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61回国会衆議院1969/03/07

大蔵委員会 第9号

発言数
109
登壇者
13
会派数
2
開催日
1969/03/07

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ただいま委員長から言われました議題に関して、前に質問をいたしたわけでありますが、きょうはその中で関連の問題として公務員宿舎関係について質問をいたしたいと思うわけです。  前回の答弁によりますと、大体二十五万ぐらいの公務員宿舎が設置されているという答えがあったわけでありますが、この特別会計設置後における建設の計画というもの、この特別会計あるいはそれ以外の一般会計、そういうようなものを合わせましてこの建設の整備計画というものがどういうようになっているか、この点を数字で明らかにしていただきたいと思うわけです。

谷川寛三大蔵省理財局次長

○谷川説明員 先日、広瀬先生から御質問がございまして概略申し上げたところでございますが、重複する点もあると思いますが、もう一度現況並びに計画について申し上げたいと思います。  この間申し上げましたように、公務員宿舎は四十三年度末におきまして、ただいま建設中のものも含めまして約二十六万七千戸になる予定でございます。そうして四十四年度におきましては、これはまた予算の面と、いよいよ設計をいたしまして実行いたすことになりますと、戸数に若干の異同が出てはまいりますが、四十四年度におきましては一万一千四十戸を建てる予定になっております。  ただし、広瀬先生も御案内のとおり、公務員宿舎につきましては、国家公務員宿舎法に四条というのがございますが、一項宿舎と二項宿舎とございまして、第一項のほうは大蔵大臣が設置するものでありまして、ただいま私が申し上げました一万一千戸と申しますのは大蔵大臣設置の分でございます。第二項は各省庁別になりまして、特別会計等でございますので、私のほうでは、まだ四十四年度の建設予定戸数につきましては報告をいただいておりません。また報告が参りましたら何かの機会に御報告を申し上げるようにいたしますが、一応大蔵大臣設置の分が一万一千四十戸、四四十年度に予定いたしております。  そうして、この間も申し上げましたが、私どもは四十一年度を起点といたしまして、そのときの公務員宿舎設置につきましての各省の御要望を承りまして、五カ年計画を設定いたしました。ただいまのところ、五万戸建設する予定でございましたが、進捗率を申し上げますと、四十四年度の先ほど申しました一万一千戸を含めますと六八%、約七割の達成率になります。あと三割を私どもといたしましては四十五年度におきまして、計画年度におきまして、一応主計局に要求いたしまして充足したいと思っております。そして、あらためてその時点でいろんな要素を再検討いたしまして、さらに新たなる計画を立ててまいりたい、かように考えております。  なお、補足して申しますと、四十三年度におきまして公務員の皆さん方の宿舎の安定率は約九五%になっておる次第でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 予定どおりの建設が促進されることが必要だろうと思います。  そこで、公務員宿舎における等級区分がいろいろあるわけでありますが、これは現在どういうようになっておりますか。

谷川寛三大蔵省理財局次長

○谷川説明員 ただいま御質問がありました等級区分と申しますのは、公務員宿舎の入居につきましての規格のことであろうと思うのでございますが、これは、ただいま鉄筋を主にしてやっておりますので、鉄筋についてだけ申し上げたいと思います。木造は非常に少ないものでありますから……。  まず、abcdeと五つに分けておるのでございますが、a型は、独身者の諸君に入っていただくものでございまして、ただいまでは六・五平方メートルでございます。それからb型は、六等級以下の方に入っていただく規格でございますが、四十三・八平方メートルでございます。それからc型と申しますのがございますが、これは三等級から五等級の公務員の方を一応予定しておりますが、五十六・二平方メートル、それから二等級用といたしまして六十五・七、それから一等級以上の方のためのものが八十二・五平方メートルとなっております。もっとも入居の段階におきましては、大きなところへ行きますと家賃も高くなりますので、実際には小さいところへお入りを希望する方もあることを御了承いただきたいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 わかりました。  それで、一万一千四十戸というものを四十四年度に建設される予定でありますが、ただいまのabcdeというこの五つに分けまして、その割り振りはどういうようになっておりますか。

谷川寛三大蔵省理財局次長

○谷川説明員 まだ実行計画につきましては検討中でございまして、abcにどういうふうに割り振るかということは確定をいたしておりませんが、私どもといたしましては、なるべく三等級から下の方のための宿舎を中心にして考えたいというふうに考えておる次第でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ただいま答弁の方向、正しいと思いますが、もう一つ問題は、前に新聞や週刊誌等でも、あるいはその他のマスコミからも問題になったことがあるわけでありますが、今日一番上級のと申しますか、四LDKという、これは一等級、局長クラスといいますか、そういう人たちが入る宿舎として四LDK、八、六、四半、四半、リビングルーム、ダイニングキッチンと、こういうようなものがあるわけであります。これが少しく公務員宿舎として、しかも重要な地位にあり、重要な活動をなされる人であるから、ある程度差があるということについては了解もできるし、また将来を展望すれば、日本国民全体がこのくらいのところに住まなくてはならない、これはわれわれ政治家の理想だろうと思いますけれども、現状のきわめて住宅難の中で、ひとり高級官僚がこういう施設に住まわれるということについては、やはりそういう点からも問題があると思うのです。それと同時に、たとえばbクラス、Rcb、このクラスは、四十三・八平米、坪数にして十四坪ぐらいのところですか、十三、四坪、これなんかがまさに庶民的な住宅と同じような大衆住宅、これが一千八百九十円の家賃である。それから見まして、この坪数においても約倍だし、しかも、鉄筋コンクリートという、冷暖房もおそらく十分つくようなそういう設備というようなところで、四千五十円という使用料がある。  こういうようなことについて、やはり同じような一等級の人でも、貸し家に住んでいる人だっていろいろな事情があるだろうと思います。これと同じ程度のものを民間で求めるとすれば、いわゆる最近問題になっておりますマンション族ということで、相当なこれは料金になるだろう。おそらく、この四千五十円という料金から見れば、十倍以上になるだろう。けさの新聞にも、そういうところに住んでいる人たちが非常に脱税をしているなんていうことが出ておるわけでありますが、それは余談でございますが、こういう状況というものを考えますと、これはやはり、これからつくっていく場合にも、こういうものがどんどんできていくというようなことについては、どうしても国民的な一つの感じの上で抵抗を覚えざるを得ないわけです。そういうこととこの料金の問題というものがからむわけでありまして、そういうことが世論の非難を浴びる結果にもなるわけでありますが、こういう点について一体どういうようにこれから考えられていくのか。この施設そのものについて、あるいはまた料金についてどういうお考えをもっていかれるのか。これは次長と、政務次官からもひとつ政治家としての判断、大蔵省としての考えを答弁していただきたいと思うのです。

谷川寛三大蔵省理財局次長

○谷川説明員 最初に、私、技術的な面からお答えを申し上げたいと思います。  使用料一般につきまして考え方を申し上げて御理解をいただきたいと思うのでございますが、公務員宿舎についてでございますが、国家公務員宿舎法の規定にもございますように、まず、その設置の目的が、公務員の人事配置を適正にいたしまして、そうして住居安定をいたしまして、安心して仕事ができるということ等によりまして、国の事務及び事業が円滑に遂行できる、そのために設置する、ということにもなっております。そういうまず設置の目的からいたしましても、いろいろ民間の貸し家等と同一に比較するということが必ずしも適当ではないという面もございます。それからこれが、いま申しましたような行政目的をもってつくられまする行政財産でございますから、当然のことでございますが、被貸与者につきましては、借家権みたいなものはもちろんございません。そういった要素を勘案いたしまして、また、この使用料をきめる場合のいろんな規定が、ただいま申しました宿舎法に規定されてあるというようないろんなことを考えますと、ただいま申しましたように、民間の貸し家の家賃と公務員宿舎の使用料とそのまま比べますことは、必ずしも適切ではないんじゃなかろうかという感じはいたします。いたしますが、一般的に申しまして、最近の民間住宅の家賃に比較しますと、私どもといたしましても、この際、再検討する必要があるのじゃないかということを感じております。特に、ただいま御指摘のありました上級職の皆さんの宿舎につきましては、お話がありましたように、冷暖房ができるような施設はもちろんございません。それから民間のマンション等と比べますと、これは建設の単価もだいぶ違いますから、ずっと雑だものになっておりますが、宿舎全体の、さっき申しました五つの規格の中でやはりバランスをとって、広いところはそれなりに宿舎料改定の際には段階をつけて上げていくというような措置をとっていく必要があるのではないか。ただいまも広さによりまして二段階に分けまして宿舎料をきめております。もっときめこまかく段階につきましても考えていこうということで、ただいませっかく検討中でございますが、できるだけ早く改定をいたしたいというふうに考えております。  なお、こういった広い宿舎につきましては、さっきも申しましたように、これは数としては非常に少ない。しかし、上級職の方につきましては、職務の重要性なり家族の構成数なり等を考えますと、この程度の広さのものはお許しをいただかなければならぬと思うのでございますが、新たに計画します建設戸数の中では、やはり三等級以下の方を中心にいたしまして新築をしてまいりたいというふうに配慮しておる次第でございます。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 実は、事務的な点につきましては、いま谷川次長が御説明申し上げましたが、基本的なものの考え方としましては、上級職の人だからといいまして、その家族の構成その他いろいろな住居としての基準というものがあると思うのですね。しかし、上級職も下級職もそれでは家族構成だけできめるかというとそういうようなわけにもいきかねる。どうしても上級職でありますればいろいろとそこに職務上多少のゆとりということも必要であろうということもございましょうけれども、しかし、これにバランスを失してくるような感じを与えてはいかぬと私は思うわけでございます。  なお、使用料というものにつきましても、これも民間とは、いま申し上げましたように多少違いまするけれども、しかし、これもある程度のバランスというものがございますので、この点につきましては早急に検討するがよかろうというふうにいたしておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 これで質問はやめますが、これらの問題は、これはむずかしく論ずればいろいろあると思うのです。しかし、いずれにしても、そういう宿舎に入っている人といない人とのアンバランスというようなこと、あるいは上と下とのはなはだしいアンバランスというようなものは、やはり官庁全体の能率をあげていくというような立場から見ましても問題があるし、したがって、あまりに格差がつき過ぎるというようなことは好ましいことではないと思うのです。現状はややそういうきらいがあると思うのです。したがって、これからの公務員宿舎の建設にあたっては、やはりそういう内部的なバランスということも考え、また、上厚下薄だというような非難のないような心がけというものをこの際強く要望いたしまして、私の質問をこれで終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 特定国有財産の特別会計の審議をほぼ終える段階に参ったわけでありますが、この前の質疑を通じまして、一体この特別会計でやっていく事業というものは、将来どういうような方向のものをやるのか。なお、一般会計の中でその国有財産を維持していくためにはどういうような改善の措置を考えていくのか。これについての青写真を示してもらわなければ、問題は解決しないのではないかということを私はお話しいたしたわけであります。  そこで、私の手元には事業のあらましが提示をされておりますので、この中身について簡潔に今後特別会計で処理していくあらましを説明願っておきたいと思います。

