大蔵委員会 第11号
- 発言数
- 201 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/03/14
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林剛君。
○平林委員 私は、きょう給与所得控除の問題を中心にいたしまして、少しこまかいことを尋ねていきたいと思うのであります。 そこで、その質問を展開する前提として、まず給与所得控除につきまして、今回の所得税法の一部を改正する法律案におきまして、その適用範囲を拡大をしておるわけでございますが、この理由を一応御説明をいただきたいと思います。
○吉國(二)政府委員 ただいまの点でございますが、御承知のように、給与所得控除は従来から給与所得者につきまして三つの点を根拠として認められてまいりました。 第一の点は、給与所得につきましては、収入金額に対する課税を前提といたしておりますので、給与収入を得るに必要な経費の控除の規定がございません。その必要経費の概算控除的な意味が第一点でございます。 それから第二点といたしましては、これは古くから考え方としてあるわけでございますが、資産の共働を得ない所得、つまり労働だけの所得につきましては、資産と労働の結合による所得あるいは資産による所得に比べて担税力が低いという点を考慮すること、これが第二点であります。 それから第三点は、給与所得は原則として源泉徴収制度により納付されることになりますので、各月ごとの納付となるために、一般の納税者に比べて若干早期に支払いをしなければならない点を考慮して、その利子相当分を配慮すべきであるという点が第三点でございます。 なお、第四点といたしまして、他の所得者との間の把握の程度が違うという点があげられることがございますけれども、その点を考慮に入れたということになりますと、ほかの所得者は一〇〇%申告をすれば、給与所得者に対して損になるという結果になりますので、これは税制上矛盾が生じますので、この点は税制上の配慮をしていないというのが従来からの説明でございます。 たいへん長くなりましたが、そこで従来からこの給与所得控除につきましては、給与所得者の必要経費というのが非常にむずかしい問題でございまして、全体の所得水準が上がってくるにつれて必要経費の部分もふえるという前提でいろいろの改正をやってまいりましたが、特に昭和三十六年度以降、最低必要経費を配慮するという意味で定額控除制を置いてまいりました。最初一万円であった定額控除が、昨年の改正によって十万円にまで達したわけでございます。その結果といたしまして、頭打ちは平年度で二十八万円とはなっておりますが、低額所得者は、十万円を一律に控除できる、最低控除ができるわけでございますので、たとえば五十万円の収入金額の場合は、この控除率が三六%、百万円の収入金額の場合は、二七%に達することになったわけでございます。そういう意味では、現在百万円以下の収入金額の給与所得者というのが八割近くも占めておりますので、大体その辺の所得者に対しての定額控除としては妥当なところと考えられますけれども、現在の給与所得控除は、定率控除が百万円で頭を打っておりますために、百十万円をこえる収入金額に対しましては、控除が全然ないわけでございます。現在の状況から見ますると、百万円をこえる所得者が二〇%をこえてまいりましたが、この人たちは、給与がふえても、それに対する控除が全くないという姿になるわけでございます。かたがた、かなり思い切った減税をしたといわれております昭和三十二年の改正の当時は、給与所得控除の限度額を引き上げましたために、当時、その限度額で頭を打った頭打ちの納税者は、わずか二%にしかすぎなかったわけでございますが、その後限度額がさして引き上げられておりませんために、定額控除はできましたけれども、定率控除ができておりませんために、その限度額の頭打ちが次第にふえてまいりました。昨年、若干限度を上げます前には、ついに二八%に達したわけでございます。二八%の人は、給与の収入がふえても、そのふえた分には控除が全然ないという姿が出てまいりました。それが必要経費として考えても、非常に矛盾ではないかといわれているゆえんでございます。 そこで、税制調査会では、今回税制改正をいたします場合に、給与所得者の課税という点において一番問題なのは、やはり百十万円をこえたところの収入金額に対する控除がないという点であります。そのメドは非常にむずかしいわけでございますが、大体三十二年当時の二%程度の頭打ちにとどめる、ほとんど九九%近くの納税者が、給与の収入金額から何がしかの控除があるというところまで控除額を引き上げるべきであるということで、新たに百万円から二百万円までは一〇%の控除、さらに二百万円から三百万円までは五%の控除を設けるべきであるという答申をいたしました。ことしは、この長期答申の内容をすべて実現するには至らなかったわけでございますが、その控除率を半分にいたしまして、とりあえず、とにかく九八%までの納税者には、給与収入に対する控除があるようにということで、今回このような措置をとったわけでございます。
○平林委員 そこで、ただいま給与所得控除の適用範囲の拡大を提案された理由はわかりましたが、問題は、この給与所得控除という制度を設けている理由について、おおよそ三つの観点からの理由をお話しになったわけでございますけれども、この給与所得控除を設けている理由、それぞれの根拠といいますか、内訳といいますか、合理性といいますか、裏づけといいますか、こういうものについてはどの程度お考えになっておられますか。
○吉國(二)政府委員 先ほど私が申しましたように、実際問題といたしまして、給与所得者についての必要経費というものが、具体的にどのものをさすかということは非常にむずかしい問題でもございます。御承知のように、わが国の所得税における必要経費というのは、収入を得るために必要な経費ということでございますので、家事関連費、生計費に属するものは一切控除しない。これは所得税として当然でございますが、そうなりますと、普通の事業者の場合には、いわゆる商品の仕入れとか、あるいは製造のコストに相当するものとか、減価償却、あるいはその他いろいろなものが考えられるわけでございます。また、たとえば租税公課といたしましても、固定資産税というものも考えられますが、給与所得者の場合には、たとえ自分の家に住んでおっても、それは事業を、あるいは収入を得るために必要なものではない。家計に属するものでございますから、固定資産税も租税公課として引くわけにいかないというようなことを考えますと、具体的な必要経費の算定というものは非常に困難でございます。事実シャウプ改正前後にこまかい推計をしてみたわけでございますが、これはあくまでも実額で積み上げをしなければならない問題でございます。数字的に必要経費を積み上げ、あるいは源泉徴収税額の利子相当分を積み上げ、さらに担税力の弱さを積み上げるという計算は、事実上不可能でございますので、結局においては、従来からの控除の連続性を考えながら実際の控除の妥当性というものを概算的に判定をいたしまして、逐次これを内容的に充実していくという形をとらざるを得ないわけでございます。 内訳を具体的にということになりますと、これは実際には内容的に分けるわけにはまいらないというのが実情でございます。
○平林委員 分析はなかなか困難であるということはわかりますけれども、今日勤労所得者を中心にして、他の所得者と比較して必要経費を認めないという点、あるいはこれから私が質問をしたいと考えております源泉徴収制度における問題点などを考えますと、かなり合理的なものを裏づけとして説明することがなければ、今日の勤労者は承知しない、私はそういう段階にあると思うのであります。このことは、しばしば私も指摘をしてまいりまして、かつて大蔵省においても、若干の検討はしたことがあるというお話を聞きましたから、今日の状態に備え、具体的に勤労所得者全般に対してかなり納得のできるようなものを検討すべきではないかということを提言いたしました。以来二年たちましたが、何かおやりになりましたか。
○吉國(二)政府委員 率直に申しまして、私どものほうの担当者は、そういう試みを何度かやっているわけでございます。ところが、必要経費といものを厳密に解釈いたしますと、なかなかその数字が出てまいらないという事実が実はございます。たとえば必要経費を認めております米国などの実際を見ましても、必要経費として控除されるのは、たとえば通勤費は全然控除を認めないというたてまえをとっておりますが、被服費につきましては、看守とかそういう特定の制服の着用を強制されており、かつ、それがよそでは着られないというものに限って控除するというようなきびしい必要経費の制約をとっておりますが、そういう観点からやってまいる限りは、なかなか必要経費というものは出てこないわけであります。私どももできればもっと具体的な数字で積み上げたいという感じもいたしますけれども、たとえば家計調査一つとってみましても、家計的な費用をずうっと控除してまいりますと数%しか残らない。その数%の中の幾ばくかが必要経費であるということは推定できますけれども、数%をこえないわけでございます。一方、私どもとしてはやはり給与所得控除というものを引き上げたいという考え方も持っております。しかも必要経費というものの概念が確定していない段階で、そういう仮定のもので非常に小さい数字を出すことがはたしていいかどうか、その辺、これは私、率直なことを申し上げたわけでございますが、そういう意味ではいろいろ試みはいたしておりますけれども、ただ私としては、最近勤労者の意識というものが税について非常に高まってまいりました。勤労者が家計についていろいろと記帳などを始めておられるというのは、これは将来非常に大きな参考になるのじゃないかという感じを持っております。そこの中から必要経費的なものを抜き出してみて、大きな分野で計算ができることになると、また一つの進歩があるかと思います。たとえばいまばく然と必要経費といわれている中には住居費であるか、あるいはその他の費用が入っているというふうに見受けられますが、これは事業所得者等についてももちろん認められていないわけであります。減価償却が認められるのは店舗部分だけであるわけであります。住居部分はそれから除いておるわけであります。そういう点で、もしいろいろな数字が出てまいりましても、事業所得等を通じて必要経費と認められるものをとって計算をするということになれば、ある程度の姿が出てくるかと思いますが、これも一つの試みとして私どもも将来期待すべきことである、かように考えているわけでございます。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
○平林委員 その試みに何回もおやりになっておる大蔵省の試算を私どももともに検討して将来あるべき姿を見出すというのは、やはり共通の国民に対する義務であり、勤労所得税を課せられている人たちに対して明確なお答えをするのは、あなたたちも仕事かもしれぬが、われわれも職務です。そこで試みに何回もおやりになっているものは本委員会に素材として提出できると思いますけれども、いかがでありますか。
○吉國(二)政府委員 ごもっともなおことばでございますけれども、これはいわば担当者が一つの将来の必要経費を見出すためその他を考えてやっているものでございますから、個人的な範囲の資料が多いわけでございます。そういう意味では、実際の姿をあらわしてもいないし、かえってミスリーディングなものになるかと思います。むしろ私ども今後考えていかなければならぬのは、必要経費というものをどう規定していくかということについての研究をそういうものを通じてやっていくことではないか、この点を厳密にいろいろ考え合わせて必要経費の概念をまずきめて、それによって一般的な調査をするということが次の段階ではないかという感じもいたしております。そういう意味で、非常に個人的な資料なものですから、公に御論議願うものにはちょっとならないと思いますので、いままでの検討の分はちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
○平林委員 いや、そうはいかないのですよ。個人的資料といいましても、大蔵省の直接担当者がお調べになっておるのは、やはり一般の国民の個人的資料とは違うわけです。その衝に当たる専門的職務にある人たちの資料は、それが検討に値するものであるか、あるいはそれが結論を導き出すときに困難なものであるかは別にいたしまして、やはりお互いにそれを出し合って検討し、必要な結論を出し、今日勤労所得者が抱いている不満にこたえていくということは必要なことだと思うのですよ。不備なものであるということは承知しております。そしてまた、それがまだ現段階におきましてはそこからすみやかに結論が出るものでないということを前提に置いても、この問題はしかるべき機関、すなわち大蔵委員会において検討の素材に乗せて、少しでも前進し、期待にこたえるものだ、こういう意味から、たとえそれが個人的資料であるといたしましても、権威ある大蔵省の個人的資料といたしまして、やはり出していただきたいと思うのです。これは二年前にも私は注文をしたわけです。お互いに研究しようじゃありませんか、そういう意味で御提出をいただきたいと思うのです。
○吉國(二)政府委員 これはいろいろ非常にごもっともなお説と思うのでありますが、実はその個人々々のやっておりますものは、やはり一つの概念規定がはっきりしないままやっておりますので、そういう意味ではなお本格的な検討を要するものであるので、かなり自信を得たところで、一ぺん公開の場に出したい、かように思っておりますから、いまの段階の原始資料はしばらく御猶予を願いたい、かように思います。
○平林委員 このことは、私は今日当面する税制の中で最も多くの勤労所得者が注目をしている問題であると思うのであります。したがって、この取り扱いは真剣に、委員長、理事の間におきましてもこの取り扱いをきめてほしいと私は思うのであります。委員長、どうですか。
○毛利委員長代理 理事会で相談します。
○平林委員 そこで、この取り扱いは委員長のおはからいによって理事会でひとつ検討していただきたいと思います。しかし、いまお話がありましたように、問題は給与所得者の必要経費というものの概念をきめていただく。そこで私は、いささかその問題についてこれから一問一答でこまかく、これは必要経費にならないか、これはいかがなものであるかということを、あなた資料お出しにならない以上は、私の質問に一つ一つ答えてもらいたい、こう思っておるわけであります。そしてその議論の中から必要経費の概念というものを定めて、多くの勤労所得者の期待にこたえて不満を解消していくという作業をしなければならぬ、これはわれわれの任務だと私は思っておるわけであります。 そこで、少しお尋ねをいたしますけれども、現在の給与所得控除の中には、まずこの柱として考えられておる三つの中で、源泉徴収制度による把握率と他の所得者との権衡の問題が一つあると思うのであります。これは先ほど四番目くらいにお話しになった点でありますが、世の中には九・六・四とか十・五・三とかいいまして、これをそのまま認めるかどうかはなかなか正式の場ではむずかしいと思うのでありますが、本会議では内閣総理大臣は明確にそれを言っていますね。本会議の質問で、農業所得者に対して今日の課税はどうだと言ったら、総理大臣は、いや世の中には九・六・四、十・五・三ともいわれておりまして、農業所得者は勤労者に比較して九・六・四でいえば四くらいに該当している、それで決して不当な扱いをしておるわけではございませんと、言いわけの材料にお使いになりましたね。これは内閣総理大臣そのものもこのように現実の問題として九・六・四の存在を認めているのを、私は本会議で、この耳ではっきり聞いたわけでございます。内閣総理大臣お墨つきの捕捉率の割合でございますから、この意味では明らかに勤労者と他の所得者との間における捕捉率というものは、たてまえ上は別にして、現実の問題としては存在するということが常識化しておる。こういうような点についての積算というのはやったことがありますか。
○吉國(二)政府委員 その九・六・四とか十・五・三ということがわかっておれば、税務署が黙っておるはずがないわけでございます。いわばわからないことを九・六・四と印象批評をしているというのが実情だと思います。したがって、それを税務当局が認めるというのもおかしいし、しかし、世間でそう言っているのを認めないというのもおかしいという、まことにわけのわからない話でございますが、ただ問題は、その点からそれが一体税制にどう反映するかというところが問題だと思います。御承知のように、青色申告者の中には一〇〇%確実に申告している人もあるわけです。もしも税制として、九・六・四を前提として、たとえば給与所得者は六〇%を課税するのだということにいたしたといたしますと、申告所得者は、一〇〇%申告をすれば申告し過ぎということになります。それ自体は法律の矛盾になるわけでございますので、これが法律上に反映するということは不可能であると思いますが、それだけに、国税庁といたしましては、このアンバランスを直すべく従来から全力をあげているわけでございます。一つの方法としては、青色申告制度を助長して、できる限り正確な記帳の上に基づいて申告してもらう。もちろん、その申告が足りないというのを納税者の不正な申告ときめつけるわけにはいかないと私は思うのであります。正確な帳簿がない場合に、わからずに過少申告をしている例がたくさんあると思うのです。そういう意味ではまず記帳慣習をつけるということが申告納税の第一歩であると思います。国税庁といたしましては、そういう意味で気長く努力しておるわけでございます。現在七〇%の事業所得者は青色申告に変わってまいっておる。その青色申告自体も不正確なものが相当ございますけれども、これをできるだけ指導によって完璧なものにしていく、こういうことによって不適当な申告が減少していけばその問題も解消するかと思いますし、納税者のほうは主観的にはいずれも自分の義務として申告納税をしなくてはならぬということは思っておられるわけで、自分の所得に対して正確な把握ができてくるにつれて申告はよくなるべきものだと思います。また制度としても日本とアメリカだけが申告納税をとっている。その点、良心税ではありますけれども、国民全体の自覚が高まれば、本来この問題は解消すべき問題だと思っておるわけでございます。
○平林委員 理論的には私は争わない。現実の問題としてどういうふうに判断するかということは一つの検討課題だろうということを指摘をしておるわけです。 その次に、一般の勤労所得者は、月々、源泉徴収制度によりまして、月給から税金が天引きをされるわけでございます。他の所得者は、三月十五日確定申告を行なうときにその年の課税額がきまるわけであります。これは一年に一度納めるということに相なりましょう。 そこで、たとえば年間二百万円程度の勤労所得を得る者が、もしかりに源泉徴収によらずして、年間一度、三月十五日の確定期に他の納税者と同じように税金を納めたと仮定をいたしますと、その月々天引きをされている場合と比較いたしまして、金額として見た場合にはどの程度の損失になろうか。もちろんそのお金をどういう形でどの程度の利回りで運用するかは、いろいろ算定がございましょう。しかし、平均的な運用をした場合にはどの程度になるかということは、やはり大蔵省は直ちに試算ができょうと思うのです。それらの例を一、二あげてみてください。
○吉國(二)政府委員 一般の納税者の場合は、原則として前年度の所得があれば予定納税をいたしておりますということを前提にいたしまして、それからそれを預金しておったらばという前提で、郵便貯金の利子ということで計算をいたしますと二百万円の給与の収入金額の場合は、前払い金利に相当するものが千七百八十七円という試算をいたしております。これを給与の収入金額で見ますると、〇・〇八九%、税金から見ますと〇・五五%ということになるようでございます。同じような計算を百万円の人についてやりますと、収入金額に対しては〇・〇〇八七%、税金に対しては〇・〇三%ということになりまして、これをさらに大きなところでやってみますると、たとえば五百万円というところでやってみますると、所得に対して〇・二六%、税金に対しましては三・七八%という数字になるようでございます。
○平林委員 資産のない所得、つまり勤労者の所得はまさしくそれに該当するものでありますけれども、労働によって得るところの所得であるという点から見まして、万一病気になれば非常に不安定な要素に相なる。そういうことを考えまして、担税力の強い、弱いということを比較し、このためにある程度給与所得控除というものを考えねばならぬという理由が説明ございましたけれども、これはいまあなた方がお考えになっておる範囲におきましては、どの程度考慮すべきものと判断をされておりますか。
○吉國(二)政府委員 この点は、最初に給与所得控除ができましたとき、つまり戦前に給与所得控除が創設されたときの理由というのは、まさにこの担税力理論だけだったわけでございます。当時は、給与所得について必要経費があるという前提をとらなかったわけでございます。担税力理論だけでございます。当時の勤労者のあり方、それと一般事業者のあり方は、今日では実は若干変わってきているかと思います。 中小企業の方に言わせますと、勤労者のほうが生活が安定しているのじゃないか、好不況にかかわらず給料というものは切り下げられるということはあり得ないし、それから病気をすれば健康保険というものが、国民健康保険に比べて職域保険のほうがはるかにいいではないか。さらに退職をすれば退職所得というものがほとんど確立をされておるし、年金判度も漸次ふえてきておる。そういう意味からいうと、倒産の多い中小企業者よりもかえって有利ではないかという方もあります。しかし、これは倒産はしても資産がある場合とでは非常に違いますので、私は前のむしろ戦前、大正二、三年ごろに考えられた勤労者控除の意味と現在では非常に違ってきておるという点はあると思いますので、むしろ主力は必要経費のほうに移ってきているのではないか。担税力の強弱という問題は社会保障その他雇用条件の変化、労働組合の確立といったようなことから、色彩はかなり薄れてきているのではないか、かように考えております。
○平林委員 私は、その見解に必ずしも同意しないのであります。もちろん勤労者の点で他の所得者との比較の理論はあり得ると思いますけれども、しかし、私は労働を中心にして所得を得る者が、あすの労働、すなわち労働によって得る所得を確保するために労働の再生産という要素も積極的には考えねばならぬ。たとえば事業所得者が先行投資をして事業を拡大する意欲と同じように、勤労者もやはり労働確保と、しかもあすの労働に備えて再生産をしていくというような意味のファクターというものは当然考慮されてしかるべきものであると考えておりますから、いまの説に必ずしも同意しないのです。この点は私は、将来大蔵省がこうした問題をこまかくきめるときには十分考慮に入れなければならぬという点を指摘をしておきたいと思うのであります。別にここで白黒つけるわけではありませんが、それが私は今日勤労者の声である、そういうことだけは頭に入れて今後こうした問題の検討に当たってほしいということを申し上げておきたい。 そこで、いまあげました三つの点は、比較いたしますと給与所得控除に占める割合はそう大きなものでないということが、ただいままでのお話でほぼ形づくられるとは思います。多少あなたと私の見解に違いはありますけれども、大きな要素はやはり必要経費、つまり勤労所得者に対してどういう必要経費を認めるかという点が、私は給与所得控除というものの概念をきめる場合に大きな要素になるだろうということだと思うのであります。その点は私もそう考えております。そこで、それならば現在の給与所得控除の中に、勤労者が労働によって所得を得るための必要経費というものは、かりに十分でないにいたしましても、他の所得者と比べて権衡のとれたものになっておるかどうか、ここが一番問題点であります。現在の給与所得控除には必要経費の概算控除が含まれておるということでありますならば、私はそれについての根拠を一つ一つ聞いてまいりたいと思うのであります。 たとえば労働組合。勤労者は労働組合を組織する。労働組合は、その労働条件の維持、生活の改善をはかるために団結をして相手方と交渉をする権利で、労働法によって認められた、憲法に保障された固有の権利であります。すなわち、これは税の観点からいえば、自分の所得を確保し拡大するために必要な団体行動の経費であります。すなわち、労働組合費というものは必要経費の概算控除の中に含まれて考えられていますか、考えられていませんか。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
