大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/02/25
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢賢一君。
○広沢(賢)委員 まず第一番目にSDRの問題についてお聞きします。 SDRは、金または自国通貨の出資ではない、IMFへの出資比率に応じて赤字国の外貨保有高に繰り込んでそれを使用する、黒字国はこのSDRの支払いに応ずるということですから、つまりIMFを媒介にして赤字国が黒字国から無尽のような借金をする信用のワクだということになりますが、その性格について大蔵大臣、答弁をお願いします。
○福田国務大臣 非常に大ざっぱに言いますと、ただいまお話しのようなことかと思います。
○広沢(賢)委員 そうすると、現在、国際的に問題になった赤字国というのはアメリカのドルとポンドであると思いますが、そうするとドル、ポンドの救済策であるということで黒字国はいやがっている、もしくはきびしい条件をつける、EECがですね。そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 国際経済というものは、一国が間違いがあればそれが他に波及するような性格というものがあるのでありまして、全く国際連帯という角度から考えられなければならぬ制度、機構であります。そういう意味において、いま英国が赤字である、それの救済か、こういうような話でありますが、それは当面は英国の救済に役立たないとはいえないです。大いに役立つわけですね。しかし、だからといって英国の救済のために設けられる制度じゃない。あくまでも国際通貨機構というものは世界連帯、こういう角度で検討されておる、かように御了承を願います。
○広沢(賢)委員 そうすると、新聞に出ているように、EECがアメリカの国際収支が安定するようにきびしい条件をつけていますね。ことによったら参加しないのだというような意思表示をしているようなことはいいことですか、悪いことですか。
○福田国務大臣 それは、私は、たいへん正しい主張であり、いいことだと思います。つまり、何と申しましても、いま世界の基軸通貨はドルとポンドである。そのポンドがどうも足元がふらふらしている。こういうような状態で、端的に申しますれば、ドルがいま世界の基軸通貨であるといってもしようがない。そのドルをささえるアメリカの国際収支が不安定であるという状況でありますことは、これは世界の通貨、したがって世界の通商全般に対して非常に悪い影響がある、そういうふうに考えるわけであります。そういうことはひとりヨーロッパばかりの主張じゃない。われわれ日本国といたしましても、アメリカが赤字状態であるというようなことは世界のためにはなはだ好ましからざることである、かように考えておる。正しい主張だと思います。
○広沢(賢)委員 そうしますと、アメリカの国際収支にきびしい監視が必要だし、要求はいろいろすべきであるということが一つあると思うのです。したがって、アメリカからドルの救済についてのいろいろ肩がわりの要求が来ますが、そういうことをまるのみしたり、それからアメリカの言っていることをまるのみにするよりか、いろいろきびしい条件や何かをつけるということだと思うのですが、SDRの発動までかなりの期間を置いておく、それから八五%以上の多数決としたのは、やはりアメリカまたはEECが拒否権を持つという問題だと思うのです。一方、なるべく早く発動しなければならぬという情勢があると思いますが、見通しについてお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 この間、柏木財務官が主要国の人とも会って、見通し等について聞いてきたわけですが、大体四月の上旬には発動の条件を満たし得るであろう、こういう報告を受けておるわけです。
○広沢(賢)委員 その見通しはあとでいろいろ議論したいと思います。 SDRの出資額と割当額についての問題ですが、大体五年間に百億ドルを予想していろいろと議論がされております。いろいろな本にそういうふうに書いてある。一年に二十億ドルですが、何かこれは根拠がございますか。
○福田国務大臣 これは世界通貨とする、ほんとうに画期的と申しますか未曽有の施策でございますので、したがって、これがどういうふうに動いていくかということにつきましては、そうまだ固まった構想というものはないのです。したがいまして、年間にどのくらいの資金が動くであろうか、また、動かさなければならないか、また、動かすことが適当であるか、そういうようなことについては諸説いろいろありまするが、まあ一応スタートしてみる、スタートしてみてから、これの効用がどういうふうに響くかというようなことを検討して見通しをつけていく、こういうことかと思います。いろいろ説はありまするけれども、まだ固まっておらぬ、かように御了承願います。
○広沢(賢)委員 世界の通貨必要量とそれから金の問題、それからドル、ポンドの関係からいって大体一年に二十億ドルぐらいという、いろいろの推定を基礎にしまして、それで計算しますと、アメリカは二四・六%だから四億九千万ドル、それからイギリスは一一%だから一年に二十億ドルとして二億二千万ドルですね。このくらいの程度では、全くこれは万一の場合は焼け石に水というような感じがしますが、どうですか。
○福田国務大臣 戦後の国際経済社会における血液ともいうべき通貨問題をながめてきておりますと、世界の通貨の総量、これは南アを中心とする金の生産ということが一つの増加要因になっております。それからもう一つは、アメリカの国際収支と申しますか、戦後アメリカは三百億ドル近くの金を保有しておったはずです。それをだんだん吐き出しまして、今日では百億ドルというところまで下がってきております。そういうことで、アメリカ以外の諸国に対する通貨の補給という形がとられたわけですが、それにいたしましても、今度新しくSDRという形で、在来の通貨供給方式に加えてそういう新しい制度ができるわけでございますから、SDRというものは全く純粋なプラス要因になるわけなんです。 ですから、これが幾らでなければならぬというようなものでなくて、つくられてみたあとで、これがどういうふうな働きをするか、その働きに応じてだんだんと見通しを固めていく、こういうことじゃなかろうかと思うのです。いま私どものほうでは、SDRの量的見通しについては固まったものを持っておりません。
○広沢(賢)委員 そうすると、つまり新しい試みだから、これがうまくいくかどうかやってみよう、まあそういうような意味のものですね。
○福田国務大臣 これは非常に期待を持っているのです。また、世界じゅうの多くの国がこれに期待をしておる。何とかして国際協力をこのSDRという形に結集しようということですから、これはうまくはいくと思うのです。いくと思うけれども、その効果が一体どのくらい出るかということですね。それに応じて、この使う量というものがきめられていくのだ、こういうふうに思いますが、まだとにかく未曽有のできごとというか、ほんとうに画期的なことでありますから、そのすべり出しを見る、こういうことかと思います。
○広沢(賢)委員 うまくいくと思うというその願望ですね。これが一番初めいろいろ議論されたときに、前の大臣で、人類の英知である、金から切り離した通貨ができるかのような幻想を持ちまして盛んに言って歩いた人がいます。つまり願望、期待、うまくいくんじゃないかということで、通貨制度の問題について全幅的にこれを信頼するということはできない。 そこで、重要な問題があると思うのです。国際通貨と金、それからSDRの関係についてお聞きしたいと思うのです。 二十日のワシントンの共同通信で、アメリカの財務次官が、EECはアメリカがインフレ抑制のため一そうきびしい政策をとり、貿易収支の改善に努力しない限り、SDRには参加しない。これは私がさっき申し上げたとおりですが、そんな動きもあるということですね。そうすると、先ほどそれが正しいとおっしゃいましたが、アメリカに対してベトナム戦争の中止とか、その他アメリカがいろいろなドルの肩がわりを日本に要求した場合に、それよりか、アメリカの国際収支の改善について努力しなさいというふうにぴしっと言う態度が必要だと思いますが、そういう腹がまえでお臨みになるのでしょうか。
○福田国務大臣 日本も、アメリカの国際収支が安定する、均衡されるということは、世界の通貨情勢に最大のかなめをなすものである、こういうふうに考え、アメリカの国際収支の均衡には意見も述べ、また、これに協力もする、こういう姿勢をとって今日に至っておるのですが、この姿勢は何ら変わるところはございません。
○広沢(賢)委員 アメリカの国際収支についてぴしっとした意見も述べたという記録、もしくはそういうものがあまり新聞に見当たらないようですが、いまのアメリカの国際収支状況についてお聞きしたいと思うのです。 基本的に、いまのアメリカの国際収支の状況は好転だとはいわれていますが、ところが、いろいろと貿易収支は、六〇年以降黒字が縮小して、非常に憂慮すべき状態にあるといわれています。それからもう一つのほうの黒字の原因になった資本収支のほうですが、これもやはり一時的ではなかろうか。たとえば西ドイツからのユーロダラー等がヨーロッパから流れ込んできた、その他の要因がずっといろいろあげられておりますが、アメリカの国際収支は今後どういうふうになるか。中期債粉飾その他あります。そうすると、国際収支の見通しとそれからそれに協力しなければならぬということからいくと、たとえば中期債の問題その他がどんどん出てくると思うのです。それについてお考えを述べてください。
○福田国務大臣 アメリカの国際収支は、いま広沢さんおっしゃるように、昨年はバランスがとれた。そういう状態であるけれども、内容は必ずしも私は改善されているとは思いません。アメリカは長い間国際収支のパターンとして、四、五十億−五、六十億ドルの貿易黒字を必要とする。その貿易黒字をどういうふうにするか、四、五十億−五、六十億ドルの半分は、これは非常に大ざっぱに見た話ですが、対外経済協力に使う。また半分は海外駐兵に使う。そういう形で貿易収支の黒字、少なくとも四、五十億、多ければ五、六十億ドルを必要とする。こういうパターンというふうに戦後ずっといわれてきておりますが、それが貿易収支はどうもとんとんというような状態まで落ち込んだ。その落ち込みをどうやって補うかというと資本勘定だ、こういうのですから、私は決してアメリカの国際収支が本質的に改善されたというふうには思いません。 結局、やはりこれはベトナム戦争というものが非常に大きな重荷になっておるというふうに見るわけですが、ベトナム戦争もパリ会談というのが進捗中である。だんだん終息の方向へ動いておる。また、アメリカ自体も増税法案というようなきびしい政策を打ち出して、国内の需要抑制という政策をとっておる。そういうようなことから考えまして、いまの一九六八年の状態は、私は必ずしもよくなっておるとは見ませんけれども、逐次改善の方向に向かっていくであろう、こういうふうに見ております。 それから、アメリカからわが国に対するドル防衛に対する要請ですね。これがありました場合に、わが国の国益に反しない、また、わが国にとって有利であるという方向でありますれば、私どもは進んでこれに協力すべきである、かように考えております。
○広沢(賢)委員 次にポンドの問題、これも相当、これ以上の借款は無理だという状況ですね。しかもロンドンの自由金市場の相場は一オンス四十二ドルですね。結局ドル債務と、それから金の手持ちのいろいろな関係からいって、全くEECとアメリカは逆転している。こういうような深い要因があるとすれば、やはりこれは一朝一夕で問題は解決しない。柏木さんもそういうふうにちょっと新聞に出しておりますが、そういう点についての見通しはどうですか。
○福田国務大臣 どうも私がよその国の経済の、しかもかなり問題をはらんでいる国の先々の見通しを述べるのは非常にむずかしい問題かと実は思うのです。 ただ、申し上げられますことは、去年BIS、つまり国際決済銀行を中心として、フラン、それに連なるポンドの問題は一応回避をされた。それから、それに先立って、ポンドの切り下げというようなものが行なわれ、各国からまた借款等の援助が行なわれている。そういうようなことで、フラン、ポンド、これは深い関係にありますが、この一連の通貨不安というものは一応回避されて今日に至っているわけなんです。しかし、根本的に見てみると、ちょっとまた、その最終解決になっているかというと、そうは人は見ておりません。 私からの見方は省略させていただきます。