谷川寛三大蔵省理財局次長

○谷川説明員 先般御質問がございまして、この点につきまして申し上げたのでございますが、いま直ちに、総ワクがどのくらいになって、それをどういう年次計画でやるかということを具体的に申し上げられないことをたいへん申しわけなく思っております。つまり、年度年度の財政全体のバランスの中におきまして考えなければいけないことだと思うのでございますが、基本的には、私どもは各省庁の必要性を十分考えまして、許される範囲で幅広くやってまいりたいということは考えております。  そこで、やはり抽象的な説明になると思うのでございますが、それではこの特別会計でどういう仕事が考えられるかということをかいつまんで申し上げたいと思います。  一つは、この法律で掲げております庁舎の合同立体化の問題でございますが、合同庁舎につきましては、先日もだいぶ御説明申し上げてもおりますように、漸次その整備が進められておりますが、なお整備を要するものも少なくございません。昭和四十四年度以降計画の対象となり得ると思われますものは大体百二十三件くらいあろうかと思っておりますが、このうちで、まだ十分精査をしておりませんが、あと地処分収入を伴いますものがこの会計の計画の対象になってまいるわけでございます。  それから次は再配置の関係でございますが、これのおもなものが従来刑務所であったわけでございますが、刑務所とその他のものに分けまして申し上げてまいりたいと思います。  まず、刑務所関係でございますが、これもせんだってちょっと申し上げましたが、現在市街地にありますものは、移転実施中のものを除きますと約三十八カ所ございます。このうちで二十一カ所が移転要請を各方面から受けておりまして、したがいまして、この中でさらにあと地処分収入を伴いますものが本会計の対象事業となってまいるわけでございます。  次に、再配置のその他の部分でございますが、これは従来建築交換の形式で行なわれておりましたものに当たるわけでございますが、建築交換の中で、従来のケースで進捗の度合いを見ますと、大体各年度、刑務所を除きまして、平均しまして二十億円程度になっておりますが、今後も少なくともこの程度の事業は、刑務所以外の再配置で見込むことができるのではないかというふうに考えております。  最後は、最近の問題といたしまして、研究学園都市の関係でございますが、研究学園都市への移転は三十六官署になっておりますが、一部の官署を除きまして大部分は目下検討の段階にあるわけでございます。この中でも、たとえば東京教育大学のように文部省特別会計所属のものもございまして、この今度の特特会計からは除外されるものもございますし、それから新設の機関もございましてあと地がない、それから他の施設を借りて入っておるので、移転をしてもあと地がないというものもございますので、全部が全部本会計の対象になってくるわけではございませんが、一般会計に属しておって一応あと地を有するものをさっきの三十六官署から抜き出してみますと、二十五官署になります。そしてさらに、そのうちであと地を処分してもいい——公園とか緑地にしなければいかぬものもございますからそれは除いて、処分してもいいというものが本会計の対象になってまいるというふうに考えております。  たいへん抽象的で恐縮でございますが、以上あらまし申し上げます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 あらましはわかりましたが、従来建築交換の方式で処理をしてまいりましたものを、なお今度は売買予約方式のような形を取り入れながら二十億円程度は処理をしていくということにも聞こえます。  そこで、この前河村委員のほうから指摘がされましたように、現在法務局がある、その隣に証券会社があった。その証券会社が隣の法務局の敷地がほしい。そこで適当なところを代替として用意をするならば、等価交換でその国有財産である法務局の土地を売り払って適当な場所に移転をする、こういうような形のものが今度の予算の中にもございます。これをいろいろ検討をしてみると、確かに適当な土地があったとしても、それは前から持っておった土地ではなくて、あらためて買収をしておいて交換をするというような形のものが生まれる。この法務局の移転問題等については、過去においても地方財政法に違反をするようなものさえも、せっかくあるのだからそこに置いてもらいますので、市のほうで土地をあっせんしあるいは土地を提供をしますから予算を下さい、そして改築をしてくださいというような形でなされたものもある。私も実例を知っております。そういうようなことで、ややともすればいままで建築交換方式の形の中には、金がないがために、一般会計のほうからの金のつき方が悪いがために、やむを得ずしてそういうような財産を提供をして庁舎を建設をするというようなものがございました。今後この特別会計が制定をされてくるということになりますと、相沢次長が言っておられたように、一割以上のいわゆる売却収入というものがあれば一般会計のほうから継ぎ足してでもそういうような誤解を与えるような措置がとられないように持っていけると私は思うのでありますが、そういうような面において将来の事業のあらましの中身を考えてまいりますると、その点に一つの問題点があるのではないかと思いますので、これは相沢次長のほうでこの前の質疑の過程の中でまだ私も釈然といたしませんでしたから、そのようなことが国民から不信の目で見られるようなことのないということをこの際説明を願っておきたいと思います。  それから第二点は、時間の関係もありますのではしょって質問をしてまいりますが、事業のあらましの中にあります研究学園都市の問題でございます。この問題については、今度の国会ではまだあまり追及がされていないようでございますが、東京教育大学の移転問題に関連をした学内の問題から、東京教育大の紛争、入学募集の停止という問題の基本が発生をしているわけであります。教授会が割れて意見がまとまらなかった、そこにこの問題の発生の原因があることを考えますと、この問題についてはきわめて重要でございます。  そこで、研究学園都市の筑波に移転をするのは三十五官公署になっているわけですが、前期のうち農林省関係と文部省関係が移転をする、こういうことになっているようであります。しかし、三十六の官公署が向こうに移転をする。その場合に、二十五は特別会計の会計で処理ができる。そうすると、残りの十一は一般会計で実施をするということになります。予算のつきぐあいから見まして、また向こうの方に移転をしようというその役所の数のそれぞれから見まして、みんなあまり行きたがらない。おれのところはあと回しでよろしい、おまえのほうは先に行ってくれというようなことで、お互いに謙譲の美徳を発揮してなかなか移ろうというところまでいかないのではなかろうかと、私たちは外からながめて見るのであります。だからそれについて、これの推進本部のほうではどの程度の見通しをつけておやりになっているのか。また、その推進をしていく会計面の上から、一般会計と特別会計の上において今後どのような方向の中で調整をとりながら解決をしようとしているのか。これらの点についてこの際説明をしておいていただきたいのであります。

相沢英之大蔵省主計局次長

○相沢政府委員 建築交換のことに関しましては、前回私からも申し上げましたとおり、このような交換のやり方が、どうもいわば変体的なものであって、できるだけ今後は避けたほうがいいという点につきましては、私どももそのように考えております。建築交換に伴って、ただいま先生が御指摘いただきました点においてとかく疑惑を生ずるおそれがある、また、評価等の問題におきましてもいろいろと世の不信を招くおそれがあるというような点もございますので、建築交換の方式は、この特別会計ができました限りできるだけやめていきたいと思っております。ただし、特に国の側の事情におきましてぜひある一定の土地がほしいという場合に、その土地の所有者からどうしても交換という形が要望されるというようなことも、これは双方の利害が一致する場合には絶無ではないと思いますので、そういった場合においても建築交換を禁止するというのはいかがかと存じます。今後できるだけやめるという方針ではございますが、全面的にこれをやめるということは困難であろうかと思っております。

永井陽首都圏整備委員会事務局計画第一部長

○永井説明員 研究学園都市の移転につきまして、関係各省がそれぞれ意欲的でない、消極的になっておるのではないかという御指摘でございますが、現在までの現況と申しますか、進捗状況をかいつまんで申し上げますと、まず住宅公団が実施しております団地内の用地買収でございますが、これは予定面積千九百ヘクタールのうち一月末現在で千五百五十ヘクタール、約八一%の買収を完了いたしまして、引き続き買収を進めておる段階でございます。  それで移る側の立場になりますと、移ったものの受け入れの条件の整備はどうなのかという不安をお持ちになるのは、まことに情として常であろうかと思われますので、受け入れ体制、すなわち筑波の都市づくりということの具体的な計画というものをお示ししないと、移転側も非常に不安を持っておるということは事実だろうかと思います。  それで、六省庁三十六機関が筑波に移転をするんだということは、これは四十二年の九月の閣議でもうすでに了解されておりますし、また、その線に沿いまして各省も種々具体的に、移転するためにはどのような条件が整備したらいいのかということを検討してまいっておったところでございますけれども、つい最近、三月でございますけれども、推進本部におきまして、移転のスケジュールのめどといたしまして、三十六機関のうち、まあ四十三年度を初年度といたしまして前期五カ年、後期五カ年、前後期に分けまして、おおむね十カ年で移転を終了するというめどを立てまして、前期五カ年のほうに建設を進める機関といたしまして、先ほどもちょっとお話のありましたように、科学技術庁の、もうすでに建設を開始しております国立防災科学技術センターとそれから無機材質研究所、この二機関。それから文部省は、一応学内紛争を起こしておりますけれども、これの解決ということを待って教育大学が前期移転の予定として入っております。また、建設省関係といたしましては、土研、建研、地理院の三機関が予定されております。また、農林省関係も、対象機関は全部で十三という数多くございますけれども、これもそのうちの一部を前期に移転というめどということで、この移転と申しましても、全機関が一度に来るわけではございませんので、移転する時期のタイミングに合わせまして、受け入れ体制としての町づくり、特に街路等の整備につきまして関係各省といま調整を鋭意とって、逐次具体的な町づくりの計画を立てていきたい、このような作業に着手しておる次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 時間がありませんので、もうこれでやめますが、この学園都市移転の話が出ましたのが三十六年、それから三十八年にその調査をして、そうして、まあ過密地帯の解消から研究学園都市の建設ということがきまったのが三十八年、もうことしは四十四年度の予算の審議をいまやっている。テンポを考えますと、あまり進捗をしているというふうに受け取れない。しかも、なかなか行き手がない中で東京教育大あたりを持っていこうとしても、これまたああいうような状態になった。  私は、これを考えてまいりますると、この特別会計で処理をしなければならない——そこら全部を処理するわけじゃありませんが、そういうような中身から考えましても、非常に問題が今後へ残っていくと思うのであります。それで、そのようなことが今後課題として残っておりますので、国有財産の整備の問題については、後ほど堀委員のほうから質疑がなされると思いますが、一般会計、特別会計を通じまして、もっとやはり有効な効率的な措置が講ぜられるように、そうしていたずらに放置をすることによって地価が暴騰をして、不当な利得が第三者に渡るというようなことにならないように配慮をして執行をしていただくように要望して、終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 最初に、大蔵省にお伺いをいたしますが、現在産投会計で所有しておる政府出資の株式会社の株券の額、これは評価はむずかしいですけれども、額面における総価額は一体幾らあるのでしょう。

青山俊大蔵省理財局長

○青山政府委員 産投会計で現在所有いたしておりますところの株式につきましてお答え申し上げます。  電源開発株式会社、額面にして六百四十五億円でございます。それから次に東北開発株式会社八十八億円、それから日本航空株式会社、これが百二十六億円、それから日本航空機製造株式会社、これが四十二億円、それから北海道地下資源開発株式会社九億円、それからもう一つ、現在もうこれはございませんが、いま申し上げましたのは四十二年度末の数字でございますので、四十二年度末には日本合成ゴムが九億円、これだけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実はいま局長が最後にお答えになりました日本合成ゴムの株式の処分については、ただいま商工委員会において論議をいたしておる最中でありまして、この問題の論議の経過の中で、私ども、国有財産の取り扱いについて必ずしも現行の法律のたてまえが十分でない点があるという感じがしておるわけであります。大体国有財産法では、たてまえとして普通財産は第六条で「大蔵大臣が、これを管理し、又は処分しなければならない。」こういうふうに規定されておりまして、このことは国有財産の普通財産の処分のしかたを原則的に定めておるから、それに基づいて各種審議会の議を経て処分をするというしかたは、これは本来国民の貴重な財産を処分するにあたっては、一方的な判断にとどまらず、民主的な審議会等の議を経て国民の納得するような処分を行なえというのがこの法律の趣旨であろう、こう考えておるわけでありますが、実は第八条に、特別会計においてはその処分を特別会計の主管者である省庁の長に一任をして、ここには何らそういう処分についての民主的な規定が働かないということが現行の国有財産法の解釈であるというふうに承っておるわけであります。しかし私どもは、これから、たとえば昭和四十四年度にも産投会計では株式の処分がされるようでありますけれども、ただいまお話のありましたように、総計いたしますとまだ現在でも額面で八百億以上にのぼる株式が産投会計に保有されておる、これは今後の経済の推移のいかんによっては適時売却をされる可能性がきわめて高い、こう思うわけでありますから、これらの処置についてはやはり国民が納得をするような処置を講ずるのでなければ、国有財産の適当な処置と言いにくいのではないか、こう考えるわけであります。  そこで、四十四年度に産投会計から予定をしておられる株式の売り渡しはどうなっておるのか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。