○吉國(二)政府委員 初めに申し上げましたように、必要経費の概念規定が非常に困難であるということから概算控除をとっておるというところでございますので、具体的に何が入るかというのは非常にむずかしい問題であるということがまず申し上げられます。そういう意味では、通念として考えますと、各国の税制から考えますと、必要経費を認めているところでは労働組合費は、ユニオンショップであろうがクローズドショップであろうが、払えばこれは必要経費となるという前提をとっているようでございます。
○平林委員 この点は私も必要経費として認めるべきであるという考え。問題は、現在の給与所得控除の中にこれが含まれているかどうかという点、また、これだけに限らず全般から見て十分であるか、十分でないにしてもはたして他の所得者と権衡がとれているかという点に問題はありますけれども、あなたは、こういうものは必要経費と認めるべきものである、そしてそれは、その考え方に基づいて現在の給与所得控除の中には必要経費の概算控除として含めておりますというふうに理解をしていいのですか。
○吉國(二)政府委員 私、いま一つ間違いましたが、イギリスは労働組合の経費は必要経費に含まないという制度でございます。これはまたふしぎな——イギリスとしてはふしぎな制度かとも思いますが、かように非常に国によっても必要経費の限界というものはむずかしいものでございますから、いま御指摘のございましたように、それじゃおまえが通念であると言うならば入っておるじゃろうとおっしゃいますと、最初申し上げたように、概算経費控除というのはその辺を非常にばく然と含みながらやっておるものですから、個別にこれこれだというところを、いま私が入っておるとか入ってないとか、割り切って申し上げるにはまだ熟していないということでございます。イギリスを除いて各国では大体において通念としては必要経費として控除をしておるという事実はございます。
○平林委員 あなたの口うらから察すると、必要経費の概念をきめていく場合に、当然労働組合費は必要経費の中に含めるべきものであるという感触は私は承知しました。弁護士あるいは弁理士でもいろいろな士という字のつく人たちは、たとえば弁護士では弁護士会費は必要経費として認めているのですよ。弁理士は弁理士会の会費を認めているのですよ。その理屈からいえば、労働者つまり勤労者が労働組合を維持するための経費は当然必要経費としてみなすべきである、こういうことに相なるのです。ですから私は、将来素材にするために問題を提起しておるわけでありますから、心得てひとつ答えてもらいたい。 交通費はどうなりますか。つまり、所得を得るために、自宅からその会社に通う、自宅から工場につとめなければならぬ、そこで所得を得る。この通勤費は当然勤労者にとっては必要経費とみなしてよいと思いますが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 通勤費の点は、英米においては必要経費に認めていないわけでございます。ドイツはやや日本に似ておりますが、四十キロまでは認めるという制度を一応とっておる。 わが日本は、他の国と違いまして、通勤費を使用者負担とする例がいまや一般化しまして、そこでわが日本といたしましては、通勤費については、現在の日本の住居の状況等から考えれば、これを現物給与として課税すべきでない部分が多い。したがって、合理的必要なる範囲、具体的に申しますと、公務員の通勤手当の限度までは非課税所得として別扱いにしてしまうという態度をとったわけでございます。そういう意味では日本の税法では給与されたものが実費弁償であるという解釈をとった、こうお考え願いたいと思います。
○平林委員 その概念の裏には、勤労者の必要経費として認めるべきものであるという見解がやはり含まれているとの答弁だと私は受け取ります。しかし、会社負担でない勤労者の交通費というものもあるわけであります。いまあなたは、単に会社がそれを支出しておるということを言いましたが、日本の勤労者の中には、中小企業におきまして、会社で負担にならぬ勤労者もあるわけであります。これは明らかにはっきりと何らかの措置が比較上当然行なわれなければならぬ。これを行なうには他の大きな事業会社と同じように会社負担にさせるか、させなければ税法上の何かの考慮を払うかということになってくるわけでありまして、私は、その立場にある者に対しましては必要経費とみなすべきである、こう考えるのですが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 必要経費に通勤費を認めるかどうかという議論につきましては、非常にこまかい議論があるわけでございます。極端にいえば、通勤の距離と住居の環境とが無差別曲線で結ばれておるのだという解釈がございまして、そういう意味では通勤費というものが必要経費いわゆる必然の経費ではないというのがリチャード・グードなんかの考え方であります。そういう考え方で欧米では通勤費を必要経費に認めていないわけであります。ただ日本では、戦後の状況、特に過密化の状況等を考えますと、そういう理論だけでは割り切れない点があるというところで、積極的に通勤費に課税をするという点を改めるということで非課税所得をつくったわけでございます。いわば考え方がかなり中間的なところにある。いまの法律の形式といたしますと、むしろ必要経費とは考えておらないという前提で、しかし、積極的な課税は宥恕するという考え方に近いかと思います。それはやはり国情その他によっていろいろ違いますので、一義的には言えないだろうと思います。現にドイツでは一定の距離を限って通勤費控除を認めておるし、フランスでも認めております。その辺が一つの限界点かと思います。
○平林委員 この点も申し上げておきます。 たとえば一般の所得者、特に自由業と呼ばれる者、専門的にいえば庶業に当たる者、具体的にいえば、たとえば美術家のような人は、地方に出かけて景色を写したりいろいろな仕事をしたりする交通費はすべて必要経費として認めております。小説家がなかなかいい考えが浮かばなくてどこかへ旅行する、そして旅館へ泊ってものを考える、そのときの交通費もまた宿泊代も必要経費として認められておるわけであります。こういう例をあげれば、庶業におけるところの交通費などは全部必要経費として認めておる。勤労者はそれよりもっと直接的に、工場で働き会社につとめなければならぬ、欠勤すればそれだけ所得を得ることに大きな支障がある。一般庶業に認めておる必要経費より以上に必要な経費としてみなすべきである。アメリカの例とか西ドイツの例とかそんなことでなく、わが日本においてもちゃんと庶業においては認めておるものを、勤労者にただいまのような理論だけでまあまあこのくらいだなんというようなお答えは、私は勤労者の期待にこたえる局長の御答弁とは受け取りがたい、はっきりしてください。
○吉國(二)政府委員 庶業の場合の取材費的な意味の旅行というものは勤労者にもあり得ると思います。したがいまして、旅費、交通費につきましては、職場の必要において出張するものについてはこれを実費弁償として非課税にしておるわけであります。その点はほかの国でも同じでございます。職場の必要による交通費は控除しておりますが、ただアメリカの場合などは、支給された交通費を全部収入金額に入れまして、そして差額があれば課税をしてしまうという厳密な態度をとっておりますが、わが国では実際的に旅費というものは実費弁償であると割り切って、差があろうがなかろうが非課税処分にしてしまっておるというところは、理論的ではないかもしれませんが、非常に実際的な制度であるというふうに考えられます。そういう意味では、職場の必要による交通費というのはいわば一切課税しないというたてまえをとっておるというふうにお考え願っていいのではないか、かように思います。
○平林委員 最近の勤労者は、交通難の時代でございまして、なかなか会社、工場へつとめることに重大な支障を来たすような時代に入ってまいりました。そこで、より効果的に所得を得るために——そればかりじゃありませんけれども、きょうは私は税法の観点からものを言っておるのでありますが、より効果的に所得を得るために車で通うということが多くなってまいりました。もちろん日曜日には奥さんを連れてレジャーにこれを活用するということもございましょうけれども、主たる目的は通勤のために車を利用する層というのは次第に拡大をするであろうというふうに私は思うのであります。それならば、この車の維持、減価償却は必要経費になりますか、なりませんか。
○吉國(二)政府委員 車を使うということそのことは、いわば通勤費の代替的に、交通機関を使うのと同じことでございますので、通勤費に対する考え方によってきまる、かように考えております。ですから、たとえばガソリン代を会社が手当として負担をするという場合は、限度額に応じて非課税措置をとるというたてまえをとっておるわけでございます。
○平林委員 一般的には、私は、こうしたものによって所得を得るためにとられる措置であるならば必要経費として認めるべきだという概念はやはりきめていかなければならぬと思っております。次に、最近は大きな企業、小さな企業を問わず、一般的とは言えませんけれども、次第にその職場において技能を要求されています。そして相当の知識が求められております。ある程度その人の才能によって所得の多寡がきまるという時代に入ってきています。この傾向は、私どもが承知しておる限りにおきましても、かなりの人が参考書を読み、それから専門技術を学び、そして会社における自分の地位を高め、同時に、よりよい所得を得るために努力をしておるというのが勤労者の実態であります。そうであるならば、そうしたために必要な語学を学ぶ経費、あるいはタイプ、簿記等の技術を習得するための授業料、これらに類するものは、私はやはり勤労者の所得を得るための必要経費とみなしてよいと思いますが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 ある職業に適応するための基礎的な修学というものは、これは各個人のいわば資質の確保という意味で、これは必要経費ということではないと思いますけれども、その職場でその仕事を完全にするために要求される研修を受ける、そういう事柄は観念的には必要経費になる部分が多いと思います。現在大部分の場合これは会社負担になっておりますけれども、自己負担もあり得ると思います。そういう部分は、現在の職務をより的確に遂行するための研修というものが明確に線が引けますと、これは必要経費に入ってくるであろうと考えるわけでございます。
○平林委員 いまの点、ちょっとはっきりしなかったけれども、いずれにいたしましても、これらの幾つかの問題点を大蔵省の専門家は具体的に検討をして、そしてこうした必要経費の概算控除の中にはこういうものが含まれていて、そしてこれはこの程度に大体推算をされて、したがって、現在の給与所得控除は合理性があるということを自信を持って言えるようでなければ、これはいまの勤労者は納得しませんよ。そしてまた、私は、今日の給与所得控除という制度は、あなたもいみじくも言われましたように、これは十分でない、全部を実現するには至らなかったと述べられたように、完全なものとは考えておられないと思うのでございます。これはなお今日の状態は必要経費の概念を固めながら、具体的裏づけを積算しながら、また、たとえそれが個人的資料でありましても、この問題を解決していく努力を重ねながら、なお給与所得控除については改善の必要あり、こうお認めになりますか。
○吉國(二)政府委員 私は、そういう意味で給与所得控除を合理化する必要はまだあるということについては、全く同意見でございます。
○平林委員 そこで、現在のこの給与所得控除を検討してみますと、たとえていうと、年間所得五十万円の人に対しては、大体定額控除を含めて十八万円の控除が認められます。率にすると三六%であることは、あなたが先ほどおっしゃったとおりです。百万円になりますと、二十七万五千円になりますから、二七・五%に当たるわけであります。これを百五十万円にいたしますと、その控除額は三十一万円になりますから、二〇%に相当するわけであります。これを二百万円にいたしますと、三十三万五千円でありますから、一六・七%に当たるわけであります。すなわち、所得の低い者には三六%になっておりますが、だんだんその所得がふえるに従いまして、その控除率は低くなっておるわけであります。しかも頭打ちは三十六万五千円と相なりますから、ここに至りますならば、さらに低い控除になるわけであります。この必要経費というものが、くしくもだんだん低くなって、普通一般的に見て百五十万円程度を仮定いたしますと、二〇%の控除率しか認められておらないわけであります。これは、一般の庶業の必要経費に対して、低くても三〇%、高い人は五〇%程度認めておる現行の取り扱いから比べて、著しく低いものだと思うのでありますが、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
○吉國(二)政府委員 庶業の中にも、またさらにいろいろございますけれども、先ほど来御質問がございましたような各項目以外の必要経費というものは、これは当然あるわけでございます。たとえば画家であれば額を買うとか、あるいはモデルを使うとか、あるいは絵具を買うとかいう経費がございます。こういういわゆるコストに属する所得が全然ないというのが、ほんとうの経費だけであるというのが、給与所得者の特色といっては悪いのですが、所得獲得形態だと思います。庶業の場合には、場合によっては非常に大きな素材費が要る場合もございます。たとえば大理石の彫刻をつくれば、所得率は二割である場合もございます。そういう意味で、庶業の所得の中には、いろいろな形がございますが、勤労形態においては、必要経費の面から見ると、非常によく似た姿も見られるというところから、給与所得控除による概算経費控除がいままで是認されてきた根拠があると思うのでございますが、その差がさらにはなはだしくなれば、医者の場合は、これは七二%というのを法定しておりますけれども、実際も相当な経費が要るのだと思いますが、そういう意味では、庶業とは直ちに比べられない面があるというふうに考えられます。
○平林委員 たとえば百五十万円を例にとれば、その必要経費二〇%は低過ぎるということを私は言いました。あなたは、庶業の例をあげて、直ちに庶業とは比較できない、比較できないくらい勤労者は割り損なんですよ。あなたは、首をかしげるが、国税局長をおやりになっていたのだからおわかりのように、たとえば弁護士の必要経費の中に図書研究費もありますし、公租公課も、先ほど私が指摘いたしました弁護士会費も、水道、光熱費まで入っていますね。私は、この弁護士と水道、光熱費がどういう関係ありやというのは、ちょっと疑問に思いますけれども、一般の勤労者は水道、光熱費などは必要経費に認めてくれておりませんけれども、少なくともそういうものが必要経費の欄としてあるのですから、そういうことから見ますと、勤労者はかなり損をしているじゃないか。弁理士でもそうなんですよ。弁理士の申告用紙を見ますと、同じように水道、光熱費まで入っておれば、接待、交際費、広告宣伝費、福利厚生費建物以外の減価償却費まで認めまして——これは、もちろん商売をやっているということもございましょうけれども、中には自分の住居ということもあるわけでありますから、何十%かは自分の住居に充てるものもありましょう。そうなれば、これは一般の勤労者と比べて一体いかがなものであろうか。文筆家でも、いまお話がありましたけれども、水道、光熱費から公租公課からいろいろなものまで含まれておる。こういう点の比較から見ましても、百五十万円が二〇%は低過ぎるではないかと思うのです。
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございましたが、弁護士が水道、光熱費を引き得るというのは、その事務所に関する水道、光熱費だけでございます。減価償却も事務所部分だけでございますから、われわれの家屋に相当する分は引いてもらえないわけでございます。公租公課にいたしましても、固定資産税も、住居の部分については、やはりわれわれと同じように引いてもらえないわけでございます。申告書は、すべてその部分についての控除をすることを前提としてできておりますので、何か全部引くようになっておりますけれども、必要経費の計算といたしましては、事務所部分だけということでございます。福利厚生費は、使用人を使っている場合、その使用人に対する福利厚生費だけであるということになるわけでございます。そういう意味で、よく中小企業の方から、事業主控除を認めろということを言われますけれども、これはまさに事業主の部分については、住居、家計部分については経費控除がほとんどない。そこで勤労者には勤労控除があるが、われわれにはないじゃないかという議論が出てきていると思います。ですから、そういう事業上の経費を引いてしまった残りと給与所得控除と比べていただきますと、私は二割というのがはたして低いか高いかという問題が出てくるのではないか、かように考えます。
○平林委員 国税庁に伺いますが、日本で一番高い給与所得者はどのくらいですか。
○植松説明員 ちょっといま資料を持っておりませんので、正確な数字は申し上げられませんが……。
○平林委員 給与所得者で、いわば月給取りですが、一番高い月給取りはだれですか。——これは、やはり一度くらいは調べておいてほしいと思いますね。
○植松説明員 これは給与だけで比べた資料ではございませんので、給与として日本一がだれであるかということはちょっとわかりませんが、例年長者番付の発表がございますので、この場合に、発表されている方について見ますと、いま手元にありますのでは、たとえば松下さんが五千万円ちょっとこえるくらいの給与であります。
○平林委員 松下さんは、ちょっと給与所得者とはいえないですね。いわゆる純粋に月給取りで最高の人はだれでしょうか。
○植松説明員 ちょっと、純粋の給与所得というのはどの範囲にとらえるのか問題でございますけれども、いま御質問が純粋のというような御質問であったのでございますが、一般の会社重役であれば、先ほど一つ例で申し上げましたように、何千万円という給与を取られている方、これは相当いらっしゃると思います。しかし、純粋の給与所得者でどうということになると、やはり五百万か一千万くらいの間のところの給与所得者というのが、まあ高級の部類に入るのじゃないか、こういうふうに思います。
○平林委員 そこで、いわゆるサラリーマン、月給取りというのは、そんなに高い所得を取っておる人はあまりいない。だから、国税庁といえども、なかなか注目を引かない。それは、松下幸之助さんなんというのは、サラリーマンじゃありませんよ。最近のサラリーマン・ユニオンの中にある会社の役員の人たちの中にあるかもしれません。一度これは、日本一のいわゆるサラリーマンというのは調べてもらいたいな。 そこで、私は、大体の状態から判断をいたしまして、頭打ち三十六万五千円、この必要経費とみなされるものの割合というものは、もう非常に低いものになっておる。こういう点から見まして、先ほど私は、一番多い一般的な勤労者、百五十万は二〇%、それでも低いのではないか。しかし、頭打ちの三十六万五千円というのも、いわゆる純粋な勤労者の点から考えてみますと、やはりこれは問題があると私は思うのです。私がただいままで議論をしてまいりました必要経費というものを、ひとつ概念をしっかり定め、そうしていろいろな比較をしながら、なお妥当なもの、こういうものをさがし求めて、現在では十分でないという局長のお話がございました。そこで、こうした問題につきまして、政務次官、最後に、これは何としても、現在の給与所得控除は引き続き検討し、改正の必要ありということははっきりお答えをしていただきたいと思うのであります。
○上村政府委員 私、この給与所得の点につきましては、合理的な判断を下さなければならぬもうぎりぎりな状態にいまの社会情勢はなっておるだろう、そういうふうに判断しております。それで、これはまあ、全く私、税制につきましてはそう詳しくございませんですが、そういう判断のもとに、一体必要経費と——全く私案ですけれどもが、この給与所得者の控除額というものについて、少なくとも、選択制というものを考えたらどうだというのは、ばく然と考えましても、たとえば、高度の知識を要する大学教授なりあるいは技術的な専門、こういう人々は、これは相当の研究の本だとか、諸外国の本とかいうものを自分でまかなっておる事例がたくさんあるわけですね。こういうふうな点からいいますれば、少なくとも、必要控除という通常の、いままでの概念だけでも、はるかに私は控除額よりもふえるであろうという感じを持つのです。でございますが、とにかく、自分の必要控除というものが多いというふうな観念の人は、選択的に必要控除でいくというような点も考えられぬだろうかという感じを持って、係の者に話したことがあります。そうすると、現実の問題としましては、徴税の問題もございましょうし、いろいろな実務の問題がある。元来、必要経費というものの概念がまだ確定していない、こういうような問題があるわけです。 それで、きょう先生から、非常な貴重ないろいろな論点といいましょうか、素材をお与えくだすったわけです。それで、大蔵省としましても、一刻も早く、この必要経費の概念というものを検討していくということは、私は、必要であるとともに、理論的には、先ほど局長が申したとおりでございますけれどもが、実際問題としては、非常に給与所得者のこの税に対する不信と申しましょうか、重圧感というものを感じておる。ですから、これを何らかの打開をしなければならぬ、こういう意味で、これは給与所得控除の問題を中心としまして私は検討しなければいかぬ、こういうふうな解釈を持っております。
○平林委員 きょう、私、ゆっくり質問ができると思って楽しみにいたしまして委員会に出席をしたのでありますけれども、やはりいろいろ時間の制約もあるようでありますから、なおやりたいことは一ぱいあるのですよ、あるけれども、ひとつ別な問題を取り上げたいと思います。 実は、配偶者控除と扶養控除の適用条件である所得限度が、給与所得におきましては、私が問題を提起いたしまして、昭和三十三年から五万円であるのはけしからぬということから、十万円に現行改正をされました。これは昭和四十二年度のことでありますが、何しろ、昭和三十三年度に規定をされて十年ぶりのことでございますから、この間ほうっておかれたということはまことに気の毒にたえないわけであります。しかし、昭和四十二年度に定めました十万円、それは、その後の物価の上昇、あるいは各世帯における妻の内職収入、あるいは妻が職場を得てパートタイム等で働くというようなことを考えますと、ここ一、二年の物価上昇だけを単純に考えても、そのまま据え置かれておるということはまた問題があろうかと思うのであります。特に一般の所得がふえている中において、相対的にこの十万円というものも低下することに相なりましょう。そこで、この問題はかなり多くの人々に影響を与えるだけに、引き続き検討し、経済情勢の進展に伴ってさらに見直していく配慮が必要であると考えておるわけでありますが、いかがでございましょうか。