○広沢(賢)委員 それ以上大臣の責任ではあまり答えられないと思うのですが、もう一つお伺いしたい。 大臣は、国際通貨の問題についてどういう基本的認識を持っているかということ。一つは、最近いろいろな通貨改革案が出ております。その中の大きな流れとしては二つあると思うのです。一つは、ドゴールの参謀のリューエフという人の、結局金を基礎としている考え方。もう一つは、ケインズが考えたバンコールからずっと発展しているトリフィンという人のIMF改革の考え方、これは金と結びつかない考え方。ところが、この二つの案の中で、いろいろと為替相場の変動、屈伸性とかその他の意見が出ておりますが、大臣はこの二つの考え方の中でどっちに寄っていると思いますか。
○福田国務大臣 先ほどの話ではございませんけれども、だんだん人類の英知は新しくかつ有効な国際決済手段というものを求めている、こういうふうに思います。長い間、金というものが国際通貨の基軸としての用をなしてきたわけでございますけれども、ブレトン・ウッズ以来、金もさることながら、またIMFを中心とする金融協力体制というようなものもできてきている。今度はIMFを中心にしてSDRというような新しい決済手段も出てきている。私は、だんだん金から飛躍して国際管理通貨体制、こういうものができ上がりつつあると思うのです。しかし、これは世界の政治と非常に緊密な関係がある。関係がありますから、一挙に私は金から抜け切るというわけにはいかないと思う。思うのですが、金から一歩抜け出るという努力、そして金の生産というような窮屈なものに制約される世界経済を、もう少し幅の広い活動のできる、成長のできる経済体制に持っていこうという努力がなされつつあり、また、そういう方向にだんだん動いていくだろう、こんな見方をいたしているわけでございます。
○広沢(賢)委員 そのだんだんといくだろうということですが、たとえば「IMF総会と国際通貨問題」ということで、その総会のいろいろな話し合いについて「ファイナンス」でもって報告しております。そこで、その一つは、国際通貨制度において金が重要な役割りを演ずること、また、将来とも演じ続けるだろうということは確認された。将来というのは、永久ととるか、あるいは宇佐美総裁のように、今後なおしばらくととるか、いろいろまちまちである。大体こういうことですね。やはり金というのが、アメリカのいろいろな発言でも一つ基礎になっていることは、いまや免れない。 そうすると、それを整理しますとこうなると思うのです。金は、資本主義の無秩序と言うとあれですが、つまり、自由経済といわれますが、それを自然調整する物質的な基礎であって、国内では管理通貨制度がいまできていますね。フィスカルポリシーでもっていろいろ慢性インフレを積み上げているということで、その予測がなかなか当たらない。まして今度は、国際的になりますと、世界で統一した銀行、中央銀行のような統一した権力、世界政府、こういうものがないのです。まして通商戦でしょう、経済競争をやっているわけです。したがって、やはり漫然とそういうふうにいくだろうということでは——人類の英知とかなんとか去年言っていた大臣がいたのですが、それではやはり堅実な国際通貨の認識ではない、それから日本の外貨保有についての態度ではやっていけないと思いますが、どうですか。
○福田国務大臣 私は、そういう傾向にあるということを申し上げておるわけですが、そう信じております。 それから、私が見通す傾向の中で、すでに御審議願っておるSDRというような機構も生まれつつあるわけなのです。そういう機構を通じ、世界貿易を拡大し、その世界貿易の拡大の中で日本の経済開発を進めていく、こういうことが私は経済日本としては当然なくてはならない立場であろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。決して見通しなしで、その日その日を泳いでいる、こういうわけではないのであります。
○広沢(賢)委員 そうすると、そういう願望やそういう方向へいこうという方向を目ざしながら、ことしの日本経済、ことしの国際収支というようなものを見た場合には、やはりがっちりと金、外貨保有についての手厚い対策というのですか、そういうものが必要だと思うのです。 そこで、日銀総裁も去年の九月ごろ、条件さえ許せば金保有をふやしたいと言っておられます。ところが一方、金は子供を生まないだろうなんということを簡単に言う人がいる。日本の金は三億三千万ドルしかないでしょう。そうしますと、万一の場合を考えて、福田大蔵大臣は非常に手がたいやり方をとると思いますが、この金保有、それから外貨保有の問題について、もう一回ちょっとお聞きしたいと思います。
○福田国務大臣 外貨の保有高は、昨年の国際収支はたいへんぐあいがよかった、表面的には非常にいいので十一億ドルの黒字となり、したがって保有高は三十億ドルに接近をするような状態になっておるわけです。なお今後も若干の増加が見込まれるような情勢であります。たいへんけっこうなことなのでありまするが、内容を分析してみますと、その表面にあらわれたほど楽観はできない情勢、つまり、十一億ドルの国際収支の黒字の大半が資本収支の黒字、先ほど話が出たアメリカの状態に似ておる点が、アメリカほどではありませんけれども、あるのです。そういうようなことを考えますと、この外貨保有高が三十億ドルになったということを、一がいに手放しで喜んでおるわけにはいかない。その内容の改善には、さらにさらに努力をしなければならぬというふうに考えます。 貿易量がたいへんふくれ上がって、ことしは百五十億ドルの輸出を展望できるようなところまで来ております。したがって、決済手段である外貨の保有高は、それに応じてふえるのが当然なんです。その外貨保有の中身を一体どういうふうにするかということにつきましては、長い間二十億ドルの外貨保有、その中で金の保有高三億ドル、こういう形でやってきたのです。しかし、三十億ドル外貨ということになると、やはり金を保有し得る幅が出てきた、こういうふうに思うわけです。ですから、これは三十億ドル外貨に応じた金の保有拡大ということを考えるべきである。ただ、それを一挙に実現するわけにいかないのです。日本が買い出しに移りましたということを、私がかりに広沢さんに申し上げたといたしますね、それがすぐロンドン市場に響きますと、ロンドン市場の金は、日本に対して非常に高くなるというようなことにもなります。買い方につきましては、これはそう簡単にはまいらぬと思いますが、しかし、逐次無理をしないでふやすという方向は考えるべきであろうか、かように考えております。何せまだ南アフリカ連邦の金政策、これもまだはっきりしていないという状態で、なかなかふやし方それ自体にも問題がある、こういう段階であります。
○広沢(賢)委員 そうするとIMFその他で、外貨保有の中で金はどのくらいあるべきかという議論もありますね。その率を各国平等にやる、それで足りないところはアメリカにぴしっと要求する。いまもう金は凍結しておりますから、ふやそうにも少ししかふやせないというときには、そのくらいのことを提案するということについてはいかがですか。つまり、日本もIMFに行きますね、そこで各国蔵相会議などの際、みな公平にすべきではないか、金保有高と外貨保有の全然つり合わないところがあるから、なるべく下のほうはずっと上げる努力を国際的に全部が認めるべきではないか、それについていろいろ調整すべきではないかということは言い得るんじゃないでしょうか。
○福田国務大臣 金の保有高が各国変動する、また、金を含めた外貨の保有高が各国で変動を起こす、こういうことは一体何でそういう変動が起こってくるのかというと、各国それぞれの経済政策の運用等によりまして、その国際収支が一体どうなるか、こういうことなんです。広沢さんは、いま金の公平なる分配だとか、あるいは外貨保有高の公平なる分配ということをおっしゃいますが、それは、もう下痢の患者の肛門にせんをするようなかっこうなんで、問題は胃腸のほうなんです。国際収支を、互いに助け、助けられて均衡させる、こういうことができますれば、自然に外貨保有高、金の保有高というものは解決していく。その問題を、いま一生懸命になって均衡をどういうふうにするか、こういうことを、OECDだとかいろいろな協力の場がありますが、やっている。これが世界経済界の姿なんで、健康体にどういうふうに世界経済というものを持っていくかというところに根本問題がある。 金だ、あるいは外貨保有量だと、これはからだを健康にしない限りにおきまして、解決のしようがない、そういう性格の問題だと思います。
○広沢(賢)委員 先ほどから私、ずっといろいろお尋ねしました中で、結局EECがアメリカにきついことを言うことはいいことだ。それから現在の状態ではやはり金とか外貨保有の問題は、自由経済市場、無秩序な世界の経済の中でお互いに通商戦をやっている、経済競争をやっている、したがって人よくしたらたいへんだ、これはお認めになると思います。そういう点からいいますと、やはり私が言うのは、要求すべきことは要求する、そういう点なのですね。 時間がもう来ますから、次に今度お尋ねしたいことは、日本の場合、最近かげりが出てきた。今度大蔵省がOBの方を招集しまして根本的検討に入るというわけです。確かに自動車、鉄の過剰生産要因から、ずっとかげりがむくむくと出てきそうな気配になってくる。一方で、しかしそういう形のものに対しててこ入れをすれば、金融金利を引き下げれば、これはアメリカのユーロダラーが、金利の引き下げから円シフトを起こすのじゃないか、こういうわけです。だから、やはり引き下げはもってのほかだ、引き締めをしていかなきゃならぬ、こういう意見ですね。この二つのところを迷っているわけでしょう。大蔵大臣としては、手がたく考えれば、どっちの方向にいこうとしているのか。
○福田国務大臣 手がたく考えればというのじゃないのです。手がたく考えておるのです。 私は、ことしの一年間の経済、これは悲観はしておりません。しかし、警戒をしなきゃならぬというふうに考えておるのです。国内経済としては、過熱状態に持っていってはならぬというところに気をつけております。国際経済につきましては、あるいは下半期くらいの時点で世界貿易総落ち込みという状態が出てくるかこないか、この点をよく踏んまえておかなきゃならぬだろう、こういうふうに考えておる。そういう観測から、財政金融政策におきましては引き締めです。これは引き締めの程度は別といたしまして、引き締めの基調——いま日本銀行がポジション指導というものをやっておりますが、これは引き締め政策の一種であります。これくらいな程度の引き締め状態は、これは続けていくがよかろう。財政政策といたしましては、国際情勢を見ながら、新年度予算が施行されるという時期におきましてもこの施行のしかたによほど気をつけていきたい、そういうふうな感じを持っております。
○広沢(賢)委員 そうしますと、手がたくやっていく、引き締めをずっと堅持していく。そうすると、どうも下期は世界経済はやはり私も落ち込むと思うのですね。ずっと落ち込むという方向、ほとんどの識者がそう言っています。そうすると、やはり貿易の伸びの率は悪くなる。しかも下期でこのかげりがだんだん本物になってきて、自動車生産なんというのは全くそういう点が出てくると思うのです。そういう形になりますと、矛盾がぶつかり合いますね。そういう場合には、結局外貨保有もやっぱりいまの状態じゃなくて、ずっと減っていく可能性がある。外貨保有を食べてそれで景気の——大蔵大臣がいつも繰り返されておられる安定持続成長ですね、こういうことは外貨を食わなくてはもうだめになるというような見通しはございませんか。