青山俊大蔵省理財局長

○青山政府委員 四十四年度で産投会計保有株式で処分を予定いたしておりますものは、電源開発株式会社の株式と日本航空の株式、この二つの株式を処分する予定にいたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 予算上の収入額として現在見積もっておられるのはどのくらいでありますか。

青山俊大蔵省理財局長

○青山政府委員 電発につきまして六十億円、それから日本航空につきまして約二十六億円の予定であります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、実は電源開発の株式の問題は、これは当委員会の所管ではありますが、あわせて電源開発株式会社の性格から見ましても、商工委員会等においてもこれは十分論議をしなければならない問題だと思うのです。御承知のとおり電源開発の株式というのは、民間の出資が一億円あるだけで、あとはあげて産投会計、石炭特別会計の出資からなっておるものでありますから、言うなれば、株式という名前はついておりますけれども、国営の会社とほとんど同じであります。この株式の売り払い等について、その株の評価をいかにするかということは、これは非常に複雑な問題を実ははらんでおるわけであります。ですから、今後こういうような複雑な株式の評価その他をするにあたっては、慎重の上にも慎重を期すことが行政の運営上必要ではないか、こう考えるわけであります。政務次官はこれらの点についていかがお考えでございますか、ちょっとお伺いしたい。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 堀先生のおっしゃるとおりでございまして、国有財産というものにつきましては慎重の上にも慎重にやらなきゃいかぬと思います。ところが、御指摘のような点があるわけであります。実は、今回御審議を賜わっておる法案につきましても、諸先生からいろいろとこの国有財産の処分なり、その他すべての処理につきまして統一した、総合的な方針が必要であろうという御意見がございまして、私のほうとしましても、ごもっともだと思うのであります。そういう意味から申しますれば、いま堀先生からおっしゃったような意味において、この問題も検討の対象にすべきものだというふうに私は思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は国有財産法は十四条で、土地と建物については、特別会計といえども大蔵大臣と協議をしなきゃならぬ。しかし、どちらかといいますと、土地とか建物とかの評価というものは、実はその他との権衡を考えれば、評価そのものはやや常識的な評価のなし得る条件がありますけれども、特にこの未公開の株式の評価というものは、実はきわめて評価が複雑で、困難な問題を含んでいるわけでありますので、その点は普通財産の中でもやや性格を異にしておるにもかかわらず、現行法のたてまえが十分なチェックがなされていないということは、これは私、非常に問題があろうか、こう考えておるわけであります。ですから、私はそういう意味ではやはりいま政務次官もお答えになって、当委員会でもすでに論議が尽くされておるようでありますけれども、やはり国有財産については、少なくとも各省庁の長が権限があるとしましても、その統一的な管理なり処分について、大蔵大臣が意見を述べ、あるいは大蔵大臣の所管のもとにある各種の機関の手続等を経て、そうしてやはり国民が納得をするような処置が講ぜられることが望ましい姿ではないか。特にいま私が申し上げましたような、ことしは電源開発の株式というようなきわめて複雑な処理が目の前にあるわけでありますので、そのためには大蔵省側としても何らかの手段を講じて、いまの電源開発の株式の処分が行なわれるまでに適切な措置をひとつ講じていただきたい、こう考えるわけであります。  いま大臣がお見えになりましたから申し上げますが、私、伺っておりますのは、産投会計が所有をしております株式、たとえば電源開発、日本航空その他、いま商工委員会では日本合成ゴムの株式の処分の問題がちょっと起きているわけでありますけれども、こういう処理について、大蔵大臣のもとにおける統一的な管理、処分と同時に、その評価等についても民主的な機関の意見を聞いて瑕疵ない運営をするようにしてもらいたいという、実は問題を提起しておるわけであります。いま伺いますと、今度四十四年度には電源開発の株式額面六十億円処分をして、それを産投会計の収入にするということに相なっておるようでありますので、そういう処分までに適切な処置を講じてもらいたい、こういうふうに考えておるのであります。それについて大臣の見解を聞いておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 まことに適切な御指摘と存じます。これはどうしても考えなければならぬ問題だと存じます。ことに、四十四年度は電源開発の株式を一部売り払うということを考えておりますので、この機会にぜひともお話しのような趣旨の仕組みを定着させたい、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私がいま申し上げておりますことは、実は、国民は国有財産というのは自分たちの財産だと考えていいものでありまして、それをたまたま大蔵大臣がかりに所管をしていらっしゃるというのがたてまえではないか。国民の財産でございますから、そういう意味では国民が納得するような処置をこの際確立をしていただいて、そしてあわせて、それは単に株式だけにとどまらず、特別会計における普通財産一般についても瑕疵のない運営をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問は終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより討論に入るのでありますが、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党を代表し、村上信二郎君外三十八名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりすす。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。村上信二郎君。

村上信二郎自由民主党

○村上(信)委員 ただいま議決されました法案に対する附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。   国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 国有財産の管理及び処分については、一層その適性を期するため、次のごとく措置すべきである。 一、国有財産の管理及び処分については、一般会計、特別会計を通じ、これを統一的に行い、国有財産の利用の一層の効率化を図るよう努めること。 二、政府所有の国有財産たる有価証券については、その処分及び評価が適正に行われるよう適切な措置を講ずること。 三、庁舎その他の施設の用に供する国有財産の処分については、都市の健全な発展と秩序ある整備に資するため、これらの適性かつ効率的な活用に留意すること。 四、大都市周辺の河川敷地については、その公共用物たる性格にかんがみ、公園、広場、運動場等に開放するよう可及的速かに措置すること。 以上のとおり、本附帯決議の趣旨は、政府に対し、国有財産の管理及び処分について、一そうその適正な措置を要望せんとするものでありますが、その内容は次の四点に帰着するのであります。すなわち、  第一点は、国有財産の管理及び処分の統一的処理についてであります。  現在、普通財産は大蔵大臣がこれを管理し、または処分しなければならないとされておりますが、特別会計に属する普通財産については、例外的にこれを所管する各省各庁の長がこれを管理し、または処分することができることになっております。したがって、一般会計及び各特別会計において、国有財産の取得及び処分が区々に、統一なく行なわれているきらいがあり、弊害を生ずるおそれがありますので、これを一元化することにより、国有財産の利用の一そうの効率化をはかるようつとむべきであります。  第二点は、政府所有の出資株券等の処分及び評価の適正化についてであります。  現在、一般会計に属する出資株券等の処分及び評価については、国有財産審議会に付議するたてまえになっておりますが、特別会計に属するものについてはこのような規定が何らありませんので、官僚専断によって国民の財産が不当に処分され、国損を生ずるおそれがなきにしもあらずと考えられるのであります。したがって、政府はこれら出資株券等の処分及び評価が適正に行なわれるよう、適切な措置をすみやかに講ずべきであります。  第三点は、国有財産の適正かつ効率的な活用についてであります。  現在、庁舎その他の施設の用に供している国有財産の中には、その位置、環境、規模、形態等から見て、他の用途に供することが適当と認められるものが少なからずあるのであります。一方、人口及び産業の都市集中に伴い、土地問題、都市問題はきわめて深刻さを増し、都市再開発の緊要性が最近とみに高まってきていることは御承知のとおりであります。したがって、これら庁舎その他の施設の用に供している国有財産で処分を適当とするものについては、都市の健全な発展と秩序ある整備に資するため、これが処分の相手方を公的機関に優先させる等、その適正かつ効率的な活用に留意すべきであります。  第四点は、河川敷地の公共的利用についてであります。  河川整地の占用許可は建設省の所管事項でありますが、その占用許可にあたっては、その公共用物たる性格にかんがみ、これを公園、広場、運動場等について優先的に行ない、広く国民一般の利用に開放することはきわめて当然と考えられるのであります。特に大都市周辺の河川敷地については、そのすみやかな開放をはかるべきであり、現にゴルフ場、自動車教習場等私的営利事業に使用されているものについては、逐次一般公共の利用に転換するよう、政府は積極的に措置すべきことを強く要請するものであります。  以上が本附帯決議案の趣旨でありますが、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、御趣旨に沿うよう、今後一そうの配慮をいたす所存であります。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————  所得税法の一部を改正する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。福田大蔵大臣。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、さきに経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策につきまして、税制調査会に諮問いたしたのでありますが、昨年七月、同調査会から三年間にわたる審議の結論として、長期税制のあり方についての答申、税制簡素化についての答申及び土地税制のあり方についての答申が提出され、さらに昨年十二月には、これらの答申の内容のうち、来年度の改正において実現すべき事項につき、昭和四十四年度の税制改正に関する答申が提出されました。政府といたしましては、これらの答申を中心として昭和四十四年度の税制改正につきまして鋭意検討を行なってまいったのであります。  その結果、最近における国民負担の状況にかんがみ、中小所得者の所得税の負担軽減を主眼として、課税最低限の引き上げ、給与所得控除の適用範囲の拡大及び税率の緩和等により、平年度一千八百二十五億円にのぼる所得税の減税を行なうこととし、また、当面の経済、社会情勢に即応して、住宅及び土地対策の拡充合理化、公害対策の促進、原子力発電の推進、中小企業の構造改善等に資するため、税制上の諸措置を講ずるとともに、交際費の課税を強化するほか、納税者の権利救済制度の改善をはかることといたしたのであります。  今回は、これらの税制改正の一環として、所得税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  以下この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。  第一に、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうこととしております。  すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、扶養控除を二万円引き上げるごとといたしております。これらの諸控除の引き上げにより、所得税の課税最低限は、夫婦と子供三人の給与所得者の世帯では、現在の八十三万三千円が九十三万五千円と相なるのであります。  第二に、中堅給与所得者層における所得税負相の累増を緩和するため、給与所得控除の改正を行なうことといたしております。  すなわち、現在、給与所得控除の額が年収百十万円で頭打ちとなっているのを改め、年収三百十万円までは給与の収入の増加に応じ給与所得控除の額も増加するよう、定率控除の適用範囲を拡大しております。  第三に、税率の緩和を行なうことといたしております。  すなわち、課税最低限の引き上げ及び給与所得控除の適用範囲の拡大と関連して、主として中堅以下の所得者層の負担軽減をはかる見地から、税率の刻みとその適用区分の改善をはかることといたしております。  第四に、障害者控除等の特別な人的控除の引き上げを行なうことといたしております。  すなわち、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ一万円引き上げるとともに、いわゆる母子世帯への配慮から、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の控除も一万円引き上げることといたしております。  以上のほか、ノーベル賞を非課税所得として法定すること、二分の一方課税式の適用されない短期譲渡所得の範囲を保有期間五年以内の資産の譲渡による所得に改めること、予定納税を要しない限度額を現行の一万五千円から二万円に引き上げること、小規模企業共済掛け金を年末調整で控除できるようにすること、社会保険労務士の報酬を源泉徴収の対象に加えること等、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  以上、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  この際、午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ————◇—————    午後一時五十四分開議

