石炭対策特別委員会 第18号
- 発言数
- 102 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/10/09
会議録
○平岡委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 去る九月二十二日、福岡県山田市において発生いたしました古河鉱業株式会社下山田炭鉱の災害について、政府の報告を聴取いたします。橋本鉱山保安局長。
○橋本説明員 お配りいたしました「下山田炭鉱ガス爆発災害概況」、これに基づきまして災害の概略を御説明申し上げたいと思います。 この資料の最後から二枚目に災害現場を拡大いたしました図が入っておりますので、この資料も御参考にしていただきながら聞いていただきますれば非常におわかりやすいかと思うのでございます。 まず一ページでございますが、御承知のように古河鉱業株式会社の下山田炭鉱、これは甲種炭鉱でございます。災害の起きましたのは九月二十二日の夕方の七時五十分ころでございまして、更新坑の五尺中間卸左一片付近でございます。先ほどの表でございますが、九−一〇ページの表で右下のところに左一片というのがございますが、ここに罹災者の名前も入っておりますが、この辺が災害の現場でございます。災害といたしましてはガス爆発ということで、死亡が十四名、重傷一名、軽傷二名で、全部の罹災者十七名ということであります。 二ページへまいりまして、操業の概況でございますが、この炭鉱は御承知のように飯塚市の南十三キロのところにございます。更新坑、これは固有名詞でございますが、新しくつくった坑でございます。それから大平露天坑、五反田露天坑というぐあいに坑内掘りの坑のほかには二つの露天掘りを持っておりまして、三坑持っております。今回の災害の発生いたしましたのは、この更新坑でございます。更新坑は本層群、大焼層群ということになっておりまして、稼行区域は四区域に大別されております。この災害の起きました地域は西区というところでございます。 生産状況でございますが、全体の約七五%程度原料炭を生産しております。年間の生産は二ページの下にございますように、大体年間二十万トン程度の生産でございまして、最近におきましては、四十四年一月から八月までの実績数字といたしましても、大体その辺の数字、二十万トン程度のペースで進んでおるという状況でございます。 三ページにまいりまして、労務状況でございます。九月二十二日、災害の起きました現在におきます従業員は、在籍員四百二十一名のほか、臨時員、職員、請負入れまして、全体で六百六十名ということでございます。 それから災害の概況でございますが、災害の起きましたこの左一片というところは、ことしの八月から掘進にかかっておりまして、大体九月の八日ごろからこの第一昇りの採炭を開始しております。それで災害の起きましたときには、左一片の一号昇り、二号昇りの採炭を終わりまして、その奥の三号昇り、四号昇り、五号昇りの三つの昇りを採炭中でございます。 採炭個所の概況は、三ページから四ページの上に書いてあるとおりでございます。 それから災害当日の入坑者でございますが、二十二日の二番方でございまして、更新坑全域といたしましては、百七名が配番されておりまして、このうちこの災害が起きました五尺中間卸左一片関係の配番は、四ページから五ページにございますように、全員十七名の配番でございます。 災害発見の端緒並びに措置でありますが、二十二日の八時ころに、罹災者——重傷、軽傷、生き残っております負傷者からの依頼によりまして運搬係員が災害の状況をキャッチいたしまして、さっそく所定の連絡をそれぞれとりまして、所長の判断によりまして、八時十五分に救護隊の招集が行なわれ、八時三十分ないし四十分の間に救護隊の編成が行なわれております。それで二十一時四十分、一時間強たちまして救護隊の活動が開始されておる。もちろんこの間におきましては、所長がこの災害の坑内に入りまして、状況判断をしておる時間がこの程度かかったというふうに見ております。そういう形で、救護隊の活動を開始したわけでございまして、二十三時十五分から遺体の収容が始まったわけでございますが、特にこの左一片の人気と排気がクロスしている点がございますが、この辺に非常に大きな倒ワクあるいは高落ちがございまして、非常に難航を重ねまして、最終的に実質完了いたしましたのは、この六ページにございますように、二十五日の三時四十五分、このときに、この地図でいいますと五尺払跡のところに長谷川さんという方が死んでおりますが、この人の救出が最後でございまして、非常に離れた場所にあったためになかなか発見が困難であったようでございます。 それで、災害が発生いたしましてからさっそく、鉱山保安監督局はもちろんのこと、本省からも私参り、また二十六日には藤尾政務次官が現地に参りまして、会社の幹部、労働組合、職員組合、地元の人たちとこの問題につきましていろいろ話し合いをしたわけでございます。特に、政務次官が参りまして会社側に強く要請いたしました点は、遺族に対する手厚い措置をとってほしい、これについては通産省としても先々心していく、会社が誠意をもってそれに臨んでいるかどうかは自分としても十分それを見きわめていきたいというふうなことで当たっております。さらに、原因につきましては徹底的に究明し、あらゆる面において問題点をクローズアップさせ、十分な措置をとっていきたいというふうなことを言っております。 それからさらに、災害と同時に全山を休止さしたわけでございます。災害の起きないところにおきましても総点検をやるというふうなことから全山を休止し、特に今回の災害において巷間いろいろなことが伝えられておりますので、そういった保安上の諸問題が完全解消するまでの間は災害発生外の場所においても生産の再開は困難であるというふうなことをきつく言い渡しておるわけでございます。 そういたしましたところが、実はその災害の翌日の二十三日の夕方、六時過ぎでございますが、小石中間卸連絡坑道奥部付近、この地図で見ていただきますれば、まん中のところにいろいろ坑道のクロスしたところがございまして、そこに風門が三つございますが、その付近でございます。その付近に実は坑内火災が発生したわけでございます。それで、坑内火災を発生いたしました段階におきましては、全員の救出ができていなくて、その全員の救出と坑内火災の消火という二つの問題が実は同時点に起きたような次第でございまして、この坑内火災が二次災害のおそれなしやというふうなことで十分検討をいたしたわけでございますが、いずれにいたしましても、消火作業を継続いたしましてもとうてい消えない。もちろん、御承知のように坑内火災は水の消火だけで消えないことは常識ではございますが、しかし何とか救出作業を完了するまでの間二次災害をでき得る限り防止したいということで、全力をあげて消火に当たり、片方救出に当たったわけでございます。 幸いにして最後の遺体を収容する段階まで特に二次災害の発生はございませんでしたが、その間常時、いろいろ発生するガス等を化学的に検討し、それを時系列的に検討いたしましたけれども、悪化はすれ、なかなか消火はできないというふうな状態で、このまま放置しておきますれば、実はこの自然発火の場所が古い昔の坑道につながっているところがございまして、もしそこの地点におけるガスと接触をいたしますれば、再度爆発のおそれが強いというふうな状態にまで至りましたので、やむを得ず二十八日の二十時に密閉したわけでございます。もちろん、密閉をいたしますれば、原因の究明等につきまして時間的にもまた実質的にも若干の支障は生ずるかと思うのでございますが、しかし遺体を救出し終わったあとにおいては、原因究明を変更して、むしろこれ以上の第二次災害を避けるべきであるというふうな判断のもとに、密閉を実施したわけでございます。この密閉は二十八日から行なわれ、現在強制注水をやって、大体一カ月程度で浸水いたしますので、おそらく浸水いたしますれば、その状況によりまして完全消火を見きわめた段階で再度これを取り明け、もう一度中の状況につきまして精細な原因究明をやるというふうな方針をとっておりまして、この点につきましては会社側にも強く言い渡しておる次第でございます。 それからお手元の七ページに参りまして、このガス爆発の起きました原因でございます。原因につきましては、先ほどのように坑内火災が起きてやむを得ず密閉措置をとりました関係で、最終的にこれだというふうな判断は、それを取り明けてみなければ実はわからないわけでございますけれども、その後従業員等の聞き込み、それから密閉するまでの監督局における坑内調査というものを総合判断いたしますれば、原因としては、もちろんここにはガスがあったことは事実ではございますが、そのガスがどうしてここで爆発限界にまでなったかということにつきまして、最終的にはなかなかわからないのではございますが、その後の詳細な事情聴取等によりますれば、この左一片付近におきまするいわゆる風量が不足しておったのではないか。その風量の不足の原因はどこにあるかということが、その後会社、それから労働者等からの事情聴取によりますれば、実はこの地図におきまして五尺払跡のすぐ左のところに三角じるしをつけておりますが、これは排気サイドでございまして、ここに災害前に崩落があったということが実は発見されております。そうしますれば、排気側からのコントロールによりまして、左一片付近における風量に不足を来たしておったのではないかというふうなことが、現段階におきましては有力なる推定要素になるわけでございまして、それを科学的にいろいろ計算いたしましても、ただそれだけではどうしても爆発限界にはなってこない。したがっておそらくは、そういった全体としての親風の風量不足のほかに、むしろ三号昇り、四号昇り、五号昇り、こういったところにおける、もちろんガス突出というほど大げさなものではないにいたしましても、若干異常なガスの噴出があったのではないか。その両者が相まったということが想像されるわけでございます。この辺は現段階における一応の想像でございまして、まだ確証はつかめておりませんが、現段階といたしましてはそういう判断が妥当ではなかろうかと思っております。 それからもう一つ、火源につきましては、これは当初からハッパ説とそれから電気器具のショート説と二つあるわけでございます。ハッパ説というのは御承知のように、この三号昇り、四号昇り、五号昇りのどれかにおいてハッパをかけた瞬間にガスに引火したというようなことでございまして、それからもう一つの電気器具説でまいりますれば、どうも爆源地が左一片にあるような感じでございますので、左一片のところに五十ボルト程度のスイッチがございますが、そのスイッチのところにやや問題があるのではないかというふうな感触を実は持っておるわけでございますが、その左一片のクロスした近所に実はスイッチがございますが、そのところまで爆発限界のメタンガスがたまるということは非常に異常な状態でございますので、それはちょっと想像にむずかしいのではないか。したがいまして、現段階におきましては、どうもハッパ説が、人の遺体の状況その他から見まして必ずしも妥当とは考えませんけれども、やや有力な感じを持っておるわけでございます。こういった点は、たとえばこれを取り明けまして、点火器と点火の電線とがつなげておりますれば、これはもうはっきりとわかるわけでございます。したがいまして、取り明けいたしました段階でその点を究明していきたいというふうに考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、ガスの管理、それからもう一つは作業慣行といいますか、もしハッパ説をとるということになりますれば、ハッパ前におけるガス測定の不備というものが、これはもう明らかに指摘されるわけでございますし、それからまた、電気器具説をとるといたしますれば、いわゆる電気器具に対する管理の問題というふうなことでおよその原因がしぼられてまいりますれば、そういった点について、先ほど申しましたように、他地域におきましてもそういった点を十分検査をいたしまして、これならば完全であるという状態にならなければ操業再開はできないというふうな考え方で、現段階といたしましてはそういう観点から全地域につきましての改善計画を会社側に求めておるような段階でございます。 一応災害の状況としては以上のとおりではございますが、特にこの会社の災害につきまして、現地等におきます一般的な感触と申しますか、そういったものは、いわゆるこの山が従来から閉山を考えておったというために、閉山を前提にして保安に手抜かりが強かったのではないか、あるいは電気器具について非常に不備なものがあった、あるいは労働者並びに保安係員すべてについて、作業慣行上、保安として本来守らなければならない事項が守られていないというふうなことから、非常にきびしい批判を受けておるわけでございます。そういった点につきましては、われわれとしまして現在いろいろな事情聴取、それから遺体その他からのいろいろな証拠物件等を集めまして、いろいろ検討はしておりますが、われわれの感触といたしましても、この山が昭和四十年以降、こういった坑内におけるいわゆる災害事故が発生していなかったというふうなこと、それからこの山が、従来から定期的なガス測定をやっておりましても、九州全体の率、あるいは全国はもちろんのことでございますが、非常にガスのキャッチ量が少ないというふうなこと、すなわちガスとしての危険性が非常に少ないというふうな感触があたのではないか、そういったところから、われわれとしては保安について十分な措置が行なわれておったというふうな感じは持っていないわけでございます。しかもまた、これは経営者サイドに対してそういうことも言えますし、また、職員並びに労働者サイドにおきましても必ずしもそういう認識が徹底していなかったという感じき持っておるようなケースも見受けられるわけでございます。山全体が、自分の山は非常に災害の少ない山であり、かつまた非常にガスの問題についておそれの少ない山であるというふうな感触にあったということは否定できないだろうと思うのでございます。 監督局といたしましても、この山につきましては、六月、七月、八月、九月、いずれも調査をやっておりまして、特にその調査の段階におきましてはガス問題は、要するにガスの測定結果は非常に少ないというふうなことから、むしろこの山でおそるべき問題は、ガス以上に炭じん爆発、それからこのほかの地域、これに隣接している地域からの古洞からの坑内出水というものに非常に危険性を持っており、かつまた過去における災害というものに、多くは落盤でございますが、落盤事故が多いというところから、特にそういった点については重点的な監督をやっておったような次第でございます。もちろん、かといって、ガスの問題につきまして全然ノータッチではございません。その監督した段階においては、この部分のところはまだ採掘前でございましたが、ほかのところにおきましても、風管の整備をやれとか、あるいは風量についてさらに確保するために坑道の仕繰りを直せといったような指示もやっておりますので、とにかくそういった点におきましての一応の監督はやってはおりますが、いずれにいたしましても、会社全体もちろんのこと、われわれとしましても、今回の災害につきまして十分反省しなければならないところを感じておるような次第でございます。 簡単でございますが、一応概況の説明を終わらせていただきます。