○福田国務大臣 それは世界経済の状態がどうなるか、OECDがいっているように非常に落ち込みでもありますと、日本の輸出にはかなりの影響があるだろうと思いますが、そこまでいかないにいたしましても、落ち込みがあるかもしれない。その落ち込みに伴って日本の輸出が減退をする。したがって、国際収支事情はそれだけ悪くなるわけでございますが、それにしても国内の経済、いま一〇%ちょっと割る程度の成長ということを考えておりますが、世界経済が非常な悪化をしたという際に、そこまでいけるかいけないかわかりませんけれども、とにかく、経済の上昇基調というものを続けさしていくためには輸入を行なわなければならぬ。そのために国際収支のバランスが悪くなるということになりますが、それを犠牲にしても経済の持続的成長というものをやっていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
○広沢(賢)委員 そうすると、やっぱりある程度外貨保有を食べても持続成長をしなければならぬじゃないかという予想が大体確かめられました。 次に、日中貿易でもって、円と元の決済方式というのが提案されます。しないと、今後の通貨不安の情勢の中でどんな損害をこうむるかわからぬということで、円・元決済方式というのがいろいろ言われ出しましたが、これについては大蔵大臣はどうお考えになりますか。
○福田国務大臣 いままではポンドでやった、ポンドではどうにもぐあいが悪くなったというのでフランに移していく、フランがまたというのでまたポンドに戻してみた、こういうような状況ですが、とにかくわが日本の円はいまやドル、マルク、円だ、こういうので、ほんとうに世界の中でも最も安定した通貨の一つになっておるわけです。一体、日中貿易をやるという際に、円を使わないという考え方は妥当であるかというと、私は非常に非現実的なやり方のように思うのですよ。むしろこの際は、東洋の全く基軸通貨にまでなっておる円を使わない方法はない。円・元と言うけれども、円を中心にすべきだ、そういう話が出れば喜んでわれわれはこれに賛成したほうがいい、こういうふうに思います。元のほうはどうもコンバーティビリティーというか、そういうもののないほんとうの管理通貨ですから、これを使うというのはなかなかむずかしいのではないか、そんな感じがします。
○広沢(賢)委員 物価の動きを見てもわかりますが、元のほうがずっとあれですよ。物価が安定していて、国際的に信用できると思うのです。で、大蔵大臣、非常にいいことを言われました。そうすれば、円・元の決済の問題について、政府間交渉もしくは日銀が乗り出していって、いろいろと話をするということには御賛成なのですね。
○福田国務大臣 技術的にどういうことをいたしますか、そういう点は私もわかりませんし、また、考えたこともありませんけれども、とにかく日中間の決済手段として円を使う、これは常識的な行き方だ、こういうふうに考えます。
○広沢(賢)委員 その基本はわかったのですが、そうすると、何らかの話し合いをするという御意見はあるわけですね。
○福田国務大臣 日中間では覚書貿易、これが主軸になっているわけです。この交渉のために古井代議士等が北京に行ったわけですが、古井代議士等から話があれば前向きにこれを話し合いたい、こう考えております。
○広沢(賢)委員 最後に、もう一回私のいままでの質問の趣旨を繰り返しますが、ここにいろいろな新聞があります。たとえば横浜国立大学の教授長洲一二さん、東京銀行の調査部長竹内さん、そのほかエコノミストやなにかにずいぶんいろいろな方——銀行の調査部長とかそういう人たちが書いているのを拝見しますと、識者の意見は、大体「SDRでは解決せぬ」ということですね。それからもう一人の竹内さんは「為替調整の時期迫る」ということです。これは、いまの通貨不安の小康状態にもかかわらず、ほとんどの識者の意見なんですね。国際的にもそういう意見がある。 したがって、やはりこのSDRを発足させるとかそういう場合にあたって、先ほど私が言いましたように、資本主義経済が国際的に非常に激しい通商戦にある、不均等発展をやっているときに、人類の英知であるなんということを言って国民に幻想を持たせて、もし万一のときがあったらこれはたいへんな責任問題だと思うのです。したがって、これは大蔵大臣も、先ほどの答弁にあるように、やってみなければわからない、一つの試みだ、努力の方向だと言うのですね。そういう腹がまえを持って現在の通貨不安の情勢に対処するし、それからもう一つは、どう考えても世界的なインフレというのですか、そういう状態の中で、アメリカのドルが、ドゴールじゃないけれども、インフレを輸出したというような形ですから、やはりアメリカのドルが基軸なんだから、それに対してきびしい要求をしなければとうていこの問題は解決しないし、アメリカからまるまる言われたことをどんどん協力していると、アメリカはそれに甘えて、西ドイツが中期債をこれだけ買ったとかああしたこうしたということで、てまえのほうのことはぴしっとさいふの締まりをずっとそのまま出しておいて、引き締めるか引き締めないかわからぬような状態でベトナム戦争は続ける、何はやるということで、各国にみんなしわ寄せがくると思うのです。 それからもう一つかかっている法案、これもやはりそういう性格を持っているのではなかろうかというのです。たとえばエコノミストの雑誌に書いてあるのですが、IDAはアメリカの国際収支のドル救済の肩がわりの一つのあらわれだと書いてある。その次に、また次から次へくるだろうということが書いてあります。それから日本の海外経済協力資金がうんと今度は計上されておりますが、それもやはりそういう話し合い、そういう要請に基づいてずっとくるのじゃなかろうか。IDAについてはインド、パキスタンやなにかが主だと思うのですが、今後アメリカからのドル協力のいろいろな動き、これはどういうふうに見ておられますか。
○福田国務大臣 IDAだとか、あるいは二、三年前に御承認いただきましたアジア開発銀行とか、人によりますと、これはアメリカのアジア政策を日本が経済的に肩がわりするのだというような見方をする人がありますが、私は、これは非常に間違った考え方、ゆがんだ考え方だ、こういうふうに思います。つまり、わが日本が小さい世界の第何十番目の国だという時代でありますれば、日本は世界で別にたいした役割りを果たさぬでもいい国だったかもしれぬ。しかし、もう今日は世界で第三の経済圏である、自由主義諸国の中では第二の経済面国である、こういう日本になってきますと、もう日本という国は世界の繁栄に貢献をするということにのみよってわが国の繁栄もあり得るという立場になっておると思うのです。 そういうことからいうと、わが日本はいままでアメリカのかさの下でアメリカの援助で暮らしてうまく食べられるようになってきた。しかし、もうそういう日本じゃないのですね。もう進んで、世界、特にアジアの近隣諸国を助ける、そうして近隣諸国とともに栄えていくという日本の基本姿勢、これにもうほんとうに切りかえなければならぬ時期に来ておる、そういうふうに思うのです。いろんな国際協力機構が生まれてきます。特に後進国に対する援助、こういうこと、日本はむしろ低きに失するといって、国際社会ではしかりを受けておるような問題であります。これはもうアメリカの要請ということでない、わが日本の国益から出てくる問題である、かように考えております。
○広沢(賢)委員 先ほど言ったとおり、インド、パキスタンやなんかへの一般的なあれと、それからもう一つは、今度政府が出している東南アジア諸国への経済協力のいろいろの内訳、これは別の機会にいろいろ議論されなければならぬけれども、簡単にとってみると、韓国、台湾、それから南ベトナム。北ベトナムはないですね。それから北朝鮮もない。それからラオス、カンボジア、タイということになっていて、その経済協力のやり方も——あとマレーシア、シンガポール、フィリピン、それからインドネシア、ビルマ、ビルマくらいはあれだけれども、全体から見ますと、ASPAC、そのグループの方向にだけそれが使われているということ。それからもう一つは、新しく南ベトナムにだけ難民住宅無償供与とか、わりあいにその点が国民から見て、これはアメリカの戦争政策に協力するのが、経済的に協力しなければならぬ、それからドル防衛に協力しなければならぬ、こういうものがいろいろと実際的に、たとえば中期債を買わないかわりにそういうことをずっとやっているんだというように印象づけられていますが、その国へ出すお金が全体として一方的だと思いませんか。
○福田国務大臣 どうも私は広沢さんの考えのほうが少し、何というか既定観念から出発しているような感じがするのですがね。いまあなたがあげられた国々、日本から援助がないという国々、これはもういずれも日本と国交の回復されてない国なんです。国交のない国に援助のしようがないのですね。(「国交回復しないのじゃないか」と呼ぶ者あり)その点を前提として考えてもらわなければ困る。国交の回復しておる国、アジアの国々はほとんど全部、まんべんなくといっていいくらい、わが日本は経済協力をしておるわけです。これが私は、世界の平和、世界の経済の繁栄発展、これに日本として貢献する道であり、また、それが日本にはね返ってきて、日本の繁栄、また平和につながってくる、そういう国益につながる問題だというふうに考えております。決してゆがんだ曲がった考えから出ておるわけじゃない。これはもうはっきりと私どもは割り切って考えております。
○広沢(賢)委員 いま不規則発言があったとおり、これはまあ国交回復しないのです。 それからプラント輸出については、もう中国との関係はさんざっぱらみんなが苦労しているのに、いまだもって吉田書簡がちらついてプラント輸出もしていないのです。だから、努力していないということなんですよ。だから、そっちのほうを努力するならば一方的ではないかという内外の非常な非難の的になるようなことは、大蔵大臣は心外だと思われましょう。そういう問題についてだれでも納得しますが、一方のほうは全然努力しないでシャットアウトして、出入国管理法とかなんとかそういうひどい法律をずっと出してきて、それで公平だ、公平だと言っても、これはちょっと受け取れないと思いますが、そのほうの努力はどうするのですか。
○福田国務大臣 これはなかなかいろんなむずかしい問題があって、今日までああいう戦後の状態が続いている。これはもう話を始めればきりのない話で、幾らでも言いますが、時間の制約もありましょうから申し上げることは差し控えますが、とにかく努力をしてないということはないのです。両方にもそれぞれの事情がありましょう。それぞれに事情があってなかなか国交回復という段階まで至らない。これはもう少し時間をかける必要があると思うのです。また、それまでの間は、そう経済的にも国交が回復しておる国々との間のような調子にはいかない、こういうことなんで、まことに遺憾な状態でありまするが、やむを得ない状態である、かように考えます。
○広沢(賢)委員 これでおしまいにしますが、遺憾な状態であるけれどもやむを得ないということは、SDRと同じでして願望、願望は前向きにいくわけでしょう。そうすればやはりそのほうへの努力をしてみなければいかぬです。一歩一歩努力をしてみなければいかぬ。それでイタリアとそれからカナダ等が一歩踏み切り始めましたね。これは新しい動きだと思うのですが、そういう動きは大蔵大臣は歓迎すべきだと思っておられますか。
○福田国務大臣 日中の間の政治的関係、また、それに伴って貿易的な角度の論議、これは一言ではちょっと申し上げられませんね。これは全く誤解なく受け取っていただくように申し上げるためにはかなりの時間が必要なんです。ですから、誤解を招くおそれがあってはいけませんからただいまは申し上げませんが、また、いずれ機会を見まして率直に私の考え方がよくわかっていただけるように申し上げることにしたいと思います。
○広沢(賢)委員 それでは、ぜひその機会をなるべく近い機会に持ちたいと思います。 以上で質問を終わります。