○吉國(二)政府委員 それはまあ、先生よく御承知のことでございますが、扶養親族の定義というのは、元来、年齢で制限をいたしておりましたが、その後、合理的に考えれば、年齢のいかんにかかわらず、世帯内に所得がない者があればこれは扶養親族ではないかということで、所得がない者という定義をやってきたものでございます。さらにその後、一定の所得があっても、ある程度扶養控除を与えなければならないというので、五万円程度ならば扶養親族であるということに変わってきたわけです。 何と申しましても、いまの日本の税制でございますと、稼得者主義の課税でございますので、基礎控除額まで所得がいってしまえば、これは自分自身が所得者になって基礎控除を受ける関係になります。そういう意味では、あまりにこれを扶養親族の所得限度を上げてまいりますと、その間の不均衡が生ずるわけでございます。所得としては夫婦でかなり多くの金額を取っていながら、控除のほうは配偶者控除と基礎控除が両方得られるということになる。片一方は、基礎控除が二つ得られるだけであるということになりますと、あまり差が大きくなるものですから、十万円というのはかなり思い切った踏み切りだったと思うのです、制度的に申しますと。そういう意味で、しばらく状況を見たいというのが率直な気持ちなんでございますが、将来、この稼得者課税制度が変わってきた場合には、それはまた一つの考え方であると思うわけです。
○平林委員 いや、私は、現実の家庭の悩みというのは案外こんなところにあるんですよ。特においでいただいた大蔵省の給与課長にお尋ねいたしますけれども、たとえば国家公務員の場合ですね。自分が職場につとめておる、奥さんはパートタイムに行っておる。そうなると、会社の経理を担当している者はただいまの配偶者控除を与えるべきかどうかということで、奥さんの所得に目を光らすわけです。おまえのところは奥さん働きに行っているから、おまえの配偶者控除、それから扶養控除は削るぞ、こういうことに相なりまして、奥さんが働いていることを隠したがる。いい課長さんですと大目に見て、まあお互いに困っているときだからいいや、こう言うけれども、意地悪な課長さんになると、ずけずけ重箱のすみをほじくるようにして恩を着せて、何とかかんべんしてやる、こういうのが現在の職場における勤労者の一つの悩みなんですよ、率直に申し上げて。現在国家公務員あるいはそれに関係する人たちは、どのくらいまでの収入であれば、妻がどの程度の収入であれば扶養家族として取り扱うとか扶養手当を支給する限度内とかというような取りきめになっておりますか。
○相原説明員 これは人事院規則で定めてございますが、現在は十二万八千円でございます。
○平林委員 十二万八千円ですと、一カ月に八千円ぐらいですね。つまり月額にすれば一万幾らですが、ボーナスとか特別手当等を考えますと、年間所得としては十二万八千円でも月ではわりあいと低い。その程度の収入を得る奥さんというのはかなり多いのじゃないでしょうか。私はそういうことを考えますと、こうした限度というものは、かりに、いま主税局のほうのお答えがあったとしても、それと対応する問題として考慮すべき問題点だと思いますけれども、それはいかがでしょうか。この検討はされているのですか。
○相原説明員 これは人事院で定めている規則でございますが、この方式は高校卒の初任給をとりまして、その初任給に東京の暫定手当を入れて、これの一年分、つまり十二倍するわけです。これの半分を限度と見ているわけでございます。これはもうずっと前からこの方式をやっております。
○平林委員 いや、ずっと前からやっておるから、少し最近の事情から見て考えてやったらどうかということです。きょうは人事院を呼んでおりませんから別の機会にやりたいと思いますが、いかがでしょうな。 政務次官、これは税金の問題に一番悩んでおる 一般的な考え方ですよ。どうも自分の所得だけでは食えない、しようがない、おまえ、どこかへパートタイムでもいいが働きに行ってくれということになりましょう。働きに出て少しでも生計費の足しにする。足しでなくても、最近のレジャーブームの時代では、たまには家族と一緒に遊びに行けるような程度の生活のゆとりは持ちたいという気持ちから、家庭の主婦が職場に進出するということはあり得る。ところが、年間十二万八千円取ると、もうそれは公務員であれば扶養家族の問題にすぐ響いてくる、休ませなければいかぬ、こんなところでコントロールするわけにはなかなかいかないわけでありますから、結局びくびくしながら隠している。課長に見つかるというとお小言を食って、おまえだめじゃないかと言って、大きな事業所得者はかなりの脱税をしても、こうしたささやかな楽しみを得るための勤労世帯においては深刻な悩みになる。たいへん矛盾した、不公平な措置であると私は考えるのでありますから、この点はぜひ——きょうは時間もありませんからこまかく言いませんけれども、何とかすべきものであると考えますけれども、いかがでしょうか。
○上村政府委員 先生おっしゃるのが庶民階級の中に現実に相当あると私は思うのです。そういうようなものを税制面へどういうふうに反映するかということは、税制の問題としては重要な問題になっていくものだ、また、そういうことを何らかの区分のもとに入れていくべき時代であるというふうな感じを私は持っておりますので、検討するようにいたしたいと思います。
○平林委員 それでは次にもう一つ問題を取り上げます。 次に、私が取り上げたい問題は、先ほどの必要経費の問題に関連をするわけでありますが、最近いろいろな資料を検討してまいりますと、各家庭で学校教育費の負担というものが非常に多くなっておるという資料を私は見るわけであります。たとえていうと、昭和四十年におきましては、学校教育費のうち、小学校では二三%が、中学校では二七%が父母負担になっておるという資料がございます。教育費に対する国庫補助が少ないために、結局これは子供や学生の犠牲になり、父母の過重な負担となり、教師の労働強化でささえられておる。昭和四十年の文部省の調査によりますと、小学生一人当たりの年間、父母の負担教育費は、学校教育費で一万五千五百三十六円、家庭教育費で一万三千八百四十六円、中学校ではさらにこれが、それぞれ二万二十七円と四万四千三百十三円となり、高校ではこれが八千三百八十四円から七千五十三円というぐあいに、父母負担というものが学校教育費に非常にかかっておる。 そこで、こうしたものについて、勤労者控除の中で、先ほど私、議論をしてまいりましたけれども、こうしたものが全く考慮されないというようなことはどんなものであろうか。私はかつてこの問題を取り上げたときに、これはひとつ検討しなければならぬというようなお答えがあったのでございますけれども、今回もこの措置は実現ができなかった。その理由はどこにあるか、こういうことをお聞きしたいと思うのです。
○吉國(二)政府委員 いま御指摘がございましたように、従来から、教育費控除というものが考えられておりましたが、従来の考え方は、高等学校や大学のものでありまして、いま先生が御指摘になりましたのは、むしろ義務教育でも負担がかかっているではないかという御指摘だったと思います。確かに実際の負担はそうであろうと思います。問題は、教育費控除というものを特別に取り出して控除をするという場合の考え方でございますが、これはもちろん勤労世帯に限らずすべてに関係をいたします問題でございますし、いわばこれは必要経費という面ではなくて、納税者の担税力測定の問題として特別控除すべきだというお考えだったと思います。これはひとつ十分成り立つ考え方だとは思いますけれども、ただ、税制調査会でもこの問題は御指摘がございましたように、ずいぶん検討したわけでございます。その結果としていろいろ考え合わせますと、担税力を個別に削減要因を拾って控除していくというやり方、これは終戦直後から十数年の間に課税最低限自体が非常に低くて、特別の担税力削減項目が意外に重い負担を持っておったときは個別にせざるを得なかった面がある。しかし、全体としての課税最低限が相当上がってきた場合には、むしろそういう方向へ行っている、行っていないというような差異によって控除が受けられる、受けられないということよりも、扶養控除なら扶養控除というものを充実することによって対処するほうが、より将来の税制としては、つまり理想的な状態に達した税制としては適当なんではないか。そういうことから今回、いまおっしゃったような点も考慮しまして、百万円の一つの理想案をつくり上げる際に、扶養控除を一挙に四万円引き上げるという案にいたしたわけでございます。そして、それが一つの担税力の全体としての公平な負担という面からいいことではないか。で、ことしはその半分二万円の引き上げをいたしましたのもその趣旨でございます。長期税制の姿は、大臣もしばしば言っておりますように、財政事情さえ許せば来年度からでも実施したいということになっておりますので、その面でかなり問題の解決がはかられるのではないか。そういうことで個別の担税力削減項目を拾うという方向には、もうすでに限度が来ているのではないか。一般的な、基礎的な控除で解決していこうという考え方をとったわけでございます。
○平林委員 この点は私まだ満足しませんで、これをやるとまた少しかかるのです。かかるからやめます。それから源泉徴収制度の憲法違反論をこれから展開したいと思っておりますが、これをやるとまた私時間がかかる。それでもう大体お昼の時間になりましたからやめます。やめますが、資料の要求だけしておきたいと思うのです。 私はもう一つきょう取り上げたいと思っておりましたのは、源泉徴収の制度の問題に関連をして、いろいろな角度から議論をしたかったのでありますけれども、きょう時間がありませんから、あらためてやらしていただくことにいたしますから、その議論にちょっと必要な資料として、年間の徴税経費、これはどの程度になっておるか。その内訳、それから一人当たりの徴税コスト、最近の推移につきまして、これがわかるような資料を御提出いただきたいと思うのであります。これをいただいてから、また源泉徴収制度の問題についていろいろ議論をしたいと思いますから、きょうは私の質問はこの程度で終わっておきたいと思います。
○植松説明員 いまの資料でございますが、全体の徴税費ということでよろしゅうございましょうか。源泉徴収だけを抜き出すのはちょっとむずかしいのですが……。
○平林委員 全般のものをいただきたいと思います。分類をして。もし分けられなければあれですけれども、分けられたら分けて。
○植松説明員 どの程度分類できるか、ちょっと帰って検討してみたいと思います。
○田中委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 いま平林委員のほうから、私が聞こうと思う大部分のことを聞かれましたので、中身を詰めていきます。 そこで、一体今度のこの税法改正によりまして、一番減税の恩恵を受けるところと、減税の恩恵が一番少ない人、これをひとつ出していただきたいと思うのです。というのは、私のほうで計算をしてみましたら、年収五十万円の独身者の場合、課税最低限が引き上げられることによりまして最低税率が九・五%から一〇%に引き上がった。その結果四百五十円という減税にこの人はなっておる。平年度化をした場合に五百円。そうするとこの独身者の場合は、あなた方が予算委員会に資料としてお出しになりました四十四年度の物価調整減税所要額千五百億円のうち四百二十億。だからこの四百二十億は五%の物価上昇によって消えていくわけです。だから、その五%の物価上昇をこうして織り込んでみた場合には、そうなると事実上この人は実質的には増税になるという結論が出てくると私は思うのです。だから、その一番少ない恩恵を受ける人、それから一番もうけて、この所得税法が実施されたらたいへんもうかる人、この二つの例を説明願いたい。
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございました点は、これはある程度事実でございます。というのは、税制改正は単年度だけでごらんをいただきますとどうしてもどこかにひずみが出てまいります。それで、五十万円のところを、ちょうどこの百万円構想が出てまいりました四十一年のときから比較してみますと、これは五十万円のところは独身者で軽減割合が三二・五%という軽減割合でございます。上に行くほど低くなってまいります。ただことしは、御承知のとおり課税最低限が相当引き上げられたという前提で、その課税最低限の幅は広くなったけれども、その上にある税率の刻みが昔のままで非常に狭いために、そこにラクダのこぶのような負担の増加ができておるというところに着目いたしまして税率の手直しをする、また、定額控除を給与所得について非常に急速に上げました関係で、先ほど来御指摘がございましたように、下のほうの五十万円のところは三六%も控除がありながら、上のほうはずっと減ってしまっておるという実情を直すということがございましたために、だれが得したかというと、非常にむずかしいところでございますけれども、大体そういう是正をはかったところ、つまり百五十万前後のところがかなり大きな負担軽減になっていることは事実でございます。 それともう一つは、独身者の場合、さっき申し上げたように、諸控除を考える場合の一つの基準として、扶養控除がどうも不足であるという面があったので、扶養控除の引き上げが大きくなっております。それが独身者にやはり響いてきたという点で、私も率直に、本年度として見た場合には、そこにひずみがあらわれていることは認めざるを得ないと思いますが、四十一年以来の一つの構想としてつくってこられた税制改正の結果を集約的に見てみますと、やはり何といっても低額所得者が一番大きな軽減割合を受けておるということは、これは明らかでございます。その点、単年度だけだと御指摘のようなひずみが生じておることは事実でございます。
○村山(喜)委員 その事実は、ひずみが生じているものを数字としてお出しなさいと言っているのです。それをあなたの説明は、そういうような事実が生じた理由について説明をいましたにすぎない。私たちはやはりそういうような具体的な事実があらわれて、そのことについて指摘をすると同時に、今度の改正がねらっているその性格を国民に明らかにする必要がある。だから、あなたがそれを提示せぬ限りはこれ以上質疑の進行ができませんよ。出しなさい。
○吉國(二)政府委員 いま申し上げたような角度から申し上げますと、ことしだけ見た場合に一番大きな軽減は、夫婦子三人という世帯の百万円クラス、これが一番負担軽減が大きいということになります。
○村山(喜)委員 それも怪しいですよ。あなたは、いまのは率でしょう。金額でいったらどうなりますか。
○吉國(二)政府委員 金額は、一つ世帯の所得に対して、よけい税金を納めている人ほど、同じ課税最低限でも多くなるというのは当然でございます。金額だけを考えれば、これは所得の大きい者が一番大きくなる。これはいつの税制改正でもそうでございます。やはり自分が実際に納めている税額のうちどれだけ減るかというところが一番問題ではないかと思いますが、額ではそれは一番大きいところが一番大きいという結果になってしまうわけでございます。
○村山(喜)委員 だから、そこにいまの政府の税法の性格が私はあると思うのです。というのは、最低生計費には課税をせず、その原則を明確にして所得のある者からは税をいただくという原則を明確にしておかなければならぬ。ところが、あなた方が出した今度の所得税法の改正案の中身は、部長級以上のサラリーマン減税というものに重点が置いてあるのじゃないですか。その率はなるほどおっしゃるとおりでしょう。しかし、さっきあなたは、百万円以下のいわゆる所得者はサラリーマンの八割あるとおっしゃった。百万円以下の所得者の場合に最高どれだけの減税になっていますか。金額で言ってください。夫婦世帯で子供が何人の場合に幾らの減税になる。
○吉國(二)政府委員 夫婦子三人の場合、現行では百万円の所得者が一万三千三百十円の負担をいたしておりますが、改正案では初年度では七千二百六十一円、平年度では五千三百十円ということになりますから、軽減額は六千四十九円と八千円ということになるわけでございます。一万三千三百十円のうち、八千円が減税になるという結果になっておるわけでございます。
○村山(喜)委員 これは物価調整減税をしない前の数字ですね。物価の上昇は見込まない中での数字ですね。だから、平年度化したもので論争すべきでないと思います。物価が上昇をしたらこの人はどれだけの減税の恩恵がありますか。
○吉國(二)政府委員 いま私が申し上げましたのは、百万円の、所得が同じであるという前提でございますから、その物価上昇というのは入っていないわけでございます。つまり、物価上昇ということは同時に所得上昇があるわけで、その場合物価上昇を差し引くと考えると、百十万円から百十五万円で考えなければいかぬという問題になろうと思います。つまり、百万円同士では明らかに減税になっておるというところをごらんに入れたいと思います。
○村山(喜)委員 それは普通はそういうふうになるでしょう。一割ぐらいのベース改定が行なわれるでしょう。しかしながら、そういうような場合でない人もあか得るわけですから、所得が上がらない人の場合もあり得るわけですから、その場合に物価上昇のあおりをまともに食らうじゃないですか。だから、事実上の減税になっていないんじゃないかということを私は指摘をするのですよ。あなたはさっきからそういうふうに言うけれども、私のほうで具体的に数字を申し上げましょうか、どうです。
○吉國(二)政府委員 かりに年収百万円の人が百十万円になった場合を想定しまして、それで旧負担と考え合わせてみますと、現行負担は昭和四十三年分、つまり四十三年の初年度でまいりますと一万五千五百七十二円でございます。これが百十万円に上がって、改正前で二万一千九百九十一円、これがことしの制度改正を受けますと、初年度では一万五千四百九十一円ということになりまして、所得は一割ふえましたが税金は減っているわけでございます。ですから、これは物価調整減税どころではなくて純減税という結果になっております。
○村山(喜)委員 所得が一〇%上がってなお何十円か、年間ピース一個代にも当たらないぐらい減税になりましたとおっしゃった。しかしながら、その間に物価が上昇をしたら可処分所得というものがそれだけ少なくなるのですからね。ですから、あなた方が一千五百億円の減税でございますとおっしゃっているその中で、物価調整減税として当然引かなければならないのは四百二十億円だとおっしゃるのですね。そうなると約一千億円というものが言うならば減税の幅になる。その減税の恩恵がどの階層のところにいっているかということが今度の税法の性格になってくると私は言うのですよ。 一つ例をあげると、これはあなたのほうから資料としてもらったもので計算をしてみたのですが、夫婦と子三人の給与所得者の場合、二百万円の人は現行法に比べて三万四千三百六十三円の減になります。物価が上昇をしていく過程の中で、それは計算の仕様にそれぞれよりますが、このあたりでやっと物価上昇を家計費の中でカバーができるかできないかというところだろうと私は思うのです。その次に五百万円の人は一体どれだけの減税の恩恵を受けるかというと、十二万一千二百三十五円恩恵を受けるのですよ。二千万円の人は幾ら恩恵を受けるかというと、十八万一千四百円を受けるのですね。こういうふうにして、先ほどおっしゃったように、収入の多い人は多いだけそれだけ減税額というものが多い。これが今日の所得税法の根幹になっている。その中で、あなたは今度千五百億円の減税をいたしましたとおっしゃるけれども、その中身は一体どういうふうになっているのか。課税最低限の引き上げで九百億円だ、給与所得控除で三百億円だ、税率緩和で三百億円だ、こういうようなことで説明をいただいたのですが、ところが、百十万円から三百十万円の部長クラスのところに一番その恩恵がきているんじゃないですか。あなた方がこういう中堅所得者にねらいを置いてやられた結果が結果的にこういうことになっているのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 金額で申されればたくさん納めている人は当然減税額は大きくなります。しかし同時に、全体の税額を納めている形がどう変わっていくかを考えますと、従来の形でございますと、百万円以下のほうが五〇%以上所得税を負担しているというのが三十五、六年ころの姿でございますが、現在では百万円以下は二〇数%しか納めていない。それだけ所得構成が変わってまいりまして、課税最低限が引き上ったことによって下のほうの階級の税額はぐうっと減る。ところが、上のほうは課税最低限が引き上がっても税率の調整が行なわれていないために、その部分は昔の負担がかなり残っておる。そのために実効税率の累進の形は上に凸の形になっているわけでございます。これが一つの累進という形を考えた場合にはやはり大きなひずみになっていると思います。そこを削って直さなければ垂直的な公平は果たせない。それでそこに税率調整の問題が起きてきたと思いますので、そこを削った場合にはそこが大きく出る。もちろん割合は決して大きくなっておりませんけれども、税額としてはかなりな負担減になる。これはやはりいまの形としてはやむを得ないかと思います。そういう意味で一番恩恵を受けているところはどこかと仰せられますと、割合で考えればやはり百万円から百五十万円というところが一番恩恵を受けているということは事実だと思います。
○村山(喜)委員 水平的な公平と垂直的な公平という公平理論がある。その中において今度あなた方が打ち出されたいわゆる実質的な減税の中身というものを分析をしていくならば、まあ部課長級に重点を置いた減税の結果になっている。結果的にはそうですよ。というのは、二十八万円の控除の最高額を三十六万五千円まで引き上げたのですから。私は、収入がふえればある程度その必要経費的な給与控除的なものが比例的には生まれてくると思うのですよ。しかしながら、それが正比例をするかというと、そうじゃないと思いますよ。ですから、サラリーマンの必要経費というものについては限界がある。事業所得とは違う。この点は明確に踏まえておきませんと、サラリーマン・ユニオンの諸君が言うようなかっこうになっておかしなことになるのですよ。ですからわれわれは、最低生計費に課税をしている、そしてその中で、その収入を得るための必要経費の限界というものも置いて、一体この税法というものが限られた財源の中においてどの層に一番重点的に配分になっているのかというのを分析しなくちゃならぬ。私はそういうような点からいったときに、どうも今度の所得税の減税というのは、これは中堅サラリーマンというのですか、まあそこに重点が置かれてきた、こういうふうに見て間違いないと思う。そこでもう一つ、これは所得税だけでなしに、住民税とあわせて考えていくべきだと私は思うのだ。この住民税、今度九万円引き上げて六十二万三千円ということになったのですが、四十三年度と四十四年度と住民税とあわせて考えていった場合には、これは私の調べた数字では、その大衆課税化の進行によりまして格差が拡大をした、こういうふうに数字の上から見ておるのですが、これは違うという説明ができますか。