○平岡委員長 これにて政府の報告は終わりました。 —————————————
○平岡委員長 次に、古河鉱業株式会社下山田炭鉱の災害の実情調査につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。八木昇君。
○八木(昇)委員 派遣委員を代表いたしまして、去る九月二十二日に発生いたしました古河鉱業下山田炭鉱ガス爆発災害に関する現地調査の概要を御報告申し上げます。 派遣委員は、平岡委員長はじめ現地参加委員を加えて七名であります。 私ども一行は、九月二十六日午後、羽田空港を出発して現地に向かい、福岡鉱山保安監督局において鉱山保安局長、福岡鉱山保安監督局長、福岡通商産業局長、福岡労働基準局長等の政府側より災害の実情について説明を聴取したのであります。 翌二十七日、宿舎を出発、直ちに災害発生現場の下山田炭鉱更新坑坑口に参り、衷心より犠牲者の御冥福をお祈り申し上げました後、遺家族の方方と面会し、おくやみを申し上げますとともに御要望を承ってまいったのであります。 引き続き会社、労組、職組等の代表者よりそれぞれの立場から説明を聴取し、さらに地元山田市長より陳情を受け、同日夜帰京いたしました。 下山田炭鉱は、筑豊炭田に属し、埋蔵量約千四百万トン、実収可採炭量約四百五十九万トン、昭和四十三年度の出炭は、約二十万五千トンで、常用労務者四百五十五人、能率三十七・五トンの炭鉱で、その出炭の約七五%は原料炭であります。 災害は九月二十二日二十時ごろ、更新坑の坑口より三千二百メートル、深度六百五十メートルである五月中間卸左一片付近で発生いたしました。罹災者数は死亡十四名、負傷三名の計十七名であります。 災害の発生した五尺中間卸左一片は、八月より掘進にかかり、九月より第一昇りの採炭を開始したもので、災害発生時には一、二昇りの採炭を終了し、その奥の三昇りを採炭中でありました。 災害当日の入坑者は、二番方として更新坑坑内全域に百名が配番されており、このうち五尺中間卸左一片区域には直轄夫十七名が入坑し作業をしておりました。 災害発生後の措置としては、九月二十二日二十時ごろ災害発生の連絡があり、三十五分救護隊を招集、二十一時四十分救護隊が入坑、活動を開始したのであります。 坑内における救護活動は、崩落、坑内火災の発生等により困難をきわめましたが、九月二十五日三時四十五分に至り罹災者全員が収容されたのであります。 なお、福岡鉱山保安監督局からは、小島管理官ほか十四名を急派し、救出及び調査に当たらせるとともに、飛田監督局長、本省より橋本鉱山保安局長が現地に急行し指揮に当たったのであります。 災害の原因については、現在調査中であり、詳細については、調査の結果をまたなければ判断できませんが、ガス爆発災害であることはほぼ間違いないとされております。 現在、ガスの発生がなぜ事前に察知できなかったか、旧払いあとのガス管理に欠陥はなかったか、火源は一体何であったか、ハッパによるものか、電気器具のスパークによるものか等が問題点としてあげられておりますが、いずれにしても、坑内は密閉中であって、今後坑内水を排水し取り明けした後、調査することになっており、二カ月の日時は最小限必要とされている実情であります。 私たちが調査を行なった時点において強く感じたことは、労使双方、特に会社側におけるガスの管理、測定等、ガスに対する無感覚ということであります。また、当該炭坑においては最近炭鉱災害がほとんどなかったこと等により、保安に対する姿勢に欠陥があったのではないかという点であります。 次に現地における要望事項等につき申し上げます。 まず遺族の方々からは、一、誠意をもって会社が十分金銭の補償を行なうとともに、国においても遺家族の最低生活が保障されるよう援助されたい。二、原因をすみやかに究明するとともに保安上のミスを明確にされたい。三、保安設備を完全に持ち得ない企業が存在することに問題があるのではないか。四、常時保安上の調査を実施されたい。 等の悲痛な叫びを聴取したのであります。 会社側よりは、早期操業ができるよう金融面等について特段の援助をされたいとの要請があり、労組側よりは、一、原因の究明と責任の所在を明らかにされたい。二、遺家族に対する援護措置の充実と安定職場の確保をはかられたい。三、下山田炭鉱の復旧と再建についての指導と援助をされたい。四、全炭鉱に対する保安計画を設定されたい。五、保安機器の開発とガス管理の充実に配慮されたい。 等々の強い要望がありました。 また、弔慰金については、二十六日、会社側と組合側との話し合いが妥結し、死亡者一人につき、二百九十五万円が支給され、なお、各人の事情に従って就職等の対策を立てることにきまりましたことを申し添えておきます。 最後に、相次ぐ炭鉱災害の頻発に際し、国会としても数次にわたり保安確保の決議をし、政府に対して警告を重ねてまいったにもかかわらず、再びこのような災害に直面し、まことに遺憾にたえないところであります。 この際、石炭鉱業の労使並びに監督官庁は、保安確保の重要性を再認識し、保安意識の高揚につとめるとともに、抜本的な保安対策を早急に樹立し、災害防止の万全を期すべきであろうと存じます。 終わりに、不幸にして今回の災害でなくなられた方々の御冥福と、負傷された方々の一日も早い回復を心からお祈り申し上げ、報告といたします。
○平岡委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。 —————————————
○平岡委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 下山田の災害事故の究明から質問したいと思いますが、通産大臣がまだ見えておりませんし、労働大臣が見えておられますので、先に遺族補償の面から質問をいたしたい、かように思うのであります。 昭和二十二年から基準法ができ、そうして労災法ができまして以来、いままでいわば遺族年金の一時金の千日分というのが全然変わっていなかったわけです。しかしその後昭和四十年になりましていまの年金制度に変わったわけですが、一九六四年、昭和三十九年にすでにILOの業務災害の場合における給付に関する条約というのが採択をされておる。そうしてその後にこの労災法の改正がなされた。しかるに給付はその前のいわば百二号条約に従って給付水準ができておる。三十九年にすでに採択をされて百二十一号条約があるにもかかわらず、わざわざ二十年ぶりに改正をするのに百二十一号条約に従ってやらないで、百二号条約でおやりになった。百二号条約というのは、御存じのようにいわば低開発を含めて非常に社会保障の状態の悪いところをある程度の基準を出したわけです。「業務災害の場合における給付に関する条約」というのができておりながら、その基準をなぜ取らなかったのか。これは当時のことで、労働大臣の責任じゃありませんけれども、しかし労働大臣としてどういうようにお考えであったのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
○原国務大臣 お答え申し上げます。 いまおっしゃいました四十年に改正する前に百二十一号条約がきまったのに、それによらなかったのはどうかということですが、いま労働省で調べますと、この補償の審議会がありまして、それが、三十六年に審議会が発足して、ずっと三十六年から引き続きやっておりましたので、結局その当時には百二号条約であったから、三十六年当時からずっと引き続いて百二号条約で審議会の答申が出てきた、こういうわけです。今度は、新たにこの問題をこの次に審議会でやる場合においては、もちろん百二十一号条約によって審議会に御答申を願って、それに準拠してやる、こういう二段がまえになっておることを御了承願いたいと思います。
○多賀谷委員 私は行政当局の怠慢だと思うのです。これは国会へ出す前に条約が採択されておるわけであります。そして、しかもその条約は業務災害における給付に関する条約という、社会保障一般の最低基準の条約とは違うわけですね。特定の条約が採択されている。それにもかかわらず、その古い条約、しかも健康保険もあり、そうして労災もあり、あるいは老人年金もあるというような全般的な条約の基準に、かろうじて達したというところに私は問題があると思います。もう少し具体的に言いますと、寡婦と夫婦二人で百二号条約は収入の四〇%ということになっておる。今度の百二十一号条約では五〇%ということになっておるわけです。一〇%違うわけですね。私はこれは大臣というよりも——大臣は当時わからなかったかもしれないけれども、役人の怠慢だと思うのです。このことぐらいは労使にかけてもみんな承諾するわけですよ、今度は条約がこういうようになりましたと、こういうことは。しかもILOの総会があって、そうして国会にかけたのは四十年の国会にかけておるわけですからね。ですから、そういう点は全くこの審議会の先生方の勉強も不勉強だ、国会議員も不勉強だ、これは国会で審議したのだから。しかし、役人は常に緊密な連絡をとっておるわけですから、こういうことが行なわれているのは非常に残念であり、誠意を疑わざるを得ない。ですから、今度はどうするんですか、今度の改正は。
○和田説明員 私からお答え申し上げます。百二号と百二十一号条約との両方の関係と現行法との関係をちょっと説明さしていただきたいと思います。 実は、百二十一号条約は、先生が御指摘のように、三十九年の六月の総会において採択が決定しておりまして、一年後に条約としては発効するということになりますので、四十年の六月に条約として有効になったわけでございます。それに対しまして、年金の提案をいたしましたのは四十年の三月の初めか二月の終わりだと思います。そういう意味では、当時は条約としては効力が一応なかったわけでございますが、採択をされたという事実はそのとおりでございます。ただ、あのときの一時金思想から年金思想に変わりましたので、たいへんなものの考え方の変化ということで、三十六年ごろから、先ほど大臣から申し上げましたように、審議会でいろいろ議論をされておった。そういう長い経過の中で、当時百二号条約をどういうようにして批准できるような体制をつくるかということが論議の焦点になって、審議会も経過をしてまいりましたので、年金の場合は百二号条約の条件によるというようなことで、法案を国会に提出をさしていただく、こういうことになりましたので、その間のことはひとつ御了解いただきたいと思います。 なお、八月の二十七日に労災保険審議会から大臣に対して建議がございました。その建議の中では、百二十一号条約その他いろいろの災害補償制度を考慮して水準を高めるように、こういう建議が出ておりますので、次の通常国会に現在の時点で提出を予定しております法案では、百二十一号条約を十分に検討しながら法案の作成に当たりたい、かように考えております。
○多賀谷委員 年金に切りかわっての法案の実施、ことに遺族年金の場合には四十一年の二月一日から施行です。ですから、そういうことは理由にならない。これは最低を示したわけです。しかも、あとから質問いたしますが、西欧においてはどこの国もこの標準よりもずっと高い。ですから、そういうことは理由にならないと思います。そこで、私は基準局長に質問したいんですが、このILOのいう標準報酬、要するに基礎ベースと、日本でいう給付基礎日額、私はこれは非常に差があると思う。要するに外国は退職金がないでしょう、欧州ではほとんど。それから期末手当なんというものもない。ですからあと払い賃金はない。日本の場合は四割以上があと払いになっておる。皆さん方のボーナスを見てわかるでしょう、期末手当の。ですから同じ基礎日額が外国とはシステムが違う。そうでありますから、外国と同じ日数であっても、実際はやはり退職金をもらい、期末手当で生活しておるわけですから、実質上は遺族は非常に低い、こういわざるる得ない。そこで私は、健康保険のような短期のものと、いわばこういう年金制度のような長期のものとは、おのずから同じものをとるべきではないと思う。日本の労働基準法は、平均賃金算定で常に同じ基準をとっておる。私は、休業補償のような短期的なものは、いまの基準でよろしい、しかし長期的な給付は、その基礎日額を変えていくべきである、こういうように考えるわけです。これについて局長の御答弁をいただきたい。
○和田説明員 労災保険の給付基礎日額につきましては、基準法との関係がございますので、基準法の平均日額をそのまま使ってやる、これは基準法があって、それの災害補償関係を労災のほうで見るという関係になっておりますので、そういうものの考え方で現在整理されておる。諸外国の場合とわが国では、給与体系がいろいろと違っておりまして、それぞれの国、それぞれにいろいろ給与体系があるわけでございます。そういうために、基礎日額の算定のしかたについて、日本がほかの国と相当の相違があるということは、先生御指摘のとおりであります。しかもそれが、昭和二十二年の基準法の施行以来、大体同じ思想できておりますが、日本におきまする給与体系もずいぶん変わってまいりました。そのために、実はつい最近労働基準法研究会というものを発足させまして、基準法の施行問題について、いろいろ御議論をいただくことになっておりますが、その際には、いまの平均日額の計算の問題等も、当然給与体系の変革につれて議論になるのではないか。どういう方向になるかということは、研究会のほうで御議論になりますが、十分議論になる問題だと思います。 労災保険のほうにつきましても、実は建議の中でこの点が多少触れられておりまして、基本的には労働基準法との関連があるという御認識でありますが、何か給付基礎日額の中に考えるものがあるのではないかというお考えが、建議の中にも出ております。これらの問題につきましては、ただいま法案作成のための諸準備を私どもいたしておりますが、そういう問題について、どう整理をしたらいいかということも検討を加えておるところでございますので、それらの検討を待った上で、先生御指摘の条約、あるいは諸外国の給与体系等のかね合いを考えていきたいと思います。 なお、百二十一号条約ではどういう平均給付基礎日額をつくればいいかということは、規定がしてございません。ただ家族手当だけは算入するようにということでございまして、それぞれの国の考え方にゆだねてございますので、条約上の問題はございませんが、実際問題としての給与体系の退職金の問題とか、賞与の問題とか、その他いろいろな問題がございます。われわれその点について検討をさしていただきたい、かように考えております。