○田中委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 SDRの問題について、私、この際大蔵大臣に所信をお尋ねしておきたいと思います。 まず初めに、人間のからだにたとえられて、健康体にしなければ、金の問題あるいはドルの問題にしても、そういうような準備資産を幾らふやしてみてもだめなんだという話をされました。私もそうだと思うのです。 そこで、ちょうど昨年の十一月の二十日から二十二日に、西ドイツのボンで十カ国の緊急蔵相会議が開かれて、先ほど調査をいたしてみましたら、それに柏木財務官が出席をされた、こういうことでございます。そのときに、御承知のようにフランの危機がありまして、そしてマルクの切り上げを盛んにすすめる動きがあったことは、大臣、御承知のとおりであります。そのときに、西ドイツの代表が言うには、西ドイツのマルクを切り上げることは、病人の連中が寄ってたかって健康体である人間に薬を飲ませようとするものではないかということで、フランの切り下げをやるべきであり、また、ポンドの切り下げをやるのが当然であって、西ドイツとしてはマルクの切り上げをやる意思はないと言って退けたことがあります。私はそれを思い起こしながら、一体日本の政府は、そのときに柏木財務官に大蔵大臣はどういうような立場で行動をするように要請をなさったんだろうかと、その興味をいま抱いたわけなんです。というのは、先ほど福田大蔵大臣の御説を聞いておりますと、やはり何といっても経済的な力というものを備えなければ、健康体にならなければ、準備資産というものを幾ら持ってみてもしようがないんだというような話をお聞きいたしました。今日、西ドイツの対外競争力の強さというものは非常に目ざましいものがあると、私たちもその後の経済指標から受け取るわけであります。とするならば、日本政府は、こういうようなフランの危機が生まれ——昨年一年間を振り返ってみますと、アメリカのドル防衛政策に始まってフランの収拾に年末終わったという一年間でございました。それだけ国際通貨の危機というものが非常に大きくなってきている中でできたできごとであります。ですから、こういうような具体的な事象に対して、どういうような取り組みの姿勢を日本政府はとってきたであろうか。そして、そのことから今回創設をされるSDRの問題についての考え方を私はお聞きしておかなくちゃならぬと思うのであります。それについて、柏木財務官は政府委員ではないので、それに対しましては大蔵大臣がどういうように行動すべきであるという指示を与えてお出しになっていると思いますので、大臣なりあるいは局長のほうからでもそれについての答弁をまずお伺いしておきたいと思います。
○村井政府委員 十一月の当時は、福田大臣がまだ御就任になっておられませんで、私が局長をやっておりまして、柏木財務官と緊密な連絡をとった関係上答弁いたします。 当時の基本的な考え方は、まず各国の通貨危機というものは、自国が経済運営の節度を十分に発揮してやれるだけやる、そして他国に対する迷惑は最小限にしなければならない、これが基本原則であったと思います。その上にどうしても一時的な動揺、たとえば投機、スペキュレーションというような一時的な不安動揺要因でその国の通貨に不安が生じるというようなことで、その国が幾らやってもどうにもならないというような場合は、各国が協力して手を出し合って助け合うというのが基本的な態度であるわけです。 そのときのマルクの状態、これはちょうどボンの十カ国会議の直前に、いわゆる輸出と輸入の国境調整税を四%措置するという制度を採用いたしましてそれを決定いたしましたので、その説明あるいはその影響、効果というものを十分聞くということをまず中心といたしまして、その上でドイツに対してどういう手を差し伸べたらいいのかということを議論し合う。フランスについても大体同様でございまして、フランスの実態、フランがいろいろ資本逃避を起こしておったと思われますその当時の実態を十分に研究、検討するわけですが、まず自国がどういうようにやるかあるいはやったかということを第一として、それで各国がどういうふうに分担して協力するかということを検討し合おうというのが中心の考え方であったわけです。
○村山(喜)委員 あなたはいま客観的に事実を述べてはおいでにならないのであって、その当時の状況はこうだったということだけを言われておる。日本の政府は、それに対してどう取り組んできましたかということを言っているのです。
○村井政府委員 そのときの日本政府の態度は、実はそういう基本線に沿って、その国の経済運営というものを十分に納得いくまで議論し合う、その上で必要な場合は各国の態度、協調ということも十分勘案しながら、日本の態度もそのワクの中で考えなければならない。協力の具体的な問題が起こったときは、そのつど本国と十分連絡するというのが、わが国の態度でございます。
○村山(喜)委員 いま承っているところでは、たいしたことはなかったらしいということのようですが、ドイツがマルク切り上げを拒否した、それは非協力的だというキャンペーンが張られまして、そうして西ドイツという国は悪者だという宣伝が行なわれたのですよ。それはどこから行なわれたかというと、いわゆる貨幣価値を切り下げなければならないドルとかポンドとかいうような弱い通貨を持っている国がそういうようなことを宣伝したのですよ。そうすると、日本の政府はどういうような基本的なかまえの中でそれをとらえなければならないかということは、一つは、村井さんが言った、それは自立の立場で、自主的な立場でそういう状態をつくり上げなくちゃいかぬ、これが基本でありましょう。しかしながら、いわゆるこの不均衡調整の問題が生まれてきたときには、赤字国が生まれ黒字国が生まれてくるわけですから、その二つのグループの立場に立って問題を考えるということにしなければ、国際通貨の不均衡調整の問題は可能性がないのではないかと私は思うのです。じゃ、そのときにはマルクを切り上げてください、そのかわりドルなりポンドの切り下げもいたしましょう、そういうような処理のやり方が、私は国際的には正しいんだと思うのでありますが、そういうような考え方は間違いであるかどうか、福田大蔵大臣はどうお考えですか。
○福田国務大臣 いま各国間に通貨価値のアンバランスがあるわけですね。それをどういうふうに調整するか、これはもう貨幣価値の下落している国のデバリュエーションという形でやるか、あるいはそれを中途はんぱなところのデバリュエーションにして、強い国のほうの価値の切り上げをするか、また場合によれば、新しい国際通貨体制というかクローリング・ペックなんということも最近いわれておりまするし、それから上下変動幅をというようなこともいわれておる、あるいはボーダータックスを設けたらどうだとかいうようなことをいわれております。いわれておりますが、これはなかなか、どういう手段をとるがいいか、いろいろな考え方は出そろっておるといってもいいくらい出ておるわけでありますが、そう経済的角度ばかりで見るわけにもいかぬ。いまあなたが頭にあられる去年の十一月のフラン、この問題なんか、経済の問題もさることながら、ヨーロッパの政治問題が強く背景にあるわけなんで、経済的角度ばかりから割り切った考え方ができないような状態だと思います。 いま各国間の通貨のバランスをどういうふうに見ていくかといういろいろな説も出てきているこの際でありますから、検討するのはいいと思いますが、私は、私のいまの考え方からいうと、為替相場というものは、これは固定方式が一番世界経済の安定のためにはいいんだ、こういうふうに考えておるわけで、そのためにとにかく最大限の努力を各国ともしなければならぬ、かような考えです。
○村山(喜)委員 IMF体制というのは固定為替相場の上に足をおろして成り立っているわけですから、そしてまた、SDRの性格の上から考えましても、それを柱にして問題を考えていかなくてはならぬ。そういう立場で固定為替制度というものをやはり大蔵大臣としては固執していこうというお考えだろうと思うのです。ただ、そのときに、一体いまの固定為替相場制度というものが、これが変動しない固定したレートで現在人為的に位置づけられておる。そうなってきますと、それが結局各国の通貨のアンバランスというものを生み出しているのではなかろうか。その固定をしたところから各国の通貨のアンバランスが生まれてきているのではなかろうか。 私は、その逆の立場でものを見たいと思うのです。そうしなければ、六七年の十一月十八日ですか、イギリスがポンド平価切り下げ一四・三%をやった。公定歩合も八%に引き上げた。そういうような政策を、ポンドの切り下げをやったけれども、目立った国際収支改善のきざしは今日においてもあらわれていない。切り下げた効果がないわけですね。それはもうすでにイギリスの経済力というのですかこの力が、切り下げてもなおそれを持ちこたえるだけの経済力がない。その若さがない。もう老大国になってしまったという現象面がこれであらわれてきていると思うのです。ということは、それだけポンドというものは力がない。そして、ドルというものも、これはいま基軸通貨だからこそ一応の価値があるものだと私たちは見ますが、ほんとうの価値は、一体ドルの価値というのはどれくらいになっているのだろうかと思いますと、これはどうも疑わしいと思うのです。そうなってくると、一番強いのはマルクであり、その次に強いのが円ではないかというような町の声も聞かれるようになる。だから、アメリカから日本は近いうちに円の切り上げを要請をされるのではなかろうかという心配さえ抱いているというような話も聞く。 そこで私は、そういうような各国の通貨のアンバランスな状態が今日生まれているというのは、固定為替相場制というものと金価格維持の上に成り立ってきたIMF体制というものがっくり上げたものではなかろうか。そうなってくると、この固定為替相場制というものは、私は考えようによっては、ドルというものが昔は金よりも値打ちがあった、それだけ価値があった。ところが、今日においてはドルの価値は金よりもはるかに値が下がってきている。事実上ロンドンにおける自由市場においては、一オンス四十一ドルを下ったことがない状態が今日ずっと続いていると私は思っている。そういうような点から考えてまいりますと、いままではドルは金なりという考え方の上に、金価格の維持制度の上に成り立っておったドルだったと思う。それがアメリカの国際収支が御承知のようなかっこうで悪化をしていく、そうなったら一体ドルというのはどれくらいの力があるのだろうかということで、世界の人たちもドルの不安というものに対して非常に注目をしている。そしてアメリカに、ゴールドラッシュの結果をアメリカ自身が反省して均衡政策をとるようにという要請をし、そしてアメリカも国際的にそれを引き受けなければならないという立場に立たされていると思う。 その上から考えますと、固定為替相場制というものが、大臣がおっしゃるように、これを守り抜いていくことが日本の国益にかなうものであるのかどうか、私はちょっと疑問を感ずるのですが、そういう点から、先ほどお話しいただいた各国の通貨のアンバランスの問題について、日本政府はこれからどういうような態度で国際的に臨もうとしておるのか、この点をひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
○福田国務大臣 為替相場が固定してありますれば、それが通商に対しまして自動的な調節作用を持っておるわけでございまするから、一国の国際収支が悪化した、その悪化の状態がそう長続きはしないで回復をされる、また、非常にいいという状態であれば、これがまた是正されてだんだんとそういう状態でなくなる、こういう作用、機能というものを発揮して今日に至っておるわけなんです。 ところが、いま御指摘のように、国によりましては、そういう自動調節が発揮される余地のないくらいまで国内経済というものを落ち込ませておるというか窮屈にしておる、そこに問題が出てくるのだろうというふうに思うわけであります。また、そういうところから固定制はやめて上限、下限の流動的な制度はどうだろう、あるいはクローリング・ペックというような新しい制度はどうだろうか、あるいは為替相場が変動するまで踏み切ってはぐあいが悪いから、ボーダータックスという程度で調整したらどうだろうかというようないろいろな考えが出てきますが、日本のような経済がとにかく総体的には非常にしっかりしておる、しかも貿易に依存をして国力を伸ばしておる日本としては、為替相場は非常にはっきりと見通しを立て得る状態にあるのが一番よろしい、固定性が世界でゆるぎなく持ち続けられるということが一番いい、こういうふうに見ております。