田中正巳自由民主党

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。  通告がありますので順次これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 先ほど趣旨説明がありました所得税法の一部改正に関連して、いろいろ質問をいたしたいと思います。  まず最初に、昭和四十四年度の自然増収の問題ですが、大づかみで一兆二千億円といわれておりますが、この正確な推定の数字をひとつはっきりさせておいてください。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 昭和四十四年度の当初予算に対します自然増収額は、一兆一千九百五億七千八百万でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 その数字に地方道路税、石油ガス税、特別とん税などを入れて一兆二千百八十億となるわけですね。それでこの自然増収は、昭和四十三年度におきましても、七千四百六十四億でしたか、そういう自然増収見込み額を出された。四十三年度の増収見込みの修正はどのくらいになりますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 昭和四十三年度はすでに補正予算で修正をいたしました。二千四百五億の増額修正をいたしております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 四十四年度の場合に一兆一千九百五億七千八百万円というのでありますが、例年自然増収を下回ったという年は、きわめて例外な昭和四十年のようなああいう場合以外はほとんどなかったわけでありますが、ことしの景気の見通し、それぞれの経済指標の見通し等におきましてもかなりの、国民総生産等における増加額というものも、比率で一四・四%だということもあります。これが世界景気の状況あるいは世界全体を通ずる貿易の動向など、いろいろむずかしい問題はありますけれども、少なくともアメリカの景気等においても、上半期はかなり好調だろう、下半期に幾らかかげりといいますか、幾らか後退ぎみな面が見られるのではないかというような程度であって、一部に国際通貨不安がまた再燃したようなこともありまするけれども、全体的にことしはそう景気の落ち込みというようなことが予想されないだろうという見通しが濃いわけでありますが、この経済見通し後におけるそれらの状況を見渡して、国民総生産、GNPが予想よりも幾らか上回った伸びを示すのではないかということを私どもは考えるわけであります。そういうような中から、当然自然増収の伸びというものも、一兆一千九百億を上回って、一千億なり二千億なりは必ず上回るだろうということを予想しておるわけでありますが、そこらの見通しについていかがですか。景気の見通しと同時に、自然増収の見通しについて……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のとおり、昨年の当初予算を見積もります際には、国民総生産の伸びを一二・一%と見ておりました。それから鉱工業生産は九%の伸びと想定をしていたわけでございます。実際は国民総生産は一七・三%の伸びと、非常に大きな狂いが出てまいりました。さらに鉱工業生産に至っては、九%が一八%という狂い方をしたわけであります。その結果、先ほど申し上げましたように、当初見積もっておりました予算に対して二千四百億余の自然増収が出たわけでございます。  ことしは、これも御案内のとおりでございますが、経済見通しとしては、経済見通しが始まって以来最大の見積もりをしているようでございます。国民総生産を一四・四%と見積もりで見込んだのは今回が最高だと思います。それから鉱工業生産にいたしましても一五・五%の伸びを見ております。そういう関係から申しますと、私どもは、かなりこの経済見通しというものはことしは強目に見ておるのじゃないか、いろいろ部外の銀行等の見通しはございますけれども、先ほど御指摘がございましたような国際経済の関係その他を勘案いたしますと、従来の見通しよりはかなり強目の態度で見られておるように私は思います。そういうことを勘案いたしますと、ことしの自然増収はまず適正なところを見積もったのではないかという感じがいたしておりますので、いまの段階では、まあちょうどいいところではないかというのが私の率直な気持ちでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 経済見通しが発表されて、それに基づいて予算が編成され、いわば本委員会における予算関連の最大の法律案の審議の冒頭において、その見通しを上回るとか下回るとかというようなことを言いにくい立場にあることはよくわかりますが、これは毎年の、四十年を除いて四十一年以降ずっとそういう状況に、自然増収が大体低目にいつも見てある。それから経済成長の伸びについても、目一ぱいに最高に見たと言っても、やはりいつも、昨年の例に見るごとく、昨年は若干幅が大き過ぎたにせよ、いずれにしても伸びが上回るというのが日本経済の非常に旺盛なバイタリティーというか、そういうものによってあるわけでありますが、その論争をするのが本旨ではあのませんから……。  しかし、いずれにしても、約一兆二千億という自然増収が出るという見通しが立てられ、その中で減税規模が千五百三億でございますか、こういうように非常に少ないわけであります。かつて税調でも、自然増収の二〇%ぐらいは少なくとも所得税の減税に、当面ずっとコンスタントに自然増収に対して二〇%ぐらいは減税をしていかなければ、やはり所得税が重いということを救うことはできないということがいわれておるにもかかわらず、パーセントをはじいてみれば、大体一二・五%程度でしかない。これがやはりあまりにも私どもは低いのではないかという気がするわけでありますが、ここ数年の自然増収に対する所得減税の割合をひとつ数字を示しながら、ことしは低くはないのだという説明がもしできるならばしていただきたいと思います。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 ただいまお話しがございました自然増収に対する減税額の前合というのは、御承知のように三十二年は一千億減税という時期でございまして、このときに三七・五%という数字がございます。その後三十四年が一二・二%、三十五年は実は減税をいたしませんでしたので、関税の増徴があっただけプラスになって二・八になっております。三十六年が一六・五%、三十七年が二〇・五%、三十八年が一五・九%、三十九年が一二・二%、四十年が一七・五%、四十一年が、これは自然増収が非常に少なかったにかかわらず、公債を発行いたしまして自然増収に食い込んで減税をいたしましたために一七五・六%、これは例外でございます。それから四十二年が一〇・九%、四十三年が、これは専売益金を入れなければ五・八%、専売益金を入れますと御承知の差し引きゼロ、ことしが一二・六%、こういうことになっておりまして、御指摘のように確かに自然増収が非常に大きくなっているにかかわらず、減税額はかなり大幅であるとはいいながら、割合としては減ってきたことは事実でございます。  ただこの点、私どもも非常に遺憾に思うのでございますけれども、もっと減税ができることが望ましいとは思っておりますが、一方におきまして、先ほど申し上げましたように、四十一年には自然増収がわずかに千百九十億しか見込めなかった。その際に公債を発行いたしまして、その一部をもって公共事業費をまかない、かつ、その一部をもって減税をまかないまして、初年度で二千九百億の減税をやる、平年度に直しますと三千五百億に近い大幅な減税をいたしました。その結果、これも毎々申し上げておりますが、四十一年度の国民所得に対する租税負担率というものが急激に低下をいたしました。実績では一八・六%になっております。従来大体においてわが国におきましては二〇%前後の負担率を維持してまいったわけでございますが、こういう景気調整のためにあえて租税収入を落として、公債とそこで入れかえたという結果が起きております。  一方におきまして、この公債を引き続き同額で発行していくことになりますと、景気の回復した場合には、この公債発行がかえって全体の過熱を招くということで、景気のいいときには公債を縮減するという操作がこれまた当然とらるべきだと思います。そういうかっこうで、ことし最終的な税負担率を見ますと一九・七%になっておりまして、ほぼ公債発行前の姿に戻ったということができるかと思います。そういう意味では、景気が非常に続いていいときでございますので、公債発行の縮減に相当な力をいたすことが全体の財政政策として必要であるという要求がございますし、また一方においては、予算委員会等でもしばしば指摘されましたように、社会資本の充実が経済社会発展計画に比べておくれておるというようなことで、歳出面でもなお増加の要求もあったわけでございます。それらを勘案いたしまして、一方においては千五百億円の国債の減額というものも必要ではないかということ、それから歳出上の社会資本充実の必要等を考え合わせました結果、千五百億、平年度千八百二十億という減税規模がとられたのでございます。国債発行下、さらに国債発行によって税負担率がある程度下げられておった現状、それが景気の回復に従って経常収入に戻っていくという要求から申しますと、今回のこの減税幅もやはりやむを得ないところがあると私ども思っておる次第でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 公債発行下における減税の問題というものが、常にやはり減債か減税かという問題が出るわけでありますが、いずれにいたしましても、国民所得に対する租税負担率というのが、公債発行の四十年は負担率が一九・三%、それから一八・六、一八・九、そして四十三年には見込みで一九・三、四十四年の予算では一九・七という負担率が見通されておるわけでありますが、これが幾らかでもことしは自然増収がふえるという見通しを立てれば、おそらくこの程度か、あるいは少しぐらいポイントが上がるのではないかというように考えられるわけです。  そこで、この経済社会発展計画で最終年の四十六年度あたりには「国民経済における公共部門と民間部門との調和のある発展をはかるため、国民の租税負担の合理化適正化をはかることとするが、国民所得に対する税および税外負担の比率は、所得水準の上昇に伴い、約二二%と四十年度の水準より若干上昇することとなる。」というようなことが一応計画されておるわけでありますね。そういうことでここ二、三年来の負担率の伸びといいますか、こういうものを見て、あと残された四十四、四十五、四十六とこの三年間で、おそらくこの二二%をこえるような事態になるのではないかというような懸念もあるわけであります。二二%をむしろこしてしまうかもしれぬ、こういうような見通しについては、経済社会発展計画のこういう見通しとの関連でどういう見通しを持たれますか。多くなりそうだと思いませんか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 経済社会発展計画では、税と税外負担を含めて最終年度に二二%という比率を示しておりますが、税外負担を取り除いてみて考えてみますと、この両者を合わせた負担率が二%程度上がるのと同じように、税負担率もほっておけばほぼ二形ぐらい上がるのではないか。そういたしますと、昭和四十一年度、初年度が一八・六でございますから、二%上がると二〇・六という計算になるかと思います。いままで三年間にただいま申し上げましたように一・一考だけ上がったわけです。この一・一%上がったというのは減税をいたしましたからでございまして、減税をしないでほってあればおそらく一・七、八%まで上がったのではないかと思います。そういう意味では、もし四十五年、四十六年に全然減税をしないでほっておいたならば、御指摘のように二形をこえるという事態があり得るかと思います。しかし、すでに大臣からも申し上げておりますように、来年度も長期税制の実現を期して相当に大幅な減税をやりたいということを言っておりますので、そういう見通しを入れていけば、この二%を上回るということはあり得ない、かように考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 そういう二%をこえるようなことに絶対ならないように、これはうんと減税に力を入れていただかなければならぬわけであります。  今度の自然増収の中で源泉所得税が四千百二十九億円、所得税全体では五千八百五十五億円くらいあるわけですね。これは自然増収に対する寄与率としては何%になりますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 約四九%、四九・二だと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 自然増収、自然増収というけれども、私どもは、この自然増収というのは要するに税金がふえるわけであります。天から降ってくるようにして歳入がふえるわけではなくて、これはしょせんは国民がよけい納める、少なくとも昨年よりもよけい納めるのだということであります。いわば自然増収という名の増税分だと理解をするわけであります。しかもそういう性格の自然増収の中で約五〇%に近いものが所得税である。給与所得税で寄与率をとってみてもおそらく四〇%ぐらいにはなるんじゃないかと思うわけですね。だからそういうようなことを考えますと、こういう自然増収があるときに大幅に思い切った所得税の減税をやらなければ、これはもうたいへんな重い負担になるのだということが、こういう点からもわかると思うのですね。そういうような面から見ましても、源泉所得分全部が給与所得ではないにしても、大体九〇何%がおそらくそうでありましょうけれども、そういうもののうちわずかに千五百億円だということになると、給与所得者の中から三千億円に近いような二千八、九百億円が出る、よけいに取られるんだということは、国民の所得税における非常な重税感というものの問題点だと思うのです。だから、そういう面からいっても、先ほど局長があげられた自然増収に対する減税率というものから見ましても、昭和四十年だとかあるいはそういう特別なケースを除いては非常に低い率だったということがいえると思うわけであります。そういう認識をこの際しっかりしておいていただきたいと思うわけであります。  そこで、一つ数字を聞きますが、所得税の弾性値を四十四年はどのくらいに見られたわけですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御承知のとおり弾性値は結果として出るわけでございます。ことしもそうでございますけれども、個別に実績をもとにして給与収入額の増加割合その他を勘案して、所得税を見積もった結果を国民総生産の伸びで割ってみたところが弾性値として出るわけでございますから、弾性値を使ったという意味ではなくて、結果としての弾性値を申し上げますと、所得税におきましては対国民総生産一・九四という弾性値になっております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 所得税弾性値は二とかあるいは一・九四とか、あるいはこれ以上の数字が出た場合もあるわけでありますけれども、やはり所得税の弾性値というのは、租税弾性値というのは非常に重いということもいえるわけでありまして、それらの問題からいっても、大幅な減税がなければ累年重税が加重されていくということになるわけであります。  もう一つの問題は物価との関係でありますが、一方においては物価がどんどん上昇をする。おそらくことしは、五%以内といっているけれども、国鉄運賃はそれには盛り込まれていないということで、当初から政府の見通しも、国鉄運賃値上げがきまる前からもう五%といっておって、それがきまった場合には少なくとも〇・二以上がつけ加わらなければならぬということだとすれば、五・二くらいになってしまうだろう。さらにそのほかの追随値上げ、便乗値上げというものが出てくるということになりますと、昨年四・八%ということをいっておいて五・二まできたというようなことを考えれば、やはりことしは六%ぐらいの値上げになるのではないかというようなことで、減税規模が千五百三億円だと言うけれども、大蔵省の説明によりましても、物価が一%上がるごとに七十億ぐらいは物価調整減税が必要だということで、そうしますと六%上がるということになれば、前の大蔵省の数字をそのまま引用すれば四百二十億ぐらいは千五百三億から引かなければならぬ。それはもう物価調整分だ、本来のネットの減税分からは除外しなければならぬというように考えられるわけですね。物価調整減税分というものについてはことしはどのようにお考えですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 この物価調整という考え方は非常にむずかしいと思いますが、一応私どもがいま考えておりますのは、担税力の限界を示す指標としての課税最低限、つまり基礎控除とか配偶者控除、扶養控除というものが定額できめられておりますので、物価騰貴があった場合には、定額できめられているだけにその物価騰貴分だけが実質的に引き下げが行なわれたと同じ結果になる。したがって、その分だけを課税最低限として引き上げれば担税力の限界としての物価調整というものができる、こういう考え方をとっておりますが、それによりますと、五%かりに課税最低限を引き上げるとして計算をいたしますと、御指摘のようにことしの所要額というのは四百二十億程度という計算になるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いままで私が申し上げたいろいろな問題を考えましても、やはりことしは自然増収に対して減税分が非常に——しかも実質的な考えを考慮に入れれば、実際には千百億ぐらいのものだといってもいいくらいのものでありまして、さらにこの減税幅が非常に少なかったということがいえると思うわけであります。  それで、次に問題を移したいのですが、課税最低限、これはまだ非常に低い、こう私ども考えるわけであります。これは本会議でも質問をいたしましたけれども、しかし総理は、大体いいところへきていると諸外国の例を引かれまして、米国は百三十三万二千円、イギリスは七十八万人千八百三十二日、西独が八十八万円、フランスが百十六万九千円、これは引用されなかったわけでありますが、そういう状況になっている。そしてまあイギリスや西ドイツと比べて、九十一万というのが四十四年度に出れば、これはまあまあそれよりも高いじゃないかということが言い得るわけでありますが、主税局当局もそのとおりに、やはりイギリスや西独よりは上のところへいったのだから、課税最低限は昭和四十五年度の百万という線で大体満足すべき段階に来たのだと、こういうようなお考えですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 主税局と申しますよりも税制調査会の考え方を申し上げたほうがいいかと思いますが、税制調査会では百万円、まあ百三万でございますが、百三万の目標が達成ざれた場合、いま御指摘がございましたように、先進諸外国と比べてみてもかなりいいところにいっているし、また貯蓄動向調査等で考えますと、貯蓄が発生する所得段階よりもかなり上になってきているという点から、適正な貯蓄を見込んだ課税最低限という観点からもかなりのところまでいくのではないか。したがって、もちろん物価が上がったりあるいは著しく所得が上がっていくということによる負担増というものを考えれば、なお調整を必要としないというわけではないけれども、今後いままでのように百万円まで早急に持っていかなければならないというような目標を立てて課税最低限を上げていくという必要性は少なくなるのじゃないか。むしろ、そこまで課税最低限がいけば、課税最低限をこえた課税所得に対する累進税率の速度というものを緩和するという方向にかなりの重点を置くべきじゃなかろうかというような感じを述べております。  私どもも、いままでシャウプ改正のときに、実にわずか八万五千円の課税最低限であったわけであります。当時はアメリカがすでに百十万の課税最低限であったわけでありますが、それを年々引き上げてまいりまして、その間にアメリカも百三十三万に上がりましたけれども、日本はようやくことしで九十一万にまで参ったわけで、平年度で申しますと九十三万でございますから、これまでは国民所得が伸びても、それによる担税力が急激に上昇するとはいえないので、所得が伸びるのに応じて、ちょうど昭和二十五年から所得の伸びるのとほぼ同じ倍数で課税最低限を上げてまいった。ここまで参りますと、課税最低限としてだけを考えるのが適当かどうか。やはり累進税率を含めた、課税最低限と累進税率の組み合わせによる全体の累進構造に着目すべき時期ではないかというのが、私たちの率直な意見でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 私は、課税最低限が低いということと、それから中小所得者のところで累進税率のきざみが不当であったということが非常に重税をもたらした原因であることについては、いま局長がおっしゃったと同じなんです。したがって、その税率の改正の方向に向かうということも、これは今度出したような案では反対だけれども、それは了とする面はあるわけであります。しかし、いま課税最低限という問題を日本において論ずる場合に、単純に西独とかあるいはイギリスよりも高くなったじゃないかということなどを見ると、あるいは戦前比較ということもいわれますけれども、それらをながめてみましても、何といっても日本国民はあの無謀な第二次大戦によって見るべき蓄積というようなものがない。しかもインフレの中でずっと二十数年生きてきたということで、ゆとりある蓄積というようなことが最近盛んにいわれますけれども、家計におけるゆとりある蓄積、貯蓄、こういうものについても、西ドイツやイギリスとははるかにやはり差というものがある。現実にあるというようなことを十分考えて、さらにまた社会保障の問題、政府の国民に対する移転支出というものが社会保障等を通じて非常に多いというような、そういう面などを考えますと、単純に額面だけ為替レートで引き直してみて、こっちが上へ行った、これでいいのだということは私はいえないだろうと思うのです。そういう点が基本的にはものの考え方として一つあると思うのです。  それと同時に、日本の場合には、住民税の課税最低限を同時に所得税と——これは言うならば、論者によっては住民税は所得税の分身みたいだ、しかもこれは税理論からいって非常に累進課税もされている、それから課税所得というものが同じだ、所得というものが課税標準にちゃんとなっているというようなことからいって、これはその両者をやはり突き合わせてみないと、課税最低限が高いの低いのということはいえないのじゃないかということを考えるわけです。  そこで、昭和四十四年度に地方の住民税もたしか九万円くらい引き上げられて六十二万三千七百七十一円ですか、そういうことになるというわけでありますが、これは自治省来ておりますから、これは確認してよろしゅうございますね。