○吉國(二)政府委員 地方税もおくればせながら課税最低限の引き上げを行なっておりまして、ことしも夫婦と子供三人の標準世帯で約九万円ばかりの引き上げを行なっております。いま御指摘になったのは、おそらく所得税は初年度四十四年度で九十一万になった、それに対して住民税は六十二万三千七百七十一円になった、その前年の四十三年を比較すると、所得税が初年度で八十万八千円、それに対して住民税は五十三万二千円、したがってその差額を見ると、四十三年度は二十七万六千円であるが四十四年度は二十八万六千円ではないか、こういう御指摘だと思います。これは事実でございますが、ただ住民税は前年実績課税でございますので、四十四年と四十四年を比較するよりは、四十四年と四十三年を比較するほうがいいのではないか、それをやっても御指摘のような姿は出るわけであります。ただこれは、住民税のほうが絶対額が、課税最低限が低いものですから、それを同じだけ引き上げました場合には、相対的には住民税のほうがよくなるはずなんでございます。ことしは所得税が十万円引き上げられ住民税が九万円であるから、一万円の差があるようでございますけれども、所得税の課税最低限に対する住民税の課税最低限の割合というものを見てみますと、四十三年度は六五・八%なんでございますが、四十四年度になるとそれが六八・五に上っております。つまり、小さいだけに九万円上げてもその引き上がり方の割合は所得税より高い。したがって、所得税と住民税の課税最低限の比率の善は縮まってきている。絶対額の差はついておりますけれども比率の差は詰まったということでございます。
○村山(喜)委員 人間は比率で飯を食っておるわけではありませんよ。やはりこれは金額ですよ。標準五人世帯の場合の生活保護費は、東京の場合幾らですか。五十万円くらい出しておるのじゃないですか。
○吉國(二)政府委員 いま手元に資料を持っておりませんが……。
○村山(喜)委員 大体でいいですよ。
○吉國(二)政府委員 大体で申しますと、月当たり一世帯三万円だと思います。
○村山(喜)委員 もっと上になっておるのじゃないか。
○吉國(二)政府委員 ちょっとこれは不正確でございまして、またあとで調べます。
○村山(喜)委員 どうもやはり絶対額が拡大をするような方向に税制の改正をするというのは、改正ではなくて私は改悪だと思うのだ。上村さん、そうではありませんか。やはり国民というのは、私なりあなたもそうなんだが、一人の人が国税を納め地方税を納めておるのですから、出す根源からいえば、人格的には一つなんですよ。ますます格差が拡大をしていくような税法の改正というのは——これはやはり地方税は地方税なりに応益の原則とかいうのはありましょう。ありますけれども、全体的ないわゆる税の理論構成からいった場合には、決して大衆に納得してもらえる思想ではないと思うのです。その点はいかがでしょう。
○上村政府委員 出す人間は一人だからどっちみち出すのは一緒だということは、その感じからいいますれば、これはそうだと思うのです。税調の答申などあるいは税調の御意見などにおきましてもしばしば——先生十分御存じだと思いますけれども、所得税の場合と住民税の場合とは、これは考え方が多少違う点もございまして、そういうようなものを加味しながらやっておりますので、結果的には、いまどうも出す人は一人なんだからもっと統一的なというふうな感じからいいますれば、格差が開いてくるのはおかしいじゃないかという御意見はごもっともでございますが、税制理論としてそこは別な一つの目的があるからというようなものの考え方でやっておると思いますが、いま先生の御指摘の点はよく考えてかなければならぬ、こう思っております。
○吉國(二)政府委員 いま数字がございましたので訂正をいたしますが、四十四年度の生活保護の基準額は一級地における夫婦子三人世帯で五十一万五千円となっております。
○村山(喜)委員 五十一万五千円というのが最低の生活基準というのですから、これも憲法で定める文化的な生活基準には当たらないのだと思うのだけれども、そのすれすれの六十二万三千円所得のある人からは応益の原則で地方税を取り立てようというのでしょう。だから、それらの問題と所得税減税の問題は十分結びつけて考えてもらわなければ困るということをこの際申し上げておきます。 そこで、これは租税特別措置法との関係もございますが、配当だけの所得者についての所得税がかからない限度額、これが幾らになりますか。
○吉國(二)政府委員 平年度で二百八十二万七千二百円であります。
○村山(喜)委員 それだけの収入が給与所得者にあった場合には、地方税まで入れまして幾らの税金を納めることになりますか。
○吉國(二)政府委員 四十八万九千二百円程度でございます。
○村山(喜)委員 事業所得者の場合はどうなりますか。
○吉國(二)政府委員 事業所得者の場合は、これは専従者控除等もございますけれども、一応推定いたしますと、七十四万六千二百円です。
○村山(喜)委員 配当だけの所得者の納める地方税は幾らですか。
○吉國(二)政府委員 住民税が七万五千円ということになっております。
○村山(喜)委員 そこに、税の理論からいえば、配当所得については法人段階で法人税を納入しているのだ、あるいは法人住民税を納入しているのだという理論構成はできます。しかしながら、どれだけの可処分所得として個人が受け取っているのかという考え方に立った場合には、片一方は可処分所得のほうから税を取られる。片一方は取られない、だからそれだけ蓄積ができるということにはなりましょう。しかしながら、税の均衡理論からいえば、これは前よりも拡大をしたのですか、縮小をしましたか、どうですか。
○吉國(二)政府委員 これは課税最低限が引き上げられ、また税率が調整された結果として、自動的に拡大されたわけでございます。
○村山(喜)委員 だから、格差が拡大したわけですか、格差は縮小をしたと、こういうふうになりますか、どうですか。
○吉國(二)政府委員 他の所得者と比べて格差は拡大をしたと言わざるを得ないかと思います。
○村山(喜)委員 格差が拡大をするような税制が正しいと上村政務次官はお考えでしょうか。
○上村政府委員 非常に具体的なこまかい問題になっておりますのでよくわかりませんが、しかし、いまお説のとおり、元来公平で国民が納得をするような線でものをやるという基本的な考えからいいますれば、だんだん拡大していくということは好ましくない、こう思っておるわけでございます。
○吉國(二)政府委員 問題は、その法律の立て方の問題だと思います。いまの制度が残っておれば、これは全体の負担軽減があれば配当控除という形で調整をしていくわけでありますから、どうしても所得税だけを見ればそうなると思います。再々申し上げますけれども、法人税はその所得に対しては百十万円払っておるわけでございますから、むしろよけい払っているという結果になると思います。
○村山(喜)委員 だから、それは税法の理論としては成り立つ、しかし国民の気持ちとしては成り立たない、そこに政治が存在をする必要がある。このことは賢明な吉國さんだからよくおわかりだと思います。そこでもう一つ、時間もだんだん迫ってまいりましたのでこれでやめますが、外国の場合、サラリーマンの必要経費について、私も資料をいろいろあさってみました。アメリカのリスト項目によりますと、五十項目が所得税の申告を行なうときの職業経費として必要なもの、あるいは個人の事項別の控除額として控除されるもの、こういうようなものとして例示してあるのを見ました。その中でサラリーマンに関係があると思われるものが約十九か二十ぐらいあるようでございます。その一部分について先ほど平林委員のほうから質疑が行なわれました。それに対する見解が述べられたことは御承知のとおりでございます。そこで私は、この中身についてこれから触れていく時間がございませんから、それについては触れません。しかしながら、アメリカだけでなくてイギリスあるいは西ドイツ、フランス、イタリア等、いわゆる必要経費控除の問題を概算控除と、それから申告制の選択控除制をとっておるこれらの国々の事情とを考え合わせてみたときに、サラリーマンの気持ちの中には、われわれは選択制が認められていないという不満があるわけですね。自分はこれだけの経費がかかっているということが証明できるにもかかわらず、それが概算控除で全部埋没してしまって、税法の中に、いわゆる申告所得者との間に明らかに差をつけているというのは、税法の公平の理論からいって憲法違反にも該当する問題なんだ、こういうような理論まで生まれるわけです。 そこで私は、大島正教授の裁判に対する国側の準備書面ですか、争いの中身を拝見いたしましたが、政治的に考えまして、先ほどもお話が出ましたように、この前の委員会でも、私が主税局長を相手にして必要経費論の問題でちょっとやり合ったことがあります。それでもっと率直にそういうような声にこたえるような姿勢を大蔵省自身としても示していくべきじゃないか。アメリカでは五十項目、そういうようなことで出しておる例等もあるのですから、そういうものをもっと大衆にわかるように、そして日本に当てはめた場合にはこういうものがあるのだというようなものを示しながらこの要望にこたえるようにしなければ、不平不満感というものはますます内にこもってしまうのじゃないかという気がしてなりませんが、それに対して、そういうような外国の資料等を国民の前に明らかにしながら、日本の特色から見てこれは当てはまる、これはどうも該当しないというようなこと等を研究されていると思いますので、それをやはり出していくほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょう。
○吉國(二)政府委員 確かに御指摘のような点、私どもは給与所得控除というのはかなりいいところまでいっておると考えておるわけですが、幾らそう言っても不満があるのはどうだと言われますと、それはまたそのとおりだという点もございます。私どももこの必要経費の問題については、基準をできるだけ求めてひとつ努力をしてみたいとは思っております。税制調査会等でも実はこの問題をさんざん検討したわけでございますが、結局いまの段階ではその基準を定めて、それが納税者に適確に運用していけるかどうか、まだまだ疑問があるということで、当分給与所得控除でやるのだという結論を得ておりますけれども、今後とも基準を求めていく努力はしていかなければならないという感じはいたします。 事実、この給与所得の必要経費という問題についてはよほどこまかく議論もしなくちゃならないと思いますし、また主観でも相当な差があると思います。考えようによってはそれもひとつの考え方だろうということも出てくると思いますが、たとえば大島教授の言っておられる必要経費の中には、ジュリスト等で発表されているのを見ますと、もっともだと思うものもありますが、たとえばせびろとか、レインコート、オーバー、ワイシャツ、ネクタイ、靴、手袋、かさ、かばんを買った経費の八割は全部必要経費だというようなことをいっておりますし、ワイシャツ、せびろ、レインコート、オーバーの洗たく代、月二回の散髪代、これはみな必要経費だというような考えも出ております。必要経費の考え方というものがそれだけ複雑であるだけに、私どもできるだけ国民の納得を得るような基準をつくるということをまず考えなければならぬと思います。御指摘の点はよくわかりますので、今後の大きな課題として私どもも考えてまいりたいと思います。
○村山(喜)委員 まあ大島教授の争いの中身については、私も若干疑問に感ずる点もなきにしもあらずですが、しかしながら、その職業に必要な図書の購入なんか、大学の教授あたりは必要だと思うのですよ。それに対して反論を加えている国側の中身などは、これはちょっと当たらないと思うのです。だから、必要経費についてはいろいろな見方があります、しかしその職業にどうしても必要なもの、これは控除するのがあたりまえだ。そのほか個人の事項別の控除で当然調整をしなければならないようなものが発生をするわけですから、そういうようなものも当然控除されてしかるべきだと思う。そういうような立場から、これらについてはもっと税調のほうでも研究を願うと同時に、大蔵省内部においても十分検討を加えていただきたい。このことについては後ほど上村政務次官からお答えをいただきたいと思います。 そこでもう一点は、昭和四十五年になりますと、大体給与所得の控除額を引き上げるような措置によって百万円までは非課税対象になる状態になると思うのですが、そのときに、外国の例と比べて、課税最低減度額はもうこれで十分だというのがときどき新聞等に出ます。ところが、その外国の例の数字をいろいろ拾い上げた新聞記事等を見ると、どうもわれわれが資料の中から分析をしたのと比較検討して見ると一致しない。たとえばイギリスの場合などは、夫婦の場合に妻が外でかせいでくる共かせぎの場合等については、三百二十五万円まではこれは非課税対象として措置がされているという状態ですが、しかし、日本の新聞等にあらわれるのはもっと非常に低い線しかあらわれてきません。ですから、これらの数字の違いの上から見て、何か世論操作をやっているような気がしてならない。というのは、課税最低限度額はこの程度まできたから、もう百万まできたから、この次は税率改正に重点を置くのだ、こういうような方向に世論操作をやっておるのではないかと疑われのです。これらについては一番正確な数字のその一番新しいやつを、あなた方がこの委員会に資料として、各国の所得税関係の最低課税率の問題やら、その税の構造部門を分析していただいて、提出を願いたいと思うのですが、それはいかがでございますか。 そして、いまの問題について正確な把握をすると同時に、それだけまた物価も上昇していくんですから、これはやむを得ない構造に物価上昇のメカニズムはでき上がっているのだから上がらざるを得ない、その中で課税最低限度額は百万円でおしまいにするというつもりで事務当局はおるのかどうか。これは政策問題になると思いますが、私はそれじゃ済まないと思います。やはりもっと引き上げなければ、生計費に課税をしているという現実を、これを肯定をすることになってしまうことになると思いますので、そのあたりについてその見通し、方向をこの際明らかにしていただきたい。
○吉國(二)政府委員 私どもの調べておるところでは、イギリスの配偶者控除、扶養控除の前提となります金額は二百二十ポンド程度だと思いますが、あるいは間違っているかもしれません、よく調べてみますが、私たちの調べた限りでは……(村山(喜)委員「それは妻だよ」と呼ぶ)妻の分ですね。それでアーンド・インカム・レリーフその他を計算した結果が私たちの出した数字になっておりますが、もう一回正確なものを計算し直しましてお出しをいたします。 それから、ただいま御指摘がございました、百万になればそれでいいのだということは、税制調査会ではそう言っているわけではないのでございまして、いままでの課税最低限というものは、いわゆる国民が貯蓄をし得る程度のもの、かなりの貯蓄もできる程度のところまで課税最低限を上げるべきだという考え方や、世界各国の基準から考えたときに、いかにも非常に低かったので、ある程度早急に一定の目標まで引き上げるということが必要であったけれども、百万円まで到達をすると、その意味ではこれからあと何年間で幾らというような目標を立てる必要性はなくなるのじゃないか、なお所得水準や物価水準が著しく変わっていくということに対する調整はもとより必要であるというたてまえをとっておるわけでございます。いままで百万円というのは確かに国民的要望でもあったと思いますし、各国から見ても、そこまではとにかく早く追いつくべきだったということから、百万円という目標を掲げたわけですけれども、今後は税制改正につきましては課税最低限だけに目標を置くという必要は少なくなった、こう言っておりますので、将来の物価、所得水準の変動というものを考えながら適正な課税最低限も配慮を加えていくということは、これは変わりないとお考えいただきたいと思います。
○村山(喜)委員 サラリーマン減税の問題、重税感を除去するための方策をいろいろ今日まで進めてきたわけですね。それが課税最低限の引き上げ、それから税率の緩和、それから給与所得控除額の引き上げ、三つの柱でサラリーマンの重税感を緩和する措置をとる。しかしながら、それだけでは現在の段階で期待にこたえられない段階が訪れつつある、それは必要経費控除等の問題も含めての話です。ですから、税率緩和では他の所得との均衡の問題を公平にすることもできませんし、いろいろな問題が所得税の中には含んでいることは事実ですから、この際やはりもう少し減税のあり方の問題につきまして抜本的に——従来の惰性で、去年はこうだったからことしはそれを引き延ばしてこうやるんだというやり方でなしに、もう少し根本的にメスを入れる段階に来ているのじゃないか、そういうふうに思います。だから、所得のあるところに課税をするという原則は明確にしながら、国民の期待にこたえるように、先ほども申し上げましたように、ただ国税だけでなしに地方税まで目を通した立場で税の政策というものを考えていただきたい、これを要望して終わります。
○平林委員 一言関連質問をやらしていただきます。先ほど同志社大学の大島教授の図書問題について村山委員からお触れになりましたが、回答がなかった。そこで私、引き続いてお尋ねをします。 この問題は、私の承知しておる限り、三十九年当時の所得百七十万七千九十円に対して十三万五千円、七・八%の経費しか認めなかったので、交通費、教授会の交際費、原稿の世話をしてくれた人への謝礼、原稿用紙代その他の二十万余りを認めよということで訴訟が提起をされておると聞いておるのであります。局長のお話でありますと、床屋代だとかその他お話がありましたけれども、私は、真相を曲げて伝える結果になることをおそれるから、このことを申し上げておきたい。そこで、はたして床屋代だけをやっておるのかどうか、私は、あなたの責任において明確にする必要があると思うのです。そうでないと世間の人は、この大島教授の訴訟は床屋代を、何回行っているからそれを必要経費に認めろ、というような誤解を与える。それは黙っておられないから私は発言を求めた。そこはしっかり訂正をしなければならぬ。 それからもう一つ。そこで私はこの交通費、教授会交際費、原稿の世話をしてくれた人への謝礼、原稿用紙代——大学教授というものの一つの仕事というものを、現時点において単に給与所得者としてだけみなすことが妥当であるかどうかについては、検討する必要があると感じておるわけです。たとえばこの二十万余りの必要経費を認めよという中にあります幾つかの項目の中で、私は、大学教授というものは、やはり図書研究費とかあるいは図書費であるとか調査研究費であるとか、そういうものはやはり一般の勤労者と違った立場において必要経費として認めるというのが、むしろ妥当な結論になるのではないか。例を申し上げると、これは植松さんがいるから例を申し上げますと、たとえば弁護士なんかには図書研究費を認めておるわけですね、必要経費として。文筆家にも図書費、調査研究費などを取材費という形で認めておるわけです。美術家にも図書費という必要経費は認めておるわけです。また、作詞作曲家に対しても図書費を認めておるわけです。芸能家にも研究費という名目で、これに要した必要費用を認めておるわけであります。公証人のようないわゆる庶業に対しましても図書費というものは認めておるのであります。大学教授にこれらを認めないというのは一体妥当かどうか、これは私は常識問題だと思うのです。これらの庶業に比べて、大学教授に、たとえばただいま問題になっておるような点を認めないということに、むしろ常識から考えてみると検討を要する問題点がある。いわんや教授会交際費——先ほど私は例を申し上げましたが、勤労所得者の労働組合費、弁護士が弁護士会に加入しておる弁護士会費、弁理士が弁理士会に加入している経費、労働組合費は除いて、弁護士や弁理士等がそれに加盟しておるという経費を必要経費として認めているならば、大学教授がこの教授会の交際費というようなものを認めてほしいというような主張も、私は、常識的にいえばうなずくことができるものだ。こういうことを考えますと、私は、この訴訟の問題は問題といたしましても、大学教授という一つのグループを想定した場合、何か独立した形において税の取り扱いをする必要があるのではないかという感じを持っているわけであります。この点はいかがでしょうか。
○吉國(二)政府委員 先ほど私が申しましたのは、必要経費の中には人の主観によって差があるということを示すために申し上げたんで、実はジュリストに必要経費の明細があげてあるわけであります。ですから、その全部を読み上げるとたいへんでございますが、おっしゃったような経費がもちろん主力になっておることは言うまでもございませんが、必要経費がかかるかかるという中にはこういう考え方も入っているということで、あの部分だけ抜き出したのが、あとで速記録などでは不適正かもしれませんので、あれだけで言っておるのではないことははっきり申し上げておきます。 それから、大学教授が特別な扱いを受けるべきではないかという考え方は確かにあると思いますが、しかし同時に、大学の研究室というものは必要な書籍は相当に備えております。実際に大島教授がお買いになった本でも、はたして大学の講義だけに必要なものかどうかということになると、かなり問題がある部分があり、それらを計算すると、若干全体では必要経費といえないようなものもあるようでございます。しかし、これは具体的な訴訟でおきめになることであります。もちろん、先ほども御指摘ございましたように、労働組合費というものは、私どもが必要経費を考える場合も入るものだと思いますので、いまの給与所得控除というものを考える場合には、そこに入っていると考えるべきだと思いますし、その職場で必要な経費を自分が負担をしたという意味の書籍代等は、これも給与所得控除に観念的には入るべきものだと思います。したがいまして、大学教授を特別扱いする必要があるかどうかということは、大学教授全般の、自分の購入する書籍代が非常に大きい、そういうところに一つの問題があり得るかどうかの問題だと思います。この点は租税だけではなく、あるいは場合によって調べ得れば調べてみたいと思いますけれども、ただ問題は、大学教授の相当所得の多い方があるわけでありまして、そのために相当膨大な書籍を買っておられる方もあるという点もございますから、その辺の区分計算等はまた将来十分研究してみたいと思います。
○平林委員 私はこの問題はむしろ、現在のいわゆる庶業と比較いたしまして、大学教授の取り扱いというものは何か特別な措置を講ずるほうが常識的に見て妥当だと考えておるわけであります。訴訟の問題を言っておるのではありません。たとえば庶業とあげられておる幾つかの例、これは基本通達一〇〇号できめられておりまして、例をあげれば百近くもありましょうが、そういうのに比べまして、大学教授を単なる給与所得者とみなして取り扱っておる現在の税法にむしろ検討を加える必要があるということを強調しておきます。そして必要に応じてではなく、むしろこれは積極的に解決をするというかまえが必要であるということを申し上げておきたいと思います。
○田中委員長 暫時休憩いたします。 本会議散会後再開いたします。 午後一時八分休憩 ————◇————— 午後四時十分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。只松祐治君。
○只松委員 私は、個々の問題については多くの意見がすでに出ておりますので、多少違った角度から税法その他の問題についての取り組み方について、御意見を特に事務当局に伺っておきたいと思います。ほんとうはこの前、税調の方がお見えになるようでございましたから、そちらのほうにいろいろ質問しようと思っておったわけですが、それはまた別の機会に譲りたいと思います。 そこで、まず第一にお伺いいたしますのは、こうやってこれで四日目ですか、連日所得税を中心に質疑をいたしてまいりました。こういうふうに国会で私たちがいろいろ論議をいたしておるのは、別に法案を引き延ばす、あるいはもちろん単なる論争のための論争、こういうことではない。私たちが言っておることが国民の意見として必ず何らかの形で取り上げられ生かされていく、こういうことを希望しながら、いろいろな角度から勉強して意見を述べておるわけです。確かに税調等に対して前国会で述べられたいろいろな意見というものがある程度まとめられて参考資料として配付になっておるようでございます。しかし、私は、これだけでは十分ではないと思います。多くは与党の多数意見というものが本委員会では発言されない。いわば声なき声ですか、発言されない多数の意見というものが明年度の税制改正その他の基礎になっていき、本委員会で述べられた多くの意見というものはむしろ付随的な意見としてしか出ていかない。こういう形では、私は、この委員会のあり方それ自体にも幾つかの問題があるだろうと思う。私は、いまの議会制度のあり方それ自体にも多くの疑問を持つ者の一人でありますけれども、そこまで発展さしたのではなかなか収拾がつきません。事務当局ではこの委員会で述べられた意見というものをどういうふうに生かすように努力されておるか、お聞きをしたいと思います。