○村山(喜)委員 固定為替相場制をやはり大臣としてはいまの段階ではとられねば都合が悪いからそうおっしゃるだろうと思うのだけれども、一体今日そういうような各国の通貨のアンバランスの問題が出ておる状態の中で、通貨体制の根本の問題にメスを入れずにおいて、ただいわゆる流動性の不足から今日こういうような問題が出てきておるのだ、だからSDRを創設をして国際通貨体制の強化をはかるんだ、こういうふうに説明をされましても、これは私たちは納得ができないのです。 そこで、SDRの創設を通じて国際通貨体制の強化ができる、ほんとうに強化ができるんだというふうにお考えになっておるのかどうか、この点について、私お聞きしてみたいと思うのです。というのは、アメリカの国際収支の改善の徴候が見られない場合には、SDRの早期発動は困難になる。なぜかならば、EEC自体がそれだけで拒否権を持っておるからです。だから、米国の国際収支の改善は、いまのような政策を続けていきながらもニクソン新政権はできるとお考えになっておるのかどうか、この点についての見通し、これをまずお伺いしたいと思います。 というのは、八年前にケネディが大統領に就任をしましたときには、アメリカは金を百八十億ドル持っておった。それが今日は百三億ドルとか伝えられておる。貿易収支は、四十億ないし五十億ドルの黒字でございました。今日は十億ドル程度の黒字にしかすぎません。長期資本の流入を入れまして、ようやく国際収支は黒字を保っておるという程度であります。財政は四十億ドルの黒字であったものが、今日は三十億ドルないし四十億ドルの赤字の状態であります。そういうようなアメリカの状態の中で、ドルが国際的に価値を失っておるそのアメリカ自体の中においては、最近はどういう現象が出ておるかというと、また公定歩合を引き上げなければならないという状態、明らかにインフレが進行中であります。そのアメリカの国内の過熱状態が生まれておる中で、国際経済競争力が貿易収支に見られるように失われつつあるアメリカにおいて、しかもあのベトナム戦争をかかえるアメリカが、この短期間にそういうような国際収支改善ができるという見通しをあなた方自身はおつけになっていらっしゃるのかどうか、その時点はいつであるのかということをこの際明らかにしていただきたい。
○福田国務大臣 わが国の国際収支だって、いついつどの時点でどうなる、そんなことはなかなか見通しはむずかしい。まして外国であるアメリカの国際収支はどういう足取りをたどるだろうか、その傾向なんかは私どもしさいに見ております。しかし、そのタイミングということになりますると、なかなかむずかしい問題であることをまずお断わりしておかなければならぬ。 アメリカは本質的には、ベトナム戦争が終わるということがあればこれは直ちにぴんとしてしまう、アメリカの経済、特にその国際収支について問題にする余地は全然ないというふうに見通します。ただ一方において、現実の問題はベトナム戦争の継続である。終息に向かって動いておるとは申しながら、とにかくベトナム戦争というものが多額の出費を要する状態ですね。これがいま御指摘のように、国際収支に対しましても重圧となり、また、財政を赤字にする要因にもなっておるわけです。それがまたはね返ってきて金保有の減少ということにもつながってきておるわけでありますが、いま、一方においてベトナム戦争を遂行しながら、しかし、インフレに持っていってはならぬというのは、前のジョンソン政権も今度のニクソン政権も最大の経済課題である、こういうふうにとらえておるようであります。 まだはっきりとしたニクソン政権の具体的施策というものは示されておりませんけれども、ニクソンのブレーンといわれる人々の頭を支配している問題は、六八年、つまり昨年の経済成長は高過ぎる状態である、これをかなり押えるという考え方をとるべきだ。それからさらに同じ考え方——同じというかインフレ抑圧という考え方でとらえた増税法案ですね、一〇%増税、この考え方はさらに引き続いてとっていかなければならぬ。それから軍の海外払い、それから海外投資、そういうものにつきましてもきびしい態度、乱費のない態度、これをとらなければならぬという考え方、いろいろそういう方向のことが考えられておる段階と思うのです。まだ新政権の具体的な固まった構想は打ち出されておりません。 ただそういういろいろな政策が出てくると思いますが、私はアメリカが、一面においてベトナム戦争を戦いながら、一面においてインフレを抑止するというこの考え方ですね。これは私は必ず成功させる、また、させなければアメリカの世界における威信というものにも非常に大きな影響がある問題になってくるだろう、最大の努力を傾けて成功させるだろうというふうに見ております。
○村山(喜)委員 私は、アメリカの国際収支改善が早急にできるものだという前提に立つことは間違いを起こすのではなかろうかと思うのです。というのは、そのSDRの早期発動が困難になるという情勢を頭の中に一つは描かなければならぬ。そのときに、日本の政府の態度というものがどうであろうかということを考えておりましたら、この法案については昨年の臨時国会のあと、もうすでに付託をされた。そしてそれ急げ急げというので、税法の審議などよりもこちらのほうを優先をしてやってくれということで、審議は非常に急を要するというかまえであります。それは、十カ国蔵相会議において日本政府がSDRの創設について非常に強く主張をしたという立場もありましょう。そして今日、国際通貨体制があまりしっかりしてないので、それを補うという意味において強化ができるのだという意味からも取り組んでおられるのだろうと思うのです。 私はここで、この際やはりそれを発動をする条件が全部整っていったとしましても、国際収支が赤字におちいった国がIMFを通じまして必要通貨を借り入れる、この引出権の創設がなされる一方には、通貨供給の可能な国というものが存在をしなければ成り立たないわけですね。そういたしますと、SDRというのはアメリカの赤字のしりぬぐいにのみ利用をされるのではなかろうか。それで、そのいわゆる必要な通貨を貸し出すといいますか通貨提供の可能な国というのは、まあ世界的にこうながめて見れば西ドイツくらいなものだ、こういうような見方も当然成り立つと思うのでございます。そういうようなSDRは、アメリカの赤字のしりぬぐいにのみ利用されることにならないかどうか。 この点については、日本の外貨準備の増加をもたらすものなんだという、そういうような説明もしていらっしゃるようでございますが、一体どれだけを創出をするのだ。そうするとそれが貿易の数量の伸びに均衡した適正ないわゆる準備資産になるのだ、こういうふうにとらえておいでになるのか、その適正供給量についてどういうふうにお考えになっているか。 その二点、この際明らかにしていただきたい。
○村井政府委員 まず最初のアメリカの赤字との関係でございますが、確かに御指摘のように、アメリカは目下国際収支は赤字でありますけれども、このSDRを発動させるときに、つまりSDR制度が成立いたしました後に発動するときには、もう一挙動実はあるわけでございまして、これは先生も御承知のとおりでございますが、そのときに協定にもございますように、主として三つ条件を考えて書いてございます。 一つは、全体の国際流動性というものが不足しておるという判断を共同でしたときというのが第一点。第二点は、国際収支のよりよき均衡の達成ということ。第三点といたしましては、国際収支の調整過程の努力、改善の見通しがあるということ。 そこで、アメリカの国際収支との関係でございますが、アメリカとか、あるいはイギリスも含めてと思いますが、やはり国際収支の改善の方向をたどっておるということをみんなで認識し合うということがございませんと、その前提条件が満たされない。これは成立しました後に、直ちに各国が集まりまして、共同討議をするという段取りになろうかと思います。したがって、やはりアメリカの国際収支が依然として改善しないという場合にはこの条件は満たしにくいし、私たちも、そういう問題を離れましても、基軸通貨たるドルの安定という見地から国際収支改善を願うわけでございますし、そういうことは各種の場を通じまして、たとえば大蔵大臣もIMF総会等でそういうことを望んだ演説をたびたびしておられますし、国際会議の場でもそういう要望をしておるわけでございますが、それが一つございます。 それから第二の、しからばSDRを供給する量というものはどの程度かということでございますが、そういう前提条件、ことに流動性というものをどのくらい補充していかなければならないかという状況判断をそのときの時点においてするわけでございまして、こういう観点からいたしますと、あらかじめ何億ドルと、先ほど大臣も答弁されましたように、いまだ具体的な数量というものを議論した機会がございません。ございませんが、よく新聞に二十億とか何十億とかいうことは予測として出ておるわけでございますが、これは全く単に予測でございまして、そのときの具体状況によって五年間にわたって幾らということをあらかじめ想定いたしまして、その初年度幾らということを具体的にきめるわけでございます。あまり少な過ぎても意味がない。しかし、あまり多過ぎると、国際的なインフレ的な気がまえを醸成するという観点から、おそらくほどほどのところで——ほどほどのところでというのは具体的になかなか申し上げにくいわけでございますけれども、そういう感じで議論が始まるものと承知しております。
○村山(喜)委員 そうすると村井さん、あなた方は今日まで国際流動性の供給というものは、世界経済の発展を阻害することなく円滑に供給されてきた、いまこういう前提に立っていらっしゃいますか。これから先はドル防衛とかというようなことになる、金は少なくなる、流動性は少なくなるんで、その主軸通貨の安定のためにも、こういうような新しい信用創出が必要なんだ、こういうような考えでございますか。
○村井政府委員 従来の足取りを見てまいりますと、確かに貿易量の伸びというものは、かりに八%毎年伸びておるといたしますと、準備の供給量の伸びというものは、確かに二・四とかという程度の、貿易量の伸びに追っつかない伸びを示しておるわけでございますが、これは確かに一面におきまして、必ずしも十分貿易の伸びを助長しておるというふうには言えないというふうに私たちは考えております。ただ一方、ドルの供給はここのところ、アメリカのインフレを反映いたしまして、国際収支の悪化というものを通じましてかなり多量に供給されておる一方、中には金は非常に退蔵に回っておるというような事態もございまして、全体といたしましては、必ずしも流動性としては十分でないという事態がここのところ続いておったと、私はそういうふうに認識しております。
○村山(喜)委員 そこで、私がお尋ねしたいのは、あなた方のほうからもらった資料の中にも書いてあるんだが、国際流動性の現状というものを踏まえてみたときに、今後においては適正な量の準備資産の供給がうまく行なわれなければだめだと書いてある。では、その適正な供給が行なわれなければならないということはよくわかるけれども、適正な供給量はどのようなものを想定をしておるか。貿易の伸びがこれだけあるから——八%ですか、という伸びがある。それに対して準備資産のほう、総準備のほうは二・何%くらいしか伸びがない。これはきわめて不均衡であり、このような状態でいくのならばデフレ的な傾向になる。だからこの際、適正な供給をはかっていけば、谷間のない成長——これは福田大蔵大臣よく言われるのですが、世界的にもそれができる。しかし、やり方いかんによっては、薬をたくさん盛り過ぎると、これはかえって健康体が病人になるように、その総準備資産、これがむやみやたらにふえていくということになりますと、インフレになることは間違いない。いまの日本の形態も、この前物価政策で追及をいたしましたが、やはりインフレ政策がとられている。日本以上に世界の資本主義国家は、今日成長政策をとらなければ、政治的にも経済的にも成り立たないような状態に立たされているじゃありませんか。その中において新しい信用創出をはかっていく手だてがこうしてとられていくということは、私はやはり世界的に、国際的にこのインフレがまた拡大をしていく道に通ずるのではなかろうかというふうに考えざるを得ません。 そこで、適正な供給量とは、一体あなた方どういうふうにお考えになっておるか、また、国際会議ではどういうふうにそういうことを押えておいでになるのか、そこら辺をやはり明確にしておいてください。
