ。たとえば買いかえは認めない。ただし、例外規定を設けて、既成市街地からその他の地域に出ていく事業用資産についての買いかえは認める。そうすると、一体どれくらいまで認めるのだ、全面的に認めるのか。いままで一番問題になったのは、東京でゴルフ場を持っている会社がゴルフ場を売って栃木県へ行って二つか三つゴルフ場をつくる、そういうようなやり方はけしからぬという非難がうんとあったわけです。事業用資産といったって事業用資産じゃないじゃないか、東京で売った何倍もの土地を、五倍も十倍も土地を買ってしまう。そういうのは土地の買い占めになるから、要りもしない土地の買いかえができるのはけしからぬ、こういうようなことが発火点になって、結局事業用資産の買いかえ制度というものは制限しよう、こういうことになってきたわけであります。ところが実際問題として、それではその倍数等はどれくらいまで認めるのだということが全然わからない。これは言うならば基本的な問題だ。二倍認めるのか、三倍認めるのか、五倍認めるのか。東京で千坪持っていた人は栃木県へ行ったら五千坪まで買いかえて無税にするのか、ともかく二万坪まで買いかえても同じ金額なら無税にするのか。こういうことは実質問題としてきわめて根本的な問題なんです。こういうものは当然政令として固まっているはずだ。何倍まで認めますか。
○吉國(二)政府委員 現在予定しておりますのは五倍でございます。
○渡辺(美)委員 五倍まで認める。五倍という数字は、私は前に実は安井課長から聞いた。大体三倍くらいにするつもりだ、業界のほうはもっと高いことを言ってくる、ぼくは五倍以上というわけにいかぬだろうという話はしたことがあります。したことがありますが、これはやっぱりこうなってくると、政令というものは一緒に出してもらわぬと議論にならぬということは、そういう一つからだって出るんですよ。その他たくさんあるんですよ。ここにはそれに類似のはたくさんあるけれども、そういうように現実の問題として政令を一緒に出してもらわぬというと本質がまるっきり変わってしまう。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 そうでしょう。あとで十五倍なんて政令出されたら、買いかえ制度を何のために制限したのかわからぬし、基本的な問題なんですよ。政務次官おわかりですか。やっぱりこれは一緒に出してもらわなければいかぬ。五倍というのですから、五倍が適当であるかどうかについてはまた議論もございます、できることなら三倍くらいが適当であろう。業種によっても多少違うだろうが、そう思うのですよ。ちょっと平林君から関連があるそうですから、ここで一段落しておきましょう。
○平林委員 いまの問題に関連をして、政令できめる倍数がはっきりしてないので、私も適当な時間にこれは尋ねたいと思っていた点です。 いまの渡辺委員の例は、主としてゴルフ場とかその他の場合のことを想定しての倍数です。私は、これを農業という立場から見た場合どうだろうか。たとえば新都市計画法によって市街化地域、調整地域と区分をされて、市街化地域においての農業は次第に市街化調整地域に移ってやりたい、こういう希望が出てきて、私は、転換をし、買いかえをするというようなことは都市近郊においては非常に多くなるだろうと考えておるわけであります。 それからもう一つは、農業の中においても、たとえば畜産業のような場合に、市街化地域におきましては近所からくさいとかなんとかいうようなことで白い目で見られる。それならば奥地へ入って広々としたところを確保してそこで畜産業をやる。つまり、いわゆる畜産公害ということで住宅に居住している人たちからの批判もあって、奥地に入って広々としたところで畜産業を営むということも想定しなければならぬわけですよ。 ですから、単に土地のブローカーの買いかえという問題も頭に入れねばならぬけれども、逆にいえば、今度は農業の場合に、むしろその場合はかなり広いものを認めてもらわなければならぬという気持ちもあるわけです。そこで私は、あらゆる場合を想定して、こういう場合にはどのぐらいまで、この場合にはこのぐらいまでというようなきめのこまかい倍数というのが必要なんじゃないか、こう考えているのですけれども、それについてどういうお考えを持っておるのか。いま渡辺委員がお話しのように、本来はこの法律に付随して、その政令の中身についても審議の対象にすべきものだと考えておるのですけれども、関連してとりあえずお考えがあれば承っておきたい。
○吉國(二)政府委員 いま御指摘がございましたように、政令案件についても政令案要綱を出すべきだという御意見はごもっともだと思うのであります。私どもも政令案件が固まった場合、いつも政令案を具体的には理事会で御承認を得ておるかっこうをとっておるわけでございまして、今回ももちろんその段階では一応理事会で御説明をすることになっております。 倍数の点は、いま渡辺委員から御指摘がありましたように、三倍ぐらいが適当ではないかという御意見も、中には二倍でよろしいという御意見もあったわけでございますが、業種別にきめるということがまた非常にむずかしいものですから、安全を見て五倍ということにしているわけでございます。業種別の適当な基準ができるかどうか、その辺が一番むずかしいところでございます。五倍というと相当な面積になるわけでございまして……。
○平林委員 幅を考えて一律五倍というような考えを方いまお話しになりましたが、しかし私は、そこは再検討する必要があると思うのです。この土-地の問題は、一般のいわゆる土地ブローカー、そして土地の買い占めによって地価の高騰を防ぐという意味と、それから都市近郊のような農業を維持するという場合では、これは全く違うのですよ。それをただ一律にというようなことでは、そこにやっぱり相矛盾するものが出てきますから、倍数についてもそういうきめのこまかい検討をすべきだ、こう思うのです。これはぜひそうしないと、今度はそれをを隠れみのにして、ずるい人間をまた許すことになりますよ。 そこで私は、やはり畜産業のような場合、農業の場合、それから一般の土地の場合とある程度区分けできる程度のものについての配慮、同時に規制、この二つをかね合わせたようなものを考えるべきだ、こう思うのです。もう一度ひとつお願いします。
○吉國(二)政府委員 おっしゃるとおり、これは事情によって非常に違う点がございます。これは、実は私どもは単独でかってにやっておるわけではなくて、各省の意見を聴取して最大公約数と申しますかそれをとった。そのかわりに小さくて済むものがいるではないかということも確かにそこに入ってきてしまう問題でございます。一時は特殊な事情があるものを特別な規定を設けるというやり方等も検討したわけでございますが、各省としてもそこの踏み切りがなかなかつかない。いかなる特殊な場合にいかなるものを想定するかということはなかなか具体的に出てこないものでございますから、一応五倍なら安全性があるということでいっているわけでございます。将来の実情その他によってこれはまた変えないという問題ではないと思いますが、一応五倍で進んでみるという前提でさらに将来の検討に待つべきではないか、かように考えております。
○渡辺(美)委員 私も平林君と同じで、一律五倍にするということはいろいろ弊害があるのじゃないか。たとえば法人の場合は、いままで事業用資産というものは、空閑地も含めて事業用資産の扱いをしているわけです。個人の場合は事業資産の定義というものを非常に厳密にしておりますが、法人の場合は何でも事業資産になってしまうのだな。ですから、空閑地を持っている、極端なことをいえば、既成市街地でベビーゴルフ場を持っている人がいる。そして実際にはそのベビーゴルフ場は直接法人の事業資産と認めがたい。それは厚生施設なり何なりのそういうものであって、事業のために真に必要だということは考えられない。そういうようなものまでも同じ倍率で認めるということは、私は大法人優先だという非難を受けることは間違いないと思うのですよ。個人と比べてこの点が非常に不権衡なんですよ。 もともと事業資産の買いかえのときに、個人と法人というものを比べてきわめて不権衡なんです。個人の場合は、たとえば農家をやっていて、雑木山を売ってたんぼを買おうとしても、事業資産として認めてないのですよ。それは雑木山によってあなたは事業をしているのじゃない。植林業じゃない落ち葉、採草といったって、いまたんぼで落ち葉なんか使わぬじゃないか、こういうようなことで、農家でたんぼもあり畑もある、それに伴って落ち葉、採草の山があっても、山を売ってたんぼを買うことも事業資産として認めてないのですよ、国税庁の取り扱いでは。それにもかかわらず、法人はほんとうに工場や工場敷地やあるいは機械設備、そういうふうなもののみならず、極端なことをいうならば、駐車場からゴルフ場から遊ばしてある土地まで全部買いかえをいままで認めているのですよ。いまも不公平があるのですよ。今度は個人も一切がっさい買いかえは認めないという制度にして特例だけ設けたのだが、この特例というものは、過密地帯から過疎地帯へともかく人口の移動をさせようという大きな政策目的があって認めているのであって、私どもはそのこと自体はけっこうなことだと思うのです。けれども、それを利用してやはり一律に五倍というようなことにすると、非常に不権衡がなお広がるという問題もありましよう。 それからもう一つは、いままで神奈川県の在で牛を飼っていたり豚を飼っていた人が、そこが都市近郊になった、そのためにいろいろな公害問題等が起きてしかたがないから、今度はちょっと箱根のほうに引っ越していこう、あるいはどこへ行こうという場合に、それじゃ豚を飼うのでなくて牧畜をしようということになって、いままでは全部輸入飼料にたよってやっていたのだけれども、今度は少し飼料は自給自足でやるのだというような場合には、これは五倍ではできないわけですね。ですから、おもだった業種というものをまずピックアップして検討することが一つ。その次は地価です。地価が何分の一の地価であるか。この地価の倍率との関係、ここらでひとつある程度押えることを研究してみたらいいと思う。いまここで幾ら幾らにしろと言ったってあなた方もできまいと思うから、研究してみたらいいと思う。 そういうふうないろいろな問題を提起するためには、大蔵省、建設省あるいは農林省――お役人さんも二局、東大を出て頭がいいと思う。頭が悪いとだれも言わない。頭も非常にいいし、いろいろなケースをよく勉強している。しかし、三人寄れば文殊の知恵で、代議士だってそんなにばかばかりいるわけじゃないので、それはやっぱり役人ぐらい頭のいい人だっているかもしれませんよ。いろいろな角度からそれは見ていますよ。だから、自分のつくったものをいじらせるのは絶対いやだという考え方ではなくて、一応おれはこういうふうな、この法律の精神に従う政令はこれがいいと思うのだけれども、どうでしょうかというむしろ相談的な意味で、ある程度雑なものであってもいいですからいち早く出してもらって、そしてみんなにあっちこっちつっつき回されて、それでよりよい案が生まれてくる場合もあると思うのですね。だから、やはりこの政令をつくるという問題については、政令の権限は実際おれらの手中に入っているのだというようなつまらぬ考えを起こさぬで――皆さんそんな考えを起こしてないでしょうけれども、これはやはり出してもらうという方針でこれからはぜひいってもらいたい。そのほうが国家国民のためになる。私は、与党とか野党とかいうことを離れてそういうふうなことを申し上げておきたい、こう思うのであります。 ちなみに、しからば租税特別措置法の改正案で、これは改正条文があって、要綱にすればこんな簡単なものでありますが、政令委任事項は何件で、省令委任事項は何件ありますか。
○吉國(二)政府委員 今回の改正における政令委任事項は約八十件でございます。省令は、直接委任というのは手続規定だけでございますから、これはごくわずか。収用の場合の手続、御承知のとおり証明ですとか、あれが直接省令委任になりますから、その程度でございまして、大部分は政令でございます
○渡辺(美)委員 かくのごとく委任事項が多いから、これは法案だけ読むとわからない。それが実情です。だからこういうことが今後ないように、また、実際政令は出してないんだから、いままで怠慢であったことをおわびして、ともかくこれからいろいろ質問があった場合には、政令ではこういうふうにきめるつもりですと、具体的にやはりおっしゃっていただかぬと国会審議は進みませんから、どうぞそういうふうなことで御親切にお願いをしたい、かように考える次第であります。 そこで私は、何のためにこういうふうな土地税制というものを思い切ったことをやるのか、この根本問題をひとつ考えてみたい。これは要するに、税の公平理論や何かにはほとんど関係がないと思うのです。これはどこまでも土地の供給をなめらかにするということに最大の意義と目的があると私は思いますが、いかがですか、政務次官。
○上村政府委員 大体そのようだと思っております。
○渡辺(美)委員 そういうことになりますと、やはり大目的というものが達せられるようにしなければいかぬ。しかしながら、その反面において、一部税の公平理論というようなことをちょこちょこっと出すことも私はわからないではない。わからないではないが、その大目的を達するということをどこまでも念頭に置いてこの不公平税制というものを実施したらいいと私は思う。この税制は不公平である。こんなに不公平な税制はない。それはなぜならば、銀座のキャバレーを十億円で売って経営者がかわっても税金は一割で済む、早い話がですよ。これは宅地対策に何で貢献するところがあるんだ。朝鮮人の経営者が銀座のキャバレーを売って、それで今度は台湾人にかわってみたところで何が日本のためになるか。住宅がよけい建ったとか、そこらの空気がきれいになったとか、そういうことはないんだな。したがって、私はそういう点では非常に不公平だと思う。それでもあえてやりますと言うんだから、何をおやりになるのか。そういう不公平があったとしても、日本全体からするならば税金を安くすることによって土地の供給をたくさんやらせるんだ、こうおっしゃるのだから、その観点から私はお考えになったらいいじゃないかと言うのです。 その一つは、長期、短期の問題ですよ。また言い出したというような顔をいま主税局長しておりますがね。短期に金をもうけさせないという思想は、これからはいいと私は思うのです。しかし、いままで土地を買っちゃったものについて――現在までは少なくとも三年という基準で長期、短期というのは分けておったわけです。ところが、ともかくおととしの暮れに土地を買った。そしてひとつ二年半で売ってやろうと思っても、今度は五年に引き上げて、あと二年半か三年待たなければあなたは税法上の優遇は何も受けないんだよ、こういうことでは土地を供給させるという目的からすれば片手落ちではなかろうか。一体比重はどっちに置くのだ。税の公平理論に置くのか、それとも土地を供給させるというほうに重点を置くのか。土地を供給させるというほうに重点を置くならば、この際は、これから買うものについてはそういうふうな買いだめは認めませんぞ。しかしながら、いままで買っちゃったものについては、どうせ不公平なことは先ほど言った例に示すがごとく不公平税制なんだから、ここ一年、二年で手放せば特別扱い、昔から持っておったものと同じにしてあげますよ、こういうことのほうが私は、ともかく土地を手放しやすくなる、こういうふうに思うのです。これは回答要りませんよ。さんざん大蔵省から聞いてますから、私の意見だけを申し上げておくのですよ。どうです、そう思いませんか。 大蔵省が答弁すれば、こういう答弁をします。いや、それはそういうことを言っても、税制調査会でもって短期所得者に対しては重税をかけろ、こう言っているんだから国民感情は満足しない。だから、ともかくこれは五年くらいに引き上げて、短い期間に金もうけさせることを押えるというかっこうをつけたほうが国民感情は満足するんだ、こういうような答弁をするだろうと思うのです。ニュアンスは多少違っても、結論は。しかし、それはやはりどこまでも形式論であると私は思う。ただ最初の政府原案で、ことしになって三年を卒業した、売りに出せば長期扱いができるというものまでだめだったというやつを、ことしになって三年になったものだけは特によくしよう、一部御理解があって直していただきましたから、三分の一は私の言い分が通ったわけなんですが、それでは来年になって三年になったもの、再来年になって三年になったものは同じ卒業生として扱ってくれますか。
○吉國(二)政府委員 まあ大蔵省の考えを先に言われてしまったのですが、いま御指摘のような点をさらにいろいろ御検討願った結果、すでに卒業した者が落第するわけはないということから、現行法においてもすでに三年を経過して普通の譲渡所得になったものをこの際またもとに戻すのは適当じゃない、これは御説のとおりと思いまして、政府原案を修正いたしました。ただ、その過程にあるものが留年をするという結果にはなりますけれども、これは先ほど来御説のとおり、この土地税制全体の仕組みから申しますと、来年、再来年に三年になったものをその場で長期として扱うわけにはまいらないと思います。 それからなお、不公平な税制であるという点は、確かに不公平な点があると思います。ただ、不公平なりに同じバランスをとっていかなければならない。税制である以上は個別に不公平を起こしてはならないので、同じ状況のものは同じ不公平、不公平であっても同じにしなければならぬということは御理解を願えると思います。また、先ほど申し上げましたが、課税の実績を見ますと、大きな譲渡所得ほど買いかえで全部所得が課税されていない、小さい譲渡ほど買いかえができないものですから全部課税になっているというのが実情でございます。その面で、いまの制度自体の不公平というのは潜在しておりますが、非常に大きな不公平があるので、それを直す過程として今回の税制がとられたことも一つの理由だと思います。その辺を十分御理解の上おっしゃていると思いますので、これ以上申し上げません。
○渡辺(美)委員 やはり常に雄弁なる吉國主税局長も、ここらになると多少、とうとうとまくし立てるというわけにはいかないという点を見ても、あなたの心中はわかりますよ。わかりますけれども、買いかえはことし一ぱいできるのですからいいとして、将来はやはり、これはもう一ぺん検討してもらう必要があるというふうに私は思っております。 こういうふうに税金を安くしても、長期保有者というのは、それぞれやはりいままでの因縁、情実があって長期で持っているのです。親の代から私は持っているとか、やたらに売ったらきょうだいから恨まれる、親戚から白い目で見られる、通学の関係あるいは墓場の関係、いろんな関係で土地を持っているので、税金を安くしてもどどっと土地が一ぺんに出てくるかといえば疑問がある。しかし、少なくともいままでの短期保有者というのは投機的な目的が相当あったということは間違いない。だから、こういうものはやはり起爆力に使って、そして目抜きの土地あるいはなかなかよさそうな土地を売りに出させるということが、やはりくろうとのやる仕事でなかろうか。その目的でやるのなら、税制理論でばかりやることはあまり賢明ではない。むしろそういうふうな一つの思惑というものを大いに利用しておやりになったほうがいい、こう思うので、政務次官、政治家ですから、よくひとつ在任中にもう一ぺんこの問題は検討をさせてみてください。 それから、あなたが税制の公平理論ばかり言うのなら、どうですか、税制調査会の答申にもあるように、個人の不動産業者が土地を買って、その分譲をしない、造成もしない、値上がりだけを待っておるというようなものに対して、税の加重をしたらどうか。私は、この思想は、やはりいますぐやるというのではなくして、ともかく買ってからもう三年間も全然土地を売りに出さない、あるいは造成もしないで、単なる転売でもうける、こういうようなものに対しては、何らか課税の方法というもの、加重の方法というものを研究したらばいいのでないか。その方法はやはり別なものとあわせて行なうべきだ。 それはどういうことか、法人の土地取得であります。法人の土地取得について、これは何ら規制を設けてないじゃないかという批判がいろいろあります。これについても、やはり年度を区切って、二年間とか三年間以内に売りに出したもの、こういうようなものについては、二年間については売り上げの二%所得控除をするとか、次の二年間については売り上げの一%所得控除をするとか、その次の二年間については売り上げの〇・五%所得控除をするとかいうように、やはり値上がりを待たずに売ったものについては、それだけの税制上の優遇措置を講ずる。しかしながら、いま言ったように、土地を買っておいて、分譲もしなければ、宅地造成もしないということで、ただ温存して値上がりだけを待っておるというような土地を売った場合については、その売った価額において空閑地税をかけるわけにいかないから、売ったときにおいて売り上げの何%についてはともかくもう所得に加算をする、極端なことをいえば。そういうようなことも、少なくとも一ぺん研究に値する。一ぺん研究してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 御指摘の点は、私どもも実は間に合えば何とかしたいというつもりで検討を続けているわけであります。来年これが全面実施になるときに間に合うか、あるいはさらに検討したいと思います。 法人の問題につきましては、私どももできる限りはいろいろ検討してみたわけございます。将来も検討を怠るつもりはございません。ただ、現実の立案までに名案が出てこなかったというのが事実でございますから、十分今後検討したいと思っております。
○渡辺(美)委員 それからもう一つは、使用目的別に課税を変えるという方法、これはあなた方のほうは、そういうことは非常に複雑難解でできないということをおっしゃるかもしらぬけれども、やはりそういうことを考えているのですね。たとえば既成市街地等内にある土地または建物のうち、その土地の上に地上階数四階以上の建物を建築するために譲渡するもの、こういうようなものは都市再開発法というものを前提にして考えておって、譲渡する場合も、使用目的が四階以上の建物をつくるために使用する土地というようなことを考えているのですから、使用目的別に課税の軽重をつけるということは不可能であるとばかりは私は言い切れないと思う。そういうことになると、たとえば銀座のキャバレーを売って一割課税にするというようなことは、それはいま言ったようなものに該当するならばいいかもしらぬけれども、そうでなく、ただ経営者がかわっただけなんだ、こういうようなもの等については、何も私はこの税制の中にひとしく均てんを受けさせる必要はないのではないか。使用目的によってはそこからはずす、現行税制でやってもらうようにする、特例からはずす、こういうようなこともやってできないことはないのじゃないかという気がしますが、その点は一口に言ってどうですか。
○吉國(二)政府委員 法律でございますから、法律としてそれがやってできないという問題ではないと思いますけれども、すべてそういう問題はニュアンスの差がございますので、課税を起こすという場合の平等――もちろん御指摘のような他の所得との不均衡という問題はあるかもしれませんが、その譲渡所得の形態として使用目的で差をつけるということはきわめて困難であると私ども思っておるわけでございます。
○渡辺(美)委員 そういうことなら、やっぱり都市再開発法という法律なんかあって、四階建て以上はどうだ、二階建てはだめだとか、やっぱり使用目的によって差別しているのだから、いままでは別にキャバレーとは限りませんけれども、銀行でまともに金を貸さぬというような業種、片っ方においては交際費課税を強化しょうというようなことをやっているのだから、そういう人々がひとしく――これは新しく特例措置を設けて税金を安くするのだから、そういうものの中に入れるということは適当でないし、少し研究すればそれは別に課税を重課するのではなく現行どおりでいくのだから、何ら反対の理由はなかろう、こう私は思うので、それは一年間ありますからひとつもう一ぺん研究をしてもらいたいと思います。 山ほど私はあるのだけれども、時間がないので申し上げられないのは残念だと思いますが、対象物件は土地、家屋というようなことをいっているが、その中には借地権、借家権地上権、こういうものはもちろん入りますね。
○吉國(二)政府委員 借地権、地上権は入りますけれども、借家権は従来も入っておりません。
○渡辺(美)委員 理由は。
○吉國(二)政府委員 従来から借家権は譲渡所得の対象になっておりません。
○渡辺(美)委員 それでは水利権、温泉利用権、漁業権のようなものはいかがですか。
○吉國(二)政府委員 土地並びに土地を利用する直接の権利としての地上権とか借地権は入っておりますが、漁業権とか水利権は一般の税制に残っております。
○渡辺(美)委員 しかし、水利権なんというのは土地に関係なく水を利用することはできないですよ、現実問題として。こういうようなものを残しておくということは理論的に矛盾があるのではないですか。
○吉國(二)政府委員 これは土地税制といたしましては、水利権を移転するとか漁業権を移転するという問題は、土地税制と関係ないものですから、その関係で土地並びに土地の直接の使用権という意味の地上権借地権に限っておるということでございます。