○多賀谷委員 基準法をそのまま労災法で受けていることはよく知っておるわけです。しかし、やはり短期給付の場合と長期給付の場合は違うのではないか。短期の場合はむしろ一日一日ですから、これは長期的な一年間の給与の平均というわけにいかないでしょうけれども、長期的な分は、私は過去三カ月ではなくて、過去一年なら一年というようなことにして、当然それらのものを含めていくべきではないか、これは退職金はむずかしいにしても、少なくとも期末手当は入れるべきではないか、こういうように考えるわけです。 そこで私は、条約に違反しておるとか、条約よりもどうと言っておるのではなくて、欧州の水準よりも非常に低いではないか、こう言っておるわけです。すなわち、御存じのように、西ドイツでも、夫がなくなった場合には、寡婦が四十五歳以上であれば四〇%入る。そして、その他の人は三〇%で、そうして子供一人、これは十八歳未満でありますが、第一子は三〇%ですね。これは両親がいないときですから、片親のときは二〇%だ。ですから二〇%二〇%で、結局寡婦四十五歳以上で子供二人おれば八〇%ということになる。日本の場合は、現行は五〇%で頭打ちでしょう。そうして給与のベースは違うでしょう。ですから私は、著しく遺家族というものは冷遇をされておる、こういわざるを得ない。これについてどういうようにお考えですか。
○和田説明員 いまお示しになりました西ドイツの例は、先生お示しのとおりでありまして、ドイツの場合は、それ以外の国と比べましても限度が非常に高い。私どもの手元の資料では一番高いのではないかと思いますが、非常に高いものであります。それ以外のいわゆる先進国といわれる国におきましてもいろいろございまして、にわかにドイツの例を直ちに日本に持ってきていいかどうかは非常に疑問がございますが、今度の労災保険の改正の際には、ILOの百二十一号条約だけではなくて、各国のそういういろいろの例につきまして研究を加えた上で、わが国の実情と考え合わせまして、日本にふさわしいものにしていきたい。ただ、基本的には、各国にはそれぞれの事情がございますので、それらを集大成したと考えられますILOの百二十一号条約の遺族給付関係のものを私どもとしては尊重するという姿勢で法律案の作成に当たらしていただきたい、かように考えております。
○多賀谷委員 大臣の時間が制約されておりますから、簡単に質問をします。 ドイツの場合一番高いとおっしゃいますが、フランスは八五%までが最高限度です。ですから、内容まで申し上げませんけれども、西ドイツよりも高いフランスもある。ですから、都合のいい資料だけとって、そうしてこれが最高ですと言っても、フランスのほうが八五%まで限度があるわけですから、とのほうが高い。 そこで大臣、非常に問題点があるのですね。ですから、少なくとも西側においてアメリカに次ぐ国であるというならば、こういう点を私は抜本的に改正していいんではないか、こういうふうに思うのです。従来の千日分でも、最高裁に持っていくと、ことごとく裁判所のほうが多くの給付を判決しておるのですね。たとえば、駐留軍の人で、四十二歳で四人の家族の人がいる。大体この人は千日分の給付が二百四十万くらいに当たる。ところが、訴訟をしましたところが、八百九十二万九千四百九十七円という判決が出ておるわけですね。まさに四倍の判決が出ておる。ですから、会社のほうはそれをしょわざるを得ないのですね。四十二歳でもそうですから、若い層というのはホフマン方式をとるならば非常に高い。こういう矛盾が現実に出てきておるわけですね。とても裁判までする力がないから、みな千日分でかつては泣き寝入りをしたわけですよ。私は、遺族補償については相当水準を上げてもいいんじゃないか、こういうように考えるわけです。 そこでその決意と、もう一つは、そういうようになった場合、たとえば古河下山田のような場合に、災害は今日起こった。ところが法律が実施をされるのはかなり後である。そうした場合にその手だてがないかどうか、要するに遡及してやれないかどうか。これをひとつお聞かせ願いたい。
○原国務大臣 お答え申し上げます。 さいぜんも局長から申しましたように、去る八月二十七日に審議会から労災保険制度の改善をなすべしという建議をいただきましたので、いまそれを調査し研究いたしておりますが、次の通常国会にはその改正法案を提出いたしたい。それで、いまあなたから御指摘のあったような、もっと給付を改善する意向でございます。その他そういう改正案に十分御意見を盛り込んで提出いたす考えであります。 それから、その際改正法案を遡及してはどうかという第二点でございますが、これは法律上非常に難点がありますので、むずかしい問題でございますので、研究さしていただきたい。
○多賀谷委員 法律不遡及というのはその関係者が損害を受ける場合ですからね。これは恩恵を受けるわけです。そうしてこれは夫婦の間に子供が二人おったとすれば、寡婦と子供二人という現実は変わらぬわけです。年金は毎年やっておるわけでしょう。ですから新しい制度が出れば、いままではたとえば寡婦に子供二人であれば四〇%であったのを、今度六〇%にするならその次の年金から六〇%にすればいいわけですからね。私は過去のをくれと言っておるのではないですよ。ですからいまからのを施行をするときにそういう状態であるものは新しい年金の方式を遡及してやればいいわけです。ですから私はこれは遡及がむずかしいということじゃないと思うのですね。できるのです、これは毎年払っていくのだから。
○和田説明員 お答えいたします。遡及の問題につきましては、過去における保険料が財源になりましてその人の給付というものが出てまいりますので、ある時点において法律が施行になる、それから給付改善をそれでするということを、いまにわかにここで決定的なお答えをするのは非常に問題があろうと思います。確かにお説のとおりのことにつきましては研究をさしていただく余地が十分にあると思いますが、収入との見合いの問題がございます。そういうときには、じゃ保険料をどういうようにするのか。要するに保険料を納める側からいいますと、自分たちの関係のない部面にまで保険料が充当されていくという問題もあるように考えておりますので、法案作成までには、先生の御意見も十分いま伺いましたので、それらのことを考えながら作成に当たっていきたい、かように考えております。
○多賀谷委員 長期療養給付の場合はスライドするわけですからね。そうでしょう。長期療養給付の場合はある時期物価が上がったりしたとき改定をやるわけですね。そういう保険経済の理屈をいうならば、長期給付の場合にそういうことができないはずですから、現実に長期療養給付の場合、スライドしておる。掛け金は同じように過去に納めているのです。ですから、できないはずはないのですよ。和田さんのほうで原案をちゃんと書いてやれば、ぱっと法制局も通るわけですから、これはひとつ大臣の手腕に待ちたい。これは労働大臣やあるいは通産大臣が弔詞で幾ら遺族の援護に万全を期すといっても、こんな簡単なことができなければ、遺族の援護に万全を期するなんと言えませんよ。おそらく今度も下山田において大臣の弔詞がいったと思いますけれども、そう書いてある。国会もそういうことを決議しておる。しかし、現実に何も国として手がないじゃないか。これはぜひそうしていただきたい。これはひとつ国務大臣として通産大臣どうですか、いまの問題は。原因をつくっておるのは通産省のほうだから……。
○大平国務大臣 ちょっと検討させていただきたいと思います。
○多賀谷委員 じゃいいです。
○平岡委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 それでは、両大臣とも時間が切迫しているようでございますので、簡単につけ加えて、関連的にお尋ねしたいと思います。 まず、労働大臣に、いまの遺族補償の問題につながって、労災補償の保険の改正の問題と遡及の問題がいま論議されておりましたけれども、私も、これはもう絶対といっていいくらい、この問題は遡及の道を開いてもらいたい、こういう気持ちであります。 実は、今度下山田炭鉱の災害で現地に参りまして、その遺族の方々と懇談した中で、こういう話があった。人の命というものは、お金で買えるものではない、だが、しかし、一たん事故でなくなった場合は、何とかします、何とかします、申しわけないと幾ら言われてみてもどうにもならぬのだ、要するに、お金で補償してもらう以外にない。こういう強い声がありました。私も、それを聞きながら、全くそのとおりだ。いま交通事故死ですらも三百万、あるいは今度五百万になろうかというときでありますが、まじめに働いている労働者、しかも、炭鉱の地下という悪条件の中で働いている労働者が、万一そうした災害のためになくなった、そういうときには、少なくとも十分な補償をやるべきである、こういうふうに考えるわけであります。今度の下山田炭鉱の遺族補償の問題のときに出ておった話ですけれども、いままで労使の話し合いで、遺族補償は二百五十万までは話がついていた。その後、いろいろと交渉した結果、二百九十五万円までになったわけでございますが、これは、たくさん事故でなくなった場合は、そうした交渉等が行なわれて、だんだん補償額が上がるという事実があるのですけれども、そうでない、一人、二人なくなった場合は、きわめて簡単にそれが処理されていっているという向きがあるわけです。したがいまして、いまの労災保険の改正の中に、少なくとも今度の災害にあった下山田炭鉱の皆さんの補償に対しては、何とか優遇的な措置、いわゆる遡及を願いたいという気持ちで一ぱいなんです。そういうことから、もう一度大臣の答弁をお願いします。
○原国務大臣 お答え申し上げます。 さいぜん、多賀谷さんにお答え申し上げましたとおり、来年度この労災法の改正案を提出いたしますから、そのときには、十分御希望、御期待の点を盛り込んで法案を提出する考えであります。 それから、その法律が改正になったときに、下山田の方々にも改正のとおりあらためて遡及するという、これは、さいぜんもお答え申し上げましたように、いろいろなかなか複雑でむずかしい問題があるそうですから、前向きの姿勢で検討さしていただきたい、こう思っております。 それから、私のほうの労働省で、こういう災害でなくなられた方々の遺児に対して奨学金をひとつ差し上げるように、いま来年度予算要求をいたして、こまかいことを検討をいたしております。これは交通遺児にも差し上げることになって、これを財団法人でやっておりますので、今度は労災のほうは、交通でなくなられた方と違って、職務上なくなった方でございますので、その遺児に奨学金を差し上げたい、こういう趣旨で、いま来年度予算要求等をいたしておる次第でございます。これもつけ加えて申し上げておきます。
○大橋(敏)委員 時間がないようですから、次の問題に移りますが、労働災害防止団体等に関する法律というのが昭和三十九年にできておりますが、その中に、労働災害防止計画という第二章の項目があります。これは言うまでもなく、労働災害全般にわたっての防止に関する重大な法律だと私は思いますが、炭鉱災害はきわめて数多く発生しているわけでございますが、これについて労働大臣という立場で、炭鉱災害に対してはどのような考えでそれをとらえていられるか、また、今後どのような方向で進んでいかれるか、そういう点をお聞かせ願いたいと思います。
○原国務大臣 炭鉱のほうの災害防止対策は通産省が主管でございますが、私のほうといたしましては、その監督権を持っておりますので、労働基準監督官をして調査させ、そうしてその不行き届きの点がございましたら、通産省当局にいままでもしばしば勧告をし、重大警告も発してやっております。今後とも通産省とも連絡をとりながら、十分未然に防ぎたい、このたびのような不幸な災害が起こらないように未然に防ぐように万々の策をやっていきたい、こういう決意でございます。
○大橋(敏)委員 いまの法律の中の第五条に「労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、中央労働基準審議会の意見を聞いて、基本計画又は実施計画を変更しなければならない。」このようにあるわけですね。私は、これは当然全般的な労働災害に対する問題だとは思いますが、特に炭鉱の労働災害は頻発するわけですね。通産省に対しては勧告をなさっているということでありますけれども、実際問題としてさっぱり労働災害がなくならない。それも、ただ単なる書面の上で勧告すればよろしいというものではない、私はこういう点をつくづくと感ずるわけです。確かに炭鉱の問題は通産省の所管であります。しかしながら、労働者が傷ついていく、なくなっていくという問題は、それらから守ることが労働大臣の主たる任務でございますので、そこで特別に炭鉱労働問題について深く検討をし対策を立て、その内容をもって勧告をしてもらいたい。単なる一般的な災害の勧告ではなくて、炭鉱労働者の受ける災害を特別に研究してもらって、そういう上から具体的に勧告してもらいたい、こういうふうに私考えるのですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
○原国務大臣 大体いままでにおきましても私どもそういう趣旨でやって、そういう結果が出たのを通産省にも連絡し、山のほうへも注意、勧告等等をやっておるのですが、大橋さんの特別の御希望もございますので、将来とも一そう積極的に対策を研究して、通産省及び山当局等々にも勧告なり注意なりいろいろ進めていきます。将来災害が再発しないように万々の策をいたしたい、こう思っております。
○多賀谷委員 労働大臣、そうしますと、百二十一号条約は、今度の労災の改正が行なわれたあと批准されるわけですか。
○原国務大臣 百二十一号条約を批准する方向で法律もつくりたい、両々相まっていきたい、こう思っております。
○多賀谷委員 そういたしますと、通勤途上の災害についても労働災害と認めるわけですね。
○和田説明員 通勤途上の災害につきましては、条約でもいろいろの条件がついておりまして、必ずしも条約上ははっきりと業務上ということにしておるわけではございませんで、むしろ「みなす」というような規定、その国のいろいろの災害に関する補償制度の関係を調整してやることになっておりますので、その条約の趣旨を私どもとしても十分尊重しながらやっていきたい。ただ、通勤途上の災害については非常に問題があるので、関係審議会に専門家の会議を開いて検討を続けるようにという建議も出ておりますので、ただいまの考え方では、大体その建議の趣旨に従ってやってまいりたい、かように考えております。
○多賀谷委員 条文をどう読まれたかわかりませんけれども、通勤途上の災害が他のもろもろの「社会保障制度の対象となり、かつ、これらの諸社会保障制度が通勤途上の災害について支給する給付の合計額がこの条約に基づいて要求される給付と少なくとも等しい場合には、通勤途上の災害は、「労働災害」の定義に含めることを必要としない。」要するに他の社会保障でこの労災と同じ金額をもらえば労働災害と見なくてもいい、こういうことになっておるのですよ。ですから、そういうふうな状態にない場合、これは結局労働災害、あとは他の社会保障との調整の問題でしょう。他に払うところがあるならそれでお行きなさい、こういうことでしょう。ですから、基準局長の答弁とこの条文とはだいぶ違うのですよ。あなたのほうは、やってもいい、やらぬでもいいような話をされておれるけども、そうでないでしょう。