○村井政府委員 御指摘の点は、非常にSDRの中の中心的なむずかしい問題であると思います。確かに一面貿易量が伸びましても、決済手段としてのこういう外貨準備というものは、それに比例して増加させる必要は必ずしもない。たとえばこれは決済じりでございますから、輸出と輸入が完全に合う点におきまして均衡いたしますれば、外貨準備は非常に少なくて済み、国際流動性というものは非常に少なくて済むということでございますので、結局は時間的なアンバランス、あるいは量的なアンバランスを決済する意味においての外貨準備でございますから、貿易量の伸びと必ずしも並行しなくてもいいわけでございますけれども、国際収支の天井というふうに感じますような、ああいう意味におきまして貿易の伸びが阻害される面が、流動性が不足いたしますとどうしてもやはり出てくる。これも現実でございます。 そういたしますと、どういう量でこの供給をしたらいいかということは、非常にむずかしい問題、つまり、変動要件が非常に多い問題でございまして、たとえば主要国の国際収支がどうなるか。アメリカ、イギリス、その他の主要国の国際収支がどうなるかという判断とか、そのほかいろいろの通貨の強さ、金の状況、その他の変動要件を多数勘案いたしまして、これなら国際的なインフレにならないという一面と、もう一面は、これなら創出してもやはりある程度の意味がある、流動性の不足を補充する意味があるという、その中間をうまく英知をもって判断をするということになるわけでございまして、この発動の時期が、これから先のことでございますので、やはりその直前に、そのときの状況で判断せざるを得ない問題かと考えております。
○村山(喜)委員 これはいま村井局長が答弁なさいましたが、非常にむずかしい問題であると私も思います。しかしながら、やり方いかんによっては非常に困難な状態が生まれ、お互いが不幸になる事態も考えておかなくちゃなりませんから質問をしておるわけです。あなた方が「ファイナンス」などに書いておられるように、その準備資産というものは、これはやはり各国の国際収支不均衡をファイナンスする手段なんだから、だから貿易の伸びに必ずしも比例する必要はないのである。これはそうだと思うのです、いまの説明だと。ところが、いまの八%対三%という率の問題ですね。これが一体、不均衡だからデフレ的な現象が世界的に起こっているかというと、そうでもない。世界的にはいまでさえもインフレの現象が私は多過ぎると思うのですよ。そういう中において、新しい準備資産制度というものをつくっていくということになると、ますますインフレの拍車がかかってくるのじゃないかという危惧を持つのです。しかも基本的にはSDRを創設をしても、フランスのドゴールが言っておりますように、諸通貨と金の問題、それから諸通貨間のバランスの問題、それが解決できないことには、アメリカの考え方が間違っているからだというその不信感も残っておる。だから、通貨の不安の根というものは、こういうようなSDRを創設をしてみても、依然として残りますという考え方に立てばこそ、フランスはこれに参加をしないで、保留の立場をとっているわけでしょう。これはほかの国は一応何とかしなくちゃならぬということで協力をするという体制にあるようですが、しかし、基本的には、アメリカのニクソン大統領のブレーンの中にも、一体金の価格についてはこれを引き上げないというのかどうか、また固定為替制度の問題についても、これに若干の変動率を与えたらいいのじゃないかと言う人たちもおります。 そういうような中において論議が今日なされているわけですから、私は、そういうような立場から考えますと、どうもこのやり方というものは、きわめて進歩的な第三の通貨を創設するような考え方で、前向きでとられておるけれども、実際にこれが発動ができるだろうかどうだろうか。発動ができたとしても、それを赤字国に黒字の国から通貨を供給してやらなければならない。その国は西ドイツくらいしかない。そのときに日本はこれに参加してもどんな恩恵が与えられるだろうかということになると、どうも準備資産がふえそうにもないし、あまり政策的効果を国民に期待を持たせることは間違いではなかろうかという気がしてなりませんのでお尋ねをしているわけなんです。 最後に、福田大蔵大臣に、もう時間が参りましたのでこれでやめますが、いま事務当局から説明を聞きましても、適正な量とは何ぞやということも、まだ十分協議してみなければわからないような状況であります。非常にむずかしい。こういうようなものをやらなければ国際通貨体制というものは安定をしない、これをやる以外にもう道はないんだというふうにお考えになっているのか、この点を最後にお尋ねをいたしたいと思います。
○福田国務大臣 村山さんもよく御承知のように、昨年フラン、ポンド、また逆の立場でマルクというような問題が起きて非常に世界経済界を騒がした。私はあの状態が、根本的解決がないで今日に持ち越されておる、こういうふうに見るわけであります。その根源は一体何だというと、やはり国際通貨がもう少し近代的な装備をしなければならぬ、それが欠けている、こういうことだと思うのです。 先ほども申し上げましたように、経済がだんだん成長発展してくる、それなのに国際通貨がふえない。その間をつないできたのは、結局そういう状態に対してアメリカがみずからの金の保有を減らして、身を詰めて世界各国に通貨決済手段を与えてきた。そのアメリカの通貨供給ということも限界に来ておる、金の保有が百億ドルを割ろうとしておる、こういうような状態、さあ一体どうやって通貨を補給するか、名案は実はないのです。そこで考えられてきておるのがこのSDRだ、こういうふうなSDRの位置づけというものがなされていいのじゃあるまいか、私はそういうふうに考えます。ですから、ぜひここまできたSDR、自由先進国の一つであるわが日本もこの新しい試みの成立に率先した協力をという形を残していきたい、切にそういうふうに願っておるわけであります。
○村山(喜)委員 二月十八日の新聞によりますと、ニクソン政権が新政権になって初めて六九年の経済報告を議会に提出をした。その中身を見てみますと、国際通貨機構に欠陥があるということで、「発動されぬ調整機能」ということで為替変動幅の拡大を示唆した。それを受けてパリの金市場においては一オンス四十六ドル二十六セントですか、史上最高の金の値段になった。これくらいアメリカ自身も実は迷っているのじゃなかろうかと私たちには受け取れるようなのが次から次に出てくる。その中で、日本だけがやはりそういうようなことはありませんというようなことで、審議を促進をし過ぎるような気持ちにならざるを得ません。 だから、この問題についてはまだこれから論議をしなくちゃならぬ点も多々あると思いますが、ひとつ十分に慎重に論議をしてやっていただくように委員長にも要望して、大体定数が足らなくなっておりますから、これであとはまた後日にひとつやらしていただきます。 〔発言する者あり〕
○田中委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めて。 竹本孫一君。
○竹本委員 私も資料を読んでおりませんので、基本的なことを二、三伺ってみたいと思います。 まず第一に、SDRは第三の通貨とかあるいは世界の成長通貨とかいわれておりますが、なかなかその性格がはっきりしておりません。そしてまた、今度の規定の中でもそれが明確にうたわれていないようですけれども、これはクレジットと見るべきであるか、マネーと見るべきか、その性格は何であるかということについてお伺いしたい。
○福田国務大臣 クレジットかマネーか、つまり現金か信用通貨か、こういうことですが、そういうことからいえば、現金的な要素も備えておれば、また、その現金的通貨は信用の上に成り立っておりますので信用通貨である、こういうふうにもいえると思います。
○竹本委員 どうも性格がはっきりしないのですけれども、きょうは時間がありませんから議論は別にしまして、局長からひとつ具体的に聞きたいのですけれども、これができると、日本の場合とアメリカの場合で、どのくらいの準備資産がふえるのか、それをちょっと数字的に。
○村井政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、全体の創出量はこれから議論をいたしまして、そのときの環境できめるということになっておりますので、全体の量はXということになるわけでございますが……(竹本委員「かりに二十億として。」と呼ぶ)かりに二十億ドルといたしますと、その配分をどうするかということでございますが、きまっております原則は、IMFのクォータといいますか割り当て額、日本の場合を申しますと、七億二千五百万ドルでございますが、各国の割り当て額というものを比率で出すわけでございます。そういたしますと、アメリカの場合は全体の割り当て額の合計のうちで二四・四五%でございますので、かりにXを二十億ドルというふうにいたしますと、二四・四五%でございますから四億八千九百万ドルということになるわけでございます。これが毎年かりに二十億ドルとした場合でございますが、同様に日本は三・四%でございますので、六千八百万ドルということになるわけでございます。
○竹本委員 私が聞いているのは、四億八千九百万ドルですか、それから日本が六千八百万ドル、これを前提とした場合に日本の準備資産が、要するに使える金が、流動性がどれだけ充実するかという計算のプロセスもずっと出してください。
○村井政府委員 かりに六千八百万ドル一年におきまして日本に割り当てられるといたしますと、それだけ外貨準備といたしましてはふえる、つまり流動性がふえるというかっこうになるわけでございますが、先生の御質問は、それをどういうふうに使っていくかということかと思いますが、それは日本が国際収支が赤字でございますと、その配分を受けました六千八百万ドルを使うということになるわけでございますが、国際収支が現在のように好況でございますと、むしろ赤字国がSDRを持ってくるという関係になりますので、そのときの日本の国際収支の状況によりまして使う、使わないということになるわけでございます。
○竹本委員 純累積配分額とかそれから三割の復元とかいったようなことを含めて、五年間の計画で言ってもらいたい。
○村井政府委員 それで、かりにこの六千八百万ドルを五年間、三億四千万ドルになるわけでございますが、そういうものを配分してまいります過程において、全世界的に、つまり二十億ドルを五年間、百億ドルというものを配分して創出してまいります過程におきまして、これはどうも国際的に流動性が過剰ではないかということがかりに起こりますと、そのうちでかりに一割を削減するということになるわけでございます。たとえば三年目に、三年前には百億ドルときめたけれども、九十億ドルということにしようということになりますと、三年間も六十億ドル配分したわけでございますので、あとの二年間では三十億ドルしか配分しないという訂正が行なわれるわけでございます。その訂正のやり方は、二十億ドルずつ一応配分いたしまして消し込みをやる、つまりあとで一割だけ削減する。したがいまして、日本に六千八百万ドル毎年配分してまいりますが、それをあとで一割ということになりますと六百万ドルだけ削減する。そういたしますと、六千八百万ドルが六千二百万ドル実質的に配分を受けたということになるわけでございます。逆の場合は逆でございまして、かりに流動性がこれでは不足だ、もう一割ふやそうということになりますと、そのときの決定によるわけでございますが、いま委員の御指摘のように、純配分額あるいは純累積額というときの純というのは、消し込みを考慮した純粋のネットの額をいうことは御承知のとおりでございます。それである国が非常にSDRというものを使い過ぎたということになりますと、これは返せなくなる。非常にSDRの全体的な信用とも関連いたしますので、この純累積額を毎年平均いたしまして、その平均額の三割は保有する、五年目におきましてやはり三割は持っておる。途中の段階におきまして七割あるいは八割、九割と使ってもいいわけでございますけれども、五年のときにおきまして、配分を受けました純累積額の三割は持っておるというかっこうで、三割まではとにかく取り戻させる、全部使いました国におきましても取り戻させるというのが、委員御指摘の復元の問題であるわけでありまして、こういうプロセスを通じまして、このSDRというものの通貨としての信用を高めていく、焦げつかないということを確保したわけでございます。