○渡辺(美)委員 しかし、これはたとえばたんぼ等の買いかえというような問題について非常に関係があるのです。ですから、これも少し研究をしてもらわなければならない。また非常に未熟ですから、ここらのところもひとつ研究をしていただきたい、こう思います。 それから建設省に聞きますが、既成市街地というのは具体的にどことどこですか。市街化区域というのは具体的にどことどこですか。それから首都圏の近郊整備地帯内及び都市開発区域内とかいうのですが、これは具体的にどういうことをいっているのですか。
○播磨説明員 既成市街地と申しますのは、現在首都圏整備法と近畿圏整備法がございますけれども、あの法律にいう既成市街地でございまして、具体的に特定されておるわけでございます。東京の場合でいいますと、東京とそれから三鷹、武蔵野、横浜の一部、川崎、川口、その範囲でございます。
○渡辺(美)委員 「これらに類する区域として政令で定める」というのはどこですか。
○播磨説明員 渡辺先生御指摘の地域に、既成市街地のほかにもう一つ指定都市区域というのがございます。近畿圏につきましては、東京の既成市街地と同じような京都、大阪、守口、布施、そういった一連の都市が入ります。これに類する地域として現在考えられ、また関係各省庁と打ち合わせをいたしておりますのは、名古屋の一部がこれに該当するのではないかということで検討を進めております。
○渡辺(美)委員 「政令で定める」というのは名古屋の一部というような意味ですか。
○播磨説明員 現段階ではそういうように考えております。将来これが既成市街地並みに建設省なりその他各省のほうで扱うという地域、つまり過密地域として扱うということになりましたときには、それを追加してまいるというふうに考えておるわけであります。
○渡辺(美)委員 そうすると、非常にこれは範囲が狭いですね。これらの地域から外に出るものについては買いかえを認めるということだけれども、たとえば旭川、宇都宮あるいは仙台とか福島、あるいは何とかというふうなもの、こういうふうなものの中だって住宅地のまん中に工場をつくってしまったためにいろいろな問題を起こしている。宇都宮も最初あんなに広がると思わなかったからまん中につくった、つくったところが住宅が密集してしまった、どこかに引っ越したいというのがたくさんある。宇都宮の刑務所をつくったところが、最初は野原だったけれども、住宅地のまん中になってしまった。刑務所では困るというので、いま移転させたいというので騒いでいる。それと同じ例が地方都市にたくさんあるのです。こういうものには結局買いかえを認めない。あなた方に言わせると、いやそんなことはございませんよ、それは市町村で工業団地や何かこしらえてその中に入っていけばそれは認めるじゃないですか、そういうことは書いてあります。ところが、宇都宮あたりでも工業団地をこさえて、工業団地に入れる人というのはナショナルとか三菱製鋼とか何だとか、大体一流会社の分工場、そうした大きな工場しか実際には入ってない。少なくとも零細中小企業に属するような人はそういう工業団地の中に入れないのです。 そうすると、一番この税制で困る人はだれかというと、中小企業者なんです。いままでは中小企業者は買いかえを認められて、宇都宮の地域の中から表の広いところに出ていくということもできたが、今度は買いかえを認められませんから、しかも工業団地に入れてくれませんから、また入るだけの資力もありませんからこれは非常に困る。しかも、これは何らの弊害もないですよ。既成市街地ばかりでなくて、市街化区域の中から、そういうふうに非常に問題がある人たちが表に出ていくことはむしろ歓迎すべきことなんです。何も東京から出ていく人を歓迎するばかりじゃなくて、千葉や埼玉や香川や愛媛の町のまん中に鉄工場があって、その鉄工場が郊外に引っ越していくことは歓迎されないことではない、歓迎すべきです。そういう人たちの手足をもぎった結果になる。したがって、これは皆さんよくわかってないから騒ぎが起きませんが、よくわかったら一騒ぎ起きますよ。みんなよく知らぬから、ははあ既成市街地、市街地というのは家が建っておるところは市街地じゃないかという錯覚を持つ人が私は多いと思う。しかし、いま言ったように、既成市街地というのは限定されたものになっている。だから、これはやはり密集地帯、それを市街化区域という表現にするか、市街地区域に準ずるものという表現にするか、いずれにしても密集地帯から表に出るような人、出たい人があったら出す。これは地価政策と矛盾しません。これはもう極端なことを考えて、買いかえを認めないという原則だけを振り回したら、これはえらい悪税になる危険性がある。だから、そこらのところはもう少しこの一年間に再考する必要があると思うが、政務次官、政治的判断としていかがですか。
○上村政府委員 渡辺委員も御承知かと思いますが、土地税制の問題につきましては、非常に問題点を含んでおり、そしていろいろと苦心をいたしておるわけでございますが、今後も十分検討する必要があると私は思います。 そして、政令の問題につきましては、先ほど御指摘がございましたが、政令というのは、もちろんかって気ままにやっていいものでないことは御承知のとおりであります。法律の趣旨の中でやるべきものであります。しかも、これを法律の本文に入れるよりも、むしろ具体化し、そして多少の流動性を持つような事項につきまして政令に委任しておるのが本旨であることは、御案内のとおりでありますので、政令の段階なり、そういう問題につきましては、これは十分検討する必要があるというふうに存じておるわけでございます。
○渡辺(美)委員 政務次官、気やすく政令でやりますなんて言ったって、政令ではできないんですよ。ちゃんと法律できまっておるのだから、私のいま言ったようなことは政令ではできない。だから、これはやはり内部において、一応一年間あるから、その間に相当検討を進めていかないと、これは非常に問題が起きてきますから、ひとつ御検討いただきたい。 それからもう一つは、農村におけるところの土地の買いかえですね。ともかくそういうふうな中小都市から近郊の林野あるいは畑のところへ行って、そしてたんぼや畑を提供してさらに奥地へ入るというような人、これは農業振興地域の中でそういうふうに土地の買いかえをする場合には認めるといっているけれども、振興地域の中というのは、同一市町村の中なのか。かりに宇都宮の人が北海道に出て行った場合でも、農業振興地域に行く場合は認めるのか。そこらのところも、これをまた政令で定めるといっておるのだが、同一市町村の中での買いかえは認めるということを私は話では聞いた。そうすると、政令としては道がないけれども、そういう話を聞いて、安井さんのことだからと、われわれは信頼をしておる。しかし、その市町村を離れた他の県、他の町村、こういう場合だって相当あるのですが、そういう場合も、やはりこれは認めるようにしなければなるまいと私は思う。ただ、同一市町村内というだけにあまりこだわらないで、問題は、買いかえをすることによって不当に土地をつり上げるかどうかということが問題なんだから、そういうふうに土地のつり上げをしている者は農民でもなければ何でもないのであって、むしろ金持ちが土地を買いあさるとか、あるいは大企業がいなかに行って、不要不急の資産を売って、事業資産の買いかえをやって、その何十倍もの土地を買って、そのまま眠らせているというところに問題があるのであって、そういうところ以外も全く縛ってしまうというやり方はやはり行き過ぎである。これは角をためて牛を殺すのたぐいである。したがって、こういうような点等は、これは来年から発足するのだから、もうつくってしまったらコンクリートで固めるのだというようなことはしないでほしい。これはあわててやる必要はない。だから、これはもう一ぺんわれわれの意見も聞いてほしい。皆さんの頭のいいのは知っております。おりますけれども、やはり大衆の意見もよく聞いてもらって、そうして検討してもらうというようなことにぜひしてもらいたい。 私は、まだまだやりたいことはたくさんあるけれども、委員長がさっきからやめろやめろと催促ばかりしているから、この辺でやめますけれども、安井さんの話を聞いたって、どうにも満足な答えは得られないので、聞かなくてもけっこうですが、これらについては、ぜひ検討するということを約束してもらえば、一応これで引き下がります。
○安井説明員 ただいまの渡辺先生の御指摘の問題の、同一市町村の中で動くのは、実は将来法律の改正を考えております。 それから、いまおっしゃった宇都宮から北海道の農業振興地域に行くのは、今回の法律に基づきます政令の段階でも、誘致地区の中に入れますということをお答え申し上げておりますので、いいかげんに処理する考えは毛頭ございません。
○田中委員長 午後一時五十分再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時十五分休憩 ――――◇――――― 午後二時四分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 なお、参考人として税制調査会会長東畑精一君が御出席になっております。 只松祐治君。
○只松委員 時間が限られておりますから……。 税調は非常な力をお持ちになっております。税調で答申したものは、大体大蔵省の税制に採用されて、それが実行されている。こういうことでございますから、ほんとうは具体的にいろいろお尋ねをいたしたいわけですが、時間がありませんから、きょうは大綱といいますか、そういう面についてお尋ねを進めていきたいと思います。 まず最初に、あなた税調の会長でございますから、といってあなたが任命したわけではございませんが、責任者としてお尋ねをいたします。税調の機構といいますか、組織といいます、これは現在の状況で十分であるといいますか、完ぺきであるといいますか、国民の声が十分反映されておる、こういうふうにお考えでございますか。いかがでございますか。
○東畑参考人 お答えいたす前に、一つおわびしなければなりませんのは、前回の国会で大蔵委員会からお呼び出しが二度ございましたが、どうしても都合がつきませんで参れませんでした。会長代理の方に一度来ていただいたわけでございますが、これはあらかじめおわびをしておきます。 それから、いまのお話でございますが、税調委員は、ほぼ各方面を代表されている方が三分の二くらいあるかと思います。特に代表というのでなしに、いわゆる学識経験者が三分の一くらいになっておるかと思います。 それから機構そのものとしては、いま三十人であります。委員会としては、総数からいったらまず申し分がないだろう。国民の意見を聞くというお話がございましたが、これはときどき公聴会――法律の文句は知りませんが、集まていただいてお話を聞いております。 それから、こちらが出歩きまして、具体的に事情を聞く、これは昨年ではございませんが、一度は地方税の問題がございましたので、地方へも出張いたしましてお話を聞いたことがあります。昨年は一日税務署長になれというお話で、ほとんど全員の方になってもらいまして、税務行政の実際を納税者の立場から見る、こういうこともありましたが、そういうふうに努力をいたしておりますので、機構そのものとしては、いま絶対に最高だとは申しませんけれども、まず申し分はないと思います。 それから、特殊な問題につきましては臨時委員の方を任命する、それから専門委員の方を任命する、こういうことをやっておりますので、まずまずいままでのところは、こんな調子でいけばいいのではないか、こう思っております。
○只松委員 あとで順次聞いてまいりますが、直接税対間接税の比率、あるいは直接税の中で非常にウエートが高くなってきておる源泉所得税、こういうものをいろいろ展望し、あるいは国民の各階層の職業構成、そういうものを見ますと、この人たちが、大かたサラリーマンであるといえばサラリーマンという形がとられております。しかし、いわゆる真の意味のホワイトカラー、ブルーカラーといわれております賃金労働者に属する人は二、三人に限られておりますね。あるいは今朝来、与党である自民党の渡辺さんからも御指摘があったわけですが、ことしの場合、土地税制が相当大幅に取り上げられました。土地を持っておるのは、農民の方々が非常に多いわけであります。その中に、ほんとうの農民代表というものはないのじゃないか、こういうことで、お隣の政務次官も、今後ひとつそういうことのないようにつとめます、こういうことを言われたわけでございます。 そういうことで、私は必ずしもいまの構成が、そういう国民の各階層を代表しておるとは思わないし、逆にきわめて不十分ではないか。土地問題一つにしても、真の土地を持っておる農民代表がいない。あるいはサラリーマン、給与所得の問題にいたしましても、ほんとうの意味の給与所得者というのは、総評代表、全労代表が各一名ずつ入っているにすぎない、こういうふうに思うのです。といって、あなたが任命をするわけじゃありませんから、あなたに責任を追及するわけではありません。会長であるあなたが、これでは十分な審議ができない、やはりもっとそれぞれの各界層が出るべきだという御意見であれば、政府の態度もおそらく変わってくると思うのです。そういう意味で、いまの国民の職業分布状況、あるいは直接は納税者の納税の比例と申しますか、そういうものに応じた配分というものをある程度は加味される、これが民主的な税調の運営だと私は思う。ひとつ重ねてお考えを聞いておきたいと思います。
○東畑参考人 これは、只松先生にどうお答えしていいかむずかしいのですけれども、国民を代表しておるとかいう問題で、一つは農民のことですが、なるほど農業団体の方はいないと思いますけれども、たとえば小倉博士なんという方が税調のりっぱな委員としております。それから私自身も、ときどき農民の代表であるとよくいわれますけれども、そんなつもりは毛頭ないのです。ただ公平にやっていくということが主眼点でありますから、代表だとかなんとかいう――私、最初そう申したのでありますが、つまり各方面のまじめな意見を十分吸収できるかどうかということが一番の中心問題である、運用はそういう形でやっていく。こう思って、いわゆる人選問題についての難点がかりにあれば、運用ということでよほど修正してできるのではないか、こう思っているのです。 しかし、お話しの点につきましては、なおいま、みな任期の最中でありますが、いつもよすときには多少そういう意見を言うことになっておるので、ひとつ頭に置いておきます。
○只松委員 先ほどから言いますように、何か私どもがいろいろ政府当局と論議をすれば、税調に諮問いたしました、こう言って、総理、大蔵大臣は逃げ手を打ったわけですね。しかし、逃げ手だけじゃなくて、それほど税調の意見というものは尊重されておると思うのです。本年度の税調の答申案と、それから出てきておる大蔵省の税制改正案とを見れば、専売の問題を除いて、ほとんどこれは採用しておりますね。あとで聞きますが、昨年度のやつも、社会保険医療関係を除いて大体採用されておる。こういうところを見れば、へたな私たち国会議員よりも、よほど皆さん一人一人のほうが国政を左右する重大な権限を付与されておる、こういうことになると思うのです。だから、ぜひひとつ、先生は学者でございますし、そういう民主的な税調ができますように、会長の重責をになっておられる東畑さんの今後の御尽力をお願いしたいと思います。 次に、現行の税制でございますが、長期税制に対する答申が一応なされ、それからまた、毎年の税制改正に関する答申がなされてきておるわけであります。長期税制の場合には、多少基本に触れるような御意見も述べられておりますし、その努力のあとも見られるわけであります。それにいたしましても、私どもから見れば、もの足りないものがあるように思います。 それから、それが今度は、毎年ここに出てきます答申を見ますと、たとえばいまちょうど本委員会で租税特別措置法の改正案を審議しているわけでありますが、これなんかは、抜本的に対処すべきであるという意見が出されておるにかかわらず、ことしもまたたくさん、ふえてきております。こうなった理由はいろいろありますね。輸出振興だ、何だかんだ、もっともらしい理由があるのでありますが、しかし、とにかくそういう措置が弱められるんではなくて、強化されてきていることは事実ですね。しかし、その前にやはり大蔵省あたりが原案を出してくるわけですが、それを税調は答申をされてきている。 こういうことをいろいろ見てまいりますと、もう少し私は――国会で私たちが論議することも国民の代表として重要でございますけれども、またそれを皆さん方もいろいろ参考にはされておるわけであります。しかし、基本的には、さっきから申しますように、税調でこういう問題を論議することになっておるわけです。ひとつ現行税制について御所見を承りたい。
○東畑参考人 先ほど只松議員から、何かわれわれ、国政をえらい左右するような力を持っているというお話があって、これはどうも、ちょっと、皮肉を聞いたようで、たいへん痛み入る次第であります。 それよりも、私の税調会長としての心がまえをちょっと申し上げたらおわかりいただけるかと思いますが、大体こういう政府の委員会というのは、まあ一種の社会技師と思っておりまして、非常なりっぱなアイデアといいますか、ビジョンを、どうしたら最も巧みに生かせるかと、あとのほうのことに努力すべきが、われわれの最大の任務であると、こう思っております。 先ほど民意ということをおっしゃいましたが、民意もそうなんでありますが、国会の中における諸論議ということは、大蔵省の諸君にお願いいたしまして、こさいに、こまかに実はとっておりまして、その中から、なるほどこういうことは大事なことなんだ、大きなビジョンだ、それをどうして生かすか。どうして生かすかということが実はわれわれの任務だ、こういうつもりでおりますので、国政を左右するとかなんとかいうことは毛頭考えてないのでありまして、それは政治家の問題である、こういう立場で一生懸命やっておりますので、どうかそういう意味で使っていただきたいのです。 それはそれといたしまして、現在の税制はこれでいいかという御質問なんでありますが、いいとはどうしても言えないと私は思う。というのは、かりによくても、事情がずいぶん変化してまいりまして、どんどん国民所得がふえてまいりまするし、物価もずいぶん変わるでしょう。そんなことで、まあ一つの例をとりますと、先ほどちょっとお話がございました、直接税、間接税の問題でも、間接税がおもに従量税になっておるという点がございますもので、物価の騰貴に応じて非常に割り安になってくる、こういうこともある。直接税と間接税との比率というのが、非常な勢いで直接税の重みがかかってくる。そういうところは、間接税の税制そのものが、物価の騰貴ということにも応ずるだけの税制になってない、こういうものは改革しなければならぬということがありますし、あるいは特別措置の問題がございます。これもずいぶんたくさんございます。きわめて小さいこともございますし、大きな、根本問題に触れるようなこともございます。これは種々検討いたしていく。 そうして、だんだんふえてくるじゃないかというお話もございますが、つまり物価の騰貴、所得の増進に応じて、一定の割合のものは当然これはふえてくるわけであります。その意味でふえてくるというのと、新しく設けてふえるというのとでは、多少性質が違うと思います。税調といたしましては、ある一定の特別措置が固定化してしまって、特権化してしまうということは一番困る。それをなくしていくということが一つの大きな問題であります。そうかといって、あらゆる特別措置がいかぬというわけでもありませんで、経済政策的にもっともだというものは認める。こういう立場で、そういう点から検討してみますと、特権的に固定化したというようなものもあると思う。だから、これは連年審議いたしております。それで税調の意見として出しております。 昨年出しましたのでは、廃止してほしいというのは早出し米ですか、あれの免税措置というのはもう意味がないということ。それから、医療のほうも実態調査をよくして検討すべきものじゃないかと思っておりますし、来年の三月に期限が参ります利子配当の特別措置、これはどうしてもことし取り組まなければならない大きな問題だ。こういうふうに出しておるのでありますが、なかなか思うように通していただけないのですね。米の場合をとってもそうなのですが、そういう中で歯がゆい思いはしょっちゅういたしております。
○只松委員 個々の問題については若干あとで聞きたいと思いますが、本年度末、直接税対間接税の比率が、自然増収が出てまいりますと、大体六五対三五くらいになるだろうと思います。それから、この状態でインフレが進んでいって、名目所得がふえてまいりますと、来年末か再来年あたりになると、事実上七〇対三〇近くの比率になる。しかも、所得税の中で源泉所得税が五〇%をこす、こういう形になるわけであります。あるいは納税人員その他、私が申すまでもないことであります。こういうことをずっとながめてみますと、何とか抜本的に税改正というものをはかっていかないと、いまもサラリーマン同盟だとかなんとかかんとか、いろいろできております。私たちは、必ずしもこれが正しいものとは思っておりません。八百長みたいなものがいろいろあるようですね、率直にいって。自民党の方々がサラリーマン連盟をつくりましたが、ここでもう少し所得減税をおやりになればよいのに、国会では審議しないで、そういうところに出て八百長をやっておるのはけしからぬ話だと私は思っておる。しかし、ここは立ち会い演説会ではありませんから、あまり自民党の悪口を言いませんが、選挙演説のときには大いにやってる。まあそれはそれといたしまして、そういうことで不平不満が出てきている一つの証拠だと思いますね。だから、こういうものを見てまいりますと、さらにこの傾向は強くなるだろう。 で、あとでお尋ねをいたしますが、これと裏はらをなすのですけれども、ではどういうところに税源を求めていくかという問題にもなってまいりますが、しかし、何といっても直接税の比重がこんなに重くなり、そしてその中でも源泉所得税が非常に重くなる。高校を出てすぐの人間でも大体二万円ぐらいでしょうから、事実上もうすぐに全部税金がかかる。こういう形では、私は税金に対する大きな社会問題というものが発生してくるだろうと思うのですね。これをどこでなにするかというと、やはりここの大蔵委員会における税の問題を通じて論議する、あるいは皆さん方が一方で税調で御審議いただくという以外に、具体的に本問題を処理するところがない。しかも、さっきから言うように、原案は皆さん方がおつくりになるということで非常に力が大きいわけです。こういうものをずっとながめて、ことしにしろ、来年にしろということを私はすぐ言うわけではありませんが、長期税制答申を含めて、ここまで直接税なり源泉所得税が大きく伸びるであろうということは――多少長期税制答申では述べられておりますが、しかし、これまで大きくなるとは、その当時思っておられなかったのだろうと思います。七対三とは言いませんが、二、三年内にこれをこすという状況下において、どうやったらいいだろうか。時間がありませんから要点をお答えいただきたい。
○東畑参考人 直接税、間接税のいまのお話及び見通し、私は完全におっしゃるとおりだと思っております。直接税、間接税の割合を、どういうふうにするのが一番いいのかはともかくといたしまして、絶対的にはそういうことはわからぬことだと思いますが、直接税でも、特に所得税、いまおっしゃいました給与所得税になると思いますが、これは非常な勢いで伸びつつあるので、できる限りその負担を減じていこうということで、大体税制調査会といたしましては、過去の三年間は連続してほぼ十万円ぐらいの課税最低限の引き上げということをずっとやってまいりました。ことしもそのお願いをいたしまして、たしか夫婦子供三人で平年度九十三万円でありましたか、そういうふうに出しておるのであります。これは政府も採択をいたしまして、国会でも認めていただいたと聞いておりますが、もちろん来年はそれを延長いたしまして、もう十万円ほど最低限を上げてほしいということと、それから三十二年でストップいたしておりました累進税の税率の刻みであります。これもひとつ下げる。それで、昨年の長期税制案としましては、二年間に最低限を百万円とし、それから税率の五%刻みを初めのほうは二%、それから三%、四%という小さい刻みにいたしまして、ちょっと私数字に弱いのですが、いわゆる中堅層というものの減税に充てたい、こういう気持ちでおります。ただ、昭和三十二年のあの税率の刻みができましたときには、百万円以上の給与所得者というものはほとんどパーセントにならぬくらい少数でございましたが、このごろは三〇%ぐらいになってまいりました。そういう意味で、どうしてもこの点もやらなければならぬ、こう思っております。そうなれば多少は、おっしゃいました直接税に重くかかってくるのが減るのではないか、こう思っております。