○吉國(二)政府委員 本委員会でいろいろお示しをいただきます御意見は、そのときの税法に直ちに反映される場合も従来ございましたが、多くはその後の税制改正において次第に生かされているように思います。 第一に、政府といたしましても、ただいま御指摘がございましたように、政府の税制調査会には、この委員会に出ました有力な御意見についてはことごとく諮問をいたしまして検討を受けております。たとえば今回提出をいたしました国税通則法の改正にいたしましても、本委員会の長い論議の結果を示した上で意見をまとめてもらったというのが一例でございますが、その他現在までに所得税の部分的な規定につきましても、いろいろと措置がされていることは御承知のとおりでございます。また、ことしの国税通則法では、単に不服審査の問題だけではなくて、問題になりました更正の税制等につきましても手当てを加えておるわけでございまして、私どもとしては、国会でお示しのあった御意見につきましては、その次の機会に逐次内容を検討するように、事務当局自身が検討するのはもちろん、税制調査会においても検討を求めているわけでございます。
○只松委員 一般的に大体そういうことだろうと思いますが、この委員会で質問という形で述べられるのもあります、あるいは意見という形で述べられておるもの、いろいろありますけれども、この委員会で立法過程に参加をしない多くの野党が——政治というのは全般に国民に影響があるわけですが、特に税制というものは直接国民の財産権に影響を及ぼしていく問題でありますから、もっと別な形でその意見が取り上げられていく必要がある。そのことがなければ、ある意味ではそれが少ないから今日の税金の問題がたいへんにやかましくなってきたと申しますか、国民が税金に対して不服を持つようになってきた。反税闘争の形のようなものがある団体によって指向されましたが、そういうような強い反税闘争に持っていくような形は私たちは決してしておりませんし、またそういう考えもありませんけれども、しかし、現状のような形でそういう内容はすでにいろいろ述べられております。私もあとで少しは述べますけれども、国民の不平不満を主として野党側がこの委員会において述べるということで、それがただ聞き流しという形でここ二、三年過ごされていくならば容易でない事態がくるだろう。私たちが反税闘争というようなものを指導したり指向しなくても、おのずからそういう傾向というものがこの二、三年内に出てきはしないか。そういうことを私はたいへんに憂えるのです。したがいまして、そういうもののいわばはけ口といいますか意向がどこに出るかというと、一番集中的にしかも具体的に出てきておるのはこの本委員会においてであるわけです。その意向というものを私はもっと真摯に取り上げるべきだ、こういうふうに思うわけです。大蔵当局ももっと真剣にこの問題に取り組むというか、取り上げてもらいたい。それから政府与党としても、大臣が来ておりませんから政務次官でけっこうでございますが、この委員会における討議の経過というものをどういうふうに考えているか、考えていたならばどういうふうに取り組んでいただけるか、ひとつその点も聞いておきたいと思います。
○上村政府委員 いま只松先生のおっしゃったとおりでございますが、私は最近大蔵へ参ったわけでございまするが、税金の問題につきましては、いま先生がおっしゃったような感覚で私どもも受けとめておるわけでございます。それで、いま局長からお話し申し上げましたけれどもが、もちろん事務当局はそういうふうでやりますが、私どもとしましてもここで重要だと思う問題につきましてはすぐ、場合によればその日でも幹部と話をしまして、そしてそれをどう受けとめるかということをいろいろやっていくとともに、この意見がいろいろだまってしまったのではいかないので、何とかこれを前向きに処理をしていくように真剣に取り組んでおるのが現在の実情でございます。
○只松委員 私個人にいたしましても、ただここで質疑のための質疑とか反対のための討論だけしているのではなくて、家庭内職の問題を少し出すと、いやその財源はないと言われるから、ホステスはほとんどこうやって課税されていないではないか、あるいは去年酒、たばこの増税案が出されたときも、そういうことにあまり熱を入れなくても土地関係の問題を少し洗えば相当の財源が出るではないか。むしろそういうものをして公平に国民の税の負担感を与えていく。すなわち、税制の民主化をすることが長期的な意味において、大きくは皆さん方が願っておる資本主義の安泰といいますか、国民が政治を信頼していく、国税庁当局に相互信頼の関係で税の円滑な執行を行なう、協力をしていく、そういうことになるのではないか、こういうことを繰り返し主張してきたと思うのです。ところが、私は必ずしも十分にそのことが生かされているとは思わない。そういうものの一つのネックになっておるといいますか、答えを出してきておるのはもちろん与党の考え方、それから大蔵当局、特に事務当局の皆さん方のものの考え方というものが基本だ。それとともに、具体的には一つの隠れみのとして活用されておるいわゆる税調というものがあります。そこで、これもだれが人選するといったって大蔵大臣がしたかっこうになりますが、主税局を中心に人選がなされるわけです。税調はこの姿でいいのかどうか、ひとつお聞きをしたい。
○吉國(二)政府委員 御承知のように、税制調査会の構成は学識経験者ということになっておりますが、それぞれその専門の分野の専門家をできるだけ入れるという観点から、産業界、労働界、言論界、その他学者を網羅してそういう人選をいたしているわけでございます。もっともこれは、人選の責任は総理府にあるわけでございますが、もちろん大蔵省は幹事としてそのお手伝いをしておるわけでございます。マンネリズムを避けるために、三年に一回任期が到来いたします際に、大体において毎回半分近く洗い直しをいたしまして、調査会としての論議の継続性を一部保有するとともに、新しい感覚を注入することにつとめてまいっておりまして、現在選任されました委員は昨年の八月に改選されたところでございますが、そういう意味で昨年は十三人の委員を入れかえている次第でございます。長期になりました委員は原則として退いていただくというようなことで、極力内容の充実をはかっておりますので、私どもとしては精一ぱいやっているつもりでございます。
○只松委員 十三人ですか、多分去年は十五人かやっているんじゃないですか、半数は。大体半数ぐらいかわっておりますね。かわっておるのはまあまあとして、結局かわっておる顔ぶれというのは似たり寄ったりといいますか、そういうことなんですね。たとえばいま直接税と間接税の関係が六五%対三五%、大体本年末でなりますね。来年以降になると、むしろ七〇%対三〇%近くになる。その直接税の中で、おそらくことしはとんとんぐらいですから、来年は源泉所得税がずっと伸びるで、あろう。その中で一番多いのは源泉所得税。こういう委員の顔ぶれを見ますと、大体源泉所得者とサラリーマンだといえばいえないことはないでしょうけれども、しかし、多くは会社の経営か何かに責任をもって、いわゆる資本家という立場からのサラリーマン、自分の会社を自分でできるという立場の人たち、こういう人々が大体非常に多い、あるいは大蔵省の関係、そういう人たちですね。しかしもっと私は、一言でいえば税調の民主化といいますか、そういうことならば、民主化ということはやはり存在しておる人々の立場が十分述べられる、そしてその意見が取り上げられるということが民主主義の原則である、多数決というものは。しかし、その所得税を納めておる人々、特にいま負担感が重いと叫ばれておるこの源泉所得税を納める人々、あるいは申告の場合でも農民はきわめて少ないけれども、中小企業者とかなんとかそういう人の代表は階層的にほとんど出てきておらない。これでは私は——そういうことは国会が国会でおやりになればいいじゃないかというならば、税調をやめて国会にいきなり案を出してきて審議させたらいい。そうじゃなくて、ここに原案を出してこられる。しかも税調のやつは大体大蔵省をフリーパスに近い形で通っていく。フリーパスで通ってきたものを案分して本委員会に出してくる。そうすると、これはほかの法案と違って三月三十一日の期限切れだし、それから税収に関係することだから、とにかく三月三十一日までにぜひ通してくれ、こういうことでまた例のフリーに近い形で通っていく。ということになれば、実際上は本委員会は形式的な論議をしておる。さっきから言っている、来年なり再来年なり長期的な展望に立てば、私たちがここの委員会で述べておることも死んでおるわけじゃないけれども、実際上本年度分に関する限りは意見の述べっぱなしで、税調の案が無条件に通っていく。実際上はそういう形になってきておりますね。とするなら、直接的にもうちょっと税調の答申というものを重んじないで、別な角度といいますか、軽い形で扱うなら別ですけれども、ほとんど出てきたものが、皆さん方のこっちの税制要綱を見ても、引き直しみたいな形で出てきているわけですね。そういうことになれば、もっと私は税調そのものを民主化する必要がある。少なくとも一番納税人口の多い源泉所得者の代表をもっと入れるべきでるし、あるいは、次いで所得税を納めておる中小企業者、農民なり、こういう形の人々を三人や五人入れたからといって税調がひっくり返ったりどうということはないと思うのです。あなたたちの選び方がうまいから、あなたたちの言うことを聞くような選び方をするわけであって、それにしたところで、もっとそういう形の委員を私は選ぶべきだと思う。もちろん原則としては私はりっぱな代表を選ぶべきだということですよ。しかし、選ぶのは私たちの手にないし、あなたたちが選ぶのだから、それにしたところで、もう少し意見がすなおに述べられるといいますか、通るような委員会にすべきだと思う。大蔵事務当局、実際上は吉國さんたちが選ぶわけです、それから政府当局も、ひとつ考えを聞いておきたい。
○上村政府委員 審議会の人選につきましては、これは非常にいろいろの御意見があると思います。私も総理府におりました当時、この人選関係につきましていろいろな御意見がありまして、ほんとうにもっとくふうをこらし、何らか考えていかなければならぬと思うこと、しばしば感じたものでございます。審議会そのものにつきましても、これだけ多くなってしまったのではどうもいかがかと思うし、何とかもう少しこれを整理統合してはどうだという意見もしばしばあるわけでございますのは、先生も御案内のとおりでございます。 で、実際問題としまして、いま先生がおっしゃったようないろいろな人選というものにつきましての経過であろうと思うのですが、事務当局できまるわけではもちろんありませんけれども、いろいろと関係の適任者を幅広く人選する意味におきまして、事務当局の発言というものも相当大きなウエートを持っておることは確かであろう、こう思っておりますが、いまおっしゃるような点をよく考慮いたしまして、人選にはより一そういい結果の生まれるような意味におきまして、私は慎重にやっていくべきものだというふうに思っております。
○吉國(二)政府委員 いろいろ御指摘の点は、私どもも十分心にとめてまいりたいと思いますが、現在の税制調査会の委員は、そういう意味ではかなり分類がはっきりしておりまして、おっしゃるような方面の代表で、あまり妥協をしないという方もかなり入っておられまして、活発な意見が反映されておるように私は受け取っておりますが、今後のこともございますし、御意見の点を十分留意しながら、今後とも人選には気をつけてまいりたいと思っております。
○只松委員 たとえば前回の人、あるいは十五名かわられた今回の人、これなんかを見ても、あるいはその前を見ても、一応サラリーマンといいますか、その中でホワイトとブルーと分ければ、ホワイトの下層を含んだブルーカラーというものから見れば、総評代表一人、全労代表一人、こういうことですね。その中でも、これは全体を代表しておるといえばそれまでですが、こういうものはいわば職業、職種別といいますか、年齢別あるいは別な意味の階層別という面から見れば、私たちがいつも言う婦人の立場、これは江上フジさんが今度は一人入っていますが、三十人中紅一点ですね。この人も、あまり奥さんであるかどうか、どの程度の奥さん稼業をしているか、たいへん失礼だけれども、よく存じないけれども、奥さんというよりかは、社会的に出て飛び回っていることのほうが多い人じゃないですか。そうすると、家庭内職したりなにしたり、実際上女房稼業として尽くしておるような人を代表するような人じゃないですね。とにかく二分二乗方式でも強く主張するような人じゃないですね。そういう者も出ておるわけです。あるいは若年労働者のことを私たちは常に指摘しますけれども、そういう意味の青年層 の代表という者もここには一人もおりませんね。だから、あなたたちのいままでの資本主義社会における常識的な面からすれば、一応の学識経験者である、しあるいは相当の地位の人、こういう人々によってほとんど、しかも法人税が重くならないように主張するような、そういう会社経営の方々の実力ある人々が相当数入ってきておる、こういうことです。だから、私は、そういう意味で日本の国民の各層各階、あるいはそういう意味の職業別だけでなくて年齢別その他の形で入ってきておるとは思わないのです。だから、もう少しぐらい、幾ら何でも——わが党の広瀬君なりが質問すると、佐藤総理も税調で検討いたしておりますから、もうしばらくお待ちいただきたい、こういうことで逃げるときは税調、その税調というのがこの実態ですからね。だから、総理が言うように、税調で公平な意見が出てくる、結果が出てくるということを前提にするならば、もう少し青年や婦人も入れるし、あるいは中小企業者代表、労働者代表あたりももっと、少なくともこの税金は皆さん方が徴税をしておる、それに対応する形の委員の選び方というものが、ほんとうの民主的なそれぞれの委員会のあり方だと思うのです。ほかの委員会は、私は全部見ておりませんけれども、もう少しは民主的に各界の利害代表といいますか、そういうものができておるように見受けます。農林関係なら農林関係のいろいろな審議会がありますと、やっぱりそれぞれの農協やあるいは農民団体や何か、そういうものが出てきておりますね。ところが、税制調査会というのは単に調査会、普通の審議会と違って、これだけさっきから言うように、相当の強い権限は実際上はないのかしれませんが、結局国民の財産権を、国家の予算の裏づけをなす税金を法制化をするほとんど一〇〇%に近い力を持っている委員会です。そうすると、もう少しそのあり方について皆さん方は考うべきじゃないかと私は思う。 いままでの皆さん方のありきたりの考え方、そう言っては何ですけれども、与党の意見が強い、資本主義的な意見が強いということだけでなくて、やはり大蔵省当局や何かは、現状を維持していく、現状の中で自分たちが仕事をしていけば一番安易ですから、そのワクを踏み出そうということにはなかなか勇気が要ると思うのです。しかし、いままでの主税局長や何かの中でも、私たちが意見を多少述べて、こういうことをしたらどうだと言って、いいと思ったらわりと勇敢にやってのけて、けっこう党側も説得してできた人もあります。だから私は、少なくともこの基本になる税調に対してはもっと姿を変えていったらいい、繰り返して言いますけれども。そういうことをしないで、税調という隠れみのを使って、これが民主的でありますというような形で逃げて、いつまでもこういう税制を続けていったならば、日本の徴税面には大きな問題がこの二、三年来に出てきやしないか。私は、それこそ逆に二、三年前から、あなたたちはそんなことを言っていると、いまほとんど税金問題を取り上げておらないが、やがて労働組合や何かが税金問題を取り上げて正面から立ち向かってきますよということを警告してまいりました。事実そういうことで、サラリーマン・ユニオンとか——こういうのは、私は世論喚起という意味においては悪くはありませんけれども、本質的に国税庁当局にまっ向から立ち向かう、こういう力になるとは思っておりませんし、またそういう性質のものでもないようですね。しかし、一般の労働階級や庶民がほんとうの不公平というものから負担感、重税感を持って立ち上がって、いまこうやって騒いでおりますが、これが導火線になって立ち向かってくるようになると、私は相当なものになってくるだろうと思うのです。まあ、あまりそういうことを繰り返しませんが、税調について、抜本的にこのものの考え方というものをひとつお考えいただきたいと思うのですが、どうですか。
○吉國(二)政府委員 個々の委員のだれがどうというわけにまいりませんが、むしろ私は、給与所得者等の意見というものが非常に強くあらわれているんではないかと思いますのは、もちろん労働関係のお二方の委員もおられます。ほかに新聞関係の委員、しかも、かなり若手の委員が三人、さらにやや先輩が一人というふうに入っておられますし、そのほかに経済学者、先ほど来問題になっておりました大学教授というものも三人入っておられるわけでございまして、三十人の委員会としては、給与所得というものを考える方のウエートがかなり高いと思います。先生もおそらくお考えいただいているかと思いますけれども、たとえばもし産業界の意見が非常に強く出てきたといたしますと、税制調査会では間接税といいますとか、付加価値税とかいう問題がおそらく強く打ち出される傾向にあるんではないかと思います。むしろ、ここで所得税減税というものを連続して主張しているという点では、その内容については御異論があるかと思いますけれども、基本的な態度は、税制調査会というものは、現在の日本の税制においてどこに問題があるかという角度を正確にとらえているんではないかという感じを私もいたしております。もちろん、これは今後どういう答申が出るかは別といたしまして、常に委員の人選にあたっては、私ども、国会の御意見等を十分体して考えていくべきものだと思っております。国会全体の意思をそんたぐいたしまして、適正な委員の人選を、私どもがやるわけではございませんので、お助けしていきたいと思っております。
○只松委員 具体的に言えば、たとえば青年代表なら総評の青年部とか、日青協なら日青協の代表とかを呼ぶ。あるいは婦人会にもいろいろありますが、婦人の代表を一名じゃなくて、二、三名入れるとか、ほかの委員会と違いまして、直接徴税をどうするかという委員会ですから、もう少しそのものずばりの委員を入れていく。農民も農業会議所か何かの代表でしょう。そうじゃなくて、農協代表なり日農の代表というような形でそれぞれ入れていく、あるいは中小企業の代表も選び方があるわけです。そういう点に関してもう少しそれを根本的に検討したらどうですか、こういうことを言っているわけですね。だから、その農協から出てくる人でも、農協の職員もサラリーマンだといえばサラリーマンかしりませんけれども、そういう意味の考え方じゃなくて、もっと階層別やそういうことを考えたらどうですか、こういうことです。このことだけやっておりましてもあれですから、次に話を移しますが、ぜひひとつ検討していただきたいと思います。
○上村政府委員 先生のおっしゃる趣旨はよくわかるわけでございます。人選というのは、実際当たりますと、先生も御案内のように、なかなかむずかしいといいますか、非常に苦労の多いものでございますが、御趣旨はよくわかるわけでございますので、慎重に検討していきたいと思っております。
○只松委員 次に税制のあり方について、基本的な問題をお伺いしたいと思います。 先ほども申しましたように、直接税対間接税の比率が本年末では実際上大体六五対三五くらいになるでしょうね。去年の率で所得税がずっと伸びてまいりますと、それにほぼ近くなる。さっきから所得税を減税した減税したとおっしゃるけれども、所得税が一番伸びが大きいわけですから、来年もまたこの率でのぼってまいりますと、六七、入、再来年あたりは大体七〇、直接税対間接税が七対三、しかも率で一番ウエートが重くなってくるのは所得税だ。特に源泉所得税だ。こういう形になってまいりますと、いま一つの問題として出ております税の負担感という問題も、全体の税金の中で非常にウエートが多くなってくるわけですから、幾ら口で減税減税と言ってもこれはなかなかおさまらない、こういうことになります。直接税対間接税の比率がこういう状態で推移していっていいかどうか。七対三、それ以上になっていっていいかどうか。どういうお考えですか。
○吉國(二)政府委員 直接税と間接税の割合、それをいかにするかという体系論は、これは一義的にはきめられないと思います。その国の状況とか経済の状況、所得形成のあり方というようなものをいろいろ勘案すると同時に、全体の経済の流れ、経済の中における変動というものを十分に織り込んで考えていかなければならないと思いますが、現在のわが国におきましては、所得が非常に急速に上昇いたしますために、所得税は他の税に比べまして二倍近い弾性値でふえておりますが、減税によって弾性値を削減しているというのがいまの姿でございますので、先般も申し上げましたが、個人総所得に対する所得税の割合は昭和三十二、三年ごろからほとんど変わっておりません。つまり、一人当たりの所得が非常にふえてまいりましたにかかわらず、個人所得、総体の所得が負担している所得税の割合というのはほとんど上がっていないわけでございます。つまり、現在まで日本の税がふえたというのは、所得がふえたのに比例してふえておるという状況にあるわけでございます。それだけ所得税のふえ方については、減税ということで相殺をしてきたわけでございます。しかも間接税は、わが国の体系では課税最低限等を設けまして、同じ課税物品であっても、大衆品をできるだけはずしているということがございまして、伸びがあまり大きくない。そのために次第次第に間接税のウェートが減ってきたというのは事実でございます。御指摘のように、いま六二・七%が直接税でございますが、ことしの末にこのウエートが若干高まるかもしれないということは、予測されるところでございます。 しかし、税制調査会でもこの点非常に心配をいたしまして、いろいろ検討いたしたわけでございますが、間接税のウエートを高めるとすると、現在のところは、一般的には何と申しましてもいわゆる一般売り上げ税、付加価値税というものを導入せざるを得ないというのが客観的な事実だと思います。たとえば、フランスなどでは所得税のウエートがほぼ日本と同程度、個人所得に対して同程度の五%程度でございますけれども、売り上げ税を持っておりまして、付加価値税の標準税率が一五%でございますから、一律に一般の国民に、所得税を納めてない国民も一五%の税を、消費を通じて負担しておるという感じがあるわけでございます。所得税を軽減するということはもとより必要でございますが、その財源として長期的な意味で売り上げ税、付加価値税系統にたよるということになりますと、これはまた非常に大きな問題があるかと思います。そういう意味で税制調査今ではいろいろ検討した結果、さしあたりは付加価値税あるいは一般売り上げ税の導入というもの身予定しないで、将来の問題であると考えながら、当面所得税の弾性値が大きいために、減税を続けていっても若干ずつ直接税のウエートがふえるということは、ある程度やむを得ないのではないか。 ただ、直接税の場合は、所得税にいたしましても法人税にいたしましても、形成された所得に課税されるという意味におきまして、市場経済の価格に直接の影響を与えないという意味においては、経済的には中立でございますし、所得再分配効果というものも、現在の所得税は日本では有業者の半分に課税をしており、しかもそのうちの二割程度の人がほとんど七割の税金を負担しているというような形で、再分配効果も相当に強く出ております。そういうことを考えれば、当面この体系全体のあり方は維持していくべきであろうということを言っているわけでございます。私どもも大筋においてはそういう考え方が当面維持さるべきではなかろうかと考えている次第でございます。