○竹本委員 出発点でありますから、たいした効果は期待できないということでありますが、いまの御説明でみると、六千八百万ドル、そのうちの三割は平均して復元をしなければならぬということになると、それの七割ですね。そうすると五千万ドル前後でしょう。そうすると、日本のいまの状態は幸い黒字だからいいけれども、日本のためにはたいして役に立たぬという解釈ですか、将来は別として。
○村井政府委員 結局このSDRというものの考え方でございますが、結局は実物の資産というものが国際的に移動いたしますのは、このSDRを幾らふやしてみましても同じであるわけでございます。結局これは国際収支、外貨準備の天井を高くするということで、各国がそうでない場合に比べて成長政策をよりよくとれるということがねらいであるわけでございますから、結局その五千万ドルしかないということは、これはなきにまさるといいますか、そういう問題ではなかろうか。つまり各国が国際収支、つまり流動性というものの不足を通じて貿易量の伸びが制限されるということを極力排除する。しかし、先ほどの村山先生の御指摘にもございましたように、インフレを国際的に起こすということは厳に避けなければならないという一面の要請がございますので、その間を縫っての配分基準を考えていく。したがって、先ほどのような消し込みの制度も加えて、ある程度、そのときそのときの状況に応じての適正量をやっていくということでございますので、かりに日本が非常に赤字になった、年間数億ドルの赤字になったという場合は、五千万ドルでは非常に不足するわけでございますけれども、そうでないように経済運営をやっていかなければいかぬことは、これはSDRが発動されたあとでも発動されなくても同じこと、多少国際収支の天井が高くなるということは、長い目で見ましてありがたいことだというふうに思っておりますし、また、ほかの国との取引の関係、つまり他国はこれだけSDRによりまして外貨準備量がふえるわけでありますから、それだけ日本との取引もそういう面からはふえてくるということは当然起こってくる事態だと思っております。
○竹本委員 局長の御説明を聞いておりますと、黒字の間は必要がないから問題にならない。それから赤字というのは、ちょうど五千万ドルで、役に立つような赤字が出てくればいいのですけれども、実は赤字になるようなときは、日本だって三億ドルも五億ドルも赤字が出るかもしれない。そういうときは、なきにはまさりますけれども、またあまり役に立たない。黒でも赤でも役に立たないということで、大騒ぎして、SDRといえば何か全く世界経済のたいへんな革新が行なわれるように言うけれども、現実に即して考えてみると、むしろ問題は別にあるのであって、このSDRの制度で特に世界経済の妙手、妙薬が出てきておるものではないという感じを私はかえって深くしておるのですけれども、これは議論になりますからきょうはやめます。 そこで、次に伺いたいことは、アメリカも同様だと思うのですけれども、黒字のときはあまり役に立たないし、いまのようなインフレでかつ赤字だという場合には、これもやはり役に立たない。そういう関係で、また、先ほど来御指摘がございましたけれども、アメリカとフランスの立場の相違というものがいろいろ出てきておるわけでございますし、そこでアメリカの国際収支改善の徴候が見えなければこれは発動ができない、その見通しがあまり近い将来には期待できないのでこれの発動がむずかしいということがよくいわれますけれども、それは要するにEECの一六・四九%の割り当てというか投票権がありますから、その拒否権のためにアメリカの赤字のしりぬぐいにSDRを使うようなことはフランスその他が許さない、一六%の関係でだめだ、こういうことですか。
○村井政府委員 この一六・四九%の前に、これは協定にありますように、主要国の国際収支のよりよき均衡の達成ということがございますので、やはり各国が、アメリカなりその他の主要国の国際収支がやはり改善の徴候があるということでないと、これはどだい、大体無理なことだと思っております。もちろん、それを投票権的に確保いたしますためにEECの拒否権の一六%というものがございますので、これは御指摘のように八五%が発動の要件でありますから、そういうことがブレーキに、もちろん物理的に投要権数によりまして発動が成立しない、EECの国がそう判断いたしますと成立しないということになろうかと思います。
○竹本委員 要するに、国際収支の改善徴候ありやいなやという判断は、あるいはかりに現実に黒字にはなって、これで改善できるという見通しがつく場合があるだろうけれども、その判断をするのは総会なら総会でやる。その場合に、判断をする人たちが持っておる投票権の一六%がものを言うから、結局それで法的にはそこでやられる、こういうことですね。そうなると、やはりSDRの発動というものはなかなか困難ですね。
○村井政府委員 先生も御承知のように、いわゆる国際収支のジレンマと申しますか、アメリカがかりにインフレを克服して国際収支の改善を急にはかったといたしますと、国際流動性というものは国際的な供給量が減ってくる。しかし、国際流動性をふやすと——アメリカの国際収支が悪化したまま、ドルのかなえの軽重が問われるというところを解決するためには、結局ドルの一方的な供給でなくてドルと代替し得るような、ドルを補充するようなこういう制度、あるいは金を補充し得るようなこういう制度を持ってこないと、そのジレンマを解決し得ないというのが基本的な考え方、出発点であろうかと思いますので、アメリカといたしましてはおそらく国際収支の改善をはかる、インフを抑圧するということをやることはやる、これが出発点。そうでないと、SDR自体が発動をされないわけでありますから、それをやりながら、しかも国際流動性を国際的な分野で確保するということをアメリカとしてはやはり願うわけであろうと思います。 そうでないと、逆にはね返って、いまのまま続けておりますとドルの価値が危うくなるという事態に追い込まれるわけでありますから、したがいまして、アメリカのそういう努力というものが見えてくれば、やはり発動はわりあい早いということも考えられますし、また、そういう努力というものを非常に積極的に国策の第一番に置いておるというふうに、私たちはニクソン政権の発足を見ておるわけであります。
○竹本委員 SDRに関する基本的な考え方は御説明を待つまでもなく大体わかります。実際問題としては、いまの八五%だ、EECが一六%だということがあるのでなかなか発動がむずかしい。それから発動した場合にも、積極的に大きな画期的な効果というものはなかなか期待できないということが、ぼくは二つやや明らかになったように思うのですが、この辺は議論になりますから次へ参ります。 そこで、大臣に一つ伺いたいのですけれども、結局いまのSDRの周辺の問題にいたしましても、また、世界経済全体の問題といたしましても、われわれが一番心配をするのは、日本も含めてそうなんですけれども、世界じゅうがインフレにどんどんばく進しつつある、あるいはインフレ化への道を歩いておる。しかもいま一番困りますのは、そのインフレに対する歯どめがないということにぼくは問題があると思うのです。あるとおっしゃる考え方もありますけれども、私はこれからちょっと大臣の基本的な考え方をそこで伺いたいのです。たとえば国内におきましても、日本の財政もわれわれはインフレへの道であるということを言うし、それから設備投資も、われわれは行き過ぎ投資、計画性が足りなさ過ぎるということを御承知のように指摘いたしております。しかし、もし従来の資本主義の経済のメカニズムからいうならば、それはプライスメカニズムというか、あるいは金利の自動的調節力というか、いろいろありまして、とにかく資本主義の経済機構の中に、それに対応しておのずから自動的に調節する機能があったと思うのですね。ところが、いまはそれをいろいろの事情で押えてしまっておる。極端にいいますと、国内経済においても、たとえば公社債の問題も、この間から大臣言われておりましたけれども、金利の動き一つを見ても、あるいは国債発行条件一つ考えてみても、ほんとうの意味でのプライスメカニズムというものがとまってしまったとは言いませんけれども、従前のようなメカニズムの機能をあまり期待できない体制になっておる。それから国際為替等の関係を見ても、これも窓口がなかなかコントロールをいろいろ受けておりまして、昔のようにインフレをやった、物価が上がる、そうなれば輸入がふえ、輸出がとまって、おのずからにして自動的調節力が働いてくる。この問題もある意味においてチェックされておる。国内においてもチェックする。資本主義経済機構の内在的なファンクションというものがとまっておる。それから貿易為替の関係においても、ある意味においてはそれがチェックされておる。そうしますと、窓を締めてしまって、中でどんな悪気流が出てきてもどうにもできないようなことに、極端にいえばなっておる。それがいま救われるのは、世界じゅうどこの国もでたらめをやって、インフレをやっておるので、それによって相殺されておる、日本の輸出が伸びているということだと思うのです。 そういう点について、たとえば一部で為替相場の変動幅を大きくしろとかなんとかいうようなのは、ぼく自身それにあまり賛成できないですけれども、しかし、言っている意味は、資本主義の経済の中に、あるいはいまの保守政治の中には、放任しておけば行き過ぎという面が必ずある。それをいままでは制度的にチェックするものがあった。それが資本主義の自動的調節力として、これは客観的に冷静に、相当な役割りがあったということは評価しなければならぬと思うのです。しかし、最近それをチェックしておる歯どめがきかなくなっている。その点について、そういう基本的な問題を解決しないで、SDRなんかアイデアパンク的なことをちょっと言ってみても、ぼくは国内経済から見ても国際経済から見ても、なかなかむずかしいと思う。 たとえば大臣の提案理由の説明のどこかにありましたが、「各国が共同の責任のもとに計画的に」ということばが使ってある。そこで、私は共同責任ということがはたしてどれだけできるか。また、計画的にということは、いまのこのばらばらの、そして歯どめを失った各国の資本主義経済の中で、どうして計画的ということが考えられるかという基本的な問題について、私は心配をしておりますので、国内の経済の中において、それから為替相場の変動といったようなものを通じての調節力を失った対外関係において、日本も含め、特に日本の問題を中心にしてもけっこうですが、これからの経済の進路はどういうところに求めて、特に歯どめを考えていかれる御予定であるかということを伺いたいのです。
○福田国務大臣 私は、世界経済の情勢、また、それに対処する世界各国の態度、そういうものに、戦前戦後を比べてみて、非常に大きな変化というか進歩があると思うのです。それは特に経済の動きに対処する各国の協力体制ということだろうと思うのです。戦前はそういう体制というものは非常に希薄で、もっぱらこれは経済の自律調節作用、こういうものに依存してきた、これはあなたの御指摘のとおりです。ところが、自律調節だけでは足らないのだ、自律調節方式というのは、一歩誤ればとんだことになる。第二次世界大戦の一つの原因というものも、経済がそういう機能を失って、何というかブロック経済主義というものがとられ、その間の衝突というような一面を持つわけですが、戦後はそういう事態を世界各国の財政家、政治家というものが非常に反省していると思うのです。そのあらわれが十カ国蔵相会議という考え方であり、またIMF、ブレトン・ウッズというような考え方である。そういうものがさらに発展して、今度SDRというようなものにもきておる、こういうふうに思うわけです、特に戦後は。 しかし、一昨年暮れ以来ですか、国際通貨不安という状態にさらされておりますが、これが一歩間違えば戦前のような不幸な事態になるのですが、それがそうならないで、とにかくびほう策ではありますけれども、対策がとられて、今日まで破綻を生ぜずにやってきておる。私は、この国際経済協調体制というものが今後もますます各国間で努力されていくと思うのです。そうして、世界経済が破綻になる前において、これを予防するというくふう考案というものがなされると思う。それは自律作用というようなものも生かしていくと同時に、協調性、計画性というようなそういう面のいい面も取り入れられていく、こういうふうに思うわけであります。私は、世界経済の動きというものはたいへん改善されつつある、こう見ております。 その中において、各国の経済がどうなるか、特にわが国の経済がどうなるか、こういう問題でありますが、私は、やはり経済の成長発展というものをたくましく続けていかなければならぬ、続けていくべきだ、これが日本の国際的地位を高めるゆえんであり、国際的使命を果たすゆえんである、こう考えております。それには常に物価とそれから国際収支、これが私は経済の診断指標である、こういうふうに考えるのであります。この二つの問題に常に注意しながらやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。世界経済も波乱なく成長するであろう、そういう装備もだんだんとできつつある。その中においてわが国も、世界環境の中でひとつすくすくと伸びていくためにはそういう成長、しかし、その成長の陰にどういう現象が出てくるか、物価と国際収支、この面に特に関心を持ちながら、日本経済の発展を期していきたい、こういうのが私の考えです。