岡田純夫自治大臣官房参事官

○岡田説明員 おっしゃいますとおり、六十二万三千七百円であります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いま確認ざれたとおりでありますが、いままでこういう議論はわりあい少なかったわけですけれども、昭和四十四年度で、四十五年度の例の百万というものを目標にして、その前段階における課税最低限として九十一万五百十八円というものにきた。これと、この住民税の六十二万三千七百七十一円というものを足して二で割って平均をとってみるとしますと、これはきわめて幼稚な算術計算でありますけれども、課税最低限は、そういう方式で考えてみると、大体七十六万七千百四十五円ぐらいにしかならぬではないかというのが、これがやはり、課税最低限があまりにも低過ぎて、最低生活費に課税されている、そういう気持ちを国民大衆に与えている一番大きい原因になっているのじゃないか、所得税だけは減ったけれども。ほかの国では住民税はない、住民税らしいものはアメリカにあるといわれるわけでありますが、これは州所得税という名前だそうでありますが、これは百九十万以上の高いところにあるということですから、比較にも何にもならない問題です。そういうことを考えると、いまわれわれが到達したのは九十一万ではなくて、課税最低限は約七十六万七千百四十五円ぐらいだということになるんじゃないでしょうか。それを考えてみますと、勤労者の五人家族の世帯の所得が、消費水準といいますか、こういうようなものが月七万九千円ぐらいだ、そのぐらいに一番新しい統計では出ているということでありますが、これもまた単純に十二倍いたしましても、これは九十何万ということになるわけでありまして、そこから見ましても、この七十六万で比較したら、これは最低生活費の中に食い込んだものだということがいえるのじゃないかと思うのです。その住民税の課税最低限とこれをあわせて考えなければいかぬという点については、一体どうお考えですか。これは次官にもひとつ答えてもらいたいと思う。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のように、昭和三十五年までは地方税の課税最低限と、これはもちろん課税方式によって差はございましたけれども、原則として国税の課税最低限が同じであったわけでございます。三十六年の改正以来、国税と地方税が分離をされまして、課税最低限がだんだん下がってきた。このときの議論と申しますのは、国の所得税は国全体を対象といたしておりますので、その性格としては、むしろ所得再分配というような機能を強く果たさなくてはならぬ。したがって、かなりな段階から課税を始めるべきで、あまり広く課税をするというのは適当ではない。したがって、まず半分ぐらいの納税者を対象にして考えるべきではないかという考え方がございまして、国税の所得税の課税最低限はかなり上げていかなければならぬ。しかし、住民税の課税最低限については、同じ考え方をとるのは無理ではないか。というのは、狭い地域において、しかも国民生活と密着した費用を支弁するための地方税であるだけに、所得再分配機能というものだけに着目した課税最低限なり税率というものは地方税には向かないのじゃないか。むしろ国税の所得税よりは低い課税最低限にしておいて、しかも税率はできるだけ低く、場合によっては比例税率によって取るということも考えなくてはいけないのじゃないかという議論でございまして、そのときに、御承知のように、府県民税につきましては二段階税率に直してしまいました。その後、市町村民税につきましても同じような試みがなされましたが、これは国会の段階でたしか取りやめになったと思いますが、そういう思想がございまして、住民税の場合は、何と申しましても、その地域住民の福祉に直接関係がある、それを直接支弁するという意味では、かなり広い範囲の納税者がその対象として恩恵を受けるものでもあるし、所得税と全く同じである必要はないというのが、現在の考え方でございます。  ただ、所得税のほうの課税最低限の引き上げはかなり認めていただいたわけでございますが、住民税のほうがややおくれがちであったので、ことしは相当思い切った引き上げをやられたのだと思います。将来住民税についても、所得が上昇していき、あるいは物価が上がるにつれて調整的に引き上げていくことは、これは当然だと思いますが、全く所得税のラインまでそろえなければいけないというのは、両税の性格からいって若干無理ではないかという感じがいたします。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 だから私も、きわめて単純に足して二で割ってみればという前提を置いたわけです。一部いま局長がおっしゃった点、わからぬでもないのです。しかし、それじゃ地方税をそういうことで——地方税には地域社会の人たちがお互いに金を出し合って、みずからの生活環境を整備しようというような思想がある。そしてその利益を直接的に受ける面が非常に多い。そういう地域連帯的な、地域共同社会的なものがあるというようなことから、所得再配分という問題だけではなしに、やはり応益原則というようなものがよくいわれるわけです。これは自治省のある事務次官が、自治というものの本来の思想からいうならば、自分たちが自分たちのさいふで自分たちの頭を使ってやるということなのだ。そうすると、住民税が少々高くてもかまわないじゃないか。住民税を払ったら、めしも食えずに首をくくって死ななければならないという場合は別でありますが、生きておられる程度なら住民税を払ってもおかしくない、こういうことを言ったというのでありますが、こういう考えで住民税の課税最低限というものを考えられては、全くこれは困るだろうと思うのです。もしそういう考えを出すのならば、それじゃ地域社会における法人の税負担はどうなっておるかということを考えてみますと、法人に対する住民税は法人税の八・九%ということで、全く比例税そのものになっているわけですね。応益というものなんかについても、最近の地方自治の姿を見ましても、どこか一つの企業が来る、それに対して道路もつけてあげましょう、ざらにその環境も整備してあげましょう、そこへ水道も引きましょう、いろいろな交通もつけましょうとか、これは過剰サービスと思われるほど、地方行政におけるそういうものが法人の企業に対して行なわれておる。しかも完全な比例税率だ。住民税の場合に応益原則が前面に出るというならば、やはり個人所得じゃなしに、むしろ法人の場合でもそういう原則というものがきちっとしていなければならない。そういう矛盾があるわけですよ。前にも問題にしたことがありますが、応益原則というようなことをいうならば、これはそういう面で国の租税特別措置の適用を受けているものが、そのまま地方税制にも引き継がれているというような問題なんかについては、おかしなことではないかということがいえるわけです。  だから、そこいらのところを考えれば、ある程度の住民税の課税最低限の引き上げということは、所得税と全く同じだというように見られない面が確かにあるということを認めながらも、この約三十万に近い隔たりがあるということについて、一体どういうようにされていこうとするのか。それで、この住民税については、まあ所得税の場合には四十五年百万ということがあった。これは、われわれは四十四年度で百二十万ということを強く要求しているわけですけれども、一応税調もそれを受け入れて、そういう目標を掲げながら今日までやってきた。住民税なんかの最低限については、やはり所得税にどのくらい近接したものにすべきかという点について、これは大蔵省、自治省両方から、税全体の公平な姿、それから低所得者に、最低生活にも食い込むような税金は取らないのだというような立場、これは地方税の中でもその点はやはり生かされていかなければならぬ強い原則だと私は思うが、そういう立場においてどういう目安というもの、目標というものをいまのところ持っておるのか、そういう点についてお答えいただきたい。