○只松委員 ここ一年とか二年はそうかもしれないが、三年、五年というような長期的に——まあおそらく三年しなくて七対三に、私がある程度推計したのですが、なりはしないか。その場合、七対三になっても国の予算はどんどんふえるわけですね。膨張していく、膨張していくから、結局それだけ税金というのは大きくなっていくわけですが、その中で間接税はほとんど停滞をしていって、直接税が伸びていく。直接税の中で所得税、なかんずく源泉所得税が一番伸びていくということになれば、いろいろなことを言っておっても、給与所得者の負担感は非常に重くなってくると思うのですよ。これはまたあとでおいおい聞いていきますけれども、給与所得者の税金が非常に重くなっていって、あといろいろな脱漏している税金というものがたくさんある。皆さん方からいけばないとおっしゃるけれども、ある。そういうことになってくれば、勢いいろいろな問題が出てくるだろう。こういうものは単に与党対野党という形ではなくて、政治全般に対する不信なり、そういう形になってまいりますと、われわれ野党にも十分な責任があるわけですし、政治に携わる人間の責任だと思う。しかし、いまみたいに税体系そのものをここでどういうふうに変えていくかというのはなかなか容易ではないし、勇気も要ることだと思います。しかし、いまのままで三年、五年たっていくと大体私が指摘しておるようなことにほぼなっていくだろうと思う。そうすると、こういうものはいきなり変えるわけにはまいりませんから、私たちがたとえば法人擬制説の問題でもたびたび論議しておりますように、実在説にするかどうか、そういうことも含んで、とにかく税体系のあり方そのものを私はやはりいまからぜひ——そこまでは長期答申の場合にも出てきておりませんね、この前の場合でも。そこまでやはり、私は税調が答申されるのか大蔵省かどこかで研究されるのか知りませんけれども、いまのままの形で、直接税対間接税、あるいは源泉所得税中心になっていくこの税金のあり方というのは、どこかでやはりメスを入れるといいますか、ストップするというか、考えを変えていかないと容易ではない事態になるだろう。そういうときに一番重税負担感が大きいサラリーマンが騒ぎ始めたということになれば、これはたいへんなことになるだろうと思う。だから、一般の官吏と違って、そういう政治の大きな方向を見定めていく立場にある吉國さんなんかは、そのくらいはやはり考えておかなければならぬと思う。だから、きょうあすしろということではないけれども、税体系そのものに検討を加える段階にあるのじゃないか、こういうことを言っておるわけです。いかがでしょう。
○吉國(二)政府委員 いま私が申し上げた税体系というのは、主として直間比率ということから申し上げたわけです。所得税、法人税の中のそれぞれの税のあり方という問題については、もとより税制調査会としても、法人税の検討はあとに譲ったという形になっておりますが、これは解決しなければならない問題でございます。こういう大筋の体系を考えながら個別の、これも重要な問題でございますので、個別の問題につきましても今後せっかく検討していただくということは言うまでもないところでございます。
○只松委員 それから税体系とともに現行税制の中で、これは若干税体系にも関連してくる面がありますが、大きな脱漏とかあるいはいわばもっと取れる、取ってもいい、そういうものがあるのではないか、いわば洗い直しといいますか。私が一つ取り上げました土地の権利金や何かを中心とする問題も、昨年は、いやたいしてありませんというような形でお答えになった。その後いろいろ調査をしてみると、初めてですからなかなか手間がかかりますね、しかしこれを一ぺん手をつけて台帳をつくってしまいますと、これは相当の収入源になるはずですよ。 これも私は豊島や杉並の税務署を見に行きましたけれども、なかなか手が足りない。これはまた別な機会をとらえて多少論議してみたいと思うのですが、ここにいろいろなデータが、中野税務署等もらっておりますけれども、電子計算機でやれば相当のものが出てくる。ところが、実際上それを照会したり何かすると、人手とともに照会の郵送料や何かない。そういうことで、電子計算機でそのまま計算していくと相当な額になるのをしないで、半分くらい調査してみたり、しかもはがき程度である程度調査してみたり、相当粗雑といいますか、ほんとうに徴税上しなければならない調査というものがされておりませんね。電子計算機という形でやっているのは杉並だけですか、電子計算機を使っておる。しかも一番熱心にやっておる税務署でそのくらいですね。電子計算機もなければそういう作業もあまりやっておらない、こういう税務署がほとんどと言っていい。そういうところは完全な捕捉というものがされていないわけです。また、されようともしておらない。こういうものを完全にしてまいりますと、相当の額が東京都内あるいは関東周辺だけでも出てくるわけですよ。これは、ほかの勤労した所得、その一番中心は源泉所得ですが、あるいは申告所得の多くも勤労したものだ。しかし、たまたま東京周辺やら関東周辺、いま過密帯といわれておりますこの地帯に土地を昔から持っておった者、こういう人たちだけが不当な利益を得る。この人たちは地主という強味、相手は借り手ですから、そういう人たちの弱味につけ込んで相当不正なことをしておる。この調査等にいたしましても、勤労している場合には、そば屋さんでもそば粉やうどん粉をごまかしても、はしやしょうゆその他のことを調べればわかる。げた屋にいたしましても、鼻緒なりほかのものでわかるというような非常なきびしい状態。ところが、こういうものは銀行預金から引き出してするわけですから、銀行の裏づけまでとらないとなかなかわからない。しかし、銀行を一々洗って歩くわけにはいかない。こういうことでなかなか調査も容易でない面がありますけれども、これは本格的に電子計算機で打って、君のところはこのくらいあるんだからこうだという形で、推計課税を、おととしそば屋さんにやったり、去年あたりあちこちやりましたね。それにならってやはりこういうところにも推計課税的にやっていけば、それだけでも相当のものが出てきますよ。 これはあとで聞きますけれども、一緒に聞いてもいいけれども、証券譲渡の場合でも、ある程度のものをとらえて、まああと推計値ぐらいに出しなさいという形でやっていけば、証券の譲渡の場合では取れると思うのですよ。ある程度の調査をしたり基礎をつくるまでが証券譲渡の場合はなかなか容易ではありませんけれども、しかし、一定の基礎をつくれば、これは証券の譲渡益も捕捉することは、ぼくは困難ではないと思う。諸外国ではやっておるところもあるわけですから、日本だけできない、こういうことではないとぼくは思うのですね。 そういう意味のいろいろな大きな脱漏が、現行の税制の中においてもあるのではないか。私は常にそういうものを指摘してきているわけですが、どうです。全然ないと思いますか。
○亀徳政府委員 執行面に関しての御質問のようでございますので、私からお答えさせていただきます。 確かに現在の税法のもとで一〇〇%だいじょうぶかと言われますと、率直に申していろいろ抜けている点があることは事実でございます。ただ、いろいろよく世上ありますような、まあ九・六・四とか十・五・三というような感じで、一律的にサラリーマンが一〇〇%で事業者が六〇%だというようなことはたいへん誤解があるのでございまして、やはりいろいろな業態業態に応じて若干のニュアンスの差はございましても、その中ではやはり青色申告その他でまじめに申告しておられる方がおられますので、一律的なものの言い方はたいへん危険かと思っております。 ただ、先生が先ほど御指摘になりました土地の譲渡をめぐる場合、特に権利金の問題、これがやはり都市の中央の繁華街、そういったところの、まあ先生御存じのように栄枯盛衰がございまして、それらをめぐる権利金の実態、こういうものはやはり現金で決済がされたり、いろいろ把握しにくい点もございまして、したがいまして私たち——私を含めて五万の職員がいるわけでございますが、源泉徴収の事務の関係、若干の監査はもちろんしなければなりませんが、これはむしろ法人税の調査と関連してやるという程度にしまして、ある意味では全力をあげて、やはりいま言った権利金をはじめいろいろ抜けているところ、抜けていはしないかという点を全力をあげて調査しているような次第でございます。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 まあそういった問題は、これで十分だとかこれでいいということになかなかならない問題でありますだけに、あらゆる角度から資料も収集しまた情報もキャッチしながら、今後とも引き続いて全力をあげて、現在の税法のもとにおける公平さの実現のために努力いたしたい、かように考えております。
○只松委員 時間がありませんからたくさんそういう例はあげませんけれども、私が常に言っているのは、働くにもいろいろ働き方がありますけれども、不労者の利益、不労者の所得というものに対してはいままで税務当局はわりあい大まかであった。大まかであるというのは、一つはホステスの例に見られますように、なかなか把握しにくいという面がありますね。それはありますけれども、しかし、それだけに金額も大きいという面があるわけですし、一ぺん捕捉すればあとは捕捉し得るわけですから、私はむしろ、源泉所得なんかは全然力を入れなくても取れていく、あるいは生業を営んで看板をかけて、のれんをかけておるような商店の人々はそう逃げ隠れするわけじゃありませんから、あなたたちが何年かに一ぺんやっておる調査によっても相当の確率のある捕捉というものはできますね。だから、そういういわゆる勤労して脱漏することの少ない面には非常に力を入れられるけれども、そうじゃなくて、それはそれほど力を入れなくても、不労で脱漏することが容易である、そういう面に力を入れるべきだろう。また、自分のことはわからぬでも人のことはよくわかるものですからね。特にいまの若い諸君というのは、権利意識というのが強くなっている。おれたちは源泉徴収で税金を取られた上にたばこもこれだけ税金がかかっている、ビールもこれだけ税金がかかっている、ところがそこらのちょっと金を持っている地主は——ぼくなんかもそれが頭にきてそれから調べ始めたのですけれども、坪五千円か一万円かで子供の勉強部屋を建てても金を取り上げられるのに、そういうのはほとんど税金を払わないでけっこういい目をしている。そしてまたどんどん新しい土地を買い足していっている。しかも五十坪、百坪というような小さい単位でなくて大きなものを買っている、何町、何反とまとめて。そういうのを見ていると、やはりこんちきしょうということになりますよ、これは何といっても。だから、多くの国民のいまの反税感情といいますかそういう面が、皆さん方から見ると案外そう気づかないで、あたりまえのことを一生けん命やっている、こう思っておられる中に、私が指摘するようなことを指摘している。だから、一番最初に私は言いましたけれども、ここで私たちが野党として言っておるのは、やはり国民のそういういろいろな意見を代表して言っているのだから、どういうふうにお考えになりますかと聞いたのもそういうところにある。いままでのマンネリ化したといいますかそういう形の徴税機構ではなくて、脱漏その他そういう面からもぜひひとつ皆さん方にお考えいただきたい。 それから、これは一番最初の税体系という形の中で聞くべきだったかもしれませんが、証券の譲渡益の問題、あるいは広告費に対する課税の問題これも私たち社会党がたびたび言ってきている。あるいは交際費の課税の増額の問題、あるいは、これは全く独自の問題として、宗教法人は相当膨大な金を持っていますね。動かしておる。この問題も、それはなかなか容易でないかもしれません。しかし、私が只松として、政治家個人として使えばいろいろ言われたり何かされますけれども、只松教を立ててそこにのし紙を置いて届け出れば、これは一つの課税対象にならないのですからね、ほんとうにやろうと思えば。事実そういう問題というのが具体的に問題になってきておりますね。表面上言わないけれども、裏では盛んにそういう問題が言われてきている。こういう問題についても、宗教法人と税金という本が何冊か出て、私もそういう本を読んでおります。つまらぬことは、飯を食ってどうしたとかこうしたとか、こまかい解説が宗教法人の徴税問題で出てきておりますけれども、抜本的な、宗教法人に対してどういう態度をとるべきかということはほとんど論ぜられておりませんね。こういう問題について、これはこまかいことを言えば、おさい銭だってこのごろは正月だけで何百万、何千万からあがるおさい銭があるのです。こういうのは無条件に自由自在に使われる。それが政治に使われようと何に使われようと、それは一切おとがめないわけですからね。そういう問題や何かについてどういうふうにお考えになりますか。
○吉國(二)政府委員 証券譲渡等につきまして御指摘がございましたが、それらはいずれも非常な問題を含んだ問題で、私たちも多年苦心をしている問題でございまして、ことに宗教法人の問題は非常にむずかしい問題だと思います。御承知のように、公益法人、人格のない社団については収益事業以外には非課税ということにしております。御指摘のように、おさい銭というものはどこまでも所得になってこないということになりますけれども、昔の観念のおさい銭とだいぶ違った形態も出てきておりますので、この辺には一つの大きな問題はあると思いますが、ことに宗教法人となりますと憲法その他の関係もございますし、なかなかむずかしい問題であると思います。 ただ、この公益法人の課税の問題は、実はシャウプ税制のときに非常に検討された問題でございます。シャウプ税制では、公益法人についてはむしろ所得形成その他を考えて、免税証明を交付したものだけは除外して、その他は全部課税をしろというような考え方もあったわけです。しかし、公益法人自体が最終的に個人に帰属すべき所得を獲得するわけではないし、公益にそれが使われるという意味において一応非課税にして、収益事業だけを課税にするという形をとったわけでございます。この考え方がなお今日も妥当するかどうか、御指摘のように、十分検討する必要があると思いますけれども、事柄が事柄だけにきわめて慎重に検討いたす必要があろうかと思います。
○只松委員 交際費や広告を聞いたのですが……。では、いまの宗教法人の問題にいたしましても、私が、やがて選挙が近い、いまから、政治資金規正法ではうるさいから、選挙必勝教というのを立てて、神だなへ張って、毎日拝みます、そうして幾らおさい銭をもらおうと、それはかけませんか、かけますか、どうです。
○吉國(二)政府委員 宗教法人自体が宗教法人法で規制されておりますので、宗教法人として成立するというのがまず一つの前提かと思いますが、その宗教法人であっても、これはいわゆる実質課税の原則から申しまして、所得の帰属がどこにあるかということが明白である場合は——宗教法人に入ったのではなくて、教主自身に収益が帰属するという場合は、実質課税の原則ということでやはり課税の問題が起こるかと思いますが、一般的には、現在宗教法人そのものが取得しているものには課税はしようがないというのが実情でございます。
○只松委員 それは極端な話で、私と言いましたが、女房でもよければ子供でもいいし、第三者を持ってきて体裁くらい整えますよ、幾らだって。要するに、宗教法人に金が何百億集まろうと、どこの銀行に積んであろうと、そんなこと調べてないでしょう。それが調べてないから自由に使えるわけですよ。だから、私がすればそれは実質宗教にならないかもしれぬけれども、そういう体裁ぐらい整えますよ、ぼくだって知恵がないわけじゃないから。そうやってした場合に、あなたたちは調べますかということを、極端な話をしたわけだけれども、事ほどさようにあいまいな税体系というものがあるじゃありませんかということを言っているわけですよ。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 膨大な金が動いている。いいですか、それはあなたたち、これ以上言わぬだって認めるでしょう。 だから、そういうことを含んで話を本論に——いまも本論言っていたんだけれども、この前佐藤さんが答えた、何答えたか。配当課税のことを聞いたら、それは法人税で納めた残りを云々というようなことを言っていましたね。そんなことは理屈は幾らでもつくのですよ。われわれが給料もらって、その税を差し引かれた所得を貯金しておいて、貯金したものを女房にくれたって子供にくれたって、贈与税は取られるわけでしょう。あるいは奥さんが一生懸命とも働きをして、そして家を一軒建てる。家を一軒建てるときに、おやじの貯金だけでは足りないから、奥さんの貯金を引き出して建てれば、所得税がちゃんと引かれているのにかかわらず、今度贈与税というものがおやじに対してつくでしょうが。だから、一ぺん法人税で取ったから、あと配当のときは取らない、つかない、あんなばかな答弁ないですよ。ぼくは言っておくけれども、税法も知らなければ、税体系を乱すような答弁はないですよ。だから、もう一ぺんここへ佐藤さん来てもらって、論争しようかと思ったんだけれども、それでよかったら、われわれがかせいだ金を女房に幾らやっても子供に幾らやっても、あるいはほかのところへ幾らやっても、贈与税なんてやめなさい、遺産相続税もやめなさい。どこか脱税して持ってきた金なら別として、自分で持ってきた金を貯金してやるなら幾らやったってかまわぬわけです。所得の発生するところ税金があるということで、結局あらゆるところに税金がかかってくるわけでしょう。あなたたちはそうでしょう。所得のあるところ常に税金があるでしょう。あんな論というものはないですよ。そういうものの一つとして、ぼくは交際費や広告費、また宗教法人や何かの問題も、確かに昔のように神社を維持する、宗教を広める、それだけなら、これはそれでいいですよ。しかし、それ以外に金がどんどん集められて、湯水のごとく使われていけば、私もやっていいですかと、こう聞きたくなる。AはよくてBは悪いということはないでしょう。
○吉國(二)政府委員 そこに問題があるという御指摘は確かにそのとおりであると思いますが、それらの実態を十分に見きわめた上で慎重に検討いたしたいと思っております。
○渡辺(美)委員 ちょっと関連質問いたしますが、ただいま只松君のお話で、宗教法人については実体課税の原則に従って課税するという答弁があったわけです。しからば、私が宗教法人をこしらえて、宗教は自由なんだから、どんな宗教でも、そしてそれが宗教法人の法律に該当をする。しかもその宗教法人が選挙必勝の神という宗教法人ですから、当然これは選挙必勝させなければならぬ。そのために今度私の後援会にその宗教法人から政治献金をする、こういうような場合は、これは課税になりますか、なりませんか。
○吉國(二)政府委員 その宗教法人がどんな宗教法人かは別といたしまして、宗教法人が政治団体である研究会に寄付をしたという場合は、これは寄付者がその部面では課税法人でないものですから、寄付金の否認という問題も起こりませんし、一応そこでは課税が起こらない。受け取ったほうがまた人格のない社団か何かでございますので、これまた収益事業でないだけに、そこでは課税が起こり得ないということになるかと思います。ただ、その後援団体が今度その教祖の選挙運動のために支出をした場合に、その支出をしたことが教祖の所得になりますか贈与になりますか、そういうことが形成されれば、そこではじめて課税が起こるかと思いますが、その過程においては、いまの税制では課税の起こる基因がないということになるかと思います。
○渡辺(美)委員 その答弁は、局長の先ほどの実体課税の原則と少し違うのではないかと私は思います。私が教祖というようなことを言ったから、そこでちょっとからまれたのでありますが、そういう意味ではなくて、別に宗教法人をこしらえられて、そして私の後援団体、政治結社に対して寄付を行なったというような場合は——宗教法人というのを非課税にしておくという原則は、やはり純粋の宗教のために浄財が集まって、純粋な宗教のためのみに金が使われるということが前提だから、非課税にしてあるというように私は思います。学校法人の場合も同様であろうと思います。ところが、その目的以外に金が使われるというような場合は、当然それは実質課税の原則ということになるならば、その集められたお金というものが使われたときに、宗教以外の目的に使われるということであれば、その部分については、実質課税の原則をとるならば課税すべきではないのか。あるいはそれは課税をしないということになれば、同じようなものができてもみんな課税できないということになろうかと私は思いますが、その点いかがですか。
○吉國(二)政府委員 やや実質課税の原則という言い方が悪かったかもしれませんが、実質といいますか、仮装行為で、宗教を仮装して実質的に教祖個人に入るということを実は申し上げたわけでありますけれども、宗教法人に入った金が今度そこから出ていく場合に何人に帰属するか、そこに所得の問題が起こるのは当然かと思うのでありますけれども、宗教法人が使ってる限り、それが相手に贈与とかいう形で移っていかない限りは、宗教法人が宗教目的に使うか使わないかは別として現行税法では宗教法人である限りはちょっと課税のしようがないと思います
○渡辺(美)委員 そこらにも問題点があるので、私はこれは宗教法人に限らないと思うのです。学校法人も同様だと思います。非課税法人が、その本来の目的以外のために集めた金を使うということについては、これは国民感情は満足いたしませんし、私はそれらについては非課税になるがゆえに、それらの学校法人や宗教法人の調査をしないということは、大きな抜け穴をつくっておくようなものであるから、やはりその辺は調査をするのが適当であると思います。答弁は要りません。
○只松委員 時間がありませんから、ここでそれ以上私は例をあげて論議いたしませんが、いろいろ現行法のもとにおいては脱漏がある。さらに新しくというか、それほど新しくはないが、私がたびたび言っておるようなことは、皆さん方がもう少し熱意を持ってお取り上げになったら、また出てくる。そういうところから税体系というものも十分ひとつ考えていただきたい。 次に、そういうようにいろいろ法律で税体系がきまりまして、それを執行される、いわゆる徴税機構の問題でございますが、たとえば法人税一つとりましても、八幡、富士製鉄が合併しようといたしておりますが、これはいまでも膨大ですが、とにかく膨大なものですね。あるいは各電機メーカーその他を見ましても、全国に支社、支店、出張所、販売所、そういうものが膨大なものがありますね。あるいは代理店等含めますと、いわゆる機構の巨大化といいますかあるいは近代化といいますか、そういうものがものすごい勢いで進んでおる。では、それに対応する徴税機構が進んでおるかというと、確かに、さっき例をあげました杉並税務署なんかでは電子計算機を使っておる。これもまだ微々たるものですね。そういうものに全部対応するだけの徴税機構の近代化というものはできておらないと思うのです。どうです、できておるとお思いですか。