○和田説明員 御指摘の条文は第百二十一号条約の第七条でございまして、第七条の一項に「「労働災害」の定義」ということで、その定義の下に「(通勤途上の災害を労働災害とみなす条件を含む。)」というようなことばが使ってございますので、先ほどのことを申し上げたわけです。この定義の問題等から関連の二項の問題、完全に災害からはずす場合の想定が二項でございます。ほかでこういうものが払えるならば労働災害の中に入れなくてもよろしい、必要としないという定義のしかたをしております。私どものほうでは、交通機関の災害の問題はいろいろの災害補償がございます。それらのわが国の制度をにらみ合わせながら、先ほど申しましたようにいろいろの込み入った問題がございますので、審議会のほうでは専門家の会議でやってくれ、こういう希望が出ておりますので、それに従ってやってまいりたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 通産大臣も時間がないようでございますので、一問だけお尋ねいたします。 こまかい点はあとで追及していきますけれども、今度の下山田炭鉱で非常にふしぎに思うことは、ガスの測定ができなかったのではないか。ガス測定の機械の問題と、自動警報機が鳴ったか鳴らなかったかわからないという問題があるわけです。これはあとで私は詳しく追及してまいりますが、結論的に、坑内だけでガスを探知するというのじゃなくて、坑外で、いわゆる上でそれがわかるというガス中央管制室といいますか、そういうものを設置すべきであるという強い要望があったわけです。こういう点について必ず実現してもらいたいのです。地上におって坑内の状態を常に掌握できるガス中央管制室というのを……。
○大平国務大臣 御指摘の問題につきましては、技術開発の途中にございまして、大夕張でいま試験的にやっておるわけでございますが、私どものほうでは来年予算をちょうだいして、これを逐次他にも普及していくよう技術開発と並行いたしまして配慮していきたいと思っております。
○多賀谷委員 通産大臣に若干質問いたします。細部にわたっては鉱山保安局長に質問いたします。 要するに、今度の下山田炭鉱の事件はメタンガスがあったことは事実です。これが爆発限界にあった。それから火源は何であるかわかりませんけれども、要するに火の元があったことも事実です。そうして災害が起こった、こういうことですが、残念ながら十四名もなくなりました。この前三池炭鉱の災害後に政府とそれから労使、学者をそろえまして海外に調査団を出した、そのときの報告書によりますと、過去十カ年に一件について十人以上死傷者を出した件数が西ドイツで四件、イギリスで五件、フランスで六件、日本では二十六件、しかも出炭の規模をいいますと、当時イギリスで大体一億九千万トン程度、いまは一億二千万トンくらいであるといわれております。西ドイツで一億四千万トン程度ですから、これは非常な差ですね。一体なぜそういう大きな災害事故が絶えないか。その後も昭和三十九年に調査団が二十六名ということを発表して以来でももう十一件くらい十名以上なくなった件数がある。ですから私どもは、よその国でその程度であるのに日本でなぜそう大きな災害がずっと続くのか非常に残念に思うわけです。これは一体どこに原因があると大臣は把握をされておるか、お聞かせ願いたい。
○大平国務大臣 私どもの責任を回避するという趣旨から申し上げるわけじゃございませんけれども、他国に比べまして、多賀谷委員よく御承知のとおり、炭層条件が著しくわが国の場合は劣悪であるということが最大の原因であろうと思います。しさいに検討いたしますと、経営者のモラルの問題、保安行政のやり方の問題、いろいろあろうと思いますし、それは逐次改善していかなければならぬことは当然でございますけれども、何と申しましても、炭層条件の劣悪さというものはたいへん踏み越えにくい障害であるように私は思います。
○多賀谷委員 確かに炭層状態が悪いし、いわば外国に比べて若い時代の石炭だということは事実です。それにいたしましても非常に重大災害が続いて起こっておる。こういうところはやはり根本的に何か欠陥がある。第一はいまお話のあった自然条件でありましょうけれども、労使の慣行もさることながら、やはり坑内の構造にも問題があるのじゃないか。先ほど、通気量が少なかったのじゃないかなんということですね。それからこういう大きな炭鉱で炭じんの心配をしておった。炭じんについてもかなり監督官から指摘を受けて、炭じんなんというのはもうもうと立っておるのがすぐわかるわけですから、こういう処置がなぜできないか。それは賃金体系にも問題があるかもしれませんね。こういういろいろな点にも欠陥がある。そういう欠陥を根本的に直さない以上は、これは幾ら声を大にして言っても現実に災害が続いておるじゃないか。とにかく地上の災害の十三倍ですからね、炭鉱の災害というのは。地上災害というのはいま問題の建設災害を入れてですから、十三倍も災害があるということは許し得ない問題だ、こういうように考えるわけです。 そこで、いろいろ全体的に質問をいたしますが、大臣お急ぎのようですから二点だけ質問をしたいと思います。 それは、われわれが災害が起こったときに原因を究明して、そして保安規則の改正をした。ところが、それが残念ながら実施の段階にいかないうちに災害が起こったという例がかなり多いですね。たとえば一番大きな例は三池の災害、あれは自己救命器、COマスクを必ず備えつけるということを決定をして義務づけて、そしてそれが器の関係で一度にできませんから計画を立ててやっておりましたところが、三井まで間に合わないうちに災害が起きて、そしてだれも自己救命器を持たなかったということです。それでことに三池の場合はCO患者が続出したわけですね。そのことがわかっておって規則まで改正をして、中小炭鉱からということで順次やっておりましたところが、三池はやってなかった。そしてそのために事故が拡大をしたということです。こういうことは非常に残念だ。それから今度は個人に持ちなさいということをした。そして全部個人携行にした。ところがこの個人携行がまた間に合わないうちにそれによって事故が拡大をした。問題は気がついておるけれども政策が急速にいかなかったためにできていない。一つは保安機器の問題ですね。要するに、率直に言いますとメーカーのほうももうからないのですよ。それほど大量でない。石炭がどんどん伸びる産業でないから機器の開発もやらない。これを日立とかナショナルとか東芝がやれば別ですけれども、やらない。小さなメーカーになる。ですから機器の開発にやはり政府は積極的に金を入れなければならぬ。それから、これがいいと思ったら補助金でも出して早くその機器を完成させてそれを早く交付する、こういうことが必要じゃないかと思うのです。今度の場合も、これが災害を誘発したとか、そういうことはないのですが、坑内の誘導無線というのは、かつて太平洋炭礦で開発されて、北海道でも多くの炭鉱がすでに持っておる。そしてそれは今度は規則の改正もして、そして必ず持たなければならぬことになっておる。ところが猶予期間がある。その猶予期間中ですね、下山田の場合は。もう少し連絡がうまくいっておればという気持ちがする。係員が誘導無線機を持っているのですから、何かそういう適確性が欠けておる。もうからない企業、あるいはもうからない機器ですから、なかなか迅速に運ばない。ここは人命の問題ですから、政府が徹底的にそういう点は資金を出して開発し、そして早く作成をさすべきではないか、これが一点。 もう一つは、坑内の骨格構造が非常に不備であるということを昨年十二月の保安の答申にも書いてある。それはどういうことかといいますと、通気系統でいいまして、今度のような災害の場合もそうですが、ここの長谷川君という係員が、これはCOでなくなっておる。そこの爆発現場にいたわけではないのですね。ですからほかの人のように遺体が悲惨な状態ではない。それはくずれていない。それは一酸化炭素であとから死んでおるのですね。ですから、こういった状態で、左一片の各昇りから通った空気がずっと排気のほうへ抜けていく、その排気のほうに多くの労働者がもし働いておったとすれば、それらの人々はほとんど一酸化炭素でなくなっておるわけです。幸いにしてその面は少なかったということが言える。しかし長谷川係員は死んでおる。ですから、あるところで事故が起こったら、その場合の風下にあたるところは、いわば排気系統に向かっておる部分で作業をしておる者はほとんど一酸化炭素で大きな災害が起こるということが十分予想されるにもかかわらず、そういう構造を変えていない。また構造を変えるのには金が要る。ここに問題があるのですよ。ですから、事故が起こったら、事故は非常な不幸ですけれども、そこで拡大をしないような、坑内の構造の再編成をする必要がある。これが行なわれていない。この点はやはり政府が補助金を出して、いま坑道掘進の補助金もありますけれども、これを早く整理をするようにしていかないと、だんだん災害が拡大をするという可能性があるのですね。 この二点、ともに金の要る問題でありますが、ことに大臣の御答弁をお願いいたしたい。
○大平国務大臣 第一、保安機器の開発の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、炭層条件が非常に悪い状況でありますので、他の国に比べまして格別の配慮がわが国においてなされなければならぬことは御指摘のとおりだと思います。これは私は、産業公害全体の問題として、これまた諸外国に比べまして日本の状況がある意味で非常に劣悪であり、公害防止のための技術開発ということにつきましても政府が特段の配慮をしないと、このままの姿ではとうていやっていけないと考えております。いま御指摘の保安機器につきましては、なるほどこれまでもメーカーに対しまして、ある程度の補助金を交付いたしまして、その開発に当たっておりますけれども、こういったやり方では、多賀谷さん御指摘のような要請にこたえることは十分でないと思いますので、なお 一段と財政的、行政的な配慮を加えてまいるつもりでございます。 それから、いまの骨格構造の整備でございますが、これは御指摘のとおりでございまして、私どものほうも安定補給金を交付するに際しまして、計画を山から出させていくことを義務づけておりますが、その場合にいま仰せられたようなラインで計画の試案を要請して、その条件が満たされない限り補給金の交付に踏み切れないという姿勢で、鋭意努力しておるところでございますが、この制度の運用についてなお一段きびしくやれという御趣旨だと拝聴いたしたわけでございまして、仰せのようなラインに沿いまして、最善を尽くしたいと考えます。
○多賀谷委員 かなり鉱山保安局長から問題点を指摘されました。そうして、ガスがどこから湧出をしたか、あるいはどこに停滞をしておったか、その原因は何であると思ったかという点についても、かなりお話があったわけですが、さらにまたハッパ説と機電説、それについてもおのおの問題点が出されました。 そこで私は、風量の不足ということをおっしゃったわけですが、いわばタヌキ掘りといったら非常に語弊があるけれども、ロング払いでないこういう昇り払いの場合に、はたしてその局扇がそういうところまで十分通気が働いて、そうしてそれが常にうまく還流をしておったかどうか、こういう点はどういうようにお考えであるのか。 それからさらにまた、災害前のガス量というものはほとんどない、非常に少なかったということを盛んに言われるわけでありますが、炭労が調査をした左〇片の坑道で爆発の数日前、これは二・〇から二・五のメタンガスがあった、こういうように言っておる。そこで、災害前の当該現場のガス量は一体どういうように把握されておるのか、この点をお聞かせ願いたい。 ガス警報機の設置についてはどういう指導をされておるのか。それは一体どういうように爆発時においてはなっておったのか。まずこれらを御答弁願いたい。
○橋本説明員 まず第一点の風量でございます。この風量は、炭則におきましても、いずれも有効風量を確保しなければならないというふうなことになっておりまして、坑道その他掘進すべての場合におきまして状況が違いますので、それぞれの作業場において科学的な計算の上に算定されなければならないというふうなことになっております。ただ、今回の場合を言いますると、まず第一御質問の局扇の問題と、それからもう一つ親風と、この二つあると思うのでございます。 まず、親風の問題につきましては、これは、ここに五馬力、十馬力の局扇のほかに、もちろん親風が通っておるわけでございまして、本来の姿であるのならば、有効風量を計算してまいりますと、だいじょうぶだ、有効風量は十分あるという計算にはなりますが、先ほど御説明いたしましたように、排気サイドにおける崩落、その崩落を仕繰りをしておったという聞き込みからいろいろ調査をしたわけでございます。そうしますと、その仕繰りの状況等から勘案いたしまして、逆にその親風自体において、この左一片に相当な風量の不足を来たしておったのではなかろうかという感じが強うございます。 それからもう一つ局扇の問題でございますが、五馬力、十馬力でございまして、これが有効に動いておりますれば十分だというのも計算上出るわけでございます。ところがそのとき、いろいろ保安日誌その他の作業日誌等から見まして、十馬力、五馬力の能力一ぱいそれが動いておったのではないのじゃないか、むしろ逆に、五馬力、十馬力とはいうものの、それが若干機能が低下しておったのではないかという感じを持っております。しかし、だからといって、絶対風量が足らなかったという断定まではできないのでございますが、いずれにいたしましても、局扇も本来の形でありますれば十分であるが、機能としてはやや落ちておったという感じを強く持っております。 それからガス量でございます。ガス量は、この山につきまして、山自体の調査からいきますと、〇・二%程度ということで、その災害の起きる直前の土曜日にはかったということを言っております。それから、これは監督局でいろいろ監督、検査をいたしました場合に、この災害の場所そのものはまだ作業にかかっておりませんでしたが、この周辺のガス測定はやっておりまして、それは大体〇・三から〇・五という測定結果になっております。したがいまして、ガスの点からいきますと、先ほどお話のありました二・〇とか二・五というのは、もしこういう事態をほんとうにキャッチしておられるとしますれば、これは電話でも何でもよろしいのです。むしろわれわれとしては、申告を活用していただきまして、何も書類で一々出す必要はないので、電話一本で、従来からガスは少ないというふうな認識があったが、実際にはこういうメタンが出ておるということを連絡していただきますれば——これは御承知のように保安法で申告制がございますが、先般も、この申告制につきましては二つの条件がございまして、法規に違反しあるいは危険のおそれがあるというのでは非常に運用がしにくいために、法規の違反はなくてもよろしい、とにかく危険性があると思われますれば、いつでも申告制を活用してほしいということを一般に流したわけでございますが、極端にいきますれば、電話一本でもこういう問題につきましてはひとつ御連絡をいただきますれば、さっそく現場検証ということを十分やり、必要な対策をとってまいる考えでございます。ただ残念ながら、一定の時点における調査といたしましては、こういったかなり大量のメタンガスのキャッチができてない実態でございます。 それからガスの警報機でございますが、これは監督局から設置基準というふうなものによって各山に設置をさしておりまして、排気側に置けということで、要するにガス警報機といたしまして十分そのガスの存在をキャッチし得るような体制にするために、ガスの存在状況を迅速かつ的確に検知できる位置に置けというようなことで、特にこれは排気側に設置するよう指示しております。その点からいきますと、今回のガス警報機の設置場所は必ずしも適当な場所であったということは私は言えないと思っております。この点につきましては、さらにその設置の状況について、山といたしましてどういう考え方の上に、会社の組織としてどうしてこういう設置になったかというふうなことを、きびしく追及したいというふうに考えております。