岡田純夫自治大臣官房参事官

○岡田説明員 先ほど申し上げましたように、住民税は夫婦子三の場合六十二万三千円であります。御承知のとおり、住民税は前年の所得税といわば対比して考えておるという点もございますので、前年の所得税のいわゆる課税最低限八十一万円の場合——しかしながら、その八十一万円と六十二万円を必ずしも対比するわけではございませんので、先ほどの百万円というふうな線で考えても、やはり一年おくれになっておるということは、なるべく税制を簡素化したいというための措置でございます。  もう一つ、これは減税を進めてまいりましたが、一つ心配しているのは、町村の所得割は納税義務者が非常に減っているということが気づかわれる。たとえば四十四年の課税最低限を引き上げますと、町村約二千七百のうち、千五百ぐらいの町村は納税義務者が減ってくるのであります。こういったことをあわせて考えてまいりたい。  先ほど主税局長から言われたような考え方と、政府の税制調査会におきましても、所得税と住民税というものは基本的に一応分げて考えるべきではないだろうかというような答申をいただいておる。そこら辺を総合的に考えますと、さらに翌年度以降の地方財政の状況と個々の町村のあり方、国税の進み方、そういうものを総合的に判断して、重要な問題だと思うので考えてまいりたい、こういうように考えております。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 これは私のほうの所管ではないのでございますが、所得税との関連で申し上げますけれども、税制調査会でも、住民税と所得税の課税最低限の考え方は差をつけてしかるべきだとはいっておりますけれども、所得の上昇度合い、あるいは所得税自身の課税最低限の引き上げ等々にやはり見合って考えていくべきだということ。それから、いま岡田参事官から申しましたように、地方住民税であるだけに、住民のあまり多くが非課税になってしまうようなことでも困るというようなことから、おのずから所得税の課税最低限と見合いながら、そういう地域住民の所得構成等を考えて引き上げていくべきものだと思います。現在、農業所得にいたしましても、大体年々一〇%ないし一五%の成長をしているわけでございますから、課税最低限を据え置けば納税者自身がふえていくわけで、それがふえていくような形で据え置かれているのは住民税の思想からいってもおかしい点があると思います。そういう点から、所得構成がだんだん上がっていくに応じて、もちろん所得税の課税最低限との見合いもとりつつ、適切な水準を定めていくべきものではないかというように考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 私が質問したものには両者とも答えられてないと思うのでありますが、自治省にも一体課税最低限をどの辺までという目標というものが——たとえば大蔵省が構想しておる所得税の百万円という場合に、来年、昭和四十五年度の場合もまた——そういう所得税では百万円が課税最低限になったという場合に、ことしと同じくらいに九万円くらい、また来年課税最低限の引き上げをやる、この程度のものしか考えないのか。そして大蔵省では、所得税の場合には課税最低限が大体そこらでおおよそのところいい線にきたのではないかということで、重点を税率のほうに移していくということを言っておられるわけでございますが、それは別の議論にしまして、その百万円が実現した際に、地方における住民税というものが、この百万円をかりに正しいとして、現状昭和四十四年度六十二万三千円なりを、かりに十万ふやして七十二万三千円ぐらいにする。そこで、所得税における課税最低限の考えと同じように、もう大体いい線にきたのだというようなお考えを持っているのか。あるいはさらにもう少し——それは所得税と住民税における若干の差というものはある。しかし、先ほども申しましたように、この税金というものは最低生活費に食い込んではならないということ、それから住民税においても、その住民の組織の中で、やはり税である以上、所得の再配分機能というものも、これは所得税ほど強いウエートは持たないにしても、そういうものは当然あっていいことだと私は思うのであります。地域社会全体がうまくいく、共同社会的な形でうまくいくという中でも、その原則は否定し切れないと私は思うのであります。受益者負担なり応益原則というようなものばかり前面に出してやるのではなくて、そういうことだろうと思うのです。  そういうような立場において、きょうは参事官ですから政策判断を加えた答弁はなかなか得られないかと思うのだけれども、さっき言った百万円というものに対してどの程度まで近いものにしていこうかということを、自治省なりの、地方自治をあずかるものとして、地方財政も十分考えながら、そうして地域社会の発展ということも考えながら、その中での地域住民の福祉ということを考えながら、どの程度まで持っていこうという気持ちがあるのかという点を伺いたい。