○亀徳政府委員 おっしゃる点は、いろいろな角度からお答え申し上げたほうがいいと思いますが、単に機械化だけの問題ではありませんで、現在。いま先生のお話になりましたように、膨大な会社、片や一般の中小企業、いろんな大小の企業を相手に調査をしているわけでございます。したがいまして、これを一律平板的な感じでいたしておりませんで、先生御存じのように、現在東京国税局に特別国税調査官という制度を設けております。特別国税調査官につきましては、もちろん大きな八幡なり何なりを調査するときに、たった一人で行くわけでございません。それから、調査省略ということがございますので一律に言えませんが、人間としては、大体一社に一人が一年じゅうかかってもいいだけの余裕をもって人員を配置いたしております。それから、いわゆる調査課所管法人といっておりますが、資本金五千万円以上の会社につきましては、大体調査官一人で一年に十件ですから、言いかえれば、ほぼ一カ月は全くその会社の調査に当たってもいいだけの人員を配置いたしております。それから、税務署所管の法人は、これは現在一人が大体百件程度持っているような次第でございます。それから、所得税のいわゆる営業その他の調査といいますか、納税者に対しましては、二百名あるいは三百名の納税者に対して一人、もちろん全員がおかしいということではございませんで、非常にちゃんとした申告をしておられる方もございますので、当然調査省略その他がございますが、そのように人員の配置も、一律平板的な形でやっておりません。 同時に、いまなお研究中でございまして、一部実施いたしておりますが、電子計算機を東京とそれから大阪に設けておりまして、いろんな角度から手間の省略、また場合になりましては、いろいろ業種業態の要因を効率的に、やはり電子計算機を使って一つの判断の材料にする。あるいはこれらの電子計算機を使いまして、たとえば東京都とかこういったところには、何といいますか、いろんな事実を覚え込ませる。テープの中にいろいろ土地なり家屋なりの所有者、そういったものを覚え込ませたテープがございます。それをわがほうにも活用するとか、まあそういう未開拓な分野について積極的に前向きに進んで、今後大いに開発していきたいと考えておるようなわけでございます。 われわれの調査なり何なりの問題は、決してありきたりの方式に満足しておるわけではございませんで、十分前向きに日々改善を加えて努力しておる次第でございます。その点十分御了承いただきたいと思います。
○只松委員 まあその程度の答えは私は知っているんですよ、ほんとうを言ってね。だから、そういうことを聞いているんじゃなくて、まあ個々の電機会社の名前を言うと差しつかえがあるから、AならAという電機会社があって、膨大な支社、支店、出張所、代理店、そして、どこの代理店に何台のカラーテレビが行って、どこに回している、こういうことを出張所から全部調べるわけにいかぬでしょう。そういうふうに資本主義機構というのが巨大化し、独占化をしてまいりますと、徴税機構がそれに追いつかないということを言っておるんですね。向こうには専門の経理担当者がおって、全部それはつじつまを合わせたことをやっているわけですから、それをあなたたちがときたまおいでになったり、十人や二十人行って、ある程度抽出しても、部分的発見や脱漏なんかは発見することができるかもしれませんね。しかし、全体のそういうことはなかなか困難でしょうと言っておるんです。したがって、大法人に対しては、いわば会社の言いなりと言っては言い過ぎかもしれません、多少は指摘するかもしれませんが、ほぼ会社側の提示した資料に基づいてやる以外に、皆さん方が大きなものを発見するのは困難だ。せいぜいあなたたちがしても、土建会社のある程度のものを、昨年あたり不正を発見して、使途不明資金を幾らか洗われましたね。こういう程度はできるでしょうね。しかし、もっと巨大化した、全国に支店網まで持った、そういうものまで調査することは困難でしょう。ぜひそういう面に対して、皆さん方の対応策を十分とる必要がある。これはアメリカあたりは、そういうものに対応するものが、これも十分であるかどうかわかりませんが、あると思う。きょうの日経あたりにも出ておりますが、会社合併等に伴ういろんな問題の中で、税金の脱税の問題が議会で論議になっておるのですね。いわゆる会社が複合化した場合に——合併だけではありませんが、合併に関連して会社がいろいろなものを系列下に持ってくるという場合に、一本の経理にしてしまったときに、どこに含み資産があるかわからぬし、あるいは片一方の会社は赤字にしておいて、片一方の会社は黒字にしてしまっておる。幾らだってそういう操作はできるわけですね。専門の人でもそれだけ巨大化してくるとなかなか困難でしょう。したがって、そういうものに対応する徴税機構をひとつおつくりになる必要がある、こういうことを言っておるのです。どこの会社に二十人、三十人派遣ししまたとか派遣しますとか、そういうような技術的なことはいいですよ。私は私で、東京の国税局へ行っても、法人税の局所管が幾らあって、それに対して延べ、平均して二十三日ぐらいだったですか、前回のときには少し聞いたのですよ。また別な機会に、租税特別措置なんかのときに、そういうことをずっとこまかく聞きますが、きょうは、全体的に大網的に聞いておるのですよ。徴税機構そのものが社会の近代化に対応していないのじゃないか、こういうことを言っておる。そういうものを、ほんとうに税務大学でどういう教授をされておるか、そういうものを税務大学へ行ってまで——私たちは行っておりませんから、一ぺん見せてもらいたいと思うし、それからどういう教授内容か、何かそういうものも資料として私はいただきたいと思っておるのですが、そういう基本的なことをきょう聞いておるわけです。そういう点についてお答えいただきたい。
○亀徳政府委員 まあ私たちなりに、大法人に対しても会社調査その他で意欲的に調査をいたしております。これも不十分だとこう言われればそれまででございますが、同時に、土建会社とかそういったところだけちょこちょこやっておるのじゃございません。その点だけは明確にお答えいたしておきます。 それからもう一つ、先生、いま御指摘になりました、長期にわたって今後どうかという問題は、率直にいって問題がございます。現在の税務大学の組織でいいかどうか。それから特に今日、やはり税務のそういった点も御理解願いたいと思いますが、人員の構成、こういったものが相当いびつになっております。現在率直に申して、相当経験年数も高い人たちがいるわけですが、しばらくすると、逆にそういう人たちがいなくなって、非常に手薄になってくる時代が来る。それからまた同時に、やはり一般の企業の方々は、ほとんど大学出といいますか、そういうことになってくる。現在は、終戦後大学出も一気に相当多数採用いたしまして、そういった点は、現状だけ考えますと問題はないようでございますが、これを十年、二十年先のことまで含めて考えますと、いま言った仕組みでいいかどうか。さらに採用の問題を、税大一本だけにたよっていていいかどうか、あるいは税大の組織がこのままでいいのかどうか、いろいろ問題を含んでおりまして、その点に関しましては、われわれも問題意識を十分感じて、いわば長期にわたってどうするかという問題をやはり考えていかなければならぬ。また同時に、今度は調査する相手方も、その点はまた先生御指摘になりましたように、全部が電子計算機を採用して、あらゆる帳簿が電子計算機の中に乗ってくる。そういうような仕組みの中での調査のあり方、方法という問題については、今後われわれがやはり十分さらに検討を加えていかなければならない分野は数多く残っております。われわれも虚心たんかいにそういう問題について十分今後研究していきたい、かように考えております。
○只松委員 所得税につきましては、先ほどから申し上げましたように、各委員から十分な質疑、意見が述べられております。私ももちろん私なりの意見、主義も持っておりますが、時間が参りましたのでやめますけれども、そういうふうに税調のあり方から始まって徴税機構までいろいろ問題点があるわけですから、十分そういう点をお考えいただきまして、そういう中で直接源泉徴収をされておる給与所得者というものが重税負担感をたいへんに持ってきておるし、さらにこれが強まっていく、そういう傾向下にあるので、ひとつこの所得税に対して私たち社会党が述べた意見を十分考慮していただいて、来年度それができるだけ実施できるように努力されることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○田中委員長 河村勝君。
○河村委員 きょうは土地税制に関する質問をいたします。 私から言うまでもなく、地価の非常な暴騰が直接国民大衆にとっては持ち家の夢を奪う、あるいは一般的には社会資本の充実を非常におくらせる、同時に、一般物価の上昇にも非常に大きな基因をしておる。そういう意味で土地問題というのは非常に大きいわけですね。今度土地税制の改正を取り上げられたのもそういう意味であろうと思います。 しかし土地政策の中で税制が果たす役割りというのはあくまでも補完的なものであり、誘導的なものである、それは事実であります。それだけに一般の土地政策との関連が非常に大事なわけですね。ところが、今回やられております改正の要点を見ますと、せっかくいま都市計画法の新しいものが施行され、それから地価公示制度というものができ、そうした一般の土地制度というものが改善の軌道に乗りつつあるわけですね。それにもかかわらず、全体との関連があまり一あまりというよりも、ほとんど考えられずにでき上がっているという印象を受けるのでありますけれども、そういう点についてどうお考えになりますか。
○吉國(二)政府委員 御指摘がありましたように、土地問題の解決ということに税制の果たす役割りというのは、何と申しましても限られております。他の土地制度がこれを一つの用具として確立されるということを前提に考えなければならぬと思います。この土地税制につきましては、土地の供給の増加とか仮需要の抑制であるとか、あるいは値上がり利益の重課とか、あるいは土地の高度利用といったような各種の方法を取りまとめまして、その中で一体税ができることは何であるかということをいろいろ検討した結果できたものでございます。もちろん、これだけで問題が解決するわけではございませんし、これに漏れているものの中にも強い主張のあるものもございます。いわばいろいろの説がそれぞれ独立してあり得る中で、それを調整して、現段階で実施し得るというものを取り上げた結果がこの土地税制でございますから、いろいろな点で問題があることは私も承知をいたしております。 ただ、現実的に現在できる一つの制度としてこれを提案したわけでございますけれども、いまおっしゃいましたように、都市計画法が実際に実施されるのは七月からでございますし、今国会には都市再開発法が提案されますし、あるいはまた、地価公示法も近く国会に提出されるのではないか、そういう点をいろいろ考慮しながら、それらと合わせて、建設当局とも十分な検討をいたしまして、それと直接結びつく規定ももちろんございますけれども、矛盾しない範囲で、主として土地の供給の増加をはかり、仮需要を抑制するという観点を強く念頭に置きましてつくり上げた制度でございますけれども、同時にこの制度を生かすためには、御指摘のあった他のいろいろな諸制度が続けて行なわれるということが必要であることをわれわれも認識しておるわけでございます。ことに保有課税の点につきましては、四十五年度に固定資産税の評価の適正化が行なわれるということを考え、また地価公示制度その他を通じ、あるいは都市計画法、あるいは都市再開発法、あらゆる法律をもとにいたしまして、将来保有課税のうちでも空閑地税的なものが実施できる条件を土地利用計画の策定ということで整えてもらうということを念願しながら、とりあえず税制としてでき得ることをやったのが今回の税制でございますので、あるいはその他の制度との斉合性というものは今後その制度が実現されていくに従ってとっていけるように、相当弾力的な準備をしたつもりでございます。
○河村委員 今後考えるということでありますけれども、現実の問題としては、ことしの七月に都市計画法が施行になって間もなく、といってもかなり時間がかかるかもしれませんが、いわゆる市街化区域、市街化調整区域というような指定がされるわけですね。そうしますと、今後の住宅問題にとって一番大きな市街化区域の地価の急上昇はほとんど目に見えておるわけですね。ですから、いろいろな手を打つとすれば、そこに目標を置いてつくっていかなければもう手に負えなくなる危険性がある。その辺のタイミングのことは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
○吉國(二)政府委員 まさにそういう点から、本来この制度は事業用資産の買いかえの期限その他から考えまして、原則としては四十五年度から実施をするということにいたしておりますけれども、経過規定におきまして、新制度を一体として適用しようと欲する人は新制度に乗り得る道を開きまして、その点の準備をしたわけでございます。先ほど申し上げましたように、現在のいろいろな問題の中で一つ税制上の問題としてあることは、土地の譲渡が税制によって阻害をされておる面が強い。一面においては、半額課税とは申しながら超過累進課税、総合課税で行なわれるということから、土地の切り売りが行なわれる、あるいは売り惜しみが行なわれる、あるいは税の上乗せによって地価が上がるというような弊害があるといわれておりますし、しかも一たん売ったものは七〇%までが買いかえによって課税を免れてしまうというような現状が一番批判されたわけでございます。今回長期保有等につきましては、そういう弊害を一掃する意味で思い切って低率の分離課税を実施する、同時に買い手である需要のほうにつきましては、本年以降土地を取得する人について、分離ではございますが、累進税で一般税制よりも重い負担を課するということで、土地需給のバランスをはかるという方法をとったわけでございます。税制だけでそれが達成されるとは私どももちろん考えておりませんが、それを補完するといいますか、それを踏まえて各種の政策がとられることを期待しておるわけでございます。
○河村委員 一応これから手をつけたというにしても、私の見るところでは、あまりにも抵抗の少ない、まあ何かやらなければいかぬ、しようがないからこれからやろうかというような程度の感じしか受けないわけですね。 それで、他の制度との関連はあとで伺いますけれども、当面長期譲渡所得の比例分離課税にして税率を軽減するこの制度でありますけれども、これの目的は、簡単に申せば、供給促進ですね。供給促進ということは、促進することによって土地の需給が援和されて、それによって地価が抑制される効果を持たなければ意味がないわけですね。幾ら供給促進されても、高くなっては意味がないわけですね。そういう意味において、一体この長期譲渡所得の税の軽減によってどの程度の効果をもたらすものかということをあなたはどうお考えですか。
○吉國(二)政府委員 これについては、すでにごらんいただきましたと思いますが、新聞紙上等でもいろいろな議論が行なわれております。相当地価の安定に資するであろうという有力意見があるかと思いますと、いまの地価の上昇過程はなかなか食いとめられないという意見もございます。私どもは、供給増加の手段と、土地値上がりを引き起こしておりました仮需要、これを抑制するという手段、さらに土地を離した場合に、さっき申し上げましたように、七〇%までが課税をきらって買いかえをしてしまう。そのために土地需要を起こしておるという事情、これらを少なくとも税制の上では解消さしたい。それによって値上がりがとまるということが期待されるかどうかは別といたしましても、従来の加速度が同じ速度にはならないということは期待をしているわけでございますが、これだけで地価が安定するというには他の制度があまりにもまだ未成熟であるのではないかというのが率直な意見でございます。
○河村委員 まあ税率を緩和して、年を経るに従って漸次パーセンテージを上げていくという構想ですね。そういう構想をとる以上、その税率を上げていくパーセンテージは、地価の上昇とある程度のバランスをとらない限りきき目がないわけですね。 それで、いまの地価の上昇率を建設省に伺いますが、一体この数年、全国市街地でもって年率何%くらいずつ上がっていますか。
○播磨説明員 日本不動産研究所が全国の市街地価格指数を調べておりますが、これの資料によりますと、昭和三十年三月を一〇〇といたしまして、四十三年の九月が一〇七三になっております。それがちょうどその一年前の四十二年の九月が九二九という数字になっておりまして、四十二年から四十三年までの間の値上がり率が一五・五%、景気によって若干違いますが、大体そういった程度の上がり方であります。
○河村委員 いまお聞きのように、ここ数年、安く見ても、年率大体一二、三%の値上がりですね。ところが、この比例税率の刻みは二年間で五%でしょう。一体この程度のもので、かりにこれが税率を軽減し、比例税率で売りたい意欲を起こさせるという目的を持っているとしても、片方は十数%上がる、片方の比例税率の刻みがわずかに二・五%なんというのでは、一体どれだけの効果を持つというふうに、あなたお考えですか。
○吉國(二)政府委員 もちろん土地の値上がりを待つということは、保有による利益を考えておるわけでございます。一定の他人資本によって購入しているものは、他人資本に対する利子の支払い、自己資本で持っておるものにいたしましても、少なくとも他にそれを買った場合の利益率というものは前提にしておると思います。したがいまして、十数%の値上がりがあるといたしましても、かりに土地保有のために一〇%に近い利子率を負担するとすれば、これはやはりかなり抑制的な効果を持ち得ると思いますし、同時に、いま、いままでの値上がりの実態というものが今度の制度によってどれくらい変わるかという予測は、それをどれだけ助けるのか、その辺も織り込んで考えないとわからないと思いますけれども、少なくともその土地保有のコストと税率の軽減等加えたものが土地の値上がりの速度をもし越えれば、そこに効果は出てくるはずと思っておりますが、これは現実の土地保有者の心理にも影響することでもございますので、私確信をもって、絶対に土地価格が安定するとまでは申し上げられませんが、ただ手をつかねているよりは大きな効果があると思っております。
○河村委員 その土地保有のコストといいますけれども、現在の固定資産税の状態から見れば、これは個人の長期保有の土地を対象にしておるわけですから、非常に安いわけですね。それでこの制度によって地価の上昇がそれほど変わるわけじゃありません。いわんや市街化地域に指定されたような場合は、もっとこれ以上ひどく上がるでしょう。そうなってみれば、この刻みというものはほとんど意味をなさないと私は思うのです。そうお考えになりませんか。
○吉國(二)政府委員 もちろん保有課税をもっと強くするということ、強くするといいますか適正化するということも一つ来年度には残されているわけであります。 それから、先ほど申し上げましたように、土地保有のための資金コスト、借り入れ金をしていれば、もちろん借り入れ金の利子もございます。また自分の金を使っていても、合理的に考えれば、オポチュニティ・コストというものが要るわけでございますから、そういうものを考えれば、私はある程度の値上がりに対しては税率の逓増度合いというものが合わさって、そこに抑制効果が出てこないとは言い切れない、かように考えておるわけであります。
○河村委員 この辺のところで議論を停滞したら、それでなくても時間がなくて困るのですけれども、資金を借入れて土地を売買しているのは、これは法人である不動産会社ですよ。この制度の対象になっておるのは長期保有の個人の土地でしょう。そんなもの他人の金を借り入れて持っている人いやしませんよ。ところが、法人たる不動産会社にはこの税制は適用ないのでしょう。
○吉國(二)政府委員 法人については従来どおりでございます。ただ、私が申したいのは、他人から金を借りている場合だけでなくて、個人の土地にしても、もし合理的に考えれば、その資金を運用した場合の利益というものは当然考えられるべきなんで、それを計算に入れた考え方をとれば、それと税率の引き上げとの複合効果が見られるであろうということを申しているわけであります。ただ、いま御指摘のように、はたしてそれがどれくらい強いかと言われますと、私は確信をもっては申し上げられませんが、少なくともこれだけの制度改正というものは、何らかの意味でいままでと違った効果を生ずるであろうということは予測されるところだと思います。
○河村委員 その議論にも異論はありますけれども、ほかの省の方も来ておられますから、すこし先に進みますけれども、その前に一つだけ。 この長期譲渡所得に対して税金を安くして、かりに持ち主が売ったとしますね。それが不動産会社に売られた場合、こういう場合もやはり税金は軽減になりますね。その場合にはその土地が有効利用される可能性というものは全然保証ができないわけですね。そういう欠陥は一体どういうふうに補てんをするわけですか。
○吉國(二)政府委員 不動産会社に売られたといたしましても、その土地が何らかの意味で供給としてあらわれることは、これは変わりないと思います。不動産会社もそのまま持っているわけではないので、その意味では供給のプラスになると考えておるわけでございます。
○河村委員 現実には、今日まで不動産会社といえども、相当長期にわたって値上がりを待っておる例が多いわけですね。でありますから、もしそれを補てんする方法を考えるならば、これは当然不動産会社が一定期間、二年なら二年の間にそれを有効利用しない場合にはそれに対する未利用地税——この譲渡所得に対する税制そのものが法人に適用しにくいということは私もある程度理解します。だけれども、少なくともそういった未利用地税的な、保有税に関する限りはこれは当然技術的にも、できるし、やらなければ、この制度がしり抜けになるはずだと思いませんか、いかがですか。
○吉國(二)政府委員 先ほど申しましたように、譲渡所得に対する課税だけでは欠陥があるというのは事実でございまして、いま御指摘のありましたような未利用地税とか空閑地税というものができ得れば、これを加えることがさらにこの制度を生かすゆえんだと思います。ただ、空閑地税を課する前提条件というものが十分整っていないということから見送っておりますけれども、少なくともこの両三年のうちに、建設省等におきまして土地利用計画等の促進が見られると思います。その結果を待ってさらに保有課税を捕捉するということは、当然流動的に考えていくべきだというのが私どもの前提でございます。
○河村委員 両三年というのは沖繩式であって、いつのことだかわからないということばに使われるので、そういうたよりないことでは、もうまたたく間にここでまた地価の上昇必至ですよ。ですから、これはぜひ保有税のほうは早急にやるように考えてほしいと思うのです。 そこで、だいぶせかれているので、しかたがないから先に行きますけれども、せっかく今度建設省で地価公示制度をつくって、それで少なくとも当面市街化地域についてその規準価格というものをつくるわけでしょう。この規準価格というものの性格はどういうものですか。
○播磨説明員 ただいま提案いたしております地価公示法案におきまして公示しようといたしております価格は、法律上通常価格と称しておるわけでありますけれども、これは現実に特別な事情のない方ですね、買い急ぎとか売り急ぎとかあるいは場所の特定性とか、そういった特殊な事情のない一般的な取引におきまして大体成立しております取引価格、そういったものを公示したい、こう考えておるわけであります。
○河村委員 そういう種類の規準価格を設定して、それが地価の抑制についてどういう効果を持つと考えていられますか。