○多賀谷委員 結局そのガス警報機は鳴らなかったと大体判断できるわけですか。
○橋本説明員 一点忘れましたが、ガス警報機のセットは、ガス一・五%のところでセットしておりまして、その針が三%のところでとまっております。ということは、作動はしたという事実はあるのでございます。作動はしたけれども、鳴ったか鳴らなかったかということは、現在生きている方たちの証言が確実にとれませんので、何ともこれは申し上げようがないのでございます。 ただ、非常に特殊なケースといたしましては、爆発直後におきまして、いわゆる非常に強い圧風、熱風が来ました場合に、ガスとの関係なく針が動くという非常に特殊な場合が考えられるようでございます。したがいまして、作動をして三%でとまっておるのか、あるいは熱風による特殊な作動によるのか、この辺がもう一つ究明できない。この点につきましては、もし可能ならばこのガス警報機をさらに試験場におきまして検査をしてみたいというふうに考えておりますが、この点につきましては水没等の関係もあるので若干むずかしいかと思っております。
○多賀谷委員 その電気施設について、ケーブルの問題でいろいろ、われわれが調査に参りましたときに、古いものを使っておったとか、あるいは接続の方法が電工が不足をしておるのでしろうとでやるとか、いろいろありました。耐衝動性、耐外傷性の弱い二種ケーブルが使用されておった、そこで監督官庁としては三種のケーブルを使用するよう指示しておった、こういうことをいわれておりますが、そういう事実があったかどうか。それからスイッチは非防爆型のスイッチであったのか、防爆型のスイッチであったのか。
○橋本説明員 第一点の電気器具の問題でございます。全般的に言いましてこの山は、確かにそれまでの検査におきましても古い電気器具等を使っている点はあります。しかし、新聞でいわれているような、一メートル程度のものをつなぎ合わして使っておるというふうなのは、監督検査の結果キャッチをできておりませんし、かつまた古い電気器具は使ってはおりますけれども、機電関係の検定をいたしましたところで若干その改善を指示している面はありますけれども、全般的にそれがいわれておるほどの問題ではないというふうに考えております。 それから、ケーブルの点につきましては、調べまして申し上げたいと思うのでございます。 スイッチの防爆の点につきましては、これは防爆スイッチになってございます。
○多賀谷委員 そうすると、火元の一つと見られる例のハッパは、水タンパーあるいはシャワーハッパ、いろいろあるわけですが、これはどういうものを使っていたわけですか。
○橋本説明員 この山におきましては、水タンパーを使っておりませんので、普通のハッパでございます。
○多賀谷委員 筑豊の甲種炭鉱の山は、一般にどういうのを使っているわけですか、また指導しておるのですか。
○橋本説明員 九州関係といたしましては、離島関係を中心にした数炭鉱につきましては、EQSの使用、それから水タンパーの使用、こういったような方法をとらしているようでございますが、それ以外につきましては、通常のハッパの方法をとらしておる状況でございます。
○多賀谷委員 山野あたりでもそうですが、ガス事故が相当頻発をした山ですけれども。
○橋本説明員 山野につきましても、普通のハッパ様式でございます。
○多賀谷委員 やはり甲種炭鉱として指定をして、ガスが多いということになっておるわけですからね。ですから、そういう注意が必要ではなかったかと思うのです。もしハッパ事故であったとするならば非常に残念である、こういうように考えるわけです。 そこで、先ほど大臣にちょっと質問をしました坑内骨格構造の問題です。これは下山田ということではないのですけれども、全体に沿層坑道でいけば比較的石炭も出るし、それから補助金ももらえる、その石炭には安定補給金もついておる。ところが、岩盤坑道ということになると、非常に作業はむずかしい。むしろ炭価が、補助対象以上に費用がかかる。しかも石炭は出ないということで、これに非常に矛盾があるということを聞いておるわけです。もう少し岩盤坑道、盤下坑道をやる場合の補助金を考えたらどうか、こういうことを聞いておるわけですが、これについては一体どういうようにお考えですか。これは保安局長ですか。
○橋本説明員 骨格坑道の整備関係につきましては先生おっしゃいますように保安の基本的な問題であります。したがいまして、今度の再建整備法におきましても、将来にわたって、四十八年までの骨格坑道の整備計画を立て、この計画どおり進行いたしますれば、おおむね骨格坑道としては満足すべきような姿になるだろうというふうなところまで、実は計画段階で持っていっておるわけでございます。 それで、現在のこの骨格坑道の整備のやり方といたしまして、御承知のように坑道掘進の補助金というふうなものを活用してやっておりますが、これにつきましては、一般坑道と保安坑道と分かれますが、一般的なものに比べまして保安関係坑道につきましては特別の優先的な配慮をやり、施工ベースといたしましては一〇〇%の補助対象にしておるというふうな状況でございます。ただしかし、将来こういったような骨格坑道を整備する上におきまして、会社としましては、いろいろな形からのたとえば安定補給金とか、こういう坑道の補助金というような助成が行なわれておりますので、そういう中において、こういった骨格坑道が所定の方向でどういう形で進み得るかということをもう少し見きわめて十分検討をしていきたいというふうに考えております。われわれとしては、こういったいろいろな措置のからみ合いがはたして今後こういった基本的な骨格坑道の問題にどういうふうにあらわれてくるかというふうな点につきまして、制度ができたばかりでもございますので、それについての検討を現在急いでおるような段階でございます。
○長橋説明員 お答え申し上げます。 坑道掘進費等補助金におきまして岩盤坑道、いわば起業費で支弁される坑道を甲類と称しております。それにつきましては補助率を四〇%にいたしておりまして、所要費の残り六〇%につきましては、その半分を合理化事業団の近代化資金の融資によって裏づける方針でございます。したがいまして、合わせますと大体七〇%程度が国の助成金によってまかなわれる、あと三〇%が減価償却費その他の自己資金によってまかなわれる、かようなたてまえになっております。
○多賀谷委員 この前実は三井で事故が起こって、続いてまた次に事故が起こった、あのときに独立分流をしてなかったらたいへんだったという。あとでわれわれぞっとしたのですが、幸いにして独立分流をしておりましたために、事故が少なくて済んだ、こういう経験も持っております。ですからやはり骨格坑道の問題はきわめて重大です。ガス抜きに補助金をつけていたのでかなり成功をしておる、こういうことも聞いておりますから、ぜひひとつ予算の際には十分取っていただきたい、こういうように思います。 そこで、先ほどの中央管制指令所といいますか、いまどこの工場でもそういうセンターができておる。委員長はポーランドへ行かれたそうですが、ポーランドのいわば所長室の隣にはそういうのがあって、一目で坑内切羽の状態が所長室でわかる、こういう状態になっている。いまかなり普通の講堂なんかでも控え室で演説をしておるのがわかるようになっているのですね。あるいはまた発電所あたりは全部あらゆる点にテレビをつけておるわけですから、全部地上でその状態がわかる。炭鉱というのはなかなかむずかしい条件があるでしょうけれども、こういうものを何とかして無理をしても設置をして、責任者は大体坑内のあらゆる面がわかる、どこに事故があったかということもわかる。たとえば自動警報機が鳴っても、それが地上にはわからぬわけです。鳴ったかどうかということも地上にはわからぬわけですから、何かもう少し近代化をする必要があるのじゃないか、こういうように考えるわけですが、これについて保安局長はどういうようにお考えであるか、また現在どこの炭鉱とどこの炭鉱でそれが実施されておるか、これらをお聞かせ願いたい。
○橋本説明員 中央管制でございますが、これにつきましては現段階で大夕張炭鉱が一応整備された段階だと思うのでございます。しかし、これといたしましても、まだ開発としましては多くの課題を持っておるというふうに聞いております。それで来年度予算におきましては、この中央管制に対する補助というふうなものを実は予算要求をいたしておりまして、できるだけ多くの炭鉱に整備をしていきたい。現在大夕張は一応の体制をとっておりますが、一部部分的にやっておるところといたしまして、本別、三池、二子、伊王島、これはまだ現段階といたしましては一部ではございますが、この中央管制制御装置、制御体制というふうなものをとっております。もちろん炭鉱の災害予防としましては、将来非常に大きな役割りを果たすであろうということを考えておりますが、ただこれはガス警報機も同じでございますが、これに依存し過ぎるということは非常に危険でございます。したがいまして、現段階におきましても、ガス警報機もやはり保安係員の補完的な役割りというふうなことをさせておりまして、こういう中央管制の装置にいたしましても、現段階といたしましては、それを推進はいたしていきますが、一般の作業に対するいわゆる補完的な役割りというふうな考え方、それから保安の、所長なり技術管理者なりの山全体の把握という意味におきましての機能という点が強いかと思っております。しかし来年におきましては、これ以外にも坑内における災害の発生予見という意味におきまして、いわゆるコンピューター制度による災害要因の把握というふうな問題も研究テーマとして来年度の予算要求で出しておるような次第でございます。
○多賀谷委員 いま予算の話が若干出ましたが、歌志内、その前の災害、こういう続いた災害の経験にかんがみて、あるいは、法規の改正とか、あるいは予算の新しい項目、そういうものはどういうようにお考えですか。
○橋本説明員 保安の関係といたしましては、第一点は坑内火災、特にガス関係のコントロールを完全にいたすために充てんに対する補助金というものを加えたいということで要求しております。 それから先ほど申し上げましたように、中央管制体制の整備というふうなことも要求しております。 それからもう一つは、いわゆるコンピューターによりまして、災害要因の総合的な把握という意味におきまして、いわゆるコンピューターシステムの開発という意味の予算要求といったようなものが保安関係としては大きな項目でございます。 それからさらにガス突出関係といたしまして、一昨年まで三年かけましていろいろ研究はいたしましたが、歌志内の例からいたしまして、まだこのガス突出の問題につきましての結論が見出し得ないというふうなことから、さらにガス突出の研究というものを引き続いてやるという形におきまして、新たにガス突出事件というふうなものを提出しております。 それから法律の関係でございますが、この点につきましては、この災害にストレートの問題はいわゆる法律改正の問題になると思うのでございます。先般、昨年来この国会でいろいろ御決議をいただきました問題につきましては、可能なものにつきましてはすでに規則改正をやっておりますし、それから規則改正よりも行政措置によりまして弾力的な運用のほうが効果があるといったものにつきましても、先般来保安協議会等において決定し、行なっております。したがって、決議関係のものはほとんど何らかの措置をやっております。あと法律の問題といたしましては、どちらかといいますと、公害予防というふうな意味におきまして、ボタ山の権利義務関係の調整問題をあるいは提出したいというふうなことで、現在地元ともいろいろ相談をしながら検討を進めておるような問題がございます。
○多賀谷委員 最後に石炭部長に質問したいのですが、例の合理化体制部会を新設をして、来年の八月くらいまでに結論を出すということが、この前の答申並びに石炭政策の樹立に関連をして大臣から答弁があったわけですが、それはその後作業はどういうように進んでおるかどうか、これが一点。 それから最近の鉄綱生産の増強に即応して原料炭の不足がいわれておる。この原料炭対策について国内としてはどうするのか、それから海外の原料炭をどうして開発をするか、これについてどういうような政策を持って四十五年度の予算に臨まれんとするか、これをお聞かせ願いたい。
○長橋説明員 お答え申し上げます。 まず第一の御質問、再編成委員会の発足に関する御質問でございますが、御案内のように、過般の通常国会で石炭関係諸法を御可決いただきまして、現在までまずその実施を軌道に乗せることに最善の努力をいたしてまいったわけでございます。一番最後に残りました再建交付金の交付契約を各石炭企業と政府との間に締結をするという問題、その前提といたしまして、各企業から出されました再建整備計画の——保安の長期計画も含めまして再建整備計画の認定の事務が九月中旬に片づきまして、その再建交付金交付契約もこのほどやっと完了いたした次第でございます。これであと残りますのは、答申にうたわれております石炭対策費の実行を的確に把握するための区分経理、そういったことに伴う経理基準というふうな問題でございますが、再建交付金の交付契約の締結をもちまして新対策の実施事務の峠を越したわけでございますので、この段階におきまして、従来非常におくれおくれになってしまったわけでございますが、いわゆる体制問題討議の場を石炭鉱業審議会の中に設ける懸案につきまして審議会会長の人選がいま進められております。その決着がつき次第早急に発足できるように準備を進めつつある段階でございます。 それから第二点の御質問でございますが、原料炭問題につきましては、まず国内の対策といたしまして、各原料炭関係企業におきましては、できるだけ鉄綱業界の需要にもこたえるべく安定供給というふうな形で最大の努力が払われておるわけでございますが、同時に、今回の再建整備計画におきましても、新鉱を有望地点に開発したい、このような計画を織り込んでまいっておる会社もございまして、ほんとうに有望な地点、そしてまた石炭鉱業全体として原料炭の面におきましても非能率な面を円滑に代替させていくというふうな意味合いにおきまして、過般の石炭鉱業審議会に——経理審査会でございますが、その再建整備計画をはかりました際にも、方向として、こういうほんとうにやっていける新鉱については認めるべきじゃないか、かような御意見をいただいておるわけでございます。来年度予算につきまして、まず合理化事業団の無利子金融のワクを設定するにあたりまして、そういった新しい真に有望な新鉱の開発というふうなものにもこたえ得る規模を用意いたしたいということで、来年度予算として合理化事業団の出資を百十億円要求しておる次第でございます。それから、もちろんそういった国内の原料炭の確保という面につきましては、今後従来にも増しまして鉄綱業界あるいはまたガス業界、こういった需要業界と一段の緊密な協力、支援というものをいたすべきだ、このように考え、そういった面につきましても今後十分に周到に検討を進めてまいりたい、かような考えでございます。 次に海外原料炭開発につきましては、本年二月豪州に、そしてまたこの九月にカナダに、鉱山石炭局といたしまして、石炭業界のほか鉄綱業界の協力も得まして原料炭調査団を派遣しておるわけでございます。そういった調査の上にも立ちまして、来年度については海外原料炭の有望地域の探査のための補助金を、非常に少ない額ではございますが、要求をしておる段階でございます。約八千万円の補助金を要求をいたしております。そしてその受け入れ体制としまして、石炭業界、でき得べくんば鉄綱業界の参加も得まして、両業界共同の海外原料炭開発会社というふうなものを受け入れ母体といたしまして用意することが非常に今後効率的開発のために望ましいのではなかろうかというふうに考えまして、そういった面で関係方面との打ち合わせを進めておる段階でございます。