○只松委員 まあそういうことをおやりになっても、私が言うように七対三になるというのですよ。その程度のことは私たちも存じておるわけでありますが、それをおやりになっても、なおかつ七対三、あるいはそれをこしていく。極端にいえば、いまのままいけば八対二ぐらいになってしまう。これではいよいよいまの給与所得者は、直接税ですから重い負担感を持ってくる。時間があればあとで触れたいと思いますが、さっき田中君も触れられたように、一方では特別措置その他いろいろなものがある、こういう不公平になればたいへんなことになりますよ、こういうことを言っておる。 したがって、私たちは私たちなりにやるけれども、きょうは税調の代表者であるあなたに御意見を伺っているのですから、税調のほうでも、抜本的なことをお考えになる必要があるのじゃないか。これは私が御意見を申し上げるより、あなたの御意見を聞いたほうがいいと思って、私の意見は差し控えながらあなたの御意見を聞いておるわけでありまして、私のほうで若干意見をつけ加えれば、抜本的な改正を――あと何年間かを見通した場合に、長期答申のときよりももっと変わってきた姿が出てきておるから、税調みずから、また長期答申にもあらためて触れてお考えになるべきではないか、こういうことです。
○東畑参考人 よくわかりました。
○只松委員 ひとつ、おわかりになっていただければ、ぜひそういうふうに考えていただきたいと思います。 さらに、その内容について一つだけ触れておきますが、この委員会で論議したのを見ていただけばわかると思いますが、福田大蔵大臣や政府当局は、一応百万円までの課税最低限の目的が達成されると、あとは中堅所得者の税率の緩和にウエートを置いてやったほうがいい、こういうお話があるわけでございますが、もちろん中堅層が全体として所得税が重いということは私たちも否定はいたしませんが、しかし、先ほどもちょっと触れられましたように、名目的に各種控除が一万や二万引き上げられましても、その間に名目賃金が上昇いたしておりますので、高校を出てすぐの人にも全部税金がかかってくる、大学出にはもう一〇〇%税金がかかってくる、こういう状態では、これは学生運動とは別でございますけれども、未来を考える青年諸君にとって、学校を出たらすぐ税金がかかってきたというのでは、自分で新しく洋服を買う金もなければ、会社に入って勉強する本代もない、こういうことは、私はたいへんなことだと思うのですね。社会問題として考えても、こういう問題はやはり考えなければならないわけです。したがって、言うなれば課税最低限の、独身者を含めて、あるいは百万円というものを見た場合に、これでストップするというのではなくて、いろんな生計費調査等を見ましても、私たちは四人家族百万円と言っているわけですが、四人家族で百万円をこしておるわけですね。五人家族の場合は百十万以上になっているわけです。そういうところを見た場合に、生計費に課税しないという原則に立ち返った場合に、やはりこれも引き続き引き上げていく必要があるんじゃないか。その点についてどうなんですか。
○東畑参考人 百万円でストップするといいましても、これはことしとか来年とかという意味のストップという問題でありまして、その先同じような情勢があるとすれば、これに応じてまたものは考えなければならぬ、こう思っております。
○只松委員 ひとつぜひ――きょうは短い時間でございますから、それでは幾らにいたしますかという論議にまで発展させることができないのが残念でございますけれども、委員会でいろいろ私たちも論議をいたしておりますので、あとで大蔵省が参考資料等を出しますから、お取り上げいただきたいと思います。 しかし、そういうふうに直接税の税率を引き下げて、あるいは勤労所得税の課税最低限を引き上げたり、あるいは税率を引き下げたり、あるいは独身者の税金を下げ最低限を引き上げていく、こういうことをいたしますと、それにかわる財源というものをどこかに求めなければならぬ、こういうことになると思います。税調のほうでは、そういうものについて、何か研究なり、勉強なり、何らかの構想をお持ちでございますか。
○東畑参考人 もちろん減税をいたしますときは、それに対する財源とでも申しますか、それはもちろん考えております。一番大きな財源は、いわゆる自然増収でございます。これも一つの点だと思います。それから特別措置、こういうものの改正とか、場合によってはまた増税する。増税によって減税するといいますか、そういう三点がある。そのバランスをどう考えるかという問題も財政的には必要なことだと思いますが、私どもしょっちゅう三つを頭に入れて減税を論ずるといいますか、考える、こういう心がまえでおります。
○只松委員 そういう中で、順を追ってお聞きしますが、一つは新税の創設、たとえば売り上げ税というようなものを研究されたり、構想されておりますかどうですか。
○東畑参考人 売り上げ税の問題は、多少取り上げて議論をしておるという段階でございます。まだ根本的に、徹底的にやっているという段階には至っておりません。
○只松委員 それから新税という面からは、そのほかに私たちが言っておるのは、アメリカ等でもやっております株式譲渡益に対する課税、それから広告費課税の問題、こういうものが幾つかあるわけでございますが、そういうもの等についても御研究になっておりますか、どうですか。
○東畑参考人 気づいております。
○只松委員 詰めの質問にはなりませんからあれですが、ただばく然と、といいますか、学習程度ですか、それとも多少は日程にのぼらせるような形で、そういうものを御研究になっておられますか。
○東畑参考人 株式譲渡税の問題は、法人税の問題のときに、昨年度はほとんどやりませんでしたが、一昨年度あたりはずいぶん議論をいたしております。残念ながら結論を得ておりません。 それから広告税でございますが、これは取り上げて日程にのぼせたというところまではいっておりません。ただ、広告税をやるというので、反対意見はずいぶん私は陳情を受けております。
○只松委員 それから、いままでの税を洗いかえる、あるいは強化するというような意味で、ことし一つ出てまいりました交際費課税の強化、あるいはこれは理由はそう詳しく言いませんが、大法人税の引き上げ、それとうらはらをなす租税特別措置法の洗いがえ、一種の強化等。あるいは土地の税制につきましても、ことしある程度前進をいたしましたけれども、売買譲渡だけではなくて、これも詳しく申し上げる時間がありませんからお読みいただければあれですが、二十年ごとの更改の権利金、あるいは二十年ごとではなくて、家を新築する、あるいは増築する、そういうときに判こ代として全部地主さんが取る、こういう権利金の類似のものというのは、私の推計によっては東京都内においてだけでも三千億から五千億ぐらい取り方によっては取れる。事実、これは豊島税務署や中野の税務署等をごらんになればおわかりになると思いますけれども、相当のものが摘発されつつあります。これはいままで台帳もほとんど、ろくにないわけですね。これがちゃんとした台帳をつくってやれば、少なくとも三、四年間に何百億という新たな財源にこれはなると思うのです。これはお調べになればわかります。これは強化でも何でもなくて、現行税制の中で、税務行政を少しまともに民主的にやれば取れるという一例なんです。こういういろいろなものがあります。 私がこれを言ったのは、去年の酒、たばこの値上げのときに、そういうことを、無理しなくても、現在の税法の中でも多少まじめにやればこういうものがあるではないか、こういうことの類例として研究してきたわけです。当時は、ある意味で一笑に付されましたけれども、現実には相当の成果をあげつつあります。しかし、これはまだきわめて初歩的な段階というか、必ずしも十分ではない。それは税務行政における費用その他が、財源その他の関係もありまして十分ではないということもあるので、その点はあとでしますけれども、医師の問題等もそういうことになろうかと思います。こういう現行税法の中で、あるいは税法を若干整備するということだけでも、相当の財源が出てくる、税源が出てくる、確保される。そういう見通しになれば、現行のワク内で何とかしていこうとする大蔵の事務当局も、もっと大幅に所得税を減税して直接税のそういう面のウエートを、源泉所得のウエートを下げていくことができる。そういう努力なくしては、どんなことを言ってもやはり給与所得者の源泉所得税が一方的にふえるだろうと思うのです。そのことをなくしていくためには、サラリーマン減税をするためには、まだ幾つかあるのですが、私がいま言いましたようなことをもっと努力する。したがって、税調は税法だけでなくて、これも午前中から論議していたんですが、政令や省令、あるいは徴税の面までも多少勧告あってしかるべきだろう。いま私が幾つか申し述べました現行税法における強化法をもお考えになって、具体的にお答えをいただきたい。
○東畑参考人 いまのお話は、おっしゃいましたように、税務行政の問題に非常に関連することが多いと思っております。私どもとしては、直接税務行政のことまではタッチすることが少ないのであります。が、かりに税制として考えるときは、税務行政が遂行しやすいような税制にしてしまう、あるいは脱税がしにくいような税制をつくっていく、こういうことにはうんと努力しなければならないかと思っております。
○只松委員 具体的に、どうですか。交際費課税をもっと強化する、土地課税を強化する、租税特別措置をもっと洗いかえる、こういうことを、単に行政だけじゃなくて、財産の問題ですから、ほかの刑法やなんかのような、いわば抽象的な――抽象的といっても、これも人間の考えたものではあるわけですが、こういう問題と違いまして、ほかの法律と違って、執行面までも相当配慮したものでないと、同じ法律をつくっても税法の場合は十分なものでない、そういう意味で私は二、三例をあげてこういうことを言っているわけです。具体的にいま申しましたようなことに関して、今後調査会でもっと突っ込んだ論議をし、研究してやってみる、こういうお考えがありますか、どうですか。
○東畑参考人 交際費につきましては十分調査してもらっておりまして、それについて論議を重ねております。だから、ことしは特別措置をもっと強化するという形で、あれは唯一な特別措置でありますから、よけい取るというほうの特別措置でありますから、それも強化するという形になっております。 それから、土地税制につきましては、実はわれわれの新しくなる前の税制調査会でも土地部会というものを設けまして、これは実に論議に論議を重ねたのであります。結局税をもって土地政策をやるということはとても完ぺきにはできない。もっと土地政策そのものを具体化してもらわなければ、税にすべてたよられては、とても税としてはできるものではない、こういう結論になっております。それで、ほぼそのときのわれわれの答申案が、ただいまたしか国会へ土地税法として出ておるかと聞いております。それが私ども昨年二十数回やりました論議で得た唯一の結論であります。しかし、まだそれで捨てるということでは決してございません。
○只松委員 あまり詰めた議論もどうかと思いますが、次に、そういう租税特別措置の中で、一昨年になりますか、米の予約減税、これは一応ことしはやっと整理がされました。社会保険医療関係のやつは勧告がなされましたけれども、これは進んでおらないわけでございます。しかし、きのうの日経にありますように、私たちはまだ現物を見ておりませんけれども、こうやって新聞に出ておるわけですから相当調査されたのだと思いますが、国税当局が調査をいたしておりますね。これによりますと、医者内部の、いわゆるはやっている医者、はやらない医者、あるいは個人医師、病院、大病院と、いろいろ問題はあるようですね。あるけれども、まとめて言えば、やはり一般の勤労サラリーマンから見るならば、ここにこまかくいろいろパーセントが出ておりますように、大きな差があることが明らかになってきております。こういう問題につきましてはどういうふうにお考えでございますか、税の公平という面から。
○東畑参考人 社会保障の診療費の特別措置の問題であります。これはずっと以前から検討を要するという答申案を出しておったのでありますが、具体的に取り上げられることがありませんで、前回の答申案ではもっときついことばでもって、これの検討をひとつ要求する、こういうことを税調として出しておる次第であります。いろいろ論拠はありましょうが、一つは、法定の経費率とでもいいますか、こういう経費を法定でしているというのはたしかこの場合だけじゃないかと思っております。実態がはたしてどうなのかというので、これはもう国税庁としては当然いろいろ調査していると思いますが、私も新聞で初めて拝見しただけで、その原本はどの程度のものか存じませんけれども、私は実は別に医者のことをやっておりまして、そこからの感からいきますと、なかなか当たっておるわいという感じでございます。
○只松委員 実は医療審議会のほうの会長も先生おやりになっているようでございますから、ほんとうは時間があれば、医療費、薬価等の体系の問題で、そちらにも造詣がお深いことだと思いますので、お聞きすれば明らかになると思いますが、それまでの時間がありませんから、ずばり言って、このことを、日経に報じておるとおりであるとするならば、この実態が明らかになったということならば、明年度税調はどういう態度をおとりになりますか、あるいはお考えになりますか。
○東畑参考人 もちろん特別措置というものは廃止するといいますか、そういうことにならざるを得ないかと思います。つまり、税の問題でいろいろ聞きますのは、税が重いという問題もずいぶんあります。これも事実でありますけれども、場合によりましては、それよりもはるかに強いことは、いろんな税の間の不公平、こういうことだものでありますから、そういう観点からもこれを見なければならぬかと思っております。前回の答申案よりもっときついことばで、もしそういうことが事実ならばやらざるを得ないのではないかと、こう思っております。
○只松委員 時間が大体参りましたので、最後に、学校法人あるいは宗教法人、こういういわゆる営利法人でないものの課税問題というのが一つのウイークポイントとしてある。そういうものの一つとして、日大の問題等、ああいう問題がたくさん出てきておるのですね。こういうものも、これはもちろん利益を目的としたものではありませんけれども、あれだけマンモス化したものの財源ということになってまいりますと、これは税金で問題にするというのじゃちょっと方向が違うかと思いますけれども、会計監査とか、こういう形になるかもしれないが、私たちは前から公認会計士をこういうところにもう少し使ったらどうか、こういうことを言っておるわけでございます。そういうものを含んで――あるいは宗教法人でも、昔は宗教というものは別に金が伴わないで、精神的な面の救済ということが主であったのですね。いまはそうではなくて、ばく大な財源を持ったり、膨大な設備を行なっておる。宗教というものを始めるときは、みんないかなる宗教も、とにかく物質的なものを求めないのだ、こういうことで出発するわけですが、必ずそれは伽藍仏教に閉じこもってしまう、こういうことですね。そしてそこで自分の権益を守り出す。これは日本の既成宗教でも、あるいは神社その他でもみんなそういうことで、おさい銭目当てにやっておる。私はこれは、歴史はすべて同じ道をたどっておると思います。しかし、いまの宗教団体は、その中で膨大な資金を持って、また学校等をどんどんつくったり何かしている。 極端な話をこの前ここでもしたのですが、私たちが選挙必勝の神、選挙必勝教というものをつくって、政治資金で金を集めればいろんなことを言われますが、この人を、この政党を絶対勝たせるのだ、こういう形で、それは選挙を勝たせることがその人の信念ですから、そういう人たちが集まって金を集めて選挙をやる。こういうことになっても、これは政治資金規正法では――いま規制する、しないということが問題になっていますが、宗教としてやれば、これは課税対象にも、いかなる届け出対象にもならないわけなんですね、いまの宗教法人法を適用すれば。東畑必勝の神ということで東畑さんを何かかつぎ出すということであれば、政治資金でやればこれは届け出なければなりませんけれども、神さまですから、何しろ東畑さんを勝たせたい、これがわれわれの念願なんだ、こういうことになればひっかからない。そういうような団体なきにしもあらず。こういうことを含んで学校法人、宗教法人その他の経理のあり方、そういう問題について御所見がありましたら、ひとつお聞かせいただきたい。
○東畑参考人 実は税の話を聞かれるかと思っておったのですが、どうもちょっとそういう……。
○只松委員 関連なきにしもあらずなんですよ。ぼくはそこまで突っ込みませんが……。
○東畑参考人 経理ですね。何か会計士、そういうものでも置いて、びしびしやる以外には道はないんじゃないですか。おそらくどこでもやっていると思いますがね。
○只松委員 やってないです。それは監査の対象にならないのです。
○東畑参考人 外ではなくて自分でやっておられると思いますが、どうも私、どういうふうにやったらいいか、ちょっとよくわかりませんですが……。
○只松委員 あなたに一般論を聞いてもなんですから、直接お答えが――宗教法人はいかなることをやっても課税対象になりませんが、ずばり言うならば、私たちもそうやってよろしゅうございますか。私たちと言ってはおかしいが、そうやってそういうふうに金を集めていいですか、こういうことです。
○東畑参考人 経済行為というか、企業行為というか、収益行為といいますか、そういうことがあれば、それは当然、宗教法人であろうと学校であろうと課税の対象になるのではないかと思っております。実は私自身が学校法人を経営いたしておりまして、そこで書物を出して少しもうかると、税を払っておりますから、これは別に学校法人だから免れておるということではないと思います。そういうのは当然のことだと思います。
○只松委員 いま学校教育あるいは宗教関係、そういうもので膨大な金が動いておりますね。そういうものが全然監査の対象にも課税の対象にも何にもならない。だから私は、極端な一つの選挙必勝の神というのを出したわけですけれども、こういう形ですれば、政治資金規正法にもひっかからないし、やっている人もなきにしもあらずということを聞いたのですが、これはしようと思えばできないことはない。これも私は一つの税理論を裏返したといいますか、皮肉ったような形でお尋ねしたのです。そういう点も含んでいろいろお考えをいただきたいということなんです。きょうはそれ以上申しません。 東畑さんはそんなことをおっしゃらないと思いますが、佐藤総理が二、三日前の本会議で、配当の分離課税の問題のときに、わが党の代表に、あれは法人税で一ぺん税金を払った残りを払っているんだから課税する必要はない、こういう理論をおっしゃった。しかし、そういう理論をいろいろ演繹したり適用するならば、私はこの前も福田さんに言ったのですが、いま夫婦共かせぎが非常に多くなりました。初めはアパートや団地に入っている。しかし、それにも飽いて、家の一軒もほしい、金も、おやじさんが五十万、奥さんが百万たまった、じゃ土地を買おう、家を建てよう。その場合に名義は、なかなか分割したり、台所は奥さんだ、応接間はおやじだというところまではいきませんから、そこまでの知恵を持っている人はありませんから、おやじさんならおやじさんの名義にいたしまして建てます。そうすると、すぐ、どこからきたと、贈与税がかかってくる。これは大体九・六・四とか十・五・三といわれるような厳密な課税の対象になって、生活を切り詰めて貯金をする。その課税対象になった金の貯金でも、今度は名義を変えるときには贈与税というものがかかってくるのですね。法人税の場合はいろいろ経費や何かたくさん引かれて、それほど厳密な課税ではない。きょうは法人税の論議をする時間はありませんけれども、所得税はもう厳密に課税されておりながら、その残りを、火をともすような形で貯金したものでも、税金というものがかかってくる。そういうことを考えれば、これは配当所得に税金がかかるのは当然です。所得の発生するところ常に税金あり。東畑さんですから総理みたいなそのときに都合のいいようなお考えはお持ちにならないと思いますけれども、ぜひひとつそういうものすべてを含んで、国民の前に法の公平、税金の公平ということを――特にいまのようにサラリーマンの給与所得に対する税金が重くなってくるということになりますと、なおさら国民の不平不満というものがつのってまいります。税調の皆さんの責任は非常に重い。税調をたびたびお呼び出しをしておいでいただくこともなかなか困難です。東畑さんもお忙しいからだですから、そう年じゅう来ていただくわけにまいりませんけれども、ぜひひとつ、きょう私が述べましたこと、あるいは私たちが委員会においていろいろ述べておることもたまにはお読みをいただきまして、税の公平な、民主的、近代的な税制ができるように要望いたしまして、時間がありませんから、私の質問を終わりたいと思います。
○東畑参考人 いろいろ御注文、御注意ありがとうございました。
○田中委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 三十分ほど東畑会長にお尋ねいたします。 第一点は、土地税制の問題であります。四十四年度の税制改正に関する答申、その答申を受けまして、いま私たちが所得税法並びに租税特別措置法の論議をいたしておる最中であります。あとでまた租税特別措置法については、私は当局、政府側に対しまして質疑をいたしていくわけでございますが、この答申をされましたその立場において会長にお尋ねをいたしてみたいと思っている点が一つだけございます。それは土地政策というものと税制との相関関係という問題であります。 先ほど会長自身も、土地税制には限界がある、だから土地政策というものが先行しない限りこの問題は解決しないのだという説明をされました。私もそういうように考えます。ところが、今日土地というものが、政策を立てるにしても、あるいは税制をつくるにしましても、財産の隠れみのに利用されておるきらいがある。その値上がり益というもの、これを一つの資産として、抵当物件として、それからまた企業が金を金融機関から借り入れることもできる、こういうようなメリットがありますから、土地というものを、これを投機の対象として大いに活用をしていこうという気風が、産業界の中にもあるいは国民の中にも満ちあふれている。その証拠が、具体的にいままで金融機関も別会社みたいなものをつくってやっておりますが、魚の会社も法人関係まで不動産会社の別会社をつくったり、不動産部を設定したり、日本の国じゅう、法人関係は土地部門を持たない法人というのは少なくなるのではないかとさえ見られるような、まさに土地のブームが法人企業関係にあらわれておる。こういうふうなのを私たちは見せつけられるわけですね。 そういう中で今度の税制を見てみますと、確かに土地を持っている個人は特別の措置がしてございますから、土地を吐き出しやすくしてございます。吐き出した土地が今度はどこに帰属をしていくかということになると、これが会社、法人関係に帰属していく、こういうような形になって、それがまた今度は値上がり益の対象物件として売買をされるということが将来予想される。私は、そういうようなのをたどりながら最近の農地の異常な値上がり、もう先買いをしているんゃなじいかと思われるような異常な値上がりが続いているのであります。日本国じゅう都市化現象が生まれていく中において、その影響がいなかのほうにずっとしみ通っていくというような状態が生まれてきたときには、一体これをどういうふうにとらえていくべきであるのか。やはり税制と政策と両方でこれらの問題については考えなければならないと思うのでありますが、土地税制のあり方、土地政策のあり方は、税調という立場の中から問題をとらえて、いまの四十四年度の税制改正に関する答申のものはとりあえずの措置であって、これからこの土地問題に取り組まなければならない立場が税調にもあるのじゃなかろうか。また、われわれ国会のほうでも、もちろんそれ以上に大きな任務が課せられていると思うのでありますが、そういうような立場から、この土地政策、土地税制に対する今後の先生の考え方というものを明らかにしていただきたい。これが一つです。