岡田純夫自治大臣官房参事官

○岡田説明員 お答えにならないかと思いますけれども、政府の税制調査会におきましても、先ほども主税局長から話もありましたように、一定の負担をなるべく広く負ってもらうことが住民税の本質であるということと、それから、先ほども申し上げましたように、三千三百の市町村のあり方は、やっとここで単独事業等を相当程度興して、市町村道路の整備を果たし得るところまできたという現状をこわさないように持っていくためにはどうしたらいいか、そこら辺を総合的に判断しながら、先ほども申しましたように、重要な問題として今後考えてまいりたいと考えております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ここでこれ以上論争はいたしませんが、これは次官にも政治家として十分聞いておいてもらいたいのですが、住民税の課税最低限の引き上げ、さらに所得税においても、もう百万ぐらいでというようなこと、その見合いを絶えず忘れないでいただかなければならぬということと、それから単純に海外比較というようなことをしてもらっては困るということであります。  特に、この課税最低限の中で、いま独身者の課税最低限で考えてみますと、この点にもう一つ問題点があるのじゃないかと私は思うのです。四十四年度、独身者は三十二万八千円だ。戦前は独身者の課税最低限が千五百円ですね。しかも五人家族の場合で千八百何十円というのです。そういうように、独身者の課税最低限と五人家族の課税最低限というものが戦前には非常に近いところにあったのですね。夫婦子供三人で千八百七十五円だった。これは昭和九年から十一年の平均をとってみまして、独身者が千五百円である。これに消費者物価が戦前の基準から見て大体五百二十倍ぐらいになっているだろう。大体そのくらいだと思うのですが、千五百円にそれをかけてみますと約七十七、八万くらいになるわけです。それで夫婦子供三人の千人百七十五円にかけてみますと九十七万五千円という数字が出るわけです。こういうことから考えましても、三十二万八千円にようやくなったわけですけれども、あまりにも独身者が低い。戦前には、特殊なレアケースを除いては、大体独身者で税金を納めているなんというのはなかったわけです。ところが今日、これは労働省でちょっとごく最近の高校卒の公務員——これは人事院で調べたほうですが、高校卒の初級公務員、これの初任給が幾らだということを聞きましたら、二万五千十六円、これは超勤手当も何も入ってない本俸であります。中級職が二万八千二百三十四円だ、こういうことです。それから労働省のほうで調べてみましても、これは昨年あたりの例でありますが、高卒の初任給というのが男が大体二万三千六百円、女子が二万二千六百円と、千円の違いがある、こういう状態です。技術職では、高校卒が二万四千百円、女子も、技術職は男女の区別がない、こういう返答をいただいたわけでおります。これを、二万三千六百円を四カ月分賞与をもらったとして計算しますと、年収三十八万ぐらいということになるわけです。それから女子の例でいきましても三十七万ぐらいになるということになりまして、公務員の場合には二万五千円として、かりに十五カ月ちょっとになるわけですが、この場合でも三十八万ぐらいにはなるわけです。そうしますと、高校を卒業して四月に入るから、その年には引かれない人が多いかもしれないけれども、翌年からはみんなもう何千円という税金を納める。最近では中学校卒の場合でも二万二百円というような数字が出て、十六カ月ということになると中卒でようやく大蔵省が考えた三十二万八千円ぐらいにはなってしまうのです。これは労働省調べによると、初任給が二万二百円というのは中卒の男子であります。そういうのが去年あたりの例。ことしはおそらく一割や二割は上がっているはずです。そういうようなことを考えますと、独身者の三十二万八千円というのも非常に低いのではないかということが言えるわけですが、お考え、いかがですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のとおり、いま高校卒で二年目からはどうしても所得税がかかるというのが現実でございます。できれば、そのあたりが免税になるということが好ましいことは言うまでもないのでございますけれども、同時に、生活状態その他から見ますと、扶養親族がふえれば担税力もかなり落ちてくるということも事実でございます。実は独身者と夫婦子三人で比較をいたしてみますと、かりに、昭和二十五年がよかったかどうかは別といたしまして、二十五年以来、ことしの改正で独身者では十一倍まで課税最低限が上がっております。夫婦は、これは配偶者控除ができた関係で夫婦者が一番よくて十二倍、それから夫婦子三人の場合が一番低くて十倍でございます。これはやはり扶養親族の控除がまだ十分ではないのではないかという感じもいたしますが、戦前と比較して、戦前は確かに扶養控除が低かったことは事実です。ただ、戦前の場合は、昔の免税点思想がございまして、いまのように世帯別の課税最低限という感覚が出てまいりましてからまだこの時期は間がないわけであります。いわば免税点思想から出発をいたしまして、むしろ千五百円なら千五百円のところを免税点にして、あと課税をしていくという考え方がありましたが、その後だんだん扶養親族の控除を併用していくという形で、世帯別の課税最低限の考え方が強くなったと思います。したがいまして、当時の千五百円と申しますと、私どもが就職をする前でありますが、私どものときでも初任給は七十五円でございますから、当時はおそらく六十円か五十円あたりだったと思います。千五百円の所得者というものは相当高い階層であったかと思います。現に、昭和九年−十一年くらいの所得税の納税義務者というものは、延べにいたしまして約九十万という程度の、かなり高いところから出発しておりますので、それだけに扶養控除というものをそう大きく見ないでも、課税最低限としては十分であったということがあったのではないかと思うのです。  その後戦後になりまして、全体の租税負担も五割ばかり全体としてふえてまいりまして、それを所得税でかなりの部分まかなわなければならないということから、納税者の数も御承知のとおり現在二千万をこえるようになっております。そういう点から、相当数の納税者に課税をするということになってまいりますと、このような相当大幅な免税点を置いておいて、少数の人間に課税をするという方式では、とても税収としても無理であるということから、漸次課税範囲が広がってまいりました。それと同時に、課税最低限がかなり低いものになってしまったわけでありますが、そうなると、世帯別に担税力を考えるという意味では、扶養控除等を相当見ていかなければならない。そこで、そのバランスをとってやってまいりますと、独身者がこの程度であるということは、さらに来年になってまた課税最低限の引き上げが起これば、その点が緩和されるかもしれないということは言えますけれども、いまの段階では、御指摘のとおり戦前に比べれば、かなり独身者にきつい姿であるということは事実だと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いま戦前に比べて非常に低いということ、それから「独身勤労者の消費生活」というものが、四十三年九月に経済企画庁の調査局から出ておるのでありますが、この中身をいろいろ見ましても、独身者の消費生活というものはいろいろな形態があります。家族と一緒であるとか、アパートで、あるいは貸し間で暮らしているとか、あるいは寮にいるとか、いろいろなものがあるにましても、私ともが見てもそう特別な——私どもの同じ年代よりは、レジャーとかそういうものにわりあい費用がかかっているというようなこと、あるいは耐久消費財などを買い込むというようなことが最近は幾らかあるけれども、それは全体的な国民生活の態様がそういうように変わってきておるわけですから、そのこと自体についてほどうこう言えないと思うのです。そういうようなことも考えて、特別ぜいたくな暮らしをして、よげい消費支出をしておるとは思われないのですが、やはり三万円近くの基礎的支出を、消費支出においてもいたしておるわけですね。そういうようなことを考えましても、やはり独身者の課税最低限というのも、家族持ちはそれ以上に苦しいということもわかりますけれども、この面の改善ということも、もう一ぺん再検討していかなければいかぬじゃないかと実は思うわけです。こういう人たちは、やはり自分でこれからの生活様式、社会生活を築き上げる推移といいますか、そういうようなものは、やはり自分でかせぎながら結婚資金くらいは蓄積できていく、そうしてまた自分の持ち家くらいは十数年くらいたてば、というようなものが与えられなければいかぬと思うのです。いまのままではやはり赤字が出ているというようなこともあるわけです。そういうようなことを考えましても、もう一ぺん青少年労働者というものに対する課税のしかたということを、もっと彼らに、明るい将来への展望が開けるような、ゆとりというものを見てやるという立場で、もう一ぺんこの点を検討する必要が十分あるのじゃないかということを、特に強く考えるわけです。この点、ひとつ政務次官、いかがですか。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 先生のおっしゃる趣旨はよくわかるのでございまして、大体納税をいたしまして社会的な責任を分担するという者は、それに対して完全な権利を取得しておるという者であるのが原則だと思うのです。そういう点からいいますれば、未成年者は現在の法制下においても、完全な権利能力を与えていない体制になっておる状態、また独身者につきましては、結局、安定しかところから納税を願っていくというような考え方からいいますれば、いま先生のおっしゃる二つの点というものにつきましては、非常に感銘を受けるものがあるわけです。ただ、この税制の場合につきましては、財政事情の点もいろいろございましょうし、それから従来のいろいろな税体系の問題もございまするので、いまのような点を考えまして私は検討していくべきものだと、こういうふうに思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ひとつ十分検討してください。  それから、今度は問題を移しますが、配偶者控除のことなんですが、最近二分二乗方式なんというとともときどき言われますが、そういう問題と関連して、これは扶養控除と同じ扱いをしておったものを、三十六年に配偶者控除を新設をして、基礎控除と同額、こういういきさつがあるわけでありますが、なぜ一体この基礎控除と同額なのか、今日でも同額に置かれているのか、この点の合理的な説明をひとつ聞きたいのです。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 御指摘のように、昭和三十六年から配偶者控除ができまして、基礎控除と同額という制度になっわけでありますが、その前は扶養親族の一人として数えられていたわけでございます。しかし、妻の場合は普通の扶養親族とは違いまして夫と協力して、自分がたとえ仕事をしていなくても、夫の所得を助けておるという性質があるということは明らかでございます。そういう意味では、普通の扶養親族と同じ程度であっては適当ではないというのが一つでございます。  それからわが国の所得課税は、所得者を課税単位としております。かりに夫婦共かせぎであるという場合には、夫婦とも基礎控除を与えられるわけでございます。そうであるとすると、夫婦で共かぎをしない場合には、控除額が夫婦合わしたところで少ないという結果が出てまいります。これも不均衡ではないのだろうかということ等々がございまして、基礎控除と同額とするのが適当であるということで、新しく配偶者控除を設けたわけでございます。  それから以後も同じ数字で、所得控除が上がってまいりますと配偶者控除も上がってまいりました。一時ちょっと差別ができたことがございましたが、原則的な考え方は、配偶者控除は所得者本人の基礎控除と同額にすべきだという考え方になったわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 経過についてはそういうことなんですが、いまの説明では、配偶者控除というものが、現在のような状態でいいのだという説明には、私はなっていないと思うわけなんです。これを、四十四年度は十六万五千円、十二分いたしまして一万三千七百五十円、妻の、主人の給与所得に対する貢献度というものが、こんな程度のものでいいのだろうかという大きな疑問があるわけであります。一家というものは、やはり夫婦を中心にして構成される、そういう性格であることは申すまでもないわけでありますが、主人がつとめ先においてフルに仕事ができる、そうして所得をかせいでこられる、そういう場合に、配偶者のそれに対する寄与の度合い、貢献の度合いは、もっともっと高く評価をする必要があるのではないかと思うのです。そういうようなところから、これは若干問題の所在は違いますけれども、若干の違いはあるけれども、青色申告の場合には、妻が御主人と一緒に店に出ているという場合には、その妻に給与を与えるという、いわゆる完全給与制をとられたわけです。この完全給与制をとった実績で、大体妻の給与というのはどのくらいになっておりますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 青色申告の完全給与制の結果は、ことしの申告でわかってまいりますので、まだ的確な数字は把握いたしておりません。いま御指摘になりましたように、妻の貢献度がもっと大きいではないかというお話でございますが、これもよくわかるのでございますけれども、現在の基礎控除が所得者本人の控除として今度は十七万円でございますが、それよりも以上に、貢献している妻をよけい引くというわけにはいかないものでございますから、したがって、基礎控除と同額というのが一つの限度ではないかということと、青色申告の場合には、ちょうど妻がよそで勤務して働いた場合には給料がもらえるのに、自分の家で働いた場合に給料がもらえないのはおかしいじゃないかということも一つございまして、従業者としての立場で給与を認められているということでございますので、いわば共かせぎと同じであるわけです。この場合、妻が基礎控除以上の所得を得ていれば、やはり配偶者控除ではなくて、基礎控除になるわけでありますが、やはり十七万円でとまるということで、現在のところ、この基礎控除と同額というのが、私どもとしては妻の座としての限度ではないか、そういうふうに考えざるを得ないのではないかと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 どうも歯切れの悪い答弁で不満なんですけれども、個人商店で妻が店番をする、おやじさんは仕入れをやったり、店で一緒に売ったりする。そういうようなことで、なるほどそれは事業専従者だという、それはそれなりにわかる。しかし、いずれにしても、配偶者控除というような、四十四年度十六万五千円ぐらいの働きではないはずだということから、少なくともこれよりはかなり高いものが、おそらく二万五千円とか、あるいは少なくとも二万円以上のものが給与としてはどんどん認定されていくだろうと思うのですね。あるいは三万というような人ももちろんいるでしょうし、そういうようなことから考えて、いわゆるつとめ人、サラリーマン、こういうような場合に、やはり妻が、家におって何もしていないわけではないわけです。御主人が、つとめ先において十分働きができる。それのまかないをする、あるいは洗たくをする。安んじて、いこいの場所としてうちでくつろげる、そういうような条件というものは、みんな妻がつくっているわけですね。そういうようなことを考えれば、これはもういわゆる家事労働、やはり家事における専従者ですよ。そういう考え方だって考えようによっては成り立つのですよ。  それでは、かりに妻と別居をして——これは例は適切でないかもしれぬけれども、とにかく妻のかわりに家事労働をやらせる家政婦というようなものを置いたとしたら、いま一日どのくらいかかると思いますか。これは実はきょう調べてきたのですけれども、よく派出婦会、家政婦会といいますか、そういうようなもので、最近、これは公定価格で一日千九百五十円ですよ。そして妻には日曜もありませんから、これを三十日といたしますれば、五万八千五百円ということになるわけですよ。全部妻と同じ程度ではないにしても、妻よりももっと低い労働であっても、そういう人の家事労働が、おやじさんがちゃんと行って百万なら百万、八十万なら八十万のサラリーを稼得してくるというその条件を満たすためには、やはりそういうものが必要だ。子供もおるのだというような場合には、その子供の世話もするというようなことで、おとうさんがちゃんとそれだけの活動ができるのだという場合を想定してみたら、これは月給で公定でいっても、少なくとも五万八千五百円も払わなければならないということなのです。そのほかいろいろな諸雑費もあるでしょうから、むしろそれ以上になるというようなことを考えたら——また、これは若干例は適切じゃないかもしれぬけれども、厚生省の家庭奉仕員の給与月額は、これは寝たきりの老人の世話に通うわけですね、こういうホームヘルパーだって月額一万九千二百円、あの渋い厚生省だって出しているわけですよ。こういうようなことから考えて、基礎控除と同額だという説明ではどうしてもこれは納得しきれないものがあるわけですよ。サラリーマンには、なるほど事業専従者だという概念を導入する余地はないかもしれぬけれども、考えようによってはやはりそういう妻の家事労働、家事専従というものがなければ、おやじさんはちゃんとつとめ先でそれだけの給与を稼得できないのだ、こういう関係にあるだろうと私は思うのです。そうすると、それときわめて近い考え方もできると私は思うのです。  そういうようなことを考えてみますと、あまりにもこの配偶者控除というのは今日非常識に安過ぎるのではないかということが考えられるわけなのですが、考える余地はないですか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 妻の労働そのものの評価というのは、これは確かにおっしゃるように相当高いものかもしれないと思いますが、ただ問題は、いまの所得税体系では、家事労働というもの自身は担税力の中に入っているとして控除しないたてまえであるわけです。ですから、医療費控除に該当するホームヘルパーのような場合には、医療費控除として控除はいたしますけれども、家計で雇った雇い人の給料というものは、本来控除しないというたてまえでございますので、妻が家庭内で労働しているということ自体も、これは事実価値はあっても、それは担税力の指標としての控除にあらわれるときには、やはり世帯としての最低生活費とかそういう形であらわれざるを得ない。