○平岡委員長 渡辺惣蔵君。
○渡辺(惣)委員 石炭部長にお尋ねするわけです。大臣、特に鉱山石炭局長が欠席されていることはたいへん残念なことであります。 実は、八月五日に国会が終わってから今日まで二カ月の間に、ただいま問題になりました下山田の災害問題と、もう一つは北海道に発生した北星炭鉱の閉山問題、二つの問題が、この二カ月の中で石炭界にとっても重大な問題として生起しておると考えるわけです。ところが、いま鉱山保安局長から下山田の問題についての一応の全貌がほぼ明らかになったんですが、片方の北海道の北星炭鉱の閉山の問題は、私、地元にいても、さっぱり真相がつかめない状況にあるわけです。これは御存じのように、突如として九月十日に閉山の通告を会社側がしてきたわけです。九月二十二日に下山田の爆発が起こっているわけですから、時期を前後してこの問題が出てきているわけですね。しかし、北星炭鉱といったってだれも知らないんですね。まだ一年ほど前に、元の東幌炭鉱であるいわゆる純粋の中小炭鉱と、もう一つは、かつて北炭から分離をしてきた北炭時代の美流渡炭鉱、この二つが合併して北星炭鉱にスタートして一年前後しかたっていないわけです。しかし、災鉱の規模は、従業員千数百名を数えるりっぱな中型炭鉱です。埋蔵量も、いわゆる電力用炭として豊富な埋蔵量を持っておって、この二つの会社が合併して北星炭鉱になるということに対しては、非常に期待を持たれておった会社であることは間違いないと思うんです。したがってここでは、この四月から五月の段階に閉山をいたしました昭和炭鉱とか太刀別炭鉱、あるいは茂尻炭鉱等から多数の人を集めて、そしてこの七月、八月の段階で就労させているわけですね。ですから、これらの三井、三菱、住友、北炭等の大手の会社が、それぞれ閉山会社になぐり込みをかけて人狩り運動をやった中で、この北星炭鉱もやはり堂々と閉山炭鉱に乗り込んで行って、相当の金をかけて人員を募集して、そして自分の山に就労させ、しかも八月上旬にはわざわざ新入山式、歓迎会まで開いて、将来性あるこの職場に働くことを勧誘してきた。その直後に突如閉山宣言をしてきたわけです。この会社には一体事前に展望があったのかなかったのか。また当局、鉱山石炭局自身もこの山を一体どういうふうに評価をしておったか。うわさもなかったのですが、寝耳に水のように突然閉山が宣言された。もっとふしぎなことは、閉山提案が出たのであわてた岩見沢市と栗沢町の両市町の代表が上京しまして、鉱山石炭局長に会って、閉山に対してこれをやめてもらう要請、そういう行政指導を局長にした。部長はお立ち会いになったかどうか知りませんが、この席上で、中川局長は、やめるものは早くやめたほうがいいという発言をした。上京してきた現地代表の人は非常に憤慨して、石炭局長はとんでもない発言をしている、山を残してくれという陳情に行ったら、やめるものは早くやめたほうがいいぞということを言っている。きょう私は中川局長がいたらその間の事情を承りたいと思う。現地の代表が帰ってきての報告で、非常に怒りを感じて私に報告しているので、私もまた聞きでありますから、その席に連なっていないので、どういう事情であったかわからないけれども、もし部長がおられて、そういう感じがなかったのかどうか。この炭鉱の閉山問題に対して、国会が閉会中だからといってそうどたばたと適当に扱われたら困るのですが、一体局長及び局はいかなる行政指導をこの閉山問題をめぐってなされたのか。どういう意図でなされたのか。ひとつこの際見解を明らかにしていただきたいと思う。
○長橋説明員 北星炭鉱につきましては、九月の十日会社閉鎖、労組並びに地元に対して閉山提案を行なったわけでございますが、鉱山石炭局のほうにも事前に話はございましたが、私どもといたしましては、相当な規模の山でもあるし、十分に従業員の関係あるいは地元の関係、よく閉山のやむなき事情についてお話をし、説得をしてほしいというふうな助言はいたしたわけでございますが、会社といたしましては、昨年の秋以来二回にわたり災害がございまして、その後何とか再建をしよう、またちょうど昨年の二回にわたる災害中におきましては、新対策待ちというふうな情勢にもございまして、会社としては何とかこの新対策にも期待を持ちながら再建をはかりたいということでやってまいったわけでございますが、最近期待をかけておりました採炭区域につきまして相当断層分が出てまいるとかいうふうな事情もあり、閉山を決意するに至ったものと了解いたしております。会社が閉山を提案いたしましたあと、御指摘のように地元岩見沢市の助役、栗沢町長等々、また炭鉱従業員の代表の方々が鉱山石炭局に見えまして、局長と私も一緒にお話を聞いたわけでございます。その際、要するに閉山につきましてのたてまえと申しますか、企業自体が国の助成のもとで、また今度の新対策で相当助成の厚みがふえましたそのもとで、なおかつやっていけないという判断に立ち至った事情——閉山はやむを得ないといたしましても、あとやはり地元の方々、関係の従業員の方々、いろいろ問題があるわけでございますし、そういった点につきまして広い立場でものを考えていただきたい、これ以上無理を重ねてまいりました場合に、従業員の方々には退職金あるいは地元の方々の売り掛け債権、そういったものがいよいよ確保されなくなるおそれが非常にあるのではなかろうか。最善の努力にもかかわらず、どうしてもやっていけないという段階に至った以上は、できる時期を失しないでこの閉山を円滑に進めるということがやむを得ないことではございますが、また閉山の円滑な処理という点からいって必要な配慮ではなかろうか、かようなお話を申し上げた次第でございます。そういったお話をいたしまして、その後また従業員の方々として、何とかその再建の道がないものか、もう一度通産省のほうもひとつよく相談に乗ってほしいというふうなお話もございました。そういった御提案を得まして、私どももさらに、その再建の余地がないものか、十分慎重に検討いたしたわけでございます。何ぶんにも非常に膨大な資金を要する、そしてその金融の道が、会社自体昨秋の災害以来無理を重ねた現状におきまして、ほとんど見込みがないというふうな状況下で、やはり再建の道というのは金融面からして非常にむずかしい、かような判断でございます。こういった点については、その案を提起されました従業員の方々も御了承いただいたもの、かように考えておる次第でございます。 以上、お答え申し上げる次第でございます。
○渡辺(惣)委員 どうも石炭部長さんはその席に連なっておられて、主要な発言をしておられないのではないかと推定するのですが、局長のそういった判断、いまお話しのような内容について、どうもふに落ちないのですね。九月の十日に突如として閉山提案をして、そして上京団が来て局長やあなた方にお会いしたのは十日ぐらい過ぎた二十日前後のはずですね。わずかその期間十日くらいしかないのですね。一体、そんな時期に、指導官庁である通産省が、もう閉山を既成事実にしてあきらめろというようなものの言い方が現地にどんな反応を持つのか、これは政治的配慮もあるべきはずでありますし、何かどこかから特別の手が回ったり、重圧があったり、この問題についてはどことも論議しないうちに事前に通産局がそういう考え方を固めて閉山を推進したという事実があるんじゃないですか。どうもおかしいと思うのです。全く寝耳に水に九月十日に閉山提案がなされて初めて耳にしたのに、鉱山石炭局長は、足元の明るいうちにやめたほうがいいですよ、がんばったってたいしたものはもらえませんというような意味の発言をなさることについては、納得できない状況があると思うのですね。どういう状況で政治判断をされ、どういう経過をたどって局自身がそういう判断をされたのか。何でそうあわてて突如としてそういう判断を下さなければならなかったのかという状況について、どうしてもわれわれは理解できないのです。局長が、突如たる閉山提案について、最初の現地の代表に対して、しかも会社と局と全く一体になって発言をして、そして閉山促進をさせたということは、一体どういうことを意味するのか、私はちっとも納得できないし、現地も納得していないのですよ。そういうことがいままであったのか。いままでの数多くの閉山問題の中でこんなばかげた閉山の提案と、それから局の態度というのは、私もずいぶん多くの閉山の例にぶつかったけれども、初めて突き当ったわけです。こんな労使の双方の団交も持たれていないといううちに、局がなぜそういう結論を出さなければならなかったのか。労使の双方が幾たびも団交を重ね、そうして最終的な段階にいって情勢判断をすることはわれわれもありますよ、お互いにしたことですよ。しかし問題は、使用者と働く者との相互の間、そして周辺の地域住民や関係町村も煮詰めたあげく、論議の末そういうことになれば、それはそれぞれの道を求めざるを得ないと思うのです。何もしていない。どこも団交も何もしていないうちに——していないのですよ、現地から来た当時は。その段階に、たとえば九月の十日に提案をして、一応十七日に団交するとかしないとかいうそういう状況の中で、煮詰まっていないものですから、団交に応じないといって解消しておるわけですよ。その一ぺんの団交も持たれていない間に、石炭局長は、既成事実をつくって印象をばらまいて、現地の代表、市長、町長、地域住民代表に対してそういう一つの印象を与えて、会社の閉山を支援したのではないですか。労使の団交その他そういうものの論議をし尽くした最後に、行政当局が、そういう閉山の事態の起こらないように行政指導しつつ、その結果やむを得ない場合、いろいろな諸対策をさらに掘り下げていくということはあり得るけれども、何で一ぺんも団交がないうちにそんなことを言ったのですか。何でそんなことを言わなければならなかったのですか。どういう背景で、どういう判断で、局長は労使の団交が正式に持たれていない中でそういう発言をしてしまったのですか。過ぎたことだというわけにはいきませんよ。いままでの全国の炭鉱の閉山問題で初めてのケースなんですから、こういう不当な措置をとったのは。だから、鉱山石炭局は、これはつぶしたほうがいいという判断を最初からしておられるなら、初めからわれわれに言ってくれればいいのですよ。これだけ長いこと石炭問題をやられて、明治あるいは夕別だ、太刀別だ、雨竜だと全部の問題を取り上げてきておる中で、一度もそういう展望、計画を言っていないのですよ。どこである日突如そういう判断を下したのか。何かあったのではないか。団交の前にそういう結論めいたことを言って、あきらめるならいまだぞ、何ももらえないぞ、早くやめたほうがいいぞ、閉山するのはやむを得ないじゃないか。一体何でそういうことを局長が発言されなければならなかったのか。会社の代弁をしたのかどうか。労使の関係に不当な介入ではないか。何も話をしていないのです。一方的に通告しただけで、何も団交していない中で、何でそういう発言をしたのか。もう一ぺんお伺いしたいと思うのです。
○長橋説明員 先ほどの御説明が不足いたしたかと思うのでございます。北星炭鉱の従業員の代表の方々、地元自治体の代表の方々、あるいは地元商工業者の代表の方々がお見えになりました際に、局長並びに私どもといたしまして、過去何回かあるいは何十回かこういうふうな御陳情を受けてまいったのでございます。そしてまた閉山について幾多の処理の経験を与えられております立場で、先ほどお答え申し上げましたようなことで、そういう体験からくるお話、御助言と申しますか、と同時にまた今度の新しい石炭対策におきます再建と閉山、こういうふうな関係についてのたてまえ、そういったものを踏まえまして、ひとつ混乱なく事態が収拾されるようにということで、るるお話を申したわけでございます。そして、その席上、団交が持たれた。炭鉱の組合におきましては、会社側の提案を受け話し合いをしたけれども納得できないということで、労働組合組織として調査団を入れる、その当時こういうふうな事態であったわけでございます。この調査団の結論が出た上は、それについて通産省の立場でその実行の可能性について誠心誠意検討をいたしましょう、そして御意見を申し上げましょう、かようなことでその会談は結ばれた次第でございます。したがいまして、ただいま先生のお話にございましたような、何者かにそそのかされる、あるいはまた経営者の判断についての支援をするとか、そういう故意、作為の意図は毛頭持っておらなかったということをはっきりお答え申し上げたいと思います。
○渡辺(惣)委員 ですから部長も言われていますように、その段階は時間的に炭労の調査団が入っている段階ですよ。したがって現に幹部は現地に入って調査をしておる時期に、何らの結論がまだ出てないうちに、いわゆる局長がそういう局長判断と思われるべき態度を示したということです。これは国会の開会中だったらそんなわけにいかないですよ。中川局長、どう錯覚しているか知らぬが、もし国会の開会中に閉山問題が起こったら、そんな不用意な答弁ができるのですか。できますか。またわれわれも国会が開会中だったら、直ちに問題を取り上げて扱いますよ。ですから、そんな不用意な官僚独善的な態度がとれる道理がないと思う。一体政府は国会の開会中なら適当なおせじを言うが、国会の閉会中だったらそういう独走した姿勢をとっていいと思っているのですか。そんなこと国会の開会中に言ったらたいへんですよ。閉山提案をして団交も正式にしていない、調査団が入っている最中に、うやむやに、足元が明るいうちにやめたほうがいいだろうなんという、そんな発言ができるのですか。それも国会軽視の一つの態度ですよ。国会開会中ならお互いにすぐにでも資料を持ってきて相談し合ったのじゃないですか。電話一本で話し合って十分連絡をとりあって、われわれ部長や課長にお骨折りを願っている、勤務中に緊密に連絡をとりあっているけれども、国会も閉会になると、野放しにそういう状況の中で既成事実の結論を打ち出して、そして一定の方向に追い込んでいってしまうのですね。だからそのケースはそのとおりになりましたよ。中川局長の意図どおり閉山になってしまったでしょう、現地ではとりつく島がないうちに。私はそれを言いたいのですよ。これだけの大きな山がたった二十日間で閉山になったのでしょう。先月の十日に閉山提案をして、今月の六日に閉山を決定してしまったんですよ。どこにこんな手回しのいい安直に閉山になった山なんてありますか。歴史上ないですよ。あったら示してもらいたいと思うのです。こんな簡単に、ある日突如として千何百名の大規模な、二千万トンからの貯蔵があるといわれる大きな山が、しかも北海道でこれが閉山になれば、当然いわゆる電力用炭にまで響いてきますよ。一体どういう計画で、展望でこういうことを指導されておるのか。初めからこんな計画があったのですか、この閉山の対象に。あったならあったで、いままでわれわれに話してくれてもいいでしょう。どこで急にこういうことになったのか。しかも局長みずからがそういう指示を初めから示して押しまくったという点、わからないところがある。局長がいないので、あなたを責めるわけではないのですが、局長がいたら遺憾の意を表してもらいたいと思う。承知できない。 きょうは局長どういうわけで出てこられないのです。大臣が出てきておるのに、局長が来ないというのはどういうわけです。やめられたわけじゃないでしょう。おかしいですよ全く。大臣が出ているのに、所管の局長が出てこない。