○東畑参考人 土地といいましても、おもに住宅地、工場地及びその予定地になるようなところでありますが、これの値上がり問題というのが、村山さんのおっしゃったいわゆる土地問題の根本だと思っております。これは実に最近、ほとんど七、八年のことだと思っております。急激な値上がりで、いろいろなものがもう全部それによって振り回されておるという状態です。どうしてこれに対処するかということは、正直に申しまして、最も私ども頭が痛い問題であります。 ちょっと余談になりますけれども、農業基本法というものを三十六年の国会でありましたか、決定していただいたのですが、その基本法の準備に基本問題調査会というのがございまして、一年間論議をずっと重ねたわけでありますが、そのときに恥ずかしい話なんでありますが、実は土地の値上がりという問題についてはほとんど議論をしなかった。地価の上昇という問題が出てまいりましたので、私は試みに、私、実は会長をいたしておりましたものでありますから、古い速記録を全部読んだのであります。ほとんど地価という問題には触れておりません。しかも、あとになってきまして、単に住宅地問題ばかりでなく、農村の構造改善その他につきましても、地価の値上がりということが非常な妨げになっている、こういうことを知りまして、実は私は自信をなくしました。その後、農業問題というものはずいぶん長い間私は一切口に出さなかったのです。おれはもう資格がない、ということであります。 今度は税調の問題になってきますと、やはり地価問題というこのでかい問題にぶつかりました。これこそほんとうに、直接担任されておった十人ばかりの委員、委員長の稲葉さん及び大蔵省はもちろんでありますが、非常に頭を、悩んで悩んでおるのでありますが、やはり大きな線からいえば、つまり供給をふやし――需要というのはほんとうの真の需要ならいいんですけれども、買いだめ式の需要というものが実は地価を高くしておる。いま法人のいろいろな土地会社のことをお話しになりましたけれども、全部が全部とは言えまんせけれども、ひとつ財産をふやすとか、値上がりによって経理をよくしようというような意味での中間需要とでも申しますか、これがずいぶん地価の値上がりということをやっているのではないかということもあります。この中間需要の幅をきかすということをなるべく押えたい、こういう心がまえでおりまして、昨年の暮れに答申いたしました中にも、買いかえ制度についての従来の法律を改正することなんかやっておるのです。 そういうわけでありますけれども、これはいま村山さんおっしゃったように、単に税制調査会の問題ではなしに、やはり全体の経済政策の中で扱っていただく問題ではないかと思っておりますので、私どもその大きな考えに即しながら一歩一歩、少なくとも一歩でも前に進みたい。この地価を引き下げるということはむずかしいかもしれませんけれども、上がる勢いだけでも税のほうで多少でも押えることができたならば、こういう考えであります。
○村山(喜)委員 この問題は、あとでまた政府当局のほうとは論議をしたいと思いますが、土地というものにはやはり限りがございますから、いまみたいにこれが投機の対象として、しかも財産の有効な活用の方法として利用される。サラリーマンまで、あそこは道路が走るそうだ、あそこを買っておけばもうかるぞというようなかっこうで投資をする。それが当たったら確実にこれはもうかるという仕組みになっている。そういうようなふうにして、土地は限りがあるが金は幾らでもあるのですから、そこに需要と供給のアンバラが生まれて土地の値段は上がりほうだい。十三年問に十倍に上がっておるわけです。そういうような上に農業が成り立たなくなる。今度はおそらく企業も、土地代を含む資本費の構成比率が大きくなって、そういうような上に生産工場ができて品物ができるのですから、コストの上に影響を及ぼさないということはあり得ないわけです。そのような上から競争力を失っていくということも考えなくちゃいかぬ。税調では長期税制の中で、あるいは土地政策をめぐる税制の中でいろいろ研究をしていただいております。もっと私たち国会のほうでもいろいろ考えて手を打たなければなりませんが、税調としてもまだこの前残された課題等もございますし、保留されているものがございますから、ひとつ今後さらに検討を進めていただきたいと要望申し上げておきます。 それから次の問題は、今度給与所得については、八十三万三千円の標準世帯の最低課税限度額が九十三万五千円に、十万円程度引き上げられました。ところが一方、利子配当所得の課税限度額といいますか、それのみの所得のある人で標準世帯の場合には二百三十六万円の限度額が、今度幾らになったのだろうというので試算をさしてみますと二百八十二万七千二百円、これは四十六万円ぽんと上がった。勤労所得のほうはやっとこさ十万円ようやくのことで上げてきた。ところが、片一方のほうはぽんと四十六万も上がってそれで税金を納めなくてもいいという、こういうような問題をまざまざと国民の前に見せつけられますと、国民はこの問題についてなぜ税調はもっと断固たる答申をしてくれないのだろうか。税調の長期答申のあれを見てみますと、基本的には廃止する方向で対処すべきであると考えるが、しかしながら、多面的な性格を備えた問題であるので、法人税制の改変との関係等もあるので対処すべきだというようなことで答申はされておるんだけれども、基本と現実との間には相当な距離がある。この問題について、もういまのままでは放置できない客観的な情勢というものが国民の中に出てきておると私は思うのです。というのは、最近のサラリーマン・ユニオンではございませんが、勤労者階層が増大をしていくのにつれて税の不公平というものに対する目の向け方はさらにきびしくなってきた。そういうような立場から見ていくならば、やはり今後この問題についてはもっと、その基本的には云々というようなとらえ方でなしに、すっきりした線をもう少し前進をさしていただかなきゃならない段階が来たと思うのでございますが、それに対する考え方を説明をいただきたいと思います。
○東畑参考人 この配当所得の特別措置という問題は、いまお話しのように二百八十何万円ですか、標準家族で無税になっている。これが給与所得の場合は少なくとも三十万円から三十五万円くらいは払わなければならぬ。非常に不公平でなはいかというお話なんであります。まさにそのとおりなんであります。税の不公平の問題のこれは最もいい例にあげられているのが普通なんです。これは、いま多少おっしゃいましたように、現在の法人税の構成というか、法人が先に払っているんだから、先払いしているんだからというあの例の観念の問題であるものですから、どうしても法人税を改正しなければ、これを一刀両断のもとにはなかなか解決できないんじゃないか。 それに関連いたしまして、税制調査会も、私がなりましてから六年間、今日で七年目でございますが、法人税はもう実に論議をし論議をしているんですが、あんまりみんなが断固としているものだから意見が一致しないのです。それで今日に至っておりますが、まあ一つの突破口というものがあり得るのではないか。それはどういう点であるかと申しますと、いまの税制、まあシャウプ税制のもとにおきましては、八幡製鉄も法人であるし、町における八百屋さんがやっている法人も同じ法人となっております。それを同一に取り扱っておるというところに、いろいろ問題が複雑になるのでありますから、これは私の全く私見でございますが、法人というものを二大範疇に分かつと申しますか、一つは、株を公開しておるとかなんとかということになると思いますが、そういう法人と、個人企業のただ名目を変えたというだけの法人とは区別して、その税制というものを新しく立てるのが、新しい一つの突破口になるのではないか。そうなってまいりますと、いわゆる擬制説というやつですが、そうではなくて、法人はもう株主の代表だなんて、大きな会社の場合に株主もオーケーしませんし、大体経営者もオーケーしないと思うのです。そういうのが独立の一つの――これはもう、それに対する課税がつまりいわゆる大法人といいますか、株を公開している法人に対する課税だと思います。そうなってまいりますと、株式配当というものの性質がうんと変わってまいります。まあ普通の所得と類似の所得ということになってくるのではないかと思います。そういうことも一つ考えられております。 私自身も、実はこんな個人的なことを申し上げて恐縮なんでありますが、税調、いままで六年やっておりまして、法人税の話に飽いたんです、同じような話ばかりなんですから。ただ、だんだん皆さん議論はじょうずになられましたけれどもね。それで、どうしても自分が残っておる間に、法人税という問題に対して何かの改正というものを加えたい、それがある意味で楽しみというと悪いのですが、それでやっておるような次第であります。大いに努力したいと思います。
○村山(喜)委員 ガルブレースの新しい産業国家論さえも出てくるような時代ですから。とにかく八幡製鉄と町の八百屋が同じような法人だという形の中で取り扱いをすること自体おかしいという先生のお説、全くもっともだと思うんです。そういうような意味で、法人税制の問題については、せいぜいメスを加えていただいて、そうして実態に合うように、そしてほんとうにみんなが常識的に見てなるほどそうだというふうに受け取れるような形で税制というものはあるべきだと私は考える。そういう立場でさらに御努力をお願いをしておきたいと思います。 最後に、キャピタルゲインの課税の問題でありますが、私のところにある知り合いがやってまいりまして、いま市場に上場されている株じゃない店頭株といいますか、それを二部に上場をするというような場合に、そこには証券会社が中に入りまして、そして株を持っている人のなにを販売をする。幹事として受け合いをして、そして販売をするというような仕組みがとられておる。そのときにかりに、あなたのところの業績は非常にいいから、ひとつこれを五十円株を百円ぐらいで販売できるようにしましょうというようなことで話をして、そして実際の取引価格がそれの三倍ぐらいで市場に放出をされる。そういうような場合には、株がそれだけで、五十円のものが三百円で販売をされた場合には、そこには証券会社の収益というものと同時に、その株を持っている人が、それだけ株価が上昇をすることによって利益が出てくるわけであります。それからそれと同時に、そういうようなものを持ち込んでいく周旋人みたいのがおりまして、それが利益――マージンといいますか、ポケットマージンが出てくるという仕組みがとられているようであります。それが一つの商慣習といいますか、一つの慣行としてそういうようなのが行なわれている。いずれもこれは、それだけの利益をおさめたからといって課税対象になるわけじゃございません。それによって上場されて、それだけの値がつけられて売られている。そうすると、いままで五十円株として取引をされなかったものが、今度はそういうような株価で取引をされますから、その人は非常にばく大な所得を得る。同時に、証券会社の幹事会社の場合もものすごい利益をおさめる。そういうようなことで相当な実例等もございます。しかも今度はまた、それが全部放出をするわけじゃございませんから、一定の持ち株分だけを上場すればよろしいわけですから、残ったものもまたそれだけの価値が出ておるわけでございますから、その場合にたいへんな利益が出ます。これは課税の対象にならないようにいま税法の上においてはなっておる。 こういうようなものは、私はやはり、譲渡されたときだけを課税の対象にするんではなしに、その値上がり分によって確かに――どういうふうにして押えたらいいのか、その辺はなかなかむずかしいという技術上の問題はあるとしても、そのような値上がり益に対する課税が放置されていることに問題があるのではないかと思うのでございますが、そのようなキャピタルゲインの課税の問題について、もっと税調としても取り上げていくという考え方はお持ちでないのか、説明をお願いしたいと思います。
○東畑参考人 その問題は相当、いまの法人税に関連いたしまして、いままでディスカスしたことがあります。いまのお話のことは初めて聞く話でございますが、いかにそれを把握するかという問題と非常にからんでまいりまして、――大体悪いやつはたくさんおるのですからね。それがこそこそやるのを把握するということはなかなかむずかしい。実際の税務行政としてむずかしいのではないかと思うのです。ただ、商売としてやっているというのですか、いまちょっと数字を確かめたのでありますが、年に、二十万株、五十回以上やっておる、そういう場合は課税の対象になっている。ただ、株によるキャピタルゲインはまだ課税の対象にはなっておりません。これはやらにゃいかぬという主張がずいぶんございまして、法人税問題に関連してたびたび議論しておりまして、おそらく今度新しく法人税を議する場合には当然出てくる問題ではないかと思っております。
○村山(喜)委員 いま税法で、一回が二十万ですか、それから五十回ですか、そういうような制限規定はあります。ところが、それを確認して、おまえはいま四十九回とかなんとかいうことはだれも確認していないのですから、そこに抜け道がある。そういうのをやはりぴちっととらえていかないと、管理通貨制度の中で、値上がり益というのですか、そういうようなインフレ的な形の中で所得が自分のものとして帰属する人と、それと同時に、価値が失われていって財産価値が少なくなっていく人、いろいろ世の中に存在をするわけであります。だから、財産所得のほうがだんだん有利になって勤労所得者のほうが不利になる傾向がこのごろ、これも資産の移り変わりを見てまいりますと、相当強く出てきております。その上から、課税のあり方はどうすべきかという問題を考えてまいりますといまの税制では、これは公平な税制だととはいえない、こういうような感じを、私たちのみならず国民の大多数が抱いているのではないか、こう考えます。ですから、そのような意味から、正しい経済の社会発展の段階において、正常な形でそれが課税として捕捉をされ、そうして公正に処理がされませんと、この古いしきたりのままの課税のやり方ではうまくない、こういうような感じがいたします。 それで、せっかく会長に来ていただきましたので、これから社会保険診療報酬の問題等につきましても、具体的な中身の検討、期限をどうするかというような問題等も当然出て論議をされると思いますし、開業医あるいはその他の医療機関との関係において、あるいは都会地の場合と僻地、離島の場合、そういうような形態ごとの差も出てまいるでありましょうし、いろいろ中身について論議をされる段階があると思いますので、国民が、なるほど税調は公正な答申を出してくれた、こういうようなふうにみんなが受け取って、それが政府の政策の中で生きてくるようなふうに御注意をお願いしたい。 要望を申し上げて、終わります。
○東畑参考人 どうも御注意ありがとうございました。
○田中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 東畑先生には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。 御退席いただいてけっこうであります。 ―――――――――――――
○田中委員長 引き続き質疑を続行いたします。 広沢賢一君。
○広沢(賢)委員 建設省の方がまだですから、土地税制はあと回しにして、まず第一に、利子配当の優遇措置の問題についてお聞きします。 けさの新聞にも出ていますが、四十四年度の配当利子の課税の特別措置について、衆議院の大蔵委員会で、この委員会で、利子配当の優遇措置は来年期限切れである。――この特別措置は、さきの本会議で私が質問したときに総理大臣は、これは悪い面があるということを言われました。その後、各委員から追及されまして、大体大蔵省としてもやめる予定であるけれども、四月に開かれる税制調査会で廃止の方向も検討される見込みである。「しかし金融、証券業界の反対も根強く、審議はかなり紛糾することも考えられ、場合によっては、税率の手直しに落ち着く公算もある。」という記事が出ております。交際費についても、今度強化したといっても、わずかな強化であろうと思うのです。そこで、これがどういうふうになるか、もう少し立ち入って私のほうで聞きたいと思います。 まずお聞きしたいのは、利子配当の優遇措置の問題ですが、昭和三十九年十一月の税調答申で、利子の優遇措置は貯蓄奨励にほとんど役に立っていないという点が立証されていますが、主税局長、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、利子と申しますか、貯蓄額の増加の傾向と何が一番相関的な関係を持っているかという問題で、税制調査会でいろいろ検討いたしました際に、貯蓄の増加の係数というものは、おおむね個人の可処分所得の増加の趨勢と相関度が高いということを認めたわけであります。そういう意味から申せば、個人の可処分所得がふえればある程度必然的に貯蓄の増加があり得るのであって、したがって、租税の特別措置によって貯蓄がふえるということではないという判定を下したことがございます。ただ、これは同じ係数を使って、時点を非常にこまかく切ってやりますと、相関度というものはかなり変わってまいります。しかし、長期的に見ればそういうことではないだろうかというのが税制調査会の考え方でございます。
○広沢(賢)委員 そうすると、確認いたしておきます。ここに長期答申では貯蓄の増強に役立っていないという点があげられて、いま御答弁のとおりだと思うのです。そうしますと、利子の分離課税については、これは政策目的にほとんど合致していない、大体立証されるべき材料がないということは確認してよろしゅうございますね。
○吉國(二)政府委員 これはいろいろ人によっては別の見方があるかと思いますが、税調ではその見方をとっておるということは明らかでございます。金融機関等で同じ傾向を逆の使い方をしているものがございますけれども、長期的な見方として税調がいっておるのは、むしろいま御指摘のように、特別措置が貯蓄増強の主力になるということはあり得ないという考え方のようであります。
○広沢(賢)委員 税調には金融機関の代表も入っているのだし、それの正式の答申があって、三十九年からいままでこれが実現されなかった、この廃止が実現されなかったという理由は何ですか。
○吉國(二)政府委員 御承知のとおり、貯蓄者の心理といたしまして、全く租税特別措置があるないで変わりがないかどうかという点は、一つの問題があるかと思います。継続的に特別措置が講ぜられている場合に、それが貯蓄の誘因になりがたくなるという点はあるかと思いますけれども、従来あった特別措置が急激に廃止された場合には、それが貯蓄心理に相当の影響を及ぼすことは、これは通常考えられることでございます。そういう意味で昭和三十九年以降、御承知のように五%の源泉徴収税率を一〇%に引き上げ、さらに四十二年には一五%まで引き上げてまいりました。漸次その特別措置の効果というものを低めてまいっておるわけでございます。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 つまり税制調査会自身も、四十二年の答申におきましては、利子に対する特別措置、源泉分離課税方式が将来廃止の方向において検討すべきものではあるけれども、貯蓄に及ぼす影響等を勘案して、漸進的に対処すべきものであろうということで、とりあえず源泉徴収税率を引き上げるべきであるということを答申いたしまして、四十二年に一五%に上がったことも御承知だと思います。いわばその特別措置がそのまま継続している場合のインセンティブ、それが急激に廃止された場合のディスインセンティブ、これにはかなりの差があり得るという認識が税制調査会にあったものと私は了解しております。そういう意味では、いま一五%まできたということは、一つの廃止の方向に向かっておる道程という解釈も成り立つだろうと思います。
○広沢(賢)委員 廃止の方向に税率を高めるから向かっていると言うのですが、これは全然性質が違うと思うのですね、悪いということはわかっているのだから。そうするとあとは、ここにも「税率の手直しに落ち着く公算もある。」と書いてあるのですが、今度もまた税率の手直しでかんべんしてもらいたいというような状況になるおそれがあると思うのです、その点については全然質が違うのだから。法人税の性格の明確化に伴ってこれは全部やめるのだというのと、それから税率をちょっぴりかげんするのとは全然違うと思うのですが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 いま利子の特別措置は二つに分けて考える必要があると思います。一つは利子所得を総合しないという特別措置それから本来の源泉徴収税率よりも低い税率で課するという特別措置があります。 いま広沢先生の御指摘になったのは総合の問題であろうと思いますが、その新聞が書いております問題は源泉徴収税率の問題その意味では両者性質が違うことは明らかでございます。
○広沢(賢)委員 それで、とにかくこまかく一つずつ入っていきますが、まず少額貯蓄利子の非課税の問題ですが、これは四百三十億減収ですけれども、これは妻子が一人当たり四十万円、本人が百万円、妻子が四人だとすると、全部で合計して百万円に百六十万円の二百六十万円くらいまでは、少額貯蓄利子の非課税でも脱税に近いことが行なわれると思われますが、どうですか。
○吉國(二)政府委員 その貯蓄の源泉が主人のものが妻の名前で預けられたり、子供の名前で預けられたりしておれば、その部分はまず贈与税の対象になるということになりますから、その贈与税を納めずにやっておればこれは脱税ということになると思いますが、もしそれぞれの自分の金を預けておるということになれば、少額貯蓄は世帯別にはなっておりませんので、それ自体としては脱税というわけにはまいらないと思います。
○広沢(賢)委員 脱税でなかったら免税ですね。どっちでもいいのですが、とにかく二百六十万円まで税金がかからないというと、さも少額貯蓄利子は大衆減税になるということをいっておるけれども、百万円では非常に高きに失するのじゃないかという声もあるのですね。そういうようにこれも理屈が通らぬと思うのです。 その次に、利子所得の分離課税の税率の軽減ですが、これはもうこの間植村さんが言ったとおりで、もうくどくどは言いませんが、ほとんど弁解のしようがないということですね。先ほど言ったように、つまり存在理由がないというのは三十九年の答申に出ているのだから、これもやはりやめるべきだと思うのですが、四百七十億、どうでしょう。
○吉國(二)政府委員 先ほど申し上げましたように、まず源泉徴収税率自身も低くなっているという点を是正すべきであるということから、五%から一五%まで引き上げてまいったわけでございます。貯蓄全体の経済に及ぼす影響を配慮しつつ、合理化をはかるべきものと考えます。
○広沢(賢)委員 そうすると、悪いということはわかっているのですからね、税金の公平を害するということでわかっているのだから、税率の手直しに落ちつく公算もあるというだけでは、これは不十分だと思うのです。 その次に、たとえばこれのもう一つの側面としては架空預金、それから匿名預金、この前だいぶ堀委員が質問しましたけれども、これは六七%までがもぐりになる、この点についてはどうでしょう。そのあと改善に努力したことがあるのですか。
○吉國(二)政府委員 私の所管ではないのでございますけれども、架空預金については銀行局長の通達で、これを行なわないようにということでその励行をはかっているはずでございますが、無記名預金についてはいまだそういう措置はとっていないかと思うのでございます。
○広沢(賢)委員 税金に関係ないと言うけれども、これは銀行局長に対する問題で前に相当問題になりましたけれども、答弁が不十分だったと思うのです。前に国税庁長官の吉岡さんという人がいましたね。あの方が、これはとにかく脱税を保護するものだ、根源だということで銀行局に申し入れて首が吹っ飛んで、まぼろしの長官だといわれた事実がある。だから税金に関係があるのです。この問題についてはやはり銀行局とも相談して、これをどういうふうにしてなくすかということについての努力がなければ、公然たる脱税が行なわれている。これについてはどう思いますか。
○吉國(二)政府委員 一つは、現在は分離課税ということになっておりますので、無記名あるいは仮名であっても直接の脱税ということにはならないので、一五%の源泉徴収は受けるわけでございます。問題は、利子所得ではなくて他の所得になるべきものが預金の形態で隠匿をされるということがあります。これが一つの問題であるかと思います。そういう意味では、国税庁から常に銀行局に申し入れをし、たとえば無記名の預金でございましてもあるいは仮名の預金でございましても、実際の人がわかっているはずであるということで、調査に対する協力方については両者の間で常に打ち合わせを行なっているものであります。たとえば最も典型的な場合は、裁判所の許可状を持った強制調査であれば、あらゆる帳簿を開示するということにもなっておりますし、税務署長が発給した指令書を持っていけば銀行は協力をするという体制で、この匿名なり無記名なりの預金が脱税の手段に使われることを極力抑圧するべく、いろいろ努力を重ねておりますが、まだその点不十分な点が多いとは思います。将来、そういう意味ではその源泉となるべき無記名、仮名の預金というものが漸次縮減されるべきものであるということは、国税庁のみならず私どももそう考えておるわけでございます。
○広沢(賢)委員 そうすると、この前も御質問しましたけれども、すべての所得というのは、その発生源を問わず総合累進でいかなければならぬ。これが租税の大原則であるというのは、一番税の専門家でエリートコースの吉國さんは書いていますね。きちっと書いていますね、この間見ましたけれども。その原則は、もう一ぺん確認しますが、確認されますね。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、所得税は一応超過累進という制度をとるわけでございます。その意味からは所得というものをすべて金額に還元をして、金額の大きいものがそれだけ担税力があるという前提をとっているという意味では、総合して全体の所得金額というものを把握しない限りは、それが漏れている場合においては不公平が生ずるという意味においては、理想ではすべての所得が総合されるべきものである、それはもう間違いないところであると思います。