○播磨説明員 こういった通常価格を公示いたします。これは毎年調べ直しまして、毎年毎年その年の価格を公示していく、こういう考え方になっておるわけでございますので、取引の実態が上がってまいりますれば、それを反映したものが毎年毎年公示されるということに相なるわけでございますから、その限りにおきましては、必ずしも大きな効果があるとはいえないと思うのでございます。ただ、現実われわれが見まして、土地の値上がりというもの、特に公共用地等の値上がりというものは、やはりつけ値とかあるいは呼び値というふうなあまり根拠のない値段が一たん唱えられますと、その周辺にはびこりまして、いつの間にかそれがほんとうであるかのごとくに扱われておるというふうな実態も、例といたしまして少なくないわけでございます。そういった不合理な形で地価が上がっていくことを極力排除したい。そういった意味におきましては、この制度は効果があり得る、こういうふうに考えておるわけでございます。
○河村委員 その程度のことでは実際ほとんど意味をなさないのですね。これをわれわれが日ごろ主張しているように、規準価格でそこでストップしてしまって当分地価を凍結するというならともかく、そうでなくて毎年更新するというのでは、地価抑制の効果はほとんどないわけですね。そのような場合に、何で税制あるいはその他の制度との結びつきをあなた方は考えなかったのか。その点をちょっとお伺いしたい。
○播磨説明員 私どもも政府ないしは公共団体等が取り扱っております土地に関する価格というものが、同じ考え方によって統一されておるということは、あるべき姿としては望ましいことだと思っておるわけでございます。しかしながら、実際問題といたしまして、かなりかけ離れた姿を呈しておるのが現状でございます。そういったものを一挙に同一水準にするということにはやはり国民の負担の面から申しましても大きな問題がございます。 それともう一つは、先生もおっしゃったとおり、今度の法律案は建設省令で定めるところの市街化区域を公示区域にするつもりでございますが、事務能率的な点もございます。また制度の本質から申しまして、そう拙速ばかりでやるわけにもまいりませんので、事務能力的な点からも申しまして、全国の市街化区域に予定されておりますような場所を大体カバーするというのには数年の年月が要る、こういうふうな状況でありますので、その場合におきましても、公示区域とそれ以外の区域との税法上の問題は残っているわけでございまして、いろいろ税務当局で御検討なさる必要のある問題が残っているわけでございます。そういったことで、今回の法案におきましては税金との関係は一切考えておりません。
○河村委員 自治省、見えてますね。——固定資産の課税に対する評価がえ、これが来年の一月に行なわれるという話ですが、いまそういうことになっていますか。
○岡田説明員 四十五年の一月一日現在でいたすことにきめております。
○河村委員 片方で、建設省で地価公示制度をつくって、やはり一種の評価委員をこしらえて評価するわけですね。それはまだ現実には場所は限られているけれども、片方で固定資産税は自治省でもってまた評価し直すわけでしょう。一体こういうもので、同じ国のやることが、別々に評価をしてまた別建ての評価額をつくるというのはほとんどナンセンスに近いですね。こういうときにどうして——主税局長にも関係がある。相続税も同じですよ。なぜこういう時期に地価の評価基準を統一し、そういう規準価格を一定してそういうものを税制の根拠に使うという考えを政府として起こさないのか。これはきょうわれわれがばらばらに政府に言っておるので困るかもしれませんが、一体自治省はその点どう考えていますか。
○岡田説明員 一点は、いまの宅地部長からもお話がありましたように、その市街化区域に一応限定して考えておるというようなことから——固定資産税のほうはもう全国津々浦々に評価いたしてまいります。宅地の標準地だけでも三十万個所からあるというような状態になっております。したがって、そういう技術的な面から困難である。また、公示価格が出ましても三年に一ぺんの固定資産の評価でございまして、そういう時点との結びつきの、時点修正と申しますか、そういうような技術的な問題がございます。そういうようなことから直ちに固定資産税にこれをリンクさせるということは困難である。また、法律もそういうことをうたっておられないというようなことから、ただ十分尊重してまいりたい。せっかくそういう制度があってそういうものが示されるならば、それを念頭に置きまして、いわば基準にする場合の参考にするというようなことで尊重はいたしてまいるというふうに考えております。
○河村委員 固定資産の評価は三年に一ぺんやるというのは、それは自治省がかってにやっていることであって、毎年やったって一向差しつかえない。特に市街化区域のように毎年地価の値上がりがうんと激しいところは毎年やるのはあたりまえですよ、課税の対象にする場合だって。ですから、市街化区域については規準価格と同じ方式をとり、それ以外の値上がりのおそいところは、三年に一ぺんでもよろしいから評価の基準というものを同じにすれば、そこでもって統一がとれるわけでしょう。 相続税についてはどうお考えですか。
○亀徳政府委員 評価の問題は実行の問題でございますので、なかなか——私のほうは、日々相続が起きてきますので、公示制度がどうなるかを待ってどうこうというのんびりしたことはできませんので、私のほうはもう——それからまた固定資産税は三年ごとにやっておられますが、私どもはやはり時価といいますか、極力新しい実態をつかんで処理しなければいけませんので、毎年苦労いたしておるわけでございます。ただ御案内のように、この地価というものは、売った場合と買った場合とが、またせっかく評価するところに売買実例がないとか、率直に申してたいへんむずかしい問題をかかえておるわけでございますけれども、それなりにそれをこなしまして、極力現状に合うように努力いたしておるような次第でございます。
○河村委員 大臣が来られて、大臣もお忙しいようですからなるべく簡潔にしますが、私が言いたいことは、要するにせっかく地価公示制度というものをつくって規準価格をつくる、そういうところに来たわけでしょう。そうしたら、少なくともあらゆる土地の税金の対象としては、評価基準というものは統一をして、それをもとにすべきじゃないか。それができないわけはないのですね。私は、おそらくただなわ張りだけだろうと思う。やる気になればできるはずです。それをもとにしてやれば、私は、有効な土地政策が必ずできると思う。きょうは時間がありませんから、私の考えをずっと申し述べまして、大臣の御意見を伺いたいのですけれども、規準価格、それと同じ基準に基づく固定資産税の評価額、こうしたものができますね。そうしたならば、四十五年の一月一日なら一月一日でよろしい、そのときの全国の固定資産税の評価額あるいは規準価格、こういうものを基礎にして、それからそれをもとにして固定資産税をかければ、一種の保有税的な効果を持つ制度が必ずできるはずです。それからいま一つ、そういう来年の一月一日なら一月一日の規準価格をもとにして、譲渡所得税を、来年一月一日以降はそれをこえた部分については高率な累進課税で根こそぎ召し上げる、端的に申せば。そういうことをやれば保有税としての効果、それから不労所得を吸い上げるという効果、こういう両方持ったものが必ずできるはずであります。これは抵抗はあるかもしれません。しかし、いまのわが国の土地の問題というものは、私は、そこまで行なっていると思うのですね。大臣そのくらいのことをおやりになるお考えはございませんか。
○福田国務大臣 保有税については、これはいろいろ問題があると思いますが、評価基準を、固定資産税だ、あるいは公示制度だ、あるいは相続税だ、こういうようなことでばらばらにしておる姿は、私は、よくないと思います。これはなるべく政府の行政の効率をあげる、しかも安くあげるという見地から、検討してみたいと思います。
○河村委員 どうも大臣の答弁はよくわからない。いま突然来られたので、いままでの話のいきさつを御承知ないから無理だと思います。私が言いたいことは、やはり土地税制というものは、こういう不労所得に対して税を軽減するというような、租税の負担の不公平を逆に促進するようなやり方でやるべきではなしに、やはり課税の強化ということから保有税と譲渡所得税の、簡単に申せば超過利潤みたいなものを吸い上げる、これでいかなければならぬ。たまたま地価公示制度というようなものができ、ちょうどいろいろな税制の対象になる評価額を統一する機運が来たわけですから、これを有効に使えば、ちょうど都市計画法もでき、土地利用計画もできつつあるときですから、こういう時期に土地問題を解決しなければ、永遠に解決する時期はなかろう、そういう意味でお話ししているんですが、もしおわかりでしたら、その辺についての大まかな方向でもよろしいから、御答弁願いたい。
○福田国務大臣 土地は製造できるものじゃなくて、これは国民全体が最も効率高く利用すべきでありましょう。土地所有権というものが認められておるけれども、それはそういう意味におきまして一億国民からその所有者が信託を受けているのだ、こういうふうに私は理解をしたいのですが、そういう意味からいいますと、遊休地、遊閑地というか、そういうようなものは相当深刻に考えていかなければならぬ段階に来ていると思うのです。いわれるところの空閑地税、保有税、そういうようなものも、土地の利用計画が定まらぬとなかなか構想を立てるのが困難でありますが、その利用計画の樹立と相まってそういう問題もこれから考えていかなければならぬ時期に来つつある、さような認識でございます。
○河村委員 それでは土地税制に関する質問はこれで終わりますが、一つだけ大臣に所得税に関連してお伺いいたします。 ことし課税最低限度の引き上げで、政府のいわゆる標準世帯で九十三万五千円まで上げるという政府の方針であります。われわれはことし百万円まで減税しろということを言っておりますが、政府は来年百万円だ、こういうことですね。いずれにしましても百万円減税が達成した後、それから先、課税最低限の引き上げをどのようにやっていくお考えであるか、それだけひとつ……。
○福田国務大臣 四十五年にはとりあえず百万円ということを考えておるわけですが、さてその後四十六年度以降をどうするか、これはその時点というか、その前の段階で考えてみたい、こういうふうに考えますが、税率調整問題ですね、この問題が大きく浮かび上がってきておるわけなんです。その財源があり余れば別ですが、財源が限られているという際に、四十六年度以降の問題として、税率調整を重視するか、あるいは課税最低限の引き上げを重視するか、その辺についてはよほどよく考えてみる必要がある。課税最低限の引き上げばかりに頭からきめつけてかかるわけにはいくまいというのが、私のただいまの心境でございます。
○河村委員 私ども別段課税最低限度だけに限れと言っておる意味ではございませんで、いままでのいろいろな質疑のいきさつからいって、大体百万円減税まで来たら、この辺が先進国の相場だから、もう課税最低限度の引き上げはやらなくていいというふうにとれる答弁がありましたから、念のためにその点を実はお伺いしたのですが、その点いかがですか。
○福田国務大臣 もう少し時間をかけて慎重に検討したいと思います。ただいままで課税最低限と言ってきまして、課税最低限の声が大きいですが、それに必ずしもこだわる気持ちはないということを申し上げたわけです。
○河村委員 少なくとも今日のように物価が非常に急上昇している場合には、かりに百万円が相場だと仮定しても、実質価値はどんどん百万円より下がるわけですね。そういう意味で、少なくとも物価調整的な意味での課税最低限度の引き上げは当然行なわれていかなければならぬと思いますが、その点はいかがですか。
○福田国務大臣 そういう点も含めて、いずれを選択するか、あるいは両方をかみ合わせるか、そういう点はいまきめてかかる必要はない、こういうふうに考えます。
○田中委員長 ただいま議題となっております両案中、所得税法の一部を改正する法律案について議事を進めます。 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○田中委員長 これより討論に入ります。 通告がありますので、順次これを許します。渡辺美智雄君。
○渡辺(美)委員 ただいま議題になりました所得税法の一部を改正する法律案に対して、私は、自由民主党を代表して、賛意を表明するものであります。 この法律案は、昨年七月に答申された税制調査会の長期税制の改革案実現の第一年度として、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限を現行の八十三万三千円から九十三万五千円に引き上げるとともに、給与所得控除の適用範囲を大幅に引き上げるほか、税率の緩和等を行なうものであって、もっぱら中小所得者層を対象として初年度において一千五百三億円、平年度千八百二十五億円の所得税減税を実施しようとするものであります。 すなわち、夫婦子三人の給与所得者の課税最低限については、長期答申の改正案が完全に実施に移された場合、右の課税最低限は約百三万円となります。アメリカの百三十三万円にきわめて接近をしたものとなるわけであります。今回の改正によりまして、すでにイギリス及び西ドイツを凌駕する結果と相なり、かなりの引き上げとなったのであります。 また、給与所得控除の適用限度を、現在の年収百十万円から一挙に年収三百十万円まで引き上げることにいたしておりますが、年収三百十万円以下の給与所得者の数が現在全給与所得者数の九九%をこえている現状からいたしますならば、この改正によってサラリーマンの大多数の人々は、収入がふえるにつれて税制上何らかの経費のしんしゃくを受けることになったわけであります。 給与所得者の経費につきましては、これを個別的にしんしゃくしろという議論もございますが、給与所得者の支出の費用性に問題を残したままこの制度を採用するときは、税務執行上少なからざる混乱を招くほか、立証技術のじょうずへた等によってかえって負担の不均衡をもたらすおそれが多いと思われます。したがって、さしあたりの措置といたしましては、現在のように収入金額を基準とする概算的な控除の合理化によることが最も適当な方法と認めるのであります。しかし、現在給与所得として課税しておるものの中には、はたして給与所得とするのが適当であるか、はたまたそれ以外の所得とするのが適当であるかについて、さらに今後検討すべきものもあります。 次に、税率につきましては、十数年来その基本的な見直しが行なわれていないのでありますが、諸外国に比べましても累進度が速くなっているといわれてきた中堅以下の所得者層に適用される税率について、今回かなりの緩和措置を講ずることといたしたのであります。 以上を通観いたしますると、今回の改正は、長期答申の目標を諸控除で二分の一、税率でほぼ三分の一達成したことになるのでありまして、一方において経済の持続的成長に即応する財政需要の充足と、財政の弾力的運営を確保するための公債発行額の減縮という二大要請を十分に満足しつつ、しかも大幅な所得税減税を断行されましたことは、適切な措置であると思います。 以上の理由により、減税は多々ますます弁ずではありましょうが、一方国家財政全体の、バランスから見まして、現段階においてはでき得る限りの減税措置であり、内容も適切で反対の理由はなく、私は、本改正案に賛成をするものでありますが、政府は、昭和四十五年度の改正において長期答申の完全実施ができるよう万全の努力をするとともに、今後とも納税道義の高揚と適正公平な税務行政の執行に十分留意されるよう強く要望いたしまして、賛成演説といたします。(拍手)
○田中委員長 只松祐治君。
○只松委員 私は、社会党を代表いたしまして、本所得税法案に反対の立場を申し上げます。 税制は、申すまでもなく、応能、公平、法定の三原則に基づくことが肝要であります。しかるに、直接税対間接税の比率は、本年末六五対三五になんなんとし、明年以降は七対三に近づくであろうことが予測されます。 特に、この原因の内容を見るならば、直接税の中で所得税は一兆九千五億円、四九・六%、人員にして二千五百五十三万二千人に及び、なかんずく源泉所得税は税額にして一兆三千二百九十六億円に達し、人員も二千百六十三万人と膨大なものとなってまいっております。その不平、不満は、私たちが常に指摘したとおり、ようやくその激しさを加えてきつつあります。政府与党たる自民党は申すまでもなく、大蔵当局も十分このような点を考慮していただきたいと思います。 以下、若干個々の問題について意見を述べてみたいと思います。 今回の減税規模は、自然増収一兆二千億に対し一千五百億円ではあまりにも少な過ぎます。しかも物価調整減税の四百二十億円を差し引けば、今日の減税規模は実質的には一千百億円程度にしかすぎないわけでございます。 二つ目に、高額所得者に対する減税の恩恵は相当に大きくなってまいっておりますが、少額所得者に対する減税の恩恵は微々たるものであります。特に新規高卒者にも課税されるというようなことはきわめて遺憾なことであります。 第三に、課税最低限は標準世帯、夫婦家族三人に対し九十三万五千円でも低過ぎるわけでございますが、前にも申し述べましたように、新規高卒者の課税をはじめ、独身者の課税最低限三十二万九千円はあまりにも低過ぎます。 さらに、地方税の住民税などの負担を合わせますと、所得税減税の実質的効果はほとんどないと言っても過言ではありません。 第四に、所得税は法人税に比べて年々重課の傾向が強まり、また、いわゆるサラリーマンのあの源泉徴収を受ける給与所得者と他の所得者との間の所得の把握に、いわゆる九・六・四といわれるように不公平があることであります。 第五に、給与所得の定額控除は、先ほどいろいろ礼讃がありましたけれども、わが党はきわめて過小であると思います。特に必要経費は一切認められておりませんが、この点についても認める方向で努力すべきだと思います。 第六に、源泉徴収に対しましては特別控除を何らかの形で認むべきだと思いますが、これもほとんどその方向をとっておりません。 第七番目に、配偶者控除をもっと引き上げ、あるいは二分二乗方式を検討するなど、憲法に示された男女平等の原則に立って、妻の地位、財産権について一そうの配慮をすべきである。 第八に、所得税の税率の刻みが五%から四%にはなりましたけれども、さらに明年の税率緩和の際は、一律にパーセントを下げるのではなくて、そのほとんどであります三百万円以下の所得者に対して税金区分を拡大することが重要であります。 以上申し述べましたような諸点に対して、本年度の改正案は必ずしも十分ではございません。その点に関しまして、わが党委員が連日意見を国民の声として代表して申し述べておりますので、十分この意見を取り入れられて、明年度の税制に実施されますよう要望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○田中委員長 河村勝君。
○河村委員 私は、民社党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案に対して反対の意見を申し述べます。 政府は、本改正案によって、いわゆる標準世帯に対する課税最低限度を年所得九十三万五千円に引き上げて、これをもって昭和四十五年百万円減税の公約実現の段階として、中小所得者の負担軽減をはかったと称しておられます。しかしながら、この減税額は名目減税額であって、実質減税額は消費者物価の上昇が生計に及ぼす影響を算定してデフレートしなければなりません。昨年度においては、課税最低限度の引き上げのために千五十億の減税が行なわれたが、片方において酒、たばこの値上げ並びに物品税の引き上げによって千五十億円の実質的な増税を行なって、減税分を完全に相殺してしまっております。昨年度の消費者物価の上昇率は五・四%程度である。しからば四十三年度においては、それに見合うだけの実質増税となっているわけであります。政府の物価対策はきわめて貧困でありまして、昭和四十四年度における消費者物価の上昇も、政府の希望的予測をもってしても五%をこえることは明らかであります。 このような実態からすれば、少なくとも昭和四十四年度において百万円減税を実施するくらいの配慮は当然行なわれてしかるべきであります。昭和四十四年度の租税増収見込み額は一兆二千億であります。また、最も重税というべき源泉所得税について見れば、四千百二十八億円の増収が見込まれるにかかわらず、減税額はわずかに千二百五十億にすぎないのでありまして、他方において、いかに国債減額の必要があるといっても著しく過小であって、減税のための原資に不足するとはいえないはずであります。 以上の見地に立って、わが党はあくまでも本年度百万円減税を主張して、本案に対して反対をいたします。(拍手)
○田中委員長 広沢直樹君。
○広沢(直)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題になっております所得税法の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行なわんとするものであります。 まず減税の規模でありますが、初年度一千五百億円という金額は、来年度の自然増収見込み額一兆二千億円のわずか一二・五%にすぎず、過去十年間の平均減税率たる二二%を大幅に下回っているばかりか、従来の減税政策の基準とされたこともある自然増収額の二〇%といった水準に比べてもかなり低いのであります。しかも、政府の試算によれば、そのうち約四百二十億円は物価調整減税に匹敵するとされておりますので、実質減税はわずか一千億円程度となることは、先ほども指摘されたとおりであります。 ところが、この数字は、来年度における消費者物価の上昇率を五%とした場合の数字でありまして、物価上昇率がこの程度でおさまらないことが明らかである限り、その実質減税額が、さらにこれを下回ることもまた明らかであります。 さらに視点を変えまして、四十四年度における国民所得に対する租税負担率は一九・七%となっており、前年度に対し〇・四%も上昇する見通しとなっておるのであります。最近、政府はよく、より高い福祉の水準はより高い国民の負担につながるのだということをいっておりますが、しからば、来年度予算に盛られた社会保障関係費は、さきのことばにはなはだ遠くかけ離れたものといわなければなりません。そればかりか、今年も国鉄運賃の大幅値上げを主軸とする政府主導型の物価上昇は、国民生活をさらに圧迫する結果になることは明らかであります。これでは、税金が一向に軽くならないという国民の声がかかるのももっとものことであります。 今回の改正案の内容を見てみますと、俗に部課長減税といわれているとおり、減税の恩典は年収百万円から二百万円程度の階層に最も厚く及んでいるのであります。年収百万円以下の所得者が、全納税者の七割近くを占めているという現状からいたしますと、所得税減税の第一目標は、むしろここに向けられてしかるべきであると思われるのであります。 この際、政府は、わが党がかねて主張しておりますように、防衛費の削減、大企業優先の措置と利子配当所得の優遇措置の整理、交際費課税の強化等、特別措置の大幅整理により財源を捻出し、少なくとも標準世帯で課税最低限を百三十万円まで引き上げるとともに、低所得者には軽くなるような税率の調整を行なうべきであります。以上のような観点から、私は、本案に対して反対の討論をいたしました。 以上であります。(拍手)
○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決いたします。 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○田中委員長 次回は、来たる十八日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十七分散会