○長橋説明員 お答え申し上げます。本日、ちょうど石油問題でどうしてもはずせない仕事がございまして、私かわりまして御答弁を申し上げている次第でございます。 お尋ねの点でございますが、一応年度当初に、従来からの見通し等によりまして、こういった炭鉱が閉山するであろうという見込みが毎年度立てられるわけですが、その際には御承知のように、北星炭鉱はまだ全く名のりをあげていなかったわけでございまして、昨年秋の二度にわたる災害から回復して、何とか再建をしようというふうな努力の意図を表明していたわけでございます。今年度におきましては、年度当初に名のりをあげ、大体予測されていた炭鉱以外に、新政策のもとで事業主として先行きを判断いたしまして、どうしてもやっていけない、むしろ従業員に対する退職金の問題あるいは地元への債務処理の問題あるいはまた鉱害債務処理の問題、いろいろ判断をして、急に閉山を決意するというケースは、決してこの北星炭鉱一件ではございませんので、珍しくはないわけでございます。先ほどもお答え申しましたように、ちょうど労働組合組織として調査団を出して、もう一度再建の可能性を見出したい、こういうことで調査団が入りますことがきまったころでございますが、関係者が陳情にお見えになりました際、決してある予見を持って申し上げるというふうなことではなしに、今回の新しい石炭対策のたてまえと申しますか、国の助成のワク内で最大限の自己努力をやって、そしてどうしてもやっていけない、こういうふうな場合には、その企業として、もとより労使話がついての上のことでございますが、閉山を決定することも、これは非常に残念なことではあるけれどもやむを得ない。かような筋道に即しまして、いままでの何回、何十回のこういった御陳情に対しての経験から、率直なお話を局長並びに私ども関係の方々といたしたわけでございます。それで、先ほどからお答え申し上げておりますように、その会合の結びといたしまして、ひとつこの再建の案が、調査団が入ったあと出た場合に、それを十分誠意を持って検討いたしましょう、かようなお約束でお別れした次第でございます。その辺の事情につきまして、何ぶんの御理解をいただれば非常に幸いに存ずる次第でございます。
○渡辺(惣)委員 終わったことですから、過ぎたことですから、これ以上申しません。ただ、現地にはあといろいろたいへんな問題がたくさんありますから、それは文書でそれぞれ参っておりましょうから、その点については現地はいまお話のあったような状況で、非常に消化不良の中で、それから突如として閉山の提案から結論が出ていますだけに全く解決されないたくさんの問題があります。これは、いずれ個々の問題についてはそれぞれ私も相談、お願いに上がりますし、現地からも参ると思います。 個々のこまかい問題につきましては、時間がありませんから一切省略いたしますが、あと一言だけ……。問題がたくさんありますうちに、やはりここは石炭局だけで始末がつかないと思いますけれども、これは奥に万字炭鉱があり、入り口に朝日炭鉱があるので、そのまん中が閉山になったのですけれども、これは万字線という国鉄の線の中に奥にまだ石炭山があるのですからね。その沿線の入り口には朝日炭鉱があって、まん中の山、二つの山が合併したのが今度閉山になったわけです。そうすると、ここで問題になるのは国鉄の赤字路線、当然赤字路線が表面に出てきます。そうしますと、これはたいへんなことになるんですね。これはいずれ運輸省、国鉄との話し合いが当然出てくる問題になってきますので、この閉山によって残る二山が当然そういう問題をかぶってまいりますから、この問題についてはひとつ特段の関心と御協力をまず持っていただきたいと思うのです。 あと二、三の点がありますけれども、これはあとで直接お話しします。終わります。
○長橋説明員 北星炭鉱の閉山は、労使間におきまして原則的な了解が十月六日についたという報告を得ております。閉山ということになりました際のあと処理につきましては、御指摘のとおり、美流渡部落の問題、万字線の問題あるいはまた従業員御自身の退職金の問題等々、多々あるわけでございまして、そういった問題の処理につきましては、通産省といたしましても、制度の許す範囲で最大の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○平岡委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私は、下山田炭鉱のガス爆発事故に関しまして、またそれを通して二、三質問をしてみたいと思いますが、まず最初に石炭局長さんに、下山田炭鉱は当然ビルド鉱として続いている山だと思っておりますが、今度の新しい石炭政策に基づいて国の補助、援助等を受けたビルド鉱として活動していた山だと思いますけれども、その辺はどうでしょう。
○長橋説明員 下山田炭鉱につきましては、過般の国会におきまして大橋委員から御質問がありました際政府委員よりお答え申し上げましたように、閉山の予定というふうなものについては私ども一切聞き及んでいない山でございまして、古河鉱業が直接持っております最後の山といたしまして、今度の新しい石炭政策のもとで何とか出炭を維持していこう、かように努力している最中のことであったわけでございます。
○大橋(敏)委員 当然ビルド鉱として動いていて、この左一片昇り採掘というものは九月から再開されている、そういう実情から踏まえまして非常に疑問な点があるのです。というのは、地元の炭住街では、とにかく九月の出炭量によってあるいは閉山をするのであるというようないわゆる閉山ムードが充満していたのですね。私は、ビルド鉱として当然作業を進めていくべき山にこのような閉山ムードがただよっているということに大きな問題があると思うのです。こういう点について石炭局長としてはどのような指導あるいは対策を立てられようとするのか。すなわちうわさといいますか、そういうムードを起こす事柄から災害に通ずるということを私は感ずるのです。当然石炭は必要なのだ、この山にはこれだけの炭量があるのだ、だいじょうぶだというようないわゆる裏づけがはっきりしていれば、炭鉱の従業員がふらふら気持ちを変えることはないと思うのです。そういう点について局長の考えを聞かしていただきたいと思うのです。
○長橋説明員 下山田炭鉱におきましては、出炭を維持し、何とか再建路線に乗せていこうということで、炭鉱自身におきまして、従来の採炭区域のあとに続く新しい採炭区域の確保、そういった点で鋭意努力をしているやさきに一部の区域に今度の災害が起こったということでございまして、私どもといたしましては、そういった新しい採炭区域というものが現在の掘進努力によって確保されることを期待している段階でございます。
○大橋(敏)委員 私がいま聞いていることは、石炭産業は全体として大勢としては縮小傾向にあることはもうやむを得ない事実だと思います。しかしながら、だからといって石炭産業に従事している従業員の気持ちが単なるそうしたムードによってかき乱されるようなことであっては大きな問題である。そういう点をとらえて石炭産業の最高の責任者として石炭局長のほうから、むしろそういうムードを起こさせないような指導の手を打つべきではないか、これについてはどうお考えですかと、こう聞いているわけです。
○長橋説明員 ただいまのお話、非常にごもっともでございまして、こういった災害が機運になって不安ムードというものがかき立てられることのないように、そして会社として早く再建、再発足のめどを立てるように十分私どもとしても会社側を指導したい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 私はいまの問題は、ただ単なる下山田の問題だけではなくて、石炭産業全般にわたってこういう問題は重要な課題だろうと考えるゆえに申し上げたわけですから、この点は今後の石炭産業を指導していく上に立たれる局長として十分考慮してもらいたいということです。 それで、今後次々と縮小、閉山等の事実が出てくるでしょうが、特に私は今度の災害で感じたことは、閉山が近まっている炭鉱、一般世間ではよくあがり山と言っておりますが、そういう山に対する保安対策とその監督指導といいますか、これはあらためて考え直さなければならぬのじゃないかと思うのです。というのは、今回も自動警報機の位置とあるいは連絡電話ですね、その位置が作業現場からかなり遠い位置にあるということで、ある従業員の方がもっと現場近くのほうに移動してほしいという意見を述べたらしいんですが、その係の方は、電話を移動するにもケーブルがあるとかないとかいうようなことで、即座にその移動はできなかったらしいんですね。私考えることは、もう閉山間近になっているから、設備のほうに力を入れると当然経費もかかります。そういうことから、設備のほうはあと回しになりまして、とにかく掘れ掘れという生産第一主義、保安は軽視されるというものがあるんじゃないか。したがいまして、このような閉山が予想されている山等に対しては、特に保安対策とその監督指導についてはいままでにない何か対策を打つべきではないか。これは石炭局長と保安局長と二人に答えていただきたいと思います。
○橋本説明員 先ほど先生の御質問になりましたムードの点につきましても一言御答弁申し上げたいと思います。 この山につきましての見解は、先ほど石炭部長から話ございましたが、実は茂尻炭鉱の災害が起きました際に、あの山も、従業員の中においては、近く閉山があるのではないかというふうなことで、若干労働者の不安動揺があった。こういったものが背景となってこの災害につながったのではないかというふうな事実の背景を持っております。したがいまして、あの災害が起きましてから、われわれとしましては、特に閉山山につきましては特別な監督強化をやるという考え方に立っておるわけでございますが、先ほど石炭部長から話ございましたように、この下山田炭鉱というものが、現在災害が起きました場所は、なるほど炭量はもう先は見えておる。しかし新しい鉱区について、これは鋭意会社のほうにおきましても坑道を掘進し炭層の探査をやっておるというふうなことで、山としましても必ずしもこれは放棄するという考え方を表明しておりませんし、われわれのほうもそれに期待をかけておるというふうな考え方をとっておりましたので、そういった不安のムードというものが完全にキャッチできなかったために、その辺の背景について、それの十分な措置がとられなかったことはまことに遺憾だと思うのでございますが、そういう事態——特に今後は災害につきましては、われわれとしまして十分に監督を強化したいと思っておる次第でございます。特にこういったいわゆる閉山の関係につきましては、実は毎年それぞれ監督局といたしましては監督指導方針というのをつくりまして、基本的な保安対策のほかに特に当面における重要なポイントを指示いたしまして、それに鋭意力を入れていくという考え方をとっておるわけでございます。四十四年度の監督指導におきましてもそれを非常に強調いたしまして、特に経営者の保安に対する姿勢の確立に重点を置きつつ保安の強化につとめ、特に保安実績の悪い山とか、あるいは閉山を間近に控えて保安対策が不十分になるおそれがある鉱山については監督を強化する、そしてできるだけ事前に防止をするというふうな監督指導方針を実はつくりまして、全国的にこれを流しておるわけでございます。ただ、いろいろな評価の問題ございますけれども、この山につきましてどちらかといいますれば新しい鉱区の採掘転換というふうなことが強くわれわれのほうには認識されておりまして、それは炭層探査をやってみなければわからないが、しかし実は現段階において閉山するといったような認識を持っていなかったということでございまして、しかしそれでも一応そういう声、たとえば新しい探査についての評価によってはいろいろな事態があるということはもちろんわかるわけでございますけれども、特に閉山を前提としたというふうな考え方に立っていなかったという点に、われわれとしましても現場のいわゆる空気自体の察知がおそかった点についてはまことに遺憾に思っております。したがいまして、こういう監督指導方針を一応出していろいろ監督強化をやっておりますが、先生いまおっしゃいましたように、今後はさらにこういった閉山関係のおそれの強いところ、こういったものにつきましてはもっと具体的に監督のやり方等につきまして、われわれも今回の災害を他山の石といたしまして、万全の対策を検討したいということで、実はすでに今月の二十日に各監督局長の招集をいたしまして、そこで具体的な問題を検討していこうというふうな態勢をとっておる次第であります。
○大橋(敏)委員 いま閉山が近まっている山に対するいわゆる保安の監督指導については、特に検討していくというお話がありましたので、具体的な内容を盛り込んでそれが実施されるように、ただ要綱はできた、あるいは具体的な案はできたけれども、実施段階で何もなされてなかったというようなことになると空文にひとしいわけですから、その点も含めて今後の対策に当たっていただきたいということであります。 それから、これはごく初歩の質問になりますけれども、坑内にいわゆる異常事態、異常だという問題が起こった場合、まずどのような措置をとるのか、あるいは指示しておられるのか、その点をちょっとお聞かせ願います。
○橋本説明員 異常事態といいましてもいろいろなケースがございます。しかしまず基本的には、当該作業場におきます保安係員、これがまずその異常事態を把握し、それを上級の職員あるいは場合によれば保安統括者あたりに連絡をとりまして、それについての措置の判断を受けるというようなのが普通のやり方でございます。
○大橋(敏)委員 その異常事態が大災害に通ずるという判断に立った場合には、作業を中止したり、その地域の作業を中止して安全を確認した上で作業が始められる、これが当然ではなかろうかと私は思うのですが、これはそうですね。
○橋本説明員 大災害に通ずるような現象その他が保安係員に察知されますれば、保安係員自体がそれをやるような権能を持っておりますので、もちろん作業停止は当然の措置だと思っております。