○広沢(賢)委員 それでは架空匿名預金というのは、これは直さないとたいへんな不公平、六七%がもぐりだから、これを直すような努力をみんなでしなければならぬということだと思うのです。それで利子を全部ひっくるめまして、――これは貯蓄の増強と、ここに理由は書いてありますが、貯蓄増強にはほとんど関係ないのだ。これは税調が三十九年にいわれたのですから、今度それについての期限切れが来るから、この原則の上で税率の単なる改正、この前みたいなちょっぴりの税率改正じゃなくて、きちっとした改正を行なわなければならぬ、そういう方向に行くべきだと思いますが、政務次官どうですか。
○上村政府委員 税調の答申につきましては、いま先生のおっしゃたとおりであります。ただ、特別措置と申しましても、非常に長い間国民の中に浸透しておるというふうに思われますし、なお、それに対しましてどういうふうに影響してくるかということにつきましては慎重な態度で臨むということで、これをどういうふうに来年度処置するかということはすぐ言いにくい点であろうかと思うのであります。そして、いま先生もお読み上げになったようないろいろな意見が出ておる。しかし、大方針はもうきまっておるわけでございまするので、いろいろと御意見を聞きながら、いろいろとまた税調の御意見も承りながら慎重に検討いたしたい、こういうことになるかと思います。
○広沢(賢)委員 いまの御答弁、わかったようなわからないようなんですが、大方針というのは私話したことが大方針だと思いますが、その次の大方針を申し上げます。 その次は配当の問題です。これも植松さんが答えられない、答弁のしようがない。総理大臣も、悪い面があると言ったもう一つですね。これをどうしてもやらなければいけない。いまの特別措置をやっていたという理由は何ですか。
○吉國(二)政府委員 配当の特別措置は二つございまして、一つは、少額配当の申告不要限度額ということと、もう一つは、一銘柄五十万円以下の配当ないしは全株数に対する保有株数五%以下の株主に対しましての源泉選択の制度、この二つでございます。 これは、御承知のとおり四十年、当時証券市場が非常な低迷を続けておりまして、その一つの原因としてあげられたのが、利子と配当の取り扱いの相違点であるということがいわれました。利子については、先ほど御指摘のとおり源泉分離になっており、したがって支払い調書も出ない、さらに架空名義等があるということで、株式を持って配当を受け取り、源泉徴収がきちっと行なわれた上に源泉徴収票が出るということでは、株式を持つ意識が預金を持つ意識に対して非常に弱くなる、こういった議論等がございまして、とりあえず利子の特別措置が切れる期限までを目途として――当時は四十二年に利子の特別措置が切れるはずだったわけです。利子と同様に源泉分離というわけにはいかないけれども、源泉選択という制度と、それから少額貯蓄にいわば対応するような意味で、少額配当に対しては申告不要限度というものを年間五万円、六カ月法人では一期で二万五千円というところに置くべきであろうかということで設けられた制度でございます。それが理由でございますが、その後、お説のようにこれも利子と同じく特別措置として漸進的にでも廃止すべきであるということから、当時源泉徴収税率が一五%でありましたのを、利子の税率を五%上げるのと平仄を合わせまして、現在二〇%に引き上げて来年度の期限切れまで続いておるということでございます。
○広沢(賢)委員 そうすると、利子との見合いで、自己資本を充実させるためにいろいろの措置をとったのですから、利子のほうがいろいろ措置をなくしてしまうということを片づければ、配当のほうの一つの理由はなくなるということが、一つ言えると思うのです。これが第一点。 第二点は、自己資本の充実と言うけれども、大蔵省の、この前新聞発表した資料によりますと、大体こういうことをいっているのですよ。具体的には、いまの税制、証券市場を通ずる資金調達方法のもとでは、自己資本比率の低下を食いとめることはきわめてむずかしいといって、四十二年度の法人企業統計は、他人資本が八二%、自己資本が一七%でもって、三十九年の二〇%台をはるかに割ってしまったということをいっているのです。そうすると、これも政策目的がもう達成されない、あがっていないですね。もしくは、もともとその政策目的とは食い違ったものであったということが言えると思うのですが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 自己資本の率が低下をしておるということは事実でございます。これがはたして税制上の理由によるのであるかどうかという点は、しばしば人によって議論が違っております。ある人は、いま申し上げたように、利子は、支払われるとき損金で支払われる。配当は益金の中から支払われる。したがって、支払い法人から見れば、配当を支払うには、利子を支払うに必要な額の二倍近くの資金コストがかかる。しかも、利子については、受け取った人は分離課税でそのままであるが、配当のほうは、受け取った人は、それを総所得に算入されて、配当控除は受けるけれども、総合課税を受ける。そういうことが、結局において自己資本の増加を妨げておるのではないかというようなことを申します。これは、その受け取りの方法を調整する意味で、先ほどのような特別措置がやられたという面も確かにあるわけでありますが、しかし、日本の法人の自己資本比率が低下したことが、ただ単に税だけの措置であるというのは、私は、必ずしも当たってはいないのではないか。日本の場合よりも、もっと、何と申しますか、はっきりしていると申しますか、アメリカなどでは、配当に関しましては、法人税で課税をし、かつ、ごくわずかな控除を行なった後、個人の所得に総合しておりますから、日本の場合よりも配当控除がないだけきついわけです。利子については、やはり法人は損金支出を認めて、まあもちろん、個人について預金利子の場合は分離課税というような制度はとっておりませんが、それにしても、やはり二重課税という点から申してみれば、配当のほうがかなり重い負担を課せられておると思うのでございますけれども、そこでは、自己資本比率が低下しているという事実はない。税制だけでこれを理由づけることは困難ではないかと思います。 その他いろいろな、ことに言えば、日本の法人の投資額が非常に大きいということ、その投資額が大きいものを、たとえ資本市場が相当に発達していたとしても、年々の益金でまかなうことは客的観に不可能であろうということ等々が借り入れ金の増大を招いている。これも相当な理由になるんじゃないかと思います。 とにかく、自己資本が低下していることは事実でございますが、きのう大臣が申しましたように、これが下がっているから特別措置が全然理由がないかということになりますと、見方はいろいろございまして、大臣のように、これがなかったらもっと下がっているということで、まだほんとうは意味があるという考え方もあるかと思いますが、これは、その判断のいかんであるかと思います。
○広沢(賢)委員 そうすると、大臣の言ったことは、これは大臣に聞きますが、これはもう、もちろんわかり切っているんですね。高度成長に伴って物価が上がれば、借金をどんどん銀行からして設備を拡張すれば、借金を返すときには、物価が上がっているんだから、それだけ減る。それで全部がどんどん借り入れをした。それがやはり一種の物価上昇の一つの原因になるんじゃないかと思うのですね。それに今度は、自己資本と他人資本の問題で、利子と配当の兼ね合いをやるということはもう間違っておる。ですから、一番大もとのことについて言わない。全然これは実効があっていないんだから、水かけ論をするんじゃなくて、ここでやめるべきだと思うのです。 それで来年やめるとして、税調が四月から発足しまして、法人税の性格についていろいろやりますが、そこで、現行の擬制説を実在にすると、これは総合所得になるから大株主が損をして、金融機関が受け取る配当が益金算入になってまいりますからこれが損をして、実際に仕事をしている産業資本が支払い配当損金算入で得をする、こういう傾向に間違いありませんね。
○吉國(二)政府委員 いま――いまと申しますかかって、税制調査会で論議されました英国式の利潤税方式という考え方は、支払い配当を損金に算入するということを前提にしていないわけでございます。そういう意味では、配当を支払って産業資本が得するという問題じゃないと思いますが、その案では、従来、益金不算入となっていた配当をそのまま益金とすべきではないかという考え方、それから、個人の配当控除を廃止すべきではないかという考え方、そのかわりに法人のそれだけ負担が減ると申しますか、逆に、法人がそれだけ配当を増加しなければならない結果になるということを考慮して、税率をむしろ増収の範囲内で引き下げるべきではないか、こういった種類の考え方でございます。メカニズムとして、配当が法人の段階でふえるということになり、課税の方式が変わっても、全体としてのバランスは変わらないという前提はとっているわけでございます。
○広沢(賢)委員 そうすると、いまの御答弁だと、大体、実在説にして法人利潤税の方式に変えるということは、たやすいことである、やり得ることであると解釈していいですか。
○吉國(二)政府委員 全体のバランスがとれると申しますのは、所得税、法人税でバランスがとれるということでございまして、はたして法人税が安くなった分を増配に回すかどうか、あるいは、その結果として配当控除がなくなった分が相殺されるかどうか、これは経済の動き、法人の配当のやり方、利益の状況等によって違いますから、最終的な形がかなり違ってくるとは思います。現在の個々の株主、個々の法人の負担のあり方はむしろ非常に変わってくるかと思います。それだけに、それらの法人の変化というものを十分に納得をさせ、個人の投資者というものの十分な納得を得るということがまず必要であろうかと思います。
○広沢(賢)委員 いまの制度で、たとえば株を買う人が、こういう擬制説があるから買うとか、それから、そういういろんな損得勘定というか、税金上の損得勘定で買うんじゃなくて、株が資産としてもうかる、これをやっておけばあと売ったら得になるという大ごとでやっているんじゃないですか。そういう面が多いし、税調のいろいろな答申の中にも、十分そういうこと、いま吉國さんが言われたようなことを理解してやっている人は少ないんだということを嘆いていますね。そういうことについてはどうです。違うでしょう。
○吉國(二)政府委員 もう一つの問題として、法人が株を所有した場合には、譲渡した場合には普通の法人税がかかりますが、個人の場合は一般的には譲渡所得課税が二十七年以来廃止されておるという事実がございます。そのためにキャピタルゲインを取得するために個人の株を買うという傾向がかなり強くなっておる。法人は逆に、キャピタルゲインを課税されるよりは、株を保有して益金不算入で配当を受け取ったほうがいいという結果になっておるという面は確かにございます。そういう面では、個人がキャピタルゲインを取得するということがねらいになって株式保有が行なわれておる面は否定できないと思います。この問も御指摘ございましたように、いまの法人・個人一体説の立場というものは、キャピタルゲインが課税されないことになった結果、当初の予定とは非常に変わった動きをしている。それが個人にとっては配当控除というのが特典のごとく考えられている。また、よく御指摘がありますように、二百八十万までも非課税だというような、一種の誤解を生むようになったと思いますが、これが、つまり制度に対する誤解として生まれたわけでございまして、ただ、これが国民感情としてはなかなか納得できないという結果になったのは、やはりキャピタルゲインの非課税というものを通じてそういうゆがんだ体制ができたということにあるかと思います。
○広沢(賢)委員 大体、以上の吉國さんの理論的な答弁で、利子配当については、ただ税率をこの前みたいにひねくり回すだけじゃなくて、根本的にこれを見直す、こういう方向に画期的に前進しているんだ。それが大蔵大臣、総理大臣のいろいろ御答弁にも反映しているんじゃなかろうか。――まだわかりませんが、そういうようにとって、今後税調では根本的な検討を一年間やるというように私は要望しておきます。 次いで今度、先ほど触れました有価証券の取引の問題について、非課税であるというけれども、これはなかなか課税がむずかしいんだとかいろんなあれがありますが、大体原則から今度は考えますと、シャウプ勧告で見ると、架空名義、匿名名義預金ですね、これについてはシャウプ勧告できびしく言っておると思うのです。同様にシャウプ勧告の立場からいっても、法人所得と個人所得の連動から株価の利益に課税しなければ、法人擬制説は成り立たないような気がしますが、どうでしょう。
○吉國(二)政府委員 シャウプ勧告では、配当控除を勧告する際に、この配当控除というものは、もしも法人に対するキャピタルゲインの完全課税を欠くならば、配当をしないで利益を留保して実質上含みを多くして、株価を上げて、それによって直接利益を非課税で吸収するという結果を生ずるので、そのような二重の恩典を与えるようなことになっては適切でない。少なくとも法人、個人を一体として課税するならば、法人の利益が個人の段階でもう一回総合されて、個人の所得として完全な課税を受けるという保証がない限りは、これを勧告しないという立場をとります。そういう意味では、キャピタルゲインが配慮されているために留保利益が法人税だけの課税で終わってしまう。したがって、個人の追加課税が行なわれないということになるとびっこの問題になる。びっこになるとシャウプ勧告は言っております。
○広沢(賢)委員 これは重大だと思うのですよ。びっこをずっと長い間続けてきているのですよ。税調が何と言おうとかんと言おうとびっこでやってきたのです。そのびっこのために、資産階級というものはたいへんな得をしていると思うのです。したがって、今度の税調の場合でも、有価証券の移転税もしくは取引に対する課税をすべきであると思うのです。その課税をすべき点で、どうして課税がむずかしいかという点について、御意見を承りたいと思います。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
○吉國(二)政府委員 これは当時の有価証券に対するキャピタルゲインの非課税をきめた事情で申し上げるとおわかりやすいかと思うのでありますが、キャピタルゲインの全額課税をやめました際に、この利益の課税が行なわれるためには、証券会社のすべての取引関係の資料を収集しないと確実には行なえない。しかも取引を把握しただけではだめでございます。株式の取得価額まで全部把握しなければならないというような問題がございまして、もちろん申告納税でございますから、まじめに申告さえしてもらえば問題はなかったわけでございますが、当時の実績では、所得金額で二十五年に一億三千二百万円程度の課税所得しかないというようなことでございます。むしろ非常に不公平が生じておる。それよりも国民経済全体としては、有価証券取引税を起こして、総体の所得から納めるべき税金程度は平均的に取るべきではないかという主張がございます。もし譲渡所得を完全に課税しようと思えば、ある意味では株式流通をほとんど不可能にしてしまうような操作が必要になるわけでございます。当時の株式市場の状況等から考えますと、株式市場そのものを窒息させるということから、最初二分の一課税に戻り、その後全額非課税、同時に有価証券取引税を起こすという改正が行なわれたわけであります。
○広沢(賢)委員 そこで、たとえば証券会社の支払い調書を取ったらどうだという声があります。私たちはいろいろなところで、たとえば原稿を書けば支払い調書が税務署から回ってくるわけです。何ともできない。だったら、支払い調書を証券会社につくらせてはどうか。そうすれば相当把握ができるのではないか。この問の質問では、一年間大体二兆円に及ぶのですよ。それどうですか。
○吉國(二)政府委員 課税するとすれば、そういう方法をとらなければ課税は不可能だと思います。 御承知だと思いますけれども、証券会社は、キャピタルゲイン課税が行なわれていないにかかわらず、実際の取引は、かなり他人の名前なり仮名で行なわれておりますので、その辺の問題が、ちょうど利子所得について起こったと同じように、起こってくる可能性があります。その辺の義務づけその他を効果的に行なうということがまた大事になりますが、それが証券市場にどの程度の影響を及ぼしてくるか。その辺のことが、この問題の解決の一つのかぎであるかと思います。
○広沢(賢)委員 それが事務的にというか、ちゃんと技術的に解決されれば、あとは問題なく課税されるわけですね。課税できますね。あとないですね。
○吉國(二)政府委員 それは売り上げ課税ではございませんので、それが把握されて、なおかつ有価証券の取得価額がどうであったかという把握が必要になってくる。これがなければ課税はできないわけでございますから、この点がまた一つむずかしい問題点でございます。不動産等の場合には、登記とかその他で取得の時期等がわかるわけでありますし、取得価額等もわかりますが、株式を取得して、そのまま登録がえをしないでおるというような人がおりますと、これは全くつかみようがないという問題が出てまいります。
○広沢(賢)委員 その場合はそういうことがあると思うのですが、そういう場合と、それから損した場合にはどうにもならぬということ。 それで研究しましたけれども、漁業とかプロ野球、これは五年平均でもっていろいろ変動所得を通算して計算しておりますね。こういう方式についてお考えになったことがありますか。これと、やはり五年ぐらいの変動所得方式でこういうものを定期的に洗い直して課税するというやり方はどうでしょう。
○吉國(二)政府委員 この変動所得の課税と申しますのは、むしろ所得が非常に移動する、ふえたり減ったりするという性質のものを、ある時期に非常にふえた年に累進課税でとことん取るということは、次の年にもし所得が減った場合に非常におかしなことになるということで、五年間を限りまして逐次五分の一ずつ累進課税の対象に取り込むという制度でシャウプ税制に取り入れられたわけでございますが、これも非常にめんどうであるために、現在は御承知のように前二年間でございまして、前の二年平均の所得を上回った部分について、その変動所得の五分の一を所得に算入してその実効税率を出し、その実効税率を残りの五分の四にかけて合計して納める制度でございますから、それは有価証券の課税とは直接関係はないと思います。
○広沢(賢)委員 でも、そういうようなやり方でくふうしたらば、何とかこれは把握できるのじゃないかということです。それについてまだあれだったら、今後の検討事項にして――これはやはりよそだったら、八百屋さんなんかだったら税務署が室内検査権を発動して個別にやっておるのですから、そうすれば幾ら把握がむずかしいからといってもこれはできるのじゃないか。それをくふうしないのはいけないのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。 以上総合しますと、大体利子配当並びに有価証券の移転税について、これはやはり来年期限切れを前にして根本的に検討し直す、これが一つですね。 それから土地の問題です。今度出してきた土地税制の問題ですが、この間予算分科会で私が聞いたのですが、建設大臣は今度の土地税制は地価の安定にほとんど役に立たないと言うのですよ。建設省おられますか。――それを聞いたと思いますが、どうですか。
○播磨説明員 建設大臣が今回の土地税制に対しましてどのように申しましたか、場所がわかりませんので確認はできませんが、私どもが聞いております限りにおきましては、今回の土地税制はかなり地価安定に対しまして効果がある、こういうふうに申されております。
○広沢(賢)委員 大臣と宅地部長の答弁が違うのは変ですね。それは変ですよ。予算分科会の答弁をごらんになったらわかります。それは結局、長期の場合手放しやすくなる。手放しやすくなるけれども、それを大きな法人、それから大きな不動産会社がどんどん買ってしまったら、差し引き同じじゃないかということで聞いたら、なるほどそうで地価安定にあまり役に立たないと言うのですよ。これは正直なことばなんです。どうですかあなたは。
○播磨説明員 確かに今回の土地税制の改正が個人を中心といたしておりまして、法人としましてはいろいろむずかしい問題がありますので、ほとんど触れられていない。そういったために、ただいま広沢先生のおっしゃいましたような現象が起こるんじゃなかろうか、こういう心配は私どももいたしております。これにつきましては、あるいは直接統制方式を考えるべきでないだろうかとか、あるいはもう一度税制で再検討すべきじゃないだろうかとか、いろいろな案があるわけでございまして、私どもといたしましても、その前に申しました直接統制的な方法につきましては検討いたしておるわけでございますが、なかなか簡潔で有効な方法はにわかに出てこないというのが現状でございます。
○広沢(賢)委員 そうすると、大臣の言っているほうがほんとうなんです。あなたの言うことはずっとぐるぐる回ってきたけれども、これだけではほとんど地価安定には役に立たない。これは大体いろいろな本にも新聞にも出ています。そればかりではなくて、これは読売新聞ですが、税金の高くなった分が土地代に上乗せされるという悲観論まで出ているのです。だから、いろいろ考えてみると、今度の土地税制がそれほど地価安定に役に立たなければ、何でこんなことをやったのだろうかという疑問が生まれる。 そこでお聞きしますが、この長期の場合、これはきょうの「ファイナンス」にも大体出ておりますが、グラフになって出ております。このグラフを見るとたいへんな、前に二千八百七万円の方が九百四十万円まで税金が免除されます。だから上へいけばいくほど、一億円からさらに上へいけばいくほど無限大に安くなるのです。その勢いはすごいのですよ。収入一千万円の人だったら、百四十三万円の税金が八十五万円ですね。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 今度、一億円の収入になるとたいへんな減税になるのです。そうすると、大きな土地を所有している人がたいへんな減税になって地価安定にほとんど役に立たないという結果になると思いますが、では、これは何のためにやったのですか、その点について。
○吉國(二)政府委員 ただいまの仰せは、今度の改正が地価安定に役に立たないという前提でおっしゃっているわけで、それなら何をやっているかということになりますが、私どもは必ずしもそうは考えていないので、地価安定に資すると考えております。同じ新聞記事でもずいぶんございます。そういう意味で、これは結果を見ていただかなければわからないと思いますが、ただ不公平であるという点は、これは確かに問題がある。そこまで踏み切るについてはいろいろな検討があったわけでございますが、結局確かにいまの争点に落ちるわけでございまして、地価安定ということが果たされれば、結果においては全体のプラスになる。地価が安定すれば、本来高い課税をしておっても値上がりによって手取りがふえるのを防げるわけですから、そういう意味ではやはり地価安定が一つのきめ手になると思うのでございます。 もう一つは、いま御指摘がありましたような大きな譲渡益というものは、実際上は資産の買いかえによってほとんど課税を受けていない。試みに一部申し上げますと、百万円以下程度の譲渡金の場合にはその八〇%が買いかえを行なっておりません。実際上買いかえが行なわれるほど大きくないという問題もありましょうが、買いかえが行なわれておりませんが、それが一千万円をこえる譲渡金になりますと、平均してほぼ八〇%が買いかえを実施しているわけです。しかもその全部買いかえというものの率も相当高くなっている。そういうことから申しますと、いままで非常に大きな課税を受けているように見えますけれども、実際は買いかえということで課税は受けておらず、しかも一億円とかいうようなものを売った場合に、課税を免れるためにわざわざ一億円の土地を買い、あるいは一億円の邸宅をつくるということが弊害として指摘されてきたことも事実だと思います。そういう意味で、私どももこの点はずいぶん問題にされた点ではございますけれども、実際上買いかえというものを廃止しないとこの傾向はいつまでも残る。わずかの譲渡益の場合には結果において課税され、大きな譲渡益の場合はすべてが買いかえで留保されてしまう、このことはやはり是正すべきだと思います。そのためには一時比例税率等を採用しても、この制度をできるだけ早く改善する必要がある、かように考えたわけでございます。
○広沢(賢)委員 確かに大きな資産階級がその買いかえをしてやるということはよくない。これはわかります。だから、それを封殺するということはひとつ進歩であるけれども、しかし、この手放すのが有利であるという長期の分離ですね、手放すのが有利だからというので、どんどん早く手放しなさいということで、これだけの大幅な税金の軽減を無制限にやってはだめだから、歯どめが必要じゃないかと思うのですよ。地価安定にどのくらい役立つか、やってみなければわからぬと言うのですが、来年やってどのくらい上がるか、これは事実を見てみましょう。これがだめだったらやはり早急にいろいろのことをやらなければ、大きな資産階級だけが有利になるということになるから、条件つきであろうと思いますが、どうですか。