○竹本委員 物価と国際収支とがわが国経済の運営の一つの大きなめどになることは、いま御指摘のとおりでございますが、最近わが国の国際収支は非常にいいのですけれども、物価の問題は、大臣御指摘にもかかわらず、なかなかうまくいかないというか、非常にむずかしいようであります。これに関連して、私の言っているほんとうの意味をおくみ取りいただいておると思うのですけれども、政府、特に宮澤さんがよく言われるのですけれども、私の意見だけをひとつ申し上げたいと思うのです。 金を革新陣営の人が過大評価しているのは、むしろ時代おくれである。これからは——今度のSDRも一種の国際管理通貨ですね。国内も管理通貨になるんだというようなことを言われる。私の言うことは、むしろフランスの意見に近いと思いますけれども、確かに経済あるいは文化が進めば管理通貨体制になるべさだと思います。なっていいと思うのです。しかし、いまの段階ではそれは早い。それはなぜかというと、国際的な、いまお話がありました協同化、計画化ということでございますけれども、なかなか協力体制もむずかしいし、特に計画体制はむずかしい。国内におきましても、物価と国際収支がどたんばまでいけば、ひっくるめてすぐ金融引き締めにあと返りするのですけれども、その直前まではなかなかばく進をするということで、いまのメカニズムに、先ほど申しました資本主義のほんとうのいいところの自律自動的な調節力が十分働いていない。しかも管理通貨体制に入れば、何といっても、これは政府の財政金融政策といったようなものが非常に中心になりますし、また、政治力というものが背後で大きく動かすのですけれども、その政治力に対する不信感をわれわれは持っているわけですね、不信感を持っているから革新陣営ということになるわけですから。その意味で私はいまの保守政治の、ある場合には無軌道になるような危険性を持っている政治よりも、まだ金のほうが信用できる。だから、フランスも金というものにどういうふうに結びつくかということは、これは段階を追っていかなければならぬと思う。一〇〇%密着しなければならぬ場合もあるし、三〇%でいい場合もあると思う。しかし、管理通貨という考え方の根底にあるように、縁を切ってしまうのだといったようなことになると、縁を切った場合にコントロールする力はどこに求めるかということになると、それは国際政治の機構の面から見ても、あるいは国内政治の機構の面から見ても、いまそれを、底があるからだいじょうぶだといって信頼して、SDRにしてもあるいは国内の通貨発行にしても、どんどんやってもらってだいじょうぶだという、それほどの信頼感はまだいまなかなかつなぎとめていないとぼくは思うのです。 そういう意味で、これからは管理通貨になるということは確かに一つの進歩であり、前進であるから、私は賛成である。しかし、準備と体制が整わないままに、国内においても国際社会においても管理通貨体制に入れば、これは非常に矛盾を大きくする心配がある。この点については、これはここで論じ尽くすような問題じゃありませんから、抜本的にこれは世界の通貨当局も全部が知恵をしぼらなければならぬ問題だろうと思いますので、そういう問題があるということは特に私は指摘しておきたいと思うのです。 時間がありませんので、もう一つ、今度は例の日本の三・四五%の出資比率の問題ですが、これはカナダやインドよりも悪いというか、おくれておるといいますか、下になっているわけでございますが、少し改善されたようでもありますけれども、今後どういう過程でどういう論拠でその改善の努力をされるつもりであるかということについてひとつ……。
○村井政府委員 現在の日本の割り当額七億二千五百万ドルは、確かにインドその他の国に比較いたしまして過小である。これはどうも客観的に見ましてそういう感じをだれもが持つ金額だと思います。また、現在の七億二千五百万ドル自体は、一九六二年の経済指標をもとにいたしまして、だいぶ前の指標でございますので、現在の経済力を比較いたしてみますと、明らかに非常にアンバランスであるという感じがするわけでございますが、これはIMFの協定におきまして、一つは五年ごとに見直しをやるということをうたってございます。二、三年前にやっと七億二千五百万ドルになったわけでございますが、これをこの次の機会にという機会はあるわけでございますが、そのときに一律にやると、これはアンバランスはいつまでも消えないということでございますので、その一斉にやるときに日本だけ特別に増額をするということは、これは私は、いろいろな経済指標を突き合わせますとどうしてもそういうことになるのではないかと思っておりますし、私たちの気持ちも、割り当て額というものはやはり国力、経済力に応じて適正なもののほうがいいというふうに思っております。 先生御指摘のように、今後の進路が管理通貨体制というものにあるといたしますと、やはり割り当て額というものを受けることによりまして、日本の対外信用力というものが増大するわけでございますので、そういう観点からも正当な割り当て額を確保する、これも国際的にバランスのとれた額を確保するということは、この次の早い機会に日本としても主張すべきであるし、従来もそういう意味のことをIMFの総会等で大臣からたびたび機会あるごとに演説をしておられるのが現状でございます。
○竹本委員 将来アンバランスを是正するというその基準ですね、基準はいろいろあるでしょうけれども、やはり大体国際貿易における日本のシェアということが基準の最も有力なファクターになるかどうかということと、もう一つは、なるたけ早い機会にというのは一体どういう機会を想定されておるかという、具体的に二つ伺いたい。
○村井政府委員 割り当て額をきめますデータはいろいろございまして、国民所得でありますとか貿易量、これもございます。したがいまして、非常に大きい貿易量を占めております日本としては、この点数が、かなりウエートが高くなるのは当然だと思います。したがいまして、ただ政治的に口を大にするだけじゃなくて、客観的なそういう指標が示すということが一つ。 それから、時期の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、五年ごとに一般的な増資の時期が参りますが、今度SDRを改正いたしますのと同時に、その項を改正いたしまして、五年以内にもやれるという改正を含んでおりますので、したがいまして私たちは、ことしの総会は無理だとは思います。しかし、なるべく早い機会に、つまり、五年をできれば待たないでそういう機会をつかまえていきたいというふうに思っておりますが、これはまあ必ずしも日本と同じような利害を持っておる国ばかりではございませんので、日本がそういうことを主張いたしましても、国際的に成立する可能性というものは一〇〇%とはまいりませんが、しかし、だれが見ましても客観的な経済力とアンバランスであるという事態はなるべくそうでなくするというのは、この協定の五年以内にでもやろうという精神でもございますので、その点につきましては私たちもなお一そう努力してまいりたいというふうに思っております。
○竹本委員 ドイツの五・七%も、その後のドイツの実力的な発展から見るとおかしいと思うが、ドイツにもそういう改正要求はあるのですか。
○村井政府委員 ドイツでは日本ほどではございませんが、非常に非公式にドイツの人々と話しておりますと、やはり日本ほど強くはございませんが、そういう気持ちを持っておるようでございます。
○竹本委員 これはまあ日本の国際的なメンツにもかかわる問題でございますから、大臣において大いに積極的にやっていただくように希望を申し添えておきたいと思います。 最後に、もう一つだけ伺いたいのですが、いまの二十億ドルとか五年間に百億ドルという、きまったわけではありませんけれども、その理論的といいますか数字的な根拠を教えていただきたい。
○村井政府委員 たびたび申し上げますように、これはそのときの多数の与件を勘案いたしまして、それできめるわけでございます。たとえば先ほど申しましたように、いま世界の総準備というものが七百五十億ドルあるといたします。そしてかりに毎年の伸びというものが二・五%とかそういったものが平均的な伸びであるというふうに考えますと、かりにそれを掛け合わせてみると二十億ドルくらいの数字になるのじゃなかろうかと思いますが、これは単なる一つの算術でございまして、それが非常に妥当性を持った数字かどうか、これはまた別個の問題であろうかと思いますが、何と申しますか、ちょっと思いつき程度に考えればそういうことも算術としてはできるというふうに私は想像しております。
○竹本委員 その場合には、そうすると金は最近では減っていく場合もありますから、そういうことで金はほとんど問題にしない、これからはSDRでまかなっていくんだ、基調は大体こういう考え方ですか。
○村井政府委員 今後は先ほど御指摘のIMFのクォータ、あれを増額していくことによりまして、各国がIMFに対する貸し出し債権的な立場、私たちもIMFポジションというふうに呼んでおりますけれども、そういうポジションがふえる、それも一つの国際流動性の増強の道でございますし、また、金がそういうことでございますれば外貨、この外貨の面がまたたとえばスワップでありますとかいろいろ信用供与の方法、これにはもちろん限度はございますけれども、そういうこともやって流動性というものをふやしていく、これも一つの方法かと思いますが、どうしてもやはりそれだけでは追いつかない。そこでSDRが登場してくる意味があるかと思いますが、かりにそういう二十億ドルとか数十億ドルとかいう程度をもちましてSDRが発足いたしまして、それは大臣が先ほど申されましたように、ある程度段階が進んでみまして、数年たってみまして、なるほどSDRというものが金にかわるというか金を補充するというような信用力の高い通貨であるということを各国が実際上認識し合うという事態になりますれば、このSDRというものは五年間百億ドルというようなことではなくて、先生がさっきおっしゃいましたような国際管理通貨体制にもう一歩深く進み得る。つまり、SDRがだんだんそういうふうに各国の信用力あるいは信認力をもとにいたしまして、増加し得るという可能性があるわけでございますので、そういった意味からいきまして、非常にためし的ではありますけれども、やり方いかんによってはSDRというものが非常に大きな役割りを将来において占めるようになる。一年、二年先のことではございません。もう少し先のことでございますが、そういった意味におきまして、ばく然たる、どうにでもわからぬという意味のSDRではございませんで、やりようによっては非常に期待が持てる。発足当時は、先生おっしゃいましたように、日本の場合は五千万ドルとかなんとかいうわずかな数字ではないかとおっしゃいましたけれども、これはやはり今後の様相によりまして非常に大きな役割りを果たし得る、そういう通貨ではないかというふうに思っております。
○竹本委員 終わります。
○田中委員長 次回は、明二十六日水曜日、午後零時三十分理事会、一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時十二分散会