○大橋(敏)委員 先ほど局長の報告の中に、あるいは落盤で、崩落のために通気系統で風量が多少少なくなっていたのではないか、こういう報告があったのですけれども、現在その事故のあったときに左〇片上の排気風道が崩落して取り明け中であった、そのために通気を阻害し、加えて云々ということがありますね。私は専門家じゃありませんけれども、今度坑内の構造を一応知りまして、それから昇り採掘という採掘のあり方も説明を聞きました。この下山田炭鉱の現在の採掘は最も通気を重要視しなければならない姿である、こう思うわけです。ところがいまの報告の中には、その最も大事な通気をふさぐ事故が起こっているのです。それは完全にふさいだわけじゃありませんでしょうけれども、これが問題じゃないか、これが原因になったのではないかといわれるほどのものですから、かなりの事故に通ずるのではないか。それを完全に取り上げないままに他の作業をしていたということは、これは問題じゃないでしょうか。
○橋本説明員 先生おっしゃいますとおり、この昇り採掘におきましては通気というものが非常に重要でございまして、車風のようなことになれば非常に災害に直結するおそれがございます。したがいまして、これも計画段階におきましてはもちろん通風量等についてのこまかい測定もし、またいろいろな条件変化に応じての対策はそれぞれございますが、先ほど申し上げましたように、排気の側におきまして仕繰り作業をやっておるといったような、若干の落盤があって崩落しておりまして、そういったいわゆる通気をふさぐような状態が発生しておったということは、これはもう非常に重要な問題だろうと思うのでございます。これによるいわゆる風量がどの程度に減ったかというようなことは、こまかく計算をしてみないと、それが致命的な欠点であったかどうかという断定は困難としましても、影響があるのではなかろうかというような観点からいいますと、こういった状況が起きますれば、社内体制としてこれについての措置というものが当然とられなくてはならないし、かつまたそれの実態についての評価というものがいわゆる上級職員によりあるいは保安統括者により十分評価されて、おっしゃいますように、必要に応じましてその作業もやめたりあるいはそれの改善されるまでの間別個の保安対策をとらなければならないということは、これはもう当然のことだと思っております。
○大橋(敏)委員 先ほども申し上げましたように、この山は従来ガスが少なかったとはいわれておりますけれども、もともと甲種炭鉱ですね。したがいまして、ガスに対する観念を深めて、それに対応する作業が行なわれなければならない。ところが、その実際の構造は昇り掘進である。現地の話によりますと、ガスというものよりもむしろ落盤事故を防ぐためにはこれが最も有効な掘り方であるという話がありました。幸いにいままではガスがあまりなかったので事故がなかったわけですけれども、基本的には甲種炭鉱ですから、当然ガスの配慮があってしかるべきである。ところが、いろいろな今度の調査の結果、ガスに対する観念がほとんどなかったといってもいいくらいの状態であります。というのは、日ごろの監督、指導の不徹底ではないか、こう思うのです。 話はまたかわりますけれども、先ほど多賀谷委員も言っておりましたが、長谷川という係員の方がなくなっておりますが、この方は保安係であるし、そういう方面では最も忠実に実行していかなければならぬ立場でありながら、ガス測定器も持っていなかった、あるいはCOマスクの携行すらもしていなかった、こういう点から考えたとき、これは指導はなさったのだろうか、一体どんな指導をしているのだろうか、こういうふうに考えるわけです。書面の上であるいは条文の上で、保安監督はこうあるべきであるといってみても、それが実際に行なわれていなかったならばそれこそナンセンスであります。そういう点について、今後取らるべき局長の考え方をまず聞かしていただきたいと思います。
○橋本説明員 この山につきましては、従来からガスの検査の結果、非常にガスが少ないというふうなことから、ガスについての関心が薄かったということは事実だと思うのでございます。ただしかし、おっしゃいますとおりに甲種炭鉱でございます。したがって、いかにそういった常時ガスが少なくても、万一という場合を考えて、これはそれぞれ甲種炭鉱として守るべき考え方がございますが、いま事例が出されましたようなガス検定器の携行の問題とか、あるいは自己救命器の問題とかいうのは、もちろん保安規則できびしく規定してはおりますけれども、私の感じといたしましては、監督以前の問題である、そういうこと自体が守られないということは、もう石炭山に働く者としての自殺行為であるという感じをしております。実はこういった点につきましては、六月の監督検査をいたしました際に、自己救命器を持ってない労働者が発見されておりまして、監督局はそれに警告を与えております。その後の様子を見ますれば、山としては、いわゆる作業につく前に常時労働者にその旨を十分徹底させたというふうなことは言ってはおりますが、およそこういった問題につきましてきわめて石炭山といたしましてはシンプルといいますか、通常では想像されないような問題でございます。したがいまして、われわれはこれを一つの事例といたしまして、問題は、炭鉱において予想されるあらゆる災害というものは、それが過去において非常に少なくても、将来それを起こす可能性を多分に含んでおるというふうなことから、もう一度全山につきましての総点検をやりましたが、今後の指導としましては、いわゆる全山について起こり得る可能性の限界まで突き詰めた体制で保安をやっていきたいというふうな考え方を持っております。
○大橋(敏)委員 現地に参りましたときに、意外なお話に、下山田炭鉱には鉱務課長さんがいなかった。これは保安規程の上からいった場合はどうなるのでしょうか。
○橋本説明員 保安技術管理者を置かなければならないということは保安法で規定されております。ところが、保安技術管理者はどなたでなければならないかということは、これは山のそれぞれの組織、資格においてきめてもらうというのがたてまえでございます。したがいまして、たとえば係長がそれになったからいけない、あるいは課長でなければどうしてもいかぬのだというふうなことの法的な規定はしてはございません。したがって、これはその山々によって、その組織それからその人の能力等に応じてやっていただくということがたてまえでございます。ただ、今回の場合に、この鉱務課長あるいはそれ以外の職員についてもブランクがあった点もございます。こういった点を考えますれば、法的な問題としての責めはむずかしいとは思いますが、いわゆる保安のサイドからは十分ではなかったという批判は受けざるを得ないという感じはしております。
○大橋(敏)委員 いまの説明で、鉱務課長などというような立場の監督者は必要でないけれども、技術管理者を置かねばならない。それはどういう位置でも、その地元で、その会社できめればいいんだというお話だと思いますけれども、その辺に少し不安を感ずるのですね。要するに石炭産業というものは、生産と保安は同格でなければならぬと思うのですね。それだけにこの点をむしろ変更すべきじゃないか。保安規程の変更をする必要があるのではないか、こう思うのですけれども……。
○橋本説明員 その点につきましては、実は保安法におきまして保安統括者という規定、これは三十九年の法律改正で入ったと覚えておりますが、その保安統括者が最終的な保安の責任者である。しかも、これを行政指導によりまして、保安統括者は所長でなければいけないんだというふうな指導を実はしておりました。こういう一つの最終的な責任者を法律ないしは行政措置によりましてきめておりますので、したがって、あとのいわゆる保安係員とか、保安技術管理者とか上級職員とかいうふうな者は、あげてこれはその所長の責任においてやっていただく。そうしないと責任が分化いたしまして、必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 私は、人命あるいは災害の総括責任者は当然所長であるべきだと思います。しかしながら所長といえども、いわゆる鉱山技術の面について必ずしも十分ではない所長さんもいらっしゃると思います。そういう点から、人命あるいは災害の総括責任者は所長であっても、技術の面においては、やはりその技術面での最高責任者といいますか、そういうものがタイアップされた立場でなければならぬ、こういうふうに考えられるけれども、その辺どうでしょうか。
○橋本説明員 おっしゃるとおりでございまして、山におきまして、所長それからそれ以下の首脳陣容の非常にマッチした体制というものが、これは保安にとりましても生産にとりましても、非常に必要なことだと思います。ただしかし、こういうものは置かなければならないというふうなことは法律できめまして、しかしその人はどういう人をあてるかということは、そういう意味におきましては、最終の責任者が、自分の足らざるところを最も補えるような形での任命のしかたということが一番いい姿ではなかろうか、それでこそ初めて所長に対する全責任というふうなものを課し得る根拠があるのじゃないかというふうに実は考えております。したがいまして、指導上はいろいろな形はとっておりますが、法的な規制という形において鉱務課長が保安技術管理者でなければならぬとか、あるいはまた保安の係員がこういう人でなければならぬとかということは、かえって保安の体系を乱すおそれもあるのじゃないか、むしろあげて所長の足になり手になるといったような形において保安技術管理者を任命するというのがベストではなかろうかというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 時間の関係もありますので次に移ります。 先ほど多賀谷委員も言っておりましたが、ガスの警報機の問題であります。今回はそれが作動したかしなかったかということでまだ明確ではありませんけれども、私の知る限りでは、親警報機といいますか、その大もとになる警報機は現場よりは二百五、六十メートル離れた場所にあった。しかし当然その親のもとから離れた子警報機といいますか、触覚といわれておりますが、その触覚の位置は適当な場所に配置されていたのかどうかということをまずお尋ねいたします。
○橋本説明員 先ほども御答弁いたしましたように、設置基準というふうなことで、この設置基準に合わして各山において最も適当な場所を選定させることになっておりますが、それによりましても、可然性ガスの存在状況の迅速かつ的確に把握できる位置というふうなことをうたっておりまして、それの指導といたしまして排気側に置けというふうなことをやっております。したがってそういう面からいきますなれば、今回の受感部の設置位置は適当ではないというふうな判断をしております。
○大橋(敏)委員 要するに、そういう機械があっても、適当な位置に配置されてなかったら、あってなきようなものでありますので、今後はそういう点については特に綿密に具体的に指導、監督をしていく必要があろう、こういうふうに思います。 それから警報機が鳴ったか鳴らなかったかというお話になると、それを聞いた人がいないわけでございますので問題なんですけれども、私の判断なんですが、その係になっていたいわゆる従業員の方、この方はその警報機の位置よりもそう遠くない場所にいたわけです。しかもそこで災害にあったけれども自力脱出している。作動していればおそらく聞いたのではないかという気がするのです。またその本人が自分の立場を守るために聞いても聞いていないと言うのかも知りませんけれども、ちょうど同じような位置にもう一人、自力脱出してほんとうに軽傷な方もおりました。その人もどうも聞いていないというわけですから、私はおそらくこれは作動してないのだ、警報機は鳴っていない、こう判断するのです。だからああいう自動警報機なんというのは、一たび備えつけられますと、終生それを鳴るものだと信頼していく以外にないのですか。それとも外部からそれが作動するかしないかという検査が可能であるかどうかという問題ですけれども、その点はどうでしょうか。
○橋本説明員 自動警報機とか、それ以外のものについても当てはまる問題ではございますが、こういったいわゆる非常に近代的な保安機器の開発は非常に急いでやってはおりますけれども、現段階におきましてこの自動警報機というものは必ずしもオールマイティーではなくて、たとえば天盤のくぼみの中のガスは察知できるかといったら、できないと思うのです。そういうふうにどうしてもこの機械の性能からくるいわゆる欠陥がございます。したがって、自動警報機自体をいわゆる主体という体制は現在とってなくて、あくまでも保安係員が検定機を持って検査をする、測定をする、それが基本である。ただそれを補完する意味において、自動警報機というものを設置させるというふうな考え方でいっておりますので、なおこれが開発されてその性能というものが完全に信頼し得る状態になるまでは、そういう体制は避けられぬのではなかろうかという考え方をとっております。 それから、こういう自動警報機の鳴った鳴らぬという問題、これは非常にむずかしい問題でございます。そこにおる人たちの強制的な事情聴取というのは御承知のようにできません。したがって、その人たちの発言によらざればできないというのが現在の状態でございます。したがいまして、確実なことは申されませんが、結果から見ますと、その針は動いておった、しかし非常にレアケースとして烈風が来た場合には動くケースがあるというふうな感じを持っております。いずれにいたしましても、自動警報機が万能ではなく、あくまでも幼稚な方法ではあるかもしれませんが、係員による検定というものが基本であるというふうな方針で臨んでおります。
○大橋(敏)委員 最後に一言。遺族の生活保障といいますか、特に未亡人の方ですね、これに対しては特に配慮を願いたいわけですが、どのような現状になっておりますか。
○橋本説明員 その点につきましては、特に政務次官が参りまして、もちろんその弔慰金の問題等につきまして、これはわれわれとして真正面から額その他は言えないまでも十分に考慮してほしいというふうなことで話をしまして、これは労使双方で決着がついたわけでありますが、ことに遺族の方につきましては、それぞれ遺族の方々が一るの希望を持っておるはずである、したがってその希望を会社としては十分調査をし、そういう希望に沿うようにやってほしい、特に古河は石炭山だけではなく、いろいろな産業部門を他に持ってございますので、もしそういったところに未亡人等の就職というふうな問題がかりに出ますれば、十分誠意を持ってそれにこたえるようにしてほしいということで、現在の段階では、その総合的な結果はまだ参ってはおらないのでございますが、逐次われわれとしてはそういう状況把握にはつとめたいと思います。
○大橋(敏)委員 もうこれで終わります。遺族の再就職等に関しては、いま言われましたように遺族の意見をよく聞いていただいて、それから通産省と労働省と連携を密にして、ひとつ万全の措置をとっていただきたい。これを要望しまして終わります。
○平岡委員長 これにて質疑は終わりました。 次回は、来たる十一月十日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時十五分散会