○吉國(二)政府委員 本来この措置が特別措置でございますから、非常に効果が、途中で曲がった方向に行くというようなことになり、効果が悪いということになれば、期限の途中であっても洗い直すということは当然考えるべきことだと思いますが、そのためにはやはり慎重に前提を考え、結果を考える必要があると思います。
○広沢(賢)委員 それで、この効果がなくなる一つの問題として、いろいろ読んだり計算したりしてみますと、これは切り売り防止であろうと思いますが、どうですか。
○吉國(二)政府委員 切り売り防止の意味が非常に強く働いていることも事実でございます。
○広沢(賢)委員 そうすると、切り売り防止だと小さい所得の人は買えないですね。そうすると、大きな不動産会社がどかっと買う。先ほど建設省の方にお話ししましたが、大きな不動産会社が買う。これがいわゆる民間デベロパーというやつですね。この民間デベロパーというのは、この間の栃木県の刑務所予定地の新都市開発センターを見ても、ものすごく大きな会社の重役とか、三井不動産とかその他が入っていると思うのです。こういう人たちがどんどん土地を買い占めることに対して、建設省としては何か歯どめを考えたんですか、どうですか。それについてお伺いします。
○播磨説明員 ただいま御質問になりました、主として不動産業者あるいはそれ以外の法人が広大な土地を買い占めるという問題でございますけれども、これにつきましては、ただいまのところこれを直接防止する法的手段はございません。したがいまして、今後の問題といたしまして、そういった土地を長い間寝かしておくというふうな形で法人所有がはびこっていくというふうな傾向が出てくるようでございますれば、これに対する有効なる措置をとらなければならない、かように考えております。
○広沢(賢)委員 その有効なる措置について、大蔵省ともずいぶん相談していろいろ研究したのでしょうが、有効なる指置というのは何ですか。具体的にいうと有効な措置、どういうあれがありますか。
○播磨説明員 まあいろいろな方法をこれから検討してまいらなければならないと思いますけれども、一番ききますのはやはり何らかの負担をかけることによって早く手放させる。寝かしておいて、軽い保有課税でいつまでも寝かしておける、そして値上がりの利益を十分に享受するというふうな傾向に対しまして、それを打ち消すような考え方の方向、そういったことも一つの方法かと考えます。
○広沢(賢)委員 大蔵省としては、それじゃどういうふうにいまのことについて考えますか。
○吉國(二)政府委員 この問題については、もちろん部長が申しました保有課税というものの強化ということも一つ考えられると思いますが、それにはやはり土地制度として、土地利用計画とかそういうものが確実に行なわれるということが必要であろうと思います。むしろ法人の場合等につきましては、いま宅建業者が簡単な免許で、全国で二万数千あるというような状況、こういうことが野放しになっていて、法人が宅建業者になろうと思えば容易になれるというような状況を放置したまま、営業の自由と申しますか、それで法人税で宅建業者に特別な課税をするということ自体に無理があると思うのでありまして、やはり直接法人の営業的土地売買、あるいはその他の工場取得というものに対して規制を加えるというような時期が来ているならば、そういう直接規制というものが考えられてしかるべきではないか、私はそう考えます。
○広沢(賢)委員 その直接規制というのは大事です。最近自動車産業がだめだから、じゃ住宅産業に進出しようという。それから、そのほかの重化学工業で、やはり住宅産業が今後の成長産業だというようなことで、家庭電器からどんどん集中する。すると集中する資金が、住宅産業ばかりではなくて、今度は土地がもうかるからという形でそこに集中したら、これはそれこそ歯どめはなくなってしまう。そこに紙幣が集中し、土地は限られているという形になると、これだけの手放しをしたってどんどん食いつぶしのほうが大きくなるということになるから、直接規制が大事だと思うのです。直接規制をやることについて、大蔵省の意見はそういうあれですが、建設省としてそれについてぴちっとした成案がありますか。緊急を要しますよ。
○播磨説明員 一応税制調査会では、法人税に関しましてはなかなかむずかしい問題があるから、むしろ直接統制を検討するほうがいいのじゃなかろうかというふうな御意向であったわけであります。私どもも簡潔な組織――問題は定員にございますが、そういった組織でかなり確実にこれを押え得るという方法がございますれば、十分検討してみたいと思っておるわけでござ、いますけれども、その辺につきまして、直接規制方式の実効性につきましてなお十分検討しなければ、にわかに即断できないというのが現在の段階でございます。
○広沢(賢)委員 これ以上申しませんが、とにかく議論が抽象的で、直接規制は大事だ、それじゃこれをやっていくということになってずっとたどっていくと、もう都市再開発法の法案ができてしまってどんどん進むという段階ですから、この問題について早くやらなければ、次の国会でやらなければやはり弊害が出てくると思うのです。それからもう一つは、いわゆる民間のデベロパーというやつですね。これがどういう内容か、どういうふうに規制するかということもやっておかないと、かえって今度の土地税制が意図に反して間違った方向に行くと思うのですね。大きな会社法人、それから資産階級の利益に奉仕するという形になるおそれがあるから、その点については厳重にいま言ったような歯どめが必要じゃないかと思うのです。 それからその次に移ります。租税特別措置の問題ですが、この前私は、租税特別措置に入る前に、銀行の貸倒引当金について聞いたのです。そうしたら、いろいろ議論がありましたが、貸し倒れの事実はないじゃないか、政策効果はどうだという議論がございました。その後こういう問題について、大蔵省としてはどういうふうに考えたり何かされましたか、その点をお聞きしたいと思います。
○吉國(二)政府委員 貸倒引当金につきまして、去年たしか御指摘があったように思います。貸倒引当金から貸し倒れを落とした例がないではないかということに対して、私がお答えをいたしましたのは、貸倒引当金は従来の方式から変わりまして、洗いがえ方式になりましたので、前期に積んであった引当金を前期においては前期益金に算入をするわけでございます。そうして同時にまた、期末において新しく引き当てをとる。したがいまして、貸し倒れの損失というものは貸倒準備金からあるいは引当金から取りくずすという形ではなくて、そのまま損金に算入する。ところが、益金に算入をされた引当金の額によってそれが相殺されるという結果で引当金が働いておるのであるということを申し上げた記憶がございます。 そこで問題は、新しく期末に引き当てる際の引き当て率というものが妥当かどうかという点が次の問題だと思います。この点につきましては、絶えず主税局、銀行局の間でいろいろ検討を続けておりますが、いまの率を直ちに変更するという結論にまだ立ち至ってはおらないわけであります。
○広沢(賢)委員 その洗い直しについてはもう一回またあとですぐ質問しますが、たとえば普通の企業で道路公団とか鉄道公社、それから政府のいろいろな公団、公社というところといろいろ取引しているところでは貸し倒れの危険性がないと思うのですが、これもまた貸倒引当金がちゃんと計上されています。こういう点について矛盾を感じませんか。どうですか。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
○吉國(二)政府委員 貸倒引当金は、本来は貸し倒れの危険に応じて各債権ごとに引き当てるべきものであるという考え方が正しいかと思いますが、個々の債権の評価というものが非常に困難でございますし、きわめて主観的であるというところから、税法としては一定の業種別の比率をきめて、その範囲内であれば総額主義で認定をしていこうという態度をとっております。また、現在の企業会計等におきましても、個別に引き当てをとるというたてまえをとっておりますが、実際に公認会計士等の認定におきましては、貸倒引当金の率を前提にして引き当てる限りは、必ずしもこれが不当であるといってはいないのでありまして、いわば企業会計の分野においても個々の債権を評価して引き当てをきめるということは実際上困難だと思います。したがいまして、税法としては許容限度として引当金を置いているわけでございます。そしてもし個々の企業がそれだけ引き当ては必要ないと思えば、それは引き当てなくていいはずのものでございます。許容限度であるだけに、引き当てた場合にそれがその範囲内にあればいけないと言うわけにはいかないと思います。
○広沢(賢)委員 そうすると、これはもう全然性質が違うのですね。中小企業は貸倒引当金を計上しようたって計上できない。ところが、中小企業には貸し倒れの――たとえばこの前も下請の企業で、親元がつぶれたからどうにもしようがないと相談に来た人がいますが、中小企業で貸倒引当金が必要な人はそういうものがない。日本の国民総生産の中でたいへんな量ですよ、国や公共団体が発注するものは、そういうものについてはもうかるから利益留保をずっと積んでいくという方式なんですよ。(発言する者あり)だから簡単にいって、へ理屈なんですね、この貸倒引当金ということばそのものが。 そこで、一つお聞きするのですが、洗い直しをすると言うけれども、たとえばこういうようなことを「経済政策の理論」でいっている。館龍一郎さんというのは税調の委員ですね。小宮隆太郎さんとの意見の中でこういうふうにいっているのですよ。これは理論家の吉國さんはちゃんと納得されると思うのです。そのとおりだと言われると思うのですが、「つまり、個別資産の観点から見ると、償却期間の短縮は、」そのほか引当金、準備金全部を含めてですよ。そういうものは「いつかは返済しなければならない政府からの無利子の借り入れという利益をもたらすにすぎないのです」そうですね。ところが「投資の流れという観点から見ると、それは何ら返済を要しない無利子の貸し付けであり」これは衰退する企業については別だというのです。これは返済しなければならぬ。これはこの前、洗い直しということでもって一年前に私が聞いたときに、いや会計学上からいったら何だかんだと言ってがん強に首を振ってがんばられたことがある。ところが、経済政策上からいうと、ちゃんとこういうようなことを言っている学者もずいぶんいるのです。大きな企業の流れからいって、成長する産業から見れば、これは何ら返済を要しない無利子の貸し付けと同じである。その点どうですか。
○吉國(二)政府委員 中小企業が引き当てられないというのは実際に反しております。貸倒引当金は中小企業で相当伸びておりますし、それから中小企業に対しては二割増しの特例もございます。相当な引き当てもあるわけでございます。 いまのお話は、成長産業は自然売り掛け金等も多くなりますから、一定率でとっている限り洗い直しをしても増加した債権に対する部分は多く留保されていくであろう。衰退する産業の場合は売り掛け金が徐々に減ってまいりますから、洗いがえをして前期に積んだ額を算入する。益金算入すると、期末に損金引き当てする分よりもそのほうが大きいから、結局は返済をするんだという言い方だと思います。これは、貸倒引当金というものは貸し倒れの危険に備えるためにあるという性質から申しますと、債権額が多くなればそれだけ引き当てを多くせざるを得ないのは当然だと思います。たな卸資産にいたしましても、企業が大きくなればよけいたな卸資産を持たなければならないというのとこれは全く同じことであって、経済的に見てということは、それはそれだけ売り掛け金に対する留保としての引当金が多くなるという意味でそう申されておると思いますが、引当金の率が適当である限りは洗い直しの引当金が常にふえていくということは当然のことだと思います。
○広沢(賢)委員 いままだお答えが不十分でして、もう一回お聞きしますよ。私が言ったのは、青色申告で特別に配慮していますね。これはありがたいと思います。ところが、白色申告で印刷業者が一ぱいいますね。この人たちはやられたらだめなんですよ。貸倒引当金はだめなんです。できないのですね。それから青でもそういう利益留保をすることができない人、もうけが少なくてそこまでできない人もいるのですよ、下請会社では。そういう人たちは実際上貸倒引当金のあれが大きい。だから中小企業は割り増しをつけているのですがね。つけているのでしょう。 〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕 そういうことが多くてもやはりなかなか恵まれないで、大きなところは――大きなところというのは、国、公共団体を相手とする。もう一つ言うと、たとえば海外投資損失準備金なんというのがありますが、これはLC取引でしょう。それでいろいろつぶれたときなんて、向こうがつぶれたときは銀行がちゃんとめんどうを見ますよ。それからインドネシア政府が踏み倒したということになれば国のほうが補償するのですよ。そうでしょう。国とか銀行とかがちゃんとめんどうを見る様式になっていますね。どう思いますか。LCと言ったらちょっと変だけれども。
○吉國(二)政府委員 中小企業が引き当てられない、なるほど白色申告の場合は引き当てが許されておりません。これは青色申告を助長するための特典として設けられたという性質のものでございますから、これは努力して青色申告になっていただくよりほかない。それから無利子の貸し付け金という意味は何かと申しますと、税金を払わないで済むから無利子の貸し付け金というわけであります。利益がなくて税金を払わないものは貸し付けのしようがないのでございますから、これはもうどうにもしようがないということになると思います。したがって、税金を払ってない人と対照されて、税金を払っている人が貸倒引当金をとっているから不当だということはいえないだろうと思います。それから政府その他で支払い保証があるものについて、売り掛け金が売り掛け債権の中に入っているという問題は、確かに御指摘のような問題はあると思います。個別にそこをはずしていくというのも一つの考え方であるかと思います。そのあたりはやや一般的過ぎるという面はあるかと思いますが、実行上可能であれば、そういう大きなものははずしていくことも一つの考え方だと思います。
○広沢(賢)委員 私がこう言ったのは、結局租税特別措置は、政策目的に合致しないようなものについては厳重に、既得権化しないように始終監視しなければいかぬということが何回も繰り返されているのです。だから、その政策目的に合致するかどうかということをよく考えてみると、みんなおかしなところが一ぱい出てくるということなんです。 たとえば、ここに新聞の投書欄に、サラリーマンの必要経費について、愛知県の地方公務員ですが、「毎年物価高に悩まされ、なけなしの貯金の価値は下がり、実質賃金の伸びも低いので、価格変動準備金といったもの」を認めてくれと言っているのですよ。所得税ですよ。これは笑って済ませるけれども、実際上の国民の生活からいったら笑って済まされない。どうしてかというと、いまおっしゃったのは、法人、会社は特別である、擬制説によっているから、これは全然別もので、あと今度は、所得については価格変動準備金なんというものはもってのほかだという考え方があるのです。それがさつきの白と青の関係にもいえる。白の人だって相当税金を払っているのです。それも税務署から個々に来て、国税通則法で問題になった、一ぱいたんすや何か引っぱり出して見るということをやられてしまう。そうすれば、この大きな会社といったって、そうたいして会社はないのです。国、公共団体と取引している会社というのはそうないのです。それについて、これくらいのことはやらなければおかしいじゃないかというみんなの意見が、これは多数を占めると思うのです。 あと一ぱい質問したいのですよ。たとえば異常危険準備金の中でもって補償金をやっている土建会社が四つしかない。これは福岡君が別の委員会で質問しましたですね。ですから、こういうことは一ぱいあるのですよ。 そうすると、私は最後の結論としてお聞きしたいのは、返済を要しない無利子の貸し付けであるということは一種の補助金ですね、この租税特別措置は。一種の補助金と見てよろしゅございますか。
○吉國(二)政府委員 その利子部分が補助金と見るか、全体が財政投融資と見るか、それはいろいろ考え方があると思いますが、免税である場合は明らかにこれは補助金だと思います。租税の繰り延べ、減価償却の特別償却とか、あるいは準備金という形である場合には、むしろ財政投融資に近いのかもしれないと思います。もちろん減価償却の場合は、返済がいやおうなしに耐用年数の間に起こりますから、これはあまり実益は多くないと思いますけれども、準備金は、御指摘のように、最後まで取りくずさずに続いていく場合には、返済不要という形で進んでいくということは事実だと思います。
○広沢(賢)委員 そのとおりだと思うのです。成長産業にあっては、返済を要しない無利子の貸し付けといったら、これは一種の補助金だと思います。そこでわきの方が幾ら頭をひねってもだめですよ。これはそうだと思うのですよ。そうしますと、財政投融資からの支出かもしくは補助金同様であるとすると、補助金については財政法上たいへんな――補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのがあるのです。ここでは補助金の使途から、決定の取り消しから、遂行から、全部書いてあります、御承知のとおりに。それで、こういうような補助金がきちっときまっていて、国会にも、どこにも補助金を出してどうなっているということはちゃんと報告がくると思う。きますね。財政法上そうなっていますね。そうすると、ただ紙きれ一片でもって、正式の報告書というのはないのですよ。これは正式の報告じゃございませんね。正式の報告書じゃなくて、そのまま、毎年毎年洗い直すと言いながら、ここに金額を大ざっぱなことが書いてあるだけです。たとえばさっき言ったように、海外投資損失準備金十三億、それから価格変動準備金十九億と書いてあるだけなんです。これについて、補助金もしくは財政投融資の支出先ということになれば、きちっとした報告の義務があるのがほんとうだと思いますが、どうですか。
○吉國(二)政府委員 性質として、それに似ていると申し上げたのでございまして、税法の場合は、一定の要件を満たした支出なりあるいは資産の取得なりがあって初めて税法が適用になって特別措置が実行されます。したがって、補助金の場合には、あらかじめこういう目的で交付する、しかし、目的どおりに使ったかどうかという担保が要りますけれども、税法で特別措置を適用する場合には、必ずその要件が満たされていなければ特別措置が適用にならないわけであります。そういう意味では特別措置は、その目的を明らかにして法定されれば、それが実際に適用されたときにはその目的は達しているという前提でなければおかしいわけであります。私どもも、税法で政策を左右することをあまり好まない系統に属しておりますが、税制調査会等でも言っておりますのは、どうしても税法でやったほうが効果が確実であり、同じ補助金を出すにしてもプラスになる場合があることを指摘しております。 たとえば、一つの非常に進歩した機械を買わせたいということで補助金を出した場合に、補助金をあらかじめ出してしまってその資産が取得されないという可能性はあります。その場合には、報告を徴して取り返すとか、いろいろな措置が要ると思いますが、税法の場合は、特別償却をきめておきますならば、その資産を現実に取得して使用しなければ特別償却ができませんから、結局そういう機械を設置することを奨励しようと思う限りは、補助金を出すよりは特別償却を認めたほうが確実であるということになるわけでございます。 〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 ほんとうをいえば、税法上の措置がそういうものに限られれば理想的だと思うわけでございますが、まあそうでないものもございますけれども、私どもとしては、そういう効果のある措置に限定をしていくべく努力をすべきだと考えております。
○広沢(賢)委員 そこで、先ほど渡辺委員が非常にいいことを言いました。渡辺委員は通達行政だと。もちろん大蔵省は通達行政だと思う。通達はこんなにあるのですよ。たいへんな通達行政なんです。その一つ一つについて、たとえば先ほど言った異常危険準備金で、四つの会社からいろいろ陳情がいって、こうやると通達になって出てしまう。これを適用するにはどうしたらいいかということで、ずいぶん通達行政で左右されると思うのです。 そこで、一番大事なことは、先ほど堀委員からも不規則発言があったのですが、通産省の通商関税官堀田さんの問題です。これは関税定率法のときにみっちりと通産省にお目にかかりますが、その前に、やはりこれは大蔵大臣の署名した政令一本で、一組何十億、何百億の機械に対して、一五%の税率でもってたいへんな免税になるのです。こういうことをかってにやらしているのです。これは通産省と大蔵省が相談するというのだけれども、そうすると、やはり大蔵省としても責任があると思うのです。こういうことでの減免税が、新聞によると千四百億円あるのですね。四十二年の関税収入三千二百八十二億円で、減免税が千四百億円です。これは新聞に出ているのですから、真偽のほどを確かめていただきたいと思うのです。そうすると、租税特別措置も同様でして、これの中には一般的に適用されているお医者さんの場合があると思うのです。全体としてこれをこまかに分析していくと、四つの会社に限定されたり、その他相当そういうものがあると思うのです。それから、たとえばさっき言ったように、国、地方団体と取引していると貸倒引当金の問題なんかも出てくる。これについては、大蔵省は良心的にやっているのだと思っているでしょうが、これはメスを入れなければならぬ。そうすれば、良心的だなんということは思えない。 そこで、今後租税特別措置法をいろいろ検討するについて、前にうちの阿部委員からも相当の不満が出たのですが、これについてはやはりやり方を変えなければならぬのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 やり方を変えるというのは減収額の出し方をもっとちゃんとしろという意味でございますか。
○広沢(賢)委員 減収額の出し方をもっときちんとやるということもそうなんですが、どんどん間口が広がっちゃって結論がつかなくなっちゃう。たとえば土地税制は「収用、買換等の場合の譲渡所得課税の特例」は三百八十二億になっておるが、これはどういう根拠でこうなったのか。大きな会社の土地があって、これを今度は機械に買いかえると免税になる。これはこの中に入っておるのかどうかというようなことは一つもはっきりしていない。これはあとでほかの委員から質問されると思いますが、そういう点を含んで、もっと詳しく、たとえば単価はこうだとか、これはどれくらいだとか言わないと、この前私が質問した、大きな会社と小さな会社がどのくらい恩恵にあずかっているか。あとで調べたら、この間夢中になって議論したのがばからしくなるようで、大きな会社はちゃんと七五%恩恵を受けているということも、あとの資料に出ているのですよ。これも時間があればもう一回やります。だれが考えたってそうなんですよ。大きな会社は恩恵を受けているけれども、小さな会社は恩恵を受けていない費目がいっぱいある。そういうことを調べるのに都合のいいようなやり方、これはやはり考えなければいかぬと思うのですね。何か御答弁ありますか。
○吉國(二)政府委員 この間もいろいろ御議論がございまして、私どもできるだけ詳しい資料をと申しましても、再々申し上げておりますように、第一線に非常な困難をおかしてまで要求するわけにもまいりませんので、徐々に御満足のできるような資料に仕立て上げるという努力をしていきたい、かように思います。
○広沢(賢)委員 私のほうでも、それについての、いろいろこうすべきだ、こうしたらどうかというような案をつくってお渡ししますから、次の国会からはそういう形でやりたいと思います。 最後に、一つだけあるのですが、交際費の課税の問題です。これもずいぶんいろいろ聞きましたが、これもやはり課税強化しなければならぬ、課税強化しなければならぬといって、ずっと大山鳴動ネズミ一匹ですね。わずかな強化にしかならぬと思うのです。そこで、否認割合を一〇〇%とした場合に、四百三十億増収があると思いますが、それをしたらばどうにもやっていけませんか。どうですか。不都合が生まれるのですか。