そういう形で昔は扶養親族の控除をやっておったわけでございますが、しかし、妻の座を尊重するという意味から、少なくとも所得者本人と同じ立場で控除は認めるべきであろうというたてまえをとったわけでございますので、考え方によりますと、あるいは妻の労働を評価して、それ自体を所得と考えて、それに応じた控除をするということも、それは考えられると思います。ある税制では、たとえば自家用の家を使う場合でも、その発生所得というものを計算するという税制もございますから、立て方はいろいろあるかと思いますが、現在のようにいわゆる所得税の体系が、家事関連費というものを一切控除しない、要するに、家計に持ち込んだ所得そのものを課税対象とするという考え方から申しますと、現在の控除の形としては、扶養控除の系列でいういわゆる世帯全体の最低生計費を一つのめどとした控除という範疇に入れざるを得ないのではないか、そういう意味では基礎控除と同じというのが、やはり先ほど申し上げましたように、限度とならざるを得ないということになるのじゃないかと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 これは、時間の関係もありますからこれ以上論争はいたしませんけれども、もう一つ、青色申告の場合には妻の給与制は認める、白色申告の場合にはそうではない。たとえば夫婦で農業をやっているというような場合には、その農家の収入というものは、もう御主人である男性と妻とが、まさに一体になって所得をかせぎ出しているというようなことが実態なんですね、実際の姿なんですよ。そういう場合でも、やはり農業所得の場合に、白色申告しかやらなかったとすれば、きわめて低い配偶者控除しか受けられない。こういうようなことは、やはり青色申告をするか、あるいは白色申告をするかという手続上の問題だけでそういう差別があるということであって、これも実際の姿としては非常におかしい関係だと思うのです。  そういうようなことも考えれば、やはり妻の配偶者控除というものを、もっとそういう場合も考慮して大幅に引き上げるなり、あるいはこれは所得税制にとってはたいへん大きい問題点で、抜本的な改正点ということになるわけだけれども、二分二乗、これはもちろん、高額所得者が節税のために悪用するということで、ある一定の線を引くというようなことにしましても、考え方として、やはりそういう方向へのアプローチというものがもう必要な段階に来ているのじゃないかという考えを持つわけです。そういう点をひとつ十分考えて、この基礎控除と同額でいいのだという、こういうかたくなな考えをやはり改めてもらわなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、次官、いかがですか。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 おっしゃることはよくわかりますし、また、家庭内の主婦の立場というものをよく考えますれば、いま広瀬委員のおっしゃったような感じが起きるわけでございますが、まあ従来の考え方からいいますると、先ほど主税局長が申し上げましたように、妻の座というものが次第に向上してまいっておりますることは、これは税体系上明白であろうかと思います。で、これを今後いまのお話のような点で、もっと別に考える性質のものではなかろうかというような考え方というものは、私は貴重な考え方であろうと思いまするけれども、なかなかいろいろな税体系上の問題がございますから、情重に検討していくべき課題であろう、こう思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 きょうは時間があまりないので、あとまた機会があったら続いてやりたいと思いますが、ひとつそれらの問題についても十分努力をしてもらいたいと思うわけです。  給与所得控除でこの定額控除が、これは何年間据え置かれておりましたかね。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 定額控除を新しくつくりましたのが三十七年からだったと思いますが、三十七年、三十八年が一万円でございます。それから順次上げてまいりましたが、ことに四十二年に一挙に三万円引き上げました。さらに四十三年に三万円の引き上げをいたしまして、現在十万円ということになったわけでございます。十万円までまいりましたので、ことしは一応据え置くということにしたわけです。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 これを五万円くらい一挙に引き上げたら、どのくらい納税人口に影響がありますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 直ちに計算ができかねますけれども、定額控除を一万円上げるということは、ある意味では基礎控除を一万円上げるとひとしいと思いますので、かなりの納税者数が減ると思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 あとではまた数字を出してください。  基礎控除と給与所得控除の定額部分は、同じような意味があると思うわけでありますが、給与所得者に対する納税人口の比率を見ましても、三十五年が五一・六彩、これに対して四十四年の二千百六十三万六千人という数字は六五・六%に相当する。こういうように、六割五分以上の人が給与所得税を払っておるわけでありますが、この納税人口をもう少し減らすということに、かってない庶民大衆の中から——総評という労働組合の組織も中にありますけれども、一斉に立ち上がって、所得税が重い、この酷税に対して国民大衆の声を結集して、減税をかちとらなければいかぬという声が上がったということは、やはりこういう数字の中にも端的に出ているわけだと思うのです。給与所得者の中で、六五・六%というような数字が一体どこまでいくのか、現在のところこれは逐年非常に増加の一途をたどっているわけですよ。この程度の減税をやっても、六五・六%というように納税人口はふえている。これは一体どういうところで押えるのが妥当だとお考えなのか、目安のようなものが、この納税人口の比率についてありますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 所得水準がある程度低い場合におきましては、納税人員が少ないということが当然起きるわけでございますけれども、現在、世界各国で比較をいたしてみますと、日本の場合はまだ、いわゆる納税者割合というものが低いわけでございます。それは、一つは課税最低限が一人当たり所得に比べましてかなり高いということからくると思います。アメリカあたりは、課税最低限で一人当たり所得の一世帯計算にし直したものに比べまして、大体二二、三%の高さでございますが、日本の場合、それが現在四十数%になっておりますので、それだけまだ日本の場合は納税割合は低くなっております。そういう意味で所得水準が上がってまいりますと、どうしても納税人員がふえるということは、ある程度やむを得ないかと思います。ただ、現在まで日本の一人当たり所得は、アメリカの三分の一にようやく追いついたというところでございますので、できるだけ納税人員はふえないほうがいいということで、課税最低限の引き上げを続けてまいったわけであります。かつて、日本で一番給与所得者の納税人口の割合が高かったのは昭和二十五年でございまして、七八%という時代がございます。しかし、それからずっと課税最低限を上げてまいりまして、三十一年の初めには大体四七%まで下がった。これは、当時はおそらく課税最低限が非常にきつ過ぎたことによると思います。その後、所得が上がってくるにつれて課税最低限を同じ額だけと申しますか、ほとんど同じ割合で引き上げてまいりました。所得の伸びの割合と課税最低限の引き上げの割合を、二十五年から見るとほぼ同じ割合で上げておりますが、それにもかかわらず、最近は納税人員が非常にふえてまいりました。これはおそらく所得構成が変わってきているのだと思います。初任給がかなり上がりだしまして、その関係で、同じ割合で課税最低限を上げていながら、納税者数はふえてくるというのがいまの姿だと思います。  そういう意味で、一人当たり所得の水準の向上と、それから所得構成自体が平均化してくるということになると、ある程度の納税人員の増加ということは、わが国においても将来やむを得ないかと思いますが、めどとしては、私どもはできるだけ毎年の税制改正では、あまりふえないということを目途としてまいったわけでございますが、ことし、最近ではふえたのは、やはり全体の給与水準が、初任給を中心にして平準化しつつあるということによる点が多いのではないかと思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 裏返せば、やはり納税人口がふえるということは、課税最低限がまだまだ低いということを意味しているわけであって、課税最低限引き上げの必要というものは、こういう面からも非常に多い。これは、全体的な所得水準というものが今後どう推移するか、しかも十分最低生活費というようなものをまかなって、その上になおゆとりある蓄積ができるような状況に、みながなればそれは別でありますけれども、そういう事態はかなり先のことだろうと思うのです。そういう中で、この六五・六%の数字というのは、かなり高い数字だと思いますので、これ以上納税人口が——これは、経済政策全般を通じて、全体の富が公平に配分されて、水準がみな上がる事態ならば別だけれども、そういう状況ではないわけですから、この納税人口の比率がこういうように上がってくるということは、やはり私はけしからぬことだと思うわけであります。   〔村山(喜)委員「委員長、もう四十九条によって、定数ははるかに欠いておるんだが……」と呼ぶ〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 速記を始めて。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 次の質問に移りますが、百十万でいままでは給与所得控除が頭を打っておった。これを三百十万まで頭打ちの幅を、適用の範囲を広げたわけですが、それで平年度三十六万ということになるわけですが、これに該当する人数は一体どのくらいありますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 概算でございますが、三百十万までことし引き上げられますと、本年度では給与所得者の大体九八形程度までがカバーされると思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 給与所得の問題の中では、私は定額控除分を引き上げるということがやはり必要ではないかと思うのです。これは基礎控除の引き上げとも関連をもちますけれども、納税人口が毎年毎年どんどんふえていくというようなことからいいましても、その点を強く要求をいたしておきます。  それから、税率の問題に移りますが、今回五%刻みを四%刻みに直したわけですが、これはもう少しこの範囲を区切ってもいいから——税調ですら二形、三%、四光というような刻みのしかたを提案をしているわけですね。それを尊重しないで五%刻みを四%にした、これはどうも荒っぽいやり方だ。ほんとうに中小所得者、中堅所得者の中で、課税最低限を越えること幾らもないというそういう低額の人たちから、やはり税率を是正していくのだという、そういう考え方というものが、当然あってしかるべきだったと思うのですが、この点は来年度の税制改正なり、あるいは年度途中においてもということを私どもは強く要求しているわけなんですが、そういうぐあいに二%、三%というような税率の刻みを導入する考えはあるかどうか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 大蔵大臣もここで申し上げたと思いますけれども、財政事情が許せば、来年度は長期税制の姿を、できるだけ忠実に実現したいということを申しております。ことしのこの税率改正も、実はこの長期税制で主張いたしました二%、三%、四%、五%に非常に容易に乗り移れるような刻み等を使いまして考えてございます。そういう意味では、でき得れば来年度にでも、長期税制の姿に乗り移ることが望ましいわけでございます。財政事情が許せば、大臣も申したとおり、長期税制の姿を実現するということは、来年もしできなくても、一つの目標として最終的には持っているわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 前に予算委員会で、源泉徴収の問題について堀委員からも質問があり、また、本会議でも私が質問したわけですが、この源泉徴収は、ほかの所得者に認められている経費控除というような、当然あってしかるべきものもなく、徴税技術上の問題から、源泉徴収を受けておる。これは非常に問題が多いわけですけれども、ここで憲法違反論議を蒸し返すつもりはありませんけれども、いずれにしても、ほかの所得者に比べて税金の先取りであることは間違いないわけですよ。大体先取りに対して、ほかの所得者が納める時期との見合いにおいて、利子分だけでも一体どれくらいになると想定されますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 源泉徴収をされるために、最終の申告時期において一括徴収された場合に比べますと、税額に対しては利子が一%程度、所得に対しましては大体〇・一%程度になると計算されます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 金額で言ってください。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 金額は、これは人によって違うのでございますが、税額の一%程度ということになります。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 給与所得税が四十四年度は八千八百十一億でございますね。そうしますと、一%といいますと、少なくとも八十八億は損をしているわけですね。有無を言わさず給料袋から取られてしまう。八十八億、約九十億、利子分だけでもそれだけのものが取られておる。それからもう一つは、徴税当局として、もしこれがほかの申告所得のように全部申告したとするならば、これはもうたいへん膨大な事務量、事務費というものがかかるだろうと思うのです。そういう徴税費がほとんどゼロにひとしいような形でそれだけの税収をあげられる。そういうものに対する——政府がそれだけ得をする、片方はそういう損をする、こういうようなことだから、源泉徴収者に対して、何らかの形での特別控除というようなものを、この際認めてはどうかという議論が出るのもあたりまえだと思う。源泉徴収をどうしてもやはりやめられないのだ、ある程度やめられない理由はわかるけれども、それならばそれなりのメリットをひとつつけるくらいのくふうをしたらどうか。この点についてひとつ考えを聞いておきたい。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國(二)政府委員 いま御指摘のとおりだと思います。実は、給与所得控除というものの性質でございますが、給与所得控除の性質を、シャウプ税制のときに非常にこまかく分析いたしました。むしろシャウプ博士は、給与所得控除が過剰であるということで出発しておりますが、このとき私どもが主張いたしましたのは、給与所得控除の一つの理由としてあげられるものは、第一は、給与所得者について必要経費を概算的に控除する方法、これが第一である。第二は、給与所得者というのは、資産と労働が一緒になって形所される所得に対しては担税力が弱い面がある、それを参酌しなければならぬという面がある。第三は、給与所得は、源泉徴収をしておる、したがって、源泉徴収をすれば税の前払いになるから、それに対する利子の分の手当てをしなければならない。この三つの要素を内容とする給与所得控除はぜひ必要であるということを主張したことがございます。そろいう意味では、先生が御指摘のように、一先の源泉控除というものを別建てにするという考え方もあり得ると思います。ただ、それを含めて現在の給与所得控除はできているという面も、これは事実なのでございまして、これは考え方の問題ですが、給与所得控除の中に入っておる、また給与所得控除の有力な根拠の一つではあるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 まだこの問題は、あと何人かの同僚委員が質問をされる予定になっておりますから、きょうはこの程度でやめておきますけれども、やはり給与所得控除の中に織り込まれているんですよということではなしに、いま問題になっているものであるだけに、特別に入っているものなら、それを抜き出して、入っていなければ——これは私入っていないと思うのだが、抜き出して、源泉徴収をして、頭から有無を言わせず天引きされるものについては、これだけのメリットをつけてあげますよというような政策配慮というものは必要だろうと思うのです。だから、そういう点について、弾力的に検討してみるという考えがあるかどうか、これを次官に聞いて終わりたいと思います。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 私は、給与所得につきましては、十分検討する必要があるという基本的な考え方を持っております。先ほど主税局長も言ったように、いろいろ税制上の体系も先生御案内のようにございますし、財政上の事情もございますが、給与所得に関しては、私は相当検討する必要がある、こういうふうに思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 いまの問題を含めてということですね。

上村千一郎自由民主党大蔵政務次官

○上村政府委員 はい。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次回は、来たる十一日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十三分散会      ————◇—————

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