○吉國(二)政府委員 全額否認をしてどうなるかという問題は、それで会社がつぶれるようなことはあり得ないと思いますけれども、全額否認をするということ自体にはやはり問題があると思います。交際費は御承知のとおり、交際費とはいっておりますけれども、税法で規定しております交際費の中にはかなり――かなりと申しますよりも、事業目的の支出を交際費といっておるわけであります。経営者個人が飲み食いしておるようなものは決して交際費ではない。取引の相手方との間の交際費、接待ということ、それからその中には一種の包括的なリベートと申しますか、規則的でないリベートのようなものも含まれております。したがいまして、事業の経費であって、それが事業収入をふやすということを前提にして使われている、本来そういう性質のものだと思います。それが乱用されているところから、むしろ税をかけてその乱用を防ごうという趣旨でございますので、全額を否認するという論拠は、私は必ずしも正しいものであると言い切れない点があると思います。 どこまで否認したらいいのか、その辺の一つのめどでございますけれども、交際費を六〇%まで否認した結果として、交際費がだんだん減っていくというような傾向が見られれば、もう少し押えることによってほぼ限界点が出てくるかと思います。今回の措置の結果を十分見て判断をいたしたいと思っております。
○広沢(賢)委員 五〇%を六〇%にした、そうするとこの次はいろいろ度合いを見て七〇%、八〇%、九〇%にすることはあり得るわけですな。今後強化するわけですね。それを確認したいと思います。
○吉國(二)政府委員 いま申し上げましたように、六〇%にいたしました結果を十分に参酌いたしまして、次の措置をきめるべきだと思います。実はおととしやりました、前年の一〇五%をこえた場合の一〇〇%否認というものの効果がまだはっきりつかめておりませんが、これがつかめますと、あるいは一〇〇%否認された場合どんな効果が出るかということの部分的な答えは得られるかもしれないと思っております。
○広沢(賢)委員 それではさらにいろいろやってみる、これは当然なんです。 もう一つは、これも重要だと思うのですが、六億円の増収になると思います、資本金基準控除の千分の二・五を千分の二にした場合。前は御承知のとおり千分の一だったのですね。そうすると、それを千分の一ぐらいにするということはやはり一歩前進だと思うのですが、どうですか。
○吉國(二)政府委員 資本金基準を切るということも一つの考え方だと思います。ただ、資本金基準を引き上げましたときには、資本金の額のとり方を変えております。従来は利益積立金その他を含んだ総資本的なものを資本金基準として〇・一%にしていたのですが、今度の新しい基準は形式資本だけ、いわゆる資本の金額だけを基準にして〇・二五%にいたしましたので、そういう意味では〇・二五%に引き上げたのが全く引き上げといいますか、純粋の引き上げではなくて、資本の金額のとり方を変えたわけでございます。つまり、非常にもうけて、内部留保の多い法人ほど得をしておったのを、そうでなくて、形式資本だけにとどめるという基準に直したわけでございます。もちろんこれを切り下げるということも一つの方法だと思いますし、定額基準の四百万を切り下げるということもあるいは一つの方法かもしれないと思っております。
○広沢(賢)委員 そうすると、交際費についてはいろいろまだ検討する余地がある、さらにこれは圧縮していくんだ、今度が終わりじゃないんだということが一つわかったと思います。 そこで、全体として租税特別措置があげている問題、貯蓄の奨励とかその他ですね。これが正直言うととおり一ぺんであるということです。そういう点考えますと、やはり先ほど私が言ったような形の様式に組みかえて、もっと実のあるそれぞれ検討をしなければならない。そうしないと、国会で安易にこれを通すことは、非常に国民の税の公平感を害するという点、それから実効があがっているのかあがっていないのかわからないで賛成をするというような結果になったり反対するという結果になるんですね。もっときめのこまかい討論が必要じゃないか、こういうふうに思うのです。 そのほか、今後の税制の方向についてもお聞きしたいんですが、これは次の機会に譲りまして、特に重要なことは、利子配当の優遇措置については、これは単なる税率の操作だけではなくて、法人税の性格の明確化とともに、根本的に取り組まなければならぬという点にあると思うのです。それについて、大蔵政務次官はこの前、大体前向きの方向をお出しになりましたけれども、以上の具体的な内容についてどう思われるか、御答弁を聞いて質問を終わります。
○上村政府委員 先ほど申し上げましたとおり、大方針というものにつきましては、税調も示しておりますし、先生もいろいろおっしゃっている、このことはその方向で前向きに検討していくということになると思います。ただ、この利子の場合あるいは配当の場合におきましても、いろいろ長く定着しておりまする制度でございますので、これがどういうふうに現実に影響していくだろうかということにつきまして、慎重な配慮をしなければならぬと思うわけでございますので、来年のものにつきまして、来年の期限切れまでに、もちろん税調のほうの御意見もよく承るとともに、大蔵当局としましてもその大方針を踏まえまして前向きに検討していきたい、こういうわけでございます。
○広沢(賢)委員 やめようと思ったんだけれども、その定着ということが気になったから、もう一つ聞きまするが、定着していると言われましたけれども、さっき言ったのは、税調のいろいろな答申でもいまの配当のいろいろな問題について、二重払いの問題については、わかりにくい、理解してないと言うんですよ。だからこれは定着してないということなんですよ。利子も貯蓄の増強と関係ないと答申も言っているんだから、これも定着してないんですよ。だから、定着している、定着していると言って、五、六年越しに定着しているか定着していないかでやっている。だから私は今度要求します。定着しているというのはどういうように、金額的にどうなっているかということを出してくれなければ、定着しているかしていないかでもって、また議論を蒸し返してはだめだと思います。だから、全部根本的に改革をするんだということを言わなければだめですよ。今国会でそれを言わなければ絶対通せない。
○上村政府委員 いまの、定着ということばがどうも私、深い意味で申し上げたわけではない。長く続いておった、こういう意味で御了解を賜わりたいと思います。
○広沢(賢)委員 長く続いているといったって、何百年続いているほどじゃないですよ。そうじゃなくて、シャウプ勧告のときにいろいろなことをやってきた。その前のときはこうだった、二、三年はこうだったということなんですよ。ちっとも長く続いているんじゃないですよ。やってみなければ、期限が来てみなければわからぬと言うけれども、やってみなければわかりませんよ。だから、今回が一番いい機会だから前向きに抜本的改正の方向に努力する、これだけお聞きすればいいんです。
○上村政府委員 先ほどから再三申し上げておるわけでございますが、大方針に向かって慎重にひとつ前向きに検討しよう、こう言っているわけです。その慎重の理由を先ほど申し上げたわけでございます。
○広沢(賢)委員 終わります。
○田中委員長 堀昌雄君。
○堀委員 いま、広沢委員がちょっと利子所得の問題をやっておられましたから、引き続き私のほうも利子所得に関係があるんですけれども、ちょっと主税局のほうから……。いまの政務次官の御発言にもあったわけですが、あまり古いことを言ってもしかたがありませんから、昭和三十六年からこの利子分離課税の源泉徴収率がいろいろと変わってきた。ですから、その変わったところを三十六年から言ってもらいましょうか。
○吉國(二)政府委員 三十六年には、御承知のとおり源泉徴収率は一〇%、三十四年に御承知の長期貯蓄の課税が復活いたしましたから、全体について一〇%になったわけでございます。三十八年には、御承知のように国民貯蓄組合を廃止するということがございましたので、全体貯蓄に対する課税がふえてしまうということから、少額貯蓄という制度を起こすと同時に、源泉徴収税率を五%に下げてしまったわけでございます。四十年に五%を一〇%に引き上げました。さらに四十二年に一〇%を一五%に引き上げましたが、その五%を一〇%に引き上げた時期には、同時に非課税所得の限度を五十万円から百万円に上げております。それから四十二年に十五%に上げましたときには、一種類一店舗の原則をはずしております。そういう経過でございます。
○堀委員 いまお話しの少額貯蓄の問題と、それから利子所得の問題の動向については、これはひとつ資料をお出しいただきたいと思うのですが、その資料の出し方は、大体いまの少額貯蓄免税五十万円、百万円、それから一店舗からそれを広げた場合における一口百万円以下の貯蓄というものは総体としてどういう変化をしたのか。一口百万円以上の貯蓄については一体どういう変化を貯蓄総量でしたのか。これは日銀の統計月報をごらんになればかなり詳しい資料がありますから、それをもとにして、三十六年の切りかわりの時期でけっこうですから、切りかわったときに、一体あなたのおっしゃった定着というような表現、それにかかわりがあったかどうかは、あなた方としてやはり挙証する責任があると私は思うので、これは銀行局に求めないであえて主税局からその資料の提出を求めます。これが一点でございます。 そこで、実はこの間、私、予算委員会でこの利子所得分離課税の減収額の問題を質問いたしました。昨日は北山委員からも少しこれにお触れになったようでありますけれども、今度お出しになった四十四年度の減収見積もりは四百七十億円ということになっておりますね。私は、この問題は資料の関係から四十一年分の二百七十億の問題を取り上げたわけでございますが、四十二年が二百三十億、四十三年二百六十億、四十四年四百七十億と、ここで同じ一五%の源泉徴収率で二百億ばかりふえたのは、これはやはり私が指摘をいたしましたようなことに関係があったのかどうか。その辺をちょっと最初にお答えをいただきたい。
○吉國(二)政府委員 指摘されたことに関係があったかどうかという御質問でございますが、実は同じようなことをやっておったということなんであります。つまり、堀委員が四十一年を検討されまして、それは確かに正当な御検討だと思いますが、その基礎になったものは国税庁で出しました貯蓄課税実績、実は私ども四十一年を計算するときは、いま御指摘になった四十年に源泉徴収率が一〇%に上がり、反面少額貯蓄が百万円に上がったものですから、ここでどっちに流れていくかという判定が、当時実績も何もないものでございますから、非常にむずかしくて、私どもはややこういう措置が効果があると考えたのか、少額貯蓄に非常に流れるように計算したわけでございます。その結果として少額貯蓄のほうがふえまして、残りの課税利子のほうが減ったものでございますから、そこであそこにあれだけの誤差が出たわけでございます。その後に、四十二年も四十三年も、少額貯蓄実績というのが今回初めて出たわけでございますので、それで影響されておりました上に、四十二年にはまた多種類、多店舗をやったものですから、それからさらにまた流れるであろうという推定をいたしましたので、少額貯蓄は非常に大きくなって、逆に非課税貯蓄が減ってしまったわけです。ことしあの実績をつかんだものでございますから、その実績からまた読み直しをやった結果、四百七十億という数字を使い、少額貯蓄については四百三十億というふうに実績より落としたわけでございます。ちょうど堀委員が指摘されました四十一年度が四百七十億ぐらいに私どもの計算でもなりますが、その当時は一〇%であったわけで、一部五%が残っておりましたが、現在はそれが一五%になっておりますので、軽減範囲が減りましたので四百七十億という数字になっておりますが、当時のような計算でほぼ匹敵するような数字になっておると思います。 これは実は私ども、あの当時準備しておった数字でございますが、堀委員の御指摘がまさに同じところを御指摘になったわけで、そういう意味では推定の間違いはあった、あまりに少額貯蓄に流れるということを大きく見過ぎたという誤りは確かにございます。その点をことしから訂正したということでございます。
○堀委員 私も誤りを訂正していただければけっこうなんですから、私の所期の目的は達せられた、こう思うのですが、そのときに私の推定が正しかった場合には、その推定のルールを――これは何も利子課税に限らずに、要するに租税特別措置という問題で減収額が出されている限りは、私どもはかねてから減収額というものがはたして正しいのかどうかという点については多大の疑問を持っておりましたから、たしか昭和四十二年のときだったと思いますけれども、主税局に対してルールを出してもらいたいという要求をいたしましたが、実は言を左右にしてなかなか出していただけなくて、たいへん粗末な、私のように統計を趣味にしておるような者から見ますと、子供だましのようなものをお出しになったことが実はあるわけです。ですから、私は一ぺんどこかでこの減収額をきちっと当たって、ひとつ問題を提起したいと思っておったので、たまたま年報を見て、きちっとした推計をするということでやってみたわけなんで、これについてはだからあの委員会で申し上げたように、これは推計でありますから、いろいろな前提を置かなければできませんから、こういうふうにしてやっておりますという前提を出していただけばいいことで、私は特に企業の秘密に属するようなことでもないと思いますので、総体的推計でありますから、特に企業の秘密に属する部分は、これは秘密の資料がここに入っているなら入っているでもよろしいし、ルールを明らかにしていただくお約束を私は大蔵大臣と予算委員会でしておりますから、これはいつ出していただけるのでしょうか。
○吉國(二)政府委員 何しろこれをやりますと、こんなたいへんな資料でやっておるわけでございますから、サムアップしたものをとりあえず大至急印刷をいたしましてきょう御提出するはずであるわけでございます。じき持ってきて御配付申します。
○堀委員 こんなにあるやつを印刷してもらうのじゃたいへんでしょうから、サムアップしたものでけっこうですが、それを見て、私どもが疑問を生じたときには、これの中の当該部分は私どもの要求に基づいて持ってきなさいというのもあれだから、私かだれかが主税局に行きますから、見せていただけますね。
○吉國(二)政府委員 中には秘密の資料もございますので、個別にごらんいただくということにしていただけば――と申しますのは、実はこの間も何か計算例を示せというお話があったので、私自身もこまかい計算まで知らないものですから聞いてみましたら、たとえば輸出割増償却とか市場開拓準備金などになりますと、いつも申し上げている大法人調査の際に、これは収入に使うだけだということで調べたわけでございますが、そのときについでに聞いてきて、それを基礎にしていろいろな推定をやっておるわけです。そういうものになりますと、実は最後の推計額というものしかお示しできないということになっちゃうわけですね。そんなこともございまして、個別にごらんをいただく分には、その点お約束をしながらやっていただくということでやっていただきたいと思います。
○堀委員 私がいま前段ですでに、企業の秘密に触れることはと、こうお断わりしておるのは、私どもは個々の企業の秘密を知りたいと思ってこれを言っているわけではありません。ですから、要するにそれは大企業なら大企業総体として、皆さんのほうは個々に調べたのでしょうけれども、個個のものを土台にして計算しておるのではなくて、一応そのジャンルならジャンルのものを集めて、そうしてそれを集計したものがベースになってくるのだから、その集計されたものは企業の秘密じゃないのですよ。企業の秘密というものは当該企業そのものの出しておるのが企業の秘密であって、すでにそういうふうにトータルされたものはもう秘密ではなくて、統計資料でありますから、その点は明確にして、ではひとつ個々に見せていただくということで、この問題は一応私の所期の目的は達せられたことになりましたから、その点で終えておきたいと思います。 その次に、実は私、この前所得税のときに少し議論が落ちておりましたので、きょうちょっとお尋ねしておきたいと思うのは、予算委員会で私がやりました中に、源泉徴収を受ける納税者と申告をする納税者との納税のパターンによるところの利子額の損失、要するに経済的損失という問題を表からだけやって、実は時間が十分になかったものですから、そこまでにとどめておいたわけですが、ちょうどきょうは国税庁長官に出ていただいておりますから、これはあなたにかねて御連絡しておったこととやや違うのだけれども、いまの所得税の、事業所得、それから農業所得その他の、給与所得以外の申告所得者の徴税費用というのは、一体一年に――ざっとでいいですよ、もうそれこそざっとの、ラウンドナンバーでいいですが、どのくらいでしょうか。
○亀徳政府委員 実は先生のそういう御質問があるということで準備して、ただいまその資料を持っておりませんですが、全体の徴税費はことしの予算で百円当たり一円四十銭台でございます。源泉は三十八銭ぐらいでございましたですか、四十銭か、それから平均が一円四十八銭でございますから、いわゆる申告所得税のその他の分は当然平均よりも相当高まっておるという程度で、資料を準備しておるのですが、ちょっといま持っておりませんけれども、もちろん源泉徴収のほうの徴税コストはたいへん安いということは率直に申し上げられるかと思います。
○堀委員 そこで私、実はこの間利子額だけを計算してみると、四十一年分で七十四億ぐらい源泉所得納税者は損している。利子額だけで総体的に見たら損しているという問題を出したわけですね。これをひとつ国税庁と主税局のほうで公平に並べてみて――公平に並べてみてということは、いまの徴税費の問題を抜いて私、議論しておりましたからね。 〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕 そうすると徴税費分だけ、源泉所得税の人は非常にサービスしていることになるのですね。要するに申告納税者と比べた場合、源泉所得の利子分だけ税金で持っていかれちゃって、私がそこで指摘をしたように、申告納税者と同じように七月と十 一月に前年分の三分の一ずつを納めて、それであくる年の三月十五日、確定申告のときにその年分のものを納めるという計算をして、郵便貯金の普通預金の利子で計算をしたら四十一年分の源泉納税者については七十四億円の損害がある、こういう計算をした話をしたわけですね。ですから、そこで私は源泉所得控除のような何らかの方法を講じるべきだ、こう言ったわけですが、そのもう一つ裏に徴税費の問題がありますから、それを、いまの四十一年分ぐらいでけっこうですから、徴税費としては事業所得者には一体幾らかけて、そしていまの源泉所得者には幾らかけているか。そしてその差額だけ――これまた実は国のほうは非常にうまくやっているわけですね。事業所得者、農業所得者というのは把握率が悪くて、税金が十分取れていない。その取れてないやつにずいぶん金をかけて、なおかつ取れてないのですね、私に言わせると。だから、徴税費をそんなにたくさん使っているのなら、それなりに、それと見合う徴税分は負けてもいいのじゃないか、私に言わせれば。どうですか。筋道としておかしいと思いますか。
○亀徳政府委員 率直に申して、さっきの利子税分の話は理論的に合いますが、徴税費コストで得した損したという議論は、私は率直に申して、先生の理屈には賛成できないと思います。そこで私は、やはり徴税コストが得した損したということではなしに、いわゆる所得税全体の、私はいつも――いつもって、よく納税者の声を聞く旬間その他で申し上げておるのですが、サラリーマンというといかにも源泉徴収グループ、それからそれ以外は申告所得者グループというのはたいへん間違いでございまして、全体は、あるのはただ申告納税制度があるので、サラリーマンといえどもたまたま一カ所からしか給与をもらってなければ、しかもそれが五百万円以下であれば源泉徴収でよろしいという制度であって、これだって二カ所からもらえば当然申告納税してもらわなければいかぬ。これは先生よく御存じのところなんですが、その辺がちょっと理解が不十分なので、ちょっと申し上げさせていただきます。 徴税費、私はそこが安いからどうこうということよりも、やはり与えられた税法では、正しくその税法どおりいかにして執行されるかということが問題だと思うので、したがって、やはり源泉徴収のところに、われわれ以下五万の職員がおりますが、そのほとんどのところが源泉の監査もやりますけれども、大部分はやはり事業所得あるいは法人――大法人も含めて、やはりそこで漏れがないようにということで全力をあげているわけで、徴税費コストが安いからその分返せとかいうことは、率直に申して、先生からそういう言を聞くのは残念でございます。
○堀委員 亀徳さんがたいへん巻き返しの議論をされたのですが、これも庶民感情の話なんですけれども、やはり源泉徴収というのは、税務署は全く労しないのですね。まず源泉徴収者をきめて、徴収者は支払いを受けた者から取って、それをその徴収日の月の翌月の十日までに納めろ、もしそれを遅滞したら幾ら取るぞ。だから、言うなれば、税務署はすわっていてもさっさっと入ってくるわけですね。国としての話、手数かかってない。あなた、自分で税務署の責任のことばかり考えているから、そうすると、あなたのような議論もあるかもしれない。私はそういう考えじゃなくて、国民と国との関係でものを言っている。そこで、国民から見れば、要するにストレートにまるまるの税金を、国は手数料も使わないでさっと持っていくけれども、片や事業所得になったら、国はずいぶんな手数料をかけて、なおかつ十分に取ってないという疑問は、私はやはり給与所得者の側から見ると、バランスがとれておらぬなということになると思うのです。だから、これはそういう意味では庶民感情だ。利子も庶民感情。だから、私が言いたいのは、そういうものを含めて源泉徴収所得控除という制度を考えなさいというのが、この間の予算委員会の問題提起であって、まあこれは総理が、それはひとつ考えましょう、こういうことになっていますからいいのですけれども、その場合に、その利子の分だけを土台にしてもらうと誤解を生ずるから、ひとつその基礎になる資料として、いま私の申し上げた事業所得、申告納税所得者――個人所得ですよ、法人その他は別ですから、個人所得の源泉以外の申告納税所得者に対する徴税費というものは、それはマクロのことですから概算でけっこうですが、昭和四十一年分については一体幾らぐらいかかっておったかをひとつ資料としてちょうだいをして、そういうものをもとにしていまの私の源泉徴収基礎控除といいますか、所得控除というような制度をひとつ新設をしてもらいたいということをちょっとつけ加えておきたいと思います。 それから、実は例年は五月にやることなんですけれども、私、最近金融機関の店舗を歩いて感ずることですが、昭和四十三年一月一日から御承知のように当委員会でいろいろ論議をいたしまして、架空名義預金をやめるということについて、各金融機関はそれを表示をいたしておりましたけれども、最近、私の歩いておる金融機関でこの表示があるところが見当たらなくなった。ほとんどの金融機関でこの表示が見当たらなくなった。そこで第一点は、銀行局にお願いをしたいのは、これはきわめて改善をされてなくなったのであれば、これは表示の必要はないと思いますが、いまからお伺いをいたしますが、どうもそうではないので、ひとつ都内の全金融機関を一ぺん銀行局で調査をしていただいて、出ていたところはどことどこか、それをひとつ報告を当委員会にしてもらいたいと思うのです。要するに、もしあれがなければ――あるから架空名義というのはしちゃいけないのだなということになりますが、それは私、この前ある店舗で聞きましたら、去年の三月だったのですが、もうないわけです。この前来たときにあったけれどもそれはどうしたのですかと言ったら、二月まで出しておりましたけれども、大体あれでわかったと思ったので引き下げました。店内には振替だとかなんだとかいろんな自分の銀行のもうかりそうなことのための手段方法は一ぱい展示してあるにもかかわらず、われわれ最も肝心な問題だと思っておる架空名義預金をやめましょうというやつはもう三月にはなかったというのが、実は昨年の実情なんです。 ですから、どうかひとつ早急の間に全金融機関の店舗を調査をしていただいて、元簿としてはどこどこ銀行何々支店にあったとかなかったとか、東京都内のやつを一覧表にして、私は求めませんから、あなたのほうはきちんとそれを元台帳をつけて、今後毎年上期、下期ぐらいにはそれを点検をして、一ぺんその実行状況を確認をしていただきたいと思うのです。やはり私は、大蔵省なりそういう金融機関等がものをきめたら、実効があがらないのにそのまま放置しているなんということになれば、これはわれわれの問題を決定した権威に関するという感じがいたしますので、その点ひとつ銀行局長からお答えをいただきたいと思います。
○澄田政府委員 この場合は金融機関の申し合わせもあるわけでございますし、仰せのとおり、一度きめたことが実行されないということは、これははなはだ遺憾なことでございますので、実はこの点につきましては御指摘もございましたし、昨年検査の場合の重点の一つといたしまして検査をしておる。各店舗に臨検検査をいたします際に、その掲示の状況並びに架空名義が実際にどういう状況になっておるかということも、検査の際把握できる点は十分把握せねばならないということで、検査の方針もそういうふうにしてやったことでございます。それが昨年の八月ごろからいたしております。さらに昨年九月に、全国銀行協会のほうにやかましくある程度私どものほうから申しまして、再度協会から加盟各金融機関に対しまして、掲示の徹底と、その掲示を出す場所の適正化――目のつかないような、実は表向きではなくて裏側のほうに出ておりましたというはなはだけしからぬ例を発見いたしました。行員側に向けまして、中のほうに張ってあったという例もありました。これでは何にもなりませんので、目のつきやすい場所、たとえば預金のカウンターのところに、必ずしも掲示でなくても、こういう横の表示というようなものも考えられるわけでございますので、そういうところに必ず掲出することとする。それから、いまいろいろと御指摘があったわけですが、それを掲示する期間が、本年一月から向こう一カ年を予定していたが、明年一月以降も引き続き当分の間掲示を続けることとする。――ということは、四十三年一年間やるということであったが、それでは不徹底であるので、四十四年も引き続いてやるようにする。こういう実は全国銀行協会からさらに加盟の金融機関に対する趣旨の徹底をいたしておるわけであります。 ところが、その後の状況でありますが、一時姿を消したのが、またこれを見て出てきたというような面もございますが、まだ不徹底なところは確かに仰せのとおりあるだろうと思います。 いま言われました都内全店舗についてこれを調べるというような点につきましては、実行方法等をちょっと検討さしていただきますが、しかるべき時期に――もちろんなるべく早くという意味でございますが、しかるべき時期に実際の状況を一度われわれも十分徹底して調査をいたしまして、趣旨の一そうの徹底を期したい、かように思います。
○堀委員 おっしゃるように、私ども、たいへんそれは金融機関としてもむずかしいことだと思いますけれども、しかし、これまでずっと――さっきも広沢委員が主税局長とやっておりましたけれども、私はいま特に求めておるのは、架空名義のほうを先にして無記名はまだ残しておるわけですね。一ぺんに両方やれといえば、なかなか制度上の問題もあるからと思って、一番適正でないところの架空名義をまずきちんとして、それがきちんとできるようになったら、その次には無記名もそういうことで処理していきたい。やはり財産を秘匿しなければならぬなどという発想は、それはわれわれの貯蓄がきわめて少ない時期にはそれであってよかったと思います。しかし今日、四十三年の総貯蓄量は、法人預金も入っておりますけれども、各種を計算して大体五十八兆円ぐらいにいますでに国内における総貯蓄はなっているわけでして、貯蓄が伸びることは必ずしも私も反対はいたしませんけれども、前のように貯蓄の問題を、あらゆるそういうデメリットがあってもなおかつ貯蓄という時期は過ぎた、私はこう考えておりますので、その点は銀行局のほうで特にひとつ留意をしていただきたいと思います。 そこで国税庁長官に、ちょっと時期としては今年の三月までの調査ということにならないと思いますけれども、その後の皆さんの反則の事案から出ておりますところの、いまの架空名義預金その他に関する状態をひとつ御報告いただきたいと思います。
○亀徳政府委員 お答え申し上げます。 ちょうど時期が、いま先生おっしゃいますようにちょっと早いもので、四十三年四月から四十四年一月の間に告発いたしました六十六件の分について御報告いたします。なお、これは先生もよくおわかりのことかと思いますが、査察という非常に特殊な事案に向けたものの数字でございますので、全般を推しはかるということには若干問題があろうかと思います。 この中で要するに、税務の調査のときに表へ出たものと、それから裏へ隠したものを便宜別口預金、こう申しますと、全体を一〇〇といたしまして公表預金といいますか表に出たものが二九・三%、それで別口でありましたものが七〇・七%、この趨勢というのは昨年とあまり変わりがないような感じがいたしております。 〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕 問題の別口預金の中で、先ほどの七〇・七%という中で、実際の実名といいますか、本名でやる実名預金と無記名預金と、それから先ほど先生おっしゃいました架空名義の預金と、この三つに分けましてウエートを見ますと、実名預金が二%でございます。それから無記名預金が三八・八%、それから架空名義が二九・九%。それで、これは期間が違いますが、昨年のあれでは全体の別口預金のパーセンテージが約六七・一%で、そのうち無記名が二二・七です。架空名義の分が四二・七%でございましたので、これが全体の傾向を示すかどうか知りませんが、架空名義が減って実名なり表へ出るのがよけいということは、この種のものでございますからわかりませんが、何か一応数字では架空名義が減って無記名がふえているという姿になっております。
○堀委員 実はこれは、御承知のように四十三年の一月からこういう問題をスタートさせておりますから、この四十三年四月からの反則の事案の件数というものの反則を起こした時期は、おそらくもうちょっと前の時期のものが――四十二年四月から提起をされてておりますから、もう少し先になってみないと、実はこの架空名義預金の、私どもの問題提起をし、それが処置をされてからあとのデータというものは、詳しくはやはりもう一年ぐらい先になるのじゃないかと思います。データとしてはそうなると思うのでありますけれども、実現の姿としてはこういうことでやや減ってきたというより、傾向は今度は架空名義から無記名にいまシフトしつつある、こういうことだと思いますね。 ただ、私は無記名のほうがまだ架空名義より多少ましだと思っているのは、無記名というのは金融機関が、だれが預けたのかということは知っているわけですから、これは知らないでは無記名ということにはなりませんから、その点はまだ調査にたえ得るという点で、架空名義よりは、よろしくはないけれども、まだましだということできているわけですが、どうかひとつこの問題については銀行局のほうでやはりフェアな――いまいろいろと効率ある競争というのを奨励をしておるわけですけれども、効率ある競争というのはやはりフェアなことをやらせるということが土台にないと、フェアでないことをもって自分たちの預金量をふやそうなどということは、これは私は論外だと思いますから、十分この点に注意をして、ひとつさっきお願いをした調査を行ないながら金融機関側の注意を喚起していただきたいと思うのです。 実は、この四十二年度の問題について少し調べてみたところでは、こういうのはわりに都市銀行にウエートが高いのです。都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、その他というふうな分布でこれらの調査をしてみますと、実は都市銀行が約四〇%以上ということで、その他の金融機関に比べて著しく高いので、やはり私は都市銀行というのはもう少しきちんとしてもらわないと困るのではないかということを特に感じておりますので、ひとつその点を申し添えて、節度ある貯蓄ということを励行するように指導していただきたいと思いますが、その点についてもう一回だけお答えをいただいて、この問題は終わりにしたいと思います。
○澄田政府委員 ただいま仰せになりました銀行のビヘービアとして、ことに競争原理というようなことで適正な競争を通じて体質の改善、コストの低下をはかっていく場合の競争条件というものはフェアでなければならない。まことにおっしゃるとおりだと思います。私もこの点は全く同感でございます。金融機関の種類によって、架空名義のほうは統計はないわけでございますので、無記名預金の総預金に対する構成割合等見ますと、たとえば四十三年の九月で見ますと、都銀が総預金の二・七%、地銀が二・三%、相互銀行が二・一%というような数字になっております。こういうところを見ましても、地銀よりは都銀のほうが高いという傾向がうかがわれます。匿名預金についても、あるいはそうではないか、かようにも思われます。その一番大きな実力のある、と申しますか、資金量的な意味においてでございますけれども、まあその影響というのは金融機関の中では非常に大きなわけでございますし、そういう意味からいっても、都銀のそういった点について態度を正すということも非常に必要だろうと思います。地銀等は非常に相手と地域的に結ばれているというような関係もあって、というようなことも多少あるかもしれませんが、そういうことがあるからといって都銀が非常にそういうことを広くやっていいということには毛頭なりませんので、おっしゃるような点も十分注意してまいりたい、かように存じます。
○堀委員 いまの問題はそこで終わりますが、まあこれまで多くの委員から、分離課税の問題、それから証券の源泉選択の問題は議論をされてきておると思います。そこで私は、源泉選択の制度ができてしばらくは、しかしちっとも株価などに影響はなかったのですね。そうして、今日比較的株価の情勢がよくなったのは、これもさっき広沢委員が言われておりましたけれども、実は税金というのは結果に対する問題でありましてね。それの、何といいますか動機、モーメントになる部分は、税金が安いからやりましょうというようなことはあまりモーメントになっていないと思うんですね。これが第一点。 それからもう一つは、これはやや銀行局の肩を持つようになるのですけれども、少額貯蓄非課税制度、これが一店舗の場合には非常に処置が簡単だったと思うのですけれども、数店舗これを認めることになって、そして課税上の問題で税務署が処置をし始めると、金融機関側はたいへんな実は労働をいま負担しているということをわれわれは耳にするわけです。というのは、何年も前のその人の所得についての状態を拾い出さなければならぬ、こういう問題が起きているわけですね。これは私はもうここまで貯蓄の状態が来れば、小額非課税の必要もないし、もう利子の分離課税の必要もないし、もう貯蓄は一ぺんすかっと筋を通して、両方とも私はやめるべきではないのか、こう考えておるわけです。もう少額貯蓄を残して利子分離課税だけはやめようという、そういうこそくな手段はとるべきではない、両方とも一挙にやめたらどうか。それから、これとバランスをとっておる証券の源泉選択もやめたらどうか。 そうしますと、ことしで概算、皆さんのほうでお出しになったやつで――生命保険料控除というのは、これは多少ものの性格上考えてもいいんじゃないかと思いますが、少額貯蓄と利子所得と配当所得、これを合わせると減収額が約千三百億近くになりますね。だいぶ正確になってきましたから、千三百億。そうすると、私はこれを一ぺん全部やめちゃって、そのかわりその千三百億の財源はひとつ累進税率の緩和に大体使いましょう。そうすると、要するに結局、一ぺんそれを取り上げますけれども、それは個々の人の中がどうなったかわからないけれども、しかし、ある程度累進税率全体を軽減することで国民全体に返すことになると思うんですね。これはたいへんだから、そういう意味ではうちの党の方針としては、少しなまぬるいという評価になるかもしれないけれども、考え方としては、それなら文句ないじゃないか。どっかに返したんですからね。これまでまけてやっていたやつを取るぞ、取った金は国民に全部返しました、大体その返し方は、少し皆さんがどういうかっこうのところで減税処置が行なわれておったかということを計算して、またおおむねそれに見合うような無理のないかっこうの処置をする。そうして、私がこの間当委員会で提起をした、源泉の横の部分を広げるというような処置があわせてとられるならば、これが私は国民的な納得がいく。こういう特別措置廃止のチャンスではないのか、こう思いますけれども、これは政務次官どうでしょうか、やや政治的な問題になりますけれども。
○上村政府委員 要は、先ほどもいろいろと先生のほうからの御質問もあったわけですが、抜本的に基本的に考え直す時期に来ていやせぬか、いろいろな諸情勢が。そういうことでそのことにつきましては、私もいろいろとそういう気がするんですね。ですから、大方針によってやるべき時期に来ておる。が、しかし、いろいろと税制でございますし、それからその体系もございますし、影響力もございますので、慎重に考慮するけれどもが、もういろいろと検討する時期になってきておるであろう、こういうふうに思うのでございます。
○堀委員 私は、いま政務次官もそういう根本的に考えるべき時期に来ているとおっしゃるので、これ以上申し上げませんけれども、これは主税局長、あなた方はどちらかといえばやはり税の公平の原則を守るという側だと思いますからね、主税局は。だから、これはもうほんとうに真剣に一ぺん考えて、そしていまのすとんと千三百億なら千三百億を一ぺんに取り上げて増税するという――結果として増税になりますからね。これは特定の者に対しも増税になるから、それは返しましょうということなら、常に自然なかっこうで処理ができるし、望ましいんではないかというふうに、私は、個人的な考え方でありますが、考えておりますので、何はさておき、要するに税制の公平化ということがこれはもう税の根本原則ですからね。この点について主税局長としての心がまえをひとつ。
○吉國(二)政府委員 主税局独自の立場で考えております場合に、常に公平化ということを最高の目標にするということは、これはもう皆さんお認めくださっていると思います。もちろん、財政の一環として経済政策その他を税制に導入する場合も、主税局が進んでその政策導入をはかるというよりは、先ほど申し上げましたように、租税政策をかりる場合においてより効果があるということに限定をすべく、努力をしてやっておるわけであります。もちろん、税制が政策の手段に供されるということも、全体の財政の分野として必要だと思いますが、その政策自身を租税の中自身に求めれば、一番高い判断基準は公平であるという点は変わりないと思います。 私どもはそういうつもりで常に努力をしておるわけでありますが、今後、ただいま御指摘の利子配当についても、堀委員の御意見はたいへん有力な御意見だと思ってずいぶん拝聴いたしておりますし、私どももいろいろ考えていきたい、かように思っております。
○堀委員 さっき実は法人擬制説のもとに起こる配当所得控除について、局長はあれはちょっと誤解だ、二百八十万円かまで非課税になるのは誤解だと言われたのですが、実はこれを正式に国会に提起をしてもらったのは、私が予算委員会でやったときに、きょうはここにおられないけれども、山下元利さんが主税局税制一課長でありまして、そうしてこれを正式な資料として出してもらいたい、こういうことで、そのときに正式に国会に提起されたという経緯が実はあるわけですね。 私は、昭和三十三年に選挙に立候補いたしましたときに、実はこれをテーマに選挙運動をやったわけなんです。これだけ不公平な税制がありますよということで。これは、特に私は、唯物史論の観点から見まして、こういう感じがしているわけですよ。要するに私は、徳川幕府時代の日本の封建社会のことを例にしているわけですが、われわれの社会で一体支配する者と支配される者というのはどこへ線を引いたら一番よくわかるかという話を私はするわけです。徳川幕府の時代には、大名からさむらいまでは税金を納めていなかったわけですよ、実は。そこで、税金を納めていないのは、そのときおおむね、支配階級なんですね。そして、それから下の、要するに年貢米を取られるとか課徴金を取られるとかしている者が支配されておる階級だということは、これは私が皆さんに御説明するまでもなく、世界の歴史が証明しておるわけですね。その話を前段にして、そうして後段で、それじゃいま、同じ額の程度で税金を払う人と払わない人がありますよ。皆さんそんなこと信用しないでしょう。しかし、実は配当所得だけを取って働かないで寝ていても収入のある人は、五人世帯ならここまでは税金を払わないで済むんですという話ですね。その人たちというのはそれじゃ何かというと、これは資本家という名前の人だ。そうすると、資本家というのが、いまは税の面ではそういう意味では格別のメリットがある。これは法人擬制説によって起こっているということは、あなた方があとで必ず言いますからね。それはあるんだけれども、しかし、現象面として見れば、いま法人擬制説というものがはたして正しいかどうかについては学説的にも議論がありますし、あなたはやや消極的だけれども、塩崎前主税局長はかなり実在説を確立したいという傾向があったことは、あなたもよく承知をしておるところですね。そういうことで、大蔵省内部でもいろいろ変遷はあったけれども、そういう時代に立って見ると、税金を払わない人というのは資本家という方たちである。これは昔の大名がかごに乗って通ったように、やはりベンツか何かに乗って通っているんじゃないか。この人たちは、そういう配当というものを取れば、働かなくても食えるという点は、昔の大名やさむらいと同じじゃないか。その他の、特に源泉徴収で取られておる者は、まさに被支配階級としては典型的だという話を私はよくするわけです。そういうようなことは、いまは言わなくても済むようにできる世の中だと私は思うのです。 だから、その第一のもとは、この法人実在説に基づいて――いまだれが考えたって八幡製鉄の株主と会社がセットになっているなんということを考える人はありません。同族法人ならわかりますけれどもね。資本金八百億、千億、今度はもし間違ったら新日本製鉄なんということになったら、一体この株主と会社がどういう関係にあるかなんということは、だれも擬制説なんか信用できない段階が私は来ると思うので、少なくとも民主的な社会を確立して経済を民主的に行なうということであるならば、私は、まず法人実在説によって、配当控除というようなおかしな制度を取りやめて、そうしてさらに、いまの利子配当の分離課税というようなことをやめれば、まことに近代社会にふさわしい税制が確立をするんじゃないか、実はこういうふうに考えておるわけであります。まあ、これは税の一つの思想として考えているわけですね。私は、この前も相続税なり贈与税で言いましたけれども、税というのは、やはりある意味でそういう思想の上に仕組まれてこないと、国民は納得しないと思うのですね。国の御都合だとか、あるいは金融機関の都合だとか、あるいは証券会社の都合だとか、そういう事業会社の都合だとかいうことだけが先に出たのでは、これはやはり国民は納得しませんよ。それで私は、そういう一貫した一つの思想の上にこれらの問題も処理をしていってもらいたい、こう思うのですね。 最後に、私が特に触れておる配当控除について、皆さんのほうでは、これは長期税制の中でも論議をされてきておる問題だろうと思うのですが、今後一体法人擬制説、実在説の問題については、主税局はどういう方向で処理をしようとしておるのか、これをちょっと伺っておきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 毎々申し上げておりますが、擬制説とか実在説とかいう思想で税制ができ上がっているとは私は思っていないのであります。事業を通ずる所得というものが、その事業を通じて所得を得る者に対して帰属する場合に、どの程度の負担が課さるべきかという観点からものを考えるべきだと思っております。それをどこの段階でどう配分していくか、それがいまの法人課税の問題であり、配当課税の問題であるというふうに認識しておるわけであります。ですから、一つのアプリオリな理論から出ているというよりは、現実の負担調整、それから現在の全体の仕組み等に基礎を置いて考えられたものじゃないか、かように考えておるわけでございます。 たとえば、この間北山先生にもお答えしたのでございますが、シャウプがあのときあの体制をとった理由といたしまして、日本の今後の経済のあり方として、法人企業というものが発達をしていかなければならない、その場合に、企業から取得される所得というものが、事業形態を異にすることによって最高税率が異なるという結果にならぬように調整をすべきだという考え方をとったわけであります。完全な二重課税排除ではなくて、実は小さいほうは返し切られてないという形にもなる。その後七五%の最高税率ができましてからは、逆に上のほうを切るというような措置もとっております。そういう意味で、結局は負担がどの程度法人を通ずる所得に対して課さるべきかという問題を税制技術上どこに持っていくか。そういう場合に、御指摘のように、国民感情とかいうものも当然考えなければいかぬということはあると思います。ドイツがとった方式は、逆に法人のほうの課税を減らして、個人は完全に課税するという方式をとっています。これも一つの考え方だと思います。フランスは逆に日本のような形をとりました。しかし、今度はイギリスは、利潤税というものを解消して、法人税一本にして、税率全体を低めた、そのかわりに配当控除的な従来の所得控除をやめたというような形をとっておりますから、結局法人を通ずる所得の負担というものをどこに求めるかという考え方で全体の姿を整理していくべきで、何説何説という問題ではないと思っております。 ですから、私は、今後税制調査会で検討していただく場合にも、日本の経済社会の資本形式のあり方その他を考えた場合に、法人を通ずる所得をどの段階においてどう課税するか、それが、先ほど来話のございます、一番お互いに課税しやすく、課税されやすく、しかも適正な課税ができる方法はどうかという観点から考えていくべきだと思っておりますので、いまのところ、私としては、もうあらゆる問題が出尽くしておりますから、それを通じて主税局として知恵をしぼる、最後の答えを出す段階だ、かように考えております。
○堀委員 さっきのシャウプの考えは、もう軽減税率、がたがたになっちゃって、今日あとかたをとどめていないと思うのです。当初はなるほどシャウプの考えたとおりでしたけれども、あっちをさわり、こっちをさわりしてきて、もうシャウプの考え方は一貫してないし、当然改められるところに来ておる。幸いにして政務次官もさっきおっしゃったように、その他のこっちの問題も、根本的に考えなければならぬところに来ておる。あわせて、この問題は、いまの主税局長の答弁を聞くと、これもやはり結論を出す段階に来ている。いつごろ結論が出ますか、主税局としての結論は。
○吉國(二)政府委員 いま税制一課は全力をあげて勉強をしておりますので、できるだけ早く出してもらいたいと思います。主税局もある程度の腹を持たずに税制調査会に臨むわけにいかぬだろうと思うわけでございますが、同時に、税制調査会自身も非常にこの点については勉強を重ねておられますから、相互に意見調整をしながらも、早目に結論を固めたい。四月早々に税制調査会も始めなくてはなりませんので、それまでに早急な結論を一課に出せと言ってもなかなかできないと思いますから、できるだけ早い機会に結論を出すという努力をいませっかくいたしております。
○堀委員 こういうときにはいつも私のやり方なんですが、時間を切らなくてはどうも私、気分が落ちつかないものですからね。そうすると、これは、主税局の結論を出し――四月というのは無理でしょうから五月としても、要するに税制調査会としてはことしの十月か十一月ころまでには、やはりはっきりした、来年度税制に向かってのものを含めて、結論が出るということになるのですか。そこいらを少し……。私は、いつにしろと言いません。あなた方ができる範囲の時限でいいから、時間を切るというのが私のやり方ですから、ひとつ時間を切ってもらいたい。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、長期税制でついに結論を出し切れなかった問題でございます。今度の新しい税制調査会はこの問題を大きな宿題として受け取っております。それで私どもとしては、やはり利子配当特別措置が期限の来るまでに答えを出したいというのがほんとうの気持ちでございますけれども、実際問題として、先ほど東畑会長が言われましたように、かなり思い切ったことも考えておられるようでございます。実体法、つまり商法その他とも突き合わして考えなければならぬというような問題も含まれてまいりますと、税制調査会自身が本年度中に答えを出し切れると、大体私が横からお約束するわけにまいらぬのでございますけれども、見通しとしては、必ずことしじゅうに答えを出していただけると思いますほど時期が熟しているとは、まだいまの段階では考えられない。その方向で出していただくようにお願いもし、努力もいたしますが、場合によっては、この調査会はまだあと二年ございますので、本格的に取り組むまでもう少しかかってしまうということが起こるかもしれません。それはまたそのときに釈明をさしていただきたいと思います。
○堀委員 まあ来年の四十五年という年は、そういう意味では日本の税制上重要な一つの節目になる時期だと思いますので、あなた方もせっかくそういうことで努力をして、税制調査会の皆さんに御協力いただくということをここではっきりお答えになりましたから、どうかひとつ政務次官も大臣とともども、四十五年という年が日本の税制としては公平の原則の確立された画期的な年になるように、今後ともひとつ努力していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
○田中委員長 次回は、明二十日木曜日、午後三時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二分散会